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登録日:2023/05/23 Tue 23 00 00 更新日:2024/01/10 Wed 00 37 48NEW! 所要時間:約 30 分で読めます ▽タグ一覧 エピソード集 タオ 中国史 勢 厳格 哲学者 商鞅 始皇帝 慎到 春秋戦国時代 法 法家 申不害 秦 秦王政 老子 術 説話集 論文集 諸子百家 道 道家 道教 韓 韓子 韓非 韓非子 韓非子とは、春秋戦国時代に登場した人物、およびその著書。 秦の始皇帝の師匠として知られる。 BC280~BC233。 姓が韓で、名が非。「子」は敬称である。 もともとは「韓子」と表記されており、『史記』でも「韓非」か「韓子」表記だけだったのだが、唐代の文豪にして大儒者韓愈が「韓子」と敬称されるようになると、先達であるはずの韓非のほうが「韓非子」と区別されるようになった。 しかし儒者は韓非子を「冷酷非情な非君子」とひどく嫌っていたので、敬称を使いたくなかったという本音も見え隠れしないこともない。 【人物】 【書物『韓非子』】◇文章の種類 ◇事件の記録 ◇韓非子の論文 ◇文章の集合、論調の成長 【韓非子の思想系譜】◇申不害の「術」 ◇商鞅の「法」 ◇慎到の「勢」 ◇老子の「タオ」 【その他の思想】◇不仁不忠にして覇王となる ◇上下は一日に百戦する ◇公私は対義語である ◇癩病患者が王を哀れむ ◇刑と罪とは違う ◇法律と刑罰・賞与を判断する基準は妥当か不当か ◇賢君は善人も悪人も愛する ◇人は欲望があって行動する ◇働くものは尊い ◇内政に尽力せよ、合従連衡はするな ◇徳治は不可能 ◇過去に帰るな、今を治めろ ◇アホな話 【歴史への影響】 【創作での韓非子】 【余談】 【人物】 出身は春秋戦国時代末期の韓国(*1)。 その姓からわかる通り、韓王家の出身であった。 ただ、どうも王族でも末端の位置づけだったようだ。また吃音症であったとされ、末期韓の混沌を憂いてさまざまな提言をしたが、朝廷には採用されなかったという。 しかしその欝屈をバネにしてか、韓非子は大量の論文を書き連ねた。 若いころは荀子の門下で学問を学んだ時期があり(そのころの学友に李斯がいた)、さらに帰国後は老子・申不害・商鞅・慎到などの書物も研究して、切れ味鋭い独自の学説を磨いていった。 そうした韓非子の知見を見抜いたのは、韓の朝廷ではなく、隣国の秦であった。 時の秦王は、嬴政(えいせい)。後年の始皇帝である。 始皇帝は、韓非子が著した論文「孤憤」「五蠧」の二編を入手し、その見識に感激。「この人物と出会えたなら、死んでも悔いはない!」と叫んだ。 また同時期に始皇帝は、尉繚子(うつりょうし)(*2)を迎え入れている。ちょうど尉繚子が来たときと、始皇帝が韓非子の論文を読んだ時期が一致しているので、尉繚子経由で韓非子の実績は伝わったと見られる。 始皇帝は韓非子の見識が深いことを知ると、軍を起こして韓国に攻め込み、講和の使者に韓非子を指名するという、強引だがある意味後腐れのない方法で、韓非子を秦に迎えた。 もっとも、韓国朝廷から完全に無視されていたわけではないらしく、「老子韓非列伝」では秦軍の侵略にあわてた韓王が使者に抜擢したといい、「韓世家」では韓王安の五年には韓王安から諮問を受けたという記録もある。 いずれにせよ、始皇帝の前に招かれた韓非子は、まずは韓国からの講和の使者として勤めを果たした。 しかしその講和交渉の中でも、秦国と六国の分析、および秦が天下を統一するにはどうすべきかを批判口調で論述。 特に、秦は昭襄王の代には六国を破り天下を取る機会が最低でも4回はあったとしながら、いずれも果たされなかったのは、国力の問題ではなく群臣たち、延いては秦王にその気力がなかったからだ、と堂々と言い放った。 逆に韓については、完全に秦の属国、むしろ郡県の一部に等しいとまで言って「あえて滅ぼすまでもありません」と、命乞いなのか痛烈な批判なのか分からない言葉で存続を願っている。 外交官としての最低限の義理は果たした、ということだろうか。 とにかく、始皇帝は韓非子を大いに気に入り、彼を秦都・咸陽にとどめて、丸1年彼から教えを受けた。 しかし、韓非子のことを気に入らない朝臣が秦国にはいた。 かつて同門だった李斯や、姚賈という大臣である。2人は始皇帝に「彼はしょせん韓の王族であり、秦国のために働くはずはなく、帰国させてはなりません、殺すべきです」と讒言。 始皇帝は一度は韓非子を監禁したが、やがて思い直して釈放を命令した(*3)。 が、その時には韓非子は、李斯から届けられた毒薬を服用して自殺していた。 時に秦・始皇十四年である。 しかし始皇帝は、韓非子は死んだが、韓非子が残した数々の文献は回収した。 それがやがて十万字の書物『韓非子』として世に伝わる。 韓非子自身は、政治家としては大成しなかった。 韓王の諮問に答え、秦への外交使節となり、始皇帝の諮問に答え、一年以内に没した、というのが政治家・韓非としての全活躍である。 しかし、韓非子の思想を残したこの書物『韓非子』によって、そしてその思想を実践して高度な帝国を作り上げた始皇帝によって、韓非子の名は歴史に残ることになった。 【書物『韓非子』】 書物としての『韓非子』の成立は例によって明確ではない。 しかし、少なくとも『史記』が完成したBC90年頃には現在の形式が完成し、そのまま現代まで引き継がれていることは間違いない。 というのも、現行の韓非子は全二十巻・五十五篇構成で105494字(*4)、とされるが、『史記・老子韓非列伝』において「韓非子の著作は十万字余り」、『漢書・芸文志』では「韓非子は五十五篇」と記してあるからだ。 これが『孫子』や『呉子』ではそうは行かない。時代によって増えたり減ったりを繰り返している。例えば現在の『孫子』は十三篇構成、『呉子』はわずか六篇だが、『漢書・芸文志』では「孫子は八十二篇、呉子は四十八篇」とあり、かなり分量が多かった時期がある。 『慎子』は『漢書・芸文志』では「四十二篇」とあるが宋代の『崇文総目』では「三十七篇」となり、現在はわずか五篇しか残っていない。『申子』二篇は完全に散逸している。 また『史記』では『韓非子』の一部記述をまるまる書き写している場面があり、これも現行本とほぼ一致する。 司馬遷は前漢代中期の人間で、それが『韓非子』を一つのテキストとして入手していたということは、書物『韓非子』は前漢初期、おそらく秦代には現在のような形で完成していた、と見るべきだろう。 文体としては、ほかの諸子百家の書物(例えば「荘子」など)と比べても平易で読みやすい文章なのが特徴。 古代中国から春秋戦国時代の予備知識こそ必要になるが、例えば「荘子」のような晦渋で難解な言い回しはそんなにない。 また、説話集であるが故に、古代から春秋戦国時代までの事件・社会情勢・非正統的な異説を知る良質な資料集でもある。 ◇文章の種類 書物『韓非子』の内容に目を向けると、大きく分けて2種類の文章から成り立っている。 一つは「事件の記録」。韓非子が収集したのであろう、古代から現代(韓非子が生きていた時代まで)に起きたいろいろな事件の記録。 「十過」や「説林」などがこれにあたる。 一つは「韓非子自身の論文」。韓非子が独自に構築した、法や道に関する思想を書き連ねた独特な論文。 「主道」「有度」や「六反」、若き日の始皇帝に提出したことで有名な「孤憤」「五蠧」もそうである。 この「事件の記録」と「韓非子の論文」の中間の形式として、「事件を記録し、それら事件に対して韓非子の注釈・解説・論文を添える」というものがある。 「儲説」「難」や「解老」「難勢」などがこの様式。 しかし「解老」「難勢」などは、老子や慎子の論を土台としながらも、韓非子の論が(注釈というレベルを超えて)多くを占めるため、「韓非子自身の論文」といっていいだろう。 ◇事件の記録 「事件の記録」に関しては、春秋や史記にも記されるような「正統的」な記録だけではなく、儒教的正統性に真っ向から反するような記述もある。 例えば「尭舜は禅譲したのではなく、舜がクーデターで尭を駆逐したのだ」と記録したものもある(ちなみに『史記』では、五帝本紀にではなく燕世家に記録)。 また、単に歴史や権力情勢を記したものだけではなく、庶民の感情や情景を写し出したものもあって、春秋戦国時代の社会情勢を知る上で興味深い記述も多い。 例えばこんな話がある。 「ある夫婦が神に豊作の祈りを捧げた。しかし妻は「災いが起きませんように、百束の布が手に入りますように」と祈っている。夫が「なんだ、小さい願いだな。もっと大きく願ったらどうだ」とからかった。 すると妻は急に無表情になって言った。「あまり裕福だと、あなたは妾を買うでしょう」夫は絶句した。 全体からすると分量は少ないのだが、そういった庶民の風景を書き写しているところもあって、非常に興味深い。 ◇韓非子の論文 一方で「韓非子の論文」の部分は非常に切れ味が鋭く、歴史上で美談と伝わる話でも、韓非子にとっては「愚か者どもの愚行の集まり」でしかなくなってしまう。 例えば、管仲である。 管仲は死の寸前、主君の桓公にお気に入りの側近「三貴」を近づけるな、と遺言した。 桓公は管仲死後、一時は三貴を遠ざけたが、やがて(*5)三貴を呼び戻し、最終的に国政を預けたが、やがて桓公が病に倒れると即座に三貴が反乱を起こし、桓公は病室を外から封鎖され、そのまま餓死。 しかもその後の息子たちの反乱によって二カ月以上も放置され、死体は腐乱してうじが湧き、そのうじが部屋からあふれて、やっと休戦した息子たちによって埋葬された。「春秋五覇の筆頭」としては最悪の末路だった。 しかし韓非子は、三貴を用いた桓公よりも、桓公に対して「三貴を用いるな」としか言わなかった管仲を批判した。 つまり管仲は桓公に、臣下の正しい抜擢の仕方と、権力の限定と分散化(権力の全権委任をするべきではないこと)を教えるべきであった。 そもそも、一国に悪事をたくらみ野心を燃やす臣下など、無数にいる。たかが三貴の3人を除いたところで、野心ある第二第三の三貴が現れるのは必定であった。つまり「三貴を除け」というのは意味のない対処療法に過ぎない。 また、臣下一人に(*6)全権を委任することも深刻な危険があった。 全権を握った臣下(韓非子はこれを「重臣」「擅主(せんしゅ)の臣」と定義している)は他の大臣・役人を完全に統括して、政治と権力の全てを差配し、対する君主は実際にどういう政治が起きているのかも分からなくなる。 そうなっては、病室に閉じ込められて餓死すると言うのも、起きて不思議はない。 つまり桓公は、三貴のみならず管仲を抜擢したときからずっと間違ってきた。 そして管仲も、彼自身が典型的な重臣でありブーメランになることを嫌がったためであろうが、桓公の過ちを指摘せず、三貴を去らせるという、対処両方だけを教えた。 管仲の遺言は間違っている。 これは「難一」の記述である。 一般には、管仲の遺言を聞かなかった桓公の過ちとされがちな「桓公の病室殺人事件」を、管仲の遺言から徹底的に批判検証したもので、この毒舌と言えるほどの鋭い論調は韓非子の面目躍如と言った趣がある。 ◇文章の集合、論調の成長 ところで、書物『韓非子』の一つの特徴は、全体としてはあまり趣旨一貫はしておらず、多数の文章の集合体であることだろう。 ありていに言うと、韓非子が一つの意志のもと一気に書き上げたのではなく、韓非子がその生涯で書き連ねていた無数の論文をかきあつめて一冊に綴じたものが、司馬遷も参照した書物『韓非子』なのであろう。 それは、上述した桓公・管仲のことについてもそうである。 管仲の遺言自体が間違いだ、というのは「難一」に記述したもので、「十過」では定説通り「管仲の遺言がせっかく正しかったのに、その諫めを聞かなかった桓公が悪い」とまとめられていた。 また「難一」では管仲への全権委任を批判していたが、「外儲説・左下」では桓公が全権委任をしなかった(正しい判断をした)との記述もある。それによると、 桓公は最初、管仲に全権を委任しようとしていた。しかし大夫の東郭牙が反対した。 「管仲が天下を図る知略を持ち、大事を図る胆力を持ち、さらにいま主君から全権まで与えられて国政に臨むとあれば、主公こそ危ういではありませんか」と。 桓公はなるほどとうなずき、内政は隰朋(しっぽう)(*7)に治めさせ、管仲には外交を任せた。 「十過」では「管仲の遺言を聞き入れなかった桓公を批判」し、「難一」では「桓公は全権委任という愚行を侵し、管仲はそれを諫めなかったと批判」し、「外儲説・左下」では「桓公は全権委任を思い止まったと肯定」し、と場所によって桓公・管仲への論調が異なる。 これは、書物『韓非子』に複数人が関与した、というものではなく、韓非子の思想が何年もの研究で変遷していること、その変化を書物『韓非子』がダイレクトに残していることを示す。 韓非子といっても人間である。最初から完成品の韓非子として生まれるわけはない。 それにパソコンなどない時代に、漢字だけで十万字以上の論文を、短期間に一気に書き上げるなど不可能である。 論文を一つ書くごとに思考を磨き、思想を深化させ、何年も何十年もかけた果てに、始皇帝をして「この人に会えるのならば死んでも悔いはない」と驚嘆させる韓非子に至ったわけである。 もし、韓非子の思想を踏まえる誰か後任が書き加えたのなら、「十過」のような通説通りの記述を書き加えはしないだろう。 また、書物『韓非子』をよく読むと、一つの章でもあまりまとまりがなく、話が飛んでいることも少なくない。 例えば「外儲説 左下」の桓公は権力を分散した、という記述の次は 晋の文公が亡命中、食料番がはぐれた。しかし彼はどれだけ飢えても、手元の文公用非常食は食べなかった。後でそれを知った文公は彼を城の長官に抜擢した。しかし別の部下は「非常食と城は魅力の桁が違う。部下の善意を当てにするのではなく、たとえ部下が悪心を抱いても背きようのない体制を作るべきだ」と諫めた。 陽虎(*8)は野心家で、各国で悪事を働き追われていた。しかし趙の簡主は陽虎を迎え入れて宰相とした。反対する側近に簡主は「奴は盗もうとし、私は守ろうとする。それでいい」と答えた。果たして陽虎は悪事をせず、その能力を駆使して簡主の王業をよく補佐した。 と続く。 ここまでは「君主の臣下の使い方」ということになるが、その次は少し趣が違い、 魯の哀公が孔子に「むかし夔(き)と言うのが一本足だったと言うが、本当かな」と訪ねた。孔子は「彼は性格が悪くて誰からも嫌われましたが、ついに危害を加えられなかったのは、信義だけがあったからです。一本足という意味ではなく、‘‘一にして足りた’’という意味です」と答えた。また異説として、「彼はたいてい無能でしたが、音楽の才能だけはありました。その一芸だけで尭から音楽担当に抜擢されたのです」と答えた。 とある。 名君は臣下が背かないことを期待するのではなく、背きようのない体制を作って臣下を使うのだ、という論調でまとめられながら、最後の夔の話だけは、信義でも一芸でも、あまり「臣下の統御論」とは関係が薄い。 また、「夔は一にして足る」とは故事成語としても知られるが、ここでは「信義」「音楽の一芸」の2つを併記している。 韓非子はいくつかの情報を得たとき、それらを「こちらが正しい」とするよりも両方併記することが多い。おそらく論文と言うようなものではなく、資料を収集する過程で作ったメモだったのだろう。 これもまた、『韓非子』が韓非子の生前記述した無数の論文やメモ書きを、正直あまり整理せずにまとめたことの傍証と言えるだろう。 「初見秦」「存韓」「難言」は韓非子が韓からの講和使者としてやってきたときの記録のようになっているため、やはり秦が韓非子関連の資料をまとめたものが原形であろうか。 【韓非子の思想系譜】 書物『韓非子』は十万字に及び、また上述したようにさまざまな論調が入り混じっていて、決して首尾一貫したものではない。 しかし、それゆえに韓非子の生の息遣いや、毒舌とまで言えるほどの激しい論調を読み取ることが可能である。 さて韓非子は、その記述によると、老子・商鞅・慎到・申不害の四者の思想を特に継承している。 (もちろん直接の師匠であった荀子、先行する管仲(特に書物『管子』)などの思想も影響しているが、韓非子が直接名を挙げるのはこの四者) 商鞅からは「法」を、申不害からは「術」を、慎到からは「勢」を、老子からは「タオ」の思想を、発展継承させて、法律・刑罰・賞与・治国を導き出す。 ◇申不害の「術」 申不害とは、韓国の宰相である。彼は、君主が官僚・役人を管理・運用する方法を研究した。それを「術」という。 まずは越権行為の禁止である。たとえ、良かれと思ってしたことであろうとも、もともと与えられた責務を超えたことは、してはならない。 任務一つにつき役人は一人(*9)、を徹底し、任務以外の業務を負わせないこと。これを申不害は徹底した。 なぜなら、役人が権限を超える部署に口を挟めるようになれば、役人同士での馴れ合いや結託、癒着が横行し、責任の所在も不明瞭となって、やがて私党も結成される。 また、役人が権限を超えて複数業務を兼任することがなければ、与えられた目の前の任務に集中し、より手早く事業を達成できるし、技能も成長させられる。 また、職務に着く前にはあらかじめ「こういう事業を行ない、こういう結果を得られる」というプランを進言するが、その進言を超えた振る舞いは禁止である。 臣下は君主の言動に合わせて自分の行動を取り、迎合する。君主は自分の感情を露骨にすることを避けて、ただし臣下の言動を記録し、言論と実績を付き合わせて符合させること(符合せず矛盾が生ずれば問題とすること)を重視する。 この「一人一官」「形名参同」を中心とした、官吏のコントロールが申不害の「術」であり、韓非子はこれを肯定する。 ◇商鞅の「法」 商鞅は、秦国に仕えてからは徹底した法治思想を敷き、秦国に強固な規律を設け、春秋戦国時代後期における秦一強の時代を造り出した立役者である。 商鞅の法は、役人や民衆に賞与や刑罰を下す基準である。 賞与は為した善事に基づいて正確に下され、刑罰も侵した悪事に基づいて必ず処断し、また告発体制を築くことで仲間打ちの結託を禁じた。 それによって民衆は、仕事や労働に対して手を抜かず、兵役に出れば勇敢に戦い、秦国は富国強兵を成し遂げた。 そして商鞅の法治の最終目標は「刑を以て刑を去る」ことであった。 犯した悪事にはかならず刑罰が下され、為した善事にはかならず賞与が下される、ということになれば、庶民や官吏は自ずから悪事を避け、善事を行なう。 つまり社会に規律が生じる。 そうなれば、いずれ刑罰を下すことも必要ではなくなる。誰も悪事を犯さなくなれば、無闇に刑罰を下すこともなくなる。 刑は確かに存在するが、人々が法を破らないので、使う必要がなくなる。それが法治思想のもっとも目指すところである。 しかし、韓非子は「申不害の術、商鞅の法は、まだ未完成である」とした。 まず申不害のいた韓国は、かつて晋国だった時代の法律や、先君以前の旧法が残っており、またもちろん申不害の改革した新法も施行されていて、法体系が統一されていなかった。 だから官吏たちは、利益が旧法にあればそっちを持ち出し、新法が利益となればそれにしたがって、いくらでも「術」を潜り抜けられる余地があった。 商鞅の改革した秦国では、確かに庶民の規律は整い、富国強兵も見事達成された。しかし、官吏の動向を把握しコントロールすることは不徹底であった。 そのため、重臣たちが己の利権のために国家権力を使うようになった。 具体的には、穣侯魏(ぎ)冉(ぜん)や応侯范雎(はんしょ)は、秦軍を動かして自分の封建領地を拡大したのである。 また申不害の「術」自体も、確かに一人一官はよいが、別の役人が犯した悪事を告発することも防ぐ弊害があった。 君主が臣下を監督するとき、自分の耳目だけを使うのではない、国中の人間の耳や目を使って物事を見抜くのである。しかし申不害の「術」は、この流れも禁じてしまう。 商鞅の「法」も、完成ではない。商鞅は「敵の首を切ったものを登用する」と、戦争参加を基準としていた。しかし、敵の首を切ったものを医者や大工にしても、病は治らず家も建つまい。商鞅の法も改善の余地がある。 ◇慎到の「勢」 慎到は、斉国の「稷下の学士」の一員。時代的には商鞅や申不害、あるいは孟子(*10)と同時代である。 慎到は「龍(りゅう)蛇(だ)螾(いん)螘(ぎ)」の言葉で知られる。龍は雲に乗って空を飛び、騰(とう)蛇(だ)(*11)は霧のなかで霊験を表わす。しかし雲が去り霧が晴れれば、龍はミミズ、騰蛇は虫けらの正体を現す。 たとえ君主や大臣といっても、その権勢(雲や霧)を失ってしまえば、ただの人間に過ぎない、というわけだ。 国家にはそれ自体「勢」がある。その権勢を行使する限り、王侯や大臣は大きなことができる。 桀王や紂王は、王としてその権勢を振るったからこそ暴君として名を残したが、彼が庶民だったらあんな大悪事はできず、すぐ官憲に捕まって終わっただろう。 尭も君主だったから聖君と言われたが、あれで庶民だったら三人も治められるかどうかだ。 個人の才能は、民衆を統率するものではない。しかし権勢は、賢者も屈伏させる。 これが慎到のいう「勢」の重要性である。 ただ、これに対して一般的な反論はある。「同じく権勢を得ても、尭舜は善事を為し、桀紂は悪事を為す。個人の資質も関係しているではないか」「権勢を馬車にたとえると、その御者が王良(*12)であれば千里を駆けるが、そこらの奴隷を御者にしてもまっすぐ進めるかさえ怪しい。尭舜は政治における王良だろう」と。 韓非子はそれらを紹介した上で、特に「勢」の重要性を説く。 確かに、尭舜が勢を得れば国が治まり、桀紂が勢を得れば国が乱れる。それは否定しない。 しかし、尭舜のような聖君も、桀紂のような極悪暴君も、実際には千年に一度現れるかどうかの珍しい存在だ。 ほとんどの君主というものは、尭舜ほど聡明ではないが、桀紂ほど暴虐でもない、中庸な「凡人」である。 韓非子が「法を用いて統治せよ」と言うのは、凡庸な君主でも、あらかじめ定められた基準によって統治していけば、安定して国家を治められるからである。 確かに桀紂が法治体制を掌握すれば、国は乱れる。しかしそれは、千年に一度乱れることだ。 法治体制を維持していれば、千年のうちほとんどを安定して統治できる。しかし法治体制を維持せず君主の素質だけに頼っては、よく治まるのは尭舜が現れる千年に一度しかない。 君主の賢愚に頼れば、千年に一度しか治まらない。法治に頼れば、千年に一度しか乱れない。どちらが良いかは一目瞭然である。 また慎到への反論者は「同じ馬車でも、王良が御すれば千里を駆け、奴隷が御すれば運転できない。尭舜は政治の王良である」といったが、別に王良など用いずとも千里を駆けることは造作もない。 ほどほどの御者としっかりした馬車を二十組用意し、五十里ごとの間隔で配置する。そして目標地点に向けて全速疾走させ、いわば駅伝方式でリレーすれば、わざわざ王良など用意せずとも「千里を走る」ぐらいのことはできる。 法治体制を敷くことは、凡庸な君主・凡庸な朝臣・平凡な官吏をかきあつめて総動員して、尭舜と同じような安定を築くことにある。 いやもっと言えば、尭舜のような存在は、法治において有害無益でさえある。本質的に「矛盾」してしまうのだ(*13)。 というのも、賢者がその賢能で国を治める際に肝心なのは、その賢能を阻害されず最大限に活かすことである。凡庸な人間が「それはなりません」と賢者の行動をいちいち阻害しては、結局はその凡人が君主をやっていることになる。 しかし法治体制における法律は、何人であっても制御しなければならない。君主も大臣も法に定められた基準に従わねばならないのが法治であった。 つまり法治体制下では賢者は凡人と同列に扱われて賢能を発揮できず、逆に賢者の能力を活かそうと思えば法律の制約を解除しなければならない。 「何物にも制御されるべきでない賢者」と「何者をも制御下におくべき法律」は、文字通りに「矛盾」するのである。 そして韓非子は、千年に一度しか現れない賢者の出現を期待するのではなく、凡庸な人間たちが集まって造り出す「勢」を制御することを考えていた。 ちなみに、韓非子の思想を実践した始皇帝は、まさに当代一流の政治手腕と、韓非子の直弟子ゆえの思想でもって、空前の天下国家・秦を経営した。 しかし始皇帝は、決して法律を超えて行動する賢者型君主ではなかった。 俗に「坑儒」として知られる、背任・横領・逃亡罪を犯した方士が処断された事件で、始皇帝は確かに怒ったが、その怒りゆえに処断したのではなく、御史つまり官吏監察部門に調査を命じ、それから有罪と弾劾された者を処刑をしている。 始皇帝自身、自らの賢能を誇るところはあったろうが、自らも法を抱いて行動していたのだった。 ◇老子の「タオ」 韓非子は「解老」「喩老」を筆頭として、いくつかの場面で老子の「タオ」の思想を引用している。 老子の思想を学ぶ学者(後年「道家」といわれた面々)は春秋戦国時代にもいるが、韓非子はこのタオの理論をもっとも鋭く解明した人物でもあった。 例えば、道教の思想で有名な「虚静恬淡」「虚無の心」というものについて、韓非子が言った「人は虚無であろうと必死になるが、その時点で虚無ではない。虚無や自由と言うのは、虚無であろう自由であろうという思いにすら縛られないものだ」とは、禅宗の思想にも通じるところだろう。 あと多分どこぞのアンチェインにもぶっ刺さる そんな韓非子がタオの思想でもっとも重視したのが「道理」であった。現在では故事とも認識されない「道理」だが、これは韓非子由来である。 「道(タオ)」とは、万物が成立する要因である。 「理」とは、万物の持つ属性である。 例えば「理」は、四角いとか丸いとか、短いとか長いとか、粗いとか細かいとか、硬いとか脆いとかで、物質の状態である。 しかし物質と言うものは常に変化している。線香は「細い」「長い」「硬い」「緑色」といった「理」を持つが、火を付けると灰となり「短い」「脆い」「灰色」という「理」に変わってしまう。 色一つとっても緑色から灰色に変わる。それは「道」が「理」を変化させているからだ。いや、「道」が「理」を変化させることによって、万物の変化をもたらすのである。 だから韓非子はいう。「道は理するものなり」と。 この「道」の働きは、じかに目に見えるものではない。目に見て耳に聞こえるのは「理」である。ただ、理の変化を見ることによって、その奥底で働く道の働きを想像することは可能である。 いま中国人は生きた象を見ることはできないが、死んだ象の骨を並べて象という生き物の姿を「想象」することができる。 理の変化から、想像によって道の働きを知る。「道理」を「想像」によって知るのだ。 どんなものにも必然がある。必然の道理があるから、結果に行き着く。 虎には爪が、野牛には角があり、人間を容易に殺傷する。しかしその縄張りや活動時期を避ければ、その災いは避けられる。 冷たい雨が降っているのに防寒対策もせず出歩けば、風雨の害を食らう。軽々しく禁制を破って法に触れれば、刑罰の害を受けて当然だ。欲望のまま飲み食いすれば、病気になるのも必然である。 ではなぜ、韓非子はこの「必然の道理」を重視するのか。 それは、どんな事柄でも道理に基づいて現れる、ということは、求める理想があるのなら、それを成し遂げるために必要な道理を踏み行なえば、必ず達成できるからであった。 王者や貴族になるのも、あるいは宰相将軍になるのも、その道理に基づいて行動すれば必ず得られる。 しかしたとえ王者や諸侯であろうと、あるいは大商人の資産があろうと、滅びる道理に合致すれば必ず滅びる。 栄枯盛衰も必然によっているのだ。 だから、君主が国を守り地位を維持したいと思うなら、亡国の条件を避けて存続の条件を揃えれば良いし、庶民を刑罰に処したくないのならば、庶民をして悪事を禁じて刑罰を避けるようにさせればよい。 悪事をすれば必ず刑罰が科され、善事をすれば必ず賞与が下される。そうなれば人は、賞与を求めて善事を行ない、刑罰を避けて悪事を避ける。人々が悪事を避ければ、刑罰を科すこともなくなる。 商鞅が目指した「刑を以て刑を去る」の境地は、老子の思想によって為しえるのである。 韓非子が法治思想にタオの理論を組み込んだのは、その「必然の道理」が「勢」を「法」と「術」で制御するための基準となるからであった。 【その他の思想】 書物『韓非子』は十万字の大作であるため、そこに記された韓非子の思想も非常に分量が多い。 以下は、韓非子の独特な思想と言えるものをいくつか列挙する。 ◇不仁不忠にして覇王となる 君主と臣下のあるべき姿。 君主と臣下の関係は、親子や友人ではない。臣下は能力を売り込み、君主は俸禄で買い上げる、市場取引(ビジネスライク)の関係にある。 だから、法律と禁則が明確化され、賞与と刑罰が公正厳格であるなら、臣下は富貴になりたいという欲があるから、その欲を満たすために全力を尽くして職務に励み、戦場では死地にも挑む。 富国強兵とはそのようにして為される。君主は仁愛ではなく賞罰を用い、臣下は忠心ではなく利益への欲望で仕官する。これを君は不仁、臣は不忠にしてすなわち覇王なり、という。 しかし現代(韓非子の当時)の学者たちは、すぐに仁愛を説き、君主と臣下が親子のように睦みあうべきだと説く。 これは大間違いである。現実にも、男児が生まれれば喜ぶが女児はそうでもない。親子の愛情でさえ美徳ばかりではない。というか、仲の悪い親子関係など世の中にいくらでもある。 なのに、親子でも珍しい情愛を、君臣関係に持たせよ、さすれば世は治まる、というのは妄想もはなはだしいのである。 ◇上下は一日に百戦する 「黄帝の言葉」としているが、韓非子の君臣関係観を端的に表わした言葉。 上とは君主、下とは臣下のことで、君主と臣下は毎日百回も駆け引きをしている、ということ。 そもそも君主と臣下は、利益が違う。 君主の利益は、制度が機能して群臣が国家の命令に従うことにある。 臣下の利益は、私党を作り上げて国家から利益を引き出すことにある。 つまり君主は公を守らせようとし、臣下は私を満たそうとする。 しかし、君主は一人しかおらず臣下は数多くいるのだから、この戦いは最初から君主が不利で、臣下が強いと言うことになる。だから、君主は臣下の統御に細心の注意と、決断する気力が必要になるのである。 ◇公私は対義語である 君主と臣下は仮想敵のように韓非子は言うが、そもそも「公」と「私」が対義語なのである。 もともと「私」とは「丸く囲うこと」から「○」を書き、やがて「ム」になった。穀物を意味するノギヘンは後から付いたものである。 そして「公」は、「ム」に背くの上半分「北」が付き、それがやがて略されて「ハ」となり、現在の漢字となった。 つまり最初に漢字として考案された時点から、公私は相背くものであり、「公私混同」などできる道理ではなかった。公利を求める君主と、私欲を求める臣下の立場が矛盾することはここにも現れる。 ◇癩病患者が王を哀れむ 原文では「厲憐王」。癩病つまりハンセン病と言えば、日本でも近年まで差別対象となっていたほどの病だが、そんな罹患者でさえ「王様とはなんと哀れな病人であろうか」と憐憫の情をもよおす、というもの。 韓非子自身「不敬な言葉」としながらも「よくよく考える必要があろう」としている。 「上下は一日に百戦する」「公私は相背く」といったように、君主と群臣は利益が異なる。 そして人は利益があるとなれば勇敢になり、大胆な振る舞いにも及ぶ。 つまり「君主が死ぬことで得られる利益」「別の王子を立てることで得られる利益」が大きければ、君が臣に殺されることは不思議でもなんでもない。 いや、君主の死を望むのは臣下だけではなく、家族もそうである。 男と言うのは五十になっても性欲が衰えないが、女と言うものは三十にもなると容色が衰える。そして「寵愛する美女の子が抱かれる」というから、妻としては夫の性欲があることは脅威となる。 そうなると、妻が夫の酒に毒を盛る、ということになる。夫が死んで自分の子供が君主となれば、息子が母親を取り替えることはできないから、自分の地位は安泰なのだ。 君主というものは、実弟に首を絞められ(*14)、臣下に矢を打ち込まれ(*15)、部屋に閉じ込められて餓死し(*16)、首筋を抜かれて梁に吊るされ(*17)、はたまた妻や息子に毒を盛られる危険のある職業である。「君主のうち寿命で死ねるのは半分以下」とは桃左春秋という書物の言葉だ。 癩病患者は全身の重い皮膚病に苦しむが、筋を抜かれるなどという死に方はするまい。彼らが王を哀れむのも、当然である。 ◇刑と罪とは違う 刑罰は、罪人に対して科すものだが、庶民に対して示すものである。 すでに逮捕された罪人を処罰しても、その罪人が犯した悪事が消え去るわけではない。殺人犯を処刑しても被害者が生き返るわけではない。 ではなぜあえて処刑するのかというと、その処刑を天下の人々に対して示し、「殺人罪はこのように重いぞ。このような目に遭いたくなければ、殺人などをするな」と示すためにある。 賞を下すのも、当人を豊かにすると言うだけではなく、それを世に示して「善行に対する賞与はこのように厚いぞ。これがほしければもっと励め」と示すためにある。 つまり、罰も賞もただ当人に科すのではなく、民衆に示して督励するためにある。 罪は個人が背負うもの、刑は社会に示すもの、とも言えるだろう。 世の学者は「刑罰が重いと民を傷つける、刑を軽くしても悪事を禁じられる」というが、これは間違っている。悪事をしても大した罰が下らないとなれば、誰だって法外の利益を求めて悪事を働くだろう。やがて盗賊となって処刑が相当の悪事を働き、その段になって処刑することになれば、それこそ「民を傷つける」ことになろう。 民をして「悪事をしたくない」と思わせることが肝心なのだ。 ◇法律と刑罰・賞与を判断する基準は妥当か不当か 斉国の晏嬰が、景公に「いま市場で売れているものはなにか」と諮問されて「義足です。足を切られる刑罰が多すぎるのです」と答えた。景公は「なるほど、余が暴虐と言うことか」と反省し、進行中の刑を減刑した。 しかしこれは間違いである。犯した罪業と社会的影響に照らして、その刑罰が妥当であるなら、受刑者がどれだけ多く出てもやめてはならない。 逆に、ある法律による受刑者が一人も出ないとしても、その法律が妥当でないなら、やはりその法律は廃止せねばならない。 それこそ軍隊では逃亡兵は常に出る。しかし、逃亡兵が多いから減刑してやろうなどと言い出せば、軍隊で戦う兵士はいなくなる。 法律や刑罰、賞与と言うものは、それが妥当であるか不当であるかだけを判断基準とするもので、単に「数が多い」ということで判断してはならないのだ。 雑草を刈らずにいれば麦が損なわれ、盗賊に恵めば良民を損なう。刑罰を緩めて寛大な政治をすることは、善人を害して世を乱す行ないである。 ◇賢君は善人も悪人も愛する まだ周の文王が殷の諸侯だったころ、その秘蔵の宝を紂王が欲しがった。 文王は、最初紂王の使者として送られた賢人・膠鬲(こうかく)には宝物を渡さず、二度目に来た佞臣・費仲には喜んで渡した。 文王は、紂王が賢人ではなく佞臣を寵愛することを願って、あえて費仲に宝物を渡したのである。 そしてもちろん、文王が太公望を抜擢したのは、彼の賢能を尊んだからだ。 名君と言うものは、太公望のような賢人も、費仲のような小人も、どちらも愛するものである。 ちなみにこのエピソードは「六韜」由来と誤解されがちらしい。 ◇人は欲望があって行動する 韓非子の人間観は大体ここに帰結する。 確かに、なにも言われずとも自らの判断で自分の限界を見極め、欲望を節制する人間はいるだろう。例えば「足るを知る」といった老子がそうである。 しかし、尭舜が政界に千年に一人もいるかどうか、といったように、老子もまた千年に一人現れるかどうか、でしかない。 ほとんどの人間は、老子のような聖人ではない。我欲が強く、求める利益のために動くものである。 だから、蛇や毛虫を見れば人は嫌悪感で震えるが、蛇によく似た鰻や、毛虫の一種である蚕は、素手でつかむのも平気である。 そこに利益があるとなれば勇者になるし、損をするだけだとなれば尻込みするのが人情である。 ただ、韓非子はそうした人間性を、否定していない。そうした習性・人間性をうまく誘導して、社会が成り立つほうに導いていくと言うのが、韓非子の法治思想、もっと言うと賞罰思想であった。賞与でなだめすかし、刑罰で脅しつけて、社会を維持していこう、というものである。 最初から誠実な人間を探しても、国内で十人も見つかるまい。しかし役職は何百もある。誠実な人間だけを集めても世の中は立ち行かない。圧倒的多数派の「小人」を活用するしかないのである。 ◇働くものは尊い 韓非子は、勤労するものを社会で尊ぶべきであり、まじめに働かず口先だけで尊敬を得ようとする連中を排撃するべきだと強調した。 逆説的に、口舌の輩がそれだけ当時、幅を利かせていたと言うことである。 死を恐れて戦いから逃れるのは「逃亡者」である。世間はこれを「命を大事にする」と賞賛する。 手前勝手な正義を立てて世の決まりを守らないのは「脱法者」である。世間はこれを「文学の士」という。 仕事もせず遊び呆けるのは「無駄飯ぐらい」である。世間はこれを「有能の士」という。 でたらめな知識をひけらかすのは「詐術士」である。世間はこれを「弁舌の士」という。 私情で剣を抜いて暴れるのは「暴漢」である。世間はこれを「勇者」という。 他人の悪事を隠そうとするのは「共犯者」である。世間はこれを「名誉を守る」という。 このような類の人間が尊ばれるようでは、誰だって私欲を優先しようとするだろう。君主や大臣さえが彼らを「名誉ある人たち」と賞賛するからしようがない。 危険な場所でも誠実に尽くすのは「節義の士」である。世間はこれを「智恵なし」と軽蔑する。 上からの命令に黙って従うのは「遵法者」である。世間はこれを「固陋」と軽蔑する。 農耕に励んで仕事に精を出すのは「生産者」である。世間はこれを「能無し」と軽蔑する。 善良純朴で純粋なのは「まじめ」である。世間はこれを「愚物」と軽蔑する。 国家の命令を重んじ職務を尊重するのは「忠実」である。世間はこれを「臆病」と軽蔑する。 賊を取り押さえ悪事を告発するのは「明察の人」である。世間はこれを「悪口をいう諂い」と軽蔑する。 これらは国家を現実に支える大事な良民である。しかし、それら「素朴さ」を「魯鈍」と見なして軽蔑するようでは、誰がまじめに働くものか。 だいたいにして、農夫が土地を耕すのは大変な重労働で、兵士が戦場で戦うのは命の危険がある。誰だってそんなことはしたくないのが人情だ。 しかし国内の人々の腹を満たし命を守るのは、そうした農業と兵役に付く農民たち、そしてまじめに働く良民たちである。これこそもっとも尊ばれる人たちである。 ところが、儒者は古典や学説を弄んではサロンに入り浸り、遊説家は合従連衡などで外国の威勢を借りて私欲をなし、勇者とやらは節義という名の私情で暴れては名誉を誇り、側近衆は賄賂を取れるだけ取っては法の抜け道を融通し、商人・工人は見た目は派手だか使えもしない道具を売り込む(*18)。 今の時代、どこの家にも「管子」「商君書」があるが、国はますます貧しい。誰も納税をしないからだ。 どこの国にも「孫子」「呉子」があるが、兵はますます弱い。誰も兵役に就こうとしないからだ。 正業に励み、いざとなれば兵役にも借り出される農夫・良民こそが尊ばれるべきであるが、現在の社会はそうなっていない、ということを「五蠧」「六反」などで執拗なまでに説いている。 なお、江戸時代の日本で「士農工商」と、武士の次に農夫が尊ばれ、工人の地位がそれに継ぎ、商人がもっとも卑しめられたのは、こういうところにも関係しているのだろう。 ◇内政に尽力せよ、合従連衡はするな 秦一強の時代、合従連衡は誰もが口にしたが、それは国を衰亡させるのが関の山である。 まず「合従」とは諸国が連合して秦に対抗することで、「連衡」とは諸国が秦と同盟して非同盟国を攻撃することである。 しかし、秦国と同盟する「連衡」をしても、いざ非同盟国が攻め込んでも秦国が本当に助けてくれるかは分からない。玉璽や地図を差し出して「これほど従順なんだからなんとか助けてください」というしかないが、そうなると国家の統治体制が危うくなる(*19)。 しかし、諸国と同盟して秦に対抗する「合従」でも、はたして弱小同盟国が集まって強力な秦に勝てるかは怪しい。そもそも合従した同盟国だって、それぞれの国同士で国境問題や利害関係がある。仲間割れを起こす公算は高く、そうなったら勝ち目はない。しかし仲間割れが起きなくても、攻められた小国をいつまでも助けられるかは不明である。 それどころか、「援軍が欲しい? なら国境沿いの土地を寄こせ、先払いだ」などと言われたらどうするか。しかも、そこまでして援軍を出してもらっても、必ずしもその援軍が戦ってくれるかは分からない。戦場外れで傍観し、戦争が終わって秦軍が引き上げてから「我々が到着したから秦軍は恐れて撤退したのだ、ありがたく思え」と恩に着せながら国境の土地を接収するのが落ちである(*20)。 また臣下にとっては、「自分には某国の援軍を引き出す力がある。同盟国との関係を維持できるのはこの私だけだ!」と言って、外国の権勢を借りて国内で大きな権力を示すことができる。 君主は君主で、臣下の雄弁だけを聞き入れて、実際にどういう業績を上げたかを確認しないという通弊があったから、この手の臣下の言葉にだまされていつまでも信任する。そして失敗すれば、財産を持ったまま引退できた。 合従連衡とは、どっちを選んでも他国に運命を預けることになり、しかも国内に権臣をのさばらせることになる。国土が削れて私家が富むのみだ。 そんなことより、国内をよく治めて城を堅守し、臣下をよく統率して乱れがないようにするべきだ。 いくら大国でも、国内にはいろいろと問題を抱えているものであるし、野心家はいくらでもいる。軍隊という、金も労力も吸い取られる事業を、長く続けることは難しい。 だから、小国でも国内をよく治めて国難にもびくともしない体勢を作っていれば、もし強大な秦軍に攻められても籠城して守り抜くことができるし、秦軍も「苦戦している間に他の国に攻められる」ことは分かっているので、堅いと分かれば撤兵するしかない。 もっと言えば、国内で富国強兵に勤めることは、国防以外にも多くの利点がある。「袖長くして善く舞い、銭多くして善く買う」というように、国力が大きければ国ができることも多くなる。 秦国では十の事業を同時に起こしてもほとんどは成功させられるが、燕国では一つの事業さえ成功がおぼつかない。 秦には賢者しかおらず燕には愚者しかいない、というわけではなく、秦はよく治まっていて富強で、燕は乱れて衰弱しているからである。 外国に助けを求めるよりも、国内を富強にすることこそが肝要である。 ◇徳治は不可能 儒者を筆頭として、徳を磨けば人は付いてくる、という論は多い。しかしそれは間違いだ。 魯の哀公と言えば、君主としては下位に属する人物で、重臣たちを制御できず最後はたたき出された。 孔子は当時第一の聖者であった。しかし天下を巡っても、その「徳」に従ったのはたった七十人である。そして晩年は哀公に仕えたが、その献策は用いられなかった。 「徳」によって治まるならば、哀公が孔子に仕えるはずであった。しかし現実は、孔子が哀公に仕えた。孔子に仕えた人数は哀公に仕える人数よりはるかに少ない。 孔子は哀公の「勢」によって仕えたのである。徳によって世を治めることができないのはこの通りである。 そもそも、君主に「孔子のようになれ」といい、民衆に「孔子の門弟のようになれ」というのは、土台無理な話である。 ◇過去に帰るな、今を治めろ 儒者を筆頭として、学者というものは「今はよくない、昔はよかった」と言って、過去の伝説を引用してその時代に戻ろうとする。 韓非子はそうした懐古主義を全否定する。 そもそも、人間社会は常に変化を遂げるものである。社会情勢が変われば、通用する方法も変わってくる。 男が妻を娶って、五人の子供が産まれてもおかしくはない。その子がそれぞれ子供を産めば、祖父が死なないうちに孫は二十五人になる。人口というのは、そして社会というものは、それぐらい変動するのだ。 まだ人々が洞窟や木の下で寝起きしていた時代は、家を作る技術者は王者となった。有巣氏である。 まだ人々が生の肉を食べていた時代は、火をおこして調理する技術者は王者となった。燧人氏である。 まだ黄河の流れに翻弄されていた時代は、治水技術を知るものは王者となった。禹である。 しかし夏王朝の時代に「俺は家を作れるぞ」と威張っても、あるいは周王朝の時代に「俺は治水ができるぞ」といっても、(職人や監督にはなれるだろうが)王にはなれない。それはもう珍しい技術ではなくなったからだ。 かつて尭や舜は、王位をそれぞれ舜や禹に禅譲した。 しかしそれは、古代の王者が徳厚く尊かった、からではない。彼らの生活は非常に過酷で、生活は苦しかった。だから禅譲と言っても奴隷並みの苦労から逃れたかっただけである。 現代の役人は県令であっても地位にしがみつく。しかしそれは、彼らが卑しいからではない。たとえ低い官位であっても、そこから莫大な財産を築いて、うまくいけば子孫にも残せるからである。 つまり古代の王者と現代の役人は、住んでいる社会と持っている価値観が違うのだ。現代を生きる役人たちに「尭舜のように清廉な人物となれ」と言ってもダメなのだ。 湯王と伊尹は、夏王朝のやり方を変えたから殷を王朝にできた。 文王・武王や周公旦・太公望は、殷王朝のやり方を踏襲しなかったから周王朝を開くことができた。 現代には現代に合わせたあり方がある。新時代には新時代にふさわしい王者がいる。古代の伝説は参考資料にはなり得ても、それを再現すればいいというものではない。 (韓非子が、商鞅や申不害の思想を受け継ぎながらも「まだ完璧ではない」と問題点を指摘したのもその一環といえるだろう) ちなみに待ちぼうけで有名な「守株」の話はここに由来。 ◇アホな話 『韓非子』は君主が権力をコントロールし、いかにして臣下の悪事を防ぎ、民衆を正しい方向に誘導して、統治するかを説いた、まじめな書物である。 そういうわけで人間不信になりそうな陰惨なエピソードも数多く収録されている…… ……のだが、一方でクスリと笑ってしまうようなヘンな話も結構収録されている。 おそらく韓非子は、役に立つかどうかを問わず、耳に入れた話を片っ端からメモ書きしていったのだろう。 そのいくつかを紹介してみる。 「まったく一緒です」 卜(ぼく)子という役人が、袴がボロボロになっているのに気づいた。妻に渡して「新しいのを一つ作ってくれ」と頼む。 妻が「どういうふうにしましょうか」と聞いたので「前のと同じのにしてくれ」と答えた。 仕事が終わって帰宅すると、妻がにこにこしながら新しいズボンを渡した。ボロボロになっている。 「何だこれは!?」「古い袴とまったく同じです」 「売れよ」 豚肉売りの商人が、市場で肉を売ろうとしたが、客が着かないまま夕方になった。 あきらめて店を畳み帰り支度を始めたころに、ふと通りすがった男が「その豚肉、いくらだい」と尋ねた。 商人が怒鳴る。「見てわからないか、帰り支度をしてるんだよ!」 その豚肉を売れば荷物も減るし銭が入ると言うのに、彼はここになにをしに来たのか忘れたのである。 「なんで帰った」 ある男が靴を仕立ててもらおうと思い、前日のうちに家で足の型を作った。 しかし翌日、仕立て屋に着くと、せっかく作った足形を家に忘れていたことに気づいた。 すると男は家に帰ってしまった。友人があきれた。「何で帰ったんだ」男は答える。「足形のほうが足より信用できるからだよ」 人物鑑定士・陽虎 陽虎が斉国を追われて趙国に亡命した。趙の君主・簡主が引見して、「君はよく人材を推挙すると聞いたが」と尋ねた。 陽虎は苦笑していった。「魯国にいたころ三人を推薦し、彼らはみな昇進しましたが、私が罪を得ると三人とも私を逮捕するため全力で襲いかかりました。よく推薦したとは、とてもとても」 簡主は「なるほど、橘(たちばな)を植えるべきなのに、棘だらけの枳殻(からたち)を植えてしまったと言うわけか」と苦笑した。 しかし、陽虎も簡主も間違いである。たとえ推挙してくれた恩人であろうとも、法を破った以上は心を鬼にしてでも正義を貫くため逮捕しようとする、この優れた三人を推挙した陽虎は、確かに人を見る目があったのである。 【歴史への影響】 こうした、鋭い論理を持ちながらも雑多な印象でまとめられた『韓非子』であるが、こうした理論は韓非子を死なせてしまった一人、始皇帝の実際の統治にも活かされている。 『史記・秦始皇本紀』には始皇帝の統治体制が丹念に描かれている(個別項目を参照)が、 厳格公正な規律と高度な官僚システム、君主の役割の明確化、役人の仕事ぶりの監督の重要性、信賞必罰に基づく労役成功時の免税特権、学問を学びたいものは管理に法令を学ばせるという法治教育の普及など、やはり韓非子からの影響が非常に大きい。 例えば、債務から逃亡したもの、働かない入り婿、商人、不正役人、犯罪者ばかりが労役を科され、農夫・良民が動員されず、正業を督励したのは韓非子の思想である。 また始皇帝は「坑儒」で知られる不正法士を処刑した際、皇帝権による一存ではなく御史台(官吏監察府)による弾劾という手続きを経ていた。これも、始皇帝が韓非子の思想を受け継いでいたことを意味する。 すでに始皇帝が韓非子の思想を継承したこと、官吏を介して学ばせる基準が存在したこと、『韓非子』が書物として決して洗練されているわけではないこと、を考えると、書物『韓非子』がまとめられたのは始皇帝の在世中かも知れない。 また韓非子の思想は、老子・荀子・商鞅・慎到・申不害の影響を受けている。 司馬遷はこれについて「韓非子の学説は、黄老学に基づく」といった。黄老とは黄帝と老子のことで、いわゆる道家・道教思想のことだが、司馬遷は史記の編集にあたって韓非子を参考にしたところも多かったと思われ、そこに老子の影響を(単に「解老」「喩老」があったと言うだけではなく)見いだしたのは、さすがの慧眼と言えるだろう。 しかしその後、儒教が主流となっていくと「儒教を弾圧した始皇帝」の師匠である韓非子は「冷酷無情な殺人帝国」を作った共犯者のような扱いを受けた。 このネガキャンはかなり根強く、彼の師匠であった荀子も含めて「悪の一味」のように扱われてしまった。 とは言え、官吏統御思想という現実の帝王学そのものの『韓非子』は、政界における「虎の巻」としても知られていた。 例えば諸葛亮も、劉禅を教育するテキストにこの『韓非子』を使ったという。残念ながら劉禅は、斉の桓公のような「よくも悪くも臣下に一任し、手綱を握らない暗君」になってしまったが……。 【創作での韓非子】 中国史関連の創作と言えば、ほとんどは「三国志」関連、次が「楚漢戦争」、ごくわずかに「春秋戦国時代」で、始皇帝関連のものは少ない。あっても始皇帝批判のものがほとんどである。 そのため、始皇帝の師匠であり「冷酷無情な帝国を作った」韓非子が、小説や創作で触れられることは極めて希である。 幸いにも、新釈漢文大系や岩波文庫などで幾度も全訳されており、入手は容易。 安能務氏の『春秋戦国志』『始皇帝』では重要人物として登場。『韓非子』はタイトル通り、古典『韓非子』を安能流に解説したものである。 同時期に始皇帝に仕えた尉繚子とは友人関係にある。韓国では張良を弟子としており、秦国では始皇帝の長子・扶蘇とも親しくなった。 遊説を馬鹿らしいと嫌い、ひたすら自分の学問を磨いた変わり者。 吃音と言うわけではないが、考えてからしゃべるので口が重く、強調するときには「逆に、逆に面白そうだ」と繰り返す癖があり、周囲からは吃音のように思われる。 始皇帝は韓非子と出会って以来、必死になって彼の思想を学んだが、唯一「王も法に服する」という点で納得しえない。しかしそれは韓非子もわかっていた。 なぜなら、韓非子自身が「矛盾」で説明したように、傑出した賢人君主は、法治体制と矛盾してしまうからだ。何ものにも縛られない王と、何者をも縛ろうとする法とは、相容れない(*21)。 その矛盾を解消する暇もなく、始皇帝は韓非子を禁足する。ただ始皇帝は、韓非子に害を加えるつもりはなく「臣下として仕えてくれ」とある程度の妥協を打診した。禁足したのも、尉繚子に本心を打ち明けてじっくり説得してもらうつもりであった。 しかし韓非子は、始皇帝に仕官するつもりはなかった。一度臣下になってしまえば、始皇帝に対して師父として睨みを利かせ、修正することはできない。それは理想家・韓非子としては、絶望である。 そう見切りを着けた彼は、折しもやってきた李斯が毒酒を持ってきたことを見抜くと「同門の好」でそれを飲み干し、さっさと世を去った。 始皇帝が韓非子に気位で負けるか、あるいは韓非子が節を曲げられれば、二人は共存できたかも知れない。しかし始皇帝と韓非子はどちらも、一流の大人物であった。それが、片方が世を去る事態を招いたのである。 始皇帝は哀しみ、ショックも受けたが、あまりにも偉大な相手とずっと顔を合わせておれば精神的に圧迫感を感じる結果になっただろうと、あきらめをつけた。 しかし続編『中華帝国史』では、韓非子の死から十数年を経た尉繚子が「黄石公」として再登場した際、韓非子の遺した弟子である張良の前に現れると「あれは贅沢だった」と述懐した。 なるほど、韓非子は己の理想を貫き通して人生を全うした。それは理想主義者としての完璧な人生と言える。 しかし、自分の理想を完璧に作り上げるつもりがないなら仕えてやらない、というのは傲慢であった。あえて臣下となる「屈辱」を我慢してでも、自分の理想を概ねという形ででも完成させることを優先するべきだった。そして、それを当時韓非子に教え諭すことができなかった自分が嘆かわしい、と続ける。 そして最終的に、張良には「理想の青写真を胸に秘め、そのために邁進しながらも、決して目立つことなく、相手に頭を下げられるように心せよ」と教えた。 数十年後、張良は劉邦の軍師となるが、蕭何や韓信、あるいはほかの諸将に対して目立つような態度を避け、劉邦にも絶妙な距離感を保ちつつ、封建制への回帰は避けるよう心がけ、最終的に「完全とは言いがたいが、概ね満足できる、韓非子・始皇帝流の中央集権国家」の完成を迎えて、満足して世を去った。 【余談】 故事成語 韓非子出典の故事成語というのも多い。 上述した「道理」「想像」「矛盾」などの他には「逆鱗」「守株」などが有名か。 孔子の扱いが悪い? 韓非子は全体的に儒教に対して批判的である。「儒者は文学によって法を乱し、侠客は剣を振るって禁を破る」などは典型的である。 一方で孔子を知者として肯定的に引用する場合も結構ある。「孔子の論は大間違いだ」と批判する場面もたくさんあるが。 まあ、上述したとおり管仲を肯定的に書く場合も否定的に書く場合もあるので、孔子がことさら批判の的にされているわけではない。 追記・修正は法に則ってお願いします。 △メニュー 項目変更 この項目が面白かったなら……\ポチッと/ -アニヲタWiki- ▷ コメント欄 [部分編集] 中華系の項目は良作が多いな -- 名無しさん (2023-05-24 01 11 19) 魯って孔子重用してみて失敗したりこの陽虎の件もあったりでまあアホだけど、晏嬰ですらディスってるから韓非子は徳治人治の限界を感じていたんだなと -- 名無しさん (2023-05-24 01 13 33) 韓非子ってめっちゃ難いから追記修正できる人がほとんど出なさそうw -- 名無しさん (2023-05-24 10 04 08) 中国史でも最重要人物だけど人そのものには詳しいサイト少ないよね -- 名無しさん (2023-05-24 10 52 06) ボリュームたっぷりながら内容が濃くて面白い。知ってるようで詳しいこと何にも知らなかったわ韓非子 -- 名無しさん (2023-05-24 19 51 24) 丁度キングダムで韓非子が出始めるからタイムリー -- 名無しさん (2023-05-24 20 39 47) 現在からみると少々重農に過ぎると見えるが、まぁ今のようには学問分野を実益に転換しにくい時代だった故仕方のない所であろう -- 名無しさん (2023-05-24 21 08 52) おお!孫子に次いで好きな書物。出来立てほやほやな記事ですな。ありがとうございます。 -- 名無しさん (2023-05-25 00 42 53) 「◇癩病患者が王を哀れむ」辺りの君主の悲惨っぷりにワロタ……いや泣くわこんなの。 -- 名無しさん (2023-05-25 23 33 26) 人は欲望あって行動する、と徳治は不可能はすごい納得 -- 名無しさん (2023-05-26 00 33 45) 韓非子の時代から700年近く後の南北朝時代の南朝宋でも『願後身世世勿復生天王家』なんて言葉が残ってるし乱世の君主が地獄なのは時代を経ても変わらなかったんやなって -- 名無しさん (2023-05-26 07 58 22) これを道徳の時間にやるべきなような -- 名無しさん (2023-05-26 18 54 19) 韓非子が現代の民主制を知ったらどのように評価するか気になる -- 名無しさん (2023-05-27 00 37 29) ↑↑日本は法律の規定は厳しいけど運用を緩くしてバランスを取るという韓非子がキレそうな国だから、そんなもの大々的には教えられないだろう -- 名無しさん (2023-06-05 20 26 51) 「まったく一緒です」の反対に、余計なアレンジをした妻を離縁した話もあったような -- 名無しさん (2023-06-05 22 26 06) 士農工商の部分の説明が古い学説のままだから修正したほうがいいかも -- 名無しさん (2023-10-16 20 29 15) 名前 コメント
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「へ、返信が来てます……!」 戦艦扶桑が小さく声を上げたのは、そんなタイミングだった。 カウント1―1。 崖の際に作られた形ばかりの球場には、低く傾いた日差しが森の陰から薄い光を差し入れている。 翳ってくるその陽光に、バッターは更なる活気を得るかのようにその巨体を蠢かせる。 対するピッチャーは、未だマウンドに倒れ伏したままだった。 耳から垂れる血液を、打席から伸びた触手がすすっている。 投手クリストファー・ロビンは、自分の渾身の魔球を打者ヒグマードがこうも容易く攻略してしまったことを、信じられなかったのだ。 彼らを見守る場外の位置で、扶桑はその大きな艤装を縮込めるように耳をそばだてている。 三塁側ベンチに相当する場所にアイドリングするグリズリーマザーの屋台バスの中は、緊張に満ち溢れていた。 穴持たず696・戦刃むくろが、扶桑の横から声をかける。 「扶桑、返信って!? 誰か助けに来てくれるの!?」 「誰だかわかりませんし、そもそも文にもなってないし、信号強度も弱い……。 でも確実に私の電報に気づき、接近してきてます……」 扶桑は南の空を見上げ、耳を澄ませるように目を閉じた。 純正の無線機からの信号ではない。 扶桑もついさっきまでは単なるノイズだと思っていたのだ。 だがノイズのようにも思えた電波の軋みは、一定の間隔を保ったまま確実にこの崖の方へと近づいてくる。 その動きで、このノイズのような軋みが、何者かからの返信であると彼女は確信していた。 「たまたま誰かが、即席の無線機になる物資を持っていたってこと……? 電報の内容わかってるのかしら……?」 「ドップラー効果から波長の遷移をみると……、だいぶ速い気がします。 グリズリーマザーさんのような車か、それともヒグマか……」 「参加者でもヒグマでもどっちだっていいよ、この状況がどうにかなるならねぇ……!」 二人の会話に、さらに隣から青毛のヒグマが唸りを加えた。 グリズリーマザーは、バスの外で立ち竦む少女を見つめながら牙を噛みしめる。 その少女、黒木智子は、目の前で倒れた少年の姿に悪寒を堪えきれなかった。 「まだ1対1だ……。まだ、勝負は決まっちゃいない……!!」 『ああ、その通りだ人間。まだ私を倒せる可能性は存分に残っているだろう?』 彼女の視界で、クリストファー・ロビンはようやく立ち上がる。 その口調は、強気ないつもの彼のように聞こえる。 「……焦っていますね、いけません……!」 「ふぅ……、空威張りはやめるのだな少年。所詮、分不相応な目論見だったのだ」 「何を言ってるんですか、神父さん……!」 だが、同じく場外で見守るヤスミンと言峰綺礼は、口々にそんな言葉を呟いた。 ロビンが言峰のセリフに噛みつくようにして振り向く。 言峰は彼に向けて、あまりにも無垢な愉悦に満ちた微笑みを向けるばかりだ。 バスの乗降口から半身を乗り出したヤスミンが、不安げな視線を両者に向ける。 勝負に集中できず、外野の発言に心を乱されたその振る舞いこそが、ロビンの焦燥をありありと物語っていた。 頭に血が上ってしまったかのように、彼はいきり立って叫んだ。 「僕の魔球が、攻略されるわけがない……!! 必ず、討ち果たしてみせるとも!!」 『そうだ、来い……!! その意気だぞ人間!!』 「だッ……、だめ、駄目だよっ!! ロビン!!」 そのまま投球姿勢に入ろうとしたロビンを差し止めたのは、黒木智子の裏返った叫び声だった。 ひきつる喉を震わせて、彼女は咽ぶ。 「頼む……、考えてくれ……! できる限りのあらゆることを……! 何をしても、勝って……! 勝って、くれよぉ……!!」 無様に歪んだその少女の切実な表情は、煮えたぎったような彼の心を冷ますのに十分だった。 一般的な可愛げもないこの少女のことを想うと、不思議と、静かな力が湧いてくる。 ……そうだ、落ち着けクリストファー・ロビン。 智子さんの言うとおりだ。 まっすぐに投げたのではきっと、どんな速球でもこの小父さんは打ち返してくる。 神父さんが『神』というほどの相手だ。 正面からの力勝負では、いけない。 状況を冷静に見つめろ。僕の球は、打たれた。 それは紛れもない事実だ。 このまま衝動に任せて投げてしまえば、それはきっとそのまま、僕の破滅への輪舞曲になっていたことだろう。 「……そうだね、智子さん。でも心配無用さ……!」 引き裂かれた右耳の傷は、クリストファー・ロビンの敗北の証であり、同時に彼の次なるステップへの踏み台だ。 肩は、暖まっている。 力は、漲っている。 応援は、背中を押している。 次なる一球が、ロビンの手には握られていた。 ○○○○○○○○○○ 「『スケスケ』だぜ!!」 「――!?」 そうして投球姿勢からクイックモーションで投げられた第3球に、外野の観衆は一斉にどよめいた。 それは、ただの暴投に見えた。 手からすっぽ抜けてしまったかのように、高速回転のかかった速球は、バッターボックスのヒグマードからは遠く離れた北の崖の先へと流れてゆく。 文句のつけようもないボール球だ。 だが即座に、一同はこれでいいのだと理解した。 このホームランダービーでは、何がどうなろうとバッターはボールをホームランにしなければ得点にならず、それ以外は全てアウトになる。 そのため、このまま誰もいない崖下の海へボールが落ちてしまえば、それだけでロビンはアウトを取れる――。 そして、そう考えていたのは、外野だけではなかった。 『フハハハハ、やはりそう来たか、人間――!!』 衆人が見守る視界には、その時、赤黒い綱が伸びる。 バッターボックスのヒグマードが高速で変形し、横に流れてゆく速球に追いついていたのだ。 『一式解放』によって赤黒い毛の固まりとなった彼の伸縮速度は、常人の理解を超えている。 崖の先に落ちようとする石の球を、そうして彼が打ち返そうとした、その瞬間だった。 「曲がれぇぇぇぇぇ――!!」 ロビンが放った裂帛の気合いとともに、その球は急激に方向転換し飛び戻った。 跡部景吾、ウォーズマン、火グマというこの島で出会った強敵たちによって身につけられた『スケスケ』。 それに織り込まれたのは、かつてロビンが100エーカーの森の仲間から受け取った魔球の技術だ。 俊敏なサイドワインダーのごとく炎熱と冷気を帯びて左右にくねり走る、オウルボール複合の魔球。 それが伸びきったヒグマードの体へ側面から、鎌首をもたげた大蛇か、翼を翻すフクロウかのように飛かかっていた。 『小賢しい!!』 だがヒグマードの反応は、その魔性のボールに追いついていた。 ロビンの毒牙を飲み込む、ヒグマの顎――。 伸びきっていたはずの赤黒い毛は、一瞬にしてバッターボックスへと収縮し、その反動でさらに魔球へと襲いかかる。 「くっ――!?」 咄嗟に身を捻ったロビンの体をマウンドから吹き飛ばすほどの勢いで、魔球は打ち返されていた。 右中間の延長上で場外の木々を薙ぎ倒し、ヒグマードの打球はその本塁打たる証を、この場の全ての者にありありと見せつけていた。 「あ、あ――」 『斯様な回転の差違ごときで、私が幻惑されると思っていたのなら、見くびられたものだな。 どうした? まだ魔球はあるのだろう? さぁ、まだまだ勝負はこれからだ!!』 呆然と竦み上がった黒木智子たちの前で、ヒグマードは悠然と口上を述べるのみだ。 残りは4球。 ホームランは既に2本。 もう、次を打たれてしまえば後がない――。 ロビンは、突風で叩きつけられた木々の破片に全身を切り裂かれていた。 一つ一つの傷は浅くとも、そこここから涙のように滴り落ちてしまう血液は、5歳児の肉体から気力と体力を奪っていくのに十分すぎるものだった。 それでも、彼は立ち上がる。 固唾を飲む観衆の前で、まだロビンの闘志は、死んではいなかった。 「……クマに、打たれるのは、もう、こりごりだ――。そうだろう、みんな……」 100エーカーの森の中で培われてきた友情と魔球。 ロビンはもう、そこに活路を探すしかなかった。 彼の背中を押し、腕に力を込めさせるのは、森の仲間たちから受け継ぎ昇華させた技術だけだ。 フクロウでは駄目だった。 ならば、もっと強い仲間の力を、この一球に込めるしかない。 「頼む、僕に力をくれ、『虎』よおおおおぉぉぉぉ――!!」 それはあたかも、ボークのようだった。 振り抜かれたロビンの手は、何も投げたようには見えなかった。 『むぅっ――!?』 ヒグマードですら一瞬、自分の目を疑った。 ロビンの投げたボールは、誰の目にも姿を映さず、完全に消失していた。 ヒグマードが取り込んでいた跡部景吾の眼力、そしてヒグマードの吸血鬼としての超常の視力を以てしても、その投球は全く見えなかった。 深山幽谷に潜み、伏臥した敗勢より転じて急襲する、見えざる猛虎の牙。 不可視のティガーボール複合の魔球。 場外の観衆が息を呑む。 見えない球など、打てるはずがない。 ロビンの勝利だ――。 そう、一同は思っていた。 ヾ. . . . ... . . . . ...≠ . . . . . . . . .;.;..;;.;...;.;.;;.;.; ... .. \ ヽ ≧. . . . . . . . . . .≦ . . .・;。;;.;゚。 .゚ . . . . . .;..;..;;.; . `'- \ ミ . . . . . . 。.. . . ミ :・ * . . . . . . . . .;.;..;;.;.;;;..;.;;.; .; ―― ヽ 彡 . . . ; . . . ;. . ミ. . . . . ;; ・.+ :. . .;.;;;;.;.;`''ー.; . . \ .`'-, ―― 、 彡 . . . . . . . ミ. . . . ;;・; . . . .;.;.;;;.;.;;;.;.;.;. . .`''ー. \ .`'-, 、 ヽ\ヽ 、゙_、. . . . ;; . ;;; ;; . . . . . 。;.; ゚。;;.;゚ ;.;;.: . ..;.;.;.;.;..゙'ー 、、 \ .`'-, 、 ヽ\ヽ 、.  ̄"'''―- ....,,,_ . ; .; . . . . . . . . . . . ;;;. ;.;.;.;;;;.;;;.;.;;;.;.;. `''ー..,, `'-, .\. .゙ミ、. ヽ\ ヽ . . .. .`゙゙''''― ..,,,_. . . . . . . . .;.;;;;.;.;.;;;.;.;;.;.;.; .;. ___`''-、、 \. \ .゙ \ ヽ ヽ ム. . . . . . . . ;;. . . . . .´゙''''― ..,,,_ . .;;;;;;.;.;;.;.;.; /. ニニニニ、、 \.ニニニニニニニニニニ=- 、 . . . . .. . . . . . . . . . . . . .;.;.;;;.;.;;`゙..,,,_ . ..;./.ニニニ=-/fr=ミ、ニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニ= ヽ.___ . . .. . . . . . . . . .;.;.;;;.;.;;;;;.;;;;;.;.;;;;;.;/.ニニニ=-/{i 八◎ 冫ニニニニニニニニニニニニ=≧x''⌒\ニ=-  ̄ ゙゙゙゙゙゙゙̄'''''''¬―-- ..,,,,__. ;.;.;.;;;;.;;;.;.;.;.;;;;/ニニニ.′ ≧=-ミ/ニニニニニニニニニニニニニニニニニ\ `ヽ、ニ\ `゙"'''―- =Vニニニニニ=-{ /ニ=/{ニニニニニニニニニニニニニニニ=\ `ー=ミ*、 {ニニニニニニニ=.ノ__ x≦斗*'“. ∨ニニニニニニニニニニニニニニ=- \ | )). ___________________{ニニニ/{ニニ=-{/ト、` r ,,__ ニニニニニニニニヽ-=ミ、ニニニニニ\| {ニ=-{ .{ニニ=-{ .Ⅵv`ー=ミ、. Vニニニニニニニニニニニニ=-, `ー=ニ | {ニ=-{ 八ニニi.{ \イノイ/ノ,イニニニニニニニニ\“''*、ニ=-, `ー=ニ _,, ー'''"゛ . /*、ニニ==-)) .ヽ{ `ー= rくニニニニニニニニニ=ヽ ヽ=- , | `ー=ニ _,, ‐''"゛._,,.. -‐゙,. / ヽニニニ=\ \ r≦ニ/\ニニニ\⌒ヽニ=-} Ⅵ=} | _,, -'''',゙,, -‐''''” / }ニニニニ=-≧x {ニニ/ ヽニニ=-ヽ .}ニ=-} . Ⅵ} _,, ;;ニニ-''''"´ | ※ ニニニニヽ ニニ/ .,// ノ,iレ/ .,/,! .l .| __ j ヒグマードニニ /ハ ニニ/ .. ,〃゛ ,/ilケ./ / .,| .i{ .! | / \ ノ ニニニ/. ;ト、_r' `!゙,r'" .,/.|″/ ./ . iリ l ! .,l .! / \ / ニニ{ / i´ / ./ . / ./ /!li!│ |! .| Χ .所 Χ | ニニ 人_ ,/ .ノ... / ./ / / ソ | .,ll .l/. 詮 \ ! ニニ / / `ー--'.... / / ./ / | リ l こ || ,イ ニニ / / / // l l .l゙l ! ん || / !\ ヽ、ニニ i / .,i./ . / l .| /,! l な || / ヽ \ / / メ" / l l゙/ ! ! 物 || /\ `ー /.... / .、 ./ ! .レ .l ./ か .||. / .\_ / , .,/ / / l ./ /.i′ 人 || !. .,'.  ̄``ヽ、__/ ノl、 / / / // 間 || / ! {..,/ .l, ./ / ./ l/. _ .|| { ', / ./ / ./ // .|| _ノ 人 . . . ! ./ / ./ . O .|| 人_ / ヽ. . . . . . .| ./ / ./ / / `ヽ_| ! . . ._, .-‐' ./ / ./ Χ / /  ̄| j / / ./ だがヒグマードは、常人には一切わからぬ突然のタイミングで、その肉体を振り抜いていた。 衝撃波の風圧だけで、グリズリーマザーたちの屋台のガラスが割れた。 左中間に流れた打球は、その猛烈な衝撃で球場の地面を抉り返し、ロビンの全身に叩き付ける。 「がッ――、ハァ――……」 空振がビリビリと大気を鳴らした。 土塊と共に宙をきりもみして落下したロビンは、壊れた人形のように球場に跳ねて、動かなくなった。 『……なるほど、確かに今のはなかなか良い筋をしていた。 だが「私」は既に今朝、お前のその球を打っているのだ。 単に速度や威力を上げただけでは、進歩が足らんな。 この姿を見ても、お前と同じかそれ以上の変化を、この私がしていないとでも思えたか?』 ヒグマードは赤黒い脈に満ちた総身を震わせて、朗々とそう語った。 『スケスケ』の速度と威力は、既にヒグマードが体感している。 『オウルボール』や『ティガーボール』の感触も、既にヒグマ9が体感している。 100エーカーの森の仲間たちは、みな『プー』というアメリカクロクマにその投球を攻略され、そのホームランの餌食になっていたのだ。 彼らひとりひとりは、みな土の付いた敗者だ。 その魔球は既に猛威を振るった時期を過ぎ、ただクマの前に餌となる小動物の寄せ集めでしかなかった。 ロビンが勝つには、どうしたって敗者でない仲間が必要だった。 まだ、どんなクマにも打たれたことのない、森の仲間が。 だがそんな動物は、もう100エーカーの森には、いなかった。 沈黙が、荒涼とした球場に満ちる。 窓を粉砕されたバスの中で驚愕する4名も、風圧で倒れてしまった言峰綺礼や黒木智子も、ヒグマードの見せた圧倒的過ぎるその力に、暫くの間、何も考えることができなかったのだ。 その沈黙を破ったのは、血塗れの腕を震わせた、クリストファー・ロビンの呻きだった。 「う、うぅ……」 「うわ、あ、あぁぁ――……。ロビン――!!」 痛みに耐えながら身を起こそうとしているその少年の元に、黒木智子は自分の土埃も払わず、涙を流しながら駆け寄ろうとした。 だがその脚は、数歩も進まぬうちに凍り付いたようにして止まってしまう。 咽び泣く声だけが、手を伸ばして宙を掻く。 だが彼女がいくら近づこうとしても、彼に届くことはなかった。 「無駄だ、暗示か何かによる結界が張られている。 お前がいくら叫んだところで、少年の元にはたどり着けぬのだ、黒木智子」 「こ、と、み、ねぇぇ……!!」 その隣から、同じく起き上がって来た言峰が声をかける。 智子は涙と土にまみれた鬼面のような形相で彼に振り向いていた。 言峰は肩をすくめるのみだ。 「私は何もしていない。これはあの少年自身が張ったものだ。どうしようもないな」 「ちぎぇぇ……、ちげぇよぉ……!!」 智子は地団太を踏んで咽び、まっすぐにロビンを指さす。 ふらつきながら立ち上がってゆく彼を横目に見ながら、智子は怨嗟を吐くように言峰へ叫びを叩き付けていた。 「なんでッ……、なんでお前は、ロビンを応援してやれねぇんだよぉぉ!!」 「わからんのか。最初から正々堂々と野球の勝負をしていればよかったものを、彼は神を殺そうとしたのだ。 挙げ句の果てに暴投に見せかけたり、隠形の小細工を仕掛けたり、卑怯な振る舞いばかりではないか。 これで神の逆鱗に触れぬ方がおかしい。逆に殺されそうになるのも当然の報いだ」 だが彼女の気焔を流すように、言峰の口調はあくまで淡泊だった。 そして追い打ちをかけるように、彼はマウンドへ戻ろうとするロビンへ声を投げていた。 「おい、クリストファー・ロビン! もう足掻くな、見苦しい!! 今すぐ悔い改めて謝罪するのだ! ことによればまだ許しをいただけるかもしれんぞ!!」 ロビンが振り向いた。 智子はその表情に恐怖を覚えた。 その目には、光が無かった。 展望を失って、諦めに満ちてしまったような顔だった。 そして言峰綺礼が、そんなロビンを優しげな声色と微笑みで迎えていた。 それが何より、智子には一番恐ろしかった。 「……それで時間が稼げるなら、謝った方がいい……!」 「ええ、この返信者が来てくれるまで持ちこたえられれば……」 「ああ、どうにか逃げる隙を作りたいねぇ……」 「それしかないのなら……、キレイさんの提案に従うしかないでしょう」 屋台バスの中がざわつく。 囁きは、言峰綺礼の言葉に賛同していた。 閉ざされた展望の中で、彼の言葉は、とても甘美で魅力的な誘いだったからだ。 諦める方向に進むことは、とても簡単で、安全なように思えた。 だがその時、智子だけは強く、強くその拳を握りしめた。 ――駄目だ。 そんなことで許される訳がない。 この『神』は、戦いを望んでいるのだ。その戦いで殺されることを望んでいるのだ。 降伏は、死だ。 ここでロビンが戦い続け、勝つことしか、恐らく自分たちが生き残るすべはない。 『諦め』は、人を殺す――。 「卑怯でも、見苦しくても、知ったことかよ!! いいから足掻けよぉぉ!! クズでもカスでも、私は、お前を、応援してるんだよ! ロビィィィィィ――ン!!」 「智子……、さん……」 諦めを拒絶した時にのみ、人間は人道を踏破する権利を得るのだ――。 この血みどろの赤黒い怪物が本当に『神』なら、きっとそんな言葉が、この神の教義に違いなかった。 黄金の伝言が、万全なほど彼に届いた。 ○○○○○○○○○○ その全身の薄汚れた、涙でぐちゃぐちゃの、髪の毛の荒れ果てた、風采の上がらない陰鬱な雰囲気の少女の姿が、クリストファー・ロビンにはとても眩しく見えた。 沈みゆく夕日が、彼女を赤々と照らしている。 その瞳の中に、彼は展望を見た。 諦めに眠ろうとしていた彼の目の前にその時、饒舌に豊穣の森が開けた。 そして彼の夢現に、あの完全な歌が聞こえた。 それはいるはずのない、『どんなクマにも打たれたことのない、森の仲間』の歌だった。 雷に打たれたように、ロビンは天空を振り仰いだ。 「――Hey! Hey! Hey! Hey! Hey! Hey!!」 4拍子の裏拍で、唐突にロビンは叫びだす。 「――Hey! Hey! Hey! Hey! Hey! Hey!!」 四小節目を開けて息を吸い、天地を震わせるような声の張りで、再び彼は叫んだ。 ヒグマードも、智子も、言峰も、誰もが彼の意図を測りかねた。 ロビンはそんな中、ゆっくりと興奮した笑みで、黒木智子へと振り向いていた。 彼は見つけていたのだ。森の仲間を。 その仲間はフクロウでも、虎でもない。いわんやカンガルーでも兎でも豚でもクマでもない。 「……智子さん。知りたがってたでしょう……。教えてあげますよ。 これがマイリトルポニーのレインボーダッシュの歌……、『Awesome as I wanna be』です……」 「――!?」 それは、ポニーだった。 彼が黒木智子に手渡していたディスクに封じられた、ポニーの歌。 その中に彼は、この戦いの活路を見いだしていた。 「お願いだ智子さん! 僕に、コールをくれッッ!!」 そんな願いだけを智子に投げ、ロビンは腕を掲げた。 その手には既に、第5球目となる石ころが握られている。 ホームランは3本。 もうロビンに後はない。 これを打たれてしまえば終わりの絶体絶命のボールなのだ。 それなのに彼は、満身創痍のそんな状態で何をしようとしているのか。 『フッ、フフ! やはり人間は素晴らしい! 一度消えた闘志を再び燃やすとは! ならば私はその炎を、今ひとたび掻き消してやるのみ!』 ヒグマードがざわざわと体を蠢かせて笑う。 それは次の一打で確実にロビンを殺害するだろう、捕食者の笑みだった。 狼狽した言峰綺礼が叫んでいた。 「何をしているのだ少年ッッ!! 正気か――!?」 「Hey! Hey! Hey! Hey! Hey! Hey――! ――Awesome as I wanna be(夢見てたくらい)!」 だが、言峰の声をも掻き消すような勢いで、ロビンは歌っていた。 そしてその歌に、黒木智子のリズムが続いた。 「ヘイ! ヘイ! ヘイ! ヘイ! ヘイ! ヘイ――!」 「――『Awesome as I wanna be(僕は最高)』!」 智子とロビンの視線が、一瞬だけ重なった。 ロビンの瞳には、燃え立つような自信が咲き誇っていた。 投げられた第5球は、やはり誰の目にも見えなかった。 だが、ヒグマードは笑っていた。 『気合ばかりでは、勝てんぞ――!!』 もはや彼には、ティガーボール複合の魔球を打ち返すタイミングが完璧に理解されてしまっていた。 次の一打は、右にも左にもぶれることはなく、確実にロビンの胸板を貫き、彼の肉体ごとホームランとなるだろう。 言峰綺礼が、扶桑が、戦刃むくろが、息を呑んだ。 ヤスミンとグリズリーマザーは、思わず目を覆った。 まるでパイルバンカーのような轟音を立てて、ヒグマードの体から赤黒い毛が伸びた。 だがその渾身のスイングは、何にも触れることはなかった。 ○○○○○○○○○○ 直後、ヒグマードの体は斜め上から貫かれる。 『な、ガ――!?』 まるで天空から巨大な槍で串刺しにされたかのように、ヒグマードの肉体は普通のヒグマの右肩口に相当する位置から左脇腹にかけて、直径1メートル近い風穴が開いた。 そのまま地面にめり込んだらしいロビンの投球は、地響きを立てて北東の断崖を揺らし、その岸壁を爆破するような勢いで下の海へと貫通し、水柱を上げていた。 この場の誰にも、今起きた現象は理解できなかった。 体の中心部を破壊され崩れ落ちたヒグマードを前に、ロビンは朗々とAメロを歌っていた。 「First you see me riding on a sonic boom(御覧じろ 僕の凄さ ソニックブーム)! Got my guitar shreddin up the latest tune(僕の得物は 最新式だ)!」 「……不可視のボールに、さ、更なる変化を、加えただと――!?」 言峰が震えた。 呆然と呟かれたその言葉に、一同は頷かざるを得なかった。 今の現象を説明するにはそれしか考えられない。 ロビンはこの窮地で、さらに一歩、自分の可能性の先へと踏み出していたのだ。 「There is nothin you can do to beat me(君が何やっても 無意味)。 ――I m so good that you can t defeat me(僕の凄さに 敵いはしない)!!」 『グ、フ、フフハハハ――!! 言ってくれるではないかァァ!!』 僕の力が素晴らしすぎて、あなたは絶対に僕を負かせない――。 ロビンが指を突きつけながら歌う歌詞は、そのままヒグマードに対する挑発だった。 胴体の大部分をくり抜かれ崩れ落ちていたヒグマードが、その挑発に乗るように身を湧き立たせる。 如才なく第6球の投球姿勢に入ったロビンを、カウンターで討ち取らんとする意気込みだった。 「いけるの、ロビンさん――!?」 「いや、駄目――! この殺気は、拙い――!!」 「何ですか、この寒気と重圧は――!?」 「アイツ、そうか――。『リリースポイントまでバットを振り抜く』つもりだね!?」 扶桑が、戦刃むくろが、ヤスミンが、グリズリーマザーが、歯を食いしばりながら球場の両者を見やる。 その場には風が吹き荒れるようにして、冷たい恐怖が渦巻いてゆく。 溶けるように真っ赤な液体と化したヒグマードが、ロビンに劣らぬ朗々とした声で、高らかに歌声を上げていた。 『荒れ樫の君は既に亡く、国境の岸もまた姿を隠しぬ。我が制御(ヴォケィション)疾うに消ゆ。 然れば私は、赤色の塔に宇宙を掘りてこの身を宣らん――! 「二式解放」!!』 「――Yeah! I m awesome(僕はサイコー)! Take caution(気をつけな)! Watch out for me, I m awesome as I wanna be(よく見とけよ 最高の僕を)!!」 ヒグマードの肉体が、どぷん、と音を立てて沈む。 そしてその身は一瞬にして崖に散乱した草木土石の数々を吸収して肥大するや、真っ赤な龍のようにしてマウンドのロビンの元へと奔っていた。 リリースの瞬間に、その目の前で打ち返してしまえば、途中でボールがどんな速度でどんな軌道変化をしようと関係がない――。 ヒグマードの取った戦術は、つまりはそういうことだった。 ロビンが振り抜いた第6球のモーションに、ぴったりとヒグマードの牙は、その猛スピードのままに喰らいついてしまうかと見えた。 だが、確かにボールが放たれたロビンの目と鼻の先でヒグマードは、やはり何にも、触れはしなかった。 ○○○○○○○○○○ その見えないボールは、空中に止まっていた。 ロビンの手先から離れたその位置のままに。 これ以上ヒグマードが体を伸ばしてしまえば、ロビンに接触する守備妨害を犯してしまうそんな位置に。 シルシルシルシル……、と風を奏でる、凄まじい速度の回転だけが、目前のヒグマードにその存在を伝えていた。 今のロビンに力を貸す森の仲間は、ポニーだけでもなかった。 ラビットボールの超加速。 カンガルーボールの上下バウンド。 オウルボールの左右振動。 ティガーボールの不可視性。 100エーカーの森の全ての仲間たちが、彼の背中にいた。 ほとんど完全に停止するかのような滞空状態から、ロビンにしかわからないタイミングで急加速し、自由に上下にくねり、自在に左右を切り裂く、何者にも見えざる王者の球。 それはたちまち、球場を真っ直ぐに伸びきっていたヒグマードの肉体を縦横に貫き走り、夕日の中に幾多の血飛沫を振り撒きながら、その身をずたずたの膾に引き裂いていた。 「――やぁ!!」 「I m awesome(僕はサイコー)! Take caution(絶好調)! Watch out for me, I m awesome as I wanna be(よく見とけよ 最高の僕を)!!」 黒木智子が、快哉を上げる。 クリストファー・ロビンが、大きく右腕を掲げる。 勝利の喜びが、発奮するようだった。 『跡を継がせてやる気はねえ、お前はお前で勝手に自分の国を建てろ』 『そして聞かせてみな……お前だけの氷帝コールを…』 『お前はお前で、見つけるんだ……自分自身の、自分だけのものを……』 ロビンの耳に、跡部景吾の声が聞こえたような気がした。 自分だけのオリジナルコール。 その響きで、気持ちが、力が、体に渦巻くあらゆるエネルギーが高ぶってゆくのがわかる。 北東の崖一帯、森といわず、岩といわず、熊といわず神といわず人といわず、転がっていた木の屑も、吹き散らされた血飛沫も、赫焉として燃え立つかのようだった。 歌が響く。 黄金の旋律が、旋風のように吹き上がる。 果てない夕日の色合いに染まった世界で、ロビンは端然として永遠の真理のうちに佇んでいるかのようだった。 「やった……! 勝てるかも、勝てるかも知れない……! ロビンくんが……!!」 「ええ、ええ! 行きましょうむくろさん! 応援しましょう!!」 「マスター……!! その意気だよッ――!!」 戦刃むくろと扶桑が、興奮した面持ちでバスのタラップをばたばたと駆けおりてくる。 グリズリーマザーが、割れたフロントガラスから半身を乗り出す。 「ヘイ! ヘイ! ヘイ! ヘイ! ヘイ! ヘイ――!!」 「レッツゴー、ロビン――!!」 扶桑が、戦刃むくろが、グリズリーマザーが、そして黒木智子が、ロビンのために心を一つにして声援を送る。 友達はモジョ(魔法)だ。 森の全ての仲間たちが、ロビンの背を支えるのだ。 少女の語る魔法の言葉(Mojo)が、ロビンに力を与えるのだ。 黒木智子の視線の先で、クリストファー・ロビンの背中は煌々と輝いていた。 悠々とたなびく、草は勝利を象るようだった。 ○○○○○○○○○○ 「キレイさん、あなたも是非応援を……! あと一球、あと一球なのですよ!」 ヤスミンが興奮した面もちで言峰綺礼に呼びかけていた。 場外のはずれで立ち尽くしたまま絶句していた彼は、ヤスミンに震えた眼差しを向け、歯を噛み締めた。 カウントは3-3。 この最後の一球で、勝負が決まる。 最高の魔球を手に入れたロビンの一球でだ。 球場のベンチを埋める女子たちの黄色い歓声を、言峰はどこか遠いもののように聞いた。 「……断る」 「キレイさん……!」 そして彼は、ヤスミンの視線を引き千切るようにして踵を返す。 言峰の右手はずっと、怒りのやり場を探すかのように握り締められたままだった。 ……自己暗示だ。 ロビン少年に、神をも屠りかねない力をもたらしているのは、彼の人智を逸した強さを持つ自己暗示に他ならないだろう。 その力が、他者にさえ『この勝負は邪魔できない』と思いこませ、彼の状態を『夢見ていたほどに最高の自分』にしている。 ……だが夢は所詮、夢なのだ、少年。 それをわからせてやる。 暗示など、魔術師にとっては初歩の初歩だ。 一般人の腕に、魔術師が負けるものか。 神を殺そうとする大罪人の少年ごときに、この聖堂教会の代行者が遅れを取ると思うな――!! 「――令呪解放、体機能強化……。反射加速……! ――長母指伸筋、短母指伸筋、総指屈筋の瞬発力増強……!!」 彼の目には、夕日を受けて輝くかのような、ロビンの背中だけが映っている。 言峰はまるで指弾を構えるかのように、握り込んだ右手に力を込めていた。 ○○○○○○○○○○ 「ヘイ! ヘイ! ヘイ! ヘイ! ヘイ! ヘイ――!!」 「レッツゴー、ロビン――!!」 崖の球場に、涙に咽ぶ少女たちの声が響いている。 戦刃むくろが黒木智子の手をとって、一緒にマウンドのピッチャーへコールを投げる。 むくろも智子も、こんなことは初めての経験だった。 野球が楽しいものなのだと、それもただの観戦がこんなに歓喜に満ち溢れるものなのだとは、今まで夢にも思ったことはなかった。 自分たちの想いが、言葉が、はっきりしっかりと選手の背中を押す充足感。 駆け上がり高まってゆくそんな興奮に、彼女たちの声は一段と大きくなってゆくのだった。 「小父さん……。とてもいい戦いだった。この球を投げられたのは、間違いなく小父さんのおかげだ」 『ぐ、が……、ごぉぉ……!』 球場のあちこちに散乱したヒグマードは、もはや再生の速度もおぼつかなかった。 積み重なる『死(アウト)』は、確実に彼の存在を消滅へと近づけている。 ロビンは、少女たちの応援をその身に受けながら、ある種の愛しさを込めたような眼差しで、その蠢きを見守っていた。 「Step aside, now, you re just gettin in my way(邪魔しないで 立ち退きたまえ)……。 I got sick chops you can never hope to play(この神勅 聞かねばご無礼)……!」 2番の歌詞を静かに歌い出すロビンの前で、ヒグマードはようやく、その身を小さなクマの姿に纏めることしかできなかった。 第7球、最後の投石をその手に握り、ゆっくりとバッターボックスにわだかまったその打者へ、ピッチャーは厳かに宣言した。 「When it comes to makin music I m the ruler(この道では 僕が王者だ)。 You wish you could be twenty percent cooler(進歩しな あと20%くらい)!!」 『素晴らしい……、素晴らしいぞ、人間……。私は待っていた……! この時を……!!』 血肉を練り上げた彼の棍棒も、ごくごく小さな、普通のバットと変わらぬ程度のサイズでしかない。 もはや彼に、吸血羆として練り上げられた必殺技の数々はない。 それでもヒグマードはロビンに倣うかのように、勝負を投げ出すことはなかった。 彼の全身に散らばった13個ほどの眼は、それでも喜びの色に満ちていた。 智子たちの声援が、ロビンの旋律を後押しする。 「やぁ!!」 「I m awesome(僕はサイコー)! Take caution(気をつけな)! Watch out for me, I m awesome as I wanna be(よく見とけよ 最高の僕を)!」 『さぁ投げろ……! 投げてくれ!! 決着をつけようではないか!!』 棍棒を構えたヒグマードに応えるように、そうしてロビンは投球姿勢に入った。 夕日が、なぎ倒された森の上から彼らを照らす。 黄金の時が来て、万全なほどに彼に降る。 彼の最後の一球は、まさにその楽曲の、最後のサビと同時だった。 「やぁ!!」 「I m awesome(僕はサイコー)! Take caution(絶好調)! Watch out for me, I m awesome as I want to be(夢見てた 最高の僕だ)――!!」 最高の、渾身の一球が、その右腕から放たれる――。 その時、ロビンの右肩に、激痛が走った。 ○○○○○○○○○○ ――故障!? リリースの直前に自分を襲った原因不明の痛みに、瞬間、ロビンはそう思考した。 短時間で、自分の限界を超越したような魔球を連用したのだ。 その行為は、確かに自分の投手生命を急速に削るものだった。 リトルリーグ肘や腱板断裂、障害がいつ起きてもおかしくない。 そんなことは分かっている。 だがこの一球。 この一球だけは、死んでも投げなければいけなかった。 ……智子さん――ッ!! ロビンは、自分の魂を吐き出すかのような気迫で、その腕を、振り抜き切っていた。 「おおりゃぁぁぁ――!!」 「えっ――!?」 その瞬間、智子たちは自分の眼を疑った。 ロビンの投げた球が、見えていたのだ。 音速を優に超えている弾速だった。 尋常ならざる回転が掛かっていた。 冷気と熱を同時に帯び、ただの小石が、あたかも紅蓮地獄のような様相を呈していた。 だがその球は、先程までの最高の魔球では、なかった。 『むおぉぉおぉぉ――!!』 ヒグマードのスイングが、そのボールを噛む。 骨肉が軋むようなインパクト音を立てて、その打球は、一直線にピッチャーの元へと撃ち返されていた。 「ひっ――」 投球でバランスを崩したロビンへと、真っ直ぐに飛礫が襲う。 ロビンごと森の奥へ叩き出してしまうような勢いの、ホームラン性の当たりだ。 智子が、むくろが、扶桑が、恐怖と絶望の予感に息を詰めた。 「――シャァッ!!」 その瞬間、ロビンは吠えた。 崩れた体勢をさらに崩すようにして、ロビンはグローブも嵌めぬ左手を、飛び来る打球に向けて突き出す。 魔球を放つ彼のモーションに劣らぬ勢いで、左腕が振り抜かれる。 激しい衝突音と共に、彼の体はセンター奥の森へ、紙屑のように吹き飛ばされていた。 「ロ、ロビン――!!」 土埃を上げて転がり、場外の森の地面をこすり、ロビンの体はようやく止まった。 倒れ伏す彼を見た智子の声は悲鳴のようだった。 だがロビンの体は、ゆっくりと起き上がる。 そしてふらつきながらも、彼はその左手を、真っ直ぐ上に掲げていた。 「……僕の。勝ち、だ……――」 掠れた声で、それでも彼はニヤリと口角を上げた。 彼は撃ち返された打球を、キャッチしていた。 ヒグマードとロビンのホームランダービー。 目標 4本。 ホームラン 3本。 残り 0球――。 ○○○○○○○○○○ 短くも長かったその試合は、決着を迎えていた。 黒木智子も、むくろも扶桑もグリズリーマザーも、一斉に勝利の快哉を上げようとした。 だが彼女たちが異変に気づくのに、それほど時間はかからなかった。 掲げられたロビンの左手には、大穴が開いていた。 打ち返された石の打球はロビンの掌を貫通し、その胸に深々と食い込んでいた。 一筋の血が、ニヤリと笑う彼の口からこぼれた。 そして彼は仁王立ちの体勢のまま、ゆっくりと背後に倒れ込んでいた。 「――ロビン!! ロビィィン!!」 悲鳴と共に、黒木智子は走り出した。 もうその脚は、何かに遮られることはなかった。 それは確かに、この場に暗示を敷いていた勝負が、終わってしまったことを意味していた。 「勝ちましたよ……、智子さん……。僕は、勝ちましたよ……」 「ロビン、死なないで、死なないで……、ロビン……!!」 喉を鳴らしながら駆け寄った智子が、倒れた彼の体を抱きしめる。 だがうわごとのように呟くロビンの視線は、もはやどこか遠くの、ここではない場所を見つめていた。 「何言ってるんですか……。僕はこれから、王朝を作るんですから……。 見えました。僕にははっきりと……、最高の王朝が……」 咽喉から言葉が零れるたびに、真っ赤な血が彼の口からは溢れた。 胸の穴からじわじわと血が染み出て、彼を抱く智子のツナギを濡らした。 その命をこぼしてしまわぬよう、智子は強く、強く細い5歳児の体を掻き抱こうとする。 「いなくならないで……!! いなくならないでくれよぉ……!!」 「それは僕のセリフです……。ずっと、考えてたんですよ……。 どうすれば、智子さんに、ずっと観客で居てもらえるか……」 ロビンは大きな穴の開いた左手を、智子の頬に差し伸べた。 彼はにっこりと微笑みながら、そうして智子を、撫でた。 「僕の王朝で……、どうか、僕の、お妃さまに……」 まるで眠りにつくかのように、彼の声は小さくなっていった。 彼の手は、智子の頬に血の筋を引いて、地に落ちた。 その表情は、とても満ち足りた笑顔だった。 「……返事する前に。……行くなよ――」 血の色をした夕日の中に、智子の呟きは、たちまち掻き消された。 涙が、赤く燃えた。 ○○○○○○○○○○ 『クリストファー・ロビン……。お前に倒されても良かった。 あの日なら。……あの日暮れの荒野なら。もう遠い、遠いあの日なら……。 お前に心臓をくれてやってもよかった……』 「あ、あ……」 泣いていたのは、智子だけではなかった。 夕日に照らされた断崖の血飛沫が、蠢いている。 ヒグマードは、引きちぎられていた自分の肉体を次々と引き戻し、元のように巨大な吸血羆の姿へと肥大化してゆく。 彼の目が。 全身に30は下らぬほどに開いた彼の目が、涙のように血を流していた。 その異様な姿に、グリズリーマザーたちは、恐怖しか感じなかった。 ヒグマードは、すぐにも襲ってくるだろう。 逃げなければいけない。 そうわかっているはずなのに、固化してしまったような空気の中に、彼女たちは動くことができなかった。 「――よくご覧ください!」 そんな中ただ一人、言峰綺礼だけが、この異様な雰囲気をものともせず球場に歩み出ていた。 「この少年は自分の身体を張って、このボールを最後まで保持していたのです。 いわゆるスーパーキャッチだ……! この球はホームランではなくアウトだったのだ!!」 そして彼はヒグマードの正面に立ち、滔々と演説をぶった。 まるで彼は、ロビンの意志を無駄にしないように立ち上がった、正義の人であるかのようだった。 「あなたのホームランは過半数に届かなかった……! 神よ、あなたは命を落とすことなく敗北したのです。大人しく我々に従ってください!!」 言峰はそうして、自信に満ちた表情で、ヒグマードへと手を差し伸べた。 彼の言い分によれば、こうだ。 この『本塁打競争(ホームランダービー)』のスコアは、ロビンが自分の胸でとはいえ最後までボールをつかんでいた以上、このボールはホームランではなくアウトと見なされるはずである。 その場合、7球の過半数はアウトとなり、ロビンの勝利、ヒグマードの敗北となる。 この強大な力を持つ『血の神』は、契約に従って彼らに服従せざるを得なくなるだろう。 それはとても平和的で魅力的な、言峰の理想の結末に思えた。 だがヒグマードは、4つ生えてきたその首を、静かに横に振る。 『……駄目だな。この勝負は彼の……、人間の負けだよ』 「――何を!? そんなはずはありません!」 言峰は動揺した。 ロビンのキャッチしたボールは、確かにホームランではないはずだ。 ここに審判がいるのなら、間違いなくその判定になるだろう。 だが、ヒグマードの表情は、とても寂しげだった。 『……何か勘違いしているようだから教えておいてやろうか。 死んだ方が負けだったのだよ、ヒューマン……。この戦いは最初からな』 ひとつ、賭けるものは己の身命の全て。 ひとつ、勝負は本塁打競争(ホームランダービー)形式である。 ひとつ、球数はこの島の施設であった『ストラックアウト7』にならい、7球。 ひとつ、スタンドと場外に相当する森の奥に打球を飛ばした時のみホームランとカウントされ、それ以外は全てアウト。 ひとつ、バッター側が過半数の打球をホームランにするか、ピッチャー側が過半数の投球でアウトをとるか、最終的に生き残ったものが勝者となる。 ――賭けるものは己の身命の全て。 ――最終的に生き残ったものが勝者となる。 この勝負は、形こそホームランダービーの格好をしていた。 だがホームランの数など、最初から問題ではなかった。 むしろホームランなど、ピッチャー返しの打ち損ないと言っても過言では無い。 デッドボールで殺し切るか、ピッチャー返しでその命を屠るか、この勝敗は二つに一つだった。 ロビンはヒグマードに、『死(アウト)』をもたらしきることが、できなかった。 そしてロビンは、死んだ。 それが厳然たるこの死合いの結果だった。 勝者が誰なのか、それはもはや、疑いようもなく明らかだった。 「な、あ――……」 『ああ……、思えば恨みを買ってしまったのも、この少年の実力のうち、だったのだろうな……』 言峰を見下ろすヒグマードの瞳は、何もかも見透かしてしまったかのように、ひたすら寂寥感に満ちていた。 彼はそのまま厳かに、言峰へ絶望の言葉を降らせていた。 『……それとな、人間(ヒューマン)。私はただの化物(フリークス)だよ。 神などではない。……人間でいることにいられなかった、ただの、化物だ』 「は……!?」 目の前でざわざわとその身を膨れ上がらせたヒグマードの神勅を、言峰はしばらく、理解することができなかった。 「マスター! 逃げるよ!!」 『ああ、さらばだヒューマン!! 私は永遠に、この栄光と屈辱の日を忘れぬだろう!!』 グリズリーマザーが発憤してバスのエンジンを吹かせたのと、ヒグマードが高らかに6つの口から唸りを上げたのは、ほぼ同時だった。 東側の崖から急速に転回した屋台バスは、そのまま西のセンター奥に位置する智子とロビンの方へ走り出す。 「智子さん、来て!」 『オリバーも去れり、リチャードも去れり。我が拘束(コモンウェルス)特に死にたり。 然れば私は、荒れ樫の花に林檎を結びてこの身を宣らん――』 呆然とする智子の体を、戦刃むくろが駆け寄りながら掴む。 朗々と詠唱を始めるヒグマードから溢れる殺気は、彼女が今までどんな戦場で経験してきたものよりも強かった。 「乗って――、早く私の上に乗ってください!!」 「キレイさんッ――!! あなたも早くッ!!」 続いて扶桑が、ヤスミンから投げ渡されたヒグマの体毛包帯を掴みながら走り寄る。 ロビンの遺体と智子、そしてむくろの全員を彼女が抱え上げる中で、ヤスミンは一人遅れた場内の言峰へ、その包帯を投げ込んでいた。 ヒグマードの身が鳳仙花のように弾けたのは、その瞬間だった。 『「一式解放」』 赤黒い毛が、遙か遠くの崖の先端から、槍のように突き出された。 それはすぐさま、逃げようとする屋台のバスにも追いすがっていた。 「扶桑――ッ!!」 「ええ、『螺旋櫂(スクリュー)』ッ!!」 むくろが、扶桑の肩の上から背後へと、抜き放った拳銃を連射する。 同時に、ヒグマの体毛包帯に引っ張られながら逃げる扶桑の足が、地面を蹴り上げる。 彼女の下駄の底部で高速回転するスクリューが、地面を巻き上げて後方に土塊を跳ね飛ばした。 追いすがってくる赤黒い毛は砕かれ、弾き飛ばされながらも、依然として追ってくる。 「キレイさん! 早く――、――ッッ!?」 「……ははッ、ははははッ、何なんだ私は!」 言峰へ投げた包帯を継ぎ続けるヤスミンの悲鳴が上がり、そして絶句が続く。 当の言峰は、まったく逃げてなど、いなかった。 そして直後、彼の周りに殺到していた毛が爆裂する。 ――令呪解放、体機能強化。練精化気。 ――上肢屈筋、二頭筋、回外筋の瞬発力増強……。 令呪2画を使った双撞掌が、ヒグマードの赤黒い毛を吹き飛ばしていた。 彼の奇形化した八極拳は、ロビンの技術と同じく、吸血鬼にも対抗できる技能に昇華されていたのだった。 ――令呪解放、体機能強化。練気化神。 ――下肢筋群、背筋、腸腰筋の筋力増強……。 そして続けざまに踏み込んだ震脚とともに繰り出された鉄山靠が、ヒグマードの本体を爆裂させた。 バスにまで追いつこうとしていた赤黒い毛が、宙から地に落ちる。 「こ、言峰さんがやったの――!?」 「い、今のうちに、早く乗んなァ!!」 グリズリーマザーの声に急かされるまでもなく、むくろと扶桑は智子とロビンを抱え、ヤスミンに支えられながら屋台バスの中に乗り込む。 『荒れ樫の君は既に亡く、国境の岸もまた姿を隠しぬ。我が制御(ヴォケィション)疾うに消ゆ。 然れば私は、赤色の塔に宇宙を掘りてこの身を宣らん――』 「……こんな歪んだ汚物が、よりにもよって言峰璃正の胤から生まれたと?」 そんな中、再生してゆくヒグマードを前に言峰はくつくつと笑っていた。 遠くなってゆくバスから投げられた包帯など、彼の目にはもう、映っていなかった。 信じたくなかった。 自分がこんな背徳的で非人道的な生物の有り様に心惹かれてしまったのだということを。 それは尊敬する父の存在すら貶めるものだった。 だから、言峰は必死に思い込んでいた。 自分の本心と教義とを共に正当化させるために、彼はヒグマードを神だと自己暗示することしかできなかった。 歓喜があった。 絶望があった。 見よ、聖堂教会の代行者の自己暗示は、確かに大罪人の少年を上回った。 この真紅に染まった断崖がその証だ。 言峰はこの時この場において、ようやく自分の本性を悟った。 夕日が血の色を躍らせて、ヒグマードと言峰綺礼の慟哭を照らしていた。 『「二式解放」』 「あははははっはっは――! 有り得ん! 有り得んだろうッ? なんだそれは!! 我が父は――、父は、狗でも孕ませたというのかァッ!!」 その悟りは、無上の幸福であり、最低の悲嘆だった。 言峰は全身全霊の感謝と憎悪を込めて、その拳を振り上げていた。 ――令呪解放、体機能強化。練神還虚。 ――大腿二頭筋、右手伸筋、腹斜筋の勁力増強……! ――八極小架・『進歩単陽砲』!! その拳は自身との決別であり、同時に、この吸血鬼へとどめを刺す、渾身の一撃だった。 令呪と共に練り上げられた気が、彼の手を通って噴き上がる。 言峰綺礼はそうして、汚れた神の幻影と決別するはずだった。 だがその手は、天空に伸び上がり、真っ赤な竜のごとく降り注いだヒグマードの身に、飲み込まれていた。 その手に、先ほどまで吸血鬼をも穿っていたほどの膨大な魔力は、宿っていなかった。 言峰の令呪は、このホームランダービーが始まる前、7画あったはずだ。 2画の一撃。 2画の一撃。 2画の一撃。 合わせても6画目だったはずのこの一打は、本来ならば令呪が足りないことなど、有り得ないはずだった。 言峰は静かに理解した。 有り得ないはずの敗北を招き寄せてしまったそのものの正体を。 応報の錆は、身に寄った因果の皺だった。 言峰の死は、そんな赤黒い錆の色をしていた。 ○○○○○○○○○○ ヤスミンの掴んでいた包帯は、ついに向こう側から引かれることはなかった。 それはその向こうの、言峰綺礼の死を意味していた。 二式解放をしたヒグマードは、まるで赤い滝のように、北東の崖に降り注いだ。 そしてその上からさらに、なぜか本物の滝のような大量の水がさらに降り注ぐのを、一同は目にした。 崖はその重量を受けてか、一瞬にして崩れた。 球場はまるごと下の海に崩落し、そこにいたはずのヒグマードも言峰綺礼も、何もかもが見えなくなった。 「……返信が、来ました。あの、ノイズのような電波で……。 『よくやった、これで時間稼ぎにはなっただろう』と……」 西へ走り続けるバスの中で、扶桑がその時、ぽつりと呟いていた。 今さっき崖を崩した謎の水流を降らせた人物が、その電報を打っているのだろう。 「助けは、来てたんだね……」 「せめて、もう少し早ければ……」 ガラスの割れた屋台を走らせるグリズリーマザーも、手応えのなかった包帯を巻き戻すヤスミンも、牙を噛み締めていた。 「また襲い掛かってくるかも……。誰かが大仕掛けで海に突き落としたみたいだけど。 あんな絶望的なヒグマ、見たことない……」 後部座席に腰を落として、戦刃むくろも神経を張り詰めている。 彼女の隣で、俯いていた黒木智子が、呟いた。 「また、来るに決まってる……」 智子が膝の上に抱く少年は、幸せな夢の中で眠っているかのように、微笑んでいた。 だが彼の胸には、大きな傷跡が開いていた。 全身はかまいたちに巻き込まれたかのように傷だらけで、その上、右肩は砕けていた。 その肩には、背中から小さな枯れ枝が猛スピードで突き刺さったらしく、肩甲骨が完全に砕けていた。 いつ、どうして刺さったのか。 もはやこの場の者にそれを知るすべはないが、その状態であのような魔球を投げ続けていたのだとしたら。 それは想像を絶する超人的な、何か大いなる力が成せたものだとしか、考えられなかった。 胸の傷跡に、智子の眼から、涙が落ちていた。 「『最強のアンデッド』……。『死なずの君(ノーライフキング)』……。 あいつは、吸血鬼『アーカード』だったんだ……。あんなやつと戦っちゃ、駄目だったんだ……!!」 「……何か知ってたのね。智子さん。……そうか、だからあなたは、最初からあんなに、必死に声をかけていたんだ」 むくろは、智子の震える肩に、手を伸ばそうとする。 だが、彼女は智子を抱きしめて、その悲しみを慰めてやることは、できなかった。 そんなことを友達にするのは初めてで、戸惑いがその手を躊躇わせたからだ。 そして智子の表情が、むくろが今までで見たことがないほどに、悲しみに満ち溢れていたからだった。 そんな表情をする友達に、一体何をしてやればいいのか、むくろにはわからなかった。 『オリバーも去れり、リチャードも去れり。我が拘束(コモンウェルス)特に死にたり。 然れば私は、荒れ樫の花に林檎を結びてこの身を宣らん――』 『荒れ樫の君は既に亡く、国境の岸もまた姿を隠しぬ。我が制御(ヴォケィション)疾うに消ゆ。 然れば私は、赤色の塔に宇宙を掘りてこの身を宣らん――』 オリバー。リチャード。 イギリスの人名だとすれば、それはコモンウェルスの概念を生み出したオリバー・クロムウェルだ。 そしてその息子の護国卿、リチャード・クロムウェル。 ――『拘束制御術式(クロムウェル)』だ。 あれかしのきみ。こっきょうのきし。 『そうあれかしと叫んで斬れば世界はするりと片付き申す』、アンデルセン神父の言葉だ。 そして国教の騎士とは、インテグラル・ファルブルケ・ウィンゲーツ・ヘルシングのことだ。 ともに恐らく、今は亡き人であり、そして、『彼』の最も親しい人間だっただろう人々だ。 黒木智子はあの赤黒いヒグマが、確信をもって吸血鬼『アーカード』であることを理解していた。 「なぁ、ロビンよぉ……。作ってくれよ、王朝を……。私の中に……。 私の中は、もう、空っぽだ……。いくらだって土地は空いてるんだからさ……」 智子は周囲の者が見守る中、震える呟きをロビンの唇に重ねていた。 そして彼の咽喉を詰める血を吸い出すように、彼の魂を救い上げるかのように、口に溢れる血を啜り上げた。 それは錆臭く、むせるような苦い味だった。 だが智子はその血液を、涙目のまま飲み込んだ。 「頼む、ロビン……。私の中に……、お前の命のひとかけらだけでも……、息づいていてくれ……」 彼女にはようやく、あの歌の意味がわかった。 どうしようもなく人を愛し、どうしたって人の敵でしかいられなかった、あの男のラブソングが。 【クリストファー・ロビン@プーさんのホームランダービー 死亡】 【言峰綺礼@Fate/zero 死亡】 【H-1 崖 午後】 【黒木智子@私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!】 状態:血塗れ、ネクタイで上げたポニーテール、膝に擦り傷、悲嘆 装備:令呪(残り2画/ウェイバー、綺礼から委託)、製材工場のツナギ 道具:基本支給品、制服の上着、パンツとスカート(タオルに挟んである)、グリズリーマザーのカード@遊戯王、レインボーロックス・オリジナルサウンドトラック@マイリトルポニー、ロビンのデイパック(手榴弾×1、砲丸、野球ボール×1、石ころ×69@モンスターハンター、基本支給品×2、ベア・クロー@キン肉マン )、ロビンの遺体 [思考・状況] 基本思考:モテないし、生きる 0 ロビン……。ロビン……!! 1 グリズリーマザーと共に戦い、モテない私から成長する。 2 グリズリーマザー、ヤスミンに同行。 3 アーカードは……、あんな攻撃じゃ、死なない……。 4 超高校級の絶望……、一体、何ジュンコなんだ……。 5 即堕ちナチュラルボーンくっ殺とか……、本当にいるんだなそういう残念な奴……。 ※魔術回路が開きました。 ※グリズリーマザーのマスターです。 【穴持たず696】 状態 左腕切断(処置済み) 装備 コルトM1911拳銃(残弾4/8) 道具 超小型通信機 基本思考:盾子ちゃんの為に動く。 0 智子さん、一体どうしたら……。 1 智子さんは、すごく良い友達なんだから……! 絶対に守ってあげる……! 2 言峰さんとロビンくんの殉職は、無駄にしてはいけない……! 3 智子さん、あなたの知っている情報は……!? 4 良かった……。扶桑は奮起してくれた! 5 盾子ちゃんのことは絶対に話さないわ! 6 盾子ちゃん……。もしかして私は、盾子ちゃんを裏切ったりした方が盾子ちゃんの為になる? ※戦刃むくろ@ダンガンロンパを模した穴持たずです。あくまで模倣であり、本人ではありません。 ※超高校級の軍人としての能力を全て持っています。 【扶桑改(ヒグマ帝国医療班式)@艦隊これくしょん】 状態 ところどころに包帯巻き、キラキラ、出血(小) 装備 鉄フライパン 道具 なし 基本思考:『絶望』。 0 この絶望から、浮上しましょう……、智子さん……。 1 この、電信を返して下さった方は……? 2 ああ、何か……、絶望から浮上してくるのって、気持ちいいですね……! 3 他の艦むすと出会ったら絶望させる。 4 絶望したら、引き上げてあげる。 【グリズリーマザー@遊戯王】 状態:健康 装備:『灰熊飯店』 道具:『活締めする母の爪』、『閼伽を募る我が死』、穴持たず82の糖蜜(中身約2/3) [思考・状況] 基本思考:旦那(灰色熊)や田所さんとの生活と、マスター(黒木智子)の事を守る 0 またあのヒグマが襲い来るとか冗談じゃないよ……! 1 マスター! アタシはあんたを守り抜いてみせるよ! 2 あの帝国のみんなの乱れようじゃ、旦那やシーナーさんとも協力しなきゃまずいかねぇ……。 3 とりあえずは地上に残ってる人やヒグマを探すことになるかしら。 4 むくろちゃんも扶桑ちゃんも難儀だねぇ……。 5 実の姉を捨て駒にするとか、黒幕の子はどんだけ性格が歪んでるんだい……? [備考] ※黒木智子の召喚により現界したキャスタークラスのサーヴァントです。 ※宝具『灰熊飯店(グリズリー・ファンディエン)』 ランク:B 種別:結界宝具 レンジ:4~20 最大捕捉:200人 グリズリーマザーの作成した魔術工房でもある、小型バスとして設えられた屋台。調理環境と最低限の食材を整えている。 移動力もあり、“テラス”としてその店の領域を外部に拡大することもできる。 料理に魔術効果を付加することや、調理時に発生する香気などで拠点防衛・士気上昇を行なうことが可能。 ※宝具『活締めする母の爪(キリング・フレッシュ・フレッシュリィ)』 ランク:B 種別:対人宝具 レンジ:1~2 最大捕捉:1~2人 爪による攻撃が対象に傷を与えた場合、与えた損傷の大きさに関わらず、対象を即死させる呪い。 対象はグリズリーマザーが認識できるものであれば、生物に限らず、機械や概念にまで拡大される。 ※宝具『閼伽を募る我が死(アクア・リクルート)』 ランク:B+ 種別:対人宝具 レンジ:- 最大捕捉:1人 自身が攻撃を受けて死亡した場合、マスターが令呪一画を消費することで、自身を即座に再召喚できる。 または、自身が攻撃を受けて死亡した場合、マスターが令呪一画を消費することで、Bランク以下の水属性のサーヴァント1体を即座に召喚できる。 【穴持たず84(ヤスミン)@ヒグマ帝国】 状態:健康 装備:ヒグマ体毛包帯(10m×8巻) 道具:乾燥ミズゴケ、サージカルテープ、カラーテープ、ヒグマのカットグット縫合糸、ヒグマッキー(穴持たずドリーマー・残り1/3)、基本支給品×3(浅倉威、夢原のぞみ、呉キリカ)、35.6cm連装砲 [思考・状況] 基本思考:ヒグマ帝国と同胞の安寧のため傷病者を治療し、危険分子がいれば排除する。 0 全員を生還させる手立てを考えなければ……。 1 帝国の臣民を煽動する『盾子』なる者の正体を突き止めなければ……。 2 エビデンスに基づいた戦略を立てなければ……。 3 シーナーさん、帝国の皆さん、どうかご無事で……。 4 ヒグマも人間も、無能な者は無能なのですし、有能な者は有能なのです。信賞必罰。 ※『自分の骨格を変形させる能力』を持ち、人間の女性とほとんど同じ体型となっています。 ○○○○○○○○○○ My head is the apple without e er a core, My mind is the house without e er a door. My heart is the palace wherein he may be, And he may unlock it without any key. 私の頭は 芯の無いリンゴ 私の気持ちは ドアのない家 私の心は 彼の住む城 彼が開けるのに鍵はいらない (イングランド民謡『I Will Give My Love An Apple』より) ○○○○○○○○○○ 『……喜べ。お前たちは役に立ったぞ、人間。 これで少なくとも、時間稼ぎはできただろうからな』 崩れ落ちた崖の縁に、佇む影がある。 それはヒグマン子爵だった。 遠くから聞こえた難関に泣く声。 ここから南の温泉地帯にいたヒグマン子爵は、刀の手入れをしている最中、その刀身に共鳴する扶桑の電報を捉えていた。 ヒグマン子爵は、モールス信号などうろ覚えだった。 だが電波の受信状況から三角測量で送信地点を特定すると、それは先だって彼が『血の神』ヒグマードと戦っていた地点にほど近かった。 そこで誰かが、ヒグマードと目下戦闘を行いつつ助けを求めていると考えて間違いない。 それならば、この機に乗じてヒグマードをしとめられるかもしれなかった。 断崖に立つ影を完膚無きまでに粉砕し消滅させうるそのタイミング、その一瞬を、彼は耽々と狙い続けていたのである。 ヒグマードが降り注ぐタイミングに合わせ、真上から正宗の吸収していたエリア一つ分の温泉水を解放し、その質量で崖を崩落させる。 ロビンが地盤を一度貫いていたおかげで、その作戦は、見事なほどに成功を収めた。 その上、彼は仕事の報酬として、死にたての人間の肉すらかすめ取ることができた。 巨大質量に押し潰され、全身の骨が砕かれた言峰綺礼の死体を掴み、彼は崖から踵を返す。 これだけの収穫があれば、当座のところは十分だ。 取り立てて、逃げていった電報の送信者を追う必要もない。 『あとは、ミズクマが奴の存在を喰い尽せるか否か、だな……』 再び南の森へと歩きながら、彼は裂きイカのようにして言峰綺礼の死肉を食らう。 腹ごなしをしつつ、ヒグマン子爵は正宗とヒグマ殺しを規則的に打ち鳴らしていた。 『よくやった、これで時間稼ぎにはなっただろう……、と』 彼はモールス信号などうろ覚えだ。返信はこうして落ち着いた時に作るに限る。 【H-2 枯れた森 午後】 【ヒグマン子爵(穴持たず13)】 状態 健康、それなりに満腹 装備 羆殺し、正宗@SCP Foundation 道具 言峰綺礼の死体 基本思考 獲物を探しつつ、第四勢力を中心に敵を各個撃破する 0:撤退だ。 1:狙いやすい新たな獲物を探す 2:どう考えても、最も狩りに邪魔なのは、機械を操っている勢力なのだが……。 3:黒騎れいを襲っていた最中に現れたあの男は一体……。 4:この自失奴を助けてやったのはいいが、足手まといになるようなら見捨てねばならんな。 5:これで『血の神』も死んでくれるといいのだが。 [備考] ※細身で白眼の凶暴なヒグマです ※宝具「羆殺し」の切っ先は全てを喰らう ※何らかの能力を有していますが、積極的に使いたくはないようです。 ○○○○○○○○○○ 『オォォォオォォオオォオォォォォ――……!!』 その後しばらくして、水底より、海を揺るがせて湧き立つ声があった。 真っ赤な水柱が、島の崖の傍に吹き上がる。 黒い船虫のような生物を吹き散らし、飲み込みながら、その真っ赤な流体は低い唸りを上げて斬り落とされた崖に喰らいついた。 『おのれ……、一度ならず二度までも無粋な邪魔立てが入るとは……!! どこだ……、化物(フリークス)の風上にもおけぬ小賢しい輩は……?』 体中に喰らいついたミズクマたちを振り落とし、逆に喰らい、ヒグマードは巨大なウミウシかアメーバのようにその赤黒い体で崩れた崖を登ってゆく。 『お前たちがそのつもりなら、ああそうしよう、私も全力でお前たちの振る舞いに応じよう!』 怒りとも歓喜ともつかない声で、彼は高らかに吠えた。 彼の体から幾万もの命が、戦いの予兆に歓呼と怨嗟の叫びを漏らす。 『さぁ待っているがいい、私はすぐにでも行くぞ!!』 赤い火のように、沈みゆく血の色の中をそれは駆けた。 【I-1 崩落した崖 夕方】 【ヒグマード(ヒグマ6・穴持たず9・穴持たず71~80)】 状態 化け物(吸血熊) 装備 跡部様の抱擁の名残 道具 手榴弾を打ち返したという手応え 0 私も全力でお前たちの振る舞いに応じよう! 人間!! 1 また戦おうじゃあないか! 化け物たちよ! 2 求めているのは、保護などではない。 3 沢山殺されて、素晴らしい日だな今日は。 4 天龍たち、ウィルソン上院議員たち、先の人間や化物たちを追う。 5 満たされん。 [備考] ※アーカードに融合されました。 アーカードは基本ヒグマに主導権を譲っていますが、アーカードの意思が加わっている以上、本能を超えて人を殺すためだけに殺せる化け物です。 他、どの程度までアーカードの特性が加わったのか、武器を扱えるかはお任せします。 ※アーカードの支給品は津波で流されたか、ギガランチャーで爆発四散しました。 ※再生しながら、北部の森一帯にいた外来ヒグマたちを融合しつくしました。
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GO AMIGO 佐天涙子と天龍は走りながら、異様な雰囲気に息を詰めていた。 隻眼を左右に振りやり見やる天龍のこめかみには、一筋の汗が垂れる。 「本当にこりゃ、一体なんなんだ……? 血潮にまみれて、枯れた……? 塩害、ってわけでも無いだろうし、やっぱり、血としか……」 二人が駆けてゆく森は、赤黒い錆びのようなものに染まり、一面生気を失って枯れかけていた。 動物の気配も一切ない。 そして辺りを埋めているのは濃厚な血臭だ。 午前中の津波の影響かとも思えはしたが、それにしたって、この赤黒い大量の血の正体は全く掴めない。 もし本当に生き物の血だとするなら、いったい何百の死体から流れたものなのかすら、わからなかった。 瘴気と言っても良い不気味さと恐怖だけが、進むにつれてどんどんと濃くなってゆく。 天龍は流石に、前を走る佐天涙子に声を掛けざるを得なかった。 「なぁおい涙子……! 本当にこんなところで飾利を連れ戻せるのか!?」 「……万全よ。初春を取り戻す準備は」 その時佐天は、目の前に立ち枯れている木立を避けようともせず、そこに拳を叩き付けていた。 瞬間、その木は青い炎のような光に包まれた後、砂のように粉微塵になって吹き散らされる。 天龍は佐天のその行動を理解できず声を裏返した。 「何やってんだお前!?」 「『疲労破壊(ファティーグフェイラァ)』……、いや、『蒼黒色の波紋疾走(ダークリヴィッドオーバードライブ)』を、もっと使いこなしてみる。 無生物……、死んでるものだけ、破壊するの。きっとできるはず」 振り向いた佐天は、掌にわだかまった青い揺らめきを握り込む。 彼女の前では、砂が風を組み替えてゆくようだった。 微塵に砕けた砂が散った後、そこには一面の赤にぽつんと、緑の双葉が映えていた。 天龍の瞠目が強まった。 「……腐った部分だけ取り除いて、生き残った芽だけ残したのか!?」 「生きてるものと死んでるものとでは、月の回り方が違うから。 うん……。最少範囲に『第四波動』を落とし込んだ時と同じだ。よく注意さえすれば、できる」 佐天涙子は、凶暴で蒼黒い月の牙として脳裏に描かれるその殺傷性の高い能力を、何とかコントロールしようと考えていた。 本当はできるはずなのだ。 佐天はここまで能力を使っても、自分の身や、デイパックを疲労破壊せずに済んでいる。 金属のみならず、有機化合物の共有結合さえ微塵に分断するほど能力が拡張されていても、彼女の演算は、無意識に自己を守っているのだ。 怒りと衝動に任せて演算を漏れた能力だけが、彼女の肌を荒し衣服を劣化させている。 つまり激情を抑え、平静を保ち、集中できさえすれば、暴れ馬の如きこの能力も彼女は手懐けられるはずなのだ。 『最少範囲・第四波動』や『凍結海岸(フローズンビーチ)』を体得した時のように。 佐天は拳を握り、決意を固める。 「どんな機械の大軍に人質に取られてようと。私は初春を助けながら全てのロボットを砕いてやる……」 「涙子……」 そもそも天龍は、こんな場所に本当に初春飾利が連れ去られているのかを疑って声をかけていたのだが、佐天は既にその先の戦闘のことを考えていたようだ。 確かに、初春が居ようが居まいが、これほど大量の血が流れているならば、待ち受けているのは戦いに他ならないだろう。 天龍もまた覚悟を決める。 この場に、回せるような羅針盤はない。進路の指針となるのは現状、佐天涙子の嗅覚のみだ。 鬼が出るか蛇が出るか。渦潮が出るか仕置き部屋か。 どんな相手と戦うことになっても進退を見誤らぬよう、彼女は旗艦としての責任を固唾に飲んだ。 だがその時、そんな天龍の耳に、今まで気にしていなかった波長がふと障る。 「ちょっと待て、ノイズかと思ったが……、誰かが電信を打ってる」 「電信?」 「くそ、信号が弱すぎる! 遠いんだ。聞きとれねぇ」 走っていた間はただの雑音か環境音だと思っていた響きが、立ち止まっていたこの時、天龍の無線機に確かに何らかの意味のある信号として捉えられていた。 だが、発信元の出力が低いためか距離があるためか、その電波は途切れ途切れにしか受信できない。 「天龍さんがわかる通信ってことは……、やっぱり艦娘とかいう人たちから?」 「ああ、多分……。誰だ……? 誰が打ってる……?」 「……もしかして、奇跡的に生きてた天津風さんとか! とにかく誰か、他に生きてる人がいるのよ、きっと!」 耳を澄ませながらじりじりと移動を始めた天龍の後について、佐天が息巻く。 膨らみかけた期待にぴょんぴょんと跳ね、彼女は眼を輝かせた。 「三角測量させてくれ。だいたいの方向は分かるはず……」 「血の臭いなら……、ここから東北東に行くにつれてどんどん濃くなってるみたいだけど」 そんな佐天を宥めるように声を落としながら、天龍は何度か大きく進行方向を変えつつ信号の強度を測定する。 同時に中空でクンクンと鼻をひくつかせて、佐天涙子も血臭の発生源を推測してゆく。 そして三角測量を終えて、天龍はその結果に嘆息した。 「驚いたな、マジで涙子の嗅ぎ当てた方向と同じ……? 東北東から打たれてる信号だ!」 「……天龍さんそれ、私の言ってること信じてなかったってこと?」 まるでそれが予想外だったかのような天龍の反応に、佐天は苦笑する。 確かに佐天の言葉を信じ切ってはいなかった天龍は、眉を上げて振り向いた。 「んー……、いや、7割方は信じてたぞ」 「ああそう……、また妙にリアルな数字ね……」 苦笑を重ねるしかない佐天に、天龍は肩を竦めた。 「悪いな。正直、まさか涙子の嗅覚がそんなに鋭いとは思ってなかった。大したもんだ。 だが天津風も言ってただろ、良くて3割、悪くて10割狂ってるって。 俺たちもこんな状態でいつ気が触れたっておかしくない。涙子も3割は用心しておけよ。いつだってな」 「……なるほど」 確かに、佐天の鼻がこんなに利くようになったのは、いつからか。 この島に来るまでは、いくら都市伝説などに鼻が利くからといって、それはただの山カンの域を出ない能力だったはずだ。 それは恐らく、皇魁の体液を体に受けてから。 学園都市でもレアな肉体変化(メタモルフォーゼ)能力者のように、体の機能が拡張されているのかも知れない。 3割狂ってる、それくらいの自信は確かにある。 だが3割くらいの狂気で、この島を生き抜けるなら儲けものだ。 そのくらい狂ってる方がちょうどいい。 異常な状態で平常心を保つための狂気。 何が起きるかもわからないこれからの戦いでは、その平常心の狂気という武器が、必須になってくるだろうからだ。 「おい、こちら軽巡洋艦天龍! この帯域を使ってたやつは誰だ? こちら軽巡洋艦天龍! 応答してくれ!」 「初春……、待ってて、必ず助ける……!!」 そんな蒼く静かな心を抱いて、二人はまた、走り始めた。 ∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽ その頃、天龍が受信した電波の発信元は、島の最北東部の崖からほぼ真西に向けて移動していた。 その発信元が、帯域上に飛んだ自分以外の電波を拾うのは、程なくだった。 『――洋艦天龍! ――てたやつは誰だ? こちら軽巡洋――。――てくれ!』 「……?」 その発信元たる少女、艦娘の扶桑は、そんな途切れ途切れの電信を受けて顔を上げる。 同乗していた戦刃むくろが、彼女の様子に気づいて声をかけた。 「どうしたの、扶桑?」 「いえ、また電信が来て……。さっき助けて下さった方……?」 黒木智子の肩をさすりながら問いかけられた戦刃むくろの声に、扶桑は窓から外の森を眺めやる。 そんな後部座席の動向に、運転席で青毛のヒグマが舌打つ。 「それ本当にさっきのヤツかい!? また無差別に暴れる客は御免だよ!!」 「ちょっと待ってください……、信号、急速に強くなって来てます……」 青毛のヒグマ、グリズリーマザーが運転するこの灰熊飯店の屋台バスは、ヒグマードとの崖際の死闘を切り抜けた後、全速力でそこから逃走している最中だった。 黒木智子の沈鬱なすすり泣きと、その他の人員の張り詰めた吐息が埋めていた車内には、また違った緊迫感が走る。 「進行方向まっすぐ……、向こうも近づいてきてる! もうすぐ出会います!!」 「もうかい!?」 「本当に安全な相手なのですかそれは!?」 耳を澄ませて叫んだ扶桑の報告に、グリズリーマザーとヤスミンが狼狽した。 先だって襲い掛かって来たヒグマードにより、この一行はクリストファー・ロビンと言峰綺礼を殺されているのだ。 その戦闘に終止符を打った、水流操作を行う何者かがこの先にいるのだとしても、本当にその者が味方なのかどうか、確かめる術はない。 「帝国にも水を使う方はいらっしゃいますが、ここにいるとはほとんど考えられません!」 「弱ってる私たちを捕食しに来た、とも考えられるわけね……?」 「だからってどうしろってんだい! 方向転換するならするで早く決めてくれ!!」 ヤスミンは先程助けてくれた者の正体として、同じくヒグマ帝国で勤務しているヒグマであるビショップをまず脳裏に思い浮かべていたが、彼女がピースガーディアンの任を離れてこんな地上に出てきているという可能性はかなり低く思えた。 次いで憂慮を口に出したむくろの言葉に、グリズリーマザーが苛立ちながら後部へ振り返る。 未だ彼女たちがいるのは、赤く枯れ果てた森の中だ。 とにかく島の北東部からは出来る限り距離を取っておきたいのが現状であり、止まるわけには行かないのだ。 方針を変えるにしても、早急に後部座席の面々で意見を纏めてもらわねば話にならない。 「止まって! そこのバス!」 「――なあっ!?」 その時突然、バスの目の前に森の脇から少女が飛び出してきた。 後ろを振り向いていたグリズリーマザーは、反応が遅れた。 慌てて急ブレーキを踏むが、悪路に跳ねたバスは止まり切れずにその少女へと突っ込んでゆく。 少女とグリズリーマザーの視線が重なり、お互いの眼が驚愕に見開かれる。 その瞬間、目の前の少女が、拳を振り上げていた。 「はぁッ、『凍結海岸(フローズンビーチ)』!!」 そのまま地に向けて振り降ろされた拳から、大量の蒸気が吹き上がったように見えた。 ほとんど同時に、彼女の周囲から凄まじい速度で地面が結氷してゆく。 その結氷空間に飲み込まれた屋台バスのタイヤも、一瞬にして回転を止めて地面に張り付けられてしまう。 急停止した車内には恐ろしい慣性がかかり、後部座席の黒木智子たちを前方へ跳ね飛ばす。 「うぁぁ――!?」 「大丈夫ですか!?」 「ひぃ――!?」 「扶桑、これ借りる!!」 クリストファー・ロビンを抱いたまま車内を吹っ飛んだ智子は、ヤスミンによってなんとか抱き留められる。 そんな突然の事態に、最初に対応できたのは戦刃むくろだった。 席に掴まって呻く扶桑の元から、彼女は鉄のフライパンをむしり取り、一気に出入口のタラップへ駆け降りていた。 「――ヒグマ!?」 「――敵なの!?」 そしてむくろは、眼を怒らせて身構えていた少女と出入口の正面でばったりと鉢合わせていた。 暫し荒い息で身構えたまま、二人は向かい合う。 少女は、肩口から千切れたむくろの左腕を見た。 むくろは、あちこちがボロボロに破れた少女の制服を見た。 「……佐天涙子。参加者よ。戦うつもり無い。あなたたちがその気でなければ」 「……い、戦刃むくろ。参加者……、そうよね、参加者……」 佐天涙子と名乗った少女が、構えていた両手をゆっくりと上にあげる。 反対にむくろは、振り上げていたフライパンを下におろした。 互いの姿を見れば、お互いが大変な戦いをなんとか生き残ってきた者だということは、明らかだった。 「……その腕、大丈夫!?」 「まぁ。とりあえずはね……」 「むくろさん、大丈夫ですか!? その方は?」 むくろの傷を佐天が心配している中、屋台バスの中から遅れて、艤装をガチャガチャと鳴らしながら扶桑が降りてくる。 そこへ森の中から、また走ってきた少女の声がかかった。 「扶桑! 扶桑じゃねぇか!! お前も来てたのか!?」 「天龍さん!? さっき電信下さったの天龍さんですか? その怪我は!?」 「ああ俺だ! 眼は大したことねぇ。それよりそっちこそどうしたんだこの車両。何があった?」 「逃げて……、来まして……」 「逃げてきたの!? 何から!?」 口ごもる扶桑に、天龍や佐天の注目が集まる。 息巻いた佐天の声に返したのは、運転席から苦笑いを送る、グリズリーマザーだった。 「お客さん方、積もる話は、とりあえず中でしないかい?」 「あ……――。ありがとうございます。お邪魔させてもらいます」 人間のような笑みを浮かべるその青毛のヒグマの姿に、佐天涙子は一瞬面食らった。 だが彼女はグリズリーマザーの優し気な口調に、即座に居住まいを正して会釈する。 佐天が今日一日忘れていた、普通の女子中学生らしさを取り戻させてくれるような微笑みは、明らかにヒグマ提督のような不埒なヒグマとは違う信頼感を抱かせた。 「へぇ、ヒグマ……、と、同行してるクチか、お前らも」 「え、ええ……」 感心したような天龍の口振りに、扶桑は曖昧な頷き方で肯定の意を示していた。 ∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽ 「あなたたちも、何かに襲われたのね……?」 グリズリーマザーのバスに乗り込んだ佐天と天龍は、そこで一瞬身を引いた。 二人は即座に気づいてしまった。 彼女たちを覆う、あまりにも無惨な死臭に。 彼女たちの顔の、憔悴しきったその表情に。 後部座席の少女が掻き抱いているのは、少年の遺体だった。 「手短に話すけど、アタシはグリズリーマザー。そこのマスター……、黒木智子のサーヴァントをしてる。 ヒグマ帝国で屋台やってたこともあるけど、もうそれどころじゃなくなってね」 「はぁ、そうですよね、艦これ好きのヒグマたちが反乱したとか。 とにかく私たちは、脱出の方法を探してるだけです」 「私は穴持たず84、ヒグマ帝国医療班のヤスミンです。そこまで把握なさってるのでしたら話は早いですね。 我々もあなた方参加者の脱出には協力を惜しみません。帝国の奪還に協力していただけるならば」 「医療班……!? いやぁ、思慮深いヒグマさんと会えて、ホッとしました……。 今まで会ったヒグマは、みんな戦闘バカとか艦娘バカとかばっかりだったんで……」 そんな中で、情報交換に即座に応じられるほど気持ちの切り替えができたのは、グリズリーマザーとヤスミンというヒグマ2頭だけだった。 戦刃むくろ、扶桑、黒木智子という残りの少女たちは、それぞれ異なった理由で口ごもっている。 しきりに戦刃むくろの顔色をちらちらと窺っている扶桑に、天龍は何の気なしに声をかけていた。 「おかげで俺たちゃいい面の皮だ。なぁ扶桑」 「ええ……、まぁ、そうですね」 「お前ら全員参加者なんだよな? 首輪外せてるみたいだが……、お前らの誰かが外し方知ってたのか?」 「あ、あの……、それは、私が、ヒグマ提督に作られた艦娘だから、ですね」 「ああ……、龍田と那珂とビスマルクの他のあと一体ってのがお前か」 「う……、提督と会われたんですね……?」 扶桑の言動には、屋台バスの面々から一気に視線が集中していた。 佐天と天龍のものにはこれといって他意はないが、事情を知っているその他の者の視線は、半ば心配そうだ。 特にむくろは、扶桑の脇で脂汗を流し始めている。 何しろ、扶桑と戦刃むくろは参加者ではない上、ヒグマと参加者の両方の敵の一味なのだ。 黒木智子の一行がそのことを口外せず、彼女たちを排除もしないのは、作戦でもあり甘さでもあったが、佐天涙子と天龍がそんな対応をするかどうかはわからない。 むしろ、バレてしまえば最後、この場で戦いになる公算の方が圧倒的に高い。 脳内でむくろは苦悶した。 (どういうこと、どういうこと? 佐天涙子って、盾子ちゃんからの報告では百貨店にいたはず……! それに同行者は、元自衛官の皇魁、弁護士の北岡秀一、上院議員のウィルソン・フィリップス、学生の初春飾利だったはず! しかも能力が大幅にパワーアップしてる……! モノクマに指を折られる程度の力じゃなかったの!? なんでここ一面凍ってるの!? 何かしら大きな異変があったことは間違いない。実力と思考が読めない。敵に回しちゃ、ダメだ……!) 「大丈夫、戦刃さん? その傷やっぱり痛むんじゃないの?」 「はぃ!?」 そんな必死の思案に明け暮れていたむくろの目の前に、覗き込んでくる佐天の顔があった。 片腕を失った状態で顔面を歪めて脂汗を流している戦刃むくろの様子は、幸いにも、傷の痛みに耐えているように見えていた。 「私がヒグマ細胞を用いて処置をしましたので、塞がってはいるはずですが……」 「いいから戦刃さん、とりあえず見せて」 「う、うん……」 ヤスミンがおずおずと指摘するが、佐天はそれに構わず、戦刃むくろのちぎれた左腕を取り、彼女を抱きしめていた。 むくろの前に、佐天涙子の顔が近づく。 長いそのまつげが、はっきりと見えた。 「ひゃ……」 「ヤスミンさん。失ったものは、痛むのよ。物理的にどうとか関係なく……」 コオォォォォォォォォォォォ……。 佐天の呼吸が、深く、高く、あたりに響き渡っていた。 会陰。 脾臓。 臍。 心臓。 咽喉。 眉間。 頭頂。 佐天の脳裏に描かれる月が、回りながら彼女の脊柱を行きつ戻る。 傍から見た彼女の体は、うっすらと金色に輝いているようにも見えた。 その輝きと温もりが、抱きしめられたむくろの体にも流れ込んでくる。 「『山吹色の第四波動』……」 佐天の呼吸から生まれた熱が、細胞の一つ一つに吐息を回す。 解糖系、クエン酸回路、電子伝達系――。 輝きとエネルギーが、むくろの体の中に直接流れ込んでくる。 会陰から貫き、頭頂を突いては戻る恍惚感。 初めて味わうその感覚が、陶然とした甘い幸福感でむくろの全身を満たす。 「は、ぁ……、あぅ、ん……」 そのあまりの心地良さに、むくろは全身をぴくぴくと痙攣させていた。 佐天はそんな彼女を慈しむように微笑みかける。 「一緒に脱出する仲間でしょ、戦刃さん。一人で抱え込まないで、何でも言って?」 「仲、間……」 まるで生命のエネルギーを直接受け取ったかのように、むくろの全身には活力が漲っていた。 疲労も消え、痛みなど全くなくなっている。 むくろの鼓動が高鳴り頬が上気しているのは、そんなエネルギーのせいなのか、それとも別の理由なのか。 視線を落とし、むくろはもじもじとした所作で佐天にお礼を言っていた。 「あ、ありがとう、涙子さん……。あなた、いい人、だね……」 「気にしないで! それより、逃げてきたって言ってたわよね? あなたたちにこんな被害を与えたのは、一体何者?」 まだ恍惚感の余韻が抜けきっていないむくろを措いて、佐天は車内の一同に問いかける。 そんな明朗かつ毅然とした様子を傍から見て、天龍は少しばかりでなく感心していた。 (そうか……、なるほどな。この出会いは、間違いなく涙子にとって吉事だ) 自分が慌てている時に、隣に自分よりも慌てている人がいた時、ふとその人を見ると、冷静にならないだろうか。 自分より辛そうな境遇に陥っている人を見ると、自分の辛さよりも気にかけたくはならないだろうか。 客観の視点を持つことで、自分一人のことで手一杯になっていた思考から、一歩引くことができる。 自分と同じような他人を慮ることで、狭まっていた自分の視点が広がり、余裕を持つことができる。 今の佐天涙子の状態がそれだ。 自責の念や強迫観念に駆られるのではなく、面倒見と気風の良さを最大限に活かす気の持ち方。 この出会いによって取り戻したこの性格が、恐らく佐天涙子の本来の持ち味なのだろう。 そこに彼女が開花させた能力が加わっている今、天龍は彼女が、ただの僚艦に思えぬ信頼感と安定感を持った存在にも感じられた。 「ヒグマ帝国でも把握していない、見たことも無い強大なヒグマでした。 人語を話していましたが、無差別に我々を襲おうとして。食い止めていたロビンさんは、あのように、返り討ちにされてしまいました」 「それでマスターは、あんなになっちまって……。アタシたちゃそいつから逃げて来てたのさ」 「マスター……、黒木さん、だっけ」 ヤスミンの元に抱きかかえられている小柄な少女は、彼女よりもさらに幼い少年の死体を抱えて震えていた。 近寄りながら、クンクンと佐天は彼女の匂いを嗅ぐ。 青いツナギの作業着は、抱きかかえた少年の血で赤く染まっていた。 ロビンというその少年の死に顔は安らかだったが、その胸には、一見して致命傷とわかる大穴が開き、血が溢れている。 乱れた長髪から覗く隈だらけの眼が、死んだ魚のように佐天涙子の乾いた瞳を見上げている。 彼女の口元は、涙と血で汚れていた。 「その男の子のこと、好き、だったんだね……」 「あ……?」 黒木智子の表情は、訝しげに歪んだ。 心ここにあらずだった彼女の表情は、徐々に佐天に向けて不信感と嫌悪感を顕わにしてゆく。 佐天涙子の手が、涙に塗れた彼女の顔に伸びようとする。 「でも、だったら、それだからこそ、いつまでも泣いてちゃダメだよ。黒木さん」 「……な、な、何なんだよ、お前は!!」 そして続く佐天の言葉に、智子の感情は爆発した。 思わず振り払った手が、佐天の肩にかかっていたデイパックの一つを弾き飛ばす。 初対面の女子に、何をしたり顔で説教されなければならないのか。 なぜロビンのことに口出しをされなければならないのか。 訳の分からなさに、怒りが湧きだして来ていた。 「……お、お前にッ、私の、何がわかるんだよ!! ロビンの何がわかるんだよ!! 何だよポッと出てきて訳知り顔に!!」 「わかるよ。私も、同じだから」 佐天は狂ったような形相で叫ぶ智子に相対して、ひたすらに穏やかだった。 視線を落とせば、転がったデイパックのチャックが開き、そこから覗いているものがある。 それは血の気の失せ、干乾びたような老人の死体だった。 彼の片腕は千切れ、下半身と内臓がごっそりと失われている。 それに気づくと、一行の多くは思わず身を退いた。 ウィルソン・フィリップスの、あまりにも無惨な死体だった。 智子も、その死体に暫く目を落として、微かに呟く。 湧き上がっていた怒りが、しぼんでゆくのを感じた。 「……まさか、それ……」 「そう。こっちのデイパックも。そして天龍さんのも……。 私たちも、大切な人たちを、戦いで失った。 でも弔わなきゃ。死んだ人はもう、帰ってこない……」 3つのデイパックのもう一つ――、皇魁の死体が入ったものを掲げ、そして佐天は後ろの天龍の方を指さす。 屈んでデイパックを拾い上げた彼女は、ウィルソンの遺骸をその中にそっと仕舞い直した。 「この人たちが生きていた証を、少しでも私たちは抱えて持ち帰らなきゃならない。 でもそうであっても、この人たちが眠れるように、私たちは弔わなきゃいけない」 止まっていたと思った涙が、また智子の目からぼろぼろと零れ落ちていた。 微笑みかけてくる佐天に、顔を向けられない。 それは智子が、考えていても踏み出せなかった思いだった。 佐天はただ訥々と、智子に語り掛けてくる。 「だから、先に進もうよ、ね……?」 「そんなこと……、言っだっで……ッ!」 智子に残っていたのは、ただ無力感と悔しさだけだった。 自分はあの敵の正体をわかっていたはずなのに。 好きだった男を助けることができなかった。 せめて自分の中に生き続けて欲しいと、そう願いもする。 だが同時にそんな願いは、ただの空虚な妄想であることも理解している。 どうすればいいのか解決策の見えない心の中から、黒木智子は動き出すことができないでいた。 「あなた、ちゃんとパンツ履いてる?」 その時突然、佐天涙子がごく自然な動作で、智子の着ていたツナギのジッパーを上から下まで一気に引き下ろしていた。 あまりの早業に、智子は抵抗も理解も追いつかない。 血塗れになった布地にできた裂け目から覗く自分の素肌に、たっぷり三拍ほども遅れて彼女は裏返った叫びを上げていた。 「――はひゅぅぅ!?」 「わ、だめだよ、パンツ履かないと!! 女の子なんだから! お腹冷えちゃう!」 「え、智子さん、ノーパンなの……!?」 まじまじとその素肌を観察した佐天が、そんな論点のずれた内容を本気で心配する。 驚愕に目を見開く後ろの一同の中で、戦刃むくろがショックで思わず口を押える。 事情を知っているグリズリーマザーとヤスミンは頭を抱えたが、知らない天龍と扶桑は続けざまに懸念を重ねた。 「戦場で下腹部剥き出しは……、ヤバイぞ!」 「そ、そ、そうですよ! あんなことやこんなことや、何されるかわかりませんよ!」 「ぬ、ぬ、濡れちまって乾いてねぇんだよ!!」 死にそうなほどの恥ずかしさに、智子はロビンを抱えていた腕で自分のツナギを押え、顔を真っ赤にして叫ぶ。 つい一瞬前までシリアスな話をしていたはずなのに、なぜ突然自分の服を脱がされかけ、その下腹部を衆目に凝視されなければならないのか。 全く意味がわからない。 周囲に女性しかいないのがせめてもの救いだったが、だからといって何かの助けになるわけでは全くない。 膝の上のロビンの体重に得体の知れぬ羞恥心を加速させながら、智子はもがくように自分のデイパックを開いた。 「濡れてるなら……、ちょっと貸して」 「え?」 洗ってバスタオルに挟んでいた制服と下着の一式を取り出すや否や、佐天の手がそれを掴んでいた。 畳まれた服の束を上下に挟んだ彼女の両手に、蒼い光が灯る。 「ほっ」 一瞬、その服に霜が降りたと見えた瞬間、佐天が手を離すと、挟まれていた制服とタオルは、ほかほかと暖かな湯気を上げながら膨らんでいた。 「はいどうぞ」 「へ……!?」 智子がそれを受け取ると、制服とタオルは夏のお日様の下で干されていたかのように、柔らかく暖かな手触りで乾いている。 もちろんパンツもだ。 目の前で手品のように見せつけられた一瞬の現象に、智子は唖然とした。 それは佐天がまた見つけた、殺す以外の能力の使い方だった。 「おまっ……、これ、どうして……?」 「凍結乾燥(フリーズドライ)と同じよ。水分を凍らせて、蒸発させたの。 ……黒木さんの涙も、ちょっとは乾いた?」 「あ……」 ひび割れた唇で笑う佐天の言葉に、智子はハッとする。 突然のパンツと強制わいせつからの高速ふんわり乾燥という怒涛のような事態の連続に、智子の意識は完全に持って行かれていた。 膝の上のロビンは、心地よい疲れに眠ってしまった勝利投手のように、安らかな表情で死んでいる。 その姿を見ても、もう智子の心は哀しみに塗り潰されはしなかった。 なんだか、落ち込んでいたのが馬鹿らしいような恥ずかしいような、現実味のない感覚ばかりが頭を上滑りするのだ。 ロビンは死んだ。 黒木智子が好きになってしまった少年は死んだ。 それはもう、覆しようのない現実だ。 だが、それは単にそれだけの事実。 智子の心を暗澹に引きずり込むような重石では、決してない。 ロビンも決して、そんなことを望んではいないだろう。 彼はロビン王朝(ダイナスティ)を建てた。 あの夕日の崖に。 智子の心の中に。 My head is the apple without e er a core(私の頭は 芯の無いリンゴ), My mind is the house without e er a door(私の気持ちは ドアのない家). My heart is the palace wherein he may be(私の心は 彼の住む城), And he may unlock it without any key(彼が開けるのに鍵はいらない). 彼は鍵もなく智子の心の中に入り、そこに住んだ。 智子が生きている限り、そこに居続ける。 智子は王たる彼を見届けた。勝利投手たる彼を。 彼だけのオリジナルコールを送ったお妃さまとして。 王が死を以て勝ち取った、4対3という揺るぎないホームランダービーの試合結果を、伝説として語り継げるのは、智子の他にいない。 妃の他に、いるはずがない。 王亡き王朝を継げる者は、彼女の他にいないのだ。 いつまでも濡れそぼり、挟まれ腐っているわけにはいかない。 いつまでも悲嘆に暮れているわけには、いかない――。 智子はそんな決心を、安物の白パンツの温もりに重ねた。 佐天涙子の行動は、過程がどうあれ、智子の心を軽くしたのは確かだった。 「……と、と、に、かく……。ありがとう、ございます……」 乾いた服を受け取って押し黙っていた智子は、そう吃りながら、佐天へ深々と頭を下げていた。 非常識にも思える彼女の行動を、批判する気にもなれなかった。 「いいっていいって敬語なんて! 同い年くらいでしょ?」 「ん……?」 へろへろと手を打ち振って磊落に笑う佐天の言葉に、智子が違和感を覚えたのは、その時だった。 肌荒れや戦いの跡であちこち薄汚れて制服も破れてはいるが、佐天涙子は顔立ちもよく背の高い、長い黒髪の美人だ。 智子より確実に背が高いし、髪も長いし手入れされている。 あと胸もある。 その風格といい信念といい、智子のゴミムシのような人格が足元にも及ばないことは確実だろう。 その上あんな能力と説得を見せられては、平身低頭しないことなどできないくらいだ。 あと胸もある。 だがそれでも、智子は問わざるを得なかった。 「お前、高校何年生……?」 「え……?」 佐天はその時、深く考えもせずに即答してしまった。 「柵川中学、一年生だけど」 「――ちゅ、中坊……!?」 智子は思わず、背後のヤスミンの方に崩れ落ちた。 「わ、私より、三歳以上も年下……?」 「あ……!?」 呆然とした智子の呟きに、佐天はようやく彼女の疑問の意図を理解してしまった。 「ご、ごめん……、なさい。え、高校生、なんです、よね……? すみません……」 「やめろォ!! これ以上みじめにさせるなァァァ!!」 今までかなり上から目線で応対してきた相手が、かなりの先輩だったと知り、佐天は慌てて言葉遣いを修正する。 しかしそれは、抉られた智子の傷口をさらに広げて塩を塗り込む行為に他ならない。 遥かに自分より年下で、なおかつ太刀打ちできない程優れている相手にこんな風に絡まれるなど、智子にはクリストファー・ロビンの再来にしか思えなかった。 あのクソ生意気で、クソ優秀なクソガキに、また気遣ってもらえたこと。 それはとてつもなく腹立たしく、そしてむず痒いほどに嬉しかった。 (なんなんだよなんなんだよ、この無駄に発育の良い朗らかパンツビッチは! このボディで中学生とかふざけてんのかよ男ならマジ勃起もんだろ既にその破れ制服と合わせて公然わいせつ物陳列罪だろ! もうちょっと防御力に気を遣った格好と言動をしろよ! そもそもさっきの戦刃のといい私のといい、攻撃力高すぎんだよ、ジゴロかよこのビッチ!) 智子は座席のヤスミンの胸に倒れ掛かったまま脳内で毒づき、彼女を指さして叫んでいた。 「敬語やめろよ! おかしいだろ! お前がJCなんて! おかしいだろ!」 「うん、中学生に見えない肝の据わり方……。普通に話そう、仲間だし……」 「あ、ありがとう……。二人がそう言うならそうするけど……」 ほんの少し前まではランドセルを背負っていた人間だとは思えない佐天涙子のインパクトに、黒木智子だけでなく、同じ高校生である戦刃むくろも舌を巻いていた。 佐天が超中学級の何かであることはほぼ間違いない。これが成長して高校生になったら一体どうなるのか、むくろには末恐ろしさしかなかった。 (一歩引いて冷静になるどころじゃねぇ……。一瞬で心の壁を溶かしてこいつらを友達にしやがった。 これが……、涙子の本当の力……?) そして感嘆していたのは、彼女たちだけでもなかった。 グリズリーマザーとヤスミン、扶桑といった面々も、彼女の精神的能力的な強さに感心していたが、中でも今まで同行していた天龍の感嘆は並ではなかった。 今までの天龍には、佐天は諍いと戦いで思い詰めていたような印象ばかりが残っていた。 ヒグマ提督の砲撃を砕き。 江ノ島盾子の画面を砕き。 北岡秀一のボトルを砕き。 戦艦大和の命を砕いた。 だがそんな、苦しさの中でもがくように揮われた彼女の力よりも、今ここで見せた朗らかな言動の力はどうだ。 青く獰猛な月の輝きではない。 まるで暖かい夏至の日のような輝きを放っている。 (涙子、やっぱりお前の力には、先があるよ。人殺しなんかじゃない、方向にもな) 月の輝きの奥にある太陽の輝きを、天龍は静かに確信していた。 ∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽ 「……話、戻すけど」 叫んだことで少し落ち着いた黒木智子が、ツナギのジッパーを再び上げながら呟いた。 下着と制服は乾いたが、流石に今ここですぐにツナギを全部脱いで、衆目に貧相な裸体を晒しながら着替える気にはならない。 そして何よりも今は、着替えよりも遥かに切羽詰まった事態に彼女たちは迫られているのだ。 「私たちは、逃げてたんだよ……、ヒグマから。こうして話してる間も、本当は逃げたい……!」 「あ……、ごめんなさい、凍らせちゃったから……! すぐ溶かしに……」 「いや、とりあえずまず知っといてくれ、どんな相手だったのか。そんで危機感を抱いとくれ!」 智子たちはヒグマードから逃げていたのだ。 佐天たちは知らず知らずとはいえ、その足止めをしてしまった形になる。 タイヤが凍結してさえいなければ移動したいところだったが、今後の対応のためにも、まずは佐天と天龍に状況の危うさをはっきり認識してもらうことが先決だった。 初めに事態のあらましを掻い摘んで説明し始めたのは、超高校級の軍人でもある戦刃むくろだ。 こういう時の情報共有の大切さは、彼女が一番よく分かっている。 「……この赤い森の先、北東の端の崖で、私たちはそのヒグマに出会った。 そこのロビンくんが気を惹いて、そいつを食い止め、大打撃を与えてくれはした。 それに私たちの他に、言峰綺礼という拳法家の神父さんもいたわ。でも、生き残れなかった……」 「キレイさんは、ロビンさんが亡くなった後もただ一人その場に残って、ヒグマを撃退しようとしていました」 「バックミラーで確認した限りじゃ、少なくとも彼は2回、あのヒグマを殴り殺してたはずさ。 でも、そいつは死ななかったのさ。何度でも再生して復活するようだった。結局、あの神父は喰われちまった」 「そんな絶望的な瞬間、突然、私の電信を聞きつけてくれた方らしい誰かが、上から大量の水を降らせて崖を崩し、そのヒグマを海に突き落としたんです。 てっきり、それが天龍さんだったのかと……」 「おいおいおい……。そんな崖崩すような大量の水扱えるかよ、俺に……」 ヤスミン、グリズリーマザー、扶桑と続けて、今までの出来事が説明されてゆく。 苦い表情で頬を掻く天龍の返答に、扶桑は頷かざるを得ない。 確かに天龍はそんな能力を有してはいないし、何よりやってきた方角が違いすぎる。 だがその謎の助っ人がどうあれ、智子たちの抱く結論は一つだった。 「でもいくら粉微塵にして海に突き落としても、そんなんじゃただの時間稼ぎだ……。 近くにいたらあいつは絶対にまた追ってくる……。逃げなきゃ……!」 智子は、ロビンを抱えて震えた。 今一度思い出してしまえば、またあの時の恐怖が背筋に襲い掛かってくる。 陶然たる赤い死しか見えない、あの異形のヒグマの姿を思い描き、一様に屋台バスの一行の表情は硬くなった。 その様子に、佐天と天龍は顔を見合わせる。 「……そんなに強力なヒグマなら……。やっぱり、江ノ島盾子の差し金?」 「ああ……、あの女かもな」 「――!?」 「エノシマジュンコ……、だと……?」 聞き覚えのあるその名前に、車内の一同の眼が見開かれる。 中でも見るからに動揺した戦刃むくろや、呟きを漏らしてしまった黒木智子の反応は特に大きかった。 その呟きに、佐天は言葉を繋ぐ。 「江ノ島盾子という女に、友達が連れ去られたの。強力なヒグマを差し向けられて、その隙に。 あなたたちの状況と、似てると思わない……?」 「マジか……」 (そうだ、まずい……! 涙子さんはあの子のことを知ってたんだ……! しかもかなり濃厚に! あああ、なんで生き残ってて、よりによって私のところに来るの!? こんなに強くて優しい子だなんて聞いてないよ……!!) 智子が言葉を濁す横で、むくろは頭を抱えた。 佐天の説明を捕捉する形で、天龍が扶桑に語り掛ける。 「そのヒグマ、大和だったんだよ、扶桑。 大和を改造して、ヒグマ提督の恐怖と自責を最大限に煽りながら、俺たちを手玉にとって蹂躙しやがったんだ、その江ノ島ってやつは。 島風も、あと恐らく天津風も、撃沈されちまった……」 「そん、な……。そう、だったんですか……」 (ヒグマ謹製艦娘2体を撃沈してる盾子ちゃんの手先を、どうやって倒したのこの2人は!?) 語りながら天龍が掲げたデイパックの中身は、蜂の巣にされた島風の遺骸だった。 自分たちの上に立つ江ノ島盾子の暴虐を耳にして、扶桑は内臓が絞られるようだったし、むくろは佐天と天龍がそこを切り抜けてきたという事実を信じられなかった。 一時期の扶桑は、幸せな艦娘など、絶望に沈んでしまえばいいと思っていた。 だが、怒りと悔しさに震える天龍を見ながら、沈んでしまったという二隻の駆逐艦のことを思うと、扶桑にはただただ、寒々しい空虚感が襲いかかってくる。 他人の不幸は、蜜の味などしなかった。 むしろ他人の不幸は、自分の不幸よりも重苦しく彼女の肩に乗しかかった。 そして、むくろの全身には再び大粒の汗が浮いている。 車内のぎこちない反応に、佐天は一度辺りを見回し、身を乗り出して智子に尋ねた。 「……黒木さん、何か知ってるの? 江ノ島盾子のこと……」 「ああ、その女なら、たぶんこいつの妹……」 「うわー!! うわぁ~~~~――!!」 むくろが唐突に叫び声を上げていた。 絶叫しながら手を打ち振り、黒木智子が思わず漏らしてしまった情報をかき消そうとしているかのように慌てた。 そして彼女は叫びながら、周りが向けている驚愕の視線に気づき、さらに動揺した。 「あ――!? あー、あー……」 そして動揺しきった彼女は、硬直した空気の中で、唐突に腕を振ってリズムを取り始める。 朗々と声を張り上げて、むくろは戦時中の童謡に逃げた。 「――ぁあーさだ夜明けだ潮の息吹き♪ うんと吸い込むあかがね色の♪ 胸に若さの漲る誇り――♪」 扶桑と天龍が顔を見合わせた。 それは彼女たちにとっても馴染み深い、軍歌のフレーズだった。 状況は理解できないものの、友軍が歌っているのだから歌うべきであろうという妙な連帯感が、そこには発生してしまう。 「――海の男の、艦隊勤務♪」 「「「月月火水木金金♪」」」 困惑しながらも、扶桑と天龍はむくろの歌に声を重ねた。 最終的に3人の合唱になったその歌を、むくろは大きく手を広げて締めくくる。 完璧に誤魔化せた――。 そんな達成感が、彼女の心を満たす。 しばしの沈黙の後、切り出したのは佐天涙子だった。 「……何を歌ってるの、いきなり」 「急に歌いたくなった! 頑張らなきゃいけないときの『月月火水木金金』、最高!」 「あはは、そっかぁ」 息巻いて答える戦刃むくろの勢いに、佐天は軽く笑ってしまう。 「で、あなたは江ノ島盾子のお姉さんなの? 戦刃さん」 それはそれとして、佐天涙子は全く誤魔化されてなどいなかった。 むくろは硬直した。 その硬直は、誰がどう見ても、肯定の表現に他ならなかった。 「……ねぇ、初春はどこ? あなたたちは初春をどこに掠ったの?」 「え、掠っ……!? なにそれ、それは知らない……! 知らないわ……!」 「戦刃さんは、あの女の、何なの? その名前は偽名?」 佐天が立ち上がっていた。 空気が乾燥してゆく。 体が錆びてゆくような威圧感。 月の海鳴りだ。 月の海鳴りから響いてくる佐天涙子の声は、まるで骨を直接舐めて溶かすかのように真っ青な色を以て感じられた。 むくろは思わず、自分の背に手を回していた。 黒木智子から返され隠し持っていた銃を、手に取ろうとした。 「――そこに銃があるの? 火薬の臭いがするんだけど。線香花火ってわけでもないでしょ?」 しかしその挙動は、佐天涙子の一声に差し止められていた。 クン、クンクン。 佐天が、小刻みにあたりの空気を鼻に吸い込んでいる。 汗の一滴から、焦りの一呼吸から、むくろの感情さえ読み取っているかのような確信が、その声には含まれていた。 「あ……、う……」 「……無駄よ、あなたの抜き撃ちがどれだけ早いか知らないけれど。 どうしてもってなら、受けて立つよ私は。負けるのは戦刃さんだから」 左手は顔の前を守るように広げられ、右手は下から何かを掬い上げるような位置で構えられている。 一体どんな攻撃が仕掛けられるのか、わからない。 つい昨日までは無能力者で、つい昼前まではモノクマに指を折られる程度だった中学生の少女が醸し出していい威圧感ではない。 そしてついさっきまで仲間だと言っていた少女が、垂れ流していい殺意でもない。 殺される――。 もしくは殺されるよりも酷い何かで、絶対に自白させられる――。 超高校級の軍人である戦刃むくろをして、そう感じさせる恐ろしさが、その少女にはあった。 「知られるわけには、いかない――!」 むくろは、勢いよくその拳銃を抜き放つ。 そして発砲したのは、自分に向けてだった。 ∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽ 「『疲労破壊(ファティーグフェイラァ)』……」 そして佐天涙子の挙動は、むくろの動きを先読みしていたかのように素早かった。 佐天の手が、むくろのこめかみと銃口との間に割って入っている。 その掌から微塵に砕けた銃弾が、サラサラと砂のようになって風に散る。 自害しようとしていたむくろは、理解不能の恐怖に震えた。 「あ……、あ……!?」 真っ青な、夜空に光る星の色が、佐天の手には灯っていた。 そんなブルーの星をむくろの眼に焼き付け、佐天涙子は動けなくなった彼女の前に仁王立つ。 そして彼女の腕が、振り上がった。 「バカなこと、してんじゃないわよ!」 突風が巻き起こる。 戦刃むくろの制服が巻き上がり、黒いスカートが風に大きくはためく。 上着の裾は胸まで跳ね上がり、スカートのプリーツは弛緩しきって、その内奥に秘めていた彼女の下着を衆目に顕わとさせる。 たっぷり3秒ほども風にたゆたっていたスカートが落ち始めるころ、ようやく戦刃むくろは状況に反応することができた。 「ひゃぁぁぁぁぁ――!?」 羞恥心に赤面し、スカートを押え、彼女は席から滑り落ちて床にへたり込む。 わけもわからぬまま心臓は動悸を打ち、混乱した頭からは全ての思考が吹き飛ぶ。 それは思春期の少年少女に絶大な威力を発揮する佐天涙子の能力、『下着御手(スカートアッパー)』であった。 「黒のスポーツショーツ……? いやー、地味だねぇー」 「――な、な、何を!? 何をいきなり!?」 むくろには、吟味されるかのように下されたコメントの意味も分からないし、この突然の事態の因果関係もわからない。 顔を真っ赤にして困惑するむくろへ、佐天はどこぞの批評家のように勿体ぶった仕草で言葉を掛ける。 「機能的なのは良いけどー、やっぱりパンツから心の余裕を持った方がいいんじゃない? 戦刃さんは」 「う、うるさい! これは抗刃・抗弾繊維で編まれてるの! 涙子さんにとやかく言われる筋合いない!」 なぜ突然スカートをめくられた上に下着のチョイスにダメ出しをされなければならないのか。 あまりに理不尽かつ破廉恥かつ意味不明なこの事態に、むくろは半泣きになりながら叫ぶことしかできない。 そんなむくろの反応に、佐天はパンッと手を打ち合わせた。 得意げなウィンクが、むくろに向けて投げられる。 「よし、バカな考えは吹っ飛んだね? どうよ?」 「あ……」 そう言葉がかけられた瞬間、むくろは自分が拳銃を取り落としていたことに気づく。 さっきまで頭の中を占めていた『自害』という考えは、とっくにどこかへ吹き飛んでしまっている。 それが佐天涙子の狙いだったのだとむくろが気付けたのは、さらに暫く呆然としてからだった。 「パンツを見ると、落ち着くのよね……。 ああ、日常に戻ってきたなぁ、って。天龍さんもそう思わない?」 「ごめん、その感覚はよくわからん」 むくろの様子を見て満足げに頷きながら、佐天は天龍に同意を求めたが、あいにく天龍にはひくついた苦笑を零すのみだ。 反応に困っている車内の全員に向け、佐天はそこで立ち上がり、堂々と主張する。 「めくるスカートがあること。スカートをめくる相手がいること。そしてパンツを履けること。 これがどれだけ幸せなことかわからない? たった一枚の布だけれど、それだけで取り戻せる日常と感情が、私たちにはあるの。 現にほら、空気はもう、こんなに和んでる」 「まぁ……、確かに」 スカートとパンツを履いた女の子がいるという状況がなければ、スカートめくりなどできない。 むさい男ばかりの戦場だったり、切羽詰まった危険な状況では、一体誰がスカートとパンツを履いていて、なおかつそれをまた誰かがめくろうという発想になるだろうか。 スカートめくりとはつまり、平穏で幸福な学生生活の象徴とも言える行為なのだ。 どんな非日常の辛い状況であっても、そこにめくれるスカートとパンツがありさえすれば、そこには日常を取り戻せる。 乾いた心に、羞恥心という名ではあっても、ひとしずくの感情と潤いを取り戻せる。 スカートめくりにかけた並々ならぬ佐天涙子の信念は、ある種の納得感を周囲にもたらすに足りていた。 「無理に聞き出すつもりはないわ。そんなことをしたらきっと、あのヒグマたちと、同じ……。 一緒に戦ってもらえるなら、それだけで、十分すぎるくらい」 異形と化してしまった大和という艦娘。 異様な信念で殺戮に身を投じようとするかんこ連隊のヒグマたち。 誰かの意向を無理矢理押しつけてしまえば、きっとそこには歪みが生じる。 捻じ曲がり歪んでしまった、そんな者たちの轍を、もう佐天涙子は踏みたくなかった。 だから佐天が抜き放つのは、人を殺すピストルではなく、スカートをめくる一陣の風だけだった。 「なんだよお前……、パンツマイスターかよ……」 智子が呆れ半分、驚愕半分に、そんな呟きを口から零す。 そんな職業や資格があるはずなどないのだが、どうしても佐天の挙動には、そうした一種の職人芸の凄まじさを感じずにはいられなかった。 スカートめくりで作る、出会いと友情。 言葉にする以前からろくでもない響きしか感じないが、こんな緊急事態では、これほど高速に初対面の相手との距離を縮められる方法はなかなか他にないだろう。 互いの恥を一瞬で共有できる上に相手の素の感情を引き出せて、非道徳的でありながらギリギリお互いが女性であることで許せなくもない絶妙なラインのスキンシップ。 特に佐天涙子の場合は、そこにすかさず的確なフォローとアフターケアを入れてくる点で隙がない。 ここが素人の男子学生と、昇華された職人芸との違いなのだと言えよう。 「……これだけは、言える」 スカートを押えたまま、俯いたむくろは語る。 めくられて冷静になった頭で考えてみれば、江ノ島盾子からの使命を果たせておらず連絡もとれていない以上、むくろはこの場で死ぬわけにもいかないのだ。 相手に無理強いをする気がないのなら、うまく核心から話題を逸らしつつ、生き延びる算段を考えなくてはならない。 なぜだかはわからないが、彼女が江ノ島盾子の姉であり仲間であることは、黒木智子を始めこの場の全員に知られてしまっていたのだ。 この一行に同行し、ヒグマを撃退しながら、なんとか江ノ島盾子の意向にも出来るだけ沿いたい以上、言えるだけの情報は言うべきだった。 なにしろ、こういう時の情報共有の大切さは、彼女が一番よく分かっている。 「……あの子は、絶望を望んでる。あの子が人を殺すなら、必ずそれで絶望を感じられるようにする。 あなたの知らないところでその友達が死んでも、あなたは絶望しないでしょう。 ……だったら、まだ殺してない。あの子は希望を抱かせるだけ抱かせて、涙子さんを絶望に叩き落とすだろうから」 声を聞かせて、泣き叫び助けを求める姿を見せ、そして佐天を走らせる。 そして助けが来た感動に震える友を、希望を抱きに抱かせた目の前で惨殺する――。 恐らくそれが、佐天を最も深い絶望の底に落とせる行為だろう。 (タイプは違うけど、この決して折れない感じ、苗木くんみたいだ。 盾子ちゃんは、この涙子さんを相当危険視してるんだね。だから友達を掠うなんて布石を打ったんだ。 わかるよ。たった一日たらずでこれだもの。この精神力も能力も、未だ恐ろしい成長性を秘めてる。 この島の絶望を払う者がいるとしたら、それは恐らく、この涙子さんだ……) だからこそ江ノ島盾子は、佐天を完膚無きまでに叩き潰そうとするだろう。 そうなっていない以上、佐天の友人が殺されていないことはほぼ確実だと思えた。 そして恐らく、この場でのむくろの役目は、あの苗木誠たちに紛れていた時のような、スパイ行為になるのだろう。 「……ありがとう。十分だわ。きっとあなたがこう言ってくれることも、あの女の作戦なんでしょうけど。 それならそれで、望むところよ」 「うん……」 「話は纏まったみてぇだな」 むくろが黒幕のスパイであろうことを察していながら、佐天や天龍は彼女を受け入れた。 それは決して、甘さや性善説から来たものではない。 ここで諍いを起こすことより、遥かに重要なことが、ここには迫ってきている。 「改めて俺は軽巡洋艦、天龍型一番艦の天龍だ。俺たちは殺し合いを止め、命あるものを全て救う心構えでいる。 さあ、協力しようぜ。元からお前らはしてたみてぇだけどよ。 まずはお前たちが逃げてきたっていう、その強大なヒグマとやらをどうにかするところからだ」 天龍たちが合流する以前から、この一行は参加者とヒグマと黒幕の一味という、信じられない組み合わせで行動してきているのだ。 追ってきているというその強大なヒグマは、この相容れないはずの3勢力が協力しなければならないほどの相手であったことは、今までの話からも想像に難くない。 黒幕である江ノ島盾子の差し金でも、ヒグマ帝国の者でもない全くのイレギュラーでそれというのは、あまりにも危険に感じられた。 天龍から振られた議題を、むくろが智子に振る。 黒木智子は、あの崖の戦いで、唯一その敵性存在の正体を認知していた者だった。 「智子さんは、あのヒグマの正体を察していたんだよね?」 「……ああ。あいつは、吸血鬼アーカードだ。ロビンと同じイギリス出身であの言動……。 本にも載ってるんだ。間違いない……!」 「吸血鬼?」 佐天は智子から出た、この場に似つかわしくない単語に首を傾げる。 「ああ、吸血鬼の真祖、ノーライフ・キング……、よ、呼び方はなんだっていい。 と、とにかくあいつには、姿形など無意味だ。私の知ってる限りで、あいつには342万4867の命がある……。 生も死も全てペテンのあいつを殺せる訳ない……」 「……それヒグマなの? ヒグマじゃないわよね……?」 智子は、言いながら自分の言葉の恐ろしさに身を震わせた。 『HELLSING』という書物に描かれているアーカードの暴虐は非常にえげつなく、映像媒体で見ればその恐怖は更に増加する。 なおかつ智子は、その実物を目の前で見て、親しい者を殺されてしまったのだ。 それはある意味、言峰神父の言っていたように、外宇宙かどこかの神を目の当たりにしてしまった状態に近い。 佐天の疑問を聞きながら、我ながらよく狂気に陥らずに済んでいたな、と、智子は自分の精神防御力に感心した。 「……ああ、あいつはただ遊びでヒグマの格好をしてるだけだ。 赤黒くて、目も脚もとっちらかった異形の……。そもそも毛が全部血管なんだ。もうヒグマに似せる気があるのか無いのかもわからねぇ……」 ロビンの死体を抱き寄せ、智子は浅い息で必死に言葉を絞る。 描写されてゆくそのヒグマを思い浮かべて、天龍と佐天はハッとした。 それは今日、彼女たちも見たあるヒグマの姿に、酷似していた。 「それは……! まさか……! あの赤黒いヒグマ!?」 「天龍さんも心当たりがあるの!?」 驚きと共に、天龍と佐天は顔を見合わせる。 お互いにとって、それはあまりにも予想外のことだった。 「ああ……、あれはまだ夜中だった。 あいつは突然現れて俺たちに襲いかかり、俺にこの球を託したカツラって奴を引きちぎり、殺した……。俺は逃げることしかできなかった。 だがその後現れた、天をつくような馬鹿でかいヒグマ……、お前たちも見ただろ? あいつはあのヒグマにバラバラにされて吹き飛んだんだ。死んだとばかり思ってた……」 「……私も。あれは午前中、津波に紛れてやってきて、ウィルソンさんを水中に引きずり込んで食べようとしてた。 私は初春や北岡さん、皇さんと一緒に、あれを『W(ダブル)第四波動』で焼き尽くした。殺した、はずだった……」 智子の話を受けて、二人の中で全ての話が繋がった。 彼女たちが見たヒグマードの死は、数百万ある彼の命が、一つ減った場面に過ぎなかった。 佐天は自分の両手を見つめて、震えた。 「そん、な……。あの時、私はこの手で、トドメを刺したはずなのに……」 両手の指の間に見える先には、黒木智子が、クリストファー・ロビンの死を抱えている。 佐天が先程、偉そうに上から説教を垂れた、死だ。 何のことはない。 クリストファー・ロビンの死は、佐天がその吸血ヒグマを仕留め損なわなければ、有り得なかったことなのだ。 骨折が治った右手の人差し指と中指は、鱗のように皮膚がざらつき、変形している。 それが彼女には、中途半端に人と獣の間を揺れ動いた結果の、醜い罰の一部に見えていた。 ――あいつは、清算しきれなかった、私の罪の一部……。 あいつは、死んでたはず。殺したはず。 私があの海鳴りの上で殺し切っていれば、黒木さんの恋人は死んでいなかったはずだ。 彼女にこんな悲しい思いをさせたのは、私の責任だ。 ――ああ、なんて未熟なんだ、バケモノになり切れない無力な小娘の私は!! 「私は――、責任を取る! 罪を、償うわ……!!」 佐天は、頭を抱える代わりに、慟哭した。 天龍が真隣で、びくりと身を竦ませる。 「どうする気だよ!? あいつには数百万もの命があるってんだぞ!?」 「簡単な話よ……。百万なら百万、一千万なら一千万、甦る端から殺してやる……!! ……ええ、殺してやる。絶対に殺してやるわ……!!」 億兆京那由他阿僧祇の月が佐天に回る。 ブルーの星と夏至の日を両手に握り込んで、佐天は今一度、自分の踏み越えてきた道の岐路に慟哭する。 月の日没から、二度も呼んだあの道は、何のためにあったのか。 今、佐天の目には、何が見えているのか。 忘るるなかれ。今ここには、共に行ける友がいる。 【F―2 枯れた森 夕方】 【佐天涙子@とある科学の超電磁砲】 状態 深仙脈疾走受領、アニラの脳漿を目に受けている、右手示指・中指が変形し激しい鱗屑が生じている、衣服がボロボロ 装備 raveとBraveのガブリカリバー 道具 百貨店のデイパック(『行動方針メモ』、基本支給品、発煙筒×1本、携帯食糧、ペットボトル飲料(500ml)×3本、缶詰・僅かな生鮮食品、簡易工具セット、メモ帳、ボールペン)、アニラのデイパック(アニラの遺体)、カツラのデイパック(ウィルソンの遺体) [思考・状況] 基本思考 対ヒグマ、会場から脱出する 0 殺す、殺してやる……。あの死を。私の罪を……! 1 人を殺してしまった罪、自分の歪みを償うためにも、生きて初春を守り、人々を助けたい。のに……。 2 もらい物の能力じゃなくて、きちんと自分自身の能力として『第四波動』を身に着ける。 3 その一環として自分の能力の名前を考える。 4 『下着御手(スカートアッパー)』……。 5 本当の独覚だったのは、私……? 6 ごめんなさい皇さん、ごめんなさいウィルソンさん、ごめんなさい北岡さん、ごめんなさい黒木さん……。ごめんなさい……。 [備考] ※第四波動とかアルターとか取得しました。 ※左天のガントレットをアルターとして再々構成する技術が掴めていないため、自分に吸収できる熱量上限が低下しています。 ※異空間にエカテリーナ2世号改の上半身と左天@NEEDLESSが放置されています。 ※初春と協力することで、本家・左天なみの第四波動を撃つことができるようになりました。 ※熱量を収束させることで、僅かな熱でも炎を起こせるようになりました。 ※波紋が練れるようになってしまいました。 ※あらゆる素材を一瞬で疲労破壊させるコツを、覚えてしまいました。 ※アニラのファンデルワールス力による走法を、模倣できるようになりました。 ※“辰”の独覚兵アニラの脳漿などが体内に入り、独覚ウイルスに感染しました。 ※殺意を帯びた波紋は非常に高い周波数を有し、蒼黒く発光しながらあらゆる物体の結合を破壊してしまいます。 ※高速で熱量の発散方向を変えることで、現状でも本家なみの広範囲冷却を可能としました。 ※ヒグマードの血文字の刻まれたガブリカリバーに、なにかアーカードの特性が加わったのかは、後続の方にお任せします。 【天龍@艦隊これくしょん】 状態 小破、キラキラ、左眼から頬にかけて焼けた切創 装備 日本刀型固定兵装、投擲ボウイナイフ『クッカバラ』、61cm四連装魚雷、島風の強化型艦本式缶、13号対空電探 道具 基本支給品×2、ポイントアップ、ピーピーリカバー、マスターボール(サーファーヒグマ入り)@ポケットモンスターSPECIAL、サーフボード、島風のデイパック(島風の遺体) 基本思考:殺し合いを止め、命あるもの全てを救う。 0:落ち着けよ涙子……? 戦いを挑むにしても、無茶だけは絶対にするな……! 1:扶桑、お前たちも難儀してたみてぇだな……。 2:迅速に那珂や龍田、他の艦娘と合流し人を集める。 3:金剛、後は任せてくれ。俺が、旗艦になる。 4:ごめんな……銀……、島風、大和、天津風、北岡……。 5:あのヒグマたちには、一体、何があったんだ……。 [備考] ※艦娘なので地上だとさすがに機動力は落ちてるかも ※ヒグマードは死んだと思っています ※ヒグマ製ではないため、ヒグマ製強化型艦本式缶の性能を使いこなしきれてはいません。 【黒木智子@私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!】 状態:血塗れ、ネクタイで上げたポニーテール、膝に擦り傷 装備:令呪(残り2画/ウェイバー、綺礼から委託)、製材工場のツナギ 道具:基本支給品、制服の上着、パンツとスカート(タオルに挟んである)、グリズリーマザーのカード@遊戯王、レインボーロックス・オリジナルサウンドトラック@マイリトルポニー、ロビンのデイパック(手榴弾×1、砲丸、野球ボール×1、石ころ×69@モンスターハンター、基本支給品×2、ベア・クロー@キン肉マン )、ロビンの遺体 [思考・状況] 基本思考:モテないし、生きる 0 ロビン……、お前を、私はどうすればいい……? 1 グリズリーマザーと共に戦い、モテない私から成長する。 2 グリズリーマザー、ヤスミンに同行。 3 アーカードは……、あんな攻撃じゃ、死なない……。 4 超高校級の絶望……、一体、何ジュンコなんだ……。 5 即堕ちナチュラルボーンくっ殺とか……、本当にいるんだなそういう残念な奴……。 6 お前もだいぶ精神にキてないか? 素敵なパンツマイスターさんよ……。 ※魔術回路が開きました。 ※グリズリーマザーのマスターです。 【穴持たず696】 状態 左腕切断(処置済み)、波紋注入 装備 コルトM1911拳銃(残弾3/8) 道具 超小型通信機 基本思考:盾子ちゃんの為に動く。 0 あのヒグマを百万回以上殺すとか、正気……!? 1 こんな苗木くんみたいに強くて優しい涙子さんと仲間になれたなんて……。 2 智子さんは、すごく良い友達なんだから……! 絶対に守ってあげる……! 3 言峰さんとロビンくんの殉職は、無駄にしてはいけない……! 4 良かった……。扶桑は奮起してくれた! 5 盾子ちゃんのことは絶対に話さないわ! 6 盾子ちゃん……。もしかして私は、盾子ちゃんを裏切ったりした方が盾子ちゃんの為になる? ※戦刃むくろ@ダンガンロンパを模した穴持たずです。あくまで模倣であり、本人ではありません。 ※超高校級の軍人としての能力を全て持っています。 【扶桑改(ヒグマ帝国医療班式)@艦隊これくしょん】 状態 ところどころに包帯巻き、キラキラ、出血(小) 装備 鉄フライパン 道具 なし 基本思考:『絶望』。 0 天龍さん、一体何があなたを、こんなに強くさせたんですか? 1 この、電信を返して下さった方は……? 2 ああ、何か……、絶望から浮上してくるのって、気持ちいいですね……! 3 他の艦むすと出会ったら絶望させる。 4 絶望したら、引き上げてあげる。 【グリズリーマザー@遊戯王】 状態:健康 装備:『灰熊飯店』 道具:『活締めする母の爪』、『閼伽を募る我が死』、穴持たず82の糖蜜(中身約2/3) [思考・状況] 基本思考:旦那(灰色熊)や田所さんとの生活と、マスター(黒木智子)の事を守る 0 またあのヒグマが襲い来るとか冗談じゃないよ……! 1 マスター! アタシはあんたを守り抜いてみせるよ! 2 あの帝国のみんなの乱れようじゃ、旦那やシーナーさんとも協力しなきゃまずいかねぇ……。 3 とりあえずは地上に残ってる人やヒグマを探すことになるかしら。 4 むくろちゃんも扶桑ちゃんも難儀だねぇ……。 5 実の姉を捨て駒にするとか、黒幕の子はどんだけ性格が歪んでるんだい……? [備考] ※黒木智子の召喚により現界したキャスタークラスのサーヴァントです。 ※宝具『灰熊飯店(グリズリー・ファンディエン)』 ランク:B 種別:結界宝具 レンジ:4~20 最大捕捉:200人 グリズリーマザーの作成した魔術工房でもある、小型バスとして設えられた屋台。調理環境と最低限の食材を整えている。 移動力もあり、“テラス”としてその店の領域を外部に拡大することもできる。 料理に魔術効果を付加することや、調理時に発生する香気などで拠点防衛・士気上昇を行なうことが可能。 ※宝具『活締めする母の爪(キリング・フレッシュ・フレッシュリィ)』 ランク:B 種別:対人宝具 レンジ:1~2 最大捕捉:1~2人 爪による攻撃が対象に傷を与えた場合、与えた損傷の大きさに関わらず、対象を即死させる呪い。 対象はグリズリーマザーが認識できるものであれば、生物に限らず、機械や概念にまで拡大される。 ※宝具『閼伽を募る我が死(アクア・リクルート)』 ランク:B+ 種別:対人宝具 レンジ:- 最大捕捉:1人 自身が攻撃を受けて死亡した場合、マスターが令呪一画を消費することで、自身を即座に再召喚できる。 または、自身が攻撃を受けて死亡した場合、マスターが令呪一画を消費することで、Bランク以下の水属性のサーヴァント1体を即座に召喚できる。 【穴持たず84(ヤスミン)@ヒグマ帝国】 状態:健康 装備:ヒグマ体毛包帯(10m×8巻) 道具:乾燥ミズゴケ、サージカルテープ、カラーテープ、ヒグマのカットグット縫合糸、ヒグマッキー(穴持たずドリーマー・残り1/3)、基本支給品×3(浅倉威、夢原のぞみ、呉キリカ)、35.6cm連装砲 [思考・状況] 基本思考:ヒグマ帝国と同胞の安寧のため傷病者を治療し、危険分子がいれば排除する。 0 全員を生還させる手立てを考えなければ……。 1 帝国の臣民を煽動する『盾子』なる者の正体を突き止めなければ……。 2 エビデンスに基づいた戦略を立てなければ……。 3 シーナーさん、帝国の皆さん、どうかご無事で……。 4 ヒグマも人間も、無能な者は無能なのですし、有能な者は有能なのです。信賞必罰。 ※『自分の骨格を変形させる能力』を持ち、人間の女性とほとんど同じ体型となっています。
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忍たま乱太郎の世界に2chがあったら8-3 202 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/08(日) 03 46 18 ID njDJN4WcO 【落とし紙が】胃の中が合戦【足りない】(214) 209 名前:1/:2009/02/08(日) 12 24 18 ID C5EsGr6f0 1 91:おにぎりくわえた忍者さん:15XX/02/08(日) 13 11 13 ID kAZM3t3H 『いさくーーーーゥ!いさくーーーーゥ!!』 某用具の先輩の声が聞こえる。同室の無事を確かめているのだろう しかし不運は感染するのだろう、彼もまた蛸壺に落ちたらしい 彼らは今、蛸壺に落ちているらしく先程4年のだぁ~いせーこーという声が聞こえた 『らんたろーーーーゥ!らんたろーーーーゥ!!』 1年の眼鏡の方を呼ぶ声は同室のドケチで有名な彼の声だ さしずめアルバイトの手伝いでも頼もうとして呼んでいるのだろう 先ほど木の軋む音と割れた音が聞こえた 彼は今、床板を踏み抜いて動けなくなっているのだろう 『ふしきぞーーーーゥ!ふしきぞーーーーゥ!!』 1年の暗い方を呼ぶ声は僕には分からない 同室の子だろうか。1年ろ組にこんな大声が出せるものなのだろうか 彼は今、曲者さんにこなもんさん、こなもんさんと執拗にお好み焼きを勧めている すごいスリルーを楽しんでいる所なのだろう。声の主は案外部下さんなのかも知れない 『さこーーーーン!さこーーーーン!!』 ツンデレを呼ぶ声は最近の方向性が分からない火薬のツンデレだろう 別に心配してるわけじゃないけど気になっただけだからな!という声が聞こえた ツンデレって面倒くさいと思う 彼は今、別に心配なんかされなくたって死なないし!そこ危ないからな!という声が聞こえた ツンデレって面倒くさいと思う そして僕は今、医務室横の空井戸に落ちている 誰か助けて 92:おにぎりくわえた忍者さん:15XX/02/08(日) 13 12 54 ID TonIGht3 かずまーーーーァ!!かずまーーーーァ!!! 何やってんの 218 名前:1:2009/02/08(日) 23 26 19 ID Ui8dcsBVO 馬鹿みたいに長いので規制かかったらごめんなさい 1:15xx/02/08(日) 16 20 22 ID 62KAyk62 今日クラスメイト(保健委員)に「お前なんか第二の不運委員会だろ!!」って言われた 俺火薬なんだけどどうなの?俺以外みんな第二の不運委員会だと思ってる? 2:15xx/02/08(日) 16 25 39 ID tsHo9sA9 思い当たる節でもあるの? 3:15xx/02/08(日) 16 27 33 ID 139HFuUN 火薬って別に不運じゃないよ、蛸壺落ちる上級生とかいないでしょ 4:15xx/02/08(日) 16 31 45 ID 62KAyk62 2五年生の先輩の話なんだけど、この前の夏休みの宿題騒ぎで六年生の宿題当ててた 目潰し煙幕で全員一回は涙と鼻水止まらなくなったことがあるしつい最近学園長の思いつきで海行かされたり あとちょっと前予算ゼロだった 最近勝手に依頼スレがたてられた 先輩一人がくノ一に襲われ自分は泣かれ後輩は落とし穴に落とされた 3いないこともない 5:15xx/02/08(日) 16 34 22 ID nArc1sTk まぁ多少ついてないが…………しかしそれが不運だというのなら常時先輩に振り回され一人また一人と気を失っていく私の委員会はなんなんだ! ほぼ毎日一年を担ぎ二年を背負い三年を半ば引きずった状態で(ちなみに私はずば抜けて優秀で成績は勿論実技も素晴らしくはあるが四年生だ)一人突き進む委員長を追いかけているんだぞ! 最近三年が気を失わなくなったので一年を背負わせて走っている、これも優秀な私の教育の賜物だということを努々忘れないように@華麗で優秀で後輩思いな私がいることで有名な委員会の花形体育委員会 6:15xx/02/08(日) 16 44 56 ID 10NeEy0w うちの委員会室は常に罠やカラクリがスタンバってる、カラクリとかはたまに本人も掛かってるけどさ 委員会やってる間ずっと気を張ってるのは凄く辛いです@作法 7:15xx/02/08(日) 16 45 22 ID m1kiD0Lk どの委員会も徹夜三日明け状態で池寝したことはないだろう、寝たって言うのか怪しいけどね@正直意味が分からない会計委員 8:15xx/02/08(日) 16 46 58 ID WkADanna あるよ!と主ったら僕の委員会だった 9:15xx/02/08(日) 16 47 02 ID 0202k1ri 俺の委員会は平和だから関係ねーや、って言いたいんだけどなぁ 先輩の一人が凄く大雑把に本片付けるからドサドサ落ちてくるんだ、この前はなんでか本棚倒れて大変だった、委員長も笑顔でキレたし、図書委員ね 10:15xx/02/08(日) 16 52 11 ID TMtmarCh 用具なんだけどやっぱ不運かもなぁ、後輩は可愛いと思うし先輩も(怖いけど)かっこいいんだけど メインの仕事は他の委員の穴埋め 壁に地面に時には屋根、もう直すときに予算奪っても許される気がする 11:15xx/02/08(日) 16 55 48 ID 88hEns36 1の五年友達かも、アイツ全然不運じゃないぞ六年の課題やりきったから成績滅茶苦茶いいだろうし 学級委員長委員会も大変なんだ、学園長の思いつきには当たり前で振り回されるし各委員会からの文句だって一身に受けるしで 多少菓子代を請求したって構わない気がする 12:15xx/02/08(日) 16 55 58 ID 10o0SaHo ない 13:15xx/02/08(日) 16 56 23 ID m0nj6Noi 構うわバカたれ 14:15xx/02/08(日) 16 56 25 ID SakcchAn やめて下さい 15:15xx/02/08(日) 16 56 35 ID m1kiD0Lk 本当に止めて下さい 16:15xx/02/08(日) 16 57 11 ID WkADanna 辞めて下さい 17:15xx/02/08(日) 16 58 10 ID kemahIrU 【ギンギン】もう限界は超えた人のスレ【いけどん】から 225:名無しの忍者さん。:15xx/02/08(日) 16 56 49 ID MaiSAmgo 11本当にやめてくれぇー 18:15xx/02/08(日) 17 02 03 ID Tk83EmOn 俺ん所なんか予算半分だったのにorz 生物もついてないなー、今現在五年ろ組長屋付近で毒虫大脱走した、は組の方に行ったかな? 19:15xx/02/08(日) 17 04 44 ID 88hEns36 ちょwwwwwふwざwけwんwなwwwwwww俺どうすんだよwwww今まさに長屋で寝てたのにwwwwwww 20:15xx/02/08(日) 17 18 11 ID c00lNoHA うちの先輩だ、もし刺されたら保健室にいってくださいね 21:15xx/02/08(日) 17 20 20 ID 20Ra1ZO5 そのご 19のすがたをみたものはいない…僕ろ組だけど図書室にいてよかった ――――― 377:15xx/02/08(日) 19 02 12 ID KnGOuknG やっぱりどの委員会もそれなりに大変だったり不運だったりするんだね うちの委員会も穴に落ちたことあるしなぁ 378:15xx/02/08(日) 19 03 13 ID hEiDAy0u うちも、掘ったの委員会のメンバーだったし 379:15xx/02/08(日) 19 05 56 ID WSuRENnA 保健以外でも穴落ちる人っているの!? 380:15xx/02/08(日) 19 08 19 ID 1pPeChAn 話の最中に失礼します、生物委員会の中間報告です、毒虫は芋虫一匹を残し全員捕獲しました 足の速い子ではないので遠くには行っていないと思われますが 五年ろ組から四年い組長屋付近にいらっしゃる方は気を付けてあげて下さい 381:15xx/02/08(日) 19 08 59 ID nArc1sTk qあwせdrftgyでんこlp 382:15xx/02/08(日) 19 09 02 ID ki8rou4I 毒虫係全員ターコに落ちてしまえ ――――― 765:15xx/02/08(日) 22 02 37 ID WSuRENnA なんだろう、この流れを見てたら保健委員会ってそこまで不運じゃない気がしてきた! 766:15xx/02/08(日) 22 05 16 ID rmAnt1sT 生物委員会です、毒虫は全員無事捕獲出来ました、お陰様で怪我をした虫は一匹もいませんでした 最後まで散歩をしていた毒芋虫のかよこは無事綺麗な毒蛾に成って発見されました! かよこの初飛行を見れなかったのはとても残念ですが、その分を補って余りある委員会をしていきたいと思います。 767:15xx/02/08(日) 22 06 27 ID hko46011 人は?怪我人は!!先輩が 11以降出て来ない…… 381と 382もいないし って言うか毒芋虫?毒蛾?どこにいたの? 768:15xx/02/08(日) 22 07 17 ID SAY326B2 最後の一匹は何故か保健室にいました、二年生が一年生二人を抱えて薬棚の上でかよこを威嚇してました それと今の所怪我人はいませんが 11や 381と 382の行方は不明です 769:15xx/02/08(日) 22 08 34 ID 1rThRiLL スリル満点でした 770:15xx/02/08(日) 22 08 56 ID rIvErNis ナマモノ委員会滅んでしまえと何回も頭を過ぎりました 実際叫んだような気もします 771:15xx/02/08(日) 22 09 22 ID tsHo9sA9 保健委員会乙 ここで色んな不運話でてきたけどやっぱり保健には適わないね 772:15xx/02/08(日) 22 10 02 ID rIvErNis そんなの嬉しくないよ、つかこのスレ自体結構失礼だよ第二の不運とか 第一が保健で確定してるし 1はこんなスレ立ててないで直接クラスの奴のとこ行けばいいのに 773:15xx/02/08(日) 22 11 00 ID WSuRENnA 772は少し落ち着こうよ(´・ー・)つ旦 774:15xx/02/08(日) 22 13 57 ID 1sKeChan 毒虫の流れを切ってごめんなさい 1さんへ、僕は火薬委員会が不運だとはあんまり思わないです そりゃあ色々大変だし、そんなことでいいんかいとか言われるけど、かっこよくてやさしい先輩達がいるから僕は火薬委員会好きです もしかしたらもうみてないかなぁ? お邪魔しました。 775:15xx/02/08(日) 22 14 12 ID hEiDAy0u ちょww 1こいww今すぐ来いwwwww 776:15xx/02/08(日) 22 14 25 ID khitAi1K 火薬委員khit? 777:15xx/02/08(日) 22 14 54 ID 10o0SaHo 釣りか? 778:15xx/02/08(日) 22 14 55 ID tsHo9sA9 本人降臨? 1の知り合い?火薬? 779:15xx/02/08(日) 22 15 23 ID 20Ra1ZO5 誰か 1を!1をここに! 780:15xx/02/08(日) 22 15 32 ID kemahIrU ksk 781:15xx/02/08(日) 22 15 34 ID rIvErNis 食いつきすぎだろみんなwwwwwwwwwww ksk ――――― 877:15xx/02/08(日) 22 43 25 ID 8naNamAn 今更かなぁ? 381 382の二人は部屋に来てるよー(^ω^W) あ、あと火薬は不運じゃないと思うよ、なんだかんだみんなに頼られてるしwwww もちろんかっこいい先輩と可愛い後輩がいるからねwみんな優しいから僕は楽しいよwwww 878:15xx/02/08(日) 22 44 35 ID hEiDAy0u 再び火薬委員降臨wwwwwwwwwww 879:15xx/02/08(日) 22 44 55 ID WkADanna 忍者学園層力を上げて1を探せwwwww 880:15xx/02/08(日) 22 47 00 ID SakcchAn 879突っ込んだら負けですか 881:15xx/02/08(日) 22 47 13 ID m0nj6Noi 879は1探す前に国語やれ 882:15xx/02/08(日) 22 47 58 ID 10o0SaHo 879こwのwやwろwうwwwwwww ちょっとした感動返せww 883:15xx/02/08(日) 22 48 11 ID m1kiD0Lk このスレは1を探し(さが-し)ながら 879に漢字(かんじ)を教える(おし-える)スレになりました ――――― 986:15xx/02/08(日) 23 36 20 ID 62KyAk62 1です、なんか下らないスレ立ててごめん、委員会自体は嫌いってほどじゃないんだけどなんか色々不安になってたんだ 774とか 877もこう言ってるし保健以外はみんな不運とか大差ないみたいだし 先輩も後輩も嫌いじゃないし友達には明日不運委員会とか言い過ぎたこと多分謝る うってたら恥ずかしくなったから以下3レスでスレ纏めよろしく あと 11がいたらついでにお願いします 987:15xx/02/08(日) 23 52 00 ID 102poi88 すっかりここの存在忘れてたwwwwwID違うけど行方不明の 11です、い組長屋に避難して無事生きてますwwww 同室の奴(見てるかわからないが)へ、もう夜で外が寒いのでこっちに泊まりますw あ、 1お前の先輩やっぱり不運じゃなかった、この前の学年メニューコイツの好物になったし、虫もこっち来てないしwwwww まぁ保健以外はみんなそれなりに不運で幸運だって事だよな 988:15xx/02/09(月) 00 15 12 ID 13913139 保健以外って……保健だってたまには憑いてることもあるんだよ まぁ今日は僕がいない時に色々あったみたいだけど 989:15xx/02/09(月) 01 00 00 ID tsHo9sA9 20も 767も先輩が無事で良かったよね 怪我人も怪我毒虫もいなかったし、みんな1日お疲れ様でした。 まとめ 『保健も火薬も生物も体育も会計も用具も作法も学級委員長も図書も、みんな頑張ってます。』 990:15xx/02/09(月) 01 01 55 ID soUj1nch 綺麗にまとまったね すすがしいきもちのままうめます 991:15xx/02/09(月) 01 02 56 ID Tk0Sait0 梅 992:15xx/02/09(月) 01 03 35 ID DaNz1Noh うま 993:15xx/02/09(月) 01 04 11 ID sh0ckMaN 988に憑いたものごとうめ 994:15xx/02/09(月) 01 04 49 ID HetaY0Gu 埋め 995:15xx/02/09(月) 01 06 23 ID NamErikE うめ 996:15xx/02/09(月) 01 06 24 ID GeNkIn61 995なら厳禁シリーズ終了 997:15xx/02/09(月) 01 07 55 ID HnmzsnbE 996どんまい 998:15xx/02/09(月) 01 08 32 ID GeNkIn61 orz 999:15xx/02/09(月) 01 09 08 ID 13913139 1000なら保健=不運じゃなくなる! 1000:15xx/02/09(月) 01 09 09 ID KaYa991v 1000なら先生も生徒もみんな幸運!! 224 名前:N○:2009/02/08(日) 23 44 27 ID UnnyURqm0 K千葉のニュースを見たら、これしか浮かばなかった 218-223リアルタイムで会えるとはなんという幸運 単位は分からなくてそのまんまorz 【忍術学園で穴掘り大会】 関西山奥の忍術学園で8日、シャベルで地面を掘り進み、できた穴の深さを競うユニークな大会が開かれました。 学園長が突然の思いつきとして開いた大会には、体育委員会や作法委員会、会計委員会などからおよそ20人が参加しました。 チームでシャベルを使って掘る穴の深さを競います。時間は30分間。 手際よく掘り進めるチームがある一方で、思っていた以上の重労働に開始1、2分くらいで息を上げてしまう人たちもいました。 会計委員会の仲間で参加した忍術学園の生徒(13)は「委員会でいつも塹壕を掘っているいけどんや自惚れの人たちに負けないように一生懸命がんばりました」と話していました。 優勝したのは普段から趣味で蛸壺掘りをしているチームで、掘った穴の深さは3メートル85センチでした。 228 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/09(月) 11 42 32 ID LhnOIaLvO 【帰ってきた!ここだけ全員山田伝子】 1 以下、私伝子がお送りするわよ 15**/02/07(土) 14 10 22 ID IamDENKO 前回は伝子さん本人にお叱りを受けた人たちが多々いるようですが、 個人的に面白かったので復活させました。 今回もIDがIamDENKOとなるDENKOシステムを採用してます。 じゃあ語るわよ~ 2 以下、私伝子がお送りするわよ 15**/02/08(日) 19 52 43 ID IamDENKO ちょwwww俺 1だけどwww1日経っても書き込みなしとかww俺カワイソスwwww 前回叱られた奴どんだけ怖かったのwwwwww 見た目だけでなく心までなりきるには伝子さんが一番いいんだけどなーw 3 以下、私伝子がお送りするわよ 15**/02/08(日) 19 58 36 ID IamDENKO 2 みんななんだかんだ言って伝子さんすきだけど、 寿命ちぢめるような危険なことはしたくないの。 ぼくあの日はあまりのこわさに食欲がなくなって、 ごはん二膳しか食べれなかったんだから(´;ω;`) 229 名前:NIPにつき草増量中1/10:2009/02/09(月) 12 40 37 ID aloaqb0C0 安価で架空の課外授業作って低学年釣ろうぜwwwwwwww 1 :以下、名無しにかわりましてNIPがお送りします。:15XX/02/08(日) 21 25 02.66 ID 88henS36 学園長の突然の思いつきってことで低学年板にスレ立てようぜww まずは授業名(サバイバルオリエーティングとかそんな感じ) 5 2 :以下、名無しにかわりましてNIPがお送りします。:15XX/02/08(日) 21 25 56.46 ID tAk1gdgd 滝夜叉丸賛美大会 5 :以下、名無しにかわりましてNIPがお送りします。:15XX/02/08(日) 21 27 12.93 ID bookN6ro 読書会 7 :以下、名無しにかわりましてNIPがお送りします。:15XX/02/08(日) 21 28 50.06 ID MUsitk88 ちょwww地味www 8 :以下、名無しにかわりましてNIPがお送りします。:15XX/02/08(日) 21 28 58.83 ID takaBA77 どくしょてwwwww 9 :以下、名無しにかわりましてNIPがお送りします。:15XX/02/08(日) 21 29 05.99 ID KMyoguTM 釣れるのかこれwww 11 :以下、名無しにかわりましてNIPがお送りします。:15XX/02/08(日) 21 29 24.45 ID 88henS36 授業名 読書会 授業違うww放課後の集まりだろww 内容 16 14 :以下、名無しにかわりましてNIPがお送りします。:15XX/11/19(月) 21 30 52.45 ID 13ku13ku 読書 15 :以下、名無しにかわりましてNIPがお送りします。:15XX/11/19(月) 21 31 15.62 ID 5r/raizo 読書と見せかけて……ええと…読書 16 :以下、名無しにかわりましてNIPがお送りします。:15XX/11/19(月) 21 31 25.00 ID ayAbtaKo 犯人追跡 17 :以下、名無しにかわりましてNIPがお送りします。:15XX/11/19(月) 21 31 52.16 ID KMyoguTM 読み聞かせだろJK 18 :以下、名無しにかわりましてNIPがお送りします。:15XX/11/19(月) 21 34 25.39 ID 7mk0Heta どwwwうwwwしwwwwてwww 19 :以下、名無しにかわりましてNIPがお送りします。:15XX/11/19(月) 21 34 58.11 ID 13ku13ku なwwwwんwwwwのwwwww 23 :以下、名無しにかわりましてNIPがお送りします。:15XX/11/19(月) 21 39 34.14 ID 88henS36 授業名 読書会 内容 犯人追跡 読書どこ行ったwwww 何の犯人? 28 27 :以下、名無しにかわりましてNIPがお送りします。:15XX/02/08(日) 21 41 16.25 ID 4rtaMura ユリコに横恋慕し、挙句の果てにさらった犯人 28 :以下、名無しにかわりましてNIPがお送りします。:15XX/02/08(日) 21 41 41.81 ID ayAbtaKo 五・六年の頭を丸坊主にした犯人 29 :以下、名無しにかわりましてNIPがお送りします。:15XX/02/08(日) 21 41 45.40 ID bookN6ro つまみ食い 31 :以下、名無しにかわりましてNIPがお送りします。:15XX/02/08(日) 21 42 16.11 ID 7mk0Heta こwwwwwwれwwwwwwwはwwwwwww 32 :以下、名無しにかわりましてNIPがお送りします。:15XX/02/08(日) 21 42 36.64 ID KMyoguTM 28テメェwwwww 33 :以下、名無しにかわりましてNIPがお送りします。:15XX/02/08(日) 21 44 03.42 ID tAk1gdgd カオスwwwww 34 :以下、名無しにかわりましてNIPがお送りします。:15XX/02/08(日) 21 44 23.56 ID 88henS36 28このやろうwww 授業名 読書会 内容 犯人追跡 何の犯人か 五・六年の頭を丸坊主にした犯人 犯人の特徴 38- 40 38 :以下、名無しにかわりましてNIPがお送りします。:15XX/02/08(日) 21 44 42.90 ID 4rtaMura バナナ 39 :以下、名無しにかわりましてNIPがお送りします。:15XX/02/08(日) 21 44 46.64 ID 100osaH0 髪結い 40 :以下、名無しにかわりましてNIPがお送りします。:15XX/02/08(日) 21 45 03.74 ID ayAbtaKo 15歳だけど四年生 42 :以下、名無しにかわりましてNIPがお送りします。:15XX/02/08(日) 21 45 21.91 ID KMyoguTM 犯人wwwwwあいつかwwwwww 43 :以下、名無しにかわりましてNIPがお送りします。:15XX/02/08(日) 21 45 24.90 ID tAk1gdgd まあ五・六年の頭を丸坊主にできるほどの高等技術だからwwwwww 44 :以下、名無しにかわりましてNIPがお送りします。:15XX/02/08(日) 21 45 59.24 ID 7mk0Heta 犯人特定しますた! 45 :以下、名無しにかわりましてNIPがお送りします。:15XX/02/08(日) 21 46 04.70 ID takaBA77 特定されますた! なんか怖いww 46 :以下、名無しにかわりましてNIPがお送りします。:15XX/02/08(日) 21 46 55.52 ID ginoni6I 45 釣りなんだからそんなに身構えんな まあ釣られた低学年に追い回されたりからくりに引っ掛かったり蛞蝓と鼻水まみれになったり 毒虫けしかけられたり追っ手が方向音痴過ぎていつの間にか前を走ってたりするくらいだ 48 :以下、名無しにかわりましてNIPがお送りします。:15XX/02/08(日) 21 47 48.41 ID takaBA77 46 ((((;゜Д゜))) 49 :以下、名無しにかわりましてNIPがお送りします。:15XX/02/08(日) 21 48 06.09 ID 88henS36 授業名 読書会 内容 犯人追跡 何の犯人か 五・六年の頭を丸坊主にした犯人 犯人の特徴 バナナで髪結いで15歳だけど四年生 というか 45 犯行動機 60 60 :以下、名無しにかわりましてNIPがお送りします。:15XX/02/08(日) 21 50 20.66 ID ayAbtaKo きゅうりを切る練習 62 :以下、名無しにかわりましてNIPがお送りします。:15XX/02/08(日) 21 50 50.56 ID 7mk0Heta 60 テラスナイパーwwwwwwwwwwwwww 63 :以下、名無しにかわりましてNIPがお送りします。:15XX/02/08(日) 21 50 52.96 ID KMyoguTM きゅうりバロスwwwwwww食堂当番かwwww 64 :以下、名無しにかわりましてNIPがお送りします。:15XX/02/08(日) 21 50 57.32 ID 5r/raizo まさか凶器包丁なのwwwwww 65 :以下、名無しにかわりましてNIPがお送りします。:15XX/02/08(日) 21 51 15.34 ID kkT1tofu とても釣れるとは思えない うそっぽいとかいうレベルじゃないし ふつうに考えて低学年がかわいそうだろ 66 :以下、名無しにかわりましてNIPがお送りします。:15XX/02/08(日) 21 51 49.46 ID MUsitk88 65 KYと言われてもいい、突っ込ませろ 何 が し た い ん だ 70 :以下、名無しにかわりましてNIPがお送りします。:15XX/02/08(日) 21 52 10.78 ID kkT1tofu 66 ただただ許せない。お前たちは釣りに うかれきって、信頼した先輩に騙される ふびんな後輩たちのことなんてせいぜい 豆つぶくらいにしか考えてない。そんな 腐りきったお前たち高学年を止めたい 71 :以下、名無しにかわりましてNIPがお送りします。:15XX/02/08(日) 21 52 43.98 ID MUsitk88 70 わかったもういい。お前はがんばった。 72 :以下、名無しにかわりましてNIPがお送りします。:15XX/02/08(日) 21 52 40.45 ID 88henS36 授業名 読書会 内容 犯人追跡 何の犯人か 五・六年の頭を丸坊主にした犯人 犯人の特徴 バナナで髪結いで というか 45 犯行動機 きゅうりを切る練習 どうすればwwwwwwwwwwwwwwwww釣れるのwwwwwwwwwwwwwww 逃亡場所 76 せめてありえる場所で頼むぜ 76 :以下、名無しにかわりましてNIPがお送りします。:15XX/02/08(日) 21 54 39.43 ID bookN6ro 裏々山 81 :以下、名無しにかわりましてNIPがお送りします。:15XX/02/08(日) 21 55 50.81 ID 13ku13ku やっとまともなのがwwwww 82 :以下、名無しにかわりましてNIPがお送りします。:15XX/02/08(日) 21 55 55.58 ID 5r/raizo でも手遅れな気がwwwww 84 :以下、名無しにかわりましてNIPがお送りします。:15XX/02/08(日) 21 57 10.48 ID 100osaH0 いやそうでもない 今日未明、四年生の斉藤タカ丸君(15)がきゅうりを切る練習と称して五・六年生の頭を丸坊主にしたうえ 裏々山に逃亡するという事件が発生しました。このため、本日学園長の突然の思いつきで開催予定だった 読書会の内容を急遽変更して斉藤タカ丸君追跡大会を行います。 なお、これは課外授業の一貫として扱うので、全校生徒が真剣に参加してください。 まあ小松田さんのトリップでこんな感じにスレを立てればだな… 87 :以下、名無しにかわりましてNIPがお送りします。:15XX/02/08(日) 21 57 13.36 ID 7mk0Heta すげぇwwwwwwそれっぽいwwww 88 :以下、名無しにかわりましてNIPがお送りします。:15XX/02/08(日) 21 57 45.82 ID KMyoguTM 84 一気に信憑性を帯びたなwwwwwGJwwwwww つーかまた小松田さんトリばれしたのか 90 :以下、名無しにかわりましてNIPがお送りします。:15XX/02/08(日) 21 58 27.75 ID 88henS36 84乙っすww 明日の朝スレたてるわwwwww 五・六年及びタカ丸さんはどっかに隠れとくよーにwwww残りの四年は探してるふりなwwwww 91 :以下、名無しにかわりましてNIPがお送りします。:15XX/02/08(日) 21 58 41.64 ID 7mk0Heta おkおkwwwwwwww 明日楽しみwwwwwwwwww 92 :以下、名無しにかわりましてNIPがお送りします。:15XX/02/08(日) 21 59 05.76 ID 4rtaMura りょうかいwwwwwwwwww 93 :以下、名無しにかわりましてNIPがお送りします。:15XX/02/08(日) 21 59 14.55 ID bookN6ro wktk 94 :以下、名無しにかわりましてNIPがお送りします。:15XX/02/08(日) 21 59 20.82 ID ginoni6I 低学年どもwwwwww待ってろwwwwww 95 :以下、名無しにかわりましてNIPがお送りします。:15XX/02/08(日) 21 59 23.90 ID gkuencyo ほう、面白そうなことをやっとるのう…… よし決めた!明日は斉藤タカ丸追跡大会を行う!! 至急タカ丸は五・六年を丸刈りにして裏々山に逃亡するように! 97 :以下、名無しにかわりましてNIPがお送りします。:15XX/02/08(日) 21 59 27.99 ID 13ku13ku ……え? 98 :以下、名無しにかわりましてNIPがお送りします。:15XX/02/08(日) 21 59 28.83 ID KMyoguTM ちょwwwwwwwwww マジで? 99 :以下、名無しにかわりましてNIPがお送りします。:15XX/02/08(日) 21 59 35.02 ID ginoni6I まてまてまてまてまて落ち着けまて釣りだこれこそが釣りだ落ち着け 100 :以下、名無しにかわりましてNIPがお送りします。:15XX/02/08(日) 21 59 35.21 ID 5r/raizo 95 いやいやいやいや全く面白くないです 低学年もいろいろ忙しいですから、つき合わせちゃ迷惑ですよ! 101 :以下、名無しにかわりましてNIPがお送りします。:15XX/02/08(日) 21 59 36.71 ID takaBA77 ええっ、困ったなあ(;´・ω・`) でも学園長先生のご命令なら仕方ないか… それに、よく考えたら鬼ごっこみたいで楽しいかも! 102 :以下、名無しにかわりましてNIPがお送りします。:15XX/02/08(日) 21 59 41.39 ID 100osaH0 101 101 101 101 101 103 :以下、名無しにかわりましてNIPがお送りします。:15XX/02/08(日) 22 00 05.48 ID ginoni6I 101まてまてまてまてまてまてまてまてまてまてまて 104 :以下、名無しにかわりましてNIPがお送りします。:15XX/02/08(日) 22 00 22.40 ID kkT1tofu 101 仕方なくない!楽しくない!よく考えろ! 105 :以下、名無しにかわりましてNIPがお送りします。:15XX/02/08(日) 22 00 39.54 ID 88henS36 101 らめえええええええええええええええええええええええええええええええええええ 200 :以下、名無しにかわりましてNIPがお送りします。:15XX/02/08(日) 22 30 59.39 ID tAk1gdgd …静かになったな 201 :以下、名無しにかわりましてNIPがお送りします。:15XX/02/08(日) 22 31 00.08 ID ayAbtaKo 少し罪悪感を感じている。私のせいだろうか。 202 :以下、名無しにかわりましてNIPがお送りします。:15XX/02/08(日) 22 31 59.44 ID 4rtaMura 201 いや…なんかもうなるようになったとしか…… 【緊急】忍術学園高学年逃亡【速報】 1 名前:小松田秀作3komatta:15XX/02/09(月) 05 41 02.02 ID zimukmtd 昨日深夜、忍術学園の五・六年生が四年生の斉藤タカ丸君を拉致拘束したうえで 裏々山に逃亡するという事件が発生しました。 代理で外出届を提出した四年生に事情を聴いたところ 「丸坊主が」「きゅうりで」「読書会を」 などと話していてよくわかりませんでした。 なお、学園長先生はこれについて、「タカ丸にはあきらめず頑張ってほしい」 とコメントしています。 とりあえず、各上級生と面識のある生徒は至急裏々山に集合し、説得にあたってください。 2 名前:名も無き忍者 :15XX/02/09(月) 05 41 06.23 ID rantalou 1 トリばれしてますよ ってか何これ?何がどうなってるのかわかんないんだけど……釣り? 3 名前:名も無き忍者 :15XX/02/09(月) 05 41 26.02 ID ikeda362 どう考えても釣りだろ。睡眠時間カエセ。 4 名前:名も無き忍者 :15XX/02/09(月) 05 41 49.57 ID 3tkazuma そんなことより委員長がいない。またどっかで落ちてるのかな…… 248 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/09(月) 21 10 14 ID eUasp2s5O 【地味じゃない】五年生スレ【控えめだ】 883:おさかなくわえた忍者さん。:15xx/02/09(月) 21 04 11 ID 8832hen6 学級委員長不在の因幡、20年ぶりの復活 今まで学級委員長を置かずにいた因幡国。「リーダーを選ぶのではなく平等を重視すべきだ」との考えがあり、徒競走でも順位を決めないほどだったが、この春約20年ぶりに学級委員長が生まれることになった。 因幡国教委は「横並びでは子どもの主体性が無くなる」という意見を掲げ、各校に「委員長復活」を推奨している。 学級委員長を置かない学校は全国的にも少なくないが、今回の動きはどんな影響を与えるか――。 ところで皆は学級委員長についてどう思う 884:おさかなくわえた忍者さん。:15xx/02/09(月) 21 08 38 ID 83EMoNtk 俺はろ組だけど正直いらない気がする は組い組は知らないがろ組はみんなそうだろ すごい奴だけどな……… きまぐれと言うか悪戯が過ぎると言うか だいたい低学年ならまだしも、この年で学級委員とか なぁなぁで流してるけど潮時だな、いらない 885:おさかなくわえた忍者さん。:15xx/02/09(月) 21 09 22 ID 8832hen6 ちょwww 884ははっきり言いすぎだろwwwwwwwwwwwwww せめて隠せよwwwwwww 886:おさかなくわえた忍者さん。:15xx/02/09(月) 21 15 28 ID rai20Zou うん、いらないよね それにいるだけで迷惑な時もある だれも言わないから僕だけかと思って黙ってた よかった、みんな同じ意見で 887:おさかなくわえた忍者さん。:15xx/02/09(月) 21 16 58 ID 8832hen6 えwwwちょwwwww 886とかwwwwwwwwwwwwwwwwww お前らwwwwwwww学級委員長嫌いすぎじゃねwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww 888:おさかなくわえた忍者さん。:15xx/02/09(月) 23 54 23 ID 99ChiHei 俺の部屋にろ組の学級委員長(伝子さん顔)が来て もうあなたしかいない~と泣いてます(伝子さん顔) 大丈夫なのかこれ?ちょっとって言うか すごく………不気味です きれる(俺が)前にろ組の方々は即刻引き取りに来い だいいち他クラスを巻き込むな? よろしくお願いします 254 名前:1/5 まさかの下級生ネタ微被りスマン:2009/02/10(火) 01 24 49 ID j2YZ8viM0 1:8◆GAK:15xx/02/09(月) 10 00 00 ID ??? 下級生のみんなーっ!俺が楽しい思い付き教室、はじまるよ~ 先輩達みたいなぱーへくと目指して、頑張っていってねー☆ 2:作法:15xx/02/09(月) 10 02 56 ID ??? うわあ何かきた… 3:保健:15xx/02/09(月) 10 04 44 ID ??? 全力でご遠慮したいのですが… 4:用具:15xx/02/09(月) 10 05 02 ID ??? そしてこの見覚えのあるシステムか… 5:8◆GAK:15xx/02/09(月) 10 07 43 ID ??? そー言わないでよー委員長達ばっかじゃマンネリ化しちゃうからこうして下級生板に来たのに まあそれは置いといて、と委員会下級生代表の君たちにお題を出すので、見事こなしてね! ちなみに代表は下級生の中の最高学年ですよん 6:生物:15xx/02/09(月) 10 09 41 ID ??? 色々と端折るにも程がある 7:火薬:15xx/02/09(月) 10 10 29 ID ??? というか、俺“が”楽しいってどういう事だよ 8:8◆GAK:15xx/02/09(月) 10 12 34 ID ??? やだ…何なのこの冷静さ&ローテンションは…下級生……恐ろしい子!で、お題だけどね 自分の所の代理含む委員長から忍び頭巾と使用武器を何をしてでも手に入れて下さい 習った忍術なども駆使して頑張ってね。期限はヘムヘムが夕刻の鐘をつくまで 俺からのお題って事は言わないように あと用具の子は申し訳ないけど、会計と体育の子見かけたら今の旨を伝えてね そんじゃ俺は君たちがちゃんとやるかを見てますよっと。検討祈ってるよ 9:保健:15xx/02/09(月) 10 14 16 ID ??? …って、何だか絶対やらなきゃいけないみたいだね 10:図書:15xx/02/09(月) 10 15 56 ID ??? どうします? 11:作法:15xx/02/09(月) 10 17 14 ID ??? やるしかなさそうだよね…でも委員長から頭巾と武器手に入れるって…どうすればorz 12:8◆GAK:15xx/02/09(月) 10 21 07 ID ??? 言い忘れてた。このスレは君ら以外は閲覧すら弾いてるからね。あと後輩に手伝わすのもダメだよ まあ、言わずに利用するのはいいけどねー。それじゃあ頑張ってね 13:火薬:15xx/02/09(月) 10 23 48 ID ??? 真っ向勝負を挑むか、言葉で騙くらかすか…どっちも現実的じゃねーなぁ 頭も成績もいい人を相手に何が出来るってんだ。豆腐?豆腐か?って釣れるわけねーか 14:保健:15xx/02/09(月) 10 25 47 ID ??? 運良く…いや悪く蛸壺に落ちて気絶とかしてくれてないかな… 参考も兼ねて失敗や成功の報告ここでしない?僕ら以外弾かれてるらしいし丁度良さそう 15:用具:15xx/02/09(月) 10 26 29 ID ??? おk。よし頑張ろうな。その前に会計と体育の奴見つけたら俺に知らせてくれな… 16:図書:15xx/02/09(月) 10 28 06 ID ??? わかりました。それじゃあ、ぼちぼち頑張りましょうか 17:生物:15xx/02/09(月) 11 09 36 ID ??? うーん、失敗。これ鐘鳴るまでだったら何回も挑戦出来るのかな やっぱ毒虫達をお散歩させてどさくさで・・いや、でもなぁ… 18:図書:15xx/02/09(月) 11 17 02 ID ??? うへーまだ何も出来てないよ…頭巾に武器…は縄標かな?厳しいなぁ 何気に俺が一番苦労しそうな気がする。委員長おっかないんだよなー 19:火薬:15xx/02/09(月) 11 20 52 ID ??? 18 一番学年に差があるもんな 4年使ってどうにかなんねーかな。髪結いさせれば頭巾はいけそうだけど、武器が問題だ 20:生物:15xx/02/09(月) 11 37 20 ID ??? 後輩じゃなく先輩を利用しようとする 19にワラタ 考えてみれば僕が一番楽なのかな 21:保健:15xx/02/09(月) 12 39 09 ID ??? 成功したよー!8の人に合格貰いました まさかの頭巾紛失したって言われて何と言う不運…って思ってたら蛸壺に落ちてました 案の定、先輩蛸壺に落ちたらしい…今回だけは有難う作法の4年生 武器は何ですか?って聞いたらこれかなぁって言われた検便マッチとトイペ… それでいいのかと思いましたけど合格なのでよかった。みんなも頑張ってね 22:作法:15xx/02/09(月) 12 48 34 ID ??? 僕も成功しました!! 某しめりけ組がやって来たので委員長と委員長の服が酷いことになったので 僕が洗ってきますよって言って一式手に入れました 武器の焙烙火矢も取り替えてもらってきますって言ったら渡してくれました 8の人から合格も貰いました。あーよかった…とりあえず服洗ってきます しめりけありがとう 23:用具:15xx/02/09(月) 13 16 40 ID ??? 保健おめ!作法おめ! 苦手なもんでどうにかすりゃいいのか?でも何が苦手なんだろ…ワカンネーヨー 24:図書:15xx/02/09(月) 13 49 06 ID ??? 保健と作法の先輩、おめでとうございます 予備の縄標は何とか頂けたんですけど頭巾がなぁ…orz 25:火薬:15xx/02/09(月) 14 20 49 ID ??? 俺も成功しました 勝負お願いします!なんて勝てるわけないので、特訓して下さいって言ってさ 巡視用の棒で稽古つけてもらった後、俺が片付けます&頭巾だけでも洗ってきますでゲト ちょっと疲れたけど一石二鳥みたいな感じだと思う。8の人から合格も貰ったよ 洗ってきます作戦はすごい有効だと思う。頭巾に関しては失敗率低そうだ 26:生物:15xx/02/09(月) 14 58 22 ID ??? 成功したよー 1年生にカラクリ得意な子がいるんだけど、先輩に仕掛けてみない?って言ったら 「いいですね!」って即答だよ。超笑顔だったよ。理由も聞かずにすごいノリがよかったよ で、ナメクジとか仕込んだカラクリでどばぁーと… あとは 22と同じに洗ってきますねって言って手に入れました 武器は虫取り網だと思ったので委員会室に転がってたのを持っていきました 8の先輩に「アイツの武器これなの?wwwwww」って言われたけど合格でした 27:8◆GAK:15xx/02/09(月) 15 00 00 ID ??? 25 何というドS。ナメクジどばぁーってwwww ★中間報告 現在 保健・作法・火薬・生物が合格してますよん 引き続き鐘が鳴るまで頑張って下さーい 28:用具:15xx/02/09(月) 15 26 04 ID ??? 火薬と生物オメメメメ どうしよう、全く隙ねぇよあの人…武器は鉄双節棍か…俺、死なないといいな… 29:保健:15xx/02/09(月) 15 28 25 ID ??? 28 何でそうなるの!?死なないよ!!僕でも出来たんだから大丈夫だよ。頑張って 30:会計:15xx/02/09(月) 15 30 51 ID ??? 伝子さんとブチュチュンパって似てね? 31:作法:15xx/02/09(月) 15 33 04 ID ??? 会計まさかの誤爆が…会計と体育はこのお題ちゃんと分かってるのかな? 32:生物:15xx/02/09(月) 15 40 39 ID ??? 見かけてないからなぁ…学園外出てるんだったらもうどうしようもないよね… 33:用具:15xx/02/09(月) 16 58 28 ID ??? 成功したあああああああああああああ!!!!!やったあああばばばばば 全然関係ないところで漆喰引っ掛けちまって呪われるかとも思ったんだけど 26の洗う作戦思い出して何とか出来たよぉおお!!!! 武器はコッソリ持ち出したから後で火炎放射されるかも知れないけど!泣きたい!! 34:火薬:15xx/02/09(月) 17 00 02 ID ??? 33 おめでとうございますと言いたいけどその妄想力どうにかした方いいと思います っと、鐘の音だ 35:保健:15xx/02/09(月) 17 01 32 ID ??? 鐘鳴ったね… 合格は保健・作法・火薬・生物・用具かな?全部じゃないね… 36:8◆GAK:15xx/02/09(月) 17 05 12 ID 36haCH85 はーい鐘が鳴ったので終了です!お疲れさま!結果発表~ 合格順に、保健・作法・火薬・生物・用具 です 会計・体育・図書 が不合格 でした 図書は惜しかったね。ちょっと配慮して貰うように言っておくよ 37:生物:15xx/02/09(月) 17 07 19 ID 3mA5juN5 言っておくって…どういう事なんだ? 38:火薬:15xx/02/09(月) 17 08 42 ID pOnDA362 IDが出るようになってるな。これ某先輩の思い付きだったんじゃないんですか? 39:8◆GAK:15xx/02/09(月) 17 11 29 ID 36haCH85 言われてる通りID出るようにしたのと、アクセス制限も戻したよ やーごめんごめん。実は今回のは俺の思い付きじゃなかったんだよ 俺がいつも遊んでるようにすれば乗ってくれると思ったんだけど、イマイチだったかなw 今回のは学園長の思い付きでな。下級生の訓練って名目でこういう事になったんだ 上級生に対する度胸試しというか、まぁそんな具合と思ってくれ 40:作法:15xx/02/09(月) 17 12 19 ID URKZ3hgM 通りで合格なんて言い方するのと遊びっぽくないお題だったわけだ… 41:生物:15xx/02/09(月) 17 14 14 ID Bamb0083 委員会板の方で学級委員長委員会の奴からここ聞いたよ。お疲れさん! ナメクジどういう事かと思ったけどこういう事か。新手の先輩いじめかと思ったわww 42:作法:15xx/02/09(月) 17 14 40 ID TACiSEn6 3年の子がしめりけを嗾けてきたのかと思ったがそういう訳じゃないと判って安心した 『何をしてでも』がしめりけと思い付いたのだったら落ち込む所だったわ 43:火薬:15xx/02/09(月) 17 15 01 ID kyk9ch5I お疲れさま。正面から来てくれたのが嬉しかったよ。合格もおめでとう 44:保健:15xx/02/09(月) 17 15 29 ID 139zEnPo 全く知らない間に何か合格しててワラタ でもお疲れさま!まさかの一番合格なんてすんごい幸運だね!やったね! 45:用具:15xx/02/09(月) 17 16 01 ID KeM6TOmH 何か挙動がおかしいと思ったらこういう事だったんだな あと呪いも火炎放射もしないっつか出来ないからな。むしろ俺が泣きたいくらいだからな 46:図書:15xx/02/09(月) 17 16 48 ID muKCH6GM 不合格は残念だがお疲れ様 47:会計:15xx/02/09(月) 17 17 12 ID IKAIkcoA 不合格か…たるんどるな と言うか俺の所に来てすらいないのはやはり迷子か?迷子だからか?orz 48:体育:15xx/02/09(月) 17 18 56 ID IKdn7MA2 三之助ならずっと私といたんだけどな!! きのこ峠で塹壕掘ったり掘ったり掘ったりしてお題に気づいてなかったんだなーハハハハ!! 49:8◆GAK:15xx/02/09(月) 17 23 20 ID 36haCH85 以上、来賓の皆さんのコメントでした^J^ さて学園長から言葉貰ったので僭越ながら私から 『皆の者、ご苦労であった! 先輩を敬うだけでなく、意見をするのも大事とわかった事であろう 今回は全員合格とはいかなかったが、中々の結果だと思っている 信賞必罰、と言うわけで賞と罰がある。しかと受け止めよ』 との事です 50:図書:15xx/02/09(月) 17 24 52 ID 9no39sE2 ば!罰!?罰あるんですか!!? 51:体育:15xx/02/09(月) 17 25 02 ID IKdn7MA2 何だとー!!!聞いてないぞーーーー!!! 52:8◆GAK:15xx/02/09(月) 17 28 01 ID 36haCH85 はいはい賞罰の発表ですよん。合格順に…何と…何とですね…! 53:作法:15xx/02/09(月) 17 33 11 ID TACiSEn6 さっさと言え 54:8◆GAK:15xx/02/09(月) 17 35 52 ID 36haCH85 何と、予算案の金額高の超優先が合格順に貰えるんですよ!やったね!!!! 保健・作法・火薬・生物・用具の順に優先されまーす 会計と体育はチャッカリドッサリバッサリ削られまーす 図書は配慮して通常の会計の扱いで構わん、だそうでーす 55:会計:15xx/02/09(月) 17 37 12 ID IKAIkcoA おい待て!そんな話全く知らんぞ!勝手に何を言っとるんだ!! 56:作法:15xx/02/09(月) 17 37 21 ID TACiSEn6 でっっっかした藤内!!!!!お前は作法委員会の誇りだぞ!!!!!! 57:生物:15xx/02/09(月) 17 38 14 ID Bamb0083 よっしゃあ孫兵よくやった!!これで小屋の補強も出来るぜえええええええ!!! 58:保健:15xx/02/09(月) 17 41 09 ID 139zEnPo 保健の時代きたぁあああああああああああああ!!!数馬ありがとおおおおお!!!! 59:8◆GAK:15xx/02/09(月) 17 42 52 ID 36haCH85 55 学園長命令でース。今回ばかりは観念してくだしあww 自分のところもシッカリ削って下さいねwwww あと1位だった保健には特別に!なんと!! 学園長のフィギュアとブロマイドと特製ランチョンマットの特別セットが贈られます よかったね 60:保健:15xx/02/09(月) 17 44 44 ID 139zEnPo 保健の時代きてねぇえええええええええええ!!!いらねぇえええええええ!!!! 61:用具:15xx/02/09(月) 17 45 51 ID toMa239B 保健がちゃんと保健で何か安心した 62:火薬:15xx/02/09(月) 17 46 32 ID pOnDA362 予算増えるのはありがたいけど、思い付きしなくなる日は来ないのか… 63:8◆GAK:15xx/02/09(月) 17 48 02 ID 36haCH85 来ないと思うよ~^J^ 俺はただの司会進行だから、文句は学園長に言ってね☆ そんじゃみんなお疲れ様!!また思い付きで会いましょう^J^ノシ 64:会計:15xx/02/09(月) 17 48 12 ID GOD3monR 210やっぱ戸部先生じゃね?牧之助は普通に圏外だろw 65:会計:15xx/02/09(月) 17 50 01 ID IKAIkcoA 左門も三郎も学園長もお前らいい加減にしろちくしょおおお!!!!orz 276 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/11(水) 00 48 54 ID NxLKVAv70 ネタが分かりにくかったらすみません 健康的な体を目指すスレ 1 :発電中の忍者さん:15XX/2/7(土) 21 31 15.62 ID 1hoken39 忍者には天井裏・床下での諜報活動、機敏な動き等が求められます。 三食を規則正しく摂り、適度な運動をして健康的でかつ活動しやすい身体を目指しましょう。 程よい筋肉は基礎代謝を上げるのでつけた方がいいと思います。 あ、でも筋肉のつけすぎで「ガチムチぼでい」になると町人に紛れたり変装しにくくなるので気をつけてね! 2 :発電中の忍者さん:15XX/2/7(土) 21 31 25.00 ID INranDR いつも一緒にいる友達の一人がぽっちゃり体型。 食べることが趣味みたいなものだから食事量は減らせないと思うのですが、どうすればいいですか? 3 :発電中の忍者さん:15XX/2/7(土) 21 31 52.16 ID 1hoken39 2 うーん 成長期はやっぱり食べて動くが基本なんだけど、加えてツボ押しなんてのもいいと思うよ。 耳には飢点・胃点・肺点という3つのツボがあってね。 飢点は耳の穴前の「耳珠」呼ばれる小さな突起の斜め……ってここだと分かりにくいね。 良かったら医務室に来てもらえるかな?僕がやるから。 これ、ひとつきで一貫近く減量出来たりもするらしいからお薦めだよ。 4 :発電中の忍者さん:15XX/2/7(土) 21 31 25.00 ID INranDR ( ゜Д ゜) あ、ありがとうございます : 【何でも】スレを立てるまでもない悩み相談【ござれ】 50 :優しい忍者さん:15XX/2/9(月) 18 34 25.39 ID 1hoken39 最近一年は組に避けられてる気がするんだけど… 知らないうちに何かしちゃったのかな? 51 :優しい忍者さん:15XX/2/9(月) 19 34 58.11 ID kMTMsan これか? >【下級生限定】上級生が怖い >496 :15XX/2/7(土) 10 31 25.00 ID 1haSinBe >やばい!保健委員会の某Z先輩の話なんだけど、 >なんとたったの一突きで体重が減るような物凄い突きをやるらしいよ!! >健康法らしいけど…怖すぎる…((((;O;))))ガクガクブルブル 52 :優しい忍者さん:15XX/2/9(月) 21 39 34.14 ID 5bamboo8 保健委員長最強説ktkr…ゴクリ… 284 名前:コピペ改変です:2009/02/11(水) 13 37 29 ID AjOarP+c0 【社会】忍術学園入門率ついに100%に―事務員の実態調査で判明 先月27日に実施された、忍術学園の利用に関するアンケートで 忍術学園入門率が100%となっていたことが明らかになった。 学園長大川平次渦正は「非公開の忍術学園の住所が漏洩している可能性がある」 とのコメントを発表し、緊急の対策委員会を開いた。 調査したのは、事務のヒラ事務員小松田秀作(16)。 今年一月に入門表サイン時にアンケートを実施し、約二十三人から回答を得た。 288 名前:4-1:2009/02/12(木) 06 00 26 ID LTFq4FO70 270 :おしゃれ忍者さん:2009/02/12(木) 10 12 56 ID TOmoM9/1 はいはーい!くの一集合ー!! 271 :おしゃれ忍者さん:2009/02/12(木) 10 13 03 ID kuiKeSoKo 何なになになに!?美味しい話?昼食の話?デザートはメロンちゃん!!?ウヘーイ!!! 272 :おしゃれ忍者さん:2009/02/12(木) 10 15 01 ID riVErSiGe 271 食べる事ばっかりなのですねぇ 273 :おしゃれ忍者さん:2009/02/12(木) 10 15 24 ID AYakAchan 271 アンタどういうテンションなの… 274 :おしゃれ忍者さん:2009/02/12(木) 10 16 55 ID TOmoM9/1 いやー学級委員長ってこういう掛け声の特権あるみたいで案外面白いのねw でも用があるのは別の子なの。あと食いもんの話じゃねーわよ 271 275 :おしゃれ忍者さん:2009/02/12(木) 10 17 41 ID Kun1SnoW はーい用があるのは私なの! えっとね…前にサラサラストレートヘアーランキングっての、あったじゃない? あれでくの一が全く掠りもせず、女も℡yoさんだけってのがあんまりなアレの話なんだけど… 確かに悔しかったけど、私たちも努力すべき点はあったと思うのよね! 276 :おしゃれ忍者さん:2009/02/12(木) 10 19 02 ID MIkkAvv9 275 おお、何かまじめっぽーい!で?で?何かいい方法あるの? 277 :おしゃれ忍者さん:2009/02/12(木) 10 21 49 ID Kun1SnoW サラストランキングだったから悪かったんであって… ゆるふわヘアーランキングならいけると思うの!! 278 :おしゃれ忍者さん:2009/02/12(木) 10 22 15 ID TOmoM9/1 努力まるで無関係ね 279 :おしゃれ忍者さん:2009/02/12(木) 10 24 01 ID riVErSiGe 面倒くさがりですもんねー 280 :おしゃれ忍者さん:2009/02/12(木) 10 25 02 ID MIkkAvv9 あぁ…まぁいいけど…で?そのランキング誰が集計すんの? 277がやんの? 281 :おしゃれ忍者さん:2009/02/12(木) 10 27 09 ID Kun1SnoW まっさかwwwwそんな面倒な事あたしがするわけないでしょwwwwwww 髪っつったらあの4年でしょ。甘酒で釣れるなんてちょろいもんよね。今頃集計してる頃じゃない? ゆるふわだけじゃなくて、髪結いならではのランクも作ってねって言っといたし、結構楽しめるかもよ 282 :おしゃれ忍者さん:2009/02/12(木) 10 28 51 ID kuiKeSoKo バナナー!!! 283 :おしゃれ忍者さん:2009/02/12(木) 10 30 42 ID Kun1SnoW まあ、待ってればその内ランキング出来上がってくるでしょ 1年のはなみずの妹ちゃんからカステラ貰ったの。みんなで食べながら待ってましょ 284 :おしゃれ忍者さん:2009/02/12(木) 10 31 45 ID kuiKeSoKo 南蛮菓子ktkr!!!最高!!!!妹ちゃん愛してる!!!!!! 285 :おしゃれ忍者さん:2009/02/12(木) 10 29 49 ID TkmShioRI 284 何なのそのテンション 286 :おしゃれ忍者さん:2009/02/12(木) 13 23 01 ID kuiKeSoKo 肉うどーん!!!! 287 :おしゃれ忍者さん:2009/02/12(木) 13 25 02 ID MIkkAvv9 今日のおうどん美味しかったね。某しめりけのはなみずのリクエストだったみたいだよ 288 :おしゃれ忍者さん:2009/02/12(木) 13 27 24 ID kuiKeSoKo mjd!?最高!!!!某はなみずあいしてる!!!!! 289 :おしゃれ忍者さん:2009/02/12(木) 13 30 50 ID AYakAchan その発言は問題あるわねえ 290 :おしゃれ忍者さん:2009/02/12(木) 13 32 01 ID riVErSiGe わ、渡しませんから!!!!11!1 291 :おしゃれ忍者さん:2009/02/12(木) 13 34 01 ID kuiKeSoKo 290 あ、ごめん落ち着いた。いらないから大丈夫 d=d(*^p^*)b=b 292 :おしゃれ忍者さん:2009/02/12(木) 13 35 27 ID riVErSiGe 291 それはそれで失礼です・・・・・・ 293 :おしゃれ忍者さん:2009/02/12(木) 13 37 42 ID Kun1SnoW アンタら漫才やってる場合じゃねーわよ!バナナからランキング届いたよ!!! あとはトモミちゃん!ヨロシクね!! 294 :おしゃれ忍者さん:2009/02/12(木) 13 39 49 ID MIkkAvv9 wktk 295 :おしゃれ忍者さん:2009/02/12(木) 13 41 01 ID TOmoM9/1 何で私に任すのよ…まぁいいけどそれじゃ早速…あ、5位までなんだ えっと、まずはゆるふわランキングから 1位は『伝子さん』!!!1!1!??? 296 :おしゃれ忍者さん:2009/02/12(木) 13 42 19 ID TkmShioRI でっ…!バナナ通過後の事か!?通過後の事なのかーーー!? 297 :おしゃれ忍者さん:2009/02/12(木) 13 43 01 ID TOmoM9/1 うう…確かにあれはゆるふわよね… それじゃあ2位は…えーっと『三反田数馬』 298 :おしゃれ忍者さん:2009/02/12(木) 13 45 50 ID Kun1SnoW 誰だっけ 299 :おしゃれ忍者さん:2009/02/12(木) 13 46 09 ID AYakAchan 知らん。男子忍たまの誰かじゃね? 300 :おしゃれ忍者さん:2009/02/12(木) 13 48 45 ID TOmoM9/1 3位『綾部喜八郎』、4位『上ノ島一平』、5位『久々知兵助』 特別枠『不破雷蔵』タカめもコメント“ふわふわ~^ω^W ”・・・ 301 :おしゃれ忍者さん:2009/02/12(木) 13 49 53 ID Kun1SnoW ふわふわ~^ω^W じゃねぇえええええええええ!!!! あたし!!あたしは!!?この完璧なゆるふわをもってしても圏外なの!!??? 302 :おしゃれ忍者さん:2009/02/12(木) 14 52 01 ID riVErSiGe 301 あわわわ落ち着いて落ち着いて…メンツ見ると仕方ない気もするですけど… 303 :おしゃれ忍者さん:2009/02/12(木) 14 55 05 ID TOmoM9/1 それじゃあ次のランキング…えーとナイポニランキング 304 :おしゃれ忍者さん:2009/02/12(木) 14 46 19 ID MIkkAvv9 何それ 305 :おしゃれ忍者さん:2009/02/12(木) 14 58 05 ID TOmoM9/1 ナイスポニーテールの略だって 1位『トモミちゃん』 ですって!嬉しいわねwww 2位『中在家長次』、3位『川西左近』、4位『二ノ坪怪士丸』、5位『夢前三治郎』 306 :おしゃれ忍者さん:2009/02/12(木) 14 59 49 ID TkmShioRI やっとくの一教室来たね!1位オメ!! 307 :おしゃれ忍者さん:2009/02/12(木) 15 03 15 ID TOmoM9/1 サクサク行くよ~ キリマゲランキング。髷ね、髷。あたしら関係ないわね 1位『福冨しんべヱ』、2位『食満留三郎』、3位『伊賀崎孫兵』、4位『能勢久作』、5位『皆本金吾』 308 :おしゃれ忍者さん:2009/02/12(木) 15 04 42 ID Kun1SnoW フーー( ´_ゝ`)ーーン 309 :おしゃれ忍者さん:2009/02/12(木) 15 06 01 ID riVErSiGe しんべヱさまさすがです~!!!!!!! 310 :おしゃれ忍者さん:2009/02/12(木) 15 08 50 ID TOmoM9/1 そんでふかもさランキング。ふかふかもさもさの略かしら?えっと… 1位『久々知兵助』、2位『不破雷蔵』、3位『鉢屋三郎』、4位『七松小平太』、5位『次屋三之助』 311 :おしゃれ忍者さん:2009/02/12(木) 15 10 40 ID AYakAchan 何この5年祭り。つか鉢屋はあれ変装だっつーに… 312 :おしゃれ忍者さん:2009/02/12(木) 15 12 19 ID kuiKeSoKo オトウフ(゚∀゚)ウマウマ!!!!! 313 :おしゃれ忍者さん:2009/02/12(木) 15 15 04 ID TOmoM9/1 次はコメント付きね。マジカラランキング?えーとマジでカラフル…忍者としてどうなのそれ… 1位『斉藤タカ丸(金髪だよ~^ω^W)』2位『三反田数馬(紫って綺麗だよねぇ)』 3位『池田三郎次(緑成すなんとか~!)』4位『時友四郎兵衛(アッシュグレイって言うのかなぁ)』 5位『ユキちゃん(オレンジー!)』 ほらユキちゃん入ってたよ! 314 :おしゃれ忍者さん:2009/02/12(木) 15 17 42 ID Kun1SnoW 何か微妙~…忍者としてどうなのって言ってるしぃ…オレンジーって色だけ言われても… 315 :おしゃれ忍者さん:2009/02/12(木) 15 19 41 ID riVErSiGe あう、何と言うか…言葉のあやと思えばいいですよ… 316 :おしゃれ忍者さん:2009/02/12(木) 15 21 04 ID TOmoM9/1 何かごめんね…えっとあとは…これひどランキング…これはひどいの略… 317 :おしゃれ忍者さん:2009/02/12(木) 15 22 49 ID TkmShioRI それはひどい 318 :おしゃれ忍者さん:2009/02/12(木) 15 24 04 ID TOmoM9/1 1位『土井先生(酷い、酷すぎる!枝毛に切れ毛!信じられない!!)』 2位『竹谷八左ヱ門(ボサボサすぎ!すぐ切れそうな毛ばっかり!!)』 3位『潮江文次郎(生活が不規則で髪に栄養が行きわたってない!!)』 特にひどい人なので3位までで終わりだそうよ。次は…あ、これで終わり…みたいね… 319 :おしゃれ忍者さん:2009/02/12(木) 15 25 40 ID AYakAchan 何だかサラストランク以上に微妙な気分になったわね 320 :おしゃれ忍者さん:2009/02/12(木) 15 26 19 ID riVErSiGe 第一人数の比率がおかしいんですよ比率が! 321 :おしゃれ忍者さん:2009/02/12(木) 15 26 55 ID TOmoM9/1 ユキちゃんあんまり落ち込まないでね。元気なのが似合ってるんだから 322 :おしゃれ忍者さん:2009/02/12(木) 15 28 19 ID kuiKeSoKo 食べたいけどこのお饅頭あげるから元気だして!食べたいの!!美味しいよ!!食べたいの!!!! 323 :おしゃれ忍者さん:2009/02/12(木) 15 29 49 ID TkmShioRI 322 その饅頭食っていいからもう黙って 324 :おしゃれ忍者さん:2009/02/12(木) 15 32 42 ID Kun1SnoW そっか…そうだよね……あたしが間違ってたんだよね…… 325 :おしゃれ忍者さん:2009/02/12(木) 15 35 51 ID TOmoM9/1 ユキちゃん…えっと、何て言えばいいか… 326 :おしゃれ忍者さん:2009/02/12(木) 15 37 42 ID Kun1SnoW ゆるふわカラフルでつい触りたくなるおしゃれ美人で くの一教室の素敵な髪ランキングにすればいいのよね!!!!!!!!!! よっしゃあバナナ待ってなさいよ!!!!!今すぐ作って貰うんだからぁ!!!!!!!! 327 :おしゃれ忍者さん:2009/02/12(木) 15 38 50 ID AYakAchan 326 326 326 326 326 328 :おしゃれ忍者さん:2009/02/12(木) 15 39 49 ID TkmShioRI 真剣になったのが馬鹿みたいwwwww心配して損したわwwwwww 329 :おしゃれ忍者さん:2009/02/12(木) 15 43 01 ID TOmoM9/1 まぁユキちゃんらしいと言うか…何というかねぇwww 330 :おしゃれ忍者さん:2009/02/12(木) 15 46 19 ID riVErSiGe でもあのランキングじゃ1位はシナ先生になるに1票 331 :おしゃれ忍者さん:2009/02/12(木) 15 48 50 ID kuiKeSoKo 330 同じく!!今日の夕飯賭けてもいいよ!!!!むしろみんな賭けて!!!!!! 332 :おしゃれ忍者さん:2009/02/12(木) 15 49 49 ID TkmShioRI アンタも最後まで食い物ばっかだったわね
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森にほど近い、ぬかるんだ街並みを、音を立てて走る一台のバスがある。 その小型バスの側面には『灰熊飯店』という文字が描かれている。 グリズリーマザーの宝具である、屋台だ。 その車内には、ヒグマが2頭、人間の姿をした者が5名乗り込んでいる。 ヒグマの一頭は、もちろんこの屋台を運転している青毛のヒグマ、グリズリーマザーだ。 そしてもう一頭は、人間に近い骨格をし、ナース服を纏っているヤスミン。 彼女の座席の反対側には、黒いカソックを纏った修道士、言峰綺礼が黙然と座っている。 ヤスミンも彼も、しきりに車外を気にかけているようだ。 後部座席の方には、4人の人物がかたまっている。 青いつなぎを着て、油気の無い髪を粗いポニーテールにしている血色の悪い少女、黒木智子。 小学生ほどの体格ながら、利発そうな雰囲気を隠さぬ白人の少年、クリストファー・ロビン。 あえて無個性を醸し出しているかのように特徴を沈めた、黒髪とそばかすの少女、穴持たず696。 頭部に奇怪な塔を載せた、巫女風の衣装の背の高い娘、扶桑。 一見してあまりにもアンバランスなグループに思える彼女たち4人はしかし、会話の輪を作って談笑している。 中でも、穴持たず696――戦刃むくろという名を持つヒグマの表情が、群を抜いて嬉しそうだった。 「修学旅行でもこんなに話したことなかった。あなたたちと話していると本当に楽しい」 「それはお姉さんたちが綺麗で素晴らしい人だからですね。僕もお話しできて楽しいです」 「ありがとうございます、ロビンさん。でも、褒めても何も出せませんよ?」 「……戦場でのレーションの美味しい食べ方の話とかは、普通に興味深かったし」 ロビン、扶桑、黒木智子、と会話が続く。 戦刃むくろの記憶と姿を持つ彼女は、嬉々とした表情で、次なる話題を提供しようとしていた。 「じゃあ、次は何かみんなでゲームをしてみない? 修学旅行でもできなかったから。 ずっとしてみたかったの、バスの中でみんなでゲームするって」 「へぇ、例えば何ですか?」 「ええと、ええと……。例えば伝言ゲームとか、ビンゴとか……、早口言葉とか!」 「ああ、じゃあやってみますか? 早口言葉。――どうですそっちの皆さん?」 クリストファー・ロビンが、前の座席の者たちに話を振った。 言峰綺礼が、ヤスミンやグリズリーマザーと顔を見合わせる。 依然として流れてゆく周囲の景色に警戒しながら、苦々しく彼は言った。 「……あまり気を抜き過ぎるなよ少年。何がやってくるかわからんのだからな」 「……ええ。少し、緊張感を持っていた方が良さそうです」 「……ごめんねマスター。でも、そろそろおしゃべりは切り上げとくれ」 ロビンの問い掛けには意外にも、明かな反対票が3つ返ってきた。 そばかすの少女は、きょとんとした表情を浮かべていた。 「えっ――、駄目なの……? バ、『バスガス爆はちゅ』……」 「噛んでますよ、むくろさん……」 「せめて『バスガス爆発しかし奇跡的に死傷者ゼロ』って言えよ。縁起悪い……」 呆然と呟いた彼女の言葉には、周囲の女子から一斉に苦言が返る。 扶桑が智子の流暢な早口言葉に拍手する中、穴持たず696は風船が萎むように一気に項垂れてしまった。 「わ、すごいですね智子さん」 「いや、カッコだけでも声優目指した奴なら、誰でもこれくらい言えるから」 「え……? 私、智子さんに滑舌で負けたの……?」 「神父さんのせいでお姉さんの呂律が狂っちゃったじゃないですか。一体なんなんです?」 その様子を受け、ロビンはわざとらしく怒ったそぶりを見せながら、言峰綺礼に難癖をつけた。 言峰は口を引き結び、憮然とした様子でバスの外を指さす。 「――この森の異様な雰囲気がわからんのか少年。森の王者を気取っておきながら、大層な名折れだな」 「なんだって――?」 指し示される北側の森へ、ロビンはバスの窓を開けて身を乗り出していた。 「ぬっ――?」 その瞬間かすかながら、彼の鼻にも分かるほどの異臭が、車内へと吹き込んでくる。 ヒグマの要素を含んでいる4名が、それで一斉に顔をしかめた。 特に近かった穴持たず696と扶桑などは、思わず顔を背けたほどだった。 グリズリーマザーが、後部座席に首を捻って叫びかける。 「窓閉めとくれ! 何が入ってくるかわからないんだ!」 「あ、ああ……。この臭いは、一体……」 ロビンが眼を見開きながら、窓を閉める。 先程のほんわかした様子から一転して、戦刃むくろが臨戦態勢を取りつつ、急激に交感神経を張り詰めていた。 「――血の臭いだ。それも、とんでもなく大量の……」 「……え、ええ。間違いありません。でも、なんでこんなに……?」 「ちょっと、お二人さん。アンタらがヒグマに出会ってたってのはここらへんなんだよねぇ……? ……それはこんなに、血腥い戦いだったのかい?」 「いいえ……、そんなことは……」 既に一行の屋台は、G-4の廃墟の街の中へと入ってきていた。 戦刃むくろと扶桑の話によれば、このあたりで、彼女たちは数頭のヒグマおよび、先程も戦闘を行なった浅倉威などの人物に出くわしていたはずなのだ。 だが暫くグリズリーマザーが屋台を走らせてみても、廃墟には静けさがあるのみ。 人の気配はおろか、生きているものの息遣いすら感じられない程ひっそりとしていた。 そして外気から漂ってくるのは、ただ異様な血臭だ。 血の色などどこにも見当たらないのに鼻を突いてくるということは、その遠くの血だまりが、相当に大量であることを示している。 一般人に過ぎない黒木智子にすら、これらの雰囲気は並々ならぬ緊張感をもたらすに足る。 G-4の廃墟の、北東の端。 もうほとんど彼女たちは、その位置にいた。 グリズリーマザーは、次第に屋台のバスを走らせる速度を、落としていく。 先に進めば進むほど、外気の血臭が、どんどんと濃くなっていくためだった。 「この先の森……、北東側から漂ってきているものとみて、間違いなさそうですね」 そしてついに、森の目の前で、バスは止まった。 ヤスミンが静かにそう言って、腰にストックしている包帯を整え始める。 言峰綺礼が、理解しがたい、というような表情で、彼女の所作を見つめていた。 「……おい。まさか、わざわざこの先の森に入って行くつもりではないだろうな!?」 「そのつもりですが、何か? これだけの血臭となれば、只事ではありません。 相当数の負傷者が見込まれますので、駆けつけない訳には行きません」 「負傷者だと……? こんな常軌を逸した血液量の負傷者がこの島にいてたまるか。 ……当然、まず何かしら強大な吸血種か……、二十七祖に匹敵するような死徒の存在を考えるべきだ」 言峰の口から発せられた聞き慣れない単語を理解できたのは、黒木智子だけだった。 ――吸血種。 中でも死徒とは、俗にいう吸血鬼のような存在だ。 真祖と呼ばれる吸血種から血を流し込まれ、その性質を受け継いでしまった眷属。 人間の寿命を遥かに超えた年月を生きる彼らは、総じて人知を逸した能力を獲得してその肉体を保っているという。 今まで吸血鬼を始めとした異端を日常的に狩ってきた埋葬機関の者として、その可能性は言峰にとって当然考えなければならないものだった。 それは智子にもわかる。 だが同時に、ここは恐らく言峰のいただろうFate/Zeroの世界ではない。 この先にいるのが死徒である可能性もZeroではないが、そうでない可能性もZeroではない。 「……何にせよ、敵が居そうなことには変わりない。智子さん、武装を整えるよ」 「え……、あ、ああ……」 穴持たず696は鋭い眼差しで、智子にデイパックを開くよう指示する。 そのまま流れるような動作で、彼女は無事な右手に、智子に奪われていた自分の拳銃を掴もうとする。 瞬間、彼女の胃に叩き込まれていたのは、強烈なボディーブローだった。 「おぐぅ――!?」 「ごめんね、解除した武装をナチュラルに再装備しないでくれるかな、むくろさん」 「そうですよね、まだ信頼されきってませんよね私たち……」 クリストファー・ロビンが向き合う彼女へ、容赦ない腹パンを心苦しそうに見舞っていた。 手術痕を責められて悶える彼女をさすりながら、扶桑が申し訳なさそうに頭を下げる。 戦刃むくろの顔を零れる涙は、痛みのためなのか悔しさのためなのかわからなかった。 「くっ……、うっ……、早口言葉で盛り上がっていれば、こんなことには……」 「むくろさんね、仮に試合会場まで一緒のバスに乗ったとしても、相手チームは相手チームなんだよ……」 「むくろさん、今は静かにしておきましょう……。お体にも障りますし」 「一緒に話したところで、それとこれとは別なんだよな……。わかる。辛いよな」 「そうです。相手チームは相手チームでも、むくろさんは可愛いですし、大事に扱われるべき人なんだ」 後部座席の3人から一斉に頭を撫でられ、彼女は泣いていた顔を次第に明るくさせていく。 智子と扶桑は、明らかにロビンが飴と鞭で穴持たず696を懐柔しているらしいことが察せたが、当の彼女が満足そうだったのでそっとしておくことにした。 ○○○○○○○○○○ 「吸血生物か何か知りませんが、大規模な戦闘か、負傷者がいただろうことには変わりないでしょう。 医療者としては、診察もせずに退けないのですよ、キレイさん」 「強情を張るのは、我々の持つ物資を省みてからにしたらどうだ。 聖書もない。黒鍵もない。お前の包帯が聖骸布だというならまだしも、こんな装備では死徒の浄滅など困難に過ぎる」 前方の座席では、通路を挟んで言峰とヤスミンが言い争っている。 お互いに想定する状況が食い違っている状態では、意見が一致するはずもない。 その時、グリズリーマザーが外の音にぴくりと耳を欹てた。 「ちょっと、静かにしとくれ! 何か外から聞こえる――」 「何……?」 後ろの智子たちも含めて全員が押し黙ると、静寂が漂う車内に、その音が届いてくる。 「I will give my love an apple without e er a core―― I will give my love a house without e er a door―― I will give my love a palace wherein he may be―― And he may unlock it without any key――……」 それは、歌だった。 物憂げで、哀切な、それでいて激情を秘めているような歌声だった。 遥か遠くから、切々とひしりあげる歌声が、大気に拡散しながら届いてきている。 どこか遠くから、想像を絶するような大声で歌っているに違いなかった。 それでいて、歌はどこまでも静かだった。 月に向かって、煌めく剣がするすると昇ってゆくような声だった。 人ならざる、声だった。 クリストファー・ロビンが、席を立った。 信じられない、といった面持ちで、彼はグリズリーマザーの座る運転席のすぐ傍までやってきていた。 「……グリズリーマザーさん。あの声の方に行ってくれ」 「なんだって!?」 「あっちで歌ってるのは、間違いなくイギリス人だ。この歌は、呼んでる。僕たちを……!」 「うわっ、ちょっと――!?」 クリストファー・ロビンは言いながら、グリズリーマザーの脚の隙間からアクセルのペダルを踏み込んでいた。 再び動き始めたバスの後部から、智子が首を伸ばす。 「お、おい、ロビン――!? い、一体どういうことなんだよ!?」 「……これはイングランド民謡なんだ。この歌を口遊むということは、明らかにイングランドの出身。 少なくとも、相当イギリス暮らしが長くなきゃ、このラブソングは出てこないだろう」 生粋のロンドンっ子であるクリストファー・ロビンは、確信に満ちた眼差しで振り返った。 「そしてこの歌は、明らかに人を恋しがってる。人を呼んでいるんだ。行ってやらなきゃ!!」 「……わかったよ、運転するから足を外しとくれ」 使命感に燃えたロビンの語気に、グリズリーマザーがステアリングを握り直した。 ヤスミンが、言峰の方を向き直る。 「……イギリス人ということでしたが。チュパカブラの生息地ではありませんよね、キレイさん?」 「……いや、イギリスにも死徒はいるだろうし、そもそもどうしてこんな大きな声が出せるんだ……」 この先にいるのがイギリス人である、という信憑性の高い情報を受けたことで、言峰の反論は尻すぼみになっていった。 後部座席では、腹パンされた手術痕をさすりながら、穴持たず696が首を捻っている。 「『恋人にあげる芯の無いリンゴ。恋人にあげるドアのない家。 恋人にあげる彼の住む城。彼が開けるのに鍵はいらない』――? 確かにラブソングだろうけど、変な歌詞……。 何か、謎かけみたいな……。どういう意味だろう……」 「え……!? お、お、お前、さっきの今で、あの歌リスニングして翻訳したのか……!?」 「は?」 その呟きに、黒木智子は凄まじい驚愕と共に慌てふためいた。 彼女の動揺の理由がわからず、そばかすの少女はあっけらかんと追い打ちをかける。 「いや、少しでも傭兵経験した人なら、誰でもこれくらい英語使えるから」 「はぐぁ……」 何の他意もないその言葉に、黒木智子は大ダメージを受けて絶句した。 がっくりと座席に沈み込み、口からはぶつぶつと呪詛のような呟きが漏れてくる。 「え……? 私、こんな残念な奴に語学力で負けたのか……? しかも何今のセリフとドヤ顔……。意趣返しか……? 意趣返しのつもりなのか……?」 「ちょっとちょっと……、大丈夫……?」 「お具合でも悪いのですか智子さん……?」 急変した智子の様子に、戦刃むくろと扶桑の顔が心配そうに覗き込んでくる。 彼女たちに自嘲的な笑みを返し、智子はのろのろとデイパックの中から何かを取り出した。 「負けた……。負けたよ、ほら」 「え……?」 そうして智子が穴持たず696に手渡したのは、先程の彼女が奪おうとしていた拳銃、コルトM1911だった。 彼女は瞬時に、周囲に目を走らせる。 クリストファー・ロビンを始め、前方に座る者はみな進行方向を注視しており、彼女たちの様子に気付いていない。 むしり取るように拳銃を掴み、隠してから、彼女は声を落として智子に耳打ちした。 「……ありがとう智子さん。でもどうして? 私たちがあなたたちを陥れようとしてたことは、わかってるんだよね?」 「いや、この状況で飛び道具ぶっぱするようなバカビッチじゃねぇだろ、お前は。 ……私が持ってても、大した意味、無かったし。使える奴が持ってた方がいいよ」 「確かに、今の私たちは、捕虜みたいなものだけど……」 穴持たず696は、口ごもった。 目の前に座る血色の悪い少女の真意は、読めない。 戦刃むくろとして、彼女たちやこの一行には、とても手厚いもてなしを受けたことは理解している。 彼女たちとの話しは、受け継いだ記憶を含む今までの人生の中でも、まれに見るほど楽しかったことも間違いない。 それでも彼女には、与えられた使命があった。 戦刃むくろは、絞られるような胸を押さえ、言葉を紡いだ。 「……それでも私は、隙をついてあなたを襲っちゃうかも知れないんだよ?」 「……そうか。私は、親近感を感じてたんだがな」 智子は、むくろの言葉に額を掻く。 ぼさぼさの黒髪を赤いネクタイでポニーテールにし、漫然と青い作業服をお仕着せられているその少女は、そんな乱れた格好の中にも、一本芯を徹したようだった。 戦刃むくろの姿を見ることは、智子にとって、あたかもかつての自分を客観視しているようだった。 つまらない物事に拘泥して、山のように残念な振る舞いを重ねている様が、放っておけなかった。 智子は一歩引いた位置から、そんな鏡写しのような彼女の姿を、自分に重ねて見つめられた。 「……修学旅行で早口言葉とか、やりたくても、できなかったし。 そんなことできる友達とか、いなかったしな……」 ぼやくようなその言葉も、鬱積した怨嗟からではなく、過去を懐かしむような慕情で呟かれた。 戦刃むくろ自体が、さっきまで談笑していた少女を即座に撃ち殺すなどという、器用な切り替えができる人間に見えなかったのは確かだ。 だが彼女がどう反応しようと、もう智子にはどうでもよかった。 智子は満足していた。 重要なのは、今の自分が、銃などなくても自分を見つめられるという、確信を得たことだった。 その智子の手がふと、がっしりと強く掴まれた。 「……ありがとうっ! あなたは仲間……。友達よ。あなただけは、私がきっと守ってあげる。 盾子ちゃんに言われても、きちんと説得してみせるから!!」 眼を上げれば、戦刃むくろが眼を潤ませて、智子に握手をしていた。 友達がいない――。 戦刃むくろの学生生活の中で、そんな悩みを共有できるような人物は、ほとんどいなかった。 それはそうだ。友達がいないのだから。 影のように息を潜め、ことあるごとに妹からいびられ、想い人にはほとんどアプローチできない。 周りの人からは、見た目からクールな人物に思われていたようだが、それすら確証はない。 本当は戦刃むくろだって、妹のように楽しく明るくはっちゃけたかったのだ。 しかしそんな願いは、心の奥底に仕舞われていたのみで、今まで外に出すことを許されなかった。 その閉ざされていた鍵を、クリストファー・ロビンや黒木智子は、いとも簡単に開いていた。 「お、おう……。手、痛いから離して。握力強すぎ……」 「あ、ご、ごめんなさい! 大丈夫!?」 戦刃むくろは、扶桑の見守る中、おろおろと智子の手をさすり、慌てふためいている。 よっぽど人付き合いに飢えていたんだなぁ。と、黒木智子は自分のことのようにしみじみと感じいった。 ○○○○○○○○○○ 森の中には、屋台バスはすんなりと入りこめた。 そのまま、ほとんど何の障害もなく、進めた。 そしてそれこそが、問題だった。 「……血液ですね。本当に、夥しい量の……」 「音に聞く『腑海林アインナッシュ』……。いや、もはや何なのか見当もつかん。 どうなっても知らんぞ私は……!!」 「……このままだと、崖っぷちまでいっちまいそうだねぇ……」 フロントガラス越しに、前部座席の者たちは、周囲の有様を食い入るように見つめていた。 その森の内部は、赤黒い『死』に満ちていた。 木々は養分を吸い尽されたように立ち枯れ、その周りには血液と思しき大量の赤黒い痕が残っている。 窓は閉め切っているはずなのに、車内まで既に血臭で満ちている。 虫や小動物まで、吸い尽されたように消えていた。 生気の感じられぬ森の中、ただクリストファー・ロビンだけが、まっすぐに、歌声のした方向を見据えている。 「I will give my love an apple without e er a core―― I will give my love a house without e er a door―― I will give my love a palace wherein he may be―― And he may unlock it without any key――……」 遮るもののない森の中、誘うようなその歌声は次第に近づいている。 それでもなお、男性の声なのか、女性の声なのかすら判然としない。 単独の声なのに、混声合唱のように、ぎちぎちと様々な音階の声が混ざっているようにすら聞こえてくる。 既に、話しこんでいた黒木智子と戦刃むくろも、緊張に身を固めている。 扶桑が、意を決したようにバスの前方へ歩み寄っていた。 「あの、皆さん……。僭越ですが、私が偵察をしましょうか? 零式水上偵察機を飛ばして、先にこの歌い手の方をみつけてきますので……」 「そりゃ助かるねぇ……。是非そうしとくれ」 誰もが、ただならぬ気配を感じぬわけにはいかなかった。 グリズリーマザーの肯いに、車内の全員が沈黙のままに頷く。 ヤスミンの考えるように傷病者がいるなら、それはそれで治療や救護の準備ができる。 言峰綺礼の考えるように吸血鬼がいるなら、それはそれで撤退や応戦の準備ができる。 扶桑がゆっくりと窓を開け、カタパルトから小さな水上偵察機を飛ばした。 視界をカノピー越しに同調させて、扶桑の意識は重い空気を切り裂いて飛ぶ。 グリズリーマザーはバスの速度を落とし、瞑目する扶桑の言葉を待った。 「見えて……、来ました。もう崖の方ですね。森の切れた一角が――」 扶桑の意識を乗せて水上偵察機は、赤く枯れた森の先へと飛んだ。 開けた視界には、島の北東の海が、日差しを反射して輝いていた。 そして同時に、その視界には、何かが映った。 表現しようもない姿をした、大きく赤黒い何かだった。 扶桑は、名状する言葉を失った。 恐怖に、言葉が詰まった。 その瞬間、彼女の視界は、赤く埋まった。 「ぎゃあぁぁぁぁ~~――!?」 「ふ、扶桑!? どうしたの!?」 背の高い彼女の姿が、捩れた。 白目を剥いた結膜の血管が切れ、鼻血が噴き出した。 絞られるような絶叫と共に喀血し、倒れ込んだ彼女は、駆け寄った戦刃むくろに抱き留められていた。 「扶桑!? 扶桑、しっかりして!!」 「――く……、喰われ、た。偵察機が、そのまま、あの赤に、飲み込まれて、噛み潰されて――。 私の意識まで、持っていかれそう、で……。なんて速さ……」 意識を取り戻した扶桑は、血塗れになった口元を押さえながら、呆然と呟き続ける。 見開かれた目には、切れた毛細血管からの血がじわじわと浸み出してくる。 言峰がしびれを切らしたように立ち上がった。 「――やはり死徒か!! 死徒がいるんだな!? この先に!! 気づかれる前に逃げるぞ!!」 「ダメだよ神父さん。もう『見られた』。それに、向こうから僕らを、お招きのようだ」 叫んだ言峰の声を、クリストファー・ロビンが遮った。 彼らの見据える先で、立がれていた木々が、更にしおれてゆく。 何も邪魔するもののない真っ赤な道が、島の崖の方まで、一直線に形成されていた。 「ご丁寧な歓迎だよ。まるでレッドカーペットだ……。そうだろう?」 ロビンはデイパックの中から取り出した丸石を弄び、興奮した笑みを浮かべていた。 ○○○○○○○○○○ 「や、や、やめて! 行くんじゃねぇよ、おい――!!」 「ちょっと待って! 扶桑の偵察機を一瞬で落とした相手よ!? なんで突っ込んでいくの!?」 再び走り始めたバスの中で、黒木智子と戦刃むくろが、慌てて叫んでいた。 だがグリズリーマザーは歯を噛み締めながら、一層アクセルを踏み込んでゆく。 言峰もヤスミンも、固く身構えたまま押し黙っていた。 「……ここまで大規模にやってきてる相手だ。後ろを見せたらその方が危ないんだよマスター……。 あんな小さな偵察機まで見逃されないなら、むしろ話し合いが有効な線を見込んだ方がマシさ……」 「なに、相手は英国紳士さ。少々血腥かろうと、これだけ真摯に迎えてくれてるんだから、何も心配することはない」 苦渋が滲み出ているグリズリーマザーの言葉に、ロビンが軽口のように合わせた。 だが黒木智子は、嫌な予感がぬぐえなかった。 「お、おい待てよ、ロビン――! 頼むよ、下手なこと、しないでよ!!」 血臭。 イングランド。 吸血種。 相当イギリス暮らしが長くなきゃ、このラブソングは出てこない。 偵察機を一瞬で落とした相手。 英国紳士。 数々のキーワードが網目のように絡まり、智子の記憶から、ある恐ろしい人物名を掬い上げてきていた。 その予感が外れてくれることを祈りながら、智子はロビンの袖を、きつく掴む。 彼女は震えていた。 自分を想ってくれるこの小さな逞しい子供がいなくなってしまうような、うすら寒い恐怖が彼女に襲いかかってくる。 「智子さん――」 そんな少女を見つめて、ロビンは苦笑を漏らした。 自分より背の高いその少女に、彼は苦も無く手を伸ばして、その頭を撫でてやる。 「大丈夫ですよ。まぁ見ていてください。きっと、僕の成長を、お目にかけられるはずですから……」 「約束だぞ!? おい、破んじゃねえぞ!? 無事で居ろよ――!?」 眼を見開き、恫喝するように歪んだ顔で、唾液を撒き散らしながら智子は叫んだ。 そして眼を落とし、震えながら、言葉を絞った。 「――絶対に、私と、これからずっと……。一緒にいてくれ――……」 「……ええ、もちろんです」 それは、告白だった。 自分の命を口から流し、捧げ出したような気がした。 熱情とも、ロマンティシズムとも違う、ある種の必死な感情が、智子を突き動かしているようだった。 10歳以上も年下の少年に優しく撫でられながら、彼女は悟った。 この言葉は、呪いだった。 告白とは、男女がその身命を賭して行う、切ない呪いの儀式だった。 相手に離れて欲しくないために、言葉と体を以て、その子を縛る。 決して相手を失いたくないがために交わす契約。 モテるとかモテないとか、そんなチンケな感情を超越した先に、この言葉はあった。 これはあらゆる窮地の中で、最後にすがってもらえる命綱を作るための、恋で編んだ呪詛だった。 『――待ちかねたぞ人間たちよ!! よくぞ来てくれた!! さぁ祝おうではないか! これでこそ、高らかに歌った甲斐があったというものだ!!』 赤い絨毯を過ぎた先で、教会の重い扉のように開けた森の帳の外には、神様が待っていた。 彼らの路は、真っ赤な神の歌声によって、余りにも温かく祝福されていた。 ○○○○○○○○○○ 北東に開けた島の角の崖からは、傾いてきた日差しがキラキラと海原に照り返って見えた。 その手前に、そんな海を隠すように聳え立つ、立方4メートルほどの赤黒い神様がいる。 その神の威容に、一同は呑まれていた。 肉塊が蠢いている。 毛皮が蠢いている。 血液が蠢いている。 爪牙が蠢いている。 全身を歓喜に満たして、その神は赤黒いその肉体を蠢動させた。 毛むくじゃらの手足が生えている。 その数は見えるだけで9本。 鋭い爪を持っている、ヒグマのような太い脚だったが、本来のヒグマとはもちろん違う。 ヒグマは腹や背中から脚を生やしたりしないし、その指や掌だって大きさや長さを絶え間なく変えたりはしないだろう。 その脚は13本に増えて、7本が恭しく下に差し出され、6本が手招きするように上へ翻った。 『勇敢なる人間たちよ、歓迎しよう! さあ、祝宴の時だ、来給え!!』 体の中央部に据えられた顔が、雷鳴のような威厳で声を張った。 心底嬉しそうな子供のようにはしゃぐその顔は、長い顎に乱杭のように牙を並び立たせて血の息を吹く。 その毛皮に覆われた獣の顔はなぜか、仏像か、ギリシャ彫刻かのように整って見えた。 体の至る所から、口が生える。 舌を伸ばし、肉を引き裂いて、ぎちぎちと牙を軋らせて鳴いた。 『ハリー! ハリー! ハリー! ハリー――!!』 まるでローレライのように、過ぎ行く者たちを歌で惹き寄せようと試みていたその神――、ヒグマードは、試みが成功を収め、本当にこの上ないほど上機嫌だった。 「う……、美しい……」 一行の中で最初に呟けたのは、言峰綺礼だった。 誰もが彼の正気を疑うような発言だった。 彼は感動で、震えていた。 今までの森の中の惨状を見ながら、実のところ彼は興奮していたのだ。 頭では、この先に危険しかないことがわかっているのに。 赤黒い血潮に飲み込まれ、蹂躙された生態系の有様が、彼の琴線に触れていた。 友人か恋人同士のようにぐちゃぐちゃに引き潰された2羽のカラス。 誇っていた速さを上回られたのか、驚愕の表情のまま飛ばされた鷹と鷲の首。 高をくくって飛んでいたはずが、捕まえられ内臓から喰い尽された雷鳥の開き。 他人事だと思っていたのだろう殺し合いに巻き込まれ絶望の内に死んだらしい野生生物の死骸に、彼はどんどんと内心の歓喜を募らせていた。 その赤黒い死にまみれた世界は、言峰綺礼という男にとって、例えようもない美しさを感じさせるものだった。 死徒二十七祖、真祖、異端。そんなものでは形容しきれない、陶然たる美。 罰当たりだと思っていた。 罪深い感覚だと思っていた。 神に身命を捧げた者として、その感情は許されざるものだと、断じていた。 しかしその美は、神がもたらしたものだった。 神そのものが、綺礼の目の前に来迎していた。 震えて、脚に力が入らない。 その身が動くならば、綺礼は今にも、この美しく純粋な神に向けて五体投地をしていたことだったろう。 陶酔の極み。 恍惚の至り。 肉を蕩かすようなその感覚に、彼はただ背筋を震わせて佇むのみだった。 「Hello, Sir(こんにちは、小父さん)――」 そして、続いて言葉を発したのは、クリストファー・ロビンだった。 彼は硬直したような一行の空気を引き裂き、バスの扉を開けて、端然と崖の地に降り立っていた。 ロビンの物腰は、あくまで丁寧だった。 相手を不用意に刺激せぬよう、穏やかな口調で、その様子を窺う。 「温かな歓迎、いたみいります。お会いできて光栄です……」 目礼と共に朗らかに為されたその挨拶は、一行の窮地を救うものだった。 恐怖に竦んだまま誰も行動できないで居れば、ヒグマードは痺れを切らし、そのまま一行を飲み込んでいたかも知れない。 ロビンの挨拶に、肉塊は気を良くしたようだった。 『ああ――、こちらこそ嬉しく思うぞ、人間……。……いや、化け物(モンスター)も同行しているようだが』 だが数多の口吻から漏れ出すように声を響かせる赤い肉塊の言葉は、ふとその内に疑念を含んだ。 その瞬間に、バスの中にまで届くほど、濃厚な殺気が辺りを押し包んでいた。 『……よもや、お前たちも、相互理解や保護などという甘ったれた妄言をぬかす輩ではあるまいな?』 ざわざわと、その肉から毛皮が伸びてくるかのようだった。 ロビンは怯まなかった。 逆に彼は、目の前の巨大なヒグマの姿へ向け、胸を張って名乗りを上げていた。 「……いいや、違うね。僕は甘えなどとは無縁。この者たちは、ただ僕が強い者を求め、己を磨き高める様を見届けてもらうための観客に過ぎない。 僕の名前はクリストファー・ロビン。括目して見るがいい。 僕こそは100エーカーの森の大エースにして、この島のヒグマを教導する王だ――!!」 屋台の中の者たちは、彼の言葉に、何も反駁できなかった。 ロビンの気迫は、ヒグマードの身さえ蠢動させた。 その蠢きは、動揺のようにも見えた。 ヒグマードは、くつくつとその巨大な全身を震わせている。 笑っていた。 『――そぉうか! お前かァ!! 待ちかねたぞ、クリストファー・ロビン!!』 そしてその笑いは、爆発のように彼の全身から迸った。 続けざまに、その神の肉体の中から、何かが蠢き生じてくる。 体の正面にあったヒグマの顔が沈み、そこに、形の良い男の唇が、浮かび上がった。 それは凛々しい青年の声で、言葉をしゃべった。 『いいか……俺はお前に失望した』 ロビンには、聞き覚えのある声だった。 『命令に背いたから、“じゃあない”――それは、もういい。 お前にはお前の理由と事情があって、譲れないモンがあって背いたんだろうからな……』 「ま、さか――」 ロビンはその声に、歯を噛み締めた。 声どころか、その言葉は一言一句違わず、彼がかつて聞いたことのある文句だった。 『にも関わらず敗れ去り、そしてそのまま膝をつこうとしてるってーのが、許せねーな……』 ヒグマードはロビンを挑発するように、青年の声で語り続けた。 そして彼は問うた。 弟の成長を確かめる兄のように、煽りを込めて問うた。 『おい、出来たのか? 自分だけの、オリジナル変化球は、よォ……?』 「……食べたんだな。跡部様を。あのヒグマを……」 ロビンはその手に丸石を握り締め、静かに身構えていた。 ○○○○○○○○○○ ロビンの纏う雰囲気が、戦闘態勢のそれに変わったことを、はっきりとヒグマードは察知した。 そうして彼は歓喜のままにその身を蠢かせ、ロビンへと襲い掛かろうとしていた。 『さぁ試してみろ! その託された思いで磨いたという球が、化物に通用するかどうかをなぁ!!』 「おい!! 仮にも英国紳士とあろうものが、ルールもない野蛮な戦いで優劣を決めようというのか!?」 だがその瞬間、ヒグマードの出端を挫くようにして、ロビンが彼を恫喝していた。 屋台の中の人員が息を詰めたまさにその瞬間だった。 ロビンにとって動物とは意思を通わせる友であり、仲間なのだ。 ルール無用の戦闘を行う対象でなく、正々堂々真っ向から打ち砕くべきライバルなのだ。 信じられないことに、その一喝で、ヒグマードは確かにその動きを止めた。 『何……? お前も英国人だというのか?』 「そうだとも。あなたはこんな貴重な機会を潰し、英国の名誉に泥を塗るつもりか? 観客はこれだけいるんだぞ!? グレートブリテンに住まう者ならば、紳士の名に恥じぬ死合いをしろ!!」 ロビンは化物相手に、名誉の話を持ち出していた。 誰もが彼の正気を疑うような発言だった。 だがヒグマードはその指摘で一気に、脈動させていたその全身の蠢きを潜めていた。 屋台の中の一同の理解を、逸していた。 『なるほど、英国紳士同士というならば、正々堂々たる試合で勝負を決めるのは当然のことだ……。 ああ、応じよう。その種目とは、一体、なんだね?』 「当然、野球だ」 舌なめずりするヒグマードに向けて、ロビンは右腕を突き出しながら、力強く言い放つ。 ヒグマードは、きょとんとした。 続けて、半分呆れながら、慌てた。 『……おい、英国人ならクリケットだろう、クリケット!! なんでそこで野球になるんだ!?』 「……クリケットなんて、古いんですよ。今は、野球の世だ」 ヒグマードはロビンの言葉に、体から7本も8本も脚を出して、地団太を踏んだ。 『おいふざけんな!! 何が悲しくてイギリス人がベースボールをせにゃならんのだ!? おい人間たち!! 時代は今も昔もクリケットだろう!? そう言ってくれ!!』 そして唐突に、ヒグマードは屋台の中で見守る一同に向け、助け船を求めてきた。 誰もが反応に窮して、お互いがお互いを見やる。 最終的に視線が集まったのは、ちょうどフロントガラスから中央に見える、黒木智子だった。 彼女はビクビクとしながら辺りを見回し、震えながら、言った。 「あ……、あの、あの……。ク、クリケットと野球って、そもそもどう、違うんだ……?」 何の邪念もない。心からの、疑問だった。 だがその言葉は、まるで空爆のようにヒグマードの身を穿った。 ヒグマードは慟哭して崖の上に転げた。 凄まじい悲しみが泣き声から溢れ、一行を押し潰さんばかりの重圧が空気に降りかかる。 『そ、そんな……、ひどい……。ひどすぎる……。クリケットこそが紳士のスポーツだというのに……。 この人間たちはアメリカに魂を売ったのか……?』 「現実を理解しましたか? それじゃあ、ルールを決めさせてもらいます」 泣き崩れるヒグマードをいいことに、ロビンは飄々と宣言を始めた。 そのさなか、屋台の智子を振り向きながら、彼は親指を立てて見せる。 彼の唇は、『最高のスクイズでした』と動いて、智子にウィンクを投げていた。 ひとつ、賭けるものは己の身命の全て。 ひとつ、勝負は本塁打競争(ホームランダービー)形式である。 ひとつ、球数はこの島の施設であった『ストラックアウト7』にならい、7球。 ひとつ、スタンドと場外に相当する森の奥に打球を飛ばした時のみホームランとカウントされ、それ以外は全てアウト。 ひとつ、バッター側が過半数の打球をホームランにするか、ピッチャー側が過半数の投球でアウトをとるか、最終的に生き残ったものが勝者となる。 『え……、ずるくない? ホームラン強制とか明らかにピッチャー側に有利な条件だと思うんだが。 クリストファー・ロビン、お前こそ恥と外聞というものを知るべきなのではないか……?』 「ハッ、英国紳士ともあろう者が、このくらいの条件で怖気づくんですか? 100エーカーの森の動物たちは、これよりももっと厳しい条件で戦ってたんですけど?」 傷心しているうちに何時の間にか突き付けられていた条件に、ヒグマードは呆然とした。 そして、至極もっともな意見を述べたが、ロビンにはあっさりと一笑に付される。 自信をなくしながらも、ヒグマードは依然として理不尽なその条件に、なおも不平を零した。 『そんな不平等な条件で戦ってたから、森の王者になれてただけなのと違うか……? だってアウト1つとホームラン1本の価値ってどう考えても釣り合わないだろ……。 そもそもアウトって、ストライク3つ分なんじゃないのか……?』 「ベースボールのBの字も知らない人が、つべこべ文句を言えると思っているんですか? 見苦しいですよ」 『……確かに、知らないけれども』 ヒグマードは、完全に折れていた。 奇跡的な状況だった。 屋台の中の一同はヒグマードの意見ももっともだと思ったが、それでもしかし、ロビンに反論しようとは誰も思わなかった。 この奇怪なる神仏の類に、こんな有利な条件を飲ませられるという機会は、二度と無いに違いない。 一方的な殺戮で蹂躙されそうだった状態から、五分五分以上の有利な勝負へ、しかも直接的な戦闘ではない局面へと移行できたのだ。 これ以上の状態はない。 正体不明のこの血みどろのヒグマの塊がイギリス出身であったこと。 それを、同じくイギリス出身のロビンが見抜いたこと。 イギリス出身でありながら、ロビンの得意とするスポーツが野球であったこと。 そこで日本の黒木智子が絶妙な助け舟を出したこと。 このヒグマが野球に詳しくなかったこと。 これらの全ての要素が、この奇跡を巡り合わせてきていた。 勝てる――。 この神を御せる――。 そんな期待が、バスの一行の胸を高鳴らせていた。 ○○○○○○○○○○ 会場の設営は、ほとんど必要なかった。 島の北東の開けた崖は、それだけで野球場のダイヤモンドのようだった。 ヒグマードが枯死させ押し倒した森の木々は、ちょうどフィールドの外野のように広がっており、立枯れた木々の残っている位置が、ちょうどスタンドのあたりだと言えた。 腐葉土のように朽ちた土を蹴り、即席のマウンドの上にクリストファー・ロビンが身構える。 視線を送るのは、球場で言うならば三塁側。 東の端の、ベンチに相当する位置に、グリズリーマザーの屋台バスが停車していた。 バスは、いまだアイドリングを続けている。 いつでも逃げ出せるようにするためだ。 「もう一度確認」 運転席のグリズリーマザーが、声を落として、車内に問いかけた。 「本当に誰も、あんなヒグマ、知らないんだね?」 「ヒグマ帝国でも把握しておりません……」 「あんなの盾子ちゃんから聞いてないよ……」 「すみません、何もわかりません……」 ヤスミン、戦刃むくろ、扶桑と、多少なりともヒグマに関わっていた者が、一斉に首を振る。 「あれは神だよ。見てわかるだろう」 そんな声を発したのは、悠然と座席で脚を組んでいる、言峰綺礼だった。 先程までの警戒心もどこへ行ったのか、彼は陶然とした表情のまま、崖の先の赤い肉塊へと熱い視線を送っている。 「……この勝負に少年が勝てば、我々が神の身命と祝福を一手に受けられる訳だ……。 素晴らしい……。聖杯を手にせずとも、これで私が見つけたかった目的も、わかるかもしれん……」 車内の女性陣は、そんな宗教的恍惚に浸る神父の姿を見て例外なく、駄目だこれは、と思った。 言峰綺礼は放っておくことにして、グリズリーマザーはなおも声を落としたまま問いかける。 「……だとすると、アレはヒグマを喰った参加者なのかも知れない。さっきの浅倉威って男の人みたいにね。 アタシたちの話は通じないだろう。ロビンくんが作ってくれたこの機会に賭けるしかない。 各自、できることを考えとくれ。少しでも彼の力になることをしてやって、何としても生き残ろう。 ……な、マスター」 グリズリーマザーは、フロントガラスに食い入る、黒木智子の肩を叩く。 「で、できることって……、何を……?」 「考えな。アタシにもわからない。だけどあの子は、アンタの好いた子なんだろう?」 怯えた眼差しのまま、黒木智子は、マウンドに立つ少年の姿を見て、固い唾を飲んだ。 「……とりあえず、このままキーゼルバッハ部位を押さえておいてください。 喉の方は粘膜裂傷ですし、結膜出血の程度も問題ありません」 「ありがとうございますヤスミンさん……。それにしても、この状況でできることって……」 「何も思いつかない……。あんな規格外の化物に対抗する方策なんて……」 扶桑にフィードバックしてきた損傷の応急処置を続けながら、ヤスミンは苦い声を絞った。 応じる扶桑と戦刃むくろの声も、苦しい。 戦場の矢面に立ったことのある彼女たちとしては、この有利な勝負の状況からも、いつ窮地に陥るかを考えざるをえなかった。 所詮、誇りだの名誉だの英国紳士だのと言っても、口約束だ。 いつあの化物が約束を反故にして自分たちに襲い掛かってくるかわからないし、そうなったらひとたまりもない。 ヤスミンが唸る。 「……シーナーさんか、そうでなくとも、帝国のどなたかに連絡が取れれば良いのですが。 お二方は、何か、外部へ救援を求められる物資を、お持ちですか?」 扶桑は鼻の頭を押さえながら、戦刃むくろを眼を見合わせた。 そして、暫く逡巡した後、意を決して、言った。 「……電信を、打ってみます」 艦娘は、その艦橋に、最低限の電波や通信を送受できるだけの電子機器類を備えてはいた。 電探などの拡張装備が無い状態では、その効果は当然弱い。だが、何も試みないよりはマシだった。 「どなたかお近くに、アンテナか無線機器のような物をお持ちの方が居れば、気づいて下さるかも……」 「……なるほど、薄い望みですが、ないよりはベターですね」 扶桑は額に手をやり、黙々と現在の状況をモールス信号にして発信し始めた。 その様子をみやりながら、戦刃むくろは、静かに手を後ろに回す。 パチリ。と、超小型通信機のスイッチを入れていた。 江ノ島盾子からの連絡が途絶えてしばらく経つ。 もはや電源が機能していないのかも知れない。 だが、それでも、連絡を取れる可能性が、ないよりはマシだった。 絶望の手でも借りたい。そんな状況だった。 (お願い盾子ちゃん……。私たちに、ロビンくんに、力を貸して……) 絶望の姉はそうして、切に祈るのみだった。 この祈りが本当に届いていたら、盾子ちゃんから壮絶なツッコミを受けそうだなぁ。とは、自分の考えながらそう思った。 ○○○○○○○○○○ 『おい、そろそろか?』 「……そうだね。僕の準備は良い。あなたも、良いみたいだね」 『ふふ、クリケットで下から振り上げるばかりだったからあまり馴染めんが、まあ十分だ』 バッターボックスからの声に、クリストファー・ロビンは視線を戻した。 その先に見えるのは、北東の崖っぷちに佇む、真っ赤な打者だ。 血で引かれたおしゃれな赤いバッターボックスに、ヒグマードがその巨体を押し込めている。 バットは、もはや何だったのかわからない骨や肉塊が固められ、赤黒く脈を打つ棍棒だ。 それが彼の4本ある腕から、胴体へと繋がっている。 ヒグマードが、その肉の棍棒を素振りした。 凄まじい風圧が、一帯の枯れ枝を巻き上げる。 マウンドのロビンの頬をかすめ、陣風が森の奥へと流れてゆく。 ヒグマードは、5つ見えている口から一斉に牙を剥き、不敵に笑った。 その巨体と巨大な棍棒は、ホームベースを遥かに超えて凄まじい範囲をカバーするリーチを誇っていた。 『……どうせどこに投げてもアウトにするつもりなんだろうが、遠慮はいらんぞ? 私相手に敬遠はできないものと思え』 「ご丁寧にどうも」 ヒグマードは、ルールの穴を突いた卑怯なプレイを、あらかじめその一言で咎めていた。 現実の野球で、厄介な打者にホームランを打たせないようにする作戦の一つである『敬遠』を封じる長大なリーチと、吸血鬼の肉体からもたらされる壮絶な怪力。 それらは確かに、投手にとって脅威となるものではあった。 だが、クリストファー・ロビンは、その程度のことに、怯みはしなかった。 「……僕はね。ずっと《球鬼》と呼ばれてきたんですよ。冷血で、冷酷で、冷徹なね。 だから、死合い(ゲーム)において、みすみすそんな『遠慮』はしません。 僕らはいつも、本気で死合ってきたんだからね――」 「頑張れぇぇぇぇ――ッ!! ロビン――ッ!!」 語るロビンの背後から、少女の声援が、届いた。 振り向けば黒木智子がバスから外に出て、その全身を振り絞りロビンへと叫んでいた。 彼女の、余りに必死過ぎて崩れた表情を見ながら、ロビンは微笑んだ。 「……良い声してるじゃないか、智子さん」 そのたった一人の応援が、何よりも力強く、ロビンの背を押した。 「あなたの修羅を、砕いてあげます――。『さあ、殺し合おう』」 石を掴み、彼は宣言する。 その瞬間ざわりと、一帯の空気が変化したようだった。 ○○○○○○○○○○ プレイボール。 その開幕の一球が、クリストファー・ロビンの手から、放たれようとしていた。 ヒグマードは、即席ながら堂に入った構えで、異形のバットを握り締める。 慣れないスポーツながらも、彼には自信があった。 ヒグマードは既に一度、クリストファー・ロビンの投球を撃ち返したヒグマの肉体を捕食している。 ロビンの情報も、そうして同化したヒグマ9および、そのヒグマが捕食していた跡部景吾の生命から得たものだ。 ヒグマ9の『手榴弾を打ち返したという手応え』をそのまま保有するヒグマードには、この勝負はもらったも同然のものに感じられた。 彼はそうして、全身の口から、裂帛の気合を放った。 『さあ来い、人間ッ!!』 「――スケスケだぜ!!」 それは、ロビンの手から魔球が放たれたのと、同時だった。 ヒグマードの吸血鬼の視力は、その球を確かに見た。 音速を優に超えている弾速だった。 尋常ならざる回転が掛かっていた。 冷気と熱を同時に帯び、ただの小石が、あたかも紅蓮地獄のような様相を呈していた。 だがヒグマードが驚愕したのは何よりも、その弾道だった。 ヒグマードは、バットを振れなかった。 『グハァァァ――!?』 ロビンの投げた球は、バッターボックスのヒグマードの肉体のド真ん中に、大砲を穿ったような風穴を開けていた。 ヒグマードは全身の口から血を吹き零しながら、地に3つほど膝をついた。 マウンドに仁王立ちし、ロビンは高らかに宣言する。 「これこそボクが見出した魔球、『Suche Skeet』――『追い求める射撃(スケ・スケ)』だ。 あなたのあらゆる急所を見抜き、そこへ確実に命中させ、破壊するッ――!!」 『ば、馬鹿を言えぇ……!! これではデッドボールではないかァ……!!』 呻きながら、ヒグマードは至極当然の物言いをつける。 だが、当のロビンはしれっとその苦情を一蹴した。 「初めに言いましたよね? ホームランにできなきゃ、打球がどうなろうと、それはアウトなんですよ」 『なんと……、なんという……!!』 「これはそういう勝負なんです。始める前に、そこに気付かなかった、あなたの落ち度なんですよ!」 小さく大胆で、外道で勇敢なその投手から指を突き付けられ、ヒグマードは震えた。 『なるほど……、それは確かにその通りだ……!! だが、もはや同じ手は喰わん……!!』 彼はそう呟きながら、胴体に穿たれた巨大な風穴を塞ごうとした。 だが、その穴から吹き零れる血液は、一向に止まらなかった。 抉られた傷口の細胞は、『死んだように』動かなかった。 『な、な、なんだこれは……!? なぜ再生できぬ――!?』 「……言ったでしょう」 その様子を見て、クリストファー・ロビンは、にぃ、と口角を上げた。 「これは、『死合い』なんです。『さあ、殺し合おう(レッツ・キル・イーチ・アザー)』と僕が宣言し、あなたが受けた瞬間、僕たちは自分の全生命をもって、この契約に自分たちを縛りつけた。 だから『殺された』肉体が、生き返るはずありません。 ……あなたにぶつかったのは、『死球(デッドボール)』なんですから!!」 ロビンは、確信をもってそう言い放つ。 ヒグマードは実のところ、もはやバッターボックスから身を動かすこともできなかった。 ロビンも同時に、マウンドから降りることはできない。 彼らは自分自身の深層意識に、強い自己暗示を以て、この勝負のルールを刻み込んでしまっていた。 この勝負は、直接的な殺し合いに見えなくともその実、生きるか死ぬかの仁義なき死合いに他ならなかった。 言峰綺礼がその様子に、ばたばたと屋台バスから駆け降りてくる。 血相を変えたその表情は、グラウンドにいた黒木智子が身を竦ませるほどだった。 「お、おい、少年!? まさかお前は、殺す気か!? この美しい神を、殺してしまうつもりなのか!? お前にはこの神を、敬う心が無いのか!?」 「敬ってますとも、神父さん。僕にとって、このヒグマは、これ以上ないライバルだ。 あのヒグマを……、跡部様を……、このヒグマは全て内包している。 だから! だからこそ! 僕はこのヒグマを、正々堂々真っ向から打ち砕くッ!!」 『ぐ、う……』 ヒグマードは、止まらぬ血と苦痛に呻く。 この体に、あと3発も今のと同じ攻撃を喰らえば、暗示によって縛られたヒグマードの肉体は、その身に内包した数百万の生命ごと活動を停止してしまうかも知れない。 7球の過半数である4球。それは確かに、ロビンが打者を投げ殺すには、十分な球数だったのだろう。 言峰綺礼は、朽ちた森の端に、がっくりと崩れ落ちた。 「お、おい……、大丈夫か、言峰……」 「誤算だった……。まさか少年が、己の球を概念武装にまで磨き上げ、固有結界に等しい実力すら身につけていたとは……」 智子が声を掛ける中、言峰は地面を掴んでふらふらと立ち上がり、ロビンの方へ歩いて行こうとした。 だが、脚が固まり、それ以上前に進めない。 ロビンの語る暗示が、外野の人間にまで作用し、何者にもこの球場に足を踏み入れられないようにしているのだろう。 まるで侵食固有結界そのものだった。 言峰は、届かぬ手の先に見える赤血の神の姿を羨望し、眼を潤ませる。 「あの神には、善も悪もないのだ……。あの純粋な神を殺すなど、どうしてできようか……」 「ステイナイトには早ぇぞ神父……」 画面の中で見たことがあるようなその神父の姿に、智子は呆れながら頭を掻いた。 蹲る神父をそれでも励ましてやろうと、智子は稀に見る親切心を揮い、声を掛けようとする。 智子は興奮していた。 目の前で繰り広げられる戦いが、伝説か夢のようにも思えていた。 野球場に駆けつけるファンの気持ちを、彼女は初めて分かったような気がする。 マウンドの真ん中に立つ投手が、自分の婚約者だというのならなおさら。 その興奮と喜びを、少しでも言峰綺礼に共有させてやろうと、智子は思ってしまった。 「私の予感が正しければ、十中八九、あれは神様なんかじゃない……。 人間でいられなかったチートな化物の成れの果て……。あんたたちのいう死徒と同じようなものだよ。 それを、あのモンスターを、ロビンが退治できるんだ……! これ以上のことはないって!!」 「黙れッ!! 貴様のような小娘に神や死徒の何がわかるッ!! 貴様の予感などゴミと同じだ!!」 返ってきたのは、鬼のような形相で振り向いた言峰の、罵声だった。 彼の手に握られた枯れ枝が、バキバキと音を立てて折れた。 智子は息を詰めた。 2歩、たたらを踏むように体が後ろに下がった。 彼女は見開かれた眼で、言峰の頭から足までを3度眺め回し、眉を顰めた。 そしてそのまま、彼女は物も言わず、逃げるように屋台バスの後部の方まで離れていく。 「頑張れーッ!! ロビンーッ!!」 彼女の目は、もう言峰など見てはいなかった。 熱い視線は、マウンドの少年ただ一人に注がれていた。 言峰も、彼女とは違った熱を込めて、その少年を睨んでいた。 「……神を殺すなど、許されぬ。許されぬことだぞ……、少年ッ……!」 汚染された泥のように濁った眼差しで、言峰はその手に、枯れ枝を掴んでいた。 ○○○○○○○○○○ 「……さぁ、覚悟はいいですか。これが僕の『絶滅への鎮魂歌(レクイエム)』だよ跡部様。 ……己の命を、おとなしくカウントダウンすることですね!!」 ロビンは、既に第2球を投げる構えに入っていた。 その眼差しに、迷いはない。 非道にも思えるこの全球死球(デッドボール)狙いを彼に決行させた覚悟は、並の物では無かった。 「頑張れーッ!! ロビンーッ!!」 彼を懸命に応援してくれる、少女の声が届く。 彼には、守るべきものがあった。 『そこから先は……自分で考えな……』 この島で初めて出会った、崇拝すべき青年の言葉が過る。 彼には、決着をつけるべきリベンジがあった。 この場で、その因縁に引導を渡し、応援してくれるファンたちを守るには、これしかなかった。 氷のような非情と、炎のような感謝を込めて、ロビンはこのヒグマードと言う存在を、絶滅させる決意を固めていたのだった。 「ロビン王朝(ダイナスティ)は、今この時より、僕から始まるんだッ!」 『ククッ……、クククククッ……』 自分を奮い立たせるように叫ぶロビンの姿を、ヒグマードは本当に嬉しそうに見つめていた。 その口からは、いつの間にか苦悶ではなく、笑いが零れていた。 振り被ろうとするロビンに向けて、その笑みが、爆発した。 『フハハハハッ、素晴らしい!! 素晴らしいぞ、人間――!!』 「何がおかしい――!?」 『私はキミに感謝せねばなるまい!! これでこそ私も、思う存分戦えるというものだ――!!』 胴体に大穴を開けたまま立ち上がったヒグマードの纏う空気が、変質していた。 その悪寒にも似た感覚は、かなりの距離がある屋台バスの一行にさえ、感じられるものだった。 ヒグマードは両の前脚を広げ、空を仰いで朗々と何かを吟じる。 『オリバーも去れり、リチャードも去れり。我が拘束(コモンウェルス)特に死にたり。 然れば私は、荒れ樫の花に林檎を結びてこの身を宣らん――』 呪文のような文句を唱えながら、かろうじて熊のような形状を取っていたヒグマードの全身はどろどろと融け始めていた。 黒木智子は、その冷ややかな詠唱の言葉に、恐怖を覚えた。 彼女の抱いていた予感が、ほとんど確信に変わった。 あっけにとられるロビンに向けて、彼女は、喉を振り絞って叫ぶ。 「させちゃダメだ――!! ロビン――!!」 「おおおっ――、『スケスケだぜ』!!」 『――「一式解放」』 ロビンが再びその魔球を投げるのと、それはほとんど同時だった。 ヒグマードの体が、弾けていた。 迫る剛速球に向けて、その赤黒い巨体から、破城槌のように巨大な毛が伸びた。 全身が一本のパイルバンカーになったかのように、強靭に編み込まれた赤黒い毛が、ロビンの投球と相殺しながらも、それを上回る圧倒的なエネルギー量で激突した。 ロビンは反射的に身を捻っていた。 体の左側を、猛烈な突風が通っていくのがわかった。 地面に倒れ見やった後方では、立枯れた森の木々が、艦砲射撃でも喰らったかのように、バックスクリーンに相当する位置からセンター裏広く、根こそぎ吹っ飛ばされていた。 強烈に過ぎるピッチャー返し。 弾丸ライナーという言葉でも足りない、まごう事なきホームランだった。 左の頭が、じんじんと痺れていた。 シャツにぽたぽたと、真っ赤な血が垂れてくる。 顔の横に手をやると、ずるりと何かが取れた。 左耳が、衝撃波で千切れていた。 『フッフフーン……。そういえばルールには、打者はバットでボールを撃ち返さなければならないとは決められていなかったものなぁ? わざわざ体を狙ってくることがわかりきっているのなら、それは文字通り全身で撃ち返してやるのがセオリーと言うものだ』 驚愕と静寂に包まれた崖の球場で、蠢く赤黒い肉塊が、心底楽しそうにそう語った。 肉塊は、その重心をバッターボックスからは動かさぬまま、倒れたままのロビンの目の前にまで、赤黒い毛を伸ばしてくる。 そうして地面からヒョイヒョイと、彼は散った枯れ枝を拾い集めて、その身に吸収し始めた。 『ああ、それと、ベースボールというのは、バッターボックスの中でガムを食ってもルール違反ではないんだよな? ガムを喰っていいのなら、打者が森の木々を喰って、無くした肉を補うのもルール違反ではあるまい? なぁ、そうだろう? なぁ、なぁ――?』 ロビンの足元にまで赤黒い毛は這い回り、その耳から零れ落ちる血液を、旨そうに吸い取っていく。 震えるロビンの目の前に迫った赤黒い毛は、ぱくりとその先端に口を開き、言った。 『ほら、早く第3球を投げ給え。ハリー! ハリー! ハリー――!!』 ヒグマードとロビンのホームランダービー。 目標 4本。 ホームラン 1本。 残り 5球――。 【I-1 崖 午後】 【ヒグマード(ヒグマ6・穴持たず9・穴持たず71~80)】 状態 化け物(吸血熊) 装備 跡部様の抱擁の名残 道具 手榴弾を打ち返したという手応え 0 さあ続けようではないか、殺し合い(ベースボール)を!! 1 また戦おうじゃあないか! 化け物たちよ! 2 求めているのは、保護などではない。 3 沢山殺されて、素晴らしい日だな今日は。 4 天龍たち、クリストファー・ロビン、ウィルソン上院議員たちを追う。 5 満たされん。 [備考] ※アーカードに融合されました。 アーカードは基本ヒグマに主導権を譲っていますが、アーカードの意思が加わっている以上、本能を超えて人を殺すためだけに殺せる化け物です。 他、どの程度までアーカードの特性が加わったのか、武器を扱えるかはお任せします。 ※アーカードの支給品は津波で流されたか、ギガランチャーで爆発四散しました。 ※再生しながら、北部の森一帯にいた外来ヒグマたちを融合しつくしました。 【クリストファー・ロビン@プーさんのホームランダービー】 状態 左耳損傷、悟り、《ユウジョウ》INPUT、魔球修得(スケスケ) 、固有結界『さあ、殺し合おう(レッツ・キル・イーチ・アザー)』習得 装備 手榴弾×1、砲丸、野球ボール×1、石ころ×74@モンスターハンター 道具 基本支給品×2、ベア・クロー@キン肉マン [思考・状況] 基本思考 成長しプーや穴持たず9を打ち倒し、ロビン王朝を打ち立てる 0 跡部様、成長した僕が、引導を渡してあげます。見ていてください……! 1 智子さん、麻婆おじさん、ヒグマたちと情報交換し、真の敵を打倒する作戦を練る。 2 苦しんでいるクマさん達はこの魔球にて救済してやりたい 3 穴持たず9にリベンジし決着をつける 4 その立会人として、智子さんを連れて行く 5 後々はあの女研究員を含め、ヒグマ帝国の全てをも導く 6 真の敵は相当ひねくれた女の子らしいね……。 7 さぁて、お近づきになって、情報を聞けるだけ聞き出しますかね……。 [備考] ※プニキにホームランされた手榴弾がどっかに飛んでいきました ※プーさんのホームランダービーでプーさんに敗北した後からの出典であり、その敗北により原作の性格からやや捻じ曲がってしまいました ※ロビンはまだ魔球を修得する可能性もあります ※ヒグマ帝国の一部のヒグマ達の信頼を得た気がしましたが別にそんなことはなかったぜ。 【穴持たず696】 状態 左腕切断(処置済み) 装備 コルトM1911拳銃(残弾7/8) 道具 超小型通信機 基本思考:盾子ちゃんの為に動く。 0 盾子ちゃん、無理だとは思うけど、ロビンくんに力を貸してあげて……! 1 良かった……。扶桑は奮起してくれた! 2 盾子ちゃんのことは絶対に話さないわ! 3 智子さんは、すごく良い友達なんだから……! 絶対に守ってあげる……! 4 言峰さん、強いわ……! すごい実力ね……! 5 ロビンくんも、5歳にしては将来有望よね……! 6 盾子ちゃん……。もしかして私は、盾子ちゃんを裏切ったりした方が盾子ちゃんの為になる? ※戦刃むくろ@ダンガンロンパを模した穴持たずです。あくまで模倣であり、本人ではありません。 ※超高校級の軍人としての能力を全て持っています。 【扶桑改(ヒグマ帝国医療班式)@艦隊これくしょん】 状態 ところどころに包帯巻き、キラキラ、出血(小) 装備 鉄フライパン 道具 なし 基本思考:『絶望』。 0 どなたか、電信を受けてくださる方はいらっしゃいますでしょうか……。 1 山城、やったわ……! 西村艦隊の本当の力、見せられたかも……! 2 ああ、何か……、絶望から浮上してくるのって、気持ちいいですね……! 3 他の艦むすと出会ったら絶望させる。 4 絶望したら、引き上げてあげる。 【黒木智子@私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!】 状態:ネクタイで上げたポニーテール、気分高揚、膝に擦り傷 装備:令呪(残り2画/ウェイバー、綺礼から委託)、製材工場のツナギ 道具:基本支給品、制服の上着、パンツとスカート(タオルに挟んである)、グリズリーマザーのカード@遊戯王、レインボーロックス・オリジナルサウンドトラック@マイリトルポニー [思考・状況] 基本思考:モテないし、生きる 0 ロビン、お願いだ、生き残ってくれ……! 1 グリズリーマザーと共に戦い、モテない私から成長する。 2 ロビンやグリズリーマザー、ヤスミンに同行。 3 ロビン……、メジャーリーガーと結婚かァ……。うへへへへ……。 4 グリズリーマザーとロビンがいるなら何でもいいや。 5 超高校級の絶望……、一体、何ジュンコなんだ……。 6 即堕ちナチュラルボーンくっ殺とか……、本当にいるんだなそういう残念な奴……。 ※魔術回路が開きました。 ※グリズリーマザーのマスターです。 【グリズリーマザー@遊戯王】 状態:健康 装備:『灰熊飯店』 道具:『活締めする母の爪』、『閼伽を募る我が死』、穴持たず82の糖蜜(中身約2/3) [思考・状況] 基本思考:旦那(灰色熊)や田所さんとの生活と、マスター(黒木智子)の事を守る 0 このヒグマはやばい……。どうにか生きて逃げ切らないと……。 1 マスター! アタシはあんたを守り抜いてみせるよ! 2 あの帝国のみんなの乱れようじゃ、旦那やシーナーさんとも協力しなきゃまずいかねぇ……。 3 とりあえずは地上に残ってる人やヒグマを探すことになるかしら。 4 むくろちゃんも扶桑ちゃんも難儀だねぇ……。 5 実の姉を捨て駒にするとか、黒幕の子はどんだけ性格が歪んでるんだい……? [備考] ※黒木智子の召喚により現界したキャスタークラスのサーヴァントです。 ※宝具『灰熊飯店(グリズリー・ファンディエン)』 ランク:B 種別:結界宝具 レンジ:4~20 最大捕捉:200人 グリズリーマザーの作成した魔術工房でもある、小型バスとして設えられた屋台。調理環境と最低限の食材を整えている。 移動力もあり、“テラス”としてその店の領域を外部に拡大することもできる。 料理に魔術効果を付加することや、調理時に発生する香気などで拠点防衛・士気上昇を行なうことが可能。 ※宝具『活締めする母の爪(キリング・フレッシュ・フレッシュリィ)』 ランク:B 種別:対人宝具 レンジ:1~2 最大捕捉:1~2人 爪による攻撃が対象に傷を与えた場合、与えた損傷の大きさに関わらず、対象を即死させる呪い。 対象はグリズリーマザーが認識できるものであれば、生物に限らず、機械や概念にまで拡大される。 ※宝具『閼伽を募る我が死(アクア・リクルート)』 ランク:B+ 種別:対人宝具 レンジ:- 最大捕捉:1人 自身が攻撃を受けて死亡した場合、マスターが令呪一画を消費することで、自身を即座に再召喚できる。 または、自身が攻撃を受けて死亡した場合、マスターが令呪一画を消費することで、Bランク以下の水属性のサーヴァント1体を即座に召喚できる。 【言峰綺礼@Fate/zero】 状態:健康、両手の裂傷をヒグマ体毛包帯で被覆 装備:令呪(残り7画)、枯れ枝 道具:ヒグマになれるパーカー [思考・状況] 基本思考:聖杯を確保し、脱出する。 0 ふざけるなよ少年……。神を殺すことなど、許されない……!! 1 黒木智子やヤスミン、グリズリーマザーと協力体制を作り、少女をこの島での聖杯戦争に優勝させる。 2 ロビン少年に絡まれると、気分が悪いな……。ロビカスだな……。 3 布束と再び接触し、脱出の方法を探る。 4 『固有結界』を有するシーナーなるヒグマの存在には、万全の警戒をする。 5 あまりに都合の良い展開が出現した時は、真っ先に幻覚を疑う。 6 ヒグマ帝国の有する戦力を見極める。 7 ヒグマ帝国を操る者は、相当にどす黒いようだな……。 ※この島で『聖杯戦争』が行われていると確信しています。 ※ヒグマ帝国の影に、非ヒグマの『実効支配者』が一人は存在すると考えています。 ※地道な聞き込みと散策により、農耕を行なっているヒグマとカーペンターズの一部から帝国に関する情報をかなり仕入れています。 【穴持たず84(ヤスミン)@ヒグマ帝国】 状態:健康 装備:ヒグマ体毛包帯(10m×9巻) 道具:乾燥ミズゴケ、サージカルテープ、カラーテープ、ヒグマのカットグット縫合糸、ヒグマッキー(穴持たずドリーマー・残り1/3)、基本支給品×3(浅倉威、夢原のぞみ、呉キリカ)、35.6cm連装砲 [思考・状況] 基本思考:ヒグマ帝国と同胞の安寧のため傷病者を治療し、危険分子がいれば排除する。 0 全員を生還させる手立てを考えなければ……。 1 帝国の臣民を煽動する『盾子』なる者の正体を突き止めなければ……。 2 エビデンスに基づいた戦略を立てなければ……。 3 シーナーさん、帝国の皆さん、どうかご無事で……。 4 ヒグマも人間も、無能な者は無能なのですし、有能な者は有能なのです。信賞必罰。 ※『自分の骨格を変形させる能力』を持ち、人間の女性とほとんど同じ体型となっています。 ○○○○○○○○○○ I will give my love an apple without e er a core I will give my love a house without e er a door I will give my love a palace wherein he may be And he may unlock it without any key 恋人にあげる 芯の無いリンゴ 恋人にあげる ドアのない家 恋人にあげる 彼の住む城 彼が開けるのに鍵はいらない (イングランド民謡『I Will Give My Love An Apple』より)
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赤が迫る。 黒が迫る。 死路が迫る。 吸血鬼アーカードの最大の攻撃、『死の河』が今、少女たちの一行に向けて猛然と迫っていた。 しかし氾濫する死の河を前にしてそこに、豁然と響きわたった声がある。 「まだ落胆なんて不要(ニードレス)よ!!」 それは怒号にも似た、佐天涙子の決意表明だ。 それは目映い火花のように、一行の心の導火線に火をつけていた。 腕に抱えるクリストファー・ロビンの体が、佐天の声に震えたような気がした。 まず触発されたのは、唯一この事態の詳細を知る少女、黒木智子だった。 ――そうだ。まだ死なんて要らない。 私は妃だ。 このどうしようもなく強くてかよわかった少年の王国を引き継げるのは、私をおいて他にいないのだ。 この子の存在を、信念を住まわせてやれるのは、私の心しかないのだ! 「そうだ、今しかない!! アーカードが拘束制御を全開放した今、今がその時だ! あれは奴の持つ全ての命を全て開放して全てを攻撃に叩き込む術式だ! 城から全ての兵士を出撃させた総掛かりだ。城の中に立つは領主(ロード)ただ一人!!」 「この対応策がわかるのよね、智子さん!? 扶桑、上がって!」 「は、はい!!」 バスの座席から身を乗り出して、智子は迫り来る死の河を食い入るように睨む。 記憶の中の漫画の言葉をなぞり口を突いたセリフは、己の心を否応なく奮い立たせた。 彼女の叫びに、超高校級の軍人として活路を求めていた戦刃むくろが真っ先に反応する。 むくろのハンドサインを受けて、バスを固定している氷を取り除こうとしていた扶桑が動く。 「あいつは一人だ、ただ一人! 今やただ一人の吸血鬼、ただ一人のドラキュラだ!! あいつはきっと最初からこれだけが目的だったんだ!! 神父もロビンも、この血の中に蠢いている誰も彼も、アーカードが自分の全力をぶつけて戦える相手を見つけるための生贄だ!! ああクソクソクソ畜生めが!! この河を渡るしかない!! この河を渡って、あいつの心臓を抉れ! それしかないんだ!!」 「そう来なくっちゃねぇ!! 『灰熊飯店(グリズリー・ファンディエン)』!!」 智子は叫ぶごとに、自分の奥底から力が沸き上がってくるのを感じた。 そんなマスターの意気に応えて、運転席のグリズリーマザーもまた唸った。 料理も作っていないのに、あたりにはスパイシーな香りが立ち上る。 鼻腔を満たす空気を呼吸するごとに、体には活力がみなぎってゆく。 それはグリズリーマザーの宝具、『灰熊飯店(グリズリー・ファンディエン)』の能力の真骨頂。 彼女の巣穴でもあるこの屋台は、その領域内のこどもたちを守り育む結界の役割を果たす。 各人に力を与える、まさにそれぞれの『おふくろの味』の香気が、彼女たちの体を満たすのだった。 「マスターの魔力が高ぶってるのがわかるよ。今までで最高のコンディションだ! このお母さんが支えてやる! 存分に暴れな!!」 「もう氷取り除いてる時間無い! それよりもこの軍勢を捌くよ!! 聞いたでしょう!? この奥の大将を落とせば、私たちの勝ち!!」 バスの外に駆け出した戦刃むくろが、鉄フライパンを振りかざして河の彼方を示す。 恐怖も逡巡もしている暇はない。勝つことだけが、この一行に残された道だった。 「あの血の色の果てへ――! 私が道を造ります!!」 臨界値の森に、開戦のトリガーの雨が響く。扶桑の連弾だ。 灰熊飯店の屋台バスの上に登っていた扶桑が、その8門の大口径主砲を一斉に放っていたのだ。 血の河が弾け飛び、彼方のそこかしこで赤黒い水柱が上がっては消え去ってゆく。 そこを越えて迫ってくる死者たちの量は一気にまばらとなる。 軽巡洋艦天龍が、好転しつつ開幕した戦況に、グッと笑顔に力を籠める。 「わかってんだろ涙子! お前は一人じゃない! 俺が、俺たちが、必ず力になる! だからお前の言うとおり――! 落胆なんか必要ねぇ!!」 彼方を睨む佐天の隣りに就き、天龍は二本の刀を構えて彼女の意気を後押しした。 一人じゃない。というその言葉に、佐天涙子は思い出す。 ――雨降る朝に、風の夜更けに、わしらはいつも祈っていよう。 ――キミたちに眠るパワーアニマルが、常にブレイブを導くよう――。 あの絶望の百貨店で、命尽きようとしながらそれでも佐天涙子に望みを託し道を示してきた人々が、彼女の傍らにはいる。 ウィルソン・フィリップスの眠るデイパックから佐天が取り出したのは、彼の勇気が籠もった一振りのナイフ。ガブリカリバーだった。 「皇さん、ウィルソンさん、北岡さん……! 天龍さん、みんな、力を貸して!」 「そう来なくっちゃなぁ、抜錨だっ!!」 二人の振るう刃が、走りくる死者たちの先陣を切り裂いた。 そんな二人の少女を先頭にして、バスからはさらに続々と戦闘要員が降りてくる。 正確には、逃げ腰の司波深雪の両脇を、百合城銀子とヤスミンが抱えて連れてきていると言った方が正しいが。 「帝国のためにも、ここで退くわけにはいきませんね、シロクマさん!」 「ほら、私たちも出るぞ深雪」 「はぁ!? 何してくれるんですか!? 正気ですかこんな軍勢目の前にして!」 死の河が迫り来る地上に放り出されて、魔法演算領域の壊れている深雪は恐れおののくばかりだ。 そんな彼女たちの元にもついに、扶桑の砲撃と天龍たちの白刃をかいくぐってきた死者たちが襲い掛かってくる。 「がう」 「アンプターティオ(切断)!!」 「ひいっ!?」 両脇で揮われた爪に司波深雪は頭を抱え、震える彼女の上で死者たちは、血煙となって消え去る。 「私たちは狩る側だろう? じゅるり」 「災害時こそ、私たち医療者は奮闘しなければならないのです!」 片やほくそ笑みながら、片や使命感に燃えて語られる言葉に、深雪は辟易とするばかりだ。 死者を切り立てながら駆ける天龍が、そんな彼女に発破を掛ける。 「怖くて声も出ねぇかァ? オラオラァ!!」 「はぁ!? 無駄な声を張る必要がないだけです!!」 その挑発に、深雪のプライドは容易く逆撫でされた。 そうして彼女もまた、覚悟を決めて腕を振り被る。 「STUDY事務長、司波深雪の名において、穴持たず39ミズクマに仕事を依頼します! 『この死の河を喰らい尽くしなさい』!!」 放り投げられたミズクマの娘が死者の河の中に着水する。 そして暫くすると、そこから爆発のように節足動物の水柱が上がる。 ミズクマの孫娘、曾孫娘、夜叉孫娘たちによる乱舞が、死の河を遡上する。 「ふふふふふふふふふっ! 深雪はいつでもお兄様の勝利の女神ですから! お兄様を、復活させるまで、この私が負けるわけないんですよ!!」 「……ある種、盾子ちゃんと似てる、かも」 「流石だ深雪。やっぱりキミはクマだな」 両手を広げた司波深雪は、吹っ切れて叫びを上げる。 その様子を横目に、死者をフライパンで叩き潰しながら戦刃むくろは苦笑し、百合城銀子は舌なめずりをした。 ℃℃℃℃℃℃℃℃℃℃ そうして、河を下ってくる死者と、少女たちの戦いとは、一時拮抗しているようにも見えた。 「直接、奥の本体を狙い打てないの、扶桑!?」 「迫ってくる物量に対して角度が浅すぎて、遠方は視認しきれません! でも大丈夫です! このまま撃ち続ければ――!!」 むしろ、司波深雪の指揮の元、死者を喰らってネズミ算式に増殖してゆくミズクマの奔流や、遠方から敵勢の多くを爆砕する扶桑の砲撃によって、一行はアーカードに向けて少しずつ進攻してさえいた。 前衛に佐天涙子と天龍の白刃が煌めいて、攻め込んでくる死者の第一波を切りはふる。 中衛にヤスミンと百合城銀子が飛び交い、回りこんで来た死者を遊撃しつつ、ミズクマの指揮を執る司波深雪を守っている。 最後尾のバスでは、黒木智子とグリズリーマザーが魔力を振り絞って、一行の士気を上げている。 その防衛拠点の上では扶桑が惜しみない砲撃を繰り返し、下では戦刃むくろが鉄壁の最終防衛線として、一人の討ち漏らしも無く死者を叩き潰している。 2-3-1-3の強力なディフェンスフォーメーションを構築したままじりじりとラインを上げていくことで、彼女たちはこの死の河を攻略できるかも知れないとさえ思った。 しかし問題は、最後尾のバスが、氷漬けで動けないことだった。 フォーメーションが間延びして、ふと、死者たちの動きに目が配り切れなくなったその時だった。 「――え?」 扶桑の砲撃に紛れて、佐天涙子たちの耳に、風切り音が響いた。 それは微かで、それでいて確かな衝撃だった。 バスの下の戦刃むくろの頬に、にわか雨のように温かい雫が降りかかった。 見上げた彼女と目が合ってから、扶桑は自分の身に起きている異常に気付く。 「うそ……?」 「扶桑!?」 扶桑の胸には銃弾で穴が開けられていた。 唇から血が零れる。 風切り音が、まだ空に響いていた。 「マスター!!」 咄嗟に、異常を察知したグリズリーマザーの体が翻った。 バスのガラスが砕ける。座席を弾痕が貫く。 黒木智子をかばったグリズリーマザーの胸を銃弾が破る。 フロントから飛び出したその銃弾はさらに方向を転換して佐天涙子に迫った。 「――『疲労破壊(ファティーグ・フェィラァ)』!」 瞬間、咄嗟に彼女が翳した腕に当たり、弾丸は砕けて砂と化す。 すさまじい速度で二人もの心臓を貫いた弾丸に、ほとんどの者は驚くこともできなかった。 ただ一人、冷たくなってゆくグリズリーマザーの下で黒木智子だけは、その正体を恐怖とともに理解する。 「ま、魔弾の射手、リップヴァーン・ウィンクルだ!! 弾丸が高速で追尾してくるぞォ――!!」 「扶桑! 扶桑!? 大丈夫!?」 「畜生! 砲撃手はどこだ!? どこから撃ってるッ!?」 「私が矢面に立つわ! 真っ先に破壊する!」 扶桑の砲撃が止み、グリズリーマザーの魔力が失われた一瞬で、均衡は一気に崩れた。 勢いを取り戻した死者たちの河が、文字通り津波のように迫ってくる。 佐天が焦って手に『疲労破壊(ファティーグ・フェィラァ)』を構えた刹那、遠くで銃声が響く。 天龍が眼を見開く。 見開いたまま、彼女は佐天涙子の手を取った。 「天龍さん!?」 「『烱烱の潭』!!」 天龍はそのまま、掴んだ佐天涙子の手を勢いよく空間に動かした。 その最後で、バシッという手応えと共に打ち落された弾丸が砂塵となって地に落ちる。 ただ直進してくるだけではないその銃弾の軌道は、佐天涙子だけの力では追いきれなかった。 「蛇みたいに自在に動いてきやがる……!! 並みの動体視力じゃ追えねぇ!!」 「た、助かったわ!」 天龍峡十勝・烱烱潭は、その崖下に巨龍が棲み、水面からでもその炯々たる眼光が覗けたということに由来する。 しかし次に放たれた弾丸は、天龍や佐天を相手にせず、再び一気に後方へと飛んでいく。 そしてそれに乗じて、かろうじて残っていたミズクマの防衛線を突破した死者たちが、一気に中衛以降へ雪崩れ込む。 「しまった――」 「ひいぃ!?」 「深雪!」 「シロクマさん!」 「『活締めする母の爪(キリング・フレッシュ・フレッシュリィ)』――!!」 ミズクマを指揮する司波深雪が、その凶弾と死者たちに屠られそうになったその瞬間だった。 突如空間に刻まれた数多の爪の軌跡が、それに触れた物質の一切を死滅させる。 銃弾も死者たちも、その『動き』を殺されて土に還った。 バスの中から、黒木智子が右手の令呪を掲げながら叫ぶ。 「令呪を以て命ずる! 『閼伽を募る我が死(アクア・リクルート)』だよマザー!! こんなとこで死んでられるかよ!!」 「ああ、死んでる場合じゃないよ!! 一家を送り届けるまで、お母さんはまだへばっちゃいられないんだ!! あんただってそうだろう! なぁ!!」 惜しげもない宝具の開帳で自己を復活させたグリズリーマザーが、『灰熊飯店(グリズリー・ファンディエン)』の士気高揚効果を再起動させながら発破を掛ける。 扶桑はバスの上で崩れ落ちそうになって、そして踏みとどまっていた。 「……ええ」 胸のど真ん中を射抜かれてなお、彼女の機関部は止まっていなかった。 真っ赤な燃料を吹きこぼしながらも、彼女の心はまだ熱くたぎっていた。 「……そう、私はヒグマだから……。艦娘だから……」 扶桑はその感覚に、慄然と理解した。 自分はもう、逃げ惑い諦める方向には進まないのだと。 自分自身の心と体が求めているのは、絶望ではなく希望なのだと。 目に映るのは、この血の色の向こうに道を指し示す少女たちだ。 そう、自分はこの少女たちに、はっきりと触発されたのだ――。 「まだ死なない! まだ沈まない! まだ絶望なんて要らない!」 胸の穴に、扶桑は自身の人差し指を突き込んで血を止めた。 「まだ私の燃料は燃え続けているわ!! まだ私は沈没していないわ!! ああそうよ、私は絶対の意志を以て望む!! 望みを絶たれるのは、私の弾丸を受ける、あなたたちの方だわ!!」 口の端から血の筋を垂らしながら、扶桑は吠えた。 同時に彼女の8門の主砲が、その威力と速度をいや増しに増して轟く。 「私は沈みきってしまうその時まで、スクリューを、回し続けたんだからぁぁぁ――!!」 機関が止まってしまうその時まで、自分は艦娘としてありたいのだ。 その一念が、扶桑の全生命を燃やして死の河を穿っていく。 彼女の様子を見上げながら、戦刃むくろは感動に打ち震えていた。 「扶桑……、見つけたのね……!」 「居ました! 2時方向50メートル!! 私の砲撃を避けて退避中!!」 蠢く群れとは反対に動く、マスケット銃を構えた女の死体の姿を、扶桑はバスの上から捕捉した。 「させません!! ファスキア(包帯)!」 「逃がさないよ」 その地点の最も近くにいたヤスミンと百合城銀子が走る。 包帯が蛇のように伸びた。 「ヴィンキオ(拘束)!!」 ヤスミンの持つヒグマの体毛包帯が、魔弾の射手をその銃ごと縛り上げる。 リップヴァーン・ウィンクルは苦し紛れに発砲し、その自在な弾丸でヤスミンたちを射抜こうとした。 「私は隙を明らめない」 そこに割り込んできたのが、百合城銀子である。 当然、放たれていた弾丸は彼女の心臓を貫こうとした。 しかしその弾は、まるで鏡に映った虚像を砕いたかのようにすり抜ける。 そしてその弾丸は側面から、突き出された百合城銀子の爪によって破壊された。 クマモードとウイニングモードとを間髪入れず入れ替えられる彼女にとっては、体の存在座標を一瞬にしてずらすこともまた容易いことだった。 「今だ! 月の娘!」 「はああああああ!」 ――皇さん! その戦いの局面に、佐天涙子が追いついていた。 死者たちの頭上を掻い潜り、風に乗って少女の脚が翻る。 繰り出された前方宙返りからの踵落としは、かの独覚兵が見せた死神(ユム・キミル)の鎌の、美しくも冷ややかな動きに酷似していた。 脚での『疲労破壊(ファティーグ・フェィラァ)』。 三日月の鎌は魔弾の射手を、その魔弾ごと砂塵に変え、脳天から蹴り砕いていた。 「やったな涙子!」 「ふふふふふっ! 所詮、死の河とやらもこんなものですか! 結局、少々強い死人でも単発銃しか撃てないなら、ミズクマさんのエサが増えただけですね!」 「深雪は、狙い撃たれなかった幸運に感謝したほうがいいと思うぞ」 天龍が快哉を上げ、司波深雪が調子に乗る。 一瞬危うい状況にはなったが、依然として彼女たちの一行は善戦ができていた。 その大部分は、深雪の操るミズクマの群れが、かつ増え、かつ潰されしながらも、ついに百万近い頭数に増殖していたからだ。 ミズクマの娘たちは、一匹一匹は小さいものの、それだけの数がいれば、押し迫る死の河と真っ向からぶつかり合ってもほぼ押し合える程度の物量になっている。 「もう、骨のある者はいないようですね! ふふふっ、あとは好きに攻め放題です! さあ行ってくださいヤスミンさん、百合城さん、天龍さん、佐天さん! さあほら早く!!」 「なんで私たちを誘拐した一味が上から目線で命令してくるかなぁ……?」 「確かに無性に腹立つが、そこは目をつぶろうぜ涙子……」 「深雪、油断するなよ」 「いずれにせよ、シロクマさんの言う通り、今が好機です! 一気に原発巣を切除に向かいましょう!」 一人うしろに下がりながら声高に命令してくる司波深雪の態度に思うところは様々だったが、死の河とミズクマが拮抗している今は、確かにチャンスだった。 そこでヒグマ帝国の要職として、ヤスミンが真っ先に死の河の中に切り込もうとした。 その時だった。 突如何かが風を切って飛来し、ヤスミンの前脚を跳ね飛ばす。 「グァ――!?」 「え?」 呆然とした司波深雪の前で、押し合っていたミズクマたちが、一斉に何かに貫かれて細切れになる。 「くぅ!?」 「がう!?」 紙吹雪のように舞い散りながら何かが迫る。 咄嗟に佐天はガブリカリバーを構え、百合城銀子は小さな熊の姿になってその吹雪を躱す。 受け止めたガブリカリバーにトランプが突き刺さる。 トランプの刺さった傷が交差してT字のように見えた。 「あ、『暴れ天龍』!!」 天龍が高速で両手のナイフと日本刀を振り回し、一帯に舞い散るトランプを断ち落とすも、息つく暇もなく、次なるトランプの吹雪が死の河の奥から巻き上がって一行に迫っていた。 単純な命令に従って死の河と押し合っていたミズクマたちは、逃げることもなく切り刻まれるままとなり、瞬く間にその数を減らしてゆく。 「ひぇ!? ミ、ミズクマさんが総崩れに!? あ、ああ!? どうすれば!?」 「伊達男、トバルカイン・アルハンブラ! 宙に舞ってるトランプは全部刃物だ! 突っ込んだら全身なますになるぞ!!」 対処法のわからない司波深雪が一瞬にして顔を青褪めさせる中、バスの割れたフロントガラスから身を乗り出して、黒木智子が前方の者たちに情報を叫ぶ。 しかしながら、舞っているトランプの正体がわかったところで根本的解決にはならない。 バスの上から、扶桑が血を吹きながらその発生源と思しき場所に砲撃を打ち込み続けているが、銃撃ほど明確な発射点がわからない上に、相手は奇術師のように巧妙に死の河の中に身を潜めているようだった。 まごついている間にも、少女たちの上には空を埋め尽くしそうな勢いでトランプが舞い始めていた。 「まだ諦められません……! そうでしょう!? 私は医療者なのですから!!」 その時、左腕を切り落とされうずくまっていたヤスミンが、歯噛みして立ち上がった。 手骨がごりごりと音を立てて軋む。 摩擦で熱を発生させているのだ。 肉が焼けるほどの高温になったその掌で、彼女は自分の肩を焼いて無理矢理に止血する。 そしてそのまま包帯を掴み、飛来するトランプの群れに向けて振り抜く。 「ウスティオ(焼灼)!」 引火した包帯が炎の鞭となり、迫っていたトランプを燃やし落とす。 ヤスミンは叫んだ。 「やはり紙! 可燃性が高いです! 一気に焼いて下さい!!」 「そうだ、焼き落とすぞ涙子!」 「うん!」 天龍と佐天は、ヤスミンの指摘にハッと顔を見合わせて頷き合った。 強化型艦本式缶が赤熱する。 足元の地面が凍ってゆく。 ガブリカリバーに炎が灯る。 ――ウィルソンさん! それは『狂喜と勇気(レイブ&ブレイブ)の剣』だ。 明け方に受け継いだ左天のガントレット程ではなくとも、その刃の内部に、佐天は熱量を溜めることができた。 その勇気のような熱さに、佐天と天龍は、その威力を確信した。 「『紅葉の錦』!!」 「『気流歪曲(ストリームディストーション)』!!」 天龍の放った重油と炎の塊が、佐天の巻き起こす猛烈な竜巻に乗って火災旋風と化した。 数多の死者たちとともに、空間を埋めていたトランプも一斉に燃え上がり灰と化す。 死の河を舐めるように火炎は燃え広がる。 そのトランプ群の中心にいたトバルカイン・アルハンブラの体もまた、燃え上がり蒸発してしまった。 「ヤスミンさんは下がって! 私達で道を切り拓く!」 「百合城! お前に任せるぞ、下がりつつ防衛してくれ!」 「すみません……、後ろはどうにかします……」 「任せておけ。深雪もだ、下がれ」 「あ、あわわ……。ミズクマさんも全部蒸し焼きに……」 佐天の放った旋風が残っている間は、炎は燃え続けた。 迫っている死の河もその炎に阻まれて押し寄せられない。 しかし、ミズクマの大群も焼き尽くされてしまったこの状況で、次の衝突がどうなるかの予測はつかなかった。 手負いのヤスミンと、攻撃手段のなくなった司波深雪を百合城銀子に任せて、天龍と佐天が、炎に顔を照らされながら、最前線でその奥を見つめる。 そして、炎の幕が切れる。 その瞬間、彼方から地鳴りを立てて迫ってきたのは、膨大な数の騎兵の軍団だった。 「イェニチェリ軍団! ワラキア公国軍! 中世騎兵の火砕流だ!! 飲まれるな! 踏まれるな! 切り抜けろォォォ――!!」 バスの中で固唾を飲んで様子を見ていた智子が、絶叫した。 ただの死者たちのようには切り裂けぬ歴戦の兵たちだ。 しかし佐天も、天龍も、その目に諦めなど浮かべてはいなかった。 ――北岡さん! ナイフを握り締め、佐天は構える。 あの絶望の百貨店で、遥か遠くから届いた弁護を思い出す。 あの的確で大威力の、思いと決意を込めた爆炎を思い描く。 「私の友達にぃぃぃぃ――ッ!!」 「強化型艦本式――ッ!!」 迫り来る軍団の波頭が、佐天涙子の気迫と共に一斉に凍りついてゆく。 膨大な熱量が吸収され、彼女の手元のガブリカリバーを赤熱させて輝く。 同時に天龍の背負う内燃機関が、割れんばかりにそのボイラーを沸かして滾る。 「手を、出すなぁぁぁぁ――!!」 「『諏訪の』、『水絹』――!!」 これぞ『第四波動』。 これぞ信濃の誇る暴れ川の氾濫。 噴射される爆炎と蒸気圧の大砲が、幾千、幾万の軍勢を薙ぎ払い焼き尽す。 少女たちの気焔が、絶叫する夜に、在るはずのない野火を誇り燃える。 「ウッシャァッ!! 敵陣突入! ビビってんじゃねぇぞ!!」 「ええ、怖くない! そんな感情、不要(ニードレス)よ!!」 死の河が誇る軍団のど真ん中に風穴を開けた佐天と天龍は、そこへ脇目も振らずに踏み込む。 走る一歩ごとに、紅葉のような爆炎が咲き、閃く白刃が血飛沫を裂く。 赤熱する刀を振るい斬り込む少女たちの姿が、後方の者たちにも眩しく映っていた。 ℃℃℃℃℃℃℃℃℃℃ 「そうです……、行ってください天龍さん……! この命尽きるまで……、私も全力で援護します……!」 バスの上で、徐々に体から力が消えてゆくのを感じながら、その衣装を血で真っ赤にした扶桑は呟く。 ミズクマが燃え尽きてしまった今、天龍と佐天の攻勢を抜けて迫る死の河の残りを削れるのは、彼女の砲撃しかなかった。 バスのもとに戻った百合城銀子、ヤスミン、司波深雪は、戦刃むくろと合流してバスの四方に散り、砲撃を抜けてくる死者たちを必死に捌いていた。 「うう……、まさに死の集合体……!! 汲めども尽きぬ死線の津波……! お兄様、お兄様、どうか深雪を助けて……!!」 「甘ったれないで! 涙子さんたちの奮戦がわからないの!? 私達も戦い抜くよ!!」 「あなたのような超高校級の絶望に言われずとも分かっています!!」 そんな中で、手当たり次第に地面の石や死体の骨を『弾き玉』の要領で急所に打ち込んでゆくしかない司波深雪が、あまりに困難なその戦法に泣き言を漏らす。 しかしながら、ヤスミンも戦刃むくろも手負いなうえ、百合城銀子も含めて、彼女たちはフライパンや爪で死者たちと戦っているのだ。 戦刃むくろがフライパンで死者の頭を叩き潰しながら苛立って叫ぶが、既に司波深雪の息はあがりに上がっている。 見かねたむくろは、気に食わないながらも、温存していた拳銃を貸し出してやろうかとさえ考えて、死者が切れた合間に背中をまさぐる。 「アタシが捌いてやるよシロクマさん!!」 「グリズリーマザーさん!?」 「マスターの命令でね! 相手しきれないならスルーしな! アタシが残りは全部3枚おろしにしてやるよ!!」 だがむくろが動くまでもなく、そこにはグリズリーマザーの大きな青い爪が加勢していた。 屋台バスの運転席に戻らず、グリズリーマザーは、その結界宝具を全力で稼働させながら、さらに『活締めする母の爪(キリング・フレッシュ・フレッシュリィ)』を大盤振る舞いする構えだった。 魔力を振り絞り尽くすその行為は、当然ながらマスターである黒木智子の絶大な覚悟の上に成り立っていた。 智子は、バスのタラップを降りてすぐのところで、全身を襲う激しい痛みに嘔吐している。 開いたばかりで、碌な本数もない魔術回路を、限界を超えて稼働させているのだ。 キャスタークラスで魔力が多く、かつヒグマであるグリズリーマザーがサーヴァントであっても、宝具2つを全力で行使することによる魔力消費の反動は並々ならぬものだった。 それでも彼女は、胸にロビンの遺体を抱きしめ、気を失いそうになる意識を必死に保った。 「これくらい……、屁でもねぇよな……。お前は、もっと痛くても、傷だらけでも、試合をやり通して、勝ったんだもんな……。 お妃さまだって、これくらいでへこたれてちゃ、ダメだよな……!」 ――私は、お前に、追いつきたいんだ……! 恋心と意地と悔しさと。智子は持てる全ての感情を振り絞って、この死地から生き残る決心をしている。 そんな彼女の元に、何者かがひっそりと歩み寄ってきた。 顔を上げた智子の前には、テニスラケットを携えた、背の高いクールな青年が立っていた。 「な!? ひっ!?」 智子はおののいて尻餅をついた。 血の色をしたその青年は、まず間違いなく死の河に召喚された死者の一人だ。 しかし彼は、四方に展開している百合城銀子たちに気づかれず、死角をついて接近する理性と技術を持っているということだ。 先のリップヴァーンやトバルカインに匹敵する、名のある敵であることは間違いない。 智子は咄嗟に、こちらに背を向けて死者たちと戦っているグリズリーマザーたちを呼び寄せようとした。 だが青年は、すぐに智子に襲い掛かっては来なかった。 彼は智子の胸のクリストファー・ロビンを見つめて鼻を鳴らした後、ゆっくりとテニスラケットを両手で構えていた。 「お、お前、ロビンの知り合いか……!? どういうことだよ、テニスラケットで野球するつもりか!? バカか!?」 智子はその青年の行動を理解できず、狼狽した。 しかし同時に、その青年が確かに凄腕のテニスプレイヤーであり、ロビンに敬意を払っているのだということは、なぜかわかった。 彼は『いいから投げろ』と言わんばかりに、智子を手招きする。 それに従って、智子は震えながら、デイパックの中のボールを探る。 もし逆らって智子がグリズリーマザーたちに向けて叫べば、おそらくこの青年はその瞬間に智子を襲って殺してしまうだろう。 この青年がしたいことはつまり、先のロビンが行なっていた、ホームランダービーによるデスマッチと同じことだった。 智子が投げたボールで青年をアウトにすれば勝ち、ボールを打ち返されて智子が死ねば負けだ。 しかしながら今回は、それは一球でカタがついてしまうだろう。 非力な智子が、果たしてどうやれば一流のアスリートに勝てるというのか――。 智子は恐怖でカチカチと歯を鳴らした。 脳裏に、ロビンの笑顔と、彼が教えてくれたコールがよぎる。 ――When it comes to makin music I m the ruler(この道では 僕が王者だ)。 ――You wish you could be twenty percent cooler(進歩しな あと20%くらい)。 智子はその手に、ロビンが残してくれていたボールを、しっかりと掴んでいた。 「ロビン……、私に、力を――!!」 そして智子は、全力でそのボールを投げた。 放り投げたボールは、青年が撃ち返すまでも無く、ほとんど飛ばずに力なく地面に落ちていた。 身構えていた彼も、投げた智子自身も、拍子抜けに呆然とするしかなかった。 だがそのボールは、手榴弾だった。 ロビンが最後にとっておいていた手榴弾は、そのまま地面を転がり、爆発していた。 爆風とともに飛んだ破片が、青年の全身を穿った。 当然彼はその全てをラケットで打ち返そうとした。 しかしガットは切れ、ラケットは砕けた。 ラケットは、鉄球や爆弾を打ち返すための道具ではない。 地面にぶつけただけで折れたり砕けたりしてしまう繊細な消耗品だ。 況や、テニスはネットやコートも敷かれていない場所で試合ができるスポーツでもない。 ヒグマに食われ、彼――跡部景吾の選手生命は、文字通り終わっていた。 ただ彼が託した王国の、『お前だけの氷帝コール』は、確かに彼に届いた。 王国の行く末を任された王妃の雄姿を、彼は確かにその目に焼き付けた。 門出を祝うように左手を上げると、そのまま跡部景吾の肉体は、砕けて血に返っていった。 智子はその様子を見て、へたへたと地に座り込んでいた。 「ふ……へ……、見たか。見てたか、ロビン……。お前だったら、きっと、こうするだろ……?」 「何やってんだいマスター……!? ア、アタシが間に合わなかったら、どうする気だったのさ……」 「きっと守ってくれるって、信じてたから……」 智子の前には、グリズリーマザーの青く広い胸があった。 智子は声ではなく、マスターとサーヴァントとしての魔力の繋がりを震わせることで、己の危機を伝えていた。 爆風から守ってくれたグリズリーマザーの声を耳にしながら、黒木智子は悟った。 投手とはボールをストライクゾーンに投げる存在ではない。 ボールを投げて勝利を導く存在。 王であり、英雄である――それが、クリストファー・ロビンという男だった。 彼は自分の王国を、王妃が必ずや守ってくれると信じていた。 だから戦えたのだ。 何をしようとも、帰れる信念がそこにあったのだ。 王の姿に追いつこうとした王妃は、やっとほんの少し、彼の背中に近づけたような気がした。 「あ、グ、グリズリーマザーさん、行かないでください! ちょっと、私もう弾ける玉がないんですよ!?」 その時、黒木智子のいるバスの近くに慌てて走って行ってしまったグリズリーマザーに慌てたのは、司波深雪だった。 智子とは対照的に、わらわらと寄ってくる死者たちに対抗する術がなくなった司波深雪は、一瞬にして絶望感に包まれる。 しかしその責任の大半は、グリズリーマザーに守られ始めるや否や、安心しきって弾丸の補充を怠っていた深雪自身にある。 致し方ない。 「ひぃ!?」 しかし、そうして恐怖に身をすくませた彼女の目の前で、死者たちが一気に袈裟懸けに薙ぎ払われる。 それをしていたのは、銀髪の天然パーマに、死んだ魚のような目の、着流しを纏った侍と思しき男性だった。 「お、襲ってこない……!?」 その男性は、明らかに死者でありながら、着流しの懐に手を突っ込んでぼりぼりと胸を掻き、手に持った木刀で何やら地面に言葉を書きつけていた。 「『女に手は出さねぇ。さっさと行きな』……!?」 着流しの男はそのまま、司波深雪に近づいてくる死者たちをバッサバッサと木刀で薙ぎ倒してゆく。 あたかもプリンセスを守るナイトのような紳士的な振る舞いに、兄の面影さえ重なって、深雪は少しばかりでなくときめいた。 「まさか、理性を保ってるの!? あ、ありがとう、助かりましたわ! この美しい私を真っ先に助けるとは、見る目がありますね、生前はさぞ立派な方だったんでしょう……」 感嘆する深雪の言葉に、その男――坂田銀時はニヤリと微笑む。 彼はチッチッと指を打ち振って、地面に文字を書き加えていた。 「なんですって……? 『女に美も醜もねェ。ブスも美女も差別なく平等にただの穴として口説くのが俺の作法だ』……? 『やらせてくれそうな穴がいたから寝返ってきたのさ。これが終わったらシッポリしようや』……」 深雪は地面に刻まれた文言を読み上げた後、しばし絶句した。 そして、にこにこと見つめてくる坂田銀時に向き合うと、思いっきりその拳を振り上げた。 「死ね!!」 HIGUMA細胞移植手術で増強された筋力が、九重八雲に鍛えられた体術でもって揮われる。 深雪の渾身の打ち下ろしは、過たず坂田銀時のこめかみを捉え、その頭蓋をスイカのように粉砕していた。 「死んで当然のクズでしたね。そりゃあそうでしょう。こんなヘドロの河になんか、私の鉄拳で砕けるようなクズしかいません!!」 「深雪はどんどんクマらしくなっていくなぁ。流石だ」 ヒステリックに叫びながら、さらに吹っ切れた司波深雪は、迫りくる死者たちを次々と殴りつけて消滅させてゆく。 その様子を横目に、百合城銀子が死者を食らいつつ、じゅるりと舌なめずりをしていた。 「――よし、凌げる! 凌げるよ! 智子さんや扶桑がやられないように! 涙子さんたちを信じて、この拠点を守り抜こう!!」 そして戦刃むくろもまた、フライパンを振り抜いては高らかに叫ぶ。 一行はこの死の河と、再び互角に渡り合っているように見えた。 心が沸き立っていた。 友のために戦えていること。 そしてその友を確かに守れていること。 その事実に、達成感ばかりが心を満たした。 戦刃むくろは、今まで彼女が彼女として感じたことのない喜びと希望で溢れていた。 ℃℃℃℃℃℃℃℃℃℃ 「……なるほど。少しはやるようだ、人間(ヒューマン)。 だがその程度では足りない! 絶対的に足りない! 身も心も魂も、最後の一滴まで振り絞り、さらにあるはずのない力の全てを出し尽くし犠牲としなければ――。 この河を渡り、境を越え、この壁を破り私を討つことなど到底できはしない」 その頃、この死の河の主――アーカードは、ぽつりとそう呟いていた。 アーカードは血の河の最奥で、血の色の玉座に深々と腰掛け、戦況を悠然と見下ろしている。 彼が座っているのは、血のヒグマの上だった。 彼がこの島で食らってきた数多のヒグマたちが溶け合い煮凝りひしめき合った、異形のヒグマの曼荼羅が、アーカードを守る玉座となり壁となり垣根となり、爪と牙を奮い立たせて、めろめろとした瘴気を吐きながら呻き声を上げている。 最後尾のバスからは、あたかもこの一行は死の河と互角に戦えているように見えただろう。 しかし実際のところ、彼女たちの最前衛は、このアーカードが待つ玉座までの距離の、半分までさえも届いてはいなかった。 「――油が切れた!? クソッ、もう撒けねぇ!!」 「天龍さん!?」 軽巡洋艦天龍が、紅葉のように吹き散らしてきたその火炎を、ついに放てなくなる。 佐天が、彼女と離れた位置に分断されたまま安否を尋ねて叫ぶ。 戦刃むくろたちが死者を捌けていたのは、扶桑が砲撃で攻勢の大半を打ち砕いていること以外に、最前線で佐天と天龍の二人が、後先を鑑みぬ全力で死の河の勢いを崩していたからに他ならない。 しかし、死の河のただ中に切り込んでしまった両者は、すぐに取り囲まれて、お互いが孤立無援の戦場に取り残されてしまう。 いわば、河の真ん中にぽつんと残された中州だ。 少しでも河が増水すれば、すぐにでも水没してしまう。 物量があまりにも違いすぎる。今まで天龍たちが消滅させた死者たちは、多く見積もっても死の河全体の二割にも満たない。 疲労が募る。 力が枯れる。 アーカードに至る最短距離を切り込んでいっても、次々と押し寄せてくる死者は天龍と佐天が捌ける数を超えてきている。 なおかつ、天龍に残っていた燃料は、間違いなく有限だ。 押し切られるのは時間の問題だったのだ。 「あと少し……! あと少しなのによぉ!」 「『凍結海岸(フローズン・ビーチ)』!! 天龍さん、今行く!!」 途端に劣勢に追い込まれる天龍の様子に、佐天は一帯の死者たちを氷漬けにして時間を稼ごうとした。 だがその瞬間、凍って足止めされる死者たちの垣根を超えて、何かがヒュッと音を立てて佐天に迫っていた。 「はっ!?」 咄嗟に斜めに受けたガブリカリバーに、風圧だけでU字のような湾曲した傷が入る。 それは佐天の目元を狙って放たれた、猛烈な勢いの呼気――、言わば『見えない目潰し』とでもいうようなものだった。 天龍の元へ走り出そうとしていた彼女の前に立ちはだかったその死者は、半分熊、半分人間のような男だった。 「る、涙子――!? そ、そいつは、津波の上を走る足をもってやがったヤツだ!!」 「なっ――!?」 弁髪をたなびかせたその偉丈夫――烈海王は、中国拳法のキレで拳打と蹴撃を繰り出し、死者の氷でできたリングの上で、瞬く間に佐天涙子を追い立ててゆく。 今までの死者たちとは格が違う。格闘家のそれだ。 津波に沈んだ烈海王らの死体も、水が引いた後にアーカードによって取り込まれていたのである。 彼は、佐天涙子の能力によって地面が凍る前に右足を浮かせて前に出し、同じく左足が凍る前に浮かせて前に出し……、それを繰り返して、氷の上を歩いてきていた。 ヒグマとなっている彼は、15メートルまでならばこの凍結領域を駆け抜け、凍り付くことなく戦うことができた。 その拳に、蹴りに、佐天涙子は否応なく思い出す。 ――工藤さん!! 「私は!」 佐天が手を打ち払う。 その華奢な手ごと、彼女を叩き潰すかと見えた烈海王の正拳突きは、何時の間にか肘からごっそりと消えてなくなっていた。 佐天は慟哭した。叫びながら、むしろ体当たりのようにして、烈海王の胴体に組み付いていた。 「能力者に!」 力を。圧倒的な力を。 羆になってまで強くなろうとした工藤健介の気持ちが、今なら少しわかるような気がした。 強くなければ、強くならなければ、生き残れない。 守れない。 会えない。 愛せない。 大好きなあの人の笑顔をもう一度見るためには、あらゆる力を使うしかない――! 「なったんだぁっ!!」 殺意が吹き上がる。 『蒼黒色の波紋疾走(ダークリヴィッド・オーバードライブ)』の昏い光が、巨大な蛇のように烈海王の全身を飲み込み、一瞬にして砂塵のように砕き尽した。 蒼黒い光は、そのまま血の色の河を伝わって、死者たちを砂嵐に噛み砕いてゆく。 その光は、天龍だけをよけて、あの百貨店の屋上を再現するかのように、半径数十メートル圏内の死の河を蒸発させ一気に砂地へと変えた。 「る、涙子……、助かった! だが、今度は……」 駆け寄る佐天に助け起こされ、天龍は喘ぐ。 その隻眼に映ったのはしかし、砂地になおも踏み込んでくる死の河と、その先頭にいる死んだヒグマたちの猛りだった。 「クッソ、ヒグマが来やがる――!」 「忘れない! 怯えない! 流されない! 負けない! 挫けない! 逸らさない! 諦めない! 逃げない! まだだよ天龍さん! まだ落胆なんていらない!! ほら!」 だが荒い息をつきながら、未だはだかる死者の壁の向こうに、佐天は檄を投げる。 その言葉に見上げた天龍の眼に、夜を飛ぶ銀の閃光が映る。 死者の赤の中にひと際まばゆいその色彩に、天龍は確かに見覚えがあった。 「銀!」 それは、かつて彼女と共にいた秋田犬、『流れ星』と異名をとった熊犬の銀であった。 津波に飲み込まれた烈海王とともに、彼の遺体もまた、アーカードの中に取り込まれていたのだ。 死してなお、熊狩りの猟犬たる彼の本能は変わっていなかった。 彼は天龍の脇を通り過ぎながら、にやりと口角を上げたように見えた。 絶・天狼抜刀牙の旋風が、天龍を襲おうとしていた死んだヒグマたちを薙ぎ払い、彼方へと過ぎ去っていった。 血の色の中に眩い銀光が、次々と河を切り裂いている。 そして更に、残った死者たちは突如、佐天や天龍のものとは違う炎に焼かれ、そして生きたヒグマに薙ぎ払われていた。 天龍はいつの間にか、自分のデイパックから一つのボールが零れ落ちていることに気づく。 炎の馬を伴った禿頭の男性と、そしてサーフボードを携えた一頭のヒグマが、天龍の前に歩み来る。 両者とも、天龍の見知った顔だった。 「カツラ!? それに、サーファー!?」 「こんなビッグウェーブ見たら……、乗らねぇわけにいかねぇのが波乗りの性さ……。 ありがとよ人間の姉さん……。束の間の休息だったが、快適だったぜ」 「……」 ヒグマサーファーの声に合わせ、死の河から蘇ったカツラは天龍に向けて親指を立てる。 彼は友たるポケモンとともに、ヒグマをも守りたいと――、そう考えて生きていたはずだった。 しかし今は、彼の心にもサーファーの心にも、それよりもさらに守りたいものがあったのだ。 そしてサーファーは、カツラは、死の河の波に飛び込んでいった。 潮に湯浴みした海の子ならば、千尋の底に帰ることこそ本望だというように。 赤銅の血潮を切り立て切り立て、天龍のために道を拓き切って、斃れていった。 「何だよ、何なんだよ、どうしてお前たちはそうまで思い切ってんだ!」 天龍は、ボロボロと涙を流して慟哭した。 そして泣きながら気づくのだった。 ――そりゃそうだ。そうだよな。 今も天龍の手を握る温もりが、その思いの原動力なのだと、わからないはずがなかった。 傷だらけの制服で・傷つき倒れながら・もがきながら・苦しみながら・それでも生き抜こうと・生きて友に会おうと進み続けているこの少女――。 佐天涙子の姿が、そこにあるからだった。 「こんな信念を見せられて、思いきらねぇほうがどうかしてる……。もう迷いなんていらねぇ!!」 こんな少年少女たちの未来を、奪いたくない。奪わせたくない。 彼女たちの展望を、閉ざしたくない。 人を。彼女たちを守りたい――。 艦船としてのその初心の一念を思い出し、天龍は奮起した。 「お前たちの思いは、届ける! 俺たちが必ず届ける!!」 ――狙うは、司令塔だ。 忘れもするまい、あの大戦にて、日本は本土への新型爆弾の投下にて一瞬にして米英に敗北を喫した。 広がりに広がった末端の島嶼では、まだ兵士たちが戦いを続けていたのにも関わらずだ。 この戦いに勝つには、はじめに黒木智子が指摘したとおり、敵の本拠地を、司令塔を、一気に襲撃して陥落させるしかない。 こちらがどれほどの犠牲を払おうと、それさえできれば、勝ちなのだ。 我が身一つが砕けようと、それだけで、守りたかった未来は救えるのだ。 「乗れ、涙子!! 俺が命に代えても、お前を送り届ける! あそこのクソオヤジに、お前の全てを、俺たちの全てをブッ刺せ!!」 「……うん!」 燃えるような天龍の言葉に、佐天涙子もまた、ただ震えながら頷く。 天龍たちにとっての切り札は、この佐天涙子をおいて他になかった。 必ずや投下してみせる――。 天龍は、機関の内部に残る最後の燃料全てを燃やし、銀と穴持たずサーファーが切り拓いた道を滑走路として、助走をつけて飛び上がった。 「『藐姑射(ハコヤ)の橋』!!」 中国の奥地の藐(はるか)には、不老不死の神仙たちが棲んでいる、姑射という山があるという。 争いや俗世を超越した、理想の場所があるという。 数多の者が憧れ訪ねたその空想上の場所を、天龍もまた追い求めていた。 もうこんな争いは御免だ。もうこんな争いには、終止符が必要なのだ――。 天龍峡十勝・姑射橋は、その地へと繋がる橋のような巌だった。 「行っけぇ涙子ぉぉぉ――!!」 「はああぁぁぁぁぁぁ――!!」 高く高く飛び上がった二人が風に乗る。 天龍はそこから佐天涙子を掲げあげて、さらにエンジンを吹かせた。 空中で天龍は佐天の体を放り投げる。 佐天は天龍の手を蹴って、その反動を受けてさらに高くへと、遠くへと、眼下に犇めく死者の河を越えて、500メートルを越える飛距離の軌跡を描いて、はるか先にそびえ立つアーカードの牙城に襲いかかっていた。 「――来るのか。届くのか。何という女だ。人の身でよくぞここまで練り上げた……! 敵よ!! 殺してみせろ!! この心臓にその剣を突き立ててみせろ!! 500年前のように!! 100年前のように!! この私の夢のはざまを閉じる封をくれ!! 愛しき御敵よ!! 私の贈ったその言葉に、意味をつけてくれ!! 黒化(ニグレド)無く白化(アルベド)無く、堕ちた私の赤化(ルベド)に! 色をつけてくれ――!!」 アーカードは感嘆していた。 ――rave<レイブ>(狂喜を) 彼はウィルソン・フィリップス上院議員のガブリカリバーに、そんな言葉を刻んだ。 再戦時に、もっと私を楽しませてほしい。 そんな願いを捧げていた。 そして、そこに更に一文字。 ここに辿り着くまでの道中のために、この言葉を贈った。 ――Brave<ブレイブ>(勇気をッ!) 前へ、前へ、前へ、前へ、前へ、前へ、前へ、前へ!! 敵が幾千ありとても突き破れと! 突き崩せと! 戦列を散らせて、命を散らせて、その後方へその後方へ、私の眼前に立ってみせろと! あの叫びを、人間の意気が詰まったあの叫びを、もう一度聞かせてくれと! ――そう、願っていた!! 「私は生きて、初春に会うと誓ったんだ!! 必ず、会うと――!!」 人体には、7つの結節点があるという。 インドのヨーガの言い方では、それを『チャクラ』と呼称し、仙道にも同様の考え方が存在する。 根のチャクラ、尾閭(ムーラダーラ)。 脾臓のチャクラ、丹田(スワディスターナ)。 臍のチャクラ、夾脊(マニプーラ)。 心臓のチャクラ、膻中(アナハタ)。 咽喉のチャクラ、玉沈(ヴィシュッダ)。 眉間のチャクラ、印堂(アジナー)。 王冠のチャクラ、泥丸(サハスラーラ)。 これらは炎の輪、または華のようにイメージされ、脊柱の中のスシュムナー管という経路に仮想配置されている。 だが人体のチャクラは、この7つ意外にも、存在を疑問視されていながら、あと2つあるのではないかということが示唆されている。 その一つが、頭頂よりさらに上、虚空に存在するチャクラ。月のチャクラ『ソーマ』。 それは人の体に頭より上の部位がない以上、存在しないはずの円環だった。 だが今、佐天涙子の頭上には、それがあった。 尾閭(ムーラダーラ)から脊柱を駆け上り、7つの大輪を回した進化力(クンダリニー)が辿り着くその先が。 ウィルソン・フィリップス上院議員から託された、ガブリカリバーの刃先が、佐天の頭上に煌めく。 彼女が掲げたその柄本に円い月が、月の輪(ソーマ・チャクラ)が渦巻く。 確かに聞こえた。 アーカードは確かに聞いた。 人間の意気が詰まったあの叫びを、確かにアーカードは目の当たりにした。 ――OUTBrave<アウトブレイブ>(凌駕するッ!!) 傷だらけのその刀身は、今やこんな文字が、書かれているように見えた。 ℃℃℃℃℃℃℃℃℃℃ 佐天涙子を放り投げ、落下する天龍は、死を覚悟した。 もはや全ての燃料を使い果たした状態で、死の河のど真ん中に落ちてしまうのだ。 だが彼女は満足だった。 彼女が送り出した佐天涙子の全身は、空を飛ぶ星のように輝いていた。 その時、自由落下していた彼女の体が、急に襟元で咥え上げられる。 そのまま死の河のほとりにしっかと着地して、天龍は地面に降ろされる。 「銀……!」 彼女を助けていたのは、にっこりと笑う熊犬だった。 死した彼の体は、そのままなぜか光となって空に溶けてしまう。 驚く天龍の目の前で、その『異常現象』は次々と発生した。 死の河のそこここが、虹色の光に食いつぶされてゆくのだ。 「何だ!? 死人どもが、消えて……!?」 『向こう側』の扉が開く。 虹色の粒子が、辺りの死者を侵食して消し去らせる。 氾濫した死の河の全てが、ランタンも要らぬほど眩い、真昼のような虹色の光に溶けて消えてゆく。 その光たちは、そのまま佐天涙子の元へと集っていった。 デイパックと共に、ウィルソン・フィリップス上院議員が、皇魁が、光に溶けてゆく。 佐天涙子の纏う一切が、分解されて光となる。 バスが溶ける。 枯れ木が溶ける。 天龍の周りで、黒木智子たち一行の周りで、死んでいった者たちが光となって溶けてゆく。 死者の全てが、枯死した木々の全てが消え去り、森は更地となってゆく。 その光景に、森のただ中で、バスの横で、彼女たちはハッと顔を上げた。 「島風――! 行ってくれ! 涙子に力を貸してくれ!!」 「ロビン――! 私たちを、助けてくれ!!」 天龍の掲げたデイパックごと、島風の如き少女が風に変わってゆく。 智子の抱き上げた少年の体が、彼の投げてきた数々のボールとともに天へ昇ってゆく。 その幻想的な光景を、グリズリーマザーもヤスミンも、百合城銀子も司波深雪も、扶桑も戦刃むくろも、そしてアーカードも、ただ嘆息して見上げていた。 「……なんという輝きだ。おお、なんという色彩だ……!」 アーカードを取り巻いていた異形のヒグマの曼荼羅も、悉く光に食い尽くされて消えてゆく。 アルター粒子の虹色に混ざった膨大な思いとエネルギーが、空を駆ける佐天涙子の背に翼のように渦巻いた。 越境したエネルギーの嵐が、彼女の最奥に、音もなく最後の雫を落とす。 世界各地に同様の概念が存在し、人体の7つのチャクラを合わせた全てのエネルギーよりもさらに大きなエネルギーを秘めているとされる、尾骶骨の下位のチャクラ。 六随眠。 八十八見惑。 十修惑。 十纏。 そこは108あるとされる、発狂と我執に塗れた欲動のさらに奥の、109番目の区画だ。 中南米においては『キッシン』。 中国においては『鬼骨』。 インドにおいては『アグニ』。 生命進化の根源であり、クンダリニーが発生する根源なのではないかと考えられているチャクラが氾濫する。 109区が決壊する。 堰を切ったエントロピーが、佐天涙子を溢れて水の青に燃える。 月のナイフを掲げた彼女の全身が、真っ青な炎に包まれる。 彼女は悟った。 これこそが、自分が秘めていた思いの根源なのだと。 これこそが、あらゆる人々が望む願いの源泉なのだと。 『幻想御手(レベルアッパー)』で繋がった脳の波の中にも見たその感情。 それは憧れにも似た渇望。 眩い光を見るばかりで、自分では輝けなかった全ての人々が眠らせる万感。 その全ての感情が炎となって、佐天涙子から溢れるのだ。 佐天涙子は自分の背に、皇魁が、ウィルソン・フィリップスが、島風が、そして今まで戦い、出会い、袖振り合って来た全ての者たちが燃えているのを感じる。 阿頼耶識。 幻想猛獣(AIMバースト)。 世界各地にこの感覚を表現する言葉はあるだろう。 だが彼女はもう、その感情を知っていた。 「これが月の炎――! 月の心――!! 月の『恋』――!!」 「ああ、そうだ! 来い! 来てくれ、人間(ヒューマン)――!!」 もう千年もキミを待った――。 人として、人類進化の到達点として、佐天涙子はそのエネルギーを振り降ろす。 まるで待ちわびた思い人を出迎えるように、たった一人となった血塗れの城主は両手を広げていた。 刃を突き立てられるアーカードの表情は、歓喜に満ちていた。 身も心も溶けるような高熱が、彼の全てを包み込んでいた。 佐天涙子の身に集まった数多の死者たちを弔う荼毘のような、それは彼と彼女たちが恋い焦がれた炎だった。 【ヒグマード(アーカード・ヒグマ6・穴持たず9・穴持たず71~80・穴持たずサーファーほか三百数十万あまりの命) 消滅】 ℃℃℃℃℃℃℃℃℃℃ 「ああ――、なんて、青い……」 その光景を見ていたものは、覚えず、そんな言葉を呟かずにはいられなかった。 それはまるで、地上に落ちた流星のようだった。 天を焼くほどの真っ青な火柱がそこに燃え上がり、登りゆく月に向けて、むしろ冴え冴えと冷え渡るような光を放っている。 遅れて、身を焦がすような熱風が全身を叩くまで、天龍たちはしばし呆然とその光景を見つめていた。 星を熔かすような蒼い光は、その炎が50000ケルビンを超える猛烈な温度を持っていることを示している。 中心部の温度は優に数百億度を超えるかと思われた。 アルター粒子に侵食された更地の中心部でそれは、暫くの間燦然と輝き、そして急速に燃え尽きた。 焼き尽されたその場所はクレーターのように窪み、熔け落ちたあらゆる元素が溶融し蒸発し変質し、銀色の器のようになって溜まっていた。 「涙子! 涙子!!」 肺が焼けそうに灼熱した空気の中を、溶岩に侵されたかのような焦土を蹴って天龍は駆け寄った。 佐天涙子の全身は、焼けただれていた。 衣服は燃え尽き、その皮膚も焼け焦げている。暴走し氾濫した能力から、彼女は自分を守り切れなかったのだ。 むしろ自分の身を省みずに能力を揮わなければ、アーカードを倒すことなどできなかったのかも知れない。 「死ぬな! 死ぬなよ涙子!! ここで死んだら元も子もねぇ!!」 「――ったく、このじゃじゃ馬が。派手にやったもんじゃねぇか」 その時、佐天を抱え上げて咽ぶ天龍の隣に、聞き覚えのない男の声が屈みこんでいた。 バッと警戒して顔を上げた彼女の目に映ったのは、全身に包帯を巻いて屈託なく笑う、白髪の偉丈夫だった。 「――誰だ!?」 「俺も左天っていうのさ。この嬢ちゃんの味方だ」 彼がそう答えるや否や、焼け付いていた空気が、一瞬にして凛とした冬の風に置き換わる。 ただれて熱を帯びていた佐天涙子の皮膚が、瞬く間に薄い氷に包まれる。 肉体の表面を保護し冷却しながら、体液の損耗を防ぐための処置だった。 ――涙子と同じ能力。 驚愕する天龍に向けて、左天と名乗る男は平然と指示を出す。 「おい、ボサッとしてんな。助けるんだろ!? 心臓マッサージするぞ」 「――あ、ああ! みんな来てくれ! 涙子に、涙子に手当てを!!」 全身に火傷を負った佐天涙子からは、呼吸も心拍もほとんど聞こえなかった。 それでも、人を呼びに叫ぶ天龍の声の下で、左天は力強く彼女の胸骨を押しながら笑うのだった。 「異空間にいる間、俺も方々に渡りをつけてきた! 諦めんじゃねぇぞ嬢ちゃん!」 彼は誰よりも近くて遠い場所から、その少女の戦いを見続けてきた。 その経験から言わせれば、まだ落胆など、不要(ニードレス)だった。 【F―2 焦土 夕方】 【佐天涙子@とある科学の超電磁砲】 状態 全身熱傷、心肺停止、深仙脈疾走受領、アニラの脳漿を目に受けている、右手示指・中指が変形し激しい鱗屑が生じている、溢れ出す魂 装備 焼失 道具 焼失 [思考・状況] 基本思考 対ヒグマ、会場から脱出する 0 ―――――――――― 1 初春を守る。そのためには、なんだってできる――!! 2 もらい物の能力じゃなくて、きちんと自分自身の能力として『第四波動』を身に着ける。 3 その一環として自分の能力の名前を考える。 4 『下着御手(スカートアッパー)』……。 5 本当の独覚だったのは、私……? 6 ごめんなさい皇さん、ごめんなさいウィルソンさん、ごめんなさい北岡さん、ごめんなさい黒木さん……。ごめんなさい……。 7 思い詰めるなって? ありがたいけど、思い詰めるのが私の力よ。 [備考] ※第四波動とかアルターとか取得しました。 ※異空間にエカテリーナ2世号改の上半身と左天@NEEDLESSが放置されています。 ※初春と協力することで、本家・左天なみの第四波動を撃つことができるようになりました。 ※熱量を収束させることで、僅かな熱でも炎を起こせるようになりました。 ※波紋が練れるようになってしまいました。 ※あらゆる素材を一瞬で疲労破壊させるコツを、覚えてしまいました。 ※アニラのファンデルワールス力による走法を、模倣できるようになりました。 ※“辰”の独覚兵アニラの脳漿などが体内に入り、独覚ウイルスに感染しました。 ※殺意を帯びた波紋は非常に高い周波数を有し、蒼黒く発光しながらあらゆる物体の結合を破壊してしまいます。 ※高速で熱量の発散方向を変えることで、現状でも本家なみの広範囲冷却を可能としました。 ※ヒグマードの血文字の刻まれたガブリカリバーに、なにかアーカードの特性が加わったのかは、後続の方にお任せします。 ※『月(ソーマ・チャクラ)』を回しました。 ※『鬼骨(アグニ・チャクラ)』を回してしまいました。 【左天@NEEDLESS】 状態 健康 装備 自分のガントレット 道具 エカテリーナ2世号改の上半身@とある科学の超電磁砲、多数のクッキー@クッキークリッカー、ヒグマの肉 [思考・状況] 基本思考 全能者になる。嬢ちゃんの成長にも興味がある。 0 まだ諦めんなよ嬢ちゃん! じゃねぇと折角出て来れた甲斐がねぇ!! 1 このじゃじゃ馬には、まだまだ先があるんだぜ!? [備考] ※佐天涙子の支給品です。 ※異空間に閉じ込められている間、空間が開く度に顔を覗かせていたため、いくつかの異なる場所に何らかの話をつけているようです。 【穴持たず46(シロクマさん)@魔法科高校の劣等生】 状態:ヒグマ化、魔法演算領域破壊、疲労(中)、全身打撲、ヒグマの血がついている、溢れ出す魂 装備:なし 道具:なし [思考・状況] 基本思考:兄を復活させる 0:諦めない。 1:やった! 助かった! やはり私はお兄様に導かれています! 2:江ノ島盾子には屈しない。 3:私はヒグマたちに対して、どう接すれば良かったのでしょうか……。 4:残念ですが、私はまだ、あなたが思うほど一人ぼっちではないようです。有り難いことに……。 5:私はイソマさんに、何と答えれば、良かったのでしょうか……。 6:何なんですか低能クソビッチって!? [備考] ※ヒグマ帝国で喫茶店を経営していました ※突然変異と思われたシロクマさんの正体はヒグマ化した司波深雪でした ※オーバーボディは筋力強化機能と魔法無効化コーティングが施された特注品でしたが、剥がれ落ちました。 ※「不明領域」で司馬達也を殺しかけた気がしますが、あれは兄である司波達也の 絶対的な実力を信頼した上で行われた激しい愛情表現の一種です ※シロクマの手によって、しろくまカフェを襲撃していた約50体の艦これ勢が殺害されました。 ※モノクマは本当に魔法演算領域を破壊する技術を有していました。 【天龍@艦隊これくしょん】 状態 小破、燃料切れ、キラキラ、左眼から頬にかけて焼けた切創、溢れ出す魂 装備 日本刀型固定兵装、投擲ボウイナイフ『クッカバラ』、61cm四連装魚雷、島風の強化型艦本式缶、13号対空電探 道具 基本支給品×2、ポイントアップ、ピーピーリカバー 基本思考:殺し合いを止め、命あるもの全てを救う。 0:涙子を、必ず助ける! 1:扶桑、お前たちも難儀してたみてぇだな……。 2:迅速に那珂や龍田、他の艦娘と合流し人を集める。 3:金剛、後は任せてくれ。俺が、旗艦になる。 4:ありがとう……銀……、島風、大和、天津風、北岡、カツラ、サーファー……。 5:あのヒグマたちには、一体、何があったんだ……。 [備考] ※艦娘なので地上だとさすがに機動力は落ちてるかも ※ヒグマードは死んだと思っています ※ヒグマ製ではないため、ヒグマ製強化型艦本式缶の性能を使いこなしきれてはいません。 【黒木智子@私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!】 状態:血塗れ、ネクタイで上げたポニーテール、膝に擦り傷、溢れ出す魂、疲労(中) 装備:令呪(残り1画/ウェイバー、綺礼から委託)、製材工場のツナギ 道具:基本支給品、制服の上着、パンツとスカート(タオルに挟んである)、グリズリーマザーのカード@遊戯王、レインボーロックス・オリジナルサウンドトラック@マイリトルポニー、ロビンのデイパック(砲丸、野球ボール×1、石ころ×69@モンスターハンター、基本支給品×2、ベア・クロー@キン肉マン ) [思考・状況] 基本思考:モテないし、生きる 0 おい、生きろよ!? 生きてろよパンツマイスター佐天!! 1 ロビン……、少しはお前に、近づけたか? 2 グリズリーマザーと共に戦い、モテない私から成長する。 3 グリズリーマザー、ヤスミンに同行。 4 アーカードは……、あんな攻撃じゃ、死なない……。 5 ダメだこの低能クソビッチ……。顔だけ良くて頭と股はユルユルじゃねぇか。 6 即堕ちナチュラルボーンくっ殺とか……、本当にいるんだなそういう残念な奴……。 ※魔術回路が開きました。 ※グリズリーマザーのマスターです。 【扶桑改(ヒグマ帝国医療班式)@艦隊これくしょん】 状態 心臓を撃ち抜かれている(人差し指を突っ込んでいる)、ところどころに包帯巻き、キラキラ、溢れ出す魂 装備 35.6cm連装砲 道具 なし 基本思考:『絶望』。 0 まだ……、沈まない。 1 天龍さん、あなたを強くさせたもの、わかった気がします。 2 ああ、何か……、絶望から浮上してくるのって、気持ちいいですね……! 3 他の艦むすと出会ったら絶望させる。 4 絶望したら、引き上げてあげる。 【グリズリーマザー@遊戯王】 状態:背中に手榴弾の破片がいくつも突き刺さっている、溢れ出す魂 装備:『灰熊飯店』 道具:『活締めする母の爪』、『閼伽を募る我が死』 [思考・状況] 基本思考:旦那(灰色熊)や田所さんとの生活と、マスター(黒木智子)の事を守る 0 涙子ちゃん! 大丈夫かい!? 1 マスター! アタシはあんたを守り抜いてみせるよ! 2 灰色熊……、アンタの分も、アタシが戦ってやるさ。見ときな! 3 とりあえずは地上に残ってる人やヒグマを探すことになるかしら。 4 むくろちゃんも扶桑ちゃんも難儀だねぇ……。 5 実の姉を捨て駒にするとか、黒幕の子はどんだけ性格が歪んでるんだい……? [備考] ※黒木智子の召喚により現界したキャスタークラスのサーヴァントです。 ※宝具『灰熊飯店(グリズリー・ファンディエン)』 ランク:B 種別:結界宝具 レンジ:4~20 最大捕捉:200人 グリズリーマザーの作成した魔術工房でもある、小型バスとして設えられた屋台。調理環境と最低限の食材を整えている。 移動力もあり、“テラス”としてその店の領域を外部に拡大することもできる。 料理に魔術効果を付加することや、調理時に発生する香気などで拠点防衛・士気上昇を行なうことが可能。 ※宝具『活締めする母の爪(キリング・フレッシュ・フレッシュリィ)』 ランク:B 種別:対人宝具 レンジ:1~2 最大捕捉:1~2人 爪による攻撃が対象に傷を与えた場合、与えた損傷の大きさに関わらず、対象を即死させる呪い。 対象はグリズリーマザーが認識できるものであれば、生物に限らず、機械や概念にまで拡大される。 ※宝具『閼伽を募る我が死(アクア・リクルート)』 ランク:B+ 種別:対人宝具 レンジ:- 最大捕捉:1人 自身が攻撃を受けて死亡した場合、マスターが令呪一画を消費することで、自身を即座に再召喚できる。 または、自身が攻撃を受けて死亡した場合、マスターが令呪一画を消費することで、Bランク以下の水属性のサーヴァント1体を即座に召喚できる。 【穴持たず84(ヤスミン)@ヒグマ帝国】 状態:左腕が斬り落とされている(焼灼止血済み)、溢れ出す魂 装備:ヒグマ体毛包帯(10m×8巻) 道具:乾燥ミズゴケ、サージカルテープ、カラーテープ、ヒグマのカットグット縫合糸、ヒグマッキー(穴持たずドリーマー・残り1/3)、基本支給品×3(浅倉威、夢原のぞみ、呉キリカ) [思考・状況] 基本思考:ヒグマ帝国と同胞の安寧のため傷病者を治療し、危険分子がいれば排除する。 0 医療班として……、必ず佐天涙子さんを救って見せます……。 1 帝国の臣民を煽動する『盾子』なる者の正体を突き止めなければ……。 2 エビデンスに基づいた戦略を立てなければ……。 3 シーナーさん、帝国の皆さん、どうかご無事で……。 4 ヒグマも人間も、無能な者は無能なのですし、有能な者は有能なのです。信賞必罰。 ※『自分の骨格を変形させる能力』を持ち、人間の女性とほとんど同じ体型となっています。 ℃℃℃℃℃℃℃℃℃℃ 「やったのね、佐天さん……! 私も行かなきゃ……!」 天龍の呼び声に、戦刃むくろは息を吐いた。 全身を満たしていた達成感に、彼女はバスを守っていた誰よりも遠くまで、フライパン一本で死の河の亡者たちを叩き潰しに走っていたところだった。 本当に、彼女たちは数百万の亡者たちの河を、その元凶たる吸血鬼ごと消滅させたのだ。 それは、この半径1キロメートル近くが丸ごと更地になってしまった森を見れば明らかだ。 視界の先で、クレーターのようになっている爆心地へと、グリズリーマザーやヤスミンたちが駆け寄っていくのが見える。 彼女たちの後に続いて、佐天涙子を助けに行こうと、むくろが走り出そうとしたその時だった。 突然、彼女の背中で通信機から音が鳴ったのだ。 聞き間違うはずもなく、それは彼女の妹の、江ノ島盾子だった。 「も、もしもし盾子ちゃん!? どうしたの!? 大丈夫!? 連絡取れなかったから心配して……」 「何やってんだ、カスが。なんで今まで通信機の電源を切ってた」 慌てて通話を取ったむくろの耳に、低い声で刺々しい言葉が突き刺さってくる。 妹の冷たい口調に、背筋が粟立った。 今まで電源を切っていた通信機が、拳銃を取ろうと背中を探った時にオンになったものらしい。 「ご、ごめん盾子ちゃん。ちょっと隠れてたタイミングがあって……」 「まあいいや。佐天涙子を始め、そこにいる人間とヒグマを、皆殺しにしろ」 「え……?」 なぜ、盾子ちゃんはこの場にいる人々を知っているのか――。 そんな疑問が浮かぶ以前に、むくろは妹の言葉の趣旨を理解できなかった。 「ちょ、ちょっと待って。今私達は、みんな必死で戦い抜いて、生き残ったところで……」 「そうだな。だからこんなチャンス、オマエラ全員が弱ってる今しかねぇだろ? 殺ってこい」 暫く、むくろは絶句した。 うまく言葉が見つからず、ようやく口を突いた声は、夕闇に消え入りそうなほどだった。 「……涙子ちゃんは……。お姉ちゃんの友達なの……」 その言葉に返って来たのは、溜息一つだった。 「……本物よりも絶望的に残念だな、劣化コピー」 体の芯から凍ってしまいそうな、絶望的な声が、むくろの耳を抉った。 「お前の価値は、もはや殺し以外にねぇんだよ。己惚れるな。 あとな、お前はただの駒だ。ただの模造品だ。選択肢なんてない」 彼女の存在の全てを否定するようなどす黒い泥が、通信機から溢れてくるようだった。 妹からの言葉はたったそれっきりで、あとはもう、通信機が鳴ることは二度と無かった。 戦刃むくろは震えた。 震えすぎて、通信機を取り落とした。 通信機は壊れて、バネやネジをあたりに撒き散らした。 「どうして……。私は、私は……、どうしたら……」 「――キミのスキは本物か?」 頭を抱え慄く彼女の元にふと、凛とした呼び掛けが届く。 驚愕に振り向いたむくろの前には、一頭のクマが立っていた。 「あなた……、今の話を聞いて……!?」 「これは、断絶の壁からの挑戦だ、戦刃むくろ」 熊耳のドレスを纏った百合城銀子が、身構える戦刃むくろの前に立ちはだかっている。 意図の読めない薄ら笑いを浮かべながら歩み寄りつつ、銀子は彼女に意味深な言葉を投げかけてくる。 「キミのスキが本物なら、行動で示すがいい。クマがキミを待っている」 「どういう……、こと……!?」 むくろは、背中で拳を握った。 警戒心を越え、むくろが敵意に近い感情をその視線に込めてなお、百合城銀子の謎めいた眼差しは変わらない。 「その身をクマに委ねれば、キミのスキは承認される」 百合城銀子は、戦刃むくろから10歩ほどの距離を開けて立ち止まる。 そして白々とした牙を覗かせながら、彼女は改めて問うのだった。 「――さあ、戦刃むくろ。キミのスキは本物か?」 「わた、しは……」 夢が偏在している。 どこにも正解のない、為るはずのない難問を自分が解けるのか、穴持たず696にはわからなかった。 彼女が背中に握る拳銃には、未だ3発の弾丸が、残っている。 【F―2 焦土 夕方】 【百合城銀子@ユリ熊嵐】 状態:溢れ出す魂 装備:自分の身体 道具:自分の身体 [思考・状況] 基本思考:女の子を食べる 0 さあ、戦刃むくろ。キミのスキは本物か? 1 さすがは月の娘。こんな嵐の中でも曇りなきデリシャスメルだ。 2 ピンチの女の子を助け、食べる 3 数々の女の子と信頼関係を築き、食べる 4 ゆくゆくはユリの園を築き、女の子を食べる 5 『私はあらゆる透明な人間の敵として存在する』 6 深雪は堪能させてもらったよ。本格的に食べるのはまたの機会にな。 [備考] ※シバに異世界から召還されていた人物です。 ※ベアマックスはベイマックスの偽物のようなロボットでシバさんが趣味で造っていました ※ベアマックスはオーバーボディでした。 ※性格・設定などはコミック版メインにアニメ版が混ざった程度のようですが、クロスゲート・パラダイム・システムに召還されたキャラクターであるため、大きく原作世界からぶれる・ぶれている可能性があります。 【穴持たず696】 状態 左腕切断(処置済み)、波紋注入、溢れ出す魂 装備 フライパン、コルトM1911拳銃(残弾3/8) 道具 なし 基本思考:盾子ちゃんの為に動く。 0 私は、どうすればいいの……!? 1 こんな苗木くんみたいに強くて優しい涙子さんと仲間になれたなんて……。 2 智子さんは、すごく良い友達なんだから……! 絶対に守ってあげる……! 3 言峰さんとロビンくんの殉職は、無駄にしてはいけない……! 4 良かった……。扶桑は奮起してくれた! 5 盾子ちゃん、大丈夫かな……。 6 盾子ちゃん……。もしかして私は、盾子ちゃんを裏切ったりした方が盾子ちゃんの為になる? ※戦刃むくろ@ダンガンロンパを模した穴持たずです。あくまで模倣であり、本人ではありません。 ※超高校級の軍人としての能力を全て持っています。
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私は目下、戦争に駆り出されていた。 学徒動員とは、このようなことをいうのか。 「――丸太足りません! 早く持ってきてください!!」 「マスター! お願いねぇッ!!」 ――いや、戦争のセの字も知らないただのJKの感覚なので、実際はこんなものじゃないんだろうが。 「智子さん遅いよ! 何やってんの!!」 「黒木智子、小径のでいい! 数を運べ!!」 「ぜぇ……、ぜぇ……」 背中から複数のイケメンに声を掛けられている――。 という、普段なら狂喜するシチュなのにも関わらず、私にはもう、喜ぶ体力はなかった。 ここは製材工場という名の、戦場の最前線。 私が今何をしているかというと、そこで、軍人さんたちの使う武器を必死こいて供出しているわけだ。 解りやすく言えば、この場に溢れている丸太を、地下から逃げてきた穴で防衛戦を繰り広げているヒグマたちの元へ届けているんだ。 「早くしてよ智子さん……! その丸太、僕が運んでたのより細いだろ!」 その私の脇を、弱冠5歳のクソガキであるクリストファー・ロビンがずかずかと通り過ぎ、罵声だけを後に残して工場の中に消えていった。 「ク、クソぉ……。てか、あいつが、丸太、運べることの方がおかしいんだよむしろ……」 ロビンは、私より背の低いへちゃむくれであるにも関わらず、私の顔くらいある太さの丸太を軽々と曳いて運んでいくのだ。 野球選手ってのはこんな化け物ばっかなんだろうか。 「と~も~こ~さぁん、走りなよ……! 腕より細い丸太運べないでどうすんのさぁ!」 そして早々と、ロビンは工場から戻ってくる。 丸太を両手で携えるその姿は、吸血鬼相手にサバイバルしてますと言われても違和感がないほど堂に入っていた。 うるせぇクソガキ。私だってもう何往復も丸太運んでんだ。 早く吸血鬼でもヒグマでも潰して来いよ畜生め……。 「そ、そんなこと、言わないで、て、てつ、だって、よ……」 脳内で毒づいたものの、思考と裏腹に、体は正直だった。 放送禁止レベルのアヘ顔を晒しながら、私は恥を忍んで去りゆくロビンの背に声をかける。 でも、ロビンは振り向かない。 私の喘ぎが、聞こえてない。 会話が、続かない。 それどころか、会話が、始められない。 肺活量が足りなさ過ぎて、ほとんど声帯が震えてないんだ。 この際、処女膜からでもいいから、他人に届く声が出て欲しい。頼むから。 ようやくたどり着いた地面の大穴では、二頭のヒグマ――、グリズリーマザーとヤスミンが、その崩落した地下へと大量の丸太を突き込んだり投げつけたりしていた。 既に、敷地周囲に散乱していた分は粗方放り込んでしまっている。 「そらぁッ!!」 「ぬぁっ――!?」 「伏せろぉぉおおお――!!」 グリズリーマザーがその青い毛を振り立たせて突き出した丸太は、地下からの追手が投げ上げてきた魚雷を叩き落とし、空中で爆発させていた。 「あぁ、マスター、ありがとうね! 悪いけどまだまだ先は長いよ!」 「ひゃ、ひゃいぃ……」 「有難う御座います黒木智子さん……。ちょうど、この程度の細さの弾体が必要でした」 私がやっとの思いで運んできた丸太は、隣にいたヤスミンの手にひょいと奪い取られる。 軽々と担ぎ上げて、丸太を投げ槍のように耳元へ掲げ上げた彼女の姿は、場違いながらかなり絵になっていた。 古代ローマの彫刻のような、途切れることのない曲線で描かれる研ぎ澄まされたプロポーション。 簡素でありながらチラリズムに満ち溢れた純白の白衣の隙から、対照的に野生を感じさせる獣毛としなやかな筋肉が、うねりを持って流れ出す。 全身のしなりを以って放たれた丸太は、矢のように地下へと奔っていた。 「龍田提督! 秘蔵っ子の『46㎝三連装砲』、到着しましたぁ!!」 「よぉし、撃っちゃいなさい!!」 その丸太は、どうも彼らの最大装備であるらしいクソでかい主砲の口に、ぴったりと突き刺さる。 瞬間、ちょうどぶっぱなされようとしていたその大砲は、コルク栓のようにハマり切った長い丸太を貫ききれず、盛大に暴発していた。 周りにいた彼らは、その爆発で一気に吹き飛ばされる。 「いぃやぁだぁあああわぁあああ!! あぁぁあ、お洋服がぁああああ!! 許さないわよヤスミンちゃんんんっ!!」 「あなたは被服を一切纏っていないではありませんか! それは『お洋服』ではなく『毛皮』と表現するべきです!!」 中ボスクラスであるらしいヒグマは、甲高い声を上げながら、負傷から逸早く体勢を立て直す。 龍田提督と呼ばれたそのヒグマとヤスミンとが、地下と地上で激しく叫び合った。 「んまっ! アチシのこのお洋服を傷つけていいのは、龍田さんだけなのよぉおぉ! 百合を解さぬ石頭めぇ!!」 「あなたはオスでしょう! 恋愛の内容を『百合』と形容する際は、女性同士のものに限って用いるべきです!!」 「やぁねぇこれだからお医者さんはぁ!! カラダはオスでも心は乙女なのよぉぉおおおおぉぉぉっ!?」 「『GID(Gender Identity Disorder)』でお悩みなら、患者としていらして下さい!!」 叫びながらヤスミンは、そいつに向けて立て続けに丸太を投げつける。 オネェ口調に反してムキムキの筋肉ダルマのような相手のヒグマは、「イヤイヤ」をするようにちょびちょびと爪を打ち振って、その数本の丸太全てを引き裂いていた。 くねくねと身を捩りながら、その龍田提督とかいうヒグマは、配下らしい50頭ほどのヒグマに一斉に指示を出していた。 「あぁもうムカツクぅ~!! みんなぁ! 仰角ギンギンにオッ勃てなさぁい!! あのクソアマに、タップリ高角砲のタマぶっかけてやるのよぉおお!!」 「ほぎょぉおぉぉぉぉおぉぉぉ!! イクよぉおぉぉおぉぉ!!」 「ひぃっ!?」 「危ない、マスター!!」 地面の穴に身を乗り出していた私の体がグリズリーマザーに掠め取られた直後、その穴から大量の銃弾が雨あられと噴き出してくる。 凄まじい奇声を発しつつ、絶頂に至ったかのように、ヒグマたちが一斉に高角砲の弾幕をお見舞いしてくるのだ。アブナすぎる。 色んな意味で、私たちを追ってきたこのヒグマどもは危険すぎた。 「この銃弾をスペルマに見立てているのでしょうか……? 一回のイジェキュレーションのスペルマ数に匹敵するほどの弾薬を彼らが有しているとは、到底思えませんけれど」 私たちと共に穴の横へ即座に引っ込んでいたヤスミンは、目の前を通ってゆく下ネタ塗れの弾丸に向け、平然とそう呟いていた。 そのどこかずれた価値観の彼女へ、グリズリーマザーは苦笑と共に声をかける。 「そういうのって、お医者さんの間じゃなんて言うんだい?」 「そうですね……。『オリゴスペルミア(乏精子症)』?」 クフクフと声を立てて笑いを漏らす彼女たちの元へ、神父の声がかかる。 「埒が開かないなら、一度、これを試してみてもいいのではないか?」 「ああ……、それね。ほとんど、あんたの注文で作ったようなものだから、いらないなら良いよぉ使っても」 「それならば遠慮なく振る舞ってやってくれ」 腹黒愉悦神父の言峰綺礼が、聖職者らしからぬ外道な表情とともに持ってきたのは、午前中に、私も熊汁と共にぶっかけられた味覚破壊麻婆だ。 寸胴鍋に大量に余っているその激辛の液体を受け取ったグリズリーマザーは、弾幕の間隙を縫って、穴の下へ一気にその中身をぶちまけていた。 「皆さん、ランチでもいかが~?」 「ぎゃああああぁぁああぁぁあ!?」 「眼がぁ!! 眼がぁアアアア!!」 人間より遥かに鋭敏なヒグマの五感に、煙幕弾のように降り注いだそれは効果抜群だったようだ。 視覚は爛れ、聴覚は詰まり、嗅覚は麻痺し、味覚は壊れ、触覚は焼け付く。 文字通り五感でその料理を味わうことになった彼らの攻勢は一気に崩れる。 ランチではなく乱痴気のように統制の崩れた地下へ、ロビンの運んでくる丸太を、ヤスミンが一気呵成に突き込んでゆく。 その躍動感溢れる活劇に、私は興奮した。 グリズリーマザーの柔らかい毛皮に守られたここは、最高の特等席だ。 私には関係ないし。 安心して傍観できるし。 背の毛のそそけ立つような戦いも、遠巻きに見れば、この上ないエンターテイメントだった――。 ◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎ 「……智子さんさぁ、観戦に回るのは早いよ。今は7回裏の攻撃くらいの正念場なんだから、さっさか運ぶ運ぶ!」 「い、痛い痛い!! やっ……、み、耳、引っ張んないで……!」 そんな束の間の安息から、労働の場へ即座に私は連れ戻された。 相変わらずロビンは手伝ってくれず、その背中に声をかけるタイミングも、私は逃していた。 ……そういえばアメリカは自主性を重んじるから、身体障碍者にも極力自分で身の回りのことをしてもらうんだってさ。 知るかよ。構ってくれよ。 言峰神父は言峰神父で、遠巻きに私をチラ見してくる割には、自分からは全く手を出そうとしてこないし。 あれは絶対、私を視姦してる。私がひいこら言う姿を見て楽しんでるに違いない。 クソッ。 みんなクソじゃないか。 クソッ。 なんだよ、このクソ野郎どもはよ――。 「……はぁ」 そこまで考えて、私は首を横に振った。 工場に山と積まれた木材を前にして、私は溜息をつく。 思いを新たに、聖杯戦争を勝ち抜いて成長するんだと意気込んでは見たが、なんだこのザマは。 10分ももってないぞ意気込み。それどころか、いつもの自己主張できない自分に逆戻りじゃんか。 いや、戦闘中だからっていう言い訳はできるけどさ。 それだってちゃんと自分から向かい合っていかないと、今後、このヒグマ島で生き残ることなんてできないだろ。 ……なにしろ、恐ろしいことに。 私がグリズリーマザーの背中で抱いた興奮は、きっと、言峰神父と同じ感情だ。 自分に関係の無いところから遠巻きにドタバタを眺めて、愉悦を感じる。 そして騒動の渦中で慌てふためく奴らを見下して、自分の詰まらない優越感とプライドを保つんだ。 そんな自分、もう嫌だ。 明日も、同じ自分だなんて。 待っても、去っても変わらないなら――、自分から動くしかない。 うん、そうだよ。ちゃんと働こう。私はニートじゃないし。 せめてあの5歳児のお子ちゃまには馬鹿にされない程度にはさ! 私は息を整えて膝を叩き、ちょっと太めの丸太に手をかけた。 それでも、ロビンや言峰神父の運んでいる奴よりはだいぶ細いけど。 私だって人並みのことはできるんだってところ、見せてやんよ――! そう思った時、急にひょいっと、丸太の反対側の端が持ち上げられた。 「あ――、ありがと、手伝ってくれるんだ……!」 ロビンに違いない。 きっと、私の頑張っている姿を認めて、感銘を受けたんだ。 そう思うと途端に嬉しくなって、張りのある声が出た。 そうして私は、丸太を持ち上げている、逞しい男の腕の先を見上げる。 ――そこには、何もなかった。 「……へっ?」 空中に、何者とも知れぬ男の腕が浮いていて、それが丸太を掴んでいる。 そいつはずるずると丸太を引っ張り、私の体ごと、その空中の何もない空間に引きずり込もうとしていた。 「ひやぁぁああぁあぁっ――!?」 慌てて丸太から手を離し、尻餅をついたままわたわたと後ろに下がる。 男の腕は、まるで亜空間に飲み込まれるように空中に消滅し、それに握られた丸太も、続けざまに飲み込まれて消えた。 私の物語も、徐々に奇妙な冒険になってきたなとは思っていたが。 これじゃあまるで、バニラアイスのクリームだ。一口で丸呑みにされて、まるっと消滅だ。 こんなものに、もし、私が飲み込まれていたら――。 ――粉微塵になって、死ぬ。 「ぎゃああああああああっ!! お、おばっ、おば、お化けぇぇええええっ!!」 「うるさいなぁ智子さん。どうしたの一体」 私は生涯最高と思える速度で工場の中を走り、そのまま、丸太を渡して戻ってくる途中だったロビンに縋り付いていた。 心底鬱陶しそうな目で見下ろしてくるロビンへ、私は必死に後ろの方を指さして示す。 「おばっ、おばっ、けが、でたぁ……! おば、けがぁあ……!」 「へー、叔母さんに毛が生えたんだ。そりゃ良かったね」 「ちげぇよぉ!! おば、お、お化けだよぉお……」 「……お化けぇ?」 茶化してくるロビンに言い返す言葉さえ震えていた。 思い返すだに恐ろしく、腰が抜けて、涙で顔はぐちゃぐちゃだった。 その様子に、流石に只事でない雰囲気を感じ取ってくれたのか、ロビンはデイパックの中に手を差し入れつつ、ゆっくりと製材工場の奥へと足を進めていく。 「……どこにいたの、その、『お化け』ってやつは」 「あ、あっち……、あっちの丸太の、山……!」 5歳児の背中に縋り付きながら、私はぶるぶると震えていた。 情けないとは思うが仕方ないだろ、怖いんだから……! ロビンは私が例の『腕だけ男』を目撃した付近までやってきて、きょろきょろと辺りを見回した。 「……何もいないじゃないか。見間違いじゃない?」 「い、いたんだよ!! 絶対いた!! あ、亜空間に隠れて、地下とか壁とかをくり抜きながら襲ってくるんだよ!!」 「はぁ? 何言ってるんです。そんな馬鹿げたモノがいるわけないじゃないですか」 「こ、この島じゃ無いって言いきれないだろ!!」 漫画の知識を活かして必死にアピールするも、ロビンは「やれやれ」と肩をすくめるだけだった。 呆れと面倒くささを綯い交ぜにしたような視線で鼻を鳴らし、彼はスタスタと歩き出してしまう。 「そんなヒグマがいてもおかしくはないですけど、それならあのヒグマさんたちが気付いてるでしょ」 「あ、あ、あの、げ、幻覚ヒグマとかだって、いたじゃないかぁ!!」 「そのヒグマの部下がいるんだから直接訊きなよ」 「グ、グリズリーマザぁ――!!」 ロビンが立ち去りながら工場の外を指すや、私は即座に後ろを向いて、外の穴の元に走っていた。 息を切らして青い毛皮に縋り付いた私を、グリズリーマザーとヤスミンは、困ったような視線で見下ろしている。 「……もしシーナーさんがいらしていたとしたら、私がいる時点で、まず私に詳細の確認をなさるはずですよ。 あの方は、向こうから危害を加えて来ようとする者以外に対しては、極めて理性的ですから。突然あなたに襲い掛かるようなことは決してありません」 既にロビンとの会話を耳に入れていたヤスミンは、淡々とそう語った。 グリズリーマザーが私を抱きしめて、ふかふかと頭を撫でてくれる。 「マスター……、一体何を見たんだい? アタシが一緒に居てやれればいいんだが……」 目下防衛戦の最中であるグリズリーマザーたちは、当然、ここから離れるわけにはいかない。 地下のヒグマたちも、体勢が乱れたとはいえ、依然として追撃を諦める気配はない。 隙を見せたら、また大口径砲なり爆弾なりでこちらに攻め込んでくるんだろう。 穴の縁を崩されて、昇って来られてしまう。 「……霊の類ならば、私がなんとかできるかも知れんな」 困惑する私たちに声をかけたのは、言峰神父だった。 運んできた丸太をごろごろと転がし、彼は私に向けて微笑んだ。 「私の洗礼詠唱は、霊体にならば相当に効力を示すぞ。どちらにせよ、一旦はこの製材所で休息するつもりだったのだ。 お化け狩りのついでに見回りさせてもらおうじゃないか」 「……神父さん、僕だけに丸太運び押し付けるつもりですか? 大人として恥ずかしくないんですか?」 ちょうど丸太を運んできたロビンが噛みつくが、言峰神父は涼しい顔。 完全に、私を口実にして重労働をサボる気だ。 それでもいいから、早くあのお化けを何とかしてほしい。 「はっはっは、何を言っているのだ少年。女性のエスコートくらいできないと、将来困るぞ?」 言峰のその言葉に、ロビンは苦々しく口を歪ませた。 そして、言峰神父に吐き捨てるように叫びを投げて踵を返す。 「……神父にエスコートを訊くくらいなら、ヒグマに訊いた方がマシだよ!!」 その苛立ったようなロビンの足取りをニヤニヤと見送った後、言峰はそのまま私に振り向いた。 「……では、行こうか、黒木智子よ」 「う、うん……」 私は言峰神父に腕を掴まれて、工場の中へ引っ張られていった。 言峰は、たいそう愉悦を感じているようで、ご満悦だった。 ロビンが立ち去る間際の、赤みの差したような頬が、私の脳裏には強く残っていた。 ◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎ 製材工場の間取りを、脳内でマッピングしてみる。 大体、工場自体は東西南北に約100メートルの正方形をした平屋だ。 それがほぼ1エリアを占める敷地の真ん中へんに建っている。 工場への入り口は東西南北全てに、フォークリフトや車なんかの入れる大きなものが一つずつ開いている。 私たちが追手のヒグマどもと交戦しているのは、その北端だ。 ちょうどそこは、直近に『製材場』区画があって、切り出された丸太が、サイズや種類別に山になっている。 今、製材場区画と言ったが、この工場の内部はどうも4つのブロックに仕切られているみたいだ。 製材場、加工場、乾燥場、製品置き場の4つ。 だいたい北から順に25メートル幅でその区画が縦に並んでいると思っておけば間違いないだろう。 そして、乾燥場の余った端、場所で言えば東南東の隅で東入り口の隣の位置に、それなりの広さの休憩室があった。 私が例の『腕だけ男』を目撃したのは、製材場区画の東端、細い方の丸太が置いてある山だ。 なお、ロビンは西の方の太い丸太を持っていっているので、出入口から先は全く分かれ道である。 軽く身長を超える高さの丸太の山が幾つも連なっているので、通路を兼ねたようになっている山の間に入ってしまえば、隣の山の方を見やることは一切できなかった。 「……ここか。なるほど、確かに、何らかの魔術が行使されたような気配がうっすらと残っているな……」 「ま、魔術、なのか……?」 言峰神父は丸太に向けて屈み込み、そこで興味深げに呟いていた。 霊魂やお化けやスタンドの類ではないのか、と、なんとなく私は少し安心する。 「魔術を使う英霊も山ほどいるからな。これだけではなんとも言えん」 「うっ……! う、うん……」 そしてその安心感は即座に叩き壊された。 丸太の山に沿って移動しつつ、言峰は独り言のように呟いている。 「少なくとも、もうこの近くにはいないな。直近で魔術が行使されれば、私にも認識できるだろうが……」 「ひっ……、ちょ、ちょ、ま、お、置いてかないで……!」 一人でずかずかと歩いて行ってしまう言峰に、私は必死に追いすがった。 エスコートという話はなんだったのか。 慌てる私を見て楽しんでるのか。 それとも自分の興味に集中したくなったのか。 どちらにせよロクな状況じゃない。頼むから私を守ってくれ――。 「む、待て」 「げふぅ――!?」 そして突如、立ち止まった言峰の鉄棒のような腕が横に差し出された。 走り寄っていた私はちょうどラリアットでも喰らったような形でそこにぶつかり、見事に背中からぶっ倒れてしまう。 「待てと言っただろう黒木智子……。立てるか?」 「うげぇ……、ぐふっ……。痛ってぇ……」 強かに打ち付けた背中と後頭部の痛みで涙が出てくる。 よろよろと起き上がると、ぐらつく視界に眩暈を覚えた。 ほとんど自爆ダメージとはいえ、痛みと怒りとやるせなさで、気力すら萎えそうになる。 言峰は、私を引き起こすだけ引き起こして、第二ブロックの加工場区画側に向けて耳を澄ましている。 「――たった今、ひとりでに向こうの機械が動き出した。誰か、スイッチを入れたモノがいるはずだ」 「う、腕だけ男……ッ! ヤツだよ……!!」 製材場の南端から加工場区画にかけては、何やら呼び方のよくわからない幾つもの大型機械が所狭しと並んでいる。 大体はその内部に、帯ノコだったり丸ノコを備えている、見るからに凶悪そうなものだ。 一番手前にある製材場の機械なんか、『ギャングソー』って書いてある。 丸太を投入すると、その中に何枚も重ねられた帯ノコが一斉に動いて、何枚もの薄板に切り裂いてしまうものらしい。 きっと、ギャングのボスが、組員を処刑で輪切りにした機械がこれなのかもしれなかった。 言峰と一緒に聞き耳を立てれば、確かに、ブーンという低い駆動音が加工場で鳴っている。 そして次の瞬間、パチンと音を立てて、その電源が切られた。 「……行くぞ!」 「ふえっ!? マジで!?」 風のような急加速で、言峰は即座に走り込んでいた。 Fate/zeroのアニメを見た人なら解るだろうけど、切嗣との戦いで見せた、あの低い姿勢の十傑衆走りだ。 本物の武人の走り。 とても私が追いつける代物じゃない。 恐る恐る彼の通った後を歩いて行くと、言峰は加工場の区画で眉を顰めたまま立ち止まっていた。 「……何かを持ち去ったようだな」 周囲には、ノミやカンナ、ノコギリといった、手で持てる大工道具が散らばっている。 先程稼働したのは、その横に据えられている大型機械のようだった。 「この機械は、物色している最中に誤ってスイッチを入れてしまった、ということか……。 あまり、周辺への感覚は鋭くないようだな……」 「あは、は……。そりゃ、そうだよな……、腕だけだもんな……」 冷静に状況を観察していた言峰は、呟く私に向けて振り返る。 「……いや、もしかすると、腕だけではないのかも知れんぞ」 「へ……?」 「黒木智子、その腕の根元には、魔法陣のようなものが存在しなかったか? もしかすると、これは『第二魔法』か、それに類する強力な魔術の使い手の仕業やも知れん」 第二魔法――。 言峰の説明によれば、それは、並行世界を行き来する魔法なのだという。 限定的には、空間に穴を開けて繋げたり、異なる世界の自分の能力を身に着けたりする武器も実在しているそうだ。 「例えば限定的に、『腕だけを別の空間に移動させる』ような礼装――。そんなものを保有しているのかもな。 わざわざこの工場を物色しているなら、参加者である可能性が高い。接触してみて損はないだろう」 「そ、そうなのか……? 大丈夫って、言い切れるのかよ……」 「ああ。第二魔法関連の由来には、師が詳しかったからな。この相手は英霊やヒグマの類ではなく、人間だよ」 言峰はあっさりと嘯いた。 こいつの言う師とは、自分で後ろから刺し殺した遠坂時臣さんのことである。 よく言ったもんだ。私がアニメ版最後まで見てること教えてやろうか。 それにしても、あからさまに警戒心を1ランク落としたこいつの振る舞いは如何なものだろうか。 言峰は魔術の気配を探りながら、ぶらぶらと休憩室の方にまで足をのばしていく。 こいつは、『空間移動魔術を使う』という点だけで相手を人間だと思い込んだが、それは愚かすぎる。 ネットや漫画で培った私の知識から言わせてもらえば、数々の創作において、時空間を操作する妖物なんて山のように出てくる。 『次元のアギトに臭さ嗅げよ!!』だったり。 『おまえ自身が放つ、殺気の射線』だったり。 『美しく残酷にこの大地から往ね!』だったり。 自分だけの常識で物事を判断するのは非常にアブナイことなんだと、私はそう思う。 ――私たちはもしかすると、信じられないほど凶悪な化け物に、狙われているのでは。 「……お、来たか」 「へ……?」 ふと私の前で、言峰が何かに気付いたように私の方を振り向いていた。 「後ろだ、黒木智子」 言峰が顎をしゃくる。 恐る恐る振り向いた私の目の前に、『腕だけ男』がいた。 そして、男の手に握られていたのは。 ――大きな斧だった。 「ぎゃああああああああ――!!」 「おい! 大丈夫だ――! どこへ行く!!」 目の前で振り上げられた斧の切っ先を見るや、私は肺を絞り上げて逃げ出していた。 製材工場の奥に、全力で走り出す。 言峰の声が聞こえたが、気にかけている余裕はない。 これじゃジェイソンだ。 13日の金曜日だ。 エルム街の悪夢かも知れない。 殺される。 腕だけの殺人鬼に少年少女が殺されるホラー映画になってしまう。 あれだ。 言峰は、映画の前半で決まって殺される屈強な黒人枠のかませ。 またはしたり顔で怪奇現象に高説を垂れた挙句、常識外のことで驚愕の間に殺される解説役。 逃げなければ。 何としても、最後まで殺人鬼に立ち向かって生き延びるヒロイン枠を確保しなければ――。 そこまで考えて、私はふと思い至る。 ――あれ? ――『最初の殺人にパニックを起こして逃げ惑う』のも、盛大な死亡フラグじゃね? ドルン。 と、耳元で何かの駆動音が鳴った。 「ア――……」 私は知った。 本当の恐怖というモノを感じた時に、ヒトは言葉なんて出なくなるんだってことを。 ヂュイィィイイィィィイィィィィ……。 と、無慈悲な鳴き声を上げて、私の頭上には、チェーンソーの刃が振り上げられている。 『腕だけ男』は、その手に明らかな殺意と凶器を掴んで、私の前の空間に出現していた。 テキサス・チェーンソーだ。 わたしのぼうけんはここでおわりだ。 死ぬんだ――。 死ぬ間際に、走馬灯や思い出なんて、蘇ってこなかった。 私はただ、次の瞬間に迫り来るであろう、肉と骨が抉り裂かれる激痛を想像して、背筋をぶるぶると震わせているだけだった。 それだけで心臓は止まり、私の息は咽喉で凍っていた。 ヂュイィィイイィィィイィィィィ……。 そしてチェーンソーはゆっくりと――。 ――空中に飲み込まれて消えた。 最後に、うっすらと宙に浮いていた赤い魔法陣が消えると、そこにはもう何も残ってはいなかった。 「……まったく。大丈夫だと言っただろうが黒木智子。君に気を取られたおかげでこの魔術師と接触できなかった。 向こうは私たちの存在に、気づいてすらいない……!」 その奥から、言峰綺礼が明らかに苛立った様子で私の方に歩いてくる。 工場の中ではもう、どこかで丸太が動いたり、機械がついたりするような音はしなかった。 「は……へ……」 止まっていた心臓と息が解凍されると、血液がサーッと下に落ちて、へなへなと私は床にへたり込んでいた。 全身から力が抜けて、動けない。 眼の力も緩んで、立ち眩みのような暗い視界へ、ひとりでにぼたぼたと涙が零れ落ちていた。 「……粗相の始末くらい、自分でするのだな、黒木智子」 私の傍までやってきた言峰綺礼は、私の様子を一瞥した後、呆れたように目を逸らしていた。 吐き捨てられたその言葉と共に、私は下に視線を落とす。 私の下腹部から、体温が溢れていた。 じょろじょろと音を立てて、スカートの下から、私の女子力が黄色い水たまりとなって工場の床に広がっていく。 腰の前から尻の奥までを温もりで覆い、抑止力を失った女子力は止め処なく、無慈悲に漏れていった。 ふとももを伝ってすべての女子力が流れ出した後の私は、抜け殻だった。 サナギを破って、美蝶々になろうとしていた私は、サナギのままですらいられなかった。 変態しようとして失敗し、どろどろの液体になった後、殻に開いた穴から溶け落ちてしまったのだ。 その余りにも冴えない現実を、私は立ち去ってゆくアニメキャラの背中を見ながら、気化熱で冷えてゆく下着の裡に思い知った。 ◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎ 「――龍田提督ぅ! もう弾薬がないわよぉ!」 「困ったわぁ……、魚雷も破壊されてるし……」 「キーッ!! やってくれたわねヤスミンちゃん!! アチシのタマを全部搾り取るなんて、この淫乱!!」 「その表現は、比喩だとしてもご自身に使った方がより適切だと思われますが」 工場外の戦場では、ようやく地下からの攻勢が止まったところだった。 相当数の武装を保有していた第七かんこ連隊の猛攻を、グリズリーマザーとヤスミンはなんとか凌ぎきった形になる。 「このメスグマ!! メスヒグマ!! 覚えてなさいよ!!」 「ああ、それなら適切です。罵倒としては有効でないでしょうけれど。またのご来院をお待ちしております」 別れの挨拶と共にヤスミンが投げつけた丸太を叩き落とし、龍田提督と呼ばれるヒグマが率いる部隊は、補給のためにぞろぞろと撤退を始めていた。 彼らに手を振るヤスミンに対して、隣からグリズリーマザーが呆れた顔で視線を投げる。 「……ヤスミンちゃん、呼ばなくていいからね」 「敵ではなく患者として、ご来院頂ければいいのです」 「あー、やっと試合終了した?」 そこにやって来て息をついたのは、クリストファー・ロビンである。 投げ槍のようにまとめてきた丸太をガラガラと穴に落として、彼は大きく伸びをした。 地下ではその時、先程の艦これ勢と入れ替わりに、何やらよくわからない大量のヒグマたちがぞろぞろとやってくる。 「みんな!グリズリーマザー達が逃げた穴から丸太が沢山落ちてきたぞーーー!!!」 「おお!!でかした!!」 「みんな!!丸太を持て!!突撃じゃぁぁぁ!!!!」 彼らは、さもその現象が当然であるかのように、戦闘の形跡も新しい空間に何の疑念も抱かず、ヤスミンの投げていた丸太や、ロビンが落とした丸太などを嬉々として拾い上げてゆく。 そして彼らは、穴の縁にいるグリズリーマザーたちに気付かず、どこへともなく引き返して行った。 クリストファー・ロビンは、眼下の彼らを呆れながら見下ろした。 「……何もなく、ひとりでに地上の丸太は落ちてこないよ、きみたち」 「何も見えてはいないんですね、嘆かわしい……」 「艦これ勢の上の奴らは物を解ってるからこそ、下の奴らを馬鹿なままにしておくんだろうねぇ……」 「まぁなんでもいいや。追撃は暫く来ないだろうし。ようやく落ち着けるよ」 ヒグマへの感想を切り上げて、ロビンは製材工場の中へ眼をやった。 「……智子さんは、大丈夫かね」 彼の溜息に、ヤスミンとグリズリーマザーは顔を見合わせた。 彼女たちの耳は、言峰綺礼と黒木智子の会話を、余さず捉えている。 「……まぁ、肉体的には大丈夫なはずだけど」 「精神的に、ですね……」 三者三様に視線を交わし、彼らは工場の中に急いだ。 ◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎ 鏡に映っている、自分の貧相な姿。 それを少しずつ、結露する湯気で覆い隠す。 「うっ……、ぐすっ……」 休憩室奥のシャワールームは、かろうじて私の心を壊さない程度に、すすり上げる声を水音で打ち消してくれた。 ――自分の漏らした尿を、自分のスカートで拭き取る。 その行為は、私の人生最大の恥辱と言ってもよかった。 思い出したくもない。 そんな姿を見られたのだ――と考えると、恥ずかしさで頭が爆発しそうだった。 泣きながらシャワールームに駆け込む下着姿の私を、先に休憩室にいた言峰は、鉄面皮の下に押し殺した薄笑いで見送っていた。 結局、全ては私の思い込みと、勘違いだった。 自分だけの常識で物事を判断していたのは、言峰ではなく私だった。 言峰の愉悦がどうとか、性格破綻がどうとかじゃなく。 こんな結果を招いてしまったのは、やはりきっと、私自身のせいだ。 デイパックの中にあった石鹸で洗う体は、相変わらず、血色も成長も芳しくない。 ゆうちゃんとか。 地下で見た布束という女とか。 同年代の女子には、私より遥かに綺麗でスタイルもいい奴らがあんなにもいるのに。 どうして私はこんな、身も心も弱くて貧しいんだろうか。 それどころか、いくら人種の違いがあるとはいえ、私の体力も覚悟も、5歳児のロビンに遥かに及ばない。 外の戦闘は、決着したようだった。 シャワールームから窺える脱衣場の外が、にわかに騒がしくなる。 ――きっと言峰は、私の情けない失態を、べらべらとしゃべくるんだろう。 それどころか、グリズリーマザーたちの耳なら、もう事態の大半は把握しているのかも知れない。 呆れ。 落胆。 失望。 ヒグマたちやロビンの蔑んだ表情が目に浮かぶかのようだった。 「何故だ……? どうしてだ……?」 独り言が。 独り言が。 独り言が、止まらん。 「なんでだよ……。なんで私が頑張った時は、いつも……、いっつも、裏目に出るんだよ……」 シャワーの飛沫を撥ねて鏡を叩いても、鏡は割れてくれない。 そのままずるずると滑った掌が、その奥に私の蒼白い顔を拭い出す。 真っ黒いクマだらけの酷い目元。 白目勝ちで凶悪な三白眼。 張りのない肌。 整えたこともない眉毛。 濡らさないように後ろにまとめ上げた髪も、はたして似合っているのかいないのか。 「鏡よ、鏡……。私は、いけてるか……?」 自問した答えは、解り切っている。 「……知らない。そんなん、知らない……」 ――いかんせん、私には、何が綺麗で何がモテるのかの、判断基準すらないんだ。 冴えない自分を凝視することに耐えられなくなって、私は目を瞑る。 ともすれば見つめただけでゲシュタルト崩壊に襲われて吐いてしまうほど、今まで私は、自分を観察してこなかった。 そのツケの極地が、このザマだ。 勘違いで恐怖し。 人前で失禁し。 その衣服を一人洗う。 ヒグマに殺されなかっただけマシ? ヒグマに殺される恥と、人前で漏らす恥の、どちらが大きいかねぇ? 恥の文化である日本人の私には、耐えらんねぇよ、どっちも……。 「……マスター。お茶、ここに置いておくよ」 脱衣所から、グリズリーマザーの声がした。 「落ち着くまで、そこにいていいからね。向こうで、みんな待ってるから」 それだけ言い残して、彼女の大きな影は、静かに休憩室の方へ立ち去っていた。 シャワーを止めてドアを開けてみると、脱衣所の洗面台の上に、湯気の立つマグカップが一つ、置いてある。 体を拭き、タオルの中に、洗って絞ったパンツとスカートを挟み込んだ後、私はそのカップを手に取った。 ほとんど透明で澄んだそのお茶は、パッと瞼を開かせるような、爽やかな香りに満ちていた。 「……なんかの、ハーブティーか? これ……」 顔を近づけて湯気を吸い込むと、レモンのような柑橘系の芳香が鼻に広がる。 そして、気管から肺腑の奥までスッと、雪に裏打ちされたかのような清涼感が吹き抜けた。 口をつけていた。 日照りに雨を仰いだように、砂漠に水場を見晴らしたように、私はそのカップを呷っていた。 甘い。 蜂蜜の甘さだ。 レモンの香りがするのに、全く酸味はない。 ただ香気が。 湯の温かさと同時に、風雪の涼しさを持って、私の口の中に遊んだ。 水ぬるむ春のような、雪解けの味だ。 草木が芽吹き、小動物が目覚め、静止の冬から立ち上がる時の味だ。 力を漲らせるような温もりと、身を引き締めるような冷たさが同時に、私の全身と心中に広がっていた。 飲み干して見上げた顔が、洗面台の鏡に映る。 「……行こう」 蔑まれようと。 会話できなかろうと。 私は、ここにいる私なんだ――。 ――私になれ。私。 映っている自分の姿を、私はさっきより2秒だけ長く、見つめられた。 ◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎ 「……社交不安障害、ですね」 「そういう病名がつくのかい、マスターは」 休憩室の片隅で、ヤスミンがやかんに湯を沸かしながらそう答えていた。 グリズリーマザーの方に振り返り、彼女は言葉を繋げる。 「人間では今時、そう珍しいものでもありません。誰しも人前で緊張してしまったり、あがってしまうことはあります。 ですがそれを繰り返して、その失態の後に訪れる疎外感への不安のあまり、どんどんと他者との交流を避けたり、突飛な行動に走ってしまうようになるのならば、それは問題です」 「……何をしてやるのが、一番いいのかねぇ」 ティーポットの中に、屋台から持ち出してきたレモンバームとペパーミントをブレンドしながらグリズリーマザーは問うた。 製材工場休憩室の窓からは、東の入り口から乗り入れた灰熊飯店の屋台バスが見える。 艦これ勢を撃退した後、屋台を乗り付けたグリズリーマザーたちは、お茶の用意をして休憩室に上がり込んでいた。 豊富な香草や薬草が自前で手に入っているのは、この島が北海道であることの強みの一つである。 お茶の準備が成されている間、クリストファー・ロビンは、設えられているソファーで言峰綺礼と向かい合い、彼の語る事の顛末を静かに聞いていた。 途中で放送が鳴っていたが、この場の人員大半の予想通り、反乱したヒグマが放送室になだれ込んで放送をジャックしていた。 今更、起こってしまった事は仕方がない。 問題は、これからどのように事態に対処していくかである。 それを考えるにつけ、言峰の苛立ちはますます深まっていた。 「……と、このように。彼女の予想外の狂乱により、私たちは参加者と接触できる貴重な機会を逸してしまったというわけだ」 「……ふぅん」 ロビンはじっとりと、一方的に語り続けた言峰の顔をねめ上げたまま、黙っていた。 グリズリーマザーの言葉に、ヤスミンが答えている。 「普通に接してあげることが一番でしょう。生憎、SSRIなどの薬は持ち出して来ていませんし。 このまま、あなた方との関わりが認知行動療法のようになれば、それが最大の治療だと思います」 「認知行動療法?」 「患者さんの改善すべき状態を一つ一つ認識してもらって、どう行動を変えれば良くなるのかを自覚してもらうんです。 彼女は恐らく、親しい人とは話せる、選択緘黙の気があるようですので、結局は、あなた方が彼女と親しくなってあげて、同じように、彼女の言動を受け入れてくれる朋友を作る方法を教えてあげることですね」 「なるほどねぇ……。とにかく、気分を入れ替えてもらわなきゃね」 会話をしながら、5つのマグカップに、澄んだ色のハーブティーが淹れられていく。 そこに突然、クリストファー・ロビンが声を投げた。 「ああ、智子さんに持ってくなら、これも使ってあげて」 「――なんでしょう?」 ロビンの放り投げた物体を振り向き様に受け取ったヤスミンは、その小さな壺の中身を見て驚愕する。 「これは……、ハニーの蜜ではありませんか。あの時、回収していたのですか」 「何かしら役に立つだろうと思ってね。落ち込んだ時は、甘いもの食べるのが一番さ。プーも僕も、そうしてた」 「ヤスミンと言ったな、その蜜には、何か特殊な効能があったりするのか?」 続けて言葉を投げてくる言峰綺礼に応じつつ、ヤスミンはグリズリーマザーに壺を手渡した。 「特殊、という意味では特には。ですが、通常の蜂蜜に比してカロリーが高く、抗菌物質やビタミンに富み、ハニー由来の免疫グロブリンなども含まれているはずです」 「なんでもいいよ。とりあえず体に良いってことだろ」 追い払うように手を打ち振るロビンの仕草に合わせ、グリズリーマザーは各人のカップに蜜を溶かし込んだ。 黒木智子のものには、特に多めに。 各人にマグカップを配って、グリズリーマザーはシャワールームの方へ立ち去った。 「……へぇ、なるほど。良い香りだね。もう一戦続投する気力が湧きそうな感じ」 「うむ……。悪くない香りだ。このささくれた気分を鎮めてくれるようだ」 「……ハニー……」 クリストファー・ロビンと言峰綺礼は、同じハーブティーを飲んで互いに異なる感想を抱いた。 その気配を感じ取ったヤスミンは、同胞を思い出しながら、壁にもたれたままに呟く。 「……このハーブの組み合わせは、そのどちらの作用も、起こし得ますから」 「そうか」 「なるほどね」 ――その体感は、あなた方の心身の状態で、変化するだけなんです。 二人の返答に、ヤスミンはハーブティーの甘みと共に、言葉の後半を飲み込んでいた。 ◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎ グリズリーマザーが戻ってきたタイミングで、言峰はマグカップの中を干し、ロビンたち3名の元へ向き直った。 「……さて、もう皆わかっていることだと思うが。我々は参加者と接触する機会を一つ逃した。黒木智子の所為でだ。 あの少女にはどうにか、聖杯戦争に勝ち抜けるような心身の実力を、早急に身につけてもらわねばならない」 「それは違うんじゃないかな」 言峰が重々しく言い放った提言へ、間髪入れずにロビンが反駁していた。 「焦らずとも、参加者に出会える機会はまた来るはずさ。わざわざこの工場まで探りに来てるっていうなら、あっちは相当に状況の余裕がある。 それになにより、機会を逃したのが智子さんの所為だっていうのが、そもそも大きく間違ってるよ、神父さん」 「……なんだと?」 全員から自分の意見に賛同がくるものと頭から思い込んでいた言峰は、その言葉に眉を顰める。 少なくとも、黒木智子に成長してもらわねばならないという点では、全員がその思考を一にしているはずであった。 唯一言峰が他者と異なる点としては、時臣を始末した後の遠坂凛へ画策していたように、言峰がその教育指導の主導権を握り、智子の信頼と尊敬を一身に受けて安定した立ち位置を確保することを考えていた点である。 しかし、そんな考えを、言峰はおくびにも出していない。違和感があるはずはない。 ――それではなぜ、この少年はこんなにも恨みがましい目で私を睨むのか。 「……まず、その男の人の存在に気付いたのは智子さんのお蔭だ。同じ魔術師といいながら真っ先に気付かなかった自分の未熟さを、あなたはまず気に掛けた方が良い」 「ぬ……。だが、それは話に関係ないぞ」 「ええまだありますとも」 5歳児とは思えぬ、威圧感に満ちた瞳を座らせて、クリストファー・ロビンは言葉を続ける。 「……次に、あなたは結局僕たちに戦闘を押し付けて、一人で楽な傍観席に行きましたね? 参加者と接触する機会うんぬんなんて、完全にあなたの後付け理由じゃないですか。気付いてもいなかったくせに」 「……そうですね。丸太が足りず、危うく何度か魚雷の着弾を許しそうになったことがありました」 「放られた魚雷に一回、『活締めする母の爪』を真名解放する羽目になったからね」 「……」 言峰の行動には、マイナス点しかない――。 と、ロビンはそう言っているようであった。 前線に立っていたヤスミンとグリズリーマザーの談を聞いても、言峰の欠けた穴は相応に大きかったことが窺える。 ここから実際問題として言峰に下される評価は、 『適当な口実をつけて楽な仕事に逃げた挙句、なんの成果も挙げず、失敗を他人のせいにする信用ならぬ男』 という甚だしいものだった。 マグカップを握り込む言峰の手が震える。 彼は目尻を引き攣らせて、極力静かに言葉を紡いだ。 「……いや。よしんばそうであったとしても、最終的に機会を失ったのは、完全に黒木智子の失敗であろう。どう考えても私は悪くない」 「いいえ。違いますね。悪いのはあなただ。言峰綺礼神父」 「……お、お、おまた、せ……。ただいま、あ、上がりまし、た……」 ロビンが即座に言峰へ返事をしたその時、黒木智子が脱衣場からおずおずと歩み出てきていた。 洗った制服の代わりに、工場の作業員が来ていたらしいぶかぶかのツナギに身を包み、彼女は怯えた小動物のように姿を現す。 彼女の、余りにも奥ゆかしい小声の挨拶は、グリズリーマザーとヤスミンにしか聞こえなかった。 智子のことに気付かぬロビンは、同じく気づかぬ言峰へ、最後の発言を突き付ける。 「極め付けに……! 智子さんを泣かせたのも、参加者と接触する機会を逸したのも、全てはあなたの行ないの所為だ!! どう考えても、智子さんは、悪くないッ!!」 「……ロ、ロビン……?」 彼の言葉に、黒木智子の胸は、一瞬締め付けられるようだった。 壁際に身を寄せるグリズリーマザーたちと、ソファーで口論になっているロビンたちを交互に見やり、彼女は一気に血の昇ってくる頭で、どうにか事態を把握しようとしている。 「……面白い。言ってみろ、その理由を」 「あなたが、自分のいいように事態を進めて楽しもうとする気質の人だとは薄々思ってましたけどね。 結局あなたのしたことは、『智子さんの慌てる姿を見てやろうとちょっかいを出したけれど、思った以上に事が大きくなって傍観者じゃいられなくなったために興が冷め、全責任を智子さんに擦り付けて逃げた』ってことでしょうが」 「……ふざけるのもいい加減にしろよ、少年。私の行動のどこに、そんな要素がある」 互いに怒りを抑えられていないような震えた会話に、ついにロビンがソファーから立ち上がる。 「『後ろだ、黒木智子』――! この発言が、あなたの邪悪の全てを表現しているッ!!」 「――!?」 全く予測していなかったポイントをやり玉に挙げられ、言峰は困惑した。 ロビンはそのまま、指先を言峰に突き付けて語る。 「……智子さんがそれで後ろを振り向けば、恐怖に耐えられなくなることは、わかりきっていたはずだ。 その慌てぶりを見て楽しもうとしていたら、予想外の反応をされて楽しむどころじゃなくなった。そういうことでしょう」 「フッ……。何を言うかと思えば。それならば他に、どうすれば良かったというのだ」 ロビンは、自分より遥かに年長かつ屈強な言峰を、燃える氷のような視線で見くだしていた。 本当にわかってないのか――。 と、噛んだ奥歯に、悲しみの響きすら湛えて、彼は豁然と言い放つ。 「男なら――! 自分よりか弱い女の子を、守るものだろうが!!」 休憩室の内部は、暫くロビンの叫んだ残響に満たされていた。 「その魔術師の腕が現れたら、まず自分が彼女の前に入って、静かに交渉すれば良かったんだ。 斧? チェーンソー? そんな凶器を見て怖がらない女の子がいたら教えて欲しいくらいですよ。 何がエスコートですか。笑わせる。どうせ奥さん子供もいないクソ坊主の言うことだ。 神の愛とやらにばっかかまけて、人を愛することのなんたるかも知らないんだろ。 自分だってお母さんから生まれて来たくせに子供をいじめるとか。 あなたになんか、智子さんを任せなきゃ良かった――」 頭上から注がれる少年の罵倒を、言峰は俯いて聞いた。 飲み干されて乾いた言峰綺礼のマグカップの底に、一粒の水滴が零れていた。 ◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎ 私は、脱衣場の扉の隙間から、二人の様子を見つめていた。 熱気を帯びたロビンの言葉は、私を擁護してくれていた。 蔑んだり。 疎外したりするものじゃない。 ただありのままの私を、守ってくれるものだった。 「――妻子なら、いた」 「あぁん? なんだって?」 「妻子なら、いたッ――!!」 その時、顔を上げて叫んだ言峰の掌で、マグカップが粉々に砕け散った。 その握力のままに拳を握りしめ、血の滴る双拳を下げたまま、彼もソファーから立ち上がる。 ロビンと言峰の両者が立ち上がれば、その身長差は明らかだった。 上から降り注ぐのは、今度は言峰の言葉だ。 「ああそうとも。私は妻を愛そうと努力した。だが結局、私は愛のなんたるかなど、理解できなかった。 子供が生まれたのは奇跡だった。だが私に愛想をつかしたんだろう。結局妻は自殺したよ!!」 「――っ」 ロビンはたじろいだ。 自分が知らず知らずのうちに、言峰の心の地雷を踏み抜いてしまったんだと、察したんだ。 『言い過ぎた』と、ロビンは顔でそう語っていた。 ――私は知っている。 言峰綺礼の奥さんの名は――、クラウディア・オルテンシア。 アルビノという虚弱体質で、長くは生きられなかったんだ。 言峰は人を愛せないし、美しいものを美しいと思えない、性格の破綻したクソ野郎だけど。 それでも、言峰は彼女を愛そうとしたし、彼女は最後に、「貴方は私を愛しています」と告げて、死んだ。 言峰が、本当は人を愛せるんだと、証明するために。 ――言峰はその時、「どうせ死ぬのなら、私の手で殺したかった」と、考えてしまった。 だから彼は、その時の自分の思いと記憶を、封印した。 でも本当はその思いは、本当に彼女を愛していたからこそ、抱いたものなんじゃないかと――。 私は、そう思った。 「……はぁ。もう、どうとでもなれ。こんなクソ神父の思い出話を引き出してもつまらんだろう。 私を論破して気が済んだなら、さっさと代案でも立てろ、少年――!!」 言峰はどっかりとソファーに倒れ込み、背もたれに大きく身を預けて、仰向けになってしまった。 「あぁ――」 私はそいつの、思いっきり引き結ばれた口元を見て、思った。 こいつも、私と同じなんだ。 サナギから美蝶々になろうと、どうにかもがいていた人間なんだ。と。 醜いイモムシから、やっとの思いでサナギになり、その先に待つ未来を夢見た。 それがこいつの場合、サナギから目覚めて脱皮した後の自分は、進化せず、変態もできず、変わることなくただぶくぶくと肥大した、イモムシのままだったんだ。 溶け落ちて抜け殻になるより、それはきっと、もっと恐ろしいことだっただろう。 醜くて、汚くて――、そんな自分を押し隠そうとしながら、こいつは生きてきたんだ。 イモムシの自分を出してしまえば、目に映る愉悦の先に帰ってくるのは、その先の者たちの怨嗟だ。 イモムシの私も、このままでいたらきっと、この言峰と同じ末路をたどるだろう。 それどころか、私の場合はもっと悪い。 こいつは、その自分を押し隠して、ひたすら信仰と戦いに打ち込めるだけの気力があったからこそ、中身が外道でも外面だけは立派な地位を保ってこれた。 でも、私の場合にはそれすらない。 中も外も、ただのクズのままで終わってしまう。 そんなのだけは、御免だ。 ――こいつを、反面教師にしよう。 絶対に、言峰のようにだけはならない。 と、私はそう、心に誓った。 「――あれ、智子さん、上がってたんだ。そのポニーテール、可愛いね」 「はえ……?」 その時、収まりの悪さに辺りを見回していたロビンが、私の姿に気付いていた。 そして真っ先に掛けられた言葉に、私は驚いた。 『ポニーテール』、『カワイイ』だ。 濡らすと乾燥に手間取るから制服のネクタイで上げただけの髪だったけれど、こいつは、すぐさまそれに気付いた。 そして、それをカワイイ、と――。 私のことを、かわいいと、言ってくれた。 「……さっぱりしたかい、マスター」 「う、うん……」 「こっちきて座りなよ。今、神父さんと今後の予定を話してたところだから」 「お、おう……」 話してたというか、一方的に叩きのめしていたように見えたのは私だけだろうか。 グリズリーマザーとロビンに招かれ、私はソファーに座り込む。 反対側のソファーで大の字になっている言峰は、一瞬頭を持ち上げて私を見た後、また後ろにもたれかかってしまう。 「……世間では、そういう格好をカワイイと言うのか? 私にはわからんな……」 おう。そうだろう。 私もこと装いに関しては、世間一般と美的感覚が真逆のお前に評価してもらうつもり無いんで。 ごめんな。 「……とにかくねぇ、おもらしの一つや二つで恥ずかしがらなくていいよ智子さん」 「ひえっ……!? き、きい、たの、か、よぉ……」 「僕も最近までおねしょしてたしね。よくあるよくある」 「う、あ、そ、そりゃ、お前はだって、5歳かそこらだろ……」 「何歳とか、そういう枠にはまった評価で話すのはやめようよ」 案の定、言峰は私の失態の全てを語り尽くしたらしかった。 それでも、ここにいる者はみんな、私のことを蔑んだり、していなかった(約1名を除く)。 他人のことを蔑むのはきっと、自分に自信が無いからだ。 ここにいる者は全員、自分の存在に自信を持っているんだろう(約1名を除く)。 みんな私が、お手本にすべき、者たちなんだろうな。きっと。 「……とりあえず落ち着いたところで、お互いに物資の確認でもするかい? 予定の話し合いといったら、まずそれだろ」 「私はこのカソックとパーカー以外に、何もない! あとは預託令呪9画のみ!」 グリズリーマザーの発言に、言峰は仰向けになったまま、投げ遣りにそう叫んでいた。 ウケ狙いなのか。 それとも単に苛立っているのか。 さもなくば装備品の無い自分を嘆いているのか。 唐突過ぎて、誰も言峰の叫びに反応を返せなかった。 痛い。 かたわらが、痛い。 まるで新年度の自己紹介の時に浮きまくった自分を見ているようだった。 グリズリーマザーが、その時の担任の教師のように、進行に困って目を泳がせている。 「――あー、えぇと。じゃ、言峰さんはそういうことで。マスターは?」 「私……か」 私が持っているのは、ちょっとした食べ物や地図なんかの基本的な支給品。 それに大量の石ころと、グリズリーマザーの聖遺物にあたるんであろうカードだ。 令呪も持ち物に入るのなら、まぁそれもだけど。 「あぁそうそう。智子さんにはこれがあったよね。投石用の石ツブテ。 良かったらちょうだい? 持ってるボールがほとんどないんで」 「お、うん……。わ、私が持っててもどうしようもないし……」 テーブルに出した支給品をロビンが掠め取るのは、私が返事するより遥かに早かった。 遠慮の無さで言えばネモ以上かもしれん。 「少年……。人のものを取っておいて、自分は何もせんのか。それこそ、人間としてどうなんだ」 「やだなぁ神父さん。そんな低レベルなこといちいち口に出すと器が知れますよ」 ロビンの行為に、仰向けのままに言峰が口を挟む。 しかし、当のロビンはさらっとその言葉を流して、支給品を広げ始めた。 さっきは、言い過ぎたことに対する反省の色が多少なりとも見えたのだが、既にロビンの中でそれとこれとは別になっているらしい。 私には、目をつぶったまま震える言峰が、心中で悔し涙でも流してるんじゃないかと思えてきた。 「さーて、なんでも取っていっていいよー智子さん。ここら辺のボールはダメだけどー……」 なんでも、と言っておきながら、ロビンは取り出していく傍ら、手榴弾、砲丸、野球ボールなんかはサッとテーブルの隅にまとめてしまう。 その他に出てきたのは、何かの手甲や、銀色のものものしい鎧。 「あ、智子さんにはこれが良いかも知れない。ちょうどポニーテールだし」 なんでも取っていっていいよ、と言っておきながら、最終的にロビンは、デイパックの片隅に明らかに邪魔なものとして追いやられていた何かを私に押し付けてきた。 そのパッケージは、どうやらアニメのサントラのようだった。 絵柄は、パンストみたいなアメリカチックのデフォルメキャラで、2チームの女の子たちが楽器を手に、コンサート会場で競っているようなイラストになっている。 「ん……!? こりゃ、『マイリトルポニー』!?」 「あ、やっぱり知ってた。智子さんこういうの好きそうだモンね」 正確なそのタイトルは、『My Little Pony Equestria Girls Rainbow Rocks - Original Motion Picture Soundtrack』。 私の記憶が正しければ、これは日本でも放送されたアメリカ発のポニーのアニメ『マイリトルポニー』の、その公式擬人化映画。そのサウンドトラックが焼かれたCDというわけだ。 「……やっぱアメリカだと、これ有名なアニメなのか!?」 「ん? 僕はイギリス人だよ。もっと言うとスコットランド人だけど」 丸一日枯渇していたアニメ分が思わぬところから補給され、私は興奮した。 ロビンは私の思い込みをやんわりと訂正しながら、CDのパッケージを叩く。 「まぁ、ロンドンでもグッズは見かけるよ? 女の子向けだからたまにしか見なかったけど、森のみんなみたいで可愛いとは思う。 でも、支給品にもらったところで困るから、あげるよ」 「いやぁ……火曜日の朝7:30とかから始まるから、見てるといつも学校遅刻寸前でさぁ……」 日本語版スタッフは、一体何を考えてそんな放映時間にしたんだろうか。 幼女だって、見てたら小学校に遅刻するだろうに。 「このさぁ、レインボーダッシュってヤツの声質が私とそっくりなんだよ。アテレコできんじゃねとか思って、こいつの出てる回はつい最後まで見ちゃうんだよね~……」 「うん、確かに似てる。でも智子さん、性格はダッシィと正反対だよね」 「うっ……」 興奮して語り始めていた私は、ロビンの発言に硬直してしまった。 レインボーダッシュっていうのは、速さ自慢のペガサスのキャラクターだ。 なんか気象管理士の地区長かなんかの、結構立派な職業についてる。 声は似ているけど、自分の実力に確固たる自信を持ってるところとか、ちゃんとした職業についてるところとかは、私と全然違う。 私は、私だ。 それでも、こいつみたいな自信が、少しでも私にあればいいのに――。 そう思いつつ漫然とめくっていた歌詞カードに、レインボーダッシュのソロ曲があった。 豊富でクオリティの高い歌が有名なマイリトルポニーだけど、たぶんこれは、このキャラの初のソロ曲のはずだ。 タイトルは『Awesome as I want to be』。 声が似てるから、私でもたぶん歌えるはず――。なんだが、本国版のためか、歌詞は全部英語で書かれていた。 幸いにも、大体の意味は私にも解る程度の簡単なものだ。 きっと、ロビンも知ってるこいつをプロっぽく歌ってやったら、さぞ尊敬されるに違いない――。 「あのさ、『アウェソメ・アズ・アイ・ウォント・トゥ・ビー』ってどんな曲よ。お姉さんがキャラボイスで歌ってやってもいいんだぜ!?」 「はぁ? 何を言ってるんですか智子さん?」 メロディさえ分かれば――、と思って問うた言葉に返ってくるのは、ロビンの不可解な二度見だ。 すっと、彼は歌詞カードのタイトルを指さし、そしてこみ上げるように笑いで震えてくる。 「智子さん……。このタイトル、『オーサム・アザイ・ワナビー(夢見てたくらいサイコー)』って読むんですよ。 なんですか『アウェソメ』って……。こんなのも読めないとか……。アウェソメ……。あおイソメみたいな……。 Awesomeが読めないのが許されるのは、エレメンタリースクールまでですよね……、クククククッ」 「……う、うっ、うるせぇな!! そ、そんなの日本の文科省に言えよ!! そんな英単語習ってないもん!!」 私は顔を真っ赤にして立ち上がっていた。 ガキでもわかる英単語を、読み違えていた。 これは間違いなく私のせいじゃなく、日本の英語教育の低レベルさのせいだ。 頼むから、外国のガキに馬鹿にされるような英会話を日本人にさせないで下さい、お願いします。 「聞きました言峰さん? 可愛い智子さんを引き出すなら、これくらい平和な環境下でやらないとダメですよ?」 「……留意しておくよ、少年……」 赤面の叫びをスルーして、ロビンは向かいの言峰に笑いかけていた。 言峰は心底嫌そうな顔で言葉を飲んだ。が。 この意味するところはつまるところ。 ……私はずっと、この言峰とロビンに弄ばれていただけというわけだ。 「ふぇっ……、ふえぇ……」 顔を覆って、ソファーにへたり込んでいた。 恥ずかしいけれど、なんかカワイイと言われたからそれはそれで良いような気がしてきて、面映ゆすぎて爆発しそうだった。 何も言わずぽふぽふと頭を撫でてくれるグリズリーマザーの手が、気持ちよかった。 「んで、あとはこのクッキーみたいなので、僕の支給品はお終いですね」 何事もなかったかのように支給品整理に戻ったロビンが最後に取り出したのは、一枚のクッキーだ。 今まで状況を静観していたヤスミンが、そのクッキーを見てピクリと反応していた。 「……それは」 「あ、ヤスミンさん、これなんだか解るんですか? クッキーにしては色も臭いも生々しくて、あんまり食べる気にならなかったんですけど」 「スフェア培養されたHIGUMA細胞の塊ではありませんか……!? まさか凍結乾燥して状態を維持しているとでも……」 ヤスミンはロビンからそのクッキーを受け取って眺め回し、そして何度か頷いた。 「……間違いありません。これは私たちヒグマの体を構成している幹細胞だけを、純粋に培養したものです。 このような形で保存する技術があったとは、驚きましたね……」 「え……、じゃあ、もしそのクッキーを食べたら、ヒグマになっちゃうとか……!?」 ヤスミンの言葉に、私は恐ろしい想像をしてしまい、思わず身を引いていた。 私の呟きを聞いたヤスミンは、暫くきょとんとした後、急に相好を崩してクフクフと笑い始める。 「……面白いことを言いますね智子さん。確かに、水分さえあればこれは細胞としての機能を取り戻すでしょう。 ですが、人間がこれを食べたところで、人間は人間のままですよ。ジンギスカンを食べたら羊になりますか?」 「いや……、でも、病気みたいに、なるかも……」 「なるほど。腸管から細菌やアメーバのように感染し、臓器などに停滞する――。可能性はゼロではないでしょう。 ですがそれは身体からすれば異物ですし、だからこそ免疫応答・炎症反応が発生し病気となるんです。 もし、このHIGUMA細胞に、遺伝子操作や免疫調節などもなしに適合してしまうのなら――」 ロビンにクッキーを返しつつ、ヤスミンは私に微笑んだ。 「――きっと元から、その『人』は『ヒグマ』だったんですよ」 彼女の言葉を受けて目を落とした私の膝には。 公式で『人』となった『ポニー』のアニメが置いてある。 ◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎ 「――むっ」 その時突然、黒木智子の隣でグリズリーマザーが耳をひくつかせ、顔を上げていた。 その動きにヤスミンが反応する。 「あら、グリズリーマザーさんにも聞こえましたか」 「ああ――、実を言うとさっきも一度聞こえたんだが。ヤスミンちゃんにも聞こえたとなると聞き間違いじゃないね」 「ええ。先ほど12発、今4発――。位置は南南東に数百メートルというところでしょうか」 両者で話す雰囲気には、緊張感が漂っていた。 言峰綺礼も起き上がり、ロビンもクッキーを仕舞いながらそのヒグマたちの動きに注目する。 ヤスミンが彼らに振り向く。 「今、遠くで、明らかに戦闘が発生していると思われる大口径の砲音が聞こえました。 私たちのような者が、同じく艦これ勢相手に戦っているのかも知れません」 「……なんだと。ではすぐに向かってやるべきではないか」 「ほら神父さん、見ましたか? 参加者と接触する機会なんて、すぐに来たじゃないですか」 勢いよく立ち上がった言峰に、ロビンはソファーから鼻持ちならない得意顔で見上げてくる。 こめかみに浮かぶ青筋を気合で押さえつけ、言峰は鼻息も荒く休憩室の外に歩み出していった。 「そぉうだな……! すぐに来たからすぐに行くぞ!! それでいいな!!」 「は~い、神父さん♪」 ロビンはマグカップのハーブティーを干して、朗らかな声で立ち上がる。 肩を怒らせて真っ先に灰熊飯店のバスに乗り込んだ言峰に、ヤスミンが追いすがっていた。 「キレイさん……。掌、手当て致しましょうか」 「ああ……、これか。すまない、頼む」 マグカップを握り砕いていた言峰綺礼の掌は、血塗れだった。 ヤスミンはそこからマグカップの破片を取り除き、ミズゴケで血を拭き取った後にヒグマの体毛包帯で巻いた。 「……おいおい。これはヒグマ用のではないのか? 大丈夫なのか?」 「……それはご自身がヒグマになるなどと思っていらっしゃるがゆえの問いですか? あなたにも免疫機能があるんですよ? HIGUMA細胞が生着するわけないじゃないですか」 「それではなぜこれを使う」 「ヒト-HIGUMA間の異種細胞においても、創傷治癒サイトカインのオーソログが保存されていますので。人間の傷の治りも早いのです」 「……半分以上意味が解らなかったんだが。まあいい」 整然とした手つきで言峰の手に包帯を巻きながら、ヤスミンは暫くして、ふと低い声で囁いた。 「……私が問診すれば、あなたにも相応の精神疾患が見つかると思うのですが。希望なさいますか?」 包帯を切り、ヒグマの毛皮で保護された自分の手に目を落として、言峰は返す。 「……見つけたところでどうなる。末期がん患者に余命を告知してトドメを刺すのか?」 「……彼女のように、治療法は、有るかも知れませんよ?」 顔を上げた言峰の眼に、バスへジャンプで飛び乗ってくる少年、ロビンの姿が映る。 運転席に座るグリズリーマザー。 そして彼女の後ろに着座する、赤いリボンのポニーテール。 ――よくよく見ればそのリボンはネクタイで、青い衣服は丈の余ったツナギなのだが。 その少女は、装いと共に心境も新たにして、バスの進行方向を見据えているようだった。 溶け落ちたプライドで、羞恥の殻をかなぐり捨てた黒木智子のその姿を見て、言峰は両手をきつく握りしめた。 「……よしんばあったならあったで。ヒグマなどの世話にはならん……ッ!」 「……そうですか。それでは」 ヤスミンは彼の返答を聞き、静かに言峰の元から立ち上がった。 「……あなたが私たちの味方である限り、私はあなたの味方ですので」 それだけを言い残して、ヤスミンは最後部の座席から振り向く。 「ヤスミンちゃん、そっちの何かは終わった!?」 「ええ。キレイさんの手掌を治療していました」 「よし、それじゃ行こう。いつでも投石はできるようにしておくから」 「うん……。頼んだ、グリズリーマザー……!!」 「それじゃあ出すよぉッ!!」 全員の着座を見届け、グリズリーマザーが屋台バスを稼動させた。 走りゆくバスの振動を感じながら、言峰の表情は晴れなかった。 ただ彼の心中には漠然と。 ――クリストファー・ロビンは、邪魔だな。 という、率直な感想が立ち上っていた。 【F-3 街/製材工場 日中】 【クリストファー・ロビン@プーさんのホームランダービー】 状態 右手に軽度の痺れ、全身打撲、悟り、《ユウジョウ》INPUT、魔球修得(まだ名付けていない) 装備 手榴弾×1、砲丸、野球ボール×1、石ころ×96@モンスターハンター 道具 基本支給品×2、ベア・クロー@キン肉マン、ロビンマスクの鎧@キン肉マン、ヒグマッキー(穴持たずドリーマー) [思考・状況] 基本思考 成長しプーや穴持たず9を打ち倒し、ロビン王朝を打ち立てる 0 智子さん、麻婆おじさん、ヒグマたちと情報交換し、真の敵を打倒する作戦を練る。 1 投手はボールを投げて勝利を導く。 2 苦しんでいるクマさん達はこの魔球にて救済してやりたい 3 穴持たず9にリベンジし決着をつける 4 その立会人として、智子さんを連れて行く 5 後々はあの女研究員を含め、ヒグマ帝国の全てをも導く [備考] ※プニキにホームランされた手榴弾がどっかに飛んでいきました ※プーさんのホームランダービーでプーさんに敗北した後からの出典であり、その敗北により原作の性格からやや捻じ曲がってしまいました ※ロビンはまだ魔球を修得する可能性もあります ※マイケルのオーバーボディを脱がないと本来の力を発揮できません ※ヒグマ帝国の一部のヒグマ達の信頼を得た気がしましたが別にそんなことはなかったぜ。 【黒木智子@私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!】 状態:ネクタイで上げたポニーテール、気分高揚、膝に擦り傷 装備:令呪(残り3画/ウェイバー、綺礼から委託)、製材工場のツナギ 道具:基本支給品、制服の上着、パンツとスカート(タオルに挟んである)、グリズリーマザーのカード@遊戯王、レインボーロックス・オリジナルサウンドトラック@マイリトルポニー [思考・状況] 基本思考:モテないし、生きる 0 グリズリーマザーと共に戦い、モテない私から成長する。 1 ロビンやグリズリーマザー、ヤスミンに同行。 2 言峰は反面教師にする。 3 ビッチ妖怪は死んだ。ヒグマはチートだった。おじさんは愉悦部員だった。最悪だ。 4 どうすればいいんだよヒグマ帝国とか!? ※魔術回路が開きました。 ※グリズリーマザーのマスターです。 【グリズリーマザー@遊戯王】 状態:健康 装備:『灰熊飯店』 道具:『活締めする母の爪』、真名未解放の宝具×1、穴持たず82の糖蜜(中身約2/3) [思考・状況] 基本思考:旦那(灰色熊)や田所さんとの生活と、マスター(黒木智子)の事を守る 0 マスター! アタシはあんたを守り抜いてみせるよ! 1 あの帝国のみんなの乱れようじゃ、旦那やシーナーさんとも協力しなきゃまずいかねぇ……。 2 とりあえずは地上に残ってる人やヒグマを探すことになるかしら。 [備考] ※黒木智子の召喚により現界したキャスタークラスのサーヴァントです。 ※宝具『灰熊飯店(グリズリー・ファンディエン)』 ランク:B 種別:結界宝具 レンジ:4~20 最大捕捉:200人 グリズリーマザーの作成した魔術工房でもある、小型バスとして設えられた屋台。調理環境と最低限の食材を整えている。 移動力もあり、“テラス”としてその店の領域を外部に拡大することもできる。 料理に魔術効果を付加することや、調理時に発生する香気などで拠点防衛・士気上昇を行なうことが可能。 ※宝具『活締めする母の爪(キリング・フレッシュ・フレッシュリィ)』 ランク:B 種別:対人宝具 レンジ:1~2 最大捕捉:1~2人 爪による攻撃が対象に傷を与えた場合、与えた損傷の大きさに関わらず、対象を即死させる呪い。 対象はグリズリーマザーが認識できるものであれば、生物に限らず、機械や概念にまで拡大される。 【言峰綺礼@Fate/zero】 状態:健康、両手の裂傷をヒグマ体毛包帯で被覆 装備:令呪(残り9画) 道具:ヒグマになれるパーカー [思考・状況] 基本思考:聖杯を確保し、脱出する。 1 黒木智子やヤスミン、グリズリーマザーと協力体制を作り、少女をこの島での聖杯戦争に優勝させる。 2 ロビン少年に絡まれると、気分が悪いな……。ロビカスだな……。 3 布束と再び接触し、脱出の方法を探る。 4 『固有結界』を有するシーナーなるヒグマの存在には、万全の警戒をする。 5 あまりに都合の良い展開が出現した時は、真っ先に幻覚を疑う。 6 ヒグマ帝国の有する戦力を見極める。 7 ヒグマ帝国を操る者の正体を探る。 ※この島で『聖杯戦争』が行われていると確信しています。 ※ヒグマ帝国の影に、非ヒグマの『実効支配者』が一人は存在すると考えています。 ※地道な聞き込みと散策により、農耕を行なっているヒグマとカーペンターズの一部から帝国に関する情報をかなり仕入れています。 【穴持たず84(ヤスミン)@ヒグマ帝国】 状態:健康 装備:ヒグマ体毛包帯(10m×9巻、8m×1巻) 道具:乾燥ミズゴケ、サージカルテープ、カラーテープ、ヒグマのカットグット縫合糸 [思考・状況] 基本思考:ヒグマ帝国と同胞の安寧のため傷病者を治療し、危険分子がいれば排除する。 0 帝国の臣民を煽動する者の正体を突き止めなければ……。 1 エビデンスに基づいた戦略を立てなければ……。 2 シーナーさん、帝国の皆さん、どうかご無事で……。 3 ヒグマも人間も、無能な者は無能なのですし、有能な者は有能なのです。信賞必罰。 ※『自分の骨格を変形させる能力』を持ち、人間の女性とほとんど同じ体型となっています。
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登録日:2012/02/16 Thu 09 16 24 更新日:2024/02/17 Sat 09 03 08NEW! 所要時間:約 9 分で読めます ▽タグ一覧 GOD YHVH YHWH Y・H・V・H アグラ アダム・カドモン アドナイ アニヲタ神様シリーズ アルファオメガ アンラマンユ イスラエル イスラム教 エホバ エンテイ ←ではない キリスト教 ゴッド サイコパス テトラグラマトン デミウルゴス ハゲ メガテン メガテン最強のエゴイスト ヤハウェ ヤルダバオト ユダヤ教 ユーハバッハ ラスボス 創造神 四文字 地獄の支配者 天照大御神 女神転生 巨顔 無慈悲 神 神というよりネ申 邪神 わたしはあなたの方の神。 アブラハムの神、イサクの神、ヤコブの神である。 お前が神を恐れる者であることがわかった。お前の子孫を天の星のように、海辺の砂のように増やそう。 地上の諸国民はすべて、あなたの子孫によって祝福を得る。 Y・H・V・H 或いはYHWH,JHVH,JHWH,IHVH,YaHVeH,YaHWeH…etc. 【概要】【御名】 【性格】 【聖霊】【天使】 【悪魔】 【主な登場作品】◆ゲーム『女神転生』シリーズ神霊 ◆小説『神々のいない星で』(川上稔) 【概要】 紀元前1280年頃、シナイ山にてモーセに「十戒」を授ける場面で登場し、古代よりヘブライ民族を導く唯一至高にして全能の神と信仰される最初(α)にして、最後(Ω)の者。 他の宗教や神話が最高神とその眷属により構成された多神教を基本としているのに対し、Y・H・V・Hのみを崇めるユダヤ教、キリスト教は一神教と呼ばれる。 なお、本質的には「在る者」としか「名乗っていない」「神の名を妄りに口にしてはならない」と云う共通した信仰により、一般的に我が国の聖書では「主」「神」と訳される。 【御名】 宗教、信仰の基本が精霊信仰、多神教国家であり根本に仏教的、神道的な概念のある日本では西洋の事情がピンとこないこともあり、神の類は等しくGODと訳してしまいがちなのだが、厳密にはキリスト教圏では一神教の神(つまりはこの神)こそがamaterasuであり、多神教の神々は“Deity”として分けられていた。 流石に、他の宗教、信仰への理解が進んだ現代では西洋であっても多神教の神々をyhwhと呼ばないこともなくなったが、特に一文字目を大文字で“God”とした場合には真の神である、一神教の神を指す。 ラテン語のdeus/Deusと同一の語源、用法であり、神と呼べるものに広く使われていた古ゲルマンに由来するyhwh/deusでは、最初を大文字とした場合にはこの神(Y・H・V・H)を指していたということである。 これに倣い、イエズス会により日本に持ち込まれた当初は日本語で全知全能に相応しい語であるとして「大日」を対訳として当てられていたのだが、キリスト教自体を仏教一派の一つと勘違いされてしまうことに繋がったので、以後はイエズス会での呼び名に従いデウス(でうす)を呼び名に天主を対訳として当て、明確に従来の仏教や神道とは区別されたという過去がある。……のだが、今度は仏教にて外来の神々を指す天部諸尊の一つと勘違いされたりといったことも。(無駄に懐の深い仏教視点からは合ってるのだが一神教側からしてみればたまったものではないという話である。)…しかし、そのことが逆にキリシタン弾圧の際に「主」の呼び名を誤魔化せることにも繋った(*1)という助けられた面もある。 日本でのキリスト教自体の対訳語としては耶蘇(やそ)教という呼び名が存在していたのだが、現在では殆ど使われていない。 時代や言語による別の表記も存在し、上記の英語圏のゴッド、ポルトガル語圏のデウスの他、イスラームではアッラー(アッラーフ)と呼ぶが、これも意味は spirit God、万能神である(*2)。 この神への信仰が起こったユダヤでは呼び名に関する話題がもう少し詳しく、この神の名を表すとされるギリシャ語の「神聖四文字(テトラグラマトン)」で最も一般的な「Y・H・V・H」(アドナイ)に古代のラビ(*3)が子音四文字を当てた「YaHVeH(ヤハウェ)」「YaHWeH(ヤーウェ)」等が主に“この『神』”の呼び名として広まっている。 同じ読みから以前は「エホバ(イェホバ)」が聖書の神の名として広まっていたが、現在は誤訳とされることが多くなっている。 因みに、ヘブライ語は表記が右から左に流れるので、HVHYとする方が本来の並びに近い。 この他、エジプト、ギリシャ、カナンで通用した「エル(主)」「エロヒム(神々)」「エルシャダイ(生命の王、全能の神)」「ツァバト(万軍の主)」「アグラ(殺戮の主)」と呼び顕され、中世の神秘学で「ヨーット・ヘー・ヴァウ・ヘー(地水火風)」と訳す場合もあり、ユダヤの密教である「カバラ」では肉体その物が宇宙で構成されている原初の人間「アダム・カドモン」と呼び顕される。 現在、この神の信仰を取り仕切る中で大本山とされるカトリック・ローマ教会では、 「好き勝手に神の名前を口にすんじゃねえ主で十分だろデコ助共がぁ!(意訳)」 と公式に注意を促しているが、まあ基本的に日本人辺りにはどこ吹く風である。 余談となるが、源氏の氏神たる「八幡神」は日本に秦氏が持ち込んだとされる渡来神にして、ミシャグジ同様に正体不明の神格であり、神仏習合神(*4)で「ヤハタ」と読み解ける事から、祭られる社寺の多さに影響されてか否か、「Y・H・V・H」の事を指す……と、オカルト界隈では主張される(*5)。 【性格】 本来的には古代宗教に於ける天空神の一人或いはその属性を借りた存在で、「貧者の宗教」「砂漠の宗教」であるユダヤ・キリスト・イスラム教において、絶対者かつ救世主かつ真の善。 他宗教と習合しつつも徹底的に攻撃・弾圧し、絶対者かつ救済者の信仰を布教していったユダヤ教は生け贄を求める「妬む神(jealous deus)」であり、他の神の信仰を禁じ、恩恵を与える替わりに生命の代価を求めたとする伝承が残る。 これを「唯一完全なる善性」と繋げたキリスト教はYHVHを「父」とし、キリストがその「子」。そして霊である「聖霊」を加えて「聖三一」としている。 一人の神が三つの形態に都度移行するのでもなくそれぞれ別個に活動するが同一の存在で神が三人いる訳ではなくあくまで「神はお一人」で……となんのこっちゃだが、キリスト教徒自身が「論理ではなく信仰として受け入れるもの」と、よくわかってない。 ムスリムのサイイド・クトゥブによれば、「神の支配権と権威を承認させ、生活のあらゆる局面で聖法に服従させる」存在なので、イスラムでは「世界の支配者にして究極善であり、世界の終末までを司る存在としてサタンの反抗をも見通していた」と語られている 実際には世界に完全なる善も完全なる悪も存在せず、本来の一神教徒は弾圧される存在であったが。 一神教の裡面は一魔教なり(一神教の裏面は一魔教である)、多神教の裡面は即ち多鬼教なり(多神教の裏面はつまり多鬼教である) 北村透谷『他界に対する観念』(1892) 近代以降の比較神話学では、むしろY・H・V・Hは他の神話の創造神や、世界最古の唯一神であるエジプトの神「アトン(アテン)」との共通点が研究されている。 ギリシャのゼウス、カナンのバアルらと同じ性格を持つ気象を司り、豊穣と災害を齎す神話を取り込まれて伝えられてもいるようだ。 神秘学から派生した「グノーシス(真理)主義」においては「神は偽りの創造主であり、不完全な世界を創り不幸をばら撒いた存在である」と捉えられたりもしており、アルコーン、ヤルダバウト、デミウルゴスと呼ばれる存在が「Y・H・V・H」と同一視される(*6)。 【聖霊】 創作含め「父なる神」「子なるキリスト」には馴染みがある人にすら、天使や精霊によく勘違いされるキリスト教の三位一体で白い鳩や燃え盛る火炎として表現される一位格。 この概念を説明するには、キリスト教神学において聖霊と対概念で、悪魔と同義語とされる悪霊(あくれい)について語る必要がある。 新約聖書福音書を読むと、旧約では一切存在しなかった「変なお化けが憑いて頭をおかしくなった人」というのが大量に出てくる。 このような悪さをする霊がいるなら人間を導いたり力付ける霊もいると考えた一部の信仰は正統派ユダヤ教に取り入れられ、キリスト教で唯一神と合一したのである。 その「善い霊」こそ「神の霊」で、憑いた(*7)人間に善行をさせたり、知らない異国の言葉を話せるようにしたりするのだ。 尤も、天使の存在を信仰の中に受け入れてしまった現代では“天使と認めざるを得ない”なんて意見もある。 【天使】 ヘブライ語の「マラーク(使者)」から転じた「神の影の善なる部分」。 神と人間の橋渡し役として神からの啓示を間接的に下したり、神に代わって人間を助けたりする。カトリックでは守護天使を初めとしてさまざまな信仰がある。ユダヤの神秘主義でも重要視され、イスラームでも神と人間に仕える存在として伝えられる。 キリスト教ではミカエルが、ユダヤではメタトロンが、イスラームではジブリールが特に重要な天使として、神の代行も果たす。 天使の成立には、古代イスラエルの友好国であったペルシャのゾロアスター教の影響が非常に強く働いたと考えられている。 一神教と言えば他宗教の排撃・弾圧というイメージが強いが、ユダヤ教を信仰するユダヤ人のイスラエル国は所詮地域の一中小勢力でしかなく、むしろ周囲の大国の宗教の影響を受ける場合が多かった。 それでも正統派のユダヤ教神官や預言者などが宗教の純粋性を保とうとして民間信仰への批判を繰り返していたケースが旧約聖書内でも頻出するが、結局「異教」の影響を排除しきれなかった例も多い。天使はその代表格のような存在である。 実際に、「モーセ五書」のような聖書の古い部分には天使は一切出てこない。 例えば「創世記」のソドムにいるロトの元に来た神の使いは、キリスト教などでは天使ということになっているが、原文を読むと神の啓示を受け取っただけの単なる人間の男性とも解釈できるようになっている。 ヘブライ語の「マラーク」ギリシャ語の「アンゲロス(Angelの語源)」はともに「使者・メッセンジャー」という意味しかないことに注意。 これが拡大解釈されて「【御使い】という名前の霊的な種族である」と見なされたのはだいぶ時代が下ってからの話である。 そんな新しい概念であるから、新約聖書の時代には普通に信じないユダヤ人も多かった。実際に福音書では「天使も死後の世界も存在しない」とイエス・キリストに論争をしかける者がいたことが記載されている。 しかし天使の存在を信じるキリスト教の勃興とそれを受け継ぐイスラームの登場、そしてユダヤ教は神殿の崩壊とイスラエル滅亡により守旧派が消滅するなどして、天使を否定する主要な一神教は無くなった。 こうして「全知全能の神でなんでも一人でできるはずなのに、なぜか仕事を手伝わせる存在を必要として作り出した」という教義的に疑問が残る結果となって現在に至る。 天使は多神教に於ける「最高神以外の神々」に相当する存在だが、ユダヤ教・キリスト教・イスラームのような主要な一神教においては信仰対象ではない場合がほとんどである。 ただし、ローマ・カトリックにおいては一部の天使は人間の聖人と同じ扱いで例えば「聖ミカエル」などと呼ばれており、崇拝ではなく「崇敬」ならOKということになっている。 人間に比較的近い存在である聖人や天使に祈れば、人間に同情した彼らが側にいる唯一神と直接交渉してくれて願いが届きやすいのだそうだ。 あくまで願いを叶えるのは神だから、天使や聖人を信仰しているわけじゃない!これが崇敬と崇拝の違いだ!とのことである。 一方でプロテスタント教会では「そんなものはカトリックの欺瞞である」とし、一般信徒はともかく牧師などが天使崇敬などと語れば即異端認定されると思われる。 【悪魔】 一神教において、神の世界を実現させる上で欠かせない存在でありながら、最も教義から外れた、矛盾した存在である。悪霊、偶像とも。 「神の裏」「神の影の悪なる部分」であり、何故「唯一完全なる善である神」が悪魔を作ったのかは、宗教界隈で未だに議論が尽きない。 もっとも、宗教学(science of religion)上では答えが明確になっている。 つまり、天使と同様、一神教が他から借用した存在である。 一神教は、自分が説明できない問題や失敗を「悪魔(偶像)」のせいにしてきた。また、他宗教を劣った存在として印象づけるため、他宗教を「悪魔(偶像)崇拝」と表現してきた。 現在でも、一神教が抱える問題・失敗や他宗教の神は、一神教にとっては等しく「悪魔」なのである。 多神教は悪魔をそれほど必要としてはいない。(中略)神々は、利害に応じて善人にも悪人にもなりうる曖昧な存在であるから、それだけで悪の存在を説明するに足りるのである。一神教はこれとは正反対で、悪魔なしでは立ち行かない。唯一神である限り、その神がすべての源とならざるをえない。つまりは、善のみならず悪の源泉にもなってしまう。この大問題を回避する方法は一つしかない。すなわち、悪の存在を説明できる逃げ口上を、なんとか見つける以外にない。この逃げ口上がまさしく悪魔であって、これ以外に解決法は見当たらない。ただし、全能者の創造した世界を、なぜより劣った存在が混乱せしめうるのかを、まだ説明する必要は残されているが。神にとって悪魔の存在は、もはや必要不可欠なものにならざるをえない。逆説的なことに、サタンのみが神を救いうるのである。サタンのおかげで、現世における理不尽な肉体的・精神的苦痛を説明することが可能になるからだ。ジョルジュ・ミノワ(著)、平野隆文(訳)『文庫クセジュ876:悪魔の文化史』 ちなみに、徹底した弾圧で痛め付けられたユダヤ/キリスト教、砂漠で厳しい生活を送るイスラムでは、明確な終末論と神の世界に救いを求めたが、 ユダヤ教の中でも伝統的な古代宗教に近い派閥では元来は地獄も天国も無く、悪魔への考えも大らかであったようだ。 中世では悪魔の王たるサタンは神に倒される運命を背負った存在だが、グノーシスや黒ミサでは矛盾した 信仰の解答として、サタンの正体たるルシファーを神の最高の被造物としてイエス・キリストと同一視する。 【主な登場作品】 ◆ゲーム『女神転生』シリーズ , 、 -‐ ‐ - . 、 / ".i 、 ./i i ヽ i i i i i .i .i i i ノ i i .i /i iヽ' 、ヾi / ヽ/` i i 〉、__ 、.,__,ゝメ,__,.、 -ェ' i .i `'ー--‐''´i レ`'‐-‐'´ i i i´ヽ , ヽ.,_, -‐' ,ノ ゝ.,iヽー ..入 ,k' i i/ i´ `""` ´yヽ i i . γ -ニ二ニ=-`' .ゝi '、 ー-‐'' 乂 ゝ., .,t'` `''ー - ‐'" 我が名を称えよ 我が 栄光に満ちた 並ぶ者無き 我が名を称えよ… 恐らくY・H・V・Hがそのままの名称で登場する唯一無二のゲーム。 上記のAAのように空中に浮遊する金色の巨大なオッサン男性の頭部という極めてシンプルかつインパクトあるデザインで有名。デザインのモチーフは父性とされる。 実際にゲームに登場する機会は少ないが、FCの『女神転生Ⅱ』以降の同シリーズが「唯一神の支配する世界への旧き神々の反抗」を共通したテーマにしているがゆえ、その眷属たるヘブライ系の天使共々「悪役」扱いである。 LAW陣営の支配者にして象徴的存在であり、「旧き神々」を率いるルシファー閣下とCHAOS陣営にとっては不倶戴天の敵。 配下に自身の分霊である「神霊」と呼ばれる悪魔を持つ。 + デジタルデビル物語 女神転生ⅡでのY・H・V・H , -‐ ' ̄ ̄ ̄` -、 . / \ | l |l | / ヽ | | |l | / , | l | l | l | | /| /ヽ | || | |l | >--=<_ ヽ_ _,j _,>=--< | | l | l | rー、 f´ ,,.-‐‐--、Y´ `Y,.--‐‐-、_) ,-、 | | l ――― l | | ヽヽi ゝ . ・ , ヽ==/ ・ , / r | |――――――― : l | | lヽf  ̄`´ l / l ヽ ̄' ヽ l /| | | l ― ――― |l | l | | / ,l { ゝ } j | | |――― |l | ヽ ヽl / /,、 ,、l / f / | l l l |ヽ' `i、 ' / ヽ `´ ヽ、 / / `´ | l | l | | , _,.-‐ニニ‐-、、 ヽ/ | l l l | l ヽ' --- `/ l | l l| ヽ ' 、 / | l \ ' / ヽ ,___,. -' 『デジタルデビル物語 女神転生Ⅱ』ではアブラハム宗教の神とは別の存在であることをほのめかしている。 デザインは叫ぶような表情の青い男の頭と、メガテンでイメージされるY・H・V・Hとはちょっと異なる。 最終戦争とその時に発射された新型爆弾から生まれた次元の裂け目から出た悪魔たちによって荒廃した地上と民について憂いを感じており、救世主(主人公一行)を導いて地上及び魔界から主要悪魔を一掃しようと目論む。 そして全ての目的を達成した主人公達の前に現れて労いの言葉をかけた後に仲魔達を消し去った後で千年王国へ導いてくれる。 われ ゆうきゅうのときをこえまたれり われこそ ばんぶつのしんりたる そうぞうしゅである われは あんこくに うまれしものを つかい なんじらより えらび そして ほろぼした おおくの あくいのなかにて たたかいぬいたる ワタシ?????よ なんじらは えらばれた さあ まいろう おおくのたみより えらびしものとともに われがつくるえいえんのしふくのせかい せんねんおうこくへ 主人公達の行動次第でルシファーから自身の意にそわない者達を悪魔に貶めて魔界へ追放した元凶だと諭され、神性を取り戻した悪魔たちに率いられた主人公一行に討伐されるルートがある。 むすこらよ ついに きてしまったのか アクマに そそのかされた いききつは よくわかっている それも しかたのないこと むすこらよ なんじらに さいごの きかいを あたえよう その のろわれし ものたちと てをきり わが しもべとして さかえるか さもなくば ここで わが いかづちに うたれ じごくに おちるか わたしは そのせんたくに したがおう したがう たたかう このシリーズでは自らの意志で最終戦争まで引き起こし、地上を荒廃させたにもかかわらず地上の人間を完全に見捨てておらず、間接的とはいえ人類の救済行為を行っており、主人公に対しても選択権を与えて意志の尊重をする等一概に悪とは言い難い存在として描かれている。 実際、貶められたとされる悪魔達の中には地上を支配して人間を苦しめていた者も存在していたのでルシファーの言い分が真実だったとしても地上を荒らされた人間にとってははた迷惑以外の何物でもなくあまり納得のいかない内容だったので当時のプレイヤーの中には「もしかしてバッドルート通ってるんじゃないのか?」と勘繰った者もいるかもしれない(*8)。 従うのならやはり仲魔(当然ルシファー達も)を消し去った後で千年王国ルートへのエンディングへ向かう事となる。 ⇒したがう たたかう のろわれ じごくにおちよ アクマたち! せかいの おわりの ときまで あんこくの ほのおの ばんにんたれ! ルシファーたちは ほのおとなって きえた それでも戦う事を選択すると… したがう ⇒たたかう のろわれよ ワタシ????? そして ショウジョ!! じごくにて せかいの おわりの ときまで えいえんの ごうかに やかれるのだ! そして死闘の果てに打ち倒すと… なんということだ みずからつくりし つちくれに ほろぼされるとは しかし これでよかったのかもしれぬ これが なんじのせんたくなら・・・ さいごに いっておこう わたしは むげんのうちゅうをとうかつする いしきたいの ごくいちぶでしかない このうちゅうには よりきょうだいな いしきの しゅうごうたいがいる いいか これでおわったわけではない なんじらは よりくるしいみちを えらんでしまったのだ・・・ 今作のY・H・V・Hは敗北の際にはそれを認めて主人公の行動に肯定の意志さえ見せた上で、自らの存在とより強大な存在の事と主人公達の辿る展開の苦しさを警告した上で果てる。 主人公を終始敵視し、選択肢に肯定するとゲームオーバーになる罠を貼り最後には呪いの言葉をつぶやいて果てる当時のRPGのラスボスは勿論、他のメガテンシリーズでも類を見ないスタンスとなっている。 実際、Y・H・V・H討伐ルートでもゲーム上では地上から悪魔は一掃されて「これからは人類が自らの手で未来を築き上げていくんだ」的内容で希望に満ちた終わり方である。 ……と言いたいところではあるがこのルートの場合、ルシファーやバアル等は魔界へ帰ったとは言え健在であるのでY・H・V・Hやサタンと言う抑えが無くなった事で自身が新たな唯一神になって人類を支配するという野望が芽生えないとは言い切れず(*9)、よく考えるとかなり後味が悪い終わり方ではある(*10)。 + 真女神転生Ⅰ・ⅡでのY・H・V・H 数え切れぬほどの 命を もて遊びたる 呪われし者どもよ… 我が名を 称えよ 我が 栄光に満ちた ならぶ者無き 名を 称えよ 真・女神転生Ⅱ カオス・ニュートラルルートより抜粋 『真・女神転生』には直接登場も介入もしない。 しかし、ラストダンジョン「カテドラル」はY・H・V・Hを降臨させる神殿としての側面を持ち、『真・女神転生』では地上にて自身より信仰の強まったルシファーを魔界に堕とし、世界統一のために数多の神を打ち倒したと語られる。 しかし続編の『真・女神転生Ⅱ』では、LAW陣営が人類を支配する世界「千年王国」を地上に建国する事を目論み、悪魔や過去に過ちを繰り返した現人類がいる限り目的達成は不可能と判断し、一部の優れた人間等の生命のみエデンに避難させた上でサタンにメギド・アークを使用させ、地球上に残された生命を全て一掃しようと企んでいたという事が明かされた。 その為に滅ぼすべき地上を統治しようとカテドラルやセンターによる支配を試み、人造救世主生成計画「メシア・プロジェクト」を推し進めて自身の意志に背いたミカエル・ラファエル・ウリエルの三天使にも見切りをつけており、独り疑問を抱いていたガブリエルにのみ、自身の配下であるサタンを補佐するよう告げている。……四大天使不遇の時代はここから始まった気がしないでもない。 だが、ルシファーやアレフ、そして従えていた筈のサタンにさえも反発され戦いを挑まれる事となる。 最終的にアレフに敗れるも、人類を導き、人が頼り、縋るべき超越存在がいないために未来が混沌するという「罪」を犯したと告げて消滅した。 このシリーズでは「Ⅱ」終盤までY・H・V・H自身の意志は本編で語られず、メギド・アークが放たれたLawルートがY・H・V・Hの望んだ結果だったことを考慮すると「Ⅰ」のICBM発射の時点で既に地上とそこで生きる者達の大半に見切りを付けていて「選ばれた者以外はどうせ皆滅ぼすから地上等もうどうなってもいい」と言うスタンスだったのかもしれない(*11)。 + 真・女神転生NINEでのY・H・V・H 『真・女神転生NINE』では「Y・H・V・H」としての登場はない。 その代わりにラスボスとして、グノーシス主義にて同一視されるヤルダバオートが登場。 歪な形で存在し続ける人類を滅ぼすために堕天使ラグエルを送り込むが、ラグエルが失敗すると自ら抹消しに現れる。 同作は『真・女神転生』の後半の時期から派生するパラレルワールドであるが、このヤルダバオートとY・H・V・Hとの関係は不明。 + 真・女神転生 STRANGE JOURNEYでのY・H・V・H 『真・女神転生 STRANGE JOURNEY』では、はっきりとその姿を見せることはないが、 2週目以降にそれと思しき存在が姿を見せる。 その存在は機動班クルーの姿を取っており、話しかけると「秘密の扉の先にあるお宝を探さないか」と気さくに誘ってくる。 この時の最後の一言から人間でないことを察した人はいても、まさか唯一神だと思う人間はいないだろう。 彼と同行してエリアボスとは逆の位置にいるアリラトを倒すと、力を一部だけ取り返して代理人たる「メタトロン」の姿を取れるようになる。 曰く、どうやらシュバルツバースの発生を抑えていたのは彼であり、信仰心の低下によって力が減少し、シュバルツバースの発生を許してしまったらしい。 挙句ほとんどの神性を奪われてしまったとのこと。 この件について、神の存在を信じる選択をした際のボス悪魔のリアクションと概ね一致するため、おそらく唯一神であるとみることができる。 シュバルツバースの発生は完全に人間の自業自得なのだが、それについて文句を言うこともなく、他シリーズのような傲慢さは一切見られない。 誰だ、お前。 今作のロウスタンスのように悪魔ぶっ殺すな姿勢でもなくマンセマットの行動にも言及しないなど、割と中立に近い立場だったりする。自分以外に興味がないだけかもしれないが。 その後、奥底に封じられた邪神に貶められた創造神としての力「デミウルゴス」を取り戻せるのだが、このデミウルゴスは本編で最強を誇る敵となっている(*12)。 よくこんなのを封じられたな。 撃破するとデミウルゴスの合体が解禁されるのだが、自身がロウスタンスであればその場で協力を申し出てくる。 そう、仮にも唯一神が仲魔に加わるという非常に珍しい展開が発生するのである。 これらの作品以外では表立って登場せず、長らく音信不通だったが、 『真・女神転生IV』を経て、『真・女神転生Ⅳ FINAL』にて再びラスボスとして姿を見せた。 + 真・女神転生Ⅳ・FINALでのY・H・V・H 遂に我が前まで来てしまったか 悪魔共に唆されし人の子よ… 我はYHVH… 有らんとして在る者なり 無限の創り主にして宇宙の法と秩序そのものである CV:麦人 『真Ⅳ』シリーズにおける全ての騒動の元凶。 宇宙の外に存在する自身の領域「YHVHの宇宙」から人間を観測する、無限の創り主にして宇宙の法と秩序そのものとされる存在。 通称「有らんとして在る者」。 『真Ⅳ』の世界におけるYHVHは、人間に肉の体を与えることで人間の持つ「観測の力」を自身に都合の良いように捻じ曲げ、絶対神としての位階を確立した存在であるとされ、 その過程で唯一教以外の敵対していた神々を軒並み悪魔扱いし貶めたために多神教の神々から蛇蝎のように忌み嫌われている。 しかし真に驚くべきは、そのスタンス。 Neutral そう、Neutralなのである。 配下の天使たちはバリバリのLawなのに、こいつは「地上の主役は人間」という立ち位置にいる。マンセマットはやはりおいしい役だった。 天使らが語る「安寧」という誘惑の対極として、わざと反逆者ルシファーを生み出して「自由」という誘惑を用意し、悩みの中で他人と寄り添う道を歩ませている。 神が最初から意識していたのは人間だけであり、悪魔も天使も単なる駒に過ぎないのである。いや、もはや駒っていうか噛ませ犬。 天使の掲げる安寧の楽園も、それを目指す過程が重要なのであって、秩序に従って黙々と生きる世界は別に望んでいない。 天使の分裂を放置し、メルカバーを屠った事も咎めないなど、天使については多分心底どうでもいいと思っている。 そして、ルシファーが「神よ、なぜ応えてくれないのです我々を認めてくれないのです!」と神の存在を求めもがく姿を、当の神は「よし、その調子だ。がんばれ!」とか言って見ていたのである。双方不憫すぎる。 それでも、「自身が絶対の上位者であり、唯一信仰される存在である」「人間は自身の存在にのみ盲従すべし」という傲慢な執着心は健在。 一見超越者として振る舞い、あたかも人間を大切に思っているような言動や素振りを見せていたが、自身の下した審判から生き延びた旧人類は、たとえ自分を謙虚に信仰する者でも等しく虐殺の対象と見なすその本質は非常に身勝手。 おかげで『真Ⅱ』同様サタンに反逆を喰らい、ワルターやフリンからはその本性を「人間を羨み、恐れている」と断ぜられた。 『真Ⅳ』では自分のみを信じる都合のいい国を作るために画策。 作中時間で25年前に世界中で悪魔が突如出現し、世界が混乱した挙句戦争に発展することになる。 この戦争は世界各国が同時に核攻撃を行い、マサカド公によって守られた東京以外は滅亡することになった。 しかし、これこそがYHVHの真の狙い。 核攻撃を煽って地上を一掃し、天使を使い「方舟」によって人間を選別。 選別した一部の人間を利用し、あらゆる文明の利器から隔絶された、唯一神のみを信仰する天使の支配する国家「東のミカド国」を建国させている。 ちなみに、その戦争は「神の御業戦争」と呼ばれているが、これはミサイルの同時発射を天使が画策したからと噂されたための名称。 また過去に世界と人類の滅亡を四度に渡ってもたらしており(ホワイトメン)、また可能性の世界の一つ「砂漠の東京」では魔王プルートを遣わして地上に治療不能の猛毒を撒き散らし生き残った人類の皆殺しを画策した。 DLCクエスト「日の老いたる者」では、眷属とも言える悪魔「神霊エンシェントデイ」が登場。 エンシェント・デイは自身の審判から生き延びた旧人類を『宇宙の摂理に反する悪しき命』と一方的に断じ、「地上の浄化」を名目に生き残った「砂漠の東京」に住まう人類を皆殺しにしようとした。 砂漠と化した東京において未だに神を信仰する「キヨハル」も、エンシェントデイから神の真意を聞いたときは失望し信仰を諦めてしまった。 また、自らが四大天使を遣わせ建国させた東のミカド国の住民に対しても、東京からミカド国に民を「選別」する際に大天使が近くにいない状態で一定以上の文明に触れると、その人間が悪魔に変化する遺伝子をDNAに予め仕込み、例え東のミカド国の人間がいずれ自身の意に反した思想や行動を起こした場合、その者が悪魔化するよう予防策を施していた。 おまけに悪魔化を発症すれば悪魔化は周囲に感染し、感染の兆候のないものさえ巻き込んで悪魔化してしまう可能性がある。 そのため、一度悪魔化が爆発的に広まれば、後は悪魔化した全人間を皆殺しにするしかない。 つまり『真Ⅳ』におけるミカド国での悪魔化騒動の元凶でもあったのである。 これを人間に例えてみよう。 自分に楯突くムカつく奴を殺してそいつの双子を奪い、一方を自分ともう一方の双子を憎むように育つ環境に放置&もう一方は自分を無条件で慕うように洗脳し、 双子同士が小競り合いを起こすことで自分の懐に金が舞い込む仕組みを作り、挙句にその間にいる搾取対象が逆らったら洗脳で一部勢力を暴走させたり武力を行使したりで叩き潰す。 どこに出しても悍ましい、果てしない外道である。 ただし、『Ⅳ』の時点では少なくとも具体的な指示を出しておらず、果たしてどこまでが彼の意思でどこまでが天使や分霊たちの独断だったかは判然としない(*13)。 自身の意思に対する解釈で対立するマンセマットと四天使を放置したり四天使の計画を阻んだことを咎めないなどやたら無関心である。 とはいえ、実質何もやってないのに救ってやっているという超上から目線なスタンスは普通にムカつくが。 続く続編『真・女神転生Ⅳ FINAL』の最終決戦にてラスボスとして遂に降臨。 当初は『真Ⅱ』に出た時のような金色の頭だけの姿で、言動もアブラハム宗教における慈悲深く苛烈な唯一神を思わせる超然的な言動を取り、ただ相対して戦うだけでは打ち倒しえない絶対の神として猛威を振るった。 しかし主人公たち人間が持つ「観測の力」によって、「救い」「免罪」「博愛」「公明」「自由」「清廉」「慈悲」というYHVHを支える神性を全否定され、揚げ句に悪魔として観測された事で悪魔に零落した末に弱体化。 我がこのような姿に貶められるとは… 人の子如きが…我は汝らを赦さぬ …大人しく我が与えた肉の身体と その範囲の答えに盲従すれば良いものを… 涜聖せしめた汝らの罪は死よりも重く その罰は永久の苦痛を強いることだろう …オオオオオオオオオオ!! 荘厳とも言えた姿から一転。 二本角の悪魔、ヤモリ、山羊、牡牛、蝗、蛇、青白い炎に焼かれ苦悶する人間の上半身を生やした醜悪な七つの頭部、蛇の身体、2対の悪魔の翼を有する醜悪極まるキメラのような邪神を彷彿とさせる悪魔の姿に変貌。 同時に人間を見下す傲慢極まる本性も露わとして己を否定し醜く貶めた主人公一行に襲い掛かった。 なお、この形態の際に生えてくる生物の頭は、かつて自分の宗教が「不浄な生き物」と認定してきた生物群であり周り巡った因果応報と言えなくもない。 しかし最後は死闘の末に「神殺し」たる主人公によってトドメを刺され敗北。 『真Ⅱ』の時と同様、人が頼り、縋るための「YHVH」という絶対者と、自身が齎す法と秩序が消える事を「罪」と断じながら消滅した。 今までのシリーズ同様、このYHVHも「大いなる理」と呼ばれる「より強大な宇宙の意思」によって生み出された存在なのだが、 どうも「大いなる理」からも見捨てられている節があり、別段倒す必要の無い絆ルートにおいても、ある存在が主人公にYHVHの討伐を要請してくる。 ところで、作中彼がやっていた事は 博愛的な平等を見せながら、実は自分は絶対有利な位置をキープ アメとムチをコントロールして全自動搾取システムを構築 相手に与えた唯一の慈悲を利用され、やった事をそっくり自分に返される ……これ、どこぞの地下にいる班長と同じじゃないのか? どこの世界も、盤石を期した支配体制とその末路は似たようなものなのかもしれない。 なお、唯一神が人間が観測した事象を支配におけるメカニズムなどは詳しく明かされていない。 これについてはこのように考えることができる。 人の目に映らない唯一神が存在するというロジックは、神の子が聞いたとされる「言葉」を基軸とする。つまり、その存在は言葉を依り代としていると言える。 神が言葉を発することで、それを受け取った天使という実行力が活動を成して神意を示すのである。故に、受け取り方が違えばその活動も変化する。 また、人が事象を観測するにあたって確実に行うことがある。 それは「命名」である。命名とは言葉を割り当てるということであり、すなわち言葉を権能とする唯一神の支配下に組み込まれる、という形となる。 これを示す根拠として、作中で唯一神の名前を呼ぼうとしてもよく分からないボイスとなっていることが挙げられる。 これは、唯一神が人間によって観測されておらず、唯一神自身を示す言葉が割り当てられていないからと考えることができる。唯一神やYHVHなどは「表現」であり、存在を定義する名前ではないのである。 最終決戦においては、唯一神が自身の加護だと主張することを仲間たちが再観測したことで、唯一神の存在が「自分勝手な指示を部下に命じて行わせてきた外道」として定義され、それに応じた醜悪な存在へと変換された、と考えられる。 ちなみに、そんな唯一神を倒したパーティは、一度人として死んだもの・一般人に近いもの・2種族の狭間にいるもの・個我を否定され続けたもので構成される。 即ち救世主・魔王・神の戦車・メシア・人造メシア・人修羅らと異なり存在を明確に定義されてない「名もなき者ども」である。 + 真・女神転生ⅤでのY・H・V・H 『真・女神転生V』では 開始時点で死んでる。 盤外でルシファーにぶっ殺されてる。 マジかと思うかもしれないが、2回言うくらいマジである。 四大天使も一通り封印され、少しレベルの劣る大天使がトップになるくらいで、かつてないほどロウ勢が不利な状況。 ちなみに、メタトロンは半人半神ともいえる存在のためか、設定的に今回は中立。 あと、ルシファーも実質中立で、配下であった混沌の軍勢が何をやろうが興味なし。何この状況。 一方で、今回はかなりマシなキャラクターをしている。 まず、曲がりなりにも自力で王を決める戦いを勝ち抜いて最高神の座に就いており、他の神々からも一応「前王」「法の神」「創造神」として扱われている。 神々から知恵を奪い、新たに王位を決める戦いを起こさなくする小賢しさは健在であるが。 逆に言うと知恵を奪うだけで自身の支配下に就くことを強制したわけでもなく、自身の指揮下にある組織「ベテル」の各国支部の神々は秩序維持さえしていれば発言権もあるなど支配は超緩い。 前述の知恵も、知恵の実にしてたのをうっかり食べた人間たちを拘束・封印せず追放だけで終わらせたのも、後々の王座の危機を考えればありえないほど軽い処分である。 後に東京が「受胎」で消滅してしまったときは、わざわざ住民ごと再生し、ずっとその存在を維持していた。 この唯一神、人間が好きなんじゃない? ここまでしといて八百万の神々勢からの独裁者扱いは流石に泣いていい。 トップがそんな感じなので、配下の天使たちも比較的人間には友好的で、クエストや一部イベントを除いて天使が敵として登場することは非常に少ない。 というか、かなり人間臭い。 結果として、唯一神が死んだ後は瓦解する羽目になってしまった。 SJといいこれといい、比較的人間に親身なケースだと頑張って調整役をしてるのに酷い目に遭っている辺り、「お前ら黙って自分に従え」となるのも仕方ないと思われる。 余談だが、原典での唯一神が宇宙を生み出した創造主であるのに対して、女神転生のY・H・V・Hは「宇宙の意思が我を生み出す」と発言しているので、彼も被造物(*14)であることから、両者は別物という見方も出来なくない。 また、真ⅡやⅣ・FINALなど唯一神との戦いが不可避な作品ではやたらバグが多いという共通点があり「唯一神の祟り」とネタ交じりで吹聴されている。 神霊 YHVH直属の眷属或いは分身というべき悪魔たち。 登場回数は非常に少ないが出てくる場合基本ボスとして現れる。 ツァバト 新しい世界を 悪意と暴力で満たし破壊しないよう 神をうやまい従う より優れた人間を選び出したはず 破壊と殺生を ただくり返し 邪教の技により悪魔を合体させ続ける 罪深き者は 方舟には乗せん! l i .i / l i l / 、 l | | ./ , , \ 〵 l .| | / ./ / \ 〵 | _|,,,,,,,,,,,,,|__./ ./ / \ \ 〵-''" _____ ゛`ヽ/ / ./ - __ \,,,,,,\/ / \ \∠___/ __ ー- 、__ ./ . .╲ / . . 〵 ./ . \ _,-‐''´ / ̄ ̄\-./ ...... . . 〵_/ r'三ヲ ヾ三ヽ.|_ .i . . ........ ヽ-/ ̄ ̄\ / ' . . . . .V'--, r''ニヲ . . ィ}ヾ `''´ ハ  ̄.../ィ}ト ヾ三ツ r=}/ . . . . .〵 / ̄`ーノ r',ツ . . . ,.ィレ ___ ...rイ}|ヾ} ,--、...... .レ/ |ヾ}... ___ヾツヽ . . . .r-..、 {/ ̄`ヽ、 / . . .|rツ_. ̄ . . .レ|、 ヾツ . . .''r' ╲ i r{三}-, / ヽ . . . `''´ /\| . . .  ̄ _ iツ} . . .. ╲ | ,. ィ ,╲ ニ___ . . . r'’i╲  ̄ / .\ ____ / ╲  ̄_ /i\ _'ニ ハ r.、 .| }r-''” レ.╲{r-i〉 . . .| . .i \____./ `ー-一´ \____./ i . .i ヾニ}/ヾ .ヾツ/ ∠ i .. . \_____/ . . i i . . \_______/ . . i _ ヽ ヽ- /. . .ノ i . . . . . . .ノ ハ . . . . . . . .i ヽ . .\ ン´ ヽ.∠-―ヽ / . . . . ノ .|〵 / \ / } \ . . . . . i / ̄ー-ヽ./ \___/ _,,-ヾ / \//、_ \___i./ ___,-'' ' ./\ `\__ / \ ./ .i / \ / / 、 / / | 〵 ╲ \ / / \ / / | _.〵/⌒ ╲ \ / / ̄ /- r----i'´ | 〵 ╲ / / ./ | | | 〵 ╲ ' / / .| i i 〵 ` / 初出は「真・女神転生Ⅱ」。 ツァバト(万軍の主)。 「力の儀式」に由来する13の頭部がリングのように並んで回転している光球というデザイン。 悪魔合体を繰り返し力を付ける主人公を敵視しており、何故主人公が方舟に乗り込めたのか疑問視している。 物語の最終ダンジョンである、サタンに選ばれた人間が乗る方舟において主人公の前に立ちふさがる劇中最初の神霊。 シャダイ 神のつくった生命を ねじまげること 思い上がりも はなはだしい 生命最高の王 シャダイ が許さん! O ヽ__ノ 中 ___ .>| |< .___ ,..--./ rヽ╲`| |'_/-.、╲--.、 ,,,,././ .| .|/人` ' ,ん,ヽ.| .|⌒i〵-、 { ./| 〵 , ,╲ .\_ _/ /./、 } .}i i { .{ .\ヽ{__ `-‐'' ''ー'´ノ /// | .| 、 ╲\__} ,,- ''´,,二二 ̄ -、 __// \ \ \ \7'',-二三-----三ニ\.|.フ / / _/ -、__ `ヽ、 \ \ .V / . . . . . . . . . . . . . . . .\}/ / /_/ __,-‐''  ̄--______ `ヽ、 `ヽ,\_\'´ . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .\'´// ___,-‐'' __-- ̄  ̄ー-- `ー-、__`ヽ、 \/ . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . ╲''__,-‐''" _,--'' ̄ __,,--―  ̄ー----、____`ー--__ン . . . . . . . . . .,.-,---、 、 . . . . . . . . . . 〵-―'' ̄ ,---- ̄ ̄  ̄ー――------_____---i . . . . . . . ../ / ヾ\ . . . . . . . . .に--‐二二----------――― ̄ ---------------------------i . . . ___/ { . . ● . . .} \___ . . . .}∠二----------------------- ---------------------------i . . . . . \ ヽ . . . . .ノ / . . . . . .|r二二―――――― _________------―― ̄ ̄二>.| . . . . . . . .\  ̄ / . . . . . . . . .|--_______ ̄ ̄ ̄ー――-----____  ̄ ____,,,,,,--- ̄__,,-‐''フi . . . . . . . . . . `ー―一´ . . . . . . . . . . /_--__ ー---_____ ____---―'' ___,,--'''´ _,-''´ ,╲ . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . ./r、 `ヽ、  ̄--、__  ̄ー--___ ___--‐'' __,,-''´ /'/ 7 、 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . ./、 \`ヽ、 `ヽ、 ー--___ ,,-''´ _/ / ./ /\ . . . . . . . . . . . . . . . . ../\ \ \ \ `ヽ、__ / /´ / / /`ーr--r-r'''i''´ 〵 \ \ `\ `\ / 「 | | | 〵 初出は「真・女神転生Ⅱ」。 シャダイ(生命の主)。 見た目は王冠を被った一つ目が付いたボール。 存在自体が神の定める生命の法に逆らう主人公の存在を「悪魔の子」と呼び嫌悪と共に見下し蔑んでいる。 また自らを「生命最高の王」と豪語するなど傲慢な性格を持つ。 方舟において、YHVHの分霊として主人公の前に立ちふさがる。 エロヒム 悪魔の子は 悪魔の声を聞き 悪魔の群れを引き連れ 悪魔の刃を 手に 我に刃向かうか 消えよ! ,.へ r-‐'´ ̄'〈 .ノ ___,.へ___ r-'’ L__,| ノ-<__ `ー `ヽ__ /  ̄ ̄ \,、 \____ ___,,,,,.-/r--‐'' ̄ ̄≦,,ヽ╲ ╲ \___ /⌒ヽr''´ __/r'/ ・ . \ } \ / rノ´7/ / ./ 、・ ,,, rッ 、_, ヾ \ r,} } .} | r',ィ }.╲ r'./ , Lii/ ,,,, ” ッ ”`、_, ╲` / __ノ / ,/ .ニ/ .ノ/ /〳 Y ヾツ r-” )-'’ L〵 | | ̄ { .r’ // r', r’ : L ヾ 「 |iL r-y ’ ,,,,、 ’ 」〵, ヾ, >.} .| } ノ.| i L_ L_ノ`ヾL{<ツに⌒レ ヾ | }、 r.} ( り r'/ | . r ヾ } / 下 ⌒りトノ⌒ : Vハニン り jノ ハ ヾ ね >L_ ノ __/ヾ}/ ri ヾ / //´ ヾ r'’ ヾ〵 r ⌒\- r-<_ヒ ヾ )/ }`} `ヾヽ_  ̄╲ ,, ヽ L\__iヽト  ̄ にフ/ } r./ ヽ___r'´⌒\ ヽツ フ三 `{ 十r< / / ,-’ r、{_  ̄ヽ/`ヽ、ノへ;;;;-;;;;;;;,,;;;;-,,/,r/ ./ j 〉 ̄\_/ __`}ー-----≦r'’ '´ り  ̄ r,へ__ノ ̄ ̄ // _,..---、_____ノ. ___ ノ ノ ̄`ヽ、/ ノr---' ̄ 初出は「真・女神転生Ⅱ」。 エロヒム(唯一なる神)。 見た目は燃える太陽のような球体。 上記2体よりも主人公への敵意が強く、出逢ってすぐの段階で主人公を抹殺しようと襲い掛かる。 方舟において主人公の前に立ちふさがる劇中最後の神霊。 日の老いたる者(エンシェントデイ) 我が使命は この地上を浄化し 次の人類を地上へ導くこと そのため 汝ら旧き人類を この地上より一掃するものなり 全ては神の定め 滅びを受け入れよ 初出は「真・女神転生Ⅳ」のDLC。IFの世界ともいうべき「砂漠の東京」に出現した神霊。 ビジュアルは半透明の球体型オブジェクトから機械の天使が無数に接続された名状しがたいナニカ。 球体の上には口だけしかない顔に謎の模様が走った人型ロボットのようなものが生えて?いる。 自身を「神の一部であり、神の代行者」と豪語して旧人類を「低き次元に生きる者」として露骨に見下している。 神の審判から生き残ること自体を大罪と考える苛烈な性格で、YHVHを敬う信徒すらもエンシェントデイにとっては等しく抹殺対象でしかない。 存在そのものが別次元にあるためか、通常では主人公ですらその存在を知覚できない存在である。 プルートが消滅したことで神の呪縛を破り、新たな自由を獲得しようとしていた「砂漠の東京」世界の旧人類の生き残りに強襲。 自身の審判から生き延びた彼らの存在を罪と断じ「地上の浄化」を名目に皆殺しにしようと暴れ回り、地上の大部分を焼き尽くす暴挙に出た。 その残酷さ故に狂気に陥りながらも未だYHVHへの信仰を捨てなかったキヨハルも、エンシェントデイと神の真意を知ったことで絶望し信仰を捨ててしまった。 しかし最後は主人公の手によって討伐されたことで崩壊。 宇宙の摂理は… 宇宙ノ…摂理…ハ… ウちゅう…ノ…セつ…リ…ハ… …… 最後まで己の使命にこだわりながら、最終的に機能停止したロボットのように沈黙して消滅した。 しかしエンシェントデイ消滅後、天から威厳に満ちた謎の声が飛来。 「例え敗北してもソレはただ形を1つ失ったにすぎず、己の存在も力も法も未だ不滅である(意訳)」と宣言し、己が選定した「新たな人類」を方舟に乗せて砂漠と化した東京に降り立たせている。 デザインは東映特撮でお馴染みの篠原保氏が担当。 また、神霊では無いが『真・女神転生Ⅲ-NOCTURNE』及び、マニアクス以降の通常ルートでのラスボスである無尽光カグツチも『真・女神転生Ⅱ』までの唯一神のイメージを引き継いだ存在であると明言されている。この頃はスタッフに自重する意識があったのだろうか。 偉そうなことを宣ってくるが、大半のプレイヤーにとっては月齢の代わりか、マニアクス以降は閣下の前座という程度の認識。 ◆小説『神々のいない星で』(川上稔) ♪りっふじ――ん♪ 何と多神教の世界に擬人化されて登場。主人公にツッコミ入れられた際には「唯一神、結構ー数がいぃるからねえ。弟達とか、仲悪くてねえ」等と解説していた。 1990年の立川市(を模した神界)の高校で長身丸ハゲ学生「四文字・真正」としてゲーム部部長を務めており、いつも間延びした様な口調で話している。 …こんなんだがその力は本物であり、コストを度外視すれば直径1㎞の隕石を落とし、それによる大破壊を即修復出来たりもする。 追記修正は「神」に全てを捧げてからお願いします。 EL ELOHIM ELOHO ELOHIM SEBAOTH ELION EIECH ADIER EIECH ADONAI JAH SADAI TETRA GRAMMATON SADAI AGIOS O THEOS ISCHIROS ATHANATON AGRA AMEN △メニュー 項目変更 この項目が面白かったなら……\ポチッと/ -アニヲタWiki- ▷ コメント欄 [部分編集] 秦氏=原始キリスト教というより、たまたま持ち込んだ信仰体系にキリスト思想が混じってて それと日本各地の土着信仰や仏教と混ぜ合わせて神道にした感じ …秦氏恐るべし! -- 松永さん (2013-06-09 10 24 17) 聖書読むととてもこいつを拝む気にはなれない -- 名無しさん (2013-11-21 00 00 06) ↑拝む気にならないでは無い。……拝むんだよ(意訳)。 -- 名無しさん (2013-11-21 00 55 10) と言うよりはなんで悪など創った?と旧約聖書を読むたびに悩んでしまう -- 名無しさん (2013-11-21 09 54 47) 自分とフィーリングが会わない者はとことん「悪」どこまで身勝手なんだ!!!! -- 名無しさん (2013-12-11 22 05 12) ↑「神」だから(意訳)。 -- 名無しさん (2013-12-12 00 54 51) この神さんよりアンリマユの方がずっと信仰するに足る。あっちは自分の不完全性を認めてるし自分がやった悪事もきちんと悪いと認めている。 -- 名無しさん (2014-07-04 00 35 49) そもそも、ユダヤ時代は「善悪を含む神」だったものを、キリスト教で無理に善性のみにしちゃっただけだし。 -- 名無しさん (2014-07-04 00 39 49) ↑やっぱ十二使徒ってバカだわ(確信) -- 名無しさん (2014-07-04 05 55 15) 完全な世界には不完全さが欠けている。故に完全な世界は不完全であり、不完全な世界は完全なのである。 -- 名無しさん (2014-07-04 15 27 43) 粕玉「これはこれは陛下。ご機嫌麗しゅう… -- 名無しさん (2014-07-04 16 31 44) やっぱり宇宙人なんだろ? -- 名無しさん (2014-07-05 15 21 58) 鰤のユーハバッハの由来もこれだよね? -- 名無しさん (2014-07-05 15 49 25) 列王記のサタンに唆されて人口調査したダビデにヤハウェが罰を与える→ちょっとやりすぎたな→祭儀行ったら災い終息させるよって流れは、頭おかしいとしか思えん。気分で信賞必罰を曲げる暗君とメンタリズムが一緒。 -- 名無しさん (2014-08-20 21 38 54) 結局我侭なNTのガキと一緒気に入らなければ消し去る(殺す)ことも辞さない。 -- 名無しさん (2014-08-20 21 54 39) どちらかというと人間が神に成り代わろうとしたから悪が出来た。神はそれを人間ではなく、罪のせいであると人間の悪を赦してるから寛容。そもそも死んだ後もユダヤやキリストの神は面倒見るから安心って考えがある。死んだ後のことを考えないから悪が生じる。 -- 名無しさん (2014-08-26 00 01 25) アンメイゾ…イマデウスゥゥゥゥゥウウ!! -- 名無しさん (2014-08-26 00 04 14) ↑2 唯一神は自分を「嫉妬深い神」(jealous God)と説明しているじゃん。善も悪も人も神も一切を救う地蔵は寛容だとよく言われているけど、それに比べて悪の有無を判定したり戒律を強制する唯一神は厳格な傾向が強い。 -- 名無しさん (2014-09-08 19 01 39) アナトール・フランスの「天使の反逆」の中で神を“万物の創造主を騙る傲岸で無知な存在”、“原罪と人類の殺し合いを助長する悪習を広めた邪神”としてこき下ろした描写は、悪いけどその通りだと思う。 -- 名無しさん (2014-09-08 20 14 59) 甘粕大尉が湧きすぎ。 -- 名無しさん (2014-09-23 12 02 57) いばりんぼ! -- 名無しさん (2014-09-23 12 46 34) 全く偉大と思えない事ばかりしているよな。強大な力を持っているだけの小物。 -- 名無しさん (2014-10-06 20 46 42) まあよくこんなの信仰してるなと思う時はある -- 名無しさん (2014-10-06 20 54 08) 誰かがいてほしいと願った たくさんの人がそれに倣った なら神は必要だろう -- 名無しさん (2014-10-06 20 56 24) マジンボーンというアニメがあるが「始まりの魔神」がこれにあたるんだろうな。ネポス・アンゲリスが天使に該当。 -- 名無しさん (2014-10-06 23 01 24) 多宗教でありある意味無信心の日本人だからこそ「こんなの」扱いできるという存在 -- 名無しさん (2014-11-01 22 07 35) 「我が名を称えよ」と問われたら、私は醤油をぶっかけよう -- 名無しさん (2014-11-01 22 10 45) ↑なぜ醤油w -- 名無しさん (2014-11-01 22 26 19) 日本の創作から見たらありがたい存在ではあるね。だって、ヤハウェの設定とその信奉者がやってきたことをちょいと戯画化してやれば悪辣無比な邪教がすぐにできるものw -- 名無しさん (2014-11-27 00 02 15) 安易に呼んじゃいけねぇとか言ってるから名前が本当の名が失伝すんだよ……それとも敬虔なカトリックは名が分からないぐらい高貴な存在とでも考えてるんかね? -- 名無しさん (2014-11-28 02 23 00) ↑失伝自体を狙っていたという可能性も考えられるんじゃないか?教義を創ったのは人間だ。それを創る過程で他の宗教を蹂躙し、その所業を正当化するに当たって何らかの取り決めがあったとするならば、その教義に縋る信者達に真実を伝えないのは当然だ(邪推) -- 名無しさん (2014-11-28 03 01 54) ぼくにだって宗教勧誘を聞きかじりのにわか知識で論破する妄想することくらいあるさ -- 名無しさん (2014-11-28 03 13 24) 自分程度が投げる質問なんて遥か以前から討論繰り返されておおよそ全部の質問回答のチャートもできてるだろうしね 現在まで連綿と続く世界宗教舐めすぎだわ -- 名無しさん (2014-11-28 03 20 16) ↑2 日本人がザビエル論破したみたいな誤解もたまにあるしな。わざわざ説きにくるような人間に口で勝てるわけがない。 -- 名無しさん (2014-11-28 16 29 11) まあ、布教しに行った先で「あんたらの語る神(ヤハウェ)は年老いて家にこもる病人みたいだ。俺たちのところの神は雨でも降ればそこら中を走り回るよ」ってやり込められた例もあるけどな(ジョーゼフ・キャンベルの著作より) -- 名無しさん (2014-11-29 16 12 33) ゼウスやバアルと呼ばれたモノから人間性(親しみやすさ)を排除した結果がこれだよ!! -- 名無しさん (2014-12-01 11 47 24) なぜか醤油シリーズの常連 -- 名無しさん (2014-12-01 11 55 45) やっぱ緋想天を作ったサタさんは偉大だったんや! -- 名無しさん (2014-12-15 17 00 00) BLEACHのユーハさんも主な登場作品に加えたらどうだろう -- 名無しさん (2014-12-15 19 04 16) ↑あの方は名前をパクっただけらしい。↑2どうして世界に悪があるのか、悪があること自体が間違っているのだ。ならば清めよう。原罪浄化せん。 -- 名無しさん (2014-12-19 18 05 15) ↑イーラ フロル ヴィレウス エスト! セクゥェレ ナートゥーラーム!! -- 水銀の蛇 (2014-12-22 23 21 10) ↑詠唱間違ってら、ブレウィスだな -- 名無しさん (2014-12-22 23 29 19) ↑8 ”昔どこかのジャングルに住んでいる原住民が宣教師に向かって、「あんたの神さまはまるで年とって体が弱ってるみたいに、家のなかにこもりっきりだね。わしらの神さまは雨さえ降れば林のなかにも、野にも山にもいるけどな」と言ったという。”(『神話の力』76ページ)って話だね -- 名無しさん (2015-02-07 23 38 05) ↑ そう、それだわ。 神話学の権威がキリスト教の推し進めた価値観の平坦化に苦言を呈してたのは衝撃的だった。 -- 名無しさん (2015-02-08 21 35 46) ↑ そりゃ、神話学は学問だからね。神の力や教えを説くのが神話・宗教で、それを論理的・科学的に研究するのが神話学。学問からすると、一神教(のキリスト教)が滅ぼした文化や伝承は多い。 -- 名無しさん (2015-02-10 18 03 13) シヴァ「じゃけん、天罰喰らわせましょうねー」 -- 名無しさん (2015-02-10 18 19 11) ホーク「オラオラオラオラオラァ!」 -- 名無しさん (2015-02-10 19 33 57) どっかで見た「人間は自分の力の及ばない出来事を良いことも悪いことも色々な神様の仕業にしてきたんだから、『世界に神はただ一人』だなんて伝えたらそりゃ面倒なことにもなる。」ってのを見て納得した記憶がある。 -- 名無しさん (2015-02-16 22 23 14) 新羅からこっちにやってきた神、って記述があるんだよな八幡さま -- 名無しさん (2015-07-26 01 08 39) ↑4 YHVH「俺は全知全能だから効かねえんだよ(震え声)」 -- 名無しさん (2015-08-13 14 58 42) まぁ聖☆お兄さんでようやく親しみが湧いた感は否めない -- (2015-11-19 12 28 51) この米欄見ると日本でキリスト教が根付かなかった理由がよくわかりますね? -- 名無しさん (2015-11-19 12 51 08) 後世の信者たちが自分たちに都合のいいようにねじ曲げた可能性は決して否定できない。原初の時点でどのような神だったのかは、もはや誰も知らない -- 名無しさん (2015-11-20 02 06 42) 仏陀の教えだって直弟子に伝えた時点でもう変質してるだろうし仕方ないよ。ニュータイプじゃないんだから -- 名無しさん (2015-11-20 02 16 08) 世界の問題の原因はだいたいコイツのせい -- 名無しさん (2015-11-20 20 19 24) 第9次のクルセイダー起こさなきゃ・・・(司教感) -- 名無しさん (2015-11-20 20 37 53) グノーシスだと他には「ヤルダバオト」とも呼ばれているんだな… -- 名無しさん (2015-11-20 21 48 36) 割と理不尽というか嫌がらせの塊なお方 -- 名無しさん (2016-02-01 12 55 40) こいつを殺す過程で悪魔にまで貶めるゲームが発売されました -- 名無しさん (2016-03-18 05 52 17) ヨブの信仰心を試すためにサタンにすらゴーサインを出す -- 名無しさん (2016-03-30 21 15 47) 最近のメガテンではルシファーもYHVHに敵対者として役割を与えられた咬ませ犬って感じみたい -- 名無しさん (2016-03-31 00 09 58) 最近のっていうか、Ⅳのな。1・2は同質なのを自覚してのガチの反逆者。3~SJはより大きな存在と戦ってて、ⅣのはYHVHのマッチポンプの為に造られた天使みたいなかんじ。 -- 名無しさん (2016-03-31 00 22 13) いくら無料のフリーゲームとはいえ6日の突貫工事で作ったものの7日目のデバッグをサボって休んだためにバグまみれ状態で世にだしたあげくにパッチすら配布しないという不誠実極まりない対応は如何なものかと…。 -- 名無しさん (2016-03-31 04 43 45) 4Fの多神教勢は「ルシファー?悪魔王とかぬかしているけど所詮あいつYHVHの尻尾だろ?」って感じだったな -- 名無しさん (2016-03-31 10 48 50) というか君らが言ってるのは旧約の神なのか新訳の神なのかどっちよ?言っちゃなんだが旧約と新訳で神の性格は大分違うぞ -- 名無しさん (2016-04-15 22 21 04) 神など不要。根絶すべき -- 名無しさん (2016-05-23 21 37 35) ↑2旧約=自分の選んだ民族に保護の対価として信仰と試練とついでに手足として他の民族や信仰への攻撃を強要する俺様キャラ。新約=基本的に何も言わない、何もしない。模範的なことは息子のイエスが見せてんだから守るように……言っている気がする、たぶん。きっと。みたいな感じだったかな。 -- 名無しさん (2016-05-23 21 48 44) X-MENでラーとかクリシュナとかYahwehとか呼ばれていたミュータントが登場するみたい -- 名無しさん (2016-08-04 11 24 01) 自分に似せて人を作ったということは外見的にはチビデブハゲ、内面的にはアニヲタ基地外引きこもり等々の要素も持っておられるのだろうか -- 名無しさん (2016-09-08 11 25 04) 旧約と新約で神の性格が分かれるって事で思いついたんだけど、旧約のYHVHがデミウルゴスとか呼ばれるもの、新約のYHVHがプロパテールと別々の存在になってるのだろうか? -- 名無しさん (2016-09-12 23 47 43) ↑2 -- 名無しさん (2016-10-06 17 36 17) ↑2サウスパークで仏教徒だって明言してるのを見て変質が理解できたわ(迫真)。世界を創れる程度じゃ輪廻から外れられないが、真に仏になれたならそれからも解放されるからね。 -- 名無しさん (2016-10-06 18 45 04) ↑4嫉妬深くて生贄を求める神らしいからなぁ・・・陰険って所は引きヲタ野郎っぽいな -- 名無しさん (2016-10-11 02 43 21) なんで唯一神なのに子供がいるんだ? -- 名無しさん (2016-10-11 05 42 53) ↑そもそも「神々」とか呼び掛けられてる存在だし。 -- 名無しさん (2016-10-11 10 30 16) 真ⅣFの海外版とか出るけど反応が超怖い -- 名無しさん (2016-10-22 09 15 38) 三位一体・・・つまり、こうだ?神様はゲッターロボ -- 名無しさん (2016-10-22 09 46 17) 神に姿があるから偽物……とは言っても発売前に騒がれたクリシュナよりヤバいからなぁ。殺し方とか -- 名無しさん (2016-10-22 10 18 02) 「天使の反逆」という100年ぐらい前の小説で、やってること尽くが批判・貶されてるあたりが面白い -- 名無しさん (2016-11-17 19 06 19) 大学にあった本で、シヴァとヤハウェとサタンとルシファーが同一みたいなことが書かれていたが、合ってるの?もしそうなら -- 名無しさん (2016-12-02 20 11 45) ↑追記 最強の神々によるユニットみたいな?親戚みたいな感じだよな。 -- 名無しさん (2016-12-02 20 13 11) ↑バアル、インドラ、ゼウス、トール、アメン・ラー辺りは先ず同じ神様だろうから発想の元ネタの可能性は高いかも。シヴァと四文字も天空神だし。 -- 名無しさん (2017-01-04 09 47 33) ↑暴風神ルドラ→ルドラがアグニから司祭の神性を引き継ぐ→インドラの戦士階級の性格を吸収&その他複数の非アーリア系神格と合流→シヴァ神の成立だから、天空神とか的外れも甚だしいぞ。あと、インド神話において名前の構成語根的にゼウスと同神格なのはディアウスな。 -- 名無しさん (2017-01-12 15 55 02) Y・H・V とH・V・Hで顔文字2つ合体した感じに見えてきた -- 名無しさん (2017-01-12 16 35 22) 存在x -- 名無しさん (2017-01-12 17 24 35) 第二形態は人類悪 -- 名無しさん (2017-01-15 03 05 04) パラダイスロストをやりたくなってきた -- 名無しさん (2017-01-24 18 50 46) 日本の創作だとだいたい悪役にされる哀れな御方 まあ原典でもはた迷惑なのは変わらないが -- 名無しさん (2017-06-08 08 02 59) 名前を言ってはいけない四文字の存在、と言うとなんか卑猥に思うのは気のせいか。 -- 名無しさん (2017-10-20 16 47 15) 周囲が一神教に染まってないだけでも日本に生まれたことを喜びたい -- 名無しさん (2017-10-20 17 23 19) 三位一体、というのは三つが一つになるというのではなく三つの顔をもつけど、それらは同じ物と言う意味。マクロスで言うVFシリーズは三つの姿に変形するけど同じもの。或いはウルトラマンや仮面ライダーがモードチェンジするけど本質は同じものだよ、と言うのが近いか。 -- 名無しさん (2017-10-22 21 47 12) 仮面ライダーアギトのラスボスもコレ。被造物が自分の手を離れて成長するのが許せない毒親で、飼い犬に手を噛まれたレベルのことで人類に愛想尽かしちゃうある意味萌えキャラ -- 名無しさん (2017-10-22 22 04 39) ↑×8 うお、ほんとだw (Y・H・)V H(・V・)H こうすると、もっと顔文字っぽい? -- 名無しさん (2017-10-30 11 17 27) ある意味後付設定の被害者で通してやったこと羅列すると矛盾の塊で信者の用語が厚いキャラ…なのかもしれない -- 名無しさん (2017-11-01 12 20 22) Ⅳ FINALの四文字はアルコーン(ヤルダバウト、デミウルゴス)を特に意識してるっぽいね。 -- 名無しさん (2017-11-15 14 30 11) こんなに、四文字様を敵役にしまくって、アトラスのスタッフ様に、現実の四文字様の天罰が下らないことを祈ります; -- 名無しさん (2018-01-07 09 35 27) ↑ 天罰って軽々しく言うけど、聖書のこいつほど外に弱くて身内にだけえばり散らす内弁慶な神様はいないぞ。何があっても信者が最初に犠牲になるからな -- 名無しさん (2018-02-12 19 33 47) mdtr.s -- 名無しさん (2018-05-04 18 06 39) mdtr.s -- 名無しさん (2018-05-04 18 07 01) もしかするとコイツも普遍的無意識生命体の内の一体では無いかと真2の討伐時のセリフより推測。またコイツ、ニャル、フィレモン、イザナミらは『大いなる宇宙の意志』が人の思いから具現化したものと仮定する。真4YHVH、ヤルダバオトはバグみたいな -- 名無しさん (2018-05-04 18 14 45) 別にヤルダバオトはバグじゃないだろ。「人間が望むからその通りにする」というペルソナボスのルールを守っている。 -- 名無しさん (2018-05-04 19 32 20) ぶっちゃけそのあり方自体多神教の神と同じよ。善も悪も備え、恩恵を与えもすれば祟りもする。日本の神やてご機嫌とらなきゃ基本祟るし。 -- 名無しさん (2018-05-25 21 00 12) ↑3 観測の力(主観)を客観視して共用するツールである「言葉」の神が真ⅣFのYHVHで、最終決戦時の背景にある無数の顔は人類の観測の数(同時に生じる言葉)って設定。観測の力(人間の主観)に最も近い普遍の存在だから、人間の観測できる領域を支配・宇宙の摂理足り得ている。バグどころか現宇宙はこの法則の下に運行しているから、クリシュナ・ダグザは新宇宙という新たな摂理の世界を拓こうとした。 -- 名無しさん (2018-06-24 11 29 30) 出エジプト記のこいつは本当に分からない。わたしがパロの心をかたくなにするから(迫真) -- 名無しさん (2018-07-02 11 12 14) 創世記のこいつは「アダムとエバが知恵の実食べちゃった…生命の実も食ったら俺やばくね!? とりあえず追放して番人設置しよ」とビビりまくりで威厳のかけらもない。全知全能の神ェ… -- 名無しさん (2018-10-02 15 31 01) 真の全知全能ってのは万どころか億、兆、里ですら素粒子以下の小ささだからな。自我持ち、知的生命体と遜色無い事してる奴なんて精々、万知万能止まりよ。これはどんな神にも言える -- 名無しさん (2018-10-14 23 39 48) 結局、偏在してるような物が何かをしようとしたら収束して個別に存在してるものと同程度の世界に降りざるを得ないってことだろう。結局、本質があーだこーだと言っても認識される程度の所まで降りたらその程度ってことなんだろう。 -- 名無しさん (2018-11-03 21 50 39) 局地的な大洪水起こしているし時点で全知全能じゃないだろ… -- 名無しさん (2019-03-08 14 25 50) YHVH→聖なるかな→沈黙の王よorデミウルゴスの怒りよ 相手は8割持ってかれる…違うわこれAlter windだ -- 名無しさん (2019-03-23 06 34 29) 創世記によると知恵の実を食べたアダムとイブが命の実まで食べて自分達のようになった大変だ、という理由で追放したと言っているので単に知恵の実と命の実を食べて超越した力を得た元人間。と、言うことになるのか。 -- 名無しさん (2019-08-28 15 49 25) 元々はウガリット神話の末席の神。それが主神であるエルを乗っ取って創造神になり替わった神。 -- 名無しさん (2019-10-11 00 04 08) 真女神転生IIのYHVHがまた不気味なのよね。味方の攻撃アニメーションに応じて動いて、行動選択中はアニメーション止まる -- 名無しさん (2020-01-17 22 02 33) 個人的には女神転生IIのYHVHがトラウマ -- 名無しさん (2020-02-17 14 40 49) ↑暗闇の中から微妙な表情での禿げ頭だからな…当時のちびっ子はビビっただろうね。 -- 名無しさん (2020-02-17 19 13 11) ↑2 猛攻受けてる時の口パクパクはなんか可愛く見える -- 名無しさん (2021-09-13 13 57 05) ニホンガーってこんなところにも湧くんだな -- 名無しさん (2021-11-01 22 50 06) ↑日本産のゲームの影響で昔みたいに教会に盲目的に従わない、怖がらない若者が増えてるのもニホンガーかいな?一神教が馴染まん民族性の国のゲームだしなぁと俺なんかは誇らしいとすら思ってしまったんだが。 -- 名無しさん (2021-11-02 04 24 03) 未確定だけどpvのセリフによるとメガテンVの世界では既に倒されてる模様 -- 名無しさん (2021-11-02 08 20 04) 旧約聖書を読むと、エジプトに対する怒りや出エジプト後の極限状態に置かれた民を支配するために苛烈にならざるをえなかったのかなと思う。エジプトに与えた災いはどう考えてもファンタジー小説の親玉の所業みたいだけど -- 名無しさん (2021-11-02 09 46 55) 元々多神教だったのを一つに纏めておまけに唯一絶対神にまでしたもんだから描写が釣り合わないのは仕方が無いのだ。 -- 名無しさん (2022-06-17 19 39 18) だから一般人と相撲を取ったら負けそうになって逃げようとしたらとっ捕まって無理矢理力を与えさせられるという河童みたいな目に会うのも仕方ないのだ。 -- 名無しさん (2022-06-17 19 47 10) ↑3 あれは秘書(メタトロン)が勝手にやったことだから…… -- 名無しさん (2022-09-03 05 58 55) ↑↑ イスラエルの話の相手は無名の天使じゃないの? -- 名無しさん (2022-10-25 17 04 05) メガテンの話にはなるが、正直やってることは内政干渉も良いところだよな。本人はなんか自分が作ったものをぶっ壊してるスクラップアンドビルドの一環と思ってるみたいだが…それが腹立つんだよな。この世界はこの世界に生きてる俺たちがどうにかするべきなのに外から知った風な口で滅ぼしてくるのはただの外敵でしかない。だからコイツ嫌いだわ。 -- 名無しさん (2023-05-17 20 08 15) 所々不穏なことが書かれてて知的好奇心を刺激される良記事だった -- 名無しさん (2023-08-25 01 29 00) 『女神転生IIのすべて』によると、地上の人間の最終戦争自体が神の計画の一部で、新たなアダムとイブとなる主人公とヒロイン以外の人類のことは見捨てる(滅ぼす)算段だったらしいとか -- 名無しさん (2023-09-07 21 09 07) この文字列、(Y・H・V・H)って(・H・)と(・V・)が合わさって見えてるようで毎回可愛いと思ってしまうのよね… -- 名無しさん (2023-09-12 15 08 50) 全知全能なら人間を不完全に作ったらどうなるかもわかりきっているはずなのに、人間のやることにいちいち腹を立てるのは理不尽だと思うわ。あんたが最初からそういうことしないように作ればよかっただけじゃん。 -- 名無しさん (2023-09-12 15 20 32) ネット社会後に急速に広がってった日本産やその影響下にあるアニメやゲームの影響で今は西欧でも若い世代ではキリスト教に何も考えずに帰依するという態度を受け入れない層も増えたらしい。…罪深い……ではなく、↑の通りで冷静に考えたらツッコミ所が多いからだろうね、本当の所はさ。だもんで、究極的には自分との対話に行き着く原始仏教なんかにハマる層が出てくる。 -- 名無しさん (2023-09-12 16 15 19) 真女神転生4FINALの項目で"かつて自分の宗教が「不浄な生き物」と認定してきた生物群"と書いてあるが、牡牛と青白い炎に焼かれる人の元ネタに心当たりある人います? -- 名無しさん (2023-11-02 21 45 37) 牛はあれ偶像の象徴じゃないかな、金の子牛みたいな -- 名無しさん (2023-11-02 21 53 10) 早い返信ありがとうございます。青白い炎に焼かれ苦悶する人間の元ネタは何でしょう? -- 名無しさん (2023-11-03 19 31 33) ↑5本文にもあるけど、人間に主導権を与えると暴走して世界ぶっ壊すから抑制しようとした結果なら納得できると思う。もしガチで支配だけするならそれこそ完全に自由を奪えばいいだけ。唯一神的には与えた慈悲で殴りに来てるわけだからむかつくのも道理では。 -- 名無しさん (2023-11-03 20 05 11) 現実的な見方に置き換えると「学習用に学校/会社のPCを使わせたら怪しいサイトを覗きに行ってウィルス感染して全システムがクラッシュした」みたいな状況を引き起こすから禁止してるんだろう。 -- 名無しさん (2023-11-03 20 08 26) ↑2、↑1、だったら全知全能の神なら最初から人間に勝手に慈悲与えずに自由奪って支配だけしたら良いだけだろ(現実的な見方では学習用に使うPCにウイルス対策ソフトやセキュリティのソフト等の怪しいサイトに入れないようにする物を入れて全システムがクラッシュするような事を防げば良い) -- 名無しさん (2023-11-21 17 08 31) ↑4魔女狩りの被害者とかじゃない? -- 名無しさん (2024-02-17 08 55 28) ↑2そんな環境の人間は唯一神の求める存在になりえないんだろ。養豚場に豚のぬいぐるみを配置するようなもの。 -- 名無しさん (2024-02-17 09 03 08) 名前 コメント
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景色は祭り。 喧騒は歓喜。 地底湖近くのヒグママンションの前庭は、溢れるヒグマで満漢全席。 熊の、熊による、熊のための祭りだ。 「ほら、遠慮なく喰ってくれ! 俺たちの感謝の気持ちだ」 そこに、着ぐるみで擬装しているとはいえ人間である私たちが入ってきている――。 確かに、それは大きな問題の一つではある。 でもそれは、決して私とロビンが、愕然とした表情でここに正座している直接の理由にはならない。 「……え、えと、あの、アアアアノ……」 「ああ、ちょっと量が少ないかな? もうちょっと採って来ようか! おい、お前ら、マイケルさんたちのために行って来い!」 「おう!」 私が呟きかけた言葉は、周囲に群がる大きなヒグマたちに遮られていた。 人垣ならぬヒグマ垣の中から何頭かが立ち去っていくが、広場の一角で圧迫されている私たちへのプレッシャーは一向に弱まらない。 再び私は、目の前に置かれた、料理という名の何かに、眼を落すこととなる。 ――虫だ。 何か、白くて太い、もぞもぞと蠢く親指大の芋虫が、何匹も器に盛られている。 その隣には、苔だ。 何か、濃い緑の藻かヒトデのような奇怪な植物が、何房も器に盛られている。 さらに向こうには、木の根だ。 何か、薄茶色い芋のようなごつごつした木の根が、何本も器に盛られている。 屋台で見た激辛の麻婆熊汁という何かも相当料理として問題があった気がするが、これらはその比じゃない。 本当に、ヒグマはいつもこんなものを喰っているのか? このヒグマたちができる最大級のもてなしは、こんな粗末でわずかな動植物の盛り合わせなのか? 「……いただこう」 「ロ……、マ、マイケル、本気かよ……」 「郷に入れば郷に従うものだ。彼らの好意を無下にするわけにもいくまい。それに、王となるには庶民の嗜好も知っておかねば」 隣で、私と同じく固まっていたロビンが、おもむろに芋虫に向けて手を伸ばした。 艦娘に相対していたあのヒグマたちが、不安と期待の入り混じった眼でロビンを見る。 そしてロビンはその白い芋虫をプチッと噛み潰し、しっかりと咀嚼して飲み込みやがった。もう見てるだけで吐きそうだ。 「へぇ……。意外とあっさりしてるね。ゆるめのオムレツみたいで、なかなか美味しい」 「……な、長野県民かよお前……」 「いやー、お口にあったようでなにより! ささ、あなたもどうぞ!」 「うぇ、うぇ、わ、わた、わたしは……ち、ち、ちちち、ちょまっ、ちょまっ……!!」 「ちょーっと待った! あんたたち、アタシを忘れてはいないかい?」 あわや大量の虫に喉尺される寸前だった私の元に、救いの声がかかる。 私の召喚した青毛のヒグマ――グリズリーマザーが、マンションの前庭まで自分の屋台を全速力で乗り付けてきたところだった。 「ああ、女将さん! 灰色熊さんとこの女将さんならもっとうまく料理してくれるか!」 「はいはい、マイケルさんたちにたかってないで、みなさん座った座った!」 『灰熊飯店 Grizzly Fan Dian』と朱書されたその屋台は、小型のバスのような乗り物でできていた。 サイドのスライドドアが開くと、魔法のように周囲の空間がテラス席のごとく地面からせり上がり、タラップから小じゃれた椅子とテーブルが展開されてゆく。 車体横の大きな窓を開け放って庇を張りださせ、調理台からグリズリーマザーが大きな声で私たちに呼びかけていた。 「ほら、マイケルさんたちは主賓なんだから、テラスじゃなくて屋台の中へ来なさいよ!」 言いながら手招きする顔は、必死の形相だった。 私たちが祭り上げられている間、一体どこに消えたのかと思ったけれど、グリズリーマザーは私たちを脱出させるためにこの屋台をわざわざ持ってきてくれたらしい。 そりゃそうだ。 こんな大事になっちまったら、正体バレなんか時間の問題だ。 現に、私なんかマジでバレちゃう5秒前だったんだから。 ロビンみたく悠長に虫喰ってる場合じゃない。さっさと逃げないと私がいつ喰われるかわかったもんじゃないって!! 「ほ、ほらー、お、オカミサンも言ってるし、ナカデタベタイナー……」 「あ、待ってベルモンド。こっちの木の根の方が甘くて美味しいかも……」 「ザッケンナコラー!! こんなとこでメシ喰ってられるかよぉ!! 私は屋台に行くぞ!!」 着ぐるみの中でブチギレながら、私はロビンを引っ張り、垣根の切れたヒグマたちの間を漕いで、なんとか屋台の中へ上がり込んでいた。 ◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎ 「やはり……、このヒグマ帝国の構造……、ただならぬものがあるな……」 帝国の中を徘徊していた一頭のヒグマが、ぽつりと呟く。 そのヒグマは暫く前から、元々研究所だった構造や、新たに地底を掘り抜いて作られた空間をアトランダムに行き来しているようだった。 彼の正体は、言峰綺礼という人間である。 捉えられていた研究所の保護室から脱走し、オーバーボディを手に入れた彼は、屋台で出会った少女とそのサーヴァントを一旦別れた後に探しつつ、潜伏を続行して今に至る。 彼が道中で新たに生まれたヒグマたちに紛れて収集した情報には、驚くべきものが多かった。 まず、新たなヒグマたちの出生についてである。 注意深く観察を続けてわかったことだが、新規の穴持たずは、どこからともなくこの世界に出現するのだ。 綺礼が後ろを振り向いたらいつの間にかいた。という空恐ろしい例も存在する。 そして生まれたばかりの彼らは、少なくとも自らの『穴持たず』としての通し番号、ヒグマ帝国のこと、ある程度の一般知識などを既に携えていた。 知能を刷り込まれた状態で、彼らはこの世界にどこからか送り込まれている。 ――何者かが、固有結界か異界の中に工房を作成し、そこでヒグマたちを新たに生成しているのだ。 その者が、STUDYを欺きヒグマを叛乱させ、気付かれないようにヒグマ達を影から操り、誘導し、扇動した主犯格だろうか? いや。そうとは思いづらい。 STUDYを欺くという点では、その者はシーナーと同時に行動して攪乱の役に立っていた可能性は高い。しかし、その者がヒグマに刷り込む知識は余りにも基本的なもので、『いくつかの例外』は存在するが、彼らの精神に憎しみや怒りなどの色を付けて誘導している様子が見受けられない。 それに、これだけの数のヒグマと、それに知識を植え込む技術があるのならば、すぐにでも地上の参加者を屠り尽くし、島外に進出することができてしまうだろうに、シーナーらはそれをあえてせず、彼らの自由意志に任せているようにすら見える。 言峰綺礼には、彼らの目的が見えなかった。 第二に、『いくつかの例外』として挙げられる、職能を有したヒグマの存在だ。 このヒグマ帝国の建設は、『穴持たずカーペンターズ』と呼ばれる土木技術を持ったヒグマたちによってなされたらしく、実際、帝国の散策中に何頭か下水道周辺の工事にあたっている者を見かけた。 彼らはだいたいが、通し番号2ケタか100番台の、比較的帝国の発足初期に作られたと思われる者だった。 そして彼らを指導し統率しているヒグマの名は、『ツルシイン』という者であるらしい。 ――ここには土木班や食糧班など、実効的な支配者たちを長とした、トップダウンの組織構造が作られている。 彼らの有する技能は、恐らく布束博士とやらの作った装置に組み込まれていたものだろう。 その知識はヒグマの身体能力を以て、人間が行う以上に精密に再現されていた。 実際に、洞窟を掘り抜いただけにしては、この帝国の空間設計は余りにも理に適っている。 容易に崩落はしないだろうし、ヨーロッパかどこかの古い地下建築だと言ってもわからないかもしれない。 もはや、彼ら『ヒグマ』を、動物としての『羆』と同列に考えてはいけないだろう。 そもそもが、彼らは細胞からして作り物の実験動物なのだ。 単に形態が似ているだけで、その習性も、機能も、全く『羆』とは別のものでおかしくはない。むしろ別である方が当然なのだ。 同族意識と、社会性。 それが、果たしてヒグマ帝国に刷り込まれた要素なのか、それとも元から彼らに備わっていたその要素がヒグマ帝国を自然発生させたのか。 現実に存在する『羆』と同じに考えてよい、という前提が崩壊した以上、言峰綺礼にはもうその判断はつかなかった。 第三に、この帝国が有しているだろう自給自足の機構。 これに関しては、当然存在しているものと綺礼は考えていた。 しかし、水耕栽培や畑の耕作に従事しているヒグマに尋ねても、食料を自動生産しているらしい工場は存在しないようだった。 一時期は、無尽蔵に何の物資も要らずにクッキーを生産できる工場などという魔法めいた代物が研究所にあったらしいが、それは『艦これ』というゲームに嵌った多数のヒグマの声により、数時間前に工廠に改築されてしまったらしい。 そんなアホな、と思ったが、どうやら本当のことらしい。 ――自分たちの食糧を賄う場を娯楽施設に変えてしまうとか、頭がおかしいのではなかろうか。 農耕にあたっていたヒグマたちは、綺礼の意見に全面的に同意した。 そのアホみたいなことが実現してしまったのは、彼らの頭数が実際、馬鹿にならないものであったからのようだ。 『灰色熊』や『キング』という名の指導者が、食糧生産の指揮をとっていたようだが、彼らは当時相当に困惑したらしい。当然である。 『防衛に使えるから~』などと艦これ勢はのたまったらしいが、そんな機能も不明で同族でもない輩を増やしたところで戦力になるわけがなかろう。 内部抗争と反逆の種になるだけである。 ――内部抗争。 その単語に不安を覚えて、綺礼はつい先ほど、黒木智子およびクリストファー・ロビンと出会った屋台の前に戻ってきていた。 だが、存在したはずの『灰熊飯店』はそこに影も形もなかった。 オーバーボディの毛皮の下で、綺礼の首筋に汗が伝う。 「本当にどうなっているのだ……、この帝国の構造は……!」 「……あなたこそそんなところで何をやっているのですか」 立ち尽くす綺礼の元に、横から声がかかった。 熊の牙から紡がれるしゃがれた擦過音ではない。はっきりと女のものと認識できる声だった。 引かれた電灯と苔の薄明かりに、その姿が照らされている。 「グリズリーマザーさんならば連絡を受けて私より一足先に地底湖へ向かっていると思われますが」 「あなたは……、一体何者だ」 彼女は洗いざらした白い布地に身を包み、帯に包帯やテープと思しき幾つもの環を通している。 綺礼の発言に訝しげに傾けたその顔は、ヒグマの毛皮に覆われていた。 頭身の高い、細身のその女は、長い毛足に覆われた脚で綺礼の元へ歩み寄ってくる。 「……新たに生まれたばかりですか? あなたこそ名乗ってください」 「あ、ああ、私は穴持たず1000のキレイだ」 「1000……、また無能な者が増えたのですか。瞬く間に物資が枯渇してきてるというのに……」 綺礼が適当に言い放った番号に、女は溜息をついた。 彼女は、毛皮と鉤爪が生えている以外はヒトと変わらぬ形態をした手で綺礼の胸倉をつかみ、そのままずるずると彼を引っ張ってゆく。 「私は穴持たず84、医療班のヤスミンです。こんなところで油を売っていないで、少しは他者を援助して下さい。緊急事態なのですよ?」 「ちょ、ちょっと待ってくれ――! いったいどういうことだ!?」 医療班――つまりはシーナーの部下ということになるのだろう。 ほとんど人間と同じ骨格をしたそのヤスミンというヒグマは、綺礼の体を引っ張り続けながら、眼だけを彼に向けて苦々しく答える。 「――つい先ほど、地底湖近辺で穴持たず678番が『艦娘』とかいう得体の知れない生命体に同胞を攻撃させたそうです。負傷者がかなり出ている模様です」 「……ああ、例の工場の……。やはりか」 「やはり、と思うでしょう? ツルシインさんはなんであんなものを容認なさったのか……」 溜息をつきながらも、ヤスミンと綺礼は足早に地底湖の方へと歩みを進めていった。 ◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎ 「――キングさんたちが農耕を始めたって言っても、こんなところまではなかなか十分に食糧が来てないみたいだねぇ」 「いやはや面目ありません女将さん。マイケルさんをもてなす側だったというのに、大してご馳走も用意できませんで……」 「謝ることじゃあないですよ。でも、このマンションにはハニーちゃんがいたんじゃないの? 彼女は?」 「ああ……、ハニーさんはですねぇ……」 屋台バスの中のカウンターに就いたら、いくらかヒグマ垣の圧迫感は取れた。 それでも、屋台の中にはあの宴席を開いていたヒグマのうち一体が上がり込んできていて、調理をしているグリズリーマザーとなんやかんや話し込んでいる。 このヒグマは、どうやら例のシバとシロクマとかいう支配者階級のやつらを湖に呼んできた、穴持たず543番というやつらしい。 正直、こいつの話も宴席も放り出して逃げたいところだったが、ロビンは話に耳を欹てていて動こうとしないし、グリズリーマザーも体面があるのか、この場からすぐに逃げ出すことは出来ないみたいだった。 「はい! 『ミズゴケの天ぷら』ですよ! 調理一つで、見違えるくらい美味しくなるんですから!」 グリズリーマザーは、543番との話もそこそこに、あの器に盛られていた得体の知れない苔を、料亭に出てきそうな天ぷらにして出してくれていた。 これなら、私も食べられるかもしれない。 さっきからスナック感覚で芋虫をつまんでいる隣のクソガキはおいておく。 「へぇ……なるほど。でもこれ、我々が食べるには油っ濃すぎないですか? まるで人間のたべも……」 「まあまあまあまあ、たまには豪華な料理がいいでしょうお客さんたちも!! ねーっ、そうでしょー!?」 「おおーッ!!」 グリズリーマザーは543番の突っ込みを強引にテラスのヒグマに振って流し、芋虫の佃煮やら木の根のポタージュやら(なお全て薄味の模様)をやけくそ気味に振る舞って、私の浮いた感じを払拭してくれていた。 「さあ、どうぞ冷めないうちに!」 「ですね、じゃあどうぞ召し上がって下さいベルモンドさん」 グリズリーマザーと543番が、そう言って私に天ぷらを勧めてくる。 その裏表ない笑顔を見て、私の胸はふと、ちくりと疼いた。 ――私は、なんでこんなに、ヒグマから好意を受けているんだろうか? 高校に入ってから、男にモテるどころか、クラスメイトとほとんど会話もない生活だった。 それが、この島に来て、余りにも極限状態の連続だったから気にも止めていなかったけれど、私は何人ものビッチと話したし、ガキとはいえ、ロビンという男ともかなり普通に会話している。 感謝されて、もてなされることなんて、それこそ一度もなかった生活だったのに。 どうしてだろう? 今の私は、艶やかな黒髪も白磁の肌も隠れて見えない、着ぐるみの状態だというのに。 なんで私は、こんなにも他人から『モテ』ているんだろう――。 「――ベルモンド、どうしたの、食べないのかい?」 「あ、い、いや、い、いただき、ます……」 ロビンの声で我に返った私は、慌てて取り繕うようにその天ぷらを掴み、口に放り込む。 味も何もわかったもんではないだろう――。 焦りで停止した思考のままに、私はその天ぷらを咀嚼する。 瞬間、口の中で、天使の羽がほどけた。 「――!?」 ふうわりと、今までの緊張感の全てを包み込み、拭い去ってしまうような柔らかな風味が舌の上を撫でていった。 何の主張もせず、自他の境界を簡単に溶かしてしまいそうな味わい。 ふわふわと、綿菓子のような軽い歯触りが、衣と塩の微かなアクセントだけを輪郭に纏って、私に微笑みかけていた。 変に着飾ることなんて全くしない。 すっぴんの、丸裸の、女なら絶対にさらしたくないようなあられもない姿のはずなのに。 純白の羽の天使や、羽衣だけを身に着けた天女のように、この天ぷらは何にも傾かない、神々しいほどのありのままの姿で、私の胸に溶け込んでいた。 「……う、めぇ……。なんだこれ……」 「なるほど……、全く癖がない。透き通る清流を食べているかのような、ただただ優しい味だ」 「やっぱりこの島は水がいいですからね。苔にも臭みが全然ないですよね」 両隣では、ロビンと543番が同じようにミズゴケの天ぷらを口にしていた。 屋台の外からも、口々にヒグマの賞賛の声が聞こえてくる。 タラップの入り口で私が食べるのを今か今かと待っていた実に余計なヒグマ垣の残りたちも、満足げな笑顔でテラス席の方へ帰っていく。 私は、なんだか不思議な高揚感と安心感に包まれてぼんやりとしたまま、カウンターの座席についていた。 このまま暫く平和に宴会が続くのか――。と、漠然とそう思っていた時。 「――どういうことですか、この呑気な様相は」 険を含んだ女の鋭い声が、前庭の一帯に響き渡っていた。 ◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎ 窓の外を見やれば、そこにはスラリとした背の高い、女性のシルエットがあった。 洗い晒した真っ白なナース服を身に纏い、その口から毅然とした言葉が紡がれる。 「応召しまして直ちに往診。穴持たず84、医療班のヤスミンです。 砲撃よる負傷者多数とお聞きしましたが、どなたか状況説明を」 「ああ、こっちです! 怪我した奴はみんなマンションの中に集めてます」 私の隣から543番がその女の方に向けて慌てて屋台を出てゆく。 見やれば、その女の隣にはあのダンディな声の愉悦部員らしきヒグマもいた。 女の視線が、私たちの方に向く。 「……あら、グリズリーマザーさん。そちらで食事をしている方々は」 「ええと……、マイケルにベルモンドっていう新参のヒグマでね。アタシと一緒に帝国の中を見て回っていたんだけど。 その途中で、艦娘とかいうのが暴れてる現場に出会って、鎮圧を手伝ったら歓待を受けてるという具合なのさ」 グリズリーマザーの言葉で私たちに歩み寄ってきた女の視線は、冷徹なものだった。 テラス席で固まっているヒグマたちを目で舐めて、尻を叩くように声を投げる。 「そんな宴席は後回しにしてください。仮にもヒグマ帝国で暮らしている身なのですから、互助の精神を忘れてもらっては困ります。 席を設けたあなたがたもですよ。まずは全員の治療を終えてからにしましょう」 「はっ、はい……!」 女の言葉に、今まで私たちをもてなしていた543番を始めとしたヒグマたちが恐縮して頭を下げる。 ずんずんとマンションの方へ進むそのヤスミンというヒグマに、私たちは否応なくついてゆく羽目になった。愉悦部員扮する例のヒグマは、私たちの方を気にしながらも、なぜかそいつの隣を歩いていた。 「……なんだあいつ……本当にヒグマなのかよ……」 「智子さんもそう思ったかい。体毛も顔も確かにヒグマだが、プロポーションがあまりにも人間的だ」 その女の背を見ながら呟いた言葉に、ロビンが返してくる。 ヤスミンという女は、真っ白なナース服の帯に、包帯やテープなど大量の道具を通していた。 しかもそれは、脇の開いた貫頭衣みたいな簡便なデザインで、露出している腋や腰元が、誘ってんのかコノヤロウという状況になっている。 シルエットだけ見れば、雑誌のモデルに出てるクソビッチのような体躯をしているにも関わらず、よくよく見ればそいつは確かにヒグマだった。 全身は濃い毛皮に覆われている。 よく見れば乳のふくらみが胸だけじゃなくて、合わせて6つもある。 手は人間と全く同じように長い指を持っていたが、その爪は鋭いヒグマのものだ。 足もはだしで鉤爪が顕わになっている。 顔を見れば、牙も目立たず顎も出てないものの一発で熊であるし。 「……ヤスミンちゃんは、あの、シーナーさんってヒグマの下で働いているお医者さんなのさ。 前にマスターたちも見た通り、シーナーさんは方々飛び回ってて忙しいから、大体、いつも医療班にいるのは彼女みたいだよ。 アタシも、旦那に連れられて面通ししたのは、ヤスミンちゃんだった」 「……ふぅん、あのヒグマ直属の部下……。そりゃぁ、同じくらい危険な相手と見て良さそうだな」 「厳格さでは似たり寄ったりかねぇ……。あぁ、彼女に会う前にマスターを連れ出したかったところだけど……」 「先程から、私のことをダシにこそこそと推測でお話しするのはやめていただけませんか」 聞こえていた。 グリズリーマザーとロビンが、振り向いた女の無表情な視線に射すくめられる。 彼女はツカツカとこちらに歩み寄り、二人に向けて鋭く言葉を飛ばした。 「私は『自分の骨格を変形させる能力』を有しています。この体形は上肢を有効活用し発語を明瞭にする上で最も有効なのです。 穴持たず1、デビルさんに通ずる由緒ある能力です。私は決して人間ではありませんのでご安心を。 あと、シーナーさんも私も厳格ではありませんよ。ちゃんとユーモアを解し、患者さんに親身に接することくらいできます。ご安心を」 セリフが長い。 一個一個、先程の会話の全てに訂正事項を加えてくるその性格が厳格じゃなくてなんだというのか。 彼女は二人の激しい頷きで踵を返し、目的の部屋へ入ってゆく。 「医療班のヤスミンです。負傷者は何名ですか?」 「は、はい、ええと、12頭です――!」 「痛ぇー! 痛ぇよぉ! 俺を早く手当てしてくれぇ!!」 ヒグママンションの大きな一室に、さっきのビスマルクとかいう女の攻撃で怪我をしたヒグマが押し込められていた。 呻き声を上げるヒグマたちの中から、一頭がヤスミンの姿を見つけるや否や飛びついてくる。 一方の彼女は涼しい顔で、そのヒグマの動きを半ば無視しながら、通りすがるヒグマに次々と色テープを貼っていく。 「歩ける方――、緑。緑。緑。緑。あなたも緑。全員裂傷か挫創ですね? 出血も止まりかけ。創面を洗って、開かないように押さえて待機しておいて下さい」 「おい、俺から手当てしてくれよ! 頭切れてるんだよぉ! 超痛ぇんだっての!!」 「静かにしてください。他の方の心音や呼吸音が聞き取れません」 「まだ血が出てんだよふざけんなっ!! 寝てる奴らなんか後回しにしろよっ!!」 ヤスミンに纏わりついていたヒグマが、ついに彼女の襟元を掴んで揺さぶり始めた。 確かに、そのヒグマは額を怪我している。 だがどう見ても、痛がって騒いでいられるだけ、大した怪我ではない。 体格差で圧倒的に劣るヤスミンを振り回していい気になっていたそのヒグマの声は、しかし次の瞬間ぷつりと途切れる。 「――静かにしてくださいと、言ったはずですが」 ヤスミンの長い左脚が、信じられない動きで伸びていた。 その足の指先が腰元の包帯を掴み、彼女の体を掴むヒグマの首筋を一回りする。 そのまま彼女の脚はその首の横に絡み、ぎりぎりと包帯でそのヒグマの首を絞めている。 「シーナー先生もおりませんし、麻酔は持ってきておりません。 ……鬱血しても出血は増えませんね。もう止まりかけですから。暫く安静にしていてください」 淡々と言って、彼女はそいつの額の傷口に緑のテープを貼って止めた。 脚を首から外されたそのヒグマは、白目を剥いて地に落ちていた。 「骨折――。黄色です。あとで整復しますので少々お待ちください。黄色、黄色――」 「ヤ、ヤスミン先生、こっちのやつら、まともに砲撃食らっちまって、黒こげなんだよ――、どうにかしてやってくれ!!」 黄色いテープを貼られたヒグマが指さす部屋の片隅には、爆発か何かで焼けただれたかのような、真っ黒な肉塊が4体、床に寝かされていた。 私の鼻にも、肉と皮の焼けた嫌な臭いが届いてくる。ヒグマの鼻にならばなおのこときついものだろう。 「――心音、呼吸音。瞳孔反射は――。……ありませんね。黒、黒、黒――。 この方だけ、息があります。赤。キレイさん、この場で処置を始めますので助手をお願いします。 治癒魔術の能力をお持ちなのですよね? アテにさせていただきますよ」 「ああ……。承知した」 ヤスミンと、キレイと呼ばれた例のヒグマは、黒こげになったヒグマの内3体を、死体と見て脇に移し、まだ生きているらしい残りの一体の治療に取り掛かっていた。 「Ⅲ度熱傷が18%、Ⅱ度熱傷27%。重症熱傷。気道内熱傷はありません。キレイさんは呼吸管理と補液を願います。魔術で状態維持をしてくださっている間に処置を行ないます」 「了解した」 「――セクティオ(切開)!」 ヤスミンはてきぱきと愉悦部員に指示を出し、即座に、焼け焦げたヒグマの背中や太腿を鉤爪で引き裂いていた。 中から、張れて真っ赤になった組織が溢れるように盛り上がってくる。 「減張切開からデブリドマンを行ないます。炭化部のみの最小範囲にて行ない、『ヒグマ体毛包帯』で被覆します」 言いながら、ヤスミンはその爪で見る間に焦げた毛皮を全て削ぎ落とし、白かったり赤かったりする皮下の組織を、まとめて茶色い繊維でできた包帯で巻き始めた。 余りに速い処置スピードに、キレイという愉悦部員は目を白黒させている。 「処置終了です。キレイさんは引き続き体液管理をお願いいたします」 「Ⅲ度熱傷なら――、もっと壊死組織はちゃんと除去して、植皮をすべきではないのか?」 「完全にデブリドマンしてしまうと、生存していた皮膚細胞までもを取り除き、却って感染と状態悪化を惹起しかねません。 また、『ヒグマ体毛包帯』は、我々ヒグマの体毛で織られたもので、HIGUMA細胞を含んでいるため植皮の代わりにもなります。 乾燥したミズゴケを吸水剤として浸出液をドレナージするよう、二重に巻いておりますので、ご安心を」 ヤスミンはそのセリフを、他の怪我したヒグマの方に向かいながら喋っていた。 そして、黄色いテープを貼った骨折のヒグマたちをすぐさま診察し、その折れた骨を元通りに繋ぎ始めている。 「大腿骨骨幹部骨折。髄内釘でもいいのですが、徒手整復から創外固定を行ないます」 「グワーッ!?」 「モンテッジア脱臼骨折。脱臼橈骨頭の整復と、尺骨骨幹部の整復固定を行ないます」 「グワーッ!?」 「脛骨及び腓骨開放骨折。血管縫合を行なったのち、骨折部の牽引整復を行ないます」 「グワーッ!?」 瞬く間に治療は完了してゆく。患者であるヒグマたちの苦痛もほとんど一瞬だった。 いわんや、ただの切り傷やなんかだった緑色のテープのヒグマたちの治療など、ほとんど私が意識する間もなく終了していた。 部屋の入り口まで押しかけていた地底湖にいたヒグマたちが、やんやの喝采をヤスミンに送る。 しかし、彼女の表情は険しいものだった。 「……あなたがた。よくもまあ、こんな重傷者を捨て置いて、平気で宴席などを設けていられましたね。 私が来る前から、あなたがたがこの方々の火傷を冷やしてやるなり水を飲ませてやるなりしておけば、3名もの死者がでることはなかったのかもしれないのですよ!? ……ご遺体のお名前か番号を、どなたかご存知ですか」 「え、えと……、穴持たず229と、361と、あと……、誰だっけ、あれ……?」 部屋の前でうろたえるヒグマたちを叱責していたヤスミンは、その肩を震わせて溜息をつく。 碌に仲間のことも把握していない同胞に、呆れを通り越して失望してしまったかのようだった。 「……そもそも『艦これ』とかいう得体の知れないものにあなたがたが現を抜かしているからこのような事態が起きたのです。 猛省しなさい。ビスマルクとかいう娘ではなく、あなたがたが彼らを殺したのだと弁えなさい、馬鹿者!!」 「え、そ、そんなぁ。そんなわけないじゃないですかヤスミン先生」 「そうだよ」 「そうだよ、俺たちの責任じゃないよ」 「つーか、先生が来るの遅かったからじゃね?」 部屋の前にたむろしていたヒグマたちはしかし、ヤスミンの言葉に反省するどころか、むしろ今にもヤスミンを批難しようとしかねない雰囲気になっていた。 ヤスミンの瞼が怒りにひくつく。 部屋の空気が緊張に張り裂けそうになった瞬間、両者の間に立ちはだかったグリズリーマザーが場を制するように声を上げていた。 「まーまーまーまー!! こんだけの仲間が助かったのは素晴らしいことじゃないか! ヤスミン先生の腕は本当に確かさ!! ねぇ、これでようやく後腐れなく宴会の続きを開けるってもんさ! そうだろ!?」 「うおおおおおお、やったぁ宴会だぁ!!」 「っしゃ、先生も誘って快癒会だぁ!!」 グリズリーマザーの言葉で、ヒグマたちの大部分は再び活気を取り戻し、先程まで部屋にいた軽傷のヒグマたちを引き連れてマンションの外へ飛び出していった。 彼らを背後にして、グリズリーマザーは焦ったような笑みでヤスミンに語り掛ける。 「……ヤスミンちゃん、いくらなんでもアレはキツ過ぎるよ……。艦これ勢の対応が悪かったのは確かだけどさ。 モノには言いようってもんがあるじゃない? 言葉一つで他者の対応なんてすぐに変わっちまうよ」 「……あなたみたいに甘やかしていては、彼らの頭のおかしさは一向に改善しません。 このマンションにも、建国当初から身を削って尽くしてきた者がいるというのに、どうして近隣の方々があのようになったのやら……」 囁くように苦い言葉を吐き合った彼女たちの元に、ばたばたと足音を立てて、さっきの穴持たず543番が駆け込んでくる。 「グ、グリズリーマザーさぁん! あいつら、宴会のご馳走用にハニーさん駆り出そうってしてるんですけど、いいんですかね……、これ!?」 「えぇ!? ハニーちゃん、今ふせってるんだろ!?」 「駄目に決まっています!! 彼女の能力の破綻は、私たち医療班でも処置できなかったというのに!!」 「元からヒグマ提督の一派の価値観って何かおかしいんですよ色々もぉ!!!」 543番に連れられて、グリズリーマザーとヤスミンは、私やロビンのことを放って、脇目も振らずに駆け出して行った。 一体何が起こったというのだろうか。 「少年、少女よ……。無事だったようで何よりだ」 「どぅおぅ!?」 「あのときのおじさんですよね。あなたこそ、人食いを強制されていたのに何事もなかったようで」 完全に意識の外から、ダンディな男の声が耳元に吹き付けた。 色気もへったくれもない叫びを上げて私は驚きに転げる。対してロビンは最初から分かっていたかのように、その愉悦部員の言葉ににこやかに応じていた。 ヒグマへの治療を切り上げたその男は、尻餅までついてしまった私に手を差し伸べて助け起こし、間近で私を見つめて語り掛けてくる。 「単刀直入に言うぞ。少女よ、あのサーヴァントを連れてここから共に逃げよう。私はこの数時間で十分にこの帝国の中を見聞した。 ここにいては危険すぎる。まずは少年ともども地上で残りの参加者を集め、早急に脱出のための策を練ろう」 「え、サ、サーヴァ……ント?」 「ちょっと待っておじさん。僕は少年じゃなくてクリストファー・ロビン。そっちのお嬢さんは黒木智子さんです。 僕もだいたい中は見れたと思うから戻るのはいいんですけど。今急に出ていくのは不自然すぎやしません?」 「うむ……、そうだな。とりあえず、サーヴァントの後を追おう。行くぞ!」 「えっ、ちょっ、まっ……!」 おじさんとロビンは、私を蚊帳の外にして話を進めるや、私の手をそれぞれが掴んで走り始めていた。 両手に華だ。ヒグマの格好だけれど。 男の人に手を繋いでエスコートしてもらうなんて初めての事じゃないだろうか。 そんな考えにぽやぽやと浸りながら、私は廊下の先を走る、青い毛の大きな背中を見つめていた。 ◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎ 「ハニーちゃんかい……! 話にゃ聞いてたけどあんた、大丈夫なのかい……!?」 「いえ……あまり。えへへ、もう体がぶっ壊れてまして。蜜も、これで最後ですよ」 グリズリーマザーの声に、ガリガリにやせ細った一頭のヒグマがかすれた声で答えていた。 マンションの地階でフロアの隅に腰掛けるそのヒグマの腹はしかし、その手足とは対照的にぱんぱんに膨らんでいる。 風船のように膨らんだそれは、金色の液体を中に透かして光っていた。 ――腹の中に、大量の糖蜜を蓄えているんだ。 その蜜のヒグマを取り囲んでいる艦これ勢の一体が、動けないそいつに向けて、やってきた私達のことを紹介している。 「こちらは、一帯の同胞を守ってくれた、マイケルさんに、ベルモンドさん。あと、灰熊飯店のグリズリーマザーさんだ。 そのお礼にもてなしてやろうと思ってな。あんたに頼るのは自重してたが、いいか?」 「では灰色熊さんの夢は、ついに叶ったのですね……。もちろん、構いません。 キングさんと灰色熊さんと、なんとか仲間の食を守ってきましたけど、ようやく、私もこのお仕事から解放されるのですね……」 膨らみすぎた腹に胸が圧迫されているのか、ハニーというヒグマの声は、とても苦しそうだった。 だがそいつの表情は『灰熊飯店』という単語を聞いた瞬間にパッと明るくなった。 そこへ、ヒグマたちが次々と壷や容器を運び込んでくる。 「……一体、何をするつもりなんだきみたちは」 「見て分かるだろ? ハニーから蜜を貰うんだ」 「……ええ。もういいですよ直接採ってもらって……。私はもう用済みですから」 突然の事態にいぶかしむロビンの疑問をよそに、ヒグマたちは、ハニーの張り詰めた腹を、次々とその爪で突き破り始める。 一瞬、何が起きたのかわからなかった。 「――ああ」 勢い良く、毛皮に開いた穴から金色の蜜が溢れ出て、壷の中に次々と移し替えられてゆく。 グリズリーマザーが、私の元に飛んできて、私を守るように掻き抱いていた。 ロビンとおじさん、それに543番のヒグマは、その光景を呆然と見つめている。 84番のヤスミンは、ただただ牙を噛み締めて俯いているだけだった。 穴持たず82、ハニーは、食べたもののエネルギーを蜜にして体内に蓄える能力を持っていた。 次々と生まれてくる同胞達を養うために、彼女はこの地で、同胞の餌を供給する機械としてこの場所に存在していた。 穴持たず204、キングが生まれ、食糧生産がかろうじて軌道に乗った以降でも、増え続ける同胞の数は彼女の身に降りかかる負担を減らしはしなかった。 そしてつい最近、とうとう彼女の機能は壊れた。 もう、食餌は機能の廃絶された消化管に届かず、蜜に変換されることもない――。 そう、私のそばで、半分が白くて半分が黒いヒグマが説明する。 存在意義の終わった彼女は、粛々と最後の蜜を搾り出し、枯れ枝のようになってしまった体で私達の元へ這ってきた。 そしてグリズリーマザーを見上げて、彼女は目を輝かせて言う。 「――さぁ、女将さん。あとは私をシメて、料理にしてこの方々に振舞ってあげてください」 「はぁ!? あんた、何を言ってるんだいハニーちゃん!!」 「私の生きた意味とお仕事は、これで完結です。グリズリーマザーさん。あとは、皆さんのお食事を、よろしくお願いしますね」 「ハニー!! あなた……ッ!!」 「ヤスミンちゃん、今までありがとうね。こんな素晴らしい方たちが生まれたなら、帝国はもう、安泰だもの……。後は、任せたよ」 ハニーというヒグマは、グリズリーマザーたちが何か答える暇も与えず、即座に自分の腹を傷口から真横に掻っ捌いていた。 黄金の蜜ではなく、赤黒い内臓が、どろどろと彼女の腹から零れ落ちる。 彼女は崩れ落ちながら、グリズリーマザーに縋り付く。 「ほら……、早く、止めを刺してください……。美味しく、なくなっちゃいますよ……」 「くぅっ……!! 『活締めする母の爪』……!!」 グリズリーマザーの爪が、一瞬煌めいたように見えた。 そしてその爪がハニーの首筋を撫でた次の瞬間には、ふっと火が消えるように、そのヒグマの命は消え去っていた。 【穴持たず82(ハニー) 死亡】 私は、目の前で繰り広げられた想像を絶する光景に、暫く動けないでいた。 体が震えているのがわかる。 それは、私を抱えるグリズリーマザーの震えだった。 その私たちの耳に、乱痴気に陥ったかのようなヒグマたちの歓声が響いてくる。 「やあぁったぜ! 久々の肉だ肉! 女将さん、ちゃっちゃと料理してくれよ!!」 「ヒャッハー!! 蜜と肉だー! 浴びるほどあるぜー!!」 「これでこそ宴会だよなぁ!! ぜかましの進水式でももっと喰っときゃ良かったぜぇ!!」 「おいぃ、どうせ肉喰うなら解体場漁って来ようぜぇ!! 200体解体した余りどうせまだあんだろ!?」 「あ、あのビスマルクに殺されたやつらも持って来ようぜ!!」 目先の事しか考えていないらしい、モヒカンか蛮族のような、頭の悪そうな叫び声がフロアを飛び交う。 実際に壺の蜜を頭から浴びるバカもいた。 その仲間を舐めて齧り始めるアホもいた。 うちのクラスにいるバカ男子どもと比べてどちらがより頭が悪いだろうか? 比べることすら頭悪いように思える、馬鹿馬鹿しい問題だ。 眠るように死んでいる、ハニーという痩せこけたヒグマが目に映る。 今ある食料はいずれは消える。 それを、毎日毎日新たに増やしていけるように、このヒグマは尽力していたのかも知れない。 『今日よりも明日なんじゃ』と、そんなセリフが聞こえてきそうな死に顔だった。 「――おい、キミたちは、自分たちのことを想ってその身を捧げてくれた森の仲間に、感謝も弔いもないのか……?」 ふとその時、私のすぐ傍から、低く押し殺した黒煙のような声が辺りを押し包んでいた。 声と共にゆっくりとヒグマたちのもとに歩み出たのは、ピンクの着ぐるみ姿のロビンだった。 「この帝国の技術は素晴らしかった。建築も、設備も、食物も、医療も、指導者たちが心血を注いで培ってきた賜物なのだろう。 ――だがどうだ。それを享受するばかりのキミたちは、礼節はおろか一生物としての節度も情念も持ち合わせていないのか――ッ!!」 少しの間とはいえ一緒にいた私が聞いたこともないような、ロビンの怒りの声だった。 爆発するようなその言葉に、艦これ勢のヒグマたちの大部分はたじろぐ。 だがしかし、そんな中からも、へらへらした笑いを浮かべたままロビンに近づいてくるヤツがいる。 「まぁまぁマイケルさん、そんな怒んなくていいじゃないですか。力のあるやつが評価されて、役立たずはその踏み台になる。当然の事でしょう?」 「キミたちは、そんな振る舞いをする自分たちが高い評価をされていると思っているのか!? ――離せ!! その薄汚い手を離せ!!」 そのヒグマに掴まれた腕を、ロビンは無理矢理振りほどいていた。 ビリッ――。 と、なんだかとても嫌な予感のする音が鳴っていた。 「この僕が教導してやる!! キミたちのような愚かな民衆は、やはり僕が王として導いてやらねば済まないようだな!!」 「――人間?」 ロビンが高々と振りあげた腕に、その時、その場にいたヒグマたち全ての視線が集まっていた。 そこには、細くとも逞しい筋肉に包まれた、人間の少年の腕がある。 ロビンの着ぐるみは、破れていた。 千切れたピンクの袖を掴むヒグマが、ロビンを指して叫んでくる。 「人間だぁッ!! 俺たちを騙して、ヒグマ帝国を滅ぼそうとしていたんだぁッ!!」 「なっ――!? それは違う!!」 「ボクたちの食べものを食い尽くして、飢え死にさせようとしてたに違いないよぉっ!!」 「マジか!」 「マジだ!」 「そうに違いねぇ!!」 反駁するロビンの声を喰うように、私たちにハニーの解説をしていた、半分が黒くて半分が白い変なヒグマが叫ぶ。 それにつられるように、ヒグマたちの間に次々と殺気が連鎖していく。 私はそこでふと場違いに、奇妙な違和感に気付いた。 私は普段からアニメも漫画もラノベもたっぷり読んでるし、キャラの見分けやCV当てなんてお手の物だ。 その私の鍛え抜いた目と耳が、私の意識に関係なく語っている。 ――この艦これ勢と呼ばれるヒグマたちが集団的にアホな行動に走る時は、必ずこの二体のヒグマが、真っ先にアクションを起こしていた。 『ほら、遠慮なく喰ってくれ! 俺たちの感謝の気持ちだ』 『つーか、先生が来るの遅かったからじゃね?』 『こちらは、一帯の同胞を守ってくれた、マイケルさんに、ベルモンドさん。あと、灰熊飯店のグリズリーマザーさんだ。 そのお礼にもてなしてやろうと思ってな。あんたに頼るのは自重してたが、いいか?』 『やあぁったぜ! 久々の肉だ肉! 女将さん、ちゃっちゃと料理してくれよ!!』 このセリフを言っていたのは全て、今目の前でロビンの袖をちぎり、うろたえた『演技』をしているヒグマの声だ。 そして、それに合わせるように不気味な笑みで追従する小さな白黒のヒグマは、一度聞いたら忘れられない程に耳に残る、大御所声優の大山○ぶ代さん似の声をしている。 ――私たちは、嵌められていた!? いつから!? 「あなたがた、少しは落ち着きなさい!! 先程まではあれほど祭り上げていたのでしょう!! 敵愾心を抱くのはマイケルさんの話を聞いてからにしなさい!!」 「あのヤスミンもグルなんだ!! わざと遅く来て俺たちの仲間を見殺しにしたんだ!!」 「はぁ――!?」 「うおおおっ!! そうだっ、こいつらはヒグマの敵だっ!!」 「やっちまえっ!!」 ヤスミンの制止を聞かないどころか、彼女までをも敵に認定して、ヒグマたちはフロアの隅の私たちに向けて襲い掛かっていた。 「ひっ――」 恐怖に身がすくむ。 ヒグマ帝国への階段は、広いフロアの遥か先だ。 その視界を埋めるように、怒涛のようなヒグマの爪だけがスローモーションで降ってくる。 その時、私を抱えていた暖かなグリズリーマザーの体が、するりと前に動いていた。 「――大丈夫さマスター。サーヴァントのアタシを信じな」 青く大きな背中の片隅で、その爪が微かに煌めいた。 ◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎ 「『活締めする母の爪(キリング・フレッシュ・フレッシュリィ)』!!」 怒号と共に、地下の空間を幾筋もの光芒が切り裂いていた。 目に焼き付くようなその煌めきは、グリズリーマザーが縦横に振り抜いた爪の軌跡だった。 私たちに向けて襲い掛かっていた十数頭のヒグマは、それで次々と地に倒れ伏し、白目を剥いて動かなくなる。 死んでいた。 グリズリーマザーは、フロアの奥にまだまだわんさかいるヒグマたちに向けて爪を構えながら啖呵を切る。 「――さぁ。下拵えされたいやつはかかってきな。身の程も弁えずにマスターを傷つけようとするなら、アタシだって容赦はしない!!」 「……ゲームボーイ版のテキストか、その能力――」 2000年に発売されたゲームボーイカラー専用ソフトの遊戯王にも、グリズリーマザーは登場していた。 懐かしのクソゲー扱いされていたそのソフトでは、グリズリーマザーを始め多くの効果モンスターの効果を再現できなかったらしく、グリズリーマザーも単なる通常モンスターの一体という扱いだった。 しかしその代わり、彼女のテキスト欄には、この上なく妄想を掻き立てる一文が書かれていた。 『かぎづめで相手の喉元を攻撃する 命は5秒も持たない』 今のグリズリーマザーの攻撃は、まさにそれだった。 彼女の鉤爪に触れたヒグマたちは、ほとんど傷もついていないのに、瞬く間に絶命する。 テキストの文が昇華され形を持ったような、呪いのような能力だった。 「――それがサーヴァントの『宝具』だよ、マスター黒木智子。きみはこのヒグマの島における聖杯戦争に選ばれたのだ」 語ったのは、あのダンディな声の愉悦部員のヒグマだった。 サーヴァント、マスター、聖杯戦争。 あるアニメで聞き覚えのある単語が、ぐるぐると頭で渦を巻く。 そう。 そんなこと言ったら、私はあんたの声だって実際聞き覚えあるんだよ――! 「やっぱりあいつらは帝国の、ヒグマの敵だぁ!! 女将も、マイケルも、ヤスミンも、あいつら纏めてやっちまええっ!!」 「愚か者たちめ!! 僕の投球の腕を忘れたのか!! 『オウルボール』!!」 叫ぶヒグマたちに向けて、ロビンは手榴弾をデイパックから取り出し、その剛腕で勢いよく投げつける。 蛇のように左右へ振れるその異様な投球は弾道上のヒグマたちを薙ぎ倒し、フロアの奥で大爆発を起こしていた。 「さぁ、今だ智子さん! バレてしまった以上、ここは一旦地上に逃げるしかない!!」 「黒木智子のサーヴァントよ。あの移動屋台を使わせてもらうぞ!!」 「えぇえぇ、もうそうするしかないでしょうよ……! ヤスミンちゃん、あんたも来なさい!!」 「は、わた、私はこの状況をどうにか収拾しなくては……!!」 「こんな酔狂なヒグマ何百体もヤスミンちゃんだけで纏められるもんかい!!」 そんな調子で、私たち5人、もとい3人と2頭は手を取り合い、崩れたヒグマたちの群れを全速力で掻き分け、マンション前の広場まで出てきていた。 未だその場に残るグリズリーマザーの屋台バスに急いで乗り込み、そのドアを閉める。 「アタシの工房までくればまずは安心だ! マスター、それにあんたたち、すぐに首をこっちに出して! この際だから首輪を『シメ』ておくよ!」 「私は参加者ではないのでその必要は無用だ。ロビンくんと智子くんだけでいい」 「あいよ!」 グリズリーマザーは言うや否や宝具の真名を解放し、私とロビンの首輪を着ぐるみごと切り裂いていた。 即死の呪いを受けた首輪は、容易く砕けて地に落ちる。 そのままグリズリーマザーは屋台のエンジンをかけ、マンションから這い出てくるヒグマたちを振り切るようにヒグマ帝国の道なき道を爆走し始めた。 「帝国の散策中に、カーペンターズの面々から津波が来たらしい地上の水位が低い位置を教えてもらっておいた。 北方に向かってくれ。製材工場の地下を、先程のロビンの爆弾で崩して上がろう」 ダンディな声の男は、そう語りながら悠然とヒグマの着ぐるみを脱いでいた。 そこから現れる襟足の長い黒髪。 漆黒のカソック。十字架の付いたネックレス。 神父の出で立ちをしたその男の名を、私は知っていた。 「――や、やっぱり、言峰綺礼~~ッ!!」 「……何? 私を知っているのか、黒木智子」 「し、知ってるも何も、あんたアニメのキャラじゃ……しかも全盛期の4次峰……!」 初めて出会った時も、『あれ? 慢心王かな?』とか『あれ? 真ヒロインかな?』とか薄々近くのキャラに思うところはあったのだ。 しかし、何しろ思考のぐちゃぐちゃしていた時だったし、幻覚を使うヒグマが出てきたりして有耶無耶になっていたのだ。 だが、面と向かって見てしまってはもう間違いない。 こいつは優秀な教会の代行者でありマジカル☆八極拳使いの、感性と味覚が破綻した正真正銘の愉悦部所属の求道者だ。 言峰は私の言動に溜息をついて、私の肩を叩く。 「……まぁ、どうやら私たちは異なる世界から連れられてきている例もあるようなのでね。 もしかすると私がアニメに出ていたり、ラーメン屋を営んでいたりする世界もあるのだろう。何にせよそれは些末なことだ。むしろ第4次聖杯戦争のことを知っているなら話が早い」 「それに、もう着いたみたいだよ智子さん。綺礼さんと言いましたっけ? ここで良いんですね!?」 「ああ、頼む!」 「『バウンドボール』!!」 まだ増築途中らしい、人気のないヒグマ帝国の端の洞穴に、屋台の窓からロビンが手榴弾を投げつけていた。 一度バウンドした際にピンの外れた爆弾は、天上に着弾した時にどんぴしゃりと爆発する。 がらがらと崩落して地上への穴ができてしまったその様子に、先程から愕然としっぱなしのヤスミンがいよいよ絶望的な表情で口を開いていた。 「ああ……ヤエサワたちが慎重に掘っていた区画なのに……」 「ヤスミンちゃん、しんみりしてる場合じゃないよ。屋台を引き上げるから、その包帯、外の森に掛けておくれよ」 「ちょっと待って下さい先程から! あなたは参加者たちと繋がっていたのですか!? 元々外様ですからある程度仕方のないことだとは思いますが、誤解をといてあの一帯のヒグマに釈明をしなくてはいけませんよグリズリーマザーさん!! 正当防衛とはいえ多数の同胞を殺害してしまったのも事実なのですから!! あなたがたもです! ヒグマ帝国の上層部は、そこまで無条件に人間を見敵必殺するような組織ではありません。今からでも遅くありませんから、事情を説明しに戻りましょう!!」 ヤスミンが訴えた言葉に返るのは、一様に眉を顰めて押し黙る、2人と1頭の視線だけだった。 ロビンや言峰が、うろたえる彼女を口々に諭しにかかる。 「きみは、さっきのヒグマたちの様子を見ても、まだ弁明ができると思っているのかい? 僕たちのみならず、きみも排斥するように仕向けられていたじゃないか」 「……やはり、内部抗争の種が何者かに仕掛けられていたのかも知れない。 帝国の上層部は、きみのように少しは話の通じる連中もいるのかも知れないが、統治の行き届かない民衆など、あんなものなのだろう。すぐに踊らされる」 「くぅ……。地上の実験にはなるべく干渉しないよう、イソマ様に言われていますのに……」 口元に手を当てて俯くヤスミンも、頭ではロビンたちの言うことを解ってはいるようだった。 歯噛みして顔を上げた彼女は、今度は私たちに周りを囲まれていることも無視するような強い口調で詰問してくる。 「わかりました。グリズリーマザー、マイケル・ロビン、言峰キレイ、黒木ベルモンド智子。 あなたがたの真の目的は一体何なのですか? 私も、今が非常事態だということくらい解っています。 回答によっては協力もしますし、この場であなたがた4名を殺害もします。ただし、協力する場合も、私は対価としてヒグマ帝国の保護を要請します」 「アタシはマスターを守ることさ。勿論ヒグマ帝国も、第二の故郷として放っておけないよ」 「クリストファー・ロビンだ。僕は王として、あの哀れな衆愚制に陥った民衆を守り導いてやろうと思う」 「私は脱出できるなら何でもしよう。ここにあるはずの聖杯を確保できるならば、それに越したことはないが」 私以外の3名は、その質問に淀みなく答えていた。 全員の視線が、残る私に注がれる。 私は、急に現実感をもって突き付けられたその質問に、あいまいに引き攣った笑みを浮かべて震えることしかできなかった。 ◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎ ――ここからの脱出? そりゃあ、ヒグマなんて恐ろしいやつらに、もうこれ以上直面したくはない。 それでも、またあのつまらなく、モテない、それどころか他人とまともに会話すら出来ない日常に戻るのかと思うと、背筋が凍る。 ――じゃあ、死ぬか……? もう、何にもできない、将来も見えない自分にはほとほと嫌気がさす。 でも、目の前で人が実際に喰われて死ぬ、あんな現場を見てしまったら、死ぬのも嫌だ。 チビ星人や島田にクラスが襲われればいいなんて軽薄に思ってしまった自分を呪い殺したい。 でも呪い殺されるのも嫌だ。 こんな風に堂々巡りの思考に陥って、結局何にも行動できない自分が嫌だ。 私には、私には何の、目的も、価値もない――。 「……マスター。あんたは、掛け替えのない人間なんだ。いつまでも卑屈になって、うわべを取り繕って他人に合わせようなんて考えなくて良いんだよ」 その時ふと、青くて柔らかな暖かい毛並みが、私の体を包み込んでいた。 グリズリーマザーが、本当に母親のように愛おしそうな声で、私を抱いて、頭を撫でてくれていた。 私の母さんがこんな風にやってくれたのは、一体どれほど昔のことだっただろうか。 そう。 小学校時代の、何にも飾らず、飾る方法も知らなかった当時の私は、誰とも普通に接せていたはずなんだ――。 「僕も、智子さんには居てもらわないと困ります」 「――え?」 「ロビン王朝を打ち建てるにあたって、それを見届けてくれる方がいなくては話になりませんから。 特に、今いる中では、智子さんは僕と最も長く一緒にいてくれている人ですし」 「い、い、一緒って、そんな――」 私に麻婆をぶつけてきたクソガキの口から、そんな天然ジゴロを思わせるセリフが平然と出てきやがった。 グリズリーマザーの毛皮に赤面を隠そうとした私の手が、そこでガシリと掴まれる。 「――それに。私にとっても、きみは大切な人間なのだ」 「た、た、大切な!?」 「よく自分の手を見てみろ。聖杯戦争を知っているなら、わかるはずだ。 そこにいる大自然の英霊をサーヴァントとして従え、このヒグマの島の聖杯戦争を勝ち抜くよう、きみは選ばれたのだ――」 「はえ?」 ダンディな愉悦神父が、真っ直ぐな眼差しで私の右手を取っていた。 その手の甲には、黒く染めつけられたかのように、3画の文様が描かれている。 大地を思わせる水平線から、天地に向けて樹木の枝や根のように張り出した大きな1画。 そしてその左右に果実のように下がる、小さな円をかたどった2画。 パッと見、漢字の『喪』のようにも見えなくない。 「これ、『令呪』――」 「そうだ。これこそ、黒木智子という少女が、正式なマスターとして聖杯に選ばれた証に他ならない。 さぁ、意識を集中して自分のサーヴァントを見てみろ。きみは恵まれている。 なかなか他に類を見ない、実にハイレベルなサーヴァントだ!」 言峰神父とグリズリーマザーが微笑む。 グリズリーマザーの笑顔を真っ直ぐに見つめ返した瞬間、私の脳裏に、手に取るように彼女の情報が流れ込んできていた。 【クラス名】キャスター 【真名】グリズリーマザー 【マスター】黒木智子 【性別】女性 【属性】中立・善 【パラメーター】 筋力:B 耐久:B 敏捷:C 魔力:B 幸運:A 宝具:B+ 【保持スキル】 陣地作成:B 道具作成:B 怪力:A 戦闘続行:A 「きゃ、キャスター!? このステータスでキャスター(魔術師)なの!?」 「元々、羆だという性質が活かされてのものだろう。……工房たるこの屋台を見るに、クラスとの適正を逸さないままにこれなのだから、凄まじい」 グリズリーマザーは言峰神父の言葉と同時に一歩身を引き、私にその大きな体をどっしりと見せつけて笑いかけた。 「……急なことの連続で、ちゃんとした挨拶がまだだったね。 この度はキャスターのサーヴァントして現界した、遊戯王カード界の優秀なリクルーターが一人、グリズリーマザーさ。 ……あんたが、私のマスター。だろ、智子ちゃん?」 「あ、うあ……」 ぞくぞくと背筋が興奮に震えていた。 本当だ。 本当に私は、Fateという架空世界のものだと思っていた聖杯の導きに、選ばれていたのだ。 もうこの瞬間だけでも、私にとっては聖杯の奇跡に等しかった。 アニメで、ゲームで、ノベルで見た、あのマスターたちのように、サーヴァントと触れ合い、二人で成長していけるのなら。 こんなにも、ありのままの私が、何にも取り繕っていない私が認めてもらえるのなら。 ヒグマに汚染された聖杯なんてどうでもいい。 こうしてすごしていく過程で、私はあのアニメのキャラたちのように、モテるようになる私が欲しい――! 「やる! 私、グリズリーマザーと一緒に戦う! 絶対勝ち抜く! 生き残って、もっとモテる、私になるから!!」 声が喉を突き抜けた。 今までの人生を浴びて痙攣していたような声帯に、潤いとハリが戻ったように思った。 私はグリズリーマザーの大きな手を取って、両手で強く握りしめていた。 「脱出、教導、生き残る――。良いでしょう。そもそも人間と我々が理由もなく対立するいわれはありませんから。 彼ら艦これ勢を堕落せしめた黒幕の正体を掴み、ヒグマ帝国を護るまでの間、穴持たず84ヤスミン、あなたがたに同行いたします」 外輪で私の反応を待っていたヤスミンは、その長台詞を吐きながらも即座に、腰元に携えた茶色い包帯を手に取っていた。 「ロビンさん、助手席側からの投擲をお願いいたします。投球技術には秀でているのですよね? アテにさせていただきますよ」 「子供だからと、なめないでもらおうか。さっきの穴から木に掛ければいいんだろう? 朝飯前だね」 ヒグマの毛皮でできた長い包帯が、屋台の前方から2人の手で過たず地上に投げられ、森の木々に巻き付いて固定される。 その手ごたえを両手で確かめながら、屋台のフロントガラスに踏ん張るヤスミンがこちらに顔を振り向けた。 「これで良いんでしょうグリズリーマザーさん! 引き上げてください!!」 「あいよ! ……それじゃあマスター。あとはあんたの出番だ。あんたはアタシに命令してくれさえすれば良い」 「自分のは温存して、私の預託令呪を使え。さぁ、きみにはもうわかっているだろう?」 言峰神父が、私の手に右手を重ねた。 グリズリーマザーが、力強く笑う。 手の甲の文様が、赤く光る。 魔術回路が励起するという、ちりちりとした初めての痛みを、私は恋しく享受した。 言葉が出る。 今まで憧れでしかなかったこんなセリフを、私は今、堂々と、高らかに叫べるのだ!! 「黒木智子の名の下に、令呪を以て私のキャスターに命ずる! 私たちを連れて、地上へ脱出せよ!!」 「ご注文、承りましたよマスター!!」 グリズリーマザーから迸る魔力が屋台バスの全体を駆け巡り、排気筒から爆炎となって噴射される。 猛スピードで回転する四駆の巨大なタイヤがウィリーのように屋台を傾がせ、一気に地上への10メートル近い高度を、包帯のガイドに沿って飛び立たせていた。 真昼の地上を照らす太陽が、私たちを歓迎している。 雄大な森林の前に聳える製材工場すら、私の門出を祝って敷地中に丸太を撒き散らしている。 波に洗われたのか、大地は漂流物だったり汚泥だったり塩の結晶だったりで満ち溢れているけれど。 達成感に満ちた今の私は、世界の全てに祝福されているようだった。 これからは、自信を持って生きよう。 人生、楽しいな――! ◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎ グリズリーマザーと黒木智子が、着地した屋台の前方で手を取り合って喜びに跳ねまわっている最中、静かに彼女たちを見守るヤスミンを置いて、クリストファー・ロビンが言峰綺礼にひっそりと近寄っていた。 そして彼は、何気ない調子で言峰に言葉を投げかける。 「――ずいぶんと人を乗せるのが上手いみたいですね、神父さん」 「……何を言っているのだ、ロビン少年」 「軽々しく『選ばれた』なんて言っちゃって。智子さんの手の模様、あなたがつけたんでしょう? 僕たちが地下に降りた時にはありませんでしたもの」 「……」 薄い微笑みを湛えて見上げてくるロビンの視線に、言峰綺礼は冷たい無表情で応じるだけだった。 ロビンはその対応に不興を得るでもなく、つらつらと言葉を続けてゆく。 「あの地下で僕たちを嵌めたヤツらと同じ手口じゃないですか。今回はいい方向に動かしたとはいえ、僕はそういう、何もわからぬ子羊を煽動するようなやり方は好かないんですよ」 「……蛇の道を知るならば、その蛇を討つのは容易かろう。それに、私の目的を果たすためには、彼女にマスターとして覚醒してもらわねばならなかったのでな。多少強引な手もやむをえん」 「何言ってんですか。智子さんをいじった反応を見て、愉しんでたんでしょう? まぁ、智子さんは可愛いですから無理もないことだとは思いますけれどね」 「きみは私に喧嘩を売っているのかな?」 おちょくるようなロビンの言動に、言峰綺礼はますます石のように固くなった口調を叩き付ける。 氷のようなその語気も、ロビンは飄々と笑みで捌くのみである。 「いいえ別に。僕だって事を構えるべき優先順位は弁えているつもりです。あのヤスミンさんというヒグマも含めて、腰を据えて試合(ゲーム)進行の戦略を立てねばなりませんものね」 ロビンはそのまま、カウンターの上でおもむろにデイパックの荷物を整理し始める。 言峰綺礼はその中に新たに仕舞い込まれた物品を見て驚愕した。 「――貴様、それは、あのハニーとかいうヒグマの、蜜ではないか」 「ええ。どさくさに紛れて、壺一つ確保しておきました。なにせヒグマの蜜ですからね。栄養価も薬効も相当なものではないかと思いますよ。 僕は森の仲間が命を賭して残してくれたものを無下に扱うことはしません。きちんと感謝と哀悼の念を以て頂きますとも」 オーバーボディの下に隠していたらしいその小ぶりな壺は、金色に透き通る蜜で満たされている。 微笑むその少年の余りのしたたかさに、言峰綺礼はじわりとこめかみに汗を浮かせていた。 「その年にして、実に末恐ろしい才覚と理念だな。だがそれは、度が過ぎるときみの生命ごと潰されかねんものだと、年長者として忠告しておこう」 「ありがとうございます言峰さん。伊達に100エーカーの森に君臨してたわけじゃありません。 僕は、あなたのような趣味と実益を両立できる技量を持った方と同行出来て本当にラッキーですよ」 腹の内を探り合うような笑みが、互いの視線の間に取り交わされる。 彼らや黒木智子の様子を静観しながら、穴持たず84ヤスミンは、ひたすらヒグマ帝国の行く末を案ずるのみであった。 【F-3 街/製材工場の北端 昼】 【クリストファー・ロビン@プーさんのホームランダービー】 状態 右手に軽度の痺れ、全身打撲、悟り、《ユウジョウ》INPUT、魔球修得(まだ名付けていない) 装備 手榴弾×1、砲丸、野球ボール×1 ベア・クロー@キン肉マン、ロビンマスクの鎧@キン肉マン、ヒグマッキー(穴持たずドリーマー) 道具 基本支給品×2、不明支給品0~1、穴持たず82の糖蜜 [思考・状況] 基本思考 成長しプーや穴持たず9を打ち倒し、ロビン王朝を打ち立てる 0 智子さん、麻婆おじさん、ヒグマたちと情報交換し、真の敵を打倒する作戦を練る。 1 投手はボールを投げて勝利を導く。 2 苦しんでいるクマさん達はこの魔球にて救済してやりたい 3 穴持たず9にリベンジし決着をつける 4 その立会人として、智子さんを連れて行く 5 後々はあの女研究員を含め、ヒグマ帝国の全てをも導く [備考] ※プニキにホームランされた手榴弾がどっかに飛んでいきました ※プーさんのホームランダービーでプーさんに敗北した後からの出典であり、その敗北により原作の性格からやや捻じ曲がってしまいました ※ロビンはまだ魔球を修得する可能性もあります ※マイケルのオーバーボディを脱がないと本来の力を発揮できません ※ヒグマ帝国の一部のヒグマ達の信頼を得た気がしましたが別にそんなことはなかったぜ。 【黒木智子@私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!】 状態:気分高揚、膝に擦り傷 装備:令呪(残り3画/ウェイバー、綺礼から委託) 道具:基本支給品、石ころ×96@モンスターハンター、グリズリーマザーのカード@遊戯王 [思考・状況] 基本思考:モテないし、生きる 0 グリズリーマザーと共に戦い、モテない私から成長する。 1 ロビンと言峰神父に同行。 2 ビッチ妖怪は死んだ。ヒグマはチートだった。おじさんは愉悦部員だった。最悪だ。 3 どうすればいいんだよヒグマ帝国とか!? ※魔術回路が開きました。 ※グリズリーマザーのマスターです。 【グリズリーマザー@遊戯王】 状態:健康 装備:『灰熊飯店』 道具:『活締めする母の爪』、真名未解放の宝具×1 [思考・状況] 基本思考:旦那(灰色熊)や田所さんとの生活と、マスター(黒木智子)の事を守る 0 マスター! アタシはあんたを守り抜いてみせるよ! 1 あの帝国のみんなの乱れようじゃ、旦那やシーナーさんとも協力しなきゃまずいかねぇ……。 2 とりあえずは地上に残ってる人やヒグマを探すことになるかしら。 [備考] ※黒木智子の召喚により現界したキャスタークラスのサーヴァントです。 ※宝具『灰熊飯店(グリズリー・ファンディエン)』 ランク:B 種別:結界宝具 レンジ:4~20 最大捕捉:200人 グリズリーマザーの作成した魔術工房でもある、小型バスとして設えられた屋台。調理環境と最低限の食材を整えている。 移動力もあり、“テラス”としてその店の領域を外部に拡大することもできる。 料理に魔術効果を付加することや、調理時に発生する香気などで拠点防衛・士気上昇を行なうことが可能。 ※宝具『活締めする母の爪(キリング・フレッシュ・フレッシュリィ)』 ランク:B 種別:対人宝具 レンジ:1~2 最大捕捉:1~2人 爪による攻撃が対象に傷を与えた場合、与えた損傷の大きさに関わらず、対象を即死させる呪い。 対象はグリズリーマザーが認識できるものであれば、生物に限らず、機械や概念にまで拡大される。 【言峰綺礼@Fate/zero】 状態:健康 装備:令呪(残り9画) 道具:ヒグマになれるパーカー [思考・状況] 基本思考:聖杯を確保し、脱出する。 1 黒木智子およびクリストファー・ロビンに現状を教え、協力体制を作り、少女をこの島での聖杯戦争に優勝させる。 2 布束と再び接触し、脱出の方法を探る。 3 『固有結界』を有するシーナーなるヒグマの存在には、万全の警戒をする。 4 あまりに都合の良い展開が出現した時は、真っ先に幻覚を疑う。 5 ヒグマ帝国の有する戦力を見極める。 6 ヒグマ帝国を操る者の正体を探る。 ※この島で『聖杯戦争』が行われていると確信しています。 ※ヒグマ帝国の影に、非ヒグマの『実効支配者』が一人は存在すると考えています。 ※地道な聞き込みと散策により、農耕を行なっているヒグマとカーペンターズの一部から帝国に関する情報をかなり仕入れています。 【穴持たず84(ヤスミン)@ヒグマ帝国】 状態:健康 装備:ヒグマ体毛包帯(10m×10巻) 道具:乾燥ミズゴケ、サージカルテープ、カラーテープ、ヒグマのカットグット縫合糸 [思考・状況] 基本思考:ヒグマ帝国と同胞の安寧のため傷病者を治療し、危険分子がいれば排除する。 0 帝国の臣民を煽動する者の正体を突き止めなければ……。 1 エビデンスに基づいた戦略を立てなければ……。 2 シーナーさん、帝国の皆さん、どうかご無事で……。 3 ヒグマも人間も、無能な者は無能なのですし、有能な者は有能なのです。信賞必罰。 ※『自分の骨格を変形させる能力』を持ち、人間の女性とほとんど同じ体型となっています。 ◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎ 「ちくしょう……! なんて凶悪なヤツらだったんだ……!」 「マイケルは鎮圧を助けてくれた功労者だと俺たちに思わせておいて、その実、もしかするとあのビスマルクちゃんを轟沈させようとしてたのかも知れないぞ!!」 「うわ、それ絶対そうだよ」 「シャイセ!! ビスマルクちゃん轟沈狙いとか、マジそれシュテルベンなんだけど!!」 「あんな侵入者を許すとか、シバさんたちの警備ザルじゃねぇか!」 「やっぱだめなんだよ艦娘じゃないと!」 ロビンたちが灰熊飯店の屋台で走り去ったあと、地底湖近くの街は、怒り狂ったヒグマたちで溢れ返っていた。 島風が出撃した際にも歓喜をもって送り出していた彼ら地底湖付近の住民は、大多数が『艦隊これくしょん』のファン、いうなれば艦これ勢である。 実際に艦娘を製作しようと思い立って実行してしまったのが、たまたま穴持たず678のヒグマ提督であったというだけで、遅かれ早かれ、同じことを考える者が彼らの内から他にも出ていたかもしれない。 「そもそも、俺たちに十分な資材も食糧もこねぇのがいけねぇんだよ!! 赤城に喰わせてやるボーキもねぇとか、この国終わってるって!!」 「そうだそうだ!!」 「そうだよ!! 大本営の指導者のやつらは、前線である俺たちに物資も送らず、内地でのうのうと私腹を肥やしてるに違いない!!」 「それ鑑みるに、ヒグマ提督の判断はマジ英断。頭いいあいつのことだから、シバさんとかシロクマさんが真の傾国の悪人であることを見抜いて、転進したのかも」 「うわ、それ絶対そうだよ」 「そうだよ! シバさん、やっぱり人間の姿してるし、あいつも外から紛れ込んだ敵で、実はヒグマを滅ぼそうとしてるんだ!!」 「じゃあビスマルクちゃんを鹵獲したのは、彼女の行き過ぎた教育を戒めるフリをして、彼女を洗脳するためだったのか……!」 「うあー!! 悪堕ちかよー!!」 ヒグマ提督は、実のところ、彼ら艦これ勢の間では一躍時の人だった。 先のロビンのように、祭り上げられて好い気になっていたのが、彼の得体の知れない増上慢の一因になっていたのかも知れない。 「噂じゃ、シバさんって、あのヒグマ提督の工廠を奪い取って、深海棲艦を作ってるらしいぜ……!」 「はぁ!? なんで艦娘の敵である深海棲艦なんか作ってんの!?」 「ヲ級ちゃんとか、可愛げのある子も確かにいるが、彼女たちは所詮オレたちの敵に過ぎない……。やはりシバ、貴様はクロだったか……!」 「忘れぬぞ深海棲艦……! 貴様らは私に娘たちの轟沈ボイスを聞かせた絶対悪だ!!」 地底湖周りを埋める、数百体のヒグマたちに、次々と憎悪が伝染してゆく。 取り立てて艦これ勢ではない通りすがりの普通のヒグマも、彼らの語る話を聞くうちに、だんだんと今の帝国上層部は、実はやはり悪人だったのではないかという不安感が首をもたげてくる。 「食糧班は、俺たちに満足な食糧も届けねぇ! 医療班は、死者が出るまで怪我人を放っておく! 事務班は俺たち全員が艦これ出来る設備も入れねぇし、建築班は入渠用のドックさえ作らねぇ! 俺たちの艦むすが帰ってきた時に、こんなイカレた国じゃ駄目だろぉ!!」 「そうだそうだ!!」 「帝国が今まで守られてきたのは、誰のお蔭だと思ってるんだあいつら……!」 「なんで今まで俺たちはこんな住みづらい国に平気で居たんだろうか……!」 「今こそ奮起する時だ!! 国を駄目にする帝国の上層のやつらを、みんなでぶっ倒すぞ!!」 「革命だ!!」 「うおおっ、燃えて来たぁ!!」 食糧に関しては、一切働きもせずにただ食いをしている艦これ勢の方がおかしいのであり、ビスマルクの砲撃で死者が出たのは、彼らが医療班を呼ぶのが遅かった上に宴会にかこつけて碌な手当てもしていなかったからである。 事務班が彼らに対して艦これ用のパソコンを入れないのは実に当たり前のことであるし、建築班に工廠だけでも建ててもらえただけ感謝するべきなのが当然であろう。 また、帝国が今まで守られてきたのは、シーナーやシバを始めとする帝国上層部のお蔭であり、まかり間違っても『艦隊これくしょん』のお蔭ではない。艦これは寸毫も帝国の安全には関与していない。 だが、この場にそんな冷静な突っ込みを言い出せる者はいなかった。 いたとしても、その者はすぐさま悪辣な敵であるとみなされて袋叩きに合い、たちまち殺されていたであろう。 「待て、今すぐに動くのは不味い! ヤツらは敵だが、なめてかかるとオレたち正義の艦隊の方が全滅しかねないぞ!」 「……放送だな。正午ちょうどに、あいつらは地上に向けて放送を流す予定のはずだ。その隙を突く!」 「時報とともに出撃だ!」 「おう!」 「俺たちの艦これのために!」 「艦むすのために!」 「やぁあってやるぜぇ!!」 艦これ勢は、今までの生活で最大の興奮とやる気を以て盛り上がる。 熱気の渦巻く地底湖の片隅で、その実にバイデジタルな狂乱の喧騒を、震えながら見つめる一頭のヒグマがいた。 「どうしよう……、本当にどうしようこれ……。ヒグマ提督の一派がここまで狂ってるなんて……」 物陰に隠れて息を潜めるヒグマ。彼はシバとシロクマにビスマルクの暴挙を伝えた穴持たず543番である。 実のところ、ヤスミンに患者の存在を伝えたのも彼であり、彼がいなければこの地底湖付近を襲った事態はさらに悪化していたことだろう。 「屋台の女将さんも逃げてしまったし……、あいつらより早く、誰かにこのことを知らせなきゃ、本当にこの国は終わってしまう……! だめだこれ……、早く何とかしないと……!」 彼は、眼に涙を浮かべながらふらふらと立ち上がり、脳内に帝国の地図を思い描く。 動けそうな実効支配者や職能をもつヒグマたちに最短距離で最大数出会えるルートを模索しながら、彼は走り出した。 「シーナーさん……! ツルシインさん……! 誰でもいいです、お願いします! この、渾沌に満ちたバグどもを、どうにか鎮圧して下さい――!」 【ヒグマ帝国 地底湖近くの街 昼】 【穴持たず543@ヒグマ帝国】 状態:健康、焦り 装備:なし 道具:なし [思考・状況] 基本思考:危機を逸早く誰かに知らせる 0 誰か、誰か、あのヒグマ提督の一派を止めて下さい!! ◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎ 「うおぉ天龍どのー!! 夜戦だぁあああ!!」 「龍田さーん!! 天龍ちゃんより上手でしょぉおお!!」 「クマー!!」 「タマー!!」 「キソー!!」 「北上さぁぁぁぁぁああああん!!」 「貴様がスーパー北上様なら、俺はさしずめズーパーマックスきゅんというところだ」 「雷は私の母になってくれたかもしれない女性だ!!」 「電ちゃんの漏電をprprなのです!!」 「今日は何の日ー!?」 「ねぇのっひーだぁいょおお!!」 「っぽい! っぽい! っぽいぽい!!」 「ぴょんぴょんぴょんぴょんぷっぷくぷぅ~!!」 「でち! でち! わぉ! わぉ!」 「ほ☆い☆さっ☆さー!!」 興奮に沸き上がるヒグマたちは、そうした呪詛のような言葉を次々と口走り、己の士気を高めていた。 穴持たず543が、黒魔術の儀式めいたその光景に戦慄を覚えて立ち去るのと同じ頃、彼らの片隅で密やかに近づき合う2体のヒグマがいた。 片方は、さして特徴もない一般的なヒグマの様相だったが、もう一体は、半分が白く、半分が黒く塗り分けられたかのような小型の熊であった。 「うぷぷぷぷ……。医療班と食糧班の主力を纏めて排除できるなんてねぇ。 ねえ677番くん。こういう光景を見ていると、やっぱりみんなアホだなぁと思わない?」 「踊る阿呆に見る阿呆。同じアホなら、みんな踊りたいのさ、モノクマさん。なにせ、どっぷりとぬるま湯につかるばかりで体を動かしてないからな」 小型の熊は、江ノ島盾子に操作され、帝国の中にも無数に存在するモノクマロボットの一体であった。 穴持たず677番のヒグマは、その者の言葉にうっすらと笑う。 彼の声は、黒木智子が気付いた、艦これ勢の行動を真っ先に煽動していたあの声である。 ヒグマ提督と付き合いのあった彼の元にも江ノ島盾子は接触し、近隣のヒグマに艦これを布教する尖兵として利用していたのだった。 江ノ島盾子の蒔いた艦これという毒は、麻薬のように、しっかりとヒグマ帝国の住民を汚染している。 気付かれないうちにしっとりと油を染み込ませられた住居は、微かな火をつければあとは瞬く間に燃え落ちるのだ。 「キミは一緒に踊らなくていいのかい? きっと絶望的に楽しい革命になると思うよ、うぷぷぷぷ……」 「実のところ、私はヒグマ提督や他の奴等ほど、生身の艦娘には興味ないのさ」 「へぇ? そうなの?」 モノクマの言葉に、穴持たず677は地面に何かの肉をひきずりながら語る。 「生きた体など、ただの非常食にしかならん。折角ゲームの中で安らかに楽しんでいる彼女たちの魂を、現世に降ろしてきて再び戦禍に放り込むなど、真に艦娘を愛する者の行為ではないだろう。 そう言った意味では、私は先輩たちの提唱するキムンカムイ教の教えには大いに感ずるものがある」 彼の手には、マンションの地下で死んだ、穴持たず82の肉体があった。 その肉と皮を千切り、小分けにして整然と保管し始める彼に向けて、モノクマは笑う。 「キミの手腕にはボクとしてもなかなか驚きだよ。どうせヒグマ提督クンと同じような馬鹿だとおもっていたんだけどね」 「『ヒグマ提督より少しはマシな馬鹿』だと思ってくれてどうもありがとう。着実に、ヒグマ帝国の上層部は切り崩していってるものな。 あんたがこの帝国を支配するまで、もう少しだよ」 「うぷぷぷぷ……。あとは実効支配者の連中から、新規ヒグマの出生の謎を聞き出せれば、生まれる前にヒグマを洗脳して万事うまく行けるんだけどねぇ。 シロクマちゃんは、あれでなかなか口が堅いんだから~」 「そのシロクマやシバを含めて絶望に突き落とすために、私たちを煽って来たのだろう? そう急く必要もないさ」 穴持たず50・イソマの存在と、ヒグマ帝国の実の中核である四元数空間のことは、江ノ島盾子と繋がっているシロクマ――もとい司波深雪も頑なに口を閉ざしていた。 互いが互いを裏切ろうとしている存在なのだから、重要なカードを切らないのは当然である。 そして彼女にとってのイソマの存在が秘匿する切り札であるのと同様に、江ノ島盾子にとっては、蔓延させた『艦これ』という偶像の存在が切り札であった。 「ところで、ボクは前にも話した通り、この島やこの世界をヒグマで絶望に陥れるつもりだけれど、キミは何が欲しいんだい? 好きな艦娘を求めもせず、禁欲僧のような生活をするのかな?」 「いや、魂の悦びは魂の悦びでゲームの中で、艦娘とは触れ合えればいい。 そして肉体の悦びとしては――、そうだな。島の外に出たら、秋葉原で間宮さんの甘味処にでも行ってみたい。 ……那珂ちゃんセットとか、旨そうなんだよな、実に」 穴持たず82の死肉を喰らいながら、穴持たず677は恍惚とした表情で舌なめずりをする。 モノクマはその背後で、艦これ勢たちの狂ったような歌声に聞き惚れながら笑うのだった。 「見上げた欲の無さだねぇ~。素晴らしいよキミは。折角だから名前を付けてあげようか。677番だから『ロッチナ』とか」 「欲が無い訳ではない。小市民に過ぎない私は、自分の力を知っている。艦娘のためなら、私は暗躍でも演技でもなんでもしてやるさ。 彼女たちは戦後六十年の歴史が生み出した美徳の花だ。私は、この先も彼女たちを見届けたい」 かりそめの平和を引き剥いて、擬装の都市にヒグマたちの声が猛る。 幻想と欺瞞の肉体を浸すのは浮世の毒。 その陰に笑う電子のセトのみがこの地の現。 先人の築いた繁栄と秩序とを踏みにじり、臣民は今、烏合の兵団と化した。 帝国の行く末は如何に。 放送後もヒグマと、地獄に付き合ってもらう。 【ヒグマ帝国 地底湖近くの街 昼】 【穴持たず677(ロッチナ)@ヒグマ帝国】 状態:健康 装備:なし 道具:穴持たず82の死肉 [思考・状況] 基本思考:艦娘のために、ヒグマ帝国を乗っ取り、ゆくゆくは秋葉原を巡礼する 0 他のヒグマの間に紛れて潜伏し、一般ヒグマの反乱を煽る。 1 艦隊これくしょんと艦娘の素晴らしさを布教する。 2 邪魔な初期ナンバーのヒグマや実効支配者を、一体一体切り崩してゆく。 3 暫くの間はモノクマに同調する。 ※『ヒグマ提督と話していたヒグマ』が彼です。 ※ゲームの中の艦娘こそ本物であり、生身の艦娘は非常食だとしか思っていません。 ※『艦これ勢』と括られるであろう数百体のヒグマが、第二回放送後、ヒグマ帝国の上層部の連中を皆殺しにする気になってしまいました。 ※反乱の気運は、ことによると他の一般ヒグマにも伝染してさらに大規模なものになりかねません。
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アンビGM:点呼開始! 謎のヒロイック:準備完了!(1/5) クエリ:準備完了!(2/5) 紅美鈴:準備完了!(3/5) シバイ:準備完了!(4/5) アトラクシア:準備完了!(5/5) 全員準備完了しましたっ! アンビGM: アンビGM: アンビGM:今回予告 アンビGM:成長著しいベルツ領 このベルツに魔法師協会は更なる魔法師の派遣を決定し、 噂を聞きつけた邪紋使いも集い始めている。 新たなる仲間は一体どのような存在であろうか・・・ グランクレストRPGforベルツ外伝「新たなる仲間」 混沌を治め、聖印に至れ。 アンビGM:アンビGMでおおくりします クエリ:よろしくお願いしまーす! アンビGM:至らない点もあると思いますがよろしくお願いします アトラクシア:よろしくお願いします 紅美鈴:よろよろ シバイ:よろしくおねがいします トール・ギス:宜しく アンビGM:ではPCナンバー順に自己紹介をお願いします クエリ: クエリ: クエリ:PC1 クエーリア・ノーベル 通称クエリ クエリ:傭兵の両親を持ちながら魔法の才を見出され、アカデミーに引き取られた少女。 クエリ:が、引き取られた先で戦禍に巻き込まれ、研究場所や同僚を失ったことから、戦争の抑止力となる兵器の開発を志すようになった。 クエリ:アカデミーの同僚であるアルク・バルディラ、ルサルカ・シュヴェーゲリンの両名を一方的にライバル視しており、仄暗い嫉妬と羨望の念を燃やしているとかなんとか。 クエリ:今回の魔法師追加派遣で、派遣先に二人が居ることを突き止め必死こいて食らいついて枠を勝ち取った。 クエリ:PLは風神です。よろしくお願いします! クエリ: アンビGM:ありがとうございます アルケミストのメイジですね アンビGM:続いてシバイさんお願いします アンビGM: シバイ:ハイな シバイ: シバイ: シバイ:PL水泡。PC2 シバイです。現在はベルツ領にて昼寝の傍ら、軍師っぽいことをついでにやってます。 シバイ:せっかく昼寝してたのにオトが資源取引してこいってお仕事を振ってきました。みなさん酷いと思いません? シバイ:ついでに新しく来る魔術師殿を案内してこいとか、これはもうサボって買い食いをせざるをえない! シバイ:「まあ、お使いがてら近隣の情報収集でもしますかねぇ。ベルツに新しい風が吹いて、今後どうなっていくのやら」 シバイ: シバイ: アンビGM:ありがとうございます 優秀なルーラーですね アンビGM:続いてアトラクシアさんお願いします アトラクシア:はにほー アトラクシア: アトラクシア: アトラクシア: アトラクシア:PC3 アトラクシア 元傭兵。現在も傭兵思考強し。しかし背景表は無法者。思考もどっこい アトラクシア:能力脳筋、思考脳筋、ゆえにロールも脳筋 アトラクシア:セッションを繰り返しても内面の成長無し アトラクシア:今日も今日とて平常運転。アトラの明日はどっちだ? アトラクシア:「いつも通りに仕事をこなすだけだ……つまらんゆうな」 アトラクシア:以上、PLはぶぶづけでございます アンビGM: アンビGM:はいありがとうございます アンビGM:では紅美鈴さんお願いします 紅美鈴:了解 紅美鈴: 紅美鈴:PC名紅美鈴 PL小説家 クラス アーティスト/エーテル 紅美鈴:始めまして。紅美鈴と申します。まあある種の食い詰め浪人のようなものと思っていただけたらよろしいかと。 紅美鈴:お恥ずかしながら拳を振るうこと以外はどうも不心得でありまして、一時期は山賊まがいのことをして過ごしておりました。 紅美鈴:先日起きた内乱において、ヴァレフール側に付き敵将の首を4、5つほど上げる殊勲を得ましたものの負傷し、どうしたものかと思案しておりましたところ 紅美鈴:なんでもベルツ という領地が発展しているとのこと。まあ定住するのも悪くはないか、と思いましてそちらに仕官するべく向かっている次第です 紅美鈴:あ、山賊まがいと言ってもなにやらキナ臭かったアントリア子爵領よりで行っておりましたので、ヴァレフールには大きな被害はでていない、とおもいます。 紅美鈴:ビルドとしては火力偏重若干サポートくらい。 紅美鈴:「紅美鈴、推して参る!」 紅美鈴: 紅美鈴: アンビGM:はいありがとうございます アンビGM:では最後となりましたがトール・ギスさんお願いします トール・ギス: トール・ギス:性はギス、名はトール・・・ アトラクシア:レベル4。特技の取得数も問題ないしクラスチェンジしてもいいんだけどねぇ トール・ギス:感じるぞ、強気魂を持つ、益荒男を トール・ギス:この俺の魂を振るわせる混沌を! トール・ギス:ベルツ領か悪くない、この俺を満足させてくれよ トール・ギス:「魂ィィィィィィィィィィィィ!!」 トール・ギス:そんな訳でplアナグマです、脳筋ですはい突撃して トール・ギス:殴るコンセプトのビルドです、頭使うのは任せます トール・ギス:以上 トール・ギス: アンビGM:ありがとうございます 皆さん強烈なキャラですね アンビGM:では開始いたします よろしくお願いします シバイ:よろしくお願いします! 紅美鈴:宜しくお願いします クエリ:お願いしまっす! トール・ギス:宜しく アトラクシア:よしなに アンビGM: アンビGM: アンビGM: アンビGM:シーン1 登場シバイ・アトラクシア アンビGM:アトラタン大陸に最も近い港町バルナ 活気に溢れ人も多い アンビGM:オトフリートからの指示である輸出用の鉱石を担当者に受け渡す作業はようやく終了した。 シバイ:「……はい、はい。ではそのように」 シバイ:「う~んっ、ようやくおわりましたねぇ。さて、アトラクシアさん、あとは買い食いでもして時間までまちますか?」 アトラクシア:「そうするとしようか。肉体労働が終わった後の飯はうまい。具体的にはリンゴだが」 シバイ:「リンゴがお好きですか。ならアップルパイなんかいいですねぇ。ひとつうまい店でもさがしますか」 アンビGM:周囲からはベルツではあまり食べることの無い魚系のにおいも感じます アトラクシア:「予定変更。海の幸だ」 シバイ:「ほう、特産ですな。これもまたうまそうだ」 アトラクシア:「適当な店に押しかけるぞ。どうせ、払いは必要経費で落とすからな」 シバイ:「東のくににはSASIMIという独特な食べ方があるそうですが、さてさて、ここではなにをだしてくれますかな?」と期待の目 シバイ:食べ過ぎないでくださいねー、と一声かけてアトラクシアに続きましょう アトラクシア:では適当な店に襲撃をかけるとしましょうか。SIBAIを伴って アンビGM:刺身は残念ながらありませんが魚肉のフライや焼き魚といった良いにおいが周囲に満ちています アトラクシア:「あれとこれとそれとあちらもだな。SIBAI、適当につけといてくれ。今文無しだ」 シバイ:「おお、新鮮な魚の旨みと炭火でじっくり焼いた香ばしさがあいまって食欲をそそりますな。この付けダレがまた……」一心不乱。仕事なにそれおいしいの? シバイ:「おぉう、それを早く言ってくださいよ。ほんとに食べ過ぎないようにしてくださいね。では店主、これで注文をお願いします」とお金を渡します アトラクシア:「こっちも追加で。オトフリートには適当に言い訳しておけ。何というかお前は軍師フェイスしているからな」 アンビGM:「あまり魚とか食べないのかい?それなら今日はこのバルナの町十分に楽しんでいってくれよ」とおばちゃんが声をかけてくれます シバイ:「まるで、ではなくどっちかというとまさに軍師なんですが……いや、これはもしや文官もありですかね?」 アトラクシア:食い物を頬張って、対応はSIBAIに任せます シバイ:「ええ、地元では魚介は新鮮なものがなかなか手に入らないので、堪能させていただいておりますよ」とご挨拶 アンビGM:「たくさん食べる子はおばちゃん好きだよ、たーんとお食べ」 アトラクシア:「(実務は任せる、適材適所だ)。まいうー」 シバイ:「(待ち合わせ時間までは楽しみましょうか)まいうー」 アンビGM:「お二人さんはどこから来たの?」と聞いてきます アトラクシア:「まいうー(意訳:そうしよう)」 シバイ:「ブレトランドのベルツ領からです。人との待ち合わせがありましてね」 アトラクシア:「まいうー(ブラック環境ベルツ領からだな)」 アンビGM:「ほお ベルツ。最近よく噂を聞くねぇ」 シバイ:「アトラクシア殿、ぎゃく、ぎゃく」 シバイ:「ほほう、よい噂だとすんでいるものとしては嬉しいのですが……」 アンビGM:「ただ、街道沿いに山賊が居るとも聞くよ、お兄ちゃん大丈夫かい」 アトラクシア:「まいうー(意訳:何ら問題ない)」 シバイ:「ふむ。行きでは幸いに会いませんでしたが。すいませんが、詳しくお教え願えますかな?」目をキラリ アトラクシア:「まいうー」聞き耳はしっかりと立てます アンビGM:「ははは、色目を使ってもまけたりしないよ。旦那がいるからねぇ」 アトラクシア:「では普通にまけるがいい」 シバイ:「ちょw」 アンビGM:「あんまり私も詳しくはしらないけれど」と前置きして話し始めます アンビGM:といったところで一度シーンを切ります アンビGM: アンビGM: アンビGM:シーン2 登場:美鈴・トール トール・ギス:「さぁ俺と戦えぇ、紅美鈴ぃ、その首印を取った腕、確かにツワモノよぉ」 トール・ギス:と声を掛けます アンビGM:「おいおい、喧嘩かぁ」と周囲の人たちが遠巻きに囲みます 紅美鈴:「どこかでお会いしましたかお兄さん?生憎私は傭兵崩れの浪人なのですが」 トール・ギス:「傭兵だろうが、浪人だろうが、関係ない!、貴様が強きものだとは、俺の魂ぃが感じる!」 紅美鈴:「無益な戦いは好まないのですが……なにいっても聞いてくれそうにありませんねえ」 トール・ギス:「さぁ滾らせろ、もっとあつくなれぇよぉ、震えるぞタマシィ」 紅美鈴:「ですが、ここで争えば街の人々を巻き込みかねないと、存分にその長物、震えないのでは?」 と、トールギスが背負う大斧を指さします 紅美鈴:振るえない トール・ギス:「ぐぅ確かに強者以外を巻き込むのは気に入らん、・・・」 紅美鈴:「そこでですねお兄さん。門の近くにいるということは、どこかに行こうとしていたのでしょう?」 紅美鈴:「私はこれからベルツに向かおうと思っていたのですよ。その前に一息つこうとここを訪れた次第でして」 紅美鈴:「お兄さん、どこに行こうとしていたのです?」 アンビGM:「なんだい、喧嘩じゃないのか」と周囲の民衆も散っていきます トール・ギス:「ほう(目を細め)節穴ではないようだな、この先は何があるか知らん強気者の気配を感じただけよ」 紅美鈴:「いえいえ。食い詰め浪人というのは世知辛いものでして。そろそろどこかに仕官して定住してもいいかなー、と思っただけですよ」 紅美鈴:「そしてですね。ここに来るまでに情報を集めたところ、なんでも山賊らしきものがいるとかなんとか。どうです?」 紅美鈴:「そいつらブチのめして競争しませんか?」 紅美鈴:「どっちが多く敵を倒せるか、という条件で。」 トール・ギス:「目の前に仕官と言う餌が有れば、喰い付くのであろう?、俺にとって極上の餌は目の前に・・・」 アンビGM:そんな話をしているとメイジっぽい人が「ベルツねぇ、どんなところなのかな?」みたいなことをいうのが聞こえてきます トール・ギス:「ほう?俺と競うか面白い、面白いぞ、紅美鈴・・・・」 紅美鈴:「生憎攻めの戦は苦手ではありますが、全力を尽くしますよ?終わった後に個人での戦闘をすればなおよろしいかと」 紅美鈴:と、トールギスと会話しながらメイジの人にちょっと目を向けます クエリ:んじゃちょいと二人の会話を聴き拾って トール・ギス:「良いだろう、その条件受けてやる、ああ滾る、滾るぞ魂ィ」(叫んでます} クエリ:「あ、そこのお二人さーん。さっきベルツ領がどうのこうのって言ってたけど、もしかしてそこの人ー?」 クエリ:と、対峙する二人の横から声をかけますよ 紅美鈴:「いえいえー。私は先の内乱で敵将の首を4~5上げただけの浪人ですよー。そういうお姉さんもベルツに?」 クエリ:「やーやー、わたしアカデミーからベルツ領に派遣された者なんだけどねー? あ、わたしクエリってゆーの。よろしくよろしくー」 クエリ:美鈴の右手を取ってブンブンと握手しますよ 紅美鈴:ざっとクエリを見て、(立ち振る舞いに隙多し。腰にタクト二本にゴーレムホース……アルケミスト)と想定します 紅美鈴:「あーよろしくお願いしますー。私東方より参りました紅美鈴と申します。どうぞよろしくー」 クエリ:「どーもどーも。あ、そこのおじさんもベルツの人ー?」 トール・ギス:「魂ィィィィィィィィィィィィ!!・・・ん何だこの娘は?」 アンビGM:ただクエリは迎えが男女1人ずつとは聞いていますが人相は違うように感じます 紅美鈴:「いえー。なんでもベルツに派遣されたメイジさんだそうでー。多分アルケミストじゃないですかねー。腰のタクトと連れてる馬からして」 クエリ:「だよー。わたしアルケミストだよー」 トール・ギス:「ほう俺に声を掛けるとは中々の魂よ、聞け俺の名はトール、いずれ極めるものよぉ!」 トール・ギス:「そうかアルケミストか、メイジもまた違った兵よ、面白い」 クエリ:「お二人さんもベルツに向かうんだよね? ならわたしと一緒に人を探してほしいなー。お迎えの人と一緒になれば、ベルツ領までの護衛がタダで手に入るかもよー?」 紅美鈴:ざっと立ち振る舞いを見ていますが、どのクラスなのか判断に迷っている模様 紅美鈴:「私としても道案内してもらえるのはありがたいですが、人相はわかるのですか?」 クエリ:「えっとねー、たしか似顔絵を貰ってたよー」 クエリ:ガサゴソ 紅美鈴:ひょいっ とクエリの手元を覗きこみます クエリ:「……あ、これこれー。なんか幸薄そうなおじさんと、女の子だねー」 トール・ギス:つられて覗き込む クエリ:「このおじさん、髪の毛ちょっと薄いねー。心配だから育毛剤でも調合してあげようかなー」 アトラクシア:「うむ、この圧倒的な貧相な面構えはSIBAIだな、まいうー」 シバイ:「まいうー(いや、私薄幸そうとか髪のけ薄いとかないですよ) アトラクシア:「さっさとこい、SIBAI。こっちだ」 紅美鈴:「もう一人は髪が真っ白できれいですねー……まるでそこにいるひとのよう、に!」 紅美鈴:と、奇襲気味に正拳 クエリ:「ほんとだーそっくりさんだねー」 シバイ:「どうも、薄幸そうで髪の毛薄そうな案内人です」イカくえ、とさしだしましょう トール・ギス:(この俺に気配を感じさせんだと、面白い) アトラクシア:華麗にSIBAIを盾に クエリ:「ありがとー」モグモグ クエリ:そして似顔絵と実物を見比べ シバイ:そしてイカを縦に「ぐへっ」 紅美鈴:「―――――っ!」と寸止め シバイ:「アトラクシアどの、勘弁してくださいよ。喉絞まったじゃないですか」 クエリ:「……似顔絵よりフサフサだけど、あなた本物さんー? えっと、イチュウさんなのかなー?」 アトラクシア:「反応はよし。残念ではあるが」 アトラクシア:「文句はアルクに言え。書き起こしたのは彼女だろう」 紅美鈴:「……あまり無言で後ろに立たれない方がよろしいかと。礼を失しますし、無駄な警戒を呼びます」 シバイ:「ふさふさでしょう? 私がシバ・イチュウです。そういうあなたがクエーリア・ノーベルさんでよろしいですね?」 シバイ:「いやはや、そちらのお嬢さんも申し訳ない。驚かせるつもりはなかったのですが」と誤ります クエリ:「だよーだよー。わたしがクエリだよー! ベルツまでよろしくねー」 アトラクシア:「というか、誰だ?連れ合いの話は聞いてないんだが」 シバイ:「はい、お任せください。案内兼護衛はこちらのアトラクシア殿が完璧にこなしてくれますとも」 シバイ:「そういえば、そうですねぇ。お二人はお連れの方で?」 紅美鈴:「ああ、こちらで少々騒ぎを起こしてしまいまして、その時にたまたま目にかかっただけですよ」 紅美鈴:「改めまして。私の名は紅美鈴と申します。お見知りおきを」 クエリ:「んーんー、なんかベルツがどうのって言ってたから尋ねたんだけど、お二人さんもベルツに用事みたいだよー?」 アトラクシア:「……求人はしていなくてな」 シバイ:「ほほう、さようですか。……ときに、ベルツへはどのようなご用件で?」と目を鋭くしましょう アトラクシア:「脳筋枠は埋まっているんだw」 シバイ:「自分で言うこっちゃないでしょうに」とつっこみます アトラクシア:「(黙ろう)」 トール・ギス:「強い気配を感じた、俺に戦場が呼んでいる!、さぁ俺を熱くさせろ」 クエリ:「あー、求人は難しいよねー。アカデミーでもただでさえ戦力過多って言われてたしー」 紅美鈴:「故郷おん出て旅を始めたはいいものの仕事もなく浪人まがいでしたので、定住の地を探そうと思いまして。 最近うわさになっていたベルツ領に先の内乱での手柄を手土産に訪れてみよう、とおもいまして」 シバイ:「なるほど。……紅殿といえば、先の内乱で在野の士ながら首塚をあげる兵、そしてそちらの貴方も只者ではなさそうですし」 シバイ:これは頼もしいですなー、とにこにこ アトラクシア:「(おい、SIBAI。私は脳筋四天王を結成する気はないぞ。…ボッチに押し付けるのもありだが)」 トール・ギス:「其処の娘も中々の手誰と見た、どうだ試験に俺と戦えぇ!」と勝手に燃え上がってます シバイ:(ぼっち言ってあげなさんなよ。人事はオトが決めること、人となりをみつつ案内しましょう)とぼそぼそ 紅美鈴:「おや、ご存知でしたか。これは光栄の至りですね。シバ・イチュウ殿」 シバイ:「はは、頭を使うしか能がないもので、情報収集に必死なだけですよ」 クエリ:「とりあえず、お二人さんには護衛になってもらえれば嬉しいなー? 登用とかは向こうで判断すればいいし、目的地が一緒ならみんなで行こうよー」 シバイ:「ですなぁ。さて、お二方をベルツに一緒にご案内するのはかまわないのですが」 アトラクシア:「(仕方あるまい。誤魔化したかったが、連れて行くか)」 シバイ:「ここ最近、ベルツへの道の途中で山賊が出るとのこと、ご存知でした? 紅美鈴:「(流石は隠れ里の賢者殿、といったところでしょうかね……)なにか問題がおありでしょうか?」 紅美鈴:「ええ。ここに来る前に情報を仕入れておりますから。トールギス殿と二人で行くならば殲滅していこうか、などと話しており撒いた」 紅美鈴:ました クエリ:「そうなのー? わたし、ここに来たばかりだから知らないなー」 シバイ:「おや、頼もしいことです」 シバイ:「では、ちょっとばかり情報を集めてから向かいますか。お二人にも護衛をお願いしてもよろしいかな?」 アトラクシア:「SIBAIの判断に任せようか。まあ、君主殿なら帰りがけに退治していくんだろうが」 シバイ:もちろん、お礼はいたします、とひとこと 紅美鈴:「守勢の戦ならば望むところ。お任せを。」 シバイ:「ところでアトラクシア殿、なんでさっきからSIBAI呼びなんですか?」 トール・ギス:「ほう、そうか貴様が戦場を用意してくれるのだな・・・・魂ィィィィィィィィィィィィ!!」 紅美鈴:「すいませんちょっとやかましいんで黙ってください」 と回し蹴り アトラクシア:「SIBAIはSIBAIだろうに」 アトラクシア:むしろ、怪訝な顔 シバイ:「魂ィィィィ! ということで、ありがたいことです。さあ準備しましょうか~」とじゃがバターを買いにいく トール・ギス:「ぐはぁ・クックッ良いぞ実に良い」 シバイ:「うーん、まあそれでいいです」と苦笑い アトラクシア:「求人募集の広告は締め切っておけ、SIBAI。この手の手合いはもういらん」 紅美鈴:「……一応コレで将の首圧し折ったんですけどねー。んー、傷を癒してる間に鈍ったかなー。」 アンビGM:さて、ベルツに向かう不思議な集団が結成されました。まずは山賊の情報を集めようっというところでシーンを切ります アンビGM: アンビGM: アンビGM: アンビGM:さて全員集合したところでプレッジシーンとします PC間感情をとってください アンビGM:PC順にとっていってください まずはクエリさんから アンビGM:シバイ相手にお願いします クエリ:あいよー クエリ:関係は仕事、感情は連帯感/悲哀でー クエリ:なんか幸も髪も薄そうだから可哀想だなーって思ったー シバイ:こら クエリ:サーセンww アンビGM:まだ誓いはいいですかね? 終了しましたら空白入れていただけるとありがたいです クエリ: アンビGM:では続いてシバイからアトラクシアにお願いします シバイ:はいな シバイ:その他で同僚、メインは信頼、サブは寂しさです。 シバイ:仕事もできる、裏切りも心配はないだろう、でももっとみんなと打ち解けてくれるとうれしいなーという感じです シバイ:誓いは「この三人を見定める」へんな人たちではなさそうですがねぇ シバイ: アンビGM:ありがとうございます ではアトラから美鈴にお願いします アトラクシア:了解 アトラクシア:仕事/好奇心/敵愾心かね。最後はまあ戦闘者的なものよ、負の感情ではなく アトラクシア:誓いはSIBAIと同じで。そこらへんの責任感くらいはあります シバイ:共有しますか アトラクシア:共有でいきますか、そちらのほうが合理的でしょう アンビGM:はいありがとうございます 終了でよろしいでしょうか? アトラクシア:終了で アンビGM:では美鈴からトールにお願いします クエリ:シバイがなんか芸能人みたいになってるw 紅美鈴:興味 感服 隔意 紅美鈴:自分とは全く違う戦闘スタイルとそれを貫く姿に感服するが、戦闘狂過ぎてちょっと という 紅美鈴:誓いは 自分の真偽に背かないあり方を求める で 紅美鈴:信義 アンビGM:ありがとうございます では最後にトールからクエリにお願いします トール・ギス:興味 可能性 好奇心 トール・ギス:主にマシンホースに興味と好奇心で良い魂に可能性を見出している トール・ギス:誓い 魂ィィィィィィィィィィィィ!! トール・ギス:俺は俺の道を行くのみ トール・ギス: 以上です アンビGM:はい なんとなく理解しました アンビGM: アンビGM: アンビGM: アンビGM:では続いて情報収集シーンです アンビGM:情報としては アンビGM:山賊の規模 山賊の拠点 アンビGM:があります なおシークレット情報が拠点から開示されます アンビGM:目標値は 山賊の規模 12 山賊の拠点10/12 です クエリ:ほむほむ クエリ:GMー アンビGM:情報収集は 「情報収集」「話術」でお願いします シバイ:では規模いきますかね。屋台でじゃがバター食べながら客相手に話術で判定できますか? アンビGM:あとシークレットですが先に言って置きます アンビGM:混沌知識を使用します クエリ:どうすればより効率的な襲撃ができる位置に拠点を築けるか、という点から〈群着地士気 シバイ:取ってないな…… クエリ:おっとミス アンビGM:1人1回でお願いします クエリ:あ、混沌知識使うならわたし待機しますね シバイ:お願いします、なら拠点を抜いたほうがいいかな話術3Dあるし クエリ:知力判定値8あるのでー トール・ギス:強い意志を持ってツワモノを感じる、意思判定おk? アンビGM:んーと拠点の10のほうは意志でもいいですが アンビGM:シークレットはちょっと違う方向でして申し訳ない トール・ギス:選択は拠点かな、何となく集まってるのを感じるロール トール・ギス:シークレットは他の人に任せるけん アンビGM:ああ規模なら意志でもいいです トール・ギス:感じるぞ魂ィ 3d+6 トール・ギス:3d+6 DiceBot (3D6+6) → 10[4,2,4]+6 → 16 シバイ:魂すげぇ! アンビGM:規模です?拠点です? クエリ:タマスィー便利だなw トール・ギス:更に英雄存在で、達成値プラス6 シバイ:いえ、抜いておりますぞ 紅美鈴:タマシイパネエww トール・ギス:拠点ですな、存在はロールで震えるのを感じるフレーバー アンビGM:拠点ですとシークレットが出せませんでして・・・ 紅美鈴:ほかに任せるいうとるやん トール・ギス:「あの山から悪しきタマシィを感じるぞぉー」あれx?規模か? アンビGM:了解です ではベルツからそれほど離れていないこと 拠点の詳しい位置が分かりました シバイ:ではクエリさんにシークレットはお任せするとして、規模いきますかね アンビGM:達成値が高かったのでボーナス差し上げます アンビGM:拠点付近に人間以外の気配も感じました アンビGM:シークレットの情報収集における達成値に+2ボーナスです クエリ:ほうほう クエリ:んじゃシークレット判定するよー アンビGM:っとお待ちを クエリ:普通に混沌知識で判定しまする クエリ:あい アンビGM:英雄存在まで使っていますのでシークレットまで出した扱いとします アンビGM:ので混沌知識で目標10 でどうぞ クエリ:あいよ クエリ:2d6+8 シークレッツ! DiceBot (2D6+8) → 5[1,4]+8 → 13 シバイ:おみごと! クエリ:出目低いけど問題なーし! アンビGM:はい突破ですね トール・ギス:10なら確定ですな アンビGM:アジトの付近は混沌の影響が高まっていることが判明しました アンビGM:特にガーゴイルやインプといったディアボロスの投影体が出現しているらしいです シバイ:では、話術で屋台に聞き込みいきましょう シバイ:対象は規模について、 話術 で判定します アンビGM:目標値12ですね シバイ:3d6+7 12 [魂ィィィ!(あ,ポテトフライお土産にしますかね] DiceBot (3D6+7 12) → 13[6,3,4]+7 → 20 → 成功 アンビGM:お見事 アンビGM:では山賊の規模が分かりました アンビGM:あまり強くなく規模も小さい 一人強いのは居るらしいが君たちの相手ではないだろう 紅美鈴:本当になにもせずにおわったわー。楽だわー アンビGM:達成値が高いので強いのの具体的なレベルも分かります 4レベル相当 アンビGM:のライカンスロープがお頭らしいです アンビGM:では情報収集は全部抜かれました アンビGM:少しくらい会話をしていただいて構いません トール・ギス:「ほう楽しみだ、・・・」強敵の気配感じてニヤリ シバイ:「ふむ……混沌の濃度がたかいと。これは面倒なことになってきましたねぇ」 紅美鈴:「たしか私が集めた情報だと、街道のこのあたりで襲われたという話が多かったですね」 アトラクシア:「まあ、私の獲物だな」 シバイ:「規模はこのくらいだそうで。せっかくだから根元から断ちたいものですが」 クエリ:「んーんー、思ってたより大事みたいだねー」 紅美鈴:「さて、鈍っていますしいい肩慣らしになればいいんですけどねー」 かるくストレッチしつつ クエリ:「ちょーっと事前準備しちゃおうかなー。はーい、みんな集まってー」 紅美鈴:「はいはいなんでしょー」 クエリ:全員にアームズリーンフォース! クエリ:体内属性以外の防御力をシナリオ中4増加ー 紅美鈴:防御の方か クエリ:です トール・ギス:「さぁ先程の勝負の時と行こうかー紅美鈴ぅ=!」 クエリ:対象は単体なので、それぞれ一人ずつに掛けていったってことで シバイ:「おお、これはアルケミすとの練成魔術ですな。ありがたいことです」 クエリ:んでクエリの最大MPが20減ってー 紅美鈴:単体ずつならできれば武器にかけてほしいかな私 クエリ:おっとごめん 紅美鈴:ブチ殴るのがお仕事で済んでww シバイ:「なにせ私、見てのとおりもやしなもんで」 クエリ:ならギスと美鈴は武器攻撃力を4アップしてね クエリ:「いちおーそれぞれの装備を強化しておいたよー」 クエリ:美鈴・ギス・アトラは武器の攻撃力を、クエリ・シバイは体内以外の防御力を4アップしてね 紅美鈴:美鈴の拳に魔力が宿った模様 アトラクシア:了解。固定値が捗る模様 クエリ:んで今度は自分にフォーティファイドエッセンス発動 シバイ:了解、紙が絹くらいになった模様 トール・ギス:「ほうヤルナ娘、我が具足が喜んでおるわ」 クエリ:3d6+8 目標値12 DiceBot (3D6+8) → 4[1,1,2]+8 → 12 クエリ:セーフ!? 紅美鈴:あぶねえw シバイ:ぎりか 紅美鈴:せめて木綿にしておこうww(絹) トール・ギス:ギリ過ぎるww クエリ:手持ちの薬品に魔法をかけて、その効力をアップ クエリ:そして最大MPを5減らす 紅美鈴:減らしてもなお誰も追いつけないMP要領 紅美鈴:容量 シバイ:魔力タンクすぎるw クエリ:んで最後にオーギュメントパワーを自分に トール・ギス:特化の極みよ クエリ:3d6+8 目標値12 DiceBot (3D6+8) → 11[2,5,4]+8 → 19 紅美鈴:ルサルカすら80しかないのにww アンビGM:リーンフォースも目標12ですので一応振っていただきたかったですが アンビGM:省略します クエリ:あ、ごめん クエリ:2d6+8 振っておくよ DiceBot (2D6+8) → 7[6,1]+8 → 15 アンビGM:待った工芸だからちゃんと振ってもらわないと クエリ:2d6+8 DiceBot (2D6+8) → 7[2,5]+8 → 15 クエリ:2d6+8 DiceBot (2D6+8) → 4[2,2]+8 → 12 紅美鈴:一括でいいと思う クエリ:ああいや、単体ずつだから一括無理なんだ クエリ:2d6+8 DiceBot (2D6+8) → 7[5,2]+8 → 15 クエリ:2d6+8 DiceBot (2D6+8) → 12[6,6]+8 → 20 クエリ:よし、全員分成功したな アンビGM:はい全員分完了ですね アンビGM:他になければシーンを切ります アンビGM: アンビGM: アンビGM: クエリ:おっと アンビGM:おやありましたか? クエリ:オーギュメントパワーの増加分を精神に振って、判定値を5にするよー クエリ:んで最大MPを10減らす クエリ:以上で! アンビGM:ではシーンを切ります アンビGM: アンビGM: アンビGM: アンビGM:シーン5 ベルツへの道中 登場:全員 アンビGM:状況を説明します アンビGM:道中表を振っていただきます 1d6 で道中の出来事が発生します アンビGM:全員1回ずつ振っていただき2回振るごとに十分な睡眠分回復可能です アンビGM:全員振ったらプレッジ行ってクライマックスとなります シバイ:PC順でいきますか? トール・ギス:でいいでしょう クエリ:そうしますかー クエリ:んじゃ一回目、クエリいっきまーす! クエリ:1d6 そいや! DiceBot (1D6) → 4 紅美鈴:きゃーらばーん シバイ:いきなりかw クエリ:4だ! アンビGM:キャラバンに遭遇です トール・ギス:ほう アンビGM:「おや、あなた方は?」 紅美鈴:無言でシバイにパスします シバイ:「どうもこんにちは、私たちはベルツへ向かう途中です。そちらは港まで?」 アンビGM:「私は旅の商人です、お安くアイテムをお売りしますよ」 シバイ:「おお、それはありがたいですなぁ。では皆さん、補充などさせてもらいましょうか」ついでに道中おかしいところはなかったかも聞きますかね アンビGM:「おおベルツの方ですか、はい私は港に一度向かいましてその後ベルツに行こうかと思っております」 アトラクシア:「魚を塩漬けにしてベルツに持っていけば君主が買い取るだろう(ゲス顔)」 シバイ:「さようでしたか。ベルツに来たときにはまた顔を出させてもらいますよ」 アンビGM:「道中は今のところ何もありませんでしたねぇ、優秀な護衛がついていますし」と答えます とはいえそこまで護衛は強そうでない アンビGM:「ではベルツではよろしくお願いしますね」といって離れていきます アンビGM:では次の方どうぞー シバイ:「頼もしいことですな、それでは」と分かれます シバイ:では シバイ:1d6 DiceBot (1D6) → 1 シバイ:oh アンビGM:敵襲です アンビGM:少々お待ちを クエリ:なんてこった! トール・ギス:「感じるぞ魂ィ」 クエリ:「やだなーもー、山賊退治の前にタイミング悪すぎるよー」 紅美鈴:「あ、なんかきますねー」と大地から震動を感知して アトラクシア:「ルーラーェ…」 シバイ:「いやぁ、悪いことは重なることもあるもんですねぇ」目をそらしながら アトラクシア:「客人を襲撃に導く男、SIBAI」 紅美鈴:「とりあえずお二人邪魔なんで後ろに下がっててください」 紅美鈴:と クエリとシバイを自分の後ろに蹴り飛ばします アンビGM:遭遇戦ですのでお好きな位置にどうぞ シバイ:「あーれー」 紅美鈴:この変で。 紅美鈴:辺 アンビGM:敵はレッサーデーモン2体です クエリ:インペリアルクロス! 紅美鈴:ん、トールギスとアトラがそこにいるならその前に1倒れるか……?まいいか アトラクシア:「一体一体は集中攻撃をかければ直ぐに始末できる相手だ」 シバイ:ああ、じゃあ2にかけて1はけしてもらいますか 紅美鈴:じゃあ私も一歩進もうか シバイ:シバイおkです 紅美鈴:私もここで トール・ギス:魂ィ アンビGM:いいですかね? アンビGM:よろしければ遭遇戦開始です アトラクシア:これでいいか。猛襲いらないし アトラクシア:お願いします トール・ギス:セットイニなし 紅美鈴:おk アンビGM:では開始です まずセットアップ クエリ:なしでーす シバイ:セットアップで2へ挑発します シバイ:コスト-4 紅美鈴:思いっきり地面を殴りつけて元素まといし者発動。 トール・ギス:なし シバイ:3d+7 ふとんがふっとんだ! DiceBot (3D6+7) → 10[4,2,4]+7 → 17 アンビGM:リアクションは15です 紅美鈴:コスト5 アトラクシア:アトラが変なところにぶっとんでいたんだが アンビGM:deha シバイ:成功か、シバイが標的にいないときに扇動技術も含めて命中-2Dですね アンビGM:ではデーモン3が憎悪シバイを持ちました アンビGM:デーモン2です 紅美鈴:元素まといし者の効果発動により元素換身の効果発動。 シバイ:「いやぁ、いい仕事をしました」汗をぬぐい満足げ アトラクシア:アトラはライカン三特技使ってセットアップ終了って遅いか アンビGM:了解です 紅美鈴:先のバフ込で攻撃力16 武器、衝撃防御8 アンビGM:ではイニシアチブです 紅美鈴:以上 アトラクシア:無し 紅美鈴:ないっすな シバイ:なしです トール・ギス:なし アンビGM:ではトールどうぞ トール・ギス:「うぉぉおおおお!」叫び声上げつつコスト7で空飛ぶ英雄 トール・ギス:飛行状態で移動此れにより白兵ダメージに+いd トール・ギス:1dね アンビGM:命中も+1dですよね? トール・ギス:メジャーで英雄武技、んにゃダメージのみよ シバイ:白兵攻撃としかかいてないですね アンビGM:白兵攻撃なので両方かと判断しました トール・ギス:3d+3 で命中判定 DiceBot (3D6+3) → 8[2,2,4]+3 → 11 アンビGM:とりあえず今回は両方に適応どうぞ 本来のGMにはまた確認しましょう アンビGM:リアクションは15ですので回避ですが何か使われますか? トール・ギス:すかったわ シバイ:あれ シバイ:両方に適応なら4dでは? トール・ギス:1足りない、ダメージのみ化と思ったんだが シバイ:うえで今回は両方に適応OKと言ってましたね、振ったあとですが トール・ギス:4d+3 DiceBot (4D6+3) → 12[5,2,2,3]+3 → 15 シバイ:どっちみちだめかw トール・ギス:じゃすとなら当たるはず アンビGM:英雄存在使われますか? 紅美鈴:っ 受動優先 アンビGM:受動優先だったはず シバイ:ですな トール・ギス:つかっとくか命中に トール・ギス:18になるかな アンビGM:では命中です トール・ギス:「タマシィ」 5d+29 トール・ギス:5d+29 DiceBot (5D6+29) → 15[6,3,3,2,1]+29 → 44 アンビGM:武器ですね 34点もらいます トール・ギス:以上 アンビGM:ではアトラですかね? シバイ:クエリでは?13あるし クエリ:わ た し で す ^q^ アトラクシア:行動値14ですが シバイ:あ、修正値2あるか? アンビGM:駆けるもの補正は? アトラクシア:ぶちこんでますね シバイ:使ってたんだっけか、失礼しました 紅美鈴:ややこしいから修正しておいた クエリ:右だと12なってたからわかんなかった アトラクシア:MP13既に消費済みでござる アトラクシア:では獣の猛襲を使用します アトラクシア:3D+11 [疾く死ね] DiceBot (3D6+11) → 10[1,6,3]+11 → 21 アトラクシア:命中判定でござる アンビGM:リアクション15により命中です アンビGM:ダメどうぞ アトラクシア:あいさー アトラクシア:5D+25+4+10 [サラダバー] DiceBot (5D6+25+4+10) → 11[3,1,5,1,1]+25+4+10 → 50 紅美鈴:ヒドイモノヲミタ アンビGM:武器より10減らして40もらいます アンビGM:デーモン1は落ちました アンビGM:では続いてクエリですね クエリ:うい! クエリ:ではマイナーで移動して クエリ:7-9の位置にハンドグレネード発射! クエリ:これで味方は巻き込まない アンビGM:了解です クエリ:3d6+6+4 命中判定 DiceBot (3D6+6+4) → 13[6,1,6]+6+4 → 23 クエリ:クリったー 紅美鈴:あちゃーw アンビGM:クリで命中ですね シバイ:おお、ダメ+10確定化 クエリ:6d6+4+5+10 ダメ通ったら炎上6だー DiceBot (6D6+4+5+10) → 24[1,5,4,6,5,3]+4+5+10 → 43 クエリ:炎上、衝撃属性の43ダメージ! シバイ:ひどいw アンビGM:33もらいます クエリ:「ほいほいほいーっと調合して、パパパーっと殲滅だよー」 トール・ギス:53?じゃね 紅美鈴:シバイ射程外だな アンビGM:怒りに満ちてシバイをにらみます シバイ:メジャーだから動いて炎の雨がわんちゃん? クエリ:ごめん、炎上5の間違いだった アンビGM:了解です ではシバイですね シバイ:ではアトラクシアに再動をかけます。コスト-8 シバイ:3d6+8 12 DiceBot (3D6+8 12) → 15[4,5,6]+8 → 23 → 成功 アトラクシア:「ではぶっ殺すとしようか」 シバイ:「アトラクシアさん、お片づけよろしくー」 アトラクシア:普通に攻撃します。先ほどの出目は嘘だw シバイ:後ろに一歩下がります シバイ:終了です アトラクシア:そこ、しくじるとれっさーの攻撃届くんだがw アンビGM:では行動値的にアトラですね アトラクシア:行きますね シバイ:ん? 4Sqだから動かないとあたりませんよね? アトラクシア:3D+11 DiceBot (3D6+11) → 12[3,5,4]+11 → 23 紅美鈴:動かないとあたらないね アトラクシア:移動して撃ってこないなら当たらんねぇ アンビGM:命中です シバイ:アトラクシアを抜くのに3Sq使うから大丈夫でしょう。たぶん アトラクシア:5D+25+4 [死ぬがよい] DiceBot (5D6+25+4) → 18[3,5,2,2,6]+25+4 → 47 アンビGM:ぴったり死にました アトラクシア:武器でござる シバイ:「おみごとですなぁ」拍手ー アトラクシア:「ふむ、他愛ない」 アンビGM:では戦闘終了です トール・ギス:「さぁ次の獲物はいないのかぁ!」 紅美鈴:「首級上げられず、ですか。まあ運がなかったですかねー」 アンビGM:で2回道中表を振ったので1日経過します アンビGM:よって十分な睡眠分回復してください クエリ:「しんどいなーもー。はやく混沌を治めて安全にしないとねー」 クエリ:はーい 紅美鈴:全快 トール・ギス:どんと斧を置いて「ふん」交代で見張りした アンビGM:アイテムを使用しても構いません シバイ:MP前回ですな シバイ:全快 アトラクシア:「食って寝てぶっ殺す。結構なことだ」 アンビGM:減らした状態にはしていただきますが トール・ギス:まぁ良いかな アンビGM:回復処理終了しましたら次の道中表をどうぞ アンビGM:アトラの板ですね クエリ:これ戦闘ばっか出るとしんどくなるなw アトラクシア:1D6 DiceBot (1D6) → 1 クエリ:wwww アンビGM:出目同じですので何もなしです シバイ:あぶねぇw アンビGM:無事移動できました 紅美鈴:1d6 DiceBot (1D6) → 3 アンビGM:お これは アンビGM:知覚12で判定してください アンビGM:全員どうぞ 紅美鈴:びみょい 紅美鈴:2d6+5 DiceBot (2D6+5) → 8[3,5]+5 → 13 紅美鈴:よしよしよし アンビGM:一人OKなら大丈夫です クエリ:2d6+6 ほいほい DiceBot (2D6+6) → 7[6,1]+6 → 13 クエリ:よしよし シバイ:2d+3 DiceBot (2D6+3) → 6[5,1]+3 → 9 トール・ギス:2d+3 DiceBot (2D6+3) → 7[4,3]+3 → 10 アトラクシア:2D+7 DiceBot (2D6+7) → 8[6,2]+7 → 15 アンビGM:目標達成した人はガーゴイルの残骸を見つけました トール・ギス:男性陣全滅である 紅美鈴:マーアトラシッパイシタラポンコツニナルワナー アンビGM:どうやら少し前に通ったものが倒してくれたようです アトラクシア:くくくw 紅美鈴:ひょい と拾い上げて 「石像の欠片、ですか。ガーゴイルかな?」 トール・ギス:「ふん敗者にようはない」気にかけず アトラクシア:どんな感じにぶっつぶされているのか観察 シバイ:「ふむ、先ほどのデーモンと戦闘にでもなりましたかね?」 クエリ:「一応持ってかえろーっと。研究資材になればいいなー」 アンビGM:では2回振りましたので1日終了です アンビGM:回復どうぞ シバイ:なーし! 紅美鈴:意味なしー トール・ギス:全快です アンビGM:よろしければ最後の道中表です アトラクシア:丁度、全快 トール・ギス:1d6 ゆくぞ DiceBot (1D6) → 4 アンビGM:キャラバンですので何もなしでした シバイ:伽r版? トール・ギス:キャラバンに始まりキャラバンで終わる道中 紅美鈴:なんなんだろうな クエリ:すげぇ、二種類しかでてねぇぞw 紅美鈴:3種類 シバイ:ほんとだw トール・ギス:「ふん、道はアッチだ」と首で方向示して終わり アンビGM:では道中表終了です 街道を歩いていると非常にあわてた様子で人が走っているのに遭遇しました 紅美鈴:なにもなし 戦闘 等等 アトラクシア:「塩漬けを頼む」 シバイ:何者か判定はいりますか? アンビGM:何かに追われている様子で非常に怯えています アンビGM:いえ判定無しで山賊っぽいと判断できます シバイ:山賊か シバイ:「おやおや、山賊が逃げてくるとは……みなさん、ちょっと捕獲してくださいな」 アトラクシア:「これも全てSIBAIというやつのせいなんだ……」 シバイ:「情報をいただくとしましょう」 アンビGM:捕獲されるなら判定なしでOKです アトラクシア:「冗談はともかく、適当に獲るか」 紅美鈴:「あー、昔行商人を襲ってた時はああやって慌てて逃げてたっけ」と聞こえないようにつぶやいて捕獲にはいります シバイ:しっかり聞こえたけど、まあ昔のことだよね! とスルー トール・ギス:「フン、敗者はほっておけ、感じる、感じるぞ、あの時感じたタマシイィを」虚空を睨んでます アトラクシア:「知っているか。山賊というのは補給物資を与えてくれる山の幸だ」 アンビGM:山賊は非常に怯えています 話を聞きだすのでしたら話術で12をお願いします シバイ:「そりゃ貴女やミーシャさんくらいです」 クエリ:「んーんー? あ、イチュウさん。山賊からの事情聴取お願いねー。あと、絶対逃しちゃダメだよー」 アンビGM:ロールや特技によってはボーナス差し上げます シバイ:3d6+7 12 コワクナイ。コワクナイヨー DiceBot (3D6+7 12) → 11[6,1,4]+7 → 18 → 成功 アトラクシア:オーバキルw シバイ:あ、ふっちゃった アンビGM:OKです アンビGM:では怯えながらも「今日は普通に過ごしていたんだ・・・だけど良くわからないんだけどアジトにおっそろしい化け物が現れたんだ・・・ アンビGM:お頭も混沌に飲まれたのか・・・いきなり暴れだすし、なんとかここまで逃げてきたんだ・・・」 アンビGM:となんとか聞き出すことができました シバイ:「ふむ、それは大変でしたねぇ。ところで化け物については~」と情報を聞き出したいですね アンビGM:化け物に関しては混沌知識で12 でどうぞ 紅美鈴:2d6+2 ダメモトレッツゴー DiceBot (2D6+2) → 8[5,3]+2 → 10 アンビGM:クリアすれば具体的なデータを差し上げます シバイ:「クエリさん、これなにかわかります?」 紅美鈴:ムリッシター シバイ:2d6+6 DiceBot (2D6+6) → 4[3,1]+6 → 10 シバイ:ですよねー クエリ:「んーんー?」 アトラクシア:2D+4 (笑) DiceBot (2D6+4) → 10[6,4]+4 → 14 トール・ギス:2d+6 DiceBot (2D6+6) → 10[5,5]+6 → 16 紅美鈴:な ん で だw シバイ:なん……だと……? トール・ギス:「フッアハハ八八ノヽノヽノヽノ \ / \/ \、良いぞ実に良い混沌を感じる」 紅美鈴:あとトールギスはなんで6 クエリ:2d6+8 混沌知識~ DiceBot (2D6+8) → 4[2,2]+8 → 12 紅美鈴:判定知力よー? クエリ:しょぼーい シバイ:まあ、成功したからよしw トール・ギス:英雄存在込み アンビGM:クリアしましたので情報が分かります 紅美鈴:さいで アンビGM:コスト払っておいてくださいね トール・ギス:はらいましたー アンビGM:お頭はレベル4相当のライカンでしたが混沌に飲まれて「混沌憑き」となってしまいました アンビGM:ルルブ2 294ページ参照です クエリ:ふむふむ アンビGM:そして化け物ですが デーモンメイジではないかと判断されます アンビGM:ルルブ1 343ページ参照 シバイ:まじかぁ シバイ:「レッサーデーモンが出たあたりでいやな予感はしてましたが、ついでで討伐するにはめんどくさい相手ですねぇ」 アンビGM:ただここで討ちもらすと周辺被害がしゃれにならないことになりかねない ということは分かります トール・ギス:「倒せば結果は同じ事よ!」 クエリ:「だけど見逃す選択肢はありえないよねー。ちょっと寄り道になるけど、ここは禍根を絶つべきだと思うよー」 紅美鈴:「まあとりあえず殴って殺すだけだしねー」 アトラクシア:「討ちもらすと面倒だな。と、言うかベルツ領の近くに徘徊しているとか笑えないぞ」 シバイ:「ですよねぇ。はぁ、とんだお使いになったものです」 アトラクシア:「SIBAI。お前は取りあえず連絡しておけよ、君主に。何らかの手段で」 シバイ:「もちろんです、魂的な何かですでに伝達済みですよ」実際は予測を交えた手紙 アンビGM:ではこの強力な投影体を討つことを決めたところでプレッジシーンに移ります トール・ギス:「さぁ俺を震わしてくれよぉ」 アンビGM: アンビGM: アンビGM: アンビGM:ではプレッジシーンとなります アンビGM:PCナンバー順にお願いします クエリ:はーい クエリ:誓いは混沌を収めるで! メイジとしての責務だよね クエリ:んでまぁ、ベルツ領の精鋭のチカラを見極めるという誓いも立てまする クエリ:以上で~ クエリ: シバイ:ではわたしですな シバイ:邂逅で シバイ:美鈴に興味、可能性、猜疑。トールギスに興味、可能性、不安 シバイ:誓いは周辺の脅威を取り除く。混沌が高まった原因を調査するで シバイ:いじょうです シバイ: アトラクシア:いきますよ、と アトラクシア:クエリ対象 アトラクシア:興味/庇護/隔意 隔意はいつも通りというか。庇護は護衛対象だから アトラクシア:続いて誓い アトラクシア:2:仲間の名誉を護る、今回はシバイのみ アトラクシア:3:山賊+デーモンメイジぶっころ… アトラクシア:以上ですね 紅美鈴:誓い 仕官にあたって実力を示す 混沌を制覇する 因縁 無し 紅美鈴:以上 紅美鈴: トール・ギス:誓い 混沌を打っ潰す トール・ギス:力を見せ付ける トール・ギス:因縁 美鈴 好敵手 連帯感 憤怒 トール・ギス:何故俺と戦わないと言う憤怒、感じるぞ其の熱き魂ィ トール・ギス:以上 トール・ギス: アンビGM:ではクライマックスシーンに入ります アンビGM: アンビGM: アンビGM: アンビGM:ではクライマックスシーンに入ります シバイ:よろしくお願いします! アンビGM:場所は既に割れていましたので問題なく山賊のアジトに到達しました アンビGM:相手を見るともとは山賊の頭であっただろうライカンスロープの邪紋使いもいる アンビGM:だが完全に混沌に飲まれたのか最早自我はないようだ、こうなっては倒すしかないだろう 紅美鈴:「さーて大将首。手柄立てておきたいところだけど」 アンビGM:各自1言位口上どうぞ アンビGM:混沌レベルは7です 紅美鈴:「それでは……華人小娘 紅美鈴。推して―――――参る!!」 クエリ:「混沌騒ぎの元凶、みつけたよー。……ここで手柄を立てれば、あの二人に近づけるかしら」 トール・ギス:「震えるぞ、魂ィィィィィィィィィィィィ!!」 アトラクシア:「首から上は必要ないだろう。根こそぎさせて貰おうか」 シバイ:「盗賊とはい哀れなものですね……葬ってあげるのが情けですか」 アンビGM:では戦闘に入ります アンビGM:まずセットアップ 紅美鈴:元素まといし者 土ぃ!! クエリ:異門のタクトの効果発動! クエリ:混沌レベルを+3! シバイ:魔境すぎるw クエリ:「よーし、じゃあ――――狂え、世界」 クエリ:混沌レベルが10になったよー アンビGM:ちょっとお待ちを10はいけない アトラクシア:「キチ○ガイ乙」 クエリ:データ的なデメリットあったっけ? シバイ:「これはまた……」戸惑いなく混沌レベルを上げる姿に危機感を覚えます 紅美鈴:「ちょっとちょっとちょっとー。アーティストでも耐えられるのには限度があるんだけどー」 トール・ギス:「いいぞ、感じるぞ、タマシが喜んでいるゾ、クッハァ」 アンビGM:混沌レベル10には到達しませんがぎりぎり9というレベルまで上昇します アトラクシア:「体の調子がいい。もう何も怖くない……そんなわけあるか」 紅美鈴:「……何やってるんです……。メイジなら混沌が上がりすぎるのはマズイと知っているでしょう」 クエリ:「――――っと、危ない危ない。一時的かつ局所的とはいえ、これ以上はマズイわね」 シバイ:[ クエリ:「ごめんねー、やりすぎちゃった」 紅美鈴:「次やったら全力で殴るんで。あまり気が長くない性質でして」 アンビGM:クエリが操作でアトラどうぞ シバイ:「クエーリアさん、手段をもうすこし選んでいただきたい」今後のために釘を刺しときましょう クエリ:「ほんとごめんねー、あとでまた抑制しとくよー」 アトラクシア:ライカン三大特技を使用。13コスト支払います アンビGM:了解です シバイどうぞ シバイ:はいな、今回は届かないからなしです アンビGM:了解です では混沌憑きが地を駆けるものを使用します アンビGM:美鈴はありますか? 紅美鈴:もうやったー 紅美鈴:元素まといしもの発動してます アンビGM:了解です ではイニシアチブ アンビGM:行動順ですので アンビGM:トールギスなにかありますか? トール・ギス:ない! アンビGM:では混沌憑きが窮鼠の力を使用します アンビGM:HP-5 ダイス+効果 アンビGM:以上 アンビGM:イニシアチブある方宣言どうぞ 紅美鈴:なーい クエリ:ないない アトラクシア:ナッシング トール・ギス:イニは今終わった気がするが、ない アンビGM:無いようでしたら開始します シバイ:なしです アンビGM:ではまずデーモンメイジが動きます アンビGM:まず6-5 に移動します アンビGM:メジャーで光弾爆発8-5 にぶち込みます シバイ:ダイス目いくつでしょ 紅美鈴:あっちい アンビGM:命中4D+10 です アンビGM:回避でリアクションしてください 紅美鈴:下手するとおっちぬ シバイ:うーん、ちょいお待ちを シバイ:消散を使いたいんですが、これ対決ってなにとたいけつですかね? トール・ギス:回避と対決 紅美鈴:回避 シバイ:なる 紅美鈴:ではダイスの直前で偉業特技発動 シバイ:メイジは2Dか、ならば消散の印を使用します アンビGM:こちらの命中との対決ですよ 4D+10 シバイ:命中とか 紅美鈴:げんそのけし、ってなんぞ? シバイ:なら呪縛もうちますね アンビGM:お待ちを 紅美鈴:先にダイス振りますか シバイ:ほい アンビGM:呪縛と消散は同時使用不可です アンビGM:両方同じタイミングですので トール・ギス:gmダイス振ってくれないと目標が判りません シバイ:直前と シバイ:直後ですが 紅美鈴:取り合えずGMのダイスをくれ アンビGM:両方直後では? シバイ:いやまって 紅美鈴:いや シバイ:呪縛が判定直前なんです 紅美鈴:呪縛 判定直前 消散 判定直後だね アンビGM:ああごめんなさい見間違えていました シバイ:はいな、では呪縛よろしい? アンビGM:妨害を見ていました のでどうぞ シバイ:3発分撃ちます。-3Dコスト-21 シバイ:自動成功です シバイ:「あ、それポン」 アンビGM:了解ですでは命中が1D+10 になりますね アンビGM:1d+10 命中 DiceBot (1D6+10) → 3[3]+10 → 13 シバイ:避けれなそうなら消散打ちます 紅美鈴:大丈夫多分 紅美鈴:3d6+7 DiceBot (3D6+7) → 11[3,5,3]+7 → 18 トール・ギス:2d+7 DiceBot (2D6+7) → 12[6,6]+7 → 19 紅美鈴:よし トール・ギス:ふん シバイ:よかった 紅美鈴:クリってるw アンビGM:では両者回避ですね クエリ:おお、見事 アンビGM:デーモンメイジは非常に驚いた様子です シバイ:ダイス2だとわんちゃんあったな アンビGM:ではトールどうぞ トール・ギス:待機 トール・ギス:「ふん」其の程度かみたいな感じで アンビGM:了解です では混沌憑きが動きます アンビGM:移動5ですが一番近い敵を狙います よって美鈴に突っ込みます 紅美鈴:ばっちこいや アンビGM:魔獣の力で殴りかかります 紅美鈴:命中どうぞ アンビGM:4D+11 命中 DiceBot (4D6+11) → 12[2,2,6,2]+11 → 23 紅美鈴:ワンチャンスなさげだがフル。 紅美鈴:3d6+7 DiceBot (3D6+7) → 11[4,3,4]+7 → 18 アンビGM:獣じみた叫び声をあげて殴ってきました 紅美鈴:まあ無理です。ではこのタイミングで偉業特技 紅美鈴:元素の化身発動。天運-2で元素まといしもののレベルを【限界突破】して+5 アンビGM:了解です 紅美鈴:かつ 紅美鈴:全防御に+7 紅美鈴:ダメージどうぞ アンビGM:3D+14 ダメージ DiceBot (3D6+14) → 13[5,3,5]+14 → 27 紅美鈴:ロール直後に元素防壁 紅美鈴:土属性なので武器に2d6+7 ほかの1d6+7 紅美鈴:まず1d6+7ふって、追加の1d6をふります 紅美鈴:1d6+7 DiceBot (1D6+7) → 1[1]+7 → 8 紅美鈴:おいw シバイ:うはw 紅美鈴:1d6 DiceBot (1D6) → 5 紅美鈴:まあよし 紅美鈴:えー武器防御+13 クエリ:なんかすごいなオイ 紅美鈴:さらに化身で7 アンビGM:ダメージ武器27です・・・ 紅美鈴:さらにさらに元素換身の効果で素で武器防御8あるので 紅美鈴:完全無効 シバイ:はじいたー! アトラクシア:壊れ性能w クエリ:大丈夫! 跳ね返した! シバイ:「うーん、さすがはかの内戦で活躍した兵。頼もしいですなぁ」うんうんと頷きます(好評価!) 紅美鈴:「シャアアアアアアアアアアアアアア!!!」 トール・ギス:「血が滾る」 アトラクシア:「いい具合に壊れているな。伊達に歳を食ってはいないかw」 紅美鈴:と吼えながら殴りかかるのを受け流して回し蹴り アンビGM:では噛み付きがはじかれて驚愕の表情で美鈴を見ます 紅美鈴:「でなおしといで。坊や」 アンビGM:ではこちらの行動は終了です アトラクシア:では私から逝きます アトラクシア:獣の猛襲を使用 アトラクシア:4spしか無理だな アトラクシア:しゃあない アトラクシア:3D+11 命中判定。ここで駄目なら計画が全て台無しになるw DiceBot (3D6+11) → 9[2,3,4]+11 → 20 シバイ:振りなおしもあるでよ アトラクシア:いや、平均取ったのでこのまんまで クエリ:こっちにもあるぜよ アンビGM:では回避は窮鼠で増えていますので4D+5 です クエリ:あいよー 紅美鈴:あかんくねw シバイ:呪縛っちゃう? アンビGM:4D+5 回避 DiceBot (4D6+5) → 16[4,4,4,4]+5 → 21 アトラクシア:だねぇ シバイ:あ 紅美鈴:1たりない アンビGM:a アトラクシア:出目の差w 紅美鈴:レッツゴーじゅばーく アンビGM:ごめんなさい もうちょい待つべきだったか シバイ:これ、撒き戻し使って、天運さらにのりますかね? トール・ギス:ダイスに罪なし 紅美鈴:まあ罪はないな。恐ろしく不吉な数字だがw シバイ:でも判定直後だからおそいか アンビGM:んーと混沌憑きになら使えますよ シバイ:もしくは英雄の言葉もってればそれか? 紅美鈴:混沌憑きに呪縛撃ってもいいと思う トール・ギス:取ってないねん 紅美鈴:あ、そっかそれがある 紅美鈴:ないんかいw シバイ:oh シバイ:なら撒き戻し使って判定クリアして、呪縛かけますか。これで打ち止め アトラクシア:無理気かな クエリ:ルーラーすごいなやっぱ シバイ:すいませんでした、では判定覆すの無理ですねー 紅美鈴:撒き戻しワンチャン シバイ:撒き戻しにかけますかw シバイ:では何度もすいません、撒き戻しの印で回避判定をやりなおします シバイ:コスト-5、自動成功です アンビGM:了解です シバイ:「あ、それちょっとまった!」 アンビGM:4D6+5 回避 DiceBot (4D6+5) → 12[2,1,3,6]+5 → 17 クエリ:よしよし アンビGM:命中です アンビGM:ではダメどうぞ アトラクシア:あいよ、天運6ぶっぱしますよ、と 紅美鈴:ブッ アトラクシア:6D追加でお願いしますね アンビGM:了解です アトラクシア:その前にクエリによる攻撃支援の+4ってありますか? 紅美鈴:解除宣言してないから続いてる アンビGM:んーとリーンフォースかな? アトラクシア:おーけー アンビGM:なら大丈夫です クエリ:ずっと続いてるよー アトラクシア:11D+25+4+8 DiceBot (11D6+25+4+8) → 33[1,5,6,3,3,6,1,5,1,1,1]+25+4+8 → 70 紅美鈴:わーお シバイ:出目w クエリ:こちらから解除しないかぎりはシナリオ継続だからね! アトラクシア:1ばっかw クエリ:1多いなww アンビGM:武器ですね アトラクシア:武器ですねぇ アンビGM:ではHP-5 で倒れます 紅美鈴:では次私がメイジ殴ろう。 シバイ:よかったー アンビGM:同じライカンに倒されて心なし満足しているようでしあ アンビGM:した アトラクシア:「安らかに眠れ、下郎」 クエリ:では次わたしだねー 紅美鈴:「来世があったらまたどうぞ。根性叩き直して差し上げますので」 クエリ:「さーってとー、残りも片付けちゃおうかー」 シバイ:(えー、あなたが言うの?)的な視線を投げかけてみよう アンビGM:点呼開始! トール・ギス:準備完了!(1/5) 紅美鈴:準備完了!(2/5) シバイ:準備完了!(3/5) アトラクシア:準備完了!(4/5) クエリ:準備完了!(5/5) 全員準備完了しましたっ! アンビGM:では再開しましょう アンビGM: アンビGM: クエリ:よし、いくよー クエリ:マイナーでの通常移動はなし クエリ:メジャーで6-5にハンドグレネード! クエリ:天運を4つぶっ込むよー アンビGM:了解です 紅美鈴:ダメに?命中に? クエリ:追加できるのは命中だけじゃないっけ? 紅美鈴:ダメにもできる 紅美鈴:あらゆるダイスに+1 クエリ:ほむ クエリ:よし、じゃあちょっと変更 クエリ:まずは命中判定に天運1使うよ クエリ:3d6+6+4+1d6 命中判定 DiceBot (3D6+6+4+1D6) → 14[3,5,6]+6+4+2[2] → 26 クエリ:回らなかったかー クエリ:どうぞー アンビGM:2D+5 回避 DiceBot (2D6+5) → 9[4,5]+5 → 14 アンビGM:命中です クエリ:よーし、じゃあダメージダイスに天運3使うよー クエリ:6d6+4+5+3d6 炎熱・衝撃属性だよー DiceBot (6D6+4+5+3D6) → 20[4,6,2,1,5,2]+4+5+10[4,4,2] → 39 クエリ:しょぼいけど通ればいいや アンビGM:12 ひきますので27もらいます クエリ:炎上5どーぞ クエリ:「ほんとは研究材料にしたいけどリスク高いからー、わたしの手柄になってねー」 アンビGM:まだまだ元気です トール・ギス:マイナーで空舞う英雄、コスト7 紅美鈴:なんであなたうごくんですかねえ アンビGM:お待ちを アンビGM:トールではないですね トール・ギス:あまだメイリン動いてなかったか アンビGM:シバイです 紅美鈴:シバイもうごいてないよww シバイ:私ですなw シバイ:だが待機だ シバイ:シバイ は ようすをみている! トール・ギス:すまん食事中に其処まで行ってたかと アンビGM:了解です では美鈴 紅美鈴:そいでは動きます 紅美鈴:マイナーアクションで接敵。 紅美鈴:メジャーアクションで元素破撃 コスト-5 紅美鈴:ダイスを+5D。合計10D 紅美鈴:命中に天運1 アンビGM:了解です 紅美鈴:4d6+8 DiceBot (4D6+8) → 14[5,2,6,1]+8 → 22 アンビGM:2D+5 回避 DiceBot (2D6+5) → 10[5,5]+5 → 15 紅美鈴:あっぶなあ アンビGM:ではダメどうぞ 紅美鈴:そいではいきましょう。美鈴の渾身の一撃。天運3ぶっぱ! 紅美鈴:13d6+26 奥義―――大鵬墜撃拳 DiceBot (13D6+26) → 51[6,3,3,3,1,1,1,5,6,6,6,4,6]+26 → 77 シバイ: 痛いw クエリ:おお、なかなか良い出目じゃなーい!? アトラクシア:うわぁ トール・ギス:ふふ アンビGM:武器ですよね 紅美鈴:あごめんなさい! 紅美鈴:+1Dですw シバイ:更にドン! 紅美鈴:平均値ということで3お願いします。 アンビGM:了解です 紅美鈴:武器ですね。 アンビGM:では70もらって3残りました 紅美鈴:っちぃ! アンビGM:ふらふらですがにやっと笑います 紅美鈴:首取れずかー 紅美鈴:で 紅美鈴:元素破撃の効果発動 アトラクシア:ちょうど、全員やれることがあったねぇ 紅美鈴:一マス奥にずれます 紅美鈴:トールさん届くよね 紅美鈴:そこでも アンビGM:了解です シバイ:「いやぁ、見事見事。あれが四人の首塚をとった取って置きですか~」とにこやかに目は鋭く トール・ギス:「その首貰い受ける!」空飛ぶ英雄マイナーコスト7 紅美鈴:ふらついた相手に回し蹴りで強制的に吹っ飛ばします トール・ギス:移動してセッテキの トール・ギス:メジャー英雄武技コスト5の天運を2使用 トール・ギス:6d+3 命中判定 DiceBot (6D6+3) → 17[2,5,3,4,1,2]+3 → 20 クエリ:「…………やはり私自身が生み出す火力には限界がある。より効率的に、より高火力を引き出すためには私の大体となる兵器の開発が急務。ひいてはそれこそが戦争の抑止力に――――」ブツブツブツブツ アンビGM:2d+5 回避 DiceBot (2D6+5) → 6[5,1]+5 → 11 アンビGM:命中です トール・ギス:5d+30 DiceBot (5D6+30) → 18[3,1,6,3,5]+30 → 48 シバイ:なにかに追い詰められてるかのように見えて、痛ましそうに見守ります トール・ギス:さらに絶技でダメージ+12 トール・ギス:「旋風爆裂衝!」 アンビGM:ではその攻撃でデーモンメイジは塵にかえりました 紅美鈴:(ちょーっと一発殴ってお説教したほうがいいのかなー )と残心しながら見ています アンビGM:にやにや笑って死にました アンビGM:戦闘終了ー アンビGM:一言ぐらいどうぞ 紅美鈴:「弱ってたのに仕留められず……やっぱり鈍ってるのかなー。」 シバイ:「デーモンはいやですねぇ。死ぬことがないからあんな余裕な表情をみせる」と辟易 トール・ギス:「うぉおおおおおおお!魂ィィィィィィィィィィィィ!!」叫ぶのみ! 紅美鈴:ととっても不満げにつぶやきつつ クエリ:「ブツブツブツブツ――――あっ、終わったねー。みんな、おつかれさまー」 アトラクシア:「終いか。さて、還るとしよう。報告書作成はSIBAIがやればいいから気楽なものだ」 アンビGM:ではとりあえず混沌レベルを下げてベルツへ向かうってところでシーンエンド アンビGM: アンビGM: アンビGM: アンビGM:ではエピローグに入ります アンビGM:登場 シバイ・アトラ アンビGM:2人は戦闘と後処理を終えてベルツに帰還しました アンビGM:そしてまず2人のみ執務室に呼ばれました シバイ:「いやあ、とんだお使いになりましたよ」とお茶をずずっとのみます アトラクシア:「やましいことは無かった(魚の塩漬けを頬張りながら)」 シバイ:「その分、えるものも大きかったですがね。ええ、その魚も含めて」 シバイ:あれは美味かった……と浸ります アンビGM:オトフリート「ご苦労だったな」 アンビGM:「さてメイジの迎えに行ったはずだが更に人を増やして帰ってくるとは」 アトラクシア:「勝手についてきただけだ。求人の募集を取り下げないからこうなる」 アンビGM:「今回お前たちに任せて良かったようだ」 シバイ:「ええ、運がよかったです。向こうから来てくれたのですが、たいそうな兵ですよ」 アンビGM:オトフリート「あの3人どう見る?」 アトラクシア:「信用はおけるな。脳筋だが」 シバイ:「まずはあの二人、性質こそ違いますが、槍と盾、お互い連携を取ればバランスよく動けるでしょうな」 シバイ:「歴戦の兵は伊達じゃありませんでした、いやほんとに」 アンビGM:オトフリート「ふむ」無言で続きを促します シバイ:「美鈴どのは過去に多少後ろ暗いこともあったようですが、本人の気質があれですからなぁ」 アトラクシア:「……人となりは特に言えることはないな。お前の目で判断するといい」 シバイ:「こちらが不義を働かない限りはもんだいないでしょう」 シバイ:「トールギスどのは……そうですなぁ」 アンビGM:「貴様らがそういうなら裏切りは心配しなくて良いか」 シバイ:「ぶっちゃけ、ここ最近は混沌の侵食が多いですし、彼の渇望は勝手に満たされるでしょうし」 アトラクシア:「面倒くさくなったらボッチにでも押し付ければよかろう」 シバイ:「クリストフどのと手合わせさせて上げれば問題なさそうですな」うちは敵も多いですしとお茶をずず アンビGM:「理解した、でメイジ殿は?どうだ」 シバイ:「ふむ、まずはアトラクシア殿からどうぞ」 アトラクシア:「よく分からん。戦人ならともかくあの手の奇人の判断など出来るか」 アトラクシア:「アルクかお前が会って判断するといい」 アンビGM:「なるほど」 シバイ:ぶれないなぁと苦笑いしますか アトラクシア:「悪人では無かろうが、ベルツに相応しい変人ではあろう」 アンビGM:オトフリート「では、どう見た」とシバイに問いかけます シバイ:そうですな、と一呼吸 シバイ:「腕はたしかですな。アルク殿とルサルカ殿と比べても、分野が違えど遜色はありますまい」 シバイ:ただ、と続けます アンビGM:オトフリート「ただ?」 シバイ:「今回の混沌を払う際に、彼女は混沌を過剰なまでに操作しようとしました。ナゼだと思います?」 アンビGM:オトフリート「ふむ なぜだろうな メイジとは混沌の危険性も理解しているはずだが?」 シバイ:「そうです、ですが彼女はそれを行った。レベルで言えば下手をすると10はいったでしょうな」 シバイ:「どうも察するに、アーティストが三名いたので、それの援護のつもりだったようです」 アトラクシア:「(脳みそ飛んでいるだけではあるまいか……)」 アンビGM:オトフリート「・・・」少し思考します シバイ:「彼女は普段はとても理知的で、明るい性格です。とても好感が持てる方でしょう。しかし、威力に傾倒しているのではないかと見受けます」 シバイ:何があったかはわかりませんが、と付け加えます アンビGM:オトフリート「分かった、直接会って見極めよう」 アトラクシア:「(まいうー)」 アンビGM:オトフリート「では件のメイジ殿を呼んできてくれ」 アンビGM:オトフリート「ご苦労だったな」 シバイ:「わかりました」 シバイ:「まあ、それも問題が起きる前に察することができたのは行幸です、アルクどのやルサルカどのもいますし、あなたも気を配ってあげてください」と外に出ます アトラクシア:「ああ。商人がくるから魚の塩漬けはきちんと一定量取引しておくように」 アンビGM:オトフリート「ああ分かった」両者に伝えてシーンエンド アンビGM: アンビGM: アンビGM: アンビGM:エピローグ2 登場 クエリ アンビGM:ではあなたはシバイから執務室に行くように伝えられました アンビGM:そして中から「入れ」と声が聞こえます クエリ:「失礼致します。お目にかかえて光栄です、オトフリート様ー」 クエリ:執務室なので頭を垂れるに留め、丁寧にお辞儀しますよ アンビGM:オトフリート「貴殿が魔法協会から派遣されたクエーリア殿だな」 と一応確認します クエリ:「はいー、クエーリア・ノーベルと申しますー。このたびはわたしを召喚くださりありがとうございますわー」 アンビGM:「率直に聞こう 我が領は既に複数のメイジが存在する。貴殿は何ができるのだ?」 クエリ:「アーティファクトの錬成と運用、その提案ですわー」 クエリ:にっこにっこ アンビGM:「ふむ、個人技量でなく物品に力を与えるのか」 アンビGM:オトフリート「なるほど、それは凄まじい能力だ」 クエリ:「はいー。個人の技能のみに拠らない、万民が扱い得る道具の作成を得手としておりますー」 クエリ:んで、そこで恐れながら申し上げます、と一言断って アンビGM:オトフリート「その力は我が領の力となるだろう、なんだ?」 クエリ:「この領はオトフリート様を始めとした、尋常ならざるお歴々のお力によって成り立つ部分があると大きいと思いませんかー?」 アンビGM:オトフリート「否定はできんな」 アンビGM:「それを貴殿はなんとかできると?」 クエリ:「アカデミーでも大変評判を得ております、数多の英傑が集う稀なる領とー。でも、それだけじゃ足りないんですよー」 アンビGM:オトフリート「・・」無言で促します クエリ:「はいー。わたしならば要人の才覚のみに拠らない、真の意味での領の発展を齎すことができますわー」 アンビGM:オトフリート「良かろう、やってみろ 成果は出すことが条件だがな」 クエリ:「ありがとうございますわー。もちろん、微力を尽くして粉骨砕身いたしますー」 クエリ:「で、早速閣下にご提案があるんですがー」 アンビGM:オトフリート「では下がれ、一度計画を練ってからにしろ」 アンビGM:オトフリート「現状も知らずになにができるのだ」 クエリ:「あららー、お厳しいですわー。……たしかに、性急すぎましたねー」 アトラクシア:「(おい、SIBAI。容赦ないぞ、我が主君は)」壁の向こうから アンビGM:退出する背中に声をかけます アンビGM:オトフリート「混沌は危険なものだ、次は無いぞ」と クエリ:振り向かずそれに答えますよ シバイ:「(まあ、まだ懐の深くに入ってなければあんなものですよ、かれは)」と満足げに クエリ:「……覚えておきましょう。だけど閣下も同様に、道理ばかりでは物事は成り立たないことを――――片隅にでも覚えていてほしいものね」 クエリ:パッと、声音を変えて クエリ:「では、失礼しますー」 扉をパタン アンビGM:オトフリート「・・・」無言で アンビGM:ではシーンエンドします アンビGM: アンビGM: アンビGM: アンビGM:エピローグ3 登場 紅美鈴 アンビGM:あなたも執務室に呼ばれました 紅美鈴:ノックします アンビGM:そして中から「入れ」と声がかかりました 紅美鈴:「失礼いたします。オトフリート卿」 アンビGM:オトフリート「お久しぶりですな、紅殿」 紅美鈴:「敬語など使いなされるな。あなたはいまや先代の後を継ぎ、領主となったのです。軽々しく敬語など使うべきではありませ焔」 紅美鈴:ありません アンビGM:オトフリート「それもそうか、とはいえ今回の混沌の件、ご助力に感謝する」 アンビGM:オトフリート「貴殿は我が領に何を求めるのか?」 紅美鈴:「己の信義に反さぬ生き様を」 アンビGM:オトフリート「変わらないな、貴殿は」 紅美鈴:「容易く変わることなどできませんよ。オトフリート卿」 アンビGM:オトフリート「それもそうか、とりあえず今回の件の褒章と必要ならば宿も用意しよう」 紅美鈴:「信賞必罰は常。ありがたくお受けいたします」 アンビGM:オトフリート「今後も我が領に力添えいただけるとありがたいが?」 紅美鈴:「無論。我が力でよろしければいかようにも。守勢の戦ならばお任せくださいませ」 アンビGM:オトフリート「私も守りには自身があるが、そうだな」と少し考えます 紅美鈴:「…………ッ!」とその不意を突き、全力の正拳を放ちます アンビGM:避けはしません ガードします 紅美鈴:「……随分と、肝が太くなりました。父君も、笑っていることでしょう。無礼、御許しを。」 アンビGM:オトフリート「ふっ そうだな とりあえず今後の件は追って伝える」 紅美鈴:「はっ!わが身我が力、御身のために!!」 と包拳と共に深く頭を下げます アンビGM:オトフリート「・・」黙って礼を受けます アンビGM:オトフリート「またお会いでき、うれしく思う」と小さくつぶやきます 紅美鈴:「……プライベートでまた今度、お土産話を話して差し上げますね♪」 と顔をあげておどけた様子でそういい扉に向かいます アンビGM: アンビGM:ではシーンエンドです アンビGM: アンビGM: 紅美鈴:「元気そうで、安心しましたよ。オトフリート。」といって体質 紅美鈴:退室 紅美鈴: アンビGM:エピローグ4 登場 トール・ギス アンビGM: トール・ギス:「フフフ……ふははははは!!」 トール・ギス:「フフフ……聞こえるぞ、魂の叫びが!」 トール・ギス: 「滾るッ! 昂ぶるッ! 魂ィィィィィィィィ――――ッ!!!!」 アンビGM:クリストフ「あなたは?」とうれしそうに聞きます トール・ギス:「さあ感じさてくれぇ、お前の魂のさびを!」 アンビGM:クリストフ「言葉など無粋ですか、ふっ 剣で語るとしましょう」 トール・ギス:「奴を喰らうのは、この俺よぉおおお」 トール・ギス:ガキント振り下ろす斧 アンビGM:機動力に任せて避けようとしますが アンビGM:軽く掠めます アンビGM:クリストフ「なんて威力!」 トール・ギス:ニィと兜の中で笑う アンビGM:無言で速度に任せて錬撃を叩き込みます アンビGM:連撃 トール・ギス:「実に良いなぁ、このベルツは!」籠手で受け流しながら アンビGM:クリストフ「同感ですね」 トール・ギス:「益荒男が溢れている、舞い戻ったかいがあったわ!」 アンビGM:クリストフ「ああ本当に 飽きないところです」と攻撃はやめません トール・ギス:「言葉無用!、魂ィィィィィィィィィィィィ!!」 トール・ギス:ただひたすら打ち合う夕刻をすぎても止まることはなかった アンビGM:クリストフ「ああ、楽しいですね」 アンビGM: アンビGM:といったところでシーンエンド アンビGM: アンビGM: アンビGM: アンビGM:ではこれでグランクレストRPGforベルツ外伝「新たなる仲間」 を終了です アンビGM:御疲れ様でした シバイ:おつかれさまでした! トール・ギス:本当にお疲れ様でした 紅美鈴:おつっしたー アンビGM:長引きまして申し訳ない アトラクシア:お疲れ様でした シバイ:アンビさんも初GMありがとうございました アンビGM:初GMにつきミスも多かったですが楽しんでいただけたら幸いです アトラクシア:9時間コースw シバイ:いや、13時スタートですぞw アトラクシア:7時間かw 紅美鈴:やー長い長い シバイ:でも楽しかったですな! トール・ギス:魂が暴走したスマン クエリ:お疲れ様でしたー! シバイ:魂しかいってないですよねw 紅美鈴:おつっしたー クエリ:いやー、思いの外キャラの内面を掘り下げることができて満足ですわww 紅美鈴:なんかすっごいお姉さんキャラになった件についてw アンビGM:経験点ですが いつもの5点 エネミー7点 誓い6点 勝利条件10 点で28点とさせていただきます クエリ:なんかすっごい地雷になった件について シバイ:キャラ立てってどころゃないくらい立ちましたなw シバイ:5レベルきたー! 紅美鈴:これってさあ 紅美鈴:オトさんが弱音吐く相手ができたんじゃないかw トール・ギス:到達か クエリ:正直なところ、PLの手を離れて動いた部分が大きいので、周囲の迷惑になってないかと不安なんですが…… シバイ:できましたな、年上のおねーさん 紅美鈴:ついにきましたなー アンビGM:カウントですが35レベル分*50で1750 です クエリ:まだ大丈夫です? これ以上はさすがにヤバイとわかってるので、自重するつもりですがー 紅美鈴:ヨソウガイダッターww 紅美鈴:私は大丈夫だが シバイ:大丈夫では? 今回のタクトはたまたまだしw トール・ギス:うむ、まさかこんな事になるとわな アンビGM:ちょっと多かったかな? 紅美鈴:ルサルカに必要以上に食って掛かられるとイラッと来てガン無視決め込むかもww 紅美鈴:いや シバイ:カウントってシバイだからベルツ領にでいいんですよね? 紅美鈴:美鈴がなんかオトさんの弱音を吐ける相手になったのが意外だったww アンビGM:いいんじゃないでしょうか? シバイ:はいな>カウント アンビGM:基本は頼りませんw クエリ:公としてのご意見番がシバイで、私としてのご意見番が美鈴か クエリ:いいなー シバイ:おかしい、友達のはずがw クエリ:しかも今回でアトラのブレなさを再認識できたし、キャラを立てるという意味では大成功でしたなー 紅美鈴:よほどのことにならないと大丈夫だろうからプライベートで大体同じ立ち位置くらいに立ってアドバイスするんだろうなw アトラクシア:戦闘屋は楽でいいw 紅美鈴:次も美鈴かなー。あるいはホロか。 シバイ:アトラクシアはぶれなさすぎてあっぱれでしたなw アンビGM:荒い部分も多かったと思いますが皆さんとセッションできて楽しかったです シバイ:こちらこそ! 紅美鈴:やー。楽しい。 クエリ:いえいえーありがとうございました! アンビGM:次回はあるかなぁ GM楽しいがしっかり組まんときついですね クエリ:GMもみなさんもお疲れ様ですの! アトラクシア:ありがとうございましたーw アトラクシア:四人が適正でしょうかねぇ クエリ:クエリの成長は国力の向上を密接に関係してるから、慎重にしないとだなー 紅美鈴:4~5人だろうね。 紅美鈴:その辺きらくっすわー アトラクシア:ニンスレ含めてもう2キャラほど作ろうかねぇ シバイ:次は私もGMやってみようかとおもっちょります アンビGM:5人はきついですねぇ アンビGM:手札が多い多い 紅美鈴:では次いつやります? シバイ:capさんにご助力いただきつつ、そのうちで! 紅美鈴:あいよ シバイ:じつは突貫で夜やれないかと思ってたりしたがむりめw クエリ:国力向上の特技とかもかなり有用だからね、アーティファクトも所持重量限界の関係もあってしばらく頭打ちになるから、工房錬金術士や国力向上での国としての地力強化を図るよ ルサルカ:まあ楽しめたんじゃないかしらー? ルサルカ:なしてこの画像w ルサルカ:こっちこっちw トール・ギス:流石にキツイねえ アトラクシア:……そろそろ隣国とか出てくる頃合いかしらwww ルサルカ:でてくるんじゃねw アンビGM:とりあえずこちら落ちますー シバイ:国対国か アトラクシア:戦争経済待ったなしw アンビGM:御疲れ様でしたー ルサルカ:風神さんが寝るし、ちときつめじゃなかろうか。 シバイ:はいなー クエリ:っと、私もおちます~ どどんとふ:「アンビGM」がログアウトしました。 アトラクシア:おさらばw クエリ:うん、もう今から風呂入って寝るのでばいばいですの クエリ:またこんどね! おやすみなさーい クエリ:ありがとうございました!