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404 名無しさん@ピンキー [sage] 2010/07/31(土) 22 13 49 ID XM5CBXiM Be 駅からもバス停からもずいぶんと離れた廃寺にて、夜更けの事。 スカーフで頭を覆って、色合いの濃いサングラスを掛け、コートの襟を立てた女が廃寺の 一堂へとやってきたのはもちろん意図あってのことだった。 女は引き戸を開けて、堂の中を覗きこむ。 「ほえへへ、お客さんたぁ久しぶりのことだにぇえ」 半ばまで葉の抜け落ちた老婆の声が暗がりの奥から響く。その声に、女はびくん、と身を 竦めながらも、目的の人物になんとか行き会えたことにほっと胸を撫で下ろす。 「ようやく、ここまで来ることができたわ。それで、あなたが『顔の売人』なのね」 返事に置き換えて、老婆はマッチを擦り、太い蝋燭に火を灯した。 「いっひひひ、左様さ。金さえ積んでくれれば、あんたがどんなに二目と見られないような くされた面構えをしていようとも、見映ぁのいいのに付け替えてやりますですよぉ」 まっ白い頭に皺くちゃな赤ら顔の老婆は薄汚れた巫女装束に身を包み、手足や首など肌の 露出する部分には隈なく包帯を巻き付けて、折り畳むように背を丸めたままに、目の前に立 ち尽くす女へと狡猾そうな視線を投げかけていた。 しばらく、立ったままで言葉もなかった女は堂の板間にどん、と腰を下ろすと、ふん、と 鼻を不愉快そうに鳴らして、その顔を覆っているものを一つ一つ、剥ぎ取っていった。 さあっ、と雲が流れてその切れ間から堂へと月光が降り注ぐ。 老婆は、ひしゃげた眼を丸くしてその女の顔を覗きこみ、ほお、と声を上げていた。 「……さあ、どうよ、誰が醜い顔をしているっていうのよ」 こぼれおちた前髪の下には妙齢の女性の女優をも凌ぐ美貌が現れていた。切れ長の大きな 瞳に高い鼻梁、引き締まった形良い唇と、そこから覗く白く輝く白玉の歯。顎は形よく尖り、 そのすっとした頬には大人の女の野趣と、清楚な令嬢の気品とが和合して存在していた。 「ふえっへっへ、そうは言うても、ウチじゃ顔を買い取るなんてのはしておらんでなあ」 老婆は、あくまでも話の有利を相手に渡さない。 「ええ、わかってるわよ。私だって本当はこの顔を失うだなんて絶対、嫌。だけど、それは 通らないからこそここに来たのよ」 405 名無しさん@ピンキー [sage] 2010/07/31(土) 22 15 20 ID XM5CBXiM Be 女は、さる大企業の会長に囲われていた愛人だった。 その類い稀な美貌と手練手管でもって、男の心を意のままに操り、並の勤め人に十倍するよ うな高額なお手当金をあてがわれて優雅に暮らしてきたのだったが、ある日、女の本拠を突 きとめた会長の正妻にいきなり襲われて、もみあっているうちに反対に彼女の事を殺してし まったのである。 「このままじゃ、直に捜査の目に見つかって、私は檻の中に女盛りを繋がれてしまうことに なるでしょうね」 女は忌々しそうに実情を吐露していた。それに対して老婆の方は、何も口にせず、ただに やにやと貼り付いたような笑いを顔に作るばかりであった。 「それに、整形手術しようったって、無駄なことよ。そこに捜査の手が及ばないはずはない でしょうし、第一、私はこの完璧な顔にメスを入れられるなんて想像もしたくないのよ」 女の自惚れは、あながち自意識過剰とも言い切れない美貌を保持しているからこそのもの であった。 「へっへえ、それでここに来なすっただえ、どこで聞き付けなったかぁ知らんけどねえ」 老婆は、板の間の脇によけてある文机に膝でにじりよると、その引き出しから銀色の鍵を 取り出していた。 「すなおに、顔を直してもらったが良かったと後悔することにならにゃええがね」 床の一隅に鍵を突きたてると、そこががぱん、とバネ仕掛けにせり上がって、物置棚とし ての様相に早変わりしたのである。 うず高く重ねて積み上げられたのは桐箱で、その横には年季の入った鏡が置いてある。例 えれば、小商いの駄菓子屋の奥にずん、と積まれたプラモデルの箱のようだった。 並べて重ねられた桐箱にはそれぞれチャコで二百万とか、六千万とかいった数字が書いて ある。おそらく、それは値段のことであろう。 「へへへ、それでもなんでも、まずは見てもらわんことにゃ話になりんせんもんなあ」 老婆は、そのうちの一つ。四百万と書かれた箱を開いてみせた。 中に入っていたのは一面の能面(のうおもて)に模した女の顔だった。 406 名無しさん@ピンキー [sage] 2010/07/31(土) 22 16 36 ID XM5CBXiM Be 「どうぞ、手に取ってみしゃぁ」 老婆の勧めにさして怖がる様子もない女はそれを手に取って、そして口を尖らせた。 「なによ、こんなくだらない顔」 女はそう言って貶すが、その顔は別に見てくれがさほど悪いわけでもない、ごくありふれ た成人女性のそれだった。 「こんな安物の顔に付け替えろだなんて馬鹿にしてるにも程があるわ」 女はそれを、さもつまらないもののように、からん、と投げ捨ててしまう。 「ふえへへ、そうは言うてもお前さん、先立つものをまだワシに見せてくれておらんではな いかね」 老婆は指で輪をつくって女に指し示す。濁った白目がほとんど黄ばんだ色になっているの がまた、醜怪だった。 「私はね、足元を見られるのが嫌いなの。だから、掛け値なしで話をしてくれなきゃ困るの よ、わかる?」 言いつつ、女は手にしていた大型のトロリーバッグからずるっと、封緘されたままの万円 札の一把を九つ、取り出した。 「都合、九千万円ね。現金は口座が閉じられる前に出しておいたから、これで全部、と。そ れから……」 取り出したスーパーのレジ袋の中にざらん、と詰まっているのは貴金属や宝石の類いだっ た。箱はなく、あくまでも指輪やネックレスなどがごっちゃりと、まるでビー玉かおはじき のように詰め込まれていた。 「一流デザイナーがどうの、限定品がこうのと、講釈垂れるつもりもないわ。だいたい捨て 値で三億円くらいのものよ。現ナマだとかさばり過ぎるからこうさせてもらったけど、これ じゃあ足りないかしら」 本来の値段はその十倍にもなる品物だったが、それもこの非常時には仕方のないことであ る。女には金銭欲に執拗なものはなさげな様子だった。 「へえへえ、それはなにより、カードなんて持ち込むようなばかちんでは、とも思いました が、それなら結構ですな」 老婆は滴る涎を掌にも巻かれた包帯で拭いながら、箱の中でも特に別の段に重ねることな く丁重に保管した一つを取り出し、女に提示した。 407 名無しさん@ピンキー [sage] 2010/07/31(土) 22 17 28 ID XM5CBXiM Be 「げへへ、一億円の顔でっせ」 箱の中に収められていた顔にはさらに絹布がかけられており、老婆はそれを丁寧に女へと 手渡した。 女は、ふむ、と頷き、その顔をしげしげと眺めた。 それは十六、七歳ほどの少女の顔であった。造作は派手派手しくはなかったが、目鼻立ち は整っており、清楚さだけならば今の女自身のそれをも凌ぐ儚げな様子の顔だった。 「……うん、悪くはないわね。可憐だわ。今はまだ蕾だけど、花開くのもそう遅くはない感 じね」 女は、角度を変えてその顔の様相や黒子、シミの有無さらにはその、将来の展望にまで目 を配っていた。さながら、能楽者が舞台前に能面から「位取り」をする様だった。 「……だけど、ねえ、もしも、私のこの顔を売り物にするんだったら、あなたならいったい いくらの値を付けてくれるの?」 女の視線には蝋燭の炎が絡まって捻じれる様な光が灯っていた。 老婆は、ふと、片眉に思案の縦皺を寄せていたが、おもむろに片手を開いて、 「五億円が……ところかねぃ」 老婆の説明に納得したように女は大きく頷いた。 「でしょう、それなのに私が今からなろうとするのがその五分の一の価値しかないような顔 じゃあ、ちょっとそれは悲しいとは思わない?」 「まあ、まあ、そりゃ、あんたのものが良すぎているわけだから、そこのところは仕方がな いとしてみてだよぉ、物は試しに、その顔着けてみちゃどうだい」 老婆は茶菓子でもすすめるかのような調子で女に顔を着けるよう促した。 「まあ、それは……いいとして、で、どうすればいいのよ、これを」 と、自分の眼前にまでその少女の顔を持っていった女だったが、その顔にちょっとそれが 触れた瞬間に、 「ひっ……やややぁ!」 顔はびたっ、ずずずと女の顔に吸着してしまった。 「ほっほほほ、この反応を見るのもまた、この商売のキモさね」 女は必死にそれを引き剥がそうとするが、まるで根付いてしまったかのように取ることは かなわない。じゅわん、じゅわん、と気色の悪い融合のうねりを続けるばかりである。 と、一分もまたずして、である。 「ぷっはあ、何よ、これ、やっと取れたわ」 女は、さきほどまでよりも幾分か高く、幼さをもった声を漏らしていた。 はっ、と即座に女はその違和感に気が付いて、そして老婆の差し出した円鏡をひったくる。 408 名無しさん@ピンキー [sage] 2010/07/31(土) 22 18 17 ID XM5CBXiM Be 「これが、私なの……」 嘆息する女の前髪の下に覗く顔は、先ほどまでのものとはその径も色もまるで違っていた。「ほほ、なあに、良くお似合いですよぉ」 鏡の中に映る瞳は、先ほどまでの切れ長なものより、もっと円らで、長い睫毛の中に静か な澄みを湛えるものだった。柔和でおだやかな印象を見ている女自身に与えるのは、造作が まだ未成熟であるから、とも言えた。 女が眉を引き寄せれば鏡の中の少女が同じように顔を動かす。口を尖らせれば、少女も口 先をぷいっと、むくれるような可愛らしい表情を作った。 「なるほど、並の容姿の女だったら、これは一億の値を付けてでもぜひとも手に入れたいも のであるかもしれないわね」 言いつつ、女は目をしばたかせて鏡を顔に近づけていった。 「でも、ちょっと、この目には近眼の気があるかもだわ」 「んん、でも、それくらいならちょっくら矯正すれば済むだけの話でねえ」 老婆は言いつつ、女の膝もとに引き剥がされた顔を手に取った。 「そんで、ほれ、こんな感じであんたの顔はこの面に移されるんですわなあ」 老婆の示す顔は、女が今までずっと親しんできた生活を共にした顔だった。 「なるほどね、面白いものね。仕組みのほどはわかったから、それじゃあ私にふさわしい顔 というものをくれないかしら」 女の要求に、老婆はあわてないように、と軽く手を振る。 「ひゃっはは、あんたもよくよく肝が据わっておるようだ。なら、さあ、これもいい機会だ でよ、今まで経験したこともないことをしたら、どうだ、ん?」 老婆は、今度は雑多と積まれた箱の中で、ぞんざいに扱われて箱が割れてしまっているよ うなものをいくつか、今度は運んできた。 「経験したことのない……どういうことよ」 少女の顔と声とでは、さきほどまでとはまるで印象が違う女だった。これならば、どんな に指名手配の網の目を細かく張ろうとも彼女の発見は不可能であろう。 「そうさ、あんたみたいな別嬪は自分の顔が醜くなるっちゅうことには未体験じゃろうし、 また、なろうとも思わん事じゃろう」 言いつつかぱん、と開いたのは、さきほどのものと比較すれば雲泥の泥のほう、程度が悪 いのも甚だしいほどの醜悪さをもった中年女性の顔だった。 「でも、簡単にできるもんなら、それもまた面白かろ?」 409 名無しさん@ピンキー [sage] 2010/07/31(土) 22 19 17 ID XM5CBXiM Be 「へえ、面白いじゃない。どうせ慌ててどうこうでもないし、私もそんな不細工な顔をして みる機会なんてそうそうあるものじゃないわ。せっかくだから試してみようじゃない」 女は、円らな瞳をひき歪めながら、その中年女性の顔を手にして、そして自分の顔へと押 し当ててみた。 さきほどのと同じように、顔は女に吸着し、そして剥がれたときには女の顔は見違えるほ どにだらしなく弛んだ年増女のものへと早変わりしていた。 「うふふふ、どうしよう、私。こんなに醜い顔になっちゃったわ」 半ば嬉々として、女は野太い声で空気混じりの嬌声を漏らした。 箱には五千円と書かれていたその顔である。さすがにその安価に見合っただけの醜貌であ った。眉間がぼってりと膨らみ、目は細く釣り上がり、頬骨は高く突き出して、顎は二重、 おまけに大きな疣までついてくるサービスで ある。もちろん、肌は赤黒く変色しており、 老年と呼んでもさしつかえないほどの肌の荒れようだった。 「げへへへ、あんたも良い趣味しとりますねえ」 女は、コートを脱ぎ去って、さらにはセーターまでも脱ぎ捨てて、上半身はインナーだけ の姿になってしまう。 「んふふふ、アンドロギュヌス的ってのともちょっと違うんだけどね、こういうアンバラン スなものに、古来から人間は惹かれてきたものなのよ」 醜悪な顔に、さらにおぞましい笑みを張りつけた女は鏡の前にその半裸身を晒していた。 顔だけを見れば、大年増の姑のようなのに、その下に延長する肢体は女盛りの肌理細やか な白さとふくよかなバストラインを湛えている。無論、腹や背にも余計な脂肪などは付着し ておらず、いかなる男をも引き付けられる魅惑の肉体であった。 「ふえへへ、それで、その顔は二度と取れないなんて言ったらあんたさんはどうなさいます」 老婆の意地悪い言葉にも、女は眉ひとつ動かすことはない。 「ふん、そんなこと。足元を見られるのは嫌いって言ったはずよ。さあ、次の顔を寄越しな さいよ」 その顔のおぞましさにもまるで怯むことなく、女は次もその程度のものを要求した。 「へえへ、からかい甲斐もないことで、じゃ、次はこんなんどうですね」 老婆が次に差し出したのは、もはや老境においても末期の方、歯も眉も全て抜け落ちたよ うな老婆の顔であった。 「へえ、二千円か。どんどん私、無価値な顔にされてしまってるわね」 でっぷりと肥満した表情に赤みを与えながら、女はその面を躊躇なく被る。 410 名無しさん@ピンキー [sage] 2010/07/31(土) 22 20 14 ID XM5CBXiM Be みしみし、と音を立てて中年女の顔が剥がれ落ちた後には、 「ひひぇっ、これしゃ、まへがみへないじゃないのぉ」 くしゃっと縦に潰れた老婆の顔がそこに付いていた。口の中には歯は一本も存在せず、に ちゃり、と粘り気ある唾液が糸を引くばかりである。 「ふへっ、そりゃあ百にも近い婆さんの顔ですもの、目なんてほとんどききゃあしませんわ いなあ」 「……ああ、なんらってェ」 勿論、目が遠ければ耳も遠い。 「大年寄の顔ですで、目も耳も、どこもそこもきかんようになってるってですわぁ!」 その言葉に、女はふがっ、と顔を顰めるが、もともと、表情が良く分からないようになっ ていて、それがどういう意味の感情表現なのかははっきりとは掴みづらかった。 「へえ、いつまでもそれじゃあ、お話も満足にゃできませんにね」 言いつつ、老婆は女にさらに別の顔を被せてやった。 「ふう、これなら目も耳も利きそうね。お婆ちゃんはもう、こりごりね……」 溜め息を吐きながら、鏡を覗きこんだ女の手がぴたり、と止まり、そして、 「い、嫌ぁあああああ!」 鏡の中に映っていたのは、中年の女のでっぷりとした表情だった。しかし、その様子はさ きほどの同じく中年女のそれよりは少しは程度が良く、証拠に箱書きにも九千円と記されて いたのだった。 「ほほ、どうやらお気に召さなかったようですな」 わなわなと震えながら、女はきっ、と憎悪の視線を老婆に突き刺す。 「気にいるも何も、この顔はっ、このメスブタはっ、私が殺した女じゃないかっ!」 声を発するのも忌々しいといった様子で、女は老婆に掴みかかろうという剣幕で吠えた。 「まあまあ、これも座興というもんだでね、そうかっかかっかなさらんでも、それじゃあこ の先逃げ回るのにも先が思いやられるでよ」 「どうして、そんなことが、できるのよぉっ!」 「さあて、それはそれこそ秘するが花ってね、そんなことができる理由を教えることで、足 元を見られるのはワシだって嫌なもんだでねえ」 くっく、と笑う老婆だったが女は気が気ではない。何しろ、彼女にはこの顔の女が怒りに 燃えて自分に襲いかかってきたところから、花瓶で殴られて、断末魔の悲鳴を上げるところ までを見ていて、今も脳裏に焼き付いているのだ。まったくもって気が気ではない。 女は顔を外そうと必死にもがく。 その女の顔に今、自分はなってしまっているのだ。厚ぼったいまぶたも、何度も皺取りを 重ねたであろう頬やこめかみの手術痕も、やや受け口気味になって喋るときには唾が飛ぶ、 そんな嫌な感触を与える口元も、全部が全部。 411 名無しさん@ピンキー [sage] 2010/07/31(土) 22 27 02 ID 1Sl7GRX8 Be 支援いるかな? 412 名無しさん@ピンキー [sage] 2010/07/31(土) 22 52 22 ID XM5CBXiM Be 「もう、いいわ。たくさんよ。それじゃあ本命の顔を頂戴」 しきりに今の自分の顔に手をやって、落ち着かない様子を体現している女に、 「へへへ、それじゃ、とっておきですわい」 老婆は、棚の奥の中に秘匿された塗箱を用意してきた。 「どうぞ、これをお試しなせ」 女は、今の顔や声から逃れるために、ろくすっぽ確認もしないままにその顔を自分の顔に あてがっていた。 そして、数瞬ののち。 「……わあっ、これは素晴らしいわぁ」 鏡の中に映っていたのは、彼女本来の顔と比較しても、勝るとも劣らない素晴らしい美貌 を湛えた若い女の顔だった。 おそらくはそのやや褐色の肌が示すように同じアジアでも日本からはかなり離れた方面に 位置する女性のものだとは思われるのだが、アーモンドのように開いた瞳の美しさは、単に 異国情緒と一言では言い表せない強い意志の光と深淵のような深みを湛えていた。 鼻梁は彼女がしていたものと同程度、頬から顎にかけてのラインや口元の引き締まりで判 断すれば、こちらがやや優勢といったところだろうか。 無論、黒子や皺、弛みなどはまるで存在しない。年代的にも彼女と同程度なのだろうか。 機能的にもまるで問題ない。視覚、聴覚、あるいは嗅覚においても彼女自身が生来もって いた能力を上回っていた。 表情を作れば、なおのことその素材は真価を発揮した。にこり、と彼女が微笑めば、一種 神々しささえも醸すような素晴らしい微笑が鏡の中に花と映えた。 「これは凄いわ。素晴らしい、悔しいけどこれは、私のそれなんかよりもずっとお値段もい い顔なんでしょうね」 少しだけ悔しさをしのばせた口調で女は老婆に尋ねる。 「へえ、そりゃあもう。ここでは一番、なんとも八億円の顔ですからにぃ」 老婆が相好を崩す。 「でも、それじゃあ私のもってきたお金じゃあ、この代金は払いきれないってことになるわ ね……」 そうは言いつつも女は諦めている様子はまるで見せていない。 じっと老婆に強い視線を送る。 「んん、まあ、そりゃあいいですにぃ、あんたの元の顔を下取りさせてもらうってことにし てね、あとはこの石っころだけいただいとりゃそれで十分だに、お金なんぞはこれからのあ んたが生活していくのにも息杖のように必要になりますものさ」 そう言うと、老婆は女のバッグに札束を戻してやっていた。 413 名無しさん@ピンキー [sage] 2010/07/31(土) 22 53 10 ID XM5CBXiM Be 「なにしろ、あんたはこれから日本人としてあまり見かけない顔になっちまいますもんね」 老婆はししし、と笑った。 「ふん、だからってどうすることもできないわ。たとえ不法入国の嫌疑がかけられても、そ うなる前に適当な男をひっ捕まえて結婚でもすればいいのよ。従前戸籍なんてものはいくら でも偽造ができるでしょうし、ね」 女は、すでに新しい生活を始めるにあたっての策を講じていたのだった。 「それに、美人はどんなときだって許されるものなのよ」 いざとなれば、追跡者さえも誘惑してみせる。逃げ切る自信が女には満々だった。 「それでは、商談成立ってことで」 宝石を手元に引き寄せて、老婆はもう一つだけ、 「っと、ここまできたときに、証拠隠滅だ、なんて飛びかかってくるお客さんなんかもわり といたりするんだっけえが、にぇ」 老婆の言葉に女はふふん、と新しい鼻を鳴らして、 「そんなこと、するまでもないわ。私はこの取引に十分満足しているし、これから先、また あなたを利用する機会があるかもしれないんだからね」 そして、気付いたように加えて、 「それより、下取りした私のもとの顔はどうするの? もしかしたら、あなた自身の新しい 顔にするのかしらね」 「ほほほ、よう見抜かれましたわい。わしも男が恋しくなった時にゃ、見てくれのいいのん を使ってますっけねえ」 言いながら、老婆は白髪頭をぱんぱん、と叩いて照れ隠しをした。 女は、再びセーターとコートを着込み、サングラスまでを装着し、スカーフを懐に突っ込 んで幾分かは軽くなった大きなバッグを担ぎあげた。 「それじゃ、ね。今夜はずいぶんと刺激的な夜だったわ、きっと忘れることはできないでし ょうね」 女は言葉だけを残して振り返ることもなく、暗がりのなかへと消えていってしまった。 「……まあ、また寄ってくれることが、あればいいんだけどね」 老婆は、ちらりと壁掛けの時計に目をやった。 すでに、時計の針は午前四時を過ぎていた。 414 名無しさん@ピンキー [sage] 2010/07/31(土) 22 54 03 ID XM5CBXiM Be 老婆は、その日の商売が片付いたことで帰りの身支度を整えていた。 棚にかかっていたつっかえ棒を取り外し、再びただの板の床へと戻した後に、施錠をして だれにも分からないようにしてしまう。動作は、さきほどまでの緩慢さが嘘のように機敏な ものだった。 「……さて、と。今日はなかなかに良い収穫があったわね」 語調を変化させた老婆は、今まで二つになるほど折り曲げていた姿勢をぐいっと伸ばした。 「宝石はさておき、あの顔ならきっと三億くらいで売ることができそうだしね」 さきほど五億とはずんだのは、相手に調子を合わせてのことである。商売上の建前という やつである。 「ふいっ、それにしても、そろそろさらしがきつくなってきたよねえ」 首筋から胸元に巻き付けてあった白布を緩めると、そこからは控えめながらも形のよい、 たゆん、とした二つの膨らみがせり出してきた。 同様に手足に巻き付けてあった包帯の下にあったのも節くれだった枯れたものではなく、 肉付きと血色のよい、まことにもって健康的なそれであった。 「私も……そうよね、成長期なんだってことよ」 アンバランスな老婆娘は頷きつつ、文机にしまってあったもう一つのものを取り出した。 「さあて、それじゃ愛しの自分の顔に戻しましょっ、と」 老婆の被ったのは若い娘の顔、彼女自身の生来のそれであった。 みちみち、とその面が皺まみれの老婆のものに変化したとき、その下にある彼女の顔は、 女のものにも、八億のものにも決してひけをとらない溌剌とした美容へと変貌していた。 そして、老婆が消失してかわってその場に現れた美少女は欠伸を一つ、けだるそうに漏ら して両手を上に、伸びをする。 「……ん、そろそろ帰って寝ないとね、まさか、また授業中ずっと寝てるなんてしたら今度 こそ先生に大目玉だろうしね」 ぱんぱん、と膝をはたいて、少女もさっさと堂を出ていってしまった。 野分だった風が一颯吹いて、残ったものは灰がちな黒の闇ばかり。 そして、これはその後の余談になるが、警察は指名手配していた会長の妻を殺して行方を くらませていた女の身柄を拘束することに成功したとのことである。 捕まった女は自分の顔をすっかり別人へと整形していたのだが、それがまさに国際テロリ ストとして暗躍していた女のそれだったということで、捕まった彼女自身が驚きを隠せない 様子だったそうである。 まあ、そのあたりはよくよくどこにでもあるお粗末な話ということで。
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概要 調理職人がレベル27で習得する職人スキル。消費集中力は12。 縦横2マスにある食材の左右を入れ替える。 【よこ返し】?では入れ替えが効かない2マスの食材も縦2マスのものに限り有効。 食材の数が増えてごちゃごちゃしてくる中レベル帯以降で特に効果を発揮するが、 普通に1マス移動させる場合の約2倍強の集中力を使うため、乱用するのは集中力不足危険がつきまとう。
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概要 調理職人がレベル25で習得する職人スキル。消費集中力は12。 縦横2マスにある食材の上下を入れ替える。 【たて返し】?では入れ替えが効かない2マスの食材も横2マスのものに限り有効。 食材の数が増えてごちゃごちゃしてくる中レベル帯以降で特に効果を発揮するが、 普通に1マス移動させる場合の約2倍強の集中力を使うため、乱用するのは集中力不足危険がつきまとう。
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反重力の指輪 装備コスト なし 維持コスト N1 装備条件 MPを持つキャラクター 装備者のAPとDPを入れ替える。 MPを持つキャラクターのみだが、APとDPを入れ替えられる。 サフィのようなAPが低くDPがそれなりのキャラクターには非常に有効。 狙うのも一興かもしれない。 ユグドラシル+魔術師の素質にこのカードで強力なアタッカーの完成。 HPが高く、APも高いという鬼のようなアタッカーになるのだ。
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J1 2005年 年間総合 失点数ランキング 2005年参加チーム(18チーム) 去年から引き続き参加チーム 鹿島アントラーズ 浦和レッドダイヤモンズ ジェフユナイテッド市原・千葉 柏レイソル FC東京 東京ヴェルディ1969(現 東京ヴェルディ) 横浜F・マリノス アルビレックス新潟 ジュビロ磐田 清水エスパルス 名古屋グランパスエイト(現 名古屋グランパス) ガンバ大阪 セレッソ大阪 ヴィッセル神戸 サンフレッチェ広島 大分トリニータ 今年から参入 川崎フロンターレ 大宮アルディージャ リーグルール 1シーズン制で年間2回総当り。(計34試合) 入れ替えが今年からJ1で17位、18位はJ2へ自動降格 J1で16位は、J2で3位とJ1・J2入れ替え戦 J2で1位、2位は自動昇格 勝ち点の計算方法昨年と同じ。90分勝ち 3 引き分け 負け 0 入れ替えでJ2降格東京ヴェルディ1969 ヴィッセル神戸 J1昇格京都パープルサンガ アビスパ福岡 ランキング表 年間総合順位 順位 チーム名 失点 勝点 勝利 引き分け 敗戦 得点 得失点差 1 浦和レッドダイヤモンズ 37 59 17 8 9 65 28 2 鹿島アントラーズ 39 59 16 11 7 61 22 3 セレッソ大阪 40 59 16 11 7 48 8 3 横浜F・マリノス 40 48 12 12 10 41 1 3 FC東京 40 47 11 14 9 43 3 6 ジュビロ磐田 41 51 14 9 11 51 10 7 サンフレッチェ広島 42 50 13 11 10 50 8 7 ジェフユナイテッド市原・千葉 42 59 16 11 7 56 14 9 大分トリニータ 43 43 12 7 15 44 1 10 川崎フロンターレ 47 50 15 5 14 54 7 11 名古屋グランパスエイト 49 39 10 9 15 43 -6 11 清水エスパルス 49 39 9 12 13 40 -9 13 大宮アルディージャ 50 41 12 5 17 39 -11 14 柏レイソル 54 35 8 11 15 39 -15 15 ガンバ大阪 58 60 18 6 10 82 24 16 アルビレックス新潟 62 42 11 9 14 47 -15 17 ヴィッセル神戸 67 21 4 9 21 30 -37 18 東京ヴェルディ1969 73 30 6 12 16 40 -33 少ない順になっています。 トップページ ねーむ コメント すべてのコメントを見る
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DoubleCommand URL http //doublecommand.sourceforge.net/ 説明 キーボードの配列を変更するシステム環境設定 金額 無料(GNU GPL) 機能紹介 キーボードの配列を変更するためのシステム環境設定である。その名が示すとおり、想定される最大の利用方法は、コマンドキーを2つにすることである。Macには右小指位置のリターンキーとは別に、右親指位置にエンターキーが用意されている。しかし、このキーをエンターとして使うユーザは多くないと思われる。そこで、このキーをコマンドキーとして使えるようにすれば、「プリント…」(コマンド+P)や「開く」(コマンド+O)といったショートカットを押すのが楽になる。コマンド+矢印キーで移動のできるSafariなどでは、片手のみで操作ができるようになるため使い勝手が向上する。 他にもコントロールとキャプスロックを入れ替えたりなど、自由度は大きい。ただし、コントロールとキャプスロックの入れ替えは、Tiger?になってからOS Xでも標準機能として備えるようになった。JIS配列のキーボードの場合、左小指の位置がコントロールのためにCocoaキーバインディングが操作しやすいが、US配列の場合にはコントロールを打鍵しにくいため、キャプスロックとの入れ替えが推奨される。 Last Updated 2006-12-24
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J1 2007年 年間総合 得失点差ランキング 2007年参加チーム(18チーム) 去年から引き続き参加チーム 鹿島アントラーズ 浦和レッドダイヤモンズ 大宮アルディージャ ジェフユナイテッド市原・千葉 FC東京 川崎フロンターレ 横浜F・マリノス ヴァンフォーレ甲府 アルビレックス新潟 ジュビロ磐田 清水エスパルス 名古屋グランパスエイト(現 名古屋グランパス) ガンバ大阪 サンフレッチェ広島 大分トリニータ 今年から参入 柏レイソル 横浜FC ヴィッセル神戸 リーグルール 1シーズン制で年間2回総当り。(計34試合) 入れ替え戦は今年もJ1で17位、18位はJ2へ自動降格 J1で16位はJ2で3位とJ1・J2入れ替え戦 J2で1位、2位は自動昇格 勝ち点の計算方法昨年と同じ。90分勝ち 3 引き分け 1 負け 0 入れ替えでJ2降格ヴァンフォーレ甲府 横浜FC サンフレッチェ広島 J1昇格コンサドーレ札幌 東京ヴェルディ1969 京都サンガF.C ランキング表 年間総合順位 順位 クラブ名 得失点差 勝点 勝数 引き分け 敗戦 得点 失点 1 ガンバ大阪 34 67 19 10 5 71 37 2 浦和レッドダイヤモンズ 27 70 20 10 4 55 28 3 鹿島アントラーズ 24 72 22 6 6 60 36 4 横浜F・マリノス 19 50 14 8 12 54 35 5 川崎フロンターレ 18 54 14 12 8 66 48 6 清水エスパルス 17 61 18 7 9 53 36 7 ヴィッセル神戸 10 47 13 8 13 58 48 8 柏レイソル 7 50 14 8 12 43 36 9 アルビレックス新潟 1 51 15 6 13 48 47 10 ジュビロ磐田 -1 49 15 4 15 54 55 11 名古屋グランパスエイト -2 45 13 6 15 43 45 12 ジェフユナイテッド市原・千葉 -5 42 12 6 16 51 56 13 FC東京 -9 45 14 3 17 49 58 14 大宮アルディージャ -16 35 8 11 15 24 40 15 大分トリニータ -18 41 12 5 17 42 60 16 サンフレッチェ広島 -27 32 8 8 18 44 71 17 ヴァンフォーレ甲府 -32 27 7 6 21 33 65 18 横浜FC -47 16 4 4 26 19 66 トップページ ねーむ コメント すべてのコメントを見る
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J1 2006年 年間総合 得失点差ランキング 2006年参加チーム(18チーム) 去年から引き続き参加チーム 鹿島アントラーズ 浦和レッドダイヤモンズ 大宮アルディージャ ジェフユナイテッド市原・千葉 FC東京 川崎フロンターレ 横浜F・マリノス アルビレックス新潟 ジュビロ磐田 清水エスパルス 名古屋グランパスエイト(現 名古屋グランパス) ガンバ大阪 セレッソ大阪 サンフレッチェ広島 大分トリニータ 今年から参入 ヴァンフォーレ甲府 京都パープルサンガ アビスパ福岡 リーグルール 1シーズン制で年間2回総当り。(計34試合) 入れ替え戦は今年もJ1で17位、18位はJ2へ自動降格 J1で16位はJ2で3位とJ1・J2入れ替え戦 J2で1位、2位は自動昇格 勝ち点の計算方法昨年と同じ。90分勝ち 3 引き分け 1 負け 0 入れ替えでJ2降格京都パープルサンガ セレッソ大阪 アビスパ福岡 J1昇格柏レイソル 横浜FC ヴィッセル神戸 ランキング表 年間総合順位 順位 クラブ名 得失点差 勝点 勝数 引き分け 敗戦 得点 失点 1 浦和レッドダイヤモンズ 39 72 22 6 6 67 28 2 ガンバ大阪 32 66 20 6 8 80 48 3 川崎フロンターレ 29 67 20 7 7 84 55 4 清水エスパルス 19 60 18 6 10 60 41 5 ジュビロ磐田 17 58 17 7 10 68 51 6 鹿島アントラーズ 9 58 18 4 12 62 53 7 横浜F・マリノス 6 45 13 6 15 49 43 8 名古屋グランパスエイト 2 48 13 9 12 51 49 8 大分トリニータ 2 47 13 8 13 47 45 10 ジェフユナイテッド市原・千葉 -1 44 13 5 16 57 58 11 サンフレッチェ広島 -6 45 13 6 15 50 56 12 FC東京 -9 43 13 4 17 56 65 13 大宮アルディージャ -12 44 13 5 16 43 55 14 アルビレックス新潟 -19 42 12 6 16 46 65 15 ヴァンフォーレ甲府 -22 42 12 6 16 42 64 16 アビスパ福岡 -24 27 5 12 17 32 56 17 セレッソ大阪 -26 27 6 9 19 44 70 18 京都パープルサンガ -36 22 4 10 20 38 74 トップページ ねーむ コメント すべてのコメントを見る
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トップページ キャラクターメイキング 登録するキャラクターの性格を3つのキーワードであらわしてみてください。 例1)猪突猛進、有言実行、照れ屋 例2)冷静沈着、理性的、無口 例3)おっとりしている、意思が硬い、争い事が嫌い。 先頭に戻る トップページ キャラクターメイキング
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小太刀専用技です。 (gunzを重くさせて) ジャンプ→スラッシュ→武器入れ替え(メイン,サブ,剣) パッドを使って小太刀でFSをするだけです。 ただ違うのはgunzを重くさせて小太刀などで入れ替えをしまくると、モーションがスローになるという点です。 これを利用して壁を蹴ると制限がなくなり、スラッシュを再度しなくてもダッシュが出来るようになるのです。