約 8,429 件
https://w.atwiki.jp/animerowa-3rd/pages/1739.html
I hope so... ◆hqt46RawAo /I hope so... 少女は徐々に感覚を取り戻していく。 すると包み込まれているような感覚にふと違和感を覚えた。 現在進行形で与えられている、この温もりはなんだろう。 今の自分に、こんな優しい感覚が得られるわけ無いのに。 そんなふうに芽生えた疑問が、少女――東横桃子にとっては目覚めの切符となった。 『――――』 どこからか、歌が聞こえる。 『教科書で重たい鞄 日々が詰まった携帯電話』 まどろむ意識の中に、小さな声が聞こえてくる。 『これが今の私自身のようで そうでないようで』 深い泥の底で眠る桃子をゆっくりと引っ張り上げるように。 その歌が意識に浸透する。 「…………んっ……」 桃子はぼんやりとした意識のままで、目蓋を薄く開いていく。 ぼやけた視界。世界が輪郭を失っていた。 脳が上手く回転しない、自分が何をするべきか、この歌がなんなのか。 早く考えなくてはならない筈なのに、意識はとろんとしたままで。 『いつかはなれるのかな 夢に見た素敵な女性』 聞こえてくる歌だけが、淀む意識にじわりと染み渡る。 視界に色を与え、感覚を一つまた一つと取り戻させるように。 その音を追うように、桃子は未だに霞んだままの視線を動かしていった。 「…………あ……れ……?」 徐々に実態を取り戻す、世界の姿。 桃子は最初、まだ夢を見ているのだろうと思った。 そうでなければ、こんな光景はありえない。 だだっ広い部屋。廃墟のような場所。僅かに家具屋の名残を残す空間の壁際。 そこで桃子は寝かされていた。 身体を預けているものは、ボロボロでありながらも間違いなくベッドと呼ばれるもので。 桃子の身にかけられている物は、そのベッドと同じくらいくたびれた毛布。 そして何よりも、横たわっていた桃子の傍らで、アンティーク椅子に座って窓の外を眺めていた人物は紛れもない、 「澪……さん……?」 離別を告げたはずの、秋山澪だったのだから。 桃子が寝ていたベッドに負けず劣らずボロボロな骨董品の椅子。 そこに座っている澪は、いつか桃子が手渡したあのベースを抱えていた。 傍らの桃子の目覚めにはまだ気がつかない様子で、開け放たれた窓の外へと視線を流している。 よく見れば手元も小刻みに動き、ベースの弦を弾いていた。 そして、もっとよく見れば口元も小さく動いて。 『光る遥かな一番星 早足に帰り道』 ようやく明らかになる旋律の原点に、瞠目する。 何もかもが違って見えていた。 そこにいる少女姿は、桃子が知る秋山澪とはまるで違っていた。 小さな声で歌い続ける澪。その姿に何故だか桃子は見入ってしまう。 別人のような彼女の姿に、視線が釘付けになる。 『だけど本当は帰れない 知ってる 未来へ行くだけ』 桃子の知る。オドオドと慌てふためくだけの、心弱い彼女はそこにいなかった。 悲痛な覚悟と共に、傷だらけで泣きながら、無理して強い自分を作って進む少女でもない。 見たことも無い、自然体の振る舞いと憂いを帯びた瞳。そして不安の無い毅然とした表情。 埃や血で汚れた黒髪と傷だらけの制服姿に、『綺麗』という表現が当てはまるのは何故だろう。 そこには今までに無い力強さと、輝きがあった。 桃子はこの時初めて、桃子自身の中の澪のイメージと、憂や唯が話していた澪のイメージが合致したような気がしていた。 「だけど本当は帰れない」 澪は不意にベースの旋律を止めて、その言葉をもう一度なぞる。 瞳の憂いがいっそう濃くなったように見えた。 窓の外を見ていながら、違うものを見ているように。 「……………」 そこで澪の視線がすっと動き、ようやく桃子の視線と交差する。 「…………あ」 次の瞬間には、もう元の澪に戻ってしまっていた。 桃子のよく知る彼女。 照れたような顔で視線を逸らしつつ、ベースを傍らのソファに置いて、 「お、おは……よう……」 そんな、たどたどしい挨拶を告げるような。 ■ ■ ■ 時間の経過と共に、桃子にもこれが現実であることが理解できていた。 そして同時に、状況がいかに異常であるかも実感していた。 いくら記憶を掘り返してみても、 ルルーシュを裏切り、ショッピングセンターを目指して歩き出してからのことが思い出せない。 おそらく体力の限界に達して倒れたのだろうとは思い至るのだが。 「なんで、澪さんがここにいるんすか……?」 それが分らない。まるで道理が繋がらない。 何故澪がここに居るのか? 何故己がここに居るのか? 黒の騎士団に追いつかれたのだろうかと考え、だとしてもおかしいと思いなおす。 東横桃子は裏切り者だ。考えるだけでなく遂に実行に移したのだ。忘れもしない。 ルルーシュを撃ち、平沢憂と銃口をむけ合い。同盟相手の秋山澪すら欺いた。 そんな自分がなぜこの状況で介抱などされているのか。 意識がはっきりとした事によって、脳裏で連鎖爆発のように湧き上がる疑問符と警戒心。 急激な緊張が全身を駆け巡る。 こんな事をしている場合ではない。のうのうと寝ている場合ではない。 ささくれ立つ意識に突き動かされた桃子は両手に力を込め、ベッドから身体を起こそうとして。 「待てモモ! お前まだ……!」 「っ……ぁあぁッ!?」 まるで電流のように全身で弾けた激痛によって、身を跳ねさせていた。 「……ぐ……痛ッ……ぁ……」 絶望的な心地で息を吐く。 なんとか上半身を起こすことは出来た。 しかしそれが限界だった。限界だと確信してしまった。 これ以上の動きは無理なのだと。 証明するように、体にかけられていた毛布が落ちた。 「…………な」 毛布の下にあった身体は服を着ていない。 桃子が自分で脱いだ覚えもなし、誰かが脱がせたのだろう。 けれどそれは重要ではなく、問題はその体の惨状にあった。 「は、ははっ……そういえば、そっすよね」 笑うしかない。 思い出させられた、怪我のことを。 左腕の火傷は悪化の一途を辿っていた。痛みを通り越して感覚すら曖昧になっている。 右肩の裂傷も未だに痛みが引き切らない。両腕、少なくとも左腕はもうまともに機能すまい。 両足は深刻な傷こそ負っていないものの、 ここに至るまでに挫いたのだろう、片足が腫れ上がっていて俊敏な動きなど望むべくも無い。 こんな体で、この先どうやって戦っていけばいいのだろう。 まして、既に敵対した勢力に捕まってしまっているとすれば、状況は剣呑極まりないというのに。 「……ここ、どこっすか?」 桃子は目の前の少女を睨みつける。 狙いはなんだ? 生かしておく理由はなんだ? 何も分らず、抵抗する術もなく、けれど桃子には諦めるという発想は浮かばない。 「ショッピングセンター、だよ」 対する澪は、最大限の警戒を注ぐ目線を真っ直ぐに受け止め、 じっと桃子を見返していた。 言葉を選んでいるようにも見える。 桃子は一旦澪から視線を切り、毛布を身体に巻きつけながら周囲を見渡した。 ぐるりと辺りに目を配り、何か有効な物は無いかと思考を働かせる。 この場所でいったい何が起こったのか、転がされた家具や壁紙はズタズタに切り裂かれており、あげく天井まで破損している。 まるで建物の内側で竜巻でも発生したかのような有様だ。 とはいえ、ざっと見回した結果。 窓からの景色と高度から、ショッピングセンターの内部であるという澪の言葉はある程度信用できる。 しかし、そこまで考えたときに、桃子の中に見過ごせない疑問が増えていた。 「他の……」 「いないよ」 桃子の思考を読んだように、澪が口を開く。 けれどそれは、いつもの調子とは少し違っていて、桃子の視線は半強制的に澪の瞳に戻される。 「ルルーシュさんも、憂ちゃんも、式も、デュオも、ここにはいない」 普段のように目を伏せたりせず、彼女は毅然と、真っ直ぐにこちらを見据えながら―― 「私とモモの二人だけだ。 これ、私が一人で決めて、勝手にやってることだから」 そんな、不可解なことを言ったのだ。 「…………え?」 「そういうことだ。そして、もう私があの人たちを仲間と呼ぶことはない」 ――そう、考えてみれば、やはり不自然だったのだ。 ここに至って桃子を利用しようなど、最早ルルーシュと言えど考えないだろう。 わざわざ裏切り者を追って介抱するような無駄、あの男は実行すまい。 しかも今や桃子の機能は大きく減衰している。ただの死に損ないの危険要素だ。 ルルーシュが知れば間違いなく『利用』以前に『処理』にかかるだろう。 セイバーや五飛を顔色一つ変えず死に追いやった手腕を忘れはしない。 桃子にははっきりと断言できた。 黒の騎士団には桃子を助け、生かしておく理由がない。 となると、澪の言葉通り、黒の騎士団はここにいない。 この不可解な状況は秋山澪の独断、という事になる、のだが。 「なに……考えてんすか……?」 それは、より不気味な事態だった。 なぜなら澪の言葉を全て額面通りに受け取ればつまり、 秋山澪はこの瞬間、桃子と同じ立場――裏切り者――になっている、ということになるのだから。 「何を……馬鹿なこと……」 「そ、馬鹿やったんだ。私は」 真顔で断言する澪に、桃子は動揺を隠せなかった。 事実ならば目の前の存在はあまりに愚か過ぎて、馬鹿らしすぎて。 「発信機も潰した。 そろそろあっちも、私が離れた事を知る頃だと思う。 これを証明なんて……出来ないな。でも、私がここにいる理由なんて他にないだろ?」 こんな無駄を、こんな愚かを、ルルーシュ・ランペルージは許すまい、絶対に。 ゆえに彼女が言うように、状況がこんなふうになっている理由は他に無い。 秋山澪はあの集団を裏切ることを選択した。 「じゃあ……つまり、澪さんは自分からルルさんや憂ちゃんを切った……ってことっすか?」 だが信じられるわけが無い、そんな不条理を。 「澪さんは頭がおかしくなったんすか? じ、自分が今どれほど馬鹿なことやってるか、分かって言ってるんすか……?」 澪には桃子と違い、 裏切らなくてはならない切迫した理由など無かったはずなのに。 「マトモな計算が出来れば、決まりきった選択じゃないっすか。 私とルルさん。どっち選ぶかなんて。 それに澪さんは見てるはずっすよ? 私の身体の状態だって……!」 かたや策を常備した男が先導する、武装豊富、人員豊富、戦力豊富で移動手段にも恵まれた黒の騎士団。 かたや片腕を駄目にして、身体は既にボロボロで、ステルスも満足に出来るか怪しい状態の東横桃子ただ一人。 どちらを取るか。馬鹿でも分る二択問題。 それに澪は不正解を叩き出したのだから。多少、頭を疑ってもおかしく無いだろう。 「全部、承知してる」 「じゃあどうして!? 私はこのざまで、澪さんには裏切る理由なんて一つも無くて! 何より向こうには憂ちゃんだって居るじゃないっすか!? なのに――」 秋山澪の心が、桃子にはまるで理解できなかった。 道を別った筈だろう。『さよなら』を告げたはずだろう。 なのに何故、追いかけたりしたんだ、と。いつの間にか声を荒げていた。 「……ッ……」 激昂は痛みに変わり、自らに跳ね返る。 気が高ぶっているのは不気味な状況と、体の状態を知った事による強烈な危機感によるものか。 桃子は痛む腕を押えつつ、蟠る苛立ちをぶつけるように澪へと鋭い視線を投げた。 対して澪は、 「……理由なら、あるよ」 空を仰ぐように視線を逸らし、ぽつりと呟いた。 それは小さく、けれど強い感情の込められた声だった。 「そう言うと思ってたからさ……。 どう説明しようかって、ずっと考えてたんだけど」 いっこうに警戒を緩和させないどころか強める桃子に苦笑いを浮かべ、 言葉を捜すように紡いでいく。 「とりあえず、お前やルルーシュが得意な損得勘定じゃないよ。これは……」 「じゃあ……いったいなん……」 そこで、すっと苦笑いを消した澪は椅子から立ち上がり。 一歩踏み込んで、 桃子の両肩を、傷を気遣いながらもしっかりと掴んで、じっと目を見つめる。 急に身を乗り出して見つめてきた澪に、桃子は口をつぐんで身を硬くするものの、 じっと注がれる真剣な視線をつい、見つめ返していた。 シンと冷えていく空気のなか。 澪はすっと、空気を吸い込んで。 「私には、お前が必要だから。ただ、それだけなんだ」 まるで告白でもするかのように、言い切った。 「――」 「――」 しばし、沈黙。 「…………は?」 しかし全く、全然意味が分らなかった。 桃子は疑念を通り越して、完全に言葉を失ってしまう。 目が点になるとはこのことか。 しかも、キョトンとする桃子をよそに、澪は勝手に慌てていた。 「ん、あ、あれ……? なんか違うなこの言い回し。 ええっと……ちょ、ごめん今のなしっ!」 「なしって……。なんなんすか、ほんとに……」 わたわたと取り乱した澪から、桃子もため息混じりに目を逸らす。 しかし何故だろうか、毒気を抜かれれている己を自覚していた。 澪自身にすら意図せぬ形で彼女のペースに巻き込まれていないだろうか、とも思う。 こんなことは今まで無かった。 桃子が澪を自分のペースに巻き込んで、上手く使おうとしたことは何度かあったけれど。 今みたいに澪に心を振り回されるようなことは無かった。 桃子は毛布の内側、適当な処置をしていたはずの傷口へと『新しく巻きなおされていた包帯』に触れながら、 椅子に座りなおして息を整えている澪をちらりと見やる。 この少女は何を考えているのだろう。桃子にはいよいよ本格的に分らない。 けれどなぜか、訝しむような感情は浮かばなくなっていた。 なんとなく今のやりとりで、目の前の少女が間違いなく桃子の知る『秋山澪』なのだろうと思えたから。 外面を繕って、でも本当は怖がりで、ずっと無理をしている彼女。 桃子には思いもつかない、きっと理解の及ばない理屈があろうとも、あくまで彼女が考えた事だと言うのなら。 脅威は無いのではないか。そんなふうに思えていた。 そして、しばらくお互い黙ったまま、静寂の時間をすごした後である。 「ゴメン、こんなの慣れてないし、やっぱり上手くは言えないけどさ。 ちょっとだけ……長い話を聞いてもらっていいか……?」 ようやく澪が言葉を発した。 桃子はそれに答えないが、元より選択肢など無いだろう、と。 無言の肯定を視線で示していた。 「ありがとう」 澪は椅子に深く腰掛け、思案するように天井を見上げる。 その目に、熱が灯る。 桃子はそのとき不意に、一つの予感を得ていた。 多分、これより語られるのはきっと、 とても平凡で、そして目の前の少女にとって、一番大切な物語なのだろう、と。 「――私には、一つだけ夢があったんだ」 ■ ■ ■ 語られたのはなんのことは無い、ただの何気ない日常だった。 友人と出会い、共に交流して絆を深め合う。 ただそれだけの当たり前の日々。けれど輝いていただろう世界。 少なくともそれを語る澪の表情は、これまで彼女が見せたどの表情よりも明るく楽しげだった。 ただの思い出話。 そう語った澪の前置きに偽りは無く。 記憶をなぞるように、少女は個人的な話を続けていく。 友人を一人、また一人と語りながら。 平等に、優劣のつけられない宝物なのだと澪は言った。 「楽しかったんだ……」 毎日がカラフルで、決して彼女を飽きさせない。 それまでの人生が退屈だったわけでは無いけれど、高校生活は別格だったと言う。 桃子も同じような思いを知っていた。 忘れはしない。確かに高校生活は別格だった。 桃子の全てが一変したのも、澪と同じような時期であった。 「でも、楽しい思い出はここまで」 展開は一変する。 ずっと続いていくはずだった日常は非日常へと急転していく。 ここからは誰もが知っている物語。 秋山澪にとっての悲劇の始まりだった。 最初に死んだのは後輩だった。 次に死んだのは親友だった。 狂気の果てに殺されたという友人。 桃子も現場に居合わせていた、少女の死。 そして、何かを捨てていた誰かのこと。 ありきたりな、宝石のような日常は、あっけなく砕かれた。 「私には、一つだけ夢があったんだ」 子供じみた夢だけど、と澪は笑う。 「軽音部に入ったばかりの頃、律のやつがホワイトボードに『めざせ武道館!!』 なんて、書きこんでさ」 思い起こせばちっぽけで、現実感もあったもんじゃなくて。 遠く離れすぎている、だけど確かに、そこにあった夢の欠片。 「でも私の夢は、気が付けば終わっていた……」 叶える前に、噛み締める暇もなく。 「……だから澪さんは戦っていたんすか?」 自然と、桃子は尋ねていた。 思い返してみれば、澪に戦う理由を聞いたのはこれが初めてだった。 最初に会ったときも、同盟を結んだ時も、お互いに語ることは無かった。 知る必要も無いことだと断じていた。 「違うよ、そんな理由じゃない」 澪は首を振る。 「私はみんなの為に戦ってなんか、ないよ。 こんなこと、誰も望まない」 窓から吹き込んできた海風が、澪の黒髪を揺らしている。 「私は自分のために殺した。 誰かのせいとか、誰かの為じゃなくて。 身勝手に、皆に生きてて欲しいと思うから、人を殺したんだ」 実体の無い『魔法』に縋るほどに、欲しい物があった。 誰かを殺してでも、取り戻したい夢があるのだと。 「そして、まだ私は止まる気なんて無い 誰になんと言われようとも、やり遂げるまでは進み続ける。そう決めたんだ」 『戦い続ける』と、少女は相貌で戦意を告げる。 「言い切るよ。私の目的は優勝だ。 私の起源は『畏怖』と『逃避』の二つ。 それでも、色々回り道をしたけれど、もう迷わない」 もう一度、古い椅子から立ち上がる。 「集団から離れた時に持っていいた装備。 福路美穂子を殺した後に奪ったディパック」 ディパックをひっくり返して武装を床にぶちまける。 更に、内の一つ、片手に握ったコントローラーのようなものを操作して。 「そして機動兵器、ヴィンセント」 次の瞬間、澪が眺めていた窓の向こう。 甲高い駆動音と共に、金色の機動兵器が現れる。 風圧でカーテンと、澪の黒髪が激しくはためき、流れ。 「これが今の私の全戦力。手札の全てだ」 そうして、秋山澪は手を差し出した。 「契約をしよう、東横桃子」 桃子はその手をじっと見つめながら、続く言葉を待つ。 「私は全てを背負って行く。罪も痛みも、捨てたりしない。全部持っていく。 そうじゃないと私は、どこにもいけないまま身動きが取れなくなってしまうんだ。 だから……私はいま『進む』為に、お前を選ぶよ、モモ。 騙し合いも、化かし合いも、もういらない。 もしもお前がこの手を取ってくれるなら――私はお前を全力で信頼する。 私とお前、最後の二人になるまでは、一方的に味方だと思い続ける」 お前がどう思おうとも、と澪は告げた。 共に戦い、共に生き残り、そして最後の二人になった時、死力を尽くして殺し合おう。 それは淀みなく、まっすぐな契約。 見つめ返して、桃子は一言だけ問うた。 「それ……もしも憂ちゃんと戦う事になったら、どうするつもりっすか?」 その言葉。 陥穽を突くであろう指摘にも、 「その時は、戦うだけだ」 最後まで、秋山澪は揺らぐことが無かった。 ■ ■ ■ 「…………はぁ……」 ショッピングセンターの廊下の壁に背をついて、私は一つ息を吐く。 緊張から解放された安堵。 次に進む為の新たな緊張感を取り戻す為の禊。 色々な意味を兼ねた一息だと思う。 モモは『少し一人で考えさせて欲しい』と言った。 だから私はこうして、家具屋の外で彼女の答えを待っている。 「これから、どうなるのかな……」 この道を進むと決めたけれど、先のことに対する不安は尽きない。 そもそもモモが私との共闘を断った場合とか考えてなくて。 やれやれ、我ながら馬鹿なことをしてるよな。苦笑いばかり浮かんでくる。 「でもま……いいか」 だけど今はそれでいいと思えた。 迷った結果、私が選んだのはすべての手札をモモに明かすことだった。 偽らず、『思い』、『目的』、『戦う手段』、『起源』すらも、全て彼女に明かした。 これは一種の賭け。 ハイリスクーローリターンの、だけど私にとっては大きな意味を持つ。 負ければ私はこれ以降たった一人で戦う事になるし、 勝ったところでモモの言う通り戦力的に弱小のまま変わらない。 不安が尽きない事態は、なに一つ好転しないのだ。 「でもその時は、その時だ」 だけど、どうなろうと、やることは変わらない。 私は諦めるつもりも無い。 そして少なくともこの選択に、何一つ後悔は無いのだから―― 『―――では、これより――』 「ああ、そっか。もうそんな時間なのか」 不意に、耳に届く声。定時放送。 この殺し合いに、一つの区切りをつける鐘の音が鳴っている。 声は無機質な少女の声から、重苦しい男の声に変わっていた。 色々なことを考えるのは後回しにして。今だけ、私は自己に埋没する。 『死』を想う。 「そっか、死んだのか」 どこまでも澄んでいた、蒼の瞳を想起する。 私はいま、当たり前の死を聞いた。 私が無残にも、容赦無く摘み取った命の名前を告げられた。 「そっか……死んだのか、二人とも」 一人の少年と一人の少女が織り成した、力強いあの言葉を思い出す。 私はいま、壊した心の死を聞いた。 それはかつての希望の光。 なのに、私自身が黒で塗りつぶした、正義の味方達の終焉。 「ああ――」 背中を付けた壁の冷たさで、全部誤魔化してしまおうとして、やっぱり出来なくて。 私の頬を何か熱いものがつたっていく。 しょっぱい物が頬の傷口を抉り、痛みを刻み込んでいく。 その行為がいったいどれほど罪深いか、私は理解しているつもりだ。 この期に及んで壊したものを尊ぶなんて、なにより卑怯者のする事だ。 「……ふ…………ははっ……」 だから私は嗤う。 小さく、薄く、ぎこちなく、それでも嗤った。 『ざまあみろ』と。『私の勝ちだ』と。『これが理想に溺れた者達の末路なのだ』と。 そうやって嗤って。 せめて、散っていった彼や彼女達が、私を悪だと断じる事が出来るように。 決して、私を哀れむことなど無いように。 「……ふっ……うっ……くくっ……」 そうやって、砕け散りそうな自分を保っていた。 泣き笑いの私は、背中に新たな重圧を感じ取る。 いま、背負うものが増えたのだと、私はそう思うのだ。 のしかかる重圧こそが、今ここに秋山澪を立たせているから。 ああ、だから私はいま、こんなにも不確かなものに縋っているのか。 ■ ■ ■ 「…………はぁ……」 澪さんが部屋を出て行って暫く後、私は一つ息を吐きました。 緊張感から解放された安堵。 思考を次に進める為の禊。 色んな意味が含まれた一息だったと思うっす。 難儀しながらも着替えを済ませてから、目に留まった椅子に腰掛けました。 先ほどまで澪さんが座っていた椅子。 ぎしっと嫌な音を鳴らしながらも、私の体重を支えています。 私はそこから彼女が見ていたモノを追うように、窓の外を眺めました。 「やっぱり……綺麗っすね……」 窓の外では朝日が昇っていました。 そういえば、ちょうど一日前っすね。 先輩の死を聞かされたのも、こんな朝でした。 そして今は―― 「そっか、あなたも……」 鳴り響く放送で、先輩を殺した人の死を、聞いていました。 「浅上……藤乃……」 始めて、意志を込めて、その人の名前を口にします。 私から先輩を奪った人。 彼女には言い尽くせないほどの思いが在ったはずなのに。 溜め込んでいた全てを吐き出すつもりで呟いたその名前には、もうなんの熱も存在しませんでした。 確かに、在った筈っす。 胸の奥で滾り沸き立つような狂熱。 それはもしかすると恋慕にも近い情の塊。 溜め込んで、溜め込んで、決して表には出てこないように押さえつけていたモノ。 だけど、彼女が死んだと聞かされた瞬間、すっと身体から抜け出してしまって。 それはあまりにも唐突で、アッサリで。 私は虚無感にも似た心の空洞を感じました。 「変っすね」 もしかすると、浅上藤乃は私の中でその実、大きな核を為していたのかもしれません。 先輩を失った世界で、先輩を奪った人に会うこと、それをわたしは何かの糧にしていたのかも。 そう思うと、急に全てが色あせていくようでした。 結局、私が何をしたかったのか、自分でも良く分りません。 彼女に会うことが出来ればハッキリとしたんでしょうかね。 でももうこれは考えても意味の無いことで。 今ハッキリと言える事はきっと、これで良かったんだってことっす。 これでいい。 私が先輩以外の思いに囚われるなんて、あっちゃいけないことっすから。 だからきっと、これでよかったんすよ。 今の私が考えるべきは、ただ前を見据えて行くこと。 私の戦いは、まだ何も終わっていません。 そう思えるんすよ。 だって、私がこれまで見てきたのは、浅上藤乃一人だけじゃないっすから。 あの朝に出合った、一人の男の人の姿。 終わる事も出来ない夢の果てまで、戦い続けた人がいました。 そしていま、この瞬間。 壁の向こうには、終わってしまった夢を未だにみっとも無く追い続ける人がいます。 「本当に……不器用な人ばかりっすね……」 その人たちに負けたくない。 そう思えるんすよ。 だから、先輩。 私は絶対に、立ち止まったりしないっすよ。 ■ ■ ■ 「モモ、入るぞ」 意を決してドアを開ける。 再び家具屋に踏み込んだ澪が見たものは、 相も変わらずガラリとした、誰もいない店内。 そして、消えた武装の数々だった。 「…………」 どうやら賭けは負け。という事のようだ。 澪はがっくりと肩を落としながらも、 どこかさっぱりとした表情で、もう一度椅子に腰掛けようとして。 「あの、重いっす……」 そこに座っていた桃子の膝の上に、腰を下ろしていた。 「……うわぁっ!」 跳ねるように椅子から離れる。 「あ、あのなぁモモ、居るなら居るって言えよ……」 「ごめんなさい。ちょっと考え事してたっす。 あ、そうそう出しっぱなしの武器とかは全部ディパックに片付けたっすよ」 「ん……そうか……」 自分の位置を奪われていた澪は、周囲に目を配った後、 先ほどまで桃子がいたベッドに腰掛けた。 「それで……答えは聞かせてくれるか……?」 「はい、でもその前に……」 何だろう、と疑問符を浮かべる澪に桃子は言った。 「私からも、ちょっとだけ長い話を聞いてもらってもいいっすか……?」 それは澪にとって何よりも求めていた答えだった。 「ああ、聞かせてくれ」 窓から流れてくる風を浴びながら、桃子は語り始めた。 「――私にも、一つだけ夢があったんすよ……」 ■ ■ ■ 語られたものは澪とは正反対の日常だった。 一人で過ごし続ける人生。 特異な体質を抱えた少女の、孤独な世界。 語る少女の表情には辛みや痛みはなく、諦観があった。 「そんな時に、突然現れたのが先輩でした」 けれどそんな桃子の人生を一変させた人物がいた――加治木ゆみ。 澪もその名前だけは知っている。 名簿に記された名前の一つ、そして既に死んでいる人間だ。 「彼女がわたしに夢を与えてくれたんすよ。 全国に行くっていう――そしてもう一つ……私だけの目標も」 彼女に出会い、桃子は変わったと言う。 桃子曰く、『この世に存在しなかったわたしを見つけてくれた人』。 初めて自分の存在を求めてもらえた瞬間。 嬉しかった。涙が出るほどに、心が震えたのだと。 存在する理由が与えられたのだと、桃子は語った。 「だから私の目的は先輩の蘇生。ま、優勝っすね。 ついでに起源は『孤独』。 私はもう、先輩以外は何も要らない」 必要なものはただ一つ。 だから、あなたの心はいらないと。 「そっか……」 「はい。澪さんの信用なんて、私には全く必要ないっす」 きっぱりと言い切って、椅子から立ち上がる。 「それでも力をくれると言うなら……」 そして、今度は桃子が澪へと手を差し出した。 「いいっすよ。結びましょう、その契約」 信頼なんて要らない。情なんて要らない。 少なくとも私は絶対に渡さない。 だけど力は欲しいのだと。 そんな身勝手な言葉を告げながら。 「私を信頼したいのなら、勝手にすればいいっすよ。 何の責任も持ちませんし。 最後の二人になるとか、私は特に関係なく裏切っちゃうんで」 それでもいいんすか? と、桃子は薄く笑った。 「ああ、好きにしろよ。私は私の好きにする。 もちろん、簡単に殺されてなんかやらないけどな」 澪も笑い返して、その手をとった。 結局この形になっている。逆転されている。 やっぱり主導権は握れないんだな、と苦笑いを止められない。 だから代わりに、澪からも一言言ってやろうと思った。 「それじゃ、私が殺すまではよろしくな。モモ」 「ええ、あなたが死んでしまうまでは、せいぜい頑張って下さい。澪さん」 秋山澪の事情を明かして。東横桃子の事情を知って。 澪には一つだけ分ったことがある。 と言っても、これは至極当たり前のことだけど。 秋山澪と東横桃子の二人は、最終的には殺しあうしかない関係だ。 この問答はそれを再確認し合っただけなのだ。 それでも、と澪は思う。 確かに得たものがあった。 やっぱり、この選択は間違ってなかったのだと確信できた。 この少女と共に戦う道を選んで良かったと。 なぜなら今この時、澪の胸の中に暖かいものがある。 それは勝手な自己満足のようなものだ。 ここに自分と似たような事情で戦う者がいる。 決して共存できない夢を持ちながらも、同じような思いを抱えて生きている。 共に戦うことが出来る。 それは何よりも澪を勇気付けてくれるのだ。 いいじゃないか。ギブアンドテイクだ。 澪は心の上で、桃子と共に戦いたいと思っている。 桃子は力の上で、澪を利用したいと思っている。 お互いがお互いに欲しいものを提供できるのだから。 「契約完了だ」 繋がれた手を軽く振る。 『殺したくない』だなんて、今更考えるのは相手にも失礼だろうと思う。 けれどもし、両立する目的を持っていたならばきっと、『頑張れ』って、言っていただろう。 秋山澪はいまだ、そんな甘いことを考えながら。 それでも、どこか吹っ切れたような笑顔を浮かべていた。 ■ ■ ■ こうして、私達は行動を開始しました。 と言っても、主に動くのは澪さんのお仕事で、 怪我人の私は暫く家具屋の中で待機っすけどね。 私も澪さんも発信機を潰したとは言え、通信機はまだ持ってるわけで。 これを使えば連絡は取り合えるっす。 とはいえ私も手持ち無沙汰っすから。 「んっと、どれどれ……」 こうしてベッドにねっころがりながら、お勉強の時間っす。 「まあ、分っちゃいましたけど、普通にむずかしそうっすね……」 ナイトメアフレームのカタログ。 澪さんにお願いして、見せてもらってます。 今の私の状態を差し引いても、使いこなすのは難しい。分ってるっすけど。 例え使いこなすことが出来なくても、戦略に組み込むことは可能なはず。 戦力として多大な力を持つことだけは間違いないっすからね。 私達は、所詮ただの女子高生二人組。 普通に力勝負したところでまず勝てない。 だから使えるものは、精一杯応用して戦いを有利に進めないと。 澪さんが福路美穂子から奪ったペリカとわたしが黒の騎士団から奪取したペリカ。 合わせて五億を超える膨大な戦力資金。これらを使いこなして戦うこと。 今の私達には、もうそれしかないっすから。 と、そこでふと、自分の思考の違和感に気がつきます。 「……『私達』……っすか……」 なぜだか笑いがこみ上げてきて、考えが止まってしまいます。 「まだ、そんな事が言えるなんて」 もう全部捨てた筈でした。 意図せず築いてた絆を全部砕いて、信頼なんて裏切って。 私は、孤独に戻った筈なのに。 たった一人の道を行くのだと、思っていたのに。 「可笑しいっすね」 どうしてか、まだ続いています。 なんだか奇妙な事に、わたしはまだ人と繋がっています。 本当に……不思議っすよ。 『私には、お前が必要だから』 こんなわたしを未だに求める人がいる。 まったくもって、呆れるくらい馬鹿な人。 何をどう考えたらそんな判断が出来るのか。 やっぱり理解できません。 「せっかく振り切ったのに。ほんと、物好きな人っすね」 でも、まあいいか。なんて今の私には思えてしまえて。 先輩を取り戻す為に力が必要なことは確かっす。 利用させてくれるなら徹底的に使わせてもらおうじゃないっすか。 「それに……」 それに悔しながら、認めなくちゃいけないみたいっすよ。 求められる。必要とされる。 この感覚はやっぱり悪くない。 嫌いじゃない。 わたしが本当に求めるものは、あの人じゃないけれど。 『―――おまえの起源は“孤独”だ。東横桃子』 あの時、押し付けるように突きつけられたその定め。 反感を覚えたことも、また確かっすから。 「もう少しだけ……もう少しだけっすよ」 少しだけ、続けてみます。 あと少しだけ。 そう遠く無い未来に、私が彼女を殺すまで―― 【E-1 ショッピングセンター/二日目/朝】 【秋山澪@けいおん!】 [状態]:両頬に刀傷、全身に擦り傷 [服装]:桜ヶ丘女子高校の制服 [装備]:田井中律のドラムスティック、通信機@コードギアス [道具]:FENDER JAPAN JB62/LH/3TS Jazz Bass@けいおん! 、中務正宗@現実 ディパック(一億ペリカ引換券×2、二億一千ペリカ、他諸々詰め込んだ) [思考] 基本:もう一度、軽音部の皆と会うために全力で戦う。 0:戦う為の準備を始める。 1:自分の目的を果たす。 2:最後の二人になるまでは桃子と協力する。 [備考] ※ショッピングセンター付近に、ヴィンセントが止めてあります。 【東横桃子@咲-Saki-】 [状態]:右肩口に裂傷(処置済)、左腕に大火傷(処置済)、右頬に切り傷 [服装]:鶴賀学園女子制服(冬服) [装備]:FN ブローニング・ハイパワー(弾数14/15/予備30発)@現実、通信機@コードギアス [道具]:小型ビームサイズ@オリジナル 、七天七刀@とある魔術の禁書目録、莫耶干将@Fate/stay night おくりびと表示端末、ディパック(五億ペリカ、首輪×4、他諸々詰めた) [思考] 基本:加治木ゆみを蘇生させる。もう、人を殺すことを厭わない 0:戦う為の準備を始める。 1:自分の目的を果たす。 2:優勝する為に、澪と協力する。 [備考] ※なんらかのギアスを仕込まれました。(現在未発動) 時系列順で読む Back 優&愛(後編) Next 前夜祭の黒騎士たち 投下順で読む Back 優&愛(後編) Next 前夜祭の黒騎士たち 288 GEASS;HEAD END 『再開』 秋山澪 わたしとあなたは友達じゃないけど 288 GEASS;HEAD END 『再開』 東横桃子 わたしとあなたは友達じゃないけど
https://w.atwiki.jp/ml-story/pages/379.html
あらすじ 登場アイドルふれあい プロローグ メイン MV(並び順) エピローグ 楽曲 その他実装日 小ネタ 前後のメインコミュ センターアイドルの他のソロ曲メインコミュタグ一覧 あらすじ 公演前、ソワソワしている麗花。もしや彼氏 ができた?と心配するメンバー。だが麗花と 待ち合わせをしていたのは小さな男の子だった。 麗花は公演で、男の子や来てくれた人達 みんなを、笑顔にしたいと願う。 登場アイドル ふれあい 北上麗花、周防桃子、ジュリア プロローグ 北上麗花、周防桃子、ジュリア、桜守歌織、春日未来 メイン 北上麗花、周防桃子、ジュリア、桜守歌織、春日未来 MV(並び順) 桜守歌織、ジュリア、北上麗花、周防桃子、春日未来 エピローグ 北上麗花 楽曲 空に手が触れる場所(ニコニコ大百科(仮)へ飛びます) その他 実装日 2022年3月12日 小ネタ 前後のメインコミュ 前:第103話 私だけの勇気 次:第105話 If you believe in me. センターアイドルの他のソロ曲メインコミュ 第29話 きっと、どこまでも! タグ一覧 ジュリア 北上麗花 周防桃子 春日未来 桜守歌織 名前 コメント すべてのコメントを見る
https://w.atwiki.jp/yajikumaazu/pages/16.html
少しばかり遡る。熊井が帰ってからの、有原と桃子である。 残った2人は、料理を胃へ片づける傍ら密談めいたやりとりを交わしていた。 「本当にいいのかな」と桃子が呟くや、有原は訝しげにその顔を覗いた。 「なんだよ、熊井の写真を見たときは乗り気だったじゃないか」 無機質とも思える眼差しとは裏腹の、躍動的な口調の有原に面食らいつつも、 桃子は、苦し紛れの返答を、白ワインに力を借りながら捻り始めた。 「そりゃ滅多にいないくらい綺麗な男の人だし、してみたいことは確かだけど。……」 しかし有原の方も、不気味な程の流暢さに任せて、追及するを止める気配がない。 「彼は男としての自信を失いかけているんだ。半年以上もしていないんだ。 友人としてそんな彼を見過ごすわけには行かない、だからこそ君に頼んだんだよ? それとも君、今さら良心の呵責でも覚えてるの? らしくない」 「わたしだって悪魔じゃないんだから、抵抗感じるに決まってるじゃない。 他人の家庭を壊してしまうかもしれないんだよ?」 「事態はむしろ逆だよ。桃子。この計画を成功に導くって事は、 かえって家庭崩壊を防ぐチャンスに繋がるんだ。セックスレスは夫婦の絆をも蝕む」 相手の意見を、最後は聞くだけ聞いてから、桃子は、しばらく黙った後、軽く頷いた。 「なかなか手ごわいよ、彼」 溜息混じりの、桃子の一絞りだった。 「じゃあ食事を続けようか」こう述べてから、 有原は赤ワインをグラスへ注いだ。満足げに目を細めながら。 ←前のページ 次のページ→
https://w.atwiki.jp/yajikumaazu/pages/31.html
少しばかり遡る。熊井が歸つてからの、有原と桃子である。 殘つた2人は、料理を胃へ片づける傍ら密談めいたやりとりを交はしてゐた。 「本當にいゝのかな」と桃子が呟くや、有原は訝しげにその顏を覗いた。 「なんだよ、熊井の寫眞を見たときは乘り氣だつたぢやないか」 無機質とも思へる眼差しとは裡腹の、躍動的な口調の有原に面食らひつゝも、 桃子は、苦し紛れの返答を、白ワインに力を借りながら捻り始めた。 「そりや滅多にゐないくらゐ綺麗な男の人だし、してみたいことは確かだけど。……」 しかし有原の方も、不氣味な程の流暢さに任せて、追及するを止める氣配がない。 「彼は男としての自信を失ひかけてゐるんだ。半年以上もしてゐないんだ。 友人としてそんな彼を見過ごすわけには行かない、だからこそ君に頼んだんだよ? それとも君、今さら良心の呵責でも覺えてるの? らしくない」 「わたしだつて惡魔ぢやないんだから、抵抗感じるに決まつてるぢやない。 他人の家庭を壞してしまふかもしれないんだよ?」 「事態はむしろ逆だよ。桃子。この計畫を成功に導くつて事は、 かへつて家庭崩壞を防ぐチャンスに繋がるんだ。セックスレスは夫婦の絆をも蝕む」 相手の意見を、最後は聞くだけ聞いてから、桃子は、しばらく默つた後、輕く頷いた。 「なかなか手ごはいよ、彼」 溜息混じりの、桃子の一絞りだつた。 「ぢやあ食事を續けようか」かう述べてから、 有原は赤ワインをグラスへ注いだ。滿足げに目を細めながら。 ←前頁 次頁→
https://w.atwiki.jp/girlfriendline/pages/1049.html
出会い マイページ 通常 日直 登校 朝 昼 夜 アルバイト 好感度レベルアップ ひゃあっ、逃げても隠れてもびしょ濡れになっちゃいます。冷たいですよぉ~ デート 約束 当日 ボス戦 勝利 敗北 バトル 勝利 敗北
https://w.atwiki.jp/animerowa-3rd/pages/1611.html
GEASS;HEAD END 『離別』 ◆hqt46RawAo ■ 『序章:ago』 ■ 意識が朦朧としている。 ぼやける視界のままで、私は暗い夜道を猛スピードで進んでいた。 ナイトメアフレームに乗って。 ……ナイトメア、フレーム。 今の私、秋山澪にとっての最大の武器であり鎧。 機体の足部が段差を超えるたびに、私が座っているシートもがたごと揺れる。 ハッキリ言って乗り心地はあまり良くはない。 私は、確か……。 あの女、蒼崎橙子って名乗った女から逃れられ、いや、見逃されて、それから……。 それから私は……。 私はどうしたんだっけか……。 たしか象の像まで逃げたあと、福路美穂子が持っていた首輪を使って新しいロボットを購入して、それから……それから何をしようとしていたんだっけ……。 よく、分らない。 ハッキリとしない。 朦朧としている。 意識が白濁している。 ごとごとごとごと、響く振動音だけが私のはっきりと捕らえる大半の事象だった。 ぴー、ぴー、と。どこからか、警告音が鳴っている。 いけない、これはいけない。 集中しなくちゃ駄目だ。 意識をハッキリさせて、ちゃんと前を見ないと駄目だ。 レーダーを見て、進行方向を考えないと……。 こんな暗い夜道、ただでさえロボットの操縦なんて慣れてないのに……。 「……あ」 ほら案の定だ。 機体が何かに激突して……。 操作を誤ったと、自覚した時にはもう遅い。 コックピットを揺らす凄まじい衝撃に、私は機体ごと激しく揺られて。 遠ざかる警告音。 意識が、闇に沈んでいく。 序章:夢、逃げ出した後――了 Next Chapter▽ ■ 『一ノ章:Break bonds』 ■ 間合いそのものは約一歩半といったところか 何かあった際、制圧するには少し広すぎる距離だ。 しかし殺害に及ぶならばお互いにその限りではないだろう。 そのように、デュオ・マックスウェルは乾いた思考で目算する。 もし、隣に立つ少女がもう一度此方に銃を向けた場合に如何にするか。 交渉に応じた少女、それが再度戦闘になるパターン、まあ十分あり得る。 ルルーシュと合流した瞬間に仕掛けてくるかもしれない。 話し合う気など無いかもしれない。 彼女はそもそも数の不利など度外視して攻撃してきたのだ。 緊張を緩めるにはまだ早い。 そして、そうなってしまえば今度こそ、無力化だけして生かすことは難しい だからもし、そうなれば、彼は殺す。 殺すだろう、例え相手が少女であろうと。 躊躇無く撃つだろう。 ためらいは有り得ないし、許されない。 自身や仲間の危機に繋がるからだ。 (やれやれ、賢い選択をしてくれれば助かるんだがな……) 彼は元々殺したいと考えて戦っていたわけではなく、むしろ逆、人の死や苦しみを見たくなかったから、終わらせたかったからこそ戦い、そして殺してきた。 そんな彼は知っている。 人が戦場で戦うと決めたなら、その手は綺麗なままにすることなどできない、と。 戦うならば、何かを変えたいと思うなら、手は汚れていく。それは当たり前であり事実彼が辿った道だ。 だから、ためらいは無い。 その代わり、彼はいつも願っている。 早く戦いが終わるように、一人でも犠牲を減らせるように。 願い、動く。 「お、来たみたいだぜ?」 近づいてくるルルーシュの姿に、隣の少女が声を上げた。 「ああ、そうみたいだな」 明るい声。 対して銃はすぐにでも抜ける。お互いに。 隣の少女に注意をむけながらも、周囲の警戒にも余念はない。 ここにはもう一人、対処するべき脅威――もう一人の侵入者がいるのだと、彼は知っている、いや正確には信じさせられている故に。 不確定の脅威と不明瞭な脅威、2方向への警戒。 彼といえど、一人では少し荷が重い。 やはりここでも、デュオ・マックスウェルは苦労人だった。 ■ 今の東横桃子にとっては、全ての音が遠くに感じられた。 男女の話し声。 廊下に響く四つの足音。 それら全てが、己の心音に比べれば小さく思えるくらいに。 事態は刻一刻と、変わろうとしている。 前方を歩くルルーシュと平沢憂。今まで味方として接してきた二人。 その二人に、更に前方からデュオ・マックスウェルと共に近づいてくる茶髪の少女。 彼女こそが凶兆だ。 桃子は決断を迫られていた。 選択肢は、そう多くない。 何もしないか。 何もせずに逃げるか。 殺して逃げるか。 皆殺して終わらせるか。 ――それ以前に、殺せるのか? 選択には時間制限がある。 タイムリミットはルルーシュが近づいてくる少女に接触する瞬間まで。 「……………」 数値にすれば、残り10秒ほどしかない。 「…………っ」 ――殺そう。 決断までは数秒と掛からなかった。 殺さなくてはならない。 迷っている暇はない。 いつか殺すのではない、今殺す。 目の前の男を排除するタイミングは今、現在なのだと、桃子は理解した。 数メートル前方を歩く青年――ルルーシュ・ランペルージ。 彼がこのまま茶髪の少女と接触すればどうなるか、実際のところ断定まではできない。 全てはあの少女とルルーシュが、どう考えるかにかかっている。 けれど、そう低くない確率で桃子にとって不都合な事態になるだろう。 それをこのまま指をくわえて見ているのは一番の愚考だ。 それでは、今すぐに逃てはどうか? やはりそれも愚考。確かに迅速な離脱こそが一番危険の少ない行動だろう。 しかし今逃げる事とは即ち、ルルーシュとの敵対が確定するということでもある。 次に会うときは、間違いなく敵として見なされる。 ならば殺すのか? そうとも、殺すのだ。 最早彼との共闘は難しい、ルルーシュはもうすぐ味方ではなくなる。敵になる可能性が高い。 それならば、せめて敵になる前に排除する。 ルルーシュの強さは知っている。腕力ではなく、その思考力を桃子は知っていた。 なぜなら隣でずっと見てきた。たった一日ばかりの付き合いだが、彼の怖さはよくよく理解させられた。 それを学び、自分の強さにしようともしたほどに。 「殺さ……なくちゃ……」 最終的に殺す人間、未来の強敵、その一番殺しやすい瞬間が今かもしれないのだ。 ならば行動しなくては。 桃子は何かに圧されるように、青年の背中に向って一歩を踏み出す。 「殺さなきゃ……駄目なんだ……私は……」 ここまで思考したのなら、残りの時間は殺害方法に当てるべき。 だというのに、東横桃子は、 「殺……す……っ!」 ああ何故こんなにも心臓の音が煩いのか。 などと、無駄な思考に貴重な一秒を費やしていた。 ■ 前方から歩いてくる茶髪少女の重要性を、最も早い段階で察していたのはやはりこの男であった。 ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアは相応の緊張をもって彼女を出迎えつつ、己の頭脳をフル回転させる。 船内にて一方的に戦闘を仕掛けてきた目の前の少女は、挙動からしてただの人間ではありえない。 これはごく当たり前であり、見ればわかる事。 だが、それだけではなく参加者としても、他の人間とは一線を介している可能性があるのだ。 ルルーシュは彼女の顔を知っていた。 『おくりびと』――その機能における最大の特徴とは、『殺人犯である可能性が高い人物』の顔を知れることである。 自然、殺人容疑者の写真には皆ある程度注目するものの、死んだ人間の顔は知人でもなければなかなか記憶に残らないものだ。 しかしルルーシュは覚えていた。 彼自身の記憶力が良かったのもあるが、『彼の知人がおくった人物の写真』であったことも要因の一つであろう。 茶髪の少女――C.C.がおくった少女――死んだ人間の顔。 それが今、目の前にあるのだ。 いったい何故か? これはいかなる自体が齎した異変なのか? 双子が参加者にいた、瓜二つの人間がいた。 などの可能性は一応あるが、名簿を見る限り平沢姉妹以外には血縁者同士の参加は見られない。 何よりルルーシュ自身が、尋常ならざる背景を彼女の後ろに感じている。 はたしてこの奇妙な印象はどう説明をつければいいのだろう。 目の前にしている人間が放つ、他人の皮を被っているようなアンバランスな感覚。 隠そうともしない、イレギュラーの気配。 接触までの僅かな間に思考にふける。 そのとき不意に隣から、ちょいちょいと、腕を引っ張られる感触があった。 「えと……ルルーシュさん、あの人……味方になってくれるんでしょうか……」 平沢憂の小さな手がルルーシュの袖口を掴んでいた。 どこか不安そうな瞳がこちらを見上げている。 「さて、分らないな。だが少なくとも、俺達と話す気にはなったようだ」 「もし仲間になるとしても。多分、私、あの人は好きになれそうにありません。なんだか、嫌な感じがします……。 ……? …………そういえばあの顔、どこかで……見たような…………」 察しの良い憂もまた、遅れてその違和に気がついたようである。 まだ正体には思い至っていないが、『嫌な感じ』に関してはルルーシュ以上に敏感に察知しているようだ。 ルルーシュは憂が袖口を握り続けることには別段頓着せぬまま、思考を更に働かせた。 敵の正体に関する考察を出来るだけ多く並べ立てる。 こちらにとって最強のカード、ギアスを使うタイミングを想定する。 しかし最終的には交流を経てから判断すること。 なんにせよ憂にまで、まだ話してもいない段階から『好きになれない』とハッキリ言われる手合である。 最大限の警戒をもって接触するべきだ。 そして、その接触までは残り数秒もあるまい。 彼我の距離は二メートルほど。 どちらからともなく第一声を発する。 「――?」 その直前に、ルルーシュは己の背中に小さな衝撃を感じた。 すとん、という。 軽い感触それだけで、ああ後ろから刺されたのだなと、彼は知ることが出来た。 なぜならこの感覚はルルーシュの知っている感覚。 彼にとって『この殺害方法』は初めての経験ではなかった故に。 「……ああ」 背に、じわりと熱が広がっていく。 「それでいい、正解だ。桃子」 ■ 桃子は青年へと、更にもう一歩踏み出した。 これで彼我の距離は後三歩分。 息を潜めながら、ルルーシュの背中へと近づいていく。 ドクン、ドクンと、身体の内側が煩い。 「…………」 ドクン、ドクンと、まるで耳元で鳴っている様に心音が近い。 「…………ッ……」 一歩一歩に多大な集中力を必要としている。 体が緊張で硬くなっているのが自覚できた。 「……はぁ……っ……はぁっ……」 マズイと自覚する。荒くなっていく息使いを抑えられない。 咄嗟に口元を手で押さえて、音を殺した。 察知されたか、と更なる緊張に全身が硬化するものの、ルルーシュは未だ振り返らない。 本当に気が付いていないのか、それとも知らぬフリをしているだけか。 桃子には判断できない。 分らない。 自分は今、ちゃんとステルスできているのか。 消えれているのか、それとも……。 「…………っん……」 唾を飲み込んでもう一歩、踏み込む。 確かめている時間はない。 残る距離は、たったのニ歩分だ。 (それにしても……なんで……こんなに……) 何故、自分はここまで緊張しているのかと、自問する。 そんな場合ではないと分っていながらも。 人を殺す事は初めてではない。 桃子はもう既に二人の人間を直接手に掛けている。 それに関して逃避もしていない、殺すために殺したのだと受け止めている。 いまさら殺人に関して悩むことなどないはずだ。 そもそもルルーシュを殺す事など前々から画策していたことなのに。 なのに、なぜ、こんなにも、緊張しているのか。 心臓の音が煩いのか。 (躊躇って……いる?) 今までの殺しと、今から始める殺し。 違いがあるとすれば、一つだけ。 (裏切る……ことを……?) 殺す事にはなんら変わりない。 しかし今回の場合、桃子は知ってしまっている。 ルルーシュという人間に、仲間として触れてしまっているのだ。 本当の意味で、知っている人間を直接的に殺すのはこれが始めて。 思えば、ルルーシュや憂を殺す為の策は全て、人任せなものばかりを想定していたような気がする。 例えば殺し合いに乗った者に殺させたり、澪に殺させたり等の同士討ちを狙ったり。 現に目の前の少女を利用しようと企んだりもした。 誰かを利用して誰かを殺させる想定ばかり。桃子のスタンス上それはなんら不思議な事ではない。 しかし振り返ってみれば、彼らを直接手に掛ける事だけはまるで想定していなかった。 『黒の騎士団、行動開始だ』 彼の言葉が、リフレインする。 ――馬鹿みたいだ。 なんら混じりけ無く、桃子はそう思った。 己がこの男にそこまでの思いを持ってしまっていた事にも驚きだが。 それ以前に、今更すぎる。あまりにも、くだらないのだ。 人の命を奪う事よりも、人を裏切るほうが辛いだなんて。 いまさら、絆を壊す事を怖がるだなんて。 自分で自分に虫唾が走る程の贅沢だと思う。 結局、桃子にとってセイバーと荒耶宗蓮を比較的簡単に殺せたのは、それほどの繋がりを持たなかったからなのだ。 けれどルルーシュは違う、平沢憂は違う。 『どうして……こんなにも胸が苦しいんでしょうか……?』 知っている。知ってしまっている。彼と彼女の思いを。 こんな物はいらないと切り捨てたはずだ。そもそも情なんて感じたことも無かったはずだ。 表向きは仲間だろうと、いつ裏切っても恨みっこなしの仮初の同盟、皆が合意の上だった。 腐りきった絆、汚れた繋がり。 (……………こんな、もの) それでも、仲間だった。 表向きでも、偽りでも、確かな繋がりだった。 嘘で塗り固められた関係だろうと、その前提だけは本当だった。 ああ腐っている、でも絆。 ふざけた代物、普通の人間ならば醜悪にしか思えないモノ。 唾棄すべき関わり合い。黒の騎士団。 そんなものに桃子がどれ程の価値を見出すのか。 今この時、壊すという時、震えてしまった両腕が答えだ。 この躊躇こそが真理だ。 (ははっ……なんすか……それ、馬鹿馬鹿しいにも程があるっすよ) 東横桃子という少女。 人生において『ただ一つ』を除いて、おおよそマトモな繋がりなど持たなかった少女。 誰よりも孤独を知っている彼女。誰よりも孤独な日常と共に在った少女。 世界から隔離されていた人生。 だというのに、いや、だからこそ。 こんなにも歪な繋がりであろうと、大事なものに思えてしまった。 決して手放せない、宝物に思えてしまっていた。 「…………ッッッ!」 決意が鈍る。力が抜ける。 手に握っていた凶器が下ろされていく。 ふざけている、馬鹿げている、なんという醜態だろうか。 まさか己がこんな葛藤に陥るなんて。 情に動きを止められるなんて甘さ、想像だにしなかった。 そんなものはこの集団内でも、せいぜい秋山澪あたりしか感じないことだと思っていたのに。 「――――」 結論を言ってしまえば、東横桃子はただの『やさしい女の子』だったということだ。 冷酷ではない、非情ではない、無感などではない。 孤独を知り、絆の大切さを知り、良識を知り、優しさを人に与えられる。 ただステルスというやっかいな体質をもって生まれただけの、一人の平凡な女の子。 加治木ゆみが後輩として大切に思い、『欲しい』と叫んだのはそういう少女だった。 だから、ここから先へは踏み出せない。 東横桃子とは、そう在らなければならない。 知らぬ者を殺すなど作業に等しい。 だが感情を持って執行する殺人の重さには堪えられない。 それが彼女の限界。優しい彼女の正しい在り方。 限界を超えて前へと進む事は許されない。 なぜならその行為は他でもない、加治木ゆみに対する最大の裏切りになるからだ。 (…………ごめん……なさい……) ならば、 (……ごめんなさい……先輩……) ならばこの時、 (私は……) 凶器を握りなおした少女は誰だ? (それでも私は殺します) 更に一歩を踏み出してしまえる少女は誰なのだろう? (先輩、私は……先輩の嫌いな私に為ってでも……やっぱり先輩が欲しいっすよ……) 最後の一歩を踏みしめる。 少女は進んだ。 絆を捨てる道を、東横桃子を捨てる道を歩む。 少し前までの彼女なら、ここで足を止めてしまっていたかもしれない。 絆の鎖に縛られていたかもしれない。 けれど今の彼女は己を突き動かすモノを持っていた。 全てはその一念に帰結する。 直面した地獄の光景。 赤で塗りつぶされる思い出。 ぐちゃぐちゃに砕け散った、大切な者の残骸。 『先輩……まだ、終わりじゃないっすよね……?』 もう絶対に返される事の無いその答え。 踏みにじられて、血塗られて、汚された夢の結末。 それを目にした時、どうしても消せない思いが在った。 ――認められない。 間違っているかどうかなど知らない。 道を踏み外していようと知るものか。 自分も含めて一切合財、何がどうなろうと関係ない。 ただ、認められない。 こんな『終わり』なんて絶対に認めない。 ハッピーエンドじゃなくてもいい。 例えバッドエンドでもいい。 それでも、あんな終わり(デッドエンド)だけは絶対に認る事など出来ない。 現実の拒絶。 駄々をこねる子供の様な。 幼稚な、けれど純粋な願い。 それが今の東横桃子にとって最大の原動力だった。 「だから、さよなら……ルルさん……」 こうして桃子は己の刃を突き立てる。 ガキンと鈍く響いた音は刃が砕ける音であると同時に―― ここまで危うい均衡で、それでも、細くとも確かに繋がっていた彼女達の繋がりが、遂に断ち切れる音だった。 ■ 「ああ、正解だ……桃子」 ルルーシュは一瞬にして状況を把握する。 表面上で身に起こったことだけでなく、その裏にある背景までも推定できた。 別に計算通りなどではない。それでも分る事であった。 たったいま己の背に刃を付きたてた者。 それは顔を見るまでもなく、状況的に東横桃子ただ一人しかありえない。 下手人が桃子ならば、その事情背景も透けて見えた。 大幅に早められた裏切り。 桃子がこの行動に及ぶ真理。 策と、誤算と、しかし覚悟の上の実行。 『はやまったな』、と思う反面、ある意味では正解だとも思う。 桃子なりに考えたのだろう。 今は桃子にとって一番の期ではない。ルルーシュを殺すには早過ぎる。 残る参加者はまだ二十人前後も存在する。 準備を始めるには頃合だが、実行するにはどう考えても不適切だ。 だが、考えても見ればいい、それはルルーシュとて承知している事のはずだ。 桃子にとって最適のタイミングでルルーシュを殺すという事は、すなわちルルーシュにとっても桃子が動くタイミングは明確となる。 今はまだ共闘が最適、しかし決別の時は確実にやってくる、そしてその時期はお互いが意識している。 ならば勝利の行方とはそれまでの準備とその時の決断に委ねられるだろう。 回り道のようで、結局は策と策の真っ向勝負になることは明白だった。 ではここでどちらが有利なのか。その時、ルルーシュと桃子、どちらが勝つのか。 東横桃子は知っていたのだ。 化かしあいでルルーシュに勝つことなど出来ない。 卓上の経験により、先手を読む計算は桃子も得意とするが、ルルーシュは別格だ。 小賢しい考えなど見通される。策など筒抜けになっている。桃子がどう動けば最適なのかすら知られている。 その上で詰まされている。 ならば、あえて失敗してやればいい。愚かになって、悪手を実行すればいい。頭の良さを逆手に取ればいい。 この場においては、最適のタイミングをずらして攻撃すればいい。 あえて速すぎるタイミングでアクションを起こせば、即ちそれはルルーシュの思慮の外。彼女はそう考えたのだろう。 その結果がこの状況。 桃子は、少なくとも彼女の内では裏目――窮地となり、自ら動かざるを得なくなった。 だとすれば、それは結果的には失敗である。しかし同時に、正解でもあったのだ。 彼からすれば最大の愚挙にしか思えないが、それでも幾つかある正解の内の一つだ。 認めざるを得まい。前提の段階で失敗していようが、行動そのものは悪くない。 そして尚、この瞬間における桃子の手際は完璧だった。 突然の窮地でありながら決断は速く、動きも正確さを欠いていない。 決して小さくない緊張だったろうに見事ステルスを維持し続けた。 攻撃手段も良い。 高威力だが目立つ武装を選ばず、ただのナイフによる刺殺の実行。 これならばルルーシュ一人を殺して、その後あわよくば憂を殺して、すぐに逃げに移れる。 接近のリスクは最大だが、それでも銃よりもサイスよりも、この状況に適していた。 少なくとも、この時の桃子の行動には何一つミスは無かった。 「そう、九割、正解だ」 ガキン、と刃の砕ける音がする。 振り返るルルーシュの背中で、桃子が握っていたナイフがへし折れた。 銀の刃は彼が着込んでいた制服を刺し貫いたものの、その下から現れた白い布地にぶつかった瞬間に止められた。 『歩く教会』――掛けられた制限を差し引いても防弾チョッキを遥かに超える堅牢さを誇る防御礼装。 当然、少女が振るうナイフの一突き程度、止める事は造作もない。 はたして彼はその防具をいつの間に背に巻きつけていたのだろうか。 タイミングがあるとすれば、侵入者との戦いがひと段落着いたとき、デュオと別行動していた少しの時間以外ありえない。 つまりは――この展開すらもルルーシュにとって想定の内だった、ということになる。 ルルーシュは振り返る、予想違わず背後には彼女の姿があった。 東横桃子の目を、その深い瞳を覗き込む。 「いや、十割か」 しかし彼女の目は、『何故?』と語りかけていなかった。 攻撃失敗に対しての動揺など微塵も映していなかった。 そこから意味を読み取るとしたら、『そうか』程度のものだろう。 なぜなら、桃子は事実を受け入れていたのだから。 攻撃は失敗した。それだけの事実、何故も、どうしてもない、理由の詮索などに意味はない。 失敗したというのなら、それはそれだけのことなのだ。 『次』を実行すればいい。 もとより攻撃手段など、ナイフ一本ではないのだから。 この展開は桃子とて、在り得るものとして覚悟していたのだから。 だから、桃子は砕けて床に落ちたナイフになど目もくれず、 振り返るルルーシュのこめかみに、制服のポケットから引っ張り出した拳銃――FN ブローニング・ハイパワーを突きつける。 前段階で安全装置は既に外してある。後は引き金を引き絞るだけだ さよならは二度も告げない。 (もう十分だな) このぐらいが潮時だろうとルルーシュは決断した。 (お前はもう十分に成長したよ、桃子) 兼ねてから想定していた一つのプラン。 実行するかどうかは微妙なところであったが、 (共闘は、もうお終いだ) 東横桃子は強くなった。出会った頃よりもずっと。 だから、彼女の成長に心からの祝福と裏切りを―― 「東横桃子――お前は――」 この世で最大の賛辞と、 「――――――――――――――」 そして呪いの言葉を、贈ろう。 「――――――――――――――」 示された別れのカタチ。 響き渡る銃声の中、それは確かに、東横桃子のもとに届いていた。 ■ 受け止められない現実を直視したとき、私の口から漏れたのは言葉にならない曖昧な声だった。 「…………ぁ……え?」 一発の銃声が轟いた。 からん、と薬莢が床に落ちる音がした。 そして振り返れば、背後には銃を持った東横桃子が立っていた。 「……え?」 そこまでは、別にいい。多分、大した事ではない。 けれど、どうしてだろう。 どうして、ついさっきまで隣で話していた彼が、倒れていくのだろう。 どうして、彼の後頭部から血が噴出して、それが私の顔に降りかかるのだろう。 どうして、握っていた彼の袖口が、私の指の間からするりと抜け落ちていくのだろう。 どうして、彼は倒れたまま、起き上がらないのだろう。 どうして? すぐには理解できなかった。 理解なんて、したくなかった。 「…………嘘」 現実を認めたくなくて、そんな言葉が零れ落ちる。 けれど嘘ではなかった。 彼は死んだ。 助けてくれるって、言ったのに。 まかせろって言ったのに。 信じていたのに。 なのに居なくなってしまうのか? 私をまた、一人にするのか? 「……うそ……嘘……ッ!!」 現実を受け入れる事も出来ないまま、その言葉だけが頭の中をぐるぐる回る。 ――うそつき。 ■ 「……ぁ……れ?」 東横桃子が我に返ったとき、状況はちょうど一コマ程とんでいた。 ルルーシュが倒れている。頭から血を流して死んでいる。 それは当たり前の事であり、重要な事ではない。 大事なのはこの瞬間、計画は明確な狂いを見せていたということ。 銃を使わされたのは不本意だったが、それでもまだ状況は桃子に利するはずだった。 銃声で桃子の居所は知れる、だがそこにはタイムラグがある。 誰しも想定しない場所からの突然の銃声。突然の死。 背後なら言わずもがな、正面からの不意打ちに人は慣れていない。 確実に混乱が起こる。 だからその内に、もう一人くらいは殺せる。少なくとも逃げる事はできるだろう。 即座に冷静に動く事さえすれば、優位に立ち回れたはずだ。 そしてまず確実に、この場で最も警戒すべき対象、桃子に一番近い位置にいる敵――平沢憂は動けない。 突然さを差し引いても、ルルーシュの死は彼女の視線を釘付けにし、全身を膠着させるに足る意味を持つはずだ。 少なくとも桃子はそう考えていたし、そしてその考えは真実だ。 だから、その間に、無防備な憂へと銃弾を叩き込む……はずだったというのに。 「桃子……ちゃん……?」 なのに、もう既に、憂の目は桃子に向けられている。 疑問、恐怖、驚愕の視線に貫かれている。 おかしい。 必要な工程が一つ足りない。 憂が、桃子以外の全員の視線がルルーシュの死に囚われる瞬間が、桃子の好機がスッポリと場面から抜け落ちていた。 「桃子ちゃん……どう……して……?」 「…………ぁ」 「ねえどうしてっ……どうしてこんなッ……!」 すでに驚愕を通り過ぎた平沢憂がパニックに陥りかけているのは分った。 けれど答えることなど出来ない。落ち着かせるために返す言葉など見つかるはずはない。 桃子は裏切った、殺した、終わらせた。言い訳も弁解も出来はしない。 どうしてかと聞きたいのは、此方も同じだ。 ルルーシュを撃った直後、ほんの一瞬、一秒にも満たない刹那、桃子は意識を手放していた。 不可解な間隙。 それだけで有利な状況が死地へと切り替わっていた。 「…………そっか」 『――よろしくね。桃子ちゃん』 切り替わる。 「そっか……そうなんだ……」 『――辛いときは『友達』にも頼ってくださいっす』 平沢憂の、疑問と恐怖の視線が、殺意だけを込めた目線へと。 友達を見る目が、外敵を見る眼に切り替わる。 「あ……ああああああぁ…………!」 憂は桃子の返事など待つ必要も無かったのだ。 答えなど、最初から目の前にしかないのだから。 それが例え、どれほど認めたくない現実であろうと。 再び彼女達の身体を紅く濡らした彼の鮮血こそが、覆しようのない事実なのだから。 「ぁあああ、あ、ぅ……うぁぁぁぁあああああああああああああああああああああああああッッッ!!!!!!」 ずいぶんと遅れて暴発する慟哭の絶叫。 それと共に、憂はスカートのポケットから己の拳銃――S W M10を引き抜いた。 両手で、撃鉄を起こす。 目前の敵に向って銃口を突きつける。 「……っ!!」 同時、桃子は漸く自分の手が銃を握ったままぶら下がっているのを自覚して、慌てて両腕を振り上げる。 至近距離で向かい合う銃口。 ぶつかり合う殺意。 ここに、絆は砕け散った。 遂に彼女達の道は決定的に分断された。 かつて芽生えた小さな感情など、全て泡沫の如くに消えていく。 けれど今だけは、願いも、動作も、叫ぶ言葉すら、同じ。 「「――死ねッッ!!」」 この瞬間においてのみ、二人の意志は一つだった。 ■ そして二度目の銃声が轟いた。 二つに重なっていたものの、音色は特に一度目から変動せず。 反響の後にはパチッパチッと、何かが弾けるような音が鳴っていた。 「「……………………え?」」 二人の少女が発する、疑問の声は重なった。 引き金を引き絞る直前であった指は止まり、桃子は正面を、憂は背後に目を向ける。 「あー」 ソレは状況把握から最も遠い場所にあった。 ソレは事情背景から最も遠い場所にあった。 「あー、なるほど。なるほど、なるほど、ナルホドねぇ」 にも拘らず、ソレは誰よりも何よりも速く動いた。 「お嬢ちゃん達はここで戦争をおっぱじめるってぇわけかい」 事情を最も速く察して動いた平沢憂よりも。 最初から全てを承知して行動を開始していた東横桃子すらも置き去って。 「だったらよぉ、つれねぇじゃねえか……なあ?」 この場の誰よりも速く、鮮やかに、電速でもって先制する。 「そろそろまぜろよ」 鮮血と共に、第二の死が降り注いでいた。 コルトガバメントから発射された.45ACP弾が、ソレの隣にいたデュオ・マックスウェルの胸部を吹き飛ばし、あたり一面に血糊を撒き散らす。 少年の体は廊下の壁にべったりと血液の一本線を引きながら滑り落ちていった。 弾ける飛沫は生命の雨。 赤いスコールはこの場に居る全ての者に降り注ぐ。 それを最も浴びたのは当然、一番近くに居たソレである。 「ふ……はははッ……」 ソレ――彼――彼女――アリー・アル・サーシェスは告げる。 全身を染め上げる赤色を気にもせず、頬にへばりついた肉と鮮血など気に意に介さず。 電光石火の一挙動を可能とした蒼い稲妻を全身からバチバチと放ちながら。 「はははははははははははははははははははははッッッ!!」 汚すように、悪戯ぶように、犯すように、殺すように。 本来は純情で可愛らしい少女の顔を血に濡らし、凄絶に歪めて哂いながら告げるのだ。 「さあッ! 戦争の始まりだッ!!」 けれどやはり同時に、可憐な貌で。 戦争屋は、開戦の号砲を打ち上げた。 一ノ章:千切る絆――了 時系列順で読む Back 正義の味方 Next GEASS;HEAD END 『戦場』 投下順で読む Back 裏切り者、二人と一匹 Next GEASS;HEAD END 『戦場』 283 殺意の火薬庫 東横桃子 288 GEASS;HEAD END 『戦場』 283 殺意の火薬庫 アリー・アル・サーシェス 288 GEASS;HEAD END 『戦場』 283 殺意の火薬庫 デュオ・マックスウェル 288 GEASS;HEAD END 『戦場』 283 殺意の火薬庫 平沢憂 288 GEASS;HEAD END 『戦場』 283 殺意の火薬庫 ルルーシュ・ランペルージ 288 GEASS;HEAD END 『死神』 284 理想の果て(前編) 秋山澪 288 GEASS;HEAD END 『死神』
https://w.atwiki.jp/million_live10000000/pages/199.html
育 ライブ、すごかったね!劇場じゃないのに、あんなにいっぱいお客さんが来てくれると思ってなかった! 桃子 わざわざ、他のエリアから来てくれた人もいたみたい。桃子達に、それだけの価値があるってことだよ。 …でも、油断しちゃダメだよね。みんなの興味なんて、すぐに変わっちゃうものなんだから。 育 じゃあ、この後のキャラバンもがんばって、ファンのみんなに、もっともっと好きになってもらおうね! 桃子 …そっか。…うん、そうだね。育の言う通り! 育 プロデュ-サ-さん、桃子ちゃん、がんばろうね!みんなもいるから、絶対だいじょうぶだよ♪ 戻る
https://w.atwiki.jp/45451919/pages/46.html
桃子「私、影薄いっすね…」 京太郎「何を今更」 桃子「燃え尽きちまったっすよ…ツッコミに」 京太郎「あー…気づきにくいもんなあ」 桃子「今日は全部京太郎に任せるっす。私は消えるっすよー…」 京太郎「ちょっ、面倒くさいこと押し付けんな!」ガシッ 桃子「あーうー、揺らさないで欲しいっすー」 ゆみ「む、モモはあそこか」 智美「ワハハ。モモの居場所は京太郎がいないと分からないからなー」
https://w.atwiki.jp/million_live10000000/pages/193.html
亜利沙 時代劇のオ-ディション、みんなそろって合格できるといいですね♪手応え、感じちゃってますっ! ありさの役は京都町奉行の同心!十手を持って、京の町を駆けまわっちゃいますよ~! 桃子 桃子は、悪い組織のお姫さま役だね。ちょっと難しい役だから、桃子にぴったりだよ。 育 わたしの役はおだんご屋さんの看板娘かぁ。セリフもすくないし、どうやって目立てばいいのかな? 桃子 ヘンに目立とうとしたらダメ!どんな役でも一生懸命演じていれば、見る人は見ててくれるよ。 戻る
https://w.atwiki.jp/animerowa-3rd/pages/507.html
船旅 ◆aCs8nMeMRg 東横桃子、平沢憂、そしてルルーシュの三人は揚陸艇に乗り込んだ後、それぞれ別々の行動を取った。 桃子はルルーシュの用意していた湯やシャンプー、ボディソープを使って身体を流し、 憂はルルーシュが作った朝食を食べ、 そしてルルーシュはおもし蟹から力を奪った後、そのまま格納庫に残り、もう一度船内を調べ直していた。 ルルーシュはここまで、身体を流すための湯を用意したり、爆弾や盗聴器作り、さらには朝食作りに情報交換など、 色々な事に追われていて、この格納庫を含めればかなり広い揚陸艇の船内を隅々まで確認したわけではなかった。 桃子と憂が動けない今、迂闊に船を動かすのは得策ではないし、船内を探索するにはいいタイミングだった。 「やはり、あったか」 そうして格納庫の中を確認していくと、黒の騎士団で使っていた耳に引っ掛けるタイプの通信機をいくつか見つけることが出来た。 試しにスイッチをオンオフしたり、マイクを叩いたりしてみる。 どうやら問題無く使えそうだ。 薬局に向かった後に憂とはぐれてしまったことから、次は通信機でも作ろうかと考えていたルルーシュだったが、自分で作る必要は無くなった。 (……さて、そろそろだろう) そんな収穫もあり、時間もある程度経過したところでブリッジに戻ろうとしたルルーシュは、 その途中、ブリッジの少し手前で立ちつくしている桃子の姿を見つけた。 「桃子」 「わっ!……ル、ルルさん?」 ルルーシュは普通に、アッシュフォード学園の学生であった頃の口調で呼びかけただけだったが、桃子は声をあげて驚いた。 ぼんやりしていたところに声をかけられたからか、あるいはこうして呼びかけられること自体に慣れていないせいかもしれない。 「もう体は流し終えたようだな」 「はい」 「それで、どうした?入らないのか?」 「いや、中にはゴスロリさんがいるっすから……」 「憂か?…同世代の女の子同士、仲良くすればいいだろう」 「むっ、無理っす!」 事も無げに言ったルルーシュの言葉を、桃子は全力で否定した。 「さっきのゴスロリさんとルルさんの会話、マトモじゃなかったっすよ!!一体何なんっすか、あの子!? それにルルさんも、なんであんなに平然とゴスロリさんの相手が出来たんっすか!?」 確かに憂の言動は、平和に暮らしてきた者にとって刺激が強すぎたかもしれない。 まして、ルルーシュが止めなければ桃子は出会った瞬間、憂に殺されていたところだったのだ。 「まあ待て…そうだな、まず憂の状態についてだが」 信じられないといった様子で矢継ぎ早に訊いてくる桃子を制しながら、ルルーシュは順番に質問に答えることにした。 「憂は、自分自身の変化に少々興奮しているんだろう」 「変化?興奮?」 どういうことっすか?と言うように首をかしげる桃子に、ルルーシュは説明を続ける。 「俺の口からお前に語っていい事じゃないと思うから詳細は省くが、憂は今までずっと思い悩んでいた。 おそらく、この島に来てからずっと、だ。 その思いを、あの蟹に出会ったことで断ち切った」 「あの蟹さんに出会って?」 「ああ、桃子はあの蟹がどういう存在なのか理解出来たか?」 「何となくっすけど、人の思いと重みを持って行っちゃう…神様みたいなものっすか?」 「そうだな、あれはそういった力、人の思いを引き受け、断ち切る力を持った蟹だ」 「はあ」 「まあ、あの蟹については深く考えずに、そういうものだと思っておけばいいだろう。 それに、今はその力も失われている。問題は無い」 「失われているって、分かるんっすか?」 「ああ、後で見てみるといい。色や雰囲気が変わっているぞ」 ルルーシュはそこで蟹の話題をいったん打ち切り、憂の話に戻った。 「さて、少し話が逸れたが、 要するに憂は、この島に来てから心の中を占めていた思いが唐突に消えたことで急に心が楽になり、 それまでの反動で興奮している…ハイになっていると表現すれば分かりやすいか?」 「あー、そうっすね。」 「興奮が治まってくれば、桃子の言うマトモじゃない状態も改善するだろう。 食事を取っている間に、多少は落ち着いたんじゃないか?」 「だと、良いっすけど」 そうして話が一段落したところでルルーシュはブリッジへ向かって歩き出し、桃子は慌ててそれを止めた。 「ストップっす、ルルさん!出来ればもう一つの質問にも答えてほしいっす」 「なぜ俺が平然と憂の相手が出来たか、だったか?」 「はい」 「俺は、今まで色々な奴を相手に色々なやり取りをしてきた。時には命がけで、な。それだけのことだ」 「……い、命がけっすか。ルルさん、元の世界では何をしてたんっすか?」 命がけという言葉に若干ビビりながらも、桃子は疑問を口にする。 「それは、必要があればその内教えてやる。 さて、あんまり憂を待たせても悪い。ブリッジに戻るぞ」 「あ……」 ルルーシュは桃子の疑問には答えず、今度こそブリッジへと歩きだし、桃子は渋々後について行った。 「あ、ルルーシュさん」 「憂、食事は終わったか?」 「はい、ごちそうさまでした。とても美味しかったです」 「そうか、それは良かった」 ブリッジの中で待っていた憂と、ブリッジへ入ったルルーシュはごく当たり前のあいさつ、当たり前の会話を交わした。 (う~、誰々をブチ殺すとか言ってた人となんでこんなに平然と会話できるんっすか? 私には真似できないっす) そんな事を考える桃子を余所に、ルルーシュと憂はしばらく、料理は得意だのといった他愛の無い会話を交わしていた。 「それで、これからの事なんだが、しばらく俺達三人は行動を共にする。それはいいな?」 「はい、良いですけど…三人って?」 「ああ、桃子!」 どうやら、憂には桃子が見えていないようだ。 ルルーシュは後ろを振り向くと、出入り口のドアに寄り掛かっていた桃子の名を呼んだ。 「は、はいっす」 「ああ、あなたは、さっきの」 「東横桃子っす」 名前を呼ばれ、仕方なく姿を現した桃子は憂に軽く会釈すると、ルルーシュの側に寄って行った。 「ルルさん、やっぱり私も話に加わらないと駄目っすか?」 「当り前だろう」 「はぁ。…でも、今ルルさんには私が見えてたみたいっすね。ゴスロリさんには見えてなかったのに」 「ああ、少し慣れてきたかな」 「あのー」 そんなことを話している二人に対して、憂が少し不満げに声をかけた。 「それで、これからどうするんですか?」 「ああ、その前に憂、それに桃子も、これを持っておけ」 ルルーシュはデイバッグの中から先ほどの収穫、通信機を取り出して二人に手渡した。 「これは?」 「何っすか?」 「通信機だ。もしまたはぐれたら、これを使って連絡を取り合う。 通信範囲は、この島くらいなら端から端までカバーできるはずだ」 「あ、はい、わかりました」 「了解っす」 そして、ルルーシュは簡単に通信機の使い方をレクチャーした後、今後の話に移った。 「さて、今後の行動についてだが、まずは二人の意見も聞いておこう。何かあるか?」 「いえ、私はルルさんにお任せするっす」 桃子は即答だった。 「そうか、憂はどうだ?」 視線を向けられた憂は、一呼吸間をおいてからそれに答えた。 「私は、早く阿良々木さんをブチ殺してギターを取り返したいです」 「…………!」 「フム、そうだったな。詳しく話してみろ」 そんな桃子の言葉に絶句する桃子と、当然のように応えるルルーシュ。 その反応は対照的だった。 (ダメだ。やっぱりこの二人にはついていけないっす) そうして、憂がルルーシュに阿良々木暦と出会ったときの事を話し終えるまで、 桃子は二人の会話を聞き流す事にした。 「阿良々木暦と戦ったのが二時頃、場所はC-6か。」 「はい」 そんな桃子にはお構いなしに、憂とルルーシュの会話は進んでいく。 「五時間以上経っているな。流石にこれでは行き先を絞り込むことはできない。 五時間あればこの島のどこへだって行ける」 「けど、お姉ちゃんを見つけたら戻ってくるって書置きが残ってましたし、 一度、様子を見に戻ってみたいなって思います」 「なるほど、分かった。しかし、その書置きだと憂の姉が見つかるまでは戻らないとも取れるな」 「あ、確かにそうですね」 「可能性の問題だが、その阿良々木という奴が憂の姉…唯といったか? 唯を見つけてその場所に戻ってくるとなると、今度は五時間では短い。そう急いで戻ることも無いだろう」 阿良々木暦と平沢唯が、少なくとも一時間ほど前の時点では出会っていない事を知っているルルーシュだったが、 流石にその事は口にせず、可能性は低いと言うだけに留めた。 「う~ん」 「そんな顔をするな、行かないとは言っていない。近くまで行ったら立ち寄ってみよう」 「んーはい、分かりました。それでいいです。 それで、ルルーシュさんはこれからどうしようと思っているんですか?」 憂は完全には納得できていないようだが、とりあえずルルーシュの考えも聞こうと一旦引いた。 「そうだな、とにかくこの地図にある施設を調査しようと思っている。 憂は見ただろうが、この船も元はF-6の展示場に隠されていたものだ」 「はい」 「他の施設にも、同様に何かが隠されている可能性は高い。 それに、地図にこうやって地図に記載されているんだ。 他の参加者、例えば唯や阿良々木もこういった施設を目指すんじゃないか?」 「あ、そうですね」 唯と阿良々木の名前が出ると、憂もなるほどと頷いた。 「それで、どこから調べるんですか?施設といってもいっぱいありますよ?」 「ああ、施設の重要度を予測して優先順位を付けることは出来るが、それは所詮予測でしかない。 実際のところ、手近な場所から順番に潰して行くしかないだろう」 「そうですか、近いところというと展示場、は、ルルーシュさんが調べたんでしたよね」 「そうだが、少し確かめたい事ができた。まずは展示場に向かう」 「え、何ですか?確かめたい事って」 「世界について、だな」 「世界?」 「桃子」 「は、はい」 今まで、全く会話に参加していなかった桃子が突然名前を呼ばれ、肩をビクッとさせた。 「あ、居たんですか」 憂には、また桃子が見えていなかったようだ 「お前は名前を呼ぶたびに驚いているな。 まあいい、さっきお前と話した世界の事について、憂に教えてやってくれ」 「わ、私がっすか?」 「俺はこれから船を動かす。そっちは任せたぞ」 そう言うと、ルルーシュは船を操作するために席を立ち、桃子と憂の二人に背を向けた。 船を動かすといっても、同じブリッジ内で操作するのだから会話は可能なはずだが、説明は桃子に任せたという態度だ。 「何ですか?世界についてって」 「えっと、どうもルルさんと私とでは住んでる世界が違うみたいなんっすよ」 仕方なく、説明を始める桃子だったが。 「確かに、ルルーシュさんって独特の雰囲気ですよね。なんか、私達とは住む世界が違うっていうか」 「あ、いや、そう言う事じゃなくて…いや、それも言えてるっすけど、え~と、ルルさ~ん」 結局、桃子はひとりではうまく伝えることが出来ず、何度かルルーシュにフォローしてもらいながら、 どうにか憂に“別の世界”の事を教えたのだった。 「よし着いた。下りるぞ、二人とも」 「はい」 「了解っす」 そうこうしている内に、船は展示場の近くに接岸し、ルルーシュは二人を促しながら船を下り、 憂と桃子もそれに続いた。 「で、その蟹さんも連れて行くんっすか?」 桃子と憂が少し遅れて船を下りると、そこにはあのおもし蟹を連れたルルーシュが立っていた。 「ああ、この手綱で操れるのは分かったが、どの程度動けるのか知りたいからな。 手持ちのスペックは把握しておくべきだろう。…憂」 「はい」 「お前が乗れ。元々、こいつに手綱を付けたのは憂だからな」 「あ、はい。分かりました」 そうして、三人と一匹(?)は展示場へ向かったのだが、その途中もルルーシュは憂との会話を桃子に任せ、自分は黙々と前を歩いて行った。 「へぇ、東横さんって大人っぽく見えるけど、私と同い年だったんだね。 桃子ちゃんって呼んでいい?」 「モモでも桃子でも、お好きなように呼ぶといいっす」 「うん、桃子ちゃん」 おもし蟹に立ち乗りしている憂の顔は、地面から約2メートルの位置にある。 桃子はそんな上から降ってくる声に答えながら、横の蟹を見て思った。 (うぅ、消えていたいっす) 展示場の中には、様々な宇宙に関わる物の模型が解説付きで展示されていた。 アポロやH-Ⅱといったロケットや人工衛星、スペースシャトルに宇宙ステーション、 更には、軌道エレベーターやスペースコロニーといった物まである。 少し毛色の違った物では、ヨロイと呼ばれる機動兵器を衛星軌道上の倉庫に打ち上げるため奮闘した者達の事例が紹介されていたりもした。 そんな展示を見ながら、ルルーシュが二人に向かって口を開いた。 「これらはどれも、俺の世界には無かった物だ。お前たちの世界ではどうだ?どれか知っている物はあるか」 ロケットとは、言わば高度に計算された火薬の塊だ。 サクラダイトを利用した超電導技術が進歩し、ナイトメアフレームのような人型機動兵器が存在する一方で、 火薬類に関してはあまり発達していないルルーシュの世界において、ここにあるようなロケットは存在していなかった。 憂や桃子と出会う前にここを訪れた時、ルルーシュはこれらの展示にあるような物が実現しているとはとても思えなかったが、 異なる世界が存在するの可能性を知ったことで、もしやと思ったのだ。 「はい、アポロとかH-Ⅱとかは聞いたことあります」 ルルーシュの問いに、まず答えたのは憂だった。 「こっちの、人工衛星や宇宙ステーション、それにスペースシャトルもニュースとかで見たことあります。桃子ちゃんは?」 「私も同じっす」 「そうか、もしかしたら憂と桃子は同じ世界の出身なのかも知れないな。 こっちの軌道エレベーターやスペースコロニーはどうだ?」 「そっちは知らないです。桃子ちゃんは?」 「私も知らないっす。それに、西暦2297年なんて、もし同じ世界でもずーっと未来の話っす」 「だよね。こっちのアフターコロニーっていう年号は聞いた事も無いし。そっちのヨロイとかも見たこと無いです」 二人は、展示の説明文にあった年号などを見て、口々に言った。 「なるほどな、そういえば今は何年だ?自分の感覚でいい」 「200*年っす」 「200*年です」 桃子と憂の声がほぼハモった。 「年号は、西暦か?」 「「はい」」 続けて聞いたルルーシュに、今度は二人の声が完全にハモった。 「えっと、ルルさんは自分の感覚だと何年なんっすか?」 少しの間、恥ずかしそうに憂と顔を見合わせていた桃子が照れ隠しのようにルルーシュに尋ねた。 「俺の感覚だと、今は皇歴2018年だな」 「皇歴?」 「2018年、ですか」 「ああ、聞いたことは…無いようだな。俺の世界ではよく使われている年号なんだが」 「嘘…じゃないですよね。ルルーシュさんって、本当に別の世界の人なんですね」 「ああ、これでハッキリした。主催者は別世界への移動、または別世界からの召喚が可能。 そしてこちらは未確認だが、タイムスリップもできるのかもしれない」 その後、三人はトイレなどの休憩のついでに、少々雑談をした。 「そういえば、ルルーシュさんって外国の人ですよね?日本語お上手ですね」 「ここの展示なんかの説明も全部日本語で書いてありますけど、読めてるみたいっすね」 「ああ、もう九年以上日本で暮らしているからな。日本語は問題ない」 「ルルーシュさんの世界にも日本ってあったんですよね?」 「ああ、その辺りはあまり変わらない。 世界が違うというよりは歴史が違うと言った方が正しいのかも知れないな」 そんな雑談を交えつつ、三人はこれからの行動を確認した。 「さて、この後だが…俺はこの近くの施設だとD-5の政庁が気になっている。 しかし、そこでの成果によるが、その先は陸路を行く事になるかもしれないから、 まずは先に船で回れる南側のホールやタワーの探索を済ませておこうと思う。 その後は、政庁とその周辺の施設を調査し、C-6、憂の言っていた民家へ向かう。それでいいか?」 「はい」 「いいっすよ」 地図を広げて説明するルルーシュに、二人とも納得したようだ。 「よし、では船に戻るか」 「「はい」」 再び、憂と桃子がハモった。 「ルルーシュさーん、桃子ちゃーん、早く早くー」 憂を乗せたおもし蟹は颯爽と駆け、あっという間に船にたどりついてしまった。 憂はおもし蟹を操るのにだいぶ慣れてきたようだ。 「はぁ、あの蟹さん、見た目より速いっすね」 「どうやら、憂ともだいぶうち解けたようだな、桃子」 「え、まあ普通に話してる分には、その、普通の子っすね」 「早くー、早く阿良々木さん見つけて殺すんですからー」 「……ああいうところは普通じゃないっすけど」 「フッ、だがもうそれほど怖くは無いだろう?」 ルルーシュの言う通り、最初は憂を怖がっていた桃子だったが、何度か声をハモらせているうちにその恐怖心はだいぶ和らいでいた。 「まさかルルさん、それを狙ってここに立ち寄ったんっすか?私とゴスロリさんがうち解けるように」 「さあな」 「はぐらかさないで欲しいっす」 「…いくら徒党を組んでも、烏合の衆では意味が無い」 「やっぱりキザな人っすね。言い方が」 「だから放っておけ……。む!」 「どうしたっすか?」 ルルーシュは突然黙り込むと、耳に手を当て、ゼロスイッチ(仮)とCDプレイヤーを取り出した。 「あ、クチビルさんの方、何かあったっすか!?」 桃子は知っている。 ルルーシュの耳には盗聴器が拾った音を伝えるイヤホンが入っており、CDプレイヤーは船井達の車に仕掛けた発信機の情報が表示され、 そしてスイッチは、車に仕掛けられた爆弾の起爆スイッチだという事を。 「静かに!」 だから、そう言われたら素直に黙る。 「……どうやら、車に仕掛けた爆弾は無駄になりそうだ」 しばらくしてルルーシュは顔を上げ、そう言った。 「それって?」 「車は乗り捨てられた。それと一つ情報だ」 「何っすか?」 「名簿に名前のあった荒耶宗蓮。こいつは魔術師で、このゲームの主催者側の人間らしい」 「ええ!?」 「今さらそんなに驚く事じゃない。 参加者の中に魔術師がいるのも、主催者サイドの人間が紛れ込んでいるのも想定済みだ」 「そ、そうっすか」 「浮かない顔だな。何を考えている?」 「その、ルルさんは違うっすよね?」 「主催者サイドではないかという意味か?…違うと言えば信用するか?」 「それは……」 「では、もう俺は信用できないか?」 「……いいえ、そんなことはないっす!」 「ほう」 「今、私を不安がらせると、一番危険なのはルルさんっす。私、銃も持ってますから。 もしルルさんが主催者側だったら、わざわざそんな危ないことはしないっす。 ルルさんは多分、盗聴器で聞いた情報を正直に教えてくれんだと思うっす」 「フッ、わかっているじゃないか。説明する手間が省けたぞ」 「でも、聞くだけ聞いて黙っててもよかったのに、どうしてわざわざ教えてくれたっすか?」 「決まっている」 「?」 「俺たちは仲間だろう?」 「なっ」 意地の悪い笑みを浮かべてそう言ったルルーシュに対して、桃子は二の句が継げなかった。 【F-5/海上/一日目/午前】 【ルルーシュ・ランペルージ@コードギアス反逆のルルーシュR2】 [状態]:健康 [服装]:アッシュフォード学園男子制服@コードギアス反逆のルルーシュR2 [装備]:ゼロスイッチ(仮)@コードギアス反逆のルルーシュR2、CDプレイヤー型受信端末、リモコン、イヤホン@現地制作、 [道具]:基本支給品一式、ゼロの剣@コードギアス反逆のルルーシュR2、ミニミ軽機関銃(183/200)@現実 、 ゼロのマント@コードギアス 反逆のルルーシュR2、“狐”“泥眼”“夜叉”の面@現実、 サクラダイト爆弾(小)×9、サクラダイト爆弾(灯油のポリタンク)×2@コードギアス反逆のルルーシュR2、 盗聴機、発信機×9@現地制作、単三電池×大量@現実、通信機×5@コードギアス 反逆のルルーシュ [思考] 基本思考:枢木スザクは何としても生還させる 1:東横桃子、平沢憂と行動を共にする。 2:殺しも厭わない。東横桃子、平沢憂、スザク、C.C.、ユフィ以外は敵=駒。利用できる物は利用する。 3:スザク、C.C.、ユフィと合流したい。 4:南側の施設(ホール、タワー)を調査した後、政庁に向かう。 5:偽ゼロの放送を利用して、混乱を起こし戦いを助長させる。 6:“金で魔法を買った”というキーワードが気になる。 7:首輪の解除方法の調査、施設群Xを調査する? [備考] ※R2の25話、スザクに刺されて台から落ちてきてナナリーと言葉を交わした直後からの参戦です。 死の直前に主催者に助けられ、治療を受けたうえでゲームに参加しています。 ※参加者が異なる時間平面、平行世界から集められている可能性を考察しています。 ※モモから咲の世界の情報を得ました。主要メンバーの打ち筋、スタイルなどを把握しました。 ※自分のギアスも含めて能力者には制限が掛っていると考えています。 ※おもい蟹が怪異たる力を全てルルーシュに預けました。どんな力を使うかは後の人にお任せします。 ※モデルガン@現実、手紙×2、遺書、カギ爪@ガン×ソード、皇帝ルルーシュの衣装@コードギアス反逆のルルーシュR2、 シティサイクル(自転車)、ジャージ(上下黒)、鏡×大量、キャンプ用の折り畳み椅子、消化器、ロープ、カセットコンロ、 混ぜるな危険と書かれた風呂用洗剤×大量、ダイバーセット、その他医薬品・食料品・雑貨など多数@ALL現実 揚陸艇のミサイル発射管2発×2機、ミサイル×4発@コードギアス反逆のルルーシュ 現在支給品バッグに入れています。 ※揚陸艇の燃料…残り23キロ分 ※荒耶宗蓮が主催者側の魔術師である事を知りました。 【東横桃子@咲-Saki-】 [状態]:健康、ステルス解除 [服装]:鶴賀学園女子制服(冬服) [装備]:FN ブローニング・ハイパワー(自動拳銃/弾数15/15/予備45発)@現実 [道具]:デイパック、基本支給品(-水1本)、FENDER JAPAN JB62/LH/3TS Jazz Bass@けいおん!、通信機@コードギアス反逆のルルーシュ 遠坂凛の魔力入り宝石@Fate/stay night×10個 [思考] 基本:加治木ゆみを蘇生させる。 1:ルルーシュを利用し(利用され)、この場での生き残りを考える。 2:覚悟完了。ステルスを使う時は麻雀で対局相手の当り牌を切る時の感覚を大事にする。 3:ルルさん、キザっすね。ゴスロリさんは、少し怖くなくなったっす。 [備考] ※登場時期は最終話終了後。 ※カギ爪の男からレイに宛てて書かれた手紙は中身を確認せずに破り捨てました。 ※荒耶宗蓮が主催者側の魔術師である事を知りました。 【平沢憂@けいおん!】 [状態]:健康、拳に傷、重みを消失、ふわふわタイム(少し落ち着いてきた)、満腹 [服装]:ゴスロリ@現実 [装備]:ギミックヨーヨー@ガンソード、騎英の手綱@Fate/stay night、拳の包帯、おもし蟹@化物語、 [道具]:基本支給品一式、日記(羽ペン付き)@現実、桜が丘高校女子制服、カメオ@ガン×ソード、 COLT M16A1/M203(突撃銃・グレネードランチャー/(20/20)(1/1/)発/予備40・10発)@現実、 果物ナイフ@現実(現地調達)、阿良々木暦のMTB@化物語、包帯と消毒液@逆境無頼カイジ Ultimate Survivor 通信機@コードギアス反逆のルルーシュ [思考] 基本:ルルーシュとバンドを組みたい。皆を殺す。 1:ルルーシュさんの作戦、言う事は聞く。お姉ちゃんは無理には殺さない。 2:モモさんはルルーシュさんが仲間だと言っているので殺さない。 3:阿良々木さんに会ったらブチ殺して、お姉ちゃんのギー太を返して貰う。 [備考] ※ルルーシュの「俺を裏切るなよ」というギアスをかけられました。 ※中野梓についていた「おもし蟹」と行き遭いました。姉である平沢唯に対する『思い』を失っています。 【通信機@コードギアス反逆のルルーシュ】 黒の騎士団が使っていた、耳に引っ掛けるタイプの通信機。 時系列順で読む Back ガンダムVSガンダム Next 協議の果てに迷える戦士達 投下順で読む Back 闇に潜むキーワード見つけ出そう Next いざや開かん、冥底の門 136 ぶっ生き返す/ふわふわタイム(後編) 平沢憂 163 徒物語~ももこファントム~(上) 136 ぶっ生き返す/ふわふわタイム(後編) ルルーシュ・ランペルージ 163 徒物語~ももこファントム~(上) 136 ぶっ生き返す/ふわふわタイム(後編) 東横桃子 163 徒物語~ももこファントム~(上)