約 322,555 件
https://w.atwiki.jp/onjyakyujoshi3/pages/28.html
私はお酒に囚われてしまった、 そしてそれで、人を傷つけてしまった、 チームメイトの鳥本さんが、うじうじしてて、それがかんに障ってしまって。 「あなたなんかに!プロでやっていく資格はないわ!」って 周りのみんなが驚いていた、 柏木さんなんて怯えてた、 でも一番記憶に残るのは、泣きそうに、死にそうな顔をしている鳥本さん。 私が言い過ぎたのよ、いくらボールが収まらなくても、宥めてあげるべきだった。 でもそのとき、私にはお酒の力がなくって、感情は抑えられなかった。 ロッカーでは成宮さんにキツく睨まれた、それもかんに障って仕方なくて、 また怒鳴ってしまう寸前までいったけと、すぐにポケットのお酒を飲んで気持ちを抑える、これが私のお守り。 それからしばらくして、鳥本さんが球団に退団を申し入れたときいて、関係者として私は呼ばれることとなる、当然よね。 部屋には鳥本さんがいた、私を見るなり怯えて成宮さんの後ろに隠れてしまったけどしょうがない。 他には工藤監督もいて、 「もっと優しい指導をするように」 と指示された。 そして「アルコール中毒を治療すること」との球団命令、 このまま続くようなら放出もあり得ると、直接言われてしまった。 なにより鳥本さんが私を怖がっているのが問題視され… でも、私にはお酒の力が必要で… 荒川「……どうしたら…いいのかな」 家に帰って妹に相談してみる、そうすると妹にはシンプルな回答をされた。 妹「お酒しばらくやめるしかないわよ、だってバカ姉それじゃお父さんと一緒だもん、それにお酒は酔うものだよ?バカ姉最近酔ってる?赤く顔なってる?違うよねえ」 お酒は楽しむもの、いつからその感覚を忘れていたのだろう。 でもお酒がないと… 荒川「うおおおおお!!」 物を振りかざして投げて、こうでもしないと気がすまなくなる。 最低だ… 治療編1 翌日、まだ寒い中荒川は父親の行きつけた病院へと来院した、周りは見知った顔ばかりで、まるで自分が前から治療を受けていたかのような錯覚を得る。 医者「おやおや?沖じゃねえか、どうした?もう親父さんは治っただろう?」 診察室へと入るとこれまた父親の担当医 無精髭を生やしてボサボサヘアー 名札には「光」とだけ書いてある。 荒川「実は…」 経緯を聞くなり光はずばっと荒川へ「それはアル中だよ」 わかってはいたが、辛い宣告であった。 光「まあ気長に付き合っていくもんだよこれは」 荒川「でも私は…」光「焦り、ストレス、欲求不満 これらがもたらすのは良い結果ではない、それとも…妹も同じ目に遭わせたいのか?」 光の言うことは至極当然なのだ、 だがそれゆえに、切ない 光「投薬治療は~危ねえかな…お前にピッタリな治療法、次の診察までに探しておくぜ、逃げんじゃねえぞ」 こういわれて、今日の荒川の診察は終わる 家に帰ると由梨花がご飯の準備をしていた。 由梨花「やあバカ姉、治療はどう?」荒川「……」 由梨花「まだ、みたいね」荒川「うん」 由梨花「しっかりしてよね!そんなんじゃひなたにまた怒られるわよ?」荒川「わかってる」 由梨花「頑張りなさいよ」荒川「……もちろん」 続く
https://w.atwiki.jp/utauuuta/pages/1605.html
ひゃっぽんぴくみん【登録タグ ひ 曲 替え歌 殿堂入り 重音テト 238】 作詞:238(ふみや) 作曲:黒うさP 編曲:黒うさP 調声:ゼモ 唄:重音テト 曲紹介 千本桜の替え歌(パロディソング)。 「ピクミン2」プレイ画面の「塩と胡椒」による実況中継動画がベース。 千本桜とピクミンを知ってると泣けて笑える(w 替え歌歌詞入りPV(曲は元のまま)が先行し後から替え歌に入れ替えたPVが出た珍しいケース。 歌詞 (ニコニコ大百科より転載) 大胆不敵にピクミン投げつけ 社長は楽々お宝探し ホコタテ印のドルフィン飛ばして 化け物退散 PKMN 不思議な惑星走り抜けて 東奔西走なんのその 塩とピクミン戦国無双 浮世の随に 百本ピクミン 敵ニ喰ワレ 塩ノ声モ 届カナイヨ 此処は宴 敵にとって そのぎょろりとした目で見下ろして 奴ラノ口ハ 常世之闇 癒シノ唄モ 歌エナイヨ 青藍の空 遥か彼方 そのゲキカラスプレー振り撒いて 百戦錬磨の中身は地獄さ 潰され喰われのボスキャラ退治 アイツもコイツも皆で集まれ 百匹行進 ボク タチ ピク ミン 絶体絶命潜り抜けて 安心全ての借金払い きっと終幕は大団円 拍手の合間に 百本ピクミン 敵ニ喰ワレ 塩ノ声モ届カナイヨ 此処は宴 敵にとって そのぎょろりとした目で見下ろして 奴ラノ口ハ 常世之闇 癒シノ唄モ歌エナイヨ のぞみの大地 遥か彼方 そのゲキニガスプレー撃ちまくれ 不思議な惑星走り抜けて 東奔西走なんのその 塩とピクミン戦国無双 浮世の随に 百本ピクミン 敵ヲ倒シ 塩ノ後ニ続イテユク 此処はコイツ 紫を そのぎょろりとした目に投げ付けて 百本ピクミン 敵ヲ倒シ 君が歌い僕も歌う 後は宴 家に帰る さあホコタテ星に帰りましょう コメント ピクミンェ・・・・ごめん・・ -- 想明るか (2012-07-16 09 47 15) あらためて歌詞見たらすごいなぁ・・・ -- 僕たちピクミン (2012-09-07 17 10 52) 友達が歌ってたー 歌詞覚えたーありがとうございますー -- ☆Ruri☆ (2013-07-13 16 53 06) すごーい(^^) -- 名無しさん (2014-02-28 17 49 14) 借金払いw -- 名無しさん (2014-07-03 13 41 48) 上の子と同じナウ -- サタン (2014-07-07 18 41 42) あ -- 名無しさん (2014-11-09 16 35 07) ここはこいつ紫をそのぎょろりとした目に投げつけてWW -- 名無しさん (2014-11-09 16 36 48) 紫ピクミンはミネちゃん -- 紫ピクミンはミネちゃん (2014-11-09 16 39 54) この曲のおかげでピクミン2が好きになった。作詞者、ピクミンを生んだ任天堂さん、ありがとう。 -- 不明P (2015-09-03 20 05 24) オリマー野口 -- やマリオ (2015-11-22 15 56 29) 歌詞に一度も○リマーの名前出てないw -- まゆたん。 (2017-04-20 18 23 11) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/kayukayukayu/pages/66.html
授業の時間。 今日の一時限目は日本史だ、それに合わせて教科書とノート、それからメモ帳も出す。 普通なら不必要なメモ帳、しかし水鳥にとっては大事なものだった。 このメモ帳、中には授業中に気になった単語がびっしりと書き込まれている。 これらは全て、TRPGのシナリオのネタとして書き込まれているものである。 内容は多岐にわたり、社会、国語といった文系は勿論、理科や数学すらもネタの範疇に含まれている。 水鳥にとって学校での授業は、ある意味でネタの宝庫なのだ。 もっとも、実際にシナリオとして活用できるものは1割に満たないのだが。 ただ、基本的に全ての教科でしっかりと授業を受けているからか、成績はそこそこ優秀な方である。 そして、数ある教科の中でも、日本史は割と好きな科目だ。 特に、歴史関連はシナリオ作成のネタにしやすい。 更に、今授業をしている日本史の先生は、授業内容以外の雑談が多く、ネタをたくさん提供してくれる人物だ。 今日も今日とて、授業内容は織田信長関連だが、全く関係ないゲルマン民族の大移動の話を繰り出している。 信長の話だと、桶狭間、金ヶ崎、本能寺辺りだろうか、これらは全てシナリオギミックとして使った経験がある。 しかし、ゲルマン民族の大移動か…聞き覚えのない言葉だ…単語がメモ帳に書き込まれる。 そんなこんなで、授業は進んでいくのだった。 放課後、水鳥は図書室に来ていた。 本を借りに来ていた、勿論シナリオのネタ探しのために。 習慣とまではいかないものの、たまに来ることはあった。 本を借りに来たのは今回で4回目だろうか、せいぜいその程度である。 ただ、書籍には自分では発想できないような話の展開を見つけることもあり、非常に参考になるときもある。 それ故に、特にシナリオ作りが停滞した場合に訪れていた。 図書室内は閑散としており、いるのはここで宿題を終わらせようとしているのが3人だけである。 今はスマホを使えば本や漫画が読める時代、この場所はあまり必要とされていないのだ。 ただし、スマホを持っていればの話であって、水鳥はガラケーなのだが。 閑散としているが、そんな状況を気にも留めず、水鳥は本を探しにいく。 本の選び方はずばり直感、タイトルを見てなんとなく気になった本を手にとる事にしている。 変に選り好みするよりも、この方が見識を広めることができるからだ。 そのため、極稀に大外れを引いてしまうこともあるのだが。 本の羅列を眺めて、気になったものを見つける。 クトゥルフの探索者もこんな感じで図書館ロールで本を探していたのだろうか。 リアルで図書館ロールがあったら、きっとあの時ファンブルしていたのだろう。 それはともかく、今回借りる本が決まる。 今回は3冊、 「Capacity 」 「夜天月下譚」 「誰かの為の物語」 今回選んだ本が当たりか外れか、内容は家に帰ってからのお楽しみということで。 選んだ本と図書カードを図書委員に渡し、手続きを済ませる。 返却期限は1週間だが、シナリオ作りが滞っている今ならすぐに読みきれてしまうだろう。 借りた本を鞄の中にしまい、図書室を後にする。 図書室から出たときに、不意に地面が揺れる感覚、小さな地震でも起きたのだろうか? 少し揺れたが、特に問題は無さそうだ。 そして、水鳥は家に帰るため、廊下を歩いていくのだった。
https://w.atwiki.jp/suttkkz/pages/23.html
交渉男 名前 服装 会話1 会話2 マイケル 28 公園 キス ホワイティ博士 4 クリトリス 睨む クルピラ 23 おっぱい 恥ずかしそうに~ 島田専務 23 人妻 おっぱいを~ ルーキー 10 おっぱい おっぱいを揺らす ファーズ 9 妖怪ねこまた~ 後背位 ノスフェラトゥ 4 Hなこと好き? 男の股間~ アブドゥール 30 故郷の話 キスする コロンゾン 12 私ねこまたです 抱きしめる ポップ 22 約100人 しこって~ Mrアダルト 12 股間を触る キスをする 健太 26 みせて 拍手する パッチマンワーク 23 おっぱいをゆらす おっぱいを触らせる シラヌイ 29 ねぇおじさん 投げキッス 鬼王子 14 エロい男が好き おっぱいを触らせる 暗黒司祭 14 ねぇおじさん 股間に触れる 闇の神父 11 魔女服はタダの~ 裸になる バッツカッチ 19 ねぇおじさん 正常位 馬場主任 18 いない 私娼婦~ ガンジス 8 衣装チェンジはできる 裸になる やし落とし 1 ありえない~ 裸になる エージェント 16 あそこ あんあんと 破壊王 5 キチガイのおっさん 息を吹きかける テスカポリカ 13 日本最大の~ 戦争が悪い モノノフ 5 私ヘンタイです ゴーゴー 16 そのとおり 股間に触れる ファラオムーン 23 セクシーなダンス ファックしたい ジョン・ディー 15 裸になる 微笑む 福島隊長 4 タダの風俗だ 裸になる ティタン 23 裸踊りをする おっぱいを触らせる ジャックン 4 教えない びっくりしてみる 凶器のピエロ 30 私ダンサーです セクシーなダンス 武者剣豪 2 逆ナンパ キスする Mrペニス 25 ムラムラしますか おっぱいを揺らす 考える男 25 何もしない 私はエッチな~ 妖怪チンポ 19 クリトリス おじさんの頼みはいや ジェイスン 29 たいしたことない 投げキッス トゥーラ 2 怖い 股間に触れる 竜太 0 娼婦です オナニー ロキ 6 ねぇ君! 抱き付く ジョセフ 23 1000万 セックスが好きだから ハンオウ 28 Hな人妻です あそこ スラッシャー・コウ 8 ただのコスプレ キスをする ノルトン爺 4 まだ勃起しますか 股間を触る モイ 23 裸踊り ファックする? 修羅男爵 18 奇形か? すごい 黒魔術師 9 私は妖怪ねこまたです 微笑む シャーマンキング 2 ねぇあなた! 裸になる 野村部長 22 私が妖怪ねこまたです 抱きしめる デーヴァダッタ 16 Hな娼婦です 誤解です 雅 0 いるよ ファックy 交渉女 名前 服装 会話1 会話2 フレイヤ 00 裸は生まれた~ 環境が~ ラミア 18 誘惑する キスを迫る イビルキッス 3 巨乳のグラドル はぐらかす サキュバス 10 私は肉便器です 淫乱そう リンラオ 22 妖怪ねこまた 家に帰るため フーリン 29 たくさんの男と~ 3人 ヴィヴィアン 0 そよ風に~ 最強の男 アテナ 0 ひどい事件 今のままでいい フィーネ 25 学校は暴力に~ 殺したい サイベル 6 私は肉便器です 男でも女でも~ イシュター 23 激しいダンス 人間は悲しい 夢草姫 23 裸踊り 適度な運動 イビツレイム 28 故郷に帰りたい 初恋の人がいたから ゴモリー 2 私は肉便器です 肉便器ですから アリアンロッド 30 いる 普通に好き ヴィシュヌ 2 秋元康~ 作詞家 カーリー 8 Hな人妻です 恥ずかしくて~ ボス 名前 服装 会話1 会話2 Mrペニス 07 ムラムラ~ おっぱいを~
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau9/pages/1852.html
今の主人に仕え始めてはや10年がたっただろうか。 広大な敷地を持つこの屋敷にもすっかりなれた。 私の主人にはすこし変わった趣味がある。 それはゆっくりと呼ばれる饅頭状の物体を屋敷へと招いて豪勢に持て成すのだ。 屋敷に招くのは野生で暮らすゆっくりだ。 豪華な食事や高級なワイン、有名な演奏者による音楽で持て成す。 ゆっくりは元より人間でも早々味わったことの無い贅沢だ。 それでも必ずしも喜んで貰えないと主人は言う。 ゆっくりの価値観は人間とはかなり異なっているそうだ。 屋敷に招待するゆっくりを探すのは私の仕事だ。 今日もこうして近くの林にゆっくりを探しに来ている。 開けた林道から木々の間を抜けて林の奥に入っていくと、 背の低い草むらの中で寄り添う2匹のゆっくりの姿を発見した。 2匹に近づきながら様子を伺うと、二人で空を見上げながら 風にそよぐ様にゆらゆらと揺れている。 なにをしているのだろうか?そんな事は考えるだけで無駄である。 2匹に直接聞いたとしても、ゆっくりしていると言う意味不明な答えが帰ってくるだけだろう。 私はなにも考えずに2匹の前に行き、適当な言葉で屋敷へと招待した。 屋敷に戻った私は、 招待したゆっくりの底部を、新品のタオルで拭き土汚れを落とし主人の元へと運んだ。 野生のゆっくりにとって屋敷にある物は見る物全て珍しい物なのだろう。 運んでいる間、2匹は廊下から見える家具や調度品を物珍しそうに見つめていた。 主人の居る部屋に2匹を運び、椅子に座っている主人の前に降ろす。 私は部屋の扉の脇まで下がり主人からの申しつけを待つ。 主人が2匹に向けて手招きをすると、 それを理解したのか2匹は主人の方へと近づいていった。 主人が二人の名前を聞くと、 黒い髪に赤いリボンをした方が「れいむ」 金髪に黒い帽子をかぶった方が「まりさ」と名乗った。 今までに何度と無く聞いてきた名前だが、主人はその返事に嬉しそうに2匹の頭を撫でていた。 しばらく主人と2匹のゆっくりの雑談が続く。 時折、主人の楽しそうな笑い声が聞こえる。 家族を先立たれてから、あの様な楽しそうな顔をする事は滅多にない。 主人から私に声が掛かる。 「れいむ」と「まりさ」の為の食事の用意をしろとの事だ。 私は主人の居る部屋を後にし屋敷の厨房へと向かった。 厨房では既に食事の準備が進んでいる。 私が来たことで料理が一斉に盛り付けられていく。 私は出来立ての食事を持ち主人の居る部屋へと戻った。 2匹の前に運んできた食事を置く。匂いに釣られて2匹のゆっくりが近づいてくる。 私は主人が進めた料理を順に2匹の口に運ぶ。 新しい料理を口にする度、2匹は料理の美味しさを声に出して褒め称えていた。 主人は、食事を平らげ、満足そうにしているゆっくり達を膝元へと招いた。 2匹を同時に乗せるには主人の膝は聊か狭い、主人が選んだのは「れいむ」の方だった。 主人の可愛がりが始まる。 ゆっくりにとっての最上級の愛情表現はお互いの頬と頬をこすり合わせることだという。 主人はこの愛情表現を大層気に入っていた。 膝に招かれた「れいむ」は、頬擦りを始める前に頬の感触を確かめるように主人の手で撫でられていた。 スリスリという肌がこすれる音とゆっくりの気持ちよさそうな鳴き声がもれてくる。 これから主人の長い長い頬擦りが始まる。 スリスリという音の代わりにジョリジョリという音が聞こえてくる。 主人の頬から顎にかけて生えた短い髭が「れいむ」の頬を引っかいている。 主人の髭はかなりの剛毛だ。表面上綺麗に剃られている様に見えても触ると鮫肌のような感触を覚える。 短い髭が針のようにゆっくりの頬に刺さり削り取っていた。 すこしずつすこしずつ削られていく「れいむ」の頬。 削り取られた頬だったものが辺りに撒き散らされていく。 悲痛な叫び声を上げる「れいむ」の後ろで「まりさ」は声も出せずに震えていた。 突然の光景に何が起こっているのかわからない、先ほどまであんなにゆっくりしていたのに、 今はこれまで聞いたことのない様な声を「れいむ」があげている。 理解できない恐怖に耐えかねたのか「まりさ」は部屋の出入り口に立っている私の元へと跳ねて来た。 不安げな表情で喋るその口元をかすかに震えていた。 「まりさ」は家に帰る、家に帰ると何度も繰り返した。 あまりに取り乱した様子に連れの方はどうするのかと問い掛けると、 何かを勘違いしたのか早く外に連れて行って欲しいと答えた。 主人からは帰りたいと言った場合、無理に引き留めず、屋敷の外まで案内するよう言われている。 私は「まりさ」を抱きかかえると部屋から出て屋敷の外へと歩いていった。 屋敷の門の外まで運び「まりさ」を見送った後で、主人のいる部屋へと戻った。 主人の頬擦りはまだ続いていた。 既に「れいむ」の頬の皮は擦り切れている。 主人の頬は「れいむ」の中身で黒く汚れていた。 これほど長い時間頬擦りをしているという事は「れいむ」の事を余程お気に召したのだろう。 ようやく満足した主人は、私に「れいむ」を渡し、何時もの様にとそれだけ仰った。 私は主人の部屋からすこし離れた薬品臭い部屋へと「れいむ」を運び部屋にある台の上に置いた。 何時ものように準備を済ませ、ナイフで「れいむ」の残っている方の頬を切り取った。 既に虫の息だった「れいむ」はナイフを刺しても軽く身震いする程度で抵抗する事はない。 切り取った頬をホルマリンで満たされた容器へと移し蓋をする。 私はそれを主人のコレクションが置いてある部屋へと運び一番奥の空いている場所に置いた。 その部屋には今日運ばれてきた「れいむ」と同じ様に何匹ものゆっくりが容器に入れられ並んでいた。 主人がこの様な趣味に目覚めたのは3年ほど前、今では100匹以上のゆっくりがそこに並んでいる。 部屋を出ようとする私の目に入るものはというと無数に並んだ生首の数々。 その中でも古くからある容器の中では頬の皮一枚だったものが体の一部と言えるまでに復元している。 体の断面を晒しながら容器の中で浮かぶ表情の断片は何とも不気味なものだ。 先ほどの部屋へと戻った私は台の上にいる「れいむ」を持ち、屋敷の外へと運ぶ。 屋敷の外に出た私の目に入ったのは、先ほど家に帰っていったはずの「まりさ」の姿だった。 あの時、確かに森に帰っていくのを見送ったはずだが、「れいむ」が心配になって戻ってきたのだろうか。 それでも屋敷の中に入るのが怖かったのか門から中には入ってこない。 「れいむ」を持って外に出てきた私の姿を見つけてもそれは変わらない。 ゆっくりと近づいてくる私をオロオロとした様子で待っていた。 私が「れいむ」を地面へとおろすと、 すっかり変わってしまった「れいむ」に驚きながらも 「まりさ」は心配そうに声を掛けていた。 「れいむ」の意識はまだ戻らない。 すっかり暗くなってしまった空のもとで「まりさ」の声だけが響いていた。 翌朝、朝焼けと共に目覚めた渡しは、身だしなみを整え箒を手に屋敷の外へと出た。 私の朝は屋敷の周りの掃除から始まる。 主人が起きる前に素早く済ませなくてはいけない。 昨日の場所に「れいむ」と「まりさ」の姿は無い。 そこに残されいたのは、昨日の「れいむ」の餡子のかけら。 尾を引く様に毀れた先に誰かの食べ残しがポツンと落ちていた。
https://w.atwiki.jp/slowlove/pages/465.html
○月○日 ゆっくりらんしゃまを拾った。 前からあの尻尾に興味あったんだよな。 いい機会なので観察日記でもつけようと思う。 ○月×日 知り合いの家にらんしゃまを連れていった。 そいつはゆっくりちぇんを飼ってるんだが、俺がそいつん家にいる間、らんしゃまとちぇんはずっとじゃれ合っていた。 「ちぇええええええん!!!」 「わかるよー!!!」 こんな感じ。いやどんな感じだ。 ともかく、仲いいってのはホントだったんだな。 ○月△日 こないだのとは別の友人がゆっくりおりんを拾ったというので、らんしゃまを連れて見に行った。 友人宅に着き、らんしゃまはおりんを発見すると、 「ちぇええええええん!!!」 と言って駆け寄っていった。猫系なら何でもいいのか、お前は。 そしたらおりんが、 「にゃーん!!!おりんりんらんどへようこそ!!!」 って言って、そこでらんしゃまはようやくちぇんじゃないことに気づき、ひどく狼狽していた。いや一目で気づけよ。 ×月☆日 らんしゃまと散歩をしているとれみりゃに遭遇。 「ぎゃおー!!!たーべちゃうぞー!!!」 出た決め台詞。 よほど驚いたのか、らんしゃまは尻尾を1本落として一目散に逃げていった。トカゲかお前は。 俺がその場で考えている間、れみりゃは尻尾にかぶりついていた。 家に帰るとらんしゃまが不安顔で待っていたが、俺の顔を見るなり笑顔で飛びついてきた。お~よしよし。 ×月◎日 昨日1本落としたはずの尻尾が元通りの9本になっていた。 昨日の尻尾切りが気になったので、気は引けたが、ある実験をした。 昼寝してるらんしゃまの後ろからこっそり近づき… 「ぎゃおー!!!たーべちゃうぞー!!!」 するとらんしゃまは跳ね起きて、また尻尾を1本落として、部屋の隅に逃げていった。 俺だと知って怒るらんしゃまをあやしつつ、落とした尻尾を拾う。意外ともふもふしない。 そういえば昨日れみりゃは食ってたよな。うまいのか? 一口食ってみる。 こ、これは…スイートポテト! @月$日 家に帰るとらんしゃまがもう1匹いた。 一緒にこの家で暮らしたいんだとか。それ、番になりたいってことか? いや、番になるのは勝手だがな、うちじゃ2匹も飼えんぞ!!! …とは言えず、泣く泣く許可した。食費どうしよう…。 @月¥日 朝起きたら2匹とも妙にいい顔をしていた。 あれか?すっきりーしてたのか?昨夜はお楽しみだったのか?おお、お盛んお盛ん。 それはともかく、一晩考えた結果、小さな家庭菜園をすることにした。 多少手間はかかるが、餌は自前で作れるし、余れば俺も食えるし、虫とか雑草の駆除をらんしゃま達にやらせれば、それが餌代わりにもなる。それに菜園の警備をさせれば軽い運動にもなる。すげー俺頭いい。 △月○日 前から飼ってた方のらんしゃまが家から出たがらなくなった。 相方に聞いてみると、産卵の準備に入ったらしい。あいつ雌だったのか。それとも雌役? そういえば、あいつ前に比べて尻尾が膨れてきたような…。 ってちょっと待て。子供出来るのか?おいおい、勘弁してくれ。 △月☆日 産卵が近いらしい。嫁らんしゃまの尻尾がパンパンだ。 旦那らんしゃまと俺で嫁らんしゃまの様子を見ていると、突然嫁らんしゃまの尻尾が全部抜け落ちた! すると、抜け落ちた尻尾が次々に割れて、中から小さいらんしゃまが出てきた。なるほど、尻尾が卵になるのか。 生まれたらんしゃまは総勢9匹。まぁ尻尾が9本だから当然か。 尻尾の無くなった嫁改め母らんしゃま。子供の尻尾はまだ非常に小さかった。 親も含めて計11匹か。圧巻だ。 「「ゆっくりしていってね!!!」」 「「「「「「「「「ゆっくちちちぇいっちぇにぇ!!!」」」」」」」」」 親子の初めての挨拶が交わされた。 △月×日 母らんしゃまの尻尾は3日ほどで元通りになった。 一気に増えたこともあり餌が不足がちだったが、親らんしゃまが尻尾を落として食べさせることでなんとかなっていた。それでも菜園の野菜じゃ足りないのは明らかだし、そもそも家に11匹も置けるスペースはなかった。 俺は1つ決意をした。 △月△日 俺は、9匹の子らんしゃまが入った箱を持ち、2匹の親らんしゃまを連れて、山まで来ていた。 昨夜親らんしゃま達と話し合い、らんしゃま一家を野に帰すことになった。母の方は嫌がったが、俺の事情もあるし、子供達には、大自然の厳しさを経験させたり、怖い人間もいることを知ってもらったりすることが必要だと説得し、時々様子を見に行くから、と言ってようやく承諾してもらった。 今日は巣になりそうな場所を探すために山に来たのだが、探すのは親2匹の役目。俺は子供を安全に運ぶだけ。 しばらく歩き回った後、2匹がちょうどいい洞窟を見つけ、ここを巣にすると言ってきた。 そこで俺は子供を箱から出し、両親が子供達を新たな住まいの中へ導いた。 父らんしゃまは子供の後について巣に入っていく。残されたのは俺と母らんしゃま。 母らんしゃまは今にも泣きそうだが、必死でこらえてるようだ。 「元気にするんだぞ」 と言って俺は母らんしゃまを抱きしめ、手を振りながら帰った。 母らんしゃまも、俺が見えなくなるまで見送ってくれた。 以下作者の言い訳など らんしゃまの尻尾が油揚げとか稲荷寿司じゃないのは、それだとなんか歩いた跡とかがベチョベチョしそうで嫌だったからです。いや自分は好きですよ両方とも。 実は卵ネタと尻尾切りネタはゆっくりあやのを書く前からあったっていう。何という万能尻尾。スイートポテトは書きながら考えました。形や色を考えて一番近いかなぁと思ったので、スイートポテトになりました。 日付は適当です。一応記号の順番とかは考えながら書きましたが、あまり深く考えないでください。 感想、質問、誤字報告等あれば下のコメント欄へ。閲覧ありがとうございました。 尻尾の人 09/9/5追記 ちょっと続いた 乙!!ちぇんの観察日記と少しリンクしてるんだな なるほど、スイートポテト、その発想は斬新だ! -- 名無しさん (2008-11-26 20 18 48) 最近精力的に投下してくれて嬉しいよ、個人的にはらんしゃま一家に幸せに暮らしていって欲しい -- 名無しさん (2008-11-26 20 20 58) 感想ありがとうございます! ちぇんの観察日記 「ゆっくりちぇんを飼ってみた」のことですかね? 一応読んではいますが…別にそれを意識して書いたとか そういうんじゃないんです。ごめんなさい。 -- 作者 (2008-11-26 22 23 57) しあわせになれるといいねー らんしゃまー ……?なんだかおいもさんが食べたくなってきたのはなぜー? @@? -- ゆっけの人 (2008-11-27 01 00 00) 感想ありがとうございます! ゆっけの人さん ちぇん「らんしゃまのしっぽのまりょくだねーわかるよー」 -- 作者 (2008-11-27 09 35 43) 手に負えないから捨てるんですね。わかります。 -- 名無しさん (2009-07-21 20 02 27) 飼い主側の事情で野に帰す(捨てる)なんて虐待としか思えなかった。 -- 名無しさん (2009-09-05 16 55 11) 見てたらおいもさんが食べたくなってきたよー。 らんしゃまはおどろかしたら しっぽおとすんだねー。わかったよー。 こんどおうちでらんしゃまおどろかしてみるよー。 -- ちぇん (2010-04-17 23 37 46) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/2907.html
今の主人に仕え始めてはや10年がたっただろうか。 広大な敷地を持つこの屋敷にもすっかりなれた。 私の主人にはすこし変わった趣味がある。 それはゆっくりと呼ばれる饅頭状の物体を屋敷へと招いて豪勢に持て成すのだ。 屋敷に招くのは野生で暮らすゆっくりだ。 豪華な食事や高級なワイン、有名な演奏者による音楽で持て成す。 ゆっくりは元より人間でも早々味わったことの無い贅沢だ。 それでも必ずしも喜んで貰えないと主人は言う。 ゆっくりの価値観は人間とはかなり異なっているそうだ。 屋敷に招待するゆっくりを探すのは私の仕事だ。 今日もこうして近くの林にゆっくりを探しに来ている。 開けた林道から木々の間を抜けて林の奥に入っていくと、 背の低い草むらの中で寄り添う2匹のゆっくりの姿を発見した。 2匹に近づきながら様子を伺うと、二人で空を見上げながら 風にそよぐ様にゆらゆらと揺れている。 なにをしているのだろうか?そんな事は考えるだけで無駄である。 2匹に直接聞いたとしても、ゆっくりしていると言う意味不明な答えが帰ってくるだけだろう。 私はなにも考えずに2匹の前に行き、適当な言葉で屋敷へと招待した。 屋敷に戻った私は、 招待したゆっくりの底部を、新品のタオルで拭き土汚れを落とし主人の元へと運んだ。 野生のゆっくりにとって屋敷にある物は見る物全て珍しい物なのだろう。 運んでいる間、2匹は廊下から見える家具や調度品を物珍しそうに見つめていた。 主人の居る部屋に2匹を運び、椅子に座っている主人の前に降ろす。 私は部屋の扉の脇まで下がり主人からの申しつけを待つ。 主人が2匹に向けて手招きをすると、 それを理解したのか2匹は主人の方へと近づいていった。 主人が二人の名前を聞くと、 黒い髪に赤いリボンをした方が「れいむ」 金髪に黒い帽子をかぶった方が「まりさ」と名乗った。 今までに何度と無く聞いてきた名前だが、主人はその返事に嬉しそうに2匹の頭を撫でていた。 しばらく主人と2匹のゆっくりの雑談が続く。 時折、主人の楽しそうな笑い声が聞こえる。 家族を先立たれてから、あの様な楽しそうな顔をする事は滅多にない。 主人から私に声が掛かる。 「れいむ」と「まりさ」の為の食事の用意をしろとの事だ。 私は主人の居る部屋を後にし屋敷の厨房へと向かった。 厨房では既に食事の準備が進んでいる。 私が来たことで料理が一斉に盛り付けられていく。 私は出来立ての食事を持ち主人の居る部屋へと戻った。 2匹の前に運んできた食事を置く。匂いに釣られて2匹のゆっくりが近づいてくる。 私は主人が進めた料理を順に2匹の口に運ぶ。 新しい料理を口にする度、2匹は料理の美味しさを声に出して褒め称えていた。 主人は、食事を平らげ、満足そうにしているゆっくり達を膝元へと招いた。 2匹を同時に乗せるには主人の膝は聊か狭い、主人が選んだのは「れいむ」の方だった。 主人の可愛がりが始まる。 ゆっくりにとっての最上級の愛情表現はお互いの頬と頬をこすり合わせることだという。 主人はこの愛情表現を大層気に入っていた。 膝に招かれた「れいむ」は、頬擦りを始める前に頬の感触を確かめるように主人の手で撫でられていた。 スリスリという肌がこすれる音とゆっくりの気持ちよさそうな鳴き声がもれてくる。 これから主人の長い長い頬擦りが始まる。 スリスリという音の代わりにジョリジョリという音が聞こえてくる。 主人の頬から顎にかけて生えた短い髭が「れいむ」の頬を引っかいている。 主人の髭はかなりの剛毛だ。表面上綺麗に剃られている様に見えても触ると鮫肌のような感触を覚える。 短い髭が針のようにゆっくりの頬に刺さり削り取っていた。 すこしずつすこしずつ削られていく「れいむ」の頬。 削り取られた頬だったものが辺りに撒き散らされていく。 悲痛な叫び声を上げる「れいむ」の後ろで「まりさ」は声も出せずに震えていた。 突然の光景に何が起こっているのかわからない、先ほどまであんなにゆっくりしていたのに、 今はこれまで聞いたことのない様な声を「れいむ」があげている。 理解できない恐怖に耐えかねたのか「まりさ」は部屋の出入り口に立っている私の元へと跳ねて来た。 不安げな表情で喋るその口元をかすかに震えていた。 「まりさ」は家に帰る、家に帰ると何度も繰り返した。 あまりに取り乱した様子に連れの方はどうするのかと問い掛けると、 何かを勘違いしたのか早く外に連れて行って欲しいと答えた。 主人からは帰りたいと言った場合、無理に引き留めず、屋敷の外まで案内するよう言われている。 私は「まりさ」を抱きかかえると部屋から出て屋敷の外へと歩いていった。 屋敷の門の外まで運び「まりさ」を見送った後で、主人のいる部屋へと戻った。 主人の頬擦りはまだ続いていた。 既に「れいむ」の頬の皮は擦り切れている。 主人の頬は「れいむ」の中身で黒く汚れていた。 これほど長い時間頬擦りをしているという事は「れいむ」の事を余程お気に召したのだろう。 ようやく満足した主人は、私に「れいむ」を渡し、何時もの様にとそれだけ仰った。 私は主人の部屋からすこし離れた薬品臭い部屋へと「れいむ」を運び部屋にある台の上に置いた。 何時ものように準備を済ませ、ナイフで「れいむ」の残っている方の頬を切り取った。 既に虫の息だった「れいむ」はナイフを刺しても軽く身震いする程度で抵抗する事はない。 切り取った頬をホルマリンで満たされた容器へと移し蓋をする。 私はそれを主人のコレクションが置いてある部屋へと運び一番奥の空いている場所に置いた。 その部屋には今日運ばれてきた「れいむ」と同じ様に何匹ものゆっくりが容器に入れられ並んでいた。 主人がこの様な趣味に目覚めたのは3年ほど前、今では100匹以上のゆっくりがそこに並んでいる。 部屋を出ようとする私の目に入るものはというと無数に並んだ生首の数々。 その中でも古くからある容器の中では頬の皮一枚だったものが体の一部と言えるまでに復元している。 体の断面を晒しながら容器の中で浮かぶ表情の断片は何とも不気味なものだ。 先ほどの部屋へと戻った私は台の上にいる「れいむ」を持ち、屋敷の外へと運ぶ。 屋敷の外に出た私の目に入ったのは、先ほど家に帰っていったはずの「まりさ」の姿だった。 あの時、確かに森に帰っていくのを見送ったはずだが、「れいむ」が心配になって戻ってきたのだろうか。 それでも屋敷の中に入るのが怖かったのか門から中には入ってこない。 「れいむ」を持って外に出てきた私の姿を見つけてもそれは変わらない。 ゆっくりと近づいてくる私をオロオロとした様子で待っていた。 私が「れいむ」を地面へとおろすと、 すっかり変わってしまった「れいむ」に驚きながらも 「まりさ」は心配そうに声を掛けていた。 「れいむ」の意識はまだ戻らない。 すっかり暗くなってしまった空のもとで「まりさ」の声だけが響いていた。 翌朝、朝焼けと共に目覚めた渡しは、身だしなみを整え箒を手に屋敷の外へと出た。 私の朝は屋敷の周りの掃除から始まる。 主人が起きる前に素早く済ませなくてはいけない。 昨日の場所に「れいむ」と「まりさ」の姿は無い。 そこに残されいたのは、昨日の「れいむ」の餡子のかけら。 尾を引く様に毀れた先に誰かの食べ残しがポツンと落ちていた。
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/2172.html
今の主人に仕え始めてはや10年がたっただろうか。 広大な敷地を持つこの屋敷にもすっかりなれた。 私の主人にはすこし変わった趣味がある。 それはゆっくりと呼ばれる饅頭状の物体を屋敷へと招いて豪勢に持て成すのだ。 屋敷に招くのは野生で暮らすゆっくりだ。 豪華な食事や高級なワイン、有名な演奏者による音楽で持て成す。 ゆっくりは元より人間でも早々味わったことの無い贅沢だ。 それでも必ずしも喜んで貰えないと主人は言う。 ゆっくりの価値観は人間とはかなり異なっているそうだ。 屋敷に招待するゆっくりを探すのは私の仕事だ。 今日もこうして近くの林にゆっくりを探しに来ている。 開けた林道から木々の間を抜けて林の奥に入っていくと、 背の低い草むらの中で寄り添う2匹のゆっくりの姿を発見した。 2匹に近づきながら様子を伺うと、二人で空を見上げながら 風にそよぐ様にゆらゆらと揺れている。 なにをしているのだろうか?そんな事は考えるだけで無駄である。 2匹に直接聞いたとしても、ゆっくりしていると言う意味不明な答えが帰ってくるだけだろう。 私はなにも考えずに2匹の前に行き、適当な言葉で屋敷へと招待した。 屋敷に戻った私は、 招待したゆっくりの底部を、新品のタオルで拭き土汚れを落とし主人の元へと運んだ。 野生のゆっくりにとって屋敷にある物は見る物全て珍しい物なのだろう。 運んでいる間、2匹は廊下から見える家具や調度品を物珍しそうに見つめていた。 主人の居る部屋に2匹を運び、椅子に座っている主人の前に降ろす。 私は部屋の扉の脇まで下がり主人からの申しつけを待つ。 主人が2匹に向けて手招きをすると、 それを理解したのか2匹は主人の方へと近づいていった。 主人が二人の名前を聞くと、 黒い髪に赤いリボンをした方が「れいむ」 金髪に黒い帽子をかぶった方が「まりさ」と名乗った。 今までに何度と無く聞いてきた名前だが、主人はその返事に嬉しそうに2匹の頭を撫でていた。 しばらく主人と2匹のゆっくりの雑談が続く。 時折、主人の楽しそうな笑い声が聞こえる。 家族を先立たれてから、あの様な楽しそうな顔をする事は滅多にない。 主人から私に声が掛かる。 「れいむ」と「まりさ」の為の食事の用意をしろとの事だ。 私は主人の居る部屋を後にし屋敷の厨房へと向かった。 厨房では既に食事の準備が進んでいる。 私が来たことで料理が一斉に盛り付けられていく。 私は出来立ての食事を持ち主人の居る部屋へと戻った。 2匹の前に運んできた食事を置く。匂いに釣られて2匹のゆっくりが近づいてくる。 私は主人が進めた料理を順に2匹の口に運ぶ。 新しい料理を口にする度、2匹は料理の美味しさを声に出して褒め称えていた。 主人は、食事を平らげ、満足そうにしているゆっくり達を膝元へと招いた。 2匹を同時に乗せるには主人の膝は聊か狭い、主人が選んだのは「れいむ」の方だった。 主人の可愛がりが始まる。 ゆっくりにとっての最上級の愛情表現はお互いの頬と頬をこすり合わせることだという。 主人はこの愛情表現を大層気に入っていた。 膝に招かれた「れいむ」は、頬擦りを始める前に頬の感触を確かめるように主人の手で撫でられていた。 スリスリという肌がこすれる音とゆっくりの気持ちよさそうな鳴き声がもれてくる。 これから主人の長い長い頬擦りが始まる。 スリスリという音の代わりにジョリジョリという音が聞こえてくる。 主人の頬から顎にかけて生えた短い髭が「れいむ」の頬を引っかいている。 主人の髭はかなりの剛毛だ。表面上綺麗に剃られている様に見えても触ると鮫肌のような感触を覚える。 短い髭が針のようにゆっくりの頬に刺さり削り取っていた。 すこしずつすこしずつ削られていく「れいむ」の頬。 削り取られた頬だったものが辺りに撒き散らされていく。 悲痛な叫び声を上げる「れいむ」の後ろで「まりさ」は声も出せずに震えていた。 突然の光景に何が起こっているのかわからない、先ほどまであんなにゆっくりしていたのに、 今はこれまで聞いたことのない様な声を「れいむ」があげている。 理解できない恐怖に耐えかねたのか「まりさ」は部屋の出入り口に立っている私の元へと跳ねて来た。 不安げな表情で喋るその口元をかすかに震えていた。 「まりさ」は家に帰る、家に帰ると何度も繰り返した。 あまりに取り乱した様子に連れの方はどうするのかと問い掛けると、 何かを勘違いしたのか早く外に連れて行って欲しいと答えた。 主人からは帰りたいと言った場合、無理に引き留めず、屋敷の外まで案内するよう言われている。 私は「まりさ」を抱きかかえると部屋から出て屋敷の外へと歩いていった。 屋敷の門の外まで運び「まりさ」を見送った後で、主人のいる部屋へと戻った。 主人の頬擦りはまだ続いていた。 既に「れいむ」の頬の皮は擦り切れている。 主人の頬は「れいむ」の中身で黒く汚れていた。 これほど長い時間頬擦りをしているという事は「れいむ」の事を余程お気に召したのだろう。 ようやく満足した主人は、私に「れいむ」を渡し、何時もの様にとそれだけ仰った。 私は主人の部屋からすこし離れた薬品臭い部屋へと「れいむ」を運び部屋にある台の上に置いた。 何時ものように準備を済ませ、ナイフで「れいむ」の残っている方の頬を切り取った。 既に虫の息だった「れいむ」はナイフを刺しても軽く身震いする程度で抵抗する事はない。 切り取った頬をホルマリンで満たされた容器へと移し蓋をする。 私はそれを主人のコレクションが置いてある部屋へと運び一番奥の空いている場所に置いた。 その部屋には今日運ばれてきた「れいむ」と同じ様に何匹ものゆっくりが容器に入れられ並んでいた。 主人がこの様な趣味に目覚めたのは3年ほど前、今では100匹以上のゆっくりがそこに並んでいる。 部屋を出ようとする私の目に入るものはというと無数に並んだ生首の数々。 その中でも古くからある容器の中では頬の皮一枚だったものが体の一部と言えるまでに復元している。 体の断面を晒しながら容器の中で浮かぶ表情の断片は何とも不気味なものだ。 先ほどの部屋へと戻った私は台の上にいる「れいむ」を持ち、屋敷の外へと運ぶ。 屋敷の外に出た私の目に入ったのは、先ほど家に帰っていったはずの「まりさ」の姿だった。 あの時、確かに森に帰っていくのを見送ったはずだが、「れいむ」が心配になって戻ってきたのだろうか。 それでも屋敷の中に入るのが怖かったのか門から中には入ってこない。 「れいむ」を持って外に出てきた私の姿を見つけてもそれは変わらない。 ゆっくりと近づいてくる私をオロオロとした様子で待っていた。 私が「れいむ」を地面へとおろすと、 すっかり変わってしまった「れいむ」に驚きながらも 「まりさ」は心配そうに声を掛けていた。 「れいむ」の意識はまだ戻らない。 すっかり暗くなってしまった空のもとで「まりさ」の声だけが響いていた。 翌朝、朝焼けと共に目覚めた渡しは、身だしなみを整え箒を手に屋敷の外へと出た。 私の朝は屋敷の周りの掃除から始まる。 主人が起きる前に素早く済ませなくてはいけない。 昨日の場所に「れいむ」と「まりさ」の姿は無い。 そこに残されいたのは、昨日の「れいむ」の餡子のかけら。 尾を引く様に毀れた先に誰かの食べ残しがポツンと落ちていた。
https://w.atwiki.jp/kurokage136/pages/534.html
たくっちスノー「部活動?高校生活で青春なんてフィクションの話だろ」 たくっちスノー「ましてや、オリジナルの部活を作るなんてどこの2000年代アニメだよって感じだ」 たくっちスノー「………いや、そういえばアレってオリジナルって言えるのか?まぁ斬新だし見たことは無い部活なんだが………」 たくっちスノー「まぁそんな話!」 ………… たくっちスノー「うおー………でっけー…………」 たくっちスノー「いや、別にデカい学校は珍しくないんだが……」 たくっちスノー「なんか声援が聞こえるな………」 ワァァォァ……… たくっちスノー「えーっと、何何高校、名門………部、部……何、」 たくっちスノー「風で旗がヒラヒラして肝心なところが読めないんだけど」 たくっちスノー「んー、でも部活かー」 たくっちスノー「野球部だろ?サッカー部に吹奏楽部、美術部に茶道部 演劇部……」 たくっちスノー「プロアクティ部………は、今の子には通じないか」 たくっちスノー「とにかく色んな部活はあるが、一体なんの名門だって言うんだ?」 ガガガガガ!!! たくっちスノー「おっ、下校名物チャイム鳴ったらさっさと帰る無所属のボーイじゃん」 たくっちスノー「ちょっくら、からかいながらこの学校の名物でも聞いてこよ」 ……… たくっちスノー「おーーーい君ィ!その学校の名物とか部活動について軽くお話を」 「ただいまー!」 たくっちスノー「ガンスルーされた!?」 たくっちスノー「嘘だろ!?俺に話しかけられてガン無視する奴初めてだよ!」 たくっちスノー「時々酷い目にあったり罵倒はされるけど、新しいパターンすぎる………」 たくっちスノー「………ん?ていうか」 たくっちスノー「足音やまねーけど、なんだこれ」 たくっちスノー「なんだよこれ…………まさかッ!!」 ドカドカドカドカドカドカドカ たくっちスノー「凄い数の゙帰宅部゙が集まってきているッ!!」 たくっちスノー「………あ?」 ヒラヒラヒラヒラ 【名門『帰宅部』】 たくっちスノー「き………帰宅部ぅぅーー!!!?」 ……… ……… 校長「この学校に見学なさったきっかけは?」 たくっちスノー「帰宅部ってなんなんスか」 校長「やはり気になるかね?帰宅部が」 たくっちスノー「いや、だってその……名門帰宅部って………なんの部活もやりたくない人が何もせず帰るだけで、部活とは言えないんじゃ………」 校長「果たしてそうかな?」 たくっちスノー「え?」 校長「野球、芸術、音楽、知恵……あらゆる分野で部活は切磋琢磨する為の最高の場所と思っておるが」 校長「その上で帰宅こそ『学生』にとって、いや人にとって最高の努力だと思わなんかね」 たくっちスノー「いやー、状況がカービィのゴールゲーム並に飛躍してませんかね」 校長「そもそも、学生は学校が好きな物はそんなにいない」 校長「6時限という授業の中で教えられることは大体教えている」 校長「なら、これ以上生徒達を嫌なところに縛り上げる必要はどこにある?」 たくっちスノー「若者の成長の為にあるんじゃないですかね」 校長「我々は帰宅を一心に教育している、色々教えた上で、終わったならさっさと帰る、これが資本と言える」 たくっちスノー(その言い方も割とアレだな………) たくっちスノー「じゃあ、帰宅部以外は?」 校長「当然ない」 たくっちスノー「実質部活無いような物っすね」 たくっちスノー「大学行かないと職歴に『帰宅部をしてました』って書くことになるんやな」 たくっちスノー「で、帰宅部って………家に帰るだけ?」 校長「ならば君、言ってしまえば美術部も『絵を描いているだけ』だろう?」 たくっちスノー「…………!」 校長「サッカー部も球を蹴るだけ、茶道部も茶を作るだけ、それと同じだよ」 校長「帰宅部には、ドラマがあるんだよ」 たくっちスノー「………ッ!!」 たくっちスノー(このジジイさっきから最もらしい屁理屈ばかり並べてるけど凄さが全然伝わらねぇッッッ!) たくっちスノー(………多分この人も帰宅部で学校内にいい思い出が無かったんだろうな) たくっちスノー(まぁそれ言ったら俺なんて幼稚園保育園すら行ってないしまだ0歳なわけだが) 校長「ああ、折角だ旅の者」 校長「そろそろアレの時期だ、見物していってはどうだろう」 たくっちスノー「あ、アレ?」 校長「『大会』だよ」 たくっちスノー「帰宅部大会!!?」 校長「ああ、まだこの学校内だけだが、行く行くは地区に、地区から全国に、やがては………」 校長「時空に」 たくっちスノー(リニュ後たちになんて報告すればいいんだよそんなの、大体時空監理局の申請通るのか?) たくっちスノー「まあいいや、実は俺時空監理局の関係者なんだよ」 たくっちスノー「ちょっと興味あるから見せてもらおうじゃないか、帰宅部の最強の大会ってやつを!」 ………… 校長「これより帰宅部高校大会を始める!!」 たくっちスノー「高校大会とか多分この学校でしか効かないフレーズだな」 校長「ルールは簡単!!」 校長「この学校から全速力で我が家まで帰宅するだけ!!」 校長「寄り道不要ッ!この帰宅経路だけあればいいッ!」 たくっちスノー「単純明快すぎてルールとして成立するのかすら怪しいレベルだな」 校長「数々の声援を受けて、準備を整えるんだ!!」 【カ・エ・レ!カ・エ・レ!カ・エ・レ!】 たくっちスノー「すげぇな」 たくっちスノー「ここまで嬉しくないどころか人によっては涙出て過呼吸になる声援他にあるか?」 校長「さぁ、そろそろ6時限終了から20分!最終下校時間のチャイムが鳴るぞ!」 たくっちスノー「えーと現在3時34分………ガチで授業後何もしてないんだあんたら………」 たくっちスノー「あそこに見えるの何?」 校長「教員だ」 たくっちスノー「先生はまだ帰っちゃダメだろ!!?生徒が帰っても色んな準備あるって知り合いの中学教師から聞いたぞ!?」 校長「そんなモノ別の日に済ませておけばなんとかなる!」 たくっちスノー「大丈夫かこの学校!?よくもまぁこんなでっかい校舎で優秀高校ツラ出来たなぁオイ!!」 たくっちスノー(あー頭痛くなってきた………大丈夫かよココ) たくっちスノー(でもまぁ見たいと言ったのは俺なんだ、さっさとコイツらが帰る所見届けて俺の方もさっさと帰ろう………) 校長「いよいよチャイムだ!」 キーンコーン 校長「はじめ!!」 たくっちスノー「うおっ!!」 たくっちスノー「マラソン大会もビックリのスタートダッシュ切った奴が多いぞ!!」 たくっちスノー「なんで陸上部を作ろうと思わねぇんだ!!」 校長「家に帰れると思うと足取りは軽くなるだろう?」 たくっちスノー「ここまで露骨だと学校側も凹むわ!!」 たくっちスノー「…………ん?」 たくっちスノー「校長校長、聞きそびれたんだが帰宅部の動きって『徒歩』だけなのか?」 校長「いや?実の所なんでもいい」 校長「家に帰る手段、自力であればなんでもいい、親に送り迎え以外であれば…………何をしても」 たくっちスノー「まぁチャリ通学とかもあるけどさ………」 たくっちスノー「じゃああの人がタクシー乗ってんのも?」 たくっちスノー「電車も?」 たくっちスノー「なんかヘリコプター乗ってんのも?」 校長「バラエティ豊かでいいだろ?」 たくっちスノー「どんだけ遠くから通学してんだよ!!」 たくっちスノー「そこまでするくらいなら近くのマトモな学校入れば良かったろ!親はどんな気持ちでここを選んだんだよ!」 たくっちスノー「あっ、一応偏差値は高いのねこの学校」 たくっちスノー「いやでも………帰宅部の名門ってなんかやだなぁ………」 校長「あっ!今誰かゴールしたぞ!」 たくっちスノー「どれが!?ていうかよく分かったなアンタ!!」 ………… たくっちスノー「………って内容を時空進出させようって思ってるそうなんだよこの学校」 たくっちスノー「どう思いますかリニュ後」 たくっちスノー(雪)【いやあの…………熱意とかそういうのは伝わったんだけどさ、帰宅をスポーツ化て……】 たくっちスノー「な?馬鹿らしいだろ?」 たくっちスノー(雪)【馬鹿らしいというか……真面目に応えるとさ】 たくっちスノー(雪)【………それ、結局どんなに策とか腕を磨いても、学校から家に1番近い人が有利じゃない?】 たくっちスノー(雪)【何かしらハンデが簡単に生まれる以上、スポーツとして成立しないんじゃ………】 たくっちスノー(雪)【というか、さっさと学校帰ったところで何するの?】 たくっちスノー「…………」 たくっちスノー「えげつない正論の雨は下手に貶すよりキツいんだぞリニュ後」 そして帰宅部は廃部になった。
https://w.atwiki.jp/pipopipo555jp/pages/403.html
永井荷風が見た異国「ニッポン」昭和13年前半 一月十九日 一月十九日。晴。咳嚇甚しければ終日蓐中に在り。ヴァン、メールシの小説千九百十四年の入冠を繙く。〔此間二行弱抹消。以下行間補〕独逸軍を日本兵に取替へ北仏の野を支那に取替へて読み行けば惨憺の情一層身に迫るを覚ゆ〔以上補〕。此日朝より暖なりしが夜に入りて微雨あり。正月二日以来初めての雨なり。 一月三十日 一月三十日 日曜日 終日雨霏(もや)燈刻築洲子の電話に促されて銀座不二あいす至り共に晩餐を喫す。折から雨は雪となりて行来の人の傘忽ち白し。遊意勃然として動き車にて共に北里の引手茶屋浪花家に至る。楼上大一座の客あり。絃声〓〓(金へんに爭)たり。会社或は商店の新年宴会なるが如し。裏二階に置火燵を運ばしめて妓おいろ小槌半玉二人を招ぐ。又電話にて待乳山人を招ぐ。半玉信子能く舞ふ。妓おいろ清元を善くす。声にさびあり凄艶限なし。一同雑炊を食す。おいろ再び絃を撫し、其筋よりの御達にて曲輸の芸者も愛国進行曲をひくべき筈なれど、三絃にてひけば何の面白味もなし。調子は三下りの一を上げるなり。又勝つてくるぞの歌は二上りにてひくなりと語れり。大引の鉄棒をきき車を命じてかへる。雪は既にやみしが霊南坂を登れば深更人の行来なければ雪は白く道につもりたり。わが門前の小径も門内の庭も共に雪白し。 あけ近く帰る庵や門の雪 窓あけてまた見る雪の厠かな 一月三十一日 一月三十一日。晴れて暖なり。正午に起き晡下土州橋に至り日用の薬を求む。銀座にて理髪食事をなして一更家に帰る。写真現像。 〔欄外朱書〕煙草またまた値上げとなる 銀座二丁目カフヱーグランド閉店 二月初一 二月初一旧正月二日。晴。午後土州橋に往き浅草に〓(食へんに卞)して後銀座不二地下室に憩ふ。白柳高橋菅原の諸氏に逢ふ。クロードフワレール来遊の事を高橋君より聞く。 〔欄外朱書〕国内諸処ノ帝国大学教授多数捕縛セラル 二月十七日 二月十七日。朝来雨滂沱。風亦烈し。正午に覚む。午後中央公論社佐藤氏来り支那戦地視察の事を勧む。夜に入りて雨舞れ月出づ。銀座不二あいす店に晩餐を喫す。偶々秀湖君在り。時事を論ず。 三月十七日 三月十七日。今日も空はれず。風亦冷なり。鄰家の梅花満開なり。道源寺阪下西光寺の庭にも梅花星の如し。夜銀座に〓(食へんに卞)す。不二地下室に至るに電報通信社々員宮崎氏北支戦場より帰来るに逢ふ。其談話をきく。中央公論社原稿料四百八円を送り来る。女中のはなし稿料なり 四月初三 四月初三 日曜日。今春丸善書店に注文したる洋書悉く輸入不許可の趣丸善より通知あり。戦禍憂ふべきなり。夜浅草オペラ館に至り声楽家増田晃久永井智子等と中西喫茶店に会合して拙作歌劇の事について胥議す。此日西北の風強し。