約 544,084 件
https://w.atwiki.jp/fukumotoroyale/pages/90.html
人間 ◆6lu8FNGFaw氏 有賀はニタニタと笑いながら、沙織に向かって銃をちらつかせる。 「さあ…早く逃げなよっ…。何をためらってるの…?」 カイジは絶望感に苛まれていたが、ふと、ある違和感を覚える。 (こいつ…本当に、田中さんを逃がす気があるんだろうか…?) ヘルメットの奥にギラギラと光る二つの瞳。 愉悦を堪えきれず醜くつりあがり、ゆがんだ口。 ふと既視感…そうだ…これはあの時…。 ゴールの…希望のはずの窓……だが、悪寒…。薄暗い窓の向こうにほの見えた、暗い期待…… (駄目だ……窓を開けちゃ駄目だっ… 佐原…!!) 「…カウントダウン、するよ…?10…」 「待てっ…」 カイジはよろよろと立ち上がった。 銃弾を2発受けたのは片足…左足をかばうようにして、無事な右足でなんとか立ち上がる。 「あんた…本気で、片方は逃がすつもりでいるのか…?」 「…なんだ、まだ立ち上がる気力が残ってたの……」 有賀はカイジのほうに改めて銃を向ける。 「そうだよっ…!一人は逃がしてあげる…!うふふ、うふふっ…!」 「なら…銃を降ろせよ…俺はこの通り逃げられねぇし、攻撃もできねぇんだ…田中さんが逃げる間くらい、銃を降ろしてくれねえか…。 そんなんじゃ田中さんも安心して『背中を向けて』逃げられねぇっ…」 カイジは話しながら、足を引きずり、少しずつ沙織をかばうように…有賀と沙織の間…直線に割って入るように移動した。 考えろっ………。 もし仮にここで死ぬことになっても…。 いや、死なねえっ…最後の一瞬まで、『俺』は死なねえっ…! 何かないか… 考えろっ… 考えろっ…!! 有賀と話しながら、カイジは必死に考えを巡らせていた。 もう体の震えは止まっていた。足の痛みのおかげで、むしろ体中の感覚が冴えてくるのを感じていた。 絶体絶命、ほぼ必ず死ぬであろうこの状況で、ならばせめて、自分らしくいるっ…! 『俺』まで明け渡さない…! 有賀を睨みつけながら、必死で言葉を紡ぎ出しながら、カイジは考えていた。 何かないか…! 「なぁ…頼むよっ…銃を降ろしてくれ…数秒の間だけ…」 「うふふ…クク…何言ってるの…?そんなに…早く、殺されたいの…? 指図すんなよ…!体の端から順に穴を開けてやろうか…? すぐには死ねないよ…それとも、本望かな…頭と胴が無事なら数分は生き延びていられる…ウクク…!」 有賀の脅しに、強気のカイジもさすがに怯む。 その表情を見て、有賀はますます口の端をつりあげる。 絶望…ひたすら絶望…! 駄目だっ…何も…何も思いつかねぇ…! 死ぬのか…! ここで二人とも…! 「ねえ…」 ふと、カイジの後ろに立ち尽くしていた沙織が声を発する。 「やっぱり…私も…殺すの…?」 「うふふ…殺さないよっ…殺さないっ…」 「ねえ…お願い…助けて…何でもするから…」 沙織は涙声だった。 沙織の声を聞きながら、カイジはもどかしい思いに駆られた。 彼女は冷たい人間…だからって、死んで欲しくない…! 「うふふ… 何言ってるの…?」 「ねえっ…私だけでも助けて…何でもするからっ…死にたくないの…あなたの言いなりになるから…」 「………いらないよ、別にいらないっ…」 「お願い…!役に立つわ…私をおとりにして人をおびき寄せれば、もっと人殺しができるわ…」 「……………」 有賀と沙織のやり取りを聞きながら、カイジは背筋が凍るような感覚に襲われた。 そこまでして助かりたいのか…?わからない…全く理解できないっ… 「私が、同行中に不意打ちでもすると思っているの…? なら…私の両手をその銃で撃って…手負いにすれば、私はもう何も抵抗できない…」 「フフ…狂ってるね…あんた…狂ってる…!そんなに生きていたいの…」 「死にたくないもの…!お願い、私の命だけは助けてっ…!」 沙織は泣き叫ぶように言った。 有賀はそれを見てニヤニヤと笑いながら、ふと考えた。 生に対する執着…ここまでの奴は初めて見た…! 今まで、女子供をたくさん殺してきた…。 みんな、心躍るくらいに泣き叫び、哀願してきた。 それこそ何でもするからと、自ら服を脱ぎだすような女もいた。 だが… ここまで生に執着する女は初めて…… (こいつを…どこかの建物の中で縛りつけ…端から順にナイフで開いていったら、楽しいかな…? 開くたびに哀願…死にたくないと…許してくれと泣き叫び…もうしないと言って安心させて…、 またもうひとつと…傷をつけていき…再び絶望に染まる顔を眺めたら楽しいだろうか…?) 有賀はこらえきれない笑いをかみ殺し、沙織に言った。 「…何でもする…?」 「ええ…何でも…何でもする…!」 沙織の発する言葉はほとんど悲鳴に近かった。 「そう……なら、君を一緒に連れて行ってあげる…。 君のお望みどおり、両手を撃ってあげるっ…」 有賀は沙織が見える位置まで少し左にずれ、沙織に銃を向けた。 「ま…待って…。このままじゃ体にも弾があたってしまうわ… お願い…、両手を挙げて…少しだけ近くへ行くから、的を外さないようにして…お願いっ……」 「…クク…」 沙織はゆっくりと両手を挙げ、少しずつ有賀に近づいていった。 そのとき、カイジの横を通った。 カイジが呆然とこちらを見ているのが視界の端に映ったが、沙織はカイジに一瞥もくれず、そろそろと有賀に近づいていった。 足が震える。恐ろしい。立っているのもやっと。 殺人鬼。恐ろしい。恐い。だけど、殺されるのは嫌…もっと嫌… 有賀は、沙織の怯えた様子を愉しげに観察していた。 目に涙をためて、恐ろしさのあまりこちらを向かず、ふらつく足元を見ながらゆっくりと歩いてくる。 とても飼い慣らしやすそうだ…本人の言うとおり、少しの間なら奴隷として使ってやってもいいかもしれない。 …少しの間だけなら、ね…うふふ…! 有賀は油断していた。 ふと、銃を持つ手元に目をやった。 そのとき、一閃っ………………!!! 「グワッ…!!」 一瞬、何が起こったのか有賀には分からなかった。 左目に鋭い衝撃……! 「!?」 反射的に銃を構えなおそうとする…その刹那、視界が真っ赤に染まった。 何 が 起 カイジはその瞬間をはっきりと見ていた。 有賀がふと手元に目をやった…その瞬間、沙織の右手が振り下ろされた。 有賀は奇声を発して左目を手で抑えた。 有賀の指の隙間から、沙織は何かを勢いよく突き刺した。 沙織の左手は相手のヘルメットの淵をつかみ、右手は何か細い棒のようなもの… それを、有賀の指の間から突っ込み、根元まで押し込んだ。 有賀の指の間から、赤いものが流れ出した。 血だ。 鮮血はボタボタと垂れ落ちた。 有賀の銃はあさっての方向に向き、弾を放出した。 バラバラッと数発。 ゆっくり、有賀は膝をつき、倒れこんだ。 まるでスローモーションのように。 真っ赤な視界の中で、カイジって奴と女が鮮血を飛び散らせて倒れこむのが見えたんだ… 愉悦… 愉悦… 興奮… 愉悦… 愉しい…人を殺すのは、こんなにも愉しいっ…! うふふ… あはは……… は…… は カイジはゆっくりと、足を引きずりながら沙織に近づいていった。 沙織は、有賀の死体のそばで座り込んでいた。 「……田中さん…」 「……………」 返事がない。 うずくまったまま、肩が時折震えるのが見えた。 カイジは有賀の死体を見た。 有賀の横顔。左目に深く突き刺さっていたのは…見覚えのある物。 普段は筆談用に使っていた、通常支給品のペン。 カイジは足の痛みをこらえながらしゃがみ込み、沙織の肩に手を置いた。 沙織は嗚咽を漏らした。恐怖でも怒りでもなく、ただ悲しみが伝わってきた。 「……っく……っ……………ううっ…!」 「田中さん」 「……う……うう……!殺した……私……人殺し………殺した…!」 「田中さん、俺もだ」 「……………」 「この状況ではこうするしかなかった」 「……………」 「二人で殺したんだ…」 「……………」 「……ありがとう」 「……自分のためにやっただけよ」 「それでもいい…助かった」 「………あなたが、『この殺人鬼は二人とも殺すつもりだ』って教えてくれなかったら、一人で逃げてたわ」 「……………」 「でも……あなたは……最後まで、私を庇おうとしていたでしょう………」 「……………」 「一人なら、とてもこんな度胸なかったわ……。 一人なら……、自分だけが助かりたければ、目先の安全しか見えない…。 だから、…きっと殺されてたわ……………」 「………ありがとう」 「………お礼を言われるようなことじゃないわ…」 「人間らしくいてくれて………、ありがとう」 沙織はカイジのほうに目を向けた。 沙織の目から、涙がぼろぼろとこぼれ落ちた。 …………………… しばらく経って、沙織は深呼吸をした。 「行きましょう」 カイジは頷いた。 「こいつの荷物も持って行きましょう…マシンガンは使えるわ」 「ああ」 「あと、どこか隠れられるところに…、足の手当てもしないと」 「うん」 「歩ける?」 「…なんとか、ゆっくりなら」 「幸い…日も落ちてきたし、見つからぬよう…音を立てないように注意して移動すれば、なんとかなるわ、きっと」 二人は荷物をまとめると、ゆっくりと歩き出した。 * 【C-4/アトラクションゾーン/夜】 【伊藤開司】 [状態]:足を負傷 (左足に二箇所) [道具]:支給品一式×2、果物ナイフ、ボウガン、ボウガンの矢(残り十本) [所持金]:1000万円 [思考]:身を隠せる場所を探す 仲間を集め、このギャンブルを潰す 森田鉄雄を捜す 赤木しげる、一条、利根川幸雄、兵藤和也、平井銀二に警戒 ※平山に利根川への伝言を頼みました。 ※2日後の夜、発電所で利根川と会う予定です。 【田中沙織】 [状態]:健康 [道具]:支給品一式(ペン以外)、サブマシンガンウージー 防弾ヘルメット、参加者名簿 [所持金]:7800万円 [思考]:カイジの足の手当てができる場所を探す 死に強い嫌悪感 森田鉄雄を捜す 赤木しげる、一条、利根川幸雄、兵藤和也、平井銀二に警戒 【有賀研二 死亡】 【残り 29人】 062 変化 投下順 064 人間として 062 変化 時系列順 066 夢現 062 変化 伊藤開司 070 陰陽 062 変化 田中沙織 063 陰陽
https://w.atwiki.jp/kumicit/pages/962.html
Kumicitのコンテンツ STSとしてのインテリジェントデザイン John G Westの「科学の名による人間性喪失」 科学の名による人間性喪失:息苦しい言論の自由 インテリジェントデザインの本山たるDiscovery Instituteのインテリジェントデザイン部門であるCenter for Science and Cultureの 副センター長 であり、シニアフェローである社会学者Dr. John G. Westが、自著" Darwin Day in America をダイジェストした" The Abolition of Man? "の5つめの論点「息苦しい言論の自由 」について。 Stifling Free Speech A final influence of scientific materialism on public policy has been the suppressing of free speech and debate over the public policy implications of science. This is surely one of the most striking ironies of the effort to enlist scientific materialism to reform society. 公共政策に対する科学的唯物論の第5の影響は、言論の自由および科学の公共政策に対する意味についての論争の抑圧である。これは、社会改革に科学的唯物論を助けを借りようとする努力の、もっとも著しい皮肉の一つである。 In their own minds, proponents of scientific materialism were the defenders of enlightenment against superstition and rational debate against unreasoning dogmatism, but the rhetoric they employed against their opponents is often far from conducive to open debate. The repeated insistence that scientists know best and, thus, politicians and the public should blindly accept the policy views of scientists did not encourage critical scrutiny of scientific claims made in politics. 科学的唯物論支持者たちは、その心のうちでは、迷信に対する啓蒙と、不合理な教義に対する理性的論争の擁護者だが、彼らが敵対者に使うレトリックは率直な議論の助けにはならなかった。科学者はベストを知っていて、政治家と市民は盲目に科学者の政策についての見方を受け入れるべきで、政治においてなされた科学的主張の批判的調査は歓迎されないと繰り返し主張されてきた。 Even less conducive to genuine debate was the frequent playing of the religion card in policy disputes involving science. With the help of sympathetic journalists, proponents of scientific materialism portrayed every policy dispute as a battle pitting the enlightened forces of science against bigoted religious extremists. Promoters of eugenics heaped scorn on Catholic and fundamentalist critics of forced sterilization. Advocates of Kinsey-style sex education demonized parents who raised objections as Bible-thumpers who were conspiring against democracy. Today, defenders of a Darwin-only biology curriculum similarly accuse their opponents of trying to insert the Biblical creation story into science classes, even when such claims are inaccurate. 科学に関連する政策論争において宗教カードを頻繁に使うことは、より本物の議論をするのに助けにならなかった。同調するジャーナリストの助けを借りて、科学的唯物論の支持者たちは、あらゆる政策論争において、科学の啓蒙的力による、偏屈な宗教過激派との戦いであるかのように描写してきた。優生学の推進者たちは、カトリックおよび原理主義の強制断種批判者を軽蔑してきた。Kinseyスタイルの性教育の支持者たちは、異議を唱える両親を、民主主義に陰謀を企てる福音伝道者だと悪魔化した。今日、ダーウィンのみの生物学カリキュラムは同様に、聖書創造論の物語を持ち込もうとする者だと反対者を批難する。たとえ、その主張が間違っていても。 Perhaps the most disturbing aspect of these attempts to frame policy disputes in terms of religion versus science is the attempt to shift the focus from the content of the debates to the supposed motives of those who oppose any claim made in the name of science. Instead of addressing the policy arguments raised by critics of sex education or Darwin-only science education, defenders of scientific materialism try to make the religious beliefs of their opponents the central issue, arguing that critics' real or perceived religious motivations somehow disqualify them from being active participants in the public square. おそらく、宗教対科学の言葉で政策論争をフレームしようとする試みの最も不穏な面は、科学の名でなされる主張が何であれ、これに反対する人々の想定動機へと論点を移すことにある。性教育やダーウィンのみの理科教育に対する批判者による政策論争に対抗するのではなく、科学的唯物論者たちは、敵の宗教信条を論争の中心にしようとする。そして、批判者の真のあるいは読みとられた宗教的動機のゆえに、公的な場での論争参加者としての資格がないと論じる。 America is a deeply religious country, and no doubt many critics of the agenda of scientific materialism are motivated in part by their religious beliefs. So what? Many opponents of slavery were motivated by their religious beliefs, and many leaders of the civil rights movement were even members of the clergy. All of them had an equal right with other citizens to raise their voices in public debates. So long as religious persons in politics offer secular justifications for their policy proposals, they have every right to demand that their ideas be heard on the merits regardless of their private religious views. 米国は深い宗教国家であり、科学的唯物論のアジェンダの批判者の多くは疑いようもなく、その宗教信条に部分的に動機づけられている。それがどうだというのだ。多くの奴隷制度の反対者は宗教信条に動機づけられていて、公民権運動の多くの指導者たちには聖職者たちもいた。彼らはすべて、公的議論に声を挙げた他の市民たちと同等の権利を持っていた。政治に置いて宗教的人間が政策提案について世俗的正当性を提案する限り、その個人の宗教観によらず、そのメリットについて考えを聞いてもらえる権利を持っている。 In the controversy over the teaching of Darwinian theory in public education, reporters often note the supposed religious beliefs of critics of Darwin's theory, but they almost never investigate the anti-religious beliefs of many of the leading defenders of evolutionary theory. Why? Motives are either relevant for both sides of a political dispute, or they are irrelevant to either side. The willingness of some reporters to embrace uncritically the agenda of Darwinists represents a grave disservice to the public as well as a serious breach of journalistic ethics. Given the troubled legacy of scientific materialism in public policy, what is needed is greater critical scrutiny of scientific materialism in politics, not less. ダーウィンの理論を公教育で教えることをめぐる論争について、報道者たちはダーウィンの理論の批判者の想定宗教信条に関心をはらう一方で、進化論の擁護者たちの持つ反宗教的信条について調べることがない。なぜなのか? 動機は政治論争の両側にある。あるいは、どちらにも関係がない。無批判にダーウィニストのアジェンダを受け入れようとする報道者たちは、報道の倫理の重大な違反を犯しているばかりか、市民への重大な損害をもたらしている。公共政策の科学的唯物論の問題のある遺産があるからこそ、必要なことは、政治における科学的唯物論の批判的な調査である。 これは「息苦しい言論の自由」の一つ目の主張で「"創造論者"の理科教育に対する意見も、等しく取り扱われるべきだ」というものである。自分の信仰と科学を分けていれば別に問題などないが、そう簡単にいくものではない。進化論は科学的には正しいと言う創造論者はTodd Woodくらいなもの: 進化論は正しいと言う創造論者 創造論者の攻撃に対して"共通祖先"が無傷である理由 そして、2つ目の「少なくとも公共政策に関連する科学理論について、"民主的"に葬り去ることを可能にしよう」という主張に進む。もちろん、公立学校の理科教育の内容は公共政策に含まれるので、理科教育カリキュラムに含まれるネタはすべて対象となる: Conservatives who are uncomfortable with current debates over science and public policy need to realize that the debates are not going to go away, because scientific materialism raises fundamental challenges to the traditional Western understanding of human nature and the universe. Scientific materialism is central to arguments over moral relativism, personal responsibility, limited government, and scientific utopianism. 科学と公共政策についての現在の論争について不快だとおもう保守は、科学的唯物論が伝統的西洋の人間性と宇宙についての理解に対する根本的な挑戦を行っているので、論争が消えることがないことを認識する必要がある。科学的唯物論は倫理相対主義や個人の責任や政府の限定や科学的ユートピア理想主義についての議論の中心にある。 Moreover, these debates are not going away because many of America's most influential scientists are avowed materialists, and it is nearly impossible for them to separate their materialism from their policy recommendations. Nearly 95 percent of biologists in the National Academy of Sciences, for example, identify themselves as either atheists or agnostics. We are not supposed to wonder how their materialism influences their application of scientific expertise to public affairs? さらに、米国の最有力な科学者たちの多くが唯物論者であることを自認しているので、これらの議論は終わらない。そして、彼らが自ら唯物論と推奨する政策を切り離すことは不可能だ。米国科学アカデミーの生物学者のほぼ95パーセントは、無神論者または不可知論者だと回答している。我々は科学的専門知識の公共問題への適用に、彼らの唯物論が影響しているか疑問に思っていないのではないか? As members of a free society, we should be willing to defend vigorously the right of laypeople and scientists to voice dissent from the current scientific consensus, whether the issue is global warming, the over-prescription of Ritalin for children, the content of sex education, or even the debate over Darwinism and intelligent design. 自由社会の一員として、地球温暖化や子供へのリタリンの過剰投与や性教育の内容やダーウィニズムとインテリジェントデザインの論争について、素人や現在の科学的コンセンサスに異議を唱える科学者の権利を積極的に擁護する意志を持つべきである。 We do not always have to agree with dissenters in order to defend their right to present their views free from harassment and intimidation. But if we are unwilling to defend their right to debate scientific issues implicating public policy, we have no grounds for complaint when the agenda of the scientific elites leads to coercive utopianism or when every attempt to raise a different point of view is smeared as an attack on science. 嫌がらせと脅迫されることなく見解を提示する権利を守るために、我々は異議を唱える者たちに常に同意する必要はない。しかし、公共政策に影響する科学的問題についての論争を行う権利を擁護する意志を持たないなら、科学的エリートが強制的なユートピア的理想主義へと導こうとしたときや、異なる見解の提示を科学への攻撃だとみなされるときに、我々は文句を言うための基盤を持てなくなる。 Contrary to the assertions of some, robust public scrutiny of claims made in the name of science does not constitute a "war against science." Indeed, it may be the very thing that saves science from its own excesses. 科学の名においてなされた主張についての公的な詳細な調査は、一部の者たちが言うのとは逆に「科学に対する戦争」を構成しない。実際には、科学の過剰から科学を守ることになるかもしれない。 John G Westが求めるミドルグラウンドは、「専門外の人々が否定論を一般書やらWebサイトで主張して、科学な答えが出ていないことにする」もののようだ。しかし、それは公共政策を決めるために、公共政策そのものではなく、背景となる科学を論じることになる。 テクノクラシー (Technocracy) ユートピア的理想主義 (Utomianism) 人間性喪失 (Dehumanization) 相対主義 (Relativism) 息苦しい言論の自由 (Stifling Free Speech)
https://w.atwiki.jp/toriko-database/pages/3072.html
名前 人間界 読み仮名 にんげんかい 場所 地球 概要 関連項目 概要 地球の中心部に位置する場所。 地球上に棲む大半の人間の居住地域であり、第1章 人間界編の主な舞台。 クッキングフェス編で三虎の放ったメテオスパイスにより大規模な食糧難に陥ったが、 ビリオンバードの復活、グルメ界からの食料の供給により復興の兆しを見せつつある。 関連項目 地名一覧(その他) 地球グルメ界 IGO 国際連合
https://w.atwiki.jp/bvfo3md/pages/18.html
仏教では、新刊が比較といいます。現実の女ではなくて、信義を見る心の目をつかむことです。 審議を知って正しい発想を持ちましょうということです。ここでも寝れ他人を見るなんてことではなくて審議を見ることが強調されています。他人からどう見られているか、人をどう見たらいいかという内には、本当は生きる上で肝心なテーマではないと心の片隅で良いから止めておきましょう。 60年近く一貫して内向的人間であった私の体験と、同じタイプの男女数千人とやってきて、なるほどと思ったことからも確信する結論は、視線恐怖は主として大攻勢のもたらす正確です。[http //revanche-trialset.com/ ルバンシュ トライアルセット]
https://w.atwiki.jp/mabiruerivip/pages/21.html
人間 近接・魔法・弓すべての戦闘スキルをそつなくこなせ、固有スキルも扱いやすい 移動速度が遅いのが欠点 利点 剣を二刀流 ・ 両手剣 ・ ランス を装備できる ファイナルヒット・アローリボルバースキルが使える 近接・魔法・弓全てをそつなくこなすことができる 欠点 エルフ・ジャイアントと比べて足が遅い 近接ではジャイ・弓ではエルフに劣る 序盤の育成例 自由度の高いゲームなので好きに育てるのが一番! でも、どうしても育成に困ったら参考にしてくれ あくまでランクは止める参考、近接とかで戦っていくつもりならもちろんスキルは高い方がいい テーマ 最優先スキル その他のスキル 戦い方 備考 近接特化 スマッシュ1ウィンドミル1 アタック9武器マスタリ9カウンターCアイスボルトFファイアボルトF ウィンドミル・スマッシュで戦う。 魔法特化 ファイアボルト1アイスボルト9マジックマスタリ9ボルト魔法の合体 カウンターCメディテーションF FBcc+4でサクサク、合体魔法でさくさく 弓特化 レンジアタック9マグナムショット5 精錬1ボウマスタリ9カウンターC マグ中心で戦う 格闘特化 ダッシュパンチ9チャージングフィスト9 ナックルマスタリ9スクリューアッパー9サマーソルト9ドロップキック9 タイマンなら大体負けない 正直累積1000もあると1才能くらいマスターできるしあんまり参考にならないかも コメント ぶっちゃけFBの数字ランクあれば何でも倒せる -- 名無しさん (2012-04-25 22 02 21) 序盤は弓ならエルフ、近接ならジャイアントに負けるが 累積が上がるにつれて差は縮まる -- 名無しさん (2013-08-08 10 11 44) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/df_another/pages/94.html
レフティス:ファズ:プレーヴァ(A1) 眼鏡っ娘。 おっぺけぺーなライトをビシビシしごく、良くできた妹である。 内政や外交に聡く、ライトが旅に出ていた頃は一手に引き受けていた。 神霊術者には劣るものの、知識と判断力はなかなかに才女である。 普段は理性的なのだが、ライトがよく怒らせるためにやや困り気味。 恋話に弱い。略してコイバナ。 現在、神霊術者としての力には目覚めていない・・・らしい。 -- GOGH (2006-01-08 17 56 53) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/siriusudemopa/pages/42.html
紅蟻のメンバーの1人。 メンバーの中では最も若い少年。 またメンバー内では貴重なツンデレでもある。 名前 渚 千尋(なぎさ ちひろ)/男 あだな 千尋 年齢 13歳 職業 学生(中学1年) 共生生物 ドラグーン/ドラグーン/ドラグーン 位 紅蟻メンバー 容姿 銀髪で目立つ容姿 変身後の特徴 二対の巨大な羽を有している 性格 普段は冷静で余裕をもった印象を受けるが、弱点を突かれるとすぐ子供っぽくなる 趣味 人間観察 特技 身体の一部だけでも視界に入れば、それが影であっても誰かを見分けれる 好きなもの カレーライス お子様ランチ 紅蟻のメンバー 嫌いなもの 光樹(すぐにおちょくってくるから) ・生い立ち、境遇 俗に言う天才として生まれた。 その頭のよさゆえに、自分は選ばれた人間なのだと自負し、自然と周りの人間を家族を含め見下すようになる。 ある日、ヴィシャスに襲われ命を落としかけるが、望音によって救われる。 自分が全く知らなかった悪魔憑きという存在を知り、自分も所詮は今まで見下してきた人間達と同じ矮小な存在だということに気付かされる。 歳も自分とそう変わらないのに圧倒的な力をもつ望音に憧れに似た感情を抱き、望音の仲間になることを望み、悪魔憑きとしての力を手に入れ、紅蟻のメンバーとなる。
https://w.atwiki.jp/bbntrpgr/pages/65.html
人間系 一般人から強敵まで、人間系エネミー。 BBNTRPGRにおいて最も頻繁に登場する。 一般人(ヒューマン) レベル:1(D) イニシアチブ値:3 耐久力:10 精神力:10 知名度:1 知性:人間並み 出現数:1~20程度 出現場所:ほとんどどこでも 特殊能力:何らかの≪実務技能≫≪生活技能≫1つを1レベルで習得していてよい。 攻撃方法:武器で殴る(白兵)/命中5・ダメージ4 防御方法:なし 説明:もはや説明しようがない、標準的な人間。成人のデータ。 なるべく、争いたくはない。一瞬で決着がついてしまう。 悪人(エチゴヤ) レベル:2(D) イニシアチブ値:3 耐久力:雑魚 精神力:1 知名度:2 知性:人間並み 出現数:1~3人 出現場所:ほとんどどこでも 特殊能力:「土下座と見せかけて不意打ち」…攻撃判定の対象は危険感知判定で難易度13の判定を行う。失敗すると不意打ち扱い。 「人質」…人質を盾にする。(最も『体』の小さい女性優先) 攻撃方法:当たらない拳 当たらない銃 防御方法:避けようとするが避けられない 説明:切られ役。 不意打ちを見破られて返り討ちとか、人質取ったらそいつに半殺しにされるとか、女性PCのスカートめくって踵落とし喰らうとか、役目は色々。 悪徳政治家や悪徳経営者等、PCのストレス解消用にぴったり。 銃装備一般人(チンピラ、ポリスメン) レベル:3(D) イニシアチブ値:10 耐久力:12 精神力:10 知名度:1 知性:人間並み 出現数:1~10程度 場所:治安の悪い場所 特殊能力:なし 攻撃方法:銃を撃つ(射撃)/命中13・ダメージ13(射程10m) 防御方法:避け/7 説明:一般人に銃を持たせた場合。それでも毛がはえた程度で、あまり恐れるものではない。 狂信者(サタニスト) レベル:5(D) イニシアチブ値:10 耐久力:10 精神力:10 知名度:2 知性:人間並み 出現数:3~30人 出現場所:宗教関連施設 特殊能力:何らかの≪魔術技能≫1つを1レベルで習得していてよい。 攻撃方法:邪教のナイフ(白兵)/命中5・ダメージ4 防御方法:避け/11 説明:邪神の復活をもくろんでたり、日本征服企んでたり、単に金儲けを企んでたり、ピンからキリまで邪教はある。 大抵フードを被った短衣を着てたり、お揃いのマークを入れたり、わかりやすいユニフォームを着用している。 海賊(パイレーツ) レベル:10(D) イニシアチブ値:13 耐久力:17 精神力:23 知名度:11 知性:人間並み 出現数:1~5 出現場所:海上、海沿いの村 特殊能力:「バランス感覚」…「転倒」の効果を受けない。 攻撃方法:曲刀(白兵)/命中14・ダメージ15 ショットガン(射撃)/命中22・ダメージ18(射程20m) 防御方法:避け/8 受け/16 自動減少/2 説明:海の最も一般的な敵として、あらゆるシナリオで使用が可能。 データを少しいじれば山賊などにも流用できる凡庸性が魅力。 軍兵士(ソルジャー) レベル:15(C) イニシアチブ値:15 耐久力:15 精神力:15 知名度:1(所属組織は無判定で判明してよい) 知性:人間並み 目的遂行(任務による) 出現数:1~10程度 出現場所:紛争地帯、軍事施設など 特殊能力:その場所の警戒レベルによって暗視スコープなど軍事兵器を装備。 攻撃方法:セミオート射撃(射撃)/命中17・ダメージ19(2回攻撃、射程50m) バースト射撃(射撃)/命中20・ダメージ22(射程50m) フルオート射撃(射撃)/命中20・ダメージ18(射程50m、3m以内へ範囲攻撃、次のタイムにリロード) ナイフ格闘(白兵)/命中18・ダメージ16(命中時:対象に「出血-1」を与える) 投術(白兵)/命中15・ダメージ10(『体力値』にダメージ、床の硬さで変動する) 防御方法:避け/17 受け/17(≪流し≫1レベル) 自動減少/2 説明:一般人とはクラスが違う兵士達。たが、経験をつんだPCであれば1対1で完封できるレベルではある。 おもに傭兵として出会うことになるかもしれない。 侍(ローニン) レベル:20(C) イニシアチブ値:15 耐久力:20 精神力:16 知名度:5 知性:人間並み 出現数:1~3人 出現場所:依頼などによる 特殊能力:なし 攻撃方法:打刀(白兵)/命中17・ダメージ19(命中時:対象に「出血-1」を与える) 必殺剣(白兵)/命中24・ダメージ26(命中時:対象に「出血-3」を与える、『精神力』5消費) 防御方法:避け/17 受け/15(≪流し≫2レベル) 説明:BBNの世界においてサムライは過去の存在ではない。その剣の腕で裏の様々な仕事に従事している。 工作員(エージェント) レベル:25(B) イニシアチブ値:16 耐久力:24 精神力:20 知名度:12(所属組織は達成値20で判明) 知性:人間並み 目的遂行(任務による) 出現数:1~3人 出現場所:任務による 特殊能力:「防弾ベスト」…【銃改造・弾丸】による特殊効果を無効にする。 何らかの≪実務技能≫1つを3レベルで習得していてよい。 攻撃方法:拳銃(射撃)/命中26・ダメージ31(射程20m) 空手(白兵)/命中25(≪回転≫3レベル)・ダメージ22 防御方法:避け/24(≪アクロバット≫2レベル) 受け/24(≪流し≫2レベル) 自動減少/3 説明:各国、もしくは組織で選りすぐられた精鋭兵士。戦闘能力に優れている。 初期のPCではまったく歯が立たないだろう。BBN上位陣には相手にならないかもしれないが。 剣豪(ミフネ) レベル:30(B) イニシアチブ値:18 耐久力:21 精神力:25 知名度:7 知性:人間並み 出現数:単独 出現場所:人里離れた山中の庵や滝壺の洞窟 特殊能力:「明鏡止水」…「放心」「恐怖」「苦痛」の効果を受けない。 「斬鉄の剣」…弾丸を切り落とし、銃器による攻撃は命中しない。「失明」で無効化、爆発物には効果がない。 「感覚探知」 攻撃方法:名刀(白兵)/命中33・ダメージ37(命中時:対象に「出血-3」を与える) 防御方法:避け/32(≪見切り≫5レベル) 受け/22(≪流し≫4レベル) 説明:剣の道を極めし者。並の人間なら、100人がかりでも勝てないだろう。BBNメンバーといえども1対1では不利。 敵よりもむしろ、中立NPCとして出る可能性が高い。 狙撃手(スナイパー) レベル:35(A) イニシアチブ値:20 耐久力:39 精神力:30 知名度:20 知性:人間並み 出現数:単独 出現場所:依頼による 特殊能力:「弾道計算」…「状況による判定への修正」を受けない。 攻撃方法:狙撃銃(射撃)/命中50・ダメージ40(射程1000m) 防御方法:避け/32 受け/22 自動減少/3 説明:依頼を受けてスナイプを行うプロ中のプロ。こちらの視界外からの攻撃は驚異の一言。 剣聖(ムサシ) レベル:40(A) イニシアチブ値:24(2回行動) 耐久力:40 精神力:30 知名度:20 知性:人間並み 出現数:単独 出現場所:戦場(いくさば) 特殊能力:「明鏡止水」「斬鉄の剣」「感覚探知」 攻撃方法:二刀(白兵)/命中45・ダメージ45(2回攻撃。命中時:対象に「出血-3」を与える。) 防御方法:避け/35(≪見切り≫9レベル) 受け/32(≪流し≫6レベル)自動減少/8 説明:伝説の剣士。兵法に通じ、極めて高い戦闘力を持つ。 一人軍隊(ワンマンアーミー) レベル:45(S) イニシアチブ値:29(2回行動) 耐久力:45 精神力:35 知名度:30 知性:人間並み 出現数:単独 出現場所:依頼による 特殊能力:「防弾ベスト」「弾道計算」「明鏡止水」 攻撃方法:空手(白兵)/命中40・ダメージ40 狙撃銃(射撃)/命中55・ダメージ40(射程2000m) 突撃銃(射撃)/命中40・ダメージ30(射程30m、3m内へ範囲攻撃) 防御方法:避け/35(≪アクロバット≫7レベル) 受け/35(≪流し≫7レベル) 自動減少/5 説明:最高峰のプロ。各国の要人から依頼を受け、高度なミッションを完遂する。 鳥人(スーパーマン) レベル:50(S) イニシアチブ値:31(2回行動) 耐久力:50 精神力:40 知名度:35 知性:人間並み 出現数:単独 出現場所:神出鬼没 特殊能力:「飛行」「防弾ベスト」「感覚感知」「明鏡止水」 攻撃方法:空手(白兵)/命中43・ダメージ42 光線(魔法)/命中45・ダメージ40(射程30m、3m内へ範囲攻撃、『精神力』5P消費、<魔法>) 防御方法:避け/39(≪アクロバット≫9レベル) 受け/39(≪流し≫9レベル) 自動減少/6 説明:鳥だ!飛行機だ!でお馴染み空飛ぶ人間。マントをたなびかせ正義のために戦う。
https://w.atwiki.jp/monsters/pages/248.html
キロロの森 3 5-490様 「ますますお前が欲しくなったよ…アリク」 茂みの奥に隠れるように立つ老婆…金色の魔女。 その人間らしからぬ不気味な顔を上げると、アリクを見つめてにたりと笑った。 「ッ…」 アリクは怯えきった表情で後ずさる。 「へぇ、あれがその金色の魔女って奴か」 クロウクロウは金色の魔女を見下ろし少し楽しげに言った。 「さて…確かランドットの話じゃあ、なにやら嘴に傷のあるオオタカがあの子を邪魔したらしいじゃないか」 金色の魔女はガルスを焦点の合わない目で睨んだ。ガルスも睨み返す。 「…あんたがこいつに呪いをかけた本人か。丁度良い、こいつの呪いを今すぐ解いてやってくれ」 金色の魔女の眉がピクリと動いた。その笑みに苛立ちが含まれる。 「確か…ガルスとか言ったね。馬鹿な事を言ってないで早くここから立ち去りなさい。その娘を置いてね」 「あんたの弟子に言ったはずだぜ、断るってな。後から曲げるつもりはねえ」 互いに睨み合う二人。アリクはガルスと金色の魔女を不安げな表情で見つめ、それをクロウクロウが見守っていた。 その緊迫した空気を、金色の魔女が破る。金色の魔女はひとつ大きな溜め息をついた。 「…馬鹿も休み休み言っておくれよ。だいたいお前がその娘を守ることに何の得があるんだ」 聞かれたガルスは少し黙っていたが、やがて得意気な表情で答えた。 「…あんた知ってるか?人間ってのはな…自分の毛皮を脱ぐことができるんだぜ」 「はぁ?」 と、素っ頓狂な声を上げたのはアリクだった。ガルスは構わず続ける。 「しかも脱皮と違って脱いだらそれで終わりじゃねえんだ。脱いだ毛皮をまた元通りに付けれるんだぜ」 「いや、あの、ガルス」 アリクはなんと言ってよいかわからず狼狽している。 「マ…マジかよ…!人間てすげえな…!」 「クロウもちょっと…普通に驚かないでよ…」 そばで聞いていたクロウクロウも目を丸くして驚いている。 「つまり、コイツには俺の知らんことがまだまだ沢山有るに違いねえ!俺はそれを全部知りたい!だからコイツをお前に渡すつもりはねえし、虫になられても困るんだよ」 ガルスは強い眼差しでそう言った。金色の魔女は目を細めながら聞いていたが、やがて顔を手で押さえて苦笑の笑みを零した。 「…くっ…くくく…はっはは…面白い、ここまでの馬鹿は久しぶりに見たよ」 金色の魔女は再び大きな溜め息をついて、ガルスを睨んだ。 「馬鹿の相手は疲れるね。あまり使いたくないんだが…しょうがないね、力ずくでも連れていくよ」 そう言うと、金色の魔女の黒い眼が赤く染まっていく。やがて風もないのに、木がざわめき始めた。まるで、金色の魔女に怯えるように。 「…な…何だ…?」 異変に気づいたクロウクロウが辺りを見回した。その直後。 「いっ…!?うぁっ…あああああっ!!」 突然耳を押さえてうずくまるアリク。 「なっ…どうした!?」 「聞こえるかい、アリク。それが、私の力だ」 金色の魔女は不敵に微笑んでアリクを見る。 「てめえ…アリクに何しやがった!!」 ガルスはうずくまるアリクを見ると怒鳴った。ガルスとクロウクロウには何も感じられないらしい。 金色の魔女はにたりと笑うと、微かに口を開いた。その瞬間、アリクが何かを察知した。 「…!だめっガルス逃げてぇっ!!」 金色の魔女は、消え入りそうな声で何かを囁いた。ガルスがその事に気づいたと同時に、金色の光が、彼の体を貫いていた。 「ガルスッ…!!」 アリクが叫ぶと、ガルスはその場に力なくくずおれた。いつの間にか現れた金色の光の壁の向こうで、金色の魔女が不気味に笑った。 「おいッ…どうした傷嘴!!」 クロウクロウが呼びかけるもガルスは答えない。 「さあ…お前も私を邪魔するのかい?もしそうなら、お前もそいつの二の舞になるが」 金色の魔女は光の壁をクロウクロウの方へ向ける。 「………!」 クロウクロウはチッ、と舌打ちするとアリクとガルスを交互に見た。その時、 「…ふざっ…けんな…!!」 意識を回復したガルスがよろめきながら立ち上がった。 「そいつは関係ねえ…やるなら…俺にやれッ…!!」 「ガルス…!」 アリクが泣きそうな顔でガルスを見上げる。 「ふん…やはり“虚仮威し”じゃあ、そんなに効かないか。なら、これでどうだい!?」 金色の魔女は光の壁を再びガルスに向けなおすと、何かを囁いた。 金色の光の壁が一瞬で赤黒く変化すると、再びガルスに襲いかかった。 だが、黙って食らうガルスではない。渾身の力を込めて飛び上がりぎりぎりの所でかわした。 「…甘い!」 金色の魔女が壁に手を翳すと、壁はガルスの動きを真似て飛び上がった。 「なッ!?」 予想を外した壁の動きに、ガルスの反応が遅れた。壁はガルスの背中に襲いかかり一気に弾けた。 「ぐぁあッ!!」 そのままぐしゃりと地面に墜落する。 「ぐっ…クソッ…!」 ガルスは再び立ち上がろうとするが、魔法に墜落のダメージが重なって思うようにいかない。 金色の魔女はゆっくりとガルスに近づく。そして、とどめを刺そうと枯れ枝のような腕を伸ばした。 「ガルス…!」 …もう…だめだ。様子を見つめていたアリクは、思わず目を閉じた。ふと、ガルスと初めて出会った瞬間が瞼の裏で蘇った。 …自分を見て、目を丸くして驚いて、それから笑って、それから…自分を守ってくれた。それなのに、今ここにいる自分は…。 助けたい。ガルスを、助けたい。 思ったときには、既に声を発していた。 「…待って」 その枯れ枝の腕が止まった。金色の魔女が振り向く。 「…もう…やめて…私が行くから…そのひとを…殺さないで」 言うことを聞かない膝に鞭を入れ、アリクは精一杯の力で立ち上がると、そのままゆっくりと歩き出した。 「ッ…アリク…!」 「…ほ、ほほ…いい子だ。こいつと違ってお前は賢いね…」 金色の魔女はアリクの方に手を差し出した。だが…。 「ッ…!?」 その手はすぐに引っ込められた。そして、怖じ気づいた表情でそのまま後ずさりを始める。 「あッ…!ああッ…!!」 なんということだろう。あの金色の魔女が、アリクに対して怯えている。先ほどまであれほど欲していたアリクに対して。 「アリクッ!やめろ戻れッ…!」 ガルスは声を振り絞ってアリクを止めようとするが、アリクは歩みを止めようとはしなかった。地面に転がるガルスに向かって、寂しく笑った。 「ごめんね…でも、私が行けば…それでガルスが助かるなら…私」 「いいや、その必要はねえ」 寂しく言い放ったアリクの言葉は遮られた。その言葉を遮ったのは、クロウクロウだった。 「よく言った嬢ちゃん…その言葉、その覚悟…久しぶりに震えちまったぜ…」 クロウクロウはアリクを飛び越えると、金色の魔女に立ちはだかる。 「俺の…心が!」 「…クロウ!?」 「なッ…!?」 驚くアリクとガルス。 「だがな…一度守ると決めた男の決意を、そう易々と蔑ろにするもんじゃねえぜッ!」 そう言うと、クロウクロウは目の前の老婆に飛びかかった。金色の魔女はとっさに何かを唱えようとしたが間に合わず、クロウクロウの爪に押さえつけられた。 「ぐぅッ!!」 金色の魔女はじたばたと抵抗するが、クロウクロウはその巨体で押さえて離さない。 「何ボサッと見てんだガルスッ!!嬢ちゃんを連れてさっさと逃げやがれッ!!」 「だっ…だめだよ!逃げるんなら、クロウも一緒に…!」 「だぁから、言ったろ?男の決意を蔑ろにするなって」 クロウクロウの足の下で、金色の魔女が何かを囁いた。そして腕をクロウクロウに翳す。 「はぁっ!!」 次の瞬間、クロウクロウの体は見えない力で弾き飛ばされた。 「ぐっ!!」 だが、クロウクロウはすぐに立ち直り再び金色の魔女にのしかかった。 「くぁっ…!く…しつっこいねぇコイツッ…!!」 「なに、気にすんなっ…嬢ちゃんに助けられた命だ、どうせなら…あんたの為に使わせてくれ」 「クロウ…」 「くっ…!」 ガルスは全身の力を振り絞って立ち上がると、棒立ちになるアリクのもとへ駆け寄った。 「やだ…クロウも逃げて、一緒に逃げて…!」 アリクはクロウクロウの名を呼ぶが、クロウクロウは答えなかった。ガルスはアリクをくわえて背中に乗せた。 「…恩に着る!」 そして、持てる力をすべてつぎ込み飛び上がる。 「くっ…待てっ…!」 金色の魔女は足から抜け出そうとするが、ガルスはどんどん高く上ってゆく。 「チッ…覚えておきなァ!ガルスよッ!…その娘を守ることがッ…やがては己の首を締めるということをッ!」金色の魔女はそう、空に向かって叫んだ。 ガルスはクロウクロウを一瞥すると、やがて北へ向かって飛び始めた。 「やめて、待って…!」 アリクが止めるも、ガルスは聞こうとしない。クロウクロウの姿が、どんどん小さくなっていき、やがて森に隠れて見えなくなった。 次の瞬間、先ほどまで居た場所が、まばゆい金色の光に包まれた。 「クロッ…!…クロウクロウ―――!!」 アリクはクロウクロウの名を叫んだ。だが…その声は、その名の主へ届くことはなかった。 第三話 キロロの守人 空は、いつの間にかうっすらと曇り始めていた。森の上空を、北へ北へと飛び続けるガルス。 「…大丈夫かなぁ…クロウ…」 アリクはガルスの背中で独り言のように呟く。 「………」 「ねぇ…ガルスはどう思う…?」 アリクはガルスに聞いてみるが、ガルスは答えない。 「…ガルス…?」 尚も呼びかけるも、反応はない。と、その時。 がくん、とガルスの体が大きく揺れた。 「わっ!?ち、ちょっと!?」 そのままガルスの体はどんどん下降していく。アリクは必死でガルスに呼びかけるが、その努力も虚しく二人は森の中へ落ちていった。 「きゃあっ!!」 ガルスの体は柔らかな草の上に落ちた。アリクは着地の衝撃で、地面にどさりと投げ出された。 腰をさすりながらよろよろと立ち上がる。 「いったた…ど、どうしたの…ガル…」 だが、言いかけたアリクの顔が強張った。 「…ス…?」 地面に横たわるガルスの顔が苦悶に歪み、呼吸も荒くなっていた。 「…ぐっ…い、いや…なん…何でもねえ…」 「な…何でもないわけ無いでしょ?流石に…」 ガルスは息を荒くして何とか言う。アリクはガルスのそばに駆け寄り、頬に手を伸ばした。 「…熱い…!?」 そのまま手をずらし、羽毛の中に手を突っ込んだ。じわり、とアリクの掌にガルスの熱が伝わった。灼けるような熱さだ。 「…っ…!す…凄い熱だよ…!これ…!」 「…そん…な、顔すんな…ただのか」 ただの風邪だ。そう言おうとしたが、喉から出たのは言葉ではなかった。 ドロリと、熱いものが嘴の端を伝った。体の中から邪悪な塊がこみ上げた。 「ぐ…がはっ…」 塊はガルスの嘴から吐き出されて、草の上にべしゃりと広がった。 青い草が、真っ赤に染まっていた。 アリクの顔が、凍りついた。 「げほっ…げぇっ…!」 塊は再び溢れ出した。吐き出しても吐き出しても、次々と塊はこみ上げてくる。そのリズムは、まるで心臓の脈拍だった。 「ガッ…ガルスッ…!!ガルスッ!!」 アリクがガルスの名を叫ぶ。ガルスの視界は徐々にゆがんでいく。 「どっ…どうしよっ…どうしようっ…だ…誰かぁっ…!誰か助けてっ…!!」 朦朧とする頭に、アリクの声だけが響きわたる。 だが、その声もやがてガルスの意識から抜けていった。ガルスの視界は、暗闇に飲み込まれた。 気がつくと辺りは真っ暗だった。上下も左右も区別がつかなくなるような、果てしない闇。 「…ここは…?」 世界の終わりに来てしまったような静寂。虚無感がガルスの体を満たしていた。 ふと、遠く離れた所に少女が立っているのに気づいた。肩まで伸びた茶色の毛に、茶色の毛皮。後ろを向いていて顔はわからないが、少女は間違いなくアリクだった。 「アリク」 ガルスは少女の名前を呟くように呼んだ。 気がつくと、いつの間にか先程まで遠く離れた所にいたアリクが、目の前にいた。 「…ガルス…?」 ガルスに気づいたアリクはゆっくりと振り向いた。 だが、振り向いたのは、虫だった。いや、虫の面をしたアリクだった。 アリクのその不気味な顎が、ゆっくりと開いた。 「ガルス」 「ッ!!!」 目覚めると、太陽の光が眩しかった。 「…ゆ…夢…!?」 うなされて居たのか、全身が嫌な気分で一杯だった。だるさの残る体を起こすと、辺りを見回した。 どうやら、大きな木のウロの中に居るらしい。藁や枯れ草で作られた布団に、ウロの入り口から日の光が注がれていた。 ふと、左肩に少しだけ重さを感じた。 左肩を見ると、アリクがガルスの羽に顔をうずめて眠っていた。すやすやと静かな寝息を立てている。 「…ア…」 名前を呼びかけた瞬間、先程の悪夢が蘇った。もし…アリクが、アリクじゃ無くなっていたら。 とその時。 「うぅん…」 アリクが寝返りをうった。その顔は、何てことない、いつも通りのアリクだった。 「………」 安堵の溜め息をついたと同時に、体の力が抜けた。 だが、その安堵も束の間だった。何者かの足音が、こちらに向かって近づいてきていた。 「…!!」 まさか、金色の魔女がもう追いついたというのか。足音は徐々に大きくなり、やがてウロのふもとでピタリと止んだ。 「ッ…」 ガルスはとっさに身構え、ウロの入り口に全部の意識を集中させた。 だが、ウロの入り口にひょっこり現れたのは、金色の魔女ではなくふさふさの毛を持ったイタチだった。 「よいしょっと…おおっ!?」 イタチはガルスを見ると大きな目を丸くして驚いた。 「っとと…やあ、気がついたんだな」 「…だ、誰だ…?」 イタチはガルスの不躾な態度も気にもとめず、ウロの中に入り込んだ。 「ああ、俺かい?俺はテンカクってんだ。別に怪しいもんじゃないぜ」 「そ…そうか。あ、俺は…」 「ガルスってんだろ?そこの人間から聞いたよ」 テンカクと名乗ったイタチはアリクを顎で示した。 「いやあ、それにしても酷い目に遭ったもんだな。偶々近くを通ったら、血ィ吐きまくって倒れてんだもんな。あんた、あのままだったら全身の血を吐いて死ぬところだったぜ」 「あんたが助けてくれたのか…すまねぇ、礼を言う」 「お礼ならそいつに言ってやりなよ。あんたが気を失ってる間、一生懸命看病してあげてたんだ。寝てる間にあんたに何か有ったら嫌だからって、夜も殆ど眠らずにな。あんた、よっぽどそいつに好かれてんだな」 「…え…」 ガルスは思わず、肩にもたれて眠るアリクを見た。 アリクは安心しきった顔で眠っている。寝言だろうか、口元がむにゃむにゃと微かに動いた。 「ま、流石に今は眠っちまってるけどな」 その時。ガルスの心の中で、アリクに対して今までに感じた事のない新しい“何か”が芽生え始めた。 何だろう、これは。いつしかガルスの視線は、アリクの気持ちよさそうな寝顔に釘付けになっていた。 「んん…うん…?」 と、ガルスの視線に気づいたのか、アリクが目を覚ました。 ガルスは、何故かとっさにアリクから目を逸らした。 「おお、起きたか」 テンカクがアリクの顔を覗き込む。 「あれ…ああ、私寝ちゃって…」 アリクは目を擦りながらガルスの様子を確認する。その瞬間、アリクの顔から眠気が吹き飛んでいた。 「…!…ガルス…?目…覚めたの?」 「ん…お、おう」 ガルスはそっぽを向きながら答えた。 アリクは言葉もなくガルスを見つめた。 「そっ…よっ……よか…っ…」 不意に、アリクの大きく見開かれた瞳から、大きな雫がこぼれ落ちた。 ガルスはアリクの予想外の反応にぎょっとして振り向いた。 「うっ…ふぁ…あああっ…」 雫は次々にこぼれ落ちて止まらない。とうとうアリクは自分の顔を手で覆ってしまった。 「あぁっ…うっ…ひくっ…うぅうっ…」 「お…おい…大丈夫か?目…目から水出てるぞ?病気か?」 ガルスはアリクの行動に度肝を抜かれ、どうして良いかわからなくなった。 そばでその様子をニヤニヤしながら見守っていたテンカクに目で助けを求めたが、テンカクは肩をすくめただけだった。 ガルスはただ、呆然とアリクを見守ることしか出来なくなった。 しばらくすると、アリクは落ち着きを取り戻してきた。まだ雫を一杯にためた目でガルスを上目遣いに見つめたが、やがてまた目を伏せた。顔を手で隠し、 「…ちょっと外…出るね」 と呟いて、入口に向かった。 テンカクは尻尾を使ってアリクを外に出してやると、しばらくアリクの行方を見守った。そして、ガルスに振り向いてニッと笑った。 「…いやあ、それにしてもすごいなあの子。あれなら“あの人”がミコの呪いなんかかけるわけだよ」 「…何がだ?」 「何がって…あんた今まで一緒に居て何も感じなかったのか?あの子、魔力を持ってるんだぞ?それもとんでもない量の」 魔力。確か魔力と言えば、魔法を使うのに必要な力だ。それを、アリクが持っている?ガルスはその言葉に思わず耳を疑った。 「…なっ…何だそれ!?そんなっ…聞いてねえぞ!!」 「ほら、例えば、あの子の周りでなんか不思議な事が起こったりしてなかったか?」 「ふ、不思議な事…?そんなん…」 と、言ったが、ガルスには思い当たる節があった。 ガルスは、これまでに二度、不思議な力で危機を救われている。ランドットと戦った時。そして、カラスの大群に襲われそうになった時。 そう言えば、そのどちらもが、背中にアリクを乗せていて、尚且つアリクに危険が迫った時だった。 「じゃあ、本当に…アリクには、魔力が…」 「ああ、間違いない。どうやら、その使い方までは知らな…って、じゃあ今まであの子が呪いをかけられた理由も分からなかったのか?」 「ああ、知らん。あいつの何かを欲しがってるのは知ってたが…まさか魔力とは」 「…呆れたなぁ。何で理由も無いのにそこまで命張る、って…」 テンカクはそこまで言うと、何かに思い立ったのかニヤついてガルスを見た。 「…何だ」 「…いや、何でもね」 ガルスはいまいち腑に落ちなかったが、テンカクは構わず続けた。 「…あんな、ミコの呪いで変身する虫ってのは、ただの虫じゃないんだ。“メレク”っていう、魔力の塊みたいな虫なんだ」 「魔力の塊…?」 「ああ。…そのメレクっていう虫は、普通は死んだ生きものの魂が、長い時間をかけて精錬されて生まれるものなんだ。だが…ミコの呪いは…今生きてるものの魔力を、無理やり抽出して、メレクに変えてしまうんだ」 「…魔力を抽出された奴は…その後、どうなるんだ?」 「…詳しくは俺も知らないんだ。実際にかけられてる奴を見るのも、初めてだからな」 テンカクはそう言うと入口の外を眺めた。 「ただ…そいつにとって大事な部分が根本からごっそり抜かれちまうんだ。普通は…まともじゃいられないだろうな」 「………」 ガルスも入口の外を見つめた。ここからでは、アリクの姿は見えなかった。 ウロのある木から、少し離れた木。 その根本に腰掛けて、アリクは顔を膝にうずめていた。泣きながら、ガルスの事ばかり思っていた。 嬉しかった。とてもとても、嬉しかった。その気持ちばかりが溢れ出て、とても言葉になどならなかった。 でも、きっと誤解させてしまっただろう。あの時の、ガルスの困ったような顔が思い出された。 …ちゃんと言葉で言わなくちゃ。嬉しかったんだよって、言葉で伝えなくちゃ。 アリクは涙でぐしゃぐしゃになった顔を上げると、涙を拭いて立ち上がった。その時。アリクの背中に、きりりと痛みが走った。 「ッ…!?」 棘でも、刺さったかな。 アリクは背中を気にしたが、特に変わったところは無かった。小首を傾げながら、木のウロに戻った。 中から、ガルスとテンカクの話し声が聞こえた。 「…それにしても、ミコの呪いか。昔はこんな呪いを使う人じゃあ、なかったんだけどな」 「…さっきから気になってたんだが、あんた、何でそんなに魔法の事に詳しいんだ」 「あれ?言わなかったっけか?俺は元々金色の魔女の弟子だったんだよ」 「なっ…!じゃあ、お前もランドットみてえに…!」 「そんなっ…」 突然聞こえたアリクの声に、テンカクは驚いて振り向いた。アリクは泣きはらして真っ赤になった目でテンカクを見上げていた。 「あっ…いやいや、違う違う!元々だ、元々!今は関係ないよ」 「本当か?そう言ってあの魔女に場所を教えたりとか」 「そんな事しないさ!それにランドットなんかと一緒にされちゃ困る。あいつは自分の地位や名誉の為だけに魔法を習ってる最低の奴だ」 「そ、そう…?」 「ああ。とにかく、俺はもう金色の魔女とは関わりないよ、本当だよ」 テンカクは必死に身の潔白を証明しようとガルスに詰め寄った。 「し…信じるよ」 ガルスはその必死な態度に押し負かされるように言った。それに助けられた手前、むやみに疑っては失礼というものだ。 それを聞くと、テンカクはホッと胸をなで下ろした。 「…それより、さっき“昔はこんな呪い使う人じゃなかった”って言ったよな?昔と今じゃ違うのか?金色の魔女は」 ガルスがそう聞くと、テンカクはこっくりと頷いた。 「俺が魔法を教わっていた頃はすごく優しくていい人だったよ。自分の教え子達には、それこそ母親みたいに接してくれたもんだった。悪い事に魔法を使うような奴には容赦なかったけどな」 「ふうん…それが何であんな風に」 「さぁな…俺にはあの人の考えることがよく解らん。…最近じゃあ、この森を破壊して何か企んでるって噂だし」 そう言ってテンカクはウロの外を仰いだ。 「…それって…どういうこと?」 ウロの下で、アリクがテンカクを見上げて問い掛けた。テンカクはアリクに気づくと、おお、すまん、と言って尻尾を差し出した。 尻尾でアリクをウロの中に戻しながら言う。 「うーん…あんたら、最近この森で何かおかしい事とか見たりしなかったか?例えば…森の木が枯れてたり、逆に変に元気になってたり」 ガルスとアリクはしばらく考え込んでいたが、ふとアリクが何かをひらめいた。 「…そういえば、この間、シトラの木が花を付けてた。シトラの花って、確か春に咲くんだったよね?」 それを聞いたテンカクは、思い当たる節があるのか何か考えていたが、やっぱりな、と小声で呟いた。 「何か知ってるのか」 「…いやな、最近この辺りでもそういうことが起こってるんだ。繁殖の季節でも無いのに花粉を飛ばしたり、実をつけたり、枯れたり。まあ色々なんだが、どうもそれら全部…金色の魔女の仕業らしい」 「…!」 ガルスは思わず息をのんだ。 「まあ、この森をめちゃくちゃにしてどうすんのかまでは知らないが、とにかくあの」 「ちょっと待って」 話を続けようとしたテンカクの言葉は不意に遮られた。遮ったのはアリクだった。 「それって…本当なの?証拠はあるの?」 突然不意をつかれたテンカクは戸惑いつつ答える。 「しょっ…証拠って…いやまあ、ただ…噂を聞いただけだけど…」 「噂って…」 アリクは疑いの眼差しでテンカクを見つめた。 「ど…どうしたアリク」 「…ひどい」 ガルスが尋ねると、アリクは俯いて呟いた。その声はまた、先ほどと同じように震えていた。 だが、その震えは先ほどとは違った意味を持っていた。 「…ひどいよ…自分を育ててくれた人の事なのに…そんなっ、自分の師匠よりも…誰が流したかもわからないような噂を信じるの…!?」 そう言ってアリクはテンカクを真っ直ぐに見上げた。アリクの目にはまた、大きな雫が浮かんでいた。 「ッ…」 テンカクはばつが悪そうに目をそらす。 「そんな…自分だけでも、師匠を信じようとは、思わないの…?」 アリクの瞳から雫がこぼれ落ちる。 「…あんたに何が解る」 テンカクはそらした視界の隅でそれを捉えると、ぼそりと呟いた。 「…ごめんなさい、助けてもらったのに、こんな事…」 「………」 三人の間に沈黙が流れる。どこか遠くで小鳥が鳴いた。 痛いほどの静寂を静かに破ったのはテンカクだった。 「…不思議な奴だな」 「…?」 「本当に不思議だよ。自分に呪いをかけた張本人を恨むどころか、まさか庇うなんて」 「…そ…そう…?」 アリクは頬を伝った雫を手の甲で拭った。 「…まあ、確かに師匠の噂をすぐに信じるなんて俺も悪かったかもな。…でもな、俺だって何の確証もなく噂を信じた訳じゃない」 「…それって」 「…あんた達、“キロロの守人”って知ってるか」 「…キロロの守人…?」 アリクはガルスを見上げたがガルスも首を横に振った。 「金色の魔女のもう一つの名前だよ」 「金色の魔女の…?」 「正確には名前っつーより肩書きだな。あの人は…ずっとずっと昔から、その膨大な魔力でもってこの森の秩序を守ってきたんだ」 「…それなら何で…この森を壊す必要がある」 ガルスはテンカクに尋ねたが、テンカクは俯いて首を振った。 「それはわからない…だけど…これだけは言える。俺の知ってる限り、この森に手を出す…いや、破壊できるのは…」 テンカクは真っ直ぐにアリクを見下ろし、 「金色の魔女だけだ」 静かに、だがしっかりとそう言った。 ←・→ タグ …
https://w.atwiki.jp/rowamousou/pages/2425.html
【名前】桜庭視楼(読みはサクラバシロウ) 【性別】男 【年齢】17歳 【立場】学生(高校2年生) 人間 【特徴】何処となく近寄りがたい雰囲気のある青年、身長は平均より高く白髪 【好き】自分の心に正直に生きてる奴 【嫌い】自分を顧みないタイプのバカ、本性を隠して生き辛そうにしてる奴 【特技】鋭い直感で相対した相手の本質を見抜ける またハッタリが上手く逃げ足も早い 【趣味】人間観察 【詳細】1年前、高校に入学する為にこの街にやって来た青年 一歩引いた目線で周囲を俯瞰して見ている 基本あまり喋らず、本音で話す事も少ないがその分心の中では饒舌になりがち 本人は否定しているが、本質的には善人に近く面倒見も割といい 【人間関係】天涯孤独 同学年の相手からは基本距離を取っているが、付き合い自体はそこそこいい 霧中失後輩、苦手なタイプのバカなのだが何故か懐かれている、そして未だに彼女の本質を見抜く事が出来ない 毛田十兵衛:可哀想な人だと内心では思ってる 藤村優子:敵に回すと厄介な人と思っている、何か隠してるな…? 【備考】ある事件がきっかけで記憶の一部分を喪失している