約 664,600 件
https://w.atwiki.jp/ryuunabe/pages/1151.html
小さな幸せのマイホーム2 アイドレスWiKiの該当ページ 名称:・小さな幸せのマイホーム2(施設) 要点:・子供部屋・ピカピカの床・暖かい食卓 周辺環境:・暁の円卓 評価:・住み易さ17 特殊: *個人所有アイテムとして見なし、暁の円卓に設置する *NWCに芝村が居る場合、1マイルで今現在の家の状況を聞ける。 *PLACEおよび、個人ACEを住人として配置できる *家の床面積は214.36m2とする。 *家の構造は2階建て *この家の中で行なう生活ゲームは10%割引になる。 *この家に宿泊した客は、幸せな気持ちを共有することができる。 *電話が設置されている。3分3マイルで個人ACEと会話ができる。 *この家では、音楽活動をすることができる。 *この家では1つのI=Dを修理補完をすることができる。 *この家に匿われているものは所在が不明になる →次のアイドレス:・南極旅行(イベント),ペンギンの潜水艦(イベント),バンド活動(イベント),神奈の受験とオーディション(イベント) 派生前(プロモーション前) 小さな幸せのマイホーム
https://w.atwiki.jp/allows/pages/52.html
Copyright(C) GCREST, Inc. All Rights Reserved. プレイヤーの名前:迦陵 キャラクターの名前: メニル・ブランシャール(フランシス=メニル・ブランシャール) 年齢: 16歳 性別:女 種族: 人間 職業:騎士志望な使用人見習い 誕生月: 茶熊の月 第一印象: 明るく素直で礼儀正しいが、どこか残念。おっとりした風にも見える。 外見的特徴・ヴィジュアルイメージ: 亜麻色の短髪に、鳶色の瞳。 幼顔が影響して中性的にも見える。163㎝程度で凹凸の少ない細身な体格。脱ぐと結構凄い(筋肉が)。 無駄のないしなやかな筋肉がついている。腹筋は縦だけうっすら筋があるが、体質的になかなか割れないらしい。 普段はあまり体の線が判らないシャツにスラックス、ベスト、リボンタイ。腰に浅葱色の刀を提げる。 性格: 清く正しく、馬鹿真っ直ぐ。誠実で一生懸命。 一点に集中しすぎるせいで回りがよく見えなくなる。 気性は穏やかでおっとりしているように見えるが、やることは大胆で躊躇がなく、天然。 頭より先に体が動くタイプ。基本的にあっけらかんとして明るいが、一応思春期らしく自分のことに悩むこともある。 刀を握ると人が変わったように凛とする。丸い目が三角になる。武人精神に富む。 一人称・二人称・話し方: 一人称「私」、二人称「貴方」 「このメニル、全力でお勤めを果たさせていただきます!」 「ごごごごごごめんなさいいいいい!!お怪我はありませんか!!?」 所持能力: 1. 使用人スキル 7ポイント(一般的) 掃除、洗濯、炊事などの家事スキル。 一応一通りこなせるが、不器用故に失敗やうっかりミスが多い。 一生懸命さと誠意で補えるところは全力で補う。二週間に一回程度の頻度で甚大な大失敗をする。 力仕事に関しては鍛えているのでその分得意。 2.斬鬼の才 63ポイント(天才) 護衛スキルとして身に付けた剣術。 得物を選ばず、刃であれば素材に関わらず切断する。 自身の愛刀、天淀童子であれば、魔力物質も斬る事が出来る。戦闘になると鮮やかな身のこなしと剣術を見せる。 曰くまだ発達途上。素手では物は斬れない。 難しい物、魔力を帯びたものや結界等を斬る際には相応の集中力、精神力を要する為、場合によって酷く疲弊する。 ただの岩、鋼鉄程度なら易々刻む。 3.破壊的どじっ子 20ポイント(得意) スキルレベルのそそっかしさとおっちょこちょい。 伴って物を破壊する事が日常的にある。投げなくていいものを何故か投げたり、落ちなくてもいい場所で落ちたり。 動揺、混乱すると悪化する。萌えを通り越して笑えないどじっ子。 残り 10ポイント 大切なもの: 愛刀「天淀童子」、家族、信念 詳細設定: ガーディアスから馬で数日程度の場所にある、小さな小さな土地の領主の子。 父、母、兄が二人の五人家族。弱小貴族ながら、優秀な使用人を輩出する事で名のある一家。 己も末子の為、大きな町の良家へ奉公に出ていたが、二度程クビになっている。三度目は奉公先の物置小屋を爆発させ、自ら辞する。 使用人としての自信を完全に失い、自分磨きの修業にガーディアスを訪れる。 家系に何故か護衛に長ける者が多い。 だが皆兵士や冒険者ではなくあくまで契約している他家の使用人、もしくは小さな領を慎ましく護る事に従事している。 憧れは女執事の叔母で、其れに倣い男装をする。因みに叔母は素手で物を切断するため、将来的には己もそうなりたいと、鍛練を欠かさない。 幼少の頃、ガーディアスに母と滞在した事があり、その際ガーディアスの騎士に憧れと尊敬を抱いた。 騎士団を志望しているが、経歴的に雇ってもらえるか危うい。 天淀童子→“妖刀”という魔剣らしく、魔力のようなものを帯びている。 二度目の奉公先の主人が行商から買い取ったが、その後不運が続き、気味悪がった主人に捨ててこいと言われたのをこっそりもらってしまった。 後に主人にバレたが、己が手にしてからは何事も起こっていなかったのでそのまま所有している。 “テンデンドウジ”とは、東国に棲むという鬼の名らしい。 当人は自覚していないが、刀は主を選んでいるらしく、他の者が持ってもその能力を発揮しない。
https://w.atwiki.jp/touhou_ginfuritsu/pages/185.html
autolink() TH-0133 カード名:伊吹 萃香 読み:いぶき すいか カテゴリ:キャラクター 属性:宙 EX:宙1 コスト:宙宙宙宙宙宙宙 登場位置: ●●- ●●- AP:6 DP:3 SP:1 陣営:無し 基本能力:無し 特殊能力: 小さな百鬼夜行 このキャラが登場したとき、自分のデッキから2枚ドローする。 自分のデッキを2枚破棄する。 性別:女 レアリティ:R(TH-0133)、NP(TH-0133A) illust(TH-0133):ととねみぎ illust(TH-0133A):日鳥 2.0環境で最大の使用コストを持つカード。 しかし効果でEX2のキャラを2枚回収することが出来れば実質3コストで出す事ができる。 藁人形で登場する前に破棄などをされた場合は、特殊能力によるドローが処理されない。 関連項目 伊吹 萃香 日 伊吹 萃香(小さな百鬼夜行) 宙 伊吹 萃香(「百万鬼夜行」) 花 伊吹 萃香(「百万同一鬼」) 日 伊吹 萃香(密と疎を操る程度の能力) 宙
https://w.atwiki.jp/hmiku/pages/4352.html
ちいさなせかいにこいをして【登録タグ NexTone管理曲 VOCALOID ち ラマーズP 初音ミク 曲 曲た】 作詞:ラマーズP 作曲:ラマーズP 編曲:ラマーズP 唄:初音ミク 歌詞 聞こえる 波打つ雫の囁きが 胸の中に渦巻いて 微笑んだ あの街 あの道 あの空 どれも全部 僕らが望んだ 小さな世界 ほらね 素敵な景色 でも 物足りなくて 君を 思い出すたび 凄く切なくなる 仕方なくて 今日も過ぎる そばで触れても それは君じゃない 忘れゆくまま 世界になる 代わりになれないなら ここで見守るよ I never forget you 好きだから 遥か向こう側で 小指結んだあの日が 涙を拭うように 風がなでる 大丈夫 もう寂しくないよ 配布zipより抜粋 ゴメス、これがfullなんだ(´・ω・`) ああ、全然浮かばなくて伸ばせなかったんだ。 君は僕らの望んだ願いのために、 命を引きかえに理想の世界を作り出した。 その事後のお話。 僕は君が好きだった、でも君はいない。 君は世界そのものになった。 だから僕はその世界の神様になろう。 神様になって、この世界を見守ろう。 約束したんだ、君を守るんだって。 僕は寂しくない、この世界がある限り。 という歌詞を書いてみたんだ。 これぞ「非擬人化」のキワミ!! コメント 配布zipに歌詞と解説が入っていたので差し替えました。でもやはり"will"が足りないんじゃ… -- 名無しさん (2009-02-28 23 53 42) will?どこに要るんだ?私はあなたを忘れない。だからいいんじゃないか?willがあったら私はあなたを忘れないでしょう。って未来形になっちゃう -- 名無しさん (2009-11-04 18 41 35) ↑それよりも、ものすごく良い曲だってことを書いておこうぜw -- 名無しさん (2010-01-05 13 17 04) すごい素敵!神曲! -- ひな (2012-04-14 20 40 30) この曲が大好きで何回も聴いています! -- やす (2014-05-21 21 48 03) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/ahmobile/pages/418.html
小糸と小唄の小さな母親 No.207 種別 アタック 聖霊力 Lv3 HAND 1 Power 300 PowerBonus 100+活発50% レアリティ アンコモン 勢力 御苑女学園 効果 相手に400ダメージを与える 戻る
https://w.atwiki.jp/talesofdic/pages/22142.html
小さなお世話焼き(ちいさなおせわやき) 概要 グレイセスに登場した称号。 登場作品 + 目次 グレイセス 関連リンク関連称号 グレイセス 作中での説明 シェリアの称号。 取得者 シェリア 取得条件 依頼を一定個数以上クリア 装備効果 敵エレスゲージの増加率減少 修得スキル ☆1:リメディ:詠唱時間減少+4%☆2:術攻撃+3☆3:クリヒット☆4:術攻撃+5☆5:サブエクス MASTAR!必要SP ▲ 関連リンク 関連称号 中ほどお世話焼き 大きなお世話焼き お世話エンプレス ▲
https://w.atwiki.jp/fcubattle/pages/76.html
「な・・・何よ、これ」 目の当たりにした惨状に、彼女は愕然とした。 あまりに非常識な、凄惨たる光景に絶句するしかない。 彼女が、彼女たちがここに来た時は既に、遅かった。 何もかもが吹き飛んで。何もかもが手遅れで。 繰り返す。 美咲は、愕然とした。 ◆ ◆ ◆ 「ひ、ひぃいい~~」 とある民家。壁に大きな穴があいている以外、いたって普通の一軒家に、情けない声が木霊した。 涙目になりながらガタガタ震えて、部屋の隅で命乞いをするぐらい無様な状況に陥っていたエリニュースがいた。 台所へ引きずられ、否応なしに身体の自由は奪われ、何より威圧感が半端ないこの目の前の男が恐ろしくてもう動けない。 そもそも、食糧目当てにこの家に襲撃をかけたのに、なんで私がまな板の鯉状態になってるのよ、と心中で悪態をつく。 そんな水面下での抵抗すらおくびにも出せず、ただただ己の不幸を呪うのみ。 なんつうか、恐い。ゴゴゴゴゴという擬音がぴったりな感じで、黒い大剣を持った男が近づいてくる。 その時。首輪から頭の芯まで響くような音が鳴り響いた。 エリニュースは直感的に、これが放送だと認識した。目の前の男もそうらしい。 そして放送が終わるまでは動かない。いや、動けない。 男は舌打ちをすると、巨大な剣を壁に立てかけて、 「・・・放送の隙を見計らって逃げようなんて考えんなよ、食の冒涜者」 とエリニュースに向けて吐き捨てるように言った。 売り言葉に買い言葉で、私だってやろうと思ってやったわけじゃ無いわよ!と声を大にして言いたかったが、放送が進んでしまっている。大人しく黙る事にした。 同じ頃。同じ場所。正確には台所からほんの少し離れた元食卓にて。 騎士団2人がのほほんと放送を聞いていた。 お腹が空いたから、ご飯を食べた。 状況が把握できなかったから、何もしなかった。 そんな彼女達に――― 『【エヴァ】』 かちりと。 事の深刻さを告げる一言が、歯車を狂わせた。これ以上無いほどに。 いや、正しくは"矯正したのだろうか"。 彼女達の思考と行動を司る、騎士魂(きしだま)プログラムが息を吹き返す。 レニー、ヴァネッサ共に、思考は一致した。性格は究極的にバラバラだが、ここでは意思の疎通すら不要だった。 まずヴァネッサが、食卓を抜けて台所にいるエリニュースへ向かい一直線に駆け、 轟! 空気が身体と接触し、摩擦で音が出るほどに、一直線に、"息の根を止めようとした"。 エリニュースは目を見開き、何が起こったのかを理解せずとも死を覚悟した。 が、それを阻止したのは、巨大な黒木剣を持った皇帝だった。 「おい、何してんだよ。今の本気だっただろう」 「・・・フン」 己の攻撃が、斬神刀の腹によって喰いとめられた事を何とも思わずに後ろに一歩飛び退くヴァネッサ。 その背後にレニーが佇み―――彼女たちが同じ目をしている事に皇帝は何故か嫌な予感を感じた。 「今の放送で、騎士団の『壱』が死亡したと伝達された。あいつが死んだという事はそれ以上の敵がいると言う事だ」 「―――緊急性は類を見ないの。だから私達騎士団がこの場を制圧するために・・・"この場を戦場"と認識しなおすことにしました~」 「先ずは不確定要素のソイツを殺す。邪魔をするならばお前もだ」 鎮圧では無く、制圧。 今までの楽観的な姿勢から180度転換するが如く、攻撃的に宣言をした。 それほどまでに、蒼龍騎士団のトップ――ヴァネッサは認めてはいないが――の脱落というのは、彼女たちの中で大きかったのだろう。 「殺し合いに乗らないんじゃなかったのかよ」 「殺し合いには、乗らない。だけど、『制圧するために殺しは辞さない』。それだけだ」 「あんまり急ぐのは好きじゃないんだけどぉ・・・一刻の猶予も無いから。どいて」 飽くまで不安因子にして明らかに攻撃を仕掛けたエリニュースを排除する姿勢を徹底している。 当のエリニュースは彼女たち2人の纏う雰囲気が明らかに今までと違う事から閉口していた。 そしてその前に立ちふさがる皇帝は――。 「どかないな」 「ああ、分かった」 迅速に騎士の務めを果たすため、ヴァネッサとレニーは一飯の恩義を仇で返すことにした。 激突音。 ◆ ◆ ◆ 「つかれた」 肩で息をしながら、刀を発見したエリシャは一息ついた。 南東の方向へ一直線へ進み、山に入ると程なくして目的の代物を見つける事が出来た。 本来なら、いくら明るくなったとはいえ、正確な位置など分かるはずもないのだが――血のにおいに敏感になっていたようだ。 リースが最初に殺害したセリナの血が、エリシャをそこへと誘った。 とは言え、図書館付近も含めての捜索だったため、かなりの労力を割いてしまった。だが、とりあえずはこれで一安心。 「あねうえ」 そして先ほど呼ばれた名前に思いを馳せる。 カティ、カイト、リース。確かに、自分に匹敵するやもしれない人間は多くここにいた。 だが、それでもエリシャ達の蒼龍騎士団のトップを張る、その名の通り『壱号』。 エヴァの実力は一般人などとは一線を画し、達人のソレすらも凌駕する。 普段はおちゃらけていたが、それでも本気になった際の威圧感はエリシャでもっても相手にはしたくない程だ。 「死んじゃったのは、嘘?ホント?」 それが死んだと放送で告げられたのだが。 信じられないし、信じたくもないが、奇しくもそれがエリシャの狂気を加速させる。 「―――急いで『私達の敵を殲滅(ころさ)なきゃ』」 セリナの首を切り落とし――そういえば本社でこの人見た事あるな、とエリシャは思った――、 地面に音を立てて落ちた、血の付着した首輪をバッグに入れた。これで首輪はカティの分を合わせて、2つ。 カイトとの首輪に関する小難しい話を経て、とりあえずあった方がいいだろうというだけの意識で以て、それを回収したのだが。 「ふふ―――ふふふふふ」 血を見て、どろりと病んだ瞳が暗く沈む。口元は三日月を作り、おもむろに立ち上がる。 体力は十全では無いが、獲物を持ったエリシャは山を駆け下る事にした。 じゃらじゃらと、何本もの刀を腰に束ねながら。 幾分か幾許か、エリシャが駆け抜けるその先で、トーイ達は民家を出発しようとしていた。 機械の鳥、トーイを肩に乗せる金髪幼女のアカル。 それを後ろから見る無言の少年カノンと―――― 「? 美咲はどうしたあるか?」 「なんか物置の方でガタゴトやってましたけど」 『様子を見てきますか?』 「ぷはッァ、それには及ばないわ・・・今戻ってきたわよ」 4人目。美咲は何故か埃まみれになりながら玄関先へと顔を出した。 重量300キロ近くのナワノツメを引きずりながら、何かを転がしてきたようだ。 「ちょっと格好悪いけど、物置から台車を引っ張りだしてきたわ。これでナワノツメを持ち運ぶわ」 「リアカーあるか。なんか廃材を運ぶみたいでホント不格好あるな」 『確かに』 「う、うるさいわね!ともかく、これである程度舗装された道なら早く移動できるわよ。 さ、早くこの極太兵器を乗せちゃいましょう・・・ってやっぱ重い~」 「手伝いますよ~・・・ってアレ、なんか聞こえません?」 アカルがナワノツメに手をかけようとした瞬間に、動きを止めて周りを見渡す。 何か、金属音。まるで、"腰に下げた刀がジャラジャラと音を奏でるような"。 音の方向を向くと、こちらに向かって駆けてくる人影が見えた。 小柄で、ツインテールの緑色の髪をした女の子だった。 一瞬、ただこちらと友好な関係を築きたいがために駆けよる一人の少女かと思ったが――― 「ふふふふふふふふふふふふふふふふふ」 その狂気的な笑みと、身体に着いた"返り血"と、何よりその攻撃的な姿勢でその思考は全員の頭から吹き飛んだ。 「蒼龍騎士団――エリシャ・・・!」 「知ってるの、トーイ!」 「・・・あんまり会いたくない相手だったあるけど。文字通り何考えてるか分かんないヤツね。 んでもって凶暴性と実力、手のつけられ無さは―――」 右手に持っていた刀でエリシャはかるく右腕を振るうと、傍に会った電柱が根元から崩れ落ちた。 「・・・ピカイチネ! 逃げるヨロシ、みんな!」 「逃げるたってトーイ、美咲さんはまだアレを台車に乗せてないし、逃げ切れる速度じゃないですよあの子!」 「仕方ないあるねェ・・・じゃあ美咲、以前の打ち合わせ通りにいくある」 「え? ・・・ああ、そういやそんな事言ってたわね」 トーイと美咲で軽く視線を合わせたその先は、オレンジ色の前髪を垂らしながら視線を合わせないようにしてたカノンがいた。 その背中を美咲は華麗に蹴飛ばし、 「あんた、あの子を食い止めなさい。その間に私達は逃げるから」 物凄い笑顔でこう言った。もう満面の笑み。 『ちょ、ちょっと待って下さいよ、独りでアレに対処しろって言うんですか!?』 「モチ。さあさ、時間が無いわよ。大丈夫、足止めしたらトンズラしていいから」 『だってあの子こっち向かってくるの滅茶苦茶早いし、というかこの速記も大したもんじゃないです―――』 か、と問いかけの途中でペンを走らせる事をカノンは止めた。 馬鹿やってる場合じゃあ無い。何よりこの場で戦闘が可能なのはカノン、次点で美咲だ。 仕方ないですねと諦めのため息をつき、エリシャに対して身構える。既に両者の間は十数メートル。 と、ここでエリシャが 「数を減らさなきゃいけないから。別に楽しんでるわけじゃないんだからね」 ツンデレとは程遠いセリフを吐き捨てながら、カノンの頭上を大きく飛び越え、その手の刀で不可避の速度で以て美咲に肉薄し切りつけた。 あ、とアカルがつぶやいた時には、美咲の首があった地点を見事に刃が通過していた。 "ただし、美咲はそこにはいない。" はっとした表情のトーイに、何が起こったか分からないアカルの背後。 "すでに荷台に積まれていたナワノツメ"に"悠然と腰かけている美咲"の姿があった。 「『ファイティングスピリッツ』。時を2秒だけ止めたわ。さ、乗りなさい2人とも。 ここから先は下り坂、一直線にスピードがでるからしっかりつかまりなさいよ」 あるべきはずの手ごたえが得られなかったエリシャは、忌わしげにナワノツメにしがみつこうとする3人を見、 「させると思う?」 「そんな貴方を止める人なら後ろに♪」 エリシャが後ろを振り向くと、そこにはうなだれたオレンジ色の髪をした少年がいた。 げんなりしながら、『なんで後ろから隙を窺っている事バラしちゃうんでしょうかねぇ』と表情に出している彼だが、 残念ながら前髪に隠れてそのアウトプットは美咲に届かなかったようだ。美咲達はさっさと下り坂に足をかけ、 「あ、そうそう、足止めするだけって言ったけど、別に倒してしまってもかまわないわよ~!」 「美咲さん、ソレ死亡フラグですって」 「しかも背中で語る男にしか言えないセリフある」 漫才をかましながら視界から消えて行った。 気を取り直し、改めてエリシャと対峙する。直接向けられる殺意が周囲の空気を圧迫するが、これを耐える。 何より、カノンにとって殺意とは向けるもので向けられるものではない。 マスクを装備していない彼にとって今の状況は何やら複雑なもので、更には今現在使役しようとする能力が――。 『龍眼』 殺意が増せば増すほど、強くなるその能力は、ある意味この場に最もふさわしい。 ただ、カノンに与えられたタスクは飽くまで『足止め』。こういう時にマスクがあればよかったのに、と独り愚痴るが、後の祭りで無い物ねだり。 カノンに向けて、エリシャが飛びかかる。 無駄だらけなその襲撃に、カノンはゾっとする。 力任せであの威力をこの小柄な子供が内包しているのか、と。先ほどの電柱も、スパリと切れたわけではなく、音を立てて砕け散ったのだ。 蒼龍騎士団と言ったか、こんなのがゴロゴロ会場にいるなら、尚更ながらゲームに乗らなくて良かったなと思う。 カノンは龍眼を発動すると、先刻から感じていた西へ引っ張られる感じと頭痛が、強くなったような気がした。 両者が、激突する。 【南 図書館付近の住宅街―民家/1日目/朝】 【エリシャ@T.C UnionRiver】 [状態]:頭部損傷、背中に深い切傷、両手両足切傷(特に右腕)、体力消耗(小)、血まみれ [装備]:長刀「沢鉄爪」&変幻刀「雹星天翔」、刀「天地雷風水火」の「六行」@ジーナ(T.C UnionRiver) [道具]:支給品一式、首輪@カティ、首輪@セリナ [思考・状況] 基本:必見必殺『サーチ デストロイ』の殲滅戦を敢行 1:目の前のオレンジを殺す 2:ジーナに刀を返す 3:『爆弾』に危機感と寒気を覚える 4:出来ればカイトにリベンジしたい 5:エヴァが死んだ事で姉妹が心配 6:昼の12時に映画館へ行く 【備考】 「天地雷風水火」は六本の一般的な形状の刀「六行」。 休憩する事である程度は体力を回復しました。 カイトの言いつけ通り首輪を回収しました。 2個目。 【カノン@紫色の月光】 [状態]:顔面に痣 、頭痛(中)、疲労(小) [装備]:黄色いリボン@理由のない日記(剣龍帝) [道具]:支給品一式 [思考・状況] 基本:仲間を集めてゲームを破壊、あるいは脱出する 1:エリシャの足止めを行う 2:トーイ、美咲、アカルとの合流 3:身内(カイト、ガレッド、トリガー、メシア)との接触 4:出来ればマスクを回収したい こんな小柄な少女が、ここまで圧倒的な力を持っているなどと、皇帝は思いもしなかった。 先ほどまで団欒と言わんばかりに陽気に食事をしていたのがウソのようだ。 皇帝に宣戦布告してきたあの瞬間から、この住宅を中心として重力が何十倍にも膨れ上がったような錯覚を受けた。 プレッシャーで家全体が軋むような感触。 依然として劇場はリビング。台所を背にし、目の前に2人の騎士。背後には飯を台無しにした乱入者。 手元の斬神刀を握りしめ、ヴァネッサとレニーの出方を伺う。 乱入者のエリニュースがごくりと生唾を飲んだ瞬間――― 「失礼します~」 気の抜けたような声が、"皇帝の左から聞こえた"。 なっ、と驚愕しながら皇帝は斬神刀を構えなおすが――遅い。そちらに対処をすれば勿論、 「はあぁァ!」 正面からの――否、目下からの強烈なアッパーカットがヴァネッサから放たれる。 顎に何かがかする。軌道はアッパーのそれだが、手元には何かが握られていた。 それが何かを判断する前に視界がぐらりと揺れ、思考が一瞬止まる。マズい、これは軽い脳震盪。 次に皇帝が見たのは、藍色の髪。レニーが肉薄している事におぼろげながら考えが及び、肉体に強引に命令を与える。 「く・・・うおおおぉ!!」 斬神刀を振るう。が、大きな質量を保有するはずの剣がピタリと止められた。 横薙ぎの軌道の途中、レニーが剣の重心をとらえて見事なまでに静止させたのである。 物体の重心をとらえると言うのは、存外難しいものであり、それが動いてかつ大質量だとすればそれは不可能の領域に達する。 例えるならば、高速で動いている針の穴に糸を通すぐらいの集中力と精度が要求される。 手先が器用なんてレベルじゃない。おっとりと呆けたような表情をしながら、ワイヤーを巧みに操るだけはあるというもの。 それをなんと気なしにやってのけたレニーは、そのまま皇帝を床にたたきつける。ゴッと鈍い音が響いた。 皇帝が沈黙したのを見ると、標的をエリニュースに変えて再度襲撃に奔る。 ヴァネッサは1度目にしたように、一直線に尻餅をついていたエリニュースに向かう。 対するエリニュースは、慌てながらも持っていた速射遠弓を構えて――撃つ。 キンと、トライアングルが奏でるような甲高い音と共に弓がはじかれた。ヴァネッサが持っていたのは、『ただのスコップ』。 柄の短いそれはスコップと言うよりも、花壇の栽培に使うようなシャベルと言った方が正確か。兎も角、武器に使うようなものではない。 だが、ヴァネッサにしてみればそれはもはやどうでもいい。能力も特に付随していなかったことから、正真正銘ただの土を掘るものなのだろう。 だが、それでも、"彼女の本来の武器に限りなく近いサイズ"であった。彼女の、無銘-ネームレス-。 ヴァネッサは、さながら西部ガンマンのように器用にスコップを回しながら、エリシャの懐に入り込んだ。 先刻行った皇帝へのアッパーカットと同じようなフォームだったが、今度は柄では無く、尖端。 弓ではあるが、十分な鈍器としても扱えるサトゥルヌスで防御を図ろうとしたが、遥かにヴァネッサの方が早い。 前髪と共に血が宙を舞った。決して浅くないその傷は、肉の切れる感触に次いで、焼けたような熱をもたらした。 「う、ああぁ!」 「チッ・・・仕留め損ねたか」 「ヴァネッサちゃん駄目駄目~」 連撃を加えようとするヴァネッサに、追随するようにレニーが台所へとやってくる。 性格プログラムの調律ができず、四聖それぞれのチームワークも、28体を集めて1つの個体として見た時のチームワークもよろしくは無い。 故にか、姉妹で同じ蒼龍騎士であるにもかかわらず、元々連携など考えてはいない。 邪魔をするなと、ワンマンプレイを宣告しようとしたヴァネッサだったが、レニーの背後に揺れる影を確認した。 「・・・く、そッ。させるかよ・・・!」 二本目の剣を精製し、それを杖代わりに立ちあがっていた。膝が笑っているようだ。 「ヴァネッサちゃん~」 「ああ。そいつは任せた」 言うと、次の瞬間にはレニーの体当たりで軽く皇帝は吹き飛んだ。リビングの壁に激突する。 両方の剣を手放した皇帝は、ぎりりと歯を軋め、レニーを睨む―――と、奥に血まみれになっているエリニュースが視界に入った。 一目で、分かった。 既に息絶えている。 かく言う自分も異常なまでに全身が悲鳴を上げている。 骨の一本や二本、くれてやると思っていたがそんなレベルでは無く、この騎士たちを止めることは不可能だった。 「まったく~、あきらめが悪いとお、」 「見苦しいってなぁ!」 ヒュンッと空気をスコップが切る音。やはり異常な速度だ。 諦めたかのような口調で、皇帝がポツリと言った。 「"俺は、理系とか頭を使うのが苦手なんだよな"」 「・・・は?」 ヴァネッサが停まる。何を言っているのか分からないという怪訝な顔。 「確かにそう言った。だけど義務教育程度の事は分かるし、このナノミスト能力も構成を知っている剣を作り出す程度には可能になった。 すると、1つの元素ぐらいなら・・・"1つの元素を作り出し続ける程度なら俺にも出来るんだ"。」 「・・・何言ってるんだ、コイツ」 「知らないか? 無味無臭だから気付かなかったか? これだけはやりたくなかったんだけど――"水素は爆発する"」 皇帝が今までの闘いで打っていた布石。 アカルの持つナノミスト調合能力は、粒子・元素を操る能力だが、モノを作り出すならそれが何で出来ているかを把握しなくてはならない。 例えば、人体を部分的に破壊しようとするならば、"足を分解して動けなくする"というようなプロセスでは無く、 水・炭素・アンモニア・石灰・リン・塩分・硝石・イオウ・フッ素・鉄・ケイ素を寸分狂わず計算しなければならない。 さらにはそれを指定する座標まで計算しなければならないと言うから、この能力の扱いにくさは皇帝にとって異常なネックだっただろう。 だが、逆に言えば、単一の元素を生成するだけならば。座標の指定を行わなければ。 水素。H。ガスで最も軽く、起爆しやすく非常に燃えやすい性質を持つ。 民家。密室。横にエリニュースが明けた風穴があるが、天井付近は無傷。 壁にぶち明けられた穴はその名の通り風穴となり、十分な酸素を供給する。 皇帝が少しずつ生成した水素は、空気よりも軽いので2階から順に溜まっていき、天井付近へと蓄積されていった。 背が低いヴァネッサとレニーはコレに気付く事は無かった。もしこの保険を使わずにいられたならばどれだけ良かった事か。 ハッと騎士達は驚愕する。 ヴァネッサ達は「騎士」と呼ばれる個体で構成されており、一つの騎士団で群体アースブリンガーとも言うべき性能を発揮するが、それでも。 「く――逃げ」 「させないわよ」 この家屋から撤退するべく踵を返そうとしたが、台所から振り絞るような声。 ふるふると、照準の合わない手で自分の血でまみれた弓の弦を弾く。それは騎士を狙ったものではなく―――天井の蛍光灯へと激突し。 火花を視認できたものは居ない。次の瞬間には、直視できない光と轟音と共に周囲8世帯が吹き飛んだ。 【皇帝@理由の無い日記 死亡】 【エリニュース・レブナント@LunaLowe-ルーナレーヴェ- 死亡】 【レニー@T.C UnionRiver 死亡】 【ヴァネッサ@T.C UnionRiver 死亡】 ひたすら坂道を滑走し、勢いが付いていたナワノツメを乗せた台車は止まらない。 実に数時間かけた結果、エリア北の方まで来てしまったようだ。 と、エリアの大半に響き渡るような轟音と衝撃。そして閃光。 心臓が裏返ると思った各人だったが、気を取り直してその現場へ急行した。 「な・・・何よ、これ」 目の当たりにした惨状に、彼女は愕然とした。 あまりに非常識な、凄惨たる光景に絶句するしかない。 焼け焦げたというよりも、消し飛んだと言った方がいい規模の爆発後。 そして、"恐らく人だったであろう遺体"が転がっていた。 首輪があったと思われる場所が特に欠損していた。 首輪が爆発したのか、それとも何かの拍子に誘爆したのか。 そんな事を考える程、美咲達の頭には余裕はなく、目の前の現実を直視するしかなかった。 繰り返す。 美咲は、愕然とした。 勿論、トーイとアカルも含め。 【北 病院付近の住宅街 朝~昼】 【神堂 美咲@希望と絶望の協奏曲】 [状態]:精神疲労(小) [装備]:ナワノツメ@吼えろ走馬堂(リメイカー) [道具]:支給品一式 [思考・状況] 基本:仲間を集めてゲームを破壊、あるいは脱出する 1:何よ・・・これ・・・ 2:和輝との接触 3:トーイと共に他の参加者と接触する 4:危害が加わるようならば対抗して戦う意思あり 5:見捨てたカノンとの合流 6:エリシャを警戒 【トーイ@誰かの館】 [状態]:健康 [装備]:無し [道具]:無し(地図と名簿はHDに書き込んであります) [思考・状況] 基本:仲間を集めてゲームを破壊、あるいは脱出する 1:目の前の惨状を把握する 2:首輪の解除をする 3:ケーブルを奪還。無ければ代用品を探す 4:エリシャを警戒 5:リースという名に対して警戒(リース=死神装束の少年と推測) 6:カノンとの合流 【瀬戸アカル@誰かの館】 [状態]:健康 [装備]:ウサ耳@アーニャ(T.C UnionRiver) [道具]:支給品一式 [思考・状況] 基本:殺し合いに乗り、リレッドを生き返させる 1:目の前の惨状を把握する 2:対主催者を利用し最後に裏切る 3:首輪を外す 4:同行者には能力をばらさない 5:エリシャ、リースを警戒 (備考) 資材を運ぶ台車にナワノツメを乗せて移動しました。 10時丁度に病院付近で大きな爆発が起こりました。 マップほぼ全域に音が響き渡りました。運よく火災は起こっていないようです。 Back 騎士道 Next 暴走
https://w.atwiki.jp/thmugen/pages/204.html
氷の小さな妖精「チルノ」 氷の小さな妖精「チルノ」 キャラクター シンボル:白 必要コスト<白:1 無:0> 攻撃力:2 耐久力:1 属性:妖精 閃光 《自動》:このカードは、可能な限り攻撃しなくてはならない。 「え?私が⑨?それって最強ってこと?」 illus:にくばなれ コメント 1コスト2/1と優秀な小型キャラ。 ただデメリットとして可能な限り攻撃参加なため、例え無駄死にするような場面でも敵陣に突っ込んで玉砕しなければならない。 彼女の辞書に後退はないのだ。 関連 氷の妖精「チルノ」
https://w.atwiki.jp/kissatenn/
小さな森の喫茶店wikiへようこそ その名の通り、小さな森の喫茶店のwikiです。
https://w.atwiki.jp/zuiun/pages/27.html
冬に灯る小さな花火 もういっそのこと大学から、家からも飛び出して旅に出ようかな。そして何にも縛られず、私の好きな場所、好きなことだけをして生きていこう―― ……なーんて、勉強に疲れた中高生の妄想みたいなことを思う。無理に決まってると胸中でつぶやいてため息を吐いた。 単位のためだけに受けている興味のない講義を聞き流し、楽譜をしまう。五線の湖の上を泳ぐおたまじゃくしを見ていたら、目眩がしてきた。 どうにもここ数日、頭の中で音が鳴らない。それどころか、気力すら全然起きない。 ……私、やる気なさすぎ。 どうしちゃったのかなぁ、と思うまでもなく原因はわかっていた。その原因を解決させない限り、私はふ抜けたままだろう。原因がわかってるなら、すぐにでも解決すればいいんだけど。 「そんな簡単なら、こんなことになってないってば……」 ぽつり、と口に出した言葉は、社会の仕組みと就職の大変さを語る教授の声に、くだらないと切り捨てられるようにしてかき消された。 ◇ ◇ ◇ 「おい、天然元気っ子。今日はやけに静かだな。変なもんでも食って腹壊したのか?」 講義が終わった教室で、まだ三時限目が残ってるけど帰っちゃおうかなー、とぼんやりしていたら、慎(しん)が話しかけてきた。 「あー、うん。そーかもね」 私がてきとうに返事すると、慎はやる気のなさそうな半眼を丸くしていた。 「おいおい、ホントに腹壊したのか? いつもなら『誰がお腹壊すようなもの食べるか!』って突っ込み返すのに」 「いや、別にー? ただ、疲れちゃったからもう帰ろっかなーって」 「はぁ?」 慎は怒ったように私を睨む。目つきが鋭いから睨んだように見えるだけなんだけど。 「次の講義、ピアノだろ? 音楽専攻の学科じゃないから基礎ばっかりなんだろーけどよ。でもお前が大好きなピアノだぞ? わかってるか?」 「うん、わかってる」 慎のちょっと怒ってるような顔を――でもホントは心配してくれてる顔を――見ながら、私は小さく頷く。 私の反応に呆気にでもとられたのか、慎は口をぱかんと開けて間抜けな顔をした。次第に閉じていく口はへの字を描いていた。お気楽な慎にしては珍しく、小難しい顔で腕を組んでいる。 「三月(みつき)、昼飯どーするんだ」 「あんまり食欲ないし、無くてもいいかなーって」 「……今日は、デザート食う日じゃなかったか?」 「ピアノの前だから食べてたの。ピアノやんないなら、食べなくてもいいよ」 別にどうでもいいよと、私は無感情に返す。 「いっつも、あんな美味そうに食ってるのにか?」 「うん、いいの」 慎は唸るようにして「ふーん」と返してきた。ちょっとだけ私から視線を外した後、削るように一度頭を掻き、ここ座るぞ、と私の隣に腰かけた。 「これ食え。飯抜くと太るっていうだろ」 下げていたビニール袋からサンドイッチを取って渡してきた。慎がよく買う、安い卵サンド。 「いいよ。慎の昼ごはんでしょ?」 「俺は三限なんもないからいいんだよ。ほら、人の好意を無下にしてんじゃねぇ。食え食えっ」 肘を付きながら、押しつけるようにして、しっしっと手で払う。そんな風に言われたら断るものも断れない。 「はいはい。じゃあ、ありがたく頂きますよ」 仕方ないわね、とため息ひとつ吐き出して。黙々と、慎からもらったサンドイッチを食べる。慎は私の食べる様子を、いつものやる気のなさそうな半眼で見ている。 「……夏の時と比べて、病気かってくらい静かだな、お前」 慎は唐突に、姿勢は変えないまま口だけを動かした。 おかしい、と私も前から感じていたことを改めて指摘され、叱られた時みたいに体を強張らせた。 「やっぱり……そう、だよねー」 「皆で花火なんかした時は、小学生かってくらい、はしゃいでたのによ」 夏休み、そんなこともしたなぁと私は思い返す。高校の友達と集まって、ねずみ花火に追いかけ回らされたり、ロケット花火を空高く打ち上げたり、色彩豊かな手持ち花火をのんびり眺めたり。楽しかったなぁ。 「どうしたよ。なんか悩みでもあんのか?」 「うん……まぁ」 「なんだ、寒くなってきたから体重でも増えたのか?……あぁ、デザート食わないのもダイエットか」 言い淀む私を見て恥ずかしい悩みだと思ったのか、慎はひひ、と嫌らしく口元を吊りあげて笑う。冗談だとわかっていても、私はムッと頬を膨らませてしまう。なんか、慎に言われるのは無性に気に食わない。……でも、サンドイッチってカロリーどんなだっけ。つい今日食べた物のカロリーを考えてしまう。 「おーい、三月ちゃーん? サンドイッチ見つめたまま、なに固まってるんだー?」 「えっ……? あ、うん。うんうん? サンドイッチって、カロリー高かったっけ、なんて考えてないよ?」 「あー……そうか。ちょっと腕上げろ。あぁ、バンザイじゃなくていいから。軽くでいい」 言われた通り、サンドイッチを両手で持ったまま肘を持ち上げるようにして腕を上げる。 なにする気なの、と訊こうとした瞬間。すぐに伸びてきた慎の腕が、私の脇腹をむにゅっと摘んだ。 「わひゃぁ!?」 無防備の脇腹を触られ、くすぐったさと肉を摘まれたというショックから、変な声を上げてしまう。 「ふむふむ。適度に肉も付いてて健康的な体だな。女としてはともかく、人間としてはいいと思うぜぇ?」 「なぁもぉうるさいっ! にやにやとイヤらしい顔してんじゃないわよ、このヘンタイ!」 いつまでもむにむにむにむにと摘んでいる腕をはねのけようと、慎に向けて腕を振る。おっと、とからかうように声を出しながら、あっという間に体を引いて避けられてしまう。 「おいおい。俺は『冬になって美味しいものがいっぱいで食べすぎちゃった~』とか言ってる三月のために、身体検査してやっただけだぞ? そんな怒られるようなことはないと思うぜ?」 「誰がそんなこと言ったのよ! 女の子の体触っといて、アンタはそんなことしか言えないのか!」 「いやだってお前……」 慎は顎に手をやり、じとーっと私を頭から足先まで見てくる。 「……大学生にもなって、そんな起伏のないなだらかな体の奴じゃ、なぁ?」 「なっ……!?」 真面目な顔をしたまま淡々と言われ、さすがに声を詰まらせる。いくら幼なじみの慎だからって、冗談でもなくそんな風に言われたら傷つく―― 「ま、スポーツブラでもなんでも試して、せめてAAからAぐらいにするんだな」 と、ちょっと泣きそうになった気持ちが瞬時に吹き飛んだ。慎はにやり、と口の端を持ち上げた、弄る時によくする意地の悪い笑みを浮かべ、私の胸を指さしてくる。 「ギリギリBくらいはあるわよ!」 たぶん、と心の中で付け足して。 くるくると回して遊んでいる指を、手の甲ごと思いっきりはたいた。私は仇のようにサンドイッチにかぶりつく。 「知らない間に、お前も成長してたんだな」 慎は憎ったらしい顔をしたまま、はたかれた手をぷらぷらと揺らす。からかってるんだろうその動作も、腹が立ってしょうがない。 「まったく、人のこと弄るだけならちゃっちゃと帰ってよ! 慎のばぁか!」 「はいはい、俺はそろそろ退散しますよっと」 あっさりと私の言葉に従い、慎は鞄を担いで席を立つ。離れる時、私の肩をぽんぽんと気遣うように叩く。 「それだけ言い返せれば十分だな」 してやったり、とで言いたいのか。ニッと無駄に良い笑顔を見せてきた。私はしてやられたように、慎の笑顔に驚いた顔を返してしまった。 「まったく、ホントにもぉ……」 離れてく慎の背中に、私は苦笑を向ける。 慎が教室を出ようと扉に手をかけた時、私は大声で呼び止める。 「慎!」 慎は顔だけをこちらに向け、なんだ? と表情だけで語る。 「ありがと!」 天然元気っ子らしく、私は飛び切り明るい笑顔で言ってやった。 慎はさっきと見せたのと同じ笑みを返し、ひらひらと手を振って教室から出て行った。 ◇ ◇ ◇ でも慎にもらった元気も、ピアノを弾き終わる頃には、空に霞んでいく煙のようにかき消えてしまった。 やっぱり、音楽に集中できない。他事がちらちらと頭の端を触り、心が定まらない。心が定まらなければ、音も定まらず。結局、私が鳴らしたのは乱れた行列のような、猥雑な音の群れ。全然旋律なんかじゃない。 ……こんなことじゃダメじゃない。しっかりしないと。 まだ大学に通って一年すらたってない。なのに、つまずいてたら叶う夢も叶えらんないよ。 気分転換でもしようと来た書店だけど、全然気晴らしにならない。もっと違う音楽でも聴こうと、一緒にやってるレンタルCDの方へと行く。 J-POP……って気分じゃないんだよなー。別に、愛だの恋だのが欲しい訳じゃないし。クラシックで落ち着きたいとこだけど、ピアノのことが浮かんで気分転換になりそうにないかも。うーん……ジャズ、ねぇ。いいんだけど、なんか違うんだよねー。あー、どーしよー…… 電車のラッシュを思い起こさせるほどCDが押し込まれた棚から、視線を外す。一息ついていると、明るく軽快な幸せと楽しさを運んでくるフレーズが聴こえてきた。 この曲は……We Wish You A Merry Christmasかぁ。そっか、もう一月もたたない内にクリスマスだっけ。 ……クリスマス、かー。去年は、確か高校の友達と過ごしたっけな―。仲の良い女の子三人で、誰がカッコいいだのもうちょっとどーすればいいのにだの、皆で騒いだっけ。うん。いいね、クリスマスソング。気分転換になるかも。 私はクリスマス・クラシックのCDを数枚借りた。頭の中で、さっき聴いたWe Wish You A Merry Christmasを弾く。 クリスマスへの期待、喜び、楽しみを奏でる音譜に釣られて、想像の鍵盤の上を心の指たちが踊る。想像だけど、ピアノを弾けていることに私は自然と笑みを浮かべていた。 店を出る前に、本屋の方をぐるっと見て回る。私は目に留まった、平積みされている一角で足を止めた。 積まれているのは、どれも就職の本だった。 適当に手にとっては、ぱらぱらとめくる。どれにも書かれている、就職の準備は今すぐ始めた方がいい、面接のしかた、SPI、TOIEC…… そして、週刊誌には就職率の低迷。採用氷河期の文字。 私はひと通り本に目を通すと、店を後にした。脇目も振らず自分の家へと急ぐ。 家へ着いたら、ただいまの挨拶もそこそこに自室へと入る。鞄と借りたCDを机に置き、コートをハンガーにかけて私はベッドへ倒れ込んだ。 抱き枕をぎゅっと力いっぱい抱きしめ、小さくなる。 小さくなって、出来る限り小さく体を丸めて――全部の力を抜いてため息を吐き出した。 就職……か。 ――私の通う大学は、そこまでランクの高い大学じゃない。どっちかって言えば、低い部類になるだろう。もちろん就職率も当り前のように低い。 色んなことに手を出して遊んでいたら、就職で苦労するのは目に見えている。私はペットショップにいる犬猫じゃないんだ。やることをやってなきゃ、雇ってくれる会社なんてあるはずない。 だから就職のために資格をとったり、勉強したりしたほうがいいんだろうけど…… ちらり、と視線だけを部屋の隅へ動かす。視線の先にあるのは、安くて音域が狭いキーボード。夜でも練習できるようにと昔に買ったものだ。ピアノは、一階の他の部屋に置いてある。 私は将来、ピアノに携わった仕事をしたい。そのために一応ピアノの授業がある、あの大学に通ってるし。 さすがに、プロのピアニストになりたい、だなんて無謀なことは思ってない。でも、ピアノの先生になれたらいいな、とは考えてる。自分の通うピアノ教室の先生の楽しそうな姿を見る度そう思ったんだ。 ……だけど、夢や希望なんかよりも、ただ就職できればいいと奔走している先輩たちの姿を見ていたら、不安になった。本当にピアノの先生になれるのかって。 いくらピアニストじゃないとはいえ、音大ぐらい出てないと人に教えるほど実力はつかない。才能がある人は音大なんていかなくても平気かもしれないけど、私は特に才能がある訳じゃない。ただ、小さい頃からピアノが好きで弾いてるだけ。 この大学を出たら、夢に近づくため自力で音大に通おうと思ってるんだけど……それも無謀にしか思えなくなっちゃった。どうしてかな、少し前までは絶対出来るって信じてたのに。 このまま夢が叶わず、ピアノの先生になれなかったら。それでも、社会は待ってくれない。ピアノや音楽に関係ないところでもなんでも、就職して働かなくちゃいけなくなるだろう。 就職する時になっても、私にピアノしか特技がなかったら――きっと、大変な目に合うだろう。 だから、少しでも就職しやすいよう何か資格でも取るべきなのかな、って考えてるんだ。 ……考えてるんだけど。私は……どうすればいいのかな。 ◇ ◇ ◇ 大学のホールの端にぽつりとある小さなテーブルで、ひとり資格の一覧本を眺めながらのろのろとお弁当をつまむ。 ため息を吐いたと同時に、後ろから頭を小突かれた。後ろを見ると、ビニール袋ぶら下げた慎がいた。 「よう。相変わらず悩んでるな、三月」 「やっほ。相変わらずコンビニ弁当なんだね、慎」 今日はおにぎりだ、と文句なのかよくわからない主張をしつつ、慎は向かいの席に座った。 「で、昨日俺が元気づけたはずのお前は今日も懲りずにお悩みを抱えてる訳だが。これにはどう返答すんだ、えぇ?」 「……いい資格、どれだと思う?」 私の返答に、怪訝そうにする慎は机に置いてある資格の本を一瞥する。 「あん? お前、ピアノの講師になりたいんだろ? なら、そーゆー資格じゃねぇの?」 「いや、ピアノ以外で」 慎はびくりとビニール袋に伸ばした手を止め、何か文句を言いたそうな表情で私を見る。 「……は? なんだ、違うもんにでも就職したくなったのか? 今までずっと、ピアノピアノって言ってたじゃねぇか」 「あはは。そうなんだけど、ね」 言葉を濁し、苦笑で誤魔化す。慎は、それを許してくれなかった。 「――怖気づいたのか?」 ストレートな言葉に私は告げる言葉をなくし、ただ強く唇を噛んだ。 ……そうだ。私はピアノの先生になれないのが怖い。 けど就職できないのもすごく怖い。夢を追いかけていると言いながら、私は現実に絡められて、思い切ったことが出来ずにいる。 「まぁ、仕方ねぇと思うよ? 俺は楽器なんかやったことねぇから、音楽ってすげぇ大変だってことしか知らねぇよ。音大も入るのすげぇ難しいみたいだしよ。そりゃ、怖気づきもするよな」 慎の言葉は慰めているようだったけど、当の本人はとても不機嫌そうだった。不満を我慢しているような……いや。気に食わないことがあり拗ねているような表情だった。 「そんでお前は怖気づいて、どうするんだ?」 変わらぬ、無感情にも思える瞳。でも、何かを訴えてる気がして。 「だから、他にも就職できるようにしようと……」 答えを口にしながら、私は慎から目を反らしてしまう。あんな瞳、今の私には応えられなかった。 私が目を反らしたと同時に、慎はため息を吐いた。 「諦めるのか?」 「そんなことしない!」 諦めると聞いた時、私はテーブルを叩いて慎を睨みつけていた。 「でも、現実お前はピアノ以外のことしようとしてるじゃねぇか」 慎の言葉にも怒気が孕んでいた。私が否定されたのに、何故か慎も怒っていた。 私を一番理解している彼に考えを否定され、カッとなっていた。慎が怒ったことに疑問を感じないほど。 「ただ他のこともしようとしてるだけじゃない! 誰もピアノを止めるだなんて言ってないでしょ!」 「今までピアノしかやってこなかった奴が、なに他のことやるとか言ってるんだ? テメェが他のことやれるほど器用だったら、こんな大学いねぇだろうが!」 慎の言うとおりだ。私がピアノもやって、資格も取って、なんて出来るはずがなかった。今まで学校の勉強すら両立できなかったんだから。 「頑張るだけよ! ピアノも資格も、全部頑張ってやるだけよ!」 「資格の勉強なんて頑張ってたら、ピアノの頑張りが減るっつってんだよッ。んなことしてても、全部中途半端で終わるっつの!」 「っ、やってみるまでわかんないでしょ!」 「わかるわ! 不器用なお前が、馬鹿みたいにピアノしかやってこなかったお前が、出来るはずねぇんだよ!」 そうだ。私はピアノしかしてこなかった。私にはピアノしかなかった。 「でも、やるしかないじゃない!」 いつの間にか、私の声は涙混じりになっていた。なにか、だだをこねてるみたいですごく格好悪い。そんな気がして、鼻をすすって目を拭う。瞳は、濡れていた。 「お前、ピアノも中途半端で終わることになるぞ! 頑張ってればなれたかもしれねぇピアノの先生も、なれなくなるかもしれねぇんだぞ!?」 ピアノしかない私は、ピアノで失敗することが怖かったんだ。人生を変えてしまうのような、失敗を。 「私、は……」 言葉は霞んで小さく消えていき、心は冷たく萎んでいった。もう、私に返せる言葉はなかった。 慎は私を静かに見つめる。ふと慎の顔を見て思う。彼の声は怒っていたけど、表情はどうだっただろうと。裏切られたような、ひどく悲しい表情じゃなかった? 「……昔」 ぽつ、と慎がつぶやいた。 「ピアノの先生になるんだ、って言ってたお前は、本当に嬉しそうでさ。すげぇ輝いてたよ」 慎が言ったのはいったい、いつのことだろうか。嬉しそうに夢を語ったのは、いくつの時だっただろう。高校? 中学? それとも小学校だったか…… 知らず、うつむいていた顔は上がり、慎を見つめていた。怒りはもう、すっかりと抜けてしまっていた。 「……今日の夜、家来いよ」 「え?」 「いいもん、見せてやるからよ」 じゃあな、とビニール袋からおにぎりひとつ出さず、慎は席を離れていった。 ◇ ◇ ◇ もう暦上も冬に入り、日が暮れるのは早い。日が出ている時間が短くなった分寒さも増し、吐いた息の暖かさが心地よいほどだ。 星が瞬く漆黒の空の下、団欒の光を灯す住宅街を、慎の家へと向かって歩く。 慎の家はゆっくり歩いて二、三分ほどの距離にあった。私はコートをはおり、マフラーを巻いていたが、そんな短い間でも寒さは厳しい。手袋をはめてこなかったことにちょっぴり後悔した。 後悔している間に、慎の家へ着く。インターフォンを鳴らすと、すぐに玄関の戸が開いて慎が出てきた 「お待たせ――って慎、なに持ってるの」 「んなもん、見りゃわかるだろ。花火セットだよ」 厭らしくにやりとする慎。わたしは慎の考えが読めず呆気にとられていた。 今の季節は冬。あともう少しでクリスマス。雪が降るんじゃないかという寒さ。なのにこのお気楽野郎は、そんな寒い中で縮こまりながら、花火をパチパチとやるつもりなんだろうか。 「いつまでたってもうじうじとなっさけないお前のために、俺がお前を楽しませてやるっつってんだ。さぁ、いつもの土手に行くぞ。あそこなら水汲めるし、ちょうどいいだろ」 「ちょ、ちょっと! 私、歩きなんだけど!」 「あぁ? 家すぐそこじゃねぇか。自転車ぐらい取ってこいよ……あー、でもめんどくせぇ。俺の後ろ乗れ。二人乗りだ、二人乗り」 自転車取ってくる、と車庫に入っていった慎に付いていけず、私は玄関でぽーっと立ち尽くす。 夜家に来いとだけ言っといて、いきなり土手へ花火しに行く? まったく、慎はなに考えてんのよ。私は、どんどんと勝手に物事を進める慎を待つほかなかった。 「……準備いいわねぇ」 土手に着いて早十分。慎はてきぱきと準備をこなし、花火を出来るまで整えていた。 簡単な遊びなら出来るくらい、広さのある川べりの縁の方に、水が入ったバケツを置く。 「寒い中、準備なんかに手間取ってられるかよ」 「ま、ごもっと」 こんな冬の夜中、なにもしないで立ってたらすぐに体が冷えてしまう。というか、自転車に乗ってただけで十分冷えてしまった。これ以上寒いのは、勘弁だ。 「ほれ、好きなの取れよ。ロケット花火とか、あんまり派手なのとか変に面白いヤツとかは無いけどな。そーゆーのは、夏の時使いきっちまってるし」 「ってことは、これ夏の時の残りなの?」 「あぁ。余ってたから持ち帰った」 そうだったんだ、と私の意識は小さめの花火セットに移っていった。 最初は、また馬鹿なことを、と思ったりもしたけど、実際ここまで来るとワクワクしてきた。 冬にやる花火。ミスマッチだけど、逆にそれがいい気がする。 「じゃあ、これから」 線香のように細い棒の先、床屋のバーみたいな紙が巻いてある、定番中の定番の花火を取り出す。 「うし、火着けるからこっち来い。風が当たんないよう、壁になれよ」 私と慎はバケツの傍らにしゃがみ込む。慎が私の持つ花火にライターで火を着けようする。私は花火が咲くのを今か今かと待った。 かちっ、かちっと幾度かスイッチ押し込む。次の瞬間、かちっと鳴った口の先から、火が吐き出される。日は、花火の先へと燃え移り――この寒空の下、色彩豊かな火花が、ぱちぱちぱちと爆ぜながら、ぱあっと咲いた。 「わぁ……!」 暗い闇夜の中、小さいけれど楽しい火が灯る。冬は空気が澄んでいるからだろうか。夏の時よりも、花火が綺麗に見えた。 「おい、火をくれよ。そっちの花火が終わる前にさ」 慎が取り出した花火の先をこっちに向けていた。 「はい、どーぞ」 「さんきゅ」 私は慎の持ってる花火に、私の花火を近付ける。たちまち火は慎の持っている花火へと移り、私の花火よりも激しく、噴き出すように緑色の火花を散らした。しゅごごごごご、とロケットのエンジンみたいに、花火は咲く。緑色だった火花は、次第に黄色、赤と変わっていく。 「三月、お前の花火消えてるぞ。次出せ、次」 「あ、ほんとだ。えっと、次は……っと」 「早くしろって、俺のも消えちゃうから!」 そんな感じで、私たちは花火を着け合いっこしながら楽しんだ。 勢いよく火が着いたけど、ほんの一時しか咲かないのや。湿気てたのか、まだ半分もの残ってるのに消えちゃったのとか。最初は弱かったけど、だんだんと激しく輝いていくのもあって。 確かに、ロケット花火みたいに派手なのはなかったけど、それでも十分な種類の花火があった。 「熱っ! 手に火がかかった!」 「あはは、なにやってんのよ」 「お前も食らえ、それっ」 「きゃ! こらっ、女の子に花火を向けるな! 火傷したらどうするのよ!」 「女扱いして欲しかったら、もうちょい幼いころより成長した体つきになるんだな」 「なっ……! 言ったなぁ~! 今日という今日は容赦しないんだから、ていっ」 「ちょ、おま! 花火を投げるな! さすがにそれは危ないわ!」 なんて、馬鹿なこともしつつ。 楽しい時間は、あっという間に終わりを迎えてしまった。 「あーあ、もう終わりか。でも、楽しかったー」 「いや、まだ終わりじゃないぜ? 花火の締めと言ったら、やっぱこれだろ」 取って置きだ、と慎が取り出したのは線香花火の束だった 「おぉ、線香花火まであったんだ」 「やっぱ、これをやんなきゃ花火じゃないだろ」 二人で一個ずつ、糸用に細い線香花火を持ちながら、同時にチャッカマンで火を着ける。今度は、あっさりと火が着き、線香花火が儚い光を灯しだす。 ぱち、ぱち……ぱちぱち…… 今にも落ちて力尽きてしまいそうな、弱々しい火花を散らしながら、線香花火は静かに咲く。 「……綺麗だね」 「……あぁ、そうだな」 抱えた膝の上に顎を乗せながら、言葉少なに、さっきほどまでと打って変わった儚い花火を眺める。 どうしてだろう。こんな小さな花火を見ているだけで、こんなにも穏やかになるのは。前、夏に花火した時も、こんな風だったっけ―― ぼんやりと考えていたら、ぽとりと火が地面に落ちてしまった。 「あっ……」 赤く燃えた火花は、地面の上にほんのちょっとの温もりを残して消えてしまう。その光景は、美しくももの悲しかった。 「次、やるか?」 「うん」 慎から渡された花火を持ち、私は火を着ける。 次に着けた線香花火は、最初だけ力強く輝き、あとは風に吹かれて消えてしまいそうなぐらい小さく灯った。 慎も一本目を落としたらしく、二本目に火を着ける。しばらくして、線香花火のように小さく、でもしっかりと聞こえる声で慎が訊ねてきた。 「少しは、元気出たか?」 私は線香花火から慎へと視線を変える。慎は線香花火を眺めたまま、優しく微笑んでいた。私も、そっと線香花火へ視線を戻しながら頷いた。 「うん、元気出たよ。これで、明日もちょっと頑張れそうな気がする」 私の言葉に、慎からの返事はなかった。線香花火が爆ぜる音だけが、小さく鳴った。 「……ピアノの先生になるんだ」 「え?」 唐突に、私がいつだろうか言った言葉を、慎がつぶやいた。 「これ言ったの、この前の花火の時だぜ? それも、今とおんなじように線香花火してるとき」 「……そう、だったけ」 「あぁ、そうだよ」 言われてみれば、言ってた気もする。高校の友達に、「やっぱりピアノの先生になるの?」と聞かれたとき、そう答えてた気がする。 「すげぇ嬉しそうにさ。綺麗に笑いながら言ってたよ」 「き、綺麗にって……」 普段、まったく言われないようなことを言われ、思わず照れてしまう。いつも、慎からはからかいの言葉しか聞かないから、ドキッとしてしまった。 「いつもはさ……いや、今まではさ。昔からお前は子供っぽいって思ってたけど、そん時にびっくりするぐらい綺麗でさ。あぁ、お前もこんなに大人っぽくなってたんだな、って思ったよ」 慎にしては珍しく、やけに素直に気持ちを話していた。ちょっと、照れたように笑う慎は可愛く見えて、なぜかドキドキと心臓が高鳴った。 「でも、よくよく考えたら、お前はすごく綺麗だったかもしれないな」 慎が花火から視線を私へと向け、見つめ合う形になる。慎の真っ直ぐな瞳を見て、私は驚くほど心を跳ねさせていた。 「お前が、夢を話してる時はさ」 「ゆ、夢……?」 「そ。ピアノを舞台で弾くだの、プロになるだの、先生になるだの。そうやって、夢を話してるときはすげぇ綺麗に見えてたよ。眩しいくらいに」 慎は少しだけ視線を外し、小さく苦笑いした。らしくねぇな、と漏らしながら。 「いつだっけなぁ。だいぶ昔、お前の部屋でキーボード教えてもらった時、こんな難しいもんを軽々と弾くお前を無茶苦茶すげぇって思ったよ」 私の部屋にある、小さなキーボードで、やったなぁ。でも、「出来ねぇ」とか「無理だって」とか言ってた慎が、そんなことを思ってたなんて。 「俺はさ、三月みたいに夢なんかないし。だから、夢を追ってる三月が綺麗に見えて、羨ましかったんだよ。だからかな……」 花火終わってるな、と慎は新しい線香花火を渡してくれた。私は、うんと花火をもらう。 新しく火を着けながら、慎は話す。 「三月が今みたいに夢を諦めかけてるのを見るのは、すげぇ嫌なんだ」 初めて聞く慎の思いに、私は驚いて目を丸くしてしまう。まさか、慎がそんな風に思ってるなんて、考えてみたこともなかった。 「自分勝手なこと言ってるな、って思うけどさ。小さい頃から言ってる夢なんだ。だから、傍で見てた俺としても、諦めて欲しくないんだよ」 照れたように笑っていた顔は、いつの間にかとても真剣なものへと変わっていた。そんな慎を見ていると、私も真面目になっていく。 「俺はさ、別に就職失敗してもいいじゃんかって思うんだ。そりゃ、就職も大事だと思うぜ? 働かなきゃ生きてけないからな。でも、そんな世の中だからさ、夢を追うってのはかけがえなくて、素晴らしいことだと思うんだ。ちょっとくらい失敗してもいいだろ、って思うくらいにはさ」 揺れるように輝く線香花火が、慎の言葉と重なって見える。例えすぐ火が落ちてしまっても、諦めず輝こうと燃えるその様が。 「夢って叶えるの大変だろ? なら、成功ばっかりするはずねぇじゃん。失敗だってあるに決まってる。だから、失敗するのを恐れちゃいけないって。むしろ失敗を乗り越えていく気じゃねぇとさ。まぁ、失敗するのは怖いと思うけど。……でも、負けないで欲しい、って思うんだ。俺が夢を持ってない分、三月には頑張ってほしいんだよ」 喋り続けて疲れたのか、慎は一度話を止める。頭を掻いて、私から顔を背けた。 「ただ……辛いときもあるだろうから、そん時ぐらいは、俺で良かったら、力になるぜ。勝手に、お前の夢が叶うことを期待してるんだしさ」 顔を背けたのは、恥ずかしかったからか。慎のとった可愛い行動に、つい笑ってしまう。 「笑ったりしてごめん。まさか慎がそんな風に思っててくれたなんて、びっくりしたよ。すごく嬉しい、ありがとっ」 心の底から出てくる嬉しさを、最高の笑顔にして慎へと送る。慎は苦笑気味に、そっか。良かったよ、と頬を掻いた。 慎は、最後の言葉とばかりに力強く話した。 「ゆっくりでもいいと思う。長い年月がかかってもいいと思う。だから、諦めず夢を叶えてくれよ。この、線香花火みたいに、最後の最後まで精一杯綺麗に輝いてさ」 ちょっと臭かったか、と口を押さえて慎は笑った。 うん。臭いかも、と私もいたずらっぽく笑った。 「やっぱり私、夢を諦めきれない。大好きなピアノ、仕事にしたいと思う。だから、頑張ってみるよ。線香花火みたいに、最後まで全力で」 「おう、頑張れよ。困ったり、辛かったりした俺に頼ってこい。助けてやるからよ」 拳で自分の胸を叩き、いつも通り口の端を持ち上げて笑う慎は、何故かとても格好よく見えた。 「うん、頼りにしてる! 私が就職に失敗したときとか、養ってねっ」 ハートが付きそうなぐらい、可愛らしく言ってあげる。さすがにこの言葉には、うっ、と詰まる慎。 「ま、まかせろ!」 「きゃ~! 慎、かっこい~」 その後も、わいわいと言いあいながら、残った線香花火を灯していく。 こんな儚く、消えそうな光でも、長く長く輝こうと頑張っている。 なら、この大切で大きな夢を抱える私は、線香花火よりも強く長く輝けるはずだ。 それに、慎もいてくれる。きっと、私は夢を叶えられる。 昔から想っている、大事な夢を。叶えたいと思う、心からの願いを。思い出させてくれた慎に、私はもう一度言う。 「慎、本当にありがとうっ」 これからも、私は頑張っていける。挫けないで、全力で、輝いていける。 線香花火に負けないくらいに―― 「……なあ、三月」 この前借りた、クリスマスソングのCDを、片耳ずつウォークマンで聴きながら帰っている途中、慎が改まったように切り出してきた。 「なーに?」 「もうすぐ、クリスマスなんだな」 「そうだね。去年は楽しかったけど、今年はどうなるかなー」 「……まだ、予定はなにも決まってないのか?」 「うん、決まってないよ」 「そうか……」 顎に手を当て、慎は小さくなにかをつぶやく。聞き取れなかった私は、どうしたんだろうと慎の顔を見る。 慎は私に視線を戻すと、まるで決心したような力強い声で言ったんだ。 「じゃあさ、今度のクリスマスは俺と……―― web拍手を送る