約 488 件
https://w.atwiki.jp/kinsho_second/pages/508.html
「建宮さん、事情は分かりましたから切ってもいいですか? こっちもちょっと忙しいので」 『んな? ちょ、おま、その態度は』 建宮の電話を切った後で対馬は目の前の人物に謝った。 しかし目の前の人物は特に気にした様子も無く対馬、そして浦上に中断した会話を再開させる。 「気にしなくていい。これはあくまで個人的な会話だからな。むしろそんな風に謝られると私も困るんだがな、同僚としては」 「す、すみません寮監さん。寮監さんの話の腰を折ったのがとあるバカの電話だったものですから謝らなくてはいけないと思いまして……」 (対馬の気持ちが痛いほど分かるなぁ) 対馬と浦上、あれから常盤台の寮監と今後についての話をしていたのだ。 寮監の見た目、そして醸し出される強者のオーラに緊張していた二人だが話してるうちに段々と緊張が解けてきたようだ。 今、寮監が話してるのはこの寮の問題児こと美琴と黒子の扱いについて。 「そういえば君達は御坂と白井とは知り合いのようだな」 「「ええ、まあ」」 「ならば何も言うまい。もしあいつらが門限破りしたら容赦なく折檻して構わん。レベルは高いが問題児だからな、あいつらは。強いんだろう? 君達」 寮監は対馬と浦上が天草式魔術の使い手だとは当然知らないが、佇まいから只者ではないと見抜いていた。 二人は途惑いながらも頷くと、最後に寮監にこんなことを勧められる。 「じゃあ今日はこれまでにしよう。引き止めて悪かったな。それと住み込みで働く件、考えておいてくれ」 寮監が去った後で対馬と浦上は住み込みで働く件について話し合う、建宮からの話はひとまず置いて(対馬のみ)。 「住み込みかー、悪くないよね。本当の目的の『御坂さんと白井さんを護る』を考えたらそうするのがいいと思わない?」 「そうなんだけどさ、あの二人って護られるほど弱くないよね? どうして初春ちゃんは私達にあの子達の護衛を頼んだのかな?」 「世の中に絶対なんて無い。万が一が起きて上条当麻が危機に晒されたらそれこそ大変でしょ? 初春はそれを危惧して私達をここに派遣したのよ」 「そっか、それなら納得。ところで対馬、建宮さんからの報告の件、プリエステスに伝えなくていいの? ついでに住み込みの件も相談しようよ」 「あ……忘れてた」 神裂に常盤台の寮での住み込みで働く件について相談しようとする対馬と浦上だが、気持ちは殆ど決まっていたりする。 対馬は建宮から言われたことをようやく思い出すと、神裂へと連絡を取る。 「もしもし? ああ、対馬ですか。せっかく飾利に頭を撫でてもらっていたというのに無粋ですよ。もっと撫でてもらいたかったのに」 『す、すみません……? そ、それよりも大変です。建宮さんから怪しい魔術師を発見したとの報告が』 「怪しい魔術師? 成程、それは大変ですね。相手の特徴は? それとその魔術師がいる場所は?」 『魔術師は神の右席候補では無い模様。所持してるのは黒曜石のナイフ。潜伏先は上条当麻の通う高校の近くにある公園です』 電話に出た神裂の締まらない態度に対馬も驚くが、その後の切り替えは実に見事なもので感心しきりだった。 ゆるみ切っていた神裂だが、魔術側に関する会話だったのですかさず席を外すくらいはやっていたりする。 神裂は対馬からの報告を受けると、対馬と浦上には天草式のアジトの一つで待機を命じた後で敵と思しき魔術師について考えを巡らす。 「黒曜石を使う魔術師、確かアステカの魔術師がそのような物を使っていた記憶が……」 「それならきっと海原・エツァリ・光貴さんですね。あの人が魔術師だなんて知りませんでした」 「か、飾利! あなたいつから……」 「火織お姉ちゃんが出て行ってから少し経ってからですよ。他には誰も居ないので大丈夫です」 いつの間にか初春が近くに居ることに驚きを隠せない神裂だが、初春以外に誰も居ないことに安心した。 気になったのは初春の口から出てきた名前だが、それについては初春から先に説明がなされた。 「実は去年なんですけど、黒曜石のナイフという珍しい落し物があったんです。その持ち主も珍しい名前だったから良く覚えてるんですよ」 (エツァリがおそらく本名でしょうけど、成りすました人間の名前を混ぜて名乗ったりするとは相当の間抜けなんでしょうか?) 海原のあまりの迂闊っぷりに神裂は無視しておいても大丈夫な気がしてきた、冗談抜きで。 そんなことを考えているうちに初春が神裂に頼みごとをする。 「火織お姉ちゃんには五和さんに海原・エツァリ・光貴さんの所に向かわせるように指示して欲しいんです」 「それは構いませんがどうして五和を?」 「あの二人、似た者同士なんです。五和さんは当麻お兄ちゃんが好きで美琴お姉さんを殺したがってる。海原・エツァリ・光貴さんはその逆ですね」 「……その二人を会わせたらまずいのでは? コンビを組んで二人に襲い掛かりでもしたらそれこそ一大事ですよ」 初春が五和に直接言わずに神裂を通して指示を出しているのは、五和が初春のことを嫌ってるから。 そのことで神裂、建宮、対馬、浦上は頭を悩ませているが当人達はそのことを知らない。 初春の提案に神裂は疑問を持ったが、それは初春の考えで払拭されることに。 「五和さんは当麻お兄ちゃんと結ばれたいから美琴お姉さんを殺したい。エツァリさんは美琴お姉さんと結ばれたいから当麻お兄ちゃんを殺したい。これって変ですよね?」 「変、ですか? 別にどこも……ああ、そうゆうことですか(そして飾利、あなたは恐ろしいことを考える子なんですね……)」 「そう、あの二人は矛盾してるんです。お互いにとっての邪魔者を殺したらそこには何も残らない。分かりやすく言うと二人は潰し合う立場なんですよ♪」 「つまり飾利は二人をぶつけて共倒れを狙おうと……分かりました。五和にはこちらの目論見が分からないように伝えておきましょう」 初春がいつの間にか裏モードに入ってるのを感じると、神裂は目の前の少女の将来が心底心配になってきた。 神裂は初春のやろうとしてることを理解し、五和に連絡を取ろうとしたがそれより先に浦上から連絡が入る。 『すみませんプリエステス。先ほど対馬が聞きそびれたことを聞いてもいいでしょうか? 私達、常盤台の寮で住み込みで働いていいですよね?」 「……好きにしなさい。それが私達の主目的の為なら私は咎めません」 浦上の緊張感に欠ける電話内容に神裂はまともに取り合う気が無く、何も考えずにオッケーを出した。 気を取り直して神裂は五和に海原討伐の件の命令を下す為に電話をかける。 ちょうどその頃、五和はというと繚乱家政女学校で神のごとき扱いを受けていた。 「ほらーそこー!!休んでる暇があったらホコリを一つでも落とすんだぞー!!」 「は、はい!!」 五和は土御門舞夏に徹底的にしごかれていた。 「なんで中等部の舞夏が高等部にいるの?」 「中等部では一番成績がいいから新人に教え込むよう校長に頼まれたそうよ」 「ほらそこー!!喋ってる暇があったらシミを一つでも落とすんだぞー!!」 「「はい!!」」 (なんで私が家政婦なんてやらないといけないんですか!!それならいっそのことあの人に近づいて寝取ればあのビリビリ貧乳中学生にギャフンと言わせられたのに……!!まあ普通に考えれば能力開発なんてやったら身が持ちませんけどね。まああの人のそばにいられるならそれもありかな……) と五和が恐ろしい事を考えてる時にプリエステスから連絡が来た。どうやらアステカのイカれた魔術師(五和自身もそうだが…)が何やら企んでいるようなのだ。 「すいません、今日は具合が悪いので早退させて頂きます!!」 「逃げるなー!!」 こんな感じで取り敢えず外に出たのであった。 外に出たらすぐに電話に出た。 「プリエステス、いったい何の用ですか?」 『五和、上条当麻を殺そうとしている魔術師がいます』 「なんですって!その魔術師は今何処にいるんですか!?」 『第7学区の○○です』 「わっかりました!」 そう言って五和は電話を切り、すぐさま目的地に向った。 154 :φ:2010/02/26(金) 15 32 08 ID 1ccdMZQs その頃、五和の目的地では… 「遅い…遅すぎます…上条当麻を殺すならもっと気合を入れないといけませんね。」 などと言ってる間に 「にゃー、昼飯食って、デートして、夜辺りにパーティーだにゃー」 「パーティーってなんか恥ずかしいなー///」 「恥ずかしがってる月夜もいいぜい!!」 「やだー!!元春ったらー!!」 「(あの野郎…自分は彼女とデートですか…もしや自分は遊ばれていたのでは…?殺さないと気が済みませんね…)どうも土御門さん」 「よう!!ってありゃー?海原はカミやん狩りしてたんじゃなかったかにゃー?」 「元春ったらまだそんな事言ってたの…?」 「今回はちゃんとした理由があるんだぜい?最近カミやんは調子こいてる上にキャラ崩壊しちまってるにゃー!!」 「あー、確かに…」 そんな事を言ってる間に…海原の黒曜石のナイフは光る。 「月夜!!逃げろ!!」 「へっ?何言ってるの元春?ってうわわわー!?」 何か飛んできたー!!と言いながら白雪は氷の壁を自分と土御門の前に作った、だが粉々にされてしまう。被害は無いが… 「そんな事より土御門さん。貴方を上条当麻より先に殺してしまいましょう…」 海原、実は上琴が付き合ってからちょっとおかしくなってしまった。その為そんな結論にたどり着いたのだろう。 「…海原、お前に腕のいい精神科医を紹介してやるぜい」 「そんな必要はありませんからご安心をっ!!」 そんな無駄だ愚痴叩いてる間にも黒曜石のナイフは容赦なしだ。 「うおっ!!」 「どうしましたか土御門さん?貴方ってこんな程度でしたっけっ!!」 そんな時、レベル5の雪女が… 「私の元春に手を出すなぁぁあああああああああああ!!」 「うおおっ!?」 こちらとて腐ってもプロの魔術師、月夜の氷付け攻撃を見事にかわす。 「流石は元春の命を狙うことだけはあるってとこかなー?」 「こちらも少々驚きましたね。土御門さんの彼女さんはどうやらお強いようで…ッ!!」 海原は標的を変更して黒曜石のナイフを白雪に向ける。 「無駄無駄ーッ!!」 こちらも身代わりの氷で攻撃をかわす。 (うーん、でもこれだけじゃ元春の命を狙った大馬鹿野郎に傷一つ付けられない…よし!!ここは新技の白い竜巻だ!!) 「とりゃー!!」 「雪?そんなもので自分に傷一つ…ッ!?」 計画通り、雪の竜巻は海原を包み込んだ。 「台風の目ってさー、空気が無いらしいよ。そんな所にいたら窒息死確定だね♪でも安心して、元春殺そうとした奴には痛いお仕置きがいいよねー!!」 「 ッ!? ッ!!」 竜巻の中で海原の声は聞こえない。だが言ってることは何となく分かった。 「私ってさー。その雪の一部を鋭い氷にも出来るんだよ♪」 直後、海原は鋭い氷の餌食になった…。 …数分後 「あははー…さすがにやばいかなー…?」 「月夜、これからは力の向上じゃなくて料理の仕方を覚えて行こうぜい…」 「はーい…」 海原は死んではいないものの、年末年始同様病院生活を送ることは間違いないだろう…。 「まっ、ザマーミロって感じだけど…昼飯でも食いにいこうかにゃー?」 「はーい♪」 海原のことはあんまり気にしていない二人だった。 「あれっ?」 五和は土御門と白雪が行ってしまってから二分後に着いた。 「少し遅かったのよね。」 「あっ、建宮さん。遅かったってどういう事ですか?」 「実はな、カクガクシカジカと言うわけなのよね。」 「ええっ!?土御門さんの彼女が片付けた!?」 「そうなのよね。上条勢力、正に最強なのよね……。」 五和は素直に同意した。 「ん?もう一時半か……。そろそろ出るか……。と、その前に美琴に連絡だな……。」 プルルル…カチャ 『もしもし、当麻?』 「ああ、俺そろそろ出るけど場所とか変更ないな?」 『無いわよ?そろそろ私も着くから、待ってるわね♪』 「わかった。愛してるぞ、美琴♪」 『私も愛してるわよ♪じゃあね~』 「じゃあな~」 プツッ、ツーツーツー… 「さてと、行きますか。」 当麻の会話を終え、待ち合わせ場所に向かう美琴に一本の電話が入ってきた。 画面に表示された番号を見た美琴は不思議に思いながらも電話に出た。 「もしもし打ち止め? どうしたのよ? あんた達とは待ち合わせ場所で落ち合う約束でしょ?」 『それなんだけど急遽予定変更ですってミサカはミサカはママにサプライズプレゼント的なことを伝えてみる!』 「サプライズ? 聞くだけ聞くけど、下らないことだったらお尻ペンペンだからね」 『ううっママが怖いってミサカはミサカは怯えるけど、ミサカ達はあの人と合流して『喰わせ殺し』に行くからパパとママは二人っきりだって報告してみる』 打ち止めの提案、実は意外にも一方通行が出した考えなのだが決して上琴に気を利かせてとかそんなことは考えていない。 パーティー会場として『喰わせ殺し』を使うにあたって、アポを取らないと話にならないということで昼食ついでに交渉しに行くつもりなのだ。 相手はあの豪快を絵に描いたような店長だし、インデックスも連れて行くのでまず大丈夫だと一方通行は踏んでいたりする。 「ありがと打ち止め♪ 今度ママとパパで一緒にお出かけしよーね♪」 『わーいわーいってミサカはミサカは予想外の嬉しい約束に驚きながらも、パパにはこのことは内緒にした方がいいよってアドバイスを送ってみたり』 「そうね、その方が当麻もいい反応してくれそうだし。打ち止め達と会うのはパーティーの時になるわね。じゃあまた後で♪」 予期せぬデート成立に美琴は電話を切った後で人目もはばからず喜びを露にする。 テンションがハイになった美琴はスキップしながら当麻との待ち合わせ場所に向かった。 一方の打ち止め、インデックス、ステイルは一方通行と合流し、『喰わせ殺し』に足を運んでいた。
https://w.atwiki.jp/bonjiro/pages/32.html
結局購入したのはそこそこおしゃれな、いってみれば普通の服もろもろ。 「ありがとなー美琴。今度の土曜はこれ着て行くよ。」「そうしてー。今から楽しみー。」 そして上条と美琴は二人して帰るのだが。 途中でこんなものと遭遇した。 『今、期間限定クレープセットを買ってくれた人はゲコ太ストラップをプレゼント』 上条「・・・・・」 美琴「行くわよ」 上条「はぁ。やっぱりですか」 重度のゲコ太マニアの美琴はこれを見逃すはずがない。 御坂妹「おや。その声は、とミサカは振り返ってみます」 そしてその美琴のクローンである御坂妹も見逃すはずがない。 店員「はい。今ので最後のゲコ太ストラップとなりました」 「「・・・・・・・・・」」 上条(修羅場ですかーーー!!ひさびさの不幸だーーー!!!) 美琴(またデートの邪魔をしないわよね・・・。しかもちゃっかりゲコ太ゲットしてるし) 御坂妹(またデートですか。あの時は邪魔できましたが、今回は双方の同意の下。どうしましょうか、とミサカは警戒心を燃やします) 上条「あの~。この重苦しい空気はどうすれば・・・「とうま(当麻さん)はだまってなさい、ッ!(こいつ、いつの間にとうま(当麻さん)と呼んで!?)」 敵対心丸出しの2人を横目に観察中の天草式は 浦上「修羅場ですね」 建宮「ここにプリエステスと五和が・・」 浦上「くだらないこと考えてないで、これどうするんですか?」 建宮「こういうのは男の方が解決するもんだよな」 浦上「ですよね。それにしてもそっくりさんがやるってのも珍しいんじゃないですか?」 そして、残りのストーカーはというと、 白井・青ピ「「(あの)お嬢様が2人!??」」 妹達の存在を知った。 現状。 御坂・ミサカ・上条 : 絶賛三角関係! 建宮・浦上 : それを望遠鏡で見ている天草式の二人 青ピ・黒子 : 同じく三角状態を発見した二人連れ (かか、上条さんはどうしたらよいのでせう??) 彼の前には服装以外(ミサカは相変わらず制服)全て同じ2人の美少女。 美琴と交際している彼としてはここは彼女の側に立たねばならないなぁー。と思っていたのだが、 「アンタ、いつからこの子に『当麻さん』って呼ばれるようになったの?」 「ずーっと前からですよ、とミサカは間髪いれず回答します。」 「そ・う・な・の?」(人を殺せそうな)笑顔で当麻に尋ねる美琴。 「っ!!ちょっと待て御坂妹!勝手に話作んじゃねえ!・・それと美琴、バチバチ言いすぎぃいいいいい!!」 「そんな、あの夜のことをお忘れになったのですか!?とミサカはつぶらな瞳をあなたに向けます!」 「このエロ男が……そんなに妹って響きが好きなのかぁああ!!!」 「違うってば美琴!!御坂妹が勝手に話作ってるだけだ!!」 「そんなことはありませんとミ…」 「「御坂妹(アンタ)は黙ってろ!!!!」」 「アンタってホント色好みよねえ?」 「だぁー、だからなんでそうなんの?美琴以外とは完全に事故ですよ!事故!!」 「…うれしい事言ってくれんじゃない、そーよね偶然よね、ボールがぶつかって居乳の子の胸にダイブしたり、シスターさんと歩いていたり・・・・・」 「だから違うってば!」 「じゃあこの子(妹)の言ってる事はどーなんのよ!?」 「全部ウソだ!美琴以外には一切恋してねーよ!!コレ間違いナシ!!」 「え………あ、そうなの………」 「まったく痴話喧嘩かと思えばおのろけですかこいつら、とミサカはあまりの二人のヒートアップぶりに失望します。」 「「あんた(お前)が原因でしょーが!!」」 「あっさり撃破しましたねあの二人。」 「撃破というかなんというか、なのよな。」 「お姉さまが二人ぃいぃいいいい!!☆☆☆☆☆」 「落ちつきなはれ白井はん!!!って後から来た方(御坂妹)が失意のうちにコッチ来とんで!」 その通り、もはや二人を止めるのは不可能だし、このままではゲコ太をとられると判断した妹は(とりあえず一時撤退して他のミサカとともに反撃するのが得策でしょうとミサカは内心の絶望を抑えつつ結論を出します。・・・・・おやおや?あれはいつもお姉さまにひっついてる子ではないでしょうか?とミサカは判断し、) 「そこのお二人はカップルのようですが、とミサカはあまりにアンバランスな組み合わせに疑問を呈します。」 「「立ち直りはやっ!!!」」ケロッとして青ピと黒子の評価をしだした御坂妹に驚愕する二人。 「あなたはお姉さまの何なのですか?」「あんまそっくりやさかいびっくりしたわあ。」 (この場合、正直にクローンと言うべきなのでしょうか?とミサカは思案します。) 「適度に遠い親戚です、とミサカはごまかします。」 「いや、ごまかせてへんから。」 「ですの。」 「あんたら、ここで何やってんの?」妹と黒子の遭遇に気がついた美琴がやってきた。 「おっ、青ピ、白井とデートか?」手振りで妹に『早く行け、早く。』と合図しながら上条が言う。 「カミやんに言われたないわ!!」 「あれ?あの方は?」 「一体全体、あの方は何者ですの?私てっきり噂のお姉さまのクローンかと。」「そっ、そんな訳ないでしょ。ハハ、ハハハハ」 ここは先ほどの店のある公園。 黒子と美琴・青ピとカミやんとでそれぞれ別のテーブルに座っている。 「にしてもさみーなー」「せやなー。」買ってきた缶コーヒーで手を温めながら男連中はぼやく。 「カミやん、調子はどない?」「あ?何のこと?」 「デートでんがな、デート。」「うぐっ!いや、そう言うんじゃなくてただ単に買い物だから!」 「いやいや、どー見ても……」「おめーらもな。」 「「なな何をゆうてますの(仰ってるんですか)!!??」」 どうも美琴達のほうも同じ話題に入っていたらしい。 上琴「「でさ、あんたらどこが良いわけ?」」 白青「「だから違いますゆうてんねん(違うと申し上げてますの)!!」」 上琴「「どっからどー見てもカップルだよ」」 白青「「あんたらに言われたないわ(ありませんの)!」」 上琴「「だってこっちはカップルだしー」」 「っ!!だめや!こいつら白昼堂々のろけよった!!」「ホントにこの殿方(青ピ)とは何でもありませんの!!」 「何でもないってひどいわ白井はん!」「あなたは黙って下さいまし!!」ボコッ!! 「黒子―?彼氏殴ったらまずいわよー。」「いや、おめーも言えた義理じゃね・いて!いててて!!ひゃめろふぃこと!!ぎゅりぎゅりふぃなぎゃら電撃ふぃるふぁあ!!(やめろ美琴!ぐりぐりしながら電撃するなぁ!!)」 「ですから彼氏ではありませんの!!(グリグリグリ)」「やめて白井はん!!頭が割れるぅウううう!!」 「どう見たって彼氏だってー。ねえ当麻―?」「ふぃとひょぎゅりぎゅりひひゃがらひゅーなー(人をぐりぐりしながら言うなー)!」 「何か面白いことになって来ましたよ。」「なのよな。彼女にいたぶられるのは彼氏なら必ず通る試練なのよ。」 うわーっっ!!!建宮さんがやけに雄弁だー!!という浦上の声は建宮のソウル(拳)でかき消された。 「で、これからどうすんだ?」頭をさすりながら上条が言う。 「そーねー、門限も近いから…」「お泊まりはご法度ですのよ。」 「なっ!何いってんのよ黒子!!そんなつもりないんだから!!アンタこそそっちの青髪ピアスんちに泊まろうとしてたんじゃないの!?」「ちがいます!ですからこの方は単なるお知り合いですの!!」 ぎゃあぎゃあ言う二人。 「カミやん、なんやかんや言うてますけど…」「仲いいよなこの二人。……二人とも落ち着け。」 「「はぁ。」」 「んじゃ、ここで解散にしまひょ。ここの道を左行けばお二人さん(白美)の寮でっせ。」 「「「「それじゃ。」」」」 「黒子―?あんた人の邪魔すんじゃないわよ。」別れてしばらくしてから美琴が言う。 「へんだ。お姉さまったら公衆の面前であんなにいちゃいちゃして。恥ずかしいったらありゃしませんの。」「……やっぱりあんた尾けてたんだ…」 「ええ。それよりこれからこの服をどうにかしなければ。」「よね。」 現在二人は私服。 途中着替えるためにホテルによった(!!)ため結局門限に間に合わず寮官に見つかり、次の日=日曜日、二人して罰を受けさせられる羽目になった。 その罰とは……!
https://w.atwiki.jp/kinsho_second/pages/1175.html
その頃の寮への帰り道で初春はあることについて考えていた、麦野の件である。 (正直なところ、麦野さんの件がすんなりと通るとは思わなかったなぁ) 学園都市第四位の麦野は普通ならこのような真っ当な道を歩むには相当な無茶がかかる、何せ暗部にドップリと浸かっている身なのだから。 ゆえに今回のことはあくまでダメ元だったのだが、何の障害も無く友愛高校の売店の売り子に麦野がなれたのだ。 (きっと多分、アレイスターさんの仕業なんだろうなぁ。友愛高校はあの人にとって体のいい実験場なのかもしれない……) 初春の考え通り、友愛高校はアレイスターにとって格好の場所になりつつあった、プラン推進の場として。 一方通行、浜滝、半郭、木山、芳川、結標、そして今回の麦野、真っ当な人生に身を置いていない人間が続々やって来ること事態が異例である。 それらも全てはアレイスターの差し金では無いのかと思った初春は改めて学園統括理事の恐ろしさを実感するが、今の彼女はそこで挫けるほど弱くはない。 (でも……何もかもアレイスターさんの思い通りにはさせない。あの人にとって私は無力に等しいけど完全に無力じゃない! やれるだけのことはやろう、私の大切な人達のために) 改めて決意を固めた初春、気付けば自分の部屋の前に立っていることに気付きドアを開けると、 「お帰りなさいなの初春さん。今日はあたしがご飯作るの! 大丈夫、明日は絶対に負けないの!」 「は、春上、さん……?(どうしたんだろう? 一体。けど今は下手なことは聞けないからまた後にしよう)」 神裂との決着に意欲を燃やす春上が出迎えたが、彼女らしからぬテンションに面食らう初春だった。 ―――――――――― その数分前、土白に神裂からの決行メールが届いたが日時を見た瞬間、少しげんなりする二人だった。 「「……不幸だ」」 その時間は、ちょうど特売をやっている時間だった。 学生は少しでも食べるものを欲していると言うのに、なんとも言えぬ不幸だった。 ___________ その頃上条は、家に帰り神裂の例の事を話していた。 「……やっぱりそうだったの」 「やっぱりって……どういう事だよ?」 「春上さんって私の知り合いでさ、今日相談しに来たのよ」 「知り合い?付き合いだしてから一回も春上って子の事を一度も聞いたことがなかったのだが?」 「うん、ちょこっと事情があってね・・・・・・、この事を断り無しに話すのは何なんだけど・・・・・・少し省略して話すわね。」 「お・・・おう」 「去年の8月上旬ぐらいだったかな、飾利のルームメイトになったのよ。彼女少し悩みを抱えていてね。幼馴染が去年の夏まで行方不明だったの。飾利はその幼馴染を一緒に探すことを約束して調べだしたんだけど、その幼馴染はある事件に長いあいだ巻き込まれていて、その事件を私と飾利・黒子・涙子・固法先輩とあー、あと木山先生とで解決したわけ。」 「木山先生も?」 「うん、その幼馴染の担任だったからね。だから春上さんは親友であり恩人の一人である飾利を、いつも虐めている先生のそばには行かせたくないと思ってるわけなのよ」 「なるほど、恩人で親友である飾利が虐められるんじゃないかと心配だと、確かにその気持ちはわかるな」 「でしょ、誤解なのに頑なになっていて話を聞いてくれそうにないって訳」 そこへ同じタイミングで上琴それぞれの携帯にメールが入った、主な内容は明日の件についてである。 ただ違うのはとりあえずの集合場所と時間で美琴は春上の寮に10時半なのだが、 「何で俺は直接柵川中学に10時集合なんだよ……。話し合いは11時からだってのに、ハァ、不幸だ」 「きっと神裂さんも不安なのよ、だからそんなこと言わないの。……大丈夫、明日は私もサポートしてあげるから。立場上、難しいけどね」 「ありがとな美琴。けど心配はいりませんのことよ♪ こっちにはとっておきの策があるからさ」 (当麻のとっておき? 珍しく自信満々だからきっと凄い策なんだわ。期待してもいいかもね) 一時間前集合に嘆く当麻、しかし美琴の存在が彼の不幸を和らげてくれた。 しかし当麻、堕天使エロメイドを伏せたのはいいがその策をさも自分が立案したかのように言った、これが明日の大不幸フラグである。 ここで土御門考案とでも言っておけば良かったのだが、言い終えてからでは後の祭りだし本人はそのことに全く気付いていない。 「あ~あ、神裂には内緒って言われてたんだけどなぁ……。ま、明日は素直に謝るとしますかね」 「私は……言わない方がいいわね。黒子も来るし春上さんに裏切られたって思われるの辛いし」 「それがいいんじゃないか。じゃ、明日の為にも今日は一緒に風呂入ろうぜ!」 明日の為とか理由をつけてはいるが、単に美琴と一緒にお風呂に入りたい当麻、当然美琴も快く了承する。 そして今日という一日は終わりを迎え、神裂VS春上の戦いという一日が始まる。 ―――――――――― 運命(?)の朝の午前六時、起きたのは神裂だった。 集合時間は午前10時なのだが、今日が神裂にとって重要な日なので目が冴えて仕方ないというのが理由である。 「大丈夫、今日という日を乗り越えさえすれば飾利と同じ屋根の下で暮らせるのです。待っていて下さい飾利、お姉ちゃんは頑張りますから!」 いつもの服に着替えた神裂は、堕天使エロメイドの入った袋をベッドの上に置くと、腹が減っては戦は出来ぬという考えのもと食堂へと向かった。 とはいえまだ早い時間なので食堂には誰も居なかったが、厨房には後ろめたい理由から会いたくない男が料理を作っていた。 「おはようなのよプリエステス! もう少し待ってて欲しいのよな、すぐに美味しい朝飯を準備するのよね!」 「お、おはようございます建宮。そういえば今日の当番はあなたでしたか。……ところで何か変わったことはありませんでしたか?」 厨房に居たのは食事当番の建宮、いつもと変わらぬ様子だったのでうっかりにも程があるレベルで昨日のことを尋ねる。 「変わったこと、ですか? そういえば堕……いやいや! な、なーんにも無かったのよね! 決してわしの秘蔵コレクションが盗まれたりなどしなかったのよ!」 「そうですか、そうならばいいのですが(やはりあれは全て後ろ暗いものだったのですね。後で改めて問い質すとしましょうか)」 (ノートの方は頭の中に完全に入ってるからまた後で書き直せばいいとして問題は堕天使エロメイドの方なのよ。あれには特別に防御魔術が施してあるし何より……) 自分の部屋の惨状とかについて何も言わなかった建宮に安心すると共に、自分のことを棚上げして説教してやろうと思った神裂。 一方、建宮は料理を作りながらも盗まれた堕天使エロメイドについて考えていたが、それがまたとんでもないものだった。 (あれは同じ人物が二度着たら一週間は脱げんからなぁ。ま、上条当麻の右手があれば問題なく脱げるから心配はいらんのだが。それにあれを二度も着るような知り合いはわしにはおらんのよ♪) ―――――――――― その頃、土御門の部屋では月夜が起きており、愛しい恋人こと土御門の素顔を楽しそうに眺めていた。
https://w.atwiki.jp/kinsho_second/pages/538.html
「本当に、本当にいいんだな?」 「何度も同じことを言わせないでよ。覚悟なら出来てるし、どんなことでも驚かないよ」 「……分かった。じゃあ先方には6時頃にそっちに向かうように伝えるぜよ」 いつもの土御門の雰囲気と違うことを感じ取った青黒は、声をかけることも出来ずにそのまま土白を見送った。 「なんやボクが声かけづらい雰囲気やったなつっちー」 「そうですわね。まるで大晦日の時のようでしたわ」 「せやったらボクらは首を突っ込んだらアカンな。そっとしとこうや」 「賛成ですわ♪ パーティーまであと3時間ありますからその辺りで買い物と洒落込みましょうか」 こうして青黒はパーティーが始まるまでの間、二人でショッピングを楽しむことに。 ちなみに土御門、青黒が聞き耳を立てていたことは気付いており、内心で出てこなくて良かったと安心していた。 時は午後6時、場所は昨日初春達が情報屋を呼び出したマンションの一室、月夜は土御門と共に訪れていた。 月夜はそこに集まっていた面子を見て、驚きを隠せない様子。 「どうしたにゃー月夜? ねーちん達が居るとは思ってなかったぜよ?」 「いや、神裂さんや建宮さん、それに対馬さん、浦上さんは分かるよ? でもどうして初春ちゃんと木山先生が?」 「やあ、お邪魔してるよ」 ここに集まっていたメンバーは土白、天草式学園都市支部、初春、そして木山だった。 土御門も木山がここにいることは驚いていたので、おそらく連れてきたであろう初春に尋ねる。 「初春ちゃん、どうして木山先生がここにいるんだにゃー?」 「私はむしろ土御門さんが白雪さんを連れてきたことに驚いてますよ。もともと今日の集まりは木山先生にこちら側の事情をよく理解してもらう為のものですし」 「そ、そうだったのか。実はな、パーティーの開始時間が八時に変更になってさ、時間が出来ちまったぜよ。それで頃合いと思って、な」 土白がここを訪れた理由、それは月夜にこちら側、つまり魔術側ならびに暗部の事情を話すのが目的だ。 二人が来る前にすでに木山には事情、ならびに協力を約束させていたりする。 「他に禁書目録やステイル、それにカミやんやアクセラも俺達の関係者だ。まあオルソラの乱で見かけた人間は全て関係者って思ってくれていい」 「それってシェリーさんやオルソラさんも?」 「当然。他にも学園都市には関係者が何人かいるが、それは追々話すとしてだ。月夜、今なら後戻りできるけど大丈夫か?」 「う、うん。決めたから。私は元春と共に生きていくって。たとえそれがどんな世界だとしても気持ちは変わらないよ」 月夜の強い決意を秘めた眼差しを見た土御門は、心の中でそれを少し嬉しく思いながら、魔術について、ならびにその世界がいかに危険であるかを話した。 ちなみにステイルとインデックスはインデックスが『喰わせ殺し』で寝てしまい、ステイルも動けなくなったので参加していない。 土御門の話を聞いた月夜はただただ驚くばかりで何も言えずにいた。 「というわけだ。……まあ月夜の反応は普通だな。むしろ初春ちゃんのように怖がりながら受け入れる方がいかれてブフォッ!」 「飾利姫に何てこと言いやがるのよ! あの方は人よりちょっと心が頑丈に出来てるだけなのよな!」 「まあまあ建宮さん落ち着いて下さい。土御門さんの言い分にはちょっと納得出来ませんけど……。それよりも白雪さんには見てもらいたいものがあるんです」 初春のことを悪く言われた建宮が土御門を殴ったが、彼女自身はそれほど気にした様子は見られなかった。 そして初春は神裂の膝の上から降りると、月夜と神裂を連れて別室へと連れて行くと突然上着を脱ぎ出した。 何事かと驚く月夜だったが、初春の包帯が巻かれた体を見てまたまた驚くことしか出来ずにいた。 「やっぱり驚きますよね? これ、実は一昨日、魔術師に襲われて出来た怪我なんです」 「え? 襲われたって、どうゆうこと? どうして初春ちゃんが?」 「魔術、それに裏の世界に本格的に関わるとはこうゆうことです。飾利は殺されかけてますが、泣いたりはしませんでした。私が助けた後で震えはしましたが」 「土御門さんは白雪さんにこんな目に遭って欲しくなくて今まで遠ざけていたんでしょう。私は天草式の皆さんとの誓いがあるからここにいられます。魔術と科学が分かり合える日が来るまで戦い続けます」 服を着ながら初春は月夜が今まで見たことの無いような真剣な表情で話し続ける。 そこへ土御門が入ってきて、さらに真剣な様子で月夜の最終的な覚悟を確認する。 「月夜。初春ちゃんはもう引き返せない所まで来ちまってる。実際殺されかけて、それでもこちら側に残ると宣言した。天草式、特にねーちんと建宮の護り抜く意志を汲んで正式に仲間と認めた」 「白雪さん、あなたは確かに強い。ですが本当に死ぬような目に遭って、心が挫けないか心配です。飾利はあくまで特殊というか……か、飾利、そんな怖い目で見ないで下さい」 「まあ、そうゆうことだ。月夜、これで最後だ。俺達と一緒にこちら側の世界で生きていくならこの手を取って……!」 土御門が言い終わるや否や、月夜は彼の手を強く握ってきた。 初春は結果が分かっていたかのような顔を土御門に向けていた。 「確かに怖いよ。でも私は、何も知らずに元春を失うのが怖い。何も知らずに元春と付き合っていくのは辛い。だからお願い、一緒にいさせて」 「……ああ、分かった。これからはお互いに支え合っていこうな。たとえどんなことがあろうとお前は俺が護ってやる」 そして二人は誓いのキスをした―――――― 「熱いですねー…」 「はい、とことん熱いです…」 「見ててあきれるのよね…」 「貴方の口からそのような事が出てくるとは驚きました。」 「プリエステス酷いのよね!!」 「確かに驚きましたね」 「姫まで酷いのよね~!!」 「ところで、木山先生はどうやって魔術の存在を知ったんですか?」 健宮は見事にスルー(ちなみに健宮は研修終了) 「ああそれはだな、『0930』事件の時に学園都市では数え切れないほどの人が意識不明で倒れたな、更には外にまで、そしてこれは外の能力者のチカラと来たもんだ。それで気になって調べたんだが…AIM拡散力場の反応が無かったんだ。それで新たなる違うチカラがこの世には存在すると知ったんだ。」 まあ魔術だとは思ってなかったけどな、と言って華麗なる推理を締めた…。
https://w.atwiki.jp/kinsho_second/pages/541.html
覗く者がいなくなった個室内ではこんな会話が。 「ところで飾利、御坂嬢がこんな風(幼児化)になるのはお酒が入った時では?」 「そうなんですよね。私も驚いてます。半分ねかけてますし。」 「妙ですね。今日はドリンクバーにしてお酒はなかったはずですが…店長に聞いてみます。」 そう言って神裂は個室の外に出て店長と話をする。 現在上条達で貸し切り状態なので人目を気にする必要もない。 「今日のドリンクバー、もしかしてお酒入ってませんか?」 「あー、実はねぇ…店の者が間違えて5分間だけお酒になってた時間が有ったんだ…すみません。」 「いえいえ。人間そういうこともありますし。…で飲んだ人間は?」 「ちょうどそこのお嬢さん(白雪)のショータイムでほとんど皆さん外に出ておられましたが…。」 「が?」 「ツインテールじゃないほうの常盤台のお嬢さんが『これおいしい』とお気に召されて…都合10回ほどおかわりに来られてました…。」 「なるほど、わかりました。」 そう言って個室の方を振り返る。 が 物の1秒でまた店長と向きなおる。 「いま、個室の中光りませんでした?」神裂がおそるそる確認する。 「光りました。確実に」店長も青くなって同意する。 「まずい、中には飾利が!!」 そういって神裂はすぐに個室に向かった。 そして、個室の中を見ると… 初春が倒れていた。 「飾利、大丈夫ですか?」 「と、とりあえず大丈夫です」 初春は美琴の頭をずっと撫でていたので直接電撃を食らったのだ。 そして、個室の外から一人大きな殺気が出ていた。 「おのれ、よくも飾利姫をぶっ殺す!!」 建宮がフランベルジェを構え、美琴に向かってきた。 建宮がこっちに向かっているのに気づいた神裂は大声で言った。 「だ、誰か建宮を止めてください!!」 だが、今の建宮を止めるすべは無いのだ。一人を除いて… 「じゃあ、私が凍らせればいいんじゃないの?」 っということで、白雪は建宮を凍らせた。 「全く凄いな白雪は。…とりあえずおしぼりはやめろ五和!!!!」 「美琴ちゃんの調子がおかしいのは上条君のせいだよねー。」 「月夜さんもそう思いますの?私もですわ。」 「常々そう思っていたでー。」 「にゃー。」 「理不尽!マジでやめろ五和!!!!」 「美琴ちゃんのためにも二人まとめて凍らせようか。」 「それはナイスアイディアだにゃー月夜。ただし別々の氷に閉じ込めないといけないぜい。」 「ひとつの氷に入れたらそれこそ御坂はん悲しみまっせー。」 「了解。吹雪でバラケさせてから凍らせるよ♪」 「「ギャーッ!!!!!」」 五和と上条は別々に凍らされた。 ちなみに美琴は現在爆睡中で気が付いていない。 「舞夏、その五和さんを持って行ってくれない?ほっといても30分くらいで凍りは融けるか消えるからさ。」 「了解なんだぞー。にしても重いなコレ。」 「そりゃー胸がでかいからにゃーってゴギュ!!!!」 「元春、何じっくり見てるの?元春も凍らせちゃうよ♪溶かせる上条君いないからピンチだね。」 「ってか何で上条は凍ったまンまなンだァ?」 確かに右手で消せるはず。 「そりゃーカミやんの右手がおしぼりでふさがれてるからや。」 「なるほど。不便な右手だなァ。」 すると、 「ダーラッシャー!!」 「「「「「「「「「「何ぃぃぃいいいいいいい!?」」」」」」」」」」 五和気合で復活!!(実際には天草式の魔術があったりするが。) 「さあ!!当麻さん!!私と一緒に愛の滑走路へ!!」 ただいま上条さんは氷付け中、更には最後の砦、美琴まで眠ってしまっている。と、そこにそのまんま救いの手が!! 「「やめなさい!!」」 「ってうわわわわ!?いきなりなんですかプリエステスとその他一名!?」 「上条当麻は私達の恩人…手を出すというならば徹底的に殺ります…」 「その他一名ってのが超気に入りませんが、お兄ちゃんを連れて行くなんて超させませんよ?」 そんなシリアスな空気の中、この三人よりもものすごい殺気が現れる。 「テメェらは月夜のパーティーで何やってるぜよ?」 そこには魔術師にして能力者、能力者にして魔術師の天邪鬼、土御門元春が居た。 その後の数分間は筆舌に尽くしがたい。 あっさりさっくりまとめよう。 土御門が血を出して倒れ。 ただしそれを見たのは白雪と一方通行、打ち止めだけで。 他はほとんど瀕死の重傷を負っており。 見ていなくても無事だったのは隣の個室で寝ていた美琴と氷づけされた上条(この二人の盾になるような場所で打ち止めが一方通行に助けられていたため)と。 テレポートして逃げた白井と青ピだけ。 その7名を除いて。 他は全員、がれきに埋まった。 周囲50メートル近くが廃墟となった状況で。 白雪が見ている者はただ一つ。 「元春!?大丈夫!?」 「にゃー…。取りあえず救急車だにゃー…」 「わ、分かったからもう話さないで!!」 「まったく、土御門の野郎…」余波で氷が割れて出てきた上条が言う。 「雪女の彼氏にぴったりな強さだなァおィ…。」あきれ顔の一方通行。 「他の人助けなくて良いの?」さすがに酔いがさめた美琴 「さすがにこのままだとまずいよーってミサカはミサカは忠告してみたり。」 爆炎と共に現れたのはイノケンティウス、近くには術者のステイル、助けられたインデックスと滝壺がいた。 「やれやれ全く酷い目にあったよ。インデックスに師匠、二人とも無事かい?」 「ありがとうステイル。でもご飯もっと食べたかったんだよ。『喰わせ殺し』の店長さんにも申し訳ない気分で一杯なんだよ」 「大丈夫、いんでっくすの気持ちはきっと店長に伝わっている。それに店長さんならこんなことが起こっても笑って許してくれる」 後日、滝壺の言う通り、『喰わせ殺し』の店長も店員も笑って許してくれるのだがそれはまた別の話。 瓦礫を粉々に切り刻んで現れたのは神裂と建宮で、神裂の腕の中には初春がいた。 「土御門、もう少し冷静になってもらいたものですね。飾利、怪我はありませんでしたか?」 「この通り無事です。火織お姉ちゃんと建宮さんのおかげです。本当にありがとうございます、お二人とも」 「飾利姫を守るのが我らが使命、気にすること無いのよな。貴女の感謝の言葉でわしは腹いっぱいなのよ」 次に現れたのは対馬と浦上、彼女達が抱えてるのは気を失っている五和と舞夏だ。 「ふぅ、やっぱり土御門は恐ろしいわね。とりあえず元々の原因とも呼べる五和は後で折檻決定ね」 「……うぅ、何だか助けられたみたいだなー。どうもありがとうなんだぞー」 「いえいえ。私達は御坂さんと白井さんを寮に連れ帰らないといけませんので土御門の妹さん、五和を連れて帰って下さい」 浦上は気絶中の五和を舞夏に預けると、対馬と共に美琴と黒子の所へと向かった。 舞夏はというと五和の首根っこを掴まえて、引きずりながら自分の寮へと帰っていく。 「だーーーっ! 超酷い目に遭いました! 無事ですか涙子!」 「かすり傷程度なら負ったけど、特に問題ないよ。ありがとね最愛」 「超水くさいことを言わないで下さい。私と涙子の超仲じゃないですか♪」 『窒素装甲』を駆使して佐天を守った絹旗の顔は疲れが見えながらも、佐天の無事に安堵してる印象が見受けられる。 そこへ一際大きな爆発があったと思うと、そこには無傷の木山、周りには気を失っている芳川、小萌、黄泉川が倒れていた。 木山の様子を見て一番驚いたのは誰あろう、かつて戦ったことのある美琴だった。 「……なんで? なんで『幻想御手』も無いのに木山が……『多才能力者(マルチスキル)』になってんのよーーーっ!」 プルルルルルル ここで一人の携帯がなった・・・ 「もしもしですー。はい。はい。えー!?なんでですかー? え、でも・・・うぅわかりましたー。わざわざありがとうございましたー。でわー。」 「どうしたんですか?先生」 「月夜ちゃん。ものすごーく残念なお知らせです」 「じつは・・・level5認定を認められなかったのですー」 「「「「「「「「「「工工工工エエエエェェェェ!?」」」」」」」」」」 「他のlevelと違ってlevel5は上の認定が必要なのですが、それが認められなかったそうなんですー」 「なんでですか?詳しい理由は?」 「表向きでは、まだ能力に未熟な部分があるということなんですがー」 「表向きではというと?」 「これはあくまで先生の予想なのですが・・・」 「なになに?」 「能力の急成長と言うのは、あまり研究で認められていないんですよー ましてやlevel3からlevel5だなんてなおさらですー だから、誤認識などの面も含めてlevel4でとまっているのだと思いますー」 「でも、実際、実力はlevel5並の力があるんですし・・・」 「上は頭が固いんですよー」 「はふぅ・・・」 これを聞いていたステイルと土御門は・・・ 「(土御門、君だろ?これを仕向けたのは)」 「(良くわかったにゃー。まぁ、こっちもいろいろとコネがあるからにゃ)」 「(学園都市の頂上に直訴とは良い判断だな)」 「(いくら力と根性があるからってあまり関わらせたくはないんでね)」 「(君は昔から頭が回る・・・付き合っている僕は目が回っていたよ)」 「(だれがうまい事をいえと。それにあの時はガキのいたずらだ。今とはわけが違う)」 「なーにこそこそ話してるんだ」 そこに文字通り不幸の避雷針が来て・・・ 「まぁとりあえずカミやんのせいだにゃー!」 「理不尽!?」 「上条当麻、貴様と言うやつは白雪さんにまで迷惑をかけよって…」 「吹寄サン!?ってか何でみんな俺のせいという方向でまとまってますか!?」 「それが真実なんだにゃー。つまりだにゃー、理由とか論理とかそういう小さな小さなもろもろは『不幸体質』という一言で消し飛ばされてしまうんだぜい。 結論を言うとだにゃー。…年貢の納め時だぜいカミやん!」 「何それ!?つまり説明する気はねえんだなテメエ!!!」 「良ィことに学園都市第三位も寝てるしよォ…ここらでやっちまうか。」 「「「「「「「「「「「「「イエス、オフコース!!!!!!!!」」」」」」」」」」」」」」 「不幸だぁーっ!!!!!!!!」 久方ぶりに本当の不幸が上条を襲った。 ドッカーーーーーン 「なんでレールガンがァ!?」 「いつのまにか起きてたにゃー」 「もしかしたらこのパターンは・・・」 「よし、ココは全員で、せーの・・・」 「「「「「「「「「「「「「「「不幸だ(だァ、にゃー、やー)ーーーーー」」」」」」」」」」」」」」」 ここからの流れはいつもどおりである _______________________________________________________________________ そのころ木山たちはというと・・・ 「たぶんだが、強力な能力者がいっぺんに集まったために、AIM拡散力場が干渉しあって・・・」 解説をしていた 「そういえば、そこのシスターちょっと話があるのだが・・・」 「なに?」 「(私は能力は発現していないのだが、魔術は使えないのか?)」 「(その事なんだけど・・・多分無理かも・・・)」 「(どうしてだ?)」 「(一度でも、能力を使った事がある人っていうのはね、やっぱり脳の回路が普通の人とは違うんだよ そうでなくても、体が能力の使い方を覚えちゃってる。魔術と超能力は似てるけど微妙なところで違うから 無意識にミスが出ちゃうんだよ。両方使えるとなるとものすごく器用な人くらいかも)」 「(そうかそれは残念だ)」 「な、なんか微妙にほめられた気がするにゃーバタリ」 こうしてパーティーは無事(?)に終わったのだが、ここで小萌から連絡が入る。 「じゃあみなさーん。明後日は楽しい楽しい能力強化合宿ですよー♪ 明日のうちに準備とかちゃんとするですよー」 当麻達の学校、二日後には『能力強化合宿』というハードな合宿が始まるのだ。 疲れを出来るだけ残したくない当麻の学校の生徒達はそれぞれに自分達の住む場所へと帰って行く。 当麻の学校の生徒で無いパーティー参加者も疲れたのか、自分達の住む部屋へと帰って行った。 「さて、と。じゃあ俺も帰って寝るとすっか。んで明日は合宿の準備っと」 「じゃあ私もー♪」 「待て待て待て! 何サラッとお泊りしようと画策してるんですか美琴さん!」 美琴が違和感なしで付いてきたことに焦った当麻は内心で嬉しく思いながらも、恋人の暴走を未然に防ごうとした。 そんな当麻に助け舟を出したのは黒子、対馬、浦上なのだが、これが当麻のこの日最後の大ハプニングの始まりだった。 「ダメですわよお姉様。寮監様からお電話がありまして門限破りは対馬さんと浦上さん同伴で許してくれますが、外泊は禁止されてますわ」 「うっ……残念」 「それなんだけどね御坂さん。そんなにガックリしなくても大丈夫。むしろ大変なのは上条さんの方だから」 「上条当麻、あなたに寮監さんが会いたいそうよ。私達と一緒に常盤台の寮に来なさい」 対馬の宣告に顔を青くしたのは当麻ではなく、寮監の恐ろしさを文字通り体で知っている美琴と黒子だった。 「当麻、死ぬ気で戦いましょう! あの寮監ならそれで勝てるかどうかのレベルだけど、私達の愛は負けないもの!」 「お姉様! それは自殺行為ですわよ! お願いですからそのような早まった考えはお止め下さいな!」 (この二人がここまで言う常盤台の寮監ってどんな奴なんだ? 聖人や神の右席レベルの相手なのか?) 二人が恐れる寮監のイメージを知り合いの聖人と神の右席のメンバーで想像したが、想像だけで恐怖を覚える羽目に。 しかしそんな当麻を対馬と浦上が落ち着かせる言葉を投げかける。 「そんなに固くならなくても大丈夫ですよ上条さん。寮監さんは美人ですし、御坂さんの噂の恋人を一度拝見したいだけみたいですよ」 「浦上の言う通りよ上条当麻。確かに御坂さんや白井さんが毎回門限とか規則破る度に気絶させられてるみたいだけど、怖い人じゃないから」 浦上の言葉で心を落ち着かせた当麻だったが、対馬の言葉で不安がやや持ち直してしまうことに。 美琴と黒子は当麻の無事を祈りつつ、寮監の待つ常盤台の寮へと向かうことにするのだった。
https://w.atwiki.jp/seisoku-index/pages/1093.html
8月20日午前9時50分、第7学区のとある路地裏 ルーン文字が焼き付いているここは、とある魔術師が用意した狩場だ。 「はあ、はあ、はあ……くそ、どうなってるんだ!?」 その狩場――否、処刑場から逃げる者がいた。 野母崎と呼ばれる、天草式の1人。 連絡の取れなくなった仲間の元へ駆けつけた彼は、そこで学園都市に有ってはならないものを目撃する。 すなわち魔術。 『魔女狩りの王』と呼ばれる、業火の巨人を。 「あ、あ、あぁぁぁぁ」 すでに対馬達は無残に焼き焦げた後で、怒りのままに突入した浦上達も同じ末路をたどった。 「あんなの……単身で勝てる相手じゃない」 紅蓮の手が迫る寸前、彼は身を翻して路地裏を脱出する。 「あの化け物に対抗するには、みんなの協力が必要だ」 「この事を早く教皇代理に知らせなくては」 通信術式を使用するため、一旦戦闘区域から離脱を図る野母崎。 彼の警戒心の全ては、背後の炎に向けられている。 だからこそ。 飛び出した自分を待ち構えていた、真っ黒な装甲服を着ていた女性に気づくのが、僅かに遅れた。 「ちゃお」 「!?」 ショットガンから放たれた散弾が、野母崎の胸部を一瞬で粉みじんにする。 醜く崩れた自分の体を知ることもなく、彼の意識はそのままブラックアウトした。 人の形を留めていない犠牲者の姿を見ても、ヴェーラは心が痛んだりしない。 彼女にとって、木原数多以外の人間は生きようが死のうが大して違いがないからだ。 「お疲れ様、ステイル。今からあなたの補佐をするからよろしくね」 「……ああ」 ただし、矛盾するようだが彼女は仲間思いでもある。 自分と同じく“木原に仕える”数少ない仲間は、例外として仲良くしたいと思っていた。 協調を求め、互いに信頼を築きたいとさえ願っている。 「周囲に反応。すぐに接敵するわ」 「……君は……」 「え?」 一見すると善人にしか見えないヴェーラの、根底に存在する歪み。 それに気づいたステイルが何か言おうとして、結局諦めた。 ――「蔑むべき『猟犬部隊』へようこそ。心から歓迎するぜ」 『必要悪の教会』とは、違った意味での汚れ役。 リーダーである木原自身が言った通り、ここにいるのは蔑むべきクズばかり。 そして皮肉なことに、ステイルも今はその一員なのだ。 「なんでもない。……いくぞ『魔女狩りの王』」 同時刻、第7学区の地下街 『エッジ・ビー』に発見されておよそ10分。 建宮は、付近にいた仲間20名と共に戦っていた。 優勢なのは天草式だ。 すでに『エッジ・ビー』の半数は無力化してある。 「お得意の科学ってモンに頼り切りじゃあ、これが限度なのよな!」 そう語る建宮を、『エッジ・ビー』が高速で追いかける――が。 突然、それは空中で動きを止めた。 その場をしっかりと観察すれば、『エッジ・ビー』のプロペラにあるものが巻き付いているのが確認できる。 鋼糸。 天草式が得意とする鋼糸は、空中の至る所で円盤を縛り上げていたのだ。 何しろ相手は機械的に追尾してくるだけ。 予め張ってある鋼糸の所へ誘導することは難しくない。 (いつまでも隠れたま、勝てると思うなよ木原数多!) その時だった。 『おいおい。ずいぶんと余裕だなぁ、侵入者?』 本能的に不快感を覚えるような声。 これ以上なく侮蔑に満ちた嘲笑が、どこからか聞こえてきた。 言うまでもなく、声の主は木原数多本人だ。 「ふん、やはり気づかれていたか。ようやくご本人の登場って事よな」 即座に正体を看破した建宮が、辺りを警戒する。 それは周りで戦っている仲間も同様で、自分達の女教皇を殺めた人物への殺意を漲らせていた。 『テメェらさぁ、もしかしてこの俺が痺れを切らして自ら出向いたとか思ってんのか?』 しかし、相手の木原の声からは戦闘時の高揚が伝わってこない。 むしろ退屈な映画を見てるかのような、怠惰な感じさえ受ける。 『俺を引きずり出してぇんなら、もうちょっと有能になる事だ』 ため息交じりの木原の言葉を、天草式が訝しむ。 「まさか……!」 木原の狙いに気づき、かつ反応出来たのは建宮を含む10名ほど。 鋼糸に捕まっていた『エッジ・ビー』が、一斉にピッと電子音を鳴らす。 「自爆だ!」 そして地下街に、爆風と轟音が炸裂した。 気づくのが遅れた天草式のメンバーが、抵抗も許されずに吹っ飛ぶ。 とっさに術式を構築して踏みとどまった者には、何百もの釣り針が襲い掛かった。 伏せたりして身を守った人間もいるが、彼らとて安心する余裕はない。 爆発によって鋼糸は千切られた。 つまりもう同じ作戦は使えない。 体勢を整える間もなく、残った半数の『エッジ・ビー』が彼らに攻撃を開始する。 『ほぉーら、そろそろウォーミングアップは終了だろ。もっとやる気出してくれよ』 『ま、こっちとしちゃあこれでほぼチェックメイトなんだけどな』 学園都市に侵入したのは、50名で構成された天草式の魔術師。 うち12名は、ステイルとヴェーラによって対処済み。 しかも、『エッジ・ビー』が地下街に隠れていた20名を発見、半分は戦闘不能にした。 すでに天草式は散り散りとなったも同然。 (わざと『エッジ・ビー』を捕獲させて油断を誘う) (数がある程度まとまった時に自爆させれば、間抜けはその餌食になる) (あの聖人サマと戦った時から、テメェらが鋼糸を使うことぐらい分かってんだからよ) ただし、木原は地下街にいる天草式の全滅を望んではいない。 最初からその気なら、敢えて直前に会話などせずに無警告で爆破する。 木原の目的は、彼らを疲弊させ生け捕りにする事。 ステイルはその術式上生け捕りは難しい。 が、こちらの戦闘はある程度のダメージコントロールが出来る。 そして捕まえてしまえば、それは他にいる居場所の分からないメンバーへの人質となるのだ。 天草式の固い絆を利用した、卑怯な作戦である。 (もしも人質が通用しなかった場合、そのまま研究に流用すればいいしな) (どっちに転んでも、ただ殺すよりはメリットがある) そして、木原の狙いはもう1つ。 ――「よお、待ちくたびれたぜ。相手の情報は?」 ――『……侵入してきたのは、神裂の仲間である天草式十字凄教の人間だ』 ――「天草式? 聞き覚えがあんな。確かあれは……」 木原は、天草式の事を全く別の観点から知っていた。 それはクローンを統括する『聖痕』の共鳴実験の時、『樹形図の設計者』が参照したデータ。 ――(まあ、伊能忠敬の『大日本沿海與地全図』が、そのお手本になるとは予想外だったがな) 『大日本沿海與地全図』と呼ばれる、偶像の理論を逆利用した地図がある。 それを使った瞬間移動法が、天草式十字凄教には伝わっているのだ。 (その現物さえ手に入れば) (学園都市の技術を使って、新たな日本地図を作れる) (いや、それどころか世界地図クラスの移動法が実現するだろう) その術式を明らかにするまで死なない様頑張ってくれよ、と木原は一人薄く笑った。
https://w.atwiki.jp/kinsho_second/pages/2252.html
「最大主教がうちの新入りで殆ど面識の無い飾利と闇咲と直接話し合いたい、ねぇ。その後は本場のイギリス清教の勉強か」 「はい。おかげでスケジュールも大変で当麻お兄ちゃんの高校の球技大会が終わったらすぐにここを発つんですよ」 「私は初春の護衛とあっちに居るうち(天草式)の男共への喝入れです。GWが終わるまでですから二週間空けることになるので不安だったんですけど……」 第九学区のとあるビルの1階にある応接室、初春とシェリーと対馬はそこに居た。 1階全てがシェリーの個展会場でつい先ほどまでスタッフと最終打ち合わせを終えた所なので、念押しで対馬が人払いの術式を応接室に展開している。 ちなみにイギリス清教の勉強のアイディアを出したはキャーリサとヴィリアンだが、そう簡単に会えない初春との思い出作りがメインだったりする。 「シェリーさんがその様子なら私の心配も杞憂かもしれませんね。この調子なら出立前に女教皇と建宮さんにも」 「止めときな。あの2人は私ほど大人じゃあ無い。現に私だって本当は飾利に付いて行きたいのをこうして我慢してるんだぞ」 シェリーが初春の2週間ほどの渡英に異を唱えなかったのは初春が自分の所へ戻って来てくれる、そして初春分補充と称して自分の膝の上に座らせてギュっとしているからである。 対馬は思う、シェリーさんでこの様子なら間違いなくあの2人は一騒動は起こしてくれるだろうと。 「でも結局は火織お姉ちゃんと建宮さん、それにシェリーさんは今回の同行は許可されていないんですけどね。ローラさんからの厳命で」 「最大主教が? 何でまた」 「シェリーさん達が学園都市配属になって以来、弛んでいるって話を幾度と無く聞かされたみたいなんです。だからこの際、監察することになってその対象が」 「私達ってことか。弛んでるつもりは無いんだけどねぇ、こっちとしては。飾利を可愛がってるのは弛んでるとは言わねぇし」 それを弛んでるって言うんですよ、対馬は思わずそうツッコミを入れたかったが相手が相手なので声には出さなかった。 なので対馬は更に伝えるべき事をシェリーに伝える。 「監察役は2名で期間は私達の渡英している2週間。その間は監察対象の3人は学園都市から出てはいけないことになってます」 「また随分と厳しいねぇ。ところで監察役の2人って誰が来るのかもう決まってるのか?」 「私は直接会った事ないんですけどオルソラさんは確定です。後の1人はまだ決まっていないみたいですよ」 初春からオルソラが監察役で学園都市に来ることを聞いたシェリー、まともな監察が出来るのか不安に思った。 とりあえず初春達の渡英と学園都市支部の監査の話を終えた3人は立ち上がって応接室から出ることに(人払いの術式は解除)。 「神裂と建宮には私から言って聞かせるから安心しな。少しの間、寂しくなるけど今は私の作品を楽しんでくれよ、飾利♪」 「光栄です。私と対馬さんがシェリーさんの個展のお客さん第一号だなんて」 「違う違う。飾利が1番で対馬が2番。そこはちゃんと線引きしてもらわないとな」 かくして大事な話の後で初春はシェリーに抱きかかえられたまま、作品を鑑賞するのだった。 その2人の後ろを邪魔しないように作品を鑑賞する対馬、ステイルも別件でローラに呼び出されたことを思い出したが静かな雰囲気を壊したくないので後回しにすることに。 ―――――――――― 学園都市では午後5時だがロンドンは日本より9時間遅れているのでただ今午前8時。 朝早くからイギリス清教の女子寮ではオルソラによる監査役1名を決めるジャンケン大会が繰り広げられていた。 「まったく、何でこんなことになってしまったんでしょうかね」 「それは初春さんたちがこちらに来るからでございますよ」 「………そういう意味じゃないんですけどね」 女子寮内は全員でのジャンケン大会の会場へと変わっていた。 こんな光景に自分の部隊の大多数(ほぼ全員)が参加していることにアニューゼは愚痴を言っているのである。 「シスターアンジェレネ、これは一番ましな私が行くべきなのです!」 「いいえ、たとえシスタールチアの頼みであってもこれだけは譲れません!」 タダのジャンケンのはずなのにこのままでは魔術で決着をつけることになりそうだとアニューゼは本気で思った。 ゆえにアニューゼは手っ取り早く決着をつけるため、最も早く済む方法を決行することにした。 「ここにいるオルソラが出した手に負けたやつから順番に抜けていって最後に残ったやつが護衛ってのでどうですかね?」 「「「「「「「「「「乗った!!!」」」」」」」」」」 このよく学校でありそうなルールにのっとりじゃんけんをすることによって、スムーズにジャンケン大会を進めることに成功したアニューゼ。 なお、結果としてこの大会の勝者となったアニューゼがそのまま初春の護衛となった。 「というわけでこちらでの初春さんの護衛はアニェーゼさん、私と一緒に神裂さん達の監察に行くのはアンジェレネさんということで」 オルソラの言葉でアニェーゼはようやく気付く、当初の目的がすげ変わってることに。 本当はアニェーゼも学園都市に行きたかったのだがこっちでも噂になっている初春に会いたかったので、護衛はそのまま受けることにした。 そしてオルソラと同行し、神裂達の監察役の1人になる人物アニェーゼと最後までジャンケンで残ったアンジェレネに決定。 「わーいっ♪ 学園都市の美味しいものがいっぱい食べられるなんてラッキーすぎます!」 「シスター・アンジェレネ、あなたが学園都市に向かうのは必要悪の教会学園都市支部の監察です。遊びに行くんじゃないんですよ」 「わ、わかってますよぅ。で、でもでも、仕事の疲れを癒す為に遊び、食べ歩くことも必要だと思うんです。そうだ! シスター・ルチアに素敵なブラをいひゃいいひゃい!」 必要悪の教会学園都市支部の監察という目的を後回しにしているアンジェレネの両頬を喝入れの意味を込めて引っ張るルチア。 そんな大小シスターコンビを呆れた眼差しで見ていたアニェーゼがふとオルソラを見るのだが、 「あちらに着いたら早速皆さんと一緒にアクセラさんと打ち止めさんのバーチャル結婚式の打ち合わせをしなくては。ああ、あの2人の幸せそうな姿、早く拝みたいのでございます」 主目的を完全に忘れてることを察し、自分の選択肢、間違ったんじゃねーでしょうかと頭を抱えていた。 ちなみに一打のバーチャル結婚式は既に終わっていることを聞き、オルソラが別のカップルでやりたいと言ってバカップル達を困らせるのはGWの話。 かくしてオルソラとアンジェレネ、必要悪の教会学園都市支部の監察役として学園都市に赴くことが決定した。 ―――――――――― 舞台は再び日本、時刻は午後8時、場所は教会寄宿舎の初春の部屋。 現在この部屋に居るのは初春、インデックス、ステイル、シェリーの4名のみ。 「初春と闇咲と直接話をしたい、か。最大主教にしてはまともなことを考え……違うな。何か裏があるに違いない」 「考えすぎなんだよステイル。最大主教はよく知らないかざりとおうまのことを知ろうとしてるだけ。悪いことなんて考えてないんだよ」 「インデックス……そう、だね。そうだといいね」 ローラのことを疑っていないのはインデックスのみ、残る3名は内心では何か企んでるだろうと思っていたりする。 そしてシェリーはインデックスとステイルに初春が明日からGW終了までの2週間、ロンドンに滞在することを神裂と建宮に言わないように注意した。 「……分かった。けどシェリー、どのみち神裂と建宮、それに君は学園都市に残るように言われてるんだろう?」 「ああ。ま、それに今回は個展があるから私はここを離れられないんだけど」 「でもずーっと秘密にしておくは無理があるかも。だからここはかざり達がここを離れた後でかおりとさいじに説明した方がいいと思うんだけどどうかな?」 インデックスの提案にシェリーも納得し、その際に自分だけでなくインデックスにも神裂と建宮の説得に付き合わせることを約束させる。 1つの問題が片付いたのを確認した初春、少し前に対馬から聞かされたことを思い出してステイルに告げた。 「そういえばステイルさんも私達より遅れるでしょうけどロンドンに出向するみたいですよ」 「ステイルが何で! ステイルは何も悪いこともヘマもしてないんだよ! それなのにどうして!」 「お、落ち着くんだインデックス! 僕なら平気だから!」 自分でも分からないうちに感情が昂ったインデックス、はっと我に返ると顔を真っ赤にして初春のベッドに顔をうずめた。 ステイルとシェリーは勿論、初春もこのインデックスの行動には驚いたがすぐさま気持ちを切り替えてステイルの件について説明を始める。 「ステイルさんが呼び出されたのはどうやら夏の戦争についてみたいですよ」 「何で僕なんだい? 僕は特に何もしてゲフッ! シェ、シェリー! どうして殴るんだい!」 「てめぇは本当のバカか? 勝手に戦争の開始を宣言しておいて何もしてないは無いだろ」 売り言葉に買い言葉状態でブレイン相手に戦争することを1人で承諾してくれたステイル、そのことを思い出してばつの悪そうな表情を浮かべた。 一方で初春は自分の携帯を色々と弄くった後でステイルに渡した。 「というわけで詳しいことについてはご本人から直接伺って下さい♪」 「ご本人からって……最大主教に繋がってるのか、この携帯!」 そうですよー♪ と楽しげな声で答えた初春を呪う間も無く、ローラのやや怒ってる感じの声が聞こえてきた。 「ステイルーーゥー!!何勝手な事したありけるのよ!」 「あ、最大主教!?何故僕だけ!?」 「そんなもん勝手に戦争を決めたからに決まってるからだボケェーーェー!!」 「最大主教!さっきから口調がおかしいぞ!何があった!?」 つい先ほどから口調がおかしい最大主教にツッコミを入れるステイル。 そのツッコミを待ってましたと言わんばかりに最大主教は語り始めた。 「ふ、ようやく気付いたかステイル。テレビジョンや本を参考にしてついにあのバカ口調を直す事に成功したありけるのよ!」 「…戻ってますよ」 「………!しまった!せっかく直ったのに…」 「一応聞きますが、何を参考資料に?」 「じ…仁義無き闘い」 「………そのアホ口調で学園都市のトップと話したりしてませんよね…?」 「そ、そそそんな事」 「したんですね!」 「は………はい」 いつの間にか攻守が逆転している二人。 ちなみにこの件の決着は今後天草式が最大主教の日本語を監修する事でまとまったとか。 ―――――――――― その頃、友愛高校体育館 そこにはインデックス率いる『歩く教会』チームに負けてしまった郭や滝壺がいた。 「………負けちゃいましたね」 「大丈夫、くるわ。私達の敵ははまづら達が取ってくれるから」 「…そうですよね、滝壺氏!いくら麦野氏や絹旗氏が強いからって半蔵様や浜面氏、それに姫神氏が負けるはずないですしね!」 「そう、だから私達は明日のためにお弁当をつくろう」 「うぅ~、今日より腕によりをかけて作りますよ!」 負けたことに落ち込んでいた郭だったが、滝壺のおかげで回復した。 そして、明日の半蔵の弁当に特大兵糧丸が詰め込まれる事になったとか…
https://w.atwiki.jp/index-index/pages/1782.html
【種別】 衣服 【初出】 十六巻 【解説】 この世界にいくつか存在するゲテモノメイド服の一つで、堕天使メイドのバージョンアップ版。 変更点は土御門曰く 「ほらこの胸の開き具合とスカート部分の透け具合がですねー」 とのことなので、言葉どおり堕天使メイドをよりエロくしたゲテモノメイド服となっている模様。 上条への度重なる恩義を持つ神裂にこれを着用した恩返しをさせるべく、 土御門がわざわざ病院に持ち込み、着て奉仕するよう迫った。 五和までダシにつかった土御門の説得工作により追い込まれた神裂は、ついにこれを着用し、病室へ突入。 上条の病室に第三の天使が出現することなり、それを見た全ての人にトラウマを植え付けることとなった。 その後は神裂の部屋に保管されていたようで、 十七巻で発生したクーデターの際に闇から闇に葬り去られる…と神裂は期待していたが、 建宮を始めとする天草式男衆の手により死守され、 堕天使メイド共々、神裂の手に舞い戻ってくることとなった。
https://w.atwiki.jp/seisoku-index/pages/1084.html
8月20日午後5時00分、アビニョン『教皇庁宮殿』近くの博物館 フランスは経度が高く、夏とはいえ日照時間は短い。 すでに日が落ちて辺りは真っ暗。 辺りで起きていた暴動も、ひとまず小康状態を保っている。 そんな時間帯での事。 U.E.G.Fの指示により運搬された『救援物資』が、辺りの病院が大量の負傷者で身動きが取れないという理由でこの博物館に届けられた。 勿論事実は違う。 が……それを知る者も、知ろうとする者も、この場にはいない。 ガチャン!と無骨な音を響かせて、コンテナが次々に解放される。 油断なく辺りを見回して、リーダーであるマイクがその姿を現した。 「よし、作戦を開始する。あの人の言う事が正しければ、目標のブツは『教皇庁宮殿』にあるはずだ」 「分かってるわよ。……にしても、あの“お人形さん”は役に立つんでしょうね?」 そう疑問を呈するナンシーは、見慣れない迷彩服に身を包んでいる。 彼女だけではない。 マイクやエツァリ達全員が、第6軽機甲旅団隷下のフランス陸軍『第1外人工兵連隊』の格好をしていた。 要するに、アビニョンに駐屯しているフランス外人部隊に成り済ましているのだ。 「05号の疑問。お人形さんとは、我々クローンの事でしょうか?」 「06号より報告。全ての準備が整いました」 連れてきたクローン20人が、マイクの前に整列した。 彼女達は同一である顔を隠す為、すでにマスクを装着している。 「ナンシー、7人ほど連れて先行しろ。残った本隊は俺と一緒に宮殿を封鎖する」 「了解」 短く返事をすると、ナンシーは速やかに先遣隊を引き連れて出発した。 本体に残っているエツァリが、静かに話しかけたのはそれから少し後だ。 「……ローマ正教の誇る『C文書』を、これだけの手勢でどうにかしようとするなんて……正気とは思えません」 「ふん。あの人は性質の悪い事に、正気でこう言う事を平然とやってのける人間だ」 「堪りませんね」 「ああ。けどな、それでも『猟犬部隊』を率いていられるのは――あの人が『絶対』だからだ。覚えておけ」 「努々忘れないように心がけましょう」 諦観したような微笑みを浮かべ、エツァリが肩をすくめる。 彼の手には、黒曜石のナイフが握られていた。 「すでに自分は大罪人です。最早、魔術の世界に居場所は存在しない」 「ならばこそ、足掻く甲斐がある。……行きますよ、ショチトル」 アステカの魔術師が、アビニョンの地を駆ける。 全てを失い、それでも残った希望に縋りつくかのように。 8月20日午前9時00分、とあるデパートの清掃室 侵入者の居場所は依然として掴めない。 そんな中、“景品”である木原はとある人物の元を尋ねていた。 相手は『人材派遣(マネジメント)』と呼ばれる、裏稼業の紹介屋だ。 普段なら客に対し親しげな態度を取っているはずの彼は、現在ひどく怯えている。 「聞いてくれ。あ、アンタに盾突く気は欠片も無かったんだ!」 「おいおい、何言っちゃってんの。あのウスノロに傭兵共を紹介したのはテメェだろーがよー?」 「金の為だ! まさか、よりにも寄ってアンタとやり合っていたなんて想像も……」 「嘘はイケナイぜ? 情報に通じているテメェが、肝心の敵を知らなかったハズはねーよなぁ?」 天井を抱き込んだ、木原一族の人間。 あの時彼が揃えた傭兵は、全てこの『人材派遣』が提供していた。 「……どうか……頼む……!」 それを追及された彼の顔色は、すでに青を通り越して真っ白だ。 無様に震えるその姿を見て、木原はやれやれと首を振る。 「よし、じゃあタダ働きしてもらおうか。しっかり結果を出せば今回だけは見逃してやる」 「分かった、何でもする。何をすれば良い?」 その言葉を聞いて、木原はニヤリと口元を歪めた。 同時刻、第7学区の地下街 大勢の通行人でごった返す地下街を、建宮と諫早が歩いている。 完璧に周りに溶け込んだ彼らは、通信術式を使って仲間と打ち合わせをしていた。 『教皇代理、やはり第7学区で大規模な戦闘があったのは間違いなさそうです』 「ほう……何か掴めたのか?」 『ごく僅かですが、魔術の痕跡を確認しました。多分これは、カバラの術式かと思います』 そう報告したのは、第7学区の駅前を調べていた五和と呼ばれる少女だ。 彼女は天草式の探知術で、シェリーとの戦闘場所を見つけ出したのである。 建宮は店を眺めるふりをして自然に立ち止まると、やはりそうか……と小さく漏らした。 『こっちの広場にも反応が。これはルーン魔術なんすかね』 『結構な力の持ち主だったみたいよ、このルーンの主は』 さらに広場から通信をしてきたのは、香焼という少年と対馬と呼ばれる女性。 やはり同じように探知術を使って、ステイルの繰り広げた戦いの場を発見したのだ。 「そうすると、やはりこの第7学区が一番怪しいのよな」 「うむ。対魔術戦闘が起きたこの学区を、重点的に調べればよかろう」 建宮の言葉に、隣の諫早が同意した。 そして、決定的な言葉がもたらされる。 『教皇代理。……女教皇の……術式です』 「!!」 『駅前近くの小道で、発見しました……』 涙声でそう告げる少女、浦上の報告によって建宮の策は固まった。 「よし、対象区域を第7学区に絞れ。ヤツはここにいるとみて間違いないのよ。探査結界を張り巡らすぞ」 『応!!』 対象とした人物の動きを把握する術式が、散らばった天草式のメンバーによって組まれていく。 完全発動にはしばらく時間が掛かるが、この術式が完成すれば木原の居所は全て掌握可能だ。 (逃がしはしないのよな、木原数多!) そして結論から言えば。 彼らはこの術式により、木原の居場所を突き止める事に成功する。 だが、ここは学園都市だった。 8月20日午前9時30分、『猟犬部隊』32番待機所の入り口 それは偶然である。 ただし――極めて悪質な、最悪と言っていい偶然だ。 その時五和は、携帯ストラップとペットボトルを使って探査術式を組み上げつつ付近を捜索していた。 優れた魔術師でもある彼女が不意に感じたのは、極めて微細な違和感。 通常ならまず気付かないであろうその感覚に、彼女は足を止めた。 (これは……霊装のような……?) 五和が反応したのは、研究所で造られている『歩く教会』の魔力だ。 地下深くに存在している未完成の霊装。 そのごく僅かな力の漏れを、偶然にも彼女は察知してしまった。 (気のせい?……でも、一応確認ぐらいはしておこうかな) ボロボロのペナントビルに偽装された『猟犬部隊』のアジトの扉を、そっと開ける。 無人のビルをしばらく探索した五和は、巧妙に隠された地下階段を発見した。 (これって……) 『海軍用船上槍(フリウリスピア)』を取り出して、五和は中へ進む。 残念ながらこの時、彼女は通信術式で仲間を呼ぶことを失念していた。 突然姿を見せた謎の隠し部屋に、注意が奪われてしまっていたのだ。 「……嘘みたいです」 ボロボロの外側とは対照的に、内部は極めて新しい設備が整っている。 そのあまりの変化に言葉を失う五和。 「あら、可愛いネズミちゃんがいるじゃない」 「!」 背後から聞こえた声に、慌てて五和は飛びのいた。 相手の姿を確認するよりも早く、彼女は槍を構える。 「あらあら、驚かせちゃった? ごめんなさいね」 「……」 五和に話しかけた女性は、とても友好的な笑顔を向けた。 しかし五和は、さらに緊張感を高めるしかない。 何しろその女性――テレスティーナは、紫色のスマートな駆動鎧を身に付けているのだから。 「お詫びに、今ここで貴女をグチャグチャにしてあげる」
https://w.atwiki.jp/kinsho_second/pages/628.html
その時、白雪の診断が終わった。 「ふう、やっと終わった。さてと、あれ?元春は?」 「土御門なら病院の外に居るけど、ステイルに追いかけられているぜ。」 「元春は一体何をやったの?」 「いや、合宿の時に、ステイルが使っていたルーンが土御門が魔術を使ったから燃えちゃったんだよ。」 「そんなことなの?まあ、いいや、とりあえず一時間は歩かないようにって言われたから。」 と言うと、白雪は病院の椅子に座った。 その隣で打ち止めはこんなことを話していた。 「ねえ、黄泉川、あの人は大丈夫なの、ってミサカはミサカは聞いてみたり。」 打ち止めは一方通行が大丈夫なのか黄泉川に聞いていた。 「多分大丈夫じゃん。どうせ知恵熱でも出したんだと思うじゃん。」 「知恵熱?ひょっとして、私が合宿の時に縄を縛られた時、私を見て鼻血を出してたから、それが原因なのかな、ってミサカはミサカは答えを出してみたり。」 「「「「「「ぶはっ!!」」」」」」 近くにいた上琴、白雪、先生達が吹いていた。 「やっぱりあいつはロリコンじゃん。」 「「「「「「うんうん。」」」」」」 みんなは一方通行を完全にロリコンだと思った。 「美琴、本当にいいんでせうか?」 当麻は美琴に再度確認してきた。 「何度も言わせないで。当麻が私の知らない所で怪我をしたりするのが心配だから一緒に戦いたいの。」 「分かった。」 「え、御坂さんもこっちの世界に入るの?」 いきなり白雪が入ってきた。 「ええ、そうよ。白雪さんもこっちの世界のこと知ってたの?」 「まあね。私も元春から聞いたんだけどね。何度も命が狙われているって分かったし。」 「そんなにすごいの!?」 「まあ、私は入ったばかりだからまだだけどね。みんなを見ているとそう思うの。」 「ま、私も当麻を見ていたからどれだけすごいかだいたい分かっていたつもりだけど。何度も狙われていたの?」 「まあ、そうだな。俺も何度か死にかけたことも会ったし。」 「そ、そうなの…」 美琴は少しびびっていた。 そんな三人が話していると… 「ここの病院って凄いなァ。一日で治っちまったぞォ!!」 一方通行が診察から出てきた。 「じゃあ、行って来ますか。」 「当麻、待ってるから。」 と言うと、上条は診察しに行った。 「はい、これで処置は終了したよ? 君がこれだけ軽い怪我を診せるなんて天変地異の前触れなのかね?」 「あの~、せ、先生? 脱臼は軽い怪我では無いと思うのですが?」 「君の今までの入院した時の怪我を思い返すといい。それを比べたら脱臼も軽い怪我に思えるはずだよ?」 診察を終えた当麻はカエル顔の医師の言葉に納得できてしまう自分が悲しかった。 ちなみに数日は過激な運動は控えるようにと釘を刺された(削板との戦いで出来た傷も理由の一つ)。 「あまり無茶はしないようにするんだよ? 全体的なことを考えたら前の二人よりも酷いことになってることを自覚した方がいい」 「いや、ホントにすみません……。でも入院しないだけ進歩したと上条さんは思うのですよ」 「進歩を口にするのなら僕の世話にならないようにしてからだよ? まあ、君よりもあの子の方が今回は無茶だったけどね?」 当麻はカエル顔の淡々とした毒舌に打ちのめされながらも、最後のフレーズが気になり目の前の医師に尋ねる。 「あの子って先生、もしかして初春飾利って名前の女の子ですか?」 「君達知り合いかい? ……ああ、そういえばあの子にこのことは秘密にしてもらうように頼まれていたか。失念していたよ」 「そんなことよりも飾利の怪我ってそんなに酷いんですか? 本人よりも先生の方が詳しいですよね? 教えて下さい!」 「悪いけどそれは出来ない相談だよ? それにその口ぶりだと彼女にそのことを聞くつもりなのだろう? だったら本人に聞くといい」 カエル顔の医師からは結局肝心なことは聞けずに追い出され、やはり直接初春本人に聞くしかないと諦めた当麻。 診察室から出てきた当麻を待っていた美琴はそっと彼の手を握ると、引っ張って行く。 「行こう当麻。みんな受け付けの前で待ってるから」 「ああ」 いよいよ美琴にも魔術側の事情を話すと思うと緊張してきた当麻だが、美琴の手の温もりのお陰か、緊張が少し和らいできた。 しかし病院の受付に到着した上琴が見た光景はとてもじゃないが、緊張感とかそんなものを全て台無しにするものだった。 「だーかーらー! どうしてプリエステスが明日のわしと飾利姫のデートに同伴するのよ! 余計なコブは不要よな!」 「誰がコブですか! 私は飾利のお姉ちゃんとして当然の義務を果たしているだけです! あなたのような獣と二人っきりなど私が認めません!」 「私は皆と楽しくデート出来たらいいって思って火織お姉ちゃんも誘ったんですよ? 建宮さんは火織お姉ちゃんのことが嫌いなんですか?」 「そ、そんなこと無いのよ! プリエステスは我ら天草式十字凄教の象徴! 尊敬に値するお方よな! でもそれとこれとは別問題なのよね!」 上琴が見たもの、それは初春に抱きついている神裂と建宮の大人げない口喧嘩だった。 それを見ていたのは土白、一方通行、ステイルの4名だが皆、呆れた眼差ししか送っていない(付き添いの教師達と打ち止めには帰ってもらった)。 「な、なあ土御門。これってどうなってんだ?」 「よく分からんにゃー♪ 俺らがここに来た時にはすでにこんな感じだったぜい」 「え? か、飾利がここにいるってことはまさかあの子も?」 「そうだよ。ちなみに初春ちゃんは私よりもちょっと先輩ね」 当麻はあらかじめ初春が魔術側の事情を知り、ネセサリウスのサポートをしていると知っていたが何も知らない美琴は驚くことしか出来なかった。 そこへカエル顔の医師がやってきて騒いでる二人に注意をすることでようやく口喧嘩は終了した。 「先生、このたびはお二人が迷惑かけてしまって本当に申し訳ございません。火織お姉ちゃんも建宮さんも先生に謝って下さい」 「「すみませんでした」」 二人が謝罪したことを受けて、カエル顔の医師は満足げな顔で去って行った。 初春が神裂と建宮をコントロールしているのを見た当麻達は揃ってこんなことを思った。 (*1))))) そして場所を誰も使っていない病室へ移すと、いよいよ美琴への魔術側関連の説明が開始されることに。 そして、美琴に魔術関連のことを全て話した。 「当麻、当麻達ってこんな命が狙われている所に居たの?」 「そうだよ、美琴に言いたくない理由がわかるだろ。」 美琴は首を小さくうなずいた。 「で、ここに居る人以外で私が知っている人は?」 「インデックスに、五和、シェリー、あとオルソラだな。」 「そうなの…」 「美琴、恐かったら今でも間に合うから関わらなくても良いんだぞ。」 「それはいや。当麻が何かがあって何も知らないで怪我をしていたら嫌だもん。それに、私も当麻の力になりたい!!」 「美琴…」 二人はみんなが居る前に、キスをした。 「土御門といい上条当麻といい、なんでみんなが居る前でキスが出来ますのか?」 「火織お姉ちゃん本当に仕方ないんです。五組ともバカップルなんですから。」 「あの、その五組って…」 「クリスマスの時の五組に決まっているではありませんか♪」 「「「「「バカップルとはどういうことだ(にゃ)(ァ)!!」」」」」 そこに居た上琴、土白、一方通行が否定し、 「「「「いや、どう見てもバカップルだから」」」」 そこに居たそれ以外の人が肯定した。 「まあ、今は五組じゃなくって七組だけどにゃ。」 「そうなのですか!!一体誰なんですか!!」 初春が食いついてきた。 「名前を言っても分からないと思うけどにゃ。一組目が半蔵と郭でもう一組は…」 「あれ、どうして言わないのですか?」 土御門は井ノ原姉弟と茜川のことを言っても良いのか考えた。 「いや、これは言って良いのかにゃ。どう見ても二股だし、しかも一人は実の姉だしにゃ。」 「実の姉とですか!?でも二股って…」 「でも、二人とも認めているから良いかにゃ。もう一組は井ノ原真夜と井ノ原真昼と茜川なんだけどにゃ。」 「そうですか。それで、どうしてそうなったのですか!!」 「まあ、話すと長くなるんだがにゃ」 土御門は半蔵と郭、井ノ原姉弟と茜川がどうしてそうなったのか話した。 「そうなのですか。今度会って見たいです!!何かお祝い見たいのがあればいいんですけど…」 「まあ、いつか会えるぜよ。じゃあ、みんな解散するにゃ。」 生還者たちは散開し次の戦場へと向かう。 愛と希望を胸に。