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※予告なく内容に変更が生じる場合があります。あらかじめご了承ください※ デモ参加不可の方のためにポスティングも開催します! ▼告知用ビラ▼ ■□運営指定プラカードはこちら□■ 日時:5月29日(土) ※雨天決行予定 14 30 神宮通公園 集合 15 00 出発 16 00 代々木公園 流れ解散 より大きな地図で 第3回 子ども手当再審義要求デモ@東京 を表示 注意事項: ・ノボリ、横断幕、拡声器は運営が準備いたします ・個人での持ち込みはHPにある運営指定のプラカードのみOKです。 ※より一般市民が参加しやすいデモを目指すため、国旗の持ち込みをご遠慮いただいております。 申し訳ありませんがご了承くださいますようお願いいたします。 ・当日は普段着でお越し下さい。特攻服や着ぐるみ等でのご参加はご遠慮ください。 ・特定の政党、人物、団体への誹謗・中傷はご遠慮ください。 ・途中参加は原則禁止とさせていただきます。 ※多少の遅刻する程度は問題ありません(そこまで厳密ではありません) 事前にわかっている場合などは、コメント等でご質問下さい。 ・外部からの挑発があっても決してのらず、安全なデモを心がけましょう。 ・ネックホルダーを配布しますので、デモ行進中は必ず身につけてください。 ・当日は撮影が入ります。必要に応じてマスク、サングラスなどをご用意ください。 ・体調が悪い場合はすぐにお近くのスタッフに申し出てください。 ・上記注意事項を守れない場合、やむをえず退場していただく場合がございます。ご了承ください。 =============================================================== ■□重要事項□■ このデモの趣旨 今回のデモは、子ども手当法に関する問題点を一般の方に提起するデモです。 参加者の皆さんには、この点を理解したうえでの行動をお願いいたします。 一般の方が目をそむけるようなものでは意味がありません。 上記注意事項を守り、安全なデモを心がけましょう。 =============================================================== 主催:子ども手当再審議要求デモ実行委員会 お問い合わせ:050-5534-9192 ※メールフォームもご活用ください ※時間帯によっては留守番電話となりますが、 ※折り返しご連絡させていただきます。 ◆◇デモサポーター募集◇◆ 今回のデモのサポートをしていただける方を募集しております。 参加者の誘導や参加受付、デモの隊列整理などです。 サポーターの方には、当日13 30に集合していただき、 作業の説明・分担などをおこないます。 あらかじめ参加者の数を把握するため、以下のいずれかで参加表明をお願いいたします。 また、お手数をおかけして申し訳ないのですが、不正投票などを防止する為、合わせてコメント欄にて一言メッセージをお願いします! 選択肢 投票 参加します (18) 参加できると思います (6) 今回は応援で協力します (12) 今回参加できませんが応援してます!これからも頑張ってほしいです。 -- (名無しさん) 2010-05-20 02 07 23 参加します! -- (シマ) 2010-05-20 20 13 26 スタッフで参加しますー -- (ks) 2010-05-20 23 32 09 多分今回は暇してると思うのでっ! -- (Secien) 2010-05-21 01 09 10 今回のデモは支給前最後のものですね。このおかしな子ども手当てをまだ気付いていない人に気付いてもらいましょう。 -- (名無しさん) 2010-05-21 13 11 14 参加します -- (つな) 2010-05-22 00 35 44 参加します -- (タツ) 2010-05-22 00 39 03 離れた地域におりますがポスティングします。 -- (石黒ホワイトニフ) 2010-05-22 07 23 29 同日、口蹄疫のデモに参加しますので、時間的に微妙ですが、間に合えばこちらにも参加したいと思います。 -- (mr) 2010-05-22 10 00 20 参加したいです -- (nanasi) 2010-05-22 15 52 36 参加します -- (7市) 2010-05-23 20 21 13 参加希望。ポスティングして拡散しましたよ! -- (市松) 2010-05-23 21 59 46 今日はお疲れさまでした。もち参加します -- (うり坊) 2010-05-23 22 53 31 参加します -- (風の中の旗) 2010-05-25 04 08 24 参加します -- (チョス) 2010-05-25 14 02 44 参加します。 -- (こけん) 2010-05-25 18 52 42 応援します -- (名無しさん) 2010-05-26 18 07 38 今回は参加できませんが応援してます!頑張ってください! -- (jelita) 2010-05-26 18 27 53 このデモ終わったら、カネかけてつくった横断幕は、どうするの? -- (で、) 2010-05-26 23 49 04 参加したかったのですが行けません‥応援してます -- (みー) 2010-05-27 00 16 46 参加したい。口蹄疫の方も参加したい -- (名無しさん) 2010-05-27 07 07 31 口蹄疫デモに続けて、参加します。 -- (あんどれ) 2010-05-27 23 08 06 参加できないと思います。頑張ってください! -- (ぎゅどn) 2010-05-28 01 09 33 参加できるとおもいます -- (56) 2010-05-28 08 31 35 口蹄疫デモも子ども手当デモも・・頑張ります! -- (yuki) 2010-05-28 13 09 21 口蹄疫デモと子ども手当デモ、両方参加します -- (じーたん) 2010-05-28 20 24 37 今回は参加できませんが応援してます!! -- (もり) 2010-05-28 21 22 07 今回は参加できませんが、次の機会があればぜひ! -- (うさぎ) 2010-05-29 02 15 21 参加します! -- (kura) 2010-05-29 11 04 27 参加致します。皆さん 頑張りましょう!! -- (seahorse) 2010-05-29 11 08 41 今日はお疲れさまでした。2袋ほど持ち帰った子供手当てデモのビラを、最寄駅から自宅までの道すがらポスティングして、まき終えました。 -- (うり坊) 2010-05-30 00 23 58 今日はお疲れ様です!ダブルブッキングは疲れましたw -- (ぎゅどん) 2010-05-30 01 27 28 わたしもさすがに疲れましたw -- (きま@運営) 2010-05-30 13 02 12 昨日はお疲れさまでしたー。気付けば12時間爆睡ですた。 -- (ks) 2010-05-30 15 17 30 名前 コメント すべてのコメントを見る
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「コドモテアテ!子ども手当!子供いればお金もらえると聞いた!お金ください!」中国人、朝鮮人に我々の税金が吸い取られています。早く何とかしなければならないので参加したいです。 -- (maru) 2010-03-30 16 47 50
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参加!参加!参加!自分達と子ども、日本の将来を守りたいです! -- (lita) 2010-03-29 14 00 57
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今年も子どもの日がやってまいりました。 子どもの日は、星鋼京、そして帝國の未来を担う子ども達が健やかに成長する事を祈願する為に設けられた日です。 それは、同時に子どもたちを守り育てる家庭に対して感謝と敬意を払うものでもあります。 子どもたちと子どもたちを守り育てる家庭は、帝國の礎であり、この日を通じてそれを守る大切さを改めて思う日として頂ければ、この上もありません。 この日を祝し、星鋼京政府より国内の子どもが居られるご家庭に対し、祝菓子を配布致します。 期間中はI=D編隊によるセレモニーや近衛兵によるパレード、介添人による職業体験、職人街での作成体験等楽しい企画も用意しております。 また、今年の近衛兵のパレードは王犬さまと元王犬さまの御三匹が馬車で先頭に立たれます。 ご家族にて足をお運びになられて、子どもたちの健やかなる成長を祈念して頂ければ、これに勝る喜びはありません。 なお今月は子どもの日にちなんで、藩王ご夫妻が1ヶ月かけられて各学校や孤児院をご訪問されるご予定です。 1.祝菓子の配布 星鋼京国内にて、未成年の子供がいる各家庭に祝菓子を配布する。 2.期間中の催事 子どもの日期間中、以下の催事を行う。 天球市・第0番区にて、RTR一般公開。 I=D編隊によるセレモニー。 王犬ヌル・ツーさま、元王犬のコガネマルさま、ヌルさまの馬車によるパレード。 近衛兵によるパレード。 ティアクライスの衛士・介添人による職業体験会。 天球市・第8番区にて、ティーカップやティースプーンなどの作成体験会。 3.期間中の警備 第0番区は特別警戒態勢で挑むこと。 特に第0番隊は増員も視野にいれておく。 王犬さまパレードの際は、第0番隊が直衛の警備に当たること。 文責 双海 環 確認 星鋼京藩王 セタ・ロスティフンケ・フシミ 子爵 また、本件に関して藩王よりのメッセージがあります。 ◆藩王のメッセージ 国民の皆様、セタ・ロスティフンケ・フシミです。 本日5月5日は子どもの日です。 世の全ての子は、多くの国にとって、掛け替えの無い宝であると、私は信じています。 そこに犬も猫も無く、ただ平等に愛し、慈しむ事ができたならば、どれほど素敵なことでしょうか。 私は、その理想――夢が、実現する日が来るよう、この国と共に歩いて行きたいと思います。 その為にも、この国の大人の方々。 ご家庭のみならず近隣周辺の子がいれば本日は常よりも尚、言葉を掛け、触れあい――つまり、愛を注いであげてください。 いずれ大人になった時、今日の良き日が思い出になる……そんな素敵な日になるよう、国民の大人の皆様もご協力をお願いします。 そして、この国と、帝國、そして共和国も含めた世の全ての子たちへ。 君たちが今日という日の主役です。 存分に思い出として残る日にしてください。 いつか、貴方たちが大人になった日のために。 星鋼京藩王 セタ・ロスティフンケ・フシミ 子爵 /*/ ◆金庫番向情報 質疑掲示板根拠URL:独自判断による消費 42:食料-1万t 42:資金-1億わんわん
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一般的意見23(2017年):出身国、通過国、目的地国および帰還国における、国際的移住の文脈にある子どもの人権についての国家の義務 一般的意見一覧 CMW/C/GC/4-CRC/C/GC/23 配布:一般(2017年11月16日) 原文:英語 日本語訳:平野裕二(日本語訳PDF) 出身国、通過国、目的地国および帰還国における、国際的移住の文脈にある子どもの人権についての国家の義務に関する合同一般的意見: すべての移住労働者およびその家族構成員の権利の保護に関する委員会の一般的意見4号(2017年) および子どもの権利委員会の一般的意見23号(2017年)〔注〕 注/この合同一般的意見は、国際的移住の文脈における子どもの人権についての一般的原則に関する合同一般的意見(すべての移住労働者およびその家族構成員の権利の保護に関する委員会の一般的意見3号〔2017年〕および子どもの権利委員会の一般的意見22号〔2017年〕)とあわせて参照されるべきである。 【訳者注】煩雑さを避けるため、以下の訳では、「すべての移住労働者およびその家族構成員の権利の保護に関する国際条約」は移住労働者権利条約、「すべての移住労働者およびその家族構成員の権利の保護に関する委員会」は移住労働者権利委員会と略称する。/なお、以下の目次は訳者が付け加えたものである。 I.はじめに(パラ1-2) II.自国の領域において国際的移住の文脈にある子どもの権利を保護する締約国の法的義務(パラ3-63)A.年齢(パラ3-4)) B.身体の自由に対する権利(移住労働者権利条約第16条および第17条;子どもの権利条約第37条)(パラ5-13) C.適正手続上の保障および司法へのアクセス(移住労働者権利条約第16条、第17条および第18条;子どもの権利条約第12条および第40条)(パラ14-19)) D.名前、アイデンティおよび国籍に対する権利(移住労働者権利条約第29条;子どもの権利条約第7条および第8条)(パラ20-26)1.出生登録(パラ20-22) 2.国籍に対する権利および無国籍とならないための保障措置(パラ23-26) E.家族生活(移住労働者権利条約第14条、第17条および第44条;子どもの権利条約第9条、第10条、第11条、第16条、第18条、第19条、第20条および第27条(4))(パラ27-38)1.分離の禁止(パラ28-31) 2.家族再統合(パラ32-38) F.あらゆる形態の暴力および虐待(搾取、児童労働および誘拐を含む)ならびに子どもの売買または取引からの保護(移住労働者権利条約第11条および第27条;子どもの権利条約第19条、第26条、第32条、第34条、第35条および第36条)(パラ39-44) G.経済的搾取(法定年齢未満の労働および危険な労働を含む)からの保護、雇用条件および社会保障に対する権利(移住労働者権利条約第25条、第27条、第52条、第53条、第54条および第55条;子どもの権利条約第26条および第32条)(パラ45-48) H.十分な生活水準に対する権利(移住労働者権利条約第45条;子どもの権利条約第27条)(パラ49-53) I.健康に対する権利(移住労働者権利条約第28条および第45条;子どもの権利条約第第23条、第24条および第39条)(パラ54-58) J.教育および職業訓練に対する権利(移住労働者権利条約第30条、第43条および第45条;子どもの権利条約第28条、第29条、第30条および第31条)(パラ59-63) III.国際協力(パラ64-65) IV.合同一般的意見の普及および報告(パラ66-68) I.はじめに 1.移住労働者権利条約と子どもの権利に関する条約には、子どもおよび移住者の人権の保護に一般的にも具体的にも関連する、法的拘束力のある一定の義務が掲げられている。いずれの条約にも、出身国、通過国、目的地国および帰還国における、国際的移住の文脈にある子どもの権利に関連する具体的義務を定めた規定が複数掲げられているところである [1]。 [1] 子どもの権利条約の締約国は、第4条(権利の実施)を第2条(差別の禁止)とあわせて解釈することにより、自国の管轄内にあるすべての子どもに対する経済的、社会的および文化的権利〔の保障〕について、自国の利用可能な手段を最大限に用いることにより、かつ、国際法にしたがって即時的に適用される義務を損なうことなくこれらの権利の全面的実現を漸進的に達成する目的で、措置をとる義務を負っている。子どもの権利委員会・一般的意見19号(子どもの権利実現のための公共予算編成、2016年)、パラ28-34参照。 2.この合同一般的意見は、国際的移住の文脈における子どもの人権についての一般的原則に関する合同一般的意見(すべての移住労働者およびその家族構成員の権利の保護に関する委員会の一般的意見3号〔2017年〕および子どもの権利委員会の一般的意見22号〔2017年〕)と同時に採択されたものである。同一般的意見とこの一般的意見はいずれもそれ自体で独立した文書ではあるが、両者は相互に補完しあうものであり、あわせて参照しかつ実施することが求められる。これらの文書の起草過程では、2017年5月から7月にかけて、バンコク、ベイルート、ベルリン、ダカール、ジュネーブ、マドリードおよびメキシコシティにおいて、主要な関係者および専門家(子どもたちおよび移住者団体を含む)の代表の参加を得て一連の国際的・地域的協議も行なわれた。加えて、両委員会のもとには、2015年11月から2017年8月にかけて、世界のあらゆる地域の国々、国際連合機関および関係組織、市民社会組織、国内人権機関ならびにその他の関係者から80件以上の意見書が寄せられた。 II.自国の領域において国際的移住の文脈にある子どもの権利を保護する締約国の法的義務 A.年齢 3.子どもの権利条約に基づく子どもの定義は、18歳までの権利および保護を定めている。両委員会は、15~18歳の子どもの保護の水準がはるかに低くなる傾向にあり、かつ、この年齢層の子どもが成人として扱われ、または18歳に達するまで移住者資格が曖昧なまま放置されることもあることを懸念するものである。国は、15歳以上の子どもを含むすべての子どもに対し、かつその移住者資格にかかわらず、平等な水準の保護が提供されることを確保するよう促される。子どもの代替的養護に関する指針 [2] にしたがい、国は、子ども(とくに養護環境を離れる子ども)が18歳に近づくにつれてフォローアップ、支援および移行のための十分な措置を提供するべきである。そのための手段には、長期的な正規の移住者資格および教育修了のための合理的機会へのアクセス、人間にふさわしい仕事へのアクセスならびにこれらの子どもが暮らす社会への統合を確保することなどが含まれる [3]。子どもは、このような移行期間中に自立生活に向けて十分な準備をできるようにされるべきであり、また権限のある公的機関は個々の状況の十分なフォローアップを確保するべきである。両委員会は加えて、各国に対し、18歳を超えても保護措置および支援措置をとるよう奨励する。 [2] 国連総会決議64/142付属文書。 [3] 子どもの権利委員会「国際的移住の文脈におけるすべての子どもの権利についての一般的討議(2012年)の報告」、パラ68-69参照。www.ohchr.org/Documents/HRBodies/CRC/Discussions/2012/DGD2012ReportAndRecommendations.pdf より入手可。 4.十分な情報に基づく年齢の推定を行なうため、国は、専門の小児科医または発達のさまざまな側面を統一して理解することに熟達したその他の専門家が実施する、子どもの身体的および心理的発達の包括的評価を行なうべきである。このような評価は、子どもが理解する言語による子ども(および適当な場合には同伴している成人)の面接も含め、迅速な、子どもにやさしい、ジェンダーに配慮したかつ文化的に適切なやり方で行なうことが求められる。利用可能な文書は反証がないかぎり申請の文書と認められるべきであり、また子どもおよびその親または親族による陳述が検討されなければならない。評価の対象とされている者に対しては灰色の利益が認められるべきである。国は、とくに骨および歯の検査による分析に基づく医学的手法の使用を控えることが求められる(このような手法は、大きな誤差をともなう不正確な結果をもたらす場合があるとともに、外傷体験をともない、かつ不必要な法的手続につながる可能性もある)。国は、自国の認定について再審査または適切な独立機関への不服申立てが行なえることを確保するべきである。 B.身体の自由に対する権利(移住労働者権利条約第16条および第17条;子どもの権利条約第37条) 5.すべての子どもは、いかなるときにも、身体の自由および入管収容からの自由に対する基本的権利を有する [4]。子どもの権利委員会は、子ども自身またはその親の移住者資格を理由とするいかなる子どもの拘禁も子どもの権利の侵害であり、かつ子どもの最善の利益の原則に違反すると主張してきた [5]。このことに照らし、両委員会とも、子ども自身またはその親の移住者資格に関連した理由による子どもの収容はけっして行なわれるべきではないと主張してきたのであり、国は、子どもの入管収容を迅速かつ完全に中止しまたは根絶することが求められる。いかなる種類の子どもの入管収容も法律で禁止されるべきであり、かつ当該禁止規定が実務上も全面的に実施されるべきである。 [4] 子どもの権利条約第37条;移住労働者権利条約第16条および第17条;世界人権宣言第3条および第9条;市民的および政治的権利に関する国際規約第9条。 [5] 子どもの権利委員会・2012年の一般的討議の報告、パラ78参照。また、自由を奪われたすべての者の裁判所における提訴の権利についての救済措置および手続に関する国際連合基本原則および指針(A/HRC/30/37付属文書)の、とくに原則21(パラ46)および指針21も参照。 6.入管収容とは、両委員会の理解によれば、子どもから自由を剥奪する行為の名称および理由または子どもが自由を奪われる施設もしくは場所の名称にかかわらず、子ども自身またはその親の移住者資格に関連した理由で子どもが自由を奪われるすべての場面をいう [6]。「移住者資格に関連した理由」とは、両委員会の理解によれば、両委員会がこれまで示してきた指針にのっとって非正規な入国または滞在に関わるものか否かにかかわらず、ある者の移住者資格もしくは在留資格またはその欠如をいう。 [6] 自由の剥奪は、拷問および他の残虐な、非人道的なまたは品位を傷つける取扱いまたは刑罰を禁止する条約の選択議定書第4条(2)において、「いずれかの司法機関、行政機関その他の公的機関の命令によるあらゆる形態の拘禁もしくは収監または公的もしくは私的な身柄拘束環境への措置であって、対象とされた者がみずからの意思で離れることを許されないもの」と定義されている。自由を奪われた少年の保護に関する国際連合規則の規則11は、「本規則の適用上、以下の定義が用いられなければならない。…… (b) 自由の剥奪とは、いずれかの司法機関、行政機関その他の公的機関の命令によるあらゆる形態の拘禁もしくは収監または公的もしくは私的な身柄拘束環境への措置であって、対象とされた者がみずからの意思で離れることを許されないものを指す」としている。 7.加えて、子どもの権利委員会と移住労働者権利委員会はいずれも、子どもは子ども自身またはその親の移住者資格を理由として犯罪者として扱われまたは懲罰的措置(収容など)の対象とされるべきではないと強調してきた [7]。非正規な入国および滞在は、それ自体、人身、財産または国の安全に対する犯罪ではない [8]。非正規な入国および滞在を犯罪化することは、非正規な移住を管理しかつ規制する締約国の正当な利益を超えており、かつ不必要な拘禁につながる。 [7] 子どもの権利委員会・2012年の一般的討議の報告、パラ78参照。 [8] 移住労働者権利委員会・一般的意見2号(非正規な状態にある移住労働者およびその家族構成員の権利、2013年)、パラ24。 8.子どもの権利委員会は、保護者のいない子どもおよび養育者から分離された子どもとの関連で、子どもはその自由を奪われるべきではなく、かつ、子どもが保護者のいないもしくは養育者から分離された状態にあることまたはその移住者資格もしくは在留資格もしくはその欠如のみを理由として収容を正当化することはできない旨、2005年に指摘した [9]。 [9] 子どもの権利委員会・一般的意見6号(出身国外にあって保護者のいない子どもおよび養育者から分離された子どもの取扱い、2005年)、パラ61参照。 9.両委員会は、いかなる自由の剥奪にも内在する有害性、および、入管収容が、たとえ子どもが短期間または家族とともに収容される場合であっても、子どもの身体的および精神的健康ならびに発達に及ぼす悪影響を強調する。拷問および他の残虐な、非人道的なまたは品位を傷つける取扱いまたは刑罰関する特別報告者は、「入管行政執行の文脈において……子ども自身またはその親の移住者資格を理由とする子どもの自由の剥奪は、けっして子どもの最善の利益に合致せず、必要性の要件を逸脱しており、かつ著しく比例性を欠いたものとなるとともに、移住者である子どもの残虐な、非人道的なまたは品位を傷つける取扱いに相当する場合がある」と指摘している [10]。 [10] A/HRC/28/68、パラ80参照。 10.子どもの権利条約第37条(b)は、子どもの自由の剥奪は最後の手段としてかつもっとも短い適切な期間でのみ行なうことができるという一般的原則を定めている。しかし、非正規な入国または滞在に関わる法律違反は、いかなる状況下でも、犯罪の実行から生じるものと同様の結果はもたらさない [11]。したがって、最後の手段としての子どもの拘禁が認められていることは、少年刑事司法のような他の分野では適用できる場合があっても、出入国管理手続においては適用されない。このような場合の拘禁は、子どもの最善の利益の原則および発達に対する権利に抵触するためである。 [11] 移住労働者権利委員会・一般的意見2号、パラ24参照。また、子どもの権利委員会・2012年の一般的討議の報告、パラ78も参照。同趣旨の指摘として、恣意的拘禁に関する作業部会の報告書(A/HRC/13/30)、パラ58ならびに移住者の人権に関する特別報告者の報告書(A/HRC/20/24)、パラ31および38参照。 11.このような対応に代えて、国は、子どもが、その出入国管理上の地位についての解決が図られ、かつ子どもの最善の利益評価が行なわれている間および子どもが帰還するまでの間、収容をともなわない、コミュニティを基盤とする環境において家族構成員および(または)後見人とともに滞在できるようにする立法、政策および実務を通じ、子どもの最善の利益を、人身の自由および家族生活に対する子どもの権利とともに充足する解決策をとるべきである [12]。子どもに保護者がいない場合、このような子どもは、子どもの代替的養護に関する指針にしたがい、代替的な養護および居住場所の形態をとった、国による特別な保護および援助を受ける資格を有する [13]。子どもに保護者がいる場合、家族がともにいられるようにする必要性は、子どもの自由の剥奪を正当化する有効な理由とはならない。家族がともにいられるようにすることが子どもの最善の利益によって求められるときは、子どもから自由を剥奪してはならないという絶対的要件が子どもの親に対しても及ぶのであり、公的機関は、家族全体を対象として収容をともなわない措置を選択しなければならない [14]。 [12] 子どもの権利委員会・2012年の一般的討議の報告、パラ79参照。 [13] 子どもの権利委員会・一般的意見6号、パラ39-40参照。 [14] A/HRC/20/24、パラ40、米州人権裁判所「移住の文脈にある子どもおよび(または)国際保護を必要とする子どもの権利および保障」(勧告的意見OC.21/14、2014年8月19日)、パラ159およびA/HRC/28/68、パラ80参照。 12.したがって、子どもおよび家族の入管収容は法律で禁じられるべきであり、かつ政策および実務においてその廃止が確保されるべきである。収容に充てられる資源は、子どもおよび該当する場合にはその家族に対応する権限のある子ども保護機関が実施する、収容をともなわない解決策に向けることが求められる。子どもおよび家族に対して用意される措置は、子どもまたは家族の自由を何らかの形で剥奪することをともなうものであるべきではなく、かつ、執行ではなくケアおよび保護の倫理に基づいたものであるべきである [15]。これらの措置は、子どもの最善の利益にのっとった事案の解決に焦点を当て、かつ、子どもの権利の包括的保護を確保することによって子どものホリスティックな発達を可能にするために必要なあらゆる物質的、社会的および情緒的条件を提供するようなものであることが求められる。独立の公的機関および市民社会組織が、これらの便益または措置を恒常的に監視できるようにされるべきである。子どもおよび家族は、何らかの入管収容が執行された場合には効果的救済措置にアクセスできるべきである。 [15] 子どもの代替的養護に関する指針参照。 13.両委員会の見解では、国際的移住の文脈にある子どもについては子どもの保護および福祉に関連する機関が第一次的責任を負うべきである。移住者である子どもが最初に出入国管理当局によって発見された場合、子どもの保護または福祉を担当する行政官が直ちに通告を受け、かつ保護、滞在場所その他のニーズに関わる子どものスクリーニングを担当することが求められる。保護者のいない子どもおよび養育者から分離された子どもは、国/地方の代替的養護制度に措置するべきである(家庭的養護が利用可能な場合には子ども自身の家族とともに当該養護に、家庭が利用できない場合にはその他の形態のコミュニティ養護に、措置することが望ましい)。これらの決定は、子どもに配慮した適正手続の枠組み(意見を聴かれ、司法にアクセスし、かつ自由の剥奪につながりうるいかなる決定についても裁判官に対して異議を申し立てる子どもの権利を含む)の枠組みのなかで行なわれなければならず [16]、かつ、ジェンダー、障害、年齢、精神的健康、妊娠その他の状態に基づくものを含む子どもの脆弱性およびニーズを考慮したものであることが求められる。 [16] 自由を奪われたすべての者の裁判所における提訴の権利についての救済措置および手続に関する国際連合基本原則および指針の、とくに指針18参照(A/HRC/30/37、パラ100)。 C.適正手続上の保障および司法へのアクセス(移住労働者権利条約第16条、第17条および第18条;子どもの権利条約第12条および第40条) 14.司法へのアクセスはそれ自体が基本的権利であり、かつ他のすべての人権の保護および促進の前提条件であるので、国際的移住の文脈にある子どもが自己の権利を主張できるようエンパワーされるうえで何よりも重要である。締約国は、その責任として、司法への公正、実効的かつ迅速なアクセスを確保するための構造的および積極的介入を行なわなければならない。子どもの権利委員会は、条約の実施に関する一般的措置についての一般的意見5号(2003年)で、実効的な救済のためには効果的かつ子どもに配慮した手続が必要であると指摘した。委員会はさらに、当該手続においては、行政上および司法上の手続が子どものニーズおよび発達に適合したものとなり、かつこのようなあらゆる手続において子どもの最善の利益が第一次的に考慮されることを確保するため、一定の具体的措置がとられることを保障するべきであるとしている。 15.両委員会は、国が、自国の法律、政策、措置および実務において、子どもおよび(または)その親の権利に影響を及ぼす、移住および庇護に関わるすべての行政手続および司法手続における子どもに配慮した適正手続が保障されることを確保するべきであるという見解に立つ。すべての子ども(親その他の法定保護者とともにいる子どもを含む)は権利を保有する個人として扱われるべきであり、その子ども特有のニーズが平等にかつ個別に考慮されなければならず、またその意見は適切に聴取されかつ正当に重視されなければならない。子どもは、すべての決定が子どもの最善の利益にのっとって行なわれることを保障するため、自分自身またはその親の状況に関する決定に対する行政上および司法上の救済措置にアクセスできなければならない [17]。子どもの権利に悪影響を及ぼす可能性のある移住/庇護手続(家族再統合手続を含む)における不当な遅延を回避するための措置がとられるべきである。子どもの最善の利益に反しないかぎり、いかなる適正手続上の保障も制限されないことを条件として、速やかな手続を奨励することが求められる。 [17] 子どもの権利委員会・2012年の一般的討議の報告、パラ75参照。 16.子どもは、その権利が侵害された場合には、裁判所、行政審判所、または子どもが容易にアクセスできるより下層の他の機関(たとえば子ども保護施設および若者施設、学校ならびに国内人権機関)において苦情を申し立てることができるべきであり、かつ、子どもおよび移住問題について専門的知識を有する専門家の、子どもにやさしいやり方による助言および代理を受けられるべきである。国は、移住者、庇護希望者および難民である子どもに対して無償のかつ良質な法的助言および代理を提供すること(地方公的機関の養護を受けている保護者のいない子どもおよび養育者から分離された子どもならびに在留資格のない子どもが平等にアクセスできることを含む)についての指針を公的機関に示すための、統一的政策を確保することが求められる [18]。 [18] 人権理事会決議25/6。米州人権裁判所・勧告的意見OC.21/14(2014年8月19日)、パラ108-143も参照。 17.より具体的には、かつとくに最善の利益評価の文脈および最善の利益認定手続においては、子どもに対して以下の権利が保障されるべきである。 (a) 必要書類の有無にかかわらず領域にアクセスする権利、および、手続的保障を確保しながら子どもの権利の保護観点によるニーズ評価を担当する公的機関に付託される権利。 (b) 手続の存在、ならびに、出入国管理手続および庇護手続の文脈で行なわれた決定、その意味するところおよび不服申立ての可能性について告知される権利。 (c) 出入国管理手続を専門行政官または裁判官に行なわせる権利、および、面接が実施される場合、子どもとのコミュニケーションの訓練を受けた専門家による本人面接を実施させる権利。 (d) 手続のあらゆる段階で意見を聴かれかつ参加する権利、および、翻訳者および(または)通訳者による無償の援助を受ける権利。 (e) 領事官との連絡手段および領事官による援助に実効的にアクセスし、かつ子どもに配慮した、権利を基盤とする領事保護を受ける権利。 (f) 子どもの代理に関する訓練を受けかつ(または)経験を有する弁護士の援助を手続のあらゆる段階で受け、かつ代理人と自由に連絡する権利および無償の法的援助にアクセスする権利。 (g) 子どもが当事者である申請および手続を、手続のために十分な時間があることおよびあらゆる適正手続上の保障が維持されることを確保しつつ、優先的に取り扱わせる権利。 (h) 決定について、上訴裁判所または独立の公的機関に対し、執行停止効をともなう不服申立てを行なう権利。 (i) 保護者のいない子どもおよび養育者から分離された子どもについて、その最善の利益の尊重を確保するための主要な手続的保障として機能する、資格のある後見人を可能なかぎり迅速に任命される権利 [19]。 (j) 手続全体を通じて、その後見人および法的助言者とともに、自己の権利に関する情報および自己に影響を与える可能性のあるすべての関連情報を含む情報を全面的に提供される権利。 [19] 子どもの権利委員会・一般的意見6号、パラ20-21および33-38参照。 18.両委員会は、移住者資格が不安定かつ不確かであることが子どものウェルビーイングに及ぼす悪影響を認識する。したがって両委員会は、国が、子どもがさまざまな根拠(在留期間など)によって自己の地位を正規化できるようにするための、明確なかつアクセスしやすい地位認定手続が存在することを確保するよう勧告するものである。 19.両委員会は、移住労働者権利条約第7条(a)、第23条および第65条(2)とあわせて子どもの権利条約を包括的に解釈することにより、子どもの権利の保護に向けた具体的措置(領事職員を対象として2つの条約およびその他の人権文書に関する継続的研修を実施すること、領事保護業務に関する標準業務要綱を推進することなど)を含む、効果的な領事保護政策の策定および実施が求められると理解するべきであるとの見解に立つ。 D.名前、アイデンティおよび国籍に対する権利(移住労働者権利条約第29条;子どもの権利条約第7条および第8条) 1.出生登録 20.出生登録が行なわれない場合、児童婚、人身取引、強制徴集および児童労働など、子どもの権利の享受に多くの悪影響が生じる可能性がある。出生登録はまた、子どもの人権侵害を行なった者に有罪判決を言い渡すうえでも役立つ可能性がある。登録されていない子どもは、非正規な移住状況にある親から生まれた場合、親の出身国における国籍の取得ならびに出生地における出生登録および国籍へのアクセスを妨げる障壁のために、無国籍となるおそれがとりわけ強い [20]。 [20] 無国籍者の地位に関する条約第1条によれば、無国籍者とは「いずれの国家によっても、その法の運用において国民と認められない者」をいう。 21.両委員会は、締約国に対し、すべての子どもが、子ども自身の移住者資格またはその親の移住者資格にかかわらず、出生時に直ちに登録され、かつ出生証明書を発行されることを確保するためにあらゆる必要な措置をとるよう促す。出生登録を妨げる法律上および実務上の障壁は取り除かれるべきである。そのための手段には、保健サービス提供者または登録担当の公務員と出入国管理執行機関とのデータの共有を禁止すること、および、親に対して移住者資格に関する書類の提出を要求しないことなどが含まれる。期限後の出生登録を促進し、かつ期限後の登録に対する金銭的処罰を行なわないようにするための措置もとられるべきである。登録されていない子どもに対しても、保健ケア、保護、教育その他の社会サービスへの平等なアクセスを確保することが求められる。 22.子どもの身分証明書類が本人に代わって非正規に取得されたものであり、子どもが自己の身分証明書類の回復を要請する場合、締約国は、具体的には訂正された書類を発行し、かつ偽造が行なわれた場合の訴追を行なわないようにすることにより、子どもの最善の利益にのっとった柔軟な措置をとるよう奨励される。 2.国籍に対する権利および無国籍とならないための保障措置 23.子どもの権利条約第7条は、締約国は子どもの登録される権利、名前に対する権利、国籍を取得する権利および親を知りかつ親によって養育される権利の実施を確保しなければならないと規定することにより、無国籍の防止を強調している。同じ権利は、すべての移住労働者の子どもを対象として、移住労働者権利条約第29条にも掲げられている。 24.国は、自国の領域で出生したすべての子どもに国籍を付与する義務は負わないものの、すべての子どもが出生時に国籍を有していることを確保するため、国内的に、かつ他国とも協力しながら、すべての適切な措置をとるよう要求される。重要な措置のひとつは、自国の領域で出生した子どもに対し、国籍を付与しなければその子どもが無国籍となる場合に、出生時にまたは出生後可能なかぎり早期に国籍を付与することである。 25.子どもおよび(または)その親の人種、民族、宗教、ジェンダー、障害および移住者資格に関連するものを含む禁止事由に基づいて国籍の承継または取得についての差別を行なっている国籍法は、廃止されるべきである。さらに、あらゆる国籍法は、国籍に対するすべての子どもの権利が尊重され、保護されかつ充足されることを確保するため、滞在期間要件に関わる在留資格との関連も含めて非差別的な方法で実施することが求められる。 26.国は、自国の領域で出生した子どもに対し、国籍を付与しなければ無国籍となる状況下で国籍を付与するための措置を強化するべきである。母の国籍国の法律で子どもおよび(または)配偶者に国籍を付与する女性の権利が認められていない場合、子どもは無国籍のおそれに直面する可能性がある。同様に、婚姻に際して国籍を取得し、変更しまたは維持する女性の自律的権利が国籍法で保障されていない場合、国際的移住の状況にあって18歳未満で婚姻した女子は、無国籍となるおそれに直面し、または無国籍となることへの恐れのため人権侵害的婚姻から逃れられなくなる可能性がある。国は、女性差別である国籍法の改正のために即時的措置をとり、子どもおよび配偶者に国籍を付与する権利および国籍の取得、変更または維持に関わる権利を男女に平等に認めるべきである。 E.家族生活(移住労働者権利条約第14条、第17条および第44条;子どもの権利条約第9条、第10条、第11条、第16条、第18条、第19条、第20条および第27条(4)) 27.家族生活の保護に対する権利は、子どもの権利条約および移住労働者権利条約を含む国際的・地域的人権文書で認められている。したがってこの権利は、すべての子どもとの関連で、その在留資格または国籍上の地位にかかわらず、いかなる種類の差別もなく全面的に尊重され、保護されかつ充足されるべきである。国は、子どもの代替的養護に関する指針にしたがって主たる焦点として位置づけられるべきである家族の一体性(きょうだいを含む)の維持および分離の防止に関わる、自国の国際法上の義務を遵守することが求められる。家族環境に対する権利を保護しようとすれば、国は、家族の分離または家族生活に対する権利に対するその他の恣意的介入につながる可能性のある行動をとらないようにするだけではなく、家族の一体性を維持する(分離された家族構成員の再結合を含む)ための積極的措置もとらなければならないことが多い。子どもの権利委員会は、自己の最善の利益を第一次的に考慮される子どもの権利についての一般的意見14号(2013年)において、「親」〔訳者注/正しくは「家族」〕という文言は、生物学的親、養親もしくは里親、または適用可能なときは地方の慣習により定められている拡大家族もしくは共同体の構成員を含むものとして広義に解されなければならないと指摘している。 1.分離の禁止 28.移住者にとっての家族の一体性に対する権利は、国民ではない者の入域または自国の領域での滞在に関する決定を行なう際の国の正当な利益と交錯する場合がある。しかし、国際的移住の文脈にある子どもおよび家族は、そのプライバシーおよび家族生活に対する恣意的または不法な干渉の対象とされるべきではない [21]。ある家族構成員を締約国の領域から送還しもしくは退去させることによって家族を分離させること、またはその他の方法である家族構成員の入域もしくは領域での在留を許可しないことは、家族生活に対する恣意的または不法な干渉に相当する場合がある [22]。 [21] 自由権規約委員会・一般的意見15号(規約上の外国人の立場、1986年)、パラ7参照。 [22] 自由権規約委員会の、通報第2009/2010号(Ilyasov v. Kazakhstan 事件)における見解(2014年7月23日採択)、通報第2243/2013号(Husseini v. Denmark 事件)における見解(2014年10月24日採択)、通報第1875/2009号(M.G.C. v. Australia 事件)における見解(2015年3月26日採択)、通報第1937/2010号(Leghaei and others v. Australia 事件)における見解(2015年3月26日採択)および通報第2081/2011号(D.T. v. Canada 事件)における見解(2006年7月15日採択)。 29.両委員会は、入国または滞在関連の出入国管理法違反に基づく一方または双方の親の追放によって家族の一体性を破壊することは比例性を欠くという見解に立つ。家族生活の制限に固有の犠牲および子どもの生命および発達に対する影響が、出入国管理関連の不法行為を理由として領域を離れるよう親に強制することから得られる利益を下回ることはないからである [23]。移住者である子どもおよびその家族はまた、追放が家族生活および私生活に対する権利への恣意的干渉である場合にも保護されるべきである [24]。両委員会は、国が、非正規な状況下で子どもとともに在留している移住者を対象として、とくに子どもが目的地国で出生しておりもしくは長期間生活している場合または親の出身国への帰還が子どもの最善の利益に反する場合には、地位の正規化のための経路を用意するよう勧告する。親の追放が刑事犯罪を理由とするものである場合、比例性の原則ならびに人権に関わるその他の原則および基準も考慮しながら、その子どもの権利(自己の最善の利益を第一次的に考慮される権利および意見を聴かれ、かつ意見を真剣に受けとめられる権利を含む)が確保されるべきである。 [23] 米州人権裁判所・勧告的意見OC.21/14(2014年8月19日)、パラ280参照。 [24] 移住労働者権利委員会・一般的意見2号(2013年)、パラ50参照。 30.両委員会は、親による虐待およびネグレクト関連の懸念がないときに、子ども保護制度によって子どもが親から分離されて代替的養護に措置される場合があることを懸念する。金銭的もしくは物質的貧困またはこのような貧困を直接かつ唯一の原因とする環境が、子どもを親による養育から分離すること、子どもを代替的養護に受け入れることまたは子どもの社会的再統合を妨げることの唯一の正当化事由とされることは、けっしてあるべきではない。これとの関連で、国は、親または子どもの移住者資格にかかわらず、社会給付および子ども手当その他の社会支援サービスを提供すること等の手段により、親および法定保護者が子どもの養育責任を果たすにあたって適切な援助を提供するべきである。 31.両委員会はまた、子どもの権利条約第18条に基づき、移住の文脈における家族環境への子どもの権利に対する包括的アプローチにおいて、親が子どもの発達に関わる義務を履行できるようにすることを目的とした措置が構想されるべきであるとの見解に立つ。子どもおよび(または)その親の非正規な移住者資格がこのような目標を阻害しかねないことを考慮し、国は、正規のかつ非差別的な移住経路を利用できるようにするとともに、子どもおよびその家族が、家族の結合、労働関係および社会統合等の事由を根拠として長期的な正規の移住者としての地位または在留許可にアクセスできるようにするための、恒久的なかつアクセスしやすい機構を設けるべきである [25]。 [25] 子どもの権利委員会・2012年の一般的討議の報告、パラ91参照。また、移住労働者権利条約第69条も参照。 2.家族再統合 32.子どもの権利条約第10条に基づき、締約国は、家族再統合の申請が積極的、人道的および迅速な方法で取り扱われること(子どもと親の再統合の便宜を図ることも含む)を確保するものとされる。子どもとその親および(または)きょうだいとの関係が移住(親が子どもをともなわずに移住する場合または子どもが親および(または)きょうだいをともなわずに移住する場合)によって切断されている場合、家族再統合に関する決定において子どもの最善の利益を評価する際に、家族の一体性の保全について考慮するべきである [26]。 [26] 子どもの権利委員会・一般的意見14号(自己の最善の利益を第一次的に考慮される子どもの権利、2013年)、パラ66。 33.国際的移住の文脈にある在留資格のない子どもについて、国は、期限、裁量権限および(または)行政手続における不透明さによって家族再統合に対する子どもの権利が阻害されるべきではないことにとりわけ配慮しながら、指針を策定しかつ実施しなければならない。 34.保護者のいない子どもまたは養育者から分離された子ども(親の収容など出入国管理法の執行によって親から分離された子どもを含む)について、このような子どものために持続可能な、権利を基盤とする解決策(家族再統合の可能性を含む)を見出すための努力が、遅滞なく開始されかつ実施されるべきである。子どもの家族が目的地国、出身国または第三国にいる場合、通過国または目的地国の子ども保護・福祉機関は、できるかぎり早く家族構成員と連絡をとることが求められる。子どもが出身国、通過国および(または)目的地国にいる家族と再統合されるべきか否かの決定は、子どもの最善の利益が第一次的考慮事項として確認され、かつ家族再統合が考慮される、確固たる評価に基づいて行なわれるべきである。当該評価には、子どもがプロセスへの参加を保障される、持続可能な再統合計画も含めることが求められる。 35.出身国における家族再統合は、そのような帰還が子どもの人権侵害につながるであろう「合理的おそれ」がある場合には追求されるべきではない。出身国における家族再統合が子どもの最善の利益にかなうものではない場合または帰還を妨げる法的その他の障壁のために不可能である場合は、子どもの権利条約第9条および第10条に基づく義務が発動されるのであり、このような場合における、家族再統合に関する国の決定はこれらの義務によって規律されるべきである。親がその子どもと再統合できるようにし、かつ(または)子どもの最善の利益に基づいて親の地位を正規化するための措置を整備することが求められる。国は、子どもの最善の利益にのっとって家族再統合手続を迅速なやり方で終了させるため、このような手続を容易にするべきである。国は、家族再統合を確定する際、最善の利益認定手続を適用するよう勧告される。 36.目的地国が子どもとのおよび(または)その家族との再統合を拒否するときは、目的地国は、拒否の理由および不服申立てを行なう子どもの権利についての詳細な情報を、子どもに対し、子どもにやさしくかつ年齢にふさわしい方法で提供するべきである。 37.出身国に留まっている子どもは、目的地国にいる親および(または)年長のきょうだいと再統合しようとして、結果的に非正規なかつ安全ではない移住を行なってしまう場合がある。国は、子ども(出身国に留まっていて非正規に移住する可能性がある子どもを含む)が正規に移住できるようにするための、実効的なかつアクセスしやすい家族再統合手続を発展させるべきである。国は、移住者が分離を避けるために家族を正規に同伴できるようにする政策を策定するよう奨励される。手続においては、家族生活を促進し、かつ、いかなる制限も法律適合性、必要性および比例性を備えたものであることを確保することが追求されるべきである。この義務は第一次的には受入れ国および通過国が負うものだが、出身国も家族再統合を促進するための措置をとることが求められる。 38.両委員会は、財源が不十分であるために家族再統合に対する権利の行使がしばしば妨げられていること、および、十分な家族所得の証明がないことが再統合手続の障壁となりうることを認識する。国は、これらの子どもならびにその(両)親、きょうだいおよび該当する場合にはその他の親族に対し、十分な金銭的支援およびその他の社会サービスを提供するよう奨励される。 F.あらゆる形態の暴力および虐待(搾取、児童労働および誘拐を含む)ならびに子どもの売買または取引からの保護(移住労働者権利条約第11条および第27条;子どもの権利条約第19条、第26条、第32条、第34条、第35条および第36条) 39.国際的移住の文脈にある子ども、とくに在留資格のない子ども、無国籍の子ども、保護者のいない子どもまたは家族から分離された子どもは、移住のプロセス全体を通じ、出身国、通過国、目的地国および帰還先の国において、さまざまな形態の暴力(ネグレクト、虐待、誘拐および略奪、人身取引、性的搾取、経済的搾取、児童労働、物乞いまたは犯罪的活動および不法な活動への関与を含む)の被害を受けやすい立場に置かれる。このような子どもは、とくに非正規な形で渡航しまたは在留しているときに、国もしくは国以外の主体による暴力を経験し、または自分の親その他の者への暴力を目的するおそれがある。両委員会は、親責任および子どもの保護措置に関する管轄権、準拠法、承認、執行および協力に関する1996年10月19日のハーグ条約第6条に対し、各国の注意を喚起するものである。同条に基づき、締約国の司法当局または行政当局は、子どもの難民、および、自国で生じた騒乱のために国内避難民化し、かつその避難の結果として自国の領域にいる子どもとの関連で、子どもの人身または財産の保護のための措置をとる管轄権を有する。 40.両委員会はまた、制限的な移住政策または庇護政策(非正規な移住が犯罪とされていること、安全な、秩序だった、アクセスしやすくかつ負担可能な正規の移住経路が十分な形で存在しないことまたは十分な子ども保護制度が設けられていないことを含む)によって、移住者である子ども(保護者のいない子どもまたは養育者から分離された子どもを含む)が、移住のための渡航の最中におよび目的地国において、暴力および虐待の被害をとりわけ受けやすい立場に置かれるようになっていることも認識する。 41.子どもの不法な移送および不返還ならびに最悪な形態の児童労働(あらゆる形態の奴隷制、商業的性的搾取、物乞いを含む不法な活動のための子どもの使用および危険な労働を含む)を防止しかつこれと闘い、かつ暴力および経済的搾取から子どもを保護するために、国があらゆる必要な措置をとることが不可欠である。両委員会は、子どもがジェンダー特有のリスクおよび脆弱性に直面しており、これらのリスクおよび脆弱性を特定して具体的に対処するべきであることを認識する。女子および男子(障害をもっている可能性がある子どもを含む)ならびにレズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダーまたはインターセックスである子どもが、性的搾取および虐待を目的とする人身取引の被害をとりわけ受けやすい状況に置かれていることに対処するため、追加的措置がとられるべきである。 42.在留資格のない移住者である子ども、および、在留許可または就労許可に依存している親(これらの者は保証人/雇用主によって容易に在留資格のない立場にされうる)は、公共役務の提供者もしくはその他の公的職員または私人によって出入国管理当局に通報されるおそれに直面する。これにより、このような者は保護および司法へのアクセスを含む人権の享受を制限され、かつ暴力ならびに労働関連その他の態様の搾取および虐待の被害をいっそう受けやすい立場に置かれる [27]。このような状況は、非正規な地位にある移住者を暴力、虐待および搾取から保護することではなく収容することを優先させる政策の結果である場合もあり、これによって子どもは暴力を経験しまたは家族構成員に対する暴力を目的する立場にいっそう置かれやすくなる。とくに、子ども保護サービスと出入国管理の執行との間の実効的な遮断措置が確保されるべきである。 [27] 移住労働者権利委員会・一般的意見2号、パラ2参照。 43.移住者である子どものうち、人身取引、売買その他の形態の性的搾取の兆候がある子どもまたはそのような行為もしくは児童婚の被害を受けるおそれがある可能性のある子どもについて、国は以下の措置をとるべきである。 売買、取引および虐待の被害者を見つけ出すための早期発見措置および付託のための機構を確立するとともに、この点について、ソーシャルワーカー、国境警察、弁護士、医療専門家および子どもと接触する他のすべてのスタッフを対象とする義務的研修を実施すること。 複数の異なる移住者資格が利用可能であるときは保護にもっとも寄与する資格(すなわち庇護資格または人道的理由による在留資格)が付与されるべきであり、かつ、このような地位の付与に関する決定は、子どもの最善の利益にしたがい、個別の事案ごとに行なわれるべきであること。 売買、取引またはその他の形態の性的搾取の被害を受けた移住者である子どもへの在留資格または援助の付与に際し、刑事手続の開始または法執行機関への協力が条件とされないことを確保すること。 44.さらに、国は、移住者である子どもがあらゆる形態の暴力および虐待から全面的かつ実効的に保護されることを確保するため、以下の行動をとるべきである。 これらの子どもが、あらゆる形態の奴隷制および商業的性的搾取ならびに不法な活動のための使用、または、その健康、安全もしくは道徳を危険にさらすあらゆる労働から保護されることを確保するための効果的措置をとること。そのための手段には、国際労働機関の関連の条約の締約国となることも含まれる。 これらの子どもを、その移住者資格にかかわらず、あらゆる形態の暴力および虐待から保護するための効果的措置をとること。 女子および男子ならびに障害のある子どもならびに性的搾取、労働搾取および他のあらゆる形態の搾取の潜在的被害者が置かれている、ジェンダーに固有の脆弱な状況を認識しかつこれに対応すること。 暴力、虐待または搾取の事案を警察に通報した移住者である子どもおよびその家族に対し、その移住者資格にかかわらず、包括的な保護、支援サービスおよび実効的な救済機構へのアクセス(心理社会的援助およびこれらの救済措置に関する情報を含む)を確保すること。子どもおよび親は、通報の結果として出入国管理の執行を受けるいかなるおそれもなく、被害者または目撃者として、警察その他の公的機関に対する通報を安全に行なうことができなければならない。 移住者である子どもの保護に関してコミュニティサービス機関および市民社会組織が果たしうる重要な役割を認識すること。 移住者である子どもに対するあらゆる形態の暴力、搾取および虐待の根本的原因への対応を目的とする包括的政策(その適正な実施のための十分な資源を含む)を策定すること。 G.経済的搾取(法定年齢未満の労働および危険な労働を含む)からの保護、雇用条件および社会保障に対する権利(移住労働者権利条約第25条、第27条、第52条、第53条、第54条および第55条;子どもの権利条約第26条および第32条) 45.就労が認められる最低年齢ならびに最悪の形態の児童労働の禁止および撤廃に関連する国際労働基準を正当に尊重しつつ、法律上の就労年齢を超えた移住者である子どもが従事するすべての労働が搾取的でありまたは危険な条件下で行なわれるわけではない。両委員会は、各国に対し、就労年齢を超えた移住者である子どもは、その地位にかかわらず、報酬、その他の労働条件および雇用条件に関して国民である子どもと平等な取扱いを享受するべきであることを想起するよう求める。 46.国は、最低就労年齢および危険な労働との関連で移住者である子どもの雇用を規制しかつ保護するため、ジェンダーの側面を含むすべての適切な立法上および行政上の措置をとるべきである。移住者である子どもがさらされる特有のリスクに鑑み、国はまた、法律上も実務上も、子どもの権利条約および関連の国際基準の規定の効果的執行を保障するためのあらゆる必要な措置(適切な処罰を定めることも含む)が権限のある当局によってとられること、および、移住者である子どもが以下の取扱いを保障されることも確保するべきである。 国際的に受け入れられた基準にのっとり、公正な雇用条件および人間にふさわしい労働条件を享受すること。 子どもが労働できる時間および条件を規制する具体的な保護措置を享受すること。 子どもが労働に適していることを証明する定期的な医学的検診を受けること。 実効的な苦情申立て機構および労働権の保障と出入国管理の執行との間の遮断措置を確保する等の手段により、公的機関または私人による権利侵害があった場合に司法にアクセスできること。 47.社会保障に関して、移住者である子どもおよびその家族は、適用される国の法律ならびに適用される二国間条約および多国間条約で定められた要件を満たしているかぎり、国民に対して与えられるものと同一の取扱いを受ける権利が与えられなければならない。両委員会としては、国は、必要な場合、移住者である子どもおよびその家族に対し、その移住者資格にかかわらず、いかなる差別もなく緊急社会援助を提供するべきであると考える。 48.移住者の家族(移住者を親として生まれた子どもがいる家族を含む)について、両委員会は、子どもの養育および発達に対する親の責任(子どもの権利条約第5条および第18条)と、移住労働者権利条約の関連規定に基づく移住労働者の労働権とは相互に依存していることを強調する。したがって国は、移住者である親(非正規な状況にある者を含む)の職場における権利が全面的に尊重されることを確保するための措置を、可能なかぎりとるべきである。 H.十分な生活水準に対する権利(移住労働者権利条約第45条;子どもの権利条約第27条) 49.国は、国際的移住の文脈にある子どもが、その身体的、精神的、霊的および道徳的発達のために十分な生活水準を享受することを確保するべきである。子どもの権利条約第27条(3)で規定されているように、国は、国内条件にしたがいかつ自国の財源の及ぶ範囲で、この権利の実施のために、親および子どもに責任を負う他の者を援助するための適切な措置をとらなければならず、かつ、必要な場合には、とくに栄養、衣服および住居との関連で物質的援助および支援プログラムを提供しなければならない。 50.締約国は、受入れ施設の水準に関する詳細な指針を策定し、子どもおよびその家族に対して十分な空間およびプライバシーを保障するべきである。国は、受入れ施設ならびに公式および非公式のキャンプのような一時滞在場所において十分な生活水準を確保するための措置をとり、これらの施設が子どもおよびその親(障害のある人、妊婦および授乳中の母親を含む)にとってアクセス可能であることを確保するよう求められる。国は、居住施設において子どもの日常的移動が不必要に制限されないこと(事実上の移動の制限を含む)を確保するべきである。 51.国は、移住者の物件賃貸を妨げる措置をとることにより、子どもの居住権に干渉するべきではない。移住者である子どもが、その地位にかかわらず、ホームレス向けシェルターにアクセスできることを確保するための措置がとられるべきである。 52.国は、公的または私的なサービス提供機関(公的または私的な住宅供給機関を含む)と出入国管理執行当局との間に遮断措置を設けるための手続および基準を発展させるべきである。同様に、国は、非正規移住者である子どもが居住権の行使を理由として犯罪者として扱われないこと、および、子どもによる居住権の行使の便宜を図った私人(家主および市民社会組織など)も犯罪者して扱われないことを確保するよう求められる。 53.子どもの権利条約は、締約国が、自国の管轄内にある子ども1人ひとりに対し、いかなる種類の差別もなく、条約に掲げられた権利を尊重しかつ確保しなければならないと規定している。これには、子どもまたはその親の移住者資格に基づいて行なわれる、子どもに対する差別も含まれる。したがって両委員会は、締約国に対し、経済的、社会的および文化的権利に公正にアクセスできるようにすることを促すものである。国は、移住者である子どもおよびその家族(非正規な状況にある者を含む)を差別し、またはこれらの者がサービスおよび給付(たとえば社会扶助)に効果的にアクセスすることを妨げる法律、政策および実務の迅速な改革を図るよう奨励される [28]。 [28] 子どもの権利委員会・2012年の一般的討議の報告、パラ86参照。 I.健康に対する権利(移住労働者権利条約第28条および第45条;子どもの権利条約第第23条、第24条および第39条) 54.両委員会は、子どもの身体的および精神的健康が、貧困、失業、移住および住民の避難、暴力、差別ならびに周縁化のような構造的決定要因を含む、さまざまな要因によって影響されうることを認める。両委員会は、移住者および難民である子どもに、重度の感情的苦痛を経験する可能性があり、また特別な、かつしばしば緊急の精神保健上のニーズを有している可能性があることを認識するものである。したがって、子どもによるストレスの経験のあり方は大人とは異なることを認め、子どもは特有のケアおよび心理的支援にアクセスできるべきである。 55.移住者であるすべての子どもは、その移住者資格にかかわらず、国民と平等な保健ケアにアクセスできるべきである。これには、コミュニティまたは保健ケア施設で提供されるすべての保健サービス(予防サービスか治療サービスかを問わない)および精神的、身体的または心理社会的ケアが含まれる。国は、脆弱性を助長する重要な要因のひとつである差別の結果として子どもの健康が阻害されないことを確保する義務を負う。複合的形態の差別の影響にも対処するべきである [29]。サービスにアクセスしにくくなることによってもたらされるジェンダー特有の影響への対処に、注意を払うことが求められる [30]。加えて、移住者である子どもは、セクシュアルヘルスおよびリプロダクティブヘルスのための、年齢にふさわしい情報およびサービスに全面的にアクセスできるようにされるべきである。 [29] 〔子どもの権利委員会・〕一般的意見15号(到達可能な最高水準の健康を享受する子どもの権利、2013年)、パラ5および8参照。 [30] 子どもの権利委員会・2012年の一般的討議の報告、パラ86参照。 56.各国は、健康権に対するホリスティックなアプローチを重視するよう奨励される。国家的な計画、政策および戦略において、移住者である子どもの健康上のニーズおよびこれらの子どもが直面している可能性のある脆弱な状況をとりあげるべきである。移住者である子どもは、在留許可症または庇護登録証の提示を要件とされることなく保健サービスにアクセスできることが求められる。サービスへのアクセスを妨げる行政上および金銭上の障壁は、身元および居住を証明する代替的手段(供述証拠など)を認める等の対応を通じ、取り除くべきである [31]。加えて、両委員会は、各国に対し、保健機関と出入国管理当局が患者のデータを共有すること、および、公的な保健施設でまたはその近くで出入国管理法制執行のための組織的活動を行なうことを禁止するよう促す。このような行動は、非正規な状況にある移住者である子どもまたは非正規な状況にある移住者を親として生まれた子どもの健康権を実質的に制限しまたは剥奪することになるためである [32]。これらの子どもの健康権を確保するため、実効的な遮断措置を設けることが求められる。 [31] 子どもの権利委員会・2012年の一般的討議の報告、パラ86参照。 [32] 移住労働者権利委員会・一般的意見2号、パラ74参照。 57.不十分な金銭的および法的保護は差別によってしばしば悪化する可能性があり、そのため、移住者である子どもは重篤になるまで治療の延期を余儀なくされる場合がある。迅速かつ広範な対応が必要とされる複雑な保健サービスにおいては、差別的なアプローチがとられることで移住者である子どもの健康に深刻な影響が生じ、かつその治療および回復の期間が相当に長引く可能性もあるため、これらの保健サービスを取り巻く諸問題の解決に注意が払われるべきである。保健専門家は、自分の患者に、また人権としての子どもの健康を擁護することに、まず専心することが求められる。 58.国籍または移住者資格を理由として健康に対する成人移住者の権利を制限することも、健康、生命および発達に対するその子どもの権利に影響を及ぼす可能性がある。したがって、子どもの権利に対する包括的アプローチには、移住者資格にかかわらずすべての移住労働者およびその家族の健康権を確保することに向けられた措置、および、保健分野の政策、プログラムおよび実務に対する異文化アプローチを確保するための措置が含まれるべきである。 J.教育および職業訓練に対する権利(移住労働者権利条約第30条、第43条および第45条;子どもの権利条約第28条、第29条、第30条および第31条) 59.国際的移住の文脈にあるすべての子どもは、地位の如何を問わず、その子どもが住んでいる国の国民との平等を基礎として、あらゆる段階およびあらゆる側面の教育(乳幼児期教育および職業訓練を含む)に全面的にアクセスできなければならない。この義務が意味するところにより、国は、移住者であるすべての子どもに対し、その移住者資格にかかわらず、良質のかつインクルーシブな教育への平等なアクセスを確保するよう求められる。移住者である子どもは、必要なときは代替的学習プログラムにアクセスできるべきであり、また試験に全面的に参加しかつ学習証明書を受領するべきである。 60.両委員会は、各国に対し、移住者である子ども(とくに在留資格のない子ども)の学校および教育機関への登録を妨げる規則および実務を改革するよう、強く促す。国はまた、教育機関と出入国管理当局とのあいだに実効的な遮断措置を設けるとともに、生徒のデータを共有すること、および、教育施設でまたはその近くで出入国管理法制執行のための組織的活動を行なうことを禁止するべきである。このような実務は、非正規な状況にある移住者である子どもまたは非正規な状況にある移住者を親として生まれた子どもの教育に対する権利を制限しまたは剥奪することになるためである。教育に対する子どもの権利を尊重するため、各国はまた、移住関連の手続中に中断が生じないようにすることにより、可能であれば子どもが学年の途中で移動しなくて済むようにするとともに、子どもが義務教育および継続教育を受けている場合、成年に達するまでに当該教育課程を修了するよう支援することも奨励される。上級段階の教育へのアクセスは義務的なものではないものの、差別の禁止の原則により、国には、子どもの移住者資格または他の差別禁止事由に基づいて差別することなく、すべての子どもに対して利用可能なサービスを提要する義務がある。 61.国は、スティグマまたは懲罰効果が生じることを回避するため、過去に取得した在学証明書を承認することおよび(または)子どもの知的能力その他の能力に基づいて新たな証明書を発行することにより、子どもが過去に受けた教育を承認するための十分な措置を整備するべきである。このことは、子どもが帰還する場合には出身国または第三国に対しても平等に当てはまる。 62.処遇の平等の原則により、国は、移住者である子どもに対するいかなる差別も解消するとともに、教育上の障壁を克服するための適切なかつジェンダーに配慮した対応をとらなければならない。すなわち、必要な場合には、追加的な言語教育 [33]、スタッフの加算およびその他の異文化支援を含む、いかなる種類の差別もない対象特化型の措置がとられなければならないということである。国は、移住者である子どもが教育にアクセスするための便宜を図り、かつ移住者である子どもの学校への統合を促進することに専念するスタッフを配置するよう奨励される。加えて、国は、移住者である子どもが効果的統合の手段としての新たな言語を学習することを確保するため、いかなる種類の教育的隔離も禁止しかつ防止するための措置をとるべきである。国の取り組みには、乳幼児期教育の提供および心理社会的支援も含めることが求められる。国はまた、公式および非公式な学習機会の提供、教員研修の実施およびライフスキル学級の設置も行なうべきである。 [33] 移住労働者権利条約第45条参照。 63.国は、移住者コミュニティと受入れコミュニティとの異文化間対話を醸成し、かつ、移住者である子どもに対する排外主義もしくはあらゆる態様の差別または関連の不寛容に対応しかつこれを防止するための具体的措置を発展させるべきである。加えて、教育カリキュラムに人権教育(差別の禁止に関する教育ならびに移住ならびに移住者の権利および子どもの権利に関する教育を含む)を統合することは、移住者の統合に長期的に影響しかねない排外主義的態度およびその他の形態の差別的態度の防止に貢献するだろう。 III.国際協力 64.両委員会は、人権を全面的に尊重し、かつ移住者である子どもの脆弱性を高めかねないアプローチを回避しながら安全な、秩序だったかつ正規の移住を確保する目的で、国際的移住の文脈にある子どもの人権の促進および保護における出身国、通過国、目的地国および帰還先の国の役割および責任を認めながら、国際的な、地域的なまたは二国間の協力および対話ならびに包括的なかつバランスのとれたアプローチを通じて国際的移住に対応していく必要があることを再確認する。とくに、子どもの権利条約、移住労働者権利条約、難民の地位に関する1951年の条約および1967年の同議定書ならびに親責任および子どもの保護措置に関する管轄権、準拠法、承認、執行および協力に関する1996年のハーグ条約にのっとった、国境を越えた事案対応手続が速やかに設置されるべきである。加えて、協力に、他国から子どもを含む多数の避難民を受け入れており、かつ援助を必要としている国々への金銭的および技術的援助ならびに第三国定住プログラムの強化を目的とする取り組みを含めることも考えられる。すべての実践は、国際人権法および国際難民法上の義務に全面的にのっとったものであるべきである。 65.この包括的なかつバランスのとれたアプローチが子どもの最善の利益と両立することを確保するため、国際的移住の文脈にある子どもの権利および処遇に影響を与えるいかなる国際協定、地域協定および二国間協定の策定においても、子どもの保護/福祉を担当する機関に主要な役割が与えられるべきである。家族再統合を容易にし、最善の利益評価・認定を実施し、かつ意見を聴かれる子どもの権利および適正手続上の保障を保証するため、二国間の取り組みならびに地域的および国際的な取り組みを奨励することが求められる。このような取り組みにおいては、通過国または目的地国で自己の権利に影響を受けた子どもが出身国に帰還しまたは第三国に行った後に司法にアクセスする必要が生じた場合に、国境を越えた状況下で司法にアクセスできることが確保されるべきである。加えて、国は、これらのプロセスへの子どもおよび市民社会組織(地域的政府間機関を含む)の参加を確保することが求められる。国はまた、子どもに関わる移住政策をこの合同一般的意見にのっとって実施するため、国際社会および国際連合機関(国連児童基金および国際移住機関を含む)の技術的援助も活用するべきである。 IV.合同一般的意見の普及および報告 66.締約国は、この合同一般的意見を、国、広域行政圏および地方のあらゆるレベルすべての関係者、とくに議会、政府機関(子どもの保護および移住を担当している機関および職員を含む)および司法機関に対して広く普及するべきである。この合同一般的意見は、すべての子ども、ならびに、子どものためにおよび子どもとともに働く者(すなわち裁判官、弁護士、警察その他の法執行機関、教員、保護者、ソーシャルワーカー、公立または私立の福祉施設およびシェルターの職員ならびに保健ケア提供者)を含むすべての関連の専門家および関係者、メディアならびに市民社会一般に対して周知することが求められる。 67.この合同一般的意見は関連の言語に翻訳されるべきであり、また子どもにやさしい/適切な版および障害のある人がアクセス可能な形式でも利用可能とされるべきである。この合同一般的意見を実施する最善の方法に関する優れた実践を共有するため、会議、セミナー、ワークショップその他のイベントを開催することが求められる。この合同一般的意見はまた、あらゆる関連の専門家およびとくに専門職員ならびに子どもの保護、移住および法執行を担当する機関および職員を対象とする正式な就任前研修および現職者研修にも編入されるべきであり、かつ、国および地方のあらゆる人権機関ならびに人権問題に取り組む他の市民社会組織に対しても利用可能とされるべきである。 68.締約国は、移住労働者権利条約第73条および子どもの権利条約第44条に基づく定期報告書に、この合同一般的意見を指針として実施した措置およびその結果に関する情報を記載するべきである。 更新履歴:ページ作成(2018年5月11日)。/パラ14第1文「~何よりも重要性である」を「何よりも重要である」に、パラ15第3文「すべえの決定」を「すべての決定」に修正(2021年8月13日)。
https://w.atwiki.jp/childrights/pages/33.html
欧州評議会・性的搾取および性的虐待からの子どもの保護に関する条約(2007年) 原文英語(平野裕二仮訳〔日本語訳全文PDF〕)チャイルドフレンドリー版(PDF、英語) 解説:平野裕二「ヨーロッパで子どもの性的搾取・性的虐待に関する新条約が誕生~日本でも求められる包括的視点~」〔PDF〕(2007年執筆) 目次 前文 第1章-目的、差別の禁止の原則および定義第1条-目的 第2条-差別の禁止の原則 第3条-定義 第2章-予防措置第4条-原則 第5条-子どもに接して働く者の採用、訓練および意識啓発 第6条-子どもの教育 第7条-予防的介入のプログラムまたは措置 第8条-一般公衆を対象とする措置 第9条-子ども、民間部門、メディアおよび市民社会の参加 第3章-専門の公的機関および調整機関第10条-調整および連携のための国内措置 第4章-被害者に対する保護措置および援助第11条-原則 第12条-性的搾取または性的虐待の疑いの通報 第13条-ヘルプライン 第14条-被害者への援助 第5章-介入のプログラムまたは措置第15条-一般的原則 第16条-介入のプログラムおよび措置を受ける者 第17条-情報および同意 第6章-刑事実体法第18条-性的虐待 第19条-児童買春に関わる犯罪 第20条-児童ポルノに関わる犯罪 第21条-ポルノ的パフォーマンスへの子どもの参加に関わる犯罪 第22条-子どもを堕落させる犯罪 第23条-性的目的での子どもの勧誘 第24条-幇助または教唆および未遂 第25条-裁判権 第26条-法人の責任 第27条-制裁および措置 第28条-加重事由 第29条-過去の有罪判決 第7章-捜査、訴追および手続法(以下、CoE 子どもの性的搾取・虐待条約(2))第30条-原則 第31条-一般的保護措置 第32条-手続の開始 第33条-時効 第34条-捜査 第35条-子どもの事情聴取 第36条-刑事裁判手続 第8章-データの記録および保管第37条-有罪判決を受けた性犯罪者に関する国内データの記録および保存 第9章-国際協力第38条-国際協力のための一般的原則および措置 第10章-監視機構第39条-締約国委員会 第40条-その他の代表 第41条-締約国委員会の職務 第11章-他の国際文書との関係第42条-国際連合の子どもの権利に関する条約ならびに子どもの売買、児童買春および児童ポルノに関する同条約の選択議定書との関係 第43条-その他の国際文書との関係 第12章-条約改正第44条-改正 第13章-最終条項第45条-署名および発効 第46条-条約への加入 第47条-領域的適用 第48条-留保 第49条-廃棄 第50条-通告 前文 欧州評議会の加盟国およびこの条約の他の加盟国は、 欧州評議会の目的が、加盟国間におけるさらなる統一を達成することであることを考慮し、 すべての子どもが、その未成年者としての地位によってその家族、社会および国に対して要求されている保護措置に対する権利を有していることを考慮し、 子どもの性的搾取、とくに児童ポルノおよび児童買春、ならびにあらゆる形態の子どもの性的虐待(海外で行なわれる行為を含む)が子どもの健康および心理社会的発達にとってきわめて有害であることを認め、 子どもの性的搾取および性的虐待が、とくに子どもおよび加害者の双方が情報通信技術(ICT)をますます利用するようになっていることと関わって国内的にも国際的にも憂慮すべき割合に達してきており、かつ、このような子どもの性的搾取および性的虐待を防止しかつこれと闘うためには国際協力が必要であることを認め、 子どものウェルビーイングおよび最善の利益はすべての加盟国が共有する根本的価値であり、かついかなる差別もなく促進されなければならないことを考慮し、 第3回欧州評議会国家元首政府首班サミット(ワルシャワ、2005年5月16~17日)で採択された行動計画が、子どもの性的搾取に終止符を打つための措置の策定を求めていることを想起し、 とくに、子どもおよび若年成人の性的搾取、ポルノおよび買春ならびに人身取引に関する閣僚委員会勧告R(91)11号、性的搾取からの子どもの保護に関する勧告Rec(2001)16、ならびに、サイバー犯罪に関する条約(ETS No.185)(とくにその第9条)および人身取引と闘う行動に関する欧州評議会条約(CETS No.197)を想起し、 人権及び基本的自由の保護に関する条約(1950年、ETS No.5)、改正欧州社会憲章(1996年、ETS No.163)および子どもの権利の行使に関する欧州条約(1996年、ETS No.160)に留意し、 また、子どもの権利に関する国際連合条約(とくにその第34条)、子どもの売買、児童ポルノおよび児童買春に関する選択議定書、国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約を補足する人、とくに女性および子どもの取引を防止し、抑止しおよび処罰するための議定書、および、最悪の形態の児童労働の禁止および撤廃のための即時の行動に関する条約にも留意し、 子どもの性的搾取および児童ポルノとの闘いに関する欧州連合理事会枠組決定(2004/68/JHA)、刑事手続における被害者の地位に関する欧州連合理事会枠組決定(2001/220/JHA)、および、人身取引との闘いに関する欧州連合理事会枠組決定(2002/629/JHA)〔日本語訳PDF〕に留意し、 この分野における他の関連の国際的文書およびプログラム、とくに第1回子どもの商業的性的搾取に反対する世界会議(1996年8月27~31日)で採択されたストックホルム宣言および行動のための課題、第2回子どもの商業的性的搾取に反対する世界会議(2001年12月17~20日)で採択された横浜グローバル・コミットメント、第2回子どもの商業的性的搾取に反対する世界会議準備会議(2001年11月20~21日)で採択されたブダペスト・コミットメントおよび行動計画、国際連合総会決議S-27/2「子どもにふさわしい世界」、ならびに、第3回サミットで採択されかつモナコ会議(2006年4月4~5日)で正式に開始された3か年計画「子どものための、かつ子どもとともに進めるヨーロッパの構築」を正当に考慮し、 加害者が何者であれ性的搾取および性的虐待から子どもを保護し、かつ被害者に援助を提供するという共通の目標に効果的に寄与することを決意し、 あらゆる形態の子どもの性的搾取および性的虐待との闘いの予防的、保護的および刑事法的側面に焦点を当て、かつ具体的な監視機構を設ける、包括的な国際文書を作成する必要があることを考慮し、 次のとおり協定した。 第1章-目的、差別の禁止の原則および定義 第1条-目的 1.この条約の目的は、次のとおりである。 a.子どもの性的搾取および性的虐待を防止し、かつこれと闘うこと。 b.性的搾取および性的虐待の被害を受けた子どもの権利を保護すること。 c.子どもの性的搾取および性的虐待に対抗する国内的および国際的協力を促進すること。 2.この条約は、締約国によるその規定の効果的実施を確保するため、特定の監視機構を設置する。 第2条-差別の禁止の原則 締約国によるこの条約の規定の実施、とくに被害者の権利を保護するための措置の享受は、性、人種、皮膚の色、言語、宗教、政治的その他の意見、国民的もしくは社会的出身、国民的マイノリティとのつながり、財産、出生、性的指向、健康状態、障害またはその他の地位等のいかなる事由による差別もなく、確保される。 第3条-定義 この条約の適用上、 a.「子ども」とは、18歳未満のすべての者をいう。 b.「子どもの性的搾取および性的虐待」には、この条約の第18条から第23条までにおいて掲げられている行動を含む。 c.「被害者」とは、性的搾取または性的虐待の対象とされたすべての子どもをいう。 第2章-予防措置 第4条-原則 各締約国は、あらゆる形態の子どもの性的搾取および性的虐待を防止しかつ子どもを保護するため、必要な立法上その他の措置をとる。 第5条-子どもに接して働く者の採用、訓練および意識啓発 1.各締約国は、教育、保健、社会的保護、司法および法執行の部門ならびにスポーツ、文化および余暇活動に関わる分野において子どもに日常的に接する者の間で子どもの保護および権利に関する意識啓発を図るため、必要な立法上その他の措置をとる。 2.各締約国は、1に掲げられた者が、子どもの性的搾取および性的虐待、それを特定する手段ならびに第12条第1項で述べられている可能性について十分な知識を有することを確保するため、必要な立法上その他の措置をとる。 3.各締約国は、職務遂行が子どもとの日常的接触を意味する職に就くための条件において、これらの職に就こうとする者が子どもの性的搾取または性的虐待の行為について有罪判決を受けたことがないことが確保されるようにするため、その国内法に一致する方法で、必要な立法上その他の措置をとる。 第6条-子どもの教育 各締約国は、初等中等教育期間中の子どもが、性的搾取および性的虐待の危険性ならびに自衛手段に関する、その発達しつつある能力に適合する情報を受け取ることを確保するために、必要な立法上その他の措置をとる。適当な場合には親と連携しながら提供されるこの情報は、セクシュアリティに関する情報のより一般的な文脈の中で与えられるものとし、かつ、リスクの高い状況、とくに新しい情報通信技術の利用をともなう状況に特段の注意を払う。 第7条-予防的介入のプログラムまたは措置 各締約国は、この条約にしたがって定められたいずれかの犯罪を行なってしまうのではないかと恐れる者が、適当な場合に、犯罪実行の危険性を評価しかつ予防するための効果的な介入プログラムまたは介入措置にアクセスできることを確保する。 第8条-一般公衆を対象とする措置 1.各締約国は、子どもの性的搾取および性的虐待の現象ならびにとりうる予防措置についての情報を提供する、一般公衆向けの意識啓発キャンペーンを促進しまたは実施する。 2.各締約国は、この条約にしたがって定められた犯罪を広告する資料の配布を防止しまたは禁止するため、必要な立法上その他の措置をとる。 第9条-子ども、民間部門、メディアおよび市民社会の参加 1.各締約国は、子どもの性的搾取および性的虐待との闘いに関する国の政策、プログラムその他の取り組みの策定および実施に、子どもがその発達しつつある能力にしたがって参加することを奨励する。 2.各締約国は、民間部門(とくに情報通信技術部門、観光旅行産業部門および銀行金融部門)ならびに市民社会に対し、子どもの性的搾取および性的虐待を防止するための政策の立案および実施に参加し、かつ自主規制または共同規制を通じて内部規範を実施するよう奨励する。 3.各締約国は、メディアの独立および報道の自由を正当に尊重しながら、メディアに対し、子どもの性的搾取および性的虐待のあらゆる側面に関する適切な情報を提供するよう奨励する。 4.各締約国は、適当な場合には基金を創設することも含め、性的搾取および性的虐待を防止しかつ子どもをこれらの行為から保護することを目的として市民社会が実施するプロジェクトおよびプログラムに資金が提供されることを奨励する。 第3章-専門の公的機関および調整機関 第10条-調整および連携のための国内措置 1.各締約国は、子どもの性的搾取および性的虐待からの保護、その防止およびこれとの闘いを担当する諸機関、とくに教育部門、保健部門、社会サービス機関ならびに法執行機関および司法機関との間で国レベルまたは地方レベルでの調整が行なわれることを確保するため、必要な措置をとる。 2.各締約国は、次の機関を設置しまたは指定するために必要な立法上その他の措置をとる。 a.子どもの権利を促進しおよび保護するための、独立した、権限ある国または地方の機関。その際、これらの機関に対して具体的資源および責任が与えられることを確保するものとする。 b.子どもの性的搾取および性的虐待の現象を観察しおよび評価することを目的として国または地方のレベルに設けられ、かつ市民社会と連携して活動する、データ収集機構または担当部署。その際、個人情報保護に関わる要件を正当に尊重するものとする。 3.各締約国は、子どもの性的搾取および性的虐待の防止およびこれとの闘いを改善するため、権限ある国の機関、市民社会および民間部門間の協力を奨励する。 第4章-被害者に対する保護措置および援助 第11条-原則 1.各締約国は、被害者、その近親者およびこれらの者のケアに責任を負ういかなる者に対しても必要な支援を提供するために、効果的な社会プログラムを確立しかつ分野横断型の体制を設置する。 2.各締約国は、被害者の年齢が確定されておらず、かつ被害者が子どもであると考える理由があるときは、被害者の年齢の確認を待たず、子どもに対して提供される保護および援助の措置が当該被害者に与えられることを確保するため、必要な立法上その他の措置をとる。 第12条-性的搾取または性的虐待の疑いの通報 1.各締約国は、子どもに接して活動することが求められる一定の専門家に対して国内法で課されている守秘義務の規則により、これらの専門家が、子どもが性的搾取または性的虐待の被害者であると考える合理的理由があるいかなる状況についても子どもの保護に責任を負う機関に通報する可能性が妨げられないことを、確保する。 2.各締約国は、子どもの性的搾取または性的虐待が行なわれていることを知っているまたはそのように善意で考えるいかなる者に対しても当該事実を権限ある機関に通報するよう奨励するため、必要な立法上その他の措置をとる。 第13条-ヘルプライン 各締約国は、電話またはインターネットによるヘルプラインのような、相談者に対し、たとえ秘密裡にであってもまたは相談者の匿名性を正当に顧慮しながら助言を提供する情報サービスの設置を奨励しおよび支援するため、必要な立法上その他の措置をとる。 第14条-被害者への援助 1.各締約国は、身体的および心理社会的回復の面で被害者を短期的および長期的に援助するため、必要な立法上その他の措置をとる。この項にしたがってとられる措置においては、子どもの意見、ニーズおよび関心事が正当に考慮される。 2.各締約国は、国内法で定められた条件のもと、被害者への援助に携わっている非政府組織、その他の関連の団体またはその他の市民社会関係者と協力するための措置をとる。 3.親または子どもを養育する者がその子どもの性的搾取または性的虐待に関与しているときは、第11条第1項を適用してとられる介入手続において以下の可能性も考慮する。 a.加害者とされる者を退去させること。 b.被害者をその家族環境から分離すること。当該分離の条件および期間は、子どもの最善の利益にしたがって決定されるものとする。 4.各締約国は、被害者に近しい者が、適当な場合には治療的援助、とくに緊急心理ケアから利益を受けられることを確保するため、必要な立法上その他の措置をとる。 第5章-介入のプログラムまたは措置 第15条-一般的原則 1.各締約国は、子どもに対する性的性質の再犯を予防しかつそのおそれを最小限に留める目的で、国内法にしたがい、第16条第1項および第2項に掲げられた者を対象とする効果的な介入のプログラムまたは措置を確保しまたは促進する。当該プログラムまたは措置には、国内法に掲げられた条件にしたがい、手続中のいずれの時点でも、刑務所内外でアクセスできるものとする。 2.各締約国は、国内法にしたがい、権限ある公的機関(とくに保健ケア・サービス機関および社会サービス機関)ならびに司法機関、および、第16条第1項および第2項に掲げられた者の事後対応に責任を負うその他の機関との間のパートナーシップその他の形態の協力の発展を確保しまたは促進する。 3.各締約国は、適切なプログラムまたは措置を発見する目的で、国内法にしたがい、第16条第1項および第2項に掲げられた者がこの条約にしたがって定められた犯罪をふたたび行なう危険性およびこの点について考えられるリスクの評価を行なえるようにする。 4.各締約国は、国内法にしたがい、実施されたプログラムおよび措置の有効性の評価を行なえるようにする。 第16条-介入のプログラムおよび措置を受ける者 1.各締約国は、国内法にしたがい、この条約にしたがって定められたいずれかの犯罪を理由として刑事手続の対象とされた者が、被告人の権利および公正かつ公平な裁判の要件を害しまたはこれらに反することのない条件のもとで、かつ、とくに無罪推定の原則に関わる規則を正当に尊重されながら、第15条第1項に掲げられたプログラムまたは措置にアクセスできることを確保する。 2.各締約国は、国内法にしたがい、この条約にしたがって定められたいずれかの犯罪を理由として有罪判決を受けた者が、第15条第1項に掲げられたプログラムまたは措置にアクセスできることを確保する。 3.各締約国は、子どもの性的行動の問題に対処する目的で、国内法にしたがい、性犯罪を行なった子ども(刑事責任年齢に達していない子どもを含む)の発達上のニーズに応じる形で介入のプログラムまたは措置が開発されまたは修正されることを確保する。 第17条-情報および同意 1.各締約国は、国内法にしたがい、第16条に掲げられた者であって介入のプログラムまたは措置の提案を受けた者が、当該提案の理由について十分に情報を提供され、かつ、事情を十分に承知したうえでプログラムまたは措置に同意することを確保する。 2.各締約国は、国内法にしたがい、介入のプログラムまたは措置の提案を受けた者が当該提案を拒否できること、および、有罪判決を受けた者の場合には拒否がどのような結果につながりうるかについて知らされることを確保する。 第6章-刑事実体法 第18条-性的虐待 1.各締約国は、故意に行なわれる次の行為が犯罪とされることを確保するため、必要な立法上その他の措置をとる。 a.国内法の関連規定にしたがって性的活動に関する法定年齢に達していない子どもと性的活動を行なうこと。 b.次のいずれかの場合に子どもと性的活動を行なうこと。威迫、有形力または脅迫が用いられるとき。 子どもとの信頼関係、子どもに対する権威または影響力を有すると認められている立場(家庭内におけるものを含む)が濫用されるとき。 とくに精神的もしくは身体的障害または依存の状況を理由として子どもが置かれている特別に脆弱な状況が悪用されるとき。 2.1の規定の適用上、各締約国は、当該年齢に達していない子どもと性的活動を行なうことが禁じられる年齢を決定する。 3.1aの規定は、未成年者同士の同意に基づく性的活動の規制を意図したものではない。 第19条-児童買春に関わる犯罪 1.各締約国は、権限なしに故意に行なわれる次の行為が犯罪とされることを確保するため、必要な立法上その他の措置をとる。 a.売春目的で子どもを募集し、または子どもを売春に参加せしめること。 b.子どもを威迫して売春させること、または当該目的で子どもから利益を得ることもしくはその他の形態により子どもを搾取すること。 c.児童買春を利用すること。 2.この条の適用上、「児童買春」とは、金銭その他のいずれかの形態の報酬または対価が与えられまたはその供与が約束された状況で、子どもを性的活動のために用いることをいう。このような供与、約束または対価の提供が子どもまたは第三者に対して行なわれるかどうかは問わない。 第20条-児童ポルノに関わる犯罪 1.各締約国は、権限なしに故意に行なわれる次の行為が犯罪とされることを確保するため、必要な立法上その他の措置をとる。 a.児童ポルノを製造すること。 b.児童ポルノの提供を申し出、またはその利用を可能にすること。 c.児童ポルノを頒布しまたは送信すること。 d.自己または他人のために児童ポルノを取得すること。 e.児童ポルノを所持すること。 f.情報通信技術を通じ、情を知って児童ポルノにアクセスすること。 2.この条の適用上、「児童ポルノ」とは、現実のもしくは擬似のあからさまな性的活動に従事する子どもを視覚的に描写したあらゆる資料または子どもの性器を主として性的目的で描写したあらゆる表現をいう。 3.各締約国は、1aおよびeの規定の全部または一部を、次のポルノ的資料の製造および所持について適用しない権利を留保することができる。 当該ポルノ的資料が、実際には存在しない子どもの擬似描写または写実的画像のみによって構成されているとき。 関与する子どもたちが第18条第2項を適用して定められた年齢に達しており、かつ、当該画像がその同意を得ておよび自分たち自身の私的利用のみを目的として製造および所持されるとき。 4.各締約国は、1fの規定の全部または一部を適用しない権利を留保することができる。 第21条-ポルノ的パフォーマンスへの子どもの参加に関わる犯罪 1.各締約国は、権限なしに故意に行なわれる次の行為が犯罪とされることを確保するため、必要な立法上その他の措置をとる。 a.子どもを募集してポルノ的パフォーマンスに参加させ、または子どもをそのようなパフォーマンスに参加せしめること。 b.子どもを威迫してポルノ的パフォーマンスに参加させること、または当該目的で子どもから利益を得ることもしくはその他の形態により子どもを搾取すること。 c.子どもが参加するポルノ的パフォーマンスの場に情を知って出席すること。 2.各締約国は、1cの規定を、子どもが1aまたはbに一致する形で募集されまたは威迫された場合に限って適用する権利を留保することができる。 第22条-子どもを堕落させる犯罪 各締約国は、第18条第2項を適用して定められた年齢に達していない子どもに故意にかつ性的目的で性的虐待または性的活動を目撃させることを、たとえ参加を強要しない場合でも犯罪とするため、必要な立法上その他の措置をとる。 第23条-性的目的での子どもの勧誘 各締約国は、成人が、第18条第2項を適用して定められた年齢に達していない子どもに対し、情報通信技術を通じ、第18条第1項または第20条第1項aにしたがって定められたいずれかの犯罪をその子どもに対して行なう目的で会うことを故意に提案することを、このような提案後に実際に会うことにつながる実体的行為が行なわれたときは犯罪とするため、必要な立法上その他の措置をとる。 第24条-幇助または教唆および未遂 1.各締約国は、この条約にしたがって定められたいずれかの犯罪の遂行を幇助しまたは教唆することを、当該幇助または教唆が故意に行なわれたときは犯罪とするため、必要な立法上その他の措置をとる。 2.各締約国は、この条約にしたがって定められたいずれかの犯罪の未遂が故意に行なわれたときはこれを犯罪とするため、必要な立法上その他の措置をとる。 3.各締約国は、2の規定の全部または一部を、第20条第1項b、d、eおよびf、第21条第1項c、第22条ならびに第23条にしたがって定められた犯罪に適用しない権利を留保することができる。 第25条-裁判権 1.各締約国は、次のいずれかの場合において、この条約にしたがって定められたいかなる犯罪についても裁判権を設定するため、必要な立法上その他の措置をとる。 a.当該犯罪が自国の領域内で行なわれるとき。 b.当該犯罪が自国を旗国とする船舶内で行なわれるとき。 c.当該犯罪が自国の法令に基づいて登録された航空機内で行なわれるとき。 d.当該犯罪が自国の国民のいずれかによって行なわれるとき。 e.当該犯罪が自国の領域内に常居所を有する者によって行なわれるとき。 2.各締約国は、この条約にしたがって定められたいずれかの犯罪が自国の国民のいずれかまたは自国の領域内に常居所を有する者に対して行なわれる場合に当該犯罪について裁判権を設定するため、必要な立法上その他の措置をとるよう努める。 3.各締約国は、署名時または批准書、受託書、承認諸もしくは加入書の寄託時に、欧州評議会事務総長に宛てた宣言により、この条の1eに掲げられた裁判権に関する規則を適用しない権利または特定の場合もしくは条件においてのみ適用する権利を留保する旨、宣言することができる。 4.この条約の第18条、第19条、第20条第1項aならびに第21条第1項aおよびbにしたがって定められた犯罪の訴追のため、各締約国は、1dに関わる自国の裁判権が、当該行為がその遂行地において犯罪とされていなければならないという条件に服させられないことを確保するために、必要な立法上その他の措置をとる。 5.各締約国は、署名時または批准書、受託書、承認諸もしくは加入書の寄託時に、欧州評議会事務総長に宛てた宣言により、第18条第1項b第2インデントおよび第3インデントにしたがって定められた犯罪に関わるこの条の4の規定の適用を、自国民が自国の領域内にその常居所を有している場合に限定する権利を留保する旨、宣言することができる。 6.この条約の第18条、第19条、第20条第1項aおよび第21条にしたがって定められた犯罪の訴追のため、各締約国は、1dおよびeに関わる自国の裁判権が、被害者からの申告または犯罪実行地である国からの告発がなければ訴追を開始することができないという条件に服させられないことを確保するために、必要な立法上その他の措置をとる。 7.各締約国は、容疑者が自国の領域内に所在し、かつ容疑者の国籍のみを理由として他の締約国に当該容疑者の引渡しを行なわない場合においてこの条約にしたがって定められた犯罪についての裁判権を設定するため、必要な立法上その他の措置をとる。 8.この条約にしたがって定められた犯罪が行なわれたとされる場合において、二以上の締約国が当該犯罪についての裁判権を主張するときは、関係締約国は、適当な場合には、訴追のためにもっとも適した裁判管轄国を決定するため協議を行なう。 9.この条約は、国際法の一般規則を損なわないかぎりにおいて、締約国がその国内法にしたがって行使するいかなる刑事裁判権も排除するものではない。 第26条-法人の責任 1.各締約国は、個人としてまたは法人の機関の一部として行動するいずれかの自然人であって当該法人内部で指導的地位にある者が、次のいずれかの権限に基づき、かつ当該法人の利益のためにこの条約にしたがって定められた犯罪を行なう場合に、当該犯罪に関する責任を当該法人に負わせ得ることを確保するため、必要な立法上その他の措置をとる。 a.法人の代表権。 b.法人のために決定を行なう権限。 c.法人内部で管理を行なう権限。 2.すでに1で規定されている場合とは別に、各締約国は、1に掲げられた自然人による監督または管理の欠如により、法人の権限に基づき活動する自然人が当該法人の利益のためにこの条約にしたがって定められた犯罪を行なうことが可能になる場合に、当該犯罪に関する責任を当該法人に負わせ得ることを確保するため、必要な立法上その他の措置をとる。 3.法人の責任は、締約国の法的原則にしたがって、刑事上、民事上または行政上のものとすることができる。 4.法人の責任は、犯罪を行なった自然人の刑事上の責任に影響を及ぼすものではない。 第27条-制裁および措置 1.各締約国は、この条約にしたがって定められた犯罪が、その重大さを考慮に入れた効果的な、均衡のとれたかつ抑止効果のある制裁によって処罰されることを確保するため、必要な立法上その他の措置をとる。 2.各締約国は、第26条の規定にしたがって責任を負うものとされる法人に対し、効果的な、均衡のとれたかつ抑止効果のある制裁が科されることを確保するため、必要な立法上その他の措置をとる。当該制裁には、刑罰としてのまたは刑罰以外の金銭的制裁を含むものとし、かつ、その他の措置、とくに次の措置を含むことができる。 a.公的な給付金または補助金の受給資格を停止すること。 b.商業的活動を行なう資格を一時的または恒久的に停止すること。 c.司法的監督のもとに置くこと。 d.裁判所による解散命令を発すること。 3.各締約国は、次の目的のために必要な立法上その他の措置をとる。 a.次のものの押収および没収について定めること。この条約にしたがって定められた犯罪を行なうためまたはその便宜を図るために用いられる物品、文書その他の道具。 当該犯罪から生じる収益または当該収益に相当する価額の財産。 b.この条約にしたがって定められたいずれかの犯罪を行なうために用いられるいずれかの施設を、善意の第三者の権利を侵害することなく、一時的または恒久的に閉鎖できるようにすること、または、加害者に対し、犯罪が行なわれた過程で生じた子どもとの接触をともなう職業上の活動もしくはボランティア活動を行なうことを一時的または恒久的に禁ずること。 4.各締約国は、加害者に関して、親としての権利の喪失宣告または有罪判決を受けた者の監視もしくは監督のような他の措置をとることができる。 5.各締約国は、この条約にしたがって定められたいずれかの犯罪の被害者を対象とする予防プログラムおよび援助プログラムの資金とするため、この条にしたがって没収された犯罪収益または財産を特別基金に配分することができる旨、定めることができる。 第28条-加重事由 各締約国は、この条約にしたがって定められた犯罪に関わる制裁の決定において、次の事由を、当該事由がすでに犯罪の構成要件の一部となっている場合を除き、国内法の関連規定に一致する形で加重事由として考慮できることを確保するため、必要な立法上その他の措置をとる。 a.当該犯罪が被害者の身体的または精神的健康を深刻に損なったこと。 b.当該犯罪に先行しまたは並行して拷問または重大な暴力行為が行なわれたこと。 c.当該犯罪がとくに脆弱な状況にある被害者に対して行なわれたこと。 d.当該犯罪が、家族構成員、子どもと同居している者または子どもに対する権威を濫用した者によって行なわれたこと。 e.当該犯罪がともに行動する複数の者によって行なわれたこと。 f.当該犯罪が犯罪組織の枠組みのなかで行なわれたこと。 g.加害者が過去に同じ性質の犯罪を理由として有罪判決を受けていること。 第29条-過去の有罪判決 各締約国は、制裁の決定において、この条約にしたがって定められた犯罪に関わって他の締約国が言い渡した終局判決を考慮できるようにするため、必要な立法上その他の措置をとる。 CoE 子どもの性的搾取・虐待条約(2)へ続く 更新履歴:ページ作成(2011年7月28日)。
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一般的意見22(2017年):国際的移住の文脈にある子どもの人権についての一般的原則 一般的意見一覧 CMW/C/GC/3-CRC/C/GC/22 配布:一般(2017年11月16日)〔注1〕 原文:英語 日本語訳:平野裕二(日本語訳PDF) 国際移住の文脈にある子どもの人権についての一般的原則に関する合同一般的意見: すべての移住労働者およびその家族構成員の権利の保護に関する委員会の一般的意見3号(2017年) および子どもの権利委員会の一般的意見22号(2017年)〔注2〕 注1/技術的理由により2017年11月24日に発行し直されたもの。 注2/この合同一般的意見は、出身国、通過国、目的地国および帰還国における、国際的移住の文脈における子どもの人権についての国家の義務に関する合同一般的意見(すべての移住労働者およびその家族構成員の権利の保護に関する委員会の一般的意見4号〔2017年〕および子どもの権利委員会の一般的意見23号〔2017年〕)とあわせて参照されるべきである。 【訳者注】煩雑さを避けるため、以下の訳では、「すべての移住労働者およびその家族構成員の権利の保護に関する国際条約」は移住労働者権利条約、「すべての移住労働者およびその家族構成員の権利の保護に関する委員会」は移住労働者権利委員会と略称する。/なお、以下の目次は訳者が付け加えたものである。 I.はじめに(パラ1-10)A.背景(パラ5-6) B.合同一般的意見の目的および適用範囲(パラ7-10) II.国際的移住の文脈にある子どもを保護するための、移住労働者権利条約および子どもの権利条約の実施のための一般的措置(パラ11-18) III.国際的移住の文脈における子どもの権利に関わる両条約の基本的原則(パラ19-47)A.差別の禁止(移住労働者権利条約第1条および第7条;子どもの権利条約第2条)(パラ21-26) B.子どもの最善の利益(子どもの権利条約第3条)(パラ27-33) C.意見を聴かれる権利、自己の意見を表明する権利および参加の権利(子どもの権利条約第12条)(パラ34-39) D.生命、生存および発達に対する権利(移住労働者権利条約第9条;子どもの権利条約第6条)(パラ40-44) E.ノンルフールマン/集団的追放の禁止(移住労働者権利条約第9条、第10条および第22条;子どもの権利条約第6条、第22条および第37条)(パラ45-47) IV.国際協力(パラ48-51) V.合同一般的意見の普及および活用ならびに報告(パラ52-54) VI.条約の批准または条約への加入および留保(パラ55-56) I.はじめに 1.この合同一般的意見は、出身国、通過国、目的地国および帰還国における、国際的移住の文脈における子どもの人権についての国家の義務に関する合同一般的意見(移住労働者権利委員会の一般的意見4号〔2017年〕および子どもの権利委員会の一般的意見23号〔2017年〕)と同時に採択されたものである。同一般的意見とこの一般的意見はいずれもそれ自体で独立した文書ではあるが、両者は相互に補完しあうものであり、あわせて参照しかつ実施することが求められる。これらの文書の起草過程では、2017年5月から7月にかけて、バンコク、ベイルート、ベルリン、ダカール、ジュネーブ、マドリードおよびメキシコシティにおいて、主要な関係者および専門家(子どもたちおよび移住者団体を含む)の代表の参加を得て一連の国際的・地域的協議も行なわれた。加えて、委員会のもとには、2015年11月から2017年8月にかけて、世界のあらゆる地域の国々、国際連合機関および関係組織、市民社会組織、国内人権機関ならびにその他の関係者から80件以上の意見書が寄せられた。 2.移住労働者権利条約と子どもの権利に関する条約には、国際的移住の文脈における子どもの権利の保護に一般的にも具体的にも関連する、法的拘束力のある一定の義務が掲げられている。 3.子どもは、国際的移住の文脈において、子どもであることで、かつ移住の影響を受けている子ども((a) 単身であるか家族とともにいるかにかかわらず、自らも移住者である子ども、(b) 目的地国において移住者の両親から生まれた子どもまたは (c) 親の一方もしくは双方が他国に移住しているあいだ出身国に残っている子ども)であることで、二重に脆弱な状況に置かれる場合がある。これに加えて、子どもの国民的、民族的または社会的出身、ジェンダー、性的指向もしくはジェンダーアイデンティティ、宗教、障害、移住者資格もしくは在留資格、国籍上の地位、年齢、経済的地位、政治的その他の意見またはその他の地位に関連する脆弱性が生じることもある。 4.両委員会は、相互に補完しあう任務を有しており、かつ国際的移住の文脈におけるすべての子どもの保護の強化に対するコミットメントを共有していることから、これらの合同一般的意見の作成を決定した。この一般的意見は両条約の規定に基づくものであるが、重要な点として、ここで明らかにされている人権規範は子どもの権利条約の規定および原則に立脚したものだということを強調しておかなければならない。したがって、この合同一般的意見に掲げられた有権的指針は、子どもの権利条約および(または)移住労働者権利条約のすべての締約国に平等に適用される。 A.背景 5.この合同一般的意見は、両委員会が多くの取り組みを通じて高めてきた、国際的移住の文脈における子どもの権利への関心に立脚するものである。このような取り組みには以下のものが含まれる。 (a) 出身国外にあって保護者のいない子どもおよび養育者から分離された子どもの取扱いについての、子どもの権利委員会の一般的意見6号(2005年)。ここには、出身国外にある移住者であって保護者のいない子どもおよび養育者から分離された子どもをとくに対象とする一連の勧告が掲げられている。 (b) 子どもの権利委員会が2012年9月にジュネーブで開催した、国際的移住の文脈におけるすべての子どもの権利に関する一般的討議。委員会は同一般的討議のためのバックグラウンドペーパーを起草し、かつ結論および勧告を付した報告 [1] を採択した。 (c) 移住労働者権利委員会が2016年に行なった、「移動する子どもおよび移住の影響を受けているその他の子どもに関する行動の指針とされるべき勧告的原則」[2] への支持表明。加えて、両委員会は「子どもの入管収容を終わらせるための機関間作業部会」のメンバーである。 (d) 国際的移住の文脈における子どもの権利に影響を及ぼすさまざまな人権問題に関して、近年、それぞれの条約の締約国に対して両委員会が行なってきたますます多くの勧告。 [1] www.ohchr.org/EN/HRBodies/CRC/Pages/Discussion2012.aspx 参照。 [2] www.ohchr.org/Documents/HRBodies/CMW/Recommended-principle_EN.pdf より入手可能。 6.この合同一般的意見はまた、国際的移住の文脈にある子どもに関連する国際連合の他の決議および報告、国際連合人権機構のさまざまなアウトプットならびに国際連合、政府間機関および市民社会の取り組みにも立脚するものである。これには以下のものが含まれる。 (a) 経済的、社会的および文化的権利に関する国際規約に基づいて各国が難民および移住者に対して負う義務についての、経済的、社会的および文化的権利に関する委員会の声明(E/C.12/2017/1)。そのなかで同委員会は、とくに「差別からの保護について、ある個人が受入国で正規の在留資格を有していることを条件とすることはできない」ことを想起するとともに、「国内にいるすべての子ども(在留資格を有していない子どもを含む)は、教育を受け、かつ十分な食料および負担可能な保健ケアにアクセスする権利を有する」ことも想起している。 (b) 難民および移民のためのニューヨーク宣言。そのなかで、国家元首および政府の長は、難民および移住者であるすべての子どもの人権および基本的自由を、その地位にかかわらず、かつ子どもの最善の利益を常に第一次的に考慮しながら保護すること、および、子どもの権利条約に基づく自国の義務を遵守することを約束している [3]。 [3] 総会決議71/1、パラ32。 B.合同一般的意見の目的および適用範囲 7.この合同一般的意見の目的は、国際的移住の文脈にある子どもの権利を全面的に保護する両条約上の義務の全面的遵守を確保するためにとられるべき、立法上、政策上その他の適切な措置についての有権的指針を示すところにある。 8.両委員会は、国際的移住の現象が世界のあらゆる地域およびあらゆる社会に影響を与えており、かつ数百万人の子どもにますます大きな影響を及ぼしていることを認知する。移住は出身国、通過国、目的地国および帰還先の国の個人、家族およびより幅広いコミュニティに肯定的成果をもたらしうる一方、移住、とくに安全ではない移住および(または)非正規な移住のきっかけが人権(複数の人権条約、とくに子どもの権利条約で認められている子どもの権利を含む)の侵害と直接関連していることも多い。 9.この合同一般的意見では、子どもが親もしく主たる養育者とともに移住しているか、保護者がいないもしくは養育者から分離された状態にあるか、出身国に帰還しているか、通過国もしくは目的地国において移住者である親から生まれたか、または親の一方もしくは双方が他国に移住しているあいだ出身国に残っているかにかかわらず、かつ子ども自身またはその親の移住者資格または在留資格(移住者資格)にかかわりなく、国際的移住の文脈にあるすべての子どもの人権について取り上げている。子どもの権利条約の差別の禁止の原則は、締約国に対し、子どもがとくに正規のもしくは非正規な状況にある移住者、庇護希望者、難民、無国籍者および(または)人身取引被害者であると考えられる(出身国への帰還または送還の状況にある場合を含む)か否かにかかわらず、また子どもまたは親もしくは法定後見人の国籍、移住者資格または無国籍にかかわりなく、すべての子どもに対して条約に掲げられた権利を尊重しかつ確保する義務を課すものである [4]。 [4] 子どもの権利委員会・一般的意見6号、パラ12参照。 10.この合同一般的意見は、両委員会が公にしてきた他の関連の一般的意見とあわせて参照されるべきである。この合同一般的意見はまた、これらの一般的意見および国際的移住の文脈において子どもたちが直面している課題の変遷に立脚したものとして、国際的移住の文脈にある子どもの権利に関して両委員会が示した有権的指針としても参照されるべきである。 II.国際的移住の文脈にある子どもを保護するための、移住労働者権利条約および子どもの権利条約の実施のための一般的措置 11.各国は、国際的移住の文脈にある子どもが何よりもまず子どもとして扱われることを確保するべきである。両条約の締約国には、子どもまたはその親もしくは法定後見人の移住者資格にかかわらず国際的移住の文脈にある子どもの権利を尊重し、保護しかつ充足する、両条約に掲げられた義務を遵守する責務がある。 12.両条約に基づく締約国の義務は、その管轄(国家が国境外で実効的支配権を行使することから生じる管轄を含む)の内にある子ども1人ひとりに適用される。これらの義務は、国家の領域から区域または地域を除外することによっても、特定の区域または地域(国際水域の区域または国が移住管理機構を設けているその他の通過区域を含む)について自国の管轄下にないまたは自国の管轄権は部分的なものでしかないと定めることによっても、恣意的かつ一方的に縮小することができない。これらの義務は国の国境内で適用されるのであり、これは当該国への入域を試みた際にその管轄下に入るに至った子どもについても当てはまる。 13.両委員会は、国際的移住の文脈においては子どもの権利が優越するのであり、したがって各国は移住関連の枠組み、政策、実務および(または)その他の措置に両条約を統合する必要があることを強調する。 14.両委員会は、締約国に対し、国際的移住の文脈にある子どもの権利に影響を及ぼす政策、実務および決定については、子どもの権利を担当する公的機関が、明確な決定権限を持って主導的役割を果たすことを確保するよう、奨励する。出身国、通過国、目的地国および帰還先の国も含め、国および地方のレベルに設置されている包括的な子ども保護制度においては、国際的移住の文脈にあるすべての子どもの状況がプログラムの主流に位置づけられるべきである。子ども保護機関が有する任務に加え、移住担当および子どもの権利に影響を及ぼす他の関連の政策担当の公的機関も、政策の立案および実施のあらゆる段階で、国際的移住の文脈にある子どもへの影響およびこれらの子どものニーズについて体系的な評価および対応を行なうことが求められる。 15.締約国は、とくに移住管理の目的または他の行政上もしくは政治上の考慮事項に関わって、国際的移住の文脈にあるすべての子どもの権利の充足を目的とする政策を策定するべきである。 16.締約国は、国際的移住の文脈にある子どもの保護を目的とする包括的政策の参考に供するため、このようなすべての子どもに関する質的・量的データの収集および公的普及に関する、権利を基盤とする体系的な政策を策定するべきである。このようなデータは、交差的差別を監視するため、国籍、移住者資格、ジェンダー、年齢、民族、障害および他の関連するあらゆる地位別に細分化することが求められる。両委員会は、安全性を欠いた子どもおよび(または)その家族の移住の原因に関するデータ収集および分析に対して人権を基盤とするアプローチをとること等も通じ、国際的移住の文脈にあるすべての子どもの権利の実施状況を評価するための指標を開発することの重要性を強調する。このような情報は、プライバシー権および個人情報保護の基準を全面的に尊重したうえで子どもを含むすべての関係者に対して利用可能とされるべきである。市民社会組織および他の関係者がデータの収集・評価プロセスに参加できるようにすることが求められる。 17.子どもの個人情報(生体データを含む)は子どもの保護の目的のみに用いられるべきであり、そのためデータの収集、利用および保存ならびにデータへのアクセスに関する適切な規則が厳格に執行されるべきである。両委員会は、データシステムの開発および運用ならびに当局間および(または)国家間のデータ共有におけるセーフガードに関して相当な注意を払うよう促す。締約国は「ファイアウォール」を運用するとともに、他の目的(保護、救済、民事登録およびサービスへのアクセスなど)で収集された個人情報を出入国管理措置の執行のために共有・利用することを禁止するべきである。このことは、個人情報保護の原則を維持し、かつ子どもの権利条約に定められた子どもの権利を保護するために必要となる。 18.両委員会は、国際的移住の文脈にあるすべての子どもの権利を充足するため、以下の要素が、策定されかつ実行に移される政策および実務の一部とされるべきであるとの見解に立つ。その要素とは、(a) 子どもの保護および福祉を担当している機関とその他の主要な機関(社会的保護、保健、教育、司法、移住およびジェンダーの問題に関わる機関を含む)とのあいだならびに地域政府、国の政府および地方政府のあいだで定められる包括的かつ機関横断的な政策、(b) 政策およびプログラムの効果的実施の確保を目的とする十分な資源(予算資源を含む)、および、(c) 子どもの保護、移住および関連の問題に従事する職員を対象とする、子ども、移住者および難民の権利ならびに無国籍(交差的差別を含む)についての継続的かつ定期的な研修である。 III.国際的移住の文脈における子どもの権利に関わる両条約の基本的原則 19.子どもの権利条約の締約国は、そこに掲げられた原則および規定が関連の国内法、政策および実務において全面的に反映されかつ法的効力を有することを確保する義務を負う(第4条)。国は、子どもに関わるすべての行動において、総括的原則である差別の禁止(第2条)、子どもの最善の利益(第3条)、生命、生存および発達に対する権利(第6条)、ならびに、自己に影響を与えるすべての事柄について意見を表明し、かつその権利を考慮される子どもの権利(第12条)の原則を指針とするべきである。国は、これらの原則が実務上も維持され、かつ国際的移住の文脈にある子どもに影響を及ぼすすべての政策の主流に位置づけられること、および、出身国、通過国、目的地国および帰還国における、国際的移住の文脈における子どもの人権についての国家の義務に関する合同一般的意見(移住労働者権利委員会の一般的意見4号〔2017年〕および子どもの権利委員会の一般的意見23号〔2017年〕)で明らかにされた具体的義務の解釈および分析においてもこれらの原則が維持されることを確保するための措置(立法措置およびその他の政策手段を含む)をとるよう求められる。 20.両委員会は、子どもの権利条約第41条および移住労働者権利条約第81条の規定が適用されることを再確認するとともに、基準が異なる場合には、国内法および国際法の規定のうち国際的移住の文脈にあるすべての子どもの権利の実現にもっとも資する規定が適用されることをあらためて指摘する。さらに、両条約の効果的な実施、ならびに、移住によって子どもたちに突きつけられる課題がますます増える状況下でのすべての子どもの権利の尊重、保護および充足を確保するためには、子ども中心のアプローチを基盤として両条約をダイナミックに解釈することが必要である。 A.差別の禁止(移住労働者権利条約第1条および第7条;子どもの権利条約第2条) 21.差別の禁止の原則は、基本的な、かつ国際的移住の文脈にある子どもとの関連でそのあらゆる相において適用される原則である [5]。国際的移住に関与しまたはその影響を受けているすべての子どもは、子どもまたはその親、法定保護者もしくは家族構成員の年齢、ジェンダー、ジェンダーアイデンティティもしくは性的指向、民族的もしくは国民的出身、障害、宗教、経済的地位、移住者/在留資格、無国籍、人種、皮膚の色、婚姻もしくは家族に関わる地位、健康状態もしくは他の社会的条件、活動、表明された意見または信条にかかわらず、自己の権利を享受する資格を有する。この原則は、どのような理由で移動しているか、子どもに保護者が付き添っているか否か、移動中かもしくはその他の形で定住しているか、在留資格または他のいずれかの資格を有しているか否かにかかわらず、すべての子どもおよびその親に全面的に適用される。 [5] 子どもの権利委員会・一般的意見6号、パラ18参照。 22.差別の禁止の原則は、移住に関連するすべての政策および手続(国境管理措置を含む)の中心に、子どもまたはその親の移住者資格にかかわらず、位置づけられる。移住者の異なる取扱いは、いかなるものであっても、適法性および比例性を備え、正当な目的を追求し、かつ子どもの最善の利益ならびに国際人権法上の規範および基準に一致していなければならない。同様に、締約国は、移住者である子どもおよびその家族が、その人権の効果的実現および国民と平等なやり方によるサービスへのアクセスを通じ、受入れ社会に統合されることを確保するべきである。 23.両委員会は、締約国が、いかなる事由による差別とも闘い、かつ、移住プロセス全体を通じて複合的かつ交差的形態の差別(出身国における差別および出身国に帰還した後の差別ならびに(または)子どもの移住資格の結果として生じる差別を含む)から子どもを保護するための、十分な措置をとるよう勧告する。このような目標を達成するため、締約国は、排外主義、人種主義および差別と闘うための努力を強化し、かつこのような態度および慣行と闘うためにあらゆる適切な措置をとるとともに、この点に関わる正確な、信頼でき、かつ最新のデータおよび情報を収集しかつ普及するべきである。各国はまた、国際的移住の影響を受けている家族の、受入れ社会への社会的包摂および全面的統合を促進するとともに、国際的移住の影響を受けている子どもおよびその家族を暴力、差別、いやがらせおよびいじめから保護し、かつ両条約および各国が批准している他の条約に掲げられた権利へのこれらの子どもおよび家族によるアクセス [6] を充足する目的で、移住に関する知識を向上させるためのプログラムおよび移住者に関わるいかなる否定的な見方にも対応するためのプログラムを実施することも求められる。その際、交差的に生ずる可能性があるジェンダー特有の課題および脆弱性ならびに他のいずれかの課題および脆弱性に特段の注意が払われるべきである。 [6] 前掲、パラ70。〔訳者注/パラ76-78の誤りか〕 24.締約国は、移住政策および移住プログラムがすべてのジェンダーの子どもに及ぼす具体的影響について、確固たるジェンダー分析を実施するべきである。締約国は、法律上および実際上の移住制限であって、女子にとっての機会を限定し、または自分自身で決定を行なう女子の能力および自律性を認めないジェンダー差別的な制限がある場合には、これを見直しかつ改めることが求められる。 25.両委員会は、締約国が、移住者および難民である障害のある子どもへの差別的慣行の防止に関する政策および関連の規則、ならびに、移住者および難民である障害のある子どもが当該国の国民である子どもと平等な立場ですべての人権および基本的自由を全面的に享受することを、障害のある人の権利に関する条約に掲げられた規定を考慮しながら確保するための必要な政策およびプログラムの実施を、とくに重視するよう勧告する。 26.両委員会は、法律上の差別に対処するだけでは必ずしも事実上の平等が確保されるとはかぎらないとの見解に立つ。したがって締約国は、国際的移住の文脈にある子どもに対する事実上の差別を引き起こしまたは固定化する条件および態度を防止し、減殺しかつ解消するための積極的措置をとることにより、これらの子どもを対象として両条約に基づく権利を充足しなければならない。締約国は、国際的移住の文脈にある子どもおよび(または)その家族に対する差別事件を体系的に記録するとともに、そのような行為について適切かつ効果的な調査および制裁を行なうべきである。 B.子どもの最善の利益(子どもの権利条約第3条) 27.子どもの権利条約第3条(1)は、官民双方の領域、裁判所、行政機関および立法機関に対し、子どもに関わるすべての行動において子どもの最善の利益が評価されかつ第一次的に考慮されることを確保する義務を課している。子どもの権利委員会が一般的意見14号のパラ6で述べているように、自己の権利を第一次的に考慮される子どもの権利は実体的権利であり、基本的な法的解釈原理であり、かつ手続規則であって、個人としての子どもおよび集団としての子どもの双方に適用される。それ以降、締約国にとってこの問題に関する主要な指針と捉えられてきた同一般的意見において、委員会は子どもの最善の利益の原則の実施についても詳しく述べている。 28.委員会は、子どもの最善の利益が――いったん評価・判定された後に――他の(たとえば他の子ども、公衆および親等の)利益または権利と相反するおそれもあること、および、生じる可能性のある潜在的相反は、すべての当事者の利益を慎重に比較衡量し、かつ適切な折衷策を見出すことによって、事案ごとの状況に応じて解決が図られなければならないことを認め、一般的意見14号のパラ39において、自己の最善の利益を第一次的に考慮される子どもの権利とは、子どもの利益が高い優先順位を与えられるということであって、単に複数の考慮事項のひとつとして扱われるということではないと強調している。したがって、子どもにとって最善である対応がより重視されなければならない。委員会はさらに、パラ82において、子どもの最善の利益の評価および判定を行なう目的は、子どもの権利条約で認められた諸権利の全面的かつ効果的な享受および子どものホリスティックな発達を確保するところにあると指摘している。 29.締約国は、出入国関連法、移住政策の計画、実施および評価ならびに個別事案に関する決定において子どもの最善の利益が全面的に考慮されることを確保しなければならない。このような決定には、子どもの最善の利益が第一次的に考慮され、したがって高い優先順位を与えられなければならない、入国もしくは在留に関する申請の認容もしくは棄却、移住関連措置の執行に関する決定、子どもおよび(または)その親もしくは法定後見人による社会的権利へのアクセスの制限に関する決定ならびに家族の結合および子どもの監護に関する決定が含まれる。 30.とりわけ、子どもの最善の利益は、子どもの入国、在留もしくは送還、子どもの措置もしくはケア、または子ども自身の移住者資格と関連した親の拘禁もしくは追放に関わるいかなる行政上または司法上の決定においても、その不可欠な一部として、個別の手続を通じて明示的に確保されなければならない。 31.両委員会は、子どもに影響を及ぼす可能性のある移住関連の手続または決定において子どもの最善の利益の原則を実施するため、移住者である子どもに影響を及ぼす移住関連の決定その他の決定の一環としてまたはそのような決定の参考とする目的で、最善の利益評価・判定手続を制度的に実施する必要があることを強調する。子どもの権利委員会が一般的意見14号で説明しているように、決定が行なわれる際には子どもの最善の利益の評価および判定が実施されるべきである。「最善の利益評価」は、特定の子ども個人または特定の子ども集団について、特定の状況において決定を行なうために必要なあらゆる要素を評価しかつ比較衡量することから構成される。「最善の利益判定」とは、最善の利益評価に基づいて子どもの最善の利益を判定するために行なわれる、厳格な手続上の保障をともなう正式な手続をいう。加えて、子どもの最善の利益の評価は、個別の事案ごとに、かつそれぞれの子どもまたは子どもたちの集団の特有の事情に照らして行なわれるべき、独自の活動である。これらの事情には、年齢、性別、成熟度、マイノリティ集団への所属の有無ならびに子ども(たち)が置かれている社会的および文化的文脈が含まれる。 32.両委員会は、締約国が以下の措置をとるべきであることを強調する。 (a) 自国の立法、政策および実務において子どもの最善の利益に高い優先順位を与えること。 (b) 子どもの最善の利益の原則が、子どもに関連するおよび子どもに影響を与える立法上、行政上および司法上の手続および決定においては個別化された確固たる手続を通じて、かつ子どもに関連するおよび子どもに影響を与えるすべての移住政策および移住プログラム(領事保護に関わる政策およびサービスを含む)において、適切に統合され、一貫して解釈されかつ適用されることを確保すること。この原則が実際に適用されることを確保するため、十分な資源が用意されるべきである。 (c) 開発されかつ実施されるすべての最善の利益評価・判定において、子どもに影響を与える意思決定プロセスに際し、子どもの権利の――短期的および長期的な――充足が適切に重視されることを確保するとともに、適正手続の保障措置(無償の、有資格のかつ独立した代理人弁護士の選任権を含む)が確立されることを確保すること。最善の利益評価は、移住当局から独立した主体によって、子どもの保護・福祉の担当機関および他の関係者(親、保護者および弁護士代理人など)ならびに子ども自身の意味のある参加を含む学際的な方法で実施されるべきである。 (d) 移住関連の手続に関与するすべての関係者を対象として、入国、在留、第三国定住および送還に関する手続等において子どもの最善の利益を判定することおよび子どもの最善の利益を第一次的考慮事項として正当に重視することに関する指針を示すための手続の策定および基準の定義を図るとともに、実務における当該指針の適正な実施を監視するための機構を発展させること。 (e) 移住資格を理由とする親の拘禁または退去強制につながる可能性がある移住・庇護手続の諸段階で、子どもの最善の利益評価・判定を実施すること [7]。最善の利益判定手続は、家族からの子どもの分離につながるいかなる決定においても実施するものとされるべきであり、かつ、子どもの最善の利益が第一次的に考慮されるべき子どもの監護の場合と同じ基準が適用されるべきである。養子縁組の場合、子どもの最善の利益が最高の考慮事項とされなければならない。 (f) 保護者のいない子どももしくは養育者から分離された子どもまたは親とともにいる子どものためのもっとも適切な居住形態を、必要な場合に、かつ子どもの代替的養護に関する指針 [8] にしたがって決定する目的で、個別事案ごとに最善の利益評価を実施すること。その過程では、コミュニティを基盤とするケアが優先されるべきである。子どもを保護する目的で子どもの自由を制限するいかなる措置(たとえば閉鎖型施設への措置)も、子ども保護制度の枠内で同一の基準および保障措置によって実施されるべきであり、厳格な必要性、正当性、および子ども個人を自傷他害から保護するという目的との比例性の基準を満たしているべきであり、ホリスティックなケア計画の一環であるべきであり、かつ、移住関連措置の執行に関する政策、実務および当局から切り離されているべきである。 (g) 移住者資格を理由とする移住者家族の追放につながりうる事案においては、退去強制が子どもの権利および発達(子どものメンタルヘルスを含む)に及ぼす影響を評価するため、最善の利益判定を実施すること。 (h) 国の管轄内にある国境管理所およびその他の出入国管理手続において子どもが速やかに特定され、かつ子どもであると主張するいかなる者も子どもとして取り扱われることを確保するとともに、これらの者が子ども保護機関その他の関連の機関に速やかに付託され、かつ、保護者がおらずまたは養育者から分離されている場合は後見人を任命されることを確保すること。 (i) 移住者である子ども(国内通過中の子どもを含む)を対象とする子どもの最善の利益の原則の運用に関する指針をすべての関連機関に示し、かつ、実務における当該指針の適正な実施を監視するための機構を発展させること。 (j) 保護者のいない子どもおよび家族とともにいる子どもとの関連で、包括的な、安定したかつ持続可能な解決策 [9](現在の在留国におけるさらなる統合および定着、出身国への帰還または第三国定住を含む)を特定しかつ適用することを目的とした最善の利益判定手続を開発しかつ実践すること。このような解決策には、中期的な選択肢、ならびに、子どもおよび家族が子どもの最善の利益にかなう安定した在留資格を取得できることの確保も含まれる場合があろう。最善の利益判定手続は、子ども保護制度の枠内において子ども保護担当機関が進行するべきである。考えられる解決策および計画は、意見を聴かれる子どもの権利についての子どもの権利委員会の一般的意見12号(2009年)にしたがい、子どもにやさしくかつ子どもに配慮したやり方で、子どもとともに議論しかつ策定することが求められる。 (k) 帰還が子どもの最善の利益にかなうと判定される場合、可能であれば当該子どもとともに、その持続可能な再統合のための個別計画が作成されるべきである。両委員会は、出身国、通過国、目的地国および帰還先の国が、政策実施のための専用の資源および包括的な機関間調整機構を備えた、包括的な枠組みを策定するべきであることを強調する。このような枠組みにおいては、子どもがその出身国または第三国に帰還する場合に、権利を基盤とするアプローチを通じた子どもの効果的な再統合が確保されるべきである。これには、即時的な保護措置および長期的解決策(とくに教育、保健、心理社会的支援、家族生活、社会的包摂、司法へのアクセスおよびあらゆる形態の暴力からの保護へのアクセス)が含まれる。このようなあらゆる状況において、すべての関係機関による、権利を基盤とする質の高いフォローアップ(独立した立場からの監視および評価を含む)が確保されるべきである。両委員会は、帰還および再統合の措置が、生命、生存および発達に対する子どもの権利の観点から持続可能なものであるべきことを強調する。 [7] 子どもの権利委員会「国際的移住の文脈におけるすべての子どもの権利についての一般的討議(2012年)の報告」、パラ73-74参照。www.ohchr.org/Documents/HRBodies/CRC/Discussions/2012/DGD2012ReportAndRecommendations.pdf より入手可。 [8] 国連総会決議64/142付属文書。 [9] 包括的な、安定したかつ持続可能な解決策とは、子どもの長期的な最善の利益および福祉に可能なかぎり合致し、かつそのような視点から見て持続可能でありかつ安定している解決策をいう。その成果として、子どもが、そのニーズを満たし、かつ子どもの権利条約で定められた権利を充足する環境下で大人へと成長していけることを確保することが目指されるべきである。 33.締約国は、子どもの権利条約第3条にのっとり、子どもをその出身国に送還する旨のいかなる決定も、個別事案ごとに証拠に基づいて行なわれた検討を基礎として、かつ適切な適正手続の保障措置をともなった手続(子どもの最善の利益の確固たる個別的評価・判定を含む)にしたがって行なわれることを確保する義務を負う。この手続においては、とくに、子どもが帰還後ただちに安全を確保され、しかるべきケアを提供され、かつ諸権利を享受できるようにされることが確保されるべきである。一般的な移住管理に関連するもののような考慮事項が最善の利益に関わる考慮事項よりも優先されてはならない。両委員会は、帰還が、保護者のいない子どもおよび養育者から分離された子どもならびに家族とともにいる子どもにとって、さまざまな持続可能な解決策のひとつに過ぎないことを強調する。帰還以外の解決策としては、在留国における、個々の子どもに事情に応じた――一時的または恒久的――統合、第三国定住(たとえば家族再統合を根拠とするもの)、または協力のための現行の機構(親責任および子どもの保護措置に関する管轄権、準拠法、承認、執行および協力に関する条約など)を参照することによって個別事案ごとに特定できる可能性があるその他の解決策などがある。 C.意見を聴かれる権利、自己の意見を表明する権利および参加の権利(子どもの権利条約第12条) 34.子どもの権利条約第12条は、子ども参加の重要性を強調して、子どもが自己の意見を自由に表明できるべきこと、および、子どもの年齢、成熟度および発達しつつある能力にしたがってその意見が正当に重視されるべきことを規定している。 35.子どもの権利委員会は、一般的意見12号において、意見を聴かれる権利を保障するための十分な措置が国際的移住の文脈においてとられるべきであると強調している。ある国にやってきた子どもは、とりわけ脆弱な状況または不利な立場に置かれる可能性があるためである [10]。そのため、自己の生活に影響を与えるあらゆる側面について意見を表明し(移住・庇護手続の不可欠な一環としての意見表明を含む)、かつその意見を正当に重視されるこれらの子どもの権利を全面的に実施することがきわめて重要となる。子どもには、移住に関する独自の企図および移住のきっかけとなった独自の要因がある場合もあり、これらの子どもの参加がなければ、政策および決定は効果的または適切なものとなりえない。委員会はまた、手続においてこれらの子どもの声に耳が傾けられかつ正当に重視されるようにするため、これらの子どもに対し、とくにその権利、利用可能なサービス、連絡および意思疎通の手段、苦情申立て機構、移住・庇護手続ならびにその結果に関するあらゆる関連の情報が提供されるべきであるとも強調している。情報は、手続においてこれらの子どもの声に耳が傾けられかつ正当に重視されるようにするため、子ども自身の言語で、適切な時期に、子どもに配慮した年齢相応のやり方で提供されるべきである [11]。 [10] 子どもの権利委員会・一般的意見12号、パラ123。 [11] 前掲パラ124。 36.締約国は、すべての子ども(親のケアを受けていない子どもを含む)に対して有資格の代理人弁護士を、また保護者のいない子どもおよび養育者から分離された子どもに対しては訓練を受けた後見人を、到着後可能なかぎり早期に、無償で任命するべきである [12]。子どものための、アクセスしやすい苦情申立て機構を確保することが求められる。一連のプロセス全体を通じ、子どもが自己の母語で全面的に意見を述べられるようにするために通訳者を利用できるようにするべきであり、かつ(または)子どもの民族的、宗教的および文化的背景に通じた者による支援が受けられるようにするべきである。これらの専門家は、国際的移住の文脈にある子どもの特有のニーズ(ジェンダー、文化および宗教の側面ならびに他の交差的側面を含む)に関する訓練を受けていることが求められる。 [12] 前掲パラ123-124。 37.締約国は、自己またはその家族の事案に関連するいかなる行政上または司法上の手続(ケア、保護の場所または移住者資格に関するすべての決定を含む)において意見を聴かれる機会を提供することを含め、子どもの参加を全面的に促進しかつその便宜を図るために適切なあらゆる措置をとるべきである。子どもはその親とは別に意見を聴かれるべきであり、また家族の事案を検討する際には子どもの個人的事情もあわせて検討することが求められる。これらの手続においては最善の利益評価が別途実施されるべきであり、また移住に関する子ども特有の理由が考慮されるべきである。意見を聴かれる権利と子どもの最善の利益との重要な関係について、子どもの権利委員会はすでに、第12条の要素が尊重されなければ第3条の正しい適用はありえないと指摘している。同様に、第3条は、自己の生活に影響を与えるすべての決定における子どもの必要不可欠な役割を促進することにより、第12条の機能性を強化している [13]。 [13] 前掲パラ74。 38.締約国は、親に関わる出入国管理手続において、とくにその決定が子どもの権利(分離が子どもの最善の利益にかなう場合を除いて親から分離されない権利など。子どもの権利条約第9条参照)に影響を及ぼす場合に意見を聴かれる子どもの権利を確保するための、あらゆる適切な措置をとるべきである。 39.締約国は、国際的移住の文脈にある個人または集団としての子どもに直接間接に影響を及ぼしうる政策(社会政策・社会サービス分野の政策を含む)の立案、実施、監視および評価に、このようなすべての子どもが参加するための便宜を図ることに向けた措置をとるべきである。女子およびトランスジェンダーの子どもが、社会的、経済的、政治的および文化的リーダシップのあらゆるレベルで積極的に、効果的にかつ男子と平等に参加できるようにするための取り組みを進めることが求められる。出身国においては、子どもおよび(または)その親を移住に駆り立てる要因への対処およびこの点に関する政策の策定についての政策の策定〔原文ママ〕における、かつこのような対処および政策策定のためのプロセスにおける子ども参加がこのうえなく重要である。加えて、国は、国際的移住の影響を受けている子どもが、協議、協働および子ども主導の取り組みを通じてさまざまなレベルで参加できるようエンパワーメントを図ること、および、市民社会組織(子ども団体および子どもが主導する団体を含む)が、地方、国、地域および国際社会のレベルで、国際的移住の文脈にある子どもに関する政策対話および政策プロセスに効果的に参加できるようにすることを目的とした措置をとることが求められる。子どもの結社の自由(合法的に設置された結社を通じて行使される自由を含む)に対するいかなる制限も廃止されるべきである。 D.生命、生存および発達に対する権利(移住労働者権利条約第9条;子どもの権利条約第6条) 40.子どもの権利条約第6条は、子どもの生命、生存および発達(子どもの発達の身体的、精神的、道徳的、霊的および社会的側面を含む)に対する権利を確保する締約国の義務を強調している [14]。移住プロセスのいかなる時点においても、とくに組織犯罪の結果としての暴力、収容キャンプでの暴力、移住者を押し戻すこともしくは先に進ませないことを目的とする公的活動、国境管理機関による有形力の過度な使用、船舶による救援拒否、または極度に厳しい渡航状態および基礎的サービスへのアクセス制限を理由として、生命および生存に対する子どもの権利が危うくなる場合がある。保護者のいない子どもおよび養育者から分離された子どもはさらに脆弱な状況に直面する場合があり、ジェンダーを理由とする暴力、性暴力その他の形態の暴力および性的搾取または労働搾取目的の人身取引のようなリスクにいっそうさらされる可能性がある。家族とともに渡航する子どもも、暴力を目撃しかつ経験することが多い。移住によって生活条件を向上させかつ人権侵害から逃れる機会が得られる可能性もある一方で、移住の過程で、身体的危害、心理的トラウマ、周縁化、差別、排外主義、性的搾取および経済的搾取、家族の別離ならびに入国管理当局による摘発および収容を含むリスクも生じうる [15]。同時に、教育、質的に十分な住居、十分な量の安全な食料および水または保健サービスへのアクセスに関して子どもが直面しうる障壁によって、移住者である子どもおよび移住者の子どもの身体的、精神的、霊的、道徳的および社会的発達に悪影響が生じる可能性がある。 [14] 子どもの権利委員会・一般的意見5号(条約の実施に関する一般的措置、2003年)、パラ12参照。 [15] 子どもの権利委員会・一般的意見20号(思春期における子どもの権利の実施、2016年)、パラ76。 41.両委員会は、子どもおよび家族が移住する正規のかつ安全な経路がないために、生命が脅かされかつ著しく危険な移住の途に子どもが就くことが助長されていることを認知する。移動の促進、調整および統制ではなく抑制に焦点を当てた国境管理・監視措置(収容および退去強制が実行されていること、時宜を得た家族再統合の機会がないことならびに正規化の経路が存在しないことを含む)についても同様である。 42.両委員会の見解では、子どもの権利条約第6条および移住労働者権利条約第9条に基づく締約国の義務には、生命、生存および発達に対する子どもの権利を危うくする可能性がある、子どもが直面する移住関連のリスクを――可能なかぎり最大限に――防止しかつ低減させることが含まれる。国、とくに通過国および目的地国は、在留資格を有していない子ども(保護者のいない子どもおよび養育者から分離された子どもであるか、家族とともにいる子どもであるかを問わない)の保護、ならびに、庇護希望者である子ども、無国籍の子どもおよび越境組織犯罪(人身取引、子どもの売買、子どもの商業的性的搾取および児童婚を含む)の被害者である子どもの保護に特別な注意を向けるべきである。国はまた、移住のプロセス全体を通じ、移住者である子どもがそのジェンダーおよびその他の要因(貧困、民族、障害、宗教、性的指向、ジェンダーアイデンティティなど)を理由として直面する可能性があり、種々の人権侵害のなかでもとくに性的虐待、搾取、暴力に対する子どもの脆弱性を悪化させるおそれのある、特有の脆弱な事情も考慮することが求められる。これらの子どもが子どもとしての権利を全面的に尊重され、保護されかつ充足された状態で生活を再開できることの促進を目指しながらこれらの子どもを全面的に保護しかつ援助するために、具体的な政策および措置(子どもにやさしく、かつジェンダーに配慮した安全な司法的および非司法的救済措置を含む)が整備されるべきである。 43.両委員会は、子どもの権利条約第2条、第6条および第27条(1)の相互関連性を強調する。締約国は、国際的移住の文脈にある子どもが、子ども自身の地位または親の地位にかかわらず、その身体的、精神的、霊的および道徳的発達のために十分な生活水準を享受することを確保するべきである。 44.両委員会は、成人である移住者に対し、その国籍、無国籍、民族的出身または移住者資格を理由として基本的権利(労働権およびその他の社会的権利を含む)を否定しまたは制限する政策または実務により、生命、生存および発達に対する子どもの権利に直接間接の影響が生じうる可能性があることを懸念する。このような政策は、包括的な移住政策の立案および移住を開発政策の主流に位置づけようとする努力も阻害することにつながろう。したがって、子どもの権利条約第18条にのっとり、締約国は、子どもの親による社会的権利へのアクセスを規制するための政策および決定に関して、その移住者資格にかかわらず、子どもの発達および最善の利益が全面的に考慮されることを確保するべきである。同様に、非正規に在留している移住者の状況について国が一般的にまたは個別に対応する際にも(移住者である子どもおよびその家族の統合を促進し、かつその搾取および周縁化を防止する手段としての正規化手続の実施によるものを含む)、発達に対する子どもの権利および子どもの最善の利益を考慮することが求められる。 E.ノンルフールマン/集団的追放の禁止(移住労働者権利条約第9条、第10条および第22条;子どもの権利条約第6条、第22条および第37条) 45.締約国は、国際人権法、国際人道法、国際難民法および慣習国際法から派生するノンルフールマンの義務 [16] を尊重するべきである。両委員会は、ノンルフールマンの原則が、国際人権機関、地域人権裁判所および国内裁判所によって、人権を尊重し、保護しかつ充足する義務から生じる暗黙の保障として解釈されてきたことを強調する。この原則は、個人が帰還と同時に回復不能な被害(迫害、拷問、重大な人権侵害またはその他の回復不能な被害)を受けるおそれがある場合に、国が当該個人を(その移住者資格、国籍上の地位、庇護資格その他の地位にかかわらず)自国の領域から退去させることを禁じたものである。 [16] 難民の地位に関する1951年の条約第33条、拷問および他の残虐な、非人道的なまたは品位を傷つける取扱いまたは刑罰を禁止する条約第3条および強制失踪からのすべての人の保護に関する国際条約第16条。 46.両委員会は、ノンルフールマンの原則についてあえて狭い定義を承認する締約国があることを懸念する。両委員会がすでに指摘したように [17]、子どもが、送還先である国またはその後送還される可能性があるいずれかの国において、子どもの権利条約第6条(1)および第37条で想定されているもの(ただしこれに限定されるものではけっしてない)のような回復不能な被害を受ける現実のおそれがあると考えるに足る実質的理由がある場合には、国は、国境で子どもの入国を拒否しまたは子どもをいずれかの国に送還してはならない。このようなノンルフールマンの義務は、条約に基づいて保障されているこれらの権利の重大な侵害が非国家的主体によるものであるか否か、またはこのような侵害が直接意図されたものであるかもしくは締約国の作為もしくは不作為の間接的結果であるかにかかわらず、適用される。 [17] 子どもの権利委員会・一般的意見6号、パラ27および移住労働者権利委員会・一般的意見2号(非正規な状態にある移住労働者およびその家族構成員の権利、2013年)、パラ50。 47.両委員会は、移住労働者権利条約第22条(1)ならびに他の国際人権文書および地域人権文書が集団的追放を禁じるとともに、最終的に追放につながりうる各事案を、適正手続に関わるすべての保障および司法にアクセスする権利の実効的充足を確保しながら、個別に審査しかつ決定しなければならないと定めていることを想起する。締約国は、移住者である子どもおよび家族の集団的追放を防止するために必要なあらゆる措置をとるべきである。 IV.国際協力 48.両委員会は、両条約を包括的に解釈すれば、締約国は、この合同一般的意見で展開されている指針を考慮に入れながら国際的移住の文脈にあるすべての子どもの権利を確保する目的で、二国間協力、地域的協力よび国際協力を発展させなければならないことを強調する。 49.両委員会は、出身国、通過国、目的地国および帰還先の国のあいだで取り組みの調整を図ることの重要性、ならびに、子どもの最善の利益を第一次的に考慮しながら国際的移住の文脈にある子どものニーズに対応しかつこれらの子どもの権利を保障していく際の、これらの国々の役割および責任を認識する。 50.両委員会は、国境管理および移住対応に関するすべての国際的、地域的および二国間協力協定において、そのような取り組みが子どもの権利に及ぼす影響を正当に考慮し、かつ子どもの権利を擁護するために必要な修正を図るべきであることを再確認する。両委員会は、移住制限に焦点を当てた二国間または多国間協力が増加しており、そのために子どもの権利に明らかに悪影響が生じていることを懸念するとともに、このような対応に代えて、人権が全面的に尊重される、安全な、秩序だったかつ正規の移住を促進するような協力を促すものである。 51.締約国はまた、この合同一般的意見にのっとって子どもに関わる移住政策を実施していくため、国際連合機関および地域機関によるものを含む国際社会の技術的協力も活用するべきである。 V.合同一般的意見の普及および活用ならびに報告 52.締約国は、この合同一般的意見を、国、広域行政圏および地方のあらゆるレベルすべての関係者、とくに議会、政府機関(子どもの保護および移住を担当している機関および職員を含む)および司法機関に対して広く普及するべきである。この合同一般的意見は、すべての子ども、ならびに、子どものためにおよび子どもとともに働く者(すなわち裁判官、弁護士、警察その他の法執行機関、教員、保護者、ソーシャルワーカー、公立または私立の福祉施設およびシェルターの職員ならびに保健ケア提供者)を含むすべての関連の専門家および関係者、メディアならびに市民社会一般に対して周知することが求められる。 53.この合同一般的意見は関連の言語に翻訳されるべきであり、また子どもにやさしい/適切な版および障害のある人がアクセス可能な形式でも利用可能とされるべきである。この合同一般的意見を実施する最善の方法に関する優れた実践を共有するため、会議、セミナー、ワークショップその他のイベントを開催することが求められる。この合同一般的意見はまた、あらゆる関連の専門家およびとくに専門職員ならびに子どもの保護および移住を担当する機関および職員を対象とする正式な就任前研修および現職者研修にも編入されるべきであり、かつ、国および地方のあらゆる人権機関ならびに人権問題に取り組む他の市民社会組織に対しても利用可能とされるべきである。 54.締約国は、移住労働者権利条約第73条および子どもの権利条約第44条に基づく定期報告書に、この合同一般的意見を指針として実施した措置およびその結果に関する情報を記載するべきである。 VI.条約の批准または条約への加入および留保 55.次の条約の批准またはこれへの加入をまだ行なっていない国は、批准または加入を行なうよう奨励される。 (a) 移住労働者権利条約(第76条および第77条に基づく拘束力のある宣言を行なうことも含む) (b) 子どもの権利条約 (c) 子どもの売買、児童買春および児童ポルノに関する子どもの権利条約の選択議定書 (d) 武力紛争への子どもの関与に関する子どもの権利条約の選択議定書 (e) 通報手続に関する子どもの権利条約の選択議定書 56.締約国は、国際的移住の文脈にある子どもが両条約に基づくすべての権利を全面的に享受できることを確保する目的で、批准または加入の際に行なった留保を再検討し、修正しかつ(または)撤回するよう奨励される。 更新履歴:ページ作成(2018年4月8日)。/目次を追加(5月11日)。
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日時:5月23日(日)13:00~15:00 場所:渋谷 ※雨天中止予定 より大きな地図で 第20回 子ども手当再審要求ビラ配り@東京 渋谷 を表示 第20回 子ども手当再審要求ビラ配り@東京 渋谷 http //www21.atwiki.jp/kodomoteate/pages/1671.html ※予告なく内容に変更が生じる場合があります。あらかじめご了承ください※ 幹事:こけん 日時:5月23日(日)13:00~15:00 場所: 渋谷 集合場所はJR渋谷駅の宮益坂口出て直ぐ宮益坂下交差点のビックカメラ渋谷東口店の前辺りで集合。 ※ビラを配る場所は渋谷一丁目14、15、24、25番地の明治通り沿いです。 ※雨天中止予定 中止の場合は、当日9時時点でこちらのWiki/ML/mixiにて報告します。 内容: ビラ配りを行います。 チラシや看板などはこちらでご用意しますので、基本的に手ぶらで参加可能。途中参加も可能です。 ※途中参加の方へ集合場所と申請場所は少し離れてます。ビラを配る場所は上記にあります。 参加費は無料。ビラの引き取りだけでもOKです。 また、カンパも歓迎しておりますので、よろしくお願いいたします。 (※主催の方で責任を持って運営に渡します) 持ち物: 子ども手当再審議を要求する強い心 あと、少しの勇気 運営からのお願い: 街頭活動では、参加者のみなさんがこの会の顔としてみられます。 できるだけ相手に好印象をもたれるような服装での参加を心がけてください。 ※特にビラ配りに参加の場合 補足事項: 参加者の安全第一での開催を目指します。 基本的に立ちっぱなし 声かけたりしながらの活動なので、思った以上に汗をかいたりします。 水分補給などには充分に注意してください!! メガホンを使っての呼びかけなどは一切しません。 あくまでもみんなが参加しやすいクリーンな活動を心がけます。 ノボリ・プラカードは禁止区域です。 (片手で持てる小さなプラカードであれば問題ありません) 参加表明、激励の言葉など、 下記のコメント欄に記入をお願いします! 参加する場合は、よろしければメーリングリストにご登録ください。 ※匿名、メール非公開で参加可能です 本日の「第20回 子ども手当再審要求ビラ配り@東京 渋谷 」は雨のため中止致します。 -- (こけん) 2010-05-23 08 53 01 名前 コメント すべてのコメントを見る
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関西なので行けないけど、子どもの将来を守りたい。支持します。 -- ( ) 2010-04-02 17 51 14
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詳細未定。 現在、東京本部しかないため、 支部立ち上げメンバーを募集中です! 連絡はメールフォームよりお願いいたします。 あとメーリングリストも作りましたので、 どんどん参加しちゃってください。 メーリングリスト ※匿名、メアド非公開で参加可能 また、 現段階で賛同していただける方は、 よろしければコメントをお願いいたします! 小さい子どもがいるために主催等はできませんが、できるだけお手伝いしたいです。 -- (にょろりん) 2010-04-04 21 15 01 名前 コメント すべてのコメントを見る