約 281,376 件
https://w.atwiki.jp/ercr/pages/789.html
発売日 2017年6月30日 ブランド AXL タグ 2017年6月ゲーム 2017年ゲーム AXL キャスト 小倉結衣(アイ),桃山いおん(七海ナタネ),青山ゆかり(真備シオン),春乃いろは(東森サンゴ),静陵聖(善福ナオトラ),手塚りょうこ(真備リオン),事務台車(静馬カトリ) その他:桃井いちご,ASUMI,卯月ここ,君鳥ふう,明羽杏子,南里一花,姫原ゆう スタッフ プロデューサー・ディレクター:GOU アシスタントディレクター:磯野かつお 原画・キャラクターデザイン:瀬之本久史 シナリオ:北側寒囲 プログラム:合資会社ワムソフト 音響制作:AZ-FIX 音響監督:嶋香る 収録スタジオ:AZスタジオ CGチーフ:TETU CG:TETU,藤宮裕 背景:間宮流 音楽・効果音制作:株式会社SoundCocktail オープニングムービー制作:yokota エンディングムービー・ロゴデザイン:間宮流 フレームデザイン:藤宮裕 スクリプト:GOU,磯野かつお デバッグ:AXL All Staff 演出:GOU DTPデザイン:磯野かつお,藤宮裕 HP作成:GOU,桐嶋博彰,藤宮裕 スペシャルサンクス:株式会社GUN-ZO オープニングテーマ 「sing a song!」 作詞:天ヶ咲麗 作編曲:iyuna 歌唱:solfa feat.茶太 挿入歌 「夢色growin hearts」 作詞:天ヶ咲麗 作編曲:橋咲透 歌唱:アイ(CV.小倉結衣)、七海ナタネ(CV.桃山いおん)、真備シオン(CV.青山ゆかり)、東森サンゴ(CV.春乃いろは) エンディングテーマ 「melody star」 作詞:天ヶ咲麗 作編曲:hash 歌唱:solfa feat.iyuna
https://w.atwiki.jp/dmps_fun/pages/177.html
PREV:第9話 立ち向かう勇気と覚悟 NEXT:第1話 龍との遭遇 ストーリー デビル・ディアボロスZ 我は デビル・ディアボロスZ 全ての支配者なり ディー……?ディーなのか……?意識が戻ったのか? ダピコ いや……こ、これは…… 水の守護者 カイト デビル・ディアボロスZ 消えよ !!マスターとダピコの保……! キリコ うう……ぐう……はぁはぁ……い、生きてる? ダピコ うう……な、なんて威力だはっ! キ、キリコ……!?キリコ!! 水の守護者 カイト …………損傷、甚大……マスター……撤退……を…… キリコ そんな……馬鹿な…… 水の守護者 カイト く、くそぉぉぉ!!!ゼロ・フェニックス!あいつをぶっ飛ばすぞ! 火の守護者 グレン ゼロ・フェニックス ……消し炭となれ!! デビル・ディアボロスZ 無駄だ デビル・ディアボロスZ ぐおおおおお!? ゼロ・フェニックス!?う、嘘だろ……!? 火の守護者 グレン デビル・ディアボロスZ 世界の支配を開始せり な、何!? こんな力が地上に出てしまったら本当に世界が……! ダピコ させません……!そんなこと……絶対に! 光の守護者 エレナ ……行かせないよ!地上へは……! 自然の守護者 チュリン 光よ……! かの者に裁きを! スペル・デル・フィン 我が友の故郷、滅ぼさせはせん……! バルガライゾウ デビル・ディアボロスZ 邪魔だ ……今よ! ネロ・グリフィス!二人が引き付けているうちに! 闇の守護者 ルカ 我が主の未来のため……例え刺し違えようとも……! ネロ・グリフィス デビル・ディアボロスZ 滅せよ きゃあああああ!? 光の守護者 エレナ うわあああああ!? 自然の守護者 チュリン きゃあああああ!? 闇の守護者 ルカ ぜ、全滅……?5人の守護者が……一瞬で…… ダピコ デビル・ディアボロスZ 支配を再開せり お、終わりなのか……?本当に……もう…… ダピコ 終わってません!! ルピコ !? ルピコ!?【プレイヤー】!? ダピコ そ、そうです!! ジャスミン ジャスミンまで! ダピコ ……すぅ……はぁ…… ジャスミン ……わっ私が……世界樹の巫女が相手です!デビル・ディアボロスZ!! ジャスミン デビル・ディアボロスZ 世界樹……我が時空の支配を妨げる存在…… こっち見てますよ!作戦通り、行きましょう!ジャスミンさん! ルピコ 作戦って言ってもとりあえず奥に行くだけですけどね…… ジャスミン ま、待て……!そんな……三人だけでなんて! ダピコ 皆さん、信じてます……! ジャスミン ほら! こっちですよー! ルピコ はぁ……はぁ……やっとここまで……後はここで…… ジャスミン ジャスミンさん、こっちこっち!ここに隠れましょう! ルピコ 悉く、死せよ デビル・ディアボロスZ (きゃあああああ!!) ルピコ (ひゃあああああ!!) ジャスミン だ、大丈夫ですか!?【プレイヤー】さん!ルピコさん!! ジャスミン は、はい……! ルピコ まだ見つかってはいないですけど……これもう、時間の問題ですね ジャスミン えへへ……走りすぎてなのか腰が抜けてなのかもう足も動かないし…… ジャスミン えへへ……実は私も……です ルピコ なら……やることは…… ジャスミン はい……一生懸命に祈ること……ですね ルピコ できるかなぁ……本格的に怖くなってきたんですけど…… ジャスミン 大丈夫! って【プレイヤー】さんも言ってますよ ルピコ じゃあ、みんなで……と言っても今は三人しか…… ジャスミン どりゃああああああ!!! 火の守護者 グレン デビル・ディアボロスZ ……! グ、グレンさん!?あんなにボロボロだったのに! ルピコ はぁはぁ……! ぶっ倒れてなんて……いられねぇだろ! 火の守護者 グレン ええ、跪くのは私達じゃないわ! 闇の守護者 ルカ デビル・ディアボロスZ ……!! はぁはぁ……最後の力振り絞っちゃえ~! 自然の守護者 チュリン デビル・ディアボロスZ ……!!! 一緒に祈りましょう!この世界を守ると……! 光の守護者 エレナ デビル・ディアボロスZ ……!!!! 悪いね、キリコボロボロの上に撤退を進言してたのに 水の守護者 カイト 不問これが未来を変える一助となるなら キリコ デビル・ディアボロスZ ……!!!!! デビル・ディアボロスZ なぜ……不可解なりあれほどの力の差を目の当たりにしてなお…… 救いたいからだ……!何もかも……! ダピコ お姉ちゃん!!た、戦えるんですか!? ルピコ ああ……足止めの手伝いくらいはできる……! ダピコ でも……全員で隙をついても一瞬止めるのが精一杯だよ! 自然の守護者 チュリン ああ、私達もここへは本当に祈りに来ただけだからねはぁ、全く不確定すぎる賭けだ 水の守護者 カイト でも、賭けなきゃ可能性は最初から0だぜ! 火の守護者 グレン 私の祈り、漆黒の闇へと届け! 闇の守護者 ルカ ええ、きっと届きます!願いましょう、世界の安寧を! 光の守護者 エレナ 皆さん……あんなにボロボロだったのに……!本当に……来てくれた……! ジャスミン ……あれ?通信が入ってます!も、もしもし? ルピコ あ、やっと繋がったじゃあ、他の連中に代わるから アーク え? え? 他の連中? ジャスミン(通信) おおい! 我がライバルいる!?なんか……なんかめっちゃ大変らしいな! 忍者 コタロウ とにかく君達の安全でも世界平和でもいいから祈れと言われて集められてね 料理人 アルバーノ ホンマに気張ってくれよ~!こっちも、みんな坊さんかってくらい祈ってるで! スペイ おおい! ダピコはいるか!オレも今からそっち行くぞ!どこだぁ!? クロ クロさん達までいるんですか!? ルピコ(通信) あ、行かせませんから大丈夫ですもう祈るしかないと伺ってますご無事で会いましょう アコ さあ、願おう!さらなる冒険を、これからも共にするために! ポゴ あー、と言うわけだからこっちもシティがなくなると困るからね~ アーク 成功を祈ってるよ アーク 本当に……みんな……みんながお願いしてるんですね……! ジャスミン ジャスミンさん……! ルピコ はい……! ジャスミン (祈ろう……) ジャスミン (私の心が……みんなの想いが導くままに!) ジャスミン (楽しくデュエルができるそういうシティを復興したい……シティの皆さんの願い) ジャスミン デビル・ディアボロスZ 全て、消えよ……! (シティの住人を守り、平和を望む守護者達の……願い) ジャスミン (シティの優しさを受け入れて共に生きるために頑張っている私達、元クリーチャーの願い) ジャスミン デビル・ディアボロスZ 彼方へと滅せよ……! (自分を逃した師匠を助けたい、仲間を救いたい一途な願いを持つ……ダピコさんの願い) ジャスミン (……他者のために自分を戒め、他者の幸福を望んだ……ディーさんの願い) ジャスミン デビル・ディアボロスZ 我の覇道を妨げるモノ……! (自分の姉と……私も助けようとして無茶をする……ルピコさんの願い) ジャスミン (……それ以上の無茶をして自分の命すら無くしそうになる無口で優しい人の……願い) ジャスミン (そして……そんな人達が大好きだから……全員が助かって欲しい私の願い) ジャスミン デビル・ディアボロスZ なくなれ……何もかも……! ……だから……私が巫女なら願いを届けられるなら…… ジャスミン ……お願いです!! 届いて!みんなを助けて下さい!! ジャスミン デビル・ディアボロスZ !? この光は……一体?……わっ! ルピコ 【プレイヤー】さんと私の周りに光が……!!! ルピコ 一体……何が……?……手に光が……? ルピコ あっ!【プレイヤー】さん!私達の手に光が……!? ルピコ 【プレイヤー】さん手を……貸して下さい……!行きますよ……やああっ!! ルピコ クリーチャーが実体化した……!やっぱりこれって、真のデュエリストの力! ルピコ 何が起こったか分かりませんけど……祈りは届いたってこと……で……いいん……ですよね? ジャスミン あとは……お願いします……【プレイヤー】さん、ルピコさん……! ジャスミン はい、クリーチャーが召喚できる今なら私たちも戦えます! ルピコ ここが正念場です!【プレイヤー】さん、準備はできていますか! ルピコ デビル・ディアボロスZ ウガアアアアアアアア!!! 私達の世界を……皆さんを守ります!!!! ルピコ 勝利時 これが……皆さんの……思いの力です!! ルピコ ………………見事なり デビル・ディアボロスZ ……あっ光が……薄く…… ルピコ 手の光が……消え……ましたね【プレイヤー】さん!あれ……ディーさんの姿が!! ルピコ ……………… ディー ディーさん!聞こえますか! ディーさん! ルピコ ……ん……ダ……ピコ……か? ディー いいえ、私はルピコですお姉ちゃんは向こうで気を失ってます ルピコ あぁ……ダピコの妹の…………俺は……ぐっ……そうか……面倒をかけたな…… ディー もう……大丈夫なんですよね? ジャスミン ……………………ああ ディー よかった……! ダピコさん! ジャスミン 時間が……ない……伝えなくてはならない…………エイリアンの存在を ディー ……エイリアン? ジャスミン 俺に……覚醒の力を使った連中のことだ…… ディー あのジャドーとかいう奴が使った覚醒と…… ディー 大昔に俺を暴走させた謎の力の感覚……同じだった…… ディー おそらくジャドーは……エイリアンの手先だろう ディー 俺のような……加害者を増やしてはいけない ディー エイリアン達はまた、侵攻してくる……可能性がある ディー だからダピコ達にもこのことを…………ぐっ!…… ディー ま、待ってください!さっきまで暴走していて体はボロボロですよ!! ジャスミン いいんだ……俺はもう…… ディー ダメです!ダピコさんが心配するでしょ! ジャスミン 【プレイヤー】さん!何か救護の道具を……!はい、お願いします! ジャスミン そうですよ! お姉ちゃんは本当にあなたのことを大切に思ってるんですから! ルピコ お姉ちゃんは向こうの世界に居るあなたをこの街に迎えるために必死に頑張ってたんですよ……! ルピコ なのに……そんな諦めたようなこと……! ルピコ そう……か……ふ……それは、嬉しいな…… ディー え……ちょっと……?ディーさんの体が光って…… ジャスミン ……少し眠るだけだ……ダピコに……伝えて……くれ……いつも……側にいる…… ディー そ、そんな……ダメですよ……! ジャスミン わ、私!お姉ちゃんを呼んできます! ルピコ おっとぉ?どこへ行くんです、ルピコ君!! ジャドー え……きゃあああ!? ルピコ あなたは……ジャドー!?な、何でここに……!? ジャスミン いやぁ、さすがに手ぶらで帰還すると罰が待っていますし? ジャドー それにしても先ほどのデュエル……素晴らしかったです! ジャドー 君達のような雑魚クリーチャーがあんな力を秘めているとはねぇ! ジャドー 守護者達は向こうでボロボロダピコ君も気絶しているようですし……クフフフ ジャドー さあ、ジャスミン君も行きましょうか ジャドー ひぃ! い、いやですー!離してくださいー!! ジャスミン ……ジャドー!!!その手を……離せ……! ディー なっ!? まだ動ける気力が!?……ごふぅ!? ジャドー うぅ……このっ!離し……て!!……よし外れた! ジャスミン うぐぐ……ディアスZァ!!この死に損ないがぁ……! ジャドー ぐあっ……!? ディー ……!? おい!そこにいるのはジャドー!? 水の守護者 カイト え!? な、なんで……!? 自然の守護者 チュリン ……チッ!しょうがない……ですねぇ一人だけで妥協しますかぁ ジャドー では! ルピコ君を助けたければ追いかけてくるといいですよ!さあ、来なさい! ルピコ君! ジャドー ジャスミンさん……!【プレイヤー】さん!助けて……きゃああああ! ルピコ それでは……ごきげんよう ジャドー そんな……!ル、ルピコさーん!!! ジャスミン 敗北時 グウオオオ!! デビル・ディアボロスZ ……きゃあ! ルピコ 大丈夫ですか!? ジャスミン 大……丈夫です! ルピコ うう……なぜ……なぜ、立ち上がる……ナゼダアアアア!!! デビル・ディアボロスZ 皆さんの願いが私を、私達を……助けてくれます! ルピコ ……いけますよね?【プレイヤー】さん! ルピコ 何度でも……あなたを助けてみせます!!! ルピコ PREV:第9話 立ち向かう勇気と覚悟 NEXT:第1話 龍との遭遇
https://w.atwiki.jp/maid_kikaku/pages/702.html
(投稿者:レナス) グリーデル王国グリーデル島北東部軍港。クロッセル連合王国の中核であり、アルトメリア連邦と貿易を行う主要国家。 二国間が最も短い渡航な上にグリーデル王国は連合屈指の海軍戦力を保有している。貿易警備には代表する立場にある。 アルトメリアから輸入した物資をグリーデルを中継して各国へと陸海空路全てを通じてルージア大陸西部全体へと供給される。 グリーデル王国が連合の中枢せしめる理由に地理的に有利な貿易拠点である事が今も尚高い発言力を保有する。 小国の集まりである連合においてアルトメリアからの豊富な物資は捨てる事の出来ない大事な取引相手なのだ。 「G」という海の脅威が無ければ他国の湾岸施設にはアルトメリアとの貿易の為の港が多く見られていた事だろう。 だが現実としてグリーデル王国の軍港施設に帰港した艦隊が物語る。 側壁が消滅している艦。正面に接岸出来ない艦。甲板を大きく損傷し、弾痕の爪痕が酷い艦。 全十二隻中三隻の喪失。四分の一の艦が、兵士達が海へと消えて行った。 接岸した艦より搬送される負傷兵の数々。慌ただしく動く兵士達の脇で帰らぬ艦の友を嘆く者達が居る。 それは戦友か、恋人か、家族か。それぞれの思いが交錯し、世界が悲劇の色に染まって行く。 そして被害の結果、一隻を喪失したのみに留まった輸送船団四隻は艦隊から少し離れた港に寄港している。 巨大な貨物物資を陸へと下ろす専用の施設が設けられている施設へと横付けし、此方は向こうとは異なる意味で慌ただしい。 貨物船に満載された鉱石や穀物が十数万トンにも及ぶ量を下ろさなければならず、全てが完了するまでに多大な時間を要するのだ。 護衛任務を終えた伊嵯那美は軍港基地の一室で静かに茶を飲んでいる。 日の当たる窓辺の椅子に腰を掛け、潮風に当たらずして入り込む暖かな陽光に微かな眠気の気だるさに身を委ねる。 船上ではタオルで体を拭き洗い、髪の毛の手入れは論外であった。だが陸に上がれば豊富なお湯を用いて身体を濯ぎ、こびりついた塩を落とす。 半月ぶりに汚れを全て洗い流し、身体より香る石鹸の独特な薫りが心地良さを更に引き立てる。 「揺れる船の上での日向ぼっこも良いが、こうして陸の上での日向ぼっこも悪くない」 視線を部屋の扉へと注ぐ。数秒後にはその扉が勝手に開かれ、中へと入るのは将校。 此処の海兵隊員にしては身形が良く、高官にしては海の男特有の荒れた肌を持たない。 伊嵯那美を一瞥しただけで部屋の中の扉の脇へと移動する数人の将校たち。彼らは全員小脇に小銃を携え、指が引き金に掛かっている。 「お止めなさい。私はこの様な面会は望んではいません」 「申し訳御座いません。最低限に留めたに過ぎませんが、本来でしたらばこうした事態は避けるべき事態に御座います」 「理解しています。その上で申しているのです。彼の者は信における。心配は無用です、彼等を下げなさい」 「――御意に」 凛とした声が、通路から届く。若く、あどけない声色は重みを有している。 通路に居る上官であろう者の一声で将校らは部屋を後にし、入れ替わる形で一人の人物が入室した。 「―――これは殿下。この様な場所でお目に掛かれるとは光栄の極みに御座います」 「頭を上げなさい。今回は基地の視察を兼ねた私用ですので必要以上に畏まる必要はありません」 席を立ち、片膝をついて首を垂れる伊嵯那美。そんな仰々しい彼女に対し、その人物は微笑みで答えた。 「お言葉のままに」 「それが必要以上だと言うのです。貴女は何時も通りの姿を私に見せてくれるだけ十分なのですから」 顔を上げた先に居る人物は若い女性。少女と言っても過言では無く、カジュアルな服装が愛らしく、可憐である。 だが彼女の凛とした瞳。そして姿勢や雰囲気から醸し出される高潔な存在感が単なる一人の少女と断ずるには語弊が生じる。 彼女を取り巻く将校や伊嵯那美の態度からも容易に想像が付き、一目でも垣間見れば彼女の高貴さが理解出来る。 「それは怖れ多くも異国の地より参りし我が身。国々を束ねし王たる者に御無礼は許されませぬ。そのお言葉だけ十分に御座います」 「先程よりも仰々しいにも程があります。御自愛なさい」 「はっ、御心のままに」 口元の添えられた小さな笑いを堪えるその姿からは上品な香りが漂う。伊嵯那美も膝をついたまま小さな笑みを浮かべて彼女を見上げていた。 女性が入口に立つ将校へと目配せをし、その合図に小さく苦い顔をして退席する。完全に扉は閉じられるも、扉の先の通路に待機しているのは容易に想像が付く。 「御持て成しをするには質素な部屋ですが、どうぞ腰をお掛けになって下さいませ」 「有難う。確かに人を御持て成しするには適してはいませんね」 「急な来訪でしたので、お出し出来る物といえば市販品の紅茶程度ですが。お飲みになりますか、御口に合うとは思えませんが?」 「構いません。私は常々思うのです。視察ならばその土地その場所特有の御持て成しが一番であると。 此度の訪問においても視察の情報が先に漏れたが為に、出されるお茶菓子は最高級品ばかり。恐らく護衛の者達が事前に通達していたのでしょう。 私は今此処にある在りのままの食事を頂きたかったのですから、残念で致し方ありません」 「それはそれで怖れ多い事です。殿下は一国を統べるだけでなく、ルージア大陸の北東諸国を統べる大事なお方。気を使うのも当然と言えます」 椅子に来訪者を座らせ、備え付けのポッドを温め直しながら伊嵯那美は答える。互いの言葉に苦笑を浮かべ、静かな応酬の中で沸騰する水の音が良く映える。 「この様なお茶目な統治者を御身を守る者達の気苦労が知れます。余りご無理をさせるのは貴女御自身の危険にも関わる事が故。 御自愛と理解の程を私の方からもお願い申し上げます、ユピテリーゼ殿」 伊嵯那美は温めはポッドを携えて戻りつつも、微笑みを乗せてそう話した。 関連項目 伊嵯那美 グリーデル王国
https://w.atwiki.jp/gokaiger/pages/87.html
2体のロイド サリーとコミュニケーションを図る鎧とハカセ 豪快チェンジ五星戦隊ダイレンジャー 忍風戦隊ハリケンジャー 星獣戦隊ギンガマン 登場した技・用語など天時星・時間返し(てんじせい・じかんがえし) 天幻星・霧隠れ~幻新幹線(てんげんせい・きりがくれ まぼろししんかんせん) 天重星・重力逆転波(てんじゅうせい・じゅうりょくぎゃくてんは) 天風星・一文字竜巻(てんぷうせい・いちもんじたつまき) 吼新星・乱れやまびこ 超忍法・影の舞 銀河の戦光(ぎんがのせんこう) 2体のロイド 最後に登場した「金」と「日」はスーパー戦隊シリーズが放送された曜日である。第39話も参照。 今まで登場したロイドはそれぞれ曜日を由来としたコードネームを持っていたが、金曜日に相当するゴールドロイド・ゲロンパのみ曜日とは直接関係のないコードネームとなっている。ただし、「キンキン」の愛称で知られる俳優・愛川欽也の妻である女優・うつみ宮土理の愛称「ケロンパ」が由来と思われ、「金(キン)曜日」と「キンキン(の妻)」で一応金曜日に関係するコードネームにはなっている。 サリーとコミュニケーションを図る鎧とハカセ ルカ「なーんかデジャヴ感が…」本話の前日に公開された劇場版3で対面した曙四郎のことを指していると思われ、本話の時間軸(同劇場版の後)を示す材料となっている。 併せて、鎧が猿のモノマネをしたことで第16話のバスコの船内でのハカセがサリーを手懐けるための猿マネコミニュケーションをしたことをかぶらせ、そのことを思い出しているルカの視線の先にいたハカセが更に猿マネコミニュケーションをする姿に過去のバスコとマーベラスの回想がかぶる、という、一言ながら深遠な台詞回しでもある。 豪快チェンジ タイトルにもあるように本話でバスコの裏切りが描かれていることから、6人目の戦士がいる作品において裏切りの展開が描かれたスーパー戦隊が選ばれている。また、追加戦士が正体を隠したり、仲間たちと敵対もしくは距離を置いた期間があった。 マーベラスが重傷を負って変身できなかったため、今回豪快チェンジした戦士は全てレッド以外の戦士である。 五星戦隊ダイレンジャー リュウレンジャー・亮の死んだと思われていた父・鉄面臂張遼はかつてダイ族を裏切って敵勢力であるゴーマに寝返り、ダイレンジャーへの刺客として現れたが、最後にはゴーマから離反したものの致命傷を負い、ダイレンジャーに気伝獣の秘密を告げて死亡した。彼が初登場した第7話のタイトルは「裏切り者ォッ!」。 『五星戦隊ダイレンジャー』の終盤では、ダイレンジャー指導者の道士・嘉挧が、ゴーマを内部から変えるべく、古巣のゴーマに戻り、ダイレンジャーには解散命令を下した。 ゴーマ族の幹部・シャダムは皇位継承するためにゴーマ15世を利用し、裏切った。 キバレンジャー・コウは、ダイレンジャーと同じダイ族の血を引くと同時にゴーマ族の血も引く混血児であることから、最初はキバレンジャーであることを秘密にしており、ゴーマの血の影響で凶暴化した際にはダイレンジャーを襲ってしまったこともあった。 忍風戦隊ハリケンジャー 敵組織・宇宙忍群ジャカンジャの幹部・七の槍サンダールが、首領のタウ・ザントが狙う「アレ」を奪うために反旗を翻した。 ゴウライジャーは当初は「アレ」を手に入れるためにジャカンジャと手を組んでおり、『忍風戦隊ハリケンジャー』のOP映像でも初期バージョンではジャカンジャと同じパートで紹介されているなど、ハリケンジャーの敵対勢力として描かれていた。 6人目の戦士であるシュリケンジャーは自身の正体を明かさず、自身の主であり、疾風流・迅雷流を統べる「宇宙統一忍者流」の領導者である御前・覚羅の命令でハリケンジャーとゴウライジャーを捨て石にしようとしたこともあった。 星獣戦隊ギンガマン 敵組織・宇宙海賊バルバンの幹部・樽学者ブクラテスは、姪のイリエスの復活をバルバンの船長・ゼイハブに妨害された上に自身も追放され、第三勢力として活動した。 『星獣戦隊ギンガマン』に登場した黒騎士ブルブラックは、故郷・タウラス星を滅ぼし弟・クランツの命を奪ったバルバンへの憎しみのあまり、バルバンを倒すためなら手段を選ばなくなっており、ギンガマンとも敵対した。また、かつての戦いのダメージで動けない自身を復活させるために、地面の裂け目に転落したヒュウガの身体を取り込んだことを隠していた。 後にブルブラックの力を受け継いで2代目黒騎士にしてギンガマン・6人目の戦士にもなったヒュウガは、パートナーである重星獣ゴウタウラスをブクラテスに人質に捕られたことや、彼がゼイハブの弱点を知っていたことからブクラテスと行動を共にするようになった。 登場した技・用語など 天時星・時間返し(てんじせい・じかんがえし) キリンレンジャーの得意技で、自身が攻撃を受ける10~20秒前まで時間を巻き戻す。『ダイレンジャー』本編では数回しか使用していないが、その強力さから使用頻度に反し有名な技である。 劇中でルカが「やられる前にやり返す!」と発言しているが、『ダイレンジャー』本編でもキリンレンジャー・知がこの台詞を言う場面がある。 天幻星・霧隠れ~幻新幹線(てんげんせい・きりがくれ まぼろししんかんせん) シシレンジャーの得意技で、手から吹き出した霧で相手に幻を見せる「霧隠れ」の後、さらに生み出した幻で攻撃する「幻○○」に繋げる連続技。『ダイレンジャー』本編でも電車を呼び出して相手を轢く「幻総武線」や「幻山手線」を使用したが、「幻新幹線」は『ゴーカイジャー』オリジナル。ちなみに、『ダイレンジャー』第11話では、テンマレンジャーが「リニア拳・中央新幹線」という技を使用している。 また、召喚したのは東北新幹線E5系「はやぶさ」。30分後に放映中の『仮面ライダーフォーゼ』は宇宙をテーマにしており、小惑星探査機「はやぶさ」をモチーフいした「はやぶさくん」が登場しているため、そちらを意識した可能性もある。 天重星・重力逆転波(てんじゅうせい・じゅうりょくぎゃくてんは) テンマレンジャーの得意技で、重力を操り相手を攻撃する。『ダイレンジャー』本編では相手を浮かせたり逆に押しつぶしたりしているが、今回は周りの岩を浮かせて攻撃した。 天風星・一文字竜巻(てんぷうせい・いちもんじたつまき) ホウオウレンジャーの得意技。竜巻を巻き起こして攻撃する。『ダイレンジャー』本編でホウオウレンジャーに転身するリンはダイレンジャーの初期メンバー5人の中で最も気力が高いため、この技を転身前にも使用したことがある。 吼新星・乱れやまびこ 第33話でも使用した技だが、『ダイレンジャー』本編と同じく増幅した騒音(今回は工事現場の掘削音)で攻撃している。この技を使用した際、バスコが耳を塞いでいたことから効果があった模様。 超忍法・影の舞 第2話参照。 今回はマーベラスがいない代わりにバスコが赤いシルエットになっている。 銀河の戦光(ぎんがのせんこう) ギンガマンの必殺技。ギンガの光を全開にして体当たりする。全員での合体技バージョンと、1人で突っ込む単独バージョンが存在し、今回は前者を使用。『ギンガマン』本編では、パワーアップ形態(いわゆるスーパー変身)である獣装光ギンガマンの状態で使用する技である。今回は獣装光ギンガマンにはならず、獣装光時の専用装備を装着するはずの場所が光を放っている。 『ギンガマン』本編での黒騎士は獣装光ギンガマンになれないため、黒騎士が銀河の戦光を使用することはできず、黒騎士が銀河の閃光を使用したのは今回が初である。黒騎士に変身するヒュウガは元々ギンガレッドとなる予定であり、予定されていなかったリョウマが変身するギンガレッドが今回抜けているので、本来のメンバーになぞらえたとも言える。
https://w.atwiki.jp/aa222/pages/75.html
https://w.atwiki.jp/ankoss/pages/4197.html
『愛された果てに』 40KB 観察 家族崩壊 現代 独自設定 失礼します。 anko2611 ゲスゆっくり奮闘記1 anko2622 ゲスゆっくり奮闘記2 anko3414 ゲスゆっくり奮闘記3 anko3417 ゲスゆっくり奮闘記4 anko3456 れいむのゆん生 anko3458 まけいぬとゆっくり anko3461 ゆっくりに生まれて anko3484 ゆっくりブリーダー anko3489 休日とゆっくり anko3652 ドスについて anko3715 ゆっくりに餌を anko3729 はじめてのぎゃくたい anko3730 はじめてのしいく anko3794 まりさとの勝負 anko3843 野球部のゆっくり anko3855 ゆっくりと会話してみた anko3932 ゆっくり観察日記 anko3933 ゆっくりと子供 anko3953 しんぐるまざーの朝は早い anko4016 虐められるためのゆっくり anko4094 普通の人とゆっくり 「」ゆっくりの台詞 『』人間の台詞でお願いします 「ゆっくりおきるよ!」 朝のまだ早い、やや薄暗いだろう時間の、ある大きな群れ。 そこに所属する一匹のまりさが巣の中で声をあげた。 木の根元に作られた広く、またすべすべの巣の中、奥のベッドで寝ている番のれいむに、その子供たちを見ながら彼女はニッコリ笑う。 一家の長として、これから狩に向かう彼女は家族の寝顔を見て、それをエネルギーに頑張ろうとしているのだ。 それと同様の光景は、周囲に乱立する木の根元にある巣で数多く見られている。 それらを朝の日課を終えたのか、広い群れの敷地の木の根元からぞろぞろと父親役だろうゆっくりが出てくる。 まりさ種が一番に多く、次にみょん種、ちぇん種など活発なゆっくりが続き、れいむ、ありす、ぱちゅりーなどもチラホラ見られた。 まりさは、近隣のゆっくりたちに声をかけながら食事を探すために跳ねながら移動していく。 「きょうっも! おいっしい! ごはんっさん! たっぷり! あってね!」 疲れるだろうに、まりさはゆっくりらしく自分の考え行動を大声で喋りながら跳ねていく。 街中の、惨めに這いずって、黙々とゴミを漁るゆっくりとは対照的な伸び伸びとして姿。 他のゆっくりも同じように声をあげ、皆笑顔で飛び跳ねながら狩に向かっていっていた。 まりさはしばらく跳ねて、いつもの狩場にたどり着いた。 既に、そこには何匹ものゆっくりがいて狩を開始しているようだった。 早い者は、既に十分な食料を得てこれから巣に戻って家族とゆっくり過ごそうとしている者もいる。 「ゆっ! まりさも いそがないと!」 それを見て、まりさは同じく狩を始める。 「きょうっも おいしいごはんさんがたくっさんだよ! まりさはかりのたつゆんだね!」 目につく限りの食料をどんどん帽子に詰め込んでいき、ほんの短時間でまりさの帽子と口の中は食料で埋め尽くされていた。 通常の野生ゆっくりの数倍の食料を手にしたまりさは、笑顔のまま巣に向かって跳ねだした。 「ゆふふ、きょうも たっくさんごはんとれたよ! これで、れいむもおちびちゃんも おおよろこびだよ!」 相変わらずの不思議饅頭、口を閉じたまま喋ってニヤニヤ気味の悪い笑顔を浮かべていた。 そして、自分の巣に飛び込むようにして入る。 「ゆ! ゆっくりただいま!」 「ゆ! まりさおかえりなさい!」 「「おちょーしゃん! おきゃえりなしゃい!」」 まりさの声に、既に起きていて朝のうんうんの真っ最中だったらしい子供と、その手伝いをしていたれいむが声を返した。 大き目の葉っぱの上に、うんうんをさせていたれいむは、それを舌で器用に丸めると巣の奥に開いた穴に落とした。 「ゆふふ、きょうもしっかりうんうんできたねおちびちゃん」 「ゆっ、それはえらいね! たくさん うんうんして どんどんおおきくなってね!」 「「ゆ! わかっちゃよ! しょれよりごはんにしちぇね!」」 毎日うんうんするのは健康と成長の証、親からそう言われて育ったまりさとれいむは、子供のうんうんに笑顔を浮かべて頷きあう。 二匹の子まりさ子れいむは、褒められたのは嬉しいけれどお腹が空いているのが優先なようで、涎を垂らしながらまりさを見つめていた。 「ゆ! ごめんねおちびちゃん、ついわすれちゃってたよ! すぐにごはんにしよーね、れいむおさらをよういしてね!」 「ゆっくりりかいしたよ! ゆっしょゆっしょ」 まりさの声に、れいむ巣の奥から大きめの葉っぱを持ってきた。 「ゆっぺ! ゆふふ、きょうもおいしいごはんがたっくさんだよ!」 「「ゆ、ゆわぁぁああ!! おいちちょー! おちょーしゃんしゅごーい!!」」 口の中のご飯を葉っぱに吐き出すと、子供たちは目を輝かせうれしーしーまでしながら喜んでいた。 それに「ゆふゆふ」笑いながら満足したまりさは、帽子の中の食料を奥の食料庫に放ってから戻る。 しっかり躾をされているのか、その間も子供たちは涎を垂らしながらも、ご飯には口を着けず待っている。 子まりさは、お下げを振り回しながら「ゆわゆふ!」と目を輝かせて涎を垂らしていて。 子れいむは、もみ上げをピコピコさせながら、何故か底面を持ち上げもるんもるんと振っていた。 「ゆわぁ、おちびちゃん とってもぷりてぃーだよぉ hearts;」 「まりさもおなじきもちだよ! さ、あんまりおちびちゃんをまたせたら かわいそうだから ごはんにしようね!」 親子四匹で大きな葉っぱに乗った山盛りの食料を囲む。 二匹の子供は、今か今かと涎を垂らして、二匹の親はその可愛さに頬を緩ませていた。 そして。 「それじゃ、ゆっくりいただきます!」 「「いちゃじゃきまーーす!! はむ! ぐちゃぐちゃ! はぶ! ぱにぇ! これ! はんぱねぇ!」」 汚れるのも構わず、大量の食料に頭から突っ込んで尻を振りながら貪って行く二匹を、両親は優しく見守る。 「ほんとにゆっくりしてるね!」 「まりさのおかげだよぉ、おいしいくささんに、きのみさんに、おちびちゃんが だいすきなちゃいろさん、こんなにたっくさんとってきてくれたから……まりさは ほんっとうにじまんのだんなさんだよ!」 「ゆふふ、それほどでもないよ、まりさはれいむたちが いるからがんばれるんだもん」 二匹は身体を寄せて、親愛を表す優しいすーりすーりを繰り返す。 寒さを凌ぐのではなく、性欲の発散でもない、お互いの頬をゆっくり優しく、暖かさを確かめ合うような行為を、最愛の子供を見ながら繰り返した。 「「ゆげっぴゅ! みょう いらにゃいよ! ゆっぷ!」」 山盛りの食料の一部を貪り切った二匹は、食べ進んだ所で食べかすだらけの体を仰向けにして、膨らんだ腹を見せつけながら動きを止めた。 「ゆふふ、たっくさんむーしゃむーしゃしたね! おちびちゃん、ぺーろぺーろしてあげるよ!」 「ゆひゃひゃ! くしゅぐったいよ!」「れいみゅも! れいみゅもしちぇね! すぐでいいよ!」 れいむは、二匹の身体についた食べかすをその長い舌で舐めとっていく。 その姿を見ながら、まりさは幸せに浸っていた。 優しい妻に、可愛い子供の成長、これ以上の幸せはないと信じて笑みを浮かべる。 「ゆふふ、みんなゆっくりしてるね……」 これまでの自分のゆん生を振り返って、苦労を思い出すと涙が出そうになるが、まりさは父親としてそれを飲み込む。 子供の頃の姉妹の死、何回も経験した越冬、おうち作りの苦労、れいむとの熱愛、狩の辛さ。 様々な記憶が、今の幸せに繋がっていると思うと、感情が震えだしていた。 「まりさ? どうかしたの?」 「ゆっ!? な、なんでもないよ……おちびちゃん、ねちゃった?」 「うん、みて、かわいいねがおだよ……」 静かになったまりさを心配して、れいむが声をかけてきた。 それにビクッと反応して、目線をれいむに向けると、彼女はお腹を一杯にして眠りだした子供二匹を優しく見つめていた。 まりさたちは、食事をしたら直ぐにご飯あとのすーやすーやを始めるのは、大きくなる秘訣だとそう教わっていた。 まりさは、ずーりずーりと底面を静かに這わせて、草のベッドで眠りにつく子供たちの頭をお下げでそっと撫でる。 「ゅ、ゅぴぴ、れーみゅの、こんしゃーとに、あちゅまってくれて、ゆぷぅ」 「ゆぴー、ゆぷー、まりしゃ、ちゅいにどしゅになっちゃの じぇぇ、ゆぴぴぅ……」 寝言を漏らしながら、幸せ一杯の寝顔を見せている二匹を、まりさとれいむは満面の笑顔で見つめる。 「かわいいね、おちびちゃん」 「うん、れいむも そうおもうよ」 しばらくその幸せをかみ締めるように、寝顔を堪能した二匹は、静かに子供の食べた後の食事を開始した。 時より、ベッドの方を見て、夫婦で微笑みあったりしていた。 食事を終えて、余った食料をれいむが色々分別するのを見ながらまりさは外を見つめる。 「……れいむ! まりさ ちょっとおさんぽしてくるよ!」 「ゆ! わかったよまりさ、おひるにはかえってきてね!」 「ゆん! あたりまえだよ、それじゃあ おちびちゃんをよろしくね!」 れいむに子守を任せると、自慢の帽子を一番格好良いと思っている角度で被って巣の外に出る。 「ゆっゆ~ん! きょうもいいてんきだよ!」 朝の狩では急いでいて感じる暇もなかったけれど、今日も空は青空で心地よい暖かさだった。 「そろそろなつさんがくるんだね」 まりさは夏が好きだった、暖かいし、何よりまりさが生まれたのは3回前の夏。 子供が生まれたのは秋の終わり、そう考えると秋も好きだなと、まりさは考えていた。 「むきゅ、まりさ、こんにちは、おさんぽかしら?」 「ゆ? おさ! ゆっくりしていってね!」 「ゆっくりしていってね」 暖かい森の中を進んでいたら、まりさの所属する群れの長であるぱちゅりーが声をかけてきた。 この長ぱちゅりーは、10回以上のの越冬を経験した頼れる長だった。 「まりさ、おちびちゃんはげんきかしら?」 「げんきだよ! きょうもごはんさんたーっぷりたべて いまはすーやすーやタイムのまっさいちゅうだよ!」 「それはよかったわね、おちびちゃんがおとなになるまでのにねんかん、しっかりそだててあげるのよ?」 長の言葉にまりさは笑顔で、自信に満ちた笑顔で頷いた。 「とうっぜんだよ! まりさがそうしてもらったんだから、まりさもおちびちゃんをたいっせつにそだてるよ!」 まりさの言葉に満足したのか、長はニコニコ頷いて、ゆっくりとその場を後にした。 その後ろ姿を見送ってから、まりさはまた進み出した。 周りには、もう季節を一回りして子ゆっくりサイズになったゆっくりたちが声をあげて走り回って遊ぶ姿が見える。 それを横目に見るように、親ゆっくりが複数集まって世間話をしたりもしていた。 「ゆふふ、みんなゆっくりしてるね」 その光景に笑顔を浮かべながら進み、ちょっと開けた池がある場所に出た。 「ゆっ、こんなとこまできちゃったんだね」 まりさはうっかり遠出してしまったことに驚きながらも、ゆっくり池に近づく。 この池にはにとり等が住む他に、群れの皆の大切な水分補給の役目を担っているのだ。 歩きつかれたまりさは、池に近づいて水を飲むと、しばらくその場で休憩を始めた。 「……ゆっ、そろそろかえるよ! おちびちゃんとごはんにしなくちゃね!」 十分ゆっくりりたのか、思い立って直ぐにぴょんぴょん跳ねて巣に向かう。 周りにも同じように、跳ねて巣へ戻ろうとするゆっくりが何匹もいた。 そのゆっくりに負けないように跳ねて、まりさはれいむと子供の待つ巣に向かった。 「ただいま! ゆっくりかえったよ!」 「ゆっ、まりさおかえりなさい」 「「おちょーしゃん! おきゃえり! おにゃきゃしゅいたよ!」」 巣に戻ると、れいむと遊んでいた可愛い我が子が出迎えてくれた。 相変わらず食欲旺盛な子二匹だけど、それがまた可愛らしく感じられるのか、まりさは明るい笑顔を見せた。 「れいむ、またせちゃったみたいだから、さっそくごはんさんにしよーね」 「わかったよ、ちょっとまっててね!」 「ぎょはんだよ! まぃちゃのむーしゃむーしゃタイムだよ!」「れいみゅのむーしゃむーしゃだよ!」 まりさの声に、二匹は直ぐに涎を垂らして、また嬉しーしーを漏らしながら震えていた。 「まったく、おちびちゃんはくいしんぼうさんだね! ゆふふ」 「ゆっ、みんなごはんだよ!」 れいむが朝のように大き目の葉っぱに、食糧庫に保存しておいたものを持ってきた。 一番多く取れて、保存の利く茶色いものがメインに、乾燥した山菜なども乗せてあり、それなりに彩りがある。 「それじゃあ、ゆっくりいただきます!」 「「いちゃじゃきましゅ! はぐむぐ! むーしゃむーしゃ! ぱねっぇ! こりゃむっちゃぱにゃい!」」 食事が開始されれば朝の焼きまわしだ。 尻を振り乱しながら、お下げともみ上げをピコピコさせて、全身で食糧に突っ込んで食べるだけ食べたら眠る。 理性と対極に位置してそうなその姿を、親二匹は笑顔で見つめていた。 我が子が成長するに必要な栄養を全力で摂取しているのだから、当然のように幸せなのだろう。 「「おちびちゃん、いっぱいたべて、いっぱいおっきくなってね!」」 …………。 ………………。 「いたいよぉおおおぉお!! れーむのあんよがいたいよぉおおおおお!!」 「ゆ、ゆぁ、ゆわぁあああ!! お、おちび、おちびちゃんがぁああ!!」 「れ、れいむ、おちついて! まずはおちついてね!!!」 一冬越えた春先、もう外に出られるくらい大きくなった二匹の子供の内、子れいむが転んで底面、あんよを切る大怪我をしてしまった。 ゆっくりにとって足の怪我は死活問題、即座に死ぬ危険はないけれど、治さなければ一生の問題になってくる。 れいむは、それを解っていて大声でうろたえていた。 その姿に、自分だけはしっかりしなくてはと、まりさは語調を強くしながら叫ぶと、どうしたら良いかを考える。 そして、直ぐに思い至ったのか、ハッと息を呑んだ。 「おさに、おさにきけば なおすほうほうが きっとわかるのぜ!!」 「ゅ、ゆう?」 「おさはなんでも しってるのぜ! まりさがいまからおさにきいてくるから まってるのぜ!!」 まりさはゆっくりしないで、巣の外に出た。 外はもう暗くなっていたけれど、関係ない。 どこからか「う~う~」と、れみりゃの声が聞こえて来たけれど、大切な子供の為に危険も顧みず走り出した。 「おちびちゃん! まっててね、いま まりさ、が……ゆぴぃ、ゆぷ~」 ……。 …………。 「ゅ? ゆっくりおきるよ! ……ゆ?」 翌朝、いつもみたいに巣の中で目を覚ましたまりさは、不思議な気分に包まれた。 「ゆぅ?」 しかし、それが何だったかは思い出せなかった。 ただ、何か妙だなぁ、と思っただけで直ぐに忘れ、いつものように寝ている家族に見て笑いそして狩にでかけた。 「まりさはかりのたつゆんだから、きょうも たっくさんごはんとってくるよ!」 そっと見たベッドの中の子れいむ、まりさに向けているあんよの一部が薄っすら色が変わっていたが彼女はそれに気付かないで跳ねていった。 いつものように狩に向かう皆の流れに乗って狩場に向かうと、いつものようにご飯を口と帽子につめて、来た道を引き返す。 家につくと、何やら中から声が聞こえてきた、どうやら家族が起き出したようだ。 「ゆっ、ただいま!」 「おちびちゃん、ほんっとにだいじょうぶ? どこかへんなとこはない?」 「ゆぅ? なにいってるのおきゃーしゃん、れーむどこもいたくないよ?」 「おとーしゃん、おかえりなのぜ! まりさもそろそろかりにいきたいのぜ!」 まりさの声に反応したのは子まりさだけで、れいむと子れいむは何やら話していてこちらに気付いていないようだった。 しばし、そろそろ狩に行きたい言う野球ボールくらいの大きさになった子まりさと話してから、れいむと子れいむに声をかける。 「れいむ、いったいどうしたの?」 「ゆ、まりさ……」 「おかーしゃんが、さっきかられーむにだいじょうぶ? だいじょうぶ? ってきいてくるんだよ! れーむどこもいたいいたいじゃないのに」 れいむは心配そうな顔で、子れいむをチラチラ見ながら、子れいむはちょっと不機嫌そうな顔でまりさを見てきた。 「れいむ、おちびちゃんがどうかしたの?」 「まりさ、なんだね、おちびちゃんが いたいいたいだったきがするんだよ でも おちびちゃんはだいじょうぶっていうし」 不確かながら、何やら不安を感じているらしいれいむを、まりさは優しくぺーろぺーろした。 「ゆふふ、れいむはやさしいね でも、おちびちゃんは れいむがまもって くれてるから きずひとつないよ」 「ゆぅ~ん、まりさぁ、ありがとうね、れいむ あんっしんしたよ! ぺーろぺーろ」 まりさの行為でれいむは安心したのか、不安そうな顔を引っ込めて笑顔を浮かべた。 れいむが自分の心配をしなくなったので、子れいむはまりさが取ってきた食糧の前で食事の合図を今か今かと待っていた。 それは子まりさも同じらしく、チラチラ親を見ながら涎を垂らす。 「ゆっ! れいむ、そろそろごはんさんにしようね! おちびちゃんがまってるよ!」 子二匹に気付いたまりさは、れいむに声をかけてゆっくり這いずって朝食を始めた。 それからしばらく平和な春が過ぎて、異変は夏に起きた。 そろそろまた秋が訪れてるちょっと前、子ゆっくり二匹が巣立ちをする目前の時期だった。 毎朝のように狩に出かけたまりさは、狩場に起きている最近の変化に声を漏らした。 「きょうも くささんがないよ……ゆん、さいきん ずっとだよ でもちゃいろさんが たくさんあるから だいじょうぶだね!」 ここ数日、普段持ち帰っていた山菜や、木の実などが丸っきり姿を消していたのだった。 その代わりに大量に置かれていたのは、普段は草よりやや大目くらいにある茶色い食べ物。 とりあえず他にないし、それは甘くて美味しいので持ち帰って皆で食べることにした。 「ゆ! かえるよ!」 声をあげて跳ねだした、周りには他のゆっくりも元気に巣に戻っているところだった。 まりさは、その波に乗るように負けぬように跳ねながら、また微妙な違和感を覚えた。 「ゆ…………きのせいだね!」 何だか、少し周りのゆっくりが少ない気がしたけれど、まりさは気にせず家路を急ぐことにした。 「ただいま! きょうも ちゃいろさんがたっくさんだよ!」 「「やったー! おとーさんありがとー!」」 「まりさ、おつかれさま!」 巣に戻れば、もう大分大きくなって巣立ち目前の子二匹と、新たにお腹に子を宿したれいむが迎えてくれた。 いつものように葉っぱにとってきたものを置いて、残りを保存する。 そうしてから、皆で朝の食事を始める。 もう頭から食糧に頭を突っ込むこともなくなった子れいむと子まりさと同じタイミング食事を始める両親は、二匹に巣立ちについて色々と教えているようだった。 巣の作り方、番の見つける基準、子育ての仕方、それらを思い出話と交えながら楽しそうに語っていく。 「ふたりとも まりさの じまんのおちびちゃんだから とってもゆっくりした かぞくをつくれるよ!」 「「ゆん! ありがとうおとーさん!」」 食事を終えると、子ゆっくり二匹は友達と遊びに外に跳ねていった。 既に二匹には意中のゆっくりがいるらしいので、目的はどちらかと言うとそちらだろう。 まりさは、二匹が跳ねていった巣の出口を皆がら息を吐く。 「もう おちびちゃんも すだちのじきなんだね」 「そうだね、まりさ……このおちびちゃんも きっとゆっくりしたこにそだてようね」 まりさの声に聞いて、れいむは揉み上げで自分の膨らんだ腹部を撫でる。 大分大きくなり、そろそろ生まれる新しい我が子に、慈愛の笑みを向けていた。 それは、まりさも同じで、優しい視線でれいむの中の我が子を撫でるように見つめる。 「まりさと れいむのこなんだから きっとゆっくりしたこになるよ!」 「ゆふふ、そうだね」 二匹は寄り添い、次の生まれてくる子供のことを熱心に話し合った。 それから数日経ち、相変わらず山菜が取れない日々が続き、秋になったある日二匹の子供は両親にこう切り出した。 「おとーさん、おかーさん、まりさとれいむははなしが あるのぜ」 「ゆん……わかってるよ」 「ゆぐっ、ゆぐ、ゆあーん! ゆあーん!」 子まりさの真剣の表情から内容を察したまりさは重く、そして嬉しく受け止めて。 れいむは、内容を察した上で寂しさから声をあげて泣いていた。 子れいむ、子まりさも何かに耐えるように身体を震わせ目に甘い涙を浮かべながらも笑顔を浮かべて話し出した。 「れ、れいびゅと、ま、まりじゃは、ひ、ひとりだち、するよ!」 「いばばで、ぁりがぼうなのぜぇ!!」 「ゆん、ゆん……こちらこそ、だよ」 「ゆわぁぁあん! やだよ! やだよぉおお!! いっちゃやだよぉおお!!」 涙を流さぬようにする三匹の分も泣くように、親れいむは大声で泣き続けた。 それでも、時間は残酷に過ぎて行く。 子れいむの番になるちぇんが迎えに来たところで、子まりさもこれから番になるありすと迎えに行くと言うので巣を出て行った。 れいむは最後の最後まで二匹にすーりすーりを繰り返して、二匹が巣を出てからもずっと大きな声で泣いていた。 「ゆん、れいむ すーりすーり、だよ」 「ばりざぁぁあああ!! おちびちゃんが、おちびちゃんがぁああ!!!」 「ゆん、だいじょうぶ、きっとすぐに かわいいおちびちゃんをつれて あいさつにきてくれるよ、ゆん」 泣きじゃくるれいむを、まりさはずっと優しく優しくあやし続けた。 その日まりさは、泣きつかれたれいむをぺーろぺーろして、一筋だけ涙を零すと、れみりゃの声を聞きながら眠りについた。 ……。 …………。 ………………。 「ゅ? なんだか、さむい、よ? ゆぅ?」 まりさが目を覚ますと、そこは見たこともない場所だった。 今まで住んでいた森の中と違う、暗く鬱葱と草が茂り、ジメッとした地面の上にまりさはいた。 「どこ……ここ……」 呆然としながら、まりさは周囲を見回すと直ぐ後ろには番のれいむが寝ていた。 頬に涙の跡をしっかり残したれいむの身体を、まりさは自分のお下げで優しく揺する。 「れいむ、れいむ! おきてね!おきてね!」 「ゅ、ゆうん、なに、まりさ、もうかりはおわったの? ゆ? ゆ? なんで、れいむおそとにいるの」 寝ぼけ眼を揉み上げで擦っていたいたれいむは、自分がいる場所を認識して目を覚ました。 まりさと同じく周囲をキョロキョロ見回してから、不安そうな顔を見せる。 「ま、まりさ、こ、ここ、どこ? なんだか ゆっくりできないよ……」 「まりさも、わからないのぜ……むれのもりとは なんだかちがうみたいだよ」 まりさは言いながら、群れのあった森を思い出す。 柔らかく歩きやすい地面に、綺麗で巣になる木、綺麗な草花に、爽やかで暖かい風。 そのどれもがここにはない、地面は硬くごわごわしていて。 捻じ曲がって、どこか化け物みたいで途方もなく大きな樹木、どこか攻撃的に尖った草花、ジメッとして青臭い風。 どれもこれもがまったく自分の常識外だった。 しかし、泣きそうなれいむを前に自分まで泣く訳にはいかないと顔を引き締める。 「ま、まずは だれかさがそうね! ここがむれのどこか わからないと おうちにかえれないからね!」 そして、努めて明るくまりさは振る舞い、れいむに声をかけた。 その姿に、れいむは少し安心したのか小さめの笑顔を見せて頷き、浮かんでいた涙を揉み上げで拭い消した。 「そ、そうだね! はやくおうちにかえってごはんにしようね! じゃないとおなかのおちびちゃんもおなかをすかせちゃうよ!」 「ゆん! じゃあ、いこ、んゆぎゃぁぁぁあぁああ!?!?!」 「ば、ばりざぁぁぁあ!?!」 一声気合で、一歩跳ねたまりさは大きな声をあげて転げまわった。 「い、いだい、いだいいぃいいい!! あんよがいだいぃいいいぃいいい!!!」 「まり、まりさ、お、おちつ、おちつ、ゆわぁぁあん!! ゆわぁぁああん!!」 今まで見たことがないくらいの動揺を見せてまりさに、れいむは落ち着かせようとするが、直ぐに自分の限界が来て泣き出してしまった。 まりさの跳ねた先には、やや大きめの小石が転がっていて、その上に乗ってしまったのだ。 その鋭い痛みにまりさは声をあげて、涙を流して転げまわる。 転げまわる度に、硬い地面や石、痛い草に身体を傷つけられて更に声をあげ続ける悪循環。 まりさのゆん生では味わったことのない痛み、それが全身を支配していた。 まりさのこれまでは、こんな石を踏んだこともなければ、こんな痛い草に触れたことも、ごわごわの土に触れることもなかった。 何故なら、まりさは室内で飼われていたゆっくりなのだから。 ――――。 ――――――。 ある都市の中心に立てられた、屋内型森林公園。 かなりの広さと、行き渡った設備は一ヶ月の内に四季を再現する、少し寂れていた街の活性に繋がっている施設だった。 その施設の名前は〔ゆふぁりパーク〕名前の加減から想像出来る通りの、ゆっくり園と呼ばれる場所だった。 ゆっくり園とは、屋内に土を敷き、草花を植えて、野生のゆっくりの生活を街に再現するという触れ込みの、ゆっくりの動物園のような場所だった。 ゆっくりに人気に肖り、日本中に数多くのゆっくり園が出来ていたが、ここはそれとは規模も施設も桁違いだ。 収容ゆっくり数は、通常のゆっくり園が一つの群れに相当する150~300に対して、驚きの2300匹。 通常種だけでなく、希少種、捕食種まで完備されている。 しかも、普通のゆっくり園ではないような四季の整備により、より野生のゆっくりの生活を見れるという触れ込みで、週末になれば日本中から多くの人が詰め掛けていた。 柔らかい土を引いて、小石一個でも取り除いて、芝生を敷いたり、ゆっくりの肌を傷つけない草花を植えて、いつでも快適に暮らせる環境を整えてあった。 一週間ごとに季節が変わり、知らず知らずにゆっくりたちは一ヶ月を「いちねん」と呼んでいた。 基本的に内部のゆっくりは自分たちが建物の中にいるとは考えてない、人間と接触は0になるようにされていたから。 夜になれば、れみりゃの声をスピーカーで流して、巣に戻らせてからラムネスプレーが全域に撒布されて、例外なく睡眠状態にして、その間に園内の掃除や、調整、傷を負ったりしたゆっくりの治療などを秘密裏に行う。 一般客が通るのは、床からほんの2mほどの位置を蜘蛛の巣のように通されたアクリル製の通路だ。 この通路には仕掛けが施されていて、ゆっくりが見上げてもそこに人がいるとは判断されない作りになっていた。 ゆっくりにとっては見えないというのは認識出来ないと一緒であるために、いくら喋ろうが気付くことはない。 これにより、人間と関わらない本来のゆっくりの姿を楽しめるという風に言われていた。 巣も全て、木を模したオブジェでその内部は、それぞれオブジェに設置されたモニターを通じて通路から確認出来るようになっていた。 巣の奥にはうんうんを捨てる穴があり、そこに放り込まれると最終的に全ての巣から集まり捨てられる仕組みになっていた。 ゆっくりが集まるポイントも人工的にいくつも作られていて、そこにはアクリルの大き目のラウンジ状態になっていて多くの人が集まる。 そんなゆふぁりパークの一日は、まずは係員が広大な敷地の指定されたポイントに、餌となるゆっくりフードと、山菜など野山でも取れるだろう食料を置くところから始まる。 大きな木の板の上に、それらを置いておけば、あとはゆっくりが〔狩り〕をしにやってきて勝手に持っていく。 餌やりが終わると開園で、しばらくすると起き出したゆっくりの狩り風景を見ることが出来る。 そして入場客を案内したり、モニターでどこかでゆっくりが問題を起こしていないかを観察する。 危ないものがないゆっくり園ではそうはないが、ゆっくりは弱いので怪我をすることは多々ある。 なので、怪我をしたゆっくりを発見したらその程度によって対処する。 即座に治療が必要なら、その区画にラムネスプレーを噴射して対処。 それ以外は夜になってから、治療を行う。 そして、四季の代わりによって変化するゆっくりの生活を入場客に説明する姿をちらほらと確認出来た。 このゆふぁりパークは、ゆっくり愛護団体により運営されていて。 〔野生本来のゆっくりのゆっくりらしい生活を見れる!〕という触れ込みによる多くの客を呼んでいたが。 施設のコストと、来場客からの入場料が徐々に釣り合いが取れなくなっていった。 それに伴い、野生のゆっくりが狩りをしてとれるだろう山菜や木の実など、手がかかるものを出せなくなり、ゆっくりフードだけを与えるようになっていき。 ゆっくり好きから支援などもあったが、終に財政が破綻してしまった。 残ったのは大量も大量のゆっくり。 希少種、捕食種などは他のゆっくり園や、希望者に引き取られていったが、通常種の扱いに困ってしまった。 1700近い不良債権たるゆっくりたち。 普通なら加工所行きだけれど、まかり間違ってもゆっくり愛護団体の施設、それだけはなしとされた。 しばらくは〔野生のゆっくり〕という触れ込みで里親を探したり、ペットショップに持ち込んだりもしたが。 ただゆっくりしただけで、躾も何もされてないゆっくりを飼いたがる人も、売りたがるペットショップもそうそうなかった。 種ゆや、生餌としてならという申し出もあったけれど、施設の人は怒りを露に断った。 『あなたたちはこんな可愛いゆっくりに、良くそんなことが出来ますね!』と。 怒っても何してもゆっくりの行き先は見つからない。 ゆっくりフードはまだ在庫はあったがそれもいつかは尽きてしまう。 もう加工所に頼むしかないのか、となったときに誰かが言い出した。 『あの、前に人間が育てたオランウータンを森に返すとか、見たんですけど』 その言葉に、施設の面々、愛護団体は名案と大いに賞賛した。 『ここのゆっくりは野生の環境で育てて来たんだ、野生に返しても生きていけるはずだ!』 殺すことはしない、自分では世話出来ないから誰かに押し付けたいけど相手がいない、だから捨ててしまえ。 そんな思考回路で、こっそりと大量のゆっくりが手分けして各地の山や森に捨てられた。 それぞれの心の中は、野生に返してやると言う崇高な使命で埋め尽くされていた。 それを大義名分に、野生ではありえない優しい空間で、異常な空間でしか生きてこなかったゆっくりを、厳しく辛い本当の野生に返したのだった。 ……。 …………。 「ゅ……れいむ、ごはんさん、とってきたよ」 「ゆ……これっぽっち、なのぉ?」 まりさが野生に返されて早数日。 今までの世界とはまるで違う生活に、二匹は傷つき疲弊しきっていた。 ふかふかで柔らかくて、いくらでも跳ねれた地面。 いつでも爽やかで暖かかった空気。 有り余るくらい取れた大量の食糧。 そして、快適な巣。 そのどれもが存在しなかった。 あの日、痛みから何とか起き上がったまりさは、泣いてるれいむを宥めて、進みだした。 奇しくも街中のゆっくりのように、無言でずーりずーりと底面を這わせての移動だった。 それもまるで鑢の上を歩くように激しい痛みを与えてきたけれど、跳ねて進めばどんな目に合うか解らないので仕方がない。 しかし、歩けど歩けどかつての群れにたどり着けない、と言っても痛みで悶えたり、慣れない本当の地面で疲れたりで50mも進めていなかったのだが。 段々暗くなり、異様な寒さに餡子が芯まで冷え切りそうになったまりさは、泣きつかれたれいむの為に巣を作ることにしたのだが。 かつての巣作りは、木のオブジェの根元に立てかけられた枝を外すだけの作業。 それしか巣の作り方を知らないまりさは、大きな木の根元を舐めたり、お下げで叩いたりするしかなかった。 「おでがいでずぅううぅう!! きさん! ばりざにおうぢをくだざいいいい!!」 そんな声と、必死に土下座する声が森に響いていた。 しかし、そんなことで巣が出来るはずもなく、まりさはれいむに謝って木の根元で身体を寄せ合って眠った。 季節は本当の秋、作られた秋ではない寒さと豊穣の季節、外で寝るには寒すぎた。 二匹は、いつまでも泣きながら身体を擦り合わせていた。 そして今にいたる。 相変わらず木の根元を拠点にしている二匹だったが、その生活はギリギリを通り越してアウトだった。 まりさは、体中傷だらけ泥だらけで、痛みで泣くから涙の跡が頬に染み付いて、そこに更に泥などがついて怪しい化粧のようになっていたし。 髪はぼざぼさで、今まで傷一つなく大事にしてきた帽子はヨレヨレ、栄養不足で頬はこけて、寝不足で隈が出来ている。 れいむは狩りにいかない分まだましかと言われればそうでもない、まりさに巣作りを任せられたれいむは、木の根元で日がな懇願したりしているので疲労が限界に達していた。 腹に子を宿しているのもあり、頬がまりさよりもこけている。 以前は、朝に狩りに行き、大量の食糧を取ってきていたまりさだけれど、今では一日中這いずり回って、僅かな、しかも苦くて硬い草をとってくるだけになっていた。 「ごめん、でも ぜんっぜんごはんさん なくて……」 「ゅう、これじゃ、おちびちゃんがゆっくりできないよ……」 申し訳なさそうに頭を下げるまりさから目を逸らして、れいむは自分のお腹を見つめた。 「まりさは かりのたつゆんじゃなかったのぉ? ひもじいよう……」 「っ!」 意図はあったのかなかったのか、まりさに対して責めるような言葉を向けた。 その言葉に、まりさは唇をかみ締めて震えだした。 「れ、れいむこそ、おうちはまだできないの? もう、なんにちたってるとおもってるの?」 そして、まりさは自分で思っていた以上に強く、非難するようなことを言ってしまう。 言ってから、少し罪悪感を覚えたけれど、毎日毎日必死に狩りをしているのは自分なのだからと正当化しようとしていた。 しかし、れいむはまりさの言葉にワナワナと震え、歯を食いしばった。 「こんな、こんなニガニガさんしかとってこれないまりさに なんでれいぶがせめられないど いげないのぉおおおぉおお!!!」 「ゆひっ……!」 涙を流して叫び、びたんびたんと身体を暴れさせるれいむに、まりさは息を呑んで一歩引く。 「ぼう! ごんなぜいがついやだよぉおおぉおおお!!! おながすいだよぉおお!!」 「れ、れいぶ、れいぶぅ! ごめんね、ごべんねぇぇえ!!」 「「ゅ、ゆわぁぁぁぁああんん!!」」 二匹はまるで輪唱をするように声を合わせて泣き続けた、疲れ果てて眠ってしまうまで。 朝、どちらともなく起き出した二人は、お互いの愛情を再確認しようとザラザラの肌ですーりすーりを繰り返していた。 そして、ぽつりぽつりと話し出した。 「おちびちゃんは ゆっくりさせてあげなきゃね、れいむ」 「そうだね、まりさ、あったかいおうちで、おいしいごはんをむーしゃむーしゃさせたいね」 「ゆん、そうだね、おちびちゃんはゆっくりできるもんね、がんばろう……かりに、いってくるよ」 「いってらっしゃい、れいむも おうちをつくれるように がんばるね」 二匹は、これから生まれる子供の為に、頑張ろうと誓い合って、それを糧に動き出した。 まりさは食糧を、れいむは住居を。 それぞれ必死で求めることにした。 しかし、必死になっても、野生知識0の二匹では何も出来ることはなく。 まりさは口や舌を傷つけながら、硬い草を少量とって来て、れいむは木に対する懇願を続ける、ただそれだけだった。 なるべくれいむに優先的に食事をさせて、生まれてくる子供の栄養に回すようにさせていた。 流石にまだ慣れはしないし、今まで甘いゆっくりフードを食べていたので苦い草なんか受け付けないけれど、食べなければ死ぬので二匹は必死に食べて暮らしていた。 そして、予定よりかなり遅れて、ついに子供が出産のときを迎えた。 今日ばかりは暗い表情を消して、二匹は新しい我が子の誕生に笑顔を浮かべる。 「ゅぎぎぎぎ、う、うばれる、よぉお!!」 「れいむ! がんばって! おちびちゃんはまりさがうけとめるよ!」 体中に気持ち悪い汁を浮かべて踏ん張るれいむの前で、まりさは帽子を咥えて構える。 これから飛び出る我が子を受け止めるために、そしてそのときは来た。 「ゆっ、ゆっ! ゆっぽぉおぉおおお!!」 「しぇかいいち ぷりぷりてぃーなれーみゅがこうっりんしゅるよぉおおお!!」 尊大な声を合図に、子れいむがまりさの帽子に飛び込んできた。 「ゆ、ゆわぁぁぁああ!! てんしさんのたんっじょうだよぉおお!!」 「ゆぎぐ……あ、あれ? もうひとりおちびちゃんがいるきがしたのに……」 涙を流して誕生を喜ぶまりさとは対象的に、れいむは不思議そうにない首をかしげていた。 れいむは、子供は二匹いると考えていたのだけれど、生まれたのは子れいむ一匹、お腹に残っている様子もなかった。 「ゅう……ゆっ、ふしぎなこともあるんだね! おちびちゃーん、れいむがおかーさんだよ!」 直ぐにその不思議を餡子の隅に追いやると、バカ面下げて生まれた子れいむに近寄っていった。 「ゆげっぴゅ、おきゃーしゃん! おとーしゃん! ゆっくちしていってね!」 「「ゆっくりしていってね!」」 生まれて初めての挨拶をしてくれた子れいむに、二匹は全力の「ゆっくりしていってね!」で返す。 「まりさのおちびちゃん、とっても、とぉってもかわいーよぉお!!」 「ゆぅぅん! かんっどうてきだよぉお!!」 「げっぴゅ、れーみゅきゃわいい?」 「「とうっぜんだよぉおおお!!」」 この森に捨てられ、もとい野生に返されて久しぶりのゆっくりを全力で堪能していた。 それも長くは続かなかったのは当然極まりないけれど。 ……。 …………。 「しゃっしゃと さいしょのあみゃあみゃもっちぇこぉおぉおおおい!! このクズおやどもがぁぁぁああ!!」 「お、おちびちゃん、お、おちついてね! おちついてね!」 子れいむ誕生から数日。 れいむは必死に子れいむを宥めようとしていた。 この子れいむ、何故だか苦い草はまだしも、まだましな草などを優先的に食べさせているのに、どれも食べては吐き出すを繰り返していた。 そして、食べさせたことなどない筈の「あまあま」をしきりに要求してくるのだった。 ほとんど食事を取らない取れない状況に、未だに巣はない、自分をゆっくりさせない親に子れいむは簡単にゲスの兆候を見せている。 れいむとまりさがいたような、満たされた空間ではゲスは生まれない、何故ならゆっくりで満たされているので、それ以上を求めないからだ。 そして、他の者も自分と同レベルのために、向上する意欲も生まれない。 だから、ゲスは存在しなかった。 そのために、この子れいむは二匹が始めて出会うゲスだった。 ゲスと言っても可愛い我が子、ゲスを知らないこともあるし、ゆっくりさせてあげられてない自覚もあったので二匹は精一杯頑張っていた。 まりさは、気絶するくらいまで頑張って狩りをして帰って、子れいむに罵られて。 れいむは、まりさが帰るまで子れいむの癇癪を受け止めながら木に「おうぢをぐだざいぃいいい!」と頭を下げる日々。 「おでがい、じばず、きさん、おうぢぃ……」 「しゃっしゃと! あみゃあみゃもってこい! ゲスクズゴミカスおやぁぁぁ!!」 必死に木に頭を下げるれいむの身体に、子れいむは何度も体当たりを繰り返していた。 肉体的なダメージはなく、ただただ心が痛いその行為にれいむは枯れない涙を流していた。 「れい、む……ただ、いば」 「ゆぅう、まりさ、おがえりなざい……」 大分暗くなった頃に、帽子にも穴が開いてボロボロのまりさが帰ってきた。 お互いに目を合わせて、収穫がなかったことを理解して落胆する。 そんな二人の悲哀をぶち壊すように、子れいむは声をあげた。 「ゆきゃきゃ! ゆっくりできないクソおやがかえってきたよ! きょうこしょはあみゃあみゃとれたにょ!? まともに かりもできにゃいの!? このむのー!!」 「ゆぎっっ!!」 かつては、自分のことを「かりのたつゆん」と称したまりさである、狩りについて貶されるのが何よりゆっくり出来なかった。 たとえ、それが用意された場所でしか得られない称号であっても、その事実を知らない限りでは一生「かりのたつゆん」だったのだから。 それでも、平和にゆっくりしたゆん生を送ってきたまりさは怒りという感情の置き場を知らずに、ただ我慢するだけだった。 「ごめん、ごめんね、おちびちゃん、すくないけど、これたべてね……れいむ、はなしがあるよ」 「ゆん?」 どうにか手に入れた柔らかい草や木の実を子れいむに渡すと、れいむを呼んで話をする。 「もう このきさんは まりさたちにおうちをくれないみたいだから ここをいどうしよう、どうにかしてむれにかえろう!」 「ゆっ! …………ゆん、そうだね、ここにいたらおちびちゃんもゆっくりできないしね」 まりさの提案にれいむは頷いた。 子れいむは「げろまじゅ! こんにゃのしかとってこれないむのーはしね!」と、食べては吐き出して、一番美味しい部分だけを食べていた。 そんな我が子の姿をしばらく眺めてから、れいむとまりさは明日の移動の為に、吐き出された草をもそもそ食べだした。 「ゆきゃきゃ! こにょクジュはへんったいだね! れいみゅのつばしゃんがついたのがだいしゅきなんだから! きみょいよ!」 「「……むーしゃむーしゃ」」 笑われながらもそれに耐えて、どうにかして群れに帰りたいと二匹は無言で涙を流した。 「ゆゆ? にゃににゃいてりゅの? れいみゅがこわかったの? ゆぷぷ! なさけにゃいね! ゆぷぷ、ゆぷぷ!」 「「…………」」 ……。 …………。 「ゆへ、ゆへぇえ、まだ、つかないの、お」 「ば、ばりざ、そろそろ、おちびちゃん、かわるよ……」 次の日、起きてから直ぐに二匹は行動を開始した。 近場にある枯れ草などを食べてから、子れいむを頭に載せて必死に森の中を進んでいく。 交互に子れいむを運んで、ぐずる彼女をあやしながら、群れに帰ることを夢見て進む。 どこがゴールかも解らず、つい先日までぷにぷにだったあんよをガチガチのまっくろにして、綺麗だったお飾りをボロボロにしながら必死に必死に這いずり回っていき。 「「ゆ、ゆわぁああぁああ!!」」 「ゆ? にゃんにゃの?」 三匹がたどり着いたのは一面の野菜野菜野菜。 中にはかつて餌として与えられていたものもあり、久しぶりにゆっくりした食事が取れると二匹は涙を流して喜んだ。 寝ぼけている子れいむを、まりさは頭から下ろすと自信に満ちた大声で話す。 「みて! おちびちゃん! これがきょうのごはんさんだよ! たっぷりたべてね!」 「ゅ、ゆわぁああ!! こりぇじぇんぶれーみゅの!?」 「「ゆふふ、おちびちゃんゆっくりしてるね!」」 目を輝かせて、野菜の群れに飛び込んだ子れいむを二匹は幸せそうに見つめていた。 子れいむはとりあえず手ごろな野菜に齧り付いては、違う野菜にと食べながら移動していく。 「まぁまぁ! これめっちゃまぁまぁ! さいしゃのあみゃあみゃにはまけるけど、めっちゃそれなりぃ!」 子れいむは「それなり」を連呼しながら、どんどん食ながら進む。 その姿に笑みを浮かべていた二匹も、そろそろ自分もと久しぶりの満足いく食事を始めた。 「「むーしゃむーしゃ! しあ 「にゃにやってるにょぉおお!!」 ゆ?」」 二匹が食事を始めたら、野菜を掻き分けて子れいむが鬼の形相でやってきた。 「お、おちびちゃ……」 「いま! にゃにをやってちゃの!?」 「む、むーしゃむーしゃ、だよ? どうしたの、おちびちゃん?」 あまりの形相に怯えながら、二匹はそう告げた。 その言葉に、子れいむは怒りを露に震えて叫びだす。 「これは! じぇんぶれいみゅのだよ!? おまえら みたいなむのーなクズに いっこでもわけてあげりゅと おもったにょぉおお!?!?」 「「ゆ!?」」 確かにさっき「こりぇじぇんぶれーみゅの」とか言ってはいたが、まさか本気とは思わず二匹は固まる。 「れーみゅをゆっきゅりさせにゃかったばちゅだよ! そこでれーみゅのむーしゃむーしゃタイムをみててね! たべたかったら さいしょのあみゃあみゃもっちぇこい! このクズ!」 口の周りに野菜クズをつけたまま、生みの親たる二匹を大声で怒鳴りつけて行く。 そのあまりにもあまりな態度に二匹は硬直してしまっていた。 そして、れいむは前から気になっていたことを恐る恐る聞くことにした。 「お、おちびちゃん? まえからいってる、さいしょのあまあまって、なに? れいむ、あまあまなんかあげたおぼえない、よ?」 子れいむがことあるごとに引き合いに出してきた「さいしょのあまあま」その存在がふと疑問になり、れいむは質問した。 その言葉に、子れいむはあからさまにれいむを小馬鹿にした表情を作り、語りだした。 「ゆふぅ、まっちゃく ゆっきゅりしてにゃいおやは あたまだけゆっくちしちぇってるんだね! れいみゅがうまれるまえに おまえのぽんぽんの なかにおいてあっちゃしゃべるあみゃあみゃだよ! れーみゅのこちょをおねーちゃんとかよぶ ずーずーしいあみゃあみゃだよ!」 「…………」 「ゆ、どーゆーこと? れいむ? れいむ?」 れいむは子れいむの言葉と一緒に、生んだときを思い出していた。 「そうだよ……ふたり、いたんだよ……」 「ゆ?」 ぶつぶつ呟くれいむを、まりさは心配そうに覗き込んだ。 まりさは理解出来ていなかった、何故なら腹に子を宿したのれいむだったから。 そして、れいむはしっかりと理解した、してしまった。 栄養が足りなくて、この子れいむは一緒に生まれるハズだった妹を食べたのだと。 想像すらしていなかった禁忌の同属食いに、この態度。 平和に暮らしていた、作られた森で生きていれば一生知らなかっただろう怒りがれいむを支配していた。 「こ、ごのぉおおぉおおおおおぉおお!!!!」 「ゆぴ?」 「れ、れいむ? どうしたの? どうしたのれいむ!?」 怒りを叫びに変えて、大地が震えるように声を弾き出した。 今まで喧嘩すらしたことのなかったれいむは、怒りをどうしたら良いか理解出来ずに、涙と声で発散していた。 「ゆぅ、きみのわりゅいゆっきゅりだね れーみゅはむーしゃむーしゃにもどりゅよ! ゆぴょ!?」 大声で叫び続けるれいむを見限って、子れいむは再び野菜を食べに行こうとして何かにぶつかった。 「にゃ、にゃにしゅりゅの!? れいみゅのきゃわいしゃに しっちょしにゃいでね!」 『ったく、これから収穫だってのに、ざっけんなよ、協定はどうしたんだよ糞ゆっくり!』 子れいむがぶつかったのは、れいむの叫びを聞いてやってきた畑の持ち主の青年だった。 この畑がある村は、まりさたちがやってきた森にある群れと協定を結んでいた。 もちろん相互の理解なんてものはなく、人間が仕方なく住まわせてやっているレベルで、用もなしに森から出たゆっくりは直ぐに潰されるし野菜に手を出すなんてもっての他だ。 無論、まりさたちは群れのゆっくりではないけれど、人間にはそんな違いはわからない。 これから収穫の野菜のいくつかを駄目にされたのだ、純粋に腹立たしいに決まっている。 「にゃにいっちぇるの! しゃっしゃとれーみゅにあやまっちぇね!」 「ゆぐがぁぁぁぁああぁああああ!!」 「れいむ?! れいむぅ!!」 彼の前では、子れいむが憤り、れいむが叫び、まりさがオロオロしていた。 青年は前からゆっくりが大嫌いだったが、協定の為に山狩りなどは出来ないでいたし。 森の群れのゆっくりはそれなりに優秀で、森から出ることはなかった。 しかし、今回野菜を食べられたことでゆっくりを根絶やしに出来ると青年は歪んだ笑みを浮かべていた。 ……。 …………。 「ゆぎゃぁぁっぁああああ!! やべでぇっぇええ!! ゆるじでぇぇぇえええ!!」 「ゆるす! わけが! ないのぜ! おまえたちの! せいで! あやうく! むれが!!」 森の中にある群れの広場で、まりさが群れゆっくりたちに何度も体当たりをされていた。 あの後、青年が皆に話して群れのゆっくりを呼びつけたのだが、三匹が群れのゆっくりではないと解った為に、駆除の思惑は外れてしまった。 その腹いせにれいむは青年に踏み潰され、まりさと子れいむは群れに引き渡され、せいっさいの真っ最中だった。 何とか人間に目をつけられないように暮らしていたのに、余所者のせいで駆除されそうになったのだから群れの怒りは相当のものだった。 まりさは帽子を引きちぎられ、足を棒で裂かれた上で袋叩きにあっている。 子れいむは、というと。 「だしぇぇぇぇぇぇええ!! れーみゅをこんにゃくしゃいとこにいれちぇ ただですむとおもっちぇるにょ!?」 群れのうんうんを集める穴に放り込まれて、一生そこでうんうんを食べて暮らせと命じられていた。 子れいむは、そんなことは出来ないと大きな声で鳴いてはいるが、それは群れのゆっくりを楽しませるだけで。 「ゆぴゅ!? く、くしゃいぃい!! やめちぇ! うんうんしにゃい、ゆげぇぇえ!!」 「ゆぷぷ! あのゲスちび、ゆっくりしてないね!」 今もまた、子れいむ目掛けてうんうんが放られた様だった。 まりさはまりさで、ずっと暴行を受けてもはや意識が朦朧としていた。 そんな彼女の前で、大きなまりさと、ありすが何やら話をしているようだった。 「さいきん よそものがふえたのぜ」 「しかも、いなかものばっかりね、どーゆーことかしら?」 二匹の話すとおりに、最近森に見たことないゆっくりが増えてきたのだった。 もちろん、ゆふぁりパークで捨てられた、もとり野生に返されたゆっくりたちだ。 この森には、まりさたち以外にも何家族か捨てられていて、その何匹かがこの群れに着たり、村に行ったりしていた。 群れに来たゆっくりは、「かりのたつゆん」を名乗っていたくせに、まったく狩が出来ず、しかも巣も作れないし、何も出来ない能無しばかり。 そして、村に出たゆっくりのせいでこの群れが疑われて、今回のような駆除の原因になりそうになったりしていた。 長であるありすは大きくため息をついて、ボロボロのまりさを見つめる。 「どこのいなかからきたのかしら? このいなかものは」 野生に返されたゆっくりたいは、その大半が死に絶えて、残りは各地で様々な被害を起こしていた。 畑荒らし、人間に喧嘩を売る、子供のお菓子を狙う、住居侵入。 人間とうまくやっている群れの崩壊、野生ゆっくりとの諍いなど等。 数え上げたらキリがないほどの被害を出していた。 そんな被害の引き金ともなった愛護団体は、そ知らぬ顔で捨てゆっくりの問題に噛み付き、非常識な飼い主、虐待趣味について言及して 『ゆっくりを捨てるな! ゆっくりに愛を!』と歌っていた。
https://w.atwiki.jp/virtualrowa/pages/174.html
エリアにて対の色彩が交錯する。 二対の白と黒が重なり合い、離れ行く。隅では緑が添えられる。そんな光景がそこにはあった。 二対の黒と白の刃と刃が打ち合いカンカンカン、と甲高い金属音が鳴った。 鎌を薙ぐ。剣を振るう。一進一退の攻防。 そんな攻防に水を差すように矢が飛来する。 正確無比な射撃。だがそれをもう一対の白が弾き返す。黒と白は牽制を交え共に一歩引き下がる。 「危ないじゃないのー!」 後方で待つ緑に対し不平を口にしたのは、敵である白でなく同陣営の黒――ブラックローズだった。 「撃つなら撃つって言いなさいよー!」 「なに言ってんだ。んなことしたら当たるもんも当たらんだろうが」 そんな掛け合いを無視して白が黒へと迫る。 拳と刃。二対の攻撃がブラックローズを襲う。ウラインターネットのぬっぺりした闇を裂くように白が走る。 それを阻むのはもう一つの黒――ブラック・ロータス。彼女が一対の白の攻撃を受け止めブラックローズを守る。 「ありがと、黒雪姫」 「大丈夫だ。それより押し込むぞ」 「了解」 言葉を交わしつつも二対の黒は白へと反撃する。 ブラックローズとブラック・ロータス。彼女らは互いが互いの背中を守るべく迫る白を退けるべく剣を振るった。 舞い踊る刃の一撃一撃に白は徐々に押されていく。 己の劣勢を察した白は悔しげに舌打ちし、その身体を粒子と化し逃れんとする。 寸前一筋の矢が飛来する。肉を切り裂く音がした。白の身体は既に消えたが、その直前に有効打を加えることに成功したのだ。 「ナイスだ、弓兵」 「アンタもたまにはやるじゃない」 「へいへい、お褒め頂き感謝感激の極みですよ」 言葉を交わし合う黒と緑。だが戦いは終わらない。 一度粒子化したその身が再び収束する。全身を白に塗り固めた奇抜なファッションの双子――ツインズが現れた。 コートの傷は見当らなかった。矢を受けた筈の服は既に真新しいものへと修復(リカバリー)されている。 「あのアビリティ、回避と回復を同時に行うスキルか」 「うわぁ、また面倒なのが来たわね」 黒たちの声にを受け、僅かに苛立ちを滲ませた白が一歩前へ出る。その手には巨大な鎌が握られている。 「まだやる気みたいだな。やれやれ、さっきの死神で終わりだと思ったんだがなぁ」 「首ひねってないで戦う。ほら、さっさと援護して」 「へいへい姫様方」 一方の黒たちもまた戦いへと集中と緊張を高めていく。 決して油断ならない相手だと言うことは皆分かっていた。 「じゃあ、行くわよ」 その声と共にブラックローズが一歩前へと踏み出た。引きずられた大剣が火花をまき散らす。 それを合図にしてツインズらも動き出す。 白と黒、そして緑の戦いは続く。 ◇ ツインズと呼ばれるエグザイルたちはメールを受け取った後も特に行動方針を変えなかった。 仮に脱落者の中にメロビンジアンの名でもあればまた別だったろうが、その名はなく、唯一見知っていた名も敵のものだ。 だから特に影響はない。(最も彼らの片割れは彼女のことを憎からず思っていたので、全く思う所がない訳ではなかったが) この空間の統括者がどのような存在であれ、現時点で脱出は不可能にあると彼らは判断していた。 恐らくこの空間とその統括者の関係はモービル・アヴェニューとトレインマンのそれに当たる。でなければマトリックス内でこれほど好き勝手ができる理由がない。 ならば内部からの脱出は不可能だろう。脱出の芽があるとすれば外部からの介入か、あるいは統括者側に予期せぬ事態が発生した場合だ。 つまり、こちらからの抵抗は無駄だということだ。そう判断したが故に彼らは一先ず統括者に従うこと――他参加者をkillしていくことを選んだ。 今後の状況推移次第で方針の転換はあるかもしれないが、ウイルスという時間制限がある以上最低限何人かは減らしてしまいたい。 その為このエリアに潜み何度か戦闘を行っているが、今一つ上手く行っていないのが現状だった。 とはいえまだ焦る時間ではない。方針を変えることなく再び参加者を襲い、今に至る。 「はぁ!」 黒のマシン――ブラック・ロータスが正確無比な勢いで刃を振るう。 白がそれを鎌で受け止めようとするが、その力強さに押されている。 幾度かの打ち合いの末、黒の刃が白の姿を捉え―― 「……またか」 ――る寸前、白はその身を透明化させ黒より距離を置く。 それを苦々しく思ったのか黒は「厄介なアビリティだ」と言葉を漏らす。 ツインズの持つスキル。それは「幽体化による物理法則の無視」である。 己の身を幽霊のように解体し何もかもを擦り抜ける。当然、幽体化している最中は一切の攻撃を受け付けない。いわゆる「当たり判定」が喪失するのである。 そして再結集した身体は修復される。流石に完璧に修復には多少時間が掛かるが、多少のダメージならば即座に回復できる。 単純に強力な能力だが、しかし弱点も存在する。 先ず幽体化している間はこちらから攻撃が一切効かないこと。これは全てを擦り抜けることの裏返しである。 次に不意打ちまではカバーできないこと。先のロックマンと揺光との一戦では、未知の力に対応できずダメージを負った。 最後に相討ちができないこと。スキルにはある発動条件が備わっていることが原因だ。 「何なのよ、こいつら、攻撃が当たらないじゃない」 もう一方の黒に白は嘲りの入った笑みを浮かべる。 先は未知の力の前に後れを取ったが今度はそうは行かない。鎌の扱いにも大分慣れてきたこともあり、より機敏な動きができる筈だ。 敵の数では向こうが上回っているが、だがしかしツインズは十分勝機はあると踏んでいた。 それは己のスキルに依るところもあるが、それよりも彼らのプログラムとしての性質――「双子」の名が示す通りの二つの身体による完全な連携が大きかった。 寄せ集めの烏合の衆に負ける自分たちではない。 ◇ 「姫様よ、こいつらに闇雲に戦ってもじり貧だぜ」 「そうだな……」 白と黒の攻防は続いていた。基本は黒が優勢に立ち白を押していく――が白が幽体化の能力を使い戦局をリセットする。 その何度目かの繰り返し中、ブラック・ロータスとアーチャーは言葉を交わす。 押してはいる。いるが、このままの状況が続けばそれも分からない。 ただでさえ今の自分たちは疲弊している。時間を置いたことで多少回復したとはいえ、先の死神との戦いの遺した爪痕は大きい。 ――喪ったものは大きかった。 「敵は持久戦狙い」 とはいえ足を止める訳にはいかない。それを分かっているからこそ、黒たちは迅速に考えを巡らせる。 回避と回復。それが一体になったスキルを有するこの敵は防御面で非常に優秀だ。 状況を合わせて考えるとこの敵は恐らくこちらが疲れるを狙っている。 「どうする、黒雪姫? 逃げるってのは何かムカつくし難しいと思うけど」 「そうだな……」 そうこうしている内に再び白が幽体化する。 一度砂が舞うように身を崩し、消えたかと思うと次の瞬間にはぬっと別座標に現れる。 その顔には嘲りの笑みが浮かんでいた。 「先程決めた陣形を試そう。そう複雑なものではない。出来る筈だ」 ロータスは一瞬の思考の末、判断を下す。 思えばこれがこのパーティとして初めての戦闘だ。これまではパーティでなくただ一緒に行動していただけ。 実質的な初戦闘に不安がない訳ではないが、しかし同時にやれるという不思議な確信もあった。 「分かった、黒雪姫。じゃあちゃちゃっと動くわよ」 「了解、姫様。ま、マスターの言うことは聞きますよ」 黒たちは頷き合う。そこにかつてあったわだかまりは見えない。既にその段階は乗り越えた。 だから彼女らは走った。黒、黒、そして緑。一直線に並ぶ三つの影。 「行くわよ!」 声と共に戦法の黒、ブラックローズが先んじて身を躍らせる。 その敏捷と剣を生かし白たちへと肉薄する。スキルこそないがそれ故に硬直の少ないモーションで斬撃を繰り出す。 「ほらよ、当たるなよ姫様」 間髪入れず緑、アーチャーが矢を放つ。正確無比な射撃がブラックローズを背中から援護する。 その連携に一対の白は一瞬動きを止める。 「そこだ」 そこに最後に備えていた黒、ブラック・ロータスが突入する。 幽体化しようとしていた白たちへ彼女は技名を叫び鋭い刺突を放つ。 レベル5必殺技「宣告・貫通による死《デス・バイ・ピアーシング》」。その一撃は白を捉える。 敏捷にに優れるブラックローズが先んじ敵をかく乱、それを後方に備えるアーチャーが射撃で援護、最後に備えるブラック・ロータスがその高火力を持って敵を撃滅する。 それが先程打ち合わせたパーティ「黒薔薇騎士団」の基本陣形。 初めてではあったが息の合った連携に成功し、ロータスの必殺技が白を捉えた。 幽体化により容易に回避と回復を行う白――ツインズたち。 この敵を前にしてロータスが考えたのは高火力の必殺技による一撃必殺だ。 半端な威力の攻撃を当てても回復されてしまう以上、取り得るのはその方策しかない。 先の攻防でアーチャーが矢を当てたのは確認している。それから判断するに白たちのスキルは任意発動――つまり不意打ちに弱い。 そこから考えるにこの敵に対して取るべきは「一撃必殺」かつ「不意打ち」である攻撃だ。 デュエルアバター・ブラック・ロータスにそのような都合の良い技はないが、しかし「黒薔薇騎士団」ならば不可能ではない。 必殺技の硬直をブラックローズとアーチャーがカバー、幽体化する直前を狙い敵を討つ。 まだ慣れない陣形だったが策は成功した。ロータスの必殺技はツインズを捉える。 事前に発動していたコマンド・オーバードライブ≪モード・ブルー≫による強化された近接攻撃が炸裂する。 敵の強みは一対であること。片割れでも削れれば勝利は見えてくる。 後は一撃が致命ダメージに到達しているかが問題だ。とはいえこれは恐らくだが問題ない。 幽体化という強力な回避アビリティを持つが故、本体そのもののステータスはそう高くないと思われた。個々の戦いではこちらが押していることからもそれは推し量れた。 それは如何にもゲーム的な、レベルごとにポイント振るというシステムを前提にした考えでもあったが、しかしこの場合は正しかった。 ロータスの一撃はツインズにとって致命傷となり得るものであった。 しかし、 「っ……!? これでもか」 彼女の刃が敵を捉えることはなかった。必殺技を放つと同時に白たちはその身を幽体化させ、放たれた刺突をするりと抜けた。 拍子抜けするような感覚が彼女を襲い、同時に疑問符が脳裏に浮かぶ。 (察知されたか……? いや完全に不意を突いた筈だ。では……) 思考を巡しつつも前を向く。必殺技発動後の硬直を守る為にブラックローズが立っており、その先には幽体化を解いた二対の白が居た。 その顔には先ほどまで浮かんでいた嘲笑はない。余裕は抜け落ち、僅かに焦りが浮かんでいるように見えた。 彼女らには知る由もないことだが、それは幽体化の最後の欠点かつ特徴によるものだった。 基本的にツインズの幽体化は任意で発動する。が、しかしプログラムがある判断を下した場合自動で発動する。 その条件こそ「受けた攻撃が致命傷であると思われた場合」である。 これはセーフティでもあるが同時に欠点でもある。何故ならば相討ち覚悟の自爆攻撃ができないからだ。 容易に修復可能なプログラムであることを考えると、この事実は欠点であるといえる。 それを加味してか現バージョンのエージェントにこの機能は継承されておらず、アップデートと共に消えていた。 最もこの空間において自爆攻撃を敢行する気はツインズにもなく、この欠点が彼らの命を救ったのもまた事実だった とはいえこのセーフティが発動したということは彼らにとっても問題だ。 自動的な幽体化は単純な直線運動しかできない。致命打を与えることができるのならば、かつてモーフィアスがそうしたように彼らに深刻なダメージを与えることも不可能ではない。 「…………」 黒と白が対峙する。 事態は膠着に近い。どちらもまた有効打を決めることができない。 そんな中で先に動いたのは白だった。 「やっこさん……逃げるみたいだぜ」 それは撤退。ツインズのスキルは回復と回避に特化しているが、同様に戦線からの退却にも使うことができるのだ。 ダメージをリセットするのと同じく戦局をリセットできる。その経線能力こそ彼らの強みだった。 「どうする? 黒雪姫、このまま逃がすのは……」 「そうだな……」 黒たちは顔を見合わせる。 逃げた白を放っておいても良いのか。恐らく敵は無差別に参加者を襲っている。無警告で攻撃してきたことからもそれは間違いない。 「……追おう。ここで逃せば後々響いて来そうだ」 ロータスはそう判断を下した。 それは危険なPKへの対処と言うゲーム全体の大局的な視野もだが、敵のあのスキルも関係していた。 幽体化。あれは奇襲でこそ真価を発揮する。今は攻撃面に弱点があるが、今後それを補うような協力者やアイテムを得ないとも限らない。 ならば捕捉できている今の内に叩くべき――そうロータスは判断したのだ。 先の必殺技を受けた際敵は焦った顔を浮かべていた。そのことからあのスキルも無敵でないことが分かる。今なら十分に勝機がある。 「了解。姫様の仰せのままに、ってね」 「分かった。じゃあそうするわ」 方針を固め黒は白を追うべく駆け出す。スムーズな意思疎通ができている。そのことにロータスは漆黒の装甲の下で笑みを浮かべた。 「……そのさ、黒雪姫。さっきはありがと」 走りながら、ブラックローズはぽつりと漏らした。 ロータスは顔を俯かせる。さっき、とは即ちメールを皆で検分した時のことだった。 そこにはイベントやポイントといったゲームの仕様についてのことに加え、脱落者が記されていた。 その中にブラックローズが知る名が二つあった。 八相の戦いで共に肩を並べた、二人のプレイヤー。彼らの脱落が宣告されていた。 「アタシが戦えたのはさ、貴方が一緒に居てくれたからだだという思うから。 一人だったら、今の白い奴らに……ううんもっと前にやられていたと思うから」 「……それは私もだ」 隣を行くブラックローズに、ロータスもまた礼を口にした。 本当にそれはお互い様だ。何故なら彼女もまた知る名がメールに記されていたのだから。 クリムゾン・キングボルト。 かつて何度か対戦し、何の因果か最近に沖縄で再会することになった一人のバーストリンカー。 そこまで近しいという訳ではなかったが、しかしそれなりに付き合いの長いあの彼が、もう脱落してしまったという。 「……彼らの脱落はそう簡単には乗りこえることができないかもしれない。それが出来る程に私たちは戦士ではない。 しかし、進まなくはならない筈だ。卿の……ダン・ブラックモアの為にも」 その言葉にアーチャーが顔を背けるのが分かった。その瞳は前髪に隠れ表情は窺えない。 「私は君に手を差し伸べたい。こうして信じて向き合えたのだ。それくらいはさせて欲しい」 「……うん、アタシも――私もそうする」 二人の《黒》の少女は視線を絡ませた。 そこにもう壁はない。関係はずっと近しくそして温かく感じる。 だからこそロータスは口を開いた。 「君にも頼む。もし私が立ち止まりそうになった時、手を差し伸べてくれ、と。 私の手を……握手することすらままならないを取って欲しい」 その懇願に含まれた意志を汲み取り、ブラックローズは不意に笑みを浮かべた。 任せておけ、その顔は暗にそう言っているように見えた。 「とにかく今はアイツらを追うことに専念するわよ」 「ああ」 二人は言葉を交わし、前を向く。 たとえ困難があろうと進み続ける。そんな決意を胸に抱き、彼女たちは駆ける。 白を追って黒がエリアを進み続ける。その曲がりくねった道の果ては―― 「いきなり光? ってここネットスラムじゃない」 [B-10/ネットスラム/1日目・午前] 『黒薔薇騎士団』 【ブラック・ロータス@アクセル・ワールド】 [ステータス]:HP50%/デュエルアバター [装備]:なし [アイテム]:基本支給品一式、不明支給品1~3 [思考] 基本:バトルロワイアルには乗らない。 1:ブラックローズ、アーチャーと共に行動する。 2:ツインズを追う。 [サーヴァント]:アーチャー(ロビンフッド) [ステータス] ダメージ(大)、魔力消費(大) [備考] 時期は少なくとも9巻より後。 【ブラックローズ@.hack//】 [ステータス]:HP30% [装備]:紅蓮剣・赤鉄@.hack//G.U. [アイテム]:基本支給品一式、不明支給品0~2 [思考] 基本:バトルロワイアルを止める。 1:黒雪姫、アーチャーと共に行動する。 2 ツインズを追う。 ※時期は原作終了後、ミア復活イベントを終了しているかは不明。 【ツインズ@マトリックスシリーズ】 [ステータス] 健康 [装備A] 大鎌・棘裂@.hack//G.U. [装備B] なし [アイテム] 不明支給品0~2、基本支給品一式 [思考] 1:生き延びる為、他者を殺す 2:揺光に苛立ち(片割れのみ) [備考] ※二人一組の存在であるが故に、遠く離れて別行動などはできません。 067 君想フ声~愛という字は心が真ん中~ 投下順に読む 069 プレイ時間 6時間21分 065 マハ・誘惑の恋人―― 時系列順に読む 070 Alice 063 顔のない王 ブラック・ロータス 076 廃園の天使_グランヴァカンス 063 顔のない王 ブラックローズ 076 廃園の天使_グランヴァカンス 041 破軍の序曲 ツインズ 076 廃園の天使_グランヴァカンス
https://w.atwiki.jp/mihakula/pages/58.html
ふたりはアイドル 水着で抱きしめて♥ 深アキバに行こう!(前編) 深アキバに行こう!(後編) 恋するゼントラーディ 眠れる森の美女アルト 抱きしめて、銀河の果てまで。 1. クラン先生登場(小クラン。美星学園の制服に白衣着用) どじっ子っぷり発動。科目は生物学。 からかってくるクラスメイトに、「冗談はよしてくれ あんなチビッ子恋愛対象外」と告げるミシェル。 怒れるクランのチョーク投げを食らったあげく、研究室に呼ばれ、文句を言いながらも皆で向かう。 そこにはかつて危険視されていた宇宙生物(グババなど)が沢山いた。 本当は二人っきりが良かったらしい、おそろいのカップを用意していたクランをからかうシェリル。 2. スク水+浮き輪装備のクランが引率の先生として登場。 「アルト姫」と呼ぶミシェルを見てホモ疑惑を抱きorzとなるクラン。 ちうちうとストローでジュースを飲むクランえろい。 ホラーハウスで、ミシェルとペアで入ることに。 文句を言いつつ、怯えるクランの手を引いて歩くミシェル。 涙ぐみながらも強がるクランの可愛さは異常。ミハクラ万歳。 3. アルトは自分の奴隷だと宣言するシェリル。 シェリルの言う「ドレイ」の意味がわからないクラン。(クランの認識=奴隷≠ドレイ?) クランは朝弱いらしい。 ぼやーっとしつつ、ミシェルの袖を引っ張りながら、質問するクラン。 そんなクランを周囲から隠すように押さえつけるミシェル。 「ミシェル? 痛い、痛いぞ?」 「お子ちゃまは知らなくていいんだよ」 「ぬぬ。なにをー」 ランカが盗撮されていることが発覚。 自分の写真が一枚もないことにショックを受けるクラン。 容疑をかけられるアルトを捕まえるパンツ丸見え状態のクランたち。←えろい それを見つけたミシェル&ルカが大激怒。 誤解はとけたため、深アキバへ仕事へ向かうランカを犯人を捕まえるため追跡する仲間達。 4. コスプレをした面々。 ミシェルは吸血鬼コス?(片目眼鏡に中世ヨーロッパ貴族的な衣装) クランは不思議の国のアリスのうさぎコス?(シルクハットを被ったボーイッシュなゴシック衣装) ミシェルの水着姿に夢中で、盗撮犯をスルーしてしまったことを暴露して赤面するクラン。 「あーん」と口をあけてアイスをねだるクランに、不承不承ながら食べさせるミシェル。 満足そうなクランの笑顔がかわいい。 シェリルを口説くミシェルに嫉妬するクラン。 ミシェルに変な着ぐるみを被せられても、まんざらでもないクラン。 ミシェルに自分のフィギュアを見せ、SMSファンから絶大な人気があると自慢するクラン。 実物より可愛いんじゃないかと憎まれ口を叩くミシェルに怒るクラン。 5. クランがマイクローン化したとき、気づいたのはミシェルだけだったと話すルカ。 口ごもるミシェルに、聞きたがるシェリルとランカ。 眠たそうにあくびをする大クラン登場。 (朝、マイクローン化する時間がなかったらしい) 真っ赤な顔で「マイクローン化してこい!」と怒るミシェルに、面倒そうなクラン。 ナイスバディな大クランにクラスメイトが大喜び。 その姿で授業をして欲しいとねだられるが、小クランにて授業を行う。 その後、クランのマイクローン化の時の話を聞くため、クランの研究室にシェリルとランカが押し寄せる。 ナナセとルカとアルトとミシェルは窓の外から盗み聞き。 マックス&ミリアのことを憧れの存在だと話すクラン。 ↓old 過去、クランとの幼少期の写真を本に挟むミシェル。 マイクローン化装置に入るピクシー小隊。何気に小クランの服を着ている大クランが超かわいい。 マイクローン化に成功した水に滴るララミアとネネがえろい。 小クランになってしまったクランはネネの乳房に埋もれ悲鳴を上げた。 ↑now 説明後、orzとなるクラン。 ミシェルとの話は!?となるシェリル&ランカに恥らいながらも続きを語るクラン。 ↓old マイクローン化後、ミシェルとの待ち合わせ場所に半泣きで向かうクラン。 自分に気付いてくれるのか、年上が好みじゃないのか、嫌われてしまうんじゃないのか。 不安のあまりミシェルの前を通り過ぎようとするクランを、呼び止めるミシェル。 確信持ってクランに叫ぶミシェルに、クランが泣きながら抱きつく。 泣きじゃくるクランをなぐさめるミシェル。「何年幼馴染やってると思ってるんだ」 そんなミシェルの頼りがいのある腕に触るクラン。赤面して驚くミシェル。 ミシェルの腕の中にすっぽり入るサイズのクランは笑って。「小さいのも…案外悪くないかもな」 ↑now 照れて居心地悪そうに一人ベンチに座るミシェルに、声をかけるアルト。 何か決心したもようのミシェル。励ましあう二人。 文化祭の催し物は演劇「眠れる森の美女」に決定。姫役に抜擢されたアルト。 黒板を消すクランとミシェル。ミシェルに何か言われ照れるクラン。内容は不明。 6. クラン先生の出し物は「動物ふれあいコーナー」 体操着(ブルマ)に白衣着用の小クラン登場。 舞台のセッティング。差し入れのおにぎりを食べる生徒たち。 ミシェルのほっぺたについた米粒をクランがとってあげる。らぶらぶ。 7. 学園祭。クランは魔女役。…ミシェルは登場せず。
https://w.atwiki.jp/generation-genesis/pages/127.html
名前 COST EXP 指揮 射撃 格闘 守備 反応 覚醒 補佐 通信 操舵 整備 魅力 初期アビリティ 初期スキル 性格 フォルド・ロムフェロー 40400 680 60 160 160 160 180 0 60 36 70 70 76 完全無欠 ハイスピード ルース・カッセル 42100 680 100 175 160 165 150 0 100 75 55 55 76 協力 スーパーガード キルスティン・ロンバート 30900 650 230 156 40 115 90 0 55 50 50 50 90 統率力 スウェー ミユ・タキザワ 29500 600 50 100 100 100 100 0 50 180 50 50 89 情報解析 クイックモーション アニー・ブレビッグ スカウト不可 600 50 100 100 100 100 0 50 50 50 180 75 メカニックセンス - マレット・サンギーヌ 38300 700 130 165 165 165 165 0 20 20 20 20 75 ガンダムキラー アクトダウン マレット・サンギーヌ(傷あり) 130 180 180 100 195 0 20 20 20 20 75 リリア・フローベール 33300 600 30 140 120 120 135 0 100 90 55 25 88 協力 サルベージ ユイマン・カーライル 35500 600 110 135 135 135 135 0 110 40 40 40 70 教導 スーパーガード ギュスター・パイパー 33800 600 40 135 135 120 120 0 80 55 90 68 69 ムードメーカー スウェー ノルド・ランゲル スカウト不可 - - - - - - - - - - - - - -
https://w.atwiki.jp/kt108stars/pages/230.html
707 名前: NPCさん 04/04/14 18 53 ID ??? もう随分長いことTRPGから離れていたんですが、このスレ読んでいたら ある人物のことを思い出したので書いてみます。 昔、私と数人の友人たちで一ヶ月に一回くらいTRPGをしていました。 なにぶんローカルな環境だったため、今思えば無茶なハウスルールなんかもまかり通っていました。 ですが、いつもGMをやっているA氏が、あるとき奇妙な変化を遂げてしまいました。 それまでは(当時の我々の感覚で)普通のGMだったんですが、ある日を境に妙なルールやロールを要求するようになったのです。 一例を挙げると、私は当時、指輪物語のガンダルフに傾倒していて、老獪系メイジを作って悦に入っていたのでして、 パイプを吹かす仕草などをロールしたりしました。 が、GMが突然、「冒険者は煙草を吸わない」と言い出し、私のロールを取り消すように命じてきたのです。 理由を尋ねても「冒険者は経験から煙草に害があることを知っている。どうしても吸いたいなら吸ってもいいが、 肺癌判定をしてもらう」 結局、私は折れて、禁煙メイジを演じることになりました。 他にも、友人のエルフがレイピア以外の武器を使用することを禁止され、 折角のワームスレイヤー(友人はドラゴンランスが好きだった)を売り払うことになってしまいました。 708 名前: NPCさん 04/04/14 18 57 ID ??? 続き ですが、最悪のハウスルールは舞踏判定でした。 これは、魔法を唱える際に踊らなければならないというもので、 狭い場所や人が密集している場所では手足がぶつかって失敗する可能性があるというものでした。 私のメイジはこのルールのせいでろくに魔法が使えず、それどころか壁にぶつかった際のダメージで 自滅しかけました。 挙句の果てに、バランス取に失敗し、狭い橋から落ちて、はからずもガンダルフのような最期を遂げました。 (無論、白い衣を纏って復活なんてこともなかったです) GMにいくら問い詰めても、「これらのルールはRPGについての本(名前は失念)に書いてあることだ。 俺は正しいファンタジー世界を構築しているのだ」の一点張りでその件の本も見せてくれませんでした。 スレ13