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「ななっ!今度さ、みんなでプール行かねえか!」 「プールっすか?」 「お前らもどうだ?」 「麻雀の方がいい」 「だ、だよねー」 「そんなこと言って、どうせ泳げないんだろ?」 「そんなことはない」 「へー、じゃあ証明しろよ!今週末俺んちの前で集合な!」 「首を洗って待ってて」 「ははっ!よく言うぜ!」 「京太郎、どうだったよ」 「照姉ちゃんも行くってさ!」 「よしよし、楽しんでくるんだぞ」 「父ちゃんは車よろしくな!」 「おう、任せとけ」 【十日目 決勝戦】 京太郎「痛た……なんだ今の夢」 京太郎「照と、咲とモモ?」 京太郎「……いよいよ、今日なんだよな」 京太郎「もこ、っ、離れろ」 もこ「んむー」ギュゥウ 京太郎「絶対起きてるだろ!」 もこ「起きてないー」ギュゥゥウ 京太郎「起きてんじゃねえか……はぁ」 京太郎「もこー離れろー」 もこ「んーん」 京太郎(どうにかして起こさないとな……) 京太郎「もこーもこー」 京太郎「……そうか、まだ起きないんだな」 京太郎「あぁ、今わかったよ、それがお前なりの考えなんだよな」 京太郎「それじゃあ俺はもう行く」 京太郎「ラ・ヨダソウ・スティアーナ」 もこ「!」 もこ(ラ・ヨダソウ・スティアーナ……別れ) もこ「……」ガバッ 京太郎「お」 もこ「……嫌だ」 もこ「京太郎、まだ……」 京太郎「ん?」 もこ「まだ、共に、戦場へ」 京太郎「……ああ」 京太郎「いいぞ、行き掛けに朝飯食ってくか」 もこ「うん!」ニコッ 京太郎「荷物とかはもうまとめたか?」 もこ「準備万端、心配無用」 京太郎「よし、いざ出陣だ!」 京太郎「俺が一番乗り、か」 京太郎「この卓で、打つんだよな」 桃子「京太郎に先越されたっす……」 咲「もう、速すぎだよモモちゃん」 桃子「咲も体力つけないとダメっすよー!」 咲「そうは言っても、私運動音痴だし……」 京太郎「……なあ二人とも、話があるんだ」 咲「わかった」 咲「でもね、最後は京ちゃんが頑張らないとだよ」 桃子「照姉と約束をしたのは京太郎なんっすからね」 咲「そうだよ、ここまで来るのは私たちみんなの約束、でも勝つか負けるかは京ちゃん自身なんだから」 京太郎「……ああ、そうだな」 京太郎「絶対に勝つ」 京太郎「またみんなで打って、俺が勝つ」 照「…………」 京太郎「四人揃ったな、じゃあ――」 「――試合、開始だ」 東一局 親 咲 25000 桃子 25000 照 25000 京太郎 25000 全員ノーテンのため、流局 咲「ノーテン」 桃子「ノーテン」 照「ノーテン」 京太郎「ノーテン」 京太郎(……) 京太郎(幸先悪っ!) 京太郎(まあいい、これで……)ゴッ 照「…………」ゴッ 照の【照魔鏡】と京太郎の【照魔鏡】発動! 照「…………」 照(…………京) 東二局一本場 咲 25000 親 桃子 25000 照 25000 京太郎 25000 照「ツモ、600・1100」 照(……私の親番) 照(でも、京相手にどれだけ稼げるんだろう……) 京太郎(照の連続和了……今日なら、俺なら) 京太郎(まだ太刀打ちできる気がする!) 東三局 咲 24400 桃子 23900 親 照 27300 京太郎 24400 京太郎(いや、さっきのただの意気込みだから) 京太郎(少ししか自信が無かったから) 京太郎(なのになんで……) 京太郎「ロン、12000」 京太郎(マジで和了っちゃってんの俺!?) 照「…………」 京太郎(まあいい、これで親番は流した!) 京太郎「まだまだこれからだ!」 東四局 咲 24400 桃子 23900 点数移動:14300 照 15300 親 京太郎 36400 京太郎「照、それポン!」 京太郎(俺の親番……ここでもっかい行っとくか!) 京太郎(……咲、お前の十八番、借りるぜ!) 京太郎(いや、できないだろうけど……) 京太郎「カン!」 グラッ 京太郎「……っ」 京太郎「…………」 咲「京……ちゃん?」 桃子「ツモらないっすか?」 京太郎「っあ、ごめんごめん」スチャ 京太郎「……よし!」 京太郎「嶺上ツモ!4000オール!」 照「…………」 桃子(……まあ、このくらいっすかね) 桃子(こっから先は、ステルスモモの独壇場っすよ) 桃子が[ステルスモード]に移行しました 東四局一本場 咲 20400 桃子 19900 照 11300 親 京太郎 48400 京太郎(跳満に親満!ツイてる!ツイてるぜ俺ァ!) 咲「京ちゃん、それロン、16300」 京太郎「えっ」 京太郎「…………」 京太郎「えっ?」 咲「なんで聞きなおしたの」 南一局 親 咲 36700 桃子 19900 照 11300 京太郎 32100 照(流石に甘すぎたかな……) 照(ここからは、本気) 照(誰にも邪魔はさせない) 照「―――ロン、2000」 南二局 咲 34700 親 桃子 19900 照 13300 京太郎 32100 照「……ツモ、1000・2000」 照(ここは、もう攻める!)ゴッ 咲「!」ゾクッ 咲(この感じ……お姉ちゃん) 咲(大変なことになるかも……) 【鏡開き】発動! 南三局 咲 33700 桃子 17900 親 照 17300 京太郎 31100 照(最後の、親番) 手牌:一ニ112①⑧⑨南西北發中 ツモ:東 照(一索が頭、後は揃うのを待つだけ) 打:2 京太郎(ん?結構調子よくねえか?) 手牌:四四五133358③⑥⑥⑥ ツモ:5 京太郎(タンヤオ三暗刻、上手くいけば四暗刻まで行けるかも……) 京太郎(……あれ?) 打:③ 咲(二暗刻、多分これは、やっぱりお姉ちゃん) 手牌:三三三八222688④⑤⑦ ツモ:二 咲(でも、そっちがその気なら) 打:八 桃子(配牌四対子って……) 手牌:六七②②③④④④⑧東西西北 ツモ:東 桃子(まずは様子見っすね) 打:六 照(…………) 手牌:一ニ11①⑧⑨東南西北發中 ツモ:白 照(これで、一向聴) 打⑧ 京太郎(んーっと、これは……) 手牌:四四五1333558⑥⑥⑥ ツモ:四 京太郎(……狙ってみるか) 打:8 京太郎(でも、こんなこと前にもあったような……?) 咲「……ポン」 咲(お姉ちゃんのあの気配、昔と同じ……) 手牌:二三三三2226④⑤⑦ 【888】 咲(まずは……) 打:6 桃子(黒ばっかっすね) 手牌:七②②③④④④⑧東東西西北 ツモ:⑧ 桃子(混一色、一盃口か七対子あたりっすかね) 打:七 照(国士無双九萬単騎……) 手牌:一八11①⑨東南西北白發中 ツモ:9 照(これなら、勝てる) 打:八 京太郎(……そういや、よくあったっけ) 京太郎(みんな揃って役満手って) 京太郎(まあ俺は気づかなくて四暗刻崩しちゃったりしてたけど) 京太郎(今思うとクソもったいねえよな) 京太郎(……さて) 手牌:四四四五133355⑥⑥⑥ ツモ:5 京太郎(四暗刻単騎待ち……ってか三巡目でこれはおかしいだろ、どうなってんだ全自動卓) 京太郎(恐らくは照も役満……当たったら一溜りもねえ) 京太郎(でも、俺は……) 京太郎(直接対決だ、照) 咲(……んー) 咲(四槓子……和了れる、かな) 手牌:二三三三222④⑤⑦ 【888】 ツモ:8 咲「カン」 手牌:二三三三222④⑤⑦ 【8888】 ツモ:⑦ 咲(…………) 打:二 桃子(これで一向聴?っすかね) 手牌:②②③④④④⑧⑧東東西西北 ツモ:西 桃子(客風は来なくていいっすよ……) 打:北 桃子(もう集まっちゃったからしょうがないっすけど) 照(不要牌……?) 手牌:一119①⑨東南西北白發中 ツモ:⑦ 照(それだけじゃない、ヤオチュー牌がモモたちに流れてる) 照(こんなこと、今まで……) 照(……咲がずらした?) 照(いや、それなら既に手は止まってるはず) 照(…………) 照(違う、この感じ) 照(麻雀を始めたころに、段々引き戻されていくこの感覚……) 照(手が進まなくて、もどかしくて、けどわくわくして楽しい気持ち) 照(……懐かしい、気持ち) 打:⑦ 照(これは…………) 咲「ポン」 手牌:三三三222④⑤ 【⑦⑦⑦】 【8888】 咲(テンパイ……だね) 打:④ 桃子(……うわ) 手牌:②②③④④④⑧⑧東東西西西 ツモ:⑨ 桃子(一向聴のまんまっすか) 打:⑨ 照(……九筒) 照(モモのツモは本来、私のツモだったはず) 照(なら、私のツモは……) 照「…………っ」 手牌:一119①⑨東南西北白發中 ツモ:1 照(……一索) 照(もし、私の予感が当たってたら、これは多分京の和了り牌) 照(絶対的な確証はない、けどこの予感は本物) 照(オリることもできるけど、そうすれば勝ち目が無くなる) 照(…………) 照(……突っ張るか、逃げるか) 照(どうすれば……) ―――――――――――――――――――――― 京太郎「ポン!」 京太郎「チー!」 京太郎「それもポンだ!」 京太郎「さらにポォーン!」 咲「京ちゃんまた裸単騎?」 京太郎「男たるもの一個で十分だ!」 京太郎「それに今回はただの裸単騎じゃないんだぜ!」トン! 照「ロン、36000」 京太郎「そげぶっ」 桃子「致命傷っすね」 京太郎「……ちぇっ、前に一索捨ててたから和了れるって思ったのに」 京太郎「つーかその手だったら一索捨てない方が速かったじゃんか!」 照「安全だと思ったからね、考えなしの京とは違うんだよ」 京太郎「何だよそれー、危なくてもテンパイしろよー」 京太郎「高いのが恐くてやってられるかよ!」 咲「それ、完全に負ける人の台詞だよ」 京太郎「なあなあもう一局打とうぜ!」 桃子「そろそろ帰った方がいいっすよー」 キーンコーンカーンコーン 京太郎「あ……」 照「終業だね」 桃子「今日はこれでお開きっすね」 咲「早く帰らないとまた先生に怒られるよ?」 京太郎「よし、早く帰ろう」キリッ 三人「切り替え早いな(っすね)」 京太郎「……あ、忘れてた!」 京太郎「ななっ!今度さ――――」 ―――――――――――――――――――――― 照(危なくてもテンパイ、か) 照(…………) 照(……私も) 照(前に、進もう) 照(たとえこれで当たっても、後悔はしない)スッ 照(これが、私の選択) 照(だから――) ――――トンッ 京太郎「――ぁ」 京太郎(……来た) 京太郎(これで……俺の勝ちだ)ギュッ 京太郎(後はただ、声を出すだけ!) 「ロ――――」グラッ (何だ、何だこれ……) (何かが、流れ込んでくる……) 「――――ンっ!?」 叫びと、目の前の人だかり 無意識の内に俺の足は走り出していて、誰の声も聞かずに飛び込む 柔い衝撃の後に少し温い水が体を包み、俺の前進を遮ろうとした 息つく間を与えずに手で水を掻いて押し出して、水が口を満たしても脚で水を蹴って押し退ける 掴みそうで掴めない感覚の先にあったのは、目指していた柔らかい肌だった 五つの感覚が、差し出した手を包む 抱えた女の子の顔は蒼白く生気を失っていて、その辛そうな表情に不安を覚える 咽る、気管に入り込んだ水に体が拒否反応を示したのだ 女の子を映す眼は光を失い、咽る内に呼吸もままならなくなり、脚からは力が抜けていく ――いなくなってほしくない ただ放すまいと腕に力を込める、絶対に救いたいと切に願う ――――だが、やがてはその願いも、込めた力も、意識が落ちると同時に果てた 京太郎「……はぁ、はぁ」 咲「京、ちゃん?」 桃子「大丈夫っすか?」 京太郎「ぁ、ああ、大丈夫だ――」 京太郎(深呼吸……深呼吸) 京太郎「すぅぅぅぅぅーー……」 京太郎「……はぁぁぁぁぁーー」 京太郎「……よし!」 ――――ロン!―――― ――――四暗刻単騎、32000!―――― 終局 京太郎 63100 咲 33700 桃子 17900 照 -14700 腹の底から声を出した、堂々と終わりの声を告げた、牌を倒した手は汗まみれで、なぜか体が熱かった それは、照を飛ばしたことの興奮からか、それとも―― 京太郎「俺の勝ちだ、照」 照「…………うん」 少しだけ下に向けた照の顔はどこか満足気で、今さっき脳裏に浮かんだ女の子の青褪めたそれが重なった ……じゃあ、俺が助けたのは…… でも、俺が照と水場に行くなんて、そんなこと、一回しか―― 『ななっ!』 ――何かが白くぼやけている ――何かが、思い出せない 京太郎「……なあ」 桃子「どうかしたっすか?」 咲「京ちゃん?」 京太郎「一つ、聞きたいんだけど」 京太郎「……俺、俺たちで海とか行かなかったか?」 照「…………」 咲「海?」 『今度さ、みんなで――』 京太郎「――――あ、いや」 京太郎「……プール」 そうだ 京太郎「プール」 膨れ上がった袋の結び目を解くように 京太郎「……三年前、みんなでプールに行ったよな?」 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 俺は表彰式を終え、取材とかその他諸々の用事を済ませた後に街の喫茶店で照と落ち合うことになった ちなみに、咲とモモは都合が合わないので来ないそうだ 俺よりも取材が多い照は少し遅れて店へ来た あらかじめ俺が頼んでおいたココアを一口啜って、照は口を開いた 照「熱い」 京太郎「そりゃそうだ」 照「水が欲しい」 京太郎「はいよ」 照「ありがとう」 透明なグラスに入った水を火傷した舌でチロチロと舐める照の姿は、何と言うか可愛らしかった 照の様子が落ち着いたのを見て、話しかける 京太郎「で、話してくれるんだよな」 京太郎「三年前、俺に何があったかを」 照「……うん」 照「私は、もう逃げない」 もう一口ココアを啜って、照は話し出した ―――――――――――――――――――― 俺と照が出会ったのは、俺がモモと知り合ってから三年後、小学二年生のある春の日だった いつもは休日も暇な俺とモモで遊ぶはずだったが、モモは家の用事で遠出をしていたため、俺は暇な休日を過ごしていた 新たな出会いを求めて近くの公園へ出かけたときに、俺は照を見つけた 京太郎「なーなー姉ちゃん」 照「……何?」 京太郎「せっかくこんなに天気良いんだからさ!ぱーっと遊ぼうぜ!」 照「私には本で十分」ペラッ 京太郎「はっはーん、お前ひょっとして友だちいねーんだろ」 照「」ピキッ 照「そんなことない、友だちの一人や二人……」 京太郎「じゃあ俺とでも遊べるだろ?」 照「しょうがないな、お姉さんが相手してやる」 京太郎「よっしゃあ!何する?何する?」 照「えーっと、かくれんぼ、かな?」 京太郎「そんじゃあお前鬼だからなー!」 照「えっ」 京太郎「今日は楽しかったぜ!ありがとな!」 照「こちらこそ」 京太郎「モモがいないからひまだーって思ってたんだけどお前がいてくれてよかったぜ!」 照「……照」 照「宮永照だから、照って言って」 京太郎「テル、か俺は京太郎だ!」 照「……長いから京でいいかな」 京太郎「おう、大かんげーだ!」 京太郎「んじゃまた会おうぜ!じゃな!」 そのうち、照とモモと三人で遊ぶようになって、咲も混じって来るようになった いつからか俺たちは麻雀で時間を過ごすようになった 照曰く、俺は照と互角に打てるほどだったらしい。「曰く」や「らしい」というのは俺が昔のことを覚えていないからだ それこそ飛ぶこともあったが、今日のように照たちを飛ばすこともあったそうだ ……そうして、六年前の夏に俺たちは約束を交わした 国民麻雀大会で四人で打つ、という無謀で実現可能だった約束を 俺たちが小五になると照だけは中学に上がり、必然的に俺たちが一緒に遊ぶ回数も減っていった 距離感を感じた俺から照への呼び名は照姉ちゃん、と少し疎遠なものへと変わっていた そんなこんなで三年前、俺たちは中学へ上がり、照と麻雀部を設立した 顧問の先生は厳しい人で、遅くまで残っていると怒られたりもした 四人で麻雀を打って、喋って、帰って、遊んでいた それでも、照との距離は縮まっていないように思えた 照は一人だけ俺たちと違う学年で、中三ともあって先生に呼ばれたりして部活に来れないこともしばしばだった そこで、俺は四人の距離をもっと縮めるために、夏休みの間にみんなを県内のプールに誘った 元は俺の疑問を聞いた父さんの提案で、当日も父さんに連れて行ってもらった 俺たちが行ったのは、25mプールとか流れるプールだとか、ウォータースライダー、波のプールとかがあったりするオーソドックスでそこそこ大規模なプールだった 照とモモは流れるプールで泳ぎ、俺は25mプールで咲の泳ぎの稽古をつけていた 例の件は、その昼時に起きた ――――ここから先は、照の話によるものだ 【side-照-】 照「モモがどっか行っちゃった……」 照「みんな迷子になりすぎだよ、やっぱり私がしっかりしないと」 照「もう一泳ぎして行こう」チャプチャプ 照「…………」 照「私も京に教われば良かったかな」 照「けど、そうすると馬鹿にされそうだし……」 照「はぁ……、ッ!」 照「痛っ!」 照(あ、脚が……!)ジャバジャバ 私が脚をつったのは、流れるプールの中でも幅が大きいところ このままだと溺れる、と恐怖して 誰かが助けてくれる、と希望したその矢先――― ピンポンパンポーン 『ただいまより、安全確認を行いますのでご遊泳中のお客様はプールからお上がりください』 ―――無機質な音と少し低めの声が館内に響いた 照(なっ、なんで……) 周りの人の注意は当然プールサイドへ向いて、私の方は見もしない 溺れまい、ともがけばもがくほど力は発散されていって、息は途切れ途切れになっていく 呼吸を整えようとしても口に入ってくるのは水ばかりで酸素の一欠けらもないように思える ようやくプールサイドに人が集まって、大声が聞こえた 「助けろ!」とか「危ない!」だとか 人だまりの端から、飛び込んでくる人影が見えた。金色の軌跡が目に入った ああ、やっと助けに来てくれた、と安堵して、身体から力が抜けていった 荒い吐息が肌にかかって少しくすぐったかった 意識が遠のく中で、触れた手を握り返した 温かくて、優しい手を 気が付いて体を起こすと、目の前では咲とモモが泣いていて、私の隣では京が寝ていた 二人の話によると、あのとき私を助けてくれたのは京で、その京自身も息ができなくなって溺れてしまったらしい 咲「えっと、じゃあ私京ちゃんのお父さん呼んでくるね」 桃子「あ、私も行くっす!」 照「行ってらっしゃい」 咲「はーい、まだ寝てていいからねー」 ガチャ バタム 照「…………」 照「……京?」 隣で寝ている幼馴染に声をかけてみても―― 京太郎「ぐぅ……ぅ……」 ――返ってくるのは寝息だけだった 照「……もう」 ベッドが近いのでほっぺを突っついてみる 私のと比べると少し硬いほっぺは私よりも多くの表情を作り出す 笑ったり、怒ったり、寂しがったり、悔しがったり、京も咲もモモも私には作りにくい表情を見せてくれる 休日は遊びに連れ出して、平日は麻雀で相手をしてくれる ここ二年はあまりそういうことはできなかったけど、一人の私に構ってくれる 初めて遊んだときだって…………あれは京が寂しかっただけか 京太郎「ぐごぉ…………」 隣の恩人に「ありがとう」と小さく呟いて、手を握った 今度は、寝ている京は、握り返さなかったけど ――――――――――――――――――――――――― 照「……しばらくして京も目が覚めて、おじさんも来た」 照「次の日の部活動でもみんなで打った……でも」 照「異変があった」 京太郎「異変?」 照「京が弱くなってた」 京太郎「弱い……か」 照「前は点数計算もできてたのに、その日からはリーチも鳴きも役満もわからなくなっていて」 照「まるっきりの初心者になっていた」 京太郎「……は?」 照「私もよくわからないけど、多分溺れて気絶したときに京の頭がおかしくなったんだと思う」 京太郎「いやどういうことだよ」 照「事故のショックで記憶を失うとか、そういうことらしい」 京太郎「さっぱりわかんねえんだけど」 照「話を戻す」 京太郎「おい」 照「……咲は京を楽しませようと京を勝たせるように細工をするようになった」 照「私が東京へ行く前には8局全部プラスマイナスゼロなんてことができるようになってた」 照「モモも京を気遣って消えることが少なくなった」 照「……あの日から、私たちは変わってしまった」 照「変えてしまったのは、私」 照「だから、私はまた、京たちの輪から遠のいていった」 照「遊ぶこともなくなったし、麻雀をすることもなくなった」 照「そんなときに、母さんの転勤話がでてきた」 照「ちょうど白糸台からも話が来てたし、このままでいいと思って私は東京へ行った」 照「京は、モモと咲と一緒にいた方が幸せだと思った」 照「私はもう必要ないんだ、って思った」 京太郎「…………」 京太郎「まあ、何となくわかったけど、じゃあどうしてお前は三箇牧に来たんだ?」 京太郎「おばさんのことも、白糸台のことも都合悪いじゃんか」 照「白糸台は……嫌だった」 京太郎「部員の人たちは結構慕ってるみたいだったけど?」 照「私が入ってから麻雀部に来た人たちはほとんどが私目当てだった」ドヤァ 京太郎「若干どや顔しながら言うなよ」 照「そのうちにみんなやる気を無くしていって、その人たちと打つことも少なくなった」 照「私はただの客寄せパンダなんだ、って」 照「東京の上野だけに、ね」ドヤァ 京太郎「あーはいはい」 照「それから、だんだん麻雀に嫌気が差していった」 照「けどみんなとの約束も破るわけにはいかないから、続けた」 照「……それで、母さんから京が三箇牧に受かったって聞いた」 照「咲たちは長野の公立、京だけは大阪の私立、一緒にいるはずだった咲たちと京が離れた」 照「……私は京に謝ろうと思った」 照「あれさえなければ、京は咲たちと仲良くなれたはず」 照「あの日のことを全て打ち明けようって思った」 照「だから、今日……」 京太郎「ちょいタンマ」 照「なに?」 京太郎「お前、何か勘違いしてないか?」 照「?」 京太郎「俺が三箇牧に来たのは麻雀と勉強を頑張るためなんだけど」 京太郎「麻雀部、確か六年前に優勝してたし、全国二位もいるって聞いたし」 京太郎(あの学校複雑だからゆっくり探そうと思ってたんだけど、案外早く見つけちゃったんだよな……) 京太郎「別に俺があの二人と仲が悪いとかそういうわけじゃないぞ?」 照「そうなの?」 京太郎「今日見ただけでわかるだろ」 照「…………」ウーン 照「……あっ」ピコーン 京太郎「ったく、今の今までお前は……」 照「…………」ズズッ 京太郎「……なあ」 照「何?」 京太郎「陽も落ちるし、そろそろ帰るか」 照「うん」 京太郎「ホテルまで送ってくか?」 照「菫と淡が迎えに来るから大丈夫」 京太郎「そっか、じゃあまたな」 照「うん……あっ」 京太郎「どした?」 照「優勝おめでとう」 京太郎「ああ、ありがと」 照「バイバイ」 京太郎「またメールするからー!」 国民麻雀大会で優勝した! 京太郎「さて、どっか行こうかな」 夕 京太郎「結局暇だなー」 京太郎「他の人もゆっくりしてるんだろうし遊びに誘ってみるか」 京太郎「団体戦の労いも兼ねて雅枝さんを誘うぞ!」 京太郎「……人妻と遊びに行くっていいのか?」 prrr prrr 雅枝『愛宕です』 京太郎「雅枝さん!遊びに行きましょう!」 雅枝『いきなり何言うとるんやお前』 京太郎「団体戦、疲れたでしょう?」 雅枝『確かに疲れたけど、それがどないした?』 京太郎「なら洋榎さんの相手なんかしてないで俺と遊びに行って疲れを取りましょう!」 雅枝『どっちにしても疲れる気がするんやけど』 京太郎「まあまあ、行きましょうよ」 雅枝『そもそも行くってどこ行くんや』 雅枝『それに、夜用事があるから長くは遊べへんで』 京太郎「じゃあ行ってくれるんですね!」 京太郎「行くのは 雅枝「ファミレスで何するつもりや」 京太郎「駄弁ったり、くつろいだり」 雅枝「ええ歳した大人がええんやろか……」 京太郎「まっ、もう来ちゃいましたからね」 雅枝「せやな」 京太郎「雅枝さんは何を食べますか?」 雅枝「軽いもんでええわ」 京太郎「すみませーん!ハンバーグプレート二つー!」 雅枝「ちょいちょい待て!今軽いもん言うたやろ!」 京太郎「え?200gって軽くないですか?」 雅枝「単純な重量ちゃうわ!」 京太郎「あはは、わかってますよ、関西人を試しただけですから」 雅枝「アンタなぁ……」 店員「それで、ご注文は?」 雅枝「抹茶ぜんざい」 京太郎「じゃあ俺は……」 店員「かしこまりましたー」 雅枝「結局食うんか」 京太郎「こう見えて早食いなんですよ、俺」 雅枝「ふーん」 京太郎「素っ気無いっすね」 雅枝「遅くなりそうやから戒能プロに連絡しとこ」 京太郎「良子さんがどうかしたんですか?」 雅枝「ああ、戒能プロと臨海んとこの監督と善野監督とで飲み会行くんや」 京太郎「それが夜の予定っすか」 雅枝「ほな電話するから静かにしとき」 京太郎「」ピッピッピッ 京太郎「あ、良子さんですか?飲み会、俺も行っていいですか?」 京太郎「はい、了解っす!」 ピッ 京太郎「俺も行くことになりました」 雅枝「行くことにさせたんやろが」 京太郎「そうとも言いますね」 店員「お待たせいたしましたー」 京太郎「おっ、来た来た」 京太郎「そんじゃあお先に頂きまーす」 雅枝「ほんま気ままやな」 京太郎「そういえば絹恵さんってまだ成長してるんですか?」 雅枝「何の話しとるんや、ええ加減にせんと怒るで」 京太郎「洋榎さんは着けなくていいですよね、あれなら」 雅枝「使い回しばっかやから助かるわ」 京太郎「まあそうでしょうね」 雅枝「…………」 雅枝「娘たちと同じくらいの男となんて話しとるんや私は……」 京太郎「同感です」 雅枝「男子高校生と居酒屋行くってアカンやろ」 良子「オーライですよ、プロバブリー」メソラシ 臨海「久しぶりだな、須賀」 京太郎「お久しぶりです、監督さん」 善野「優勝おめでとな、須賀くん」 京太郎「どうも、ありがとうございます」 良子「早速中に入りましょうか」 京太郎「飲み会って大体どんなことするんですか?」 雅枝「アンタがさっきしようとしとったことや」 京太郎「ただ酒飲んで話すだけですか」 善野「そういうことやな」 良子「それではもう頼んでしまいますねー」 京太郎(流れで来たはいいけど……) 京太郎(適当に誰かと話すか) 京太郎「それにしても、なんでこの面子で飲み会なんてしてるんですか?」 京太郎「良子さんと善野さんと雅枝さんと霞さんならわかるんですけど……」 臨海「むっ、私がいると不満なのか?」グビッグビッ 京太郎「そうじゃないですけど、気になるなーと」 雅枝「前の合宿で協力もしてもろうたしな、あと石戸はああ見えて未成年やし」 京太郎「なるほど」 臨海「ふぇぇ、カイノー!須賀が虐めるぅぅぅ!」ビエーン 京太郎「えぇぇっ!?」 雅枝「もう出来上がってもうたんか……」 良子「待ち合わせ前にワンカップをスリーカップくらい飲んでましたからね」 善野「ええなぁ、お酒」 京太郎「飲めないんですか?」 善野「お酒とか、色々と先生に禁止されとるからダメなんよ」 善野「居酒屋来てもおつまみくらいしか食べられへんのよね」 良子「あ、そうでした善野さん、今度の姫松とのゲームなのですが」 善野「あー、せや頼んどったね、どないしました?」 良子「それがですね――――」 京太郎「……」チュー 雅枝「……」ヒョイ パクッ 京太郎「……」パクッ 雅枝「……」ゴクッ 雅枝「……何か話そか」 京太郎「そうしましょう」 店員「お待たせいたしましたー」 店員「こちら、砂肝と若鶏のから揚げでございます」 京太郎「」ピクッ 雅枝「」ピクッ 京太郎「から揚げ……」 雅枝「ほなレモンかけるで」 京太郎「え、何言ってるんすか?レモンかけるとか正気ですか?」 雅枝「から揚げにはレモンって相場はきまっとるやろ」 京太郎「雅枝さん、それ一回内科に行った方がいいですよ」 雅枝「から揚げにレモン無しで食べられる方がどうかしとるわ」 京太郎「俺の方が主流だと思いますけどね」 雅枝「ほな他のにも聞いたろか?」 京太郎「いいですよ、どうせ……」 「レモン?から揚げにレモン?……ププッ」 京太郎「とかなるんですから」 雅枝「さあどうやろな、そっちこそ」 「どうして、から揚げに何もかけないで食べることができるだろうか?いいや、できまい」 雅枝「とか言われるに決まっとるわ」 京太郎「なんで反語?」 京太郎「……雅枝さんの家に電話して答えてもらうってのはどうですか?」 雅枝「ふん、ええわ、愛宕家に勝負を挑むとはええ度胸や」 京太郎「じゃあ俺からかけますね」 prrr prrr 洋榎『はいはーい、いつもニコニコ元気な愛宕やでー』 京太郎「あ、洋榎さんですか?」 雅枝「なんや洋榎か……」 洋榎『京太郎か、どないしたん?』 京太郎「洋榎さんってから揚げに何かけます?」 洋榎『ウチと絹は何もかけへんで』 雅枝「……は?」 京太郎「雅枝さんがかけたりするんじゃないんですか?」 洋榎『オカン帰り遅いからな、絹とウチだけで食べとるんや』 洋榎『あ、もちろん作るんは絹やで』 京太郎「知ってます」 洋榎『今日も飲み会やいうし、たまには一緒に食べたいわ』 京太郎「……俺からも言っておきますね」チラッ 雅枝「……」 絹恵『お姉ちゃーん、ご飯できたでー』 洋榎『はーい、ほなまたな』プツッ 雅枝「…………」 京太郎「…………」 京太郎「俺の勝ちですね!」ドヤァ 雅枝「この雰囲気で言う言葉!?」 京太郎「んー、でも家族と食べた方がいいですよ」 京太郎「なるべく早く切り上げるとか……はもうしてるんでしょうね」 雅枝「……そうなんやけどな」 京太郎「俺も一人暮らしなんで寂しいんですよ、だから洋榎さんたちも寂しいんじゃないかな、と」 雅枝「せやったら今度うちに来るか?四人で食べるのも悪ぅないやろ」 雅枝「なんなら京太郎のこと迎えに行くのもええし、あとは……この後とか?」 京太郎「……雅枝さんが俺を家に連れ込んだら、洋榎さんたちってどんなリアクションするんでしょうね」 雅枝「…………」 雅枝「!」 雅枝「べ、別に変な意味は無いんやからな!」 雅枝「こうすれば洋も絹も京太郎も寂しないやろ!」 京太郎「わかってますよ、機会があればお願いします」 雅枝「それでええわ、それで」 雅枝(ちょっと変なこと想像してもうたやないか、まったく) そして四時間後 良子「きょぉたろぉ……もう遊べないの?」 京太郎「松山と大阪じゃあ流石に無理でしょう」 良子「いやだいやだいやだぁー!」ギュッ 京太郎「あーもう面倒くせぇ……」 雅枝「京太郎?聞いとる?」 京太郎「はいはい、それで洋榎さんがどうしたんですか?」 雅枝「それでなーそこで洋がなー」 臨海「焼酎もう一杯……」Zzz 善野「……そろそろお開きにしよか」 京太郎「ですね」 臨海「新大阪どっちらっらへ?」 京太郎「何言ってるのかわかんないっすよ」 良子「きょぉたろぉ、送っていってぇー」 京太郎「よっかからないでくださいよもう、ほらしっかり立って」 雅枝「あ、洋と絹が見えるわぁ……」 京太郎「いないですよ!どこにもいないですから!何見えてるんですか!」 雅枝「あはははぁ……」 京太郎(大人ってめんどくせぇ……) 善野「ふふふっ、ほな帰ろか」 京太郎「ちっとも笑いごとじゃないですよ」 洋榎「ほな監督お疲れさんさんさんころり~」 絹恵「さよなら~」 雅枝「本物や、本物がおる~」ウツラウツラ 洋榎「とっとと帰るで」グイグイ 雅枝「うぇへぇはぇ~洋の腕やわらか~い」 洋榎「気持ち悪いわ!」 絹恵「せやったら私は左!」 雅枝「絹もやわらかいなぁ~」 善野「また学校でな」フリフリ 良子「あぁぁ……帰りたくないー」ギュッ 京太郎「帰ってください、タクシー来てますから」 臨海「カリフォルニアへレッツゴー!」 運転手「えっ」 京太郎「新大阪まででいいですから!」 良子「きょぉたろぉとどこまでも~」 京太郎「さっさと離れてくださいよっ」 ブロロロロ 京太郎「というわけで帰りましょうか」 善野「ええの?」 京太郎「善野さんみたいな人が一人で夜道を歩いてたら危ないですからね、行きましょうか」 善野「よろしく頼むで、王子様」 京太郎「かしこまりました、お姫様」 京太郎「段々寒くなってきましたね」 善野「風邪引きやすぅなるのは勘弁や……」 京太郎「風邪と言えば……末原先輩ってどうなんですか?」 善野「どういう繋ぎ方しとるんや」 善野「恭子ちゃんはええ子やで、いつも一生懸命やし、洋榎ちゃんよりも主将らしいし」 京太郎「俺が打ったときも強かったですよ、少し自信なさそうに見えましたけど」 善野「宮永咲ちゃんにやられたときからあんな調子やったんや、洋榎ちゃんたちとみんなで励ましたけどな」 善野「今度、須賀くんと打ってみたいわ」 京太郎「はい、俺もです」 善野「これからも同じ大阪やさかい、よろしうな」 京太郎「ははっ、三箇牧は負けませんからね」 善野「こっちやって負けてばっかりやないんやで」ニコッ 善野「あ、もうここまででええわ」 京太郎「そうです、か、じゃあまた!」 善野「はいはい、お疲れさん」 京太郎「善野さんも送って無事帰って来たことだし、何かするか」 夜 京太郎「少し寒いけど散歩して来よう」 京太郎「夜も遅いし、いつも通り人もいないなーっと、あ」 京太郎「あの人は……」 エイスリン「ア!キョウタロー!」 京太郎「すっごく久しぶりな感じがしますね」 エイスリン「!」 エイスリン「ン……」ゴソゴソ エイスリン「キョウタロー、コレ!」つ|京太郎が笑っている絵| 京太郎「これ、俺のために?」 エイスリン「」コクッ エイスリン「キョウタロー、オメデトウ!」 京太郎「うわぁ、ありがとうございます!」 エイスリン「ドーイタシマシテ!」 京太郎「で、何してたんですか?」 エイスリン「sketch!」 京太郎「夜道を描いてたんですね」 エイスリン「ゼンゼン、カイテナカッタカラ!」 京太郎「ずっとホテルでしたもんね、やっぱりこっちの方が楽ですよ」 エイスリン「ラクチン!」ニコニコ エイスリン「…………」カキカキ 京太郎「……」ジーッ エイスリン「キョウタロー?」 京太郎「何ですか?」 エイスリン「ツキ、キレイ?」 京太郎「確かに綺麗ですね、それが何か?」 エイスリン「"I like you"ハ『ツキガキレイ』!」 京太郎「そうなんですか?」 エイスリン「ナツメソウセキ!」 京太郎「へぇ、そんなことが」 エイスリン「キョウタロー、ツキガキレイ!」 京太郎「同感ですね」 エイスリン「エヘヘ……」 エイスリンの好感度が上がった! 【11月第1週 休日】終
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憩「おそいで、京太郎くん」 京太郎「えっ?憩さん?どうして……ここに?」 憩「へっへー、ウチだけやないでー」 照「……寒い」ガクガク 郁乃「レディーを待たせるなんて悪いオトコノコやな~」ムギュッ エイスリン「京太郎、ハヤク!」 咏「掃除なら言えば手伝ってやったのによ~」 霞「まあまあ、京太郎くんも来たことですし、仲良く帰りましょうね」 清々荘のみんなが、待ってくれていた 京太郎「みんなでお迎えなんて豪華っすね」 照「今日は帰ったらクリスマスパーティーだから」ムフー 郁乃「京太郎くんがおらへんやったら始まらんやろ~?」ムギュー 京太郎「い、郁乃さんは背中に抱き着くのやめてください」 郁乃「お姉さんの温もりが味わえるんやから満足やんか~」フニュッ 温もりとか意識したら、背中の柔らかい感触が…… とか思ってる間に、前からも何かが抱き着いてきた 咏「早く歩けよなー」ギュッ 京太郎「赤ん坊かよ……誰か助けてー」 憩「ほなウチは右手もらうなーぁ」ギュッ エイスリン「ヒダリテ!」 照「……霞、私は?」 霞「照ちゃんは私と手を繋いでいきましょうか」 照「ありがとう」ジワッ 京太郎「ちょ、なんで涙目になってんの」 照「決して京が構ってくれなくて悲しいから泣いたんじゃない、目が乾いただけ」 京太郎「はいはい」 ふと空を見上げると、そこは星で満ちていて、目を凝らしてみれば一条の光が流れたのが見えた 京太郎「……あ」 咏「どうしたんだぃ?」 京太郎「なんでもねー、早く降りろ」 咏「んだよー減るもんじゃねーんだしー」 咏「それによ、こんぐらい顔が近けりゃ……私の唇、奪い放題だぜぃ?」 京太郎「い・ら・ねー」 照「京、私のは?」 憩「う、ウチは……?」 エイスリン「…………」ジーッ えぇ、何この質問責め エイスリンさんまで物欲しげに見てるし…… 郁乃「私は~さっきの流れ星にお願いしたからええかな~」 郁乃「京太郎くんも見てたやろ~?何お願いしたん~?」 京太郎「な、何も願ってませんよ!」 郁乃「え~嘘や~ん」 エイスリン「ナガレボシ?」 憩「流れ星が落ちる間に三回お願いすると叶うんやって」 エイスリン「ホント?!」 照「そんなの迷信、お子様が信じること」 エイスリン「ゥ……」シュン 京太郎「たべっこどうぶつ食べてる高校三年生が何言ってやがる」 照「たべっこどうぶつは至高のビスケット菓子」 霞「ビスケットと言えば、今日はビスケット生地のチーズケーキとショートケーキを用意しておいたわよ」 京太郎「……誰が買いに行ったんですか?」 霞「みんな試合会場に行ってたから、華菜ちゃんに頼んでおいたのよ」 京太郎「華菜……?」 照「……誰?」 エイスリン「ンー……?」 憩「そんな子、ウチのクラスにおったっけ……?」 霞「それ、知ってるって言ってるのと同じじゃないの」 ……本当にわかんねぇ 咏「んで、何お願いしたんだよ」 京太郎「結局その話になるのかよ、ってか早く降りて」 郁乃「あ、また流れ星や~」 エイスリン「ワァ!」 照「…………」ブツブツ 憩「…………」 思いっきりお願いしてるじゃねえか あ、もう一個流れた 霞「今日は多いわねー」 照「こぐま座流星群だとか、久が言ってた」 京太郎「ああ、道理で」 京太郎「え゙っ、だったら今って」 咏「もうすぐ22時ぐらいじゃねーの、知らんけど」 京太郎「ぁ……なんかすんません」 霞「そんなこと気にしなくていいのよ」 照「みんなで帰りたかったから、そうしただけ」 エイスリン「サムカッタケド!」 咏「ま、流れ星も見れたし良かっただろ」 郁乃「せやね~こうして京太郎くんにもおぶってもろてるしな~」 京太郎「あんたもいい加減降りてください」 憩「ふふっ……みんなでずっと、こうしてたいなぁ」 言って、憩さんが眺めた星空には、幾つもの光が流れていた 高い建物の無い三箇牧では、空は果てしなく見えて、 みんなと繋がっていると、夜の闇も星の輝きも鮮やかに見えた ずっとこんな風にみんなで過ごしたい そう、聖夜の空を走る星に願った 霞「はーい、それじゃあみんな、準備はいいかな?」 「「「「「「「いいともー!」」」」」」」 霞「年末恒例、清々荘のクリスマスパーティーを始めまーす!」 エイスリン「カンパーイ!」 「「「「「「かんぱーい!」」」」」」 京太郎「ってかなんでチューハイとかあるんですか!未成年しかいないんですよ!」 郁乃「私の中身は大人やも~ん」フラフラ 京太郎「もう酔っぱらってる!?」 郁乃「せやから~京太郎くんに座らせてもらうで~」ストッ 京太郎「違うわ、この人いつもこんな感じだったわ」 郁乃「京太郎くんも一杯どうや?」 京太郎「遠慮しておきます!」 郁乃「も~京太郎くんのいけず~」 京太郎「行かず後家予備軍の郁乃さんよりはマシですぅー」 郁乃「京太郎くんが貰ってくれるから大丈夫やろ~」 照「」ピキッ 憩「」ピキッ エイスリン「」ピキッ 咏「」ピキッ 華菜「ハンバーグ食べないならカナちゃんが食べちゃうぞ!」 霞「じゃんじゃん食べて頂戴ね」 華菜「カナちゃんにお任せあれ!だし!」 照「京は私を養ってくれる、郁乃のものじゃない」 憩「京太郎くんはウチの病院で一緒に働くんですーぅ」 咏「京太郎は私とプロ入りして男女のトップになるんだよ!」 エイスリン「京太郎ハ、ワタシトクラス!」 京太郎「さっきも思ったんですけど、エイスリンさんの発音上手くなってませんか?」 エイスリン「ベンキョーシマシタ!」エッヘン 郁乃「エイちゃん偉いな~ご褒美にジュースあげるわ~」 エイスリン「アリガトウ!」ゴクゴク 京太郎「いや、ちょ、郁乃さん、それって……」 郁乃「照ちゃんも憩ちゃんも咏ちゃんも~」 京太郎「ストォーップ!」 霞「今日はこれでお開きね」 華菜「御馳走様でした!」 京太郎「ご馳走様でした」 郁乃「ごちそうさま~」 霞「私と華菜ちゃんはお片付けしてくるから、京太郎くんはその子たちの片づけをお願いね」 京太郎「えぇぇ……」 憩「きょぉたろぉくぅん……きもちぇぇで……」 照「すぅ……」Zzz 咏「だからそこで私が言ってやったんだよねぃ、にょれろーんってよ!」 憩「もっとぉ、もっと突いてぇ……」 京太郎(照は寝ちゃてるし、咏は狸の置物に話しかけてるし、憩さんの夢も気になるし……) エイスリン「京太郎、ンー」ズイッ 京太郎(エイスリンさんはずっと俺にキスしようとしてきてるし!正直魅力的過ぎてたまんないんだよ!天使か、天使なのかこの人は!) 咏「お前も話聞いてばっかじゃねーで何か話せよー!」ドカバキ 照「ぐごー」ポリポリ 憩「おなかのなか、いっぱいやぁ……」 京太郎(咏、なんであいつ置物と喧嘩してんだよ……照は服がめくれてアレだし、憩さんはもう既にアレだ) エイスリン「京太郎ぉー」ズイーッ 京太郎(そういや、俺今夜この人と寝るんだよな……) 京太郎(え?このキス魔と化したエイスリンさんと同じ布団ってぇことだよ……な) 京太郎(そんなん間違いが起きてもおかしくないよーな……) 京太郎(イヤイヤダメだ、ありえないだろ!) 京太郎(明日の朝からどうすればいいのかわっかんねーよ!) 京太郎(エイスリンさんのことは好きだけど、同じくらいに照も憩も咏も郁乃さんも好きだし、良子さんとかも……) 京太郎(誰か一人だけなんて選べない……よな」 郁乃「せやったらみんなを選べばええや~ん」 京太郎「ああ、そうかみんなでいいんだ!」 京太郎「みんなで暮らしてみんなでずっと幸せにいれば誰も不幸にならないよな!ハーレム万歳!よし、俺の将来決定!」 郁乃「おめでとさ~ん」 京太郎「ってちっがーう!」 京太郎「何それハーレムとかどうなのよ人間として!非常識にもほどがあるだろ!大体なんで俺の思考に語りかけてきてんですか郁乃さん!」 郁乃「まあまあ、この際みんな寝とるんやからお持ち帰りすればええやんか~」 京太郎「それは本当のゲスの考えです」 霞「あら、もうみんな運んできてくれたのね」 京太郎「照は涎垂らして、咏は暴れて、憩さんはエロかったです」 京太郎(エイスリンさんに首元にされたときはヤバかった……) 霞「京太郎くんには、将来の夢はあるのかしら」 京太郎「夢は……特にまだ」 霞「それなら、選択肢の一つとして考えていてほしいのだけど……」 霞「将来、ここに住んでみないかしら?」 京太郎「そっ、それはつまり霞さんと同居ということでよろしいのでしょうか!」 霞「そうじゃなくて、私の代わりに、ということよ」 京太郎「霞さんの代わりにここの大家さんになれ、ってことですか?」 霞「そういうこと、姫様が正式にお世継ぎになられたら、六女仙の私は呼び戻されることになっているの」 霞「ここ、案外住み心地もいいから、どうかしら?」 京太郎「では……一応考えておきますよ」 霞「よろしくね」 霞「あ、あと……」 京太郎「何ですか?」 霞「あの子たちの気持ちも、答えてあげるようにね」 霞「もう、気づいているんでしょう?」 京太郎「……あそこまで露骨にされれば気づきますよ」 京太郎「俺って、結構気遣い得意なんで」 京太郎「あっち側の気持ちはわかってるんですけど、俺がそれに応えられるかどうかわからなくて」 京太郎「女の子が泣く顔なんて、見たくないんですよ」 霞「気障な台詞ね」 京太郎「昔、ちょっとあったんで……」 霞「まあいいわ、話はそれだけよ」 霞「明日からは当分部活無しだから、ゆっくり休んで頂戴」 霞「それじゃ、おやすみなさい」 俺は惚れやすい男だ 照に笑いかけられれば胸がざわつく 初めて出会ったときの憩さんの笑顔がいつまでも忘れられない 咏がいない授業がとてつもなく退屈だった エイスリンさんの悲しそうな顔なんて、考えるだけでも嫌だ 郁乃さんの悪ノリに付き合うのがたまらなく心地よかった 良子さんや、怜さんや、咲、淡も たった八か月で惚れたのが九人もいるんだ、これを惚れっぽいと言わずして、何と言えばいいんだろう そして、俺の勘違いでなければ、みんなは俺に好意を持っている ……こう言うと、ナルシストみたいだけれど いつかはこの気持ちを整理しなければならない いつかはみんなの気持ちに応えなければならない ずっとこの関係のままでいたいけれど、いつか誰かいなくなる 来年の春には照とエイスリンさんがいなくなって、再来年には憩さんが…… みんなを繋ぎ止めるのに、どうすればいいのかはわからない 我ながら都合がいい考えだとは思う、ただの夢だ それでも時は進むし、人の心は変わっていく わからない未来や変えられない過去より、確実で、変えられる現在 俺はまだ、その夢を頭の片隅に置いて生きるしかない 俺には過去から未来を予想をする力も、暇もない、それほどまでに今を生きるのに精一杯なんだ だから、俺は―――― 京太郎「エイスリンさーん、入りますよー」 漢になる! エイスリンさんは制服のまま布団の上で既に寝ていた パーティーの途中で「アツイ……」と言って外していた第一ボタンと第二ボタンのおかげで白い上着の間からは肌色が覗いていて 横向きに寝転がっているものだから、こちらからはエイスリンさんのハイソックスに包まれたふくらはぎと太もも、そしてめくれかかったスカートが見えていた Q.彼女は天使ですか? A.いいえ、女神です 女神なら襲っちゃあいけないな、うん どれだけ今のエイスリンさんが性的であろうとも、漢として絶対に我慢しなければいけないのだ 霞さんにバレれば一巻の終わりであることは間違いない 何はともあれ、このままエイスリンさんを寝かせておけば風邪を引いてしまうかもしれないので、起こしてみる 鎖骨の上辺りを叩いて、優しくエイスリンさんに呼びかける これは中学の頃に救命講習で教わったものの応用技で、これを使えばほぼ確実に相手は起きてくれる必殺技なのだ 二回目に呼びかけたところでエイスリンさんが徐に瞼を開けた エイスリン「京太郎……?」 京太郎「制服で寝てたら風邪引きますよ」 京太郎「俺もシャワー浴びてくるんで、その後で一緒に寝ましょう」 エイスリン「ネ、ル……?」 エイスリンさんは可愛らしく小首を傾げて思案すると、急に頬を赤らめて小さく口を開いた エイスリン「京太郎……イッショニ、ハイル?」 Q.彼女は天使ですか? A.いいえ、女神です 京太郎(いかんいかんいかんいかん!)シャアー 京太郎(エイスリンさんに魅せられたら駄目だ!)シャァー 京太郎(間違いなど起こしてたまるものか!)キュッ 京太郎(お互いにシャワーを浴びる、ということで逃げてきたけど……) 京太郎(風呂上りのエイスリンさんの隣で寝れるのか、俺?) 京太郎「」ブルッ 京太郎「……寒いな」 京太郎「パジャマ、パジャマー……」 近藤さん「…………」 京太郎「……………」 京太郎(……あー、買ったなー、こんなの) 京太郎(間違えて買っちゃったんだよなー) 京太郎(まあ、二度あることは三度あるって言うし、俺とエイスリンさんが間違いを起こすことだって十分有り得るわけで) 京太郎(だったらこいつを持って行っても悪いことは無いよね!) 京太郎(って、あるから!悪いこと思いっきりあるから!俺悪いことする気マンマンじゃん!下心しかないじゃん!) 京太郎(近藤、お前の出番はまだ後だ……) 近藤さん「…………」 京太郎「…………」 近藤さん「…………」 京太郎「…………」 京太郎(迷う!) 近藤さんと共に、俺はまたエイスリンさんの部屋の扉を叩く 年末ともなると、寒さは日に日に増していくばかりで、夜であれば殊更のものだった 俺は自分自身の深層心理を悟り、近藤さんをポケットに潜めていた 使わない、使わないけどね 三回目のノックをしようかとしたところで、シャワーを浴びていたら返事ができない、ということに気付き、ドアを開ける 部屋にはシャンプーの香りが漂っていて、奥の浴室からはまだシャワーの音が聞こえる 自室から持ってきた布団をエイスリンさんの布団の隣に敷いて、エイスリンさんが上がるのを待っている間、勉強机に目をやる 机の上にあったのは国語用のジャポニカ学習帳と漢字ドリルだ。名前欄には不慣れな平仮名で持ち主の名前が書かれている 内容は気になったが、見るのは紳士的でないのでやめておくことにする 特にすることもないので、布団の上で寝転がり、今日の出来事を整理する 朝は郁乃さんを連れ戻すために謎の組織のアジトに乗り込んだ 昼はエイスリンさんと遊んで、この約束をさせられた それからプロ・アマ交流戦が始まり、俺たちは見事優勝することができた そして、華菜さんを除く清々荘のみんなで帰って来た クリスマスパーティーはどんちゃん騒ぎで、霞さんの手料理はいつも通りおいしく、郁乃さんの酒で照たちは酔っ払いと化した などと思い出していると、耳元にゆっくりと足音が近づいて来たので目を開けて声をかける 京太郎「エイスリンさん……っ!?」 エイスリン「……?」 とろん、と微睡んだ眼で俺の顔を見下ろすエイスリンさんは、桃色の下着以外に何も纏っていなかった 京太郎「どうしてあなたは下着しか着けてないんですか!」 エイスリン「ふぁ……」 京太郎「聞く気ないだろこの人」 エイスリン「京太郎、エランデ……」 いや、選んでって言われましても…… とりあえずタンスの中身を見てみよう 京太郎「普通のパジャマに、猫耳つきの可愛いパジャマ」 京太郎「んで、これは確か、ネグリジェ?にベビードール?」 京太郎「……すっけすけじゃねえか」 京太郎「エイスリンさん?これらは一体どこで買ったんですか?」 エイスリン「……イク……ノ……」ウツラウツラ 京太郎「やっぱりか……」 エイスリン「きょうたろ、きょうたろ……」クイクイッ 京太郎「どうしました?」 エイスリン「きょうたろうノY-shirtキタイ……ダメ?」 京太郎「えっ」 京太郎「えっ」 京太郎「……えっ?」 京太郎「Yシャツって俺の、ですか?」 エイスリン「……」コクン 京太郎「了解……です」 部屋からYシャツを持ってきて、下着姿のエイスリンさんに着せてあげた。もちろん、心臓に悪いのでボタンはしっかり締めた エイスリンさんの酔いは大分醒めてきたらしいが、眠そうで蕩けた顔をしている その蕩けた顔で微笑みながらドライヤーや歯磨きを頼まれて断る男はいないだろう、少なくとも俺はそうだった 組んだ脚の上にエイスリンさんを乗せてドライヤーをかけている間、ゆっくりと左右に傾く頭が可愛かった 膝の上に頭を乗せて歯磨きをしてあげているときも、「アー」「イー」と声を出しながら歯を開く様子が可愛かった 子どもができたらこんな風なものなのかな、と将来の家庭を想像しながらエイスリンさんを寝かしつける 将来の嫁さんと、寝かせたわが子を挟んで、他愛もないことを話して、一緒に笑って寝る ああ、いいな、これ最高、最高に平和 京太郎「まあ、こんなこと考えても寝れるわけないんだけどな……」 隣のエイスリンさんが立てる静かな寝息が耳にほのかに触れてくすぐったい それ以上にエイスリンさんは寝ながらも俺の右脚に両脚を絡めて来ているのがまずい、非常にまずい エイスリンさんの太ももは竜華さんほど肉付きが良いわけではないのだが、丁度よく柔らかく、丁度よくすべすべしていた 女の子の肌を触るだけで興奮してくるのってなんだろうねあれ とりあえず、もう一度適当なことを考えながら寝ることに挑戦する テーマは巨乳と貧乳の感度について、よし、頑張ろう 京太郎「寝れない……」 かれこれ一時間ほど思考を続けた結果 京太郎(それならエイスリンさんの胸を触れば済むんじゃないか?) 京太郎(触っただけで起きたら感度良好、B地区まで触っても起きなかったら感度悪し) という疑念を持ったまま眠れずにいた 体力的にも精神的にもすっかり疲れているはずなのに何故眠れないのか ……そういうことを考えてる時に限って眠くなってくるんだよね 腰のあたりに重みを感じたので、目を見開く 窓からは優しい月明かりが注ぎ込まれているおかげで眼が部屋の暗さに慣れるのにそう時間はかからず 重みの正体も、すぐに目視することができた 京太郎「……エイスリン……さん?」 俺の腰に乗っていたのは、裸Yシャツのエイスリンさんだった 京太郎「えっ、ちょっ、何すか」 エイスリン「京太郎ハ……ワタシ、スキ?」 胸が、チクリと痛んだ その問いにしっかりと答えられない自分に嫌気が差す 京太郎「……まだ、酔ってるんですか?」 エイスリン「ソウ、カナ……」 エイスリンさんの秘所が、俺の息子の上で少し動く 布越しで 京太郎「俺だって男なんですから、襲われたって知りませんよ」 京太郎「いいですか、エイスリンさん」 京太郎「そうして誘っていいのは、あなたの彼氏に対してだけ、です」 淡のときのような二の鉄を踏まないように、エイスリンさんを説得する このままでいれば、彼女を襲ってしまいかねないからだ 俺の気持ちを隠しながら、突き放すように言う エイスリン「…………」 京太郎「布団に入らないと、風邪引いちゃいますよ」 肩を抱いて、そう促す 月光に照らされたエイスリンさんの顔は、憂いを浮かべているように見え、気づかぬ間に、その顔が近づいてきていた 閉じられたエイスリンさんの目が迫ってくる そして、エイスリンさんの柔い唇が、俺の唇と繋がった 背中の力を抜いて、布団に倒れこむと、繋がっていた唇が離れる 気付くと、胸の上ではエイスリンさんがまた寝息を立てていた 京太郎「……寝ぼけてたのか」 状況を確認、納得、目を閉じて、俺もまた眠りに落ちていった こうして、俺の長い一日が終わった 【冬休み 11日目】終 番外編の【12日目】 野菜を刻んだ包丁がまな板を叩く音 鍋の中で沸騰するお湯の音 測定が終わったことを知らせる体温計の音 それに表示された数字を見て嘆息する音 エイスリンさんよりも先に目覚めた朝、俺は風邪を引いていた 頭に痛みが走り、喉が焼けるように痛くて、寒気がして、頭が熱くて、なんかもういろいろと酷かった とりあえず最後の力を振り絞ってエイスリンさんが起きないように自分の部屋まで撤退したわけなのだが…… 朝 憩「何度やった?」 京太郎「38度2分です」 憩「酷い声やねぇ、昨日は夜更かしでもしてたん?」 京太郎「いや、寝付けなかっただけですよ、けほっ」 憩「無茶はせんようにねぇ」 京太郎「わかってます、けほっ、けほげほっ、げほっ、ぐへおぁっ!」 憩「風邪のときは生姜を煎じたお茶を飲めば、身体があったまるんやで、はい」 京太郎「すいません」 憩「あとお粥と、お味噌汁やで、ゆっくり食べてな」 憩「……あ!」 京太郎「どうかしたんで、けほっ?」 憩「えっとな……」 憩「あ、熱いから、冷まそか?」 京太郎「そんな、わざわざいいっすよ」 憩「喉潰れてるから何言ってるんかわからないで」 憩「ほな一口目……ふー」 京太郎(憩さんの顔、こんなに近くに) 京太郎(顔も、唇も小っちゃいし……可愛い) 憩「はい、どうぞ」 京太郎(……そう簡単には食べさせてくれない、か) 京太郎「んっ……」モグモグ 京太郎(こっ、これは……っ!?) 京太郎「おいしい!」テーレッテレー 憩「お、おいしい?ほんま?」 京太郎「おいしいですよ、野菜も小さくて食べやすいです」 憩「それならよかったわぁ、ほな二口目やねぇ」 京太郎(一口ずつこんなことしてたらかなり時間を食うんじゃないか……?) 憩「~♪」 京太郎(朝食を食べ終わった後、俺はこうして寝かされていて、憩さんは食器を洗っている) 京太郎(そんでその尻はこっちを向いて踊っている……) 京太郎(やばっ、鼻血出そう) 京太郎(……そういや、なんか忘れてるような) 京太郎「……」モゾモゾ 京太郎「!」 京太郎(いない……!) 京太郎(近藤さんが、いないんだ……っ!)ガバッ 憩「きょ、京太郎くん?」 京太郎「すいません、憩さん」 京太郎「俺には、行かなきゃいけないところがあるんです!」 憩「風邪はひき始めが肝要なんやから、寝てた方がええって!」ガシッ 京太郎「大丈夫です、風邪は学校を休むように都合よくできているのだから!」ウゴゴ 憩「鼻声で言われても信じられんわ!」ギューッ 京太郎(……うっ、頭が) 京太郎(クラクラする……) 京太郎(倒れる……前に憩さんがいるのに) 京太郎(このままじゃ……) ドスン 京太郎(……うわーい) 憩「京太郎くん……大丈夫?」 京太郎「あはは……」 京太郎「…………すみません」 憩「何に急いでるのか知らんけど、無茶はせんようにな」 京太郎「……はい」 京太郎「痛かった、ですよね」 憩「いきなり押し倒されたら、そら痛いやろ」 憩「……まあ、京太郎くんの顔を近くで見れてよかったわ」 憩「……風邪の人、って脈が少し速くなって、呼吸も少し荒くなるらしいんやで」 憩「今のウチは、京太郎くんに負けへんくらいドキドキしてるんや」 憩「なんでか、わかるか?」 京太郎「それ……は……」 憩「…………」 エイスリン「京太郎、ドウシタノ?」 エイスリン「……ケイ?」 エイスリン「京太郎、ケイ、ドウシタノ?」 エイスリン「ダキアッテル、ミタイ」ゴッ 京太郎(エイスリンさんの背後からどす黒い何かが!?) 憩「京太郎くんが倒れてきたんやで、あはは……」 京太郎(憩さん思いっきり苦笑ってるし……ここ、退かないと) 京太郎「二人とも、そんな心配しなくても大丈夫ですから……」 エイスリン「京太郎、キノウイッショニネタ」 憩「……は?」 京太郎(あ、これアカンやつや) 憩「京太郎くん、どういうこと?」ゴッ エイスリン「ドウイウコト?」ゴッ 憩「たーっぷり、お話聞かせてなーぁ」 京太郎「お、俺、病人なんだから、もうちょっといたわりましょうよ」 エイスリン「 」ニッコリ 京太郎「え、いや、ほんと、怖いですって」 憩「正座」 エイスリン「ハヤクシロ」 京太郎「嘘だろ……」 京太郎「もうすぐ昼か……」 京太郎「いいとも、もうすぐ終わるんだよな……」 京太郎「風邪と言えばストレッチマンと笑っていいとも、ドラマの再放送だったのに……」 京太郎「……もういっちょ寝よ」 コンコン 京太郎「……はー、けほっ、げほっ」 京太郎(誰だろ?) 昼 霞「お昼を作りに来たわよ」 京太郎「そんなこと、しなくていいのに……」 霞「いいのよ、することもなかったからちょうどよかったわ」 霞「ほら、病人さんは寝てなさい」 京太郎「……はい」 京太郎(やっぱり霞さんの割烹着姿は安定だな) 京太郎(憩さんのエプロン姿ももちろん可愛かったけど、この年齢不相応な安定感が他とは違うんだよ) 京太郎(おっぱいは全国でも最大級……ヤれたらヤりたいよなぁ) 霞「鼻の下伸ばして、どうしたのかしら?」 京太郎「な、なんでもありませんよー」 京太郎「って、もうできたんですか?」 霞「簡単なおうどんよ、どうぞ」 京太郎「じゃあ、いただきます」ズズッ 霞「どうかしら……?」 京太郎「おいしい!いやーやっぱり……」 京太郎「霞さんの作る料理はおいしいですよ!」 京太郎「この間の鍋焼きうどんももちろん、このうどんもおいしいです!」 京太郎「黒七味も丁度よくあってますし、野菜も特にこの白菜は堅すぎず軟らかすぎずシャキシャキで、そんでもって甘い!」 霞「もうすっかり元気になってきたみたいね」 京太郎「朝から憩さんのお粥食べて、寝て、霞さんのうどんを食べたんで、元気いっぱごほっ、げほっ」 霞「食べ終わったらしっかり風邪薬飲んで寝なさいね」 京太郎「はい……」 霞「あと、りんごを剥いておいたのと、みかんを置いておくから食べて頂戴」 霞「冷蔵庫にはポカリスエットも入ってるから、喉が乾いたら飲んでね」 京太郎「本当にありがとうございます、霞さんが大家さんでよかった……」 霞「もう、現金な子ね」 京太郎「霞さんみたいに家庭的な人と結婚したいと思いました!」 霞「そう言ってしまう辺りが軽いのよねぇ」 京太郎「いやーそれほどでもー」 霞「まったく褒めてないわよ」 霞「それじゃあ私は戻るから、何かあったら連絡して頂戴」 京太郎「はーい」 京太郎「りんごおいしかったなー」 京太郎「うさぎりんごがある辺り霞さんらしいや」 京太郎「つーわけでもう三時くらいだけど……やることないなー」 昼2 京太郎「あっ!」 京太郎「近藤さんを奪還するのを忘れていた!」 京太郎「なんという不覚……!」 京太郎「なんとしてでも奪還しにいかないと!」ガチャ エイスリン「京太郎?」 京太郎「エイスリン……さん」 京太郎(つい勢いを失ってエイスリンさんを上がらせてしまった!) エイスリン「…………」モジモジ 京太郎(エイスリンさんは何やら落ち着いていない様子……正直気まずい) 京太郎(人差し指同士をくるくる回したり、目を泳がせたり、ときどき脚を組み替えるのは可愛い) 京太郎(でも気まずい) エイスリン「京t「エイスリンさん」」 エイスリン「ア……」 京太郎「う……」 エイスリン「…………」 京太郎「…………」 京太郎(ちょー気まずい) 京太郎(かなり気まずい) 京太郎(めちゃ気まずい) 京太郎(字余り) 京太郎「エイスリンさん、先、どうぞ」 エイスリン「ウン……」 エイスリン「京太郎……コレ」 京太郎(近藤さぁぁぁぁぁああああん!) エイスリン「Internetデシラベタ」 エイスリン「京太郎…………」カァァ エイスリン「……」ウルウル 京太郎(い、今にも泣きだしそうじゃねえか……) 京太郎(多分、調べている最中に変な動画を見てしまって……) エイスリン「……ワタシト」カァァ エイスリン「……ワタシト、シタイ?」 京太郎「えっ」 エイスリン「京太郎……コレツカッテ、ワタシトシタカッタ?」 京太郎「えっ」 エイスリン「……ワタシ、イイヨ」 エイスリン「京太郎、ナラ……」カァァ 京太郎(何これおかしくない?普通だったら赤面ビンタになるレベルだよね!?) 京太郎(それがどうしてこんなピンク色の方向へ進んでいるの?) 京太郎(きっとどこかで郁乃さんが見張っているはず!) 京太郎(そしてドッキリ大成功とか言って飛び込んでくるはず!) 京太郎(こんな天使でも、心の裏では小悪魔なはずだ!) エイスリン「ふぇふぁふふぁふぃふぁへへほ、ひひほ?」(滅茶苦茶にされても、いいよ?) 京太郎(小首を傾げつつ咥えゴムで誘ってくる天使なんて聞いたことねえよ……) 京太郎「え、エイスリンさん?」 京太郎「初めては痛い、って言いますし、ゴムをしてても妊娠する可能性があって、もしそうなったらお互いに損なことにしかならないですよ」 エイスリン「京太郎ノコドモ、ホシイ」 エイスリン「京太郎ノコトスキナノデ、京太郎トシタイ」 エイスリン「コレデモ……ダメ?」スッ フニッ 京太郎(俺の右腕が、控えめな谷間にーっ!?) 京太郎(服越しだけど、Tシャツ越しだけど!) エイスリン「ドキドキシテル、ワカル?」 エイスリン「……シテ、ホシイノ」 エイスリン「…………」カァァ 京太郎(こんな、こんなことされたら……) 京太郎(こんなの…………っ!) 顔を朱に染めながら、自分を誘うエイスリンさんを前に、俺に理性の歯止めがかかることはなかった なされるがままに押し倒され、昨夜ぶりの唇に触れる エイスリンさんが目を閉じているのを見て、こちらも目を閉じて、軽く互いの唇に触れあう そんな優しい口づけを何度も繰り返す エイスリン「っ……ヘヘ……」 照れくさいのか、ときたま口を離した際に笑いかけてくる それに応えて、頭を優しく撫でてあげるとくすぐったそうにまた微笑む 今度は俺の方から迫り、唇を触れ合わせる エイスリン「んっ、っ……!?」 エイスリンさんの唇に舌を這わせて、小さな蕾の中へ滑り込ませる 柔らかくて、少しざらついている舌に、俺の舌を絡ませて、幾度となくエイスリンさんの唇の中を蹂躙する 京太郎「れろっ、んっ、ちゅっ……ぷはっ」 エイスリン「んっ…………」 息が苦しくなってきたので、唇を離す 下に突き出た小さな舌から、上を向く口の中へと唾液が一筋の糸となって零れ落ちる 冬の夕日に照らされて金色に輝く糸を見て、 京太郎「これ、本当に俺たちが繋がってるみたいですよね」 エイスリン「……ウン」 ……呟くと、またエイスリンさんははにかんで答える いつものエイスリンさんは元気な少女だ だが、最近の彼女は……俺が見る姿は、どこか物憂げで、彼女らしくないと思ったこともあった しおらしい彼女は正直アリだと思ったが、それと同時に、あんな彼女は見たくないとも思った 涙を流す彼女も、下を向く彼女も、絶対に見たくないと思った その気持ちがきっと、俺からエイスリンさんへの好意の証だったんだろう、とようやく自覚できた 俺は、エイスリンさんが好きだ ……だから、ここから先の行為には責任を持たなければならない 自分に言い聞かせて、承諾した そして、ディープキスを数回繰り返したあと、エイスリンさんの肩を持ってタンマをかけた 私と京太郎は、フトンの上で向かい合ってセイザをしていた 二人ともハダカになって、私は恥ずかしくて京太郎の顔が見られなかった 顔を下げていると、必然的に京太郎のコックが目に入ってしまう 昼に見た動画を思い出して、また顔が熱くなって、逃げ出したくなっちゃう だけど、これに京太郎を誘ったのは私、京太郎としたいと思ったのは私だということを思い出す ここでは私の方が年上で、オネエチャンだから、リードしなくちゃいけないんだ 張り切って、京太郎にヨツンバイで近づいてコックを触ると、「あっ!」と変な声が聞こえた エイスリン「京太郎、キモチイイ?」 京太郎「エイスリンさんの手が冷たくて……はい」 エイスリン「エヘ」 彼を悦ばせられたわずかな達成感に、思わず笑みがこぼれる 動画で見た通り、コックを上下に扱いていると、見る見るうちに赤く、大きくなっていった エイスリン「京太郎、イタクナイ?」 京太郎「むしろ気持ちいいですよ」 彼に頭を撫でられるのはいつもくすぐったくて、京太郎の優しさを感じられる それが嬉しくて、私はいつも目を細めて笑いを返してあげる。そうすると彼も私に微笑み返しをしてくれて、それがまた嬉しいと思うんだ 京太郎「そろそろ……挿れましょうか」 エイスリン「……ウン」 ゴムに包まれた京太郎のコックはジョーギみたいに長くて、太くて、大きかった これが私の中に入るのかと考えると、とても恐くて、不安になった 京太郎「ここまで濡れていれば大丈夫ですよ」 エイスリン「ひゃっ……京太郎!」 京太郎のコック……日本語でちんちんを扱いている間に、私の……股、から液が溢れ出ていた そこをいきなり触られて、怒ってしまう 私がエッチだと言うかのように、京太郎が触って来たのが恥ずかしかった……から エイスリン「京太郎、ウゴケル?」 京太郎「できればエイスリンさんが動いてくれると助かります」 エイスリン「ワカッタ……」 アグラをかく京太郎を抱きしめられるように、脚の上に座って対面する 京太郎「これ、対面座位って言うんですよ」 エイスリン「タイメン、ザイ?」 京太郎「はい、この体位ならお互いの顔が見れるんですよ」 エイスリン「……コレデ、ウエカラ」 京太郎「恐いですか?」 エイスリン「……ウン」 京太郎「……俺が付いているから、安心してください」 京太郎「エイスリンさんが決めるまで、こうしていますね」 私の恐怖心と不安を察してくれた京太郎が優しく抱きしめてくれる オトコノコらしい硬い筋肉が私を包んでくれる 京太郎はいつも気遣いが上手で、私に優しくしてくれる 私は彼のそんなところが大好きなんだ 京太郎の胸元で深く息を吐いて、上に顔を向ける エイスリン「ガンバル!」 エイスリン「んっ……ひっ、うぅ……」 お腹の中に、何かが入り込んでくる感じがする 股が張り裂けそうに痛んで、とても苦しい エイスリン「んっ、ん~~!」 京太郎「大丈夫っ、ですかっ?」 エイスリン「ダイジョウブ……んっ!」 痛みに耐えながら、京太郎を私の奥まで迎え入れる エイスリン「はぁ……はぁ……っ!」 京太郎「落ち着くまで、深呼吸してください」 エイスリン「っ……ふぅ……」 京太郎「……よく頑張りましたね」 京太郎が、ずっと年下の子を褒めるようにほっぺを撫でてくれる その新しい心地よさに痛みもいつの間にか少しだけひいていってくれて、少しだけ楽になった これでやっと、京太郎を悦ばせることができるんだ エイスリン「……ウゴクネ」 私はそう言って、ゆっくりと腰を上下させた 京太郎に抱かれて身体を動かすのは気持ちが良かった おなかの中では京太郎のちんちんが擦れ、身体がムズムズするような感覚が湧いてくる それに加えて、京太郎と抱き合って体を密着させているから、私の胸が京太郎の厚い胸板になすりつけられて、先端に快感が生まれる 風邪を引いている京太郎は苦しそうだけれど、私を優しく抱きしめてくれている そのおかげか、京太郎の、胸の下から響く早めの鼓動と、真っ赤な唇から吐き出される荒い吐息を感じられる エイスリン「きょぅ、たろぉ……」 わからないようなおねだりを、京太郎に唇を向けてしてみる 下の口では足りないから、上の口も満たしてほしい 京太郎「わかってますよ」 私の意思が通じたのか、京太郎が私の顔を抱いて、唇を密着させる そのまま京太郎の舌が私の中にまた入り込んできて、私もそれに舌を絡め返してあげる これで完全に京太郎と繋がっているんだ 他の誰にもしたことのない初めてを、京太郎にしてもらった それが嬉しくて、満足感を抱いた そうしてトースイしていると、唇が離された エイスリン「っは……」 エイスリン「京太郎……ナンデ……」 京太郎「いえ……少し、俺も動けるかと思ったので」 京太郎「ここからは、俺に任せてください」 私が答えるよりも先に、京太郎はまた、私の顔を抱き寄せた 私たちの呼吸が共有されるのと同時に、下からおなかが押し上げられた 京太郎の動きは激しく中を刺激して、唇の中も同じくかき乱される 唇の間から漏れた唾液が身体の合間に落ちて、その感覚が私の快感を加速させる 中でも、おなかの奥まで突かれのがとても気持ち良くて、次第に私も動くのを再開した ―― 傾く陽の光が満ちる部屋には、二人が奏でる水音が響いていた エイスリンさんの愛液が、俺の肌で弾かれる音 舌に絡みつく互いの唾液が、唇の間から発する音 零れ落ちた唾液と滴り落ちる汗が源となり、身体が動く度に打ち出される音 目が滲む代わりに、聴覚だけが優れていく エイスリンさんの髪の匂いがしなくなっていく代わりに、皮膚に伝わる感覚が強調されていく 京太郎「エイスリンさん、大丈夫ですかっ?」 エイスリン「きょぉたろぉ……フシギ」 エイスリン「スゴク、キモチイイ……アト、チョット」 京太郎「……そう、ですか」 腰の動きを早く、力強く、エイスリンさんの奥へと押し付ける ピストン運動の速さに比例するかのごとく、エイスリンさんから預けられる重みが増していく エイスリンさんが感じているフシギな感覚……それは…… 京太郎「エイスリンさん、それ、何て言うか教えてあげますよ」 エイスリン「はぁっ、はぁ、ナ、ニ……?」 京太郎「イクっ、って、言うんです、よっ!」 自分の絶頂とともに最後の一突きをエイスリンさんに打ち込む エイスリン「ああっ、あぁぁぁあぁっ!」 自分の息子が膨張し、ゴムの中へ吐き出すのを感じながらエイスリンさんも絶頂する様子を観察する エイスリンさんの身体は痙攣して、膣口から大量の愛液が吹き出していく 胸にもたれかかった顔は今までにないほど紅潮して、呼吸もままならないようだ 京太郎「ッ――――!」 頭が、くらくらする ああ、そうか ……俺 風邪、引いてたんだっけ ドサッ エイスリン「はぁ、はぁ」 エイスリン「んっ……はぁ」 エイスリン「京太郎……?」 京太郎「」 エイスリン「ネチャッタ?」 エイスリン「…………」ジーッ 京太郎「」 エイスリン「umm...」 エイスリン「京太郎、ネテルンダヨネ?」 エイスリン「ソレ、ナラ、モウスコシ……」 エイスリン「ヤレルダケヤッテミヨウカ!!」 _,、= ニ;‐、、--――‐y、,_ ,,r;;;;''''=―--、、,_ /´ ヽ,ヽ,.゙'l,.゙Y;--',r'゙'ヾ;'V.j /∠,,.r_;'゙-‐-,<゙゙ヽ,'i、'‐、, ./_ .,,_j ゙l l,. Y/゙'ヾ、;、ノ,r;'| /jフ,r-、ヽ、 _,, .゙'ー;゙' ーi,. |'i, j.ヾ! ト‐! | .| .|,_ ./,.〈. 〉| ./ .(゙ _>゙'゙ r''゙´'i,゙l, ,j レ! .| | .|il, __ j .j゙ .l ト,゙',/ j.゙ r;| .レ'゙''‐ニ'''゙r''゙´ .゙l,ヽ,. ,ノ ゙ r''1.jノ .|.l,゙l, ゙ー゙.ノノ / / ゙l ゙l,ヽr',r'l ゙;| .ト、,. /./´゙ヽ;.、 ノ ,゙rッ .,Y';V | l,.゙ヽ--'゙ ,ノ / l, ゙'゙,,.l, ,j ゙| l,ヾ,、--、,,,、'_, r''゙ l / li,;) l,. ゙'i, / ,rシ-、,ィ) l,゙i,V/゙j゙ /゙,,、、、,_ ゙\!.レ゙ .| Y゙ ゙l゙i,・ヾi, ,/ィl、・_ノ ,; ゙シ'i.l,ノ ./゙ \ ゙Y .l / | `ラ´゙'''´ ''"'´ .| | .r'`V'''" ̄`゙ヽ、 ゙'i, |. ' / ゙'i, .j |./ ∧、, ゙̄ヽ、. \ ゙l. |\ ./ ゙i,. r、,,,.、,_ / ノメ、 .j |ヾヽ,゙'ー---‐'''''ヾ-、,‐' .゙i,ヾ'-'ニワ. / ./ノ .V j゙ |'i,. ヽ;-‐-、,_ __ .. / l,〈` //‐'´ ./.ヽ/ .j.ノ . ヾ、; ) ゙'i `ヽ、 / |ヾ‐;<;/__,、r'´ ./ .)='゙ .. ,ソ .( _,,r‐''゙⌒`゙ヽ、, / l; Y゙人゙l; . .,/,r'ニ゙ _,、r''´ .. ゙ヾ、 ヽ, l /,r | j‐゙''l; ゙ニー‐'゙ (`l.(_,r‐'''゙´__,, .... .`ヽ、,.... .. ゙l, .!. .l゙l゙レ' ‐゙ | ト;゙i,l、ノ,r;;'ニ゙/´゙Y .,r'゙ ̄ ..... .゙ヽ、 l, | 'ー;l.'i,.l゙ ,j 'シ'‐-ヘ;'V゙./ ゙l, ヽ, ...... ..ヽ, ゙l .|._,rラl,.| / ,i l, .ノ , ゙i, .゙ィ,.レ' .゙l, .| / / ゙l l,゙l,/./ .l, l, ././ .゙l,゙l、 /.,ィ´ ,.r''ニ'' ヾ, . l, j゙ .,rl´.'-‐ニ, .,、 L,,,,,゙l, V / ヽ,゙'´/.| .l゙/;=iミ;゙'i,. [ . Y゙ .,r',、 「゙´ | .| jヾ、--、ヾl, /,、 ゙l,.゙l、-';j;ノ ゙レ゙lj゙ ........ | / ./.| .レ-‐' 'ソ l,゙l, ./.∧、ヽ、,,/,/,,゙'i,,゙L、‐'゙ / // j゙ レ '二i .i''゙゙´| .| )、V.l゙ ゙l,.゙'V / ゙'i, ゙V゙ /ノ゙ /゙L,___,,,_ l..゙T´ .| | ,.| .| / ゙'i,゙l, `i , l, 〉,,.〈/ .ヽ、,,,,,、、-―‐-、ヽ、 .. . / 京太郎「ふぁぁ……」 京太郎「……外、暗いな」 京太郎「時間は……もう19時!?」 京太郎「風邪のときに童貞卒業してそのまま気絶……か」 京太郎「全裸だけど布団までかけてくれてありがたい」 京太郎「……俺、エイスリンさんとヤった、のか」 コンコン 京太郎「はーゲホッゲホッ!」 咏「よっ、元気かぃ?」 京太郎「あぁ、段々よくなってきたよ」 咏「そっかそっか……ん?」 京太郎「どうした?」 咏「イカでも焼いてんのか?イカ臭えけど」 京太郎「バッ!ま、まあな、霞さんがスルメイカ持ってきてくれてたんだよ、あーおいしかったー」 咏「ほへぇー……ならいいけどよ」 京太郎「で、何しに来たんだ?」 咏「あー、そうだった」 咏「晩飯食わね?」 京太郎「おう、いいぜ、何作って来てくれたんだ?」 京太郎「へぇー、これがサムゲタンか」 咏「そーそー、一日中暇だったから挑戦してみたってわけよ」 京太郎「薬膳料理で体にいいんだっけか、わざわざ俺のために調べてくれたのか?」 咏「ちっ、ちげーよ!たまたま、たっまたま暇だったから作ってみたんだっつーの!」 咏「たまたま買い物に行こうと思ったら霞に会ってお前のこと聞いて、そんでたまたま材料が売ってたんだよ!」 咏「わかったらとっとと食えよ京太郎」 京太郎「そんなとっとこハム太郎みたいに言われてもなぁ」 京太郎「まあいいや、いただきます」 咏「なあ、美味いか?」 京太郎「まだ食ってねえよ」 咏「そうだったよねぃ~」 京太郎(何言ってんだこいつは) 京太郎「なあ、お前どうしてそんなに元気そうなの?」 咏「どうして、ってそりゃあ、まあ……」 咏「京太郎とこうしてると、夫婦みたいかな……って」カァァ 咏「あっ、ししし知らんけど!」 京太郎「あー……確かに」 京太郎「けど俺と咏の子どもってどうなんだよ、絶対小っちゃくなるじゃんか」 咏「うっせー!私はまだまだ発展途上なんだよ!」 京太郎「…………」モグモグ 咏「せめて一言返してくれよ!?」 京太郎「…………」ゴックン 咏「ど、どうだった……?」 京太郎「これは……」 京太郎「うまいな」 咏「反応薄くねーか?私の気のせいか?」 京太郎「いや、疲れたっつーか、まだ元気出ない」 咏「んーそうかぃ……」 京太郎「けど、こんな晩飯だったら毎日食べたいな」 咏「ひゃぇっ?」 京太郎「もちろんサムゲタンじゃなくて、だぞ」 咏「わっ、わーってるよ!このスカポンタン!」カァァ 咏「そんなに作ってほしかったらいつでも作ってやるよバカ!」 咏「そんときは!……そんときは……また、二人で食おうな」 京太郎「おう、楽しみにしてるぜ」ニカッ 京太郎(つーわけで食後なんだけど……) 咏「~♪」シャー 京太郎(なんかデジャブだ) 京太郎(憩さんはあの小ぶりなお尻を振ってるのが良かった) 京太郎(咏はちょくちょく背伸びしようとしてつま先立ちするのが可愛いな) 京太郎(咲とかモモと一緒だとあいつらも料理上手くて三人で作って三人で片づけてたから、こんな風に後ろから見ることはあんまなかったんだよな) 京太郎(そう考えると、新鮮だ……) 咏「あ、うわわっ!」 京太郎「……え」 咏「京太郎、危ねぇ!」 京太郎「ナ、ナベ……?」 京太郎(えっ、なんで鍋?咏は自分の部屋で作って来たんだよね、じゃあなんで鍋なんか落ちてくるの?) 京太郎(それっておかしくねぇ?) 京太郎「ずがーん」 咏「京太郎ぉー!!」 京太郎「」ピクピク 咏「京太郎、おい、京太郎!」ペチペチ 京太郎「」チーン 咏「京太郎ぉぉぉぉぉおおおおお!!!!」 京太郎(起きたら咏に泣いて謝られた) 京太郎(痛かったのは確かだけど、こっちも申し訳なかったから) 京太郎『泣き止まねえと舌入れてキスするぞ』 京太郎(って言ったらしばらくフリーズして泣き止んだ……はぅっ!)ズキッ 京太郎「たんこぶできてるよ、まったく」 京太郎(なんで今日はこんなに疲れるんだ?) コンコン 夜 憩「お邪魔するなーぁ」 京太郎「とはいっても、何しに来たんですか?」 京太郎「夕食ももう食べましたし、憩さんの手を煩わすようなことは何もないはずですが……」 憩「京太郎くんは冷たいなぁ、用事がないと来たらあかんの?」 京太郎「いやいや!そんなことはないっすよ!」 京太郎「憩さんがまた来てくれて嬉しいです!」 憩「ふふっ、最初っからそう言ってくれればええんやで」 憩「……ほんまは用事があって来たんやけど」 京太郎「結局あるんかい」 憩「京太郎くん、もうお風呂入った?」 京太郎「いえ、まだですけど」 憩「まだ、やったら……その、な……」 憩「身体拭くの手伝うで」 京太郎「……えっ?」 憩「ほら、京太郎くん風邪引いとるからお風呂入るのも大変やろ?」 憩「せやから、背中だけでも拭いたろか?」 京太郎「確かに……よく母さんにもしてもらったような」 憩「せやろー?そんなわけで、憩お姉ちゃんにお任せや!」 憩「ほな当てるで、熱かったら言ってな」 京太郎「ぅあ……」 憩「拭くでー」 京太郎「……おお、これは、なかなか」 憩「せやろー流石やろー♪」ゴシゴシ 京太郎「ちょっとくすぐったいですけどね」 憩「そういえば、みんなで銭湯に行ったんやって?」 京太郎「あのときは咏と憩さんがいませんでしたね」 憩「次行くときは、みんなで行けたらええな」 京太郎「そうっすね、俺は一人でゆっくりしたいです」 憩「だーめ、今度も混浴やで」 京太郎「いや、ほんと、耐えられないんでやめてください、まじで」 憩「にしても京太郎くんの背中おっきいなぁ」 京太郎「そうですかね?」 憩「ふふ……京太郎くんの背中、ウチの手でおっきくなってるで」 京太郎「微妙に言いなおした!?そしてなんで色っぽくなってるんですか!?」 憩「ふーっ」 京太郎「ふきゅっ!」 憩「あはは、変な声やなーぁ」 京太郎「そっちがいきなり息吹きかけるからでしょうが!」 憩「背中で気持ち良かったんやったら、耳にもしたろか?」 京太郎「遠慮します、次は俺の番ですからね!」クルッ 憩「あっ……」 憩「ん……」 京太郎「ん……ぅ!?」 京太郎(エイスリンさんも淡のも小さくて柔らかかったけど……憩さんのは、何か違うような) 京太郎(匂いが……歯磨き粉かな?) 京太郎(これは新鮮だな……って違うわ!) 京太郎「ぷはっ……すっ、すみません!」 憩「俺の番……って、そういうことやったんやな」 京太郎(この雰囲気は怒ってる!断言できる、ニコニコしながら怒ってくるに決まってる!) 憩「京太郎くんがその気なら、ウチやって……」 京太郎(やべっ、憩さんの手が俺の頬に!) 京太郎(これはビンタか?) 憩「すぅー……」 京太郎(ビンタなのかぁー!?) 憩「はぁぁぁぁ……」 京太郎(気合入れてるからビンタだね!) 憩「うぅ……えいっ!」チュッ 京太郎「んむっ」 憩「んっ」 京太郎(あれ、両手ほっぺに添えられてるじゃん) 京太郎(ってか、またキスしてるじゃん) 京太郎(……俺、この二日で何回キスしたんだ……?) 憩「っはぁ……」 憩「今度いきなりしたら怒るで、ええな?」 京太郎「キスしてキス仕返されるなら大歓迎です!」 憩「そういう問題とちゃうんやけど……」 憩「……まあ、これで偶然やないファーストキスになったわ」 京太郎(偶然じゃ、ない) 京太郎(ああ、そういや、校門の前で誰かにぶつかられて……) 憩「今のは今までの感謝の気持ちと、さっきのお返しやさかい、特別なんや」 憩「次は……もっと、すごい仕返しにしてまうからな」カァァ 京太郎「はい、あーん」 憩「あー……ん」モグモグ 京太郎(なんで霞さんからもらったみかんを食べさせ合いっこしてるんだ、俺たち) 京太郎(身体を拭く、という憩さんの用事が済んで、なんとなく……) 京太郎「こたつもあれば風情があって良かったですね」 憩「んふふ~ちょっとごめんなー」バサッ 憩「こうして二人でお布団にくるまる方があったかいで?」 京太郎「そんなに近づいたら風邪がうつりますよ」 憩「風邪は誰かにうつした方が早く治るらしいで」 憩「京太郎くんの風邪やったらうつってもええし、かまへんよ」 京太郎「それで憩さんが風邪になったら、俺が憩さんの風邪をもらいますからね」 憩「もう堂々巡りやないか……」 京太郎「そーっすねー」 憩「……こう、京太郎くんの隣におるとあったかくなるなぁ」 京太郎「そりゃあ熱出してる人と同じ布団に入ってたらそうなるでしょう」 憩「ムードもへったくれもないなぁ」 京太郎「じゃあ、こうしますか?」ギュッ 京太郎「キスに加えて手まで握れば、すぐ風邪がうつりますよ」 京太郎「……あ、みかんどうしましょこれ」 憩「右手で食べさせてー」 京太郎「いや、筋とかも剥かないと……」 憩「バナナとかみかんの筋は栄養が入ってるから食べた方がええんやで」 憩「ほらもういっこー」 京太郎「わかりましたよ、あーん」 憩「あーん」モグモグ 憩「ん~おいしいなぁ」 京太郎「俺にも食べさせてくださいよ」 憩「京太郎くんは部長さんに尽くすべきやと思うなー」 京太郎「これからもこんな調子なのか……」 憩「……ええやん、こんな調子で」 憩「京太郎くんはウチを手伝ってくれて、ウチも京太郎くんと一緒に頑張る!」 憩「このまま、二人で頑張ればええやろ?」 京太郎「今の憩さんは思いっきり怠けてますけどね」 憩「それは……臨機応変って言うヤツや」 京太郎「調子いいなぁ」 憩「……ま、何にしてもや」 憩「不束者やけど、これからもよろしうな」 京太郎「こちらこそ、まだお世話になります」 憩「……なんか、照れくさいなぁ」 京太郎「そう……っすね」 憩「そろそろ遅いし、帰るなぁ」 京太郎「今日は一日、ありがとうございました」 憩「ええよ、ご近所さんやし、後輩さんやからな」 憩「明日も長引いとるみたいやったら、また看に来るで」 京太郎「憩さんが毎日来てくれるんなら風邪なんて引きっぱなしでもいいかもしれませんね」 憩「さっきも同じようなこと言ったような気がするわ……」 京太郎「ですね……」 ヒュウウ 憩「くしゅん!」 京太郎「身体冷えちゃいますから、早く部屋に戻ってください」 憩「もうちょっと一緒に話していたいんやけど、女の子にそんな言い方してまうんやなぁ」 京太郎「俺だって、憩さんが俺のことを大切に思ってくれる以上に――――」 京太郎「ずっと、ずっと、憩さんのことが大切なんですもの」 京太郎「……っと、すみません、臭いこと言っちゃって」 憩「ううん、嬉しい」 憩「……京太郎くんは、なんでこんなに嬉しいこと言ってくれるんやろ」 憩「言葉も、麻雀も、料理も勝てないなんて、ずるすぎるわ」 京太郎「そんなこと言ったら、俺も憩さんの笑顔や学力に敵わないですよ」 憩「せやったら、ウチらが一緒におれば最強やない?」 京太郎「一緒にいれば……って、結構大胆なことを言いますね」 憩「京太郎くんに負けないくらいにしてみたつもりなんやけどね」 京太郎「……これからも一緒にいれるかどうか、なんてわかんないっすけど」 京太郎「今なら、こうすれば……」ギュッ 京太郎「一緒になってる、って感じがしませんか?」 憩「冬の夜やから、余計にな」 憩「……せや、クリスマスプレゼントまだあげてんかったやろ?」 京太郎「そんなのいいですよ、今日一日のお世話で十分です」 憩「年上としてそういうわけにもいけへんのや」 憩「せやから、これが、ウチからの誕生日プレゼントやで」 憩さんの両手が顔に添えられた 柔らかい指が顔を撫で、そこまで続く腕は、身体と身体を密着させるために曲げられる 憩さんはほんの少し背伸びをして、ゆっくりと顔をこちらに近づけてきた 目はもちろん閉じられていて、それが何を意味しているのか、なんて容易に想像することができた 唇が触れ合い、甘い歯磨き粉の香りが口の中に広がる 本日三度目の香りが、憩さんの舌によってさらに押し込められたのだ 甘い粘液をまとった舌が絡みついて来たので、こちらも絡め返して、互いの唾液を共有する 風に吹き付けられる寒さよりも、風邪がもたらした熱よりも、このキスの気持ち良さが遥かに勝る 快楽に浸っている間に、この一年の記憶が、脳裏に浮かんできた 初めて霞さんに挨拶をしに行った時のこと 登校初日に照と再会したこと 憩さんの涙を見て、手助けをしたいと思ったこと 憩さんと雀荘へ行って、たこ焼きを食べたこと エイスリンさんと初めて会話をしたときのこと 清々荘のみんなで歓迎会を開いて、お祝いをしてもらったこと 雀荘で怜さんと出会って、怜さんが倒れたこと ゲーセンで郁乃さんを助けたこと 他にも、まだまだある そんな日常の思い出や、非日常の思い出がこの一瞬のうちに思い起こされる 時間というものはあっという間に過ぎ去って、思い出は風化しながらも脳の片隅で生き続ける 俺が清々荘で過ごした八か月間は、どうやっても忘れることのできない思い出だ そして、それはこれからも積み重ねられるんだ 憩「……もう、激しくしすぎや」 京太郎「そっちから仕掛けてきたんでしょうが」 京太郎「クリスマスプレゼントの交換もし終えたんですから早く帰って寝てくださいよ」 憩「うん、ほな帰るな」 京太郎「おやすみなさい」 憩「おやすみー」フリフリ 憩「……あ」 京太郎「まだ何か、忘れ物でも?」 憩「んー……ちょっと一言、な」 京太郎「?」 憩「えー……コホン」 {{{ . .-――-. . . . ´ .` . / ヽ . . / / l ヽ ヽ . / / / / l l l . ′ . . . ′/ | ハ ト、 ヘ i l |. | 1 | .|{ ‘. ヽ\_ ; | | | | | | |-―.lハ{\ fヾ\` i l |l | | | | | |{ ヽ \ { \ \ | 八 | | | レ _ 、 `r==ミx } ∧ . 八 ヽ | r㌃⌒` ムイ } ヽ / \ヾ ,,,,,,,, , ' | ノ \ / 八 ハ .... 、 「 ヽ > / / >-、 ( ノ イ l l ヾ \ -=≦ / ゝ ー < l ∧ |` ー---` 「京太郎くん、大っ好きやで」 ∠ イ ∧ ト、 ≧=r-- 1 /レ .V / \ { ヾr‐ァ トヘ/ ___/ \ __ / \_____ / \ /ー一ヘ / ハ ハ \/ }/ ̄} / i ヽ } } | У } ∨ .| ′ / } } .. { . / { } } . | | } ,. i i ハ } . | }} 憩「いつも、おおきに」 【冬休み12日目】終了
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【11月第2週 平日】 京太郎「そういや、こっから先ってあんまし目標とかないんだよな」 京太郎「久々にダラダラしてこー」 京太郎「はぁー……」ダラダラ 京太郎「ふぁぁ……」 京太郎「眠いなぁ、学校終わったら寝よ」 霞「もうそんなこと考えてるのね……呆れた」 京太郎「授業中に寝ようと考えないあたり素晴らしい学生だと思いますけどね!」 霞「素晴らしくは無いでしょう……」 京太郎「そうですかね?」 霞「当たり前よ、もう」 京太郎「そうだ、どうせですし一緒に行きませんか?」 霞「別にいいわよ、行きましょうか」 京太郎「そういえば霞さんの服って……」 霞「何かしら?」 京太郎「なんかおば「それ以上言ったら……」」 霞「ね?」ニッコリ 京太郎「」ゾクッ 京太郎「でも、18の女性がそんな服だったら……毛糸のシャツに微妙な丈のスカートって……」 霞「……しょうがないじゃない」 霞「スーツだってパッツンパッツンになっちゃうし、緩い服じゃないと……」 京太郎「まあそりゃあその胸ですしね……」 霞「そうなのよね……」 京太郎「……あ!」 霞「何か思いついたの?」 京太郎「これから冬なんで縦セーターとかどうっすかね!」 霞「縦セーター?」 京太郎「俺としては袖が少し余ってるくらいが好みなんですけど授業とかもありますしそこはいいとして!なるべく色は白とかがいいと思います!」 霞「そうね、たまに着ている子いるものね、セーター……久しぶりに手作りしてみようかしら」 京太郎(よし、いい調子だ!) 京太郎(巨乳がはっきり出てくる服ランキングでは間違いなく上位に食い込むレベルの縦セーター!これを霞さんが着れば……) キーンコーンカーンコーン 霞「あっ、相談ありがとうね、それじゃあ部活で」フリフリ 京太郎「え?アッハイ」 京太郎(夏には夏なりの良さもあるが冬にも冬の良さがあるんだ……) 咏(朝から何考えてんだろあいつ……) 和(何か良からぬことを考えてるみたいですね……) 京太郎「今日は購買まで出向くか……」 京太郎「そういえば購買には伝説のメロンパンがあるんだっけ?」 京太郎「あんま人いねえし買えるかな?」 おばちゃん「お、お兄ちゃん一番乗りだね、買ってくかい?」 京太郎「本当にあったよ……じゃあ一個だけ」 おばちゃん「はいよ」 京太郎「早速食べてみるか」パクッ 京太郎「ん……これは……」モグモグ 京太郎「おいしい!」テーレッテレー! 京太郎「すげえ美味いな、外はサックリ中はふんわり、なぜか普通のより甘いし……」 京太郎「一人だけど、なんかやる気出たな!」 京太郎「文化祭の敗北命令『千里山に貸し出し』されること」 京太郎「まさか男子一人で女子高に侵入できるとはな……ぐふふ」 京太郎「とりあえず泉にでも迎えに来てもらお」ピッピッ 雅枝「というわけで今月から偶に須賀京太郎がこっちにも来るようになった、みんな仲良くするようにな」 京太郎「三箇牧高校一年の須賀です!今日はよろしくお願いします!」 「あれが全国一の人かー」 「テレビで見たけど、実物もええなー」 「ウチ教えてもらお!」 「あー!ずるいずるいウチもー!」 ワイワイ ザワ…ザワ… ガヤガヤ キャーキャー 京太郎(ああ、これがチャンピオンの優越感かぁ……可愛い人たちばっかりだし、ずっとここにいようかなぁ) 「須賀くんこっち来てー」 京太郎「はい!ただいま!」 怜「ストーップ、タンマやで京くん」 竜華「今日はウチらとおらへん?」 京太郎「は、はぁ、大丈夫ですけど……どうして?」 怜「せっかく大会も終わったんやから、あんまり打つのもあれやしな」 竜華「せやからこっちこっちー」 京太郎「でも部活しないでいいんですか?」 怜「もうすぐウチらも引退やからなー、竜華ー膝枕ー」 竜華「怜は甘えんぼさんやなぁ、はい」ポンポン 怜「おおきにー」スリスリ 竜華「気持ちええ?」ナデナデ 怜「竜華の太もも最高やぁ」 竜華「ふふっ、良かった」ナデナデ 京太郎「……あのー」 竜華「あ!ごめん京くん、忘れとった!」 京太郎「まあ、いいんですけどね……」 京太郎(目の保養にもなるし……それにしても) 京太郎「竜華さんの膝枕かぁ……」 怜「羨ましいやろ?」 京太郎「正直とっても!」 竜華「怜!それに京くんも!」 京太郎「竜華さんがそんな太ももだからいけないんですよ!」 竜華「どんな言いがかり!?それに京くんも前したやろ?」 怜「……いや、私がしてもろただけやな」 京太郎「そうですよ!怜さんはしてもらってるのに俺がしてもらってないのは不公平ですよ!」 竜華「せやからどんな言いがかりなんやそれ!」 怜「まあまあ竜華、京くんもしてもらいたがっとるやん」スクッ 竜華「……もう、わかったわ」ポンポン 京太郎(まさか本当にやってもらえるとはな……) 京太郎「それじゃあ失礼して……」トン 竜華「……どうや?」ナデナデ 京太郎「えーっと……すごく、いいです」 竜華「そ、そっか、それは良かったわ」ナデナデ 竜華(人前やないけど、なんか恥ずかしいわこれ)カァァ 京太郎(いいなぁ、これぇ……)ホッコリ 怜「…………」 怜(京くんが竜華に甘えとるのも、竜華が京くんに甘いのも……) 怜(ちょっぴり不満やな)プクー 雅枝「ほな今日はここまでや、暗くなるのも早ぅなってきとるから寄り道はせんようになー」 「お疲れ様でしたー!」 京太郎「充実した部活だったなー!」 京太郎「まあ、充実してても、どうせこっちの方に帰る人もいないだろうからな……はぁ」 京太郎「三箇牧だったら誰かと帰れるんだけど」 京太郎「ダメ元で誰か誘ってみるか」 京太郎「怜さーん、帰りませんか?」 怜「ん?ああ、ちょっと待っとってな」フキフキ 京太郎「何してるんですか?」 怜「習慣なんやけどな、昔の」 怜「まだ一巡先が見えるようになる前の頃、こうやって部活の後掃除しとったから」 京太郎「へー、そんなことが……ん?」 京太郎「怜さん、今何て?」 怜「一巡先が見えるようにな「……は!?」」 京太郎「一巡先が見える!?」 怜「?話しとらんかったっけ?」 京太郎「知らないですよ、何ですかそのトンデモパワー」 怜「……せやったっけ?」 怜「ほな帰りながら話すわ」 怜「――そんなわけで、去年倒れて生死の境をさまよってから見れるようになったんや、一巡先が」 京太郎「へ、へぇー」 京太郎(なんか一気にシリアスになったな……) 怜「……どう思う?」 京太郎「思うって、その力についてですか?」 怜「……」コクッ 京太郎「そうですね……」 京太郎「上手く使えばかなり良いと思いますけど、無茶はダメですよ?」 京太郎「初めて俺が打ったときに倒れたのも、無茶をしすぎたからなんでしょう?」 怜「あの日は体調も悪いのもあったけどなぁ」 怜「……でも、信じてくれるん?」 京太郎「何局もプラマイゼロにするやつとか、連続で打点が上がっていくやつとか、影が薄すぎて卓から消えるやつらと打ってきましたからね」 怜「あー、そら納得や」 京太郎「でしょう?」 京太郎「まあ何にせよ麻雀打って倒れてポックリとかシャレにならないですし、無理とかはしないでくださいね」 怜「あ、それもかっこええな」 京太郎「かっこいいって……何よりこっちが悲しいですし、心配なんですよ」 怜「……そっか」 怜「やっぱりみんな、心配してくれるんやな。竜華もセーラも船Qも、泉も」 怜「それに、京くんも…………」ポロッ 怜「ぁ…………ぅ」ポロポロ 京太郎「怜さん?どうかしたんですか?」 怜「ごめん、ちょっと嬉し泣きや」 怜「…………」 怜「京くん?」 京太郎「何ですか?」 怜「おおきに」ニコッ 京太郎「え……はい」 怜「それと、ちょーっと拭かせてな」フキフキ 京太郎「ちょっ!なんで俺の制服で拭くんですか!」 怜「感謝料やで!」グッ 京太郎「要りませんよそんなもの!」 京太郎「怜さんのせいでグショグショだよもー」 京太郎「鼻かんでたからネバ付いてるし……」 京太郎「とりあえず洗うか」 ガコンガコン 京太郎「風呂入って飯食って、後は洗濯終わるの待つだけか」 京太郎「暇だな……メールでもするか」 京太郎「今はシーズンオフだろうから良子さんにしてみようかな」 京太郎「でも何て送ろう……」 テレビ『ビッグマミィ、次回も――』 京太郎「家族か……」 京太郎『良子さんの理想の家族ってどんな感じですか?』 京太郎「いきなりだけど、まあいいだろ」ピッ ヴーッ ヴーッ 京太郎「お、来た来た」 良子『ななにをいきなり!家族、ファミリーは麻雀ができるくらいがいいな!』 京太郎「なるほど、家族で麻雀か……」 京太郎『四人家族で麻雀ですか、楽しそうですね』ピッ ヴーッ ヴーッ 良子『だろう!それでみんなで休みの日はドライブに行ったり、遊びに行きたいな』 良子『京太郎が働いて、私とチルドレンで迎えるんだ』 良子『良いだろう?』 京太郎「…………」 京太郎「なんで俺とあの人の理想がごっちゃになってるんだ?」 京太郎『あえて子ども四人の麻雀を隣で眺めるっていうのも良さそうですね』ピッ ピーッ ピーッ 京太郎「お、終わったか」 京太郎「さてアイロンアイロン、っとまだ来てないのか?」 ヴーッ ヴーッ 京太郎「そう言ってたら来た」 良子『頑張る』 京太郎「…………」ゴクリ 京太郎「頑張る、というのはあっちの方面で頑張るってことだよな」 京太郎「それっていうのはつまり……」 京太郎「いや、良子さんの好きな人と頑張るんだから俺は関係ないか」 京太郎「んーっと、じゃあ」 京太郎『頑張ってください、そろそろ寝ますね』 京太郎「送信っと」ピッ 良子「…………」ジーッ 携帯「…………」 良子「…………」ジーッ 携帯「」ヴヴーッ 良子「」パァァ 良子「…………」カァァ 【11月第2週 平日1】終 【11月第2週 平日2】 チュンチュン 京太郎「うぉー眠いー」 京太郎「夜遅くまで起きすぎたぁ……」 京太郎「今日も張り切っていくか……」 …ササッ 京太郎「?今なんか聞こえたような……?」 ガチャ バタム 京太郎「さてと、トボトボ行くか」 ガチャ エイスリン「♪」 京太郎「あ、エイスリンさんおはようございます」 エイスリン「キョウタロー!オハヨ!」 京太郎「そうだ、一緒に学校行きませんか?」 エイスリン「ウン、イク!」 エイスリン「~♪」 京太郎「前も話したかもしれないですけど、ニュージーランドってどんなところなんですか?」 エイスリン「ウーン……シゼンガイッパイ!」 京太郎「山とかの写真もよく見ますよね」 エイスリン「ムシサン、タクサン!」 京太郎「虫ですか……」 エイスリン「ムシ、キライ?」 京太郎「苦手なのはいますね、虫。そういえばペンギンとかもいるんでしたっけ?」 エイスリン「ウン!カワイイヨ!」ニコッ 京太郎(そう言うエイスリンさんも可愛い……)ホッコリ エイスリン「キョウタロー?」 京太郎「いえ、いつか行きたいなーと」 エイスリン「ヤクソク、シタ!」 京太郎「約束……?」 京太郎(そういえばそんな約束したような……) 京太郎「ああ、でしたね」 エイスリン「キョウタロー、オボエテタ?」ジトッ 京太郎「な、何ですかその眼は、疑ってるんですか?」メソラシ エイスリン「…………」ジトッ 京太郎「…………はい、覚えてませんでした」 エイスリン「ワスレチャダメ!」 京太郎「ごめんなさい」 エイスリン「ハイ!」スッ 京太郎「えっと、手がどうかしたんですか?」 エイスリン「オワビ」 京太郎「……ああ、はい」ニギッ エイスリン「ヨロシイ!……エヘヘ」ニコッ 京太郎(手を握るだけで許されるのか……) 京太郎(エイスリンさんの手柔らかかったなぁー) 京太郎(とか考えてるうちにもう昼か、今日の昼は……) 昼 京太郎「公欠である程度休んでたからここに来るのも久しぶりだな、屋上」 京太郎「今日も誰かいるかな?」 郁乃「京太郎く~ん!」フリフリ 京太郎「郁乃さん……まあいっか、はぁ」 郁乃「出会い頭に嫌な息出さんでくれるか~?」 京太郎「郁乃さんが嫌だなんてそんな、ちょっと苦手なだけですよ」 郁乃「それほとんど同じ意味やからな!」 京太郎「郁乃さんってたまに柄に合わないこと言いますよね」 郁乃「せ、せやろか~?」 京太郎「今のだってなんか最近の女の子って感じでしたし」 京太郎「まあだからどうだって話なんですけどね」 郁乃「せや、せっかくやし一緒にお昼どうや?」 京太郎「オカズ取らないでくださいよ、今日のはから揚げなんですから」 郁乃「取るな言われると取りたくなるんやな~これが、それにから揚げ大好物やし」 京太郎「あげませんよ!」 郁乃「も~京太郎くんのけちんぼさん~」 京太郎「むぅ…… 73」 京太郎「むぅ……じゃあ、郁乃さん(のおかず)食べさせてくれたらいいですよ」 郁乃「ほぇ?」 京太郎「だ・か・ら!郁乃さん(のおかず)も食べさせてくれたらいいですよ!」 郁乃「わ、わた、私も……///」 京太郎「で、どうするんですか?」 郁乃(私も食べるって、つまり、つまりそういうことやろ?) 郁乃(どないすればええんや……) 郁乃「あぅぅ…………」プシュー 京太郎「郁乃さん?郁乃さーん?」 郁乃「も、もう、教室帰るわ!」カァァ 郁乃「ほ、ほなまた~!」タッタッ 京太郎「えっ、ちょっ!」 郁乃「あれっ」コケッ ドテーン 郁乃「……うぅ」サスサス チラッ 京太郎「大丈夫ですか?」 郁乃「……」カァァ 郁乃「う、うわぁ~~!」タッタッ 京太郎「……どうしたんだ?いきなり」 【清々荘】 京太郎「今日も平凡な一日だったなー」 京太郎「……平凡な方がいいけどな」 京太郎「風呂入って寝よっと」 「キャー!」 京太郎「!今の声……何があったんだ?」 京太郎「確か声は咏の方から聞こえたよな……」 【咏の部屋】 京太郎「咏っ!どうした!」 咏「京太郎!あれ!あれ!ってうわぁー!こっち来んな!」ゼンラ ササッ 京太郎「あれは……G?」 咏「も、もうこの際何でもいいから!早く!」 京太郎「はいはい」 |偶数週イベント―Gの駆逐| 京太郎(にしてもGか……どう対処すればいいんだ?) 京太郎「咏、新聞あるか?」 咏「あ、あるよ」 京太郎「ん、ありがと」 咏「こっち見んなっての!」ウガー 京太郎「よし、仕留めてやるぜ!」 G「カカッテキヤガレ!」ササッ 京太郎「うおおおおおお!」 京太郎「えいっ!」スカッ 京太郎「えいっ!」スカッ 咏「さっさとしろよなー」 京太郎「うっせ!ゴキブリホイホイでも置いとけよ!」 G「オソイ!オソイワ!」ササササッ 京太郎「な、飛んだ……だと!?」 咏「うわ、うわぁ……」ガクガク 京太郎「くぅ、どうすりゃいいんだ……」 京太郎「こうなったらもう一回だ!」 咏「京太郎ー頑張れー!」フレーフレー←トイレのドアから 京太郎「なんで一人だけそんなとこに逃げてんだよ!」 京太郎(可愛いからいいけどさぁ……) G「ナンドヤロウトモカワランワ!」ササッ 京太郎「一撃必殺だ、仕留めてやる!」 京太郎「一匹残らず、駆逐してやる!」 G「ソゲブッ」 京太郎「よっしゃ、一発!」 咏「その調子だ京太郎ー!」 京太郎「あと一発くらいかな?」 京太郎「次で潰してやる!」 G「マケハセン!マケハセンゾ!」 京太郎「さーてと、止めと行くか!」 「キャー!」 京太郎「また悲鳴!?」 咏「は、はやくそいつ倒して行こうぜ!」 京太郎「ああ、わかってる!」 G「オレノウゴキニツイテコレルカ?」 京太郎「……そこだ!」 京太郎「終わりだ!」 G「グヘッ」 グシャッ 京太郎「……ふぅ、長い闘いだったぜ」 咏「ありがとな!京太郎!」ギュッ 京太郎「うへっ」 咏「いやー風呂上がったらよく知らんけどGがいてさー」 咏「助かったわー京太郎が居てくれてよかった!」 京太郎「どうってことねえよ、あのさ、それより……」チラッ 京太郎「当たってんだけど」 咏「へ……?」 咏「バ!バカ!さっさと出てけ!」カァァ 京太郎「んだよもー」 咏「あ……でも、その……」モジモジ 京太郎「何だよ」 咏「あ、ありがとな!知らんけど!」 ドタドタ バタム! 京太郎「荒々しいなーったく」 京太郎「……そういやほかの部屋からも聞こえたような?」 京太郎「あれは確か……」 京太郎「エイスリンさんの部屋だったような……?」 ドタドタ ガタガタ 京太郎「……行ってみるか」 【エイスリンの部屋】 京太郎「エイスリンさん?」 エイスリン「キョ、キョウタロー!」 京太郎「どうしたんですか?」 エイスリン「アッチ!」 京太郎(またGか……?) 蛾「クックックックック」 京太郎(なんだG違いか……でも蛾もめんどくさいんだよな……) エイスリン「キョウタロー!」 京太郎「はいはい」 京太郎(蜂の方が慣れてるし楽なんだよなぁ) 京太郎(オーソドックスなやり方があるけど……夜だから通用するかどうかわかんないんだよな) 京太郎(まあやってみるか) 京太郎「エイスリンさん!電気を消してください!」 エイスリン「ワカッタ!」 京太郎「よーし……」 エイスリン「ハイ!」プチッ 京太郎「今だ!」 蛾「ソンナテニヒッカカルカヨ!」 エイスリン「イ、イヤ……」 京太郎(蛾は無害なんだけど……やっぱり嫌だよな) 京太郎(いざとなったら手で捕まえるか) 京太郎「エイスリンさん!」タタッ コケッ 京太郎「あ」 エイスリン「ア」 ドタッドタドタッ! 京太郎「あ、あー……え、えっと……」 エイスリン「ンッ……」 京太郎「あ、あれー?」←押し倒してる エイスリン「……キョウタロー?」←押し倒されてる 咏「京太郎ー?終わった……か…………」 京太郎「う、咏!違うこれは違うんだ!」 咏「うっせーこの痴漢魔!」 バタム! 咏「助けてくれてかっけーなーとか思ってたのに、なんであんなことしてんだよ」 咏「……ばか」 京太郎「……終わった、絶対終わったよこれ……」 エイスリン「キョウタロー、アレ」ユビサシ 京太郎「?」 蛾「」チーン 京太郎「都合よくドアに挟まれてるな……」 エイスリン「キョウタロー、アリガトウ!」ニコッ 京太郎「ハイ、ソウデスネー」 京太郎(なんか罪悪感があるなー……) 京太郎「あ、あの、じゃあ、退きますね」 エイスリン「ウ、ウン……」カァァ 【11月第2週 平日2】終 【咏の部屋】 ヴーッ ヴーッ 咏「何だよこんな夜にー……っ」 咏「はい、もしもし」 咏「…………」 咏「……わかってるよ」 咏「ああ……うん」 咏「はぁ!?来週から!?」 咏「…………」 咏「……わかった」 咏「…………」ピッ 咏「…………はぁ」 【11月第2週 休日】 京太郎「うぅ、昨日やりすぎたせいか眠い……」 京太郎「今日は何しよ」 京太郎「休日の朝から出かけるのもな……」 京太郎「部屋の中で今週の復習するか」 京太郎「誰か部屋に呼んでみよ」 コンコン 京太郎「咏ー、一緒に勉強しよーぜー」 京太郎「…………」 ゴンゴン 京太郎「咏ー、一緒に勉強しよーぜー」 京太郎「…………」 ドンドン 京太郎「咏ー、一緒に勉強しよーぜー」 京太郎「…………」 ガンガン!ガンガン! 咏「うっせーよ聞こえてんだよ!」 京太郎「よっ!」 咏「なんでそんな朝からテンションたけえんだよ……わっかんねー」 京太郎「さあな、どうする?来るか?」 咏「勉強つったっけ?今行くから待ってろ」 京太郎「おう、ありがとな!」 咏「だからこのときのこいつの心情は――――」 京太郎「ふんふんなるほどなるほど」 京太郎「違うって!ここの文法は――――!」 咏「うあー、わっかんねー」 京太郎「そろそろお開きだな」 咏「ん……10時か、そうだねぃ」 京太郎「飯だったら簡単なの作るけど、どうする?」 咏「あー……よろしく頼むわ」 京太郎「頼まれました!っと、目玉焼きと卵焼き、どっちがいい?」 咏「目玉焼き、半熟なー」 京太郎「ん、りょーかい。ちょっと待っててな」 咏「…………」 咏(京太郎の部屋……京太郎の臭い) 咏(そんで京太郎は私に朝飯を作ってる……か) 咏(こんなことしてると……なんか……) 咏「……一緒に住んでるみたいだな」ボソッ 咏「……」カァァ 咏(な、何言ってんだよ私!わっかんねー!) 京太郎「咏ーできたぞー……咏?」 咏「わっかんねー……わっかんねー……///」ポヘー 京太郎「?」 京太郎「いただきます」 咏「いただきます」 咏「ん……」モグモグ 京太郎「どうだ?美味いか?」 咏「あー、卵が美味いからじゃねえの?知らんけど」 京太郎「……さいですか」モグモグ 咏「…………」モグモグ 咏「……まあ、いい焼き加減なんじゃね?知らんけど」 京太郎「……」パァァ 京太郎「ああもう!最初っからそういえばいいのに!咏は素直じゃねーなー!」ナデナデ 咏「め、飯食ってるときに撫でんなよな!」カァァ 京太郎「はいはい」ナデナデ 咏「……はぁ」 咏「…………」モグモグ 京太郎「…………」モグモグ 『次の月曜からこっちの学校で生活なさい』 『もう我儘はいいだろう?』 咏「…………」 京太郎「……咏?」 『麻雀なんてこっちでもできるんだからさ』 咏「…………」 京太郎「咏ー、おーい」ブンブン 咏「……んなっ!なんだよ!」 京太郎「どうかしたのか?」 咏「あ……いや、なんでもねえよ」 京太郎「ん、そっか」 咏「…………」モグモグ 京太郎「…………」モグモグ 咏「……京太郎は、さ」 京太郎「え?」 咏「京太郎は、もし、もし私がいなくなったらどうする?」 京太郎「いなくなる?」 咏「遠くに行っちゃうってことだよ!」 京太郎「ん?よくわかんねえけど……」 京太郎「それは……寂しいな」 咏「……っ」 京太郎「照が東京に行って、憩さんは実家に戻って」 京太郎「照だけでも寂しくて、憩さんがいなくなったらさらに寂しくなった」 京太郎「それなのに、お前までいなくなったら……すげー寂しいと思うし、俺は嫌だ」 咏「…………」 京太郎「……って、もしもの話になに熱くなってんだろうな」 京太郎「ほら、早く食わねえと冷めるぞ?」 咏「お、おう」モグモグ 咏(京太郎は、そう思うのか) 咏「……ありがと」ボソッ 京太郎「…………」モグモグ 咏(――それと) 咏(……ごめん) 京太郎「確か次の試験は12月の中旬くらいだったっけか?」 京太郎「対策は用心しておかないとな」 昼 京太郎「…………」 京太郎「くそぅ、咏があんな話するから照のことを思い出しちゃったじゃないか」 京太郎「学割使えば楽に行ける……よな?」 東京へ行きました! 京太郎「さて、ここまで来てしまったわけなのだが……どうしよう」 京太郎「日帰りだとして……何しよ」 京太郎「そういや前、麻雀教室なんかバイトでやったっけ?あれ大阪のローカル局だったらしいけど」 京太郎「テレビか……せっかく都心に来たんだし自分を売り込むのもいいな」ウンウン 京太郎「物は試しだ!挑戦あるのみ!」 京太郎「でも売り込みってどうすればいいんだ……?」 京太郎「ん?この広告は……」 【プロ雀士に挑戦してみませんか!】 【この広告をご覧の貴方!プロ雀士に挑戦して、豪華賞金を手に入れませんか?】 【挑戦者は―――まで!】 京太郎「……へぇ」 京太郎「賞金までもらえて自分を売り込める、なんという一石二鳥!」 京太郎「早速この場所に行ってみるか」 良子「ドキッ!プロ雀士だらけの大勝負大会ー!」 大沼「」ドンドンパフパフ はやり「わー!わー!」 健夜「ゎ、ゎぁー……」 理沙「頑張る!」 靖子「私の番はまだですか?」 良子「というわけで始まりました、プロ雀士だらけの勝負大会」 良子「司会は私、戒能良子でお送りいたします」 良子「このプログラムでは、私たちプロ雀士が一般の方々とさまざまなバトルを行います」 良子「一般の方が私たちに勝利した場合、金一封が贈られます」 良子「それでは一番!トライアスロン対決から参りましょう」 良子「VTR、どうぞ」 -- ―- ,, ,, ''" "' 、 ´ ヽ / ヽ , ヽ ハ ', / / / ! ', , ハ / / ./ / /| |! ', ' ! l' /{ ,' ,イ/__!__ !__ | | | { .! !./ ̄ !| j ヾ ̄ | | | 、 /ヾ {___|/ lヽ /!/__ __| | |、 \ ' /\ _二ニ x,,\ _/ z ニ二__ | ,' \ ヽ .// |\\! {////} {////イ ! |/ \ヽ 〃 | l ヽヘソ ヽヘソ ! ! ヽヽ / ! |', ' | | ヽ} | 八 _ /! / | / . !_ヽ イ| / | |レ / ,> ィ'"|_ `.!// |/ ./-''" / | ¨ |ハ !\\ , イ ヽl_ _,,/ ヽ ` ゙ イ ,ハ_ヘ }< > '" { /////〉 l ゙ < > ''" l / {//// \ j ゙ < プロ雀士代表 戒能良子(20) 良子「トライアスロン……ですか」 良子「体力には自信があるので、誰が来ても大丈夫だと思います」 そして対するは――――! 京太郎「麻雀では敵わない、でも体力に自信はある」 京太郎「じゃあいつやるか?」 _,...---、_,.、 / / / ヽー-、 /. , ! iハ!/メ、.i | \ イ { ヽN 'i !/!人iヽi _1 i( _ 丶 \ / `Yリヽ '、_)'´!`ー` 「今でしょ!」 / .. | ,. _/. /. 、 ト、ィ' / | !;-! / | ! ヽ、 , -‐クヽ / ! .. ⊥__!_ / .. ノ) / | ..  ̄`''''''' ′.. ノ. / | ..... .............. _, -‐'′ / `ー‐┬---r―'''''''"" ̄__./__ /! i / iu-゙、/----、\ / | ⊥ __,...-‐'.i... ヒノ ̄ ̄`ー`ー`ー-、/ | . _,.-‐'" 国民麻雀大会優勝者 須賀京太郎(16) ――――今、戦いの火ぶたが切って落とされた……! 良子「まさか相手が京太郎だったとはね」 京太郎「俺もまさか良子さんとトライアスロン対決ができるだなんて思っても見ませんでしたよ」 良子「いい勝負にしよう」スッ 京太郎「もちろんです!」ギュッ 二人は熱い握手を交わし、スタート地点へ! 京太郎(競技は水泳→自転車→マラソンの順番) 京太郎(そして良子さんは競泳水着着用……!) 京太郎(永久保存版だな!)グッ 良子「?」ポヨン 「よーい!」 「スタート!」 京太郎(水泳……とりあえず俺に分があるみたいだ) 京太郎(良子さんまで溺れないでほしいけど……?) 京太郎(あの光ってるのは何だ?) チクッ 京太郎「い゙っ゙!」 京太郎(何だこれ……釣り針?) 誠子「お、大物の予感!」 誠子「釣りあげてやる!」ギュルギュル 京太郎(痛い痛い痛い痛い痛い!) 京太郎(針を抜かなきゃ……!) 誠子「……手ごたえが無くなった?」 誠子「逃げられたか」チッ 京太郎「どっかの釣り馬鹿のせいで随分遅れちゃったな……」 京太郎「この自転車で取り返すしかない!」 京太郎「くっ、はぁ、はぁ!」 京太郎(追いつけ、追いつけ!) プシュ 京太郎「……は?」 プシュー… 京太郎「パンクした……だと……」 京太郎「運営に連絡しないとな……」 京太郎にAPが10加算された! 京太郎「良子さんの姿が何とか見えるくらい……か」 京太郎「運悪いな俺……」 良子「はぁ、はぁっ」 良子(さっきからベリーサースティーで……) 良子(目の前が、何だか)グラッ 良子(あ、あ、れ?) 良子(め、がまわって……) ドタッ 京太郎(……?) 京太郎(良子さんのペースが落ちてきたような……) 京太郎(よし、今が勝負どころだ!)タッタッ 京太郎(…………あれ?) 京太郎(良子さんが、倒れた……!) 京太郎(確かに、これはチャンスかもしれない) 京太郎(けど……こんなこと、見過ごせない) 京太郎(助けを呼んで俺はゴールへ行けばいいかもしれない) 京太郎(……やっぱり、そんなのダメだ!) 京太郎「しっかり掴まっててくださいよ」 京太郎「……聞こえてない、よな」 京太郎(ここまで来たんだ、二人でゴールする!) 京太郎「前進あるのみ……っ!」 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 良子「ん……ここは?」 京太郎「気付きました!?」 良子「京太郎……私は、一体?」 京太郎「良子さん、走ってる最中に倒れたんですよ!脱水症状で!」 良子「脱水症状……」 良子「……じゃあ、レースは京太郎が勝ったんだね」 京太郎「いや、同着です」 良子「同着?」 京太郎「えっと……あ、もうこんな時間か、俺帰りますから、お大事に!」 良子「えっ、京太郎?」 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 『勝負はなんと引き分け!』 『名勝負を繰り広げた二人に拍手を!』 ワァーッ! ワァーッ! 良子「…………」 良子(京太郎は、あのとき私を助けて、一緒にゴールした) 良子(そういうこと、だったのか) 「戒能さん!感想!」ヒソヒソ 良子「彼のおかげで、助かりました」ウルッ 良子「ありがとう、ござい、ました……っ」ポロッ 良子「……それでは次の勝負です」 『次の勝負は!小鍛治プロと、若作り対決だー!』 良子(今度、もっとちゃんとお礼を言わないと) 良子(目の前で、ありがとうって) 京太郎「結局、感謝料で金一封貰っちゃったな……」 京太郎「次、何しよ」 京太郎「金も入ったし照のために菓子を買てってやるか」 京太郎「美味そうなのを片っ端から選んで行こう」 京太郎「ビアード・○パから各地のアンテナショップまで行ってきた結果……」 京太郎「なんつー無駄遣い……」 京太郎「今度から金は大事に使おう」 京太郎「そろそろ時間も限界だし、照に会いに行こう」 京太郎「直接白糸台まで来てみたぞ」 京太郎「ここで照を待ち伏せすれば……っと」 京太郎「あ、あの人は……」 京太郎「弘世さん……かな?」 菫「」ササッ キョロキョロ 京太郎「何してるんだ?」 菫(パ○の実いちご味、ようやく手に入れた!) 菫(後はこれを淡や照たちにばれないように……) 京太郎「ひーろせさん」ボソッ 菫「ひゃぁっ!」ビクッ 京太郎「何やってるんですか?こんなとこで」 菫「す、須賀……って!貴様こそここで何をしている!?」 京太郎「照に話をしに来たんですけど、知りませんか?」 菫「うっ、あいつか……」 京太郎「いないんですか?」 菫「いや、そういうことでは……」ポロッ 菫「あっ」 京太郎「……パ○の実いちご味、ですか」 菫「わ、悪いかっ!」 京太郎「前もきのこたけのこ戦争に巻き込まれましたし、今は驚きませんよ」 菫「そういえばそんなこともあったな……」 京太郎「要するに照と淡にこれを食べているところを見られたくなくてここでコソコソしていた、と」 菫「そう言うと私が悪いことをしているみたいじゃないか……」 京太郎「で、結局照はどこにいるんですか?」 菫「ああ、照ならまだ部室にいるはずだ」 京太郎「わかりました、じゃあまた!」タッタッ 菫「おい!このことは秘密だぞ!」 京太郎「わかってますよー!」 京太郎「確か部室はこっちの方だったはず……」 照「……京?」 京太郎「照!」 照「何しに来たの?」 京太郎「おう!お前を誘いに来たんだ!」 照「誘い?」 京太郎「……うーん、廊下で話すのもアレだし場所を変えよう」 【教室】 照「それで、誘いって?」 京太郎「うん、あのさ」 京太郎「また、三箇牧に戻ってこないか?」 照「……え?」 照「……っ」 京太郎「中核が、もう一人必要なんだ」 京太郎「もうすぐ照も郁乃さんもエイスリンさんも引退だけど、やっぱりみんなで笑って引退してほしいしさ」 照「でも、私なんかがいたって……」 京太郎「三箇牧のみんなのため、俺のためお前の存在はものすごく大きいんだ」 京太郎「照が嫌なら戻ってこなくていい」 京太郎「けど俺は、お前がいないと1日1日がなんかつまんねぇし」 京太郎「お前がいなくなってから胸にポッカリ穴が空いた感じがして……なんつうか、寂しいんだ」 照「…………」ウツムキ 京太郎「ゆっくり考えてくれよ、俺は待つから」 照「……うん」 照「…………」 照(京は、私に戻ってきてほしい) 照(前話した時も、言ってた) 照(私は……私は……) 京太郎「…………」 京太郎「……なあ、照」 京太郎「また俺と一緒に、麻雀打とうぜ」 照「……~っ!」ポロッ 京太郎「えっ、てっ、照!?」 照「うぇっ、ぐすっ」ポロポロ 京太郎「な、何泣いてんだよ」アセアセ 照「京、っ、ごめ、ん」ポロポロ 照「あっ、ありっ、ありがと、う!」ポロポロ 京太郎「っ、ああ、どういたしまして」 照「いつも、ずっと、今まで!」ポロポロ 京太郎「……俺も、照がいてくれて幸せなんだ」ギュッ 照「ぁ……」 京太郎「ありがとう」 照「……うん……うん!」ポロポロ 帰り道、京はよれよれの服を着て、私はぐしゃぐしゃな顔で喋っていた ただ他愛もないこと、三箇牧のこと、白糸台のこと、今日のこと 言いたかったこと、さっきも言ったけど、また言いたい 「京」 「ん、どうした?」 少しだけ京の前に出て、振り向いて 私に声をかけてくれて 私と遊んでくれて 私と麻雀をしてくれて 私を助けてくれて / \ / . .. . .. ... ヽ. / / . . . . . i / /;. ;ィi i i i .| | . .. |. / i | . ハ!_|.|. | i | . | / ..|. | ! '|´|_И ! i | | |./ . /! { ハ i f"| ヽ| i |-、 | .|i/ | };ハ{. Lン| ;ル'^ } | | | ノ "" j/ / | | | .、 '^リ ! | | 照「ありがとう」 | ハ` ! / i i |ノ |/ ヽ.__,.. 、 / / / / /! / V | / ノi! /! ノソ }ノ ,..-‐y/‐j/フ‐'" ̄\ ,...-‐'" `ー- 、 r=、´ `ir、 /\ヽ、 ||.ト、 ハ | | | ||.| |. i ゙、 | | | ||.|/!| ゙、 !.i i ||.|| 照「多分、あっちに行くのは来週になると思う」 京太郎「ああ、待ってる」 照母「あら?照?それにそこの男の子は……」 京太郎「御無沙汰してます」 照母「久しぶりね、京太郎くん」 照母「それで、二人はひょっとしてあれかしら?遠距離恋愛?」 照「違う!」 照母「あらそうなの?じゃあどうしてここにいるの?」 京太郎「照を三箇牧に誘いに来たんです」 照母「へぇー、それで照は行くのね?」 照「なんでわかるの?」 照母「何となくよ、何となく」 京太郎「は、はぁ……」 照母「そうだ!明日から大阪まで行くから一緒に行かない?」 照母「そっちの方がお財布も楽でしょうし」 京太郎「あー、そうですね、それではよろしくお願いします」 照母「決まりね!今日は家に泊まって……あ、照と一緒に寝るのはダメよ?」 京太郎「しませんから!」 【11月第2週 休日】終
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缶 太郎 名前 缶 太郎(かん たろう) 年齢 21 身長 174cm 体重 42kg スリーサイズ B 92 W 63 H 89 性格 おちゃめ 髪型 肩で切りそろえた短髪。頭のてっぺんで短く結っている。 髪色 うすいピンク 目の形 少し垂れ目 目の色 白目が無い黒 服装上 炎を纏ってる 服装下 水を纏ってる 肌の色 紫 口調 語尾に「ござる」 靴 一本歯下駄 口癖 狂気の匂いがするでござる……! 趣味 辻斬り 特技 踵落としで岩を割れる 握力 右 2t 左 2.01t 性感帯 指 尊敬する人物 カラス天狗 アクセ1 東京タワー アクセ2 スカイツリー アクセ3 レインボーブリッジ 職業 高校教師 将来の夢 内閣総理大臣 缶 太郎 イラスト一覧 缶 太郎@天ぷらの人 缶 太郎@スレ有志
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夕 京太郎「打ち上げに行くか、っと場所は―――」 京太郎「遅れましたー……あ」 怜「お、男子チャンピオンさんや」ヒュードロ 竜華「よお来たなー」ヒュードロ 京太郎「ど、どうも、なんで二人とも白装束なんですか?」 竜華「ふっふっふーそれはなぁー」 咏『やめろ!その服だけはやめろおおおお!』 浩子『ええやないのええやないの』 咏『嫌だあああああ!』 京太郎「あ、ちょー嫌な予感」 京太郎「文化祭で使った衣装のまんまパーティーって正気ですか」 郁乃「私はそこまで恥ずかしい恰好やないからな~」 京太郎「まさかここまで計算して!?」 郁乃「さ~どうやろな~」 京太郎「ぐぬぬ……」 郁乃「着替え終わったことやし、どっか適当なテーブル行って食べてきや~」 京太郎「言われずともその気でしたよ」 郁乃「ん~なんか傷つくな~」 憩「お肉もらいますーぅ!」 エイスリン「ワタシモ!」 霞「エイスリンちゃん、袖危ないわよ」 エイスリン「アッ」 京太郎「ここ、座ってもいいですか?」 霞「ダメって言ったらどうするの?」 京太郎「他のテーブルに行きますけど」 エイスリン「ダメ!」 京太郎「えっ」 エイスリン「キョウタロー、コッチ!」 京太郎「なんだそういうことですか」 憩「せやったら京太郎くんはウチの隣やな」 エイスリン「ワタシノ!」 霞「エイスリンちゃんの隣は私なのだけれど」 エイスリン「アッ」 霞「ナチュラルに酷いわね」 京太郎「これで鍋終了ですか」 霞「はやかったわねー」 エイスリン「マンプク!」 憩「これで何かデザートでもあればええんやけど」 霞「この後の二次会で頼めばいいんじゃないの?」 京太郎「二次会なんてあるんすか」 霞「今日文化祭に来てた人とかともいるかもしれないけどね、結構大きい店よ」 京太郎「へー、あ、デザートと言ってはなんですけど」 京太郎「きのこの○山買ってきたんですよ、いります?」 霞「はぁ?」 憩「きのこ!ちょうだい!」 京太郎「はいどーぞ」アーン 憩「ん~おいしいわぁー」 エイスリン「ア○ルフォート……」 霞「ちょっといいかしら?何?きのこ?京太郎くんはきのこ派だったの?」 京太郎「派ってわけではないっすけど」 霞「きのこ派じゃなかったらたけのこも買ってくるでしょ、なのにたけのこ買ってこないって貴方の目は節穴なのかしら?」 京太郎「えっ、ええぇぇぇ」 憩「えーきのこおいしいやないですかー」ブー 霞「きのことか笑止千万、あんな棒っきれ一掴みで粉々よ」 京太郎「そりゃ掴んだら粉々でしょうよ」 霞「じゃあ貴方たちはきのこのどこがいいのか教えてくれるかしら?」 京太郎「だから俺はきのこ派でもたけのこ派でもないですから」 霞「はっ、どうだか、憩ちゃんは?」 憩「ウ、ウチは……あの形が……」ゴニョゴニョ 霞「不潔ね」 憩「」ガーン 霞「エイスリンちゃんは……ああ、ア○ルフォートとか言うぽっと出だったかしら」 エイスリン「ア○ル!オイシイ!」グスッ 京太郎(なんでこんな険悪な雰囲気になってんだよ……) 郁乃「とうちゃ~く」 京太郎「ここですか、結構大きいですね」 雅枝「よく千里山の打ち上げでも使っとるからな、お得意様やで」 咏「んじゃーさっさと入ろーぜー」 ガチャ やえ「たけのこだ!」 菫「いやきのこだ!」 咏「……失礼しましたー」 菫「ほれ照、牛肉だぞ」 照「アイスが食べたい」 菫「栄養もしっかり摂れよ」 憩「」ジーッ 菫「何を見てるんだ?」ポヨン 憩「ハムッ、ハフハフ、ハムッ!」ガツガツ 京太郎「ちょっ、そんなに食べたら危ないですよ」 憩「食べないと大きくなれないんや!」ガツガツ 京太郎「えぇぇ……」 照「……京」クイクイ 京太郎「どうした?」 照「アイス持ってきて」ボソボソ 京太郎「わかった、味は?」 照「……なんでもいい」 京太郎「了解」 京太郎(とは言ったものの、他の二人の分も持っていくか) 京太郎(どれがいいかな……) 照「……京はわかってない」 菫「……サク○レか……」 京太郎「ええっ、どっちもおいしいじゃないですか!」 菫「そう言いながら○ガリ君を食べてるのがお前という男だ」 憩「ウチは梨味大好きやで!」 京太郎「そういってくれるのは憩さんだけです、ありがとうございます」ナデナデ 憩「えへへ~」 照「……」ムッ 照「やっぱり京はわかってる」 照「だからなでなでして」 京太郎「ごめんどういう理屈かさっぱりわからない」 京太郎「俺も梨味好きですよ」ナデナデ 憩「梨味ナンバーワンやな~」 照「むむむ……」ズーン 菫(えっ、何なのカップルなの?) 京太郎「打ち上げ終わり、今日も疲れたな」 京太郎「今日の〆は何をしようか」 夜 京太郎「寝る前にメールでもするか」 京太郎「照辺りにするかな」 京太郎『今日は楽しかったか?』ピッ ヴーッ ヴーッ 照『すまない、照は寝ている』 照『後で返信させるから待っていてくれ』 京太郎「いや、じゃあ……」 京太郎『誰なんだよアンタ』ピッ ヴーッ ヴーッ 照『弘世菫だ』 京太郎『整理させてください』 京太郎『弘世さんは寝ている照の携帯を見て』 京太郎『俺に返信した、と』ピッ ヴーッ ヴーッ 照『つまりは照に変身したわけだ』 ヴーッ ヴーッ 照『すまない忘れてくれ』 照『それではまた会おう』 照『おやすみ』 京太郎『おやすみなさい』ピッ 京太郎「まだ新幹線なのかな……いやそれにしても友だちの携帯なんて見るかふつー……」 京太郎「なんとなく怜さんにメールしよ」 京太郎「そうと決まれば……」 京太郎「とりあえず憂さ晴らしでも」 京太郎『チャンピオンなので今度そっちにお邪魔しますね(ドヤッ)』ピッ ヴーッ ヴーッ 怜『うわ、なんか腹立つわ』 怜『練習やなくて雑用にこきつかったる』 京太郎『嘘です嘘です冗談です!』 京太郎『練習させてくださいお願いします何でもしますから!』ピッ 京太郎「あっ、咄嗟に変なもん書いちまった」 ヴーッ ヴーッ 怜『何でもかーまあ考えとくわ』 怜『そうそう、千里山は女子高やから』 怜『今日のコスプレ似合っとったでー』 京太郎『……つまりまた女装しろと』ピッ ヴーッ ヴーッ 怜『そうやないと校内入れへんからな』 京太郎『マジですか……』ピッ ヴーッ ヴーッ 怜『でもアレやで、ハーレムやで』 怜『右手に正妻、左手にオトコ系美少女』 怜『背中に爽やか美少女、膝に超絶病弱美少女』 怜『どや、最高やろ?』 京太郎『……ですね!』 京太郎『よっしゃー今から楽しみだー!』ピッ ヴーッ ヴーッ 怜『ほなそろそろ寝るわ、おやすみ』 京太郎『おやすみなさい』ピッ 京太郎「……おお」 京太郎「なんか知らないけど興奮してきた!」 京太郎「明日からも頑張るぞー!」 【10月第2週 休日】終 【10月第3週 平日】 京太郎「文化祭終わり!」 京太郎「今週末は選抜の合宿か、そろそろオーダー決めとかするのかな?」 京太郎「今週も頑張って行こう!」 京太郎「今朝も相変わらずのぼっちだったんだぜ!」 咏「ふーん」 和「そうですか」 京太郎「あれ、二人とも冷たいなー」 咏「お前が誰と来ようと知らんし」 和「同感です」 京太郎「うわっ辛辣」 昼 京太郎「ご飯の前には手洗いっていうけどそんなんあんまり気にしないよな」 京太郎「とりあえずトイレトイレーっと」 京太郎「あっ」 和「あっ」 和「またお手洗いで弁当ですか……」 京太郎「ち、違わい!トイレだよトイレ!」 和「でも、友だちいないんでしょう?」 京太郎「憐れみの目で見ないで、ちょっと辛い!」 和「よろしければお昼を一緒に、というのもやぶさかではないのですが」 京太郎「だからただのトイレだから!大きい方だから!」 和「えっ……」ドンビキ 京太郎「あっ」 京太郎「…………」 京太郎「」ダッ きょうたろう は にげだした! 京太郎「なんかもう、なんだかもう疲れた……」 京太郎「もう帰ろっかな……」 放課後 京太郎「今日も練習に来たぞ」 絹恵「あ、京太郎くーん」 京太郎「絹恵さん、こんにちはー」 絹恵「うん!ええ挨拶やな!」 京太郎「今日も一緒に頑張りましょうね」 絹恵「京太郎くんこそな!」 京太郎(相変わらず何もすることがなくて困る) 良子「やあ、また来てたんだね」 京太郎「良子さんに会うためですよ」 良子「ふむ、ずいぶんとグラッドなことを言ってくれるね」 京太郎「紅茶かコーヒー、いりますか?」 良子「それじゃあ今日は紅茶で」 京太郎「了解です」 京太郎「アールグレイ?ですね」 良子「うん、ありがとう」 良子「そういえばキャンプの件なのだけれど、場所は東京になったよ」 良子「最近できたばっかの旅館を取っておいた」 京太郎「東京ってことは……白糸台と、ですか?」 良子「というよりは関東選抜の最終候補+αといったところだね」 良子「こちらも同じく最終候補14名で向かう、オーケー?」 京太郎「オーケーです」 良子「よし、それじゃあ事務連絡も終わったことだし、何か話さない?」 京太郎「いいんですか?コーチともあろうお方が」 良子「京太郎と話すのは楽しいからね」 京太郎「大丈夫なのか選抜……」 京太郎(良子さん、元気そうだけど友だち出来たのかな) 京太郎(まさか俺以外に友だちがいないとか……なんか嬉しいけど悲しい) 京太郎(聞いてみるか) 京太郎「良子さん、最近は友だち出来ましたか?」 良子「よく聞いてくれた!」 良子「実はこの前初めて針生アナと福与アナと食事をしたんだよ!」イキイキ 良子「お二人ともいい人で本当に楽しかったよ」 京太郎「そういえば針生アナの連絡先は持ってたんでしたっけ」 良子「インターハイのときにお世話になったからね」 京太郎(同年代で同性の友だちが出来たのか、とすると俺はもうお払い箱かな、なんだか複雑な気持ちだけど) 京太郎(良子さん嬉しそうだし、なんて言えばいいんだろう) 京太郎(なんかちょっぴり悔しい気がする……) 京太郎「じゃあ!じゃあですね!」 良子「ん?どうした」 京太郎「俺とも今度食事に行きませんか?」 良子「えっ?」 良子「そっそれって……デート?」 京太郎「デートじゃないですよ、友だちとしてです」 良子「だ、だよね!」アセアセ 京太郎「それで、いいですか?」 良子「うん、もちろん!いつにする?」 京太郎「そうですねー……」 京太郎「この練習が終わった後でいいでしょうか?」 良子「了解、楽しみに待ってるよ」 京太郎「はい、それではまた後で」 京太郎(良子さんと食事かー楽しみだな) 京太郎(そろそろ対局に入ってみよう) 京太郎「さて空いてる卓はーっと」 雅枝「須賀、こっち入れ」 霞「私たちと打ちましょうか」 洋榎「京太郎が最後の一人かーウチの勝ちも同然やな!」 雅枝「須賀ー洋飛ばしたらなんかご褒美やるわ」 洋榎「えっなんで!?」 霞「ツモ、4000・8000」 京太郎「」ズタボロ 洋榎「京太郎大丈夫かー?」 京太郎「あはは……」 雅枝「よーし、ほなもう一局いくでー」 霞「監督、京太郎くんはもう……」 雅枝「うーん……それじゃあ戒能コーチ入ってや」 洋榎「どんだけウチを虐める気なんや!おかしいやろ!」 京太郎「あはは……」 京太郎「練習終わり……ああ、なんかへこむな……」 良子「ごめん、遅れたね」 京太郎「いえ、いいですよ」 良子「それじゃあ行こうか、どこに連れて行ってくれるんだい?」 京太郎「えーっと、ここですね」 京太郎「ここですね」 |ワグナ○リア| 良子「ワグナ○リア?」 京太郎「最近人気があるみたいですよ」 良子(……ワグナ○リア) 良子(そういえばこの前……) 恒子『ここの近くにワグナ○リアっていうレストランがあるらしいよ!』 えり『それがどうかしたんですか?』 恒子『あっれー針生アナ知らない?最近このへんのカップルに大人気なんだってさ!』 良子『だったら私たちが行くことはないのでは?』 恒子『いやーでも一回は行ってみたくない?』 恒子『戒能プロは彼氏ができたらしいし針生アナだって……』プクク えり『だから彼はそんな人じゃないですから!』 良子『ボ、ボーイフレンドなんていませんから!』 恒子『ええ~ほんとに~?』 良子(やっぱり京太郎は私のこと……)カァァ 京太郎「良子さん、どうかしましたか?」 良子「どうもしていないノーウェイノーウェイ」 良子「それじゃあ何を頼もうかな!」 京太郎「結構迷いますね……」ウムム 「ご注文はお決まりでしょうかー?」 京太郎(なんで刀なんか下げてんだこの人……) 京太郎「俺はこのえびフライプレートで、良子さんは?」 良子「私も同じので」 「はい、それでは彼女と食べよう!タルタルソース付えびフライプレートがお二つ、でよろしいでしょうか?」 京太郎「えっ」 良子「えっ」 「えっ?どうかなさいましたか?」 京太郎「なんでもないです、お願いします」 「かしこまりましたー」 京良(品名ちゃんと呼んでなかったー!) 京太郎(やばいやばいよ、良子さんに変な目で見られるよ!) 良子(京太郎……私なんかが彼女……)プシュー 京太郎「…………」 良子「…………」 京太郎(気まずい!気まずいぞこれ!) 京太郎(どうにかして空気を変えないと!) 京太郎(どうしようどうすればいいんだ!) 京太郎(でも、良子さんも同じのを頼んだんだよな) 京太郎(ということは良子さんもちゃんと品名を読んでいなかった?) 京太郎(なーんだ、そんなことだったんだな) 京太郎「つまり……そういうことです」 良子「そ、そういうこと……って」 良子(京太郎は私を彼女だと思っている?) 良子(でもさっきはデートじゃないって……) 良子(決心したってことなのか?)カァァ 良子「わ、私も……」 良子「これから、よろしく///」カァァ 京太郎(よろしく?よくわかんないけどわかってもらえたみたいだ) 「お待たせいたしましたー、どうぞごゆっくりー」 京太郎「それじゃあ食べましょうか」 良子「うん……」カァァ 良子(私が彼女……でも彼女って何をすればいいんだ?) 良子(この前買った本によると……) 良子(あーん、だっけ?) 良子(…………) 良子(こんなパブリックなところでやるのは……恥ずかしい) 良子「……」モグモグ 京太郎「……」モグモグ 良子「きょ……京太郎」 京太郎「なんですか?」 良子「そ、その……だな……」モジモジ 良子「あ……」 京太郎「あ?」 良子「あ!アイス!アイスがほしい!」 京太郎「ですね、ここいら辺ちょっと暑いですし」 京太郎「頼みましょうか」ピンポーン 良子「……ありがとう」 良子(なんでヘタれるんだ私のバカ!) 京太郎(良子さん楽しんでくれてるみたいだな) 【帰り道】 京太郎「えびフライおいしかったですねー」 良子「うん……そうだね」 良子(緊張しすぎて味なんてわからなかった……) 京太郎「それじゃあ俺はここまでですね、良子さんはまたビジネスホテルに泊まってるんですか?」 良子「なかなかいいホテルだよ、京太郎も来る?」 京太郎「いやいやいや!そんなことしたら流石にまずいですって!」 京太郎「もしサタデーとかに撮られたらどうするんですか!」 良子「そうだね、京太郎に迷惑がかかるし」 京太郎「他の人にもそんなこと言っちゃだめですからね、誤解して襲ってくるかもしれませんし」 良子「……うん」 京太郎「夜遅くなると危ないですし、そろそろ行きますね」 良子「グッナイ」 京太郎「今度は合宿でー!」ブンブン 良子「じゃあねー!」ブンブン 良子「……ふぅ」 良子「京太郎が心配してくれている……ハッピーな気分だよ」 良子「あと二年か……」 京太郎「合宿は東京って言ってたよな」 京太郎「なら挨拶でもしておくべきだよな」 京太郎「でも誰にしよう……」 京太郎「照とか淡にしてもあんまり意味ないし、弘世さんか小走さんか辻垣内さん?」 京太郎「いや、ここは渋谷さんにしよう」 京太郎「気楽な内容で行こう」 京太郎「ここは丁寧にあいさつからいくか」 京太郎『突然のメールすみません、須賀です』 京太郎『今度の合宿よろしくお願いします』 京太郎「送信っと」ピッ ヴーッ ヴーッ 尭深『こんばんは』 尭深『こちらこそよろしくね』 尭深『それはそうと、どうして須賀くんが挨拶なんて?』 京太郎「部外者から見ればわからないよな、説明しておくか」 京太郎『一応俺もその合宿についていくことになってるんですよ』 京太郎『だから挨拶を、と思いまして』ピッ ヴーッ ヴーッ 尭深『そういうことなんだ』 尭深『それなら弘世部長か小走先輩の方がよかったかもね』 京太郎「そういえばそうだよな……」 京太郎「渋谷さんは照と淡の間の学年なんだよな」 京太郎「そこいらへんも訊いておくか」 京太郎『ところで、照と淡が面倒かけてませんか?』ピッ ヴーッ ヴーッ 尭深『宮永先輩も淡ちゃんも私のお茶菓子食べてくれるし』 尭深『二人ともいい子だよ』 尭深『須賀くんは心配性なのかな?』 京太郎『心配性というか、まあそうですね』 京太郎『バカ二人がお世話になってます』 ヴーッ ヴーッ 尭深『まるで二人のお兄ちゃんみたいだね』 京太郎『そう見えますか?』ピッ ヴーッ ヴーッ 尭深『とっても、ね』 尭深『そういう人がいるのってちょっといいかも』 京太郎『ふっふっふ、別に俺を頼ってもいいんですよ?』ピッ ヴーッ ヴーッ 尭深『じゃあそうしてみようかな』 尭深『悪いけどそろそろ寝るね』 尭深『合宿でも頑張ろうね、お兄ちゃん』 尭深『おやすみ』 京太郎「渋谷さんからお兄ちゃん……かぁ」 京太郎「いいね!」 京太郎「あのメンバーのなかで一番のおっぱいだったし、なんか燃える」 京太郎「俺もそろそろ寝るかな」 【10月第3週 平日】終 【10月第3週 休日】 【合宿1日目】 雅枝「説明は以上や」 雅枝「合宿中は各自自分の実力のために尽力するように」 雅枝「あー、そうそう合宿中テレビの密着取材が入るさかい、そこんところよろしく」 雅枝「ほな各自対局開始!」 京太郎「あのー、良子さん?」 良子「何かな京太郎」 京太郎「良子さんこの前東京のホテルって言いましたよね?」 良子「ここも十分立派な東京のホテルじゃないか」 京太郎「立派ですとも、ええ立派です、立派ですけども!」 京太郎「なんで、なんでこんな山奥なんですか!?」 京太郎「新大阪から東京まで来たぞ!って浮かれてたら電車に乗って」 京太郎「どこで降りるんだろうなーとか考えてるうちに終点まで来てるし!」 京太郎「まあまだそれは良しとしてですね」 京太郎「ここって旅館じゃないですか!」 良子「旅館もホテルじゃないか?」 京太郎「なんか違うんですよ!」 良子「な、なるほど……」 良子(よくわからない) 京太郎(あれ、俺って何が言いたかったんだろ……) 京太郎「大体の人にも挨拶したし、何しよう」 良子「京太郎、暇なの?」 京太郎「良子さん……そうなんですよ、よかったらまた特訓してくれますか?」 良子「うん、私におまかせあれ!だよ」ムネハリッ 京太郎「おおぅ……」 京太郎「シャープシュート」ゴッ 良子「いいぞ、雰囲気でてる!」 京太郎「それじゃあ次ですね」 京太郎「カン!カン!もいっこカン!」 京太郎「麻雀って楽しいよね!」ニッコリ 良子「うん、いいよ」グッ 良子「うまく私の真似ができるようになってるね、流石は京太郎だよ」 京太郎「えへへ、そうですか?」 良子「それじゃあ次に行ってみようか」 京太郎「今度は負けませんからね!」 良子「ふふん、どうかな」 良子「ねえ、京太郎、よかったら私の力を身に着けてみない?」 京太郎「身に着ける、ですか?」 良子「うん、本家に伝わる簡単な儀式なんだけど、どう?」 京太郎「うーん……なんか怪しいですけど」 良子「大丈夫だよ、三十分でもあれば終わるし、疲れるのは私だけだから」 京太郎「それも少し……悪い気が」 良子「やっぱり……ダメ?」ウワメヅカイ 京太郎(唐突に可愛いんですけどなにこれ!) 良子「京太郎?」 京太郎「わかりました、ただし安全にお願いしますよ」 良子「うんっ!」 【儀式終了】 良子「儀式終わり!どうかな?」 京太郎「」ハナヂドバァ 良子「あれ?京太郎?京太郎?」ユッサユッサ 京太郎(お互い裸になって体を寄せ合う儀式とか……)チラッ 良子「京太郎?」タユンタユン 京太郎(そんなん考慮しとらんよ……)ドバァ 昼 憩「おーい、京太郎くーん!」 淡「こっち来なよ!」 京太郎「うげっ」 淡「なんだようげってー!」ウリウリ 憩「せやでーこっち来て一緒に打とうやー」 尭深「あ」 京太郎「あっ渋谷さん助けて!」 尭深「お茶入れたけどいる?お兄ちゃん」ニコッ 京太郎「」ブフォッ 憩「お……お兄ちゃん?」 淡「なるほどー京太郎はそういう趣味なんだ……」 京太郎(あれっ、なんかやばい感じ) 憩「ほなこっち来て打と!お兄ちゃん!」ニコッ 淡「お兄ちゃんは私のだよ!ね?お兄ちゃん」ニコッ 尭深「お茶熱いから気を付けてね、お兄ちゃん」ニコッ 京太郎(何この状況どうすりゃいいの……) 京太郎「ロン、これで俺の勝ちだな」 淡「あわわわわ」 淡「まさかお兄ちゃんに負けるなんて……」 京太郎「いつまで続けるんだそれ」 尭深「はい、お茶」 京太郎「渋谷さんはもどったんですね」 憩「ウチがトップやー」 尭深「うん、言葉にすると恥ずかしいから」 淡「ねーねー京太郎!お昼食べに行こうよ!」 京太郎「はいはい、勝手に行ってこい」 憩「ウチ!ウチがトップやで!」 淡「むぅ、京太郎酷いよ!」 京太郎「ふふん、俺に勝ってから言うんだな!」 淡「わかったよ!じゃあもう一局だ!」 京太郎「受けて立つ!」 京太郎「昼でも食いに行くかなーってここいらへんで食べられる店ってないんだよな」 京太郎「食堂行こ」 「なあ!みんなでプール行かねえか?」 「この前できたあそこっすか?」 「そうそう!タダ券もらったから、どうだ?」 「……私なら大丈夫」 「お姉ちゃんも泳げないでしょ」 「……泳げるもん」 「じゃあ決まりっすね、みんなで行くっす!」 雅枝「須賀、どないした?」 京太郎「はっはい!なんでしょうか!」 雅枝「飯食べ終わったんやったら練習や練習」 京太郎「いやーまだデザート頼んでなかったんで」 雅枝「ほな話しながら食べよか」 京太郎「おっ、いいですね」 雅枝「なんか聞きたいこととかあるやろ、どや?」 京太郎「そういえば……」 雅枝「なんや?」 京太郎「監督の旦那さんって一体どんな人なんですか?」 雅枝「旦那……」 雅枝「……はぁ」 京太郎「あっ、すみません」 京太郎「踏み入ったこと聞いて……」 雅枝「いや、別にええんや」 雅枝「あの男はほんまに……最悪や」 京太郎「あれ?お亡くなりになったとかじゃ?」 雅枝「そうなってくれたらええんやけどな、もう離婚したわ」 京太郎「やっぱりすみません……」 雅枝「いつかは話すことになるかもしれんから別にええわ」 京太郎「……いつかは?」 雅枝「私が須賀にお義母さん呼ばれるかもしれんからな」 京太郎「あ……あー」 雅枝「絹も洋も、泣かせたら承知せんで、ええな?」 京太郎「いつかは監督を鳴かせるかもしれませんよ?」 雅枝「はっはっは、後で覚えとけよ」ニッコリ 雅枝「私は先戻るわ、ほなまた」 京太郎「さよならー」 恒子「ほうほう須賀京太郎くんは熟女にまで手を出している、と」 みさき「これは大スクープですね」 京太郎「ちょーっと待ってくださいそこのお二人さん」 恒子「ありゃ、ばれちゃった?」 京太郎「ばれるも何もないですよ」 みさき「この子が有名な須賀京太郎くんですね……」 えり「有名も何もインターハイ優勝者でしょうが」 みさき「あ、そうでしたね」 えり「村吉アナはツッコミ側だと思ってたんですけど」 みさき「針生アナがいるのでまあ多少は」 京太郎「どうしてお三方がここにいるんですか……」 恒子「聞いてなかったかな?ここに取材が入ってるって」 京太郎「でも別々の局ですよね、それに三日もいるつもりですか……」 恒子「そのくらい話題性があるってことだよ、あ、私たちも練習に参加したりとかもするから」 京太郎「麻雀できるんですか?」 えり「ルールとセオリーは十分覚えてますから」 みさき「だてにアナウンサーやってませんからね」 京太郎「まあそういうことなら」 恒子「そーそー、その意気だぞ少年!後で麻雀教えてねー」 京太郎「えっ?」 えり「そういうことなので失礼します」 みさき「これ私の名刺です、どうぞ」 京太郎「あっはい」 恒子「そんじゃねー」 えり「失礼します」 ガララ 京太郎(なんだよこの合宿ー!) 昼 京太郎「食後の腹ごなしにちょっと打つか」 京太郎「どの卓が空いてるかなー」 智葉「須賀、ここにいたのか」 京太郎「辻垣内さんじゃないですか、どうしたんすか?」 智葉「うちの監督が用があると言ってな、とりあえずついてこい」 京太郎「は、はあ……」 智葉「監督、連れてきました」 臨海監督「おっ、来たか」 京太郎「初めまして、須賀京太郎です」 臨海監督「初めまして、うむ中々にハンサムじゃないか」 京太郎「どうも、監督さんこそスーツが似合っててかっこいいですよ」 臨海監督「世辞がうまいな、気に入ったよ」 臨海監督「そんなに硬くならなくていい、そこに座ってくれ、サトハも」 臨海監督「前から常々君とは打ってみたいと思っていたんだ、興味を持つと我慢できないタイプでね」 臨海監督「三麻もいいが、あと一人誰か欲しいな……」 明華「私が入りましょうか?」 臨海監督「ミョンファか、よろしく頼む」 明華「須賀さん、よろしくお願いします」 京太郎「いえこちらこそ」 智葉「それでは始めましょうか」 京太郎(臨海の監督さんにレギュラー二人ってなんか緊張する……) 臨海監督(スガ……カイノウに似ている打ち手だ) 臨海監督(地区予選ではアラカワ、インターハイではミヒロギと似た打ち方をしていたがこれは一体どういうことなんだ) 臨海監督(そして、これで終わりだ) 臨海監督(……パールハーバー) 臨海監督「ツモ、海底面清、4000・8000」 臨海監督「三人ともトビだな」 智葉「」チーン 京太郎「」チーン 明華「」チーン 臨海監督「面白い対局だったよスガ、来年はうちに来ないか?」 明華「またですか監督……」 智葉「面白いも何も一方的なタコ殴りだったのですが……」 京太郎「そもそも臨海って女子校じゃないんですか?」 臨海監督「大丈夫大丈夫、金さえかければ何とでもなるから」 京太郎(絶対ダメな大人だよこの人……) 夕 臨海監督「午前の様子を見るに、スガは暇なそうだが、どうだ?私と特訓でもしないか?」 京太郎「まあ確かにやることないですね」 臨海監督「よし、なら早速取りかかろう」 京太郎「そういえば監督さんはメジャーで活躍していたんでしたっけ?」 臨海監督「活躍、というほどではないがな」 臨海監督「あそこの卓が空いたようだ、入っていてくれ」 臨海監督「まあ、今日はこんなところかな」 臨海監督「欧米流の麻雀なんだが、理解はできた?」 京太郎「……ほんのちょっと」 臨海監督「そうか……物事最初はこんなものさ」 京太郎「そうですよね……」 京太郎(世界って広いんだよな、考えてみれば明華さんだって世界ランカーらしいし) 京太郎(でも俺だって日本一の男子高校生なんだ!) 京太郎(まだまだ負けてられないよな!) 臨海監督「ふっ、まだ続けてみるか?」 京太郎「……はい!どうせなら時間ギリギリまで!」 臨海監督「うん、いい意気だ。それでは次は……」 雅枝「これで今日の練習は終了や!」 雅枝「各自部屋で休むように!ほな解散!」 「ありがとうございましたー!」 京太郎「結局あの後もわからないまんまだったな……」 京太郎「後二日もあるんだからのんびり行こう」 京太郎「さてと、俺の部屋は……ここか」 京太郎「どうせ一人部屋なんだろうな……」ガチャ 「赤阪さんお帰りなさ……い……」 京太郎「あ……えーっと」 京太郎(この人確か……多治比さん、だっけ?) 真佑子「ど、どなたでしょうか?」ガクガク 京太郎(ってのんびりしてる場合じゃねえ!) 京太郎「すみません、部屋間違えました!」 真佑子「ちょっ、ちょっと!」 バタム! 京太郎「部屋番……401だよな、良子さんに文句つけないと……」 郁乃「あっれ~京太郎くんここで何しとるん~?」 京太郎「実は部屋の場所がわからなくて……」 郁乃「でも京太郎くんと私は同じ部屋やろ~?」 京太郎「えっ」 郁乃「ほな入るで~」 真佑子「多治比です……どうも」 京太郎「須賀京太郎です、よろしくお願いします」 郁乃「二人とも仲良くな~」 京太郎「さっきはなんかすみませんでした」 真佑子「いいですよ、着替えを見られたってわけじゃないんですから」 真佑子「顔上げてください、ね?」ニコッ 京太郎「は……はい」カオアゲ 京太郎(多治比さん、優しい人だな……) 真佑子「この私の優しさに感謝して一生跪いてろこの下等が」ボソッ 京太郎「……はい」 京太郎「…………」 京太郎「ええっ!?」 京太郎(急にキャラ変ったよ何この人!?) 夜 京太郎(ちょっと気まずいから他の人の部屋にでも行くか) 京太郎(誰の部屋に行こう……) 京太郎「適当に歩いてきたけど、ここは誰の部屋かな?」コンコン 京太郎「失礼しまーす」ガチャ 雅枝「……須賀?」 京太郎「……あ」 雅枝「私の部屋に何の用や?」 京太郎「そ、それはですね……」 京太郎「えーっと、ここは誰の部屋だ?」 ガチャ 臨海監督「スガ?こんなところで何をしているんだ?」 京太郎「ここ監督さんの部屋だったんすね」 臨海監督「いかにもそうだが、どうしたんだ?」 京太郎「それはですね……」 京太郎「ちょっと部屋の居心地が悪かったのでお話でも、と思いまして」 臨海監督「ん……そうか、いいぞ上がれ」 京太郎「失礼しまーす」 臨海監督「それで何の話をしようか、私はなんでもいいよ」 京太郎「ううん、そうですね……」 京太郎「じゃあ監督さんの過去の経歴について……とか?」 臨海監督「経歴、か」 臨海監督「知っての通り私は元メジャーの選手だったんだがあまり活躍と言う活躍はなくてね」 臨海監督「コカジさん相手にはズタボロだったよ、まあ恋人がいたというのもあったんだろうけど」 臨海監督「そんなこんなで限界を感じてメジャーから身を引いたんだ、そんなところにかかってきたのが臨海からの声だった」 臨海監督「どうやら私は人に教える方が向いているみたいでね、内心複雑だったよ」 臨海監督「話していて自分でもつまらないな、今度はスガの話を聞かせてくれるか?」 京太郎「俺の方が退屈ですよ、まだまだ」 臨海監督「ふむ、そうか」 臨海監督「そういえばスガはミヤナガと幼馴染らしいけど、そこはどうなんだ?」 臨海監督「噂に聞くに遠距離恋愛だとか」 京太郎「俺と照が遠距離恋愛!?誰がそんなことを!」 臨海監督「私が」 京太郎「根も葉もなかったよ!」 臨海監督「でも結構そんな噂は聞くぞ、それこそアラカワと付き合ってる、とかミヒロギと付き合ってるとか」 京太郎「そもそもなんでそんなことを初対面の監督さんが知ってるんですか」 臨海監督「さっきも言っただろう、私は興味を持つと我慢できないタイプなんだ」 京太郎「えぇぇ……」 臨海監督「そういえば最近はカイノウやハリウアナと関係を持っているとも聞いたがそこのところは?」 京太郎「ないない、なんでもないですから」 臨海監督「そうか……つまらないな」ボソッ 京太郎「聞こえてますからね!」 【脱衣所】 京太郎「風呂は確か温泉って言ってたよな、楽しみだ」 京太郎「そういえば霞さんから……」 霞『ここの温泉は混浴だから、京太郎くんは11時から入ってね、その前に他の子を入れちゃうから』 京太郎『つまり11時前に入れば混浴ができる、と』 霞『そんなことしたらどうなるか……わかるわよね?』ニッコリ 京太郎『イエス!マム!』ビシッ 京太郎「というわけで用心をして11時半」 京太郎「誰か入ってないかな……」 京太郎「いるわけないよな……」 ガララ カポーン 京太郎「うん、わかってた」 京太郎「ちょっとの希望はあったよ、洗面所の前の髪の毛とか、石鹸の匂いとかで期待してたよ」 京太郎「でももうなんか……寂しいよな」 京太郎「気を取り直して飛び込んでみるか」 京太郎「イィィィィッヤッホオオオオオウ!」 バッシャーン 【そのころの脱衣所】 良子「……ふぅ」ヌギヌギ 良子「今日はあまり京太郎と喋れなかったな……」 良子「恋人……なんだよね」※違います 良子「もっとアグレッシヴにならないといけないよね、よし」 イィィィッヤッホオオオオオウ! バッシャーン 良子「まだ誰か入っているのか?」 良子「いや、この際中の人とも仲良くなろう!私ならできる、私ならできる!」 良子「こんばんはー」ガララ 京太郎「あー!気持ちいいー…………」 良子「…………」 良子「これはドリームだ、そうに違いない」ホッペツネル 良子「いたっ!」 良子「ってことは……夢じゃない?」 京太郎「え……っと、どうして良子さんがここに……?」 良子「……それは……だな……」 良子(そういえばカスミに言われてた気がする……) 良子(このまんまだと私は京太郎の風呂に入りに行った淫乱女だと思われるんじゃ……)ガクガク 良子(どうすればいいんだ……) 京太郎(なにこれどうしよう……なんで良子さんがここにいるんだよ) 京太郎(一応腕で隠れてはいるけど……ナイスな……)ブフォッ 良子「京太郎、鼻血出てるぞ!」 京太郎「えっ、うわ本当だ」 良子(京太郎がのぼせてる……のぼせたときってどうすればいいんだっけ……) 良子(えっと、確か……) 良子(膝枕……か) 良子(縁に座って……)チャポン 良子「きょ、京太郎!///」カァァ 良子「膝枕……するよ」 京太郎「えっ」 京太郎(現状を整理しよう) 京太郎(俺は温泉に入っている、当然裸だ) 京太郎(そして今、良子さんに膝枕してもらっている……良子さんも裸だあそこは腕で隠しているけど) 京太郎(どうすればいいんだよ……良子さんの肌やわらかいし白いし……) 良子「京太郎、落ち着いた?」ナデナデ 京太郎(頭、撫でてくれるし……怜さんとかいつもこんな気分なのかな……) 京太郎「はい、ありがとうございます」 良子「よかった、どうしたのかと思ったよ」ホッ 京太郎「……っておかしいでしょう!」ガバッ 良子「」ビクッ 京太郎「どうして良子さんがここにいるんすか!」 良子「……ごめん、入る時間を間違えたんだ……」 良子「私は……京太郎と入っても、その……嬉しいんだけど」 良子「迷惑だよね……もう上がるよ、ごめん」ショボン 京太郎「そ、そんなことないです!俺も嬉しいです!もっと二人で楽しみましょうよ!」 京太郎(何言ってんだ俺ぇぇぇえ!) 良子「そう……なの?」パァァ 京太郎(ええいままよ!) 京太郎「もちのろんですよ」 良子「じゃあまずは何する?体洗いっこする?それとも一緒にお風呂に入る?」 京太郎「え、えーっと……」 京太郎(何その選択肢……おかしいでしょ……) 京太郎「じゃあ……良子さんの身体を洗いますね」 良子「いいのか?」 京太郎「俺だけされてばっかりっていうのは少しなんなので」 良子「……わかった」 京太郎「まずは髪から洗いますね」 良子「うん」 京太郎「どうですかー?」ワシャワシャ 良子「気持ちいいよ」 京太郎「おかゆいところはありませんかー?」 良子「ふふっ、サロンみたいだな」 京太郎「俺もそう思いました、あははっ」ワシャワシャ 良子「痛っ!」 京太郎「ど、どうしました!?」 良子「ごめん、ちょっとシャンプーが目に入ったみたいで……」 京太郎「ごめんなさい、もうちょい丁寧にやります」 良子「ごめんね……」 京太郎「次は体洗いますね」 良子「よろしくね」 京太郎(流石に前はできないよな……) 京太郎「良子さん、髪もそうでしたけど肌も綺麗ですよね」 良子「そうかな?意識したことはなかったけど……嬉しいな」 京太郎「はい、背中終わりです。あとはご自分でどうぞ」 良子「えっ……前は?」フリムキ 京太郎「俺から言ったことですけど、前はダメでしょう」 良子「ダメ……でも……」 良子「……京太郎なら……ううん」 良子「京太郎に、洗ってほしいんだよ」ウワメヅカイ 良子「それでも、ダメかな?」ウルウル 京太郎「」ドキッ 京太郎「どうなってもしりませんからね!」 良子「京太郎になら、どんなことでも……」モジモジ 京太郎(腕が終わってついに最初の関門……胸) 京太郎(確かに触りたいとは思ってましたよ、揉みたいと思ってましたし顔もうずめたいと思っていました) 京太郎(でも何でこのタイミング……) 京太郎(腹くくるしかないよな…………ぐへへ)ワキワキ 京太郎「失礼しますね」モミッ 良子「んっ……」 京太郎(やわらけぇー!やわらけえよぉー!)ムニョンムニョンモミモミモミモミモミ 京太郎(感動!感動した!俺ぁ感動したよぉぉぉぉおお!)モミモミモミモミモミモミ 良子「きょ、うたろぉっ、!そ、そのくらっ!ああっ!」 京太郎(ふぅ……満足した、次はへそか)チョン 良子「んぁっ!」ビクン 京太郎(へそが弱いのかな?)クニクニ 良子「あんぅ、やぁっ!」ビクンビクン 京太郎(……エロい) 京太郎「これで洗い終わりですね、そろそろ入りましょうか」 良子「……ぅん」ビクンビクン 【そのころの脱衣所】 霞「戒能プロ、どこ行ったんでしょうね」 善野「一緒に来ればよかったんやけどねー」 健夜「ここの温泉って若返り効果があるんですよね!」 雅枝「せやで、年寄りに優しいやろ」 臨海監督「コカジプロには特にね」 健夜「どういうことですかね?」ピキピキ ワーワー キャーキャー 良子「…………」 良子(あの声は小鍛治プロ?ということは……) ソロソロハイローカー ガララ 良子「京太郎、潜って!」 京太郎「えっ、何を!?」 健夜「あれ?戒能プロいたんだ?」 霞「呼びに行ったんですけど、もう来てたんですね」 良子「が、我慢できなくてね」 良子(どうしよう、このままだと京太郎が痴漢にされてしまう……) 良子(そういえばあっちに……) 良子「あっちの方にもう一つ大浴場がありましたよ」 善野「あっちってどこ?」 良子「別の脱衣所から入るんですよ、こっちは疲労回復の湯であっちが若返りの湯らしいです」 雅枝「あ、あっちやったんか、ほな行ってくるわ」 臨海監督「私も行きますかね」 善野「小鍛治プロも石戸さんも早くいかへん?」 霞「私はまだ10代ですし……」 健夜「」ギロッ 霞「ひっ、行きますね!」 健夜「私も行こうかな」 良子「私も後から行きますね」 雅枝「ほなまたー」 ガララ 良子「……はぁ」 良子「京太郎、大丈夫か?」 京太郎「」マッサオ 良子「京太郎?京太郎?」 京太郎「」マッサオ 良子「京太郎ー!」 京太郎(現状を整理しよう) 京太郎(俺は温泉に入っている、当然裸だ) 京太郎(そして今、良子さんに膝枕してもらっている……良子さんも裸だあそこは腕で隠しているけど) 京太郎(って、何このデジャヴ) 良子「京太郎、起きた?」 京太郎「おかげさまで、どうもすみません」 良子「ううん、よかったぁ」ホッ 京太郎「こう二回も膝枕してもらってると悪いっすね」 良子「心配したから……いいよ」 京太郎「そう言われても……じゃあ俺も何かしてあげますよ!」 京太郎「何しましょうか?」 良子「何って……なんでも?」 京太郎「俺にできることなら、なんでも」 良子「じゃ……じゃあ……それじゃあ……」モジモジ 良子「充電……してもらってもいいかな?」 京太郎「……充電?」 京太郎(充電って……充電ってまさか……) ここから妄想―――――――――― 良子「京太郎の電気、私に流してほしい!」 良子「しびれさせて?」 京太郎「良子さん!」ガバッ 良子「きょうたろぉ、激しいよ……」 京太郎「流し込むぜ!俺の電気!」 ――――――――ここまで妄想 京太郎(ぐへへ……) 良子「京太郎、どうかした?」 京太郎「いえいえなんでもないですよ、それで、充電とは?」 良子「……エクスプレインよりもやってみた方がはやいと思うから、京太郎は浴槽の縁に座って」 京太郎「はい」 京太郎(……座ると俺の息子がやばいことにならないか?) JR京太郎「呼んだ?」 京太郎(ちょっとすっこんでろ!間に挟まってろ!) 良子「それで私がそこに座る、と」ストン 良子「充電充電!」 京太郎「充電充電!」 良子「チャージチャージ!」 京太郎「チャージチャージ!」 京太郎(どんなプレイ!?) 京太郎(何が悲しくて現役で美人で巨乳な若手プロと疑似挿入して充電充電言わないといけないの!?) 良子「……京太郎」 良子「疲れた」 京太郎「声が涸れるまで叫んでたらそうなりますよ」 良子「だよね……」 良子「……京太郎」 京太郎「何ですか?」 良子「国麻、頑張ろうね」 良子「私は地区選抜のコーチとして、京太郎は個人の部で、一緒に勝とう」 京太郎「……はい、絶対に負けませんからね」 良子「ふふっ、楽しみだね」 京太郎「俺もですよ」 良子「……もう少し、このままでいいかな?」 京太郎「もう吹っ切れましたよ……」 良子「……ありがとう」 良子「京太郎」 京太郎「なんですか?」 良子「私、京太郎といると……毎日が楽しいんだ」 良子「京太郎はどう?」 京太郎「俺もですよ、良子さんや照や憩たちがいて毎日が楽しいです」 良子「……うん、そうだよね」 良子「それじゃあ私は小鍛治プロたちの方に行くから、京太郎は後で出てきて」 京太郎「はい、おやすみなさい」 良子「おやすみ」フリフリ ガララ 京太郎「よし、出てきていいぞ息子よ」 JR京太郎「我慢できねえぜ!」 京太郎「温泉はちょうど白濁!此処ならできる!いくぞ我が息子よ!」 JR京太郎「ヒャッッッッハアァァァ!」 【合宿初日】終
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かにかま (斉藤弾) トリップ:◆egFq0uURnw=#梅干5th 概要 6代目手動保管庫の管理人であり、3代目素材保管庫の運営も行う。 しかし、肝心の保管作業は2009年上旬より滞っているのが実状である。 本人によればこの停滞状態は、 持病の悪化 人間関係のトラブル(詳細は不明) によるものらしいが、 一方で、総受け関係の保管・イベント開催やブログの更新に関しては精力的に行うなど不可解な点もある。 その結果、ツクスレ住民の不信感を招き、保管庫運営の怠慢だとする批判につながった。 こうした疑念が漂うなか、 ろーたの発言をネタにしたブログ記事の投稿により、ヲチラーであることが判明。 ヲチラーによる叩きの口火を切ることとなった。 WEB拍手への返信のいい加減さも顕著で、 言葉のキャッチボールがまったくできないようである。 ツクール 若いナンバーを取る事が多いが実力は高くない。 総受けに対するモチベは高く、VIPの保管を放置して総受け祭りに参加したことも 206 名前:ツクスレの名無し:2009/06/28(日) 20 01 25 アヒャイン夏26紅白24 公開後平均25 M明のksg祭り(小規模祭) 公開後21 ピヨピヨ黒歴史カレンダー 公開後20 ぽにまろ黒歴史紅白 公開後15 フラック黒歴史夏の陣 公開後13 かにかま 夏の陣 公開後12ww 性格 悪い。 21 :ツクスレの名無し:2011/01/30(日) 10 28 22 かにかまのブログから 某人が理不尽(?)な目に合ってるのを見ると反射的に 『L○5ざまああああああwwwwwww』 って言いたくなるこの現象に早く何か名前をつけるべき そしてその後に続く言葉はもちろん 『まぁ、気が向いたらサモン書いてやるからがんばれ』 しかしやっぱり俺がサモン書くとやっぱ青いダモン… 2011.01.28 Fri 11 25 37 これは…そのまんまの意味でいいのか? タイミングとしてはちょうどフェニアがブロックした後だし 保管庫運営 歴代の管理人に比べて保管漏れが圧倒的に多い。 これは、かにかまの主観で一部の作品が意図的に排除されているためとの意見もある。 ブログでの度重なる愚痴や上記のような停滞状態から、 「早く管理人を交代したほうがいい」との意見に賛同する住民も少なくはないが、 かにかま本人は頑として続ける意向のようだ。 運営体制に批判が集まり、自身もブログで管理人としての限界を示唆するなか、 なぜ続投するのかはまったくもって不明。 炭酸電池が3代目素材保管庫をが引継ぐと申し出てきた際にも、 「まだ続ける、危なくなったら頼みます。」と事実上断っている。 交友のある海苔や15、果てはろーたにまで運営体制への批判を受けるが、 いずれのコテも「かにかまは他人の意見を受け入れる気がない」と愚痴をこぼすだけに終わった。 特に海苔との確執はヒートアップしており、 傍目に見ても管理人という公的な立場を持つ人間の対応とは思えないほどの泥仕合と化している。 友人からの忠告に対してもひどい態度を見せた拍手返信の詳細は海苔、15の記事を参照のこと 批判に対する回答の一部 わかってねーなお前は だから嫌われる人には嫌われるんだよ! 特に頭の良い奴にな!! 暗に自分は頭がいいと言っているのだろうか。 俺と勝負するなら、 現状は他人に投げて…でも投げる方法他はお前で全部考えて… それが駄目なら謝罪と賠償を要求するニダ… って意見じゃ勝てないよ 何も勝負しようという訳ではない。 実際保管庫掲示板と俺ブログと本スレには 至って何もかかれてないんだが… 都合の悪い書き込みは見えないらしい 素材保管庫すら募集かけて数ヶ月名乗りが出なくて それで俺が言った節があるので 交代出来る位人材いなくね? ※炭酸電池が名乗り出たのに蹴りました っていうか正直ジエン板に毒されすぎw かにかまに毒されるよりはまだ 八百屋さんは良い人だったよー 嘘です、IP晒して喜んでる屑ですw 同居人がPC使ってる間は俺PC使えんねん 別の拍手↓ 俺の今居る家、ネットないねん… 逆転裁判ならここで終わってた お前がこうしてジエンやら何やらで ネット向こうの姿もわからない人間をヲチってっている間 俺は彼女の美味い手料理を食ってたワケだ それは妄想だ 俺テレビ持ってない… ケータイもテレビ内蔵始める1つ前の機種だし 実家のPCにはマザボの空きスペースの問題でチューナー付けられない どんな生活だ ノーコメントゲームの欄がないのは6代目保管庫だけ!! フォース保管庫もベルエターナル保管庫もノーコメントゲームはありませんよ っていうかお前はあれか、 勉強しようと机に教科書の用意始めた子どもに対して さっさと勉強しなさーい!って怒って 今からしようと思ってたのにーって子どもひねくれさせて その場を悪化させるオカンか 海苔に対する意見。お前は何を言っているんだ。勉強したことないだろw 一応保管はできるのだぞ…? ただ現状では、保管庫と、人一人のリア生活を支えるのとで 二重の見過ごせない事柄が発生してます 15に対する返信。じゃあやめろよ ってか俺はアイドルか何かか。 ブログに書かれただけで急に発狂するとか凄い影響受けるとか ツクスレではそういう未発達の焼酎みたいな人は少数だと思います。 俺は初心者支援をしていきたいと思ってます。 成長しきって歩いてる奴は自分一人でもなんとか出来るでしょう。 15に対する返信。成長しきって歩いてる奴は自分一人でもなんとか出来るでしょうwwwww (訳:成長しきっている奴は保管しなくても我慢できるだろ?) 正直言うと海苔の意見の方向性にいらっときたよ! 15にはマジメに返信したつもりだったのだが… メロンクレープ寿司に対する返信。これだけ説得されても「海苔にはいらっときたよ」で終わるかにかまww 割と普通に思うんだけど ぶっちゃけ、俺ぐらいの有名人になってくると (自作品)他人から良い所と悪い所を評価されたいとは あんまり思わなくなってくるんだよね。 基本的に自分は何かしらうpすれば誰かが勝手に苦言を発信するし 自分でそこまで自分の短所美化して作品作ってる訳でもないから 信者とかファンとかがただ、面白いって書いてくれるだけで 個人的には充分モチベだしそれ以外は特別いらない。 だからこう、面白いと書かずに何か深いことを書こうとしてか わざわざこちらの荒探しを確信犯的な好意的?に やってくれてる人とかみると悲しくなる。 例を挙げると、なれあいのつもりでやってる辛口レビューみたいのとか ああいうのは小物以外嬉しくないと思うんだ…。 とりあえず少なくとも俺はうれしくない。金が絡んだらまた別だけど。 いくつ突っ込み所があるでしょう 頭おかしい天才って俺大好きwwwwwwww だって俺もそうだからwwwwwwwww 俺みたいな奴は類じゃなきゃ友になれないんだよね、相手が凄く優しい人とかそんなんでもない限りは。 頭おかしい屑 かにかまコピペまとめ 「テレビ持ってない」←どんだけ 「最近は不満なく静かだよね、いつものtkスレ」←嘘つけ 「勉強しようと机に教科書の用意始めた子ども」←教科書放置して遊んでただろ 「俺と勝負するなら、~って意見じゃ勝てないよ」←読解力皆無なのか 「ノーコメントゲームの欄がないのは6代目保管庫だけ!!」←でもノーコメ作品は保管しないよ! 「引きこもり童貞じゃないって大変なんですね…」←そのわりには任天堂ゲームに時間費やしてる件 「成長しきって歩いてる奴は自分一人でもなんとか出来るでしょう。」←15の話が理解できてないだろ、そのやり方じゃ成長した者から抜けていくよ ヲチラー「かにかま市ね。さっさと保管交代しろ」 海苔「責任感がなさすぎる。お前は保管交代しろ」 15「このままでは人が喜ぶ管理はできない。私も保管交代した方がいいと思う」 名無し「お前の保管対応の遅さは今までの管理人を馬鹿にしている。保管交代しろ」 ろーた「現実が大変だから保管は待ってーはないわ。保管交代しろよ」 218 名前:ツクスレの名無し:2009/07/06(月) 19 39 03 ヲチラーだけでなく、名無し、そして海苔と15といったコテ、ろーたという荒らし ツクスレが一致団結してるなwww かにかま「更新できないのはしょうがないだろ。俺はお前らと違って彼女相手に忙しいからな」 「じゃあ 保管やめちまえ」 かにかま「嫌だよおー」 「じゃあ とっとと再開しろ」 かにかま「今家族がPC使ってるし、家にPC無いんだよ」 「どっちなんだ ふざけんな」 かにかま「俺のブログはファンもいるからツクスレのことばかりにかまってられないんだよ」 「うるさい 黙れ 更新しろ」 ↓最初に以下ループ ぽにまろ黒歴史に負け、フラック黒歴史に負け、カレンダー一か月分に負け すぐ後ろを見ればVX仮面、クルセイダー、あくせらのノーコメントトリオがいる これがかにかまのツクールの実力w 引退表明 2013年4月14日、3代目素材保管庫にて引退を表明。 最後まで自分勝手であった。 おしらせ 保管庫を休止してしばらく経ちましたが、私側の生活環境が変わり ツクール・ツクスレに割ける時間が全く取れなくなってしまったので、 勝手ながら保管庫を完全停止します、以降復帰することはありません。 今まで長らくのご愛顧ありがとうございました。 ついでにVIPツクラーとしての活動も完全に停止して引退します。 (というか期間的に、既にしています。の方が正しいかも。) 数年間に渡り私のフリをしてツクスレを荒らしている人が数名存在しており、 荒らし側がツクスレの実権を握っていて、情報操作をしている面があるので 今後も私関連で、匿名で荒らし書き込みが定期的に繰り返されると思いますが、 その辺に関しては私は関わっていないので、今も昔も今後も、スレッド上の書き込みを こちから側からどうこうする事はできません。 この通知を見て、露骨にメシウマする人があなたの隣に現れるかもしれませんが、 荒らしに構う人も荒らしなので、愛想笑いをしてあげてください。 それでは。 かにクマ紛争 2010年8月末、twitterにおけるかにかまの愚痴から端を発し、 見かねたクマックマとかにかまの間で、保管庫運営についての議論が交わされた。 詳しい議論の内容は、下記のヲチスレログを参照して下さい。 ツクスレヲチ200:http //jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/game/47528/1282445814/(765から) 個人的には、公共の場で苦情飛ばしてくる方々を嫌った記憶がないので、 一方的に嫌われて一方的に大々的に苦情言われてるだけなのだけどね。 運営体制に対する批判を、ただの苦情としてしか受け止めていないようである。 ヲチスレの中から出てこないならまだしも、知能指数低い奴が2ch外のコミュにまで追ってきて色々言ってくださるんだよね。 こう語るかにかま自身もヲチラーである。 あそこまで不満あがったら誰かが勢力引き連れて勝手に7代目建設とかするかと思ったんだが…。絶対信仰でもあるのか? 引き継ぎの許可申請を断った人間の言葉とは思えない。 誰かに変われっていうけど、本当にその誰かは存在しているのか?って結構思う。 過去のやりとりは記憶から抹消したようだ。 歴代の保管庫って中身が殆ど中高生じゃなかったっけ。 過去の保管庫管理人に対して侮蔑ともとれる根拠のない発言。 ネカマ(ネナベ)疑惑 総受け関連の管理をしていることからも分かるとおり、腐属性を持つことは間違いない。 だが実際の性別に関しては曖昧で、ブログの記事によって内容が矛盾することもある。 当該の記事 あー…服を購入した、という日記 あ…主に愚痴 別ブログの記事 2008.06.26 んふ… やっぱり何だか気になって…その…… アバタ買ってしまった…しかもR2の自アバに似せてΣ( ノ∀`)ペチン しかも上手い具合に、チャージして残してた 70エンチュぴったりで揃うとかwwwwwねーよwwwwwwww (^p^) 今月だけで300エンチュ使いましたね俺… でもいいんです、男になれたから いつまでも性別詐欺はやっぱりいけません 趣味嗜好や愚痴っぽい性格などから女性である可能性が高いが、 別の日記には「彼女がいる」と記しており、自分が男性であることをほのめかす表現もよく見られる。 もし記事に嘘偽り無くすべて真実だとすれば、かにかまは同性愛者ということになるだろう。 もっとも、ヲチラーの間ではネナベであるとする説がさしあたって有力である。 こうした一貫性の無い記述をWEB拍手で指摘されることもあるが、その度に誤魔化している。 ネカマ(ネナベ)として振舞うのは個人の自由だが、 恒常的に虚偽を織り交ぜた記事を書く人間が、保管庫等の管理人を務めることに批判の声もある。 マッスルドリンコ伊藤 さんのプロフィール 1989/05/11(木曜日らしい)に 性別を間違って生まれた変態 というのは冗談で、 本当は繊細な恋心を持った乙女です ごめんなさい嘘つきました 名前の流れは マッスルドリンコ伊藤→斎藤弾→東浩紀→かにかま 近年の活動 3代目素材保管庫を畳んだ後はツイッターもせず祭りにも出ず消息が不明だったが、 近年それらしい名無しがヲチスレで唐突に自分語りをしに現れた。 結局自分が誰か名乗らなかったため、本人と断定はできないが、ほぼ間違いないだろう。 カメやんやクマックマに恨みを持っている、投稿したksgなどの情報からかにかまと推測された。 なんで戻ってきたんだ…… 本人の告白によれば祭りの度にカメやんに求愛され、監視垢に成りすまし粘着されているらしい。 訳がわからん。 529 :(^Σ^):2014/04/18(金) 14 00 58 クマみたいに復活を狙ってると思われてるのか知らんが 正直今の自分がツクールをやるメリットが何もない 531 :(^Σ^):2014/04/18(金) 14 08 48 前にVIPRPGでつるんでた奴らは 気が向いたら帰ってこい なんて言うが そもそもツクスレを家と考えたことがないから いつまでも話が噛み合わないままだった 前後の文脈が微妙に繋がっておらず、話が噛み合わない。 「ツクスレに未練はない」とのたまっているが、ヲチスレなんてところに再び現れる辺り、未練タラタラである。 騒ぎはしたが案の定誰もまともな会話は出来ず、妄想を撒き散らすだけで終わった。 ちなみにこれ以降、カメやん粘着がヲチスレで現れるようになった。 ヲチスレのレスをヲチのあちこちのスレに貼り付ける意味のわからない事をしているが、いったい正体は誰なのだろう 613 :(^Σ^):2014/04/18(金) 16 09 53 この話の自分の気持ちを論理的に伝えられない知恵遅れっぷりを他人に擦り付ける感じ、かにかまかなぁ 絶対監視してやろうな 644 :(^Σ^):2014/04/18(金) 17 52 27 「未練はないよ!カメやんが成り済ましと自演するかもしんないけどね」 この見苦しさ前もどこかで見ましたね 「こっちは閉鎖するよ!今回の件を仕組んだ奴らや成り済ましして暴れるかもしんないけどね(酉晒し)」 こんな感じでしたっけ 652 :(^Σ^):2014/04/18(金) 18 09 32 かにかまは虚言壁とナルシズム、開き直りのシナジーが強かった 言い訳のためにねつ造あるいは脚色した設定を、自分自身で完全に信じ切るというスキル 653 :(^Σ^):2014/04/18(金) 18 11 22 だからしばらくツクスレに姿を現さなかった間、どんなストーリーを構築してても驚かないな まず間違いなく夏の陣管理人は別人だったと信じ切っているか、クマカメの粘着であんなことになったとしてるだろうけど 675 : ◆KVm6RcwHro:2014/04/18(金) 20 12 41 わけのわからない進化を遂げてたね なんか野郎に粘着される乙女の気持ちがわかった気がする 求愛って…わしゃなんだ、イタリアのちょいワル紳士か、「どうしたんだい子猫ちゃん」か、ゲロが止まらんわ まとめ 672 :(^Σ^):2014/04/18(金) 20 10 06 炭酸リスペクト 自意識過剰 他人から評価されているとアピールする 他人から必要とされているとアピールする 代表作がつまらない クマカメヘイト 会話が通じない 別に誰からも要求されていない事案を拒否、それを主張する≒自意識過剰 成りすまし被害を主張する まずかにかまさんと見て間違いないと思います 俺が戻っても去った人は帰ってこないというところだけはいまいち解釈が難しいですご、 一緒に去ったモトイの事か、いつの間にか衰退した総受けを自分がいなくなったせいと都合良く解釈しているかでしょう どちらにせよあなた方は現状創作者として、一個人として特に求められていません 帰ってきて欲しいとも、あなたの言う昔の友達以外存在するとは到底思えません 求められているとしたら精々謝罪くらいです これ以前に、パー速にヲチスレを潰そうと誘導するようなksg(カメやんヘイト多め)を投下された。 向こうでは完全スルーされ、ヲチが数レス進むだけの些細な事件だったが、その正体もおそらくかにかまだったのであろう。 交友 すべて総受けのメンバーである。 motoi 海苔 15 嫌われている 高原 おなもみ フェニア 相思相愛 カメやん 名言 絶対信仰でもあるのか? あーめんどくせって時にこの言葉最高だよね 今度から積極的に使お わかってねーなお前は だから嫌われる人には嫌われるんだよ! 特に頭の良い奴にな!! 俺と勝負するなら、 現状は他人に投げて…でも投げる方法他はお前で全部考えて… それが駄目なら謝罪と賠償を要求するニダ… って意見じゃ勝てないよ やっぱり誤解やらなにやらを減らすためにきちんと書きましょう。 私はVIPRPG合同誌企画には参加しません。 事の内部にも関わっていませんし、そもそも声もかかっていないので完全に外側にいます。 また、この企画が出る以前(新章での話を頂いた後)にVIP外の用事が入っている為、 スケジュール的にも時間をほぼ裂けないので無理です。 VIPRPG合同誌について。 言うまでも無いが、誰一人としてかにかまに合同誌参加を勧めてはいない。 「誰の」「何に対する」誤解かは本人以外知る由もない。 人間性が悪くても良い作品作れば良いっていうのは 金の動く商業世界だから認められるのであって ここは金は動かない趣味の世界だから ある程度人間性っていうのも必要だと思うのね クマ? まぁ馬鹿と言っても、解らずやの馬鹿は もう救い様がないに近いものがあるので とりあえずろーたは俺作品には使わないと思います ろーた使わない宣言 よし、俺も明日から本気出すことにする うん明日からです、明日からっていいよね 明日っていつの明日よ 何カ月も経ってるのに更新がなかった 保管庫やめたらやることなくなって暇すぎて死んじゃうハート じゃあ死ね まだ前回の更新から一ヶ月経ってないよ! 保管庫は一カ月放置するもの 最近実家に居ないんだよな…うーん 廃れれば4日もあれば追いつくんだが、、、 独り暮らしじゃないので凄い迷惑になっちゃうかも、うーん ちょっと廃人できるように交渉でもしようかなぁ やる気はあるのですが…うーん…ちょっと聞いてみるか 廃人は交渉してなるものである そして俺はまた捕獲に戻った ポケモンの捕獲らしい。保管に戻れよ 実際保管庫掲示板と俺ブログと本スレには 至って何もかかれてないんだが… 目、ついてるか? 素材保管庫すら募集かけて数ヶ月名乗りが出なくて それで俺が言った節があるので 交代出来る位人材いなくね? 炭酸電池「」 っていうか正直ジエン板に毒されすぎw お前もな 八百屋さんは良い人だったよー なにそれこわい 同居人がPC使ってる間は俺PC使えんねん 俺の今居る家、ネットないねん… 証人の発言にはムジュンがあります! お前がこうしてジエンやら何やらで ネット向こうの姿もわからない人間をヲチってっている間 俺は彼女の美味い手料理を食ってたワケだ 実在するのその彼女は 俺テレビ持ってない… どんだけw ノーコメントゲームの欄がないのは6代目保管庫だけ!! 証人の発言にはムジュンがあります! っていうかお前はあれか、 勉強しようと机に教科書の用意始めた子どもに対して さっさと勉強しなさーい!って怒って 今からしようと思ってたのにーって子どもひねくれさせて その場を悪化させるオカンか 海苔に対して。これはない ってか俺はアイドルか何かか。 15に対して。 俺は初心者支援をしていきたいと思ってます。 成長しきって歩いてる奴は自分一人でもなんとか出来るでしょう。 だから保管されなくても我慢しようぜ!(マジキチスマイル 今後はどうやって彼女を嫁にしようか悩んでいる所だ… 15「返信が辛かったら返信しなくていいよ」に対して。ただの煽りだこれ 最近は不満なく静かだよね、いつものtkスレ かにかまは視覚障害 引きこもり童貞じゃないって大変なんですね… ポケモンやマリオばかりやっているんですがそれは メロンさんきたー!本物?(*゜∀゜*) メロンクレープも閉口してしまうほどの人物 正直言うと海苔の意見の方向性にいらっときたよ! 15にはマジメに返信したつもりだったのだが… 頭おかしい んふ… やっぱり何だか気になって…その…… アバタ買ってしまった…しかもR2の自アバに似せてΣ( ノ∀`)ペチン くっさ でもいいんです、男になれたから いつまでも性別詐欺はやっぱりいけません かにかまの彼氏って斎藤弾こと東浩紀名義の自分じゃね? マッスルドリンコ伊藤 さんのプロフィール 1989/05/11(木曜日らしい)に 性別を間違って生まれた変態 というのは冗談で、 本当は繊細な恋心を持った乙女です ごめんなさい嘘つきました マッスルドリンコ伊藤wwww もうツクールに戻る気ないのに 本スレ祭りの度にカメやんが求愛してくるから疲れる 求愛とはいったい なんか前提が違うんだよ みんなそうやってスレに未練がある前提で話しかけてくる こっちは戻る気ないから監視やめてと思ってる そんだけなんだが ウケる 俺を復活させてもスレの過去の人は戻らんよ その辺はいい加減理解して欲しいな 自意識過剰 未だにカメの自演が根強いから マジでツクール関わってませんよアッピルにきたの ホームページ: うめぼし (閉鎖) うめぽし (閉鎖) コメント このコテに関する補足やコメントはこちらにどうぞ かにかまは鍋で煮られてクマに喰われました。合掌 -- 名無しさん (2014-02-18 17 20 52) 引退宣言からしばらくして、最後っ屁とばかりに 作品/素材保管庫と総受けの歴代祭りサイトを全消ししたことを忘れてはならない -- 名無しさん (2014-04-03 21 31 26) 名前 コメント
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【冬休み7日目】 京太郎「ん……」パチッ 京太郎「……そっか、俺の部屋か」 京太郎「……まだ寝よ」 朝 京太郎「うぐぅ……眠い……」 京太郎「けど流石に二度寝して昼間とかはダメ人間みたいで嫌なんだよな……」 京太郎「何か読んで暇をつぶそう」 京太郎「この前買った良子さんの本にするか」ペラペラ 京太郎「表紙の良子さん綺麗だなぁ」ポケー 京太郎「こういうのは前書きから読むのがいいんだよな」 京太郎「えーっと、なになに?」 『現代……ディーズデイズ、君たちヤングなガールやボーイたちのパワーが私たち全体への――――――』 京太郎「何これ、前書きどんだけ続いてんの」ペラペラ 京太郎「しかも良子さんらしく横文字ばっかだし……」 京太郎「……とりあえず読み続けよう」 ―― 一時間後 京太郎「ようわからんかった……」チーン 京太郎「なんで注釈つけなきゃわかんないような英語使うんだよ……」 京太郎「今日はここまでにしておこう」 京太郎「さーて次の本は……」 ´  ̄ ̄ ` / \ / ヽ / / / | | ヽ i i { イ A A A l | l| | X{ | v八 // \ト| l| '\ // \ト、{丐ミ、\/ ィテ丐 l|/¨\\ 〃 | ハ弋ソ 弋rソ1 l! \ヽ /' | 小 ' ! 八 ヽj 表紙「」ジーッ | j 丶、 ぃ . イ / 从/ / >-<´ト、j_/\ 京太郎「……」 ´  ̄ ̄ ` / \ / ヽ / / / | | ヽ i i { イ A A A l | l| | X{ | v八 // \ト| l| '\ // \ト、{丐ミ、\/ ィテ丐 l|/¨\\ 〃 | ハ弋ソ 弋rソ1 l! \ヽ /' | 小 ' ! 八 ヽj 表紙「」ジーッ | j 丶、 ぃ . イ / 从/ / >-<´ト、j_/\ 京太郎「表紙に見られ続けてる気がするのは気のせいなのか?」 京太郎「なんかこえーよ……」 京太郎「続き、読んでみるか」 京太郎「前書きは読み終わったから、『Chapter.1-物真似とは』からだな」 京太郎「ふむふむ……」 『ミミング(注1)とは、インアザーワーズで言うと、トレースにニアーなミーニングである』 『そしてトレースとは―――――』 京太郎「あれ?これ前書きじゃね?」 京太郎「横文字の量もさらに増えてるし……」 京太郎「マジかあの人……さっぱりわかんないぞ」 昼 京太郎「字ばっかで疲れた……」 京太郎「やっぱ冬休みなのに勉強するのは間違ってるな、うんうん」 京太郎「暇なのは変わんないから……他の人のとこに遊びに行こう」 京太郎「」ブルッ 京太郎「ボロアパートだから寒いな、ここ」 京太郎「そういや霞さんとこに掘りごたつがあったよーな……」 京太郎「よし、行ってみよう」 ガララ 京太郎「霞さーん、いますかー?」 霞「あらいらっしゃい、どうしたの?」 京太郎「部屋の中あんまし暖かくないんでこっちで暖まろうかと」 霞「こっちもちょうど暇してたし、いいわよ」 京太郎「じゃあお邪魔しまーす」 霞「お茶入れてくるから、京太郎くんはあっちの部屋で待っていてね」 京太郎「はい!」 京太郎(ここで霞さんだけと一緒にいるなんてクラス発表の日以来か?) 京太郎(いつもはみんながいて麻雀打ってたり、郁乃さんが騒いでたりしたっけ) 京太郎(来年は俺と霞さんだけになるのかな……) 京太郎(他にも誰かいた気がするけど) 霞「お待たせ、はい」 京太郎「ありがとございます、では」ズズッ 霞「……」ズズッ 京霞「ぷはぁー」 京太郎「寒い時に飲む温かいものって凄いですよね、五臓六腑に染み渡るというか、食道の形がわかるような気がしますよ」 霞「そうねぇ、あ、お茶請けの濡れせんべいもあるわよ」 京太郎「じゃあそれもいただきます」ボリボリ 霞「……まったりするわね」 京太郎「ですねー」 京太郎「ポーカーでもしましょうか」 霞「ポカポカしてるからかしら?」 京太郎「…………」 霞「…………」 霞「ごめんなさい」 霞「でも、ポーカーって三人以上でやるものなのでしょう?」 京太郎「ディーラーとか無しで競うだけにしましょう」 霞「まあ暇つぶしにはなるでしょうね……そうだ、負けた方が昼ごはんを作るっていうのはどうかしら?」 京太郎「いいですね、見せてやりますよ、俺の家事スキル!」 霞「負けること前提なのね……」 京太郎「霞さんから先にどうぞ」 霞「じゃあ……これ、とこれ」 霞「次は京太郎くんね」 京太郎「……はい」 京太郎(霞さんはまだ初心者、役も覚えきっていないと見える) 京太郎(だが、なぜ……) 霞「あら?まだ決めないのかしら」ニコニコ 京太郎(あんなに悠然としていられるんだ……?) 京太郎(まさか初心者でも知っている名物役、ロイヤルストレートフラッシュを揃えたのか?) 京太郎(……いや、これはハッタリ!) 京太郎(そうだ、いくらなんでもそんな強運は滅多にない!) 京太郎(ここは三枚交換で勝負をかける!) 京太郎「フルハウス!」 霞「ツーペア……負けちゃったわね」 京太郎「ウヒョヒョヒョー!俺の勝っちだー」 霞「じゃあご飯作って来るわね」 京太郎「あ、流しちゃうんすね」 トントン 京太郎(炬燵の中で包丁がまな板を打つ音が聞こえる……) 京太郎(暇だ……) 京太郎(霞さん、料理作るときは割烹着だったよな) 京太郎(ピンクのフリフリ付エプロンとか持ってそうだけど……) 京太郎(何かイタズラしてみるか?) 京太郎(あ~右手から炎でないかな~) 京太郎(夏とか暑そうだからいいや~) 京太郎(…………) 京太郎(暇だ) 京太郎(眠い……) 霞「お待たせー……あら?」 京太郎「くかー……」 霞「待たせすぎちゃったかしら?」 霞「風邪引くわよー」 京太郎「くぉー……」 霞「起きなさそうね……こうなったら……」 霞「この鍋焼きうどんで京太郎くんを起こしちゃいましょう!」 霞「前に寝起きドッキリでびっくりしたから仕返しよ」 霞「……だけど、流石に熱いわよね」スッ 霞「少し冷ませば大丈夫よね?」 霞「ふぅーっ、ふぅーっ」 霞「このくらいでいいわね、どのくらい驚いてくれるかしら?」ワクワク 京太郎(気が付いたら霞さんが何やら企てている、直接じゃなくて良かったものの……) 霞「えいっ!」ピトッ 京太郎(案の定熱くない……) 京太郎(えぇぇ、何これどうしよう) 京太郎(どう反応したものか……) 京太郎(薄目を開けると目の前には霞さんの指があるわけで) 京太郎(うどんよりも白くて、綺麗な指なわけで)グー 京太郎(意趣返しだ)パクッ 霞「あっ……もう、何してるのかしらこの子は」ツンツン 京太郎(何だろう、霞さんの声が親戚の優しいおばさんのそれにしか聞こえないや) 京太郎(おいしかったし、もういいや) 霞「早く起きないとうどん冷めちゃうわよー?」ツンツン 京太郎「あ……どうも」ムニッ 霞「……お、おはよう」 京太郎「鍋焼きうどんですか、霞さんらしいですね」 霞「またおばさんっぽいって言うつもりなのかしら?」ジトッ 京太郎「いえいえ、家庭的だなー、割烹着似合うなー、と」ズズッ 霞「それならいいけど……」 京太郎「おっ!おいしいですよ、これ!」 京太郎「ちょーおいしいっすよ!」 霞「そ、そう?初めて作ってみたのだけど」 京太郎「今度は霞さんが作った朝ごはんとかも食べてみたいです!」 霞「ええっ!?」 霞「そ、それって毎日味噌汁作ってくれとかそういう……」 京太郎(あっれー?どこで勘違いしちゃったんだろこの人?) 夕 京太郎「今月は金銭的余裕もあるし、たまには外で食べるか」 京太郎「適当にぶらついて探そう」 京太郎(松屋の主な長所は味噌汁が無料ということと、食券制ということの二点だ) 京太郎(食券制であることにより、す○家に見られる聞き間違いなどのトラブルが少ない) 京太郎(ネギたま牛丼とキムチを頼んだら、キムチ牛丼とキムチが出てきたのは良い思い出だ、整合性考えようぜ) 京太郎(味噌汁無料というのは他のとこと比べてお得感があってなんか良い) 店員「旨辛ネギたま牛めしですねー」 京太郎(というわけで松屋に来てみたのだが……) 竜華「な、なんで京くんがここにおるんや」ワナワナ 京太郎(わなわなしてる人がいた) 京太郎「奇遇ですね、竜華さんもここで夕食ですか?」 竜華「お、お母さんもお父さんもおらんし、せっかくやから食べてみたいと思って来ただけなんやからな!」 竜華「牛丼が好きとか、そういうわけやないんやからな!」カァァ 京太郎「前後で矛盾してますよ、落ち着いてください」 竜華「はぁーっ、はぁーっ」 竜華「京くんはよく来るん?」 京太郎「俺ですか?たまーにですね」 竜華「そっか……ええなぁ」 京太郎「え?」 竜華「あっ!ちゃうから!いつも一人で自由やな、って思うとっただけやから!」 京太郎「いつも一人……」ズーン 竜華「ああ!落ち込んでもうた!」 京太郎「竜華さんもこんな店に来るんですね、意外です」 竜華「変、やろか?」 竜華「千里山の麻雀部部長がこんなところで夕食って……」 竜華「女の子っぽくないと思う?」 竜華「京くんは嫌やろ?」 京太郎「嫌とか訊かれましても……」 京太郎「好きなものは好きっていうべきですよ」 京太郎「俺は牛丼好きな竜華さんだっていいと思います、変でも、嫌でもないです」 京太郎「だいたい、そっちにはセーラさんがいるんですから一緒に行けばいいじゃないっすか」 竜華「セーラはああ見えてファミレスでパフェ頼むかどうかで10分悩むくらいやで」 京太郎「案外行かなさそうですね……」 竜華「どうすればええんやー!」ウェェン! 京太郎「じゃあ、俺と一緒に行きましょう!」 京太郎「いつでも呼んでくれれば飛んでいきますよ!」 京太郎「まあ、どうせ一人ぼっちですし……」 竜華「そっか、ほなそんときは頼むな!」 京太郎「はい、それじゃあ食べましょうか」 京竜「「いただきまーす!」」 夜 京太郎「読書に始まり、読書に終わる」 京太郎「嗚呼、なんという学生的な日々よ」 京太郎「さて、何を読むか」 京太郎「朝はよくわかんなかったけど、今度こそは十二分に噛み砕いて理解してやる!」 京太郎「ここから……」ペラッ 京太郎「良子さんのプロマイド、こんなのもあるのか……」 京太郎「ボタンを外して少しはだけさせたブラウスを着た良子さん……」 京太郎「この良子さんが俺に教えてくれていると思えば……!」キィィィン! 京太郎「妄想しすぎて集中できなかった……」 京太郎「心なしか使われてる英語が簡単になってる気がしたし、プロマイドって偉大」 京太郎「でもこのプロマイドエロすぎないか?」 京太郎「こういうの目当てで買う人もいるんだよな……」 京太郎「良子さんにストーカーとかいるのか?」 京太郎「なんか心配になって来た……」 京太郎「続きを読み進めよう!」 京太郎「今のモチベーションなら今度こそ理解できるはずだ!」ペラペラペラ 京太郎「やっぱりもうないよなぁ、プロマイド」 京太郎「ふんふむ」 京太郎「えーっと、つまり本の内容を総合すると……」 物真似、トレースにおいて最も重要なのはイメージである その人の打ち筋を見て、思考をイメージ、理解しようとする 第二にそのイメージを投影すること その人だったらこの場面でどうするか、考えて実際に打ってみる 次第にその人の精神に身体が乗っ取られ、その人特有の運、オカルトチックな法則を手に入れることができる 京太郎「結局オカルトじゃねえか!」 京太郎「……打ち筋を見て思考を理解、ならできるかもしんねえけど……」 京太郎「MAOはリアルだからこっちで練習してみるか」 京太郎「プロのなら公式の牌譜があるし……」 京太郎「よし、やってみよう!」 チュンチュン 京太郎「ふぅ……こんなもんか」 京太郎「もう朝4時、ウソだろ……」 京太郎「早く寝よう」 【冬休み7日目】終 【冬休み8日目】 京太郎「結局あまり眠れなかった……」 京太郎「昨日はやたらと疲れたなぁ……」 朝 京太郎「気分転換にちょっと歩いてくるか」 京太郎「朝の公園は、冬の陽気にあいまっていい感じだ」 京太郎「」ブルッ 京太郎「さっさと帰ろう……」 憩「あ、京太郎くん?」 京太郎「……憩さん?」 憩「朝から散歩かぁ、偉いなぁ」 京太郎「偉い、ですか?」 憩「冬休みやっちゅうのに朝早く起きて散歩なんて偉いでぇ」 京太郎「それを言ったら憩さんも同類じゃないっすか?」 憩「あははっ、せやねー」 京太郎「……憩さんは麻雀の調子、どうですか?」 憩「二年生の子たちと頑張ってるで、大会が楽しみやね」 京太郎「当たることになっても、容赦はしませんよ?」 憩「ふふっ、それはこっちの台詞やで」 憩「……はぁー」 憩「ちょっと寒くなって来たなぁ」 京太郎「寒ささえなければ、冬は最高なんですけどね」 憩「晴ればっかりやしなぁ」 憩「けど、晴れてばっかで暑くないのは冬が寒いからって、バランスええよな」 京太郎「ですよねぇ」 憩「んーっ」ノビーッ 憩「はぁ……もうこんな時間かぁ」 憩「京太郎くん、この後予定とかあるん?」 京太郎「特にないですね、憩さんは?」 憩「ウチは勉強、息抜きに麻雀や」 京太郎「うわぁ、大変そうだ」 憩「楽しいと思えばそうでもないんやで?」 憩「図書館におるから、京太郎くんも暇やったら来てなーぁ」 京太郎「はい、気が向いたら!」 昼 京太郎「暇だー」ゴロゴロ 京太郎「あれ?いつも暇だったら暇が普通になって暇であることが暇でなくなるんじゃないか?」 京太郎「そうなったら暇って一体どうなるんだ?どんだけ暇になるんだ?」 京太郎「…………」 京太郎「そういや憩さんが図書館にいるっつってたな……」 京太郎「行ってみよう」 京太郎「どうも、憩さん」 憩「きゃっ!……なんや、京太郎くんかぁ」 京太郎「誘われたんで、来ちゃいました」 憩「集中しとったんやから、びっくりさせんといてなぁ」 京太郎「はい、気を付けますね」 憩「そんで、京太郎くんはどこ悩んでるんや?」 京太郎「えーっと……この辺りですかね?」 憩「せやから、ここはこーやって……」 京太郎(憩さんが隣で懇切丁寧に教えてくれてるけど、暖房が気持ち良くて、憩さんの声が耳に優しくて……) 京太郎(……あー…………やばい……)ガクッ 憩「こーすれば……ほら、完成やで」 京太郎「くこー……」Zzz 憩「京太郎くん?」 京太郎「…………」Zzz 憩「教え方悪かったんかな?……それやったら凹むなぁ」 憩「京太郎くーん?」 京太郎「…………」Zzz 憩(ちょうどペンもあるし、落書きしたろ) 憩(二人っきりの時間を無駄にした罰や)カキカキ 京太郎「くー……」Zzz 京太郎「んあ……」 憩「……」スラスラ 京太郎「あ……おはようございます」 憩「あ、やっと起きた……ブフッ」 京太郎「え!なんで吹き出してんですか!」 憩「だ、だって、ふふっ」 京太郎「何なんすかもー!」 ―――トイレ 京太郎「……」 京太郎「額に肉ってどんだけ幼稚なんだよ」 京太郎「しかも水性ペンってあたりも優しいよな……」 京太郎「これは何か仕返しをしないとな」 京太郎「これに見合うくらいの仕返しを……」 京太郎「憩さん♪」トントン 憩「何や?」プイッ プニッ 京太郎「ははっ、引っかかりましたね?」プニプニ 憩「懐かしいなぁ、それ」 京太郎「お返しですよ」 憩「あ、どうやった?ウチのいたずら、恥ずかしかったやろ?」ワクワク 京太郎(恥ずかしいというより可愛かった……ってのは無しだよな) 京太郎「もう、勘弁してくださいよ?」 憩「京太郎くんが寝るから悪いんやでー」 京太郎「そりゃあ確かにそうでしょうけど……」 憩「さ、もう少し頑張ろか」 京太郎「はい!今度こそは寝ませんよ!」 憩「あはは、頼もしいやら頼もしくないやらようわからんなぁ」 夜 京太郎「今日は散歩行って、朝飯食べて、昼飯食べて、憩さんと勉強して、晩飯食って風呂入ったのか」 京太郎「勉強したこと以外いつもと変わんないなぁ……」 京太郎「まあ一昨日とか合宿行ってたし、バランスが取れてるとは思えるな」 京太郎「寝る前に誰かにメールしよう、暇つぶしだ」 京太郎「暇そうな人……っと」 京太郎「……怜さんなら暇そうだな」 京太郎『今暇ですかー?』 京太郎「……よし」ピッ ヴーッ ヴーッ 怜『なんやいきなり、まあ暇やけど』 京太郎『やっぱりそうでしたか、予想どおりでした』ピッ 怜『京くんはうちが冬休みに何も予定無しの可哀想な子やと思ってんのか なんや傷つくなぁ』 京太郎『そういうつもりじゃなくてですね!暇な怜さんなら俺の暇つぶしにも付き合ってくれるんじゃないかな、と』ピッ 怜『はいはい、夜は暇な怜ちゃんですよー …こう言うといやらしいな』 京太郎『怜さんは冬休みの予定、何かあるんですか?』ピッ 怜『昨日はセーラと買い物行って、今日はりゅーかと服買いに行ってたで 明日は二日遊んだから一日中ダラダラして、明後日は一日ダラダラしたからもう一日ダラダラするんや 明々後日もダラダラするつもりやで』 京太郎『ダラダラばっかじゃないっすか』ピッ 怜『しゃあないやろ、去年までは休みになったら検査入院とかして友だちの誘い断ってばっかやったんやから この前やって「園城寺さん…は病院があるから駄目やろ?ごめんな」って言われたし…』 京太郎『なんかすみません』ピッ 怜『ええんやけど、りゅーかとセーラが両方とも旅行に行ったときは寂しかったなぁ 京くんの方はどうなん?』 京太郎『俺は去年までは咲とモモと遊んでたんですけど、確かに誰もいないときは寂しかったですね 最近は用事なんてないですよ』 怜『そーか、うちら暇人同士なんやなー』 京太郎「うっ、認めたくはないけどその通りだ……」 京太郎「どう返そうかな」 京太郎「待てよ?怜さんくらいの人だったら学年選抜に選ばれてるんじゃないか?」 京太郎「だったら一緒に麻雀とか良さそうだな」 京太郎『俺と一緒に麻雀の練習しましょう』ピッ 怜『それやったらいつかの千里山に来る権利を行使させてもらうわ うちはいつでもええけど、京くんはいつ来れるんや?』 京太郎「明日……かな?でも朝はゆっくりしたいから昼間くらいに……」 京太郎『えっと、明日の午後からなら大丈夫です』ピッ 怜『予想できたわ、昼まで寝てるつもりやろ?』 京太郎『怜さんじゃないんですからそんなことしませんよ(笑)』ピッ 怜『残念ながら、うちの休日は午前9時起きなんやで』 京太郎『俺の怜さんのイメージが……』ピッ 怜『うちはどんなイメージなんや、逆に気になるわ』 京太郎『そのうち教えてあげますよ、今日は明日に備えて寝ましょうか』ピッ 怜『せやな、楽しかったで、おやすみー』 京太郎『おやすみなさーい』ピッ 京太郎「さーてと、さっさと寝ますかね……」 ヴーッ ヴーッ 京太郎「メール?誰からだ?」 智葉『須賀、起きているか?』 京太郎「辻垣内さん?」 ヴーッ 智葉『起きていないよな、こんな時間にすまなかった』 京太郎「何やら困っている雰囲気かな?とりあえず返そう」 京太郎『どうしたんですか?』ピッ 智葉『実はだな……』 智葉『監督が須賀成分が不足しているとうるさいんだ』 京太郎『須賀成分?』ピッ 智葉『監督曰く須賀の匂い、声、触感のいずれかを味わった時に得られる栄養のようなものらしい』 京太郎『何すかそれ…、俺にどうしろと言うんですか?』 智葉『ちょっと抱いてやって落ち着かせてやれないか?』 京太郎『距離的に無理があるじゃないですか』ピッ 京太郎(それに「抱く」って……) 智葉『冗談だ、5分後にそっちに電話をかけるから、下に書いてあるセリフを言ってくれればいい』 京太郎「えっと……「月が綺麗ですね、カントク」「毎朝俺に味噌汁を作ってください」「ずっと君を隣で見ていたい」」 京太郎「「ずっと離さないよ」「ねえ、ずっと一緒にいるって言いましたよね?」「貴女がいけないんです、俺の、俺の傍にいてくれなかったから……っ!」……?」 京太郎「なんかおかしくないかこれ?」 智葉『助かったよ、監督も満足している』 京太郎『お役にたてて良かったです。でも俺なんかの声で良かったんでしょうか?』ピッ 智葉『君の声は男らしくて快い気分になるんだ。今日は安眠できそうだよ』 京太郎「……あれ?」 京太郎『それはよかったです、他に何か用事はありますか?』ピッ 智葉『十分だ、おやすみ』 京太郎『おやすみなさい』ピッ 京太郎「今日は安眠できそうだ……って監督さんのことだよな?」 京太郎「……そうだよな?」 『ずっと離さないよ』 『ねえ、ずっと一緒にいるって言いましたよね?』 『貴女がいけないんです、俺の、俺の傍にいてくれなかったから……っ!』 『……ようやく、本当に貴女と一緒になれる』 『ずっと、ずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとZUTTOォ!』 智葉「……ふふっ」 智葉「これでよく眠れる……」 「お、お嬢が笑顔で眠っていらっしゃる……」ザワザワ 「お前ら、絶対に邪魔すんじゃねえぞ」ザワザワ 「一体何を聞いてるんでしょうか……」ザワザワ 【冬休み8日目】終 【冬休み9日目】 京太郎「あと二日で交流戦か、オーダーは明日提出でいいんだよな」 京太郎「そこも考えつつ、今日は怜さんと麻雀だ!」 朝 京太郎「健康志向な俺は朝の散歩に行きましょうかね~」 京太郎「どうせやることないし……」 京太郎「クーリスマスが今年もやってくるー」 憩「京太郎くーん!」 京太郎「あっ、憩さーん!」 タッタッ 憩「京太郎くんは今日も散歩?」 京太郎「はい、憩さんもですか?」 憩「せやで、今日も会うなんて奇遇やねー」 京太郎「実を言うと、今日も憩さんに会えるんじゃないかな、と思ってここ通ったんですよ」 憩「ウチも同じやで、えへへ」 京太郎「ははっ、なんかお互い通じ合ってるって感じっすね」 憩「せやねー、以心伝心ってやつやろか?」 京太郎「それなら俺たち夫婦になれますねー」 憩「……へ?」 京太郎「……あー……」 京太郎「いや、そんな変な意味は無くて、ほんの冗談のつもりだったんです」 京太郎「……すみません」 憩「ええよ、気にしいひんさかい謝らんでも」 憩「京太郎くんと結婚っていうの、楽しそうやね」 憩「毎日笑顔で幸せにできそうや」 京太郎「じゃあ、俺たち結婚します?」 憩「……それができたらええんやけどな」 京太郎「え?」 憩「なんで……ウチは……」ウツムキ 京太郎(冗談なのになんでこんな暗い雰囲気になってんだ?地雷踏んじゃった?さっきまで笑い合ってたよな?) 憩「……ごめん、もうウチ帰るわ」ダッ 京太郎「えっ、憩さん!?」 京太郎「…………」 京太郎「何だったんだろう、あれ」 昼 京太郎「今日は他の人の部屋に遊びに行こう」 京太郎「誰か部屋にいるかなー?」 京太郎「……あれ?」 京太郎「何か忘れてるよーな……」ポクポク 京太郎「あっ!」チーン 京太郎「怜さんとの練習忘れてた!」 京太郎「やっべーよ何やってんだよ俺!」 京太郎「早くいかねえと!」 ――校門前 怜「はぁー」コシコシ 怜(京くん、まだやろか) 怜(このままやと凍え死にしそうや……)ブルブル 京太郎「おーい、怜さーん!」ブンブン 京太郎「はぁ、はぁ、すんません、遅れました」 京太郎「ひょっとして、待っててくれたんですか?」 怜「いや、偶然や、偶然」 怜「京くんのことなんか待ってへんもん」 京太郎「そんなに指赤くして何言ってんですか、怜さんは病弱なんですから無理しないでくださいよ」 怜「無理なんてしてへんわ、ほないくで」 ギュッ 怜「ちょっ、なんで手ぇ繋いどるんや」 京太郎「差し出がましいですけど、そんな手は放っておけないですから、せめて片手だけでも」 怜「……好きにすればええやろ」プイッ 京太郎「はい、それじゃあ行きましょうか」 怜「ほんで、何するん?」 京太郎「怜さんと特訓に決まってるじゃないっすか!」 怜「ふーん……そっか」 怜「特訓いうても京くんが強くなるとこもうないやん」 京太郎「ところがどっこい、最近本を読んで身に付けた業があるんすよ!」 怜「本読んだだけでわかるなんてえらい軽いな」 京太郎「まあまあそう言わずに」 京太郎「そういえば、怜さんはどうして麻雀を始めたんですか?」 怜「きっかけ?」 京太郎「はい」 怜「ん……確か小学生の頃に、隣のベッドで寝とったおじいちゃんに教えてもろたんや」 怜「そっからセーラと竜華に教えて、三麻してばっかやったわ」 京太郎「そうだったんすか」 怜「結局、後の二人の方が上手なってわたしは置いてけぼりなんやったんけどな」 怜「京くんの方はどうやったんや?」 京太郎「俺は照と咲の家に行ったときに教えてもらいましたね」 京太郎「最初はカモにされっぱなしでしたよ」 怜「そっかぁ、懐かしいなぁ」 怜「最初の時のまま、ずっと楽しく打ってたいわ」 京太郎「ずっと楽しく、ですか」 京太郎「どうやったらそんなことができるんでしょうか」 京太郎「どっかで俺たちは勝利に執着しちゃって、勝てないとつまんなくって麻雀を嫌になる」 京太郎「そういうの、俺は嫌なんですよね」 怜「……せやったら、京くんが楽しく打てばええんやないの?」 京太郎「俺だけでですか?」 怜「人のプレイスタイルってな、意外に伝わるものがあるねん」 怜「この人頑張ってるんやなーとか、この人麻雀好きやないんやなーとか」 怜「京くんだけでもそうやって打ってれば、きっと誰かが気づいてくれるはずや」 怜「多分、対局しとったらもっとわかりやすいはずやで」 怜「ほら、一遍笑ってみぃ」 京太郎「こうですか?」ニコッ 怜「うん、振り込むのも負けるのも全部麻雀なんやから、そのまま明るく笑ってれば、楽しいやろ?」 京太郎「なるほど、なんか掴めた気がします!」 京太郎「集中したから疲れました……」グダー 怜「わたしもー」グデー 怜「京くーん、何しよかー」ムニムニ 京太郎「俺に聞かないでくださいよー」ムニムニ 怜「やっぱり時間持て余すなー、あと京くんのほっぺやわらかいなー」ムニー 京太郎「怜さんの方こそ柔らかいじゃないっすかー」ムニー 怜「暇やなー」 怜「こほっ、こほっ」 京太郎「大丈夫ですか?」 怜「ただの咳やから大丈夫や」 京太郎「そっすか……!」ピコーン 京太郎「いかん、いかんよ園城寺くん」 怜「なんやいきなり」 京太郎「これは、あれだ、須賀病院の院長である私、須賀京太郎が診てあげよう」 怜「はぁ、ほなお願いします」 京太郎「お任せあれ!」 京太郎「で、症状は如何様に?」 怜「咳と鼻水とダルいですね」 京太郎「そうですか、じゃあまずは触診で」 怜「なんでその症状で触診するんや……」 京太郎「えっと、熱は無いみたいですね」ピトッ 怜(首筋か……それ触診言わんやろ) 京太郎「じゃあ次は口開けてくださいね」 怜「あー」 京太郎「さてと、次の人のカルテは……」 怜「あー……」プルプル 京太郎「眼鏡眼鏡……」 怜「……」イライラ 京太郎「あっ、今日はコンタクトだった!」 怜「ちゃんと見んかい!」 京太郎「やだなー、放置プレイなんてするわけないじゃないですかー」 京太郎「次は心臓の音とか聞いていきますねー」 怜「結局見てへんやないか!」ビシッ 京太郎「ほら、早く服めくってくださいよ」ニヤニヤ 怜(この医者腹立つなぁ、セクハラ根性丸出しやん、って、京くんやったわ) 京太郎「さあ早く!ハリー!ハリー!」 怜(面倒くさいけど、大阪のノリの良さも見せへんと……それに、京くんやったら、服の下やって……)カァァ 京太郎「ハリー!ハリーアァァ「シャラァァァァァップ!」!」 ゲシッ 京太郎「そげぶっ」 怜「あ、死んだ」 竜華「大丈夫やった、怜?」 怜「見とったんなら途中から止めてぇな」 竜華「そ、それはちょっと……」 竜華(服捲るかどうか迷って顔赤くしとった怜が見たくて助けへんかったんやで……) 竜華「で、この下衆はどないしよか」 怜「そこに座らせたまんまでええよ」 竜華「ん、わかったわ、よいしょ」 怜「ほな私寝るから~」グデー 京太郎「」ピクピクッ 竜華「怜、ちゃんと練習せなあかんで」 怜「わかってるから、竜華はセーラたちと打ってきぃ」 竜華「もう、後でこっち来るんやで」 怜「はーい」 怜「……はぁ」 怜「今日も疲れたなぁ」ムニッ 京太郎「」ピクピク 怜「誰のせいやと思ってるんやー?」ムニー 京太郎「ふご……」 怜「ふふっ」 怜「今日はこのまんまごろごろしてるだけでええわ……」 キーンコーンカーンコーン 怜「京くーん、部活終わったでー」 京太郎「んあ……はっ!俺は今まで何を!?」 怜「ずっとピクピクいうとったわ」 京太郎「……あれ?部員の皆さんは?」 怜「みんな帰ったで、もう後片付けも牌の掃除もしたで」 京太郎「じゃあ俺って凄く邪魔だったんじゃ……」 怜「うん、その通りやで」 京太郎「くっ、屈辱……っ!」 怜「残ってるの私らだけやさかい、はよ出よか」 京太郎「はーい、そうっすねー」 怜「鍵返してきたでー」 京太郎「はい、靴」 怜「おおきにー……んしょ」 京太郎「んじゃ、行きましょうか」 怜「ちょっと待ちぃ」ギュッ 怜「……うん、温かいな」 京太郎「えっ、いや……帰りもそうするんですか?」 怜「行きにしたんはどこの誰やったやろな~」 京太郎「そりゃそうっすけど……」 怜「ほな帰ろか」グイッ 京太郎「あーもう待ってくださいよー!」 怜「遅いでー男の子のくせに~」 怜(手だけやなくて顔も胸も熱いわ) 怜(これは新発見でええんやけど、京くんにこんな顔見せられへんやん)カァァ 京太郎「歩くの速いっすよー!」 夜 京太郎「俺には、明後日に負けられない戦いがあるんだ」 京太郎「今日の内に邪念を断っておこう」 京太郎「まずは……今朝会った憩さんにしようかな」 京太郎「シチュエーションは……そう、俺が入院して看護婦の憩さんが夜に俺の部屋を訪ねてきたとしよう」 京太郎「そして憩さんは俺にご奉仕を……」 ―――一時間後 京太郎「駄目だ、あの笑顔の罪悪感からか全然出ねえ……」 京太郎「憩さんは諦めよう、次は……」 京太郎「怜さんにしてみるか」 京太郎「シチュエーションは……今度は逆に医者になった俺を頼ってきた怜さんに、俺は座薬を注入しようとして……」 ―――一時間後 京太郎「……ふぅ」 京太郎「満足だ、実に満足だ」 京太郎「風呂入って寝よ」 【冬休み9日目】終 【冬休み10日目】 ※大会までの休日最終日 京太郎「明日だってえのにもう緊張するぜ」 京太郎「ハッスルのおかげで目覚めもいいし、朝から頑張るぜ!」 朝 京太郎「今日も千里山の様子を見に行こう」 京太郎「昨日も得られるものはあったからな」 京太郎「というわけで今日もよろしくです!」 浩子「ほーん、あっそ」 京太郎「何すかその素っ気ないリアクション!」 浩子「この寒い中迎えに行かされる身になってみぃ、ほんま邪魔やわ」 京太郎「」グサッ 京太郎「今日は対局をするぞ!」 京太郎「空いてる卓は……っと」 雅枝「おう、京太郎、ええ所に来たな」 竜華「ウチらと打とー!」 怜「勝たせへんで」メラメラ 京太郎「ふっ、上等です!俺は負けませんから!」 京太郎 22+200+55=277 竜華 76+140+25-30=211 雅枝 71+200+90+30=391 怜 62+124+45+15=246 雅枝「……」コォォォォオオオ 京太郎「何も、できなかった……」 怜「ま、監督が本気になればこんなもんやな」フフン 京太郎「-収支なのになんでそんな得意気なんですか」 怜「諦めはつけるもんなんやでー」 京太郎「また飄々と……竜華さんも何か言ってやってくださいよ」 竜華「…………」ズーン 京太郎(これが正常なリアクションだった!) 京太郎「竜華さん?大丈夫ですか?」 竜華「……うん」 怜「竜華ああ見えて真面目やから、練習とは言うても人一倍ショック受けとるんや」ヒソヒソ 京太郎「ああ見えてっていうか見たまんまじゃないっすか、どうするんすか」ヒソヒソ 怜「二人で何かして励ますくらいしかでけへんやろなぁ」ヒソヒソ 京太郎「それじゃあ……」ヒソヒソ 雅枝(何話しとるんやろ……) 竜華(おなかすいた……) 京太郎「あははっ!それ最高にスベらないっすよ!」 怜「せやろー流石やろー」 竜華「」グー 竜華「」カァァ 雅枝(何話しとるんやろ……) 竜華(あかん……あの二人がずっと話しとるから席から離れられへん) 竜華(泉が持ってきてくれたお茶菓子、食べたいなぁ)ソワソワ 京太郎「そうだ、俺お茶入れてきますね」 怜「行ってきー」 竜華(もう、なんで怜も一緒に行かないんや!) 京太郎「入れてきましたー」 怜竜雅「「「はやっ!」」」 京太郎「お茶菓子もあったんで、持ってきました、はい」 怜「おおきにー」 雅枝「すまんな」 竜華「……ありがと」 竜華(一個だけか……) 京太郎「あ……でも俺部外者だから食べちゃダメか」 京太郎「戻してくるのもアレなんで、竜華さん食べてください」 竜華「ええの……?」 京太郎「そのために取って来たので」 竜華「えっ」 京太郎「そうそう!そこで俺の友だちがですね!」 怜「いや、京くん友だちいないやん」 京太郎「一応いますから!」 竜華(ウチ、今京くんに気ぃ使われたんか……?) 怜「ほな私セーラんとこ行ってくるなー」 京太郎「はーい」 雅枝「私も抜けるわ」ガタッ 京太郎「はーい」 竜華「…………」モグモグ 京太郎「おいしいですか、お茶菓子」 竜華「うん……」モグモグ 京太郎「そっすか」 京太郎「……」 竜華「……」モグモグ 京太郎(この沈黙は竜華さんの行儀がいいから仕方ないんだ、俺に落ち度があるわけじゃない) 京太郎(……あんな腹の音出してたら誰でも気づくもんな) 京太郎(ひょっとして竜華さんが喋らないのは恥ずかしいから?) 京太郎(そうだとしたら嬉しい気がする……あくまで妄想だけど) 京太郎「竜華さんは大会の前の予定とかあるんですか?」 竜華「予定?」ゴックン 竜華「特にないけど、それがどうしたん?」 京太郎「いえ、最近怜さんが暇だ暇だ言ってるんで試合のない時間に一緒に出掛けたりとかすればどうかな、と」 竜華「へ?怜ならいつも遊び誘ったら」 怜『あー行けたら行くなー』 竜華「って」 京太郎(それいっつも来ないやつの常套句だろうが!) 京太郎「その割には本人寂しがってるみたいですけど」 竜華「せやったらウチら三人で出かけよか?」 京太郎「三人?竜華さんと怜さんと江口さんですか、いいんじゃないでしょうか」 竜華「ちゃうちゃう、ウチと怜と京くんや」 京太郎「えぇぇ……」 京太郎(試合前に女の子二人と出かける選手ってどうなんだ?) 京太郎(天国だからその話はぜひともお受けしたいけど……) 京太郎「是非行かせてください!」 竜華「うん、ええ返事やな」 竜華「試合は15時から4試合やから……いつまで遊ぼか」 京太郎「えっと、じゃあ……」 京太郎「じゃあ明日の朝だけ遊んで、昼間は各自自由ってことでいいんじゃないですか?」 竜華「せやね、それがええわ」 竜華「怜には後で伝えておくとして……あ、京くん連れてきたいことかおる?」 竜華「流石にセーラに悪い気がするから京くんもそんな子がおったら連れてきてな」 京太郎「考えておきますよ」 セーラ「竜華ぁー、こっちで打とー!」 竜華「わかったわー!」 竜華「ほなウチ行くわ、京くんもサボってへんでしっかり頑張ってな」 京太郎「はーい」 昼 京太郎(ここ最近、憩さんと朝から喋って、勉強も教えてもらった) 京太郎(だけど、あの人はあのアパートにはいない) 京太郎(……そういや、憩さんの部屋って入ったことあったっけ) ピンポーン 京太郎「須賀京太郎です!」 京太郎(憩さんを連れ戻して、憩さんの部屋に遊びに行こう) 『なんで……ウチは……』 京太郎(あんな表情はさせたくない) 「入りたまえ」 ギィィィィ 京太郎(憩さんには、笑っていてほしいんだ) 京太郎(……事情を知らないと何が何だかよくわかんないんだけどな) 京太郎(今日も憩さんのお父さんと話そう) 京太郎(前回来たときは仕事で話せなくて、その前は……) 『ここから先は私たち家族の話なんでね』 京太郎(って言ってたよな) 京太郎(今回こそはちゃんとその事情を聞かなきゃいけないんだ) 荒川父「よく来たね須賀君、この前もここに来てくれたらしいじゃないか」 荒川父「相手ができなくて残念だったよ」 京太郎「今日は予定が空いてたみたいでよかったです」 荒川父「明日が娘の最後の晴れ舞台だからね、今日から休日なんだ」 京太郎「最後?」 荒川父「立ち話も難だ、座りたまえ」 荒川父「今日はほうじ茶を入れてある、お茶請けのまんじゅうもおいしいから食べてみるといい」 荒川父「……さて、今日は何を話しに来たんだい?」 京太郎「憩さんのこと、あなたの言う「家族の話」について教えてください」 荒川父「家族の話……ああ、君はそんな言葉の節々まで覚えているのか」 荒川父「だが、それを知って君はどうする、君にはどうにもできない話なんだ」 京太郎「話を聞かずにそんな判断を下せるほど、俺は臆病じゃないんですよ」 荒川父「はっはっは、そうか、うむ、それでは話すとしよう」 荒川父「この荒川家が病院を持っているのは知っているね?」 京太郎「そして三箇牧高校の設立にも支援をしたってことまでは知っています」 荒川父「それは……ああ、石戸先生が話してくれたんだね」 荒川父「私の病院は大規模で、自分で言うのはどうかと思うが、地域の信頼も厚い」 荒川父「この病院をさらにいい病院へと成長させたい、と私は常々思っているんだが、その一環として、やはり若い力を取り入れたいと思っているんだ」 荒川父「若さというものは素晴らしい、将来があって、我々よりも大きな可能性を秘めている」 荒川父「だが、私は病気を患っていてね、そう長くは持たないんだ」 荒川父「だからまずは若い跡継ぎが欲しいと思ったんだ」 荒川父「新しい世代が新しい医療を育んでいく、いい響きだろう?」 荒川父「そこで、私は懇意にしてもらっている先生の息子と憩を婚約させることにしたんだ」 京太郎「婚約……!?」 荒川父「もちろん婿養子として彼を迎えるんだ、こちらがちゃんとしていなくては釣り合わないだろう」 京太郎「それで、憩さんを清々荘から連れ戻した、って言うんですか」 荒川父「そうだ、そして明日の大会が終わった後、憩には麻雀から手を引いてもらう」 荒川父「正確には麻雀部を辞める、だがね」 荒川父「これが私たちの話だ」 京太郎「……憩さんは、それに納得しているんですか」 荒川父「憩と彼は私たちの付き合いでよく遊んだりしていてね、知り合ってまだ一年の君よりも多く、お互いについて知っている」 荒川父「だからだろうね、利口な憩は納得してくれたよ」 京太郎「なっ……」 荒川父「君が彼の代わりになるというなら話は別だけどね、そこまでの覚悟はないだろう」 京太郎「…………」 京太郎(憩さんが婚約して、麻雀部をやめる……?) 京太郎(……なんだよ、それ) 京太郎(確かに俺じゃああんな病院を継げるほどの医者になれるかどうかなんて不可能に近い) 京太郎(俺は憩さんを放っておくことしかできないのかよ……) 荒川父「話は済んだね」 京太郎「憩さんと話させてください」 荒川父「よかろう、おい」 秘書「はい」 荒川父「須賀君を憩の部屋に案内しろ」 秘書「かしこまりました」 京太郎「……はぁ」 秘書「貴方、どうするつもりなの?」 京太郎「あんなの親のエゴじゃないっすか、憩さんを道具みたいに扱って」 京太郎「俺は、憩さんを救いたいですけど、それがどうやったらできるのかわからないんですよ」 秘書「男ならシャキっとしなさい」 秘書「まだ可能性はあるんだから、頑張りなさい」 秘書「この先にお嬢様がいるわ、何を話すかは貴方の自由よ」 秘書「それじゃ、また後でね~」フリフリ コンコン 京太郎「憩さん、俺です、京太郎です」 ガララ 憩「聞いてるで、入ってええよ」 京太郎「お邪魔します」 憩「京太郎くんがウチの部屋におるって変な感じやなー」 憩「で、何しよか?」 京太郎「……俺、話があって来たんです」 憩「話?」 京太郎「……はい」 京太郎「憩さんの話、お父さんに聞きました」 憩「ウチの話?」 京太郎「憩さんが、婚約させられるって」 憩「ああ……聞いてもうたんか」 京太郎「憩さんは、その婚約に納得してるんですか?」 憩「納得は……してるで」 憩「お父さんのためになるんやったら、ウチは構わへん」 憩「ウチは荒川家の娘やから、しょうがないんよ」 京太郎「…………」 京太郎「憩さんの気持ちはどうなんですか」 京太郎「親に良いように使われて、麻雀部に来れなくなっても、それでもいいのかって聞いてるんですよ」 憩「それ、は……」ポロッ 憩「うっ……うぅ……」ポロポロ 憩「まだ、麻雀、打ちたい」ポロポロ 憩「みんな、ぐずっ、と、いたい……」ポロポロ 京太郎「…………」 京太郎「嫌なら嫌だ、ってお父さんに言いに行きましょう」 京太郎「俺が付いていますから」サスサス 憩「うぅ……」ポロポロ 京太郎(憩さんが納得してるならって思ったけど、こんなの許してたまるか) 京太郎(……どうにかして阻止してやる) 憩「……もう、大丈夫やで」 京太郎「憩さんはどうしたいんですか?」 憩「ウチは……まだやりたいことがあるんや」 憩「……せやから、あの話はお断りしたい」 京太郎「それで十分です、それじゃあ行きましょうか」 憩「……うん」 憩「京太郎くんも、傍にいてくれるんやろ?」 京太郎「俺もそんな話は許せませんからね」 憩「おおきに」 京太郎「お礼はまだ早いですよ」 憩「これは先払いになるから、大丈夫や」ニコッ 秘書「お嬢様と須賀様をお連れ致しました」 荒川父「入りたまえ」 京太郎「失礼します」 荒川父「……それで、今度は憩を引き連れて何の話かな」 憩「えっとな……その……」 京太郎(何だこれ、さっきよりもはるかに緊張するぞ) 京太郎(気張って来たのに、何も考えつかねえじゃねえか) 京太郎(憩さんも言葉がつかえてるし、ここはサポートするべきなのか?) 京太郎「……憩さん」ボソッ 京太郎「俺がフォローしますから、憩さんは憩さんの考えを言ってください」ボソボソ 憩「……うん」 京太郎「憩さんなら大丈夫ですよ、もっと自信を持ってください」ボソッ 憩「……せやね」 憩「お父さん……ウチ」 憩「……ウチな、婚約の話、無かったことにしてほしいんや」 荒川父「ほう、なるほどね」ジロッ 京太郎「!」ビクッ 荒川父「それは一体なぜだ?」 憩「そ、それは……」 京太郎「憩さんから、麻雀を奪わないでください」 憩「!」 憩「ウチには、まだしたいことがあるんや」 憩「清々荘のみんなで楽しくパーティーやって笑いたい」 憩「クラスの友だちと話しながら学校に行きたい」 憩「お昼ご飯やって、この家で貰った弁当より、友達と購買とか学食で買ったのとか、自分で作ったんが食べたい」 憩「放課後も、京太郎くんたちと仲良く麻雀打ちたい」 憩「清々荘のみんなとパーティーして、他愛もない話して笑いたい」 憩「まだ自由でいたいんや」 荒川父「……ふむ、自由、か」 荒川父「ならば、高校生活はお前の言う自由にさせてやろう」 荒川父「清々荘に戻ってもいいし、弁当も家では作らない、送り迎えもしない」 京太郎(案外早く引き下がったな……) 荒川父「だが、高校を卒業した後、結婚をしてもらう」 荒川父「これでいいだろう?」 荒川父「私は憩、お前の主張通り自由を与えた」 荒川父「ならばそれで解決だ」 憩「…………っ」 京太郎(どんだけ意固地なんだよ) 京太郎(なんでそんなに憩さんを縛りたいんだよ……) 憩(そんなん、自由やないやん) 憩(人を好きになったって、そんなん……) 京太郎(……ここは、どうすればいいんだ) 京太郎(俺が頑張らないとどうする) 京太郎(このまま譲ってたまるかよ) 京太郎「……それは違う、と思います」 荒川父「ふむ、言ってみたまえ」 京太郎「……憩さんは、貴方に作られる未来が嫌なんです」 京太郎「最初は医者になれって言われて、次は親が決めた相手と結婚しろって言われて、与えられたのがたった三年の高校生活だけなんておかしいですよ」 京太郎「親の言いなりにされて、自由の無い未来を据えた今の自由の何に意味があるんですか」 憩「…………」 荒川父「やはり君は、憩を取り戻したいようだねぇ」 京太郎「大事な人が嫌な目に遭っているのに、放っていられるわけがないじゃないですか」 憩「え……」 荒川父「……はぁ」 荒川父「ならば、君は憩のために何ができるんだ?」 京太郎「それは……」 京太郎「…………ふふっ」 京太郎「簡単な事だ…」 京太郎「俺が憩さんのことを幸せにするッ!!!」 京太郎「これが、俺のできることです!」 荒川父「この状況でふざけられるとは、君は大胆な男だな」 荒川父「……では、君が憩のためにどこまで動けるかを見せてもらおうか」 荒川父「私の出す課題をこなせば、君を認めて、その意見を認めよう」 荒川父「そのバカげた精神で何もできるわけがないだろうがな」 京太郎「課題?」 荒川父「ああ、勝負内容は……君の得意分野でいいだろう」 荒川父「こちらへ来たまえ」 荒川父「この部屋だ」 京太郎「失礼します……」 憩「こんな部屋あったんや……」 京太郎「……パソコンが置いてあるだけですが、ここで何を?」 荒川父「君には憩と打ってもらう」 京太郎「憩さんと?」 荒川父「MAOというネット麻雀ゲームを知っているな?」 京太郎「ええ、やったことはありますから」 荒川父「そこで、憩を忠実に再現したCPU二体、そして本物の憩と打ってもらう」 荒川父「君が一度でもトップを取れば、憩の婚約は破棄し、君は宣言通り憩を幸せにするために生きる」 荒川父「どうだ、簡単だろう?」 京太郎「そんなゲームで娘の将来をどうこうしようとするなんて、どうかしてますよ」 荒川父「…………ああ、何とでも言うがいいさ」 荒川父「最後に一応確認しておこう、君はこの課題に挑戦するか?」 京太郎「はい、絶対に勝ってみせます」 荒川父「まあ精々頑張りたまえ」 京太郎「では、行きましょうか」 憩「うん!」
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【8月第1週 平日】 京太郎「ほんと、憩さんていっつも何してるんだろう?」 京太郎「何…ナニ……?」 京太郎「ははっ、まさかな」 京太郎「IHに向けて追い込むぞ!」 京太郎「そういえば霞さんから説明とか受けてなかったな」 京太郎「咏ー特訓しようぜー!」 咏「おう、いいぜぃ」 咏「私は団体戦だけだからみっちり教えてやるよ」 京太郎「ま、お手柔らかにな」 咏「ロン、24000だよ」 咏「ツモ、4000・8000」 咏「ツモ、16000オール」 咏「ロ「ストーップ」」 京太郎「もういいです飛びました」 京太郎「ってかなんでそんな高いのばっか和了れるんだよ!」 咏「高いの目指せば作れんじゃね?知らんけど」 京太郎「知らんけどって……」 咏「とりあえず手牌見せてみ」スッ 咏「うーん、これなら、こうして……」 京太郎(小さいけど、なんか男っぽくて荒い性格してるけど) 京太郎(咏ってやっぱり可愛いよな」 咏「はっ!?」 京太郎「えっ!?」 咏「ん……そ、そっか」カァァ 咏「あっ!別に気にしてるわけじゃねえんだよ!」 京太郎「なんかコツをつかんだ気がするぞ!」 京太郎「次はどうするかな」 昼 京太郎「よし、中心街に行こう!」 京太郎「息抜き息抜き」 京太郎「海遊館に来てみたぞ」 京太郎「おお、これが海遊館のサメか」 小蒔「はっちゃんはっちゃん!サメですよ!サメ!」 初美「あ!あっちにエイがいるのですよー」タッタッ 京太郎「えっ」 初美「うわわっ!」 ドーン 初美「うう、痛いのですよー」 京太郎「きみ、大丈夫?」 初美「うわっ、金髪なのですよー!不良ですよー!タバコ吸ってるのですよー!」 京太郎「第一印象でそこまで決めつけないでもらえる!?」 小蒔「はっちゃんどうかしましたか?うわ、金髪」 京太郎「またですか……」 小蒔「金髪!かっこいいです!触らせてください!」キラキラ 京太郎「は、はい」 小蒔「凄いです!金ぴかです!」キラキラ 京太郎「あのー、もうよろしいでしょうか?」 小蒔「あ、長々とすみません!」ペッコリン 京太郎(おお、おもちが揺れる) 小蒔「申し遅れました、私、神代小蒔と申します。ほら、はっちゃんも」 初美「薄墨初美です、これでも高校3年生ですよー」 京太郎「ははっ、ご冗談を」 初美「冗談じゃないですよー!」ムキー 小蒔「まあまあはっちゃん落ち着きましょう、ね?」 初美「むぅ、姫様が言うのなら仕方ないですねー」 京太郎「あの後、3人で海遊館を周った」 京太郎「2人の連絡先ももらえたし良かったよかった」 京太郎「いいおもちだったな……」 京太郎「ここがUSJかぁ」 理沙(道に迷っちゃったな……あの子に聞いてみよう) 京太郎「金が無いから入らないけどな」 理沙(落ち着いて、落ち着いて……) 理沙「あのっ!」 京太郎「は、はいっ!」 理沙「ここ、どこ!」プンスカ 理沙(なんでいっつもこうなっちゃうのぉ……) 京太郎(なんで怒ってるんだこの人……あれ、この人どっかで見たような…) 京太郎「ここはUSJですよ」 理沙「USJ!?」 京太郎「道に迷ったんですか?」 理沙「ち、違う!」 理沙「ただ…その……」 理沙(なんか変な目で見られてる、うぅ、どう言おう) 京太郎(ひょっとして口下手だからうまく喋れないんじゃないかな?) 京太郎(じゃあ……) 京太郎「メアド、交換しませんか?」 理沙(メ、メアド!?まさかこの子が世に言うチャラ男なの?) 理沙「なんで!」 京太郎「会話できないならメールで用件を聞こうかと思いまして」 京太郎「初対面の人と話すときにどもっちゃうこととか良くありますよね」ウンウン 理沙(この人、私のことをわかってくれてるの?) 理沙(なにこれ、嬉しい) 理沙「わかった!」つ携帯 京太郎「……っと」ピロリン 京太郎「はい、これで完了です」 理沙(これで村吉さん含めて2件目のメアドゲットだ!) 京太郎「それで、どうして迷ったんですか?」 ヴーッ ヴーッ 理沙『大阪駅から東京駅に行こうとしたらここにいました』 京太郎「Oh……」 京太郎「あの後なんとか案内できたぞ」 京太郎「しかしあの人が野依プロだったとは、世界は狭いんだなぁ」 京太郎「通天閣に来たぞー!」 京太郎「前にも来たな」 小蒔「霞ちゃん!高いです!」 霞「小蒔ちゃん、ちょっと落ち着いて」 小蒔「これが落ち着いていられるかってんでいべらぼうめい!」 霞「口調がおかしくなってるわよ、って京太郎くんじゃない」 京太郎「あ、どうも」 小蒔「先刻ぶりですね、須賀さん!」 霞「あら、2人はもう知り合いなの?」 小蒔「はい!さっきはっちゃんと海遊館を案内してもらいました!」 京太郎「ところで、どうしてお2人がここに?知り合いなんですか?」 霞「親戚ね、私たちの家は代々巫女の家系なのよ」 霞「私やはっちゃんは分家で、小蒔ちゃんが本家」 京太郎「さっぱりわからんです」 小蒔「まあ細かいことは気にせず遊びましょう!」ギュッ 京太郎「ちょ、そんなにくっつかれると、俺の通天閣が!」 霞「通天閣が、なあに?」ニッコリ 京太郎「いえ、なんでもございません」 京太郎「こえぇよ、霞さんこえぇよ」 夜 京太郎「IH前にできるだけ宿題を片付けておこう」 京太郎「頑張るぞー!」メラメラ 京太郎「この問題わっかんねー」 京太郎「三角比とかもう何がなんだか」 京太郎「照に聞いてみるか?」 京太郎「……いや、参考書だけで頑張ろう」 【8月第1週 平日】終 【8月第1週 休日】 京太郎「明日から東京か」 京太郎「何を使って行くんだっけか」 京太郎「また中心街に行くか」 京太郎「サボってるわけじゃないよ!買い出しだよ買い出し!これ重要だから!」 京太郎「雀荘に来たぞ」 おっさま「おお、須賀ちゃん、今日はバイトじゃないんか?」 京太郎「はい、たまには打ちたいですし!」 おっさま(いっつも打ってるきがするのはワイの気のせいやろか……) カランコロン 京太郎「いらっしゃいませ!」 京太郎「あっ、条件反射でつい!」 やえ「おお、本当にいた」 菫「うげっ、本当にいた」 京太郎「同じ言葉なのに意思の違いが感じられるのは気のせいでしょうか」 やえ「まあまあ、須賀、どうだ?私たちと打たないか?」 京太郎「ええ、構いませんよ」 やえ「そうか、では、お見せしよう!王者の打ち筋を!」 やえ「にわかは相手にならんよ!」 京太郎「俺の新技を見せておげますよ!」 菫「私は蚊帳の外か……」 開局 京太郎(よし、テンパイしたぞ) 京太郎(でも、こんな安手じゃ満足しない) 京太郎(もっと、高くだ!) やえ(前会ったときとは何か違うようだな、ふむ) 京太郎「ツモ!6000オール!」 東2局 親 京太郎 43000 おっさま 19000 やえ 19000 菫 19000 京太郎(よっし、いい感じだ!) 京太郎(この調子で)トン 菫「ロン」ザシュ 京太郎「は!?」 菫「5200の1本場は5500」 菫「ようやく射抜いたぞ、須賀」 東2局 京太郎 37500 親 おっさま 19000 やえ 19000 菫 24500 やえ(菫は須賀を射抜いたか、ならば私も負けてられないな) やえ(須賀を撃ち抜く) やえ(なぜなら私は) やえ「リーチ!」 やえ(王者なのだから) 【大回転リーチ】発動! やえ(一発ならず、か) やえ(でも、須賀をぎゃふんと言わせるぞ!)トン 京太郎「あ、ロンです」 やえ「へ?」 京太郎「16000ですね」 東3局 京太郎 54500 おっさま 19000 親 やえ 2000 菫 24500 京太郎(また和了れた) 京太郎(後で咏にお礼でもするか) 京太郎(テンパイ、このままでいいか) やえ(ダメだったか、くそぅ、もう1回だ!) 菫(もう1度、射抜く!) 京太郎「ロン、24000」 終局 京太郎 78500 菫 24500 やえ 2000 おっさま -5000 京太郎「甲子園に来てみたぞ!」 淡「いぇー!」 京太郎「そういえば1か月くらい前にもここに来たんだよな」 淡「たしかに来たねぇ」ウンウン 京太郎「あのときの松実さんと戒能さんのおもちは、一生忘れまい……ッ」 淡「おもち?」 京太郎「そして今さらだが……」 京太郎「どうしてお前がここにいる」 淡「ん?誰?」 京太郎「お前だよ、淡」 淡「え、私?」 京太郎「お前以外にだれがいるんだよ」 淡「あ、そだねー」 京太郎「お前さぁ……」 淡「今日って何もやってないのかな?」 京太郎「もうすぐ甲子園だからな」 淡「甲子園といえば、京太郎の学校はインターハイに来るんだよね!」 京太郎「話題換えんの早くね!?」 京太郎「まあ行くよ」 淡「じゃあさ!私とどっか行かない?」 淡「地元民の淡ちゃんが案内してあげるよ!」 京太郎「いやもう神田とか行ったしいいや」 淡「もうちょっと迷ってよ!」 京太郎「うーん……わかったよ」 京太郎「楽しみにしとくよ」 淡「やたっ!」 京太郎「コンビニに来たぞ」 菫「くっそぉ、一回しか射抜けなかった……ポッキーおいし」ポリポリ やえ「私なんて焼き鳥で倍満あてられたんだぞ……たけのこおいし」パクパク 菫「やえ!お前はなんてものを食べている!たけのこなど!」ポリポリ やえ「たけのこいいじゃないか!このドリルのような形状が特にいい!」パクパク 菫「ついに二つの意味で頭がクルクルパーになったのか!」ポリポリ やえ「なんだと!」パクパク 京太郎「二人とも落ち着いて」 や菫「「どうしてお前がここにいる?」」 京太郎「えーっと、買い物?」 菫「やえ、準備はいいか?」 やえ「ああ」 京太郎「何をする気ですか!」 やえ「須賀にたけのこときのこを食べ比べてもらう」 京太郎「なんで1箱ずつあるんですかねぇ」 菫「そりゃ、1箱食べなきゃ判定なんてできないだろう?」 京太郎「判定も何も、どれも同じじゃないですか!」 や菫「「あ゙?」」 京太郎「きのことたけのこを食べさせられ続けてゲシュタルト崩壊、ついでに俺の鼻も決壊」 京太郎「俺の味覚もう限界」 京太郎「口のなかが甘ったるい」 京太郎「IH前、特訓するか」 京太郎「照と特訓するか」 照「読んだ?」 京太郎「何をだ」 照「詠んだ?」 京太郎「詠んでない」 照「呼んでないんだ……」 京太郎「それだよそれ!」 照「本当に、いいの?」 京太郎「今の俺なら照にも勝てる!」 照「はぁ……」 ――――――― 照「ロン、13500」 京太郎「五連荘とか、マジかよ……」 夜 京太郎「東京に行ったらできないだろうしやっとくか」 京太郎「戒能さんでヤるか……」モゾモゾ 30分後 京太郎「あれ、マイサンがスタンドアップしないぞ」 京太郎「はぁ……寝るか」 【8月第1週 休日】終 【8月第2週 インターハイ0日目】 京太郎「着替え、歯ブラシ、お菓子、本、パソコン」 京太郎「いざ、インターハイへ!」 ―――――――――――――― 霞「今日は何もしなかったみたいね」 京太郎「だってみんな起きてるじゃないですか」 霞「やるつもりはあった、と」 京太郎「ありま……」 霞「」ニッコリ 京太郎「せんでした」 京太郎「そういえば、どうやって東京に行くんですか?」 霞「車よ」 京太郎「霞さんって車持ってましたっけ?」 霞「私は運転、車は」 郁乃「私のやで~」 霞「郁乃ちゃんの運転免許は使えないから私が運転するの」 京太郎「車を実際に運転したことは?」 霞「」ニッコリ 京太郎「隣は照か」 照「気持ち悪い」ウプッ 京太郎「ちょ、早くね!?」 照「落ち着いた」 京太郎「郁乃さんが酔い止め持っててよかったな」 照「うん」 京太郎「そうだ、郁乃さん」 郁乃「なんや~?」 京太郎「割りばし持ってます?」 郁乃「持っとるよ~」 京太郎「赤ペンと黒ペンは?」 郁乃「水性油性どっちも持っとるで~」 憩「なんでそんなに持ってるんですか……」 咏「何する気だぃ?」 京太郎「王様ゲームだ」 照「王様ゲームって、あの本の?」ガクガク 京太郎「普通の王様ゲームだからな」 エイスリン「オウサマgame?」 霞「パーティーとかでよくやるゲームよ、一回やってみればわかるわ」 京太郎「王様だーれだ?」 憩「あ、ウチや」 京太郎「じゃあ命令してください、どうぞ」 憩「うーん、2番の人が3番の耳が甘噛みする、で」 郁乃「2番は誰や~?」 京太郎「俺で、すね」 咏「うえっ!?」 郁乃「咏ちゃんが3番やな~」 咏「そんなのぜってえおかしいだろ……」 京太郎「う……」 京太郎「あの、命令変えてもらえませんかね?」 照「うん、うん」 霞「あら、命令は絶対よ、守りなさい」 京太郎(この人、自分は参加できないからって!) 咏「……命令じゃ、仕方ないよな」ボソッ 咏「いいよ、京太郎」 京太郎「……はぁ、じゃあやるぞ」 ハムッ 京太郎(咏の耳、なんかしょっぱいな)ハムハム 咏「んっ」 京太郎「ぷはっ……もういいでしょう?」 霞「上出来よ」 京太郎「ごめんな、咏」 咏「な、なんてこと、ねえよ……///」 郁乃「それじゃあもう1回や~」 エイスリン「オウサマガメイレイスル?」 郁乃「そうそうそういうことやで~」 郁乃「王様誰や~?」 照「私」 郁乃「命令は~?」 照「私が5番をくすぐる」 京太郎「5番は誰だ?」 咏「またかよ……」 照「行くよ」 咏「おう」 照「こちょこちょ」ギュルルル 咏「あはははっ」 5分後 照「こちょこちょ」ギュドルルルルルルルル 咏「はあっ、もう、やめっ、て」 照「まだまだ」ガギュラルルルルルルルルルルル 咏「や、め、あっ、あっ」 京太郎(くすぐられて咏の和服が乱れて、その、やばい……) 郁乃「さ、3回目行くで~」 京太郎「放置するんですか!?」 エイスリン「オウサマダーレダ?」 照「私」 京太郎「あれ、また?」 憩「何言うてんの?さっきは京太郎くんやったやん」 京太郎「え、あれ?」 郁乃「命令は~?」 照「4番の人が東京に着くまでの間語尾に「にゃ」をつけて喋る、で」 京太郎「4番は誰ですか?」 咏「今回は違った……よかった」ホッ 郁乃「また当たらんかった~」 エイスリン「ワタシ、1」 京太郎「じゃあ……」 憩「」カタカタ 照「さ、早く」 憩「な、なんとかならへんの?」 照「にゃだよ、にゃ」 憩「なんとかならへんのか……にゃ?」カァ 照「合格、その調子」 照「王様だーれだ」 咏「私だぜぃ!」キャッホー 咏「命令は、そうだねぃ……」 咏「1番の人がアへ顔をする、で」 郁乃「1番だ~れや?」 京太郎「あ、俺です」 照「誰得」 憩(ア、アヘ顔……)モゾモゾ 霞「却下で」 咏「王様はだれだぃ?」 照「私」 郁乃「また照ちゃんか~」 エイスリン「テル、ツヨイ!」 照「郁乃さん、メイド服持ってる?」 郁乃「あるで~」 照「じゃあこれを2番の人が着る、で」 憩「ま、またかいにゃ……」カタカタ 郁乃「じゃ、後ろで着替えてな~」 エイスリン「キョウタロー、ミチャダメ!」メカクシー 京太郎「ぬわっ!」 ――――――――― 憩「着替えたにゃ……」 郁乃「うわぁ~可愛いわ~」 エイスリン「ケイ!good!」 京太郎「憩さん……」 憩「ぁぅ……」 京太郎「めちゃくちゃ似合ってますよ!素敵です!」 憩「ほ、本当かにゃ?」 京太郎「はい」 憩「そ、そうかにゃ……」 京太郎「王様だーれだ?」 郁乃「あ、ウチや~」 照「え」 憩「あ」 エイスリン「ウ」 咏「い」 照京憩エ咏(*1)))) 郁乃「じゃあ~5番の人の黒歴史暴露や~」 憩「またウチだにゃ……」 郁乃「早く早く~」 憩「実はな……ウチ、技があるのにゃ」 照「技?」 エイスリン「ブラストバーントカ?」 京太郎「ダークフレイムとか?」 憩「ヒーリングローリング、だにゃ」 郁乃「わぁ~見せて見せて~」つ包帯 咏「何でもってるんだよ」 憩「わかったにゃ……」 憩「ヒーリング!ローリングー!」 バシバシ 京太郎「あばっ!」 京太郎「~~~!」モゴモゴ 憩「患者を拘束する技なのにゃ」 憩「やっと、やっとウチにゃ」 憩「命令は、3番の人が窓から大声で大会の目標を叫ぶ、だにゃ!」 咏「で、3番は……」 郁乃「あ、私や~」 エイスリン「イッカイモコナイ……」 郁乃「ん~じゃあ~」 郁乃「全国優勝したるで~!」 竜華「応援してるで」 郁乃「え?」 怜「どうも」ペッコリン 霞「実は千里山の子たちもこっちで預かることになったのよ」 雅枝「私のは4人乗りやから、そっちに2人乗せてもらうんや」 京太郎「で、誰が乗るんですか?」 泉「よろしくお願いします」 浩子「右に同じです」 雅枝「次は浜名湖で休憩や、お先」 ブロロロ 霞「じゃあ私たちも行きましょうか」 郁乃「次はものまねせえへん?」 京太郎「ものまね、ですか?」 郁乃「さっきの王様ゲームの割りばし使って星マーク引いた人がやるんや」 泉「へぇ、いいですね」 郁乃「ほな早速~」 浩子「なぜにメイド服?」 憩「訊かんといてにゃ」 咏「うわっ、私かよ」 郁乃「わくわく」 エイスリン「ドキドキ」 咏「じゃあエスパー伊藤の物まねしてやるよ」 泉「エスパー伊藤?」 郁乃「はいかばん~」 咏「ん……」モゾモゾ ジーッ 船Q「ああ、あの人ですか」 咏「どうだ!」ヒョコ エイスリン「!」カキカキ バッ |飛行機と金の絵| 憩「これは、どういうかとかにゃ?」 京太郎「これを使えば旅行代が1人分浮く、と」 エイスリン「ウンウン」 憩「ウチかにゃ~」 憩「エスパー伊藤の物まねをするのにゃ」 郁乃「カバンならあるで~」 憩「……ん」ゴソゴソ 泉「体柔らかいんですねぇ」 憩(アソコ舐めようとしたら軟らかくなってた、なんて言えへんよなぁ……) ――――――――――― 船Q「次は私ですか……じゃあおばちゃ…もとい監督の物まねします」 船Q「コホン……」 船Q「おい、須賀、焼きそばパン買ってこいや」 泉「ひっ」 咏「どうかしたのかぃ?」 泉「いや、なんでも」 郁乃「うわぁ~似とるなぁ~」 憩「親戚やからにゃ」 霞「あ、もうすぐ着くわよ」 ――――――――――― 【浜名湖】 霞「休憩は20分くらいよ、それじゃあまた後で」 京太郎「さて、どこに行こう」 京太郎「これが浜名湖か……」 穏乃「わあーっ!広い!東京ドーム100個分あるんじゃないかなっ!」 憧「100なんて数字ではしゃぐ高校生シズくらいしかいないよ」 玄「あれ、あの人は……」ウーン 怜「お、京くんや」 京太郎「怜さんもここに?」 竜華「ウチもおるで」 玄「あ、須賀くん!」 京太郎「松実さん!?」 玄「お久しぶりなのです」 京太郎「どうも」 憧「クロ、知り合いなの?」 玄「少しだけだけどね」 京太郎「松実さんたちもインターハイですか?」 玄「ふっふっふ、これでも奈良代表なのです」ドヤァ 玄「どうです?」ドヤッ ドヤッ 憧「ドヤ顔やめなって」 穏乃「……も?」 セーラ「怜ー!竜華ー!須賀ー!車が出るでー!」 竜華「もう行かなきゃやな」 怜「この度は、失礼しました」 京太郎「じゃあまた、えーっと」 憧「新子憧よ」 穏乃「高鴨穏乃っていうんだ、よろしくね!」 京太郎「おう、それじゃあまたな」 玄「さよならなのです~」ブンブン 晴絵「あの制服、たしか千里山女子のだよな」 晴絵「あれ、じゃあもう1つの制服はどこのなんだ?」 晴絵「うーむ」 灼「ハルちゃん、どうかしたの?」 晴絵「あ、いや、なんでもないぞ」 京太郎「じゃあ次は大富豪でもやりましょうか」 郁乃「大貧民が罰ゲームやな~」 京太郎「デュエル、スタンバイ!」 郁乃「あちゃ~上がれんかった~」 京太郎「じゃあ罰ゲームですね」 照「!」ピコーン 照「リボン、持ってる?」 郁乃「持っとる、けど」 照「じゃあそれ付けて」 郁乃「え?」 照「罰ゲーム」 憩「自分で言ったことにゃ」 郁乃「うわぁ~!」 郁乃「ど、どうや……?」 京太郎「なんか新鮮ですね、可愛いと思いますよ」 郁乃「か、からかわんといてや……」カァァ 咏「助手席だから参加できねぇ」 霞「まあまあ、ラジオでも聞きましょうよ」 ズン ズンズンズンドコ 霞「き・よ・し!」 咏「演歌かよ……」 照「大貧民……」 郁乃「革命起こして都落ちや~」 泉「罰ゲームはどうします?」 憩「東京に着くまで中二病ににゃるとかどうかにゃ?」 京太郎「あ、それいいですね」 照「中二病?」スットボケ 京太郎「知らないとは言わせないよ、文学少女さん」 照「見よ!これが我が現世で得た<ブレイズコード>、開闢の輪廻だ!」ギュルルルル 照「がはっ!これが貴様のチカラ、終焉の一閃かッ!」 照「もういい?」 憩「罰ゲームは絶対だにゃ」 郁乃「また私かぁ~」 船Q「罰ゲームは、そうですね……」 スバラシイ! 霞「Y・M・C・A!」 船Q「石戸先輩を怒らせてください」 郁乃「……は?」 京太郎「大声で悪口言えばすぐ怒りますから大丈夫ですよ」 郁乃「そういう問題じゃなくてやな~」 憩「早くするにゃ!」 郁乃「うぅ~」 郁乃「霞ちゃんの年増!」 郁乃「コロコロ使い!」 郁乃「垂れパイ!」 キキッ 霞「郁乃ちゃん」 郁乃「は、はい!」 霞「ホテルに着いたら、わかるわね?」ニッコリ 郁乃「」ダラダラ 霞「わかるわね?」 郁乃「イエスマム!」 泉「私が大貧民ですか……」 郁乃「……」ズーン 船Q「罰ゲームは大富豪とメルアド交換とか?」 京太郎「それのどこが罰ゲームなんですか」 京太郎「そもそも大富豪俺ですし」 憩「じゃあ罰ゲームどうするかにゃ?」 京太郎「そうですね……じゃあ 180で」 霞「着いたわよー」 泉「おつかれさまです、マッサージしましょうか?」 霞「あら、よろしく頼むわ」 泉「本当にやるんですか?」ボソボソ 京太郎「罰ゲームは絶対だからね、しょうがないね」ボソボソ 泉「責任、取ってもらいますからね」ボソボソ 泉「失礼します」モニュ 泉(なんや、この感覚、ありえへん) 泉(同じ人間とは思えへん) 泉(いっつも京太郎くんはこれ見てるな) 泉(うらやましい……) 泉(私も、豆乳飲んだりすれば……) ―――――――― 泉「京太郎くん!」バイーン 京太郎「泉!付き合ってくれ!」 ―――――――― 泉(なんてことに……)モニュモニュ ガシッ 霞「気は済んだ?」ニッコリ 泉「あばばばばばばば」 霞「はぁ、すっきりした」 京太郎「」ガクガク 郁乃「」ダラダラ 泉「」カタカタ 照「今日は何があるの?」 エイスリン「カイカイシキト、チュウセンカイ」 照「開会式……長いんだよね」 咏「え、そうなん?」 照「連盟の会長の話がね」 憩「その後の抽選会はウチの出番やな」 霞「あ、その抽選会のことなんだけど、私たちは第2シードらしいわよ」 憩「な、なんで?」 霞「元々千里山の枠になるはずだったのけれど私たちが進んじゃったでしょ?」 霞「それで変更するのが面倒臭いから、だそうよ」 咏「うわ、てきとーだねぃ……」 憩「シード校が参戦するのは2回戦からやから……」 霞「日程はこうなるわね」 1日目 オフ 【Aブロック一回戦・第一~第三試合】 2日目 オフ 【Bブロック一回戦・第一~第三試合】 3日目 オフ 【Aブロック一回戦・第四~第六試合】 4日目 オフ 【Bブロック一回戦・第四~第六試合】 5日目 【Aブロック二回戦・二試合】 6日目 オフ 【Bブロック二回戦・二試合】 7日目 【Aブロック準決勝】 8日目 オフ 【Bブロック準決勝】 9日目 【決勝】 10日目 【個人戦一回戦】 11日目 【個人戦二回戦】 12日目 【個人戦三回戦】 13日目 【個人戦準決勝】 14日目 【個人戦決勝】 京太郎「個人戦は男女で同じ日にやるんですか?」 霞「場所は違うけどね、男子は西東京の方の会場になるわ」 霞「ちなみに、個人戦の一回戦と二回戦の通過条件は半荘1回で1位になることよ」 霞「三回戦と準決勝の通過条件は少し変わって、半荘1回で2位以上になること、だったわね」 霞「説明も終わったことだし、開会式に行きましょうか」 照「長い闘いだった……」 咏「同じ話を延々とするって頭どうなってんだよ」 エイスリン「ズレテタ!」 憩「それ言っちゃダメやから!」 京太郎「男子は開会式無しって邪険じゃないか?」 京太郎「そういえば、ここで女子団体戦が開かれるんだよな」 京太郎「うろついてみようかな」 午後 京太郎「へー菓子屋まであるのか」 淡「私のオススメはねー」 京太郎「なんでまた会うかな」 淡「運命の赤い糸ってやつじゃない?」 京太郎「そんな言葉、似合わないぞ」 淡「じゃあ、単なる偶然じゃないの?」 京太郎「急にあっさりしたな」 淡「いいからいいから、ケーキ食べに行こっ!」 京太郎「ケーキ?」 淡「ここのムシー!ケーキはおいしいんだよ」 京太郎「蒸しケーキか……」 淡「どうかな?」 京太郎「いや、金ないからパス」 淡「むぅ、もういいもん!ヤケ食いだー!」タッタッ ムシー! ム、ムシ? ソレハシリマセン 京太郎「いっつも元気なやつだな」 京太郎「今度は別の場所に行くか」 京太郎「ここ、どこだ?」 京太郎「調子に乗って行きすぎたな……」 理沙(トイレ、どこぉ……) 京太郎「あ」 理沙「あ」 京太郎「お久しぶりですね、野依プロ」 理沙「あぅ……」 理沙(ど、どうしよぉ、須賀くんに訊くのは恥ずかしいし) 京太郎「どうかしましたか?」 理沙「な、なんでもないっ!」ドヒューン 京太郎「あ……」 京太郎「案内してもらおうと思ったのに、どうしたんだろう?」 理沙(言えない言えない!トイレまで連れて行って、なんて!)タッタッ 理沙(あ、もうこれ、げん……かい) 京太郎「お、出れた」 京太郎「早く宿舎に戻らないとな」 京太郎「そういえば夕食は各自外で食べるって話だったな」 京太郎「どこに行こう」 京太郎「お財布に優しいサイゼリヤに来てみたぞ」 店員「すみませんお客様、ただいま店内混みあっているので相席でもよろしいでしょうか?」 京太郎「はい、大丈夫ですよ」 店員「それではあちらの席へどうぞ」 京太郎「相席させてもらってもよろしいでしょうか?」 はやり「ああ、どうぞ」 京太郎「どうもすみませんね……ん?」 はやり「どうかしましたか?」 京太郎「あっ」 京太郎(こ、この童顔、そしてこのおもち!) 京太郎(変装していてもわかる!見まがうことなどない!) 京太郎(このおも…人は!) 京太郎「瑞原プロ!」 はやり「ひっ」ビクッ 京太郎「牌のお姉さんの瑞原はやりプロですよね!」 京太郎「俺、ファンなんです!本も、もがっ」 はやり「ちょっーと静かにしててね、お姉さんとの約束だよっ☆」 はやり「おごってあげるから、ね?」 メニュー 東北風グラタン 関東風ドリア 中部風カルボナーラ 関西風タコのカルパッチョ 九州風ハンバーグ 京太郎「グラタンうまっ!」 はやり「うぅ、今月の食費がぁ……」 はやり「ただでさえ最近仕事減ってるのに……」 京太郎「う……すみません」 はやり「気にしないでいいよ」 京太郎「俺でよかったら相談に乗りましょうか?」 はやり「いいの?」 京太郎「一応、ファンですから」 はやり「わかりました、じゃあこれがはやりの連絡先です」 京太郎「え、本当にいいんですか?」 はやり「来る連絡はどうせマネージャーさんの事務連絡だけですし」 はやり「きみがいたずらするような子だとは思わないし」 はやり「大丈夫ですよ」 京太郎「じゃあ、ありがとうございます」 はやり「そういえば君、制服だけどもしかしてインターハイに出るの?」 京太郎「はい、三箇牧高校の須賀京太郎といいます」 はやり「そうですか、インターハイ頑張ってくださいねっ☆」 京太郎「宿舎に着いたのはいいけど」 京太郎「俺の部屋ってどこだったっけ?」 京太郎「334号室、ここか」ガチャ 京太郎「うおっ!広い!ベッドも大きい!」 京太郎「うっはー最高!」 京太郎「あれ、もう一つ旅行鞄があるぞ?どういうことだ?」ウーン 京太郎「ま、いっか、次はシャワールームを」ガララ 竜華「なんや怜、寂しくなって来たん……か」 京太郎「えっ」 竜華「えっ」ユアガリ 竜華「で、出てけー!」 京太郎「さ、サーセンでしたぁっ!」 竜華「監督に確認したんやけど、やっぱりウチもここや、って」 京太郎「俺もですよ……」 竜華「でも、どうする?寝るとことか」 京太郎「それは俺が床で寝ますよ」 竜華「でも、須賀くんは個人戦出るんやろ?」 京太郎「それを言ったら清水谷さんもじゃないですか」 竜華「うーん……」 竜華「やっぱり、一緒に寝ようか?」 京太郎「いいんですか?襲っちゃうかもしれませんよ?」 竜華「どうせ須賀くんにはそないな意気地あらへんから大丈夫や」 京太郎「うぐっ、確かにそうですね」 竜華「ほな、2週間よろしくな」 京太郎「いえいえこちらこそ」 竜華「あ!せや、ルームメイトになった記念にお互いのこと名前で呼ばへん?」 京太郎「いいですね、それじゃ、竜華さん」 竜華「なんや?京くん」 京太郎「名前じゃないですよね、それ」 竜華「怜もこう呼んどるしええやん」 京太郎「そういえばそうでしたね」 京太郎「それじゃあ竜華さん」 京太郎「何しましょうか」 夜 京太郎「お菓子、食べます?」 竜華「お菓子?」 京太郎「持ってきたんですよ色々」 京太郎「どうです?」 京太郎「焼きプリンうまっ!うまー!」 竜華「うぅ……」 竜華(怜に、「竜華って重そうやな」って言われて、頑張って1キロも落としたのに、プリンなんて食べたらまた太ってまう) 竜華(我慢や、我慢)ジーッ 京太郎「超デリシャス!」パクパク 竜華(我慢…)ジーッ 京太郎「最後の一口!……」 竜華(がまん……)ウルウル 京太郎「竜華さん」 竜華「な、なんや?最後の一口食べたらええやろ」 京太郎「いいですから、はい」アーン 竜華(京くん優しい!やなくて、我慢や!) 竜華(でも、一口くらいなら……) 竜華(ええやろ) 竜華「あーん」 京太郎「ぱくっ」 竜華「え?」 京太郎「あーおいしかった」 竜華「え?え?」 京太郎「食べさせてもらえると思った?」 京太郎「残念、食べちゃいました!」 竜華「」 【0日目】終了 【インターハイ 1日目】 竜華「……ん」 京太郎「くっ!これじゃあ息子の世話ができねぇ!」 竜華「すぅ……」ムニュ 京太郎「ああ、ここが天国か」 京太郎「麻雀するか」 京太郎「千里山の人に教えてもらうのもありだな」 竜華「何ブツブツ言うてんの?」 京太郎「竜華さん、怜さんの部屋「337」」 京太郎「行ってきます」 怜「特訓か」 京太郎「はい」 怜「でも私に教えることなんてないからなぁ」 京太郎「じゃああれ!一発教えてくださいよ!」 怜「え、あれ?」 京太郎「見ていて凄かったですよ!リーチすれば絶対一発って!」 怜「そんなに教えてほしいんか?」 京太郎「はい!是非!」 怜「じゃあ」 怜「チカンガオルデー!」 怜「いっぺん死んで来てな」 京太郎「……は?」 バタム! 竜華「痴漢は、どこや?」ゴゴゴゴゴ 京太郎「なんで包丁なんて……」 竜華「そうかァ、京くんやったんやな」 京太郎「俺何もやってない!無実ですから!」 竜華「問答無用!」 ゴッ 京太郎「また相席か」 京太郎「近くでインターハイやってるんだし当然か」 京太郎「すみま……」 豊音「わーっ!料理がいっぱいあるよー!」 豊音「どれもおいしそうだなー」キラキラ 京太郎「相席してもいいですか?」 豊音「わわっ!いつからそこに?」 京太郎「少し前からですね」 豊音「久しぶりだねー!あ、そうだ!」 豊音「料理選ぶの手伝って!」 京太郎「は、はい」 メニュー 東北風グラタン 関東風ドリア 中部風カルボナーラ 関西風タコのカルパッチョ 九州風ハンバーグ 豊音「どれにしようかなー?」 豊音「このハンバーグもおいしそうだし、ドドリア?っていうのもオシャレだし」 豊音「カルボナーラが一番おいしそうだよー」 京太郎「じゃあ、俺がカルボナーラ頼んで分けましょう」 豊音「いいの?じゃあ私はハンバーグにするね!」 豊音「須賀くんが来てくれて本当に良かったよー」 豊音「あれ?須賀くんがここにいるってことは、須賀くんもインターハイに出るのー?」 京太郎「はい、俺が個人戦、女子は団体戦で」 京太郎「女子の個人戦もウチから2人出ますね」 豊音「私も個人戦出るんだ!」 豊音「シロは参加すらしなくって、岩手代表は私の高校の4人なんだー!」 京太郎「す、すごいですね」 豊音「そういえば須賀くんの学校ってどこだっけ?」 京太郎「三箇牧ですね」 豊音「三箇牧!?」 豊音「そこってチャンピオンの宮永照さんが移ったとこだよね?」 豊音「あとは個人戦2位の荒川憩さんとか!」 豊音「あんな人たちといるなんてすごいねー!」 京太郎「今度サインでももらってきましょうか?」 豊音「いいの!?」 京太郎「多分ですけど」 豊音「それでもいいよ!ありがとー!」 京太郎「午後は何をしよう」 京太郎「よ」 照「ん、どうしたの?」 京太郎「特訓しないか?」 照「いいよ」 照「じゃあ私の部屋に」 京太郎「いや、外でやろう」 照「どうして?」 京太郎「刺されたくないから」 竜華「京くんどこ行ったー?」 京太郎「なあ照、お前あれ使わないのか?」 照「あれって?」 京太郎「あのギギギーってやつ」 照「あれは……まだ使わない、使えない」 京太郎「かくかくしかじか」 竜華「なるほどな、怜が悪かったんか」 竜華「ごめんな、京くん」 京太郎「いや、わかってくれてよかったですよ」 夜 京太郎「竜華さんは怜さんの部屋に行ったらしいし、今のうちに風呂に入るか」 京太郎「……」 京太郎「竜華さんに背中流してもらったらもう死んでもいいわ」 竜華「京くんいないみたいやし、風呂入っとこ」 ガララ 京太郎「あ」 竜華「あ」 京竜「「またこのパターンか!」」 竜華(怜がいるから下手に出て行けへん……どうしよ) 京太郎(まさか竜華さんが入ってくるとは……どうしよう) 竜華「うっ、京くん、に裸見られ、た」グスッ 竜華「もうお嫁にいけへん……」グスッ 京太郎「うぐっ」 京太郎(ここは……)プイッ 京太郎「何も見てませんから!安心してください!」 竜華「ホンマ?ホンマにホンマ?」 京太郎「ホンマにホンマでホンマですから!」 竜華「良かったぁ……」 竜華「でも、これからどうする?」 京太郎「そうですね……」 竜華「このまま出ていくのもあれやし、体だけ洗っときたい」 京太郎「別にいいですよ、俺タオルで目隠ししますから」 竜華「ほんまにごめんな」 シャワー 京太郎(俺の後ろで竜華さんのあの体があって) 京太郎(あのおもちを洗っていると考えると……やばいな) 京太郎(いかんいかん、邪念は取り去らねば) 京太郎(でもなぁ……) キュッ 竜華「お、終わったからもう出るな」 京太郎「わかりました」 ガララ 京太郎「さて……と」 【1日目】終了
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特別編、永水ver とある執事との交流 ハギヨシ『こうやって話すのも久しぶりですね』 京太郎『そうですね。新しい学校やらでこっちも忙しくて』 ハギヨシ『いえいえ、私の方こそ連絡ができず申し訳ない限りです。ところで、今は鹿児島でしたっけ?』 京太郎『はい。元女子校の永水にいます』 ハギヨシ『ほほう、永水ですか……去年のインターハイにお供した時に何度か見ましたが……』 京太郎『……巫女服ですね』 ハギヨシ『巫女服です。それを着ている方々も素晴らしかったです。それを機会に巫女ものが数冊増えたものです』 京太郎『分かります。それと、こっちは暑さからか薄着になるのが早くて』 ハギヨシ『いいですねぇ、こちらはまだまだ長袖の方が多いですよ』 京太郎『こっちで仕入れた素人ものでも今月は送りましょうか?』 ハギヨシ『ふむ、ではそれと水着ものを是非。そちらでなら良質のものが手に入るととある筋からの情報が』 京太郎『水着もの……確かに少し探しただけで良作が多いです。分かりました』 ハギヨシ『ではこちらは巫女ものと……そうですね、個人的なおススメをいくつかご用意しましょう』 京太郎『ええ、ではまたいつものように。品名は「参考書で」』 ハギヨシ『はい、こちらの品名は「月刊誌」でよろしくお願いします』 漢達の友情は決して途切れない こうやって月1でエロ本をまとめて貸し借りしている2人であった カンッ!!
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特別編、 1原点回帰 細かい設定、状況等は気にしないでください 某所、和室 京太郎「...zzz」横になって熟睡中 ガチャ 和「なんですかね、このメンバーでここに集合って」 霞「そうね。何か共通点でもあったかしら」 姫子「胸……は違うとして、インハイ出場者とかじゃなかと?」 玄「なんとすばらな組み合わせ……まぁ細かいことはいいですのだ」 怜「せやなー。ウチははよ帰りたいんやけど……ん?京太郎?」 和「須賀くん?……寝てますね」 霞「こんなところで寝て……京太郎くんも呼ばれたのかしら」 玄「ですね。京太郎くん、早く起きるのです。夢のような光景が広がっていますよ」 和「玄さん?流石に怒りますよ?」 姫子「よー寝とるし、起こさん方がよかとやなか?」 怜「…………」 玄「しかし京太郎くんなら今の光景を……園城寺さん?」 姫子「なんか考え込んで、どがんしたと?」 怜「いや……これ、チャンスやないん?」 和霞姫子玄「!?」 怜「今、京太郎無防備に寝とるやん?何しても、ばれないんやないんかな、思ってな?」ニヤリ 和「いやいやいや、そんな、寝てる人に」 玄「さ、さすがに駄目なんじゃないのかな、って思いますよ?」 霞「……なるほど」 姫子「……確かに、チャンスかもしれん」 和「2人とも!?」 霞「いやねぇ、そんな悪戯しようとか考えてる訳じゃないわよ?」 姫子「そうそう、そんな寝てる人にそがんこつはねぇ」 玄「ほっ」 霞「添い寝かしら」 姫子「こう、起きた時に何か一言とか」 和「何する気ですか!?」 怜「ほほー、ええなー」 姫子「こう、ゆうべはおたのしみでしたね、的な?」 霞「あ、じゃあ少し服も乱した方が……」シュル 姫子「起きてから2回戦、実際は1回戦やけど……よかね」ジュルッ 玄「そ、そそそそんなことさせません!!」 和「玄さん……」 霞「ちょっと揉んでいいから見逃してくれない?」タユン 玄「はいよろこんで!!」 和「期待した私がバカでした!!」 怜「せやったら、こう、京太郎を中心に脱ぎ散らかされた服と、みんなが裸で寝とくとか……」 霞「ハーレムねー……アリね」 姫子「それもよかね……こう、所有物って感じがまた……」 玄「霞さんのおもちが揉めて京太郎くんにまで……あわわわわ……」 和「そ、そんなことさせません!」 怜「ほほぅ」 和「そんな……は、ハーレムなんて……ダメです!!」 怜「……なぁ、ひとつ提案なんやけど?」 和「な、なんですか」 怜「ウチはな、あんたが正妻でええと思うとる」 和「え、えぇ!?せ、せせ正妻って……」 怜「元々の付き合いも一番長いし?同い年やん?ウチはまぁ2,3番目くらいでええから、な?」 和「そ、そんなこと……」 霞「そうね……私も1番目とかじゃなくていいわ」 姫子「私は……むしろ4、5番目とかの方がなんか興奮できるし……」 玄「わ、私も……その、京太郎くんが一緒なら……」 怜「みんな異論ないみたいやし、どや?後はあんたが決めるだけやで?」 和「……私は……」 京太郎「……ん、ふぁ~……よく、寝……た?」 和「……あ、おはようございます」やや乱れた服 京太郎「……の、和!?なんで隣に!?」 和「もう、忘れちゃったんですか?」 京太郎「わ、忘れた?俺が、何を?」 和「……あんなに激しく、みんなと……」 京太郎「え?」 霞「うふふ、おはよう」着崩れた服 怜「寝坊やなぁ」乱れた服 玄「そ、その……不束者ですが……というか……」慌てて直したような服 姫子「おはようございます……ご、ご主人様」半脱ぎの服&首輪 京太郎「…………はい?」 この後、5人同時に責任を求められたり、とあるまな板姉妹が乱入してきたりと、状況は更なる悪化の一途を辿った 京太郎「俺が一体何をしたっていうんだ!?」 しかし彼は、一切何もしていない 強いて言えば、ただ熟睡していただけである カンッ!!