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第5回 子ども手当再審要求ビラ配り ※終了しました 日時:3月22日(月祝)14 00~16 00 場所:原宿 ※雨天中止予定 集合は神宮橋に14時 時間厳守で!! 地図はこちらです→ GoogleMap より大きな地図で 子ども手当再審議要求 ビラ配り@原宿 を表示 ※途中参加はビラ配布場所にて合流してください。 内容: 駅前でのビラ配りを行います。 チラシや看板などはこちらでご用意しますので、 基本的に手ぶらで参加可能。 会費として準備にかかった費用(印刷代)などを頭数で割ったものを、 徴収させていただく可能性があります。 ※500円程度を想定 持ち物: 子ども手当再審議を要求する強い心 あと、少しの勇気 運営からのお願い: 街頭活動では、参加者のみなさんはこの会の顔としてみられることになります。 できるだけ相手に好印象をもたれるような服装での参加を心がけてください。 (スーツで参加するぐらいの勢いでお願いします) 補足事項: 参加者の安全第一での開催を目指します。 メガホンを使っての呼びかけなどは一切しません。 ノボリ・タスキ・ハチマキ等の使用も今のところ一切考えていません。 あくまでもみんなが参加しやすいクリーンな活動を心がけます。 そのほか、提案などあればメールフォームよりお願いいたします。 参加表明、激励の言葉など、 下記のコメント欄に記入をお願いします! 参加する場合は、よろしければメーリングリストにご登録ください。 ※匿名、メール非公開で参加可能です 多分、参加できます! -- (lita) 2010-03-15 23 11 40 本日衆議院で通過してしまいましたね…。自分も参加したいです! -- (koo) 2010-03-16 18 39 12 参加できませんが、頑張って下さい!応援してます! -- (澪) 2010-03-16 20 54 19 今日は参加できませんが、頑張って下さい。 -- (昭ちゃん) 2010-03-22 12 48 27 名前 コメント すべてのコメントを見る
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第3回 子ども手当再審要求ビラ配り ※終了しました 日時:3月20日(土)14 00~16 00 場所:原宿 ※雨天中止予定 集合は神宮橋に14時 時間厳守で!! 地図はこちらです→ GoogleMap より大きな地図で 子ども手当再審議要求 ビラ配り@原宿 を表示 ※途中参加はビラ配布場所にて合流してください。 内容: 駅前でのビラ配りを行います。 チラシや看板などはこちらでご用意しますので、 基本的に手ぶらで参加可能。 会費として準備にかかった費用(印刷代)などを頭数で割ったものを、 徴収させていただく可能性があります。 ※500円程度を想定 持ち物: 子ども手当再審議を要求する強い心 あと、少しの勇気 運営からのお願い: 街頭活動では、参加者のみなさんはこの会の顔としてみられることになります。 できるだけ相手に好印象をもたれるような服装での参加を心がけてください。 (スーツで参加するぐらいの勢いでお願いします) 補足事項: 参加者の安全第一での開催を目指します。 メガホンを使っての呼びかけなどは一切しません。 ノボリ・タスキ・ハチマキ等の使用も今のところ一切考えていません。 あくまでもみんなが参加しやすいクリーンな活動を心がけます。 そのほか、提案などあればメールフォームよりお願いいたします。 参加表明、激励の言葉など、 下記のコメント欄に記入をお願いします! 参加する場合は、よろしければメーリングリストにご登録ください。 ※匿名、メール非公開で参加可能です 途中参加ならできると思います! -- (lita) 2010-03-15 23 10 48 遠く広島なので、他問い合わせ活動と一人ポスティングしてます。地方でもがんばります! -- (にん) 2010-03-17 01 45 06 参加します。よろしくお願いします♪ -- (nishi) 2010-03-19 09 04 12 名前 コメント すべてのコメントを見る
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子ども手当をもらう子どもが将来借金として税金で返していかなければならないような制度には反対です -- (のりひと) 2010-05-10 21 48 17
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子どもの権利委員会・一般的意見11号:先住民族の子どもとその条約上の権利(2) → 先住民族の子どもの権利(1)に統合
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第6回 子ども手当再審要求ポスティング&ビラ配り 日時:3月28日(日)14 00~16 00 場所:原宿 ※雨天中止予定 集合は神宮橋に14時 時間厳守で!! 地図はこちらです→ GoogleMap より大きな地図で 子ども手当再審議要求 ビラ配り@原宿 を表示 ※途中参加者はビラ配布場所にて合流してください。 内容: ポスティング&ビラ配りを行います。 チラシや看板などはこちらでご用意しますので、 基本的に手ぶらで参加可能。 当日、会費として500円程度をいただきます。 持ち物: 子ども手当再審議を要求する強い心 あと、少しの勇気 運営からのお願い: 街頭活動では、参加者のみなさんはこの会の顔としてみられることになります。 できるだけ相手に好印象をもたれるような服装での参加を心がけてください。 (スーツで参加するぐらいの勢いでお願いします) 補足事項: 参加者の安全第一での開催を目指します。 メガホンを使っての呼びかけなどは一切しません。 ノボリ・タスキ・ハチマキ等の使用も今のところ一切考えていません。 あくまでもみんなが参加しやすいクリーンな活動を心がけます。 そのほか、提案などあればメールフォームよりお願いいたします。 参加表明、激励の言葉など、 下記のコメント欄に記入をお願いします! 参加する場合は、よろしければメーリングリストにご登録ください。 ※匿名、メール非公開で参加可能です 参加するかた、コメントお願いしまぁ~す。わたしももちろん参加デス。 -- (運営) 2010-03-25 09 59 38 参加します! -- (lita) 2010-03-25 13 40 15 予定が合わず出られませんが、地域のポス強化していきます。敬礼 -- (Secien) 2010-03-27 09 30 09 東京は遠いんよ。頑張ってくれ -- (A) 2010-03-27 23 34 34 お疲れさまです。今回は予定が合わず参加できないです。無念。地元ポス頑張ります! -- (ぴい) 2010-03-27 23 59 13 予定があわず、参加はできないのですが、できる限りのことを頑張ります -- (希那) 2010-03-28 00 08 03 参加します。地元ポスの皆さんも暖かい格好でがんばりましょう! -- (チョス) 2010-03-28 00 14 06 地方なので参加はできませんが、いつも応援してます! -- (葵) 2010-03-28 04 41 00 地方なのでポスティングで頑張ってます。応援してます! -- (piyo) 2010-03-28 10 11 29 地方の方、地方の支部を作りませんか?仲間を増やしていきましょう!よろしければご連絡ください。 -- (管理人) 2010-03-28 11 20 40 名前 コメント すべてのコメントを見る
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子どもの権利委員会・一般的意見12号:意見を聴かれる子どもの権利(1) 一般的意見一覧 子どもの権利委員会 第51会期(2009年5月25日~6月12日)採択 CRC/C/GC/12(原文英語〔ワード〕) 日本語訳:平野裕二〔日本語訳全文(PDF)〕 目次 I.はじめに II.目的 III.意見を聴かれる権利:子ども個人の権利および子ども集団の権利 A.法的分析1.第12条の文理的分析 2.意見を聴かれる子どもの権利を実施するための段階的措置 3.締約国の義務 → 以下、意見を聴かれる子どもの権利(2) B.意見を聴かれる権利および条約の他の規定との関係1.第12条と第3条 2.第12条、第2条および第6条 3.第12条、第13条および第17条 4.第12条と第5条 5.第12条と子どもの権利一般の実施 C.さまざまな場面および状況における意見を聴かれる権利の実施1.家庭における実施 2.代替的養護における実施 3.保健ケアにおける実施 4.教育および学校における実施 5.遊び、レクリエーション、スポーツおよび文化的活動における実施 6.労働現場における実施 → 以下、意見を聴かれる子どもの権利(3) 7.暴力の状況下における実施 8.防止戦略の策定における実施 9.移住および庇護に関わる手続における実施 10.緊急事態下における実施 11.全国的および国際的場面における実施 D.意見を聴かれる子どもの権利を実施するための基本的要件 E.結論 意見を聴かれる子どもの権利 子どもの権利条約第12条は次のように規定している。 「1.締約国は、自己の見解をまとめる力のある子どもに対して、その子どもに影響を与えるすべての事柄について自由に自己の見解を表明する権利を保障する。その際、子どもの見解が、その年齢および成熟に従い、正当に重視される。 2.この目的のため、子どもは、とくに、国内法の手続規則と一致する方法で、自己に影響を与えるいかなる司法的および行政的手続においても、直接にまたは代理人もしくは適当な団体を通じて聴聞される機会を与えられる。」〔国際教育法研究会訳〕 訳者注/政府訳は次のとおり。この日本語訳では国際教育法研究会訳を基本とするが、view(s)は「意見」とするほか、適宜政府訳も参照する。 「1 締約国は、自己の意見を形成する能力のある児童がその児童に影響を及ぼすすべての事項について自由に自己の意見を表明する権利を確保する。この場合において、児童の意見は、その児童の年齢及び成熟度に従って相応に考慮されるものとする。 2 このため、児童は、特に、自己に影響を及ぼすあらゆる司法上及び行政上の手続において、国内法の手続規則に合致する方法により直接に又は代理人若しくは適当な団体を通じて聴取される機会を与えられる。」 I.はじめに 1.子どもの権利条約(条約)第12条は、人権条約では他に例を見ない規定である。そこでは、子どもの法的および社会的地位について扱われている。子どもは、一方では成人が有する全面的自律性を有しないが、他方では権利の主体である。第1項は、自己の意見をまとめる力のあるすべての子どもに対し、その子どもに影響を与えるすべての事柄について自由に意見を表明する権利を保障するとともに、子どもの意見がその年齢および成熟度にしたがって正当に重視されるとしている。第2項は、とくに、子どもが、自己に影響を与えるいかなる司法的および行政的手続においても、意見を聴かれる権利を認められなければならないと述べている。 2.意見を聴かれ、かつ真剣に受けとめられるすべての子どもの権利は、条約の基本的価値観のひとつを構成するものである。子どもの権利委員会(委員会)は、第12条を条約の4つの一般原則のひとつに位置づけてきた(他の一般原則は、差別の禁止に対する権利、生命および発達に対する権利、ならびに、子どもの最善の利益の第一義的考慮である)。これは、同条はそれ自体でひとつの権利を定めているというのみならず、他のあらゆる権利の解釈および実施においても考慮されるべきであることを強調するものである。 3.1989年に条約が採択されて以来、第12条の実施を促進するための立法、政策および方法論の発展という面で、地方、国、地域および国際社会のレベルで相当の進展が達成されてきた。近年、ひとつの広範な実践が行なわれるようになってきており、これは、第12条では用語としては用いられていないものの、広く「参加」として概念化されてきている。この用語は、子どもとおとなの間の、相互の尊重にもとづいた情報共有および対話を含み、かつ、自分の意見とおとなの意見がどのように考慮されてプロセスの結果を左右するのかを子どもたちが学びうる、継続的プロセスを指すものとして発展し、広く用いられるようになったものである。 4.締約国は、子どもに関する〔国連〕総会第27回特別会期において、第12条を実現することに対する決意を再確認した[1]。しかし委員会は、世界中のほとんどの社会で、自己に影響を与える広範な問題について自分の意見を表明し、かつその意見を正当に考慮される子どもの権利の実施が、長年にわたる多くの慣行および態度ならびに政治的および経済的障壁によって阻害され続けていることに留意する。困難は多くの子どもによって経験されているが、委員会は、一部のグループの子ども(より幼い男女の子どもならびに周縁化されたおよび不利な立場に置かれた集団に属する子どもを含む)が、この権利の実現において特段の障壁に直面していることを、とくに認識するものである。委員会はまた、現に行なわれている実践の多くのものの質についても、依然として懸念する。第12条の意味内容、および、すべての子どもを対象として同条を全面的に実施する方法についての理解を深める必要がある。 [1] 総会が2002年に採択した決議S-27/2「子どもにふさわしい世界」(A world fit for children)。 5.2006年、委員会は、意見を聴かれる子どもの権利についての一般的討議を開催した。その目的は、第12条の意味および重要性、他の条項との有機的関連、ならびに、間隙、よい実践、および、この権利の享受を前進させるために対応しなければならない優先的問題について模索することにあった[2]。この一般的意見は、その日に行なわれた(子どもとのものを含む)情報交換、締約国報告書の審査における委員会の経験の蓄積、ならびに、政府、非政府組織(NGO)、コミュニティ組織、開発機関および子どもたち自身が行なっている、第12条に定められた権利を現実のものにしようとするきわめて重要な専門的知見および経験から生まれたものである。 [2] 意見を聴かれる子どもの権利に関する一般的討議(2006年)の勧告を参照。入手先:http //www2.ohchr.org/english/bodies/crc/docs/discussion/Final_Recommendations_after_DGD.doc 6.この一般的意見では、まず第12条の2つの項の法的分析を示し、その後、とくに司法上および行政上の手続等においてこの権利を全面的に実現するための要件について説明する(A)。Bでは、第12条が条約の他の3つの一般原則とどのように結びついているか、および、他の条項とはどのような関係にあるかについて取り上げる。さまざまな状況および環境において意見を聴かれる子どもの権利が何を必要とし、かつどのような影響を及ぼすかについては、Cで概観する。Dではこの権利を実施するための基本的要件を掲げ、Eで結論を提示する。 7.委員会は、締約国が、政府および行政機構の部内において、ならびに子どもたち及び市民社会に対して、この一般的意見を広く普及するよう勧告する。そのためには、これを関連の言語に翻訳すること、子どもが理解しやすい版を利用可能とすること、一般的意見の意味合いおよび最善の実施方法について議論するためのワークショップやセミナーを開催すること、および、子どものためにおよび子どもとともに働くすべての専門家の研修にこれを組みこむことが必要になろう。 II.目的 8.この一般的意見の全般的目的は、第12条の効果的実施に関して締約国を支援することである。これに際し、一般的意見では以下のことを追求する。 第12条の意義ならびにそれが政府、利害当事者、NGOおよび社会一般にとって有する意味合いについての理解を強化すること。 第12条の全面的実施を達成するために必要な立法、政策および実践の範囲について詳細に明らかにすること。 委員会のモニタリングの経験を活用しながら、第12条の実施における積極的アプローチに光を当てること。 自己に影響を与えるすべての事柄について子どもの意見を正当に重視するための適切な方法の基本的要件を提案すること。 III.意見を聴かれる権利:子ども個人の権利および子ども集団の権利 9.この一般的意見は、意見を聴かれる子ども個人の権利と、子ども集団(たとえばある学級の学童、近隣地域の子どもたち、ある国の子どもたち、障害のある子どもたちまたは女子)に対して適用される意見を聴かれる権利という、委員会が設けている区分にしたがって構成されている。条約は、締約国は子どもの年齢および成熟度にしたがって意見を聴かれる子どもの権利を確保しなければならないと定めているので、これは妥当な区分である(後掲・第12条第1項および第2項の法的分析を参照)。 10.年齢および成熟度の条件は、子ども個人が意見を聴かれるとき、および、子ども集団が意見表明を選択する際にも評価することが可能である。ある子どもの年齢および成熟度を評価する作業は、当該集団が家族、学童の学級または特定の近隣地域の住民といった持続的社会構造の一構成要素である場合には行ないやすくなるが、子どもたちが集団的に意見を表明する場合にはより困難となる。たとえ年齢および成熟度を評価するにあたって困難に直面したとしても、締約国は、意見を聴かれるべき集団として子どもたちをとらえるべきであり、委員会は、締約国が、集団的に声をあげる子どもたちの意見に耳を傾け、またはこのような意見を求めるためにあらゆる努力を行なうよう強く勧告する。 11.締約国は、子どもが自由な意見をまとめることを奨励すべきであり、かつ子どもが意見を聴かれる権利を行使できるような環境を提供するべきである。 12.子どもたちが表明する意見は妥当な視点および経験を付け加えてくれる可能性があるのであって、意思決定、政策立案および法律および措置の準備ならびに(または)その評価において考慮されるべきである。 13.このようなプロセスは通常、参加と呼ばれている。意見を聴かれる子どもまたは子どもたちの権利の行使は、このようなプロセスに不可欠な要素のひとつである。参加の概念においては、子どもたちを包摂することは一時的行為としてのみ位置づけられるべきではなく、子どもの生活に関連するあらゆる文脈における政策、プログラムおよび措置の発展について子どもたちとおとなたちが熱心な意見交換を行なう出発点となるべきことが重視される。 14.委員会は、この一般的意見のA節(法的分析)で、意見を聴かれる子ども個人の権利について取り上げる。C節(さまざまな場面および状況における意見を聴かれる権利の実施)では、子ども個人および集団としての子どもたち双方の意見を聴かれる権利について検討する。 A.法的分析 15.条約第12条は、自己に影響を与えるすべての事柄について自由に意見を表明するすべての子どもの権利、および、これらの意見をその子どもの年齢および成熟度にしたがって正当に重視される二次的権利を定めている。この権利は、この権利を承認し、かつ、子どもの意見に耳を傾けおよびそれを正当に重視することによってその実施を確保する明確な法的義務を、締約国に対して課すものである。この義務により、締約国は、自国の特有の司法制度との関連で、この権利を直接保障し、または子どもがこの権利を全面的に享受できるように法律を採択しもしくは改正することを要求される。 16.しかし、子どもにはこの権利を行使しない権利がある。意見の表明は子どもにとっては選択であり、義務ではない。締約国は、子どもが、その最善の利益にかなう決定を行なうためにあらゆる必要な情報および助言を受けることを確保しなければならない。 17.一般原則のひとつとしての第12条は、締約国が、条約に編入されている他のあらゆる権利の解釈および実施が同条を指針として行なわれることを確保するために努力すべきことを定めている [3]。 [3] 子どもの権利条約の実施に関する一般的措置についての委員会の一般的意見5号(2003年、CRC/GC/2003/5)参照。 18.第12条は、子どもにはその脆弱性(保護)またはおとなへの依存(条件整備)から派生する権利に留まらず、自己の人生に影響を及ぼす権利があることを明らかにしたものである [4]。条約は子どもを権利の主体として承認しているのであり、この国際文書が締約国によってほぼ普遍的に批准されていることは、第12条に明確に表れている子どものこのような地位を強調するものである。 [4] 条約に言及する際には、3つの「P」、すなわち条件整備(provision)、保護(protection)および参加(participation)が用いられることが一般的である。 1.第12条の文理的分析 (a)第12条第1項 (i) 「保障(確保)する」(shall assure) 19.第12条第1項は、締約国が自己の意見を自由に表明する子どもの権利を「保障(確保)する」と定めている。「保障(確保)する」とは特別な強さを有する法的用語であり、締約国の裁量の余地をまったく残さない。したがって締約国は、すべての子どもを対象としてこの権利を全面的に実施するために適切な措置をとる厳格な義務を有する。この義務には、自己に影響を与えるすべての事柄について子どもの意見を求め、かつこれらの意見を正当に重視するための機構が設けられることを確保するための、2つの要素が含まれる。 (ii) 「自己の意見をまとめる力(形成する能力)のある」(capable of forming his or her own views) 20.締約国は、「自己の意見をまとめる(形成する)力のある」すべての子どもに対し、意見を聴かれる権利を確保するものとされる。この文言は、制限としてではなく、むしろ自律的見解をまとめる子どもの能力を可能なかぎり最大限に評価する締約国の義務としてとらえられるべきである。すなわち、締約国は、子どもに自己の意見を表明する能力がないとあらかじめ決めてかかることはできない。逆に、締約国は、子どもには自己の意見をまとめる力があると推定し、かつそれを表明する権利があることを認めるべきである。子どもがまず自己の力を証明しなければならないわけではない。 21.委員会は、第12条では子どもの意見表明権に何らの年齢制限も課されていないことを強調するとともに、締約国に対し、法律または実務において、自己に影響を与えるすべての事柄について意見を聴かれる子どもの権利を制約するような年齢制限を導入しないよう奨励する。これとの関連で、委員会は以下のことを強調するものである。 第一に、乳幼児期における子どもの権利の実施に関する一般的討議後の勧告において、委員会は、権利の保有者としての子どもという考え方が「子どもの日常生活のなかに、もっとも早い段階から、……根づく」べきであると強調した [5]。調査研究の結果、子どもは、たとえ言語で自らを表現できない時期であっても、もっとも幼い年齢のころから意見をまとめられることがわかっている [6]。したがって、第12条を全面的に実施するためには、遊び、身振り、表情およびお絵描きを含む非言語的コミュニケーション形態を認識しかつ尊重することが必要である。非常に幼い子どもたちも、このような手段を通じて理解、選択および好みを明らかにする。 第二に、自己に影響を与える事柄のあらゆる側面について子どもが包括的知識を有している必要はないが、その事柄に関する自己の意見を適切にまとめることができるのに十分な理解力は必要である。 第三に、締約国には、自己の意見を聴いてもらううえで困難を経験している子どもたちを対象としてこの権利の実施を確保する義務もある。たとえば障害のある子どもは、自己の意見の表明を容易にするうえで必要ないかなるコミュニケーション形態も用意されるべきであるし、それを使えるようにされるべきである。マイノリティ、先住民族および移住者の子どもならびにマジョリティ言語を話せないその他の子どもに意見表明権を認めるための努力も行なわれなければならない。 最後に、締約国は、この権利の軽率な実践がもたらす可能性のある否定的結果も認識しておかなければならない。とりわけ、非常に幼い子どもが関与する場合、または子どもが犯罪、性的虐待、暴力その他の形態の不当な取り扱いの被害者である場合にはこれが該当する。締約国は、意見を聴かれる権利が子どもの全面的保護を確保しながら行使されることを確保するため、あらゆる必要な措置をとらなければならない。 [5] CRC/C/GC/7/Rev.1, para.14.〔一般的討議勧告パラ10〕 [6] Cf. Lansdown, G., “The evolving capacities of the child”, Innocenti Research Centre, UNICEF/Save the Children, Florence (2005). (iii) 「自由に自己の意見を表明する権利」(the right to express those views freely) 22.子どもは「自由に自己の意見を表明する権利」を有する。「自由に」とは、子どもは圧力を受けることなく自己の意見を表明でき、かつ意見を聴かれる権利を行使したいか否か選べるということである。「自由に」とはまた、子どもは操作または不当な影響もしくは圧力の対象にされてはならないということも意味する。「自由に」とはさらに、子ども「自身」の視点と本質的に関連するものである。子どもには、他人の意見ではなく自分自身の意見を表明する権利がある。 23.締約国は、子どもの個人的および社会的状況を考慮した意見表明の条件と、子どもが自己の意見を自由に表明する際に尊重されておりかつ安心できると感じられる環境を、確保しなければならない。 24.委員会は、子どもは必要な回数以上に事情聴取の対象とされるべきではないことを強調する。有害な出来事の究明が行なわれるときはなおさらである。子どもの「聴取」は困難なプロセスであり、子どもに対してトラウマをもたらすような影響を与える可能性がある。 25.自己の意見を表明する子どもの権利を実現するためには、その事柄、選択肢、ならびに、子どもの意見を聴く担当者および子どもの親または保護者が行なう可能性のある決定およびそれがもたらす結果について、子どもに情報が提供される必要がある。子どもにはまた、どのような条件下で意見表明を求められるかについての情報も提供されなければならない。情報に対するこのような権利は、それが子どもが明快な決定を行なうための前提であるだけに、必要不可欠である。 (iv) 「その子どもに影響を与えるすべての事柄について」(in all matters affecting the child) 26.締約国は、子どもが、その子どもに「影響を与えるすべての事柄について」意見を表明できることを確保しなければならない。これが、この権利の第二の限定要件である。子どもは、議論の対象となっている事柄がその子どもに影響を与える場合に意見を聴かれなければならない。この基本的条件は、尊重され、かつ広義に理解されなければならない。 27.〔旧国連〕人権委員会が設置し、条約の規定を起草した、期限および参加資格等のない作業部会は、これらの事柄を定義する手段として子ども(たち)の意見の考慮を制限するリストを掲げようという提案を受け入れなかった。そうではなく、意見を聴かれる子どもの権利は「その子どもに影響を与えるすべての事柄」に及ぶべきであることが決定されたのである。委員会は、検討対象とされている事柄が子どもたちに影響を与えていること、および子どもたちがその事柄について自己の意見を表明できることが明らかである場合でさえ、子どもたちが意見を聴かれる権利をしばしば否定されていることを懸念する。委員会は、「事柄」を幅広く定義し、条約で明示的に言及されていない問題も対象とすることを支持する一方で、「その子どもに影響を与える」という一節が、一般的な政治的議題が意図されているわけではないことを明確にするために付け加えられたことを認識するものである。しかし、子どものための世界サミットを含む実践は、子ども(たち)に影響を与える事柄を広く解釈することが、そのコミュニティおよび社会の社会的プロセスに子どもたちを包摂するうえで役に立つことを実証している。したがって締約国は、子どもたちの視点によって解決策の質が高まりうる場合は常に、その意見に注意深く耳を傾けるべきである。 (v) 「子どもの意見が、その年齢および成熟度に従い、正当に重視〔相応に考慮〕される」(being given due weight in accordance with the age and maturity of the child) 28.子どもの意見は「その年齢および成熟度に従い、正当に重視され」なければならない。この一節は子どもの力に言及したものであり、子どもの意見を正当に重視するため、または子どもの意見がプロセスの結果にどのように影響したのかを子どもに伝えるためには、その子どもの力を評価する必要がある。第12条は、子どもの意見に耳を傾けるだけでは不十分であり、子どもに自己の意見をまとめる力があるときはその意見が真剣に考慮されなければならないと定めているのである。 29.第12条は、年齢および成熟度にしたがって正当に重視することを要求することにより、年齢だけで子どもの意見の重要性を決定することはできないことを明確にしている。子どもの理解力の水準はその生物学的年齢と一律に関連づけられるわけではない。調査研究の示すところによれば、子どもの意見形成能力の発達には、情報、経験、環境、社会的・文化的期待ならびに支援水準のいずれもが寄与している。このような理由から、子どもの意見は事案ごとの検討にもとづいて評価されなければならない。 30.成熟度とは、特定の事柄の意味するところを理解しおよび評価する力を指すものであり、したがって子ども個人の力を判断する際に考慮されなければならない。成熟度を定義するのは困難である。第12条の文脈では、これは諸問題に関する自己の意見を合理的にかつ独立に表明する子どもの力を意味する。その事柄が子どもに及ぼす影響も考慮されなければならない。結果が子どもの人生に及ぼす影響が大きいほど、その子どもの成熟度を適切に評価することは重要性を増す。 31.子どもの発達しつつある能力という概念ならびに親の指示および指導も考慮する必要がある(後掲パラ84およびC参照)。 (b)第12条第2項 (i) 「自己に影響を与えるいかなる司法的および行政的手続においても……聴聞〔聴取〕される」権利(the right “to be heard in any judicial and administrative proceedings affecting the child) 32.第12条2項は、とくに「自己に影響を与えるいかなる司法的および行政的手続においても」聴聞される機会が与えられなければならないと定めている。委員会は、この規定は子どもに影響を与えるあらゆる関連の司法手続に制限なく適用されることを強調するものである。このような手続には、たとえば、親の別居、監護、ケアおよび養子縁組、法律に抵触した子ども、身体的・心理的暴力、性的虐待その他の犯罪の被害を受けた子ども、保健ケア、社会保障、保護者のいない子ども、庇護希望者・難民の子どもならびに武力紛争その他の緊急事態の被害を受けている子どもに関わる手続が含まれる。典型的な行政的手続には、たとえば、子どもの教育、健康、環境、生活条件または保護に関する決定などがある。いずれの種類の手続にも、調停および斡旋のような代替的紛争解決機構が用いられる場合があろう。 33.聴聞される権利は、子どもが開始した手続(不当な取扱いに対する苦情申立ておよび停退学への異議申立てなど)にも、他人が開始した手続であってその子どもに影響を与えるもの(親の別居または養子縁組など)にも適用される。締約国は、司法的または行政的手続で決定を行なう者に対し、子どもの意見がどの程度考慮されるのかおよび子どもにとってどのような結果が生じるのかを説明することを要求する、立法上の措置を導入するよう奨励されるところである。 34.畏縮をもたらすような環境、敵対的な環境、配慮のない環境または子どもの年齢にふさわしくない環境では、子どもから効果的に聴聞することは不可能である。手続は、アクセスしやすく、かつ子どもにとってふさわしいという両方の条件を備えていなければならない。子どもに理解しやすい情報の提供および伝達、子どもがみずから権利擁護を行なうための十分な支援、適切な訓練を受けたスタッフ、法廷の設計、裁判官および弁護士の服装、視覚の遮蔽設備ならびに独立した控え室に対してとくに注意を払う必要がある。 (ii) 「直接にまたは代理人もしくは適当な団体を通じて」(either directly, or through a representative or an appropriate body) 35.子どもは、聴聞に応じることを決心した後、どのような方法で――「直接にまたは代理人もしくは適当な団体を通じて」――聴聞されるかを決定しなければならない。委員会は、いかなる手続においても、可能な場合には常に、子どもに対して直接に聴聞される機会が与えられなければならないことを勧告するものである。 36.代理人には、(両)親、弁護士またはその他の者(とくにソーシャルワーカー)がなることができる。ただし、多くの(民事、刑事または行政)事案において、子どもとそのもっとも自明な代理人((両)親)との間には利益相反のおそれがあることを強調しなければならない。子どもの聴聞が代理人を通じて行なわれるときにもっとも重要なのは、代理人が、子どもの意見を意思決定担当者に正確に伝達することである。その方法は、子どもが置かれている特定の状況に応じ、子ども(または必要なときは適切な公的機関)によって決定されるべきである。代理人は、意思決定プロセスのさまざまな側面に関する十分な知識および理解ならびに子どもとの活動経験を有していなければならない。 37.代理人は、自分はもっぱら子どもの利益を代弁しているのであって、他人((両)親)、制度または機関(たとえば居住型施設、行政または社会)の利益を代弁しているわけではないことを自覚しなければならない。子どもの意見を代弁するために任命される代理人を対象とした行動規範が策定されるべきである。 (iii) 「国内法の手続規則と一致する方法で」(in a manner consistent with the procedural rules of national law) 38.代理・代弁の機会は「国内法の手続規則と一致する方法で」与えられなければならない。この一節は、この基本的権利の享受を制約しまたは妨げる手続法の使用を認めたものとして解釈されるべきではない。逆に、締約国は、防御権および自分自身に関する書類にアクセスする権利のような、公正な手続の基本的規則を遵守するよう奨励されるところである。 39.手続規則が遵守されないときは、裁判所または行政機関の決定は異議申立ての対象となり、覆され、別段の決定が行なわれ、または裁判所によるさらなる検討のために差し戻される場合がある。 2.意見を聴かれる子どもの権利を実施するための段階的措置 40.第12条の2つの項を実施する際には、ある事柄が子どもに影響を与えるあらゆる場合に、または子どもが公式の手続その他の場面で意見を述べるよう求められる場合に意見を聴かれる子どもの権利が効果的に実現されるようにするため、5つの段階的措置をとることが必要である。これらの要件は当該文脈にふさわしいやり方で適用されなければならない。 (a) 準備 41.子どもの意見を聴く責任者は、子どもには自己に影響を与えるあらゆる事柄について、および、とくにいかなる司法的および行政的意思決定プロセスにおいても意見を表明する権利があることに関して、および、表明された意見が結果にどのような影響を及ぼすかに関して、当該の子どもが知らされることを確保しなければならない。子どもに対してはさらに、やりとりは直接にまたは代理人を通じて行なう選択肢がある旨の情報も提供されなければならない。意思決定担当者は、聴聞がどのように、いつおよびどこで行なわれるかならびに誰が参加するかについて説明することにより子どもが十分な心構えを持てるようにするとともに、この点に関わる子どもの意見を考慮しなければならない。 (b) 聴聞 42.意見を聴かれる権利を子どもが行使する際には、意見を表明しやすい、励ましに富んだ環境が用意されなければならない。子どもが、聴聞の責任者であるおとなは自分が伝えようと決めたことに耳を傾け、かつそれを真剣に考慮することに対して積極的であると確信できるようにするためである。子どもの意見を聴く者としては、子どもに影響を与える事柄に関与しているおとな(たとえば教員、ソーシャルワーカー、ケアワーカー等)、機関の意思決定担当者(たとえば機関の長、管理職、裁判官等)または専門家(たとえば心理学者や医師)などが考えられる。 43.経験の示すところにより、このような状況においては一方的な吟味よりも談話の形式がとられるべきである。子どもの聴聞は公開の法廷ではなく秘密が守られる条件下で行なわれるのが望ましい。 (c) 子どもの力の評価 44.子どもの意見は、個別事案ごとの分析によりその子どもに自己の意見をまとめる力があることが示されたときは、正当に重視されなければならない。子どもに合理的かつ独立に自己の意見をまとめる力があるときは、意思決定担当者は、問題の解決における重要な要素のひとつとして子どもの意見を考慮しなければならない。子どもの力の評価に関わる望ましい実践を発展させていく必要がある。 (d) 子どもの意見がどの程度重視されたかに関する情報(フィードバック) 45.子どもは自分の意見が正当に重視される権利を享有しているので、意思決定担当者は、子どもに対してプロセスの結果を知らせ、かつ子どもの意見がどのように考慮されたかを説明しなければならない。このようなフィードバックは、子どもの意見が形式的に聴かれるだけではなく真剣に受けとめられることの保障である。このような情報がきっかけとなって、子どもはあくまで自己の意見を主張し、同意しもしくは別の提案を行なうか、司法的・行政的手続の場合には上訴もしくは不服申立てを行なう可能性もある。 (e) 苦情申立て、救済措置および是正措置 46.意見を聴かれ、かつそれを正当に重視される権利がないがしろにされかつ侵害された場合の苦情申立て手続および救済措置を子どもたちに提供するための立法が必要とされる [7]。子どもたちは、苦情の声をあげるため、あらゆる子ども施設、とくに学校および保育所において、オンブズマンまたはこれに相当する役割を果たす者に相談する可能性を保障されるべきである。子どもたちは、これらの者がどういう人であり、かつどうすればこれらの者にアクセスできるかを知っていなければならない。子どもの意見の考慮に関して家庭内で紛争が生じたときは、子どもが地域青少年サービスの関係者に相談できるようにするべきである。 [7] 子どもの権利条約の実施に関する一般的措置についての委員会の一般的意見5号(2003年、CRC/GC/2003/5)、パラ24参照。 47.意見を聴かれる子どもの権利が司法的および行政手続との関連で侵害されたとき(第12条第2項)は、子どもは、権利侵害に対する救済措置を提供してくれる異議申立ておよび苦情申立ての手続にアクセスできなければならない。苦情申立て手続においては、手続を利用しても暴力または処罰のおそれにさらされることはないと子どもが確信を持てるようにするための、信頼のできるしくみが用意されなければならない。 → 意見を聴かれる子どもの権利(2)へ続く 更新履歴:ページ作成(2011年5月2日)。
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外国在住外国籍の子どもに手当が支給されること -- (名無しさん) 2010-03-22 17 27 32
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子どもの権利委員会・一般的意見12号:意見を聴かれる子どもの権利(3) 意見を聴かれる子どもの権利(2)より続く C.さまざまな場面および状況における意見を聴かれる権利の実施(続き) 6.労働現場における実施 116.法律ならびに国際労働機関第138号条約(1973年)および第182号条約(1999年)が認める年齢未満で働いている子どもたちは、当該状況および自分の最善の利益に関するその意見を理解するため、子どもに配慮した環境で意見を聴かれなければならない。このような子どもたちは、経済的および社会構造的制約ならびにこれらの子どもたちが働く文化的文脈を尊重する解決策の追求に包摂されるべきである。子どもたちはまた、児童労働の根本的原因を解消する目的で政策、とくに教育に関わる政策が立案されるときにも、意見を聴かれるべきである。 117.働く子どもたちは法律によって搾取から保護される権利を有しているのであり、労働法の実施状況を調査する査察官が就業場所および労働条件を検査するときに意見を聴かれるべきである。子どもたち、および存在するのであれば働く子どもたちの団体の代表は、労働法が起草される際または法律の執行状況が検討および評価される際にも意見を聴かれるべきである。 7.暴力の状況下における実施 118.条約は、あらゆる形態の暴力から保護される子どもの権利、および、この権利をいかなる差別もなくすべての子どもに対して確保する締約国の責任を定めている。委員会は、締約国に対し、あらゆる形態の暴力に対処することを目的とする立法上、政策上、教育上その他の措置の立案および実施において、子どもたちと協議するよう奨励するものである。搾取されている子どもたち、ストリートチルドレンまたは難民である子どもたちのような周縁化されかつ不利な立場に置かれた子どもたちが、関連の立法および政策プロセスに関する意見を募るための協議プロセスから排除されないことを確保することに対し、特段の注意が払われなければならない。 119.これとの関連で、委員会は「子どもに対する暴力に関する事務総長研究」の知見を歓迎し、締約国に対し、その勧告を全面的に実施するよう促す(子どもに対する暴力の防止、報告および監視のあらゆる側面について、子どもたちがその意見を自由に表明できる場を提供し、かつ表明された意見を正当に重視するよう求める勧告を含む)。 [18] [18] 「子どもに対する暴力に関する国際連合研究」のための独立専門家の報告書(A/61/229)。 120.子どもたちに対して振るわれる暴力の多くは異議申し立てを受けることがない。これは、一部の形態の虐待的行動は受け入れられた慣行であると子どもたちから理解されているためでも、子どもにやさしい通報機構が存在しないためでもある。たとえば、体罰、女性器切除または早期婚のような不当な取扱いを経験してもそれを秘密にかつ安全に通報できる相手がおらず、また子どもの権利を実施する責任者に全般的見方を伝える回路もない。そのため、子どもたちを効果的に保護措置の対象とするためには、子どもたちが、意見を聴かれる自分たちの権利およびあらゆる形態の身体的・心理的暴力を受けずに成長する権利について十分な情報を得ていることが必要とされる。締約国は、あらゆる子ども施設に対し、子どもたちが秘密にかつ安全に通報できる個人または組織に容易にアクセスできるようにすること(電話のヘルプラインを通じてのアクセスも含む)、および、子どもに対する暴力との闘いについて子どもたちが自分の経験および意見を寄せられる場を提供することを、義務づけるべきである。 121.委員会はまた、子どもたちが自分自身の保護に関して中心的役割を果たせるよう、暴力に対応するための子どもたちの団体および子どもが主導する取り組みを支援および奨励し、かつ暴力に対抗するためのプログラムおよび措置の立案、確立および評価にこれらの団体を包摂するべきであるという、「子どもに対する暴力に関する事務総長研究」に掲げられた勧告に対しても、締約国の注意を喚起するものである。 8.防止戦略の策定における実施 122.委員会は、子どもの権利侵害の防止において子どもたちの声がますます力を増していることに留意する。望ましい実践例は、とくに学校における暴力防止、危険かつ厳しい労働を通じた搾取との闘い、ストリートチルドレンへの保健サービスおよび教育の提供ならびに少年司法制度の分野で見出すことができる。子どもたちは、これらの問題その他の問題領域に関する立法および政策の立案に際して協議の対象とされるべきであり、かつ、関連する計画およびプログラムの起案、策定および実施への参加を促されるべきである。 9.移住および庇護に関わる手続における実施 123.仕事を求める親に連れられてまたは難民としてある国にやってきた子どもたちは、とりわけ脆弱な状況に置かれる。そのため、移住および庇護に関わる手続のあらゆる側面について自己の意見を表明するこのような子どもたちの権利を全面的に実施することが緊急に必要である。移住の場合、学校および保健サービスへの子どもの統合を図るため、教育上の期待および健康状態について子どもの意見を聴かなければならない。庇護申請の場合、これに加えて、庇護申請に至った理由を提示する機会が与えられなければならない。 124.委員会は、手続においてこれらの子どもたちの声に耳が傾けられかつ正当に重視されるようにするため、これらの子どもたちに対し、その権利、利用可能なサービス(連絡および意思疎通の手段を含む)ならびに移住・庇護手続に関するあらゆる関連の情報が子どもたち自身の言語で提供されなければならないことを強調する。後見人または助言者が無償で任命されるべきである。庇護希望者である子どもたちには、その最善の利益について判断するため、家族の効果的な追跡、および、出身国の状況に関する関連情報も必要になる場合がある。かつて武力紛争に関与していた子どもたちには、自己のニーズをはっきりと表明できるようにするため、特段の援助が必要になるかもしれない。さらに、無国籍の子どもたちが、居住領域内で進められる意思決定プロセスに包摂されることを確保するための注意も必要である。[19] [19] 出身国外にあって保護者のいない子どもおよび養育者から分離された子どもの取扱いに関する委員会の一般的意見6号(CRC/GC/C/2005/6)参照。 10.緊急事態下における実施 125.委員会は、第12条に掲げられた権利は危機状況またはその直後の時期においても停止しないことを強調する。紛争状況、紛争後の解決、および緊急事態後の復興において子どもたちが重要な貢献を行なえることを示す証拠はますます蓄積されつつある [20]。そこで委員会は、2008年の一般的討議後の勧告で、緊急事態の影響を受けた子どもたちが、自分たちの状況および将来展望の分析への参加を奨励され、かつ参加できるようにされるべきことを強調した。子ども参加は、子どもたちが自分たちの生活をふたたびコントロールできるようにするうえで役立ち、立ち直りに寄与し、組織的スキルを発展させ、かつアイデンティティの感覚を強化する。しかし、トラウマにつながるまたは有害である可能性が高い状況を目の当たりにすることから子どもたちを保護するための配慮は必要である。 [20] “The participation of children and young people in emergencies a guide for relief agencies”, UNICEF, Bangkok (2007). 126.したがって委員会は、締約国に対し、子どもたち、とくに思春期の子どもたちが、緊急事態後の復興プロセスおよび紛争後の解決プロセスの双方で積極的役割を果たせるようにする機構を支援するよう奨励する。プログラムの事前評価、立案、実施、モニタリングおよび事後評価において子どもたちの意見が募られるべきである。たとえば、難民キャンプの子どもたちに対し、子どもフォーラムの設置を通じて自分たち自身の安全およびウェルビーイングに貢献するよう奨励することが考えられよう。子どもたちがそのようなフォーラムを設置できるようにするための支援が与えられなければならない。他方、その運営が子どもたちの最善の利益および有害な経験から保護される権利と合致することを確保することも必要である。 11.全国的および国際的場面における実施 127.子ども参加の機会の多くはコミュニティ・レベルで生じている。委員会は、地方若者議会、自治体子ども評議会、および、意思決定プロセスにおいて子どもたちが自分たちの意見を表明することのできる特別協議の数が増えていることを歓迎するものである。しかし、このような正式な代表制に基づく地方政府への参加体制は、地方レベルでの第12条の実施への数あるアプローチのひとつに過ぎないものと位置づけることが求められる。このような体制を通じて地域コミュニティに関与できるのは、相対的に少人数の子どもたちに留まるためである。政治家および官吏が時間を決めて協議に応じること、オープンハウスを実施することならびに学校や幼稚園を訪問することによって、コミュニケーションのための追加的機会をつくり出すことができる。 128.子どもたちは、意味のある参加および集団的表現の空間を生み出すことにつながる子ども主導型の団体および取り組みを自分たち自身で形成するよう、支援および奨励されるべきである。加えて、子どもたちは、より適切なサービスを確保する目的で、たとえば学校、遊び場、公園、余暇施設および文化施設、公共図書館、保健施設ならびに地域輸送システムの設計に関する自分たちなりの見方を提供することができる。公衆との協議を呼びかけるコミュニティ開発計画においては、子どもたちの意見が明示的に包摂されるべきである。 129.一方、このような参加の機会が、行政区、広域行政圏、連邦州および国のレベルでも設けられている国も多い。そこでは、若者の議会、評議会および会議を通じて、子どもたちが自分たちの意見を発表し、かつ関連の聴き手に知らせる場が提供されている。NGOおよび市民社会組織は、代表の選ばれ方の透明性を守り、かつ操作または形式主義の危険に対抗する子ども支援実践を発展させてきた。 130.委員会は、意見を聴かれる子どもたちの権利およびあらゆる分野における子ども参加についての意識を促進するうえでユニセフおよびNGOが重要な貢献を行なってきたことを歓迎するとともに、子どもに影響を与えるあらゆる事柄についての子ども参加を(草の根レベル、コミュニティ・レベル、国レベルまたは国際レベル等で)さらに促進し、かつ模範的実践の交流を推進するよう奨励する。集団的アドボカシーの共同学習の機会および実践の場を増やすため、子ども主導型団体のネットワーク化が積極的に奨励されるべきである。 131.国際的レベルでは、国連総会が主催した「子どものための世界サミット」(1990年および2002年)における子ども参加、ならびに、子どもの権利委員会への報告プロセスへの子どもたちの関与が特段の関連性を有する。委員会は、締約国による子どもの権利の実施状況を監視するプロセスにおいて、子ども団体および子どもたちの代表から提出される文書による報告および口頭による追加情報を歓迎し、締約国およびNGOに対し、子どもたちが委員会に意見を提供することを支援するよう奨励するものである。 D.意見を聴かれる子どもの権利を実施するための基本的要件 132.委員会は、締約国に対し、子どもたちの意見表明を制約し、または子どもたちが意見を聴いてもらえるようにはするものの表明された意見を正当に重視しない、形式主義的アプローチを避けるよう促す。委員会は、何を言ってもよいか告げられるような状況に子どもたちを置き、または参加を通じた危害のおそれに子どもたちをさらすような、おとなによる子どもたちの操作は、倫理的実践ではなく、かつ第12条を実施しているとは理解できないことを強調するものである。 133.参加が効果的かつ意味のあるものとなるためには、一度きりの個別的イベントではなくプロセスとして理解される必要がある。子どもの権利条約が1989年に採択されて以降の経験を通じ、第12条の効果的、倫理的かつ意味のある実施のために達成されなければならない基本的要件について幅広い合意が形成されてきた。委員会は、締約国が、第12条を実施するためのあらゆる立法上その他の措置にこれらの要件を統合するよう勧告する。 134.子どもまたは子どもたちが意見を聴かれかつ参加するあらゆるプロセスは、以下のようなものでなければならない。 (a) 透明かつ情報が豊かである――子どもたちは、自己の意見を表明し、かつその意見を正当に重視される権利ならびにこのような参加が行なわれる方法、その範囲、目的および潜在的影響についての、十分な、アクセスしやすい、多様性に配慮した、かつ年齢にふさわしい情報を提供されなければならない。 (b) 任意である――子どもたちが意思に反して意見表明を強要されることはけっしてあるべきではなく、また子どもたちにはどの段階でも関与をやめてよいことが知らされるべきである。 (c) 尊重される――子どもたちの意見は敬意をもって扱われなければならず、また子どもたちにはアイデアおよび活動を主導する機会が提供されるべきである。子どもたちとともに活動しているおとなは、たとえば家族、学校、文化および労働環境に対する貢献における子ども参加の好例を認知し、尊重し、かつ発展させていくことが求められる。子どもたちの生活の社会経済的、環境的および文化的文脈についての理解も必要である。子どもたちのためにおよび子どもたちとともに活動している者および組織も、公的イベントへの参加に関して子どもたちの意見を尊重するべきである。 (d) 子どもたちの生活に関連している――子どもたちが意見表明権を有する問題は、その生活に真に関連しており、かつ子どもたちが自分の知識、スキルおよび能力を活用できるようなものでなければならない。加えて、子どもたち自身が関連性および重要性を有すると考える問題に光を当て、かつ対処できるようにする余地も設けられる必要がある。 (e) 子どもにやさしい――環境および作業方法は子どもたちの力量に合わせて修正されるべきである。子どもたちが十分に準備を整え、かつ意見を表明する自信および機会を持てることを確保するため、十分な時間および資源を利用可能とすることが求められる。子どもたちは、その年齢および発達しつつある能力にしたがって異なる水準の支援および関与形態を必要とすることが考慮されなければならない。 (f) インクルーシブである――参加はインクルーシブであり、現存する差別のパターンを避け、かつ周縁化された子どもたち(女子と男子の双方を含む)が関与する機会を奨励するようなものでなければならない(前掲パラ88も参照)。子どもたちは均質的集団ではなく、参加は、いかなる事由に基づく差別もなく、すべての子どもたちに対して均等な機会を提供するようなものである必要がある。プログラムにおいては、あらゆるコミュニティ出身の子どもたちに対して文化的配慮を行なうことも確保されなければならない。 (g) 訓練による支援がある――おとなには、子ども参加を効果的に促進するための、たとえば耳を傾けること、子どもたちと共同作業を行なうことおよび発達しつつある能力にしたがって効果的に子どもたちの参加を得ることに関わるスキルを身につけるための、準備、スキルおよび支援が必要である。子どもたち自身が、効果的参加を促進する方法についてのトレーナーおよびファシリテーターとして関与することもできよう。子どもたちには、たとえば効果的参加に関わるスキル〔および〕権利意識を高めるための能力構築、ならびに、会議の組織、資金集め、メディア対応、公の場での話およびアドボカシーに関する訓練が必要である。 (h) 安全であり、かつリスクに配慮している――一定の状況では意見表明がリスクをともなう可能性もある。おとなはともに活動する子どもたちに対して責任を負っているのであり、子どもたちに対する、暴力、搾取、または参加にともなう他のいずれかの否定的結果のリスクを最小限に留めるために、あらゆる予防措置をとらなければならない。適切な保護を提供するために必要な措置には、一部のグループの子どもたちが直面する特別なリスク、および、このような子どもたちが援助を得る際に直面する追加的障壁を認識した、明確な子ども保護戦略を策定することが含まれよう。子どもたちは、危害から保護される権利を認識し、かつ必要な場合にどこに行けば援助を得られるか承知していなければならない。参加の価値および意味合いに関する理解を構築し、かつしかるべき対応がとられない場合に子どもがさらされる可能性のあるリスクを最小限に留めるため、家族およびコミュニティとの協働に投資することが重要である。 (i) 説明責任が果たされる――フォローアップおよび評価に対するコミットメントが必要不可欠である。たとえば、いかなる調査研究および協議のプロセスにおいても、子どもたちは、その意見がどのように解釈および活用されるかについて情報を知らされ、かつ、必要なときは、知見の分析に異議を申し立てかつ影響を及ぼす機会を提供されなければならない。子どもたちはまた、自分たちの参加がいずれかの結果にどのような影響を及ぼしたのかについても、明確なフィードバックを提供される資格を有する。子どもたちは、適切な場合には常に、フォローアップのプロセスまたは活動に参加する機会を与えられるべきである。子ども参加のモニタリングおよび評価は、可能な場合には子どもたち自身とともに行なわれなければならない。 E.結論 135.自己にとってのあらゆる関心事について意見を聴かれ、かつその意見を正当に考慮される子どもの権利の実現に投資することは、締約国が条約上負っている明確かつ即時的な法的義務である。これはいかなる差別もなくすべての子どもが有する権利である。第12条を実施するための意味のある機会を達成するには、子どもたちが意見を聴かれる機会および自己に影響を与えるすべての事柄についての参加へのアクセスを現在妨げている法的、政治的、経済的、社会的および文化的障壁を解体することが必要になろう。そのためには、子どもたちの能力に関する常識を問い直し、かつ、子どもたちが能力を構築および実証できる環境の発展を奨励するための態勢が必要である。資源および訓練に対するコミットメントも必要になる。 136.これらの義務を履行することは、締約国にとって課題を突きつけられることである。しかしそれは、この一般的意見に掲げられた戦略が体系的に実施され、かつ子どもたちおよびその意見を尊重する文化が構築されれば、達成可能な目標なのである。 更新履歴:ページ作成(2011年5月2日)。
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子どもの権利委員会・一般的意見10号:少年司法における子どもの権利(中編) 前編 D.公正な審判のための保障 40.条約第40条2項には権利および保障の重要なリストが掲げられているが、これらはいずれも、刑法に違反したとして申立てられ、または罪を問われたすべての子どもが公正な取扱いおよび審判を受けることを確保するためのものである。これらの保障のほとんどは、市民的および政治的権利に関する国際規約(自由権規約)第14条にも見出すことができる。同条については、自由権規約委員会が一般的意見13号(1984年)(司法の運営)において詳しい見解と意見を明らかにしているところである(現在、同一般的意見の見直しが進められている)。しかし、子どもを対象としてこれらの保障を実施することには若干の特有の側面があることも確かであり、本節ではその点について述べる。その前に、委員会は、これらの権利または保障を適切かつ効果的に実施するための鍵となる条件は少年司法の運営に従事する者の質であることを強調したい。警察官、検察官、弁護士その他の子どもの代理人、裁判官、保護観察官、ソーシャルワーカー等の専門家の訓練はきわめて重要であり、体系的かつ継続的に行なわれるべきである。これらの専門家は、子どものおよびとくに思春期の青少年の身体的、心理的、精神的および社会的発達について、ならびに、もっとも被害を受けやすい立場に置かれた子ども(障害のある子ども、避難民の子ども、ストリートチルドレン、難民および庇護希望者である子どもならびに人種的、民族的、宗教的、言語的その他のマイノリティに属する子ども等)の特別なニーズ(前掲パラ6-9参照)について、十分な情報を得ておくことが求められる。少年司法制度における女児の存在は、女児が少数しかいないために容易に見過ごされる可能性があるので、たとえば過去の虐待および特別な健康上のニーズとの関連で、女児の特別なニーズに特段の注意が払われなければならない。専門家および職員は、あらゆる状況において、子どもの尊厳および価値に一致し、他の者の人権および基本的自由に対する子どもによる尊重を強化し、かつ、子どもが社会に再統合しかつそこで建設的な役割を果たすことを促進するような方法で行動することが求められる(第40条1項)。第40条2項で認められている保障(以下で取り上げる)はいずれも最低基準である。すなわち締約国は、たとえば法的援助の分野および司法手続への子ども・親の参加の分野でより高い基準を設けかつ遵守することが可能であるし、そのように努めることが求められる。 遡及的少年司法の禁止(第40条2項(a)) 41.条約第40条2項(a)は、何人も、実行のときに国内法または国際法により犯罪を構成しなかった作為または不作為を理由として有罪とされることはないという規則が、子どもにも適用されることを確認している(自由権規約第15条も参照)。すなわち、いかなる子どもも、実行のときに国内法または国際法によって禁止されていなかった作為または不作為を理由として、刑法にもとづいて告発されまたは刑を言い渡されることはない。近年、多くの締約国がテロリズムを防止しかつこれと闘うために刑事法の規定を強化しかつ(または)拡大したことに照らし、委員会は、締約国が、これらの変更によって子どもの遡及的処罰または意図せざる処罰が行なわれないことを確保するよう勧告する。委員会はまた、何人も、犯罪が行なわれたときに適用されていた刑罰よりも重い刑罰を科されないという、自由権規約第15条に定められた規則が、条約第41条に照らし、自由権規約の締約国の子どもに適用されることを締約国が想起するよう求めたい。いかなる子どもも、刑法に違反したときに適用されていた刑罰よりも重い刑罰によって処罰されてはならないのである。ただし、行為後の法改正でより軽い刑罰が定められた場合には、子どもは当該改正の利益を受けるべきである。 無罪の推定(第40条2項(b)(i)) 42.無罪の推定は、法律に抵触した子どもの人権の保護にとって基本的重要性を有する。その意味は、子どもに対してかけられた容疑の立証責任は検察側にあるということである。刑法に違反したとして申立てられ、または罪を問われた子どもには灰色の利益が認められ、これらの容疑が合理的な疑いを超えて立証された場合にのみ当該容疑について有罪とされる。子どもはこのような推定にしたがって取り扱われる権利を有しており、審判の結果について予断を抱かないようにするのはあらゆる公的機関その他の関係者の義務である。締約国には、このような無罪の推定が実際に尊重されることを確保するため、子どもの発達についての情報を提供することが求められる。手続の無理解、未成熟、恐怖心その他の理由によって子どもは疑わしい行動を示す場合があるが、当局は、合理的な疑いを超えて有罪が証明されることなしに、子どもが有罪であると推定してはならない。 意見を聴かれる権利(第12条) 43.条約第12条2項は、子どもに対し、国内法の手続規則と一致する方法で、自己に影響を与えるいかなる司法的および行政的手続においても、直接にまたは代理人もしくは適当な機関を通じて意見を聴かれる機会が与えられることを求めている。 44.刑法に違反したとして申立てられ、罪を問われ、または認定された子どもにとって、意見を聴かれる権利が公正な審判のために基本的重要性を有することは明らかである。同様に、子どもには、それがその最善の利益に合致するのであれば、代理人または適切な機関を通じてのみならず直接に意見を聴かれる権利があることも、また明らかである。この権利は、手続のすべての段階において遵守されなければならない。それは審判前の段階から始まり、この段階において子どもは、黙秘権ならびに警察、検察官および予審判事から意見を聴かれる権利を有する。しかしこのことは、裁決の段階および科された措置の実施段階にも適用される。換言すれば、少年司法手続全体を通じて、子どもには自己の意見を自由に表明する機会が与えられなければならないし、その意見は子どもの年齢および成熟度にしたがって正当に重視されなければならないのである(条約第12条1項)。すなわち、子どもが手続に実効的に参加するためには、被疑事実のみならず(後掲パラ47-48参照)、少年司法手続そのものおよび科される可能性がある措置についても情報が提供されなければならない。 45.子どもに対しては、科される可能性がある(代替的)措置についての意見を表明する機会が与えられるべきであり、この点について子どもが有している具体的な希望または選択は正当に重視されるべきである。子どもに刑事責任があると主張することは、その子どもには、刑法違反の訴えに対するもっとも適切な対応についての意思決定に実効的に参加する能力が認められるべきであることを、言外に意味している(後掲パラ46参照)。言うまでもなく、決定を行なう責任を有するのは担当の裁判官である。しかし、子どもを受身の客体として扱うことは、子どもの権利を認めないことになるし、子どもの行動に対する効果的な対応に寄与することにもならない。このことは、科された措置の実施についても当てはまる。調査研究の示すところによれば、子どもがこのような実施に積極的に関与することは、ほとんどの場合、前向きな結果に寄与するのである。 手続に実効的に参加する権利(第40条2項(b)(iv)) 46.公正な審判のためには、刑法に違反したとして申立てられ、または罪を問われている子どもが審判に実効的に参加できることが必要であり、したがって子どもは、法定代理人に指示を与える目的で被疑事実ならびに生じうる結果および処罰について理解し、証人に異議を申立て、出来事について陳述し、かつ、証拠、証言および科されるべき措置について適切な決定を行なわなければならない。北京規則第14条は、手続が、少年の参加と自由な自己表現を可能とするような、理解に満ちた雰囲気のなかで行なわれるべきであると定めている。子どもの年齢および成熟度を考慮に入れるためには、審判廷における手続および慣行の修正も必要となる場合がある。 被疑事実に関する迅速なかつ直接の情報(第40条2項(b)(ii)) 47.刑法に違反したとして申立てられ、または罪を問われているすべての子どもは、自己に対する被疑事実を迅速かつ直接的に告知される権利を有する。迅速かつ直接的とは可能なかぎり早期にという意味であり、これは検察官または裁判官がその子どもに対して最初に手続上の措置をとった段階のことである。ただし、公的機関が司法的手続によらずに子どもを取り扱う旨の決定をしたときにも、子どもに対し、このようなアプローチを正当化するだけの被疑事実について告知が行なわれなければならない。これは、法的保障が全面的に尊重されなければならないという、条約第40条3項(b)の要件の一部を構成している。子どもは、その理解する言語による告知を受けるべきである。このため、情報を外国語で提示することのほか、刑事上/少年手続上の告発においてしばしば用いられる正式な法的専門用語を子どもが理解できる言葉に「翻訳」することも必要となろう。 48.子どもに公式書類を提供するだけでは十分ではなく、口頭による説明が必要なこともしばしばあろう。公的機関は、これを親もしくは法定後見人または子どもの弁護人その他の援助者に委ねておくべきではない。子どもが自己に対する各被疑事実を理解するようにすることは、公的機関(たとえば警察、検察官、裁判官)の責任である。委員会は、親または法定後見人に対する情報提供をもって、このような情報を子どもに伝達することに代えるべきではないとの見解に立つ。子どもおよび親または法定後見人の双方が、それぞれが被疑事実および可能性のある結果を理解できるような方法で情報を受け取るのであれば、それがもっとも適切である。 弁護人その他の適切な者による援助(第40条2項(b)(ii)) 49.子どもは、自己の防御の準備および提出にあたって弁護人その他の適当な者による援助を保障されなければならない。条約は子どもに援助が提供されることを要求しており、この援助は必ずしもあらゆる状況において法的なものである必要はないが、適切なものであることは求められる。このような援助がどのように提供されるかを決定するのは締約国の裁量に委ねられているが、当該援助は無償であるべきである。委員会は、締約国が、専門の弁護士またはパラリーガル職のような十分な訓練を受けた者による法的援助を、可能なかぎり提供するよう勧告する。その他の適切な援助者も考えられるが(たとえばソーシャルワーカー)、そのような援助者は、少年司法手続の種々の法的側面に関する十分な知識および理解を有していなければならず、また法律に抵触した子どもを対象として活動する訓練を受けていなければならない。 50.自由権規約第14条3項(b)で求められているとおり、子どもおよびその援助者は、子どもの防御の準備のために十分な時間および便益を与えられなければならない。子どもとその援助者との交渉は、書面によるものか口頭によるものかを問わず、当該交渉の秘密が、条約第40条2項(b)(vii)に定められた保障およびプライバシー・通信への干渉から保護される子どもの権利(条約第16条)にしたがって、全面的に尊重される条件下で行なわれるべきである。この保障(条約第40条2項(b)(ii))に関して留保を行なっている締約国が多いが、これは、当該保障がもっぱら法的援助、すなわち弁護士による援助の提供を要求しているとの理解に立つものと思われる。そのようなことはなく、これらの留保は撤回が可能であって、かつ撤回されるべきものである。 遅滞のない、かつ親の関与を得ての決定(第40条2項(b)(iii)) 51.国際的に、法律に抵触した子どものためには、犯罪遂行時と当該行為への終局的対応との間の期間は可能なかぎり短いべきであるという合意が存在している。この期間が長いほど、当該対応が所期の積極的かつ教育的影響を失う可能性は高まり、かつ子どもが負うスティグマも強いものとなろう。これとの関連で、委員会は、条約第37条(d)も参照するよう求めるものである。この規定により、自由を奪われたすべての子どもは、その自由の剥奪の合法性を争う訴えについて迅速な決定を受ける権利を有する。「遅滞なく」(条約第40条2項(b)(iii))という文言は自由権規約第14条3項(c)にいう「不当に遅延することなく」という文言よりも強いが、「迅速な」という文言はこれよりもさらに強い。自由の剥奪の重大性を踏まえれば、これは正当である。 52.委員会は、締約国が、犯罪の遂行から警察による捜査の完了、子どもを告発する旨の検察官(または他の権限ある機関)の決定ならびに裁判所その他の権限ある司法機関による終局処分および決定までの期間について期限を定め、かつこれを実施するよう勧告する。これらの期限は、成人について定められたものよりもはるかに短いものであるべきである。しかし同時に、遅滞なく行なわれる決定は、子どもの人権および法的保障が全面的に尊重される手続の結果であることが求められる。このような遅滞なき意思決定手続には、弁護人その他の適切な援助者が立ち会わなければならない。このような立会いは、裁判所その他の司法機関における審判に限定されるべきではなく、警察による子どもの事情聴取(尋問)に始まる手続の他のあらゆる段階にも適用される。 53.親または法定保護者も、子どもに対して一般的な心理的および情緒的援助を提供しうることから、手続に立ち会うべきである。親が立ち会うからといって、親が子どもの防御のために行動し、または意思決定手続に関与できるというわけではない。ただし、裁判官または権限ある公的機関は、子どもまたはその弁護人その他の適切な援助者の求めにより、または子どもの最善の利益(条約第3条)にかなわないという理由で、手続における親の立会いを制限し、制約しまたは排除する旨の決定をすることができる。 54.委員会は、締約国が、子どもに対する手続に親または法定後見人が最大限どこまで関与できるかについて、法律で明示的に定めるよう勧告する。このような関与は、一般的には、子どもの刑法違反に対する実効的対応に寄与するはずである。親の関与を促進するため、親は、その子どもの逮捕について可能なかぎり早期に告知されなければならない。 55.委員会は同時に、子どもが行なった犯罪を理由とする親の処罰を導入する傾向が一部の国で見られることを、遺憾とするものである。子どもの行為によって引き起こされた損害に対する民事上の責任は、一部の限られた事案、とくに子どもが若年(たとえば16歳未満)である場合には適切なものとなりえよう。しかし、法律に抵触した子どもの親を犯罪者として扱うことは、親が子どもの社会的再統合における積極的なパートナーとなることに寄与しない可能性がきわめて高い。 自己負罪の強制からの自由(第40条2項(b)(iii)〔訳注/(iv)〕) 56.条約は、自由権規約第14条3項(g)と調和する形で、子どもが証言することまたは罪を自白しもしくは認めることを強制されないよう求めている。このことは、第一に――そして自明の理として――、自認または自白を引き出すための拷問、残虐な、非人道的なまたは品位を傷つける取扱いは子どもの権利の重大な侵害であり(条約第37条(a))、まったく受け入れられないことを意味するものである。このようないかなる自認または自白も、証拠として認めることはできない(拷問及び他の残虐な、非人道的な又は品位を傷つける取扱い又は刑罰に関する条約第15条)。 57.他にも、これほど暴力的ではない形で、子どもが自白または自己負罪的証言をするよう強制しまたは誘導する方法は数多く存在する。「強制され」という文言は広く解釈されるべきであり、有形力その他の明らかな人権侵害に限定されるべきではない。子どもの年齢、子どもの発達、尋問の期間、子どもによる理解の欠如、どうなるかわからないという恐怖または収監の可能性を示唆されることによる恐怖が、真実ではない自白への誘導につながる可能性もある。このような可能性は、「本当のことを言えばすぐに家に帰してやる」のように報酬が約束される場合、またはより軽い制裁もしくは釈放が約束される場合には、いっそう高まることになろう。 58.事情聴取を受ける子どもは、弁護人その他の適切な代理人にアクセスできなければならず、かつ、事情聴取中に親が立ち会うことを要請できなければならない。状況を総合的に判断すれば証言が任意のものであって威迫によって引き出されたものではなく、かつ信頼できるものであることを確保するため、尋問手法に関する独立の立場からの検証が行なわれなければならない。裁判所その他の司法機関は、子どもによる自認または自白の任意性および信頼性を検討するにあたり、その子どもの年齢、勾留および尋問の期間、ならびに、子どもの弁護人その他の助言者、親または独立の代理人の立会いの有無を考慮に入れなければならない。警察官その他の捜査機関は、強制されたまたは信頼性を欠く自白または証言をもたらすような尋問技術および実務を回避するための、十分な訓練を受けているべきである。 証人の出廷および尋問(第40条2項(b)(iv)) 59.条約第40条2項(b)(iv)に掲げられた保障は、武器の平等(すなわち、防御側と検察側とが平等なまたは衡平な条件下にあること)の原則が、少年司法の運営においても遵守されなければならないことを強調したものである。「尋問し、または尋問を受けさせる」という文言は、諸法体系において、とくに弾劾主義的裁判と職権主義的裁判との区別が存在することを指している。後者においては、被告人は証人尋問を認められることが多いものの、被告人がこの権利を自ら行使することはめったになく、証人尋問は弁護人、または子どもの場合には他の適当な機関に委ねている。ただし、弁護人その他の代理人が、証人を尋問できることについて子どもに告知するとともに、子どもがこの点に関して意見を表明できるようにすることは依然として重要である。当該意見は、子どもの年齢および成熟度に応じて正当に重視することが求められる(第12条)。 上訴権(第40条2項(b)(v)) 60.子どもは、自己に対する被疑事実について有罪と認定された場合に、その決定に対し、かつこの有罪評決の結果として科される措置に対し、上訴する権利を有する。この上訴についての決定は、上級の、権限ある、独立のかつ公平な機関または司法機関、換言すれば第一審において事件を扱った機関と同一の基準および要件を満たす機関が行なうことが求められる。この保障は自由権規約第14条5項のそれと同様のものである。このような上訴権は、もっとも重大な犯罪に限られるものではない。 61.これこそが、少なからぬ締約国がこの規定に関して留保を行ない、このような子どもによる上訴権をより重大な犯罪および(または)収監刑に限定している理由だと思われる。委員会は、自由権規約の締約国に対し、同規約の第14条5項で同様の規定が置かれていることを想起するよう求めるものである。条約第41条に照らし、同条は、裁決を受けたすべての子どもに上訴権を認めるべきであるということを意味している。委員会は、締約国が、第40条2項(b)(v)の規定についての留保を撤回するよう勧告するものである。 無料の通訳の援助(第40条2項〔(b)〕(vi)) 62.少年司法制度で用いられる言語を子どもが理解できないときは、子どもは無料で通訳の援助を受ける権利を有する。このような援助は法廷における審判に限定されるべきではなく、少年司法手続のあらゆる段階でも利用可能とされるべきである。また、通訳が子どもとともに活動する訓練を受けていることも重要となる。子どもの母語の使用および理解は、成人のそれとは異なっている可能性もあるからである。この点に関わる知識および(または)経験の欠如により、自らに対して行なわれた質問を子どもが全面的に理解することが妨げられ、かつ公正な裁判および実効的参加に対する権利が阻害される可能性もある。「子どもが使用される言語を理解することまたは話すことができない場合は」として、「場合は」という限定が行なわれているのは、たとえば外国系のまたは民族的出身を有する子どもが――その母語とは別に――公用語を理解しおよび話せるときは、無料の通訳の援助を提供しなくてもよいということである。 63.委員会はまた、言語障害その他の障害を有する子どもに対して締約国の注意を促したいと考える。第40条2項〔(b)〕(vi)の精神を踏まえ、かつ障害のある子どもについて第23条で定められている特別な保護措置にしたがって、委員会は、言語障害その他の障害を有する子どもが少年司法手続の対象とされた場合に、十分な訓練を受けた専門家による、たとえば手話等の十分かつ効果的な援助を提供されることを、締約国が確保するよう勧告するものである(この点に関しては、子どもの権利委員会の一般的意見9号(障害のある子どもの権利)も参照)。 プライバシーの全面的尊重(第16条および第40条2項(b)(vii)) 64.手続のすべての段階においてプライバシーを全面的に尊重される子どもの権利は、条約第16条に掲げられた、プライバシーの保護についての権利を反映するものである。「手続のすべての段階」には、法執行との最初の接触(たとえば情報および素性の照会)から権限ある機関による最終決定、または監督、収容もしくは自由の剥奪からの解放までが含まれる。この権利は、このような特定の文脈において、不当な公表またはラベリングのプロセスによる害を回避するためのものである。罪を犯した子どもの特定につながる可能性がある情報は、いかなるものも公表されてはならない。このような情報には、スティグマを付与する効果があるとともに、罪を犯した子どもが教育、仕事〔および〕住居にアクセスし、または安全を保つ能力に影響を及ぼす可能性もあるからである。すなわち公的機関は、子どもが行なった疑いのある犯罪についての報道発表に関してはきわめて謙抑的な姿勢をとるべきであり、これをごく例外的な事件に限定するべきである。公的機関は、これらの報道発表資料を通じて子どもが特定されないことを保障するための措置をとらなければならない。法律に抵触した子どものプライバシー権を侵害するジャーナリストは、懲戒措置による制裁、および必要な場合には(たとえば常習犯の場合など)刑法上の制裁の対象とされるべきである。 65.子どものプライバシーを保護するため、ほとんどの締約国は、刑法を違反したとして罪に問われている子どもの、法廷その他の場所における聴聞は、非公開で行なわれるべきことを――例外の余地を残している場合もあるが――原則としている。このような規則は、裁判所の特別許可による専門家その他の専門職の立会いを認めるものである。少年司法における公開の聴聞は、詳細に定められた事件において、かつ裁判所による決定書面がある場合を除いて、認められるべきではない。当該決定に対しては、子どもによる異議申立てが認められるべきである。 66.委員会は、あらゆる締約国が、法律に抵触した子どもの法廷その他の場所における聴聞は非公開で実施される旨の規則を導入するよう勧告する。この規則に対する例外は、きわめて限定された、かつ法律で明確に述べられたものであるべきである。評決/量刑は、子どもの素性が明らかにされないような方法で、公開の法廷で宣告されるべきである。プライバシーについての権利(第16条)により、裁判所または他の権限ある機関がとる措置の実施に携わるすべての専門家は、外部とのあらゆる接触において、子どもの特定につながる可能性のあるあらゆる情報の秘密を保持するよう要求される。プライバシーについての権利はまた、罪を犯した子どもの記録は厳重に秘密とされるべきであり、かつ、事件の捜査および裁定ならびに事件についての判決言渡しに直接携わる者を除き、第三者に対して非開示とされるべきことも意味する。スティグマおよび(または)予断を回避するため、罪を犯した子どもの記録は、その後の事件で同一人物が罪を犯した場合の成人手続で利用されるべきではなく(北京規則の規則21.1および21.2参照)、またはそのようなその後の事件における量刑を加重するために用いられるべきではない。 67.委員会はまた、罪を犯した子どもが18歳に達すると同時にその犯罪記録が自動的に削除されるようにするための規則、または、一定の重大犯罪については、必要であれば一定の条件(たとえば最後の有罪判決から2年間、犯罪を行なわなかったこと)のもとで、子どもの申請に応じて削除が可能となるような規則を、締約国が導入するようにも勧告する。 E.処分(前掲IV章Bも参照) 審判前の代替的手段 68.刑法上の正式な手続を開始する旨の決定が行なわれたからといって、必ずしも、当該手続が、子どもに対する、裁判所による正式な刑の言渡しをもって修了しなければならないというわけではない。前掲Bで明らかにした所見にしたがい、委員会は、権限ある機関(ほとんどの国では検察官事務所)は裁判所による有罪判決に代わる手段の可能性を継続的に模索するべきであることを、強調したいと考える。換言すれば、前掲Bで挙げたもののような措置を提示することにより、事案を適切な形で終結させるための努力が続けられるべきである。検察機関が提示するこれらの措置の性質および期間はより過酷なものとなる可能性があり、その場合は子どものための弁護人その他の適切な援助を行なう者が必要となる。このような措置を遂行することは、刑法/少年法上の正式な手続を一時停止するためのひとつの手段であり、当該措置が満足のいく形で実施されればこれらの手続も終了することが、子どもに対して説明されるべきである。 69.裁判所による有罪判決に代わる手段を検察段階で提示する過程においては、子どもの人権および法的保障が全面的に尊重されるべきである。これとの関連で、委員会は、前掲パラ27に掲げた勧告を参照するよう求める。これらの勧告はここでも同様に適用されるものである。 少年裁判所/裁判官による処分 70.条約第40条を全面的に遵守した公正かつ正当な審判(前掲IV章D参照)が行なわれた後は、申立てられた犯罪について有罪と認定された子どもに科すべき措置についての決定が行なわれることになる。法律は、裁判所/裁判官またはその他の権限ある、独立のかつ公正な機関もしくは司法機関がとりうる、施設ケアおよび自由の剥奪に代わる広範な手段について定めておくべきである。これらの手段は条約第40条4項に例示的に列挙されているが、その目的は、自由の剥奪が最後の手段として、かつもっとも短い適当な期間でのみ用いられるようにするところにある(条約第37条(b))。 71.委員会は、犯罪への対応は常に、犯罪の状況および重大性のみならず、子どもの年齢、有責性の低さ、状況およびニーズ、ならびに、社会の種々のニーズおよびとくに長期的ニーズにも比例したものであるべきであると、強調したい。厳格に懲罰的なアプローチは、条約第40条1項に掲げられた少年司法の主導的原則に一致しない(前掲パラ5-14参照)。委員会は、制裁としての体刑が、これらの原則、および、あらゆる形態の残虐な、非人道的なおよび品位を傷つける取扱いまたは処罰を禁じた第37条に違反するものであることを、あらためて指摘するものである(委員会の一般的意見8号(2006年)(体罰その他の残虐なまたは品位を傷つける形態の罰から保護される子どもの権利)も参照)。子どもによる重大犯罪の事案では、罪を犯した子どもの状況および犯罪の重大性に比例する措置を、公共の安全および制裁の必要性に関する考慮を含む形で検討することができる。子どもの事案では常に、このような考慮よりも、子どもの福祉および最善の利益を保護し、かつその再統合を促進する必要性が重視されなければならない。 72.委員会は、刑事的処分が子どもの年齢と関連している場合であって、子どもの年齢について矛盾する、決定的でないまたは不確実な証拠しか存在しないときは、子どもには灰色の利益の原則を享受する権利があることに留意する(前掲パラ35および39も参照)。 73.自由の剥奪/施設ケアに代わる手段の面では、このような措置の利用および実施については幅広い経験が蓄積されている。締約国は、このような経験を役立てるとともに、それを自国の文化および伝統にあわせて修正することによって、これらの代替的手段を発展させかつ実施することが求められる。言うまでもなく、強制労働または拷問もしくは非人道的なおよび品位を傷つける取扱いに相当するような措置は明示的に禁じられなければならないし、これらの不法行為の責任者は司法により裁かれるべきである。 74.以上の一般的見解に続いて、委員会は、条約第37条(a)で禁じられている措置について、また自由の剥奪について注意を促したいと考える。 死刑の禁止 75.条約第37条(a)は、犯行時18歳未満だった者が行なった犯罪に対して死刑を科すことはできないという、国際的に受け入れられた基準(たとえば自由権規約第6条5項参照)を再確認したものである。この規定は明確であるが、この規則は18歳未満の者の処刑を禁じているにすぎないと考えている締約国が存在する。しかし、この規則における明示的かつ決定的な基準は犯罪遂行時の年齢である。すなわち、審判もしくは刑の言渡しまたは制裁の執行時に何歳であるかに関わらず、18歳未満の者が行なった犯罪に対して死刑を科すことはできない。 76.委員会は、いまなお18歳未満の者が行なったあらゆる犯罪について死刑を廃止していない少数の締約国が、このような廃止に踏み切るとともに、子どもの死刑を廃止する必要な立法措置が完全にとられるまで、これらの者を対象とするあらゆる死刑の執行を停止するよう勧告する。死刑が言い渡されているときは、条約に全面的に一致する制裁へと変更されるべきである。 仮釈放のない終身刑の禁止 77.犯罪を行なったときに18歳未満であったいかなる子どもも、釈放または仮釈放の可能性がない終身刑を言渡されるべきではない。子どもに科されるあらゆる刑について、釈放の現実的可能性があるべきであり、かつ当該可能性が定期的に考慮されるべきである。これとの関連で、委員会は、ケア、保護または治療の目的で措置されたあらゆる子どもに対して定期的再審査の権利を保障している、条約第25条を参照するよう求める。委員会は、釈放または仮釈放の可能性がない終身刑を実際に子どもに言い渡している締約国に対し、このような制裁を科すにあたっては条約第40条1項に掲げられた少年司法の目的を全面的に遵守し、かつその実現に向けて全力を尽くさなければならないことを、想起するよう求めるものである。このことは、とくに、このような収監刑を言い渡された子どもを対象として、その釈放、再統合、および社会において建設的な役割を果たす能力の構築を目的とした教育、処遇およびケアが提供されるべきであることを意味する。また、子どもの釈放の可能性について決定するために、子どもの発達および進歩を定期的に審査することも求められる。子どもに終身刑を科すことは、釈放の可能性があったとしても、少年司法の目的の達成を、不可能ではないにせよ非常に困難にする可能性が高いことを踏まえ、委員会は、締約国に対し、18歳未満の者が行なった犯罪についてあらゆる形態の終身刑を廃止するよう強く勧告するものである。 → 後編に続く 更新履歴:ページ作成(2011年4月24日)。
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子どもの権利委員会・一般的意見10号:少年司法における子どもの権利(前編) 一般的意見一覧 子どもの権利委員会 第44会期(2007年1月15日~2月2日)採択 CRC/C/GC/10(原文英語〔PDF〕) 日本語訳:平野裕二〔日本語訳全文(PDF)〕 目次 I.はじめに II.この一般的意見の目的 III.少年司法:包括的政策の主導的原則 IV.少年司法:包括的政策の中核的要素 A.少年非行の防止 B.介入/ダイバージョン(後掲Eも参照) C.年齢と、法に抵触した子ども D.公正な審判のための保障 → 中編 E.処分(前掲IV章Bも参照) F.自由の剥奪(審判前の勾留および審判後の収容を含む) → 後編 V.少年司法の組織 VI.意識啓発および訓練 VII.データ収集、評価および調査研究 I.はじめに 1.締約国は、子どもの権利に関する委員会(以下「委員会」)に提出する報告において、刑法に違反したとして申立てられ、罪を問われ、または認定された子ども(「法律に抵触した子ども」とも称される)の権利についてかなり詳細な注意を払うことが多い。委員会の定期報告書ガイドラインにしたがい、子どもの権利に関する条約(以下「条約」)第37条および第40条の実施状況が、締約国によって提供される情報の主たる焦点である。委員会は、条約にしたがって少年司法の運営を確立しようとする多くの努力に、評価の意とともに留意する。しかしながら、たとえば手続的権利、法に抵触した子どもを司法手続によらずに取り扱うための措置の開発および実施、ならびに、最後の手段に限られた自由の剥奪の利用等の分野において、多くの締約国が、条約の全面的遵守の達成にはいまなおほど遠い状況にあることもまた明らかである。 2.委員会は同様に、子どもが法律に抵触することを防止するために締約国がとった措置に関する情報が欠けていることを懸念する。これは、少年司法分野で包括的政策が存在しないことによるのかもしれない。このことが、法律に抵触した子どもの取扱いについて多くの締約国が(きわめて)限られた統計的データしか提供しないことの理由である可能性もある。 3.少年司法分野における締約国の履行状況を検討してきた経験こそ、委員会がこのような一般的意見を作成した理由である。委員会は、この一般的意見によって、締約国に対し、条約にしたがって少年司法の運営を確立するための努力に関わるより詳細な指針および勧告を提示したいと考える。このような少年司法においては、とくにダイバージョンおよび修復的司法のような代替的措置の活用が促進されるべきであり、締約国はこれによって、法律に抵触した子どもに、これらの子どもの最善の利益のみならず社会全体の短期的・長期的利益にもかなう、いっそう効果的な方法で対応できるようになろう。 II.この一般的意見の目的 4.委員会は最初に、条約では締約国に対して包括的な少年司法政策の策定および実施が求められていることを強調しておきたい。このような包括的アプローチは、条約第37条および第40条に掲げられた具体的規定の実施に限定されるのではなく、条約第2条、第3条、第6条および第12条に掲げられた一般原則ならびに条約の他のあらゆる関連条項(第4条および第39条等)も考慮に入れたものであるべきである。したがって、この一般的意見の目的は次のとおりとなる。 条約にもとづいて、かつ条約にしたがって少年非行を防止しかつこれに対応するための包括的な少年司法政策を策定および実施するとともに、これに関わって、国連経済社会決議1997/30で設置され、国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)、国連児童基金(UNICEF)、国連薬物犯罪事務所(UNODC)および非政府組織(NGO)の代表が参加する「少年司法に関する機関横断パネル」の助言および支援を得るよう、締約国に対して奨励すること。 少年非行の防止、司法手続によることなく少年非行に対応することを可能にする代替的措置の導入、ならびに、条約第37条および第40条の他のあらゆる規定の解釈および実施にとくに注意を払いながら、このような包括的な少年司法政策の内容について締約国に指針および勧告を提示すること。 他の国際基準、とくに少年司法の運営に関する国連最低基準規則(北京規則)、自由を奪われた少年の保護に関する国連指針(ハバナ規則)および少年非行の防止のための国連指針(リャド・ガイドライン)が、国レベルの包括的な少年司法政策に統合されることを促進すること。 III.少年司法:包括的政策の主導的原則 5.条約の諸要件についてより詳しく展開する前に、委員会は、少年司法に関する包括的政策の主導的原則をまず挙げておきたいと考える。少年司法の運営にあたって、締約国は、条約第2条、第3条、第6条および第12条に掲げられた一般原則、ならびに、条約第37条および第40条に掲げられた少年司法の基本的原則を体系的に適用しなければならない。 差別の禁止(第2条) 6.締約国は、法律に抵触したすべての子どもが平等に取り扱われることを確保するために、あらゆる必要な措置をとらなければならない。事実上の差別および格差に対し、特段の注意を払わなければならない。このような差別および格差は、一貫した政策が存在しないことを理由として、ストリートチルドレン、人種的、民族的、宗教的または言語的マイノリティに属する子ども、先住民族の子ども、女児、障害のある子どもおよび繰り返し法律に抵触する子ども(累犯者)のような、被害を受けやすい立場に置かれた集団の子どもに関わって生じる可能性がある。これとの関連で、少年司法の運営に携わるあらゆる専門家の訓練(後掲パラ97参照)が、罪を犯した子どもの平等な取扱いを増進しかつ是正措置、救済および補償を提供する規則、規定または手順書の確立とともに、重要である。 7.法律に抵触した子どもの多くは、たとえば教育または労働市場へのアクセスを試みたときに、差別の被害者ともなる。とくに、かつて罪を犯した子どもが社会に再統合しようと努力するさいに適切な支援および援助を提供することによって、このような差別を防止し、かつ、社会において建設的な役割を担うこれらの子どもの権利(条約第40条1項)を強調する公的キャンペーンを行なうための措置をとることが必要である。 8.刑法に、浮浪、怠学、家出など、心理的または社会経済的問題の結果であることが多い子どもの行動上の問題を犯罪化する条項が掲げられていることは、きわめてよく見られる。とりわけ、女児およびストリートチルドレンがこのような犯罪化の被害者であることが多いのは懸念の対象である。地位犯罪としても知られるこれらの行為は、成人が行なった場合には犯罪とは見なされない。委員会は、締約国に対し、子どもと成人について法のもとにおける平等な取扱いを確立する目的で、地位犯罪に関する規定を廃止するよう勧告する。これとの関連で、委員会はまた、リャド・ガイドライン第56条も参照するよう求めるものである。そこでは次のように定められている。「青少年がさらなるスティグマ(烙印)、被害および犯罪者扱いの対象となることを防止する目的で、成人が行なった場合には犯罪と見なされないまたは処罰されないいずれかの行為は、青少年が行なった場合にも犯罪と見なされないまたは処罰されないことを確保するため、法律が制定されるべきである」 9.加えて、浮浪、路上徘徊または家出のような行動への対応は、親および(または)その他の養育者への効果的支援を含む子ども保護措置、および、このような行動の根本的原因に対応する措置の実施を通じて、行なわれるべきである。 子どもの最善の利益(第3条) 10.少年司法の運営との関わりで行なわれるすべての決定において、子どもの最善の利益が第一義的に考慮されなければならない。子どもは、その身体的および心理的発達ならびに情緒的および教育的ニーズの面で、成人とは異なる。このような違いが根拠となって、法律に抵触した子どもの有責性は軽減されるのである。これらのものをはじめとする違いこそが独立の少年司法制度を設けなければならない理由であり、そこでは子どもの異なる取扱いが要求される。子どもの最善の利益を保護するとは、たとえば、罪を犯した子どもに対応するさいには刑事司法の伝統的目的(禁圧/応報)に代えて立ち直りおよび修復的司法という目的が追求されなければならないということである。このような対応は、実効的な公共の安全にも注意しながら進めることができる。 生命、生存および発達に対する権利(第6条) 11.すべての子どもが有しているこの固有の権利は、締約国が少年非行の防止のための効果的な国の政策およびプログラムを策定するにあたり、指針および示唆の源とされるべきである。非行が子どもの発達にきわめて否定的な影響を及ぼすことは、言うまでもないからである。さらに、この基本的権利は、子どもの発達を支援するような方法で少年非行に対応するための政策につながらなければならない。死刑および仮釈放の可能性のない終身刑は、条約第37条(a)で明示的に禁じられている(後掲パラ75-77参照)。自由の剥奪の利用は、調和のとれた子どもの発達にとってきわめて重大な帰結をもたらすとともに、社会への子どもの再統合を深刻に阻害する。これとの関連で、条約第37条(b)は、発達に対する子どもの権利が全面的に尊重および確保されるよう、逮捕、拘禁または収監を含む自由の剥奪は最後の手段として、かつもっとも短い適当な期間でのみ用いられるべきことを、明示的に規定しているところである(後掲パラ78-88参照)[1]。 [1] 自由を奪われた子どもに対して条約で認められている諸権利は、法律に抵触した子どもに対しても、ケア、保護もしくは治療(精神保健的治療、教育的治療および薬物治療を含む)のための施設、児童保護施設または出入国管理施設に措置された子どもに対しても適用されることに注意。 意見を聴かれる権利(第12条) 12.子どもに関わるあらゆる事柄について自由に自己の見解を表明する子どもの権利は、少年司法手続のすべての段階を通じて全面的に尊重および実施されるべきである(後掲パラ43-45参照)。委員会は、少年司法制度に関わった子どもたちの声がますます、改善および改革のための、かつ権利の充足のための、強力な原動力になりつつあることに留意する。 尊厳(第40条1項) 13.条約は、法律に抵触した子どもに与えられるべき取扱いについての一連の基本的原則を定めている。 尊厳および価値についての子どもの意識に合致した取扱い。この原則は、すべての人間は生まれながらにして自由であり、かつ尊厳と権利について平等であると定める世界人権宣言第1条に掲げられた基本的人権を反映するものである。尊厳および価値に対する固有の権利は、条約前文でも明示的に言及されているものであり、法執行機関との最初の接触から子どもに対応するあらゆる措置の実施に至るまでの、子どもに対応する手続全体を通じて尊重および保護されなければならない。 子どもによる、他の者の人権および基本的自由の尊重を強化する取扱い。この原則は、前文において、子どもは国際連合憲章に宣明された理想の精神のもとで育てられるべきであるとされていることと合致するものである。この原則はまた、少年司法制度において、子どもの取扱いおよび教育が人権および自由の尊重を発展させることを目的として行なわれなければならないということも意味する(条約第29条1項(b)および教育の目的に関する一般的意見1号参照)。このような少年司法の原則により、条約第40条2項で認められている公正な裁判のための保障が全面的に尊重されかつ実施されなければならないことは、明らかである(後掲パラ40-67参照)。警察官、検察官、裁判官および保護観察官など、少年司法における重要な主体がこれらの保障を全面的に尊重および保護しようとしなければ、このような貧弱な範しか示されなかった子どもが他の者の人権および基本的自由を尊重するようになることなど、どのようにして期待できるだろうか。 子どもの年齢を考慮に入れた、かつ、子どもが社会復帰しかつ社会において建設的な役割を果たすことを促進する取扱い。この原則は、法執行機関との最初の接触から子どもに対応するあらゆる措置の実施に至るまでの、子どもに対応する手続全体を通じて適用、遵守および尊重されなければならない。この原則により、少年司法の運営に携わるあらゆる専門家は、子どもの発達、子どもの力強くかつ継続的な成長、子どもの福祉にとって適切な対応、および、子どもを対象として蔓延している諸形態の暴力について、知悉していることが求められる。 子どもの尊厳が尊重されるようにするためには、法律に抵触した子どもの取扱いにおけるあらゆる形態の暴力が禁止および防止されなければならない。委員会が受け取ってきた報告によれば、暴力は、警察との最初の接触から、審判前の勾留の最中、および、自由剥奪刑を言い渡された子どものための処遇施設その他の施設での滞在中に至るまでの、少年司法手続のあらゆる段階で発生している。委員会は、締約国に対し、このような暴力を防止し、かつ加害者が裁判にかけられることを確保するために効果的な措置をとるとともに、2006年10月に国連総会に提出された「子どもに対する暴力に関する国連研究」報告書で行なわれている勧告を効果的にフォローアップするよう、促すものである。 14.委員会は、公共の安全の保全が司法制度の正当な目的のひとつであることを認知する。しかし委員会は、この目的の達成にもっとも役立つのは、条約に掲げられた少年司法の主導的かつ総括的な原則を全面的に尊重および実施することであるという見解をとるものである。 IV.少年司法:包括的政策の中核的要素 15.少年司法に関する包括的政策においては、次の中核的要素が取り上げられなければならない。すなわち、少年非行の防止、司法手続によらない介入および司法手続の文脈における介入、刑事責任に関する最低年齢および少年司法の適用年齢の上限、公正な審判のための保障、ならびに、自由の剥奪(審判前の勾留および審判後の収容を含む)である。 A.少年非行の防止 16.条約の実施におけるもっとも重要な目標のひとつは、子どもの人格、才能ならびに精神的および身体的能力の完全なかつ調和のとれた発達を促進することである(前文ならびに第6条・第29条)。子どもは、自由な社会において個人として責任のある生活を送るための準備ができるようにされるべきであり(前文・第29条)、そのような社会において、人権および基本的自由に関わって建設的な役割を担うことができなければならない(第29条・第40条)。これとの関連で、親には、条約において認められる権利を子どもが行使するにあたって、子どもの発達しつつある能力と一致する方法で適当な指示および指導を行なう責任がある。これらのものをはじめとする条約の規定に照らせば、犯罪活動に従事するようになるおそれを高めさせ、またはそのような重大なおそれを引き起こす可能性のある環境のもとで子どもが成長することが、子どもの最善の利益にそぐわないことは明らかである。十分な生活水準(第27条)、到達可能な最高水準の健康および保健ケアへのアクセス(第24条)、教育(第28条・第29条)、あらゆる形態の身体的もしくは精神的暴力、傷害または虐待(第19条)および経済的または性的搾取(第32条・第31条)からの保護、ならびに、子どものケアまたは保護のためのその他の適切なサービスに対する諸権利を全面的にかつ平等に実施するために、種々の措置がとられなければならない。 17.上述のように、少年非行の防止を目的とした一連の措置を欠いた少年司法政策には重大な欠陥がある。締約国は、少年司法に関する自国の包括的な国家政策のなかに、1990年12月14日に国連総会(決議45/112)で採択された少年非行の防止に関する国連指針(リャド・ガイドライン)を全面的に統合するべきである。 18.委員会はリャド・ガイドラインを全面的に支持するとともに、とくに家族、コミュニティ、仲間集団、学校、職業訓練および仕事の世界ならびにボランティア組織を通じて、あらゆる子どもが社会化と統合を果たすことを促進するような防止政策が重視されるべきであるという点について同意するものである。このことはとりわけ、防止政策においては、とくに脆弱な立場に置かれた家族を支援すること、基本的価値観に関する教育(法律にもとづく子どもと親の権利および責任についての情報を含む)に学校が関与すること、および、危険な状態に置かれている若者に特別なケアおよび注意を向けることに焦点が当てられなければならないということを意味する。これとの関連で、学校から脱落した子どもまたはその他の形で教育を修了していない子どもにも、特段の注意が向けられるべきである。仲間集団による支援の活用および親の強力な関与が推奨される。締約国はまた、子ども(とくに繰り返して法律に抵触する子ども)の特別なニーズ、問題、関心事および利益に対応し、かつその家族に適切なカウンセリングおよび指導を提供するような、コミュニティを基盤とするサービスおよびプログラムも発展させるべきである。 19.条約第18条および第27条は子どもの養育に対する親の責任の重要性を確認しているが、条約は同時に、締約国に対し、親(または他の養育者)が親としての責任を果たすにあたって必要な援助を与えることも求めている。援助のための措置は、否定的な状況が生ずることの防止のみならず、親の社会的可能性の促進にもよりいっそうの焦点を当てるようなものであるべきである。親の訓練、親子の相互交流増進プログラムおよび家庭訪問プログラムのような、家庭および家族を基盤とする防止プログラムについては豊富な情報が存在しており、またこれらのプログラムは子どもがごく幼い段階から開始することができる。これに加えて、乳幼児期教育が将来の暴力および犯罪の発生率の低下と相関関係にあることもわかっている。コミュニティ・レベルでは、リスクに焦点を当てた防止戦略である「配慮に満ちたコミュニティ」(CTC)のようなプログラムによって成果が得られてきた。 20.締約国は、防止プログラムの開発および実施に、条約第12条にしたがって子どもが、また親、コミュニティの指導者その他の重要な主体(たとえばNGO、保護観察機関およびソーシャルワーク機関の代表)が参加することを全面的に促進および支援するべきである。このような参加の質こそが、これらのプログラムの成功の鍵となる。 21.委員会は、締約国が、効果的な防止プログラムを開発する取り組みを進めるにあたって「少年司法に関する機関横断パネル」の支援および助言を求めるよう勧告する。 B.介入/ダイバージョン(後掲Eも参照) 22.刑法に違反したとして申立てられ、罪を問われ、または認定された子どもに対応するにあたって、国の機関は2種類の介入策を用いることができる。司法手続によらない措置と、司法手続の文脈における措置である。委員会は、締約国に対し、これらの措置において子どもの人権および法的保障が全面的に尊重および保護されることを確保するために最大限の配慮がなされなければならないことを、想起するよう求める。 23.法律に抵触した子ども(累犯者である子どもを含む)は、子どもが社会に再統合し、かつ社会において建設的な役割を担うことを促進するような方法で取り扱われる権利を有する(条約第40条1項)。子どもの逮捕、拘禁または収監は、最後の手段としてでなければ用いてはならない(第37条(b))。したがって、子どもがその福祉にとって適切で、かつその状況および行なわれた犯罪のいずれにも見合う方法で取り扱われることを確保するための広範な効果的措置を――少年司法に関する包括的政策の一環として――発展させ、かつ実施することが必要となる。これらの措置には、ケア、指導および監督の命令、カウンセリング、保護観察、里親養護、教育および職業訓練のプログラムならびに施設内処遇に代わる他の代替的措置などの、多様な処分が含まれるべきである(第40条4項)。 司法手続によらない介入 24.条約第40条3項によれば、締約国は、適当かつ望ましいときは常に、刑法に違反したとして申立てられ、罪を問われ、または認定された子どもを司法手続によらずに取り扱うための措置を促進するよう努めなければならない。罪を犯した子どもの大半は軽微な犯罪を行なったにすぎないことを踏まえれば、刑事/少年司法手続による処理からの除外およびこれに代わる(社会)サービスへの付託(すなわちダイバージョン)をともなう一連の措置が、ほとんどの事件において利用可能な、かつ利用されるべき実務として定着することが求められる。 25.委員会の見解では、法律に抵触した子どもを司法手続によらずに取り扱うための措置を促進する締約国の義務は、万引きまたは被害が限定されたその他の財産犯罪のような軽微な犯罪を行なった子ども、および初犯の子どもに対して適用される(ただし、もちろんこれに限られるものではない)。多くの締約国の統計が示すところによれば、子どもが行なう犯罪のかなりの部分(しばしば大半)はこれらの範疇に属するものである。このようなあらゆる事件を裁判所における刑事司法手続によらずに取り扱うことは、条約第40条1項に掲げられた諸原則に一致している。このようなアプローチは、スティグマの付与の回避につながるのに加えて、子どもにとっても公共の安全の利益にとっても望ましい結果をもたらすとともに、費用対効果もいっそう高いことが証明されてきた。 26.締約国は、法律に抵触した子どもを司法手続によらずに取り扱うための措置を自国の少年司法制度の不可欠な要素として位置づけるとともに、当該措置において子どもの人権および法的保障が全面的に尊重および保護されることを確保するべきである(第40条3項(b))。 27.法律に抵触した子どもを司法手続によらずに取り扱うための措置の正確な性質および内容について決定し、かつその実施のために必要な立法上その他の措置をとることは、締約国の裁量に委ねられている。とはいえ、一部締約国の報告書で提供された情報にもとづき、コミュニティを基盤とする多様なプログラムが開発されてきたことは明らかである。これには、社会奉仕、たとえばソーシャルワーカーまたは保護観察官による監督および指導、ファミリー・コンファランス〔家族集団会議〕ならびにその他の形態の修復的司法措置(被害者に対する原状回復および賠償を含む)などがある。他の締約国はこれらの経験を活用するべきである。人権および法的保障の全面的尊重に関しては、委員会は条約第40条の関連規定を参照するよう求めるとともに、次の点を強調するものである。 ダイバージョン(すなわち、刑法に違反したとして申立てられ、罪を問われ、または認定された子どもを司法手続によらずに取り扱うための措置)は、申立てられた犯罪を子どもが行なったこと、子どもが自由にかつ自発的に責任を認めており、かつ当該責任を認めさせるためにいかなる脅迫または圧力も用いられなかったこと、ならびに、最後に、子どもが当該責任を認めたことがその後のいかなる法的手続においても子どもの不利になるような形で用いられないことについて確証がある場合にのみ、活用されるべきである。 子どもは、ダイバージョンについて、自由なかつ自発的な同意を書面で与えなければならない。このような同意は、措置の性質、内容および期間、ならびに、措置に協力せず、これを実行せずおよび修了しなかった場合の対応に関する、十分かつ具体的な情報にもとづいて与えられるべきである。締約国は、親の関与を強化する目的で、とくに子どもが16歳未満である場合には、親の同意も要件とすることを考慮してもよい。 法律には、どのような場合にダイバージョンが可能かを明らかにする具体的規定が置かれていなければならず、またこの点に関わる決定を行なう警察、検察官および(または)その他の機関の権限は、とくに子どもを差別から保護する目的で、規制および審査の対象とされるべきである。 子どもに対しては、権限ある機関から提示されたダイバージョンの適切さおよび望ましさならびに当該措置の再審査の可能性について、弁護士その他の適切な援助を行なう者と協議する機会が与えられなければならない。 子どもがダイバージョンを完了したことをもって、事件の確定的および最終的終結とされるべきである。ダイバージョンについての秘密記録を行政上および再審査上の目的で保管することはできるが、当該記録は「犯罪記録」ととらえられるべきではなく、また過去にダイバージョンの対象とされた子どもが前科を有するものと見なされてはならない。ダイバージョンについていずれかの登録が行なわれるときは、当該情報へのアクセス権は、法律に抵触した子どもに対応する権限を認められた機関に対して専権的に、かつ期間を限定して(たとえば最大1年)認められるべきである。 司法手続の文脈における介入 28.権限ある機関(通常は検察官事務所)によって司法手続が開始されるときは、公正な審判の原則が適用されなければならない(後掲D参照)。同時に、少年司法制度においては、社会的および(または)教育的措置を活用することによって法律に抵触した子どもに対応し、かつ、最後の手段としての自由の剥奪(およびとくに審判前の勾留)の使用を厳格に制限するための豊富な機会が用意されるべきである。手続の処分段階においては、自由の剥奪は最後の手段として、かつもっとも短い適当な期間でのみ用いられなければならない(第37条(b))。すなわち締約国は、指導および監督の命令、保護観察、社会内モニタリングまたはデイ・レポート・センター〔通所型保護観察施設〕、ならびに自由の剥奪からの早期釈放の可能性のような措置を最大限にかつ効果的に活用できるように、十分な訓練を受けた職員による保護観察機関を整備することが求められる。 29.委員会は、条約第40条1項にしたがって、再統合のためには、スティグマの付与、社会的孤立または子どもに関する否定的な情報公開といった、コミュニティへの子どもの全面的参加を阻害しうるいかなる行動もとられてはならないことを想起するよう、締約国に求める。法律に抵触した子どもが再統合を促進するような方法で取り扱われるようにするために、子どもが社会の完全かつ建設的な構成員になることが、あらゆる行動によって支援されるべきである。 C.年齢と、法に抵触した子ども 刑事責任に関する最低年齢 30.締約国によって提出された報告書が示すところによれば、刑事責任に関する最低年齢については広範な幅が存在する。7~8歳という非常に低い水準から、14~16歳という、賞賛に値する高い水準までさまざまである。刑事責任に関して2つの最低年齢を用いている国もかなり多い。法律に抵触した子どものうち、犯罪遂行時に低いほうの最低年齢には達しているものの高いほうの最低年齢に達していない者は、この点に関して必要な成熟度を有している場合にのみ、刑事責任を有すると推定されるのである。このような成熟度の評価は、しばしば心理学の専門家の関与を要件としないまま、裁判所/裁判官に委ねられており、そのため重大な犯罪の場合には低いほうの最低年齢を用いるという実務が行なわれている。2つの最低年齢を用いる制度はしばしば混乱を招くのみならず、裁判所/裁判官の裁量に多くが委ねられ、結果として差別的実務が行なわれる可能性が生ずる。刑事責任に関する最低年齢についてこのような広い幅があることに照らし、委員会は、刑事責任に関する最低年齢について明確な指針と勧告を締約国に示す必要があると感ずるものである。 31.条約第40条3項は、締約国に対し、とくに、刑法に違反する能力を有しないと推定される最低年齢の確立の促進に努めるよう求めているが、この点に関わる具体的な最低年齢は挙げていない。委員会は、この規定を、締約国が刑事責任に関する最低年齢(MACR)を設ける義務として理解するものである。このような最低年齢とは、次のことを意味する。 当該最低年齢に達しない年齢のときに罪を犯した子どもは、刑法上の手続において責任を問うことはできない。確かに(きわめて)若年の子どもでさえ刑法に違反する能力は有しているが、その子どもが罪を犯したときにMACRに達していなければ、刑法上の手続において正式に告発し、かつ責任を問うことはできないという反駁不能の推定が成立する。このような子どもについては、その最善の利益のために必要であれば、特別な保護措置をとることができる。 犯罪遂行時に(すなわち刑法に違反したときに)MACRには達していたが18歳未満であった子ども(後掲パラ35-38参照)は、正式に告発し、かつ刑法上の手続の対象とすることができる。ただしこれらの手続(終局的結果を含む)は、この一般的意見で詳しく述べられている条約の原則および規定を全面的に遵守するものでなければならない。 32.北京規則の規則4は、情緒的、精神的および知的成熟に関する事実を念頭に置き、MACRの始期はあまりにも低い年齢に定められてはならないと勧告している。この規則にしたがい、委員会は、締約国に対し、MACRをあまりにも低い水準に設定するべきではないこと、および、現行の低いMACRを国際的に受け入れられている水準まで引き上げることを勧告してきた。これらの勧告から、刑事責任に関する最低年齢が12歳に満たないときには、委員会はこれを国際的に受け入れられるものとは見なさないという結論を導き出すことができる。締約国は、これよりも低いMACRを12歳まで引き上げて絶対的最低年齢とし、かつ、これよりも高い年齢水準への引き上げを継続するよう奨励される。 33.委員会は同時に、締約国に対し、自国のMACRを12歳まで引き下げることがないよう促す。より高い、たとえば14歳または16歳というMACRは、条約第40条3項(b)にしたがい、法律に抵触した子どもを司法的手続によらずに取り扱う少年司法制度(ただし、子どもの人権および法的保障が全面的に尊重されることを条件とする)に貢献するものである。これとの関連で、締約国は、自国の法律で定められたMACRに満たない子どもが刑法に違反したとして認定され、またはそのように申し立てられもしくは罪を問われた場合にどのように取り扱われるか、および、そのような子どもの取扱いがMACR以上の子どもの取扱いと同じぐらい公正かつ正当であることを確保するためにどのような法的保障が設けられているかについて、自国の報告書において、具体的な形で詳しく委員会に情報を提供することが求められる。 34.委員会は、MACRに関する例外を認める慣行について懸念を表明したい。これは、子どもがたとえば重大な犯罪を行なったとして罪に問われている場合、または子どもが刑事責任を問うのに十分な成熟度を有していると見なされる場合に、刑事責任に関するより低い最低年齢を用いてもよいとするものである。委員会は、締約国が、例外としてより低い年齢を用いることを認めないような形でMACRを定めるよう強く勧告する。 35.年齢の証明がなく、かつ子どもがMACRに達していることが立証できないときは、その子どもは刑事責任を有しないものとされなければならない(後掲パラ39参照)。 少年司法に関する年齢の上限 36.委員会はまた、少年司法の諸規則の適用に関する年齢の上限に対しても締約国の注意を促したい。これらの特別規則は――特別な手続規則ならびにダイバージョンおよび特別措置に関する規則のいずれの面でも――、その国で定められたMACRに始まって、犯罪(または刑法で処罰対象とされている行為)を行なったとされた時点で18歳に達していなかったすべての子どもに適用されるべきである。 37.委員会は、締約国が、刑法に違反したとして申し立てられ、罪を問われ、または認定された場合に条約第40条の規定にしたがって取り扱われる、すべての子どもの権利を認めたことを想起するよう求めたい。このことは、罪を犯したとされる時点で18歳未満であったすべての者は、少年司法の諸規則にしたがって取り扱われなければならないことを意味する。 38.したがって委員会は、自国の少年司法の諸規則の適用を16歳(またはそれ以下の年齢)未満の子どもに限定している締約国、または16歳ないし17歳の子どもが例外的に成人犯罪者として扱われることを認めている締約国に対し、少年司法の諸規則が18歳未満のすべての者を対象として差別なく全面的に実施されるようにする目的で法律を改正するよう勧告する。委員会は、一部の締約国が、一般的規則としてまたは例外としてのいずれであるかに関わらず、少年司法の諸規則を18歳以上の者に対して(通常は21歳まで)適用することを認めていることについて、評価の意とともに留意するものである。 39.最後に、委員会は、とくにすべての子どもが出生後ただちに登録されることを求めた条約第7条の全面的実施のためには、いずれかの方法で年齢制限を定めることがきわめて重要であることを強調したい。これはあらゆる締約国にとって当てはまることである。生年月日を証明できない子どもは、家族、仕事、教育および労働に関して、とくに少年司法制度内で、あらゆる種類の虐待および不公正な取扱いをきわめて受けやすくなる。すべての子どもは、自分の年齢を証明するために必要なときは常に、出生証明書を無償で提供されなければならない。年齢の証明がない場合、子どもは、年齢を立証できる可能性のある、信頼できる医学的または社会的調査の対象とされる資格を有し、かつ、証拠に矛盾がある場合または決定的な証拠がない場合には、灰色の利益の原則の対象とされる権利を有する。 → 中編に続く 更新履歴:ページ作成(2011年4月24日)。