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京太郎「洋榎さん、帰ってます?」 洋榎「んー、おるでー」 京太郎「そっちはどうでした?」 洋榎「快調快調!飛ばしたったで」 京太郎「やっぱりすごいっすね」 洋榎「せやろーさすがやろー」 京太郎「凄い凄い」ナデナデ 洋榎「えへへ~」ニヘラ 洋榎「って、なにしれっと頭撫でとんねん!」 京太郎「えー、気持ちよさそうだったじゃないっすかー」ブー 洋榎「まあ確かに気持ちよかったけど……ってちゃうわ!ちゃうちゃう!」 京太郎(何が違うんだろう……) 京太郎「今日はものまね合戦でもしましょうか」 洋榎「ものまね?」 京太郎「例えば俺だったら……コホン」 京太郎「闇の炎に抱かれて消えろォ!」 京太郎「……とか?」 洋榎「」キュン 京太郎「どうでした?」 洋榎「もう一回!もう一回!」 京太郎「闇の炎に抱かれて消えろォ!」 洋榎「」キュン 洋榎(何やろ……この声) 洋榎(……かっこええ) 洋榎(いつもの京太郎とちゃうからかごっつかっこよく見える……) 洋榎「きゅぅ……」バタン 京太郎「洋榎さん!?」 コンコン 霞「失礼するわよー、ってあら」 霞「京太郎くん、まだ行ってなかったの?」 京太郎「あ……」 霞「まあそうだろうとは思ったわよ、途中まで送っていくわね」 京太郎「すみません、お願いします」 霞「お願いされました」ポンポン 洋榎「……むへへぇ……」 京太郎「今度は444号室か……なんか不吉じゃないか?」 「あーおーい、つきーあかーり」 京太郎「誰かいるのか?」コンコン 「!」ビクッ もこ「…………」ガチャ 京太郎「あっ対木さん!」 もこ「…………」カァァ もこ「///」ササッ バタム 京太郎「えっちょっ!」 京太郎「対木さん!開けて!」ゴンゴン もこ「……」ガチャ もこ「……聞いてた?」 京太郎「聞いてた……さっきの歌?」 もこ「…………」 もこ「///」ササッ バタム! 京太郎「……はぁ」 もこと同室になりました 京太郎「というわけで今日からよろしく!」 もこ「…………」 京太郎「あのー、対木さん?」 もこ「…………」ブツブツ 京太郎「とりあえず何かして遊ぶ?」 もこ「……許可する」 京太郎「じゃあ何しよっか」 もこ「我ら模擬となり演劇に興じる」 京太郎「?」 京太郎「じゃあごっこ遊びにするか」 もこ「」コクッ 京太郎「よし、それじゃあ始めだ!」 もこ「うっ……」 京太郎「どうした?」 もこ「左腕が……疼く」 京太郎「痛いのか?」 もこ「再び聖法具を巻かなければ、左腕に封印されたオルトロスが……うっ!」 京太郎(何を言ってんのかさっぱりわかんねえ……) 京太郎「ならお医者さんごっこでもするか」 もこ「」コクッ 京太郎「はい、左腕出してー」 もこ「……」 京太郎「包帯巻いていきますねー」 もこ「……よろしゅう」 京太郎(腕綺麗だな……細いし、白いし) もこ「如何した?」 京太郎「いや、なんでもない」シュッシュッ 京太郎「はい、終わり」 もこ「有難う、疼きが収束した」 京太郎「対木さんって綺麗な腕してるんだな」 もこ「……そう?」 京太郎「ホントホント」 もこ「…………」 もこ「有難う」 もこ「初めて言われた」 京太郎「誰でも言いそうなことだけどな」 もこ「……同志など存在しないから」 京太郎「……ああ、なるほど」 【六日目】終了 【七日目】 京太郎「ふぁぁ……」 京太郎「アパートで慣れてるからか畳ってのが気持ちいいな」 京太郎「昨日までは洋榎さんと同じベッドで少し緊張したけど、対木さんならまだ気が楽だ」 京太郎「……とは言うものの」 もこ「すぅ……ん……」 京太郎「なんで布団がくっつけてあるんだ……」 もこ「お早う……」ネムネム 京太郎「おう、朝ごはんもうあるからな。ルームサービスだけど」 もこ「大地の慈悲なる恵みに感謝を」 京太郎「宗教染みてるな……」 もこ「これは宗教などという聖なる文化ではない、闇との契約を更新するための黒儀式」 京太郎「はいはい、さっさと食べろ。30分後に取りに来るってさ」 もこ「ひょひ(御意)」ハムハム 京太郎「対木さんはこの後何か用事とかある?」 もこ「……特筆すべきものは何も」 京太郎(特筆って言うのか?) 京太郎「そっか、じゃあ俺と遊ばねえか?」 もこ「遊戯?」 京太郎「まあ、そうだな」 もこ「何するの?」 京太郎「んー……じゃあ 65で」 もこ「ポーカー……」 京太郎「やったことあるか?」 もこ「私を誰だと思っている?」ニヤリ 京太郎「対木さん」 もこ「…………」 もこ「そういえばそうだった」 京太郎(対木さん、よくわかんねえ人だな) 京太郎(咏あたりだったらぱぱっと友だちになっちゃいそうだけど) 京太郎(とりあえずはツーペアか……) もこ「……」ジーッ 京太郎(フルハウスシャボ待ちだな)スッ もこ「……」スッ 京太郎(四枚捨て!?) 京太郎(余程手札が悪かったのか?) 京太郎(まあいい、これで勝負だ!)スッ 京太郎「うっ……」 京太郎(やっぱりそう簡単に来るわけねえよな……対木さんの方は……) もこ「」ニコニコ 京太郎(めっちゃ笑ってる!?) 京太郎(いや待て、四枚捨てでいい手になるなんてそうそうないはず) 京太郎(ここは押す!) 京太郎「勝負!」 もこ「ふっ」 もこ「括目せよ、これこそが私の能力≪チカラ≫」 京太郎「こっ、これは……!」 ロイヤルストレートフラッシュ もこ「王 門 ☆ 閃 光!」 京太郎「嘘……だろ」 もこ「えへへっ、私の勝ちっ!」 京太郎「素に戻ってるぞ」 もこ「えっ……わわっ!」 もこ「これが私の暗黒魔術だ、恐怖を身に焼くが良い。くっくっく」 京太郎(やっぱりよくわかんねえ) もこ「」グッ 京太郎(でもガッツポーズしてるあたり嬉しかったんだろうな) もこ「須賀……楽しかった」ニコッ 京太郎「……ん、そりゃ良かった」 京太郎(ここまでいい笑顔できるんだな、この子) 京太郎「よろしくお願いします!」 菫「よろしく」 塞「こちらこそよろしくお願いします」 胡桃「お願いします!」 胡桃「いやー、でもまさか大阪でシロと打ってた人がチャンピオンだったなんてね」 塞「トヨネも自慢げに話してたもんね。今日はよろしく、須賀君」 京太郎「ええ、こちらこそ」 菫(なんだこの蚊帳の外の感じは……) 菫(だが別に構わん) 菫(私はただ、射抜くだけだ) 東一局 親 胡桃 25000 菫 25000 京太郎 25000 塞 25000 塞(弘世さんはわざと待ちを寄せて狙い撃ちをする) 塞(須賀君は……よくわかんないけど) 塞(まずは胡桃から和了ろうっと!) 京太郎(テンパイまではこぎつけたけど……)スチャ 京太郎(カスりもしねえな……)トン 菫(ぐぬ……まだ一向聴か) 菫(ここはオリるか)トン 胡桃(サエがテンパってそうだけど……これなら通るかな?)トン 塞「ロン、2000」 塞「胡桃もまだまだだね~」 胡桃「う、うるさいそこ!たまたまなんだからね!」 塞「好きに言ってな~」 東二局 胡桃 23000 親 菫 25000 京太郎 25000 塞 27000 菫(…………) 菫(ここは須賀を狙っておきたい……だが今はトップに立つのが先決だろう) 菫(故に狙うのは……)キュッ 塞(!)ビクッ 塞(今の殺気は……?) 塞(まあいいや、これでテンパイ)トン 菫「……ロン」 菫「12000」 東二局一本場 胡桃 23000 親 菫 37000 京太郎 25000 無関係点数移動:14000 塞 15000 京太郎(少しモモを意識して影薄めにしてきたけど……) 京太郎(このまんまだとやばそうだからな) 京太郎(低かろうと和了りにいく!) 京太郎「ロン、1300は1600!」 塞「うぁっ……」 京太郎(とりあえずこれで連荘回避) 京太郎(次の親番で勝負だ!) 東三局 胡桃 23000 菫 37000 親 京太郎 26600 無関係点数移動:14000 塞 13400 京太郎(よし、良い手だ) 京太郎(まずはこのまま波に乗る!) 京太郎「カン!」 京太郎「嶺上……なわけないか」トン 塞(宮永さんの試合見てたからなんか心臓に悪い) 胡桃(ホントホント!) 塞(こいつ、直接脳内に……!) 京太郎「あっ、ツモ、4000オールです」 菫「なにっ!?」 京太郎「逆転っすね」 東三局一本場 胡桃 19000 菫 33000 親 京太郎 38600 無関係点数移動:14000 塞 9400 塞(うっわ、やばいやばい) 塞(もう一万点切っちゃったよ、まだ親番あるからいいけどさ) 塞(うぬぬ……どうしよう)チラッ 京太郎「……」 塞(やや真剣な面持ち……こりゃ振り込んだら大変かも) 塞(いいや、これで当たって砕けろ!)スッ 塞(って、いやいや砕けちゃダメでしょ)トン 京太郎「ロン、7700は8000」 塞「はっ、8000……って」 胡桃(確かに須賀君強いけど、サエが抉られすぎてる……!) 胡桃(どうしよう、何か言った方がいいのかな……) 東三局二本場 胡桃 19000 菫 33000 親 京太郎 46600 無関係点数移動:14000 塞 1400 菫(13600点差か) 菫(覆せないこともない点差……) 菫(ここは、射抜く!)キュッ 菫「…………」トン 菫(須賀、お前には負けない!) 京太郎(なんかさっきから凄い視線を感じる……) 京太郎(ここまで来ればある程度は大丈夫だろ)トン 菫「ロン、2000は2600」 京太郎「くっ……」 菫(どこまでも追いつめてやる!) オーラス 胡桃 19000 菫 35600 京太郎 44000 無関係点数移動:14000 親 塞 1400 塞(いいねいいね!萬子の清一色!) 塞(このまま押してこっと)スチャ 塞(……およ?) 塞(んー……でもここは確実に行きたいよね) 塞(ダマでいこっか) 胡桃(サエが張った?) 菫(見え見えの染め手か、とりあえず振り込まないように……)トン 塞(う……リーチかけておけばよかったかも……) 塞「ツモ!6000オーッル!」 オーラス一本場 胡桃 13000 菫 29600 京太郎 38000 親 塞 27400 京太郎(臼沢さんの逆転の一歩の派手な和了り、助かったぜ) 京太郎(これで……ようやく……) 京太郎(…………消えられる) スゥ [ステルスモード]に移行しました 塞(これで私は二位、次に和了れば一位確定で勝ち抜け) 京太郎「リーチ」 塞(なるべく振り込まないように、かつ早く和了るように……) 菫(このまま逃げ切れば勝ち抜け) 菫(流局まで逃げると臼沢に捲られる可能性が高い) 菫(ここは、攻めるしかないだろう) 胡桃(すっかり置いてけぼり……) 胡桃(いやいや!まだ負けたとは決まってないよ私!) 胡桃(確実じゃないけど、でっかいのを和了る!)トン 胡桃(…………) 胡桃(あれ?なんで卓に三人しかいないんだっけ) 胡桃(誰か、だれか忘れてるような……) 京太郎「ロン、12000は12300」 胡桃「ッ!」 菫「リーチだと!?」 塞「待って、いつリーチなんてかけたの」 京太郎「いつ、って一巡前ですけど?」 胡桃「えっ……?」 終局 京太郎 50300 菫 29600 塞 27400 胡桃 700 京太郎「お疲れ様でした!」 塞「どこに隠れてたの、おかしいでしょ」 胡桃「ズルしないそこ!」 京太郎「どんだけ卑怯に見えてんですか!」 塞「なーんてね、私は楽しかったから満足だよ」 胡桃「焼き鳥で敗退なんてなんか釈然としない……」 胡桃「今度は赤子の手をひねるように負かすから覚悟してて!」 京太郎「鹿倉さんの方が赤ちゃんみたいな気がしますけど……」 胡桃「うるさいそこ!」 塞「うん、立場逆転しちゃうね」 胡桃「うるさいそこ!」 菫「ん?なんで幼稚園児がここにいるんだ?」 胡桃「乗らないくていいから!」 菫「……いい思い出になった、ありがとう」 京太郎「お礼を言われるようなことは何もしてませんって」 菫「いや、お前だからこそだったんだ」 菫「照と打ってくれ、今度は観戦していたい」 京太郎「はい、勝ってみせますよ!」 菫「ふふっ、楽しみだな」 塞「ねねっ、須賀君須賀君!」 京太郎「何すか?」 塞「これ私と胡桃のメルアドだから、暇なときに送ってきて!」 塞「こっちも不幸のメールとか送るから!」 京太郎「嫌ですよ何ですかその嫌な交換条件」 塞「あははっ!冗談冗談!そんじゃねー」 胡桃「次会うときはトヨネよりおっきくなってるから!」 塞「寝言は寝て言いましょうねー」 胡桃「引っ張らないそこ!」 ワーギャー バタム 菫「それでは私も行くよ、じゃあな京太郎」 京太郎「はい、またどこかで!」 ガチャ バタム 京太郎「俺も次の対戦相手見に行かないとな」 京太郎「……京太郎?」 京太郎「えっと、次は……末原先輩に上重さん、安河内さん……は九州の人か」 京太郎「まっ、次も勝てるだろ」 京太郎「一旦宿舎に帰るか」 京太郎「他の人の部屋に行ってみるか」 京太郎「つっても知らない人のところに行っても気まずいだけだよな……」 京太郎「ここって確か中部選抜とかの人たちが泊まってんだよな」 京太郎「じゃあモモとか咲とかもいるのか?」 桃子「呼んだっすか?」スゥ 京太郎「モモ!?」ビクッ 桃子「うっ……何もそんなに驚かなくてもいいじゃないっすか……」 京太郎「いきなり後ろから囁かれたらこえーっての」 桃子「そんなもんなんすか?」 京太郎「特にお前はな、咲だったら……」 咲『あ、京ちゃ』コケッ 京太郎「とか言ってこけそうだし」 桃子「……それもそうっすね」 京太郎「そうだ、モモの部屋に遊びに行ってもいいか?」 桃子「私の部屋っすか?」 京太郎「ちょっと暇なんでな」 桃子「まあ別にいいっすよ、こっちっす」 桃子「ただいま帰って来たっすよー」 京太郎「お邪魔しまーす」 智美「ワハハー、モモ、その男子は誰だー?」 京太郎「モモが見えてる!?」 桃子「私の幼馴染っすよ、今日は一緒に遊ぶっす!」 智美「そうか、じゃあ私も遊んでもいいか?」 桃子「京太郎、いいっすよね?」 京太郎「いいっていうか、むしろお願いします」 智美「私は蒲原智美だ、よろしくなーワハハ」 京太郎「俺は須賀京太郎です、よろしくお願いします」 桃子「それじゃあ始めるっすけど、何するんすか?」 京太郎「そうだな……」 桃子「花札……?」 京太郎「モモは知らなかったっけか?」 桃子「聞いたことはあるっすけど……そもそもできるんすか?」 智美「花札なら持ってるぞー」 桃子「そもそもルールがわからないっす」 京太郎「説明は……めんどくさいからちょっと見ててくれ」 京太郎「猪鹿蝶で俺の勝ちですね」 智美「やられてしまったなー、ワハハ」 京太郎「とまあこんな感じなんだが」 桃子「少し麻雀に似てるっすね」 京太郎「麻雀ほどメジャーじゃないんだよな、これが」 京太郎「それじゃあ三人でやってみよう」 智美「ワハハー雨四光だー」 京太郎「早くないっすか?」 智美「これも運だからなー、モモはわかったか?」 桃子「ん……まだよくわかんないっす」 智美「まあゆっくり覚えていけばいいぞー」 京太郎「…………」 京太郎「ちょっと、いや凄く気になったんですけど、どうして蒲原さんはモモが見えるんですか?」 智美「なんでだろうなー、モモは良い匂いがするんだ」 京太郎「匂いって……」クンクン 桃子「なに嗅いでるっすか!」 京太郎「確かに良い匂いだ……そうか、それは盲点だったな」 智美「そうだろーすごいだろーワハハ」 京太郎「モモをちゃんと見える人なんて久しぶりですよ!」 智美「そ、そうなのか?」 京太郎「モモは結構寂しがり屋なんで、適度に見つけてやってくださいね!」 桃子「私はペットじゃないっすよ!」 京太郎「いやーなんか気が晴れましたよ」 智美「ワハハ、須賀は心配性なんだな」 京太郎「大事な幼馴染ですからね」 智美「なんだかお兄さんって感じがするけどなー」 京太郎「そうですかね?」 智美「そうとしか見えないぞ」 桃子(うぅ……二人だけの雰囲気になってるっす) 桃子(なんかもやもやするっす……) 夜 京太郎「夜も遅いし他の人だと迷惑だろうから対木さんと遊ぼう!」 もこ「クックック、宵の王と戯れようなどとは良い意気だな」 京太郎(心なしかテンション上がってるな……) もこ「今宵は何を以て過ごすのかや?」 京太郎(口調安定しないな……) ~MOCO Sキッチン~ もこ「今宵の馳走は何ぞや?」 京太郎「口調おかしいだろ、今日の夕飯はこれだ!」 【ビーフストロガノフ】ババーン もこ「かっこいい……」 京太郎「よし、じゃあぱぱっと作るぞ!」 京太郎「切って、煮込んで」 京太郎「よし、完成だ!」 もこ「美味しそう」 京太郎「だがこれだけじゃないぜ!」 京太郎「来たれよ我が従者!」つオリーブオイル もこ「……え?」 京太郎「これで真の完成だあああああ!」ドバドバドバドバ もこ「あ、あああぁぁ……」 京太郎「これがロシアの豪商ストロガノフ一族の味だ!」 もこ「…………」モグモグ 京太郎「どうだ?おいしいか?」 もこ「ストロガノフ……緑油……豪商……」モグモグ もこ「……かっこいい」モグモグ 京太郎「そっかそっか、もっと食べてくれよ!」 もこ「…………」 京太郎「んー、口に合わなかったか?」 もこ「……」コクッ 京太郎「やっぱり朝の番組の真似なんてするんじゃなかったな」 京太郎「後は俺が食うよ」 もこ「…………構わない」 京太郎「いいのか?」 もこ「食すに値しないこともない味、故に」 京太郎「そっか、ありがとな」ナデナデ もこ「……うん」 もこ(少し、安らぐ) 【七日目】終了 【八日目 準々決勝】 もこ「ん…………」 京太郎「いつも通り早起きだぜ!」 京太郎「って騒いじゃ起きちゃうよな」 京太郎「とりあえずルームサービスを頼もう」 もこ「……んぅ…………」 京太郎「対木さんも洋榎さんも幸せそうに寝てるよな」 京太郎「……無防備だよな」 京太郎「久々にやるか」 【須賀京太郎の!寝起きドッキリ大成功!part13】デデーン! 京太郎「おはようございまーす」ヒソヒソ 京太郎「今日は愛知県出身の対木もこさんに、ドッキリを仕掛けたいと思いまーす」ヒソヒソ 京太郎「それでは準備を始めまーす」ヒソヒソ 京太郎(まずは布団に潜って)ススッ 京太郎(後ろから抱きしめる)ギュッ もこ「っ……」 京太郎(モモとは違うけどいい匂いだな) 京太郎(って違うわ!今はドッキリに集中集中!) もこ「ん……ぅ……」 京太郎「もこ、聞こえてるか?」ボソボソ 京太郎「……好きだよ」ボソボソ もこ「……ん」 もこ「……そ……か」 京太郎(起きたか……?) もこ「魔城門が……遂に……」 京太郎(なんだこの寝言) 京太郎(まあ続行だよな) 京太郎(対木さんの髪綺麗だな……) 京太郎(少し緑っぽい金髪なんて俺とは大違いだ) 京太郎(それに柔らかいしいい匂いもするし)サスサス 京太郎(ってやべっ!) もこ「……ぅ……」 京太郎(起きたか……?) もこ「……須賀君?」 京太郎「お、おはよう」サスサス←布団の中でもこを後ろから抱きしめつつ髪を梳いている もこ「……」 京太郎(凄く凄い気がする、この状況は……嫌な予感しかしない!) 京太郎(話題は……逸らすしかない!) 京太郎「えっと、いつから起きてた?」 京太郎(逸らせてなかったぁぁぁああ!) もこ「……須賀君が頭髪に触れたその瞬間から」 京太郎「わかりやすい表現で助かる」 もこ「…………須賀君」 京太郎「……俺が悪かった」 もこ「違う、そうではなく……そう、か……」 京太郎「?」 もこ「そ……その」 京太郎「何だ?」 もこ「もっと、愛撫、して……」カァァ 京太郎(その言い方はおかしい) 京太郎(この体勢でその言い方はおかしい) 京太郎(耳まで赤くなってるのが見えるよ……) もこ「ねぇ、早く」 京太郎「わかったよ、やればいいんだろやれば」サスサス もこ「…………京太郎」ボソッ 京太郎「何か言ったか?」サスサス もこ「無用!」 京太郎(顔が見えないのが残念だな)サスサス もこ「…………」カァァ 京太郎(いよいよ準々決勝か、こっからが勝負だな) 恭子「三日ぶりやな」 京太郎「あ、もう来てたんですか」 恭子「漫ちゃんもおるで」 漫「がるるるる!」 京太郎(そういえば前に豆撒いたんだっけか) 美子「よろしゅうお願いします」 京太郎「はい、こちらこそお願いします」 漫(須賀京太郎……絶対に飛ばしたる!) 東一局 親 恭子 25000 美子 25000 漫 25000 京太郎 25000 同コンマのため、流局 美子(三人ともテンパイ……) 美子(ここはオリて殴り合ってもらうとすっかね) 恭子「テンパイ」 美子「ノーテン」 漫「テンパイ」 京太郎「……テンパイ」 京太郎(様子見は……終わった)ゴッ 【照魔鏡】発動! 京太郎(上重さんは圧倒的な爆発力) 京太郎(安河内さんと末原先輩は……よくわかんねえ) 京太郎(安河内さんは早和了りを目指してるのか?) 京太郎(とにかく、これでピースは揃った) 東一局一本場 親 恭子 26000 美子 22000 漫 26000 京太郎 26000 同コンマのため、流局 恭子「テンパイ」 美子「ノーテン」 漫「ノーテン」 京太郎「テンパイ」 漫(……アカン) 漫(高めをぶち当てようなんて考えん方が良かったか……) 漫(結局二向聴のまま進んどらんし) 漫(このままやったら何もできんまま終わる……) 東一局二本場 親 恭子 27500 美子 20500 漫 24500 京太郎 27500 同コンマのため、流局 恭子「テンパイ」 美子「ノーテン」 漫「ノーテン」 京太郎「テンパイ」 京太郎(なんでこんな作業で一万点も勝ってんだろ……) 東一局三本場 親 恭子 29000 美子 19000 漫 23000 京太郎 29000 漫(ツモで7700) 漫(積み棒含めば逆転もできるけど……末原先輩に親っ被りやん)スチャ 漫(……あ、ツモってもうた) 漫(せやけどここで須賀京太郎に和了られるのも嫌やし……) 漫(……もう和了ってまえ!) 漫「ツモ!2300・4200!」 東二局 恭子 24800 親 美子 16700 漫 31800 京太郎 26700 漫「カン!」 恭子「ひぃっ!」 漫「ツモ!1500・2900!」 漫(圧倒的!圧倒的やん私!) 漫(このまま勝つ!) 漫(勝てる……勝てるんや!) 京太郎「……っ」 京太郎(俺は、負けるわけにはいかない) 京太郎(まだ負けない) 京太郎(勝つんだ、必ず) 東三局 恭子 23300 美子 13800 親 漫 37700 京太郎 24200 美子(まずは速攻で流れ作って、次に賭けんと) 美子(やけん軽か手で……) 京太郎(……どうすればいいんだ) 京太郎(上重さんに届くまでの手が作れねえ) 京太郎(このままだと……負ける?) 京太郎(いや、まだ諦めねえ) 京太郎(今は前へ進むだけだ!)トン 美子「ロン、1300です」 京太郎「うっ……」 京太郎(……親番) 京太郎(勝たないとダメなんだ!) オーラス 恭子 23300 美子 15100 漫 37700 親 京太郎 22900 京太郎(俺は……勝つ!)ゴッ 美子「!」 恭子(……須賀?) 恭子(須賀にこないに迫力あったか?) 恭子(どうしたんや一体……) 京太郎(集まれ、集まれ!) 京太郎(この一手で勝つ!)スチャ 京太郎(…………) 京太郎「ツモ」 京太郎(どうやら俺は、最高にツイてるみたいだ) 京太郎「4000オール!」 漫「んなっ!」 京太郎「終わりです!」 終局 京太郎 34900 漫 33700 恭子 19300 美子 11100 京太郎「お疲れ様でした!」 美子「お疲れ様でした」 恭子「ありがとうございました」 漫「お疲れさんでした……はぁ」 漫「勝てると思うたんやけどなぁ……」 京太郎「はっはっは!俺を甘く見すぎたんですよ!」 京太郎「いやでもホントこの前はすんませんでした」 漫「ああ、別に気にしてへんよ。もうすっきりしたし」 京太郎「そうですか、すみません」 漫「ふふっ、なんでまた謝るんや」 京太郎「なんででしょうかね?あははっ」 美子「焼き鳥やった……」 恭子「私もですよ、ホンマ世知辛いですわ」 美子「世知辛いの使い方間違っちるような……」 美子(あいが部長の言うてたん人か……) 美子(私も勝てなかったな……) 恭子「あ、せや須賀君」 京太郎「何ですか?」 恭子「せっかくやし連絡先交換しとかへん?」 京太郎「はい、いいですよ」 漫「せやったら私も!」 美子「わ、私も……」 京太郎(何かすっげえモテてる気がする) 京太郎「順調に電話帳が埋まっていくな」 京太郎「さてと、次の対戦表を見に行くか」 京太郎「次の相手は……っと」 京太郎「咲んとこの竹井さんと阿知賀の新子さんと鷺森さんか」 京太郎「見事なまでに全員知り合いだな」 京太郎「もう帰ろっと」 京太郎「またどっか他の人の部屋で遊ぼうかな」 京太郎「ホテルの中ぶらついてたら誰かしらいるだろ」 京太郎「さーて、誰かいないかなーっと」キョロキョロ ゆみ「ん?須賀君じゃないか」 京太郎「あ、加治木さん!」 ゆみ「私たちの宿舎で何をしているんだ?」 京太郎「俺もここに泊まってるんですけど暇で暇で、だから他の人と遊ぼうかなーって」 ゆみ「ふむ、そうか……」 ゆみ「なら私たちの部屋はどうだ?」 京太郎「良いんでしたらいきますけど」 ゆみ「よし、ついてこい」 ゆみ「ただいま帰った」 久「もーゆみ遅いわよー」グデー ゆみ「来客なんだからしゃんとしろ」 久「来客?」 京太郎「あ……ども」 ゆみ「ここで遊んでも構わないだろう?」 久「んー別にいいけど……まさか明日の相手と会っちゃうとはね」 京太郎「明日はよろしくお願いします」 久「こちらこそ」 ゆみ「それで、何をして遊ぶんだ?」 京太郎「じゃあリアルおままごとでもしましょうか」 ゆみ「リアル?」 久「いいじゃないそれ!採用!」 ゆみ「なあ久、リアルおままごととは何なんだ?」 久「まあやってみればわかるわよ」 京太郎「結構楽しいですよ」 ゆみ「そうか……わかった、やってみよう」 京太郎「ゆみ、次はいつ会える?」 ゆみ「いつでもいいよ、明日でも来週でも、三時間後でも」 京太郎「いつも嬉しいことを言ってくれるなぁゆみは!」ワシャワシャ ゆみ「か、髪を撫でるな!」 京太郎「んーやっぱやり足りないからもう一回戦やるか?」 ゆみ(一回戦?) ゆみ「……ああ、いいぞ」 京太郎「じゃあまた頑張ってくれよ」 ゆみ「う……ん」 久「きょう……たろう……」 久「ゆみ……?」 久「二人とも、何してるの?」 京太郎「ひ、久!違う!これは違うんだ!」 ※設定上全裸 ゆみ「そっ、そうだ!京太郎は怪我をした私を運んできてくれただけなんだ!」 ※設定上全裸 久「…………」 久「……あー、そっか、そうだったんだ」 久「ごめんね、私てっきり勘違いしちゃってた、うん、そうだよね……」 久「ちょっと買い物行ってくるから、ゆみはゆっくりしてってね」 タッタッ ガチャ バタム 久「あ、あははっ」 久「そっか、そうだよね」 久「京太郎は私よりゆみの方が好きなんだ」 久「何結婚したからって喜んでたんだろ私、ふふっ」ポロポロ 久「あれ、なんでだろ、なんで、なんで」ポロポロ 久「なんでこんなにおかしいのに……泣いてんだろ私」ポロポロ 久「とまあこんなもんかしらね」ケロッ 京太郎(全部演技だったのかよ……) ゆみ(よくわからんやつだ……) 久(妻役の気持ち考えたら、なんか……)チラッ 京太郎「じゃあ次行きましょうか」 ゆみ「疲れるからもうやめてくれ」 久(ちょっと気になっちゃったかも?) 夜 京太郎「竹井さんの演技力おかしすぎるだろ……」 京太郎「ただいまー」 もこ「プログラムアドバンス!ドリームソード!」 京太郎「またやってるのか」 もこ「…………」 もこ「よく帰ったな、000」 京太郎「おう、ただいま、晩飯はもう食べたか?」 もこ「」フルフル 京太郎「じゃあ一緒に食べるか」 もこ「」コクッコクッ 京太郎(妹ができたらこんな感じなのかな) 京太郎「じゃあまたポーカーでもするか」 もこ「今宵も勝利は私の手にある」ドヤッ 京太郎「はいはい、んじゃ始めるぞ」 京太郎(そういえば一対一だったらインディアンポーカーとかもあるんだよな……) 京太郎(まあ俺あんま強くないしいっか) 京太郎(うわ、ワンペアかよ……) もこ「クックック」スッ 京太郎(また四枚捨てとか正気かよ、じゃあ俺も) 京太郎(勝負の三枚捨てだ!)スッ 京太郎「……ワンペア」 もこ「ストレートフラッシュ」 京太郎「いやいやおかしいだろ絶対!こんなの!」 もこ「卑怯だと?」 京太郎「一体何やったんだー?」ムニムニ もこ「ひゃへへー(やめてー)」 京太郎「ほっぺやわらかいな……」ムニムニ もこ「ひょうはほーひゃへへー(京太郎やめてー)」 京太郎「憂さ晴らしだ!えいっえいっ!」ムニムニ もこ「うぅ……」 京太郎「その、なんだ、すまなかった」 もこ「京太郎の……バカ」プイッ 京太郎(あ、なんか可愛い) 【八日目】終了 【九日目 準決勝】 京太郎「ふぁぁ……」 京太郎「結局十戦十敗ってどうなってんだよ、もう」 もこ「ぇへへ……」 京太郎「……」プニプニ もこ「すぅ……ぅ……」 京太郎(……何しよ)プニプニ 京太郎「適当に散歩でもしてくるか」 京太郎「書置きして……っと」 京太郎「よし行くか」ガシッ 京太郎「?」 もこ「きょ……行かない……で……すぅ」 京太郎「つってもすることがないから、ごめんな」ナデナデ もこ「すぅ……」 京太郎「東京みたいな古書街とかって大阪にはあんまないらしいんだよな」 京太郎「とりあえずぶらぶら見て回るか」 京太郎「良さそうなところがあったら入ってみよ」 【高天原古書店】 京太郎「入ってみたはいいけど、別に咲みたいに本に興味があるってわけじゃないしなー」 京太郎「どうしよ……!?」 衣「こまきー!こっちだぞー!」ピョンピョン 小蒔「天江ちゃん、待ってくださいー」ゼェハァ 淡「テルー、いい本あったー?」 照「はい」つ【ぐりとぐら】 淡「そこまで子どもじゃないよ!」 恭子(何や……何なんやこれぇ……)カタカタ 京太郎(なんでただの古書店にこんなに知り合いがいるんだよ……) 淡「あ!京太郎だー!」 照「えっ、どこどこ」 京太郎「うげっ」 小蒔「お久しぶりです、須賀さん!」 衣「久方ぶりだな、きょうたろー!」 京太郎「本屋なんですからもっと静かにしましょう」 小蒔「すみません……」ショボン 衣「すまない……」ショボン 淡「京太郎はここで何してるのー?」 京太郎「ちょっと散歩をな」 恭子(ホンマに何なんやこれ、魔物だらけやないか……) 衣「そうだ!きょうたろーも一緒に来ないか?」 淡「あ!そだね、この後みんなで打ちに行くんだけど、来る?」 京太郎「別にいいけど……あ!末原先輩もどうですか?」 恭子「!」ギクッ 恭子(なんでこっちに話振るんや!) 京太郎「みんなでやれば楽しいですよ!」ニコッ 恭子(アカン、悪魔の笑顔にしか見えへん) 照「六人……誰か二人抜けないと」 京太郎「じゃあ俺が抜けますよ」 衣「いいのか?」 京太郎「俺が邪魔するのもあれですし」 淡「だったら最後の一人はくじで決めよう!」 小蒔「割りばしで作ってみました!」 恭子(なんでこないに楽しそうなんやろ……) 淡「よし、せーのっ!で引くよ!」 五人「「「「「せーのっ!」」」」」 恭子(アカン……) 衣「衣の親からだな!リーチ!」 淡「リーチ!」 小蒔「…………リーチ」ゴゴゴゴゴ 恭子(ダブリー三連とかおかしすぎるやろ) 照「……京」 京太郎「なんだ?」 照「絶対に負けないでね」 京太郎「それはこっちの台詞だっての」ナデナデ 照「むぅ……」 京太郎「今まで俺がお前との約束を破ったか?」 照「…………」 京太郎「俺を信じろ、絶対にまたお前の前に立つ」 照「……わかった」 照「頑張ろう」 京太郎「よし、っともう終わったみたいだな」 小蒔「ロン、32000」 淡「三家和ありだよね!ロン!32000!」 衣「ロン!48000!」 恭子「」 久「やっほー、昨日ぶりね」 京太郎「今日は負けませんよ」 久「そうね、楽しみにしてるわ」 久「あ!新子さん!」 憧「うわっ、清澄……」 灼「久しぶり」 京太郎「お久しぶりです、今日はよろしくお願いします」 灼「うん、よろしく」 憧「清澄にチャンピオンって色んな意味で最悪……」 久「まーまーそう言わずにー」 京太郎「もっと仲良くしようぜー」 憧「ちょっあんま近寄んないでよ!」ボコッ 京太郎「ぶへっ」 東一局 親 京太郎 25000 憧 25000 灼 25000 久 25000 憧「ポン」 灼(憧、相変わらずはや……) 久(二萬に二筒……三色か) 久(だとしたらこの二索危ないかも……) 久(いえ、これは通る!)トン 憧「ロン!12000!」 久「あ……はい」 東一局 親 京太郎 25000 憧 37000 灼 25000 久 13000 京太郎(親流されて跳満リードとかきついって!) 京太郎(まずは新子さんの親を流す!) 京太郎「チー!」 久(やっばい、どうしよう) 久(須賀君はまだ安そうだけど……) 久(やっぱここは和了りにいく!)トン 京太郎「ロン!1300!」 東三局 京太郎 26300 憧 37000 親 灼 25000 久 11700 憧「ロン、2000」 京太郎「はい」チャラッ 憧「どうも」ピトッ←指先が触れ合う 京太郎「あ」 憧「……~~っ!」カァァ 憧「は、はやく!次!」 久「初々しいわね~」ニヤニヤ 憧「う、うるさい!」 東四局 京太郎 24300 憧 39000 灼 25000 親 久 11700 同コンマのため、流局 久「テンパイ」 京太郎「テンパイ」 憧「テンパイ」 灼「ノーテン」 京太郎(半荘で良かった……) 京太郎(今はどうやって逆転するかを考えないとな)チラッ 憧「」ビクッ 憧「……///」 京太郎「?」 東四局一本場 京太郎 25300 憧 40000 灼 22000 親 久 12700 灼(…………) 灼(憧と18000点差、ここからならまだ勝てる) 灼(直撃で点差を縮めない、と) 京太郎(テンパイできねぇ……) 京太郎(不要牌ばっかじゃねえかよ、早く新子さんに追いつかねえといけねえのに!) 久(今日はツイてないわねー) 久(……まだ四局以上あるんだから巻き返せるわよね) 久(次は和了らないとね!) 憧(面前一通、これなら和了れる!) 憧(まだ一向聴なんだけどね……)トン 灼「ロン、6700」 灼(まず一歩) 南一局 親 京太郎 25300 憧 33300 灼 28700 久 12700 京太郎(親番なんだし、攻めていかねえと!) 憧「リーチ」 京太郎(この状況でリーチかよ!) 京太郎(どうする、何切ればいいんだよ!) 京太郎(テンパイはとっておきたい、でも嫌な予感が……) 京太郎(くそっ、行っちまえ!)トン 憧「ロン」 京太郎「うっ」 憧「24000」 京太郎「な……っ!」 南二局 京太郎 1300 親 憧 57300 灼 28700 久 12700 京太郎(何……やってんだ俺) 京太郎(こんなところで終わってたまるかよ……) 京太郎(こんな点差つけられて、全然和了れなくて) 京太郎(負けねえよ、負けたくねえよ) 京太郎(勝つんだよ!) 京太郎(……どうするこの状況) 京太郎(リーチでツモれば倍満、もう少し待てば三倍満だって見えてくる、あわよくば数えだって……) 京太郎(素直にツモるか、悪あがきをするか) 京太郎(どうすればいい……) 京太郎(照や咲だったら、どうするんだ) 京太郎(……ツモったか) 京太郎(平和清一色の三門張……) 手牌:一二三三四五六七七八八八九 ツモ:八萬 京太郎(ここは一盃口か一通を待つ、だから!) 京太郎(遠回りでも可能性を残して、勝ちに行く!)トン 八萬 憧(張ってそうな感じね……でも染め手っぽいし……) 灼(振り込まないように……) 久(ここもオリようかしら……) 京太郎(よし、来た!) 京太郎(あれこれさっき三萬捨てといたほうが良かったんじゃ……) 手牌:一二三三四五六七七八八八九 ツモ:九 京太郎(まあいい、三面張を捨てて三・六萬待ち) 京太郎(これって平和も入るんだっけか?) 京太郎(まあいい、これでリーチ清一色一通一盃口) 京太郎(ツモか一発で三倍満、裏も乗れば数えだって行ける!) 京太郎「リーチ!」トン 八萬 憧(何、この気迫!) 灼(……危な) 久(へぇ、諦めないんだ) 京太郎(これで決まればいいんだけどな……っ!) 京太郎(来てくれ!)スチャ 京太郎(よし!) 京太郎「……ツモ!」 京太郎「リーチ一発清一色一盃口一通、裏裏!」 京太郎「8000・16000!」 南三局 京太郎 33300 憧 41300 親 灼 20700 久 4700 京太郎(よし!三色混じりの満貫手!) 京太郎(これで追いついてやる!) 京太郎「リーチ!」 灼(またリーチ……) 久(流れ持ってかれちゃったかな……) 憧(須賀……なんで諦めないんだろ) 憧(ここまで私が勝ってるのに……) 灼(まだ私も、諦めない) 灼「リーチ」 京太郎「ロン!8000!」 京太郎「これで同点だ!」 オーラス 京太郎 41300 憧 41300 灼 12700 親 久 4700 久(ラス親でテンパイ、か) 久(悪い待ち……はしなくていいかしらね) 久(和了れなさそうだし……) 京太郎(これで……この手で……!) 久(私が和了っても困るだろうし、ね) 京太郎「リーチ!」 憧(負けそうなのに、追いつかれてるのに) 憧(悔しいのに……) 憧(もう、あそこまで必死だったら応援するしかないじゃない) 憧(須賀、か……) 灼(和了られてばかり……) 灼(須賀君、会場で会った時とは全然違う) 灼(少し……昔のハルちゃんみたいだった) 京太郎(これで止めだ!) 京太郎「ツモ!3000・6000!」 終局 京太郎 53300 憧 38300 灼 9700 久 -1300 京太郎「おっ、お疲れ様でしたぁ!」 灼「お疲れ」 久「お疲れ、あー飛ばされちゃったかー」 京太郎「なんか、すんません」 久「いいわよ、決勝頑張ってね」 京太郎「はい!」 灼「憧、行こ」 憧「ちょ、ちょっと待って!」 灼「?」 憧「す、須賀!」 京太郎「なんだ?」 憧「え、えっと、その……お、お疲れ!」カァァ 京太郎「おう、また今度打とうな」 憧「あ、あと!」カキカキ 憧「これ、これ!」 京太郎「……メアド?」 憧「わ、私ってほら、男が苦手でさ、だからたまに話し相手になったりしてくれると、その、助かるなって」 灼「じゃあ私も」 久「じゃあ私もー」 京太郎「竹井さんはむしろ扱いが上手そうですけどね」 久「えーひどくない?」 京太郎「身の回りの男をこき使ってそうなイメージです」 久「なんか失礼ね」プクー 灼「それじゃ、また」 京太郎「はい、お元気で!」 京太郎「……また、あいつらと打てるのか」 京太郎「勝って、あいつらの隣に立つんだ」ギュッ 夕 京太郎「ただいまー」 もこ「京太郎!京太郎!」 京太郎「どうした?」 もこ「黒と朱と赤の卓、不屈の京太郎!」 京太郎「?さっきの試合?」 もこ「すごかったぁ!」ニコッ 京太郎「そっか、ありがとな」ナデナデ もこ「京太郎、夕刻は如何にして過ごす?」 京太郎「んー、疲れたし部屋出たくないし……遊ぶか」 もこ「御意!」 京太郎「それ敬語じゃなかったか?」 京太郎「じゃあ今日はインディアンポーカーでもするか」 もこ「胤禰闇峰袈厭?」 京太郎「そそ、インディアンポーカー」 京太郎「まずお互い一枚ずつカードを取っておでこにつける」 京太郎「それで勝負するかしないかを選ぶ、簡単に言うとこんな感じだな、わかったか?」 もこ「」コクッ 京太郎「よし、じゃあ一ゲーム目だ」 京太郎「……」ジーッ←正座 もこ「……」ジーッ←正座 京太郎(対木さんは7か……微妙だな) 京太郎(確率的には負けやすい……ここはオリか?)ジーッ もこ「……」ジーッ 京太郎(あ、目が合った) もこ「……」メソラシ もこ「……」チラッ 京太郎「またこっち見た」 もこ「…………」カァァ もこ「み、見ないで」テレテレ 京太郎「勝負なんだからしょうがないだろ」 もこ「ぅぅ……」カァァ 京太郎(何だこの小動物的な可愛さ……) もこ「……厠」 京太郎「江戸時代!?」 もこ「……ん」スクッ ビリッ もこ「あっ」コケッ 京太郎「危ねっ!」ガシッ ポスン 京太郎「い、つっつ、正座なんかするんじゃなかったな……!?」 もこ「痛い……」 京太郎(あれ、何これ、俺押し倒されてんの?) 京太郎(目の前に対木さんの顔あるし……って顔小っちゃくねえか?) 京太郎(またいい匂いがするし……) 京太郎「つっ対木さん?とりあえず離れてくんないかな?」 もこ「あ……ぅ」 京太郎「対木さん?」 もこ「…………もこ」 京太郎「え?」 もこ「初名で呼称しなければ退かない」 京太郎「初名?……ファーストネームのことか?」 もこ「」コクッ 京太郎「じゃあ、もこ、退いてくれないか?」 もこ「……もう一度」 京太郎「もこ?」 もこ「……」カァァ もこ「……もう一度」 京太郎「いい加減にしなさい」ペシッ もこ「あぅ……」 【一時間後】 京太郎「もこ、そろそろ離してくれないか?」 もこ「……あと十度」ギュゥ 京太郎「はぁ……」 夜 京太郎「もこ、離さないと遊ばないぞ」 もこ「それは嫌」 京太郎「じゃあ離れろ」 もこ「……御意」 もこ「次は反転し合う白黒≪モノクロ≫の盤上」 京太郎「オセロな、今から借りてくるから、シャワーとか浴びとけ」 もこ「うん」 京太郎「持ってきたぞ」 もこ「ありがとう」ホクホク 京太郎「もこはどっちの色がいい?」 もこ「灰」 京太郎「黒か白だ」 もこ「黒」 京太郎「じゃあ俺が白だな」 京太郎「角三つ取ったのに負けたかー」 もこ「ふぁ……ん」 京太郎「眠いのか?」 もこ「」コクッ 京太郎「ならさっさと片付けないとな、手伝ってくれるか?」 もこ「」コクッ 京太郎「よし、もうちょい頑張れ」 もこ「……」ペラッ ペラッ 京太郎「そういや、今夜でここで寝るのも最後なんだよな」 もこ「……」ポロッ 京太郎「落としたぞ?」 もこ「……京太郎」 京太郎「ん?」 もこ「帰郷しても、友だち、だよね?」 京太郎「おう、もちろんじゃねえか」 もこ「!」パァァ もこ「ありがとう!」ニコッ 京太郎「当然だろ、普通だよ」ナデナデ もこ「えへへ……」 【九日目】終了
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http //hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1346308252/ 己のカルマと戦う京太郎の前に現れたステルスモモ 彼女から持ちかけられた悪魔の契約に対して、決意を固めたはずの京太郎の心は揺らぐ 彼は自らの生き方を切り開くことができるのか!? 京太郎(師匠……すみません……) 京太郎(俺はやっぱり、自分の身がかわいい臆病者みたいです……) 京太郎「分かった、そちらの要求を飲もう」 桃子「あなたならそう言ってくれると思ってたっす」 桃子「合宿中は無理に行動を起こさなくて良いっす」 桃子「実際に行動に移すのは、清澄に帰ってからということで」 京太郎「分かった。しかし今は情報が足りない」 京太郎「うちの部長とそっちの先輩ってのは、一体どれくらい親密なんだ?」 桃子「……名前」 京太郎「ん?」 桃子「あの女、私の先輩を下の名前で呼びやがったんす!」 桃子「私でさえまだ苗字に先輩って付けただけなのに……」ギリッ 京太郎(こ、これは……) 京太郎(百合場面名鑑収録「下の名前で呼んで」の亜種か!) 京太郎(いやいや、喜んでる場合じゃないだろ) 京太郎(落ち着け、冷静になるんだ) 京太郎(たかが下の名前で呼ぶようになっただけで、そこまで危険な段階に入っていると言えるか?) 京太郎(下の名前で呼び合うくらいまでなら別に……) 京太郎(…………) 京太郎(かじゅ久、いや、久かじゅ……か) 京太郎(アリだな) 京太郎(部長という職務の重責……そこから生じるストレスを抱えながら部活を発展させようとしてきた二人) 京太郎(奇しくもそれぞれが在籍する麻雀部は歴史がゼロと言っても過言ではない状態の新生部) 京太郎(同じような境遇にある者同士がある日交錯したとき、物語は始まる) 京太郎(ん?鶴賀の部長はカマボコみたいな口の人だっけか) 京太郎(まあいいか、立場的には似たようなものみたいだし、やはりそこから生じる共感g) 桃子「不愉快な妄想をしているようなら、あんたにはもう用はないっす」ニコッ 京太郎「!? ち、違うんだ! 待ってくれ!」 桃子「次はないっすよ?」 桃子「とにかく、くり返すっすが方法は問わないので、可及的速やかに処理をしてくださいっす」 桃子「こうしている間にも、あの女の毒牙が先輩に迫ってるんっすから」ギリッ 京太郎(これは……マジだな)ゴクリ 桃子「最終的にあの二人の接触を断つことができれば良いことにするっす」 桃子「だけど、もしも間に合わなかったら、その時は……」ゴゴゴ 京太郎「分かってる! 分かってるからそれだけは……それだけは許してくれ…」 桃子「じゃあ、今日のところはこれくらいにしておくっす」 桃子「期待してるっすよ、須賀京太郎君?」 桃子「あ、それと、万が一先輩の着替えを覗くとか、そういうことをした場合もその場で処刑確定なので注意してくださいっす」 桃子「では」スゥ… 京太郎「ふぅ……」ドサ 京太郎(なんてことだ……まさかこんなことになるなんて……) 京太郎(どうすれば……師匠に助けを) 京太郎(いや、それだけは絶対にできない) 京太郎(俺の尻拭いを師匠にさせるなんてことは、絶対にあってはならない……) 京太郎(しかし、師匠の思いを踏みにじることも避けたい) 京太郎(くそっ……八方塞がりか…) 京太郎(……いや、待てよ) 京太郎(今のこの状況、一見すると男である俺が百合の園を土足で踏み荒らそうとしているように見える) 京太郎(しかし、今俺がそんな行動に出ようとしているのは、紛れもない百合娘・東横桃子からのアクションがあったからだ) 京太郎(実際のところこれは、百合娘が自らの願望を成就させるための手段だと考えられないだろうか?) 京太郎(ならば今の俺は、百合の舞台の上にある一つの小道具……) 京太郎(百合の花を咲かせるためだけに存在する、ひとつの背景に過ぎない) 京太郎(それならば……俺は飽くまで流れの中で求められ、使われているに過ぎない!) 京太郎(そう、主人が執事に……透華さんや衣ちゃんが師匠に命じて、師匠がそれに応えるという関係のように) 京太郎(俺が桃子さんの要求に応じるのは、何の違和感もない行動だと言えるんじゃないか!?) 京太郎「く、くくく」 京太郎(これは、むしろ僥倖かもしれん) 京太郎(行動の理由を自らの外に置きつつも、それでいて自らのためになる行動ができる) 京太郎(しかもそれは、俺自身の規範に逆らうものではない) 京太郎(いいねぇ、望むところだ) 京太郎(やってやろうじゃないか!) 京太郎(俺は舞台の上で、俺の役を演じきってやる!) 京太郎(アトモスフィア京を舐めるなよ!!) ――久主催部屋―― 久「その手を鳴かずに進められるのね…」 ゆみ「これを鳴いて和了れる相手とは思っていない」 久「あら、随分と評価してもらってるみたいね」 ゆみ「当然だ、聞くところによるとインターミドル時代も猛威を振るっていたそうじゃないか」 ゆみ「高校に入ってから麻雀を始めた私から見れば、大先輩だよ」 久「いやねぇ、そんなことまで調べてあるの? ちょっと怖くなっちゃうわ」 ゆみ「敵情視察は戦略の基本だ」フッ 久「怖いわね、滅多なことができなくなっちゃう」 京太郎(ふむ、思った以上に親密になっているようだな) 京太郎(桃子さんの杞憂というわけではなさそうだな) 京太郎(部長が加治木さんを誘った時に下の名前で呼んでるのを見て、大慌てで俺に話を持ちかけてきたわけか) 京太郎(凄まじい行動力……いや、執念と呼ぶべきか) 京太郎(しかし……) 美穂子「うえ……竹井さん」 久「うーん、ねぇ美穂子」 美穂子「す、すみません! 失礼なことを……」 久「いや、別に上埜って呼ばれるのを気にしてるわけじゃないのよ?」 久「ただ、ゆみも私のことを名前で呼んでるし、美穂子も私のことを名前で呼んでくれないかしら」 久「ほら、私も“美穂子”って呼んでるわけだしね」 美穂子「え、でも……」 久「よし、決めた」 美穂子「え?」 久「“久”って呼んでくれないなら、なんにも反応してあげないことにするわ」 美穂子「え、そ……そんな、冗談ですよね?」 久「……」 美穂子「た……竹井、さん?」 久「……」 美穂子(うぅ……) 美穂子「ひ、久さん」 久「うーん、“さ”が続くと響きが悪いわねぇ」チラッ 美穂子「そ、そんな……」 久「あーあ、さみしいなぁ」チラッチラッ 美穂子「……」 美穂子「……久」ボソッ 久「……」スッ トトト 美穂子「え?」 久「……」ギュウ 美穂子「えっ!? ひ、ひゃ」 久「なぁに、み・ほ・こ♪」フゥ 美穂子「あ、わあうああうああ」カアァァァ 美穂子(息が、息が耳に……!) 衣「おい久、対戦相手の手牌を盗み見る気か?」 久「あら、ごめんなさい。そんなつもりはちっとも無かったんだけど」 久「あんまりにも美穂子が可愛いもんだから、自分を抑えきれなくなっちゃってね?」 美穂子「うぅぅ……」 ゆみ「まったく」ニガワライ 京太郎(…………) 京太郎(たまらん) 京太郎(なんだなんなんだこの最高の桃色空間は!?) 京太郎(ってか部長! あんた最高だよ!!) 京太郎(女の子を手玉に取るすべを身につけすぎてて、逆に怖い!) 京太郎(これは間違いなく歴戦の百合娘!) 京太郎(今までも相当な数の生娘をその毒牙にかけてきたに違いない!) 京太郎(はっ!?)ピキュイィィン 京太郎(そ、そういえば、うちの部室ってやたら恵まれた環境にあるよな……) 京太郎(部員数ギリギリ団体戦に出場可能なくらいしかいない弱小中の弱小部なのに) 京太郎(しかも、中古で買っても決して安くない自動卓まである) 京太郎(ここから導き出される結論、それはすなわち……) 京太郎(百合売春!!) 京太郎(いや、実際には売春というより、何かしらの備品をかけての麻雀勝負だったのではないだろうか) 京太郎(「部員がいないからちょっとだけ付き合ってくれない?」と誘われ、軽い気持ちで部室に足を踏み入れた彼女たちだったが) 京太郎(そこで会話をしていくうちに、次第に久という存在に惹かれるようになる) 京太郎(そしてある日、部室に置く備品をかけての勝負を持ちかけられる) 京太郎(賭けられるものがないように見えることを久に伝えると、彼女は自分の躰を賭けると言い出す) 京太郎(はじめは驚いて勝負を拒否するが、あっさりと久は引き下がる) 京太郎(拍子抜けした状態で帰宅するも、ベッドの中でそのことを反芻し、勝負を受けなかったことを後悔する) 京太郎(そして翌日、放課後になると真っ先に麻雀部の部室に向かい、そこの主に「賭けをしよう」と持ちかけるのだ) 京太郎(そしてギリギリの勝負の末、見事勝利を掴み取る。高鳴る胸の鼓動) 京太郎(なんとか平静を保とうとしていると、久がゆっくりと立ち上がり、部屋の隅のカーテンをそっと開く) 京太郎(そこには真っ白なシーツがかかったベッドが。ベッドの上に腰掛け、制服を徐々に崩しながら、誘うような目つきで見てくる久) 京太郎(そして耐えられなくなった欲望がり性を粉々に打ち砕き、久の体躯を、息を荒げながら乱暴に組みしだく……) 京太郎(一度味を知ってしまったらもう後には戻れない) 京太郎(自らの私物やポケットマネーを賭けてまで戦いに挑み、徐々に泥沼にはまってゆく) 京太郎(絶妙なバランスで勝敗を調整しながら、久は彼女たちの心を弄んでいく……) 京太郎(こう考えれば、不自然なほど揃っている備品の数々、そしてあのベッドの説明がつく) 京太郎(そして和は、かつて部長が甘い声を上げながら) 京太郎(時には上げさせながらシーツを濡らしていたなどということに微塵も気づかず、そのベッドで無防備に睡眠をとっているのだ) 京太郎(…………) 京太郎(い、いかん、これは危険だ) 京太郎(平常心が保てなくなりそうだ……落ち着け俺)フゥ ゆみ「ん?」 京太郎(っ! まずい!) 京太郎(アトモスフィアモードを……冷静に……)スゥ ゆみ(…………気のせいか) 京太郎(……危なかった) 京太郎(しかし、さすがと言わざるを得ないな) 京太郎(あの桃子さんの気配を、完全に隠蔽していない状態とは言え察知できるだけ……) 京太郎(しまった、本来の目的を忘れるところだった……!) 京太郎(今は百合妄想に浸っている場合ではない。何とかして現状を打開しないと……) 京太郎(しかし、俺のSPY-Lレーダーの情報が正しければ、キャプテンはもう既に陥落しているが、肝心の部長が問題だ) 京太郎(今回のオーダーは部長を加治木さんから引き離すこと) 京太郎(最終的に部長そのものをどうにかしなければ意味がない……) 京太郎(しかし、ここに来てからの部長の姿を見る限り、彼女を特定の誰かと結びつけることはかなり難しい) 京太郎(おまけに今回は時間が限られている) 京太郎(一度この合宿が終わってしまえば、これだけのメンバーが一堂に会することは殆どなくなるだろう) 京太郎(解散してしまえば部長と加治木さんの接触自体は減るだろうが) 京太郎(もし個人的に合うといった状況になった場合、それを事前に察知するためには部長のプライベートに張り付く必要が出てくる) 京太郎(そして周囲にフレアとして使えそうな人材がいるとも限らない) 京太郎(合宿終了まであと何時間だ?) 京太郎(なにか……何かないのか……) 京太郎(師匠……俺に力を……) 京太郎(……ん? 待てよ?) 京太郎(このSPY-Lの反応……) 京太郎(はっ!?) 京太郎(そうか! この手があったか!) 京太郎(…………しかし、これは成功する確率が高いとは言えない……) 京太郎(どうする、別の手を考えるか……?) 京太郎(いや、迷っている時間はない) 京太郎(失敗すればジ・エンドだが、何もせずにいて失敗しても結果は同じだ) 京太郎(ならば、俺は全力を尽くして死ぬ方を選ぶ) 京太郎(それに、これは紛れもない百合娘からの願いでもある) 京太郎(指をくわえて見ているだけなどというのは、百合男子道に背く行い!) 京太郎(よし! 『オペレーションNH』始動だ!!) ――清澄部屋―― 和「はぁ、流石に疲れましたね」 咲「朝から晩まで打ちっぱなしだったもんね……」 咲「優希ちゃんなんか爆睡してるよ」 優希「ZZZzzz……」ホボゼンラ 和「ゆーき……なんてはしたない…」 咲「それにしても、今回の合宿は勉強になったなぁ」 和「ですね、みなさんやっぱり決勝まで残っただけありました」 咲「はぁ、京ちゃんも来れてたら強くなれたんじゃないかなぁ」 和「」ムカッ 和「もし来れていたとしても、部長の命で雑用をやって終わりだったと思いますよ」イライラ 咲「うーん、部長ももう少し京ちゃんに優しくしてあげればいいのに……」 和「」イライライライライライライライライライライラ 和「み、宮永さ」コーイーシチャッタンダ タブン キヅイテナーイデショー 咲「あ、これって」 咲「京ちゃんからメールだ!」パァァ 和「」プチッ 和「みやながさ咲「え?」 和「!」ガバッ 和「どうしましたか宮永さん!まさかセクハラまがいのメールを!」 和「前からうすうす怪しいとは思っていたんですが、やっぱりやらかしましたかあの変態!」 和「私たちの方を見てたまにニヤっと笑っていたんですよ!」 和「気持ち悪いなぁとは思っていたんですが部活の平穏を乱したくなくて今まで野放しにしてしまいました! 申し訳ありません!」 和「今すぐヤツからのメールや着信履歴を全て削除してアドレスからも消去」 和「ついでに着信拒否リストに入れて、麻雀部、いや清澄高校、いいえ長野から永久追放してしまいましょう!!」 和「大丈夫です!裁判なら両親に頼めば必ず勝てますし、宮永さんは私が必ず守りきってみせます!」 咲「え? いやそんなメール京ちゃんはしてきてないよ?」 咲「ただ、ちょっといきなりっていうか、よく分からないっていうか……」 咲「ほら、これ」スッ 和「…………え?」 和「……何ですか、これ?」 咲「私も全然分からない……」 咲「あ、も、もしかして……」 咲「京ちゃん……あの人のこと……」ジワッ 和「!?」 和(私の咲さんを泣かせるなんて…………) 和(凌遅刑が神からの祝福に思える位の罰を与える必要がありますね……!)ゴゴゴ 和「今すぐ電話して、目的を問いただしましょう!」 咲「う、うん」ピピッ 和(短縮の0番!?)ワナワナ 咲「…………電源が入ってないみたい」 和「宮永さん! こんな訳のわからないお願いなんて聞く必要ありません! もう今日は寝ましょう!!」 咲「…………ううん、行くよ、私」 咲「きっとなにかワケがあるんだよ」 咲「私は京ちゃんを信じる。京ちゃんの力になりたいから……!」グッ 和「」イライラブルブルワナワナバキバキグシャグシャバリバリゴクン 和「…………分かりました」 和「では、私もご一緒させていただきます」 和「私も(咲さんの)力になりたいですから」ニッコリ 咲「原村さん……!」 和「行きましょう、あんまり遅くなると、寝てしまうかもしれませんよ」ニコニコニコニコ 咲「うん! 行こう!」 ――鶴賀部屋―― 桃子「ん?」 桃子(この気配……) 桃子「ちょっと出てくるっす」 ワハハ「んー? あんまり遅くなるんじゃないぞー」ワハハ 桃子「はいっす」 ガチャ バタン 桃子「で、なんの用っすか? 須賀京太郎」 京太郎「今、手を打っているところです。おそらく明日出発するまでには結果が出るでしょう」 桃子「!!」 桃子(本当? ブラフ? いくらなんでも早すぎないっすか?) 桃子「合宿中は無理みたいなことを言ってたと思うんすけど、あれはなんだったんすかねぇ?」 桃子(これは警戒しなくてないけない? いやしかし……) 京太郎「俺の認識不足でした。むしろこの機会を逃すわけにはいかないんです」 京太郎「……そして、この作戦を遂行するにあたって、桃子さんにも協力していただかなくてはなりません」 桃子(きたっ!) 桃子「確かに協力するとは言ったっすけど、内容によるっす」 桃子「当然納得できる理由も話してもらわないと」 京太郎「理由までは……ただ、殆ど手間は取らせません」 京太郎「大丈夫です。俺を信じてください」 京太郎「必ず貴女の望む結果をご覧に入れます」 桃子(……話だけなら、聞いてやるっすか…) ――外―― 桃子(一応、要求されたことはやったっすけど、あれは一体何の意味が……) 桃子(あとはここで少し待てばいいって……) 桃子(少しってどれくらいなんすかね?) 桃子(一応アイツの行いの証拠は、分散して保管してあるから、今のうちに処理するのは無理っすけど……) 桃子(10分待って何も起こらなかったら、処刑確定っすね) ゆみ「……」タッ タッ タッ 桃子「……先輩?」 ゆみ「桃子」 桃子「!?」ビクッ 桃子(こ、これは……) 桃子(先輩……怒ってるっすか……?) 桃子(一体何が……) ゆみ「桃子」 桃子「は、はいっす!」ビクッ ゆみ「ひとつ、聞きたいことがある」 桃子「なな、なんっすか?」ビクビク ゆみ「須賀京太郎をいう男の事を知っているか?」 桃子「!!??」ビックゥ 桃子(ま、まさかアイツ……みんな先輩にバラして……)ブルブル 桃子(こ、殺すっす!!) 桃子「な……んのことだか、さっぱりわからないっすね」プイッ ゆみ「声が上ずっているぞ」 ゆみ「その反応、やはりヤツの言っていったことは本当だったか……」 桃子(なんで、そんなに怒ってるんすか……) 桃子(なんで、そんなに悲しそうな顔するんすか……) 桃子(私のこと、恋愛ではないにしても、好いていてくれていたんじゃないんすか……) 桃子(じゃあなんで……今まで……勘違いさせるようなこと)ギリッ 桃子(あんまりっすよ……) ゆみ「桃子……本気なのか?」 桃子(……!)ギリリッ 桃子「そうっすよ! 本気っす!」ジワッ 桃子「でも何が悪いんすか! 先輩が悪いんっすよ!」ポロ 桃子「私は……私は、ただ……」ポロポロ ゆみ「……」スッ 桃子「っ! 触らないでくださいっす!!」バシッ ゆみ「」ギリッ ゆみ「桃子!」グイッ 桃子「きゃ!?」ドサッ 桃子(え? 何? 押し倒され……) ゆみ「桃子」 桃子「は、はい……」 ゆみ「お前を見つけたのは、私だ」 桃子「え、あ、はい」 ゆみ「だから、お前は私のモノだ」 ゆみ「誰にも渡しはしない」ギュウ 桃子(…………???) ゆみ「私が悪かった」 ゆみ「お前は、なんだかんだでちゃんと分かってくれていると思っていた」 ゆみ「全く、笑い話にもならないよ」 ゆみ「だから」 ゆみ「しっかりと、躾てやらないといけないな」 桃子「はぇ?」 ゆみ「だれがお前の持ち主なのか」 ゆみ「心にも、躰にも」 ゆみ「刻みつけてやる……!!」グイッ 桃子「な、にを んんうぅ!?」チュウゥゥ 桃子(これは一体何がどうなってこうなったんすかぁぁぁ!?) ゆみ「ふぅ」 桃子「はぁ、はぁ……せ、んぱ」ハァハァ ゆみ「……」グイッ 桃子「や、ちょ、そこは!?」ググッ ゆみ「初めてか?」 桃子「……はぁ…? そりゃ、そうっすけど……?」 ゆみ「そうか、そうじゃなかったらモモを殺して私も死んでいたよ」 桃子「ぇ?」 ゆみ「それに、痛くなければ躾にならないだろう?」 ゆみ「一生忘れられないくらい、痛くしてやるからな」 桃子「ちょ、ま、せんぱ」 ~少し前~ ――廊下―― ゆみ「やれやれ、さすがに疲れたな」コキコキ ゆみ(しかし……楽しかったな)フッ ゆみ「…………ん?」 ゆみ(これは、なんだ?) ゆみ(押し隠したような気配……モモに近いが、違う) ゆみ(それにこの感じ……久たちと打っている時にも一瞬感じた) ゆみ「そこかっ!」バッ 京太郎「流石ですね」スゥ ゆみ「! 君は……確か清澄の男子部員」 京太郎「! これは……覚えていただけているとは、意外でした」 ゆみ「なぜここにいるんだ? 久は君を置いてきたと言っていたはずだが」 京太郎「ええ、まあちょっとした理由がありましてね」 京太郎「加治木さんに接触したのも、その理由と関係していまして」 京太郎「少しお時間をいただけないでしょうか」ニコッ ゆみ(……どういうつもりだ?) ゆみ(この男、確かに気配を感じることはできたが、まるであえて私に察知させたような、そんな不自然さがあった) ゆみ(つまり、今の今まで私にも気づかれないような状態で”何か”をしていた可能性が高い) ゆみ(それでも、犯罪行為をしようとしていたなら、気配を消した状態でいくらでも出来たはず) ゆみ(私に直接危害を加えるようなことは、今の時点でするつもりはないということか) ゆみ(……ここで誘いに乗らなかった場合、この男は再び姿を消すだろう) ゆみ(目的が全くわからないままロストするのは避けたい……) ゆみ「わかった、話だけなら聞こう」 京太郎「そうおっしゃっていただけると思っていました」 京太郎「ここでは人目につきます。場所を移しましょう」 ――外―― ゆみ「で、こんな所でしか話せないということは、なかなかに後暗い話題をしたいと見えるが」 京太郎「後暗い、というほどではありませんが……」 京太郎「大手を振って話せるものでもありませんね」 京太郎「……同じ無名校として、決勝での鶴賀の活躍には驚きましたし、素直に敬意を覚えました」 ゆみ(……? なんだ、わざわざ胡麻をすりに来たわけでもないだろうに) 京太郎「とくに、うちの原村を抑えて、副将戦で収支1位を飾った東横桃子さん」 ゆみ「……」ピクッ 京太郎「加治木さんも素晴らしい立ち回りをされましたが、やはり彼女の働きには非常に強い印象を覚えました」 ゆみ「……何が言いたい」 京太郎「そのままです。東横さんが優秀だというお話ですよ」 京太郎「原村和は去年の全中チャンピオン」 京太郎「そして龍門渕透華さんも、去年のインハイでは大いに活躍したそうじゃないですか」 京太郎「そんな二人を押しのけて、鶴賀を優勝まで後一歩のところまで押上げた彼女のような才能が」 京太郎「これを最後に終わってしまうのかと思うと、あまりにももったいなくて」 ゆみ「!?」 ゆみ「それは、どういうことだ?」 ゆみ「モモはまだ1年だ。来年も再来年も、鶴賀のエースとして活躍する」 ゆみ「ここで終わるわけがないだろう!」 京太郎「冷静に考えてみてください」 京太郎「確かに鶴賀は県予選で決勝まで上り詰め、大いに活躍しました」 京太郎「しかし、それだけで来年からも部員が入ってくれるでしょうか?」 京太郎「本当に麻雀がやりたい人なら、長野だと普通は風越に入ります」 京太郎「それに、風越は確かに名門ですが、ここ最近の2連敗は間違いなく看板の価値を落としているでしょう」 京太郎「ではほかの学校はどうか?」 京太郎「今回の決勝の4校で考えてみましょうか」 京太郎「龍門渕のメンバーは全員が2年生で、来年もレギュラーメンバーは変わらないでしょう」 京太郎「メンバーに空き枠がなく、横のつながりだけで強さを保っているところに、新入生が入るとは考えにくい」 京太郎「そもそもあのチームは学校の麻雀部というより、龍門渕さんの私設クラブとしての色合いが強いですから」 京太郎「そうなると鶴賀と清澄はですが、ここは両方共ほぼ無名です」 京太郎「目立った戦果は、今年の物のみ」 京太郎「そして、両方が無名ならば」 京太郎「『全国優勝校』という泊のついた清澄の方を、普通ならば選ぶでしょうね」 ゆみ「!!??」 ゆみ「ちょっと待て!」 ゆみ「自分の仲間に対して自信があるのは結構だが、随分と大きな風呂敷を広げるじゃないか」 ゆみ「そんな根拠の乏しい推測をもとに、うちの麻雀部を不当に低く評価するとは、君は随分恥知らずな人間のようだな」 京太郎「本当に根拠に乏しいと言えますか?」 京太郎「先鋒の片岡は、個人戦で歴代ハイスコアを出すほどの腕前」 京太郎「副将の原村は言わずもがな」 京太郎「大将の宮永は、去年のMVPである天江衣を制し、個人戦でも全国出場が決定しています」 京太郎「そして、常に収支を±0にするという驚異的な実力」 京太郎「これは個人戦でも本人の気が変わるまでやってのけていましたから、全国でも通用すると思われます」 京太郎「どんなに異常なことか、加治木さんならよくお分かりでしょう?」 京太郎「残りの二人も、ほかの3人ほどの派手なモノはありませんが」 京太郎「どちらも安定してハイレベルな試合ができるというのは、加治木さんも骨身にしみて理解しているはずです」 京太郎「ここまでの実力者が揃いながら、清澄が優勝を狙うには力不足だと思えるのなら」 京太郎「それは少しばかり観察眼というか、まあ“何か”が足りないんじゃないでしょうか」ニコッ ゆみ「君は……随分と人をからかうのが好きなようだなっ……」ギリリッ ゆみ「仮に、だ」 ゆみ「仮に来年鶴賀の麻雀部が団体戦に出られないとしても」 ゆみ「モモには個人戦があるだろう」 ゆみ「そうなれば、少なくとも彼女の才能が埋もれるということはない!」 ゆみ「彼女は、あの特殊な能力が先行してはいるが、麻雀の実力も文句のないレベルだと思っている」 ゆみ「問題は全くない」 京太郎「……東横さんは、どうして麻雀部に入ったんでしょうか?」 ゆみ「!」 京太郎「どうやら彼女は初めから麻雀部に入ろうとは思っていなかったようですよね?」 京太郎「誰かが強引に麻雀部に連れ込んだと聞いていますが」 ゆみ(この男……いったい…) 京太郎「もしもですよ」 京太郎「もしもその人がいなくなってしまったら」 京太郎「東横さんが麻雀部にいる理由、その物自体が消えてしまうということになるのではないでしょうか?」 ゆみ「!?」 ゆみ(そんな……モモが……) ゆみ(いや、そ、そんなことはないはずだ) ゆみ(…………ホントにそう言えるのか……?) ゆみ(いや、まて、相手のペースに飲まれるな!) ゆみ「どうも人の周りを嗅ぎ回るのが好きな、趣味の悪い人間がいるようだが」 ゆみ「いったい、どこからそんな噂話を仕入れてきたのかな」 京太郎「加治木さん、あなたほど聡明な方だ」 ゆみ(無視、か) 京太郎「人の気持ちに鈍いというわけでもない」 京太郎「なら、もう気づいているんでしょう?」 京太郎「東横さんがあなたに向けている感情に、ね」 ゆみ(…………っく!?) 京太郎「自らの存在を非常に認識されにくいという、あまりにも特異な体質を持って生まれてしまった、一人の女の子」 京太郎「存在を気づいてもらえないがために、誰からも必要とされることなく生きてきた」 京太郎「だがある日、そんなつまらない日常から自分のことを引き上げてくれる人が現れた」 京太郎「彼女がどれほどの喜びを感じたかは、想像に難くありません」 京太郎「そして、求められるということに喜びを感じた彼女は、恩人とも呼べるその人に着いていくことを決める」 京太郎「ですが……」 京太郎「自分を見つけてくれたその人は、自分自身が麻雀の大会に出るための頭数が欲しかっただけで」 京太郎「高校生活最後の試合が終わると、目の前から姿を消してしまう」 ゆみ「!!……ち、違う!!」 ゆみ「私はそんな……そんな道具のような扱い方をモモにしてきたことは断じてない!!」 ゆみ「モモは私の大事な……大事な仲間だ!」 京太郎「仲間……そうですよね」 京太郎「あなたから見れば、彼女は確かに大切な仲間です」 京太郎「ですが、お分かりのはずです」 京太郎「彼女が貴女との間に求めている関係は、もっと特別なものだと」 ゆみ「そ……れは」ビクッ ゆみ(たしかに、モモが求めているものはわかっている、が……) 京太郎「そして、貴女がどんなに彼女のことを大切に思っていたとしても、鶴賀を去ってしまうのは、曲げることのできない事実」 京太郎「彼女が麻雀部にいる理由を失ってしまうのも、従って事実です」 京太郎「ですから“このままでは”彼女の才能は埋もれてしまうんですよ」 ゆみ(…!) ゆみ(まさか、コイツの狙いは) 京太郎「本題に入りましょうか」 京太郎「東横桃子さんが後腐れなく清澄の麻雀部に入れるように、彼女との縁を完全に断って頂きたい」 ゆみ「ば……馬鹿かお前は!」 ゆみ「私がそんなことをすると思っているのか!」 京太郎「他のメンバーの方のことでしたら、どうぞご心配なく」 京太郎「彼女たちも、まとめて受け入れる準備は出来ていますから」 ゆみ「準備が出来ている……だと?」 ゆみ「まさかこの話、久も噛んでいるのか……?」 京太郎「おっと、この話は完全に俺のワンマン企画ですよ」 京太郎「うちの部長はああ見えて、曲がったことが大嫌いでしてね」 京太郎「おまけに頭がキレて、感も鋭い」 京太郎「部長にばれずに準備をするのは大変でしたよ」 京太郎「本当はもっと面倒な手順を踏んで東横さんに接近するつもりだったのですが」 京太郎「今回の合宿企画が持ち上がったのは本当に幸運だったというより他ありません」 京太郎「この機会を逃すと面倒なので、加治木さんには早くご決断をして頂きたいのですが……」 ゆみ「……君が清澄の戦力の増加のために、モモをうちから盗ろうとしているのは分かった」 ゆみ「しかし、君は男子部員で、女子部員の成果は直接利益になるとは思えない」 ゆみ「なのにどうしてそこまでモモに固執するんだ?」 京太郎「……正直言って、今の清澄は部長の強力なリーダーシップによってまとめられている状態です」 京太郎「飄々としていながら、彼女ほど抜け目のない人間もなかなかいない」 京太郎「うちのメンバーは、一人ひとりが優れた雀士ではありますが、部長の跡を継いで組織を引っ張っていける人間がいない」 京太郎「宮永はそもそも内向的な性格ですし、片岡は自分勝手すぎる」 京太郎「原村は信念が強すぎるあまり、狭窄な考えに陥りがち」 京太郎「染谷先輩は一番まともではありますが、いい人どまりでリーダーとしては力不足な感が否めません」 京太郎「そうなったとき、いったい誰が部の舵取りをしていくのか」 京太郎「そうなった時に、俺がその責務を引き受けようと思っているわけです」 ゆみ「随分自己評価が高いと見えるな」 ゆみ「私にはただの自惚れにしか感じられないが」 京太郎「消去法ですよ、手配の中に安牌がこれしかなかったんです」 京太郎「ともかく、俺がそうやって部をチームとしてまとめ上げていくとなれば、当然勝ち進むために何ができるのか、と考えるわけです」 京太郎「そして、まずは強力な人間の頭数を増やそうと思ったわけです」 京太郎「部内に強者が大勢いれば、内輪の練習だけでも十分技量の進歩は望めますから」 ゆみ「この陰険な謀は、全て部のためにやっていることだと言いたいのか」 京太郎「もちろん、それだけではありません」 京太郎「先程も申しましたように、清澄麻雀部は高い確率で優勝杯を持って帰るでしょう」 京太郎「そして、来年、再来年とそれを続ければ」 京太郎「史上初の3連覇を成し遂げる、ということになります」 京太郎「……今や、麻雀はこの世界で最大のゲームとなっています」 京太郎「そして麻雀強豪国である日本のインターハイで殿堂入りになるということは」 京太郎「世界レベルで実力が認められることになるでしょう」 京太郎「そうなったとき、そのチームを間接的に勝利に導いた人間も、十分すぎるおこぼれを貰えるのでは」 京太郎「そう考えたんですよ」ニコッ ゆみ(やはり私腹を肥やすことを考えていたようだな) ゆみ(しかも仲間を利用して……どこまでも下衆な男だ) ゆみ「久に……この話が知れたらどうするつもりだ?」 ゆみ「たったさっき自分で言ったばかりじゃないか」 ゆみ「久は曲がったことが嫌い、そう自分で言っただろう。短い付き合いだが、それは私もよく知っている」 京太郎「確かに多少面倒なことになりますが、問題ありませんよ」 京太郎「そもそも、この話は加治木さんに伏せたまま進めても、何の問題も無かったんですよ?」 京太郎「大切なのは“桃子”さんの意思ですから」 ゆみ(桃子……だと!?) ゆみ「キサマが彼女をその名で呼ぶな!!」 京太郎「落ち着いてくださいよ、加治木さん」 京太郎「俺があなたにこの話をしたのは、桃子さんができるだけ憂いを残さずに清澄に来れるようにしたかったから」 京太郎「俺は心の底から彼女のことを案じているんですよ?」 ゆみ「減らず口をっ……!」 京太郎「よく考えてみてください」 京太郎「一度求められることを、暖かさを知ってしまった彼女は、もはや以前のような孤独には耐えられなくなっているでしょう」 京太郎「いつ瓦解するかもわからない、風前の灯のような部活で、孤独に耐えながら暮らすのと」 京太郎「全国制覇の錦を飾る場所で、みんなから必要とされながら送る高校生活」 京太郎「どちらが桃子さんにとって幸せだと思いますか?」 ゆみ(…………) 京太郎「ねぇ、加治木さん」 京太郎「いい夢、見れたでしょう?」 ゆみ「な……っ!?」 京太郎「皆で全国を目指して走り続け」 京太郎「途中で敗退はしたけれど」 京太郎「それでも夢のように楽しかったんじゃないですか?」 京太郎「高校生活最後の、素敵な思い出は“もう出来ている”んですよ」 京太郎「ですが、桃子さんにはまだまだ未来があります」 京太郎「あなたが自分の思い出のため“だけ”に作った部活に、無理に残す必要はないでしょう?」 京太郎「彼女を夢の抜け殻に縛り付けておくなんて残酷な真似が」 京太郎「あなたにできるんですか?」 ゆみ「そ、んな……しばる、なんて……そんな…つもりは」 京太郎「加治木さん、あなたと桃子さんの関係、どうして俺が知っていたと思います?」 ゆみ「…………あ、え……?」 京太郎「直接聞いたんですよ。“モモ”から」 ゆみ「何を……」 ゆみ(何を……言っているんだ……この男は) 京太郎「話の流れで気づきませんでしたか」 京太郎「モモは、もうこの話を了解済みなんですよ」 京太郎「だから、あなたとのことも全て知っているんです」 京太郎「“モモから皆聞かせてもらいましたから”」 ゆみ(…………なんだ、なんなんだこれは) ゆみ(このおとこはいったいなにをしゃべっているんだ) 京太郎「ですから…………ぁ……」ボソッ ゆみ(え?) 京太郎「いいえ、なんでもありません。話を続けましょう」 ゆみ(なんだ、この男、一瞬むこうを見) ゆみ(!) ゆみ(モモ、と、清澄の……原村と、宮永……?) 京太郎「……こでは……ろと……あれだけ……」ブツブツ ゆみ「な、んの、ことだ」 京太郎「…………いえ、モモにはその、清澄に入ってからもスムーズに行くように」 京太郎「人間関係もある程度構築しておくように言っていたんですが……」 京太郎「できるだけ内密にしろと言ったはずなんですが……」ハァ ゆみ( ) ゆみ( ) ゆみ( ) 京太郎「ああ…………加治木さん」 京太郎「彼女はこっちに来ることを決めてからも、あなたのことでずいぶん悩んでいました」 京太郎「最後までモモの心を縛っていたのは、部活でも麻雀でもなく」 京太郎「貴女だったんですよ、加治木ゆみさん」 京太郎「だから、俺は最後の憂いを立つために、あなたにこのお話をしたんです」 京太郎「分かって頂けますよね」 ゆみ「」ガクッ ゆみ「」ドサッ ゆみ「モモ……私は…………お前……モモ」 京太郎「色よい返事を……いえ、返事は結構ですので、行動で示してください」 京太郎「失礼します」スゥ… ~翌朝~ ――車の前―― 久「それにしても、なんだかつやつやしてない?」 ゆみ「まさか、今にも倒れて眠りたい気分だよ」 久「確かに、あなたの後輩の……東横さんはそんな感じだけど……」 ゆみ「ああ、二人でちょっと遅くまで話をしていてな」 ゆみ「うちの麻雀部は来年も人集めが大変だし、そのことについて、な」 久「ふぅん……」 ワハハ「おーい、そろそろ出発するぞ。名残惜しいのはわかるけど、早く車に乗ってくれ!」ワハハ ゆみ「だそうだ。悪いがもう行かせてもらうよ」 久「ええ…………ねぇ、ゆみ」 ゆみ「ん?」 久「あんまり無理させちゃダメよ?」 ゆみ「………………善処しよう」 久(微塵も反省してないみたいね) 久(東横さんも大変ねぇ……) 桃子(痛いっす……あらゆる箇所が痛いっす……) 桃子(須賀京太郎……まさかこんな搦手を使ってくるとは……) 桃子(でも) 桃子(やっぱり、誰かに求められるっていうのは、あったかいっすね)フフ 佳織「桃子さん……? どうかしました?」 桃子「いや、楽しかったなぁって」 桃子「新しい知り合いも出来たし」 桃子「今までの私の人生じゃ、考えられないくらい楽しかったっす」 佳織「人生って……」 桃子(ん? あれは) 京太郎「」サムズアップ 桃子(……今回は感謝してやるっす) 桃子「須賀京太郎」ボソッ ゆみ「」ピクッ 桃子(あ、やば) ゆみ「モモ」 桃子「は、はいっす……」 ゆみ「今日はそういえば、午後から私の家で勉強を見てやる予定だったよな」ニコニコ 桃子「いやぁ、その、今日は疲れたから家でゆっくり休みたいかなぁって……」 ゆみ「なら、私の家に来て、我慢できなくなったらそのまま寝ればいい」 ゆみ「泊まっていってもいいしな」 桃子「き、今日は帰って撮っておいたドラマを」 ゆみ「 モ モ 」ニ゙ゴッ ワハハ「……!?」ゾク 睦月(なに!?)ゾクゥ 佳織(ひぃ)ゾクゾク 桃子「……はいっす」 桃子(前言撤回) 桃子(ちょっと……いや、かなりやりすぎっすよ…) ――清澄部屋―― ブオォォォン ブロロロロロロ 和「んんぅ……」 和(車……そうか、もう朝なんですね) 和(鶴賀の人たちが帰るんでしょうか) 和「ふあぁ」ムクリ 和(それにしても……) 和(結局昨日の須賀くんのメールはなんだったんでしょう) 和(指定した時間に指定した場所で、東横さんと親しげに話して欲しいって……) 和(何を考えていたんでしょうか) 和「?」 和(この香りは……)スンスン 和(同類――百合の香り!?)バッ 和(あっち……鶴賀の車の方から……) 和(これは……)スンスン 和(加治木さんと、東横さん……でしょうか…) 和(おかしいですね……) 和(昨日の時点では何も……) 和(あのあと、何かあったということでしょうか?) 和「…………」 ――何処かの木の上―― ハギヨシ「京太郎君……」 ハギヨシ(まさか、あそこまでのことをやってのけるとは) ハギヨシ(彼のやったことは、話術で相手を乱すだけではない) ハギヨシ(衣様が月の力を得て、卓上を支配するように) ハギヨシ(彼はこの周囲一帯の空間を、自らの気……いや、自らそのもので染め上げた……) ハギヨシ(まさか、使えるものが今の世に生まれようとは……) ハギヨシ(一体貴方はどこへ行こうというのです……) ハギヨシ(もしかしたら私は、とんでもない怪物を目覚めさせてしまったのでは……) ハギヨシ(………………) ハギヨシ(師としては失格かもしれません) ハギヨシ(しかし、私は……) ハギヨシ「見たい」 ハギヨシ「京太郎君、あなたがどんな覇道を征くのか」 ハギヨシ(あんなものを再び“魅せ”られては、どうしようもないですね) ハギヨシ(そういえば、あの方は今一体何をしているのでしょうか……) ~帰宅後~ ――木間書店―― 京太郎(今回はさすがに疲れた……) 京太郎(まさにカミソリの上を滑るような、危険な賭けだった) 京太郎(アトモスフィアでの情報収集の成果がなければ、あそこまでうまくいかなかっただろう) 京太郎(まさに日頃からの地道な作業が実を結んだと言える) 京太郎(なぜか失敗のビジョンは少しも浮かばなかったが) 京太郎(もしかしたら、咲とか衣ちゃんの感覚って、あんな感じなのかもなー) 京太郎(しかし、丸く収めるためとは言え加治木さんには随分ひどいこと言っちまったな……) 京太郎(今度会うことがあったら、ジャンピング土下座で謝る必要があるか) 京太郎(得られるものも多かったけど、やっぱりこんなことは二度とやりたくないな……) 京太郎(まぁ二人の様子はしっかりと記録させてもらいましたがね!) 京太郎(それにしても、ボロボロになったことに変わりはないか……) 京太郎「さっさと帰って」 『ひらり』 京太郎「これを読んで、癒されたい……」 京太郎(昨今、百合雑誌が増えてきている) 京太郎(まだまだマイナーなジャンルであることは否めないが、それでもこの流れは喜ばしい限り) 京太郎(中でも百合姫の他に出版されている百合雑誌『つぼみ』と『ひらり』の存在は大きい!) 京太郎(今回買う『ひらり』は、平尾先生の短編や、最近画力が向上してきた袴田先生の作品など目を離せない要素がたくさんあるが) 京太郎(なかでも俺が注目しているのはTONO先生の「ピンクラッシュ」!) 京太郎(ガチ百合娘のアタックを受けているうち、徐々に彼女のことを受け入れていくマールの姿が堪らない!) 京太郎(ただ、初期に掲載されていた小説がなくなってしまったのは残念ではあるが……) 京太郎(まぁそれより今は、さっさと家に帰ってこいつを堪能する方が重要だ!) ?「あれは……」ジー カン!
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【合宿二日目】 京太郎「眠い……限界まで出し切ったんだからしょうがないよな……」 京太郎「朝だしなんかするかな」 京太郎「まだ時間あるし寝よ」 京太郎「……押し入れって狭いな」 良子「京太郎、好きだ!」 憩「いえ、ウチの方が好きですーぅ!」 良子「いや!私の方が好きだ!ラブだ!」 憩「京太郎くん!」 良子「京太郎!」 憩良「「どっちを選ぶ!」」※二人とも裸です 京太郎「うわああああああ!」 真佑子「あっ、須賀さん、おはようございます」 京太郎「おはようございます!」キリッ 京太郎(何だ今の夢……) 京太郎(いい夢だったな……)ポーッ 朝 京太郎「あ、良子さーん!」 良子「きょ、京太郎?」 良子(よくよく考えたら何やってたんだ私!) 良子(京太郎と混浴なんて……) 京太郎「どうしたんですか?」 良子「どうもしてないどうもしてないノープロブレムだよ、今日も特訓?」 京太郎「はい!よろしくお願いします!」 良子「ここは……こう……」 京太郎「……なるほど、でこう、と」 良子「そうそう、そんな感じだ」 良子(京太郎、いつも真面目だな……) 良子(今日の夢にも……///) 京太郎「次はどうするんですか?」 良子「」ドキッ 良子(真剣で、色々と私のことを考えてくれていて……) 京太郎「良子さん?顔真っ赤ですよ?」 良子「そ、そうか?すまなかった」 良子(……理屈じゃないのかもな) 良子「次は――――」 京太郎「ふぅ~むなるほどなるほどなるほど~」 京太郎(夢のことを考えたら全然わからないんだぜ!) 昼 照「ロン、48900」ギィン 照「……ふぅ」 京太郎「よっ、対局終わったのか?」 照「うん」 京太郎「じゃあ暇つぶしに何かしゃべるか」 照「いいの?」 京太郎「いいって何がだ?」 照「京、戒能さんとばっかり話してるから」 京太郎「ああ……特訓してるだけだよ、うん」 照「そうなんだ、よかったぁ」ホッ 京太郎「?何がいいんだ?」 照「ううん、なんでもない」 京太郎「次、俺と打たないか?」 照「えっ?」 京太郎「この前言っただろ?私に勝てたらって」 照「あ……うん」 京太郎「じゃあ勝ってやるよ、今この場所で」 京太郎「五か月前みたいに!」ゴッ 照「…………」 照「わかった、受けて立つよ」 照「全力で捻る、前とは違う」 開局 憩「よろしくお願いしますーぅ!」 菫「よろしく」 京太郎「よろしくお願いします」 照「……よろしく」 照(憩と菫……か) 京太郎(良子さんから教わったコピー術……) 京太郎(他人の打ち筋を真似するものだけど、良子さんは「降ろす」とか言ってたんだよな) 京太郎(よくわかんねえけど、今回は……怜さんを意識してみよう) 同コンマのため、流局 京太郎(照相手には東一局が鍵、まずは温存しつつ和了りにいく!) 菫(……よくわからないが、個人戦上位者と戦えるんだ、存分に射抜く!)ギィン 京太郎「ノーテン」 憩「ノーテン」 菫「テンパイだ」 照「ノーテン」 京菫(全然ダメだった……) 照「…………」ゴッ 【照魔鏡】発動! 照(菫……憩も変わらない) 照(……京) 照(また見えなくなってきてる……?) 東二局 京太郎 24000 親 憩 24000 菫 28000 照 24000 同コンマのため、流局 照「…………」 京太郎(……!)スチャ 京太郎(なんだ、この感じ……照に和了られる?) 京太郎(これは出さないでおくか……)トン 憩「ノーテン」 菫「テンパイ」 照「テンパイ」 京太郎「ノーテン」 京太郎(二連続流局って幸先悪くねえか?) 東三局流れ二本場 京太郎 22500 憩 22500 親 菫 29500 照 25500 照(憩が使うのは極端な支配) 照(その後の自分の流れを悪くする代わりにその局に和了りにいく) 照(そしてその流れを徐々に回復する) 照(それともう一つ、厄介なのがある……) 照「ロン、1900」 照(和了した人の流れを悪くする) 憩「…………」 照(でも、もう何回と視てきた) 照(その支配も菫の射抜きも、私には通じない) 東四局 京太郎 22500 憩 20600 菫 29500 親 照 27400 憩(照ちゃんに和了られてもうたか……) 憩(そういえば、照ちゃんと京太郎くんと打つのっていつぶりやったっけ……) 憩(……まあええ) 憩(今は京太郎くんの手伝いや!) 憩「リーッチ!」ピキィィィン! 照「っ……」 菫「……」 京太郎(やばい、何もできてねえ……) 憩「ツモ、リーチ一発三暗刻」 憩「裏2で3000・6000や!」 南一局 親 京太郎 19500 憩 32600 菫 26500 照 21400 京太郎(……!)ビクッ 京太郎(憩さんが……振り込む?) 憩「……」トン 照「ロン、1000」 憩「はいはーい」 京太郎(何だったんだ……今の) 京太郎(ってかそんなことより……) 京太郎(テンパイできてるのに……どうして和了れないんだ……) 南二局 京太郎 19500 親 憩 31600 菫 26500 照 22400 同コンマのため、流局 憩「テンパイ」 菫「テンパイ」 照「テンパイ」 京太郎「……ノーテン」 南二局一本場 京太郎 16500 親 憩 32600 菫 27500 照 23400 照「ツモ、400・600」 京太郎(照……連続で和了れてないな) 京太郎(ってことはアレも出しにくいはず……) 京太郎(……あれ?アレって何だっけ?) 京太郎(何かが……引っかかってる……?) 南三局 京太郎 16100 憩 32000 親 菫 27100 照 24800 照「カン」 照「カン」スチャ 照「……」トン 菫(暗槓二つ……少なくとも70符か) 菫(……ここか?) 照「ロン、2600」 菫「……はぁ」 オーラス 京太郎 16100 憩 32000 菫 24500 親 照 27400 憩(オーラス……) 憩(ここで和了れば、ウチは勝てる) 憩(照ちゃんに……京太郎くんにも!) 憩(……絶対に和了る!) 【孔穿つ閃光】発動! 憩「……カン!」 憩「リーチ!」 京太郎(…………) 京太郎(オーラス、それももう終盤なのに、なんでテンパイできないんだ……) 京太郎(体にまとわりついてた変な感じもなくなったし) 京太郎(このまんまで照に勝てるのかな……) 照(憩がリーチしたときは注意が必要) 照(それも特に役無しテンパイ) 照(だから多分今回も……) 照「…………」スチャ… 照(……今回は私の負け、か) 照「……」トン 憩「ロン」 憩「リーチ一発河底、裏6」 憩「16000や!」 結果 憩 46500 菫 24000 京太郎 18600 照 10900 京太郎「」チーン 照「」チーン 菫「」チーン 菫(焼き鳥二位、っておかしくないか) 菫(男女のチャンピオンに勝ったとは言えど……) 京太郎(焼き鳥でこの順位で照に勝ったって……) 京太郎(ちっとも嬉しくねえ……) 京太郎「照!」 照「何?」 京太郎「次だ!次こそお前に勝ってやる!」 照「……わかった」 京太郎「首を洗って待ってろよな!」 京太郎「何もしてないのに疲れた……」 京太郎「昼飯食いに行くか」 京太郎「……勝ちたいなぁ」 京太郎「遊んでるだけじゃダメなのかな……」 良子「京太郎、どうかした?」 京太郎「あ、お疲れ様です」 良子「そっちこそ。さっきの対局見てたよ」 京太郎「そうなんすか……恥ずかしいです」 良子「……ドントマインド」 良子「私だって高校生に負けることはあるし、それこそ小鍛治プロ以外のプロは誰だってそう」 京太郎「小鍛治プロって何なんですか一体……」 良子「誰だって負けるし焼き鳥にだってなる、それで落ち込んだら――――」 良子「ハムッ、ハフハフ、ハフッ!」 良子「こうやって食べたり、笑い飛ばしたりすればいいんだよ」ニコッ 京太郎「……そうっすね、ありがとうございます」 良子「ふふっ、どうってことないよ」 恒子「あ!須賀くんこんなとこにいた!」 恒子「さーさー!お姉さんたちのところに来ようか!」ズルズル 京太郎「えっ、ちょっ、何なんですかもう!」ズルズル ガララ ピシャッ 良子「…………」 良子「……今日も一人か、ふふっ」 昼 京太郎「まさか……」 恒子『量が多すぎて食べられないから代わりに食べて!』 京太郎「なんて用事だったとは……」 京太郎「あー腹いっぱい、この後どうしよ」 臨海監督(以後臨)「また暇なのか?」 京太郎「お察しの通りですよー」 臨「ふむ、じゃあ私が稽古をつけよう」 臨「須賀も勝ちたいだろ?」 臨「まずはこの手牌……何を切る?」 京太郎「そうですね……これでしょうか」 臨「む……正解だ」 臨「ではこれは?」 京太郎「これですね」 臨「これは?」 京太郎「これです」 臨「……これは?」 京太郎「これですね、考えるまでもありませんよ」 臨「……正解だ……」ズーン 京太郎(あれ?監督さんがなぜか落ち込んじゃったぞ?) 臨(せっかく集めてきた問題なのに……)シクシク 夕 臨「リベンジだ!」 京太郎「何ですかいきなり」 臨「このまま負けるわけにはいかない!さあ特訓だ!」 京太郎「えぇ……休ませてくださいよ」 臨「No fight, no life!」 臨「休む暇など与えないぞ!」 京太郎「嫌だー!」 臨「一問目!」デデン! 京太郎「はい」トン 臨「さて点数は!」 テテッ テレテレッ テレレレッ! 京太郎「おおっ!高得点!」 ヒューゥン… 京太郎「ダメだった……」 京太郎「ってなんで仮装大賞風なんですか!」 臨「余計なオプションを付けることで気を逸らす!」 京太郎「気を逸らさせたら特訓の意味ないですよ!」 臨「うぐっ……た、確かに」 京太郎「それじゃあ二問目お願いします」デデン 臨「……はい」 臨(なんか立場逆転してる……) 京太郎「ただいま帰りましたー」 郁乃「お帰り~」 真佑子「お帰りなさい」 京太郎「二人とももう帰ってきてたんですね、何してたんっすか?」 郁乃「ん~京太郎くんの呼び方についてな~」 京太郎「呼び方?」 真佑子「ゴミ虫とかフンコロガシがお似合いですねって話してたんですよ」ニコッ 京太郎(さらっとなんつーこと言ってんのこの人) 夜 郁乃「まあ今のは冗談やから~」 京太郎「冗談なんですか……」 真佑子「まさかそんな(冗談な)わけないじゃないですか」 京太郎「ですよね、そう(冗談)ですよね!」 真佑子「はい、勿論です」 真佑子「あ、私お風呂行ってきますね」 郁乃「行ってらっしゃ~い」 京太郎「行ってらっしゃーい」 ガチャ バタム 京太郎「さて、二人になったわけなので何かしましょうか」 郁乃「ええな~何しよか?」 郁乃「京太郎くん、イメチェンとかせえへん?」 京太郎「イメチェン……ですか」 郁乃「せやで~」 京太郎「……」ハッ! 京太郎「女装はしませんからね!」 郁乃「女装か~それもええけど~」 , '"  ̄` 、 / ヘ ./ ヽ、 ヘ ′ i !ハ ∧ i| | ! ヤ ∧ |i | / リ从 ∧ | /´レ勹´ _`_キ ∧ | !' ,r=‐ i。i | \____ | 爪 ´,, ″| ヽ、 `ヽ | ゝ .,ノ 从 `ヽ、 | 心 _/.)^._ イ´ ∧\ } 郁乃「だいじっこ!」..,ィ|i /./ | i \ } ソ{ ./ | ,'‐^ュ `k | i \"´ji { 广 ̄丁 j’ ´ ‐''ノ从 |-ミ } ji ル / 人__,,斗宀'" i \|ノ; /i | 彳"/ /' │ !"¨ ./ |ゝ-弋./ /__ __ _/i / |!/| | / / `´ |/ | i| | / / | | i| 京太郎(片目がやたらキラキラしてる!?) 郁乃「ふふっ、驚いたやろ~」 京太郎「これを俺にしろ……と」 郁乃「せやで~」 郁乃「あ、その前に……今のどうやった?」 京太郎「今の……ですか」 京太郎「好きです」 郁乃「せやろ~」 郁乃「……」 郁乃「へっ?」カァァ 郁乃「す、好き……?」 京太郎「なーんてね、ウソですよー」 郁乃「京太郎くんが私のことを好き……いやでも私はこんな体やし、それに照ちゃんや憩ちゃんやって……」ブツブツ 京太郎「聞いてないや」 京太郎「でもイメチェンか……やってみよっかな」 京太郎「目をキラキラさせて……」 真佑子「ただいま帰りましたー」 京太郎「試してみよう!」 ,.. / ヽ ´⌒> 、 / \ / | }! \⌒. / / ! | | ヽ \ /ィ | \∧ | /| |! トー― | _|VT示r ∨j/示rx/ V( 京太郎「だいじっこ!」 レ1( 弋,り 弋り {ソ V __ |/V{ ___ 从|>ー―――r―――/ / ___/ 、 V / イ7 / /――-、 \ ___/ | | ー 77 / / / ー― ノ ( | | / / / / / \| | | / / /´ ̄ ̄ ̄ / ! ∨∨ / /( _/\ /|/ ∨ / / / ⌒ヽ ー / \ / 人 〈 / / | し′  ̄ , >==≠ | /⌒ ト{_ | | |/ |/| | }! | \| {___/ /| | / 真佑子「……」 京太郎「だいじっこ!」 真佑子「……」 真佑子「部屋間違えましたー」 京太郎「ちょっと待ってー!」 京太郎「時間になったし風呂に行くか」 京太郎「昨日みたいなことは……ないだろうな」 カポーン 京太郎「ふぅ……」 京太郎「いいお湯だなー」 京太郎「月も綺麗だし、さいっこーだなー」 京太郎「……はぁ」 京太郎「誰か来ないかな……」 ガララ 京太郎「!」ビクッ えり「はぁ……」 えり「福与アナは全くいつもいつも……」イライラ えり「お風呂に入ってリラックスしましょう」 えり「というかなんでお風呂リポートまでしなくちゃいけないんですか、翌朝……」 ガララ えり「あぁ……月がきれ……い……」 京太郎「……えっ」 えり「」 京太郎「」 恒子『そーそー、23時以降は須賀君がいるから入っちゃダメらしいよー』 えり「……」 えり「はわわわわ!」 京太郎「見てません!何も見てませんから!」フリッ えり「し、失礼しました!」ダダッ 京太郎「あ、足元!石鹸!」 えり「えっ?」ツルッ 京太郎(やばい!風呂場で転んで頭打ったらシャレにならない!) 京太郎「間に合え!」 京太郎「ッ!」ダキッ ドンガラガッシャーン えり「……ん……ぅ」 京太郎「大丈夫ですか?」 えり「は……い」 京太郎「ふぅー良かった良かった、頭打って仕事ができなくなったりしたら大変ですからね」 えり「すみません……」 京太郎「いいっすよ、立てますか?」 えり「あ……」 京太郎「あのー?」←えりの下敷きになっている えり「あっ!すみません!」ガバッ 京太郎「だから大丈夫っすよ、いつつ……」 えり「あ、足が……」 京太郎「壁にぶつけちゃっただけなんで大丈夫ですよ」 京太郎「それじゃあ俺上がるんで、針生アナはゆっくりしていてください」ニコッ ガララ ピシャ えり「………… 」 えり「須賀くんはケガをしてまで私を……」 えり「…………」 えり「ありがとう、って言ってませんでしたね……」 えり「今度お礼をしないと……でもどうすれば?」 えり「男の人はどんなものがいいのでしょうか……」 えり「…………」ウーン えり「…………」コクッ えり「…………ふぁ」 えり「寝てはいけません!しっかり考えないと……」コクッ えり「…………」コクッ えり「何も思いつかないです……」 【二日目】終 【合宿三日目】開始 京太郎「んーまだちょっと痛いな……」 京太郎「天気もいいし、朝もまだ早いし、何しようかな」 真佑子「むにゅ……」 京太郎「多治比さん……幸せそうに寝てるな……」 京太郎「親睦を深めるために、久しぶりにやるか!」 【須賀京太郎の!寝起きドッキリ大成功!part12】デデーン! 京太郎「おはようございまーす」ヒソヒソ 京太郎「今回はですね、この、多治比真佑子さんにですね」 京太郎「寝起きドッキリをしかけたいと思いまーす」 京太郎「まずは多治比さんのですね、ほっぺたをつまんでみたいと思いまーす」ヒソヒソ 京太郎「失礼しますねー」ムニッ 真佑子「うみゅ……すぅ……」 京太郎「まだ起きないみたいなのでもうちょっと強めに……」クニクニ 真佑子「むにゃ~~~~」 京太郎(あ、なんか可愛い) 真佑子「……」ガシッ 京太郎「あっ」 真佑子「……須賀……さん?」 真佑子「えっと……何を?」 真佑子「私の上に馬乗りになって、顔をのぞきこんで……///」カァァ 京太郎「あ……」 真佑子「…………」 真佑子「女性の寝込みを襲おうとするとか、さいってーですね」ジトッ 京太郎「す、すみませんっしたー!」 真佑子「とりあえず黙ってくださいこのカス虫外道が」 京太郎「はい……」 真佑子「なるほど、寝起きドッキリですか」 京太郎「……すみません」 真佑子「いえ、私も勘違いして汚い言葉を言ってしまったので……おあいこ、ということで」ニコッ 京太郎「あ、ありがとうございます!」 真佑子「だからうっせーつってんだろ」 真佑子(頭を上げてください) 京太郎「えっ……」 雅枝「合宿最終日は何をしてもええ」 雅枝「部屋で休むのもええし、誰かと打つのもええ」 雅枝「ゆっくりと羽を伸ばすことやな」 雅枝「ほな今日も頑張っていこか」 「「はい!」」 京太郎「何でもしていいって言われてもな……」 京太郎「何しよう……」 照「京、また暇なの?」 京太郎「またって何だよまたって」 照「じゃあ……何か話さない?」 京太郎「話?そうだな、するか」 京太郎「じゃあ、今回の合宿、どうだった?」 照「……楽しかったよ」 京太郎「ってかよく考えたら照だけ一回合宿行ってないんだよな」 照「白糸台合宿のこと?」 京太郎「うん、またみんなで合宿とか旅行とかしたいよなー」 照「……そう」 照「…………」 照「京は、この合宿どうだった?」 京太郎「俺か?楽しかったぞ」 京太郎「まあまだ終わってねえけど、特訓したり喋ったりそれに風呂だって……」 照「お風呂?」 京太郎「いや!何でもないぞ!」 照「?」 照「私も……楽しい」 京太郎「この合宿が?ってさっきも言ってたじゃん」 照「……ううん」 照「私も、京と喋ったりするのが楽しい」ニコッ 京太郎「!……そ、そうか俺もだぞ」 照「ふふっ、良かった」 京太郎(照が笑ったとこなんて最近見てなかったよな……) 京太郎(なんで照なんかにときめいてんだ俺……) 昼1 京太郎「適当に卓を回ってみるかな……」 淡「ふっふー容赦しないよー」 咏「へへっ、お前は私にゃ勝てねえよ!」 泉「私を嘗めてもろたら困りますね」 恭子(何やこの卓……) 京太郎(面白そうだな、見てみるか) 【東一局】 咏「ロン!32000!」 恭子「メゲるわ……」 咏「私の勝ちだねぃ~」 淡「ぶー!開幕数えなんてずっこいずっこい!」 咏「実力なんだからしょうがねえだろー」 恭子「うっ」グサッ 淡「次面子変えてやろー」 恭子「あうっ」グサグサッ 泉「末原先輩……」 恭子「ええんや……私は所詮凡人……ふふ、あはは……」トボトボ 京太郎「末原さん、どっか行っちゃったな」 京太郎「追いかけてみよう!」 恭子「……はぁ」 京太郎「末原さん、暇ですか?」 恭子「えーっと、須賀くんやったっけ……」 京太郎「はい、俺今暇なんで何か話しませんか?」 恭子「……うん、ええよ」 京太郎「とりあえずお茶でも」 恭子「ミルクティーか、嫌いやないで」 京太郎「それならよかったです」 恭子「それで、何話そか」 京太郎「そうですね……「魔物」について、とか」 恭子「魔物……宮永姉妹とかみたいな人種か」 京太郎(やっぱりあの二人は相当なんだな……) 京太郎「全然勝てないですよね、あいつら」 恭子「……そっか、須賀くんはあの二人と幼馴染やったっけ」 京太郎「ええ、一応」 恭子「せやったら須賀くんも相当の打ち手なんやろ?男子個人戦チャンピオンやし」 京太郎「いや全然ですよ、照と咲に勝てたのなんて両手で数えられるくらいですし」 恭子「……須賀くんは、どう思うんや?」 恭子「宮永姉妹に荒川憩、神代小蒔に天江衣、大星淡とか三尋木咏、高鴨穏乃……あの次元を」 京太郎「んー……凄いとは思いますけど、勝てない相手ではないですよ」 京太郎「大体、勝てないって最初から思ってたら何もできませんよ」 恭子「……やっぱり、せやな」 京太郎「だから諦めないでもう一回挑戦すればいいんですよ!」 恭子「……うん」 恭子「よし、もう一回やったるわ!」 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 照「ロン、1000」 照「ロン、2900」 照「ロン、6100」 照「ロン、8400」 照「ロン、12900」 照「トビですね」 恭子「メゲるわ……」 恭子の好感度がぐぐぐーんと上がった! 京太郎「末原さん頑張ってるといいな」←京太郎は上の結果を知りません 京太郎「よっと、食堂到着」 京太郎「今日は何食べよっかな」 淡「あ!京太郎だ!」 京太郎「ん?ラーメンが宙に浮いてるぞ?」 淡「もーなにそれー!」 京太郎「ラーメンが喋った!?」 淡「いい加減にしないと怒るよ」ゴゴゴゴ 京太郎「あいよ、お前も今から飯か?」 淡「そだよー」 京太郎「淡は何食べるんだ?」 淡「んー今日はちょっと暑いからそばにしようかなー」 淡「京太郎は?」 京太郎「俺はカツカレーだな」 淡「へー」 淡「おいしー!」ズルズル 京太郎「食べながら喋るんじゃありません」 淡「京太郎はつまんないなー」 京太郎「ちゃんとしないお前が悪い、そんなんじゃ誰も嫁にもらってくれないぞ」 淡「いいもん!私がお婿さんになるから!」ズルズル 京太郎「何言ってんだこいつ」 淡「それにどうせ京太郎が貰ってくれるし……」チラチラ 京太郎「はぁ……」 京太郎(なんか期待した目で見てるけど、なんて返せばいいんだ?) 京太郎「そういえばiPS細胞というので同性の間でも子供ができるらしいです」 淡「へっ?」 京太郎「淡が嫁にもらうんだったら渋谷さんとか大人しい人の方がいいんじゃねえの?」 淡「……京太郎のバカ」 淡「ごちそうさまでした!」 京太郎「えっおい淡!」 ガララ ピシャッ 京太郎「……どうしたんだあいつ?」 京太郎「飯を食べ終わったら眠くなってきたぞ……」 臨「須賀!須賀!手伝ってくれ!」 京太郎「なんですか?」 臨「ちょっと昼飯を作ろうと思っていたんだ、その缶詰を開けてくれるか?」つ缶切り 京太郎「別にいいですけど」 臨「じゃあ頑張ってくれ」ササッ 京太郎「なんで屋外?なんでそんなに離れるんだ?とりあえず開けてみるか」カチッ 缶詰「どもーシュールストレミングでーす」モワッ 京太郎「くさっ!なんだこれ!」 臨「よくやったぞ須賀!」 京太郎「滅茶苦茶くせえ……」 臨「まあまあ、これあげるから」 京太郎「サルミアッキ?」 臨「なかなかいい味だよ」 京太郎「それじゃあ……」パクッ 京太郎「まずっ!なにこれ!おえっ!」 臨「そうか?おいしいんだけどな」モグモグ 京太郎(味覚と嗅覚大丈夫なのかこの人!?) 臨「昼飯も食べ終わったことだし、特訓しようか」 京太郎「この状態でですか……」 臨「準備はいいな?」 京太郎「はい……」プーン 臨「今回の課題は私から和了ること!一度でも振り込んだらその時点で失格だ!」 京太郎「めんどくさそーですね……」 臨「それでは始めよう」 京太郎「ロン」 京太郎「ツモ」 京太郎「ロン」 京太郎「ロン」 京太郎「ロン」 臨「」チーン 京太郎「課題クリアですね!」 臨「……ああ、そうだな」ガクーン 京太郎「もう夕方か……あとは都会に戻って打ち上げして終わりだな」 京太郎「最後、何をしよう」 咏「遠き山に~♪」 京太郎「おっ、何やってんだ?」 咏「ちょっとネト麻をねぃ、やってみる?」 京太郎「まだ途中じゃねえの?」 咏「いや……」 『ロン、16000』 咏「これで終わり」 京太郎「こえーよお前……」 咏「んじゃ、やってみそ」 京太郎「よっと」ポチッ 咏「はぁ?何切ってんの?」 京太郎「こっちの方がはやく和了れね?」 咏「いや今のはそっち切るべきだろ、ほらさっきの有効牌」 京太郎「げっ、マジだ……ツモ切りっと」 咏「あっバカ!」 京太郎「えっ?」 『ロン、24000』 京太郎「と、とんだ……」 咏「言わんこっちゃない、次私の番な」 京太郎「おう……」ショボーン 【叙○苑】 京太郎「ただの合宿の打ち上げになんつーとこ来てんすか……」 良子「費用は府と都が持ってくれるからね、それにガールばっかりだし」 京太郎「だからってこれはもう……おかしすぎるでしょう」 照「京」 京太郎「んっ、照か」 照「とりあえずこっち来て」グイッ 淡「サンチュだけ食べまくる!」 菫「ちゃんと冷麺とかも食え」 照「カルビ頂戴」 京太郎「はいよ、ピートロは?」 照「……いい」 菫「照もクッパとかしっかり食べろ」 照「焼肉は楽しまねば焼肉に非ず、カルビはやく」 菫「もう肉は頼まないぞ」 照「あうっ」 淡「京太郎!ハラミ頼んで!」 京太郎「はいはい」 菫「須賀……お前からも言ってやってくれないか」 京太郎「えー……だって肉を焼かないと意味ないじゃないですかー」 菫「……むぅ」 淡「スミレは太るのが怖いんだよ」ヒソヒソ 京太郎「そういう淡はどうなんだ?」ヒソヒソ 淡「私は食べても太らないタイプだからね!」ババーン 照「同じく」 菫「くっ……須賀ァ!ただちに供給を停止させろォ!」 京太郎「えぇ……」 京太郎「とりあえずこれでも食べててください」<ピートロ 菫「むぐっ」 淡「京太郎ってば大胆!」 京太郎「何がだ」 照「でも菫はピートロが一番好きだったはず」 菫「…………」 菫「須賀!どんどん焼くんだ!」 淡「あ!ハラミとカルビとピートロくださーい!」 照「満足満足」ホッコリ 「お待たせしましたー」 京太郎「よーしじゃんじゃん焼くぞ!」 京太郎「まずはナスからだ!」ジュージュー 照「えっ」 淡「え」 菫「は?」 京太郎「な、ナスくらいいいじゃないか……」 照「……まあいっか」 淡「だね!」 菫「言いだしっぺは私だしな」 京太郎「よし焼けたな、みんな取ってけー」 照「……おいしい」モグモグ 淡「この火加減、京太郎はわかってるなー」モグモグ 菫「うむ、おいしいな」モキュモキュ 淡「やっぱり京太郎は私のお嫁さんになるべきだね」 照菫京「「「ぶふぉっ!」」」 京太郎「何て事言い出すんだよいきなり!」 菫「けほっ、二人はそういう関係なのか?」 照「あり得ない……うん」 淡「なにそれ酷いよ!」 京太郎「とりあえず黙って食べなさい」ペシッ 淡「いったーいぃ……」 京太郎「ようやく解放された……」トボトボ えり「あ……」 京太郎「は、針生アナ!?」 えり「こん、ばんは……」 京太郎「その、昨日はほんとにすみませんでした!」 えり「そんなことはないです、須賀くんに助けられたんですから」 京太郎「でも……ちらっと見てしまいましたし……」 えり「見……///」カァァ えり「忘れてください!///」 京太郎「すみません!」 えり「……とりあえずあっちの部屋に行きましょう」 京太郎「……はい」 えり「顔を上げてください、ね?」 京太郎「……」 えり「須賀くん、悪いのは私の方だったんですから」 えり「お詫びと言ってはなんですが……その……」 えり「一つだけ、なんでも言うことを聞きます」 京太郎「……えぇぇぇぇ」 京太郎(どうしよう……針生アナに命令ができるって結構夢みたいだけど……うむむ……) えり「……挿れますね」 京太郎「お願いします……んっ」 えり「ここが膜……でしょうか」コツン 京太郎「はい、おそらくは……いたっ!」 えり「ごめんなさい!……初めて、ですから」 えり「もう……動いていいですよね」 えり「いっぱい……出ましたね」 京太郎「なんかすみません……針生アナ気持ち良すぎですよ」 えり「ありがとうございます、あとお互い初めてなんですからいいですよ」 京太郎「そろそろ動きますね」ゴロッ えり「あー……こっちもたくさん溜まってますね」 えり「頑張って出しましょうね」 京太郎「……お願いします」 恒子(いやー針生アナと須賀くんがここにいるっていうから来てみたけど……) 恒子(ナニしてるんだあの二人!) 京太郎「あーすっきりしたー」 京太郎「針生アナの膝枕も堪能できたし実に満足だ!」 臨「須賀じゃないか」 京太郎「つかぬ事をお伺いしますけど……トイレで一体何を?」 臨「日課のレーションとプロテインをな」 京太郎「マナーだけはしっかり守るんですね」 臨「そろそろ戻るか、須賀も来ないか?」 京太郎「はい、よろこんで!」 京太郎「一人だったんですね」 臨「サトハたちが他の場所に行ってしまったみたいでな……はぁ」 京太郎「俺で良ければお付き合いしますよ」 臨「センキュー、でもあらかた食べたからそろそろデザートにしようかな……」 京太郎「じゃあ何か持ってきますよ」 臨「よろしく頼むよ」 京太郎「うーん……今並んでるのがないな……」 「お客様、アイスでしたら個室までお運びいたしますが?」 京太郎「そんなサービスが!」 「はい、ご利用なさいますか?」 京太郎「ぜひお願いします!」 臨「それで来たのがこれ……と」 京太郎「迂闊でした……」 臨「スプーン1本か……まあいい」 臨「須賀、食べさせてくれ」 京太郎「食べさせてくれって……はぁ」 京太郎「はい、あーん」 臨「あ、あーん」カァァ 臨「っ」モグッ 京太郎「おいしいですか?」 臨「うむ、なかなかだな」 臨「次はお前の番だ、あーん」 京太郎「い、いや!俺はいいっすよ!」 臨「私だって恥ずかしかったんだ!お前も同じ目に遭うべきだ!」 京太郎「でもこれじゃあ間接キスになっちゃいますよ!」 臨「あ……ぅ……///」 臨「うるさい!とにかく食べろ!」 京太郎「ちょっ」モグッ 京太郎「あ、おいしい」 臨「よし、次は私の番だな」 京太郎「……はぁ」 京太郎「あれ?そもそもスプーンもう一本頼めばよかったんじゃ……」 臨「あっ……」 雅枝「これで近畿・関東合同合宿は終わりや」 雅枝「次会うときは国麻の卓や、それまでに各々精進するように」 雅枝「それでは……解散!」 「「お疲れ様でしたー」」 臨「須賀」 京太郎「何すか?」 臨「これが私のメールアドレス、大阪に戻ったら連絡してくれ」 京太郎「はい、お疲れ様でした」 臨「うむ、お疲れ」 真佑子「あ、須賀さん」 真佑子「これ、私の連絡先です。よければメールくださいね」ニコッ 京太郎「それはどうも」 真佑子「それではまた!」 京太郎「さようならー」 【清々荘】 京太郎「部屋に帰って来たぞ」 京太郎「寝る前に何かするかな」 京太郎「監督さんにメールしてみよっかな」 京太郎「あんまり当たり障りのない感じで……」 京太郎『こんばんは』 京太郎『早速メールしてみました』ピッ ヴーッ ヴーッ 臨『おお!学校関係とか仕事関係以外で初めてメールを出した!』 臨『ありがとう須賀!』 京太郎「なんだろうすっごい既視感」 京太郎「つまりプライベートではメールしたことがない……」 京太郎「恋人とかもいなかったのか?」 京太郎『突然ですが、以前に恋人がいたことはあるんですか?』ピッ ヴーッ ヴーッ 臨『……まさか』 臨『恥ずかしながら、彼氏いない歴=年齢の生き遅れだよ』 臨『自分で言ってて傷つくな……』 京太郎「やり手のキャリアウーマンって感じなのに意外だな」 京太郎『きっといい人が見つかりますよ』ピッ ヴーッ ヴーッ 臨『そうだな』 臨『須賀とも出会えたことだし』 臨『そのときはよろしく』 京太郎「えっ、よろしくって何!?」 京太郎「まあ確かに監督さんスッゲー綺麗だけど……」 京太郎「……こんな会話淡としなかったか?」 京太郎「時間もあるし他の人にもメールしてみるか」 京太郎「そうだな……」 京太郎「針生アナに送ってみようかな」 京太郎「そういえば耳掃除と膝枕……よかったなぁ」ホッコリ 京太郎「さて何て送ろう」 京太郎『こんばんは』 京太郎『初めてのメールですね』 京太郎『針生アナは国麻にも来るんですか?』ピッ ヴーッ ヴーッ えり『こんばんは』 えり『一応最終戦の実況を任されているのですが、私にできるのかどうか不安で』 ヴーッ ヴーッ えり『すみません、こんな情けないメール送ってしまって』 京太郎『そんなことないですよ』 京太郎『針生アナなら大丈夫です』 京太郎『頑張ってくださいね』ピッ ヴーッ ヴーッ えり『ありがとうございます』 えり『私も須賀君のこと応援していますから』 えり『そちらこそ頑張ってくださいね\(^o^)/』 京太郎「何故か俺が終わってる……」 京太郎「顔文字とか使い慣れてないのかな?」 京太郎「そう思うとなんか既視感が……まあいっか」 京太郎『それではまた今週末、ですね』 京太郎『おやすみなさい』ピッ 京太郎「さて寝るかー」 【10月第3週 休日】終
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えり「大将戦決着ー!」 えり「開局時一位だった大阪選抜は成す術なく三位陥落」 えり「東北選抜は東一局の倍満による得点を守り二位浮上」 えり「関西選抜は25400得点と大きな追い上げを見せるも最下位で試合を終えました」 えり「そして今回の国民麻雀大会地区選抜団体の部、王座に就いたのは関東選抜でした、おめでとうございます」 えり「表彰式は引き続きご覧のチャンネルで中継いたします」 秋一郎「実にいい勝負だったと思う」 えり「以上、実況は針生、解説は大沼プロでお送りしました」 秋一郎(マイクにも拾える声で話したのにノーコメント……)ウジウジ 京太郎「ふぁーぁ」 京太郎「表彰式もそろそろ終わりみたいだな、ちょっとうろついてくるか」 郁乃「はぁ……」 京太郎「幸せが逃げますよ」 郁乃「きょ京太郎くん!あ、あはは、そういえばそうやったっけ」 京太郎「ちょっと隣座りますね」 郁乃「別にええで、はい」ポンポン 京太郎「どうも、よっこいしょういちっと」 郁乃「あはは、なんか古いな~」 京太郎「結構お気に入りなんですけどね、善野さんは一緒じゃないみたいですね」 郁乃「まあいつも一緒ってわけやあらへんしな~」 京太郎「…………」 京太郎「」ポン 郁乃「きょっ、何するんや」 京太郎「照、強かったですね」ナデナデ 郁乃「……なんで撫でるん?」 京太郎「さあ?こうしなきゃいけない気がして」 郁乃「さあ?、って何やねんそれ、あはは」 京太郎「何でしょうね。でも、無理しなくていいんですよ」 京太郎「みんなが見てるからって強がらなくっても」 京太郎「泣きたいときは泣いてください、一人で溜め込むよりもそっちの方が楽ですよ」 京太郎「俺はあっち向いてるんで、ね?」 郁乃「なんでそないなこと……」 京太郎「いやだって目が赤いんですもん、誰だってわかりますよ」 郁乃「せやけど、私これでも大人やし……」 京太郎「今は17歳の女の子なんだから、女の子らしく泣いていいんですよ」 京太郎「悲しんで悔しがって怒っていいんですよ」 郁乃「…………」 京太郎「……じゃあこうしておきますよ」ギュッ 郁乃「!?」 京太郎「抱きしめておけば誰にも見られないですよ」 郁乃「…………もう」 郁乃「京太郎、くんは、だいっ、たん、ひくっ、やなっ」グスッ 京太郎「何とでも言ってください」ナデナデ 京太郎「まだ胸があったかい……」 京太郎「これから自由時間らしいけど、どうしよ」 京太郎「明日から二日くらいオフなんだよな」 京太郎「そんで明々後日からはまた麻雀の日々……なんか嫌だな」 照「それじゃ」モグモグ 豊音「ありがとうございましたー!」 照「」テクテク モグモグ 豊音「……~~!!」 豊音「やった!やった!やった!」ハッパタイ 豊音「宮永さんにサイン書いてもらっちゃった!」 豊音「これは家宝にするしかないよね!」 豊音「あ!須賀くんだ!……チャンピオンコンビのサインかー」ジュルリ 豊音「おーい須賀くー……ん……」 京太郎(近藤さん……近藤さんを使って一人で頑張ったらどうなるんだろうか) 京太郎(今二個持ってるけど予備の予備に欲しいよな……) 京太郎(よし、買おう) 豊音(あわわ、なんか如何わしいものを持ってるよー) 豊音(話しかけちゃダメな気がする……) 照「……」モグモグ 照(京太郎のひもQ、新しい味でも出たのかな?)モグモグ 京太郎「なんか誰かに見られてた気がするけど、気のせいだよな」 雅枝「須賀やないか、何しとるん?」 京太郎「か、監督!」ババッ 雅枝「今何隠したんや?」 京太郎「なんでもないです!ええなんでも!」 雅枝「まあええけど……」 雅枝「…………」 京太郎「監督、他に何か?」 雅枝「あー、前々から気になっとったんやけど、いい加減監督っていうのやめてくれへん?」 京太郎「いえいえそんな!監督は監督ですよ!」 雅枝「もっと他の呼び方があるやろ」 京太郎(呼び方?愛宕さんじゃあ洋榎さんたちと被っちゃうしな……) 京太郎「じゃあ……雅枝……」 京太郎(いやいや、呼び捨てはふざけすぎだろ) 京太郎「雅枝、さん」 雅枝「ん、まあええか」 京太郎「いいんですか!?」 雅枝「お前のことやし呼び捨てにしてくるか思うたんやけど案外普通やったな」 京太郎「じゃあ他の人の前でもそう呼んでいいんですね?」 雅枝「ん、別にええけど、それがどうかしたんか?」 京太郎「いえいえ、ひょっとすると……」 京太郎『雅枝さーん!』 雅枝『なんや須賀?』 怜『今、京くん監督のこと名前で呼んでたで』 竜華『これはもしかしてもしかすると……』 浩子『データの取り甲斐がありそうですね』キラーン 雅枝「私と須賀が付き合う……」 雅枝「いやいやいやいやいやいやいやいや、それは流石にないやろ」 京太郎「うわ、すっごい否定の嵐」 雅枝「まあ感謝はしてるで、赤阪のこと励ましてくれてたやろ?」 京太郎「見てたんですか……」 雅枝「お前が抱きしめとるところだけやけどな」 京太郎「何それ恥ずかしい!」 雅枝「お前やったら別に洋も絹も嫁にやってもええなーって思ったわ」 京太郎「いいんですか!?」 雅枝「嘘にきまっとるやろアホ」 京太郎「せっかく絹恵さんのあの……」グヘヘ 雅枝「考えが見え見えやで」ジトッ 京太郎「なんで明日からオフなのに俺はホテルにいるのか」 京太郎「夜にチェックアウトだからそれまで適当に時間つぶすか」 京太郎「みんな部屋で休んでるらしいし、誰かの部屋に遊びに行ってもいいのか」 京太郎「どうしよ」 京太郎「部屋に遊びに行ってみるか」 京太郎「どこにしようかなー」 京太郎「えっと、ここどこだ?」 ガチャ 雅枝「須賀、ここで何しとるんや」 京太郎「雅枝さん!?」 良子「私もいるけど」オズオズ 京太郎「良子さんまで、どうしてここに?」 雅枝「どうして言うてもなぁ、ここ私らの部屋やし」 京太郎「ああ、そうだったんですか」 良子「それで京太郎はどうしたの?」 京太郎「いやーただ適当にぶらつこうかと」 善野「せやったら私らと特訓せえへん?」 京太郎「勝てる気がしないので遠慮しておきます」 雅枝「まあまあ、そないなこと言わんで、な?」 良子「私も、京太郎と打ちたいな」 京太郎「手加減してくださいよ」 善野「さあ、どうやろな?」ゴッ 雅枝「男子チャンピオンに手加減なんているんか?」ゴッ 良子「ハードにいくよ」ゴッ 京太郎「」 京太郎「ロン」 京太郎「ツモ」 京太郎「ロン」 京太郎「ノーテン」 京太郎「何とか逃げ切った……」 雅枝「なんや十分強いやん」 善野「今度はもうちょい頑張ろかな」 京太郎「結局手加減してたんですね……」 雅枝「そこまで子供っぽいことはせえへんせえへん」 良子「最初と比べて京太郎はストロングになったよ」 京太郎「そうですかね?あんま変わってない気がするんですけど」 良子「うん、ここまでできれば個人戦はいいとこまで進める」 京太郎「そう言ってもらえるとなんか嬉しいっすね」 善野「……」ジーッ 善野「須賀くんと戒能さんって仲ええけど、二人はどういう関係なん?」 良子「リレイションですか……」 良子(関係……肉体、関係、とか……)カァァ 良子「///」ボンッ 京太郎「ただ仲がいいだけですよ、特別な関係だとかそんなのは別にないです」 善野「へぇ、せやったら私が狙ってもええわけやな」 京太郎「狙うって……」 京太郎「善野さんには末原先輩がおりますし、戒能さんは俺の大切な人ですからこればかりは譲れないですよ」 良子(大切な……)テレテレ 善野「せやな、恭子ちゃんおるからええか、けほっ、でも須賀くんと恭子ちゃんと一緒に暮ら、けほっ、ありや、けほっ」 京太郎「大丈夫ですか?」 善野「うん、いつも通りやか、けほっ」 雅枝「落ち着いてコーヒー飲み」 善野「おおきにです、けほっけほっ」 京太郎「大変そうですね」 善野「もう慣れてもうたからな、慣れたくないことやけど」 雅枝「無理はせんようにな」 善野「わかってます、須賀くんそろそろ帰った方がええんとちゃう?あと30分で晩ごはんやろ」 京太郎「あー……じゃあ俺もう帰りますね」 雅枝「ん、お疲れさん」 善野「また打とな、ごほっ」 京太郎「はい、失礼しました」 ガチャ バタム 京太郎「俺があのときちゃんと郁乃さんを守っていれば、善野さんが無理をしないで済んでたのかな……」 京太郎「……部屋に戻るか」 ガチャ 良子「京、太郎……」モジモジ 京太郎「良子さん、どうしたんですか?」 良子「あの、さ……さっきの言葉って、どういう……」モジモジ 京太郎「さっき?」 良子「私が、大切って」モジモジ 京太郎「ああ、そんなん当たり前じゃないですか、だって良子さんは……」 良子「私、は?」 京太郎「良子さんは……」 京太郎(……あれ?俺って良子さんのことどう思ってるんだ?) 良子「……」ゴクリ 京太郎(一緒に遊びに行ったり、風呂に入ったり、特訓したり) 京太郎(…………) 京太郎「そりゃあ、俺の友だちなんですから。大切に決まってるじゃないですか」 良子「…………」ズーン 京太郎(心なしか落ち込んでる!?) 良子「そう、だよね、うん、そうか」ズーン 良子「ありがとう……嬉しいよ、それじゃあまた後で」 京太郎「お疲れ様っした!」 京太郎「…………暇だ」 京太郎「何かしたいな、何しよ」 洋榎「京太郎ーあそぼー」ゴロゴロ 京太郎「何するんですか?」 洋榎「せやなー……」ゴロゴロ 洋榎「なーんも思いつかんわー」ゴロゴロ 京太郎(浴衣がめくれてるけどあんまりそそらないなぁ……) 京太郎「福笑いでもしましょうか」 洋榎「正月には3か月早いで」 京太郎「そういうアプリがあるんでやってみましょうよ、はいチーズ」カシャ 洋榎「な、なにいきなり撮っとるんや!」 京太郎「絹恵さんとは違って洋榎さんだと失敗したときの罪悪感が無くていいんですよね」 洋榎「ウチがいおもろい顔や言うとるんか?」 京太郎「何言ってるんですか、洋榎さんは十分可愛いですよ」 洋榎「なんやいきなり!もー!」ウガー 京太郎「まあまあ落ち着いて、それじゃあ始めましょうか」 _,. . . . . . ̄ ̄ . . . . ... /⌒. . . . . . . . . . . . . . . . . .` ⌒ヽ /. . . . . . ._|. . . . . . . . . . . . . . . . . ',. . . . . . . . . . . ./ |. . . . . . . ト、. . . . . . . . ハ. . . !. |i. . .| . /_,人. . . . ト、|__\. |. . . . ..|. . .| 八. . ∨ _,, \_| ,_ | . / . i|. . .| ∨| |'´⌒ ⌒` レ'. . . リ. . .| 〈 从 " ′__ " ,| . /l/ . . . ヽ| | ‘ ′ ,.イ |/ . . . | | ≧ァ- < ト、| | . . . | _ --イ ‐ ´ />- 、. i| ./ レ ∨ `ー′ i . / / /介\ / |/. / 〉 ∨ |∨ | 〈 / / | | ∧ 洋榎「…………誰やこれ」 京太郎「こんな写真いつ撮ったっけ……」 洋榎「なんか頭に輪っかついとるわ」 京太郎「ですね、三角巾もついてますし」 洋榎「なんか羽がついとるし」 京太郎「ですね、ところどころ骨が見えますね」 洋榎「なんかあれやな、死んどるみたいやな……って、なんでやねん」ビシッ 京太郎「流石は関西人ですね!」グッ 洋榎「せやけどこんな写真いつ撮ったんや?」 京太郎「えっと、確か絹恵さんと喋ってるときに撮ったやつだと思います」 洋榎「ほんま抜け目ないな」 京太郎「でも可愛いですよ」 洋榎「可愛い……か、そんなん男子に言われたん久しぶりやな」 京太郎「ええっ!?洋榎さん可愛いのに!?」 京太郎「こんなに天使なのに!?」 洋榎「や、やめえや、なんか……恥ずかしい///」ポッ 京太郎「……まあ冗談ですけど」 洋榎「キレてもええか?」 【三日目】終了 【四日目 オフ】 京太郎「頭を撫で続けたら怒りは収まったらしい」 京太郎「その反動として……」 洋榎「きょぉたろぉ……」ギュゥッ 京太郎「抱き枕になった」 京太郎(朝だし散歩に行きたいな) 京太郎(とりあえず洋榎さんを起こすか) 京太郎「洋榎さーん、起きてー」ユッサユッサ 洋榎「やわらかぃわぁ……」 京太郎「起きなさそうだな……」 京太郎「別の方法で起こしてみるか」 洋榎「……すぅ……」タラーリ 京太郎「幸せそうに涎垂らしてるよ、拭き取っておくか」 京太郎「……指でいいよな、別に」 洋榎「んにゅぅ……」 京太郎「大人しくしといてくださいよ……っと、顔小っちゃいな」 京太郎「元気だし恋人くらいいそうなのにな」フキフキ 洋榎「ん……?」フニッ モキュッ 京太郎「あ……」 洋榎「はふひゃほへ?」ハムハム 京太郎「俺の指です」 洋榎「…………」 京太郎「散歩、行きません?」 洋榎「…………」ジトッ 京太郎(なんか俺が変なことしたみたいに思われてる……) 京太郎(朝の散歩なのに気まずいな) 京太郎(どうしよ) 京太郎「あのー」 洋榎「なんや?」 京太郎「ひょっとしてさっきのこと気にしてます?」 洋榎「……別に」プイッ 京太郎「なんか変なことしちゃって、すみません」 洋榎「ウチは全然気にしてへんもん」 京太郎「……つい」 京太郎「洋榎さんの顔が可愛かったので……」 洋榎「お、おう……」 京太郎「涎を垂らしてる洋榎さんも子どもらしくって、拭いてあげようと思ったんですけど」 京太郎「結局……」 洋榎「結局?」 京太郎「指をくわえてる洋榎さんも可愛かったです!」 洋榎「お、おぅふ……」 京太郎「…………」 洋榎「…………」 洋榎(黙って聞いとったけど……) 京太郎(勢いに任せて言っちゃったけど……) 京洋(これなんか恥ずかしい!!) 京太郎「昼間もすることないなー」 京太郎「誰かと遊びに行くか」 京太郎「にしても俺の携帯すげーな、父さん以外の男の連絡先が一つもねえ」 京太郎「辻垣内さんを誘ってみよう」 智葉『辻垣内の携帯だが』 京太郎「どうも、須賀です」 智葉『なんだお前か……はぁ』 京太郎「すっごく落ち込んでる!?」 京太郎「というか電話かかってきたら名前とか出るでしょう」 智葉『親と部員以外の連絡先は登録していないんだ』 京太郎「ん?つまりそれって友だちが……」 智葉『い、いるに決まっているだろうが!』 京太郎「まあ冗談ですけどね」 智葉『何なんだお前は……』 京太郎「あ、ところで今日一緒に遊びに行きません?」 智葉『遊びに?』 京太郎「ひょっとして練習とかありました?」 智葉『わかった、いいだろう』 智葉『私もちょうどオフで退屈していたんだ、どこで待ち合わせようか』 京太郎「じゃあとりあえず11時に新大阪駅前で」 智葉『了解だ、それではまた』 京太郎「もう11時だけど、辻垣内さんまだかな」ソワソワ 京太郎「服とか大丈夫だよな、流行のユニ○ロ着てきたんだから、うん」 智葉「すまない、待たせたな」 京太郎「いえいえ、今来たところですよ……?」 智葉「そうか、ん?どうかしたか?」 京太郎「誰?」 智葉「臨海女子三年、辻垣内智葉だ」 京太郎「いやいやいやいや!どう見ても別人でしょうが!」 京太郎「いつもの眼鏡と髪ゴムはどうしたんですか!」 智葉「遊びに行くのだから簡単な恰好がいいと思ったのだが……」 京太郎「Tシャツにジャージっていうのがらしいっちゃらしいんですけど、そっちもアリだと思いますよ」 智葉「うむ、そうか。それはよかった」 智葉「そういえば、何処へ行くんだ?」 京太郎「あー……そうですね、バッティングセンターとか?」 智葉「……無計画だったのか」 京太郎「思いつきなんで」 智葉「まあいい、それでは行こうか」 京太郎「辻垣内さんは野球とかできるんですか?」 智葉「近所の子供たちと偶にな」 京太郎「まずは80㎞くらいから行ってみますか」 智葉「そうだな、そうするか」 カキーン カキーン ポスッ ガギィィン ポフッ ポスッ ポスッ カコン 智葉「とりあえずはこんなものか」 京太郎「案外打てるんですね!」 智葉「そ、そうか?じゃあ次はもう少し速い方に行ってみるか」 京太郎「あんまり無理はしないでくださいね」 智葉「わかっているさ、次は120㎞だな」ガチャ 京太郎「えっ?」 ポスッ ポスッ カコン ポスッ ポスッ ポスッ ポスッ ポスッ 智葉「」チーン 京太郎「40㎞の差はでかいですって」 智葉「情けないところを見せてしまったな……」 京太郎「十分かっこよかったですよ」 智葉「ふっ、君は優しいんだな」 京太郎「メゲてたってしょうがないですよ!次は俺が打ってきます!」 ポスッ ポスッ ポスッ ポスッ ポスッ ポスッ ポスッ ポスッ 京太郎「」チーン 智葉「まあ、そのなんだ……気を落とすなよ」 京太郎「なんだかんだで楽しかったな、あの辻垣内さんも新鮮だったし結果オーライだ」 京太郎「次は何をしよっかな」 夕 京太郎「今日は一日遊び倒すぞー!」 洋榎「またウチなんか……」 京太郎「洋榎さんと遊ぶの楽しいですよ?」 洋榎「さらっと嬉しいこと言うてくれるやん」 京太郎「洋榎さんはしたい遊びとかあります?」 洋榎「ん~せやなー」 洋榎(昔は確か絹とサッカーやったりしとったっけ) 洋榎(そういえば恭子とは……) 洋榎「……お医者さんごっこ」ボソッ 京太郎「!?」 洋榎「久しぶりにやりたいなぁ……」 洋榎(絹のを合法的に……むふふ) 京太郎(おいしゃさんごっこ……だと……?) 京太郎(あの合法的に非合法な遊びをやろうというのか!?) 京太郎「じゃあやってみましょうか」 洋榎「ばっちこいや!」 洋榎「ほな手術を始めます」 京太郎「お手柔らかにお願いします」 洋榎「麻酔効いとるんやから京太郎はシーッやで」 京太郎「局所麻酔ってことで」 洋榎「これからバチスタ手術のつもりなんやけど」 京太郎(結構本格的だ!?) 洋榎「メス」 洋榎(裏声)「はい」 京太郎(一人二役なのか……) 洋榎「これより腸を引きずり出します」 京太郎(言い方おっかねえな) 洋榎「」ツツー 京太郎(指がメス代わりなのか、なんか柔らかくて気持ちいい) 京太郎(なんで女の人の指ってこんなに柔らかいんだろうな……) 京太郎(このまんま寝るか) 洋榎(男子の裸見るなんて久しぶりやな……) 洋榎(ええ体しとるやん) 洋榎(……それはええとして) 洋榎(ツッコミあらへんとつまらん……) 夜 洋榎「きょーたろー」ペシペシ 京太郎「……終わったんですかぁ?」 洋榎「そろそろ別のことしよー」 京太郎「はいはい」 京太郎「おいしゃさんごっこもやったことですし次はリアルおままごとでもしましょうか」 洋榎「リアルおままごと?」 京太郎「名前のごとくリアルなおままごとですよ、夫が不倫したとか」 洋榎「ああ……そゆこと」 京太郎「とりあえずやってみましょうか」 須賀京太郎と結婚した愛宕洋榎は突如現れたトラックによって轢かれてしまうのであった! 洋榎「きょ、たろぉ、ウチがいな、ゴホッ、くっても、ゴホッ」 京太郎「洋榎……なんで、なんで俺なんかを庇ったんだ」 洋榎「きょたろぉが、これからも、ゴホッ生きてほしかったから」 京太郎「洋榎……洋榎……!!」 洋榎「元気でな、ゴホッゲホッガホッ、ガックシ」 京太郎「洋榎ぇぇぇぇぇええええええ!!!!!」ガシッ 京太郎「洋榎……ぅう、洋榎ぇ……」ボロボロ 京太郎「ずっと……愛してるよ」ギュッ 洋榎「///」 京太郎「洋榎さーん、終わりましたよー」 洋榎「///」ボシュー 京太郎「熱でもあるのかな?寝かせておくか」 洋榎「///」ポシュー 京太郎「くかー、ぐごー」 洋榎(……アカン) 洋榎(さっきの言葉が気になって全然寝れへん)ドキドキ 【四日目】終 【五日目 オフ】 京太郎「ふぁ……ん」 洋榎「すぅ……すぅ……」 京太郎「今日は抱き着いてこないみたいだな」 洋榎「…………すぅ」 京太郎「さてと、朝はどうしようかな」 洋榎「むぅ……なんやまだ朝の7時やっちゅーに……」 京太郎「何かして遊びません?」 洋榎「……京太郎、ウチとばっか遊んでへん?」 京太郎「そうですかね?」 洋榎「昨日やってほとんど京太郎と一緒におったし」 京太郎「昼間を除けばそんな気もしないでもない……」 洋榎「まあええわ、で、何するん?」 京太郎「そうですね……」 京太郎「うーん……」 洋榎「思いつかへんの?」 京太郎「何かしたいことあります?」 洋榎「……昨日の続きとか」 京太郎「リアルおままごとの方ですか?」 洋榎「いや、そっちやなくてお医者さんごっこの方」 京太郎「じゃあ前回と同じじゃつまらないんで初診から入院生活までやりましょうか」 洋榎「お、ええやんそれ!」 京太郎「名付けて、お医者さんごっこハードモード!」 京太郎「それじゃあ次の人、どうぞー」 洋榎「あ……お願いします」 京太郎「今日はどうなさったんですか?」 洋榎「最近気分が悪ぅてたまらんのや」 京太郎「気分が悪い……ですか」 洋榎「急に動悸がして、夜も寝られんようになって……」 京太郎「とりあえず診てみますね」 洋榎「ん……」 京太郎「…………」メヲミル 京太郎「はい、あーん」 洋榎「あーん」 京太郎(洋榎さんの口……か) 洋榎(なんか恥ずかしいな……) 京太郎「次、胸出してくださーい」 洋榎「えっ、やらなきゃダメなん?」 京太郎「何素に戻ってんですか、そうしないと見れないじゃないですか」 洋榎「せやな……診れへんもんな」ペラッ 京太郎(桃色……か)ゴクリ 洋榎「…………」ドキドキ 京太郎「それでは……」 洋榎「入院、ですか」 京太郎「持病の方が悪化してきたみたいなんで、そろそろ外科の方で治した方がいいかと」 洋榎「でも、それやと先生に会えなくなる……」 京太郎「お見舞い行きますよ」 洋榎「……そうなんか」 洋榎「……先生」 京太郎「なんですか?」 洋榎「この前言ったウチの病気なんやけど……」 京太郎「……恋の病、ですか?」 洋榎「あ…………はい」 京太郎「俺も最近似たような症状が出てきたんですよ、だから……」 洋榎「先生、それって……!」 京太郎「俺は、貴女のことが好きになってしまったみたいです」 京太郎「それじゃあ次の人、どうぞー」 洋榎「あ……お願いします」 京太郎「今日はどうなさったんですか?」 洋榎「最近気分が悪ぅてたまらんのや」 京太郎「気分が悪い……ですか」 洋榎「急に動悸がして、夜も寝られんようになって……」 京太郎「とりあえず診てみますね」 洋榎「ん……」 京太郎「…………」メヲミル 京太郎「はい、あーん」 洋榎「あーん」 京太郎(洋榎さんの口……か) 洋榎(なんか恥ずかしいな……) 京太郎「次、胸出してくださーい」 洋榎「えっ、やらなきゃダメなん?」 京太郎「何素に戻ってんですか、そうしないと見れないじゃないですか」 洋榎「せやな……診れへんもんな」ペラッ 京太郎(桃色……か)ゴクリ 洋榎「…………」ドキドキ 京太郎「それでは……」 洋榎「入院、ですか」 京太郎「持病の方が悪化してきたみたいなんで、そろそろ外科の方で治した方がいいかと」 洋榎「でも、それやと先生に会えなくなる……」 京太郎「お見舞い行きますよ」 洋榎「……そうなんか」 洋榎「……先生」 京太郎「なんですか?」 洋榎「この前言ったウチの病気なんやけど……」 京太郎「……ああ、動悸のやつですか」 洋榎「それが何なんか、わからんかったけど、今わかったわ」 洋榎「多分……あれは――――」 京太郎「……恋の病、ですよね」 洋榎「えっ」 洋榎「な、なんで……」 京太郎「俺も最近似たような症状が出てきたんですよ」 京太郎「愛宕さんのことを考えてると胸が苦しくなって寝れなくなるんです」 京太郎「中学生かって話ですよね、でも……でも俺は――」 京太郎「俺は、貴女のことが好きになってしまったみたいです」 京太郎「コンコン」 洋榎「はーい」 京太郎「今日も来たよ」 洋榎「いつもおおきにー」 京太郎「元気?」 洋榎「元気元気、当たり前田のクラッカーやで」 京太郎「そっか、良かった」 京太郎「今日はさ、言いたいことがあって来たんだ」 洋榎「う、ウチも……あるんや」 京太郎「そっか、じゃあどっちから話す?」 洋榎「んー、京太郎からでええで」 京太郎「……わかった」 京太郎「洋榎、弟がいただろ?」 洋榎「…………」 洋榎「……なんで京太郎が知っとるんや、話したことなんてあらへんのに」 京太郎「俺には、姉がいた」 京太郎「昔父さんと母さんが離婚して、俺は父さんに引き取られたんだ」 京太郎「姉さんはいつも元気でさ、俺を外へ連れて行ってくれたんだ」 京太郎「……真っ赤な髪の毛揺らしてさ」 洋榎「……ッ」 京太郎「気になって調べたんだ、洋榎と姉さんが似てたから」 京太郎「名前だって滅多にないのに同じ字、同じ読みだった」 京太郎「そうじゃないって信じたかった、でもさ」 京太郎「愛宕洋榎、貴女が俺の姉さんだったんだ」 洋榎「京、太郎……」 京太郎「俺と姉さんは結婚できない」 京太郎「だから、その婚姻届無駄になっちゃうんだ」 洋榎「ッ!……なんで、なんでや!」 京太郎「俺だって……嫌だよ」 京太郎「ずっと姉さん……洋榎と一緒にいたい」 京太郎「子どもだって欲しいし、ずっと幸せに暮らしたい、一緒にいたい」 京太郎「だから結婚は無理だけど、洋榎がここを出たら一緒に暮らそう」 京太郎「ずっと、愛してる」 洋榎「……おおきに」 洋榎「ウチも、京太郎のこと、めっちゃ、めっちゃ好き」 洋榎「京太郎も、ずっと傍にいてな」 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 洋榎「///」カァァ 京太郎「///」カァァ 京太郎(ちょっとハードにしすぎたぁぁぁああ!) 洋榎(好き……好き……愛してる……)カァァ 昼 京太郎「疲れた……話考えるのも疲れたし」 京太郎「こういうときはモモと遊びに行くか」 京太郎「出てくれるかな?」 prrrr prrrr 桃子『なんっすか?』 京太郎「なんか怒ってる?」 桃子『質問に質問で返さないでほしいっす』 京太郎「遊びに行かねえか?」 桃子『ははーん、おしゃべりさんとヤンキーさんの次は私っすか』 桃子『一体何人の女に手を出すんっすかね』 京太郎「おい待てなんでお前がそんなこと知ってんだ」 桃子『だって、京太郎のことはずっと見てるっすから』 京太郎「」ゾクッ 京太郎「いやこえーよお前」 桃子「で、どこ行くっすか?」 京太郎「そうだなー」 京太郎「神社に現地集合」 京太郎「駅前に待ち合わせとかだったら見つけられ無さそうだからな」 ヴヴヴヴヴ ヴヴヴヴヴ 京太郎「電話……誰からだ?」 桃子『私、モモ』 桃子「今あなたの後ろにいるよ」 京太郎「だからこえーつってんでしょうがぁ!」 桃子「ふふっ、冗談っすよ」 京太郎「お前がやるとホラーでしかないんだよ」 桃子「それはそうと、今日は何をするっすか?」 京太郎「そりゃお前神社と言ったら」 桃子「巫女さんプレイっすね!」 京太郎「ちげーよありえねーよ!」 桃子「じゃあおみくじっすか?」 京太郎「急に普通になったな」 桃子「そうと決まれば縁結びのおみくじ引いてくるっすよー」 京太郎「やっぱり普通じゃなかった!」 大吉 あなたの隣にいる人は人生の伴侶となることでしょう 桃子「だって!だって!」ピョンピョン 京太郎「はいはい静かに静かに」 桃子「これはあれっすね!もう婚約指輪を買いに行くしかないっすね!」 桃子「いやいやその前にまずはキスからっすね!」 京太郎「待て待て待て!早すぎだろ!それに俺まだ16歳だし!」 桃子「ということはその気はあるってことっすね!言質はとったっすよ!」 京太郎「レコーダーだと!?」 桃子「ふっふっふ、咲にたーっぷり聞かせてやるっす~」 京太郎「待て!それを渡せ!」グイッ 桃子「えっ」 京太郎「あっ」 バタバタッ 桃子「い、いくらなんでも早いっすよ、私を押し倒すなんて……」 京太郎「流石にそれはねーっつーの」 京太郎「ほい、立てるか?」 桃子「もちのロンっすよ」 京太郎「そうか……なあモモ」 桃子「なんっすか?」 京太郎「そんなこと言ってると勘違いした奴に襲われるぞ」 桃子「別に大丈夫っすよ」 京太郎「大丈夫って、お前なぁ」 桃子「……だって、こんなこと、京太郎くらいにしか言わないっすよ」 京太郎「はぁ……なんか疲れた」 京太郎「モモといるとなんか疲れるんだよな、楽しいからいいけど」 京太郎「あー夕方も暇だなー」 京太郎「このまんま帰るのもあれだしまた誰かと遊びに行くか」 京太郎「良子さんに連絡してみるか」 良子『戒能です、ただいまコールに出ることがインポッシブルです』 良子『発信音の後にサブジェクトをどーぞ』 良子『……これで録れてる?』 京太郎「」ピッ 京太郎「繋がんねえか、まあいいやホテルに戻って休も」 夜 京太郎「晩飯とかもう自由なんだよな」 京太郎「とりあえず食べに行くか」 京太郎「そこで誰かがいたらその人の部屋で遊べばいいし」 由子「あ、京太郎くんなのよー」 京太郎「由子さんもこれからですか?」 由子「恭子と一緒にね」 恭子「主将は一緒やないんやな」 京太郎「昼からは別行動ですよ、絹恵さんと買い物に行ったとか」 恭子「それにしても朝は仲良かったなぁ」 京太郎「えっ」 由子「愛してるーとか好きーとか、聞いてるこっちが恥ずかしかったのよー」 京太郎「聞かれてた!?」 恭子「丸聞こえやで、隣の部屋やし」 京太郎「そうだったの!?」 由子「良かったらこの後遊びに来ぉへん?」 京太郎「いいんですか?」 恭子「ほな主将と一緒にあれの続き見せてもらおか」 京太郎「やめてくださいしんでしまいます」 恭子「ほなこれからリアルおままごと?でもしよか」 京太郎「昨日も聞いてたんじゃないですか!」 由子「まあまあ落ち着くのよー」 京太郎「お恥ずかしいと言うかなんと言うか……」 恭子「偉い人はこう言うた、赤信号みんなで渡れば怖くない」 京太郎「だから俺たち三人でやろうと」 恭子「そういうことやで」ニコッ 京太郎「はぁ……わかりましたよ」 京太郎「おい由子、酒はどうした」 恭子「おとーちゃん!もうお金ないんやからはたらいて!」 京太郎「うるっせんだよ!」ゴンッ 恭子「ひぃっ!」 京太郎「こっちだって休みたくって休んでるわけじゃねえんだよ!」 京太郎「あのクソ上司、こき使いやがって挙句の果てに人員削減のため、だと?」 京太郎「ふざけんじゃねえよ!」 恭子「もう、いやや……」カタカタ 京太郎「ああん?……そういや恭子、お前今年で12だよな」 京太郎「…………」サワッ 恭子「ひゃっ!おとーちゃん、どこ触っとるん……」 京太郎「黙れ」 京太郎「邪魔なんだよ」 由子「ただいまなのよー」 恭子「いやぁ!グズッ、やめて!」 京太郎「何回も潮吹いてるくせに何言ってんだ!出すぞ!」 恭子「いやぁぁぁぁあああ!」 由子「京太郎……恭子……」 京太郎「遅えよ、早く酒寄越せ!」 由子「何、しとるんや……」 京太郎「見りゃわかんだろ、調教してんだよ」 恭子「はぁ……んぐっ、はぁ……」 由子「調教て……こんなん……」 京太郎「……由子、久しぶりにどうよ」 由子「嫌や、こんなんもう京太郎やない……」 京太郎「がたがたうっせえんだよ!早くこっちこい!」 由子「嫌……嫌……いや、イヤ、厭、嫌、いや、いや!」 由子「うあぁぁぁあああ!」 ザシュッ! 恭子「めでたしめでたし」 京太郎「どこがめでたいんですか!何ですかこのシナリオ!徹底的に俺が悪じゃないですか!」 由子「京太郎くんみたいな金髪が言ってもしょうがないのよー」 京太郎「由子さんも立派な金髪ですよね!?」 恭子「せやけど須賀は損な役回りしそうやからな」 由子「しょうがないことなのよー」 京太郎「でも確かに由子さんが奥さんで恭子さんみたいな子が娘だったらなぁ……」 恭由「「うわっ……」」ズザザ 京太郎「メゲるわ……」 夜 京太郎「お医者さんごっこといいモモといいあの二人といい、どうして今日はこうも疲れるんだ……」 京太郎「もう最後は部屋でゆっくりしよう、明日から試合だし」 京太郎「…………」 京太郎「ってもう明日からかよ!」 洋榎「なんやうっさいなぁ」 京太郎「あ、いたんですか」 洋榎「言い方ひどない!?」 京太郎「もういいや、今日も遊び倒そ」 京太郎「今朝みたいなことすると疲れるんで五目並べでもしましょうか」 洋榎「は?五目並べ?」 京太郎「知らないんですか?」 洋榎「ボードゲームなんて麻雀しか知らんし」 京太郎「そういう家系ですもんね」 洋榎「せやせや」 京太郎「じゃあ俺が教えますんでしっかり聞いててくださいよ」 京太郎「ということです、わかりました?」 洋榎「すぅ……」コクッ 京太郎「寝ちゃったか。今日も疲れたんだろな、いつも元気だし」 京太郎「布団まで運ばないとな」 洋榎「すぅ……すぅ……」 京太郎「よいしょ、っと」 洋榎「ん……ぅっ」ギュッ 京太郎「うえっ!?」 京太郎「また抱きしめられた……」 京太郎「はぁ……」 洋榎「きょぉたろぉ……」 京太郎「もう寝ちゃえばいいか」 京太郎「まず布団に寝かせて」ササッ 京太郎「俺がその隣に寝る、と」ササッ 洋榎「すぅ……んぅ……」 京太郎(寝息がくすぐったいけど、気持ちいい) 京太郎(なんつーか、平和だな) 【五日目】終了 【六日目】 京太郎「また別のホテルにいくんですか……」 霞「間違って一人分取っちゃってね」 京太郎「どういう間違いですか」 霞「まあまあ、新しい出会いがあるかもしれないし」 霞「荷物は部屋に置いてあるのをそのまま送っておくから帰りにそのまま行ってね」 京太郎「えぇぇ……」 朝 洋榎「京太郎、どうかしたん?」 京太郎「なんか別のホテルに行くことになりました」 洋榎「何やそれ」 京太郎「洋榎さん、午後から試合ですけど練習とかするんですか?」 洋榎「んー……今は京太郎と遊んでたいな」 京太郎「じゃあまた遊びますか」 洋榎「せやな」 京太郎「今日も今日とておままごとを」 洋榎「またか……」 京太郎「今日はリアルじゃないです理想です」 洋榎「理想?」 京太郎「俺たち二人の理想を実現させるわけです」 洋榎「ウチの理想かぁ……」 京太郎「ただいまー」 洋榎「遅いで、まったく何しとったんや」 京太郎「いつも通り仕事して帰って来たんだけど、それにまだ9時だし」 洋榎「めんどいからご飯とか自分で作ってなー」 京太郎「またピザ頼んだのか?」 洋榎「はよ飯食って皿洗ってウチの肩揉んでやー」 京太郎「毎日だらけすぎなんじゃないのか?」 洋榎「どーせ太らへんもーん」 京太郎「ほら下腹とか」プニッ 洋榎「ちょっ!」 京太郎「ほれほれー」プニプニ 洋榎「ちょっ、やめーやぁ……」 京太郎「今日も何だかんだ幸せだなー」 洋榎「これがウチの理想、鬼嫁洋榎ちゃんや!」 京太郎(全然鬼嫁じゃねえ……) 京太郎「でも結構下腹柔らかかったですよ」 洋榎「ほんま?」 京太郎「ほんまもほんまです」 洋榎「はぁ……なんで上の方に行かんのやろ……」 京太郎「今回の大会は完全抽選らしい」 京太郎「色んな人と打てるんだから、楽しみだな!」 京太郎「俺の対局室は……ここか」 京太郎「絶対に、決勝まで行くんだ」 ゆみ「やあ、久しぶりだな」 京太郎「加治木さん……でしたっけ?」 ゆみ「ああ、驚いたよ。まさか男子チャンピオンと初戦で当たるとはな」 京太郎「はは、まあお手柔らかにお願いしますよ」 咏「話が終わったんならとっとと座れよなー」 京太郎「咏!?お前も相手なのか!」 咏「へへっ、手加減しねーかんな!」 京太郎「マジか……お前とか……」 怜「ウチもおるけどな」 京太郎「怜さんまで!」 怜「さっきからリアクションでかいなぁ」 京太郎「そうは言っても……ここまで知り合いばっかりだと」 ゆみ「勝っても負けても恨みっこなしだ、お互いベストを尽くそう」 怜「せやな、楽しくやろうや」 咏「ま、私が勝つけどねぃ~」 京太郎「そう……ですね」 京太郎「始めましょうか!」ゴッ 京太郎(照の鏡……) 京太郎(一回だけやってみるか) 京太郎(まずは相手の仕草を観察して……) 怜(……なんやこれ) 怜(先が読めへん?) 怜(見えそうで見えへん、もどかしい感じ) 怜(力が無くなった、みたいな……)スチャ 怜(……まあええ) 怜「リーチ」 ゆみ(園城寺のリーチ……確かこれが出た後は、必ず……) 咏「ポン」 咏(一発なんてさせねっつーの) 怜(……ナイスなポンや) 怜「ツモ、2000・4000」 咏「親っ被りかよ……」 京太郎「…………」 京太郎(なるほど、な)ゴッ 【照魔鏡】(コピー)発動! 京太郎「…………」 ゆみ(なっ……) 咏(鏡……!?) 怜(これ、宮永さんと打ったときの……) 他家の能力の影響を受けなくなりました 東二局 咏 21000 親 怜 33000 ゆみ 23000 京太郎 23000 京太郎(加治木さんのスタンスは様子見、こっちへの対策を練っている) 京太郎(咏のスタンスはいつも通りの速攻且つ高火力狙い) 京太郎(怜さんは……よくわかんねえけど、場を読もうとしている?) 京太郎(確かに場の雰囲気とか流れとかはあるけど……) 京太郎(とにかく、和了っちまえば無問題だ!) 京太郎「ツモ!4000・8000!」 ゆみ(圧倒的、だな) 咏(また私の十八番が、くっそぉ……) 東三局 咏 17000 怜 25000 親 ゆみ 19000 京太郎 39000 咏(……なんっか変だねぃ) 咏(いつも通りじゃない、牌がみえねぇ) 咏(なんっつうか、んー……) 咏(何なんだこの感じ、さっぱりわっかんねぇ) 咏(……ん?これって何翻だっけ?) 京太郎(加治木さんに聴牌気配、か) 京太郎(それでも和了るけどな!) 京太郎「ツモ!2000・4000!」 オーラス 咏 15000 怜 23000 ゆみ 15000 親 京太郎 47000 ゆみ(……私はもう、高校の麻雀から引退した) ゆみ(だが、蒲原に誘われてこの会場へ来た) ゆみ(恐らくは公式戦もこれが最後だろう) ゆみ(冬のプロアマ交流戦の代表に選ばれることなんてあり得ないからな) ゆみ(それなのに一年生相手にここまでやられている……) ゆみ(私は今、新しい世代と打っている) ゆみ(だから、なのだろうか) ゆみ(だから、こんなにも――) ゆみ(こんなに追い込まれているのに、私は――) 怜(はぁ……やっぱり京くんは強いなぁ) 怜(ほんまは竜華とセーラと打ちたかったんやけどな) 怜(昔は、あの二人相手に満貫も和了れんかったっけ) 怜(でも今はちゃう) 怜(ウチも、あの頃からは成長したんや) 怜(なんやろ、これ) 怜(この麻雀……) ゆ怜(――すっごく楽しい) 咏(ここまで来て2000かよ……) 咏(どー見ても伸び無さそうだしな……) 咏(京太郎相手にむかつくけど……) 咏「ロン、2000」 咏(別に知らんし、和了っちゃえ) 終局 咏 17000 怜 23000 ゆみ 13000 京太郎 47000 京太郎「よっし!勝ったぞ!」 京太郎「まずは初戦勝利だな!」 ピンポンパンポーン 『ただいま、本日予定の全試合が終了しました』 『これより中央ホールにて次の対戦表を発表します』 京太郎「もう発表するのか、行ってみよ」 京太郎「えーっと、次は鹿倉さん、臼沢さん」 京太郎「この人たちって確か東北選抜の人たちだったよな……」 京太郎「最後が弘世さんか、合宿のとき以来だよな」 京太郎「うっし、確認終わったし帰るか」 二回戦の対戦相手が鹿倉胡桃、弘世菫、臼沢塞になりました
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京太郎(蛍光灯と単三電池と……よし、これで買い出しは終わりだな) 京太郎(さっさと帰ってタコス買っていかないとまた罵詈雑言が浴びせられるんだろうなぁ) 京太郎(お、ゲームコーナーか……) 京太郎(麻雀始めてから、ゲームやってねぇなあ) 京太郎(中学の頃はあんなに夢中になってたのに……) 京太郎(ちょっと覗いて行ってみるか) 京太郎(おぉ、コレ新作出てたのか……主人公変わってね? タイ人みたいだな) 京太郎(うーん、この空気に触れてしまうと、買わずにはいられなくなってしまう……) 京太郎(ベスト版でも買ってくかな) 京太郎(アクションはハマると極めるまで抜け出せなくなるし、クリア前にブランクあけちまうとリハビリが必要だしな) 京太郎(RPGか……アドベンチャーもいいな) 京太郎(いっそギャルゲーでも……お、これなんか良さそうだな) 京太郎(『アカイイト』か……『少女の視点で体験する和風伝奇ホラー』?) 京太郎(ホラーなのか……弟切り草みたいな感じか?) 京太郎(っていうか主人公女なのか? じゃあ恋愛ものじゃないってことか) 京太郎(主人公女が女で他のキャラも女……珍しいな) 京太郎(よし、値段も手頃だし、コレにすっか) ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ 京太郎「なるほど……」 京太郎(田舎に住んでる人間には、別段珍しい光景じゃないな……) 京太郎(それにしても、今のところはホラー要素が見当たらないな) 京太郎(不気味な洋館が出てくるわけでもないし、何か変なものを見かけるわけでもないし……) 京太郎(もうちょっと進めないとわからんな) 京太郎「うお……吸われてる……」 京太郎(首から出血って、結構やばいんじゃね?) 京太郎(…………っていうか、なんか) 京太郎「……エロいな」ボソッ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ~次の日~ 咲「おはよう京ちゃん……なんだか眠そうだね」 京太郎「あぁ……ちょっとな……」 咲「もしかして、また朝までゲームしてたの?」 京太郎「なんでわかるんだよ……」 咲「去年までそんな感じだったし……最近はそうでもなかったけど」 咲「で、今度は何のゲームしてるの?」 京太郎「あぁ……まぁ……」 咲「……ひょっとして、エッチなやつ?」 京太郎「なっ!? ち、違うぞ!」 咲「……」ジトッ 京太郎「うっ」 咲「……ちゃんと寝ないで授業受けるんだよ」 京太郎(マズイ……今の反応は図星っぽかったか……) 京太郎(それにしても……やはりユメイさんは最高だな) 京太郎(あの包容力あるキャラ、胸も結構ありそうだし) 京太郎(……だが) 京太郎(今までのゲームのキャラに対する感じとは…………何かが違う) 京太郎(なんだろう、これは) 京太郎(なんていうか、その……何なんだろうなぁ……) ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ―部室― 京太郎(面白かったんだけど、未だに消えないこのモヤモヤ感……) 京太郎(これは一体……)モンモン 和「ここのターツは愚形ですから、この場合は……」 咲「へぇ……そっか、そっちのほうが確かに確率は……」 咲「やっぱり原村さんの教え方はわかりやすいね! さすが原村さん!」 和「そ、そんな……こと///」 京太郎「……」ピク 京太郎(今の和……咲に褒められて照れてる、のか) 京太郎(そういえば今までも結構そういうことが……) 京太郎(なんていうか……なんかイイな……こういうの) 京太郎(何が、っていうのは、よく分からないけど……) ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ 京太郎「う、烏月さんが……そんな……」 京太郎「アカイイトって……こういう意味だったのか……」 京太郎(ええい、やり直しだ! こんな結末納得できるか!) 京太郎(待ってろよ桂! 必ず俺が幸せにしてやるからな!) 京太郎「…………ん?」 京太郎(……そうか、俺はこの主人公に自分を投影してるわけじゃないのか) 京太郎(純粋に桂とその他のキャラが関わり合っているところが見たいだけで……) 京太郎(ユメイさん単体じゃなく、ユメイさんと桂の関係が好きだったんだ……) 京太郎(いや、でもコレっておかしいか?) 京太郎(……いや、漫画でも男同士の熱い友情に感動することあるしな、うん) 京太郎(問題ない、ゲームを続行する) ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ 京太郎(ふふふ……ざまあみろ……主だかなんだか知らんがな……)フラフラ 咲「ねぇ京ちゃん……また徹夜したの?」 京太郎「おう……まぁな」 咲「流石に二日連続は……ちゃんと寝ないとダメだよ?」 京太郎「あぁ……とりあえずあと二人だからな……それが終われば……」 咲「え?」 京太郎「! い、いや……なんでもない……」 咲「?」 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ―部室― 和「……」タン 咲「え?」 和「なんですか、咲さん?」 咲「えっと……その……」 咲「も、もうちょっとソレ持っといたほうが良かったかなぁって……」ヒソヒソ 京太郎(咲が和の耳元で……)ボケー 京太郎(構図的に、なんだか咲が和の血を吸ってるみたいに……)モンモン 京太郎(咲と……和が……) 京太郎「!?」 京太郎(お、俺は今何を……) 京太郎「うおおおおおおおおおお!!」ガンガンガンガン 久「ちょっ……何してるの須賀くん!?」 優希「気でも狂ったのか!?」 京太郎「いえ……ちょっと煩悩を……」ゼェゼェ 咲「京……ちゃん?」 京太郎「いや、大丈夫だ……」 咲「やっぱり寝不足で疲れてるんだよ……ちょっと寝てたほうがいいよ?」 まこ「寝不足?」 咲「京ちゃん、二日連続で徹夜でゲームしてて……」 和「どうしようもないですね」ハァ 久「須賀くん……今日はもういいから、とりあえずそこで寝てなさい」 京太郎「いや、でも」 まこ「また机にヘドバンされるのは迷惑じゃ」 京太郎「……はい」 京太郎(そうだよな、寝不足でおかしくなってるんだ) 京太郎(寝て起きれば、今の変な妄想も消えてる……さ) ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ 京太郎(結局今日も徹夜してしまった……) 京太郎(しかし、これで一応すべてのキャラのエンディングは見たわけだ) 京太郎(あとはエンディングとCGをコンプリートするだけだが……面倒だしネットで攻略情報見るか)カチカチ 京太郎「……ん?」 京太郎(アオイシロっていう続編もあるのか……) 京太郎(…………明日買いに行くか) ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ~翌日~ 京太郎「なんだこれ……完璧にキスしてんじゃねぇか……」 京太郎(た、確かにそういう人がいることは知ってるが……)ドキドキ 京太郎(し、しかし一般的なゲームでこういう描写は……)ドキドキ 京太郎「……進めよう」 チュンチュン チュンチュン 京太郎「終わった……もう朝か」 京太郎(なんかコピペしたようなEDとバグっぽいのも見られたけど、よかったな、うん) 京太郎(それにしても、あのキスシーン……どういう評価されてるんだ?) 京太郎(出かける前にネットで調べてみるか……) 京太郎(えっと……ん? 『三大百合ゲー四天王はアカイイト、処女宮、あとひとつは?』って……) 京太郎「…………百合? なんだこれ?」 槓
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夜 京太郎「メールもし終わったし、暇だなー」 京太郎「…………」 京太郎「麻雀でもするか」 京太郎「ネトマでもするか、ちょっと長めに東南で」 京太郎「今日はどんな人と打てるかなー」 京:よろしくお願いしまーす とよねぇ:よろしくだよー player3108:……よろしく のどっち:よろしくお願いします 京太郎(お、姉帯さんと辻垣内さんがいるな、今日も面白そうだ) 東一局 同コンマのため、流局 とよねぇ:のどっちさんと一緒に打てるなんてちょーうれしいよー player3108:私もだ、よろしく のどっち:………… 京:うむむ、流れちゃったかー とよねぇ:次はもらうよー 【先負】発動! 東一局一本場 親 のどっち 26500 とよねぇ 23500 player3108 23500 京 26500 京太郎(先制テンパイ、倍満までいけるな) 京太郎(ここは……) 京:リーチ! とよねぇ:とおらばー とよねぇ:おっかけるけどー 京太郎(姉帯さんの追っかけリーチ!?) 京太郎(前に見た二回戦通りなら……) とよねぇ:ロン、12300 京太郎(……やばい) 豊音(それじゃあ次は……) 【友引】発動! 東二局 のどっち 26500 親 とよねぇ 36800 player3108 23500 京 13200 京太郎(来たっ倍満テンパイ!) 京太郎(今度こそ和了ってやる!) 京:リーチ とよねぇ:ポンだよー 京太郎(一発消しかな?……でも) 京太郎(ナイス小細工ポン) 京:ツモ、4000・8000 豊音(次は速攻でいくよー) 【先勝】発動! 東三局 のどっち 22500 とよねぇ 28800 親 player3108 19500 京 29200 京:ロン、12000 京:よっし、絶好調だぜ! とよねぇ:京くんやっぱり強いよー player3108:ん?二人は知り合いなのか? とよねぇ:うん、ちょっとねー とよねぇ:でも、ここからは私の番だよー 【仏滅】発動! 東四局 のどっち 22500 とよねぇ 28800 player3108 7500 親 京 41200 京太郎(うわっ、なんだこれ) 京太郎(配牌バラバラ、ツモも悪いし) 京太郎(さっきまでの調子はどこいったんだ?) のどっち:ツモ、2000・4000 京:うぐっ、親っ被り…… 豊音(うん、好調好調!次はーっと) 【友引】【赤口】発動! 南一局 親 のどっち 30500 とよねぇ 26800 player3108 5500 京 37200 とよねぇ:ポン 京太郎(これで四副露) 京太郎(対々タンヤオ白赤1) 京太郎(最後の一枚は、何だ?) とよねぇ:ぼっちじゃないよー とよねぇ:ツモ、2000・4000 豊音(あと400点だねー) 【大安】発動! 南二局 のどっち 26500 親 とよねぇ 34800 player3108 3500 京 35200 智葉(もうこれ以上失いたくはないな) 智葉(それがたとえ、遊びであろうとも!) 【抉る眼光】発動! とよねぇ:ツモ、2000オール 京:あちゃーまくられちゃいましたか player3108:ぐぬぬ とよねぇ:まだまだここからだよー 豊音(大安使っちゃったから当分は他の使えないんだよねー) 南二局一本場 のどっち 24500 親 とよねぇ 40800 player3108 1500 京 33200 京太郎(まくられても、取り返せばいい!) 京太郎(これで辻垣内さんを飛ばせば俺の勝ちだ!) 京:リーチ 智葉(調子が出ないな……はぁ) 智葉(……これでいいか?) 京:ロン、24300 智葉(はぁ……) 終局 のどっち 24500 とよねぇ 40800 player3108 -22800 京 57500 のどっち:おつかれさまでした 京:お疲れ様でした とよねぇ:おつかれーちょー楽しかったよー player3108:お疲れ、強いんだな君は 京:最後まであきらめなかったんで player3108:そうか、また今度打とう 京:はい とよねぇ:あ!私も私もー! 京:もちろんいいですよ とよねぇ:やったー! 京太郎「何か少しだけつかめた気がするな」 京太郎「そろそろ寝るか、おやすみー」 【9月第4週 休日】終了 【10月第1週 平日】開始 京太郎「二週間後には文化祭があるんだっけな」 京太郎「内容は確か学校で説明するとかなんとか」 キーンコーンカーンコーン 京太郎「今日は久しぶりのぼっち登校だった……」 ワイワイガヤガヤ 京太郎「ん?やたら教室が騒がしいな」 「転校生ウチのクラスに来るらしいで!」 「勉強もできて可愛いんやって!」 「それに巨乳やって聞いたで!」 ガララ 担任「えーほな転校生を紹介するで」 担任「今日からお前らと一緒の教室で勉強する原村和や」 担任「原村ー入ってきぃ」 ザワザワ 京太郎(原村!?) 咏「お、おい、原村って」ヒソヒソ ガララ 京太郎「おいおい、なんでここにいるんだよ」 咏「どういうことだよ」ヒソヒソ 和「原村和です、みなさんこれからよろしくお願いします」ペッコリン 担任「原村の席はー……須賀の隣や」 和「須賀?……」ハッ 和「まさか同じクラスとは……」←京太郎の左隣 咏「私もいるよーん」←京太郎の右隣 京太郎「なんで三箇牧に転校なんてしたんだ?」 和「親の仕事の都合で……」 咏「あ!麻雀部入る?みんな歓迎すると思うぜぃ」 和「…………」 和「麻雀、ですか……」 原村和が転校してきました 京太郎「久しぶりに食堂に来たぞ」 京太郎「やっぱり人が多いな……」ドン 霞「きゃっ」 京太郎「すみません、大丈夫ですか……って霞さんじゃないですか」 霞「あら、京太郎くん珍しいわね」 京太郎「基本気まぐれなんで」 霞「そう、じゃあ一緒に食べない?」 京太郎「はい、よろこんで!」 霞「そういえば京太郎くん、文化祭の話はもう聞いたかしら?」 京太郎「一応は、また千里山と合同なんですよね」 霞「そうそう、あと部活はもう一つ面白みがあってね」 霞「三箇牧と千里山の部活同士で戦うのよ、どれだけお客さんを満足させられたかって」 京太郎「満足度対決?部活同士ってことは泉たちと戦うってことですか?」 霞「そういうこと、勝った方は相手の部活に一つ要望を聞かせることができるのよ」 京太郎「なんですかその郁乃さんルール……」 霞「それで、私たちは何をしようかな、って考えてるんだけど、京太郎くんは何かいい案あるかしら?」 京太郎「案、ですか」 京太郎(メイド喫茶とかもありなんだろうか……でも霞さんが認めてくれるとは……) 京太郎(いや、郁乃さんなら賛成してくれるはずだな) 京太郎(何と答えるべきかな……) 京太郎「コスプレ喫茶とか……あ、麻雀部だからコスプレ雀荘とかもいいかな?」 霞「きょ・う・た・ろ・うくん?」ゴゴゴゴ 京太郎「いいじゃないですか!俺だって男だもの!」 霞「まあいいけど、他には?」 京太郎「そうですねー……エチュードとかでしょうかね」 霞「エチュードっていわゆる即興劇よね」 京太郎「みんな個性豊かだから案外うまくいくんじゃないんですかね、あとは写真館とか?」 霞「写真館、そうね部の思い出を飾ったりするのは楽しいかも」 京太郎(みんなの水着写真飾ったりしたいな……ぐふふ) 京太郎「まあこのくらいですかね」 霞「うん、参考になったわ。ありがと」 京太郎「どういたしまして、あっ」スッ 霞「えっ?」 京太郎「ご飯粒、ついてましたよ」パクッ 京太郎「霞さんってときどきかわいらしいですよね」ニコッ 霞「う、うん、そうね……」カァァ 京太郎「今日も国麻の練習があるんだよな、確かここで」 京太郎「みんなを集めて文化祭の準備もやっておきたいし……」 放課後 洋榎「お、今日も京太郎おるんか?」 京太郎「はい、打ちたければ打ちますよ?」 洋榎「大きい口たたくようになったやん京太郎のくせにー!」ウリウリ 京太郎「痛い、痛いですよ!」 京太郎(なんか背中に当たってるような……小っちゃいからわかんねえな) 良子「やあ、調子はどう?」 京太郎「好調ですよ、昨日もネトマで飛ばしましたし」 良子「ん、そうか」 良子「そうだ、実は選抜メンバーでのキャンプを企画してるんだけど、京太郎も来る?」 良子「ここにいる全員も参加して、再来週の休日を使って2泊3日なんだけど」 京太郎「合宿ですか……」 良子「今回はここまで、だね」 京太郎「ありがとうございました」 良子「それで決めた?」 京太郎「はい、俺も参加します」 良子「よし、なら部屋も頼まなければね、せっかくだしパジャマパーティーでもしない?」 京太郎「俺と良子さんとでですか?」 良子「友だち同士ならする、と聞いたけど?」キョトン 京太郎「え、えーっと、それは流石に……」 良子「そうか、そうだよな、やっぱり私なんて……」 京太郎(良子さんとお泊りなんて絶対無理だろ!) 京太郎(……もったいないけど) 京太郎「文化祭のことを話しておくか」 【別室】 京太郎「それで、今年の出し物はどうするんですか?」 霞「京太郎くんの考えた4つから考えなきゃね」 郁乃「私はコスプレ喫茶やりたいな~」 憩「…………」 エイスリン「シャシンカン!」 咏「私はなんでもいいよ~」 京太郎「じゃあ多数決で決めましょうか」 京太郎「じゃあエチュード屋さんがいい人ー」 霞「はい」スッ 京太郎「コスプレ喫茶の人ー」 郁乃「は~い」スッ 京太郎「写真館がいい人ー」 エイスリン「ハイ!」ブンブン 京太郎「じゃあコスプレ雀荘がいい人ー」 咏「はーい」スッ 憩「…………」 京太郎「憩さんはどれがいいんですか?」 憩「……」 京太郎「憩さん、憩さーん」 憩「あっ、ごめんごめんちょっとぼーっとしとったわ」 憩「せやな、ウチはコスプレ雀荘がええなー」 京太郎「了解です」 霞「コスプレ雀荘に決定ね」 京太郎「ルールはもちろんノーレートとして、景品とかどうします?」 郁乃「1位の人が4位の人に何か命令するとかでええんちゃう?」 京太郎「んーどうしましょうか」 京太郎「コスプレの衣装は郁乃さんが持ってくるらしい」 京太郎「……大丈夫だよな?」 霞「京太郎くん、今暇かしら?」 京太郎「あまりすることもありませんしね」 霞「そう、なら久しぶりに私と二人で打たない?」 京太郎「いいですね、やりましょうか」 京太郎「そういえば霞さんって絶一門ができるんですよね?」 霞「あんまりやりたくはないんだけどね」 京太郎「じゃあそれを三麻でやったらどうなるんですか?」 霞「やったことはないけど、他二人の方が和了りやすいようになるんじゃないのかしら?」 京太郎「あんまり便利ではないんですね」 霞「時と場合によるわね」 霞「そうだ、文化祭の話」 霞「いつ切り出そうか迷ってて結局任せちゃって、ごめんね」 京太郎「そんなこと気にしなくっていいっすよ」 霞「そう?でも……」 京太郎「それにそういうときはごめん、じゃなくてありがとう、の方が嬉しいです」 霞「ふふっ、いつも通りね」 霞「それじゃ、ありがとね、京太郎くん」ニコッ 京太郎「どういたしまして」 京太郎「さーてと、練習も終わったしどっか行こっかなー」 夕 京太郎「疲れたなー」 京太郎「公園で休むか、っと、ん?」 京太郎「あれは……」 京太郎「あれは……」 「いつもより多く回しておりまーす」 京太郎「大道芸人か、珍しいな」 「お次はこの猿ちゃん犬ちゃん雉ちゃんによる桃太郎劇場でーす」 ワーワー! キャーキャー 京太郎「犬はわかるけど猿と雉はどっから連れてきたんだよ……」 「結局鬼の娘ちゃんは身投げをしてしまいましたとさ」 ワーワー オモシロカッタデー 京太郎「だんだん鬼の娘と桃太郎のラブストーリーになってた気がする……」 京太郎「ま、面白かったからいっか帰ろーっと」 京太郎「今日も疲れたぁー」 京太郎「寝る前にメールでもするか」 京太郎「照に送ってみるか」 京太郎「咲も照もモモも選抜には選ばれるんだろうな、そこんとこも訊いてみるか」 京太郎『調子はどうだ?』ピッ ヴーッ ヴーッ 照『今日は一通だけじゃないんだね』 照『調子はいいよ、今なら三人にも勝てると思う』 京太郎『ふっふっふ、この男子チャンピオンをなめるなよー』 京太郎『国麻といえば、照は関東選抜に選ばれそうなのか?』ピッ ヴーッ ヴーッ 照『小鍛治監督からはかなり睨まれてる』 照『淡とかを見る目が怖い』 京太郎「関東は小鍛治プロが監督なのか」 京太郎「あの人何歳だっけ?結構歳いってたよな?」 京太郎『そっか、頑張ってんだな』ピッ ヴーッ ヴーッ 照『出られる大会ももうあまり無いから』 照『そろそろ寝るね、おやすみ』 京太郎『おやすみ』ピッ 京太郎「そんじゃあ俺も寝るかなー」 TV『本日は永世七冠、国内無敗の小鍛治プロにお越しいただきましたー』 TV『小鍛治プロはこの37年間で最も嬉しかったこととはなんですか?』 健夜『え、えーっと、近所のちっちゃな子どもたちにバレンタインチョコをもらったとき、ですかね?』 健夜『って!私はまだアラサーですよぉっ!』 京太郎「あっ、照たちを見る目が厳しいのってそういうこと……」 【10月第1週 平日】終 【10月第1週 休日】開始 京太郎「一週間後には文化祭、二週間後には合宿、三週間後には国麻の団体か」 京太郎「楽しんでいこう!」 京太郎「照も咲も頑張ってるっていうし俺も頑張んないとな」 京太郎「今日はどんな感じでやろっかなー」 京太郎「お邪魔しまーす」 霞「邪魔するなら帰ってくれるかしら?」ニッコリ 京太郎「それネタですよね!?恐いですよ!」 霞「冗談よ、冗談」 霞「そういえば憩ちゃん知らない?」 京太郎「来てないんですか?」 霞「どうも昨日から帰ってきてないらしくてね、そう知らないの」 霞「彼氏の家に泊まったりしてるのかしらね」 京太郎「えっ、憩さん彼氏がいるんですか!?」 霞「さあね、今三人揃ってるんだけど打たない?」 京太郎「今日も勝ちますよ!」 咏「お、やっと来たねぃ~」 エイスリン「ハヤク!」 華菜「速く卓につくんだし!」 京太郎「あれ、どうして小池さんがここに?」 華菜「小池じゃないし!池田だし!それに華菜って呼べって言ったろ!」 咏「一応ここの住人だからじゃねえの?知らんけど」 華菜「一応って何だよ一応って!カナちゃんこれでも先輩なんだぞ!」 エイスリン「シャラップ!」 華菜「はい……」 華菜「先制リーチだしっ!」 エイスリン「ロン!8000!」 華菜「なっ!」 京太郎「リーチ!」 華菜「追っかけてやるよ!リーチ!」 京太郎「ロン、12000です」 華菜「はへっ?」 咏「んじゃ、リーチ」 華菜「まだまだあきらめないし!リーチ!」 咏「んーあーそれロン、24000な」 /ノ i!リ ,ヘ ゞ、、 /ノツハメハ } リ ヾ.、 / " /ノ }ノ′ ヘゝ / }、 ,`´〃 lヽヽ、 >/ /\ j `V/ / ゙ゝ.,,_ ,, V/ // /  ̄ ,' 〃 / ,z〟==テ゛゙ゞ,ヽ , " { /. ,、 i ` {. i }. ' ',ヘ { j { ヾ\,, " ' \ / i _,. _,. ' ´ー´´、 _,. '"/゙''ー .,, _,,/ 咏「ふぇ~勝った勝った~」 エイスリン「ニイ!」 華菜「」 京太郎「華菜さん上手いじゃないですか!」 霞「華菜ちゃん中学時代は麻雀やってたのよ」 京太郎「へぇー通りで」 華菜「うるさいし……」グスッ 昼 京太郎「憩さんがいないのは心配だな……」 霞「京太郎くん、今日は練習に来ないの?」 京太郎「……憩さんを捜しに行ってこようと思います」 霞「そう……」 prrrr prrrr 霞「はい、もしもし」 霞「……はい、そうですか、私たちも今から行こうかと、はい、ありがとうございます」ガチャ 霞「憩ちゃん、練習に来てるって」 京太郎「えっ」 霞「んーと、それで京太郎くんはどうするの?」 京太郎「練習に行きます、会場は?」 霞「確か姫松だったかしら、みんなで行きましょう」 バラバラ トン トン パラッ 京太郎「みんな静かだなー」 洋榎「出鼻くじきリーチ!」 京太郎「洋榎さんはうるさいけど」 憩「おつかれさまでしたー」 憩「あ、京太郎くんや」 京太郎「今終わったんですか?」 憩「負けてもうたけどね、あはは」 京太郎「そうですか……紅茶でも飲みます?」 憩「うん、よろしく頼むわ」 京太郎「じゃああっちの机で待っててください」 京太郎「はい、どうぞ」 憩「ん……あったかいわぁ」コクッ 京太郎「そういえば」 憩「うん?」 京太郎「最近、憩さんの部屋から変な声が聞こえ「ブフォッ」るんですけど、って大丈夫ですか!?」 憩「けほっ、こほっ、ご、ごめんなっ、けほっ」 京太郎「口拭きますよ」フキフキ 憩「んっ……」 京太郎「それで、何をしてるんですか?」 憩「えっ、えーっとなー……そのー」 京太郎「あっ、ひょっとしてアニメとかですか?叫ぶような声でしたけど」 憩「せっせや、アニメやアニメ!最近はまってなーいやーこれがおもろいんやー」 京太郎「へぇーじゃあ今度俺にも見せてくださいよ」 憩「そ、それはちょっと無理やなー……」メソラシ 憩「……その声も今日からは聞こえなくなると思うで」 京太郎「もう見終わったんですか?」 憩「…………せやで」 憩「せやから、もう気にせんでええで」 憩「ほな、また」 京太郎「頑張ってくださいね!」 良子「やっ、また来てるんだね」 京太郎「そういう良子さんこそ」 良子「私はコーチだからね、熱心な子は好きだよ」ニコッ 京太郎「!」ドキッ 良子「ん?どうかしたかい?」 京太郎「い、いえ、なんでもないです!」 京太郎(綺麗すぎるだろ、これで何回目だよ、おい!) 良子「そうだ今日もプラクティスをしないか?」 京太郎「はい、よろこんでえっ?」 良子「なんで疑問形なんだ?」 良子「あ、そういえば」トン 京太郎「なんですか?」トン 良子「京太郎と私は同室になったぞ」トン 京太郎「へーそうなんですかー」トン 良子「リーチ」トン 京太郎「ってえええ!?」 京太郎「なんでですか!なんでそんなことになってるんですか!?」トン 良子「ロン、冗談だよ」 京太郎「な、なんだぁ~……」ヘナヘナ 良子「まだ部屋割りは決まってないんだけど」ジャラジャラ 京太郎「もうびっくりさせないでくださいよ!」ジャラジャラ 良子「ごめんごめん」トントン 京太郎「はぁ……」トントン 良子「それで、誰がいいんだ?」トン 京太郎「はい?」トン 良子「この中で同室になるとしたら」トン 京太郎「……なんでそんなことを聞くんすか?」トン 良子「なんとなく、それで誰?」トン 京太郎「……いませんよ」トン 京太郎(風呂上りの絹恵さんとか霞さんとか) 京太郎「良子さんは見てみたいけど、言えない言えない」 良子「……っ!」カァァ 京太郎「良子さん?顔赤いですよ?」 良子「なっ、なんでもない!ばかっ!」カァァ 京太郎「??」 夕 京太郎「まだ練習も続いてるみたいだし、残るか」 泉「京太郎くんは熱心ですね」 京太郎「そうか?みんな頑張ってるんだし当然だろ」 泉「せやろか?」 京太郎「せやせや」 良子「京太郎はいつも暇なのか?」 京太郎「良子さんこそいつも暇そうに見えますけど」 良子「私はこうしてみんなのデータを取っているんだけど……そうだよね」 良子「どうせ私なんて休日に出かける用事もなくて誰かいるといいなーとか考えて近くのスーパーに行ってみるけど誰にも会えなくてさびしい女に見えるんだよね、そうだよね、どうせ私なんて……」ブツブツ 京太郎(どうしてこんなスイッチ入ったんだよ!) 良子「はぁ……ロン」 京太郎「ため息つきながらロンするのやめてくれますか?」 良子「じゃあ、京太郎は私のことをどう思う?」 京太郎「どうしてそんな話に!?」 良子「いや……だって……」モジモジ 京太郎「良子さんは仕事のできるいい人って感じですよ」 良子「そ、そう見えるか?」カミクルクルー 京太郎「良子さんに嘘は吐きませんよ」 京太郎「良子さんは素敵な人ですから」ニコッ 良子「素敵……素敵か、いい響きだな」 京太郎「素敵というより綺麗ですね、可愛いです」 良子「綺麗……可愛い……」カァァ 京太郎「ところで、速くツモってくださいよそれ」 良子「う、うん」 良子(綺麗で可愛い……)プシュー 良子(でも、それはあくまでお世辞とかそういう意味なんじゃ……)ズーン 良子(いや、京太郎はホーネストだ、だって現に―――) 京太郎(ああ、良子さん綺麗だなあ、結婚したいなぁ) 良子(とか考えてそうな顔をしてる、はず)カァァ 京太郎(速くツモってくれねえかなー) 京太郎「憩さん、休憩中ですか?」 憩「あはは、憩と休憩をかけたん?」 京太郎「そういうつもりはなかったんですけどね」 京太郎「休憩がてら何か話しましょうか?」 憩「うん、ええで」 京太郎「それじゃあ……」 京太郎「調子はどうですか?」 憩「絶好調やで!さっきも洋榎ちゃんとばして来たし」 京太郎「えっ」 洋榎「」チーン 憩「それにセーラちゃんも」 セーラ「」チーン 京太郎「うわっ、凄いですね」 憩「せやからなでなでしてー」 京太郎「ええっ、なんでですか」 憩「ご褒美ってことで、どや?」 京太郎「じゃあ、失礼します」スッ 憩「んっ……」 京太郎「こんな感じですか?」ナデナデ 憩「うんうん、そんな感じー」 京太郎「元気でてます?」ナデナデ 憩「出てるで出てるで、おおきに」ニコッ 京太郎「いつまでこうします?」ナデナデ 憩「んー……ずっとー」 京太郎「はいはい」ナデナデ 憩「えへへー」 京太郎「今日の練習も疲れたなー」 京太郎「風呂も上がったし、何しよ」 夜 京太郎「特にすることもないし、勉強でもするか」 京太郎「明日の予習でもしておこう」 京太郎「ここは、こうで……」 京太郎「ここは……あれ?よくわかんなくなったぞ?」 京太郎「ここがこれだからあれがここで、だからここは……むむむ」 京太郎「わっかんねー、何もかんもわっかんねー」 京太郎「久しぶりにネットをしよう」 京太郎「何をしようかなー」 京太郎「某掲示板の京太郎応援スレでも見てみるか」 京太郎「照の応援スレもあるって聞いたから俺のもあると思うんだけどなー」 京太郎「おっ、これか」 京太郎「どんなことが書いてあるんだろうなー」ワクワク 『須賀京太郎とかいうパシリwwwwwwwwwwww』 『毎日咏ちゃんとか憩ちゃんとかをとっかえひっかえしてるんだってなー』 『絶対に許さない(迫真)』 『このスレは須賀京太郎こと出会い厨ヤンキーを応援するスレです』 『そこ替われよチャンピオン()』 『男子個人戦チャンピオン()』 京太郎「なんだよ、これ……」 京太郎「なんで、俺がこんな……」 『なんでそんなに須賀をバカにするんだよ!』 『お、京太郎ゥー!』 『京太郎を庇うエイスリンちゃんの可能性が微粒子レベルで存在する……?』 『いや……… エイスリンちゃんはカタカナやろ~………!』 『じゃあ咏ちゃんだな!こっちおいで、咏ちゃん』 『咏ちゃんprpr』 京太郎「嫌だ……気持ち悪い……早く寝よ」 【10月第1週 休日】終 【10月第2週 平日】 京太郎「昨日のあいつら、なんなんだよ一体」 京太郎「咏たちもあんな風に見られてるんだよな……俺が守らなきゃ、なのか」 少しだけ曇った空、いつかの空とは打って変わって暗かった 京太郎「はぁ……」 一緒に学校へ行く友だちもおらず、住人のみんなともタイミングがずれて、俺はいつも通りのぼっち登校だった 大きな校門、そこへ多くの学生が入っていく その前に一台の車が止まった、黒く長いいわゆるリムジンといううやつだろう静岡のとある小学校に止まってそうな感じの その中から出てきたのは―― 京太郎「……憩さん?」 ナース服に似た制服に身を包んだ憩さんだった 京太郎「一体どういうことなんだ?」 京太郎「リムジンから出てきた憩さん、なんでなんだ……」 京太郎「たまにはトイレで食べるのも乙だよなー」 和「あ、須賀君」 京太郎「原村さん、こんなところでどうした?」 京太郎(石戸さんほどではないにしろ、やはりこれはなかなかのなかなか……)ジーッ 和「須賀君?」ジトッ 京太郎「な、なんだい原村さん?」アセアセ 和「はぁ……もういいです、さようなら」 京太郎「あ、はい、あっ、あれ、あれ?」 京太郎「何だったんだ一体?」 何も起こりませんでした 京太郎「もう放課後かー」 和「ふんっ」プイッ 咏「なーなー、和に何したんだよー」 京太郎「うっ、それはだな……」チラッ 和「なんですか?」ツーン 京太郎「……はぁ」 京太郎「今日は千里山で練習だっけな」 咏「おっ、今日も行くん?」 京太郎「おう、もちろんだぜ!」 咏「じゃさー和もどう?練習来ね?」 和「いえ、私は遠慮しておきます」 咏「そっか、んじゃ行こうぜ京太郎」ダキッ 京太郎「ちょっ、抱き着くなって」 咏「いーいーだーろ」 京太郎「はーなーれーろ」 京太郎「暇そうな人はいないっかなーっと」 霞「あら、京太郎くん暇なの?」 京太郎「女子の練習ですから」 霞「それじゃあまた私と練習しましょうか」 京太郎「いいですね、やりましょうやりましょう!」 霞「私は後ろで見てるから、打ってみて」 京太郎「はい!見せてあげますよ、俺の力!」 京太郎「うむむ、ここは……」 霞「これね」ズイッ モニュッ 京太郎「!?」 霞「あら、どうかした?」モニュッ 京太郎「いえっ、なんでもございません!」 霞「そう……あ、ツモったわよ!」モニュッ 京太郎「おお……」 京太郎(集中できねえ……) 京太郎「霞さんといると身が持たない……」 良子「ふぅー」 京太郎「またコーヒー飲んでるんですか?」 良子「フェイバリットだからね、京太郎もいる?」 京太郎「そんな、良子さんが飲んだものなんて飲めませんよ!」 良子「そうか……」ズーン 京太郎「落ち込んだ!?」 良子「……はぁ」ズズッ 京太郎「良子さーん、すねてないで教えてくださいよー」 良子「……京太郎なんて……はぁ」ズズッ 京太郎「ああもう、飲めばいいんでしょう飲めば!」ヒョイ 良子「えっ……」 京太郎(口紅がついてないとこなら大丈夫だよな)ズズッ 良子「京太郎……」ウルウル 京太郎「おいしいですよ、飲んだんで教えてください」 良子「うんっ!何からレクチャーする?」 京太郎「じゃあまずは……」 京太郎「……」ズズッ コトッ 良子「……」ズズッ コトッ 京太郎(なんでコーヒーカップ共有してんの!?) 京太郎(まずいよ!絶対まずいよこんなの!)ブンブン 良子「?」 良子(京太郎、さっきから集中できてないみたいだけど、どうしたんだろ?) 良子(コーヒーの飲みすぎでおしっこに行きたいのかな……) 良子(そう考えたら私も行きたくなってきちゃった……)モゾモゾ 京太郎(ここで間接キスとか狙いに行ったら軽蔑されそうだし……) 良子(ここで私だけおしっこに行ったら変な目で見られそうだし……) 京良(*1) 京太郎「練習終わり!」 京太郎「あとは何しよっかなー」 京太郎「今日も公園で一休みするか」 京太郎「今日も誰もいないみたいだなー」 京太郎「はぁ……紅葉が綺麗だな」 秘書「あら、また会ったわね」 京太郎「秘書さんですか?」 秘書「何よその呼び名、まあいいけど」 京太郎「それで、何の用なんですか?」 秘書「用事なんて無いわ、ただ通りがかっただけ」 秘書「そういえば貴方お嬢様の彼氏なの?」 京太郎「彼氏?誰が?」 秘書「貴方とお嬢様」 京太郎「お嬢様ってのは憩さんのことでいいんですよね?」 秘書「そそっ、んでどうなの?」 京太郎「ただの先輩後輩ですよ」 秘書「なーんだ、つまんな」 秘書「そそのかそうと思ったんだけどなー」 京太郎「そそのかす?」 秘書「あー忘れて頂戴、そんじゃ」 京太郎「ちょっ、待ってくださいよ!」 京太郎「……もういねえ、なんだったんだ?」 京太郎「そそのかす、って何をだよ」 京太郎「それに今朝の憩さん……」 京太郎「連絡しろって言ってたから、やってみるか」 京太郎「憩さんのことを訊いてみるか、そうと決まれば挨拶からだな」 京太郎『こんばんは、須賀京太郎です』 京太郎「送信っと」ピッ ヴーッ ヴーッ 京太郎「返信速いな、って知らないアドレスだな」 京太郎「読んでみるか」 秘書『秘書よ、こっちがプライベート用のアドレス』 秘書『それで何の用かしら?』 秘書『あまり長くはしたくないから速くして頂戴』 京太郎「見た目によらずきついよな、あの人」 京太郎「憩さんのことといっても何を訊こうか……」 京太郎「…………」 京太郎『憩さんについて、何を知っているんですか?』ピッ ヴーッ ヴーッ 秘書『随分と曖昧な質問ね』 秘書『私は彼女をよく知らない』 秘書『彼女は院長の娘』 秘書『一年半前に家から出て行った、私が知っているのはそれだけ』 秘書『私はまだここに就いて半年の新米秘書だからね』 秘書『他に訊きたいことはある?』 京太郎「家から出て行った、ってそんな言い方じゃ……」 京太郎「そのことはまだいい、次だ」 京太郎『今、憩さんはどこに行ってるのか知ってますか?』ピッ ヴーッ ヴーッ 秘書『彼女なら家に帰って来たわ』 秘書『正しくは連れ戻された、だけど』 秘書『それじゃあもう寝るわね』 京太郎「連れ戻された……」 京太郎「でも、そういえば」 京太郎『そういえば憩さんはどうしてここに住んでるんですか?』 憩『ただ単純に親元を離れたかったから、かな』 憩『お父さんやお母さんはウチを医者にさせたいらしいんよ。だから勉強で忙しくなる前に、高校だけでも自由でいたいなー思うてね』 京太郎「どういうことなんだ……?」 憩が住人ではなくなりました 【10月第2週 平日】終 【10月第2週 休日】 【三箇牧・千里山合同文化祭】 【一日目】 京太郎「今日から文化祭だあっ!」 京太郎「いろんな人が来るんだろうな!おもちが大きい人とかおもちが大きい人とかおもちが大きい人とか!」 京太郎「張り切って行こう!」 ワイワイ ガヤガヤ 京太郎「一日目は千里山の人たちがこっちに来るんだよな」 京太郎「賑やかだ、実に賑やかだ」 「わぁーすごーい!」 「ええ景色やなー」 「あんたら千里山の人?せやったらワイと茶ぁしばきいかへん?」 「るっさいわドアホ!ブサイクはさがっとれ!」 「鳴け!喚け!この腐れ豚がァァァァァァアアアア!」 「ブヒィィィィイイイイ!」 「こっちにも尻を向けろクソ虫が!」 「ブヒィィィィイイイイ!」 京太郎「……寂し」 【部室】 京太郎「ちはーっす!」 郁乃「お、京太郎くん二番乗りやな~」 郁乃「見て見て~かっこええやろ~」フリフリ 京太郎「スーツですか……」 郁乃「せやで~」 京太郎(郁乃さんはなんか違うような気がするんだよな、それこそ猫のコスプレとかなら似合ってたかもしれないけど) 郁乃「どや?」 京太郎(なんか期待されてるし、何て言おう) 京太郎(やっぱり正直に言うべきだよな) 京太郎「似合ってません」キッパリ 郁乃「えっ、ええ~」ガビーン 京太郎「郁乃さんはもっと、こう可愛いのが似合うと思います」 京太郎「郁乃さんは、綺麗というよりも可愛い人ですから」ニカッ 郁乃「…………」カァァ 京太郎(黙っちゃった……嘘でも褒めておくべきだったのかな) 郁乃「……~~!」プシュー 郁乃(可愛え……かぁぁ~///)プシュー 京太郎(初っ端から調子悪いな……) 京太郎「俺のは……これですか」 郁乃「せやで……」プイッ 京太郎(女子の制服……でも郁乃さんが用意してくれたんだ、着ないとだめだよな) 京太郎(ウィッグとかは……あるのかよ) 京太郎(とりあえず着替えよ) 咏「うーっす、来たよーん」 京太郎「えっ」 咏「はあっ?」 京太郎「えっ」←スカートを穿こうとしている 咏「…………こんの……」 咏「変態がああああーっ!」カァァ 京太郎「着替えたは良いけど、部室から追い出された……」 京太郎「さっきから通りがかる人がめっちゃ見てくる」 咏「入っていいよ」 京太郎「おう、さっきはごめんな」 咏「いいよ、私が悪かったんだからさ」 京太郎「ところでその衣装って?」 咏「あーこれ?ミイラらしいよ、知らんけど」フリフリ 京太郎「ミイラってただ包帯巻いてるだけじゃねえか」 咏「ずり落ちそうになるのがちょっとねぃ~でもどう?可愛いっしょ?」フリフリ 京太郎(対木さんみたいだな、ところどころ肌が見えるのがなんか……そそる) 京太郎(さて、何て言おう) 京太郎(包帯の下……ごくり) 京太郎「その包帯取ったらどうなるんだ?」 咏「さあ、わっかんねー」 京太郎「やってみるぞ」ヒョイ 咏「は、はぁ?」 クルクルクルクルー 咏「ちょっ、待てよ!おい!」 京太郎「よし、巻き取り終わり……っと」マエヲミル 咏「み、見るな!」バッ ←全裸 京太郎「…………」 咏「見るなっつってんだ……へぇっくし!」←全裸 京太郎「ブフォッ」 咏「うぅ……京太郎のバカ……」ジトッ 京太郎「ごめん、出て行くわ」 咏「……うん」 バタム 京太郎(包帯の下には何もなかった) 京太郎(しょうがないよ、誰だってあれは取りたくなるもの)モゾモゾ 京太郎(ちょっとトイレ行ってこよ) 霞「あら、もう来てたの」 京太郎「霞さん!?」 霞「何よ、そんなにびっくりして先に入ってるわよ」 京太郎「はい、どうぞ……はぁ」 京太郎「はぁ……」 京太郎「なんか今日はみんなのこと怒らせてばっかりだな」 霞「京太郎くん、入っていいわよ」 京太郎「はーい……ってなんですかそれ」 霞「瑞原プロの衣装よ、牌のお姉さんモード」 京太郎「あっ、ああ……」 霞「牌のお姉さんかすみんですっ☆」キャルン 郁乃(キツい) 咏(キツい) 京太郎(キツい) 霞「三人ともあとで覚えておきなさいよ」 郁咏京(心を読まれた!?) 霞「それで、似合うかしら?」 霞「少しきついのよね……」 郁咏京(それはこっちの台詞……) 霞「肩も凝るし、着れる服もないし、困るのよね……はぁ」 京太郎(いやいや、似合うっていうか、それ以前にもうさぁ!) 京太郎(おもちが強調されすぎて……もう) 京太郎(刺激強すぎるんだよぉ!) 京太郎(落ち着け、とにかく落ち着くんだ俺!) 京太郎(ここはあくまで紳士的にいくんだ!) 京太郎「素敵だと思います」 霞「そう?よかったー」 郁乃「うんうん、十歳は若く見えるで~」 咏「それじゃあ霞は八歳じゃね?知らんけど」 郁乃「あ……」 霞「い・く・の・ちゃん?」ゴゴゴゴゴ 郁乃「いやああああ!」 京太郎「なんで俺を盾にするんですか!」 郁乃「可愛い女の子を守るのが、男の子やろ?」 京太郎「そうですね」キリッ 京太郎「って嫌ですよ!」 霞「はやく郁乃ちゃんを差し出しなさい」ゴゴゴゴ 京太郎(おお、俺の目の前に霞さんの縛りおもちが……)ブフォッ 郁乃「きょ、京太郎くん!?」 霞「年貢の納め時よ、郁乃ちゃん」ニッコリ 京太郎「なんとか部室の外まで逃げてきたぞ」 京太郎「あんなの目の前にして我慢しろって方が無理だっつうの……」 エイスリン「キョウタロー!」ブンブン 京太郎「こんにちは、よく俺だってわかりましたね」 エイスリン「キョウタローダカラ!」ニコッ 京太郎「そう言われると、なんだか嬉しいですね」 エイスリン「ナカ、イイ?」 京太郎「大丈夫ですよ、どうぞ」 京太郎(俺は一日持つのかな……) エイスリン「キョウタロー」ヒョコッ 京太郎「着替え終わったんですか?」 エイスリン「」コクッコクッ 京太郎「じゃあ入りますね」ヨッコイショ エイスリン「Angel!」 京太郎「天使ですか、ご丁寧に翼と輪っかまで」 郁乃「セットやったからね~」 京太郎「天使って言うかただの白のワンピースですよね、これ」 郁乃「あ、わかった~?」 京太郎「流石にわかりますよ」 京太郎(スーツ、ミイラときて郁乃さんのセンスを疑っていたが、これは凄い) 京太郎(だってエイスリンさんのイメージそのまんまだもの、まさに天使) エイスリン「エヘヘ」ニコッ 京太郎(可愛すぎるんですけど、これはどうすれば……) エイスリン「キョウタロー」クイクイ 京太郎「なんですか?」 エイスリン「カワイイ?」 京太郎(可愛いとしか言えないのですがそれは……) 京太郎「持ち帰っていいですかこれ」 エイスリン「?」キョトン 京太郎「ああ、持ち帰りっていうのは……Take outのことです」 エイスリン「Take out?」 京太郎「わかりにくいですかね?」 エイスリン「……umm……!」ピコーン 京太郎(わかったみたいだ) エイスリン「……」カァァ 京太郎(照れてる……可愛い) エイスリン「キョウタロー……」チラッ エイスリン「…………///」プシュー 京太郎(どんどん真っ赤になっていくな) 京太郎「あと来てないのは憩さんですか」 郁乃「せやね~」 京太郎「何を用意したんですか?」 郁乃「知りたい~?」 京太郎「すごく!」 郁乃「後でのお楽しみやで」 咏「お前はまた外で待ってるんだよ!」ゲシッ 京太郎「痛っ!」 京太郎「憩さん……か」 京太郎「訊きたいことは山ほどあるんだよな」 京太郎「でも今は普通に接しよう、今はそのときじゃない」 憩「あれ?京太郎くん?女装しとるん?」 京太郎「俺のコスプレです」 憩「うん、似合っとるで」ニコッ 京太郎「それは喜んでいいんでしょうかね?」 憩「中入ってええんやろ?」 京太郎「どうぞどうぞ」 憩「ほなお先ー」 バタム 憩「入ってええでー」 京太郎「ういーっす」 バタム 憩「えへへ」ヒョコン 京太郎(ネコ耳?) 憩「どや?」ヒョコン 京太郎(しっぽ?) 憩「にゃー!」 郁乃「憩ちゃんのコスプレはネコ娘ちゃんやで~」 憩「にゃ~」 京太郎「ネコ娘っていうか殆どネコじゃないですか」 憩「可愛いかにゃ?」ヒョコン? 京太郎(……可愛い) 憩「京太郎?京太郎?」スリスリ 京太郎「」 憩「にゃ~」 京太郎(ウチの麻雀部の破壊力すげー) 京太郎(やべっ、また鼻血出そう) 憩「似合うかにゃ?」ハテッ? 京太郎「誘ってるんですか?」ズイッ 憩「え?え?」 京太郎「そんなネコ耳なんかつけて、鳴き真似もして」 京太郎「俺に頬ずりしてくるって、誘ってるんですか?」 憩「はえぇ?」カァァ 京太郎「憩さんがそのつもりなら俺にだって考えがあるんですよ」←顔を近づける 憩「ま、待って!」ジワァ 京太郎「全部憩さんが悪いんですよ」←もっと近づける 京太郎(からかい終わり……っと) 憩「…………っ///」プシュー 京太郎(え、えーっと……) 咏「じー」ジーッ 郁乃「じ~」ジーッ 霞「……」ジトッ エイスリン「?」ニコッ 京太郎(この状況、どうすればいいんだ?)
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智葉「おい須賀、いるかー?」 京太郎「...zzz...zzz」長椅子に座りながら 智葉「なんだ、寝てるのか」隣に座る 智葉「……掃除はしっかりしてるし、牌譜の整理も終わってるか」 京太郎「……ん」倒れて智葉で膝枕 智葉「……何やっているんだ貴様、と本来は言うところだが」 京太郎「...zzz...zzz」 智葉「1人で終わらせたんだ、これくらい多めに見てやる」 京太郎「...zzz...zzz」 智葉「全く、これじゃ私も明華やハオと変わらないな」 智葉「そういえばあいつらは……」 京太郎「...zzz...zzz」 智葉「…………」ペタペタ 智葉「…………」イラッ 智葉「……オラッ、さっさと起きろ!!」ゲシッ 京太郎「あだっ!?」椅子から落ちる 京太郎「アレ?先輩?俺は一体……」 智葉「よく寝てたみたいだな?」 京太郎「あー……」 智葉「ま、雑用やった後だし、構わんよ」 京太郎「先輩……」 智葉「ということで、休憩もしたんだ。私がしっかりと指導してやろう」 京太郎「え!?……あの、お手柔らかにお願いします」 智葉「ああ……無理だから諦めろ」 京太郎「酷い!?」 智葉「ああん?なんでそれ切ったか言ってみろ!?」 ネリー「サトハ、きびしーねー」 智葉「だからそうじゃねーんだよ!今のお前の実力ならまずは…」 ダヴァン「んー……でもなんかサトハ楽しそうデスネ」 智葉「そう!それだよ!今のはよくやった!!」
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【インターハイ2日目】 竜華(眠れへん……) 京太郎(眠れねぇ……) 京太郎「ふぁぁあ」 咏「お、眠そうだねぃ」 京太郎「まあちょっとな」 京太郎「そうだ、咏、特訓しようぜ」 咏「いいけど、あんまり無理すんなよな」 京太郎「わかってるって」 京太郎「すぅ……」 咏「ロン、48000」 京太郎「はっ!」 京太郎「あれ、いつの間に飛ばされてたんだ?」 京太郎「昼飯、どうしよ」 京太郎「で、どこ行く?」 咏「うーん、そうだねぃ」 店員「ただいまスシロー全品100円セールを行っておりまーす」 咏「あれでいいんじゃね、知らんけど」 京太郎「寿司か……」 京太郎「金、持つかな……」 京太郎「咏って意外と食べるんだな」 咏「前も一緒に朝飯食ったろ」 京太郎「あのときは咏がへこんでたからあんまり食べてなかったような気が」 咏「そういえば裸見られたんだっけねぃ」 京太郎「あれは本当にすまなかった」 咏「いいよ、昔のことなんて」 咏「さ、食い終わったしどっか行こうぜ」 京太郎「おう!」 京太郎「三枚は少なかったかな?」 京太郎「午後はどうしようかな」 京太郎「一応宿舎に戻ってきたけど……」 京太郎「そうだ!遊びに行こう!」 京太郎「でも一人は寂しいから」 ――――――――――――――― 京太郎「竜華さん、怜さん遊びに行きましょう!」 怜「ええけど、遠出するのは嫌やな」 竜華「何する?」 京太郎「人生ゲームしましょう!」 怜「ボードは?」 京太郎「郁乃さんから借りてきました!」 竜華「3人だけでやるん?」 京太郎「もちろんじゃないですか!」 竜怜「「はぁ……」」 京太郎「あ、そうだ」 京太郎「1位の人が2位の人に1つ命令をして」 京太郎「1位の人と2位の人が1つずつ3位の人に命令するって言うのはどうですか?」 怜「ま、私の楽勝やな」 竜華「怜、あれ使ったらダメやから」 怜「えっ」 怜「私の勝ちやな」ドヤ 京太郎「まさかカジノで全勝するとは……」 竜華「ズルい!ズルいで怜!」 怜「勝った私が正義やもーん」 怜「ほな、命令タイムや」 怜「まずは京くんやな」 京太郎「な、何をすれば?」 怜「うーん……」 怜「膝枕」ボソッ 怜「膝枕よろしく」 京太郎「そんなのでいいんですか?」 怜「ええんや、よっと」 竜華「京くん……」ジトッ 京太郎「うっ、すみません」 竜華「何しとんの!膝枕いうたら頭なでなでもするんや!」 京太郎「そんなことだったんですか!?」 怜「京くん早く」グイグイ 京太郎「わかりましたよ」ナデナデ 怜「えへへ」 怜「少し硬いけど、アリやな」 竜華「で、ウチは?」 怜「そうやな……」 怜「私の耳を甘噛みしてもらおか」 怜「出来なかったら昨日のことバラすで」 京太郎「昨日のこと?」ナデナデ 怜「2人で仲良く混浴しとったこと」 竜華「なんで怜がそれを!?」 怜「そらわかるやろ、京くんの靴はあるのにどこにもいない」 怜「シャワー浴びとるとき、竜華はいつも鼻歌歌っとんのにやけに静か」 怜「今の反応からして私の推理は当たっとったみたいやな」 怜「さあ、どうする?」 竜華「ど、どうしよ」ボソボソ 京太郎「ヤっちゃえばいいんじゃないですか?」ボソボソ 竜華「でも、怜の耳なんて……///」ボソボソ 京太郎「あのことがみんなにバレたらどうなると思いますか?」ボソボソ 竜華「ぅぅ……」 竜華「わかった、やったる!」 竜華「いくで、怜」カプッ 竜華「ほ、ほうふぁ?」ハムハム 怜「く、くすぐったいからしゃべらんといて」 竜華(怜、いい匂いするなぁ……せや) 竜華(このくらい、ええやろ)ペロッ 怜「あっ、りゅ、竜華何を」 竜華(おいしいわぁ)レロレロ 怜「や、やめて……」 竜華(怜の首……) 竜華「……ぷはっ」 竜華「いただきまーす」 怜「んんっ!りゅ、りゅうかぁ……」 竜華(怜の首、白くて、やわらかくて、スベスベしとって)レロレロ 竜華(最高やぁ……)レロレロ 京太郎(静まってろ我が息子!いくら目の前でやられてるからといって焦っちゃいかん!) 怜「すぅ……」 京太郎「怜さん、寝てしまったみたいですね」 竜華「満足満足」 京太郎「それで、俺からの命令なんですけど」 竜華「わ、忘れとった……」 京太郎「腕枕させてください」 竜華「う、腕枕!?」 京太郎「はい、どうぞ」 竜華「う、うん……」 竜華(は、恥ずかしい!) 竜華(京くんと一緒に寝とるってだけでも恥ずかしいのに、腕枕て) 竜華(京くんも恥ずかしがってるんやろな)チラッ 京太郎「ぐぅ……」 竜華(寝とるんかい!) 竜華(全く、京くんは全く!) 怜「すぅ……」 京太郎「んぅ……」 竜華(ウチも寝よ) 京太郎「う、腕が動かねェ……」 京太郎「もう夜か」 京太郎「清澄……咲とモモのところは勝ったのかな」 京太郎「外食してくるか」 京太郎「昨日は宿舎ですませたんだよな」 竜華「……ん、京くんどこ行くん?」 京太郎「少し外へ」 竜華「そか、行ってらっしゃい」 京太郎「またまた来たぜ財布の味方サイゼリヤ!」 竜華「いっつも来とるん?」 京太郎「はい、いつもは相席なんですけど」 京太郎「今日は違うようです」 竜華「……あれ、ここ料理が残っとるけど」 桃子「きょ、京太郎!」 竜華「うわっ!」 京太郎「なんだ、モモか」 桃子「それはこっちの台詞っすよ」 桃子「その人は一体誰っすか?」 京太郎「この人は千里山の清水谷竜華さん」 桃子「ああ、個人戦の人っすか」 桃子「デートでもしてるんっすか?」 竜華「ち、ちゃいます!」 竜華「京くん、この子は?」 京太郎「俺の幼馴染の東横桃子っていうんですよ」 京太郎「清澄の部員です」 桃子「まさか京太郎が彼女を作ってたなんて意外だったっす」 桃子「あとで咲にも報告っすね」 京太郎「いや、恋人とかじゃないから」 メニュー 東北風グラタン 関東風ドリア 中部風カルボナーラ 関西風タコのカルパッチョ 九州風ハンバーグ 京太郎「それで、清澄はどうだったんだ?」 桃子「中堅戦で部長が飛ばして終わりっすね」 京太郎「モモたちがBブロックで俺たちはAブロック」 桃子「戦えるとしたら決勝で、っすね」 京太郎「おう、絶対負けんなよ」 桃子「そっちこそ」 竜華「2人とも仲ええなあ」 京太郎「怜さんと竜華さんみたいなものですよ」 桃子「そっちも十分仲良さそうっすけどね」 【2日目】終了 【インターハイ 3日目】 京太郎「明後日がとうとう初戦か」 京太郎「今日の試合で勝ったところと当たるんだよな」 京太郎「気にせず麻雀するか」 京太郎「ここが対局室か」 郁乃「お~京太郎くんええところに来たな~」 郁乃「ここで打たへん?」 京太郎「いいですけど、他の面子は?」 郁乃「咏ちゃんとエイちゃんと憩ちゃんやで~」 京太郎「郁乃さんは打たないんですか?」 郁乃「善野ちゃんと試合見に行くからな~」 郁乃「ほなよろしく~」 京太郎「勝手な人だな……さて」 京太郎「始めましょうか」 京太郎(北大阪地区予選、最高火力の咏) 京太郎(和了率全国一のエイスリンさん) 京太郎(そして昨年の個人戦2位の憩さん) 京太郎(相手にとって不足なし!) 京太郎(ってか凄すぎるだろこのチーム) 咏「うっし!」 エイスリン(テンパイ!) 京太郎(普通に負けそうな気がする) 憩(この2人は厄介やさかい) 憩(ちょっと様子見や) 咏「ロン!12000!」 東2局 京太郎 25000 親 エイスリン 13000 咏 37000 憩 25000 エイスリン「ウウッ……」 カキカキ 咏(ふっふーん、次は三倍満いっとくかねぃ)トン エイスリン「ロン、12000!」 エイスリン「フリダシ!」 東2局1本場 京太郎 25000 親 エイスリン 25000 咏 25000 憩 25000 憩(エイスリンさんはやっぱ凄いなぁ、でも)トン エイスリン「フフフ、ロン!」 憩(これで打ち止めや) 【白衣の護り】発動! 咏「お、それって」 エイスリン「24300!」 憩「……え!?」 東2局2本場 京太郎 25000 親 エイスリン 49300 咏 25000 憩 700 憩(聴牌……ここが使いどころやな) 憩(来て!) 【孔穿つ閃光】発動! 憩「よっと」スチャ 憩(なるほど、今回はこれか) 憩(点数少ないんやけどなぁ) 憩「カンや!」 憩「嶺上ツモ、500・700」 東3局 京太郎 24500 エイスリン 48600 親 咏 24500 憩 2400 京太郎(あれ、か……) エイスリン(カケナイ) 咏(一向聴までは来てみたけど……) 憩「ツモ、1300・2600!」 憩(この3人、きっついわぁ) オーラス 京太郎 23200 エイスリン 47300 咏 21900 親 憩 7600 憩(2位浮上には最低でも跳満) 憩(一か八か)ピキーン 【孔穿つ閃光】発動! 憩(ダメや、次にかけよか) 憩(これで、最後……) 憩(今さらか……) 憩「海底ツモ、2000オール!」 オーラス1本場 京太郎 21200 エイスリン 45300 咏 19900 親 憩 13600 京太郎(ううむ、6400、点棒付けて6700) 京太郎(まくれないか……) 京太郎(でも咏や憩さんに和了られるよりはいいか) 京太郎「ロン!6700!」 終局 エイスリン 45300 京太郎 27900 咏 19900 憩 6900 京太郎「2位か、まああの面子相手によくやったよ」 京太郎「ん?天下一品?」 京太郎「確か大阪にもあったな、食べてみるか」 京太郎「そういえば昨日までは誰かと昼食べてたんだよな」 京太郎「久しぶりのぼっちか……」 京太郎「対策をしよう!」 京太郎「初戦の相手は……」 京太郎「埼玉代表の越谷高校、兵庫代表の剣谷高校、奈良代表の阿知賀女子」 京太郎「阿知賀は松実さんたちのいるところだっけな」 京太郎「対策は俺に任せろー」 京太郎「剣谷高校……何か感じるな、ここの対策をするか」 京太郎「持ってきてよかったパソコン、あってよかったネット環境」 京太郎「さてと、一応全部見てみるか」 ――――――――――――――――― 京太郎「目を見張るべきは副将戦の人、森垣さんか」 京太郎「このおもちはなかなかのなかなかだな」フム 京太郎「よし、対策開始!」 京太郎「森垣友香、剣谷高校一年生」 京太郎「帰国子女のおもちもち、っと」 京太郎「手の速さと高火力が目立つな」 京太郎「でも咏には劣るか?」 京太郎「捨て牌のくせ、組み方、よし」 京太郎「取りあえずレポート完成、憩さんにメールしておくか」 京太郎「対策は誰かと一緒に立てるのもありかもな」 京太郎「船久保さんとか霞さんとか、後は郁乃さんも良い対策を立ててくれそうだ」 夜 京太郎「霞さんにお願いしてみるか」 京太郎『対戦校の対策を立てたいのですが、手伝ってくれませんか?』 京太郎「こんな感じかな」ポチッ 竜華「京くん何しとるん?」 京太郎「ちょっとメールを」 竜華「じゃあ今風呂入らへんの?」 京太郎「はい、先いいですよ」 竜華「ほな入らせてもらうわー」 京太郎「竜華さんの入浴……」ゴクリ ヴーッヴーッ 京太郎「返ってきた」 霞『別にいいけど、いつやるの?』 京太郎「うわ、それを忘れてたか……どうしよ」 京太郎「今からは無理だし、明日の夜もな」 京太郎「午前だな、よし」 京太郎『明日の午前9時に対局室で会いましょう』 霞『了解よ、おやすみ』 霞『P.S.竜華ちゃんに手を出したらいくら京太郎くんでも』 霞『”容赦”しないから』 京太郎「なんでただのメールで」ガクガク 京太郎「こんなに怖いと感じるんだ」ガクガク 竜華「お風呂あがったで、京くんどうぞ」 京太郎「はい……」カタカタ 【3日目終了】 【インターハイ 4日目】 京太郎「ふぁぁ、今は……7時か」 竜華「ん……ときぃ……」ギュッ 京太郎「」 京太郎「竜華さんのおもちは離れがたかったけど、約束は守らないと」 京太郎「おはようございます!」 霞「あら、早いのね」 京太郎「時間ピッタリなんですが」 霞「京太郎くんのことだから1時間くらい遅れるかと」 京太郎「評価低すぎじゃないですか?」 霞「それで、誰の対策をするのかしら」 京太郎「松実宥さんにしようかと」 霞「ああ、宥ちゃんね。わかったわ」 霞「これが牌譜よ、あと一回戦の映像」 京太郎「誰でも郁乃さんなら大丈夫だと思いますが、一応」 霞「それで、どう思う?」 京太郎「混一色、清一色が多いですね」 霞「そうね、宥ちゃんはどうやら中や萬子が多く集まるようね」 京太郎「そんなことがあるんですか?」 霞「この牌譜と映像が証拠ね」 霞「それに、そんなオカルトはあり得るわ」 霞「私と対局するとき、急に一つの色の牌が来なくなるときとかなかった?」 京太郎「そんな、まさか……」 霞「このインターハイにはそんな子が何人もいるの」 霞「剣谷や越谷には少ないようだけれどね」 京太郎「オカルト、か」 京太郎「咲の嶺上も、モモのステルスも」 京太郎「麻雀とはなんなのか」 京太郎「そば屋に来てみたぞ」 京太郎「夏だからな、涼しいものを食べたい」 京太郎「ざるそばでいいよな」 京太郎「涼んだところで、午後はどうするかな」 京太郎「街に行こう」 京太郎「どこに行くかな」 京太郎「明治神宮に来てみたぞ」 京太郎「ん、あれは……」 哩「あの縄……縛られたかぁ」 姫子「鳥居に吊るされれば尚更よかとです」 哩「おお、流石は姫子」 京太郎「どんな話してるんですか」 哩「君は須賀君やなか!三倍満の!」 姫子「部長よく覚えとるとですね」 哩「あの三倍満は気持ち良かった」ゾクゾク 京太郎(この人たちがよくわからない) 京太郎「お2人は何をしにここへ?」 哩「神頼み」 姫子「インターハイ優勝できるようにってお願いしに来たとです」 京太郎「新道寺はAブロックでしたよね」 哩「須賀君のおる三箇牧もだろ?」 京太郎「なんで知ってるんですか?」 哩「あの後福岡に帰ってから調べたけん、北大阪の男子個人戦1位やって」 哩「須賀君、頼む!また私に打ちこんで!あの大きか直撃!」ドゲザ 姫子「私もお願いします!」ドゲザ 京太郎「ちょ、お2人とも立ってください!みんな見てますよ!」 哩「……」チラッ 姫子「……」チラッ 哩姫「「それもアリ!」」ドゲザー 京太郎「いやナシだよ!」 京太郎「あの2人は調子狂うな、ほんと」 京太郎「ただいまですー」 竜華「お帰りー」 怜「お帰りー」 京太郎「あれ、怜さん来たんですか」 竜華「今日は怜も一緒に寝るんやで」 京太郎「ああ、そうですか」 京太郎「じゃあお菓子でも食べましょうか……って」 京太郎「は!?」 京太郎「じゃあトッポでも食べますか」 竜華「支点、力点、作用点!やな」 京太郎「それはポッキーです」 竜華「うまいっ!」 怜「テーレッテレー」 京太郎「それもうチョコ菓子じゃありませんよ」 怜「いやーでも明日が三箇牧の初戦かー」 竜華「ウチらに勝ったんやから負けたら許さへんで」 京太郎「じゃあ俺はお2人にあんなことやこんなことをされるんですか」 怜「せやな、決めとかなあかんな」 竜華「あ、あんなことやこんなこと……///」 怜「京くんも頑張ってな、最後まで元気たっぷり、そう――――」 怜「このトッポのように!」ドヤァ 竜華「あんまし上手ないな」 京太郎「トッポはこんなに美味いのに」 怜「……」ジトッ 竜華「……」ジトッ 京太郎「すみませんでしたぁっ!」 【4日目】終了 【インターハイ 5日目】 京太郎「とうとう初戦か、気合入れないとな!」 京太郎「試合は10時からで、今は7時」 京太郎「なんかやるか」 京太郎「もう会場に行くか」 ――――――――――――― 京太郎「ここが三箇牧の控室だな」 京太郎「お菓子と、飲み物と」 京太郎「よし、これで準備万端だ!」 インターハイ女子団体戦Aブロック2回戦――――― 熱き戦いが今――――― 始まるッ! えり「さあ、インターハイもついに5日目、今日から二回戦が始まります」 えり「本日戦う8校のうち、準決勝進出を果たすのは4校」 えり「二回戦第二試合の各選手が対局室に向かいます」 えり「過去4回の出場は全て初戦敗退、今年ついに悲願の二回戦進出を果たしました埼玉県代表越谷女子、先鋒の新井ソフィア」 えり「全国屈指の激戦区兵庫県を勝ち抜き初戦では群馬と茨城を圧倒した劔谷高校からは、椿野美幸」 えり「そして奈良県代表、阿知賀女子学院、10年ぶり二度目の出場。先鋒は松実玄」 えり「前回出場時のエース選手赤土晴絵が監督を務めています。10年前はベスト8までいきました」 えり「そしてこの二回戦からついに登場するシード校は」 えり「過去34回出場、激戦区北大阪を連続で制していた千里山女子!!」 えり「―――を倒し、異例のシード権を獲得した、三箇牧高校!」 えり「先鋒を務めるのは、言わずと知れた昨年の女子個人戦チャンピオン」 えり「宮永照」 ―――――――――――――― 京太郎「ついに来ましたね!」 照「うん」 憩「ってまだ行ってなかったんかいな」 照「もう行くから、あと3分」 京太郎「それ絶対行かないパターンのやつでしょ」 照「…………」 玄(この人が、宮永照!) 美幸(せっかくここまで来れたのにこの人と当たるなんてやだよ、もー) ソフィア(どうやって勝てばいいんだ?) 照(他の人たちの目が怖い) 開局 親 宮永照 100000 ソフィア 100000 美幸 100000 玄 100000 ソフィア(チャンピオンは東1局で和了ることは少ない) ソフィア(今のうちに速攻でリードする!) ソフィア(って言ってもドラが無いから打点ひっくいな……) 玄(ドラはあるのに……)トン ソフィア(相手はチャンピオンなんだから、1000でも儲けもんだよな) ソフィア「ロン、1000」 照「………」 美幸「っ!」 玄「!?」 照(越谷は速攻型、劔谷はどちらかといえば防御) 照(阿知賀は……なんだこれ) 照(手強そうなのは阿知賀だな) 東2局 宮永照 99000 親 ソフィア 101000 美幸 100000 玄 100000 照(阿知賀はドラを捨てられない……) 照(試してみるか) えり「ここで宮永選手、三面張を取らず間張で聴牌」 玄(いきなり点取られちゃったよぉ……)トン 照「ロン、1000」 玄「はい……」 えり「今のはおかしな手順でしたね」 良子「宮永は待ちを悪い方にとってテンパイ、松実はドラを切らずに他の牌を切って振り込んだ、という手順のことですか?」 えり「はい、不思議というか、何というか」 良子「おそらく松実は何らかの縛りを受けている、今までの牌譜からはそのような傾向が見られる」 えり「縛り、ですか」 東3局 宮永照 101000 ソフィア 101000 親 美幸 100000 玄 98000 照(今日はエイスリンさんまで回るといいな……) 照(阿知賀の人、テンパイしてない) 照(よし) 照「ロン、2000」 玄(ま、またなのぉ……) 玄(でも、赤土先生に教えてもらった) 玄(宮永さんには、弱点があるって) 玄(まだまだ!) 東4局 宮永照 103000 ソフィア 101000 美幸 100000 親 玄 96000 京太郎「全然ドラが来ませんね」 憩「あの松実玄ちゃんに全部持っていかれとるみたいやな」 咏「あんなの相手にしたくないねぃ」 エイスリン「テル、ツライ?」 郁乃「せやな~ドラ無いと打点上げづらいからな~」 照「ロン、3900」 照(なんだっけ、この人の名前) 照(確か……新井ケフィアだっけ) ソフィア(いいえ、ソフィアです) 南1局 親 宮永照 106900 ソフィア 97100 美幸 100000 玄 96000 照(親、後ろにどんな人がいるか分からないし) 照(なるべく稼いどかないと) 照(平たくしたいけど……) 玄(うぅ……) 照(何でこの子がいつもアガリ牌持ってるんだろう) 照「ロン、7800」 南1局1本場 親 宮永照 114700 ソフィア 97100 美幸 100000 玄 88200 穏乃「玄さん大丈夫かな」 憧「こんなのもう制約とか関係無しに運が悪いとしか言えない」 宥「まだ、大丈夫だよ」 照「ロン、9900」 ソフィア「はい」 美幸(テンパイできてるのに、やだこれもー) 照(越谷の人、歌上手そうだな……) 南1局2本場 親 宮永照 124600 ソフィア 87200 美幸 100000 玄 88200 えり「流石はチャンピオン、今のところ5連続和了」 良子「阿知賀の松実に縛りがあるとすれば、宮永にも縛りはある」 えり「どういうことでしょうか?」 良子「彼女は和了る度に打点を上げている、例えばこの試合」 えり「ここまでの打点は1000-2000-3900-7800-9600ですね」 良子「次は少なくとも11600以上と予想できる、彼女はこれを毎試合行っているわけだ」 良子「わざわざ高目を見逃してロウな和了をしたり、これも一種の制約と考えられる」 良子「それがトゥルーならば、そろそろガタが出てくるはず」 えり「松実玄、ですか」 照「リーチ」 美幸(早すぎるよもー) ソフィア(安牌がさっぱりだ、クソッ)トン 照「ロン、12600」 南1局3本場 親 宮永照 137200 ソフィア 74600 美幸 100000 玄 88200 照(次は跳満、きついな) 照(阿知賀、おそらく次にまた戦うかも) 照(ドラを使わずにってすごい制限プレイ) 美幸(ずっと和了れないじゃんもー) ソフィア(抉られてんな……) 玄(全然テンパイできない……どうしよぉ、お姉ちゃん) 照「ロン」 玄「うっ」 照「18900」 ソフィア(そろそろ止めないと!) 美幸(でもどうやって……) 南1局4本場 親 宮永照 156100 ソフィア 78500 美幸 100000 玄 65400 同コンマのため、流局 南1局5本場 親 宮永照 157600 ソフィア 77000 美幸 98500 玄 66900 照(流れた……) 照(阿知賀がいい感じに止めてくれるかと思ったけど、まだ続けなくちゃなの) 照(はぁ……) 照「ロン、3000」 南1局6本場 親 宮永照 160600 ソフィア 77000 美幸 95500 玄 66900 えり「チャンピオン宮永止まらない!」 えり「流局してもなお攻め続けます!」 良子「流局で親が流れれば楽だったのだが、これではもうどうなるかわからないな」 照「ツモ、1600オール」 南1局7本場 親 宮永照 165400 ソフィア 75400 美幸 93900 玄 65300 照「ツモ、2000オール」 京太郎「これ、地区予選のときより酷くありません?」 郁乃「私に回ってくるかが不安やな~」 エイスリン「マタデバンナシ?」 憩「いやいや、流石に照ちゃんでもわかっとるやろ」 咏「そうだといいんだけどねぃ……」 南1局8本場 親 宮永照 171400 ソフィア 73400 美幸 91900 玄 63300 照「ロン、10200」 玄「はい……」 玄(まだ、みんなの点棒を守らなきゃ!) ソフィア(これがチャンピオン……敵うわけがないんだ) ソフィア(あははははははははははははは) 美幸(このまま友香ちゃんまで行くかな……) 照(いつまで続くんだこれ) 南1局9本場 親 宮永照 181600 ソフィア 73400 美幸 91900 玄 53100 照(次は9600辺り……阿知賀はカンドラとか裏も集めるのかな) 照「カン」 照「リーチ」 照(カンドラも河に無しって……) 照(じゃあ裏は……) 照「ロン、12300」 照(裏は、っと) 照(無いな……) 南1局10本場 親 宮永照 193900 ソフィア 61100 美幸 91900 玄 53100 照(10本場か、計算楽でいいな) 美幸(あと少しで届きそうなのにー!) ソフィア(次和了って20万点っておかしいだろ……) 照「ツモ、5000オール」 南1局11本場 親 宮永照 208900 ソフィア 56100 美幸 86900 玄 48100 美幸(チャンピオンを止める方法……!) 美幸「ポン!」 美幸「ポン!」 照(この人……) 美幸「まだまだあきらめないよーもー!」 美幸「ロン!1000の11本場、11!?」 美幸「11本場は4100!」 玄「はい……」 ワァァァァ えり「ついに宮永照の連荘が止まりました!」 えり「その長さ11本場!止めたのは劔谷高校椿野美幸です!」 郁乃「凄い歓声やな~」 京太郎「なんか悪役みたいですよね」 南2局 宮永照 208900 親 ソフィア 56100 美幸 91200 玄 43800 照(やっと終わったか……) 照「ロン、1000」 南3局 宮永照 209900 ソフィア 55100 親 美幸 91200 玄 43800 玄(劔谷の人が止めてくれた……この人は諦めてないんだ) 玄(私も、諦めない!もう振り込まないよ!) 照「ロン、2000」 ソフィア「はい……」 玄(よし!)フンス オーラス 宮永照 211900 ソフィア 53100 美幸 91200 親 玄 43800 ソフィア(後半ずっと私しか振り込んでないぞ……) ソフィア(あれ、後半長くね?どっから後半?) 照「ロン、3900」 えり「先鋒戦ついに決着ー!」 えり「三箇牧の先鋒宮永照の連続和了が他校を圧倒!2位とは12万点差をつけています!」 えり「劔谷高校は難を逃れ現在2位」 えり「越谷女子と阿知賀は拮抗状態となっています」 先鋒戦終了 三箇牧 215800 (+115800) 越谷女子 49200 (-50800) 劔谷 91200 (-8800) 阿知賀 43800 (-56200) 照「お疲れ様でした」 玄「ありがとうございましたぁ……」 美幸「おつかれっした、もー」 ソフィア「しんどいわー」 京太郎「ようやく、ですね」 郁乃「ほな行ってくるな~」 郁乃「なんとか飛ばさないように頑張るわ~」 咏「よろしく頼むねぃ」 京太郎「さて、俺も少し出るか」 京太郎「ふいー出た出た、照の試合長かったからなー」 良子「お、須賀くんじゃないか」 京太郎「あ、戒能さん」 京太郎「解説よかったですよ、わかりやすくて」 良子「そ、そうか、少し自信が無かったんだが……良かったか」 良子「センキュー、須賀くん」 良子「まだまだ頑張ってみるよ」 京太郎「早く終わっちゃいそうですけどね」 良子「そうだ!聞いてくれ!」 京太郎「な、なんですか」 良子「針生アナと連絡先を交換したぞ!」 京太郎「本当ですか!おめでとうございます!」 良子「リアリー感無量だ!」 ピンポーン 「間もなく次鋒戦が開始します」 「各選手は対局室にお集まりください」 ピンポンパンポーン 良子「おっと、もう行かなくてはいけないようだ」 良子「グッバイ」 京太郎「はい、頑張ってくださいね!」 良子「オフコースだ!」 ―――――――――――――― 宥(玄ちゃんの取られた点棒、お姉ちゃんが取り返すからね)ギュッ 郁乃「夏にマフラーか~変わっとるな~」 宥(この人が、赤阪さん……) えり「解説は引き続き戒能プロ、実況は私、針生が務めます」 えり「場決めも終わったところで、次鋒戦、開始です」 東1局 親 郁乃 215800 宥 43800 澄子 91200 花子 49200 花子(テンパイ来たか!) 花子「うっし、勝負!」 宥(テンパイできないよぉ……玄ちゃんもこんな感じだったのかな……) 郁乃(松実ちゃんはたしか白糸台行ったときにおったな~) 郁乃(まあ、あっちは一回も会っとらんから憶えとらんみたいやけどな~) 花子「ツモ、1600・3200!」 東2局 郁乃 212600 親 宥 42200 澄子 89600 花子 55600 花子「このまま!リーチだ!」 郁乃(越谷の子の次は阿知賀の子やな~) 郁乃(そういえば阿知賀っていうと……) 宥(テンパイできたぁ~) 宥(赤土先生のアドバイスを守って稼がないと) 澄子(なんだか調子悪いですね……) 澄子(先輩が守ってくれた点棒、私が増やしますよ)トン 花子「ロン、5200」 東3局 郁乃 212600 宥 42200 親 澄子 84400 花子 60800 宥(玄ちゃん……) 宥「リ、リーチ」 宥(私、頑張る) 郁乃(今度は松実ちゃんの番やで~) 郁乃(京太郎くんが言うには萬子と中が来やすい、やったっけ) 郁乃(姉妹揃っておもろいな~) 花子(三箇牧と劔谷はオリたか……) 花子(でもこの点差、まだまだ勝負!) 澄子(テンパイできない……もう嫌ですよぉ) 宥「ツ、ツモです!」 澄子(い、一発……親被り) 澄子(でも、役によっては!) 宥「8000・16000」 宥「九蓮宝燈…です」 澄子「」 東4局 郁乃 204600 宥 74200 澄子 68400 親 花子 52800 宥(玄ちゃん……できたよ)ギュッ 穏乃「宥さん凄い!」 憧「でも九蓮宝燈和了ったからテンパイできてないみたいだね」 灼「死なないといいけど」 玄「お姉ちゃあああん」ウワーン 晴絵(役満……流石は妹、と言ったところか) 晴絵(赤阪……) 澄子(役満親被りとか……ありえないでしょ) 澄子(私も頑張りますよ) 澄子「ツモ、1600・3200」 南1局 親 郁乃 203000 宥 72600 澄子 74800 花子 49600 えり「前々局、九蓮宝燈わ和了した松実宥またもやノーテン」 えり「そして三箇牧の赤阪郁代の単独テンパイです」 えり「彼女の過去の牌譜を見ると、役満を多く和了るようですね」 良子「それだけじゃない、彼女の入った卓では必ず役満を和了る者が出る」 良子「それが偶然なのか、彼女の特性なのかはわからない」 えり「そんな卓には入りたくないですよ……」 郁乃(一回も和了っとらんのは少しアレやから~) 郁乃「ツモ、3200オールやで~」 南1局1本場 親 郁乃 212600 宥 69400 澄子 71600 花子 46400 郁乃「ツモ、3300オール」 宥(また、頑張らないと……) 花子(三箇牧強すぎんだろ、どうなってんだよ) 澄子(こうしてどんどん地味になっていくんでしょうね) 南1局2本場 親 郁乃 222500 宥 66100 澄子 68300 花子 43100 郁乃(う~ん、ここまでやな~) 郁乃(ちょ~っとミスってもうたわ) 宥「リーチ」 えり「ここで松実、先制リーチをかけますっと……これは……」 良子「立直面清タンヤオ平和二盃口、三倍満」 良子「裏が乗れば、或いは――――」 宥「ツモ」 良子「一発ツモで、役満だ」 宥「8200・16200」 南2局 郁乃 206300 親 宥 98700 澄子 60100 花子 34900 穏乃「また役満!?」 憧「いやいや、有り得ないでしょ」 玄「お姉ちゃあああん!」ウワーン 灼「よしよし」 ――――――― 京太郎「役満2回目ですか……」 咏「前も2回だったねぃ」 憩「これ回ってくるんかな……」 宥「ツモ、4000オール」 南2局1本場 郁乃 202300 親 宥 110700 澄子 56100 花子 30900 郁乃(さ~てと) 郁乃「ここまでやで~」 花子(何言ってんだこいつ) 澄子(よほど配牌が良かったのでしょうか……配牌?) 郁乃「ツモ~」 郁乃「8100・16100やで~」 花子(えっなにこれは) 澄子(次元が違いますわ) 南3局 郁乃 234600 宥 94600 親 澄子 48000 花子 22800 郁乃(あ~やりすぎたな~) 郁乃(松実ちゃん張ってそうやから~)トン 宥「ロン、16000です」 郁乃「はいはい~」 澄子(さ、最後の親番が……) オーラス 郁乃 218600 宥 110600 澄子 48000 親 花子 22800 澄子(テンパイ…さっきまで粘りますよ!) 花子(劔谷折れねえな……こっちはテンパイできてねえってのに) 宥(玄ちゃん、点棒取り返したよ) 郁乃(あ~とは) 郁乃(無難に華麗に店じまいや~) 郁乃(店じまいの意味ちゃうけどな~) 澄子(これでオーラスに和了れば私も目立てるはずです!)トン 郁乃「ロン、6400」 郁乃「終わりやで~」 澄子「……え?」 えり「次鋒戦決着ー!」 終局 三箇牧 225000 (+9200) 阿知賀 110600 (+66800) 劔谷 41600 (-49600) 越谷 22800 (-26400) えり「阿知賀は最下位から一気に2位へ」 えり「和了りは役満、数え役満、倍満と圧倒的な火力」 えり「越谷、劔谷はともに順位を落としています」 えり「そして三箇牧はリードを保ちトップ、となりました」 えり「役満ツモが3回もありましたが、戒能プロはどう思いましたか?」 良子「どう考えたっておかしいだろこんなの」 えり「中堅戦は、休憩をはさんで開始です」 ―――――――――――― エイスリン「セイロン!」 照「正論」 憩「正論やな」 咏「このまんまだと飛んじまうけどいいんかい?」 エイスリン「ソレハダメ」 咏「んー、どうすりゃいいかわっかんねぇな」 咏「ま、てきとーにやってくるわ」 霞「行ってらっしゃーい」 照「そういえば、京は?」 憩「もう出て行ったで」 京太郎「俺も役満和了ってみたいなぁ……」 京太郎「と、菓子屋に到着だ」 京太郎「ん?あれは……」 郁乃「ほなまた後でな~」 ??「頑張ってな」 アリガトウゴザイマシター 郁乃「善野ちゃん元気そうでよかったわ~」 京太郎「ああ、今の人が善野さんですか」 郁乃「きょ、京太郎くん!?」 京太郎「郁乃さんが驚くなんて珍しいですね」 郁乃「な、なんでここに?」 京太郎「照に菓子買ってきてって言われたんで。あ、もちろん郁乃さんの分もありますよ」 京太郎「焼きプリンとかシュークリームとか」 郁乃「…………」 京太郎「郁乃さん?」 郁乃「そ、そっか~おおきにやで~」 郁乃「ほな私ちょっとお花摘み行ってくるわ~」 京太郎「い、郁乃さん?」 郁乃「ごめんな~」タッタッ 京太郎「何の話をしてたんだろう?」 郁乃(今の話、京太郎くんに聞かれたんかな……) ――――――――――― 咏「お、お前たしか浜名湖にいなかったかぃ?」トテトテ 憧「いたけど、それが?」テクテク 咏「ふ~ん、ま、今日はよろしくねぃ~」トテトテ 咏(やけに大人っぽいけど……) 憧(やたら小っちゃいけど……) 咏(こいつ、本当に高一かよ……) 憧(この子、本当に高一なの……?)