約 840,473 件
https://w.atwiki.jp/magicman/pages/1031.html
凄艶なる鎧亜のエルフ UC 闇/火/自然文明 (6) 呪文 ■マナゾーンに置く時、このカードはタップして置く。 ■相手の手札を1枚見ないで選び、捨てさせる。 ■相手は多色ではないカードを1枚、自身のマナゾーンから持ち主の墓地に置く。 作者:赤烏 フレーバーテキスト DMW-06 「超越編 第2弾 思想王国の旅(エキセントリック・ディグレース)」DMWC-14 「デュエリスト・スペシャル2 ロード・オブ・ディメンションズ」その舞は見る者を魅了し、絶望の物語を奏で、民達は踊らされる。やがて舞は、終末そのものを描き出す。 収録 DMW-06 「超越編 第2弾 思想王国の旅(エキセントリック・ディグレース)」 DMWC-14 「デュエリスト・スペシャル2 ロード・オブ・ディメンションズ」90/140 評価 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/4272.html
前ページ次ページゼロのエルクゥ 清らかな竪琴の調べが、森の木々に吸い込まれては消えていく。 「はぁ……」 魔法学院の石造りの住居とは全く違う、曲線の残る木材を大まかに組んだだけの民家の窓辺で、少女は竪琴を奏でていた。 木々の隙間から垣間見える宵の空には、見事な蒼紅の双月。 月の光は淡く、少女の浮かび上がるような細く長い金の髪を照らし出していた。 「…………」 その表情は、暗く沈んでいた。 彼女自身に、特に何か悲しい事があったわけではない。しかし、近いうちに、彼女の住む土地が多くの悲しみに包まれるであろうと、昨今聞く街の噂と、虫の知らせのような予感が教えてくれていた。 竪琴を爪弾けば、その予感はますます強くなる。 寂しい、という気持ちは、常にある。 故郷を思っても、仇敵同士の混じりものである自分に、果たして本当の意味で『故郷』などというものがあるのか。 考え始めると、いつも袋小路に嵌り込んでしまう。 「…………」 村の子供達は、好きだ。 森の自然も、好きだ。 今の生活に不満はない。むしろ幸せだった。 けれど、湧き上がる寂寥感がなくなる事はなかった。 「おともだち……かぁ」 いつか、世話になっている姉代わりの女性が言っていた事を思い出す。 子供の世話が出来る甲斐性も、大人の機嫌を窺える愛嬌も、同年代の友人を得るには必要ない、と。 その意味はまだよくわからないが、何の隔たりもなく触れ合える『おともだち』というものが、少女の傍にいないのは確かだった。 金色の海から突き出た尖った耳がそれを困難たらしめている事には、少女も気付いている。そして、怖れても。 「……動物なら」 小さい頃に物語の本で読んだ、人の言葉を話す使い魔のネコのおとぎ話を思い出して、そんな事を思った。 メイジの少女と使い魔のネコとの心温まる交流が描かれていて、屋敷から出られなかった少女は、夢中になって読んだものだった。 「……呼んで、みようかな」 系統魔法の才能は全くなく、使える魔法と言えば、ふとした折に覚えた、人の記憶をちょっと忘れさせるものだけ。 成功するかどうかも怪しい事が、ちょっと試してみようかな、というささやかな気持ちを、実行へと移させた。 「『世界のどこかにいる誰かさん。私と一緒にいてくれる使い魔さん。もしこの声が聞こえたら、私のところに来てください』」 それは、物語の中の少女が唱えていた呪文。 神秘も秘儀も何もない、純粋な願いの魔法。 本来ならばささやかすぎて誰にも届かなかったはずの、小さな小さな夜更けの願い。 「なぁーんて、ね。こんなので使い魔なんて呼べるわけが……って、えええっ!?」 しかしそれは、遠く遥か異世界の少女の強い願いと結びつき、その効果を世に現したのだった。 ぎゅいん、と耳障りな音とともに、少女の目の前に緑色の鏡が忽然と現れる。 その表面に波紋が波打ち……水面から飛び出す魚のように、何かが中から飛び出てきた。 「く、ううっ……」 「あ、ああ……」 それは、人だった。 烏の濡れ場のような漆黒の髪を肩で切り揃えた、小柄な女の子。 「……ここは……?」 女の子が床に降り立ち、鏡が、出てきた時と同じように、忽然と立ち消える。 頭を押さえながらキョロキョロと周囲を見回し、驚いたのか、少しだけ目を見開いたりしている。 「あ、あう……」 少女は、動けなかった。 使い魔召喚の魔法で、人を呼んじゃうなんて。 しかも、自分と同い年ぐらいの女の子を。 見知らぬ他人に対する警戒心と、理解の及ばない現象に対する混乱で、少女の口はあうあうと呻きを漏らすだけだった。 「あなたは……?」 女の子の目が少女をとらえ、小さく疑問の声を発した。 少女はビクリと体を震わせたが、目の前の女の子の瞳に戸惑いが宿っているのを見て取り、小さく深呼吸した。 「てぃ、ティファニア。ティファニアよ。ここはアルビオンのウエストウッド村。あ、あなたのお名前は?」 「……柏木、楓」 双月の光が、二人の少女の出会いを静かに見守っていた。 前ページ次ページゼロのエルクゥ
https://w.atwiki.jp/rsnovel/pages/65.html
タトバ山脈のエルフ 私達は静かに、そして平和に暮らしていました 母なるタトバ山脈に抱かれて そう あの日までは その男達は突然現れました 一人は竜皮を剥いだ衣を身に纏い、背に片欠けの羽根を持ち もう一人は全身を鎧で包み込み、身の丈程もある盾と鈍器を持っていました 人間の冒険者がこんな場所まで来ることも珍しいと、遠巻きに眺めていたら 同属の悲鳴が聞こえてきました 彼らに仲間が殺されたようでした 私は怒りに震えました 私達はただ静かに暮らしていたいだけなのに 武器を取り私も向かいました エルフの戦士達も一緒に駆けつけて来てくれました しかし私の武器は非力な弓 竜皮の鎧を貫くことも出来ず、傷は回復魔法で即座に癒されてしまいました 鎧の男は鈍器で仲間を殴りつけ、片羽の男は手から光輪を作り出し それを次々に投げていました その光輪に当たった仲間は無残にも切り刻まれてしまいました 駆けつけて来てくれた仲間達もほぼ全滅し、とうとう私だけになっていました 私は弓を構えました 足は竦み、体はガクガクと震えています ちらりと横目を向けると、つい先程まで談笑していたエルフの戦死の亡骸が見えました 私は溢れ出る涙を堪え、弓を引きました 引いたはずでしたが、何故か矢は飛びませんでした 立って居るはずなのに、何故世界が横たわって見えるのでしょう そこで自分は倒れているのだと気が付きました 起き上がろうとしましたが腕に力が入りません 見たら右腕が肩から無くなっていました ああ 光輪にやられたのか 意識が薄らいできました まだ私にはやらねばならない事があるのに 仲間の仇を 平和だった私達の生活を 私は 「ここ不味くね?」 「お前何レベルだよ」 「283wwww」 「不味いに決まってるだろ」
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/5093.html
前ページ次ページゼロのエルクゥ ニューカッスル城の決戦は、数時間の戦いとも言えぬ戦いの後、王党派の勝利で幕を閉じた。 まさに、始祖ブリミルのお導きとしか言えない、思いもかけずもたらされた勝利に、王党派軍の貴族達は狂喜の歌を歌いながらニューカッスルに凱旋したのだった。 「すると、ヴァリエール嬢は彼女らに連れられていったというのだね?」 「はい。同じ学院の制服を着ていましたし、正直、今以上の治療は、ここでは無理でしたもので……」 「いや、いいよ。このままここに置いておくよりは安全だろうからね。ご苦労だった。水メイジの皆には、ゆっくり休んでくれるよう伝えてくれ」 「は、はいっ。失礼しますっ」 負傷したルイズの世話係につけておいた水のラインメイジの女性の報告を聞いて、ウェールズは静かに胸を撫で下ろした。 先の吶喊に失敗した場合、非戦闘員を乗せて脱出するマリー・ガラント号に同乗させる予定だった。 これ以上ない勝利を収めた今、とりあえず脱出船を出す必要はなくなったが、まだ内乱が終わったわけではない。彼自身の心情としては、ルイズ一人だけでも乗せて送り返したいところだったが……状況がそれを許さなかった。 王党派唯一の艦船だったイーグル号を焼き討ち船にしてしまったので、マリー・ガラント号を手放すわけにはいかないのだ。 女性メイジの報告は、言い方は悪いが―――渡りに船、というところだった。 ちなみに、マリー・ガラント号とその船員は、王党派に雇われる形になっていた。首都の王城、ハヴィランド宮殿が陥落する際に持ち出した財宝は、硫黄の代金を補って余りあった。 「さて、頭を失った彼らがどう出るか……」 「人形が影武者でなければよいのですがなぁ」 「祝宴中に不吉な事を言わないでくれよ、パリー」 出陣前の最後の晩餐であったパーティの用意は、勝利を祝う宴へと看板を替え、盛大に実施されていた。 勝利の熱狂に酒精が振る舞われる中、伝令の兵士が息を急ききってその場に飛び込んでくる。 「ほ、報告致します! レコン・キスタ軍旗艦『レキシントン』号、サー・ヘンリ・ポーウッド艦長より入電! 『我ら『レキシントン』以下、レコン・キスタ艦隊全艦艇、王党派に降伏の意を示す』『レキシントン』号は砲門を閉じ、白旗を掲げています!」 「しゅ、首都ロンディニウムよりの風竜便!? 『我ら裏切りの事実無し。陛下に変わらぬ忠誠を』!?」 「シティオブサウスゴータからの報告!」 「こちらはロサイスからです!」 そして、勝利に沸くニューカッスル城に次々ともたらされる報告は……2年に渡るアルビオン内乱の終結を意味していた。 「それらの報告、間違いないのだね?」 「はっ! ロンディニウムに置かれていたレコン・キスタ首脳部は高官がすべて原因不明で気絶し機能を喪失。シティオブサウスゴータ、ヤーマス、ロサイス、スカボロー、ハリッジ、ハートルプール等、各主要都市も同じ状況のようで、次々と恭順の意を示してきています」 祝宴から一転、緊急の軍議が開かれる。舞い込む報告の山に、居並ぶ貴族達は微妙な表情をしていた。 反乱軍総司令官オリヴァー=クロムウェル討たれるの報が島中を駆け巡ると同時に、各都市、各艦に待機していた司令官達がばたばたと倒れたというのだ。 「……パリー。偽りの白旗である可能性は?」 「低いでしょうな。負けた場合に仕込んでおいた、と考えられなくもないですが……此度の戦いにすらそんな場合を想定しておくような策謀を持つ軍師がレコン・キスタにいるのならば、自分らはとっくの昔に始祖の元に召されておるか、叛徒どもを蹴散らしておる事でしょう」 「違いない」 そしてロンディニウムに使者を送れば、報告が事実であったのみならず、さらに異常な事が次々と発覚する。 その気絶した高官達全てが、内乱の蜂起時からのメンバーや、ここ一番という戦いで貴族派に寝返った将であり……そして、目覚めた時にはそれらの事を覚えておらず、ある一定の時からの記憶がないと言うのだ。 それは例外なく、彼らがクロムウェルと対面した時からであった。 蜂起時のメンバーである一人の領主などは、自らの記憶から2年が経っていると聞いて冗談を言うなと笑い飛ばし、その後に成長した娘の姿を見て驚愕の余りもう一度気を失ったという。 何らかの精神操作の術で、この反乱は『起こされた』のだ。 「……そういうカラクリか。ガリア王ジョゼフ、なんと卑劣な……!」 「アルビオン騎士の精強さ、教育してやる必要がありそうですな」 「ああ!」 クロムウェルのスキルニル、その最後の言葉を聞いていたウェールズはそう結論付け、それらの証言を全て信用し、咎めをなしにするという英断を下した。 それにより、アルビオンの内乱は速やかに収まっていったのだった。 § ガリア王国とトリステイン王国の国境にその水を湛えるラグドリアン湖の畔には、二つの家が存在する。 一つはトリステイン側、先代までラグドリアン湖に住む水の精霊と王家との交渉役を任されていたモンモランシ家がある。失態を犯した今はその役から外され、湖畔部だけは別の家の土地となってしまっているが、国替えとまでは至らなかった。 そしてガリア側は、ガリア王家の直轄領となっていた。畔から少し離れた森の中、世を忍ぶようにひっそりと、一つの屋敷が建っている。 掲げる家門は、交差した二本の杖。ガリア王家の紋章である。 しかしその紋章には、赤くバツの字が描かれていた。不名誉印と言い、王族でありながら、相続権を失った証であった。 「失礼、ここはオルレアン王弟家でよろしかったでしょうか?」 「……その通りですが。失礼ながら、どなた様でしたかな」 その屋敷の門を訪問者が叩くのは、非常に珍しい事であった。 緑色の司祭服に身を包んだ、冴えない中年の司教といった風情の男だった。この屋敷に唯一仕える従僕の老人は、怪訝な顔を隠せないままに応対する。 「オリヴァー・クロムウェルと申すしがない司教です。……サイト・ヒラガ殿の使いにより参りました」 司教が答えると、老執事が目を剥いた。 瞬時に、彼から言い含められていた言葉を思い出す。 「……『えいちえむえっくすとぅえるぶ』とは?」 「『まるち』……でよろしかったですかな」 老執事の口にした暗号のような問いに、司教―――クロムウェルが答えると、老執事は喜色を満面に浮かべた。 「おお、おお! それは確かにサイト様が残した合言葉! 大変失礼致しました。私、この家に仕える執事、ペルスランと申します。不明をお許しください」 「事情は概ね聞いております。気にしてはおりませぬ」 一礼し、門をくぐるクロムウェルの右手には、深い藍色の石を載せた指輪が静かに光を湛えていた。 § 「サイト!? あんた、アルビオンに行ってたはずじゃ……?」 「ちと野暮用でね」 ガリア王国の王城、ヴェルサルテイル宮殿は、王国首都リュティスの郊外に位置する。 今も各地から集められた職人達の手によって拡張を続けているその宮殿の中心、青いレンガで作られた巨大な王城『グラン・トロワ』が、王の居城である。 そして、そのヴェルサルテイル宮殿の端。桃色のレンガで作られた離宮『プチ・トロワ』の主、王女イザベラは、座っていた椅子の裏に突然現れた訪問者に目を丸くした後、どこか安堵したかのようにその表情を緩めた。 「はン、私に会いにくるのが野暮だってのかい? 使い魔サマは随分と偉くなったもんだねえ」 「そ、そういうわけじゃねえよ」 王女の座る謁見用の椅子の裏に出現した怪しいローブ姿の男を見ても、傍付きの侍女は驚く素振りも見せなかった。 いや、それどころか……男に向かってツンとした態度を取る王女に、どこか微笑ましいものを見るように―――例えるならそれは、初々しく手を繋いで頬を染め合う学生カップルを見かけた時のような―――顔を綻ばせてさえいる。 「それで? ホントにただ会いに来ただけって訳じゃないんだろ?」 「ああ。実はな―――」 ―――ローブ姿の彼、サイト・ヒラガ……日本人、平賀才人がこのハルケギニアに召喚されたのは、今から4年か、5年ほど前の事になる。 § その日才人は、両親と温泉旅行に出かけていた。まだ元気印の中学生だった彼はその名前まで知らなかったが、北陸地方のどこかだったとはおぼろげに覚えている。 温泉街の中心にあるとんでもなく大きなホテルにチェックインし、その豪奢さに目を輝かせながら、さて観光地巡りだと街に繰り出す。 そして、お土産選びに夢中の両親から少し離れ、自動販売機でジュースを買おうとした時だった。 手を滑らせて、お金を落としてしまう。そのまま、ころころと転がっていく100円硬貨。 中学生にとって、自由に使える100円はとても貴重である。 いつもはケチんぼな両親も旅行となればさすがに財布の紐は緩くなるのか、才人は特別にお小遣いを貰ってはいたが、だからといって目の前で100円がなくなるのを黙って見ているほど才人はセレブな感性を持ち合わせていなかった。 才人は、転がっていく100円玉を慌てて追いかける。その時だった。 「あらあら。はい、どうぞ」 と、自らの足元に転がってきた硬貨を拾い上げ、才人に差し出してくる人影。 「…………」 才人は、思わず見とれてしまった。それが、とんでもなく綺麗なお姉さんだったからだ。 才人より少し年上の、高校生ぐらいだろうか。整った顔立ちは薄く微笑みを浮かべ、まっすぐに伸ばされた鴉の濡れ羽色の髪がセーラー服の襟に掛かって、そよそよと風に揺れている。 「あれ、あなたのじゃなかったかしら?」 「あ、は、はいっ。お、俺のっす!」 慌ててその手から100円玉を受け取った。真っ白で綺麗な指が微かに触れて、才人の心臓は大きく跳ね上がった。 「ど、どうもありがとうございましたっ!」 「うふふ。元気な子ね。はい、どういたしまして」 にっこり、と笑いかけてくれる。 かーっと顔が熱くなった。才人は恥ずかしくて地面を向いてしまう。 「千鶴姉ーっ。何してんのさーっ」 「ああ、今行くわよ梓。それじゃあね」 ばいばい、とそのお姉さんは才人に向かって軽く手を振り、妹達なのだろうか、近くにいた彼女より歳下らしい女の子達の輪に戻っていく。 顔を上げ、ぎこちなく手を振り返しながらぼーっとそれを見ていた才人だったが、次の瞬間、その顔が驚きに歪んだ。 お姉さんの歩いていく先に、突然、光り輝く大きな鏡のようなものが現れたのだ。 向こうに歩いていきながらこちらに向かって手を振っているお姉さんは、それに気付かない。 「お姉さん、危ないっ!」 「えっ!?」 才人は、考える前に飛び出していた。 どんっ、とお姉さんを横に突き飛ばし、謎の物体との衝突を避けた―――まではよかった。 「うわわわわわわっ!?」 問題は、考えなしに飛び出したためにその勢いを殺しきれず、才人自らがその物体に突進してしまった事であった。 来るべき衝突の衝撃に目を閉じる才人。だがそれは訪れなかった。 あれ? と首を傾げて目を開けた時、視界に入ってきたのは、その鏡がまるでスライムか何かのようにてろりとその形を変え、才人を中に飲み込もうとするところだった。 辺りが真っ白な光に包まれ、いつの間にか気が遠くなっていき……。 「ほう。貴様が俺の運命とやらか」 「へ? へ?」 気が付いたら、まるでドラクエかFFかというような大広間の玉座に、王様が座っていた。 いや、服装こそ王様でおっさんだけど、顔はなんだか……タチの悪い近所のガキ大将みたいだ、と、混乱する頭で才人は思った。 ……そのすぐ後、そのおっさんに無理矢理ファーストキスを奪われてしまったのは、恐らく才人にとって一生のトラウマだ。 そして、その悪夢のようなマウストゥマウスから解放された直後、才人の頭に割れるような痛みが走る。 息も絶え絶えにそれが収まった時―――彼は、神の頭脳を得たのだった。 § 「―――まあそんなわけでね。その変な怪物のせいでアルビオンが負けちゃったんで、帰ってきたトコ」 「そうか。まあ、お父様の思う通りに事が運ばなくって良かったってぇところだが」 アルビオンで自らが行っていた事について話し終わった才人は、やれやれと肩を竦めた。 「一応仕込みはしといたから、すぐに元に戻ると思うけど……」 「しばらく混乱は免れないだろうな。わかった、それはこっちでなんとかしておくよ。その怪物ってのも調べとこう」 「ああ。ありがとう、イザベラ」 「フン。とってつけたような礼なんて言うんじゃないよ、気持ち悪い」 ぷいっと顔を背ける蒼い髪の少女の頬は、微かに赤くなっている。侍女達の含み笑いが少しだけ強くなった。 「……なあ、サイト」 「なんだ?」 「何とか、なりそうなのか?」 「ああ、何とかしてみせるさ。この間いいものも見つけたしな」 「そう、か……」 二人以外にはわからない、秘め事めいた会話を交わすと、イザベラは表情を曇らせて俯いてしまう。 「俺に任せなって。タバサの母さんの方は何とかなったんだ。絶対、あいつを元の優しいお父さんに戻してやるからさ。な?」 「うん……」 「ははっ。いつもそうやって神妙にしてりゃ可愛いのに」 「……っ! 馬鹿ばっか言ってないで、用が済んだらさっさと行きなッ!」 「おう。じゃあなー」 笑いながらフードを目深に被ると、サイトは風景に溶けるようにして消えてしまった。 「……ったく、あいつは……っ!」 腹立たしげに椅子に座り直したイザベラの表情がどこか嬉しそうだったのは、侍女達だけの秘密である。 § 「……貸し出せし秘宝、確かに返してもらった」 「精霊のお慈悲に感謝致します」 「よい、単なる者よ。『サイト』『クロムウェル』のお前達二個体は、我との約束を守った。我がそれに応えるのは当然の事」 ラグドリアン湖の水面からにょっきりと人の形―――それは、サイトにそっくりの、全裸の少年姿だった―――に生えていた水が、その手の中に乗せられた藍色の指輪と共に、ちゅぽん、と水の中に沈むように消え去っていった。 それは、水の精霊と呼ばれる、古き水の魔法の力を今に伝える全能の存在であった。 「やァれやれ。これで一仕事終了、だな」 「地下水君は、どうするんだい?」 湖畔に跪いていた緑色の司教服を来た男、クロムウェルが立ち上がり、膝についた砂を軽く払った。 その手に持たれた短剣から、気だるそうな声が聞こえてくる。 「あいつも言ってただろ? 適当なチンピラにでも渡してくれれば、勝手に帰るさ。ったくめんどくせぇ。なぁにが、『きちんと仕事してる人を操ったらその人の家族が心配するから、取り付く奴は選べ』だ」 「はは。でも、その通りだと思うよ。急に人が変わったり、どこかに行ったりしてしまったら、本人も周囲の人も困ってしまうからね」 空を見上げる。ラグドリアン湖は、今日も変わらず、その風光を明媚に保っていた。 「サイトくん、どうか無事に生きてくれよ」 すっかり忘れてしまっていた始祖に対する祈りの礼式を思い出し、湖に向かってそれを行うと、クロムウェルは静かにその場を立ち去っていった。 § 「それは事実なのですね? ユーヤ」 「ああ。間違いはない」 その部屋は、まるで図書室か、魔法アカデミーの研究員の部屋のようであった。 様々な本や書類の類が、机や床にまで雑然と詰まれている。一目見せられただけでは、とてもここが―――宗教皇国ロマリアの中心部、ロマリア大聖堂の教皇謁見室だとは思わないだろう。 「俺以外のエルクゥが、この世界に現れた」 部屋に立つ二人の男のうち、ユーヤと呼ばれた、ハルケギニアではあまりに奇妙な服―――それは、彼の世界では背広と呼ばれるフォーマルスーツである―――を着た黒髪の、がっしりとした体つきをした男は、静かに言い放った。 「そうですか……虚無が、胎動し始めたのですね」 「お前が言うのなら、そうなのだろうな」 もう一人、こちらはどこか線の細い印象を受ける、流れるような金の髪を長く伸ばした男だった。 彼―――ロマリア宗教庁教皇、聖エイジス三十二世、ヴィットーリオ・セレヴァレは、手に本を広げ、薄く微笑みを浮かべたまま、男の話を聞いている。 「あなたは、どうするのですか? ユーヤ」 「……どうもしない。お前が決めた事に従おう」 「良いのですか? 同じ世界の、仲間なのでしょう?」 「顔を少々見知っているだけさ。一方的にな。それに―――」 黒髪の男―――柳川裕也は、不思議な紋様の刻まれた右手を掲げ、自嘲気味に笑う。 「―――どうせ、お前に拾われなければ、エルクゥに押し潰されていた存在だ。お前の好きに使うといい」 ゆっくりと、その右手の紋様が光を放ち、明滅する。それは―――彼の体内の猛獣が、完璧に制御されている事を示していた。 「わかりました。ありがとうございます」 ヴィットーリオは、静かな―――人が浮かべるにしては静か過ぎる、どこか狂気さえ感じられる微笑みを、崩さないままだった。 「きょ、教皇猊下! ほ、報告致します!」 「それほど慌てて、どうかしたのですか。落ち着きなさい」 そこに、息せき切った様子で、純白の鎧に身を包んだ聖堂騎士が飛び込んできた。 「せ、"聖地"への密偵からの急便です! "聖地"に、巨大な山が現れた、と!」 ―――教皇の微笑みが、微かに深くなった。 前ページ次ページゼロのエルクゥ
https://w.atwiki.jp/aniwotawiki/pages/35278.html
登録日:2016/10/07 Fri 00 27 40 更新日:2024/05/16 Thu 20 55 22 所要時間:約 7 分で読めます ▽タグ一覧 てれコロコミック アンノウン エルロード オリジナルキャラクター ドジョウすくい マンモス マンモス怪人 ライダー怪人 ライノロード ロード怪人 上級怪人 仮面ライダー 仮面ライダーアギト 単行本未収録 吸血マンモス 坂井孝行 大地のエル 平成ライダー 漫画 漫画オリジナルキャラクター 漫画オリジナル怪人 漫画版仮面ライダーリンク 超ロード 超越生命体 「大切な人々を守るために、いま、アギトたちが立ち上がる!!」 2001年刊行の『月刊コロコロコミック1月号増刊 てれコロコミック冬休み増刊号』に掲載された、 坂井孝行による読み切り漫画『仮面ライダーアギト 3大ライダーVS超ロード』に登場した怪人。 映像作品には登場しない、同漫画オリジナルのアンノウンである。 本項では大地のエル共々漫画に登場した、ライノロードも併せて解説する。 【個体解説】 種族:超越生命体(高位の使徒) 呼称:大地のエル 身長:不明 体重:不明 専用武器:巨大な槌(名称不明) 能力:大地の力を行使する。 マンモスに似た高位の超越生命体で、作中で自分自身らのことを明確に「超( スーパー )ロード“エルロード”のひとり、大地のエル」と自称している。 大地の力を借りて行使する能力を有し、自身の身の丈の2倍以上はあるであろう巨大な鎚を土塊から創造し、軽々と扱う。 名前が似ている地のエルとの関係は不明。 デザインモチーフはインド神話のガネーシャ、並びに『仮面ライダーV3』に登場した二代目デストロン大幹部・キバ男爵の怪人態である吸血マンモスと推測される(事実、マンモスの足状となっている吸血マンモスの左手は、大地のエルの武器と同様に鎚の役割を果たしている)。 作中では2体のライノロードを僕として使役し、彼らの能力で作ったバリヤーに風谷真魚を閉じ込め、圧殺しようと目論む。 もっともこの際、真魚にアギトにテレパシーを送るよう呼びかけており、その主目的は超能力者に対する不可能殺人よりも 彼女を囮にして、自身らにとって最大の障害たる仮面ライダーアギト/津上翔一を誘き寄せ、始末する事だったと思われる。 駆け付けてきたアギトに対しライノロードを差し向け、真魚の救出に手一杯なアギトを一方的に痛めつけたが 加勢に現れたギルス&G3-Xによって形成を逆転され、3大ライダーを前にその力を振るう事となった。 基本的な行動理念は他のエルロード同様、闇の力の意思に沿ったものと思われるが、 児童誌の読切漫画という媒体の都合上、映像作品のアンノウンと比較するとかなり饒舌かつ感情豊かな印象を受ける(後述)。 ちなみに「超ロード」と名乗っていることから、後述するように単行本収録されてないこともあって 通常のエルロードよりの高位の「超エルロード」と誤解される事もあるが、 実際の漫画作中では「超ロード=エルロード」という旨の台詞であるため、映像作品でいえば他のエルロードと同格の怪人と思われる。 【ライノロード】 種族:超越生命体(使徒) 呼称:ライノロード 身長:不明 体重:不明 専用武器:素手 能力:不可視のバリヤーを発生させる 殺害方法:対象をバリヤーの檻の中に閉じ込め、徐々に範囲を狭めて圧殺 サイに似た超越生命体。作中では白色と黒色(*1)の2体が、大地のエルの配下として登場。 作中では大地のエルから「ライノロード」とのみ呼ばれ、各個体名は不明。 大地のエルの従僕という立ち位置からか、神官を思わせるデザインをしている。 額の角から不可視のバリヤーを発生させる能力を持ち、 不可能殺人の際にはこれで対象を檻のように囲み、徐々に範囲を狭めて押しつぶすという手段を取る。 またこの強固なバリヤーは当然のことながら戦闘にも転用可能であり、 対アギト戦では2体分のバリヤーで大地のエルを守護し、3大ライダーの猛攻すらもこれで凌ぐという強固ぶりを見せたが…… 【劇中の経緯】 ある日、公園を歩いている途中に壁にぶつかり転倒してしまう真魚。 誰が道のど真ん中に壁を作ったのだと苛立つも、目の前には壁などなく、自身が不可視の壁に囲まれていることを知る。 声すら遮断してしまうバリヤーに包まれて焦る彼女の前に姿を現したのは、超越生命体・大地のエル。 テレパシーで津上翔一/仮面ライダーアギトを呼びよせるよう煽ってくる大地のエルを前に、自身が囮として捕まった事を悟った真魚は 「ウチの同居人は…ものすごいやつなんだからっ!!」と気丈に振る舞い、翔一に助けを求めた。 同時刻、真魚の言う「ものすごいやつ」……津上翔一は、美杉教授と共にクリスマス会の出し物であるドジョウすくいの練習をしていた。 真魚のSOSを受けてすぐさまバイクを走らせながらも、テレパシーの微弱さ故に場所を中々特定できず街中を駆け回る翔一、 偶然その姿を見た氷川誠と葦原涼も、真魚に危機が迫っていることを知る。 徐々に狭まりつつあるバリヤーに真魚が追い詰められる中、翔一が到着……すぐさま、仮面ライダーアギト バーニングフォームへと変身。 「アギト!! バーニングフォーム!!」 大地のエルに殴りかかるも、その行く手を阻んだのは、敵の僕である2対のライノロードが発生させた不可視のバリヤー。 自らの眷属が誇る強固な防壁は、半端な力では破ることなど叶わぬと大地のエルは豪語する。 余裕たっぷりの敵を前に、アギトは怯むこと無く「こいつのパワーはハンパじゃないぜ!」とシャイニングカリバーを召喚。 真魚を拘束しているバリヤーに亀裂を入れ、彼女に早く脱出するよう促す。 しかし、それでも流石にライノロードのバリヤーは半端なものではなく、バーニングフォームのパワーをもってしても バリヤーに亀裂を入れ続けることで精一杯であり、その隙に乗じてライノロードが卑劣にも背後から襲撃。 真魚は自分に構わず戦うようアギトに懇願するが、そんなこと出来るはずもなく、危うく共倒れか…… 絶体絶命のピンチに陥ったアギトを救ったのは、ライノロードに襲い掛かったGX-05 ケルベロスの銃弾と、絡みつくギルススティンガー。 ……そう、氷川誠こと仮面ライダーG3-X、葦原涼こと仮面ライダーエクシードギルスが、アギトの援軍として現れたのだ。 「エクシードギルス!!」 「G3-X!!」 雄々しく名乗りを上げて姿を見せた2人の仮面ライダーの参戦によって戦況は3対3に縺れ込み、 エクシードギルスとG3-Xはそれぞれライノロードを、アギトは大地のエルに攻撃を仕掛ける。 アギトは一気に決着を付けるべく、シャイニングフォームへと変身。シャイニングカリバーで敵に斬りかかるも 大地のエルは周囲の土塊から巨大な棍棒を創造すると、いとも容易くアギトの攻撃を防ぐ。 「超ロードか、おもしろい!」 「やりましょう!」 「エクシードギルス!G3-X!」 「GX-05 ケルベロス!!」 「ギルススティンガー!!」 強敵・超ロードの出現を前に戦意湧きたつ仮面ライダー達は、各々の得物を振るうもライノロードの強固なバリヤーに阻まれ、 更にそれを縫って放たれる大地のエルの攻撃に翻弄されてしまう。 このままではジリ貧……何としてでも敵に打ち勝つべく、アギトは一か八か、自身に宿る「光」を開放した。 アギトの紋章が描かれると同時に、アギト シャイニングフォームの身体が光輝く。 「エクシードギルス!G3-X!力を貸してくれ!」 「おう!」 「3人の力を合わせれば――、」 「力を合わせれば不可能などない!」 ライダーキックを放ったアギト、エクシードギルスとG3-Xもそれに続く。 アギトから解放された眩いばかりの光を浴びたことで、エクシードギルスとG3-Xの身体にも力が漲ってゆき、 強化されたライダーキックの一撃は、バリヤーすらも粉砕しライノロード2体を吹き飛ばした。 そして、残るは大地のエルただ一人……だが、バリヤーをも突破した3人のライダーキックは、大地のエルの棍に阻まれる。 強者の余裕を見せる大地のエル……が、次の瞬間、得物の棍が音を立てて砕け散り、 ライダー達の猛攻を抑えられなくなってしまった超ロードに、3人の仮面ライダーの必殺の一撃がお見舞いされた。 「トリプル・シャイニング・ライダーキィィィィック!!」 遂に粉砕された大地のエル。3人の仮面ライダーは、熱く握手を結ぶのだった。 戦いは終わり、変身を解いて真魚のもとに駆け付けた翔一……そんな彼に真魚が見舞ったのは強烈なビンタ。 涙目になる翔一に、もっと自分自身の命を大事にするよう怒る真魚の姿を、葦原涼と氷川誠も微笑ましく見守るのだった。 「3大ライダーが力を合わせれば、不可能なことなどないのだ!!」 【台詞】 「ク、ク、ク、むだだ。そのバリヤーは、どんな声も通さぬ!」 「さあ、キミのテレパシーでアギトを呼びたまえ」 「わがしもべ(・ ・ ・)ライノロードのバリヤー。ハンパなことでは破れぬ!」 「ほう…ライノのバリヤーを破るとはやるな…だが!!」 「ヤツは今、動けぬ。やれ!」 「む!?何者だ!?」 「大地の力を借りただけだ」 「わたしは超(スーパー)ロードエルロードのひとり、大地のエル!!」 「クククククク!こちらの番だ!」 「クククククク。そんな攻撃ではわしの棍にヒビを入れることさえできぬわ!」 「な、なにッ!?おおお!!」 「ぐ…、ぐわああ!!」 【余談】 大地のエルの登場エピソード『3大ライダーVS超ロード』は、同作者による『G3-Xvs機動装備G2』に引き続き、てれコロ誌で掲載された作品。 元々コラボ企画で製作された本誌は実質今回で終了したため、こちらも2016年時点に至るまで単行本収録の機会は得られていない。 Gシステムのロストナンバー登場と言う本編補完の側面が強かった前作と比べると、 本エピソードは漫画オリジナルのエルロード相手に3大ライダーが協力して立ち向かうという、映像作品以上にヒーロー活劇としての方向性が強められた内容となっている。 その為か仮面ライダー側もアンノウン側も、堂々と名乗りをあげたり、必殺技の名前を熱く叫んだりととかく饒舌であり、 本編のイメージで漫画を読むと盛大に面食らうこと間違いない。 追記・修正は、ドジョウすくいをマスターした人がお願いします。 △メニュー 項目変更 この項目が面白かったなら……\ポチッと/ -アニヲタWiki- ▷ コメント欄 [部分編集] 妙に仲が良く堂々と名乗りを上げるライダー達…ここは…龍騎スーパーバトルビデオの世界か…? -- 名無しさん (2016-10-07 13 22 02) 確かにハイパーバトルっぽい -- 名無しさん (2016-10-07 16 32 46) インドの神ガネーシャモチーフのデザインが面白いが、配下のライノロードもサイの鎧のような皮膚と神官を合わせたデザインが秀逸。そのままTV版に出ても違和感なかった。 -- 名無しさん (2016-10-07 16 39 36) どじょうすくいwww -- 名無しさん (2016-10-07 19 21 10) 面白かったことは確かだけど、氷川さん葦原さん呼ばわりしない翔一くんに違和感ががが -- 名無しさん (2016-10-07 20 06 56) 俺達は! -- 名無しさん (2016-10-07 23 34 45) ↑2 コミカライズには、よくあること。 -- 名無しさん (2016-10-08 16 51 43) 大地のエルはデストロン大幹部であるキバ男爵の怪人態こと吸血マンモス、ライノロードはサイタンクがモチーフか -- 名無しさん (2017-05-18 20 36 43) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/originaltrpg/pages/30.html
分類 光のエルフ 体格 細身-華奢、身長は130-160cm程度、体重は35-55kg程度 寿命 長命、200-600歳程度 生態 食:植物を主食としており、薬草、魔草などから魔力を外部供給している。住:石積み、藁屋根のワンルーム型に3-5人を1つの家庭として生活しており、1集落毎に30-60家族で構成されている事が多い。戦:弓矢と魔法を使う。対峙する場合は必ず1対3以上を基本として高いチームワークで戦う。 弓矢 正確無比な射撃と小柄な体格を活かした、相手を翻弄する様に扱う。 魔法 光・聖・無の魔法を主軸に数多くの魔法を使いこなす。高い魔力から繰り出される魔法は強力である。攻撃のみならず防御や補助などほとんどの魔法を使うことができる。 その他 分類 闇のエルフ 体格 細身-華奢、身長は140-170cm程度、体重は45-65kg程度 寿命 長命、100-700歳程度 生態 食:植物を主食としているが、魔法的処理を施した肉なども食すことがある。住:マンション型の洞窟に1-3人を1つの家族として生活しており、1集落毎に10-20家族で構成されている事が多い。戦:魔杖と魔法を使う。 魔杖 魔杖は武具としてではなく、魔法補助として使われる。杖自体に魔法的処理を施し、自らを補助・強化する。 魔法 闇・邪・無の魔法を主軸に数多くの魔法を使いこなす。高い魔力から繰り出される魔法は強力で、他のエルフよりも強烈である。種類は攻撃に偏っているが全体的に扱うことができる。 その他 代を重ねる度により強大な魔力を得るように術式を施している。 分類 風のエルフ 体格 細身-華奢、身長は120-140cm程度、体重は35-40kg程度 寿命 長命、100-300歳程度 生態 食:植物以外を食べることがない。住:木の上や草原に藁で出来た家を建て、3-7人を1つの家族として生活しており、1集落毎に20-30家族で構成されている事が多い。戦:小弓矢と魔法を使う。主にやじりに毒などを塗り、相手を弱らせる戦術をとる。 小弓矢 利き腕に装着するタイプの小型の弓矢。 魔法 風・光・無の魔法を主軸に数多くの魔法を使いこなす。補助魔法に秀でており、特に移動に関する魔法が得意である。 その他
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/4181.html
前ページ次ページゼロのエルクゥ 「むぐ……」 水の底から浮かんでいくような意識の中、耕一がまず感じたのは、眩しさだった。 「……つぁ」 次いで、固くなった体の軋み。 講義中に突っ伏して寝てしまった時の感覚に似ていた。 「ふあああぁ……」 無意識に体を伸ばすと、がたん、と座っていた椅子が音を立てた。 覚醒していく意識を、コキコキ、と肩を上下させる事で補助しながら、耕一は大あくびを一つ。 「あー……しかし、椅子寝なんて久々だったなぁ」 去年、ゼミの課題が終わらなかった時以来だろうか。 エルクゥとして目覚めている以上、椅子寝だろうが床寝だろうが体調的には何の問題もないはずなのだが、20年ほど普通の人間やってた記憶からか、横になって寝れないと、どうしても、一日を終えて休んだという気がしないのだった ああ、楓ちゃんを抱き枕にしてゆっくり眠りたいなぁ。いい匂いのする髪に顔を埋めて思いっきりぎゅってしたいなぁ……。 「……朝っぱらから何考えてるんだ俺は」 いかん、結構重症だ俺。と、耕一は頭を振って、邪念を振り払う。 「お役目通り洗濯にでも行きますかね」 もう一度大きく伸びをして、忘れないようにとテーブルの上に畳んで置いておいたルイズの制服と下着を手に取った。 ルイズは、まだあどけなく寝息を立てていた。 貴族である学院の教師や生徒達はまだ寝ていても、奉公する平民達の朝は早い。 授業開始前の朝食の時間までに学院に住む人々全ての朝食を作らねばならない厨房をはじめ、日の出の前から既に仕事を始めている。 外に出れば、ぱたぱたと駆け回るメイド達をすぐに見つける事が出来た。 洗濯なんてメイドに預けてしまおうか、とも考えたが、なんとなーく自分でやらないとまたルイズの機嫌がナナメに傾いてしまうと思ったので、洗濯道具と干す場所を借りるだけにしておいた。 「うほー冷て。眼は覚めるけどなぁ……」 水汲み場から冷たい水をタライに張り、洗濯板でゴシゴシ。 水を切って干し場に干したところで、ちらほらと食堂に向かう生徒達の姿が現れ始めたので、軽い急ぎ足で部屋まで戻った。 「ルイズちゃん、朝だよ」 「う、うぅーん……」 寝入っているルイズの肩を揺らすと、軽いうめき声。 「……寝てると初音ちゃんに似てるなぁ。起きてると梓だが」 柏木4姉妹が次女の耳に入れば即座に回し蹴りが飛んできそうな事を口走りつつ、肩を揺らし続けると、徐々にルイズの反応が良くなってくる。 「ふえぇ……?」 「起きた?」 「あんた、誰……?」 寝ぼけ眼を擦り擦り、幽鬼のように上半身を起こしたルイズの目には、生気が宿っていなかった。質感の良さそうな桃色の髪が、ピンピンと所々ハネている。 どうやら、ルイズは低血圧らしい。 「ルイズちゃーん、起きてるかーい。耕一お兄ちゃんですよー」 「……誰がお兄ちゃんよ。使い魔」 耕一がおどけてみせると、ルイズの瞳に光が戻った。 「はぁ。おはよう、コーイチ。ま、時間通りみたいね」 窓の外の太陽の角度をさっと見て、のろのろと起き出す。 「服取って。そこのクローゼットに入ってるわ」 「はいはい」 「下着。クローゼットの一番下」 「ほいほい」 言われた通りのものを取り出してルイズの側に置き、後ろを向く。 柏木家の女達は、皆自分で出来ることは自分でやる性質だ。こんな風に世話を焼くのは新鮮な経験だった。 いや、どちらかと言うと、世話を焼かれっぱなしだった。居候の分際で。 「何後ろ向いてるのよ。着せて」 「……はいぃ?」 おそるおそる後ろを振り向くと、ルイズはネグリジェ姿のままだった。 「従者がいる時には、貴族は自分で服なんて着ないのよ」 ……元の世界でも、昔の支配階級はそんな文化を持っていた、と、ゼミ仲間の由美子さんから聞いた知識を唐突に思い出した。 「はぁ。わかったよ。ほら、腕をあげて」 子供を着替えさせるだけだ。気にするな。気にしない。俺ロリコンじゃないから平気。そう。初音ちゃんだと思え。あの天使に不純な劣情を抱く事など出来ようか。(反語的な意味で 「ん。よし。じゃあ行くわよ」 自己暗示は辛くも成功したようで、意外と平気に着替えさせる事が出来た。うむ。大人の男はこんな事では動揺しないのである。 「俺もか?」 「使い魔召喚の儀式から初めての授業には、先生方へのお披露目という意味で、使い魔を連れてくるのが義務付けられているの。それに、私が居なくちゃ食堂でご飯が食べられないわよ?」 なるほどそれは重要だ、と頷き、戸締りを確かめて部屋を出ようとドアに手を掛ける。 「はーい、ルイズ。おはよう」 しかしてドアを開けると、一人の人影があった。 「……おはよう、キュルケ」 フランクに片手をあげて笑顔を浮かべたのは、よく日に焼けた褐色の肌と、燃えてうねるような赤く長い髪を持つ女性だった。 ルイズは、いかにも『何で朝っぱらからこんなヤツと』という面白くない顔を隠さないまま挨拶を返す。 ―――しかし……なんというか、目のやり場に困る。 キュルケ、と呼ばれた赤い女性、これがなんとも色っぽい。 ルイズのものと同じデザインの二回りほどは大きいサイズの制服を着ていながら、メロンやスイカを思わせるそのつるんと丸っこい大きなバストは、ボタンを2つ外してなおきつそうに服に収まっている。 ……あれは、明らかに梓を越えている。 快活で大らかな笑みを浮かべるその様子は、ナイーブな面が強そうなルイズとは、どこからどこまでも対照的であった。 「後ろのその人が、あなたの使い魔ね?」 「……そうよ。見てたから知ってるでしょ?」 「ええ。何処の平民を連れてきたのかしらと思ったけれど、なかなかどうして面白そうなのを喚んだじゃない? さすがゼロのルイズ、と言ったところかしら?」 ゼロのルイズ。何か聞いたことあるな、と耕一は顎に手を当てた。 「うるさいわね。わざわざそんな事を言いにここで待ってたの? ツェルプストーは体だけでなく、お暇ももてあましていらっしゃいますのね」 「あら、部屋はお隣ですもの。偶然鉢合わせる事もあるでしょう」 「どう見ても先にあんたが居たでしょうがっ!」 ―――おお、そうだ。確か、あの召喚されてすぐの時、回りの子供達がルイズを囃し立てていた、そのフレーズだ。 何か悪口のようなものなのだろうか。しかし耕一には、目の前の赤い女性に悪意は感じられなかった。 「偶然よ。ね、フレイム? あなたもそう思うでしょう?」 ガア、と、キュルケの足元にいたとんでもなく大きなトカゲが、ぼうっと火を吹きながら返事をした。 テレビで見た、世界で最も大きなトカゲというコモドオオトカゲに匹敵する大きさだ。人間的な感覚で見ると、正直ちょっと怖い。 「自分の使い魔にアリバイ証言させて、誰が信じるのよそんなものっ!」 「ねえあなた、ホントに召喚されたの? どっかから連れてこられたとかじゃなぁい?」 「無視するんじゃないわよっっっ!!!」 ……そう、あれだ。千鶴さんが梓をからかっている時のような、あんな感じ。 あれより随分と剣呑ではあるが、根底にあるのは同じもののような気がした。 「いや、まあ、連れて来られたといえば問答無用で連れて来られたのは間違いないな。変な鏡みたいなのに吸い込まれて、気付いたらああだったんだし」 「ふぅん……あなた、お名前は?」 「柏木耕一」 キュルケは、さっと視線を耕一の左手に滑らせて、頷く。 「変わった名前ね……どうやらホントみたい」 「だ、だからそう言ってるじゃないっ」 「うん、おめでと。よかったじゃない、ルイズ。ちゃんと召喚できたみたいで」 今にも噛み付きそうだったルイズの顔が、ぽかん、と呆けた。 「……な、なによキュルケ。気持ち悪いわね」 「あら心外ね。私だって褒める時には褒めますわよ? ゼロとイチの違いはとてつもなく大きいんですもの。たとえ、たとえ召喚できたのが平民、冴えない顔の平民の男だとしても、それはとてもめでたい事ではなくって?」 あくまでも軽いその声に、毒気を抜かれかけたルイズの顔がやっぱり真っ赤に染まった。 冴えない顔、と言われた耕一は、苦笑を顔に貼り付けている。 「キュルケーっ!!!」 「おほほほほ。それでは、ごめんあそばせ」 ルイズをいなしつつ、耕一に向かって悪戯っぽくウィンクする。 そのすれ違いざま、 『ダシにしちゃってごめんなさいね』 と、耕一だけにそっと囁くと、キュルケはお供のトカゲを引き連れて、悠々と去っていった。 「な゙ん゙な゙の゙あ゙の゙お゙ん゙な゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙!!!」 「ま、まあ落ち着けってルイズちゃん」 こっちは、とてもじゃないが悠々と、とはいかなかった。 千鶴と梓ならもう少し勝負にもなるが、この二人の場合はルイズが圧倒的に不利のようだ。キュルケの方が余裕過ぎるのか、ルイズの余裕が無さ過ぎるのか。 「自分が火竜山脈のサラマンダーを召喚したからって! ああもうくやしいいいいい!!!」 地団駄を踏むルイズ。 「胸だけでかけりゃいいってもんじゃないのよ! む、胸! 胸だけの女のクセに! 胸ーっ!」 ……しばらく収拾がつきそうになかった。よっぽどコンプレックスであるらしい。 耕一は、やれやれ、と肩をすくめて、ご主人様のため、そして、このままでは食いっぱぐれそうな朝食のため―――少しだけ、鬼氣を解放した。 「―――そんなに悔しいなら、そのサラマンダーというあれ、潰してきてやろうか?」 「……えっ?」 「君の喚び出した使い魔の方が遥かに上だと証明して見せよう。どうだ?」 「えっ? えっ? な、何、言ってるの、コーイチ」 「言葉通りの意味だが。あのトカゲの頭を一瞬で捻り潰してこよう、と言っている」 「なっ―――!」 ルイズの顔が、驚愕に青くなる。 その目をまっすぐに見つめて、言葉を続けた。 「どうした? 馬鹿にされて悔しいんだろう? 君の方が上なのだとあの女に見せつけるチャンスじゃないか。さあ、命令をくれ。使い魔に一つ命令を下すだけで、あのご立派なサラマンダーはただの肉塊に変わる。君はもう馬鹿にされる事なんてなくなるぞ」 「あ、あう」 眼が泳ぐ。そんな事考えもしなかった、という顔だった。 ―――うん。やっぱり優しい子だ。 「……落ち着いたかい、ルイズちゃん?」 「―――へ」 にっこり。 柏木家は末娘の『天使の笑顔』を真似するつもりで笑ってみる耕一。 驚愕と緊張に強張っていたルイズの顔が、ぽへ、と抜けた。 「あ、あああ、あんた」 「頼まれたってそんな事しないから、安心して。ごめんな、変な事言って」 ルイズは口をぱくぱくさせていた。頭の中の感情を言葉にしようとして言葉にならず、うにゅにゅにゅにゅ、と不明瞭な音だけが漏れ出てくる。 「ほら、主人はでんと構えて。さっきのは冗談。君の友達の使い魔を殺すなんてしないから。な?」 「……ツェルプストーが友達なんて、ぞっとしない話ね。はあ。まったく、冗談に聞こえなかったわよ……」 「聞こえないように言ったからね」 行き場のない感情を何とか飲み込めたのか、肩を落としてため息をつくルイズ。 「馬鹿にされて悔しいのはわかるけど、気にしない方がいい。ルイズちゃんのそういう反応が楽しくてしてくるんだから」 「わかってるわよ! わかってるけど……悔しいものはしょうがないじゃない!」 結構根は深いみたいだなあ、と、ふるふる震えるルイズを見ながら思う耕一。 まあ、さっきの言葉に戸惑いを見せるぐらいならまだ大丈夫だろう、と耕一は気楽に構えた。少なくとも、実害を加えてやろうという憎しみまでには至っていないのだから。 「ま、美味しいご飯を食べれば忘れるさ。早く行こうぜ」 「……そうね」 あんたは悩みが無さそうで良いわね、というルイズの視線は、大人の余裕で黙殺しておいた。 前ページ次ページゼロのエルクゥ
https://w.atwiki.jp/tokusatsu24/pages/231.html
ストーリー? 用語 イ 【項目名】因果のフランベルジェ 【平仮名】いんがのふらんべるじぇ 【説明】 オルカロード・ケトス・オルキヌスの持つ剣。 斬りつけられると焼かれたような痛みを発する。 【関連項】 ケトス・オルキヌス オ 【項目名】オーヴァーロード 【平仮名】おーう゛ぁーろーど 【説明】 闇の力の別名。 【関連項】 闇の力 【項目名】怨念のバルディッシュ 【平仮名】おんねんのばるでぃっしゅ 【説明】 水のエルの持つ矛斧。 【関連項】 水のエル カ 【項目名】海神の叉 【平仮名】かいじんのまた 【説明】 フッシュロード・ピスキス・アラパイマの持つ叉。 突き刺した人間を潜水病ににた状態にして殺す。 【関連項】 ピスキス・アラパイマ キ 【項目名】義憤のモルゲンステルン 【平仮名】ぎふんのもるげんすてるん 【説明】 ビートルロード・スカラベウス・フォルティスの持つメイス。 【関連項】 スカラベウス・フォルティス 【項目名】欺瞞の爪 【平仮名】ぎまんのつめ 【説明】 クラブロード・クルスタータ・パレオの持つハサミ。 【関連項】 クルスタータ・パレオ ケ 【項目名】敬虔のカンダ 【平仮名】けいけんのかんだ 【説明】 地のエルの持つ長剣。 【関連項】 地のエル コ 【項目名】業火のラム・ダオ 【平仮名】ごうかのらむ・だお 【説明】 ヘッジホッグロード・エリキウス・リクォールの持つ蛮刀。 ついに武器の名前は全く聞いたことないものになった。 【関連項】 エリキウス・リクォール 【項目名】強欲の剣 【平仮名】ごうよくのつるぎ 【説明】 ジャガーロード・パンテラス・キュアネウスとジャガーロード・パンテラス・ルベオーの持つ剣。 ルベオーのものは二刀流。 【関連項】 パンテラス・キュアネウス パンテラス・ルベオー サ 【項目名】慙愧の呉鉤 【平仮名】ざんきのごこう 【説明】 マンティスロード・プロフェタ・クルエンテゥスの持つ小刀。 ついに全く読めなくなってきた……。 【関連項】 プロフェタ・クルエンテゥス シ 【項目名】漆黒の槍 【平仮名】しっこくのやり 【説明】 クイーンクロウロード・コルウス・イントンススが持つ槍。 【関連項】 コルウス・イントンスス 【項目名】邪眼の鞭 【平仮名】じゃがんのむち 【説明】 スネークロード・アングィス・フェミネウスの持つ鞭。 敵を石のように硬直させ、息の根を止めてしまう。 【関連項】 アングィス・フェミネウス 【項目名】神託の杖 【平仮名】しんたくのつえ 【説明】 クイーンシャガーロード・パンテラス・マギストラの持つ杖。 【関連項】 パンテラス・マギストラ 【項目名】審判の杖 【平仮名】しんぱんのつえ 【説明】 スネークロード・アングィス・マスクルスの持つ杖。 敵の運動・知覚神経を麻痺させる効果を持っている。 【関連項】 アングィス・マスクルス 【項目名】深淵の菱 【平仮名】しんえんのひし 【説明】 シーアーチンロード・エキヌス・ファメリカーレの持つ手裏剣。 【関連項】 エキヌス・ファメリカーレ タ 【項目名】断罪の大鎌 【平仮名】だんざいのおおがま 【説明】 ジャッカルロード・スケロス・ファルクスの持つ鎌。 大木を簡単に切り倒す威力を持つ。 【関連項】 スケロス・ファルクス テ 【項目名】テオス 【平仮名】ておす 【説明】 闇の力の別名。 【関連項】 闇の力 ト 【項目名】貪欲の槍 【平仮名】どんよくのやり 【説明】 ジャガーロード・パンテラス・トリスティスの持つ槍。 鋼鉄さえも貫く威力を持っている。 【関連項】 パンテラス・トリティス フ 【項目名】憤怒の杵 【平仮名】ふんどのきね 【説明】 スティングレイロード・ポタモトリゴン・ククルスが持つ両刃の剣。 【関連項】 ミ 【項目名】未確認生命体第4号 【平仮名】みかくにんせいめいたいだいよんごう 【説明】 G3のモデルとなっていて、アギトと酷似している未確認生命体。 2年前に未確認生命体を滅ぼしている。前作のクウガと思われたが、時間軸が矛盾しているため、あくまで「未確認生命体第4号」。 【関連項】 ム 【項目名】無明のホプロン 【平仮名】むみょうのほぷろん 【説明】 ビートルロード・スカラベウス・フォルティスの持つラウンドシールド。 【関連項】 スカラベウス・フォルティス メ 【項目名】冥王の盾 【平仮名】めいおうのたて 【説明】 スコーピオンロード・レイウルス・アクティアの持つ盾。 【関連項】 レイウルス・アクティア 【項目名】冥府の斧 【平仮名】めいふのおの 【説明】 スコーピオンロード・レイウルス・アクティアの持つ盾。 【関連項】 レイウルス・アクティア ヨ 【項目名】黄泉の鐙 【平仮名】よみのあぶみ 【説明】 クイーンアントロード・フォルミカ・レギアの持つ三叉槍。 【関連項】 フォルミカ・レギア リ 【項目名】竜神のトライデント 【平仮名】りゅうじんのとらいでんと 【説明】 リザートロード・ステリオ・シニストラの持つ三叉槍。 【関連項】 ステリオ・シニストラ レ 【項目名】煉獄の針 【平仮名】れんごくのはり 【説明】 ビーロード・アピス・ウェスパとビーロード・アピス・メリトゥスが持つレイピア。 刺された人間はアナフィラキシーショックを起こして死亡する。 【関連項】 アピス・ウェスパ アピス・メリトゥス 【項目名】憐憫のカマサ 【平仮名】れんびんのかまさ 【説明】 風のエルの持つ長弓。 聖域に近づいた人間に放ち、射抜かれた人間は肉体を消失する。 【関連項】 風のエル
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/4982.html
前ページ次ページゼロのエルクゥ 体の中心が引き裂かれるような衝撃。 スクウェアの風の刃は、容易く臓腑を貫き……痛み、なんて言葉では到底表せない致命傷の苦痛に、ゼロのメイジの意識は闇に落ちた。 ―――死ぬのかな。私。 ―――任務を果たせず申し訳ありません、姫さま。 ―――ワルド様が、なんで……。 ―――ああ、ウェールズ様。私などに構わず、お早くお逃げください……。 麻痺した意識とも夢の中ともつかない闇の中に、そんな言葉が浮かんでは消える。 ―――コーイチ。 最後に浮かぶのは、変貌した自らの使い魔の、大きな背中。 あれが、エルクゥ。なんと恐ろしい生き物だろう。なんと力強い生き物だろう。 命を賭してようやく人一人をなんとか一度庇えるぐらいでしかない『ゼロ』が、なぜあんなものを使い魔にできたのだろう。 わからない。なぜだろう。なぜ―――。 「―――?」 思考が螺旋に入り込んだところで、周囲の闇がゆっくりと晴れていく。 目に映ったそこは、街並み……おそらく、街並みであろうという風景だった。 見た事もない風景が流れていく。 灰色で幾何学的に窓がついている四角い建物。 魚の鱗のような奇天烈な屋根がついた三角の建物。 色とりどりの不可思議な……そう、コーイチと同じような、てぃーしゃつ、とか、じーんず、とかいう服を着た人々。 道の端には四角い建物と同じ灰色の柱が幾本も立ち並び、そのてっぺんには黒いひもが蜘蛛の巣のように張り巡らされている。足元は固い何かで綺麗に覆われ、舗装されていた。 やがて到着したのは、大きな邸宅だった。 魚鱗屋根のついたタイプで、周囲を大きく塀で囲まれている。 ヴァリエール家の本邸に比べれば猫の額に等しいが、これまで見てきた建物の中では、随一の広さを誇っていた。 木とガラスで出来た引き戸を開けて中に入ると、板張りの廊下の先に、なんと紙で出来た扉があった。 徹頭徹尾見慣れない、異国と言うのもおこがましいほどの異風景。 しかし、怪我のために意識の薄いルイズは気にもせず、足が歩くに任せていく。 靴を脱ぎ、廊下に上がり、見た事のない木々が生え揃う庭を眺めながら廊下を抜けて、紙の扉を開けた。 「おかえりなさい、耕一さん」 「おかえり、耕一」 「おかえりなさい! 耕一お兄ちゃん!」 「……おかえりなさい」 4人の女性が、そこにはいた。 優しげな微笑みを浮かべながら、どこか自らの長姉を思わせる鋭さを持つ女性。 活動的な短髪をヘアバンドでまとめたボーイッシュな外見のくせに、けしからん胸部装甲を持つ女。 それとは違ってかなり親近感の持てる体型の、ぴょこんと一本髪の毛の飛び出した、一番小さな女の子。年下っぽいのに雰囲気が次姉に近く、不思議な感じ。 そして……どこか陰を背負ったような、残りの一人。 「ど、どうも。お邪魔します……」 そこは『ただいま』と言うべきじゃないのかしら、と思ったが、『私』の口から出たのは、そんな他人行儀な挨拶だった。 彼女達は四姉妹であり、『私』の父の兄の子……つまりは従姉妹だった。 『私』の父は彼女達四姉妹と住んでおり、『私』の住んでいるところは、ここ―――隆山ではなく、遠くの東京というところで。 その父が死に、その葬式のために、この家に厄介になりに来た、というところであるらしい。 色々と複雑な事情でそうなっていたようだが、『私』にはそれ以上の事を彼らの会話から聞き取る事は出来なかった。 ……これは、コーイチの記憶。 流れるように時間が過ぎていく中でルイズが思ったのは、まずそれだけであった。 § 「きゃああああああああっ!!」 ニューカッスル城客室から、絹を裂くような悲鳴が響き渡った。 「ぐ、う、あああっ……!!」 「コーイチっ!? カエデ、あなた何を!?」 耕一が腕を抑えて膝をつき、キュルケが目を剥いて叫ぶ。 ―――耕一の左の手首から先が、すっぱりと切り落とされていた。 「……! 左手の、使い魔のルーンが?」 「……こりゃ、おでれーた」 「やっぱり、これが耕一さんを……っ!」 どくどくと床が赤く染まっていく。 床に落ちた左手の甲から、スゥッと使い魔のルーンが消え失せるのを見ていたのは、タバサと楓の二人と腰に差さっているデルフリンガーだけだった。 「使い魔のルーン? どういう事よ、説明して……ああもう! その前にコーイチを治さないと! ほらあんた! 混乱してないで早く治療して! ルイズの方は落ち着いたんでしょ!?」 「あっ、は、は、はいっ!」 あまりの光景に、最初に金切り声を上げたまま放心していた水メイジの女性は、キュルケの一喝に、慌てて耕一に向かって杖をかざす。 先ほどまで血を吐いて苦しんでいたルイズの呼吸は、うって変わって落ち着いていた。 落ちた手首を切断面に当て、杖をかざして呪文を唱える。 水色の光が患部に灯り、じわじわと出血が止まっていった。多量の出血のためか、苦悶に歪んでいた耕一の顔がふっと緩み、床に倒れ込んで眠り始めてしまう。 「……すいません。残っていた精神力では応急処置が精一杯で……見た目だけはくっつけられましたけど、中身は全然……」 「ありがとう。とりあえず命が助かったんならそれでいいわ。さあカエデ、説明してもらうわよ」 女性がふらつきながら言うのに頷いたキュルケは、騒動を引き起こした張本人―――今しがた、その手刀で恋人の手首を切り落とした少女に視線を向けた。 「……はい。ですが、その話は、行きがてらにしましょう」 「? どこへ行くのよ?」 「……耕一さんとルイズさんを、治せる人のところへ」 § どうやら、『私』はあまり父親の事が好きではなかったらしい。 お葬式の間、四姉妹達はひどく悲しみに暮れていたというのに、『私』の態度は平静そのものだったからだ。 式も終わり、しばらく父親の傍にいてやって欲しい、という姉妹の長女の頼みで、『私』はその家―――柏木家に滞在する事となった。 ブツダン、という、おそらく死者を弔うためのものであろう祭器におざなりに手を合わせ、やる事もなく退屈を持て余して日々が過ぎていく。 そして、夢を見る。 今の『私』が夢を見ているような状態なのに、その中でまた夢を見るというのは不思議な体験だったが、その夢は、そんなものを吹き飛ばすほどの衝撃だった。 怪物が、自分を乗っ取ろうとしてくる。 乗っ取られれば、その怪物は圧倒的な力で、周りの人間と言う人間を殺し尽くすだろう。 そんな事をさせるわけにはいかない。 少しでも気が緩めば、怪物は表へと出てくる。 気を張り詰め、心の中の檻を抑え付け、じっと目が覚めるのを待つ事しかできないのだ。 朝になれば、怪物は大人しくなる! 朝だッ! 朝はまだか! アサだあッ! アサあッ! 朝はまだかあぁーッ!! § 少しの後、未だ眼を覚まさないルイズと、出血の為に眠っている耕一を連れた5人は、空の上の人となっていた。 困憊していたシルフィードは一度ぐずったものの、特に急がなくていい&帰ったら好きなだけ肉を食べさせるという(彼女の主人にしては)破格の約束を取り付け、今は上機嫌で翼を広げていた。 「違和感はあったんです。エルクゥの力ではない、何か別のものが、耕一さんを動かしている……と」 「それが、使い魔のルーン?」 キュルケの答えに、こくりと楓は頷いた。その膝の上では、少し青い顔で、耕一が寝息を立てている。 「耕一さんが鬼となって暴れていた時と、先ほどルイズさんをエルクゥにしようとした時……何か金属の刃のような、熱いような、冷たいような感じがして……その時に、ルーンが光っているのが見えたんです」 「ルーンがコーイチの意志を無視して体を操り、ルイズの仇を取るために暴れさせて、ルイズの命を助けようとさせた……って事? そんな強力な強制効果、使い魔のルーンには無いわよ」 「でも、そうとでも考えないと……耕一さんが、他の人間をエルクゥに変えようとするなんて、するはずがないんです……」 「……と、言ってもねえ」 楓の言葉に嘘はないとはわかる。しかし、『コントラクト・サーヴァント』によって刻まれる使い魔の証の紋章にそんな強い服従の効果があるというのも、またキュルケの知識ではあまり考えられない事だった。 「……考えられなくはない」 「タバサ?」 風竜の背びれに背中を預け、本に目を落としていたタバサが、ぽつりと呟いた。 「『コントラクト・サーヴァント』は、危険な魔獣であっても主人に友好的にしたり、小さな小動物が人間の言葉を理解出来るようになったり、主従で感覚のやりとりが出来るようになったり……かなり強く、頭の中身を変えてしまう魔法とも言える」 最後の言葉を語る際、タバサの声がほんの少しだけ沈んだが、気付いた者はいなかった。 「人間に掛けられた例は、少なくとも記録にはない。人、もしくはそれに類する思考や意志を持つ者に掛けられた場合、その者の意志を、主人に友好的なように誘導、強制する効果は、どちらかと言えば、あると考えるのが自然」 そして、少しだけタバサの言葉が熱を帯びる。 「何かしらの行動が使い魔本人の性質や信条に著しく反するようなものであり、尚且つ、その行動をしなければ主人の命が危ない、というような極限の場合には……もしかしたら、無理矢理に体だけを強制させる、と言うような事もあるのかもしれない」 例として、通常の動物の使い魔が自発的に主人を庇って死んだと言う話は枚挙に暇がない、と付け加えた。 「……なるほどね」 「特に……彼についていたのは、ガンダールヴのルーン。どんな効果があっても不思議ではない」 タバサの言葉に、カチリ、と耕一の差している剣が微かな金属音を立てた気がした。 「がんだーるぶ? 何それ?」 「始祖ブリミルに仕えたという4体の使い魔の一人。神の左手ガンダールヴ」 「始祖ブリミルの使い魔って……ちょっとちょっと、初耳よ?」 「……どちらにしろ、今は消えてしまったもの。もう意味は無い」 「……はあ。もう、つれないんだから」 打ち切るように言葉を切ったタバサに、キュルケは髪を書き上げて溜め息を付いた。 「それにしても、珍しく饒舌ね、タバサ」 「……機会があって、調べた事があるから」 ふい、と、まるで照れて顔を背けるかのように、タバサは本に目を落とす。 それを見て、キュルケはくす、と小さく含み、楓に向き直った。 「話を戻すと、だからルーンのあった左手を切り落とした、って事?」 「はい。耕一さんにあんな事をさせるものを、放ってはおけなくて……」 「……無茶するわねえ。消えてくれたから良かったようなものの、右手とかに新しく出てきたりしたらどうするつもりだったの?」 呆れたような、微笑ましいような、そんな複雑そうな感情を滲ませて、キュルケは苦味を含んで笑った。 ……右手だったらヴィンダールヴ、とタバサが本に目を落としたまま小さく呟いた言葉は、風に消えていった。 「……ごめんなさい。衝動的にしてしまった事ですから、そこまでは考えていませんでした」 「私に謝られてもね。ま、後でゆっくりコーイチに謝っておきなさいな」 「はい……」 耕一のあまり整えられていないざんばらな髪をそっと手櫛で梳いて、楓はそっと顔を伏せた。 § ……うわぁ。コーイチって、ロリコンだったんだ。 目の前に展開されるピンク色の光景に浮かんだ感想は、ただそれだけだった。 滞在して数日。あれよあれよという間に、四姉妹の三女―――少し陰のあるカエデという少女といい仲になってしまい、その部屋で男女の関係を築いてしまっているのだから。 ―――いや待て。待つんだルイズ。そうじゃない、そうじゃないぞ。 だって、今この状況をロリコンだと認めてしまったら、このカエデとかいうあまり発育の良くない少女よりさらにヤバイ私は、ロリータなどという言葉では表しきれない幼児体型という事になってしまうではないか。 それはない。ないから、コーイチはロリコンではない。これ既定事項ね。破ったら殺すから。ここ、殺すから。 『私』が現実逃避をしている間に、二人は行為を終えて身なりを整え、真剣な顔で話し込んでいた。 それはいつか聞いたお話だった。そう、確か……『雨月山物語』。 剣士の男と鬼の娘の、悲しい恋の物語。 それはこの地方に伝わる昔話であり、コーイチとカエデはその二人の生まれ変わりだというのだ。 なるほど、と疑問が氷解した。それは、スッキリと心地よい感覚だった。エルクゥと、ジローエモンと、コーイチの関係。本人ではないが同一人物であったと。 何はともあれ、来世で再びと誓った二人は今ここに結ばれ、めでたしめでたし。 ―――とはいかなかった。 エルクゥとは、紛れも無い『鬼』であるのだから。 § そして数刻。シルフィードの背に乗った一行の目に、大きな森が見えてくる。 「あの森の中です。しばらく行ったところに森を切り開いた小さな村があります」 楓の指示通り、タバサはシルフィードを下降させ始める。 「そんなところに、腕のいい医者がいるっていうの?」 「……医者、というわけではなくて」 どう言ったものだろう、と思考を巡らせたところで、ふと気が付いた。 「……そういえば、お二人とも、エルフと言うのはご存知ですか?」 彼女は、この世界では迫害、敵対種族であるらしい、という事に。 「そりゃ知ってるわよ。この世界のメイジでエルフの事を知らない奴なんていないわ」 「ん」 二人ともが、肯定の意を示した。 彼女はきっと、そういう事に敏感だ。先に言っておくべきだろうと楓は判断した。 「怪我を治せる人というのは、エルフ……いえ、人間とエルフの間に生まれたハーフエルフらしいんです。見ても驚かないであげてください」 「ええええええええっ!!?」 見てもどころか、聞いただけで、キュルケが素っ頓狂な声を上げた。 「ちょっ、ハーフエルフっ? 何それ、なんでエルフがこんなところに? いや、そんな事より、エルフとの間に子供なんて出来るものなの? ああもうっ、今日は驚いてばっかりだわあたしっ!」 自棄になったかのような言葉だが、その語調は、どこか愉しげですらあった。 世界は、まだまだ新鮮な発見と驚きに満ちている! ゲルマニアの、ツェルプストーの血は、学院で楓に出会ってからというもの、騒ぎっぱなしだった。 「……そのハーフエルフが、治療を?」 「はい。耕一さんの痕跡を追っていた私を偶然召喚した方なんですが……私を送り出す際、誰かに怪我があれば戻ってこい、完全に死んでいなければ治す事が出来るから、と」 「エルフの治療、か。確かに良く効きそうではあるわね。オーケー、機嫌を損ねないようにしとくわ」 キュルケが爛々と目を輝かせて頷き……タバサは、俯いていた顔をゆっくりと上げた。 「……一つ、いい?」 「タバサ?」 「その人が治せるのは……怪我だけ?」 「……何を治したいのかは知りませんが、ごめんなさい、わかりません。私も、そう言われただけですから」 「……そう。……降りる」 特に何の感慨もないように言い、小さく宣言した通り、ばさっばさっと翼のはためく音が響き渡って、シルフィードは地に降り立つ。 そこは、港町ロサイスの近郊、ウエストウッドと呼ばれる森だった。いきなり村の広場に竜が舞い降りてきたので、遊んでいた子供達は驚きつつも、興奮を隠そうとせずにはしゃぎまわる。 ちょうど子供達の遊び相手をしていたティファニアは、最初こそ戸惑っていたものの、その背に乗っている人影の一人を見て、ぱあっと顔を綻ばせた。 「カエデさん!」 「テファさん、いきなりですいません、この人の治療をお願い出来ますか?」 眠ったままの耕一を抱えて風竜の背から降りた楓は、挨拶をするのももどかしいというように、耕一を地面に横たえた。 「この人は……わ、わ、手、手がっ!?」 ティファニアはその人物をぐるりと眺め回し、その左手首を見て仰天した。赤黒く幾筋もの血線が走っており、くっつききっていないところから向こう側の地面が垣間見える。 「水の魔法で外だけはくっつけたらしいのですが、中までは駄目だったと……」 「わ、わ、わかりました」 ティファニアは深呼吸をして気を落ち着けると、その指にはまっている指輪をかざし、目を閉じた。 「……お願い、お母さん。おともだちの大事な人を、助けてあげて……っ!」 その小さな願いの言葉が届いたのか、指輪と耕一の体が青く光りだし、みるみるうちに左手首の傷が無くなっていく。 光が消えた時には、手首だけでなく耕一の体全体が、すっかりと血色を取り戻していた。 すがりつくように、楓がその体を一度抱きしめる。続けて風竜の背から降りてきたキュルケ達が、その光景をほっとした様子で見守っていた。 「ありがとうございます……テファさん」 「う、ううん。治療したのは私じゃなくて、この指輪だし……そ、それに、わ、私達、おともだちでしょ?」 「……はい」 その透き通るような白い肌を朱に染めながら、ティファニアは言う。二人はじっと見つめあい、ほんわかとした雰囲気が流れ始めた。 入りにくい空気ねえ……と淑女らしくなくぽりぽり頭を掻いて、キュルケが一歩進み出た。 「あー、再会を喜んでるところ悪いんだけど、こっちも治してもらえるかしら?」 「は、はいっ!?」 「ご、ごめんなさい、キュルケさん」 ティファニアが飛び上がるように驚き、楓が我に帰って頭を下げた。 「あちらの桃色の髪の子も治してあげてくれますか。お腹を刺されたそうなんです」 「う、うん。わかったわ」 戸惑いつつも、ティファニアは同じように指輪をかざす。ぽうっとルイズの体に青い光が灯り、消えた。 「どうもありがとう。貴女がカエデを召喚したっていうハーフエルフのお方? 随分と可愛らしい方ですのね」 キュルケが一礼して胸を張ると、そのメロンのような双子の山が、まるでその正面にあるスイカに対抗するかのように、健康的に跳ねた。 「…………エイケニスト」 タバサは、じーーーーっと、そのティファニアの胸元のスイカだけを見つめ、誰にも聞こえないほど小さく何事かを呟いた。 「あ、あの、あ、あなたがたは? というか、ハーフエルフって……ええええっ!? わ、私の事、怖くないんですかっ!?」 「……なんだか、本当に可愛らしいわね。エルフって、皆こんなのなのかしら?」 夜に出歩く悪い子はエルフが来て食べられちゃうぞ、と母親が子供を躾るぐらいにハルケギニアで怖れられている種族を目の当たりにしたキュルケは、どこか気の抜けたような、安堵したような顔で、ほっと溜め息を付いた。 § 長く艶やかなその黒髪が、風もなく、自然と舞い上がる。 吹き付ける冷気が、彼女―――四姉妹が長女、千鶴の『鬼』を示していた。 そして、それに呼応するように、『私』も『鬼』を目覚めさせる。 目の前の千鶴は人の姿をとったままだが、『私』は違う。 目覚めた鬼の遺伝子が、体を作り変えていく。 人間の域を越え、骨と筋肉が増殖、再構成されていく。 膨張する体が内側から服を破り、膨れ上がった腕の先に刃のような爪が伸びた。 体の奥底から溢れ出る力。 『私』は目覚めた殺戮の本能のまま、近くにいた楓に爪を振るい、それを庇う千鶴との殺し合いを始めた。 何合も何合も、腕と爪を交差させる。 そのたびに風が舞い、地は震え、水を揺らし、火が身体中を駆け巡る。 人智を越えた戦いの神楽の中、『私』は思った。 ―――ああ。私も『これ』になってしまったのだ、と。 前ページ次ページゼロのエルクゥ
https://w.atwiki.jp/solentia/pages/431.html
トップページ 世界観 基本設定 よくある質問 最終更新日:2012-05-09 Q.光のエルフの特徴は?公式 メモ Q.光のエルフの特徴は? 公式 質問 風と大地は戦闘能力に長け、森と水は静けさを好むと資料では表記されていますが 光のエルフについては何も書かれていません。 回答 光のエルフの特徴については、その権化とも言える人物が学園の生徒会長をやってるから見てみるといいかもしれない。 能力に個々の差はあれど、バランスタイプだったりオールマイティーな人が多いと思う。 初出:[そうだ、ノガレに聞こう。02] 2008-08-01 18 23 46 post by レイ・ノガレ 記事No.112756 メモ 校史編纂委員会>そうだ、ノガレに聞こう。02(ゲームにログインが必要) ↑上へ戻る 表示ページの登録タグ:よくある質問 妖精界