約 16,372 件
https://w.atwiki.jp/83452/pages/8236.html
【第九話:一蓮托生】 澪「ぐうっ……く、苦しい……」 見た私は見た。 澪「やめ……やめてっ……」 いくら待っても姿を現らわさない律の姿を私は見た。 暗闇の中、蛍の光りのような淡い光を放ちながら私の首を絞める律の姿を見た。 澪「苦しい……ぐるじっ……」 確かに律の姿を私はこの目で見た。 …… 梓「はぁー……」 お腹が減り過ぎて絵を書く気にもならない。 梓「団子が食べたい…」 何故、私はこんなにも金が無いのだ。 紬「梓ちゃーん!」 梓「……ん?」 どうやら来客のようだ。 家の外から紬さんの声が聞こえた。 梓「どうしたんですか?」 紬「饅頭怖くない?」 梓「いえ怖くないです」 紬「私には梓ちゃんが饅頭を恐れてるように見えるわ~」 何を言ってるのか全く理解が出来ない。 梓「何で私が饅頭を怖がるんですか?」 紬「素直に饅頭怖いと言っていれば梓ちゃんに饅頭をご馳走したのに……」 あぁ……成る程、落語か全然気付か無かった。 梓「饅頭怖いです!」 紬「じゃあ一緒に饅頭を食べに行きましょう!」 梓「え?……いいんですか?」 紬「勿論よ」 この前の団子の時もそうだが紬さんは人に色々と食べ物をご馳走するのが好きらしい。 有り難いのだが何か裏がありそうで怖い。 紬「早く行きましょう!」 梓「あ、はい!」 まぁ、タダで饅頭が食えるのだ。 先の事は考えないようしよう。 饅頭屋に辿り着いた私と紬さんは席に座り饅頭を頼んだ。 梓「饅頭なんて久しぶりに食べますよ!」 紬「売れない絵師だからあんまり饅頭が食べれないのね!」 梓「失礼な!頑張って絵を書いてるんですからね!」 紬「梓ちゃんの絵って見ていて面白くないのよね~」 梓「なっ……何ぃっ!」 紬「色使いも下手だし……この前に見た燕の絵なんて死んでいる燕を見ているみたいだったわ~」 随分と真っ直ぐに色々と言ってくれる……。 梓「あはは……」 紬「まぁ頑張ってね梓ちゃん!」 梓「はい……」 紬「あ、ほら!饅頭が来たわよ~」 梓「饅頭!」 梓「饅頭……美味しいです」 紬「そう?よかったわぁ~」 梓「紬さんも食べないんですか?」 紬「口の中に物を入れて話さないの」 梓「あ……すみません!」 紬「私は饅頭は食べなくていいわぁ~」 梓「そうですか。じゃあここにある饅頭は全部……」 紬「梓ちゃんのよ~」 梓「本当ですか!ありがとうございます!」 紬「これで梓ちゃんは私の助手になったわね!」 梓「ぶっふーっ!」 思わず饅頭を吐き出してしまった。 今……この人は何て言った? 梓「じょ……助手?」 紬「梓ちゃんは今日から私の助手よ~」 梓「へ?それは一体どう言う意味ですか?」 紬さんは饅頭を指差した。 梓「あ…………」 紬「私の助手になれば饅頭沢山食べられるわよ!」 梓「饅頭……沢山……」 紬「毎日毎日、饅頭が食べられるわよ?団子も食べられるわよ?」 梓「饅頭……団子……」 紬「もっと沢山食べたいわよね?」 梓「饅頭……団子……沢山食べたい……」 紬「じゃあ助手になる?」 梓「な、なります!」 紬「それじゃあ決定ね~」 食べ物につられて助手となった分けだが……何とも情けない話だ。 梓「はぁ……」 まぁいいだろう。 探し物を探すだけで饅頭や団子が沢山食べれる。 以外と悪くは無い話なのかも知れない。 紬「あら?饅頭もう全部食べ終わったの?流石、食いしん坊の梓ちゃんね!」 何度でも言うが私は食いしん坊では無い。 ただ、死にそうなぐらい腹が減っているだけだ。 紬「それじゃあ探し物を探しに行くわよ」 梓「えー!もうですか!」 紬「当たり前よ。ほら、早くと立ち上がって」 梓「はぁ……分かりました」 紬「梓ちゃん凄い怠け者ね~」 私は怠け者じゃない。 飯を沢山食った後は動くのが面倒なだけだ。 梓「あ、そう言えば何を探すんですか?」 紬「澪ちゃんの恋人よ~」 梓「澪さんの恋人……?」 澪さんに恋人なんていたのか……。 行方不明にでもなったのだろうか? 紬「頼まれた日から探しているんだけど中々見付からなくてね~困ってるの」 梓「へぇ~何時、頼まれたんですか?」 紬「去年の夏よ~」 梓「去年の夏!?」 紬「そうよ~本当に見付から無いの~」 私のむったんや憂の布を探し当てた紬さんでも見付けられない物があるみたいだ。 でも、この人が見付られないんじゃ……私が手伝っても無駄だと思うんだけどなぁ。 梓「澪さんの恋人ってどんな人なんですか?」 紬「分からないわ~律と言う名前と女性って事は分かってるんだけどね~」 あぁ……そうか。 澪さん目が見えないから容姿を伝えようにも伝えられないのか。 梓「ん?……女性?」 紬「どうかしたの?」 梓「あれ?女性って言いました?」 紬「言ったけどそれがどうしたの?」 梓「澪さんの恋人を探すんですよね?何で女性なんですか?」 紬「澪ちゃんの恋人は女性なのよ~」 梓「は、はぁ?それって……同性愛ですか?」 紬「そうよ~いい物よね~」 ここは突っ込まないようにして置こう。 梓「澪さんの恋人は女性何ですね……」 紬「あ、こんな所で長話してないで早く行きましょうよ」 梓「は、はぁ……」 去年の夏から行方不明になった澪さんの恋人。 本当に探しても見付かるのだろうか? 梓「まずは何処に行くんですか?」 紬「此処から少し離れた場所に川があるでしょう?そこに行きましょ!」 梓「何で川なんですか?」 紬「澪ちゃんとその恋人はそこで別れたらしいの~」 梓「別れた?」 紬「えぇ!別れたって言っていたわ!」 梓「別れたのなら澪さんは律さんが何処に行くか聞いてるんじゃないんですか?」 紬「さぁどうかしら?私も詳しい事は彼女に聞いていないのよね~律と言う女を探して欲しいとしか聞いていないの~」 梓「名前と性別が分かった所で本当に見付かるんですかね?」 紬「先の事は分からないわ~それじゃあ川に行きましょう?」 梓「あ、はい!」 川へと着いた私達は律と言う女がいないかすぐに探した。 だが、私達以外に人の姿は見えない。 梓「人一人いませんね……無駄足でしたね」 紬「いいえまだ分からないわ!座りながら人が通るのを待って、その人が律さんかどうか聞くのよ~」 梓「は、はぁ……」 紬「日が落ちるまで梓ちゃん聞き込み頼んだわよ!」 梓「えぇー!私がですか?」 紬「……饅頭」 梓「もう……分かりましたよ」 梓「はぁ……でも、此処人通りますかね?」 こんな場所に川があったなんて始めてしった。 紬「時々、来るわよ?」 梓「時々ですか……」 紬「ほらほら!背筋伸ばして!そんなんじゃ探し物を見付けられないわよ!」 梓「うぅ……あれ?」 私の視界の隅っこで何かが動き物影に隠れた。 イタチや猫かと思ったがどう考えても大きさが違う。 梓「今、何かいましたよ」 紬「本当?猫かイタチじゃない?」 梓「いえ……人間一人分の大きさでしたよ」 紬「じゃあ行ってみましょう!律さんかも知れないわ!」 梓「はい!」 私達は物影に隠れた人を見る為に歩き出した……が。 どうやら、そこまで行く必要は無かったようだ。 物影に隠れた人はひょっこりと頭を出し額の汗を拭っていた。 紬「あら?澪ちゃん?」 私が見た人は澪さんだった。 それにしても……額に凄い汗が出ているなぁ。 澪「紬さん……?」 紬「そうよ~澪ちゃんどうしたの?凄い汗ね~」 布を取り出して澪さんの汗を拭いながら紬さんは言った。 澪「髪留めを無くしたみたいで……探しているんです」 あぁ、だからこんなに汗を流していたのか。 紬「髪留めを無くしたの?よかったら私達も一緒に探そうか?」 澪「はい……お願いします」 紬「それじゃあ梓ちゃん探すわよ~」 梓「あ、はい!分かりました」 落とした物を見付ける……そんな簡単な事でさえも目が見えない彼女にとっては、山に落とした針を見付ける事ぐらいに難しい事なのだろう。 私達は目を凝らしと澪さんの髪留めを見付け始め……。 紬「澪ちゃんの髪留め見付けたわよ~」 流石だ早い。 澪「ありがとうございます……見付かってよかった」 紬「いいのよ~」 梓「紬さん早かったですね……」 紬「そうかしら?」 澪「あの……そちらの幼い声の方は?」 幼い声……。 これでも二十歳なのにそんな事を言われるのは始めてだ。 紬「あ、まだ紹介していなかったわね~私の助手であり売れない絵師でもある梓ちゃんよ~」 売れない絵師は余計だ。 梓「こんにちは……貴女の事は紬さんから聞いてます」 澪「そうですか……」 紬「澪ちゃんまた律さんを待っていたの?」 澪「はい……」 紬「本当に何処に行ったのかしらね~全然見付けられなくてごめんね」 澪「いえ、いいんです」 ん?澪さんの首筋に何か黒い痣がある。 よく見てみると人間の手の様な痣だ。 澪「紬さん……?」 紬「なぁに?」 澪「今朝……律を見たんです」 見た?彼女は目が見えていないはずだ。 紬「そう、よかったわね~」 紬さんは澪さんに髪留めを渡しながら言った。 紬さんは澪さんが言った事に疑問を抱いていない……そんな表情をしていた。 澪「だから……此処に行けば律とまた会えるそんな気がして……」 梓「あぁ!私律さんを見付ける為にいい事を思い付きました!」 紬「いい事?」 梓「何で今まで気が付かなかったんだろ……番屋ですよ!番屋に言えばいいんじゃないですか?」 澪「それだけは辞めて下さい!」 澪さんは怒鳴るように言った。 澪「番屋だけはダメなんです……それだけはダメなんです!」 梓「何で番屋じゃダメなんですか?」 澪「とにかく番屋じゃダメなんです……」 行方不明を手っ取り早く探すには番屋に言うのが1番なのに……番屋に頼れない理由が何かあるのか? 澪「お願いします……番屋には言わないで下さい」 梓「わ、分かりました……」 紬「ねぇ澪ちゃん?」 澪「……何ですか?」 紬「澪ちゃんさっき律さんを見たって言ったわよね?」 澪「はい……」 紬「どんな容姿をしてたか分かる?」 澪「分かりません……覚えていないんです」 紬「覚えていない?」 澪「確かにこの目で始めて律を見ました……だけど容姿が思い出せないんです」 紬「そう、それなら仕方がないわね~」 目が見えないのにどうやって律さんを見る事が出来る? 何故、大事な恋人の姿を始めて見たのに思い出せない? 考えた結果、私の頭にある事が思い浮かんだ。 彼女は夢を見ていたのではないだろうか? 私も幸せな夢を見ていて朝起きると全く思い出せない事が多々ある。 例えば夢の中で団子をお腹いっぱいに食べるが、朝起きると夢の中で何をお腹いっぱい食べていたのか思い出せない……そんな事が多々ある。 だけど彼女に貴女が律さんを見たのは夢なんじゃないですか?なんて言えるはずがない そんな事、残酷過ぎてとても私には言えない。 紬「あ、気になっていたんだけどその首の痣はどうしたの?」 澪「首に痣なんかありますか?」 紬「えぇ、まるで人の手のような痣があるわよ」 澪「きっと律の手だ。今朝私の元に現れて律に首を絞められましたから……」 梓「首を絞められた……?」 澪「はい……」 紬「澪ちゃん律さんに首を絞められるような事を何かしたの?」 澪「してないです……」 紬「何もしていない?じゃあなんで大事な恋人の首を絞めるのかしら?」 澪「きっと……律は怒っているんです」 紬「怒っている?」 澪「約束を破ってしまったから……」 紬「律さんと何かを約束していたの?」 澪「はい……これから言う事は絶対誰にも言わないで下さい」 ……全て聞いた。 律さんの親の事も心中死しようとした事も全て聞いた。 澪さんは大粒の涙を流しながら全て話してくれた。 紬「ありがとう全部話してくれて……」 澪「ずっと……罪悪感を感じていたんです……お金も取らず理由も聞かずに律を探してくれている紬さんにずっと罪悪感を感じていたんです……」 紬「ううん、いいのよ……」 澪「ずっと律を探してくれて本当に本当にありがとうございます……」 紬「澪ちゃん今日は疲れたでしょう?家まで送ってあげるからゆっくり休んだ方がいいわ」 澪「はい……そうします……」 紬「梓ちゃん行きましょ?」 梓「はい……」 澪さんにこんな悲しい過去があった何て……私は知らなかった。 そして、彼女の大事な恋人を意地でも探したいと思った。 澪さんを送り届けた後、私達は近くの飯屋へと入った。 梓「澪さん……可哀相ですよね」 心中をしようとして失敗……今も生きているか分からない恋人を探す為に暗闇の中を生き続ける……そんなの悲し過ぎる。 紬「梓ちゃん?」 梓「はい……どうしたんですか?」 紬「律さんが見付からない訳がわかったわ」 梓「……え?」 紬「死人に口無し……いくら私でも広い川の中に沈んだ死体を探すのは難しい……」 梓「それって……」 律さんが死んだって事なのか? 紬「探すのを投げ出した分けじゃないわ……これは飽くまで私の予想よ」 梓「じゃあもしかしたら律さんは生きているのかも知れないって事ですか?」 紬「可能性は低いわね……」 梓「……じゃあ澪さんの首の痣は……アレは律さんが付けたんですよね。それが本当なら律さんは生きているはずです!」 紬「そうね。生きているといいわね……」 紬さんは何かを悟っているような口調で私に言った。 紬「私も律さんに生きていて欲しいわ……澪ちゃんの為にもね」 紬「そろそろ行きましょうか」 梓「行くって何処にですか?」 紬「澪ちゃんの家よ。私の予想が当たっていれば今夜律さんの行方が分かるわ」 梓「ほ、本当ですか!?」 紬「多分……律さんの姿は生か死か今日、全てが分かる」 第九話 おわり 11
https://w.atwiki.jp/wiki6_piro/pages/4838.html
山びこ温泉まんじゅう やまびこおんせんまんじゅう 群馬県草津町の草津温泉にある和菓子店。 湯畑に隣接している。あげ饅頭で有名。 所在地 群馬県吾妻郡草津町大字草津118-2 時間 7 30~21 00(冬期は~20 00) 定休日 火曜 2010-03-22 あげ饅頭(150円) 関連項目 この項目のタグ 2010年3月22日 名物 和菓子 土産 温泉まんじゅう 群馬県 草津町 銘菓 タグ「草津町」がついた項目 2007年11月3日 / 2007年11月4日 / 2007年秋合宿 / 2010-03-21 / 2010-03-22 / 2012-08-27 / 2012-08-28 / 大阪屋旅館 / 草津温泉 / 草津ガラス蔵 / 光泉寺 / 国道292号 / 西の河原公園 / 西の河原露天風呂 / 白旗の湯 / 地蔵の湯 / 上州の宿 / 殺生河原 / そばきち西の河原店 / 千代の湯 / 松むら饅頭 / 道の駅草津運動茶屋公園 / 民宿美津木 / 山びこ温泉まんじゅう / 湯釜 / 湯畑 / 弓池 / 夢花 タグ「温泉まんじゅう」がついた項目 松むら饅頭 / 山びこ温泉まんじゅう
https://w.atwiki.jp/futabayukkuriss/pages/1040.html
肉まんと出かけよう 完全版 41KB カオス ギャグ 世紀末 前編と統合 *量が半端だったので、前編と統合しました *前編は少しだけ手を加えましたが、大筋は同じです *やっぱり、北東ネタを含みます *HENTAI? *高性能ゆっくり注意 *後編から読みたい方は、☆ここから☆ と書いてあるところから読んだらOK 「う~? おでかけ~!? れみぃも行きたい~♪」 外出しようとしたら、我が家の奴隷肉まんが纏わりついてきた。 監禁生活も早一週間になろうというのに、こいつときたら未だに彼我の実力差を理解していないとみえる。 家にいる間は常に俺に付き纏って隙をうかがい、外から帰ってきたときはいつも首元に飛び掛って絞め落とそうとしてくる。 その度に、こいつの大嫌いな頭ワシャワシャの刑や南斗虐指葬(easy)で虐めているというのに、一向に改善する気配がない。 もしかしたら、こいつはマゾなのかもしれない。 「おねがいだどぅ~。れみぃ、お兄さんが住んでるまちのこと知りたいから、えすこーとしてほしいの~」 そういえば、こいつは純粋なこの町生まれの野良肉まんではなかったな。 俺が住んでいるこの「紫町」は、多数の饅頭が生息する自然に囲まれており、時折、野生の饅頭が訪れることがある。 餌がなくなった家族、協定を結びに来るドス、人間の町に根拠不明の憧れを抱く若人など、バリエーションも様々だ。 こいつも、そんな元野生の肉まんであり、うっかり人間の町に迷い込んで帰れなくなったという間抜けな奴だ。 外出する用事もこの肉まん関連なので、ついでにこの近辺を案内してやるのもいいかもしれない。 「うー☆ やったどぅ! お兄さん好き好きー!!」 褒めたところで、プリンは一個しか買ってやらんぞ、れみりゃよ。 『肉まんと出かけよう 前編』 葉の散ってしまった街路樹が立ち並ぶ大通り。 肉まんが逃げ出さないように、その小っこい手をしっかりと握り締めて歩く。 のっしのっしと往来の真ん中を進んで行くと公園に辿り着いた。 最早、虐SSのお約束だが、この公園には多数の野良饅頭が生息している。 肌を寄せ合い、ゴミを漁って生きることしかできない汚物の集団ではあるが、それ故に生き汚いゲス共が多く、注意が必要な場所でもある。 特に奴隷饅頭にとっては、ゲス饅頭及び、そいつらを消毒に来る火炎放射モヒカンにも注意を払う必要があるので、決して一人で来てはいけない大変危険な場所だ。 「う、う~。こわいとこだどぅ……」 そう説明してやったところ、意外にもすんなりと理解したようだ。 普段も、この聡明さを発揮して、俺に引っ付いてくるのを止めてくれればいいのだがな。 そんなことを考えていると、これまたお約束なやり取りが聞こえてきた。 「くずめーりんのくせに、にんげんにかわれてるなんて、なまいきなんだぜー!! ゆっくりしないで、そのバッジをよこすんだぜー!!!!」 「れいむたちがめーりんのかわりにゆっくりしてあげるんだから、こうえいにおもってね!! あと、あまあまちょうだいね!!」 「じゃ…じゃお!! じゃ…じゃお~~!!」 はいはい、テンプレご馳走様。 俺が激辛中国饅頭を助けるとでも思ったか? 助けんよ。 「うー? お兄さん、あのもんばん、かいゆっくりだけど、ほっといていいの?」 虐められているのが普通の奴隷饅頭なら助けたであろうな。 虐めを傍観していたのが飼い主にバレたら、訴訟問題になりかねん。 だが、あいつの飼い主は俺の知人であり、あの饅頭自体は相当なゲス饅頭だ。 助ける気にもならんし、助ける必要もない。 「でも、でも、たすけてほしそうにしてるどぅ~。さっきだって 『や…やめてくれ!! た…たのむ!!』 って言ってたどぅ」 ならば益々助ける必要がない。 「ゆっへっへ、そろそろとどめな「じゃおーーん!!(喰ぅらいやがれーーー!!) ぶっ!!」 ゆぎゃぁぁぁぁぁぁ!!!! がらい!! あづい!! がらい!! あづいーーーーーーーー!!!!!!」 「まじざぁぁぁぁぁぁぁ!!!?」 止めを刺そうとして隙だらけになっていた黒帽子饅頭は、中国饅頭が吐き出した液体――ラー油をもろに喰らった。 辛味が致死性の劇物に相当する通常種の饅頭にとって、あれはさぞかし辛いであろうな。 そんな苦しみを味わっている黒帽子饅頭を尻目に、中国饅頭は帽子の中からマッチを取り出して点火する。 口だけを用いて壁に擦りつけて点火するなど、何気に器用な奴だ。 何故、マッチを出したか? この状況でこいつがやりそうなことといえば、これしかなかろう。 「じゃおー!!(ヒャッハー!!)」 「ゆぶぇーーーーーー!! あづーーーッ!! まじざのおぼうじがぁぁぁぁ!! さらさらへあーさんがーーーーー!!!!」 「じゃお? じゃーお? じゃーお!! じゃおーじゃじゃじゃじゃお!!(どうだ? くやしいか? くやしいか!! ヒャーッハッハッハー!!)」 「ゆ、ぎ、ぎ……」 「じゃお、じゃお(燃えろ、燃えろ)!! じゃおじゃおじゃじゃおじゃおーーーー!!!!(レイパーのぺにぺによりも醜く焼け爛れろーーーー!!!!)」 ラー油に点火した炎は瞬く間に燃え広がり、あっという間に饅頭の帽子と髪を焼き尽くして、焼き饅頭が出来上がった。 辺りに、饅頭の甘い匂いとラー油の焦げる香ばしい香りが広がっていく。 饅頭の顔面には、悔しさとも苦しみともとれる奇妙な表情が張り付いていた。 もっとも、目も口も焼け爛れて、醜いことに変わりはないが。 それにしても、ガソリン並みによく燃えるラー油だったな。 「じゃおじゃおじゃお、じゃおーーーん!!(ゆっへっへ、ちぇんの兄ぃのとこに持って行く、いい土産ができたぜ!!) じゃおじゃじゃお!!(出来の悪いお兄さんも喜ぶに違いない!!) じゃ、じゃおじゃじゃじゃおじゃお(さて、残った貴様にも生き地獄を味わわせてやる)!!」 「ゆー!? やめてね!! れいむはにんぷさんなんだよ!! しんぐ「おい!! めーりん!! 勝手に先に行くなと言っただろう!!」 ゆっ?」 「じゃじゃーーーおじゃおっじゃじゃおじょじょじゃーお!! じゃおじゃおおおうじゃおう!! (見舞いの品選びに時間をかけすぎるお兄さんが悪いのだろうが!! 本当に愚図な飼い主め!!)」 焼き饅頭が出来上がったところで、ようやく飼い主がやって来た。 その飼い主と口論を始めた中国饅頭を見て、恐怖に引き攣っていた赤リボン饅頭の表情が元のふてぶてしいムカつく顔に戻っていく。 中国饅頭から自分を助けるために、奴隷が来たなどとでも思っているのだろうか? 思っているのだろうな。 「おそいよ!! じじい!! さっさとそのくずめーりんをころし「万重残悔拳!!!」 ゆび!! いだいーーーー!!!!」 何事か喚こうとしていた饅頭の両米神に、お兄さんの親指が深々と突き刺さっていた。 「どぼじでごんなごどずるのぉぉぉぉぉ!!!?」 「お前は、俺の可愛いめーりんをクズと言った。生かして帰すとでも思ったのか?」 「じゃ、じゃじゃじゃじゃお!! じゃじょじゃおじゃおじゃおーん!!(な、なに恥ずかしいこと言ってやがる!! 真顔で、んなことを言うんじゃねー!!)」 当然と言えば、当然の帰結か。 奴隷とはいえ人間の庇護下にある饅頭だ。 糞汚い野良如きがクズ呼ばわりして、生きていられるほど甘い世界ではない。 「うるざいー!!! ざっざどごのぎだないゆびを……」 「この指を抜いてから三秒後に、お前は干乾びるまで奇形饅頭とうんうんをひり出し続けて死ぬ」 「やべてぇぇぇぇッ!! ぬかないでーーーーー!!!!!」 すぼっ 「ゆがぁぁぁぁぁ!!!!!!!」 おもしろい、ならばその3秒、俺が数えてやろう!! ひとーつ 「ゆぎ!! あがぢゃん!!? どぼじでゆっぐりじでないの!!? おがあざんのながであばれないでね!!!!」 ふたーつ 「ゆぐう!!? う、うばでどぅ!!!?」 みーっつ!! 「ゆぎゃぁぁぁぁぁ!!!! なんなのごれぇぇぇぇぇぇ!!!!!」 野良饅頭のまむまむからにゅるんと産まれて来たのは、紛うことなき饅頭であった。 飾りも、髪も、目も、口もない。 それらは、外気に触れた瞬間に一瞬だけぶるっと震えて、たちまち動かなくなった。 生まれついての汚物から正真正銘の饅頭へのクラスアップとは、なんとも喜ばしいことではないか。 「うんうんがどまらないーーーーーー!!!! だれがぁぁぁぁ!!! だれかかわいいれいむをだずげでぇぇぇ!!」 母親も、尻から汚物をひり出して喜んでいる。 だが、公共の場で公開スカトロとは感心できん。 我が家の肉まんが真似しないことを祈るばかりだ。 「誰かと思ったら、お前か。久しいな。それと、そっちのれみりゃは、お前の飼いゆっくりか?」 飼い主が、やっと俺に気づいたようだ。 気配を絶っていたとはいえ、暗殺拳法の伝承者がこれでは先が思いやられる。 あと、こいつは飼いゆっくりなどでなない。 奴隷饅頭だ。 勘違いするな。 「……そうだったな、お前は、そういう奴だった」 分かればいい。 ペットの饅頭など、奴隷饅頭で十分なのだ。 それにしても、この「秘孔マニアお兄さん」が外出とは珍しい。 普段は、家に篭って人間や饅頭を内側から爆砕する拳法の研究をするか、奴隷饅頭のめーりんと一日中にゃんにゃんしているこいつを公園で見かけるとは思わなかった。 「兄者の見舞いだ。この先の病院に入院していてな」 あー、そういえば、こいつの兄、通称『汚物』は宴席で重症を負って病院に担ぎ込まれたのだったな。 確か、マタタビで酔った猫饅頭に秘孔を突かれて、右側頭部が吹き飛んだとか。 「ああ、あの時は、酷かったぞ。素面に戻ったちぇんは『わからないよー!!』と泣き叫んで兄者に謝り、頭が吹き飛んだ兄者は、ちぇんを必死に宥めようとして傷が悪化するという地獄絵図だった」 なんとも、お間抜けな連中だ。 今すぐにでも病室に乗り込んで大いに馬鹿にしてやりたいところだが、今日はこちらも用がある。 見舞いは後日にするとしよう。 別に、兄弟水入らずで話せるように気を遣った訳ではない。 「ん? そうか、それじゃあ、またいつか見舞いにでも行ってやってくれ。焼き饅頭でも持って」 そう言うと、秘孔マニアは、中国饅頭作の焼き饅頭を回収して、見舞い品であろう果物が入ったバスケットに詰め込んだ。 野良饅頭を人間が食べても平気なのだろうか? まあ、汚物同士、お似合いではあるが。 ところで 「じゃ、じゃお!! じゃおじゃじゃおじゃお!!(おい、お前!! 俺の名を言ってみろ!!)」 「う~? もんばん!!」 「じゃおじゃおーんじゃおん!? じゃおじゃじゃおじゃお(この帽子の星を見ても誰だかわからねぇのか!? もう一度だけチャンスをやろう)」 「うぅぅぅ……、うー☆ ちゅうごくー♪ ちゅうごくー♪」 「う…んうんど…まった……ぁ……」 この饅頭共は、何をしているのだ? ―――――――――――――――――――――――――― 秘孔マニアと別れて、しばらく道なりに進んでいくと、今度は空き地が見えてきた。 放置された建材に、積み上げられた土管三つという昔懐かしの空き地だ。 やはりというかなんというか、ここにも饅頭共はいた。 「あひあほおしえおんあおおおお!!!」 「お前のために狩ってきた饅頭なのぜ! どうだ!? うまそうだろう?」 土管の上で、目だけしか残っていない饅頭を持ってきた金髪饅頭が対面に座っている饅頭にモーションをかけていた。 この金髪饅頭、どこにでもいる野良饅頭とは少々様子が異なる。 野良にしては体に負った傷が少なく、汚れも付着していない。 声も、甲高いゆっくり饅頭の耳障りな鳴声に比べると野太く、発音も人間のそれに近い。 しかし、一番目を惹く点といえば、帽子を被っていないことであろう。 野良、野生、奴隷の区別なく、ゆっくりにとっての飾りとは、命の次に重要なものだ。 これがなくなっただけで正体不明の焦燥感に駆られ、仲間からは排斥され、ダウ平均株価が低下するという。 ところが、この饅頭の表情はどうだ。 目には力強さと執念の炎が宿り、口元には常に余裕の笑みを湛えている。 これこそが「ゆっくりしている」ということではないだろうか。 そんな変り種饅頭がモーションをかける相手なのだ。 そいつも普通の饅頭ではない。 「ゆっふっふ、ふらん、お前は相変わらず美しいのぜ~♪」 「しね!! ゆっくりしね!!」 被捕食種は、捕食種に対して熱をあげていた。 通常、成立するはずもないカップリングが成立しているのは、ひとえにこの金髪饅頭が強いことに起因している。 直径30cm程度の体で、10m級のドスの体に巨大な穴を穿つような饅頭だ。 そう簡単に食われはしないだろう。 「しね!! ふらんにくわれてゆっくりしね!!」 がぶっ、ちゅーちゅー 「ああああいうおああいうああいえーーーーー!!!!」 金髪饅頭の持ってきたプレゼントがお気に召したのか、餡まんはとてもサディスティックな笑顔で饅頭の中身を啜っている。 その姿に満足した金髪饅頭は、饒舌に語りだした。 「女王だ……。お前を女王にしてみせるぞ、ふらん!! 全てのゆっくりがお前の前に平ふす!! そうすれば、お前のきもち「ボグシャッ」ゆばぁ!!」 「うー!! まりさ、うるさい!! しね!! しんでだまれ!!!!」 ほう、体重の乗った見事なれーばてぃんだ。 金髪饅頭の頭がへこんでいる。 普通の饅頭なら、即死していてもおかしくなかろう。 「どうやら…ここまでのようなのぜ……。だが、ふらん!! まりさは、お前の拳法ではしなないのぜ!! サラダバー」 テーレッテー べちゃッ 「ゆべしッ!!」 そう叫ぶと、せっかく拾った命を土管の上から投げ出しやがった。 言いたいことは、色々ある。 拳法じゃねーよとか、土管の上から落ちたくらいじゃ死なねーよとか。 ただ、毎回、遭遇する度に同じようなことをしているこいつらに指摘してやるつもりはない。 そのぐらいで、こいつらの行動様式が変わるとは、到底思えないからだ。 「お……お、そこにいる…のは、まりさの同志ではないか……。ゆっく…りしていって…ね。あと、できれば助けてほしいのぜ……」 誰が同志だ、馬鹿饅頭。 市の役員は、この危険な饅頭が駆除されない理由を 『人間に対して割と友好的な上、悪意を持ったドスなどの危険生物を排除してくれるからだ』 と言っていたが、単に馬鹿すぎて誰も駆除する気にならなかったのではないのだろうかと俺は考えている。 まあ、知らぬ仲でもないので助けてはやるが。 「ゆふー。今度こそ死ぬかと思ったのぜ」 だったら態々、攻撃を受ける必要もあるまい。 こいつほどの身体能力があるなら避けるなり、オーラガードするなりすればいい。 そう言ってやったところ。 「ちっちっち、ふらんの暴力は愛の裏返しなのぜ!! 即ち攻撃を交わすことは、愛を否定すること!! 殉星のゆっくりであるまりさが愛を否定したら、この世は終わりなのぜ!!」 という、すっげームカつく返事が返ってきた。 一瞬、十字陵の漆喰にしてやろうかとも思ったが止めておこう。 今日は用事がある。 決して、ガチバトルをやらかして国家権力の厄介になることを恐れた訳ではない。 ところで 「うー♪ おねえたまだー♪ ふらん、おねえたま『で』あそぶー♪ しねー!! ゆっくりしねー!!」 「うわぁぁぁぁ!! ふらんのお顔がこわい、こわいになってるどぅ!!!! お兄ざーん!! だずげでーーーー!!!!」 餡まんの暴力が愛なら、全国の肉まんはとても愛されているのではなかろうか。 そんな考えが頭を過ぎった。 ――――――――――☆ここから☆―――――――――― 空き地から歩くこと数十分、ようやく目的地に到着した。 饅頭専門のペットショップ『yukkuuりー』 複数のドスによる同時多発テロで生じたグラウンド・ゼロのすぐ隣という最悪の立地条件下にあるため、ここら一帯は閑散としている。 それでも潰れないのは、店主が優秀なためであろう。 ここで、肉まんの飼いゆっくり登録を行うことが今回の外出の主な目的だ。 早速、入店しようとしたところで、店先に停まっている車が目に入った。 泥だらけの軍用ジープ。 こいつを俺は知っている……というか助手席に乗ったことがある。 つまり、「奴」が店にいる。 店内に入って真っ先に目に留まったのは、レジの上に乗っている「もの」だった。 そのもの青き衣を纏いて黄色いレジの上でゆっくりすべし。 青い服を着たそいつは、その言葉を体現するかのようにレジ台の上で横になって、ゆっくりしていた。 水色の髪の下の表情は眠っているようにしか見えないが、こいつの表情は普段からこれだ。 「……」 ペットショップが似合うもクソもあるまい。 饅頭を取り扱ったペットショップは、ここしかないのだ。 「……」 そんなことは、貴様が御執心のきめぇ丸にでも言ってやるがいい。 だいたい我が家のは、肉まんだ。 中身は餡子じゃない。 「うー? お兄さん、だれとおはなししてるの~?」 肉まんが、そんな疑問を持つのも仕方ない。 傍から見れば、俺が独り言を呟いているようにしか見えない。 一応、これでも会話しているのだ。 黙して動かないレジ上の物体「ゆっくりチルノフ」 『鎌田 チルノフ』というのがフルネームなのだが、苗字で呼ぶと怒る。 こいつとの付き合いは今年で八年にもなるが、未だに「めどい」、「おうどんたべたい」以外の言葉を聞いたことがない。 それでも慣れとは恐ろしいもので、今では微妙な表情の変化、身に纏う闘気、室内温度などを即座に分析することで、会話が成立するようになってしまった。 「……」 どうやら今度「ぱしたさん」とやらを奢ってくれるらしい。 そんな風に友と一時の歓談に講じていると、耳障りな雑音が室内に響いた。 「おじさん!! そんなへんにゃちるにょはいいかりゃ、れいみゅをきょきょきゃらだしちぇ、あまあまもっちぇきちぇにぇ!!」 「そうだよ!! そんなばかで、きもちわるいちるのより、れいむとおちびちゃんをかってね!! かいゆっくりになってあげてもいいよ!! かわいくってごめんね!!!!」 クワッ!!!! 声の出所は、二百円で詰め放題な生餌用饅頭が詰まったガラスケースからであった。 俺は、店の商品に対してどうこうするつもりはないのだが、奴らはNGワードを述べてしまった。 このチルノフに対して、それは不味い。 彼女は、普段閉じきっている目をいっぱいに開いて起き上がっていた。 「「「うわぁぁぁぁぁぁ!!!! こわよぉぉぉぉぉぉ!!!!(こわいどぅーーーーーー!!!!)」」」 我が家の肉まんを含めて、その能面の様な顔を見た饅頭どもが騒ぎ始めた。 まあ、仕方ない。 俺だって怖い。 「……」 「こ、こっちくりゅにゃーーーー!!!!」 「へんなかおのちるのは、こっちこないでね!!!!」 ワサワサッ 子饅頭を背に庇った親饅頭は、小生意気にも「もみあげ」をワサワサと気持ち悪く鳴動させて、チルノフを威嚇している。 その折に叫んだ言葉がチルノフの怒りを更に加速させるとも知らずに。 どの道、死ぬことに変わりはないが。 ふよ~っと空を飛んでケースの前に着地したチルノフは、先ほど暴言を放った親饅頭に指を一本突付けゆっくりと振り下ろし……。 「ゆ、ゆう!? ゆびいっぽんでなにするきなの? やっぱりちるのはまるきゅーだ……」 「……」 物凄い速度で振り抜いた。 メリ、メリメリメリ 「ゆぎゃぁぁぁぁおぅろぅるぁぁぁぁぁぁ!!!!」 「「「でいぶーーーーーーーーーーー!!!!」」」 「おきゃあしゃーーーーーーん!!!!」 指先から生じた衝撃は、あまりのスピードのため一気に背中まで突き抜ける。 そのため、こちらからは見えないが、後ろにいた饅頭は見てしまった。 親饅頭が背中から、ゆっくりと裂けていく醜い姿を。 「ゆぎゃぎゃぎゃぎゃ、ぎぎぎぎぎぎ、ぎゅぎゅぎゅぎゅぎゅ、げげげげげげ、ぎょ、ぎょぎょぎょ、ぎょぎょあぁぁぁぁぁぁ!!!!」 汚い断末魔と共に、饅頭がくぱぁっと真二つになった。 どうせ人間に購入されたところで、無残な死以外の運命はなかったのだ。 子饅頭に見取られながら一瞬で逝けて、さぞ幸せであったろう。 それに子饅頭もすぐに後を追う。 寂しくもない。 「ゆぐ、ゆぐ、おきゃあしゃん……、どぼちて、どぼちて、こんにゃこちょに……」 グワッシ 「……」 「ゆゆ!! いやじゃ!!!! しゃわりゃにゃいじぇ!! れいみゅまじゃしにちゃきゅにゃい!!!! しにちゃくにゃ……」 顔面を鷲掴みにされた子饅頭は、見てしまった。 指の隙間から見える、氷のような微笑みを。 そして、悟った。 もう、決して自分が助からないことを。 「なんじぇ……。れいみゅ、まだおいしいもにょ、むーしゃむーしゃしちゃこちょにゃいよ。かっこいいまりしゃとしゅりしゅりしちぇ、きゃわいいあかちゃんといっしょにゆっきゅりしちゃ……」 辞世の句は、最後まで言わせて貰えなかった。 一瞬だけ顔の表面を撫でるようにしてから指が顔から離れ、それに遅れて五本の線が走る。 断末魔すらあげられずに、醜い饅頭は美しく六等分されて崩れ落ちた。 仲間の死体すら貪り食う意地汚い饅頭共も、このときばかりは静かだった。 ケース内の饅頭は恐ろしさのあまり、叫び声すら出せずに汚物を撒き散らし、我が家の肉まんは、情けないことに目を回して気絶していたのだ。 「……」 幾分落ち着いたのか、何時の間にかチルノフの顔は元に戻っていた。 ただし、いつも「ω」な形の口元の困っているような顔は、いつにも増して困った感溢れる顔になっていた。 しばらく首を傾げて考えていたようだが、何事か閃いたのか、肩にかけてある蛙型ポーチの中から百円硬貨を二枚取り出し、それを饅頭の死体に押し込んだ。 なるほど、商品価値は二百円以下なのだから二百円払えば怒られない。 流石は、美と知略の星、妖星のチルノフといったところか。 「いえいえ、怒られない訳ないでしょう。勝手に商品を傷物にしては、いけませんよ」 なんと! 店員さんに見つかってしまった。 まあ、あれだけ饅頭共が騒がしかったのだから当然か。 「……」 「え? いえ、確かに、それはそうですけど……。はぁ、分かりました。では、今回のことは、不問とさせていただきます」 まさか、そう切り返すとは……。 流石は、妖星のチ(ry 「……」 「はい、大変お美しゅうございます。まあ、それは置いておいて、ご購入されるありすをケージに入れて参りましたので、ご確認ください」 そう言って店員さんは、カチューシャ付きカスタード饅頭が入ったケージをチルノフに手渡した。 ゆっくりがゆっくりを飼う…だと……。 と思われる方もおられるかもしれないが、別段不可能ではない。 ただし、それは限られたゆっくりのみに許された特権だ。 そもそも、ただの饅頭には買い物をする権利すらない。 ゆっくり饅頭は、社会的には三種類に分けられる。 一つは、非社会性ゆっくり。 自然の中で生活する野生の饅頭や人間の街に生息する野良饅頭がこれに該当する。 こいつらに対しての説明は面倒なので、一言で述べる。 ただ奪われるだけの存在だ。 もう一つは、飼いゆっくり。 人間の庇護下にある饅頭共であり、最寄りのペットショップで飼いゆっくり登録をしたものだけが該当する。 登録証のバッジは、様々なSSで御馴染みの金、銀、銅が存在するのだが、この町では金や銀を取るための試験が行われていない。 そもそも、腐敗と自由と暴力の町である紫町では、ケツすら拭けない金バッジに何の価値もない。 たとえ飼いゆっくりでも、この町に生息する新鮮で活きのいい虐待お兄さんは平気で牙を向くのだ。 それが逆に、飼いゆっくりに対する自衛意識を向上させており、 この町における飼いゆっくりに対する人的被害の件数は、全国平均に比べると圧倒的に少ないというのだから、虐待お兄さん涙目~な話である。 そして、最後の一つが市民権を持つゆっくりだ。 これには、並大抵の努力でなることは出来ない。 人間社会で生きる上で必要な常識などが細かくチェックされ、さらに社会に貢献できる能力、あるいは才能が必要とされる。 ゆえに、こいつらに対しては俺も最低限の敬意を表す意味を込めて、饅頭という蔑称を使っていない。 このチルノフは、現在メイキャップアーティストをやっている。 氷のような死に化粧が話題を呼び、世界中の戦場を飛び交っているそうだ。 ただ、こいつが市民権を得たのは、職に就いてからではない。 俺が高校に入学したとき、こいつもクラスにいたので、その前から市民権を持っていたようだ。 自分の美しさを貶すモノに容赦しないという悪癖があるものの、それを上回る才能の優秀さを評価された結果である。 ちなみに、空き地にいた帽子なし饅頭は、意外なことに野良だ。 本人が社会の枠に囚われるのを嫌っており、市民権を欲していないためだったりする。 「あ、あなたが飼い主さん? ゆっくりしていってね!! ふ、ふ、ふふ不束者ですが、よ、よ、ヨロシクお願いします!!」 「……」 ケージの中のカスタード饅頭の様子を伺っていたチルノフだが、どうやら気に入ったようだ。 カードで支払いを始めた。 饅頭一個に大金をぽんぽん投じるこいつの感性が理解できない。 曰く、美しいゆっくりに出す金は惜しまないとのことだが。 「さて、次のお客様。大変、お待たせいたしました。今日は、どういったご用件でしょうか?」 チルノフの接客を終わらせた店員さんが笑顔で話しかけてきた。 さっさと飼いゆ登録を終わらせるために、奴隷肉まんを叩き起こして、店員さんの目の前に掲げる。 その瞬間に感じる嫌な予感。 「お、おおおおおおおぜうさまーーーーーーーーー!!!!」 ドンガラガッシャーン 唐突に店員さん――完全で瀟洒なメイドゆっくり「さくやさん」が襲い掛かってきた。 回避したため、ガラスケースに頭から突っ込んだな、コミカルかつ痛そうだ。 それにしても「ザ・ワールド」を使った特攻とは、物騒なゆっくりだ。 時止めバグを持つ俺にとっては、見てから回避余裕だったが。 「お、お、おおおおおのれぇぇぇぇぇ!! おぜうさまの御頭を殴り仕るとは、何たる狼藉ぃぃぃぃぃぃ!!!!」 狼藉もクソもペットに何をしようが俺の自由だろうに。 あと、「仕る」の使い方おかしくね? 「ぺ、ペット!!!? 貴様、おぜうさまにいったい何を!!!? ま、まさか、嫌がるおぜうさまをべっどに連れ込み、おようふくをひん剥いて、こかんのスピア・ザ・グングニルをおぜうさまのひみつのこうまかんに突っ込んでぜんせかいナイトメア……」 「うー? お兄さんとは、一緒にねてるだけだど~?」 あと、ひん剥いたのは事実な(お兄さんと冷めた肉饅 参照)。 「UUURRRRYYYYYYYYYYYY!!!! 何て厭らしい、いえ何て羨ましい!!!! このさくや、お客様とはいえ容赦せん!!!!」 さくやさんがナイフを俺に向けて、言い放った。 おもしろい! PADゆっくりごときが、俺に喧嘩を売るというのなら買ってやろう。 だが、果たしてこの俺を倒すことが出来るかな? 「パ、パッド!!!? 言うに事欠いてPADとは、なにごとですか!!!!?」 ふははははは! そのシリコンに手を当てて聴いてみるのだな。 俺は憶えているぞ。 四年前、高校卒業時に来たときの貴様の胸は、もっと慎ましやかだった。 成体ゆっくりである貴様の胸が、そう簡単に膨らむはずがない。 PADか豊胸手術に決まっている。 「くっ! PAD! PAD! PAD! どいつもこいつもPAD! なぜだ! なぜ『やつ』を認めて、この私を認めない!!?」 当然だろう。 まがいものは、所詮まがいもの。 使い物になるはずがないのだ。 「私(の胸)は、天然だーーーーー!! バストアップ体操を繰り返し、すでに3.5cmのサイズアップに成功している!! 見ろ! この胸を!! うははは!!」 ならば、その胸、俺が確かめてやろう! 「あ、え、ちょっと、ナニを言って……きゃっ!!」 弾力、大きさ、揉み心地、服の上からは、本物としか思えぬ。 最近のゆっくり医療が、まさかこれほどまで進歩していたとは……。 「ひゃう!! も、もうわかったでしょう!? だからやめ、えっ!? だ、だめ!! 服の中はやめて!! ひぅ!!」 肌触りも完璧だ。 まさか、本当に天然物なのだろうか。 いや、そんな馬鹿な! 味もみ……ん? 「きゃーーー♪ だ・い・た・んーなんだどーーー♪」 「こ、これが都会派のトレンド……ゴクリ」 「……」 三対の瞳がこちらを向いていた。 肉まん、指の隙間からこっち見んな。 カスタード饅、全身を真っ赤にして凝視するな。 チルノフ、頬を染めて「あたいの胸なら好きにしていいんだよ」的なことを考えるな。 お、お、お、俺をそんな目で見るなーーーーーーーーーー!!!! ―――――――――――――――――――――――――― 「申し訳ありませんでした!! わ、私は、お客様に、なんて、なんてとんでもないことを!!」 どう考えても俺の落ち度です。 本当にありがとうございました。 一時のテンションに流された結果がこれだよ! 「いえ、元はといえば、私がこの病気を克服できないのが悪いのです」 そう、ペットショップの店員として働いているさくやさんは、ゆっくりさくや故に、肉まんを見ると、SAN値が著しく低下してしまうのだ。 そのため、ここでは肉まんを取り扱っていない。 昨年、地元に帰ってきてから初めて来たので、そのことをすっかり忘れていた。 本当に悪いことをしてしまった。 だが、退かぬ、媚びぬ、省みぬ。 したがって、決して頭は下げぬ。 「え、あ、そうですよ!! ですから、このことは水に流して、お仕事の話をしましょう。れみぃちゃんの飼いゆっくり登録ですね?」 そうだった。 飼いゆ登録に来たのだった。 自転車の防犯登録並みに無意味なものだが、しないよりはましだ。 あと、生餌用のゆっくりを200匹ほど自宅に配送してもらうことにしよう。 別に、罪の意識を感じたから買う訳ではない。 「では、こちらがブロンズバッジになります。再発行の際には、500円かかりますのでお気をつけてください」 塵饅頭二十匹よりも高いのが笑えるな。 とは言っても、餡庫ではバッジ紛失=死亡フラグなのだから、500円を払うことは永遠にない気がする。 敢えて言ったりはしないが。 さて、バッジを頂いたので、さっさと帰ろう。 そう思っていた矢先に、さくやさんがあることを告げてきた。 「あ、そう言えば、一つ言っておくことがありました。あなたの『お師さん』が会いたがっておられましたよ」 ドグン 右胸が一度、大きく脈打った。 「小学校を卒業してから十一年間、一度も会いに行っておられないそうではありませんか。差し出がましいこととは存じますが、一度お会いになられてはいかがでしょうか?」 お師さん、か。 学校の授業で俺に南斗聖拳を教えてくれた体育の先生。 俺が唯一、尊敬するお方。 そして、十数年間ずっと会うのを避けてきた存在だ。 会いたいのか、会いたくないのか自分でも分からない。 ただ、お師さんが俺のことを憶えていてくれたという事実が胸を熱くさせる。 「お兄さんのだいじなひと? れみぃもあってみた~い!」 「……」 肉まんが纏わりつき、チルノフが無言の圧力をかけてくる。 「うーうー☆」 「……」 行かぬ。 「うーうー☆」 「……」 行かぬと言っている!! 「うーうー☆」 「……」 ええい、行く! 行けばいいんだろう! だから、こっち見んな!! ―――――――――――――――――――――――――― チルノフの運転するジープを見送った後、俺たちは目的の小学校へ向けて歩き出した。 ところで、チルノフはあの短い手足で、どうやって人間用のジープを運転しているのだろうか。 結構な頻度で助手席に座っていた覚えがあるが、それだけは未だに分からない。 「ねぇねぇ、お兄さんの小学校はどんなところ~?」 そうだな、到着までにすることもないから説明してやろう。 別に気持ちが落ち着かないから、饒舌になっている訳ではない。 俺の通っていた「極星南小学校」は、全校生徒350人程度のいたって普通の学校だ。 ただし、それは「俺の入学した年以外は」という枕詞が付随した場合の話となる。 今から17年前、現代人の体力低下問題の解決策として学校がとった措置は、南斗聖拳習得をカリキュラムへ導入するという無茶苦茶なものだった。 態々、外部から講師を招き、試験的に六年間の様子見が行われることとなった。 結果? 失敗したに決まっている。 お師さんは、クソ真面目にやりすぎたのだ。 結局、六年の歳月を経てクラスに残っていたのは、一人しかいなかった。 つまり、この俺だ。 その練習過程で数多の野良饅頭が犠牲となった。 そのため、修練場跡地の土からは未だに甘い匂いが立ち上り、 それに引き寄せられた野良が小学生の犠牲となり甘い匂いをより強くするという不思議スポットが出来上がってしまったのは、どうでもいい笑い話だ。 そういった説明を終えたところで、校門前に辿り着いた。 「うーーー!! おっきいお家なんだどぅ!! きっと、すごくおおきい人が住んでるにちがいないど~!!」 アホなことを言っている肉まんを監視しながら、俺はあることに気がついた。 そういえば、今日は休日。 先生も生徒もいるはずがない。 それに気付いた瞬間、すべてが馬鹿らしくなってきた。 俺の決意は、なんだったのだ。 「う? あっちからあまあまのにおいがするどぅ!! お兄さん、はやくいこう!!」 気を抜いた一瞬の隙だった。 肉まんは、俺の拘束が緩んだ隙に修練場目指してカッ飛んでいった。 肉まんに出し抜かれるとは、一生の不覚。 有り余っているブーストゲージをフルに使って追いついたとき、肉まんは誰かに抱えあげられて話をしているようだった。 「あらあら、元気な子ね。私の若いころを思い出すわ」 ドグン また右胸が鳴り出した。 その声、その匂い、その姿、覚えがあるどころの話ではない。 ぴっちりとした服の下から、その姿を主張する逞しい腹筋と豊満な乳房。 紫色の長髪の下には、髪と同色の気だるげな瞳に小さな口。 極めつけは、豊かな下膨れ。 間違いない。 彼女こそ、俺のお師さん。 「ぱちゅり~♪ うっー」 胴付きゆっくりぱちゅりーの「むっきゅりぱちゅりー先生」であった。 「むきゅ? あなたの体もしかして……。いえ、なんでもないわ。それより、あなたの御主人様のご到着みたいよ」 「うー! お兄さーん、れみぃ、おっきなぱちゅりーとお友達になったー!!」 ドグン、ドグン 煩い、静まれ、俺の心臓。 止まってもいい、だから今だけは静かにしてくれ。 「ふふ、お久しぶりね。しばらく会わない内に随分と大きくなっっちゃって。見下ろしていたあの頃と違って、今では見上げないとあなたのお顔も見えないわ」 「ええ、お久しぶりです、お師さん。そう言うあなたは、あの頃と少しもお変わりないようで安心しました」 当たり障りのない返事を返せたが、その実俺はかなり動揺していた。 思わず台詞に「」を付けてしまう程度には。 しかし、本当にお師さんは、あの頃と少しも変わらない。 身長160cmという、胴付きゆっくりにしては長身なお師さんを昔の俺は、いつも見上げていたものだ。 そのお師さんを20cmも上から見下ろすことになろうとは、当時の俺は考えてもみなかっただろう。 「あら、そんなことないわよ。40代になってからは、どうも体のキレも肌のツヤも悪くなる一方でね。むきゅっ、こんなこと弟子に愚痴ることではなかったわね、ごめんなさい」 そう言って笑うお師さんだが、そんなことはないと思う。 鍛えこまれた筋肉の美しさと女らしいふくよかさが、絶妙なバランスで融合した歪みないボディーラインとモチモチした張りのある肌は、十一年前となんら変わりない。 あの頃のことは、今でも鮮明に思い出せる。 ……………………………… 「うぐ!! ガッ、ハッ」 「もうやめちゃうの? だらしないわね」 「お、お師さん!! まだです!! まだやれます!!!!」 「むきゅ、よく吼えたわ! 頑張る子は大好きよ」 お師さんは、厳しかった。 「ぼうしのないへんなやつがいるよ!! せいさいするよ!!」 「とかいはじゃないわね!! ありすがとかいはなあいをあげるから、ありがたくおもいなさい!!」 「どうやりゃ…ここまじぇにょようにゃにょじぇ……」 「そこまでよ! フンッ、ハッ、トベッ、ホウオウコトウカイテンッ、フハ、フハハ、フハハ、フハハ、フハハ、テイオウニトウソウハナイノダ!」 「「ユギ! ユギャ! ユゲ! ユガ! ユギョ! ネギィ! ユベ! ユボ! ユピ! ゆ゙、ゆ゙、ゆ゙、もっどゆっぐりじだがっだ……」」 「むきゅ、これで懲りたでしょ? 帽子がないだけで虐めるなんて、ゆっくりできないわ」 「お、お師さん!! やり過ぎです! もう死んでますって!」 「む、むきゅ? 間違えたかしら?」 お師さんは、お茶目だった。 「な!? 蛇だと! お師さん、危ない!! 痛!!」 「いけないわ!! 今のはマムシよ!! 毒を吸い出すから傷口を見せなさい!!」 パクッ、ピチャ、ピチャ 「お、お師さん!!?」 「ぎゃみゃんなふぁい!! あむっ、いのふぃにかかわりゅのよ!!」 お師さんは優しかった。 ちなみに蛇は、マムシじゃなかった。 「むきゅうっ、時には大自然の中で滝行というのも新鮮でいいわね。長くやってると体が溶けて、死ぬけど」 「お、お師さん!! なんでスク水なのですか!!?」 「買うのが面倒だったから、学校の備品を借りてきたのよ。ごめんなさいね、やっぱり、こんなゴツイ体のおばちゃんが着ても気持ち悪 「そんなことありません!! すごく!! すごくセクシーです!!!!」む、むきゅ? あ、ありがとう……」 真っ赤になったお師さんは、凄く愛らしかった。 「柔軟体操ね。手伝ってあげるわ」 ムニュッ 「お、お師さん!!? む、むむむむ、むむねが!! むねが!!」 「むきゅ? 胸が苦しいの? なら、もう今日はやめておく?」 「いえ、まだまだイケます」 そして、何よりエロかった。 ……………………………… 記憶に残るお師さんと今のお師さんを比べてみても、なんら遜色があるとは思えない。 むしろ十一年の歳月を経て、さらに色香がましたようにすら感じる。 そのことを告げても、謙虚なお師さんはやんわりと否定するだろうが。 「ところで、今日は休日だというのに、何故お師さんは学校に?」 会話の流れが止まりそうだったので、咄嗟に質問した。 黙り込んでしまうと、体が勝手にこの場から逃げ出しそうで恐ろしかった。 「そうね、予感かしら。最近、外出先でよく知り合いと出くわすことがあったの。だから、ここに来れば懐かしい人に会える気がしたのよ」 知り合いか……。 そういえば今日は、数人の強敵(とも)と出くわしたが、まさかな。 「おかげで一番会いたかった人に会えたわ。どこぞの不肖の弟子ときたら、卒業してから一度も会いに来ないんですもの。こっちから出向いても留守だし、 挙句の果てに、知らない間に都会の大学に進学しているし……」 「……すみません」 ただ、謝ることしか出来なかった。 ここ数年、誰かに頭を下げたことなどない。 俺は、ちゃんと謝罪できているのだろうか。 「冗談よ。あなたには、あなたの事情があったんでしょう。それなら仕方のないことよ」 どうやら、お師さんには、俺が抱えている葛藤など手に取るようにわかるらしい。 当然か、ここまで露骨に避けてきたのだ。 「ところで、この後お暇なら、一緒にお食事でもどう?」 「いえ、もう夕食の準備は済ませましたし、明日も早いですから――」 もちろん嘘だ。 どんなに避けても、俺を一番の弟子として愛してくれるお師さんの優しさが、今の俺には痛い。 早々に、この場から立ち去りたかった。 「……分かったわ。それじゃあ、また今度、気が向いたらここにいらっしゃい。放課後は、レスリングを子供たちに教えているの。強いお兄さんが来てくれたら皆よろこぶわ」 「う~! 本格的ぱちゅむきゅレスリングだど~」 ボカッ!! 「い、いたいんだど~」 シリアスシーンを台無しにした肉まんに制裁を加えてから、その場を後にした。 去り際に、お師さんが何か呟いたように感じたが、肉まんが喧しくて聞き取れなかった。 ―――――――――――――――――――――――――― 夕日を背にトボトボと歩く俺の頭の中は、お師さんのことでいっぱいだった。 肉まんが、俺の周りを衛星のようにパタパタと飛び回っているが気にならない。 思えば、俺がゆ虐の道に進んだのも、お師さんが原因だった。 俺は、お師さんが大好きだった。 人間もゆっくりも関係ない。 ひたすらに愛おしい存在だと感じていた。 だから卒業前に、胸のうちをお師さんに告げようと思っていたのだ。 恥ずかしい話だが、あのときはうまくいくと思った。 六年の歳月を共にした俺とお師さんの間には、師弟以上の絆がある。 そう確信していた。 花束を携え、お師さんの待つ修練場へと向かうと、そこにはお師さんと、もう一人先客がいた。 「ぱちゅりー先生!! 私、先生のことが好きです。どうかお姉さまと呼ばせてください!!」 ギリッ、ビシッ 豚が……。 壁を握る手に力が入る。 すぐにでも跳び出して、あの女生徒を十字に切り裂きたい衝動に駆られたが耐えた。 優先すべきは、お師さんの意思だ。 それに、このときの俺には自信があった。 「むきゅ……、ごめんなさい」 その言葉を聞いて俺の心は、不死鳥の如く天に舞い上がった。 気分はまさに、ざまみろ&すかっと爽やか。 その後、地面に叩きつけられるとも知らないで。 「あなたは人間で、私はゆっくりよ。互いに助け合って道を進むことは出来るの。でも、一緒に同じ道を歩むことは、決して出来ないのよ」 決定的な一言だった。 周囲から白い目で見られても構わない、HENTAIと罵られても堂々と胸を張ってやる。 俺は、そう考えていた。 そして、勝手に思い込んでいたのだ。 お師さんも、そう思ってくれていると。 そこからは、よく覚えていない。 気が付いたら見たこともない山奥にいた。 心の中から何かが抜け落ちたような気分だった。 帰らなくてはいけないのだが動く気になれず、目の前に広がる暗闇をじっと見つめていた。 ガサッ その時、不意に茂みが揺れ、何かが飛び出してきた。 「むきゃきゃ、ばかなにんげんさんね。もりのけんじゃであるぱちぇのてりとりーにはいってくるなんて」 「お師さんの仲間?」 一瞬でも、そう思った過去の俺が呪わしい。 「ゆっへっへ、さすがのにんげんでも、このかずのまえには、どうすることもできないのぜ!!」 「そうだよー!! しかもこっちには、ドスもいるんだよー!! わかったら、さっさとしぬんだよー!!」 「ばかなにんげんは、れいむとおちびちゃんたちにあまあまをよこしてね!! あとしんでね!!」 「ちね!! くしょじじぃ!!」 「ぼろぼろできちゃない、にんげんじゃにぇ!! おお、あわれ、あわれ!!」 どちらを向いても饅頭、饅頭、饅頭。 数百個もの饅頭が俺を取り囲んで、罵詈雑言を吐いていた。 だが、何かしようとは、思わなかった。 愚かなことだが、お師さんの仲間に殺されるなら道化らしくていいかもしれないと、当時の俺は考えていた。 それなのに奴らは、その浅ましさから勝機を蹴った。 「ゆゆ? おいしそうなおはなさんがおちてるよ!! むーしゃ、むーしゃするよ!!」 「なにいっているの? それをみつけたのはとかいはなありすよ!!」 「ゆっくりしたおはなは、まりささまにこそふさわしいいんだぜ!! ゆっくりしないで、どくんだぜ!!」 俺が買った花束だった。 お師さんの髪と同じ色のスイートピーと白いストック、そして一本の赤いバラ。 それらは、浅ましく群がる饅頭共に揉みくちゃにされて見る影もなくなっていた。 「ゆぅ? なにものほしそうなかおしてるの!? いなかものはいな……」 ヒュッ 「ゆ? ゆぎゃーーー!! ありずのとかいばなべにべッ!? が、ぎゅゆぎゅうぎゅゆ!!!」 ザシュッ 心に出来た虚無が急速に満たされていく。 「まじざのおぼうじが!!?」 「でいぶのまむま!!?」 ヒュヒュッ 憤怒、憎悪、悔恨、嫉妬。 「わ、わがらないよーーーー!!! なんでいきなりみんなのからだがちぎれちゃ!!」 ザシュッ 餡子のようにドス黒い塊が俺の心を埋めていった。 饅頭共からしたら、悪夢のような出来事だったろうな。 饅頭の動体視力で見切れる技ではない。 急に仲間の体が千切れ飛んだように見えたはずだ。 「む、むきゅ、やめてね。ぱちぇは、びょうじゃくなのよ。ぜんそくもちなのよ。びょうにんにはやさし、ひぃ!!」 その顔で、その口で、その声で……。 「お師さんの思い出を汚すなぁぁぁぁぁぁ!!!!」 「むぎっ!!」 十字に振り抜いた腕から生じた衝撃は、クリーム片ひとつ残すことなく紫モヤシをこの世から消し去った。 「殺してやる、殺してやるぞ、汚物共。消毒だ。貴様ら全員地獄の釜に叩き込んでやる。生きて帰れると思うな……。ヒャッハぁぁぁぁぁぁ!!!!! ギャ・ク・タ・イだぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」 「「「ゆ、ゆ、ゆひぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!!!」」」 この日、三つあったドスの群れが尽く消滅し、十二歳の虐待お兄さんが誕生した。 しかし、俺には虐待を楽しむことはできなかった。 制裁は、簡単だ。 ゲス共を前にすれば、自然と体が動き饅頭を切り刻む。 確かに、心は満たされた。 だが、心の底に残った愛と情を消し去ることはなかった。 ならばと、善良な饅頭を虐待しようと考えたが無理だった。 拳を振り下ろす寸前にお師さんの影が頭を過ってしまう。 結局、俺は虐待と呼べぬようなことを虐待と称して行い、己の心を満たすことしか出来なかったのだ。 「うー!! お兄さん!! さっきかられみぃのこと無視するなんてひどいどぅーーー!!!!」 肉まんが俺の目の前で、ぷりぷりと怒りを顕にしている。 思索に耽るあまり、周りが見えていなかったか。 それんしても、肉まんが何の用だと言うのだ。 プリンのことなら忘れていないぞ。 「ちがうど~。お兄さん、さっきのぱちゅりーとけんかしてるでしょ~? だから、れみぃが仲直りのあどばいすをしてあげるど~♪」 ちっ、相変わらず要らんところで、賢しい奴だ。 「ぱちぇは、お兄さんのことが大好きだから、お兄さんがいいこ、いいこになれば、仲直りできるど~」 ハッ!! 思わず鼻で笑ってしまったわ。 適当なことをほざきやがる。 初対面の貴様にお師さんの何が分かるというのだ。 「わかるど~! れみぃは、お兄さんのこと大好きだど~! だから、お兄さんのことが大好きなぱちゅりーからも、れみぃと同じ感じがしたんだど~!!」 「……だから、何だ。それは、ペットが飼い主に寄せる好意のようなものだろう」 肉まんの言葉で、感情が高ぶっている。 こいつが本当の意味で俺をイラつかせたのは、これが始めてかもしれない。 だが、その怒りは、肉まん自身の言葉で胡散した。 「う~? れみぃには、よくわかんないど~。でも、でも、『嫌い』や『どうでもいい』より、『好き』の方がだんぜんイイにきまってるど~♪」 何だ…それは……。 下らないと一笑に付してやりたいところだが、何故かみょんな説得力がある。 確かにそうだ。 形はなんにしても、好意を寄せられるのはいいことに違いない。 「くっふふふ、ふふふ……ふはははははははッ!!」 「うっ!? お兄さん!? てんかのおうらいのまっただなかで、急にどうしたんだど~!? たみふる? たみふるなんだどぅ!?」 そんな訳あるか。 己の愚かさに、ほとほと呆れていただけだ。 何故、俺は気づかなかった。 お師さんだって「互いに助け合って道を進むことはできる」と言っていたではないか。 それなら、お師さんの道の横に俺の道を作ればよかったのだ。 嫌われているなら道は離れていくだろうが、そうじゃないならそのままだ。 だいたい俺が振られた訳でもないのに、ここまで悲観的になっていたのが、そもそもの間違いじゃないか。 過ぎ去った十一年間が急にもったいなく感じてしまう。 「よかったど~!! お兄さん、げんきになったど~!! れみぃ、えらい? えらい?」 非常に癪に障るが、今回ばかりは褒めてやらざるをえない。 「礼を言うぞ、れみぃ」 「うっうー♪」 あっ、だが、肉まん如きが、この俺に生意気にも講釈垂れた訳だから、今日のプリンはなしな。 「ぞんなのっでないどぅぅぅぅぅぅぅ!!!!!!」 夕暮れ時の町に、肉まんの悲痛な叫びがいつまでも、いつまでも木霊するのであった。 おまけ 「ゆっ、ゆっぐ、ごめんなさいだよー。ちぇんのせいで、おにいさんのおかおが、おかおが……わ、わがらないよーーー!!」 「あーもー、俺は大丈夫だから泣き止めと言っているだろうが」 世紀末病院の59‐AQ号(『ごくあくと』憶えよう)病室に、その一人と一匹はいた。 何を隠そう彼こそが、ペットに頭を吹っ飛ばされた間抜けであり、彼に縋り付いて泣いているのが吹っ飛ばした張本ゆである。 「ほら、この前は、弟に左側を吹っ飛ばされたが、きれいに治ってただろう? 現代医学の粋を持ってすれば、この程度の治療、お茶の子さいさいってなもんよ」 「ほ、ほんどうに?」 そう言われてみると、ちぇんにも思い当たることがあった。 確かに、数ヶ月前、お兄さんの頭が大変なことになっていたが、数週間もすれば元通りになっていた。 「それにな、俺は嬉しいのだぞ。酔っていたとはいえ、お前は、この俺から一本とれるまでに成長したのだ。だが、お前は俺じゃなくて、日に日に弟に似ていくな~」 「わ、わかるよー!! ちぇんは、おうとうとさんみたいなけんぽうかになりたいんだよー!!」 お兄さんとしては、素直に喜べない目標だった。 昔から、拳法の才能では弟に上を行かれ、ペットまで弟に靡いて行くのでは、救いがない。 嫉妬の炎が、今まさにメラメラと燃え上がろうとしていた。 「でもね、ちぇんがいちばんだいすきなのは、おにいさんだよー!! いつか、ちぇんがおにいさんをまもってあげるんだよー!!」 それを阻止したのは、邪気のない真っ直ぐな笑顔であった。 「ちぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇん!!」 ボンッ 「わからないよーーーーーーーー!!!!」 血圧上昇によって傷が開いたお兄さんの入院期間は、さらに延びることとなった。 あとがき 激流に身を任せて書いた結果がこれだよ\(^o^)/ あと、妖星をmugenに則って「いくさん」にしようかどうか小一時間ほど迷ったよー。 【用語】 南斗虐指葬(easy): 相手の体に指を突き刺すのが本来の技。 easyが付くことで、相手の柔肌を露出させて突っつくというセクハラ奥義に。 前に書いたやつ ふたば系ゆっくりいじめ 394 お兄さんと冷めた肉饅 ふたば系ゆっくりいじめ 408 お前もポールさんみたいにしてやろうか!? ふたば系ゆっくりいじめ 442 肉まんと出かけよう 前編 トップページに戻る このSSへの感想 ※他人が不快になる発言はゆっくりできないよ!よく考えて投稿してね! 感想 すべてのコメントを見る れみりゃ可愛い❤ -- 2016-07-12 23 03 23 れみりゃ可愛いよ -- 2015-01-28 22 54 45 歪みねぇ・・・ -- 2012-03-18 04 36 41 どんな設定やねん!? 笑っちまったけど -- 2011-08-16 15 03 56 全体的にワロタ こういうテンションのSS、好きだなぁ。 -- 2011-07-19 21 38 28 ちぇええええええええええええええええええええええええん -- 2011-02-14 12 21 46 つーか主人公聖帝だったのかよw -- 2010-11-27 09 31 39 こう言う愛で・・・じゃない・・・もとい、ツンデレ虐待はいい物ですな そしてむっきゅりぱちゅりーw -- 2010-07-20 02 23 12 ↓その上、れみりゃが超可愛い。 -- 2010-07-12 04 11 23 笑えるやら、可愛いやら、いいssですね -- 2010-06-16 08 10 45
https://w.atwiki.jp/ankoss/pages/672.html
「お歌」 「水滴」につづく2作目です 今回もただの虐待です ネタ被ってたらごめんなさい 文章が稚拙です 多少の独自設定有 多少セリフが多い 休日、近くの公園の前を通りかかると黒髪赤りぼんの饅頭がなにやら「ゆーゆー」と呻っていた。 「ゆぅ~♪ゆぅゆぅ~♪」 どう考えても雑音です。 「それ歌か?」 私が一応そう尋ねると 「ゆっ?なにいってるのおにいさん?れいむのゆっくりしたおうたをりかいできないなんてかわいそうなおにいさんだね」 やはり歌だったらしい。まあ所詮饅頭と人間だ。価値観の相違があってもしかたない。とはいえここでこんな雑音を垂れ流しにしていては近隣住民の方および公園で遊んでいる子供たちに大変迷惑だ。ここは私の実益もかねて一肌抜くしかない。 「実はお兄さんは君より歌の上手な饅、、、ゆっくりを知ってるんだ。そのゆっくりの美声ときたらもう、、、」 適当に嘘づいておく 「ゆゆっ?れいむよりおうたのじょうずなゆっくりがいるの?」 「ああ、そのゆっくりは実はお兄さんの家で歌の特訓をしたんだ。今では道で歌を歌っては沢山のあまあまをもらってるよ」 「ゆ~!れいむもあまあまほしいよ!」 歌の特訓じゃなくてあまあまに喰いついてきた。まあいい 「どうだろう?お兄さんの家で歌の特訓をしてみないかい?」 「ゆん!れいむもおうたのれんしゅうしてあまあまたくさんもらうよ!」 「じゃあお兄さんの家へ行こう」 「ゆゆ~ん!ゆっくりりかいしたよ」 とりあえずご本人同意の上で我が家へ拉致することができた。 帰宅、、、 家についた饅頭は初めて見る人間の家に興味津々といった感じだ。そこらをきょろきょろと見渡している。時間ももったいないのでさっさとはじめよう。 「さっそく歌の練習をしよう。さあ、このステージに乗ってくれないか?」 私はそう言うとリビングの真ん中に鎮座する小さなダンボールを指差した。 「ゆゆ~ん!とってもゆっくりしたすてーじさんだね。れいむにふさわしいよ」 どこがどうゆっくりしてるのか聞きたいとこだが、どうせ答えは出ないのでスルー。ちなみにこのステージの上面には強力な工業用両面テープが張ってある。よって一度乗ると二度と剥がれない。要は「Gホイホイ」みたいなものだ。饅頭はそんなことにも気づかずステージの上に乗る。 「ゆゆ~ん、、、ゆっ?あしさんがうごかないよ?なんだかゆっくりしてないよ」 「あぁ、、、気にしなくても大丈夫だ。歌の練習が終われば自然に動くようになるよ。じゃあこのヘッドホンを付けるから聞こえてくる歌にあわせて歌ってね」 「ゆっ!ゆっくりりかいしたよ!」 何をどう理解したのかは謎だがとりあえずヘッドホンを取り付けて下準備は完了した。それではいってみよう。 ちなみに饅頭に耳があるのかどうかは知らないがとりあえず人間の耳に当たるもみあげの後ろの当たりに付けてみた。ここが耳だ。そうに決まってる。そういうことにしておこう。 とりあえず事前に収録した饅頭の歌を流す。 「ゆぅゆゆ~ん♪ゆ~♪ゆ~♪」 体をくねくねとさせながら流れてくる歌に合わせて歌っているようだ。気持ち悪い。とりあえずそのまま10分ほど放置した。慣れてきたころを見計らって歌を切り替える。バラード調の静かな曲、ここからは人間の曲だ。 「ゆっ!おうたがかわったよ、、、ゆ~ん。とってもゆっくりしたおうただよ!ゆんゆゆ~ん♪」 どうやらお気に入りのようだ。より気持ち悪さが増す。今すぐ潰したい衝動を抑えながら次の曲へ切り替える。 「ゆゆ?なんだかゆっくりしてないよ、、、」 ゆっくりしてないとは何事か、このクソ饅頭。この曲は我が青春を飾った某有名メロコアバンドの名曲だというのに、、、だがやはりこういう激しいアップテンポの曲はゆっくりできないらしい。むかついたのでゆっくりとボリュームを上げていく。 「ゆ、、、ゆぎぃぃいいいいい!うるさいぃぃぃいいいい!」 とりあえずボリュームマックスです。そりゃうるさいだろう。密封式ヘッドホンにもかかわらず音が漏れてる。しかも漏れる音から曲が判別できるくらいだ。 「やめてぇっぇええええ!!ゆっくりできないぃぃぃいいい!!」 私はこの曲でゆっくり、、、は出来ないけど激しくジャンピング&ヘドバンしたくなるんだけどなぁ、、、やはり饅頭と人間の価値観の相違は大きいらしい。それにしてもこの饅頭。うるささから逃れるために激しく体をくねくねさせてる様子がまるでヘドバンしてるようではないか。ライブの最前列のようだ。 「ゆ、、、ゆひぃ、、、ゆひぃ、、、」 どうやら曲が終わったようだ。では次の曲いってみよう。次は爆音系のバンド。ドラムとベースの重低音が超快感です。 「ゆ、、、ゆががががぁぁぁぁあああ!!ゆがぁ!ゆがぁ!」 ドラムとベースの重低音が響いてるのか饅頭の表面が波打ってる。何これ?気持ち悪い、、、いや、もはやグロ系じゃないか。動画アップするさいはモザイク必須だな。 「ゆ!ゆ!ゆげ!ゆご!ゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆ!」 お、ドラムソロ部分に入ったようだ。ドラムのビートに合わせて呻くのですぐわかります。あいかわらず体の表面は波打ってます。これではまるでスピーカーのようではないか。新しい饅頭の使い方を発見してしまった。などと思ってるうちに曲が終了して次の曲へ。続きましてはブレイクビーツ系のクラブ音楽。同じ調子で永遠と繰り返される激しいリズム&爆音に軽くトランスしちゃいます。 「ゆ、、、ゆっ、ゆっ、ゆっ、ゆっ、ゆっ、、、」 舌をだらしなく出して目があらん方向を見つめてる、、、饅頭でも飛んじゃうらしい。なぜかむかついた。そのまましばらく放置。この曲長いからなぁ、、、 20分後、、、 「ゆふぅ~、ゆふぅ~、ゆふぅ~、、、」 え?何これ?この饅頭ぺにぺにおっ起ててるんですけど?トランスが極まっちゃって興奮状態ってこと?それに全身から砂糖水の汁も出てるし、目は白目だし、クラブでこんなのいたら一発退場ですね♪あまりの気持ち悪さに曲中断。とりあずオレンジジュースをふり掛ける。 「ゆぅ、、、ゆっ!?あ、あまあまさんは?れいむのあまあまさんはどこいったの?」 いやだこの饅頭。完全にあっちに逝ってたらしい。これ以上続けると見た目の気持ち悪さが私の精神衛生上よろしくないので究極の一曲でトドメをさすことにした。某青い猫型ロボットが出てくるアニメの某いじめっ子のあの歌で。これを聞いて無事でいられるはずはない。ロボットでさえ嫌悪するという悪魔の一曲なのだから。とりあえず普通の音量で流してみる。 「ゆっ?、、、ゆぅ~ん!とってもゆっくりしたおうただよ!」 えっ?、、、これはいいんだ、、、さすが饅頭。頭にきたので眉間にドライバーを突き刺した 「ゆっ、、、」 一言呻いて動かなくなる饅頭。あいかわらず私の虐待には躍動感がない。
https://w.atwiki.jp/ankoss/pages/1063.html
・前作「ふたば系ゆっくりいじめ 775 ゆっくりと黒豆」を読んで頂いた方、ありがとうございました。精進します。 ・人間が出ます。 ・人様の飼いゆっくり(金パッチ)が悲惨な目に遭います。 『ゆっくりとお預かり』 私はしがない虐待お兄さん。 今日は二連休最終日となる日曜日である。 だが私は敢えて朝寝坊はせず、まずは朝のスーパーアニメタイムを一通り満喫した。 アニメ鑑賞中には朝食も済ませる……この流れはもはや私の日曜の恒例行事となりつつある。 そして、アニメが全て終わった後のもう一つの恒例行事……愛犬・ミニチュアダックスのポチと散歩する時間となった。 平日は仕事がある為に散歩が不十分な事が多い分、休日はかなり時間をかけて散歩をするのだが…… 「ゆっ! じじい、おそすぎるんだぜ! まりささまはまちくたびれたんだぜ!」 ……ポチの横で偉そうに跳ねるバスケットボール大のこの糞饅頭は、どこにでもいるごく一般的なゆっくりまりさ。 強いて違うところをあげるとすれば、お隣さん一家の飼いゆっくりで、しかも金バッチってことかナー。 ……そう、今私はゆっくりを預かっているのである。 この糞饅頭を私に託したお隣さん一家は、先日から一泊二日の温泉旅行に出かけている。 本来虐待お兄さんの家に飼いゆっくりを預けるなど「こいつ殺っといて」と言うようなものだが、悲しいかな私は小心者だ。 今まで虐待は人目に付かない所でしかやっていないので、お隣さんは私が虐待お兄さんである事を知らないのだ。 また、ポチとの散歩中に糞饅頭と散歩中のお隣さんと会う事も多く、ポチがゆっくりに友好的な犬である事を向こうは知っている。 それでお隣さんは私にゆっくりを預けても大丈夫と判断したらしい。 ゆっくりフードなど必要な物品は全て渡されているし、何より常々お世話になっているお隣さんの頼みは断れず、現在に至るのだ。 「じいい! はやくまりささまをおさんぽさんにつれていくんだぜ!」 ……こんな糞同然の喋り方しか出来ないようだが、確かに奴のお帽子には本物の金バッチが光輝いている。 お隣さんの話では、この糞饅頭はペットショップでうん万円で売られていた、由緒正しき金バッチだったらしい。 しかしまあ購入後の躾けはお世辞にもうまくいっているようには見えず、お隣さんの息子・健太君(10)とはいい喧嘩仲間だ。 まあ健太君からしてみれば糞饅頭くらい生意気な方が遊び相手として丁度いいのだろうが、傍から見ている私はブチギレである。 先日から預かっていたもののその言動、態度に苛立ち何度虐待しようと思った事か。 糞饅頭は私がご近所付き合いを考え踏み止まる程度の理性を有していた事を感謝するべきなのだ。 「まりさ、まずはポチと散歩に行ってくるからな。お前は帰ってきてから連れて行ってやる」 「なにいってるんだぜ! まりささまはげすとさんなんだぜ! そんないぬさんはあとまわしだぜ!」 「昨日から言っているが、飯も散歩も古参からやるのが我が家のルールだ。ゲストだろうが新入りは後からなんだよ」 「まりささまのほうがいぬさんよりえらいんだぜ! じじいはそんなこともわからないなんてばかなんだぜ!」 「しばらくしたら戻るからゆっくり待ってろ」 ……言い聞かせようなど考えるだけ無駄だ。私は自分がキレて虐待に及ぶ前に糞饅頭を残し、ポチを連れて散歩へと出かけた。 本当なら二時間はじっくりとぶらぶらしたかったのだが、糞饅頭の散歩もあるので僅か三十分で自宅へと帰り着く。 ポチには本当に申し訳ないが、お詫びに今度の休日にはドッグランに連れて行ってあげよう…… 「まりさ、戻ったぞ。散歩の準備は出来たか?」 リビングに入り、ポチの首輪からリードを放してやると、ポチはダッシュでリビングの奥へと消えていく。 そして次は糞饅頭に首輪とリードを付けようと準備をするが……おかしい、静か過ぎる。 今までのパターンだと「おそいんだぜ!」と悪態をつきつつも出迎えてきていたのに、何の反応もない。 「ワン! ワンワン!」 そしてリビングの更に奥、台所から響くポチの叫び声……心の底から嫌な予感しかしない。 「まりさ、どうした? まりさ……」 「ゆ゛っ……」 台所に入って、私は全身から血の気が引いていく感覚を久しぶりに感じた。 そこには、ひっくり返った台所のゴミ箱の前で、口から多量の餡子を吐いて痙攣する糞饅頭の姿があったのだ。 「やりやがったな、糞饅頭が!」 糞饅頭を台所の流し台に置き、冷蔵庫からオレンジジュースを取り出し、あるだけ全部ぶち撒ける。 「ゆ゛っ……あばあば……」 ……気持ち回復したようだが、本当に気持ちだけだ。 ひっくり返ったゴミ箱の傍にある奴が吐いた餡子の量は、致死量に限りなく近い。 ここ数日の私の食事はかなり辛い物が多く、当然ゴミ箱の中の残飯もそうだったのだ。 そんな物をもろに食べてしまっては、温室育ちの金バッチでは多量に吐くのは当然の事。 かといって吐いた餡子を口に戻そうものなら、餡子の中の辛味で今度こそ絶命必至だ。 「くそっ、今まで悪さをしてないからって信じた俺がバカだった!」 言い訳がましいが、この糞饅頭は確かに言動こそゲスそのものだが、我が家に来てから一度も粗相はしていなかった。 入るなと言った場所には悪態をつきつつも入らず、物を壊したり、食べ物を勝手に食べたりもしない。 体格的に自分よりずっと劣るポチをいじめたりもしない。本当に悪いのは口だけだったのだ。 幾ら言動が酷くなろうと本質的には金バッチなんだ……私も言動にはブチギレだったが、内心認めていないでもなかったのに…… ……そうだ、きっと糞饅頭もストレスがマッハだったのだろう。 大好きなお隣さん一家と一日以上会えず、我が家では一番下扱い……我慢の限界を超え、ついに暴挙に出てしまったのだ。 思えば奴も被害者だ。お隣さんには、不幸な事故としてよく謝って…… 「ワン! ワン!」 ポチに吼えられハッとする。 糞饅頭はまだ生きている。今はお隣さんへの言い訳を考えている場合ではないのだ。 お隣さんにとっては大切な家族である糞饅頭。 良好なご近所付き合いを続ける上でも、死なせる訳にはいかない。 「よ、よし、こいつは餡子を多量に吐いて死にかけているから……必要なのは、新しい餡子! だな、ポチ!」 「ワン!」 ……飼い犬に同意を求めるとはテンパリすぎにも程がある。 まあ、ゆっくりを死なせたら大変な事になるなんて状況は滅多にないせいだが。 しかし糞饅頭を助ける為にするべき事は決まった。要は新しい餡子を糞饅頭に補充してやればいいのだ。 私はポチに糞饅頭を見守るよう託し、近所の公園へと走った。 「ゆっくりしていってね!」 「「ゆっくりしていってね!」」 公園に足を踏み入れ、開口一番に叫ぶ。 するとどうだ、以前殲滅したというのにいつの間にか公園に住み着いていた、新たなゆっくり共が声を返してくる。 がさがさと茂みから姿を現したのはバレーボール大のれいむと……ビンゴ! まりさの番だ。 「ゆゆっ! じじい、ここはまりさとれいむのゆっくりぷれいすだよ! ゆっくりでていってね!」 「あまあまもちょうだいね! いっぱいでいいよ!」 「ゆっ! あまあま!? じじい、まりさはけーきさんがほしいよ! ……ゆわーい!おそらをとんでるみたい!」 相変わらずこの公園はゲスが住み着くことに定評がある。 しかしながら今は非常事態。ゲスといえども立派な餡子供給源になって貰わなければならないのだ。 万が一拒絶反応とかがあったら嫌なので、糞饅頭と同じ種族であるまりさを掴んで持ち上げる。 野良であるまりさはもの凄く汚いがこれもお隣さんの為。我慢である。 「ゆゆっ! まりさいいなあ! じじい、れいむもおそらをとばせてね!」 「……まりさ、よく見ていろよ?」 「ゆ?」 「なにいってるの!? まりさだけじゃなくてれいむもぶっ!?」 きょとんとするまりさを尻目に、私は足元で喚くれいむの顔面を蹴り上げた。 歯が八本は吹っ飛び、口から餡子を垂れ流して木に激突するれいむ。 「ゆっぎゃあああああああああああ!?」 「ゆわああああああああああ!? じじい、れいむになんてことするのおおおおおおおおおお!?」 蹴り飛ばされたれいむの叫びと、呆然と見ていたまりさの叫びは、れいむが木に激突して数秒後に見事にシンクロした。 「い、いだいいだいいだいいい! はなせじじいいいいいいいいい!」 これまでの抱えるような持ち方から一転、まりさの薄汚い金髪を左手だけで掴んで持ち上げる。 髪の毛から垂れ下がるまりさの胴体……まるでネットに入れたスイカを持っている気分だ。 まあ、スイカはぐりんぐりん動いて暴れたりはしない訳だが。 「はなぜはなぜはなぜえええええええ! ……いだっ! いだい! かみのけざんいだいいいいいいいいいいいい!?」 私から逃げようともがく程に自分の髪の毛が引っ張られて痛いだろうが、かわいそうなので黙っておいてあげよう。 「……ぼう……やだ……でいぶ……おうぢがえる……」 まりさを宙ぶらりんにしたままれいむの元へ向かうと、案の定れいむからおうちかえる宣言が飛び出した。 もちろんそんなものは無視してれいむを仰向けに寝せる。 多少じたばたと暴れたが、空いた右手でれいむの左目辺りを殴ったら大人しくなった。 「どぼ……じで……ごんなごど……」 「もうやめでねええええええ!? でいぶをいじめないでねえええええええええええええ!?」 ズタボロになったれいむをまりさに見せ付けてやると、まりさはもうやめてと懇願する。 ゲスにしてはなかなか番思いなものである。もしその思いやりをほんの少しでも人間に向けられれば違っただろうに。 「なあまりさ、お前がもし餡子を貰えるとしたら、甘い方が嬉しいか?」 「いまぞれがんげいないでしょおおおおおおおお!? でいぶをだずげでよおおおおおおお!」 ……足元にあった木の枝を拾い、無言でれいむの陥没した左目に突き立てる。 「ぴぎゃあああああああああああああああああああああ!?」 「ゆんやああああああああ!! でいぶのおべべがあああああああああ!?」 「質問に答えろ、まりさ。餡子を貰えるなら甘い方が嬉しいか?」 「う、うれじいでず! だがらでいぶをだずげでえええええええええ!」 うむ、思ったとおりの答えを得る事が出来た。 これから糞饅頭用の餡子を確保する訳だが、どうせなら少しでもクオリティの高い物を用意したいと思うのは人情だ。 ゆっくりが何よりも大好きなのは甘い物……それは例え食べ物としてではなく、体内に直接補充するとしても変わらない筈。 そこで餡子供給源になってもらうこのまりさには、出来るだけ多くのストレスを与えて甘くする事にした。 まりさが番を即座に見限るゲスならば今のれいむのポジションにシフトしていたが、珍しく仲間思いな奴だったので好都合だ。 ここはこのれいむを徹底的に虐待し、まりさには無傷のまま甘い餡子を体内に備蓄させる。 「……なあ、まりさ。お前が生まれてから何日経つかわかるか? お日様が何回昇った?」 「ゆ、ゆ!? い……いっぱいでず!」 いっぱいです……まあ、私だって同じ質問をされたらそう答えるだろう。 質問が悪かった気もするが、野良が三より大きな数字を数えられない事など百も承知だ。 「とりあえず百日という事にしよう。じゃあまりさ、お前の所望したケーキ……生誕百日を祝うバースデーケーキをあげよう」 まりさを左手で掴んだまま屈み込み、地面を見渡す。 そして私は大きいもの、小さいもの、太いもの、細いもの……様々な木の枝を空いた右手で拾い、足元に集めた。 「これ百本もあるのか? ……まあどうでもいいが」 「じじ……お、おにいざん! ぞのえだざんどうずるんでずが?」 「あれだ、ローソクがないから代わりにな。ソイッ」 「ゆぎゃああああああああああああああ!?」 「でっ……でいぶあああああああああああ!?」 ぷすりという間抜けな音を立て、仰向けにされたれいむの右頬に一本の枝を突き立てる。 長さにして十センチもない実に細々とした枝なのだが、饅頭の皮相手ならばロンギヌスの槍みたいに軽々と貫通してくれるのだ。 「やべでぐだざい! でいぶのほっぺさんささないでえ!」 「いやいや、とりあえず今拾った分は全部刺すから。ソイッ」 「ゆぎい!」 「でっでいぶううううううああああああああ!」 バランスが良くなるように今度は左の頬にも一突きしてやる。 そしてそこから円を描くように、れいむの口の周りにも次々と枝を突き刺してやった。 バースデーケーキのロウソクに見立てているつもりなのだが、れいむ自身が球体なせいか、どちらかというとウニに近い。 「やべで……ぼうやべでぐだざい……」 別の生物へと化しつつあるれいむを直に見せ付けられ、まりさの声に段々ハリが無くなってきた。 ここまで番思いな野良は本当に久しぶりである。今日は実に虐待日和ではないか。 「ゆぎっ……」 そして刺されているれいむだが、こちらの反応もどんどん鈍くなってきている。 まあかれこれ三十本以上は体中に枝が突き刺さった状態なので、無理も無いが。 「ばりざ……だずげで……ゆぎゃあああああああああ!?」 潰さずに残しておいた右目に枝を突き刺してやる。おお、頑張ればまだ叫べるようだ。 「でっでいぶううううううう! おにいざん! もうゆるじであげでぐだざい!」 「いやいや、これからがいい所だろ……あ、でももう枝がこれだけか」 久しぶりの上玉に私の心も躍っていたのだが、残念ながら枝が最後の一本になってしまった。 だが、これがまた長くて太い。名付けるならグングニルである。 「……おにいざん! ごべんなざい! それだげはやべでぐだざい!」 「よし分かった、これで最後にしてやる。その為におでこにはまだ一本も刺してないからな」 れいむの眉間に照準を合わせ、右手で力一杯突き刺す。 「ゆ゛っ……」の一言を残し、れいむはそのまま一切の活動を停止した。 どうやら無事中枢餡に直撃したようだ。きっちり最後の一本で死んで何よりである。 「ゆっ……ゆわああああああああああ! でいぶっ! でいぶあああああああああああああああ!!」 流石にまりさもダメージが致命的であると察したのか、今までに無い力でばたつき、そして号泣してしまった。 これだけでも付近の枝を拾い集めた甲斐がある。休日のよいストレス解消だ。 「……どぼじで……どぼじでごんなごどずるのおおおおおおおお!?」 物言わぬれいむを見つめながら訴えるまりさ。どうしてと言われても、虐待お兄さんが虐待を行うのは当たり前である。 ……だが待てよ、考えてみれば私は糞饅頭の餡子を確保する為に虐待をしていたのではないか。 途中からまりさの反応が楽しすぎてすっかり忘れていた。ていうか糞饅頭はまだ生きているだろうか? 「まりさ、お前には今から家に来て貰う。そしてお前の餡子を死にかけている糞饅頭の為に全部使ってやる」 「いやだああああああああ! ばりざのあんござんどらないでええええええええええ!」 「お前みたいな糞同然の野良の餡子でも飼いゆっくりの役に立てるんだぞ? 光栄に思って死ね」 「だずげでえ! ばりざのあんござんはおいじぐないよおおおおおお!?」 「不味いのは分かってる。はっきり言って店売りに比べたら野良の餡子なんて……ん?」 ……待てよ。今私は何と言った? 店売り…… 店 売 り …… ……そうだ、最初から買えば早いじゃないか…… 大体野良の餡子の品質はすこぶる悪い。そんな物を金バッチを取るようなゆっくりに移植したら、激しく品質が落ちてしまう。 嗚呼、テンパるとこんな当たり前の事に気付くのにこんなにも時間がかかるものなのか…… 呆然とまりさを掴んだ左手を離すと、まりさは私に振り返る事なくれいむの傍に駆け寄り、すすり泣く。 「……えーと、まりさ……おつかれ」 とんだ無駄足に付き合ってくれたお礼に、私は一踏みでまりさを絶命させてやった。 まりさが弾けた瞬間、周囲はとても甘ったるい餡子の匂いに包まれた。 公園備え付けのゴミ箱にまりさとれいむを片付けた後、私はその足で近所のペットショップに来ていた。 普段はポチ関連の餌や遊具を買う店なのだが、今日は普段見向きもしないゆっくりコーナーへと直行。 一kg五千円(!)のゆっくり用高級餡子を始め、治療用オレンジジュースや小麦粉を手に取り、そそくさと買い物を済ませた。 ……糞饅頭が金バッチじゃなければ全部安物で済ませたのだが。 そんなこんなで我が家に帰宅。ポチが心配そうな顔をして出迎えてくれる。 ……さすがに絶命してしまったかという不安が頭を過ぎったが、流し台では半死半生の糞饅頭が佇んでいた。 さすがに半端ではない生命力を誇るゆっくりである。 オレンジジュースを大量にかけておいたとはいえ、よくぞ生きていたものだ。 「まりさ、しっかりしろよ。今から治療してやるからな」 「ゆ゛っ……」 私は糞饅頭をまな板の上に移動させると、糞饅頭をうつ伏せにさせた。 台所用はさみで後頭部の一部の髪を切り、大匙で直径十cm程度の穴を空けるようくり貫く。 糞饅頭は呻いたが、瀕死の状態なので殆ど抵抗はされなかった。 続いて買ってきたゆっくり用高級餡子を大匙で一杯ずつ、くり貫いた穴から糞饅頭の体内へと放り込む。 その際に中を覗いて見ると結構空洞が目立っている。吐いた餡子の量を考えれば当然ではあるが。 一袋を入れ終える頃には、糞饅頭は吐く前とほぼ同じ大きさにまでなっていた。 あとはオレンジジュースで溶かした小麦粉で空いた穴に栓をし、アフターケアはばっちりである。 穴が開いた場所の上からは糞饅頭の髪が垂れているので、跡が見つかる事はないだろう。 「……ポチ、糞饅頭を見守っていてくれてありがとう。手術は成功だ……!」 「ワン! ワン!」 私の表情に糞饅頭の生還を読み取ったのか、ポチは尻尾を限界まで左右に振って喜びを露にしてくれた。 そして夜の七時過ぎ、我が家のインターホンが鳴り響いた。 「ワン! ワンワン!」 「帰って来たんだな、お隣さん」 ポチが真っ先に玄関へ走り、次いで私が、更に後に糞饅頭が玄関へ向かう。 「只今戻りましたー。まりさの面倒を見て頂いてありがとうございました。これ、温泉のお土産です!」 ドアを開けるとお隣のご主人と奥さん、それに健太君のお隣さん一家が揃い踏みで待っていた。 そして渡されたのは温泉饅頭やご当地の漬物……結構な量である。 まあ、ペットを預かって貰ったからだろうが。 「まりさ、元気してた!? 温泉すっげー気持ち良かったよ!」 「まりさ、あなたへのお土産もちゃんと買ってるからね!」 「ああ、まあ、その……ほらまりさ、ちゃんと挨拶しなきゃ」 「ゆゆっ! おかえりなさいおとうさん、おかあさん、けんたくん! ゆっくりしていってね!」 ……シーンと静まり返るお隣さん一家。 あれ、まりさって語尾に「だぜ」とか付けてなかったっけとか、そもそもこんなに礼儀正しかったっけとか、そんな顔を浮かべている。 「……ま、まりさ、ただいま。……あれ? まりさってこんなキャラだったっけ?」 「まりさはまりさだよ! けんたくんたちがかえってきて、まりさうれしいな!」 「え……?」 まずい、どんどん困惑するお隣さん達。 だがそれも当然である。治療を終えて意識を取り戻した糞饅頭は、性格が"リセット"されていたのだから。 私が糞饅頭の治療に使った餡子は、正真正銘金バッチ用の高級餡子だった。 基本的にゆっくりの質は中の餡子の質と言っても差し障りは無い。 元々ペットショップで金バッチとして売られる程の糞饅頭は、飼われて以降の甘やかしでゲス化していただけで元の品質は高かった。 そんななかで体内の言わばゲス餡子が排出され、高品質な餡子が代わりに補充された結果、糞饅頭の性格は一気に改善されたのだ。 ……多分、そんな理由だろう。ゆっくりだし。 しかし、今になってこの状況がまずいのではないかと気付く辺り私はやはり抜けている。 預けている間にゲスになっていたらブチギレだろうが、かといってここまで性格が変わってしまってお隣さんは何を思うのか。 こんな事なら、せめてだぜ口調になる程度に教育しておいた方が良かったのでは…… 「まりさ! そうかそうか、このお兄さんに躾けて貰ったんだな!」 ……おや? 今ご主人がいい事を言ったような気がする。 「本当ね! まるでまりさが初めて家に来た時みたい!」 おお、奥さんもいい事を言ってくれている。 「すみません、まりさを預かって貰っただけじゃなくて、躾けまでして頂いて!」 「最近まりさはちょっと態度が気になっていたんで、本当に助かります!」 「あ、いえ、私は別に大した事は何も……」 いい事言う所か感謝されまくりである。さすがにちょっと申し訳なさすら感じてしまう。 元はといえばこっちの不手際で死なせかけ、性格だって変わってしまったというのに。 「ありがとう、お兄さん! まりさがとっても賢くなったよ!」 やめてくれ健太君。今日一日の行動を知られた日には私はこの一家には顔向け出来ないのだが。 「おにいさん、まりさのめんどうをみてくれてありがとうございました! いぬさんもゆっくりしていってね!」 「ワン!」 ああ、糞饅頭にお礼を言われた上にポチも仲良くしている……いいのだろうか? 本当にこれでいいのだろうか? 「よし、じゃあ皆、家に帰ろうか。まりさ、帰ったら温泉饅頭を食べような!」 「まりさには温泉卵もあるからね!」 「ゆわーい!」 ……だがまあ、糞饅頭の性格がクズだったのも元はといえばお隣さん一家の甘やかしが原因である。 多分この後散々甘やかされるのだろうし、案外近いうちに元通りの糞饅頭が出来上がるのかもしれない。 「それでは、私達はこれで」 「またいつか預かっていただけたら助かります」 ……最後に何か凄く恐ろしい一言が聞こえた気がしたが、聞こえなかった事にしてお隣さん一家に別れを告げる。 「……ポチ、散歩行こうか」 「ワン!」 そして、最後まで尻尾を振ってお隣さん一家を見送るポチを連れて、夜の散歩へと出かけて行った。 【完】
https://w.atwiki.jp/futabayukkuriss/pages/1904.html
ゆっくりとお預かり 17KB 虐待-普通 理不尽 飼いゆ 野良ゆ 現代 虐待人間 飼いゆっくり(金バッチ)が酷い目に遭う描写ありです。 ・前作「ふたば系ゆっくりいじめ 775 ゆっくりと黒豆」を読んで頂いた方、ありがとうございました。精進します。 ・人間が出ます。 ・人様の飼いゆっくり(金パッチ)が悲惨な目に遭います。 『ゆっくりとお預かり』 私はしがない虐待お兄さん。 今日は二連休最終日となる日曜日である。 だが私は敢えて朝寝坊はせず、まずは朝のスーパーアニメタイムを一通り満喫した。 アニメ鑑賞中には朝食も済ませる……この流れはもはや私の日曜の恒例行事となりつつある。 そして、アニメが全て終わった後のもう一つの恒例行事……愛犬・ミニチュアダックスのポチと散歩する時間となった。 平日は仕事がある為に散歩が不十分な事が多い分、休日はかなり時間をかけて散歩をするのだが…… 「ゆっ! じじい、おそすぎるんだぜ! まりささまはまちくたびれたんだぜ!」 ……ポチの横で偉そうに跳ねるバスケットボール大のこの糞饅頭は、どこにでもいるごく一般的なゆっくりまりさ。 強いて違うところをあげるとすれば、お隣さん一家の飼いゆっくりで、しかも金バッチってことかナー。 ……そう、今私はゆっくりを預かっているのである。 この糞饅頭を私に託したお隣さん一家は、先日から一泊二日の温泉旅行に出かけている。 本来虐待お兄さんの家に飼いゆっくりを預けるなど「こいつ殺っといて」と言うようなものだが、悲しいかな私は小心者だ。 今まで虐待は人目に付かない所でしかやっていないので、お隣さんは私が虐待お兄さんである事を知らないのだ。 また、ポチとの散歩中に糞饅頭と散歩中のお隣さんと会う事も多く、ポチがゆっくりに友好的な犬である事を向こうは知っている。 それでお隣さんは私にゆっくりを預けても大丈夫と判断したらしい。 ゆっくりフードなど必要な物品は全て渡されているし、何より常々お世話になっているお隣さんの頼みは断れず、現在に至るのだ。 「じいい! はやくまりささまをおさんぽさんにつれていくんだぜ!」 ……こんな糞同然の喋り方しか出来ないようだが、確かに奴のお帽子には本物の金バッチが光輝いている。 お隣さんの話では、この糞饅頭はペットショップでうん万円で売られていた、由緒正しき金バッチだったらしい。 しかしまあ購入後の躾けはお世辞にもうまくいっているようには見えず、お隣さんの息子・健太君(10)とはいい喧嘩仲間だ。 まあ健太君からしてみれば糞饅頭くらい生意気な方が遊び相手として丁度いいのだろうが、傍から見ている私はブチギレである。 先日から預かっていたもののその言動、態度に苛立ち何度虐待しようと思った事か。 糞饅頭は私がご近所付き合いを考え踏み止まる程度の理性を有していた事を感謝するべきなのだ。 「まりさ、まずはポチと散歩に行ってくるからな。お前は帰ってきてから連れて行ってやる」 「なにいってるんだぜ! まりささまはげすとさんなんだぜ! そんないぬさんはあとまわしだぜ!」 「昨日から言っているが、飯も散歩も古参からやるのが我が家のルールだ。ゲストだろうが新入りは後からなんだよ」 「まりささまのほうがいぬさんよりえらいんだぜ! じじいはそんなこともわからないなんてばかなんだぜ!」 「しばらくしたら戻るからゆっくり待ってろ」 ……言い聞かせようなど考えるだけ無駄だ。私は自分がキレて虐待に及ぶ前に糞饅頭を残し、ポチを連れて散歩へと出かけた。 本当なら二時間はじっくりとぶらぶらしたかったのだが、糞饅頭の散歩もあるので僅か三十分で自宅へと帰り着く。 ポチには本当に申し訳ないが、お詫びに今度の休日にはドッグランに連れて行ってあげよう…… 「まりさ、戻ったぞ。散歩の準備は出来たか?」 リビングに入り、ポチの首輪からリードを放してやると、ポチはダッシュでリビングの奥へと消えていく。 そして次は糞饅頭に首輪とリードを付けようと準備をするが……おかしい、静か過ぎる。 今までのパターンだと「おそいんだぜ!」と悪態をつきつつも出迎えてきていたのに、何の反応もない。 「ワン! ワンワン!」 そしてリビングの更に奥、台所から響くポチの叫び声……心の底から嫌な予感しかしない。 「まりさ、どうした? まりさ……」 「ゆ゛っ……」 台所に入って、私は全身から血の気が引いていく感覚を久しぶりに感じた。 そこには、ひっくり返った台所のゴミ箱の前で、口から多量の餡子を吐いて痙攣する糞饅頭の姿があったのだ。 「やりやがったな、糞饅頭が!」 糞饅頭を台所の流し台に置き、冷蔵庫からオレンジジュースを取り出し、あるだけ全部ぶち撒ける。 「ゆ゛っ……あばあば……」 ……気持ち回復したようだが、本当に気持ちだけだ。 ひっくり返ったゴミ箱の傍にある奴が吐いた餡子の量は、致死量に限りなく近い。 ここ数日の私の食事はかなり辛い物が多く、当然ゴミ箱の中の残飯もそうだったのだ。 そんな物をもろに食べてしまっては、温室育ちの金バッチでは多量に吐くのは当然の事。 かといって吐いた餡子を口に戻そうものなら、餡子の中の辛味で今度こそ絶命必至だ。 「くそっ、今まで悪さをしてないからって信じた俺がバカだった!」 言い訳がましいが、この糞饅頭は確かに言動こそゲスそのものだが、我が家に来てから一度も粗相はしていなかった。 入るなと言った場所には悪態をつきつつも入らず、物を壊したり、食べ物を勝手に食べたりもしない。 体格的に自分よりずっと劣るポチをいじめたりもしない。本当に悪いのは口だけだったのだ。 幾ら言動が酷くなろうと本質的には金バッチなんだ……私も言動にはブチギレだったが、内心認めていないでもなかったのに…… ……そうだ、きっと糞饅頭もストレスがマッハだったのだろう。 大好きなお隣さん一家と一日以上会えず、我が家では一番下扱い……我慢の限界を超え、ついに暴挙に出てしまったのだ。 思えば奴も被害者だ。お隣さんには、不幸な事故としてよく謝って…… 「ワン! ワン!」 ポチに吼えられハッとする。 糞饅頭はまだ生きている。今はお隣さんへの言い訳を考えている場合ではないのだ。 お隣さんにとっては大切な家族である糞饅頭。 良好なご近所付き合いを続ける上でも、死なせる訳にはいかない。 「よ、よし、こいつは餡子を多量に吐いて死にかけているから……必要なのは、新しい餡子! だな、ポチ!」 「ワン!」 ……飼い犬に同意を求めるとはテンパリすぎにも程がある。 まあ、ゆっくりを死なせたら大変な事になるなんて状況は滅多にないせいだが。 しかし糞饅頭を助ける為にするべき事は決まった。要は新しい餡子を糞饅頭に補充してやればいいのだ。 私はポチに糞饅頭を見守るよう託し、近所の公園へと走った。 「ゆっくりしていってね!」 「「ゆっくりしていってね!」」 公園に足を踏み入れ、開口一番に叫ぶ。 するとどうだ、以前殲滅したというのにいつの間にか公園に住み着いていた、新たなゆっくり共が声を返してくる。 がさがさと茂みから姿を現したのはバレーボール大のれいむと……ビンゴ! まりさの番だ。 「ゆゆっ! じじい、ここはまりさとれいむのゆっくりぷれいすだよ! ゆっくりでていってね!」 「あまあまもちょうだいね! いっぱいでいいよ!」 「ゆっ! あまあま!? じじい、まりさはけーきさんがほしいよ! ……ゆわーい!おそらをとんでるみたい!」 相変わらずこの公園はゲスが住み着くことに定評がある。 しかしながら今は非常事態。ゲスといえども立派な餡子供給源になって貰わなければならないのだ。 万が一拒絶反応とかがあったら嫌なので、糞饅頭と同じ種族であるまりさを掴んで持ち上げる。 野良であるまりさはもの凄く汚いがこれもお隣さんの為。我慢である。 「ゆゆっ! まりさいいなあ! じじい、れいむもおそらをとばせてね!」 「……まりさ、よく見ていろよ?」 「ゆ?」 「なにいってるの!? まりさだけじゃなくてれいむもぶっ!?」 きょとんとするまりさを尻目に、私は足元で喚くれいむの顔面を蹴り上げた。 歯が八本は吹っ飛び、口から餡子を垂れ流して木に激突するれいむ。 「ゆっぎゃあああああああああああ!?」 「ゆわああああああああああ!? じじい、れいむになんてことするのおおおおおおおおおお!?」 蹴り飛ばされたれいむの叫びと、呆然と見ていたまりさの叫びは、れいむが木に激突して数秒後に見事にシンクロした。 「い、いだいいだいいだいいい! はなせじじいいいいいいいいい!」 これまでの抱えるような持ち方から一転、まりさの薄汚い金髪を左手だけで掴んで持ち上げる。 髪の毛から垂れ下がるまりさの胴体……まるでネットに入れたスイカを持っている気分だ。 まあ、スイカはぐりんぐりん動いて暴れたりはしない訳だが。 「はなぜはなぜはなぜえええええええ! ……いだっ! いだい! かみのけざんいだいいいいいいいいいいいい!?」 私から逃げようともがく程に自分の髪の毛が引っ張られて痛いだろうが、かわいそうなので黙っておいてあげよう。 「……ぼう……やだ……でいぶ……おうぢがえる……」 まりさを宙ぶらりんにしたままれいむの元へ向かうと、案の定れいむからおうちかえる宣言が飛び出した。 もちろんそんなものは無視してれいむを仰向けに寝せる。 多少じたばたと暴れたが、空いた右手でれいむの左目辺りを殴ったら大人しくなった。 「どぼ……じで……ごんなごど……」 「もうやめでねええええええ!? でいぶをいじめないでねえええええええええええええ!?」 ズタボロになったれいむをまりさに見せ付けてやると、まりさはもうやめてと懇願する。 ゲスにしてはなかなか番思いなものである。もしその思いやりをほんの少しでも人間に向けられれば違っただろうに。 「なあまりさ、お前がもし餡子を貰えるとしたら、甘い方が嬉しいか?」 「いまぞれがんげいないでしょおおおおおおおお!? でいぶをだずげでよおおおおおおお!」 ……足元にあった木の枝を拾い、無言でれいむの陥没した左目に突き立てる。 「ぴぎゃあああああああああああああああああああああ!?」 「ゆんやああああああああ!! でいぶのおべべがあああああああああ!?」 「質問に答えろ、まりさ。餡子を貰えるなら甘い方が嬉しいか?」 「う、うれじいでず! だがらでいぶをだずげでえええええええええ!」 うむ、思ったとおりの答えを得る事が出来た。 これから糞饅頭用の餡子を確保する訳だが、どうせなら少しでもクオリティの高い物を用意したいと思うのは人情だ。 ゆっくりが何よりも大好きなのは甘い物……それは例え食べ物としてではなく、体内に直接補充するとしても変わらない筈。 そこで餡子供給源になってもらうこのまりさには、出来るだけ多くのストレスを与えて甘くする事にした。 まりさが番を即座に見限るゲスならば今のれいむのポジションにシフトしていたが、珍しく仲間思いな奴だったので好都合だ。 ここはこのれいむを徹底的に虐待し、まりさには無傷のまま甘い餡子を体内に備蓄させる。 「……なあ、まりさ。お前が生まれてから何日経つかわかるか? お日様が何回昇った?」 「ゆ、ゆ!? い……いっぱいでず!」 いっぱいです……まあ、私だって同じ質問をされたらそう答えるだろう。 質問が悪かった気もするが、野良が三より大きな数字を数えられない事など百も承知だ。 「とりあえず百日という事にしよう。じゃあまりさ、お前の所望したケーキ……生誕百日を祝うバースデーケーキをあげよう」 まりさを左手で掴んだまま屈み込み、地面を見渡す。 そして私は大きいもの、小さいもの、太いもの、細いもの……様々な木の枝を空いた右手で拾い、足元に集めた。 「これ百本もあるのか? ……まあどうでもいいが」 「じじ……お、おにいざん! ぞのえだざんどうずるんでずが?」 「あれだ、ローソクがないから代わりにな。ソイッ」 「ゆぎゃああああああああああああああ!?」 「でっ……でいぶあああああああああああ!?」 ぷすりという間抜けな音を立て、仰向けにされたれいむの右頬に一本の枝を突き立てる。 長さにして十センチもない実に細々とした枝なのだが、饅頭の皮相手ならばロンギヌスの槍みたいに軽々と貫通してくれるのだ。 「やべでぐだざい! でいぶのほっぺさんささないでえ!」 「いやいや、とりあえず今拾った分は全部刺すから。ソイッ」 「ゆぎい!」 「でっでいぶううううううああああああああ!」 バランスが良くなるように今度は左の頬にも一突きしてやる。 そしてそこから円を描くように、れいむの口の周りにも次々と枝を突き刺してやった。 バースデーケーキのロウソクに見立てているつもりなのだが、れいむ自身が球体なせいか、どちらかというとウニに近い。 「やべで……ぼうやべでぐだざい……」 別の生物へと化しつつあるれいむを直に見せ付けられ、まりさの声に段々ハリが無くなってきた。 ここまで番思いな野良は本当に久しぶりである。今日は実に虐待日和ではないか。 「ゆぎっ……」 そして刺されているれいむだが、こちらの反応もどんどん鈍くなってきている。 まあかれこれ三十本以上は体中に枝が突き刺さった状態なので、無理も無いが。 「ばりざ……だずげで……ゆぎゃあああああああああ!?」 潰さずに残しておいた右目に枝を突き刺してやる。おお、頑張ればまだ叫べるようだ。 「でっでいぶううううううう! おにいざん! もうゆるじであげでぐだざい!」 「いやいや、これからがいい所だろ……あ、でももう枝がこれだけか」 久しぶりの上玉に私の心も躍っていたのだが、残念ながら枝が最後の一本になってしまった。 だが、これがまた長くて太い。名付けるならグングニルである。 「……おにいざん! ごべんなざい! それだげはやべでぐだざい!」 「よし分かった、これで最後にしてやる。その為におでこにはまだ一本も刺してないからな」 れいむの眉間に照準を合わせ、右手で力一杯突き刺す。 「ゆ゛っ……」の一言を残し、れいむはそのまま一切の活動を停止した。 どうやら無事中枢餡に直撃したようだ。きっちり最後の一本で死んで何よりである。 「ゆっ……ゆわああああああああああ! でいぶっ! でいぶあああああああああああああああ!!」 流石にまりさもダメージが致命的であると察したのか、今までに無い力でばたつき、そして号泣してしまった。 これだけでも付近の枝を拾い集めた甲斐がある。休日のよいストレス解消だ。 「……どぼじで……どぼじでごんなごどずるのおおおおおおおお!?」 物言わぬれいむを見つめながら訴えるまりさ。どうしてと言われても、虐待お兄さんが虐待を行うのは当たり前である。 ……だが待てよ、考えてみれば私は糞饅頭の餡子を確保する為に虐待をしていたのではないか。 途中からまりさの反応が楽しすぎてすっかり忘れていた。ていうか糞饅頭はまだ生きているだろうか? 「まりさ、お前には今から家に来て貰う。そしてお前の餡子を死にかけている糞饅頭の為に全部使ってやる」 「いやだああああああああ! ばりざのあんござんどらないでええええええええええ!」 「お前みたいな糞同然の野良の餡子でも飼いゆっくりの役に立てるんだぞ? 光栄に思って死ね」 「だずげでえ! ばりざのあんござんはおいじぐないよおおおおおお!?」 「不味いのは分かってる。はっきり言って店売りに比べたら野良の餡子なんて……ん?」 ……待てよ。今私は何と言った? 店売り…… 店 売 り …… ……そうだ、最初から買えば早いじゃないか…… 大体野良の餡子の品質はすこぶる悪い。そんな物を金バッチを取るようなゆっくりに移植したら、激しく品質が落ちてしまう。 嗚呼、テンパるとこんな当たり前の事に気付くのにこんなにも時間がかかるものなのか…… 呆然とまりさを掴んだ左手を離すと、まりさは私に振り返る事なくれいむの傍に駆け寄り、すすり泣く。 「……えーと、まりさ……おつかれ」 とんだ無駄足に付き合ってくれたお礼に、私は一踏みでまりさを絶命させてやった。 まりさが弾けた瞬間、周囲はとても甘ったるい餡子の匂いに包まれた。 公園備え付けのゴミ箱にまりさとれいむを片付けた後、私はその足で近所のペットショップに来ていた。 普段はポチ関連の餌や遊具を買う店なのだが、今日は普段見向きもしないゆっくりコーナーへと直行。 一kg五千円(!)のゆっくり用高級餡子を始め、治療用オレンジジュースや小麦粉を手に取り、そそくさと買い物を済ませた。 ……糞饅頭が金バッチじゃなければ全部安物で済ませたのだが。 そんなこんなで我が家に帰宅。ポチが心配そうな顔をして出迎えてくれる。 ……さすがに絶命してしまったかという不安が頭を過ぎったが、流し台では半死半生の糞饅頭が佇んでいた。 さすがに半端ではない生命力を誇るゆっくりである。 オレンジジュースを大量にかけておいたとはいえ、よくぞ生きていたものだ。 「まりさ、しっかりしろよ。今から治療してやるからな」 「ゆ゛っ……」 私は糞饅頭をまな板の上に移動させると、糞饅頭をうつ伏せにさせた。 台所用はさみで後頭部の一部の髪を切り、大匙で直径十cm程度の穴を空けるようくり貫く。 糞饅頭は呻いたが、瀕死の状態なので殆ど抵抗はされなかった。 続いて買ってきたゆっくり用高級餡子を大匙で一杯ずつ、くり貫いた穴から糞饅頭の体内へと放り込む。 その際に中を覗いて見ると結構空洞が目立っている。吐いた餡子の量を考えれば当然ではあるが。 一袋を入れ終える頃には、糞饅頭は吐く前とほぼ同じ大きさにまでなっていた。 あとはオレンジジュースで溶かした小麦粉で空いた穴に栓をし、アフターケアはばっちりである。 穴が開いた場所の上からは糞饅頭の髪が垂れているので、跡が見つかる事はないだろう。 「……ポチ、糞饅頭を見守っていてくれてありがとう。手術は成功だ……!」 「ワン! ワン!」 私の表情に糞饅頭の生還を読み取ったのか、ポチは尻尾を限界まで左右に振って喜びを露にしてくれた。 そして夜の七時過ぎ、我が家のインターホンが鳴り響いた。 「ワン! ワンワン!」 「帰って来たんだな、お隣さん」 ポチが真っ先に玄関へ走り、次いで私が、更に後に糞饅頭が玄関へ向かう。 「只今戻りましたー。まりさの面倒を見て頂いてありがとうございました。これ、温泉のお土産です!」 ドアを開けるとお隣のご主人と奥さん、それに健太君のお隣さん一家が揃い踏みで待っていた。 そして渡されたのは温泉饅頭やご当地の漬物……結構な量である。 まあ、ペットを預かって貰ったからだろうが。 「まりさ、元気してた!? 温泉すっげー気持ち良かったよ!」 「まりさ、あなたへのお土産もちゃんと買ってるからね!」 「ああ、まあ、その……ほらまりさ、ちゃんと挨拶しなきゃ」 「ゆゆっ! おかえりなさいおとうさん、おかあさん、けんたくん! ゆっくりしていってね!」 ……シーンと静まり返るお隣さん一家。 あれ、まりさって語尾に「だぜ」とか付けてなかったっけとか、そもそもこんなに礼儀正しかったっけとか、そんな顔を浮かべている。 「……ま、まりさ、ただいま。……あれ? まりさってこんなキャラだったっけ?」 「まりさはまりさだよ! けんたくんたちがかえってきて、まりさうれしいな!」 「え……?」 まずい、どんどん困惑するお隣さん達。 だがそれも当然である。治療を終えて意識を取り戻した糞饅頭は、性格が"リセット"されていたのだから。 私が糞饅頭の治療に使った餡子は、正真正銘金バッチ用の高級餡子だった。 基本的にゆっくりの質は中の餡子の質と言っても差し障りは無い。 元々ペットショップで金バッチとして売られる程の糞饅頭は、飼われて以降の甘やかしでゲス化していただけで元の品質は高かった。 そんななかで体内の言わばゲス餡子が排出され、高品質な餡子が代わりに補充された結果、糞饅頭の性格は一気に改善されたのだ。 ……多分、そんな理由だろう。ゆっくりだし。 しかし、今になってこの状況がまずいのではないかと気付く辺り私はやはり抜けている。 預けている間にゲスになっていたらブチギレだろうが、かといってここまで性格が変わってしまってお隣さんは何を思うのか。 こんな事なら、せめてだぜ口調になる程度に教育しておいた方が良かったのでは…… 「まりさ! そうかそうか、このお兄さんに躾けて貰ったんだな!」 ……おや? 今ご主人がいい事を言ったような気がする。 「本当ね! まるでまりさが初めて家に来た時みたい!」 おお、奥さんもいい事を言ってくれている。 「すみません、まりさを預かって貰っただけじゃなくて、躾けまでして頂いて!」 「最近まりさはちょっと態度が気になっていたんで、本当に助かります!」 「あ、いえ、私は別に大した事は何も……」 いい事言う所か感謝されまくりである。さすがにちょっと申し訳なさすら感じてしまう。 元はといえばこっちの不手際で死なせかけ、性格だって変わってしまったというのに。 「ありがとう、お兄さん! まりさがとっても賢くなったよ!」 やめてくれ健太君。今日一日の行動を知られた日には私はこの一家には顔向け出来ないのだが。 「おにいさん、まりさのめんどうをみてくれてありがとうございました! いぬさんもゆっくりしていってね!」 「ワン!」 ああ、糞饅頭にお礼を言われた上にポチも仲良くしている……いいのだろうか? 本当にこれでいいのだろうか? 「よし、じゃあ皆、家に帰ろうか。まりさ、帰ったら温泉饅頭を食べような!」 「まりさには温泉卵もあるからね!」 「ゆわーい!」 ……だがまあ、糞饅頭の性格がクズだったのも元はといえばお隣さん一家の甘やかしが原因である。 多分この後散々甘やかされるのだろうし、案外近いうちに元通りの糞饅頭が出来上がるのかもしれない。 「それでは、私達はこれで」 「またいつか預かっていただけたら助かります」 ……最後に何か凄く恐ろしい一言が聞こえた気がしたが、聞こえなかった事にしてお隣さん一家に別れを告げる。 「……ポチ、散歩行こうか」 「ワン!」 そして、最後まで尻尾を振ってお隣さん一家を見送るポチを連れて、夜の散歩へと出かけて行った。 【完】 トップページに戻る このSSへの感想 ※他人が不快になる発言はゆっくりできないよ!よく考えて投稿してね! 感想 すべてのコメントを見る 事実を伝えても平気では? こちらの被害 対応(レシート付き)を教えれば、「一般教養のある人間」ならば、 飼いゆのゲス行動で迷惑を掛けてしまったとわかるはず。 -- 2018-01-07 13 43 53 無限ループするんですねわかります -- 2014-03-21 00 20 56 …百均の餡子でいいんじゃね?とか思った。百均の餡子意外とめちゃ美味いし。…美味いだけじゃだめか -- 2012-11-11 20 32 34 面白いwww -- 2011-09-21 14 49 40 野良のあんこを入れなくてよかったね、もし入れてたら、悲惨な目に会ってたかも -- 2010-12-13 01 29 51 面白かったwww 人様の飼いゆっくりが悲惨な目にと書いてあったから警戒したが、 良い話じゃねぇのww -- 2010-11-22 22 34 15 面白かった -- 2010-06-15 00 24 53
https://w.atwiki.jp/hutaba_ranking/pages/251.html
初SSです。 人生でこんな長い文章書いたの初めてです。 よって、稚拙な文章ですがごめんなさい。 ネタ被りしてたらごめんなさい。 ある日の休日 「ゆっくりしていってね」 目の前の饅頭が私に語りかける 「はいはい、ゆっくりゆっくり」 私がそう返すと 「ゆゆ~ん、ゆっくり!ゆっくり!」 どうやらうれしかったようだ。その饅頭は上半身?をふりふりと左右に振りながらそう答える。さて、それではゆっくりさせてもらおうと私は手近にあったドライバーを手に取り饅頭の直頭部から一気に突き刺す 「ゆっ・・・」 どうやら中枢餡を一撃で貫いたようだ。饅頭は一言呻くと動かなくなった。すこしだけゆっくりできた。 私はゆっくり虐待を趣味としている。それなりにキャリアは長い。あらかた考えうる虐待はすべて経験してしまった。新しい虐待を・・・新しい刺激を・・・それが私の望みだ。だがそう簡単に考えられるほど甘くはない。今しがたも思考停止状態でただ一撃ドライバーで絶命させた。完全なマンネリ状態である。これは重症だ。何か考えないと・・・このままではただひたすらにゆっくりを殺し続ける変人になりかねない。 そんなことを考えているある日のこと。仕事中に給湯室でコーヒーを入れている時だった。前に給湯室を使った人の蛇口の閉めが甘かったのか蛇口からぽとりぽとりと水滴が落ちていた。この下にゆっくりを固定しておくとどうなるのか・・・溶けてしまうのか、あるいは一滴落ちて皮が湿ってそして乾き、湿っては渇きを繰り返すのか・・・どちらにせよ虐待に使えそうだ。さっそく今日の帰りにゆっくりを捕まえていこう 夜・・・ 「ゆっくりしていってね。そしてあまあまをちょうだいね。たくさんでいいよ」 仕事帰りに公園で捕まえた饅頭が私に語りかける。私は特に語り返すでもなくその饅頭の赤いリボンのついた黒い髪を鷲掴みにしてもちあげる。 「い、痛いよ!やめてね!・・・ゆっ!お空を飛んでるみた~い」 私は無言のまま饅頭の底部にカセットコンロの火をかざす。 「ゆゆ~ん・・・あ、あぢゅいいいいぃぃいいい!やめてっぇぇぇええええ!」 熱い熱いと叫んでいるがいつものことだ。私の心には響かない。こんなものは聞き飽きた。水滴をたらしている間に上半身?をふりふりとされて水滴が一点に落ちないのは困るのでそのまま背中から側面にかけても焼く。 「ぎゃゃやややっやああああ!」 うるさくなってきたので口にティッシュを詰め込む。 「んふぅうううんふんんん!」 少し静かになった。水滴を落とす時に邪魔になる髪も燃やしてしまうことにした。私は饅頭を上下逆に持ち変えて頭に火をかざす。髪の毛がなくなればいいのでサッとだ。髪がちりちりに燃え尽きたところで床に置くきティッシュを取る 「んふぅううんんうふんんん・・・げほっ、げほっ、れ、れいむのかみのけさんがぁぁぁああ!なんでこんなひどいことするのぉおお!おにいさんはゆっくりできないよっ!ゆ、ゆっくり逃げるよ・・・どうしてあしさんうごかないのぉおおおお!!!」 とたんにわめき出す。どうやら成功のようだ。自分から足が動かないことを宣言してくれた。それにどうやら体をゆすることもできないようだ。さて、それでは本題に移るとしよう。私は台所の蛇口を器用に絞り30秒に一滴程度水滴が落ちるように調整した。正直、饅頭を焼くよりもこちらのほうが手間取った。シンクの中を乾いたタオルできれいに拭き、新たに新しい乾いたタオルを折りたたんでシンクの底に置く。そしてその上に饅頭を置く。ちょうど饅頭の真上に蛇口が来るように調整して虐待スタートだ。 「ゆっくりできないおにいさんはいますぐれいむのかみのけさんをなおしてね!あしさんもだよ!そしてあまあ・・・ゆゆっ?おみずさん?おみずさんはゆっくりできないよ!ゆっくりどっかにいってね!」 ぽた・・・・・・・・・、ぽた・・・・・・・・・、と饅頭の頭に水滴が落ちる。30秒に1回というとってもゆっくりしたペースだ。1時間ほど観察したが特に変化はない。その間も 「おみずさん!いじわるしないでね!どっかいってね!」 と水に話しかけ続けている。結構なことだ。 仕事の疲れもあるので私は寝室に移動して眠ることにした。 翌朝・・・ 目が覚める。あ、そうだ饅頭どうなったかな?私は台所に向かった。冷蔵庫からミネラルウォーターを取り出し喉の渇きを潤しながらシンクの中を覗き込む。 「ゆっ・・・・・・・・・、ゆっ・・・・・・・・・、みずさんとまって・・・・・・・・・」 どうやら健在のようだ。水滴が頭にあたるたびに小さく呻いている。よく観察すると頭は全体的に水分を含みぐずぐずになってきている。だが餡子は露出していない。そして目の下にはくまができていた。どうやら一睡もできなかったようだ。 「ゆっ!お、おにいさん!れいむをここからだしてね!ゆっくりしないでたすけてね!」 私に気づいたようだ。眠気を振り払うかのように目をきりっと見開き助けを求めてくる。 「あー・・・ゆっくり、ゆっくり」 適当に返しておいた。さて、仕事に行く準備をしなければ。シャワーを浴びてスーツに着替える。今日も一日お仕事がんばろう。 夜・・・ 仕事から帰宅。さてと、饅頭はどうなってるかな?台所の電気をつけてシンクを覗き込む。 「ゆげっ・・・・・・・・・、ゆぎっ・・・・・・・・・、やめ・・・・・・・・・、、おみ・・・・・・・・・、」 頭部の皮がやぶけて餡子が露出しそこに直接水滴が落ちている。心なしか呻きが朝より痛々しくなっているのはそのためだろう。相変わらず水滴が落ちるタイミングに合わせるかのように呻き声を上げている。 「おい、ゆっくりしてるか?」 饅頭に語り掛ける。 「おにいさ、ゆぎっ・・・たす、ゆげっ・・・けて、ゆぐっ・・・・・・・・・、」 助けを懇願してくる。ここで私はあることに気づいた。料理できないじゃないか・・・ちなみに朝は食べない主義だ。しょうがないので近くのコンビニに弁当を買いに行くことにした。 「おい、お前も何か食べるか?」 「ゆっ、あま、ゆぐ・・・いっぱ、ゆぐ・・・ちょう、ぐげっ・・・」 何を言ってるかわからない。自分の分だけ買ってくることにしよう。 帰宅後弁当を食べて風呂に入りこの日は就寝した。 真夜中・・・ 「ぎゃああぁぁぁぁぁああああああ!!!!!!」 すさまじい大音量の悲鳴が台所から響き渡る。私は飛び起きると台所へ行きシンクを覗き込んだ。饅頭が目をこれでもかと大きく見開き、歯をむき出しにして叫んでいる。どうやら水滴が中枢餡へ到達したらしい。頭部の皮の破れは発達し、完全に穴が開いていた。。私の小指ほどだろうか。深さもそれなりにあるようだ。覗き込んでそんなことを考えているとまた一滴、水滴が饅頭に落ちた。 「ぎょわぁぁぁぁあああああああ!!!!」 やばい。うるさい。これじゃあ眠れない。それに近所迷惑だ。しょうがないので口をふさぐことにしよう。今から口を焼き固めるのはめんどくさいので上下の唇をホッチキスで止めることにした。バチン、バチンと何度も何度もホッチキスで唇を止めていく。 「んふんふふうふふぅふんん!!!!」 これなら大丈夫そうだ。寝室へ戻りドアを閉める。しばらくベットの上に座り聞き耳を立てる・・・何も聞こえてこない。寝室にも聞こえてこないなら近所に声が漏れていることもないだろう。そしてまた眠りについた 翌朝・・・ 朝起きてシンクを覗き込む。左右の目は別々にあらん方向を向いて、全身から砂糖水の汗が滴ってる。どうやらまだ生きているようだ。ふと、饅頭の目がこちらを向いた。 「んふぅうん、んふんふ、ふうぅぅん」 何かしゃべっているようだ。おどろいた。まだ自我を保っているのか。だが何をしゃべっているのかはわからない。 「はいはい、ゆっくりゆっくり」 ホッチキスを取るとうるさそうなので適当に返しておいた。 穴はより成長し私の親指くらいの大きさだろうか。それに心なしかすこし饅頭が大きくなっているような気がする。食事は与えてないのでおそらく落ちてきた水が餡子に染み渡って水ぶくれしているのだろう。なんともでたらめである。 さてと、それでは仕事に行くとしようか。 夜・・・ 仕事が終わり外で食事を取ってから帰宅するとすぐに台所のシンクを覗き込む。 頭の穴はより成長し指が3本くらい入るほどになっていた。穴には水がたまり、しーしーをもらしている。どうやら水の量が許容量を超えたようだ。 「んふうううううん・・・・・・・・・、ふううんんんうん・・・・・・・・・、」 ホッチキスでとめた口の隙間からかすかに叫び声が漏れる。まだ生きているようだ。とりあえず風呂に入ろう。 風呂から出て全裸のまま冷蔵庫からビールを取り出す。喉の渇きを潤しながらシンクを覗き込む・・・あれ?死んでないか?頬をたたいてみるが反応はない。目もまったく動いていないし、水滴が落ちても呻き声も上げない。どうやら中枢餡が溶けきってしまったまったようだ。 う~ん、新鮮味はあったけど躍動感がないなぁ・・・そんなことを思いながら全裸で饅頭の穴を覗き込む。ちょうどいい大きさの穴だ・・・ふと変な考えが頭をよぎった。いや・・・やめておこう・・・人間やめるわけにはいかない。明日はちょうど燃えるごみの日なので饅頭をゴミ袋に入れてつぶしてからごみ置き場に出しに行った。 みんなは夜にゴミ出ししてはいけないよ。 「きゃーーーーー!!!!」 通りかかった女性が悲鳴を上げた。あ・・・全裸だった。
https://w.atwiki.jp/ankoss/pages/655.html
初SSです。 人生でこんな長い文章書いたの初めてです。 よって、稚拙な文章ですがごめんなさい。 ネタ被りしてたらごめんなさい。 ある日の休日 「ゆっくりしていってね」 目の前の饅頭が私に語りかける 「はいはい、ゆっくりゆっくり」 私がそう返すと 「ゆゆ~ん、ゆっくり!ゆっくり!」 どうやらうれしかったようだ。その饅頭は上半身?をふりふりと左右に振りながらそう答える。さて、それではゆっくりさせてもらおうと私は手近にあったドライバーを手に取り饅頭の直頭部から一気に突き刺す 「ゆっ、、、」 どうやら中枢餡を一撃で貫いたようだ。饅頭は一言呻くと動かなくなった。すこしだけゆっくりできた。 私はゆっくり虐待を趣味としている。それなりにキャリアは長い。あらかた考えうる虐待はすべて経験してしまった。新しい虐待を、、、新しい刺激を、、、それが私の望みだ。だがそう簡単に考えられるほど甘くはない。今しがたも思考停止状態でただ一撃ドライバーで絶命させた。完全なマンネリ状態である。これは重症だ。何か考えないと、、、このままではただひたすらにゆっくりを殺し続ける変人になりかねない。 そんなことを考えているある日のこと。仕事中に給湯室でコーヒーを入れている時だった。前に給湯室を使った人の蛇口の閉めが甘かったのか蛇口からぽとりぽとりと水滴が落ちていた。この下にゆっくりを固定しておくとどうなるのか、、、溶けてしまうのか、あるいは一滴落ちて皮が湿ってそして乾き、湿っては渇きを繰り返すのか、、、どちらにせよ虐待に使えそうだ。さっそく今日の帰りにゆっくりを捕まえていこう 夜、、、 「ゆっくりしていってね。そしてあまあまをちょうだいね。たくさんでいいよ」 仕事帰りに公園で捕まえた饅頭が私に語りかける。私は特に語り返すでもなくその饅頭の赤いリボンのついた黒い髪を鷲掴みにしてもちあげる。 「い、痛いよ!やめてね!、、、ゆっ!お空を飛んでるみた~い」 私は無言のまま饅頭の底部にカセットコンロの火をかざす。 「ゆゆ~ん、、、あ、あぢゅいいいいぃぃいいい!やめてっぇぇぇええええ!」 熱い熱いと叫んでいるがいつものことだ。私の心には響かない。こんなものは聞き飽きた。水滴をたらしている間に上半身?をふりふりとされて水滴が一点に落ちないのは困るのでそのまま背中から側面にかけても焼く。 「ぎゃゃやややっやああああ!」 うるさくなってきたので口にティッシュを詰め込む。 「んふぅうううんふんんん!」 少し静かになった。水滴を落とす時に邪魔になる髪も燃やしてしまうことにした。私は饅頭を上下逆に持ち変えて頭に火をかざす。髪の毛がなくなればいいのでサッとだ。髪がちりちりに燃え尽きたところで床に置くきティッシュを取る 「んふぅううんんうふんんん、、、げほっ、げほっ、れ、れいむのかみのけさんがぁぁぁああ!なんでこんなひどいことするのぉおお!おにいさんはゆっくりできないよっ!ゆ、ゆっくり逃げるよ、、、どうしてあしさんうごかないのぉおおおお!!!」 とたんにわめき出す。どうやら成功のようだ。自分から足が動かないことを宣言してくれた。それにどうやら体をゆすることもできないようだ。さて、それでは本題に移るとしよう。私は台所の蛇口を器用に絞り30秒に一滴程度水滴が落ちるように調整した。正直、饅頭を焼くよりもこちらのほうが手間取った。シンクの中を乾いたタオルできれいに拭き、新たに新しい乾いたタオルを折りたたんでシンクの底に置く。そしてその上に饅頭を置く。ちょうど饅頭の真上に蛇口が来るように調整して虐待スタートだ。 「ゆっくりできないおにいさんはいますぐれいむのかみのけさんをなおしてね!あしさんもだよ!そしてあまあ、、、ゆゆっ?おみずさん?おみずさんはゆっくりできないよ!ゆっくりどっかにいってね!」 ぽた、、、、、、、、、、ぽた、、、、、、、、、、と饅頭の頭に水滴が落ちる。30秒に1回というとってもゆっくりしたペースだ。1時間ほど観察したが特に変化はない。その間も 「おみずさん!いじわるしないでね!どっかいってね!」 と水に話しかけ続けている。結構なことだ。 仕事の疲れもあるので私は寝室に移動して眠ることにした。 翌朝、、、 目が覚める。あ、そうだ饅頭どうなったかな?私は台所に向かった。冷蔵庫からミネラルウォーターを取り出し喉の渇きを潤しながらシンクの中を覗き込む。 「ゆっ、、、、、、、、、、ゆっ、、、、、、、、、、みずさんとまって、、、、、、、、、」 どうやら健在のようだ。水滴が頭にあたるたびに小さく呻いている。よく観察すると頭は全体的に水分を含みぐずぐずになってきている。だが餡子は露出していない。そして目の下にはくまができていた。どうやら一睡もできなかったようだ。 「ゆっ!お、おにいさん!れいむをここからだしてね!ゆっくりしないでたすけてね!」 私に気づいたようだ。眠気を振り払うかのように目をきりっと見開き助けを求めてくる。 「あー、、、ゆっくり、ゆっくり」 適当に返しておいた。さて、仕事に行く準備をしなければ。シャワーを浴びてスーツに着替える。今日も一日お仕事がんばろう。 夜、、、 仕事から帰宅。さてと、饅頭はどうなってるかな?台所の電気をつけてシンクを覗き込む。 「ゆげっ、、、、、、、、、、ゆぎっ、、、、、、、、、、やめ、、、、、、、、、、、おみ、、、、、、、、、、」 頭部の皮がやぶけて餡子が露出しそこに直接水滴が落ちている。心なしか呻きが朝より痛々しくなっているのはそのためだろう。相変わらず水滴が落ちるタイミングに合わせるかのように呻き声を上げている。 「おい、ゆっくりしてるか?」 饅頭に語り掛ける。 「おにいさ、ゆぎっ、、、たす、ゆげっ、、、けて、ゆぐっ、、、、、、、、、、」 助けを懇願してくる。ここで私はあることに気づいた。料理できないじゃないか、、、ちなみに朝は食べない主義だ。しょうがないので近くのコンビニに弁当を買いに行くことにした。 「おい、お前も何か食べるか?」 「ゆっ、あま、ゆぐ、、、いっぱ、ゆぐ、、、ちょう、ぐげっ、、、」 何を言ってるかわからない。自分の分だけ買ってくることにしよう。 帰宅後弁当を食べて風呂に入りこの日は就寝した。 真夜中、、、 「ぎゃああぁぁぁぁぁああああああ!!!!!!」 すさまじい大音量の悲鳴が台所から響き渡る。私は飛び起きると台所へ行きシンクを覗き込んだ。饅頭が目をこれでもかと大きく見開き、歯をむき出しにして叫んでいる。どうやら水滴が中枢餡へ到達したらしい。頭部の皮の破れは発達し、完全に穴が開いていた。。私の小指ほどだろうか。深さもそれなりにあるようだ。覗き込んでそんなことを考えているとまた一滴、水滴が饅頭に落ちた。 「ぎょわぁぁぁぁあああああああ!!!!」 やばい。うるさい。これじゃあ眠れない。それに近所迷惑だ。しょうがないので口をふさぐことにしよう。今から口を焼き固めるのはめんどくさいので上下の唇をホッチキスで止めることにした。バチン、バチンと何度も何度もホッチキスで唇を止めていく。 「んふんふふうふふぅふんん!!!!」 これなら大丈夫そうだ。寝室へ戻りドアを閉める。しばらくベットの上に座り聞き耳を立てる、、、何も聞こえてこない。寝室にも聞こえてこないなら近所に声が漏れていることもないだろう。そしてまた眠りについた 翌朝、、、 朝起きてシンクを覗き込む。左右の目は別々にあらん方向を向いて、全身から砂糖水の汗が滴ってる。どうやらまだ生きているようだ。ふと、饅頭の目がこちらを向いた。 「んふぅうん、んふんふ、ふうぅぅん」 何かしゃべっているようだ。おどろいた。まだ自我を保っているのか。だが何をしゃべっているのかはわからない。 「はいはい、ゆっくりゆっくり」 ホッチキスを取るとうるさそうなので適当に返しておいた。 穴はより成長し私の親指くらいの大きさだろうか。それに心なしかすこし饅頭が大きくなっているような気がする。食事は与えてないのでおそらく落ちてきた水が餡子に染み渡って水ぶくれしているのだろう。なんともでたらめである。 さてと、それでは仕事に行くとしようか。 夜、、、 仕事が終わり外で食事を取ってから帰宅するとすぐに台所のシンクを覗き込む。 頭の穴はより成長し指が3本くらい入るほどになっていた。穴には水がたまり、しーしーをもらしている。どうやら水の量が許容量を超えたようだ。 「んふうううううん、、、、、、、、、、ふううんんんうん、、、、、、、、、、」 ホッチキスでとめた口の隙間からかすかに叫び声が漏れる。まだ生きているようだ。とりあえず風呂に入ろう。 風呂から出て全裸のまま冷蔵庫からビールを取り出す。喉の渇きを潤しながらシンクを覗き込む、、、あれ?死んでないか?頬をたたいてみるが反応はない。目もまったく動いていないし、水滴が落ちても呻き声も上げない。どうやら中枢餡が溶けきってしまったまったようだ。 う~ん、新鮮味はあったけど躍動感がないなぁ、、、そんなことを思いながら全裸で饅頭の穴を覗き込む。ちょうどいい大きさの穴だ、、、ふと変な考えが頭をよぎった。いや、、、やめておこう、、、人間やめるわけにはいかない。明日はちょうど燃えるごみの日なので饅頭をゴミ袋に入れてつぶしてからごみ置き場に出しに行った。 みんなは夜にゴミ出ししてはいけないよ。 「きゃーーーーー!!!!」 通りかかった女性が悲鳴を上げた。あ、、、全裸だった。 挿絵:我慢あき
https://w.atwiki.jp/ankoss/pages/1549.html
*量が半端だったので、前編と統合しました *前編は少しだけ手を加えましたが、大筋は同じです *やっぱり、北東ネタを含みます *HENTAI? *高性能ゆっくり注意 *後編から読みたい方は、☆ここから☆ と書いてあるところから読んだらOK 「う~? おでかけ~!? れみぃも行きたい~♪」 外出しようとしたら、我が家の奴隷肉まんが纏わりついてきた。 監禁生活も早一週間になろうというのに、こいつときたら未だに彼我の実力差を理解していないとみえる。 家にいる間は常に俺に付き纏って隙をうかがい、外から帰ってきたときはいつも首元に飛び掛って絞め落とそうとしてくる。 その度に、こいつの大嫌いな頭ワシャワシャの刑や南斗虐指葬(easy)で虐めているというのに、一向に改善する気配がない。 もしかしたら、こいつはマゾなのかもしれない。 「おねがいだどぅ~。れみぃ、お兄さんが住んでるまちのこと知りたいから、えすこーとしてほしいの~」 そういえば、こいつは純粋なこの町生まれの野良肉まんではなかったな。 俺が住んでいるこの「紫町」は、多数の饅頭が生息する自然に囲まれており、時折、野生の饅頭が訪れることがある。 餌がなくなった家族、協定を結びに来るドス、人間の町に根拠不明の憧れを抱く若人など、バリエーションも様々だ。 こいつも、そんな元野生の肉まんであり、うっかり人間の町に迷い込んで帰れなくなったという間抜けな奴だ。 外出する用事もこの肉まん関連なので、ついでにこの近辺を案内してやるのもいいかもしれない。 「うー☆ やったどぅ! お兄さん好き好きー!!」 褒めたところで、プリンは一個しか買ってやらんぞ、れみりゃよ。 『肉まんと出かけよう 前編』 葉の散ってしまった街路樹が立ち並ぶ大通り。 肉まんが逃げ出さないように、その小っこい手をしっかりと握り締めて歩く。 のっしのっしと往来の真ん中を進んで行くと公園に辿り着いた。 最早、虐SSのお約束だが、この公園には多数の野良饅頭が生息している。 肌を寄せ合い、ゴミを漁って生きることしかできない汚物の集団ではあるが、それ故に生き汚いゲス共が多く、注意が必要な場所でもある。 特に奴隷饅頭にとっては、ゲス饅頭及び、そいつらを消毒に来る火炎放射モヒカンにも注意を払う必要があるので、決して一人で来てはいけない大変危険な場所だ。 「う、う~。こわいとこだどぅ……」 そう説明してやったところ、意外にもすんなりと理解したようだ。 普段も、この聡明さを発揮して、俺に引っ付いてくるのを止めてくれればいいのだがな。 そんなことを考えていると、これまたお約束なやり取りが聞こえてきた。 「くずめーりんのくせに、にんげんにかわれてるなんて、なまいきなんだぜー!! ゆっくりしないで、そのバッジをよこすんだぜー!!!!」 「れいむたちがめーりんのかわりにゆっくりしてあげるんだから、こうえいにおもってね!! あと、あまあまちょうだいね!!」 「じゃ…じゃお!! じゃ…じゃお~~!!」 はいはい、テンプレご馳走様。 俺が激辛中国饅頭を助けるとでも思ったか? 助けんよ。 「うー? お兄さん、あのもんばん、かいゆっくりだけど、ほっといていいの?」 虐められているのが普通の奴隷饅頭なら助けたであろうな。 虐めを傍観していたのが飼い主にバレたら、訴訟問題になりかねん。 だが、あいつの飼い主は俺の知人であり、あの饅頭自体は相当なゲス饅頭だ。 助ける気にもならんし、助ける必要もない。 「でも、でも、たすけてほしそうにしてるどぅ~。さっきだって 『や…やめてくれ!! た…たのむ!!』 って言ってたどぅ」 ならば益々助ける必要がない。 「ゆっへっへ、そろそろとどめな「じゃおーーん!!(喰ぅらいやがれーーー!!) ぶっ!!」 ゆぎゃぁぁぁぁぁぁ!!!! がらい!! あづい!! がらい!! あづいーーーーーーーー!!!!!!」 「まじざぁぁぁぁぁぁぁ!!!?」 止めを刺そうとして隙だらけになっていた黒帽子饅頭は、中国饅頭が吐き出した液体――ラー油をもろに喰らった。 辛味が致死性の劇物に相当する通常種の饅頭にとって、あれはさぞかし辛いであろうな。 そんな苦しみを味わっている黒帽子饅頭を尻目に、中国饅頭は帽子の中からマッチを取り出して点火する。 口だけを用いて壁に擦りつけて点火するなど、何気に器用な奴だ。 何故、マッチを出したか? この状況でこいつがやりそうなことといえば、これしかなかろう。 「じゃおー!!(ヒャッハー!!)」 「ゆぶぇーーーーーー!! あづーーーッ!! まじざのおぼうじがぁぁぁぁ!! さらさらへあーさんがーーーーー!!!!」 「じゃお? じゃーお? じゃーお!! じゃおーじゃじゃじゃじゃお!!(どうだ? くやしいか? くやしいか!! ヒャーッハッハッハー!!)」 「ゆ、ぎ、ぎ……」 「じゃお、じゃお(燃えろ、燃えろ)!! じゃおじゃおじゃじゃおじゃおーーーー!!!!(レイパーのぺにぺによりも醜く焼け爛れろーーーー!!!!)」 ラー油に点火した炎は瞬く間に燃え広がり、あっという間に饅頭の帽子と髪を焼き尽くして、焼き饅頭が出来上がった。 辺りに、饅頭の甘い匂いとラー油の焦げる香ばしい香りが広がっていく。 饅頭の顔面には、悔しさとも苦しみともとれる奇妙な表情が張り付いていた。 もっとも、目も口も焼け爛れて、醜いことに変わりはないが。 それにしても、ガソリン並みによく燃えるラー油だったな。 「じゃおじゃおじゃお、じゃおーーーん!!(ゆっへっへ、ちぇんの兄ぃのとこに持って行く、いい土産ができたぜ!!) じゃおじゃじゃお!!(出来の悪いお兄さんも喜ぶに違いない!!) じゃ、じゃおじゃじゃじゃおじゃお(さて、残った貴様にも生き地獄を味わわせてやる)!!」 「ゆー!? やめてね!! れいむはにんぷさんなんだよ!! しんぐ「おい!! めーりん!! 勝手に先に行くなと言っただろう!!」 ゆっ?」 「じゃじゃーーーおじゃおっじゃじゃおじょじょじゃーお!! じゃおじゃおおおうじゃおう!! (見舞いの品選びに時間をかけすぎるお兄さんが悪いのだろうが!! 本当に愚図な飼い主め!!)」 焼き饅頭が出来上がったところで、ようやく飼い主がやって来た。 その飼い主と口論を始めた中国饅頭を見て、恐怖に引き攣っていた赤リボン饅頭の表情が元のふてぶてしいムカつく顔に戻っていく。 中国饅頭から自分を助けるために、奴隷が来たなどとでも思っているのだろうか? 思っているのだろうな。 「おそいよ!! じじい!! さっさとそのくずめーりんをころし「万重残悔拳!!!」 ゆび!! いだいーーーー!!!!」 何事か喚こうとしていた饅頭の両米神に、お兄さんの親指が深々と突き刺さっていた。 「どぼじでごんなごどずるのぉぉぉぉぉ!!!?」 「お前は、俺の可愛いめーりんをクズと言った。生かして帰すとでも思ったのか?」 「じゃ、じゃじゃじゃじゃお!! じゃじょじゃおじゃおじゃおーん!!(な、なに恥ずかしいこと言ってやがる!! 真顔で、んなことを言うんじゃねー!!)」 当然と言えば、当然の帰結か。 奴隷とはいえ人間の庇護下にある饅頭だ。 糞汚い野良如きがクズ呼ばわりして、生きていられるほど甘い世界ではない。 「うるざいー!!! ざっざどごのぎだないゆびを……」 「この指を抜いてから三秒後に、お前は干乾びるまで奇形饅頭とうんうんをひり出し続けて死ぬ」 「やべてぇぇぇぇッ!! ぬかないでーーーーー!!!!!」 すぼっ 「ゆがぁぁぁぁぁ!!!!!!!」 おもしろい、ならばその3秒、俺が数えてやろう!! ひとーつ 「ゆぎ!! あがぢゃん!!? どぼじでゆっぐりじでないの!!? おがあざんのながであばれないでね!!!!」 ふたーつ 「ゆぐう!!? う、うばでどぅ!!!?」 みーっつ!! 「ゆぎゃぁぁぁぁぁ!!!! なんなのごれぇぇぇぇぇぇ!!!!!」 野良饅頭のまむまむからにゅるんと産まれて来たのは、紛うことなき饅頭であった。 飾りも、髪も、目も、口もない。 それらは、外気に触れた瞬間に一瞬だけぶるっと震えて、たちまち動かなくなった。 生まれついての汚物から正真正銘の饅頭へのクラスアップとは、なんとも喜ばしいことではないか。 「うんうんがどまらないーーーーーー!!!! だれがぁぁぁぁ!!! だれかかわいいれいむをだずげでぇぇぇ!!」 母親も、尻から汚物をひり出して喜んでいる。 だが、公共の場で公開スカトロとは感心できん。 我が家の肉まんが真似しないことを祈るばかりだ。 「誰かと思ったら、お前か。久しいな。それと、そっちのれみりゃは、お前の飼いゆっくりか?」 飼い主が、やっと俺に気づいたようだ。 気配を絶っていたとはいえ、暗殺拳法の伝承者がこれでは先が思いやられる。 あと、こいつは飼いゆっくりなどでなない。 奴隷饅頭だ。 勘違いするな。 「……そうだったな、お前は、そういう奴だった」 分かればいい。 ペットの饅頭など、奴隷饅頭で十分なのだ。 それにしても、この「秘孔マニアお兄さん」が外出とは珍しい。 普段は、家に篭って人間や饅頭を内側から爆砕する拳法の研究をするか、奴隷饅頭のめーりんと一日中にゃんにゃんしているこいつを公園で見かけるとは思わなかった。 「兄者の見舞いだ。この先の病院に入院していてな」 あー、そういえば、こいつの兄、通称『汚物』は宴席で重症を負って病院に担ぎ込まれたのだったな。 確か、マタタビで酔った猫饅頭に秘孔を突かれて、右側頭部が吹き飛んだとか。 「ああ、あの時は、酷かったぞ。素面に戻ったちぇんは『わからないよー!!』と泣き叫んで兄者に謝り、頭が吹き飛んだ兄者は、ちぇんを必死に宥めようとして傷が悪化するという地獄絵図だった」 なんとも、お間抜けな連中だ。 今すぐにでも病室に乗り込んで大いに馬鹿にしてやりたいところだが、今日はこちらも用がある。 見舞いは後日にするとしよう。 別に、兄弟水入らずで話せるように気を遣った訳ではない。 「ん? そうか、それじゃあ、またいつか見舞いにでも行ってやってくれ。焼き饅頭でも持って」 そう言うと、秘孔マニアは、中国饅頭作の焼き饅頭を回収して、見舞い品であろう果物が入ったバスケットに詰め込んだ。 野良饅頭を人間が食べても平気なのだろうか? まあ、汚物同士、お似合いではあるが。 ところで 「じゃ、じゃお!! じゃおじゃじゃおじゃお!!(おい、お前!! 俺の名を言ってみろ!!)」 「う~? もんばん!!」 「じゃおじゃおーんじゃおん!? じゃおじゃじゃおじゃお(この帽子の星を見ても誰だかわからねぇのか!? もう一度だけチャンスをやろう)」 「うぅぅぅ……、うー☆ ちゅうごくー♪ ちゅうごくー♪」 「う…んうんど…まった……ぁ……」 この饅頭共は、何をしているのだ? ―――――――――――――――――――――――――― 秘孔マニアと別れて、しばらく道なりに進んでいくと、今度は空き地が見えてきた。 放置された建材に、積み上げられた土管三つという昔懐かしの空き地だ。 やはりというかなんというか、ここにも饅頭共はいた。 「あひあほおしえおんあおおおお!!!」 「お前のために狩ってきた饅頭なのぜ! どうだ!? うまそうだろう?」 土管の上で、目だけしか残っていない饅頭を持ってきた金髪饅頭が対面に座っている饅頭にモーションをかけていた。 この金髪饅頭、どこにでもいる野良饅頭とは少々様子が異なる。 野良にしては体に負った傷が少なく、汚れも付着していない。 声も、甲高いゆっくり饅頭の耳障りな鳴声に比べると野太く、発音も人間のそれに近い。 しかし、一番目を惹く点といえば、帽子を被っていないことであろう。 野良、野生、奴隷の区別なく、ゆっくりにとっての飾りとは、命の次に重要なものだ。 これがなくなっただけで正体不明の焦燥感に駆られ、仲間からは排斥され、ダウ平均株価が低下するという。 ところが、この饅頭の表情はどうだ。 目には力強さと執念の炎が宿り、口元には常に余裕の笑みを湛えている。 これこそが「ゆっくりしている」ということではないだろうか。 そんな変り種饅頭がモーションをかける相手なのだ。 そいつも普通の饅頭ではない。 「ゆっふっふ、ふらん、お前は相変わらず美しいのぜ~♪」 「しね!! ゆっくりしね!!」 被捕食種は、捕食種に対して熱をあげていた。 通常、成立するはずもないカップリングが成立しているのは、ひとえにこの金髪饅頭が強いことに起因している。 直径30cm程度の体で、10m級のドスの体に巨大な穴を穿つような饅頭だ。 そう簡単に食われはしないだろう。 「しね!! ふらんにくわれてゆっくりしね!!」 がぶっ、ちゅーちゅー 「ああああいうおああいうああいえーーーーー!!!!」 金髪饅頭の持ってきたプレゼントがお気に召したのか、餡まんはとてもサディスティックな笑顔で饅頭の中身を啜っている。 その姿に満足した金髪饅頭は、饒舌に語りだした。 「女王だ……。お前を女王にしてみせるぞ、ふらん!! 全てのゆっくりがお前の前に平ふす!! そうすれば、お前のきもち「ボグシャッ」ゆばぁ!!」 「うー!! まりさ、うるさい!! しね!! しんでだまれ!!!!」 ほう、体重の乗った見事なれーばてぃんだ。 金髪饅頭の頭がへこんでいる。 普通の饅頭なら、即死していてもおかしくなかろう。 「どうやら…ここまでのようなのぜ……。だが、ふらん!! まりさは、お前の拳法ではしなないのぜ!! サラダバー」 テーレッテー べちゃッ 「ゆべしッ!!」 そう叫ぶと、せっかく拾った命を土管の上から投げ出しやがった。 言いたいことは、色々ある。 拳法じゃねーよとか、土管の上から落ちたくらいじゃ死なねーよとか。 ただ、毎回、遭遇する度に同じようなことをしているこいつらに指摘してやるつもりはない。 そのぐらいで、こいつらの行動様式が変わるとは、到底思えないからだ。 「お……お、そこにいる…のは、まりさの同志ではないか……。ゆっく…りしていって…ね。あと、できれば助けてほしいのぜ……」 誰が同志だ、馬鹿饅頭。 市の役員は、この危険な饅頭が駆除されない理由を 『人間に対して割と友好的な上、悪意を持ったドスなどの危険生物を排除してくれるからだ』 と言っていたが、単に馬鹿すぎて誰も駆除する気にならなかったのではないのだろうかと俺は考えている。 まあ、知らぬ仲でもないので助けてはやるが。 「ゆふー。今度こそ死ぬかと思ったのぜ」 だったら態々、攻撃を受ける必要もあるまい。 こいつほどの身体能力があるなら避けるなり、オーラガードするなりすればいい。 そう言ってやったところ。 「ちっちっち、ふらんの暴力は愛の裏返しなのぜ!! 即ち攻撃を交わすことは、愛を否定すること!! 殉星のゆっくりであるまりさが愛を否定したら、この世は終わりなのぜ!!」 という、すっげームカつく返事が返ってきた。 一瞬、十字陵の漆喰にしてやろうかとも思ったが止めておこう。 今日は用事がある。 決して、ガチバトルをやらかして国家権力の厄介になることを恐れた訳ではない。 ところで 「うー♪ おねえたまだー♪ ふらん、おねえたま『で』あそぶー♪ しねー!! ゆっくりしねー!!」 「うわぁぁぁぁ!! ふらんのお顔がこわい、こわいになってるどぅ!!!! お兄ざーん!! だずげでーーーー!!!!」 餡まんの暴力が愛なら、全国の肉まんはとても愛されているのではなかろうか。 そんな考えが頭を過ぎった。 ――――――――――☆ここから☆―――――――――― 空き地から歩くこと数十分、ようやく目的地に到着した。 饅頭専門のペットショップ『yukkuuりー』 複数のドスによる同時多発テロで生じたグラウンド・ゼロのすぐ隣という最悪の立地条件下にあるため、ここら一帯は閑散としている。 それでも潰れないのは、店主が優秀なためであろう。 ここで、肉まんの飼いゆっくり登録を行うことが今回の外出の主な目的だ。 早速、入店しようとしたところで、店先に停まっている車が目に入った。 泥だらけの軍用ジープ。 こいつを俺は知っている……というか助手席に乗ったことがある。 つまり、「奴」が店にいる。 店内に入って真っ先に目に留まったのは、レジの上に乗っている「もの」だった。 そのもの青き衣を纏いて黄色いレジの上でゆっくりすべし。 青い服を着たそいつは、その言葉を体現するかのようにレジ台の上で横になって、ゆっくりしていた。 水色の髪の下の表情は眠っているようにしか見えないが、こいつの表情は普段からこれだ。 「……」 ペットショップが似合うもクソもあるまい。 饅頭を取り扱ったペットショップは、ここしかないのだ。 「……」 そんなことは、貴様が御執心のきめぇ丸にでも言ってやるがいい。 だいたい我が家のは、肉まんだ。 中身は餡子じゃない。 「うー? お兄さん、だれとおはなししてるの~?」 肉まんが、そんな疑問を持つのも仕方ない。 傍から見れば、俺が独り言を呟いているようにしか見えない。 一応、これでも会話しているのだ。 黙して動かないレジ上の物体「ゆっくりチルノフ」 『鎌田 チルノフ』というのがフルネームなのだが、苗字で呼ぶと怒る。 こいつとの付き合いは今年で八年にもなるが、未だに「めどい」、「おうどんたべたい」以外の言葉を聞いたことがない。 それでも慣れとは恐ろしいもので、今では微妙な表情の変化、身に纏う闘気、室内温度などを即座に分析することで、会話が成立するようになってしまった。 「……」 どうやら今度「ぱしたさん」とやらを奢ってくれるらしい。 そんな風に友と一時の歓談に講じていると、耳障りな雑音が室内に響いた。 「おじさん!! そんなへんにゃちるにょはいいかりゃ、れいみゅをきょきょきゃらだしちぇ、あまあまもっちぇきちぇにぇ!!」 「そうだよ!! そんなばかで、きもちわるいちるのより、れいむとおちびちゃんをかってね!! かいゆっくりになってあげてもいいよ!! かわいくってごめんね!!!!」 クワッ!!!! 声の出所は、二百円で詰め放題な生餌用饅頭が詰まったガラスケースからであった。 俺は、店の商品に対してどうこうするつもりはないのだが、奴らはNGワードを述べてしまった。 このチルノフに対して、それは不味い。 彼女は、普段閉じきっている目をいっぱいに開いて起き上がっていた。 「「「うわぁぁぁぁぁぁ!!!! こわよぉぉぉぉぉぉ!!!!(こわいどぅーーーーーー!!!!)」」」 我が家の肉まんを含めて、その能面の様な顔を見た饅頭どもが騒ぎ始めた。 まあ、仕方ない。 俺だって怖い。 「……」 「こ、こっちくりゅにゃーーーー!!!!」 「へんなかおのちるのは、こっちこないでね!!!!」 ワサワサッ 子饅頭を背に庇った親饅頭は、小生意気にも「もみあげ」をワサワサと気持ち悪く鳴動させて、チルノフを威嚇している。 その折に叫んだ言葉がチルノフの怒りを更に加速させるとも知らずに。 どの道、死ぬことに変わりはないが。 ふよ~っと空を飛んでケースの前に着地したチルノフは、先ほど暴言を放った親饅頭に指を一本突付けゆっくりと振り下ろし……。 「ゆ、ゆう!? ゆびいっぽんでなにするきなの? やっぱりちるのはまるきゅーだ……」 「……」 物凄い速度で振り抜いた。 メリ、メリメリメリ 「ゆぎゃぁぁぁぁおぅろぅるぁぁぁぁぁぁ!!!!」 「「「でいぶーーーーーーーーーーー!!!!」」」 「おきゃあしゃーーーーーーん!!!!」 指先から生じた衝撃は、あまりのスピードのため一気に背中まで突き抜ける。 そのため、こちらからは見えないが、後ろにいた饅頭は見てしまった。 親饅頭が背中から、ゆっくりと裂けていく醜い姿を。 「ゆぎゃぎゃぎゃぎゃ、ぎぎぎぎぎぎ、ぎゅぎゅぎゅぎゅぎゅ、げげげげげげ、ぎょ、ぎょぎょぎょ、ぎょぎょあぁぁぁぁぁぁ!!!!」 汚い断末魔と共に、饅頭がくぱぁっと真二つになった。 どうせ人間に購入されたところで、無残な死以外の運命はなかったのだ。 子饅頭に見取られながら一瞬で逝けて、さぞ幸せであったろう。 それに子饅頭もすぐに後を追う。 寂しくもない。 「ゆぐ、ゆぐ、おきゃあしゃん……、どぼちて、どぼちて、こんにゃこちょに……」 グワッシ 「……」 「ゆゆ!! いやじゃ!!!! しゃわりゃにゃいじぇ!! れいみゅまじゃしにちゃきゅにゃい!!!! しにちゃくにゃ……」 顔面を鷲掴みにされた子饅頭は、見てしまった。 指の隙間から見える、氷のような微笑みを。 そして、悟った。 もう、決して自分が助からないことを。 「なんじぇ……。れいみゅ、まだおいしいもにょ、むーしゃむーしゃしちゃこちょにゃいよ。かっこいいまりしゃとしゅりしゅりしちぇ、きゃわいいあかちゃんといっしょにゆっきゅりしちゃ……」 辞世の句は、最後まで言わせて貰えなかった。 一瞬だけ顔の表面を撫でるようにしてから指が顔から離れ、それに遅れて五本の線が走る。 断末魔すらあげられずに、醜い饅頭は美しく六等分されて崩れ落ちた。 仲間の死体すら貪り食う意地汚い饅頭共も、このときばかりは静かだった。 ケース内の饅頭は恐ろしさのあまり、叫び声すら出せずに汚物を撒き散らし、我が家の肉まんは、情けないことに目を回して気絶していたのだ。 「……」 幾分落ち着いたのか、何時の間にかチルノフの顔は元に戻っていた。 ただし、いつも「ω」な形の口元の困っているような顔は、いつにも増して困った感溢れる顔になっていた。 しばらく首を傾げて考えていたようだが、何事か閃いたのか、肩にかけてある蛙型ポーチの中から百円硬貨を二枚取り出し、それを饅頭の死体に押し込んだ。 なるほど、商品価値は二百円以下なのだから二百円払えば怒られない。 流石は、美と知略の星、妖星のチルノフといったところか。 「いえいえ、怒られない訳ないでしょう。勝手に商品を傷物にしては、いけませんよ」 なんと! 店員さんに見つかってしまった。 まあ、あれだけ饅頭共が騒がしかったのだから当然か。 「……」 「え? いえ、確かに、それはそうですけど……。はぁ、分かりました。では、今回のことは、不問とさせていただきます」 まさか、そう切り返すとは……。 流石は、妖星のチ(ry 「……」 「はい、大変お美しゅうございます。まあ、それは置いておいて、ご購入されるありすをケージに入れて参りましたので、ご確認ください」 そう言って店員さんは、カチューシャ付きカスタード饅頭が入ったケージをチルノフに手渡した。 ゆっくりがゆっくりを飼う…だと……。 と思われる方もおられるかもしれないが、別段不可能ではない。 ただし、それは限られたゆっくりのみに許された特権だ。 そもそも、ただの饅頭には買い物をする権利すらない。 ゆっくり饅頭は、社会的には三種類に分けられる。 一つは、非社会性ゆっくり。 自然の中で生活する野生の饅頭や人間の街に生息する野良饅頭がこれに該当する。 こいつらに対しての説明は面倒なので、一言で述べる。 ただ奪われるだけの存在だ。 もう一つは、飼いゆっくり。 人間の庇護下にある饅頭共であり、最寄りのペットショップで飼いゆっくり登録をしたものだけが該当する。 登録証のバッジは、様々なSSで御馴染みの金、銀、銅が存在するのだが、この町では金や銀を取るための試験が行われていない。 そもそも、腐敗と自由と暴力の町である紫町では、ケツすら拭けない金バッジに何の価値もない。 たとえ飼いゆっくりでも、この町に生息する新鮮で活きのいい虐待お兄さんは平気で牙を向くのだ。 それが逆に、飼いゆっくりに対する自衛意識を向上させており、 この町における飼いゆっくりに対する人的被害の件数は、全国平均に比べると圧倒的に少ないというのだから、虐待お兄さん涙目~な話である。 そして、最後の一つが市民権を持つゆっくりだ。 これには、並大抵の努力でなることは出来ない。 人間社会で生きる上で必要な常識などが細かくチェックされ、さらに社会に貢献できる能力、あるいは才能が必要とされる。 ゆえに、こいつらに対しては俺も最低限の敬意を表す意味を込めて、饅頭という蔑称を使っていない。 このチルノフは、現在メイキャップアーティストをやっている。 氷のような死に化粧が話題を呼び、世界中の戦場を飛び交っているそうだ。 ただ、こいつが市民権を得たのは、職に就いてからではない。 俺が高校に入学したとき、こいつもクラスにいたので、その前から市民権を持っていたようだ。 自分の美しさを貶すモノに容赦しないという悪癖があるものの、それを上回る才能の優秀さを評価された結果である。 ちなみに、空き地にいた帽子なし饅頭は、意外なことに野良だ。 本人が社会の枠に囚われるのを嫌っており、市民権を欲していないためだったりする。 「あ、あなたが飼い主さん? ゆっくりしていってね!! ふ、ふ、ふふ不束者ですが、よ、よ、ヨロシクお願いします!!」 「……」 ケージの中のカスタード饅頭の様子を伺っていたチルノフだが、どうやら気に入ったようだ。 カードで支払いを始めた。 饅頭一個に大金をぽんぽん投じるこいつの感性が理解できない。 曰く、美しいゆっくりに出す金は惜しまないとのことだが。 「さて、次のお客様。大変、お待たせいたしました。今日は、どういったご用件でしょうか?」 チルノフの接客を終わらせた店員さんが笑顔で話しかけてきた。 さっさと飼いゆ登録を終わらせるために、奴隷肉まんを叩き起こして、店員さんの目の前に掲げる。 その瞬間に感じる嫌な予感。 「お、おおおおおおおぜうさまーーーーーーーーー!!!!」 ドンガラガッシャーン 唐突に店員さん――完全で瀟洒なメイドゆっくり「さくやさん」が襲い掛かってきた。 回避したため、ガラスケースに頭から突っ込んだな、コミカルかつ痛そうだ。 それにしても「ザ・ワールド」を使った特攻とは、物騒なゆっくりだ。 時止めバグを持つ俺にとっては、見てから回避余裕だったが。 「お、お、おおおおおのれぇぇぇぇぇ!! おぜうさまの御頭を殴り仕るとは、何たる狼藉ぃぃぃぃぃぃ!!!!」 狼藉もクソもペットに何をしようが俺の自由だろうに。 あと、「仕る」の使い方おかしくね? 「ぺ、ペット!!!? 貴様、おぜうさまにいったい何を!!!? ま、まさか、嫌がるおぜうさまをべっどに連れ込み、おようふくをひん剥いて、こかんのスピア・ザ・グングニルをおぜうさまのひみつのこうまかんに突っ込んでぜんせかいナイトメア……」 「うー? お兄さんとは、一緒にねてるだけだど~?」 あと、ひん剥いたのは事実な(お兄さんと冷めた肉饅 参照)。 「UUURRRRYYYYYYYYYYYY!!!! 何て厭らしい、いえ何て羨ましい!!!! このさくや、お客様とはいえ容赦せん!!!!」 さくやさんがナイフを俺に向けて、言い放った。 おもしろい! PADゆっくりごときが、俺に喧嘩を売るというのなら買ってやろう。 だが、果たしてこの俺を倒すことが出来るかな? 「パ、パッド!!!? 言うに事欠いてPADとは、なにごとですか!!!!?」 ふははははは! そのシリコンに手を当てて聴いてみるのだな。 俺は憶えているぞ。 四年前、高校卒業時に来たときの貴様の胸は、もっと慎ましやかだった。 成体ゆっくりである貴様の胸が、そう簡単に膨らむはずがない。 PADか豊胸手術に決まっている。 「くっ! PAD! PAD! PAD! どいつもこいつもPAD! なぜだ! なぜ『やつ』を認めて、この私を認めない!!?」 当然だろう。 まがいものは、所詮まがいもの。 使い物になるはずがないのだ。 「私(の胸)は、天然だーーーーー!! バストアップ体操を繰り返し、すでに3.5cmのサイズアップに成功している!! 見ろ! この胸を!! うははは!!」 ならば、その胸、俺が確かめてやろう! 「あ、え、ちょっと、ナニを言って……きゃっ!!」 弾力、大きさ、揉み心地、服の上からは、本物としか思えぬ。 最近のゆっくり医療が、まさかこれほどまで進歩していたとは……。 「ひゃう!! も、もうわかったでしょう!? だからやめ、えっ!? だ、だめ!! 服の中はやめて!! ひぅ!!」 肌触りも完璧だ。 まさか、本当に天然物なのだろうか。 いや、そんな馬鹿な! 味もみ……ん? 「きゃーーー♪ だ・い・た・んーなんだどーーー♪」 「こ、これが都会派のトレンド……ゴクリ」 「……」 三対の瞳がこちらを向いていた。 肉まん、指の隙間からこっち見んな。 カスタード饅、全身を真っ赤にして凝視するな。 チルノフ、頬を染めて「あたいの胸なら好きにしていいんだよ」的なことを考えるな。 お、お、お、俺をそんな目で見るなーーーーーーーーーー!!!! ―――――――――――――――――――――――――― 「申し訳ありませんでした!! わ、私は、お客様に、なんて、なんてとんでもないことを!!」 どう考えても俺の落ち度です。 本当にありがとうございました。 一時のテンションに流された結果がこれだよ! 「いえ、元はといえば、私がこの病気を克服できないのが悪いのです」 そう、ペットショップの店員として働いているさくやさんは、ゆっくりさくや故に、肉まんを見ると、SAN値が著しく低下してしまうのだ。 そのため、ここでは肉まんを取り扱っていない。 昨年、地元に帰ってきてから初めて来たので、そのことをすっかり忘れていた。 本当に悪いことをしてしまった。 だが、退かぬ、媚びぬ、省みぬ。 したがって、決して頭は下げぬ。 「え、あ、そうですよ!! ですから、このことは水に流して、お仕事の話をしましょう。れみぃちゃんの飼いゆっくり登録ですね?」 そうだった。 飼いゆ登録に来たのだった。 自転車の防犯登録並みに無意味なものだが、しないよりはましだ。 あと、生餌用のゆっくりを200匹ほど自宅に配送してもらうことにしよう。 別に、罪の意識を感じたから買う訳ではない。 「では、こちらがブロンズバッジになります。再発行の際には、500円かかりますのでお気をつけてください」 塵饅頭二十匹よりも高いのが笑えるな。 とは言っても、餡庫ではバッジ紛失=死亡フラグなのだから、500円を払うことは永遠にない気がする。 敢えて言ったりはしないが。 さて、バッジを頂いたので、さっさと帰ろう。 そう思っていた矢先に、さくやさんがあることを告げてきた。 「あ、そう言えば、一つ言っておくことがありました。あなたの『お師さん』が会いたがっておられましたよ」 ドグン 右胸が一度、大きく脈打った。 「小学校を卒業してから十一年間、一度も会いに行っておられないそうではありませんか。差し出がましいこととは存じますが、一度お会いになられてはいかがでしょうか?」 お師さん、か。 学校の授業で俺に南斗聖拳を教えてくれた体育の先生。 俺が唯一、尊敬するお方。 そして、十数年間ずっと会うのを避けてきた存在だ。 会いたいのか、会いたくないのか自分でも分からない。 ただ、お師さんが俺のことを憶えていてくれたという事実が胸を熱くさせる。 「お兄さんのだいじなひと? れみぃもあってみた~い!」 「……」 肉まんが纏わりつき、チルノフが無言の圧力をかけてくる。 「うーうー☆」 「……」 行かぬ。 「うーうー☆」 「……」 行かぬと言っている!! 「うーうー☆」 「……」 ええい、行く! 行けばいいんだろう! だから、こっち見んな!! ―――――――――――――――――――――――――― チルノフの運転するジープを見送った後、俺たちは目的の小学校へ向けて歩き出した。 ところで、チルノフはあの短い手足で、どうやって人間用のジープを運転しているのだろうか。 結構な頻度で助手席に座っていた覚えがあるが、それだけは未だに分からない。 「ねぇねぇ、お兄さんの小学校はどんなところ~?」 そうだな、到着までにすることもないから説明してやろう。 別に気持ちが落ち着かないから、饒舌になっている訳ではない。 俺の通っていた「極星南小学校」は、全校生徒350人程度のいたって普通の学校だ。 ただし、それは「俺の入学した年以外は」という枕詞が付随した場合の話となる。 今から17年前、現代人の体力低下問題の解決策として学校がとった措置は、南斗聖拳習得をカリキュラムへ導入するという無茶苦茶なものだった。 態々、外部から講師を招き、試験的に六年間の様子見が行われることとなった。 結果? 失敗したに決まっている。 お師さんは、クソ真面目にやりすぎたのだ。 結局、六年の歳月を経てクラスに残っていたのは、一人しかいなかった。 つまり、この俺だ。 その練習過程で数多の野良饅頭が犠牲となった。 そのため、修練場跡地の土からは未だに甘い匂いが立ち上り、 それに引き寄せられた野良が小学生の犠牲となり甘い匂いをより強くするという不思議スポットが出来上がってしまったのは、どうでもいい笑い話だ。 そういった説明を終えたところで、校門前に辿り着いた。 「うーーー!! おっきいお家なんだどぅ!! きっと、すごくおおきい人が住んでるにちがいないど~!!」 アホなことを言っている肉まんを監視しながら、俺はあることに気がついた。 そういえば、今日は休日。 先生も生徒もいるはずがない。 それに気付いた瞬間、すべてが馬鹿らしくなってきた。 俺の決意は、なんだったのだ。 「う? あっちからあまあまのにおいがするどぅ!! お兄さん、はやくいこう!!」 気を抜いた一瞬の隙だった。 肉まんは、俺の拘束が緩んだ隙に修練場目指してカッ飛んでいった。 肉まんに出し抜かれるとは、一生の不覚。 有り余っているブーストゲージをフルに使って追いついたとき、肉まんは誰かに抱えあげられて話をしているようだった。 「あらあら、元気な子ね。私の若いころを思い出すわ」 ドグン また右胸が鳴り出した。 その声、その匂い、その姿、覚えがあるどころの話ではない。 ぴっちりとした服の下から、その姿を主張する逞しい腹筋と豊満な乳房。 紫色の長髪の下には、髪と同色の気だるげな瞳に小さな口。 極めつけは、豊かな下膨れ。 間違いない。 彼女こそ、俺のお師さん。 「ぱちゅり~♪ うっー」 胴付きゆっくりぱちゅりーの「むっきゅりぱちゅりー先生」であった。 「むきゅ? あなたの体もしかして……。いえ、なんでもないわ。それより、あなたの御主人様のご到着みたいよ」 「うー! お兄さーん、れみぃ、おっきなぱちゅりーとお友達になったー!!」 ドグン、ドグン 煩い、静まれ、俺の心臓。 止まってもいい、だから今だけは静かにしてくれ。 「ふふ、お久しぶりね。しばらく会わない内に随分と大きくなっっちゃって。見下ろしていたあの頃と違って、今では見上げないとあなたのお顔も見えないわ」 「ええ、お久しぶりです、お師さん。そう言うあなたは、あの頃と少しもお変わりないようで安心しました」 当たり障りのない返事を返せたが、その実俺はかなり動揺していた。 思わず台詞に「」を付けてしまう程度には。 しかし、本当にお師さんは、あの頃と少しも変わらない。 身長160cmという、胴付きゆっくりにしては長身なお師さんを昔の俺は、いつも見上げていたものだ。 そのお師さんを20cmも上から見下ろすことになろうとは、当時の俺は考えてもみなかっただろう。 「あら、そんなことないわよ。40代になってからは、どうも体のキレも肌のツヤも悪くなる一方でね。むきゅっ、こんなこと弟子に愚痴ることではなかったわね、ごめんなさい」 そう言って笑うお師さんだが、そんなことはないと思う。 鍛えこまれた筋肉の美しさと女らしいふくよかさが、絶妙なバランスで融合した歪みないボディーラインとモチモチした張りのある肌は、十一年前となんら変わりない。 あの頃のことは、今でも鮮明に思い出せる。 ……………………………… 「うぐ!! ガッ、ハッ」 「もうやめちゃうの? だらしないわね」 「お、お師さん!! まだです!! まだやれます!!!!」 「むきゅ、よく吼えたわ! 頑張る子は大好きよ」 お師さんは、厳しかった。 「ぼうしのないへんなやつがいるよ!! せいさいするよ!!」 「とかいはじゃないわね!! ありすがとかいはなあいをあげるから、ありがたくおもいなさい!!」 「どうやりゃ…ここまじぇにょようにゃにょじぇ……」 「そこまでよ! フンッ、ハッ、トベッ、ホウオウコトウカイテンッ、フハ、フハハ、フハハ、フハハ、フハハ、テイオウニトウソウハナイノダ!」 「「ユギ! ユギャ! ユゲ! ユガ! ユギョ! ネギィ! ユベ! ユボ! ユピ! ゆ゙、ゆ゙、ゆ゙、もっどゆっぐりじだがっだ……」」 「むきゅ、これで懲りたでしょ? 帽子がないだけで虐めるなんて、ゆっくりできないわ」 「お、お師さん!! やり過ぎです! もう死んでますって!」 「む、むきゅ? 間違えたかしら?」 お師さんは、お茶目だった。 「な!? 蛇だと! お師さん、危ない!! 痛!!」 「いけないわ!! 今のはマムシよ!! 毒を吸い出すから傷口を見せなさい!!」 パクッ、ピチャ、ピチャ 「お、お師さん!!?」 「ぎゃみゃんなふぁい!! あむっ、いのふぃにかかわりゅのよ!!」 お師さんは優しかった。 ちなみに蛇は、マムシじゃなかった。 「むきゅうっ、時には大自然の中で滝行というのも新鮮でいいわね。長くやってると体が溶けて、死ぬけど」 「お、お師さん!! なんでスク水なのですか!!?」 「買うのが面倒だったから、学校の備品を借りてきたのよ。ごめんなさいね、やっぱり、こんなゴツイ体のおばちゃんが着ても気持ち悪 「そんなことありません!! すごく!! すごくセクシーです!!!!」む、むきゅ? あ、ありがとう……」 真っ赤になったお師さんは、凄く愛らしかった。 「柔軟体操ね。手伝ってあげるわ」 ムニュッ 「お、お師さん!!? む、むむむむ、むむねが!! むねが!!」 「むきゅ? 胸が苦しいの? なら、もう今日はやめておく?」 「いえ、まだまだイケます」 そして、何よりエロかった。 ……………………………… 記憶に残るお師さんと今のお師さんを比べてみても、なんら遜色があるとは思えない。 むしろ十一年の歳月を経て、さらに色香がましたようにすら感じる。 そのことを告げても、謙虚なお師さんはやんわりと否定するだろうが。 「ところで、今日は休日だというのに、何故お師さんは学校に?」 会話の流れが止まりそうだったので、咄嗟に質問した。 黙り込んでしまうと、体が勝手にこの場から逃げ出しそうで恐ろしかった。 「そうね、予感かしら。最近、外出先でよく知り合いと出くわすことがあったの。だから、ここに来れば懐かしい人に会える気がしたのよ」 知り合いか……。 そういえば今日は、数人の強敵(とも)と出くわしたが、まさかな。 「おかげで一番会いたかった人に会えたわ。どこぞの不肖の弟子ときたら、卒業してから一度も会いに来ないんですもの。こっちから出向いても留守だし、 挙句の果てに、知らない間に都会の大学に進学しているし……」 「……すみません」 ただ、謝ることしか出来なかった。 ここ数年、誰かに頭を下げたことなどない。 俺は、ちゃんと謝罪できているのだろうか。 「冗談よ。あなたには、あなたの事情があったんでしょう。それなら仕方のないことよ」 どうやら、お師さんには、俺が抱えている葛藤など手に取るようにわかるらしい。 当然か、ここまで露骨に避けてきたのだ。 「ところで、この後お暇なら、一緒にお食事でもどう?」 「いえ、もう夕食の準備は済ませましたし、明日も早いですから――」 もちろん嘘だ。 どんなに避けても、俺を一番の弟子として愛してくれるお師さんの優しさが、今の俺には痛い。 早々に、この場から立ち去りたかった。 「……分かったわ。それじゃあ、また今度、気が向いたらここにいらっしゃい。放課後は、レスリングを子供たちに教えているの。強いお兄さんが来てくれたら皆よろこぶわ」 「う~! 本格的ぱちゅむきゅレスリングだど~」 ボカッ!! 「い、いたいんだど~」 シリアスシーンを台無しにした肉まんに制裁を加えてから、その場を後にした。 去り際に、お師さんが何か呟いたように感じたが、肉まんが喧しくて聞き取れなかった。 ―――――――――――――――――――――――――― 夕日を背にトボトボと歩く俺の頭の中は、お師さんのことでいっぱいだった。 肉まんが、俺の周りを衛星のようにパタパタと飛び回っているが気にならない。 思えば、俺がゆ虐の道に進んだのも、お師さんが原因だった。 俺は、お師さんが大好きだった。 人間もゆっくりも関係ない。 ひたすらに愛おしい存在だと感じていた。 だから卒業前に、胸のうちをお師さんに告げようと思っていたのだ。 恥ずかしい話だが、あのときはうまくいくと思った。 六年の歳月を共にした俺とお師さんの間には、師弟以上の絆がある。 そう確信していた。 花束を携え、お師さんの待つ修練場へと向かうと、そこにはお師さんと、もう一人先客がいた。 「ぱちゅりー先生!! 私、先生のことが好きです。どうかお姉さまと呼ばせてください!!」 ギリッ、ビシッ 豚が……。 壁を握る手に力が入る。 すぐにでも跳び出して、あの女生徒を十字に切り裂きたい衝動に駆られたが耐えた。 優先すべきは、お師さんの意思だ。 それに、このときの俺には自信があった。 「むきゅ……、ごめんなさい」 その言葉を聞いて俺の心は、不死鳥の如く天に舞い上がった。 気分はまさに、ざまみろ&すかっと爽やか。 その後、地面に叩きつけられるとも知らないで。 「あなたは人間で、私はゆっくりよ。互いに助け合って道を進むことは出来るの。でも、一緒に同じ道を歩むことは、決して出来ないのよ」 決定的な一言だった。 周囲から白い目で見られても構わない、HENTAIと罵られても堂々と胸を張ってやる。 俺は、そう考えていた。 そして、勝手に思い込んでいたのだ。 お師さんも、そう思ってくれていると。 そこからは、よく覚えていない。 気が付いたら見たこともない山奥にいた。 心の中から何かが抜け落ちたような気分だった。 帰らなくてはいけないのだが動く気になれず、目の前に広がる暗闇をじっと見つめていた。 ガサッ その時、不意に茂みが揺れ、何かが飛び出してきた。 「むきゃきゃ、ばかなにんげんさんね。もりのけんじゃであるぱちぇのてりとりーにはいってくるなんて」 「お師さんの仲間?」 一瞬でも、そう思った過去の俺が呪わしい。 「ゆっへっへ、さすがのにんげんでも、このかずのまえには、どうすることもできないのぜ!!」 「そうだよー!! しかもこっちには、ドスもいるんだよー!! わかったら、さっさとしぬんだよー!!」 「ばかなにんげんは、れいむとおちびちゃんたちにあまあまをよこしてね!! あとしんでね!!」 「ちね!! くしょじじぃ!!」 「ぼろぼろできちゃない、にんげんじゃにぇ!! おお、あわれ、あわれ!!」 どちらを向いても饅頭、饅頭、饅頭。 数百個もの饅頭が俺を取り囲んで、罵詈雑言を吐いていた。 だが、何かしようとは、思わなかった。 愚かなことだが、お師さんの仲間に殺されるなら道化らしくていいかもしれないと、当時の俺は考えていた。 それなのに奴らは、その浅ましさから勝機を蹴った。 「ゆゆ? おいしそうなおはなさんがおちてるよ!! むーしゃ、むーしゃするよ!!」 「なにいっているの? それをみつけたのはとかいはなありすよ!!」 「ゆっくりしたおはなは、まりささまにこそふさわしいいんだぜ!! ゆっくりしないで、どくんだぜ!!」 俺が買った花束だった。 お師さんの髪と同じ色のスイートピーと白いストック、そして一本の赤いバラ。 それらは、浅ましく群がる饅頭共に揉みくちゃにされて見る影もなくなっていた。 「ゆぅ? なにものほしそうなかおしてるの!? いなかものはいな……」 ヒュッ 「ゆ? ゆぎゃーーー!! ありずのとかいばなべにべッ!? が、ぎゅゆぎゅうぎゅゆ!!!」 ザシュッ 心に出来た虚無が急速に満たされていく。 「まじざのおぼうじが!!?」 「でいぶのまむま!!?」 ヒュヒュッ 憤怒、憎悪、悔恨、嫉妬。 「わ、わがらないよーーーー!!! なんでいきなりみんなのからだがちぎれちゃ!!」 ザシュッ 餡子のようにドス黒い塊が俺の心を埋めていった。 饅頭共からしたら、悪夢のような出来事だったろうな。 饅頭の動体視力で見切れる技ではない。 急に仲間の体が千切れ飛んだように見えたはずだ。 「む、むきゅ、やめてね。ぱちぇは、びょうじゃくなのよ。ぜんそくもちなのよ。びょうにんにはやさし、ひぃ!!」 その顔で、その口で、その声で……。 「お師さんの思い出を汚すなぁぁぁぁぁぁ!!!!」 「むぎっ!!」 十字に振り抜いた腕から生じた衝撃は、クリーム片ひとつ残すことなく紫モヤシをこの世から消し去った。 「殺してやる、殺してやるぞ、汚物共。消毒だ。貴様ら全員地獄の釜に叩き込んでやる。生きて帰れると思うな……。ヒャッハぁぁぁぁぁぁ!!!!! ギャ・ク・タ・イだぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」 「「「ゆ、ゆ、ゆひぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!!!」」」 この日、三つあったドスの群れが尽く消滅し、十二歳の虐待お兄さんが誕生した。 しかし、俺には虐待を楽しむことはできなかった。 制裁は、簡単だ。 ゲス共を前にすれば、自然と体が動き饅頭を切り刻む。 確かに、心は満たされた。 だが、心の底に残った愛と情を消し去ることはなかった。 ならばと、善良な饅頭を虐待しようと考えたが無理だった。 拳を振り下ろす寸前にお師さんの影が頭を過ってしまう。 結局、俺は虐待と呼べぬようなことを虐待と称して行い、己の心を満たすことしか出来なかったのだ。 「うー!! お兄さん!! さっきかられみぃのこと無視するなんてひどいどぅーーー!!!!」 肉まんが俺の目の前で、ぷりぷりと怒りを顕にしている。 思索に耽るあまり、周りが見えていなかったか。 それんしても、肉まんが何の用だと言うのだ。 プリンのことなら忘れていないぞ。 「ちがうど~。お兄さん、さっきのぱちゅりーとけんかしてるでしょ~? だから、れみぃが仲直りのあどばいすをしてあげるど~♪」 ちっ、相変わらず要らんところで、賢しい奴だ。 「ぱちぇは、お兄さんのことが大好きだから、お兄さんがいいこ、いいこになれば、仲直りできるど~」 ハッ!! 思わず鼻で笑ってしまったわ。 適当なことをほざきやがる。 初対面の貴様にお師さんの何が分かるというのだ。 「わかるど~! れみぃは、お兄さんのこと大好きだど~! だから、お兄さんのことが大好きなぱちゅりーからも、れみぃと同じ感じがしたんだど~!!」 「……だから、何だ。それは、ペットが飼い主に寄せる好意のようなものだろう」 肉まんの言葉で、感情が高ぶっている。 こいつが本当の意味で俺をイラつかせたのは、これが始めてかもしれない。 だが、その怒りは、肉まん自身の言葉で胡散した。 「う~? れみぃには、よくわかんないど~。でも、でも、『嫌い』や『どうでもいい』より、『好き』の方がだんぜんイイにきまってるど~♪」 何だ…それは……。 下らないと一笑に付してやりたいところだが、何故かみょんな説得力がある。 確かにそうだ。 形はなんにしても、好意を寄せられるのはいいことに違いない。 「くっふふふ、ふふふ……ふはははははははッ!!」 「うっ!? お兄さん!? てんかのおうらいのまっただなかで、急にどうしたんだど~!? たみふる? たみふるなんだどぅ!?」 そんな訳あるか。 己の愚かさに、ほとほと呆れていただけだ。 何故、俺は気づかなかった。 お師さんだって「互いに助け合って道を進むことはできる」と言っていたではないか。 それなら、お師さんの道の横に俺の道を作ればよかったのだ。 嫌われているなら道は離れていくだろうが、そうじゃないならそのままだ。 だいたい俺が振られた訳でもないのに、ここまで悲観的になっていたのが、そもそもの間違いじゃないか。 過ぎ去った十一年間が急にもったいなく感じてしまう。 「よかったど~!! お兄さん、げんきになったど~!! れみぃ、えらい? えらい?」 非常に癪に障るが、今回ばかりは褒めてやらざるをえない。 「礼を言うぞ、れみぃ」 「うっうー♪」 あっ、だが、肉まん如きが、この俺に生意気にも講釈垂れた訳だから、今日のプリンはなしな。 「ぞんなのっでないどぅぅぅぅぅぅぅ!!!!!!」 夕暮れ時の町に、肉まんの悲痛な叫びがいつまでも、いつまでも木霊するのであった。 おまけ 「ゆっ、ゆっぐ、ごめんなさいだよー。ちぇんのせいで、おにいさんのおかおが、おかおが……わ、わがらないよーーー!!」 「あーもー、俺は大丈夫だから泣き止めと言っているだろうが」 世紀末病院の59‐AQ号(『ごくあくと』憶えよう)病室に、その一人と一匹はいた。 何を隠そう彼こそが、ペットに頭を吹っ飛ばされた間抜けであり、彼に縋り付いて泣いているのが吹っ飛ばした張本ゆである。 「ほら、この前は、弟に左側を吹っ飛ばされたが、きれいに治ってただろう? 現代医学の粋を持ってすれば、この程度の治療、お茶の子さいさいってなもんよ」 「ほ、ほんどうに?」 そう言われてみると、ちぇんにも思い当たることがあった。 確かに、数ヶ月前、お兄さんの頭が大変なことになっていたが、数週間もすれば元通りになっていた。 「それにな、俺は嬉しいのだぞ。酔っていたとはいえ、お前は、この俺から一本とれるまでに成長したのだ。だが、お前は俺じゃなくて、日に日に弟に似ていくな~」 「わ、わかるよー!! ちぇんは、おうとうとさんみたいなけんぽうかになりたいんだよー!!」 お兄さんとしては、素直に喜べない目標だった。 昔から、拳法の才能では弟に上を行かれ、ペットまで弟に靡いて行くのでは、救いがない。 嫉妬の炎が、今まさにメラメラと燃え上がろうとしていた。 「でもね、ちぇんがいちばんだいすきなのは、おにいさんだよー!! いつか、ちぇんがおにいさんをまもってあげるんだよー!!」 それを阻止したのは、邪気のない真っ直ぐな笑顔であった。 「ちぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇん!!」 ボンッ 「わからないよーーーーーーーー!!!!」 血圧上昇によって傷が開いたお兄さんの入院期間は、さらに延びることとなった。 あとがき 激流に身を任せて書いた結果がこれだよ\(^o^)/ あと、妖星をmugenに則って「いくさん」にしようかどうか小一時間ほど迷ったよー。 【用語】 南斗虐指葬(easy): 相手の体に指を突き刺すのが本来の技。 easyが付くことで、相手の柔肌を露出させて突っつくというセクハラ奥義に。 前に書いたやつ ふたば系ゆっくりいじめ 394 お兄さんと冷めた肉饅 ふたば系ゆっくりいじめ 408 お前もポールさんみたいにしてやろうか!? ふたば系ゆっくりいじめ 442 肉まんと出かけよう 前編
https://w.atwiki.jp/bdff/pages/97.html
BDFtS_強敵へ移行しました ベルゼブブ(Lv10) あらゆるダメージを吸収するようになる「暴食」を使用する更に「暴食」の効果が切れるターンには超高威力の「アシッドブレス」を使用 「アシッドブレス」は、物理&魔法防御25%ダウン効果の全体攻撃 「暴食」の効果中に構わず攻撃を続けると、一定量回復後に自身に大ダメージを与える「オーバーフロー」が発動し、自滅する 物理単体攻撃の「触手」を使用する 全体を複数回物理攻撃する「オクトウィップ」を使用する デフォルトを使用し、次のターンに「オクトウィップ」を2回使用してくる 後の高レベル配信だとゲノムアビリティ「ファイジャ」をラーニング可能? 弱点「雷 、土」 種族「蟲」 吸収「水」 ドロップ「器用さあげ饅頭」「精神あげ饅頭」 アスモデウス(Lv70) 味方全体を魅了状態にする「色欲」を使用する 対象を戦闘から除外する「異界への誘い」を使用し、その後魅了状態で「解放」する(アビリティによる防御可、リボンでは不可)除外されるのは1人まで。2人以上が同時に除外される事は無い 単体に物理攻撃&毒効果の「激毒針」を使用する 全体に物理攻撃の「打ちつけ」を使用する ゲノムアビリティ「サンダジャ」をラーニング可能 弱点「水、風」 種族「水棲」 無効「土」 ドロップ「MPあげ饅頭」「体力あげ饅頭」 マモン(Lv25) 味方全体からBPを1ずつ吸収する「強欲」を使用する 味方全体の物理攻撃、物理防御、魔法攻撃、魔法防御をまとめて吸収する「全能力吸収」を使用する 「死重爪」で全体攻撃をしてくる ゲノムアビリティ「ブリザジャ」をラーニング可能 弱点「火」 種族「飛行」 吸収「水」 無効「土」 ドロップ「HPあげ饅頭」「知性あげ饅頭」 「エーテル」を盗める ベルフェゴール(Lv80) 味方全体を全属性弱点にし、補助効果を消す「怠惰」を使用する スフィアを3体召喚し、それらに「ファイジャ」「ブリザジャ」「サンダジャ」を、5ターン後に「自爆」を使用させる ゲノムアビリティ「ファイジャ」「ブリザジャ」「サンダジャ」をラーニング可能 ダメージを受けるたびに弱点「火」→「水」→「雷」→「火」→・・・とループする(戦闘開始時はランダム)スフィアの弱点も同じくダメージごとにループする 弱点属性の魔法以外の攻撃は全て吸収する 種族は「飛行」 「拡散光線」は無属性の全体物理攻撃 ドロップ「力あげ饅頭」「精神あげ饅頭」 サタン(Lv50) アビリティ「リベンジャー」所持 3の倍数ターンに味方全体をバーサク状態にする「憤怒」を使用する ダメージは物理攻撃のみ BPが貯まるとブレイブで一気に攻撃してくる残りBPに応じて、ターンの最初に単体攻撃の「一の太刀」その後「二の太刀」、全体攻撃の「三の太刀」「四の太刀」とラッシュを仕掛けてくる 「○○の太刀」は全て物理防御力とデフォルトを貫通する 弱点「水」 種族「悪魔」 吸収「火」 ドロップ「体力あげ饅頭」「素早さあげ饅頭」 第一天魔王:白鳩(Lv99) 物理攻撃力と素早さが非常に高い フキダシに書かれたキャラと同じ行動をとるラブ状態にする「フォーリンラブ」を使用するラブ状態のキャラは、フキダシの人物が戦闘不能になると、一緒に戦闘不能となる 同じ人物を好きになっているライバルキャラ同士は、フキダシの人物が行動すると、そのライバルキャラ同士で攻撃し合う 二人をラブ状態にし、同士打ちさせる「トライアングラー」を使用する ラブ状態になったキャラ全員にダメージを与え、ラブ状態を解く「ハートブレイク」を使用する 単体攻撃の「ひっかき」「セラフブラスト」を使用する 単体に攻撃+睡眠効果の「スィートドリーム」を使用する HPが減るとブレイブで4回連続攻撃するが、減ったBPを「プチギフト」で回復する行動パターンは「プチギフト」「ひっかき」「セラフブラスト」「スィートドリーム」の順 弱点「風」 種族「飛行」 無効「土」 ドロップ「超絶あげ饅頭」 第四天魔王:蝶尾(Lv99) 敵味方無差別物理攻撃の「バウンシーボール」を使用する 敵味方無差別に混乱状態にする「まつりばやし」を使用する 「小赤」が居ない場合「孵化」を使用し、「小赤」を3体呼び出す体力は10000と少ないが、それ以外の能力は本体と同じのため、かなりの攻撃力 「急成長」を使用し、自身に「物理、魔法攻撃力+25%アップ & リジェネ」の効果 デフォルトを使用しBPを溜める 「共食い」で「小赤」を食べ、対象のHP、BP、状態変化を吸収する 弱点「雷」 種族「水棲」 吸収「水」 ドロップ「超絶あげ饅頭」 お正月限定:蛸泉(Lv99) 2014年1月1日のみの限定配信 ベルゼブブのアイコンのカミイズミ 逃走不可能なので注意! アビリティ「反撃」所持 物理防御力と素早さが非常に高い 毒、ストップ、眠りはいずれも無効 「蛇の道は蛇」「スサノオ」を使用するHPが半分以下になると「BPドリンクL」→攻撃、攻撃、「スサノオ」の攻撃パターンも使用するようになる 弱点「無し」 種族「人型」 ドロップ「超絶あげ饅頭」 メンバーズサイトの「プレイデータ」に討伐数が記録されない模様 ベルゼブブα(Lv56) 開発中のデータが誤って配信された模様 パーティ全員をストップ状態にする「魔眼」を使用する ゲノムアビリティ「ファイジャ」をラーニング可能 「暴食」状態になると、表示名称が「ベルゼブブβ」に変化する マモン(Lv25) 配信初日の午前中に公式配信されたバージョン(見た目で区別はつかない) 「エリクサー」(通常のものではなく、解説や売却価格が異なる別アイテム。効果は同じ)を盗める