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ゆーりと付き合い始めたなおくん こいつキチガイ妄想野郎だなwwwwwwwで終わろうとしたが、またなおくんを釣ることにした みゆ(VIPPER)がなおくんに近づく なおくんは少々池沼というか、言語障害気味 会話↓ みゆ「なおくん何歳なの?」 なおくん「18だよみゆ」 みゆ「どこに住んでるの?」 なおくん「和歌山だよみゆみゆはどこに住んでるん」 みゆ「都内だよ♪」 なおくん「そうなんやみゆかわいいねみゆ」 そしてなおくんは一応ゆーりと付き合ってるはずなのに「みゆかわいいね」を連発 みゆが「チャHしよ♪」と誘うと、なおくん飛びついてくる そしてチャH開始 なおくん「キスするねみゆちゅっ」 みゆ「ちゅっ」 なおくん「みゆかわいいねみゆおっぱいさわるよ」 みゆ「うん・・・」 なおくん「おっぱいやわらかいねみゆかわいいよみゆ」 みゆ「あえぎ声省略」 なおくん「まんこさわるよみゆ」 みゆ「」 なおくん「みゆまんこからエッチな汁出てるよみゆ」 みゆ「」 なおくん「入れるよみゆかわいいねみゆ」 単調なチャHをしてる最中に、彼女ゆーりを投入 ゆーり「何してるの!?」 なおくん「みゆ気持ちいいよみゆ大好きだよみゆ」 みゆ「あたしも大好きだよ☆」 ゆーり「ねえ、なおくんうちと付き合ってるんじゃなかったの!?」 なおくん「ごめんゆーり」 ゆーり「ごめんじゃないでしょ!何してんの!?」 みゆ「なおくん・・・気持ちいよ・・・早く続きしよ?」 ゆーり「みゆちゃんは黙ってて!」 なおくん「ゆーりごめんみゆに誘惑された」 ゆーり「誘惑されたからって他の女とエッチするの!?それに大好きとか言ってるじゃん!」 なおくん「ゆーりほんとごめんもう絶対しないから」 みゆ「なおくんあたしのこと好きって言ってくれてたじゃん!」 なおくん「ゆーりは俺の彼女なんやよみゆ」 みゆ「なおくん最低!あたしのこと騙したんだ!」 ゆーり「彼女いること隠してたんだね」 なおくん「みゆ簡単に俺のことかっこいいとかゆうたらだめだよ」 なおくん「ゆーりほんとにごめん俺にはゆーりだけだからゆーり愛してる」 ゆーり「みゆちゃんのこと大好きって言ってたじゃん!」 なおくん「おれはゆーりだけを愛してるよみゆは嫌い」 みゆ「嫌い!?なおくん最低だね!あたしのこと騙してエッチしたくせに!」 なおくん「ゆーり大好きだよゆーりごめんゆーり」 みゆ「なおくん最低!」 なおくん「俺はゆーりが好きなんだよ最低とか言うな出っ歯みゆ」(みゆのプロフ画像は出っ歯気味) ゆーり「なおくん最低!みゆちゃんのプロフに出っ歯って言わないでって書いてあるのに!」 なおくん「ごめんゆーり大好きだよゆーり」 このあとなおくん放置で終了
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https //archive.fo/AqKEe ►10歳年下の彼氏ができて感じること こんばんは。桃です。 10歳年下の彼氏ができてからもうすぐ2ヵ月。はじめは自分の人生に突然降ってきたサプライズのような毎日も、徐々にですが日常になりつつあります。ついつい彼が年下だということを忘れてしまうぐらいしっかりしている時もあれば、めちゃくちゃ可愛くて癒される瞬間もある10歳年下の彼氏“まーさん”と一緒にいると思うことがあるんです。もしかしたら『年の差』なんて、本当は関係ないのかな?ということ。 基本的に人って、20歳を超えたぐらいから「年齢」よりも、重視したいのは、その人「そのもの」だと思うんです。だから、年下だとか年上だとかにこだわらず、「人」として魅力がより大切な気がしています。とはいえ、まーさんとはまだ付き合って2ヵ月。まーさんの本質がまだまだ見えていないところがあるのかな? 私の中で一番まーさんの謎な部分は、『女の子のことをどのぐらい好きなのか』ということ! 私の男友達は、“とにかく可愛い女の子がいたらしゃべりたい”“近づきたい”っていう人がほとんどだけど、まーさんには不思議とその気配を一切感じないのです。 まーさんの醸し出すオーラは、一言でいうと独特で、他の男性とは違う感じ。よく言えば女性に対して『硬派』、そして、悪く言えば『無関心』って感じでしょうか。 https //archive.fo/BK4lT ►もしも、まーさんが浮気をしたら…… 私が10歳年下の彼氏が出来たって報告したら、周りの友達やブログのコメント欄とかによく、「まーさんはイケメンで若いから、浮気されるって恐怖心はないの?」って心配されます。一般的に考えたら、10歳年下の彼氏と付き合ったら、まーさんが若い女子とうつつを抜かしたらどうしよう……なんて不安になるのが普通だと思うけど、全くそんな姿が想像できないのです。これはなかなかすごいことじゃないかな、なんて思っています。 もしも、まーさんが今後、浮気をすることがあるとするなら、それはきっと私に人間としての魅力が足りないと感じたときなんだろうなと思う。きっとそのときは『浮気』なんていうモノではなくて、『本気』で他の女性を好きになったときなんだろうな。まーさんは私にこんなことを思わせてしまうような彼氏なんです。 「遊び心」で浮気をするようなタイプでないからこそ、もし浮気をされたときのショックは想像できないけど……もし、そんなことがあったら「許す」とか「許さない」とかの問題じゃないような気もしています。 まだ何も起こっていないことを勝手に想像して不安になってもしょうがないので、私はまーさんがなるべくそういう気持ちにならないようにベストを尽くすのみ。一緒に楽しい時間を作っていければと思っています。 https //archive.fo/iipBp ►浮気は悪? それとも知らなければアリ? 私がなぜ、まーさんの浮気のことを考えてしまったかというと、世の女性の恋愛の悩みの一つに『浮気』という問題がありますよね。実際にそういう悩みを聞くこともあります。“彼が浮気したらイヤだな……”と漠然に心配してしまうと、まだ起こっていない不安を先取りしてしまうことにもなるので、せっかく好きな人と一緒にいるのだから考えないことが一番。 私の意見としては、自分がその人の絶対的な存在だっていうことの自信を持って、彼を信じていることが大切なんじゃないかと思う。彼の日頃の言葉や態度から「自分への気持ち」を感じていれば、もし彼氏が浮気したとしても、その事実を知ることがなければアリなんじゃないかと思っています。 20代前半の頃こんな風には一切考えられなかったんだけど、30代になってから、周りからいろいろ学びこういう考え方になっていきました。20代前半はとにかく「浮気は悪!」だと思っていたので、友達の彼氏が他の女の子と歩いてるのを発見した瞬間に、友達に告げ口をしていました。 「彼氏浮気してたよ! 最低だよ! 別れた方がいい!!」って。今思い返すと、私、子供だったなぁ。 https //archive.fo/PRAHq ►もし友達の彼の浮気を見てしまったら? 今、もし同じような場面に遭遇したら、私はきっとすごく悩むけど……友達には言わないと思う。だって『知らない方が幸せなことがある』ってことを、この10年で学んだ気がするから! 前は全部の真実を知ることこそが大切だと思っていたけど、いま自分が“幸せ”だと思ったら、自分の目の前にあることだけを信じていればいい、ここ最近はそう思うんです。 もし今、友達の彼の浮気を目撃してしまったら、20歳のときのように友達には言わないかわりに、友達の彼氏には「見ちゃったよ、どういうつもりなの?」って話はするかもな。でも、人の恋愛に他人が介入するのは“余計なお世話”だなっていうのは大人になって学びました。 万が一、まーさんが浮気したとしても、私は知りたくない! だって、人から何を言われようと、私にとっては、目の前にいて一緒にいてくれるまーさんがすべて。自分が幸せを感じていれば、それだけで十分だって思うから。 https //archive.fo/wdgKY ►もうすぐまーさんが25歳に♡ まーさんと付き合って、もうすぐ2ヶ月になります。そして、その2ヶ月記念日はなんとまーさんの誕生日!! そう、まーさんがついに25歳になるのです。 私が25歳の時って何してたんだっけ?!って思い返してみたら、ちょうど結婚した歳でした。10年前に想い描いていた10年後とは全くかけ離れたものになってしまったけど、これが人生なんですね。 life was like a box of chocolate.You never know what you re gonna get. (人生はひと箱分のチョコレートみたいなもの。何が起こるかわからない) これは映画「フォレスト・ガンプ」の中の名言なんだけど、まさにこれだな、と思います。まさか自分が離婚するなんて! そしてまさか10歳年下の彼氏ができるなんて! 過去の自分に聞かせてあげたらビックリしすぎてひっくりかえるんだろうな(笑)。 https //archive.fo/VlRl9 ►人生の変化球を楽しんでみる! 今まで私が付き合ってきた人は同い年か、みんな年上の人ばかりでした。 そして、今お付き合いしてるのは10歳年下で、友達の旦那の弟! こんな変化球が人生に起こりうるんですね! まーさんはまーさんで同い年の彼女しかいなかったらしいから、急にバツイチの10歳年上の女と付き合うなんて、夢にも思っていなかったでしょう。本当に人生何が起こるかわからない(笑)。 自分の人生に変化球が飛んでくると驚いて混乱することもあるけど、そんな変化球すら楽しんでしまうことこそが幸せのヒントなんじゃないかと思うんです。そして、まだ見ぬ「不安」より、目の前の「幸せ」をしっかり感じることができれば、きっと何が起こっても自分を見失わずにいられる気がします。 では、また来週木曜日に会いましょう♡ 桃
https://w.atwiki.jp/iphone_analyzer/pages/7.html
iPhoneアナライザーは、自分のiPhone以外のバックアップも閲覧できる。 彼氏・彼女のiPhoneを自分のパソコンに挿して、iTunesからバックアップすればいい。 あとは一人のときにじっくりとiPhoneの情報を閲覧しよう。 メッセージ、写真、地図検索履歴、LINE…… 相手が浮気しているかどうかは一発で分かる。
https://w.atwiki.jp/yuiazu/pages/2065.html
TV と言うわけで恋人の浮気を調べるには…… 「へえ~唐突に携帯をねえ」 「…唯先輩」 「ほえ?」 「ちょっと携帯見せてもらっていいですか」 「……何で?」 「いえ何となくです」 「あずにゃん、ちょっと今のテレビに毒されすぎだよ」 「いえ、関係無いです。別に唯先輩が誰彼問わず抱き回すからとかそういうのじゃないですから」 「言ってるよ、あずにゃん言ってるよ?」 「いいから携帯寄越すです」 「ぴいっ!あずにゃん怖いよ……はい……」 「あれ?意外に素直ですね…ってロックかけてるじゃないですか。やっぱり疚しい事が……」 「違うよお!うっかり携帯落として恥ずかしい事にならないようにって和ちゃんがそうしときなさいって」 「……成る程ですね、とは言えどうせ唯先輩の事ですから誕生日とか……ピピピっと」 「うう…」 「あれ?暗証番号が違いますって……唯先輩!?」 「……ずにゃんの」 「え?」 「あずにゃんの誕生日だよう!暗証番号!1111!」 「……にゃ!……あ、解除出来ました」 「ううう~」 「ん……ま、まあさて解除っと……あれ?これ……」 「わあああ」 「これ!あの時に撮ったちゅ、ちゅープリじゃないですか!なんてものを待ち受けにしてるんですか!」 「わあああ!やっぱり怒ったあ」 「当たり前です!」 「だから他の人に見られない用にロックかけてたんだよお!あずにゃんにばれたら怒るもん……」 「……」 「あ、あずにゃん?」 「……し、仕方無いですね」 「へ?」 「な、なんでもないです!とにかくその分かりやすい暗証番号を変えるですー!」 いやー危なかったね 画像フォルダにはあずにゃんのあんな写真やこんな写真がてんこもりだからね 取り敢えずあずにゃんがご機嫌になったからよしとしよう 唯先輩策士ですねっ! -- (鯖猫) 2012-06-12 00 28 56 暗証番号1111はアカンwww -- (名無しさん) 2012-11-24 02 05 20 唯先輩もあずにゃんが好きだね♪ -- (あずにゃんラブ) 2013-01-07 04 01 57 そりゃあご機嫌になるわなwww -- (名無しさん) 2014-04-24 21 53 04 名前 感想/コメント: すべてのコメントを見る
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/1600.html
※この作品を書くにあたり、ゆっくりいじめ系1332、1333「およめにしなさい」を参考にさせて頂きました これまでに書いたもの ゆッカー ゆっくり求聞史紀 ゆっくり腹話術(前) ゆっくり腹話術(後) ゆっくりの飼い方 私の場合 虐待お兄さんVSゆっくりんピース 普通に虐待 普通に虐待2~以下無限ループ~ 二つの計画 ある復讐の結末(前) ある復讐の結末(中) ある復讐の結末(後-1) ある復讐の結末(後-2) ある復讐の結末(後-3) ゆっくりに育てられた子 ゆっくりに心囚われた男 晒し首 チャリンコ コシアンルーレット前編 コシアンルーレット後編 いろいろと小ネタ ごった煮 庇護 庇護─選択の結果─ 不幸なゆっくりまりさ 終わらないはねゆーん 前編 終わらないはねゆーん 中編 終わらないはねゆーん 後編 おデブゆっくりのダイエット計画 ノーマルに虐待 大家族とゆっくりプレイス 都会派ありすの憂鬱 都会派ありす、の飼い主の暴走 都会派ありすの溜息 都会派ありすの消失 byキノコ馬 「ゆっくりしていってね! まりさをおにいさんのおよめさんにしてね!」 青年が家に帰ると、一匹のゆっくりが玄関前に鎮座していて、そんな事をのたまった。 そんな事を言われたら普通の人間ならば何を世迷言と、と無視するか蹴るか嬲るか殺すかしている所だが、青年はそうはしなかった。 「あぁ、いいよ」 あろうことか、青年は笑顔で承諾したのだ。 野生で生きるゆっくりにとって、食住揃った環境を提供してくれ、かつ強い相手というのは伴侶に相応しいとされる。(衣は自前の一張羅で充分) 人間はゆっくりに比べて遥かに強く、野生のゆっくりに比べれば格段の食事事情と家を持っている。 つまり(種族を無視すれば)ゆっくりにとって人間は伴侶に最も相応しいとさえ言える相手なのだ。 そのためこのゆっくりまりさは人間である青年に求婚を申し込んだのだ。 もっとも、過去に人間に求婚してお嫁さんにしてもらったというゆっくりの話を聞かなければ、このまりさもこんな事はしなかっただろうが。 だが、それはもちろんゆっくりにとっての話であって、人間がゆっくりを伴侶にする理由は何も無い。 無いのだが、この青年はまりさの申し出を快く受け入れた。 「ゆゆっ! ほんとう? おにいさん! 「あぁ、もちろんだとも。ゆっくりしていってね」 「ゆっくりしていってね!!!」 こうして人間とゆっくりという奇妙な新婚カップルが生まれた。 「はい、まりさ。朝ご飯だよ」 「ゆゆ~、ありがとうだーりん!」 みょんなカップルが生まれて三日。 青年は朝、いつものようにまりさに餌を用意する。 『まりさ』と書かれた犬の餌皿に餡子が盛られたという貧相な、だがゆっくりにとってはご馳走ともいえる食事だ。 この光景は朝食だけでなく三食ほぼ同じである。 この一人と一匹の生活は、どこからどう見ても飼い主とペットだが、まりさの中では新婚生活らしい。 結婚とは普通は互いの両親に報告するものだろうが、まりさの両親は自然災害で、青年の両親は病気で既に他界していた。 青年は「む~しゃ、む~しゃ、しあわせ~♪」と餡子を頬張るまりさを見ながら、自分の朝食である白飯と味噌汁、漬物を食べる。 まりさは青年のような食事を欲しがらないかとも思えるが、野生の生活で甘味に飢え、かつ甘味を大好物とするゆっくりであるまりさは、 しばらくは甘味を好んで食すだろう。 一人と一匹は仲良く食事を楽しみ、揃って「ごちそうさま」を口にする。 まりさはお腹が膨れて満足げに昼寝でもしようかと思ったが、まりさはお嫁さんなんだからお家の掃除でもしようと思い直した。 これは野生の頃の価値観である、伴侶の片割れが餌を採りに行ってもう片方が留守番をして家を管理するというものの名残だろう。 青年が仕事に行く準備を進めるなか、まりさは庭の雑草抜きをしようと思った。 昨日青年が雑草が邪魔だ、と困っていたのを思い出し、かつ雑草を食べればお腹も空かずにゆっくりできるという考えのもとでの思いつきだ。 そうしてまりさは庭に出ようとしたところ、あるものが目に入った。 「ゆっ?」 それは庭の片隅にあった。 それぞれ『れいむ』『ありす』と書かれた三十センチ程の木の札が、地面に刺さっていたのである。 「だーりん、あれなぁに?」 まりさは気になって青年に訊ねた。 訊ねられた青年は、まりさの視線の先を見て、 「あぁあれは前の、僕の奥さんのお墓だよ」 と、何でもない風に言った。 「ゆゆっ!?」 その言葉にまりさは驚愕した。 「だーりんってば、ばつにだったの!?」 自分の旦那がかつて二人の嫁を迎えていただなんて、と。 だが、と。 離婚したならばともかく、お墓があるということは死んだということだろう。 まりさは、何故かそのことを疑問に思って青年に訊ねていた。 「どうしてしんじゃったの?」 「浮気したからだよ」 さらっ、と青年は答えたが、浮気と死ぬことの因果関係がまりさには全く分からなかった。 分からなかったが、何故か本能的にそれについて聞くことに恐怖を覚え、聞くことはしなかった。 「じゃあね、行ってくるよ」 「……ゆゆっ、ゆっくりいってきてね、だーりん!」 まりさは結局この日、庭の片隅の墓が気になって半分も雑草を抜くことが出来なかった。 新婚生活も二週間経った頃、まりさは日中家にいることに飽きていた。 子供でもいれば子守で忙しいだろうが、青年とまりさの間に子供が出来るわけもない。 また家事をしようにもまりさが手の届く範囲で出来ることなど高が知れている。 結果、まりさは青年が仕事で家にいない間暇をもてあますことになっていた。 そこで、まりさは青年に日中外に遊びに行ってもいいかと許可を求めた。 青年はそれをあっさりと承諾した。 青年は外に遊びに行くまりさの帽子に、犬猫の首輪と同じ意味を持つバッジをまりさの帽子につけて、 「ゆゆっ? これはなぁに?」 「まりさが僕のお嫁さんだという証だよ」 家を出る際に陽気に遊びに行くまりさを見送った。 完全にペットと飼い主である。 野原をスキップするかのように跳ねていたまりさは、ひどくご機嫌だった。 久しぶりに目一杯走り回れるのだから、当然かもしれない。 それに今は野生の時と違って餌や家の心配をする必要も無い。 好きなだけ遊んで好きなだけゆっくりしていても、家に帰れば美味しいご飯が待っているのだ。 陽気にならない訳が無い。 「ゆゆっ、ゆっくりしていってね!!!」 まりさは前方にゆっくりれいむを見つけると、立ち止まって挨拶をした。 相手のれいむもまりさに振り返って「ゆっくりしていってね!」と返した。 れいむはどうやら成体ゆっくり直前のゆっくりで、どうやらまりさより少し若いようだ。 野原に生えていた花を食べていたようで、とてもゆっくりできるれいむだ、とまりさは思った。 おしゃべりしたり、頬をす~りす~りなどすると、れいむもまりさの事が気に入ったらしく、その日は一日まりさはれいむと遊ぶ事にした。 太陽が山にかかろうとする夕方。 二匹は遊び疲れたのか、それぞれの家に帰ることにした。 「ゆっくりできたよ! れいむ、ありがとう!」 「れいむもゆっくりできたよ! まりさ、またね!」 笑顔でそう言いあってぽよんぽよん背を向けて跳ねだす二匹。 まりさは野生のゆっくりの友達が出来た。 家に帰ると青年はまだ帰っていなかったので、遊びつかれたまりさは眠ることにした。 その後帰ってきた青年は外で遊んで汚れているまりさを風呂にいれてやり、 「さっぱりー!!」 一人と一匹仲良く夕食にし、しばらく一緒に遊んでまりさが眠るのを確認し、後就寝。 野生のゆっくりが見たらパルスィ化するほどの幸せな生活である。 「ゆゆ~、れいむゆっくりしていってね!」 「ゆっくりしていってね! まりさ、きょうもゆっくりしようね!」 あれからまりさは毎日れいむと遊んでいる。 れいむはまだ両親と一緒に巣で暮らしているらしく、群れにも属していないため外で餌集めのついでにまりさと遊んでいた。 まりさは飼いゆっくりによる恵まれた食生活のため体力が野生のゆっくりよりも高い。 そのためまりさも遊ぶついでにれいむの餌集めを手伝っていた。 「ゆゆ~、いいの? まりさぁ」 「いいよ! まりさはおうちにかえったらだーりんがゆっくりさせてくれるもん!」 両親が優れた餌集めの技術を持っているからか、れいむが採ってくる餌のノルマはそんなに多くない。 まりさの協力もあって、餌集めもそこそこに日中遊ぶことができた。 そして遊びに夢中になっていたのか、気付けば陽が暮れて夜になっていた。 「ゆゆっ! まっくらだよ、れみりゃがでるよ! ゆっくりできないよ!」 「ゆっくりできないのはいやだよ! まりさおうちかえるね」 「れいむもおうちかえるよ、まりさ、ゆっくりばいばい」 「れいむ、ゆっくりばいばい」 慌てて互いの家路につく。 まりさは夜の暗さで道に迷うかもと思ったが、なんとか迷うことなく真っ直ぐ青年の家に辿り着くことが出来た。 「ゆっくりかえったよ!」 玄関扉に作られた猫用出入り口のようなゆっくり用出入り口を通ってまりさは家に入る。 まだ青年は帰っていないのか、家の中は真っ暗だ。 「ゆゆ~、だーりんまだかえってないのかな~」 暗くて視界が悪いが、一応何週間か過ごした家である。多少おぼつかない足取りではあるがぽよんぽよん歩を進める。 そしていつも青年とゆっくりしている居間に入ったところで、急に部屋の灯りがついた。 「ゆっ?」 まりさは不思議がる間もなく、頭を押さえられ顔面を蹴られた。 身体から一瞬にして力が抜け、「ゆぶっ!!」と声をあげる。 呻くことしか出来なかった。どうにか痛みをこらえて蹴ってきた相手を確認しようとするが、頬を続けて蹴られた。 気付けば透明な箱の中に入れられていた。サイズはピッタリでまるで身動きが出来ない。 「いぢゃい゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛……」 久しく感じたことのなかった痛みに泣いていると、「まりさ」と呼ぶ声がした。 まりさが涙を零す目を開けて声がする方、目の前を見てみるとそこにはまりさをお嫁さんにした(とまりさが思っている)青年がいた。 周りには誰も居ない。 まりさは餡子脳ながらも、事態を理解した。 「だーりんどぼじでごんなごどずるのぉぉぉぉぉ!!!」 自分を蹴って透明な箱に閉じ込めたのは、愛する我が夫。 それを理解したまりさはガタガタと箱の中で暴れながら泣き喚き、訴える。 でぃーぶい、だよ! かてーないぼうりょくだよ! と煩く喚いているが、青年はそんなまりさの言葉は相手にせず、透明な箱の蓋を開けた。 「まりさ、正直に浮気相手のことを言いなさい」 まりさは唐突に言われた言葉に箱から出ようとするのも忘れて体を傾げた。 「……ゆっ? なんのこと?」 「とぼけなくてもいいよ。浮気してるんだろ、まりさ?」 「どぼじでぞんなごどいうの!? ぬれぎぬだよ゛っ!」 まりさは目尻に涙を溜めながらも身の潔白を訴える。なんで青年は唐突にそんなことを言ったのか。 まりさはだーりんのおよめさんだよ! そんな自分の思いが分からないのか、と。 「濡れ衣? 本当に?」 「ぞうだよ゛っ!」 「嘘ついてない?」 「うぞじゃないよ゛ぉぉぉぉ!! じんじでよ゛ぉぉぉぉぉぉ!!!」 そこまで言ったところで、ジュッと何かがまりさの頬に落ちてきた。 とてつもない熱を持つそれは、青年が手に持っていた蝋燭から垂れてきた、溶けた蝋だ。火のついた蝋燭を傾け、そこから落ちてきた。 「ゆびぃ゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛!!! あぢゅい゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛!!」 「さぁ、正直に言いなさい」 「うわぎなんでじでないよ゛ぉぉぉぉぉ!!」 ジュッ 再び蝋が落とされる。 「ゆぶぅ゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛!!」 「最近帰りが遅い」 「おぞどであぞんでだだげだよ゛ぉぉぉぉ!!! ジュッ また溶けた蝋が落とされる。 「ゆぎぃ゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛!!!」 「他のゆっくりが家に近づいてくるとどぎまぎしてる」 「おどもだぢだとおもっだの゛ぉぉぉぉぉ!!」 ジュッ 青年が持つ蝋燭が傾けられ溶けた蝋がまりさの額に落ちる。 「あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛づぅ゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛いよ゛ぉぉぉぉぉぉ!!!」 「この間お饅頭を持って遊びに出てった。浮気相手のプレゼントだろ?」 「おどもだぢのいもうどだぢに、ぶれぜんどじだんだよ゛ぉぉぉぉぉぉ!!! ぞれだげしがしょうこないの゛ぉぉぉぉ!?」 「ほら」 「ゆっ?」 「証拠は? って聞いてくるのは大体犯人なんだよ」 まりさは呆然とした。 無茶苦茶だ、と。理不尽だ、と。 信じられない、といった表情をしているまりさに、青年は言った。 「信じられないって顔してるね、まりさ。僕が信じられないのは、浮気してるからだろ?」 ジュッ それから一時間にわたり尋問したが、まりさは浮気しているとも、浮気相手の名前も言わなかった。 浮気をしていないのだから、当然である。 当のまりさといえば、長きにわたる尋問で衰弱している。 「う~ん、本当に浮気してないのかな?」 「うわぎなんで……じでないよ゛……」 「自信あったんだけどなぁ」 「だーりん、どぼじで……ゆっぐじ、ざぜで……」 「うん、ごめんごめん。まりさ、ゆっくりしていってね」 青年はさっきとは打って変わって優しく微笑むと、まりさに水を浴びせてやり、火傷した場所を水で溶かした小麦粉で治してやった。 その後は一緒に入浴し、夕食を食べ、一緒に遊びあうといういつもの通りの平和な日常だった。 それから何も変わらない日常がしばらく続いたが、ある日れいむ一家に事件が起きた。 れいむの両親の片方がれみりゃに喰われ、もう片方は狩りをしている所を人間に暇つぶしに殺されたらしい。 つまり、まりさの友達のれいむが一匹で、年の離れた姉妹たちを養っていかなければならないという。 「ゆぅ……だからまりさとはもうあえないよぉ」 「ゆゆっ! だったらまりさもてつだうよ!」 「ゆっ?」 「まりさもごはんあつめるのてつだうよ! れいむとそのいもーとたちをゆっくりさせてあげるよ!」 まりさは友達思いのゆっくりである。 以前の野生暮らしの頃の友達は全員死んでしまった。だから人間にお嫁さんにしてもらおう、と思ったのだが。 だからまりさは、今唯一の友達であるれいむが大変ならば手伝いたいと心から思った。 まりさは青年から食事がもらえるから自分の分は気にしなくていいし、一緒に狩りをすればそれだけれいむと一緒にいられるかもという打算も無いわけではなかったが。 「ゆっ、ゆっぐ……ありがどばりざぁ……」 れいむはそんなまりさの申し出に、感極まって泣いてしまっていた。 まりさは泣き出したれいむに困り果てながらも、なんとかれいむを宥めすかす。 「ゆぅ、れいむなかないでぇ……。いっしょにゆっくりしよう」 「ゆぐっ、ゆっくりありがとう、ばりざ」 「ゆぅ、まりさのおかげでいっぱいごはんあつまったよ! ゆっくりできそうだよ!」 「ゆふふふふ♪」 その日一日二匹揃って駆けずり回った結果、れいむ一家が食べるには充分すぎるほどの食料を集めることが出来た。 二匹は頬や帽子にエサをぱんぱんに詰めてれいむの巣に向かう。 そこは小さな洞窟だった。 巣の中ではれいむとまりさ種の子ゆっくりや赤ゆっくりが六匹ほどいた。 「ゆっ、ゆっくりかえったよ! ゆっくりしていってね!」 「「「「「「「ゆっくりしていってね!!!」」」」」」 巣に入ったれいむにれいむの姉妹達が揃って迎えの言葉をかける。 キャッキャッとれいむの周りに群がり、労をねぎらったり頬擦りをして甘えようとする。 「おねえちゃん、ゆっくりありがとう!」 「ゆゆ~、おねえしゃんしゅりしゅり~♪」 「まりしゃいいこにしてちゃよ!」 「れいみゅにもしゅりしゅり~♪」 本当に仲が良いのだろう。 姉妹達にもみくちゃにされながらも、れいむの顔にも笑顔があった。 まりさは、そんなれいむを羨ましく思った。 人間じゃなくてゆっくりの家族がいて、と。 「ゆゆっ? そっちのおねーしゃんだぁれ?」 そんな事をまりさが思っていると、一匹の赤まりさがまりさに気付いた。 「まりさはれいむのたいせつなおともだちだよ! ごはんあつめるのをてつだってくれたんだよ!」 「ゆゆっ、しょうなの!?」 れいむの紹介にれいむの姉妹達は一斉に並んでまりさに向き直ると、 「「「「「「まりさおねーしゃんありがちょう! ゆっくりしていってね!!!」」」」」」 舌ったらずながらも挨拶だけはしっかりとした発音。 姉妹達に一斉に感謝され、歓迎され、まりさは先ほどのれいむのように感極まって涙ぐんでしまった。 「ゆぅ、まりさどうしたの?」 「ゆゆっ、なんでもないよ! まりさもうかえらなきゃ!」 まりさは涙を隠すように慌てて顔をそむけて巣の外に出る。 れいむが慌ててまりさの後を追って外に出るが、既にまりさは家に向かって駆けていた。 「まりさっ、きょうはありがとう! またゆっくりしようね!」 背からかけられたれいむの言葉に、まりさは立ち止まり振り向く。 そして、 「ゆっくりしていってね!!!」 まりさがれいむ一家の狩りを手伝い始めて一周間が過ぎた。 狩り上手な両親の才能を受け継いだのかれいむはエサを集めるのが上手く、またまりさも飼いゆっくりの身体能力の高さを生かして多くのエサを集めた。 まだ夕方前だというのに、既に一日分の食料を集め終えた二匹は、木陰で寄り添ってゆっくりしてた。 「ゆぅ……こうしてまりさとゆっくりするのひさしぶりだよぉ……」 「ゆっくり~……」 集めた食料を脇に置き、お互いに体を預けあって休憩している。 ゆっくりという名に恥かしくないゆっくりっぷりである。 「まりさぁ、ありがとうね……まりさのおかげで、れいむたちゆっくりできるよ~……」 れいむは両親が死んだ時、一時はどうなるかと思った。 自分達だけで生きていけるのか。先に胎生型で生まれた自分だけで、年の離れた姉妹達を養っていけるのか、と。 そんな悩みも、まりさのお陰で解決できた。れいむは本当に、まりさに感謝していた。 いや、そんな損得結果など無しにれいむはまりさの事が大好きだった。 できれば、一生一緒にゆっくりしたい程に。 れいむは今を幸せだと感じていた。仲良しの家族はいる。ご飯も大丈夫。とても大切な相手もいる。 満ち足りた生活だ。 それとは対称に、まりさには現状の生活にある不満があった。 あれだけ贅沢な生活をしておいて何を、と思うかもしれない。実際思うだろう。 だが、まりさはまりさである一つだけが満ち足りてなかった。 食事も住居もれいむとは比べ物にならないほどの水準だ。風呂にも入れるし暖かな布団だってある。 では何が足りないのか。 それは家族と、すっきりである。 まりさの家族は今やいない。あえて言うとすればあの青年だろう。だがゆっくりではない。 そしていくらまりさが青年のお嫁さんだと言い張っても、人間とゆっくりの間では子を為すことは出来ない。 最初青年に求婚しに行くとき、それでも良いと思った。 子供が出来なくても、ゆっくりできる生活が欲しいと。 だが、いざ充実したゆっくりできる生活に慣れてしまうと、欲が出てしまう。 すなわち、子が欲しい。自分と同じゆっくりの家族が欲しい、と。 そんなまりさの長い間溜まっていたストレスと欲求は、気付かぬ間にまりさを突き動かしていた。 「ゆぅ、れいむぅ……」 「ゆゆっ!! まりさっ!?」 まりさが頬を少し赤くして、れいむにしだれかかっていた。 頬をさっきよりも、溶けて融合するのではないかと言うほど密着させている。 ここまでされれば、れいむもその意味は分かる。だがれいむは突然の事に、そして自分が望んでいたことをまりさから望んで来たことに驚いていた。 「ゆぅ、まりさだいたんだよぉ~」 「ゆゆっ、いっしょにすっきりしようね!」 むちむちとした肌を押し付けあう二匹。頬をこすりあわせて、お互いの温もりを感じていく。 互いが頬を擦り合わせるたびに変形する。やがてれいむもまりさも頬を更に赤くさせていく。発情しているのだ。 れいむとまりさは求め合った。互いを。激しく。 「「すっきり~♪」」 「ゆゆっ、れいむ、あかちゃんがでてきたよ!」 交尾を終えたれいむの額から、茎がしゅるしゅると伸びてきた。植物型にんっしんっ! である。 その茎には実がなっていた。赤ゆっくりの実である。れいむ種とまりさ種、あわせて七匹。 植物型にんっしんっ! は生まれるのが早い。既にいくらかの形は出来ている。 この分ならば明日か明後日には生まれるだろう。 「ゆゆ~♪ きっとまりさににてとってもゆっくりしたこだよ~♪」 ようやくまりさと結ばれて、自分の子が出来たれいむは嬉しさに顔を綻ばせる。 上機嫌に歌いながら、自分の額に生えた子供を眺め続ける。まりさは、感動に涙していた。自分が子を持つなんて、と。 家族や友達がれみりゃに殺された時、もう自分はダメだと思った。それでも幾つかの偶然の重ね合わせで生き延びることが出来た。 そして、かつて聞いた噂話を頼りに人間のお嫁さんにしてもらうのも、賭けだった。 その賭けに勝ったはいいものの、人間とでは子供は出来ない。 だが、それでも良いとまりさは諦めかけていた。家族はいなくても、と。 家族や友達が助けてくれたこの命を永らえさせれば、と。 だがそれでも、まりさは家族が欲しかった。 その願いの結晶が、今愛するれいむの額にいる。自分も親になれたんだと、実感する。 れいむとまりさはその後、陽が暮れるまで寄り添いあい我が子と暮らす未来図を話し合った。 れいむの妹達はどうするのか。まりさの家の青年はどうするのか。 問題はまだあるし、どうすればいいかもまだ分からないが、たとえ隕石が落ちて他の生物が絶滅して二匹っきりになっても、困ることは何も無いように思えた。 「いっしょにひろいおうちにすもうね」 「あかちゃんといっぱいすりすりしようね」 「かわいいあかちゃんにちゅっちゅしたいね」 「いっしょにゆっくりしようね」 「ゆっくりしようね」 「ゆゆ~♪ だーりん、ただいま~♪」 まりさが家に帰ると、青年はまだ家にはいなかった。 まりさは子が出来た喜びから上機嫌に家に帰ってきたが、日中のエサ集めと交尾の疲れからか、居間でそのまま眠りこけてしまった。 「ゆぅ~……ゆっくり~……」 和む、あるいはいらつく程幸せそうな寝顔と寝息をたてるまりさ。 そんなまりさの安息の時間は、唐突に終わりを告げる。 ドムッ! 幸せそうに眠りこけるまりさの顔面に、足が突き刺さった。 振られた足はそのまままりさの顔面を貫くかのように振りぬかれ、まりさを吹き飛ばし壁にたたきつけた。 「ゆびぃ!?」 突然の痛みに覚醒するまりさ。 餡子の芯まで響く激痛に意識せず大声をあげてしまう。 「いぢゃい、いぢゃい゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛!!!」 「やぁ、まりさ。お早う」 畳の上を痛みに泣き転げるまりさに、青年が爽やかに声をかける。 まりさを蹴り起こしたのは青年である。 「ゆ゛っ!? だーりん、ゆっくりおかえりなさい!」 青年の帰宅に気付いたまりさは言うべき言葉を思い出して言うが、 ドムッ! それは間違いだった。脳天に足が振り下ろされる。 「ゆびぃ!?」 「ねぇ、まりさ。浮気相手のことを正直に言えば何も痛いことはしないよ」 「ゆゆゆっ!?」 まりさの餡子脳にかつての光景が蘇る。浮気をしたと疑われて熱い蝋を垂らされ続けたあの恐怖を。 その恐怖からか、まりさは口走っていた。 「じでないよ゛っ! ばりざ、うわぎなんでじでないよ゛っ!」 涙を撒き散らして必死にそう言うが、青年の無表情な顔はまるで信用していない。 事実、今回は濡れ衣ではない。 青年はまりさの言葉など聞こえていないかのように、口を開いた。 「ねぇ、まりさ知ってる?」 「ゆっ?」 「僕の前の前の奥さん、れいむの浮気相手はねぇ、お家でむ~しゃむ~しゃってご飯を食べてたら目が無くなっちゃったんだって~。不思議だねぇ、怖いねぇ」 「ゆ゛ゆ゛っ!?」 「それと前の奥さんのありすの浮気相手はねぇ、日向ぼっこしてたら足が真っ黒焦げになったんだって。怖いねぇ」 「ゆ゛ゆ゛ゆ゛っ!?」 「まりさの浮気相手は、どうなるのかな?」 まりさは、青年がそこまで言ったところで青年の足から抜け出して駆け出していた。 青年が足の力を緩めていたのだが、そんな事に気付く余裕はなかった。 浮気を認めることになるとか、そんな事は頭になく、ただれいむの心配だけが頭にあった。 家を飛び出し、野原を駆け、れいむの巣に辿り着く。 巣の前まで辿り着いたところで、巣の中からは泣き声の合唱が響いてきた。れいむの姉妹達の声だ。 「れいむぅぅぅぅぅ!!!」 まりさは巣の中に駆け込んだ。 そこに広がっていた空間は、まりさにとって信じがたいものだった。 乱暴に折られたかのような有様の茎が地に投げ捨てられており、巣の壁や床に赤ゆっくりの実であったと思われる餡子の染みと小さな飾りがある。 そして母体のれいむは、無数の切り傷と無数の殴打跡によってかつての面影などないボロ饅頭という有様だった。 モチモチだった肌の名残はなく、ボコボコの汚れまるけ。無数の切り傷からは餡子が漏れ出ている。 「ゆひゅぅ……ゆひゅぅ……」と荒い息をするれいむは、どう見ても先は長くない。じきに死ぬだろう。 れいむの周りではれいむの姉妹達が大声で涙と共に大声を撒き散らしている。 「おね゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ち゛ゃぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ん!!」 「ぢっがりぢでぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛!!」 「どぼじでぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛!?」 「じんじゃやだぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!!!」 「ゆっぐじしちぇよ゛ぉぉぉぉ!!!」 「ゆ゛え゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ん!!」 そこにはまりさの知るかつての幸せな光景はどこにも無かった。 姉妹達で生き抜こうという希望と愛に包まれた、あの幸せな光景が、まりさが羨んだあの姿が、どこにも。 「やぁ、どうしたのまりさ?」 呆然としているまりさの背から、声が来た。 まりさようやく、失念していた事を思い出し、目に涙を溜めてガタガタと振り返る。 ゆっくりと振り返ったまりさの視線の先に、柔和に微笑む青年の姿があった。 「僕の前の奥さん達はね、浮気したから死んじゃったんだ」 「だ、だーり゛ん……」 「まりさも、浮気してたんだね?」 翌日、青年の庭に墓が一つ増えた。 おわり このSSに感想を付ける
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※この作品を書くにあたり、ゆっくりいじめ系1332、1333「およめにしなさい」を参考にさせて頂きました これまでに書いたもの ゆッカー ゆっくり求聞史紀 ゆっくり腹話術(前) ゆっくり腹話術(後) ゆっくりの飼い方 私の場合 虐待お兄さんVSゆっくりんピース 普通に虐待 普通に虐待2~以下無限ループ~ 二つの計画 ある復讐の結末(前) ある復讐の結末(中) ある復讐の結末(後-1) ある復讐の結末(後-2) ある復讐の結末(後-3) ゆっくりに育てられた子 ゆっくりに心囚われた男 晒し首 チャリンコ コシアンルーレット前編 コシアンルーレット後編 いろいろと小ネタ ごった煮 庇護 庇護─選択の結果─ 不幸なゆっくりまりさ 終わらないはねゆーん 前編 終わらないはねゆーん 中編 終わらないはねゆーん 後編 おデブゆっくりのダイエット計画 ノーマルに虐待 大家族とゆっくりプレイス 都会派ありすの憂鬱 都会派ありす、の飼い主の暴走 都会派ありすの溜息 都会派ありすの消失 byキノコ馬 「ゆっくりしていってね! まりさをおにいさんのおよめさんにしてね!」 青年が家に帰ると、一匹のゆっくりが玄関前に鎮座していて、そんな事をのたまった。 そんな事を言われたら普通の人間ならば何を世迷言と、と無視するか蹴るか嬲るか殺すかしている所だが、青年はそうはしなかった。 「あぁ、いいよ」 あろうことか、青年は笑顔で承諾したのだ。 野生で生きるゆっくりにとって、食住揃った環境を提供してくれ、かつ強い相手というのは伴侶に相応しいとされる。(衣は自前の一張羅で充分) 人間はゆっくりに比べて遥かに強く、野生のゆっくりに比べれば格段の食事事情と家を持っている。 つまり(種族を無視すれば)ゆっくりにとって人間は伴侶に最も相応しいとさえ言える相手なのだ。 そのためこのゆっくりまりさは人間である青年に求婚を申し込んだのだ。 もっとも、過去に人間に求婚してお嫁さんにしてもらったというゆっくりの話を聞かなければ、このまりさもこんな事はしなかっただろうが。 だが、それはもちろんゆっくりにとっての話であって、人間がゆっくりを伴侶にする理由は何も無い。 無いのだが、この青年はまりさの申し出を快く受け入れた。 「ゆゆっ! ほんとう? おにいさん! 「あぁ、もちろんだとも。ゆっくりしていってね」 「ゆっくりしていってね!!!」 こうして人間とゆっくりという奇妙な新婚カップルが生まれた。 「はい、まりさ。朝ご飯だよ」 「ゆゆ~、ありがとうだーりん!」 みょんなカップルが生まれて三日。 青年は朝、いつものようにまりさに餌を用意する。 『まりさ』と書かれた犬の餌皿に餡子が盛られたという貧相な、だがゆっくりにとってはご馳走ともいえる食事だ。 この光景は朝食だけでなく三食ほぼ同じである。 この一人と一匹の生活は、どこからどう見ても飼い主とペットだが、まりさの中では新婚生活らしい。 結婚とは普通は互いの両親に報告するものだろうが、まりさの両親は自然災害で、青年の両親は病気で既に他界していた。 青年は「む~しゃ、む~しゃ、しあわせ~♪」と餡子を頬張るまりさを見ながら、自分の朝食である白飯と味噌汁、漬物を食べる。 まりさは青年のような食事を欲しがらないかとも思えるが、野生の生活で甘味に飢え、かつ甘味を大好物とするゆっくりであるまりさは、 しばらくは甘味を好んで食すだろう。 一人と一匹は仲良く食事を楽しみ、揃って「ごちそうさま」を口にする。 まりさはお腹が膨れて満足げに昼寝でもしようかと思ったが、まりさはお嫁さんなんだからお家の掃除でもしようと思い直した。 これは野生の頃の価値観である、伴侶の片割れが餌を採りに行ってもう片方が留守番をして家を管理するというものの名残だろう。 青年が仕事に行く準備を進めるなか、まりさは庭の雑草抜きをしようと思った。 昨日青年が雑草が邪魔だ、と困っていたのを思い出し、かつ雑草を食べればお腹も空かずにゆっくりできるという考えのもとでの思いつきだ。 そうしてまりさは庭に出ようとしたところ、あるものが目に入った。 「ゆっ?」 それは庭の片隅にあった。 それぞれ『れいむ』『ありす』と書かれた三十センチ程の木の札が、地面に刺さっていたのである。 「だーりん、あれなぁに?」 まりさは気になって青年に訊ねた。 訊ねられた青年は、まりさの視線の先を見て、 「あぁあれは前の、僕の奥さんのお墓だよ」 と、何でもない風に言った。 「ゆゆっ!?」 その言葉にまりさは驚愕した。 「だーりんってば、ばつにだったの!?」 自分の旦那がかつて二人の嫁を迎えていただなんて、と。 だが、と。 離婚したならばともかく、お墓があるということは死んだということだろう。 まりさは、何故かそのことを疑問に思って青年に訊ねていた。 「どうしてしんじゃったの?」 「浮気したからだよ」 さらっ、と青年は答えたが、浮気と死ぬことの因果関係がまりさには全く分からなかった。 分からなかったが、何故か本能的にそれについて聞くことに恐怖を覚え、聞くことはしなかった。 「じゃあね、行ってくるよ」 「……ゆゆっ、ゆっくりいってきてね、だーりん!」 まりさは結局この日、庭の片隅の墓が気になって半分も雑草を抜くことが出来なかった。 新婚生活も二週間経った頃、まりさは日中家にいることに飽きていた。 子供でもいれば子守で忙しいだろうが、青年とまりさの間に子供が出来るわけもない。 また家事をしようにもまりさが手の届く範囲で出来ることなど高が知れている。 結果、まりさは青年が仕事で家にいない間暇をもてあますことになっていた。 そこで、まりさは青年に日中外に遊びに行ってもいいかと許可を求めた。 青年はそれをあっさりと承諾した。 青年は外に遊びに行くまりさの帽子に、犬猫の首輪と同じ意味を持つバッジをまりさの帽子につけて、 「ゆゆっ? これはなぁに?」 「まりさが僕のお嫁さんだという証だよ」 家を出る際に陽気に遊びに行くまりさを見送った。 完全にペットと飼い主である。 野原をスキップするかのように跳ねていたまりさは、ひどくご機嫌だった。 久しぶりに目一杯走り回れるのだから、当然かもしれない。 それに今は野生の時と違って餌や家の心配をする必要も無い。 好きなだけ遊んで好きなだけゆっくりしていても、家に帰れば美味しいご飯が待っているのだ。 陽気にならない訳が無い。 「ゆゆっ、ゆっくりしていってね!!!」 まりさは前方にゆっくりれいむを見つけると、立ち止まって挨拶をした。 相手のれいむもまりさに振り返って「ゆっくりしていってね!」と返した。 れいむはどうやら成体ゆっくり直前のゆっくりで、どうやらまりさより少し若いようだ。 野原に生えていた花を食べていたようで、とてもゆっくりできるれいむだ、とまりさは思った。 おしゃべりしたり、頬をす~りす~りなどすると、れいむもまりさの事が気に入ったらしく、その日は一日まりさはれいむと遊ぶ事にした。 太陽が山にかかろうとする夕方。 二匹は遊び疲れたのか、それぞれの家に帰ることにした。 「ゆっくりできたよ! れいむ、ありがとう!」 「れいむもゆっくりできたよ! まりさ、またね!」 笑顔でそう言いあってぽよんぽよん背を向けて跳ねだす二匹。 まりさは野生のゆっくりの友達が出来た。 家に帰ると青年はまだ帰っていなかったので、遊びつかれたまりさは眠ることにした。 その後帰ってきた青年は外で遊んで汚れているまりさを風呂にいれてやり、 「さっぱりー!!」 一人と一匹仲良く夕食にし、しばらく一緒に遊んでまりさが眠るのを確認し、後就寝。 野生のゆっくりが見たらパルスィ化するほどの幸せな生活である。 「ゆゆ~、れいむゆっくりしていってね!」 「ゆっくりしていってね! まりさ、きょうもゆっくりしようね!」 あれからまりさは毎日れいむと遊んでいる。 れいむはまだ両親と一緒に巣で暮らしているらしく、群れにも属していないため外で餌集めのついでにまりさと遊んでいた。 まりさは飼いゆっくりによる恵まれた食生活のため体力が野生のゆっくりよりも高い。 そのためまりさも遊ぶついでにれいむの餌集めを手伝っていた。 「ゆゆ~、いいの? まりさぁ」 「いいよ! まりさはおうちにかえったらだーりんがゆっくりさせてくれるもん!」 両親が優れた餌集めの技術を持っているからか、れいむが採ってくる餌のノルマはそんなに多くない。 まりさの協力もあって、餌集めもそこそこに日中遊ぶことができた。 そして遊びに夢中になっていたのか、気付けば陽が暮れて夜になっていた。 「ゆゆっ! まっくらだよ、れみりゃがでるよ! ゆっくりできないよ!」 「ゆっくりできないのはいやだよ! まりさおうちかえるね」 「れいむもおうちかえるよ、まりさ、ゆっくりばいばい」 「れいむ、ゆっくりばいばい」 慌てて互いの家路につく。 まりさは夜の暗さで道に迷うかもと思ったが、なんとか迷うことなく真っ直ぐ青年の家に辿り着くことが出来た。 「ゆっくりかえったよ!」 玄関扉に作られた猫用出入り口のようなゆっくり用出入り口を通ってまりさは家に入る。 まだ青年は帰っていないのか、家の中は真っ暗だ。 「ゆゆ~、だーりんまだかえってないのかな~」 暗くて視界が悪いが、一応何週間か過ごした家である。多少おぼつかない足取りではあるがぽよんぽよん歩を進める。 そしていつも青年とゆっくりしている居間に入ったところで、急に部屋の灯りがついた。 「ゆっ?」 まりさは不思議がる間もなく、頭を押さえられ顔面を蹴られた。 身体から一瞬にして力が抜け、「ゆぶっ!!」と声をあげる。 呻くことしか出来なかった。どうにか痛みをこらえて蹴ってきた相手を確認しようとするが、頬を続けて蹴られた。 気付けば透明な箱の中に入れられていた。サイズはピッタリでまるで身動きが出来ない。 「いぢゃい゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛……」 久しく感じたことのなかった痛みに泣いていると、「まりさ」と呼ぶ声がした。 まりさが涙を零す目を開けて声がする方、目の前を見てみるとそこにはまりさをお嫁さんにした(とまりさが思っている)青年がいた。 周りには誰も居ない。 まりさは餡子脳ながらも、事態を理解した。 「だーりんどぼじでごんなごどずるのぉぉぉぉぉ!!!」 自分を蹴って透明な箱に閉じ込めたのは、愛する我が夫。 それを理解したまりさはガタガタと箱の中で暴れながら泣き喚き、訴える。 でぃーぶい、だよ! かてーないぼうりょくだよ! と煩く喚いているが、青年はそんなまりさの言葉は相手にせず、透明な箱の蓋を開けた。 「まりさ、正直に浮気相手のことを言いなさい」 まりさは唐突に言われた言葉に箱から出ようとするのも忘れて体を傾げた。 「……ゆっ? なんのこと?」 「とぼけなくてもいいよ。浮気してるんだろ、まりさ?」 「どぼじでぞんなごどいうの!? ぬれぎぬだよ゛っ!」 まりさは目尻に涙を溜めながらも身の潔白を訴える。なんで青年は唐突にそんなことを言ったのか。 まりさはだーりんのおよめさんだよ! そんな自分の思いが分からないのか、と。 「濡れ衣? 本当に?」 「ぞうだよ゛っ!」 「嘘ついてない?」 「うぞじゃないよ゛ぉぉぉぉ!! じんじでよ゛ぉぉぉぉぉぉ!!!」 そこまで言ったところで、ジュッと何かがまりさの頬に落ちてきた。 とてつもない熱を持つそれは、青年が手に持っていた蝋燭から垂れてきた、溶けた蝋だ。火のついた蝋燭を傾け、そこから落ちてきた。 「ゆびぃ゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛!!! あぢゅい゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛!!」 「さぁ、正直に言いなさい」 「うわぎなんでじでないよ゛ぉぉぉぉぉ!!」 ジュッ 再び蝋が落とされる。 「ゆぶぅ゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛!!」 「最近帰りが遅い」 「おぞどであぞんでだだげだよ゛ぉぉぉぉ!!! ジュッ また溶けた蝋が落とされる。 「ゆぎぃ゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛!!!」 「他のゆっくりが家に近づいてくるとどぎまぎしてる」 「おどもだぢだとおもっだの゛ぉぉぉぉぉ!!」 ジュッ 青年が持つ蝋燭が傾けられ溶けた蝋がまりさの額に落ちる。 「あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛づぅ゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛いよ゛ぉぉぉぉぉぉ!!!」 「この間お饅頭を持って遊びに出てった。浮気相手のプレゼントだろ?」 「おどもだぢのいもうどだぢに、ぶれぜんどじだんだよ゛ぉぉぉぉぉぉ!!! ぞれだげしがしょうこないの゛ぉぉぉぉ!?」 「ほら」 「ゆっ?」 「証拠は? って聞いてくるのは大体犯人なんだよ」 まりさは呆然とした。 無茶苦茶だ、と。理不尽だ、と。 信じられない、といった表情をしているまりさに、青年は言った。 「信じられないって顔してるね、まりさ。僕が信じられないのは、浮気してるからだろ?」 ジュッ それから一時間にわたり尋問したが、まりさは浮気しているとも、浮気相手の名前も言わなかった。 浮気をしていないのだから、当然である。 当のまりさといえば、長きにわたる尋問で衰弱している。 「う~ん、本当に浮気してないのかな?」 「うわぎなんで……じでないよ゛……」 「自信あったんだけどなぁ」 「だーりん、どぼじで……ゆっぐじ、ざぜで……」 「うん、ごめんごめん。まりさ、ゆっくりしていってね」 青年はさっきとは打って変わって優しく微笑むと、まりさに水を浴びせてやり、火傷した場所を水で溶かした小麦粉で治してやった。 その後は一緒に入浴し、夕食を食べ、一緒に遊びあうといういつもの通りの平和な日常だった。 それから何も変わらない日常がしばらく続いたが、ある日れいむ一家に事件が起きた。 れいむの両親の片方がれみりゃに喰われ、もう片方は狩りをしている所を人間に暇つぶしに殺されたらしい。 つまり、まりさの友達のれいむが一匹で、年の離れた姉妹たちを養っていかなければならないという。 「ゆぅ……だからまりさとはもうあえないよぉ」 「ゆゆっ! だったらまりさもてつだうよ!」 「ゆっ?」 「まりさもごはんあつめるのてつだうよ! れいむとそのいもーとたちをゆっくりさせてあげるよ!」 まりさは友達思いのゆっくりである。 以前の野生暮らしの頃の友達は全員死んでしまった。だから人間にお嫁さんにしてもらおう、と思ったのだが。 だからまりさは、今唯一の友達であるれいむが大変ならば手伝いたいと心から思った。 まりさは青年から食事がもらえるから自分の分は気にしなくていいし、一緒に狩りをすればそれだけれいむと一緒にいられるかもという打算も無いわけではなかったが。 「ゆっ、ゆっぐ……ありがどばりざぁ……」 れいむはそんなまりさの申し出に、感極まって泣いてしまっていた。 まりさは泣き出したれいむに困り果てながらも、なんとかれいむを宥めすかす。 「ゆぅ、れいむなかないでぇ……。いっしょにゆっくりしよう」 「ゆぐっ、ゆっくりありがとう、ばりざ」 「ゆぅ、まりさのおかげでいっぱいごはんあつまったよ! ゆっくりできそうだよ!」 「ゆふふふふ♪」 その日一日二匹揃って駆けずり回った結果、れいむ一家が食べるには充分すぎるほどの食料を集めることが出来た。 二匹は頬や帽子にエサをぱんぱんに詰めてれいむの巣に向かう。 そこは小さな洞窟だった。 巣の中ではれいむとまりさ種の子ゆっくりや赤ゆっくりが六匹ほどいた。 「ゆっ、ゆっくりかえったよ! ゆっくりしていってね!」 「「「「「「「ゆっくりしていってね!!!」」」」」」 巣に入ったれいむにれいむの姉妹達が揃って迎えの言葉をかける。 キャッキャッとれいむの周りに群がり、労をねぎらったり頬擦りをして甘えようとする。 「おねえちゃん、ゆっくりありがとう!」 「ゆゆ~、おねえしゃんしゅりしゅり~♪」 「まりしゃいいこにしてちゃよ!」 「れいみゅにもしゅりしゅり~♪」 本当に仲が良いのだろう。 姉妹達にもみくちゃにされながらも、れいむの顔にも笑顔があった。 まりさは、そんなれいむを羨ましく思った。 人間じゃなくてゆっくりの家族がいて、と。 「ゆゆっ? そっちのおねーしゃんだぁれ?」 そんな事をまりさが思っていると、一匹の赤まりさがまりさに気付いた。 「まりさはれいむのたいせつなおともだちだよ! ごはんあつめるのをてつだってくれたんだよ!」 「ゆゆっ、しょうなの!?」 れいむの紹介にれいむの姉妹達は一斉に並んでまりさに向き直ると、 「「「「「「まりさおねーしゃんありがちょう! ゆっくりしていってね!!!」」」」」」 舌ったらずながらも挨拶だけはしっかりとした発音。 姉妹達に一斉に感謝され、歓迎され、まりさは先ほどのれいむのように感極まって涙ぐんでしまった。 「ゆぅ、まりさどうしたの?」 「ゆゆっ、なんでもないよ! まりさもうかえらなきゃ!」 まりさは涙を隠すように慌てて顔をそむけて巣の外に出る。 れいむが慌ててまりさの後を追って外に出るが、既にまりさは家に向かって駆けていた。 「まりさっ、きょうはありがとう! またゆっくりしようね!」 背からかけられたれいむの言葉に、まりさは立ち止まり振り向く。 そして、 「ゆっくりしていってね!!!」 まりさがれいむ一家の狩りを手伝い始めて一周間が過ぎた。 狩り上手な両親の才能を受け継いだのかれいむはエサを集めるのが上手く、またまりさも飼いゆっくりの身体能力の高さを生かして多くのエサを集めた。 まだ夕方前だというのに、既に一日分の食料を集め終えた二匹は、木陰で寄り添ってゆっくりしてた。 「ゆぅ……こうしてまりさとゆっくりするのひさしぶりだよぉ……」 「ゆっくり~……」 集めた食料を脇に置き、お互いに体を預けあって休憩している。 ゆっくりという名に恥かしくないゆっくりっぷりである。 「まりさぁ、ありがとうね……まりさのおかげで、れいむたちゆっくりできるよ~……」 れいむは両親が死んだ時、一時はどうなるかと思った。 自分達だけで生きていけるのか。先に胎生型で生まれた自分だけで、年の離れた姉妹達を養っていけるのか、と。 そんな悩みも、まりさのお陰で解決できた。れいむは本当に、まりさに感謝していた。 いや、そんな損得結果など無しにれいむはまりさの事が大好きだった。 できれば、一生一緒にゆっくりしたい程に。 れいむは今を幸せだと感じていた。仲良しの家族はいる。ご飯も大丈夫。とても大切な相手もいる。 満ち足りた生活だ。 それとは対称に、まりさには現状の生活にある不満があった。 あれだけ贅沢な生活をしておいて何を、と思うかもしれない。実際思うだろう。 だが、まりさはまりさである一つだけが満ち足りてなかった。 食事も住居もれいむとは比べ物にならないほどの水準だ。風呂にも入れるし暖かな布団だってある。 では何が足りないのか。 それは家族と、すっきりである。 まりさの家族は今やいない。あえて言うとすればあの青年だろう。だがゆっくりではない。 そしていくらまりさが青年のお嫁さんだと言い張っても、人間とゆっくりの間では子を為すことは出来ない。 最初青年に求婚しに行くとき、それでも良いと思った。 子供が出来なくても、ゆっくりできる生活が欲しいと。 だが、いざ充実したゆっくりできる生活に慣れてしまうと、欲が出てしまう。 すなわち、子が欲しい。自分と同じゆっくりの家族が欲しい、と。 そんなまりさの長い間溜まっていたストレスと欲求は、気付かぬ間にまりさを突き動かしていた。 「ゆぅ、れいむぅ……」 「ゆゆっ!! まりさっ!?」 まりさが頬を少し赤くして、れいむにしだれかかっていた。 頬をさっきよりも、溶けて融合するのではないかと言うほど密着させている。 ここまでされれば、れいむもその意味は分かる。だがれいむは突然の事に、そして自分が望んでいたことをまりさから望んで来たことに驚いていた。 「ゆぅ、まりさだいたんだよぉ~」 「ゆゆっ、いっしょにすっきりしようね!」 むちむちとした肌を押し付けあう二匹。頬をこすりあわせて、お互いの温もりを感じていく。 互いが頬を擦り合わせるたびに変形する。やがてれいむもまりさも頬を更に赤くさせていく。発情しているのだ。 れいむとまりさは求め合った。互いを。激しく。 「「すっきり~♪」」 「ゆゆっ、れいむ、あかちゃんがでてきたよ!」 交尾を終えたれいむの額から、茎がしゅるしゅると伸びてきた。植物型にんっしんっ! である。 その茎には実がなっていた。赤ゆっくりの実である。れいむ種とまりさ種、あわせて七匹。 植物型にんっしんっ! は生まれるのが早い。既にいくらかの形は出来ている。 この分ならば明日か明後日には生まれるだろう。 「ゆゆ~♪ きっとまりさににてとってもゆっくりしたこだよ~♪」 ようやくまりさと結ばれて、自分の子が出来たれいむは嬉しさに顔を綻ばせる。 上機嫌に歌いながら、自分の額に生えた子供を眺め続ける。まりさは、感動に涙していた。自分が子を持つなんて、と。 家族や友達がれみりゃに殺された時、もう自分はダメだと思った。それでも幾つかの偶然の重ね合わせで生き延びることが出来た。 そして、かつて聞いた噂話を頼りに人間のお嫁さんにしてもらうのも、賭けだった。 その賭けに勝ったはいいものの、人間とでは子供は出来ない。 だが、それでも良いとまりさは諦めかけていた。家族はいなくても、と。 家族や友達が助けてくれたこの命を永らえさせれば、と。 だがそれでも、まりさは家族が欲しかった。 その願いの結晶が、今愛するれいむの額にいる。自分も親になれたんだと、実感する。 れいむとまりさはその後、陽が暮れるまで寄り添いあい我が子と暮らす未来図を話し合った。 れいむの妹達はどうするのか。まりさの家の青年はどうするのか。 問題はまだあるし、どうすればいいかもまだ分からないが、たとえ隕石が落ちて他の生物が絶滅して二匹っきりになっても、困ることは何も無いように思えた。 「いっしょにひろいおうちにすもうね」 「あかちゃんといっぱいすりすりしようね」 「かわいいあかちゃんにちゅっちゅしたいね」 「いっしょにゆっくりしようね」 「ゆっくりしようね」 「ゆゆ~♪ だーりん、ただいま~♪」 まりさが家に帰ると、青年はまだ家にはいなかった。 まりさは子が出来た喜びから上機嫌に家に帰ってきたが、日中のエサ集めと交尾の疲れからか、居間でそのまま眠りこけてしまった。 「ゆぅ~……ゆっくり~……」 和む、あるいはいらつく程幸せそうな寝顔と寝息をたてるまりさ。 そんなまりさの安息の時間は、唐突に終わりを告げる。 ドムッ! 幸せそうに眠りこけるまりさの顔面に、足が突き刺さった。 振られた足はそのまままりさの顔面を貫くかのように振りぬかれ、まりさを吹き飛ばし壁にたたきつけた。 「ゆびぃ!?」 突然の痛みに覚醒するまりさ。 餡子の芯まで響く激痛に意識せず大声をあげてしまう。 「いぢゃい、いぢゃい゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛!!!」 「やぁ、まりさ。お早う」 畳の上を痛みに泣き転げるまりさに、青年が爽やかに声をかける。 まりさを蹴り起こしたのは青年である。 「ゆ゛っ!? だーりん、ゆっくりおかえりなさい!」 青年の帰宅に気付いたまりさは言うべき言葉を思い出して言うが、 ドムッ! それは間違いだった。脳天に足が振り下ろされる。 「ゆびぃ!?」 「ねぇ、まりさ。浮気相手のことを正直に言えば何も痛いことはしないよ」 「ゆゆゆっ!?」 まりさの餡子脳にかつての光景が蘇る。浮気をしたと疑われて熱い蝋を垂らされ続けたあの恐怖を。 その恐怖からか、まりさは口走っていた。 「じでないよ゛っ! ばりざ、うわぎなんでじでないよ゛っ!」 涙を撒き散らして必死にそう言うが、青年の無表情な顔はまるで信用していない。 事実、今回は濡れ衣ではない。 青年はまりさの言葉など聞こえていないかのように、口を開いた。 「ねぇ、まりさ知ってる?」 「ゆっ?」 「僕の前の前の奥さん、れいむの浮気相手はねぇ、お家でむ~しゃむ~しゃってご飯を食べてたら目が無くなっちゃったんだって~。不思議だねぇ、怖いねぇ」 「ゆ゛ゆ゛っ!?」 「それと前の奥さんのありすの浮気相手はねぇ、日向ぼっこしてたら足が真っ黒焦げになったんだって。怖いねぇ」 「ゆ゛ゆ゛ゆ゛っ!?」 「まりさの浮気相手は、どうなるのかな?」 まりさは、青年がそこまで言ったところで青年の足から抜け出して駆け出していた。 青年が足の力を緩めていたのだが、そんな事に気付く余裕はなかった。 浮気を認めることになるとか、そんな事は頭になく、ただれいむの心配だけが頭にあった。 家を飛び出し、野原を駆け、れいむの巣に辿り着く。 巣の前まで辿り着いたところで、巣の中からは泣き声の合唱が響いてきた。れいむの姉妹達の声だ。 「れいむぅぅぅぅぅ!!!」 まりさは巣の中に駆け込んだ。 そこに広がっていた空間は、まりさにとって信じがたいものだった。 乱暴に折られたかのような有様の茎が地に投げ捨てられており、巣の壁や床に赤ゆっくりの実であったと思われる餡子の染みと小さな飾りがある。 そして母体のれいむは、無数の切り傷と無数の殴打跡によってかつての面影などないボロ饅頭という有様だった。 モチモチだった肌の名残はなく、ボコボコの汚れまるけ。無数の切り傷からは餡子が漏れ出ている。 「ゆひゅぅ……ゆひゅぅ……」と荒い息をするれいむは、どう見ても先は長くない。じきに死ぬだろう。 れいむの周りではれいむの姉妹達が大声で涙と共に大声を撒き散らしている。 「おね゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ち゛ゃぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ん!!」 「ぢっがりぢでぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛!!」 「どぼじでぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛!?」 「じんじゃやだぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!!!」 「ゆっぐじしちぇよ゛ぉぉぉぉ!!!」 「ゆ゛え゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ん!!」 そこにはまりさの知るかつての幸せな光景はどこにも無かった。 姉妹達で生き抜こうという希望と愛に包まれた、あの幸せな光景が、まりさが羨んだあの姿が、どこにも。 「やぁ、どうしたのまりさ?」 呆然としているまりさの背から、声が来た。 まりさようやく、失念していた事を思い出し、目に涙を溜めてガタガタと振り返る。 ゆっくりと振り返ったまりさの視線の先に、柔和に微笑む青年の姿があった。 「僕の前の奥さん達はね、浮気したから死んじゃったんだ」 「だ、だーり゛ん……」 「まりさも、浮気してたんだね?」 翌日、青年の庭に墓が一つ増えた。 おわり このSSに感想を付ける
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※この作品を書くにあたり、ゆっくりいじめ系1332、1333「およめにしなさい」を参考にさせて頂きました これまでに書いたもの ゆッカー ゆっくり求聞史紀 ゆっくり腹話術(前) ゆっくり腹話術(後) ゆっくりの飼い方 私の場合 虐待お兄さんVSゆっくりんピース 普通に虐待 普通に虐待2~以下無限ループ~ 二つの計画 ある復讐の結末(前) ある復讐の結末(中) ある復讐の結末(後-1) ある復讐の結末(後-2) ある復讐の結末(後-3) ゆっくりに育てられた子 ゆっくりに心囚われた男 晒し首 チャリンコ コシアンルーレット前編 コシアンルーレット後編 いろいろと小ネタ ごった煮 庇護 庇護─選択の結果─ 不幸なゆっくりまりさ 終わらないはねゆーん 前編 終わらないはねゆーん 中編 終わらないはねゆーん 後編 おデブゆっくりのダイエット計画 ノーマルに虐待 大家族とゆっくりプレイス 都会派ありすの憂鬱 都会派ありす、の飼い主の暴走 都会派ありすの溜息 都会派ありすの消失 byキノコ馬 「ゆっくりしていってね! まりさをおにいさんのおよめさんにしてね!」 青年が家に帰ると、一匹のゆっくりが玄関前に鎮座していて、そんな事をのたまった。 そんな事を言われたら普通の人間ならば何を世迷言と、と無視するか蹴るか嬲るか殺すかしている所だが、青年はそうはしなかった。 「あぁ、いいよ」 あろうことか、青年は笑顔で承諾したのだ。 野生で生きるゆっくりにとって、食住揃った環境を提供してくれ、かつ強い相手というのは伴侶に相応しいとされる。(衣は自前の一張羅で充分) 人間はゆっくりに比べて遥かに強く、野生のゆっくりに比べれば格段の食事事情と家を持っている。 つまり(種族を無視すれば)ゆっくりにとって人間は伴侶に最も相応しいとさえ言える相手なのだ。 そのためこのゆっくりまりさは人間である青年に求婚を申し込んだのだ。 もっとも、過去に人間に求婚してお嫁さんにしてもらったというゆっくりの話を聞かなければ、このまりさもこんな事はしなかっただろうが。 だが、それはもちろんゆっくりにとっての話であって、人間がゆっくりを伴侶にする理由は何も無い。 無いのだが、この青年はまりさの申し出を快く受け入れた。 「ゆゆっ! ほんとう? おにいさん! 「あぁ、もちろんだとも。ゆっくりしていってね」 「ゆっくりしていってね!!!」 こうして人間とゆっくりという奇妙な新婚カップルが生まれた。 「はい、まりさ。朝ご飯だよ」 「ゆゆ~、ありがとうだーりん!」 みょんなカップルが生まれて三日。 青年は朝、いつものようにまりさに餌を用意する。 『まりさ』と書かれた犬の餌皿に餡子が盛られたという貧相な、だがゆっくりにとってはご馳走ともいえる食事だ。 この光景は朝食だけでなく三食ほぼ同じである。 この一人と一匹の生活は、どこからどう見ても飼い主とペットだが、まりさの中では新婚生活らしい。 結婚とは普通は互いの両親に報告するものだろうが、まりさの両親は自然災害で、青年の両親は病気で既に他界していた。 青年は「む~しゃ、む~しゃ、しあわせ~♪」と餡子を頬張るまりさを見ながら、自分の朝食である白飯と味噌汁、漬物を食べる。 まりさは青年のような食事を欲しがらないかとも思えるが、野生の生活で甘味に飢え、かつ甘味を大好物とするゆっくりであるまりさは、 しばらくは甘味を好んで食すだろう。 一人と一匹は仲良く食事を楽しみ、揃って「ごちそうさま」を口にする。 まりさはお腹が膨れて満足げに昼寝でもしようかと思ったが、まりさはお嫁さんなんだからお家の掃除でもしようと思い直した。 これは野生の頃の価値観である、伴侶の片割れが餌を採りに行ってもう片方が留守番をして家を管理するというものの名残だろう。 青年が仕事に行く準備を進めるなか、まりさは庭の雑草抜きをしようと思った。 昨日青年が雑草が邪魔だ、と困っていたのを思い出し、かつ雑草を食べればお腹も空かずにゆっくりできるという考えのもとでの思いつきだ。 そうしてまりさは庭に出ようとしたところ、あるものが目に入った。 「ゆっ?」 それは庭の片隅にあった。 それぞれ『れいむ』『ありす』と書かれた三十センチ程の木の札が、地面に刺さっていたのである。 「だーりん、あれなぁに?」 まりさは気になって青年に訊ねた。 訊ねられた青年は、まりさの視線の先を見て、 「あぁあれは前の、僕の奥さんのお墓だよ」 と、何でもない風に言った。 「ゆゆっ!?」 その言葉にまりさは驚愕した。 「だーりんってば、ばつにだったの!?」 自分の旦那がかつて二人の嫁を迎えていただなんて、と。 だが、と。 離婚したならばともかく、お墓があるということは死んだということだろう。 まりさは、何故かそのことを疑問に思って青年に訊ねていた。 「どうしてしんじゃったの?」 「浮気したからだよ」 さらっ、と青年は答えたが、浮気と死ぬことの因果関係がまりさには全く分からなかった。 分からなかったが、何故か本能的にそれについて聞くことに恐怖を覚え、聞くことはしなかった。 「じゃあね、行ってくるよ」 「……ゆゆっ、ゆっくりいってきてね、だーりん!」 まりさは結局この日、庭の片隅の墓が気になって半分も雑草を抜くことが出来なかった。 新婚生活も二週間経った頃、まりさは日中家にいることに飽きていた。 子供でもいれば子守で忙しいだろうが、青年とまりさの間に子供が出来るわけもない。 また家事をしようにもまりさが手の届く範囲で出来ることなど高が知れている。 結果、まりさは青年が仕事で家にいない間暇をもてあますことになっていた。 そこで、まりさは青年に日中外に遊びに行ってもいいかと許可を求めた。 青年はそれをあっさりと承諾した。 青年は外に遊びに行くまりさの帽子に、犬猫の首輪と同じ意味を持つバッジをまりさの帽子につけて、 「ゆゆっ? これはなぁに?」 「まりさが僕のお嫁さんだという証だよ」 家を出る際に陽気に遊びに行くまりさを見送った。 完全にペットと飼い主である。 野原をスキップするかのように跳ねていたまりさは、ひどくご機嫌だった。 久しぶりに目一杯走り回れるのだから、当然かもしれない。 それに今は野生の時と違って餌や家の心配をする必要も無い。 好きなだけ遊んで好きなだけゆっくりしていても、家に帰れば美味しいご飯が待っているのだ。 陽気にならない訳が無い。 「ゆゆっ、ゆっくりしていってね!!!」 まりさは前方にゆっくりれいむを見つけると、立ち止まって挨拶をした。 相手のれいむもまりさに振り返って「ゆっくりしていってね!」と返した。 れいむはどうやら成体ゆっくり直前のゆっくりで、どうやらまりさより少し若いようだ。 野原に生えていた花を食べていたようで、とてもゆっくりできるれいむだ、とまりさは思った。 おしゃべりしたり、頬をす~りす~りなどすると、れいむもまりさの事が気に入ったらしく、その日は一日まりさはれいむと遊ぶ事にした。 太陽が山にかかろうとする夕方。 二匹は遊び疲れたのか、それぞれの家に帰ることにした。 「ゆっくりできたよ! れいむ、ありがとう!」 「れいむもゆっくりできたよ! まりさ、またね!」 笑顔でそう言いあってぽよんぽよん背を向けて跳ねだす二匹。 まりさは野生のゆっくりの友達が出来た。 家に帰ると青年はまだ帰っていなかったので、遊びつかれたまりさは眠ることにした。 その後帰ってきた青年は外で遊んで汚れているまりさを風呂にいれてやり、 「さっぱりー!!」 一人と一匹仲良く夕食にし、しばらく一緒に遊んでまりさが眠るのを確認し、後就寝。 野生のゆっくりが見たらパルスィ化するほどの幸せな生活である。 「ゆゆ~、れいむゆっくりしていってね!」 「ゆっくりしていってね! まりさ、きょうもゆっくりしようね!」 あれからまりさは毎日れいむと遊んでいる。 れいむはまだ両親と一緒に巣で暮らしているらしく、群れにも属していないため外で餌集めのついでにまりさと遊んでいた。 まりさは飼いゆっくりによる恵まれた食生活のため体力が野生のゆっくりよりも高い。 そのためまりさも遊ぶついでにれいむの餌集めを手伝っていた。 「ゆゆ~、いいの? まりさぁ」 「いいよ! まりさはおうちにかえったらだーりんがゆっくりさせてくれるもん!」 両親が優れた餌集めの技術を持っているからか、れいむが採ってくる餌のノルマはそんなに多くない。 まりさの協力もあって、餌集めもそこそこに日中遊ぶことができた。 そして遊びに夢中になっていたのか、気付けば陽が暮れて夜になっていた。 「ゆゆっ! まっくらだよ、れみりゃがでるよ! ゆっくりできないよ!」 「ゆっくりできないのはいやだよ! まりさおうちかえるね」 「れいむもおうちかえるよ、まりさ、ゆっくりばいばい」 「れいむ、ゆっくりばいばい」 慌てて互いの家路につく。 まりさは夜の暗さで道に迷うかもと思ったが、なんとか迷うことなく真っ直ぐ青年の家に辿り着くことが出来た。 「ゆっくりかえったよ!」 玄関扉に作られた猫用出入り口のようなゆっくり用出入り口を通ってまりさは家に入る。 まだ青年は帰っていないのか、家の中は真っ暗だ。 「ゆゆ~、だーりんまだかえってないのかな~」 暗くて視界が悪いが、一応何週間か過ごした家である。多少おぼつかない足取りではあるがぽよんぽよん歩を進める。 そしていつも青年とゆっくりしている居間に入ったところで、急に部屋の灯りがついた。 「ゆっ?」 まりさは不思議がる間もなく、頭を押さえられ顔面を蹴られた。 身体から一瞬にして力が抜け、「ゆぶっ!!」と声をあげる。 呻くことしか出来なかった。どうにか痛みをこらえて蹴ってきた相手を確認しようとするが、頬を続けて蹴られた。 気付けば透明な箱の中に入れられていた。サイズはピッタリでまるで身動きが出来ない。 「いぢゃい゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛……」 久しく感じたことのなかった痛みに泣いていると、「まりさ」と呼ぶ声がした。 まりさが涙を零す目を開けて声がする方、目の前を見てみるとそこにはまりさをお嫁さんにした(とまりさが思っている)青年がいた。 周りには誰も居ない。 まりさは餡子脳ながらも、事態を理解した。 「だーりんどぼじでごんなごどずるのぉぉぉぉぉ!!!」 自分を蹴って透明な箱に閉じ込めたのは、愛する我が夫。 それを理解したまりさはガタガタと箱の中で暴れながら泣き喚き、訴える。 でぃーぶい、だよ! かてーないぼうりょくだよ! と煩く喚いているが、青年はそんなまりさの言葉は相手にせず、透明な箱の蓋を開けた。 「まりさ、正直に浮気相手のことを言いなさい」 まりさは唐突に言われた言葉に箱から出ようとするのも忘れて体を傾げた。 「……ゆっ? なんのこと?」 「とぼけなくてもいいよ。浮気してるんだろ、まりさ?」 「どぼじでぞんなごどいうの!? ぬれぎぬだよ゛っ!」 まりさは目尻に涙を溜めながらも身の潔白を訴える。なんで青年は唐突にそんなことを言ったのか。 まりさはだーりんのおよめさんだよ! そんな自分の思いが分からないのか、と。 「濡れ衣? 本当に?」 「ぞうだよ゛っ!」 「嘘ついてない?」 「うぞじゃないよ゛ぉぉぉぉ!! じんじでよ゛ぉぉぉぉぉぉ!!!」 そこまで言ったところで、ジュッと何かがまりさの頬に落ちてきた。 とてつもない熱を持つそれは、青年が手に持っていた蝋燭から垂れてきた、溶けた蝋だ。火のついた蝋燭を傾け、そこから落ちてきた。 「ゆびぃ゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛!!! あぢゅい゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛!!」 「さぁ、正直に言いなさい」 「うわぎなんでじでないよ゛ぉぉぉぉぉ!!」 ジュッ 再び蝋が落とされる。 「ゆぶぅ゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛!!」 「最近帰りが遅い」 「おぞどであぞんでだだげだよ゛ぉぉぉぉ!!! ジュッ また溶けた蝋が落とされる。 「ゆぎぃ゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛!!!」 「他のゆっくりが家に近づいてくるとどぎまぎしてる」 「おどもだぢだとおもっだの゛ぉぉぉぉぉ!!」 ジュッ 青年が持つ蝋燭が傾けられ溶けた蝋がまりさの額に落ちる。 「あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛づぅ゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛いよ゛ぉぉぉぉぉぉ!!!」 「この間お饅頭を持って遊びに出てった。浮気相手のプレゼントだろ?」 「おどもだぢのいもうどだぢに、ぶれぜんどじだんだよ゛ぉぉぉぉぉぉ!!! ぞれだげしがしょうこないの゛ぉぉぉぉ!?」 「ほら」 「ゆっ?」 「証拠は? って聞いてくるのは大体犯人なんだよ」 まりさは呆然とした。 無茶苦茶だ、と。理不尽だ、と。 信じられない、といった表情をしているまりさに、青年は言った。 「信じられないって顔してるね、まりさ。僕が信じられないのは、浮気してるからだろ?」 ジュッ それから一時間にわたり尋問したが、まりさは浮気しているとも、浮気相手の名前も言わなかった。 浮気をしていないのだから、当然である。 当のまりさといえば、長きにわたる尋問で衰弱している。 「う~ん、本当に浮気してないのかな?」 「うわぎなんで……じでないよ゛……」 「自信あったんだけどなぁ」 「だーりん、どぼじで……ゆっぐじ、ざぜで……」 「うん、ごめんごめん。まりさ、ゆっくりしていってね」 青年はさっきとは打って変わって優しく微笑むと、まりさに水を浴びせてやり、火傷した場所を水で溶かした小麦粉で治してやった。 その後は一緒に入浴し、夕食を食べ、一緒に遊びあうといういつもの通りの平和な日常だった。 それから何も変わらない日常がしばらく続いたが、ある日れいむ一家に事件が起きた。 れいむの両親の片方がれみりゃに喰われ、もう片方は狩りをしている所を人間に暇つぶしに殺されたらしい。 つまり、まりさの友達のれいむが一匹で、年の離れた姉妹たちを養っていかなければならないという。 「ゆぅ……だからまりさとはもうあえないよぉ」 「ゆゆっ! だったらまりさもてつだうよ!」 「ゆっ?」 「まりさもごはんあつめるのてつだうよ! れいむとそのいもーとたちをゆっくりさせてあげるよ!」 まりさは友達思いのゆっくりである。 以前の野生暮らしの頃の友達は全員死んでしまった。だから人間にお嫁さんにしてもらおう、と思ったのだが。 だからまりさは、今唯一の友達であるれいむが大変ならば手伝いたいと心から思った。 まりさは青年から食事がもらえるから自分の分は気にしなくていいし、一緒に狩りをすればそれだけれいむと一緒にいられるかもという打算も無いわけではなかったが。 「ゆっ、ゆっぐ……ありがどばりざぁ……」 れいむはそんなまりさの申し出に、感極まって泣いてしまっていた。 まりさは泣き出したれいむに困り果てながらも、なんとかれいむを宥めすかす。 「ゆぅ、れいむなかないでぇ……。いっしょにゆっくりしよう」 「ゆぐっ、ゆっくりありがとう、ばりざ」 「ゆぅ、まりさのおかげでいっぱいごはんあつまったよ! ゆっくりできそうだよ!」 「ゆふふふふ♪」 その日一日二匹揃って駆けずり回った結果、れいむ一家が食べるには充分すぎるほどの食料を集めることが出来た。 二匹は頬や帽子にエサをぱんぱんに詰めてれいむの巣に向かう。 そこは小さな洞窟だった。 巣の中ではれいむとまりさ種の子ゆっくりや赤ゆっくりが六匹ほどいた。 「ゆっ、ゆっくりかえったよ! ゆっくりしていってね!」 「「「「「「「ゆっくりしていってね!!!」」」」」」 巣に入ったれいむにれいむの姉妹達が揃って迎えの言葉をかける。 キャッキャッとれいむの周りに群がり、労をねぎらったり頬擦りをして甘えようとする。 「おねえちゃん、ゆっくりありがとう!」 「ゆゆ~、おねえしゃんしゅりしゅり~♪」 「まりしゃいいこにしてちゃよ!」 「れいみゅにもしゅりしゅり~♪」 本当に仲が良いのだろう。 姉妹達にもみくちゃにされながらも、れいむの顔にも笑顔があった。 まりさは、そんなれいむを羨ましく思った。 人間じゃなくてゆっくりの家族がいて、と。 「ゆゆっ? そっちのおねーしゃんだぁれ?」 そんな事をまりさが思っていると、一匹の赤まりさがまりさに気付いた。 「まりさはれいむのたいせつなおともだちだよ! ごはんあつめるのをてつだってくれたんだよ!」 「ゆゆっ、しょうなの!?」 れいむの紹介にれいむの姉妹達は一斉に並んでまりさに向き直ると、 「「「「「「まりさおねーしゃんありがちょう! ゆっくりしていってね!!!」」」」」」 舌ったらずながらも挨拶だけはしっかりとした発音。 姉妹達に一斉に感謝され、歓迎され、まりさは先ほどのれいむのように感極まって涙ぐんでしまった。 「ゆぅ、まりさどうしたの?」 「ゆゆっ、なんでもないよ! まりさもうかえらなきゃ!」 まりさは涙を隠すように慌てて顔をそむけて巣の外に出る。 れいむが慌ててまりさの後を追って外に出るが、既にまりさは家に向かって駆けていた。 「まりさっ、きょうはありがとう! またゆっくりしようね!」 背からかけられたれいむの言葉に、まりさは立ち止まり振り向く。 そして、 「ゆっくりしていってね!!!」 まりさがれいむ一家の狩りを手伝い始めて一周間が過ぎた。 狩り上手な両親の才能を受け継いだのかれいむはエサを集めるのが上手く、またまりさも飼いゆっくりの身体能力の高さを生かして多くのエサを集めた。 まだ夕方前だというのに、既に一日分の食料を集め終えた二匹は、木陰で寄り添ってゆっくりしてた。 「ゆぅ……こうしてまりさとゆっくりするのひさしぶりだよぉ……」 「ゆっくり~……」 集めた食料を脇に置き、お互いに体を預けあって休憩している。 ゆっくりという名に恥かしくないゆっくりっぷりである。 「まりさぁ、ありがとうね……まりさのおかげで、れいむたちゆっくりできるよ~……」 れいむは両親が死んだ時、一時はどうなるかと思った。 自分達だけで生きていけるのか。先に胎生型で生まれた自分だけで、年の離れた姉妹達を養っていけるのか、と。 そんな悩みも、まりさのお陰で解決できた。れいむは本当に、まりさに感謝していた。 いや、そんな損得結果など無しにれいむはまりさの事が大好きだった。 できれば、一生一緒にゆっくりしたい程に。 れいむは今を幸せだと感じていた。仲良しの家族はいる。ご飯も大丈夫。とても大切な相手もいる。 満ち足りた生活だ。 それとは対称に、まりさには現状の生活にある不満があった。 あれだけ贅沢な生活をしておいて何を、と思うかもしれない。実際思うだろう。 だが、まりさはまりさである一つだけが満ち足りてなかった。 食事も住居もれいむとは比べ物にならないほどの水準だ。風呂にも入れるし暖かな布団だってある。 では何が足りないのか。 それは家族と、すっきりである。 まりさの家族は今やいない。あえて言うとすればあの青年だろう。だがゆっくりではない。 そしていくらまりさが青年のお嫁さんだと言い張っても、人間とゆっくりの間では子を為すことは出来ない。 最初青年に求婚しに行くとき、それでも良いと思った。 子供が出来なくても、ゆっくりできる生活が欲しいと。 だが、いざ充実したゆっくりできる生活に慣れてしまうと、欲が出てしまう。 すなわち、子が欲しい。自分と同じゆっくりの家族が欲しい、と。 そんなまりさの長い間溜まっていたストレスと欲求は、気付かぬ間にまりさを突き動かしていた。 「ゆぅ、れいむぅ……」 「ゆゆっ!! まりさっ!?」 まりさが頬を少し赤くして、れいむにしだれかかっていた。 頬をさっきよりも、溶けて融合するのではないかと言うほど密着させている。 ここまでされれば、れいむもその意味は分かる。だがれいむは突然の事に、そして自分が望んでいたことをまりさから望んで来たことに驚いていた。 「ゆぅ、まりさだいたんだよぉ~」 「ゆゆっ、いっしょにすっきりしようね!」 むちむちとした肌を押し付けあう二匹。頬をこすりあわせて、お互いの温もりを感じていく。 互いが頬を擦り合わせるたびに変形する。やがてれいむもまりさも頬を更に赤くさせていく。発情しているのだ。 れいむとまりさは求め合った。互いを。激しく。 「「すっきり~♪」」 「ゆゆっ、れいむ、あかちゃんがでてきたよ!」 交尾を終えたれいむの額から、茎がしゅるしゅると伸びてきた。植物型にんっしんっ! である。 その茎には実がなっていた。赤ゆっくりの実である。れいむ種とまりさ種、あわせて七匹。 植物型にんっしんっ! は生まれるのが早い。既にいくらかの形は出来ている。 この分ならば明日か明後日には生まれるだろう。 「ゆゆ~♪ きっとまりさににてとってもゆっくりしたこだよ~♪」 ようやくまりさと結ばれて、自分の子が出来たれいむは嬉しさに顔を綻ばせる。 上機嫌に歌いながら、自分の額に生えた子供を眺め続ける。まりさは、感動に涙していた。自分が子を持つなんて、と。 家族や友達がれみりゃに殺された時、もう自分はダメだと思った。それでも幾つかの偶然の重ね合わせで生き延びることが出来た。 そして、かつて聞いた噂話を頼りに人間のお嫁さんにしてもらうのも、賭けだった。 その賭けに勝ったはいいものの、人間とでは子供は出来ない。 だが、それでも良いとまりさは諦めかけていた。家族はいなくても、と。 家族や友達が助けてくれたこの命を永らえさせれば、と。 だがそれでも、まりさは家族が欲しかった。 その願いの結晶が、今愛するれいむの額にいる。自分も親になれたんだと、実感する。 れいむとまりさはその後、陽が暮れるまで寄り添いあい我が子と暮らす未来図を話し合った。 れいむの妹達はどうするのか。まりさの家の青年はどうするのか。 問題はまだあるし、どうすればいいかもまだ分からないが、たとえ隕石が落ちて他の生物が絶滅して二匹っきりになっても、困ることは何も無いように思えた。 「いっしょにひろいおうちにすもうね」 「あかちゃんといっぱいすりすりしようね」 「かわいいあかちゃんにちゅっちゅしたいね」 「いっしょにゆっくりしようね」 「ゆっくりしようね」 「ゆゆ~♪ だーりん、ただいま~♪」 まりさが家に帰ると、青年はまだ家にはいなかった。 まりさは子が出来た喜びから上機嫌に家に帰ってきたが、日中のエサ集めと交尾の疲れからか、居間でそのまま眠りこけてしまった。 「ゆぅ~……ゆっくり~……」 和む、あるいはいらつく程幸せそうな寝顔と寝息をたてるまりさ。 そんなまりさの安息の時間は、唐突に終わりを告げる。 ドムッ! 幸せそうに眠りこけるまりさの顔面に、足が突き刺さった。 振られた足はそのまままりさの顔面を貫くかのように振りぬかれ、まりさを吹き飛ばし壁にたたきつけた。 「ゆびぃ!?」 突然の痛みに覚醒するまりさ。 餡子の芯まで響く激痛に意識せず大声をあげてしまう。 「いぢゃい、いぢゃい゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛!!!」 「やぁ、まりさ。お早う」 畳の上を痛みに泣き転げるまりさに、青年が爽やかに声をかける。 まりさを蹴り起こしたのは青年である。 「ゆ゛っ!? だーりん、ゆっくりおかえりなさい!」 青年の帰宅に気付いたまりさは言うべき言葉を思い出して言うが、 ドムッ! それは間違いだった。脳天に足が振り下ろされる。 「ゆびぃ!?」 「ねぇ、まりさ。浮気相手のことを正直に言えば何も痛いことはしないよ」 「ゆゆゆっ!?」 まりさの餡子脳にかつての光景が蘇る。浮気をしたと疑われて熱い蝋を垂らされ続けたあの恐怖を。 その恐怖からか、まりさは口走っていた。 「じでないよ゛っ! ばりざ、うわぎなんでじでないよ゛っ!」 涙を撒き散らして必死にそう言うが、青年の無表情な顔はまるで信用していない。 事実、今回は濡れ衣ではない。 青年はまりさの言葉など聞こえていないかのように、口を開いた。 「ねぇ、まりさ知ってる?」 「ゆっ?」 「僕の前の前の奥さん、れいむの浮気相手はねぇ、お家でむ~しゃむ~しゃってご飯を食べてたら目が無くなっちゃったんだって~。不思議だねぇ、怖いねぇ」 「ゆ゛ゆ゛っ!?」 「それと前の奥さんのありすの浮気相手はねぇ、日向ぼっこしてたら足が真っ黒焦げになったんだって。怖いねぇ」 「ゆ゛ゆ゛ゆ゛っ!?」 「まりさの浮気相手は、どうなるのかな?」 まりさは、青年がそこまで言ったところで青年の足から抜け出して駆け出していた。 青年が足の力を緩めていたのだが、そんな事に気付く余裕はなかった。 浮気を認めることになるとか、そんな事は頭になく、ただれいむの心配だけが頭にあった。 家を飛び出し、野原を駆け、れいむの巣に辿り着く。 巣の前まで辿り着いたところで、巣の中からは泣き声の合唱が響いてきた。れいむの姉妹達の声だ。 「れいむぅぅぅぅぅ!!!」 まりさは巣の中に駆け込んだ。 そこに広がっていた空間は、まりさにとって信じがたいものだった。 乱暴に折られたかのような有様の茎が地に投げ捨てられており、巣の壁や床に赤ゆっくりの実であったと思われる餡子の染みと小さな飾りがある。 そして母体のれいむは、無数の切り傷と無数の殴打跡によってかつての面影などないボロ饅頭という有様だった。 モチモチだった肌の名残はなく、ボコボコの汚れまるけ。無数の切り傷からは餡子が漏れ出ている。 「ゆひゅぅ……ゆひゅぅ……」と荒い息をするれいむは、どう見ても先は長くない。じきに死ぬだろう。 れいむの周りではれいむの姉妹達が大声で涙と共に大声を撒き散らしている。 「おね゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ち゛ゃぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ん!!」 「ぢっがりぢでぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛!!」 「どぼじでぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛!?」 「じんじゃやだぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!!!」 「ゆっぐじしちぇよ゛ぉぉぉぉ!!!」 「ゆ゛え゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ん!!」 そこにはまりさの知るかつての幸せな光景はどこにも無かった。 姉妹達で生き抜こうという希望と愛に包まれた、あの幸せな光景が、まりさが羨んだあの姿が、どこにも。 「やぁ、どうしたのまりさ?」 呆然としているまりさの背から、声が来た。 まりさようやく、失念していた事を思い出し、目に涙を溜めてガタガタと振り返る。 ゆっくりと振り返ったまりさの視線の先に、柔和に微笑む青年の姿があった。 「僕の前の奥さん達はね、浮気したから死んじゃったんだ」 「だ、だーり゛ん……」 「まりさも、浮気してたんだね?」 翌日、青年の庭に墓が一つ増えた。 おわり このSSに感想を付ける
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このページはhttp //ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B5%AE%E6%B0%97%E8%AA%BF%E6%9F%BBからの引用です 浮気調査 出典 フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 移動:案内,検索 浮気調査とは、一方の配偶者や婚約者又は恋人に浮気の疑いがある際に、その事実を確認する為に実施される行為をいう。調査は疑いを持った人物が自ら行う事もあるが、一般的には、専門の探偵に依頼することも多く行われている。 ここに云う、浮気(うわき)とは、異性交際において本命の恋人と交際関係を維持しながら、無断で他の異性と交際することを指す。但し、厳密には交際する相手は特に異性に限定されていない。 なお、一般に浮気調査という場合には、既婚者が他の異性と肉体関係を結ぶ不倫行為(不貞)の調査も含まれている。 目次 1浮気調査の目的 1.1手段・方法 2浮気調査依頼に関する注意点 3浮気調査の料金・費用 3.1探偵業団体の調査料金について 3.2成功報酬制 3.3契約時の注意点 4浮気調査と探偵業法 5脚注・出典 [編集]浮気調査の目的 浮気又は不貞の事実を知る以外に、下記の目的を持って行われる事が一般的である。 相手と別れさせて、お互いの関係を修復する目的 浮気相手に対して慰謝料請求を行う 離婚の際に相手との交渉(協議・調停・裁判など)を有利に進めたい場合 また、浮気相手に慰謝料請求を行う場合には相手の住所や連絡先がわからないと請求ができない事と、相手の資産又は収入の目安も請求額と密接な関係があるため、相手の住所や職業なども、必要に応じて確認する事も求められている。 [編集]手段・方法 尾行や張り込みなどを行い、カメラ又はビデオによる撮影などにより、浮気又は不貞の証拠を取得し、報告書にあらわすのが一般的な方法である。 個々の案件についての具体的な手段や方法については、殆どの場合には、依頼者及び調査の対象人物に関わる状況(住居・職業・行動パターンなど)が異なる為、調査業者又は探偵業者との成約時の打ち合わせにより、必要な人員数や使用機材や車両の有無などが取り決めされている。 [編集]浮気調査依頼に関する注意点 過去において探偵業の団体が統一的な料金の基準を出そうとした事があったが、平成6年度に公正取引委員会より「興信所の調査に関する標準料金表の作成」に関してのガイドラインが出ており、その中で「団体が標準料金表を作成して価格設定の基準となるものを示すことは,独占禁止法上問題となる」とされている。但し、業界団体であっても協同組合やNPO法人などが「法人として行う料金」を表示することは認められている。 その結果、現在に至るまで、探偵及び調査業界に統一的な料金の基準は無く、個々の業者により、料金体系や算定の基準となるものは各業者によって異なっている。 [編集]浮気調査の料金・費用 各業者により異なっているが、多くの業者が採用している料金の算定方法としては、1日3時間から1日5時間からの開始とし、調査員を2名から3名、特殊な案件の場合で難易度が高い場合でも4名程度とするパック制を基礎としている。ただし、最低の契約単位が1日8時間から10時間、調査員4名又は5名からとする業者も一部で存在している。また、業者によって1日単位からの契約を受け付ける業者もあれば、最初から1週間単位での契約を前提としている業者や中には数か月単位で契約する業者もある。 また、浮気調査は「尾行・張り込み」が前提となるので、調査相手に発覚する事があれば、以後の調査の継続が困難又は不可能となるばかりでなく、業者にとっても、軽犯罪法の「つきまとい行為」に該当する可能性も生じるなど調査には慎重性と技術力が求められている。 この為、浮気調査を依頼する側としては、複数の業者による「相見積もり」(複数の取引先などに同条件で見積もりを提出させ、比較すること)が求められている。但し、各業者間でも調査技術や能力などにバラつきがあり、どの団体に加盟しているかや業者の規模、その料金水準によって、一概に判断できないという問題もある。 [編集]探偵業団体の調査料金について 2011年5月現在、探偵業の団体(協会及び組合)において、料金を明示している団体があるのでその概要を一部記載する。 浮気調査、素行調査の料金 団体名 内容 全国調査業協同組合 調査員2名稼働の基準 1日5時間以内(150,000円~+消費税)+諸経費(交通費・宿泊費・車両費など) 組合発行パンフレット(明日への希望お任せ下さいより) 東京調査業協同組合 調査員2名時の場合 基本料金1日(24時間)52,500円+時間料金(1時間15,750円)+調査実費 車両使用費1台15,750円 2名で6時間調査を行った場合(52,500円)+(94,500円)+車両使用料(15,750円)=162,750円+実費 一般社団法人 日本探偵業協会 調査員1名あたり料金 基本料金1日1稼働(10,500円)+時間料金(1時間5,250円)+調査実費 車両使用費 請求無し 2名で調査を行った場合 3時間(52,500円)4時間(63,000円)5時間(73,500円)6時間(84,000円) +それぞれに調査実費 一般社団法人 愛知県探偵業協会 1回65,000円~ [編集]成功報酬制 浮気調査に関して成功報酬制を表示している業者も見受けられるが、その内容や料金水準は各業者間で異なり、成功の基準も「不貞の証拠が取得」できたことを意味しないものから、証拠が取得できた時には、通常の調査料金に成功報酬額がプラスされるものや証拠が取得できた時に成功報酬額を支払うシステムまで各業者により様々である。 [編集]契約時の注意点 依頼する側が調査業者を判断する基準の1つとして、適法に営業活動が行われているか、また、法律に基づいて契約が行われているかも考慮する必要がある。その為、次のことに注意すべきである。 事務所の所在地を確認する 探偵業の届け出を行っているか、その番号を確認する 法律に基づき、重要事項説明書を含む契約書類の交付があるか 契約書に代表者の名前と、契約担当者の名前が記載されているか 振込先の口座名義と事業所の名前が一致しているか 強引に契約しようとしていないか なお、海外での浮気調査に関しては、その国の法律により日本の探偵業者が調査行為を行う事が禁止されている場合や、探偵業そのものを禁止している国や該当国の探偵の資格又はライセンスを必要とする場合もある。例えば、日本の探偵が、直接、アメリカや韓国へ行き、調査を行うと違法行為となり、現地の法律で処罰されることとなる。 また、調査対象者が車両によって移動する場合においても、位置情報の発信機(GPS)などの機器を該当車両に設置する行為は、使用目的違反であるとともに、設置する目的で敷地内に入ると住居侵入罪が、その機器を改造している場合には電波法違反に該当するので、そのような業者には注意が必要である。このようなケースでも探偵業者には車両又はバイク等による尾行による調査方法が求められている。 法令上の理由以外としては、発信機などで追いかけた場合その道中でどんな人と会ったか分からないこと、その途中で相手を乗せた場合、何時に何処で誰と待ち合わせして何処に向かったかなど詳細な報告が出せないことも生じるからである。 参考)住居侵入容疑で探偵逮捕 平成20年7月12日 午後9時過ぎ青森県八戸市にて、探偵業を営むA氏が素行調査の為に対象者車両に取り付けていた位置情報発信機(GPS)を外す為に対象者の敷地内に侵入した疑い。毎日新聞 2008年10月2日 地方版より [編集]浮気調査と探偵業法 2007年6月1日に施行された、探偵業の業務の適正化に関する法律(たんていぎょうのぎょうむのてきせいかにかんするほうりつ)により、「他人の依頼を受けて」「人の所在又は行動について」「面接による聞き込み」「尾行、張り込み」などに類する実地の調査やその営業を行うには、事務所の所在する各都道府県の公安委員会へ探偵業者としての届出を要する事となっている。また、調査契約時には依頼者との間で次の書面を取り交わすことが求められている。 依頼者から、調査結果を違法に用いない旨の書面の交付を受けなければならないこと 依頼者に対し、契約の重要事項について書面を交付して説明しなければならないこと 契約締結後に、依頼者に対し、契約の内容を明らかにする書面を交付しなければならない。 さらに、依頼者に交付する書面の内容には、探偵業法第8条に基づき、探偵業務の対価と、他の当該探偵業務の依頼者が支払う金銭の額(諸経費を含む合計金額の提示)を行う必要があり、同時に、代金の支払い期日、その支払い方法も提示する必要がある。さらに調査時間が延長となった場合などを含めた追加料金又は費用についての「諸経費の上限額」も同時に提示をすることが求められている。 [編集]脚注・出典 探偵業法違反:八戸の業者、2カ月営業停止--県公安委 青森県公安委員会は1日、探偵業の業務の適正化に関する法律に違反したとして、八戸市の探偵業者を2カ月の営業停止処分にした。2007年6月の同法施行後、探偵業者の営業停止処分は東北で初めて。 十和田署によると、同社の男性は7月12日、探偵調査をした際、十和田市内の男性会社員の車に取り付けた位置情報発信器を取り外そうとして男性方の敷地に入った。男性は住居侵入容疑で現行犯逮捕された。 毎日新聞 2008年10月2日 地方版 公正取引委員会:興信所の調査に関する標準料金表の作成 [団体ガイドライン1-(1)-3] この項目「浮気調査」は、職業に関連した書きかけ項目です。この記事を加筆・訂正などしてくださる協力者を求めています。 「http //ja.wikipedia.org/w/index.php?title=浮気調査 oldid=42284131」から取得 カテゴリ: 探偵 隠しカテゴリ: 職業関連のスタブ項目 個人用ツール ログインまたはアカウント作成 名前空間 ページ ノート 変種 表示 閲覧 編集 履歴表示 操作 検索 案内 メインページ コミュニティ・ポータル 最近の出来事 新しいページ 最近の更新 おまかせ表示 練習用ページ アップロード (ウィキメディア・コモンズ) ヘルプ ヘルプ 井戸端 お知らせ バグの報告 寄付 ウィキペディアに関するお問い合わせ ツールボックス リンク元 関連ページの更新状況 ファイルをアップロード 特別ページ 印刷用バージョン この版への固定リンク この項目を引用 最終更新 2012年4月29日 (日) 13 20 (日時は個人設定で未設定ならばUTC)。 テキストはクリエイティブ・コモンズ 表示-継承ライセンスの下で利用可能です。追加の条件が適用される場合があります。詳細は利用規約を参照してください。 プライバシー ポリシー ウィキペディアについて 免責事項 モバイルビュー
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