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一話 『愛しのエンジェル』 神頼みという言葉があるけれど、神様に祈って現実的にどうにかなると思っている日本人なんてほとんどいない、と思う。日本に八百人だか八千人だかの神様がいるせいかその有難味は薄れてしまって、神様と運がほとんど同義になってしまってはいないか。 神様に頼んだってこの暑さが和らぐことはない。 神様に頼んだって今日までの一週間で受けた中間テストの結果が良い方に転ぶわけもない。 「鉄子さん、携帯鳴ってますよ」 でも、その八億人の神様が気まぐれに私の願いを一つだけ叶えてくれるとしたら、私は世界中の人達と仲良くなりたい。だってそんなこと、私がどんなに頑張っても運が良くっても不可能だから。 「鉄子は明るい」だとか「人当たりが良い」などと言われる私だって、あんな奴は死んでしまったほうが世のためだとか、ジャージ店主から呼び出しの電話だウザイなあとか、人並みに考えてしまう。誰とでも仲良くしたいとは思いつつ、嫌いな奴は人間とすら認めたくない。あっちが土下座してすり寄ってきたとしても私のほうからお断りだ。 「なっちゃんサンクス。テスト明けくらいゆっくりしたいんに……もしもしぃ?」 『ああ鉄子君? 君が物売屋の看板娘になった日からずっとこうだ。遠くからのお客さんだというから物売屋も名が知られるようになったと思ったのに、依頼はまた神姫絡みときた。今となっちゃ家出猫探しの依頼すら恋しく思えるよ』 「はぁ、さいですか」 『ちゃんと聞いてるのかい?』 「えー、店の扇風機が壊れて暑いなあ、ってことですかね」 『冴えてるじゃないか鉄子君。それじゃ、コタマを連れて今すぐ来てくれ。お客さんを待たせてるよ』 断る暇すらなく通話は途切れた。電話番というわけでもないのに二年生のなっちゃんは律儀に(?)私が電話を終えるまで待っていた。 「今の電話、何ですか? 鉄子さんの台詞から会話の内容がサッパリ分かんなかったんですけど」 「バイト先の店主に呼び出されたんよ。先に部活抜けるわ」 「呼び出し? ま、まさか扇風機がどうとかって仕事の暗号なんですか! 鉄子さんのバイトってスパイ的なアレですか!」 アクロバティックな発想をするな、この子は。といっても今の電話は私にもサッパリ分からなかったから、なっちゃんには適当に返事して部活を抜け出した。 城尊町物売屋二代目店主にして一人でその看板を守る寿八幸助は悪人ではない。さっきは言葉の綾で「死ねばいいのに」と考えたような気がしたけど、私は八幸助さんを嫌っているわけではなく、苦手なだけだ。八幸助さんの奥さんである千早さんは凡てにおいてパーフェクトだし、その人のハートを射抜くくらいだからきっと八幸助さんは良い人に部類されるんだと思う。 でも、きな臭いなんでも屋のような商売をしている物売屋の店主を務めるくらいだから、八幸助さんの性格もそれなりにきな臭い。 先日、物売屋にとって久しぶりの武装神姫関連ではない依頼が舞い込んできた。痩せこけた年齢不詳の男は財布から諭吉一枚を抜き出すや「この世のすべてが知りたい」とのたまった。後から千早さんに聞いた話だと、物売屋にとってこの手の来客は日常茶飯事らしい。 私が面食らっていると八幸助さんは少し考えた後、店の奥の居間からメモ用紙と製図用コンパスを持ってきた。そして私とその男の前でメモ用紙に綺麗な丸を一つ書いて、それを男に手渡した。 男はそれを受け取り、メモ用紙をためつすがめつして見て「なるほど」と何かを納得して去っていった。 頭頂にクエスチョンマークを浮かべた私に八幸助さんは「いやあ鉄子君、勉強になったね。適当に書いた何の意味も持たない丸にこの世のすべてを見い出せる人間がいるとは、いやはや世界は広い」と嘯いて一万円札をジャージのポケットにねじ込んだ。 これくらい肝が据わっていないと物売屋の店主は務まらないんだろうけれど、意味不明なやり口で意味不明なお客さんからぼったくる人を信用しようと思えるほど、私の頭は腐っていない。一日中お茶を飲んでいるだけでバイト代を出してくれる店主であっても、私の苦手意識はそう簡単には消えてくれないのだ。 なにも八幸助さんに限った話ではなく、他にも苦手だったり嫌いだったりするヒトはたくさんいる。誰だってそうだろう。自分の日常の中にいるヒトだけでなく、すれ違った他人に意味も無く睨まれたり、オバさんに理不尽なイチャモンをつけられたり、数えきれない数のヒトを私は嫌った。逆に好きな人は簡単に数えられるから人間は苦労が絶えないんだと思う。 では何故私は、八兆人の神様に世界中の人達と仲良くなりたいだなんて願うのか。それは私とまだ仲良くなっていないけれど、私と仲良くできる可能性のある人達と仲良くなりたいからだ。今現在仲の良い人達とは、もっともっと仲良くなりたい。さらに限定するなら、背比弧域と親密になりたい。 その他嫌いな奴は人間とすらみなさないから、私は全世界の『人間』と仲良くなりたい。こんなことを他所様に言うと痛い子扱いされるから誰にも言ったことないけど。 「鉄子よォ、アタシはオマエがアホなことくらい、全知全能の神より深く知ってるつもりだったんだぜ。でも参った、やっぱ神はすげえや。この糞暑い日にコタマお姉様をクーラー利かせた部屋から拉致ってしかも働かせようとするほどのアホだったとは、さすがのアタシも知らなかったぜ」 修道服を着た神姫、シスター型ハーモニーグレイスのコタマは、私が物売屋まで自転車を漕いでいる間ずっと、トートバッグの中でブチブチと文句を垂れていた。もちろんこいつとも仲良くなりたくない。心を持つとはいえ神姫は人間じゃないから対象外――というわけではもちろんなく、最近はコタマが『神』の『姫』と書く神姫であることすら許し難くなってきた。コタマが神姫として生まれてきてよかったとしみじみ思う。もしコタマが人間として私の前に現れたとしたら、言葉も交わさず殴り合いになるだろうから。 物売屋に到着した私達を出迎えたのは、いつもと変わらないジャージをキメた八幸助さんと、私と同い年くらいの男だった。 「嫌そうな顔をするのも分かるけどねコタマ君、この彼は君と戦いたいがために遠路はるばるこの店まで来て、僕に真剣勝負の仲介を依頼したんだよ」 「そのとおり! お久しぶりだねマイエンジェル。あれからお変わり無いと推察するが如何に?」 長い前髪をかき上げ、顔の向きは斜め45度のベストポジション。垂らした糸のようにスラリと立つこの伊達男を私は知っている。 「……誰かと思えばあんたですか」 「おや、知り合いかい」 「以前、このヒトに大恥かかされたんです」 「おいおい、大勢の観衆の前でボクのオスカルをあっさりと沈めておいて、しかもこのボクを袖にしたキミが言っていい台詞じゃないだろう。むしろボクが恥をかいたと言いたいところさ。そうだろう?」 「知らんがな」 私とコタマがドールマスターなどというご大層な称号を得てしまったのも、以来あの神姫センターでやたらめったら挑戦されるようになったのも、すべてこの伊達男のせいだ。 神姫センターにいる人達には気安く私に近づくなと言ったこともある。にもかかわらず益々親しげに話しかけられるようになって、礼儀を知らない奴なんかは初対面なのに私のことを呼び捨てにしたりもする。この怒りの矛先を向けるべき相手がこの伊達男なのだ。 「これが物語ならボクはキミに意趣返しをするべきなんだろうけどね、安心するといい、ボクにそんなつもりは全くない。ボクのオスカルは心に深い傷を負ったけれども、ボクはキミをどうしても恨めなかった。何故だか分かるかい?」 「……さあ」 「キミがボクのエンジェルだからさ!」 バッと両手を広げ、伊達男は高らかに吠えた。 「我が人生にエンジェルktkr!」 「ちょっ!? 声がでかい!」 クーラーもなく入り口を開け放った土間に伊達男の叫びが響き、店の外へと抜けていった。 「おお愛しのエンジェルよ! キミは何故エンジェルなのか!」 「だから知らんがな!」 ただでさえこのヘンテコな店のアルバイトってことで近所の人に変な目で見られてるのに、これ以上痴態を晒してしまったら外を出歩けなくなる。 入り口の外のほうを伺うと、幸いご近所さんらしき人はいなかった。でも不幸かな、ご近所さんよりももっと私に近い二人組がいた。 「えっと……おじゃましま、す?」 「どうぞごゆっくり、でいいのか?」 背比め、部活に来ないと思ったら傘姫と遊んでたのか。 物売屋からの帰り道、傘姫と並んでアイスを食べながら歩く。背比は私達の後ろからついてきている。 「大丈夫なの? あんな約束しちゃって」 「いーわけねーだろ、闘り合うのは鉄子じゃなくてアタシなんだぜ。いっそわざと負けて鉄子とあの勘違いヤローをくっつけてやろうか。こりゃ妙案だぜ」 「んなマネしたら、あんたの寝床はジャンク屋のダンボールになるんやからね」 勿論私もコタマも、私達が負けるなんてこれっぽっちも考えていない。だからこそ伊達男の条件を飲んだ。 1.明後日の日曜日、神姫センターで1対1の真剣勝負をする 2.伊達男が勝てば、私は伊達男の真のエンジェルになる(?) 3.私が勝てば、伊達男は二度と私の前に現れない 僅かな平穏が手に入る以外に何のメリットもないのにこの勝負それ自体を拒否できなかったのは、これが私の立派な仕事だからである。伊達男はこの依頼を八幸助さんに持ちかけるにあたり、なんと5諭吉を支払ったらしいのだ。お客さんからの依頼への力の入れ具合が依頼料に正比例する物売屋としては、この破格の依頼料に応えないわけにはいかない。 「逆に言えば、私の価値は5万円ってことになるんかね。もしかして私、怒ってよかったんかな?」 「そ、そんなことは……」 「竹さんをそのまま買うならともかく、あの人の依頼はあくまで【ドールマスターへの挑戦(罰ゲーム有り)】だろ。そのまんま竹さんの値段にはならないって」 後ろから背比がフォローを入れてくれた。私の価値は少なくとも5万円ではないと言ってくれただけで、中間テストのことや伊達男のことなんてどうでもよくなるくらい嬉しくなる。 背比にとって私はどれくらいの価値があるんだろう。やっぱり私より傘姫のほうが高いんだろうか。それは当然といえば当然だけど、嬉しさはあっという間に霧散した。 どう考えたって今更私に勝ち目なんて無い。この二人はもう当然のように一緒になってしまっている。私がどうやって入り込める? 隣を歩く勝ち目のない恋敵と目が合った。傘姫が私の想いを知ったらどう反応するんだろう。怒るだろうか。悲しむだろうか。もしかすると歯牙にもかけないかもしれない。 傘姫が口を開いて何か言った。私はうまく聞き取れなかった。 「試し――――ゃえば?」 傘姫の顔が一瞬、歪んで見えた。 「え? ごめん何て?」 「あの人と試しに付き合ってみるのも悪くないと思うよ」 今度ははっきりと聞こえた。でも、それは傘姫の言葉とは思えなかった。 傘姫だって綺麗なだけの人間じゃない。けど「試しに付き合う」だなんてはっきり言うような……いや、違う。そこは問題じゃない。 私は今、目の前でいたずらっぽく笑っているコイツに「竹櫛鉄子には背比よりあの男のほうがお似合いだ」と言われたんだ。 「ほら、その、確かにエンジェルとか変なこと言ってたけど、物売屋を探し当ててまで鉄ちゃんを訪ねてきたってことは、それだけ鉄ちゃんのことを想ってるって証拠じゃない」 持っていたアイスが手から抜け落ちた。ベチャッと音がして傘姫も背比もそれを目で追ったけど、どうでもよかった。 背比の前でこんなことを言う傘姫に、私は悪意しか感じ取れなかった。 「それが何? だから付き合えって?」 「え、えっと、ちょっと考えてみてあげたらどうかなって、ね」 背比を自分のものにした奴に、妥当な線を見繕われたようにしか感じ取えなかった。あの男で妥協して、背比に近づくなと言われているとしか思えなかった。 傘姫の表情はいつもと変わらないのに、薄い笑顔の裏に不快と迷惑と憐憫が渦巻いているようにしか思えなかった。 「なんで考えないかんの? ねぇなんで? 傘姫はあの男と私をくっつけたいん?」 荒れる言葉を抑えきれなかった。傘姫の肩をビクッと縮める仕草で裏に隠された汚いモノが消えてくれた。 「そ、そんなつもりじゃ……」 「じゃあなんで考えろとか言った! ほんとは私が――!」 「おーいおい姫乃よォ! オマエまさかこのアタシにわざと負けろって言いたいんじゃないだろうなぁ!?」 感情に任せて傘姫を責めようとした私の言葉を、コタマがトートバッグの中から大声で遮った。右耳がキーンとなって耳を押さえた拍子に、自分の顔がかなり引きつっていたことを知った。 「アタシのとっておきの秘密を教えてやるけどよ、仮にアタシがファーストとセカンド無しの飛車角落ちだったとしてもアタシの勝ちは揺るぎようがねェんだぜ姫乃? アタシが負ける可能性を考えることが既にアタシへの侮辱なんだっつーの」 「……ごめん」 ぺこり、と傘姫は私に、いや私のバッグから顔を出すコタマに頭を下げた。 今更になって、気まずい雰囲気になってしまっていたことに気がついた。私と二人は家の方向が違うけど、道が分かれるのはまだ先だ。背比も助け舟を出してくれず、三人が立ち止まったまま歩き出すタイミングすら失いかけた時、雰囲気を壊したのは再びコタマだった。 「勘違いが過ぎるぜ、謝る相手が違うだろうがよ姫乃ォ? 一応アタシにも主がいるんだからよ、いや一応だぜ? 鉄子に謝っとくのが筋ってもんだろうが」 「うん……ごめんなさい鉄ちゃん。その、軽率でした」 傘姫は再びぺこりと私に向かって頭を下げた。さっきは傘姫が黒く汚く見えたけど、どうかしていたのは私のほうだった。 責めたのは私なのに、一方的に謝られてはきまりが悪い。 「や、私もごめん。ちょっと虫の居所が悪かったぽい」 「えー、なんかよく分からんけど、俺もごめん」 なぜか背比も謝って、三人で頭を下げ合った。背比が雰囲気を和ませようとしてこの場のノリ(?)だけで頭を下げているのが分かった。その妙な気のつかい方がおかしくて、私は吹き出した。つられて傘姫と背比も笑い始めた。 今更になって、足元のアイスが惜しくなった。 「あっはははははは! よし竹さん、姫乃をくすぐり倒そうぜ」 「なんでよ!? 唐突すぎる!」 「オッケー。私は右脇腹をやるから背比は左ね」 「待って待って人が見てる! は、離して、そこ弱あんっ!?」 「竹さん甘いぜ! もっとこう、抉るようにっ!」 「んあああっ!?」 「こうか!? こうがいいんか!?」 「よ、よくなっははひっはははっ! や、だ、だめっんはぁんっ! ひぃやっはははふはは、んひひっ! ひゃひゃはっ、やっやめ、ふやっはふふふっははひっ! く、苦し、だ、だめっもう――――!」 いささか悪ふざけの領域を超えてしまった責めによりいささか危ない領域(窒息的な意味で)に片足を突っ込んだ姫乃と、介抱する背比を乗せたタクシーが去っていくのを見送った。家の方向が違う私を置いて、二人は遠ざかっていく。 「コタマ」 「あん?」 「…………ありがと」 バッグの中のコタマは「んだよ気持ち悪ぃ」と悪態をついた。 「オマエもアタシの主だっつーんならもうちっとばかしクールになれよ。分かるか鉄子、クールだよクール」 「あんたに言われたくないわ」 なんだかあらゆるものに置いていかれたような気がして、それ追いかけるように私は家まで歩き出した。足どりが重いわけでもないのに、一歩一歩がすごく長く感じる。 どうしてこんなに家が遠いんだっけ? と考えて、そういえば物売屋に自転車を置きっぱなしにしていることに思い至った。今からでも取りに戻ったほうが早いけど、来た道を引き返す気にはなれなかった。 一人トボトボ歩く自分が、馬鹿みたいだった。 涙が堰を切ったように溢れてきた。 景色が歪み、街灯や車のライトの灯りが広がって町を虹色に染めた。 私はまた立ち止まって、歩けなくなった。追いかけていたものに離されていく。 「……うっ…………うううっ………………」 目を瞑ってもじわりと溢れてくる、嫌な涙。 大学生になってから私は、泣いてばっかりいる。 「このアタシがいるっつーのに泣く必要なんてないだろ」 私が泣きじゃくる度にコタマは、その時だけ気遣ってくれる。 「ほれ、オマエがやりたいことを言えよ。いつものようにコタマお姉様がなんでも叶えてやるぜ」 こんなときだけ私をあやすように甘えさせてくれるコタマに、私はいつも控え目なお願いをしている。コタマなら本当になんでも叶えてくれそうな気がするけど、なんとなく気をつかってしまう。 コタマは今まで、私の控え目な願い事をすべて叶えてくれた。面倒臭いと言いながら、私の我儘に付き合ってくれた。普段どれだけいがみ合っていても、コタマはいつも私の側にいてくれた。 私はまた、いつものようにコタマに甘える。 私、明後日の日曜日の勝負に勝ったら背比に告白するんだ。だから絶対に勝って。 「頼まれるまでもないけどよ……オマエ、それ、死亡フラグじゃねえか?」 さっきは負けるはずがないって言ってたくせに。 「そりゃそうだけどよ。オマエがこれ以上死亡フラグを立てないことを神に祈るぜ」 心配しなくても、ドールマスターが負けるはずがないことを私が誰よりよく知っている。私はコタマが世界で一番強い神姫だって信じてる。ファーストとセカンドを操るコタマが倒れるところなんて想像もつかない。 「だからそういうことを……とにかく、手紙の用意はしとけよ。日曜のバトルが終わった後で渡しに行くか?」 それはたぶん無理。わざわざ休日に尋ねて手紙を渡すなんて直接告白するようなものだし。できるだけさりげなく、たとえば部活が終わった後を狙うのがいい。 「そうかよ。あーこれでやっと不毛なラブレター講座が終わるんだな。清々するぜ」 そう、これでやっとすべてが終わる。 コタマ――今まで私に付き合ってくれてありがとう。 なんだかんだであんたのこと、嫌いじゃなかったよ。 「おい待て、だからそりゃくたばる奴の台詞だ」 いいこと思いついた。コタマは当然勝つけど、勝ってくれたら好きなだけヂェリーを用意してあげよう。そして今度は私がコタマの我儘をなんでも聞いてあげよう。いつもケンカばっかりしていたけど、少しはコタマに感謝してることだし。 「…………」 ねえコタマ。私達が出会った時のこと、覚えてる? 「覚えてねえ記憶にねえ! もういいから黙ってろ!」 道すがら私はコタマと出会った時の思い出を訥々と語っていたけれど、コタマは話を聞いてくれなかった。 涙はいつの間にか止まっていた。 次話 『主の仰せのとおりに』 15cm程度の死闘トップへ
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07/07/28投稿分。 ロックマンBGMの空耳「エアーマンが倒せない」の替歌「愛しの彼が振り向かない」が元ネタなので、ニコニコ動画が見られないとまったくワケが分からないと思われます。 1番は長門ver、2番は谷口ver、3番はエアーマンの替歌です。 ニコニコ動画IDをお持ちの方はこちら IDが無い方はhttp //ytu.be/で「愛しの彼が振り向かない ver.牙琉霧人」を検索すれば見られます。 元ネタ歌詞 【字幕】 長門有希さん(3歳)の 精神構造上に異常が 見受けられました 嫉妬に狂い 錯乱した長門さんを 見たくない方は ご遠慮願います。 『愛しの彼が振り向かない』 【ここまで字幕】 気が付いたら いつも いつも 彼のこと 思い そしていつも 部室で彼 待つ ある休日 彼と図書館 実質デートよ 情報操作の おかげ ハルヒの力があれば すぐに 残りの人類 消すけど SF読んでも ミステリ読んでも ハルヒとみくるが 消えない バニー姿は サカリのついたメスウサギ チアガールも お前らが着れば それはなんていう イメクラ 立派な胸も 見方 変えれば 脂肪細胞の 無駄遣い 彼が 誰にも寝取られぬように 私 情報改ざん能力を 高めとく (間奏) ある日教室に忘れ物取りに行く 中から長門有希の声が 一大事だ! 邪魔をするためWAWAWAと突入 予想以上の衝撃(大文字) 俺は思わず逃げ出す 「ごゆっくりぃぃい!」 なんて思っていない 次の日丸見えの嘘をつかれた 俺の気も知らないくせにっ きっとお前はかなりの面食いなんだろう 残念ながら俺はどうせミジンコ並の男だよ 胡散臭い笑顔もなければ おっぱいなんてあるわけねぇ! だけど変人たちには負けねぇ 今日もWAWAWAと突入準備は万端だ (間奏) アイテム2号があれば らくに 向こうのきしまでつくけど 何回やっても 何回やっても エアーマンがたおせないよ あのたつまき 何回やってもよけれない うしろに回って うちつづけても いずれは風にとばされる タイム連打も ためしてみたけど たつまき相手じゃ 意味がない だから次は絶対勝つために 僕はE缶だけは最後まで取っておく 改変後歌詞 【字幕】 牙琉霧人さん(32歳)の 精神構造上に異常が 見受けられました 嫉妬に狂い 錯乱したがりゅーんを 見たくない方は そもそも逆裁4を やらない方がいいです。 『誰も彼もが振り向かない』 【ここまで字幕】 気が付いたら いつも不正に手を染め そしていつも 無罪にする 法曹界一 クールな弁護と誉められたのも 情報操作の おかげ 捏造の力があれば すぐに無罪判決にするけど 依頼人ザックが ポーカーこだわり 成歩堂に弁護士変えた 何という理不尽な仕打ちなんだろう どぶろくスタジオ 連絡したけど もうキャンセルが できない 立派な贋作も裁判無ければ 一千万の無駄遣い せめて 恩着せ利用するため(せめて フラグ立てるため) 私捏造のこと 弟に教えとく (間奏) ある日自宅に忘れ物取りに行く 中からボンゴレと弟の声が 一大事だ! 邪魔をするため慌てて突入 弟になつくボンゴレ(大文字) 私は思わず逃げ出す 「ごゆっくりぃぃい!」 なんて思っていない 次の日丸見えの嘘をつかれた 私の気も知らないくせにっ きっとお前はかなりの面食いなんだろう 残念ながら私はどうせ 手を噛まれる飼い主だよ 胡散臭い笑顔だと言われる 歌唱力なんてあるわけない! だけど新人ごときには負けない 今日も証拠の捏造準備は万端だ (間奏) どんなに捜査をしても きっと 無罪判決は くだせない 「待った!」をやっても 「くらえ!」をやっても 決定的な証拠は無いよ あの娘は 法廷立ったら死ぬから どれだけ努力 尽くしたとしても 無罪判決には できない 万一無罪に なるとしたら そんな判決は 不法だ!!!(大文字) いつか 疑惑晴らすまで 私封筒だけは 大事にとっておく (裁判員 いたの?)
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愛しのイエロー・ムーンちゃん 依頼主 :ビター・スノー(ウルダハ:ザル回廊 X11-Y13) 受注条件:レベル2~ 概要 :デートの待ち合わせをしているビター・スノー。しかし何時までたっても彼女が来ない・・・・・・。冒険者に彼女の様子を見てきて欲しいようだ。 ビター・スノー 「ど、ど、どうなってんだ・・・・・・ 愛しのイエロー・ムーンちゃんと デートの待ち合わせをして、かれこれ二時間・・・・・・ お、オレッち、嫌われちまったのかなぁ・・・・・・。 わ、悪りィけど、アンタ。 「イエロー・ムーン」ちゃんがどこにいるか、 探してきてくんねェか? 彼女の家は確か「裁縫師ギルド」の近くだ。 ああ、やっぱオレッちがオシャレじゃねェから、 フラれちまったのかなァ・・・・・・。」 イエロー・ムーンに話しかける イエロー・ムーン 「あぁ~ん、やっぱダメダメ! この服、ヘアスタイルと全然あってな~い! んもう、せっかくダーリンとデートなのにぃ~。 やっぱさっきのチュニックがいいかしら? うえ~ん、イエロー・ムーン困っちゃうむ~ん! え? ダーリンが待ってるって? でも~、だって~、ダサい格好して嫌われたらヤだも~ん!」
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愛しのピンクロボ(いとしのぴんくろぼ) 登場作品 + 目次 TOPなりきりダンジョンX 関連リンク関連種なりきりダンジョンX ネタ TOPなりきりダンジョンX 種族 属性 システム: Lv. HP 物攻 物防 術攻 術防 詠唱 敏捷 EXP ガルド CP 捕獲 × 弱点属性 システム: 耐性属性 システム: 落とす物 アイテム:(%)・アイテム:(%) 盗める物 アイテム:(%)・ガルド 出現場所 追憶の歪み (データは難易度Normalのもの。落とす/盗める物の数値は入手確率) 行動内容 総評 ▲ 関連リンク 関連種 なりきりダンジョンX ミラクルD・X ▲ ネタ ▲
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#02 記憶の平方根はゼロ/〔12496〕 そして「軽音部」へと入部した私は大いに歓待された。 練習量だけは人並み以上にあると自負していたけれど、それでも人前でギターを弾くのは緊張した。 なんだかんだで、私は新しい環境に胸を弾ませていたのだった。 急く気持ちを押さえつけながら、特別教室が軒を連ねる棟の階段を登っていく。 始めて訪れた時と違い、一人分の足音が放課後の喧騒の中に反響していた。 階段を登りきり、音楽準備室のプレートが掲げられた扉の前に立つ。 棒タイをいじり、形を整えて、咳払い。 入部二日目。未だ緊張してます。 梓「……普通に。普通にすればいいんだ、私」 自分を落ち着かされるために独り言を落として、ままよ。扉に手を掛けて一気に開いた。 中の様子を確認する前に、腰を45度折る。 梓「遅れてすみません!」 ?「ふ、ふぇい!?」 ……勢いよすぎだったみたいで。しかも声量の調整も誤った。 随分と間の抜けた声に遅れて、ガタン、と椅子が揺れる音。 片目を瞑りながら上げた視線にいたのは、昨日と同じ場所、奥の椅子に座りながら目を丸くしてこちらを見やる―― 梓「あ、まだ唯先輩だけですか? 他の先輩方は……」 唯「ほぇ……? あのぅ、ごめんなさい。お名前、聞いてもいいかな」 どうしました、と続くはずだった言葉は、唯先輩の弱弱しい声にかき消された。 それは、本当に『知らない人』に対する反応だった。戸惑いを纏う雰囲気は、演技で出るものでは決してなく、 梓「え……なに、言ってるんですか、唯先輩……」 震える声。おかしい。昨日、ちゃんと自己紹介したはずだ。 唯先輩は困ったまま顔で、自らのブレザーの内側へと手を入れた。 梓「メモ、帳……?」 唯「え、と。うーんと」 取り出されたのは手のひらサイズのピンクのメモ帳だった。 リングメモ形の、100均でもよく見かけるもの。 そこには、大量のシールが張り付けてあった。 シールの中には角が擦り切れていたり、日焼けして黄ばんでいるものもあって、 新品のメモ帳と比べて相当な年季が入っているのが見て取れた。 よく目を凝らすと、唯先輩のブレザーの内側にもそれはそこかしこに張られていて、 先輩が細かい挙動を起こす度にガサガサと虫の羽音みたいな音を立てている。 わからない。これは、いったい、どういうことなのだろう。 紬「こんにちはー。……あら? 二人とももう来てたの?」 梓「あ、えっと、ムギ先輩。あの、唯先輩が……」 部室に現れた琴吹 紬先輩は、 メモ用紙を漁り続ける唯先輩の様子を見て、状況を察したようだった。 紬「……あ、そうか。そうね。説明、しないといけないわね」 梓「説明、って。なにが、どうしちゃったんですか? 唯先輩は、」 紬「少し待ってね、梓ちゃん。みんなが揃ってからお話しましょう? ―――――……とりあえず、」 どことなく硬い笑顔だった紬先輩は、そこで一旦言葉を切った。 メモ帳を漁っていた唯先輩が、突然あっ、と小さく声を上げる。 その様子を見て、笑みを深めた紬先輩は続ける。 紬「お茶にしましょうか」 梓「はぁ。……………………え、お茶?」 言葉通り、出てきたのはティーセットだった。 ティーセット。学校の音楽室で、ティーセット。 なんかケーキまであるし。どこから出したんですかこれ。 これはこれですっっっごく気になるところだったけど、とりあえず今は優先すべきことがある。 席に着きながら、私は紬先輩を見た。 ふわり、と花がほころぶ様に微笑む彼女は、首を横に振りながら。 紬「……これは唯ちゃんから言った方が、良いと思うの」 水を向けられた唯先輩は、ケーキを食べる手をいったん休めて、 小さく微笑みすら浮かべながら口にした。 まるで昨日の晩御飯を話すように、なんでもないというように 唯「ええと。私ね、記憶が、75分しか持たないんだぁ」 そういった。 / それは、どこにでも転がっていそうな、 だからこそ絶対に体験しないと思えるような、ありふれた『悲劇』だった。 唯先輩が一年生――つまりは前年度の冬の話。 学校からの帰り道。 ちょっとした不注意から、飛び出してきたトラックにぶつかったらしい。 茜色射す夕暮れの時間だっと、と律先輩は言う。 宝物にしていた、素敵な『いつも通り』を全部奪っていったのは重苦しいブレーキノイズ。 それを今でもたまに思い出して身動きが取れなくなるの、と紬先輩は言う。 唯先輩はすぐに病院に運ばれて、幸い一命は取り留めたのだけれど、 脳の機能――つまり「記憶」に、障害が残ってしまった、と澪先輩が言う。 それまでの、過去の記憶については問題なく、自分の事もちゃんと覚えている。 けれど新しく入った記憶は、75分経つと消えてしまうそうだ。 紬「――脳の中に75分のカセットテープがあるような感じかしら。 そこに重ねどりしてくと、以前の記憶は消えてしまう。延長はなくて、きっかり、1時間と15分。」 紬先輩はそういうと、眉根を下げて目を細めた。 ビスクドールもかくやというような碧眼の瞳は、どこか遠くを見ていた。 きっとその先には、在りし日の光景が広がっている。 もしかしたら、私が辿るはずだったまた別の物語かもしれない。 紬先輩は悲しげな微笑のまま、唯先輩の脳の故障をして、『前向性記憶障害』。 『記銘障害』と『記憶障害』が重なった非常に稀有な状態だと言う。 梓「記銘、ですか? それは、その……記憶と、どう違うんですか?」 律「一言でいうならノートとエンピツだな。 記銘はエンピツ――つまり記憶に書き込む力。 記憶はノート――つまり記憶を保存しておく力。 唯はさ、書き込んだノートを忘れてきちまうんだよ」 こいつ、おっちょこちょいだからなぁ。なんて、冗談っぽく言う部長―― 律先輩の説明は、とても滑らかなものだった。 これまで何度も、違う人の前で、同じような説明をしてきたのだろう。 ポイントだけ狙い撃ちにして、余計な部分をそぎ落としたそれは、なるほどわかり易い。 けれど――冗談めかした言葉と声色は、今にも泣きそうな顔と不釣合いすぎた。 紬「お医者様は、『完治は難しいだろう』って。 私たちと知り合ったのは去年のことだから、ある程度は覚えているんだけど。 新しいことが覚えられないから、大切な事はメモに残して持ち歩いているの」 ムギ先輩が語ったのを最後に、沈黙が場に横たわる。 唯先輩が小さく身じろぎした瞬間、カサリ、と乾いた音がした。 澪先輩が、俯いて呟くように漏らす。 澪「初日に伝えてなくてごめん。先にこんなこと言っちゃうと、 もう誰も来てくれないんじゃないかと思って」 隠していて悪かった、と付言する。 頭を深々と垂れ、かみしめるようにもう一度、すまない、と。 その肩はとても小さく見えた。 律「……いや、悪意があった訳じゃないんだ。 軽々しく口に出来る事でも無いだろ? でも、私たちも新入部員っていうんで浮かれててさ」 律先輩が、後を引き継ぐように口にする。 バツの悪そうな顔のまま頬を掻き、背もたれに体を預けた。 ぎし、と音が鳴るくらいたっぷりと木を軋ませてから、緩慢な動作で離す。 机に置かれていた紅茶で口を湿らせて、私を見据えた。 律「でも、やっぱり気になるっていうんなら無理強いは出来ないんだ。うん。 ……今日は帰ってくれていい。考える時間もいるだろーしな。明日からも――」 梓「来ますよ」 律先輩が何事か言い終わる前に、私は待ち切れず言葉を発していた。 語尾を奪われた律先輩のみならず、 律・澪・紬・唯「「「「え?」」」」 異口同音。 視線が一点集中しているのを肌で感じながら、私は思った。 うん。そうだ。だって、そんな話を聞いたからって――どうだっていうんだ。 目を白黒させている先輩方へ視線を一巡させて、いう。 梓「私は、皆さんと一緒に演奏がしたいんです。 辛いことはあるかもしれないけど、そんなのは当たり前のことで。 この先、苦難があったとしたら、いいえ、あったとしても。 それって、そのときに、考えればいい事じゃないですか?」 言い終わってから、楽観的すぎる意見だと気恥ずかしくなった。 ともすれば、タライ回しや問題の先送りと揶揄されるかも知れない。 それでも、痛烈なくらいに思ってしまったのだ。 そんなことはどうでもいいからこの人たちと音楽がしたい、と。 それだけは胸を張って宣言できる。決意と言い換えてもいい。 ほとんど全員がぽかんとした顔をしていたけれど、ムギ先輩だけはくすくすと笑っていた。 紬「唯ちゃんと同じことを言うのね」 梓「え?」 目を細めながら、ムギ先輩が言った。 聞き返すと、内緒話を囁く前みたいに笑う。 すっかり中身の温くなったティーカップを取り、両手で包み込みながら、続けた。 紬「唯ちゃんはね、記憶が無くなってしまう、という話を聞いて。それでも笑ったの」 唯『あはは。これで同じお菓子が何日続いても、私は絶対に飽きないねぇ。 ムギちゃんのおいしいお菓子が、いつでも美味しいんだよ。 それって、とっても良いことだって思わないかな、ムギちゃん――』 唯先輩の声で聞こえた言葉は、私の発したもの以上に楽観主義的。 『楽しいは楽しいだよ』と笑う唯先輩の姿が脳裏を過ぎる。 ああ、この人なら言いそうだなって、納得して、苦笑いが漏れた。 ムギ先輩は唯先輩を一瞥してから、睫毛をそっと伏せた。 紬「だから――私たちは、唯ちゃんと一緒にいて、力になろう、って思ったの」 ――――こうして、私の新生活が始まった。 ちょっと変わった先輩たちと過ごす、放課後の部活動。 少し、いやかなり、不真面目なのが玉にキズだけど―― 私は、ここに居たい、と。そう思ったのだ。 そしてその日から。 唯先輩のブレザーの内側、心臓に一番近い左胸へ、 「中野 梓 新入部員!」と書かれたシールが張られることになった。 3
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前ページ次ページ僕らは、恋をして生きていく 第2話「アイさんざんと」 さて、そうこうした後に、ヴェルダンテと親睦を深めていたら昼休みのチャイムがなった。 ああ、ヴェルダンテ、君と居ると、つい楽しくて時がたつのを忘れてしまうね。 再会を硬く約束しつつ、アルヴィースの食堂に向かう。 やけに早くから混んでいると思ったら錬金の授業は、 途中で事故があって取りやめになったので早くから人が集まったらしい。 ……なんか、微妙に損をした気分だ。 ここは、美味しい物を食べて気を取り直そう。 今日のメニューは、っと、ああ、パインサラダがある。 そういえば幼い頃、モンモランシーが初めて僕につくってくれた手料理がやっぱりパインサラダだった。 ……はしばみ草が混じっていて、美味しそうに食べるのが大変だったけどね。 「なあ、ギーシュ! お前、今は誰とつきあっているんだよ!」 「誰が恋人なんだ? ギーシュ!」 「いっつも、薔薇だ薔薇だって言ってるもんなぁ! モテモテなんだろ!?」 恋愛談議をしていた友人達が、僕の周りに集まってくる。 まあ、確かにこのメンツで、実際に女の子と付き合っているのは僕だけだろうけど。 やれやれ、現実は非情なものだね。 しかし、事実をそのまま話して、美少女二人と付き合っていて、その他、 教師・秘書・先輩・後輩・同級生にメイドたちから熱い視線で見られて困ってしまうなんてこと、 正直に言ったら彼らが可哀想だね。照れ屋さんなモンモランシーには、 「恥ずかしいから、付き合っているのは絶対に内緒にして!」って言われている事だし、 ここはオブラートにくるんで置こう。 「つきあう? 僕にそのような特定の女性はいないのだ。 薔薇は多くの人を楽しませるために咲くのだからね」 ふふふ、ああ、決まった。僕は今、確実に……格好良い! 「い、愛しのギーシュ様!」 あれ、まさかこの声は、……いや、使い魔のヒカリがアルヴィーズの食堂にいるわけ無いし気のせいだ。 そうに決まっている幻聴だ。幻覚だ。 そんな僕の願いも虚しく、ヒカリは息を弾ませて僕の傍に駆け寄ってくる。 手には、可愛らしいナプキンに包まれた小さな荷物を大切そうに持っている。 「い、愛しのギーシュ様! 私、マルトーさんにお願いして材料を分けてもらって、 お弁当を作ってきたんです! い、一緒に食べませんか? あ、あの……やっぱり駄目ですか? そ、そうですよね、私が作ったお弁当なんて食べられませんよね。 腐った生ゴミみたいな味がしますもんね、そんなものを毎日食べている私はきっと生ゴミにたかる蝿以下の下等生命体なんですええきっとそうですこんなもの捨ててやる! 飛んでけ私の人生ごと!」 「うわー待つんだヒカリ! 食べる食べるから! ぜひ一緒に食べようじゃないかそのお弁当を! たとえ生ゴミみたいな味がしようとも僕は君の作ったものなら食べられる! それはもう美味しくいただくから!」 世界が終わったかのような表情で飛び出そうとするヒカリを慌てて止める。 まずい、まずいよ、これはまずい、まずすぎる。 「おや? その娘は、もしやゼロのルイズが召喚した使い魔じゃないか?」 「さすがだギーシュ、昨日の今日でもう口説いたのかよ!」 「使い魔で平民をって、お前どんだけ守備範囲広いんだよ!」 外野が何か言っているけど聞こえない気にしない気にならない。 「ほ、本当ですか、愛しのギーシュ様? 飼いならされた豚のようにガツガツと、 生ゴミのような私のお弁当を本能のままに貪っていただけるんですか!?」 僕は、うんうんと頷いて見せる。この場に長く居るのは、まずい。 「ほんとほんと、いやあ楽しみだな生ゴミ――じゃなくてヒカリの手作り弁当! というわけでどこか人目につかないところまで行こうかきわめて迅速かつ極秘裏に」 とにかく、モンモランシーに気づかれる前になんとかしないと! 「は、はい、愛しのギーシュ様!」 僕はヒカリの手を引き、そそくさとこの場を離れようと、 「どういうことなのかしら?」 うああああああっ、終わりだ今日でハルケギニアは滅亡する。つーかいますぐアルビオンが降って来てくれ、畜生僕が何をしたんだ始祖ブリミルよあんまりじゃありませんか、世界のどこかにいる勇者よお願い助けて。 モンモランシーが、魔王のようなどす黒い瘴気を発しながら、そばにやってくる。 「や、やあ、モンモランシー。君は今日も美しいね」 はは……目が怖いよ。 「……えー、この娘はヒカリ・キシモト。昨日モンモランシーも会ったよね? ほらルイズが召喚した平民の娘。……ヒカリ、彼女はモンモランシー・マルガリタ・ラ・フェール・ド・モンモランシ。僕と同じこの学院の二年生なんだ」 平静を装って僕は二人に互いを簡潔に紹介した。 「あ、はい、ルイズ様の使い魔になったヒカリです。こ、このたび、愛しのギーシュ様と……お、お付き合いさせていただくことになりましたっ! よろしくお願いしますっ!」 ノォオオオオオオオオオ。なんて、余計なことを。 「愛しの? お付き合い?」 「もちろん友達としてだよ」と僕がフォローするより早く、 「は、はいっ! 今朝を持ちまして、私は愛しのギーシュ様のか、かかかか、カノジョになりました! キ、キスもしました! ギーシュ様が望むなら、そ、その……ア、アレだって……あ、でも避妊はちゃんとしてくださいね」 ……………………。 ……………………。 ……………………。 一瞬、広いアルヴィーズの食堂のざわめきが完全に止まった。 モンモランシーは石化した! ギャラリーは沈黙した! 僕は混乱している! 「ぅをいっ!? どうしてそんな致命的な発言をさらりと連発するんだ君は!? そんなに僕が憎いのか!?」 「え? なんですか愛しのギーシュ様」 ヒカリは不思議そうに首をかしげた。可愛いけど、空気読め。 「ふ、ふ~ん、そうなの……カノジョなの」 「はいっ!」 世にも恐ろしい微笑を浮かべる浮かべるモンモランシーと、 頬を染めて可愛らしくはにかむヒカリ。 「ギーシュ」 モンモランシーが相変わらず穏やかな笑みを貼り付けたまま僕に視線を向けた。 この顔を見るのは、モンモランシーの誕生日にプレゼントを用意するのをすっかり忘れていて、 兄さん達がペンダントや、ネックレスをプレゼントした後に、 「君へのプレゼントは、僕の笑顔さ」と言って以来だ。 いや、あの時よりも怖いかもしれない。 「……ななななな、なんだい?」 「可愛い子ね」 「ああ。見た目だけなら申し分ないと思う。まったく惜しいね」 「やだもう、ギーシュ様ったら」 ヒカリ、悪いけど褒めてないよ。 「ルイズの使い魔なんかに、手を出していたのね?」 「モンモランシー、誤解なんだ。人命救助というかボランティアというか……不幸な偶然の組み合わせが引き起こした不可避の出来事でだね」 なるべく、平静を装うけど、冷や汗が流れ出ているのがわかる。 「ギーシュ!!」 いきなり怒気をむき出しにしてモンモランシーが至近距離で怒鳴る。 エアハンマーの直撃を食らったような圧力を感じて僕は、 「つ――ッ!」 思わず、耳を押さえてうずくまると。 「このうそつきィ―――――!!」 「うわぁああ」 モンモランシーは、テーブルに置かれたワインの壜を掴むと、中身をどぼどぼと僕に掛けてきた。 衣服に染み込むワインの感触に顔をしかめ、僕は呻いた。 そんな僕に凶悪極まりない視線を向けた後、モンモランシーは大股歩きで去っていった。 「……ふう、まったく困ったもんだね。ねえ、ヒカリ――」 ヒカリは無表情だった。 「……人命救助、ですか」 ぽつりと。淡々と。 「う」 「……ボランティア、ですか」 「ヒ、ヒカリ? もしかして怒っているかい?」 「ギーシュ様」 「ん?」 無表情な目にじわりと涙を浮かべて、ただ一言だけヒカリはいった。 「…………ギーシュ様のばか」 うおっ! 効く! これは効く! 僕の心の柔らかい場所を万力のようにギリギリと締め付ける! てっきり朝のような自虐系台詞がくると思って構えていたのに、こんな愛らしいストレートな罵倒でくるとは。 「ばか――ッ!」 ヒカリはもう一度、今度は感情全開に叫んで、ついでにその右手は僕の頬を痛打した。ぐーで。 「ばかばかばか――!」 ヒカリは、ばかと連呼しながらそのまま走り去って行った。 周りの好奇の視線が痛い。名門グラモン家の男子として恥ずかしくないように振舞わねば。 父上いわく「男の本領は窮地に陥ったときにこそ発揮される」そうだし。 ハンカチを取り出すと、顔についたワインを拭いて、 皆に聞こえるように大きな声で独り言をしよう。 「あのレディたちは、薔薇の存在の意味を理解していないようだ」 ……なぜだろう、周囲の視線がもっと冷たくなった気がするよ。 前ページ次ページ僕らは、恋をして生きていく
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神無月の巫女 ハアハアスレ投下もの 「愛しの千歌音ちゃん」 川ゝ゚ ヮ゚ノl|つ「あの…千歌音ちゃん…何やってるの?」 ある日、洗濯をすると見せかけて姫子の下着を漁っていた千歌音ちゃん… 姫子に見つかりピンチです しかし、そこは流石の千歌音ちゃん、宮様と呼ばれ数々の婦女子を悩殺してきただけのことはあります…物憂げな表情をすると 「何かを欲しいと思ったことなんて一度もなかった 世界は私が輝くことに何の疑問も抱かなかった 夜空に月が輝くように あまねく星々を従えて輝くように それは自然なことだった でも…私は知った 世界にはあたたかい光があることを 私を包み込む太陽があることを」 サラリと名台詞を語ります | l |*゚ ー゚ノ!| 「…だからね、欲しいの お日様のパンツが…」 川ゝ゚ ヮ゚ノl| 「…。」 ■━⊂( ・∀・) 彡 ガッ☆`Д´)ノ…。。。 ………………姫子に殴られて、部屋の隅でイジけている千歌音ちゃん、カワイス。 川ゝ゚ ヮ゚ノl|つ「あ、あのぅ…殴ったりしてごめんね もう怒ったりしないから、泣かないで」 姫子は優しい子ですね イジけてる千歌音ちゃんを必死になだめています | l |*; ー;ノ!| 「ごめんなさい。泣いてばかりね、わたし」 川ゝ゚ ヮ゚ノl| 「ううん。泣いたっていいと思うよ。私が千歌音ちゃんのハンカチになるから」 | l |*゚ ー゚ノ!| 「ステキ。お陽さまのハンカチね」 そう言って千歌音ちゃんがポケットから取り出し涙を拭いたのは…姫子のパンツでした 川ゝ゚ ヮ゚ノl| 「…。」 ヽ( ・∀・)ノ┌┛ガッΣ(ノ`Д´)ノ …。。。 ……………姫子は暫く口をきいてくれなかった。 川ゝ゚ ヮ゚ノl| 「今後、洗濯は私がやりますっ 私の下着を漁るのは厳禁ですっ」 姫子に高らかにそう宣言されてしまった千歌音ちゃんは(´・ω・`)ショボーン状態で自分の部屋に引き篭もりました 夕食の時間になっても出てこない千歌音ちゃんを、さすがに心配した姫子は部屋に行きました キツク言い過ぎた事を反省しています 川ゝ゚ ヮ゚ノl| 「…あのぅ、千歌音ちゃん」 何やら部屋の中からブツブツと千歌音ちゃんの独り言が聞こえてきました 「たくさんのよいことと悪いことがつながれ、繰り返されていく それでも私の中には、決して揺るがない確かなものがちゃんとある そう思えるから…」 姫子が部屋を覗くと、恍惚とした表情で姫子の下着の山で戯れる千歌音ちゃんの姿が… どうやら今までにパクッた下着類を金庫の中に隠していたようです 川ゝ゚ ヮ゚ノl| 「…つーか、それって私の台詞じゃんっ!!てか、使いどころ間違ってねぇ?」 ……………集めた全ての下着が没収されたことはいうまでもない。。。
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≪愛しの竜使い≫シリカ タイプ レアリティ:★★★★★ 武器種:短剣 ロール:アタッカー 説明文 《SAO》中層ではアイドル的人気を誇っていたという彼女。 珍しい竜使いだったせいでもあるが一番の所以はこの可憐な笑顔だろう。 ステータス Lv HP STR VIT INT 1 78 10020 2030 503 1882 83 10596 2146 532 1990 100 習得スキル一覧 スキル名 スキルレベル 効果 クールタイム(秒) 修得レベル バブルブレス 1 使い魔を操り、混乱効果をもつ泡のブレスを放つ。※威力は使用者のINTに依存 3s - ドラゴニック・チャージ 3 使い魔を操り、標的へ向けて激しく突進させる。※威力は使用者のSTRに依存 10s - アクセル・レイド 4 軽量の刀身を高速に振るい、鮮やかな8連撃を繰り出す。 50s - シャープネス 2 筋力を活性化し、使用者のSTRを一定時間上昇させる。※効果量は使用者のINTに依存 15s Lv.3 トリック・アクセル 3 突進して敵を斬りつけた後、間髪入れずに方向を変え突進し再度移動先で敵を斬りつける。 7s Lv.6 シャープ・フォア 3 筋力を活性化し、味方内アタッカーのSTRを一定時間上昇させる。※効果量は使用者のINTに依存 15s Lv.10 ヴェノム・バイト 1 毒が塗られた刃で標的を斬りつける。 2s Lv.13 シャープ・ブレス 3 使い魔を操り、攻撃力上昇の効果を持ったブレスを放つ。※効果量は使用者のINTに依存 6s Lv.16 パラライズ・バイト 1 麻痺薬が塗られた刃で標的を斬りつける。 4s Lv.20 ポイズンミスト 2 毒薬を利用して、使用者が攻撃を行った相手を一定時間毒状態にする。 15s Lv.25 ライトニングブレス 2 使い魔を操り、天の光のブレスを放つ。※威力は使用者のINTに依存 6s Lv.30 パラライズミスト 2 しびれ薬を利用して、使用者が攻撃を行った相手を一定時間麻痺状態にする。 15s Lv.40 シャドウブレス 2 使い魔を操り、暗黒のブレスを放つ。※威力は使用者のINTに依存 6s Lv.50 ライトニング・リッパー 5 短剣最高のスキルの一種。麻痺効果を持った得物で素早く切り裂く連続攻撃。 75s Lv.1/覚醒Lv.1 フォース 2 鍛え上げられた筋力により、保有者のSTRが上昇する。 - Lv.1/覚醒Lv.2 レイド 4 強襲体勢を整え、味方内アタッカーのSTRが上昇する。 - Lv.1/覚醒Lv.3 Mobキラー 1 小物狩りの極意。保有者がMobに与えるダメージが上昇する。※効果量は保有者のINTに依存 - Lv.1/覚醒Lv.4 ボスキラー 5 大物狩りの極意。保有者がボスに与えるダメージが上昇する。※効果量は保有者のINTに依存 - Lv.1/覚醒Lv.5 コメント 以下のコメント欄は情報提供用です。雑談等は雑談・質問へお願いします。 できれば以下の書式でコメントしていただければ幸いです(そのままコピペ編集できるため) 無理な方は普通のコメントで構いません。 |スキル名|スキルレベル|効果|クールタイム(秒)|修得レベル| 例:|コンバットヒーリング|1|自然治癒力を高め・・・|-|Lv.3| 名前