約 488 件
https://w.atwiki.jp/kinsho_second/pages/624.html
「やっちまいなエリス!」 シェリーの命令を受けてゴーレム・エリスの拳が一方通行と打ち止めに襲い掛かる。 しかし一方通行相手にその程度の普通の攻撃など通用するはずも無い。 「ハッ! 甘ェ!」 一方通行の『ベクトル操作』で強化された右腕の一撃がいとも容易くゴーレム・エリスの右腕を粉砕、そのまま本体ごと破壊しようとする。 ところがシェリーは冷静に、ゴーレム・エリスの右腕を即座に切り離し、本体破壊を免れる。 しかし一方通行はそれに驚く事無くゴーレム・エリスの右腕の残骸をイノケンティウスに弾丸のように放つが、魔女狩りの王と呼べる魔人の熱で溶かされてしまう。 「ヘェ、思ったよりもやるじゃねェか」 「お褒めに預かり光栄だね。それにしても僕の強化されたイノケンティウスの熱をくぐり抜けて数発当てるなんて驚きだよ」 「そんなに驚きてェならもっと見せてやるぜ? 学園都市最強のレベル5の力ってやつをタップリとなァ」 「いっえーーーい! 今日のあなたはカッコいいってミサカはミサカは愛しい人の胸の中ではしゃいでみたり♪」 互いを牽制しあう中、打ち止めの無邪気なはしゃぎっぷりにギャーギャー騒ぎ始めた一方通行にステイルとシェリーは呆れた眼差しを送っていた。 「やれやれ、どうにも緊張感に欠けるね。シェリー、エリスの調子は?」 「問題無いさ。やられた右腕もとっくの昔に修復済み。つーわけでさ白ガキとチビっ子、そろそろ再開させてもいいかい?」 「っと、今はクソガキの相手をしてる暇なンざ無かったな。いいぜ、続きといこうじゃねェかァ!」 そう言って一方通行は打ち止めを抱えたままステイルとシェリーに向けて突撃をかける。 しかし彼は思いもしないだろう、ルーンがあるかぎり無限に再生を続ける炎の魔人と大地より生まれた巨人の持つ修復機能に予想外の苦戦を強いられることを。 ―――――――――― その頃、土御門は森を駆けながら建宮との戦闘を繰り広げていた。 お互いに森という動きづらい場所をものともせずに駆け、戦うさまは美しささえ感じられる。 「さっすがなのよな土御門! 魔術無しでもここまでやれる。トリックスターの名は伊達じゃねえのよ!」 「あっぶね! 建宮、あんた俺を殺すつもりか! 今の避けなかったら確実に首が飛んでるぞ! ねーちんならそんな真似しねーぞ!」 「うおっ! そっちこそゴム弾じゃなくて実弾撃つなんて何考えてるのよ! しかも躊躇無く撃ちやがってグオッ!」 建宮がフランベルジェを振り下ろせば、土御門はギリギリの所でかわす。 そして即座に持っていた拳銃で建宮の脇腹を狙うが、建宮もまたギリギリの所でかわすが、その隙を突いて土御門の蹴りが建宮の腹に命中する。 さしもの建宮もこれは避けきれず、腹筋に力を入れることでダメージを軽減するがたまらず吹っ飛ばされてしまう。 「ゲホッゲホッ! み、見事なキックなのよね……。魔術無しで勝てるほど陰陽博士は甘くはねぇってわけか。ま、分かりきっちゃいたことだけどな」 「だったら遠慮無く使ったらどうだ? 俺はそれでも一向に構わんぜ」 「お前さんが魔術を使うってんなら考えてもいいのよね。わしのこの言葉を信用するかしないかは土御門、お前さん次第だがな」 「全く、素直なねーちん相手ならいくらでもやりようはあったってのに……。あんたは存外やり辛い相手ぜよ、建宮!」 偽装を得意とする天草式魔術の使い手にして教皇代理の建宮、天邪鬼(ウソつき)で幾多の死線をくぐり抜けた土御門、二人の駆け引きはまだまだ続く。 その頃、白雪は結標が『座標移動』に苦戦していた。 「なかなかやるね。」 「そりゃそうよ。こっちだってこのくらいの力が無いとこっちの世界で生きていけないもの。」 実はと言うと、結標も少し疲れていた。 理由は、白雪の能力を交わす為に自分を何度かテレポートしたからだ。 (相変わらず自分をテレポートするのは精神的に疲れるわ。) 「そっちから来ないならこっちから行くよ。」 白雪がそういうと、白雪は雪の竜巻を4つ作り結標の周りを囲んだ。 (これ以上自分をテレポートさせるのがきついのに) 結標は仕方なくテレポートをし、白雪の後ろにテレポートをした。 だが、白雪は自分の後ろにテレポートするのは分かっていた。 「やっぱり私の後ろに来たか。だが、そんなの予測済みなんだよね♪」 「しまっt」 結標がすぐにテレポートを使おうとしたが、白雪の瞬間冷凍でテレポートする前に凍ってしまった。 「ハッハッハッ!!らーくしょー!!」 のはずだった。 「っ!?」 白雪はいきなり暗い空の上に放り投げられた。 そう、まるでテレポートされたかのように。 (テレポート!?まさか―――) そのまさか、結標の体に氷はなく、ピンピンしていた。 (何でなんで!?確かに私は氷らせたはず!!) その時、白雪の疑問に答えるように白雪の上から氷が降ってきた。 「ガァッ!!(ま、まさかテレポートで抜け出した!?め、めちゃくちゃだー!!)」 正確には氷の方をテレポートしたのだが今の白雪にそんな細かいことはどうでもいい。 今白雪に必要なのは空中からの着地方だ。このままでは普通に死んでしまう。 混乱中の白雪に一つの考えがうかんだが、 (無理無理ー!!でもそれしか打開策ないし…だー!!どうにでもなれー!!) 白雪は最後の打開策を恥ずかしながらも発動させた。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー (な、何あれ!?こんなの土御門からも聞いてない!!) 結標が見たものは簡単だ。 まず、白雪の背中から氷の棒を複数作り出す。 次にそれを包むかのように雪でコーティングされる。 それはまるで、 天使の翼だ。 その天使の翼を操り空を飛んでいた。 「こんなのめちゃくちゃよ……」 「それはお互い様!!さっさと決着つけるよ!!」 殺る気満々なのは誰だってわかった。 氷の剣なんて作ってるし、ましてやその目は、 ギラギラと光っているのだから。 その頃、土御門はと言うと… 「すごく月夜が綺麗だにゃ。」 土御門は、さっきの白雪が作った翼をつけた白雪を見て、すごく綺麗に見えて、建宮が近くに居るのを気にせず、戦うことを忘れて見惚れていた。 「おいおい、何戦うのを忘れて見惚れているんだよな。」 「あ、すっかり見惚れていたにゃ。(今度、月夜に見せてもらおっと)」 と言うと土御門は建宮と再び、戦い始めた。 場所は白雪のところに戻り… 「さっきまで遠距離戦だったのに、今度は至近距離戦か。」 「遠距離じゃテレポートを使われるからね。至近距離ならすぐには自分しかテレポートできないからね。それに、なんか自分をテレポートすると精神的にきついんでしょ♪」 (気づかれてる!!) 結標は自分をテレポートすると精神的にきついことを気づかれ、動揺した。 「どうやら動揺しているみたいだけどそんな余裕は与えないよ。」 「くッ」 この状況を見ても白雪が有利な状態なので、結標は負けるかもと思った。 (ったく冗談じゃないわよ! あんな奴相手に出来るわけ……って逃げるわけにもいかないか) 結標は月夜の攻勢に慌てたが、これくらいの修羅場ならくぐり抜けたこともあることを思い出し、冷静になる。 そして自分がかつてこれ以上の恐怖を味わい、屈辱的な惨敗を喫したことも思い出した。 (あの子には悪いけど一方通行の殺気はこんなもんじゃなかった。だからね、負けてやるわけにはいかないのよ! ま、あの子をぶつけたあの中学生は……そうだ!) 結標は自分に月夜をぶつけた初春を恨んだが、彼女から貰ったメールの助言を思い出す。 (そういえばすっかり忘れてたわ。ジャッジメントの助言なんて下らないって思ってたけど、やってみる価値はありそうね) 「どうしたの? 黙りこんで。じゃあさっさと終わりにしようよ!」 月夜が氷の翼を羽ばたかせ、結標目掛けて突撃をかけた。 結標が『座標移動』で後ろに回りこんだとしても氷の翼で撃退出来る、月夜は勝利を確信した。 しかし次の瞬間、月夜は今日一番の戸惑いを体験することに。 「……えっ? 消えた? 結標さんは?」 氷の剣で結標を斬りつけた、そのつもりの月夜だったが自分がいた場所は結標の数メートル後方だった。 訳が分からなくなった月夜は再度、結標へと突進をかけるが今度は彼女が自分の真横にいたかと思うと警棒で頭を強打された。 「きゃあああっ! い、痛たた……。ど、どうなってるの?」 (分かってないならこのまま押し切らせてもらうわよ。気付いてないようね、『私が移動した』んじゃなく『あなた自身を移動させた』ことに) 初春が結標に与えた助言はシンプルで【自分を『座標移動』するだけじゃなく、相手を『座標移動』させて翻弄しましょう】というもの。 月夜の能力は相手を視界に入れることで力を発揮されるもの、その視界が突如変化すればその力は充分に発揮されない。 混乱した月夜は瞬間冷凍で結標を凍らせようとするが、頭の冷えた結標は月夜の能力発動のモーションの大きさに気付く。 (今度は前! しまった! テレポーターは死角を突くのが常套手段だと思ってたから……!) 「あんたのお陰で冷静になれた、感謝するわ。こっからはガンガン攻撃させてもらうからそのつもりでね!」 「あうっ!」 結標が真っ正面に『座標移動』で間合いを詰めるという正攻法に出たことで、裏をかかれた月夜はなす術無く警棒の一撃で吹っ飛ばされる。 『座標移動』の本領を発揮した結標を前に、月夜は能力を得て『初めてのピンチ』に立たされることに。 一方で浜滝、半蔵、郭は闇咲相手に劣勢どころか大苦戦していた。 初めて見る戦い方、それに闇咲の冷静な思考に自分達のペースを全く掴めていないからだ。 「くっそ! 何なんだよあのオッサン!」 「落ち着け浜面。あれは間違いなく戦闘のプロだ。しかも俺達よりも数段上のレベルのな」 「ですがこちらの方が数は上です! 浜面氏と半蔵様、それに私が一斉にかかれば……」 「言っただろ、相手は数段上だと。数で押し切れるような奴じゃない。自分の力を過信せず、それでいて挑発にも乗ってこない。本当に厄介な奴を相手にしちまったな」 半蔵だけは冷静に黒いスーツに身を包んだ男こと、闇咲の力量を把握し、何とか出し抜こうと算段を立てようとする。 しかし闇咲がそんな暇を与えるはずも無く、容赦無く『断魔の弦』を浜面達目掛けて撃ち放つ。 「ああああああっぶねー! 半蔵、煙幕だ! 煙幕で奴の視界を奪うんだ!」 「奪って……どうする?」 「一時撤退だ!」 ある意味で潔い浜面のアイディアに半蔵も郭も滝壺も頷き、闇咲目掛けて煙幕弾を放つ。 闇咲の視界を奪ってる隙に浜面達は全速力で離脱に成功するが、闇咲には探索手段として『捜魔の弦』があることなど知らない。 「む……。逃げることにも躊躇無しとは素晴らしい決断力だ。だが、私から逃げられると思っているのは甘いな。捜魔の弦」 『捜魔の弦』で浜面達の位置を確認した闇咲は慌てる事無く、しかし確実に彼らとの距離を縮める為に森を駆け抜ける。 その様子を双眼鏡で確認した浜面は闇咲に対してこんな失礼なことを思った。 「おいおいおいおい! あのオッサンこっちに近づいて来てるぞ! ありゃあ人間じゃねぇ! ター○ネー○ーの親戚か何かだ!」 「はまづら落ち着いて。ター○ネー○ーは映画やドラマの話だから実際にはいない」 「滝壺氏、そんなこと冷静に言わないで下さい! 半蔵様、このまま逃げてても埒が明きません! いずれは捕まってしまいます!」 「しょうがねぇ。これは俺の忍のポリシーに反するが、アイツを迎え撃つぞ! ここで一気に叩くんだ!」 半蔵はこの時、実はちょっと慌てており、普段なら奇襲をかけることを提案していたが、浜面と一緒ということもあり迎撃を取ることに。 しかし闇咲は途中で足を止めると梓弓が付いている右腕を突き出して、容赦の無い一撃を放つ。 「迎撃か。ならば近づくのは得策ではないな。衝打の弦」 「「「だァァァああああああああああああ!?」」」 奇跡的にかろうじて避けるが四人とも余波の風邪で吹き飛ばされる。 「ううっ…くそッ!!ここは地理的にも不利だしあのオッサン能力者か!?」 「それは違う、あの人からはAIM拡散力場が出ていない。」 「って事はあのオッサンはそこら辺のオッサンじゃないのか!?ありえねえ!!」 「私の仮説だと、やっぱりあの腕に付けている弓が何らかの風を作り出してるんだと思う。」 「成る程………」 浜面はふと考えると、自分の拳銃をゴム弾から実弾に替えると、 「滝壺、今から勝ちにいくぞ」 「うん、わかった……ってえ!?浜面何か思い付いたの!?」 「まっ、一か八かだ。」 浜面は迷わず引き金を引いた。 「断魔の弦」 だがそれはすぐに吹き飛ばされた。 そんなことは百も承知の浜面はすぐさま近くの木に隠れる。 闇咲はもちろんこちらに気が付き、創作の為こちらに近づく。 「衝打の弦」 その風は全てをなぎ払い、浜面達の隠れている木も吹き飛ばす。 浜面は飛ばされないように拳銃を地面に突き刺していた。 風が止まると闇咲の姿が消えた。首だけを振り返るとそこには闇咲が、 「私は君達が降参すれば全て終わる。さっさと降参しろ。」 「嫌だって言ったら?」 「それまでだ。」 今の浜面は風に飛ばされないように拳銃を地面突き刺していたため抜けない。 「終わりだ。」 これをいったのは笑っている浜面だ。 闇咲は何かを問おうとしたが、 浜面の持っている姫神から拝借した魔法ねステッキを叩き付けた。 「ガァッ……!?」 当たった場所は運悪く、男の最大の弱点だった。 「………すまん」 勝利した浜面が謝るほど闇咲は苦しそうな顔をしていたのであった。 「終ったみてえだな。にしても浜面、金的はちょっと酷くねーか?」 「浜面氏の戦い方は見事でしたけど私もこれはあんまりというか……」 「だいじょうぶ。はまづらがどんなに人でなしだとしても私ははまづらを愛してる」 闇咲を倒した浜面に滝壺以外は非難めいた視線を送るが、浜面は開き直ったかのような態度だ。 そんな4人は気付かない、闇咲の体がまだ動いていることに。 「い、いーじゃねーか! これで勝てたんだから文句ねーだろ!」 「ま、それもそうだな。じゃあこいつをふん縛っ……!」 「しょ、衝打の弦!」 半蔵が闇咲に近づいた瞬間、闇咲の右腕が半蔵の胸元に添えられると見えない鉄球のような空気の塊が半蔵を襲った。 不意のことで避けることも出来なかった半蔵は『衝打の弦』をモロに喰らうと、一本の木に叩きつけられて意識を失う。 闇咲の反撃に浜面と郭が彼を攻撃しようとするが、闇咲が突然地面に頭を叩きつけたことに驚き、つい距離を取ってしまった。 「お、おいオッサン、あんた大丈夫かよ? 額からすっげー血が出てんぞ……」 「心配してくれるのか。優しいんだな、君は。だがこうでもしないと急所の痛みに耐えられそうになかったんでね。それに、これより苦しい痛みも経験済みだ」 確かに急所の痛みは相当のものだが、かつてインデックスの魔道書の一冊『抱朴子』を覗いた時の死を思わせる苦痛よりは遥かにマシだったのだ。 ならばと闇咲は力を振り絞って急所の痛みを紛らわせる為に、それに匹敵する痛みを自ら生みだすことで立ち上がったのだ。 「君達にも負けられない理由があるのだろう。だが私はあの少女からの恩義に報いる為、そして私自身の未来の為にも負けるわけにはいかないのでね。透魔の弦」 『透魔の弦』でその場から『姿を消した』闇咲だが、3人はかつての当麻のように瞬間移動で消えたと錯覚してしまう。 慌てる3人を気にも留めず闇咲はこの3人で一番強いと思った浜面の背後に回り込み、延髄に『衝打の弦』を叩き込んだ。 「ガッ……ハッ……!」 「浜面氏! おのれよくも半蔵様と浜面氏をアウッ!」 強烈な、しかも延髄への一撃にさしもの浜面も耐えられず、意識を刈り取られてその場に倒れ伏す。 仲間二人、特に半蔵をやられたことで激情に駆られた郭を闇咲は冷静にいなし、手刀の一撃で気絶に追い込む。 残るのは滝壺のみなのだが、彼女が非戦闘員だと初春から事前に聞いているので手荒な真似はせず、縄縛術で縛り上げる。 「どうしてわたしには攻撃しないの?」 「戦えない者に刃を向けるほど、私は落ちてはいないのでね。こうして自由を奪っておけばそれで事足りる、それだけのことだ」 「やっぱりあなたは優しい。ありがとう、はまづら、はっとり、くるわに手加減してくれて」 滝壺は闇咲が容赦の無い攻勢を仕掛けていたにも関わらず、人に向ける時の攻撃に手心がほんの僅か加えられていたことを感じ取っていた。 闇咲はそんな滝壺に困ったように頭をかきながら「む……」としか言えず、彼女から視線を外すと残る3人も縄縛術で縛り上げると、近くの木にもたれかかる。 「ふうっ……。思った以上に大変だったが、これで私のやるべきことはひとまず終ったな。さて、あの少女教師に連絡するとしよう」 そう言うと闇咲は先ほど電話番号を教えてもらった小萌に4人の捕縛、ならびに戦闘不能の旨を伝える。 浜滝&半蔵&郭VS闇咲逢魔、勝者:闇咲逢魔(ただし本人もしばらく動けず)。
https://w.atwiki.jp/kinsho_second/pages/2264.html
当事者たちは逆に気付かなかったが、この決定事項はつい昨日学園都市にいきわたったばかりなのだが、顔ぶれの豪華さ・・・・何しろ、未だ詳細不明の第7位と、現在その生死さえ定かになっていない第2位、そして中学生の超電磁砲を除く5人もの超能力者達、更にはバレンタインの決闘のビデオが出回ったことにより、最強の無能力者としてその名を学園都市中に轟かせていた上条当麻やら層々たる面子で、この試合がもはや従来のサッカーの枠を超えた、SFカンフー映画もびっくりの大覇星祭並みのショーになるであろうことは誰の目にも明らかえ、球技大会が他の学校より早く始まってちょうど休日に行われたこともあって、ドームは満杯だった。 そんな中、自分の身に降りかかった不幸に思いっきり落ち込んでいる人物が居た。 「不幸だ……。よりにもよってやりたくもねぇキャプテンになるなんて神さま、上条さんは悪いことをしたのでせうか?」 不覚にもジャンケンで勝ってしまった上条、自分のクラスのチームのキャプテンになったことを心底嫌がっていた。 というのもこれでまた目立って街中で追い掛け回される確率が増える不幸に見舞われる、それが上条の考えである。 しかしそんなものは全くもって今さらな話な上に、最近では追い掛け回されることが減って来ている傾向にあるのだが本人は分かっていない。 「ちくしょおおおおおおおっ! せっかくキャプテンになって頑張って吹寄にもっと認めてもらおうって思っグギャッ!」 「な、何言ってるのよこのバカ! しかし何て屈辱! まさか上条にジャンケンで負けるだなんてあたしのクラス委員長の威厳が……っ!」 「確かに屈辱。だけどそれ以上に。上条くんが。キャプテンになったことを。不幸とか言ってるのが。すっごく腹が立つ」 「そうだよ! せっかくキャプテンになれたのに上条くんの贅沢者!」 「全くだなァ。不幸とか抜かしてるせいで考えてねェのか? キャプテンになったテメェを御坂が更に惚れ直すって羨ましい展開をよォ」 口々に不満や愚痴を言っているのは上条のグーに敗北したキャプテン立候補者達、その中で一方通行の言っていたことが根強く印象に残った上条。 そしてイメージするのはキャプテンになった自分を何故かチアリーダーとして応援する美琴の可愛い姿だった。 「いよっしゃあああああっ! 俺は不幸じゃない! すっげー幸せ! つーわけで俺がキャプテンをやるからには絶対勝つぞーーーーっ! みんなもしっかりついて来いよ!」 ポジティブシンキングになっていつも以上に大張り切りする上条にその場に居た全員が思った、爽やかだけど暑苦しいと。 これでようやくいつもの上条のクラスに戻り、皆もいつもの調子を取り戻した所で白雪が土御門に尋ねる。 「ところで元春って魔術の使用制限とかされてないの?」 「使っただけで大ダメージ受けるんだぞ? 制限される以前にオレの方が使う気起きないぜよ。ま、月夜が居れば魔術に頼る必要性も無いからにゃー」 純粋に自分を頼ってくれた土御門の態度が嬉しくなった白雪、人目も憚らずに自分の恋人に抱きついた。 その様子を羨ましそうに見ていたのは一方通行、青ピ、浜面、服部、茜川の恋人が近くに居ない面々(上条は美琴のチアリーダー妄想で平気)。 「にゃー、何か色々と盛り上がってるみたいだからこっちでポジション勝手に決めちまうか。オレもルールくらいは知ってるからな」 「土御門、ちゃんと勝てるポジション選びしなさいよ。貴様のせいで負けたとか思いたくないから」 「わーってるって。吹寄さんのご所望通り、情報屋がカッコよく見えるようなグオッ! ……冗談ですたい」 吹寄に頭突きを喰らうというアクシデントに見舞われつつも、土御門は自分のチームのポジションをテキパキと選び始めるのだった。 ―――――――――― 「では君達の得物はこちらで預からせてもらう。試合が終われば返すから安心してくれ」 こちらでは魔術師の禁止事項の説明が終わった所で、闇咲がそれぞれの危険な武器を預かっている所だ。 要は魔術師達のそれぞれの得物を預かることが禁止事項を守らせることと同義となるのだ。 特にエツァリとショチトルは得物を取り上げられたことで落ち込んでいたが、持っている身体能力だけで頑張ると前向きに考えた。 「闇咲、僕のルーンのカードは預かりはしないのかい?」 「ステイル、君の場合はルーンのカードそのものに攻撃性を感じないと感じたからだ。イノケンティウスを使わなければ問題は無い」 勿論相手への直接攻撃は禁止だ、そう闇咲が付け足したのを受けてステイルは素直に頷いて部屋から出て行った。 ちなみにエツァリとショチトルが得物を取り上げられたのは魔術自体が危険なこととプレーが度々止まるを防ぐことが理由である。 「では闇咲さん、私の海軍用船上槍、確かにお預けします。これはサッカーには不要な物ですから」 「分かった。それと五和、後で他の魔術師達にも伝えておいてくれ。君達の得物を返すのは私ではなく」 「いやー悪い悪い。ちょいと遅れちまったのよ。で闇咲、俺が預かることになる……のは……」 エツァリとショチトルも既に部屋を出ており闇咲と五和だけしか居ない部屋に入ってきたのは建宮だが、その建宮は五和の上半身メイド下半身ブルマーを前に固まってしまう。 ちなみに建宮を呼んだのは闇咲で、彼も初春と対馬と同じ便でロンドンに向かう都合上、あと少しでここを発たないといけないという理由がある。 「い、五和……。お前さんとうとうそこまで手段を選ばんようになっちまったのか。教皇代理として実に悲しいのよな……。ま、それはともかく写真に収めヒイッ!」 「建宮さん、突き刺されたいんですか? それとも切り刻まれたいんですか?」 「じょ、冗談なのよね……。しっかし海軍用船上槍を取り上げられるとは……まあ球技大会だから当たり前か。けどこれで五和の戦力も半減って思ったがそうでも無いのな」 「流石に見抜いてましたか。というわけで試合、期待してて下さいね。私と当麻さんの愛に満ち溢れたサッカーを♪」 そっち方面じゃ期待してねえっての、建宮は口にしたら殺されかねないことを心の中で思っていた。 しかし上半身メイド下半身ブルマーの服装が天草式魔術としての効果を顕していたことには感心していたりする。 闇咲に後を任された建宮は目の前にある魔術師達の得物を慎重かつ丁寧に管理をするのだった(特にエツァリの原典)。 ―――――――――― 「というわけで以上が君達専用の禁止事項だ。さあ、復唱したまえ」 「復唱ってアンタねぇ……。私らがそんなに信用できないっての?」 「言わないと分からなさそうな人間がいるからね。じゃあ早速だがムギムギ、君から」 上条のクラスの相手チームで呼び出された対象者達、木山の子供扱いに噛み付いたのは麦野。 しかし試合開始前からやる気満々の削板を見て仕方ないといった感じで折れることに。 そして禁止事項の復唱が御坂妹、結標、麦野、絹旗、削板の順で開始された(心理掌握は元からサッカーなので除外)。 「当麻さんへのセクハラは禁止、とクールビューティーはここに宣言します」 「ボールとサッカーゴールの【座標移動】は絶対にしない」 「浜面へのセクハラの禁止……チッ。左腕でボールに触れたらハンド扱い。【原子崩し】使用の際は出力を抑える」 「【窒素装甲】でボールを掴んだら移動は超禁止です」 「【念動砲弾】を使う時は周囲に迷惑をかけない! 分かってるって! そんな根性入ってねぇマネはしねぇから安心しろ!」 一部、能力と全く関係ない禁止事項があるが誰も気にしてはいなかった(相手への能力使用、攻撃禁止は基本なので省略)。 木山は多少は不安ではあったが、目の前の少年少女を信じて控え室へと帰した。 それから少しして今度は上条チームで唯一呼び出された一方通行が入ってきた、不満そうに。 「どうしたんだい? 私に呼び出されたのがそんなに不満なのか?」 「何で俺だけなンだよォ! 白雪は元からサッカーだからってのは分かンだけどよォ、茜川呼ばねェってのはえこひいきですかァ!」 「茜川は普段から知ってるからね、自分でやってはいけないことの区別はついているだろう。私がわざわざ言わなくてもね」 白雪のダチってだけでアウトだろォ、一方通行は一瞬そんなことを思ったが茜川の普段の行動を思い返して何とか納得した。 ちなみに茜川は衝撃波に周囲の人間を巻き込まないようにと考える一方で、土御門が提案した掛け声に紛れて相手への音波攻撃を考えていたりする(鼓膜破らないように)。 木山はしかめっ面の一方通行など気にすることなく禁止事項を淡々と告げた。 「相手への能力使用の厳禁、これは基本だな。君個人の禁止事項は反射、黒翼と黒い悪魔の右腕の現出だ」 「妥当っちゃあ妥当だなァ。反射なンぞサッカーが盛り上がらねェし、翼と右腕はこンな所で見せるモンじゃねェしな。後は好きにしていいンだろ?」 「勿論だ。他の能力者達も私の設けた禁止事項の穴を察して能力を使ってくるだろうからな。それを見つけるのもこの試合の醍醐味というわけさ」 一方通行は理解していた、黒翼と黒い悪魔の右腕は自分の切り札と共にその先、純白の翼に小さな輪を冠した天使を思わせる状態への取っ掛かりだ。 自分の手の内を一般人が多く見守る中で見せるつもりは最初から無かったが、木山がそのことを配慮していたかのような禁止事項に一方通行は関心していた。 それと同時にまるで木山が自分の能力について把握してるのではという疑問が湧き上がったが、上条の影響なのか木山を信用して深く考えることを中断する。 「私からは以上だ。試合、頑張りたまえ」 「テメェに言われるまでもねェ。それと相手がどンなトンデモ軍団だろうと勝つのは俺たちだ。俺らのクラスの団結力なめンなよ」 あの学園都市最強が団結力を口にするとはな、木山はそう呟いて部屋から出て行った一方通行の成長とも呼べる変化を微笑ましく思っていた。 自分のやるべきことを終えた木山は手早く部屋を片付けた後で、観客席へと向かうのだった。 ―――――――――― 『ええっ! 決勝戦は友愛高校じゃなくて第二十学区の全天候型スタジアムで行われるんですか!』 「ああ」 試合開始まであと5分、闇咲は対馬と電話で話しており内容は学園都市出立の件についてである。 電話越しでも対馬の驚きを感じ取っていた闇咲、冷静に彼女に指示を下し始めた。 「対馬、君は後半が始まる前までにタクシーをこちらに付けておいてくれ。地図は後で転送しておく。私達の荷物は空港にもう送ったのだろう?」 『は、はい。おそらくそれが飛行機に間に合う為の最良のスケジュールなんですよね? 闇咲さん』 「その通りだ……と言いたいが問題が出て来てしまった。初春のことだ」 『おおかた女教皇様がベッタリで抜け出すのが難しいんでしょうけど心配無用です。初春もそれを考えていなかったわけでは無さそうですから』 イギリス清教では後輩にあたる闇咲に対して対馬が敬語な理由、それは年上として普通に尊敬できるという建宮が聞いたら怒りそうなものだった。 普段の初春と神裂を思い返した闇咲、よくよく考えるとそれほど問題ではないと初春の件について結論付けることに。 対馬との電話を終えてから少しして、グラウンドの方から大歓声が聞こえてきたので、闇咲は選手が入場したことを察するのだった。
https://w.atwiki.jp/kinsho_second/pages/1072.html
その頃、上条たちはもう一度『メインコンピュータールーム』から探す事にした。 美琴のチカラを使い、機械を弄って見るとトンでもないことがわかった。 「「「ぶっ!?」」」 隠し部屋、色んなあらゆるところにあったのだ。 温泉に限らず…………おっと、今言っておくのはもったいない。 だがこれだけは言っておこう。親たちは上条たちの『未来』のことも考えており、美琴が二十歳になった六年後にある部屋に鍵が開く仕掛けになっていた。 それは、『愛の育む部屋』……。 「ど、どんだけやねん!!いろんな意味で!!わからん意味でドンだけやねん!!」 「……しょ、将来はその……入ることになるんだ……////////////////////////」 「やめろ美琴!!そ、そんな事言ったら俺まで顔赤くなっちまうだろ!!////////////////////////////////」 ラブラブなお二人は、将来のことを考えて顔を赤くした。まるでういういしいカップルのように。 それが青髪ピアスには不服だったらしく、 「いいから!!佐天はん探すんやろ!?」 「あっ、それなら見つかりましたよ?温泉のところに黒子と最愛の二人で温泉向かってたから、大丈夫だと思いますよ?」 そういうと画面に佐天、黒子、絹旗が階段を下りている姿があった。 「あれ?健宮はどこ行ったんだ?」 「……健宮さんは顔から煙でてたわ」 「わお、いっつでんじゃらんすや☆」 「冗談抜きで大丈夫か!?」 「黒子がスルーしてたから大丈夫だと思うけど……」 すると美琴はごまかすように電気を飛ばし、弄ってみる。すると、 「あれ?なんで勝手に入ってるの?……ってハヤッ!!」 「どうした美琴……ってハヤッ!!」 「カミやんたら、わざわざ御坂はんの真似しなくても……ってハヤッ!!」 そこに映っていたのは、白いシスターがものすごい勢いでチョコを吸い込んでいる(見ている限りこれが正しい表現)ところだった……。 『これで去年みたいにカミやんが貰ったチョコを食べなくて済むにゃー。(まあ、砂糖、塩、水の生活をしなければいけないのは変わりが無いが。)』 『それにしても、インデックスちゃんの食べる速さに驚いているんだけど…』 『僕もこんなに早く食べれるインデックスを見た事が無かったんだが…』 元春は去年みたいに当麻のチョコを食べなくて済んだ事にほっとし、月夜、ステイルはインデックスのチョコの食べる速さに呆然していた。 「当麻、インデックスってあんなに早く食べれたの?」 「俺もあんな速さで食べたインデックスを見た事ねぇ。(まあ、あれを食べなくて済んだのが良かったが。) 「さっきまで埋まるほどいっぱいあった物がもう半分も無いことに驚いたわ。(まあ、去年みたいに手伝わなくて済んだのが嬉しいけどな。)」 当麻と青ピは、あのチョコを食べなくて済んだ事にホッとしていた。 「じゃあ、俺たちもどこか行くか。」 「そうね。じゃあ○○さんはどうするの?」 「俺は黒子はんが居る温泉に向かうで。」 ということ上琴は二人でどこかに、青ピは黒子たちが居る大浴場に向かった。 地上の上琴新居二号リビングで猛威を揮いながらチョコを食べるインデックスだが、特筆すべきは食べる速度だけではなかった。 真に驚くべきは包装紙を綺麗に剥がし、箱などの包みを開ける速さ、それも精密機器も真っ青の正確性を誇って。 「禁書目録の食への思いが新たなる能力を開花させちまったってわけか……。やれやれ大したタマぜよ」 「これに関しては間違いなく世界で一番を自負してもいいだろうね、インデックスは」 「……あれ? インデックスちゃんの動きが止まったよ?」 リビングのチョコを八割も消化し終えた所でインデックスの猛威が止まった、五和のウエディングチョコケーキを前にして。 ジーッと見、匂いを嗅いだ後でインデックスが滝のような涎を垂らし始めたことに慌てたステイルが彼女の所へと駆け寄り、涎を処理し始める。 「どうしたんだインデックス! 人様の家でそんなはしたないことをするなんて! で、でも安心していいよ。僕はそんな君でも」 「ステイル、このおっきなチョコレートケーキ、とてつもなく危険な感じがするかも……」 インデックスが五和のウエディングチョコケーキを前に動きを止めた理由、それはまさに野生の勘とも言うべきものだった。 「あー、ありゃ大きさや見た目からいって五和の奴が作ったウエディングチョコケーキだにゃー。やばいモンでも入ってるってことか?」 「元春、いくら五和さんでもそこまでは……しないと思うよ。私も感じる、あのウエディングチョコケーキ、危険なくらいに美味しいってことが」 実はインデックスが感じた危険性は月夜と同じもので、食べたら味わわずにはいられないと直感で感じていたのだ。 なお、土御門の予想は外れで魔術も魔術的な薬品も含まれてはいない、五和は真っ正面から堂々と当麻をゲットしたいのだから。 「で、でもシスターには危険と分かってても立ち向かわなきゃいけない時があるんだよ。そしてそれは今なのかも……いただきます、はむっ」 いつもの暴食ではなく一般人のようなスタイルで五和のウエディングチョコケーキを一口食べたインデックス。 何度も咀嚼した後で飲み込んだインデックスが動かなくなったのを気になったステイルはそっと顔を覗き込むと、そこには驚愕の光景が広がっていた。 「ど、どうしたんだ、インデックス? 無言で涙を流すだなんて……」 「……えっ? あれ? どうして……? 言葉にならないくらいに美味しいのに涙が出るなんて……」 言葉に出来ないほどの美味しさを味わったインデックスの感動の涙が気になったステイルもウエディングチョコケーキを食すがインデックスと同じ反応をする。 「僕には分かる、このケーキには報われない恋を叶えたい、相手に喜んでもらいたいという思いが強く籠められている。理屈じゃない、感動を呼ぶ味だよ……」 「……そりゃー五和が作ったからにゃー。しっかし二人とも大げさにも程があるぜよ。なあ月夜……ってお前も食べる気か?」 「いやー、何となく二人がこんなに感動してるんだから食べたいって思うのは人の性だよ。元春も食べよう、五和さんってそんなに危険じゃないと思うよ?」 どうやらこのウエディングチョコケーキ、五和に対する警戒心が薄いほど、相手を惹きつけるようである。 土御門も月夜の勧めとあって一緒に食べるが結果はインデックスとステイル同様の反応を示し、黙々と丁寧に食べ続けるのだった、四人揃って。 こちらは大浴場前、黒子、佐天、絹旗が到着していた。 「ホントにこの家はなんでもありですわね……」 「しかも4つに超分かれてますね、どうゆうわけか。男湯、女湯は超理解できますが……」 「やっぱり普通は驚くよね。あたしは二回目だけどやっぱり驚くよ、この二つは……」 大浴場が4つもあることにも驚くのだがそれ以上に驚くのはその種類(?)だった。 男湯、女湯(佐天が入ったのは女湯)、混浴、それと家主専用である。 「混浴が水着必須ってあるのはきっと美鈴ママさんがみんな超仲良くって意味を籠めてるんでしょう。さしずめ温泉プールと言ったところでしょうか」 「でもさ、家主専用の方は水着厳禁、タオル隠し絶対禁止ってあるよ……。いいのかな?」 「それはお姉様のお母様の信頼の証でしょう。上条さんとお姉様なら間違いは犯さないと。生まれたままの姿で愛を深めなさい、黒子にはそう思えてなりませんの」 黒子の妄想はさておいて、佐天と絹旗も美鈴の性格を考えたうえでの判断だと思うことにした。 「ではわたくしは混浴の方へ。○○様も来られるかもしれませんので。お二人はどうなさいますの?」 「あたしも混浴で。さっきは女湯だったんで今度は混浴に入ろーかなって♪ 最愛は?」 「青髪さんが来るかも知れないと聞いて超不安ですけど、水着必須なら混浴も有りでしょう。白井さんはともかく涙子と一緒なら安心ですから」 (わたくしはともかくとは……まあ、いいでしょう。とりあえずどのような水着があるのか楽しみですわ) かくして黒子、佐天、絹旗の三人はそろって水着必須の混浴へと足を踏み入れた。 ただ、一見して安全そうなこの混浴、問題があるとするなら黒子が好きそうな変態チックな水着までもが常備されていることくらいだろう。 その頃、上琴は結局青ピと一緒にゲームルームに来ていたが、目的は青ピとは異なっていた。 青ピは大浴場へと続く階段へ向かう為、上琴は未だ口から煙を吐いて気絶中の建宮を回収する為である(家主として見捨てて置けないので)。 「おい、大丈夫か建宮?」 「………」プシュー 返事無し、いまだに煙の出続けている建宮は、起きる気配をいっこうに見せない。 「ダメ、完全に気絶してるわ」 「じゃあ建宮をどうするかが問題だな……」 「それほどの問題じゃないと思うけど?ほら、上にインデックス達がいるじゃない。あの人達も、建宮さんも魔術師なんでしょ?だったら引き取って貰えばいいじゃない」 「成るほど、じゃあ行きますか」 上条は煙の出ている建宮を担ぐと、上へ上るため、上への階段へと急いだ。
https://w.atwiki.jp/kinsho_second/pages/319.html
「「「「「おおおおおおおおおおおお!!」」」」」 「カックイイやん!!ホンマおおきに!!」 「どういたしまして。」 「黄泉川が化粧するって言って心配したけど結構いけるな…」 「私をなめるんじゃないじゃん♪」 「騎士団長も結構器用だにゃー…」 「まあそれ人並みにはな」 「(嘘つけ、思いっきり若作りしてるにゃー…)」 「何か言ったか土御門?」 「何でもないぜい!?」 「ならいいんだが…」 「ハッ!?ふざけんな!!これ本当に俺かよ!?」 「かっこいいでしょう?」 「こんなにまともな化粧なら最初から安心しとけば良かったなァ…」 「こら!!美鈴さんをバカにするんじゃない!!」 「母さん!!今あなたの息子はとても感謝しています!!」 「あらあら、当麻さん的には感謝しちゃった?」 そう言って自分の彼女の所に向かって行った。 「にゃー! 待ってるぜよ月夜ーーー! 生まれ変わった俺を見て思う存分惚れ直すんだぜい♪」 会場に一番乗りしたのは土御門だったが、それを阻止したのは会場から出てきた月夜とローラ。 「ありゃ? どうしたにゃー? 月夜。それに最大主教と一緒でどんな組み合わせぜよ?」 「おや、素顔の土御門とはいと珍しきものを拝めたるのよ。人間、化ければ化けるものなるな」 「も、元春……。す、凄くカッコいいよ! どうしよう、ますます惚れちゃうじゃない!」 「にゃー。最大主教のコメントはシカトするとして、月夜にそこまで言われるとは照れるぜい♪」 月夜に褒められたことで天にも昇るような気持ちになった土御門だが、ここからが彼の地獄だった。 「じゃあ早速だけどつ・ち・み・か・ど・く・ん♪ ローラさんからお願いされた罰、受けよっか」 「ば、罰って何のことぜよ! 最大主教、あんた月夜に何を吹き込んだ!」 「あらら土御門、いつもの口調を忘れてたるとはまだまだ甘甘なのよん。私と月夜が意気投合した、それだけのことなりけるのよ」 「駄目でしょ土御門君。ローラさんのような良い人をからかうなんて。安心して、そんなに痛くしないから♪」 このままでは何をされるか分からない、土御門は窮地に立たされながらも打開策を模索した。 そして目に付いたのは月夜とローラの後ろにいる初春だった。 (あの初春って子に助けを求めればねーちんと建宮は最低でも動いてくれるはず! ここは一つ……) 「初春ちゃーん! この二人はパーティーを台無しにつもりだにゃー! 助けて欲しいんだぜい!」 「ローラさんに白雪さん、お願いがあります」 初春の言葉に助かったと思った土御門だが、それがいかに甘い考えだったを思い知る羽目に。 「ここでは会場が滅茶苦茶になりますから外でお願いします♪ それとすぐに回復できる程度のお仕置きにして下さい。メインイベント(ゲーム)がありますから」 「「はーーーーーい♪」」 「ちょ、ちょっと待ってくれ! 俺が一体何をした! 初春ちゃんに説明を求めるぞ!」 「話を聞いたかぎりでは土御門さんに非がある=トラブルの根本は土御門さんにあると判断しました」 「そ、そんなこと言われたって納得できるかーっ! ねーちん、建宮、絹旗! ヘルプミー!」 わらにも縋る思いで神裂、建宮、絹旗に助けを求める土御門だったが、3人とも笑顔で手を振っているだけ。 土御門を月夜と共に外に連れ出す最中、ローラは神裂と建宮を手なずけている初春に少なからず興味を持つのだった。 「うわっ! 今のは土御門と白雪、それに……確か最大主教だよな。何か奇妙な組み合わせだったけど」 月夜とローラに強制連行された土御門とすれ違ったのは2番乗りした当麻だった。 今の自分を見て欲しい、そんな気持ちを隠すことなく会場に入ろうとしたが、目の前に飛び込んできた『あるもの』に咄嗟にドアを閉めた。 「テメェいきなり何閉めてやがンだよ! さっさとパーティー会場に入りやがれ!」 「せやでカミやん。ボクのこの姿に黒子はんがどんな反応してくれるんか楽しみにしとるのに」 「俺だって滝壺に早く会いたいんだぞ! それなのに入らねぇってまさか上条、怖気づいたんじゃねーだろーな!」 ブーイングをする後から来た3人を一度見渡した後で、当麻は一方通行の両肩に手を置いた。 「お、おい、一体何のつもりだァ?」 「一方通行、この先にある光景、お前は耐えられるか? どんなにシュールでもパニックにならないか?」 「パニックだァ? 誰に向かって言ってやがンだァ! 学園都市最強のこの俺がパニックになるわけねえだろうが!」 ここ最近ではもやしっ子のイメージが強い一方通行だが、彼はれっきとした学園都市最強なのだ。 当麻は一方通行を信じてそっとドアを開けるが、 「な、何だありゃーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!!!」 一瞬でパニックに陥り、目の前の光景を吹き飛ばす為にチョーカーの電源を入れようとする。 しかしそれは神裂、建宮、絹旗に上手く取り押さえられ阻止されてしまった。 まだパニック状態の一方通行を初春が普通に宥めているその後ろには、 「わーいわーい♪ ってミサカはミサカは今まで見たことの無い最高の見晴らしにはしゃいでみる!」 「むぅ、なぜこのようなことをしなければ……」 ウエディングドレス姿の打ち止めが、アックアに肩車されて喜んでるなんともシュールな光景だった。 ちなみに一方通行がパニックになった理由はアックアに打ち止めが無理やり担ぎ上げられたと思い込んでのことだったりする。 アックアはこのようなことになった顛末を思い返していた。 …数分前 「はっはっは!!ミサカが一番乗りー!!ってミサカはミサカはくるりと一回転してみたり!!」 「おー、似合うな少女。」 「ミサカは現金なんだよ!!ってミサカはミサカは何かを要求してみたり!!」 「…しっかりしてるな、最近の子供は…」 やれやれ、この娘の育て親が見てみたいと魔術側の者達は思った。 「ん~…じゃあウィリアムの肩車でどうだ?」 「ぬう!?何故私に矛先を!?」 「いいじゃないかいいじゃないか!!」 「ミサかもそれがいい!!ってミサカはミサカはよじ登ってみたり!!」 「ってぬおう!?いつの間に上っておるのだ!?」 「いいじゃない!!ってミサカはミサカはごまかしてみたり!!」 ってな感じである しかし一方通行はそんな事情は知らない。一方通行は取り押さえながらも何とかして電極のスイッチを……… 入れた。 その後の結果を説明するのも面倒臭い、 一方通行は取り押さえていた人達を吹き飛ばし、そのまま打ち止め回収をして、 ウィリアムを外に引きずり出した……… 「ウィッ、ウィリアム!!??私のウィリアムを引きずりだすとはあの野郎は何者だ上条当麻!!!」 「ヴィリアン王女!?言葉遣いおかしくなってますけど!!!(なんか母親に似てるような……)」 「ごちゃごちゃうるさい!質問に答えろ!!!!」 「ギャーッ!!ヴィリアン王女落ち着いて首絞めないでーっ」 「ちょっと私の当麻に何すんのよ!!当麻の首絞めていいのは私だけーっ!!!」 「美琴サン!!なんか後半変ですよ!!ってギャー!!!!」 3人がドタバタと騒いでるのを見て。 女王が一言。 「…私が堅苦しい王室言葉をやめて今の言葉遣いになった時みたいだな……懐かしい」 しんみりとしている女王陛下の空気をぶち壊すのはもちろんこの男 「なんですと!!クソーっヴィリアン様だけはおしとやかな姫に成長されたと安堵してたのにコンチクショーッ!!」 「フッ青いな騎士団長、血は争えぬというではないか。」 「当のご本人に言われたくないわ!!おのれあの白モヤシ、抹殺してくれる!!!」 そう言って外へ飛び出した騎士団長が見たものとは…!! 雪像×3(土御門+一方通行+ウィリアム) それの前で仁王立ちしている白雪と それを見てガタガタ震えているローラである。 なぜこうなったのかというと。 すべては30秒前…。 ウィリアムをひっつかんで外に「文字通り」飛び出した一方通行。 そして何かにぶつかった。 当然ウィリアムもその何かにぶつかって二人してその「なにか」に倒れこむ。 「痛ってェなァ。何にぶつかったンだァ??」 「人をひっつかんで飛び出した貴様に言う資格はないのである。ってぬぅ!?」 二人は自分たちの下敷きになってる「何か」の正体に気がつく。 それは白雪月夜であった。 2秒前。 月夜は説教をしたうえで土御門を雪像にし、ローラと談笑して帰ろうとした月夜。 ドアに手をかけた瞬間そのドアがバーンと開かれて男二人がぶつかってきたのである。 避けられるわけがない。 そして。 「ぬぅ!!!イカン!!」ウィリアムが叫び、一方通行が青くなった理由。 男二人の手が 月夜の胸に…… しかも立ち上がろうとした二人はそれを「鷲掴み」。 ローラが息をのむ。 月夜の表情が消える。 男二人も命の危険を感じ取る。 上条さんも顔負け0.1秒で土下座体制に完全移行!! 「スマン!!ほんとに悪気はなかったンだァ!!!」 「こ奴に掴まれていたとはいえ済まないのである!!!」 「…」 月夜は黙る。 だが。 ヒュウウウ 二人は吹雪が来るような気がした。 が。 確認する前に 二人は雪像になった。 それを見た騎士団長。 (ウィリアムを一瞬のうちに雪像にしてしまうとは………世の中広いものだ…………) と、そんなとき二人の雪がぶっ飛んだ。 ウィリアムは聖人なのだから此のくらいなんてことない。 一方通行はもともと電極のスイッチは入っていたのだが最近は反射を極力使わない(電極節約のため)ようにしているため、 雪の中で反射を行っただけである。(顔は化粧が落ちるため使ってない。) 「うむ……早業だったのである………」 「ったくよォ……確かにこっちが悪いけどよォ……こりゃねェだろォ……」 と、その時とある国のお姫様は雪だらけの傭兵のごろつきを見て……… 「私のウィリアムに何をしているんだ………?」 そして、その手にはボウガン(しかも特大)が収められていた。 「っ!!ヴィリアン王女、落ち着いてください」 「黙りなさい騎士団長!!」 ボウガンの引き金が引かれ矢が放たれた!! と思ったのだが。 実際にはボウガンが「バラバラ」と崩れて散らばった。 「「「「なっ!?」」」」 一方通行、ウィリアム、騎士団長、最大主教は息をのむ。 そして白雪がドレスのすそをつまみ王女に例をしながら言う。 「失礼を致しました王女さま。しかしそこの野郎は私に対して性的嫌がらせをしたのです。」 「そ・う・な・の?」 「いっ、いやっそれは事故なのであるっ!!(ぬぅ!?母親に似てワイルドになっているのである!!)」 「にしてもよォ」空気を読まずに一方通行が発言する。 「どうしてボウガンが壊れたンだァ??」 「ああ、それはね♪」月夜がにっこりと人を100人は殺せる笑顔で言う。 「マイナス300度くらいに冷やしたから脆くなって割れたんだよ。」 ドライアイスに入れたバラがカチコチになって割れる実験の拡大版といったところか。 しかし 「マイナス300だァ!?絶対零点越えてンじゃねェか!!ありえねェだろォ!」 そうである。それ以上低い温度はないとされる絶対零点を超えている。 だが。月夜はあっさりという。 「そこはパーソナルリアリティーで。一応マイナス350くらいいけるよ。きついけどね♪」 土御門と付き合ってからどんどん雪女道まっしぐらな月夜であった。 そして。 ヴィリアンは月夜の発言を受けてウィリアムに詰め寄る。 「私の胸は揉んでくれないのにあの子のは揉めるんだっ! ウィリアムのバカ!」 「だからあれは事故だと言っているのである。それに私がヴィリアンに手を出さないのは」 「私のことを大事に思ってる、でしょ? 私はその言葉を信じてました、いつかウィリアムに愛される日が来ることも。でももう限界!」 そう言ってヴィリアンはウィリアムもビックリの腕力でウィリアムの手を自分の胸へと引き寄せる。 当事者以外はその様子をワクワクしながら見ていたが、その空気を壊す者達が現れた。 「みーなーさーん♪ 何をやってるんですかー? ヴィリアンさんも王女様なんですからハレンチなことは止めて下さーい♪」 「まったくいい大人が何を野放しにしてるんですか……。ここには小さな子供もいるんです。教育上宜しくないことは控えて下さい。……刻みますよ?」 「みなさん外は超寒いですから早く中に入ってください。超砕いちゃいますよ♪ あ、一方通行だけは超残るように」 先程、一方通行に吹き飛ばされた初春、神裂、絹旗の殺しかねないほどのプレッシャーに皆が我を取り戻すと、素直に上琴新居へと戻っていった。 一人名指しされた一方通行だけ(正確には土御門も)がその場に取り残される。 「オイ、執事の野郎はどうしたンだァ? それにテメエら揃いも揃って無事ってのもおかしいだろ?」 「建宮さんがあなたの攻撃を一身に受けてくれたおかげです。その隙に私と絹旗さんは神裂さんに助けられたというわけです」 「建宮に感謝するのですね。彼のお陰で会場が大変なことにならなかったのですから。もし大変なことになっていたら……」 「なってたら……どうだってンだァ?」 興味本位で『もしも』のことを尋ねた一方通行だが、 「簡単です。学園都市中に一方通行さんのあること無いことを広めるだけですよ♪ 例えば幼女と年上のお姉さん二人を囲ってる、とか。実はED、とか」 「ちょっと待てええええええええええええっ!! 何だその性質の悪ィ冗談はァ! 特に後半はダメだろうがァ!」 「それくらいで済むならいいじゃないですか。本当なら初春を傷付けようとした罪で服を切り刻んで、その後で明け方まで庭先に放置する所なんですから」 「その前に一方通行を私の『窒素装甲』のデンプシーロールで超ボコボコにします。そして神裂さんのワイヤーで一方通行を超血だるまです♪」 彼女達の(特に初春の)お仕置き方法を聞いて心底恐怖した一方通行。 そんな一方通行を見た3人はプレッシャーを解くと、初春が代表して一方通行に提案をする。 「でも会場も私達も無事でしたからこの辺で許してあげます。建宮さんはちょっと可哀想でしたけど……」 (建宮のことは忘れてなかったようですね。建宮、良かったですね。貴方の犠牲は無駄ではありませんでしたよ) 「その代わり、一つだけお願いがあります。それを聞いてくれたら一方通行さんのロリコン疑惑も後で解消してあげますから」 「ホントか! 分かった、何だってやる! さっさとその提案ってのを言いやがれェ!」 「簡単なことです♪ アホ毛ちゃんにキスをしてあげて下さい♪ さっきの白雪さんの件のお詫びも込めて」 そう提案した初春の横で、さっきのヴィリアン程ではないか怒ってる打ち止めの姿があった。 破格の条件、そう思っていた一方通行だったがとんでもない条件に冷や汗をダラダラ流している。 三人のメイドと涙目の打ち止めを前に一方通行は人生最大の難関に頭を悩ませることになる。 「…なんでキスなんだよォ…。」 「それはアホ毛ちゃんが怒っているからです。」 「ミサカのこと愛してる証拠を見せろ!!ってミサカはミサカは冗談抜きで、本気で怒ってみたり!!」 「「「さあ、(超)どうする!?」」」 「オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!」 と、頭を抱えている。 そして一方通行の決断は!? 「やるよォ…」 「「「「(超)キターーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」」」」 打ち止めと初春と絹旗はともかく、神裂まで興奮していた。 「それじゃあ早く♪早く♪ってミサカはミサカはいそいで目をつぶってみたり!!」 「…目ェ、ちゃんとつぶってろよ…。」 メイド達と打ち止めはもうドキドキである。 そして、一方通行の唇は… チュッっと…、 打ち止めのおでこに触れた…。 「こ、これで文句ねェよなァ……。そもそもどこって指定も無かったわけだしなァ」 「そこに気付いたとはさすが学園都市最強のレベル5。いいですよ、貴方のその顔を見られただけでも充分ですから」 おでことはいえ、打ち止めにキスをした一方通行の顔はこれでもかという程に真っ赤だった。 そんな一方通行に満足した初春だったが、満足していないのは他の3名。 「確かに初春の言う通りなんですけど、ここは流れ的に……」 「まったくもって超その通りです。あそこで唇じゃなくて頬を超選んだ一方通行は超へタレです」 「むーっ、あなたのファーストキスは嬉しかったけどここはやっぱり口が良かったってミサカはミサカは嬉しさ半分物足りなさ半分な気持ちを伝えてみたり」 「てめえらなァ! 言い出しっぺが納得してンだから余計なこと言ってンじゃねェ!」 キスの余韻から抜けてない一方通行はまだ顔が赤く、表情もどこか締まらない感じを受ける。 それを喜びと感じた打ち止めは嬉しくなって、不意打ち的に抱きつくとそっと耳元で一方通行に囁く。 「今度は二人っきりの時に口にキスしてねってミサカはミサカは淡い期待を伝えてみたり」 「……気が向いたらな」 一方通行の返答はあまりにも小さく、打ち止めにはよく聞こえなかった。 打ち止めをぶらさげたままの態勢で一方通行は初春に約束の件を念押しする。 「分かってンだろうなァ? ロリコン解消の件、ちゃんと守れよォ!」 「大丈夫ですよ。約束はちゃんと守ります。それにこれは元々、アホ毛ちゃんの為にやろうって思ってましたから♪」 初春はそう言うと、土御門を救出している神裂と絹旗が居る所へと向かった。 一方通行はこれでロリコン呼ばわりから解放されると思っていたが、実はその方がマシだったと思い知るのは少し先の話。 その頃の上琴、青黒、浜滝はというと……
https://w.atwiki.jp/seisoku-index/pages/703.html
アックア「貴様……」 アックアがメイスを構える。その理由は二つ 相手がいきなりに魔法名を名乗ってきたこと もう一つは、この魔女からの魔力が異常なこと アックア「『Flere210』…」 とだけアックアは魔法名を名乗り返した 小萌「では行くのですよー」 その声と同時にアックアは一瞬で間合いを詰め小さな魔女に迫り―― ガギィィィッ!! アックア(またか…!?) 妙な空間に阻害された巨大なメイスはまたもや動かない 小萌「よく動きますねー」 ドガッ! 小萌の小さな箒はアックアのメイス並の威力を持って激突した がそこにあるのは空間に固定されたメイスだけ。アックア本体は―― アックア「遅い―――」 バゴッ ドガッ アックアの巨躯が、ビルの一つや二つ薙ぎ払えそうな打撃を繰り広げる それを小萌は小さくか弱そうな箒一本で受け止めている その信じられない光景を目の当たりにしている五和は、ただ尻餅をついているので精一杯だった 五和(何が起こって……) しかし五和の目の前で、ハロウィンのコスプレさながらの小さな魔女は、優勢と言える戦況を繰り広げる 小萌「『宇宙を満たす第五の元素。その役割は光の道となる』」 瞬間、キラキラと舞った光の粒子は、消えた アックア「なっ……!?」 魔力、姿、音までも消えた小萌。その目の前の世界で、後方のアックアは独活(ウド)の大木でしかない 小萌「ここですよー♪」 メイスを再び握り、声の方向へ薙ぎ払った瞬間だった アックアの顔右側面に違和感が走る アックア「!?―――」 あまりの不快感にバランスを失いかける巨体の足元に、小萌の一撃が入る アックア「がっ………」 ズドン! 大きくバランスを崩し転倒した後方のアックアはあまりにも惨めな姿 小萌「こんなものですかー?」 後方のアックアは考えた アックア(引いて態勢を立て直すべきであるな…) アックアは強い。だから故に冷静になれる 『神の右席』というプライドにかけてここで戦いを続行していたならそれは間違い。目の前の状況を受け入れ冷静に分析しなければ、自分でも負ける。と言う事を知っていたから ムクッとアックアは立ち上がった アックア「仕方ないが、次に来る時は、上条当麻の命の保証は出来なくなったである」 ドバッ アックアは砲弾のように川の上流に飛んで行った 小萌「ふ~っ………本当ギリギリセーフでした~…」 五和「あ…あなたは…上条さんの…先生?」 小萌「ん?はいそうですよー」 五和「なら…なんで魔術を…」 小萌「そんなの決まってるじゃないですかー。私の生徒さん達を守るためですよー」 非常に簡潔な台詞で、小さな魔女は回答した 医者「…と言うことです。なので絶対安静にして下さい」 とある病院に天草式はいた 上条当麻は療養中で、天草式の面々も怪我をしていた 奇妙な集団の天草式だが、例の通り『馴染んで』いるので不自然なほど自然体だった。だがそれは逆に、小萌の不自然さを際立たせるだけだと言うことは言うまでもない 建宮「とりあえず後遺症も命の心配もなかったか…」 小萌「もう少し遅かったらどうなっていたか…」 建宮「それには本当に感謝してるのよな。月詠小萌」 小萌「でもまだ終わっていません。後方のアックアは必ず来ます」 五和「本当に…本当にありがとうございます小萌さん…」グスグス 半泣きの五和は何度も何度も小萌に礼を言った 小萌「大丈夫ですよ五和ちゃん。今は上条ちゃんを守ることだけ考えましょう」 五和「守……る」 小萌「そのために後方のアックアを殺します…。絶対に――」 いつもの小萌からは想像できないような怖い顔。それを見た五和も決意を決めたのだろう 五和「分かりました…。絶対に守ります…」 建宮「(え?今アックアを[ピーーー]って言わなかった?ねぇ今)」 牛深「(い、言いましたね…)」 建宮「(え、こう言うバトルものって[ピーーー]じゃなくて倒すでしょ普通、ねぇねぇ??)」 牛深「(教皇代理がなんとかしてくださいよぉぉ!)」 建宮「(無理無理無理無理!あの二人ヤバいよマジ。俺が殺されかけ――)」 五和「建宮さん……」 五和のくらーい声が建宮を呼ぶ 建宮「は…はい…」 五和「三時間ほどまって下さい…。海軍船上槍の加工をします…」 小萌「私も調子を整えましょうかねー」ドバー 延々と槍に加工をし続ける五和の隣に、ドラゴンボールよろしく魔力をなんかドバーっとやっている小萌 正直、建宮はアックアと対面した時より怖かった 午前3時頃―― アックア「まさかエーテル魔術が私に立ちはだかるとはな…」 襲い掛かる学園都市の無人兵器を薙ぎ払い、後方のアックアは独りごちた アックア(神の右席の弱点だとでも推測したであるか…) 世界は五大元素によって構築されると定義されているものの、神の右席は4人。エーテルはない アックア(忌ま忌ましい『科学』に侵食された元素か…) それが昨今の魔術世界の共通認識、みたいなもの アックア(そして、まさか聖人でもないただの魔術師が私と対等に渡り合うとは…) アックア(『エーテルの魔女』。面白いである) その時だった ザザッ アックア「刻限の時間まであと半日以上あるのであるが…」 建宮「こうも無理難題を押し付けられると、悩む必要も無くなるってのよ」 再び激突が始まろうとしていた――― アックア「あの小さな魔女はいないのであるか?」 建宮「気になるのか?」 アックアは天草式など眼中にない。自分と渡り合うあの『エーテルの魔女』に興味があった 五和「その前にまず私達の相手をして貰いましょう」 ドバァッ! 例の加工した槍は『冷たい夜気』を利用した魔術で、一気に爆発した アックア「私の質問にも答えて貰えぬのであるか」 無傷の巨体は鋭くこちらを見据えている。そして爆発による灰色のカーテンを薙ぎ払おうとした、その時だった ざわ… アックア「!?」 まただ またあの不快感が右の首筋を襲った アックア「魔女めッ!!」 ドバッ! アックアの足元に巨大な氷柱が生え、その巨躯は空を舞った 小萌「氷なんかに乗ってると、すべっちゃいますよー」 アックア「!?」 まさか… と息を呑んだ瞬間、アックアの足場が、『滑った』 アックア(エーテルの特性は『万物に似ている』。ここまで厄介だとは…) 氷柱に何らかの干渉をされたらしい、と推測したアックアは態勢を立て直すべく、第二、第三の氷柱を作る しかし小萌の追撃は止まない 小萌「おっと、空中戦では私の方が有利ですよー」 バッ バッ しかし応戦するアックアは一つのことに気づく アックア(空中……!?) するとアックア上空の小萌を見上げ、十字架を切った ドガァァァァァァッ 十字架を切る。たったそれだけの動作で雷に似た光線が空飛ぶ魔女を襲った かつて十二使徒の一人ペテロは、空飛ぶ魔術師シモン=マグスを主に祈るだけで撃墜した だからアックアは知っている、いや魔術師のほとんどは知っている 『現代の魔女は、空を飛ばない』 アックア「なっ…!?バカな!!」 そして、それを熟知している『神の右席』後方のアックアにとって、今目の前に広がる光景は信じられなかったのである 小萌「現代の魔女は空を飛ばない。それは撃墜術式の発展によります――」 アックア(何故だ…何故『墜ちない』!?) 小萌「しかし防御を徹底すれば、小萌先生にも空は飛べるのですー。例えば、『ガヴン=コンパス』みたいに」 全員「!?」 天草式もアックアも、驚いた つまりあの魔女は、今見せたように、移動要塞ガヴン=コンパス並の防御術式を常時展開している。つまりそれは――― アックア「貴様…もしや吸血鬼…」 小萌「違いますよー。私は上条ちゃん達の先生ですー」 ドバァッ! 小萌は空爆かのように空から地上を殴りつける アックア(あの防御術式…つまり通常の人間、いや『神の右席』さえも越える魔力を保持していると言うのか――) アックアは一方的に応戦の形をとる いくら天草式が雑魚だとは言っても、空からの強烈な攻撃に対し、地上の天草式に足場を崩されば非常に厄介だ アックア(ええい!!) すると、そのまま地上を駆けるアックアの目の前に無数の鋼糸が… アックア「ふんッ!」 メイスでそれらの鋼糸を薙ぎ払うと、切断面から赤い霧が吹き出し―― アックア(そうくるか………) そのままアックアの全身は赤い霧に包まれる 五和「その術式の正体は『殺人に対する罪』。ワイヤーを生命と再定義した罰を与える術式で―――」 ドバッ! 赤く纏う霧を無効化するかのように、中心から爆発がおこる アックア「私の特性を教えよう」 上空にいる小萌にも対峙する天草式にも、アックアは強く大きく写る アックア「私の特性は『神の力(ガブリエル)』聖母崇拝の秘儀をある程度行使することができる」 アックア「その特徴は『厳罰に対する減衰』である」 その声に天草式は一線を引く アックア「結論を言おう、我が特性は罪を打ち消す『聖母の慈悲』。殺人罪ごときの罪が私に通じるとでも思ったか――」 小萌「もしやあなたの特性は罪だけでなく、『神の右席』の約束・束縛・条件すら無効化する…ということですか?」 アックア「よく気づいたであるな」 それが聖人アックアの強さの秘密 しかし、それを知ったところで小萌と天草式の考えは変わらない アックア「さて、説明も終わった。そろそろ私も本領発揮といきたいところである」 すると橋の下を流れる川が突如爆発を見せる 五和「ッ!?」 建宮「来るぞ!!」 水は砲弾となり槍となり、地上の天草式に襲い掛かる 小萌「くっ…!」 小萌は急降下して天草式の助けに入ろうとする、が アックア「貴様は私の相手をしろ――」 エーテルの干渉魔術を恐れたのか、アックアは氷を使わず移動し、メイスは水で加工されている 小萌「仕方ないですねー…」 すると小萌はあっさり箒から降り、空中で足場のない2人のメイスと箒が爆音を奏でる―― アックア「見事な体裁きであるな」 小萌「ちょっと苦しいのですよー……ッ!」 ガギィッ ドバッ! クルクルと空を舞う小萌と、水の砲弾を足場とするアックアの速さは一閃の光を煌めかせた このままではさすがに小萌自身も苦しい… 小萌「『宇宙を満たす第五の元素。それは電磁波の媒質ともなる』」ギン 箒を両手に、祈るようにして唱えたその魔術は―― ドバァァァァッ!! アックア「――ッ!?」 突如アックアの足場の水と、メイスを加工していた水が爆発をした アックア(電磁…波…。まさか……) 小萌「アックアさんは科学のお勉強は嫌いですかー?」 その問いの意味が、アックアにはすぐ分かった… 小萌「エーテルは光と同時に電磁波の媒質ともなります。その意味は魔術的要素にも――」 ドバッ! アックアは一旦地上に降り立つ 小萌「つまり小萌先生のエーテルは、電磁波の魔術なのですー」 19世紀末に科学者マックスウェルの予言よりヘルツによって発見された『電磁波』。光と同等の伝播速度を持つそれは、必然的にエーテルが媒質とされてきた訳で―― 小萌「つまりー、私の魔術は…」 アックア「自らが開発した…『独自の魔術』」 魔術を作るエネルギーはもちろん魔力。そして属性に関連性のある魔術が一般的とされている 小萌「そうですねー。『科学の魔術』とでも名付けましょうかねー」 アックア「―――ッッッ!?!?」 それはアックアの理性を越えた一言だった この魔女は……知らない 何も知らないのだろう、と アックア「貴様…『科学の魔術』を…自分一人で開発したのではあるまい」 小萌「?…まぁローラさんのアドバイスでこの魔術を完成させましたけどねー」 ローラ・スチュアート その名を聞いたアックアはさらに怒りの感情が込み上げてきた アックア「クッッッ!!」 小萌「??」 『科学の魔術』 それは魔術世界で禁忌とされる魔術であった。科学的伝承を利用し科学的効果を利用する魔術 恐らくさっきの『電磁波』の攻撃は強力なマイクロ波による水の爆発。つまり電子レンジのようなもの アックア「ローラ・スチュアート………」 何とも忌ま忌ましい名前 そして何故ここまで『科学の魔術』が嫌われるか。それは簡単で、『魔術を侮辱する』と言う理由 そして、昔にも本格的な『科学の魔術』を使用した人間がいた―― アレイスター・クロウリー アレイスターの名を知らぬ魔術師はいない 魔術世界で最大の魔術師。そして、最も魔術を侮辱した人間を そして学園都市で『人工天使』を作りあげ、また一つ魔術を侮辱した人間 アックア「貴様が使用したその魔術。それを知ったからには、私は『神の右席』として見過ごす訳にはいかないである」 小萌「………いいですよー」 ドバァァァァッ! 小萌(はや…) ガギィィィッ! 重い アックアの一撃は重く、メイス越しに憎しみが伝わってきた 小萌(電磁波の…魔術で…) さっきと同じように箒に祈りを捧げると周囲の水は爆発の連鎖を起こす しかしもちろんの如くアックアは防御術式を展開しマイクロ波を利用した魔術は効かない 小萌「―――ッッ!?」 ドグッッ! 小さな魔女の体が、鈍い音をたてて遥か後方へ飛んでいった… ――来るッ そう知覚したのは五和だけでなく天草式全員がそうだった ズドンッ! メイスを振るい、水をミサイルの如く乱発するその巨体は、先程と違う 建宮「陣を…崩すなッ!」 『怒り』を表にしたアックアは手加減を知らない 五和(『本命』を叩き込むどころか…陣さえ持たない…!) じわじわと崩れてゆく、とかそんなものではない。一瞬にして崩壊させられる一打一撃が大地震のように大地を震わせる アックア「貴様らに構っている暇は…ないッッ!」 ゴゴゴッ! 氷の壁が迫ったかと思うと、そこから無数の水槍が襲う 一気に散開した天草式だが、そこにアックアはいない… 建宮「まさか…まだ月詠小萌を…!」 五和「そのようです…ね」 体力は損耗しているものの、致命傷はない そう確認した天草式の面々には無謀か勇敢か、『まだやれる』という根拠のない希望だけが脳裏を支配した アックア(あの魔女は……どこに……) 今だ平静を取り戻せない後方のアックアは夜の街を飛ぶ アックア(あの魔女だけは…仕留めるであるッ!) そう決断したとき、右方向からの殺気がアックアの足を止めた 神裂「…私の『仲間』達が、お世話になりましたね」 現れたのは極東の聖人。そして天草式女教皇「神裂火織」 しかし今のアックアには、そんな軽い自己紹介も彼を苛立たせる要因の一つでしかない アックア「あの魔女は…どこにいるッ!!」 高速で氷を滑るアックアの速度に対応してみせた聖人神裂は、疑問の表情を浮かべる 神裂「魔女……月詠小萌の…」 バギィッ やはりアックアは今『怒って』いる 神裂ですら受け止めるのも危ういメイスを、怒りに任せ振るう、そして振るう ブォン ブォン! 行動が読めなさすぎるアックアに対し、神裂はただ身構えるしかなかった 神裂「――ッック!!」 すると後方から大人数の足音が… 五和「女教皇!!」 五和が叫び、神裂が答えようとした時だった アックア「貴様ら……ッ!」 ドバァァッ!! 足元を流れる水道管でも利用したのか、周囲一辺の地表が爆発する 神裂「ッ!?こんな…こんなふざけたことが…」 しかし神裂も暴れるようなアックアの動きを辛うじて読み、懐に潜りこむ アックア「私の相手は貴様ではないッッ!!」 片手一本で吹っ飛ばされた神裂はギリギリ受け身をとった 神裂(ダメだ…読めない。速さも動作も魔術も…) そして受け身をとった後顔を上げると、後方のアックアはいない 神裂「ッ!?上!」 その時にはもう遅かったのかもしれない アックア「『聖母の慈悲は厳罰を和らげる』」 神裂「!?」 アックア「『時に、神の理へ直訴するこの力。慈悲に包まれ天へと昇れ!!』」 一瞬で神裂には分かった。これは必殺である、と そしてこの必殺を受ければ、聖人である神裂ならいざ知らず、周囲にいる天草式の面々はどうか この巨躯から繰り出される必殺を受けて耐えられるか、どうか その思考は遅かった 後方のアックアは一直線に落下。そして振り下ろされる特大のメイス。それは圧倒的な破壊を意味する訳で――― ドガァァァァァァァァァァァァァァァァッッ!! 辺り一面を占める砂埃が消えると、そこは大きく穴の開いた地表。第五階層まで続くその穴 しかし神裂及び天草式全員は、死んでいない どころか傷一つない訳で―― 小萌「言ったじゃないですかー、エーテルは『光の媒質』だって」 アックア「エーテルの…魔女ッッ!」 アックアも、自分の必殺が当たらなかった理を理解したようだった 小萌「エーテル魔術で光の屈折を変え、目標座標をずらす。たったそれだけのことを見破れなかったのは、あなたは相当頭に血が上ってたのですねー…」 アックア「―――ッッ!」 第五階層から大きく上方に飛んだアックアは小萌に襲いかかる。が、空中戦では小萌が地の利を得ている バッ バッ 小萌「だからいいましたよねー。私の方が有利だって」 アックアの戦闘は怒りに満ちている。だがそれは動きに無駄が多いことを小萌は洞察していた 小萌「ほっ!」バシッ 小さく短い足が、アックアの腹を蹴る。それだけで無理矢理地球の引力に引き込まれたようにアックアは第五階層に叩き付けられる メキメキ… そしてその引力は第五階層をも突き破った… 神裂「すご…い……」 ただのその言葉が自然に出たのは、聖人神裂にとって生まれて初めてかもしれなかった アックア「チィッ!!」 あれだけの威力をモロに喰らいながらも、数ヶ所の傷だけですむアックアはやはり化け物だと認識せざるを得ない そして闇が覆う第六階層に、小さな魔女と巨体の聖人が再び対峙した 小萌「頭は冷えましたかー?」 アックア「残念ながら、そう簡単にこの怒りは消えぬのである」 小萌「ならば仕方ありませんねー。ここで決着つけたいと思いますぅ」 アックア「私も本来の仕事がある。ここで立ち往生するのは得策ではないのでな」 地下貯水池が近いのか、アックアは水の気配を感じ地の利を確かめた アックア「月並みな台詞ではあるが…私とここまで渡り合う魔術師は、貴様が初めてである」 小萌「それはどうもなのですー」 これから戦う相手の実力を再確認し、その莫大なまでの魔力を知覚したアックアは、今までに無く武者震いが止まらなかった――― ゴバァッ! 先を発したのはアックア。どこからか水が飛んできて、それは水の散弾と化して小萌に襲い掛かる 小萌「しかし…!」 ブォォン! 小萌は箒を前に突き出すと、その先から風が巻き起こり水の散弾を上手く弾く 万物に似ている特性は擬似的に他属性を操ることも可能だった アックア「賢しい…ッ!」 アックアの片手からバスケットボール大の水玉が投げられる それを小萌は、電磁波術式での迎撃を試みる…が バチバチッ… 小萌「!?圧縮…」 グググ… それは小さく圧縮された「水玉」。マイクロ波で爆発させようものなら、周囲の被害は甚大なもので… しかし遅かった ドバァァァァァァァッ! 本物の爆弾のように飛び散る様は近代の戦争のようだ。それを感想として抱いたアックアは、それほど世間知らずではないということか アックア「……………」 また、いない 魔女が アックア「……………」 エーテル使いの知識がまるでないアックアにとってこの戦いは先が読めない 先が読めないと言う理由でオドオドしていては元傭兵の名が泣けるところだが、それはホラー映画にも似た恐怖でもあった 小萌「ふぃ~…」 不気味だ… まさか神の右席で聖人の自分がそんな感想を持っていることに、一番驚いた スッ… 小萌「もうすぐですよー」 ドガッ! 右下方から入った箒の一撃。無論アックアは受け止めたものの、不気味さはまだ拭えない アックア「ふざけた真似を…!」 ドガッ! バギィ! 今がチャンスと言わんばかりにアックアは追撃をかける。無限に近い魔力を持つ的に対して長期戦は絶対不利。ならばスピードで勝負するしかない アックア「動きが…遅いであるな」 小萌「ッッ………」 次第に小萌の防御術式の破壊も、アックアの強大な膂力にかかれば時間の問題 しかし 小さな魔女は笑っていた アックアはそれに気づかず、小萌を吹っ飛ばす一撃をいれた時だった ドッ! しかし小萌は見事なまでに受け身をとる 小萌「じゃあ、もうこれで完成のようですねー」 アックア「……………ッ!」 周辺を流れる強大な魔力、地脈などを利用していない、この魔女から流れるものだ 小萌「『セオレムは第一の矛盾を示します』」 ドクンッ アックアは『動けなく』なった アックア「ッッ!?!?」ギギギ ギロリ ギロリとアックアが周りに目をやると、そこにはルーンらしき紙が不規則に散らばっている… 小萌「あなたの『聖母の慈悲』は、様々な束縛・条件・約束から逃れることができます」 アックア「…………」ギギギ 現に天草式の『殺人の罪』を利用した術式は効果を成さなかった 小萌「しかし、その束縛法が『科学の定義』ならばどうでしょうかねー?」 アックア「…!?!?」 まだアックアは完璧に理解していなかった。いくら科学とは言えこの『聖母の慈悲』の特性に当て嵌まらないのは… 小萌「『グリム・セオレム』。と言ってもわからないでしょうねー」 アック「……………」 アックアには分からない、しかし何か分かればまだこの束縛状態から逃れるヒントがあるかもしれない。この聖人はそれを必死に求めていた 小萌「この術式は『グリムの定理』という一つの定理を応用した特殊な魔術です」 アックア「………」ギギギ 小萌「この定理は簡単に説明するとですねー…。『神様の存在』を否定するんですよー」 1991年にパトリック・グリムにより発表された、『神の存在』を否定した定理 小萌「それの定理や数値を術式に変換、こうしてルーン化することに説明しましたー」 ルーンをよく見ると、緻密な数式のようなものが書かれていた アックアも少しづつ理解してきた 確かに神の存在を根本から否定するのなら『聖母の慈悲』も効果を成さないはずだ…と 小萌「そしてこの定理は『神様の存在』を否定するだけではないのですー」 まだこの魔術には『隠し種』があった 小萌「『神様の存在』を理解しようとする、そのものを矛盾と捉えるのですー」 この定理での結論は『神は人間の知性を越えた存在』 そして神の三位一体を理解する行為、もしくは理解したのならそれは理解したのでなく全くの『異端』だと アックア「――――ッッ!!!」 アックアはやっと気づいた 小萌「そう。あなた達『神の右席』のように、神と同列対等になろうとする者の全てを否定させる魔術。この術式において、『神の右席』は最大の矛盾でしかないのですー」 これが対アックア用とも言うべき、必殺の術式――― つまり普通の魔術師ではあまり効き目がない 『神の右席』のように、天使に近い体をし、神と同列対等になろうとするそれこそが、この術式が喰らうところ 小萌「ではお休みなさい……。『セオレムは第二の矛盾を示します』」 ドバァッッッ 周囲の特殊なルーンが特殊な陣を描き、その力は中心のアックアに襲い掛かり――― アックア「…がぁッッッッッッッッッッッ!!――――――――――――」 声にならない悲鳴をあげ、内から爆発するような音が幾度となく第六階層をこだまする アックア「――――――――――――――」 ――悶死したのか無傷なのか、アックアか別人か、全ての判断を狂わせそうな一つの肉塊が、そこに転がった 小萌「…………これで…よかったのですよね…」 ただただ心を鬼にして、生徒のためを思い、『魔女』になった月詠小萌は今何を思うか 『生徒達の笑顔のために』 そう誓った『エーテルの魔女』は、もの哀しげに佇立していた――――
https://w.atwiki.jp/kinsho_second/pages/1633.html
上琴の戦い 【本文】 上琴VS黒子 ◆ 上琴VS初春&佐天 ◆ 上琴VS舞夏 ◆ 上琴VS美鈴 ◆ 上琴VS美鈴 2回戦 ◆ 上琴VS土御門&青ピ ◆ 上琴VS通行止め ◆ 上琴VS木山 ◆ 上琴VS寮監 ◆ 上琴VS建宮 ◆ 上琴VS御坂妹 ◆ 上琴VS土御門&青ピ 2回戦 ◆ 上琴VS通行止め 2回戦 ◆ 上琴VS番外個体 ◆ 上琴VS婚后 ◆ 上琴VS垣根帝督 ◆ 上琴VS浜滝 ◆ 上琴VS絹旗 ◆ 上琴VS麦野沈利 ◆ 上琴VS固法 黒妻 ◆ 上琴VS小萌先生 ◆ 上琴VS吹寄 ◆ 上琴VS半蔵 ◆ 上琴VS黄泉川 ◆ 上琴VS通行止めVS浜滝 ◆ 上琴VS削板軍覇 ◆ 上琴VS食蜂操祈 ◆ 番外編 美琴のお泊り1週間 ◆ 美琴のお泊り1週間~7日目上条暴走ver~ ◆ 【著者】 ソーサ(14-457)氏 【初出】 2011/02/07 初投稿 2011/07/27 完 2012/05/23 上琴VS食蜂操祈 投稿
https://w.atwiki.jp/kinsho_second/pages/596.html
そんな頃飛行機から6人のハンター達が降りたっていた。 (レベル5を倒した無能力者二人と学園都市最強の超能力者…こんなに根性あるやつらと戦えるなんてな…俺の根性見せてやりますか!!) (まあ、最近仕事少なくて鈍ってきたところなのよね…、楽しませてくれるかしら?) (出来れば上条当麻を殺りたいところだが、殺しは不味いと言われたからには違う奴と当たることを願おうか。) (飾利姫とのデートが……、まっ、コッからは仕事なのよね。……命日にならない様に気を付けろよ?) (さてと…ゴーレムの会見をイカすシェリーの方に変えたし、更に面白いことにしたし…、幻想殺しか浜面仕上のどちらかを狩れれば文句はないな…。) (禁書目録の前ではああ言ったが…面白い奴に会えればそれでいいのである。) それぞれの思いはそれぞれしか知らない。 ーーーーーーーーーーーー ピクンッ!!最初に起きたのは滝壺だった。 (今のは……レベル5?かなり大きいAIM拡散力場だから間違いない。……こっちに近づいてくる!?) 滝壺は体晶がないと正確な数値はだせないが大きいAIM拡散力場位の動きならすぐわかる。 「(ッ!?もうこんな時間!?)はまづら!!起きて!!」 「ん~…後五分………ってん!?…………ブハッ!!いきなりなんだよ滝壺!!」 「はまづら大変!!もう近くにハンターが来てる!!」 「なにぃ!?ヤベッ!!滝壺!!全員叩き起こすぞ!!」 「わかった!!」 その頃、学園都市にある天草式学園都市支部のアジトの一つに初春と神裂がいた。 無事にハンターのメンバーを送り出した後、二人は帰ってちょっとした話し合いをしていた。 「今頃ハンターの皆さん、到着してる頃ですよね。……火織お姉ちゃん、どうかしました?」 「どうかしたかじゃありません! 建宮をその気にさせたのはいいのですが、どうしてデートをするなどと言ったのです!」 そう、出発前にハンターに指名された建宮は他のハンターのメンバーがドン引きするくらいに駄々をこねたのだ。 そこで初春が交換条件としてデートをするということで落ち着かせたのだが、建宮はキスをねだったので交渉には時間がかかったのだが。 「だってそうしないと出発出来なかったじゃないですか。それに私、一度でいいから男の人とデートしたいなって思ってましたし」 「……それで飾利の気が済むのならそれでいいですけど。ですが当日は飾利のお姉ちゃんとして、女教皇としてデートに付いて行きます! 構いませんよね?」 「ぜひ♪ 建宮さんには二人っきりとは言ってませんし、火織お姉ちゃんと一緒なら楽しくなりそうですから」 初春飾利、どんなに精神的成長を遂げたとしてもこういった所はまだまだ子供である。 建宮の話題を切り上げた神裂はシェリーが参加を了承してくれたことが不思議だった。 「それにしてもよくシェリーが参加を認めてくれましたね。彼女が科学側の行事を受け入れてくれるとは予想外でした」 「……それなんですけど実はちょっとした約束をしまして。火織お姉ちゃん、怒らないで聞いてくれます?」 「怒る? 私が? 私が飾利のことを怒るわけじゃないじゃないですか。さあ、お姉ちゃんに話して下さい」 「えっとですね、もし科学と魔術の共生が出来なかったらその……殺してくれと」 初春の発言に神裂は心臓が止まるかと思うほどビックリしたが、目の前の少女ならそれくらい言っても不思議ではないと納得してしまう。 「でもシェリーさん言ってました。『分かった。あんたのことは認めてやる、殺しもしない。その代わり、最後まで成し遂げろ。私も協力してやるから』って」 「そ、そうですか。それは何よりです(しかしあのシェリーが我々の協力者とはいえ科学側の飾利を受け入れるとは……。これも飾利の人徳ですね)」 「それと彫刻のモデルも頼まれちゃいました。何でも『あんたのその芸術(アート)、形に残したいんだけどモデルになってくれるか?』とか言ってました。芸術って何のことか分かりませんけど」 神裂は瞬時に理解した、シェリーが初春の花飾りに芸術(アート)を感じたのだと。 しかしそんなことは初春本人には言えないことなのであやふやな返事で誤魔化すことにした。 「ところで飾利。あの闇咲という男は何者です? それとあの男をネセサリウスに入れるというのは本当なのですか?」 「闇咲さんはフリーの魔術師で使う魔術は梓弓を用いた風の魔術、あと縄縛術を得意としてます。ネセサリウス入りはローラさんの了承を得て、最終チェックをステイルさんとシェリーさんに任せてます」 「す、すでに最大主教と話をつけていたのですか……。ですが裏切るとかは考えられないんですか?」 「それは大丈夫です。闇咲さんは誠実な方でしたし、闇咲さんの大切な人を信頼出来る病院で看てもらうようにしましたから。ちゃんと見返りは払ってますよ」 ちなみに初春が闇咲に紹介した信頼出来る病院とは、カエル顔の医師こと冥土返し(ヘヴンキャンセラー)がいる病院である。 神裂はますます初春が裏の人間っぽくなってきてるのを成長として喜ぶべきか本気で悩むのだった。 「じゃあ後はハンターの皆さんにちょっとした助言を送るだけですね」 「助言、ですか? 彼らには自由にさせるのでは?」 初春の言葉に疑問を持った神裂だが、目の前の少女の考えは予想を超えていた。 「たまには当麻お兄ちゃん達には負けてもらわないと♪ 勝ってばかりだと後々困るような気がしますし」 「負けてこそ得る物があるということですね。ですがどのようにするつもりです? 私が意見できるとしたら建宮に土御門を任せるくらいしか言えませんよ?」 「火織お姉ちゃん、それいただきです! 成程、建宮さんなら土御門さんに惑わされてる可能性は低いですね。火織お姉ちゃんと違って」 神裂は自分の案を初春が受け入れてくれたことを喜んだが、その後のサラッとした毒舌に落ち込んでしまう。 落ち込んだ神裂を宥めた後で初春は次の案を考え出す。 「ステイルさんとシェリーさんで一方通行さんを30分間、押さえ込むことは可能だと思いますか?」 「学園都市最強を30分……厳しいですね、あの二人といえども。ですがルーンの配置を魔方陣とすればイノケンティウスは強化されますからあるいは……」 「じゃあルーンの配置は合宿参加者の脱落者の皆さんに協力してもらいましょう。もちろん理由とかは一切話さない方向で」 「おびき出しは打ち止めにシェリーの眼球式ゴーレムを使えば問題無いですね。あの子、どうやらシェリーのことを怖がってるようですし」 一方通行対策は時間が掛かるかと思われたが、神裂の助言ですんなり片付くことに。 次に初春が考えたのは浜滝、それと半蔵と郭の件だがこれはあっさりと解決することに。 「滝壺さんは非戦闘員ですから浜面さん、半蔵さん、郭さんを相手取ることになるわけですけど、あの人達の相手は闇咲さんに任せましょう」 「私は彼らのことはあまり知らないのですが闇咲という男一人に任せて大丈夫なのですか?」 「確かにあの3人は侮れません。でも闇咲さんは戦いの年季も実力も彼らより高いはずです。油断しないで格上を相手するつもりで倒すように伝えましょう」 次に考えるのは当麻の対処方法だが、こっちも思ったより簡単に終ることに。 「上条当麻はどうします?」 「当麻お兄ちゃんの相手は削板さんです。削板さんには思う存分、当麻お兄ちゃんと殴り合ってもらうんです♪ どっちも根性ありますからいい戦いになると思いますよ」 「ああ、あの変な格好をした少年ですか。ですが飾利の言うことを聞きそうに無いタイプでしたが大丈夫なのですか?」 「それも大丈夫です。削板さんをその気にさせる言葉もちゃーんと考えてますから」 そして残るのは月夜だが、神裂は彼女の能力を知っているので実は一番厄介なのではと思っていた。 しかし初春は月夜に関してだけはぶつける相手をすでに決めていたりする。 「白雪さんの相手は結標さんです。白雪さんには知ってもらわないといけません。魔術、いいえ暗部の世界の厳しさを」 「ですが白雪の能力は強力です。テレポーターが勝てるとは……」 「白井さんなら分が悪いでしょうけど、結標さんなら問題ありません。白雪さんを翻弄するにはこれ以上無い人選ですよ」 結標のことをあまり知らない神裂に、事前に彼女から『座標移動』について聞いていた初春は自信ありげに答えた。 悪魔と呼ばれるかもしれない、嫌われるかもしれない、それでも花飾りの少女は月夜、ひいては当麻達のことを思い、心を鬼にする。 「これで後はハンターの皆さんにそれぞれの助言をメールで送るだけです」 「お疲れ様でした飾利」 そして初春は、ハンター達にそれぞれに対する助言と『全力で捻じ伏せちゃって下さい♪』と添えたメールを送った。 色々と助言は送ったが、それでも当麻達に完全に勝てるとは思っておらず、これでようやく互角だろうと初春は考えていたりする。 いよいよ合宿最終日、サバイバルバトルが生温いくらいに思えるほどのハンター達との戦いの火蓋が切って落とされるまで後一時間。 場所は上条達の所に戻って… 「で、ハンターは何人居るんだにゃー。」 「分からない。でも能力者は二人も居るよ。」 「そうなのかにゃ(後はステイルも居ることだから三人だけなのか?)」 「まあ、時間も無さそうだから簡単に作戦会議しようぜ。」 上条がそう言ったので簡単に作戦会議をした。 「それで滝壷、その能力者の中にレベル5が居たというけど具体的には分かるか?」 「そこまでは分からない。でも、このAIM拡散力場は超電磁砲ではない。」 「そうか美琴では無いのか、ここに居るアクセラと白雪はありえないし、他にレベル5でありえない人物は…」 「二位と四位はありえないはずだぜい。」 「ということは五位、六位、七位だけかァ…」 「ちょっと待て、七位って一番ありえないでせうか。」 「性格からにしてそうかもしれないにゃ。しかも考えてみれば一回会っているしにゃ。」 「なら、レベル5は七位で決まりなんじゃねーかァ?」 「それなら、レベル5はカミやんに任せるぜよ。」 「でも元春、上条君の足大丈夫なの?」 「多分大丈夫だろ。じゃあ他は一方通行が待機で、白雪、浜面、半蔵、郭は出動してもらうぜよ。」 とりあえず作戦は決まったんだが… 「(オイ土御門、結標はどうするんだよォ?)」 「(それはあの四人の誰かと当ったとしても大丈夫だろうにゃ。浜面と半蔵と郭の実力なら大丈夫そうだからにゃ。)」 「(ならいいけどよォ…)」 一方通行は本当に大丈夫なのか心配になった。 「じゃあ、みんな準備はいいかにゃ。」 そういうことで作戦を実行した。 その頃、ハンター達はというとステイルのルーン配置待ちで、教師陣のベース跡地で待機していた。 「すまないみんな。いくら万全を期すとは言え僕一人の為に待たせるようなことになって」 「細けぇこたぁ気にすんな兄ちゃん! 待たせた分、てめぇが根性見せりゃいいだけのことよ! あー、早く上条って奴と戦り合いてぇぜ!」 削板は初春から『当麻お兄ちゃんは削板さん並みの根性を持ってます。最高に燃える戦いが出来ますよ♪』とメールを貰い、自分と同じくらいの根性の持ち主に思いを馳せる。 それを冷めた目で見つめてるのはシェリーと結標、面白そうに見ているのは建宮だ。 「やれやれ、能力者ってのは変わり者が多いねぇ。ところでお嬢ちゃん、大晦日の時にいたテレポーターよね? 戦えるのかい?」 「余計な心配は無用よ。これでもやばい仕事も戦いも何度もこなしてるんだ。そっちこそ大晦日の時のような負け方晒さないでよね」 「へぇ、言ってくれるじゃないか。けどその目、私は嫌いじゃないよ。あの芸術(アート)な子ほどじゃないけどね」 (面白い奴がいるのよな。この後で飾利姫とのデートが待ってるがそれは置いておくのよ。土御門を抑え、倒す、そのことに全てを出し切るのみ) 静かに佇むのは闇咲、しかしすでに『捜魔の弦』で当麻&土御門グループの陣地割り出しを行っている最中だ。 そして見事に探し当てると、他のハンター達にそのことを伝える。 「私達の標的はここから北東1.4km先にいる。数は9。まだ動きは見えないようだ」 「闇咲といったね。最大主教と初春は君のネセサリウス入りを歓迎している。でも僕とシェリーが君の実力を見て、それから決定をさせてもらう。それでいいね?」 「構わんさ。私はすでに色々と恩を受けている。それに報いる為ならどんなことでもやってみせるさ」 「あんたの索敵能力は大したモンだ。後は戦闘だね。私のこのゴーレムで戦いを見せてもらうよ」 シェリーはそう言うと、眼球型ゴーレムを一つ、闇咲に渡す。 そこに小萌からステイルのルーン配置が完了したことが告げられた。 「ステイルちゃーん。あなたに言われた通り、カード配置は無事に終了しましたー」 「ありがとうございます。こちらも準備出来てますので、上条当麻達に開戦を告げて下さい」 「了解ですー♪」 そしてハンター達は当麻&土御門グループの陣地へと駆け出す、削板と結標を除いて。 「おいおいねーちゃん! 何だよ俺に相談って? 早くしねーと置いてかれちまうだろ」 「私の『座標移動』ならそんな遅れ、すぐに取り戻せるわ。それよりもさ、ちょっと面白いこと考えたんだけど乗ってくれる?」 提案した結標の顔はそれはもう、悪企みしてますよって言ってるようなもので削板も不安になったが、彼女の提案を聞いて乗り気で頷く。 そして小萌に言って欲しいことを伝えた後で結標と削板は行動に出るのだった。 『ピンポンパンポーン♪ ただ今からハンターさん達を投入するですよー』 『ちなみにハンターさんはあれから3名追加して6名になりましたー。どうですかー、嬉しいですよねー♪』 『ではいよいよ始めようと思うのですが上条ちゃん達は陣地から逃げることをおススメしますよー。今から開戦の合図としておっきな爆弾が投下しますのでー♪』 そして小萌からの放送が終ると、結標の『座標移動』で当麻&土御門グループの陣地の真上に飛ばされた削板が降って来た。 「はっはっはーっ! あのサラシのねーちゃん面白れーこと考えんじゃねーか! 俺も漢を見せねーとな! いくぜ! すごいパーンチ大根性爆撃ーーっ!」 削板の『念動砲弾(アタッククラッシュ)』に重力加速度も加わった強力な人間爆撃が当麻達に襲い掛かる。 この奇襲を合図に当麻&土御門グループVSハンターの戦いが幕を開けたのだった。
https://w.atwiki.jp/deruta_sanbaka/pages/57.html
上条「で、どっから行く?」 美琴「う~んと……あれなんかどう?」彼女が指さしたのはジェットコースター。 上条「…しょっぱなからですか?」 美琴「いいじゃんいいじゃん。」 美琴「で、なんでアンタらが後ろにいんのよ?」 白井「ハハハ、ぐぐ偶然ですわお姉さま。(まさか真後ろに来てしまうとは…)」 上条「お前ら仲いいなー、あれ?白雪と土御門は?」 青ピ「あれ?さっきまで居ましてんけどなー、どこいったんやろ?」 土御門「なーんでうちらは乗らないのかにゃー??」 白雪「ジェットコースター苦手だもん。」 土御門「にゃにゃにゃんですと!高校生にもなって!?」 うるさい!という音とともに白雪の渾身の一撃(素手)を喰らう土御門。 ここは学園都市。 遊園地のジェットコースターもそん所そこらのものとは出来が違う。 まずレールがない。 正確に言うとある。しかしそれはそうめん流しの機械のようなコの字型のものでジェットコースター本体はそれにふれず、「浮いている」。 リニアモーターカーと同じ原理である。上下逆さになるところでは逆に引き付けあうようになっている。 そういう仕様になっている目的はただ一つ。 「摩擦抵抗0のため最高時速は300キロほどになります。」アナウンスは続く、 「お客様にはヘルメットの着用、お身体の固定をお願いいたします。」 いま、学園都市が誇る驚異のジェットコースターが滑らかに発進する! 美琴「すごかったね…」 上条「だな」 美琴「なんで当麻は平気な顔してんのよ…」 上条「慣れてんだよ、あんなのたいしたことねえよ。(船やらアックアに 比べたら…、あ、なんか言って悲しくなってくる…。)」 美琴「(いきなり真っ青になった!)当麻…、同情するよ…。」 上条「ありがとよ…。」 土御門「おつかれにゃー!」 白雪「おつかれさまー」 青ピ「そういや、なんでお二人さんは乗らなかったんや?」 土御門「それはだにゃふん!」ビクン!! 白雪「(いったらどうなるか…ね?)」 土御門「(にゃー…。)」 白井「さて、次はどこにいきますの?」 上条「おい…いつのまに一緒に行動することになったんだよ…。」 打ち止め「う~身長足りなかった~ってミサカはミサカはこんな所で 屈辱に浸ってみたり~。」 一方通行「うるせンだよチビ」 打ち止め「うわ~んこの人がいじめたってミサカはミサカはパパとママの所に 一方通行「行くンじゃネェヨ」 打ち止め「なんで!!ってミサカはミサカはあなたに疑問をもってみたり!!」 一方通行「まだ仕事の同僚が来てネンだよ。」 打ち止め「仕事のドウリョーってだーれー?ってミサカはミサカはまたまた 疑問をもってみたりー?」 一方通行「優男と露出狂だゼェ」 打ち止め「ちょっと!!露出狂ってどーゆー意味!!ってミサカはミサカは 驚きどころかあなたの仕事場大丈夫?って少し心配してみたり!!」 そんな打ち止めほって置いて一方通行は 一方通行(土御門のリアルにゃーにゃーは爆笑もんだろうがヨォ!!しかも ロリコン語ってる奴がそこら辺の女に翻弄されるところで八割増しダァ!!) 同日、とある病院にて。 「これはどういう風の吹きまわしだ?」 「そ、それはですねぇ仕事の同僚からお誘いがありまして。」 「だからどうして私が行かねばならんのだ?」そう言うと少女は不機嫌そうに顔をそらす。 実際には照れ隠しなのだが。 「いやその同僚がですね『友達一人連れてきやがれ』って言うもんですから……あのショタとは行きたくありませんし……。」 「なるほど。それで……」 しばし沈黙。いたたまれなくなった少年が日頃は常に笑っている顔をしかめた時、少女は言った。 「いいよ。それにしても久しぶりだな。遊園地なんて。」 彼女は声を落とし、少年にも聞こえないくらいの小声で続ける。 「エツァリお兄ちゃん。」と。 「全く、ここ(グループ)には私以外まともな人間がいないのかしら。」 病室の外を歩いていた結標が言うと 「だから、あからさまなショタコン女には言われたくありません。」 間髪いれず病室から突っ込まれた。 「だから違うって言ってんだろうが海原ぁーーーーーー!!!!!!!!!!!」 病院には似つかわしくない愉快な破壊音がさく裂する。 そのころ遊園地。 「またお姉さまたちに置いてかれましたの。」 「しょうがないやん白井はん。あの二人 二人だけの場所をお好みのようやし。」 「なっ!ジャッジメントの面前でそんな事!!認めるわけにはまいりません!!さあまいりますわよ!!」 もうやめよーやー!!黙らっしゃいエセ関西人!! という声を聞きながら 「なんだかあいつらいい感じだな。」 「よね。」 「で、これからどこ行く?」 「いろいろ行きたいとこあんだけどとりあえずお昼に行かない?」 「おお、いいぜ。ちょっと懐に余裕あっから奢ってやるよ。」 「え?当麻っていつもいつも『貧乏学生』を自称してんのにどういう風の吹きまわし??」 「気にしなさんな美琴さん、んじゃあいくぞー。」「はーい。」 この二人は昼食先で意外な人物たちと遭遇する。 そこには『グループ』の面々がいた。 当然のごとく。 美琴「何でアンタがここいんのよ!」 結標「なんでもいいでしょ。て言うかうるさい。」ここは店のなかである。 海原「それに今日は大切な用事がありますしね。」 上条「何でお前がここに!?」 一方「うっせェなァ。いるンだからいンだよ。」 上琴「「だから説明しろーっ!!」」 説明タイム【どうして彼らが『グループ』に入ったかの説明】 一方「ほンとは土御門もいンだけどよ。」 結標「あの状態じゃぁねー。」海原「ですよね。」 上条「あのー、所でそこの御嬢さんはどちらさまでしょうか??」 ショチトル「ショチトル。」ぶっきらぼうな自己紹介、に続いて 結標「海原のい・も・う・と♪」 上琴一打青シ「ぶっ!!」 結標以外が全員吹きだす。 上条「そそ、そうなのか?」 海原「いや、ですから師弟関係のようなものでして。」 結標「『つまり義理!!ってことは最高じゃないかにゃーっ!!』って土御門は言ってたわよ。」 海原「ぐぅ…………」 上条「あの馬鹿らしいコメントだ。」 一方「でよ、その自称ロリコン軍曹殿があのざまだ。これを見ねぇ手はねぇ。」 『グループ』全員「全くもってその通りっ!!」 彼らの視線の先には白雪に振り回されてる我らが軍曹殿の姿がある。 美琴「ところで結標。第3エリアには行かないほうがいいわよ。」 結標「へ?……ああ白井さんね。何だかんだ言ってあの関西人といちゃいちゃすんのに夢中だから気付かいないわよ。」 上条「こっからは見えねえのに何でわかるんだ?」 打ち止め「ようやく発言の機会が巡ってきたっ!ってミサカはミサカは興奮したり。」 一方「要は『シスターズ』が見てるらしいンだよ。」 打ち止め「うぎゃーっ!言う事全部言われたーっ!!ってミサカはミサカはあなたの頭をポカポカしてみたり!!」 一方「やめろクソガキィ!!…ってかおめぇら何にやにやしてンだァ!?」 上条「土御門はロリコンの称号をアクセラレータに譲るべきだな」 琴結青シ「だよねー(ですよねー)。」 一方「何行ってやがンだァ!?」 上琴青シ結「食事中はしゃべらない!」 ちなみのこの会話中ショチトルは美琴を(こいつがエツァリの…)という目で見ていたらしい。残念ながらエツァリの恋は旗男に持って行かれたのだが。 その頃近くの屋上には。 「追加報告なのよな」「はいっ…どうぞ。」 クリップボードを持つ浦上と望遠鏡をもって観察中の建宮。 彼は報告書に追加すべき情報を浦上に言う。浦上がそれを筆記する。のだが、 「上条勢力に入れるのはカップル、もしくは独身女性のみと見られる。」「ぶはっ!」 この馬鹿報告を筆記する前に吹いた。 浦上「ななな何をまじめに言っちゃってるんですか建宮さん!!!」 建宮「いやだってそうじゃんよ。」 そして建宮は横を向く。 「ところで御嬢さんはいつまでそうしてるのよな?」 「必要なだけ、オリジナルがどこまでするか見届けるまでです。とミサカは懇切丁寧に説明します。」 「…ところでさっきからぼそぼそ何独り言をしてるのよ?」 「業務連絡です。とミサカは説明します。ところであなた方こそ何をしているのですか?とミサカは先ほどから観察対象を変更しまくっているお二方を疑ってみます。」 建宮「(この話かたどうにかならんのよな?)」 浦上「(ですよね。この間も見た御坂美琴嬢のそっくりさんですけど)」 10032号「どうかしましたか?とミサカはコソコソしている御二方へ銃口を向けます。」 建浦「「何でそんなもん持ってんのー!!??」」 10032号「護身用です。とミサカは説明しつつ、オリジナルへのセクハラを繰り返すあの少女の事を思い出してゾッとします。」 建宮「(確か白井さんとかいったよな?)」 浦上「(ですです。テレポートの使い手なのであれくらいの護身用具がいるんでしょうか?)」 建宮「(それにしても物騒な…って)ヒィ!」 10032号「コソコソして何をしているのか尋ねてます。とミサカはセーフティーを解除してさっさと吐けと脅迫します。」 10090号「落ちつきなさい10032号。とミサカはミサカの銃を取り上げます。」 10032号「もちろん冗談ですよ、それにゴム弾です、とミサカはミサカの心配は杞憂にすぎないと説明します。」 15072号「それにしては物騒な護身用具ですね、とミサカはミサカの銃を調べます。」 10090「察するにオリジナルを撃つつもりだったのでは?とミサカは冷静に分析します。」 15072号「そこまでしてあの方をオリジナルから奪い返したいのですか?とミサカはミサカの想いに共感しつつも手段がよろしくないと宣告します。」 10090号「危険ですからこの銃は破壊処分します。とミサカは告げます。」ビリビリバッチィイイン!!! 狙撃銃は破壊された。 10032号「はぁー。とミサカは作戦の失敗を認識し、途方にくれます。」 全く同じ顔の3人が喧嘩っぽいことを繰り広げているのを見て、天草式のお二人は柄にもなく驚いてしまった。 建浦「「同じ顔した子が3人!!??」」 美琴「ム?」 上条「どうした美琴?」 美琴「なんか私の能力を外からあびたような気が…………」 上条「どういうこと??」 美琴「あの子たちが来てるみたいね。」 結標「シスターズね。さっき見かけたわよ。珍しく私服だったわね。」そういいつつ同じく私服のオリジナルをジィっと見る。 美琴「なっ、何よ!?さすがに制服でこんなことできないでしょーが!!そうだ打ち止め、アンタ何人くらいあの子たちが来てるかわかるでしょ?」 打ち止め「うーんとね、30人くらい?ってミサカはミサカはアバウトな予想を立ててみたり。」 一方「なンかさらに面白くなってきたンじゃねェか。」 打ち止め「そんなことよりパパとママもここでごはん食べるの? ってミサカはミサカは訊ねてみたり」 結青シ「「「ぶっ!!」」」と三人吹きだす。 一方通行「オイ、テメェらきたねェだろうがよォ!!!!」
https://w.atwiki.jp/kinsho_second/pages/1757.html
そのころ、体育館では復活した吹寄と美琴による修羅場が始まろうとしていた。 「さて、ようやく疲れも取れたことだし練習再開……って神裂コーチは?」 「こ、コーチなら連れの女の子と一緒に、で、出て行ったきり戻ってね、ねぇけど……。それよりふ、吹寄、もう少し」 「だらしないわよ野原。貴様は他の皆とまだ休んでていいわ、仕方ないけど。その間、あたしは茜川さんと……何? あの組み合わせ」 体力が完全回復した吹寄は、まだ体力が回復していない野原達を休ませて神裂が居ない間も元気な赤音と自主練習をしようとしていた。 そんな吹寄だが赤音が美琴と楽しそうに話してるのを見て、割って入るのも憚られる雰囲気ということもあって少し待つことに。 「それでねそれでね、うちの学校って酷いんだよ~。球技大会で鼓膜破るの禁止とか衝撃波を直接相手に撃つなとか、とどめはマッチポイントでの能力使用禁止。厳しいと思わない?」 「バ、バレーならそ、それが普通だと思いますよ……。でも学校からそうゆう禁止事項が提示されるのって赤音さんが凄いって表れだと私は思いますけど」 「そう? 美琴ちゃんにそう言われると照れるな~。……ところで美琴ちゃん、どうして私の胸をじっと見てるの?」 赤音の禁止事項はやらないのが当たり前なのが殆どだが、マッチポイントでの能力使用禁止は結標にも適応されているものだ。 愚痴っぽくなって反省していた赤音だが美琴から思わず褒められて照れていると、ようやく自分の胸に美琴の視線が注がれていることに気付く。 「えっ、そ、そんなこと無いですよ!」 「美琴ちゃん、嘘はダメだよ~。大丈夫、そんなことで私は怒ったりしないから♪ 理由、話してくれる?」 「じゃ、じゃあ……ど、どうしたら赤音さんみたいにむ、胸がおっきくなるんですかっ!」 予想通りの美琴の質問に目の前の少女がレベル5第三位ではなく年相応の女の子に感じられた赤音は、美琴の質問に自分なりにきちんと答えた。 「健康的な生活と栄養満点な食事、そんな所だよ。でも美琴ちゃんの年齢で胸の大きい小さいは気にしなくてもいいんじゃないかな~。上条君は気にするタイプじゃ無さそうだし」 「そ、それはそうなんですけどと、当麻の知り合いには胸のおっきい人が多くて分かってはいても不安になって……当麻を誘惑する女を電撃で」 「ストップストーップ! そんな物騒な考えはダメーッ! そんな考えしてるといつか大きいしっぺ返しが来ちゃうよ。上条君のことは信じてるんだよね?」 「勿論です! でも未だに当麻を狙ってる女どもだけはどうしても信用できなく痛っ! あ、赤音さん?」 物騒な思考をしている美琴を見かねた赤音は意を決して美琴の思考を少しでも改善しようと試みる、微妙に自分のことは棚上げにして。 「今のデコピンはちょっとした戒め。それから美琴ちゃんに胸が大きくなる一番のアドバイス。力技は極力控えてすぐに怒らないようにすること♪」 「怒らないように、ですか?」 「そっ♪ お淑やかにしろとは言わない、何があっても怒るなとも言わない。要はね、冷静に穏やかに明るく元気良くってこと♪」 全然要約していないと思った美琴だが赤音という女性と接して一理あるかもと考える。 怒らないようにというのは当然嘘だが全部が全部嘘ではなく、怒りっぽく生活してると生活リズムが狂い、健康的な生活を送れないと考えてのこと。 考えに考えぬいた結果、美琴は1つの誓いを赤音の前で立てることに。 「分かりました! 赤音さん、私これからは出来るかぎりすぐに怒ることは止めて、雷撃もよく考えてから撃ちます!」 「(美琴ちゃんならこれが限界かな……)うん、そうすれば美琴ちゃんはもっと素敵になれるよ。というわけで早速実践スタート♪」 「じっ、実践?」 赤音の言葉の意味が分からなかった美琴、気付けば吹寄が自分の後ろに立っていることに気付く。 ちなみに吹寄は美琴と赤音の和やかな雰囲気が解けたと思い、赤音を呼びに来た所だった。 吹寄と目を合わせた美琴、赤音に誓ったことを胸に話し合いだけで吹寄とぶつかり合おうを決意するのだった。 その頃、まだ気分が悪い当麻と月夜は二人とも食堂に向かい、建宮に水を貰おうとしていた(エツァリは保健室)。 そこで当麻は未だに食堂で寛いでいる神裂と佐天から美琴がすでに学校に来ていて、吹寄に会いに来たことを知らされる。 「あ~、気持ち悪ぃ」 「建宮さん~お水~」 頭を押さえながら食堂に入ってきた当麻と白雪はヤシの実サイダーを飲んでいる佐天と神裂を発見した。 「あれ?神裂に涙子、何でここに?」 「昨日、バレーボールのコーチを頼まれたので。」 「あ~、吹寄ちゃんなら頼みそうだね。」 「それで美琴姉さんが吹寄さん目当てで体育館にやって来たので食堂に避難しつつ建宮にやしの実サイダーを奢って貰ってました。」 「え?み、美琴がも、もう来てるって?」 もう美琴が来ており、吹寄に会っていることに驚いている当麻。 当麻が思い浮かべるのは美琴が吹寄に雷撃を浴びせている状態しか… 「お、俺、美琴止めてくる!」 そう言うと当麻は建宮が用意した水も飲まずにそのまま体育館へと向かって行ってしまった。 「…行ってしまったのよ。」 「あ、建宮さん。 私もヤシの実サイダー欲しいな~」 「建宮、おかわりを」 「女教皇様も白雪もぉぉぉ!!!」 「あ、建宮、あたしにも」 「佐天までひどいのよぉぉぉぉぉぉ!!!!!!」 その頃、体育館では美琴と吹寄による穏便な話し合いが始まろうとしていた。 「「……………………」」 目を合わせてからというもの、お互いに見つめ合って黙り込んでしまった美琴と吹寄。 (い、いざとなったらどんな感じで話せばいいのか分からない……。今までのように問答無用で雷撃は赤音さんの前でするわけにはいかないし……) (どうして御坂さんがここに? あたしを見たまま黙ってるけど明らかにあたしに話があって内容は十中八九上条絡み。さっさと終わらせるに越したことは無いけど……) (あっ! 確かこの女の弱みを土御門さんが握ってるって話だけど聞くの忘れたーっ! ……仕方ない、ここは私から!) (どんな風に話せがいいのか分からないわ。穏便に済ませたいけどあたし、というかあたし達が今までに上条にしたこと、されたことを考えると……でもっ!) 「「あ、あのっ!!」」 時間にして3秒程度だが本人達にとっては長い長い葛藤の末、口火を切ろうとした美琴と吹寄だがタイミングが同じで失敗。 ここで今までは自分達を見ていたのは赤音だけだったがすこしづづ体育館に居る人間も自分達のことを見始めてることに気づいた美琴が単刀直入に、 「と、当麻をいじめるのを止めて下さいっ! 意味も無く当麻を傷付けられるのは嫌なんです!」 「(意味も無く、ですって? この子、何も知らないで都合のいいことを……!)ごめんなさい、無理よ」 用件を伝えるが、あっさり且つバッサリと却下されてしまう。 吹寄の態度に我慢の限界をあっさり突破した美琴、怒り心頭状態で帯電し始め、吹寄に雷撃を喰らわせようとする。 するとそこに澄き通った歌声のような音が体育館中に響き渡り、それによって美琴の怒りが静まるどころか穏やかな気持ちへと変化した。 「……あれ? 私どうしてあんなに怒ってたんだろ? それにさっき聞こえてきた音って」 「ゲホッゲホッ!」 「あ、赤音さん! もしかしてさっきの音」 「茜川さん!」 落ち着きを取り戻した美琴と吹寄、冷静になって気付いたのは喉を押さえて咳き込んでいる赤音の姿だった。 咳き込んでる赤音を心配する美琴と吹寄に心配されている本人は少し辛そうにしながらも笑顔を見せると、美琴と吹寄を無理矢理握手させた。 「ぶ、ぶだりども、な、ながよぐ……ね? みごどぢゃんも、ぶ、ぶぎよぜざんもばなじあいでわがりあっでぼじいな……」 「茜川さん、分かったから無理して話さないで。あなたの気持ち、確かに受け取ったわ。ちゃんと話し合いするから少し休んでて」 「仲良くは難しいですけど私もちゃんと話し合いで解決してみせます。ありがとうございます赤音さん、もう少しで取り返しがつかなくなる所でした」 美琴と吹寄が互いに少し歩み寄ったのを感じ取った赤音、喉の痛みを感じつつも二人に再度、笑顔を見せた。 ちなみに美琴と吹寄の怒りを静めたのは赤音の【鼓膜破砕】のバージョンの1つで、周囲の人間の気持ちを穏やかにするもの。 赤音が喉を痛めてるのは攻撃系じゃない場合の能力使用による負荷で、約半日は能力使用はおろかまともに話せなくなってしまう。 「ごめんなさい御坂さん。あの言い方はあたしが悪かったわ。きちんとこちらの言い分を伝えるべきだったわね」 「わ、私の方こそつい雷撃を吹寄さんに喰らわせようとして……ごめんなさい。でも私、やっぱり当麻のことが大切だから傷つくのは……」 「分かったわ、そこまで思い詰めた表情されたら断るわけにはいかないし。でもね御坂さん、あたし達が悪い時もあるけどそうじゃない場合もあることは分かって欲しいの」 お互いに和解の意思を示している美琴と吹寄を見て、赤音は自分の喉を犠牲にした甲斐があったと喜んでいた。 そして美琴は聞かされる、吹寄から当麻が攻撃されても仕方が無い件について。 美琴と吹寄のやり取りを見学しているのは青ピ、滝壺、郭、そして浜面の様子を見に来た麦野。 なお、体育館に居るはずの結標は翔太に会いに行くついでにエツァリ達の様子見、黒子は赤見と白子と一緒に学校探検、災誤は職員室へ向かってる所だ。 「一時はどうなるかと思うたけど何も起こらんでホンマよかったわ~」 「それもこれも赤音氏のおかげです。喉にも精神面にも負担が大きいアレを使ってくれなかったら今頃は……」 「確かにあかねがわの透き通るような音のおかげでみんなのAIM拡散力場、凄く静かで落ち着いてる」 「滝壺の言う通りかもね。さっきまで考えてた浜面を誘拐しようって気持ち、キレイさっぱり無くなったし」 いつもなら練習してるはずの青ピと郭、浜面に関してはひたすらにガツガツしている麦野も赤音のおかげで落ち着いてしまっている。 それは体育館に居る生徒全員にもいえることで、練習に駆り立てる闘争心も今は休眠状態で穏やかな気持ちで休憩中。 例外は赤音本人、それと元々穏やかな性格の滝壺はあくまでいつも通りである。 「それにしても何話してんのかねぇ、あの2人。さっきまでと違って大声じゃないから聞こえやしない」 「みさかとふきよせ、対極な2人の会話は想像すらつかない」 「せやなぁ。片やカミやんにフラグを回収された恋人の御坂はん、片やカミやんのフラグ体質に影響されへんアンチカミジョー属性持ちの吹寄はんやし」 美琴と吹寄という対極に位置する2人の会話、それを知り得ているのは自然と2人の近くに居る赤音のみである。 青ピと滝壺と郭はおそらく駆けつけるであろう当麻が来るまでは美琴と吹寄を見守ることにした。 一方で行動を起こす気がうせてしまった麦野は、 (そういえば青いノッポと滝壺のダチらしいこの女……誰? 滝壺の知り合いみたいだからちゃんと自己紹介すべきかしら?) 新たなる交友関係を築こうかどうか、意外にも真剣に悩んでいた。
https://w.atwiki.jp/kinsho_second/pages/540.html
「ミコトサン?勘違いしておりませぬか?」 「してないわよ?」 そういいながらもバッチンバッチン言ってませうよ!? 「いや!!絶対勘違いしてる!!」 「じゃあ言ってみなさいよ、」 「えっとですね…前にちょっと前にでせうね?美琴が嫁に来る前にちょこっと作ってもらった事があったんですよ…本当にそれだけですはい、ごめんなさいぃぃぃいいいいいい!!」 いつの間にか弁解が謝罪になっている。が、 「よ、嫁って…/////////」 「ありゃりゃ、嫁の一言でてれっちゃってるよ?」 「そりゃ自然にさらっと言ったもんにゃーこういう所が旗男だぜい。」 「そういうことか?」 「「「「「「「「「「そういうことだ!!」」」」」」」」」」 「は、はい…」 その場にいたもの全員に言われ、流石の上条さんもシュン…となってしまった。 「よーしよーし、あの二人が喧嘩してるとは風向きが私に向いてきたようですね」 上琴の惚気を五和は仲違いの喧嘩に思うと、人目もはばからずにガッツボーズをかましていた。 しかし初春の約束通り、メイド研修の本分を忘れずにいる辺りは流石としか言いようが無い。 「なんであの五和さんゆう人、カミやん達ののろ気に全く気ぃ付いてへんのやろ?」 「あれくらい前向きでないとやってられないんですわよ。わたくしも似たような時期がありますからお気持ちは分かりますけど……」 五和の様子を見ていた青黒、特に黒子は美琴に片思いしてた頃を思い出し感慨にふけるが、他人がそれをやってると哀れにしか見えなかった。 そこへ実は最初からパーティーに参加していた対馬と浦上が黒子に話しかける。 「ごめんね白井さん。うちの五和がみっともない所を見せて。悪い子じゃないんだけどね、上条当麻のこととなるとああなっちゃうのよ」 「いえいえ、みっともないとは思っておりませんの。ただもう少し現実を見た方が宜しいのではと思いまして」 「それが出来てれば暴走もしてないと思うよ。白井さんも暴走はしないようにね」 「ぼ、暴走なんてわたくししませんわよ! 気分が悪い振りして○○様のお部屋にお泊りしようとはこれっぽっちも考えておりませんので!」 黒子のプランを聞いた青ピがどうゆうわけか顔を青くしたが、彼女のプランを破る者が現れる。 まるで黒子の行動を読んでいたかのように浦上が黒子に携帯を渡すと、黒子は電話の主に肝を冷やした。 『白井、門限破りは対馬と浦上同伴ということで見逃してやる。ただし外泊してみろ、タダでは済まさんからな。御坂にもそう伝えておけ』 電話の主、寮監の言葉に黒子は真っ白になった後で恐怖で震え出したので青ピ、対馬、浦上で介抱することに。 一方、土白は舞夏の何気ない、しかし破壊力抜群の一言に追い詰められることに。 「月夜ー、これからも兄貴のことをよろしくなー。二人は立派な夫婦みたいなモンだからわたしも安心して見ていられるぞー」 「「「「「「「「「「「「「嘘だ!!!!!!!!」」」」」」」」」」」」」 バカップル達、天草式(五和以外)、初春が思いっきり否定した。 「「なんでそんなに否定するの(んだにゃー)」」 「どこが立派な夫婦みたいなもンだァ!」 「え、どう見ても立派な夫婦みたいなモンだと思うけどなー」 「だって、土御門さん達はさっき重要な話が終わった後、すぐにキスしたんですよ!!」 「「「「「「「「なァァァァァァァにィィィィィィィ!!!!!!!!」」」」」」」」 クラス全員が叫んだ。 「「「「「「「「土御門狩りだぁぁぁぁぁ!!!!!!!!」」」」」」」」 「にゃーーーーーー!!」 バカップル以外のクラス全員が土御門狩りを始めようとした。 だが、忘れてはいないだろうか。ここにレベル5になった白雪がいるのを… 「茜川さん、今日このパーティーは何のために開かれたんでしたっけ?」 白雪のこの一言で場は一瞬にして静まり返る。 五和など理由は分からない者たちもあまりの場の緊張具合に同じように固まってしまう。 「つ、月夜ちゃん?(月夜が人を名字で、しかもやけに静かに話してるっ!!!これはかなりやばい!!!!!!!)」 「答えろ。」 月夜という人間の怒り方は。 やけに静かに話し、かつ言葉遣いが粗暴になる。と言う物。 「つ、月夜ちゃんのレベル5になったお祝いです!!」 「だよね。じゃあなんでうちの元春を狩ろうとするのかな?」 「い、いやそれは…」 「それは私に対する挑戦だよな?凍らせてくれという。」 1月8日 午後8時52分。 吹雪がやってきた。 「ったくよォ土御門!何で毎回こうなンだァ!?」 「しょうがないにゃーっ!あそこまで怒った月夜はうちにも止められないにゃー!!」 「じゃあ我々はこの避難場所で凍え死ぬしかないのでせうか!?」 「わてこんなとこで死にたないでーっ!!」 「アクセラがベクトル操作で作ってくれた防壁だけど…」 「使われてる机とかテーブルが変な音たててますの。」 「絶対零点くらいあるからにゃー…触っただけで壊れると思うぜい。」 「防壁の意味なし!?」 「どうするのってミサカはミサカはあわててみたり!!」 「しょうがねェ、行け土御門ォ!!!!!!」 「にゃー!!!」 学園都市第一位は学園都市最強の雪女に向かってその彼氏を投げ飛ばす。 「えっ? わっ、元春っ! いっけない、吹雪止めないとっ!」 飛んできた土御門を見て自分を取り戻した月夜は、慌てて吹雪を解除すると自分の彼氏を受け止めた。 心配そうに見つめる月夜を土御門は優しく諭す。 「月夜、心配無用だぜい。俺はお前を置いてどっか行ったり死んだりしないぜよ。とりあえず今後の課題は能力暴走をどうにかするにゃー♪」 「うん、うん。ゴメンね元春。せっかく誓いを立てたのにこんなことしちゃって。もっと自分をコントロール出来るようにするよ、うん」 「焦る必要は無いってもんですたい。月夜には俺以外にも協力者は沢山いるにゃー。これから強くなっていけばいいだけぜよ」 土白のいい雰囲気に『土御門狩り』を行っていたクラスメートは毒気を抜かれ、狩りを止めることに。 しかし土御門を襲った罪は罪ということで月夜は『土御門狩り』参加者を一人残らず氷漬けにする。 「能力暴走の鎮静は彼女の恋人が切っ掛け、凍結は相手の人数、距離によって変化する、か。本当に面白いレベル5だな」 「そうね。この辺も色々と調べてみる価値はありそうだわ。この学校に赴任してきて本当に良かった」 研究者として冷静に月夜の能力を見定めてる木山と芳川をよそに、小萌、黄泉川、建宮は被害を出してしまったことを店側に謝罪していた。 しかしそこは豪快でさっぱりとした性格の『喰わせ殺し』の店長、店員達と一緒に笑って許していた。 そこにこの騒ぎの中でもひたすら食事を楽しんでいたインデックスは、月夜の氷を見て涎を垂らしながら滝壺とステイルに尋ねる。 「これだけの氷があったらおなか一杯カキ氷が食べられるんだよ。りこう、ステイル、あれをカキ氷にして食べていいかな?」 「それはダメ。あれはしらゆきの能力で出来た氷。食べられないだろうし食べられたとしてもマズイと思う。カキ氷は店にもあるからそれを食べればいい」 「師匠の言う通りだインデックス。君の胃や腸の丈夫さは知ってるけど、能力製の氷は未知のものだ。調べもせずに食べるのはいただけないよ」 「分かった、りこうとステイルがそう言うなら。じゃあわたしは店のカキ氷をデザートにするんだよ♪」 「カキ氷! まったまったーー! 私も食べるから残しといてよー!」 インデックスの食い意地をコントロールしている滝壺とステイルを今まで数多くの被害に遭っていた者達は、羨望の眼差しで見つめていた。 月夜がカキ氷の存在を思い出し、カキ氷を食べに行ったことで氷漬けにされた者達は放置されることに。 月夜が、かき氷を食べに行ったあとの上条達は… 「なあ、こいつらまた俺の右手で氷を割らなきゃいけないんでせうか」 「別にしなくていいンじゃねェか。そのままで反省させた方がァ」 「そうだな。それにそろそろ俺達の事も反省して欲しいし」 そういうことで、上条は右手を触れようとしたが、触れないことにした。 「じゃあ俺達も行きますか」 「そうだなァ。ってなンか大会が始まってンぞォ」 上条と一方通行が話し終わってみんなのところに戻ってみると、かき氷早食い大会が行われていた。 「ほらほら元春!!早くしないと無くなっちゃう!!」 「いやー、流石の土御門元春様もかき氷を冬に食べるのは無理だぜい…」 「そ、あっ!!イチゴ味とブルーハワイ味持ってきて!!」 「にゃー分かったぜい…」 「キーンってすごく来る!!頭痛いぃ!!」 「美琴、無理すんなよ?お前が倒れて一番困るのは俺なんだからな。」 「うん、分かった」 こんな時でもバカップルは健在である 「土御門の彼女は色々な意味で凄いね……」 「ううっ……もう無理なんだよ……。」 「確かに冬にかき氷はキツいよねえ…」 インデックスの食欲は冬に負けた………。 一方氷の中では。 (月夜ちゃん、私らの事忘れてるよね…) (おのれデルタフォース…白雪さん早く出してーっ) (始業式で凍らされた時より冷たい気がする…) (にしても真冬にかき氷ってどうよ?) (とにかくここから出してくれーっ!!!!!) かき氷早食い大会はと言うと… 「ううう、屈辱なんだよ。」 「わーい勝った勝ったー!!」 白雪がインデックス以下全員に大差をつけて勝利した。 「これは歴史に残るな。」上条が言う。 「君と同意見なのは癪に障るが僕もそう思う。」ステイルが答える。 すなわち 「インデックスに勝つ人間がこの世にいるとは!」 「ちょっと!それじゃまるで私が暴食シスターみたいなんだよ!」 「「「「「「「「「違うの!?」」」」」」」」」 「そこで驚くなんてひどいかも……」 「上条ちゃーん! 面倒だとは思うのですが氷漬けにされたみんなを助けて下さーい!」 最初は放置していた『土御門狩り』に参加していたクラスメートだが、小萌の頼みということで氷を打ち消すことにした当麻。 手伝ってくれない一方通行やステイルを薄情と思いながらも当麻は全ての氷を打ち消した。 思ったよりも数が多くて疲れた当麻にそっと差し出されたもの、それはおしぼりだった。 「どうぞ当麻さん。おしぼりです。せっかくですから汗を拭きますね、ご主人様♪」 おしぼりを差し出したのは五和で、彼女はこの機会を虎視眈々と狙っていたのだ。 五和が自分の体を拭こうとしてるのを感じ取った当麻は、彼女の腕を掴み、五和流ご奉仕を阻止する。 「おしぼり貰うだけで充分だから。いやホントにそこまでしてもらわなくていいから。気持ちだけありがたく受け取っとくから」 「もう当麻さんったら恥ずかしがり屋さんなんですから♪ ご主人様はメイドの体を好きにしていいんですよ? さあ、私を押し倒してくださいっ!」 当麻の抵抗をあくまで照れから来るものだと思っている五和だが、本当に拒絶されていることには気付いていない。 美琴にしかドキドキ出来ないという特異体質になった当麻、自分の恋人以外と必要以上に密着することは避けたいと考えているがそれには理由があった。 その理由というのは当然ながら美琴であって、その最たるものが彼女の態度に表れ始めている。 「う~~~~~~~~~っ。とうまが、とうまが、ほかの女の人とイチャイチャしてる~~~っ」 「痛っ! 熱っ! み、美琴ちゃんの放電の熱で氷が溶け始めてるよー!」 月夜の叫びを聞いた当麻は危惧していた事態になったと思い、頭を悩ませた、五和と格闘中にも関わらず。 当麻の理由、それはやきもち焼きの美琴のやきもちを見たくなかったという、いかにも彼らしいものだった。 緊急事態に気付いた初春は慌てて神裂に指示して美琴を個室の一室へと運ぶと幼児化した美琴を宥め始める。 「美琴お姉さん落ち着いて下さい。当麻お兄ちゃんはイチャイチャしてるどころか、五和さんを一生懸命遠ざけようとしてましたよ」 「そんなのウソだもん。とうま、あの女の人の手をにぎってたのしそうにおどってたもん。みことがしてもらいたかったのに~」 (あれを踊ってると思ったのですか……。嫉妬というものは恐ろしい勘違いを生むものなんですね) 幼児化した美琴のことを考えれば五和を店から締め出した方がいいと考えた初春だが、そうしたら約束を破ることになるし今度は五和が暴走しかねないので却下する。 初春は幼児化した目の前の姉(義理)を大人しくするために頭を撫でながら優しく諭し始める。 「大丈夫ですよー。当麻お兄ちゃんはいつだって美琴お姉さんが一番大好きですから♪ 美琴お姉さんはそんな当麻お兄ちゃんを信じてあげられないんですか?」 「しんじるもん! みことだってとうまのことが一ばん大すきだもん! でもかまってくれないのはすっごくさみしいよ……」 「それならパーティーが終わってからゆっくり構ってもらえばいいじゃないですか。当麻お兄ちゃんのお嫁さん確定の美琴お姉さんは心の広い素敵な人ですからね♪」 「かざり……。うん、わかった。みことはとうまのおよめさんだからちょっとしたことじゃもうおこらない! でもあとで目いっぱいとうまに甘えるんだもん!」 とりあえず落ち着いたとはいえ幼児化した美琴をこのまま一人にはしておけないので、初春は頭を撫でるのを継続しながら神裂と一緒に残ることに。 それから少しして神裂も初春に頭を撫でてもらいたい旨を伝えると、美琴と一緒に気持ち良さそうに初春の手の感触を楽しむのだが、あくまで些末事である。 3人は気付かない、この様子を個室の外から覗いている者達がいることに(当麻と五和は格闘中につき居ない)。 「「「「「「「「う、うらやましい」」」」」」」」 上条に氷を割ってもらったクラスの一部の生徒が、覗いていて思っていた。 さらに、もう一人… 「プリエステスだけ飾利姫に頭を撫でて貰えるなんて…飾利姫、わしにも頭撫でてくだごふっ!!」 建宮が初春達が居る個室に入ろうとしたら、絹旗に浜面同様椅子を投げられ、ヒットした。 「痛いのよね。絹旗何をするのよね」 「建宮のくせに超生意気です」 「酷いのよね」 建宮はまた入ろうとすればまたもや絹旗に何かされるのであきらめた。 そして建宮があきらめたところで、浜面が近づいてきた。 「建宮、基本俺達はこういう扱いにされるんだよ」 「わしの気持ちを分かってくれるのは浜面だけなのよね」 「よし、今日は食うぞ!」 「そうするのよね」 浜面と建宮は似たもの同士でやけ食いを始めていた。 「なんか変態同士で超やけ食いをしているんですけど」 「「変態同士とはどういうことだ(なのよね)!!」」 絹旗が更なる追い討ちをした。 ちなみに他の見ていたクラスの生徒達は建宮みたいになりたくないので、覗くのを止めた。