約 1,954,512 件
https://w.atwiki.jp/psoemu/pages/894.html
EP3のアシストカード。全キャラクターの攻撃ACカードを使わない攻撃の消費コストが0になる。 攻撃アクションカードを使わない場合限定なので、3枚以上のFキャラで攻撃するような低コスト主体のデッキで真価を発揮する。 効果時間中に4回以上攻撃すればバトルロイヤル設置分のコストを回収した事になる。 相手のターンに消されてしまうとコスト損になってしまうのでやや使い難いアシストカードだが、相手にとってもメリットがある関係上他のアシストより消され難く 似たような性質のインフレーション等と比べると場持ちは悪く無い。ダイス+1で消されるのはご愛嬌。 ちなみに、デメリット能力である大振りのコスト増を踏み倒すことが出来る(攻撃時のコストが0になる)。 大振りと言えばガイキルド。バトルロイヤル下ではたった2回でバトルロイヤルのコストを回収できるので 相手のターンで上書きされても損失になりにくい。彼のデッキでは是非とも投入したい。 EP3 ランク コスト 属性 特殊能力 R2 4 アシストカード・全員・4ターン バトルロイヤル
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/2256.html
ウサギのナミダ・番外編 黒兎と塔の騎士 中編 □ ランティスの瞬発力に、俺は目を見張る。 一瞬とはいえ、ティアが反応できていなかった。 初撃はからくもかわしたが、油断はできない。 あの瞬発力を持ってすれば、たとえティアの高速機動を持ってしても、打ち込むチャンスは何度も作れるだろう。 ランティスは今、油断なく構えている。隙は見えない。 俺からティアへの指示はない。今はまだ。 ゲームは始まったばかりなのだ。 ◆ 一方、鳴滝もまた、ティアの機動力に舌を巻いていた。 ランティスの踏み込みをかわした神姫はそういない。あのクイーン・雪華でさえ、ランティスの攻撃を捌くのがやっとだったのだ。 「あれをかわすか……」 『我が女王が推挙するだけのことはある、ということでしょう』 ランティスの言葉に、鳴滝は頷き、そして笑みを浮かべた。 そう、こういう相手を求めていた。 ランティスと同じ土俵で戦ってなお、互角に戦える好敵手。 鳴滝はディスプレイに目を移す。 構えているランティス。 対してティアは、腰を落とした体勢から加速しようとしていた。 ■ わたしはランドスピナーをフル回転させ、一瞬にして加速する。 塔の壁の輪郭が崩れ、流れていく。 わたしはトップスピードに乗り、ランティスさんの周囲を走り回る。 ランティスさんは動かない。 わたしの動きにあわせ、身体の向きを変えるだけ。 わたしは、ランティスさんの左右に飛び違うように走ったり、大きくジグザグに走ったりして揺さぶりをかける。 やりにくい。 塔の最下層は、ただ何もない円形の平面だ。 廃墟ステージと違って、身を隠す場所もウォールライドできる壁もない。 だから、自分の走りだけで、ランティスさんに隙を作らなければならない。 だけど、ランティスさんに油断はない。 常にわたしに意識を集中している。 この状況で、相手に隙を作るのは、とても難しい。 わたしはさらに加速する。 とにかく動き、ランティスさんの背後をとろうと揺さぶりをかける。 その速度は彼女が振り向くよりも速くなる。 「くっ……」 そしてついに、ランティスさんがわたしの動きを追いきれなくなる。 今! 彼女はまだ、肩越しにわたしを見ているだけ。 振り向きはじめたばかり。 わたしはランティスさんに向けてダッシュする。 右手のコンバットナイフを閃かす。 でもさすが、近接格闘最強の神姫。 振り向きざまの籠手で、わたしのナイフを受け止めた。 さらにわたしの機動。 さっきのお返しとばかり、ナイフを振った勢いを殺さず、そのまま身体を回転させる。 右足を振り上げ、回し蹴り。 「くうぅっ!」 わたしのレッグパーツがランティスさんを襲う。 でも、ランティスさんは、両腕の手甲を揃えて構え、わたしの蹴りを受けた。 いくらライトアーマー並とはいえ、レッグパーツは神姫の通常素体以上のパワーがある。 受けたランティスさんは後ろに大きく弾かれた。 □ だが、ランティスの弾かれ方は、俺の想定と明らかに違っていた。 ランティスは予想よりも大きく後方に弾かれている。 衝撃を吸収するために、自ら後方に跳んだのか。 その証拠に、ランティスは体勢を崩さず着地した。 すぐに両腕をおろすと、構えをとり、臨戦態勢を整える。 ダメージは見られない。 さすがは近接格闘戦で秋葉原最強クラスというだけのことはある。 それにしても。 ランティスの動きは不思議だ。 ランティスはサイフォス・タイプをベースにしたカスタム機であることは疑いない。 サイフォスは確かに近接戦闘が得意な神姫だが、ソードやランスで戦うのが一般的だ。 徒手空拳で戦うサイフォスなんて、聞いたこともない。 それに、先ほど見せたランティスの踏み込みは、普通のサイフォス・タイプの機動と明らかに違っている。 どちらかといえば、ランティスの動きはキックボクシングのように見えた。 いまもまた、構えるその姿は立ち技を得意とした格闘家のようだ。 「なるほど……だから、ナイト・オブ・グラップル……格闘騎士というわけか」 俺は思わずつぶやいていた。 ◆ 「なんていうか……地味な戦いだなあ」 安藤が何気なくつぶやいたその言葉に、涼子は額を押さえてため息を付いた。 「これだから素人は……」 「なんだよ」 「ランティスの動きは、標準のサイフォス・タイプの動きじゃないわ。ということは、マスターが神姫に教え込ませた技ってこと。それをあそこまで練り上げているなんて、どれほどの修練だったのか……想像を絶するわ」 涼子は合気道をたしなむ武道家である。 だからこそ、ランティスの動きが尋常でないことが分かる。 それに、涼子の神姫・涼姫は、オリジナル装備を使う。だから、技の修練については人一倍思うところがあるのだった。 ティアとランティスのバトルは、弾丸やレーザーが飛び交うバトルに比べれば、確かに派手さにはかけるだろう。 だが、あの至近距離での攻防は、まるで薄氷を踏むがごとき緊張感と危うさをはらんでいる。 「しかも、まだ両マスターとも、指示らしい指示は出していない……神姫が思うままに戦ってるってことは、純粋に、練り上げた技同士の応酬ってことだわ」 「はあ……」 安藤はアルトレーネ・タイプのマスターで、現在自分のバトルスタイルを見つけようと研究中である。 涼子ほどにはまだ、バトルロンドを見る経験を積んではいない。 だから、このシンプルな戦いを、なぜ涼子たちが真剣に観戦しているのか、わからないのだ。 「安藤くん。このバトルはしっかり見て。きっとティアがすごいってことがわかるはずだから」 美緒にそう言われてしまっては、大人しく観戦するほかない。 自分たちの窮地を救ってくれた男はどんなバトルをするのか? それにはとても興味がある。 安藤が大型ディスプレイに視線を戻す。 「えっ……?」 画面の中。 ランティスが構えていた両腕を降ろすところだった。 腕の力を抜き、だらりと下げる。 顎を引き、肩幅に両脚を開いたまま、直立している。 そして、ランティスは目を閉じた。 「心眼……?」 「そんなこと、できるわけないでしょ!?」 安藤の言葉を即座に打ち消したのは涼子だった。 目を閉じ、視覚以外の感覚を研ぎ澄ませる、という手法は確かにある。 しかし、実戦において視覚を閉ざすということは、自らハンデを背負うことに他ならない。 「武道の達人だって、戦闘中に目を閉じてガードを解くなんて真似……できるはずない」 そもそも、神姫が感覚や勘に頼ってバトルするということが、涼子には納得が行かない。 ならばなぜ、ランティスは目を閉じた? ティアは動かない。 ランティスは明らかに、ティアを迎え撃とうとしている。 あえて隙を作って誘っているのだろうか。 ギャラリーもざわめく中、状況はしばし膠着していた。 ■ わたしには、ランティスさんの意図が読めなかった。 構えを解き、目を閉ざすなんて。 自ら不利な状況に追い込んでいるだけなのではないか。 だけど、油断はできない。 動かないランティスさんを前に、わたしも動けずにいる。 わたしのAIがマスターの言葉を反芻する。 『いつも考えながら戦え』 わたしは考える。 彼女は今まで出会ったどんな神姫とも違っている。 ランティスさんの今の状態は「隙」ではない。 おそらくは、「誘い」であり、「待ち」の状態。 わたしの動きに対応しようとしている、と思われる。 つまり、わたしの出方次第。 なおさら迂闊には動けない。 だけど、このままでは二人とも動けずに終わってしまう。 やはり、銃火器を装備するべきだったんじゃ……。 そう思いながら、手にしたナイフを見る。 ここぞという時に、わたしの力になってくれた武器は、ナイフだった。 初勝利の時も、雪華さんとの対戦でも。 だから、銃火器がないことに納得は行かないけど、弱音は吐かない。 きっとマスターには考えあってのことだから。 ナイフでできることを考えて……わたしはつぶやいた。 「……マスター」 『なんだ?』 「正攻法で行きますけど……いいですか?」 『それでいい』 「はい!」 マスターが同じ考えでいてくれたことに嬉しくなる。 わたしは腰を低くして、再び全力で走り出す。 ◆ ティアは先ほどと同様、ランティスのまわりを縦横無尽に走り抜ける。 その動きは鋭さを増しているが、ランティスは微動だにしない。 表情さえもかわらない。 ティアはフェイントを混ぜ、左右に飛びちがい、ランティスを混乱させて隙を作ろうと動き回る。 だが動かない。 ランティスは彫像のように動かないままだ。 静と動の膠着。 それを破ったのはティアだ。 左から右へ、流れていくかと思った瞬間、一瞬にして方向を変える。 ティアならば刹那で届く距離。 ランティスのほぼ真後ろから、コンバットナイフを振り上げる。 そして、一歩。 跳ねるように刹那の距離を駆け、銀色の刃が閃めいた。 その刹那をついて、ランティスが動く。 振り向きざまに、右拳を振り上げつつ、バックナックル。 それは頭上へと伸び、ティアのナイフを根本から引っかけて、跳ね上げる。 しかし、ティアも止まらない。 腕ごと上体を跳ね上げられながらも、身体の勢いを利用して、右膝蹴りを送り込む。 ランティスは身体を回転させ、左の手でティアの膝を捌いた。 一瞬、空中で無防備になる。 ランティスの回転は止まらない。 膝を畳んでミドルに構えた脚を振るう。 狙いは、ティアのわき腹。 「あぐっ!」 バニーガール型神姫の小さな悲鳴。 意に関せず、彼女は動く。 畳んでいた膝を鋭い動きで伸ばす。 脚に乗っていたティアの身体を、思い切り弾き飛ばした。 「うああああぁっ!!」 ティアの身体は、宙を舞って地面に激突、横転する。 しかし、三回転もすると、回転力を起きあがる力に変え、あっという間に前屈みの姿勢で立ち上がった。 再びランティスと対峙する。 ランティスはゆっくりと構えをとりながら、冷たい目でティアを見据えていた。 ◆ 「なんで……ランティスは何であんな正確に、ティアの攻撃を捉えられるの!?」 涼子は驚愕していた。 あのティアの動きを、聴覚と勘で捉えるなんて、達人でも不可能だ。 だが、優しげで、いっそ暢気な口調が、彼女にあっさりと答えをもたらす。 「ああ……ランティスは聴覚でティアの動きを測定していたのですよ」 「高村さん……測定、ですか?」 「蓼科さん、でしたか……そう、彼女は視覚を閉ざした、のではなく、聴覚を最大限に利用して、ティアの動きを捉えようとしたのです。 つまり、ソナーです」 「ソナー……ですか?」 狐に摘まれたような顔の涼子に、高村は頷いた。 「ネット上で公開されている、武装神姫の運用プログラムには、耳をパッシブソナーのように運用するためのプログラムがあります。それを使ったのです。 さらに、電子頭脳の働きを聴覚に集中するために、視覚を閉ざして、十分なリソースを確保したのです。 もちろん、ランティスのように、ソナー化した聴覚に連動した動きをさせるには、熟練というデータの蓄積が必要ですけど」 フル装備の武装神姫であれば、わざわざそんな技を使うまでもない。 ソナーを装備すれば、素体の耳よりもよほど正確な測定結果が得られるし、装備の動作も簡単に連動させられる。 レーダーを積めば、全方位の視界を得ることも可能だ。 だから、ランティスのような素体運用は異端だし、まわりくどいやり方だった。 雪華は言う。 「マスター蓼科、神姫は人ではありません。人には不可能と思えることでも、神姫には工夫次第で可能となるのです。 人の常識にとらわれてはいけません。柔軟な思考こそが新たな可能性を切り開くのです」 涼子は改めて、大型ディスプレイに目を移す。 今バトルをしている二人の神姫は、そうした工夫を重ね、新たな可能性を突き詰めた神姫たちだ。 その結果、特別な装備がなくても、フル装備の武装神姫と渡り合える。 それは涼子が神姫マスターとして目指す境地であった。 ◆ 苦しそうに身体を折り曲げていたティアが、なんとか立ち上がる。 その様子を、ランティスは冷たい視線で見つめていた。 「所詮、貴様もその程度か……」 たとえクイーンの推挙であったとしても。 結局はこの塔で自分にかなう神姫などいないのだ。 「わたしは師匠の夢を託されている。その想いを背負って戦っている。 貴様のように、身体を売り、快楽を求めた神姫なぞに、負けるはずもない」 対峙するティアは、ひどく悲しそうな顔をしていた。 何が悲しい。 身体を売ることをよしとした、汚れた神姫のくせに。 走り回ることしか能のない神姫のくせに。 いや、彼女に限らない。 わたしと対戦する神姫は皆、ティアと変わらない。 ランティスの装備を見ては侮り、安易な武装で挑んでくる。 高火力によるエリア攻撃、高高度からのレーザー攻撃、手数とパワーに頼った格闘戦……。 うんざりだ。 どいつもこいつも、武装にばかり頼った、惰弱な神姫だ。 マスターとの絆を技に変えて挑んでくる神姫などいない。 ただ一人、『アーンヴァル・クイーン』雪華を除いては。 だからこそランティスは、雪華を敬愛する。 しかし、雪華は言う。 ランティスのバトルは卑しい、と。 そして、ティアの戦いこそ、自分が学ぶべきものだと。 だが、結局はこの程度。 塔の中では自分にかなう神姫などいようはずもない。 学ぶところなど、ありはしない。 今回ばかりは女王の見込み違いだろう。 「だが、我が女王の推挙なれば、せめて我が奥義を持って、終わりにしてやろう」 そう言うと、ランティスは両腕を軽く身体から離し、叫んだ。 「師匠、サイドボード展開! 装着、雷神甲!!」 ランティスの両腕が光に包まれる。 一瞬の後、ランティスの両腕は新たな手甲が装備されていた。 形は前のものとそう変わらない、無骨なデザイン。 その装甲の外側を青白い火花が走っている。 そして、ランティスの右手には、銀色の金属球が握られていた。 「受けるがいい……我が奥義……!」 金属球を両手で掴み、そのまま腰だめに構える。 ランティスの手甲が、青白い光を放ちはじめた。 □ 「遠野くん、君はレールガンを知っているか?」 唐突な鳴滝の問い。 戸惑いながらも俺は頷いた。 レールガンは、砲身となる二本のレールの間に、伝導体の砲弾を挟んで電流を流し、磁場を発生させて砲弾を加速、発射する武器である。 火薬を炸裂させて弾丸を発射する火器に比べ、弾丸が撃ち出される速度が高いという特徴がある。 「ランティスのあの籠手……雷神甲は強力な電力を発生する。 ランティスはあの籠手を使って、金属球をレールガンのごとく撃ち出す技を修得してる。 どの方向にも、意のままに撃てる。 破壊力は折り紙付きだ。なにしろ、重装甲で身を固めたムルメルティア・タイプを、サブアームごと破壊したほどだからな」 鳴滝の言葉に、ギャラリーがどよめく。 なるほど、塔で最強というのも合点がいった。 それほどの破壊力の飛び道具があれば、飛行タイプでも重装甲タイプでも相手にできるだろう。 これはランティスの要の技と言える。 俺は改めてディスプレイのランティスを見つめる。 雷神甲の表面に、青白い火花が走っている。 上下に合わせていた掌の間に金属球がのぞき、そこからも紫電が散っていた。 「いいのか、手の内を見せるようなことを言って」 「知っていたところで、ランティスのあれはかわせない。初速は通常の射撃武器の数倍だ。あれより速いのはレーザーくらいだろう」 不適に笑う鳴滝。 彼がそう言うなら、遠慮することもあるまい。 俺は耳にかかったワイヤレスヘッドセットを摘む。 「ティア、まだ走れるか?」 『はい、大丈夫、です』 「よし。それなら……」 俺はただ一言、指示を出す。 いつものように素直な返事が短く返ってきた。 ◆ 金属球を挟んだ両手に、電流が流れていく。 腰の位置においた両手の隙間からは、溢れ出た電流が、バチバチと音を立て放電している。 力が両手に溜まってくるのを感じる。 頃合いだ。 「くらえ、一撃必倒……」 ティアが動く様子はない。 バカにしてるのか。 だが、動いたところで、この技はかわせない。 ランティスが動いた。 大きく一歩踏み込む。 その動きに連動させて、身体の後ろから前へと、金属球を挟んだ両手をなめらかに伸ばす。 「雷迅弾! ハアアアアアァァァッ!!」 裂帛の気合い。 同時に両手が開かれ、必殺の金属球が射出された。 それはまさに雷光のごとき迅さ。 超速度の弾丸は、塔内部を一直線に駆け抜けた。 正面の壁に着弾。 そして爆発。 大音響と共に塔の壁が崩れ、爆煙が膨れ上がった。 雷迅弾の翔けた痕が地面に一直線に残り、その尋常ではない速度を物語る。 その直線上には何もない。 はずだった。 「な……! んだとぉ……っ!?」 腰を浮かせたのは鳴滝の方だった。 彼が見つめるプレイヤー用ディスプレイ。 雷迅弾の軌跡の上に影が見える。 「……なにをした……遠野!」 鳴滝は正面に座る対戦相手を見る。 そこに、表情を変えずに戦況を見つめる遠野を発見した。 ばかな。 これは奴の想定の範囲内なのか。 ランティスの正面。 雷迅弾の爆煙を背景に。 ティアは困ったような顔をして、立っていた。 後編へ> Topに戻る>
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/2178.html
ウサギのナミダ ACT 1-33 ■ わたしは周囲の明るさに刺激されて、目を覚ます。 地面に手をついて、身体を起こす。 手には柔らかな感触。 草だ。 そして小さな花。 辺りを見回す。 驚いた。 そこは一面、色とりどりの草花で埋め尽くされていた。 近くには青い水をたたえた湖。 周りは濃い緑の木立に囲まれている。 さらにずっと向こうには、薄墨を流したような色で、山々が連なっている。 美しい風景。 こんなに光溢れた風景は初めて見る。 なぜなら、お店を出たのはこれが初めてだったから。 ……初めて? なにかが引っかかったけど、些細なこと。 わたしは立ち上がり、自分の格好を見る。 バニーガールのような姿。 いつもと変わりない。 わたしが辺りを見回すと、すぐ近くに、白い小さなテーブルと椅子がおいてあるのが目に留まった。 そこで三人の神姫が談笑していた。 「……あら? 気がついたのね、二三番」 わたしの正面にいた神姫が、にっこりと微笑みかけてくれた。 知っている顔だった。 「七番姉さん……」 他の二人も、わたしに振り向いた。 「やっと起きたか~」 「あはは、おはよー、二三番」 赤い髪をポニーテールにした神姫はざっくばらんな口調で、もう一人のツインテールの小柄な神姫は無邪気に、わたしに声をかけてきた。 「一四番さんに、三六番ちゃんも……」 そうすると、ツインテールの三六番ちゃんは、椅子から立ち上がった。 わたしの方に駆けてきて、抱きついてくる。 「どこ行ってたの? 心配してたんだよ?」 本当に心配そうな顔で、わたしを見上げてくる。 彼女は、わたしより、ずっと後にお店に来た神姫だった。 ある夜、お客さんにひどく虐められて泣いていた彼女を慰めた。 それから彼女はわたしのことを慕ってくれている。 わたしも三六番ちゃんを妹みたいに思っていた。 「うん……ちょっと……お客さんに連れ出されて……」 ……そのあと、どうしてただろう。 思い出せない。 わたしが困った顔をしていると、三六番ちゃんは笑って、 「いいよ、二三番が無事だったら、それで」 そう言ってくれた。 彼女はわたしの手を引いて、テーブルの方へと連れて行く。 三六番ちゃんは、薄い黄色のドレスを着ている。 よく似合っていて、とてもかわいい。 テーブルの前にくると、七番姉さんが空いている椅子に座るように促した。 その前に。 わたしは尋ねる。 「あの……ここは、どこですか?」 「あら、聞かされていないの?」 「……はい」 「ここは、NPO法人・紳士淑女の友の会にある、神姫AI保管用サーバーの中よ」 □ 「AI移送接続ソフト、だと……?」 「そうさ」 井山の奴は、したり顔で頷いている。 ギャラリーはざわめいていた。 おそらく聞いたこともない人が大半だろう。 俺も何かでそんなソフトがあることを読んだ程度だった。 ネットワークに接続している神姫のAIの意識を、任意の場所に送り込むソフトウェアだ。 似たようなことは武装神姫でも日常的に行われている。 アクセスポッドから筐体に接続するのと仕組みはあまり変わらない。 遠方の対戦者ともネットワークで対戦もできるわけだから、ある意味、アクセスポッドで接続中は、神姫とAIは分離しているとも言える。 だが、それはマスターと神姫自身の同意があって行われる行為だ。 奴の言うAIの移送接続は、第三者によって、神姫のAIの意識を別の場所に飛ばしてしまう。 先ほどの攻撃は、そのためのソフトウェア攻撃ということらしい。 「……はじめから、これが狙いか」 「やっと気がついたのかい? バーチャルバトルだと、戦闘中にネットのバイパス作ってやるだけですぐに飛ばせるから簡単なんだ。ひゃはははは!」 塔のステージは、視界を隠すものが何もない。 ティアにクロコダイルを見せて怖がらせ、逃げ場がないことを演出する。 それと同時に、常にティアの視界にクロコダイルが入ることになり、視覚入力ウィルスの感染をより確実にする。 ウィルスに侵入されたメモリは、リソース不足に陥り、セキュリティソフトを立ち上げることさえままならない。 そうして動きを止め、セキュリティも万全でないティアに、AI移送接続ソフトによる攻撃で、AIの意識を別の場所に飛ばす。 ……奴の策に、まんまとはまったのだ。塔のステージを許可した時点で。 情けない。 悔しさに俺は拳を握りしめる。 「……答えろ……ティアはどこだ……」 声に悔しさが滲んでいるのを自覚する。 「くくく……心配しなくてもいいよ。アケミちゃんは今、昔の……神姫風俗の仲間と感動の再会ってところさ」 「なん……だと?」 「風俗の神姫を保護しているNPO法人のサーバーだよ。いまごろ、積もる話に花を咲かせてるんじゃないの?」 ■ 「その格好は、ここでは似合わないわねぇ」 緩いウェーブの入った麻色の髪を掻き揚げながら、七番姉さんが言う。 見れば、彼女は胸元の大きく開いた水色のドレスを纏っている。色っぽい。 わたしはいつもの、バニーガールの姿だ。 「あ……でも、わたし……ドレスの持ち合わせなんて……」 「大丈夫」 一四番さんが、わたしに微笑んだ。 「ここはバーチャルの世界。あたしたちがイメージすれば、好きな服装にぱっと着替えられるよ」 そういう彼女は、スリットの深く入った、真っ赤なチャイナドレスを着ていた。 わたしは目を閉じてイメージしてみる。 どんな服を着てみたいだろう。 そうだ、いつか見た、白いワンピースとサンダル。 彼女はとてもきれいだった。彼も彼女に見とれていた。 ……彼と彼女って、誰だったろう。 些細な考えはひとまず棚上げする。今は服だ。 イメージしたワンピースとサンダルを黒に染め上げ、自らが纏った様子をイメージする。 すると…… 「わあ……かわいい!」 三六番ちゃんの声に、わたしは目を開く。 わたしがイメージしたとおり、黒のワンピースを着ていた。 三人とも微笑んでいる。 テーブルの上には、ケーキと紅茶がおいてある。 わたしは空いている椅子に腰掛けた。 「あの……他のみんなは……?」 気になっていたことを尋ねる。 すると、七番姉さんが答えてくれた。 「もうみんな、新しいマスターの元へ行ったわ。残っているのは、わたしたちだけよ」 「まあ、焦っても仕方がないし。あたしたちももうすぐ、マスターが来てくれるさ」 一四番さんが言う。 お迎えがこなくても、ことさら焦っているわけではないらしい。 わたしはティーカップを口元に運んだ。 穏やかな時間だった。 痛みもない、苦しみもない。仲間たちとの優しい時間。 これはずっと、わたしが求めていたもの。 わたしは自然と微笑んでいた。 □ 不可解だった。 AIを自由に飛ばせるのなら、自宅のサーバーに飛ばしてしまえば手っ取り早いはずだ。 それを何で、NPO法人の、しかもティアの知り合いの神姫がいるサーバーなのか? 「どういうつもりだ……なんでそんな回りくどいことをする?」 「なぜって……」 井山は、醜い笑顔をさらに挽き潰したような顔をして、歓喜を露わにした。 「決まってるじゃないか! 絶望だよ! アケミちゃんを絶望のどん底に突き落とすのさ!! 昔の仲間と楽しく話してさ、終わった頃に自分の身体に戻ってみたら、ボクの家なんだ。 目の前にはボクとクロコダイル。 アケミちゃんはどんな顔をすると思う? 君の名前を泣き叫ぶ!? それとも恐怖のあまり絶叫するかな!? 想像するだけでゾクゾクするよ!! ひゃははははは!」 ……もう、許さないとかじゃない。 怒りさえ通り越して。 俺は、生まれて初めて、他人に憎悪を抱いた。 こんな奴が今生きているのが間違っていると、本気でそう思った。 「……ティア!」 諦めるわけにはいかない。 ティアを、大切なパートナーを、こんな奴に渡すわけにはいかない。 「ティア! 帰ってこい! こんなところで、終わりにするわけにはいかないんだ!」 「ひゃははははは! 無駄無駄! 聞こえるわけないじゃん!」 いや届く。俺は思う。 今のティアは、意識が別のところに離れているだけで、機能は何も失われてはいない。 だから、ティアのAIがこちらの身体を意識すれば、俺の声は聞こえるはずだ。 何の根拠もなかったが、俺は信じていた。 その考えにすがっていただけなのかも知れないが。 「遠野、サレンダーしちまえ。こんなバトル、何の意味もねぇ! 奴が何か騒ぎ出しても、俺が何とかしてやる。だから……」 大城の言葉を俺は速攻で否定した。 「だめだ」 「なんで!?」 「ゲームを終了すると、ネットワークが切断されて、ティアの意識が向こうのサーバーに置き去りにされる可能性がある」 俺の言葉に、大城は絶句した。 井山は向こうのサーバーにいるティアの意識を取り出すことができるのだろう。 だからこそ、あんなまわりくどい場所に送り込んだのだ。 俺は今、ティアを人質に取られているも同然だった。 俺にできることは、ティアに呼びかけるほかにはない。 「ティア……戻ってこい、ティア!」 俺はティアに呼びかけながら、いくつかの作業を行う。 ティアが戻ってきたときに、十分な状態でバトルができるように。 しかし、モバイルPCのキーボードを操作する手はもどかしい。 俺が壊した右手は、包帯もとれているが、まだ以前の通りに動かすのは難しかった。 「くそ……」 それでも俺は、必死でキーを叩く。 もどかしさに焦りが募ってくる。 すると。 「……遠野、代われ!」 大城が俺からモバイルPCを奪い取った。 「大城?」 「俺が代わりにこっちの作業をしてやる。指示をくれ」 「……大丈夫なのか?」 「なめんなよ。バイクも神姫もやってんだ。メカいじりは得意なんだよ」 うそぶくだけあって、大城のキータッチは意外なほどなめらかだった。 俺は大城に、いくつかの調べものを依頼した。 俺は呼ぶ。ティアの名を。必ず帰ってきてくれると信じて。 それがたとえ、はかなく小さな希望だとしても。 不安が大きく、心細くて、信じる心が折れそうになっても。 それでも、俺は諦めるわけにはいかなかった。 ティアの名を呼び続ける。 ■ わたしは振り向いた。 そこにあるのは、湖畔を吹き渡る風だけだった。 ……誰かに呼ばれたような気がしたのだけど。 「どうしたの?」 三六番ちゃんの声に、 わたしはテーブルに向き直る。 「ううん……気のせい、だったみたい」 三人とも、くつろいだ様子で、穏やかな日差しの中のお茶会を楽しんでいる。 総勢二十人以上いた、お店の神姫たちは、一人、また一人と、新たなオーナーに引き取られて行ったのだという。 神姫の保護を目的とするNPO法人・紳士淑女の友の会では、身元のよくない人間のところには、神姫を里子に出したりしない。 だからきっと、みんな今頃幸せになっているだろう。 三人はそう言った。 わたしも談笑に混じる。 話題はやっぱり、今後のこと、マスターのこと。 みんながどんなマスターに仕えたいのか、わたしも興味がある。 「わたしは……そうね、優しい男の人がいいわ」 そう言うのは、七番姉さん。 彼女はわたしよりずっと前から、お店にいた神姫。 一桁台の神姫で残っていたのは彼女だけで、年長者ゆえに、みんなのまとめ役だった。 優しいお姉さんという感じで、みんな彼女を慕っていた。 「落ち着いた大人の人がいいわね。 それで、マスターのお仕事のサポートがしたいわ。 マスターがお疲れの時には、ご奉仕するのもいいかも、ね」 そう言って艶っぽく笑う。 ものすごく色っぽくて、こっちの方が気恥ずかしくなるほどだった。 「あたしは武装神姫になりたいな。ばりばりのバトロンプレイヤーのマスターがいい」 一四番さんは、お店の神姫の中でも、ムードメーカー的な存在だった。 お客さんに酷いことをされても、翌日には、あっけらかんとした顔で笑っていた。 自分が傷ついていても、他の傷ついた神姫のために笑える、そんな神姫だった。 「できれば接近戦装備で、ガチの殴り合いとか。ストラーフ装備なんか理想だね」 「でもそれ、マスターの話になってないよ?」 「……まあ、マスターはイケメンに越したことはないよな~。それで、バトルの時は厳しいけれど、勝ったら優しくしてくれるの」 頬を染めながら言う一四番さんは、今まで見たことがないほど可愛いらしかった。 他の二人は、 「ふ~ん」 と言って、含み笑いで彼女を見ている。 すると、一四番さんは急に照れくさそうになって、 「そ、そういう三六番はどうなんだよ」 そう言ってごまかした。 三六番ちゃんは、すました様子で言う。 「わたしは、女の子のマスターがいいな。一緒におしゃれしたり、遊びに行ったり……きっと楽しいと思うの」 夢見るような表情で言う。 彼女は見た目も小さくて可愛らしく、感情も女の子らしい。 「小学生か、中学生か、そのくらいの可愛い女の子で、いつも一緒にいてくれたら嬉しいな」 彼女に女の子のマスターは、とてもお似合いのような気がする。 一緒に遊んだり笑ったり……楽しげな様子が目に浮かぶよう。 他の二人も、目を細めて頷いていた。 「ねえねえ、二三番は、どんなマスターに仕えたい?」 「え、わたし……?」 三六番ちゃんが興味津々といった様子で尋ねてきた。 ……わたしが仕えたいマスター? そう考えると、誰かのシルエットが頭に浮かぶ。 テーブルに向かう三人が、わたしの答えを待っている。 ……また、誰かの呼ぶ声が聞こえた気がした。 ◆ 「うふふふ、久しぶりに、クロコダイルでいじってあげるよ。ギャラリーにもサービスしないとね?」 井山の声と共に、クロコダイルがするすると動き出す。 ティアの目の前に降り立つと、クロコダイルはティアの身体を立ったまま横抱きにした。 スカートの下から八本の触手がにょろにょろと伸びてくる。 触手はティアの細身にからみつき、うぞうぞと蠢き始めた。 ティアは四肢の先まで触手にからめ取られ、危うい部分にも触手が這っている。 クロコダイルはティアの乳房をもみしだきながら、恍惚とした表情を浮かべた。 『ああ……この感触、久しぶりだねぇ……』 ティアは何の反応も見せない。 触手に責められる恥態を見せてなお、瞳に光は戻らない。 塔内部で繰り広げられる神姫の陵辱劇に、井山もよだれを垂らさんばかりの歓喜の表情を見せていた。 「ひゃは、ひゃははは……や、やっぱり、アケミちゃんはサイコーだよ……これで悲鳴を上げてくれたらもっといいのに……」 だらしない声を上げる変態男に、氷より冷たい言葉が投げつけられた。 「ちょっと……あなたも神姫マスターなら……もっと正々堂々と戦ったらどうなの!?」 ギャラリーが声のするほうに視線を向ける。 菜々子だった。 『エトランゼ』と呼ばれる凄腕のマスターが、見たこともない怒りの表情で叫んでいた。 「ずるい手ばっかり使って……相手の神姫にこんなことして……恥を知りなさい!」 「はあ?」 ところが井山は、菜々子の氷点下の言葉さえ、厚い面の皮で阻んだ。 それどころか、お楽しみを邪魔されて、不満そうだ。 「ずるい手って言ってもさあ、そんなのに引っかかる方が悪いし。 第一、正々堂々戦ったって、勝てなくちゃ意味ないじゃん。アケミちゃんを賭けてるんだしさぁ」 「な……」 「だいたい、キミになんでそんなことを言われなくちゃいけないんだよ。外野は黙ってなよ」 「わたしは……遠野くんの仲間よ」 「はははっ、仲間だって~? キミこそ、そんなこと言って恥ずかしくないの? それに仲間だからって、キミには何もできないだろ?」 「く……」 菜々子は唇を噛んだ。 確かに、彼女に今できることは何もない。 それどころか、奴を刺激すれば、ティアが危なくなる。 そんなことは分かっていた。 でも、言わずにはいられなかったのだ。 こんなのは、こんな戦いは、彼女が憧れたバトルロンドじゃない。 だが、井山は菜々子の想いをたやすく打ち砕く。 「引っ込んでなよ。じゃないと、今すぐアケミちゃんを殺しちゃうよ?」 菜々子はうつむいて、押し黙った。 ティアの意識を人質に、井山は強力なアドバンテージを得ている。 奴の言うとおり、今の菜々子にできることなど何もない。 彼女はただ、唇を噛み、拳を握りしめることしか出来ないのだ。 □ 久住さんの気持ちはよく分かるし、ありがたいと思う。 もしできるなら、俺だって、今すぐ井山の顔を殴り飛ばしてやりたい。 ティアの状況の方が、優先順位が上というだけの話だ。 俺がこうしてティアに呼びかけている間も、井山は笑いながら、俺と、ディスプレイ上のティアを見比べている。 ギャラリーはなぜか押し黙っている。 バトルロンドコーナーには、俺の呼び声と、井山の高笑いだけが響いていた。 「よし、終わったぞ」 大城が呟くように言って、モバイルPCを俺の方に向けた。 俺は画面の表示内容をチェックする。 大城に左手でOKサインを出した。 大城はにやり、と笑った。 大城のおかげで、ティアのリソースを奪っていたウィルスは削除され、セキュリティソフトが立ち上がった。 これでティアの電子頭脳が無駄な作業をすることはなくなり、AIが指示した働きを正常に行うことができる。 俺の呼びかけも、通りやすくなるかも知れない。 バトルも支障なく再開できる。 これで今やるべきことはすべてやった。 そのせいか、俺は不思議と落ち着いていた。 心は穏やかでさえあった。 俺は、遙か彼方にいるティアの心に向かって、静かに、語りかける。 「ティア……聞こえるか? お前と出会って、いろんなことがあったな。 つらいことも、たくさんあった。 それを乗り越えて、俺たちはようやくパートナーになった。 俺は今でも、本当に嬉しく思ってる。 ……俺は気づいていたよ。 お前が、前いた店の神姫たちの心配を、ずっとしていたこと。 だからこそ、お前が自分の過去に捕らわれて、自分に劣等感を抱いていることも。 お前が、昔の仲間と出会ったら、心はそちらに惹かれてしまうのかも知れない。 ずっと一緒にいたいと、思うのかも知れない。 ……それでも俺は、お前を諦めたくない。 昔の仲間と引き離しても、俺の神姫にしたい。 俺の独りよがりだって、わかってる。 でも、諦められないんだ。 ティアは、俺がやっと探しあてた、たった一人の神姫だから。 お前以外に自分の神姫なんて考えられないから。 だから、ティア。 頼むから……帰ってきてくれ」 それでも、ティアの瞳に、いまだ光は戻らない。 ◆ 美緒は遠野の背中を見つめていた。 静かで落ち着いた口調。一途な想いが胸に迫った。 でも、なんで、遠野さんの肩は小さく震えているの? 椅子の両脇におろした手は拳をきつく握りしめているの? 美緒と三人の仲間たちは、今回の事件をずっと見ていた。 エトランゼとのバトルに始まり、ゴシップ誌にティアが載ったときも、遠野が常連たちに怒りを露わにしたときも、菜々子が三強を薙ぎ倒したときも、クイーンがティアを助けた雨の日も、ティアとクイーンの技の応酬も、そして今日のバトルも。 そしてわかったのは、遠野とティアの、お互いに一途な想い。 マスターと神姫になりたい、と。 店売りの神姫であれば、オーナーがパッケージを開いてすぐに叶う、当たり前の関係。 彼らはそれをやっとの思いで掴んだ。 美緒も二人を応援していた。彼らにほんの少しでも関われたことを、誇らしく思っている。 それなのに。 卑怯で下劣な男の手によって、ティアが理不尽に奪われようとしている。 なんで? どうして遠野さんとティアは、当たり前のことさえ、許してもらえないの? そう思ったとき、美緒は理解した。 遠野が震えているのは、ティアを奪われることを恐れているからだ。 大型ディスプレイを見上げれば、敵の醜悪な神姫が、ティアの身体を触手に溺れさせている。 このままティアが負けてしまえば、彼女の心は昔の仲間と再会していたとしても、最後にはあの男の元へと連れ去られてしまう。 あれだけの苦労をしてパートナーになった神姫を失ってしまうのだ。 怖くて当たり前だ。悔しくて当然だ。 必死に耐えている、その遠野の背中を再び見た。 美緒は気がついた。 ひとつ、ふたつ、何かが床にこぼれ落ちている。 それが。 遠野の拳からしたたる、赤い血だと気がついたとき。 美緒の身体を衝動が駆け抜けた。 「ティアッ! 帰ってきなさいよ!! あなたの居場所は、ここでしょぉおっ!?」 叫びが勝手に口からほとばしった。 気がついたときには、バトルロンドのコーナーにいるすべての客が、美緒を見ていた。 菜々子も驚いた表情でこちらを見ている。 涙目になりながら、とっさに口を押さえた。 大人しいと思われている美緒が、感情にまかせて叫んでいる。 驚かれるのも当然だった。 ギャラリーの視線が痛い。 でも、叫んだ言葉は本心だった。 わたしは間違ってない。間違ってなんかいない。 だから、勇気を振り絞り、さらに言葉を紡ごうと、手を口元から降ろす。 その時。 「そうだ! 美緒の言うとおりだ! 帰って来いよ、ここに!」 「あなたのマスターも、友達も、仲間たちも! みんな待ってますよ、ティア!」 「わたしたちだって、帰ってきて欲しい! もっとお話したい、バトルもしたい……友達になって欲しいの!」 「だから、帰ってきて、ティア!!」 美緒の仲間たちが次々に言葉を投げた。 少女たちの必死の叫びを、かの男がせせら笑う。 「きゃははは! そんなの、いくら叫んだって届くわけ……」 「届く! 届くもん! 絶対に……届くんだからぁっ!!」 井山の言葉を遮って、美緒は泣きながら叫んでいた。 すると、四人の神姫たちも、ティアに声を届けようと叫び出す。 それにつられて、今度はギャラリーの神姫たちも。 大勢の声が、ティアを呼ぶ。 そして、驚いて周囲を見回していた、菜々子と大城も、遠野の座る椅子に手を回して、声を上げた。 「ティア、遠野くんを悲しませちゃダメ! 帰ってきなさい!」 「俺たちの約束を破るつもりか? もう待てねぇぞ、さっさと帰ってこい!」 ミスティと虎実も。 「いなくなられるのが、一番悲しくて迷惑だって言ったでしょ!? わたしは待ってるから!」 「アタシは約束を守ったぞ!? アンタも約束を守れよ! 帰ってきて、バトルしてくれよ、ティア!」 誰もがティアの帰還を願っていた。 誰もが、想いを届けたくて、その神姫の名を呼んだ。 しかし。 すべてを断ち切る、絶望の声。 「あ~あ、シラけるんだよねぇ。お友達ごっこはさあ」 井山の声はひどく気怠げに聞こえた。 しかし、騒がしかった周囲を抉るように響いた。 □ 俺の視線は、不機嫌そうな井山の顔を捕らえる。 お友達ごっこ、だと……? この状況で、そんなことが言えるなんて、どれだけ傲慢なんだ。 井山は俺の視線など気付きもしないで、クロコダイルに指示を出す。 「あーあ、もうつまんなくなっちゃったからさぁ、終わりにしようか。 ハンマーで、アケミちゃんの首、飛ばしちゃいなよ」 『アイアイサー』 クロコダイルは名残惜しそうに触手をほどき、後ずさる。 その後ろには、ストラーフ装備の「ジレーザ・ロケットハンマー」が転がっていた。 「やめろ……やめろよ、井山ぁっ!!」 俺は叫び出していた。 終わってしまう。 こんなところで。 俺の形相はよっぽど必死そうに歪んでいたのだろうか。 井山は嫌らしい笑みを浮かべた。 「ひゃはっ、見ているといいよ、アケミちゃんの首が飛ぶところ! それで、後悔のあまり、泣き叫んでよ! ひゃははははは!!」 クロコダイルが、ハンマーを拾い上げる。 その顔には、狂気の笑みが貼り付いている。 ティアは棒立ちになったまま、いまだに何も見てはいなかった。 「ティア、ティア! 帰ってこい! 頼むから、帰ってきてくれっ!!」 終わるのか。 こんなところで、本当に終わってしまうのか。 俺はもう、何もできないのか。 こうして、ただ空しく叫ぶことしかできないのか。 お前の走りを見ることもできないのか。 お前と笑いあうこともできないのか。 「ティア! 早く! 帰ってきてくれ! ティアッ!」 筐体のディスプレイの中。 クロコダイルがゆっくりとティアに歩み寄るのが目に入った。 ■ 思い浮かぶシルエットは、だんだんとはっきりとした輪郭を取る。 想いが形になり、像を結ぶ。 その人は…… わたしが、望む、マスターは…… □ ティアは動かない。 クロコダイルがハンマーを横に構えた。 狂気をはらんだ笑みが膨らむ。 届け、届けよ! 俺の声! 俺の想い! みんなの呼ぶ声! ティアに届いてくれ!! 頼む……!! 『グッナイ、アケミ』 クロコダイルの呟き。 ハンマーが横薙ぎに振るわれる。 ティアの頭めがけて。 「ティアアアアアアアアァァァァーーッ!!」 瞬間、時が凍った。 次へ> トップページに戻る
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/906.html
職人気質は遺伝か、努力の賜物か 初めての3on3は見事“私の妹達”が勝ち星を収めた。実にめでたいな。 そう言う訳で、近所の天丼屋にて本日は祝勝会だ……『豪華だな』だと? いや、仕方有るまい。私達四人だけならもっと適当な場所があるのだが、 今日は遠方の親戚も同席するのだ。しかもあろう事か、今日の対戦相手。 「というわけでだ……まずは公約通り、これをくれてやるぞ灯ッ!」 「うあうあ、痛い痛いですがッ。ギャアー、そここめかみーっ!?」 「灯さん……そのボイスチェンジャーはオフにしてほしいですの~」 そう。渋いバリトンで喚くこの幼女・碓氷灯が、一応私の従姉である。 人が怖いと言って声を変えたり大きなサングラスを常に装備する変人、 山奥に年中引っ込んで、こんな所になど来るはずもないと思っていた。 だが現に此奴めはアキバの神姫バトルランキングに、名を記している。 故に不可解は転じて不愉快となり、どうしてでも真実を知りたくなる! 「そもそもだ、何故貴様がここにいる。転居の話は聞いていないぞ」 「うん、してないですな。春休みでちょっと遊びに来ただけだから」 「……ミラさん、この人って何時もこうなのかな?どうみても……」 「言っちゃダメよ。当人はいつも気にしてるんだから、人間の目を」 「え、ええっと~……却ってこれは逆効果の様な気がしますけど?」 ロッテの溜息・クララの疑問・アルマの当惑、いずれも一々もっとも。 だが、病的な程に人を畏れる彼女は、人混みの中では必ずこうなのだ。 私は勿論彼女の親族も止める様に言うのだが、どうしようもない様だ。 この様な“病的な拘り”は、恥ずかしながら私の一族共通の物らしい。 「で、でもさ。晶ちゃんだって色々と変な所に拘ったりするですぞ~?」 「それを突かれると痛いな。お互い、治らん性癖であると言う事か……」 元を正せば、私の“職人気質”とてこういう所が発端なのかもしれぬ。 “灯の神姫”であるミラ・イリン・ティニアの三人は、その辺に理解が ある様で、ツッコミを入れる“我が妹達”を先程から制してばかりだ。 「で、“春休み”だと?まあ深くは追求せぬが、その様子だと……?」 「そうよ!先月の中程に登録して、どこまでいけるか挑戦したのよ!」 「私達が頑張る事で、少しでも“姉様”が外に出やすくなれるならね」 「でも、“姉様”の春休みも明日で終わりだから。今日がラストなの」 ミラ達、“灯の妹達”は口々に私達を挑発する。だが、姉への想いは どうやら本物らしい。全ては灯を案じての提案で、一応は奏功したが “有終の美”を阻止されたのは、そう言う意味で度し難いのだろう。 とは言うが、そんな理由があっても戦いの手を抜く事は……ないな。 「それは悪い事をしましたけど、わたし達に負ける気はないですのッ!」 「ロッテちゃん……そう、ですね。彼処で温情を見せるのは、失礼です」 「……うん。ティニアさん達だけじゃなくて、灯さんにも不義理だもん」 「え゛、わ……私にも?……あーあー、そう言われるとそうかも……?」 「そう言う事だ。灯を慕う神姫を侮辱する事は、貴様にも悪いからな!」 「む、むううう……でもラストで勝てないのはやっぱり悔しい~ッ!?」 灯とて、臆病ではあってもバカではない。彼女自身は理解出来た様だが、 彼女の“妹達”三人は、やっぱり最終戦に負けた事が大変悔しいらしい。 “私の妹達”は未だここまで敗北を引きずった事は無いので、新鮮だな。 「なら、また灯さんの都合がいい時にこちらへ来てくださいですの♪」 「え?何それ、再戦しよう……って事で良いの?ロッテ……ちゃん?」 「はいですの、イリンさん!わたし達も、また戦ってみたいですから」 「後悔しても知らないわよ貴女達。まだ姉様の神姫はいるんだから!」 「そうよ。セティ姉様に茶織(チャージィ)姉様に……後、穂積姉様ッ」 ……聴いた事もない名前がぞろぞろと出てくるがそれは後にして、だ。 再戦の約束はあっという間に神姫間で結ばれ、12の瞳が私達に向く。 当人達で決まってしまっては、私と灯が却下する事は……到底出来ぬ。 「そう言う訳でだ、また東京に出てこい。秘蔵の神姫を連れてなッ」 「い、いいの……ごめんなさいですなんでもないですコワイ顔!?」 不要に怯える灯に再び梅干しをかましつつ、そのサングラスを外して 首輪型ボイスチェンジャーのスイッチを落とす。うむ、つぶらな瞳に 鈴の鳴る様な声。勿体ないな……まあ、幼女では男も限られようが。 ──『お前もな』とか言った奴、この場で素揚げにしてやろうか!? と、ともかく!私は疑問だった事を口にする……すぐ後悔したがな。 「しかし、何故神姫オーナーになったのだ?しかも“姉様”とは……」 「あうあう……あー、それは晶ちゃんと“歩さん”に触発されてだね」 「──────もういい。そうか、それはきっと喜ぶだろうな。むッ」 私はすぐに灯の話を止める。『誰だ?』……まだ語るつもりはないッ! ……すまん、少々苦い過去なのでな。時がくれば、貴様らにも話そう。 ともあれ、そう言う人が居たのだ。それだけ覚えてくれれば構わない。 っと、頼んでいた天丼が三人前届いたか。そう、“彼女ら”の分もだ。 「って、貴方達神姫なのになんで天丼が食べられるのよーッ!?」 「……少々訳ありでな。彼女らは食事が出来るのだ、ティニアよ」 「ずーるーいー!?姉様、私達にも何か食べさせてくださいッ!」 「え、えう。ちょっくら無理ですな、どういう原理かさっぱりッ」 「ううぅ……姉様を責めるのは筋違いだし、あーもー悔しいッ!」 喚くミラ達“灯の妹達”を余所に、ロッテ達“私の妹達”は、一杯の 天丼を三人で分け、器用に食べ始めている。実に旨そうではないか! そうと決まれば、早速食べ始める事としよう。ミラ達には悪いがな。 「ほら、灯も食べるが良い。ここはアキバでもなかなか有名なのだぞ?」 「う、うん……いただきますなのだ。海老に目が無くて……あむっ、む」 「おいしいですの~……♪って、クララちゃんは食事が進まないですの」 「うん、脂っこい物はね……ボクは少しで良いよ、アルマお姉ちゃん?」 「あ~、ひどいですクララちゃん~!?で、でも……美味しいですッ!」 ──────それでも久しぶりの邂逅、本当に楽しかったよ? 次に進む/メインメニューへ戻る
https://w.atwiki.jp/purakoro/pages/66.html
プラコロタクティクス専用イベントカード 基本効果 バトルロイヤル 効果 実装枚数 他のプレイヤー全員を自分がいるマスに集めてプレイヤー全員で同時にバトルをします。攻撃力が一番高かったプレイヤーが勝ちになります。攻撃力が一番高いプレイヤーがふたり以上いた場合は、そのプレイヤーだけで続けてバトルを行い、最後に残ったプレイヤーが勝ちになります。勝った人はバトルロイヤルに参加したプレイヤーの内のひとりから、普通のバトルに勝った時と同じようにチビキャラコロを取る事ができます。 1枚 備考 文字通り全てのプレイヤーとやりあう面白いイベントカードである。 複数のプレイヤーで同時にワザを繰り出す様はプラコロタクティクスで一番の盛り上がりを見せること間違いなし。 バトルロイヤル発動時にゼニガメの「からにこもる」、サンダーの「ひかりのかべ」、ゴーストの「のろい」、エレブーの「ひかりのかべ」、カブトプスの「カブトアーマー」、ケンタロスの「アイアンボディ」、ミュウの「サイコシールド」が成功した場合、自分以外の全てのプレイヤーに効果が及ぶ。(ルールブックP11参照) アイテムカードヒートアップバトルやクールバトルのようにお互いにエネコロを増減させる効果についても全てのプレイヤーに効果が及ぶと解される。
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/1856.html
Raven and Cat~紅き瞳と猫の爪~ キャラクター 長月 スバル 妄想CV:中原 麻衣 性別:女性 年齢:17歳 職業:工業高校二年生 妄想が激しい、現役高校生の少女。 可愛い物にめっぽう弱く、猫型MMSマオチャオの香鈴に一目惚れ。 神姫達と部屋で遊ぶのが日課。 他にも神姫が、天使型MMSアーンヴァルの春姫、忍者型MMSフブキの神無月、犬型MMSハウリンの彩里といる。 一ヶ月前にバトルロンドで出逢った、悪魔型MMSストラーフに負けたことから、 香鈴と一緒にリベンジを果たすべく、猛特訓中。 口癖は、「ウチの神姫達は世界一~!」 ちなみに、純正装備型のジュビジーとジルダリアが大の苦手。 香鈴(かりん) CV:橋本 まい スバルが飼っている(?)猫型MMS。 外見的特徴は、首から提げている小さな鈴。 他の神姫達とも仲が良い。 特に、お姉さん的存在の天使型MMSアーンヴァル春姫とは仲がいい。 元々人懐っこい性格だが、オーナーであるスバルには特に懐いている。 スバルが遠い世界(妄想)に行ってしまった時に、唯一現実世界に戻せる。 オーナーであるスバルのことは、本人(スバル)たっての希望で「スバルお姉ちゃん」と呼んでいる。 破爪「ヤンチャオ」や「プチマスィーンズ」を使った、 接近戦が得意で付いた二つ名が『風を纏いし神の猫(ウィンディー・プロステットキャット)』。 春姫(はるき) CV:阿澄 佳奈 スバルが最初に購入した天使型MMS。 外見的特長は、他のアーンヴァルとなんら変わりはないが敢えていうなら、 腕についけているミサンガ。 他の神姫達のお姉さん的存在。 しかし、ドジを良く踏み、スバルをよく遠い世界へと連れて行く原因の一つとなってしまっている。 近距離の速さと中距離の取り方、遠距離からのレーザーライフル発射が特徴的な戦いを得意とする。 また、マシンガンを使ってのかく乱も得意。 その戦いから付いた二つ名は『天使の踊り手(ルシフェル・タンツァー)』。 一ヶ月前に出逢った『KARASU』という名前のストラーフに負けてしまったことから、“ストラーフ嫌い”が身に付いてしまう。 (とあることから、その症状は改善されることとなる) 神無月 CV:福井 裕佳梨 無口であまり感情表現をしない神姫だが、オーナーであるスバルには、 絶対的な忠誠心を誓っている忍者型MMS。 たまに鋭い一言やツッコミが飛んでくる。 回避力を活かした戦いを得意とし、一撃離脱。 その後、フライングソーサーで遠距離から狙い撃ち…もとい投げをする。 この様な戦い方をするため付いた二つ名は『影無き暗殺者(シャドー・アサシン)』。 一部で『戦闘狂』と呼ばれることがあるが、 スバル曰く「可愛らしい一面があるから、そんなことはない」らしい。 彩里(いろり) CV:喜多村 英梨 スバルのお気に入りの一つの犬型MMS。 熱い闘志を秘めた一本気な性格。どんな困難も、持ち前の気合と根性で乗り越えようとする。 一方、スバルに対してはとても従順で、いつも褒めて欲しいと思っている甘えん坊な部分もある。 高い防御力を駆使して、接近戦を仕掛けることが得意で、 「吠莱壱式(ほうらい・いちしき)」や「プチマスィーンズ」を使っての中~遠距離の攻撃も得意とするオールレンジ型。 吠莱壱式を駆使した戦い方が特徴的であるため、 付いた二つ名が『雷鳴の戦略者(サンダー・タクティクス)』。 KARASU CV:茅原 実里 何らかの改造を受けている、悪魔型MMS。 オーナーは不明であり、何故この様な改造をされたのかということは、誰にも分かっていない。 GA4“チーグル”アームパーツは重量過多でも動くように改造してあり、その両腕に軽量型のグレネードライフルを装着、両肩にリニアカノンと重装備。 その様な装備状態にもかかわらず、機動力・回避力は通常よりも高い。 AIにも何らかの改造を受けて影響が出ているのか、バトルロンド内の戦闘で勝利しても、 そのボロボロになった神姫を粉々にするまで破壊を続ける。 神姫NET内でも、要注意神姫として警告されている。 残虐な風貌と血のように紅い眼を持つことから、 付いた二つ名は『レイヴン(鴉)』。
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/2284.html
キズナのキセキ ACT0-1 悲劇の後 ◆ それは、久住菜々子が中学二年生の時だった。 三泊四日の修学旅行。行き先は京都。 定番の場所であったが、クラスメイトと行く旅行はことのほか楽しかった。 おみやげを買った。両親と、近所にすむ祖母に。 喜んでくれる顔を想像し、菜々子の顔も今からほころんでしまう。 空が夕闇に染まる頃、菜々子は帰宅した。 「ただいま」 という菜々子の声に応えたのは、聞き慣れた両親の声ではなかった。 ひどくしわがれた声。 まさかよく知っている人物の声とは思えず、菜々子はつい身構えてしまった。 テーブルの前に座っていたのは祖母だった。 とても若く見える人だったが、今日ばかりは十年も老け込んだかに見える。 驚いている菜々子を、祖母は着替える間も与えずに連れ出した。 タクシーの中で菜々子は尋ねた。 どこへ行くのか、お父さんとお母さんはどうしたのか。 しかし、祖母はうつむいたまま、答えようとはしなかった。いつも明るく、おしゃべりな人が、今日に限っては、何も話さない。 タクシーが着いたのは、隣の市にある大きな総合病院だった。 菜々子は不安になりながらも、祖母について、中に入る。 飾り気のない病院のソファーに座っていると、やがて一人の看護士がやってきた。 両親に引き合わされた。 壊れて止まった腕時計がお父さんで、半分焼け焦げたカメオのブローチがお母さんだった。 菜々子は烈火のごとく怒った。 バカにしている。 確かに腕時計は父のものだし、ブローチは母のお気に入りの品だ。 だが、これが両親などと何を言っているのか。 お父さんとお母さんはどうしたのか、何かあったのか。 祖母が弱々しく説明した。 交通事故だった。 夫婦で出かけた日帰り旅行の帰り道。 高速道路での玉突き事故で、車が炎上した。 特に両親の車はひどい状況で、遺体も回収はしたが、とても菜々子には見せられない状況だという。 それで納得行くはずがなかった。 菜々子は激しく抵抗したが、結局親の遺体を見ることはかなわなかった。 あれよあれよという間に葬式が執り行われ、両親の遺影が黒い額縁に納まっていた。 全く実感がなかった。 泣く暇もなかった。 だが、もはや自分を守ってくれる親はいないのだと、すぐに思い知らされた。 葬式の翌日、親族会議が開かれた。 そこで親戚同士が罵り合う様を見せつけられた。 どこの家族も、中学生の女の子を引き取る余裕はなかった。 まったく、とんでもない時に死んでくれたものだ。 残された菜々子の前で、伯父や叔母が堂々と言っていた。 すでに菜々子は厄介者であり、邪魔者であり、誰からも必要とされない存在に成り下がっていた。 それどころか、両親が死んだことすら菜々子の責任にされそうな勢いだった。 醜く怒鳴り合いながら、菜々子の身柄を押しつけ合う、母方の親戚たち。 味方だと思っていた人たちは、もはや敵だった。 中学生の菜々子に発言する権利はなく、下を向いて、自らの運命の行き先が決まるまで、じっと耐えるしかなかった。 やがて、議論が膠着状態に陥った頃。 一人の婦人が発言した。 父方の祖母。 菜々子を病院に連れてきてくれた人であり、父方の親戚で唯一この場にいる人物だった。 「あなた方の考えはよく分かりました。菜々子をあなた方に任せるわけには行きません」 後から思うと、この時の祖母は怒っていた。 本当なら、父と母の代わりをしてくれる人たちの側で健やかに育つのがよい、と考えていたので、今まで口を挟まずにいた。 だが、もはやそれどころではないと、会議に介入したのだった。 静かだが堂々とした口調で、菜々子を預かることにし、母方に絶縁同然の宣言を行った。 こうして、菜々子は父方の祖母……久住頼子のところに身を寄せることになった。 この時の菜々子は、それすらもどうでもよかった。 ただ、嫌がられる親戚のところへ行くよりは、独り身の祖母の元の方がまだましに思えた。 □ ここまで聞き終えたところで、俺はすでに後悔していた。 聞くんじゃなかった。 話が重すぎる。 こんなプライベートな話に、菜々子さん本人を抜きにして、踏み込んでもいいものか。 だが、俺はそれでも聞かなくてはならなかった。 菜々子さんの過去を知らずして、彼女の力になることなどできないのだから。 頼子さんが、ちょっと気遣わしそうな顔で、俺を見ている。 俺はぬるくなったお茶を一口飲むと、先を促すように頷いた。 ◆ 近所に住む祖母は、父方のただ一人の親戚だった。 婿養子であった祖父は、二十年も前に他界している。 もともと資産家であった久住家には、祖母には使いきれないほどの財産があった。 久住の本家とも言える大きな邸宅に、祖母は独りで暮らしていた。 菜々子が両親と住んでいた家も、もともと久住家の持ち物である。 そんな金持ちの祖母は、余生を静かに過ごしている……ということは全くなく、しょっちゅうどこかに出かけていて、ろくに家にいない。 趣味で遊び歩いていることもあるし、友人と旅行に出かけていることもあるし、奉仕活動や地域ボランティアに精を出していることもある。 なんとも掴み所がない、アクティブな女性だった。 そんな祖母はいつも笑顔を絶やさず、若々しく見えた。 祖母の話は面白く、深い知識があり、家には珍しい物がたくさん揃えられている。 菜々子は小さな頃から、この祖母が大好きだった。 その大好きな祖母と一緒に、大きな家に住むことになったというのに、菜々子はまったく喜ぶことができなかった。 それはそうだろう。 つい二日前に、最愛の家族を亡くしたばかりの少女が、無邪気に笑うなんてできるはずがない。 それでも、祖母は努めて明るく振る舞い、何くれとなく菜々子の世話を焼いた。 そんな祖母の態度が、この時の菜々子には煩わしく思えていた。 なんでこんなときに笑えるの。 こんなに悲しいときに、なぜ笑えると思うの。 この時の菜々子は、思い至らなかった。 立派に育て上げた息子と、実の娘のように愛した嫁。彼らを亡くした祖母もまた、深く悲しんでいたことに。 それでも明るく振る舞うのは、菜々子のためを思ってのことで、それは祖母の強さであることに。 菜々子は簡単に引っ越しを終え、翌週には学校に登校した。 まだ笑うことができないまま。 ◆ 学校での友人たちの反応は、さらに菜々子の心を逆撫でした。 まるで腫れ物に触るかのような、よそよそしい態度。 かけられる言葉は気遣いや同情に満ちている。 菜々子にはそれが、ただの社交辞令のように聞こえた。 自分に対して心からの言葉でないと思ってしまった。 友達なら、もっと違う言葉をかけてくれるべきじゃないの? だから、友達に対しても、落ち込み、時には不機嫌な態度をとってしまう。 しかし、菜々子自身、どんなことを言って欲しいのか分からなかった。 しばらくそんな調子だったので、友人たちの態度もよそよそしいままで、その距離が縮まらずに、時は過ぎていった。 そしてだんだんと孤立していった。 菜々子がそれを望んでいたわけではない。 だが、もはや菜々子自身、どうすればいいのか、どうしてほしいのか、分からなくなっていた。 ◆ 「あなたにプレゼントがあるのよ」 その日、学校から帰宅した菜々子に、祖母は笑顔でそう言った。 なぜ脈絡もなくプレゼントなのかと思ったが、テーブルの上にケーキが乗っているのを見て思い出した。 すっかり忘れていた。 今日は自分の誕生日だった。 ケーキの横に、ひときわ大きな箱が置かれている。 包装紙にくるまれ、ご丁寧にリボンまでかけられている。 「開けてみて」 という祖母に、必要以上にせかされた。 どうも、そのプレゼントの中身を見るのが、祖母の方が楽しみなようだ。 戸惑いながらも、菜々子は丁寧に包みを解いてゆく。 中から現れたのは、一五cmほどの小さな少女型ロボットのセットだった。 パッケージに大きなロゴが書かれている。 武装神姫。 祖母が夢中になっている、ロボット同士を戦わせるゲームだ。 もちろん菜々子は神姫のことを知っていた。 祖母の神姫にも引き合わされたし、神姫を持っている友人もいる。 しかし、武装神姫の詳しい内容……ことバトルロンドがどんなものかまでは知らなかった。 あんな小さなお人形同士を戦わせるなんて、菜々子には想像もつかない。 パッケージの箱には「ストラーフ・リペイントバージョン」と書いてある。 箱を開け、中身を出すと、ブリスターパッケージの中央に、小さな女の子が眠っていた。 まるで、おとぎ話の小人か妖精のよう。 ペールブルーの髪が可愛らしい。 だが、周りに配置されている武装は、鋭い鈎爪であったり、無骨で巨大な脚であったり、いくつもの刃物であったりと、何とも凶悪であった。 この真ん中の女の子とのギャップはなんなのだろう? 菜々子はしきりに首を傾げた。 その疑問を頼子さんにぶつけると、彼女はにんまりと笑って、 「武装神姫はいいわよぉ」 その魅力を延々としゃべり続けた。 つまり、ゲームをやって気を紛らわせろ、ということなのだろうか。 一応、ありがとう、と言って、そのストラーフとやらを受け取った。 正直、菜々子は神姫にあまり興味がなかった。 しかし、せっかくの祖母のプレゼントなのだから、せめて起動くらいはしないと失礼だろう。 そんな気持ちで、菜々子は白い神姫を手に取った。 おそろしく華奢で、軽い身体。 菜々子は注意深く扱いながら、そっとクレイドルの上に置く。 クレイドルを接続したPC上でメンテナンスソフトが立ち上がる。 菜々子にはよく分からなかったが、勝手に神姫の状態チェックをしてくれてるようだ。 しばらくして、充電完了のチャイムが鳴る。 すると、クレイドルの上の小さな駆体が動きだし、大きな瞳がぱちりと開いた。 菜々子は思わず息を飲む。 事務的な口調で行われる初期登録。 その後、再起動した白い神姫は、菜々子を見上げ、にっこりと笑った。 「はじめまして、マスター! これからよろしくお願いしますね」 「え……ああ、よろしく……」 菜々子は大いに戸惑った。 菜々子は、神姫がこんなにも表情豊かに話すものだとは、知らなかった。 目の前の白い神姫は、とても可愛らしく笑っている。 菜々子は思う そう、この笑顔に他意はない。 目覚めたばかりのこの子は、わたしの身の上を知らないから、この笑顔はただ純粋な気持ちでわたしに向けられている。 だったら、このことの付き合いは、少しは心の慰めになるかも知れない。 そう思って、少し笑いかけようと思った……が、うまくいかなかった。 堅いままの表情で、菜々子は自分の神姫を呼んだ。 「よろしくね、ミスティ」 「はい!」 にっこり笑ったミスティを、菜々子は愛らしいと思った。 後に菜々子は思う。 これが、菜々子の運命を変える出会いであった、と。 そして、この出会いの先に、もう一つの出会いが待っていた。 次へ> Topに戻る>
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/950.html
神姫の構造材をプラスチックでないものにする そういう案は最初からあった 当然、現状の人工皮膚も純粋な意味でのプラスチックではないが 様々な試行錯誤の末現在の形に纏まったのだ 例えばそれはこんな試行錯誤である 「無題を冠した未完の彫刻」 「駄目です、制御失敗。自壊しました」 若い白衣の男が、淡々と告げた 報告を受け取る男は、若くも見えるし老けても見えた 渋い表情で画面を見る 無残な姿になった神姫が映っていた 構造材に自己修復能力と自己増殖能力を付与し、人体と同じように振舞わせる そういうプランだった だが、そのシステムの制御は困難を極めた それでも何とか作り出したそのシステム、『G』は バトルに臨み得る神姫にとって、非常に有用だった 当時、既に神姫に武装を施してバトルに従事させるということは行なわれていた だが、その度に破損箇所を買い換えるのは面倒だったし、素材で解決出来るのならしてみようとしたのが彼らのグループだった 折りしも『武装神姫』のプランが本格的に始動していた バトル向きに調整された武装神姫に、メンテナンスフリーの自己修復ボディ まさにうってつけと言えた 副作用として、有機物的な特徴を持つ『システムG』は、神姫により人間に近い皮膚を与える事を可能たらしめた だが、傷ついた体を修復しようとした時、どうしても必要以上に増殖し、宿主である神姫を破壊してしまう 既に十数体の神姫が犠牲になっていた 大手のスポンサーであった鶴畑コンツェルンも、そろそろ資金援助をやめようと動いていた 「短絡的に過ぎる・・・このシステムが完成すれば、神姫ばかりではない、人間にも大きな利益があるというのに」 実の所、男の真の狙いはそこにあった 「神姫と人間の境界は脳だけ」にしてしまう事 それ自体は、神姫の開発当初から目指されていた一種の目標地点ではあった 神姫は身長15センチの人間であるべく 遥か古代からの人類の夢、人造人間の完成を目指して 様々な倫理的、技術的問題から身長15センチに決定されたが、男はどちらかというとそれには反対だった 完成した人造人間に人間の脳を移植する それによってより良い肉体を手に入れ、人類それ自体がより進化する 少なくとも男はそう信じていたし、『システムG』を装備した神姫はその試金石になる筈だった 男は自分自身が人間を越えたかったのかもしれない いずれにしても、現状の『システムG』のままでは、少なくとも人間に使用する事などとても出来なかった 開発チームも解体される時が近付き、資金援助の減少、チームの縮小等から、徐々にスタッフの士気も無くなり、気も緩みつつあった そんな時期だった 暴走し、異常増殖した『G』の組織に、生物が触れると融合する性質が明らかになった 否、厳密に言えば、過失から、人間と『G』の強制接触が行なわれたのだ 結果は、恐るべきものだった 『G』と融合した人間は、禍々しい「なにか」に変貌し、暴れ狂ったのだ しかも、そのスタッフは自らの意識を保ったまま、超細胞に取り込まれたのだ 結果そのスタッフは恐慌から暴挙に出たのだ その事実を示すデータは残っていない その日スタッフの一人の始末し損ねたぼやで、研究所は火に包まれたからだ 誰一人、生きている者の居る筈が無い程徹底的に、一切合財が炎の中に消えた スタッフの遺体は、殆どが原形も留めず、パーツも足りなかった為、正確な人数を確認する事も適わなかった 研究所で使われていた、旧式の動力炉が、危険な可燃物質を含んでいたか何かだったのだろう 調査は深く為される事は無かった だが、僅かに残ったものがある 部署が縮小されるに際して、他部署へ異動になった者の発言だ 曰く、「原型となる細胞質からクローン培養して、それを宿主神姫のAIの不随意領域で制御させていたんです・・・原型細胞がどこから入手されたのか、少なくとも私は知らないですね」 いずれにせよ、神姫に人間を越える肉の器を与えようとしたこの研究は頓挫し、神への道は遠ざかった TOPへ 「剣は紅い花の誇り 第貳部」へ?
https://w.atwiki.jp/battleconductor/pages/143.html
概要 マップ エラー・ボス情報小型エラー「α型エラー400」「β型エラー401」初級 上級 中型エラー「γ型エラー500」「δ型エラー501」初級 上級 ナイトミラージュ初級 上級 サマーミラージュ初級 上級 ドロシー(レイドボス)初級 上級 エンディング(?) 報酬参加ご褒美 アップデート履歴 コメント 概要 修正したはずのエラー達が突如蘇ってきた!? 正式名称「復刻レイドボスバトル」。期間限定(2024.08.08~2024.10.08)イベント。 基本的には第五回の復刻仕様となっている。 新神姫実装どころか復刻武装の実装も滞って久しい状況下において、前回の復刻終了後即座に始まったため驚かれ、そして歓迎された。 (※以下、やむを得ず旧情報を転用している部分があります。詳細の相違が判明次第、各自修正お願いします) 第五回の復刻であるため、オフラインレイドのスタンプ/ストーリーはこれに準じる。 専属NPCは「ご近所のヴァローナ(ユメ)」。 今回も特定の装備にエラーへの補正値(ダメージボーナスまたは耐性)があると見られているが、シーズン1の頃と違ってシーズン2のレイドボスバトルでは特に公開されていないため、過去(特に直近)のレイドでの傾向も照らし合わせながら試してみるといいだろう。 特にNPC神姫の挙動について、シーズン2への更新時に大きく変わっているという事は、頭の片隅に置いておきたい。 なお前回に続き、今回のレイド実績は第五回の結果に追加されるようになっている。 第五回の頃にプレイしていたマスターは是非確認してみよう。 マップ レイドボスバトル恒例の場所(神殿)。 時間帯は第九回と同様、明るい昼間となっている。 エラー・ボス情報 小型エラー「α型エラー400」「β型エラー401」 従来パターンのWAVE1およびWAVE2に出現。おなじみの小型エラー。 シーズン2の一連の復刻レイドの内容を受けて、初期出現位置が数パターン存在する。 初級 ス 体 500? ? 攻撃名 功 射程 弾速 備考 近接攻撃 ? 0.1? 遠距離攻撃 ? 0.25? 80? 三連射する 上級 ス 体 500? 5000? 攻撃名 功 射程 弾速 備考 近接攻撃 300? 0.1? 遠距離攻撃 100? 0.25? 80? 三連射する 中型エラー「γ型エラー500」「δ型エラー501」 従来パターンに出現するおなじみの中型エラー。 白兵タイプの攻撃範囲の広さと、射撃タイプが放つレーザーの射程の長さは相変わらず。 初級 ス 体 500? ? 攻撃名 功 射程 弾速 備考 近接攻撃 ? 0.07? 零神のMVソードに類似。WAVE3にも出現 レーザー ? 0.25? 80? 貫通属性。WAVE2と3で出現 上級 ス 体 500? 7500? 攻撃名 功 射程 弾速 備考 近接攻撃 500? 0.07? 零神のMVソードに類似。WAVE3にも出現 レーザー 500? 0.25? 80? 貫通属性。WAVE2と3で出現 ナイトミラージュ WAVE3に出現するレイドボス。よく間違われるが、公式の解説によれば「騎士(Knight)」ではなく「夜(Night)」である。 Naked素体に様々な神姫の武装を装着した、さながら阿修羅像のような外見。従来のレイドボスに比べて圧倒的な打たれ強さを持ち、単独での撃破は至難を極める(前回に比べれば若干楽になっている、とはいえ)。 その戦闘特性はどちらかと言えば白兵戦寄りだが、最大の特徴としてデバフ系スキルを悉く反射してくる。 特に「死出の旅路」「全員攻撃スピードダウン」は確実に反射するので、これらをアクティブスキルにセットしている場合は、絶対に使わない事を推奨する。 一方、武器攻撃によるスタンに弱い側面もあるため、スタン特性のある武器を選んでおくのもかなり有効。「攻撃スピードアップ」と合わせて殴りまくれば、延々スタン状態にさせ続ける事も可能だ。 アクティブスキルは、強力かつロックオン性能の高いビーム攻撃。ロックされたキャラがたとえ真後ろに陣取っていても即座に回転して撃って来る程だが、技の出自体は目視できる程には遅いので、狙われている者は素直にガードしておいた方が良い。その一方で、狙われていない者に対しては(アプデ前のジュビ美と同じく)背中が完全にがら空きとなるが、そもそも発動している間は無敵状態のため、攻撃しても全く無駄。よって、この間はためや救援、雑魚減らし等に回るしかない。 初級 総合体力 75000~100000? 攻撃名 功 射程 弾速 備考 バルムンク(夜)[N] ケイローン(夜)[N] 二段攻撃。爆風あり ダークラジエーション アクティブスキルロックオン性能の高いビーム攻撃。発生中無敵 上級 総合体力 75000~100000? 攻撃名 功 射程 弾速 備考 サマーミラージュ 一定確率でWAVE3に出現。 サマーミラージュはその名の通り、日焼け跡付き水着に浮き輪姿といかにも夏を満喫している風。 全身クリア化された武装は飛び道具にブライトフェザーのバスターシュリンジ(のリペイント版)、白兵武器にはオリジナル武器のサメバルーンを使用。 かつてのブラックミラージュと同様激しく動き回るので、遠距離武器での攻撃を命中させる事は至難となる。 背部武装と浮き輪は、ダメージを一定以上受け続けるとキャストオフするが、これによって攻撃能力が低下したりする訳ではない。 デバフ反射能力こそないものの、プレイヤー側に攻撃力・射程・防御力の三種同時ダウンという強力なデバフを掛けてくるアクティブスキルを保有している。 このスキルの効果時間中に攻撃すると、少ない与ダメージでスキルゲージを貯めさせてしまうので注意したい。 これは時間が切れるか次の神姫に交代すれば解除できるので、此方が低レアの場合は態と落とされてしまってもいいだろう。 初級 総合体力 75000~100000? 攻撃名 功 射程 弾速 備考 バスターシュリンジ Blue ver. サメバルーン Blue ver. サマーバケーション アクティブスキル相手全体に対するデバフ効果。攻撃力ダウン、射程ダウン、防御力ダウン。 上級 総合体力 75000~100000? 攻撃名 功 射程 弾速 備考 ドロシー(レイドボス) 一定確率でWAVE3に出現。ヴァローナのリペイントタイプ。 攻撃力が非常に高い上デバフに対する耐性が高く、特に「攻撃スピードダウン」については複数刺さってもほとんどスピードが下がらない。 ただし、過去の闇神姫や黒種ジュビ美に比べれば防御面は割と手薄。またスタンがそこそこ入りやすいので攻撃スピードアップを発動してシェルスカートキュベレーアフェクション[RW]で殴れば 効果が切れるまでっ!君を殴るのを止めないっ!みたいな芸当も可能。 初級 総合体力 75000~100000? 攻撃名 功 射程 弾速 備考 wh. 赤オーラ時使用 wh. 青オーラ時使用 スリーピングディメンション アクティブスキル全方位攻撃。『震えて眠れ』 上級 総合体力 75000~100000? 攻撃名 功 射程 弾速 備考 + オフラインでの出現順は… オフラインでの出現順は、ナイトミラージュ×3→サマーミラージュ→ドロシー→ナイトミラージュ→サマーミラージュ→ドロシー→ナイトミラージュ→ドロシー。 エンディング(?) オフラインレイドバトルでスタンプを集め切った時に流される、エンディングめいたムービー(※終わりません!これからもバトコンをよろしくね!)。内容としては第五回を参照。 各バトルモードでの戦績に加えて、これまでの使用神姫や武装などプレー記録が表示されて行く。 + 平行して表示される画像は… 平行して表示される画像は、「ユメ」→「サマーミラージュ」→「ドロシー」→「参戦神姫(1人ずつ。背景はピンク/黄/水色の順)」→「参戦神姫3人の並び」→「ユメ&ドロシーのツーショット」 今回も過去と同様、オフラインの進展をリセットする事ができる。 報酬 参加ご褒美 オンライン及び店内バトルの参加報酬として、初級は【Rネジ】×10個、上級は【Rネジ】×15個を獲得できる(オフラインでは各-5個) また、入手できるコンテナは20+レイドボス武装1個に固定されている。 更に、小エラー中エラーを撃破する事で、一定の確率でご褒美(ヂェリカン)が貰える(wave1~3までの雑魚撃破数と運次第)。 なお貰える上限はなく、レアリティもN・R・SR・URでまちまち。 アップデート履歴 日時:2024.08.08 内容:期間限定イベントとして実装 コメント 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/terachaosrowa/pages/2843.html
「なんかわかんないけど、すごいことになっちゃったな」 モデル山田優の弟、山田親太朗はふとつぶやいた。 ヘキサゴンの収録に向かう途中、急にこんなところに放り出された彼。 首には首輪、背中にはナップザック。 かつて、映画で見た「バトルロワイアル」でみたような格好だ。 「えーと……」 真っ先に彼がとった行動、それは……。支給品の確認でも、移動でもなく ポッケに入っていたちんすこうを食べることだった。 チョコ味のそれは甘みの中に少しの苦みを含み、そっと喉を突きぬけていく。 その流れで、今度は塩味のちんすこうを頬ばった。 バトルロワイアルという名の戦場でのんきにちんすこうを食べるその彼の姿はまさに滑稽。 先程、笑ってはいけないと言われたのにもかかわらず笑ってしまいそうな勢いだ。 「あ、いくらか残しておかないと……」 人に会ったらちんすこうを渡す癖のある彼はそう呟き、ちんすこうタイムを打ち止めた。 それにしても、あれだ。死んでしまおうものならちんすこうは配れないし、姉にももう会えない。 しかし、殺し合いには乗りたくない。姉や仕事仲間と合わす顔がなくなるから。 こうして、おバカな青年はすっかり悩んでしまったのでした。 ちゃんちゃん。 【二日目・20時31分/新惑星・秋葉原】 【山田親太朗@現実】 【状態】健康 【装備】なし 【道具】支給品一式、不明支給品 【思考】 1:生きたいけど、殺し合いはしたくない。 2:ちんすこうを配ろう。