約 109,468 件
https://w.atwiki.jp/hmiku/pages/6373.html
あかし【登録タグ VOCALOID otetsu riria009 あ 初音ミク 曲】 作詞:otetsu 作曲:otetsu 編曲:otetsu 唄:初音ミク 曲紹介 ミクハピバ。と言う事で、数ヶ月前くらいに某アンソロで使った曲をちょっと手直ししたり。(作者コメ転載) ミク生誕2周年に合わせてリリースされた楽曲のひとつ。…3秒フライングしたけど(汗 イラストは riria009氏が手掛ける。 歌詞 溜め息重ねてもここには居ない誰か 孤独の苦しみただ堪えて 何も無い、誰も居ない、消えてゆく温もり 晴れ渡る空の青までも霞んで 重ねた月日は少し遠ざかって 昨日の僕よりは強くなれた? 寂しさに潰された夜もあったけれど 一人きり蹲(うずくま)り、じっと耐え抜いた 数え切れない思い出に今もまだ縛られている 最後に触れた感触は思い出せないけれど もう二度と帰らぬ時間を君との綺麗な思い出に 今一人歩き出す 吹き荒(すさ)ぶ風の中 振り返り手を振って涙を殺した 桜散るこの季節に君が居なくなったね 今は別々の道を行く 高く羽ばたいて 二人の為の鐘の音が鳴ることは無かったけれど 残された記憶と傷 君と居た証 コメント 和風な感じとロックな感じが素晴らしい! -- ruka (2009-08-31 17 35 16) 男女関係だけでなく友情関係にも置き換えられる素晴らしい歌! -- M (2010-04-10 16 53 11) イントロから気に入りました。唄もPVも素敵です…!なぜ伸びないのでしょうか… -- ぬんぬん (2010-09-04 02 15 14) なぜ伸びぬ・・・・・ -- るっち、 (2011-01-05 00 33 19) さび かっいい!!! -- ネギ (2011-12-03 12 53 57) 曲も歌詞も良いのに、何故伸びない!otetsuさんの和風曲はみんな良いので、もっと沢山の人に聴いて欲しい。 -- 竜奇 (2012-01-25 13 39 00) たしかにもっと伸びてくれええええええええ♪ -- ゆう (2012-02-22 00 56 25) otetsuさんのミクなんかハスキー -- 名無しさん (2012-02-25 14 19 13) 声が綺麗!! -- 名無しさん (2012-09-16 14 35 48) なぜのびない -- あす (2012-10-12 01 26 41) 大好きだ・・・ -- 名無しさん (2014-01-08 16 52 21) この曲は伸びて欲しいのになんで伸びない!サビが一番好きですね。 -- ミク廃 (2014-10-29 13 17 45) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/azalea/pages/76.html
ノックもせずに家に立ち入ってきた人影に向けていた銃を下ろすと、アーニティ・ルールシェンクは苛立たしげに呟いた。「……義兄上ですか」 「その呼び方、どうにかならないかな?」肩をすくめてそう言ったのは、アーニティの姉の恋人、リード・シルフェル。背中には小さな男の子を背負っている。「大時代的っていうかさ」 「仕方ないじゃないですか。姉のことはずっと姉上って呼ばされてきましたし……もう、癖なんですよ。王族の血を引いているとか、母の与太話を信じているわけじゃないですが」両手に持った拳銃をホルスターに戻すと、アーニティは手の動きでソファを示した。リードは背負い紐を解き、背負っていた子を、ソファに座らせた。 「君がレンデをどう呼ぼうと、それは別にいいけどさ。僕とレンデは、正式に結婚しているわけじゃないんだし」 「それでも、あなたは、僕の甥っ子の……リヴァの父親ですから」――ソファに座らされた子供は、自分の名前を呼ばれて、きょとんと、まんまるい目でアーニティを見ている。リードをそのまま幼くしたような顔立ちに、アーニティによく似た巻き毛。頭には、小さな角が二本。 「なら、いっそ、お義兄ちゃんとかさ」リードがにやにや笑いながらそう言うと、アーニティは間髪を入れずに返事をした。「却下します」 アーニティは、三人分のカップに紅茶のポット、それとは別にミルクのポットを用意して、ソファの間のテーブルに並べた。自分とリードのカップには紅茶を、リヴァのカップにはミルクを注ぐ。「で、今日はまたリヴァを預けに?」アーニティの言葉に、リードは頷いた。「うん、度々ありがとう」子供を一人で育てているリードは、どうしても多忙な時、恋人の両親に、その孫を預けに来る。 「研究が忙しいんですか?」そう聞かれると、リードは紅茶を一口啜って、微笑んだ。「まあね。しばらく続けていた研究が、そろそろ発表できる段階になって。その準備に追われているって所かな」リードの言葉に、アーニティはわざとらしく溜め息をついてみせた。「発表できる類の研究で安心しましたよ」――何しろ、最近のリードが主に調べていたのは、魔女ファールドが残した資料だったのだから。 「はは、よくよく信用がないね。僕はあんな非道な研究には手を出さないよ? 幸か不幸か、正義の心に目覚めてしまったからね」アーニティの姉の師でもある魔女ファールドは、リードその人によって、数々の違法研究を告発され、今は追放の身である。「よく言いますよ」アーニティがそう答えたのは、ファールドの追放が、ティルスティアルの街の中での権力争いの結果に過ぎなかったことを知っているからだ。 「……君はまだ、僕が気に入らないみたいだね?」そう言うリードは、悲しげな顔をして見せているが、明らかに目が笑っている。「気に入る要素がどこにあるっていうんですか」アーニティはぶっきらぼうに答えて、リードの含み笑いから目を逸らした。追い打ちをかけるように、リードのわざとらしい言葉が続く。「まぁ、そうだね。何せ、君の最愛の姉上の……」そう言われると、アーニティは持っていたカップを、がちゃりと、中身がこぼれそうなほど勢いよくソーサーに置いて、吐き捨てるように言った――「あなたのそういう所が嫌いなんです!」 楽しげな笑顔を崩さないリードと、そんなリードと目を合わそうとしないアーニティ。微妙な沈黙が流れ――リヴァが、飲んでいたミルクのカップを倒した。アーニティはテーブルにこぼれたミルクを拭き、リードはリヴァを膝に抱き上げた。 片付けを終えて、再びソファに座ったアーニティが、ぽつんと言った。「……姉が、あなたを選んだ、その選択そのものは、必ずしも、間違っていなかったと思ってます」 「ふぅん?」アーニティの言葉に、リードはわざとらしく瞬いてみせた。そんな彼と目を合わさないまま、アーニティは続ける。「良くも悪くも、あなたは姉を理解している。多分、恋人としては、理解しない方がいい所まで。姉にとって、あなたは特別な人です。それは否定しようがない」アーニティは、リードの膝に座るリヴァをちらりと見た。「……それが、こういう形になったことも、きっと、無理のないことなんでしょう」 いかにも嬉しげに微笑みながら、リードが言う。「運命、って奴かな」軽く放たれた言葉に、アーニティは硬い表情のまま答える。「……かも、しれません」 リードは、膝の上の息子に、その小さな角の生えた頭に、目を落とした。「運命っていうよりは、呪いだと思ったけどね、僕は」 アーニティは、顔を上げると、はっきりリードを睨みつけた。「……それは、あなたが言っていい言葉じゃない」責める口調に、リードはふぅ、と溜め息をつく。「自分の業を思い知らされた。それだけのことだよ。それも含めて、僕はこの子を愛している。それくらいは、信じてくれないかな」言葉を紡ぎながら、口の端を上げて、再び笑みの形を作る。膝の上のリヴァは、会話の意味こそ理解できないながら、叔父の怒りを感じ取ったのか、怯えた様子でリードの胸にしがみついている。そんなリヴァを見て、アーニティは少し表情を弛めた。真剣さはそのまま、やや和らいだ口調で、リードに語りかける。「……あなたが正直なのは、嘘を吐く必要がないからだ。それは知っています。でも、あなたのしたことと、リヴァを結びつけるのだけは、やめてください」 「もともと、全く関係のないことだよ。でも……」口元を皮肉な笑いに歪めたまま、リードが言う。「君が言うには、運命、なんだろう?」 「それは……」アーニティは、戸惑うような表情を見せたが、ふと、目を細めて、遠くを見るような眼差しをした。 やや間を置いて、言う。「義兄上。姉に初めて会った時のことを、憶えていますか?」 唐突な質問に、リードは目を瞬かせた。「初めて会った時? レンデが母の生徒に入った時かな。あの頃のレンデは、全く地味な子で……」リードの言葉を、アーニティが遮った。「その時じゃありません。その前です」 「その前?」リードは、彼にしては珍しく、焦ったような表情を見せる。「……おかしいな。彼女のことは、大抵憶えているはずなんだけど」苦笑いするリードに、アーニティが語り出す。「……あなたは、憶えていないかもしれない。それより前に、姉はあなたと会っているんです。初めてあのひとに会った時に」あのひと、といえば、彼らの間では、リードの母ファールドのことである。「……父が、珍しく遠出して、あのひとのところに挨拶に行った。姉と、僕を連れてね。姉は、その時初めてあのひとを見て――その場には、あなたもいましたよ。あなたは憶えていないだろうけど」リードも幼い頃である。母のところに訪ねてきていた、数多くの者たちの顔など、いちいち憶えてはいなかった。 「……その時から、姉の運命は、変わってしまった。帰りの馬車の中で、しきりに言っていました。『私は、あのひとになる。絶対、あのひとになるんだわ』――そう、ずっと言っていた。よく、憶えています。それからの姉は、異様なくらい勉学に打ち込んで……。あの頃、姉はよく言っていました。『私はいつかあのひとみたいになる。あのひとの子供と結婚して、あのひとの娘になって、それからあのひとの全てを奪って、私があのひとになるの』」 「…………」リードは、黙って、アーニティの言葉を聞いている。 「姉は、あなたに『全てを奪われた』と言っていた。それは……」 「……あーあ」突然、リードは大きく伸びをした。リヴァが、きょとんとした顔で父親を見る。話を遮られたアーニティも、同じ顔でリードを見ている。「あーあ!」リードはにっこり笑うと、リヴァをもう一度抱きしめて、その背中を愛おしげに叩く。「参ったなぁ。僕はつくづく、凡人だね」きゃっきゃっ、と喜ぶリヴァを、高く抱き上げたり下ろしたりしながら、リードはふと、そう言った。「え?」困惑顔のアーニティに、リードは、本物の笑顔を向ける。「嬉しいんだよ、その話を聞いて。すごく、嬉しいんだ。踊り出したいくらい、嬉しいよ」そう言って、リードは立ちあがると、リヴァを高く掲げて、くるくる回ってみせた。きゃははは、と笑うリヴァと、息子に満面の笑みを見せるリードを見て、アーニティは、呆れたように溜め息をついた。 「リードさん」アーニティは、リードをそう呼んだ。「僕は、あなたが嫌いです」 「あはは、知ってるよ。残念だけどね」リードは、笑顔のまま、リヴァを肩に乗せて、もう一度ソファに座った。 「でも……」アーニティの表情が真剣なものに戻る。「あなたが姉を愛していることも、あなたがリヴァを愛していることも、姉があなたを愛していることも知っている。だから……」アーニティは、一呼吸置くと、かすかに微笑んだ。「認めますよ、義兄上。あなたは……僕の兄です」 言われたリードは、一瞬、きょとんとした顔を見せたが、すぐに笑顔に戻る。「……嬉しいなあ。欲しかったんだよ、弟」 「なら、リヴァに弟でも作ってあげたらどうですか? 姉の居場所くらい掴んでるんでしょう?」意地の悪い言い方は、アーニティの板につかない。「十年ぐらい待ったら、そんなこともあるかもね」リードは軽くそう返した。「十年で納得しますか? 姉が」そう言うアーニティに、リードは、わざとらしいほど真剣な表情を見せた。 「一生だって、待ち続けるさ」 リードが、恐ろしく性格は悪いが、嘘だけはつかない人間であることを、アーニティは知っている。 「……やっぱり、あなたとは、仲良くはなれませんね」 苦い表情で言うアーニティと、笑顔を返すリード。小さなリヴァの大きな瞳が、仲の悪い二人をじっと見つめていた。
https://w.atwiki.jp/theregulation/pages/190.html
会議室に入ると、そこには二人の男性がいた。 一人はオールバックにサングラスの男、もう一人は肌の露出のない服装のガスマスクの男、二人はこちらに気が付く。 「レイク…本当に無事だったのか…」オールバックの男はサングラスを外しながら言い、レイクもそれが誰なのかを確信する。 「アレン…アレン・フォスターか?、…久しぶりだな…」 「約二年も音沙汰無しだってのに、久しぶりだな…か、全く…とっくに俺の事は忘れてるのかと思ったよ」彼はサングラスをかけ直し、レイクを席へ座らせる。 ガスマスクの男は壁にもたれながら静かに二人の会話を聞いている。 「収容所以来か、あの後はどうしてたんだ?」 「ああ…海軍を辞めて傭兵やりながらいろんなとこを放浪してた」 レイクは淡々と語り、コーヒーを口にする。 「……それじゃあこの経歴書はほとんど嘘って事か…」 溜め息混じりに差し出してきた書類に目を通し。 「ああ。傭兵業では裏の人間を何人を殺ってきた、軍人、政治家、あの任務で俺や仲間を見捨てた司令官の連中も…みんな殺してやったさ…」アレンは顎を撫で、少し考えた後に、 「お前は変わったな、人を信用してないように見える…」 「…俺は本来の目的の為に此処に来た、それを果たす為にはアレン、お前を信じるしかなさそうだな」空き缶をゴミ箱へ入れる。 「少しばかり時間は必要、だがな。」 TRの本題に入り、話が終わった後に。 「ああ、それと彼は?」気になっていた事を尋ねる。 「アルバート・ラッセル大尉、01のメンバーだ」アレンは彼の方を向きながら。 「よろしく頼む…レイク中尉」淡々とした口調で言うアルバート。 「どうも、アルバート大尉。それで他のメンバーは?」 「ああ、現段階ではこの三人を含めた六人だ、彼等も時期にココに来るだろう」各隊員の資料を差し出して。 「六人…現段階って事はこれから増えるって訳か?」 「ああ、そう遠くないうちにな。それと、02の隊長はジェイドだ…」 「気の毒だなアレン、よりによってあいつとは」 「ハハ…。俺達の目的は一つだ…これからは終わりの見えない戦いが続くかもな…」 「改めて、ようこそTR01 アルファチームへ、君の名はーー」 「レイク・スケアクロウ 中尉。よろしく、アレン・フォスター大尉。」 何年もやっていなかった敬礼をやるレイク、変わり果てた旧友との再会に複雑な感情のアレン。 二人の兵士は手を合わせる。 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/windcomp/pages/25.html
338. 1/2 2008/03/12(水) 11 29 22 美佳はコタツに入って蜜柑を食べている。 ふと腹に違和感を覚えた美佳は軽く下腹に力を入れる。 『ぶうっ ぶすっ スウウゥゥゥ ブリリリリッ むすっ スオォォォォ……』 コタツの中で花火が起こっているような屁だった。そんな屁をしながらも、美佳の表情だけ見ればいたって 普通に蜜柑を食べる女の子でしかない。 「んふぅ……」腹に溜まったガスを抜いた美佳は小さな声で溜め息をついた。 そこに美佳の彼氏である祐輔がやってきた。「寒い寒い」といいながら彼もコタツに入ろうとする。 「あ、だめ……」美佳は祐輔を制止したが祐輔は「なんでダメなんだよ。自分だけコタツでぬくぬくしよう っていうのか?」などと美佳を茶化してコタツに入る。さきほど花火の大爆発があったコタツに……。 「ん……。なんかくさい……?」コタツに入った祐輔は内部からの異臭に気づいた。ついに彼はコタツの布 団を持ち上げ、中の臭いを確かめようと顔を入れてしまった…… 339. 2/2 2008/03/12(水) 11 29 45 「むおっ!?くさっ!?え……なにこれ……た、たま……ご……?」美佳の屁は音だけが凄まじいのではな かった。その臭いも常人の域を軽く超越していた。コタツ全体に溢れる卵の臭いに、ついに祐輔は目を回し てしまった。泡を吹いて倒れる祐輔の体はピクピクと痙攣している。 「だからダメって言ったのに……」隣で彼氏が倒れているにもかかわらず、何事もなかったかのように美佳 はそう呟くと新しい蜜柑を口に運ぶ。そこで彼女の腹がキュウ〜と音を立てた。 「まだ残ってたんだ……」美佳は独り言を言ってからコタツの中で片尻をあげて気張った。 『ボッフウウゥゥッ』 美佳が片尻をあげていたため、鈍い音の屁は祐輔の顔に直接かかった。祐輔はあまりの刺激に一瞬目を覚ま した。が、また新しい濃い卵臭に再び気を失った。 『ブスッ』 最後の一発を美佳が放った。これによって祐輔はもう二度と動くことはなくなった。 「弱っちかったかな、今回の男も……」美佳はそう言うとまた蜜柑を食べ始めた。 340. 名無しさん@ピンキー 2008/03/12(水) 19 46 40 338-339 久々にキタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!
https://w.atwiki.jp/mitudomoe_eroparo/pages/318.html
スィー。 私は音もなく歩いていく。 「あぁっ!待ってよ、ひとはちゃ~んっ!」 「近寄らないでください、変態」 謝ってくる矢部先生から逃げるように、歩いていく。 「さっきのはワザとじゃないんだよ!本当に!」 「それで通用すると思ってるんですか?この現代社会に」 「うっ……。確かにガチレンジャーごっこ中の事故とはいえ、その……胸に当たった事は悪かったと思うけど……あいたっ!?」 わざわざ口に出して言うとは……。恥ずかしくなった私は先生の足のスネを少し蹴る。全く。なんて無神経なんだろう。変態だよ。変態教師だよ。 私はまたスィーと歩き、先生と距離を置いた。 「あいたたっ……あっ、ちょっと待ってよ、ひとはちゃーんっ!」 「来ないでください、近寄らないでください、息しないでください」 「ちょっ、最後のヒドくない!?」 先生はショックを受けたらしく、情けない顔をする。しばらく反省するといい。 「お、矢部っちがとうとう小学生に手を出そうとしてるぞ。それも三女さんに」 「やっぱり矢部っちは節操なさすぎるよっ!」 「ちょっと矢部っち!私を差し置いてひとはに手を出すなんてどういうつもりよっ!!」 「長女、ちょっと黙ってような……」 「そうっス!ひとはばっかりズルいっス!!」 「ふたば……お前もちょっと黙ってようか」 「もぉー!なんでそうなるの!?だから違うんだってば!」 先生はからかっている生徒達に必死に弁解し始めた。教育委員会に訴えられるといいよ。 私は、静かに先生の机の下に潜っていった。 夕方。 小学校から帰宅した私は、途中スーパーで買った具材を出していた。 今日のメニューは肉じゃがと、魚の煮つけ。あと、ご飯とお味噌汁……。 プルルル……。 その時、家の電話が鳴ったので、渋々取りに行く。 「も、もしもし……」 電話は苦手だ。というより、話すこと自体苦手なのだが。 『あぁ、ひとは?私よ』 だけど電話口から聞き慣れた声がしたのに、私は胸を撫で下ろした。 「なんだ、雌豚か」 『だれがよ!ふざけんじゃないわよっ!』 「で、何の用?」 『あぁ、そうそう。言い忘れる所だったわ。今日杉崎の家に泊まってくから』 「そうなの?じゃあ、夕飯は?」 『杉崎ん家で食べてくわ。だから、私の分は用意しなくていいわよ』 「そう……うん。わかった。……杉崎さん家を食糧難に追い込まないようにね」 『ちょっとっ!!そこまで食い意』 プツッ。ツーツー……。 途中で受話器を置く。 今日はみっちゃんの分は無しか……。 ……まぁ、別に寂しくないよ。うん。寧ろ、良く食べる人がいなくて清々するよ。 プルルル……。 戻ろうとした時、また電話が鳴った。 誰だろう?私は受話器を取る。 「は、はい?」 『あ、ひとはっスか?小生、今日しんちゃん家にとまっていくことになったから!』 「え……?……そう、なんだ」 『うん!だから、小生の分の夕飯は用意しなくていいっスよ!』 「うん……わかった」 『じゃあねっ!』 プツッ。ツーツー……。 「……」 騒がしい姉だ。 溜め息をついて、私は受話器を置いた。その途端。 プルルル……。 ……二度あることは三度ある、とは誰が考えた言葉なのだろうか?呪いたい程的確すぎる。 私は嫌になりながらも受話器を取った。 「も、もしも……?」 『おぉ、ひとはか?』 「パパ……」 『すまんな、今日帰れないかもしれないんだ』 「そうなの?仕事忙しいの?」 『あぁ。だから、今日は夕飯は食ってくるから』 「うん……」 『すまんな』 「うん……大丈夫。お仕事頑張ってね」 『あぁ、ありがとう、ひとは。それじゃあな』 「うん」 プツッ。ツーツー……。 私が言い終えると、電話は切れた。 ……別に寂しくないよ。寂しくないんだよ。 自分に言い聞かせて、私は一人分だけになった夕飯を作り始めた。 「……作りすぎてしまった」 いつもたくさん作ってるせいか、予想より多くなってしまった。加減したつもりだったのに……。 どうしよう?余らせるのも、もったいない。 ………………。 しばらく考えた末、私は矢部先生を呼ぶことにした。昼間のこともあって、少し呼びづらいが、どうせ私がこんな時間に呼べる人と言ったら先生ぐらいしかいないし……。 「……友達、か」 新学期始まってすぐの先生の言葉が、ふと思い出される。 「…………」 ……私は、受話器を取って矢部先生の家の番号を押した。 「おっじゃまっしまーすっ♪」 思っていたよりも先生は早く来た。 私は玄関までわざわざ出向き、先生を迎える。 「いらっしゃいませ。じゃあ、どうぞそこに座ってください」 「ここ玄関だよっ!?」 「冗談です。こっちにどうぞ」 むふー。 先生の反応は楽しい。ここまでからかいがいのある人もいないだろう。 「もー、ひとはちゃんっ!でも、楽しみだな~ひとはちゃんの手料理」 「あ、各種解毒剤は揃えておきましたので、当たった場合でも安心してください」 「そうなんだ~……って、何に当たるの!?そして、何を混ぜたの!?」 「ふふふっ。さぁ、どうぞどうぞ」 既に食事が並べられたテーブルに先生を促す。 先生は促されるまま、そこに座った。 「うぅ、何だかあんな事を言われた後だと、素直に喜べないけど……いただきます」 「召し上がれ」 そう言って私は親指を立てた。 「いや、それさっきの台詞と合わせると不安になるから止めて……」 矢部先生はすっかり落ち込んだ顔をしている。面白い。むふぅー。 箸を手に持ち、先生は肉じゃがを一摘み、口に運んだ。 「もぐ、もぐ……」 味わっているようだ。そしてしばらく噛んだ後、先生は呟いた。 「あ、おいしい……」 警戒するように食べていた先生の表情が急激に晴れやかになる。 「美味しいよっ、ひとはちゃん!」 「良かったですね。おかわりもありますよ?」 「うんっ、ありがとう、ひとはちゃん!」 「いえ……」 私は、子供のように食べる矢部先生を見る。 ……だらしない。こんな人が良く先生になれたものだ。というか、どうやって生きてきたのだろう?ちゃんと勉強していたのかも怪しすぎる。 「……ひとはちゃん?僕の顔に何か付いてる?」 はっ! 慌てて視線を逸らした。 「何でもありません」 「?そう?」 先生はそう言って箸を動かす。 ……危なかった。先生の事を一瞬でも考えてしまうなんて無意味極まりないよ。まったくどうかしてる……。 私は肉じゃがを口に運んだ。 「それにしても、こんな美味しいご飯が毎日食べられるなんて、みつばちゃんもふたばちゃんもお父さんも幸せだなぁ」 「そうですか?」 素っ気なく、私は返答する。 「そうだよ。僕にも毎日作ってほしいくらいだよ」 「……………………………………………………………………………」 私は、言葉がうまく出せなかった。 ……本当に、この先生は。 「……えぇと、なに?僕何か悪いこと言った?」 「……先生、」 「?なにひとはちゃん」 「阿呆ですか」 「えぇっ?なにいきなり!?」 はぁ……。 溜め息をつく。 女心というモノがわかってなさすぎるよ。この 「変態教師は」 「ひ、ひどいっ!ひどいよっ、ひとはちゃんっ!」 「すいません、心の声が漏れてしまいました」 「心の中でなんて言ったの!?ていうか、この際だから言っとくけど、僕は教え子には絶対手を出さないよっ!」 ズキッ……。 あれ? 「……っそうですか。安心しました」 なんだろうこれ? 私は胸の辺りを押さえる。 「もうっ、ひとはちゃんは」 矢部先生がブツブツと呟いている。 私は、締め付けられるような胸の痛みを堪え、箸を進めた。 ……食事も終わり、私は洗い物をしていた。 その間、先生には居間でテレビを見て待ってもらっている。来てくれたのだから、見送りくらいはしてやろうという私なりの配慮だ。……まぁ洗い物をした後だが。 ……。 それにしても、さっきのは何だったのだろうか? まさか、私は……先生の事が好きなのだろうか? ……いや、そんな事があるわけない。 「あっ……」 洗い終わった皿に泡が残っていたのを見つけた。 どれだけ上の空だったのだろう?そう思いながら泡を洗い流す。 全く。私が先生の事を考えるなんてどうかしてる……。 最後の皿を水で洗い流し、水道をキュッと締めた。 エプロンで手を拭きながら居間の方へ行く。 「先生、洗い物終わっ……」 「ぐーっ」 「……寝てる」 なんてあつかましい先生だろう。お呼ばれした上で寝るなんて……。 「先生、起きてください」 「ぐーっ」 「……」 それでも起きない。 うーん。 だきしめてみようか? 私は溜め息を付いた。 はぁ。 先生に何をしようとしてるんだ。私は馬鹿か。 生きてはいるみたいだけど。 がーがーといびきまでかいてるし。 好きになるわけないよ、こんな先生を。 きになるなんて以ての外だ。 なのに……。 んー、と先生が寝言を呟く。 だらしない顔だよ、まったく。 「先生……風邪引きますよ」 顔を覗き込む。 見慣れた寝顔。でも、それは私よりもずっと大人で……。 先生の生きてきた年数分、私の知らない先生がいると思うと、先生との距離が途端に長くなったように感じられた。 「……」 心臓の音が徐々に速くなるのを感じる。 あれ?私は何をしようとしているんだ? 私は息を呑んで、それから、ゆっくり顔を近づけて行く……。
https://w.atwiki.jp/kimo-sisters/pages/369.html
212 ハルとちぃの夢 sage 2008/03/16(日) 20 44 24 ID e9X1ti2f 「どうするかなあ?」 自室にて、遥が小声で呟く。 遥は、既に兄を襲った相手を特定している。 今までの言動、 智佳が言っていた丁寧な言葉遣いをする同じ学校の生徒、 そして、今日に嗅いだ匂い、 それらが遥に、ある一人の人物を想定させていた。 遠藤久美、 少々変わった友人。 「どう始末を着けようかな?」 遥が、小さく首を傾げた。 かつての、横山楓のように殺すのは、それほど難しくはない。 あの時と違い、遥は久美の事をある程度は把握しているのだから。 それでも遥は、あの時と同じ手段を取る事を躊躇していた。 久美が同級生、 だからではない。 ”人の死” それが兄にどんな影響を及ぼすか、 それが想像出来ないだけに、 怖かった。 楓という人間の死が兄に与えた影響、 それは、自分と兄との間に、血縁だけではない大きな壁を作ってしまったのだ。 その壁は、遥の望みを妨げている。 そして、もう一つの理由を言うなら、 久美が最後まで出来ていない、 その事実に、自信がもてるからだ。 通常、移り香が残る程に男女が近くに居続ける状況なら、 ある程度の知識がある人間なら、大概が同じ答えをだすだろう。 遥は、おそらくは智佳もその答えを導き出している、そう考えている。 だが、遥はその答えを否定する事が出来る。 楓の死が与えた後遺症が、 自分だけが癒やせる、 そんな根拠のない自信がある、兄の傷。 その存在を遥は知っているから。 とはいえ、兄に何らかの危害を加えた久美を、遥は許す気はない。 「ちぃちゃんと協力して…」 そこまで言いかけて、遥は口を止めた。 もう一人の自分が、まるで悪魔の様に、囁きかけてきた言葉がある。 それを実行すれば、兄は完全に壊れるかも知れない。 だが、そうなれば、自分だけの兄に、 兄貴から康彦へと、変られるチャンスにもなる。 そこまで考えた自分に気付き、その考えを否定する為に、遥は大きく首を振った。 まだ、その手段をとるのは早い。 全てを終えていない今は。 213 ハルとちぃの夢 sage 2008/03/16(日) 20 45 19 ID e9X1ti2f 智佳は小さく溜め息を吐く。 今回の出来事に対して。 全てが分かる訳ではないが、智佳にはある程度の想像がついた。 兄が、誰かの悩みを聞くうちに、その誰かを惚れさせてしまった、 そんな簡単な事実。 今、智佳が吐いた溜め息は、そんな事実に対してのものではない。 遥に対してのものだ。 智佳は遥の存在を認めている。 実行力と勘の鋭さ、 その二つは自分にはないものだ。 だからこそ、智佳は遥と共闘しているのだ。 だが、遥には遥の甘さがあった。 身内を疑いきれない、 そんな甘さが。 それが智佳には、不満でもあり、物足りなさでもあった。 今回の事、 おそらくこれは、遥の友人から起こした出来事だろう、 智佳はそこまで確信がもてる。 そして、その友人とやらは、それなりの信号を発していたはずだ、 智佳はそう考える。 「もう要らないかな」 小さく呟いた智佳の一言、 その言葉には、人に言えない暗さが宿っていた。 214 ハルとちぃの夢 sage 2008/03/16(日) 20 46 33 ID e9X1ti2f 妹、久美の様子を見た早紀は、久美が何をしてきたのか、察する事が出来た。 久美が、あの”先輩”と何かをした。 具体的な説明は出来ないものの、そこはある程度以上に経験を積んだ、女の直感とでも言うべきものか。 その上で早紀は悩んでいる。 鈴に、あの先輩に惚れている友人になんと説明すべきかを。 話さなければ良い、 そんな考えは鈴からの電話、そして鈴からふられた話で駄目になった。 「妹ちゃん、そこまでいったんだぁ…」 「いや、そうじゃなくてさ、あの子は…」 力無く言う鈴の言葉に、早紀は懸命に反論の言葉を捜す。 鈴の口車に乗せられて言ってしまった一言、 それを否定する為に、早紀は必死だった。 「私は別に良いんだよぉ?」 「早紀ちゃんの妹さんが幸せになるなら…」 何かを悟ったように、優しく言う鈴に、早紀は言葉もなかった。 「鈴…」 言葉を詰まらせながら言うべき一言を考える。 二人の恋愛を応援しようと決めたのだから。 「そんなに気にしなくても、大丈夫だよぉ」 早紀の胸中を察するように、鈴が優しい言葉を出す。 「私はそんなに辛くないからあ!」 そういう鈴の言葉は、早紀にはやせ我慢に聞こえた。 「でも…」 「大丈夫、大丈夫だからねえ!」 何かを言いたかった早紀に、鈴はそれだけ言うと、焦る様に電話を切った。 それが早紀には辛く感じていた。 215 ハルとちぃの夢 sage 2008/03/16(日) 20 48 20 ID e9X1ti2f 「ヤったんだあ、あの子ぉ…」 電話を切った鈴が、一人呟く。 「妹さん達ぃ、気付くだろうなあ…」 その言葉は鈴に笑いをもたらした。 そして鈴は目を閉じる。 中学の時、初めて康彦に会ったあの日、 自分を受け入れてくれそうな相手を見つけられた歓喜。 それからは、康彦から決して離れない様に過ごしてきた日々、 「辛かったなあ」 過去を思い出して、思わずそんな言葉が口に出る。 「でもぉ、もう終わりだよねえ…」 歪んだ唇、濁った光を宿した瞳、 それ以上は表現し難い顔を鈴はしている。 久美という女がした行動に自分の夢を邪魔している存在がこれからするであろう行為、 それに対して早紀がするだろうという報復、 その二つを考えた鈴は思わず、 「先輩、壊れちゃうかなあ」 そう言ってしまった。 ニヤけた顔は止まらない。 「そしたらあ、私だけの先輩に…」 その言葉が鈴の興奮を強めたのか、吐息が荒くなっていた。 そんな自分を、鈴は懸命に押さえ込んだ。 今回は決定的な証拠を掴んで、それを上手く早紀に使わせなくてはいけないのだから。 難しい作業だとは鈴も思う。 しかし、その先に待ってる未来は、鈴が待ち望んだ未来だった。
https://w.atwiki.jp/kagakyon/pages/914.html
雪茶◆yukichanHA氏の作品です。 年末に雨とはな、かったるいったらありゃしねぇ。 そんな事も知らずにお袋のお使いを引き受けた俺が憎い。 妹が率先しないと思ったらそういうことか。 見返りがあってもやらないのが気にかかってはいたが、なんせ俺も暇だったんでな。 俺は溜め息をついて、目についた大きめの傘を手にした。 外は雨の所為で更に寒く、当然ながら吐く息は白い。 ネックウォーマーを鼻まで上げて、風を当たらないようにする。 さっき降り出したようで木々の下のアスファルトはまだ乾いていた。 頭の中で頼まれた材料を繰り返しながら時間を潰した。 「あれ、かがみ?」 俺の目指すスーパーの入口にマフラーを着けたかがみがいた。 俺は小走りで入口に向かい、再度かがみを呼んだ。 「あれ、何してんの?買い物?」 ああ、と答えながら屋根下に入り傘を畳む。 かがみは既に買い終えたようで、両手で中身がいっぱいの手提げの袋を持っている。 「ちょうどよかった、傘に入れてくんない?」 「構わないが、俺が買ってからになるぞ?」 「私はそれでもいいのよ、濡れるよりマシ」 拒む理由もないので俺は入れてやる事にして、かがみと店に入った。 「アンタは何買うの?」 えっとだな、人参にジャガ芋、ブロッコリーに鶏肉だな。 それに…… 「シチュー?」 かがみはあっさりと俺に解答を突き付けて来る。 御名答。冬の定番かね。 「私のトコもそうだしね」 かがみは俺に良質そうな人参を手渡す。 「奇遇だな」 「まぁ美味しいしね」 俺は同意して、次々と具材をカゴに入れる。 かがみを送らないといけないので少々手早く買い物を済ましてはいるつもりだ。 つもりだ。 「かがみ、……かがみさん?」 つもりだよ? だがな。 「あーやっぱりコレ買おうかなぁ…」 ……まぁいいか。 「かがみ、先行くぞ?」 返事がない、ただのしかばね……なワケねぇな。 俺は限定販売の菓子売り場を後にして、牛乳やらを買いに行く事にした。 「……以上で2366円になります。」 若いアルバイトのレジ打ちの子に丁寧に言われながら、俺はある程度キリよくなるように支払い、袋詰めにする為にカゴを持って移動する。 俺は鼻歌を奏でながら詰めてると、後ろから殴られた。 「いてっ」 振り返ると、そこにはかがみがいた。 「…何でほったらかしにすんのよ」 俺とは眼を合わせようとせず、俯いたままだ。 少し顔が赤いな。 「どうしたんだ?」 質問には答えず、問いで返した。 「……何でもないわよ」 「あーさっきのおねーちゃんだー」 かがみが反射的にビクッと震える。 声のした正面を見ると、親子の買い物客のようだ。 更には子供がかがみに指さして笑ってる。 …何したんだコイツ。 かがみの顔がますます赤くなり、耳まで侵食する。 俺は硬直したまま動かないかがみの頭に手を置き、帰るぞ、と言い、店を後にした。 かがみは小さくうんとだけ言って横を歩いた。 雨足は早くなっていて、幾ら大きい傘でも二人が濡れないようにするには厳しいものがあった。 俺はさりげなく傘をかがみに寄せた。 かがみは赤さはなくなったものの、相当ショックだったようでまだ俯いてる。 わざわざ袋を両手で持ってるところがテンションの下がっているのを伺える。 足は自然とかがみの家に向かっているが。 「かがみ、何したんだ?」 せっかく二人なのに話が絶えてるのは辛い。 「何も……ただ…興奮して…」 纏めると、眺めてたお菓子に試食があって、興奮して我を忘れた、ということだ。 お菓子好きなかがみらしいな。 「ま、夢中になるのは仕方ないさ。次気をつけろ」 「次って……もう恥になったわよ」 大丈夫さ、人の噂も七十五日ってな。 「2ヶ月以上も我慢してられるわけないでしょ……」 しゃーないさ、過去には戻れないんだから。 そんなやり取りをしてると、かがみの家に着いた。 雨の音も穏やかになっていた。 「はぁ…ありがとね、それじゃ」 かがみは手を振って、家の扉を開ける。 っと、忘れてた。 「かがみ!」 「何…?」 俺は自分の持つ袋から1つの箱を取り出してかがみに手渡す。 「え、コレって、…え?」 「クリスマスプレゼントみたいなモンって事で」 俺がかがみにやった箱はかがみが欲しがってた限定菓子だ。 俺が食おうかとも思ってたが、今のかがみを見てるのは辛いんでな。買ってないみたいだし。 「あ、ありがと…」 かがみは少し戸惑いながら礼を言う。 ほのかに喜んでくれてるようで良かった。 俺は心の中で深呼吸する。 「なぁかがみ」 「ん、何?」 先程の呼び掛けとはえらい違いだな。 「年明けに―――」 「あ、おねえちゃんお帰りー」 「かがみお帰り。頼んだやつ買って来た?」 かがみの背後から2つの声がする。 つかさと姉のまつりさんだと視認した。 「あ、キョン君だー」 「あ、ホントだ。どしたの?」 つかさが第一に俺に声をかけると、まつりさんもポッ●ーをくわえながら挨拶してくる。 俺は手をあげて、2人に挨拶し返す。 まつりさんはしばらく立ち止まった後、 「あ、ヤバイ。つかさ、ちょっと手伝って」 と言ってつかさを引っ張ってリビングに行ってしまった。 俺にグーサインを残して。 「あれ、お姉ちゃん?」 「荷物は置いといてー」 かがみの質問にまつりさんは遠くから返事をした。 「キョン、今日はありがとね。助かったし、嬉しい。 またお礼はするわね。今止んでるから急いだ方がいいわよ。 それじゃ、ばいばい。」 え、あ、うん、じゃなくてちょっと待て。待ってくれ。 「かがみっ」 再三呼び止める声は扉の閉まる音に掻き消された。 数秒思考は停止された。 動作して初めてした事は溜め息だった。 「……情けねぇなぁ」 雨雲が無くなった空を仰いで吐露する。 雨に当たっていた半身に当たる風が冷たいな、早く帰るか。 参拝客が捨てたと思われる空き缶をごみ箱に入れて、俺は帰路に着いた。 道中、まつりさんから『意気地無し』と書かれたメールが届いた。 俺は苦笑いして、携帯に表示された日付を確認する。 初日の出に誘うにはまだあるさ。 作品の感想はこちらにどうぞ
https://w.atwiki.jp/terachaosrowa/pages/2452.html
支給されたエロ本を道端のゴミ箱に放り捨てた後、仮面ライダーディエンド・海東大樹はお宝を求めて世界各地を回っていた。 しかし世界の融合の影響か思ったようにお宝は見つからず、溜め息を吐く海東。 そんな彼に忍び寄る、二つの影があった。 「大ショッカーからの刺客かい? 悪いけど、僕はお宝探しに忙しいんだ。 君達の世界には、このバトルロワイアルが終わったあとで、ゆっくりお宝を頂戴しに参上するから、それまで待っていたまえ」 「アビィィィィイィィ!」 「ブゥウウゥヨンンンン!」 影の名は、モスキラスとシオマネキング。 死神博士が野に放った、ショッカーの再生怪人である。 海東の言葉を挑発と受け取ったのか、臨戦体勢をとる二匹の怪人。 やれやれと呟く海東。こいつらを倒す義務はないが、かといって倒さない理由もない。 ディエンドに変身して、とっとと片付けてしまおう、と判断する。 「ま、降りかかる火の粉は払わなくちゃね。変し……あれ?」 そこで、海東が異変に気付く。 持っていたはずのディエンドライバー(変身アイテム)が、何処にも見当たらないのだ。 慌ててデイパックの中を覗き込むが、それらしい物は見つからない。 「おかしいな……ハッ!?」 海東の脳裏に、少し前の光景が浮かぶ。 一応捨てる前に中身を検分しようと、ベンチに座って彼は一人エロ本を開いた。 その時、ディエンドライバーをベンチに置いて……そのまま置き忘れてしまっていたのだ。 固まる海東。 その間にも、徐徐に近付く怪人。 「……今日はこの程度で勘弁しておいてあげよう!」 海東は逃げ出した! 【二日目午前一時/新惑星】 【海東大樹@仮面ライダーディケイド】 【状態】健康 【装備】 【道具】支給品一式 【思考】 1:お宝を探す 2:ディエンドライバーを探す 3:そういえば士達は何処だろう 【シオマネキング@仮面ライダー】 【状態】健康 【装備】 【道具】支給品一式 【思考】 1:海東を追う 【モスキラス@仮面ライダー】 【状態】健康 【装備】 【道具】支給品一式 【思考】 1:海東を追う 一方、ベンチに置き忘れられたディエンドライバーは。 「うーん……拾ってみたのはいいが、使い方がわからんな。まあいいさ、その内どうにかなるだろ」 何の因果か、幻想郷の泥棒……もとい、普通の魔法使いの手に渡っていた。 【霧雨魔理沙@東方Project】 【状態】健康 【装備】ディエンドライバー@仮面ライダーディケイド 【道具】支給品一式 【思考】 1:とりあえずあちこち回ってみるか
https://w.atwiki.jp/bsr_e/pages/1703.html
やあやあ皆さんこんにちは。 毎度お馴染み実況は真田忍び隊隊長猿飛佐助(新婚三か月)、場所は建設途中の白石城からお送りしています。 …うん、落ち着かないです。 お尻の下にはふかふかした上に綺麗な刺繍の入った座布団、目の前には綺麗な緑色の温かいお茶とお花の形の綺麗なお菓子。 俺ってば忍んでなんぼの下賤の身ですからこんな扱いされると心底困るんですよ。 おかげでぴくりとも動けない。 野の花が活けてある花瓶とか墨痕鮮やかな掛け軸(仏恥義理って何て読むの)とか、背中にデカデカと『仁義』ってついてる陣羽織とか。 もうなんでこんなとこにいるのかと、三か月前の…いやもっと前の自分に問い質したい所存であります。 はあ…と溜め息をついた瞬間、いきなり襖が開いて思わず俺は部屋の隅に逃げちゃいました。 「あらあら……景綱さんはもう少しで戻りますよ?」 お盆の上にお茶のおかわりを載せて現れた女性は片倉さんのおねえさんらしい。 あの竜の姫様の乳母をしていた、というのは昔調べたから知っていたのだが。 なんだか、すごく微笑ましく見つめられている。 「えっと、お喜多…さま…?」 「新婚ですもの。さびしいでしょうねえ」 「は?……あ、いえ!これは違うんです!!」 慌てて知らず握り締めていた布を放した。 びっくりした俺が逃げた場所は片倉さんの陣羽織が掛けてあった場所。 喜多さんには俺が片倉さんの陣羽織にしがみついて恋しがっているように見えたようだ。 「新婚ですもの、さびしいでしょうねえ」 必死の弁解など聞かず、喜多さんはお茶を取り替えてうふふと笑いながら出ていった。 「…こいつのせいだ…」 三か月前、俺は片倉さんと結婚した。 というか気がついたら花嫁衣装を着せられてそのまま結婚させられていたのだ。 確かに俺は片倉さんと寝たけど、そういう仲ではなかったはずだった。 俺はしがない忍びで、片倉さんは伊達の重臣で今は自分の城を建てている最中だ。 寝たのはなりゆきみたいなものだから、俺も片倉さんも惚れたのはれたの一言も言わなかった。 初めて寝た後、なぜか頻繁に片倉さんと遭遇するようになり、なぜか俺に個人的な手紙が来たり、なぜかかんざしとか着物とか野菜が送られたり、なぜか布団の中といわずあちこちで腰が抜けるほど抱かれたりしたけれど。 結婚にまで結びつく事はなかった、と思う。 しのみて新婚さんいらっしゃい2
https://w.atwiki.jp/galgerowa2/pages/311.html
I am me ◆UcWYhusQhw 「私は何をしているのだろうな……」 ガタンゴトンと電車が走る音が響く。 私から見える風景は瞬時に移り変わっていって。 私の呟きは誰にも聞こえる事もなく。 その問いに答えるものなんて居なく。 ただ虚空に消えた。 私はもう一度溜め息をつき寄りかかっている扉から外を見る。 憎たらしいほどの青い空。 太陽の光に照らせられる深緑の木々。 どれも殺し合いの場から剥離したような美しい風景。 なのに。 私は今殺し合いの場にいる。 嘘だといいたい。 でも現実。 死体をこの目で見て。 人が目の前で殺されて。 そして。 私が殺した。 ……伊達、若杉。 ……何をやってるんだろうな。 ……私は。 スバルと出会って、若杉とも合流しボートに乗り込んだ。 あの時は確かに楽しかった。 ……でもそれはとても儚くて。 伊達の暴走。 若杉も死に伊達もこの手で殺した。 ……呪いの様な言葉を受けて。 ……私は迷って。 そして流されて女の死体を見つけ小動物を保護した。 その後は…… ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ 「ここが……劇場か」 私は小動物みたいなのを保護した後MTBにまたがり周辺を見てまわることにした。 小動物は肩に乗って大人しくしている。 見つけたのは地図に載ってある劇場。 こじんまりとした少し洒落た感じだった。 私は少し警戒したまま中に入る。 「誰も……いないか」 そこにはやはり誰も居なかった。 ロビーが広がっているのだががらんとしてある。 本来ならば開演前で客が集まってたり開演中だと演劇の声が漏れたりしてるのだろう。 しかし今はそんなものはなくただアイドルらしい少女のポスターがあるだけ。 ただ無機質な笑顔が存在するだけだった。 私はそれを一瞥しただけでオフィスと書かれた部屋に入る。 そこにはいくつかの机と一台のパソコン。 壁には沢山のポスターが。 わたしはそのままパソコンのスイッチを入れてみる。 何か情報があるかもしれない。 そう思って付けてみたのだが…… 「ん?……なんだ?……IDとパスワード? 知らんぞ、そんなの」 残念だがそんなもの知るわけがなかった。 私は溜め息を付いた。 だけどこれはきっと何か隠されてるかもしれない。 そう思い私は一旦パソコンを落とし劇場から離れることにした。 「とりあえず駅に行こう。ここら辺はあまりいたくない」 そうなんか嫌なのだ。 ……伊達達とまだ歩いてた頃の記憶を思い出しそうで。 それが何処か悲しくて。 「……感傷だな」 私はそれ振り切るかのようにMTBに跨り出発することにした。 胸に残るざわつきを残しながら。 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ そして電車に乗り北を目指すことにしたのだが…… 「……どうなるかなんて分からないのに脱出できるかもしれない手がかりに喜ぶとは私も……」 何をしてるんだろうな。 結局何がしたい? 私は。 約半日ものの間動きまわって。 その結果こうも揺れている。 弱い 弱いな……。 『もし……なっちゃんに帰って会いたい人がいたのならそのままでいられるのねぇ?』 唐突に伊達の言葉が蘇る。 私は……。 静留…… もし…… そうなったら。 私は狂うのだろうか? 伊達みたいに。 私は…… 私は…… ドゴッ!!!!! 「違うっ! 私は私だっ!!」 扉に拳を打ち付ける。 違うと。 私は私だと。 何も変わらない普通の私だと。 ……でも。 ……普通って何だ? 誰かの為に人を殺すのも私じゃないのか? ちがっ…… わからない。 何が普通なのか。 でも。 でも。 でも私は。 普通でいたい。 私は代わらないまま私でいたい。 それは願望だった。 不変なんてないのに。 それでも願う。 私が私でいられるために。 私は私だと。 ただ願いたい。 「私は……私だ……」 力なく呟く。 そんな私を乗せて電車は走る。 私は。 私は。 「私でいさせてくれ……お願いだ」 その願いに応える物はもういなく。 私は海の孤島で独り。 空にはイラつく位の太陽の輝き。 すんだ蒼。 森は静かで。 深い緑。 そしてその青と似た緑に囲まれて。 私はそこにいた。 ただ願い続けたまま。 【G-6電車内/1日目 昼(放送直前)】 【玖我なつき@舞-HiME 運命の系統樹】 【装備】:ELER(二丁拳銃)、尾花@アカイイト 【所持品】:支給品一式×2、765プロ所属アイドル候補生用・ステージ衣装セット@THE IDOLM@STER、 『全参加者情報』とかかれたディスク、カードキー(【H-6】クルーザー起動用) ベレッタM92(9ミリパラベラム弾 15/15+1)、ベレッタM92の予備マガジン(15発入り)×3 七香のMTB@CROSS†CHANNEL ~to all people~、不明支給品(0~1)、 クルーザーにあった食料、双眼鏡、首輪(サクヤ) 【状態】:健康、迷い 【思考・行動】 基本:静留と合流する 0:私は私だ…… 1:羽藤桂、フカヒレを探す? 2:ゲームに乗るかどうかは未定だが…… 【備考】 ※装備品のELERは支給品ではなくなつきのエレメントです。 ※チャイルドが呼び出せないことにおそらく気づいています。 ※人探しと平行して、ゲームの盲点を探し本当のゲームの参加者になる。 ※盗聴の可能性に気付きました。 ※『本当の参加者』、もしくは『主催が探す特定の誰か』が存在すると考えています。 ※佐倉霧の言いふらす情報に疑問視。 ※権利は元の世界に返すや死者蘇生と考えてます。 ※劇場にてパソコンを発見しました。何か情報が隠されているようです。見るにはIDとパスワードが必要です。 ※電車で移動中。B-7の駅かF-7駅で降りるかは後継の書き手次第です。 【尾花@アカイイト】 【状態:刀によるかすり傷、右後ろ脚骨折(共に応急処置済み)】 【思考】 基本方針:桂を救う。葛を探す 117 おはよう朝ごはん 投下順 119 騎英の手綱 139 ストロベリーミサイル 時系列順 123 ただ深い森の物語/そして終わる物語 112 続く夜に負けないで 朝の光信じて 玖我なつき 147 明日への翼 (前編)