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「やれやれ」 あの言葉が愛しい もういちど聞きたい でももうあいつはいない ――――――― 北高を卒業、自然とSOS団は解散した。 あたりまえのことでしょうね。だって部活だもん あたしはあたしのレベルにあった大学へ進学した。 ホントはキョンといっしょの大学に行きたかったけど あいつは卒業とほぼ同時に田舎へ引っ越した。 おばあちゃんが亡くなったらしいわ。それでおじいちゃんひとりで可愛そうだからってキョン一家は田舎に帰った。 他の三人とは音信不通。あたしにまわりで変化したことってのは4人がいなくなった。それだけ。 それだけなんだけど、あたしにとってはそれだけなんてことばじゃ済ませられない。だってあたしはみんなの事がホントに・・・。 もうひとつ変わったような気がするのは、なんか最近おもいどおりに事が進まなくなったの。北高にいる時はなんだか自分が望む事が何気に上手くいってたような気がするの。結局宇宙人やら未来人。異世界人や超能力者が現れる事はなかったけど。 どうしてでしょうね 最初の何日かは。キョンと電話しまくったわ。 でも五日目からつながらなくなって・・・。 いったいどういうことよあたしのこと嫌いになったの?? 「・・・・・」 ひとりでイライラしてひとりで虚しくなる。 SOS団があればみんなにあたることもできるのに。 何で今日あたしがなんてこんなに憂鬱かというと、今日はあたしにとっていろいろなことがあった日なの。おかげで朝から思い出し憂鬱よ。朝からそんなことができたのは、今日は大学休んだから。北高を卒業してから3年間ずっとこの日は休んで思い出し憂鬱よ。嫌になっちゃう もうずっと会えないのかもなぁ・・・。 会いたいなぁ・・・。 「やれやれ」 あの言葉が愛しい もう一度聞きたい でもあいつはいない 「・・・・っ!」 あたしは駅前で人目をはばからず叫んだ。 「団長の命令よっ!SOS団集まりなさい!」 まわりの人がかわいそうな人を見る眼であたしを見ている。 「なにしてんのよみんな!早く来なさい!」 笑っている人もいる、でも全然きにならなかった。 「遅れたら・・えぐっ・・・罰金なんだからね!」 私は泣いた。みんなが来ないことなんて知っていた。 でもわたしはみんなに会いたかった。 とくにあのアホ面に・・・。 「うわぁーーんっ・・・・!」 わたしは大声で泣き叫んだ。 「みんなぁー!!古泉君!みくるちゃん!・・えぐっ・・・キョン!」 「わかったから、もう泣くな」 「え?!」 キョンが私を抱きしめていた。 「え?!なんで・・・?なんでここにいるのよ」 「まったく・・・・あれから携帯壊れちゃってな。お前の電話番号もわからなくなっちまったんだ。それでお前をどうやって探そうかと思ってたら、駅前で泣き叫んでるバカみつけて・・」 「そうじゃない!なんでここにいるのよ」 「じいちゃんがこっちに住みたいっていいだしてな」 「じゃ、じゃぁまたキョンここに住むの?」 「いま言っただろうが。そうだ」 「うわぁーん、キョン!!えぐっ」 あたしはキョンを力の限り抱きしめた。 嬉しかった。こんなに嬉しいのはSOS団発足を思いついたとき以来よ。キョン・・・! 「ハルヒ・・」 「ん?なによ」 「俺とはまた奇跡的に会えたわけだがなぁ。残念だが他の三人は無理だろう。お前も十分わかってるはずだ」 「・・・うん。そうよね」 「さすが元SOS団団長様だ。さてこれからどう」 「おひさしぶりですね。お2人とも」 「こっ・・・古泉くん!」 「なっ・・・なんでお前がここにいやがる」 そこにはひさしぶりにみたニヤケ顔があった。古泉くんだ。 「涼宮さんの能力が復活しましてね。また僕も神人狩りの重労働なアルバイトができます」 え?なにいってんの?? 「ってことは・・・」 「ええ、もうすぐ来ると思いますよ」 「あっ!」 ひさしぶりでもなんでも忘れない二人がそこにいた。 「お久しぶりですみなさん。また会えて嬉しいです」 あいかわらずのナイスバディにそれに似合わない可愛い顔。みくるちゃんだった。 「本当にっ・・・本当によかったです。またあえて・・・」 みくるちゃんは泣いていた。それ以上に私は泣いていた。 誰かがハンカチを手渡した。有希だ。 「拭いて。」 「ひさしぶりね・・」 「わたし個人としても大変嬉しく思っている」 「それより今日は七夕ですが。またみんなでなにかやりませんか」 「・・・みんな!」 あたしはみんなに抱きついた。もう絶対に・・・絶対にはなさない! 「SOS団、発進よ!!」 ――――――完
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言わせて貰うなら、セックスなんてのは単なる行為のひとつに過ぎない。少なくともあたしはそう思ってる。 愛情がなくったって出来るし、何の証明にもならない。セックスしたから彼はわたしの物♪なんて、おかちめんこな考え方は噴飯物だ。一時の気の迷いで、そうひょいひょいと人の所有権を移動させないでほしい。 結局その考えは、あたしこと涼宮ハルヒが実際にセックスを経験した後も、特に変わる事はなかった。だからやっぱり、セックスなんてただの行為なのだ。 「おっそーい! キョンの奴!」 一年を4分割するのなら9月は秋に分配されて然るべきはずなのに、その日は朝から猛烈に暑かった。残暑なんてものは馬の尻尾にくくりつけて、そのまま蹴っ飛ばしてしまいたい。 実際にはくくりつける事も蹴っ飛ばす事も出来ないので、あたしは腕組みをして駅前広場の時計を睨みながら、ひたすら不機嫌な声を張り上げていた。 「ホントにもーっ、何やってんのよ!」 「まあまあ涼宮さん。まだ待ち合わせ時刻から10分ほどしか経っていませんし」 「他のみんなはもう集まってるでしょ!? せっかくSOS団の末席に加えてあげてるっていうのに、団員としての自覚が足らないわ! だいたいね? 下っぱのキョンが団長であるこのあたしを待たせるだなんて、まったくの論外よ! ロンのガイよ!」 あたしの怒声に、古泉くんは参りましたねと肩をすくめるばかりだった。あー、何か違う。やっぱり古泉くんが相手だと何かこう、しっくり来ない。これはもう今日は徹底的にキョンの奴を吊るし上げなけりゃだわ! 「うス。すまん、遅れた」 噂をすれば何とやらね。しょぼい顔してやってきたキョンを、あたしは出来うる限りの厳しい眼光で迎えてやったわ。 さー、どうとっちめてやろうかしら。明らかに寝不足っぽい顔しちゃって、どうせまたつまんない理由で夜更かしでもしてたのよきっと。 「理由…言わなきゃダメか?」 「当ったり前でしょ! あんた一人のせいで、あたし達がどれだけ迷惑したと思ってんの!」 「あのぅ、涼宮さん…わたしはそれほど迷惑とは…」 「みくるちゃんは黙ってて!」 「ひゃ、ひゃいっ!」 「これは団の規律の問題なのよ。さあ、ちゃっちゃと吐きなさい、キョン!」 ゲームか漫画か、それとも深夜映画にでもハマってたのか。わくわく気分で問い詰めるあたしに、キョンはむっつりした顔で、こう答えた。 「昨日、中学の同級生だった奴の葬式に行ってきたんだよ」 「そうですか、海難事故で」 「ああ。夜釣りの最中に高波にさらわれて、朝、浜に打ち上げられた時にはもう冷たくなってたとか。人間なんて本当、はかないもんさ」 古泉くんに素っ気なく応じると、キョンはずちゅーとアイスコーヒーをすすり上げた。事故の件を話すのがつらいというより、喫茶店に移ってきてまでこんな暗い話題で雰囲気を盛り下げたくない、といった感じだ。 まあ確かに、日曜の朝に聞きたい類の話じゃない。正直、気分が滅入る。ああ、だからキョンはさっき言いたくなさそうにしてたのか。…って事はなに? 今のしんみりした空気って、ムリヤリ聞き出したあたしのせい? 「でも、キョン! そもそも昨日の時点で用事がお葬式だってこと、なんであたしに言わなかったのよ!?」 なんだか責任転嫁のような感じで、あたしは話を蒸し返していた。そう、本来は昨日の土曜日に定期パトロールが行われる予定だったのに、直前になってキョンが用事があると言いだしたから、一日ずらしてみんな集まっているのだ。 でもってキョンの奴は、あたしが訊いても口をもごもごさせて、何の用事かははっきりと言わなかった。今朝からあたしの気分が優れなかったのも、半分くらいはそーゆーキョンのぐだぐだした態度にイラついてたせいだ。結論、うんやっぱりキョンが悪い! 「最初は、葬式に出る気なかったんだよ。つい直前までな」 あっさりと、キョンはそう白状した。…おかしい、どうも今日は調子が狂う。 いつものキョンなら吊るし上げをくらっても、なんだかんだとあたしに抵抗しようとするのに。その往生際の悪さが見てて楽しいのに。 「1、2年の時に同じクラスだったってだけの奴で、すごく仲が良かったわけでもなかったし。高校も結局、別の所に行っちまったしな。 俺が行って手を合わせた所で、奴が生き返るはずもなし。でも国木田の奴に、焼香くらいは、って誘われてね」 国木田か。なるほど、付き合いのいい方ではあるわね。でも、ちょっと待って? 特に仲が良かったわけじゃあない? 見回せばあたし同様、キョン以外のみんなが頭の上にクエスチョンマークを浮かべていた(有希はパッと見、そうとは分からないけど)。それならどうして、寝不足になるくらい思いつめたりすんのよ。 「別に今生の別れに一晩中泣き明かしたりしたわけじゃねえよ。ただ、なんて言うかな…。 葬式のあとで、国木田が言ったんだ。なんだか全然、現実味がないねって」 まるでそういう風に話すよう造られた自動人形みたいに、キョンは淡々と語っていた。 「家に帰ってから俺、卒業アルバムを開いてみたんだ。そしたら確かに、一緒の頃の思い出の方が生々しくって、あいつが死んじまったって現実の方が絵空事みたいな感じなんだよ。 でもやっぱり、あいつが居ないこの世界の方が現実で」 ふう、とキョンがひとつ息を吐くと、微かにコーヒーの匂いが漂った。 「実は俺、ほんのしばらく前にそいつと話してるんだよな。下校途中にサンダル履きのあいつと、ばったり出くわしてさ。そのままコンビニの前で30分ばかりくっちゃべってた」 「その人、何か特別な事でも言ってたの?」 「いや、全然。今じゃ内容さえ憶えてないような、そんな程度の会話だった。 でもそれは、あいつとは逢おうと思えばいつでも逢える、話そうと思えばいくらでも話せる、そう思ってたからで。それが気が付いたら、そうじゃなくなってて――。何だろうな、こういう感じ。心にぽっかり穴が空いた、とでも言うのか?」 「ふん、ボキャブラリーが貧困ね」 わざときつく揶揄してやったのに、あいつはムッとした表情さえ見せなかった。やっぱり変だ。やっぱり今日のキョンは、何かおかしい。 「そりゃ失敬。じゃあ教えてくれよ、こういう気分ってなんて表現するべきなんだ?」 「何って、それは…」 「………虚無感」 「おお、さすが長門。ん、まあそんな感じだな」 有希に向かって大きく頷くキョンの顔を、あたしはストローの先のクリームソーダを最大肺活量で吸い上げつつ、仏頂面で眺めていた。 キョム感ね、キョンだけに。…いろんな意味で面白くない駄ジャレだわ。 「そのぅ、えっと…元気出してくださいね、キョンくん…」 「おお、この俺の身をそんなに心配してくれますか! いやあ、朝比奈さんは本当に心優しいお人だなあ」 今のキョンはみくるちゃんの掛けた言葉に、やけに愛想良く受け答えてる。みくるちゃん相手にはやたら調子がいいのはいつもの事だけど…今日はなんだか特に造り物みたいな笑顔ね。無性にはたきたくなるわ。 そんな風に思っていると、キョンの奴は不意にこちらを向いた。 「ま、そんな事がありましたよって事で。人間なんて明日どうなってるか分からないから、みんなもせめて事故とかには気をつけろよな。特にハルヒ」 ちょ!? なんであたしだけ名指しなのよ! 「お前が直情径行の向こう見ずで、後先考えずに動くからだ。 さて、それじゃ不思議探索パトロールに出掛けますかね、と。今日はもう俺の罰金で確定なんだろ?」 恒例のクジ引きで同班になったみくるちゃんをいざなって、キョンは伝票をひらひらさせながら会計へと向かった。 むー。つまんない。あたしは『キョンに罰金を払わせるのが』ではなく、『罰金を払わされる時のキョンの情けない顔が』楽しいのに。つまんないつまんない! 「どうかしましたか、涼宮さん?」 よっぽどあたしはむくれていたのだろうか。喫茶店を出るなり、古泉くんがそう声を掛けてきた。 「ねえ有希、古泉くん。今日のキョン、なんかおかしいわよね?」 遠回しな物言いは好きじゃない。あたしがズバリ訊ねると、古泉くんと有希はしばらく顔を見合わせて、それから二人揃って頷いた。古泉くんはともかく、有希も肯定しているからにはやっぱりそうなのだ。 「そうですね、これはまあ概念的な事柄なのですが。 人は大なり小なり、明日への不安を胸に抱いているものです。もしかしたら大地震が起こるかもしれないし、空から隕石が降ってくるかもしれない。はたまた、悪意を持った異星人が大挙して地球を侵略しに来たりするかも…」 いきなりそんな事を語り始めたかと思うと、古泉くんはしばし、あたしと有希の顔をちらちらと見比べた。今の間は何なんだろう、一体。 「…とまで言ってしまうと、さすがに何でもありになってしまいますが。不慮の交通事故などは、誰の身にだって起こり得るわけです。 さて、そんな時。たとえば明日死ぬかもしれないという時に、やりたくもない宿題をやる気になる人が居ますか? いえ、それどころか自分にとっての宝物さえ、もしも明日無になるとしたら、途端に色褪せて見えるのではありませんか?」 「えっ? でもだって、そんなのは…」 「はい、その通りです。予測できない不幸、というのは可能性としてはあり得るのですが、それを気に病みすぎていては何も出来ません。 だから人は基本的に、その可能性を無視しています。もしくは保険に加入するなどの次善策を用意するか、ですね。しかしながら“死”というのは、人が逃れえない宿命のひとつでして…」 と、ここで一度言葉を止めた古泉くんは、ああまたやってしまったとでも言いたげな微苦笑で頭を振った。まあ、古泉くんのセリフが芝居がかってるのはいつもの事だけど。 「結論を述べましょう。今の彼は、軽い躁鬱病の状態にあると思われます。 ご友人のように、自分も明日にはいなくなっているかもしれない。ならば自分の生に一体何の意味があるのか――そんな問答に囚われてまんじりともできないでいる、といった所でしょうか」 「有希の言ってた、虚無感って奴?」 「おそらくは。実を言えば僕自身、まだ同年代の人間の死に直面した経験はないもので、先程の彼のお話には、多少なりともショックを受けました。もしかしたら『大人になる』というのは、こうしたショックに慣れていく事なのかもしれませんね」 ショックだった割には、いつもと同じ笑顔で話してる気がするけど。そうね、古泉くんが言いたい事はだいたい分かるわ。 でも、だったらあたしは敢えて大人になんかなりたくないかな。親とか身近な人を失くす悲しみに慣れるだなんて、そんな事は………え? 失くす? 誰を? その時のあたしは、どんな顔をしていただろうか。ともかく、気付けばこんな言葉があたしの口をついて出ていた。 「あのさ、有希、古泉くん。ちょっと話があるんだけど」 「はあ、午後の調査を彼と二人で」 「…………」 その、別にヘンな意味じゃないのよ? ただキョンの奴のスッポ抜けぶりが見るに見かねるというか、ほら、団長の責務として…! 「素晴らしい。さすがは涼宮さんだ」 「へ?」 「僕達も彼の不調が気にかかってはいたのです。しかしながら、いかんせんどうやって励ましたら良いものか、妙案が浮かばないものでして。 ですが、団長自らがケアをなさってくださるというのなら、もう安心ですね。どうぞ彼の事をよろしくお願いします、涼宮さん」 ま、任せときなさい! 団員の心の悩みを受け止めてあげるのも団長の務め! 一切合財あたしに預ければ、全てこれ解決よ! と、あたしがガゼン張り切っていると。 「ふむ、ですがそうするには…長門さん、ちょっといいですか?」 古泉くんが有希を道端に連れてって、ひそひそ相談を始めた。ん? この光景、なんとなく前にも見たような覚えがあるんだけど。市民野球大会の時だっけ? それともデジャビュって奴かしら。 「お待たせしました。では、午後のクジ引きは長門さんにお願いする事にいたしましょう。実は彼女、少々手品の心得があるそうで」 「へえ、それ初耳。有希、本当に出来るの?」 「………可能」 「公平公正なゲームを愛する僕としては、こういうインチキはあまり推奨したくはないのですが。 しかしながら彼はある意味、涼宮さんの対極というか、石橋を叩いて渡らないような、非常にアマノジャクな性格の持ち主ですからね。変なお膳立てをしてしまうと、かえって反発しかねません。ここはあくまで偶然を装うとしましょう」 古泉くんの言に、あたしは大きく頷いた。まったく、キョンの奴があたしのナイスなアイデアに、素直に賛同した事など一度もない。いつもつまらない常識論を持ち出して、あたしの発展的行動に難癖を付けたがるのだあいつは。 あんたみたいな奴の事を、これだけ気に掛けてあげるのはあたし達くらいのものよ? 友に恵まれた事をせいぜい感謝なさい、キョン! 「素直じゃない、という点ではどっちもどっちというか、お似合いなんですけどね」 「何か言った、古泉くん?」 「いえ、別に何も」 「ふうん? まあいいわ。今回はウソも方便って事で、有希、お願いね」 あたしの依頼に、有希は黙って頷いた。沈黙は金だとかいうけど、本当にいざという時には頼りになる娘だ。キョンの数千倍は役に立つわね。 って頷いた後も有希はしばらく、深遠の瞳であたしを見続けていた。ん、なに? 「彼の言っていたのはある面での、真理」 彼って、キョンのこと? 「そう。価値観は主に相対性によって生ずる。最初から何も無かった状態に比して、あるはずだったものをなくしてしまった際の喪失感は、絶大」 「あんたにも、そんな経験あるわけ?」 「11日前、帰宅すると作り置きのカレーが、全て痛んでいた。その日はお茶だけ飲んで過ごした。カレーに黙祷を捧げた…」 「そ、そう」 カレーと人命を同列に語っちゃうのもどうかしら。ああ、でも自炊してる人にとっては食料問題は死活ラインなのか。よく分かんないけど。 「決まりですね。では、我々も出発しましょうか」 「あ、うん、そうね」 なんだか分からない内に古泉くんに促されて、あたし達もまた午前のパトロールに出立した。うーむ、やっぱりどうにも調子が狂ってるぽい。いつもなら当然のように、このあたしが号令を掛けているはずなのに。 結局、午前の部はただひたすら暑い中を歩き回るだけに終始した。不思議を探すより何より、あたしの心には踏んづけたガムみたいに、さっきの有希のセリフがべたりとこびり付いていたのだ。 『彼の言っていたのはある面での、真理』 あるはずだったものを失くしてしまって、心にぽっかり穴が空いたようだ、とキョンは言っていた。有希はそれを真理だと言う。古泉くんは、人は大なり小なり、明日への不安を胸に抱いているものだと言っていた。 そうだ、今のあたしも多分、何かしらの不安を抱えている。でも、それは…一体なんだろう? あたしは何を失くす事を恐れてるの? そんな疑念が、歩くたびに靴底で耳障りな音を立てている、ような気がした。 「珍しいな、この組み合わせってのも」 「あー、うん、そうかも、ね」 キョンの何気ない呟きに、午後のあたしはちょっとばかり居心地の悪い気分で頷いていた。本当の事を知ったら怒るかな、キョン。 「つか、古泉の野郎が羨ましい」 前言撤回。このバカ相手に、罪悪感など微塵も感じてやる必要なんか無い。あたしは渾身の力でキョンの尻をつねり上げてやった。 「神聖なSOS団の活動を一体何だと思ってんのあんたは!」 「うぐあっ!? い、いやスマン、冗談だ…」 だいたい古泉くんは、午前もあたしと有希で両手に花だったでしょうが!? どうしてあの時は羨ましがらないで今は………あ、いや。いやいや。 あ、あたしが怒ってるのはそんな事なんかじゃないわ! そう、キョンの奴がここでもやっぱり素直に謝ってるからよ! だから、調子が狂うって言ってるでしょ! いや言ってないけど! いつものあんたなら、もっとこう…その、歯応えがあるっていうか…そこいらのくだらない男連中とはちょっとは何かが違うっていうか…。 「どうしたんだ、ハルヒ? どこに向かうんだか、さっさと決めてくれよ」 こここ、この鈍感男めぇ! 人がこんなに気を揉んでやってるのも知らないでッ! あたしはよっぽど、公園の砂場を掘り返してこの唐変木を頭から埋めてやろうかと思ったけど、今世紀最大の自制心を働かせて、なんとかそれを堪えた。いけないいけない。古泉くんの言によれば、キョンの奴は今、ちょっとばかり精神を病んでいるのだ。団長として大目に見てやらなければだわ。 ――治ったら覚悟しなさいよね、このバカキョン! 「いいからっ! あんたは黙ってあたしについてきなさい!」 「へーへー、団長様の仰せのままに」 とりあえず、そういう事にして歩き始めたけど…はてさて、これから一体どうしたらいいもんだか? 実の所あたしは、本当に有希の手品とやらがうまく行くのかなーとか、行ったら行ったでキョンの奴、あたしとペアの組み合わせをどう思うのかなーとか、そんな事ばかりを考えてたもんだから。具体的にどうやってキョンを元気づけたげようとか、全く考えてなかったのよ! うそ、どうしよう。まるで小堺一機のお昼の番組にいきなりむりやり出演させられて、サイコロ振らされたような気分だわ。何が出るかな♪何が出るかな♪ ちょっとドキッとした話、略して「ちょドばーなー」って、だから何も用意してないんだってばっ! 『団長自らがケアをなさってくださるというのなら、もう安心ですね。どうぞ彼の事をよろしくお願いします』 プレッシャーが具現化したのか、さっきの古泉くんのセリフが耳にこだまする。あたしは空の彼方に浮かんだあの爽やか笑顔に、無言のパンチを打ち込んだ。 『おやおやひどいですねフフフ』 ええい、回想なんだからさっさと消えなさい! 「おい、どうしたんだハルヒ。道端でいきなり拳振り回したりして…?」 「虫よ! 虫がいたのニヤケ虫が!」 語気も荒く振り返って…あたしはキョンの背後の壁に、ふと一枚の看板を発見した。 (あ、やだ…。やみくもに歩き回ってたら、こんな方向に…) 途端、あたしの頬が熱を帯びる。そこは駅の裏手辺りにありがちな一画で、男女がペアで歩いてたりしたら、いわれのない誤解を受ける可能性が非常に高い場所というか何というか…。あーっ、もう! ハッキリ言ったげるわ! あたしにはやましい点なんかこれっぽっちも無いし! ホテル街よホテル街! そこはいわゆるホテル街だったのよ! 次のページへ
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第一話『古泉一樹の事件』 私達は気絶した彼を引きずりながら 森の外に見える村に向かって歩いていた さっきの彼の行動からか会話がまったくない 人はこれを空気が重いというらしい 実際は空気の質量は変わらないのでそんなことは無い しかし、人間にはそういう風に感じてしまうらしい 説明を長々としていると原作十冊分になると計算結果が出たのでこれ以上はやめておく 「あれ?俺は…?」 後ろで彼が気が付いたらしい 彼を立たせてやる 「俺は一体何をしてたんだ?」 「いわゆる暴走という状態に陥っていた」 「暴走?俺が?本当なのか?」 「長門さんが言っているのは本当よ、斬撃を飛ばして触手ツリー(第一章最後の敵)を倒した後、あなたは明らかにおかしかったわ」 おそらく彼の記憶領域には保存されてないのだろう 私が一通り説明する 「あなたは、予期せぬ自分の能力の開放に混乱した。 混乱によって理性が壊れ、欲望を抑制する機能が無くなった脳は本能で動くようになった あなたの本能は少し特殊で、攻撃することを快感としていた そこで私が、あなたの欲望の源である攻撃手段、すなわち剣を奪い、あなたの正常化を計った 作戦は成功。攻撃する術を失ったあなたは機能を一時停止しその場に倒れた」 「それで現在に至るってわけか…ちょっとショックだな…」 「あなたのせいではない、もし剣を持つことが無かったら今回のようなことは起こらなかった」 「そうか…ありがとよ、長門」 「そう…」 「今の気分はどう?あれだけ暴れていたんだから体が痛いとかないの?」 幽霊である涼宮ハルヒが聞く 余談ではあるが幽霊には痛覚はない、あるのは聴覚と視覚と嗅覚くらい 彼女が人の体を操ればまた話は別になるが 「なんか全身の筋肉痛と倦怠感があるな…誰か俺を運んでくれないか?」 「それ無理♪」 「即答かよ」 「後もう少し歩けば村よ、もうしばらく辛抱しなさい」 「わかったよ、ハルヒ。すぐに宿でも見つけてゆっくりするか」 私達はまた歩き出した 森を抜け、村の入り口まで来た私達は一人の少女を見つけた 「キョンくん!?」 「みくるちゃん!!」 隣で涼宮ハルヒが叫んでいるが、彼女には聞こえてないし、見えてない 「朝比奈さん!どうしたんですか。こんな所で!」 「ふぇぇ…キョンくん、会いたかったよぉ~」 そう言うなり朝比奈みくるは彼に抱きついた 涼宮ハルヒの精神が不安定になっている ほぼ同時に私の内部でエラーの発生を確認した 私が機能停止したエラーとは別物で一時的な物なので無視をする しかしこのエラーの発生は頻発している 特に最近は一日に最低一回は発生している 前の世界に戻ったらエラーの解析を進めておくことにする エラーの話は保留しておく 涼宮ハルヒの表情から不機嫌だということが私にもわかる ~~~~~~~~~~~~~~~~~ キョン視点 えーとこれは喜んでいい状況なのだろうか それとも自分の心配をした方がいいのか 朝比奈さんは俺に抱きついている あの、胸当たっていますが… 「ぐすっ…うぅ…」 よほど恐ろしかったのだろう。朝比奈さんは俺の胸の中で泣いていた 正直言おう、こんな場面を俺は待っていた!! しかしこの状況喜べない! なぜなら後ろにハルヒがいるからだ! ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴという効果音がはっきり聞こえるほど 後ろのハルヒが怒っているのがわかる まてハルヒ、俺が悪いんじゃない すべては朝比奈さんを泣かせたこの変な世界が悪いんだ! しかしそんな言い訳聞いて許してくれるはずがない 後ろで神人が拳を振り上げた音を聞いて俺はこう言った 「いってきます…」 ~~~~~~~~~~~~~~~~~ 再び長門視点 彼は涼宮ハルヒによって殴られ気絶した 「いってきます…」と言っていたが 状況から逝って来ますという漢字をつかうのが適切だろう 「ふぇぇぇ!?何があったんですか!?」 状況把握できてない彼女がおろおろしていた 再び気絶したキョン おろおろする朝比奈みくる ゴゴゴという効果音付の涼宮ハルヒ ガクガクしている朝倉涼子 ユニーク 「彼を棺桶に入れて教会まで運ぶ。手伝って」 「それなんてドラ○エですかぁ?朝倉さんも止めてくださいよぅ!」 「気絶なんだから棺桶に入れる必要はないんじゃ…私が言えるセリフではないけどね…(過去の過ちの事)」 「ふん、こんなやつここで埋葬すればいいのよ!」 それはやりすぎである そういえば朝比奈みくるに涼宮ハルヒを見えるようにしないと そう思っていると朝倉涼子が近づいてきた 「さっきから朝比奈さんを見ていたけど今涼宮さんを見せるのはまずいんじゃない? 彼女に見せたら失神しちゃうわよ」 確かにそのとおりだ 朝比奈みくるの見てないところで涼宮ハルヒにも言っとく必要がある とりあえず村に入ることにする もちろん彼は引きずっていく 村に入った私達は宿を探していた 「安いよ安いよ、今なら新鮮なちゅるやさん1/1人形が150円だ!」 「百発百中!フューチャの占いの館はこの路地裏!」 「最新ゲーム機勢ぞろい!GAMESHOPマシナ本日開店!」 村だというのに見事な賑わい振りである ちなみにこの世界の裏で操っている誰かのネーミングセンスについては触れないでおく 歩いているとINN(宿)とかかれた看板を見つけた 私達はそのドアをノックし、中に入った 古泉一樹がそこにいた 「おや、奇遇ですね。まさかここで会えるとは」 「知り合いですか?」 宿の主人らしき女性が古泉一樹に話しかけていた 「ええ、そうです。ずっと探していた人たちですよ」 「なるほど、だからここに毎日きてたんですね」 おそらく、古泉一樹は私達が宿に泊まることを予想して毎日来ていたのだろう 「しかし、まだ探している人が後一人居る筈なのですが…、代わりの人がいますね」 鶴屋さんのことだろう 「私が紹介する。こちらが朝倉涼子、こちらが古泉一樹。」 「初めまして」 「初めまして、いろいろあってキョン達の道案内していたの。後一人の場所はまではわかってないけど」 「そうなのですか、ところで肝心の彼が気絶していますが…」 「あとで説明する。いまあなたが家にしている場所に案内してほしい」 「わかりました。私の家は豪華ですよ」 「わぁ~楽しみですぅ」 「私も興味あるわね。どんな家に住んでいるのかしら?」 しつこいようだが、朝比奈みくると古泉一樹には涼宮ハルヒの声は聞こえていない 「あの朝倉さんって、この世界ではどこに住んでいるんですか?」 朝比奈みくるが古泉一樹の家に向かう途中、こう言い出した 「大きな城の城下町に住んでいたんだけど、今はわけあって住んでないわ。」 「そうなんですか、私はこの世界に来てから住む場所も寝る場所も作れなくって…」 彼女の人見知りな性格を考えれば当然であろう 「私は涼宮ハルヒ(偽)に指名手配されている。そこで彼の家を隠れ家にしていた時もあった」 「あれ?あ、そうか気絶してたんだ。運んでくれてありがとな。長門」 彼が気が付いたらしい 「別にいい。」 「そうか。」 ~~~~~~~~ キョン視点 長門の状況説明によって現状を理解した俺は 「おや、やっと気付きましたか」 古泉がここにいる理由も理解した 「色々とお聞きしたいことがあるのですが…」 「今ここで話すのは非常に不味い。後にしてくれ」 ハルヒのこと話しても驚くか笑うだけだろう そして古泉の家の前まで来た 「おおっ!!」 その言葉しか出なかったね 昔の洋館とでも言うだろうか 違うのは新築同様にピカピカということ その立派な家が目の前に建っている 「もう気付いているでしょうが、執事もメイドもいます。 もちろん、執事は新川、メイドは森さんです。 同居人として多丸兄弟もいますよ」 ここは孤島じゃねぇぞ 古泉、お前絵に描いたような金持ちじゃねぇか 逃亡生活している俺たちの身にもなってみろよ なんていろいろ考えているうちに古泉が洋館の扉を開けた 「おかえりなさいませ」 そういったのは森さんだ。 「森さん、この人たちが探していた人です。」 「初めまして」 森さんは前にも会ったが、多分覚えてないんだろう 仕方ないちゃ仕方ないが 「古泉さんがいつの間にか友達を作っていたなんて驚きました。」 こいつと知り合ってもう八ヶ月以上なんですがね 「とりあえず、皆さん疲れているでしょうから、部屋に案内します」 古泉に案内してくれたが 部屋数が半端ないな、一人一部屋とっても余るじゃないか 「今日はここを使ってください。トイレはこの廊下の先を右にありますし 内線も繋がっているので何かあったら新川さんか森さんを呼んでください もちろん各部屋鍵がかかりますよ」 「古泉くんはどの部屋にいるんですかぁ?」 「この廊下を左に曲がってくださいすぐに扉があるのでノックしてください。必ず返事します」 「空腹になったらどうしたらいいのかしら?」 朝倉も腹は減るんだな、いやインターフェースも食べるくらいだから当たり前か 「食堂で食べ物を用意します。後一時間後、七時位に来てください」 「凄く豪華ね。古泉くんの家って」 うおっ! いつの間に後ろにいたハルヒ!! 「どうかしましたか?」 「いや、なんでもない」 古泉はハルヒのことみえてないからな 「さて話があるので少し食堂に行きましょうか」 食堂に移動した俺たちはこの世界の現状について確認を始めた 「さて、僕たちは一昨日、四日前かも知れませんが この世界に飛ばされました。ここまでに間違いありませんね?」 「間違いない、一昨日城の牢屋で気が付いたからな。」 「私のデータベースでもこの世界が構築されたのは一昨日になっている」 「私も同じです。周りには知らない人しかいなくて怖かったですよぅ」 「私はこの世界が構築されてから作られた存在だから詳しくはわからないけど、 キョンくんの存在を確認したのは一昨日で間違いないわ」 「一昨日の時点で未来や情報統合思念対と連絡取れましたか?」 「現在も含めこの世界が構築されてから一度も情報統合思念体にアクセス出来てない。」 「わたしも同じです。一度も未来には連絡できていません。本当に普通の人間になってしまいましたぁ…ぐすっ」 朝比奈さん、気持ちはよく分かります。誰でも故郷と連絡が取れなくなったら不安なりますから 「この世界には未来や情報統合思念体、機関は存在しません 世界が改変されたため消されてしまったのでしょう 仮に、外部に存在したとしても、この世界にとっては無に等しいです この世界は外部から切り離された世界なのです 今回涼宮さんが起こした行動は情報爆発や時空振動に値する物です。 仮に存在して影響を及ぼすことが出来るなら、未来に、情報統合思念体にせよ、 何らかのアクションを起こしているでしょう」 古泉の長ったらしい解説を黙って聞いていたが、 「それじゃあ、朝比奈さんの故郷や、長門の生みの親は消えたって言うのかよ!?」 「やめて!古泉くんは何も悪くないわ!」 いつの間にか熱くなっていたらしい、当たってもしょうがない相手に当たってしまった ハルヒになだめられた俺はイスに座りなおした 「こうなった以上、仕方ありません。私の仲間と呼べるものもほとんどバラバラになってしまいましたから」 古泉には機関という仲間とも言える存在がいた ところが今はどうだ?一応一つ屋根の下に住んでいるが 前みたいな仲間意識を持ったやつはこの家に住んでいないじゃないか こいつだって寂しい思いしてるんだ 「スマン、熱くなってしまったようだ。」 「いいえ、熱くなって当然です。むしろこの状況下で落ち着いてられる僕自身に自ら怒りを感じています」 一瞬の沈黙 古泉がまた話を切り出した 「朝倉さんは、今この中で一番涼宮さんに近い存在です。何か知っていることがあるなら教えていただきたいのですが…」「今は涼宮さんと関わりは薄いけど、彼女の部下だったのは間違いないわ 彼女の部下のメンバー全員まで私は把握できてないけど、 彼女の知っているメンバーが多いみたい。実際何人か知っている人がいたわ 部下の中にはいくつか階級があって、エリートクラスなどがあるの メンバー総数は数百人、一般兵士は何万といるはずよ」 「では、この中で二つの記憶、つまり、この世界の記憶と前の世界の記憶両方持っている方は?」 「俺は持ってないな。前の世界の記憶だけだ」 「私も同じ。この世界の歴史は、本を読んで初めて知った」 「私もです。いきなり知らない世界に飛ばされてはじめはパニックになってしまいましたぁ。」 「私はキョンくんの存在を確認してから、前の世界の記憶を手にいれたの。はじめは混乱したけどね」 「僕もこの世界と前の世界の二つの記憶を持っています。弓の達人ということもね。 僕の場合、人と接する場面が多いため、矛盾が生じないように作られた記憶を刷り込まれたんでしょう。 朝倉さんの場合はよく分かりませんが、おそらく誰かがそうなるように仕向けたんでしょう。 そうでなければ朝倉さんはこの席にいなかったでしょう。」 「じゃあ俺たち以外に誰かが干渉しているって事か?情報統合思念体や未来は消えてしまったんじゃないのかよ」 「そのとおりですが、現段階で誰が干渉しているかは分かっていません。」 「敵対する存在か?それとも協力する存在か?」 「それも不明です。なぜ朝倉さんの記憶を取り戻すようなことをしたのか、謎ですから」 「長門は何か、わからないのか?」 長門に頼ってしまう癖何とかしないとな 「分からない、今の私は情報収集能力が普通の人間と同じのため」 「つまり、どうゆうことだ?」 「人並みにしか情報が集められない。視覚、聴覚、味覚、嗅覚、触覚、全部があなたとほぼ同じ。」 「つまり、情報操作(制限付)を出来る事以外は普通の人間ということか?」 「そう」 なんてこった、通りで異常事態にもかかわらず喋る頻度が少ないと思ったんだ 今回は長門に頼りすぎるのはやめて置こう 「おや、長々と話していたみたいですね。もう七時です。」 壁にかかっている時計を見たら六時五十七分を指していた もうそんなにたつのか。 俺たちはその後ゆっくり食事を取り、 八時頃それぞれの個室に入って鍵を閉めた おそらく皆疲れていたんだろう 隣の部屋から何も聞こえてこない。 俺は速めにベッドに横になり色々考えながらいつの間にか深い眠りについていた ~~~~~~~ 長門視点 コンコン 古泉一樹の部屋のドアをノックする 「どうしましたか?長門さん?」 「涼宮ハルヒについて話がある。少し時間がほしい。」 「ええ、いいですよ。」 中略 「長門さん、大体事情がわかりましたが…いくらなんでも突然すぎます」 「あなたには事実を伝えておく必要があると判断した。」 「涼宮さんが幽霊だったとは…これがあなたじゃなかったら、冗談としか聞こえませんよ。」 「今のあなたは涼宮ハルヒが見えるようになっているはず。横にいるのが見える?」 「ええ、見えますよ。ふわふわ浮いている涼宮さんがね」 「やっと話せるようになったわね。久しぶり古泉くん。」 「お久しぶりです。さっきの話し合いは全部聞いていたんですね?」 「そうよ、前の世界で何があったのかもね。」 「今日はもう遅いですから朝倉さんの隣の部屋を使ってください。 幽霊だから鍵は必要ありませんね?」 「ええ必要ないわ、寝る必要も無いけどしばらく休んでる。じゃあまた明日」 「おやすみなさい」 普段使わない言葉を使ってみた。古泉一樹は少々戸惑ったようだが、 「おやすみなさい」 と笑顔で返してくれた ~~~~~~~ キョン視点 AM6:37 俺は起床した。この世界に来てからやけに早起きしている気がする 俺は風呂場の横にある洗面台に向かった 顔を洗い、さっぱりした俺は部屋に戻ることにした。 眠い、そして頭が痛い。もう少し寝るか。 廊下の奥に朝比奈さんがいるのを見つけた 「どうしたんですか?朝比奈さん?」 「あの、古泉くんが部屋から出てきてないの…」 「まだ寝てるんじゃないのか?」 「いえ、森さんに聞いたらもうそろそろ起きて食堂に来るはずだといわれて見に来たんです。」 俺はためしにノックしてみた 起きているなら返事をするはずだ。 返事が無い… ドアノブに手を当てるとかちゃっと開いてしまった 「誰もいない…?」 「どこ行っちゃったんでしょう?」 「食事時までには戻ってくるでしょう。食堂で待ってましょう」 のんきに考えすぎかもな 「はい」 食堂に行くとハルヒと長門と森さんと多丸さん兄弟が居た。 「古泉さんは起きていましたか?」 「部屋には居なかったですね、それよりも新川さんと朝倉さんは?」 「新川は朝ご飯を作っています。朝倉さんはまだ来ていませんね」 「彼女は朝からナイフを買いに行ってる。七時頃には戻ってくると思われる」 長門の言う通り七時ごろに朝倉は食堂に来た。 「ナイフ良いの無かったわ。研ぎ石見つけたからご飯の後に磨いてみる」 朝倉はそんなことをいいながら席に座った。 「おかしいですね、もう来てもおかしくないのですが」 森さんがそういったので時計を見てみる。七時十二分を指していた 嫌な予感がする。 新川さんのせっかくの食事が冷めてしまうという予感だ、それ以上でもそれ以下でもない 「皆さん、古泉くんの部屋に行って見ましょう。何かあったのかもしれません」 皆と一緒に食堂をでて屋敷の一番端の古泉の部屋まで来た やっぱり中には誰も居ない。 「屋敷の中を捜してくれ!なんだかとてもいやな予感がする!」 森さんと多丸兄弟は二階を探し始めた 俺たちは一階をくまなく探し始めた 捜索から十分後、一階の倉庫前に来ていた 「ここしかないですね…」 鍵がかかっている。それも中から。 本来ここはクローゼット兼試着室だったそうだ 今は物が乱雑に置かれているだけの部屋になっていると森さんが教えてくれた。 屋敷の中に居る場所と言えばここしかいない 「ドアを破るしかないみたいだな… すみませんが三人とも手伝ってくれませんか?」 「いいとも。せーのでいくぞ、準備はいいな?」 『せーの!』 どん! 大きな音共にドアが開く そこで見たものは 「古泉っ!?」 「血・・・?イヤアアアアアア!!」 後ろで朝比奈さんが叫んでいた。 古泉が頭から血を流して倒れていた。 第二話『壊れた信頼』 「古泉っ!?」 「血・・・?イヤアアアアアア!!」 後ろで朝比奈さんが叫んでいた。 古泉が頭から血を流して倒れていた。 それからはもう大騒ぎだった。 森「新川!医者の手配を!」 新川「了解!」 みくる「どうしてっ・・・どうしてっ・・・」 朝倉「警察も呼んで!!明らかに事件だわ!」 キョン「古泉!?おい生きてるよな!?」 多丸祐「この屋敷の防犯システムは最新式なのに!まさかこの中に犯人が!?」 ハルヒ「古泉くんはまだ死んでないわ!応急措置を急いで!」 長門「応急処置を実行、止血をする、清潔な布を持ってきて」 セリフの横に名前をつけたのは俺が解説する暇もなくいろいろとしゃべりだしたからだ たぶんこの後もセリフの前に名前をつけるだろう。誰が何をしゃべってるか重要だからな この後もいろいろあったが省略しておく。長々話すのは俺の性に合わない バタバタが、古泉は一命を取り留めた ただ問題が発生した 古泉が意識を取り戻さない 「冗談かよ」と最初は思ったが医者に言われたら信じるしかない しばらく入院と言うことになっている。 戦闘なんかには参加できないだろうな それで俺たちは古泉屋敷の食堂に集まっている 昨日と同じ席、ただ古泉の席には誰も座っていない 長門「事件について少し整理する。 この事件は、古泉一樹が何者かに鈍器で殴られ、倉庫で発見された」 朝倉「倉庫が犯行現場という可能性は?」 朝倉はいつも冷静だな 長門「限りなく低い、あの場所自体ほこりで足跡がつく位積もっていたのに、誰の足跡もついていなかった。」 流石長門、細かい所まで観察している 長門「おそらく、犯人は古泉一樹の部屋で殴り、倉庫に運んだと思われる」 キョン「待った、俺と朝比奈さんがあいつの部屋を見に行った時血なんてどこにもついてなかったぞ」 長門「おそらく犯人は血をふき取ったと思われる。床がフローリングならふき取るのは簡単」 古泉発見を遅らせるためか、やられたぜ 森「この屋敷にはあの倉庫を除いて、最新式の鍵を使用しています。鍵を持っていなければ入ることは出来ないはずです。」 つまり、屋敷内部の犯行って可能性が高いわけか そして犯人と古泉が知り合いの可能性が高い そうじゃなきゃあいつが部屋の鍵を開けるはずが無い キョン「犯行推定時刻は?俺が六時四十分頃に見に行った時はすでに居なかったぞ」 みくる「古泉くんが殴られてからそんな時間は経っていないと思います。そうでなかったら古泉くんは今ごろ・・・」 まだ涙目の朝比奈さんが考えを述べた 多分彼女には一生物のトラウマだろう。実際、俺もあの現場が目に焼き付いて離れない 長門「彼がまだ生きていることも含めて犯行時間は六時半前後。屋敷内部の人間なら誰でも犯行可能」 キョン「つまり容疑者は、俺、長門、朝比奈さん、朝倉、多丸圭一さん、多丸祐さん、新川執事、森さんの八人と言うことか?」 自分で言うのもなんだが俺も容疑者で間違いない。間違いなく疑われている ハルヒ?あいつは幽霊だから無理だ。スタンドで撲殺は出来てもあの倉庫に古泉を運ぶことは出来ん 長門「おそらく犯人は単独犯、この屋敷は廊下狭いため二人以上で行動していると目立つ」 足音も結構響くからな。犯人にとって協力者は邪魔でしかないだろう そういえば、あの部屋は鍵がかかっていたな キョン「倉庫には鍵がかかっていたよな?あそこには他に出口が無いし 外から中の鍵はかけられないぞ?多分犯人は見つかりにくくするために鍵をかけたんだろうが」 長門「それが一番の謎。これから調べる必要がある」 朝倉「ここで話をしても、何も進まないわ。まだショックを抑えられてない人もいるみたいだし 一回部屋に戻りましょ?」 それぞれが部屋に戻っていった所を見送った俺は最後に食堂を出た。 長門「話がある、部屋に来て」 うぉ!って・・・なんかこれデジャブ? ちょっと大げさすぎるリアクションをスルーし、長門は部屋に入っていった 長門の部屋に入る 長門が奥でイスに座っていた キョン「用事は何だ?お前は俺が必要な時しか呼ばんからな」 長門「今回事件にかかわっている人物について少し補足しておきたい」 キョン「よりによってなんで俺を呼んだ?適役なら他にも居るだろ」 長門「いや、あなたが一番犯人の可能性が低く、洞察力が鋭いから一番の適役」 長門が俺を初めて頼ってきた そこまで逸材か、俺? 長門「この屋敷に居る人物の中で私、あなた、朝比奈みくる以外の人物について 情報が少ないため、彼らが何をするか分からない ある程度人格について分かっているなら行動パターンがつかめるがそれが出来ない 彼らは孤島でも会っているが、その時の彼らは演技をしていたため、行動パターンがまったくの未知 朝倉涼子についても同じ事が言える」 キョン「つまり、長門にはこの事件の犯人がまったくわからないと言うことだな?」 長門「そう。色々な情報を集めておく必要があるが、 この屋敷内部に妨害電波を発生してる物があるため、思ったように集められない」 キョン「前に気絶してたあれか。長門がインターフェイスって知ってるやつだな。それよりも長門は平気なのか?」 長門「ある程度波長の解析が出来たため、前のように体の制御を失うことはない」 キョン「そうか」 長門「妨害電波を発生する装置は携帯電話ほどの大きさで ほとんどの場合隠されているため今の私には探査不可」 「きゃあああああああああ!!」 あの声は朝比奈さん!? 何が遭った!? 三部屋隣の朝比奈さんの部屋に急行する 急いでドアを開けた俺。 後ろでバタバタとはしってくる音。 どうやら屋敷に居る全員が駆けつけたらしい そして朝比奈さんを探す。 割れた急須が部屋にちらばっている 部屋の端っこでうずくまっている朝比奈さんを発見。 キョン「どうしたんですか?」 みくる「ぼーっとしてたらうっかりお湯をこぼしてしまって・・・」 圭一「イインダヨ!」 祐「グリーンダヨ!」 新川「疑惑度30%OFF!!」 真性のアホだこいつら。 長門「右手を氷水につけることを推奨する」 みくる「ひゃ、ひゃい!」 長門に話し掛けられて、発音が変な返事をした朝比奈さんは キッチンの方に消えていった。氷はあそこにしかないからな 何もなくてよかった 古泉の事件のあとだからな 朝比奈さんが犯人に襲われたのかと思った 多分他の人たちもだろうが 急須が割れたのは森さんと新川さんが処理してくれることになり、 他の人たちは部屋に戻っていった。 そういえば古泉の部屋は誰も居ないんだよな 一回調べてみるか がちゃ やはり開いた あれから誰もこの部屋に来てないんだろう。 部屋を色々と見ていたが一部分の床がピカピカに光っていた。 おそらく犯人が血をふきとった後だろう 長門の推理どおりだ ん?これは・・・砥石?なんでここにあるんだ? もしかして・・・ 砥石を裏返すと血がついていた これって・・・ 思考の停止(正しくはフル回転)をした俺は 青い髪のクラスメイトの顔が思い浮かんだ・・・ 「ナイフ良いの無かったわ。研石見つけたからご飯の後に磨いてみる」 俺は砥石を置き、皆を呼び、 また部屋に戻ってきた キョン「皆さんを呼んだのは他でもありません。凶器と呼ばれるものを発見しました」 圭一「何だね、その凶器というのは?」 キョン「これです。」 そういうと床に転がっている砥石を拾い上げる そんなに重くなく片手で持てる 朝倉「私の砥石!?」 キョン「朝倉、長門と祐さんと一緒に部屋に行って砥石を探してきてほしい」 朝倉「わ、分かったわっ!」 バタバタと部屋を出て行く三人 みくる「もしかしてキョンくん朝倉さんを・・・?」 キョン「いや、犯人がわざとおいたと考えるのが普通だ。 これじゃ朝倉さんが犯人ですといってるような物だからな」 本当に犯人じゃないとは言い切れないが 新川「血の付き方から見てこれが凶器で間違いなさそうですね。」 圭一「ますます、わけがわからなくなってきた。犯人は何が目的だ?」 森「おそらくこの屋敷を混乱に落としいれるためですね。犯人がみつかりにくくなりますから」 キョン「その通り。そして犯人はここで犯行に及び砥石を捨て、倉庫まで運んだそう考えるのが打倒だろ」 息を枯らした朝倉が戻ってきた 朝倉「ない・・・ないわ!・・・私の砥石が部屋には無かったわ・・・!」 キョン「朝倉、砥石はどこに置いていた?」 朝倉「部屋の机の上よ・・・でも私が帰ってきてすぐに食堂に向かったから犯行時間と矛盾するのよ!」 キョン「いいところに気が付いた。六時半の時点で屋敷内部にあるはずのない砥石が犯行に使われた。 おかしいと思いませんか?」 みくる「キョンくん、田村●和みたい・・・」 キョン「そんなことはどうでもいいんです。で、話の続きですが、おそらく犯人は朝倉さんが砥石を買うと知っていた人物 この村に良いナイフが無いことを知ってる人物、 砥石の売ってる場所を知ってる人物となると犯人がしぼられませんか?」 森「つまり昨日この村に来た四人は省かれますね」 祐「俺たちの中の誰かが犯人!?」 圭一「そうなりますね。」 新川「古泉に、恨みがあった人物と考えれば私達でしょうな」 長門「彼の言うことは矛盾していない。よって彼がこれから事件に付いて調べることを推奨する」 みくる「賛成です」 朝倉「賛成だわ。洞察力するどいもんね」 森「賛成します。将来探偵にでもなってみてはいかがですか?」 キョン「進路の一つにでも入れておきますよ」 祐「子供が探偵!?俺は反対だ」 圭一「そういうな、彼思った以上に有能だ、任せて構わないだろう」 新川「ここまで賛成が多いなら私が言う必要もありません」 どうやら俺が探偵と言うことで決まったようだ 忙しくなるな。やれやれ キョン「森さん、鍵をかしてくれませんか?屋敷の中を動き回るにはあったほうが便利ですし」 森「わかりました。これが合鍵です」 鍵束を渡してくれた 倉庫行ってみるか。あの場所に犯人の手がかりを残しているかも知れんし キョン「長門、ついてきてくれ。お前なら何かわかりそうだしな」 長門「分かった」 他の人たちを部屋に戻し俺たちは倉庫へ行く キィィィ ドアがきしむ音を聞きながら目の前に広がる光景を確認した 床にまだ残っている血痕。これからの人生何度事件のこと思い出すだろうね? また俺と長門は部屋の確認をし始めた。 密室にしたトリックを暴かなきゃならんからな 俺はふとドアの鍵を見る かなり老朽化していて所々錆びている あれ?そういえば壊れてないな?鍵かけた状態でドアを開けたら鍵が壊れると思うんだが 長門「この木の棒は何?」 振り返ると長門が大きな木の角材を持っていた 長門の1.5倍ほどか? こんな形をしている?(<??????> 俺はなんとなくひらめいた ドアを閉め壁と壁にクロスするように立てかける ちょうどドアをふさぐように木が立てかかった 下に固定するように金具があることから間違いないだろう これがドアを開かなくしてた物だ 想像しにくいと思うのでAAをかいてみた(この場合書くか描くかどっちだ? ┌─────────┐ │ .| │┏ . | │ \\ . | │ ̄ \\───┐ ...| │ \\ │. | │ │ \\ │ ...| │ │○ \\. | │ │ \\ ..| │ │ │.┛ | └─────────┘ 長門「上の棚と角材の端と壁に急激に冷えた後がある」 ドアの左には棚が設置してある AAの都合上それまでかけなかったが変わりにドアの左上の線をそれだと思ってくれ それにしても急激に冷えた後? 氷くらいしか思い浮かばんな。 でも濡れてないし・・・ 長門「多分ドライアイスだと思われる。この部屋の二酸化炭素の割合が他の部屋と比べて少し高い」 なるほど、流石長門 頭の回転が速い つまりドライアイスで棒を押さえ 溶ける前に部屋を出れば 後は何もしなくてもドライアイスがとけ 棒が倒れドアが開かなくなる 密室の完成だ。 賢いな、俺も犯人も 一通り考えがまとまった俺は 犯人が誰なのか考えながら部屋に戻ることにした 後ろで長門がドアを閉める音がしたのが気になって振り向くと ハルヒ「あんた、有希の事しか見てないんじゃないの?」 キョン「うぉ!なんだ、浮遊物体Aか」 浮遊物体A「何よ、それ!まるで私が単なる物みたいじゃない!! 第一Aって事はBもCもいなきゃおかしいじゃない!!」 キョン「お前、名前が浮遊物体Aになってるぞ」 浮遊物体A「何よこれ!?責任者でてこーい!!」 作者「責任者ですがなにか?」 浮遊物体A「待ってたわ、私の拳受けなさい!オラオラオラオラオラ!!」 作者「無駄無駄無駄無駄無駄無駄!!」 付き合いきれん・・・ 気分を変えて食堂に向かうことにした もうすぐ十二時だ 腹が減った。考えすぎたのか頭が痛い 頭痛薬も貰うか あ、タ○フルだけは勘弁な 食堂につくと SOS団メンバー以外集まっていた 森さんに一つ質問した キョン「森さんは今日の朝、新川さんと料理を作っていたんですよね?」 森「ええ、彼のアシスタントをしてました。一人では大変ですから」 キョン「祐さん、圭一さん、六時半頃何してましたか?」 圭一「自分の部屋で仕事してたよ。締め切りが迫った仕事があったからね」 祐「私は寝てたよ君が食堂に来る直前までね」 だめだ、これといっていい情報がない。 犯人はだれだ? 犯人のした行動はわかった。 しかしそれは誰でも出来る行為だ やろうと思えば俺でもやれる。 しかし俺はやっていない なぜ、古泉を殺したのか? これも謎だ。犯人の目的がつかめない 外部犯の可能性は? 無理だ、この屋敷の人は絶対に無理と口をそろえていっている なぜ犯人は倉庫に運んだ? わからない 結局俺にこの事件を解決するのは不可能なのか? 誰かこの迷路の出口を教えてくれ 朝比奈「大丈夫?なんかキョンくん疲れてるみたい・・・」 朝比奈さんが食堂に来ていたみたいだ気付かないほど考えていたのか キョン「朝比奈さん、大丈夫ですよ。右手は大丈夫ですか?」 痛々しい右手を見る 朝比奈「ええ、すぐ冷やしたから平気」 長門「古泉一樹の様子をみてきた。記憶喪失になっている 混乱を招くから今は見舞いに行かない方がいい 左後頭部の怪我は心配ないと医者が言っていた」 俺の中で点と点が繋がった すぐに俺は全否定した しかし否定すればするほど犯人は一人に確定していく これが現実か・・・残酷だな・・・ さて、どこかで覗き見している誰かさんに挑戦だ。 この事件の犯人は誰か? 見事当てたらジュース一本おごってやるよ 第三話、解決そして崩壊 犯人が分かった俺は激しく悩んでいた どうするべきだ? 全員が集まったらすぐ言うべきか? それとも犯人のを自供を誘うべきか? みくる「キョンくん・・・ほんとに大丈夫ですか?」 俺は非常に悩んでいた 隣で誰かが話しているのにもかかわらず 何も聞こえていなかった どうするべきだ?どうするべきだ?どうするべきだ? 同じ言葉が何度も繰り返される ダメだ、犯人がわかった以上長引かせるわけには行かない おそらく全員疑念が尽きてないだろうだからな 今この食堂には全員いる、喋るなら今だ しかし、犯人を指摘した所で犯人がすぐに認めてくれるはずがない やはり犯人を罠に嵌めたほうがいい 行動しよう、そうするしかない キョン「みなさん、今思ったんですがあの時鍵かかってましたっけ?」 森「鍵がかかってなかったらあの部屋は簡単に開くはずですが?」 祐「何当たり前なこと言ってるんだ?鍵かかっていたから体当たりまでしてあけたんだぞ?」 みくる「わざわざ、私が確認したじゃないですかぁ?キョンくん疲れてないですか?」 キョン「みなさん、とんでもない思い込みをしている。 あの部屋の鍵はかかってなかったんです ただあの部屋に開かないように押さえ棒がしてありましたが」 長門以外の全員が驚く 圭一「じゃあ、犯人はどうやってその押さえ棒を使ったんだ? 外側にいたら棒など使えないだろうが」 キョン「押さえ棒にさらに押さえ棒がしてあったんですよ」 朝倉「何を言ってるの?」 キョン「正確にいえば消えてなくなる棒ですが、 冷えていて常温で形が無くなるものです」 祐「氷か?確かにそれならしばらく放置したらドアが開かなくなるが」 みくる「でも、あの場所は濡れていませんでしたよ?溶けたら水に濡れちゃいます」 キョン「確かにあの場は濡れていませんでした なぜならあの現場にはドライアイスが使われたようです しかし現場を一瞬だけしか見てない人がどれだけその時の状況を正確に覚えていられるでしょうね?」 みくる「!!」 全員が一斉に朝比奈さんの方を向く 発見当時彼女は古泉を見た瞬間 顔に手を当てそのまま泣いていた その後も森さんに連れられてやっと自分の部屋に入ったほどだ 当然彼女が正確に現場を覚えているはずがない しかも泣いているのだ 濡れているかどうかなんて判断が出来るはずがない そう、朝比奈みくるは現場が濡れていない事を知っていたのだ 朝倉「朝比奈さんあなたもしかして・・・」 キョン「あなたが犯人です、朝比奈みくるさん。」 みくる「!!・・・でもそれだけじゃ疑う理由にならないんじゃないですか?」 キョン「もちろん、誘ったのはちゃんとした理由があります。 それも含めてあなたがした行動の推理を聞いてください。」 俺は一通り周りを見渡す ほとんどの人が驚いているようだ。当たり前である キョン「朝早く起きた朝比奈さんはまず、ドライアイスを倉庫に運んで食堂に向かいました そこで森さんと会い、古泉くんを呼んでくるといって部屋を後にした。 もちろんアリバイ作りのためです。時刻はたぶん六時二十五分頃だろうと思います」 森「確かに六時半前には朝比奈さんは食堂に来てましたね。」 キョン「そして古泉の後頭部をあらかじめ用意した砥石で殴って倉庫まで運んだ。その後ドライアイスで倉庫が密室状態になります」 圭一「それは誰でもできるのでは?」 キョン「ええ、そうです。ただ朝比奈さんはここで一つミスを犯しています。 ドライアイスに直接触れてしまったんですよ、おそらく右手でね。」 朝倉「それって・・・」 みくる「!!」 キョン「そう、あなた今右手に凍傷おこしていますね? おそらく事件後の火傷騒ぎもそれを誤魔化すため。 そして、氷水で冷やしてくると見せかけて朝倉の砥石を盗み出したんだ。 長門、古泉一樹が殴られた所は?」 長門「左後頭部」 キョン「もし右手で殴ったなら右後頭部に殴られた後があるはず なのに左後頭部、これは犯人が左手で殴ったことを示しています そして、今ここで朝比奈さんの部屋を調べれば盗んだ砥石があるはずです。」 長門・朝倉・森「調べてくるわ!!」 三分後・・・ 朝倉「あったわ、間違いなく私の砥石よ。自分の名前が書いてあるし」 キョン「言い逃れできますか?朝比奈みくるさん」 みくる「素晴らしい、戦闘能力だけでなく知能も高いとは!」 なんだ?急にふいんき(なぜか変換できん)がかわったぞ みくつ?「ますます、涼宮ハルヒ様の部下にふさわしいことが分かった。」 ここで無理にでも連れ去るべきだな。」 キョン「お前・・・別人だな!?」 おそらく朝比奈もどきが喋っているハルヒとは偽者の方だ 新川「今までに数々の修羅場をくぐってきたがここまで危機感を感じたことはいまだかつてない・・・!!」 森「何?何をする気なの・・・?」 圭一「さらに存在感薄くなってしまうではないか。」 祐「それはもともとじゃないか?」 どうでもいい会話をしているやつらはほっといて こちらは戦闘準備を始めている みくる?「遅い!」 うぉ、まだ鎧着終わってないって ひょい あれ、朝比奈さんっておれを持ち上げるほど頑丈な体の作りしてましたっけ? 長門「対象の有機結合の解除を申請。」 朝比奈「無駄よ、私のほうが情報操作の能力が高いわ。」 長門「キャンセルされた・・・?」 朝倉「これだとうかつに攻撃できないじゃない」 浮遊物体A「結局名前直してもらってないし・・・(前話参照)」 えーと今朝比奈?さんに捕まってる俺がなんとかした方がいいよな・・・ 俺はブランと垂れ下がっていた自分の左手を顔めがけて殴りかかった。 ぱしっ! みくる?「無駄よ。能力開放をしてないあなたが私に抵抗することはできないわ。」 むかつく野郎だ。おそらく村の入り口で会ったときから演技してたんだろう まんまと騙されていたわけだ。 じゃあ偽ハルヒにココの場所が知れているって事だろう くそ、また俺は何もできないのか! 長門「対象の―――能力の―――開放を―――実施―――」 朝倉「なに・・・?長門さんの雰囲気が変わった・・・?」 キョン「うぉぉぉぉぉぉぉ!!!」 獣のような雄たけびが部屋中に響く それが俺自身の声と認識するのに数秒かかった みくる「まさかっ!」 朝倉「暴走・・・?」 浮遊物体A「なんかどこかで似たような状況を見たような気がするわ。」 作者「いろいろとネタ引っ張ってきてますから。」 浮遊物体A「お前は自重しろ!」 作者「サーセンwwwww」 えーとだな・・・ 朝比奈さんが泣くまでやめてくれないような連続パンチを続けている俺だが・・・ 俺はココまでやろうとは思わん おそらく本能の暴走とかそういうやつだな 今回もまた大暴れするのか あれ?でもなんで意識がはっきりとあるんだ? ???「よう、キョン」 誰だ?誰が話し掛けているんだ? キョン裏「俺はお前だ、理性のキョン。もちろん他の人間に声が聞こえてるとはおもわんがな」 じゃあお前は本能のキョンとでもいうのか キョン裏「その通りだ。まあ俺自身が出てくることはほとんど無いんだがな」 何しに来た。 キョン裏「何しにって、お前=俺を守るためだが?それ以上に何がある?」 ああ、そうか本能は自分を守るのが最優先だったな。どこかで聞いたことがあるぜ キョン裏「さて、偽みくるはどうするんだ?場合によっては殺そうとも思ってるんだが」 待て、殺す?why?そこまでする必要があるか? キョン裏「流石にまずいか?まあその辺の判断はお前に任せるがな。」 しばらくの沈黙 こうしてる間にも朝比奈?さんへの打撃音はやまない キョン裏「殺すのも拘束するのもお前の自由だ。煮るなり焼くなり好きにしろ。 ただお前がまた窮地に立つような行動をした場合、俺が判断する。」 そういってもう一人の俺はどこかに消えた それと同時に体が殴るのをやめた みくる?「うぅ・・・」 どうする?朝比奈?さんの体すでにボロボロだ。 キョン「長門・・・縄貸してくれ」 長門「―――わかった―――」 場に重い空気が流れる・・・ 長門「―――圭一――祐―――新川―――森―――四人の―――記憶の一部を削除―――及び改変―――」 俺は縄で偽朝比奈さんを縛っていた。 とりあえず両手は後ろで拘束しきつく縛った。 みくる?「不覚だわ、目標の目の前で失敗するなんてね。 でもただでは終わらないわ。」 ボン! 煙幕!? 「けほけほ」 いたるところで咳き込む声がする その煙幕が晴れてきたら キョン「いない・・・!!?」 長門「うかつ―――煙幕と同時に―――テレポートされた―――」 朝倉「おわったの・・・?」 新川「高校生が・・・・信じられませんな」 森「一瞬の出来事でしたね・・・」 祐「朝比奈さんがナイフを持っているのが見えたと思ったら、次の瞬間には朝比奈さんを取り押さえるなんて」 圭一「へたなアクション映画よりも迫力がありますな・・・」 長門・・・GJ 第四話事後処理 キョン「逃がしちまった・・・」 森「逃げられたものは仕方ありません。それよりも色々と片付けなければ。」 ユーレイハルハル「誰か(作者の暴走を)止めて!!」 長門「君がくれた勇気は―――億(ry」 新川「新しいダンボールでも買おうかな」 祐「実は俺ポニーテル萌だったんだ」 圭一「嘘だ!!」 朝倉「いろんな意味でガクガクブルブル・・・」 あえて言おう、カオスであると 元ネタ分かるやつ何人いるんだろうね? 人の事言えないが そんなどうでもいい文章稼ぎに俺はイライラしていた もうちょっとテンポ良く進めよ 古泉一樹が退院した !? いくらなんでも話が進みすぎだ!! 医者「信じられん、数時間前まで生死の境を彷徨っていたと言うのに!!」 よく退院を許可しましたね。 やぶ医者「すまんね、ベットが足らないんだよ。」 説得力無いな 古泉「いやぁ、一時はどうなる事かと思いましたよ。」 キョン「平気なのか?」 古泉「えぇ、長門さんの情報操作で直してもらいました」 長門「妨害電波発生装置の―――破壊に成功―――不可能だった事の一部が可能になった―――」 キョン「雰囲気かわったな?どうした?」 長門「心配ない―――私はいたって正常―――」 圭一「今日の晩御飯は何かな?かな?」 祐「おまえ、キャラ変わったな。」 新川「過度なギャグは命に関わるぞ。」 森「チョココロネってどうやって食べる?」 古泉「今はそれを話してる場合ではないでしょう。」 長門「話が進まない―――強行手段に入る ikuyotagan=dogegahcdogsUJmCCPnat=dog」 長門が例の高速早口をつかった。 さて何が起こるやら・・・ 古泉「そろそろ、鶴屋さんの捜索に向かいたいのですが・・・」 いっている事はまともなんだが顔が近すぎる せめて息が当たらない位置を保ってくれ ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ 地震!? 朝倉「痛ッ!」 朝倉!? 圭一「カナカナカナ・・・」 ひぐらし!? ピタ 変な効果音とともに地震が終わった 古泉「いやぁ~驚きましたね。もしかして本当に怪物でもいるんでしょうか?」 キョン「何だその怪物とやらは?」 小泉「この屋敷には元々吸血鬼が住んでいて、当時は地下室へ続く階段があったそうです その地下室には吸血鬼の妹が『あまりに危険すぎる』という理由で封印されていたそうです もちろん、そんなのは伝説にしかすぎず嘘だと思いますが、 この屋敷の外壁が真っ赤なのは吸血鬼に襲われた人間の血なのかも知れませんね 余談ですが、この屋敷には元々門があったらしくそこにはかわいそうな門番がいたとかいなかったとか。」 キョン「吸血鬼の妹ねぇ・・・仮に本当だったらとしたらこの屋敷は化け物やしきだな」 古泉「そういえば、森さんはいつも、変なところから現れて行動も早かったりしますね」 キョン「化け物の能力引き継いでいるじゃないか?例えば時を操る能力を持っているとか」 古泉「ありえますね」 とりあえず、屋敷の中は事件とさっきの地震のせいで散らかっていたので 掃除するためにしばらく屋敷をでてと森さんと新川さんに言われた 俺は長門とハルヒをつれて村の近くにある森近くまできたのだが・・・ 一人の老人が墓石の前に立っていた なんとなく興味を引かれたので見に行ってみると墓石には名前が書かれていなかった 老人「おや、見かけないかおだねぇ。旅人かい?」 キョン「ええ、ところでこの墓は誰の墓なんですか?」 老人「この墓はね、ある旅人の少女の墓なのさ 村の入り口で倒れているのが発見されてね。どうやらモンスターに襲われたらしいんじゃよ 持ってる食料もなく、やっと見つけた村の前で力尽きてしまったらしいのぅ。 そういえば不思議と長くて黒い髪だけは綺麗だったのぅ」 そんな話を聞いてると隣にいる長門の様子が少し変な事に気が付いた。 黒い瞳をこちらに向ける キョン「どうした?長門」 長門「この墓に妙な感覚を抱いた―――」 なんだかいやな予感がするのは俺だけか? 一応手を合わせすぐその場から離れる事にした 村に戻ってきたが時報を知らせるスピーカーから変なノイズが聞こえてきた スピーカー「ザッザッザッ ザッーーー ザッザッザッ ダンッ」 頭がキーーンとして痛い!! ハルヒ「痛いわよ、この音!!」 長門「不協和音がひどい―――、これは―――」 住人A「やめて!!音がひどいから!!」 住人B「買い物できないじゃない!!まともに!!」 住人C「落ち着かない!これじゃ!」 おまえら倒置法でしゃべるな!わかりずらいから! ボー―ン!! な、スピーカーが爆発して壊れた!? 振り返るとそこには戦車の軍団がいた 戦車兵「これよりこの村は革命軍の占領下にはいる!!」 何だこの展開!? メガホンを持った戦車兵の隣の戦車から出てきたのは・・・ 「やあ、ひさしぶりだねっ!!」 「鶴屋さん!?」 美しい緑の髪の所持者、鶴屋さんがそこにいた 第三章へ続く
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ハルヒとキョンがSOS団を設立した後、みなさんからひと言コメントをいただきました。 岡部 「騒動だけは起こしてほしくなかった!!」 山根 「What!?」 榊 「何だあの古泉というヤツは!!女をとっていくな!!」 柳本 「あたしには何も関わりあいませんように」 阪中 「涼宮さんから手作りのチラシをもらったのね。机に大事にしまっておくのね。あのバニーガールも素敵だったのね」 鈴木 「アチャー!なんか作っちゃったよー!」 荒川 「やっぱ、あいつはアホだな」 高遠 「また、一緒にソフトボールできたらいいんだけどな」 花瀬 「先輩に髪無理やり剃られました・・・にしても、千本ノックはきついいです」 日向 「ねぇねぇパパ、わたしのクラスの涼宮さんっていう人が新しい部活作ろうとしてるんだよ」 西嶋 「枕カバーにYesとNoってあれなんだったんだろう?剣持さんも瀬能さんもそれは嫌って言ってたけど」 垣ノ内「何か、涼宮さん明るくなってきたなー。うんうん、いいことだ」 大野木「なんか、阪中が涼宮さんのほうばっかり見てるような気がするんだけど・・・」 植松 「おいおい、涼宮ハルヒって頭いいのかよ!!」 中西 「うーん・・・なんか、イメージダウンなんだけど・・・」 吉崎 「このムンクの叫び、涼宮さんに渡したほうがいい・・・かな?美術室に保管しておきたいんだけど」 由良 「涼宮さんはだんだん喋るようになったけど、豊原君は相変わらず・・・」 松代 「豊原と後藤…やっぱりあいつら怪しいよな。ったく、何で俺とあいつらの席が離れた位置になるかなー?」 葉山 「やっぱり、後藤君に告白する勇気がでないよ」 長門 「また図書館に」
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第一話 「おはよう、涼宮さん。最近嫌な事件が続いてるのね」 あたしが朝教室に着くなり阪中さんが話しかけてきた。 「おはよ。なにそれ?どんな事件?」 そう返事すると少し驚いたような顔をして教えてくれた。 「知らないの?最近この辺りで女子高生が誘拐される事件が続いてるのね。犯人はまだ捕まってないし…怖いのね…」 えっ?そんな事件があったなんて全然知らなかったわ…これは気になるわね… 「涼宮さんも気をつけた方がいいのね。それじゃあまたなのね」 そう言い残し自分の席へと戻って行った。 それと入れ替わるようにキョンが教室に入ってきた。 「おう、ハルヒ。おはよう。…どうした?」 ボーッと考え事してたからだろうか、あたしの顔を覗きこむようにたずねてきた。 …って顔近いわよっ! 「キョン!大事件よ!」 さっき聞いたばかりの事件をキョンに話した。 「ああ、その事件なら俺も知ってる。昨日のニュースでもやってたしな。 嫌な話しだぜ…」 なんだ、知ってたんだ…それなら話は早い! 「いい?これは放っておけない大事件だわ!早速今日の放課後からSOS団で調査開始よ!」 あたしは椅子の上に立ち上がり、しかめっ面をしたキョンへと高らかに宣言した。 「おい、ハルヒ!バカな事言うな。警察でも探偵でもない俺達に何ができる?」 むっ…なに呆れた顔してんのよっ! 「もし事件に巻き込まれたらどうするんだ…危険な目にあうかもしれないし…俺は…嫌だぞ、ハルヒがいなくなったりするのは…」 とつぶやくのが聞こえた。 「え…それってどういう―」 「と、とにかく事件のことは警察にまかせておけよ。わかったな?」 「わ、わかったわよ…」 急に話を終わらせたキョンにしぶしぶと答えるとちょうど岡部が入ってきた。 「みんな、おはよう。ホームルーム始めるぞ。それとハンドボールはいいぞ!」 岡部の戯言が耳に入らないくらいあたしはドキドキしていた。 さっきの言葉、どういう意味だったのかな…もしかしたらキョンもあたしのこと…好き、なのかな? いつか…この大好きって気持ちをキョンに伝えたい。今週の不思議探索の時に…頑張ってみようかな… その日あたしは授業中もずっと一人でにやけていた。かなり危ない人みたいね…今日はすごくいい日だわ!記念日にしてもいいくらいに。 そんなことを考えているとあっという間に放課後になった。 「キョン!掃除なんてさっさと終わらせて部室に来なさいよ!遅れたら死刑なんだから!」 「はいはい、わかってますよ。団長様」 いつもみたいな会話をして、一人で部室に向かった。 そして勢いよく部室のドアを開いた。 ----------------------------------------------------------------------------------------------------------------- 「あ、涼宮さん。こんにちわー」 あたしが部室に入るとメイド服姿のみくるちゃんがお茶の準備をしようと立ち上がる。 「ヤッホー、みくるちゃん。あれ、有希と古泉くんは?」 「えっと、二人ともクラスの用事で遅れるそうです。さっき部室に来て涼宮さんに伝えておいてくださいって言ってましたよ」 温度計とにらめっこしながらみくるちゃんが答えてくれる。 「そうなの。…ん?」 机の上に置いてあるものに気づく。編みかけの…マフラーかしら。 「みくるちゃん、マフラー編んでるの?あっ、もしかして好きな男の子に?」 冗談めかして言ってみる。 「え?あぁっー、そ、それは…その…」 んー、顔を真っ赤にしたみくるちゃんも可愛いわね! 「実はキョンくんにプレゼントしようと思って…この前新しいお茶の葉をくれたからそのお礼に。このお茶がそうなんですよ」 瞬間的に思考が凍りついた。 嬉しそうな顔したみくるちゃんがあたしの机にお茶を置く。 ちょっと待って…キョンが?みくるちゃんに?いつのまに…? 自分の中で黒い嫉妬が生まれるのがわかる。 「えへへ、マフラー渡す時にキョンくんにわたしの気持ちを伝えようかなって、ふふ、そう思ってるんです」 その言葉を聞いて、さらに黒い嫉妬は叫びをあげる。 「そん……対……許……わよ」 「はい?どうしたんですか?涼宮さん?」 聞き取れなかったのだろう、みくるちゃんが側に来る。 「そんなの絶対に許さないわよっ!なによ!こんなお茶いらないわ!」 机の上に置かれたお茶を思いっきり床へ叩きつけた。 ガシャーーンと陶器が割れる音が狭い部室に響きわたる。 「な、なにするんですか!せっかくいれたお茶なのに…」 泣きそうな顔でみくるちゃんが睨んでくる。 「SOS団は団内恋愛禁止なのよ?それを…あんたは!」 自分の感情を抑えきれなくなりみくるちゃんに掴みかかる。 「しかも…キョンだなんて…絶対に認めないわ!キョンはあたしのものよ?あんたなんかよりあたしの方がずっとキョンにぴったりだわ!諦めなさい!これは団長命令よ!?」 「わ、わたしだってキョンくんのこと大好きなんです!諦めたくありません!それに…わたしの気持ちなんだから涼宮さんには関係ないじゃないですか!」 思ったより強い力で突き飛ばされあたしは尻餅をついた。 なによ…みくるちゃんのくせに! 目の前が怒りで真っ赤にそまる。 そして気がつくとあたしはみくるちゃんを思いっきり突き飛ばしていた。 「あっ…」 みくるちゃんが後ろに倒れると椅子に強く頭をぶつけ、ガンッと鈍い音がした。 しばらく苦しそうにうめいていたがやがて動かなくなる。 ハッと一気に現実に戻った私は目の前の光景を見つめた… 「み、みくるちゃん?…嘘でしょ…?目を…開けてよ…」 震える手でみくるちゃんをゆさぶる… でも…ぴくりとも動かない。 「そ…そんな…い、嫌…嫌あああああああああああああああああああああああ!」 叫び声が響き渡る。 どうして…どうしてこんな事に…どうすればいいの… その時、ノックの音がして、部室のドアが開いた。 -------------------------------------------------------------------------------------------------------------- 「うー、寒い寒い。っ!おい!ハルヒ…なにやって…」 部室に入ってきたキョンが目を見開いてあたしをみつめる。 最悪…よりによってキョンが入ってくるなんて… 「なんで朝比奈さんが倒れてるんだ?なにがあったんだよ!なあ!ハルヒィ!」 大声で問い詰められて身体の震えがいっそう激しくなった。 どうしよう…このままじゃキョンに嫌われちゃう。嫌だ、嫌だ!そんなの嫌だ! 「脈がない…死んでる、のか…」 キョンがみくるちゃんの脈を確かめながらつぶやく。 「あ、あたしは悪くない…みくるちゃんがキョンの事好きだって言うから…つい…カッとなって…」 「…お前がやったのか?どんな理由があるにしろお前が朝比奈さんを殺したことには変わりないんだぞ!」 すごい顔をしながら睨んできた。 「だってだって…嫌だったもん!キョンがとられちゃうの嫌だったもん!」 必死になって言い訳を並べる…きっとあたしは泣きそうな顔してるんだろうな… もうおしまいね…二度と今までの日常には戻れないだろう。 しばらく沈黙の時間が続く。やがて、 「…ハルヒ、聞いてくれ。俺がにいい考えがある…だから安心しろ」 さっきとはうってかわって ものすごく優しい声でキョンが言った。 最初キョンの言っている事がよく理解できなかった。てっきり怒鳴られてすぐ警察につきだされると思ってたのに… 「それって…あたしを助けてくれるって、意味…?」 「そうだ…こんな時だけど…俺はハルヒが好きなんだ!だから…離れたくない!」 「あたしも…嫌。大好きなキョンと離れたくない…ずっと、ずっと一緒にいたい!」 我慢しきれず涙がこぼれる。 「絶対俺がなんとかするから。頑張って二人で乗り越えよう。な?」 そう言って優しく抱きしめてくれた。 「うん…うん。二人で…頑張る!」 あたたかいキョンの腕の中で、あたしは泣いた。 こんな状況だけどすごく幸せで嬉しかった。 だってそうでしょう?ずっと好きだった人と両想いだったことがわかったんだから。 でも、この時あたしは気付いていなかった。自分の犯した罪の重さを、そして、どんな結末が待っているのかを… --------------------------------------------------------------------------------------------------------------- 「とりあえず…もうすぐ長門と古泉が来るから急いで死体を隠さないとな」 キョンは辺りをみまわしながらいろんな所を探ってる。 「よし、掃除道具入に隠しておこう。後でもっとわかりにくい場所に移動させれば大丈夫だ」 キョンがみくるちゃんの死体、かばん、制服などを掃除道具入につめこみ、床にちらばった茶碗の破片を片付けた。 「これでよし…っと。ハルヒ、二人が来てもいつも通りふるまうんだぞ?」 「うん…わかった。」 私は団長机へ、キョンはいつもの場所へと座る。すると、 「いやあ、遅れてすみません。」 「……………」 相変わらず笑顔の古泉君と無言の有希が部室に入ってきた。 「おう。遅かったな。今日はどのゲームにする?」 「おや、あなたから誘ってくるなんて珍しい。そうですね、今日は―」 キョンの向かい側の椅子に座る古泉君。有希は窓辺に座って読書を始める。 私はネットサーフィンでもしようとパソコンの画面に集中する。けど、どうしても視線は掃除道具入へといってしまう。 「涼宮さん?さきほどから落ち着かない様子ですが、どうかされました?」 キョンとチェスを始めた古泉くんが聞いてくる。 「ああ、こいつ朝から体調が悪いみたいなんだ」 「そう、そうなのよ!でも平気だから気にしないで」 キョンのフォローで助かった。 「そうでしたか。ところで朝比奈さんの姿が見当たらないようですが、どこへ行かれたのでしょう。先程部室に顔を出した時にはいらっしゃったのですが」 いきなりみくるちゃんの話題が出て思わず息をのむ… 「あ…えっと…」 「朝比奈さんならお前らが来る前に用事を思い出したとかで先に帰っていったぞ」 またもキョンがフォローしてくれる。 でも、少しずつ身体が震えてきた… 「なるほど。…涼宮さん?本当に大丈夫なんですか?震えていますが…風邪ですか?無理なさらないほうが…」 心配そうな顔をした古泉くんが話しかけてくる。 「うん。そうね…今日はもう帰るわ。このまま解散にしましょ」 「おう。わかった」 「かしこまりました」 「……………了解」 それぞれに答えみんなが帰り支度を始めた時、 ガタッ…! 掃除道具入から音がした。 っ…!なんで…!こんな時に! みんなの視線がいっせいに掃除道具入へとむけられる。 気になったのか有希が立ち上がり掃除道具入の扉に手をかける。 どうしよう!まずい、まずいまずいまずい… もう、ダメだ…諦めて目をつぶった時、 「長門、中のホウキが倒れただけだろ。気にするな」 有希を止める声が聞こえた。 「………………そう」 有希はほんの少し怪訝そうな表情を浮かべたが、やがて扉から手を離した。 それを見てあたしは気づかれないように息を吐き、そのまま椅子にもたれかかった。 本当に危なかった…キョンが止めてくれなかったら今頃… 「それじゃあお先に失礼いたします」 「………お大事に」 二人が先に出て行くと部室には私とキョンだけが残った。 「ふー、なんとか誤魔化せたな。大丈夫か?ハルヒ」 「う、うん…大丈夫…ありがと」 キョンは掃除道具入を開けて中を覗きこんだ。 「死体を運べるくらい大きなバッグを探してこなきゃな。ちょっと待っててくれるか?」 そう言うとキョンは部室を出ていこうとした。 「キョン!なるべく…早く戻ってきてね」 「ああ。わかってるよ。すぐ戻るからおとなしく待ってろよ」 キョンを見送って一人になると今さらながら自分のしでかした事に頭を抱える。 これから一体どうなるんだろう… 誰にも見つからないでうまく隠せるのだろうか… 私は椅子に座ったまま目を閉じた。
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恐ろしくだるく体があちこち痛い。そんないつもより不快でだるい眠りから覚めた俺が始めに見たのは…………ハルヒの顔のドアップだった……… 「うおぉ!!」 起きた瞬間それは驚く。てか布団同じかよ、なんだこの状況は!? よしまずはここから離れよう。そして何があったか思い出そう。 まず俺達はポッケ村に行く途中ティガレックスにあった。そして一応戦うが突進に当たって…それから…崖から落ちた。ならここは? 「やっと起きたか」 「誰だ?」 後ろからの声に振り向くとあきらかに不機嫌そうな顔をした男が立っていた。 「誰だだと?この家の主だ」 「そうか。お前が助けてくれたのか?」 「勘違いするな。屋根の上に死体を二つ転がすのが嫌だっただけだ」 なんとも合理的な考えだ。確かに俺だってそうなったらこいつと同じことをする。まあ俺の場合その前に心情的なものが来るがな。 そいつは俺達と同年代くらいで、いけ好かない顔だが助けてもらった手前、そんなことを考えるのは悪い気がする。 「俺達は何時間寝ていた?」 「時間?そうだな。時間に置き換えればざっと76時間と言うところだ」 何!?3日も寝ていたのか?その間ずっとハルヒの横?先に起きてよかったぜ。 「なんでこいつと同じ布団に寝かせた?」 「その方が面白そうだったからだ」 「なっ!?」 「冗談だ。この家に布団は一つしかない」 一回ぶん殴りたくなったが、男の答えにそんな考えも吹っ飛んだ。つまりこいつは三日間布団で寝られなかったということだからな。 「なぜ他の家に助けを求めなかったんだ?」 「僕は他人と馴れ合うのが嫌いだ。だからわざわざこんな場所に家を建てている」 「こんな場所?」 「外を見ればわかる」 小窓から外をみればそこは一面雪。そこに人の気配はない。ここは村から離れた一軒家か。いくら他人と馴れ合うのが嫌いでもこれはやりすぎだ。 まあそのおかげで俺達は助かったわけだが 「そいつが起きたら出ていってくれ。少し前に馬鹿へ手紙を送っていた」 「馬鹿?」 「ああ、女っ垂らしの糞馬鹿だ。少し可愛い女がいると教えたら飛んでくる」 なるほど、女っ垂らしの糞馬鹿か。なんか聞いたことある気がするのは気のせいか? 「うぃ~っす。藤原かわいい子がいるってのは本当…うわ~キョンかよ…」 「なんだ知り合いか。なら話しは早い。そいつが起きたら村に案内してやれ馬鹿の谷口」 うむ。やはり馬鹿の称号は持つ谷口の物か。てか久しぶりにあった友人にうわ~はひどいじゃねぇか。わかると思うがかわいい子ってのは俺じゃないぞ。 「キョンってことはかわいい子ってのは涼宮だろ。たしかに可愛いのは認めるが性格が完全にアウトだ」 うむ。やはり谷口のやつも理解していたか。しかし俺がいればハルヒがいるってのは変じゃないか? 「知らんな。嘘は書いていない」 「そうだな。たしかに性格は最悪だ」 まあこん~なことハルヒに聞かれたら何をされるか。ティガレックスより怖いな。 「ふ~ん私ってそんなに性格最悪なの?」 「そりゃあもうひどいってもんじゃないぜ」 「悪魔のような性格だ。いや悪魔の方がまだましだな」 あれ?俺達今すごいベタなことした気がする。谷口、顔が青いぞ。まさか 「あんた達そんなに死にたいの…いいわ…私自ら刑を執行してあげる。死刑をね!」 そこには極上の笑みを浮かべ完全復活したハルヒの姿があった。それは人を殺せる笑み…恐ろしい。 「逃げるぞ谷口!」 「お、おう」 「逃がすかぁ!」 こうして俺はハルヒの死刑から逃れるべく藤原の家を後にした。 「まったく礼くらい言っても罰はあたらんのに。しかし…男の方が先に起きたか…女の下敷きになっていたのにタフなやつだ。………いや…両方タフだな」 もちろんこんなことを藤原が言っていたとは露知らず、ティガレックス並のハルヒの突進をうまくかわしながら俺達は逃げ続けていた。 まあこの後すぐ捕まって恐ろしい目にあったのは言うまでもないことだろう。とにかく死ぬかと思った。 雪に埋もれた谷口と俺。やばいな。そろそろ本気で凍死する。 「あんた達いつまで遊んでんのよ?」 「なんだと!?」 「誰のせいでこんなことになったと思ってる!?」 「さぁ知らないわねぇ。そういえばここどこなの?」 なんてやつだ。雪から抜け出し、ハルヒに状況を説明ながら重々思った。こいつについて行ったらそのうち本気で死ぬんじゃないかと…。 「だから村にいたころから注意してやってたろ?涼宮に着いて行ったら命がいくつあっても足りないってな」 まあ確かにしていたな。しかし馬鹿の言うことを聞くのは癪だったし。何よりこいつを見捨てて野垂れ死にされたらそれはそれで気分が悪い。 取り敢えずなぜ谷口がここにいる?ついでに今どこに向かってる? 「それはだな。俺がポッケ村で武器屋をやってるからだ」 「へぇ~」 「ふぅん」 「なんだてめぇら!聞いといてその態度はおかしいだろ!」 だってそんなに興味なかったし。てかお前ハンターやってなかったのか。でかいこと行ってた気もするんだが 「けっ。金より命だ。あんなでかいの倒せるかってんだ」 なるほど一回行ってボコボコにされて悟ったってきたわけか。ハルヒも悟ってくれたら嬉しいんだがなぁ。 そんなこんなでポッケ村にたどり着いた俺達。さてまずはどこに行けばいいのだろう。 「そうだな~。集会場にでも行ったらどうだ?」 「そうね。馬鹿もたまには良いこというわね」 余計なことを言うなこの馬鹿。行ったら直行で狩りに出掛けなならんだろう。止めてほしい。断じて俺は行かんぞ 「ふっ。そういいながら行くのがキョンだ」 何を悟ったんだこいつは。気持ち悪い喋り方をするな。寒気がしたぞ。 「それじゃあ行くわよキョン」 「わかったよ」 「じゃあ俺は仕事があるからお前らで勝手に行ってくれ」 一応馬鹿に礼くらい言おうと思ったんだが、ハルヒに引っ張られて結局言えなかったぜ。そういえば藤原にも言ってなかったな。今度会ったら言うか。 「てかまず村長の所に行くのが基本じゃないか?」 「基本なんて知ったこっちゃないわ。後で適当にあいさつしとけばいいでしょ?」 そんなわけにもいかんような気もするんだが まあ面倒なのは俺にもわかる。ハルヒだから仕方ないということにしよう。 というわけで集会場に着いた。なかなかに人が多い。 しかし…見たことあるようなやつがいっぱいいるのは気のせいなのだろうか…。 そんなこともあるんだろうと思いながらハルヒに着いて行く俺。まずは受付だな。 「あのぉ新人さんですかぁ?」 受付にはなんともかわいらしい天使のようなお方がいた。 「違うわ。ベテランよ。取り敢えず今行ける一番難しいクエストを見せて頂戴」 そんな天使に大嘘をつく悪魔ハルヒ。いかんな。何となくこの人だと簡単にだまされそうだ。頼みますよ嘘を見破ってください。 「あっ、そうなんですかぁ。すいません。今探してきますね」 「ちゃっちゃっとお願いね」 俺の願い虚しく、やはりというかなんというか彼女はせっせと難しいクエストを探していらっしゃる。 「以外と簡単に騙せたわね」 「死んでも知らんぞ俺は」 こいつは小声でなんて事いってきやがる。しかし騙してるということはハルヒでも自覚していたんだな。 「有りましたぁ。これが」 「ストップだよみくる~」 明らかにラージャン討伐のクエストを持ってきた彼女に隣からストップが入った。セーフだギリギリセーフ。 声がした方を見ると、目の前でオロオロしている可愛らしいお方と比べても遜色ない美人さんで、かなりのロングヘアー、そして笑顔を全開にしたお方が現れた。 おそらく彼女も受付だと思う。服装が統一されているからな。 「君達君達。嘘はいけないよ~。君達はまだまだこんな危ないクエストに行くレベルじゃないっさ」 「なんでそんなことがわかるのよ!」 「受付なめちゃいけないよ。これでも何百何千ってハンターを見てきたんだからさ」 この人が一体何歳か俺はかなり疑問に思った。口には出さない。出したらハルヒ並に恐ろしい結果になりそうだからな。 「えっえ~鶴屋さんこの人達新人さんなんですか~?」 「そうだよみくる。簡単に人の言うこと信じちゃだめだよ」 「ふ~ん。この嘘を見破ったのはあなたが初めてよ」 嘘を付け。前の村の村長にも見破られてただろう。それを無理矢理突破したのがお前だ。 「あれはあの村に住んでたんだからばれるのは当たり前でしょ」 「確かにそうだが、つまり今回始めてやって始めっから見破られたって事だろ?」 「細かいことは気にしないの」 まあ確かに見ただけでわかる、このお方がすごいのもわからんでもない。 「まあまあ言い争いはそのくらいにして、自己紹介しないかい?」 「そうね。貴方は鶴屋さんでしょ?あっちの子はみくるちゃん」 「あ、朝比奈みくるです。よろしくお願いします」 朝比奈さんと鶴屋さんか。聞いたことあるような気がするのは俺の気のせいか? 「私は涼宮ハルヒ、このマヌケ面はキョンよ」 「ふ~んへ~え、君達があの有名な新人特攻隊かい?いや~一度会ってみたかったのさ」 俺はマヌケ面のキョンかよ。有名な新人特攻隊って……たしかに特攻しまくったが 「それじゃあ君達に調度良いクエストを探してあげるっさ」 鶴屋さんはハルヒとしてはとても迷惑で俺としてはとてもありがたい申し出をしてきて下さった。いや~ありがたやありがたや 「コンガ討伐の依頼が来ているねぇ。それでいいかい?」 「ハルヒ。これが今の俺達に妥当な所だ。これでいいだろ?」 ハルヒのやつは俺の話しをまるで聞かず、クエストボードを凝視しながらうんうん唸っている。何を考えているんだいハルヒさん? 「仕方ないわね。それでいいわ。それに鶴屋さんの申し出を断るのは、なんか私のポリシーに反する気がするのよねぇ」 「そうっさそうっさハルにゃんいい心掛けだよ」 「それじゃあ私が気球班に話しを付けてきますね」 よしよし。ピンクの猿数体程度なら楽なもんだろう。それにしても依頼者の名前にどっか心あたりがある気がする。気のせいだよな? ちなみに依頼内容は『密林で、ピンクの可愛らしい牙獣をみたのね。でもアレってコンガだと思うのね。私の犬が近づかない内に何とかしてほしいの。だって犬猿の仲だし』だった。 いや前半はわかるが後半おかしいだろ。たしかに犬猿の仲っていうのは有名だが 「あの~気球班の人OKらしいで~す」 「ねぇ。気になってたんだけど気球って何?」 今更だなハルヒ。まあ俺も気になっていたのは認める、しかし俺が気になっていたのは気球の方ではなく、気球班というものの方だ。 「そうっさねぇ。簡単にいえばハンター宅配便みたいな物っさ」 「ハンター宅配便?」 「ええっとハンターさん達は依頼を受けますよね?」 朝比奈さんが可愛らしく説明してくれるのはいいのだが、ハンター…まあ狩人ともいうが…は依頼を受けるからハンターであって、ああもういいや。 「そのハンターさん達を目的の場所に連れていくのが気球班の仕事なんです」 なるほどたしかに目的の場所に歩いていったんじゃあ日が暮れちまう。前の村にはなかった設備だな。 「ふ~んそうなの。わかったわ。確かに高いところにいれば大きい獲物も見つけやすいものね」 ハルヒもこれには納得したようだ、しかし考え方が少し違う気がするぞ。 「じゃあ行ってくるといいっさ。めがっさ楽しんでおいで」 鶴屋さんはさも楽しげに、朝比奈さんはエンジェルスマイルで俺達を見送ってくれた。何をどう楽しむのかよくわからなかった俺達だが、数分後にはすぐ鶴屋さんの言ったことを理解できた。 「高いわね~。絶景とはこういうことをいうんだわ」 「雪山も遠くからみれば綺麗なもんだな」 気球からの眺めはハルヒの言った通り絶景。高すぎて少し怖いが、ティガレックスに崖から落とされた時に比べれば蚊に刺されたようなもんだ。 怖さよりも絶景を眺める楽しみの方が強い んっ?何をキョロキョロしてるんだハルヒ? 「大物探してるのよ。いたら速攻で降りてもらうんだから!」 「それはできないのですよ。依頼を完遂して貰わないとこちらとしても困りますぅ」 今の声は気球班だ。気球の定員は5人。必然的に狩りに行く人数は4人ということになる。確か4人というのにはもっと意味が合ったはずなんだが…覚えてねぇや。 「ちょっと私の紹介はどうしたんですか!?」 「勝手に思考を読むな。え~っとどなた様でしたっけ?」 「橘です。橘京子!」 へぇ~そうらしいですよ皆さん。覚えてやってください。俺は興味ないです。 「くぅ~ちなみに私の外見はとっても可愛い女の子で……」 あ~あ。ついにはわけわからん事まで言い出した。こいつはほっといて絶景を楽しむとしよう。俺の本能がそう叫ぶ。ハルヒは完全に無視してるしな 「え~間もなく目的につきま~す。お忘れ物しないように降りてくださ~い。帰りも此処にいます」 何となくお決まりの台詞を言っている橘はスルーしておこう。 さて密林か。虫とかいっぱいいるから森は嫌いなんだよなぁ。ちゃっちゃっと終わらせて帰るか。 「行くわよキョン!」 「おう!」 さて意気揚々と飛び出したはいいがピンクのアイツがなかなか見つからない。群れだから一匹見つければ、他のやつもすぐ近くにいるはずなんだがなぁ。 「たくめんどくさいわねぇ。キョン2手に別れる?」 「まあ待てハルヒ。4人で来たならまだしも俺達は2人。それに経験も浅いんだ。戦力を分散させるのは得策じゃあない」 「それもそうねぇ。仕方ないわ。もう少し探して見ましょう」 そうそう。それに歩いていればそのうち見つかるさ。依頼がきてるんだからな。 こうして俺達は少しの間歩き続けた。途中でかなりでかい虫、名前はたしかランゴスタにカンタロスだったか。とりあえず馬鹿でかい虫だ。 あんなのに刺されたら痛いどころじゃすまないな。倒そうか、とも思ったがハルヒいわく 「でかいだけの虫なんかに用はないわ」 だそうだ。まったくあいつらかなり邪魔なんだけどなぁ。 「ねぇキョン。なんか聞こえない?」 「虫がブーンブーン五月蝿いな」 「違うわよ。そうじゃなくてもっとこう大きな動物の………」 ハルヒに言われて耳を澄ます、なんだ?急に周りが騒がしくなってきた感じだ。ガサガサガサガサと……そうか。 「目当ての相手じゃない。めんどくさいのが来たようだぜハルヒ」 「ええ、そうみたいね」 ハルヒは大剣、俺は片剣を構える。群れる習性は同じだがコンガではなく…… 「来たわね。青い鳥モドキ」 「馬鹿いうんじゃない。あいつらに翼なんてねぇ。それにあれが幸せを運んでくる訳無かろう」 このやり取りでわかる人もすごいと思うが、相手はランポスだ。しかも中央にでかいトサカのやつがいる。 しかしどういうことだ?コンガがいっぱいいるんじゃなかったのか? 「囲まれたわよキョン」 「何を今更。始めからあいつらはこの陣形だったさ」 左4、右3、後ろ3、前2にでかいが+1だ。まったく沢山ですぎじゃないか? こんだけ集まると本当にギャアギャア五月蝿いな。 「キョン、でかいのは私に任せなさい。左側と後ろ任せたわ」 「おいおい俺の方が一匹多いぜ?」 俺達は背中合わせで武器を構え、相談しているところだ。その間にもジリジリランポス共は近寄ってくる。 「でかいのやるんだからいいでしょ?」 「仕方ないな。それでいい。そろそろ来るぞ」 「抜かるんじゃないわよ!」 ハルヒがそう言ったのを合図にでもしたのか、ランポス共は一斉に飛び掛かってきやがった。 もちろんそれくらいは予想していた俺達は斜めに飛んで逃げた。 ハルヒが右斜め上、俺が左斜め下だ。7匹相手にするのは骨だがやるしかないな。 その辺にあった石ころを投げまくりうまいこと7匹をこちらに向かせた。 やつらはジリジリ近寄るのが好きらしい、そんなことしている間に1番近い1匹を切り倒す。 伊達にハルヒに連れていかれて無茶ばかりやって来たわけじゃない。飛竜の威圧感に比べればこんなやつら何の恐怖も感じない。 とはいえ数が多い。相手をよく見て1匹になった所を攻める。 簡単に言ってるが、1匹なるまで避けたり、防いだりで大変なんだぜ?いつの間にか残りの5匹に囲まれちまってるしな。 「ハルヒーーそっちはどうだ!」 「いまんとこ楽勝よ。あとでかいの合わせて3匹!」 さすがに早いな。ならこっちも急いでいくか。1匹1匹確実に、潰していけば……… 「キョン!ごめん、そっちに1匹行っちゃったわ!」 「なんだと!?やっと2匹までに減らしたんだぞ?」 「でかいのが邪魔なのよ。小さいのが1匹、2匹増えたところでかわらないわ!やっちゃいなさい」 まったく簡単にいいやがって…まあいいだろう…やってやろうじゃないか 意気込んではいるが作戦はさっきとかわらない。1匹になったやつを切り刻むだけだ。まあ実際は急所に一撃いれてるだけだが 「ラストだ!」 そんなことなでラスト1匹。ハルヒの逃がしたやつだろう。そいつに重いっきり片剣を振り下ろした。 勢いよく振った片剣はランポスに当たり………………ガキン…っと嫌な音がした。 「ちっ切れ味か。血糊がつきすぎだ!」 「ああもう、やっぱりキョンは詰めが甘いわね!」 俺が止めを刺し損ねたランポスはハルヒの大剣によって真っ二つになった。何を言うか。お前が逃がした1匹だろう。 「馬鹿言ってんじゃないわよ。ボスだけあってあのでかいかなり強かったんだから」 そう言ったハルヒの後ろにはでかいランポスの死体が転がっていた。確か名前はドスランポスだったかな。 「沢山いて面倒だったわね」 「確かにな。ランポスごときと侮っていたが、沢山出ると面倒だ。ボスもいたしな」 さっきの場所から少し離れたところでハルヒは大剣を地面に突き刺し、それを背もたれにして休憩している。俺は俺で近くにあった石に腰掛けているわけだ。 「でもおかしいわね。なんでランポスがいるわけ?コンガじゃなかったの?」 「さぁな。とりあえずコンガを探してみたらどうだ?」 「そうね。依頼果たさなきゃ鶴屋さんに悪いものね」 それに金も貰えんしな。片剣を研いだら探しに行こう。 「ねぇキョン。私達の依頼内容ってコンガ狩りよね?」 「ああそうだが、どうした?」 嫌な予感がする。なぜって?ハルヒが目を輝かせてある一点を見ているからさ。そこに何がある? 「でもその群れのボスを倒しちゃいけないわけじゃないわよね?」 ハルヒの言葉と視線の先。これだけで今から何が起きるのか、嫌でもわかってしまう。 つまりだ。目の前にババコンガが現れちゃったわけなんだよ。でかいな畜生。もうちょい休憩させてくれよ。 そんな俺の願いなど踏み倒し、ババコンガはこちらに突進してくるのだった。 たまには俺の願いを叶えてくれ。馬鹿神様。 それともあんたはハルヒ贔屓なのか?冗談きついぜ。まったく 「やれやれだ」 続く
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9時間以上に及び県をも跨いだ逃走劇の末、ハルヒは一人っきりになってしまっていた。 唯も、こなたも、にゃんぱいあも、そしてボッスンも、皆たった一匹のニホンザルに射殺されてしまった。 そして、ハルヒも袋小路に追い詰められ、また一人参加者が死んだ。 「チーチッチ、おっぱーい、ボインボイーン」 なぜなら、怪しげで奇妙な歌を歌う少女に、ニホンザルの首がもぎ取られたのだから。 「あ……有希……?」 極限状態から解放され、ハルヒはその場にへたり込んだ。 そんなハルヒに長門は近づき、その胸を鷲掴みにした。 「もげ、もげ、もげ」 「きゃっ、い、痛い、どうして!?」 長門がその両手に力を込めていく。 自分の想像を遥かに上回る状況に混乱するハルヒ。 しかし、情報操作により、幾ら足掻いても指一本すらも動くことは無い。 「チチをもげ!!」 「嫌あああああああぁぁぁっ」 ハルヒの両胸がもぎ取られた。 【一日目・15時15分/日本・栃木県】 【長門有希@涼宮ハルヒの憂鬱】 【状態】ナイン 【装備】コアファイター@機動戦士ガンダム 【道具】支給品一式 、朝倉涼子の両おっぱい×2、涼宮ハルヒの両おっぱい 【思考】 基本:チチをもぐ 1:朝比奈みくるのチチをもぐ 2:とにかくチチをもぐ 3:邪魔者はもぐ 【平沢唯@けいおん! 死亡確認】 【泉こなた@らき☆すた 死亡確認】 【にゃんぱいあ@にゃんぱいあ 死亡確認】 【藤崎佑助@SKET DANCE 死亡確認】 死因:射殺 【ニホンザル@龍馬伝 死亡確認】 死因:頭をもぎ取られる 【涼宮ハルヒ@涼宮ハルヒの憂鬱 死亡確認】 死因:両胸をもぎ取られる
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さて紹介しよう。 新・長門有希である。 どこら辺が新しいのかは俺にも良くわからない。俺の隣にいる古泉も良くわかっていないようだ。 時に長門よ、自分ではどこら辺が変わったと思う? 「・・・脳の各所でいくつかの変化が発生している。それ以外は不明。ただ・・・」 「ただ?」 「性格、趣向等が確実に変化している可能性がある。残念ながら自分では観測できない」 つまり、お前が朝比奈さんみたいな愛らしくちょっとおっちょこちょいな未来人のようになったり、ハルヒみたいな迷惑極まりない 核融合ロケット女のようになったりしてる、ってことか? 「それはない」 長門はやんわりと否定し 「しかしながら、二人が持っている性格が確実に私に影響を及ぼしている」 いつにもましておしゃべりな長門はさらに言葉を紡ぎ 「これはある種の『自立進化』ともいえる。情報統合思念体にとってはある意味喜ばしきこと。 私にとって喜ばしきものかはまだ不明。これから精査が必要だと思う。まぁ、たいした問題では無いと思うけど」 そうかい。長門がもうちょっと外向的な性格になるんなら、それはそれで良いかも知れないな。 「そうかもしれない。それより」 なんだ。 「おなかの中身までは分離時持っていくことが出来なかった。かなりおなかが空いた。ちょっと食堂に行ってパン買ってくる」 来る?と言って長門は俺と古泉を見たが、ついてこないと判断したのかそそくさとドアを開けて行ってしまった。 取り残された俺と古泉、頭をねじ切らんばかりの勢いで捻る。 「長門の言動が変わった?」 「そのようです。まぁ、もうちょっと観察しないとなんともいえませんが。それより・・・」 そうだ、みるひ(仮)はどうなったんだ・・・っておい。 何だこいつは。 「長門さんが抜けたことで、涼宮さんと朝比奈さんが残りました。このみるひ(仮)さんは二人の融合体と見るべきでしょう」 そりゃそうだよな。 「にしてもまぁ・・・二人が融合したらこんな風になるんだな」 先ほど怪しい光を放ちながらモゴモゴ蠢く物体Xと化していたみるひ(仮)だが、現在は落ち着いて普通の人間もとい超絶美少女に変化していた。 黄色いカチューシャをつけたセミロングな栗色の髪に、愛らしい小さな口。そして巨乳。 ああ神様、どうか彼女には朝比奈さん譲りの優しく、ちょっとおっちょこちょいな性格をお与え下さい――! 「ほれはにゃいとおもふ」 ? 「長門さん、お帰りなさい」 「たふぁいま」 部室の戸口を見ると、長門が帰ってきていた。早いな。 アンパンを口にくわえ、ただの茶色い塊と化している袋詰めにされた大量のパンを抱えながら。 「どうしたんだそれ」 長門は食っていたあんぱんを小さい口に一気に詰め込み、ろくに噛まずに飲み込んで―――って! パンをのどに詰まらせて悶絶していた。 あの長門が、である。 「おい、水だ水!」 あわてて古泉はペットボトルの水を長門に投げてよこす。 見事に空中キャッチし、急いでふたを開けて苦しそうにグビグビと飲む姿は全然長門らしくない。 つーか、長門におっちょこちょい属性は無かったはずだ。 「・・・っはぁ・・・。古泉君、ありがとう。このパン?購買が閉店時間で見切りセールをやってたから大量に買ってきた」 食えんのか。見た感じ2、3キロありそうなんだが。 「私にとってこれくらいは朝飯前」 「ちゃんと栄養のバランス考えろよ」 「わかってる。心配ない。それより」 何だ。自分に変化が起こってるのやっと判ったか? 「いや。普通どおりだけど。そうじゃなく、キョン。あなたがさっき彼女に対して言ってたこと」 はて。優しくちょっとおっちょこちょいな性格でありますように、っていう祈りがどうかしたか? 「二人は完全に融合している。そんな都合のいい性格になるわけが無い」 ふん、とでも言いたげな表情の長門は 「主体涼宮ハルヒちょっと朝比奈みくる、な性格になるかと思われる。不満?」 さらにぶー、と一瞬口を膨らませ 「それに、さっきからあなたと古泉君の様子がおかしい。なんで半笑い?」 半笑いどころで済んでいたか。てっきり完全なるニヤケ顔になってるかと思ってたんだが。 てか、お前、自分がめちゃくちゃ変化してるのに気がついて無い? 「私はいたって普通のつもり」 「そうですか。これはこれは・・・以前の長門さんをビデオに録っておくべきでしたね」 「同感だ」 怪訝な顔をしながら首をかしげる長門。 「・・・すまない。以前の私はどんな風だったか、具体的に教えて」 俺と古泉はあらん限りの「以前の長門像」を叩き込んだ。 無口で内向的で、いつも本ばかり読んでる宇宙人。 だけど必ず困ったときは助けてくれる宇宙人。 迷惑ばかりかけてた俺とハルヒと朝比奈さんと古泉。 しかしながら、うんうんとか言いながらも、今にもはてなマークが頭上に飛び出しそうな顔となっている長門。 「どうやらお前が覚えてる記憶と、俺たちが覚えてる記憶とでは大分違うようだな」 「大まかなアウトラインは同じの様だけれど」 「・・・ともかく、感謝してる」 「たしかに・・・私はあなたたちを助けてきた」 長門は言葉を紡ぎだした。 「だけど、殆どが私のミスで起こるか、最初から不可避のものだった。だから、お礼なんていい。でも・・・」 長門は頬を赤らめ、ばつが悪そうに頭をかき 「こう面と向かって言われると、ちょっと照れちゃうな・・・」 俺はお前に惚れたぞおおおおおおおおおっ!!!長門おおおおおおぉぉぉ!!!! とは口が裂けてもいえない俺。 「しかし、そんなキャラだったのか私は」 「ええ。覚えていませんか?」 「恐らく私の記憶中枢、・・・もしくは、私を定義付けている基底現実内の情報まで書き換わっているのかもしれない。確認をとる。少し待って」 長門はかくん、と首をもたげて宇宙的な何かと交信を開始した・・・かと思ったら、すぐに元に戻り、部室のドアを開けた。 「こんにちは」 喜緑さん、お久しぶりです。 「お久しぶりです。長門さんからの呼び出しで来たんですが・・・?」 「私の様子、何処かおかしいか精査してもらうために呼び出した。何処か変?」 明らかに困惑している喜緑さん。 何やら小声で俺に 「あの・・・長門さん・・・ですよね?」 と怪訝そうな顔で聞いてきたが、多分そうですとしか答えるほか無く、さらに 「おかしなところは無い。そんなに私が不満?」 と、ぶーと頬を膨らませる長門を見て抱腹絶倒の装いを呈し始め、ついに 「これは・・・っ・・・流石に・・・ないです。ないですぅ!ないですぅぅぅ!!」 と笑い転げ回りだした喜緑さん。大丈夫か?って俺も大爆笑しかけてるわけだけどさ。 「そんなに変?」 ああ。変だ。俺は萌えまくりで嬉しいがね。 「僕の恋敵が増えたようですね」 黙ってろガチホモ。 「そう。そこまで変だとキョンが言うのであれば、情報統合思念体内にある私の構成情報を上書き初期化するけれど」 「無駄無駄無駄ァですぅ・・・!!ひぇっひぇっっひっく」 横隔膜痙攣を起こしシャックリまで出すほど笑いまくる喜緑さんは 「・・・っ!既に長門さんのバックアップを含めた構成情報はあっ、、完全に今のっ長門さんのっ・・・ひぇっ!データを元としたものと置き換わってるんですぅ」 どういうことですか。 ・・・と無駄なようだ。喜緑さんは笑いすぎて呼吸もままならなくなってる。そのうち笑い死ぬんじゃないか? この神様的宇宙人に死というものがあるのかは不明だが。 「恐らくです」 出たな解説員古泉。 「長門さんははじめからそういうキャラクターであった、という風にこの時間平面上の情報が書き換えられているのでしょう」 判らんぞ、もっと平たく言え。 「涼門みるきさんですが、彼女もまた同じように時間平面上の情報・・・主に来歴ですが・・・が完全に書き換わっていたはずです。涼宮さん、朝比奈さん、そして以前の長門さんとは似ても似つかないような来歴に」 そういや雨乞いしたり、ハゲの頭にオリーブオイルを塗りたくったなんて話は未だかつて聞いたことが無かったな。 「この長門さんにも同じことが言えます」 ・・・そうだな。よく考えればそうだ。 「だがな、喜緑さんはともかくなぜ俺とお前は元のハルヒも朝比奈さんも、長門のことも知っているんだ。書き換わるなら俺たちが覚えてるようなことも全部書き換わらないとおかしいだろ」 「それもそうですね。ですがあなたは既に同じようなことを経験している筈です」 とスマイル青年。 「・・・あれか」 長門が世界を作り変えちまい、俺以外の奴らが皆それぞれ別の人生を植え付けられて生活することになっちまった、あの12月18日。 「長門さんに必要とされていたから、貴方だけ時間平面の改変の影響を殆ど受けなかった。今回も、貴方がキーとして必要とされたから、時間平面の改定の影響を殆ど受けなかった」 「おい、今回に限ってはお前もだろう」 「たぶんそれはですね」 古泉は髪をガッと大げさに掻き揚げるしぐさをして 「貴方と僕は運命共同体だからですよっ!」 そうほざいた。 ・・・そろそろ肉塊に変えとくべきだろうか、なあ長門。 長門? 「私がキョンを必要として・・・確かにそうだけれど・・・必要・・・私にとって・・・キョン・・・キョン・・・」 頬どころか耳まで赤くなってやがるぞ、長門。 ああもう萌えるなぁ。 そうそう、長門以外にも別の萌えるべき存在が居たんだっけか。 俺の背後に。 どうやら覚醒モードに入ったようで、ふるふると体を震わせ静かなる唸りを上げていたかと思ったら 某巨神兵よろしく不気味なほどゆっくりと目を見開いた。 「ちょっとうるさいんですけど・・・あれ、ってここ何処?なんであたしここにいるんですかぁ?お腹が空きましたぁ、キョン」 やれやれ、また良く判らんのが出来ちまったようだ。 前 次
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涼宮ハルヒのデリート 誤解なんてちょっとした出来事である。 まさかそんなことで自分が消えるなんて夢にも思わなかっただろう。 キョン「あと三日か・・・。」 キョンつまり俺は今、ベッドの上で身を伏せながらつぶやいた。今を生きることで精一杯である。 なぜ今俺がこんなことをしているのかというと、四日前に遡ることになる。 ハルヒ「キョンのやつ何時まで、団長様を待たせる気なのかしら?」 いつもの集合場所にいつもと変わらない様子で待っているメンバーたち。 団長の話を聞いた古泉が携帯のサブディスプレイをみる。 古泉「まだ時間まで五分あります。」 と、団長に伝える。 ハルヒ「おごりの別に、罰でも考えておこうかしら。」 っと言ってSOS団のメンバーは黙り込んだ。誰一人として口を開こうとしない。その沈黙を破ったのは、ベタな携帯の着信音だった。 ハルヒ「あとどれぐらいで着くの?団長を待たせたんだから・・・」 っと言われ「一方的に電話をきった。ベタな展開だったら俺が切るのだが、なにしろ相手があのハルヒだから仕方がない。 かわりに古泉に電話をかけた。 古泉「僕に電話とは、あなたも罪な人ですね。涼宮さんが嫉妬しますよ。」 ウザイ、何勘違いしてんだこのホモ男。 古泉「冗談です。僕に電話をかけたぐらいですから、何か理由があるのでしょう?」 やっぱりコイツと話すのは少し気が引けるな。 キョン「今日は、急用があるから探索にはいけないとハルヒに伝えてくれ。」 古泉「その用とは?何の事ですか?」 キョン「どうしても言わなくてはいけないのか?」 古泉「・・・。まあ別にいいでしょう。あなたの休日まで追及はしません。」 キョン「じゃ、頼むぜ。」 電話のやり取りを終えた古泉はハルヒに用を伝えた。 ハルヒ「仕方がないわね。じゃあ、今日は二人のペアで北と、南に分かれて不思議を探しましょう。」 ~ハルヒ視点~ ハルヒとペアになった、いやなってしまった朝比奈さんは午前中ずっとハルヒの不機嫌オーラを感じ、おびえながらハルヒの後についていったそうだ。 午前中の散策が終わりいつもの場所へ向かう途中朝比奈さんがあるものを発見してしまった。 みくる「あれって、キョンくんじゃないですか~~?」 ハルヒは朝比奈さんの指す方向に素早く振り向いた。 ハルヒ「散策をサボっておいて、何をやってんのかしら?」 しばらくハルヒが何かを考えていると思うと、頭の上の電球が光った。 ハルヒ「キョンを尾行するわよ、みくるちゃん。キョンの休んだ理由がわかるし、不思議なところへいけるかも知れないし。」 みくる「で、でも~~、長門さんと、古泉くんのことはどうするんですか~~?」 ハルヒ「そんなの後で電話しておけばいいじゃない。」 っと言って、彼の尾行を始めた。何度かみくるちゃんから「やめましょうよ~~。」っと言われたがすべて無視した。 彼の行き先はいつもの駅から一駅離れたところだった。 ハルヒ「なんでわざわざこんなところにくるのかしら・・・。」 みくる「やっぱり、やめませんか~?キョンくんには彼なりの事情があると・・・。」 言いかけていた彼女の口をふさいだのは、ハルヒの手だった。 みくる「何するんですか~?」 ハルヒ「誰かに手を振っているわ。ここからじゃよく見えないから別の場所へ移動しましょう。」 っといってハルヒは朝比奈みくるの手をとり移動した。 みくる「あれって、女の人じゃないですか~?」 ハルヒの目に移ったのは、キョンが親しげにその女性と話しているところだった。 そして、気づいたらそこから走って逃げ出しているところだった。 走るのをやめて歩いていると、後からみくるちゃんが追いついてきた。 みくる「きっと彼女じゃないと、思いますよ・・・。」 ハルヒ「あったりまえじゃない、あのキョンに彼女ができるわけないじゃない。ただ少し暗くなってきたから早く帰りたいなと思って・・・。」 わかりやすい嘘をついてしまったと思い、すこし悔しがった。駅あたりで二人が別れた。 ハルヒの後姿はどこか悲しげな表情にみえたそうだ。 ~キョン視点~ 妹のダイブによって起こされた俺は、いつもの強制ハイキングコースを心行くまで楽しんでいた。 学校にいく間、谷口のナンパ話を聞かされた。まったく飽きないやつだ。 谷口「でだな、やっぱりゲーセンのやつらを狙うのはよくなくてでなあ・・・。」 キョン「お前のそのナンパ話はこうで96回目だ。」 っと口を挟む。まったく朝から暑苦しいやつだ。熱心に語ってきやがる。 谷口「そういや、お前なんで土曜日の探索に行かなかったんだ?」 キョン「・・・。なんで、お前が知ってる?」 谷口「ギクッ!!!忘れてくれ・・・。」 そんな話をしているとすぐに学校に着いた。靴を履き替え教室に向かうと、何から話そうか考えた。誰にって、そりゃハルヒにきまってんだろ? 絶対追求してくるに違いない。 しかし、予想に反してハルヒは何を言ってこなかった。それどころか、教室に入ってきた俺をまるで何もいないかのような反応を見せた。 キョン「ど、土曜はすまなかったな。急に休んだりなんかして・・・。」 しかし、ハルヒは何の反応もしない。気まずい、ククラス全体が注目してる。 キョン「休んだ事を怒ってんのか?」 ハルヒ「・・・・・・。」 無反応のハルヒに気まずさを感じていたら、チャイムがなりホームルームが始まった。 まったく、休んだぐらいでそんなに怒るかよ・・・。 結局午前中はハルヒと何も話さず、不機嫌オーラを受け続けていた。 昼休みは教室を抜け出しどこかへいってしまった。 谷口「お前、涼宮になんかしたか?」 キョン「いや、何もしていない。何で怒っているか知りたいぐらいだ。」 本当に何を怒っているんだろうな、ハルヒのやつ。 そして授業の終わりに二人のムードに耐え切れなくなった谷口が、あろうことかハルヒに話しかけてしまった。 ハルヒ「何よ谷口。あんた宇宙人でも見たの?」 じとっとした目で、谷口を睨む。 谷口「キョンと喧嘩するのはいいが、クラスのムードまで暗くするな!」 っと強気で言った。ああ、谷口、お前死んだな。相手を考えろ、相手を。 しかし返ってきた返答は、最悪なものだった。 ハルヒ「キョンって、誰?」 教室が完全に凍りついた。その中を凍らせた原因のハルヒが通りすぎていった。 マジかよ? なにかあったかも知れんと思い、逸早く部室へ向かった。 キョン「長門!これは一体どういうことなんだ?」 俺は部室の隅で静かに本を読むインターフェイスに問いだした。しかしまた返って来た返答は最悪だった。 長門「あなたが悪い。」 ・・・・。俺は言葉を失った。一体何をしたんだというのか。あの長門からこの言葉を言われると正直つらい。 すると後ろから古泉が入ってきた。 キョン「お前ならわかるか?俺がハルヒから無視されている理由。」 よく考えてみれば、長門がああ言っているのだから古泉に聞いても仕方がなかった。 ふわりと自分の体が倒れるのを感じ、殴られたとわかった。我ながら格好悪い。 古泉「あなたがそんな人だったとは、失望しました。涼宮さんが無視するのもよくわかります。」 一体どういうことだ。何が起こっている?これもまた異世界なのか? とりあえずこの日は家に帰った。あんなことを言われてあの場にいれるほど、俺も狂っちゃいない。 一体何が悪いのか考えているうちに眠りに入った。 朝だ・・・。妹のプレスを食らう前に起きた。とりあえず再びハルヒに誤っておこうと思い学校へ向かった。 向かう途中ずっと考えていた。そもそも俺をいないものだと言うほど嫌っているのに、どうやって誤ればいいのか。 それに理由もわかっていない。・・・そうだ、朝比奈さんに聞こう。 昼放課に朝比奈さんを呼び出した。 キョン「あの、俺って何かハルヒに悪い事いしましたか?」 真剣な口調で話す。彼女なら何か知っているのだろうか? その言葉に驚いたような様子をみせ、真剣な顔つきで話始めた。 みくる「あの、始めに言っておきます・・・。」 キョン「はい?」 みくる「ごめんなさい。」 パ~ンという音が響いた。そう、ビンタされた。そして朝比奈さんはどこかへいってしまった。 あの、朝比奈さんに殴られたのは相当ショックだった。 結局午後の授業にはでずに欠席した。この日は何もかもにやる気がでず。ベットで眠ることにした。 朝、自分の体の異変に気づいた。 -あと3日で自分は消える 何でわかるかって?分かってしまうからしょうがない。これしかないな。 今の状況に絶望した自分は学校を休んだ。だってあと三日で死ぬとわかっていて何をすればいいかなんかわからん。 夕方、古泉が家を訪ねてきた。しぶしぶ話を聞くことにする。 古泉「いい加減にしてください。とにかく明日、涼宮さんに謝る事です。何度閉鎖空間を潰したことか・・・」 キョン「・・・。俺が何をしたっていうんだ?」 古泉「とぼける気ですね。まあ、いいでしょう、言ってさしあげますよ。先週の散策あなたは休んだ。そしてわざわざ僕たちから離れるようにして彼女に会った。それに対して涼宮さんは失望しているのですよ。」 キョン「待て!それは・・・。」 古泉「ともかく、明日は学校に来て謝ってください。それで済むことですから。」 俺は終始まともな話ができず、家に戻った。 「あと三日か。なんとしてでも・・・」 彼女に会っただと。とんだ誤解だ! 次の日は一日中ハルヒにかけた。全て無視されて、だんだん自分が消えていくのを感じ、孤独感に襲われた。 手紙をつかってみたりもしたが、やはり無視された。 ・・・。一体全体どうなっているんだ? 帰り際、しかたなく古泉と少し話をすることにした。 キョン「全て無視されている。もう俺が消えたみたいに。」 古泉「どういうことです?もう、とは?」 キョン「古泉、俺はあと二日、いや明日いっぱいまでしか生きられない。」 古泉「・・・。なんで分かるのですか?」 キョン「分かってしまうのだからしょうがない。っということだ。」 古泉「・・・なるほど、どうですか。僕の憶測ですが・・・、土曜にあなたが彼女にあったことが原因でしょう。」 キョン「そのことなんだがな・・。実はそれお袋なんだ。俺の。」 古泉「!?・・・それが本当ならものすごい間違いですね・・。」 キョン「まあ、俺の親は若いときに俺を生んだからな。」 古泉「で、その誤解により、あなたに失望し悲しんだ。あなたがいなければ悲しまなかったのに、とでも考えたのでしょう。」 キョン「だったら、すでに消えているべきじゃないのか?」 古泉「そうですね、あなたに謝ってほしかったのではないんですか?」 キョン「・・・(違うだろ)。まあそんなことよりこれからどうするかだな。」 古泉「そうですね。今のままでは、この世界にも失望して改変されかねませんからね。」 キョン「しかし、俺の書いたものまで目にはいらないとなると、どうすればいいんだ?」 古泉「分かりません。でも、あなたのやる事を信じたいと思います。」 いつまでも本当にクサいやつだな。しかも顔が近い、キモイ。どけろ 古泉「僕にできることがあれば、何でも協力しますよ、親友として。」 キョン「わかった。」 っといって別れたのはいいがさっぱりどうしたらいいのかわからん。 このままでは、本当に消えてしまう。何かいい方法はないのか? 長門に頼るか?いや、今回は自分で考えるべきか? 人間はこういう大事な日に限ってすぐに寝てしまうものだ。 次の日結局何も浮かばず、半日をすごしてしまう。 今いるのは部室だ。ここでなんとかしなければ、消えてしまう。 ふいに長門が何か語ってきた。 長門「あなたはもう答えを知っているはず。答えは過去にあり、現在に関係する。」 そのことを信じていいんだな、長門。・・・。 最後になるかもしれない部活は、ハルヒに俺が認識されないまま終わった。 帰り際、あるひとつの答えにいきついた。唯一の接触できるチャンス、そして最後の切り札。 キョン「古泉、親友としてのお前にひとつ頼みがある。」 古泉「なんでしょう?できる限りのことをいたしますよ。」 キョン「それはだなぁ、夜に東中にきてくれと手紙にかき、渡しといてくれ。」 古泉「なんのことだか、分かりませんが、それが望みならやっときます。」 そう答えは今日という日つまり七夕。答えは三年前。 東中に着くとハルヒをベンチで待つ。懐かしいな、この場所。丁度暗く顔をしっかりと見えない。 しばらくするとフェンスを乗り越え、ハルヒがやってきた。 ハルヒ「やっぱり、ジョン・スミスだったのね。」 そう、最後の切り札はこれだ。そして予想どうり接触することができた。 ジョン「どうだ、高校は?」 するとハルヒ今までの活動を話始めた。 ハルヒ「やっぱり、宇宙人はみあたらないわね。でも、SOS団っていうね・・・。」 俺も、(俺は話から消えていたが)今までの活動を思い出していた。 ハルヒ「ジョン泣いているの?」 俺の顔には涙が流れていたらしい。あと十五分の命だ。 ハルヒ「私何か大事なことを忘れている気がする。」 ふいにハルヒが言ってきた。思い出してもらうチャンスかもしれない。 ジョン「今からいうことを真剣に聞いてくれ。」 ハルヒはキョトンとした顔だったが、気にせず話をつづける。 キョン「昔、キョンと呼ばれていた男がいた。彼は普通の人生に飽きていた。そこに自分と同じ考えの女の子が現れた。 彼女は不思議を追い求めて彼を振り回した。しかし彼はそれを迷惑と思わず、むしろ自分の人生が楽しくなるのを感じた。・・・」 もう涙が止まることはない。 ジョン「しかし、ちょっとした誤解で二人はもう二度と会わなくなってしまった。」 ハルヒ「それがジョンあなたなの?」 ジョン「ああ、SOS団か・・・楽しかったな。」 嘘と真実がまざりメチャクチャになってきた。 ハルヒ「わたしが忘れていることって、まさか?」 ばらばらだったピースが合わさった。しかしもう時間がない。 ハルヒ「女の子はわたしなのね。」 キョン「ああ、誤解が解けないのが残念だったな。」 ハルヒ「・・・。」 キョン「ハルヒ、約束してくれ。俺がいなくてもこの世界に失望しないことを。」 ハルヒ「・・・、わかった。って、何その死ぬ前みたいな言葉。それに体が・・・」 体が消えてきた。くそ!時間がない。 キョン「じゃあな、ハルヒ。消える前にお前のポニーテールが見たかった・・・。」 こうして俺、キョンはこの世界から消えていった。 思えば、普通の高校生として生きていくよりはよかったんじゃないのかと、思えた。 その後ハルヒは古泉から誤解について説明された。 俺が消えた世界では、俺の体は残っていないので失踪っということになっている。 妹よ、兄が消えた事に悲しんでいるか? 世界が改変されることが起こらず、いやそれどころか閉鎖空間すら発生しなかったそうだ。 SOS団は今も健在しており、ポニーテールの団長様はなんとかやっているようだ。 ハルヒ「・・・。あれから一ヶ月ね。本当にどこへいったのかしら・・・。」 ハルヒが俺の席をみてつぶやく。 みくる「・・・・。きっと帰ってきますよ。」 ハルヒ「でも、目の前で消えていくのを見たのよ!わたしだって信じたい、帰ってくると。」 古泉「いい加減にしてください!] 急に叫んだ古泉に、二人は意表をつかれた。 古泉「そんなこといっていたら、彼が帰りづらいじゃないですか。」 部室が静まりかえった。・・・・。どういうことだ? 古泉「実はですね。先日警察に身柄を確保されましてね・・・。」 っといって、ハルヒに新聞を渡す。確かに新聞には俺の写真がうつっている。 古泉「いると信じなくては、いるものもいあくなってしまいますよ。」 するとハルヒの顔にいつもの120ワットの笑顔が戻った。 次の日、俺はベットの上で横になっていた。 なぜ俺がこの世界に戻ったのかというと簡単なハルヒの思い込みだ。 まったく便利な能力だな。まあそれのせいで、消えていたわけだが・・・。 さてまずは最初に一ヶ月の幽霊生活。これでもハルヒ話してやろうかな。
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次の日、金曜日。 昨日は色々な問題が無遠慮に俺へと押し寄せ、また、古泉とケンカじみたもんまでやっちまったがために、俺も閉鎖空間を作り出してしまいそうだと思わんばかりのグレーな気持ちで帰宅することとなった。 帰ってからの俺の気分はハッキリ言って北校に入学して以来最悪な状態を記録していたが、やっぱりトンデモ空間などは発生していなかったようなので、つくづく自分は普通の普遍的一般的男子高校生だと思い知る。 しかし普通の高校生はそんなこと考えんだろうとも思い、そうやって俺は己の奇異さにも気づいたのである。 そして今朝の登校の際には、今度はブルーな気持ちを抱いていた。 一年前にも俺はこの長く続く坂道を憂鬱な気分で歩いていたが、それはこの理不尽に長い通学路に対し学生が交通費支給デモという意味不明な行動を起こし、そしてその理不尽な要求が通ってもおかしくないほど強制労働的であるがゆえだった。 もちろん、今は違う。では何故ブルーだったのか。 それは、今日の俺の心の中は鬱々前線真っ盛りで人的災害警報が発令中であり、本日は晴天にもかかわらず、所によりハルヒの矢のような叱咤が降り注ぐでしょうという予報も出ていたからだ。 どんな人的災害に注意が必要なのかといえば、ナイフを持った女子高校生通り魔との遭遇によって刺殺されないようにせよということである。それが予報であるのは、まだ《あの日》に行くと決まったわけではないからに他ならない。俺も長門も、是非免れたい危機である。昨日のそう遅くない夜、長門に電話をしてみたもののコール音しか返事をしなかったのも気に掛かるんだ。やはり……あいつの感情の部分は強くなっているのだろうか。何度も電話をかけるような無粋なことはしなかったが。 そしてハルヒの叱咤の雨が降るとされた場所は学校の教室で、その局所的な矢の雨が降り注ぐ地点はもっと詳しく予報されていた。そこはあいつが座っている席の前……つまり俺の席だ。正直、これは間違いないと感じていた。なんせ、その現象が起きる原因とされたのは俺なのだから。 とは言うものの、その大元の原因を作ったのは何を隠そうハルヒ自身なのだが。 そう。俺は今週の頭、編集長へとジョブチェンジしたハルヒ団長殿に磔にされて「恋のポエム書け!」という無茶な命令を受け、そして俺はその任務を今日も完遂出来なかったために、ハルヒは今度こそ俺を視線や苦言やらで射殺さんとするだろうというこれは不可避の人的災害だと予想されたのだ。このときは。 教室に着いた俺にハルヒは一言ポエム作成の進行状況を聞き、歯を食いしばって目をギュッとつむった俺に意外にも、 「……そう。期日が迫ってるから、明日の不思議探索は機関紙の制作にまわそうかと考えてたんだけど」 と、危険な不思議探索をやらずにいられるならポエムを書いたほうが良いのかなと俺に思わせるようなことを言い、 「うん、書けないってんならしょうがないわ。じゃあ、明日の探索は、気合入れて不思議ちゃんを探しに行くわよ!」 そして決心させた。探索の対象が単なる自称異星人で実際は奇人ちゃん程度ならどれだけ良いか(会いたくはないが)と俺が思っていると、ハルヒは続けて、 「そろそろ本当にSOS団結成一周年なんだもん。このまま何も見つけられずにその日を迎えたんじゃ、この団の創立目的が忘却の彼方に追いやられちゃうかんね!」 その目的を達成したがために異世界は忘却の憂き目に遭遇しているんだぞとは言えず、俺は、今こそSOS団が不思議発見を断固否とするべく再結集するときなのだなとおもんばかっていた。 だが、この時点での俺はまだ気付いていなかった。既にハルヒの周りでは、渦を巻いて事態が錯綜していたことを。 昨日の災難はまさに俺たちが問題の渦中に放り込まれたというだけで、こいつが静かであるのは、ただ、台風の中心は不気味に静かだということだったんだ。 以前の俺は、あいつらに勝手にやってろなどと言ったこともあったが……今は違う。 この一年、俺はハルヒたちに散々な目に合わされ、自分の生き方が大きく変わってきた。 だが、振り返ればわかる。 これはもちろん、散々楽しいことを俺たちSOS団が行ってきた結果、俺の世界が大いに盛りあがったということだ。 だからというわけじゃない。俺は当然のこととして、今回の問題にぶつかることとなる。 それが動き出したのは、午前の部の中休みの谷口と国木田との会話からだったのだろう。 そして、この事件の中心人物は二人いる。 一人はもちろんのこと、そしてもう一方は当たり前であった。お気づきだろうが、あえて名前を呼ばせて頂く。それは――、 ハルヒ。 長門。 ……事件は、俺の予想斜め上で降りかかる。 なあ、教えてくれないか? お前たちの願いってのは……一体なんなんだ? 第七章