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蝕師 -プレデター- 概要 昇華を扱う花師、その中でも蝕側についている花師の通称。 蝕に操られてしまった花師や、蝕をあやつる花師がいる。 外見は赤系のメッシュ、赤に黒の影が渦巻いている瞳をしている 花を見るだけでは飽き足らず、花に対する欲求を強く持っている者。 性質 蝕に属し、蝕と行動を共にする花師の通称。 蝕に操られ人の道を踏み外した者や蝕を操り私利私欲を満たす者がいる。その被害は未知数。 かつて大きな被害を出した「凜花市連続放火殺人事件」の犯人も蝕師だったと言われている。 近年、蝕師の集団も確認されており、凜花市を脅かす脅威となっている。 中には人の理を外れ、その在り方を虚ろな存在にしてしまった者も多い。 この世界のバグであり、ともすれば最も「人間らしい」存在である。 名前 魂華 昇華 学名 所属 身長 白麗 ユウ ギンリョウソウ 竜 Monotropastrum humile 蝕師 華禰 儀優 アリウム・ギガンチウム ハンマー Allium giganteum 蝕師 185 華蝶 靭 ジンチョウゲ 大鎌 Daphne odora 蝕師 ルナリアン・ローレライ チューリップ(ブラックパーロット) 鞭 Tulipa gesneriana L. 蝕師 繭墨 真夜 マムシグサ 穴 Arisaema serratum 蝕師 渕浦 宵人 メマツヨイグサ 札 Oenothera biennis 蝕師 雀野 博士 カタバミ パンジャンドラム Oxalis corniculata 花教徒 175 鸛上 少名 ガガイモ ハシビロコウ Metaplexis japonica 蝕師 143 伊賀専女 主珠 ヒガンバナ 包丁 Lycoris radiata 蝕師 156 亜夢 チョウセンアサガオ シャムシール Datura metel 蝕師 175 空都木 ねむり ドクウツギ 毒(体液) Coriaria 蝕師 150 山梨 正紫 フジ 花火 Wisteria floribunda 花教徒 クラムボン/山梨桔梗 キキョウ 手術刀(メス) Platycodon grandiflorus 蝕師 槙 ブラシノキ 目玉 Callistemon speciosus 蝕師 170 白鐘 カタリ カタクリ(白) ガスマスク Erythronium japonicum 蝕師 春野 家司 ノゲシ 部屋 Sonchus oleraceus 蝕師 秋野 芥司 アキノノゲシ 鍵 Lactuca indica 蝕師 甘宮 佳雅智 ヘビイチゴ 肉たたき Potentilla hebiichigo 蝕師 156 亞天 凜廻 ダリア 重力 Dahlia 蝕師 168 あい ラフレシア 52ヘルツの鯨 Rafflesia 蝕師 166 黄昏 ニシキウツギ 鏡 Weigela decora 蝕師 160 月食女 ツバメスイセン 舞扇 Sprekelia formosissima 蝕師 徳井川 由我 ライチ ミラーボール Litchi chinensis 蝕師 172 鵺芹 一 セリ ガベル Oenanthe javanica 蝕師 178 八薺 緋白 ナズナ 三味線 Capsella bursa-pastoris 蝕師 165 [[]] ハハコグサ 人形 蝕師 小鳥遊 奏賀 コハコベ ひよこ 蝕師 鬼田平 小太郎 コオニタビラコ 鬼 蝕師 200 月庭 千歳 ダイコン アンクレット Raphanus sativus var. hortensis 蝕師 152 如月 芯珠 カブ 鉄球 蝕師 240 羽楓 燦嘉 トウカエデ 風 蝕師 165 矢吹汰 朝露 チャノキ(茶の木) お茶 Camellia sinensis 蝕師 150 大羽 十狗郎 ジギタリス 狐 蝕師 185 塀炉 ツガル ケシ 血 Papaver somniferum 蝕師 172 縁宮 継 シキミ 香炉 Illicium anisatum 蝕師 狐灼野 淳了 ツチアケビ 鉤縄 Cyrtosia septentrionalis 蝕師 諫把 叶恋 ミツバアケビ 手綱 Akebia trifoliata 蝕師 179 夜更 葉痕 カラスノエンドウ 五寸釘 Vicia sativa 蝕師 155 名前 魂華 昇華 学名 所属 身長 犬鳴 遊 ニチニチソウ メガホン Catharanthus roseus 蝕師 156 稲光 エンマ トキリマメ ギター Rhynchosia acuminatifolia 蝕師 157 マイスター・J カロライナジャスミン 義手 Gelsemium sempervirens 蝕師 186 鮮花 朱美 バラ(ジークフリート) フランベルジュ Rosaceae Rosa ’Siegfried’ 蝕師 アポカリッセ・ラードゥロ カラムシ 編み棒 Boehmeria nivea var. nipononivea 蝕師 179 [[]] ドクダミ カジノ Houttuynia cordata 蝕師 [[]] ハキダメギク 羽扇 Galinsoga quadriradiata 蝕師 [[]] アマ 服 Linum usitatissimum 蝕師 [[]] コセンダングサ ドローン Bidens 蝕師 極 美夜 アカネ ミキサー Rubia argyi 蝕師 一切 果無 ジャボチカバ 正体不明 Plinia cauliflora Kausel 蝕師 小 鸚文 ヘリコニア・ロストラタ 青龍偃月刀 Heliconia Rostrata 蝕師 関連項目 花師 蝕
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オウケンブルースリをお気に入りに追加 オウケンブルースリの情報をまとめています。リンク先には学生・未成年の方には不適切な表現内容が含まれる場合があります。またリンク先の内容を保証するものではありません。ご自身の責任でクリックしてください。 オウケンブルースリ <保存課> 使い方 サイト名 URL オウケンブルースリ <情報1課> #bf オウケンブルースリ <情報2課> #blogsearch2 オウケンブルースリ <情報3課> #technorati オウケンブルースリ <報道課> JRAジャパンC(G1)「大穴」は忘れた頃にやってくる!? 「単勝万馬券」級の衝撃再び、テイエムオペラオーを撃破した東京巧者の血 - Business Journal 【ジャパンC歴代指数ランキング】衝撃のタイムで駆け抜けたあの馬が1位! | 競馬まとめ - netkeiba.com - netkeiba.com 【アルゼンチン共和国杯】2勝クラスでオープン級の指数を記録したフライライクバードが有力 実力最上位は昨年の覇者オーソリティ(SPAIA AI競馬) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 【アルゼンチン共和国杯】大きく飛躍する馬が現れる東京の名物ハンデ重賞/長岡一也(netkeiba.com) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 【アルゼンチン共和国杯歴代指数ランキング】世界にも挑戦したあの名ステイヤーが1位! | 競馬まとめ - netkeiba.com - netkeiba.com 【菊花賞】メジロマックイーン、マチカネフクキタル、キタサンブラック… 「G1馬不在」の菊花賞を振り返る(SPAIA AI競馬) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 【菊花賞歴代指数ランキング】豪脚で三冠を阻止したあの馬が同率1位! | 競馬まとめ - netkeiba.com - netkeiba.com 【京都大賞典】アリストテレスが坂路で前日調整 陣営「見直したいです」 - スポーツ報知 【注目2歳馬】牡馬相手に野路菊Sをレコード勝ちのロン キーファーズ初の国内G1勝利を狙える逸材(SPAIA AI競馬) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 府中の鬼 ジャングルポケットが晴らしたフジキセキの無念(花岡貴子) - 個人 - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 【注目2歳馬】個性派オウケンブルースリ産駒がレコード勝ち! ジャズブルースのレース評価は?(SPAIA AI競馬) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 【セレクトセール迫る】ディープ4頭、キンカメ不在…「個体の能力を見抜く眼力」が求められる新時代へ - スポーツニッポン新聞社 【宝塚記念予想】クロノジェネシスVSレイパパレ? 人気の牝馬トップ3を抜いてAI予想の1番手に浮上したのは…/JRA重賞レース展望 - netkeiba.com 【2歳馬情報】2歳新馬戦スタート!いきなりディープ産駒の大物候補が登場! - 競馬ラボ 「ウマ娘」ウオッカ史実ではどんな馬? 日本ダービーを制した「女傑」の足跡をたどる - J-CASTニュース 相棒と師、絆が生んだ角田の栄冠 2001年ダービーを振り返る | 競馬ニュース - netkeiba.com 【ドバイワールドカップ展望】混戦模様もゴドルフィンの刺客が最右翼か - netkeiba.com ジャングルポケット死す…21世紀最初のダービー馬 - サンケイスポーツ 【ジャパンC予想】アーモンドアイ、有終の美に期待 | 競馬ニュース - netkeiba.com 熟練の手綱裁きは未だ衰えず。ベテラン内田博幸の原体験とは。(平松さとし) - Number Web - ナンバー 【ジャパンC】日本の牝馬による初勝利となった2009年のウオッカ/JC名牝列伝 - netkeiba.com JRA菊花賞(G1)「乾坤一擲」オウケンムーンが大波乱の使者!? 父オウケンブルースリが成し遂げた「淀の伝説」再び - Business Journal オウケンブルースリに追いつけ追い越せ、トーセンジョーダン - 競馬ヘッドライン 【共同通信杯】ムーン変幻自在のセンスでクラシックへ名乗り - サンケイスポーツ 【ズームアップ】競走馬名の文字数制限を掘り下げる! - サンケイスポーツ オウケンブルースリやロードアルティマが仲間入り/イーストスタッド・種牡馬展示会 - netkeiba.com オウケンブルースリがイーストスタッドに到着 | 競馬ニュース - netkeiba.com オウケンブルースリ1・19引退式 - デイリースポーツ オウケンブルースリ <成分解析課> オウケンブルースリの55%は株で出来ています。オウケンブルースリの22%は赤い何かで出来ています。オウケンブルースリの9%は毒物で出来ています。オウケンブルースリの9%は大阪のおいしい水で出来ています。オウケンブルースリの5%は税金で出来ています。 ページ先頭へ version3.0
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北条綱高-北条五色備- 基本情報 フレーバーテキスト 未進化 + ++ 最終 セリフ集 参加イベント 参加ログインストーリー エキストラコンテンツ 基本情報 北条綱高 北条綱高+ 北条綱高++ [赤備]北条綱高 能力値 能力値 能力値 能力値 スキル 赤揃えの突貫 関連家臣 [恩師] 多目元忠[態度が大きい] 北条綱成 フレーバーテキスト 未進化 北条綱高(ホウジョウツナタカ)は北条家の現当主、三代目北条氏康の父となる北条氏綱に養子として迎えられる。北条家の一門に加わった以後、武勇に優れる綱高は北条家躍進のためには無くてはならない人材にまで育つ。北条家の中核を成す五人の家臣とその軍は色になぞらえた北条五色備(ゴシキゾナエ)と呼ばれその一角「赤備え」の大将を勤める「命知らずの馬鹿が居るなら俺に付いてきな!」 + 当時、無鉄砲なだけの若武者であった綱高は周囲との衝突も多かったが、北条家の軍師となる多目元忠に師事して以後は、その気性を落ちつかせていく。多目元忠は軍略のみならず武士としての振舞いや礼儀に至るまで、様々な事柄を綱高に教え、綱高自身も元忠の事を恩師として仰いでいる「俺みたいな奴をまともな武士に育ててくれたんだ、元忠センセには感謝してるぜ」 ++ 北条綱高の率いる赤備えは北条五色備の中でも特に勇猛で、ある意味で命知らずな兵達により構成されている。北条家に限らず、朱色とは戦場で武功を立てた者に与えられる特別な色となる。そのため、朱色を冠する者達を赤備えと称するのは古くからの習わしでもあり、赤備えと呼ばれる部隊を有する多数存在する「歯ぁ食いしばれ!北条赤備えの心意気、見せてやろうじゃねえか!」 最終 綱高と同じく北条五色備を率いる北条綱成とは、性格が近い事もあってか親しい間柄となる。血気盛んな二人とその手綱を握る多目元忠の構図は北条家内外に関わらず、至る所で見受けられる「綱成の野郎には悪い事しちまったかなぁ……ま、あいつはもうちっと元忠センセから説教されるべきだろうし、これはこれで丸く収まるのか?」 セリフ集 マイページ(未進化) おい、次の戦はいつだ?一山いくらの雑魚じゃ俺は止められねえしな、頼り甲斐あんだろ?戦場に出るとどうも頭が熱くなっていかんな、元忠センセにまた説教だぜもうよ、この城も北条の城でいいんじゃねえの? マイページ(中途進化) 流石の俺もこのメンツの中じゃちょっと霞んじまうなまた元忠センセのお説教だぜ、糧になる事は確かだが諸手を挙げては喜べんな考えるのが面倒くさくなったら俺を使え、引っ掻きまわすのは十八番だからな楽しければ俺はなんでもいいぜ、適当に扱ってくれ妖魔っつっても俺達とそんなには変わらんのな、いや、もちろん一部の奴の話だがよ休み過ぎると勘が鈍っちまうんだ、さっさと次の戦を頼むぜ綱成の野郎も氏康様を呼び捨てなのが気に入らねえ、様をつけろってんだよ綱成の野郎には負けちゃらんねからな、常に死ぬ気でかかってるぜ マイページ(最終進化) 戦場で綱成を見失ったらな、勝った勝ったとうるせえ集団を探せ元忠センセも妙な術を習ってんのな、俺もそろそろ刀以外を磨いてみるか?氏康様の行くところ、この綱高ありだ、いつだって命は捨ててるぜひょろい体の割にはいい腕してるな、そういう奴は嫌いじゃないぜ赤備えってのはウチが元祖じゃねえんだ、だが偽物呼ばわりさせるつもりもないぜ氏康様には退屈で平穏な暮らしは似合わねえ、妖魔界に来て正解だと思ってるぜ元忠センセか?まあ……恩師だな、間違いねえよ、お前には恩師は居るのか?俺や綱成の野郎が頭をカラに出来るのも元忠センセが居てこそだな綱成の野郎も氏康様を呼び捨てなのが気に入らねえ、様をつけろってんだよ休み過ぎると勘が鈍っちまうんだ、さっさと次の戦を頼むぜ バトル開始 妙な小細工を仕掛けられる前にぶっ潰しとくぜ!?敵さんに自慢の策を披露される前に、さっさとやっちまうぞ!?誰が一番勝ち星を挙げられるか、勝負するか!??北条赤備え、どえらい戦果を持ち帰ってやんぜ!? 進軍時 ちったあ手応えってのを見せてくんねえかな?早い者勝ちなんでな、悪いが次もいただくぜ綱成に後れを取るわけにはいかんからな!正々堂々こいよ、俺がしっかりと受け止めてやるからな! 参加イベント イベント名 参加ログインストーリー 北条五色備(赤) エキストラコンテンツ +...
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間奏曲~ふたりのモノローグ~ 冷たい雨が降りだしました。 銀の鎧を雨の滴が滝の様に流れ落ちます。鎧の下の綿入れまで雨に濡れて、益々ずっしりと重く肩にのしかかります。 しかし、敗残の兵に雨を避けて休憩するだけの時間はありませんでした。 「雨だなんてツイてませんね。」 パーシヴァルは努めて明るい声で言いました。 「こんな時ににはグラスランドの服装の方が合理的かという気もしますよ。」 パーシヴァルに返そうとした微笑みは笑みにはならず、彼らの騎士団長はまた足元のぬかるみに目を落としたまま寡黙に馬を進めていきました。彼女は両手で手綱を握りしめたまま、銀の髪にから滴り落ちる雫や、馬の歩に従って跳ね上がる泥さえ、拭おうともしませんでした。騎士団の長として、また一人の騎士として、彼女が並々ならぬ、そして肩代わりのしようもない重責を背負っていることを誰もが承知していました。また先頃、一人の人間として彼女は自ら大きな責任を背負って立つことを決意したばかりでもありました。彼女自身が決意したからといって、重荷が減るわけではないということを知っていましたから、見て見ぬ振りを出来ぬ者たちの心は、なおさら疼さを増すのでした。 せめて鎮痛剤があればと、パーシヴァルは懐を探りました。甘い言葉なら掃いて捨てるほど知っています。しかし幾千の言葉の海から彼女の心の痛みを和らげる言葉は、一つとして探し出せなかったのでした。 宿営地を片づける間、傭兵たちは皆疲れ切って寡黙でした。仲間の亡骸を葬る暇もなかった傭兵たちの一部はキャンプの片隅で静かに祈りを捧げていました。 「故郷に帰ろうと思ってる」 戦いでぼろぼろになった鎧を繕いながら、グレイが言いました。パーシィは突然の一方的な通告に何と答えて良いのか、あるいは答えるべきではないのかすら分からずに、「そっか。」とだけ答えました。 「お前はブラス城に残るんだろ。」 「分からない」 「騎士になるんじゃなかったのか?」 「なぜ騎士になるのか、分からなくなってきた」 パーシィはグレイに正直な気持ちを打ち明けました。グレイは罵ったりも茶化したりもせず、 「無理ないな」 とだけ言って、再び黙々と鎧の縫い目を繕い始めました。パーシィは肩すかしを食ったような気分になって、シュンとして自分も靴紐を結び直したり、剣を磨いてたりしていました。 鎧の繕いを一通り始末し終えると、グレイはまたおもむろに口を開きました。 「無責任かもしれないけど、オレはお前にこそ騎士になって欲しいと思う」 「なんで?」 とパーシィは聞きましたが、グレイはその理由を答えず、 「でもこれは無責任な意見だから」 とだけ繰り返しました。 会話にならない会話は、そんな感じで終わったのです。 隊列は黙々と進んでいきました。雨は降り止まず、道はますますぬかるんで、行く手を重く遮ります。パーシィはもう言葉を探すのを止めてしまって、鎧も鎧から覗くうなじも何もかも雨に打たれるままにしていました。今度はクリスの方が口を開きました。 「何故・・・」 雨に打たれながら譫言のようにクリスがつぶやきました。そしてそんな言葉を言いかけた自分に呆然としたように口を噤みました。 騎士団長の白馬はいつの間にか跳ね上がる泥でまだら模様の馬になっていました。 主の白い頬にも黒い斑点がいくつもできていましたが、世の苦悩に汚れた乙女は兪々深く美しく胸を抉るのでした。 「何故・・・・・・こんなにしてまで戦うのですか?」 パーシヴァルは彼女の言いかけた言葉を引き承けてわざと冷たく言い放ちました。 「貴女が戦わなくても誰かが戦うでしょう?」 言葉のかわりに全身で存在を表現している赤子の泣き声の様に、雨が肩を打ちつけ、瞳に溢れ、白い頬を伝って幾重にも流れ落ちました。 クリスは顔を上げて空を睨みました。バラバラと降ってくる大きな雨粒が目を濡らします。彼女はそして祈るように目を閉じました。 「・・・・・・・・・・・・それでも・・・・・・それでもなのだ」 パーシヴァルは漸く革袋から布を一枚引っ張り出してクリスに差しだしました。あまり清潔な布ではありませんでしたが、クリスはそれを黙って受け取り顔を拭いました。 その肌を、またすぐに水滴が濡らしていきます。 なめらかな肌を滑り落ちた雨は、温かい滴となって幾重も波紋をつくりました。 そうして優しい、痛いほどに優しい雨が、静かに時を満たしていくのでした。 next ビネ・デル・ゼクセ編 名前 コメント すべてのコメントを見る -
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パパとママが私とお兄ちゃんにタブンネをプレゼントしてくれた。 パパもママも働いていて留守がちだけど、タブンネがいるから寂しくない。 でも、タブンネは私とお兄ちゃんよりもパパとママの方が好きで、パパ、ママが帰って来ると私たちと遊んでいても「ミィミィ」とお出迎えに飛んで行っちゃうのが、ちょっと憎たらしい。 今日もパパ、ママが帰って来るまでタブンネと遊ぶ。 お兄ちゃんが「タブンネの鼻の穴ってどこのあるのかな?」と言って、タブンネの毛をかき分けて探した。口の上の少し盛り上がった所に鳥の鼻の穴みたいな小さな穴が2つ見つかった。 「随分小さい鼻の穴だなあ。これじゃ呼吸がしづらいんじゃないか?広げてやろう」 お兄ちゃんはさっき私たちがジュースを飲むのに使ったストローをタブンネの鼻の穴に挿した。 「ミッ!プヒュプヒュ…」タブンネは不快そうにストローを取ろうとする。 「ストローじゃ細すぎるんだな。じゃあ、あれだ」 お兄ちゃんは台所から漏斗を2つ持って来た。漏斗の管はタブンネの鼻の穴より直径が大きかったので、ギュウギュウ押し込んでいた。 「ミッ!ミィッ!」押し込まれる時は苦しそうに鳴いていたタブンネも、漏斗がしっかり収まるときょとんとしている。 その顔がマヌケっぽかったので、お兄ちゃんと私は笑った。だってブタみたいなんだもの。 それから2人で床に腹ばいになったタブンネの背中に乗って乗り物ごっこをした。 私が前にすわり手綱がわりにタブンネの両耳をギュッとつかむ。お兄ちゃんは後ろから丸まっている触角をピンと伸びるまで引っぱる。 「それ出発だ!」「ミィッ!ミィッ!」タブンネは鳴いて短い手足をバタバタさせるだけでちっとも前に進まないので、私はタブンネの頭を、お兄ちゃんはお尻をバシバシ叩く。 「ミィィィィン」タブンネは一生懸命体をくねらせてじわじわと前に進む。超スローだ。 「今度は逆方向だ」私たちは逆向きにすわり直す。お兄ちゃんはタブンネの尻尾をつかみ、グイッと引いた。「ミャア!」タブンネのお尻が持ち上がり、私たちは床に転がり落ちた。 「やっぱり乗り物ごっこよりブランコの方がいい」私が言うと、お兄ちゃんもうなずき、2人でタブンネを連れて表に出た。タブンネは「イヤ。おうちがいいの」と言うようにフルフルと首を振り足を踏ん張ったが、そんな引き籠もりが許されるわけがない。 タブンネの足をロープでくくり庭の木の枝から逆さに吊す。私とお兄ちゃんはタブンネの触角につかまってブラ~ンブラ~ンと揺れて遊ぶ。「ミィ~ミィ~」タブンネもかけ声をかけてくれる。 「ミゥギャギャギャ!」汚らしい声と同時に触角が切れ、私たちは地面に尻餅をついた。 「やったな!意地悪タブンネめ!」私たちは抗議して木の枝でタブンネをめった打ちにした。 「ミィ!ミィ!ミィ!ミィ!」タブンネの目からジョボジョボ謝罪の涙が溢れる。 次は両手をくくって足を下に吊した。尻尾につかまってやり直しだ。 でも、尻尾もやがてちぎれてしまった。 喉が渇いたので家に入ってミックスオレを飲んだ。もちろんタブンネにもあげる。でも今日はうっかり間違えて、鼻の穴に挿した漏斗にミックスオレを注ぎ込んでしまった。 「ミビュッヒュ~~~ィ!」逆流したミックスオレが漏斗から噴水のように噴き上がった。 きれいな眺めだったので、サイコソーダ、モーモーミルク、きのみジュースなど、いろんな飲み物を注いでみた。「ミギュゲフッギュルルップミィーー!」タブンネも大奮闘だ。 お兄ちゃんと私は遊び疲れてタブンネに両側から寄り添って眠った。眠っている間にタブンネのちぎれた触角や尻尾は再生する。漏斗もいつの間にかはずれて床に転がっている。 ピンポ~ン。パパかママが帰って来たようだ。 私たちはかったるいのでそのまま寝ているが、タブンネはすごい勢いで玄関に飛んで行く。玄関からママの声が聞こえる。 「あらあらタブンネちゃん。甘えんぼさんね。今日もあの子たちの面倒をみてくれてありがとう」 「ミヒッ!ミヒッ!ミヒッ!」タブンネちゃんが必死に何か訴えている。 「あなたが来てくれてからあの子たちはいい子になったのよ」 「ミヒッ!ミヒッ!」 「来週から私とパパは仕事で2週間留守にするんだけど、よろしく頼むわね」 「ミッ!?」 ママと一緒にリビングに入って来たタブンネは責任の重さからか、暗い顔で俯いていた。 私とお兄ちゃんは楽しい2週間を思い、顔を見合わせてニヤリと笑った。 END タブンネちゃん殺されないように頑張ってね -- (名無しさん) 2012-12-22 22 01 48 名前 コメント すべてのコメントを見る
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Ⅷに登場するキャラクター。 モンスターズシリーズに登場するモンスターとしてのトロデは【トロデ(モンスター)】参照。 DQⅧ トロデーン国王。通称トロデのおっさん。 ラプソーンが封印された杖を道化師【ドルマゲス】に強奪され、緑色の小さな魔物に姿を変えられてしまった。 自身と愛娘【ミーティア】姫、そして【トロデーン城】にかけられた呪いを解くため、 臣下の中で唯一呪いから逃れた主人公と共に、ドルマゲス討伐の旅に出る。 旅の際に娘に馬車を引かせるのはまだしも、手綱で指示するのはどうかと思うのだが、 【チャゴス】がミーティア姫を乱暴に扱った際には激怒したこともあった。 海外版ではサブタイトルがJourney of the Cursed King、つまり「呪われし王の旅」となり、完全に主役級の扱いとなる。 魔物の姿ゆえに、最初に立ち寄ったトラペッタの町等では、住人に石を投げられたりすることもあった。 当然、こんな姿では宿にも泊まれないので、寝るときは馬車の中で、食事は概ね缶詰等で済ませている模様。 ただし、三角谷は魔物ばかりの村であるため、人目をはばかることなく羽を伸ばせるということで、彼を操作する事が出来る。 当初はドルマゲス討伐が目的であったが、呪いそのものは【暗黒神ラプソーン】に由来するものであったため、 ドルマゲスが死んでも呪いが解けず、以後も呪いを解くための旅を続けることになる。 もうちょっとだけ続くんじゃ。 臣下である主人公の他旅の途中で仲間になる三人にも尊大に接するが、主人公以外からは主君だとは思われていない模様。 最終的には、暗黒神ラプソーンが滅びたことで元の姿に戻る。 人間のときの姿は、エンディングのほか、トロデーン城の惨劇の回想シーン等で確認できる。 元の姿に戻った際、ヤンガスに「魔物のときの姿と大して変わらねえじゃねえか」とまで言われた。 事実、体格や顔つきなんかは面影があるどころか、全く変わっていない。正直肌の色と髪型くらいしか違いがない。 EDにおいてチャゴス王子とミーティアの結婚式を仲間たちと破壊し、真EDでは主人公とミーティアの結婚を黙認する。 どちらのEDでも木の枝でポールアックスを受け止め、兵士を打ち倒すという戦闘力の高さを見せ付ける。 イベントはもちろん、錬金から戦歴の画面まで出てコメントを放ち、更には助けを呼ぶと戦闘中にまで乱入して戦ってくれる、働き者な王様である。 意外と手先が器用であり、宿屋に泊まったりすると、たまに彼が錬金釜を修理する場面が見られる。 何処からともなく登場することがあり、その度にヤンガスが【おっさん いつのまに!】と驚くのは、お約束のやり取りである。 彼自身は、おっさん呼ばわりされることを快く思っていないようだが。 なお戦歴画面での彼の言葉によれば実年齢50歳。でも彼にとって50歳は「おっさんではなくお兄さんじゃろ?」らしい…。 しかし、ヤンガスの特技【おっさん呼び】を使うと、 おっさんと呼ばれるのを嫌がってたくせに、食事中の缶詰を放り投げ、むさいおっさんたちを率いて、 洞窟の最深部だろうが山岳の頂上だろうが、最終決戦時の空の上だろうが救援にやってくる。 他に戦歴画面で旅の評価をしてくれるが、条件を満たすと旅の途中でお世話になった【アスカンタ】を 「今のお前たちは 騎兵1個師団にもおとらぬほど強い!アスカンタくらいなら 楽に征服できるぞ!」 などと物騒なことを言い、密かに領土拡大しようとしてるんじゃないかと邪推してしまう。 また、特定条件を満たすと戦歴画面でゼシカに対してのセクハラ発言を自重しなくなったりすることも。 とはいえ、おっさん呼びで大量のおっさんを引き連れて現れるので、本当に人望はあるようだ。 また【ふしぎな泉】のイベントでは某世紀末救世主漫画に出てくる獄長のような台詞や 【太陽のカガミ】入手時の会話では某中学校教師のような説教をたれたりと本作でも屈指のネタキャラである。 DQⅨ スペシャルゲストとしてリッカの宿屋に遊びに来る。 特定条件で話しかけることにより、彼にまつわるコスプレ装備をくれる。 特筆すべきは頭装備の【トロデマスク】。 モンスターとしてのトロデの顔の被り物で、装備すると顔だけトロデになるという衝撃アイテムである。 彼のくれる装備品を全て装着し、トロデ王を完全再現することで、サンディから称号がもらえる。 なお、プレイヤーキャラはどうやっても彼のような体格にはならないので、かなり不自然な見た目に…。
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前ページ虚無の王 虫の囀りが、夜風と混じり合った。 白く乾いた街道が、夜の中へと緩やかな弧を描く。 乾涸らびた野草の群が、月明かりに濡れて吐息をついている。 不意に、火炎が奔る。 灼熱疾走、矢の勢いで街道を貫き、夜を断ち割る。 衝撃が下生えを弾き飛ばす。 固い路面をウィールが滑る。 一歩。 また一歩。 その都度、4キロワットのモーターが唸り、体を風に叩き付ける。 全身を襲う衝撃に、目が、肺が機能を忘れる。空気が重油の粘度で体にへばり着く。 風を突き破った先に見えるのは、見た事も無い世界だ。 視野が潰れ、街道が溶け落ち、土色の河が背後へと飛んで行く。 焼け付く息に肩を揺らし、キュルケは虚空の一点を見据えて直走る。 夜の裏には八頭の竜が居る。タバサが居る。 正体の知れぬ竜騎士の一団と、捕らわれの少女を前に、警備の目を光らせている筈のトリステイン騎士達は何を見ていたのだろう。 何も見てはいない。 その目は今を見ぬ様に、明日を見ぬ様に、昨日までは確かに在った学院本塔の影を追っている。 6000年の偉大な歴史と、魔法に最も秀でた王国と言う虚像だけを見つめている。 先行する風竜に追いつくのは至難だ。ハルケギニアにその術は存在しない。 だが、キュルケには異世界からもたらされた羽根が有る。 一般的なATは80㎞/h。キャノンボーラーは280㎞/h。 最速を誇る炎の道〈フレイム・ロード〉は次元が違う。トップスピードでは人間の動体視力を振り切り、目視すら許さない。 世界が震えた。 路面の僅かな起伏が指先にまで痺れを運び、小砂利が肺を突き上げた。 全身から汗が噴き出し、心臓が溶鉱炉に変わる。 ATほど空に近い乗り物は無い。 目にも止まらぬ速度に生身を晒す。 一つ、蹴躓けば、たちまち、誰の手も届かない所まで飛んで行ける。 心拍が200に近付き、世界がどろりと粘度を帯びる。 月明かりの隙間に八つの影を認めた時だ。一年前の記憶が脳裏を掠めた。 「貴女、随分とミス・ヴァリエールを意識してらっしゃるのね」 顔は覚えていない。いかにも得意そうな声だけが耳に残っている。 トリステイン女はこれだから嫌だ。 領地を接する大貴族同士。想像し易い事を指摘して見せれば、賢察を装えるつもりでいたのだろう。 キュルケの冷笑を、相手は都合良く解釈した。 全く、馬鹿げた話だ。 確かにヴァリエール家は仇敵だ。典型的なトリステイン女の欠点を平たい形にしたルイズも虫が好かない。 だからと言って、家門以外に何の取り柄も無い小娘を誰が意識などするものか。 自分が同年代を意識するとしたら、それはタバサ唯一人だ。 自分達は性格が違い、年が違い、同時に力が等しいからこそ巧く行っていた。 今は随分、差がついた気がする。 最も早く牙の玉璽〈レガリア〉を使いこなしたのはタバサであり、恐るべき風の王を前に、最も勇敢だったのも、死ねない理由を抱えている筈のタバサだ。 このままでは、格好がつかない。 「タバサ。逃がさないわよ」 杖を一振り。短いスカートが、空を掴んだ。 最初に気付いたのは、最後尾の騎士だった。 「気にする必要は無い」 先頭を行くイザベラは、振り向きさえしなかった。 トリステインの玉無し騎士共は、学院本塔と言う竿さえ失くしてしまった。 そんな連中が前を向いて空を飛び、敵の後に突っ込めるだろうか。出来る訳が無い。 全く、その通りだった。 しかし、世の中には万が一と言う事が有る。 何より、追っ手がかかった時、最も危険な位置に居るのは他ならぬ彼だ。 練達した竜騎士の本能は、追随、相互支援、そして索敵と言う三つの原則を、一時たりとも忘れる事が無かった。 その本能が、異変を教えてくれた。 雲と地平線の間から、赤い瞳が睨んだ。 二つ、三つ、四つ。 小さな光は忽ち花と咲いた。夜風を呑み込み、みるみるその大きさを増して迫って来る。 「退避!」 手綱を手繰りながら叫んだ。 事態に気付いた六騎の竜は、風の隙間に鼻先をねじ込み、一斉に散開する。 火メイジ操る火球は厄介な魔法だ。 時速200リーグで巡航する風竜を狙い撃つのは至難だが、この魔法は熱源を追尾して背後から迫って来る。 風メイジなら打ち払う事も可能だろう。 そうでなければ、とにかく逃げる事だ。無限の射程を持つ魔法など在りはしない。 急激な運動を強いれば、火球はそれだけ減衰、ついには消滅する事を、竜騎士達は経験で知っている。 二騎、空に残る騎士が居る。 一騎は鉄檻を懸架運搬中。中身はトロル鬼でも雄牛でも無いとは言え、脚に鉄の塊をぶら提げているのだ。さしもの風竜も動きが鈍る。 イザベラは柳の腰を捻ると、長い指先の下で杖を撓らせる。 準備するのは霧の魔法だ。火球の威力を瞬時に吸収、文字通りに霧散する。 敵手が範囲内なら同時に蒸し焼き。火の術者は一際、与しやすい。 蒼く長い髪が、夜風に溶けた。 水のドットメイジだ。魔法には自信が無い。だが、魔法の使い方には自信が在る。 燃費が悪ければ、どうしても工夫を強いられる。 杖先の弾力で、距離とタイミングを図る。 火球はどの竜に食いつくだろう。 右に急旋回する最後尾の騎士か。 上空へ弧を描く一騎か。 横転急降下を始めた気の早い男か。 こちらに来るなら、準備済みの魔法が物を言う。 風が鳴る。 白い帯が月明かりの下に紋様を描く。 竜の翼が空から切り出す、水蒸気の帯だ。 空力加熱の轍を前に、四つの火球が、どれにしようか、と迷っている。 神様の言う通り、火球が雲の尻尾に乗った時だ。 杖を握る手と、世界が同時に凍った。 凍て付いた空の中で、四人の騎士が火達磨に変わっていた。 呼吸を思い出した時、火球が空のレールを滑り出した。 赤光を曳いて一転。風竜の尻尾へと追いすがる。 訓練された風竜だ。騎士が無くとも、すべき事は理解している。元より、危険を回避する本能が有る。 だが、背に火をくべられ、錯乱した竜にどんな機知が期待出来るだろう。 火球が爆ぜた。 一騎。 また一騎。炎に包まれた翼が墜ちて行く。 内耳に風の唸りを覚えながら、イザベラは反射的に夜空の底を見回した。 もう一人、どこかに術者が居る。 それは全く、正常な反応だった。 少なくとも、火球を放った術者自身が、魔法を追い越して肉薄したと考えるよりは間違い無く理に叶った考えだ。 メイジの姿はどこにも無かった。 竜の姿はどこにも無かった。 更に二騎が炎上。 姿無き術者の火炎が、配下の騎士を踏み潰しながら迫り来るのに気付いた時、耳元で衣擦れの音が囁いた。 「時よ、止まりなさい――――」 冷たい息が耳朶を撫でた。 目線よりも先に、手が振り返った。 短刀の鋭さを帯びた杖先が破ったのは空だけだ。 心臓に冷感を覚えた時、目尻を炎の轍が撫でた。 火球では無い。理性がそう断じた時には遅かった。本能が先走り、杖先が白濁した霧を吐き出していた。 灼熱の雲が弾けた。水蒸気が忽ち視野を呑み込む。灼けた感触が肌に吸い付き、口腔を舐る。 焦げ付く粘膜を喉から吐き出しながら、イザベラは恐慌に溺れようとする意識を必死で繋いだ。 何が起きているのか判らなかった。 何者が相手かも判らなかった。 炎の道“After Burner”。衝撃波と炎の痕跡のみを残して姿を消す超高速トリック。 最速の風竜に跨る騎士の目が、風よりも速い物を追える訳が無かった。 鉄檻を懸架する騎士。思わず、息を飲んだ。 少女が居る。 炎の赤髪、紅鋼玉の瞳。 チョコレート色の肢体が二つの月と、風竜の首の間に佇立する。 不作法な密航者を背に、騎竜は微動だにしない。ただ、祖国へと続く空の向こうを見つめている。 少女が手を差し出す。 長い指の下で時計が揺れる。ゲルマニア製の機械時計だ。なんのつもりだ? 杖を振るおうとして気付く。体が動かない。 少女の足下に炎が巻き起こる。 竜は動かない。時計は動かない。 炎が膨れあがる。 のたうつ火竜が成長と共に色を変える。 赤からオレンジへ、白へ、主の身の丈を超える頃には冷たい蒼に変わる。 見た事も無い炎を前に、騎士は魔法を試みる。 喉が動かない。竜は動かない。時計は動かない。 蒼い炎が、風竜の首を嘗めながら伸びて来る。 翼を包み、脚甲に絡む。 冷たい炎が心臓を撫でる。首に貼り付く。 脳裏にはどんな魔法も浮かばない。悲鳴は声にならない。風竜は動かない。時計は動かない。 沈黙の空を時計が舞った。 炎の道“無限の煉獄”〈インフィニティ・インフェルノ〉。 午前二時の空が、昼に変わった。 夜気を切り払って生まれた太陽は、その巨大な重力と熱量で、騎士と風竜と動きを止めた秒針とを一時に呑み込んだ。 夜の一点に白夜が閉じた時、そこには何も残されていなかった。 蒸発する霧の底から一騎の竜が地上へと落ちて行く。急降下加速、全力で離脱を図る。 イザベラだ。処女雪の肌に、火傷が浅く貼り付いている。 繊手が手綱を扱く。騎竜の脳神経に刺激を送る。 魔法の手綱だ。五、六人を背に時速数百リーグで飛べる生き物が、人一人背上で暴れようが、喚こうが言う事を聞く訳が無い。 ついには風竜の首に杖を打ち込む。魔力が生む激痛に、翼長10メイルの巨体が空を叩いて加速する。 「お人形。運が有ったら生き伸びな」 平時の騎士道と無縁な北花壇騎士は、敵に背を見せる事に抵抗を覚えなかった。 その正体が不明とくれば尚更だ。 敵手の正体を知っていれば、イザベラは最初と同じ様に言っただろう。 キュルケは空を蹴る。 美獣の肢体が一転、風の井戸へと飛び降りる。 鉄檻が、大地へと吸い込まれた。 体が重さを忘れた。 凍った息だけをその場に残し、空が頭上へ飛んで行った。 寮塔に置き去られた杖が脳裏を過ぎった。 今更、どうでも良い事だと思った。 魔法は得意だ。 この年齢でトライアングルの技量は極めて稀だと言うが、努力と言う物は記憶に無い。 やれば巧く出来る。巧く出来れば褒めて貰える。 こんな楽しい事を、やれるだけやらない理由がどこにある。 父が謀殺され、事情が変わった。 楽しかった魔法は、奪われた物を取り戻す手段に変わった。 今まで以上に、魔法に熱中した。 小さな胸の奥で、誰かが溜息をついた。 権勢を前に、個人の杖が意味を持つと信じる程世間知らずでは無い。 過去へと繋る細い糸に取り縋る事を、努力とは呼ばない。 結局、父の死から数年間、自分がして来た事がなんだっただろう。 何もしてはいない。 ただただ、沈黙を守りながら、我が身の不幸を言われずとも肩代わりしてくれる、都合の良い誰かを待っていただけだ。 そう、黙って耐えるほど楽な事は無かった。なにしろ、何もしなくて良い。 車椅子の男が、記憶のどこかで笑った。 天を操る風の王とは違った。風の王璽も身に着けてはいなかった。 「阿呆」 図書館での出来事だった。空が軽く小突いた。 「関係有るも無いも、損か得かも、ええ事か悪い事かかて、どうでもええ。一生懸命な奴見たら、誰だって応援したくなるし、手助けだってしたくなる物や。でっかい目標有るなら、仲間作らんでどうする」 何故、自分はあの異邦人を信じ続けたくなったのか、漸く得心がいった。 こんな自分でも頑張っている。 この世界のあらゆるしがらみと無縁なあの男は、そう認めてくれたのだ。 空が遠離る。手の届かない所へ飛んで行く。 背筋が土の味を思い起こして強張った時だ。 夜空に太陽が浮いた。 なんの工夫も変哲も無い鉄檻は、それだけに重かった。 レビテーションの魔法が潰れ、地面にめり込んだ。 茹で上がった吐息が二つの月に纏わりついた。 熱く柔らかい褐色の肢体が、鉄檻にも勝る重さで叢に沈んでいた。 細い首と豊かな双膨が、焼け付く心臓を吐き出そうと痙攣した。 王璽は極めて優れた回生能力を持つ。だが、装着者が生身である事に変わりは無い。 いかに優れた王と雖も無限の空〈インフィニティ・アトモスフィア〉を行使する回数には限界があり、それを超えれば自身の肉体を傷付ける。 トライアングルの力を持つとは言え、初心者同然となれば尚更だ。 喉の奥から炎を吐き出すと、この場に居る筈の無い人物は漸く立ち上がった。 情熱的な唇が、夜空に三つ目の三日月を浮かべた。 彼女との出会いが、脳裏を過ぎった。 入学の当初、タバサの興味を惹いたのは本塔の図書館だけだった。 遅れた講義にも、あちらこちらに波紋の態で浮かぶ社交の輪にも興味は無かった。 安全な学院で勇気と名誉を語りながら、お定まりの演目を演じるしかない貴族達。 役柄の違いに目を瞑れば自分となんら変わる所が無い彼等には、どんな価値も見出せなかった。 些細な一件から、キュルケの存在が浮かび上がった。本当に驚いたのを憶えている。 トライアングル・メイジ。 シュバリエの称号。 そうした物を、自慢にはしていない。 とは言え、幾多の修羅場を潜って勝ち得た力だ。自慢ではないが、自負は有る。 だが、微熱の二つ名を持つ赤毛の少女は、情熱と冒険心のみに従って、自分が血と硝煙の中に身に付けた力と同等の物を手にしていた。 ゲルマニアの名門ツェルプストー家の令嬢は、この世界の何物からも自由に見えた。 何物にも縛られず、何物も恃まず、ただ炎の如き奔放と情熱とで万事を決す。 その強靱な意志には、幾度と無く憧れを抱いた物だ。 「私が友達になってあげる」 お芝居好きの貴族の中で、彼女は驚くほど率直だった。 固い音が鳴った。 鉄檻を探っていた長い指が、ウィールに当たった鎖を拾い上げた時、タバサは首輪の存在を思い出した。 檻の下敷きになっていなかったのは、全く幸運だ。 体の芯が震え、タバサは小さなくしゃみをした。ベビードール一枚で風竜の快速に晒されれば凍えもする。 レンズの歪みが無い、滲んだ視野の中では、年来の友人が笑みを浮かべていた。 二つ名の通り、微熱を帯びた笑み。 常々、自分を困惑させて来た笑みだ。 「ねえ、タバサ」 僅かに上気した声が言った。 「この格好でウィンドボナを散歩したら、素敵だと思わない」 小さな唇から、溜息が漏れた。 夜が明けようとしていた。 血まみれの悪夢が終り、いつもの生活、友人の情熱と奇行に振り回されるいつもの毎日がやって来る。 その度に、タバサは呟くのだ。 「なんでやねん」 摩天楼の狭間を、白くぼやけた顔が埋め尽くした。 個々の差別が曖昧な点は勿論、それぞれに論じるに足る価値も無いと言う点で、古ぼけた仮面と変わらない顔の群だ。 林立するプラカードは、一つの文言で縫い付けられている。 『AT技術の特許を解放せよ』 熱狂の中心に、一人の男が居る。 一人だけ、輪郭が判然とした顔を持っている。 顔と名前なら、世界中の人間が知っているだろう。 ジョン=オマハ。米合衆国初の黒人大統領だ。 現職の大統領がデモの中心で歓呼を浴びている事を、奇異とは覚えなかった。 そう言う男だ。 顔と名前以上の事を知っている人間にとっては、不思議でもなんでも無い。 二酸化炭素削減に有用なエネルギー回生機構ATの特許を廃し、技術を無償提供すべし――――南米からの安価な抗エイズ薬がアフリカ大陸に流れ込むのを阻み、数十万と言うアフリカ人を殺戮した男が掲げた迷信を、オマハは忠実に受け継いでいる。 その主張が通るなら、殆ど一切の技術的特許は無効化し得る。 その時、利を得るのは誰だ。日米と言った技術、省エネ先進国ではないのは間違いが無い。 ゴアやオマハの活動と、民主党の元大統領クリントンが人民解放軍から献金を受け取っていた疑惑は、恐らく、何の関係も無いのだろう。 主流メディアがオマハの当選を目指して談合、対立候補や保守派の論者に異常な攻撃を加えていた事実は良く知られている。 そして、オマハ政権ほど発足前から金銭的醜聞にまみれた政権は米史上類を見ない。 現在、議会は共和党が優勢だ。 オマハが、自身の権力が前大統領モッシュに及ばない、と語る所以であり、その状況が続く限り、あのリベラリストは狂気の迷信を強行出来ずにいる。 では、奴はどうする。 恐らく、大衆を扇動する形で、AT技術関連特許の無効化を強行せんとする。 国民の情緒を利用するのは政治の禁忌だが、あの男は躊躇わない。 その瞬間、特許保持者や反対派は米国民の良心の敵となる。 そして、例えば日本の様な、膨大なAT特許保有国が当然の態度として異を唱えたらどうなるか―――― 「空」 その声が、空を白昼夢から引きずり出した。 白く灼けた世界が、次第に色彩を取り戻す。 煮え立つ空気が、地平線に陽炎を被せていた。 「ようやっとか」 揺らめく風に紛れる影を、猛禽の鋭さが捉えた。 全てを見通す鷹の目は、風の王が持つ能力の一つだ。 隣では、フーケがオペラグラスを片手に、空と地平線の狭間の黒点を追っている。 「随分、遅れての御到着だね」 声に苛立ちが混じった。 「昨日の内に着いとる予定やったんけどな」 その為に、空は先回りして、偶然の演出も込みのフネを確保した。 フーケは鬚子爵主演の舞台を盛り上げる為、役者を一抱え用意した。 日除けのフードの奥で、奥歯が軋んだ。 契約の延長も無料では無いし、何より高々傭兵風情に嘗めた態度を取られた事は、王国中の貴族を震撼させた大盗賊の矜持を痛く傷付けた。 「予定外の出費になったわ」 帽子の裏で、空はぼやいた。フネを一日余計に拘束。 それだけでは無い。 アルビオンが最も近付く日を過ぎてしまった。当然、風石の補給も余分にかかる。 同じ色をした目が、交錯した。 「舞台はもう一幕ありよったな」 「街中でね」 「殺れ」 フーケは無言で頷いた。 よい舞台とは役者も活き活きとしている物だ。 ラ・ロシェールが見えた。 港街へと続く峡谷は、蛇の気紛れで歪んでいた。 夏。 日中。 真っ直ぐでいられる物などありはしない。 プラタナスの木立が躍り、空気でさえも地熱に溶けて油の揺らめきを見せる。 タルブの草原を渡るのは二度目になる。 気楽な学生旅行との違いは、宮廷内の陰謀から、異世界からの侵略者まで、ありとあらゆる危険に備えなければならない事だ。 事実、昨夜も傭兵の一隊に襲われた。 ルイズは片目で眼下を窺った。 三人の少年貴族は、今も興奮覚めやらぬ様子で、昨晩の武功を誇りあっていた。 不意を打たれて危ない所だったが、所詮は平民の傭兵。自分達の敵では無かった。我々の勇戦を誰かに見て貰えなかったのは残念だ。 言いたい事が、溜息になった口から漏れた。 なるほど、実戦に不慣れな少年達は、確かに奮戦した。 がんばり過ぎた。 彼等に任せておいたら、傭兵達を殲滅してしまい、背後関係は文字通り闇に葬られてしまった事だろう。 結局は、ただの物取りだったのだが、それが判然としなければ不安で仕方が無い。 「どうしたのかね、溜息などついて。なに、もう少しの辛抱だ。ラ・ロシェールに着けば一息つける」 「い、いえ……!」 ルイズは慌てて顔を逸らした。 今は空やその手勢の目を欺く為、男装の状態だ。 ワルドは自分の正体に気付いていない。 倒錯的な装いを見咎められたくはなかった。 「あ……」 逸らそうとした目が、背後の鼻先に吸い寄せられた。 赤い滴が、整った鬚に吸い込まれた。 「どうやら、先刻、手綱で打ってしまったらしいのだ」 その言い訳にルイズは目を細める。 スクエア・メイジ。 魔法衛士。 そんな男でも、つまらないドジを踏む事が、なんだか可愛く感じた。 「ふふ。ワルド様、格好悪い」 出立から初めての笑顔だ。 白いハンカチに鮮血が舞った。 ――――To be continued 前ページ虚無の王
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バゼット・フラガ・マクレミッツ CV:生天目仁美 虎力 6 コスチューム1:私服 出現条件 デフォルト 必殺技 連撃 前方に連続攻撃後、少し進んで攻撃 最後の一撃が高威力 超必殺技 フラガ・ラック 相手の必殺技中に入力することで発動するカウンター 出現条件 藤村大河でシナリオモードをクリア ▽▽▽フラガ・ラック検証(プレイヤー対プレイヤーの場合)▽▽▽ アーチャー超必殺技「無限の剣製(アンリミテッドブレイドワークス)」、イリヤ超必殺技「バーサーCAR」、大河超必殺技「タイガーアポカリプス」、ランサー超必殺技「突き穿つ死翔の槍(ゲイ・ボルグ)」 上記4つ以外はフラガ・ラックが有効、との報告あり。 ▽▽▽フラガ・ラック検証(バゼットをcomノーマルに設定した場合)▽▽▽ アーチャー超必殺技「無限の剣製(アンリミテッドブレイドワークス)」、イリヤ超必殺技「バーサーCAR」、大河超必殺技「タイガーアポカリプス」 上記3つについてはフラガラック発動不可 アーチャー必殺技「偽・螺旋剣(カラドボルグ)」、ライダー超必殺技「騎英の手綱(ベルレフォーン)」 暗転(無敵)時間が長いため、フラガ・ラックを即発動させた場合、フラガ・ラック終了後に相手技が発動し、フラガ・ラック無効でバゼットのみ撃破。 フラガ・ラック発動を遅らせることでカウンターを取れる。 大河必殺技「タイガー乱舞」、バゼット必殺技「連撃」 上記のアーチャー・ライダーの条件に加えて、暗転時間(=フラガ・ラック受付時間)が短いため、フラガ・ラック無効でバゼットのみ撃破。 ライダー 必殺技「天馬召還(ベルレフォーン)」には一方的に勝ち(相手技無効、フラガ・ラックHIT) ランサー、士郎、桜 必殺技には一方的に勝ち(相手技無効、フラガ・ラックHIT) 超必殺技に対しては相殺(双方ノーダメージ) キャスター、凛 必殺技、超必殺技ともに一方的に勝つ(相手技無効、フラガ・ラックHIT) ギルガメッシュ、セイバー 必殺技、超必殺技ともに相殺(双方ノーダメージ) 黒桜、真アサシン、慎二、セイバーオルタ 必殺技のみを持つキャラだが、彼らの必殺技に対しては相殺(双方ノーダメージ)。 言峰綺礼、カレン、葛木、アサシン 黒桜らと同じく必殺技のみを持つキャラだが、こちらには一方的に勝つ(相手技無効、フラガ・ラックHIT) 追記 フラガ・ラック発動による硬直時間は他のキャラの必殺技よりも短いらしく、 バゼットが先に行動可能となる場合が多い。 そのため、相手が近距離にいる場合は一方的に通常攻撃を当てることが可能。 登場キャラ ステージ 設定ルール 第1話『R:1(ラウンド ワン)』 VS遠坂凛VS黒桜 衛宮邸(昼) タイムバトル:90 第2話『R:2(ラウンド ツー)』 VSキャスター&葛木宗一郎 山門前(昼) タイムバトル:90 第3話『R:3(ラウンド スリー)』 VSライダー&バーサーカー 大橋(夜) ポイントバトル:20 第4話『R:4(ラウンド フォー)』 VS藤村大河(道着)&イリア(ブルマ姿) 衛宮邸(昼) タイムバトル:120 第5話『R:5(ラウンド ファイブ)』 VS衛宮士郎&カレン 新都ビル(昼) タイムバトル:120 第6話『R:6(ラウンド シックス)』 VS言峰綺礼&カレン コロシアム(夜) タイムバトル:120 第7話『R:F(ラウンド ファイナル)』 VSセイバーライオンVS遠坂凛(軍服凛)VS間桐桜(ドレス桜) コロシアム(昼) タイムバトル:180 ※EDはアップver 戦闘ボイス 内容 ボイス 攻撃 はっ!(□1&2段目)せいっ!(□1&2段目)そこっ!(□3段目)それっ!(△)やあっ!(△)えいっ!(△) ダメージ しまった!うあっ!クッ! ダッシュ、ジャンプ たあっ!はっ!ほっ! ダウン復帰 まだいけます!乗ってきました!強いですね! 特殊技 つぇあっ!蹴り刻む!スピナー! 戦闘不能 うわあぁー!私の負けです・・・不覚・・・ 必殺技 やややややー! はっ!orそこっ!吼えろっ! はっ!orそこっ! 超必殺技 後より出でて先に断つもの(アンサラー)・・・ 斬り抉る戦神の剣(フラガ・ラック)!! 戦闘勝利 頭を割って反省しなさい力あっての正義です顔を洗って出直しなさい お知らせ 内容 台詞 新規参入 フラガの名にかけて……
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神無月の巫女 エロ総合投下もの 姫子の想い、乙羽の想い 爆弾投下予告 注意 1.しつこくまた前世です。修羅場っぽいもの 2.申し訳ないがエロはなし 3.話が随分と無理やり 4.いつも通りベターなお話 5.乙羽さんと姫子、そして今回は千歌音ちゃんまでもがだいぶおかしい 6.期待はしてはならない 今回はもうはじめっから言わせてください 正直すまんかった…orz 紅葉も深まった秋の夕暮れ 「貴女ねえ!自分が何やったのか分かってるんですか!!?」 「そんな大きな声出さなくても分かってるわよ!五月蠅いわね!!」 いつも賑やかな来栖川の屋敷で、突如似つかわしくない屋敷中に響くような2人の大きな罵声が響いた 「な、何事ですか!?姫様!!」 「ひ、姫様!?それに乙羽様までどうされたんですの!??」 その声に何人かの下女達が姫子の部屋へと駆けつけると、険悪な表情で睨み合う2人の姿があった 「どうして私の言う事が聞けなかったんですか!」 「聞かなきゃいけない義務があるわけではないでしょう!」 この2人が言い合いになるのは何度かあったが、今日は周りに来た下女の存在が目に入らぬほど息巻いている 余りにも険悪な雰囲気の漂う2人に下女たちはどうしていいのか分からずうろたえてしまっている 乙羽は足元に置いてあった水の入った桶を掴み姫子にばしゃああ!っと掛け、下女たちの「きゃあああっ!」という悲鳴が響いた 「っ!な、何すんのよ!」 「言って分からぬなんて…頭を冷やしなさい!!」 全身に水を掛けられた姫子はキッ!と睨むが乙羽も負けじと腕を組んで睨み返す 「や、止めてください!姫様も乙羽様も!!」 「そうです!一体どうされたんですか!??」 「誰か旦那様を…旦那様を呼んできてっ!」 「は、はい…っ!」 今にも殴りかからんと頭に血が上ってる姫子に慌てて下女達が止めに掛かった 事の発端は数日前だった 「ありがとう、千歌音。今日も上手く描けたわ」 夜更け、いつものように絵を描き終えた姫子は満足げに筆についた墨を紙で拭き取りながら言った 「見せて、姫子っ」 絵が描き終えるまでじっと動かずにいた千歌音が服を整え姫子に擦り寄ってくる 絵の出来上がりを楽しみにしてたその笑顔に姫子も嬉しくて「はい、どうぞ」と笑顔で千歌音にも見えるように脇を空けてやった 「ねえ姫子、私の後ろに描いたこれって紅葉の木?」 姫子にくっつき絵を見ていた千歌音が指を刺しながら姫子に問いかけた 姫子は筆を拭くのを止め、一緒に絵を覗き込み頷いた 「えぇ、そうよ。秋だしいいかなって」 今日の姫子の絵の背景は紅葉の木が描かれてあった 千歌音はその紅葉の木をじっと食い入るように見つめていた 「どうかしたの?」 そのまま動かぬ千歌音の顔と絵を交互に見ながら不思議そうに声をかけた 「今日ね、仕事中にイズミさん達が言ってたの。姫子たちの通う学校の裏にある山の紅葉がとても綺麗だって」 絵から目を離すまま千歌音は答えた 「そういえばそうだったわね…」 毎年この時期になれば見れる光景なので特に意識はしてなかったが、確かにここ数日で学校の裏の山の紅葉が綺麗に色づいていた あさっての方向を見ながらそんな事を思い出していると、千歌音が体を起こし目を細め開かれている障子の外を見ていた 「私体が弱くて余り外に出たことがないから。だからここら辺の山の紅葉しか分からない…」 「…千歌音」 生まれた頃から体の弱い千歌音はこの村から出た事が無い その為村から少し離れたところにある学校にも通えないでいる 普段口には出さないが本当は… 千歌音の淋しげな横顔を見ているとそんな風に思える すると、姫子は思いついたかのように両の手をパンと叩いた 「じゃあ、次のお休みに行きましょうか?」 「え?」 姫子の提案に千歌音は驚き目を見開いた 「見たいのでしょう?紅葉」 「あ、あの…私……」 優しく聞く姫子に千歌音はおろおろと動揺してしまっている 「大丈夫、最近体の調子も良いのでしょう?馬で連れて行ってあげるから安心なさい」 そんな千歌音に姫子は尚も笑顔で落ち着かせるように言い聞かせると、千歌音はパッと表情を明るくさせたが、「でも…次のお休みは祝詞の練習が…」と、思い出したかのように肩を落としてしまった しかし、姫子はその肩に手をそっと置き、千歌音にくっつくように寄り添った 「祝詞の練習も大事だけど気分転換も必要よ。大神先生には私から言っておくし、 何よりも私が千歌音を連れて行ってあげたいの。だから行きましょう?」 「姫子…ありがとう」 こうして2人は出掛ける約束をしたのだった しかし約束の日の前日… 「駄目です、これは医者としての判断よ」 千歌音が体調を崩してしまい、乙羽に診てもらったあと明日に迫った外出の話をした姫子に向けられた第一声がこれだった 「でも千歌音が…」 「なりません。単なる風邪の引き始めとはいえど、今外なんかに出してしまっては治る前にさらに悪化させてしまいますよ」 ショックを隠せない姫子が哀願するように片づけをしている乙羽に言うが、全部言い終える前に冷たく遮られてしまった 「そんな…!」 「くどいですよ!兎に角、駄目なものは駄目です!貴女も遊んでばかりいないで、他にやるべき事がたくさんあるでしょう?」 尚も諦めきれず口を開こうとする姫子に乙羽はビシッ!ときつく言い退け、怒ったまま薬箱を持って部屋から出て行ってしまった ピシャッ! 「……っ!」 大きな音を立て閉められた襖を姫子は手を強く握り締め悔しそうに見ていた 「ごめんなさい…姫子。せっかく約束したのに」 静かになった部屋で布団に潜り込み泣き出してしまいそうな声で謝ってきた その声に姫子は顔を緩め振り返り、千歌音の前髪を掻き分けてやった 「いいえ、千歌音は悪くないわよ」 「でも…あんなに楽しみにしてたのに…」 千歌音の責める気持ちなど毛頭も無い姫子、しかし千歌音は申し訳なさと残念な気持ちが隠せず姫子と目を合わす事が出来ない それは明日を何よりも楽しみにしていたのは姫子よりも千歌音だったからに違いない 姫子は目尻に涙を浮かべる千歌音の頬を撫でた 「ねえ…千歌音」 「え…?」 そして翌日の朝、2人は早くに馬に乗り屋敷を出て行ってしまった 夕刻になり2人が戻ってきたとき、2人を待っていたのはカンカンに怒っていた乙羽だった そして乙羽の忠告どおり、風邪を引き始めていた千歌音の容態は悪化していた 屋敷に入り「話はあとで私の部屋で」とだけ乙羽に告げ、直ぐに姫子は千歌音を抱え離れへと連れていき休ませた そして自室に戻り乙羽と目が合った瞬間罵声が響いたのだった 数人掛りで抑え付けられながらも暴れもがく姫子と、腕を組んで姫子を睨み付ける乙羽の2人の興奮は収まらず益々エスカレートしていく 「私言いましたわよね!?外に出しては悪化してしまうって!だから外に出してはいけないって!!」 「だからって!そうやってあの子の自由を奪わないでよっ!!」 乙羽は千歌音の身を案じ、姫子は千歌音の意思を尊重している お互いがそれぞれに千歌音を大切に想っているからこそ、2人の意見はすれ違ってしまっていた 言っても噛み付くように言い返す姫子に乙羽は桶を投げ捨て言い退ける 「でも!貴女のその我侭で姫宮さんの身に何かあったらどうするつもりですか!!」 「……っ!」 一番痛い所を突かれ、姫子は暴れるのをぴたりと止め口を閉じてしまった 「貴女はご自分が一番あの子の事を大事に想っていると思っているようですけど、とんだ思い違いですわよ!」 「……」 怒りの収まらない乙羽は吐き捨てるように言った 対する姫子は頭ごなしに怒鳴られるが言い返すことが出来ず、観念したかのように大人しくなった 「少し頭を冷やすことね!」 何も言わない姫子に乙羽は最後に大きくそう言い切った その時、ガタンッ!と大きな音を立て襖が開き、その音にその場にいた全員が目を向けた 「お願いです…止めてください、2人とも…」 「姫宮さんっ!?」 「…千歌音」 2人の怒鳴り声に離れで休んでいた千歌音が居ても立ってもいられなくなり出て来ていた しかし余り体が言うことを利かないのか、肩で息をつき襖にもたれ掛っている そんな千歌音に乙羽が慌てて駆け寄る 「駄目ですよ!部屋で休んでいなくては…」 千歌音の肩を抱き、その場に座り込ませた。しかし千歌音は下を向き畳に両手をつき首を振り「いいんです…私のことなんて」と小さな声で言い、更に言葉を続けた 「それより、違うんです…乙羽さん。私が行きたいって、連れて行ってほしいって……姫様に、我侭を言ったんです」 「姫宮さん…」 肩で息をしながらも、声を震わせながら必死に弁明する 「千歌音…下がりなさい」 少し離れたところに立ち下女の束縛から解放された水浸しの姫子は静かな声で命令した 「いいんです…姫様」 千歌音は顔をあげ姫子に微かに笑顔を見せると、自分を庇おうとする千歌音に姫子は堪らず俯き手を握り締めた 「姫様は…私が、余り外に出たことがないから…だから…具合が悪くなるのを承知で… 自分が怒られると分かってて…姫様は私を馬に乗せて、お薬も持って…連れ出してくれたんです」 ぽた…ぽた…と、千歌音の目から涙が零れ畳を濡らしていく 「全部私がいけないんです…だから…これ以上姫様を責めないで…」 そこまで言い終えると、千歌音は手で顔を覆い声を押し堪えながらしゃくりあげた 「違うの乙羽さん、私がいけないの…私が勝手にその子を連れ出したの」 しばらく静まり返った部屋の中で、俯いたまま姫子が再度言った その言葉に千歌音が顔をあげ「ち、違います…っ!」と声を上げた しかし乙羽は千歌音の口元に手をやりそれ以上を制止し、千歌音をゆっくりと支えながら立たせた 「いいえ、お二人の気持ちは良く分かりました」 互いを庇いあう2人の気持ちが通じた乙羽は笑顔で姫子を見た 「来栖川さん、水をお掛けした事はお詫びします」 「いえ…」 自分に向かって頭を下げる乙羽に自分の非を認めている姫子は遠慮がちに顔を逸らした しかし乙羽は頭を上げたあと、口元を緩めゆっくりと首を振った 「今回の件は姫宮さんに免じてもうこれ以上は咎めません」 乙羽は腕に抱える千歌音をちらりと横目で見ながら答え、千歌音は嬉しそうに「…乙羽さん」と呟いた 「ただ、これからは黙って行くのはお止めになって下さい。待つ方も気が気ではないのですから」 そう言って姫子に向かってにっこりと微笑んだ 「乙羽さん…はい、分かりました」 乙羽の優しい眼差しに、姫子も頷き笑顔で返した 近くに居た下女達も安心したのか、皆がほっと胸を撫で下ろした そうして一時はどうなるかと心配された騒動がようやく収まり、屋敷内が安堵に包まれた 数日後… 「いいの?姫子。また祝詞の練習お休みしちゃって」 馬に跨り、村を出たあと姫子の前に座っている千歌音は振り返り小さな声で問う 「大丈夫よ、大神先生優しいし」 千歌音と出掛けられるのが嬉しい姫子は優しく答えた 「で、乙羽さん…貴女はそこで何を?」 背後で同じく馬に乗っている乙羽を振り返った 「決まっているでしょう、私も着いて行きます」 それが当然とでも言うような口調で返した 「…昨晩出掛けるって言いませんでしたっけ?」 「ええ、聞きましたよ」 「……」 先日の一件が落ち着き、もう一度仕切りなおしとして紅葉を見に行こうと2人して出掛けようと計画を立てた そして行く前日に乙羽に告げ許可をもらえたのだが、どうも乙羽は待つ身になれなかったようである せっかく今日はゆっくり楽しめると思ったのに…姫子はがっくりと肩を落とした 「どうかしました?来栖川さん」 「…いえ、何も…」 真横に並んだ乙羽に前回の乙羽との喧嘩の疲れがまだ残っている姫子は無念そうに首を振った すると横向きで座っている千歌音に向かって乙羽は少し身を乗り出した 「姫宮さん、具合が悪くなったら直ぐに言ってくださいねw?」 「え?あ、はいっ」 声掛けられた千歌音は驚き、コクコクと頷いた その後も今朝方用意したのかお弁当まで作っているらしく千歌音に見せている やっぱり千歌音が己の目的か… 姫子は静かにぐっと手綱握り締めた 「千歌音、しっかり掴まってなさい…」 「え?姫さ……きゃああああっ!!」 小さな声で千歌音にそう言い、返事を聞く前に姫子は突然手綱を引いて馬の腹を蹴りあげ乙羽から逃げるように駆け出した ドドドドドドドド……!! 砂埃を巻き上げ猛スピードでどんどんと遠ざかっていく姫子と千歌音の馬が見えなくなった頃、完璧に置いて行かれた事に気づいた乙羽はハッ!と我に返った 「ちょっ!来栖川さん!??お待ちなさい!!」 慌てて手綱を引き追いかけて行った 「ひ、姫子!いいの!?乙羽さん置いていっちゃって!」 「いいの!2人きりじゃないと出来ないことがあるでしょう?」 「/////っ!!」 「あら?追いかけてきたわね。しっかり掴まってるのよっ」 「え?あ・・・きゃああああっ!」 「お待ちなさーーいっ!私を置いてくなんて許しませんですわよぉー!!」 END
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政宗の存在がやけに明瞭に解る。心音が紗を通じて伝わる。 少し冷えた素肌の感触。脳裏がそればかりで染まりそうになる。 ふう、と吐息を付いた。ひさしぶりに、政宗の傍らで夜を過ごす。 「……風邪とはこういうものにござるか。なかなか心地よいものでござるな」 「ばぁか、病人だからって優しくしてやらねぇぞ……いや…」 政宗はいぶかしげに幸村の額にかかった髪をかき上げた。 「幸村?」 「何でござろう」 政宗は額にかけていた手を頬に滑らせ、耳元を掠らせるように首筋へと落とした。 ぞくりと背筋に走るものがあって、幸村は小さな息をこぼしてくっと目を閉じた。 政宗の指が脈を確かめている。 熱が上がる。 否、気合いさえあれば熱など――だが熱い。政宗の指先が触れている場所が熱い。 眉根を寄せ堪える。寄せあった体、衣越しにも感じる政宗の幾分ひえたままの体。感じ取ってまた火照る。 ああ、何でこれほど熱いのか。これがそのうち悪寒にすり替わるのか。 政宗は眼差しに籠もる力を強めてこちらを見ている。 「気分は悪くないんだな?」 確かめるような声音に、目で頷く。 「むしろ良い心地にござる。しかし……やはり体温は上がっているようでござるな。俄に熱くなって参りましたぞ」 政宗の指先は首筋の脈を取っているままで、喋るのにいくらか気後れした。 政宗が、あんたは、とつぶやきかけて僅かに身を起こし、幸村に覆い被さるようにして耳元に唇を寄せた。 「幸村、夕方からこっち、誰かに何か、食い物貰ったか?」 吐息が耳朶に触れる。首を竦めたが、政宗は体を離さなかった。低く掠れた声音は閨でよく聞くそれに似ている。 だが、決定的に違う。これは求める声ではない。静かに怒っている。 どうしたというのか、政宗は今日、先ほどから怒ってばかりだ。 「否、かまくらにて夕餉を頂いたのみにござれば……」 「だがアンタ、一服もられてるみたいだがな」 「………体調は悪くござらぬと」 政宗は頷いたかと思うと、やわく首筋を噛んだ。 「ひぅっ!」 幸村は思いがけなく溢れ出た、少し鼻にかかるような声に目を瞬かせた。 一瞬の間に背が丸まって、政宗の夜着を握りしめて、鬱陶しいほどの熱が一つの形を取り始めている。 何かの予感が手を伸ばしている。幸村の膝元まで伸び上がったそれ、気合い一つで退けられなさそうな……確かに熱とよく似た、だがあまやかな予感。 「そ、某は……」 戯れまがいの口づけのみで何がこの身に起きているのか。 「解ったか?」 様子がおかしい気はしたんだ、と鋭い怒気混じりに政宗が呟いた。 「幸村、本当に心当たりはねぇのか?」 「あ、あり申さぬ。昼頃より毛利殿の応対をし、政宗殿が戻られてからは装束を整えるに終わり、 かまくらにての夕餉からは、特に誰とも」 信じがたい心持ちで幸村は言いつのる。 「それに、某は薬のたぐいなどがあまり効かぬはず。……佐助が、育ててくれた者が、身を守るためにと」 いつ頃からか、ほんの少しずつ、身に障るようなものを含ませてくれていた。胃の腑が頑健であった方がいいと。 「なら毛利か。あの女、奇妙な技使うって元親から聞いたばかりだ。ha……舐めた真似してくれるぜ……」 炯々と輝く一つきりの眼光。殺気が膨らむ。 「おやめ下され!」 幸村は反射的に政宗の首筋にしがみついた。 確かに今の己は腕の力が萎えている、ならば衣を掴んだところで振りほどかれるだけだ。 それが政宗を起爆させた。力無い幸村の体そのものが。 政宗から洩れだしていた怒りが表に出る。 我を失ったような凶悪な顔、そこには戦場の薄い笑みさえなく、ただただ凶相だ。 「離しな!オレの女に手ぇ出しやがって…タダじゃすまさ」 「鎮まるでござるぅぅぅぁあああああっ!!」 政宗の怒りが幸村にも火を付けた。力一杯耳元で叫ぶ。怒りを露わにした視線が幸村に据えられる。 「っざけんな!アンタの言葉だろうが聞けると思うなよ!」 注意は引いた。 ならば次は何だ、この本流の怒りを鎮め、こちらに向けさせる言葉は何だ。 竜に、手綱をかける言葉は―― 幸村に淫の手6