約 173,333 件
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/1879.html
第五回「街角に、ラララ海の底に?」 時報「どうも、時報です」 日暮「日暮です」 日暮「今回の質問は"神姫が活躍する分野はなんですか?"ですか」 時報「えっ…と、ですねぇ(MMS入門を開く)」 神姫(およびMMS)を扱う分野は幅広い。 ここに代表的なものを挙げる。 ○愛玩用 武装神姫を含むMMSの主な活動分野。 簡単に言えば「友達」である。 彼女たちはオーナーと共に暮らし、オーナーの幸せを第一に願う。 "愛玩用"とは聞こえが悪いが、そのような目的への商業的使用はMMS国際法によって禁止されている(個人でやるのは構わないが、度を超すと告訴されるので注意) ○精密作業 全高15㎝のMMSならではの分野である。 その範囲は自動車の整備から海底ケーブル内の修理、はてには人工衛星のメンテナンスなど幅広い。 ○消防・救急 耐火性能が低いMMSを火災現場に向かわせるのは自殺行為であるが、救助面での活動はかなりのものである。 瓦礫の下敷きとなった被災者を励ますのも彼女らの仕事である。 ○警察 近年増加傾向にあるMMS犯罪。 それに対処するMMS犯罪担当部署にも、MMSはいる。 違法改造MMSに対しては、同じくMMSで対処するのだ。 当然、法の範囲内での武装を施してであるが。 これには武装神姫を流用する場合が多い。 ○軍事 MMSの戦闘目的での使用は禁じられている…が、アメリカ軍は偵察用としてMMSを配備している。 だか、実際には戦闘に使用している模様(「MMS 軍事 戦闘」で検索すればすぐにお望みのサイトにいける(※フィクションです) (一説には、対人戦用MMSの開発が進んでいると言われるが、アメリカ陸軍はこれを否定) 時報「結局、軍事利用してしまう訳か」 日暮「そこが人間のサガという奴ですよ、役に立つものは何でも使いますから。…そういえば"対人戦用"といえば特b(ムグッ)」 時報「(言っちゃいけないでしょ)今回はここまで、それではまた次回~」 神姫無頼質問コーナーに戻る 流れ流れて神姫無頼に戻る トップページ
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/864.html
神姫長屋の住人達。 お品書き。 おおまかすぎるあらすじ。 東京西部に居を構える木造平屋建て一軒家に住む、売れない作家と難アリ品の神姫達とその他諸々の日々。 クロスオーバー大歓迎。更新頻度は低め(マテ 住人達。 ・人間サイド ・神姫サイド 設定とか。 どうぞご自由にお使い下さい。 ・ホビーショップ『165-DIVISION』 ・本編登場オリジナル(?)神姫 本編。 ・第0話 長屋のとある日常。または家主からのご挨拶。 ・第1話 夕焼け侍。 SIDE-A SIDE-B エピローグ。 (『HOBBY LIFE,HOBBY SHOP』より、若干お名前を拝借しています。) ・第2話 土砂降り子猫。 Track-1 Track-2 Track-3 Track-4 Track-5 Track-6 (『妄想神姫』、『戦うことを忘れた武装神姫』より、若干お名前、設定を拝借しています。) (あと、鳳凰杯を名前だけお借りしました。) ・第2.5話 いんたーみっしょん。または改めてご挨拶。 書いたスカ:長屋のご隠居。 ご意見等はこちらから・・・ おかえりなさい -- 読み手 (2008-07-26 12 00 20) 名前 コメント TODAY - YESTERDAY - ALL -
https://w.atwiki.jp/duelrowa/pages/375.html
← 「墓地のデモンズ・チェーンを手札に加え、更に今この場でシンクロ召喚を行う! レベル8、レッド・デーモンズ・ドラゴンにレベル1、チェーン・リゾネーター、 さらにレベル1、ミラー・リゾネーターを───ダブルチューニング!!」 元来、シンクロモンスターには基本的にだがチューナーを一体のみ使用する。 だがジャックが出そうとするモンスターは二体を要求……否、それも分からない。 何故なら、ジャックのデッキにレベル10のシンクロモンスターなど存在しないし、 ダブルチューニングできるモンスターはスカーレッド・ノヴァ以外所持していなかった。 否。存在する。今までずっと共にあり続けてきたレッド・デーモンズが、 赤き竜の力なくしては進化の軌跡を辿り着けないなどと思うつもりはない。 「王者と悪魔、今ここに交わる。赤き竜の魂に触れ、天地創造の雄たけびをあげよ!」 レッド・デーモンズ・ドラゴンは新たな姿へと変えていく。 荒々しい炎のような模様が映り、黒き角は真紅の角へと変貌。 その姿は、暴君───否。実力で成り上がった僭主とも呼ぶべき姿。 「シンクロ召喚! 現れろ! これが俺とレッド・デーモンズの可能性! レッド・デーモン・ドラゴン・タイラントッ!!!」 無からの創造に至った渡や遊星とは違う。 レッド・デーモンズと言う受け皿、本人たちの強い向上心、 そして奇しくも自分の魂と同じ名前のカード。これらによってようやく成立する。 異なる世界にて存在していたレッド・デーモンズ・ドラゴンの亜種をその手に呼び寄せた。 「ジャンヌ、うさぎ、冥王! 後ろへ下がれ! レッド・デーモン・ドラゴン・タイラントのモンスター効果発動! このカードはメインフェイズに一度、フィールド上の全てのカードを破壊する!!」 モンスターも、魔法も、罠も。 表も裏も関係ない。自分以外の全てを消し飛ばす。 それがシティのトップへのし上がった孤高の王者にして、 自分とは異なるジャック・アトラスのエースモンスターの力。 手に炎が収束していく。/バスター同様ではあるが今度は攻撃ではなく効果。 その力は段違いのものであり、のび太とて受ければ無傷とはいかないものだ。 「させるかぁ!!」 当然それをさせるつもりはない。 雷槌をトマホークの要領で投げ飛ばす。 ジャンヌですら受けれぬそれをジャックでも、 ましてや/バスターと同じ攻撃力のレッド・デーモンズでは守ることなどできない。 「イィイィィヤハッッ。」 その前にうさぎはジャックの方へ戻らず、 寧ろその逆でのび太の方へダッシュして眼鏡を奪い取る。 毛細血管すら見えかねない視力を得ていたのび太ではあるが、 それでも眼鏡を外すことはしなかった以上、眼鏡は必要なものだ。 視界がぶれて、遠くにいるジャックを捉えることができなくなる。 「貴様ァッ!!」 「な、うさぎ!? 貴様何をしている!」 効果の宣言はしてしまった。 もうタイラントの効果は止まらない。 だというのにうさぎはのび太の周囲を軽快に動いては、 のび太の絶命するであろう一撃を華麗に避けていく。 しかしあの位置では巻き添えになってしまう上に、 此方のカードでは足りず、当然ジャンヌも助ける義理はない。 効果の巻き添えになる可能性の高い役割を請け負うなど万に一つもなく。 (いや、待て。あるのか? 奴の方に。) うさぎは無策で突っ込むような奴ではない。 強かに物事を進めていき、打開策をしっかりと築いていく。 となれば、うさぎが何か考えがあるはずだ。誰にあるのか。 「元……いや、冥王! 俺が合図を送った瞬間に伏せているカードをうさぎに使え!」 唯一うさぎが全ての盤面を把握できているのは、 自身の手によって盤面を形成している冥王のフィールドのみだ。 となれば、託されているのは奴なのだと。 「元……いや、冥王! 俺が合図を送った瞬間に伏せているカードをうさぎに使え!」 唯一うさぎが全ての盤面を把握できているのは、 自身の手によって盤面を形成している冥王のフィールドのみだ。 となれば、託されているのは奴なのだと。 「リミッター解除ではない紫色の奴だな……あい分かった。」 うさぎが用意した策には関係ない罠、強制脱出装置。 これは別に、この盤面を想定して伏せたのものではない。 でなければ耳を切断されるなんて顛末を迎えるはずがなく。 のび太に使う予定はなかった。使ってもすぐ戻ってきそうだから。 あくまでこれは有事の際の保険だ。もしも全滅の危機が訪れた際に、 最悪誰か一人でも戦場から逃がすか、或五は救援を求めるように仕込んだもの。 或いは勝ち残った後、ジャンヌからの不意打ちや追い込みから逃げるための一手。 平然としてるように見せかけ、盤面を見据えて他の一手を一人だけ用意しておいた。 冥王が自分本位な奴で逃げの一手をするのではないか、その可能性は否定しきれない。 こればかりは運による部分が大きく、少しばかり賭けにはなっていたが。 結果的に一皮剝けた冥王は逃げではなく突き進む道を選んでいた。 「アタァ!」 「ヤハァ。」 優先順位を変更し、雷槌を置いてうさぎの方を優先するのび太。 地面にクレーターを作る一撃をジャンプし、その腕に着地。 そのまま滑るように走っては後方へと回り込み、振り向きざまのラリアットも、 風圧だけで木を圧し折りそうなそれを寝転がることで姿勢を低くして避ける。 しゃがんだり転がって避けるのではなく、寝転んで避けると言う奇抜な動きだ。 (こいつ、ジャイアン達と違って速度があるわけではないが動きが読めん!) 視界のぶれもあるがうさぎの動きが読めない奇行のせいで、 絶対的に埋められない差を僅かにだが埋めることに成功していた。 のび太は超人類となったが、戦いに対する経験と言うものはそこまでない。 その辺の経験は討伐の仕事と言った仕事で修羅場をくぐってきたうさぎに軍配がある。 「今だ冥王!」 「分かっている! 罠発動、強制脱出装置! 戻ってくるがいい!」 準備万端だ。 雷槌を置いた今が好機と判断し、指示を促す。 寝転がっていたうさぎは浮上し、ジャック達の方へと戻っていく。 小鳩が使ったそれと同様ではあるがデュエルディスクが冥王の手にあるからか、 うさぎが戻った場所は冥王の頭上の上に垂直に、今も寝転がった状態で戻ってきた。 「ウラ。」 「今こそ喰らえ! アブソリュート・パワー・インフェルノ!!」 地面に掌底を叩きつけ、大地を砕きながら斬撃のような炎が地を走る。 飛ぶ一瞬を逃さず眼鏡だけは取り戻し、雷槌を手にしようとするももう遅い。 既に目の前には炎が迫っており、回避することは間に合わない。 「ぬおおおおおッッ!!」 広がる爆炎。 凄まじい熱気が周囲のまだ僅かに残っていた雪を溶かしながら広がっていく。 此処が雪原のエリアの一部であったと、果たして誰が証明できるのだろうか。 そう言わんばかりにこの場所が寒地である材料は辺り一帯から消えていく。 ……だが。 「どうした? この程度か?」 のび太はなおも立っていた。 確かに回避することは間に合わない。 だが急所をガードすること自体は間に合った。 左腕一本があらぬ方向へ曲がって黒焦げになってるが、 あれでは絶命と呼ぶには、まず程遠い状態だ。 「な……タイラントの効果を以てしても、片腕一本の犠牲だと!?」 自分達にとって新たな道を獲得したのは事実。 しかし、それとは裏腹に容赦ない現実は待ち受けている。 元より怪獣じみた身体だったのだから、耐久力も出鱈目だ。 これでもまだ大分弱体化している方なのが恐ろしい。 「待て、あのハンマーは何処だ?」 雷槌が何処にもない。 あれだけ目立つもので、エクスカリバーと打ち合えたそれが、 モンスターの効果で消し飛ぶとはとても思えなかったそれは、 「ハァ?」 「えっ。」 冥王の頭上へと降ってきていた。 既に彼から降りたうさぎが影に気付き冥王を蹴り飛ばし、 両者ともに圧殺だけは回避するが熱さは尋常ではない。 ジャックとジャンヌ含めすぐにその場から離れざるを得ない中、 「お遊びはもうせんぞ……すぐに終わらせてやる……」 のび太が一気に肉薄し、うさぎの眼前にいた。 先程虚仮にされたことでこのような目に遭った以上、 彼にとっては一番許せない相手になっているのはうさぎだ。 「アタァ!」 ストレートな正拳突きを横へ飛ぶことで回避。 来ると分かっている攻撃を避けること自体は難しくない。 だが、今度は別だ。先ほどは眼鏡を奪ったお陰で命中精度が悪かったが、 眼鏡がある状態で続けざまの第二打を回避することはできない。 「オラァ!!」 第二打となる蹴りがうさぎの顔面へと叩き込まれる。 大分消耗していたお陰で原型こそまだ留まってはいたが、 近くの壁に叩きつけられ、クレーターを作ると同時に血をまき散らす。 多量の出血。まず助かる見込みのない量であり、即死であったと判断するに難しくない。 「うさぎぃ───ッ!!」 いた時間は長いものではない。 だが何故か奴の言葉が理解できる。 当人ですらあの言語を理解できているのかを理解できていない。 けれど。言葉が理解できる程度には通じ合ったものだと思っており、 このような場で喪うべきではない仲間の一人だと思っていた。 「次は貴様だ。」 逃げられたり虚仮にされたりと色々いいとこがなかったが、 やっと一人始末して溜飲を下げつつ、残る三者へと向き合う。 「グヌヌ……おのれ!!」 元々うさぎを狙っての結果起きたことなのだが、 冥王からすれば助けたり庇ってくれた側に等しいものだ。 冥王としての風格を取り戻したと言うのに助けられた。 借りを返そうにも、その当人はもう即死してしまっている。 完全な冥王として復活を遂げない限り、返せない借りを作ったことに対する憤慨もある。 「……」 ジャンヌは冷静に状況を見ている。 あれだけの負傷をしていても神器は使えるなら、まだ厳しいだろう。 何より此処で全力で戦えば後に控えるジャックとの戦いにも響く。 どの程度力を出し惜しみするべきかと考えを巡らせていく。 「貴様……許さんぞ!!」 冥王とは別の怒りを募らせるジャック。 自分の不甲斐なさとのび太に対する怒り。 その両方が合わさった怒りだ。 「許さん……だと? 何寝言を言ってやがる。 俺の怒りはこんなもんじゃあねえ……まだ怒り足りねえぜッ!!」 寝取った上にパパを殺したスネ夫、そんな奴に寝取られたしずか、 自分を虐めたジャイアン、自分を操りエゴで人類を滅ぼそうとしたドラえもん達。 そいつらに対する自分の怒りと比べれば、お前の怒りなど程度が知れている。 憎悪が、殺意が、怒りが。今ののび太にとっての原動力だ。 「む?」 使い物にならなくなった左腕に突如変化が訪れた。 左手はドラえもんが所持していた空気砲のような形に変質し、 さながらサイコガンとでも言うべき形となっていく。 心意とは、何も逆境に抗う意思だけとは限らない。 憎悪、殺意怒り。そういった負の感情によっても発現することがある。 この舞台にいるPohも元の世界ではそれらによって発現させたのだから、 何もこれはのび太が特別ではない。このシステムは平等にして不平等なもので、 超人類であっても神でも関係ない。誰にでも発現する可能性を秘めているのだから。 「何かは分からんが、今度こそ仕留めてくれる!」 力が漲ってきた。使い物にならなかった左腕が動く。 空気砲を放つが、それは最早かめはめ波に等しい。 黄金の光線が再びレッド・デーモンズへと襲い掛かるが、 「奴の飛び道具がモンスター効果の類だと言うのならば! 墓地の罠カード、大いなる魂を発動する! このカードはレベル10以上でドラゴン族かつ闇属性シンクロモンスターが自分フィールドに存在し、 相手がモンスター効果を発動した時、墓地のこのカードを除外することで、その効果を無効にする!」 「何ィ、それは!?」 予想外な妨害にのび太が反応する。 そんなカード、今まで一度も使われていなかった。 一度も使われてないカードは、一体どこから出て来たのか。 除外されていた間? 否。戻ってきた際に見た盤面は殆ど変わっていなかった。 セットカードは増えていたが、それらがいつ墓地へ送られたのか思考を巡らせ、 (……まさか! まさかッ!!) 気づけた。 一回だけあった。 自分が見ていた状況の中で、 ジャックが自分の罠を捨てられるタイミングを。 『レッド・デーモン・ドラゴン・タイラントの効果発動! このカードはメインフェイズに一度、フィールドの全てのカードを破壊する!!』 そう、あの時。 自分のカードを巻き添えにする効果により、 あえて墓地へ送ったカード。それが今のカードなのだと。 「大いなる魂の更なる効果! 自分フィールド上のシンクロモンスター一体の攻撃力を、 次のターンのエンドフェイズまで2000ポイントアップする! レッド・デーモンズよ! 怒りを、俺達の魂を奴にぶつけるぞ!! レッド・デーモンズの攻撃! これが俺の、俺達の獄熱のクリムゾンヘルタイド!!」 炎のブレスの攻撃は/バスターとは比にならない威力を持つ。 一筋縄ではいかないとバク転して距離を取りながら、両手を構える。 「フン。力比べか……面白いッ! かめはめ波ッ!!」 再びかめはめ波を放ち、互いの攻撃がぶつかり合う。 負傷と、左腕は空気砲であるため今までのようにはいかないのはあるのに加え、 相手の力は大分パワーアップしているものの、空気砲の威力が加算し力は拮抗している。 別に雷槌がなくとも、最初からのび太の戦闘能力はこの舞台でもはるか上に位置する者。 ガンダムの攻撃を生身で受けたとしても軽い負傷で済ませられるその耐久力を筆頭に、 全てを合わせればポセイドンに匹敵するぐらいの出鱈目な存在なのだから。 ジャンヌと冥王は最早、この戦いに対して参戦の余地がない。 と言うより、双方は互いに互いを警戒せざるを得ない状況でもあるからだ。 ジャックが勝ったと判断すれば、即座にジャンヌが斬りかかるのは目に見えており、 冥王はそれを危惧して、加勢しようにも無闇にカードを消費するわけにはいかない。 ある意味それはうさぎのように、先の盤面を見据えた行動を真似たかのようだ。 加えてカードテキストの把握も必要でもあるため、より気を回す余裕などなく。 逆にジャンヌはのび太が勝った際でも漁夫の利を考慮する必要がある。 この力の拮抗。相手は大分消耗しているに違いないのだから狙うチャンスだ。 だから彼女は射線から離れてはいたが逃げてはいない。 「くっくっく……さあ終わりだ。終わりにしてやる!!」 「終わらせぬ! 此処で終わらせてなるものか! 貴様の怒りなど、このジャック・アトラスのバーニング・ソウルが吹き飛ばす!」 そうは言うが、差が縮まってるとは言えない。 向こうも同じように心意システムによって強化されている。 互いの力が拮抗してると言えども、僅かにのび太の方が上だ。 「ジャック! 今頭にきているとかぬかしていたなッ!」 次第に炎の勢いをかめはめ波が押していく。 その状況に狂気じみた笑みを浮かべながら高笑いを始める。 「フハハハハハ、ハハハハハハハハハハ!! おまえの怒りなど、そんなものッッ!!!」 全てを失った自分と一人に対する怒り。 どちらが上かなど決まっている。自分の方が上だと。 怒りと言う燃料を叩き込みながら、更に威力が増す。 (デモンズ・チェーン……果たして使えるのか?) 念の為妨害用にデモンズ・チェーンを回収こそしているが、 本来の性能ですらも僅かな足止めにしかならなかったそれだ。 今即座に発動したところで、低下した性能では妨害にすらならないだろう。 手札はそれだけ。フィールドのカードはタイラントにより消し飛んでいる。 墓地で発動できるカードはこの状況を打開できるものはない。 しかし、忘れてないだろうか。 此処はデュエルと言う名のバトルロワイアルの舞台。 次々と乱入したように、乱入するものがいると言う事を。 のび太の左目に、眼鏡を貫いて弾丸がそのまま抉る。 近くに死体として叩きつけられたうさぎのような、 紅い花を咲かせるかのように血が噴き出す。 ◆ ◆ ◆ 「どうやら交戦中らしいな。」 ジャンヌとジャックが戦っていたその時。 離れた位置にある森林からスコープ越しに戦闘を尾形は眺めていた。 レッド・デーモンズのサイズはどうあっても目立つので視界に入るのは自然だ。 事実、森林が高所ともあって遊馬にもモンスター自体は視認できる程に。 「だったら、急いで向かわねえと!」 「向かってどうする。相手は西洋剣を振るっている。 しかも俺の知る剣術に長けた奴ですら、まず追いつかないものだ。」 あれは鯉登や土方でさえ敵に足りえない。 なるほど、これがこの舞台での基準かと理解する。 モンスターを理解した後は参加者の水準を理解してそれらを鑑みるに、 自分達はかなり下の立場にいると見るべきと判断できる状態だ。 此処に杉元がいたとしても、素の強さでは下になると理解できた。 特に、村雨の説明を遊馬は未だ読んでないのでなおの事。 尾形はそれの説明は読んではいるが伝えるつもりはない。 伝えれば遊馬のことだ。使用をより躊躇ってしまうだろうから。 寧ろこれでいい。傷をつければ一撃で死ぬ代物を知らず振り回す可能性がある以上は。 「お前が乱入したところで、できることは何もないだろうな。」 「けど!」 「あるなら俺の護衛だ。タイミングを見て三人組を援護する。 しっかりとその『刀』とモンスターを使って俺を守ってくれよ、遊馬。」 早い段階でペアではなく徒党を組んでいる。 他にも互いが守るような戦い方をしてたりすることから、 乗った参加者ではないことは会話が聞こえずとも理解できた。 だから其方の方の救援として、髪をかき上げた後ヴリスラグナを構えている。 「ああ、分かってる。」 村雨をカガリに持たせ、元の剣も合わせ二刀流にしつつ周囲を警戒する。 レイは基本的に一刀流で戦うが、そも様々な武器や形態を駆使して戦う。 なので二刀流も、完全とまではいかずとも扱えなくはないだろう。 ある意味尾形の理想だ。自由意志で動くわけではないモンスターに村雨を持たせる。 時が来れば善性を掲げる彼も、結局自分達と同じ存在にできるのだと。 守るために人を殺す。そこに故意か事故はどうでもいい。寧ろ知らずに使えば、 かっとビングとやらも届かない闇へと堕ちていくかもしれないのだから。 離れた位置と森林地帯で身を隠してるのと戦闘の激しさ。 隠密に徹底してるのも相まって二人の存在は気づかれてない。 ジャンヌにいつ弾丸を叩き込むべきかを思案していたが、 「ど、どうしたんだ?」 「……予定が変わった。逃げるぞ。」 スコープ越しに見た尾形でも、 怖気が走って一度スコープから目を離す。 のび太の乱入で状況は変わった。いや、悪化した。 ジャンヌを遥かに凌駕している本物の化け物の乱入。 下手をすれば此方に一瞬で気づき接近しかねない存在だ。 化け物じみた強さと体躯を誇る牛山だってそこまで無茶苦茶ではない。 視界に入れることすら躊躇いそうになる気迫を持った相手なのは、 多くの敵をスナイプしてきた中で、尾形としては初めての経験だった。 「お前の言うような、殺し合いに乗らない人間は限られるらしいな。」 見た内容を、再度見た内容を伝える。 次々と平然と戦う存在はいる。 遊馬の綺麗事なんてそんなものだと。 力のある奴だろうと、結局は殺し合いに乗る。 ノブレス・オブリージュ……強いものには責務があると言う言葉。 けれど。此処にはそんな責務とは無縁の、己の欲望の為に戦う者達ばかり。 「だとしても、俺は諦めねえ! 確かに殺し合いを始めちまった奴はいる! 槍の男だって、平然とした顔で俺と同じぐらいの子を殺していた! そいつらにだって、 きっと引けない事情があるのは分かってる! それでも……それでも俺は殺し合う気はねえ!」 ナッシュのような、誰かの為に戦ってるのかもしれない。 ドン・サウザンドのように、ただの悪意で戦ってるのかもしれない。 どちらにせよ相容れない存在。それだとしても彼は折れないハートを持つ。 此処に来る前に『自分の限界を決めるなんて自分らしくない!』と、 今まで数々のデュエルを見届けてきた小鳥に言われたことだ。 「……ребенок(ガキが)。」 「え、な、なんだって?」 「いや、別に。もう少しだけ様子は見るが、期待はするなよ。」 やはり似ている。似ているからこそ否定したくなる。 同じ声で、同じように性善説を説いてくる、この世間知らずのガキを。 だから此方にとっても危険だと分かっても、再びスコープで戦いを見続ける。 「尾形? 大丈夫か?」 援護すると言ってからも、一度も引き金を引いていない。 戦場は少なくとも苛烈さを増しているのは、遠くからでも十分に分かる。 此方にまで音や衝撃が伝わってるのだから当然と言えば当然だ。 調子が悪いのではないかと心配になっていた。 「騒ぐな。狙撃手と言うのは、基本一発勝負だ。二度目はない。」 敵に気付かれたら逃げられるか逆に狙われる。 だから二発目と言うのは早々に期待できるものではない。 加えて人間の範疇を出ない尾形からすれば、相手は無茶苦茶な事ばかりをしてくれる。 一発で仕留められるかも怪しく、その上動きについていけるわけがない。 お陰でその一発でさえ狙いが定まらないのは当然の帰結だ。 (……今が狙い時か。) そうして時間をじっくりとかけると、 ついにタイミングを見つけて引き金を引く。 のび太の動きが完全に固定されたその瞬間を。 人体の急所。どれだけ人間が鍛え上げようとも、 眼球は絶対に鍛えることはできない急所となる部位。 鍛えられない部位には後頭部や喉も含まれてはいるが、 生身で剣やモンスターを相手するあの身体能力から察するに、 熊の頭部を余裕で超えるだろう頑強さはあると判断しての眼球だ。 冗談交じりだが、瞼で銃弾を挟んで防ぐ可能性も僅かにあった。 だからこそ。目を見開いているその瞬間に弾丸を叩き込んだ。 (銃声!? この俺に銃撃、だと!?) 目を潰されても超人類は健在。 そのタフさでかめはめ波は続けていたが、 負傷したことと気を逸らしたことで勢いが大きく弱まる。 「今だレッド・デーモンズ! この獄炎を奴に刻み込めッ!!!」 間近でぶつけ合ってるせいで銃声が聞こえておらず、 何が起きたか分からないジャックはその勢いに乗る。 熱い魂と言う燃料を入れられたかのように、 レッド・デーモンズのブレスもまた勢いを増す。 「しまっ……」 弱まった勢いを取り戻さんと放ち続けるが、限界だった。 元より最初からルナとの戦いに加えてラーの攻撃を受け、 続けて零達との交戦、一度は犠牲にした片腕、神器の使用。 いかに心意によって強化されたとしても、これだけの消耗をしてきた。 無視できないダメージが積み重なり、やがて炎はそのままのび太を飲み込む。 明日と言う名の星を掴むことなく、嘗ては少年だったものは全てを焼き尽くされた。 まるでジャイアンを仕留めた時の応報のように、塵一つすらこの世に遺すことなく。 灰すらも残らぬ獄炎が、全てを焼き尽くす。 そこには、ガントレットだけが残る。 ガントレットは元々英霊マルタのものだ。 英霊の武具は英霊のような神秘のある物でなければ傷はつかない、 と言うのはこの場では低下してると言っても、シグナ―のドラゴンもまた神秘の塊。 十分に攻撃は通っており、今も使い物になるかは怪しい黒ずんだ色をしていた。 防具であるガントレットを捨ててまで逃げるとは考えにくい。 勝利を確信と同時に、後方に待機していたジャンヌが斬りかかる。 「ふん。やることがなかったからテキストを覚えてみれば、存外戦えるな。」 遊星が自身を守ったように、 冥王もまた工作列車シグナル・レッドで割って入る。 強制的に攻撃を誘導させる効果と破壊耐性による妨害。 テキスト確認と言う猶予を与えてしまったのは失態だが、 かめはめ波の巻き添えにされないために離れたのでやむを得ないことだ。 「ジャンヌ。貴様には共闘の借りがある以上免じたいところだが、 貴様が遊星や遊戯、イリアに司を狙う考えならば、俺は女とて容赦はせんぞ。」 その隙にジャックと冥王が横並びに立ち、 レッド・デーモンズもまた振り向き咆哮を轟かせる。 「私も同じだ。一時の共闘の借り? 対等でもないのにそんなものありはしない。」 約束とは対等な立場で初めて成立するものであり、 穢れた地の日本人とは対等のつもりはないのだから。 故に。共闘の提案を受け入れたことに借りや義理などない。 「だが分が悪いのは事実だ。此処は退くとしよう。」 タイラントの攻撃力の上昇は次のターンのエンドフェイズまで。 ジャックはそう説明したことで、まだのび太を葬った火力である可能性は高い。 一対一ならばまず勝てなかったであろう存在に、無策で戦う気はない。 「フン。逃がすと思うのか?」 「逃げれるとも。いや、お前は逃がさざるを得ない状態にする。」 言葉と同時に、ジャンヌは動き出す。 逃げるつもりだとは分かっていたが、その場所にジャックは眉を顰めた。 向かうのは森林地帯。参加者がいるか分からない場所に炎は極めてまずいし、 此方のモンスターが巨大すぎて狭い森での交戦はできたものではないのもある。 加えてかめはめ波を間近でぶつけ合ってた都合殆ど音が聞こえてなかった彼に、 銃声が聞こえた森へ逃げるだろうことが気づけなかったのも要因の一つになる。 「ジャック! 奴は狙撃手を狙いに行ったぞ!」 「何? 他にも参加者がいたと言うのか!?」 ◆ ◆ ◆ 「例の西洋剣の女だ。気を付けろ。」 予想通りの展開になったと内心尾形は思う。 確かに片方は仕留めた。しかしもう片方は別だ。 和解したのか一時休戦なのか明確な判断がつかない中、 無闇に狙えば今後此方の立場が危うくなりかねない。 なのでジャンヌを狙わなかったのはあるが、想像を絶する速度だ。 のび太をみて撤退を最初に判断したのは、こうなるのを予見したから。 なので結果を見てみると、その判断もあながち間違いではなかった。 カガリが二人の前に立ち、二振りの刃を構える。 「問おう。お前達は日本人か?」 「え? 俺は九十九遊馬! ハートランドシティ育ちだ!」 「ハートランドシティ……? 日本人のような名前だが、違うのか?」 「? ハートランドシティは、ハートランドシティじゃねえのか?」 実のところ、ハートランドシティが日本にあるとは作中で一言も言及されていない。 遊星達のネオ童実野シティも技術こそ発展してはいるが、元が日本の童実野町なので日本人だ。 名前の傾向は日本人寄りではあるが、だからと言ってそれで遊馬が日本人かと問われると別になる。 ついでにまだ知らないが遊馬はドン・サウザンドの戦いの時に別れたアストラルの分身でもあるので、 仮に日本だとしても彼自身が日本人かと言われると正直怪しいところだ。 「日本がない世界もある、と言ったところか。 ならば私が守護するべき対象だが……貴様は日本人だな?」 「尾形百之助。生まれも育ちも日本だが───」 言葉と同時に迫る斬撃。 来ると分かっていたこととカガリの妨害により、 頬に赤い筋が浮かび上がるだけに留まる。 「なるほど、差別主義者か。」 別段珍しいものではない。 アシリパ達アイヌ人に対する過酷な差別があったことは、 尾形の生まれる前後から既に存在していたことでもある。 「日本人は殺すだけだ。」 (さて、どうしたものか。) 実のところ、尾形は詰んでいる。 狙撃の為森林が混ざった山岳地帯にいるため、 ジャック達のモンスターは巨大すぎて逆に探せないし、 同時に彼等がこの場に駆けつけることは困難になるだろう。 「やめろぉ!!」 相対するカガリの前に遊馬が立ちはだかる。 旗手でもない存在が、戦場で武器を持たずに。 銃も刀も手にしてない少年が一番前に立つ。 「アンタが日本人って奴に、 どんな恨みがあるかは分からねえ! けど、尾形は俺の仲間だ! だから見逃してやってくれ!」 「……揃いも揃って、何故皆して日本人を庇うのか。 そいつが、まともな奴に見えるとでも言うのか?」 そいつは平然と人を殺せる目をしている。 何を考えてるのか分からない。迫害してきた日本人と同じような、穢れた瞳。 だから先程から殺気のようなものが隠しきれず、 尾形に攻撃を感付かれてしまったわけだが。 「尾形は軍人だから、そりゃそういうことだってしてきてる! だからって、何も日本人なんて一括りに言わなくたって……」 「その話は既に聞いた。」 デュエルでの対話がない遊馬と、過酷な日本で生き延びたジャンヌ。 軍人である尾形以上に価値観の違いは、どうあがいても通じるものではない。 既に同じ話をジャックにされたのもあって聞くだけ無駄だと分かったことで、 聖剣は容赦なく襲いかかり、二振りの得物をクロスさせながらカガリが割って防ぐ。 彼女が二人に身の危険が迫れば防衛するよう指示したお陰で、運よく遊馬は生存することに成功。 しかし相手は番長。レイの手に渡ったならまだ別だが、 正規の手順で召喚もされてなければ素の攻撃力も1500と低い。 いかに一斬必殺の村雨を持ったところで当たらなければ意味がなく。 のび太と比べるまでもない存在で、容易く防がれてしまう。 「弱いな。」 念の為警戒して軽く剣戟を続けたがこの程度。 特に何の感慨もなく、横薙ぎの一撃で上半身と下半身を分断。 首輪もなければ消滅したのでNPCか支給品の類なのもあり、 さして何かを思うことなく銃を構える尾形へと迫る。 「させ───」 通りすぎたジャンヌを妨害するよう村雨を遊馬は握るが、 握ると同時に心臓を掴まれたような感覚に動きを止める。 帝具には相性がある。アカメのような割り切った殺し屋なら十全に扱えるが、 何処までも不殺を貫こうとする善良な遊馬で、相性がいいかどうかと言われたら最悪だ。 相性が悪いと刀を握ったりするだけで拒絶反応を起こしたり、最悪死に至る可能性だってある。 一瞬の間にも事態は進展しており、横に構えたヴリスラグナは盾として機能せず、両断される。 神器を見たせいで精神が乱れたままで、主霊石を使った風の斬撃で即座に尾形を両断できたものを、 それをしなかった結果剣の間合いは把握できていたことで尾形が後退することで、 袈裟斬りにはされるが辛うじて致命傷だけは回避する。 「……るかぁ!!」 それでもなお村雨を手放さなかった。 まだ希望はある。少しでも時間を稼いで、尾形が援護した人物が合流。 僅かな可能性があれば、それをつかみ取る。 「愚かだな。邪な武器を使えば勝てるとでも言うのか。」 素人、しかも拒絶反応を起こして疲弊した相手の一撃など、素人以下。 振るおうとしたその瞬間、ジャンヌは軽い動作で容易く避ける。 更にその行き場のない刃は尾形へと誤って振るわれた。 剣技に関して素人であり、その上無理矢理帝具を使ってる状態だ。 とてもブレーキなんてものはできる状態ではなく、 ジャンヌがつけた傷をなぞるように更に刻む結果になる。 返り血が遊馬へと飛び散り、そのまま尾形の方へ倒れ込む。 「ッ!? すまねえ、尾形───」 倒れ込んだところへとジャンヌの聖剣が振るわれ、 「お邪魔しまうま……なんだったか!!」 乱入は未だ続き、 ジャンヌに襲い掛かる仮面の戦士。 迫る蹴りを振るおうとした聖剣で防ぎながら、距離を取る。 「悪い、助かった!! 尾形、大丈夫か!?」 「……『傷は』止血すれば大丈夫だろうな。」 「救いのヒーロー見参……って言うのは、不謹慎だな。」 ゼロ・オルタナティブに変身した野原しんのすけだ。 負傷してる尾形とそれを心配する遊馬を一瞥しながら、胸の奥が痛く感じる。 ヒーローとはいわば原因療法ではなく対症療法。即ち、後手に回ること。 正義の味方は遅れてくるとは言うが逆だ。悪が出てこないとヒーローは出てこない。 どうあがいても、何かがあってからやってくるのがヒーローの役割になってしまう。 こうして子供に涙を流させておいて救いのヒーローとは、とても言えないだろう。 そう言えるのは、それこそ強い者に味方するぶりぶりざえもんぐらいだ。 此処に来たのだって移動中偶然戦いの余波に気付いて駆けつけて、 ジャックから話を伺ってルナを二人に預けて一人急いだのだから。 それがなければ、出会うことすらなかったのかもしれない。 (仮面ライダーと言う奴か。しかも脇にいるのはあのジャックのモンスター。) しんのすけの隣には時計を背負ったダーク・リゾネーターと似たモンスター、 クロック・リゾネーターが浮いており、音叉を使って周囲に音を鳴らし始める。 大方ジャックと合流して、事情を聞いて駆け付けた側なのだろう。 となれば彼も異端だ。日本人であってもなくても変わらない。 「潮時だな。」 音を鳴らしたと言う事は時期に此処にレッド・デーモンズが来る。 逃げるなら今の内であり、森を利用しながらジャンヌは走り出す。 逃げるついでに攻撃するかと身構えるが、別方向なので命に別状はない。 だがあくまで命だけ。他は別にあった。 (目当てはこっちじゃなく、置かれた支給品か!) 狙撃でブレが生じてはならない。 なので尾形は荷物を一度降ろしていたが、それが仇となってしまう。 あくまで二人を守ることが目的なのもあった為に気づけず、 森を利用して逃げる彼女を追撃することはできなかった。 「尾形! 大丈夫かよ尾形!!」 それ以上に、離れられない理由は二人の状態ある。 遊馬が作った傷は決して浅くはないが、最早関係ない。 村雨に傷をつけられれば呪毒が回り、やがて死に至る。 対処法は心臓に呪毒が到達する前に該当部位を切除することだが、 肩から腰にかけての袈裟斬りではそんなものはまず不可能だろう。 特に村雨がとんでもない業物であると理解してない遊馬には猶更。 だと言うのに。尾形は笑みを浮かべている。 死ぬ前の走馬灯を見てる幻覚での笑みかとしんのすけは思ったが違う。 何だろう。タミコや女性が浮かべる笑顔のそれとは別の、 不気味なものに見えてならない。 「───助けてくれよ、遊馬。」 遊馬にしか聞こえない程度の、か細い声で呟く。 それはとてもらしくない言葉だとは本人としても思ってはいる。 こんなのを杉元が聞けば即座にぶっ殺している。間違いなく、無言で。 これは、尾形の知り合いが誰もいないからこそ成立できるこの場限りの手段。 尾形は自分の命にさほど執着はない。ないからこそアシリパの父、ウイルクを殺した。 そうすることでアシリパは自分に対して殺しの理由を、清い人間はいないと言う証明に繋がる。 最悪、自分の命すら使ってでもそうやってアシリパのことを否定したがったの。 勿論アシリパと違ってこれは理由はない、原因はただのフレンドリーファイア。 けれど、殺しの理由を与えると言うのは、何も彼の仲間を殺す以外にもある。 今こうして自分の手で殺した実感を深く与えさせることで、 彼に殺し合いを乗らせるべく助けを乞うように。 「俺は、死にたくない。」 自分のせいで死なせてしまったことを受け止めさせる。 遊馬に殺しの理由を与えて精神を折る算段だったが逆転し、 遊馬の精神を折ることで殺しの動機を与える方向へと向けた。 予定とは違ってるし大分お粗末な考えではあるのだが、 死にゆく今できるのは精々それぐらいなので仕方ない部分はある。 尾形にもう一つ運がいいことがあるとするなら、 遊馬が凌牙とデュエルしていた時期だったのも大きい。 凌牙に勝っていれば事象を書き換えるヌメロン・コードを完全に手にし、 それを使うことで尾形の死をなかったことにできるかもしれない、 なんて考えをして結局はそのまま不殺を貫いたかもしれないのだから。 と言っても、アストラル世界もバリアン世界もない完全な別世界に、 ヌメロン・コードの影響が起きるのかは疑問ではあるが。 (これが限界だな。生き返るかについては怪しいところだが……別にどうでもいい。) 近くで叫ぶ遊馬と違って、 尾形の精神はとても穏やかなものだ。 遊馬がどうなるかを見届けられないのが残念。 後はアシリパ。あるとすればそれぐらいだろう。 あくまで、それは表向きの彼にとっての話。深淵にあるものは違う。 自分が欠けた人間ではなく、ただ自分の意志で欠けたルートを選んだだけ。 弟の勇作を殺してからずっと抱いていた、抱くことになってしまった罪悪感。 祝福された自分を否定しなければならないと言う、その事実からの逃避。 この事実に気付くことがないまま死ぬのは、果たして幸か不幸か。 罪悪感を自覚して死を選んだ場合も、幸か不幸か分からない。 分かる人など誰もいない。杉元も、アシリパも、当然遊馬も誰一人として。 全て、その黒い瞳ような深淵の奥底に眠ったまま、尾形百之助の生に幕を引く。 『兄様。』 だからなのだろうか、或いは遊馬の声を聴き続けたからか。 遊馬のような少年の声ではない。今の精神と同じように穏やかな声が聞こえた気がした。 ───いや、気がしただけだ。それは幻覚でも何でもない。 その言葉に返事をするわけでもなく、瞳は何も映さなくなる。 「なあ! 助けてもらってばかりで悪いとは思う。 けど、尾形の傷をなんとかしてやってくれないか!?」 藁にも縋る思いでしんのすけへと泣き縋る。 尾形の方にあったのかもしれないがジャンヌに奪われた。 残っているのは今この場に居合わせる彼だけで、 その期待に応えたかったがそういう支給品はない。 「……現実を突き付けたくないが……その人は、もう息をしてない。」 加えて、完全な手遅れだ。 遊馬が背を向けるころには呪毒は心臓に到達していた。 この雪原で白い息を出すことなく、身体は動かない。 それが何を意味するかなど、最早語るまでもなく。 「尾形……? 尾形ッ!!」 真相を知っていればとんだ茶番だと鼻で笑うだろう。 こうなることを見越して尾形が黙っていた結果なのだから。 嘗てのベクターなら、真相を知っても知らなくとも抱腹絶倒で下卑た顔をする。 けれどそれを知らない以上は、彼等にとってはこの悲劇によって幕を下ろす。 涙を流しながら、張り上げた声を出す遊馬を前にしんのすけは何もできない。 又兵衛やぶりぶりざえもんのような辛い別れの経験こそ彼には多々あるが、 誤って手に掛けてしまったことはないのだから、当然と言えば当然ではある。 仲間を見捨てないかっとビングもおたすけも、失った命ばかりは取り戻せない。 (時計、か。) ジャックのモンスターが音を出してるに、時期に迎えが来るだろう。 時計を背負っている悪魔は、偶然なのは分かってるが何かの暗喩かと邪推してしまう。 時間はないとでも言いたいのか、それともおたすけできなかった自分達への皮肉か。 (うん、やめだやめ。予選が終わった時にオラらしくないって言ったばかりだろ。) 邪念を振り飛ばすように首を振る。 この状況でポジティブに行くのは不謹慎ではあるが、 だからと言ってマイナス方面に振り切りすぎるのもよくない。 寧ろ、こういう時にこそ落ち込む彼をおたすけする必要がある。 ヒーローが駆け付けたのならば、できる限りのことをするべきだ。 【うさぎ@なんか小さくてかわいいやつ 死亡】 【野比のび太@超人類 死亡】 【尾形百之助@ゴールデンカムイ 死亡】 【一日目/黎明/C-2】 【ジャック・アトラス@遊戯王5D’s】 [状態]:ダメージ(大)、疲労(中) [装備]:ジャックのデュエルディスクとデッキ@遊戯王5D’s [道具]:基本支給品 [思考・状況]基本方針:キングはこのオレだッ!! 1:主催よ、貴様が神だというのなら、悪魔と交わりし王者たるこのオレこそが真のゴッド・キングだッッ!! 2:殺し合いに反抗するための仲間も探す。武藤遊戯の仲間と白鳥の友達も探す。 3:いずれ、武藤遊戯には改めてデュエルを挑みたい。 4:ジャンヌを警戒。何だあの強さは!? 5:レッド・デーモンズよ! まだ高みを目指すと言うのならば、共に行くぞ! 6:元冥王め……今や名実ともに冥王だな。 7:うさぎ…… 8:しんのすけとやらに話しを聞く。 [備考] ※参戦時期は本編終了以降(ただし数年後の未来のジャックではない)です。 ※心意システムで生成できるカードはレッド・デーモンズ(或いはレッド・デーモン)関係のみで、 かつ必ずシンクロ素材にレッド・デーモンズ・ドラゴンを素材としたものでなければ起発生しません。 必要なものが指定されてる代わりに、心意の条件は他の参加者よりも緩い条件になってます。 現在生成されたのは以下の通り レッド・デーモンズ・ドラゴン・タイラント@遊戯王ARC-V ※シグナーの痣がないため現時点では赤き竜の由来カード、 スカーレッド・ノヴァとセイヴァー・デモンは出せません。 【深淵の冥王@遊戯王OCG】 [状態]:疲労(小)、冥王の覚悟 [装備]:神月アンナのデュエルディスクとデッキ@遊戯王ZEXAL [道具]:うさぎのデイバック(基本支給品のみ) [思考・状況]基本方針:ハ・デスに復讐。冥王は一人、この俺様でいッ!! 1:俺様こそ冥王だ! 断じてハ・デスなどではない! 2:だがそれはそれとしてまともな武器が欲しい。デュエルディスクはやりづらい。 3:主催との因縁が薄れる? 知らん! ハ・デスを倒す。それだけよ! それだけが原動力よ!! 4:うさぎめ……先に逝きよって! [備考] ※いやがらせで一切の支給品なしです。 ※冥王結界波の残滓を使い切ったため、現状の手段では冥王結界波は使えません。 何らかの手段でソウルドレイン、メンタルドレイン等ができれば再度使用可能かもしれません。 ※ジャックやうさぎ達に感化され、嘗ての冥王の風格を取り戻しました。 かといって根本的な強化はされていません。別に攻撃力が上がってもなければ、 何か技を習得と化したわけでもありません。仮にあってもカード風に言えば100程度。 【ルナ@コローソの唄】 [状態]:火傷(小)、ダメージ(小)、疲労(大)、気絶 [装備]:なし [道具]:基本支給品一式、ランダム支給品×1~3 [思考]基本方針:優勝して、人間たちに復讐する。 1:…… 2:先程の炎の攻撃は支給品を使ったのかもしれない 3:丸眼鏡の男(のび太)が今後どうなるか少しだけ気になる 4:元の世界に戻った時、私はコローソも手に掛ける……? [備考] ※気絶がどれぐらい続くかは後の書き手にお任せします。 【九十九遊馬@遊戯王ZEXAL】 [状態]:ダメージ(大)、精神疲労(極大)、返り血 [装備]:閃刀姫-カガリ(現在召喚不可能)@遊戯王OCG(カードはホルダーにある) [道具]:基本支給品、454カスールカスタムオートマチック@HELLSING [思考・状況]:基本方針:絶対に乗らない。それがかっとビングだ! 1:尾形と一緒にかっとビングを決めたのに、俺は……!! 2:あれ、アストラルいなくねえか? 3:シャークにカイト、それと不安だけどベクターも探す。 4:シャークがいそうだから海とか水のある所を調べる。 5:空飛んでた奴(零)を追いたい。 [備考] ※参戦時期は少なくともナッシュ戦の途中です。 どの程度の段階で中断されたかまでは後続にお任せします。 ※アストラルはいません。 ※カガリは一定のダメージを受ければ消滅しますが、 時間が経てば再度召喚は可能です(どの程度かは後続にお任せします)。 レイの手に渡った場合は装備を換装できる一種の変身アイテムになります。 ロゼにも使えるかは後続の書き手にお任せします。 ※支給品の説明を読んでいません。 ※村雨との相性が非常に悪いです。 無理に使用したため身体に負担が大きくかかってます。 【野原しんのすけ(大人)@クレヨンしんちゃん】 [状態]:ダメージ(中)、オルタナティブ・ゼロに変身中、複雑な感情 [装備]:オルタナティブ・ゼロのデッキ@仮面ライダー龍騎、薬品型空気ピストル@ドラえもん(残り3発) [道具]:基本支給品、ランダム支給品×0~1(確認済み、治療系の類ではない) [思考・状況]基本方針:困っている人をおたすけする 1:あの子(ルナ)をどうするか…… 2:協力してくれる人と並行してネネちゃんとボーちゃんを探す。 3:パラダイスキングを警戒。 4:ヒーローってこういうところあるんだよなぁ…… [備考] ※参戦時期は「映画 超時空!嵐を呼ぶオラの花嫁」本編終了後。 ※少なくとも「オラの花嫁」より前の映画の出来事は経験しています。 【ジャンヌ@大番長 -Big Bang Age-】 [状態]:ダメージ(大)、疲労(大)、魔力消費(大)(魔力回復中)、精神疲労(大) [装備]:約束された勝利の剣@Fate/Grand Order、賢者の石@仮面ライダーウィザード、風の主霊石@テイルズオブアライズ [道具]:基本支給品一式、尾形百之助のデイバック(基本支給品、ランダム支給品×0~2) [思考・状況]基本方針:檀黎斗と言う日本人を浄化しハ・デスを名乗る悪魔を打ち取る。 1:穢れた日本人は浄化する。主催も当然だ。 2:同胞(自分たちと同じ外国人)は率先して保護の方針。 3:先の金髪の女(エアトス)、何者だ……? 4:あの男(蛇王院)、何故生きていたのか。もう一度殺すだけだが。 5:デュエルか。使うのはともかく理解しておく必要はあるやもしれぬ。 6:今は退く……少し落ち着くべきだ。 7:次から次へと、何故穢れた者を守りたがる。 [備考] ※参戦時期は久那妓ルート、スカルサーペント壊滅後。 ※風の主霊石で風属性の力を獲得しています。 風の攻撃は消耗も賢者の石で賄ってるので見た目よりは消耗しません。 またこの攻撃はデュエルモンスターズを相手するのであれば、 魔法・罠を破壊することができるようになってます。 ※以下のものがC-2に落ちてます。 右腕用ホーリー・ナックル@Fate/Grand Orderは黒ずんでますが使えるかは後続の書き手にお任せします 左手用は空気砲@超人類に変質の際に融合したため消滅してます。 雷槌(ミョルニル)@終末のワルキューレ 一斬必殺『村雨』@アカメが斬る! 両断されたヴリスラグナ@グランブルーファンタジー 【聖なるバリア-ミラーフォース(ゴールドシリーズ)@遊戯王OCG】 のび太に支給。ゴールドシリーズについては既存のものを参照。 遊戯王における代表的な罠カード。攻撃宣言時に発動し、攻撃表示のモンスター全てを破壊する効果を持つ。 デュエリスト以外は攻撃態勢に入ってる参加者全員が対象となる。破壊=死亡ではないが当たり所次第では死ぬ。 【雷槌(ミョルニル)@終末のワルキューレ】 のび太に支給。神VS人類(ラグナロク)における一回戦で呂布奉先と戦ったトールの神器。 鉄の手袋(ヤールングレイブル)と併せ、ブリュンヒルデでも神武器(クソチート)と称する神器。 頭はオリハルコンすら溶解する程の熱を発するものの、本ロワではある程度は抑えられている。 だが焼けるほどの熱源が身近にある為、使用者と言えども熱による消耗は基本的に免れない。 人の身で神が使用することを前提とした神器を扱う時点で、相応のリスクはあると言う事でもある。 ヨルムンガルドを葬った覚醒雷槌(ゲイルロズトールハンマー)は流石に人では早々できない。 当然滅茶苦茶重いので常人に扱えない。 【神月アンナのデュエルディスクとデッキ@遊戯王ZEXAL】 うさぎに支給されていたデッキ。神月アンナの列車をモチーフとしたデッキ。 レベル10を並べてエクシーズ召喚し、豪快な効果やステータスを以て敵を薙ぎ払う。 列車モンスターは自動的にレールを目の前に作りながら出現するので場所は基本問わない。 デュエルディスクは(今まで具体的な描写がないため)アンナと同じもの。 【レッド・デーモン・ドラゴン・タイラント@遊戯王ARC-V】 ジャックの心意システムで発現したシンクロモンスター。 アニメ版効果の為、OCGにおける召喚制限や①、②ともに同名の発動制限はない。 シンクロ・効果モンスター 星10/闇属性/ドラゴン族/攻3500/守3000 チューナー2体+チューナー以外のモンスター1体以上 ①:自分メインフェイズ1に発動できる。 このカード以外のフィールドのカードを全て破壊する。 このターン、このカード以外の自分のモンスターは攻撃できない。 ②:バトルフェイズに魔法・罠カードが発動した時に発動できる。 その発動を無効にして破壊し、このカードの攻撃力を500アップする。 【空気砲@超人類】 のび太の心意システムで発現したもの。 ドラえもんが使っていたひみつ道具の空気砲に似ているが、 のび太の状態の結果サイコガンのように一体化したものになっている。 尚、空気砲とは言うが超人類出典の為発射されるのはどう見てもビーム。 なぜ数あるひみつ道具の中からこれが心意になったかは定かではない。 ドラえもん達に対する怒りだからこそ、あえての空気砲なのかもしれない。 052:■滅の刃(前編) 投下順 054 聖戦 時系列順 001 うるさくてキングなやつたちとなんか名前がなくてファラオなやつたち ジャック・アトラス 068 マジックテンペスター 深淵の冥王 うさぎ GAME OVER 023:天命の聖剣 ジャンヌ 072 Judge End ─アドバンス・カーニバル─ 016:Realize 野比のび太 GAME OVER 020:白銀世界のスナイパー 九十九遊馬 068 マジックテンペスター 尾形百之助 GAME OVER 037:執念と怨念、そして人間性 野原しんのすけ(大人) 068 マジックテンペスター ルナ
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/676.html
戻る アマチュア・個人製作パーツ一覧 ※本設定は非公式のものです。また、強制されるものでもありません。 ※物語製作においてご参考になれば幸いです。 武装神姫の世界的普及は、当然の成り行きと言うべきか、日本のアマチュアガレージキット業界にも大きな影響を及ぼし始めた。 2036年現在におけるアマチュアガレージキット製作においては家庭用工作ロボット・コンピュータの支援が当たり前となっており、製作者の手間がかなり低減されている。そのためおよそ三十年前当時では使いにくい材質を用いたり、意欲的なギミックを仕込んだりするなどして作品形態が多様化していった。そういった中で生まれてきたのが「機械系作家」と呼ばれる人々である。簡単に言えば、自作のロボットや機械式おもちゃを製作販売するアマチュアガレージキット製作者のことである。 武装神姫のガレージキットへの派生にいち早く気づいたのが彼らであった(「神姫」の先駆者としては服飾関係のアマチュア製作者たちで、神姫用の衣装を製作販売している)。彼らはオフィシャル介入以前より自作パーツを製作しており、オフィシャル介入後に爆発的に増加した。 本項で紹介するのはオフィシャル介入後の主な製作者、およびパーツである。公式装備には無い独自性を持ったパーツがたくさんあるので、ぜひともご覧頂きたい。 『F-Face』【アウタースキン「和三盆」】 【オリジナルヘッド「ワンダ」】 三屋八方堂【オリジナルパーツセット 堕天使型MMSラルナーヴ(魔王型MMSフォルテストラーフ)】 『F-Face』 何を隠そう、神姫の生みの父である浅井真紀氏のガレージキットディーラーである。EDEN-PLASTICS本社におけるエンジニア稼業の暇を縫い、機械系キットから服飾まで様々な意欲的作品を世に生み出してきた。 【アウタースキン「和三盆」】 ○衣装 第一弾のアーンヴァル・ストラーフに着せることを想定してデザインされた、特殊ビニール繊維製の衣装。前後リバーシブルの角帽子、ショール、ボレロ、ワンピース、カフス、ブーツカフス、そしてワンピース固定用パーツ(背中の拡張ハンガーとの交換式)のセットで、白と黒の二色がある。 洗練されたスタイリッシュなデザインながら、素体の駆動を邪魔せず、さらに服を着たまま武装することができる。そのため人気があり、これを着てバトルに臨む神姫は多い。 【オリジナルヘッド「ワンダ」】 ○コア オリジナルデザインのコアパーツ。市販の陽電子プロセッサを搭載しているが、思考ルーチンプログラムはこのパーツのために新しく組まれたものである。言うまでもなくコアの製作にはある程度の専門知識が必要である。 個別に市販されている素体とCSCを組み合わせることによってちゃんとした一体の神姫となる。 武装神姫関係のガレージキット製作に関しては特に版権審査などは必要ないが、コアパーツだけは別物で、EDEN本社による審査が必要となる。これはおおよそ武装神姫らしくない人格の予防(特に性格破綻していると色々問題である)と、武装神姫の規格内に収めるためである。晴れて審査に通った場合には製作に関して本社の惜しみない協力が得られ、またそのコアで公式戦にも参加できるようになる。逆に言えばそれほど審査が厳しいということでもある。たとえ生みの父親といえど例外ではないが、本コアパーツは公式のものと比べてもなんら遜色ない出来となっている。 三屋八方堂 F-Faceを除いてオフィシャル介入後に初めて武装神姫のオリジナルパーツを製作したガレージキットディーラー。 ※掲載にあたって東海林氏よりご許可を頂いております。 ※3/2 東海林氏よりご指摘のあった部分を加筆修正しました。 【オリジナルパーツセット 堕天使型MMSラルナーヴ(魔王型MMSフォルテストラーフ)】 各種武装とオリジナルコアパーツのセットという豪華なものである。いくつかのパーツが多機能モデルとなっているのが特長。 MMS素体とCSCをそろえればオリジナル神姫を作ることができる。また武装はストラーフ用の強化パーツを想定して製作され、これを装備したストラーフは「魔王型MMSフォルテストラーフ」となる。 フォルテストラーフはストラーフが本来持っている地上機動力、近接格闘戦闘能力を特化させるとともに、アーンヴァルなどの対飛行型神姫戦を想定し、苦手項目であった射撃を補強するとともに超小型ジェットエンジンを搭載し飛行能力も付加されている。 欠点として消費エネルギーが著しく増大してしまうが、それを見越した短期決戦が常套戦術となる。 以下に各武装の説明を掲載する。 フルストゥ・ジガント ○至近距離~近距離 ストラーフのメイン武器であるフルストゥブレードの大型版。グフロートゥの二倍近い刀身長を誇る。 ジョイントブレード(フルストゥ・クレッセント) ○至近距離 パーツに直付けするタイプの湾曲剣。主にひじやひざなどの関節部に取り付けるためこう呼ばれる。 バフォメットスリッパー ○至近距離 GA2レッグの足元に履く強化パーツ。ヤギのように二股に分かれたつま先を持ち、接地性、走破性が向上する。 またつま先のナイフが二本に増え、在来のナイフがかかとに移動するため単純にキックによる攻撃力も上昇する。 ボルトドライバーテール ○(至近距離) 中~遠距離 フォルテストラーフの尻尾となる銃剣付大口径ロングライフル。ケースレスタイプ。命中精度と威力が高いレベルで両立している。 「センチネル」自動レーザー迎撃システム ○至近~中距離 背中から触手のように伸びる八本のアームは自動迎撃のための高収束レーザー照射装置である。迎撃目標確認から発射まで自動であり、もちろん自由に動き、装着者の意志で攻撃にも参加する。本体のエネルギー消費を抑えるためそれぞれに専用バッテリーが付いている。 レーザーはM4ライトセイバーの技術が踏襲されており、レーザー刀身を発生させ近接防御戦闘にも用いられる。エネルギーが無くなっても先端の突起部(バッテリーケース)が打突用スパイクとなる。 また緊急的な使い方であるが、対戦相手を触手のように絡めとって拘束することもできる。 ヘッドギア「イーヴルアイ」 ○頭部パーツ 悪魔の一つ目のようなスリットが入ったバイザー型ヘッドギア。望遠、サーマル、Xレイ、ナイトビジョンと、対戦相手を視覚的に発見、捕捉することに特化した機能構成となっている。 オリジナルバスト「パスカービルの魔乳」 ○胸部パーツ 妙な名前の豊満な巨乳パーツ。何の機能もないが、神姫には人気がある。素体バスト同様絶縁性対衝撃ジェルが充填されている。おそらく製作者が遊びで入れたパーツであると思われる。 GA4カスタム「ゴーレム」アーム/レッグパーツ ○腕部パーツ DTリアユニットPlusとの連動が推奨されたアームパーツ。チーグルアームと換装する。チーグル以上の馬力を持ち、そのままでも立派な武装として使用できるほか、神姫と規格の合わない大型武装も持てるようになる。 またひじパーツを取り外すことで脚部となり、その場合は大腿部から換装することになる。脚部として装備した場合、内蔵されたスラスターベーンにより浮遊することが可能となる。 さらにスラスター部分を全展開させることによって、腕に付ければシールド、背部に付ければリアスラスターと、単純な機構で多機能を実現しているのには目を見張るものがある。 アドバンスドジェットエンジン ○機能補助パーツ 超小型ジェットエンジン。このDTリアユニットの肩部に乗るほど小さなエンジンで飛行できるようになり、たとえ完全装備でもアーンヴァルに追従する機動力をたたき出す。ただしアーンヴァルのような自己精製型水素エンジンではなく模型用ジェット燃料を用いるため、取り扱いが面倒で燃料代がバカにならない。 インバーテッドクロスガーダー ○装甲パーツ 逆さ十字の形をした盾。 スカルアーマー01 ○装甲パーツ 骸骨の意匠の増加装甲。非常に分厚い。サブスラスターユニットも兼ねており、アドバンストジェットエンジンの補助を担う。 スカルアーマー02 ○装甲パーツ 増加装甲。こちらは骸骨の意匠は無い。 オリジナルヘッド「ラルナーヴ」 ○コア 市販の陽電子プロセッサを搭載したオリジナルコアパーツ。堕天使型の名のとおり、アーンヴァルに似ながらストラーフの雰囲気を持つ思考ルーチンプログラムが組まれている。 文責:マイティのひと 戻る
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/2649.html
「右から敵の攻撃が来てる。その場から上昇して!」 『了解です!』 今はバトルの最中。ステージは森林。 始まった直前、素早い動きでハウリン型の相手はどこかに行った。移動し木に隠れながらの戦法。 多分であろうハウリン型武装の「蓬莱壱式」をバンバン撃ってきている。 それでも間を縫ってきて、こちらを狙ってきても結局木に当たる。隠れるための木が壊れることなどあまり気にしていないみたいだ。 これ以上地上にいたら、いつか爆発に巻き込まれる。そのため、シオンを一旦空中に飛ばせてグライディング。 浮遊させておいて戦局を変えられるか考えてみる。 「どこかにいるんだ。シオンはわかるか?」 『センサーに反応はあるんですけど、移動もしていますし、こう木が多くては……』 「うーん、どこに……待って、後方右斜め下からも砲弾! 回避して!」 『え? きゃっ!』 僕が声を発してなかったら危なかった。 空中のまま瞬時に身を屈めたシオン。 危機一髪、砲弾は後方に加速をつけながら飛んでいった。 『危なかったです。でも、このままでは……』 「いや……移動しているみたいだけど、今撃った場所から次の移動場所は大体予測がつくよ」 『え? どこに?』 シオンは僕の言ったことに驚愕して周りを確認しようとするが、 「しっ。……そのまま、動かないで聞いて」 『は、はい……』 シオンは今空中に飛んでいる。 それなら、こちらよりも上に飛ばない限り、円すい状の頂点にいるシオンに対して相手は地上面360度のどこかの位置からしか砲弾は撃てない。 なのに“後ろ”右斜めからだった。 相手は姿が見えないのにも関わらず後ろから撃ってきた。 (おそらく、シオンの前にいることを相手は用心しているんだ) 思えば地上にいた時も相手は前からは砲弾を撃ってきてない。 左か右、そして後ろだった。 素早い移動で木々に隠れて、視界外から攻撃。 それが相手の戦法なんだ。隠れているのになお視界に入らせない戦い方。 だけど今回の森林ステージ、それが仇になっている。 位置を考えるなら視界に入らない後方180度のどこか。すでに真下の方はもう何本も木が倒れているから、 「それだと……次に隠れるなら木々の多い左方面だ! バリスティックブレイズのまま、そこを重点的に掃射!」 『え、はい! では、いきます!』 すっかりバトルに慣れているようにシオンは流れる動きで身構えて反転。 そこから、左下に向けてリアのバレルに装填されている弾をすべて使って弾幕を張る。 弾の雨が木を次々となぎ倒していると、 『――うわぁっ!』 はたして――敵はそこにいた。 ハウリン型の相手は木の崩れていた場所にたまらず飛び出してきた。 それをシオンは待っていた。 『これでトドメです!! たぁー!』 シオンは敵が見えた瞬間、その場そこから電光石火。 勢いをつけて相手の眼前にたどり着くとぺネトレートクロー・烈を相手の鳩尾におもいっきり叩きこんだ。 『ク……ハッ……!』 顔を苦悶に満ちらせ空気を口から出して、相手は姿をデータ状にして消えていった。 完全に消えた後、筐体の機械音声から試合のジャッジが聞こえてきた。 『WINNER シオン』 ―――― 「やりました! 螢斗さん」 「うん、いいバトルだったよ」 初めて勝てた日から数日。といっても3日ぐらい。 学校が終わってから、ゲームセンターに通うことが習慣になりつつある。 バイトがない日は学校にシオンを連れてくることも当然になり、その足でゲームセンターで神姫バトルをすることが多くなった。淳平とミスズも来れる時は一緒に来るけど、今日はあっちがバイトなのでいない。 勝てたあの日から、シオンはちゃんとした武装神姫同様、バトルができるようになっていった。 自信がついたのもあるけど、あれから人間でいう憑き物が落ちたみたいに勝負で勝てるようになってきていた。 武装神姫にとって普通のことが出来なかったシオンがまともに勝てるようになった。それが嬉しい。 相手によっては負けることもあるけど何戦もしていれば勝つこともある。なにもできず負ける時のあの頃より大きな進歩だ。 「相手の戦術に気づいて、即座に対応できるように指揮してくれる。さすがです、螢斗さん」 「いや、たまたまだよ。……シオンは戦うのに集中してるんだから、僕が冷静に戦局を見ないとね」 そういう風に真っ直ぐに称賛してくれると、こっちはものすごく照れるのだけど。 「いえ、こういうのは実際に見ていると、どうすればいいかわからないことが多いって凛奈さんが――……あ、いえ何でも……ないです」 シオンは喜び勇んでた姿をしゅんとさせた。 またそうやって、前の逃げ出してしまった記憶から、宮本さんのことを思い出して委縮する。 戦えるようになってきたんだ。どうして前いた時に出来るようにならなかったんだろう、とか思っているのかな。 僕も大概真面目だと思うが、シオンは僕より考え込んじゃう質だから気にしちゃうみたい。 ちょっと嫉妬しちゃうな。 今はもう僕がマスターなんだから……。 でも、僕はそういうのはおくびにも出さず、シオンの頭を指で撫でる。 「別にいいよ。宮本さんの所にいた時は名前は違うけど、前も今もここにいるのも本当のシオンなんだから。……思い出すのも仕方ないって」 「螢斗さん……」 「ほら、そんな顔しない」 「……はい。そうですね」 花が咲いたような笑顔。 うん、いい顔に戻ったみたいだ。 よかった。これが見られるなら、感情を押し隠す価値があるよね。 「あ、そういえばさ……」 場の空気が戻ったのを機に、シオンがバトルしてる時に疑問に思うことがあったのを思い出した。 「? なんでしょうか?」 「それって、なんでぺネトレートクロー・“烈”なんだろうね。普通のと大差ない気がするんだけどな」 MMSショップ『ブラックスミス』の店長さんから貰ったぺネトレート・烈が気になった。 バトルの時シオンは普通に使っているみたいだけど、公式のぺネトレートとの違いがわからないんだよな。オリジナルの武装なら市販とは違うような特筆すべき点があると思うのだけど。 「えっと……初めて勝ったあの時、以前ムルメルティアの方と戦った時もなにかを感じた気がするんです。これにはなにかがありそうなんですけど、今のところ掴めそうで掴めない。そんな感じに曖昧なんです」 「うーん、そうか。まあ、あの店長さんだからなあ」 ゲームのシナリオの展開っぽく、危ない状況とか一発逆転する瞬間とかに新たな力が覚醒するとか、そんな展開にさせたいのだろうか? 僕は極力そんな状況に陥ってほしくはないんだけど。 「満足に使えていないのなら、私がまだ力不足なのでしょうか」 シオンはぺネトレート・烈の持ち手を握り、眺めながらそう言う。 「勝てるようになってきたんだからさ、神姫バトルをしていけばいつか、いや、近いうちに使いこなせるかもしれないよ。そういうオリジナルの武装とかは元のデータがないから。使うのに慣れていけば、本当のぺネトレートクロー・烈が見れる……かも知れないね」 僕は武装神姫の知識を総動員して考察し説明してみた。 武装神姫とかは射撃方法や戦闘技術、その他もろもろの技術とかは基本データで埋めているらしい。だから、武装神姫はバトルでもそういう武器・銃器がスムーズに使いこなせるみたい。 公式の武装なら基本データがあるだろうけど、こういうオリジナル武装ならデータが一切ないからまだ使いこなせていない。 そんな感じなのかな……。 そういうのに専門してないから僕も曖昧だ。 とりあえず僕もシオンの持つぺネトレートクロー・烈を眺めてみる。 やはり市販のと少し違う。 公式のぺネトレートクローはナックル系の武器に分類するのだが、殴る部分が少し鋭角ではある。そこは同じ。 だが、コレはそこに少し違う点があった。 (見づらいけど、ちょっと隙間が空いているな) 神姫サイズだったら、一ミリ以下程度のちょっとした隙間。 深くじっと見ないと気がつかないぐらいの空間。 そこに秘密があるのかもしれない。 だが悲しいかな。これ以上はわからない。 店長さんに聞きに行けばいいのだろうけど、聞いても使い方を教えてくれない気がする。 『その時が来たらわかるぜ!!』 とか多分そんな風に大きな声で言う気がする。 初めて会ってから間もないけど、あの店長さんゲームが好きらしいから、新たな力が目覚めるとかそういうカッコイイ展開が好きそうだ。 と僕が勝手に考えた。 結局このあと三戦ぐらいしても、ぺネトレートクロー・烈の正しい使い方はよくわからなかった。 でも、戦績は二勝一敗と前と比べて重畳だった。 「今日はもう帰ろうかな」 「そうですね」 対戦相手の人と挨拶を交わしてから、もう家に帰ろうと思ってゲームセンターを出た時、 「こんばんわ、長倉君……と、シオン」 ――前の通りに例のあの人がいた。 宮本凛奈さん。 フード付きの長袖パーカーにジーパン姿。 そして、前のシオンのオーナー。 「こんばんわ、宮本さん」 「え、凛奈さん…………ですか」 僕の胸ポケットにいるシオンがひどく驚き戸惑っている。 それはそうだ。目の前に逃げ出してしまった、前の持ち主がいるんだから。 「シオンよね。初めまして」 「は、はい。初めまして……」 「……初めてじゃないですよね? 元々のオーナーなんですから」 「シオンとしては……ね。今はもう“初対面”よ」 随分と他人行儀だ。 もう少し前オーナーとしての気位があってもいいのだと思うけど。 自分のじゃなかったら関係ないのか。 「どうしてここにいるんですか?」 何となく、シオンの肩に指を置いた。 「伊野坂君がシオンがバトルで勝てるようになった、てメールが来てね。それでキミたちがいると思って。ゲーセンから出てきて、シオンが落ち込んでいないという事は本当に勝てるようになったのね。……おめでとう」 こういう時だけそんな行動力を発揮するなよ。まだ後少し実力をつけてから話そうと思ったのに、淳平め~。 宮本さんはそう言って拍手してくれる。笑顔で心から祝福してるとは思う。 宮本さんは。 「…………」 宮本さんの肩には神姫がいる。悪魔型の神姫。目を隠しているストラーフがバイザー越しに黙ってこちらをじっと見ている。 「お姉ちゃん……」 シオンが絞り出すように名を呼ぶ。 宮本さんよりイスカが問題なんだよな。シオンにとっては。 「……キサマ、いなくなったと思ったら、そこの少年の物になったのか」 宮本さんが話していた通り、声は小さいがそれでもよく通ってくる。 不機嫌そうなオーラが出て、それでいて言葉にもトゲがあるみたいだ。お姉さんだったんだから会えた嬉しさとかはないのだろうか。 「……買われた恩も忘れて、別の人間のところにいくとは武装神姫の風上にもおけないな」 「イスカ、ちょっと言い過ぎよ。こちらも悪かったのだし」 嘲るように言う自分の神姫を宮本さんは止めようとするが、イスカは止まらない。 「……その上バトルできなかったと思えば、できるようになっている。……なんだ、私たちといた時は偽っていたのか? そんなに私たちといるのが辛かったのか?」 「ち、違います。できなかったのは本当で――」 お姉さんに散々言われ、シオンは弁明しようとする。 だが、シオンは押し止まった。イスカから出てきた言葉を聞いて。 「……そこの少年に思考プログラム自体をいじられでもしたか?」 イスカがそれを言った瞬間場の空気が止まった。 止まった原因の発生源はシオンの周りから。 「お姉ちゃんでも螢斗さんを悪く言うのは許しません」 また僕の事でシオンのスイッチが入った。 激怒しているぞという空気が間に充満してきている。 「……ほう」 それを聞いて、イスカはなぜか嬉しそうに声を若干弾ませた。 「ま、まあまあ、ここはいったんどちらも引いて! ね!」 「は、はい」 「……ふん」 ダメだ。 僕がこの空気に耐えきれなくなった。 目の前で一触即発なんて身体にも精神的に僕には厳しすぎる。 咄嗟にオーバーリアクションで二人の神姫の間に入ってしまった。 ……シオンは手で隠しただけだけど。 「宮本さん」 「あ、うん。何かしら?」 場の空気がきつくて息がしづらかったのか、宮本さんも少しホッとしている。 「まだ、日本は離れませんよね?」 「そうね。日にちはまだあるわね」 「そうですか。今度、バトルしませんか? イスカとシオンで」 「え!? 螢斗さん!」 シオンの焦るような声が聞こえたが、もう遅い。 「そうね、いいわよ。今度の休みの日にここでやってみましょうか」 「じゃあ、今度で。詳しい日時はメールとかで……それじゃさよなら!」 「え? ちょっと待っ……」 宮本さんの制止の発言も気にせず、僕はその場から急いで立ち去るように後ろに全力で走った。 実力不足な気がするけど約束はもう決まった。決めたんだ。 後には引き返せなくなった。 ……だけどこれでいい。 「きゃっ! ああの、螢斗さん?」 「ほほ本気ですか!」 「本気!」 突然走りだしたからシオンの声が震えて聞こえる。 走ってる振動から、ただ単にシオンが入ってるポケットが揺れてるだけだ。 ああいうのは勢いで決めないと、後々ぐずっちゃうから強引なのがちょうど良いのだ。 「螢斗さん……」 不安そうな声が聞こえるが心配しないでくれ。勝てるようになってきたんだ。大丈夫。 これで、シオンが起動してから今までの事を清算する準備ができた。 後はイスカとのバトルで勝つことができれば、これで晴れてシオンは僕の武装神姫なんだ。 ――でも、突っ走りすぎなのかな僕は。 前へ 次へ
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/1972.html
「暗い夜」 何故、アタシはこんな所に居るのか? 何故、アタシはこんなに涙を流しているのか? 何故、アタシの胸はこんな痛みを訴えているのか? 何故? 何故? 何故? 病院。 白い壁。 リノチウムの床。 硬いソファー。 人気の無い薄暗いロビーには、時折車のヘッドライトの光が入り込む。 手の中に固い感触。 その存在感が、かろうじてアタシの意識を保たせていた。 廊下に響く硬質な足音が耳朶を打つ。 その音は徐々にアタシに近づき、そして目の前で止まった。 「刹奈、おいで」 その声に反応して、アタシの手の中でおとなしくしていた刹奈が、ゆっくりと動く。 アタシは刹奈に指示をしたその声の持ち主の顔を見た。 それは夢絃と似ていて、それで居てまるで違う女性。 露草流音。 夢絃の妹。 「……こんな事言っても、きっと何の慰めにもならないのだろうけど、聞いて欲しい事があるの」 流音はそう言って、呆けているアタシの隣に腰を下ろす。 「夢絃が死んだのはあなたのせいじゃない。ただそれは、アイツのスケジュールが早く進んだだけ」 酷く淡々とした声だった。 夢絃が本当に死んだのだと、人の言葉によって改めて付きつけられる。それが事実なんだと、アタシの中に侵食していく。 夢絃。 夢絃。 夢絃。 夢絃―――― いくら呼んでももう夢絃は返事をしない。 もう、夢絃はいない。 「ちょ……『マスター』! そんな言い方、ないだろ!?」 刹奈のその言葉に、それでもアタシは驚いた。 マスター、だって!? 今確かに刹奈はマスターって言った。夢絃じゃなく、流音の事を。 そうでなくても悲嘆にくれ、罪の意識に苛む思考はその処理速度を低下させていて、新しく得た情報にアタシはただ混乱する事しかできない。 「でも、ちゃんと伝えるには、少しでも客観視しないと、ダメだから」 「ちょっと待ってよ! 一体どういう事? 流音がマスターって、一体何!?」 感情が上手く制御できないままに、アタシは泣き叫ぶように問う。 上手く表現できないけど、裏切られたような気がした。 「…………それも、順を追って説明するから、落ち着いて。ね」 「元々夢絃は、そんなに体が丈夫なほうじゃなかったの」 自動販売機で買ったジュースに口を付けつつ、流音は話し始める。 アタシが落ち着くのを十分すぎるほど待ってからの事だった。 「先天的に心臓に疾患があったらしくって。でも、そんな事、つい最近まで私も知らなかった」 そう言って、流音は視線を落とす。その先にはおとなしく座る刹奈の姿がある。 「私と夢絃って、苗字違うじゃない。実は両親離婚しててさ。仲が悪い訳じゃないけど、疎遠だったんだよね」 流音はアタシに視線を向ける。その表情は大人びて見えた。 「久しぶりに会いに来たかと思ったら、もう余命いくばくも無いとか言うし、信じられないでしょ?」 それはもう諦観しきった顔。悲嘆にくれて、そしてそれを受け入れた、そんな顔。 「……なーんで双子の私はこんなに元気なのにって、本当に運命を呪った」 「え? 双子?」 話の腰を折ってしまわないようにおとなしく聞いていたが、その言葉に反応して思わず声にでる。 「ん? 言ってなかったっけ?」 「うん。アタシと同じくらいだと思ってた」 「そっか、まだ女子高生で通るか」 そう言って少しだけ笑う。 「ま、それは置いといて…… だから、事故に遭わなかったとしても、今年の冬には夢絃はいなくなっていたはずなんだ」 それが慰めになるか、判らないけど。と流音は続けた。 「でね、そんなアイツが、私に何言ったと思う? 最期の願いに神姫のマスター気分を味合わせてくれ。だって。よりにもよって最期の願いがそんなって、もう、ホントに馬鹿」 「…………は?」 さすがにそれには呆れた。 「ま、それにも一応アイツなりに理由はあったんだけどね。自分が確かにこの世界に存在した証を、機械である神姫に残しておきたいとか、ヴァーチャルな世界にでも神姫と戦った自分を残しておきたいとか。人間の曖昧な記憶とかじゃなしに、神姫やネットワーク上のメモリーに、自分を残しておきたいって言ってた。そんな事言われたら、文句も言えなくなるじゃない」 ……そう言われると、アタシも何も言えなくなる。 正直理屈は良くわからないけど、それでも夢絃なりに真剣に考えた事なんだと思う。 「だから私は刹奈を夢絃に預けたの。それくらいしか、私には出来ないから」 「でも、そんな事出来るの?」 ここでアタシが聞きたいのは初めて会ったあの時の事。つまり正規のオーナー以外の人間が他人の神姫を使ってバトル出来るのか、という疑問だった。 「初期のBATTLE RONDOなら兎も角、現行のシステムならそこらへんはかなり自由が利くようになってるのよ。少しだけ手続きが必要だけど」 「なるほど…… すっかり騙されたなぁ。まるっきり自分の神姫みたいに扱ってるんだもん」 正直少しだけ拗ねている。ちゃんと教えてくれてもいいじゃん。って。 「でも、夢絃は一度だって、自分の神姫だ、とは言わなかったんだ」 刹奈が小さな声で初めて会話に加わる。 「自分がオーナーじゃないって、誰よりも強く思っていたから、夢絃はあたしを一度だって自分のものだとは言わなかったよ」 確かに、そうだった。一番近い表現でも、出会ったばかりの時に言った「人の神姫を抱きしめるな」という言葉。あれは自分のという意味ではなく、本当の意味で『他人の』という意味だったんだ。 と、そこでアタシは思い出す。確か夢絃は「一人と神姫とで暮らしてる」とも言っていなかったか? アタシのそんな疑問に、刹奈が答える。 「それはさ、まだ起動させてもいない神姫の事を言ったんだ。その神姫は限定品で、注文してから届くまでかなり期間が空いてさ。……注文した時は自分の体の事、まだ知らなかったんだってよ」 「でもだったら、その神姫でバトルとか参加すればよかったんじゃないの?」 「ははは。朔良は神姫に詳しくねーからなぁ」 そう前置きして、刹奈は説明し始める。 神姫はただ一人をオーナーとして登録し、そのオーナーとの絆が途切れてしまえば、その活動が停止してしまう事を。 「自分の命が長くないと知った夢絃は、それだからこそ神姫を起動させる事を躊躇したのよ」 でも、それを他の人……友人とかには言えなかったんだって。と流音は言うと、僅かに残ったジュースを飲み干す。 「で、夢絃が唯一、本当の意味で所有していた神姫が、今あなたのバッグの中にある神姫よ」 そういわれてアタシは急いでバッグの中からその箱を取り出す。 MMS TYPE DEVILと記されている段ボール製のその箱を。 今の今まで気が付かなかったが、そこには、LIMITED EDITIONと印刷されていた。 「だから、あなたが罪の意識を感じてたりしたら、夢絃も浮かばれない。……こんな言い方、冷たいかもしれないけど、残り僅かだった命を、それを託せる程に信頼していたあなたを助けるために使えたんだから」 そこで初めて、流音の頬に涙が伝う。 「だから兄のためにも、喜んであげてよ。兄の命が、無意味に失われなかった、その事を」 アタシは、その流音の言葉にただ頷いた。 今はまだ、心の底から罪悪感を払拭できなくても、でも夢絃のためにそう思おうと決心して。 夢絃に助けてもらったアタシを大切にしようと思えるようになりたいと、祈った。 戻る / まえのはなし / つぎのはなし
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/734.html
圧倒的な闘いだった 一撃目の段階で、会場に居た神姫の大半は『G』の異常さに気付いていた だが、復帰してからのニビルはその遥か上を行く異常さでもって『G』を圧倒していた 挙動の鈍いパワードスーツを纏った状態で、『G』の密着戦の攻撃を全て見切り、かわす 眼と反射神経が強力な神姫が見ても、『G』の攻撃一つ一つが弾丸並みか、ものによっては以上の速度と、徒手空拳ならではの変化に富んでいる事は明らかだった 密着距離でかわせるものでは無い・・・ましてや、これまでの『ニビル』の戦績や映像を見ても、それだけの能力を秘めたタイプでは無さそうな事は明らかだった(並みのストラーフの域を出ないどころか、総合的な戦力ではスタンダードなストラーフに劣るだろう) だが、かわしている 否、放つ前に綺麗に逃げている まるでこれからどこに攻撃が来るのか判っているかの様に・・・ 第拾弐幕 「侵食」 「姉さま!凄い!『G』をあっさり降すなんて!!」 daきついて来るヌル。尻尾をそうびさせていれば確実に、凄まじい勢いでふりふりふりふりふりhurifurifurifuriしていた所だろう 「当然よ、負ける訳ないじゃない!!私を誰だと思ってるの!?」 まだバトルでヌルに心配される程じゃぁぁぁぁぁない。・・・かおの感覚が薄い、わたしはきちんと笑えているだろうか? 「ほら、次は貴女のが控えてるんだから?装備と戦技の確認は良いの?」 「あ・・・あぁ!やってくる!後で!姉さま!!」 「いってらっしゃい」 ぬるの肩をたたく・・・掌にヌルの感触を感じることは・・・できなかttttttった 「ニビル・・・こっちへいらっしゃい・・・」 ますたーのよびごえのほうこうにむかうとちゅうでいしきがとぎれましt 「なぁ華墨、それは武者震いか?それともやっぱり怖いのか?」 「・・・震えているのか?私は?」 マスターの指が優しく肩に掛けられる 「震えているのだろうな・・・」 らしくない だが、こういう時に武装神姫であるという事はいかに楽な事なのかも判った気がする 傍に居る限り、マスターに甘える事は出来るからだ 「・・・」 視界の隅に映った他の何人かの神姫達が、各々のマスターに抱いてもらったり、慰めてもらったりしていた 私は・・・ 「・・・」 マスターの指に両手を絡めるだけに留めた マスターは何も言わず、ただじっと、体温のぬくもりだけを私に感じさせてくれていた 「・・・・・・助かった、マスター。うん、私はもう闘える。大丈夫だ」 「おっけい!そうでなくちゃ困るぜ」 マスターの笑顔が頼もしかった 「しかし・・・あれは一体何だったんだろうな?『ニビル』ってあんな化け物だったのかよ?」 「判らない・・・ただ、伝え聞く感じのニビルの戦闘スタイルとさっきのあれとの間には随分ギャップがある気がする」 「確かにな・・・あんな凄え力があるんだったら、とっくに一桁だろうな」 「マスターの目から見て・・・あれは一体なんだったと思う?」 バトル中に隣の男が言っていた「強力な武器」というのがあの凶悪なパンチと謎の「見切り」なのだろうが・・・ 「武装神姫の目で見切れないパンチを見切れる能力・・・なんて言われてもなぁ・・・武装神姫より反射神経の劣る俺じゃぁなぁ・・・」 そういう事を言うだろうと思ってはいたが・・・だが判っていてこういう事を聞くあたり、実の所私の恐怖は「得体の知れない物」への不安感というやつなのかも知れない 実際の正体等判る訳も無いのに、「マスターとの結びつきによる神姫へのリラックス効果」で無理矢理納得させられようと期待するあたり、私も結構肝が小さい 「・・・ただ判った事もあるぜ」 え?何か言えるのか?マスター 「『武装神姫で見切れないものを見切る能力』って事はつまり『武装神姫の枠を超えた能力』って事だ・・・極端な話、『ニビル』は武装神姫じゃないのかも知れん」 恐ろしく的が外れている気もしたが、『武装神姫じゃない』という所に言い知れぬ恐怖を感じた・・・ 「理屈はわからねえが、ニビルは武装神姫じゃない。だから武装神姫のマスターとして武装神姫を所有する事も出来る・・・ってのはどうだ?」 「・・・それは・・・」 『武装神姫とは何か?』という気が遠くなる様な哲学的命題の片鱗を垣間見る発言だ とかく私の周りには本来のそのタイプの属性を失ったカスタム神姫が多いし、私以外の紅緒も居ないからデータが足りないが、兎に角ニビルは特殊な気がする・・・何か他の武装神姫とは違う、特別な感じが、初めて見た時からしていた(あるいはその感覚こそが、私がニビルに感じた、未だに正体不明の感情の正体を探る鍵かも知れない だがその理由は、「ニビルが武装神姫じゃない」からだとすれば、同時にそれは今の私には確認不可能だ。何故ならば私には『武装神姫とは何か?』という命題の解が得られていないからだ・・・マスターは何か自分の中で解らしきものを得た様だが、残念ながらその説明を理解し切れる程に、私の「知識と感情の一致」は進んでいなかった ニビルが単なる『例外』なのか、それとも武装神姫とは実はああいったものなのか・・・私はどうにも神姫に興味と関心を持ち過ぎではないのか? 「それは魅力的な説だが、それは飲めないな」 「なんでだよ?」 「この地区最強の武装神姫を決める大会に武装神姫以外が混じっていたら意味が無いからだ」 そう言って笑って、自分を誤魔化しておいた 強力な「ナインブレイカー」達の闘いはしかし、より強力な「ナイン」の方が勝つばかりだった そもそも以前にマスターも言っていた気がするが、この方式はスイスドローといいながら、実際少しも「実力が近い物同士の組み合わせ」ではない 強弱の差が異様にはっきりしている それこそ、『ニビル』が見せた異能の力でもなければ逆転は不可能な感じだった 正直ちょっと退屈してきた私とマスターは、『ジルベノウって書いてるけどこれって「ジベルノウ」の間違いじゃね?』とか『タスラムすっげぇ厨装備+名前』とか参加選手に突っ込みを入れていた で、その当の『タスラム』のバトル中にその異変は起こった 相手は「モア」・・・ジュビジーとジルダリアのパーツの派手な所取りをした、えらいファンシーな外見で、イオノクラフトによる奇っ怪な挙動と、鞭+アナルビ・・・ゲフンゲフンハンマーシードによるコンビネーションで闘うタイプの様だった マスターは今日の大会では二人しか居ない小学生マスターの片方で、戦術は『モア』に一任しているらしく、オーナーブースからは応援する可愛い声だけが響いていた 「頑張れっ!モア!!」 『はいっ!マスター!!』 あぁ、こういうのって何か和むなぁ・・・でもそんなふよふよした挙動じゃ短期決戦に持っていかないと慣れられたら唯の的じゃね?とか思ったりしつつ 『!?何か言いましたか?マスター』 「頑張れ!負けるなって言ったんだよ」 『・・・?はいっ!』 何度か、そんな奇妙なやり取りが発生している事に、そろそろ『タスラム』のマスターも気付いた様だった 「タスラム・・・待て。様子がおかしい・・・もう一度距離を取って・・・・・・否、その位置で良い、一旦砲撃を止めるんだ」 『モア』は明らかに聞こえない声を聞いていた 『タスラム』を無視してフィールド内をうろついている 「モア・・・?どうしちゃったのモア!」 「何だぁ・・・?ありゃ」 「戦意喪失か・・・?いや、そういった感じでもないが・・・?」 この期に及んでジャッジマシンは一切反応していない様子だった 「・・・ジャッジが下されないな・・・という事は・・・全く理解出来無いがあれは敵の作戦と見るべきか・・・『タスラム』攻撃再開だ!ただし」 『ただし・・・?何ですかマイロード?』 「『ブリューナク』を使え・・・全力で仕留めろ」 『ブリューナクを?あれは決勝戦迄温存するのではなかったのですか?』 「・・・そのつもりだったが、何かイヤな予感がする。後腐れなく吹き飛ばせ・・・何も仕掛けて来れないようにな!」 『イ・・・イエスマイロード!』 (決勝戦での対『ストリクス』戦での決戦兵器にするつもりだったが・・・) 『砲撃形態への変形完了!マスター!サイドボードの転送を!!』 「おう!『ブリューナク』行けええぇぇぇぇぇぇっ!!」 フォートブラッグから取って来たであろう機械脚で体を固定した『タスラム』の全身から、『タスラム』たる所以の機銃類とミサイルポッド類が消失し、代わりに強力なセンサー類と追加ジェネレータ、大型冷却装置と、五つの砲門を持つ巨大な砲が転送されて来る 『エネルギー充填率100%。ブリューナク、発射!!』 五つの光線が渦を巻きながら『モア』に迫る・・・! (何だ?) 多分、それに気付いた者は会場の中では私と、あと数名居たかどうかだろう 発砲の瞬間、『モア』が何かとても嬉しそうな表情を見せた様な・・・ 画面が光で埋め尽くされる・・・眩し過ぎない様にある程度は抑えられているが、それでもバトルフィールドの様子がまともに伺える様になる迄二秒以上を費やした 『馬鹿な!?』 『タスラム』の声だった 発砲点から着弾点迄、優に1500スケールメートル・・・恐らくあの『ブリューナク』とかの射程では殆ど限界の距離だろう・・・だが、何故か『モア』は無傷で、『タスラム』を挟んで着弾点と点対称の位置に居た 『・・・あれ?』 『モア』本人も、何が起きたのか全く判っていない様子だった (瞬間・・・移動ッ!??) 『マスター、何か判らないけどかわせちゃいましたぁ・・・てへっ』 画面に向かって微笑みながらVサインを送る『モア』・・・確かに、全ての武装をパージし、今また必殺の一撃(五撃?)を回避された『タスラム』に勝機は無いだろう。現に『ブリューナク』は破損し、全身に装備された追加ジェネレータも黒焦げになっている だがそれでも尚、この闘いは『タスラム』の勝利に終わった 画面一杯に広がった『モア』の笑みは突如苦悶の表情に変わり、凄まじく苦しみ悶えた挙句、マスターの名を呼びながら力尽きたからだ ・・・あの様子では本体の方もまずいんじゃないのか? 案の定強制ログアウトし、結果『モア』の敗北が宣言されるが、『タスラム』自身もそのマスターも含め、誰一人としてそんな事は最早眼中に無かった やがてオーナーブースから聞こえてくる子供の嗚咽・・・ 深町昭が、走った 「おい、しっかりするんだ!何があったんだ?出て来てくれ飯島千夏ちゃん!!」 ブースのドアを叩く・・・返事は無い 「どきな」 いつの間にか、マスターが椅子を持ってブースドアの前に立っていた おいこらマスター、一応店の備品なんだぞ 突っ込みを入れるより早く、椅子ともどもドアは破壊され、マスターと深町昭はオーナーブースに入り込む 「大丈夫かい?一体どうなったんだ・・・・・・・」 「・・・ッ!!」 「モアが・・・モアが・・・返事をしないの・・・」 涙で顔をぐしゃぐしゃにした少女の手の中には、全身から冷却水を噴出してドロドロになったまま動かないモアの素体が握られていた 剣は紅い花の誇り 前へ 次へ
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/2639.html
「……うーん」 「またか、キミは。今度はなんなのだね?」 いけない。またアルバイト中に考えこんでしまった。でも、どうしようもない。 お客さんが来れば、身体が勝手に動いて仕事はできるけど、気付かないミスがあるかもしれないから、バイトに集中したいけどこればっかりは。 「そうそう。キミが、神姫のことをよく話すものだから、実は……私も武装神姫を買ってしまったのだよ!」 ババーンと後ろで効果音が出てきそうな風に君島さんが言う。 だが、しかし、 「……うーん」 いまだに僕は考え込んでいる。 話し声が聞こえて、視界には入るのだけど、君島さんの話が頭に全然入ってこない。ゆえに、反応できない僕。 「……ふ、悲しいな、悲しいよ。だが、これでも、無視はできるかな?」 君島さんがスゥッと右手を顔の前まで上げて、 「来い『リンレイ』!!」 「え、え、なんですか?」 パチンっと軽い音が店内に響く。 君島さんが親指と中指を合わせ、勢いよく弾いた。いわゆる、指パッチンなのだけど、なんで今ここで? 店員なんだから、目立つ行為は控えて――。 「――お呼びでござりますか、主殿?」 「うわっ!!」 びっくりした。な、なんだ、どっから来たんだ? カウンター上に突然、人形、武装神姫が現れた。 片膝をつき、頭を垂れている姿。……これは確か忍者型神姫の『フブキ』だ。 真っ黒の忍び装束に身を包み、口元を黒布で隠している。 「はっはっは、いい反応だ。仕込んできて正解だったな、リンレイ」 「はっはっは、そうでござりますな、主殿」 イェーイ、とリンレイという神姫が手の平で、君島さんが指で疑似ハイタッチをする。 「どういう仕掛けですか!?」 「まあ、落ち着きたまえ。まずは紹介しよう。ちょっと、武装神姫に興味が出てきてしまってな、この前買ってみたフブキ型のリンレイだ。忍者ならこんなのができて当たり前なのだよ」 「リンレイでござります。以後、お見知りおきを」 再び頭を垂れて、挨拶をするリンレイ。 僕は君島さんを訝しげに見る。 腕を組んでフフンとなんか自慢げだ。 (間違った方向に忍者っぽいな~) いや、神姫もそれぞれ。これも一つの神姫としての姿なのだろう。 はっきり言って普通ではない。……でも、こちらが言えた義理でもない。 これほど、変ではないけど。 「それでは、話を戻すことにしよう。今度はどうしたのだね?」 「どうやって来たのかまだ聞いて――……はぁ、別にもういいです……」 聞いてもしょうがない気がした。 手品みたいなものだろうと割り切ることにする。 「いつも話してますけど、僕の神姫のシオンがですね、なかなかバトルがうまくいかなくて」 「件のバトル恐怖症の神姫かね? 苦労しているのだな」 「武装神姫は普通、バトルはスポーツみたいに楽しめるよう設定されているのでござりますが、シオン殿という方は戦えないという。不可思議でござりますな」 「……そうだよ、ね」 誰に言っても、見せたとしても、そう言うんだよな。もう慣れたよ。 「……キミは、以前に私が言ったことを覚えているかね?」 「えっと、なんでしたっけ?」 「ほれ、『神姫には心がある』と言った事だ」 「ああ……」 神姫が空虚な機械みたいにプログラムだけで動いてたら、こんな風に悩む必要はない。感情があるから、笑ってくれたり、喜んでくれたり――逆にバトルができなくて苦しむ――する訳だから、必死にこんな悩んでいるんだ。 悩むか悩まないか……あれ、なんか堂々巡りだな。 「キミが思っている通り、現実的に、神姫のカテゴリは機械だ。データを元にして、オーナーがプログラムを神姫にインストールさせて様々なスキルを手に入れることもできる。言語機能や身体機能もデータは……まあ、あることはあるのでな。 しかしだ。それでも手に入らないものはあったりもするのだ……長倉君は世界クラスの神姫バトルは見たことはあるかね?」 「いいえ……ありませんけど……」 シオンが来るまで、武装神姫なんて友達のでしか見たことなかった。武装神姫のバトルを直接見たのも、あのゲームセンターでのが初めてだったし。一応、知識はあったぐらいのレベルだ。 「インターネットの動画サイトで探せば、そういう大会の動画などゴロゴロあるのだが、あれはリアルファイトの真剣勝負。神姫が物理的に機能停止。故障、なんていうトラブルも少なからずある。命がけの試合。失敗は許されない。そんな神経を使うバトルだ。……神姫も怖いと思うのだよ」 「……怖い……か」 その言葉を噛みしめる。それだと、シオンはバーチャルでもバトルを怖いということだ。表現できないほどに。腰を抜かして動けなくなるほどに。 「それでも、世界レベルの神姫は戦うことができる。それも人が知覚できない程の戦闘技術でだ。なんでだと思う?」 「……多分、自分のオーナーを信頼して一緒に戦っているからじゃないですか? よくは、まだ、わからないですけど……」 「ふむ、それも一つの答えでもある。神姫オーナーそれぞれに無数に正解はあるのだよ。わたしもキミも持っている。だが、私が、仮に、あえて言うなら人と同じ“成長する”ということかな」 「んん?……」 口を紡いでしまう僕。 君島さんはこういう焦れったい説明が好きならしい。 「つまりはだ、プロのスポーツ選手と同じだ。血の滲むような練習をして、強豪から勝利を勝ち取る。……そして勝てない神姫も成長して勝てるようになる」 「それは正論ですけど……うーん……」 数年の時間をかければ、いずれはバトルで勝てるようになると思う。だけど、そんなにかけられない。僕は――いや、僕たちは、宮本さんとイスカが目標なのだ。日本を離れる前に、なんとかしたい。悠長にしてられないよ。 「おやおや、長倉君は早急に答えが欲しいらしいな。それで、参っているようだね。しかたない、な。ここはいっそのこと私が手ほどきをしてみようか?」 「えっ!?」 この人、君島さんならなんかやってくれそうな予感が……だけど……。 「ふ、神姫オーナーになって日は浅いが、キミよりかは幾分、私は大人なのだぞ? 生き方をキミのような子どもたち、色々と抱えている神姫たちを導くことなど容易いのだよ」 「……君島さん」 この人なら、どうにかすることもできるのではないか? シオンを拾った時も君島さんのアドバイスで進展したんだ。だったら、君島さんに任してみるのもいいと思う。……そんな気がする。 「ただし、私のやり方はスパルタだぞ? ついて来れるかはキミたち次第だ」 「……はい、お願いします!」 君島さんの手を両手でガシッと握る。 シオンが普通になるまで、どんなことでもやってやる。そう意気込むと、僕はやる気で満ち満ちてきた。 ――よぅし、やってやるぞ! 「こちらのお弁当は温めしてよろしいでござりますか?」 「きゃー、忍者っぽいお人形が店員やってるー! かわいいー!」 いけない。アルバイトの最中だった。 しかし、優秀すぎるなリンレイは。 僕たちが話をしている間、一人でいつの間にか店番をやっていた。 ―――― 次の週末に、君島さんは僕たちがいつも行くゲームセンターで、『授業』をしてくれると約束してくれた。 それで、今日は、ちょっと用事ができてシオンとお出かけしている。 「本当に、これ、いらないの?」 「私は、あのクレイドルを使っていたいですし、別の人が使ってくれたほうがいいと思います」 僕が持つ紙袋にはクレイドルが一つ入っている。 キズのある方ではなく、宮本さんから預かった方にあった、もともとシオンの、あまり使われていない方のクレイドルだ。 前に使っていたのより、今は貰ったキズのあるこっちを使いたいらしい。 武装を本格的に譲り受ける決意をして、クレイドルの使い道がなかったから、これはどうしようかと考えていたら、 「アリエさんが言ってたんですけど、オーナーの霧静さんの伯父さんがショップを経営してるらしいですので、そこで、相談したらどうですか」と言ったのだ。 「あと……『ゲルリン☆ヂェリー』も、あれば欲しいのですけど」とも言った。 二人を強制シャットアウトさせたあの飲み物。シオンにとってクレイドルはついでで、どうやらそっちが本命らしい。 いや、まあ、シオンが自分から欲しがるのは別にいいんだよ。 ……いいんだけど、なんでよりによってアレを欲しがるんだよ。 目的地は霧静さんから聞いている。 僕が住んでいる町の駅から少し離れて、線路の向こう側、そこの商店街になっている地域だ。 夕方なので、買い物帰りであったりする主婦さんたちが多い。他には僕と同じ学生の人だったり、会社帰りのサラリーマンが見える。 霧静さんの伯父さんが経営してる神姫ショップがこの商店街の端の方にあるらしいのだ。 大型のチェーン店とかじゃなく、自営業でやっているらしい。 武装神姫は年々流行ってきているので、商売ならそういうのに乗り出すのも悪くはないのかもしれないなと思った。ただの素人の考えだけど。 「えーと……これか」 「これってなんて読むんですか?」 目的のお店についた。 見上げれば店の看板。「MMSショップ『Blacksmith』」と大きく書かれている。 店の前には大型ガラス内に武装パーツが展示されていて、向こう側の中の様子が少し見える。 「……ブラックスミス。大体は鍛冶屋とか鍛冶職人を意味してるね。ファンタジーの小説でも時々出てきたりするけど」 「ああ、そういえば」 ファンタジー色を強く感じる。エレメンティアなんて名称が付く武器を作るくらいだ。そういうのが好きなんだろうな、なんて一発でわかる。 そう思いながら僕は店のガラス戸を開ける。 「いらっしゃやせー!……ってあら? ケートん、シーちゃんじゃない」 「あ、アリエさん。こんばんわ」 店のカウンター、台上にはなぜか見覚えのある神姫、アリエがいた。 最近は神姫でも店番できるような設定になっているのか。 「……なに、その挨拶の仕方……」 「ゲンさんのマネだよー。……あ、ゲンさんっていうのは3軒隣の八百屋の源内さんね。言いやすいからからマネしてるんだー。いらっしゃやせー」 「まあ、アリエがいいなら、それでいいんじゃないかな。ちなみに、なんで店番してるの?」 「あの後、リミちんに店からヂェリカンをパクっ……拝借したのばれててさー。労働で返しなさいってさー。まったく、リミちんは真面目なんだからー」 「倒れてれば、そりゃばれるって」 嫌な事件だったよ。 シオンは会話にも入らずキョロキョロと店内を見渡している。 ああ、事件を引き起こしたアレを探してるみたいだ。 「『ゲルリン☆ヂェリー』ってどこにあるんですか?」 「えぇ!? あれは、そっちだよー。あははー」 さすがにアリエも、あれはもう勘弁したいらしい。 店内の奥の方を指差してながらも、目が泳いでいる。 「螢斗さん、見てきてもいいですか?」 「……いいと思うよ」 僕の肩に座っていたシオンを床に降り立たせる。 ちゃんと神姫だけでも選べられるように、神姫の目線で、棚の商品の一部が床の台に置かれている。 工夫されている店内だ。 それにMMSショップ・ブラックスミスは、品揃えが豊富そうである。 シオンがいる方は、パーツやら武装やらが綺麗に箱詰めだったり、袋詰めで置かれてたりする。ついでにヂェリカンも並んでいる。 反対方向、僕から見て右側は、武装神姫の、CSCのない素体がガラスのケースで見本に置かれているみたい。 大型店じゃないから神姫の種類はそんなにないみたいだけど。 でも『鍛冶屋』っていうくらいだから、もしかしたら武器に趣を置いているのかもな。 だからって、変なヂェリカンも置かないでほしいな……。 「あちゃー、シーちゃん。アレを気にいっちゃったか。ますます変な神姫だねー」「……アリエもね。それより、これを引き取ってほしくて、来たのだけど」 紙袋から真新しくもあるクレイドルを取り出す。それをアリエの前に置く。 「ふーん、クレイドルかー。こういうのは店長だねー。ちょっと待ってて……テンチョー!!」 アリエがカウンターから降り立って、奥の方に声を掛けながら消えていった。 霧静さんの伯父さんらしいけど、どんな人かな? 優しい人だといいな。 お、奥から大きそうな人影が、 「おう。おめぇさんかい! クレイドル引き取ってほしいってぇのは」 まず、シャツを腕捲りしていて、筋骨隆々の体格が目についた。 黒いエプロンをしていて、胸元に「Blacksmith」と白い文字でプリントされている でも、頬に切られたような傷があるのはどうしてなんだろうな~。 滅茶苦茶、怖いな~。 「ええ、そ、そうです。……でも、お金とかにしたい訳では、なくてですね、あの、その、いらなくなったから、別のオーナーさんに役立ててほしくて、ですね……」 「なんだとぉ!?」 「ひぇっ! あああ、あの……」 「偉ぇな!!」 間近、しかも怖い形相の顔で両肩を力強く掴まれる。正直言うと痛いのだけど、なにも言えない。 ……正直、すごく怖いです。 「そうかぁ!! いやー、クレイドルだけ欲しがる奴なんて、そこらじゅういやがるから、そういうのは正直ありがてぇ。それに、金はいらねぇってかい。今時の子にしては偉ぇ!!」 「テンチョー、ケートん、怯えてますよー。怖がらせないでくださいねー。一応、リミちんのお友達なんだからねー」 「おぉい!! それを早く言えよ!! 璃美香の友達ならサービスするぜ。ゆっくりしてくれぇや。だけど、璃美香はアリエ預けただけで、まだ学校だけどな。ガッハッハ!!」 バンバンと肩を叩かれる。ものすごく痛い。 2メートルはあろうかとおもわれる巨体、それでいて、声もものすごく大きい。 元、ヤのつく職業の人か? でもなんでこんな人が武装神姫のショップなんかやっているんだろうか。こんな人が神姫を愛でてるとか……ありえないです。 「はいはい、ちゃんと傷とかは隠してねー。初めてのお客さんは大抵テンチョー見ると怯えて逃げちゃうんだからさー。……はいこれ、絆創膏っすよー」 「お! すまねぇな」 慣れた手つきで、引き出しから絆創膏を取り出すアリエ。 それを受け取って店長さんは自分の頬に貼る。 なんとか傷は絆創膏で隠れてくれたけど、脳裏から離れない。 「あはは、怖かったっしょー。でも、この傷はただ単に事故ってできたのだから心配しないでー。図体の割に、この人ただのゲーオタだから。極道関係者とかでもないよー」 「……ああ、そうなんだ」 ゲーム好きなカタギか。なんだ、よかった。胸を撫で下ろす気分だ。本当によかった。 「ゲーオタは余計でい!!……あっちにいるのがボウズの神姫かい?」 親指でシオンを指差す。 三つぐらいヂェリカンを持って来るシオンの姿が。……おいおい。 「そうです……シオン、そんなに買うの?」 「螢斗さん、いいですか?」 「――うん、いいよ」 上目遣いで言われたら拒否できない僕がいる。例え間違った買い物でも即答してしまう。 「おお!! それを欲しやがる神姫がいるとは。おめえさん気に入ったぜ」 「テンチョー。あんな危険物置くの止めましょうよー」 「そりゃ、できんぜ」 「なんでですかー?」 「武器は好きだ!! が、ヂェリカンも好きだ!! いずれは全国、果ては全世界のヂェリカン・シリーズを網羅して店内に置くのがオレの夢なんだぜ!!」 「武装を念頭に置いてくださいよー、武装を」 アリエがツッコミに専念している。それがなんか珍しい。 「ふん、とりあえず、ボウズはこのクレイドルを善意で金もなしに売りたいってわけかい?」 「まあ、はい」 「そっかい、そっかい。……ちょっと待ってろい」 言うと店長さんは奥に行って、すぐ戻ってきた。 「――礼に、コイツをやんぜ」 「いいんですか?」 「こちらも商売なんでな。等価交換ってやつさぁ」 カウンターにコロンと何かを置いた。両手にそれぞれ持つような、二つのナックル状の武器。 「ありがとうございます。……でも、これって」 神姫用の武器だろうけど。えっと、どこかで見たことあるような……? 「ボウズの神姫、アーティル型なんだろ。こいつはアーティルのアレだ、アレ。……なんだっけっか?」 「テンチョー、これは『ぺネトレートクロー』っすよ……形状がどことなく違いますけどねー」 「そうだった、そうだった。突然アイデアが降ってきてな、こいつは俺が暇で作った公式風味のオリジナル武装『ぺネトレートクロー・烈』だぜ。最新作だ。俺は暇つぶしでも、本気を尽くす男だからな。ガっハッハ!!」 「だったら、こういうオリジナル武装、いっぱい作ってひと儲けしましょうよー」 「ソイツはもう正式な申請とっといたが、いちいち神姫会社に申請するのが、時間が掛かるし……なにより面倒だぜ!!」 「もう、永久閉店しちまえー」 とりあえず、変なやり取りが展開されているが横に置いておく。 そうか、これって。アーティル型装備の一つか。 いずれは揃えようかなと思っていたけど、こんなところで手に入るなんて。 それも特別製らしい。 「……どんな感じ?」 「何か、しっくりくる気がします。すごく、使いやすそうなんですけど……でも、バトルで、私なんかがちゃんと使いこなせるかどうか、心配です」 手に持って、ブンブンっと素振りをしている。 シオンは武装だけが立派になるのを引け目に感じているみたい。 「大丈夫、大丈夫。次、やる時は秘密兵器の先生が来てくれるから。その人ならなんとかしてくれる……はず」 「……できるでしょうか」 期待はしているんだよ……しているんだけど不安。 そんな感情に雁字搦めになっていく僕。 成せばなるのか……なぁ。 「なんども言うっすけどねー。店の名前『ブラックスミス』なんだからさー、ヂェリカンはいらないでしょー」 「バカたれぇ!! RPGには、回復アイテムが必要だろうが。神姫ショップに武器屋も道具屋もないだろうからなぁ!!」 「ここはリアルっすよ。ゲーム内じゃないです。それに私は、そのアイテムで死にかけたんですけどねー。このゲームオタク店長めー。毒物は店に置いちゃいけないでしょー!」 「好きになった神姫が目の前にいるだろうが!! ゆえに毒物じゃねぇ。俺は置き続けるぜ!!」 「もう、店畳んじまえー」 呆れる神姫店員アリエと、巨体&大声の店長さんがどっちも止まる様子がない。 とりあえず、一番に声がでかすぎる。 会話がうるさくて、近所迷惑になりそうだから、帰る前に止めていかないとな。 不本意だけど、このヂェリカンの会計もしたいし。 ……これからブラックスミスは行きつけのお店になりそうだなーと思った。 店長が怖いけど、悪い人ではない。 「ぐだぐだうっせぇ神姫だぜ。スクラップにしてやろうか!? あぁん!!」 「へぇー、そんなこと言うんだー。それしたら、リミちん一生テンチョーに口利かなくなりますよー。それでもいいんですか、チクりますよー?」 「すまん!!!!」 アリエに潔く土下座する店長さん。 うん、いい人だ。 前へ 次へ
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/2498.html
過去に頂いたコメントをまとめました。 沢山の応援本当にありがとうございます。 ―――― テストです。 -- ばるかん (2011-04-19 21 44 31) 食堂に神姫?アリデス! -- げしもちゃん (2011-04-20 07 43 21) おおっ、コメントが! げしもちゃん様ありがとうございますm(_ _)m 今後も頑張っていきます! -- ばるかん (2011-04-20 17 10 31) 食堂におやっさん・・・なんか、「ポレポレ」みたいだなぁ。今回は匙型のバトルだけだったけど、箸型はこの次でしょうかね? -- 通りすがりの武装神姫 (2011-04-21 14 06 59) >とおりすがりの武装神姫様 「ポレポレ」・・・クウガでしたよね。そういえば「食堂」で「おやっさん」・・・。 箸のバトルについてですが、第三話をアップしましたのでお読み頂けるとうれしいですm(_ _)m 今後もよろしくお願いいたします。 -- ばるかん (2011-04-23 14 52 27) 本日初めて読みましたが、久しぶりに良好な日常系のシリーズを見た気がします。次回が楽しみです。 -- 第七スレの6 (2011-04-29 22 36 31) バトロンの茶室で似た方向性名前使ってるで他人事に思えない・・・とてもよい作品です、次回が楽しみです -- なぜか他人事だと思えない人 (2011-05-04 23 47 17) コメントが沢山・・・うれしいです。ありがとうございます。 >第七スレの6様 ありがとうございます。この先も日常の中での神姫達の活躍がちょくちょく出てくると思いますので、お楽しみ下さい。 >なぜか他人事だと思えない人 様 ありがとうございます。 次回のお話はもう少しお待ち下さいませ。 -- ばるかん (2011-05-05 10 10 05) 今其所に居る神姫って感じさせる作風が、バトルばかりが神姫じゃ無い、でも武装の二文字も伊達じゃ無いのさじ加減を絶妙に引き立ててますねぇ -- ナナシ (2011-05-07 09 20 13) 第五話をアップしました。あと、今回から次回予告を付けてみました。変だったらごめんなさい。 >ナナシ様 ありがとうございます。そうですね、バトルパートはそんなに多くないと思いますが、お楽しみ頂けてるようでよかったです。m(_ _)m -- ばるかん (2011-05-07 20 43 27) 第六話をアップしてみたのですが、意外と長くなってしまいました。あと、トミすけ様、勝手にコラボしてしまいましたが本当によかったでしょうか・・・?(ドキドキ) -- ばるかん (2011-05-10 18 39 34) 重ねて、Gの人 様にも。コラボしてもよかったでしょうか・・・? -- ばるかん (2011-05-10 18 44 49) 次回予告で「あの忌々しいウサギ」とあったので、もしかしてうちの黒兎のことかしらと思っていたら、やっぱりそうでした(笑) 拙作のページにもあります通り、コラボ歓迎ですので、使っていただけて嬉しく思います。ありがとうございました。 -- トミすけ (2011-05-10 23 06 29) 欲望の蟹と聞いて、頭から捕食されたあの蟹刑事が浮かんだのは内緒です。しかしまさかここで神姫風俗の名前を再び聞くとは・・・相当根が深いってことでしょうかね、この問題は -- 通りすがりの武装紳士(前・神姫) (2011-05-11 08 38 51) この次回予告システムは期待感も上がって良いですねぇ〜、横の繋がり(コラボ)も無理なく出来てる様に見えます、食堂物だけに素材を巧く調理してますねぇ(笑) -- ナナシ (2011-05-11 14 07 50) >通りすがりの武装紳士様 須藤さんも痛い目を見てましたね、懐かしいですw あと、風俗のことですが、某会長も欲望については「素晴らしいッッ!!」と言ってましたし、それを解放する人間がいる限り無くならないのかもしれませんね。 -- ばるかん (2011-05-11 14 38 35) >ナナシ様 ありがとうございます!試しにやってみてよかったです。次回も楽しみにお待ち下さいませ。 -- ばるかん (2011-05-11 14 41 14) >トミすけ様 こちらこそありがとうございました。書いてて楽しかったです。 -- ばるかん (2011-05-11 15 12 25) 生き生きしてますね、神姫達。でも変態が相手とはいえ、ちょっとやりすぎな気が・・・尻フォーク痛そ~ -- nya- (2011-05-12 20 20 04) 第七話をUPしました。 >nya-様 おそらくにゃーさんですよね?コメントありがとうございます。 尻フォーク・・・大丈夫です、問題ありません(笑) -- ばるかん (2011-05-17 22 10 53) 次回予告、イイですね~ 次回はイロモノの予感がしますね、楽しみにしてます -- 五色リンゴ (2011-05-21 08 51 01) 第八話をUPしました。 >五色リンゴ様 イロモノかどうかは・・・読んでいただくと分かると思います(笑) ・・・もとは凛々しいのに・・・。 -- ばるかん (2011-05-25 21 55 40) 夜虹様、設定の一部をお借りしました旨を書いておきます。深み填りと這上姫の方も楽しみにしています。 -- ばるかん (2011-05-25 21 59 06) 双姫主の設定を使用していただき、ありがとうございます。 食堂という舞台はこれまでの神姫小説でも見ないものでとても新鮮ですね。 タイトルも食材と掛け、話の内容にも深く関わっているものになっていて、惹かれるものがあります。 輝を初めとする個性的なキャラやすっきりした話の展開は見ていて面白い話の構成をしていて、戦闘の方も鰯も七度洗えば鯛の味の思想は見習いたいものです。 これから行われる戦いと相手の双姫主である可能性はどうなっていくのか楽しみにしていますね。 -- 夜虹 (2011-05-27 03 28 50) 前回から時間が経ってしまいましたが、第九話をUPしました。 >夜虹様 ありがとうございます。今後の展開も楽しみにお待ちください。 -- ばるかん (2011-06-09 22 44 33) 第十話をUPしました。そろそろ番外編もやってみたいかな……なんて考えています。 -- ばるかん (2011-06-23 22 57 56) 武装神姫でこういうお話をやってもいいのだろうかと思いながら書いた十一話、やっちまった感のある番外その一……となってしまいましたが、お楽しみ頂ければと思います。(ところで、コメントログってどうやってとるんですかね?ここで聞くのもなんですけど(汗 -- ばるかん (2011-07-18 23 26 12) はじめまして。武装食堂アップされている分全話読ませていただきました。武装神姫だけにバトル中心のお話が多い中、こんな風な日常パートを中心にしている物語はなんと言うか和みますw続きも楽しみにしています。 -- にゅう (2011-07-19 00 25 14) 怪談?肝試し?夏ですねぇ…明石食堂も冷やし中華はじめるんでしょうか?次の話も期待しています。 -- 鉄 (2011-07-19 17 31 38) 途中にチラチラとあの子達が見え隠れしていたかと思いきや、最後でまさかの出演を果たすとはw どうもありがとうございます 類似品、偽装品にご注意下さいw -- 五色リンゴ (2011-07-20 00 03 48) コメントログですが、私の場合、コメントログ用の新しいページを作り、トップページのコメントログをカット&ペーストしてます。何か特別な方法があるわけではないです(^^; -- トミすけ (2011-07-20 00 12 32) カブ子さんのバトロン参戦が嬉しい(といっても大分前の話)&バトロン終了が悲しくて書きました。後悔は(ry さて、次回はどうなるのかな……?(ドキドキ -- ばるかん (2011-07-27 22 36 59) にゅう様 ありがとうございます。ドタバタしたところもあるかもしれませんが、これからもよろしくおねがいします。 -- ばるかん (2011-07-27 22 39 14) 鉄様 ありがとうございます。暑い日が続きますが、次回も頑張っていきますよm(_ _)m -- ばるかん (2011-07-27 22 41 12) 五色リンゴ様 こちらこそありがとうございました。 ノ「まったく、ひどいものを掴まされたです」 -- ばるかん (2011-07-27 22 43 05) トミすけ様 そろそろコメントログをまとめようかと思っていたので……。教えて頂きありがとうございます。十三話あたりでまとめようかと思います。m(_ _)m -- ばるかん (2011-07-27 22 44 58) 毎度ながら切り口の斬新さに楽しませてもらっています。肝試しの次は特撮なんですねw 今回はクレアの純真さに癒されました。次は久々のバトルですかね? -- にゅう (2011-07-28 10 13 02) 初めて書き込ませて頂きます。バトル中心のSSが多い中、日常中心のほのぼのがすごく新鮮で、一気にアップされている話を読んでしまいました。ひっそりこっそり応援しておりますので、頑張って下さい! -- ひつじ (2011-08-08 17 20 28) ―――― 武装食堂に戻る
https://w.atwiki.jp/cwcwiki/pages/684.html
武装神姫 BATTLE MASTERS Mk.2 武装神姫 BATTLE MASTERS Mk.2ID+ゲーム名1回の戦闘でLOVE 1UP 1体目から30体目の神姫LOVE xx 1体目神姫Love 所持金MAX コストオーバー ○ボタン レールアクション全部 神姫全部購入可能 全武装1個所持 HP減らない 攻撃当たらない L+R+セレクトで即勝利 移動距離2倍 神姫巨大化 公式バトルのレギュレーションチェックスキップ 装備変更時に武装ランクとコストオーバーのチェックをスキップ Ver1.01用コード神姫ポイント 1回の戦闘でLOVE 1UP 1体目の神姫 LOVE 30 30体目までの神姫 LOVE 30 1.01用の装備のコストとランクチェック無視 即勝利 全武装 初回対戦会話フラグON レールアクション全部 LP減らない SP減らない ブーストゲージMAX ライドレシオゲージMAX ロックオン外れない ID+ゲーム名 _S NPJH-50453 _G BUSOU SHINKI BATTLE MASTERS Mk2 ※アップデータを適用した場合はアドレスがズレる場合あり。 1回の戦闘でLOVE 1UP _C0 EXP _L 0x203CA430 0x000927C0 1体目から30体目の神姫LOVE xx _C0 1-30 LOVE _L 0x8038E057 0x001E02C4 _L 0x000000xx 0x00000000 ※xxは1からFF[255]まで、1E[30] 1体目神姫Love _C0 1 LOVE _L 0x00038E057 0x000000xx ※2体目以降は+2C4h 所持金MAX _C0 MONEY MAX _L 0x2038DE70 0x3B9AC9FF コストオーバー ○ボタン _C0 cost over ○push _L 0xD0000001 0x10002000 _L 0x604DF8E4 0x00000000 _L 0x00010001 0x000000E0 レールアクション全部 _C0 Rail Action All _L 0x803A7C90 0x006D0001 _L 0x00000001 0x00000000 神姫全部購入可能 _C0 ORIGINAL BODY ALL _L 0x803A418F 0x00420006 _L 0x00000001 0x00000000 全武装1個所持 _C0 All WEAPON _L 0xE0078084 0x001C8692 _L 0x201C8690 0x0E200400 _L 0x201C8694 0x80850000 _L 0x20001000 0x24050001 _L 0x20001004 0xA0850000 _L 0x20001008 0x80840000 _L 0x2000100C 0x03E00008 _L 0x20001010 0x3084007F ※所持数ズレた時は全神姫購入後、下記の2行をONにすればOK _L 0x803A4180 0x00890001 _L 0x10000181 0x00000000 ※DLCOPENはセーブ後も効果残るんでなんか不都合出たら各自対処 HP減らない _C0 HP NOT DEC _L 0xD0278D62 0x000014C7 _L 0x20278D60 0x14C00003 攻撃当たらない _C0 INVINCIBLE _L 0xE0020002 0x00277EF8 _L 0x20277EF8 0x8E2401A8 _L 0x20277EFC 0x10800014 L+R+セレクトで即勝利 _C0 INSTANT WIN L+R+SELECT _L 0xE00201A8 0x0022837C _L 0xD0000000 0x10000301 _L 0x2022837C 0x00003021 移動距離2倍 _C0 MOVING DISTANCE x2 _L 0xD0273214 0x00003F80 _L 0x20273214 0x3C084000 神姫巨大化 _C0 DEKA SHINKI _L 0xE0070008 0x0025E698 _L 0x2025E698 0x0A2005C0 _L 0x20001700 0xAE670008 _L 0x20001704 0x3C043FD0 _L 0x20001708 0xAE040060 _L 0x2000170C 0xAE040064 _L 0x20001710 0x0A2979A8 _L 0x20001714 0xAE040068 公式バトルのレギュレーションチェックスキップ _C0 NO REGULATION _L 0x2005D744 0x10000016 装備変更時に武装ランクとコストオーバーのチェックをスキップ _C0 EQUIP LIMIT OFF _L 0xE0025080 0x001CA6F2 _L 0x201CA6F0 0x1000007C _L 0x201CA8FC 0x1000007D 中華の長いマスターコードの分割について。当環境のPRO-Bで、18行目の「_L 0x00002020 0x00000000」までで1コードにした場合になるが、HP,SP,Boost Gauge、Raid Ratio,時間停止,敵一撃死までの効果を2周目クリアまで、正常動作を確認した。ただし、もうすでにスレのほうにマスターコードを使わなくても同等の効果の出せるコードがあり、そちらも同PRO-B環境で効果を確認しているので、中華のコードが嫌いな方はそちらを使ったほうがいいかも…。 -- (名無しさん) 2011-09-29 13 22 20 Ver1.01用コード 神姫ポイント _C0 money 9999999 (1.01) _L 0x2038FED0 0x0098967F 1回の戦闘でLOVE 1UP _C0 1battle 1LOVE up (1.01) _L 0x203CC490 0x000927C0 1体目の神姫 LOVE 30 _C0 1 LOVE 30 (1.01) _L 0x0003900B7 0x0000001E 2体目以降は+2C4h 30体目までの神姫 LOVE 30 _C0 1-30 LOVE 30 (1.01) _L 0x803900B7 0x001E02C4 _L 0x0000001E 0x00000000 1.01用の装備のコストとランクチェック無視 _C0 Cost and Rank Not Check (1.01) _L 0xE0025080 0x001CB9F2 _L 0x201CB9F0 0x1000007C _L 0x201CBBFC 0x1000007D 即勝利 _C0 INSTANT WIN(START) (1.01) _L 0xE00201A8 0x0022973C _L 0xD0000000 0x10000008 _L 0x2022973C 0x00003021 全武装 _C0 All Weapon (1.01) _L 0xE0078084 0x001C9992 _L 0x201C9990 0x0E200400 _L 0x201C9994 0x80850000 _L 0x20001000 0x24050001 _L 0x20001004 0xA0850000 _L 0x20001008 0x80840000 _L 0x2000100C 0x03E00008 _L 0x20001010 0x3084007F 初回対戦会話フラグON _C0 firstcontact ON (1.01) _L 0x202B6C28 0x30840000 レールアクション全部 _C0 Rail Action All (1.01) _L 0x803A9CF0 0x006D0001 _L 0x00000001 0x00000000 LP減らない _C0 Player LP (1.01) _L 0xE0033010 0x00228D1C _L 0x20228D28 0xC64C291C _L 0x20228D2C 0xE64C2918 _L 0x20228D40 0x44047000 SP減らない _C0 Player SP (1.01) _L 0xE0013010 0x00228D1C _L 0x20228D94 0xC64C2938 ブーストゲージMAX _C0 BST MAX (1.01) _L 0xE0013010 0x00228D1C _L 0x20228DC8 0xC64C2954 ライドレシオゲージMAX _C0 RAID RATIO MAX (1.01) _L 0xE0033010 0x00228D1C _L 0x20228DF0 0xC64C2994 _L 0x20228DF4 0xE64C2990 _L 0x20228E10 0x44066000 ロックオン外れない _C0 NO LOCK-ON RELEASE (1.01) _L 0xE0024500 0x0026F776 _L 0x2026F774 0x10000003 _L 0x20270158 0x00000000 武装神姫バトルマスターズMk.2 チート(現行スレ) http //kohada.2ch.net/test/read.cgi/gameurawaza/1323353116/