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ゆっくりにとりは希少種である。 なぜか? それは、自然界における弱者だからだ。 あっ、ゆっくりの次点で言うまでもなかったな。 「かっぱっぱー……かっぱっぱー……にーとりー……」 「うぉっ! やけに元気がないにとりだな!?」 まあつまり、このように川上からぐったりしたにとりが流れてくることも、そこそこあることなのである。たぶん。 「……げげっ、にんげんさん……ゆっくりしていってね……」 「いや、まずはお前がゆっくりしろよ」 にとりは水まんじゅうの体を持ち、水中で生活できる。 だが、よく考えてもらいたい。 水中はゆっくりという生物にとって新たなニッチであり、魚を食べてゆっくりできるため一見メリットしかないように思えるのだが、 当然、逆にゆっくりにとりを食べる魚も存在するのだ。 たとえば、アユとかヤツメウナギ。彼らは極めて貪欲かつ凶暴で、野生のコイを殺すこともあるのである。 そんな中にゆっくりがいればどうなるか―――考えるまでもないね? 水中という条件は、このときは逆に不利になる。 なにせ陸に比べて逃げれる場所は限られており、ゆっくりの丸い体だと隠れる場所なんてほとんどない。 つまり野生動物に襲われることに関しては、陸にすむものよりも辛いと言える。 よって、にとりは自然と自分が食物連鎖の頂点に立てる場所にしか生息しないのだ。 「あー、ちょっと陸にあがってこい。あまりにも不憫だからゆっくりフード分けてやる」 「ゆっ……ありがとうにんげんさん……」 「うわっ、まともに跳ねれてないな……お前相当弱ってるだろ」 「……むーしゃむーしゃ……しあわせぇぇぇ!?」 おっ、元気が出てきたようだな。 よしよし。これでこそ虐めがいがあるってもんだ。 「ゆゆっ! めいゆうのにんげんさんはゆっくりしていってね!!!」 「ああ、ゆっくりするよ」 しかしにとりか…… にとりっておもしろい虐待方法あったっけ? 乾燥に弱いからそれ関係で何かできるかもしれんな。 「……なあ、にとり。それだけ食べてもまだ本調子じゃないだろう? どうだ? おにーさんの飼いゆっくりにならないか?」 とりあえず虐待方法はあとで考えることにした俺は、ゆっくりを連れて帰るテンプレを言ってみた。 ちなみに虐待方法を特に決めてない場合、無理やりお持ち帰りはしない派だ。 とりあえず良い印象を与えておけば選択肢の幅が増える。 弱ったところを助ける+ ゆっくりフード+ 相手を気遣うようなセリフ+ さりげなくもっと食べさせるような甘言 よしっ完璧! 四重絶……ゴホンゴホン! 四重コンボだ! ここまでして俺に付いてこなかったゆっくりなんて――― 「ゆっくりごめんなさい」 ―――いただと!? 「な、なぜだにとり? これでも俺はゆっくりを飼うのがうまいんだぞ?」 「でも、にんげんさんのおうちはりくさんのうえだからゆっくりできないの」 ああ、こいつ人間の家には水場はないと思ってるのか。そりゃ死活問題だから無理だわな。 にとりを飼う際に絶対に必要なものがある。底の深い水槽だ。 前にも言ったが、にとりは極めて乾燥に弱い。 河童は皿の中の水が乾くと死ぬといわれているが、それに近いようなものなのだろう。 初夏である今頃ならば、普通に丸一日放置するだけでも死ねるはずだ。 つまり、生きるためには最低限でも全身が浸れるくらいの水場が必要というわけである。 まあコンクリートジャングルに人間が住む現代、川の近くに家がある方が珍しい。 ここら辺は田舎だから必ずしもそうとは言えないが。 「しかたない。じゃあ俺はにとりを飼いゆっくりにするのはあきらめることにするよ」 「ゆっ! ごめんねにんげんさん!」 そのにとりの声を背に、俺は潔く立ち去った。 ……ようにみせかけて、近くの木の陰に隠れる。 せっかく見つけた獲物だ。そう簡単にあきらめるわけがない。 「ゆぅ……ゆぅ……なんだかゆっくりねむたくなってきた……」 ゆっくりフードに混ぜた睡眠薬が効いてきたのだろう。 俺がいなくなってから程なくして、にとりはそのまま眠ってしまった。 おいおい、いくら眠いからって陸の上で寝るのは自殺行為だろ…… ◇ ◇ ◇ 「さて、にとりをゆっくり虐待する方法は……」 「むきゅっ! おにーさん、そんなのこーじえんにはのってないわ!!」 自分の部屋で紫魔女のまねをしていたら、ぱちゅりぃに説教された。 何で書斎じゃないかって? ほとんどの部屋がゆっくり関係の部屋だからだよ!!! 趣味にここまで金賭けると、生活も割ときつい。 知ってるか? 俺のデスクトップパソコン、段ボール箱の上に乗っけてるんだぜ…… ちなみに先ほど連れてきたにとりは、とりあえず我が家で飼っているにとりの水槽に入れておいた。(ものすごく嫌な顔をされた) 念のために言うが、にとりを二匹も飼う気はない。 (そもそも希少種の特徴を使って虐待するのって、中身を利用したのじゃなければ観察系にならざるを得ないよな……) というわけで、とりあえず観察用の虐待部屋――普段は遊具を置いて遊び場にしてる――にいるゆっくりを追い出すことにした。 「じゃじゃーん! おにーさん、ゆっくりしていってね!!!」 「ああ、ゆっくりするからとりあえずおりんはゾンビと一緒に二階へ行け」 「いやだよ! このまえもおりんのゆっくりプレイスをつかったでしょ!」 「じゃあ強制連行だ。ふらん! ゾンビゆっくりを二階に運んでくれ」 「うー! ゆっくりしね!! ……ゆっくりしんでる?」 「ゾンビだからな……」 両腕でおりんと一緒にゾンビを何匹か抱えると、フランと共に二階に上がる。 我が家の二階は二部屋しかないが、ゆっくりの雑多スペースとなっているのだ。 おりんは一応ゴールドバッチなのでこうして抱えている間は暴れることはないが、それでも割とうるさかった。 「ゆっくりやめてね! おりんの……おりんのゆっぐりぶれいすがぁぁぁ!!!」 「はいはい、ゆっくりゆっくり」 「ゆっぐりじでないぃぃぃ!!!」 「……やっぱりあのおりんを飼ってた方が良かったかな」 「ぞんなごといわないでぇぇぇ!!!」 ◇ ◇ ◇ 「……ゆ?」 にとりが目を覚ますといつもの山の中ではなく、なぜか『かべ』さんに囲まれた知らない場所にいた。 周りにあるものを見渡すと、眠っているれいむとまりさが一匹ずつ。あとは『おみず』さんが入った大きなもの(子供用プール)があるだけだ。 なぜこうなったのか考えてみるが、にんげんさんから別れた後の記憶がない。 「とりあえずにとりはゆっくりでていくよ!」 とりあえずこの閉め切った場所から出ようと思うが、にとりが出ていけそうな場所は一つもなかった。 一か所だけ『そら』さんや『き』さんが見える場所があるが、そこはとても高くて、にとりのジャンプでは届きそうにない。 「かっぱっぱー……」 にとりは残念そうにそこを眺めるが、眺めるだけではどうしようもない。 とりあえず、近くで寝ているれいむとまりさを起こすことにした。 「れいむ! まりさ! ゆっくりおきてね!!!」 「ゆぴー……ゆぴー……」 「ゆぅ……ゆぅ……ゆゆゆ? げげっ! にとり!!」 「それはにとりのせりふだよ!!」 「ゆぴー……まりさ……うるさいよ……」 れいむはまだ眠そうだったが、まりさは完全に起きたようだ。 とにかく話を訊くだけなら片方だけでも問題ないと思ったので、まりさに何か知っていることはないかと訊いてみる。 「にとりはきがついたらここにいたの。まりさはなにかしらない?」 「まりさはなにも……ゆゆっ!? れいむ、はやくおきるんだぜ! こいつがじじいのいってたにとりだぜ!」 『じじいのいってたにとり』……? やっぱりまりさたちは何か知っているらしい。 でも、『じじい』って……? 「ゆ~ん……ゆ? にとり! にとりがいるよ!」 「そうなんだぜ! こいつをころせばじじいがもっとあまあまをくれるんだぜ!!」 「ひゅい!?!」 にとりは驚いた。突然まりさがにとりのことを殺すといってきたのだ、驚くなという方が無理である。 同族殺しは禁忌なので、それが脅しか本当に殺すのかはいまいち解らなかったが、どちらにしろここでにとりがとる行動は一つしかない。 「にとりはゆっくりにげるよ!!!」 「ゆっくりまつんだぜ! いまならいっしゅんでころしてあげるぜ!」 「そうすればれいむたちはゆっくりできるんだよ! ゆっくりりかいしてね!!!」 にとりの後ろをまりさたちがすごい勢いで追ってくる。 その目は完全に獲物を見る目になっており、どうやら本気でにとりを殺す気らしい。 ゆっくりにとりは水まんじゅうで水に強いが、少々脆い。 つまりゆっくり同士の肉弾戦に、戦いに弱い体をしている。にとりの技術力が高いのも、道具がなければ勝つこともできないからだ。 ましてや道具も何もない状況での二対一。にとりに勝算は全くなかった。 「……ゆっ!」 逃げている途中で、にとりはある事に気が付いた。 おみずさんがいっぱい入っているあの中に入ればよいのだ。そこならまりさたちも襲ってこれない。 にとりはすぐにそこに飛び込んだ。 「ゆわぁぁぁ!! めにおみずさんがぁぁぁ!!!」 「れいむ、そのくらいがまんするんだぜ!」 「いだいよぉぉぉ!!!」 「れいむはおおげさなんだぜ……。にとり! にとりははやくそこからでてくるんだぜ!!!」 「かっぱっぱー♪」 いまや、状況は一転していた。唄を歌う余裕もある。 水中ならまりさたちは絶対に襲ってこれない。 これならにとりが勝つことはなくても、負けることもないのだ。 ◇ ◇ ◇ 「むきゅ、あのにとりきづくのがおそいわよ」 「そうか? ゆっくりにしては並だと思うぞ」 ここはにとりたちがいる部屋の隣にある観察部屋。 そこでぱちゅりぃと俺は、膠着状態に入ったにとりとまりさたちの戦いを眺めていた。 「でも、どうして『ぷーる』さんをあそこにおいたの? こうなるのはゆっくりりかいできるじゃない」 「ああ、俺も理解しているよ。そこまで馬鹿じゃない」 「……おみずさんに、なにかしかけがあるのね?」 「おっ、よく気づいたな。頭なでてやる」 そう、あのプールに入っている水には、一本100円のアルカリ性漂白剤を何本か入れてあるのだ。 そんなのに入ったらどうなるか……まあ、にとりでも溶けるよな。人間でもやばい。 ちなみにあの部屋のエアコンは、にとりが逃げ回り始めたところで『ドライ』にセットした。 プールに入らなくて逃げ回るだけでも、すぐに饅頭の表面が乾いて行動が鈍くなるだろう。 この戦いは最初からにとりの負けで決まっているのだ。 「むっきゅっきゅ。もっとほめてもいいのよ?」 「ああ、褒めてやる。よ~しよしよしよし! 後で角砂糖を三つやろう」 「むきゅ~♪」 おお、ぱちゅりぃがヘブン状態になった。 ……胴付きって頭なでるだけでも発情するのかな? 「うぅー! ぱちゅりぃはずるいどぉ!!! れみぃもいいこいいこしてだどぉ~☆」 そこにオレンジジュースの給仕にきたおぜうさまがやってきて、こっちに頭を付き出してなでろと注文する。 おい、そうするならせめて手にもったオレンジジュースを机に置いてからにしろ。畳が汚れたらどうするんだ。 ……しかしこのれみりゃ、こう嫉妬するところがかわいいんだよな。ぱるすぃほど酷くないし。 「だが断る」 「な……なぜだどぉー!?」 「お前は今回、まだ何の役にも立ってない!」 「お……オレンジジュースもってきたどぉ~!?」 「馬鹿だな、まだ手にオレンジジュースを持ったままだぞ? ―――次にお前は『れみぃ、やっちゃったどぉ~☆ ニパー☆』という」 「う……うー? あっ」 れみりゃは次の瞬間を、スローモーションのように見ていた。 元からとろい動きなのにスローモーション? などと突っ込んではいけない! 手から滑り落ちるコップ! そのコップは大きな音とともに床に落ち! そして、畳の上に散らばる一滴一滴の雫まで見て……その大惨事を見過ごした! 「…………」 「…………」 「……れみぃ、やっちゃったどぉ~☆ ニパー☆」 「れみりゃ、これ終わったら『おしおき』な?」 「うわぁぁぁぁぁ!?!」 ◇ ◇ ◇ にとりに変化が起こったのはすぐだった。 「……?」 なんだか目が痛い。視界がぼんやりしてきた気がする。ゆっくりできない。 まるで、泥水の中にいるときに目をあけたみたいだけど、ここのおみずさんは透明だ。 肌もピリピリしてきた。ゆっくりできない。 このおみずさんはゆっくりしてないの? そのとき、にとりは何か青いものが水の底に沈んでいくことに気づく。 いったいどこから落ちてきたんだろうかと上を見るが、上にはなにも無い。 あの時見えた『き』さんの葉っぱが風に乗って落ちてきたのだろうか? とりあえずなにが落ちてきたのか水の底を見たとき……にとりは大量の青い髪の毛を見つけた。 「かっぱー……?」 何でこんなに髪の毛が落ちてるんだろう? ゆっくりできない。 誰の髪の毛だろう? 誰の…… にとりはそのとき、その髪の毛が誰のものだったか気が付いた。 「ひゅいぃぃぃ!?!」 「ゆゆっ!? にとりがでてき……うわぁぁぁ!!!」 「ゆぅ……いたい……れいむおめめさんがいたいよ……ぼんやりしてるよ……」 まりさが叫ぶのも無理はないと思った。 だってにとりは今、髪の毛があちこちごっそり抜けおちているんだから。 「ゆぎぃ!?」 だが、にとりは床にあんよをつけた瞬間、すさまじい痛みを感じた。 皮の表面が溶け始めていたため、感覚が異常なほど鋭敏になっているのだ。 それはまさしく激痛。 にとりの生涯で今まで感じたことがないほどの痛みだった。 「ゆっくりできないにとりはしねぇぇぇ!」 「ゆゆっ……ゆぐっ!!」 かろうじて体当たりをよけたにとりだが、再びあんよに激痛が走る。ついでに髪の毛もいくらか抜けた。 だが高く跳ねたわけではないので、さっきおみずさんから飛び出たときよりはましだ。 逃げることができる。 ……でも、どこに逃げればいい? 「―――っ!?!」 その時、声なき叫びがにとりの口から響いた。 今感じている痛みは言い表すことのできないほどの痛みだからだ。 一瞬の間の後で地面に落ちた時、にとりはまりさに体当たりされたのだとわかった。 体当たりで、ただの体当たりでこの痛み。 にとりは信じたくなかった。 だが、体当たりされた後に感じたのはそれだけではなかった。 鋭敏になった神経がまだ何かを感じている。 何らかの身の危険を感じている。 (……はだが……かわいてる……?) それは、肌が一気に乾燥しているかのような感覚だった。 全身が乾いていく感覚―――それはつまり、死への緩やかなカウントダウン。 普段はにとりも気にも留めないほどの微々たる感覚であるはずなのだが、鋭くなった感覚がそれを増幅させていた。 特に乾いているわけでもないのに、本能が水分を要求してくる。 おみずさんのなかにはいらなくちゃいけないと、体全体が渇望している。 「ゆっくりしねぇぇぇ!!!」 だから、まりさが襲ってきたとき。 にとりはもう一度ゆっくりできないおみずさんに飛び込むしかなかったのだ。 ◇ ◇ ◇ 「おー。根性あるな、あのにとり。自分がボロボロなのは水のせいだと気づいてるだろうに」 「……あくしゅみね。あそこまでひどいおみずさんだとはおもわなかったわ」 「それに比べてれいむは根性ないな。目に入っただけで完全に戦意喪失してやがる」 ちなみに、理由もわかる。 ゆっくりも人間も、基本的に目の痛みに対する体制は少ないのだ。 あのれいむだって肌に水がかかっても大したことはないだると感じるが、目に水が入る痛みは別次元の感覚である。 にとりみたいに目が水に慣れていなければ、ただの水が入っても痛むだろう。 「とりあえず一番おもしろいところは過ぎたから、あとは終わるのを待つだけかな。結果はもう見えきってるし」 「むきゅっ。そうしたのはおにーさんだけどね」 「うー! おわらないどぉー! たたみさんおおきすぎだどぉー!!!」 ちなみに今現在、れみりゃはこぼしたオレンジジュースを俺の命令によって舌で舐めとっている。 何を勘違いしたのか畳全体を舐めようと頑張っているが、作業はあまりはかどってないようだ。 俺はそんなれみりゃを見て暇をつぶすことにした。 「むきゅ、でもたたみさんをなめたらカビさんがはえるわよ?」 「……知ってたよそんなこと! ほら、この乾いたぞうきん使え。そのあと口を濯いでこい。……知ってたんだからね!」 ◇ ◇ ◇ にとりは考えていた。 ゆっくりできない水の中で、眼球が痛まないよう目をつぶりながら、まるで瞑想のように考えていた。 どうすればまりさに勝てるだろう? れいむは無視していい。さっきから襲ってこない。 この状況で、道具も何もなく弱り切った自分で、どうすればまりさに勝てるだろう? そういえば、どうしてれいむは襲って来ないのか。 たしか、最初に目に水が入った時からずっと静かだ。 普通に目に水が入ってもそこまでひどいことにはならない。 ということは、たぶんこのゆっくりできないおみずさんは、まりさたちもゆっくりさせないのだ。 そこまで考えた時、にとりはこの状況を打開する一つの方法を見つけた。 「ゆゆっ! ようやくあきらめたんだぜ?」 再び激痛と共に床に着地したにとりは、魔理沙の言葉など聞いていなかった。 目を必死に細めて、ぼんやりとした視界の中で狙いを決める。 確実なチャンスは一回。失敗されたら警戒されて、次はないと思ったほうがいい。 そしてにとりは口を一気にすぼめて―――勢いよく水を放った。 にとりの目立たない特技として、水鉄砲がある。 口に水を含んで、ちょっと遠くに水を放つだけの一発芸。 ゆっくりを倒すことなんて不可能な技。 だけど、口に含むのがゆっくりできない液体なら……凶器になる。 「ゆんぎゃぁぁぁ!?!」 その水はきれいな放物線を描き、まりさの目に当たった。 だが、よかったなどと言ってられない。このまりさは好戦的だ。 生かしておくと大変なことになる。 「まりさはゆっくりしんでね!」 「――ゆべっ!!!」 痛みにひるんでいたまりさを、力の限り踏み潰す。 自分の足も痛いが、そんなことは言ってられない。ここで殺さねば殺されるのだ。 しかたない。 しかたない。 しかたないから、悪く思わないで。 なんだか、おかしな気持だった。 自分がゆっくりできないことをやっていることは理解している。 でも、これをやめてもゆっくりできないのだ。 結局どちらにしろ、にとりはゆっくりできていなかった。 「ゆっぐり! ゆっぐりじんでね!」 「…………」 気がつけばにとりは涙を流しながら、ただの餡子になったまりさを踏みつぶしていた。 にとりはまた肌が乾いていく感覚に襲われていたが、そんなのはもうどうでもよかった。 禁忌を犯した。正当防衛とはいえ、まりさを殺したのだ。 「ゆっくりかったよ……」 これで、安全になった。にとりはそう確信した。確信できるのが悲しかった。 さて、これからどうしようか。 肌が乾くからまたゆっくりできないおみずさんの中に入ろうか? でも、さっきまでそのおみずさんのなかにいたのだ。本当はまだ体が濡れているのを知っている。 なら、ここでゆっくりするのもいいかもしれない。 ここにいれば、きっとなんとかなるだろう。 ご飯もおうちもないけれど、お空が見えないから雨は平気だし、ご飯にはまりさを食べればいい……ちょっといやだけど。 うん、きっとなんとかなる。 「ゆっくりできないにとりはしねぇぇぇ!!!」 にとりは勢いよくつぶされた。 そして、うめき声も一切上げることなく動かなくなった。 ◇ ◇ ◇ 『ゆっふっふ。さいしょのおみずさんはいたかったけれど、ずっといたいわけないでしょ? ばかなの? しぬの? じつはれいむは、ずいぶんまえからへいきだったんだよ。じっとしてにとりのすきをうかがっていたんだよ。 むのうなまりさもいなくなったし、ゆっくりせいこうだね!!!』 俺はカメラの向こうにいるれいむをみながら、愕然としていた。 さっきまでにとりがまりさに勝つという予想外な結果を見ていたら、次の瞬間にはれいむがとつぜんにとりを潰したのだ。 にとりはさっきから声もなく全く動いてないため、たぶん死んだのだろう。 「……まあ、結果的には予想通りか」 「それじゃ、ぱちゅりぃはごほんをよみにもどるわ。あとしまつはゆっくりできないもの」 「ここまで見たら手伝うのが筋じゃないのか? まあいいか。俺は約束通りあまあまを持っていくよ」 俺は台所からゆっくりフードの箱を持ってくると、れいむのいる部屋へと入って行った。 「うっ……」 漂白剤を何本も使ったので当然だが、部屋の中では漂白剤独特のにおいが充満していた。 正直なところ、この空気吸ってるだけでも体に悪いんじゃないかと思う。 ……換気が大変そうだ。 「ゆっおじさん!! れいむはかったよ! あまあまはどこ!?」 「はいはい、そう慌てんな、ここにあるよ」 そう言いつつ、俺は足もとにゆっくりフードをばらまく。 「ゆゆゆっ! それだけじゃたりないよ! もっとだよ!」 「もっとかよ……ほれ」 何度も『もっと』と言われると面倒なので、俺は箱をひっくり返した。 結果、俺の足元にはれいむ一人では食べきれないほどのゆっくりフードの山ができる。 「ゆゆんっ! なかなかききわけのいいおじさんだね! れいむのどれいにしてもいいよ!」 「ああそうかい。食べたきゃ早くしろよ」 れいむも待ちきれなかったのだろう。 俺の一言がきっかけになったのか、すぐにゆっくりフードの山に飛びついた。 ―――もちろん、食べられる前に潰したが。 「悪いな。でもちゃんと『持ってきた』だろう?」 ちなみに、このゆっくりフードは後で拾って箱に戻しておく。もったいないし。 ……この部屋の床は毎回洗っているビニールシートだから、特に問題はないはずだ。 ◇ ◇ ◇ 「ゆ……ゆぅ……」 俺が子供用プールを片付けていると、なぜか部屋からゆっくりのうめき声が聞こえてきた。 まりさ……じゃないな。あれは完全につぶれた饅頭になってる。 となると、にとりか。 「にとり、俺がわかるか?」 「ゆっ……そのこえは、めいゆうのにんげんさん……」 よく見ればつぶれた頭もだいぶ丸く戻っているし、話しかけられるぐらいには元気らしい。 おそらくれいむが潰した時に、痛みで気絶でもしていたのだろう。 「にとりは……ゆっくりできないの……」 「そうだな。見た目もところどころ禿げてるし」 「もうらくになりたいよ……」 「そうか、なら楽にしてやる」 「ありがとう、にんげんさん……これからもゆっくりしていってね……」 俺はにとりをつぶすために拳を振り上げた。 「まあ、にとりがゆっくりできないのは俺のせいだけどな」 「え―――」 その時の表情は、俺がゆっくりするには十分すぎるほどだった。 あとがき チルノの裏でおだてられたので二作目です。 にとりが乾燥に弱いのはオリ設定になるのかもしれない。 でも、そうしないと陸上で生活できちゃうんだ……しかたなかったんだ…… 序盤に出てきたおりんのセリフは、前作を読めばわかると思います。 でも読まなくても楽しめるように作ったつもりです。……楽しめる、よね? ちなみに、自分の脳内の水に対する強さ 水中で生活できる:にとり 雨に強いけど水中無理:すわこ、チルノ、レティ、ドス 水にちょっと強い:まりさの帽子 とける:その他のゆっくり この表からアルカリ水溶液いじめはにとりしかできそうにないと思ったんだ…… 他のゆっくりだと水で充分溶けるしね。 ……このSSを読んで不快にさせてしまったらごめんなさい。 前に書いたもの B級ホラーとひと夏の恋 このSSに感想をつける
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「ゆっくりできない家」(前編) 「ゆっくりしていってね!!」 「みんなでゆっくりしようね!!」 先頭に立つのは、母親であるゆっくりれいむ。 その後ろを、10匹の子ゆっくりが列をなしてついて行く。 ぽよんぽよんと、母の後ろを楽しげに跳ねて進む子ゆっくりたち。 子供たちが毎日楽しみにしている、食後のお散歩である。 「ゆ!!おはなさんだよ!!ゆっくりたべるよ!!」 「ゆゆ!!ちょうちょさん!!ゆっくりまってね!!」 「ゆゆっ!!いもむしさんだ!!れいむにゆっくりたべられてね!!」 お花畑に到着すると、ある子れいむは綺麗な花々を啄ばみ始める。 蝶々を見つけた子まりさは、ゆっくり追いかけっこを始める。 そして、葉の上に芋虫を発見した子れいむは、食後のデザートといわんばかりに一口でそれを飲み込んだ。 「ゆゆ!!みんなゆっくりしてるね~♪」 「「「ゆっくりしてるよ!!おかーさんもゆっくりしていってね!!」」」 それを眺める母れいむは、至福の表情を浮かべる。 子供たちが生まれてから半年が経った。幸運にも、子供たちは1人も欠けることなく成長した。 赤ん坊をここまで育てるのは、随分苦労した。でも、子供たちとゆっくりする未来を願って、諦めずに育て続けた。 そして今、毎日毎日…子供たちは思う存分ゆっくりしている。それだけで、母親であるれいむの苦労は報われ、心は満たされるのだった。 「ゆっ!そろそろかえるじかんだね!!みんな!!ゆっくりおうちにかえるよ!!」 「「「ゆっくりかえるよ!!」」」 母れいむがそう呼びかけると、子ゆっくりたちは一斉に母れいむの周りに集まる。 来るときにそうであったように、帰りも母を先頭にして一列になってゆっくり行進していく。 ゆっくり一家の巣は、大木の根元にある大きな横穴だ。 そこには一家がくつろぐ広間とは別に、餌を貯蔵しておく倉庫と、子ゆっくりたちの宝物を保管しておく部屋がある。 カムフラージュも完璧で、発情したゆっくりありすも、捕食種であるゆっくりれみりゃも巣を見つけることは出来ずにいた。 一家自慢の、とてもゆっくりできる場所だ。 「…ゆゆ?」 母れいむが、何か違和感を感じて跳ねるのを止める。 それに従って、後続の10匹の子ゆっくりたちも行進を止めた。 「ゆ!?おかーさんどうしたの!!ゆっくりおうちにかえろうね!!」 「そうだよ!!おうちにかえればゆっくりできるよ!!」 母れいむが感じた違和感を、子ゆっくりたちはまだ感じ取っていなかった。 だが…目の前の光景は、よく見れば“違和感”という言葉では済まされないぐらい変わり果てていた。 そこには、人間のお兄さんが立っていた。 どうやら嬉しい事があったらしく、ゆっくりたちに言わせれば…最高にゆっくりした顔をしている。 何かいやな予感がする……母れいむが代表して、お兄さんに問いかける。 「ゆ!!おにーさん!!ここでなにをしてるの!?ゆっくりこたえてね!!」 お兄さんは、笑みを絶やすことなく母れいむに答えを返す。 惨めなお前達にもこの“幸せ”を分け与えてやるぞ、とでも言わんばかりに。 「あぁ…今日から、ここにお兄さんの家を建てるんだ。今はその準備だよ」 「……ゆ?」 その会話がなされるのとほぼ同時に、鈍感な子ゆっくりたちも異変を察知した。 ―――さっきまでここにあったはずのおうちが、跡形もなく消えている おかしい。さっき家を出るときは、ここに確かに家があったのに、おかしい、あれ?…なんで? 不思議そうな顔をしている一家に向けて、お兄さんは説明を続ける。 「だから、君達は他の場所でゆっくり暮らしてね。お兄さんからのお願いだよ!」 木は、全て切り倒されていた。 かつて巣があった場所…そこに巣の入り口はなく、あたり一面が綺麗に均されていた。 一家は、突然降りかかった悪夢に唖然としていた。 早くおうちに帰ってゆっくりしようと思っていたら、そのおうちが…ない。どうして?どうして? 固まった表情のまま、答えの出ない問答を繰り返すゆっくり一家。 ふと我に返った親れいむは、目の前のお兄さんがおうちを壊してしまったのだと確信した。 「ゆ!!どうしてこんなことするの゛!!ここにはれいむたちのおうちがあ゛ったんだよ゛!!」 「知ってるよ。でも今度ここにお兄さんの家を建てるから、君達の家は邪魔なんだ。だから潰しちゃったの。ごめんね」 悪びれる様子もなく謝るお兄さんは、親れいむの体当たりにはびくともせず、一人で柵を立て始めた。 その間、近くに住んでいる他のゆっくりもお兄さんを攻撃する。延べ100匹以上のゆっくりがお兄さんの強行を止めようとしたが… 一度に攻撃するのはせいぜい2,3匹程度。お兄さんから見れば、そよ風程度の力もない。 面積にすると200平方メートル程度。家を建てる土地と資材を置く場所の確保が完了してしまった。 「ほら、出てって出てって。邪魔だよ」 お兄さんはぽいぽいっと一匹ずつゆっくりを柵の外に放り投げる。 逃げようとするゆっくりもいたが、お兄さんの腕から逃げることは出来なかった。 今日、散歩から帰ってきたら…巣が消えていた。 巣の中はとてもゆっくり出来る場所で… ご飯がたくさん貯めてあって、宝物も大事に仕舞ってあって… かつて自分の巣があった場所…そこには昨日までの面影はなく、柵に囲まれた広大な土地と意味不明な看板だけがそこにあった。 お母さんが作ってくれたテーブルと椅子も、一生懸命貯めてくれたご飯も。 子ゆっくり全員で協力して手に入れたセミの抜け殻も、今度お母さんにプレゼントしようと思っていたお花さんも。 狩りに出かけている間、仲良くお留守番していたであろう赤ちゃんゆっくりたちも。 今は仲良く、土の下。 「どうじでぇ!!どうじでれいむだちのおうちをこわしじゃうのお゛お゛お゛お゛ぉぉぉぉ!!」 「まりさのおうちをかえしてよ!!そこにはまりさたちのおうちがあるんだよぉ!!」 「おかーしゃん!!おうちがないとゆっくちできないよおおぉぉぉ!!」 「ありしゅのおうちどこぉ!?おかーしゃあ゛あ゛ぁぁぁあ゛ん!!!」 「どうしてこんなことするのおおおおおおぉぉぉぉぉぉ!!??」 建設予定地から追い出された100匹を超えるゆっくり。 一箇所に集まって、巣を奪われた悲しみに泣き喚いている。 各々の一番のゆっくりプレイスを奪われた。備蓄していた食糧も全て土の下。 ゆっくりの群れを襲うのは絶望。命を脅かす危機に、誰もが絶望していた。 不意に…一匹のゆっくりが、呟いた。 「……おにーさんに、しかえしするよ」 決して大きくない声。普段の張り上げるような声と比べれば、それは声とすら言えないくらい小さかった。 だが、そこにいる誰もがその声を耳にした。そして、そのゆっくりの意思を読み取った。 「ゆるせないよ…おにーさんに、ぜったいしかえしするよ゛っ!!」 声を張り上げたのは、ゆっくりまりさ。 だが、他のゆっくりたちは決して同調しなかった。 「だ、だめだよ!!にんげんにはかてないよ!!ゆっくりできないよ!!」 「そうだよ!!ゆっくりやめてね!!そんなことしたらゆっくりできなくなっちゃうよ!!」 皆知っているのだ。本気を出した人間の力を。 実際、さっきだって必死の抵抗を試みたにもかかわらず、あっさり排除されてしまったではないか。 人間が攻撃の意思を見せていない間は、こちらから手を出すべきではない…簡単に言えば、そういう考えなのだ。 「ゆぐぐぐぐぐ…!!!わかったよ!!おくびょうなみんなはゆっくりしてればいいよ!!」 だが、そんな簡単な説得では納得できなかったまりさは、決意を胸に森へと駆けていった。 最高のゆっくりプレイスを奪われた恨みを、抑えつける事が出来なかったのだ。 「まりさだけでもおにーさんをゆっくりこらしめるからね!!」 土地の確保を終えたお兄さんは、現在の自分の家へと帰っていく。 その後ろを、気づかれないように一匹のゆっくりまりさがつけていく。 お兄さんの住処の場所を調べるため。偵察のためである。 「ふぅ…疲れた」 何気ない動作で後ろを振り向くお兄さん。 まりさは、ゆっくりとは思えない速さで木の陰に隠れた。 「ゆ…ゆっくりかくれたよ…!」 お兄さんには聞こえない程度の声で、一人呟く。 まりさは気づかれないように、じっと息を潜めてお兄さんの様子を伺っている。 お兄さんが再び歩き出すと、まりさはその後ろを再び追い始めた。 しばらくすると、お兄さんの家が見えてきた。現在はここに住んでいるようだ。 まりさの目的は、現在のお兄さんの家を発見して今後の情報収集に生かすこと。 だから、これ以上の深入りは不要であり、禁物であった。 だが…ゆっくりまりさ特有の過剰な自信と無鉄砲さが、判断を誤らせた。 「ゆ!いまおにーさんをやっつければ、まりさはみんなのひーろーだよ!!」 自分の能力を過信したゆっくりの辿る末路といえば一つしかないが、このまりさはどうであろうか? まりさは、まずはお兄さんが家の中へ入っていくのを確認してから、玄関へと跳ねていった。 見上げると、まりさの身体より何倍も大きい扉が、そこに立ちはだかっている。 これを破壊するのは困難だと判断したまりさは、家の反対側の窓ガラスのあるところへと向かった。 「ゆゆぅ!!これならこわせるよ!!」 庭に面した窓ガラス。これなら、石をぶつけて壊す事が出来る。 大きな音をたててしまうことになるが、果たしてそれでいいのだろうか? まりさにとって、そんなのは愚問だった。 音をたてるということは、お兄さんがこっちに気づくということ。 そうすればお兄さんを探す手間をかけることなく、お兄さんをやっつける事が出来る。 何故なら、まりさは誰よりも強いから! 人間が聞いたら笑ってしまうだろうが、まりさは本気でこう思っているのだ。 「ゆっ!!ゆっくりわれてね!!」 口から勢いよく石を吹き出し、窓に衝突させる。すると、窓ガラスはあっさり砕け散ってしまった。 うまくまりさが通れるぐらいの穴が出来たので、すばやく侵入する。だが… 「ゆぶっ!?ゆぎゃああああぁぁああ!!いだいいいぃいいいっぃぃ!!!」 その穴は、綺麗に丸くできたわけではない。尖った部分があるのは当然である。 まりさは、その鋭く尖ったガラスに底部を引っ掛けてしまい、皮を強く抉ってしまったのだ。 「までぃじゃのあじがあぁぁぁあぁぁぁぁぁ!!!だれがだじゅげでねええええぇぇええぇぇぇ!!!」 餡子脳を揺さぶるほどの痛みに、床の上を転げまわるまりさ。これだけ騒がしければ、住人が気づかないわけがない。 ガラスの割れる音と、耳障りな叫びを耳にしたお兄さんは、リビングにやってきてその光景を目の当たりにする。 聡明なお兄さんは、何が起こったのかを瞬時に理解したようだった。 「おいおい…大丈夫かい?」 「ゆぎゃああああぁぁあん!!!おにーざんゆっぐりだずげでええぇぇえぇぇぇぇ!!!いだいよおおぉおっぉぉ!!」 全身を蝕む激痛に、まりさは目の前のお兄さんが憎むべき敵であることもすっかり忘れ、全身全霊で助けを求める。 お兄さんは数秒間だけ何かを考えるような仕草をした後、台所から“ゆっくり治療セット”を持って来た。 「ちょっと痛いかもしれないが、治して欲しかったら我慢するんだよ?」 「ゆっぐじぃ!!ゆっぐりがまんするよ!!だがらゆっぐりさっさとなおじでね゛!!!」 身の程を弁えない高圧的な言葉遣いにも、お兄さんは表情をぴくりとも変えずに治療に専念する。 お兄さんは移植用の皮を適当な大きさに切り取って、傷を塞ぐように貼り付けた。 そして、剥がれないように周りを水で少しだけ溶かして塗り固めていく。 「よし、出来た。まりさ、ちょっと動いてごらん」 「ゆ?ゆっくりぃー!!……ゆゆ!!ゆっくりなおったよ!!」 ぴょんと大きくジャンプして、治ったことを示してみせるまりさ。 それを見ると、お兄さんは一層微笑んでまりさの頭を優しく撫でた。 「次から気をつけるんだぞ。中身が無くなったらゆっくりできないからね」 「ゆっ、ゆっくりできないのはいやだよ!!だからゆっくりきをつけるよ!!」 「そうだね…あ、そうだ、君がさっきみたいに怪我をしないようにする、いい方法があるよ」 お兄さんの提案に、まりさは躊躇い無く食いついた。 「ほんとう!?おにーさん!!そのほうほうをゆっくりおしえてね!!」 「この森をずっと進んだところに、川があるだろう? あそこは昔は海だったところで、畔には今も大きな貝殻がたくさん転がっているんだ。 その貝殻の中に潜り込めば、外からの衝撃を防ぐ事が出来る。絶対に怪我はしない、ってことさ」 「ゆゆぅ!!すごいね!!それならずっとゆっくりできるよ!!」 まるで夢のような話に、まりさは目を輝かせた。 外界からの攻撃を完全に封じる鉄壁の防御。それさえあれば、自分達の家を奪った人間も敵ではない! 一刻も早く帰って皆に知らせよう。そうすれば、手伝ってくれる仲間だっているはずだ! 「おにーさんありがとう!!まりさはゆっくりかえるよ!!」 「あぁ、気をつけてね」 お兄さんが開けてくれた玄関から勢いよく飛び出して、まりさは森の中へ消えていった。 まりさにこのことを教えてくれたお兄さんは、とてもゆっくりできる人だ。 憎き人間を倒したら、お礼として一緒にゆっくりさせてあげよう。 まりさはそこまで考えて、自分の思考が矛盾していることに…………気づかなかった。 “餡子脳を揺さぶるほどの痛み”は、まりさの記憶を見事に混乱させてしまっていたのだ。 「……ふぅ」 意気揚々と森へ引き上げていくまりさを、お兄さんは穏やかな目で見つめている。 そして、自分の中で何かを確信すると、玄関のドアを静かに閉じた。 まりさは群れに戻ると、お兄さんから聞いた話をそのまま仲間に伝えた。 それでも殆どのゆっくりは、まりさの復讐を肯定しなかった。 「やっぱりゆっくりできなくなるよ!!」 「ゆっくりかんがえなおしてね!!」 「そんなことより、いっしょにゆっくりしていってよー!!」 しかし、ごく僅かなゆっくり…まりさと仲のよかった2匹のゆっくりだけは、まりさの話を受け入れてくれた。 「それならだいじょうぶだね!!おにーさんをゆっくりこらしめるよ!!」 「とかいはのありすにかかれば、にんげんなんていちころよ!!」 ゆっくりれいむと、ゆっくりありすである。 他のゆっくりが止めるのもまったく聞き入れずに、3匹は復讐のための準備に入った。 そのためには、何より復讐の要となる貝殻を3匹分用意しなければならない。 お兄さんに言われた場所へ行ってみると、確かにそこには大きな貝殻がたくさん転がっていた。 3匹は適当に貝殻を見つけて、試しに潜り込んでみる。 この河原に転がっているのは、成体ゆっくりでも潜り込めるほど大きな貝殻ばかりだった。 ここが海であった時代は、こんな大きな巻貝が近辺に生息していたのだろうか。 「ゆ!れいむはこれにするよ!!」 「とかいはのありすにぴったりなのはこれね!!」 「まりさはこれにするよ!これがいちばんゆっくりつよいかいがらだよ!!」 そうして3匹が貝殻を持ち帰って…一ヵ月後。 まりさの偵察によれば、今日がお兄さんの新しい家の竣工日だ。 その情報どおり、かつて群れのゆっくりたちの巣があった場所には、立派な3階建ての家屋が完成していた。 3匹は皆思っていた。今日から、憎き人間はこの家に引っ越してくるに違いない、と。 そのときこそが、自分達の復讐のときだ。自分達の家を奪ったのと同じように、人間の家もゆっくりできないようにしてやる。 実際、その日のお兄さんは朝の早いうちに新しい家にやってきて、その後は一度も外に出ていない。 「ありすのさくせんはかんぺきよ!!とかいはのありすたちのちからをみせてあげましょう!!っぶぅ!!」 今回の作戦を立てたありすは、興奮のあまりクリームを吐き出しそうになっているが、寸前のところで堪える。 しかし、ありすの作戦が完璧であることには変わりない。3匹はそう確信している。 あれから3匹は、貝殻を持ち運べるだけの力をつけるために、毎日特訓を繰り返した。 何かあればすぐに貝殻に潜り込んで身を守る事が出来るように、俊敏性をつける訓練もした。 この一ヶ月間の日々は、全てが復讐のためにあったといっても過言ではないだろう。 「みんなでおにーさんをゆっくりこらしめるよ!!」 「「「ゆっくりぃーーーーーーー!!!」」」 「おにーさんにおうちをとられちゃったけど、こんどはみんながおにーさんをゆっくりできなくするよ!!」 「「「ゆっくりぃーーーーーーー!!!」」」 「おにーさんをこらしめて、こんどはみんなでゆっくりしようね!!!」 「「「ゆっくりしていってね!!!!」」」 最後に、結束を固める3匹のゆっくりたち。 彼らの目的はただひとつ。お兄さんの家を滅茶苦茶にして、ゆっくりできないようにすること。 彼らの願いはただひとつ。ゆっくりできる平穏な日々を、再び手に入れること。 そして…夜。 3匹のゆっくりは、願いを実現するべく…作戦を実行する。 「ゆっ…ゆっくりしずかにしてね!」 「れいむはむこうだよ!まりさはむこうにいってね!」 事前の作戦通り、3匹は等間隔でお兄さんの新しい家を取り囲む。 こうすることでお兄さんの退路を絶つというのが、ありすの説明だった。 完璧だ。完璧すぎる作戦だ。3匹は半分勝利を確信しつつ、作戦通りに配置についた。 ありすの完璧な作戦によれば、3匹のゆっくりが一斉に突入してお兄さんをゆっくりできなくさせることになっている。 そのときを…その合図を2匹は待っている。合図を送るのは他でもない、あの日偵察に向かったまりさの役目だ。 深呼吸して心を落ち着かせると、まりさは…声高らかに宣言した。 「ゆっくりとつげきいぃぃいいーーーーーーー!!!!」 「「「ゆううぅぅうぅぅぅっぅうぅぅ!!!!!」」」
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「ゆっくりできない家」(前編) 「ゆっくりしていってね!!」 「みんなでゆっくりしようね!!」 先頭に立つのは、母親であるゆっくりれいむ。 その後ろを、10匹の子ゆっくりが列をなしてついて行く。 ぽよんぽよんと、母の後ろを楽しげに跳ねて進む子ゆっくりたち。 子供たちが毎日楽しみにしている、食後のお散歩である。 「ゆ!!おはなさんだよ!!ゆっくりたべるよ!!」 「ゆゆ!!ちょうちょさん!!ゆっくりまってね!!」 「ゆゆっ!!いもむしさんだ!!れいむにゆっくりたべられてね!!」 お花畑に到着すると、ある子れいむは綺麗な花々を啄ばみ始める。 蝶々を見つけた子まりさは、ゆっくり追いかけっこを始める。 そして、葉の上に芋虫を発見した子れいむは、食後のデザートといわんばかりに一口でそれを飲み込んだ。 「ゆゆ!!みんなゆっくりしてるね~♪」 「「「ゆっくりしてるよ!!おかーさんもゆっくりしていってね!!」」」 それを眺める母れいむは、至福の表情を浮かべる。 子供たちが生まれてから半年が経った。幸運にも、子供たちは1人も欠けることなく成長した。 赤ん坊をここまで育てるのは、随分苦労した。でも、子供たちとゆっくりする未来を願って、諦めずに育て続けた。 そして今、毎日毎日…子供たちは思う存分ゆっくりしている。それだけで、母親であるれいむの苦労は報われ、心は満たされるのだった。 「ゆっ!そろそろかえるじかんだね!!みんな!!ゆっくりおうちにかえるよ!!」 「「「ゆっくりかえるよ!!」」」 母れいむがそう呼びかけると、子ゆっくりたちは一斉に母れいむの周りに集まる。 来るときにそうであったように、帰りも母を先頭にして一列になってゆっくり行進していく。 ゆっくり一家の巣は、大木の根元にある大きな横穴だ。 そこには一家がくつろぐ広間とは別に、餌を貯蔵しておく倉庫と、子ゆっくりたちの宝物を保管しておく部屋がある。 カムフラージュも完璧で、発情したゆっくりありすも、捕食種であるゆっくりれみりゃも巣を見つけることは出来ずにいた。 一家自慢の、とてもゆっくりできる場所だ。 「…ゆゆ?」 母れいむが、何か違和感を感じて跳ねるのを止める。 それに従って、後続の10匹の子ゆっくりたちも行進を止めた。 「ゆ!?おかーさんどうしたの!!ゆっくりおうちにかえろうね!!」 「そうだよ!!おうちにかえればゆっくりできるよ!!」 母れいむが感じた違和感を、子ゆっくりたちはまだ感じ取っていなかった。 だが…目の前の光景は、よく見れば“違和感”という言葉では済まされないぐらい変わり果てていた。 そこには、人間のお兄さんが立っていた。 どうやら嬉しい事があったらしく、ゆっくりたちに言わせれば…最高にゆっくりした顔をしている。 何かいやな予感がする……母れいむが代表して、お兄さんに問いかける。 「ゆ!!おにーさん!!ここでなにをしてるの!?ゆっくりこたえてね!!」 お兄さんは、笑みを絶やすことなく母れいむに答えを返す。 惨めなお前達にもこの“幸せ”を分け与えてやるぞ、とでも言わんばかりに。 「あぁ…今日から、ここにお兄さんの家を建てるんだ。今はその準備だよ」 「……ゆ?」 その会話がなされるのとほぼ同時に、鈍感な子ゆっくりたちも異変を察知した。 ―――さっきまでここにあったはずのおうちが、跡形もなく消えている おかしい。さっき家を出るときは、ここに確かに家があったのに、おかしい、あれ?…なんで? 不思議そうな顔をしている一家に向けて、お兄さんは説明を続ける。 「だから、君達は他の場所でゆっくり暮らしてね。お兄さんからのお願いだよ!」 木は、全て切り倒されていた。 かつて巣があった場所…そこに巣の入り口はなく、あたり一面が綺麗に均されていた。 一家は、突然降りかかった悪夢に唖然としていた。 早くおうちに帰ってゆっくりしようと思っていたら、そのおうちが…ない。どうして?どうして? 固まった表情のまま、答えの出ない問答を繰り返すゆっくり一家。 ふと我に返った親れいむは、目の前のお兄さんがおうちを壊してしまったのだと確信した。 「ゆ!!どうしてこんなことするの゛!!ここにはれいむたちのおうちがあ゛ったんだよ゛!!」 「知ってるよ。でも今度ここにお兄さんの家を建てるから、君達の家は邪魔なんだ。だから潰しちゃったの。ごめんね」 悪びれる様子もなく謝るお兄さんは、親れいむの体当たりにはびくともせず、一人で柵を立て始めた。 その間、近くに住んでいる他のゆっくりもお兄さんを攻撃する。延べ100匹以上のゆっくりがお兄さんの強行を止めようとしたが… 一度に攻撃するのはせいぜい2,3匹程度。お兄さんから見れば、そよ風程度の力もない。 面積にすると200平方メートル程度。家を建てる土地と資材を置く場所の確保が完了してしまった。 「ほら、出てって出てって。邪魔だよ」 お兄さんはぽいぽいっと一匹ずつゆっくりを柵の外に放り投げる。 逃げようとするゆっくりもいたが、お兄さんの腕から逃げることは出来なかった。 今日、散歩から帰ってきたら…巣が消えていた。 巣の中はとてもゆっくり出来る場所で… ご飯がたくさん貯めてあって、宝物も大事に仕舞ってあって… かつて自分の巣があった場所…そこには昨日までの面影はなく、柵に囲まれた広大な土地と意味不明な看板だけがそこにあった。 お母さんが作ってくれたテーブルと椅子も、一生懸命貯めてくれたご飯も。 子ゆっくり全員で協力して手に入れたセミの抜け殻も、今度お母さんにプレゼントしようと思っていたお花さんも。 狩りに出かけている間、仲良くお留守番していたであろう赤ちゃんゆっくりたちも。 今は仲良く、土の下。 「どうじでぇ!!どうじでれいむだちのおうちをこわしじゃうのお゛お゛お゛お゛ぉぉぉぉ!!」 「まりさのおうちをかえしてよ!!そこにはまりさたちのおうちがあるんだよぉ!!」 「おかーしゃん!!おうちがないとゆっくちできないよおおぉぉぉ!!」 「ありしゅのおうちどこぉ!?おかーしゃあ゛あ゛ぁぁぁあ゛ん!!!」 「どうしてこんなことするのおおおおおおぉぉぉぉぉぉ!!??」 建設予定地から追い出された100匹を超えるゆっくり。 一箇所に集まって、巣を奪われた悲しみに泣き喚いている。 各々の一番のゆっくりプレイスを奪われた。備蓄していた食糧も全て土の下。 ゆっくりの群れを襲うのは絶望。命を脅かす危機に、誰もが絶望していた。 不意に…一匹のゆっくりが、呟いた。 「……おにーさんに、しかえしするよ」 決して大きくない声。普段の張り上げるような声と比べれば、それは声とすら言えないくらい小さかった。 だが、そこにいる誰もがその声を耳にした。そして、そのゆっくりの意思を読み取った。 「ゆるせないよ…おにーさんに、ぜったいしかえしするよ゛っ!!」 声を張り上げたのは、ゆっくりまりさ。 だが、他のゆっくりたちは決して同調しなかった。 「だ、だめだよ!!にんげんにはかてないよ!!ゆっくりできないよ!!」 「そうだよ!!ゆっくりやめてね!!そんなことしたらゆっくりできなくなっちゃうよ!!」 皆知っているのだ。本気を出した人間の力を。 実際、さっきだって必死の抵抗を試みたにもかかわらず、あっさり排除されてしまったではないか。 人間が攻撃の意思を見せていない間は、こちらから手を出すべきではない…簡単に言えば、そういう考えなのだ。 「ゆぐぐぐぐぐ…!!!わかったよ!!おくびょうなみんなはゆっくりしてればいいよ!!」 だが、そんな簡単な説得では納得できなかったまりさは、決意を胸に森へと駆けていった。 最高のゆっくりプレイスを奪われた恨みを、抑えつける事が出来なかったのだ。 「まりさだけでもおにーさんをゆっくりこらしめるからね!!」 土地の確保を終えたお兄さんは、現在の自分の家へと帰っていく。 その後ろを、気づかれないように一匹のゆっくりまりさがつけていく。 お兄さんの住処の場所を調べるため。偵察のためである。 「ふぅ…疲れた」 何気ない動作で後ろを振り向くお兄さん。 まりさは、ゆっくりとは思えない速さで木の陰に隠れた。 「ゆ…ゆっくりかくれたよ…!」 お兄さんには聞こえない程度の声で、一人呟く。 まりさは気づかれないように、じっと息を潜めてお兄さんの様子を伺っている。 お兄さんが再び歩き出すと、まりさはその後ろを再び追い始めた。 しばらくすると、お兄さんの家が見えてきた。現在はここに住んでいるようだ。 まりさの目的は、現在のお兄さんの家を発見して今後の情報収集に生かすこと。 だから、これ以上の深入りは不要であり、禁物であった。 だが…ゆっくりまりさ特有の過剰な自信と無鉄砲さが、判断を誤らせた。 「ゆ!いまおにーさんをやっつければ、まりさはみんなのひーろーだよ!!」 自分の能力を過信したゆっくりの辿る末路といえば一つしかないが、このまりさはどうであろうか? まりさは、まずはお兄さんが家の中へ入っていくのを確認してから、玄関へと跳ねていった。 見上げると、まりさの身体より何倍も大きい扉が、そこに立ちはだかっている。 これを破壊するのは困難だと判断したまりさは、家の反対側の窓ガラスのあるところへと向かった。 「ゆゆぅ!!これならこわせるよ!!」 庭に面した窓ガラス。これなら、石をぶつけて壊す事が出来る。 大きな音をたててしまうことになるが、果たしてそれでいいのだろうか? まりさにとって、そんなのは愚問だった。 音をたてるということは、お兄さんがこっちに気づくということ。 そうすればお兄さんを探す手間をかけることなく、お兄さんをやっつける事が出来る。 何故なら、まりさは誰よりも強いから! 人間が聞いたら笑ってしまうだろうが、まりさは本気でこう思っているのだ。 「ゆっ!!ゆっくりわれてね!!」 口から勢いよく石を吹き出し、窓に衝突させる。すると、窓ガラスはあっさり砕け散ってしまった。 うまくまりさが通れるぐらいの穴が出来たので、すばやく侵入する。だが… 「ゆぶっ!?ゆぎゃああああぁぁああ!!いだいいいぃいいいっぃぃ!!!」 その穴は、綺麗に丸くできたわけではない。尖った部分があるのは当然である。 まりさは、その鋭く尖ったガラスに底部を引っ掛けてしまい、皮を強く抉ってしまったのだ。 「までぃじゃのあじがあぁぁぁあぁぁぁぁぁ!!!だれがだじゅげでねええええぇぇええぇぇぇ!!!」 餡子脳を揺さぶるほどの痛みに、床の上を転げまわるまりさ。これだけ騒がしければ、住人が気づかないわけがない。 ガラスの割れる音と、耳障りな叫びを耳にしたお兄さんは、リビングにやってきてその光景を目の当たりにする。 聡明なお兄さんは、何が起こったのかを瞬時に理解したようだった。 「おいおい…大丈夫かい?」 「ゆぎゃああああぁぁあん!!!おにーざんゆっぐりだずげでええぇぇえぇぇぇぇ!!!いだいよおおぉおっぉぉ!!」 全身を蝕む激痛に、まりさは目の前のお兄さんが憎むべき敵であることもすっかり忘れ、全身全霊で助けを求める。 お兄さんは数秒間だけ何かを考えるような仕草をした後、台所から“ゆっくり治療セット”を持って来た。 「ちょっと痛いかもしれないが、治して欲しかったら我慢するんだよ?」 「ゆっぐじぃ!!ゆっぐりがまんするよ!!だがらゆっぐりさっさとなおじでね゛!!!」 身の程を弁えない高圧的な言葉遣いにも、お兄さんは表情をぴくりとも変えずに治療に専念する。 お兄さんは移植用の皮を適当な大きさに切り取って、傷を塞ぐように貼り付けた。 そして、剥がれないように周りを水で少しだけ溶かして塗り固めていく。 「よし、出来た。まりさ、ちょっと動いてごらん」 「ゆ?ゆっくりぃー!!……ゆゆ!!ゆっくりなおったよ!!」 ぴょんと大きくジャンプして、治ったことを示してみせるまりさ。 それを見ると、お兄さんは一層微笑んでまりさの頭を優しく撫でた。 「次から気をつけるんだぞ。中身が無くなったらゆっくりできないからね」 「ゆっ、ゆっくりできないのはいやだよ!!だからゆっくりきをつけるよ!!」 「そうだね…あ、そうだ、君がさっきみたいに怪我をしないようにする、いい方法があるよ」 お兄さんの提案に、まりさは躊躇い無く食いついた。 「ほんとう!?おにーさん!!そのほうほうをゆっくりおしえてね!!」 「この森をずっと進んだところに、川があるだろう? あそこは昔は海だったところで、畔には今も大きな貝殻がたくさん転がっているんだ。 その貝殻の中に潜り込めば、外からの衝撃を防ぐ事が出来る。絶対に怪我はしない、ってことさ」 「ゆゆぅ!!すごいね!!それならずっとゆっくりできるよ!!」 まるで夢のような話に、まりさは目を輝かせた。 外界からの攻撃を完全に封じる鉄壁の防御。それさえあれば、自分達の家を奪った人間も敵ではない! 一刻も早く帰って皆に知らせよう。そうすれば、手伝ってくれる仲間だっているはずだ! 「おにーさんありがとう!!まりさはゆっくりかえるよ!!」 「あぁ、気をつけてね」 お兄さんが開けてくれた玄関から勢いよく飛び出して、まりさは森の中へ消えていった。 まりさにこのことを教えてくれたお兄さんは、とてもゆっくりできる人だ。 憎き人間を倒したら、お礼として一緒にゆっくりさせてあげよう。 まりさはそこまで考えて、自分の思考が矛盾していることに…………気づかなかった。 “餡子脳を揺さぶるほどの痛み”は、まりさの記憶を見事に混乱させてしまっていたのだ。 「……ふぅ」 意気揚々と森へ引き上げていくまりさを、お兄さんは穏やかな目で見つめている。 そして、自分の中で何かを確信すると、玄関のドアを静かに閉じた。 まりさは群れに戻ると、お兄さんから聞いた話をそのまま仲間に伝えた。 それでも殆どのゆっくりは、まりさの復讐を肯定しなかった。 「やっぱりゆっくりできなくなるよ!!」 「ゆっくりかんがえなおしてね!!」 「そんなことより、いっしょにゆっくりしていってよー!!」 しかし、ごく僅かなゆっくり…まりさと仲のよかった2匹のゆっくりだけは、まりさの話を受け入れてくれた。 「それならだいじょうぶだね!!おにーさんをゆっくりこらしめるよ!!」 「とかいはのありすにかかれば、にんげんなんていちころよ!!」 ゆっくりれいむと、ゆっくりありすである。 他のゆっくりが止めるのもまったく聞き入れずに、3匹は復讐のための準備に入った。 そのためには、何より復讐の要となる貝殻を3匹分用意しなければならない。 お兄さんに言われた場所へ行ってみると、確かにそこには大きな貝殻がたくさん転がっていた。 3匹は適当に貝殻を見つけて、試しに潜り込んでみる。 この河原に転がっているのは、成体ゆっくりでも潜り込めるほど大きな貝殻ばかりだった。 ここが海であった時代は、こんな大きな巻貝が近辺に生息していたのだろうか。 「ゆ!れいむはこれにするよ!!」 「とかいはのありすにぴったりなのはこれね!!」 「まりさはこれにするよ!これがいちばんゆっくりつよいかいがらだよ!!」 そうして3匹が貝殻を持ち帰って…一ヵ月後。 まりさの偵察によれば、今日がお兄さんの新しい家の竣工日だ。 その情報どおり、かつて群れのゆっくりたちの巣があった場所には、立派な3階建ての家屋が完成していた。 3匹は皆思っていた。今日から、憎き人間はこの家に引っ越してくるに違いない、と。 そのときこそが、自分達の復讐のときだ。自分達の家を奪ったのと同じように、人間の家もゆっくりできないようにしてやる。 実際、その日のお兄さんは朝の早いうちに新しい家にやってきて、その後は一度も外に出ていない。 「ありすのさくせんはかんぺきよ!!とかいはのありすたちのちからをみせてあげましょう!!っぶぅ!!」 今回の作戦を立てたありすは、興奮のあまりクリームを吐き出しそうになっているが、寸前のところで堪える。 しかし、ありすの作戦が完璧であることには変わりない。3匹はそう確信している。 あれから3匹は、貝殻を持ち運べるだけの力をつけるために、毎日特訓を繰り返した。 何かあればすぐに貝殻に潜り込んで身を守る事が出来るように、俊敏性をつける訓練もした。 この一ヶ月間の日々は、全てが復讐のためにあったといっても過言ではないだろう。 「みんなでおにーさんをゆっくりこらしめるよ!!」 「「「ゆっくりぃーーーーーーー!!!」」」 「おにーさんにおうちをとられちゃったけど、こんどはみんながおにーさんをゆっくりできなくするよ!!」 「「「ゆっくりぃーーーーーーー!!!」」」 「おにーさんをこらしめて、こんどはみんなでゆっくりしようね!!!」 「「「ゆっくりしていってね!!!!」」」 最後に、結束を固める3匹のゆっくりたち。 彼らの目的はただひとつ。お兄さんの家を滅茶苦茶にして、ゆっくりできないようにすること。 彼らの願いはただひとつ。ゆっくりできる平穏な日々を、再び手に入れること。 そして…夜。 3匹のゆっくりは、願いを実現するべく…作戦を実行する。 「ゆっ…ゆっくりしずかにしてね!」 「れいむはむこうだよ!まりさはむこうにいってね!」 事前の作戦通り、3匹は等間隔でお兄さんの新しい家を取り囲む。 こうすることでお兄さんの退路を絶つというのが、ありすの説明だった。 完璧だ。完璧すぎる作戦だ。3匹は半分勝利を確信しつつ、作戦通りに配置についた。 ありすの完璧な作戦によれば、3匹のゆっくりが一斉に突入してお兄さんをゆっくりできなくさせることになっている。 そのときを…その合図を2匹は待っている。合図を送るのは他でもない、あの日偵察に向かったまりさの役目だ。 深呼吸して心を落ち着かせると、まりさは…声高らかに宣言した。 「ゆっくりとつげきいぃぃいいーーーーーーー!!!!」 「「「ゆううぅぅうぅぅぅっぅうぅぅ!!!!!」」」 (続く)? 作:避妊ありすの人 このSSに感想を付ける
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【更新:18.1.8】 ___ __/ ̄`´ . . . . .i___ / . / . . . . . . . . . . . . . ! . . . i ノ . . . . . . .// / / / ハヘ .八 . ´ . . . . . . .イ . / へ/ / /"`V . . `ヽ / . . . . .//!/i .从ィ芝ト㍉ Ⅵ . . .リ リ . . . /イ⌒レ' ハリ┴┴ xイハハノ ヽ . . 〈て( ヾ ヾソノリ 八 . !ヽつ . 、_ イ -=彡 . .イj . ハ ` ー/ イノ . . イ八 . .ヘ 、 `"/i イ .イ . . .i . . . ミ彡 ` ー - 〈 ト、 从リ . ハ! . . ヽ\ー―v「 ̄`ヾミ Ⅵ ̄ ̄ ̄ ̄| i i i i| i __rヘミ=ー __ ...r┘、 ──L i i i| i _ | |、 . . .. . . . \ | | i i i i i i i i ` .....、__ . . .. . . . / | | i i i i i i ヘ ∨ \ . . .. . . . / i iヽ i i i i i i ハ ∨ . . . .... . . . . . . . / l l i i \i / i ヘ ∨ . . . .... . . . . / l l i i i i i「i i i i ヘ ∨ . . . .... (出典:Fate) 初登場1スレ 15。 進行役としてではあるが、主人公よりも先に登場している。 できない子・やる実が住んでいたカノコタウンの孤児院を経営、そして教会神父。できない子にナイフ(量産品?)を贈っている。 まだ黒トレーナーになるという事を話す前に渡されたというところから、彼も何か知っているのかもしれない。 できない子は彼のことを「保護者」「親のようで親でない」という表現をしている。いつも愉悦?を楽しんでいるようだ。 スレには殆ど出ていないが、何かあると言峰のせいになる流れが時折ある。しかし言峰だから仕方がない。 +- 下地方を全て巡った後、できない子たちは一度孤児院に帰っている。 この際、博愛教の成りたちについて聞いた。更にナイフの事を聞こうとした際、できない子は頭痛が走る。 それを見て何も告げないことから、やはり何隠しているようだ……。 Pスキル スキル名 レベル 効果 備考
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2020年9月23日 出題者:mi タイトル:ひとりでできないもん 【問題】 ある男は、他人に協力してもらわなければ女をハメることが出来ないという。 どうしてだろう? 【解説】 + ... 男=雄ネジ(ボルト等)、女=雌ネジ(ナット等)、他人=人間(又は工具)。 オスの替えはいくらでもあるが、メスは激しく突っ込まれたり無理矢理されると 替えがなかなか効かないので、特になめたり中折れしないよう、優しく丁寧に取り扱いましょう。 ※ネジの話です。ネジの。 《エロ》 配信日に戻る 前の問題 次の問題
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2つだけの組分けで高いパフェ率を出せるパフェループ向きのテンプレ。1巡目は土台が3つ必要でありさらにIホールドのためセットアップ率が低いが、2巡目以降の理論パフェ率は89%とかなり高い。 作者 Lovemantis 作成時期 2022/10 最大パフェ率 90.40% 最小パフェ率 86.23% 1巡目セットアップ率 42.22% 理論パフェ率(1巡目加味8段) 37.58% 理論パフェ率(2巡目以降8段) 89.01% + 計算 パフェ率 90.40 86.23 セットアップ率 66.67 33.33 理論パフェ率 60.26 28.74 89.01 0.8901×0.4222=0.3758
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1確できない奴はモスコビアの固定沸き地点にくるな←隔離スレへ飛びます ※1 エビフィレオの発言のみ抜粋してます ※2 あまりに書き込みが多いので、どうでもいいAA、どうでもいい発言は割愛します。 11 名前:マーボナス@愉快な隔離住民[] 投稿日:2008/06/03(火) 00 42 10 2のほうがむしろ性格ひねくれてそうに見えるのは俺だけ?w 13 名前:マーボナス@愉快な隔離住民[] 投稿日:2008/06/03(火) 10 03 38 で、ⅢDの雑魚ケミってだれよw 流れ的に 2がそいつなんだろ?w
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投下絵保管庫 ■Part13 ■Part14 □Part15 □Part16 □Part17 □Part18 □Part19 □Part20 □Part21 □Part22 □Part23 □Part24 □Part25 □Part26 □Part27 □Part28 □Part29 □Part30 □Part31 □Part32 □Part33 □Part34 □Part35 □Part36 □Part37 □Part38 □Part39 □Part40 _Part41 _Part42 _Part43 _Part44 _Part45 _Part46 _Part47 _Part48 _Part49 _Part50 _更新停止 編集までの流れ 1.画像の保存 レス番で保存して下さい 1,2桁のレス番に関しては例の通り頭に0を付ける事 例)5,41 → 005,041) 画像の上げられたロダによってはBMP形式でしか保存できない場合があります(画像を保存ではなく対象を保存で回避) また元の画像がBMPの場合はJPG、PNG、GIFに変換して下さい 2.画像をアップロードする A1 必ず画像のレス番に対応したページ(Part○○_○○○)で作業して下さい(レス番は間違いない様お願いします) ページ下部のプルダウンメニュー内にあるアップロードよりフォームに移り、画像をアップロードします(画像A1) 3.サムネイル表示 B1 B2 1ページ(100レス)ごとに編集が効率が良いと思われます 画像をアップロードするとアップロードされたページの下部に添付ファイルという欄が現れます 添付ファイル欄のファイル名をコピーして編集に移り、まずはペーストして下さい(画像B1,B2) 1枚目を記述します ファイル名(最初にペースト) #(←半角)ref(ファイル名,,width=100,ファイルのURL) ファイルのURLは下記 http //www5.atwiki.jp/type?cmd=upload act=open pageid=ページナンバー file=ファイル名 (添付ファイル欄より1枚目を新しい窓で開きURLをコピー) 画像B2を参考に例) 100.jpg #(←半角)ref(100.jpg,,width=100,http //www5.atwiki.jp/type?cmd=upload act=open pageid=ページナンバー file=100.jpg) 14.png 15a.jpg 以降、100.jpg以下に記入した部分をコピーし、14.pngと15a.jpgの間と順に全てペーストしていく 各ファイル名をコピーして100.jpgとなっている部分にペーストしてリンクを確定させる 投稿前に記述を全てコピーしておいて下さい(エラー等で投稿できない場合がある為) 投稿前にプレビューでチェックした後は投稿のし忘れに注意して下さい 4.リク内容表記 リク内容が分かれば良いと思います 編集済みのPart13,14を参考にして下さい 検索用にご協力お願いします 例)(管理者はIDも書いていましたがPart15以降要りません) リク番 リク内容 レス番(ファイル名のままで構いません) コテ、酉 ← 記入しなくても可 サムネイル記述 (なるべくリク番、リク内容に対してまとめて下さい)
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http //www.iza.ne.jp/news/newsarticle/column/opinion/93783/ 【正論】集団自決と検定 「正確さ」犠牲にはできない 八木秀次 10/25 07 41 トラックバックURL: http //www.iza.ne.jp/news/newsarticle/93783/TrackBack/ ■沖縄への配慮は検定撤回とは別に ≪数を頼んだ政治的圧力≫ 文部科学省は今春、来年4月から使用される高校日本史教科書の検定で、沖縄戦での「集団自決」について、日本軍の「命令」や「強制」によるものとした記述に検定意見を付け、修正を求めた。最近、これを不服として、検定意見撤回を求める動きが沖縄を中心に全国に広がりつつある。特に9月29日に開催された沖縄県民集会に多数が集まったことにより、政府もこれに動かされる形で、各教科書会社による自主訂正を容認する形での、「事実上の検定意見撤回」を実現させ、「集団自決」が日本軍の「命令」や「強制」によるものとする記述を復活させようとしている。 しかし、教科書検定は第一次家永教科書訴訟最高裁判決(平成5年3月16日)が示した通り「教育内容が正確かつ中立・公正で、地域、学校のいかんにかかわらず全国的に一定の水準」を保つためのものだ。教科書記述として最も重要なのは教育内容として「正確」であることだが、「集団自決」については、日本軍の「命令」や「強制」によるものとする見解に有力な異論が近年提出されるに至っており、検定意見もそのような意見に配慮し、「正確」を期そうとしたものだ。数を頼んだ政治運動で「正確」さを犠牲にしてはならない。 また、教科書検定は学習指導要領や教科書検定基準などすべて法令に基づいて行われている。数を頼んだ政治運動によって、法令に基づいた検定結果が捻(ね)じ曲げられるのであれば、教育基本法の趣旨に大きく背馳(はいち)する。昨年12月に改正された教育基本法は「教育は、不当な支配に服することなく、この法律及び他の法律の定めるところにより行われるべきもの」(第16条第1項前段)と規定している。教育が、教育行政を含めてすべて法令に基づいて行われるべきものであるという法治国家として当然のことを規定したものだが、政府が教科書会社の自主訂正を容認する形であれ、事実上、検定意見を撤回するのであれば、明らかにこの規定に反する。政府が率先して法令を無視する形で「政治決着」をするのであれば、教職員に法令遵守(じゅんしゅ)を求めた教育基本法同条はもはや死文と化し、教育界を再び無法状態とする第一歩となろう。 ≪県民の不満も軽視できず≫ さらに仮に検定意見の撤回を許せば、検定制度は形骸(けいがい)化してしまう。後述するように沖縄の県民感情に配慮することは必要だが、そのことと検定に例外を設けることは別物だ。「県民感情」に配慮した形で検定意見撤回という事態に至った場合には、将来に大きな禍根を残す。近隣諸国から同じような動きが起こった場合にも、その国の「国民感情」に配慮して検定意見を撤回する事態を招きかねないからだ。 ただ、参加人数1万3000人とも11万人とも言われる集会に集った沖縄県民の思いは、一部政治勢力に扇動されたところがあるとはいえ、それはそれとして真摯(しんし)に受け止めるべきだ。 多くの沖縄県民の胸中には、自身や身内が犠牲になった沖縄戦について、本土側の無理解があるとの不満が渦巻いている。今回の動きも、「集団自決」に検定意見が付けられたことを契機に、「集団自決」という歴史的事実自体が教科書で否定的に扱われるのではないか、沖縄戦における犠牲も軽視されるのではないか、との不安が背景にあると思われる。もちろんそのような不安は杞憂(きゆう)だが、これまでその種の不満をすくい上げてきたのは特定の政治勢力であり、その点、保守派は深く反省しなければならない。 ≪保守派にも反省すべき点≫ 昭和20年6月6日、沖縄地上戦の海軍部隊司令官を務めた大田實少将が海軍次官宛(あて)に「沖縄県民斯く戦へり。県民に対し後世特別の御高配を賜らんことを」と打電し、後に自決したことはよく知られた事実だが、凄惨(せいさん)を極めた沖縄戦における沖縄県民の尊い犠牲に対して果たして本土の側に「特別の御高配」があったかどうか、振り返ってみる必要がある。例えば、教科書記述においても、本土防衛の盾となった沖縄戦の犠牲について、感謝と共感を示す表現があったかどうか。左派の執筆した教科書が“犠牲”と日本軍の責任を強調する一方で、その裏返しとなって記述が極端に少なく、冷淡にさえ映る教科書もある。これでは沖縄県民の共感は得られないし、改善が必要だ。拳(こぶし)を振り上げる前にその点を考え直すべきだろう。 沖縄の県民感情に配慮すべきはこのような点であり、決して「集団自決」を軍の命令や強制によるものとして史実を捻じ曲げることではない。 (やぎ ひでつぐ=高崎経済大学教授)
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