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ALL HAZARD PARANOIA/オール・ハザード・パラノイア Ⅰ ◆EAUCq9p8Q. ――― ―― ― ―――世界のどこかで、誰かがつぶやいた。 「嵐が来るよ」と。 ― ALL HAZARD PARANOIA ― ― ―― ――― ☆フェイト・テスタロッサ 「聖杯が欲しいか」 突如現れた男は、藪から棒にそう尋ねた。 男の体にはサーヴァントとしての存在を示すクラス名が浮かび上がって見えている。 魔術師のクラス。キャスター。だがおかしい、クラス名とともに見えているステータスは、与えられたクラスと矛盾している。 ステータスに、魔術師としての基本能力である魔力が存在していない。 先ほどの一言といい、このステータスといい。そして何が面白いのかにやけたままの顔といい。 何から何まで胡散臭い、それがフェイト・テスタロッサの魔力なき魔術師への第一印象だった。 「バルディッシュ、サイズフォーム」『Scythe Form』 構えていたバルディッシュを近接戦闘形態であるサイズフォームへと変更する。 ステータスを見るに、魔術師のクラスにふさわしく、戦闘能力は皆無に近いらしい。 ならば当然、ここで斬って捨てる。 胡散臭いキャスターを切り捨てれば、それだけで脱落者が一人増えるのだ。 魔力を大きく消費しているが、その程度ならば造作も無い。飛んで火に入る夏の虫、というやつだ。 夕闇を切り裂くような眩い閃光で刃が作り上げられる。 出来上がったのは、まるで死神が持っていそうな鎌。魔力で形作られたそれは、当たれば、さしものサーヴァントも痛いでは済まない。 「ま、待ってください! 武器なんて―――」 無謀にも間に割り込もうとした外ハネの少女を超速ですり抜け、バルディッシュを振りかぶる。 少女は後回しでいい。所詮サーヴァントではないならば対処の方法はいくつでもあるのだから。 キャスターは動きについてこれていないのか、それとも単にバルディッシュを侮っているだけか、微動だにしていない。 どちらにしろ、都合が良かった。 一撃で首を跳ね飛ばし、また一歩、聖杯に近づく。愛しいあの人の夢へと――― 振りかぶった鎌が、風を食い破りながらキャスターの首めがけて放たれる。 その時、キャスターの口が、たしかにこう動いた。 『プレシア・テスタロッサ』と。 バルディッシュを振りぬくことは、できなかった。 フェイトはバルディッシュの光の刃を、彼の首筋すれすれで止めてしまった。 キャスターはまるでそうなることを最初から知っていたかのように不敵に笑い、そして三度、同じセリフを繰り返した。 「何度も聞かせるな。お前は聖杯が欲しいか、と聞いている」 どるん。 三度目の問いの丁度その時だった。 三人だけの校庭に、唸るようなエンジンの駆動音が響いたのは。 どるん、どるん、どるん。 念入りに、念入りに、スターターロープが引かれ続ける。 乱入者の気配に、フェイトはバルディッシュをキャスターに突きつけたまま目をきった。 視線の先に、先程まで居なかったはずの人物が立っていた。 黒ずくめの格好に、目ぶかに被ったフード。そして手に携えているのは大きなチェーンソー。 更にその姿に、幾つもの情報が重なって見える。クラス名はバーサーカー。狂戦士のサーヴァント。 ステータスは……目の前の胡散臭いキャスターよりも、フェイトのサーヴァントであるランサーよりも高い。 何者かは分からない。ただ、その人物の危険性は一発で理解できた。 そこに来て、ようやく自身の短慮に気づき、歯噛みする。 いくら勝つためとはいえ、あれだけ目立つ戦闘は迂闊だった。 あれだけ目立てば、いわゆる『やる気』の主従を引き寄せてしまってもおかしくない。目の前のバーサーカーもその類なのだろう。 短慮な自分が苛立たしい。そばで忠言をくれるアルフが居ないのが口惜しい。 どぉるるるるるるるるるるるるる。 バーサーカーの携えているチェーンソーにエンジンがかかりきる。 胡散臭いキャスター程度ならばフェイト一人でも対処が可能だが、目の前のバーサーカーはフェイトのキャパシティを大きく超えている。 自身のランサーを出すことを考えたが、ランサーを出したところで戦況は変わらないだろう。 ランサーは近接戦闘には向いていない。 先ほどのアサシンとの一戦だって、相手の行動に陰りがなければ宝具を放つことすらできずにランサーのほうが負けていた。 宝具を使えば立ち向かうこともできるかもしれないが、宝具を使えるほど魔力が残っていない。 バルディッシュでの戦闘はバルディッシュ側の魔力補佐があるからまだいいが、サーヴァントを用いた戦闘はそうはいかない。 フェイトに全ての負荷がかかる。もし今また、『残酷な天使の運命』のような大技を繰り出せばフェイトが魔力を供給できずにそのまま倒れてしまうだろう。 そんな無様を晒せば、いい的だ。 少なくともこの周辺にはチェーンソーのバーサーカー、胡散臭いキャスター、小学校に潜んでいる『死神様』を名乗ったエプロンドレスの少女・キャスターが存在している。 さらに、このバーサーカーのように先ほどのフェイトたちの戦闘を見てこの周辺によって来る主従もいるだろう。 そこまで考えを巡らせれば、方針はすぐに定まった。 じゃりと音を立ててバーサーカーが一歩を踏み出す。 「ひ」と、名も知らぬ少女が声を上げた。それが合図だった。 「バルディッシュ、デバイスフォーム!」『Device Form』 キャスターに突きつけていたバルディッシュをサイズフォームからデバイスフォームに変換。 チェーンソーを構えたバーサーカーに光弾を放つ。 これで倒せるとは思っていない。しかし、目くらまし程度にはなる。 万全ではないこの状況、バーサーカーとの戦闘は避けるしかない。 校門前の舗装道路に光弾が着弾し、衝撃波を撒き散らし、瓦礫片と煙を巻き上げる。 胡散臭いサーヴァントの方から舌打ちの音が聞こえた。 逆の方からは甲高い声で「ひゃいっ!?」という、場違いな可愛らしい悲鳴が聞こえた。 瞬時に左右を確認すれば胡散臭いキャスターは顔を守るように片腕を持ち上げてバーサーカーの方を睨みつけ、少女は座り込んで両腕で頭をかばっていた。 どちらも即座に動き出す様子はない。 光弾を放ったフェイトだけが、そのまま意識を集中して宙へと浮き上がろうとする。 どぉるるるるるるるるるる――――――!!! 煙幕の向こうから、斜めに構えたチェーンソーで二度、三度と舗装道路を削りながらバーサーカーが飛び出してきた。 進行方向からして狙いはまっすぐにフェイト一人だ。 迫るバーサーカーを前に、空へと舞い上がる。チェーンソーはフェイトのバリアジャケットの裾を払い、大きく空を切った。 バーサーカーは体勢を大きく崩した。追撃の千載一遇のチャンスのように思えたが、飛び込まない。 果たして、チェーンソー男は二拍も間をおかずにすぐに体勢を整えた。 もし、無策に突っ込んでいたらきつい一太刀を浴びることになっていただろう。 少しだけ冷静になれているのを確信しながら、さらに高くへと舞い上がる。 空中を移動できるというのは戦闘においてそのままアドバンテージになる。それが自由移動が効くというならばなおさらだ。 相手が空中に対する戦法を持たないかぎり逃げれば不可侵の領域となり、攻撃に転ずれば即座に不可視の堅牢な砦と化す。 しかし、バーサーカーはそのアドバンテージすらも、狂化による身体能力の向上でやすやすと乗り越えた。 チェーンソー男は、空を飛ぶでも、遠距離用の攻撃に切り替えるでもなく、ただ、跳び上がった。 その跳躍は、やおら舞い上がったフェイトをゆうに超えるほど高い。もはや人が至った英霊と呼ぶよりは、その枠を超えた一個の怪物と呼ぶに相応しい。 夕暮れで真っ赤に染まった小学校の校舎を背負い、バーサーカーが宙を舞う。 そのチェーンソーの軌道の先には、当然フェイトの身体があった。 フェイトは構えているバルディッシュを握りしめ、再び魔力を注ぎ込む。 飛行が安定した速度を出せるようになるまではまだ数秒要する。その一撃は、なんとしても届かせてはならない。。 『Photon Lancer』 フェイトはその数秒のために空に光球を展開し、槍のように尖らせて放った。数本の槍が跳び上がったバーサーカーの脚に、肩に、突き刺さる。 しかし、バーサーカーは止まらない。 身をよじることもなく真正面から光の槍を受けきって、唐竹割りの構えでチェーンソーを持ち上げている。 「バルディッシュ!!」『Yes Sir』 間一髪サイズフォームに切り替えて、チェーンソーを受け止める。 魔力の刃とチェーンソーの歯、二つが一瞬咬み合って耳障りな音をかき鳴らす。 均衡は一秒も保たれない。フェイトが力負けし、バルディッシュが弾かれてしまう。 空中で体勢がぐらついたフェイトの身体をチェーンソーが掠める。受け止めた分だけ歯がずれて、必殺の唐竹割りを往なしきったようだ。 チェーンソーを避けた勢いそのままに、更に高みへと飛び上がろうとするフェイト。しかしバーサーカーはまたしても逃亡を許さない。 「なっ―――!?」 バーサーカーは超人的な身のこなしで身体をねじり、腕を伸ばし、今にも飛たたんとするフェイトの脚をその豪腕で握りしめたのだ。 フェイトの飛行は魔力による飛行なので地面に引きずり降ろされるようなことはない、だが、片足に大きく負荷がかかれば安定した姿勢を保つことは難しい。 更に言えば、脚を捉え逃げ道を塞いだのが見敵必殺のバーサーカーである以上かかるのは負荷だけでは済まない。 どるるるるん。どるるるるん。 フェイトが掴まれた右足を見れば、そこには、片手でチェーンソーを垂れているバーサーカーの姿が目に入った。 ぶらり、ぶらり、チェーンソーが揺れる。それはまるで振り子のように。 瞬間、『片手でチェーンソーを振り上げてフェイトを切断しようとしている』と察したフェイトは、すぐに次の行動に移った。 「こ、のっ!!!」 フェイトの策は単純だった。 飛行に回していた魔力を切り、逆に地面へと向かう推進力に変えたのだ。 結果、バーサーカーはチェーンソーを跳ね上げるよりも早く、地面にたたきつけられる事となった。 バーサーカーが地面を大きくバウンドし、ごろごろと転がっていく。 フェイト自身も勢いがついているため、空中で急ブレーキをかけるも体勢維持ができずに地面に投げ出されそうになってしまう。 しかし、そこを支える者があった。 「無茶ばかりするのね」 「……大丈夫」 口数の少ない青髪の少女―――フェイトのサーヴァント、ランサーだった。 すわ落下という瞬間に、ランサーが実体化して彼女を受け止めたのだ。 ランサーの身体に衝突した衝撃と、現界に要した魔力と、蓄積された疲労とダメージで少し気を失いそうになって持ち直すまでに数秒。 小学生であることを鑑みれば、それはかなり早い立て直しだっただろう。 しかし、相手はそんなことを一切考慮していなかった。 どるるるん、どるるん。 見れば、もうすぐ近くまでバーサーカーが迫っていた。 心なしか、寄ってくる速度は遅い。ひょっとするとランサーを警戒しているのかもしれない。 ランサーがフェイトをかばうように立ち上がり、ロンギヌスの槍(真名を解放していないので魔力は極限まで抑えられている)を取り出した。 ランサーの臨戦態勢を見て身震いしたのはフェイトだ。ランサーでは勝てる相手ではないというのは確定的に明らかであるし、宝具を放てばフェイトの魔力は尽き果ててしまう。 「駄目、ランサー!」 「知っているわ……マスター、令呪を」 『令呪を』。続く言葉は想像がついた。 おそらくは『令呪を用いて魔力ブーストをかけるよう命令をくだせ』ということだろう。 そうすれば一時的にとは言え魔力に補佐を得て、もう一度くらいはあの超級の宝具を花てるかもしれない。 令呪は有限。できれば無駄撃ちはしたくない。 だが、ここで撃たねばまた襲いかかられてダメージを無駄に積み上げるだけだ。 即時判断を終え、令呪に魔力を巡らせながら、命令を紡ぐ。 「……令呪を持って命じます! ランサー、目の前のバーサーカーを―――」 「伏せて!」 魔法の呪文は、乱入者の叫びと降り注ぐ魔力の矢で遮られた。 ☆輿水幸子 幸子は、もう何がなんだかわからなかった。 掲示板の書き込みを見て、小学校の前まで来てみれば、武器を構えたフェイト・テスタロッサが居た。 彼女と命がけの交渉を行おうとした矢先、変な男性(キャスターらしい)が邪魔をしてきた。 しかもあろうことか、こんなにもカワイイ幸子を小蝿だなんて言い放って。 それだけで幸子としては許せなかったのだが、抗議の声を上げることはできなかった。 キャスターを見た瞬間、フェイトの眼の色が変わったのだ。 そして、手に持っていた武器らしきものの形が変わった。 まるで死神の鎌みたいだと思い、もしあれがあたってしまえばと想像すると、足が震えた。 幸子を動かしたのは、彼女らしい『虚勢』だった。 聖杯戦争を止めなければならないという正義と呼んでいいのかわからない心で奮い上がり、ヤケクソ気味に足を踏み出す。 カワイイからってフェイトが止まってくれるかどうかは分からないが、それでも、フェイトはすぐには幸子を襲わなかったという事実がある。 無差別に目についた人物を襲っているわけではない。 ならば、話をする余地はあるということだと判断した。 「ま、待ってください! 武器なんて―――」 一歩をヤケクソで踏み出し、続く足は勢いで駆け出し、フェイトとキャスターの間に立ち塞がる。 しかし、フェイトは幸子をすり抜け、キャスターの方へと行ってしまった。 フェイトを止められない。フェイトは止まらない。 あのキャスターという男は、ここで死んでしまう。 やはり聖杯戦争は止められないのだろうかという諦観にも似た絶望と。 刃を持ったフェイトがすり抜けた瞬間、内心、自分は死なずにすんだとほっとしてしまったという当たり前の感情を抱いてしまった幸子の胸を締め付ける。 二秒、三秒。聞こえるはずの斬撃の名残は、まだ幸子には届かない。 おそるおそる振り返ってみると、フェイトの刃はキャスターすれすれで止まっていた。 もしかして、声が届いたのか? 幸子が尋ねるよりも早く、再び事態は急変した。 物々しい音とともに現れたのは、黒いフードの、おそらく男性(バーサーカー、と見える)。 物騒なことに、チェーンソーのエンジンを掛けながらこちらに歩いてきている。 どるん。どるん。どるん。どぉるるるるるるるるるるるるる。 チェーンソーが高速回転をし始めたのを見て、幸子は悲鳴を抑えきれなかった。 「ひ」 フェイトの武器は、死神の鎌のようであると思ったが、現れ方から刃の色までほとんどすべてが現実離れしていて恐怖が薄かった。 だが、あの男の持つチェーンソーは、いやらしいほどにリアリティに溢れていた。 小梅と、輝子と、三人で見たパニックホラー映画を思い出す。 映画の中の怪人は得てして、ああいう武器を振りかざして、無辜の人間を襲い、殺すのだ。 バーサーカーは何も言わずに、ただチェーンソーの音だけを響かせながら歩き続ける。進行方向は、幸子たちの方だ。 フェイトの前に飛び込むときには蛮勇に任せて動いた足も、今度はガクガク震えるばかり。 真っ白になった頭でバーサーカーを見つめていると、やはり想定外の衝撃が走った。よくわからない光の弾が、バーサーカーに向かって放たれたのだ。 「ひゃいっ!?」 反射的に頭をかばって座り込む。 数秒経って、「この程度の自衛では意味が無いんじゃないか」と気付き飛び退った時には、また幸子を置き去りにして事態が動いていた。 飛び退り、煙幕の中にバーサーカーの影を追うが、地上にはバーサーカーの姿も、フェイトの姿も見えない。 エンジンの駆動音を頼りに空を見上げれば、二人は、空を飛んでいた。 正確にはフェイトが宙に浮き、そのフェイトの足をバーサーカーが掴んでいる、というような状況だった。 キャスターはそれを見上げて「ぶんぶん五月蝿い奴らだ」などとぼやいているが、どう考えてもそういう状況じゃないだろう。 思わず突っ込みたくなるが、言葉が出てこない。 ようやく出てきたのは、声にもならない程度の音量の声、言葉としての意味も曖昧な言葉だった。 「な、んですか、これ。なんなんですか、これ」 幸子のカワイイ頭はすでにフットー寸前だ。 しかし、幸子の頭に注ぎ込まれるガソリンは、まだまだ止まらない。 「さ、幸子、ちゃん……!」 一日ほどしか離れてないのに、懐かしく思えるその声に、振り向く。 そこには、中学校の制服を着た、見知った少女が居た。 「輝子、さん……」 名前が、自然と口から溢れる。 どこかおぼつかないフォームで、マイペースな彼女には似合わない小走りで、幸子の方に駆け寄ってきている少女は。 見間違うはずがない。カワイイ幸子の友達の、星輝子だった。 煮えたぎっていた幸子の頭が、ぐるんと一回かき混ぜられる。 輝子が何故ここにいるのか。自分の居場所を知っているのか。 どうでもよかった。ただ、足が動いた。 駆け寄ってくる輝子の手を掴み、そのまま明後日の方向へ駆け出そうとする。 ここに居るのは危険だ。ここには、フェイトもいるし、バーサーカーも居る。 フェイトとの交渉は後日に回さなければならなくなるが、交渉の機会と親友の命となんて、天秤にかけるまでもない。 幸子に手を引かれたせいでバランスの崩れた輝子を支えようと、彼女の身体に手を回す。 その時、空がひときわ眩しく光った気がした。 「伏せて!」 放たれた声に、立ちすくみ、思わず言われたとおりに身を低くする。 刹那、幸子の隣に何かが落ちてきて、地面に大穴を穿った。 何かはかなりの量が空から落ちてきているらしく、あちこちから音が聞こえてくる。 悲鳴を上げることもできない。もう死んだ、と本日三回目の走馬灯が頭をよぎる。 幸子の頭上から音がする。突き刺さったわけではない。鋭い何かが、同じく鋭い何かに弾かれた。そんな音だ。 音が止み、地面の冷たさから生を実感して、音の正体を辿ってそろそろと顔を上げる。 そこにはまた見知らぬ人物が立っていた。 その人物が何者か、何故幸子を守ったのかに見当はつかない。 ただ、その見知らぬ人物は、幸子と同じくらいに可愛らしく。 真っ白なコスチュームも相まって、悪をくじく素晴らしい正義の味方のように、夕闇に映えていた。 ☆ランサー 取り逃がした少女……江ノ島盾子と同等の邪悪な存在、蜂谷あいと彼女のサーヴァントであるエプロンドレスのサーヴァント。 桜色のステッキを持った魔法少女。桜色の髪をしたセイバー。 二組から大きく距離を取り、二組の追撃に備えもう一度実体化して周囲の『心の声』に注意を払う。 するとすぐに、いくつもの声が聞こえてきた。 (フェイト・テスタロッサを利用して聖杯戦争に付け入りたい) (聖杯戦争を止めたい。クリエーターを見返すために仲間がほしい) (これ以上戦えば消耗して敗北は免れない。逃げたい) (雪崎絵理を殺したい)(邪魔者は殺さなければならない) ランサーの魔法は、昔から考えれば大きく変わってしまった。 今ではもう、相手が困って居なくたって声を聴き、思考を先読みすることができる。 それは願望であったり、無意識下での反射的判断であったり様々だが、『キックを避けられたくない』『本当のパスワードを知られたら困る』程度の心の声すら聞き逃さなくなった。 そんな能力が、先ほどの四人(鉢屋あいの心の声は聞こえなかったので正確には三人、だが)以外の声をキャッチした。 誰かがいる。聖杯戦争に関わっている誰かが四人、この近くに。 それを裏付けるかのように電動鋸を回すようなけたたましい音と、何かが爆裂するような音が聞こえてきた。 更に新たな声が二つ。その戦闘のすぐ近くに一つと、少し離れたところに一つ。 近い方の声は、よほど困っていたのか、かなり鮮明に捉えることができた。 (きらりさんと、幸子ちゃんが居たら困る)(二人が危ない目にあってたらいやだ)。 その声に、ランサーの拳を握る力が強くなる。 諸星きらりのことを真に願う参加者がここにも居る。双葉杏以外にも、確かに存在している。 それはとても喜ばしい事実だ。 だが、その事実を反芻するたびに、頭のなかにあの自信満々な絶望の塊のような少女の笑顔と笑い声がこだましてくる。 そして、離れた場所から聞こえる、小さいが力強い、もう一つの声。 (マスターを変えたい)(参加者を減らしたい)。 相反する二つの声が鳴らすのは、これ以上ないほどの『危険人物』の到来を示す警鐘だった。 危険人物の心の声が、(視界に捉えている五人に不意打ちに気づかれては困る)という声に変わる。 聞こえた心の声の数は、その不意打ちを企む誰かを除いて五つ。 ランサーが勘定に入れられていないのは、おそらく不意打ちをしようとしている人物の視界にランサーが入っていないからだろう。 ランサーが見つかっていない以上、逃げるのは簡単だ。霊体化して霞のように消えてしまえばいい。 だが、ランサーの心は、ランサーの正義はそれを良しとしなかった。 もとより、『すべてを守る』という馬鹿げた願いを持って英霊にたどり着いた魔法少女だ。 今まさに襲われようとしている人間を、しかも他者を思いやる心を持った人間を、見捨てることなんてできない。 ルーラを取り出し、一気に駆け出す。 そして攻撃が行われるよりも早く、声を上げる。 「伏せて!」 飛び出した瞬間、ぱたぱたと不慣れそうに走っていた白髪の少女が何事かとこっちを向き、薄い髪色の少女は何も言うことなく素早く白髪の少女の体ごと地面に伏した。 少女たち二人の方に駆け寄り、空から降り注ぐ魔力の矢を弾き飛ばす。 少女たちの心の声が聞こえる。 (死にたくない)(聖杯戦争を止めたい) (幸子ちゃんを守りたい)(きらりさんがいたら困る) その二人が、先に存在していた五人の中でも特に守らなければならないと思った二人だったことがわかり、ルーラを握る力が強くなる。 降り注ぐ矢の軌道は心の声ではつかめていない。つまり『範囲内に無作為に矢をばらまく宝具』なのだろう。 一本でも逃せば、この二人が死ぬ。 ランサーは魔法少女の持てる超人的な集中力と反射速度を持って、すべての矢を叩き落とした。 次の波が来ないことを確認し、一息をついて、他の声の方をちらりと確認する。 金と黒の衣装を身に纏った少女(通達で見た、フェイト・テスタロッサだ)と槍を携えた少女は、辛くも全弾凌ぎ切ったという様子だ。 両者ともに、身体の至る所に矢がかすめたであろう、生々しい傷が残っている。 NPCと見間違えそうな男性は、ただ苛立たしそうな表情で、『危険人物』の心の声がした方向を眺めている。 その体には一切傷がない、それどころか動いた様子すらない。矢に当たらないスキルを持っているのかもしれない。 最後の一人、フードを被った大男は、体中に魔法の矢を突き刺したまま、『危険人物』の方へ駆け出していた。 どるるるるる、どぅるるるるるる。 チェーンソーの駆動音の合間に、しゅぱっという軽い音が響く。 そして、フードの大男は、喉に大きな風穴を開けてそのまま地面に倒れてしまった。 『フェイト・テスタロッサのサーヴァントが一人と、もう一人、隠れていたか』 ランサーの卓越した動体視力が捉えたのは、『矢』だった。矢があのフードの男の喉を貫き、一撃で倒してしまったのだ。 そして、矢の放たれた方向は、先ほどの危険人物の方向。 『早速で悪いが、私は君たち全員を撃破しなければならない。それが、私のマスターの依頼でね』 降り立ったのは、黒と金の身体に、頭頂には太陽を模したような冠を飾った、異形の存在。 ローブのようにも見える黒に金のマントを棚引かせながら、怪物はゆっくりゆっくりと歩み寄ってきている。 サーヴァントであるランサーにはその正体を見ることはできなかったが、それでもそのクラスだけは想定できた。 放たれた矢の嵐。そしてフードのサーヴァントを撃ちぬいた一弓。 アーチャーのサーヴァントに相違ないだろう。 アーチャーの左手についた弓のような篭手に魔力が集まる。 次いで聞こえる心の声は(フェイト・テスタロッサに避けられると困る)というもの。 それを矢を放つ予備動作だと察知したランサーの行動は早かった。 一気に駆け出し、ルーラを振るう。 しかし魔法の国製のルーラの一太刀はアーチャーの身体には届かない。 アーチャーが脱ぎ捨てたマントを使ってルーラの軌道を逸らしたのだ。 アーチャーの真の姿が衆目にさらされる。マントの内側に眠っていたのは、眠るような黒と燃えるような赤。 『気忙しいねえ。後で相手をしてやるから、少しは静かにしていたまえ』 (腹への一撃を避けられたら困る) ルーラを往なされてバランスを崩したこともあり、声を聞いてからの反応が追いつかない。 拳がランサーの腹を叩いた。 その拳撃は、ランサーが今まで受けてきた中でも最上級の威力。 崩れかけたところに、アーチャーの蹴りが突き刺さる。 ランサーは、まるで戦闘に不慣れな魔法少女のように、ただ暴力に晒されて、威力に任せて舗装道路をごろごろと転がるしかなかった。 (目の前のサーヴァントに矢を避けられては困る) 次に聞こえてきた心の声は、またしてもランサーを狙ったもの。 転がる勢いで起き上がり、横に飛び退る。次の瞬間には、ランサーが横たわっていた場所に大穴が空いていた。 『ほう、勘がいい。では、これならどうかな』 まるで必死で走り回る子どもをのんびり眺めているかのような抑揚での物言い。 その物言いとは打って変わって、放たれるのは殺すための連撃。 息つく暇もないほどの速度で矢が次々と放たれる。 心の声による先読みで次々に避けるが、矢とランサーの距離は迫っていく。 あわや着弾か、というところで、アーチャーの弓は突如その目標を変えた。 放たれる矢。空中から聞こえる小さなうめき声。何かが落ちる音。誰かが逃げようとして撃たれた、ということだろう。 『逃げられると思ったのなら、それは少々、私を見くびりすぎだ』 余裕綽々という風貌そのままに、圧倒的な戦力で立ちはだかるアーチャーに、再び肉薄しようと体勢を立て直す。 誰かが近接戦を挑んだならば、アーチャーは弓を撃つ隙がなくなる。 まずは、この圧倒的な敵を退けるのではなく、他の者達の撤退の手助けを行う。 心の声による先読みと、同等の反応速度を持つランサーならばそれが可能だ。 しかし、ランサーが走りだすことはなかった。 心の声が聞こえた。 しかも、この状況で、また新たな心の声が。 (動き回られると困る、マスターとサチコを連れて帰れない) (どっちがサチコだったっけか、分からない) 誰かが、『マスター』と『サチコ』を連れて帰ろうとしている。 この場にいるマスターはおそらく三人、白髪の少女、髪色の薄い少女、そしてフェイト・テスタロッサ。 そして『サチコ』とは、白髪の少女の心の声にあった名前。 導き出されたのは、その心の声の主が、先ほどランサーが守った二人を助けにきたという事実。 『えーい、面倒だ!! 二人まとめてまとめて連れて帰ればそれでいいだろ!!!』 突如聞こえる大きな声。 空を見上げれば、そこには、『何故か見覚えのある』謎の円盤が浮いていた。 『ハァッヒフゥッヘホォ―――――――――!!!!』 いやに聞き慣れた雄叫びが、六人の頭上から放たれた。 『な、に』 その声と、空を漂う円盤に呆気にとられたのは、襲撃者であるアーチャーもまた同じだった。 『信じられないものを見るような目』で、その円盤を眺めている。 『喰らえ、トリモチバズーカ!!』 その一瞬の虚を突いて、円盤の下部からノズルが飛び出し、べっべっべっと三つの白い粘着質な何かを吐き出した。 アーチャーの身体に一つが着弾する。 アーチャーが余裕の態度を崩し、その姿のままで固まった。 動きが鈍い。本当に『トリモチ』をぶつけられたかのようだ。 『掃除機ノズルアーム!』 続いて円盤から、掃除機のノズルに似た長細いジャバラが伸びた。 ノズルは『マスター』と『幸子』を吸い、ついでにランサーも吸い上げた。 掃除機を吸い上げられるごみはこんな気分なんだろうか。なんて、くだらない考えが一瞬頭をよぎる。 そして、一瞬の後には、ランサーは円盤の内側に居た。 幾つかのボタンとレバーしかないそのコックピットは、やはり『なぜか見慣れた』ものだった。 「さっさと逃げるぞ!!」 「ライダー、あ、あの三人も……」 「定員オーバーだ!! 文句言うなよ!! マジックハンド!」 声と同時に、ライダーと呼ばれた異形の英霊が円盤内のボタンをぽちりと押す。 すると左右二本のマジックハンドが伸び、右手で地面に横たわっていたフェイトと彼女の英霊を、左手で男性を捕まえた。 そして、彼らを宙に持ち上げて、円盤は速度を上げ始めた。 ◇ ランサーにとって、その光景は、魔法少女の存在以上に奇異なものだった。 ランサーが魔法少女になるよりもずっと前、それこそ物心がつくよりもずっと前。 およそ日本中の子どもが見ていたと思われるアニメを、ランサーも当然のように楽しんでいた。 顔がアンパンの正義の味方と、バイキンがモチーフの悪役が、毎週毎週戦うアニメ。 その中の登場人物、彼の乗り物である円盤。果たしてそれこそが既視感の正体だった。 ランサーはアニメや歴史にそれほど詳しくはない。だが、その英霊の名前は、間違えようがなかった。 ランサーの胸にあふれている謎の感動をよそに、ライダーと、彼のマスターは話を続ける。 「なんか似てたから二人とも回収したが……どっちかがサチコってやつでいいんだな」 「ふ、ふ、さすが、親友」 「なあにが『さすが親友』だい! 俺様があとちょーっとでも悩んでたら、お前ら全員穴だらけだったんだぞ!」 白く長い髪の少女(ライダーのマスター)は、とても楽しそうにこの円盤の主であるライダーの肩をたたいた。 ライダーは、ぷりぷり怒りながらもレバーの操作に余念がない。 円盤での移動が目立つからか、一旦森の方へ進路をとっているようだ。 コクピットのガラス越しに外の三人を見つめる。風の影響などは受けていなさそうだ。 思い返せば、ランサーの知るライダーのUFOは、よくキャラクターを掴んで移動していたが、風圧などは一切無視できていた。その逸話が現れたのかもしれない。 「あ、あの」 そこでようやく、『幸子』が声を上げる。 その様子は、ネッシーやツチノコ以上に信じられないものを見た、というようで。 「貴方……ばいきんまん、ですよね? マスター、って、輝子さんの、サーヴァントなんですか?」 しばしの沈黙。そして、ライダーの大きなため息。 「だーから、俺様嫌だったんだよ。一発でバレちゃうんだもの!」 肯定。ついでに言えばランサーの予想も、あたっていた。 いや、これだけわかりやすいフォルムの悪役を、見間違えるほうがおかしいのだが。 画面の中だけの世界一有名な悪役が、同じ聖杯戦争に呼ばれている、なんて思ってもみなかった。 ランサーは今一度、聖杯戦争と言うものへの認識を改め直した。 「お前がサチコか?」 ライダーが幸子に問いかける。幸子はまだ狐につままれたような顔をして、ただ二度ほど頷いた。 それを確認すると、ライダーは次に、しらっとした眼でランサーの方を見つめてきた。 そこまで来て、ようやく自分も助けられていたのだということを思い出したランサーは、姿勢を正して頭を下げた。 「あ、あの、ありがとう……」 「よせやい! お礼なんか言うな! 俺様、そういうのいっちばん苦手なんだ!!」 しかし、謝辞の言葉はライダー本人の言葉でかき消されてしまう。 そしてライダーは、少し不機嫌そうな声で続けた。 「それにお前、正義の味方だろ! くっそう、お前が幸子じゃないってわかってたら、置き去りにしてたのに!」 言われてみれば、幸子と呼ばれた少女と、ランサーの髪色はよく似ていた。 自分が助けられた理由が『幸子と似ていたから』というあまりにも偶発的すぎるものだということに、思わず身体の力が抜ける。 しかし、ランサーの心の方は、脱力とは程遠い状態だった。 正義の味方、という一言が、ちくりとランサーの心に突き刺さる。 思い出すのは、またしても、自身のマスターの言葉と、自身のこれまでの振る舞い。 苦しんだ心が絞られ、膿汁のように苦々しい言葉を一言だけこぼす。 「……私は、正義の味方なんかじゃ」 「いーや、俺様が言うんだから間違いない! お前は正義の味方だ! そんな見た目で、他のやつ助けるようないかにも~なやつが、正義の味方じゃないわけないだろ!」 しかし、ライダーはまたしても、ランサーの言葉を断ち切って、自身の意見を突きつけた。 ランサーは、やはり、苦い思いしかできなかった。 しばらく、沈黙が流れる。 輝子も、幸子も、ライダーも、何も喋らなかった。 輝子はライダーの背中越しに、ガラスの向こう側に広がる景色を鼻歌交じりで楽しんでいる。 幸子はそわそわしているように見える。ひょっとしたら、先ほどのランサーとライダーのやりとりで、萎縮させてしまったのかもしれない。 少しばかりの沈黙に、心の膿の臭いが混ざる。 ランサーは、感じるはずのない膿の臭いに少し居心地が悪くなり、つい口を開いてしまった。 「……あの、ライダーさん」 「なんだぁ?」 「悪って、なんなんですか」 ランサーが一言喋ると、ライダーはすぐに簡素な返事を返した。 昔見た彼はこんなに職人気質だっただろうか、と考えながら、ランサーは遠回しに、先ほどのばいきんまんの『正義の味方』という言葉について、問いなおす。 ランサーは、時々正義と悪がわからなくなる。 魔法の国から見れば、魔法少女狩りは正義であり、また同時に悪でもあった。 彼女の心の中の正義に従っても、なじられこそすれ賞賛されることはない、不確かな正義の元で戦い続けていた。 ここに来て、その不確かな正義は再び揺れることになった。 自殺した少年を殺したのは誰か。 鉢屋あいを殺すのは本当の正義か。 善と悪は、しょせん人の目盛りにすぎない。命に貴賤をつけたのはランサーであり、正義ではない。という江ノ島盾子の言葉。 ならば、ランサーの正義とは、ランサーの信じてきたものはなんなのか。 自身の弱みを見せるようなことは、生前のランサーならばしなかった。 しかし、ひょっとすると、目の前の『あく』の大御所ならば。 世界一純粋な人間に向けた『あく』である彼ならば、ランサーの抱える自己矛盾について、何かの解決策をもたらしてくれるのではないだろうか。 ライダーの性格をしっかり理解したうえで、そう判断した。 それはもしかしたら、ランサーにすこしばかり残っていた『なにかへのあこがれ』と、一方的であるかもしれないが幼少期を一緒に過ごした相手への理屈を超えた信頼感がそうさせたのかもしれない。 「なんだあ、お前、そんな簡単なことも知らないで正義の味方やってるのか!」 そんなランサーの心の中もつゆ知らず、ライダーはすぐに答えを出した。 「いいことするやつが正義! まじめとか、他の人のためとか、俺様そういうのぜえんぶ大っ嫌い!! その反対が悪! だから俺様は悪の味方なんだ! わかったか!」 それは、とても単純な理屈だった。 幼児に向けられた、包み隠さぬ本質的な『正義』と『悪』だった。 まるで赤鉄を槌で叩いたかのように。 ランサーのなかに、単純な理屈が響く。 事態が複雑になればこんな単純な理屈は通用しないというのは理解している。 だが、それでも。その単純な理屈は、ランサーの心に折り重なっていた澱を雪いでくれるようだった。 「あの」 続くランサーの一言に、ライダーが応えるよりも早く。 円盤の外から爆音が響き、バイキンUFOの右のマジックハンドがちぎれ飛んだ。 数秒後に、同じように左のマジックハンドも吹き飛んだ。 一撃目の襲撃で気を取り戻したランサーの眼が、マジックハンドを吹き飛ばした『何か』を捉える。 それは、先ほどのアーチャーの『矢』に相違なかった。 「ちっ、追ってきやがったか!!」 ライダーは舌打ちをして、レバーをきつく握り直し、操作する。 その操作に従って、UFOは不規則に進路や高度を変える。 進路を変えるたびに、UFOの端から鈍い音が上がる。先ほどと同じように、矢を乱れ打っているのだろう。 すれすれのところですべてが機体そのものに着弾しないのは、距離のためか、逃げ続けているためか、ライダーの腕前か。 ががんと音を立ててUFOの円盤部の装甲が跳ね上がる。 じわじわと、着弾箇所が中央へと寄ってきているのは、ランサーでなくとも気づけることだった。 「だ、だ、大丈夫なんですか!? これ、大丈夫なんですか!?」 「しるか!!」 幸子の悲痛な叫びに応えるライダーの声にはもう余裕はない。 ライダーがUFOの高度を大きく下げる。 直後、今までで一番大きな爆音がUFO内を包み込んだ。 ☆アーチャー 円盤の胴体を貫いたのを確認し、矢を撃つための安定した走りから追いつくための全力の走りに切り替える。 現れたのが宇宙の象徴のような『未確認飛行物体』でなければ、隙を作ることもなかった。 放たれたのが単なる攻撃ならば余裕を持って防げた。 だが、あの瞬間のあの行動はアーチャーにとってはまさに最悪と言わざるをえない一手だった。 とはいえ、十分に注意していれば対処することもできたはずだ。 我ながら酷く油断したものだと思ったが、それもこの一撃で六割ほど取り戻せた。 残りの四割は、撃ち落とした二つのマジックハンドとともに置いてきた。フェイト・テスタロッサを見失うのは痛手だが、倒せる人数は多い方がいい。 令呪としての価値があるフェイトを捨てたとマスターが聞けばなじるかもしれないが、伝えなければいいだけだ。 円盤がふらふらと高度を落としているところに、ダメ押しで矢を二発打ち込む。 すると、円盤は面白いほどに大きな音を立てて爆発した。 あれほどの爆発ならば中に乗り込んでいる四人は無事ではないかもしれない。 だが、念には念を入れておく。 生き残られてアーチャーについて触れ回られて、アーチャーの有利は揺るがないだろうが、聖杯戦争では何が起こるかわからない。 殺せる時に殺しておくべきだ。 ひょっとして、令呪を持ったままのマスターが一人でも生き残っていれば、フェイトの討伐令による令呪一個を上回る、令呪三個を得ることができる。 『そうすれば、あの気難し屋なマスターも、笑ってくれるかもしれない』 忠誠心ではない。 たんなるご機嫌取りだ。 あと数十時間を円滑に過ごすための、処世術にすぎない。 アーチャーにとって最も警戒しなければならないのは、、まずマスターの持つ絶対遵守の『令呪』。 もし、対魔力の低い我望光明状態で令呪を使われれば、アーチャーは従うしかなくなる。 行動に変な制限を加えられて、うっかり負けましたでは笑えない。 そんな状況を作り出さないように先手を打っておくのは大事なことだ。 ◇ 爆発の火花で、木が燃えている。 周囲には、紫色のブリキとガラスの混ざった円盤の残骸が広がっている。 そして、燃え盛る木の側に、彼はいた。 深い紫色でで、三頭身の身体。頭には二本の触覚、背中には羽と尻尾。 21世紀日本由来の英霊である以上、アーチャーも彼の真名を間違えるはずがなかった。 『嬉しいね、まさか、君と会うことができるなんて。 光栄だよ、『日本一UFOに乗った英霊』……ばいきんまんくん』 「俺様はお前のことなんか知らないぞ。わかったらあっちいけ! くそ、あいつら、俺様一人置いて行きやがって!」 クラス不明のサーヴァント・ばいきんまんは悔しそうに地団駄を踏んだ。 その姿も、アーチャーの知っている彼に相違ない。 『残念だよ。君を殺さなければならないなんて』 「こいつめ、もう勝った気でいやがるな!」 『君程度には、私の夢は止められないよ』 「へーんだ! 俺様、日本一諦めの悪い悪役だもんね!!」 ばいきんまんが天に向かって手を突き上げる。 「こぉい、『だだんだん』!!!」 瞬間、空が光り、木々を超えるほどの背丈のロボットが現れた。 鈍く輝くブリキのロボットは、やはりアーチャーもよく知る宝具。『だだんだん』。 アーチャーは、アニメの中からまるでそのままなその英霊の振る舞いに笑ってしまった。 アニメのままの英霊を、武力によって討伐する。 聖杯戦争だとはいえ、これを笑わずにいられようか。 『素晴らしい……君は実に、「ばいきんまん」だ!!』 アーチャーが飛び上がり、だだんだんの拳が唸る。 【ALL HAZARD PARANOIA/オール・ハザード・パラノイア Ⅱ】
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このオベ…美佐枝さんの匂いがする♡ なんでもかんでも志麻くんは美佐枝さんの匂いを感じるみたいだぞ!!気をつけろ!!
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【検索用 しょうこいんめつしょうしょしゅんけつ 登録タグ 2022年 VOCALOID YouTubeミリオン達成曲 し みつあくま もずくず 初音ミク 曲 曲さ 殿堂入り 田ゃむ】 + 目次 目次 曲紹介 歌詞 コメント 作詞:みつあくま 作曲:みつあくま 編曲:みつあくま イラスト:田ゃむ 終わりペンギン:もずくず 唄:初音ミク 曲紹介 「ヒトよ、一夜に一目惚レ!?」 イヤホンで聴くと左右動いて、とっても楽しくてオススメです。 曲名:『ショウコ隠滅、少女純潔』(しょうこいんめつ、しょうじょじゅんけつ) 【ママに内緒で】 第9回プロセカNEXT応募楽曲。 自身初の殿堂入りを達成。 歌詞 (utatenより転載、一部修正) ねえねえ最近聞いた噂話 げぇげぇ胸糞悪いし哀しい Day By Day 血みどろ割れた鏡 玄関でうつむいちゃって 笑み屈み 痛い痛いは我慢する ニガいニガいも慣れてスルー 居ない居ないとマぢで狂ぅ ねえ?いい子にするから… (好きぢゃ♡) 証拠隠滅、少女純潔 ママには内緒なの 痣はもう消えたけど 命(カラダ)は穢れたまま もーいいかい? まーだだよ ココロ亀裂 まさに奇天烈 固くって噛めないマカロン どこに隠せばいい? 誰にも頼れない もういいかい? もういいよ ってね(笑) くだらねありがちな悩やみ 無駄金一時的な悩み 諦めガチ得物カチャリ ねえねえ"バイ菌"ってあだ名のあの子 バイバイ金曜日から行方不明 残念なボサ髪 ヒドイ見た目 ロッカーで泣いちゃうのってコレ運命? 原因不明の使用不可 無責任尊いヌクもりが 中にはビッシリお札 もう、シャレになんないよ… (一目惚レ♡) ショウコ隠滅、少女陳列 ママを知らないマま 悦びから紡ぎ 無邪気に凍えた指 ねえイイカイ? ねえイイヨ ココロ貧血、どうも流血 ガラクタ神楽なカルマ 誰にすがればいい?誰にも話せない もーいいか… もういいよ ってね。 コメント リズムとか歌詞とかすごい好き ハマった -- 名無しさん (2022-03-17 23 46 02) ミクたその声良き -- 名無しさん (2022-03-18 13 48 05) 広告で流れてきてからハマった -- 名無しさん (2022-12-22 08 27 45) 名前 コメント コメントを書き込む際の注意 コメント欄は匿名で使用できる性質上、荒れやすいので、 以下の条件に該当するようなコメントは削除されることがあります。 コメントする際は、絶対に目を通してください。 暴力的、または卑猥な表現・差別用語(Wiki利用者に著しく不快感を与えるような表現) 特定の個人・団体の宣伝または批判 (曲紹介ページにおいて)歌詞の独自解釈を展開するコメント、いわゆる“解釈コメ” 長すぎるコメント 『歌ってみた』系動画や、歌い手に関する話題 「カラオケで歌えた」「学校で流れた」などの曲に直接関係しない、本来日記に書くようなコメント カラオケ化、カラオケ配信等の話題 同一人物によると判断される連続・大量コメント Wikiの保守管理は有志によって行われています。 Wikiを気持ちよく利用するためにも、上記の注意事項は守って頂くようにお願いします。
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魔法少女の刑 掲載サイト Neetel Inside 月刊コミックニート ジャンル 現代ファンタジー ページ数 83ページ 描画法 モノクロ 鬱魔法少女要素 ★★★★★ 状態 完結 主人公 女 【概要】 魔法使いになりたい少女ナナの元に「神様」が現れ、超能力を授けてくれる。 しかし、その代償は・・・。 紹介・応援コメント 鬱魔法少女のパイオニア?後味の悪さは最高クラス。綺麗にまとまってます。 第7話の12でぞくっとした・・・ 後味は悪いけどいろいろと考えさせられます 後味悪すぎワロタ・・・ 代償って重いんだな・・・ 次回予告? みたいな背景の蝋燭と林檎が意味深 明かりは自身への信頼…? だとしたらたまちゃんにおばけ呼ばわりされた点で矛盾するから、ナナ自身が自分を信じる気持ち¥? 最後の魔法少女ミサりんの漫画が出るとこで泣きそうになる おばけ・・・ まどマギが放送されるより前の作品なのが凄い所 時よ まどマギが放送されるより前の作品なら真実の魔法少女もそうですぜ。 おばけおばけおばけおばけおばけ レビューを書く この作品が好きな人におすすめのweb漫画 エッチマン 魔法少女の刑 給食の時間 バクバクバク 百鬼村 ヒトクイ 平穏世代の韋駄天達 このページの登録タグ 99ページ以下 完結 新都社 短編 魔法 このページのトラックバック trackback トップに戻る
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惑いのダッチアイリス ◆EAUCq9p8Q. 早朝。 打ち棄てられたはずの廃教会の郵便受けに、一通の手紙が放り込まれる。 配達の青年は少し不思議そうな顔をしたが、別段気にせずに郵便配達用のスクーターを走らせて来た方向へと帰っていった。 スクーターのエンジン音が離れて数分。 油の切れた扉がきいきいと耳障りな、小さな悪魔の上げている悲鳴のような音を立てて開いた。 ぼろぼろな教会から出てきたのは、小さな小さな女の子。 「……これって……」 大きなリボンが特徴的な少女、桂たまは郵便受けに入れられたすみれ色の薔薇模様の便箋を手にとってしげしげと眺める。 宛名は書いてない。 もしかして配達ミスだろうかなどと考えていると、彼女の頭に声が響いた。 『おそらく、 ルーラーからの つうたつだろう』 まるで、地獄の底から響いてくるような声。 たまは物怖じせず、その言葉を反芻するように繰り返した。 「ルーラー……」 ルーラー、という存在が居るという知識はたまにもあった。 裁定者として聖杯戦争の進行を担う者。 つまり、アパートの管理人さんとか、スポーツの審判さんみたいなものなんだろうと考えていた。 その人からの手紙。 なんだろう、と少し考えこむ。 そしてすぐに一つの心当たりに辿り着いた。 「この教会、勝手に使っちゃったの、やっぱりいけなかったんでしょうか」 そういえば、目がさめたからなし崩し的にこの教会に住み続けている。 それが悪かったんじゃないだろうか。 ぽやっとしたまま少しずれたことを言うたまの脳内に、再び声が響く。 『なにあれ よんで みないことには はじまらない。 はやく もどって くるのだ』 「そうですね、すぐ戻ります」 ぱたぱたと小さな体で細やかに動き、再び不釣り合いな扉を開く。 再びきいきいと悪魔の悲鳴のような音を立てて、教会は少女を飲み込んだ。 すみれ色の薔薇の便箋の中身を、たまと彼女のサーヴァントであり念話の声の主であるアサシンの二人で眺める。 書面にはいくつかの事項が書かれていた。 たまが予選を通過したという旨。 聖杯戦争用に掲示板をインターネットに用意したという旨(たまは機械系には疎いのでほとんど関係ないが)。 ついでに、5000円分のQUOカードも入っていた(諸事情により億単位の資金を持つためこれもほとんど関係ない) そして、もう一枚。 マスターの一人であるフェイト・テスタロッサを捕獲対象に定めたという旨を書いた書類と、彼女の顔写真が入っていた。 生死は問わず、もし生かしたままフェイト・テスタロッサをルーラーに引き渡したマスターには令呪一画が報酬として与えられるらしい。 「『ほかく』 か」 アサシンが呟く。 「何かあったんでしょうか」 たまがアサシンに問う。 しかし、裁定者側の都合などアサシンに知る由もない。 「そなたは じぶんのみ のことを あんじておればよい」 アサシンの言葉で、たまの背筋が少しだけ伸びる。 「よせんつうか が かくていした ということは きょうから せんとうが ほんかくてきになる ということ。 これまでのように かくれて すごすことも ままならぬ やもしれぬ」 アサシンに言われて、ようやく実感した。 戦争が始まるのだ。 これまでは運良く誰にも見つからずに過ごせてきていたが、これからは違う。 遅かれ早かれ、参加者がたまを探しだす。 「バラモスが かえらぬ うちに この きょうかいを おそわれれば そなたは なにもできず しぬのみ」 言われて気づく。 アサシンは『バラモス』の生存中は一切の戦闘行動が行えない。 つまり『バラモス』が生きている間にどこかの組がたまを襲いに来たら、その時は成すすべなく殺されてしまうのだ。 どうすればいいのかわからず、慌てふためくたま。 アサシンは特に表情を変えず、ただ闇に向かって指を弾いた。 弾いた指の音をきっかけに、闇の中からいくつもの『得体のしれないもの』が現れる。 「キラーアーマー」 血に染まった鎧を身に纏う物言わぬ騎士。 「ガニラス」 鮮やかな青い甲羅をした、人ほどの大きさの蟹。 「ミミック」 宝箱から覗く怪しい目をした化け物。 「ベホマスライム」 イチゴゼリーのような赤く半透明の頭をしたクラゲ。 「あらかじめ よびだしておいた モンスターだ」 アサシンのスキルの一つによって生み出された、とても強そうなモンスターたち。 彼らに見惚れた後に、得心したとばかりにアサシンに彼らについて聞いた。 「いざという時は、この人たちに戦ってもらうんですね!」 「ちがう」 たまの言葉を突っぱねて返ってきたのは、彼女が予想だにしなかった答え。 「こやつらは しょせん モンスターに すぎぬ。 せめてくるのが アサシンや キャスターの サーヴァントならば かずにものをいわせて わたりあえる やもしれぬ …… しかし、 さんきしや バーサーカーとでは たたかいに ならぬ。 まず いっぽうてきに ころされる のみだ」 三騎士、セイバー・アーチャー・ランサーのクラス。 バーサーカー、場合によっては三騎士すら凌駕する性能を持つクラス。 戦闘に適したクラス相手なら、戦闘能力に優れたキラーアーマーでも二合切り合えればいい方だ。 「じゃあ、この人たちは一体……?」 「じかんかせぎだ」 たまのくりくりとした瞳がひときわくりくりと開かれる。 そのエメラルドの原石のような深い翠の瞳が、光を吸ってきらりと輝く。 「ごくらくちょう」 どこに潜んでいたのか、空から二羽の鳥が舞い降りる。 赤みがかった毛並みの鳥は、どこか浮世離れした雰囲気を身に纏っていた。 「しゅうげき されたなら、 この きょてん、 この モンスターたちを かえりみるな。 ごくらくちょう と ともに わしのもとまで にげてこい」 「で、でも、そうしたら、この人たちは……」 「あしどめ ていど ならば できる」 足止め、という言葉がたまの胸を少し締め付ける。 たまは必死に、「でも、それじゃ、それは……」とぶつ切りでまだ言葉にならないままの感情をぶつけようとする。 「なにを まよっている? ねがいを かなえるために ぎせいは つきものだろう」 しかしアサシンはたまの言葉を待たず、至極愉快そうにそう言い放った。 願いを叶えるために犠牲はつきもの。 その一言が、再びたまの胸をきゅっと締め上げる。 「あれらは いきものでは ない。 ただの まりょくの かたまりだ。 それが きえるのは し ではない。 ただの しょうめつ よ」 まるで世界の常識のように。 夢がいつか醒めてしまうだと言うのと同じように、たまにそう諭す。 そんなアサシンの言葉を聞いて、たまの胸が居心地悪げに三度うずく。 それは紛れもない事実、なのかもしれない。 だが、たまはその事実が、とても心地の良くないものに思えた。 「では わしは ふたたび じんちの さくせいへ むかう。 なにかあれば ねんわを つかうのじゃ」 言い淀むたまを傍目に、アサシンは会話を切り上げ、霊体化した。 そうして、少々賑やかだった廃教会は沈んだような、停滞しているような沈黙と空気を取り戻した。 アサシンいわく『生き物ではない』モンスターたちと、もやもやとした感情を胸に残したたまをその腹中に収めたまま。 ◇ 青。 あるいは赤。 あるいは紫。 あるいは緑。 降り注ぐ様々な色をした柔らかな日差し。 人が居なくなって相当の年月が経ち、内外装共に寂れてしまっていたが、建物の高くにはめ込まれたステンドグラス越しのその光だけは、今も鮮やかなままだ。 胸の前で手を組み、飾られた十字架と降り注ぐ光に願いを込める。 神の御下で安らかに眠る人達のために。聖杯に願いが届くように。 目を伏せ、黙して祈りを捧げ続ける桂たまの姿は、まるで絵画に描かれた天使のような無垢さを讃えていた。 「……」 ちち、ちちち。家の外から聞こえる小鳥の鳴き声。 しゃげー、しゃげー。これは家の中の鳥の鳴き声。 がしゃり、がしゃり。鎧の揺れる音。 かちゃかちゃかちゃかちゃ。木張りの床を爪が弾く音。 祈りの裏で聞こえる音たち。 目を開き、音たちの方に向く。 音を発していたモンスターたちは、今もたまの護衛のためにせわしなく動き続けている。 そんな様子を見ながら、たまの脳裏に大魔王たるアサシンの言葉がよみがえる。 ―――願いを叶えるために、なにかを犠牲にする。 アサシンは言った。 彼らはアサシンが呼び出したモンスター、命を持つ生命ではないと。 魔力に寄って生み出され、魔力が尽きれば消えるだけの作り物だと。 でも、作り物だとしても。 また、きゅうと胸が締め付けられる。 締め付けられた胸の内を撫でるように、肉付きの悪い胸の上に手をおいて、こころの代わりに服を握りしめる。 彼らを自分のために犠牲にして、また犠牲を増やして、それでも救いを求めて祈り続ける。 たとえそれが作りものだとしても、今はああやって生きている彼らを見捨て、自分だけが生き延びる。 この先、戦争が激化すればそれを受け入れなければならない時がくるかもしれない。 だとしても。 今のたまには、その決断が、どうしても下せなかった。 胸で握りしめた小さな手。 その甲に刻まれている令呪は、迷いから抜け出せない彼女の心を嘲笑うかのように醜く歪んでいた。 【B-5/海辺の廃教会/一日目 早朝】 【桂たま@天国に涙はいらない】 [状態]健康、元気 [令呪]残り三画 [装備]なし [道具]ルーラーからのおてがみ [所持金]億単位(銀行に貯金してある) [思考・状況] 基本行動方針:戦闘はアサシンに一任 0.教会からはあまり出ない 1.大魔王城完成まで教会でひっそり暮らす 2.モンスターさんたちを、犠牲に……? [備考] ※フェイト・テスタロッサの名前と顔を確認しました。 ※廃教会内にキラーアーマー×10、ガニラス×10、ミミック×5、ベホマスライム×3が配置されています。 さらにたまが逃げ出せるようにごくらくちょう×2が潜んでいます。 彼らは勝手に増えませんが、今後アサシン(ゾーマ)の采配とたまの要請次第で増えることはあります。 ◆ ごぎ、がが、が、ぎご。 魔力を注ぎ込むごとに、外壁が積み上がっていく。 B-4-B-5に作成されている陣地『大魔王城』は着々とその姿を万全へと近づけていた。 外壁も、残す所あとすこし。 これが完成すれば、『ヤマタノオロチ』『ボストロール』が召喚できるようになる。 一日目の深夜から二日目の黎明くらいには個室が完成し、たまが大魔王城で暮らす準備が出来上がる。 「バラモスよ。 しれいはみっつだ」 まるで映像の巻き戻しのように音を立ててそびえ立っていく大魔王城を見ながら、後ろで控える自身の宝具『まおうバラモス』に語りかける。 バラモスは逸話にあるような尊大な態度は取らず、顔もあげず、身じろぎもせず、ただ、ただ、敬愛する自身の王の言葉に耳を傾け続ける。 「ひとつ。 わが だいまおうじょうの かんせいまでは こうせんはひかえるのだ。 そなたのし、 それはすなわち だいまおう しゅつじんの ときのこえ となる。 せっきょくてきな こうせんは 『だいまおうじょう』 かんせいを まて。 かんせいした そのときこそが うってでる ときだ」 バラモスはただの宝具。 戦闘性能こそあるものの、一線級の英霊との戦いで生き残れるわけがない。 さらに言えばバラモスが打倒されたその瞬間、アサシンはその宝具の効果に則ってすべての参加者に自身の存在を告げてしまう。 こちらの戦力がある程度整うまでにバラモスが負けては面白くない。 バラモスは深く頷いた。 「ふたつ。としょかんには ちかづくな。 れいじゅねらいの さんかしゃ、 さんかしゃねらいの さんかしゃ。 こうせんてきな ものたちが あつまる。 ほうぐに おち、 よわくなった そなたでは しににいく ようなものだ」 通達にあった『図書館への連行』について。 あれを読んだ参加者が、図書館近くに陣取る可能性は高い。 フェイト・テスタロッサを捕まえたものを襲って手柄を横取りせんとするもの。 単純に参加者との交戦目的で図書館近くを徘徊するもの。 どちらにしろ、積極交戦を望むものが目をつけるのが、図書館になるはずだ。 そこで上手く立ち回れれば、様々な有益な情報を得られるだろう。 だが、バラモスの気配遮断はE。参加者にはほぼ筒抜けと言っても過言ではない程のランクの低さだ。 近づけば見つかり、見つかれば追われ、追われれば負ける。バラモスが負ければアサシンが苦境に立たされる。それだけは避けなければならない。 バラモスは深く頷いた。 「みっつ。 なんどもいっていることだが、NPCを きょくりょく きずつけるな。 くだらぬこだわりだが マスターの ねがいだ。 かなえてやろう ではないか」 嗤う大魔王。 その願いになんの意味もないと分かりきっているからこそ、叶えてやる。 もがきたいならもがけ、苦しみたいなら苦しめと。 腹にたまらぬ砂糖菓子にも似た役に立たない優しさで出来た弾丸を武器に、敵と向き合ってからその愚かしさを悟れと。 一切拒絶せずに首にかかった真綿の両端をもたせ、自分の首を締め上げさせてやるまで。 バラモスは深く頷いた。 「では、 いけ。 そのめに せんそうを やきつけて くるのだ!」 「全ては、大魔王様のために」 立ち上がり、うやうやしく礼をする。 そして背を向け、どしん、どしんと歩いて行く。 ただの宝具や、偽のステータス(偽アサシン)などとは程遠い、魔王としての威厳に満ちた振る舞いで。 アサシンは街へ向かおうとするバラモスの背を見ながら少考し、今朝より頭の内を逡巡させていたその名を呟く。 「フェイト・テスタロッサ」 ルーラーからの手紙に書かれたどうにも解せないあの一言。 街に潜む『対象』。裁定者より生死問わずの『捕獲』を命じられた参加者。 その意図する所はなんなのか。大魔王にとって、興味深い人物の一人。 「ルーラーよ。 なにを おそれる。 さいていしゃとも あろうものが なにに おびえている」 もしも通常のルール違反であれば『捕獲依頼』を通達するはずがない。 違反の内容を明示した上で、討伐を行うようにと命ずるだけで事足りる。 ならば、彼女は何者なのか。 存在自体がイレギュラーであるのか。 裁定者にとって不利益を齎す存在であるのか。 それとも、彼女の存在がこの聖杯戦争の中軸たるルーラーに深く関わっているのか。 どうにも気にかかる。 といっても、不快な気がかりではなく。 あえて人間臭い単語で言い換えるならば『探究心』。 この地にすでに立ち込めていた『闇』の見せた綻びが、彼の興味を掻き立てる。 アサシンは立ち去ろうとするバラモスに声をかけた。 「バラモスよ!」 歩んでいたバラモスが足を止め、振り返り、傅く。 「フェイト・テスタロッサの ひととなり、 おぼえているな? やつも ほかのさんかしゃ どうよう せっしょくは さけよ」 相手がもし、『危険人物』として捕獲を命ぜられたのであれば、関わらない方がいい。 ただ、単なる『危険人物』ではないとしたら…… 『何か』がある。 裁定者とは名ばかりで、彼らにも何か『闇』がある。 裁定者側が隠そうとしている秘密がある。 参加者には知られてはならない秘密が、ひとつか、いくつか。 そして、件の少女フェイト・テスタロッサこそがその秘密に近しい場所にいる。 フェイトなる少女がそのことを知っているのか、知らないのかは分からないが、それでも興味深い。 そして、彼女の存在は……きっとアサシンにとって良き『波』を起こす。 「だが もし …… もし、 かのうで あるなら わしの もとまで つれてくるのじゃ。 きけんでないと はんだんできたなら そなたのがわから ほごを もうしでても よい」 バラモスは深く頷く。 そして、続く言葉がないのを確認して、バラモスは再びどしん、どしんと歩き出した。 ◆ ゆうしゃ よ …… よくぞ わしを たおした。 だが ひかり あるかぎり やみもまた ある …… わしには みえるのだ。 ふたたび なにものかが やみから あらわれよう …… だが そのときは おまえは としおいて いきてはいまい。 わははは ……… っ。 ぐふっ! ◆ 彼の死に際の宣言通り、闇の系譜は続いている。 大魔王の死後、幾つもの魔王が闇より現れ人々に災厄を振りまいた。 数多の並行世界、無限の物語の中で、彼の宣言通り『なにものか』は現れ、世界を破滅へと導いた。 それから、遥か未来のどこかの世界。 なんの因果か、アサシンは英霊として座に記録され、サーヴァントとして呼び出されることとなった。 大魔王としての力を持ち、大魔王としての誇りを持つサーヴァント。 再びこの世に顕現した大魔王の始祖たるアサシンは、仮初の生に何を望むか。 再び世界の闇か。 再び人の破滅か。 再び終わらない苦しみか。 しかし、と作り上げられた偽物の街、自身が呼び出された少女たちの箱庭を見てアサシンは思う。 そこには、今はまだなりを潜めている無色透明の闇があった。 感知できないが背後にある破滅があった。 少しばかりの現在の救済のために永劫続く苦しみがあった。 華やかな少女で彩られた街。 しかしその水面下には願いという泥濁のように底の見えぬ闇と、逃れようのない少女たちの滅びですでに満ち満ちている。 希望のために捧げられた生贄は消えることなく、少女らに苦痛を刻みつけていく。 アサシンが願うまでもなく、たとえこんなちっぽけな箱庭の中でも禍々しき闇の中にある。 アサシンなど関係なしに人は破滅へと自ら歩みだしている。 永久機関のように苦しみは苦しみを生み続けている。 この世界は既に大魔王たるアサシンなしで、一片の綻びもない闇へと向かっているのだ。 彼が生前望んでいた全ての願いが、当の大魔王を差し置いて叶ってしまっている。 これほどにつまらないことがあるか。 顕現したアサシンは、その事実に即座に気づき、大いに興を削がれた。 つまらないを通り越し、大魔王への不遜・侮辱であるとさえ感じていた。 その憤りは、筆舌に尽くしがたいほどであり、当然アサシンを呼び出した『何者か』に向けられるはずだった。 せいぜい、下らぬ願いのために大魔王を呼び出した愚かな人間を持ち得る全ての術により苦痛を与えて殺し、彼の命とその願いをもってその罪を償わせてやろうと考えていた。 そして、アサシンは自身を呼び出したマスターに問いかけた。 『そなたの のぞみは なんだ。 なぜ わしを よびだした』と。 アサシンを呼び出したのは闇からこぼれ落ちたかけらのひとつ。 積んだ死体と流した血で山河を築いた紛うことなき闇。 だのに、前を向き、幸せな世界を夢見てもがき続けるもの。 変えようのない悪魔のくせに、少女で、人間であろうとする存在。 純粋すぎる異物。 桂たま。 悪魔で、人間で、女の子。 彼女の願いを聞いたとき、大魔王は嗤った。 あまりの頓痴気さに声を上げて嗤った。 桂たまの聖杯に捧げる願い。それは『桂たま』という存在の否定。 もし彼女が夢半ばに倒れ、『光』になれずに消えるとしても。 逆に彼女が聖杯を掴み、世界の『闇』として消えるとしても。 彼女は『闇』のままだ。一片も変わることなく、『闇』のままなのだ。 少女でもなく。 人間でもなく。 悪魔のまま、悪魔として、ただただ救われず死んでいくのだ。 もがき、苦しみ、甲斐なく死ぬ。見知らぬ世界の泥濘の中で孤独と共に死んでいく。 それでも犠牲になったもののためと割り切り死ににいくというなら、なんとも素敵な自己犠牲ではないか。 彼女は、その無駄だらけの高尚な精神だけなら人間だ。それは人間をよく知る大魔王たるアサシンも否定しない。 ただ、精神が変わろうと、悪魔が天使に生まれ変われるわけがない。 そんなことにも気づかずに、悪魔がわざわざ人間のふりをしてもがき苦しむ。 アサシンとはまた別のどす黒い『闇』が人への儚い願いを抱き、砂糖菓子のように脆く甘い夢に溺れ、いつかは泡のように消えていく。 これほどまでに滑稽で、これ以上の余興があるだろうか。 世界はすでに闇の中。 人々は勝手に破滅していく。 人間同士で苦しみを押し付け合い、傷つけあう。そんな下らぬ状況。 だが、アサシンは座に帰ることを選ばなかった。 一重に目の前の禍々しい悪魔で、胸焼けするほど人間な、ただの少女の一世一代の喜劇に。 計り知れないほどの、それこそアサシンの削がれた興を埋めてもまだ釣りが来るほど愉悦を覚えたから。 アサシンがこの聖杯戦争に何かを望むとするなら。 それは、桂たまの願いの果てを見ること。 光に憧れ、光であろうともがいた闇の、愚かな夢の終わり。 人ならざる者が抱いた人としての夢という喜劇の幕引き。 心躍るほどに逃れようのない『闇』の物語の結末。 アサシンにとっての此度の聖杯戦争とはすなわち。 少女・桂たまの誕生で始まり。 少女・桂たまの死で終わる。 見知らぬ少女たちとの醜い争いで彩られた、世界でもっとも短く、もっとも美しい、とある少女の叙事詩。 結末だけが定められ、これから書き上げられていく物語を、特等席で楽しみ続けるためのもの。 だからこそ、アサシン/ゾーマは桂たまに従う。 ちっぽけな悪魔であるたまのために大魔王が手ずから戦闘を行うし、助言も行う。 彼女のために他の参加者の夢を破壊し、願いを叩き折り、祈りを粉砕し、彼女の愚かな願いに宝石を散りばめる。 時折彼女の心に石を投げかけ、波紋が起こる様を嗤う。 そうやって、良き従者として、常に隣でもがく悪魔を眺め続ける。 そして、だからこそアサシン/ゾーマは最善の策を選ばない。 バラモスを大魔王城に残し、陣地完成までは攻めてくる者だけを排除するという道を選ばない。 フェイト・テスタロッサへの無関心という道を選ばない。 安定と安寧に塗れた勝利の物語など、面白くない。 桂たまの惑い、怯え、焦り、絶望、更に言えば擬似討伐令を敷かれた相手との接触から生まれる何か。 そういった波が多いほど、舞台は起伏に富み、面白くなる。 どちらも共通して理由はひとつ。 桂たまが自身を呼び出したマスターでもなく。 桂たまの死が自分の消滅とつながっているからでもなく。 自身が願いを叶えるための足がかりというわけでもなく。 ただ、この聖杯戦争における桂たまという存在が、大魔王にとってとても愉快な見世物だから。それだけ。 「さあ マスターよ。 そして このせかいに うみおとされた あまたの ねがいたちよ」 「そなたらの ゆくすえ みせてもらうぞ」 聖杯戦争。 仄暗く深き闇の渦中。 回り続ける舞台の上で、もがき続ける矮小な異物と彼女を囲う演者たち。 アサシン/ゾーマは、嗤いながらその見世物を楽しむ。 【B-4-B-5/孤島/一日目 早朝】 【アサシン(ゾーマ)@ドラゴンクエストⅢ そして伝説へ】 [状態]魔力消費(微小) [装備]なし [道具]なし [思考・状況] 基本行動方針:たまの ゆくすえを みとどける 1.だいまおうじょうの かんせいを いそぐ 2.ひつようにおうじて モンスターを さくせい 3.フェイト・テスタロッサ に きょうみ。 さいていしゃ の ねらいは? [備考] ※偽アサシン(バラモス)生存中のため一切の戦闘行動が行えません。 もしバラモス生存中にたまを襲われれば彼女が成すすべなく死ぬということは理解しています。 ※B-4-B-5の孤島に大魔王城を作成しています。 準備期間中から作成を開始しており、現在外壁の仕上げにとりかかっています。現在のペースで陣地作成を続ければ二日目早朝には大魔王城が完成します。 ※通達における「フェイト・テスタロッサを『捕獲』」という一文に興味を持っています。 もしかしたら彼女が裁定者側(聖杯戦争)についてなにか知っているのではないかとも考えています。 彼女を保護することの危険性も知っていますが、わりと望むところです。 ※孤島の周囲の海にだいおうイカ×1が居ます。陸地―孤島間の魔物運搬用で、積極戦闘は行いません。 【偽アサシン(宝具『まおうバラモス』)@ドラゴンクエストⅢ そして伝説へ】 [状態]なし [思考・状況] 基本行動方針:大魔王城完成まで図書館には近寄らずに情報収集 [備考] ※宝具であるため念話・霊体化は使えません。魔力はアサシン(ゾーマ)のものを使用します。 また、実際のバラモスとは違って状況によって思考判断を行い、分が悪ければ防御・撤退もします。 ※彼の持つ気配遮断:Eは『NPCには見つからない』『参加者には隠れていれば見つからない』程度です。 参加者に一人で歩いているところを見られれば見つかります。 ※『NPCを極力殺さない』というゾーマの命令を守ります。ただし極力なので必要に応じて殺します。 ※早朝、もしくは非常時と判断した場合にのみ廃教会に帰ってきます。 ※フェイト・テスタロッサを見つけた場合、彼女の危険性を判断します。 危険ではないと判断した場合、保護を申し出て教会まで連れ帰るつもりです。(ただし生存優先のため、危険であると判断した場合は交戦・逃走もやむなし) BACK NEXT 000 前夜祭 投下順 002 ばねあしジャックと人形の家 時系列順 BACK 登場キャラ NEXT 000 前夜祭 桂たま&アサシン(ゾーマ) 030 ティー・パーティーをもう一度 -009 桂たま&アサシン
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少女の空想 [部分編集] 第6弾 COMMAND 06C/C VT041R 3-紫1 (戦闘フェイズ):自軍ユニット1枚をリロールする。ターン終了時に、対象の上に、+1/+1/+1コイン2個を乗せる。 強化 再生 紫-BF 自軍ユニット1枚をリロールでき、さらにそのユニットの上に戦闘力をパンプアップできるコイン2個を乗せられるオマケ付き。
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0115:少女の道標 ◆jYa6lM.CCA ―――城之内が死んだ。 「そんな…嘘…」 杏子はショックのあまりその場に座り込んだ。 (死んだ?城之内が?そんな、そんなの、嘘に決まってる! だって城之内の悪運ときたら人一倍で、殺しても死なないような奴だもん。 だから…だからあんな放送、嘘に決まってる…!) それは嘘だった。杏子自身すら騙せない嘘だった。 脳裏にこびりついて剥がれないでいる、最初の大男が殺される映像。 このゲームは人が死ぬ。 死んだのだ。彼は、確かに。 (…城之内……) 杏子は俯く。きつく閉じた瞳から、静かに涙が零れ落ちた。 しばらく泣き、少し落ち着いてから、一番に思い浮かんだのは遊戯のことだった。 (…行かなくちゃ。泣いてる場合じゃない。) 力の入らない足を無理矢理動かし立ち上がる。手の甲で涙を強く拭った。 遊戯たちにとって城之内は親友だ。どんなに辛い時も、彼らはいつも支え合っていた。 そして強くなった。仲間と共に、仲間のために。 そんな仲間を失ったのだ。遊戯たちの悲しみは計り知れない。 (逢いたい。逢わなくちゃ。) 逢って遊戯を支えたい。いや、逢えたところで何もできないかもしれない。それでも逢いたい。 自分にとって仲間で、幼馴染みで、大切な人だから… ますます強くなった想いを胸に、杏子は歩き出した。 ―――しばらくの後。 杏子は再び座り込んでいた。わなわなと体を震わせ、思わず叫ぶ。 「どろぼーーーっ!!」 その泥棒――ニコ・ロビンはあっという間に走り去ってしまっていた。 (何よ、何なのあの人!?) 今の叫び声で人が来てしまうかもしれないことに気付き、杏子は慌てて陰に隠れる。 ただし、腰が抜けたような状態だったため、移動する姿はかなりみっともないものだったが。 ロビンは信用できる人間に見えた。 見た目普通の女性で、丸腰だったし、会話だって普通にできて、杏子と同じく仲間を探していたからだ。 (仲間になれるかもしれないと思ったのに…) 最初に出会えた人は泥棒で、しかも荷物を全部取られてしまった。 杏子はがっくりと項垂れる。 恐怖、驚き、落胆、怒り、悲しみ。幾つもの感情が胸で渦を巻く。 結局のところ、このゲームでは誰も――遊戯以外を信じてはいけないのでは? 海馬はどうだろう?確かに同じ世界からの仲間だし、遊戯を助けてくれたことも何度かあった。 けれど遊戯たちを殺そうとしたこともあったし、いつも人を見下したような態度を取っている。 果たして海馬のことは信じてもいいのだろうか? 『脱落者の中には、その『仲間』に裏切られて命を落とした者もいるのだぞ?』 (海馬君は絶対に裏切らないって、言い切れる?) 自問自答する。 今の杏子には言い切れなかった。 いつもの、数時間前までの杏子なら、海馬を疑うことすらしなかったかもしれない。 色々なことがありすぎたせいで、杏子は疑心暗鬼に陥っていたのだった。 しかし、少し落ち着いてくると、一つの疑問が湧いてきた。 (…どうしてあの人は、私を殺さなかったんだろう?) 考えてみれば不思議なことだ。 あの無数に生えた手で首を圧し折ることもできた。千年ロッドの仕込み刃で刺すことだってできた。 自分がどれだけ死に近かったかを認識し、改めて杏子の背筋は凍りついた。 そう。杏子はいとも容易く、確実に殺される状況だった。なのに殺されなかったのだ。 (もしかしたらあの人は、このゲームに乗ってない…?) そういえば彼女は言っていた。 『口だけの仲間ってのが信用できないの、この島じゃ特にね』 けれど逃げる時、彼女は誰かに呼びかけていた。 仲間がいたのだ。『口だけ』じゃない仲間が。信頼に値する、自分にとっての遊戯や城之内のような仲間が。 (…城之内……) 『人を、信じてぇじゃねぇか!!』 会ったばかりの獏良のことや、見ず知らずの少年のことを直ぐに信用して。 結局騙されて酷い目にあったって、後悔なんて少しもしないで、また誰かを信用して。 馬鹿だ。城之内は、そんな馬鹿だった。 (……もう一度、彼女に会ってみたい。) 自分と同じような仲間を持つ人。あの人も放送のせいで、疑心暗鬼に陥っていただけかもしれない。 だったらもう一度会ってみたい。落ち着いて話し合えば、きっとわかりあえるはずだ。 もう一度信じてみたい。 あの人のことも、そして海馬のことも。 海馬が本当は弟思いな人だと、優しいところもある人だと、自分は知っているはずだ。きっと大丈夫。 (本当に信じられる?) 再び自問自答する。 答えは出なかった。けれど信じたかった。 仲間を信じ続けてきたからこそ、杏子はここまでこれたのだから。 『脱落者の中には、その『仲間』に裏切られて命を落とした者もいるのだぞ?』 『人を信じられなくなったらよ…自分の未来だって、信じられねぇじゃねぇか!』 主催者バーンの言葉と、城之内の言葉。 (あんな奴らより、私は城之内を信じる!仲間は、裏切らない!) 杏子は少しよろめきながらも立ち上がると、ロビンが去っていった方へ向かって歩き出した。 遊戯がどこにいるかはわからない。街を探そうにもどのあたりにあるかわからない。 そんな杏子にとって、ロビンは初めて出来た道標でもあった。 その道標の先に遊戯がいることを信じるしかない。自分の未来を信じて。 この決断がどんな結末を招くのか……それは誰にもわからない。 【茨城県/朝~午前】 【真崎杏子@遊戯王】 [状態]:健康、精神的ショックで少し不安定 [装備]:無し [道具]:無し [思考]:1.ロビンを追いながら遊戯を捜す。 2.海馬と合流。 3.ゲームを脱出。 時系列順で読む Back 生き残るために Next 黒き盟約 投下順で読む Back 暴走列島~覚悟~ Next 朝の公園にて 110 生き残るために 真崎杏子 144 迷走の交錯
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151 :ネツァク ◆OHeFc4xT26 :2007/05/06(日) 16 22 40.12 ID S0F4Gt1W0 146 「何か変です。誤魔化されているような、というか……空から見ても不自然で」 少女の方に向きなおって、 「こんにちわ。名前は何というんですか?」 152 :GaMemaster ◆Y3RhV/NZjI :2007/05/06(日) 16 23 39.48 ID 1lBdestN0 151 「あたしの名前? アナスタシアっていうのよ」 笑顔で答える。 153 :ネツァク ◆OHeFc4xT26 :2007/05/06(日) 16 24 37.23 ID S0F4Gt1W0 150 「これは…」 何?この剣何?超wktk 154 :トモヤ ◆jLVMzIsRAY :2007/05/06(日) 16 25 35.30 ID ap7ivw/q0 151 150 「関係無いだろう。彼女が敵であろうと無かろうと、案内してくれると言うのだからその言葉に甘えよう。その代わり俺達は彼女を連れてこの島を出る。それだけだ」 ラウからよろいを受け取りながら、「鎧か?動きが鈍るから余り好みではないのだが…」と呟きつつも着てみる。 「例えこの島が実態のない島だったとしてもな」 155 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/05/06(日) 16 26 30.37 ID S0F4Gt1W0 反応遅れた。 145 どどんまい。よくあることさ 156 :アズミ ◆3i3/z.2YTc :2007/05/06(日) 16 27 55.04 ID iBH+8B4kO ふむ、ではアナスタシアから怪しげなオーラを感じたことを全員に伝えておくわ 「…みんな、油断しないように。あのこ、大分普通じゃないわよ。最悪、レイスやゴーストの類いかもね」 157 :アズミ ◆3i3/z.2YTc :2007/05/06(日) 16 29 18.20 ID iBH+8B4kO ラウから指輪を貰って 「やだ、何のつもりよ! ふ、ふん、勿体無いから受けとってあげるわ! 別に嬉しくなんかないんだからねっ!」 158 :ネツァク ◆OHeFc4xT26 :2007/05/06(日) 16 30 28.74 ID S0F4Gt1W0 156 「…わかっています。人も居ない、物流も途絶えた島で少女一人が生きていられる筈はありませんからね。 今の所悪意があるようには見えませんが……」 159 :トモヤ ◆jLVMzIsRAY :2007/05/06(日) 16 31 04.22 ID ap7ivw/q0 156-157 「……へぇ……半分以上当てずっぽうだったんだが、ビンゴか……いやなぜそこで照れる。俺達全員貰ってるじゃないか、装備なら」 160 :ラウ ◆VpKHzOu04Y :2007/05/06(日) 16 31 13.25 ID U0+VBzb+0 157 「アズミ、顔が赤いようですが。大丈夫ですか?」 161 : ◆3i3/z.2YTc :2007/05/06(日) 16 33 25.23 ID iBH+8B4kO 162 :GaMemaster ◆Y3RhV/NZjI :2007/05/06(日) 16 33 57.99 ID 1lBdestN0 と、そこで君達は声を聞いた。 「……ろ、…きろ…皆、起き…」 ライナスの声だ! と、瞬間的に上に引っ張り上げられる気がする! 少女は、不思議そうな目でこちらを見ている。 ラウ 指輪と剣と鎧がラウの周りに集まってきた。引っ張り上げられる前に掴まないと! 何を掴む? 1 指輪 2 剣 3 鎧 163 :トモヤ ◆jLVMzIsRAY :2007/05/06(日) 16 34 21.71 ID ap7ivw/q0 「ネツァク、この鎧、お前が着ていた方がいいとも思うのだが、どうする?」 と、試しに着てみた鎧を一度外しながら。 164 : ◆3i3/z.2YTc :2007/05/06(日) 16 36 00.69 ID iBH+8B4kO 165 :ラウ ◆VpKHzOu04Y :2007/05/06(日) 16 36 26.96 ID U0+VBzb+0 161 162 剣はつかみ所によっては指が切断されちゃいそうなので 指輪で。 166 :トモヤ ◆jLVMzIsRAY :2007/05/06(日) 16 36 42.84 ID ap7ivw/q0 と、そこで不意に引っ張り上げられるような感覚。 「おい!まさかコレ……!」 多分、少女に手を伸ばそうとしてもすぐに…… 167 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/05/06(日) 16 37 43.45 ID JDuPGYOn0 乙 168 :ラウ ◆VpKHzOu04Y :2007/05/06(日) 16 38 19.02 ID U0+VBzb+0 169 :ネツァク ◆OHeFc4xT26 :2007/05/06(日) 16 39 12.48 ID S0F4Gt1W0 結局剣貰えないオチとかwwwww 170 :GaMemaster ◆Y3RhV/NZjI :2007/05/06(日) 16 40 16.76 ID 1lBdestN0 165 君は指輪を掴んだが、他の武具は落ちてしまった。 166 君は少女を掴もうとしたが、触れられなくなっている事に気がついた。 消え行く意識の中で、君達は声を聞いたような気がした。 「また…ひとりぼっちになっちゃうのかな…」 とおくで、こえがきこえ――― 気がつくと、君達はいつもの宿屋にいた。 171 :ラウ ◆VpKHzOu04Y :2007/05/06(日) 16 41 08.41 ID U0+VBzb+0 170 「夢・・・?にしては、随分リアルでしたが」 172 :トモヤ ◆jLVMzIsRAY :2007/05/06(日) 16 42 47.34 ID ap7ivw/q0 「……ああ、やっぱりそういう事か」 自分の掌を見つめ、開いたり閉じたりしている。 173 :アズミ ◆3i3/z.2YTc :2007/05/06(日) 16 42 53.43 ID iBH+8B4kO 「はっ、ここは!?」 って、宿屋だ。 「……、そ、そうよね。あんなの夢よねっ! ラウが指輪くれるなんて…」 無駄にフラグを立ててみた 174 :ネツァク ◆OHeFc4xT26 :2007/05/06(日) 16 44 22.31 ID S0F4Gt1W0 「………」 窓から海を見つめる。 175 :GaMemaster ◆Y3RhV/NZjI :2007/05/06(日) 16 45 18.49 ID 1lBdestN0 ライナスとギゴが隣に居る。 ライナス 「おお、気がついたか。全く、海面に漂っていて、息をしていなかった時はどうなるかと思ったぜ。 何、報告書の事は心配するな。俺が責任を持って提出してやった。 『見えるとも存在せず、供養の必要あり』ってな。」 「ところで、夢で何かあったのか?」 176 :ラウ ◆VpKHzOu04Y :2007/05/06(日) 16 46 23.84 ID U0+VBzb+0 173 おそらく、手の中にあると思われる指輪を日光にかざしてみる。 なければ、スルーでお願いします。 177 :トモヤ ◆jLVMzIsRAY :2007/05/06(日) 16 47 20.52 ID ap7ivw/q0 175 「……『覚えてる』よな?」 ライナスの問いには答えず、自分の掌を見つめたまま、残りの3人へ。 178 :ネツァク ◆OHeFc4xT26 :2007/05/06(日) 16 47 49.72 ID S0F4Gt1W0 175 「……いえ。 ところでライナスさん…供養は、私にやらせては頂けませんか?」 179 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/05/06(日) 16 48 00.72 ID xhyqQXbp0 http //wwwww.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1178435431/ ぷよぷよやろうぜ! 180 :アズミ ◆3i3/z.2YTc :2007/05/06(日) 16 48 48.07 ID iBH+8B4kO 「あたしが見たのは、可哀想な女の子だけよ。丁重に供養して貰えるようにお願いするわ ほ、ほかには何も覚えてないわよっ!?」 181 :GaMemaster ◆Y3RhV/NZjI :2007/05/06(日) 16 49 44.80 ID 1lBdestN0 176 きらきらと美しく輝いている。 君はアーティファクト『エントロピーの指輪』を手に入れた。 さて、ここでラウ以外はアイテムを手に入れられます。 書き込みをしてください。コンマ秒でランク判定します。 182 :アズミ ◆3i3/z.2YTc :2007/05/06(日) 16 50 24.16 ID iBH+8B4kO ステータス強化系が欲しいなぁ! 183 :トモヤ ◆jLVMzIsRAY :2007/05/06(日) 16 50 48.99 ID ap7ivw/q0 180 ああ、そっちの事はどうでもいい。好きにしてくれ」 さっきまで見ていた手をひらひらと手を振りながら。 184 :ネツァク ◆OHeFc4xT26 :2007/05/06(日) 16 51 56.38 ID S0F4Gt1W0 剣、くれよ…マジで… 185 : ◆3i3/z.2YTc :2007/05/06(日) 16 54 40.08 ID iBH+8B4kO 各キャラ、及び中の人の欲望渦巻く素敵タイムですね 186 :GaMemaster ◆Y3RhV/NZjI :2007/05/06(日) 17 03 22.34 ID 1lBdestN0 182 「クレイジングオイル」と銘の入ったビンが手の中にあった。 これは呪いを洗い流すことの出来る油だ。三回分入っている。 イベントで解呪する場合はGMに相談する事。 一回分につき10SPで売れる。 183 少女の持っていたリボンが手の中に在った。 これは儚い感じがする。これを腕に巻きつければ、亡霊による加護により 毎ターン3点HPを回復できる。 大切なものなので売ったりしないように! 184 ホパリングキャロットと銘の入ったロングソードⅢ(材質はにんじん)が握られていた。 材質が材質なため通常よりも1点与えるダメージが低いが、 ショート・テレポートの魔力により戦闘中、他のモンスターと入れ替わることが出来る。 5回使うと砕ける。 これは20SPで売れる。 187 :ネツァク ◆OHeFc4xT26 :2007/05/06(日) 17 04 33.99 ID S0F4Gt1W0 よっしゃ、売る 188 :GaMemaster ◆Y3RhV/NZjI :2007/05/06(日) 17 04 34.36 ID 1lBdestN0 ホパリングキャロット追記。 この効果は自分が壁の時にのみ使える。 189 :アズミ ◆3i3/z.2YTc :2007/05/06(日) 17 05 37.12 ID iBH+8B4kO よし、売却 190 : ◆jLVMzIsRAY :2007/05/06(日) 17 05 53.67 ID ap7ivw/q0 191 :ラウ ◆VpKHzOu04Y :2007/05/06(日) 17 06 56.15 ID U0+VBzb+0 速攻で売却されちゃうオイルとニンジンかわいそす 189 「おや、珍しいもの持ってますね? この指輪と交換しません?」 192 :アズミ ◆3i3/z.2YTc :2007/05/06(日) 17 10 20.15 ID iBH+8B4kO 「ラウ、あんたこんな油欲しいの? 変な服持ってたり実はオカマなんじゃ… って、ええぇ! その指輪…!」 驚きが顔一杯に広がったあと、アズミはぷいっと横を向いて 「ほ、欲しいなら、いいわよ。仕方ないわね、感謝しなさい!交換ね!」 ラウの手から指輪を奪いとります 193 :GaMemaster ◆Y3RhV/NZjI :2007/05/06(日) 17 11 46.90 ID 1lBdestN0 178 「ん?ああ、いいよ。頼んでみるよ」 ライナスは承諾した。 「ところで、あの島にまつわる話を聞いたよ。 あの島にはある幸福な家族が住んでいたが、島の避難時に次女だけがかくれんぼしてて間に合わなかったんだ。 …だれにも見つけられなくてな。そして、隣国とわが国共同の人工島爆破作戦が開始、そのまま沈んでしまったって噂だ。 次女の名はアナスタシア。彼女の亡霊は、今もあの海域に眠っているって話だ。 もしかしたら、彼女が見せた故郷を思う幻だったのか、それとも…」 194 :トモヤ ◆jLVMzIsRAY :2007/05/06(日) 17 14 07.63 ID ap7ivw/q0 「……」 掌をもう一度握って、開く。そこには儚げなリボンがあった。 「……ネツァク、その時は俺も行こう」 腕に、そのリボンを結びながら。 195 :GaMemaster ◆Y3RhV/NZjI :2007/05/06(日) 17 14 24.34 ID 1lBdestN0 君達は、SP80とアーティファクト(もう売られてしまったならその分のSP)を手に入れた。 ~クエスト終了(つまり、後日談はここから)~ 196 :GaMemaster ◆Y3RhV/NZjI :2007/05/06(日) 17 15 03.08 ID 1lBdestN0 思い思いの行動をお願いします。 無い人は、ここでセッション終了となります。 197 :ラウ ◆VpKHzOu04Y :2007/05/06(日) 17 15 41.19 ID U0+VBzb+0 192 「呪術の研究に・・・って聞いてない」 193 「いつまで一人ぼっちなんでしょうね、アナスタシアは」 198 :アズミ ◆3i3/z.2YTc :2007/05/06(日) 17 18 04.37 ID iBH+8B4kO アズミは指輪を貰った嬉しさから、少女のことなんて忘れて、薬指にはめた指輪をみつめてにやにやしています 勿論、そんなことをしているのは一人きりのときだけです 誰かと一緒にいるときは、別な指にはめています こうして、無駄な設定がまた一つ増えたのでした 199 :ラウ ◆VpKHzOu04Y :2007/05/06(日) 17 18 11.62 ID U0+VBzb+0 196 特にないです。 お疲れ様でした 200 :トモヤ ◆jLVMzIsRAY :2007/05/06(日) 17 21 28.27 ID ap7ivw/q0 「……」 暫く黙っていたが、不意に誰にともなく 「……案内もしてもらってないし、連れてってもやってもいないじゃないか」 腕を組みながら呟いた。きっと、不機嫌な顔で供養に出かける事になるのだろう。 201 :GaMemaster ◆Y3RhV/NZjI :2007/05/06(日) 17 27 09.04 ID 1lBdestN0 200 後日、供養の場へ行くと、そこには自分のリボンを大切に扱ってもらって嬉しそうに 天に昇る少女の姿が見えたような気がした。 その少女は照れくさそうに君にキス(当然感触は無いが)をすると、そのまま上ってしまった。 夏はまだ、始まったばかりだ。 202 : ◆3i3/z.2YTc :2007/05/06(日) 17 28 02.56 ID iBH+8B4kO とりあえずお疲れ様でしたー 203 :ネツァク ◆OHeFc4xT26 :2007/05/06(日) 17 29 56.34 ID S0F4Gt1W0 「(裏切ってしまった……)」 あの海域の上で、空中から下を見おろす。 トモヤは少し離れた所に留まった船にいる。 「ご免なさい。貴女は、ずっと独りだったのに……」 ばっ、と翼を広げると、翼から散った光の粒子が海に降り注ぐ。 「貴女はもうひとりじゃない。 『向こう』には、貴女が待っていた人が居る。だから…」 最後に一つ、一粒の涙を海に落とし、ネツァクは手を合わせた。 「おやすみなさい……よい、夢を」 204 :GaMemaster ◆Y3RhV/NZjI :2007/05/06(日) 17 32 30.05 ID 1lBdestN0 203 君はやさしく天に昇る少女を見守った。 「祈ってくれてありがとう。私の事、忘れないでね」 そんな声が聞こえたような気がした。 ~~セッション『幻の少女の島にて』終了。~~ 皆さん、お疲れさまでした。 そして、レスポンスがわるかった事をお詫び申し上げます。 セッションに付き合っていただき、本当にありがとうございました。
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少女のきもち 321 :名無したちの午後:2011/02/28(月) 00 33 09.76 ID 5rOHAqBw0 少女のきもち 地雷。 一応手コキは双子(の片割れ)と妹(変身後)と女教師にあるが、射精にまで至るのは教師のみ(一応連続射精)で、後は挿入へ直行。 せっかく手コキ絵まであるのに、何てもったいない・・・ 関連レス
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少女の髪飾り 一つの旅を終えたソーサリアンは、王様が待つペンタウァに戻ろうとしていた。 しかし、帰路の途中凶暴なゴブリンの集団を見つけた。 近隣の村に危害が及ぶことを危惧したソーサリアンは、ゴブリンを追いかけることにした。 そして、とある村に辿り着いた‥‥ 少女の髪飾り