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戦うことを忘れた武装神姫 その35 とある休日。 僕はツガルのマーヤと共に昼飯がてら近場の公園を散策していた。 穏やかな天気の午後とあって、公園内は家族連れも多い。 「そろそろ紅葉の季節だね・・・」 僕が言うと、 「・・・朝晩が涼しくなりましたから・・・。」 ポケットに収まるマーヤも木立を吹き抜ける風を感じていた。 ・・・と、突如子供の泣き声が側から響いてきた。・・・やべっ、転ばせたか?立ち止まって振り返る。 なんだ、別に転ばせたりしたわけでは無さそうだ。単に駄々をこねているだけかな。 「あの、おにいさま・・・あれ・・・っ!」 再び歩き出そうとしたとき、マーヤが僕を呼び止めた。 マーヤの視線の先には、ジュビジーが風船にくくりつけられフワフワと上昇しているではないか。 その下では子供が泣き叫び、おそらく母親と思しき女性がうろたえていた。 ・・・おいおい、何をしたんだあんたたちは。 幸いにも風船は紐が木の枝に引っかかったが、とても手が届きそうもない高さ。 母親が周囲の人に声をかけ助けを求めてはいるが、宙づりのジュビジーが半ばパニックとなり、早くしないと・・・ 「あっ!!」 様子を見ていた一人が声をあげた。 ジュビジーが暴れたことで風船の紐が枝から外れ、再び上昇を・・・こりゃいかん・・・!! 「おにいさま、私を投げて下さい!」 さっとフル装備を整えたマーヤがポケットから飛び出した。 「おう、了解だっ!」 マーヤが何を言いたいか、目を見ればわかる- 。身を丸めたフル装備のマーヤを手に乗せ、かつてリトルリーグ時代には地区準優勝まで導いた自慢の肩で- 「どっせぇいっ!!!」 風船めがけてマーヤを放った。 どこまでも抜けるような青い空を撃つ、赤い弾となったマーヤ 。 さっくり風船を撃ち抜き、すぐさま全身の装備を展開、エアブレーキと同時にバーニア全開で反転。悲鳴を上げて自由落下するジュビジーに追いつき・・・見事にキャッチ。 重量の割には高い出力のある装備を纏うツガル型であるマーヤは、軽々とジュビジーを抱きかかえて、かの子供の手の届く高さの枝へと降り立った。 「ふぅ・・・ミッションコンプリート、ですね。」 子供の手の中に飛び込むジュビジーを確認し、ほっと一息ついたマーヤがふわりと肩へと戻ってきた。 周囲から沸き上がる歓声と拍手。 「おつかれさん。」 「おにいさまこそ、ナイスで正確なスローでしたよ。」 ・・・聞けば、母親が目を離した隙に子供が風船にジュビジーを結びつけて、振り返ったときにはあの状況だったらしい。 「今度からは悪戯をしないようにね。神姫はおもちゃじゃないんだよ。」 まだ涙目の子供に、しゃがんで声をかける。 横では母親がまるで何かの、それこそおもちゃのように頭をヘコヘコ下げている。なにも、そこまでされる柄じゃないってば・・・ん? どうしたマーヤ? 「おにいさま大変です! あと・・・15分で、これから行くラーメン屋の替え玉無料サービスが終わってしまいます!!!」 差し出された小さな神姫サイズの懐中時計を見れば、時刻は間もなく14時。 「うおぉ! い、いかん! いそぐぞっ!!」 「はいっ!」 再びマーヤをポケットに収め、僕はラーメン屋を目指し秋の風を頬に感じながら、公園を駆けていった。 <<トップ へ戻る<<
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{武装神姫の理解の違いと人間の理解の違い} 「おい、姉貴」 「何、タッちゃん?」 「何故俺はこんな所にいるーーーー!!!!」 俺は姉貴に向かって怒鳴った。 それもそのはずだ。 本来なら夏休みを満喫しながら部屋でグースカピー、と寝てるというのに…。 なんでセミがミーンミーンと鳴いてる、この暑い外にいるのだ。 ありえん。 大学生になってから運動しなくなったから身体がダルくてどうしようもない。 まぁ今はとある会社の駐車場にいる。 さっきまでクーラーの効いた愛車の中に居たので、まだよかった。 だが、今は車から出てしまったので太陽に光と熱が直撃している。 マジで殺す気かぁーみたいな感じだ。 そして車挟んで隣にいるのは俺の姉貴、朱美がいる。 因みに俺の左肩に違法改造版のリアウイングAAU7を装備したアンジェラスがちょこん、と座っている。 クリナーレ達は昨日夜遅くまで遊んでいたので、ただいまお昼寝中。 暑いなか、俺は姉貴に半睨みしながら目の前会社を見ながら言った。 「っで、その國崎技研ってのが…ここか?」 「そうよ。我が社のVIS社が少しライバルだと思ってる会社よ」 「ライバルだぁ~あ?またそれはどうして??」 「だって、お互い神姫関連のパーツを創っている会社よ。自社制作だけでなく、個人制作の武装の代理販売なども行っているのだから、これをライバルじゃないと言ったらなんて言うのよ!」 「う~ん、まぁそうだな。ほんでもって、そのライバル会社に来てどうするつもりだ?ハックでもしかけるのか??」 「…タッちゃん」 「な、なんだよ。そのあきらかに馬鹿にしたような何言ってるのこの人は、みたいな顔をしやがって」 「気にしないで。実際、國崎技研に来たのは『白雪姫シリーズ』について調べたいのよ」 「白雪姫シリーズ?聞いた事ねぇ~なぁ。なんかのプロジェクトか?」 「タッちゃんが知る必要はないわ。さぁこんな暑い外なんかいないで行きましょ」 「それには同意だ」 國崎技研の入り口から入り、クーラーでキンキンに冷えた空気が身体に当たる。 くぅ~涼しくて気持ちいいぜ。 会社の中は広々としていて綺麗だった。 …流石、バックに斗小野グループがいるだけの事でもあるなぁ。 姉貴はズカズカと受付まで行き何か受付の人と喋っている。 「凄い会社ですね、ご主人様」 「だな」 辺りをキョロキョロと見渡す。 ふ~ん、まず内装はいい会社だな。 ん? 姉貴に近づく女性がノロノロと遅いスピードで歩いていくる。 あ、姉貴に声を掛けた。 この会社のお偉いさんか? んな訳ないよなー。 容姿的に女子高生に見える、まさかこの会社の社員な訳は…。 「おーい、タッちゃん。こっちに来て國崎技研技術部部長にご挨拶しなさーい!」 社員だったーーーー!!!! しかもお偉いさんだーーーー!!!! 開けて吃驚、玉手箱! って、驚いてる場合じゃないよな。 俺は早歩きで姉貴の所に行く。 「失礼いたしました。こちらが私のアシスタントの天薙龍悪です。今回、我が社の武装神姫のパーツデータを提供するものとして派遣されました」 「こんにちわ、天薙龍悪と申します」 礼儀として45度くらいの角度ぐらいまで頭を下げる。 こいつが國崎技研技術部部長かぁ。 見た目的に婪より幼く見える。 「…ご丁寧どうも。私は斗小野…水那岐と申します。以後、よろしくお願いします」 部長さんも頭を下げる律儀な人だ。 斗小野…水那岐? 斗小野…。 あー、斗小野グループの人間だったのか! ならここの國崎技研技術部部長だという理由も納得いく。 あの斗小野グループの会長の孫娘あたりの人物かな。 「タッちゃん、このアタッシュケースを持っていって第1課・フレーム・架装部門の所に行ってデータを交換しあって。このケースの中には外部HDが入っているから、赤いシールがデータをあげる方のHD、青いシールはデータを貰うHDだから間違えないでね 」 「へいへい。解りましたよ」 「それじゃあ、お願いね。私は斗小野水那岐さんと一緒に別なところに行くからー」 「斉藤朱美さん…こちらです」 姉貴と水那岐はエレベータに乗ってしまった。 後に残った俺とアンジェラスは受付に『第1課・フレーム・架装部門の場所は何処ですか』と尋ね向かった。 いやはや、あの水那岐には驚かされたぜ。 …。 ……。 ………。 大股で歩きながら第1課・フレーム・架装部門の場所に移動する。 途中で色々な武装神姫のパーツを見る事が出来たのは嬉しかった。 物見るだけで大抵のプログラムは頭の中で出来る…完全には無理だ、天才じゃあるまいし。 「ご主人様、着きましたよ」 「ん、そうだな。こんな仕事、ちゃっちゃと終わらして帰ろうぜ」 ドアを開けると、そこには色々な機材がある部屋だと認識出来た。 テストパーツを伸ばしたり潰したりして強度確める機械や風力や水力の抵抗を見る事ができる機会、etc,etc。 ここは相当な設備をされた場所らしい。 流石は会社。 俺の家にある機材と比べようもないぜ。 おっと、機械に見とれてる場合じゃない。 確か、ここの担当の香田瀬健四郎という奴にデータを渡せばいいんだよな。 俺はキョロキョロと部屋の中を見渡しながら歩く。 すると。 「あー!部外者は立ち入り禁止ですよ!!」 女の子の声がしたので、辺りをくまなく見渡す。 だが人間らしき姿を見つける事が出来なかった。 おかしい、物凄く近くから聞こえたのに。 俺の耳が可笑しくなったのか? 「ご主人様、ご主人様。足元を見てください」 「ん?足元だと、ウオッ!?」 俺はアンジェラスに言われた通りに足元を見た。 そこにいたのは腕組をした武装神姫のマオチャオ型が居たのだ。 驚いた俺は半歩後ずさる。 「誰かいたのかい、ユキ?」 「あ、お兄ちゃん。この部外者の人達に注意していたの」 白衣を着た若い男の人が猫型マオチャオのユキという神姫を右手の手の平に乗せた後、俺の方を見た。 見た目的に22歳ぐらいだろうか。 とても若く見える。 ここは不審がれる前に行動するか。 「初めまして、VIS社から来た天薙龍悪です。データの交換に来ました」 「それはどうもご苦労様です」 「あの、スミマセンが香田瀬健四郎さんって居ますか?」 俺がそう言うと男はキョトン、としてその後は少し苦笑いしながら白衣に付いてる社員名が書かれてる名札を見せた。 あ、第1課・フレーム・架装部門:香田瀬健四郎と書かれていた。 だぁー、俺とした事が本人に本人を尋ねてしまったのだ。 ちと恥ずかしい。 「あ、これは失礼しました」 「いえいえ、まぁ立ち話もなんですから、どうぞこちらに来てください」 部屋の置くに行く健四郎、俺はその後ろ姿を見ながら付いていく。 …。 ……。 ………。 健四郎が歩み止めると、そこにあるのは業務用の机にデスクトップ型のパソコンが二台置かれていた。 左側の方はスクリーンセイバーが起動していて、右側の方は武装神姫のパーツを作るソフトが動いている。 椅子に座る健四郎。 手の平に乗せていたユキという神姫を机に下ろす。 「天薙…龍悪君だったけ。君もこっちの椅子に座って」 「はい」 ご丁寧に俺の椅子の分も出してくれる健四郎。 俺は出された椅子に座る。 そして武装神姫のパーツデータがぎっしり入ってる外部HDをアタッシュケースから取り出す。 確か赤いシールがデータをあげる方で、青いシールがデータを貰う方だったよな。 「では、データを差し上げたいのですが、どちらのパソコンに入れれば宜しいでしょうか?」 「そっちのスクリーンセイバーが動いてる方でお願いするよ。そっちのパソコンに外部HD付いてるからそこにデータをいれたください」 「解りました」 俺は赤いシールが付いてるHDをパソコンに接続し、マウスを操作してデータ入れ込む。 パソコンのHDや外部HDがフル回転する。 …うわー、1000ギガあるよ、テラですよ1テラ。 これは時間掛かるなぁ。 次は…と。 「次にデータを貰う方のHDなんですけど、こっちの方もあのパソコンですか?」 「いえ、こちらです。HDを貸してください。俺がやっとくので」 「はぁ、そうですか」 外部HDを健四郎に渡し、俺はアンジェラスの方を見る。 アンジェラスは健四郎のユキに興味があるのかユキの事をチラチラと見ている。 他の神姫に興味があるのか? いや、ちょっと違うなぁ。 あのユキという神姫は猫型マオチャオだが素体が特殊にみえる。 見た目は普通の素体だが、構造やプログラムが普通の神姫と違うような気がする。 アンジェラスの奴はそれに気づいてユキの事を見てるのか? 「アンジェラス、気になるか?」 小声でアンジェラスに訊く。 「はい。あの子も一般で売られている武装神姫とはちょっと違うみたいです」 「そうか、ちと探ってみるか」 俺は健四郎の方を向き顔をニッコリしながら言う。 「健四郎さんの猫型マオチャオの神姫は可愛いですね」 「あ、そうですか。それは嬉しい事を聞きました。そういう龍悪君こそ天使型アーンヴァルも可愛いですよ」 「有り難うございます」 「そうだ、もし宜しければ、うちのユキと遊んでくれませか?他の神姫と遊べばお互いの成長も出来ていいと思うのですが」 「別に構いませんよ。アンジェラス、行ってきな」 「はい、分かりました」 俺の肩からリアウイングAAU7を使って飛びユキのもとに行くアンジェラス。 あ、お互い頭をペコペコと下げて挨拶してる。 二人とも礼儀正しいというか、律儀というか…。 「あの、ご主人様」 「ん、なんだ?」 「ユキさんが、この会社の探検に連れ出してあげる、と言われたのですが…行ってもよろしいでしょうか?」 「俺は別にいいけど、健四郎さん大丈夫ですかね?」 「大丈夫ですよ。ユキ、気をつけて案内するんだよ」 「安心して、お兄ちゃん。さぁ行こう、アンジェラスちゃん」 「はい!」 リアウイングAAU7の翼の上にユキが乗り、アンジェラスが何時もより速度を遅めに飛行しながら部屋を出て行った。 速度を遅くした理由は多分、リアウイングAAU7の翼の上に乗ってるユキを落とさないようにするためだろう。 さて、この部屋に残ったのは俺とこの健四郎という人だ。 どんな風に探りを入れてみようかな~。 …悪役になってみるのも悪くないかもな。 健四郎さんには悪いが気分を悪くさせてもらよ。 「所で健四郎よ~」 「え、はい?」 いきなりの態度の豹変に健四郎は少し戸惑う。 少し罪悪感を感じるが探りを入れるためだ。 ワザと相手を怒らして情報を聞き出す作戦。 「健四郎は、あの玩具の事をどう思うのよ?」 「玩具?」 「あの武装神姫という玩具の事だよ」 「あ、あぁー。あの子の事ね。良い子ですよ」 「良い子?おいおい、まさかあの精密機械人形に良い子だと??アンタ馬鹿じゃん!人形に良い子も悪い子もねぇーよ!!」 健四郎の事を大馬鹿にするかのように笑う。 本当は良心的な人間には悪口を言いたくないんだけどなぁ。 でも探りを入れるためだ。 「まさかお前。あのユキという人形とエロい事でもヤッたのか?最近のオーナーは性処理も人形どもにやらせると聞くがぁ。お前もそのくち?」 「な!?君ちょっと、何を言って」 顔が赤くなる健四郎。 あらら、図星かい。 でも、このネタを使わない理由はないなぁ。 「ゲッ!お前、マジでヤッちまったのかよ!?ウワァーキモー!!」 完膚なきまで馬鹿にする。 許してくれ、これも情報を得るためだ。 「自分のチンコを神姫にしがみ付かせてしごいてもらうのか?はぁっ!気持ちワル!!それならオナホールでも買ってやればい!!」 「…君は君の神姫にそいう事しないのか?」 「テメェと一緒にするんじゃねー!そんな事するなら、女を買ってセックスした方がマシだ!!それに俺が武装神姫をやっている理由は生活の為だ。バイトだよ」 「バイト?」 「そうバイトだ。嫌々人形遊びをやってる訳よ。ってそんな事はどうでもいいんだよ!」 畜生、余計な事を言っちまったぜ。 そろそろ、キレる頃合いかな。 なら核心を突いていい頃だな。 「ユキとかいったなぁ~。あの素体はノーマルの神姫には無い素体だ。白雪姫シリーズのプロトタイプか?」 「なっ!?何故それを…」 「図星かい。実際の所プロトタイプかはどーか解らんが、普通の神姫じゃない事は確かだ。この会社は、なんの為に白雪姫シリーズを作っている?」 「…他社の人に教える必要はありませんよ」 チッ! やっぱり教えてもらえないか。 「それにしても龍悪君も人が悪い。わざわざ白雪姫シリーズの中身を知るために悪役になり、俺に向かって暴言を言う。キレると思いましたか?」 「!?…はぁあ~?」 「バレバレですよ、演技が。そんな事をなさらずにも多少なら教えてあげますよ」 ニッコリ、と微笑む健四郎。 バレバレだと!? それじゃあ今まで見透かされていたのかよ。 やってらんねぇ~。 「龍悪君、君はそいう人間には見えないよ」 「何がだよ?」 「悪役にはなれないって事さぁ。君は本当は根が優しい人のはずさ」 「…はぁあ~?」 俺の事を気遣ってるつもりか? さっきまでボロクソに悪口を言って野郎にか…。 これが大人の余裕というやつかぁ? もう…探りはいいや。 「あぁ~あ、バレてるのならいいや。負けた負けた」 椅子に背中をもたれてグデングデンになる。 「健四郎…ワリィなぁ。許してくれとは言わない。たださっきまで言った暴言を謝ります。申し訳ありません」 深々と頭を下げる俺。 勿論ちゃんと相手に伝わるように感情を込めて言う。 「やっぱり君は悪役になれないよ。安心してくれ、許してあげるから」 「…すんません」 あー情けねぇ~なぁ~俺。 これが大人と子供の差か。 年もそんなに離れてなさそうなのに。 多分、健四郎にはあんまり頭が上がらないなぁ。 「いやーにしても最初はビックリしたよ。いきなり性格が豹変するだもなぁー」 「すんません」 「そんなに謝る必要はないよ。それにさっき謝ったばかりじゃないか」 「…あはは。気まずくて何にも言えないですよ」 「まぁそうだけど、気にしないでくれよ」 「はぁーそうですか」 ペコペコと頭を下げる。 健四郎は大人だ。 俺と比べる必要もない良く出来た人間だ。 それに優しい。 俺はこんな大人に…多分、なれないなぁ。 「所で龍悪君の神姫の…アンジェラスだったけ?あのリアウイングAAU7の動力部分が少し違うような気がしたんだけど」 「あぁ~!気のそうですよ!!」 「え?…そうですか」 危ねぇ危ねぇ。 まさかあのリアウイングAAU7の動力部分だけ見て市販されてるリアウイングAAU7と見分ける事が出来るとは。 さすがは武装神姫の第1課・フレーム・架装部門の一番のお偉いさん。 実力はあるという事かぁ。 この後、俺と健四郎とは色々と武装神姫について話をした。 お互いの情報交換をしながら。 …。 ……。 ………。 アンジェラスの視点 私はマオチャオ型のユキちゃんと一緒に会社の色んな場所に行きました。 今いる所は6課・特殊用品部門にいます。 ここにはある物はどれもこれも斬新奇抜な物ばっかりです…特にエロ方面で。 「ねぇねぇ、アンちゃん」 「はい、何でしょうか?」 アン。 ユキちゃんが私の事をそう言う。 なんでも『名前が長いからアンって呼ぶね』、て言われたので私のあだ名はアンになった。 別に嫌な気分とかにもならないし、逆に親しみが湧くので私的にも嬉しい。 「これなんだか分かる?」 「これですか?ただのクレイドルにしか見えないですけど」 「あ~やっぱりそう思いますよね」 意味ありげに笑うユキちゃん。 いったい何なの? 「実はですね。このクレイドルに乗って眠ると一番大好きな人とエッチしちゃう夢を見せてくれるクレイドルなんですよー!」 「えぇ、エッチ!?ですか!?!?」 そんなもの物まであるのですか、ここは! 流石、6課・特殊用品部門といいますか…なんていいますか…。 まるで武装神姫用の風俗ですね。 いやいや、そんな風に悪く言っちゃいけません。 ここで働いてる人達に失礼です。 でも…。 一番好きな人とのエッチかぁ~。 やっぱり、ご主人様でしょうか。 ご主人様とエッチ…エヘヘ~。 「うわぁっ!アンちゃん、顔がイヤラシく緩んでますよ」 「はっ!?いけない、いけない!私とした事が、妄想に浸ってしまいました!!」 「あはは、アンちゃん面白い!そうだ、一度使ってみますか?」 「ん~、じゃあ一回でけ使ってみようかな」 「分かりましたー!じゃあクレイドルの上に乗って寝たください」 私はユキちゃんの指示通りにクレイドルの上まで行き寝た。 「それではよい夢よ」 ユキちゃんの言葉を聞いた瞬間、急に眠気が私に襲ってきてそのまま寝てしまった。 …。 ……。 ………。 「う、う~ん…」 私が目を覚ますと、そこはご主人様のベットだった。 あれ? 確か私はクレイドルの上で寝ていたはず。 なのに何でご主人様のベットで寝ているんだろ? …て!? 「なんで私が人間サイズになってるの!?」 ガバッと上半身だけ起き上がり自分の体をくまなく調べる。 人間サイズになっていたのはビックリですが、もっとビックリする事は。 「この皮膚の感触…この動き…完璧に人間に成っています」 間接の部分なんか人間そっくり。 いくら夢の世界だからってこれはやり過ぎです。 ユキちゃんもこのクレイドルを使ったのでしょうか? 「アンジェラス」 「!?」 私は声をした方向に振り向くと。 「どうしたんだい?自分の身体をマジマジと見ちゃって」 「…ご、ご主人様」 そうです。 ご主人様がパンツ一丁で私の隣に寝ていました。 気づかなかったです。 あまりにも自分の身体の事で驚愕していたから周りの事をすっかり気にしていませんでした。 というか、この現在の状況から考えると。 「昨日はなんであんなに激しく俺の愛してくれたんだい、アンジェラス?」 キャー!? やっぱり、事後ですかー! でもなんだか嬉しい気持ちがあります。 にしてもこのご主人様はえらく優しいご主人様ですね。 「あの、ご主人様」 「なんだい?」 ウッ!? ご主人様の優しい笑顔が私の胸にHITします。 SEで言いますとキラキラと光るご主人様と私の胸に突き刺さる矢がキュン、か、ズキューンです。 私の顔は今頃林檎より赤くしているに違いません。 あぁ、この優しすぎるご主人様もいいですね。 「もしかしたら、まだ愛が足りないから早く起きてしまったのかい。なーんだ、そうならそうと言ってくれれば良いのに」 「エッ?」 チュ いきなり話をふられたと思いきや、いきなりご主人様が身体を起こし、私にキスをしました。 「な!?なな、ななななな!?!?」 「ん?どうしんたいだい??」 「キ、キキ、キキキキ、キスー!」 「そうさ。アンジェラスは楽にしといて、俺がアンジェラスを気持ちよくしてあげあるから」 「だ、駄目です!!!!」 大声で私が言った。 ご主人様の事をまるで拒絶するかのように。 部屋の中はシーンと静かになり、気まずい空気が満たします。 うぅ~居心地が悪いです。 「どうしたんだい?もしかして俺の事か嫌いになったのか?」 「違います!ご主人様のことは大好きです!!」 「じゃあ、なんで拒むだい?」 「そ、それは…」 ご主人様は切ない顔をしながら私の事を見てくる。 駄目、そんな顔をしたご主人様の願いをきかない訳にはいかない! 私は覚悟をして口を開き言おうとした。 その時。 「解ったよ、アンジェラス。今日はアンジェラスだけ気持ち良くしてあげるよ」 「エエェッ!?」 「ほら、足を広げて」 ご主人様は私の両足を掴み広げる。 とても恥ずかしい恰好。 「待ってくださ、ヒャッ!?」 チュプチュプ ご、ご主人様の一本の中指が私のアソコに!? 気持ちいいです! 「アンジェラスのここはもう濡れてるよ。安心して、今日は指と舌でやってあげるから」 いえ! そいうことじゃなくて! ヂュプ! 「アーー!」 更に中指がアソコに深く侵入し私の身体はビクビクと震える。 中指は上下にピストンを繰り返し私の快感を高める。 「こんなのはどうかな?」 グジュグジュ! 「アー!アン!!ウゥン!!!」 中で中指が『ク』の字に曲げられて私の膣を広くしてピストンを運動した。 快感はさっきよりも数倍に増えて身体が…。 グチャ、ジュク…チュプ 「ハァン!?…イヤ、やめ…アウン!」 「身体は正直だよ。それに今止めたらアンジェラスは身もだえしてオナニーしちゃうじゃないのか?」 「そ!?そんなこと、しません!」 「本当かい?でも、嘘だね。俺には解るだよ。レロ」 「ヒャー!?」 ペロペロペロペロ ご主人様は私のクリトリスを舌で愛撫した。 優しく周りから舐めて、最後に豆の部分を舌で上下に舐められる。 駄目…快楽に勝てない。 気持ちいいです、ご主人様ぁ~。 ペチャ、クチュ…チュウ、ピチャ 「アアァン!そこ気持ちいいです!!」 ビチャ、ピチャ、レロレロ! 「ご主人様ー!吸って!!吸って!!!」 ジュチヂュヂュヂューーーー!!!! 「アアーー!吸われてる!!ご主人様にクリを激しく吸われてます!!!」 「そろそろかな。イッちゃっていいんだよ」 ジュププププ!!!! 「!?アグッ!?」 アソコに一気に二本の指が入ってきました! 合計で三本入った指は上下左右に動き膣をグチャグチャにさせられる。 もう駄目。 頭の中が…真っ白に…。 グチュグチャジュプジュププププ!!!! ジュチヂュヂュチューピチャビチャ!! 「あ…ご主人様ーーーー!!!!」 とうとう私はご主人様にイかされてしまいました。 身体は痙攣したようにビックンビックンと波のように動き快楽が止まりません。 指と舌だけでイッてしまうとは思いませんでした。 ああぁ、ご主人様。 気持ち良かったです、ご主人様。 …。 ……。 ………。 龍悪の視点 健四郎と色々と話しをしていると、アンジェラスと健四郎のユキが帰って来た。 楽しいトーク時間のお終いだ。 「おかえり、二人とも。会社の中をちゃんと案内できたかい、ユキ?」 「うん!ちゃんと案内したよ。ねぇ~アンちゃん」 「はい、とても色々な経験が出来ました」 アンジェラスは笑みしながら健四郎に頭を下げた。 ちゃんとお礼できる事は良い事だ。 「なぁ、アンジェラス。経験ってなんの経験をしたんだ?」 「ご、ご主人様…あの、ですね」 顔を赤くしながら俯いてしまった。 う~ん? いったいどうしんたんだ? まぁいいか。 「…さてっと」 俺はアタッシュケースを持ち、アンジェラスを右肩にちょこんと座らせる。 「もう行くのか?」 「はい。一応仕事で来た身なので。今度来る時は客として面白いデータを持って来ますよ」 「そうか。それは楽しみにして待っているよ」 「また来てくださいね。アンちゃん、また今度来た時はもっと凄い物を見せますよ」 健四郎とユキがご丁寧に礼を言う。 ほんっと、律儀な人だ。 でもこいう人間は数少ないし、とても貴重な人材だと思う。 俺的には好きだな。 「それじゃー…また」 「またね、ユキちゃん」 俺とアンジェラスは第1課・フレーム・架装部門をあとにした。 …。 ……。 ………。 國崎技研の入り口に行くと姉貴が不貞腐れながら待っていた。 あ、俺達に気づいた。 ズカズカと歩いて来て。 「もう~タッちゃん~。遅いよ~」 「顔近い!顔近いから!!少し離れてくれ!!!」 姉貴の顔を掴みながら離す俺。 擬音でいうとグギギギとうい音が出るだろう。 「色々とあったんだよ。姉貴は収穫あったのか?」 「あったよ。さぁサクサク帰ろう」 「サクサクって…運転するのは俺だぞ」 「じゃあタッちゃんの車を運転していい?」 「ふざけるな!姉貴に運転させたら俺の愛車がボロボロになっちまう!!」 「じゃあ運転して♪」 「はいはい」 溜息を吐き肩を落とす。 と~ぶん、姉貴とは仕事したくないなぁ。 「まあまあ、ご主人様。気を落とさないでください」 「アンジェラス…お前だけだよ。俺の気持ちを解ってくれるのは…」 左手の中指の腹の部分でアンジェラスの頭を撫でると、気持ち良さそうにオットリした表情になる。 さて、帰るかぁ。 姉貴の奴はちゃんと仕事したのかな? まぁ、バイトの俺にとっちゃ、関係ない話よ。 こうして俺とアンジェラスと姉貴は國崎技研をあとにして、安全運転で家に帰った。 國崎技研…あの健四郎とかいう男。 きっと大物になりそうだな。 こうして俺とアンジェラスの出張アルバイトは終わった。
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今作はPSPソフト「武装神姫BATTLE MASTERS」を土台として個人的な解釈を加えて作成する予定です。「MK.2」については、 平成23年12月までやらない予定でしたが、「武装神姫アーカイブ」を手に入れて、いかに見識が狭すぎたか思い知らされまして 先月ついに手に入れました。 そんなこんなで「バトルマスターズ」を土台とした作品を作る予定です。突然の方針変更申し訳ありません。 読み返してはいますが、誤字・脱字等ありましたら修正したいので一報いただければ幸いです。 よろしくお願いいたします。 導入部分 登場人物 登場神姫 設定 導入部 神姫バトルの世界へ。 1話 2話 3話 最終更新平成24年2月28日 トップページを更新しました。 「神姫バトルの世界へ」の「3話」を掲載しました。 昨日来てくれた方 - 今日来てくれた方 - 今までに来てくれた人総計 - 名前 コメント
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戦うことを忘れた武装神姫 その41 係長という肩書きにより、取引先からいただく事が出来た高級ビールが、いくら探しても見当たらない。昨晩まで、たしかにこのテーブルの上にあったのに。 諦めて、麦茶にしようと冷蔵庫へ向かったそのときだった。 がたん、どす! 中身の入った飲料缶が落ちる音がした。 振り返ると、そこには小さなロボットがビールの缶に半ば押しつぶされるかのごとく倒れている。 「・・・ディーニャ・・・ お前、何してたんだ?」 マオチャオ型をベースに東杜田技研で試作されたMMS、type T-TAK「ディーニャ」。 白色に緑色のペイントが施された素体、髪はロングのアップポニー。アタマには大型のはんぺんネコミミを装着し、手にはにくきゅうグローブを装着しつつも、目と口元にはマオチャオの面影が色濃く残る。 ビールの缶をのけて、まだ目を廻しているディーニャを摘み上げた。 「起きろっつーの。 狸寝入りしてるのバレバレだぞ。」 ふにふにとネコミミを突付くと、くすぐったさを我慢できなくなったのだろう、もぞもぞと動き始め・・・ 「にゃ、や、やめるのだ! やめろー!!!」 手の中でジタバタと暴れるディーニャ。 摘んだまま顔の高さまで持ち上げ目線を合わせると、バツが悪そうに目を泳がせるディーニャ。 「さて、今何をしていたのか。 正直に言いなさい。」 眼力で迫ると、ディーニャはネコミミをふにゃりと垂らし、 「にゃは・・・びーる、のみたかったのだ・・・」 相変わらずの酒好きめ・・・。 「だから、びーるかくしてたの。こかげのだいじ。 あきかんと、いっしょにするとわからにゃいの。」 本来は、旅のお供のサポート神姫としての研究開発が進められていたディーニャ。 しかし、マオチャオ型をベースとしてしまった上、我侭に育った小型ロボットのAIを用いてしまったが故に。 妙なところで知恵の廻る、いまひとつ使えない旅サポート神姫となってしまったのだ。 かといって、ある程度は成果をあげているこのプロジェクト、ひとまずはディーニャの育成を進めてみることに・・・なったのである。 そして。 プロジェクトに関わっていながらも神姫を持っていなかった俺が、当面の教育係となってしまった、というわけだ。 「にゃーさん、ごめんにゃさい。」 テーブルの上で、素直に謝るディーニャ。だがこいつの場合は「素直に謝ればビールが飲める」ことを期待しての行動に他ならない。 ポニーテールを揺らして謝る姿はかわいいが、ここは心を鬼にしなければならない。 「ふむ。だが、独り占めしようとしたことは罪である。よって、このビールは俺が飲み干す。」 泣き出すのではないかと思うほどに目を潤ませ、ビールの口を開けて飲もうとする俺を凝視するディーニャ。 耐えろ、耐えるんだ・・・っ! ディーニャの視線を痛いほどに感じつつも、俺はビールをぐびっとひとくち。すると、ディーニャはぴょんとテーブルから降りて。 「いいもーん! まだかくしてあるびーるはいっぱいあるんだからー!」 そういいながら、俺の散らかりきった部屋へと駆け込んでいった。 ・・・まだ・・・隠してある・・・?! 「ちょっと待て! お前いつの間に!!! どうりで最近、酒の減りが早いと思ったよ・・・! こらディーニャ!どこへ隠しているんだ!!」 「にゃはー! それはひみつにゃのだー!」 -今宵も、ディーニャとの追いかけっこは続く-。 <<トップ へ戻る<<
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戦うことを忘れた武装神姫 その26 ・・・その25の続き・・・ 再び、久遠のグラスの氷がカランと鳴った。 「・・・すまないね、『ゼリス』のことを答えるはずが僕の昔話で終わってしまったようだ・・・。」 「いえ・・・それで十分です。」 すっかり氷も解け、なかば水割りになろうとしているグラスを久遠はすっと飲み干した。 ヒトと対等に意思疎通ができる、ちっちゃいけれど頼もしい存在。 「死」すらも、恐れることなく正面から向きあえる程の強い存在。 ヒトに愛され、ヒトを愛することができる、優しく、温かな存在。 - ヒトは何故、「心」を持つこの「存在」を造り出したのか - うつむいたまま、ドツボにはまったかの如く黙り込んでしまった久遠。と、彼の目の前に新しいグラスが差し出された。 「・・・。」 はっとした久遠、見ればグラスを差し出したのは・・・心配そうなまなざしで、じっと久遠を見つめるエルガだった。 「にゃーさんの考えてること、にゃーにも、少しだけど判るよ?」 「・・・そうか?」 「にゃーたちが『戦わなくていいの?』て聞いたとき、にゃーさん、『戦うだけがすべてじゃないんだよ』って言ってくれたの、覚えてるよ? だから、にゃーたちも時々、なんで神姫なのか考えるの。。。 でもね、答えは急ぐことじゃにゃいのだ。 一緒に考えてあげるから、にゃーさんもゆっくり、のんびり考えるの。」 エルガは普段の勢いとはまるで違う、実に穏やかな、落ち着いた声で久遠に語りかけた。 「だけど・・・だけどね? にゃーたちは、にゃーさんよりもずーっと早く壊れちゃうと思うの。だから、にゃーさんが答えを出したときに・・・」 大きなエルガの瞳に、うっすらと涙が浮かんだ。 「にゃーたちは居ないかもしれないよ? だけど、にゃーたちのこと、ずーっと忘れいよね? ね、にゃーさん・・・?」 エルガの頭に、何かがぽたりと落ちた。 「馬鹿っ。。。 無責任なこと言うなっ・・・!」 久遠の涙・・・。 「おまえらが『ここに居ること』が俺には大切なんだよ。。。 それに、一緒に、ゆっくり考えようって言ったな? 言った以上、一緒に答えを探す義務があるっ! 答えが見つかるその日まで、何が何でも俺のそばに・・・傍に・・・っ!」 「わかったのだ。。。にゃー、約束する。ずっと居るの!」 「よしっ、それでこそ俺の猫爪『エルガ』だ。。。」 久遠はグラスをそっと傾けてエルガに一口飲ませた。 「ありがとなの・・・。」 涙でぐしゃぐしゃのまま、グラスをはさんで静かに見詰め合う二人・・・。 その様子を静かに見ていたマスターは、久遠に、そしてエルガにももう一杯グラスを差し出した。 「僕の昔話が、君たちにとって少しでも役に立ってくれれば幸いだよ。今日は・・・僕のおごりにしよう。 好きなだけやってくれ。」 「にゃーん!! マスターさん、ありがとなの!」 「ちょ、エルガっ、すこしは遠慮しないか!それが大人のマナーだっつーの。」 「えー? にゃーは大人じゃないよー?」 「・・・ったく、お前ってヤツは・・・。」 と、グラスを片手にエルガの頭をぐりぐりする久遠の顔は、実に穏やかであった。。。 ・ ・ ・ 終バスの時間が近づき、帰ろうと久遠が支度を始めたときだった。 何かを思い出したように、マスターはCDを入れ替えた。 「君たちは、角子さんと呼ばれるクラリネットタイプの声を持つストラーフの噂を聞いたことはないかな。」 CDが再生される・・・ 「知り合いに無理を言って録音してきてもらったんだ。」 スピーカーから奏でられるは、生録の女性の歌声。 決して音質がよいとはいえない・・・が、久遠と、なによりエルガが反応を示した。 「マスターさんっ! こ、この声・・・っ!」 「何かを感じる・・・そうだろ?」 大きく頷くエルガ。 傍らの久遠も、その歌声に聞き入ってしまい、動く事を止めていた。 「マスター、もしかして・・・。」 久遠が何かを言おうとしたが、マスターは遮るように語った。 「あまり教えてくれるな、とは言われてはいるんだけれど。」 メモ用紙を取り出すと、住所を書き始めた。 「君たちなら、おそらく彼女たちも迎え入れてくれるだろう。場所を教えてあげるから、今度の休みにでも会いに行ってきなさい。 求めている答えのきっかけくらいはつかめるはずだから・・・。」 最後に『MOON』という、おそらく店の名であろう文字を記し、エルガをポケットに入れた久遠に手渡した。 「マスター、今日はありがとうございました。」 「ほんとうに、とってもありがとなの! おやすみなの、マスターさん!」 「僕のほうこそ、長々と昔話に付き合わせてしまって。お礼を言わせてもらうよ。ありがとう。・・・では、おやすみなさい。」 久遠とエルガが帰った店の中には、神姫の歌う『コーヒー・カンタータ』が流れていた。ひとり、カウンターに座りしばし聞き入るマスター。やがてCDの演奏が終わると、酒瓶の後ろに大事にしまっている小箱を取り 出し、カウンターに置いた。箱に記された文字- -type91- 量産試作型 - 「今ここにいることが大切、か・・・。 久遠さんもずいぶんと言うようになったもんだ・・・。」 呟きながら一度もあけたことが無い箱を開けた。 - 白いボディに、ストラーフの顔を持つ神姫 - ふっと小さく息をつくと、マスターは陰に置かれた古びた一枚の写真に語りかけた。 「そろそろ、僕も神姫のオーナーとなってもいいだろうか? ・・・なぁ、『ゼリス』-。」 最終バスの車内。なんとか間に合った久遠とエルガは、いちばん後ろの席で今日のマスターの話を思い返していた。と、窓の外を見ながら久遠が呟いた。 「明日の午前中に行くぞ。」 「にゃ? どこ?」 「なんつったっけ・・・そうそう、『MOON』だ。」 「みんなで行かないの?」 「リゼとイオは・・・どうする? あいつら連れて行ったら、何らかの騒ぎを起こしかねないから・・・。」 「うにゃはぁ、にゃーさん、言うのだー。 でも、みんなで行こうよー。でないと、行く意味がない気がするよ?」 「はは、そうだね。 これも何かの運命だろう。 この機を逃さず、一気に行ってしまおうか。 さっそく帰ったら連絡を入れて、と。 そうすると、まずは川崎製麺寄ってシンメイ拾って、東杜田いってイオとリゼ拾ってから『MOON』に向かおう。」 「さんせーい!」 「どうせアレで走るんだ、都合2時間もあれば着くっしょ。」 「りょーかいなのー!」 明日への期待に胸を膨らませた二人を乗せて、バスは静寂の夜の街を走る- 。 マスターと共に、今を楽しみ、明日へ向かう神姫がいる。 ここに居るのは、戦うことを忘れた武装神姫。。。 <その25 へ戻る< <<トップ へ戻る<<
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「フフフ…遂にこの時が来たか」 「どうしたの隆斗?変な顔になってるよ」 にやける俺の手には一枚のチケット 『武装神姫バトルロンド関東大会』 全国大会程大きくなはいが初めての公式大会になる 出場を決めたのには腕試しだけでなくただ俺自身が楽しくなってきた事が理由にある あの特訓の後も俺と可凜はバトルを重ねた。 しばらくは五分五分だった勝率も、徐々に上がってきている。 何よりも俺はマスターとしての喜びも感じてきた。勝っても負けても、可凜の意見を聞き指示を出しちゃんと一緒に戦えている実感がするからだ。 それにそろそろ学校以外の神姫仲間も欲しい所だし。話すといっても掲示板とかばかりだしな。 「今から胸が踊るってもんだな」 「…うん」 「?どうした?」 見ると可凜は穏やかな笑顔で俺を見ている。 「何か嬉しいんだ。隆斗がポクと一緒に一喜一憂してくれたり、『神姫』を気に入ってくれたみたいだし」 「そうだな、生活においても戦うという事に関してもこんなに奥の深いもんだとは思わなかったし、楽しいものだとは知らなかったな。今じゃすっかり…なw」 「うん、…頑張ろうねっ隆斗。」 「応よっ勿論だっ」 二週間後 俺達は卓三達とも合流し、予定通り会場に着いた。 「……流石にでかすぎねぇか?ココ」 会場(ドーム状)の大きさは俺の想像を越えていた。 この馬鹿でかい所が全部大会の会場だというんだから感嘆だ。 早速大会受け付けを済ませる。 この大会の形式はA~Dブロックの4つにわかれ、それぞれでトーナメントを行い、トップ4組の準決勝と決勝を行う形式のようだ。 隆「控え室とかはないんだな」 卓「あるのは準決以上だったかな、出場者も多いし。トーナメントの端っこはゲーセンとかそこらでぶらついてろって事さ」 大「なら他の試合を観戦しとくのが1番だね、次の対戦相手がわかるかも知れないし、戦法もわかる」 つまりは自分も見られる立場になる訳だが、まぁ初参加など他は見向きもしないだろうな。 「OK、敵情視察といくか。俺達はBブロックだったな。行くか、可凜」 「うん。」 卓「俺らはAとD、暇になったらそっちも観に行くぜ」「応~」 俺達は散開しそれぞれのブロックを観に行く事にした。
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武装神姫のリン 鳳凰杯篇 その1 「…すみませんが、終わりにさせて頂きます」 アングルブレードが相手のマオチャオの武装腕部を切り落とし、強烈な後ろ回し蹴りを放つ。 壁に激突したマオチャオは遂に沈黙。 リンの予選突破が決定した。 「リン、お疲れ様」 筐体から出てきたリンにパックジュースを渡す。もちろん神姫サイズだから指先でつまむような感じだが 「ありがとうございます。さすがに4連戦は疲れました」 「公式戦より1試合のインターバルが短かったからな~仕方ない。まあ今日はこれで終りだから大丈夫だろ?」 「はい、もちろんですよ。」 リンを肩に乗せてオーナールームを出る。 「リンちゃんに亮輔もお疲れ様~」 入り口付近で茉莉がティア、花憐を連れて待っていた。手作りの弁当を持って。 ==== 「さて、予定通り?に決勝リーグ進出だけど次の相手は誰なの?」 みんなで弁当を食べていると茉莉が聞いてきた。 「えっと…抽選ですから誰が相手になるかはまだわかりませんね。」 「そうなんだよな、あの『ルシフェル』と当たったりしたらまず勝ち目が無いだろうしな~」 「…そんな弱気な亮輔は好物のから揚げ没収~」 ひょい、と茉莉の箸が伸びてきて俺の小皿に乗ったから揚げを持っていった。 「あ!!!」 そしてそのまま茉莉の口へ、それが最後の1個だったにもかかわらず、だ。 「まあ、自業自得ですわね」 「マスター…そんなことではダメですよ」 「パパ怒られてる~~」 「最後の1個、でかいのをとっておいたのに…orz」 こんな感じで昼食を済ませ、次の日まで試合は無いのでその日のうちは会場をぶらついたりしていたわけだが… いろいろお店があって楽しめたりしつつ、俺の小遣いが順調に減っていたのはいうまでも無かった。 ==== 翌日 とりあえず昨日飲んだワインに酔ってまだ寝ている茉莉たちは置いといて。 リンと一緒に散歩へ。 軽くホテルにくっついてる公園を周ってきた。 しかしまだ茉莉は起きないので俺は準備をすることにした。 「さて…決勝リーグとはいえ試合は昼からだから。準備するか」 「マスター?」 「リン、今日はアレをサイドに入れとくぞ。相手によっては使わざるを得ない状況も生まれるだろうから」 「ですがマスターの仕事が忙しくて調整が済んでいないのでは?」 「フッフッフッ…」 俺のなんか絵にしたらヤバイ笑みを見てリンが怯えている…この笑みは今後しないようにしよう。 「まさか完成してるんですか?」 「そのまさかだ」 「いつの間に…」 「会社でちくちくと。」 「仕事ほっぽり出してですか!!?」 「いやいや、並列処理だから問題ない」 「…全く」 「とはいえコードの編集は大変だったからな。今から最終調整するぞ。」 「今からですか??」 「大丈夫だ、装備は完璧。」 俺が鞄から取り出すはB5サイズモバイルノートとおなじみトレーニングマシン。 てきぱきと準備を進めていく俺に促されトレーニングマシンに接続するリン、しかしそこで俺の持ってきたPCが以前と違うことに気がついたらしい。 「マスターってこんなにいいPC持ってましたっけ?」 「いや、会社での支給品だ。」 「いいんですか?勝手に持ち出して」 「大丈夫だ、許可は取ってあるし神姫のデータも必要だからな。なにより最新のCPUが載ってて作業が早い早い」 「ならいいんですが。じゃあ始めますね。どのパターンでやればいいんですか?」 「うーん、とりあえず基本のパターンE、F、Gあたりで軽くやってみてくれ。」 「はい…データ展開が段違いには早い?」 「当たり前だな、ウチのPCはCPUが3世代ぐらい前ので他のパーツの延命処理で使ってたから」 「そんなに古かったんですか…」 「いや、処理が"多少"遅いだけで他には支障なんて無かったし。現にトレーニングの感覚は変わらないだろう??」 「はい、データ展開に関しては実感できましたがこっちはそれほどの差は無いです」 「トレーニング自体の処理はボロCPUでも大丈夫なレベルなのが幸いだった」 「ですね、ただデータ展開にかかる1分間はCPUが遅かったからなんですね…」 「…スマン」 「いえ、いいですよ。これからは基本的にこのPCでできるんですよね??」 「そうだな。データは全部暗号化されてるしネットには繋がないからデータ流出も無い、セキュリティはほぼ完璧だ」 「っと、パターン全部終了しました。」 「どうだった? 2週間前の仮データに比べてかなりレスポンスが上がってると思うんだが」 「…すこし右腕の反応が鈍く感じます」 「くっそ~そうか…がんばったんだけどなあ」 「いや、あくまで理想からってだけで、コンマ3秒ほどしか実践と違いませんよ」 「フォローしてくれるのはうれしいんだが、過去のデータから完璧だと思ったパラメータだったんだよ」 「マスターのせいじゃありませんよ、私の調子がほんの少しマスターの設定と違ってただけですし」 「しかしなあ…」 「もう、昨日からマスターは少し臆病です。」 そうしてリンはトレーニングマシンから身を乗りだして… "ちゅ" 「これで大丈夫ですよね?マスター」 いつもの笑顔を向けてくれた。 「ああ…もう大丈夫だ、ありがとうリン。」 「…はい、マスター」 「…朝からちちくりあってますの?お姉さまにご主人様?」 「「っぶ!!」」 とティアの登場で2人の雰囲気が良くなったがこのまま進展するわけも無く、一緒に起きてきた茉莉と花憐にわめかれ叫ばれしつつ調整を続け朝は過ぎていった。調整の結果は…ぶっつけ本番で見るしかなさそうだ。 そして決勝リーグの幕が上がる。 決勝リーグだけにそうそうたるメンバーだった。 各ランクで有名な神姫が名を連ね、中でもリーグ初期からトップレベルリーグに君臨したにもかかわらず最近は全く公式戦に参加しなかったが実力は折り紙つきの悪魔型『鋼帝』ジルがいることが衝撃だった。 しかも茉莉たちよりもさらに年下。今で高校生ぐらいだろうか?という年齢の少女がオーナーということで衝撃を受けたものだ。 その"ジル"が出場しているとは知らなかったためにそこで初めて彼女とそのオーナーに会ったのだが…ぶっちゃけ可愛かった。 まさに可憐ともいえる容姿で神姫のジルの戦い方からは想像できなかった。 あれならファンも多いのもうなづけると感じた次第だ。聞けば彼女も「エルゴ」の常連らしい…見たこと無いんだけどな~ …とそういうことにうつつを抜かすとまたリンと茉莉にどやされるので抑えて抑えて…試合のことだけを考えよう。 そう気を引き締めた数秒後、対戦相手が発表された。 相手は…ミカエル。 あの鶴畑兄弟の次男にして、兄弟内でも一番タチが悪い。 今までの装備の傾向-高機動装備による遠距離からの超大出力の砲撃、そして鉄壁の防御-からして、悪魔型の通常装備では全く歯が立たない相手だ。 やっぱりアレを装備パターンに加え、最後の最後まで調整を加えたのは正解だったらしい。 「ミカエル…鶴畑家の神姫、その中でも八百長を行ってまでランクを上げているオーナーの神姫…実力の差があろうとも負けられないです。マスター、突撃装備…使ってもいいですか?」 俺に聞いてくるリンにはいつも以上に気迫が感じられる。 それを見た俺も覚悟を決めなければいけない。 即ち、防御を取っ払っての突撃装備をリンに使わせる覚悟を…だ。 「分かった…使おう。 ただ最初からアレを使っても自滅するのがオチだ。使う場面は…わかってるよな?」 「はい、マスターと私がいつも練習してるあの場面ですね?」 「分かってるなら大丈夫だな。試合まで時間があるし、安心してクレイドルで寝ておけばいい。」 「はい…マスター??」 「うん?」 「おやすみのキス…くれませんか? してもらえれば絶対に安心できるので」 「ああ」 そうして軽く口づけを交わしてリンを眠りに付かせた。 俺は試合までの2時間、死ぬ気で突撃武装のチューニングをしなければならない。 試合前にそこまで必死な顔はリンに見せたくなかった。 そして2時間後、俺とリンが臨む試合まで10分を切った。 あとはやるだけ。 俺はリンを肩に乗せ、ステージへと歩き出した。 ~鳳凰杯篇その2?~
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戦うことを忘れた武装神姫 その43 ・・・朝。 目覚ましの音に、久遠はけだるそうに体を起こした。 珍しく、神姫たちの助けを借りずともおきられたな・・・そんなことを考えながら立ち上がり、机上のクレイドルで寝ているエルガを突付いて起こす。 「おはよう、エルガ。」 ゆっくりと起き上がったエルガは、ごしごしと大きな瞳をこすりながら久遠を見上げると。 「・・・ごしじんさまのことは、にゃんとおよびすればいいでしょうか?」 着替えようとシャツを脱ぎかけていた久遠の動きが止まった。 「ちょ・・・え・・・エルガ・・・?」 「ごしじんさまのことは、にゃんとおよびすればいいのでしょうか」 セットアップの時の、まさに機械的な音声で応える・・・いや、反応するエルガに、久遠の顔色が変わった。 強制リセットがかかったのか、はたまた何かのエラーが起きたのか・・・戸惑う久遠だったが、ふと思い出したかのようにイオの姿を捜し求めた。 「あいつなら・・・神姫の技術的なことに関してはあいつが一番知っているから・・・何か、何か知っているはずだ!」 ワタワタとうろたえながら部屋を見回せば、イオは本棚に置かれたスコッチ辞典の脇に置かれたクレイドルで寝息を立てていた。半ば叩き起こすかのようにイオを起こす久遠。 眼を開いて顔を上げたイオに、久遠は少し上ずった声で話しかけた。 「イオ、起きて早々ですまないが・・エルガの様子がおかしいんだ、ちょっと診てくれないか?」 すると、イオは・・・。 「マスターの事は、なんとお呼びすればよいのでしょうか。」 再び、久遠の動きが止まった。 「イオ、い、いま何と・・・」 だがその声に対しても、 「マスターの事は、なんとお呼びすればよいのでしょうか。」 と、イオはエルガと同様に機械的な反応を繰り返した。 (まさか・・・。いや、しかし・・・) 全身の血の気が引くような感覚に襲われた久遠は、最後の望みであるシンメイを呼んだ。イオほどの知識はないけれど、神姫の損傷診断能力スキルは十二分に持つシンメイなら・・・っ! 「シンメイ、シンメイ! 起きているんだろ?」 今日は目覚まし当番のシンメイ、早めに起きて食卓辺りにいるはず・・・。だがしかし返事はない。どこにいるものかと探せば、食卓に置かれた大型の共有クレイドルの上でスリープスタイルに。 久遠の背中に、悪寒が走った。 恐る恐る声をかける久遠。 「シンメイさーん・・・。」 すると、シンメイは静かに顔を上げ、瞳を開けると。 「マスターの事は、なんとお呼びすればよいのでしょうか。」 * * * ・・・朝飯を食べることも忘れ、部屋のカーテンを開けることも忘れ。久遠は3人を食卓の共有クレイドルに乗せて再びスリープモードとして、傍らに置いたネットブックで必死に調査をしていた。だが有力な答えは得る事が出来ず。ぐしゃぐしゃと頭をかき、檻の中の熊のように家の中をグルグル歩いたかと思えば、再び座って検索・・・。 そうこうしているうちに迫る出社時間、久遠は大きなため息をつき、神姫たちと、神姫たちが寝ていたクレイドルをバッグに詰めた。 春らしくない寒空の下、神姫たちを詰めたバックを下げた久遠は、出社前に東杜田技研へ立ち寄ると守衛に頼みCTaを呼び出した。 しばしの後やってきたいかにも徹夜明けといった姿のCTaは、面倒くさそうにしながらも久遠の語った今朝の出来事をしっかりと聞くと、「調べるだけ調べてみる」と言いながら、神姫たちとクレイドルを久遠から預かった。 仕事にろくに手が付かず、どことなく上の空のまま時間を過ごし、退社時間になるや否や飛び込みの仕事もガンと拒否し、大急ぎで東杜田技研へ。 すると、図ったかのように入り口で待っていたCTa。 どうだったか、とバイクから飛び降りながら聞いてくる久遠に、CTaは軽く肩をゆすりながら笑みを浮かべて。 「基本的に異常は無しだなー。 ・・・ま、今日1日くらいは神姫たちを寝かせてやれ。明日には直るだろうよ。」 と言いながら久遠に、神姫たちとクレイドルが入ったカバンを手渡した。 そしてまた忙しそうに、工場内へと消えていった。 帰宅した久遠は、机の上にそれぞれのクレイドルを並べ、神姫たちを再びスリープ状態として並べた。 静かに眠る3人を前に、久遠は再びネットブックで、思いつく限りの調査を開始。神姫本体から、クレイドルの不調、果てはくれイドルにつながるケーブルへのノイズ干渉・・・。しかし有力な結果を得られぬまま、やがて久遠はいつの間にか眠ってしまっていた。 翌朝。 「にゃーさん、はやくおきるの! おきないと遅刻するの!!」 久遠の耳に響く聞きなれた声、そして耳たぶを引っ張る何か。 「にゃーん!! 起きないと、魚肉そせじ全部食べちゃうよ?」 ・・・間違いない、この声の調子は・・・ 「・・・エルガ!」 「うぉ・・・にゃーさんなにをするやめろくるしい・・・むぎぅ・・・」 久遠はエルガを手にしてほお擦りをしていた。 すると、今度は久遠の肘を何かが突付いた。 「あの、マスター。お楽しみのところ申し訳ありませんが、今日は早番だったかと・・・。」 そこには、タッチペンを手にながらPDAの週間予定表を指し示すイオの姿。 「良かった・・・元に戻ったのか・・・っ!!!」 イオの頭を撫でようと、久遠がエルガを開放し手を伸ばすと、 「もう・・・はやくしてください!今週は皆で朝ごはんを食べようって決めたじゃないですか。」 と、今度はシンメイが、エプロン姿でやってきた。 シンメイの姿を確認した久遠は、眼に涙を浮かべ、何も言わずに大きく頷き、神姫たち3人と共に食卓へと向かった。 ・・・しかし、昨日のアレはいったいなんだったんだろう・・・? CTaは何か知っている感じだったが・・・まぁいい、そのうち時間がある時にゆっくり教えてもらうとしよう。いまはただ、皆がいることを喜びたい・・・! そう考えながら、朝食のためのフレンチトーストを手際よく作る久遠なのであった。 * * * 「・・・ということが、3年前にあったのさ。」 H市のバー。久遠は、リゼと共に酒を楽しんでいた。 3年前の4月1日に、久遠に降りかかったエイプリルフールのネタ。今でこそ笑える話だけれどね、と〆た久遠の話を、リゼは興味深く聞いていた。 「それにしても。ずいぶんと手の込んだエイプリルフールネタを振ってきたんだねぇ・・・。」 と、小さなグラスに注がれたモルトを傾けるリゼ。 「まったくだよ。 『あの焦り具合がとってもキュートでした』なんて、しばらくの間シンメイにまで言われてたんだぜ。 しかも、その入れ知恵したのがCTaだっていうんだから、もうね・・・。」 「まー、確かに全員がリセットなんてなったら、ヌシさん悶絶して爆発するでしょ」 「そうだなぁ。爆発はしないまでも、どうかなるかもしれないな。」 久遠もまた手元のグラスを傾け、さらに数日後に、CTaの神姫である沙羅とヴェルナからネタばらしをされた時のことを教えた。 結局、エイプリルフールに絡めたネタ、演技だったわけだが、数日前から入念に準備を進め、CTaのところに駆け込むという流れまでも計算し、エルガは喋り方の練習までしたとか・・・。 それらの経緯を手元のグラスを空にしながら久遠が教えると、リゼは楽しそうにクスクスと笑った。 「ヌシさんは変に正直なところがあるからさ。向こうとしても『うわぁ!入れ食い!つられてやんの!』って感じだったんじゃないかな、クックック・・・」 「おいおい、リゼ。それはどういう評価なんだよ。」 苦笑いを浮かべた久遠に、ウインクで返したリゼ。 「で。今年のエイプリルフールは逆襲してやろうってわけだね」 久遠の意を汲んだリゼは、瞳に、隠しきれないワクワクした輝きを見せながら、にやりと笑みを浮かべた。 「そういうこと。 リゼはこういうイベント、好きだろ?」 久遠がメモ帳とボールペンを取り出しつつリゼに振ると、 「ふっふっふ・・・聞くまでもないだろう・・・ この作戦、リゼ様に任せなさい!」 自信満々な顔つきでびしっ!と人差し指を立てた。 「さぁて、逆襲として効果的で、しかし1日で毒が抜けて・・・あとで小噺のネタに出来るような、そんなエイプリルフールに出来るよう、しっかり仕込みをしようかね。」 今日は3月31日。バーの片隅、静かな時の中で。 酒を片手にした二人の作戦会議は、まだ始まったばかり-。 ニンゲンのココロに寄り添い、「嘘」をビタミンとしたいと想う神姫がいる。 そう、ここにいるのは、戦うことを忘れた武装神姫-。 <<トップ へ戻る<<
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研究室 恵太郎の通う大学には十三の研究室があり、それぞれが異なるアプローチで神姫を研究している 四年生は一年間研究室に所属し、卒業研究をする。一年からでも希望するならば所属できる 第一研究室 研究内容『小型アクチュエータの改良・発展』 大学で一番最初に出来た神姫専門の研究室 神姫の内部駆動系を専門に扱うところで、在籍する神姫は全て標準装備というのが特徴 また、神姫バトルで初期から参加していた人間が多いのも特徴で神姫に対する過剰な装備を嫌う そのため、第十三研究室とは仲が悪い 所属学生 ・君島ましろ 所属神姫 ・アリス 第二研究室 研究内容『神姫における格闘武器の研究』 第一研究室同様に大学最古の神姫専門研究室 ストラーフやマオチャオなどの近接型神姫の武装を専門に扱う 主な研究内容は近接武器・装備の開発やら研究やら 「拳と拳で語り合う」が合言葉だが第三研究室と仲が悪い訳ではない 所属学生 ・桜木 陽光 所属神姫 ・ティンダロス 第三研究室 研究内容『神姫における射撃武器の研究』 第一、第二研究室同様に大学最古の神姫専門研究室 第二研究室の銃火器版研究室で、とにかくロマンに溢れた研究室 代表作はリボルバーとレールガンと多薬室砲を組み合わせた複合兵器 『回転弾倉式電磁加速多薬室砲』 その他に、射撃をサポートする機器・装備にも力を入れている 所属学生 ・東 丈一 所属神姫 ・コロナ 第四研究室 研究内容『神姫における光学兵器の研究』 神姫の武装、特にビーム兵器専門の研究室 神姫サイズの荷電粒子砲を作ったり、レベルは高い しかし、完成直後に第十三研究室に持ってかれた 第五研究室 研究内容『神姫用火薬の開発・研究』 神姫が用いるハンドガンやミサイルなどに用いる火薬を開発・研究する研究室 テンションの高い学生が多いのが特徴 代表作に『収束拡散式焼夷弾』がある 第六研究室 研究内容『小型電池の改良・発展』 神姫の内部・外部問わずバッテリーの研究をする研究室 燃料電池の小型化に成功した直後、第十三研究室に持ってかれた 第七研究室 研究内容『人間に代わる労働力としての神姫』 研究内容は建前で、実は神姫と人間が同格に存在できる方法を模索する研究室 第六研究室とは深い繋がりがあったりなかったり 責任者 ・西条 進 助教授 ※この設定は三毛猫観察日記よりお借りしています 第八研究室 研究内容『武装神姫に対する衝撃緩和』 武装神姫、という機械を故障から守る為の研究をする研究室 神姫としての輪郭・機能を持たせたままで、如何に耐久性を上げるかが命題 第九研究室 研究内容『武装神姫の発声装置の改良・発展』 武装神姫の『声』に着目した研究室 15cmというサイズに合った発生装置と、ノイズの少ない音声を製作する事に心血を注ぐ研究室 研究室がら、歌う神姫やバンドを組む神姫が多い 所属学生 ・世良田はじめ 所属神姫 ・スクービー 第十研究室 第十一研究室 第十二研究室 研究内容『武装神姫の意思』 機械である筈の武装神姫が、本当に心を持ったような事例が少なからず存在する事から発足した研究室 情報的分野と心理学的分野と哲学的分野が内在する混沌とした研究室 第十三研究室 研究内容『神姫バトルに置いての有効な装備』 大学初の神姫バトル専門の研究室 大学側からは武装に必要ならあらゆる資材・部品を要求可能で、ある程度は他の研究室からの援護が受けられる 所属する学生は初めにある程度指向性を持った装備を渡され、それと同系統の装備を研究・開発し、バトルで成果を上げなければならない アル・ヴェルは『飛行性能』蒼連華は『近接格闘』、トリスは『電子戦』それぞれに特化した装備を持つ 責任者 ・荒川 法介 教授 所属学生 ・佐伯 裕子 ・佐伯 裕也 ・高野 孝也 所属神姫 ・アル・ヴェル ・蒼蓮華 ・トリス 戻る
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砲台型フォートブラッグ コアユニット: 得意武器 ランチャー(大得意)、短銃、機関銃 苦手武器 剣、投刃 素体: LP SP 攻撃 命中 回避 防御 機動 重装 暗視 水中 耐熱 ○(3) △(1) ○(3) ◎(6) ○(3) ○(4) △ ○ ◎ △ ○ 基本装備 武器 名称 系統 重量 攻撃 命中/HIT数 射程 必要 準備 硬直 スタン ダウン スキル・効果 属性 備考 FB0.9V アルファ・ピストル 短銃(両):中 2 250 150/2HIT 100~200 - 40 80 0 40 [反]スマートショット ミリタリー - FBモデル M16A1アサルトライフル 機関銃:中遠 4 340 65/6HIT 150~300 - 90 120 0 80 [攻]敵陣突破 ミリタリー - FB256 1.2mm滑腔砲 ランチャー:遠 6 480 40/1HIT 200~400 - 220 220 80 120 - ミリタリー 砲撃体勢(6)/6 防具 名称 系統 重量 防御 対スタン 対ダウン 索敵 回避 機動 攻撃 命中 対水 耐熱 必要 スキル NORMAL 属性 備考 FB-CPC 胸部プロテクター ボディ 2 10 - - - - - 10 - - - - [特]射撃ダメージダウンLv1 ○ ミリタリー - FB-RP3b ビボッド L/R フット 6 80 20 30 - -10 -20 - - - - - - × ミリタリー - FB-RP3c コンソールパネル アセンブル 0 - - - 5 - - - 10 - - - - ○ ミリタリー 砲撃体勢(3)/6 FB-RP3f フットペダル /L アセンブル 0 - - 5 - - - - - - - - - ○ ミリタリー 砲撃体勢(4)/6 FB-RP3f フットペダル /R アセンブル 0 - - 5 - - - - - - - - - ○ ミリタリー 砲撃体勢(5)/6 FB-RP3s スタンド アセンブル 1 - - 20 - - - - - - - - - ○ ミリタリー 砲撃体勢(2)/6 FB-WP2 汎用プロテクター L/R アセンブル(肩) 2 20 - 5 - - - - - - - - - ○ ミリタリー - FB-WP4 汎用プロテクター L/R アセンブル(腕) 2 20 - 5 - - - - - - - - - ○ ミリタリー - FB-WP7 汎用プロテクター L/R アセンブル(腿) 2 20 - 5 - - - - - - - - - ○ ミリタリー - FB-HP4+ 砲撃用ヘルメット ヘッド(前) 2 20 10 20 20 - - - - - 10 CAN専用 - × ミリタリー -