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449 名前:ゲーム好き名無しさん[sage] 投稿日:2013/04/14(日) 20 44 58.11 ID WNpK7C+u0 [1/4] 今日、ちょっと楽しくない昔の事を思い出したので報告。 以前とあるコンベで推理物のシナリオに参加した。システムはあまり関係ないので割愛する。 マスター紹介文では「果たしてPC達はシナリオに隠された嘘を見抜けるか?」とアオリがあり その手のシナリオが好きだったので参加した訳なんだが… シナリオ中、GMが目標値を言う判定に何度も成功して情報を集めていくのだが、決定的な情報が出ない。 見落としている点があるかどうかをPL一同顔を突き合わせて話し合ったがどうも無さそう。 迂闊な強行突破しようものならバッドエンド直行が推測できるため、強行突破できる状況でもなく 色々な角度から情報を入手できないか試してみたものの失敗続きでついにタイムアップ。 PCは生き残ったものの怪異を起こしていた元凶は取り逃がし、失敗エンドとなった。 終了後、GMに我々の何が間違っていたか、調べられる所はない、と言っていたのは調査できる機会を逃したのか、と聞いてみたんだが GMが色々な、メタ的な嘘をついてPLを騙していた。 説明する場面で「これはシナリオに関係ないフレーバー部分なので」と言っていた事は嘘。 実はそこに重要情報があったので調べれば情報が一つ出てきた、とか 調査の目標値について嘘をついており、本当の目標値はもっと高かったので欠けた情報しか手に入らなかったりとか ご丁寧にも嘘目標値で手に入った情報はそれ単体で完結している様であり、突っ込んで調べる事は考えられなかった。 再度情報の洗い出しを行おうとした時も「判定で手に入る情報は今の所もうないですね」とまで言われたくらい。これも嘘だった。 とにかくメタ的な嘘が飛び交い、手に入った情報そのものが嘘、とまではいかなかったが 『PLをミスリードさせる事に特化したシナリオ』であり、 「シナリオに隠された嘘がある、とマスター紹介文に書いてあるでしょう?それに気付かなかった事が敗因でしたね」 等とドヤ顔で言われてしまった事が推理物のシナリオにおいて、ある種のトラウマになってしまった。 452 名前:ゲーム好き名無しさん[sage] 投稿日:2013/04/14(日) 20 49 42.33 ID Ba0PjwobP [2/2] 報告乙 いやそのGM凄いな、脳沸いてるとしか思えん 456 名前:ゲーム好き名無しさん[sage] 投稿日:2013/04/14(日) 21 21 38.07 ID TQNXgUo+0 [1/3] これとそっくりだな http //www6.atwiki.jp/kt108stars/pages/7903.html 457 名前:ゲーム好き名無しさん[sage] 投稿日:2013/04/14(日) 22 19 55.79 ID 1JXhaU82P [2/2] 案外同一人物なんじゃないか? 469 名前:ゲーム好き名無しさん[sage] 投稿日:2013/04/14(日) 23 39 03.46 ID WNpK7C+u0 [4/4] 462 そっくりというか 460でも言われてるが同一人物なんじゃないかなぁ とりあえず俺の方は 456とは状況が違うんで別人か、もしくは同一人物だけど違う卓かか。 俺の投稿した奴ならやりかねないとは思った。 ちなみにこんな事言ってる俺ですが、 449の一件で 「妙にGMの裏を読もうとするPL」になってしまい、昨日鳥取のGMをキレさせたという追加があったりする…。 報告者(も後々)困という事だったり…な スレ350
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「君の弱さや辛さへ触れてしまった愚かなほど好きだったのに」 -- 管理人 (2011-06-14 01 01 46) 名前 コメント
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564 名前:ゲーム好き名無しさん (ワッチョイ 7b7b-Vuml)[sage] 投稿日:2016/04/20(水) 00 05 12.19 ID FoDOwt9G0 かつてBGMはGMの権限で決めていいというルールがあった。 その時は俺がGMで、ネットでフリー音楽を拾ってきて流していた。 シナリオは完全にシリアスもので、PL達も真剣にプレイしてくれてた。 そしてクライマックス直前、BGMを切り替えようとしたら、 手が滑って全曲からランダム選曲に→俺気付かずプレイリストのつもりで操作→ そして流れ出す 渚 の 大 魔 王 <エイニャ!エイニャ!ナギサノコアクマ! せめて巫女みこナースとかだったらどうにか挽回できたのにorz その場の全員が一瞬で洗脳されてえいにゃ!コールを始めてしまい もはやシナリオの続行は不可能だった…… なお皆の洗脳はすぐにとけたが、以降はBGM使用禁止になってしまった。 正直スマンカッタorz 565 名前:ゲーム好き名無しさん (ワッチョイ d30a-Jz3o)[sage] 投稿日:2016/04/20(水) 00 15 08.55 ID yrr6yxXX0 564 困というほどでは… おかしなBGM使うのをやめてくれないGMの話とかかと思ったら違った 566 名前:ゲーム好き名無しさん (ワッチョイW 0b6c-Gtsw)[sage] 投稿日:2016/04/20(水) 00 16 01.22 ID APJOc5Vu0 564 何でこんな読みにくいんだろう 567 名前:ゲーム好き名無しさん (ワッチョイW b716-De1m)[sage] 投稿日:2016/04/20(水) 00 36 13.39 ID 4WdwVjsl0 スレ間違ってね? 568 名前:ゲーム好き名無しさん (ワッチョイ a77b-UAPN)[sage] 投稿日:2016/04/20(水) 04 10 30.74 ID EcnjZnHG0 [1/2] 564 それ 説明不要で普通に話が通じるくらいメジャーな曲なん? 569 名前:ゲーム好き名無しさん (ワッチョイ d7c9-Jz3o)[sage] 投稿日:2016/04/20(水) 04 17 22.45 ID SM+gdcl90 [1/2] イマドキ曲名でググればツベなりニコなり出てくるだろ 音ゲーオリジナルなのか?知名度がある曲とは言いがたいだろう まぁ、半角カタカナのところで(電波ソングだろうな)と言うくらいは予想がついた 巫女みこナースなら大丈夫だったという認識は全くよく分からん どっちも同じくらい電波だと思う 570 名前:ゲーム好き名無しさん (オッペケ Sr27-gV99)[sage] 投稿日:2016/04/20(水) 07 22 23.65 ID C2AQcSlIr 勘違いした中高生の面白()エピソード やな。 571 名前:ゲーム好き名無しさん (ワッチョイ dba1-Jz3o)[sage] 投稿日:2016/04/20(水) 08 00 49.03 ID Rwtnj0Ia0 そういえば俺の知りあいのGMもBGMかけようとスマホを取り出すはいいが 肝心のBGMのファイルを見つけるのにえらく手間取る上 なんかしらんがよく再生する曲をまちがえてやり直してたりするな 572 名前:ゲーム好き名無しさん (ワッチョイ d30a-Jz3o)[sage] 投稿日:2016/04/20(水) 08 41 17.70 ID Py8KfSk40 568 俺も知らん曲だけどとりあえず挽回不能で続行不可能とは書いてあるんで曲の説明としては充分でしょ 569 巫女みこはうちなら「ほう、懐かしいな」で終わる気がする 電波かどうかじゃなくて古過ぎて盛り上がらない スレ435
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(……好きって、結局どういう気持ちなのかな) ブランシェと二人、肩を並べて通りを歩きながら、コロカントの息が白く立ちのぼる。 年が明けていた。 温暖な気候とはいえ、やはりこちらの大陸にも冬はあるもので、それなりに寒いのだ。 底冷えしないだけ、それでもましなのかもしれない。昔体感した石床からしんしん伝わる寒さをふと思いだし、思わず彼女は身震いした。 あの、次第に芯から冷え切り、しまいには吐く息すら白くなくなるほどの寒さ、暴風雪に外に出た瞬間、頭の血管が一息でちぢこまる寒さ、目が覚めたときに粉雪が掛け布団の上に吹き込み、うっすら白く積もっていることに気づいたときの寒さ。 そんな極限の寒さとは段違いだったからだ。 頭からかぶった薄い毛織布をぎゅ、と前でかき合わせながら、空を見上げる。 ここでは雪は降らない。 「寒いか」 隣に並んだ青年が、気づかわし気に彼女を見た。いいえ、と首を振って、それからはい、とあらためて頷きなおす。 「どこかであたたかいものでも飲んでいきませんか」 「そうだな、ひと休みしていくか」 寒そうに肩をすくめた青年も、彼女の提案に同意した。 夕飯時よりもすこし早いこの時間は、店の中は空いており、コロカントと青年はすぐに席へ着くことができた。 腰を下ろす手前で、青年が一瞬、妙な顔をしたが、 「ブランシェさん?」 「……なんでもない」 首を振って返された。 注文を済ませると、手持無沙汰になって、いましがた市場で買ってきた食材へ目をやる。 青年も同じように袋へ目をやっていた。 「よく太った家鴨(アヒル)があってよかったな」 「ええ、おいしい丸焼きができますね」 彼の言葉にうなずく。 今夜と明日の午前中仕込んで、明日の夜、身内で祝いの宴をひらくつもりだった。 グシュナサフとララの結婚祝いだ。 結婚、といっても、どこかに出向くでもなし、親族の顔合わせがあるでもなし、誓いの言葉があるでもなし、そもそも今までも一緒に生活していたのだから、ほとんどなにも変わらない。 ただいつもより、すこし豪華なご馳走を食べて祝うだけの、ささやかなものだ。 見栄えを気にする豪商であるとか、貴族でなければ、盛大な式は挙げないのが一般的だった。 (……それでも、) それでも、コロカントは羨ましいと思う。憧れてしまう。 * ララに子ができた。 子ができた、女からそう告げられてすぐに、グシュナサフは腹を決めたらしい。 「根無し草はしまいだ」 言ってその日に中央市場に赴き、仕事と住処を決めてきたそうだ。 コロカントはララから伝え聞いた。 「相談もなしに全部一人で決めてくるのよ、あのひと」 女はぼやいていた。 まだ子が腹の外に出てくるまでには半年ばかり間があるし、滞在するにしてもこう人の多い町ではなくどこか別の農村あたりに移動したっていいのだし、そもそも身重と言っても悪阻(つわり)があるくらいで、まだ腹も重くないのだから、そう言っても通じないと女は言った。 「もうね、頭いっぱいなの。顔に出ないでしょ、あのひと。感情顔に出さないでしょ。顔に出ない分、内心いろいろいろいろ先々まで考えるのね。たぶん、生まれてこの先、二十年くらい、考えちゃってる気がする。こないだ計画表みたいなの書いてたし。予定は未定って言葉、言ってやりたかったけど……、……まあね。それがいいところって言ったらそうなのかもしれないけど。でも、仕事決めた足で、木馬まで注文してきたとか言うから、さすがにドヤしてやった」 「まあ、それは、……それは、……ええと、おめでとうございます」 グシュナサフのせっかちぶりはともかく、めでたいことにはちがいない。笑って祝いを述べたコロカントに、 「ありがと」 女も小さく笑い返す。 それから妙にしんみりした顔になった。 「あたしさ、生業(なりわい)が生業だったからね。なんか、こんなふうに普通に……、普通に、誰かと一緒になって、子ができるなんて、夢にも思わなかった。いまでも信じられない」 でも、夢じゃないんだよね。 噛みしめるように呟いた女の膚は透きとおるように白くて、ああ、きれいだな、コロカントはこっそり思う。 胎に子が入った女は美しいと聞いたことがあるが、どうやら本当らしい。 とにかくそんなわけで、仮住まいの宿場を出て、グシュナサフは部屋を借りた。 自分たちと姫は、血縁上は他人かもしれないが、感情的には娘と同義なのだから、このまま一緒に住むといい。まだ年若いのだし、それが一番いいように思う。なにも気を使う必要はない。部屋も用意する。 家族と思って暮らしてほしい。 グシュナサフとララのふたりに呼ばれ、そんなふうに話された。ふたりの提案が、きれいごとの建前ではなく、本心から言ってくれていることも判っていた。 ありがたいと思った。 ありがたく思いながら、コロカントは辞退した。 子が生まれれば、それどころではなくなるのだ。 せめてすこしの間、夫婦ふたりの時間の邪魔をしたくはないなと言うのが、彼女の素直な気持ちだった。 代わりに、ふたりの住まいからすこし離れた、町の入り口近くに部屋を借りた。 運送業を営む店の、納屋の二階の空き部屋だ。 そこを選んだのは、驢馬(ろば)の世話を手伝う代わりに、ハナを置いてもらえることになったからだ。 なので、朝、目が覚めるとロバの世話をし、そのまま天気が良い日はハナを連れて町の外の野原へ散歩に出かけ、昼過ぎに戻ると軽く昼食を済ませ、支度をして今度は宵の口あたりまで惣菜屋の店先に立つ、と言うのがいまのコロカントの日課になっている。 勤め先の総菜販売店は、バラッドの居ついた酒場の主に紹介してもらったところで、声の小さく影の薄い主人と、太っ腹な女将の夫婦二人で、切り盛りしている店だった。 祭りが終わっても、イツハァクの町は外からの人間の往来が絶えることはない。 街道筋の町であったし、商工組合(ギルド)にも加入しており、多くの出入りがある。よく言えば賑やかな、悪く言うと常にごちゃごちゃした町だった。 そのせわしない町に住む、ギルドの職工は、独身者がほとんどだ。 これは、農村の次男坊、三男坊が、口べらしで手に職をつけるため町へやって来るからで、ギルドのある町は男女比にかなりの偏りができるのが常だった。 それから、ギルドに原材料となる荷を運び入れたり、商品を運び出したりする商人たちも、やはり男が多い。 一日の仕事を終えた職工も、商いのために木賃宿に寝泊まりしているものも、外に出て食事をとることになるのだが、酒では胎は膨れない。 そうして、それなりな食事を出す店に毎日入り浸ると、意外と食費がばかにならない。 観光ではないからだ。 必然的に、安価に済ませられる惣菜の店に、ひとが多く集まることになる。 けっこう忙しい。 芸人一座の下働きを経験しておいて、よかったなと思うコロカントだ。何ごとも経験、そんなふうに言われてこなした切符もぎだの、客あしらいだの、あれこれしたけれど、その経験はたしかに生きていると思う。 働きはじめてまだふた月目だったが、そこそこうまくやれていると思っている。 そうしてだいたい毎日、赤毛の男も総菜を買いにやってきた。 「自分で作るよりうまいし、酒場のまかないよりも栄養バランスいいですからね」 顔を出すたびにお決まりになった台詞を吐いて、それから、ずらりと並んだ日替わりの総菜の中から一、二品、時間をかけ、じっくり吟味して買っていく。 「あとで一緒に食べましょうね」 買った総菜の包みを渡され、嬉しそうにそう言って、指切り、バラッドは小指を差し出すのだ。 「……わたし、ご飯作りますのに」 わざわざ毎日出向く必要もないのじゃあないかと言ったこともあったが、いいんですよ、と軽くかわされてしまった。 「自分は宵っ張りで、昼過ぎまでぐうすかでしょう。夕方近くに起きますからね、それからここまで散歩がてらに目を覚まして……、もどって、飯食って、そうして稼ぎに出る。ちょうどいいんですよ」 男がそうと言うのだからそうなのかもしれない。頷いたコロカントに、 「――あんたが他の客にコナかけられてないか、心配で心配で仕方ないのさ」 品出しをしていた女将がおかしそうに肩を揺らしながらそう言った。 煙草をふかしながら帰る男の背中を眺めている最中のことだった 「コナですか」 「そうさ。毎日顔を出して、これは俺のだってツバ付けとかないと、とられるって思ってる。あれはそんな顔だよ」 「……、」 心配で仕方ないということは、信用されてないのかな。 誰かに声をかけられたら、すぐに付いていってしまうように思われているのかな。 男の背中を見ているうちに、なんだかしょんぼりとなってコロカントは俯いた。 そんなことを思い出す。 * 思いだし、市場からのうきうきとした気持ちがしゅんと萎んでいくのを自覚しながら、あの、とコロカントは目の前に座る青年にたずねてみることにした。 彼女が居を変えたように、青年もこの町を発つのだと言った。 向こうの大陸へ渡る便が見つかったのだそうだ。 こうして共にいるのも、あとすこしのことだと思うと、すこし名残り惜しい。 うん、といらえながら頬杖をついて表の通りを眺めていた青年が、こちらへ目を戻す。 「なんだ」 「ブランシェさんにとって、好きってどういうことですか」 「え、」 尋ねると、一瞬ものすごく驚いたように目を大きく見開いた青年が、……なんだ、とすこし遅れて言葉を返した。 「……あのな。恋愛相談は俺の守備範囲じゃないぞ」 「そうですよね、それはそうなんですけれど、でも、……、」 「聞く相手間違ってないか」 言いながら運ばれてきた熱い茶に口をつけて、あちち、と顔をわずかにしかめている。 動揺しているのかもしれない。 「あのな。お前には、お前が好きな男がいて、それで、そいつもお前のことが好きだときてる。だったら、好きだのなんだのって話は、そいつに聞くのが一番手っ取り早いだろ」 「それは、そうなんですけれど、」 「じゃあ、そいつに聞けよ」 「お互い好きかもしれないけれど、……、でも、お互い好きだからって、お付き合いしてるとはいえないですよね?」 「は?」 言うと青年が目をむいた。 「意味わからんぞ、それ」 「だって」 言葉を切ってうなだれる。 「だって、こういうふうには話せないんです」 続けると、はあ、とまた眉根を寄せられてしまった。 「話せないって、なんで」 「どうしてでしょう。ブランシェさんは平気です。グシュナサフも、ララさんも、他のお店にくるお客のひとでも平気なんです。でも、なんだか、バラッドとふたりになると、ものすごく気まずくて」 「気まずい、って」 「気まずいんです」 くり返す。 時々、コロカントの部屋をバラッドが訪れた。 本当は、毎日来てほしいのが本音だ。 来てほしかったし、そう言いたかったけれど、それはさすがに迷惑だと思った。 男には男の生活がある。 だから、週に一、二度の割合で、男が訪れてくるのを心待ちにするしかなかった。 仕事が終わると、彼女は急いで部屋へ戻る。なるべく早く部屋に戻って、なるべく長く男といたかったからだ。 彼女を訪れるとき男はいつも、厩(うまや)のハナのところにいて、ぼんやり煙管(きせる)をふかしていたり、馬の鼻づらを撫でていたりする。 彼女の帰りをみとめると、ぱっと顔をあげ、次いでぎこちなく笑ってから、手にした惣菜の包みを振って、一緒に食べませんか、と言った。 部屋で差し向かい、食事をとっていても、男はあまり語らない。 彼女がたずねれば答えてくれるのだから、こちらの話を聞いているふうではあるのだけれど、ぼうと肘をついて彼女の顔を眺めたきりのことがよくあった。 彼女の知る男は、多弁で、多動で、くるくるとよく表情が変わる人間だった。だからそんな態度を取られると、いったいどうしてよいのやらよく判らない。 わからないから余計に気まずくなる。 (……わたしと一緒にいて、このひとは楽しいのかな) 聞いてみたいと思った。けれど、その聞いてみたいという思いと同じ強さで、聞くのが怖いと思った。 そうして彼はいっこうに彼女に触れてこなかった。ミシュカと名を偽って接していたころの方が、よっぽど慣れ親しい素振りだったと思った。 食事が終われば、男は歌うたいの仕事に出かける。 だから、一緒にいられる時間はほんの短いものでしかなかった。 すこしさびしく思って、帰り際に彼女がじっと見上げていると、男はいつもちょっと首をかしげて考えるようにして、それから手を伸ばし、彼女を一瞬ぎゅっと抱きしめてくれる。 けれど、それだけなのだ。 付き合いはじめの十代の男女でも、これほどたどたどしいやりとりになるだろうか。そう彼女が悩むほど、男は彼女にまるで手を出してこなかった。 彼女が頼むと、軽く抱きしめてくれたり、触れるだけの口づけを落としてくれることもあるけれど、本当にそれだけだったのだ。 触れるだけでおっかなびっくりな男の狼狽を、彼女は感じていた。 だからもっと、とそれ以上先をのぞむことは気が引けた。 のぞめなかった。 思いが通じ合ったのだと思っていた。けれど、もしかするとそれは、彼女の勝手な思い違いだったのかもしれない。 (わたしが、勝手に浮かれていただけだったのかな) 「グシュナサフとララさんが一緒にいるのを見るでしょう」 「うん」 彼女が続けると、青年は頷く。 「とても羨ましいです。なんだか、ふたりとも自然体でいいなって思うの。どこにも力が入ってない。よそよそしさがないというか。うまく言えないけど、相手に対して全幅の信頼を寄せている感じが、言葉じゃなくて伝わってきて、一緒にいてまったく気づまりがないんだなって」 「うん」 「わたし、バラッドと一緒にいると、ぐずぐず考えてばっかりです。……たとえば並んで歩いてたとして、手をつなぐことも自然になんてできっこないの。もしわたしが手に触れて、そうして、ぱっと手を引っ込められたらどうしようって思ってる。わたしはバラッドと手をつなぎたいと思っているけれど、もしかしたらあのひとはそんな幼稚なこと、恥ずかしいかもしれない。でもきっとバラッドは、したくないって言うことを言わないで、わたしに合わせてくれるんだろうなって考えると、手をつなぐひとつだけでも、なんだかいろいろ考えてしまうのをやめられないの」 「うん」 「自分でも面倒くさい女だなあと思ってしまって、そうすると余計になにを話していいか判らなくなって」 両手にカップをささげたまま、俯くコロカントにブランシェは相づちを入れる。 守備範囲じゃない、そう言いながら、愚痴に付き合ってくれるつもりらしい。 「……でもな。手を出すのが、思いの強さって言うわけでもないだろ」 すこし黙って考えていた青年が、やがてぽつんとそう呟いた。 「俺は男だから、男の立場からでしか意見できないが、大事だから現状維持したいって言うのもあるんじゃないのか」 「それはそうかもしれないけれど、……でも」 「でも?」 「昨日、バラッドがいるお店に行ったんです」 言ってコロカントはカップをテーブルに置き、膝に手を置いた。 どうしてこんなに泣きたい気分になってしまうのだろうと思う。 ――明日はお祝いする日なのに。 「今週、一度もバラッドはこなかったの。忙しいんだろうなって思ったけれど、お酒の飲みすぎとかで、もしかしたら具合でも悪くしてるのかもしれないって思って。お店にどうどうと顔を出すのは迷惑かもしれないけれど、ほんのちょっと、仕事帰りに、様子を見に行くぐらいならいいかなって、そう」 「……うん」 男がたいがい入り浸っている酒場は、彼が間借りしている部屋の一階の店で、その日、コロカントが開いた木戸へ近づくと、にぎやかにかき鳴らす弦の音が、表の路地へ漏れていた。 中にいるのだ。 手拍子も聞こえてきていたから、これはだいぶ盛り上がっているなと思う。客の誰かに、景気のいい話であるとか、祝いごとでもあったのかもしれない。 見つからないようにして、入り口から中を窺(うかが)った。 相変わらず極力明かりを落とした店内は薄暗くて、目をよく凝らさないとひとりひとりの顔まで判別がつきにくい。 じっとうかがっていると、こちらを見ている視線に気づいた。店主だ。 このひとはいつも、いっとう先にわたしに気づくな。 思いながら、招かれる前に静かに首を振り、唇に手を当てた。 男に気づかれたくないと思った。 「ミシュカさんの時は、もうこれきりと思ってたから、迷惑だとかなんだとか、ごちゃごちゃ考えずに強引に行けたんですけれど」 「うん」 じっと目を凝らしているうちに、軽く火を入れた暖炉の炎の明かりに生えた、男の姿を見つけた。 面白いもので、暖炉を熾(おこ)すと、客の入りが増えるらしい。 火に惹かれるのは虫も人も同じだな。以前店主が言っていた話を思い出す。 楽器を抱える男は、いつもと変わらず、元気そうだった。 たんた、た、たんたんたた。 笑いを取ろうとしているのか、へんてこな調子でタップを突く踊り手に、にやにやしながら、同じように足で調子を取り、弦を弾いている。 なんだ、よかった。 そう思った。 考えすぎだった。何も心配することなんかなかった。きっと、予定が立て込んで、こられなかっただけなんだ。 自分といるのが億劫になって、来なくなったわけじゃなかったんだ。 ほっとして、踵を返し、店先から立ち去ろうとしたコロカントは、けれど男から目を離しかけて、離しそびれてしまった。 男の横には、何度か見たことのある、女客が座っていた。 その女が、おかしな踊りに笑いながら男にしなだれ、耳元になにか囁くと、男はうん、と身を傾け顔を寄せる。 とても自然な動作だと思った。 ……グシュナサフと、ララと同じ。気づくと胸が痛くなる。 女に囁かれた男は、次いでふきだし、大笑した。 楽しそうだと思う。 楽しそうだと思い、それからなんだかいたたまれなくなって、急いで視線を外すと、くるりと背を向け、コロカントは小走りに店を後にした。 ――信じてくださいよ。 この町で最初に再会したときの、男と女の会話が、思い出したくもないのに頭の中に蘇ってしまう。 路地を走りながら半べそになった。 ようやっと見つけたと、コロカントが男にすがりついたときに、ミシュカ、その子、だれ。そんなふうにたずねた客だ。 ――こんな若い娘さんに手を出すほど、節操なしじゃありませんて。 ――本当かなぁ。 ――信じてくださいよ。 男が答え、客が返す。そのやりとりに親密な空気が流れるのを、気付かないふりをした。 ――まあ、床の中でなら、……ね。 ――今夜ためしますか。 「おい」 すこしきつめの口調で急に呼ばれて、俯いていたコロカントは驚いて顔を上げる。 「お前、大丈夫か」 「大丈夫って、」 「お前、ひどい顔してるぞ」 「……ああ、」 言われて、慌てて笑いを取り繕おうと、頬を上げようとした。うまく笑えない。 そんな彼女を見ながら、まあなあ、とため息を吐いて、青年がだしぬけにカップの中身を飲み干し、席を立ち上がる。 「いまのお前の、そのごちゃごちゃした気持ち全部、まるごと、正直にきちんと話せ」 そう言い置いて、さっさと店を出て行こうとするので、彼女はますます目を見張る。 彼女に言っているというより、誰かに聞かせる素振りに見えたからだ。 「ブランシェさん、」 「言っとくが」 背を向けたまま、青年は肩越しに言葉を投げかける。 「俺は三日後に、この町を離れるつもりだけどな、あんたがいつまでもぐずぐずしたまま、こいつにこんな顔させ続けるなら、俺はこいつを、ぐるぐるに縛って、猿轡(さるぐつわ)かませて、荷物にのっけて連れていっちまうぞ」 「……ブランシェさん?」 「こいつがあんたを想ってるからとか、あんたが年上だからとかで、俺は今まで一応遠慮してたけど、その遠慮取っ払って連れていっちまうぞ」 「……、」 「向こうに着いたら、俺は最大限こいつを利用する。旧領主とはいえ、利用しない手はないだろ。質として差し出すのか、それとも交渉手段に一夜の相手をさせるのか、とにかくこいつが望む望まないにかまわず、いちばん有効な手駒にして、俺はのし上がろうとするぜ。また幽閉されて、羽を捥(も)がれて、どこにも行けないひょろひょろの生霊みたいになってもいいってなら、」 「――それは困る」 ぽん、と自分の背後から声が返ってきて、コロカントは軽く飛びあがる。 聞き覚えのある声だったからだ。 驚いて振り向くと、赤毛の男が苦虫をかみつぶした顔で、煙管を咥えていた。手近の卓上に灰皿があって、その中にかなりの灰が落ちている。 だいぶ長いあいだ、彼女と青年が入店するよりももしかしたらもっと、男は後ろの席で煙草を蒸かしていたらしい。 「え、あ、バラッド、」 思わず呟くと、男はちら、と彼女を見上げ、それから苦笑を唇に乗せる。 「いやあ、偶然って怖いですねぇ。まさか、自分がぐだっていた席の後ろに、姫が座るとは思いませんでした」 「だって、わたし、」 焦る必要はないのに、どうにもあたふたしてしまう。 まったく気付かなかった。 そう言えば、席に着く手前で、向かい合った青年が一瞬訝しげな顔をしたことを、今さら思いだす。 あれは彼女の背後の席にいた男を、青年が見とめていたからなのだ。 ああ、今までの全部聞かれてしまった。 気づいてざっと絶望する。聞かれたくなかった。自分のいっとうみっともないねちねちした部分を、男に知られたくはなかった。 「コロカント」 そんな彼女の気持ちを知ってか知らずか、青年は手を伸ばし、ぽんぽんと頭を叩いて、励ますように慰める。 「いいな、きちんと話すんだぞ」 「ブランシェさん」 「おまじないだ」 言って青年は軽く額に口をつけ、……これぐらいしたって、バチはあたらないだろ。呟き、そうしてさっさと去っていく。 ぽかんと見送る彼女のすこし後ろで、男が引き攣っていた。
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第一回「テレビゲームと僕」第二回「カラオケと僕」第三回「スポーツと僕」最終回「フィナーレと僕」
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人間が大好きだった壊れた物真似師の唄 ◆iDqvc5TpTI 問おう、汝は何者か ――■■■■、■■■■ その者は鏡であった。 対象の外見ではなく、内面を映す鏡だった。 かの者が大自然の中に身を置いたとき、かの者はその身にこの世の真理を宿らせた。 かの者が命なき物質と対峙したとき、かの者はその身に一つの歴史を宿らせた。 かの者が動物と共に駆け抜けた時、かの者はその身に力強き生命の息吹を宿した。 かの者が人間と手を取り合って過ごした時、かの者はその身に数多の心を宿らせた。 されど、それも今となっては昔の話。 一切の歪みなく、対象をありのままに写した鏡は。 その完璧さ故に、見るもおぞましい『闇』を写してしまったおりに、砕け散った。 なにものにも染まらず、されど、なにものをも写しとることができた、透き通っていた鏡面は、黒く、黒く、染まり果てた。 最早かの者は、鏡にあらず。 ただの硝子の破片に成り果てた。 脆く、鋭く、触れようとする全ての他者を傷つけ、自らも滅びに向かっていく、そんな救いようのないものに成り果てた。 「ルゥぉぉぉぉぉぉぉ……」 「っつ、なんだ、こいつは!?」 故に、ヘクトル達が誰一人、空間を跳躍し現れ、ユーリルを刺し貫いたかの者が、誰であるかを分からなかったのも仕方がない。 かの者に、アキラがアシュレーより耳にしていた万物全てに光を見出していた物真似師の名残は、もう残っていない。 見よ、幾重にも巻かれた布で覆い隠されたかの者の顔を。 そこに何がある? “闇”だ。 ぽっかりと穴が開いている用に、底なき深淵の“闇”がフードの奥には広がっていた。 そして、その闇の中で、あるべきはずの肌色を置き去りにして、目と、口だけが浮かび上がっていた。 金色に輝く眼と、異様なまでに肥大化した口だけが、ぽっかりと。 王ならぬ身で模倣したオディオの憎悪が、かの者に人の身を保つことを許さなかったのだ。 狂気に歪んだ心は、肉体をも侵食し、生命の在り方さえ歪ませた。 かの者はもはやアシュレー・ウィンチェスターが命を賭けて呼びかけた存在にあらず。 「気をつけよ、ヘクトルッ! こやつ、首輪とデイパックが見当たらぬッ!」 「なんだと!?」 「え、でも、それっておかしいよ! あたし達、残る全ての人間を把握してるんだよ? そうでしょ!?」 「だったら、考えられるのは二つだね。一つはあいつが召喚獣であるってこと。もう一つは……」 「俺達にオディオがけしかけてきたモンスターっつうことか!」 ただの――モンスター《名前のない怪物》だ。 「nヒィ……nige……」 ゆらり、ゆらりと。 言葉にならない言葉に合わせ、金色のオーラがモンスターの全身から立ち昇る。 恒星の如く眩い黄金の魂に比べれば、登ったばかりの太陽の、なんと儚きことか。 「ニbnゲ;@.n……niguい……」 何を言っているのか、ヘクトル達には理解出来ない。 だが、モンスターが何をするつもりかは、吹き荒れる殺気で、嫌でも理解できる。 人間、死すべし。 人類、滅ぶべし。 そうだ、モンスターはその為だけに、オディオの空間を操る力を模倣し、このエリアへと跳躍してきた。 人間が最も集まっているこのエリアへと! 「ニィンゲェェェエエエンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンン!!!!」 “光”を“光”にて喰らう黄金の殲滅者が吠える。 モンスターが黄金色の殺意で彩られた必滅の槍を崩れ落ちる勇者の心臓から抜き、斬りかかって来るヘクトルへと打ち付ける。 何の技巧も凝らされていないただ魔力を載せただけの強打《パワーヒット》。 “勇者”と称され、ルクレチア一に輝いた人物の模倣とは思えない稚拙な一撃は。 外見からは信じられないほど手馴れた動作で槍を受け流し、懐に入り込んで一撃のもと斬り伏せんとしたしたヘクトルの斧の刃を。 塵一つ残さずに消滅させた。 「は?」 唖然。 然しものヘクトルも一瞬我を忘れる。 いやいや、ちょっと待て。 剣と槍と斧の三すくみはどうした? 斧は槍に強いんじゃなかったのか。 大体受け流し自体は成功しただろ。 だからこそ俺は生きてんだし。 だというのに、この手に握った斧に柄しか残ってねえなんてどういうこった? 「冗談きついぞ、おい!」 果たしてヘクトルが握っていたのが、アルマーズでなかったのは幸か不幸か。 もしも手にしていたのがアルマーズなら、モンスターのパワーヒットにも耐えられたかもしれない。 そうであるなら、そのままモンスターを両断できており、不幸にもみすみす勝利を逃してしまったこととなる。 けれどもそれは、あくまでも、アルマーズが先の一撃に耐えられていたらの話だ。 軽く触れただけで分子すら分解するほどの魔力が込められた戦槍。 そんなものを相手にしては、神将器といえどもただで済んだかどうか。 ありえたかも知れない切り札の破壊を免れたと考えれば、ヘクトルは幸運だった。 「退くんだ、ヘクトル!」 なればこそ、掴んだ幸運を逃がすわけにはいかない。 一瞬といえど無手のまま正体不明の敵に近づき過ぎてしまったヘクトルを救わんと、イスラがモンスターの注意を逸らす。 ヘクトルとは逆方向から斬りかかったイスラへと、モンスターは再び迎撃の槍を振るう。 その動作はやはり、お世辞にも洗練されたとは言いがたいものではあれど。 「ぐうっ!?」 「イスラ!」 先の一撃がまぐれではなかったと言わんばかりに、打ち合ったイスラを大きく吹き飛ばす。 ごろりごろりと大地を転がるイスラ。 その身体が禁止エリアへと投じられる寸前のところで、マリアベルが受け止める。 「大丈夫か、イスラよ!?」 「おかげさまでね。こいつのおかげで助かったよ」 ひらひらとイスラが振ってみせる剣に、マリアベルは目を細める。 “導かれし者”と刻まれた柄と、奇妙な形の刃を持つ剣。 目を覚ました時、ユーリルに武器を持たせたままでは危険だと武装解除するにあたって、その剣をイスラに託したのはマリアベルだ。 ロザリーから聞いていたのだ、天空の剣のことを。 アガートラームのように伝説に唄われた武器を死蔵させておく理由もない。 ヘクトルにアルマーズがあり、アナスタシアにはいざとなればアガートラームを渡せばいい。 他の面子は武器は不慣れだ。 ならキルスレスを回収するまでの繋ぎにでもとイスラの手に天空の剣は渡った。 ユーリルの人生を狂わした一因だと聞き、ややイスラは複雑な心境だったが。 おかげで今、助かったのは事実だ。 “魔王”の写し身の攻撃を防ぐという一点に関しては、アルマーズやアガートラーム以上に天空の剣は最適だった。 「で、こいつの本来の持ち主の方は?」 「危ない状態じゃ。流石は“勇者”、寸前で心臓への直撃は逸らしたみたいじゃが……。 それでも、直接その身で味わったおぬしなら分かるじゃろ」 本来の剣の担い手を気にかけるイスラに、マリアベルが静かに答える。 思わしくない返事だったが、イスラとて想像はついていた。 伝説の武具越しに受け止めたイスラでさえこの様なのだ。 直撃を避けたとはいえ、生身でモンスターの一撃を受けてしまったユーリルが無事であろうはずはない。 恐らく、イスラを襲ったのと同様の衝撃波に、ユーリルの体内はずたずたに侵されてしまったのだ。 「アキラやアナスタシアに頑張ってもらってはおるが」 「アナスタシアに? 冗談きついんじゃないかい、それは」 「仕方なかろう。おぬしとて、護るべき対象を一纏めにして護衛の戦力を集中せぬ限り、あれ相手に護り抜けるとは思うまい」 ちらりとマリアベルが目をやった先では、アキラがユーリルの意思を繋ぎ止め、アナスタシアが賢者の石で癒していた。 保身がかかっている以上、ここでアナスタシアもおかしな真似はすまい。 瀕死のユーリルの方が自暴自棄を再発させ、アナスタシアを害する可能性もなくはないが……。 モンスターの襲撃前のユーリルの様子からするに、ユーリルが既にアナスタシアを殺す気を失せていたように思えてならない。 楽観し過ぎだろうか。 アナスタシアの身は安全だと信じて、自分の気を楽にしたいだけだろうか。 「歯がゆいの……」 ぬいぐるみの中でマリアベルは歯を軋ませる。 ゴーレムを従えぬ身一つでは、親友一人の命すら他人に任せるしかない。 折悪く時は早朝、場所は屋外だ。 これまでの激戦で遮蔽物たる木々が薙ぎ払われた大地に、眩き陽光は悠々と降り注いでいた。 これでは、陽の光に焼かれるノーブルレッドたる少女はその力を万全には発揮できない。 運動を阻害するぬいぐるみなしで活動できない以上、今のマリアベルに誰かを護れる余裕はない。 「奴の動きを少しでも阻害するぞ! 俺が凍らした床に、あいつを押し出してくれ!」 「言われなくても分かってる!」 そうこうしているうちにも、アナスタシア達の護衛についてもらったストレイボウとニノが、モンスターに着々と手を打っている。 目論見通り、ストレイボウが凍らせた床に、ハイ・ヴォルテックで誘導されたモンスターは足を滑らせひっくり返った。 子どもだましの時間稼ぎだが、それでも、体勢を立て直したヘクトルが駆けつけるには十分な間だった。 「出し惜しみは無しだ、アルマーズ!」 頭をかち割らんと、入魂の一撃を叩きつける。 あいもかわらず嫌な感触が身体を襲ったが、無視する。 モンスターの常識離れした破壊力を体感していたからこそ、ヘクトルは一切の出し惜しみなくアルマーズの力を開放する。 「どおおりゃあああああああああああああああああああああああ!」 「滅biルゥオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!」 身を起こしたばかりながらも、迎撃するモンスター。 手にした槍にはヘクトルをしてアルマーズの破壊を想像せしめたあの力が寸分違わず込められてはいたが、いかんせん足場が悪い。 凍った大地の上ではふんばりなど利くはずもなく。 足運びなどという高度な技巧を覚えているはずもないモンスターは、再び、氷に足をとられる。 そのタイミングをヘクトルは待っていた。 全力で振りかぶった斧の軌道を、更なる全力で無理矢理捩じ曲げる。 縦に振られたはずの刃が、横に疾る。 モンスターは身を崩したまま、何とか、槍の柄で受け止めんとするが、それこそヘクトルの狙いだった。 確かにモンスターの攻撃力は脅威だが、得物が槍である以上、その破壊力は穂先にのみ込められているはず。 柄尻を使った武術も存在しはするが、どちらにせよ、柄はさほど驚異ではない! 伊達にペガサスナイトと共に歩んできたわけではないのだ。 ヘクトルは、槍という武器の利点も欠点も、知り尽くしている! 「うっしゃあああ!」 アルマーズが戦槍の柄を両断する。 否、破壊は柄だけに留まらない。 天雷の名の謂れを見ろと言わんばかりに、槍の端々に稲妻が走るように破壊のエネルギーが伝搬し、分かたれた戦槍が砕け散る。 無理な軌道変更の影響でモンスター自体には振れること叶わなかったが、十分な成果だった。 見たところ、モンスターは戦槍以外の武器を持っていない。 モンスターなのだから素手でも戦えるだろうが、それでも攻撃力の低下は免れえないだろう。 そうヘクトル達は判断した――ただ一人、イスラを除いて。 「!? あれは、まさか!? 駄目だ、ヘクトル、早くそいつを斬り殺すんだ!」 ヘクトル一人に前衛を任せてしまうのは負担が大きいと、再び前に出ようとしていたイスラが顔を強ばらせ警告を発する。 彼は見てしまったのだ、武器を失ったはずのモンスター、そいつが奇妙な服の合間から取り出した幾つもの碧色の欠片を。 碧、そう、碧だ。 イスラが忘れるはずもないその色は、彼が自らの手で破壊したはずの一つの魔剣の色。 この島にて生きとし生けるもの全ての命を拘束する破滅の色。 「さっきの首輪の!?」 イスラの警告にヘクトル達も気付く。 そうだ、さっきマリアベルの手により解体されたそれを見せてもらったばかりではないか。 ぎっちりと首輪に敷き詰められた魔剣の欠片。 モンスターが手にしているのは、なぜかは知らないが、まさしくそれそのものだった。 「くそが!」 訳もわからない不安に襲われ、ヘクトルは振り抜いたばかりの斧の刃を返す。 常識的に考えれば、本来の魔剣ならともかく、剣の形もなしていない魔剣の欠片なんて武器にはならないはずだ。 なのに、欠片を掴んだモンスターを前にして不吉ばかりが加速する。 駄目だ、あれを使わせてはならない! 脳裏をよぎった不吉な予感を打ち払うように、ヘクトルは必死に逆袈裟にアルマーズで斬り上げる。 だが、必死の一撃は、更なる必死の想いにて打ち砕かれた。 打ち砕かれてしまった。 「だめええええええええええええええええええええええええええええ!」 モンスターの挙動よりも僅かに速くアルマーズが唸りをあげんとしたまさのその刹那。 悲痛な少女の声を伴った水流が、ヘクトルを押し流し、刃の射程からモンスターを逃がしていた。 辛うじて、モンスターが手にしていた魔剣の欠片を打ち払うことはできたのだが。 「な!?」 続いて輝く光が降り注ぎ、水流でヘクトルが負ったダメージを癒す。 攻撃を邪魔してきたかと思えば、癒してきたという訳の分からない乱入者の行動に、混乱するヘクトル。 一体誰が何のつもりでと声のした方を振り返ってみれば、更なる混乱がヘクトルを襲った。 「ジョウイ!? それに、てめえは確かちょこ!?」 割り込んできたのはあろうことか味方であるはずのジョウイと、一度敵対したことはあれども殺し合いには乗っていないはずの少女だった。 「どうなってんだ!? なんで、そのガキがここに!? いやそれよりもジョウイ、その傷はどうした、お前もこのモンスターにやられたのか!?」 「この傷は別件です! そのことについても説明したいところですが、今は、この人を助けるほうが先です!」 「人!? 人なんていねえだろ! どう見てもそいつはモンスターだろ!?」 本当に訳がわからない。 戦闘中にも関わらず、頭を抱えたくなるヘクトル。 けれども、衝撃とは重なるものだ。 「違うの。その人はゴゴおじさんなの! 人間が、好きで、好きで、大好きな、物真似師なの! 怪物なんかじゃない! ちょこの、アシュレーおとーさんの、大切な仲間なの!」 これまでの混乱が軽く吹き飛ぶような真実を悲痛な声で少女は告げた。 ▼ 問おう、汝は何者か ――ちょこ、誰かを護れる人になりたいの。独りにならないように。誰かを独りにしないように。 その言葉を、覚えてる。 一人じゃない、と。 ちょこはもう、独りじゃないと。 どんなときでも、ひとりじゃないと。 シャドウが、アシュレーが、ゴゴが。 少女を護ってくれた全ての父親が言ってくれた。 なら、ちょこはもう大丈夫だ。 一人ぼっちが嫌だと泣いていた幼子は、これから先、何があろうとひとりじゃない。 独りぼっちにはならない。 その小さな胸の中に、男達の姿が生き続けている限り。 ちょこは笑って、前へと進める。 この気持ちを、みんなにも知ってほしいと思う。 世界の果てで一人ぼっちで泣いていたおねーさんにも。 世界を救うい一人ぼっちになってしまったおにーさんにも。 一人ぼっちになんてなっていなかったんだって。 ううん、もしほんとに独りだったとしても、今はもう独りじゃないんだって。 約束があった。 世界を救う代わりに消えてしまった女性の処に遊びに行って、一緒にハンバーグを食べるという約束が。 伸ばした手があった。 世界を救って、けれども一人救われず、復讐に走った少年の心を救おうとして伸ばした手が。 約束はまだ叶っていない。 伸ばした手も握り返してもらっていない。 これからだ。 全てはこれからなのだ。 ちょこは笑って前に進める強さを得た。 けれどもそれは、他の誰かを置いてけぼりにして、進む強さなんかじゃない。 誰かの手を引っ張って、一緒に笑って進む強さだ。 だから少女はけじめをつけに来た。 人を殺しても幸せになんかなれないのだと、アナスタシアにも、ユーリルにも分かってもらって。 二人が抱えている本当の悲しみをちょこの方も理解して。 互いにごめんなさいを言い合って。 本当の意味で、手を繋ぐのだ。 「ジョウイおとーさん。アナスタシアおねーさんと、ユーリルおにーさんをお願い」 その為にも、二人は殺させはしない。 途中で出会って肩の切り傷を治してくれた青年に、二人を任せる。 舌足らずなちょこの言葉を解読し、慣れた手際でマリアベル達にゴゴについて説明してくれていた青年は、今も少女の心を汲みとってくてた。 「全てを失ったように思えても、幾許かの想いは手の内に残るんだ。だから……」 「うん、ありがとう、おとーさん。ちょこ、諦めないから」 そうだ、諦めてなるものか。 この両手がアナスタシアと、ユーリルと、手を繋ぐためにあるのなら。 この胸はゴゴを迎え入れるためにある。 けじめをつけて来いと少女を送り出してくれた物真似師を、今度はこっちから迎えに行こう。 刃を向けることがあるようなら殺してくれと頼まれてはいたが、そんなの知らない。 ちょこはいい子だけど、悪い子でもあるのだ。 納得できない頼みなんて、聞いてやるものか。 みんなで帰るのだ。 みんなでおうちに帰るのだ。 「じゃが、話を聞くにあやつは自らオディオになったのじゃろ。オディオに取り憑かれたというならともかく、それでは救いようが……」 言いよどむマリアベルにちょこは力強く首を横に振る。 泣き出しそうな顔で笑ってみせる。 「それでも、生きているなら、やり直せるの。何度でも!」 それは答え。 少女が人間を大好きだった物真似師から教えてもらった、とっておきの魔法の言葉。 そしてこの場にいる誰もにとっても答えとなる言葉だった。 ▽ 「それでも、生きているなら、やり直せるの。何度でも!」 それは誰の言葉だったか。 自身が口にしたような気もするし、大切な誰かにも言われた覚えがある。 ……大切な、誰か? 果たして、自分にそんな相手はいただろうか。 思い出せない。 思い出す必要すらない。 我が身に必要なのは力だけだ。 人間を滅ぼすという意思を実行するに足る力だけだ。 そして、その唯一必要な力さえ、今の自分には足りない。 血流の如く循環し続ける憎悪に対し、圧倒的に足りない。 だから、届かない。 目の前に怨敵がいるというのに。 憎んで止まない人間が群れをなして存在しているというのに、この手は一つとして命を詰み取れていない。 憎い。 ああ、憎い。 我が身を寸前のところまで追い込んだ、ぎらつく斧を手にした人間が。 その人間を殺そうとするのを、ことごとく邪魔をする輝く剣を手にした人間が。 二人の戦士を魔術にて的確に援護する二人の魔道士の人間が。 確かに槍で貫いたのに、往生際悪く死に損なった人間が。 放っておけばいいのに、その人間の生命を繋ごうと癒しを試みる三人の人間が。 憎い。 憎い。 憎いッ! 何よりもこの身が憎い。 渇いて止まない我が身が憎い。 人間どもを消し去ることのできない自らが憎い。 であるならば自我なぞ不要。 既にして、我が心は導火線に火がついたままの爆弾だ。 一度消せぬ火をつけてしまった以上、二度三度火をつけることの何を恐れるというのか。 失うことを恐れるようなものなど、もう何も残ってはいないではないか。 真に恐れるべきことはただ一つ。 この心が砕けてしまうより速く、この身体が敗北し、憎き人間どもの根絶が叶わぬことだけではないか。 更なる力を引き出すべく、今や己のものとなった憎悪の“魔王”の心の奥底へとアクセスする。 第一段階である心の読み取りで躊躇し、術技経験の読み取りを放棄した以上、更なる力を振るうにはこの手しかなかった。 人をして“魔王”とならしめたオディオの憎悪。 自殺するための最低限の自我を残しておくために、あえて不完全な物真似でとどめていたそれを。 不完全でありながらも、物真似師の心から、記憶を、絆を、安息を、輝く世界を奪ったオディオの憎悪の物真似を。 今、ここに、完成させ―― 「ア……ァ…………が……」 壊れた。 みしりと音を立てて脳の一部が破裂する。 骨格は質量を持つまでに濃縮された憎悪に耐え切れず瓦解。 腐ったみかんが押し潰されるように濁った体液を撒き散らす。 「おじさん!」 誰かが心配そうに顔を歪めて駆け寄ってくる。 人間ではない、誰かの声だ。 どうでもいい。 人間でないのなら、どうでもいい。 人間を殺せるのなら、どうなってもいい。 この憎悪を向ける矛先は人間だけだ。 「ぎっ」 無関心に、無造作に、小さな温もりを振り払う。 心配など不要。 壊れた心には壊れた身体こそ相応しい。 人間への憎悪だけで動く我が身が、人間的なものであってはならない。 「ィィィ、あ」 より深淵により広大により限界に憎悪を引き出していく。 崩壊していく世界。 絶望が吹きつける世界。 人が立つことはおろか、生命の存在そのものを許さぬ憎悪の激流に押し流されるる。 吹きつける憎悪は鋼そのもので、肉体が圧し潰される。 「――ry、が」 眼球が潰れる。 背骨が背中を突き破る。 逆流する血液。 汚染されていく精神。 痛みなどない。 痛みを感じ、堪えようとするような人間的感情など、一度目の物真似で喪失していた。 「――ryあ、あ……」 溶ける、融ける、解ける。 怨嗟の声すら奪われる。 あげる意味もない。 この身が、我が存在自体が人間への憎悪により成り立っているのなら。 わざわざ声に出すまでもない 「――――――――」 白くとける。 身体も意識も無感動に崩れていく。 残っていた一厘の自分すら消えていく。 思考も肉体も削られて、段々と自分の存在が小さくなっていく。 感覚のない体、自分のものでなくなった心は、死を恐れない。 何が恐ろしいのかさえ、もう判らない。 ああ、そういえば。 一度してしまえば正気など保っていられるはずのない物真似。 力を模倣する前に自分も判らなくなって、誰かと交わした言葉さえ思い出せなくなる。 愛した人間を憎んで、狂ってしまう。 どんな状況になっても、誰が死ぬことになっても、それだけは止めておこうと。 そう心に決めていたはずの封印を解いたのは、一体何を恐れてだったか……。 僅かに浮かびかけた疑問もしかし、すぐさま憎悪に溶かされていく。 「――――――――」 モンスターは思い出せない。 自分が真に望んだ願いを。 自分が誰かを“救いたかった”ことを。 自分の手でその“救おう”とした誰かの命を奪い、“救われぬ”存在となってしまったことを。 ▼ 問おう、汝は何者か ――今更かもしれない。俺にはそんな資格が無いなんて嫌なくらい分かってる。それでも、それでも! 俺は友でありたい。オルステッドの、カエルの友であり続けたい、今度こそ! 忘れられない言葉があった。 手放したくない言葉があった。 「罪滅ぼしのためでは無く、お前の意思で友を救えよ……」 口にしたそれは、俺にに真の新なる始まりの一歩を歩ませてくれた言葉。 あの別離の時、カエルがこの言葉を残してくれたからこそ、俺は贖罪のためだけでなく、新たな友のために走りだすことができた。 変わることを決意できた。 カエルの前で笑うことができた。 今もまたそうだ。 この言葉が俺を奮い立たせてくれている。 折れそうになっていた俺の心に火をつけてくれている。 目を逸らしたい現実と向き合う意志の力を俺に与えてくれている! 「――――――――ッ!」 見据えるは言葉をも忘れた憎悪の化身。 更なる力を発揮したモンスター、否、物真似師は素手にも関わらず、槍を持っていた時以上の力で、ヘクトル達を圧倒していた。 吹き荒れる嵐のように出鱈目に両腕を振り回しつつ走りぬける。 ただそれだけで、物真似師を抑えつけようと向かっていったイスラが吹き飛ばされ、ヘクトルとちょこが膝をつく。 ストレイボウ達が少しでも取り付く隙を作ろうと乱れ撃つ魔法に至っては、避ける素振りすら見せず、受け止めている。 強い。 あまりにも強すぎる。 これが憎しみの力か、これが憎悪の力か。 かつてストレイボウもまた憎悪を糧とし、力を得たことがあった。 言うまでもない、魔王山でオルステッドと最後の戦いを繰り広げた時がそうだった。 あの時のストレイボウは、その力に酔いしれていた。 これなら勝てる、この力ならこれまでの全ての敗北を覆し、オルステッドに勝てる! そう確信できるだけの力を感じていた。 けれど、今になって理解する。 己が抱いた憎しみの力の、なんとちっぽけで、弱かったことか。 「■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■!!!!!」 物真似師ゴゴ。 ちょこの話では、彼はオディオの心を物真似したという。 ストレイボウがついぞ敵わなかったオルステッドの剣技でも、“魔王”となり得た時空をも制する魔法の力でもなく。 単にその心だけを真似たという。 しかも、垣間見た時点で、物真似師がそれ以上覗くのを禁忌とした以上、心の物真似すら不完全なものということだ。 不完全な心の模倣でさえ、人に人でいることを許さず、モンスターに変えてしまったのだ。 得た力の強さが憎しみに比例しているというのなら。 人の身でありながら“魔王”に変じてしまったオディオが抱いている憎しみとは、一体どれほどのものなのだろうか。 考えるだに恐ろしく、事実、不完全な写し身にしか過ぎない物真似師を前にしてでさえ、身体の震えが止まらない始末だ。 だけど。 想いの伝え方を教えてくれた女がいた。 諦めない勇気を灯してくれた男がいた。 仲間であることを誓ってくれた少女がいる。 共に弱さを克服しようと歩き出した少女がいる。 何よりも、だけどと言える、自分がここにいるっ! 「生きているなら、やり直せる、か……。俺もそう思う。そうだと信じたい。そうして見せる! 俺は生きる! 生きて、生きて、生きて、やり直す! 贖罪のためだけではない。 俺が変わるためだけでもない! 友情に報いるために。 かつてオルステッドが抱いてくれて、そして今、カエルが捨てないでいてくれている友情の為にも! 俺は、生きる! 生きて、生きて、戦い続ける!」 罪滅ぼしのためでは無く、お前の意思で友を“救え”よ。 その言葉に込められた真の意味を、漸くストレイボウは理解した。 アナスタシアとユーリルのおかげだ。 贖罪を成し遂げただけではオルステッドを救うことはできないのだと、二人の“英雄”が教えてくれた。 そして、ならば、どうすればオルステッドを救えるのかという答えも、既にストレイボウは教わっていた。 己の意思だ。 友を“救いたい”という己の意思――友情こそが、ストレイボウをしてオルステッドを、そしてカエルを救える唯一無二の力なのだ。 故に、答えを得た今、友の刃を甘んじて受けるべきだという考えは、ストレイボウにはもうなかった。 相手がオディオの化身といえど、殺されてなどやるものか。 「おじさん……」 名前を呼んで、手をつなごうとし、拒絶され、吹き飛ばされた少女を受け止める。 少女の身体といえど、弾丸のような速度で投げ飛ばされた身を受け止めるのは、痛くなかった訳ではないが、必死に顔には出さないようにする。 弱音なんて吐いてやるものか。 なすべきことはただ一つ! 「ちょこ、でよかったか? 君の言葉は俺に届いた。俺も俺の言葉を届けたい奴らがいる。 手伝おう、俺も。そして、救おう。 かつての俺のように、今のオディオのように、憎しみにとらわれてしまったあの物真似師を!」 「うん!」 カエルを、しいてはオディオを救おうというのだ。 オディオの化身ぐらい救えずして何とする! 「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」 ブライオンを引き抜き、勇者バッジを握りしめる。 己の弱さと恐怖に立ち向かい、受け入れ、乗り越えようとするストレイボウを祝福するかのように。 “勇者”の剣とバッジは、一瞬なれど、確かに光り輝いた。 ▽ 時系列順で読む BACK△131-3 救われぬ者(後編)Next▼131-5 人間が大好きだった壊れた物真似師の唄(後編) 投下順で読む BACK△131-3 救われぬ者(後編)Next▼131-5 人間が大好きだった壊れた物真似師の唄(後編)
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すきだ【登録タグ VOCALOID あ子 す 曲 鏡音レン】 作詞:あ子 作曲:あ子 編曲:あ子 唄:鏡音レン 曲紹介 君に伝えたいことは全部 タイトルにしたから 16曲目です。あ子です。夏なので爽やかなギターロックです。(動画概要欄より転載) 絵/テラ 歌詞 (PIAPROより転載) ここから先は蛇足だからね 君に伝えたいことは全部 タイトルにしたから イヤホンがなくて歌が聴けなくても 君に伝えたいことは全部 タイトルにしたから それでも君が電車のなかで 暇をもて余したりして 4分くらいなら、って最後まで聴いてくれることを願って 君の好きなところでも 並べて歌詞にしようかな …なんて考えてはみたけど うまく纏められないな どんな季節もどんな時間も 君と生きたいんだよ 君の気持ちが僕を向かない未来 知らないふりをしていたい ここから先も蛇足だからね 君に伝えたいことは全部 タイトルにしたから あいつの隣でこの歌を流せなくても 君に伝えたいことはたったこれだけ 僕は君が まさかここまで聴いてくれるなんて 思ってもみなかったよ 勘違いしちゃいそうだ そんな優しいところをあいつの隣で 浪費して涙に変えるなら、どうか僕の隣で どんなに言ってみたところで 君の心は揺れもしないよな 一瞬で良いとは言えない あいつじゃなくて僕を見てよ 君は涙が泡になっても それでも良いからそばに居たいとか言うんだろうな そんなの僕にだってわかるよ 君と僕はよく似てるから あぁ弱気になって、こんなんじゃ 格好もつかないよな ここから先も蛇足だけどね 君に伝えたいことは全部、全部 歌に込めたから もしも最後まで君が聴いてくれたなら それだけでもう十分だって思えるくらい 僕は君が、好きだ …やっぱ嘘だ 君も僕が好きだって そんな未来を願ってしまうよ コメント 名前 コメント
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【妄想属性】恋文 【作品名】‭愛しい君へ 【名前】だって僕は、君が好きだから… 【属性】愛しい人のために強くなった青年 【大きさ】 今は大きくなれたよ。そう、世界がこの手のひらにあるように。 あの時はまだ小さかったね。君と同じくらいだった。 …昔の話をしようか。 君と初めって出会ったときのことだ。 【攻撃力】 初めて出会った日は中学1年生のときだったね。 一か月が経っても君は一人だった。僕もまた、一人だった。 運動も勉強もうまくできない僕は地味で目立たない孤独の存在だった。 でも今は違う。この世界を救う力をもってる。この世界の素晴らしさを知るための知恵を持ってる。 この力と知恵は、他の何物にも劣らない。なんだってできる。愛の力だよ。僕は君が好きだから… 【防御力】 一人だった僕に君だけは話しかけてくれたね。 体が弱く、いじめにあっていた僕をかばい、助けてくれた。 僕は強くなることに決めた。自分を守るためじゃない。 君を守るために。 たとえ世界が壊れようとも、たとえ時間が壊れようとも、この体は壊れない。 君を必ず守る。だって僕は、君が好きだから… 【素早さ】 3年間は短かったね。 あっという間に終わったよ。君との思い出は忘れることはない。 実はね、君と一緒にいたくて同じ高校を選んだんだよ。 でもそんなこと照れくさくて言えなかったよ。 高校生ではもっと君との時間が欲しかったよ。 今の力があったのなら、1時間だった1分だって1秒だって、ほんのわずかな時間の間でも、 君と永遠を過ごすことができたのに… 【特殊能力】 高校3年生になったときだったね。急に余命を宣告された。 君は重い病気に体を蝕まれていた。君は僕のために言わなかったんだね。 あと、1年の命… 僕は毎日会いに行った。毎日がまた、楽しかった。 ああ、僕に君を治す力があれば… なんどそう思ったことか。 君が死んでしまった日、僕は涙が止まらなかったよ。夜眠ることもできず、ずっと泣いていた。 君がいなければ、僕は生きている意味がない。 【長所】 君から僕への手紙が見つかったのは一週間ごだったね。 なんども読み返した。涙で字が見えなくなるほど。 優しい女の人と幸せになって、なんて… そんなことできるもんか。僕には君しかいないんだ。 『生きて』。手紙の最後の文字。 僕は生きることにした。君のために。君の分まで生きて見せる。 たとえ世界が壊れようとも。 【短所】 どうしてこんなにも強くなれただって? 愛だよ。 だって僕は、君が好きだから… 【備考】 君と出会えて良かった。 ありがとう。 いつか別の世界で生まれ変わり、君と出会えたならば… 今度はちゃんと言うんだ。「好き」って… 【お願い】 僕の創造者が妄想スレに参戦させるようだね。 でも負けられないよ。勝って生きるんだ。君のために、必ず。 君は緑色が好きだったね。ランキングに乗るときは緑色の文字がいいな。 そして他の人たちより何倍も、何倍も大きく、綺麗な文字で飾ってほしい。 …だって僕は、君が好きだから… ◆考察記録--------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------- 213 : ◆rrvPPkQ0sA :2016/05/29(日) 01 09 59.12 ID xt8DJmXp あらゆる系の壁上だけでも整合性が取れるように考察しようと思ったが……このキャラ数では無理だわ。あくまで暫定ランキングだし許して だって僕は、君が好きだから… 考察 世界とは地球としてよいだろう。 【大きさ】地球を手のひらに乗せられるほど。身長200000kmと概算 【攻撃力】愛の力でなんだってできる=全能。何にも劣らない「世界を救う力」と「世界の素晴らしさを知るための知恵」は対戦には活用できないか 【防御力】世界が壊れても時間が壊れても壊れない体?これが中一の時の決心にすぎないとすれば考慮不可だが……大きさ相当でも地球破壊の攻撃程度耐えるだろうに。 地球破壊に耐える+時間破壊耐性。 【素早さ】君との時間以外をどう過ごすかは不明。大きさ相応の青年並みとしておく。高校の2年間は別に短くなかったんか。 となると成人の10^8倍の大きさなので、普通の学生が秒速8mで走れるとして8×10^8÷3×10^5=2666 光速の2666倍で走れる。反応も 【特殊能力】なし 【長所】ここは決心なので考慮不可 【短所】愛の力で強くなった 【お願い】ここも決心なので考慮不可。メタ認識ができる。おそらく、初手で「勝って君の分まで生きる」と念じるのだろう。そう考えると単一宇宙より大きい範囲でも全能が通用するだろう 妄想属性を参考にする限り、【大きさ】~【備考】、一応【お願い】までが恋文に当たるのだろう。どうもテンプレ作成者=「僕の創造者」が要約を怠ったようだ。 愛の力で強くなったらしい。君を守るために強くなったが、今は君の分まで生きるために力を使うようである。とすると愛という概念を破壊しても弱体化はしなさそう。 その代わりに、君を生き返させることができて、君に危害を加えずに攻撃することができるならば勝てるだろう。 あと、ビューティみたいに愛の方向を曲げても負けそう。 巨大な任意全能の下位互換臭いのでその付近を見る。 ×ゆきと 速すぎる ○超神ゼスト・ユーゼフォン 全能勝ち。 ×宇宙の終末 ブラックホール系は常時発動みたいなもんだろう。戦闘開始後の早さで吸い込まれる。 光速を超える速さならブラックホールを脱出できるって?知らんな! ×ブラックホール ×アカシックフォーミュラー ×魑魍魅魎魅魎魑魍 ○フィルン ○でっかい宇宙 ○アインナッシュ ○ガーディア ○スーパーストライクフリーダムガンダム 214 : ◆rrvPPkQ0sA :2016/05/29(日) 01 12 31.67 ID xt8DJmXp ○ゴッドモララー ×神奈 絶対速度よりは遅いような ×メガ進藤さん ×蓬莱山 輝夜 ×ディストラクショナー こいつの時間停止の方が少しだけ早いか ×巨大な任意全能 任意全能は同等。スペック負け ○おはようございます 全能勝ち ○ORT ×魔王ルシファーwith日向陽一 反応速すぎ負け ×カービィ 早い。吸い込みコピーされ全能負け ○反転神聖機甲魔神 素の防御なら任意全能が貫通する ×考察人軍団 敗北後勝利される ○王子 ○イーエックスオメガ ○堀川りょうが演じたキャラ達 ○プロフェッサーG ×デスリオック改 壁以上は無理。巨大な任意全能>だって僕は、君が好きだから…>おはようございます
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【妄想属性】恋文 【作品名】‭愛しい君へ 【名前】だって僕は、君が好きだから… 【属性】愛しい人のために強くなった青年 【大きさ】 今は大きくなれたよ。そう、世界がこの手のひらにあるように。 あの時はまだ小さかったね。君と同じくらいだった。 …昔の話をしようか。 君と初めって出会ったときのことだ。 【攻撃力】 初めて出会った日は中学1年生のときだったね。 一か月が経っても君は一人だった。僕もまた、一人だった。 運動も勉強もうまくできない僕は地味で目立たない孤独の存在だった。 でも今は違う。この世界を救う力をもってる。この世界の素晴らしさを知るための知恵を持ってる。 この力と知恵は、他の何物にも劣らない。なんだってできる。愛の力だよ。僕は君が好きだから… 【防御力】 一人だった僕に君だけは話しかけてくれたね。 体が弱く、いじめにあっていた僕をかばい、助けてくれた。 僕は強くなることに決めた。自分を守るためじゃない。 君を守るために。 たとえ世界が壊れようとも、たとえ時間が壊れようとも、この体は壊れない。 君を必ず守る。だって僕は、君が好きだから… 【素早さ】 3年間は短かったね。 あっという間に終わったよ。君との思い出は忘れることはない。 実はね、君と一緒にいたくて同じ高校を選んだんだよ。 でもそんなこと照れくさくて言えなかったよ。 高校生ではもっと君との時間が欲しかったよ。 今の力があったのなら、1時間だった1分だって1秒だって、ほんのわずかな時間の間でも、 君と永遠を過ごすことができたのに… 【特殊能力】 高校3年生になったときだったね。急に余命を宣告された。 君は重い病気に体を蝕まれていた。君は僕のために言わなかったんだね。 あと、1年の命… 僕は毎日会いに行った。毎日がまた、楽しかった。 ああ、僕に君を治す力があれば… なんどそう思ったことか。 君が死んでしまった日、僕は涙が止まらなかったよ。夜眠ることもできず、ずっと泣いていた。 君がいなければ、僕は生きている意味がない。 【長所】 君から僕への手紙が見つかったのは一週間ごだったね。 なんども読み返した。涙で字が見えなくなるほど。 優しい女の人と幸せになって、なんて… そんなことできるもんか。僕には君しかいないんだ。 『生きて』。手紙の最後の文字。 僕は生きることにした。君のために。君の分まで生きて見せる。 たとえ世界が壊れようとも。 【短所】 どうしてこんなにも強くなれただって? 愛だよ。 だって僕は、君が好きだから… 【備考】 君と出会えて良かった。 ありがとう。 いつか別の世界で生まれ変わり、君と出会えたならば… 今度はちゃんと言うんだ。「好き」って… 【お願い】 僕の創造者が妄想スレに参戦させるようだね。 でも負けられないよ。勝って生きるんだ。君のために、必ず。 君は緑色が好きだったね。ランキングに乗るときは緑色の文字がいいな。 そして他の人たちより何倍も、何倍も大きく、綺麗な文字で飾ってほしい。 …だって僕は、君が好きだから… 213 : ◆rrvPPkQ0sA :2016/05/29(日) 01 09 59.12 ID xt8DJmXp あらゆる系の壁上だけでも整合性が取れるように考察しようと思ったが……このキャラ数では無理だわ。あくまで暫定ランキングだし許して だって僕は、君が好きだから… 考察 世界とは地球としてよいだろう。 【大きさ】地球を手のひらに乗せられるほど。身長200000kmと概算 【攻撃力】愛の力でなんだってできる=全能。何にも劣らない「世界を救う力」と「世界の素晴らしさを知るための知恵」は対戦には活用できないか 【防御力】世界が壊れても時間が壊れても壊れない体?これが中一の時の決心にすぎないとすれば考慮不可だが……大きさ相当でも地球破壊の攻撃程度耐えるだろうに。 地球破壊に耐える+時間破壊耐性。 【素早さ】君との時間以外をどう過ごすかは不明。大きさ相応の青年並みとしておく。高校の2年間は別に短くなかったんか。 となると成人の10^8倍の大きさなので、普通の学生が秒速8mで走れるとして8×10^8÷3×10^5=2666 光速の2666倍で走れる。反応も 【特殊能力】なし 【長所】ここは決心なので考慮不可 【短所】愛の力で強くなった 【お願い】ここも決心なので考慮不可。メタ認識ができる。おそらく、初手で「勝って君の分まで生きる」と念じるのだろう。そう考えると単一宇宙より大きい範囲でも全能が通用するだろう 妄想属性を参考にする限り、【大きさ】~【備考】、一応【お願い】までが恋文に当たるのだろう。どうもテンプレ作成者=「僕の創造者」が要約を怠ったようだ。 愛の力で強くなったらしい。君を守るために強くなったが、今は君の分まで生きるために力を使うようである。とすると愛という概念を破壊しても弱体化はしなさそう。 その代わりに、君を生き返させることができて、君に危害を加えずに攻撃することができるならば勝てるだろう。 あと、ビューティみたいに愛の方向を曲げても負けそう。 巨大な任意全能の下位互換臭いのでその付近を見る。 ×ゆきと 速すぎる ○超神ゼスト・ユーゼフォン 全能勝ち。 ×宇宙の終末 ブラックホール系は常時発動みたいなもんだろう。戦闘開始後の早さで吸い込まれる。 光速を超える速さならブラックホールを脱出できるって?知らんな! ×ブラックホール ×アカシックフォーミュラー ×魑魍魅魎魅魎魑魍 ○フィルン ○でっかい宇宙 ○アインナッシュ ○ガーディア ○スーパーストライクフリーダムガンダム 214 : ◆rrvPPkQ0sA :2016/05/29(日) 01 12 31.67 ID xt8DJmXp ○ゴッドモララー ×神奈 絶対速度よりは遅いような ×メガ進藤さん ×蓬莱山 輝夜 ×ディストラクショナー こいつの時間停止の方が少しだけ早いか ×巨大な任意全能 任意全能は同等。スペック負け ○おはようございます 全能勝ち ○ORT ×魔王ルシファーwith日向陽一 反応速すぎ負け ×カービィ 早い。吸い込みコピーされ全能負け ○反転神聖機甲魔神 素の防御なら任意全能が貫通する ×考察人軍団 敗北後勝利される ○王子 ○イーエックスオメガ ○堀川りょうが演じたキャラ達 ○プロフェッサーG ×デスリオック改 壁以上は無理。巨大な任意全能>だって僕は、君が好きだから…>おはようございます
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