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「法治国」新聞紙法違反被告事件 『法治国』は山崎が一時期在籍していた東京法律事務所の機関誌である。 『法治国』1918年9月号に掲載された荒畑勝三(寒村)氏の「大正聖代の一揆」と題する記事が新聞紙法第41条(安寧秩序紊乱)に触れるとして、荒畑、編集発行人たる長野国助(東京法律事務所の事務員、のち弁護士、日弁連会長)、及び小松利兵衛(同事務所の事務員)の3人が起訴されるという事件が起きた。この記事は1918年に起きたいわゆる米騒動について述べた記事であり、同月号は米騒動について特集した号であった。 この記事は、長野国助「我が法廷の記(1)」『判例時報』(345号2頁)、及び「長野国助」伝刊行会編『長野国助』(1976年)91頁に全文収録されている。 この事件の弁護人は48名もの大弁護団であり、山崎も弁護人の1人として参加している。法治国秩序紊乱事件弁論要旨はこの事件の第一審における山崎の弁論要旨である。 山崎は本件が有罪ならば内田魯庵や与謝野晶子、福田徳三は本件記事より穏当でない記事を発表しているから同罪である。したがって、彼らを告発するとして告発状(案)を朗読するという「奇妙な弁論」(森長英三郎)をした。 この弁論は法的にみれば、スピード違反のねずみ捕りに捕まった運転手が、なぜ他の運転手も捕まえないのかと弁解したところで反則金を免れないのと同じことであって、いわば無意味な弁論である。しかし、本件記事が著名人によって有力雑誌に掲載されていたならば不問とされていたはずであるという論旨は、我々の常識に合致した名弁論というべきだろう。後の公訴権濫用論(不平等起訴)の先駆けといえるかもしれない。 なお、本事件は、第一審(判決年月日1919年3月7日)、控訴審(判決年月日1919年10月21日)とも無罪であったが、上告審(判決年月日1920年5月18日)は逆転有罪判決となった。この上告審判決は『法律新聞』1705号22頁、長野国助「我が法廷の記(3)」『判例時報』(348号6頁)に掲載されている(「法治国」事件上告審判決)。 以上については、長野国助「我が法廷の記(1)~(3)」『判例時報』(判例時報社、345、347、348号)、森長英三郎「「法治国」発禁事件」『史談裁判第三集』(日本評論社、1972年)96頁、「長野国助」伝刊行会編『長野国助』(1976年)87頁を参考にした。
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保釈嘆願書(山崎弁護士代作勝目弁護士取次) 傷害被告人 大杉栄 右者拘禁中に有之、願人は其事の理否曲直を更に知り不申候が、願人は曩に警視庁後援の下に被告を家宅侵入として告発し、首尾よく検事局送りと相也し候も、何故か直ちに釈放と相成候故、願人は被告と協定し今月中に被告現住の願人所有家屋明渡を受くる事と相成茲に初めて漸く安堵仕り候。 然るに天なる哉命なる哉、被告は又々拘禁の身と相成り願人の喜びも束の間、警視庁折角の厚意は却て贔負の引倒と相成誠に憤慨に堪へず候。 就ては何卒願人に御同情早速被告を御釈放被下、明渡実行の上如何様にも御処分被下度及嘆願候。 大正八年八月一日 願人 室田景辰 東京区裁判所 御中 <山崎今朝弥著、弁護士大安売に収録>
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私はどうして米国伯爵になったか-「真相鋏厄史」余録- 故 山崎今朝彌 編集部へ先づ一発 あえて当世流行の人格権をふりまわして文句をつけるのでは決してないが、前回の大助虎の門の巻で、私の筆名を削ったのは、今までの日本人や日本政府と同じく人民の諸君も脳底のどこかに旧習旧慣どうけいの気持がコビリついて中々頭のきりかえがつかなく、勿体ないないで却って勿体なくもむだんですて去ったのか。 元来米国伯爵のもつ幽玄妙諦のウイット、ユーモーア、ヒニク、フーシと日本民主々義革命に及ぼすその効能と影響力とはウイット、ユーモアでは本家本元の米国人なら了解するだろう。 半分米国、半分日本で育ち、小学は米国で中学は日本で漸く卒業できた私の知ってる第二世の通訳があるが、この男それをコッチえマワシテ下さいという処を舌の短い口調で、それこちらへ運搬して下さいといい、時々便りをする時には妻君の通信を見覚えてか、終りはいつもあらあらかしこと結んである。これでは皮肉フーシの理解など思いもよるまい。 世間は口がうるさい 私が名刺にのせて米国から輸入したものは伯爵のほか法学博士、医学博士、哲学博士、その他色々と財産合計百万弗があった。千万弗は額に多少相違はあっても自分が百万弗長者となり、食に困らなくなった頃から何時とはなしに、忘れて使用しなくなった。 博士号は人が色々博士とか、その他色々とか、いったりかいたりする間は面白かったが、事件の依頼人から法学博士様の手紙がきたり知人が「山崎博士」を広告や看板に使用するようになってからは、多少コワクなり厭きがさした処へ、辛苦廿年漸く米国学位を苦闘学取した朝日の米田切水君や、郷愁病まで煩って真面目の勉学労学を続け、ついにマスター・オブ・ローを獲得帰国した堀江専一郎君等が、愈々日本の博士となってからは、益々私の色々博士を非難するときいて、成程むりもない事だと同情し、以来ピタリと濫用を慎んだ。 残る一つは古賀廉造、川村着治の両警保局長時代に召されて、貴族院あたりの頑固なわからず屋から、たとえ米国には爵がないからとて、余り伯爵を濫用するのは、結局爵位制度を嘲笑軽蔑するもので、これを取締らない当局は職務怠慢であると非難があって困るから止めてくれぬか、当方も何とか考えねばならぬとの相談警告があったが、惜しくて割愛できず、マサカ御心配の通りですともいえぬから、決してそういういみで使ってるのでなく、米国以来お笑草までにそれで通ってきているのですから、失礼させて下さい。何かドコカ法律に触れる処あったら知らせて下さい、イツでも止めますと断って引下がり、永く愛用してきたが、新憲法ともなり元華族と同格では、こん度はコッチが不足で物足らず、又民主々義の御時世に古くさい系図をふり廻すのもよい気持ではないが、今後族出するであろう元何々、元何々に先べんをつけ、今後は元の一字に新味を持たせ舶来物の数段の品質を覗かせ態とらしくない自然発生的の元米国伯爵を筆名に愛用することとし只の伯爵や米国伯爵とは永久に手を切ったが、人は何と呼ぶだろうか、従来とて軽称にせよ、愛称にせよ、カンタンに伯爵とよび、長たらしく米国伯爵とよんだ者はない。私の願いは私と協調して口からは永久に伯爵と手を切ってもらいたいことだ。これから伯爵とよばれると何だか日本華族出と誤解されそうで軽蔑を感ずる。 日本人の脳底には封建思想がコビリついている 一例にコンナのがある。大正七年中何か私の疳に障った事があったとみえ、私は当時ドクトル平民病院長加藤次郎の主宰していた社会政策実行団の名に総裁か何かの土方久元伯を、私の平民法律所顧問に推せんし、私と連名で私の平民法律六月号に広告を出した。処が十三日社会政策実行団幹事の一人、中村太八郎君が来て大に私を叱り、続いて幹事の寄合から評議員の召集となり、会では、土方伯に対する不敬だとして、幹事か評議員だかの私を、除名論もあったが結局諭言退役とした。 そこで今度はゆし退官の通知と正式の広告記事取消請求の遣外大使として堺利彦君が、十五日の朝きてその案文を渡し、私はこれを七月号の平民法律に後記の如く掲載した。堺君の玄関番中曽根源和君に編集させてくれた山崎伯爵疳作弁護士大安売九六頁以下にのってるから聊かウソはないが、今堺君から渡された条文を読むと、堺君がドコまでマジメの大使代理人であったかは疑われるが、土方伯は当時加藤ドクトルの守本尊、堺君の加藤院長とは切っても切れぬ仲、中村君は院長の仕事、コ問格で私の高等フアン、松田源治大臣を通じて私を西園寺公に紹介してくれた人、堺君は私を信用重用利用指導広告してくれた友人、先輩、恩師で私を院長に紹介した人であってみれば、並大抵の騒ぎではなかったらしい。 広告記事取消請求書 拝啓 貴殿御発行の「平民法律」第七年六月号欄外に御掲載有之候、平民法律所広告記事中に顧問日本伯爵土方久元と記載有之候へ共、当団に於ては未だ伯爵閣下に顧問を御願致したる事無之のみならず、或一派の人より多少危険人物視せらる米国伯爵と名を列せられ、世に誤解を招く様の事有之候ては、当団として誠に伯爵に対し面目なき次第に付以後篤と御注意相成度又私としては顧問となったる事絶対に無之、名を推せんし顧問の意に有之候なら、堅く御じ退申上度候、 右様の次第に付此の全文御掲載の上至急前記広告記事全部取消相成度此段新聞紙法により及請求候也 大正七年六月十六日 日本伯爵 土方久元 社会政策実行団 右二名代理人 堺利彦 米国伯爵 山崎今朝彌 殿 私があの広告を無断で無料掲載したのは、何も悪意あった訳でなく、同爵同志の間柄であってみれば日本伯から、そう大した問題も起るまいとテンからバカにしてかかったのが悪かった。しかるにコウ諸君からマジメに掛合われては、誠に一言の申訳をする勇気もなくひたすら恐縮して退却するの外ありません。よってここに恭しく前記広告全部を取けし敢て謹慎の意を表します。併し左の広告はゼヒ御一読を乞う。 平民大学令第八条により左記を本学名誉学員に推センす 元帥、議長、公爵 山縣有朋 学長、米国伯爵 山崎今朝弥 元宮内大臣元伯爵 渡辺千秋 実業家男爵 大倉喜八郎 教授、法学博士 上杉慎吉 大正七年七月 平民大学 ペラペラの平民法律第七年第七月号には右に続いて「右の記事法律講義」としてこの問題で全誌を埋めてるが、冗々しいから略す。なお平民大学令第八条には、本学及び国家に功労ある者は本学名誉員に推センすとあり、私は本学に功労あったのであろう。 噂はやっかいな代物 八幡の藪から出て、米国伯爵の由来についても一言かく必要がある。私の「地震憲兵火事巡査」には法律新聞から集録したものにこうかいてある。 問題の人山崎弁護士が何故に米国伯爵と自称するか、又は他称されるか其理由を知る者がない。又伯爵自身もその説明をした事がない。謹げんの三宅雪嶺博士が何故に公爵とならず、伯爵というかと山崎氏に質問した。同氏が、私が僅か五六年米国にいて只大統領と別懇あったというだけで、別格の功労もないのに一躍公爵になったら、世間ではこれを信用せず、ウソ冗談だと嘲笑する事と思います。という返事が来たそうだ。どこまで人を喰ってるか。(了) これでも米国伯爵の由来は判らない。記憶のよい日本アナキスト連盟全国委員長の岩佐作太郎君は米国伯シャクは山崎君が帰国する時、セン別にオレが刷ってやった名だといった事があるが、作者としても狂言としても、岩佐君には不向きなイタズラだから、岩佐君は名刺を刷ってくれただけで作者は私だろう。もうかれこれ半世紀前の事で判然とは思いだせないが当時日本の私立法律学校を卒業して渡米すれば、直にバチエラー・オブ・ロー、専攻科、又は高等研究科ならマスター・オブ・ローと英訳し、マスター・オブ・ローは帰朝すれば、すぐ法律博士と日本訳した事と、私が在米中東部でパーカー一家に暫く世話になっていた時、英作勉強のため殆んど全文をミセス・パーカーに作ってもらい、一寸名を思い出せぬが、当時第一流の評論雑誌(主筆は有名のアボットという人だったと思う)に、一日本人伯爵として投書し、それ以来カウント山崎としてパーカー一家から紹介されたり、呼唱されたりした事とおぼえており、帰朝直後の自伝の一節に、「傍ら経世の学を明治大学に修め、大に得る処あり(中略)久しく海外に遊びベースメント・ユニバーシチーを出で欧米各国色々博士に任じ、特に米国伯爵を授けらるる」とあるから、恐らくその辺に天プラやコンペイ糖の種はあったのだろう。 ツイ長くなって読者には誠にすまなかった。社には悪いが原稿料で筆名抹殺の敵討をされたと諦めてもらおう。 <以上は、山崎今朝弥氏が著作者である。> <旧仮名遣いはそのままとし、旧漢字は適宜新漢字に直した。> <底本は、『雑誌真相復刻版(第6巻)』(三一書房、1981年)、底本の親本は、『真相』(真相社)第74号(1954年12月)49頁>
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平民大学夏期講習会 山崎はその主催する平民大学名義で社会主義の宣伝研究を目的として「平民大学夏期講習会」を催している。内務省警保局の内部文書によると、大正8年夏、大正9年夏にそれぞれ開催された記録が残っている。 (大正8年) 開催年月日:大正8年8月8日~同月15日 開催場所:芝区三田四国町統一協会。この会場変更の顛末については大臣招待状、訴状(2)参照。 第1日(8月8日)出席聴講者82-3名 (1)堺利彦「日本社会主義史」・・注意。 (2)大庭柯公「ロシヤノ民衆心理」・・注意。 第2日(8月9日)出席聴講者約80名 (1)川島清次郎「軍国主義理論」 (2)高畠素之「マルクス学ノ総批評」 第3日(8月11日)出席聴講者約90名 (1)荒畑勝三(寒村)「英国労働組合禁止法案ト其ノ精神」・・注意。 (2)生田張治「ニイチエノ社会観」 第4日(8月12日)出席聴講者約43名 (1)白柳武司「武器ト生産機関」 (2)与謝野寛「落首文学評論」 第5日(8月13日)出席聴講者38名 (1)山口義三「維新史ノ経済的説明」・・注意、講談中止。 (2)宮武外骨「江戸時代ノ階級思想ト穢多」・・講談中止。 第6日(8月14日)出席聴講者43名 (1)山川均「労働階級ノ社会的価値」・・講談中止。 (2)岡千代彦「山鹿素行ノ伝」 (3)馬場勝弥「詩人ウイリアムモリス」・・注意。 第7日(8月15日)出席聴講者約40名 (1)西川光次郎「日本労働運動史」・・注意、講談中止。 (2)室伏高信「社会民主々義」・・講談中止。直後集会の解散命令。 「集合者約三十名ハ司会者山崎今朝弥方ニ至リ同所ニ於テ再ヒ室伏ノ講演ヲ開始セルヲ以テ所轄警察署長ハ臨場ノ為同所ニ赴キタルニ山崎ハ自宅軒先ニ於テ見張リヲ為シツツアリシカ署長ノ姿ヲ認ムルヤ自ラ散会ヲ宣セリ」とある。この一件が平民大学圧迫事件訴状(1)、準備書面である。 ※山崎は講師・本会尽力者慰労のため、10月5日京橋築地精養軒にて晩餐会を主催。講師招待状参照。 以上、『特別要視察人状勢一斑第九』「第四各地ニ於ケル要視察人最近ノ言動、(A)東京ノ部、(5)其ノ他ノ在京者ノ言動、(カ)」参照。 (大正9年) 開催要領 「目的・社会改造運動の闘将養成 科目・社会改造に必要なる哲、文、法政及ひ経済等の学術研究並に其の宣伝、応用術等の実地攻究 方法・各思想及労働団体、政党、当局者思想及社会運動家の訪問、見学、招待、茶話、研究、批評、演説、討論、講演、懇話、懇親会、又はピクニック等の開催、野外、屋外の集会、演習及ひ各種座談会の出席、傍聴並に珍書、禁書の研究其の他は口伝口授」 上記については、平民大学夏期講習会規則参照。 開催年月日:大正9年8月9日から2週間 第1日(8月9日)、山崎宅にて大杉栄外2名の無政府主義者の講演。中止解散命令。 第2日(8月10日)、「東京労働運動同盟会」と合併開催。 第4日(8月12 日)、高尾平兵衛の秘密出版事件の公判傍聴。禁止公判傍聴許可願はこの日の傍聴許可申請書と思われる。 第5日(8月13日)、山川均方にて開催。堺利彦を訪問。 第6日(8月14日)、布施辰治方にて開催。布施による「社会運動と警察取締」の講演。 第7日(8月15日)、荒畑(寒村?)の講演。 第8日(8月16日)、王子町演芸館にて「砲兵工廠同盟罷業一周年記念講演会」に出席、飛入り演説。 第9日(8月17日)、思想団体建設者同盟本部にて開催。北沢新次郎による「ギルドマンノ見タル新社会ノ意義」の講演。植田好太郎による「暴行に就ての一方策」の講演、中止解散命令。 第10日(8月18日)、思想団体暁民会本部、神奈川県鎌倉町在住大杉栄方にて開催。 第12日(8月20日)、「東京労働運動同盟会」の見学。 以上、『特別要視察人ノ近状及其ノ取締ノ概況』「第二要視察人ノ行動、(A)東京ノ部(ホ)在京一般要視察人ノ行動(1)」参照。
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改心広告 私事、旧年中は色々道楽が過ぎ、無料専門我儘御免の平民法律所事件のみ多くなり、業務益々繁栄を極め大いに弱り抜き申候、新年よりは断然茲に改心仕り、成るべく無料道楽事件には遠慮を願ひ正に拗ね者の本柱を現はして目下の不景気に反抗し、極力景気よく金儲けに熱中仕り度と存候、就いては苟も割よき法律事務は何種に限らず多少に拘はらず、何でも猛烈に取扱ひ可申候に付き、何卒可然御引立の程偏に奉願上候 大正十年一月一日 弁護士 山崎今朝彌 <山崎今朝弥著、弁護士大安売に収録>
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弁護士大安売 度胸のないのと、胆玉の小さいのとで有名の僕は、従つて又随分と物事に注意を払ふ。然るに広告では屢々不注意極まる失敗を仕出かす。序に今茲に実例二三を並べて其法律上の関係を攻究せん。 (一) 僕が明治四十年に米国伯爵と欧米各国色々博士を唯一の土産として帰朝した当時は、僕の気が驕り、心が大きくなつて居た時であるから、前後の弁へもなく、米国大使館前に事務所を開き、大々的広告をして、某小さい下宿屋の一室を借受け看板を出した。処が其頃は電話が至つて少なく、初めて開業する弁護士が其場所を選定するには、先づ第一要件として、近所に電話の架かつてる家があるか否やを調べたと云ふ仕末であつた。 僕の近所には電話がなかつた。僕は田町辺の或肉屋に電話を見付け、之を名刺や広告に濫用した。初めの間は肉屋でも妙な電話がよく懸る位に思ふていたが、仕舞に僕の業と知れて、肉屋から尻を持ち込まれた。 右の僕の行為は明かに、民法第七百九条の所謂、故意又は過失に因り他人の権利を害したる者で、同条の規定により僕は、其電話加入者に対し、之に因りて生じたる損害を賠償すべきものである。併し僕の行為は所謂故意であるか過失であるか、害した権利は財産権であるか名誉権であるか或は其他の権利であるか、随分面倒な法律問題であると思ふ。 (二) 僕は又其頃盛んに左の如き広告を東京と郷里信州との新聞に出した。 ------ 公事訴訟は弁護士の喰物 東京米国大使館前 弁護士 米博士 山崎今朝彌 電話赤局八〇〇番 弁護士頼むな公事するな ------ 東京では流石にこんなものは問題にはならなかった、が信州では問題が湧いた。当時長野在住弁護士で僕の同窓たる某君からは親切に左の意味の手紙を呉れた。 君の広告が当地弁護士会の問題となつた、僕等の組織してゐる何曜会では委員を挙げて調査を為し其結果君を懲戒裁判に付すべく、君の属する東京弁護士会へ交渉する事に決議した。僕は個人の資格で君に質問する、一体公事訴訟が弁護士の喰物と云ふ「喰物」とは何の意か? 僕は直ちに左の如く応えた。 拝復御親切を特に感謝仕候従て御返事は仕らず候、只、某会へなら左の如く答へ度候。 拝復扨御照会に相成候「喰物」とは、口扁に食と云ふ字にて甘く参れば飯が食へ、不味く参れば飯が食へ申さず、此処が千番に一番の兼合に御座候 山崎伯爵家家扶一同 貴会 御中 何某 君 此問題は其後、今は既に口無き平出修弁護士の報告に拠れば、正式か不正式か判然せぬが、長野弁護士会の委員から東京弁護士会へ交渉があって、前塩谷弁護士会長等の強硬論が多数で、すんでの事僕は訴追を受ける事となった処、誰だかが(多分現小川弁護士会長だと云つたと記憶する)君等は(長野の委員を指した話の様に記憶する)山崎の事務所を見た事がないからソンナ問題が心配になる、一度行つて見て来給へ、との一言で問題が消滅したとの事である。 此広告の法律問題は只、公事訴訟は弁護士の喰物だなと云ふ事は弁護士の職務を侮辱したものであって、弁護士法により懲戒裁判に付せられるべきものなりや否やと云ふにある、小川東京弁護士会長?の論?は、法律上の意見ではない、一体諸君が騒ぐのはエンビーにあらずんばセンボーに過ぎぬ、併し山崎の下宿屋へ行つて見れば其んな勇気は失せて仕舞ふ、と云ふ心理学上の説明である、が私は法律上こんな事は問題にならぬと思ふ。今迄は成るべく問題になればよいと思ふて説明や弁解をせずに仕舞ふて居たが、到底問題になる望がなくなつたから白状するが僕の広告文は、公事訴訟と云ふものは弁護士の喰物になる計りのものであるから、公事訴訟をするなと云ふので、弁護士は訴訟を喰物にする者だから矢鱈に頼むなと云ふのではない、問題にならふ筈がない。 (三) 米国大使館前の事務所が没落して、僕が信州諏訪へ退去したのは明治四十年十月頃であつた。諏訪では法務局と法律所を発明して種々雑多の広告はしたが大した問題は起さなかつた。只左の広告に付ては当時の上諏訪区裁判所判事、今の新潟公証人松澤常四郎氏より君の大胆には呆れたと厭味を云はれたが、之れは大胆と云ふ程でもないと思ふ。 ------ 下らぬ判決に不服ある者の為めに 上諏訪町本町 山崎博士法務局 電話二二四番 専ら公共的に控訴事件を取扱ふ ------ 此外門前に『泥棒掛取醜議員の類一切入るべからず』との表札を掲げ、此表札を承知しながら売つた掛金は、請求出来るや否との法律問題を起させたり、『保証連帯無効之印章』と云ふ実印を作つて矢鱈に保証連帯になつてやつたりした事があつた。 戊申詔勅のあつた頃であつたかと記憶する、僕は諏訪から甲府へ移転し、左の披露をして問題を起した。 ------ 拙者儀昨年春より人に看板を貸し申、諏訪と甲府を股に掛け、夜と昼とを利用して、稼ぎに稼ぎ候処、今回挙国一家総て甲府に移住仕り候に就ては、御繁忙中甚だ恐入候へ共、明日午後正六時より機山館迄御賁臨の光栄を得て左の順序に従ひ(順序書略す)聊か披露の祝宴相催し度とは存候ものの時節柄貧乏に聖旨の在る所を奉体し只単に端書を以て御挨拶のみに止め申候也 甲府遊郭大門前化物屋敷 年 月 日 弁護士 山崎今朝彌 何某 殿 ------ 僕に云はせるとこれとて終り迄読んで呉れたら何んでもなかつたのだ、ソレを周章狼狽してフロツクで会場へ駆付けた者が数名あつた計りに、僕は大に世の非難を受けた。ソコへ僕が直ちに左の新聞広告をした。 ------ 売出に付 弁護士大安売 甲府法務局長 平民法律所長 山崎今朝彌 甲府遊郭大門前旧化物屋敷 ------ 此広告には二つの法律問題が起つた。弁護士の品位問題と大屋よりの損害賠償問題即ち之れ。先づ前者については、当時の石氏弁護士会長が第一に反対の声を挙げた。其説は(当時の新聞紙に拠る)弁護士は呉服屋太物屋と違ふ、果して然らば弁護士大安売等と呉服屋太物屋の株を奪ふ如きは、弁護士の体面を汚すこと甚しきものだと云ふにあつた。次に[甲野]弁護士は『多数弁護士会員の意見を代表する個人の資格』で弁護士は百世の師表現代の権威でなくてはならぬ、ソレを弁護士大安売とは何事ぞやと、頗る真面目に歯を反らして僕を詰責した。 弁護士会の方は多少予期した事だが、思ひ掛けなかつた家主の法律論に依れば、此家が仮令旧は化物屋敷であつたにせよ、ソレを新聞にまで吹聴する法はない、借る者に迷惑はなくとも貸す身になれば、後に借り人も少なくなり従つて家賃も安くなり大に迷惑である非常の損害であるとの説であつた。 成程民法七百九条には、過失にても他人を害し他人に損害を与へたるときは損害を賠償する責に任ずと書いてある。僕が悪かつた。弁護士諸君の説には至極賛成は出来ないが、これも人の厭がる事を強いてやる必要を認めぬ故、其後は新聞広告を左の如く改めた。 ------ 甲府市新青沼町五十七番地 民刑 品々 弁護士 山崎今朝彌 追て旧化物屋敷の儀は今後家賃に障るとて大屋大目玉に付全部取消 ------ 此広告を見た大屋は直ぐ飛んで来て、取消の広告は是非止めて貰ひ度いと申込んだ。其後此家主と僕とは心安くなり、自分の住むために建てた家を僕に借りて呉れと申出た位だから、家主と僕との間の損害賠償問題は暗黙の合意で消滅したものと思ふ。又弁護士会の方も問題が立消になつたのかして其後何等の咎めも無かつた。尤も[甲野]弁護士に聞いたら、マー君は少し気違ひだと云ふ事だから許して置く事にした、又取消広告でも出されては大変だからなー、と云ふ事だった。[甲野]弁護士は間もなく確かに気違になって、東京辺へ飛出して来ては、百世の師表当代の権威大弁護士[甲野太郎]と頻に広告した事があつたが、今は死んだのか弁護士名簿には載つて居ない、石氏会長は其後市会議長をしたり刑事被告人になつたりして居つた。 <[ ]内仮名> <山崎今朝弥著、弁護士大安売に収録>
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営業課より 営業課の方針は終始一貫して毎日猫の目の如く変つた。最近から今日の只今までは、毎月解放思想、解放文芸、解放法律の三大独立雑誌を出す触れ込みで実は、毎月三回一日発行の社会主義研究改題『解放』一つを出す予定であつた。が、よく考へて見れば之れは、営業課自ら営業を無視して只、法律を巧に利用し以て新機軸を出して見たいといふ道楽に過ぎなかつた。で之れは止め、今又急に新方針を確立した。が、実は三雑誌は既に出来て居る。従て色々変な処が出来るのは免れない。 ▼僕は本号から只営業課長として専ら利益分配の事務を司るのみで、編輯に就ては懲役にでも行く事の外は全然責任を負はない。併し本号の表紙と内容に就ては人事ながら聊か自慢をしたい。(十六日、山崎今朝彌) <以上は、山崎今朝弥氏が著作者である。> <旧仮名遣いはそのままとし、旧漢字は適宜新漢字に直した。> <底本は、『解放思想』(解放社)通巻15号、第3巻3号(大正14年(1925年)7月1日発行)>
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ここを編集 ■巨人の星 録音監督 ■アタックNo.1 録音監督 ■アタックNo.1 (劇場版) 録音監督 ■アタックNo.1 涙の回転レシーブ 録音監督 ■アタックNo.1 涙の世界選手権 録音監督 ■アタックNo.1 涙の不死鳥 録音監督 ■ど根性ガエル 録音監督 ■荒野の少年イサム 録音監督 ■ろぼっ子ビートン 音響監督 ■新巨人の星 録音監督 ■新巨人の星Ⅱ 録音監督 ■ムーの白鯨 録音監督 ■がんばれ!!タブチくん!! 第3弾 あゝツッパリ人生 録音 ■竜世紀 音響監督 ■魔龍戦紀 音響監督(2話~) ■THE 八犬伝 音響監督 ■押忍!! 空手部 音響監督 ■絶対無敵ライジンオー 音響監督 ■元気爆発ガンバルガー 音響監督 ■絶対無敵ライジンオー (OVA) 音響監督 ■熱血最強ゴウザウラー 音響監督 ■関連タイトル 廉価版 絶対無敵ライジンオー Blu-ray BOX ど根性ガエル Blu-ray BOX上巻 熱血最強ゴウザウラーBlu-ray BOX 初回限定版 元気爆発ガンバルガー Blu-rayBOX 巨人の星 Special Blu-ray BOX 1 DVD 竜世紀 コンプリート・コレクション rakuten_design= slide ;rakuten_affiliateId= 053df7e0.7c451bd1.0c852203.190c5695 ;rakuten_items= ctsmatch ;rakuten_genreId=0;rakuten_size= 468x160 ;rakuten_target= _blank ;rakuten_theme= gray ;rakuten_border= on ;rakuten_auto_mode= on ;rakuten_genre_title= off ;rakuten_recommend= on ; 随時更新! pixivFANBOX アニメ@wiki ご支援お待ちしています! ムック本&画集新刊/個人画集新刊/新作Blu-ray単巻/新作Blu-ray DVD-BOX アニメ原画集全リスト スタッフインタビューwebリンク集 最新登録アイテム Switch ゼルダの伝説 Tears of the Kingdom Switch 世界樹の迷宮Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ HD REMASTER Switch ピクミン 4 大友克洋 Animation AKIRA Layouts Key Frames 2 小説 機動戦士ガンダム 水星の魔女 1 ONE PIECE FILM REDデラックス・リミテッド・エディション 4K ULTRA HD Blu-ray Blu-ray 劇場版 ソードアート・オンライン -プログレッシブ- 冥き夕闇のスケルツォ 完全生産限定版 Blu-ray 映画『ゆるキャン△』 Blu-ray 【コレクターズ版】 Blu-ray ウマ娘 プリティーダービー 4th EVENT SPECIAL DREAMERS!! Blu-ray 天地無用!GXP パラダイス始動編 Blu-ray第1巻 特装版 天地無用!魎皇鬼 第伍期 Blu-ray SET 「GS美神」全話いっき見ブルーレイ Blu-ray ソードアート・オンライン -フルダイブ- メーカー特典:「イベントビジュアル使用A3クリアポスター」付 ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会 5th Live! 虹が咲く場所 Blu-ray Memorial BOX 宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち Blu-ray BOX 特装限定版 地球へ… Blu-ray Disc BOX 完全生産限定版 神風怪盗ジャンヌ Complete Blu-ray BOX HUNTER×HUNTER ハンター試験編・ゾルディック家編Blu-ray BOX BLEACH Blu-ray Disc BOX 破面篇セレクション1+過去篇 完全生産限定版 MAZINGER THE MOVIE 1973-1976 4Kリマスター版 アニメ・ゲームのロゴデザイン シン・仮面ライダー 音楽集 テレビマガジン特別編集 仮面ライダー 完全版 EPISODE No.1~No.98 MOVIE リスアニ!Vol.50.5 ぼっち・ざ・ろっく!号デラックスエディション ヤマノススメ Next Summit アニメガイド おもいでビヨリ アニメ「魔入りました!入間くん」オフィシャルファンブック 『超時空要塞マクロス』パッケージアート集 CLAMP PREMIUM COLLECTION X 1 トーマの心臓 プレミアムエディション パズル ドラゴンズ 10th Anniversary Art Works はんざわかおり こみっくがーるず画集 ~あばばーさりー!~ あすぱら画集 すいみゃ Art Works trim polka-トリムポルカ- つぐもも裏 超!限界突破イラスト&激!すじ供養漫画集 開田裕治ウルトラマンシリーズ画集 井澤詩織1st写真集 mascotte 鬼頭明里写真集 my pace 内田真礼 1st photobook 「まあやドキ」 進藤あまね1st写真集 翠~Midori~ 声優 宮村優子 対談集 アスカライソジ 三石琴乃 ことのは 亀田祥倫アートワークス 100% 庵野秀明責任編集 仮面ライダー 資料写真集 1971-1973 金子雄司アニメーション背景美術画集 タローマン・クロニクル ラブライブ!サンシャイン!! Find Our 沼津~Aqoursのいる風景~ 機動戦士ガンダム 逆襲のシャア 友の会[復刻版] 梅津泰臣 KISS AND CRY 資料集 安彦良和 マイ・バック・ページズ 『機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島』編 氷川竜介 日本アニメの革新 歴史の転換点となった変化の構造分析 Blu-ray THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS 10th Anniversary Celebration Animation ETERNITY MEMORIES Blu-ray おいら宇宙の探鉱夫 ブルーレイ版 Blu-ray 映画 バクテン!! 完全生産限定版 アイカツ! 10th STORY ~未来へのSTARWAY~ Blu-ray BOX 初回生産限定版 はたらく細胞 Blu-ray Disc BOX 完全生産限定版 Blu-ray 長靴をはいた猫 3作品収録 Blu-ray わんぱく王子の大蛇退治 Blu-ray 魔道祖師 完結編 完全生産限定版 魔道祖師Q Blu-ray Disc BOX 完全生産限定盤 にじよん あにめーしょん Blu-ray BOX 【特装限定版】 Blu-ray 鋼の錬金術師 完結編 プレミアム・エディション Blu-ray付き やはりゲームでも俺の青春ラブコメはまちがっている。完 限定版【同梱物】オリジナルアニメ Blu-ray「だから、思春期は終わらずに、青春は続いていく。」
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開始 慶次「かくれんぼ?もしかして俺が鬼かい?」 伊達「」 幸村「うおおおお!どこに隠れたあ!」 信玄「どこじゃあ!恐れをなしたか!」 佐助「やれやれ…いやな天気になってきた」 秀吉「」 竹中「どこまでも逃げるがいいよ…できるならね」 元親「」 毛利「」 信長「…ここか」 蘭丸「」 濃姫「」 光秀「」 上杉「わたくしのめをのがれることはできません」 かすが「どこだ…」 利家「」 まつ「犬千代さま、明智の姿が見えませぬ…」 →(利家)「まつ…油断するな」 島津「雲行きが悪か…明日は涙雨かね」 忠勝「(家康)敵大将を探せ…忠勝!」 いつき「」 ザビー「愛の力を使えばあなたの位置などワカリマセン」 武蔵「」 武将 「天王山に明智光秀はいない様子… 今のうち、山頂に陣を引きましょうぞ!」 執行 光秀 「ンッフフフフ…山頂を頂きますか…ンッフフフフハハハハ…」 武将 「クソッ、明智が出てきたか! 先に山頂を取ってくだされ!」 イベント ■自軍・門突破 光秀「お見事!門を抜きましたか」 ■明智・門突破 武将「明智軍め、予想以上に進行速度が速い!」 ■岩攻め 「岩を落とせー!皆の者、明智軍に岩攻めを味合わせてやれ!」 武将戦 武将「ようこそ…ここはあの世とこの世の境の地…」 武将「我らを縛り付けて放さぬものは…真の恐怖よ」 武将「光秀様には光秀様のお考えあってのこと…」 武将「光秀様の心を推し量ることなど…できぬ」 武将「我ら、それでも光秀様に従うまで…」 武将「もう心は決めた…我ら、、地獄までお供するのだ」 光秀「死なない程度にがんばってください」 武将「わ、わ、分かりました」 ■通常 兵士「逆らえるわけがねえんだ…光秀様には…」 武将撃破 武将「光秀様に殺されるよりは…ましか…」 味方消滅 戦闘開始 光秀 「ああ…痛い痛い、酷い事をしますねえ。 貴方も同じ様に、苦しめてあげますよ」 戦闘中 味方武将 「明智…拙者、蛇ににらまれた蛙の気分でござる」 光秀 「恨んでください、憎しみもまた格別」 「貴方の墓穴を用意しておきましたよ…ククク」 「貴方は殺し合いの何たるかをよくご存知だ」