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診療所駐車場の真ん中で、大田原源一郎は静かに佇んでいた。 異能『餓鬼(ハンガー・オウガー)』によって理性は既に食い尽くされ、 今や残るは乃木平天に全てを託すという一念のみ。 瞑想により精神を無に落とし、彼が己に命令を下すのを、ただひたすら待ち続けていた。 どのくらい時間が経っただろうか。 闇の中で眠る大田原の心。永劫に続くかと思えた沈黙の世界に、突如、一条の光が差し込んだ。 この光はなんだ。その疑問を抱いた直後、 大田原の心の奥底から、今まで久しく忘れ果てていた巨大な感情が沸き上がってきた。 「ぅ…………」 それは安らぎだった。 兵士としての精神の極北まで至った大田原ですら抗い得ぬ、 生物としての本能の根から沸き上がる衝動。 それが、大田原に、己が為すべきことを思い起こさせた。 「……じ……ぅ……」 思考がクリアになっていく。 餓鬼によって蝕まれる自我の苦痛が消えていく。 何故自分は忘れてしまっていたのか。 滅私の精神も、秩序の守護も、そして、最強の称号も。 全ては■■の為にあったのではなかったのか。 そうだ。自分は、守らなければならない。■■を。 「……じょ……おぅ……」 大田原源一郎はゆっくりと立ち上がると、何かに導かれるように、どこかへ向かって歩き始めた。 ■ 山折総合診療所に近づく2つの人影があった。 一つは少年、山折圭介。もう一つは『魔王の娘』を名乗る影法師の少女。 2人は一見親しげに並び立って歩いているが、 圭介はいかにも困ったという表情を浮かべており、 魔王の娘の方はというと、機嫌を損ねた様子を隠そうともせず、ぷいと彼から顔を背けている。 魔王の娘から持ちかけられた取引。 女王感染者を止める手助けをする見返りとして、圭介の中に存在する願望器を使い、 山折村を消滅させ、隠山いのりと神楽春陽を解放する。 それに対する圭介の回答は、『保留』だった。 圭介の肉体に埋め込まれた願望器。その使い道として、圭介がすぐ考えつくのは次の二つだ。 『このVHで死んだ者全員を生き返らせる』、もしくは『このVHそのものを無かったことにする』 圭介は、魔王の娘の願いを無碍にしたくないと思っている。それは事実だ。 それに、死者蘇生など死者への冒涜だ、過去改変など許されるべきでない、そういう考えもあるかもしれない。 そうであっても、今回のVHで失われたものはあまりにも多すぎた。 今の段階でこれらの選択肢を捨て去ることは、圭介にはとてもできなかった。 だが、山折村という概念そのものに対し徹底的な嫌悪を抱き、 ごく一部の例外を除いた人間についても憎悪の感情を向けている魔王の娘にとっては受け入れ難い選択である。 (なんとか、落としどころを見つけられねえかな……) 玉虫色の選択肢がない以上、どこかで妥協点を見つけなければならない。圭介は頭を悩ませていた。 「圭介。気を付けて。近い」 影法師の少女に声を掛けられ、圭介は我に返る。 自分達の目的地は山折総合診療所と聞かされていた。そこで誰かが魔王の娘を待っているらしい。 だが、診療所まではあと50m程離れている。 「ん? 診療所の中行くんじゃなかったのか?」 「その筈だったんだけど、ちょっと予想外のことが起こったみたい。 …………あの子、よりによって何であんなところにいるの。 また何かしでかしたの、神楽め……」 影法師の少女が何やらぶつくさ呟いているのを横目に、 圭介は周囲を警戒する。 そして、気付いた。 北の方向から、2人の少女がこちらへ近づいてくるのを。 幼き頃から見知った相手だ。影を見ただけでそれが何者なのか、圭介は察した。 「……圭介兄ぃ」 「珠、春……」 神楽春姫・日野珠の2人と山折圭介。2人の女王と村の王の再会だった。 ■ 見たところ、春姫も珠も、荒事は避けられなかったようであった。 特に春姫の巫女服は血塗れで、額には新しい傷が痛々しく覗いている。 だが不幸中の幸いとでも言うべきか、普通に動く分には支障がないようで、圭介は安堵した。 しかし、珠の右眼には、日野光の影姿と同じく黄金の光が輝いていた。 それが意味するところは、あまりにも明らかだった。 圭介はそれを認めながらも、警戒するそぶりも見せず、ゆっくりと彼女に近付いていく。 「ちょっと待って、圭介。あの小さい子の方は……」 「分かってる。けど、悪い。これだけはさせてくれ」 幼神の警告を、圭介は手で静止する。 例え珠が、己の討つべき相手であったとしても。 それ以上にやらなければならないことが、圭介にはあった。 圭介は改めて2人に向き直ると、地面に腰を下ろした。 そして。 「すまねえ、珠」 頭を地につけながら、圭介は、 「俺、光を守れなかった」 己の最大の過ちを告白した。 「光が、死んだのか」 「…………光姉が」 春姫と珠が、ぽつりと呟く。 「全て、俺の責任だ。許してくれなんて言わねえ。一生恨んでくれていい。 すまねえとしか言えねえ。申し訳ねえ!!」 圭介は叫んだ。 救えなかった想い人の妹に、心の底から、詫びた。 「――――――」 珠が意識を失い、ゆっくりと後ろに倒れていく。 それを見た春姫が彼女を抱きかかえた。 「お、おい珠……?」 「案ずるな。息に乱れはない。まず休ませてやらねばならぬ」 春姫は眠る珠を地面に横たわせると、圭介に対し再び向き直った。 「ふむ。顔は死んでおらぬな」 「……いつもの憎まれ口、言わねえのな。 何言われても仕方ないと思ってたんだけど」 「何があったのかは知らぬゆえ、責めはせぬ。 問い詰めたところで、今はさして意味ある事でもなし。 それに、妾とて全てを守れたわけではない」 春姫の眼に、物憂げな光が差していた。 圭介はこんな眼をした彼女を見たことが無かった。 「そっちでも誰か、死んだのか」 「氷月の娘が、妾や珠を守る為、災厄に立ち向かい倒れた。 妾はその場に居合わせなかったが、そなたに親しい者の中では、 朝顔家の養い子もやはり仲間を守って逝ったと聞く」 「……海衣と、茜か。あいつらまで……」 同年代の少女2人の死を告げられ、圭介は天を仰いだ。 同時に、自分が背負った死は、春姫が背負うそれとは重みの質が違うのだと思い知らされた。 海衣と茜は、他人を守って死んだといった。 最後まで自分の意志で戦って死んだのだろう。 だから、春姫は前を向くことが出来る。 2人の死を無駄にしないためにも、その死を受け入れ、前に歩む力に変えることが出来る。 だが、自分は違う。自分はもっと最低な死なせ方を…… 「圭介」 自罰意識に再び囚われかけた圭介に、魔王の娘が釘を刺す。 ――そうだ。今は足を止めるわけにはいかない。 自分は償うことのできない罪を背負った。 だが、想い人の想いを知り、その決意を受け継ぎ、この悲劇を終わらせると誓ったのではなかったか。 春姫は真っ直ぐにこちらを見つめている。 眼をそらすことは出来ない。山折圭介の決意を示す時だ。 「春。詳しいことは後で話すけど、俺はいろいろ許されないことをしちまった。 これが終わったら、どんな罰を受けても仕方ない、と思う。 でも、今抱いている、この事態を収束させたいという気持ちだけは、嘘じゃない」 「…………」 春姫の視線は微動にしない。 「俺は、まだ生きている奴も救いたいし、もう死んじまった奴の想いも無駄にしたくない。 その為なら、村のリーダーって立場だって捨ててやる。 頼む、春。この事件を終わらせる為に、俺が一緒に戦うことを許してくれ」 そう言って、圭介は頭を下げた。 春姫はしばらく黙っていたが、 「顔を上げよ、山折の」 そう言って、改めて圭介の瞳を覗き込んだ、 その色を見て、裁きは決まった。 「そなたの許されざる所業とは何か気にはなるが、 今のそなたの眼に自棄や悪意は見られぬゆえ、今は不問とする。 山折圭介はこれより事態収拾の為戦う。 そなた自身が己を許せぬのなら、全てが終わったのち、改めて裁きを行う。それでよいな」 神楽の女王が、山折の王に、温情を示した。 「済まねえ、春」 圭介は純粋に感謝して、礼を言った。 圭介がこの犬猿の仲の相手に向かって、素直に頭を下げるのは初めてだった。 やるべきことは決まった。 だが、問題なのはここからだ。 「じゃあ、聞かせてくれ、春。お前らこれから何をしようとしてたんだ? それと、女王のことだけど…… まさかとは思うけど、珠が」 「察しておるか。なら、隠しても仕方あるまい。 そう、日野のが、女王感染者だ」 「……マジかよ……」 感づいていたとはいえ、決意を示した直後にいきなり梯子を外された格好だ。 VHを終息させるには、恋人であった光の妹を殺さねばならないとは。 「案ずるな。日野のを殺さずとも事態を収束させる術は見つけておる。 山折高校のリーデンベルクという教師は知っているな?」 そして春姫は、スヴィア=リーデンベルクが立案した収拾策を語った。 天原創の異能で女王ウイルスを非活性化させた上で、脳内のウイルスを除去する。 それはまさに、光が157回目のループで見つけたという解決方法だった。 春姫達は、右も左も分からないゼロからの状況から、自分達の力でそこまで辿り着いたのだ。 「リーデンベルク先生が…… そっか……」 珠を殺さなくてもVHを終わらせられる手段がある。 もちろん、天原創の無事が確認できていない以上、失敗に終わる恐れがあることは分かっている。 それでも、珠の生存の可能性がつながったことに、圭介は安堵した。 「……情けねえな。俺なんて、自分じゃ何も見つけられなかった。 いつもリーダー風吹かせておきながら、このザマだったか」 無論、圭介が今まで全く何もできていなかった訳ではない。 圭介は間接的な戦果も含めると3人もの特殊部隊を倒しており、 それが他の村人の生存に繋がったということはできる。 だがその過程で失われたものは余りにも多く、今の圭介にとっては誇れる成果ではなかった。 「巡り合わせだ。仕方あるまい。 では、山折の。そなたについてはこれで手打ちとする」 女王が閉廷を告げた。 山折圭介への裁きは、とりあえず終わりだ。 だが、今までの話はあくまで前座に過ぎないことは、 この場にいる全員が感じ取っていた。 「それでは、本題に移ろうか」 そういって、春姫が眼を移す。 今まで、敢えて目を向けていなかった、 圭介の後ろに控える影法師の少女に向け、その視線をぶつけた。 「……聞こう。そなたは何者だ」 ■ 圭介に背筋に緊張が走った。 問題はここからだ。 これまでの流れはほぼ想定内、いや想定より遥かに穏当に済んだ。順当過ぎたと言ってもいい。 春姫も色々あったようで、厳罰を命ずることも無く、こちらの心情を慮って応対してくれていた。 しかしここからは話がどう転んでいくか全く見当が付かない。 魔王の娘も、バイオハザード終息に力を貸すと言ってくれてはいる。 だが、それも願望器を使って山折村という存在を消し去るという条件付きでだ。 山折村を守ろうとするであろう春姫とは、目的の根幹レベルで相容れない。 しかも、両者とも圭介ではコントロールできそうにない気まぐれ者同士。 話が拗れてしまった場合、せっかく得た春姫からの信用も失うことになりかねないし、 魔王の娘が山折村への明確な敵対を決意し、強硬手段に出たりなどしたら何が起きるか想像も付かない。 「神楽春姫ね。あなた、隠山いのりをどうしたの」 魔王の娘は、名乗りもせずいきなり単刀直入に切り込んだ。 「あの娘も、そなたも、礼儀を知らぬな」 春姫もいかにも呆れたという様子で応じる。 「その身に纏いし厄。隠山祈を厄災に変じたのはそなたで違い無いな」 「そうよ。でも私のような存在を引き寄せる程の憎しみと絶望を彼女に与えたのは山折の民。あなた達よ」 「それは妾も知ることだ。妾の誇りに掛け、知らぬ存ぜぬで済ませるつもりはない。 だが、そなたに山折の地を裁く権利がどこにある。神でも気取るつもりか」 「いいこと言うね。 そう、私は祟り神。人の身であるあなたには、 私が見てきた積もり積もりし呪いと恨みの系譜など、分かるはずがない。 山折の地に染み込んだ呪いは、人間なんかに払えるものじゃない。 だから私が裁く。そして呪いに縛られた隠山いのりと神楽春陽を解放する」 「だから妾らは死んで当然、とでもいうか。なるほど、神らしき傲慢さよな。 だが、氷月のが何をした。与田めが何をした。 妾らが過ちを犯していたことは認めよう。然れども贖罪とは、己の罪を知り、己の手で償ってこそ意味がある! 神の裁きなど、要らぬ!!」 「おいおいおいおい!! 二人ともちょっと待て! お前も春も、少し落ち着け!!」 激しく火花を散らす2人を見て、たまらず圭介が止めに入った。 やはり話は平行線。魔王の娘と神楽春姫はどちらも妥協を知らず、話はエスカレートしていく一方だ。 このままでは物別れどころか実力行使にまで至りかねない。 そうなればこの場の誰の得にもならない、最悪の結末に至ってしまう。 どうすればいいんだよ、と圭介は内心頭を抱えた。 だが、幸い。 幼神と村の女王の橋渡しができる存在が、この場には一人いた。 『待って、春姫。私が話す』 「…………へ?」 春姫の声が突然、全く別の少女のものに変じ、圭介は間抜けな声を上げた。 そして気付いた。神楽春姫がその身に纏う雰囲気が一変していくのを。 数秒の静寂ののち、春姫の身体を借りた少女が、幼神に向かって口を開いた。 「……えっと、久しぶりって言うのかな」 「…………いのり」 あの岩戸の闇の中での出会いから、一体何年経っただろうか。 片や呪いと恨みの中で死を迎え、死後も名を奪われて怪異に身を堕とされた挙句、厄災と化した隠山いのり。 片や異界で魔王と女神との間に生を受け、八尾比丘尼とされて私欲のために殺され、人間そのものを憎悪する祟り神に変じた少女。 数百年を経た、再会であった。 「いのり。まず私は謝らなくちゃいけない。 私はあなたを救いたかった。でも私にできることは限られていた。 あなたの魂を存在させ続けるには、あなたのその他者を呪い、憎悪する意志を使うしかなかった。 けど、その為にあなたを憎悪に駆り立てられた厄災に成り果てさせてしまった」 「……そうね。あの時の私は恨みしかなかった。村の人間も、朝廷も、春陽も、世界の全てが敵だと本気で思ってた。 でも、嬉しかったんだ。ああいう形であれ、こんな私に手を差し伸べてくれた人がいたってことが。 その支えがなければ、名もなき厄災でいた時に、意志を擦り切らせて消滅してたと思う。 ……ありがとう」 そう言っていのりは、深々と頭を下げた。 「……いのり」 その幼神のつぶやきには、一体どれほどの感情が込められているだろうか。 「山折圭介君は、初めましてだね。私は隠山いのり」 「お、おう…… は、初めまして。 付かぬこと聞くけど、イヌヤマって名字、神社と何か関係ある?」 「うん。一応、この村の神社の巫女として育てられたの。正直、なる気は無かったんだけどね」 「そ、そうか。とりあえずよろしく」 言われてみれば、彼女にはどこか犬山姉妹に似た雰囲気を感じた。 「ところでいのり。 私は、あなたは憎悪に呑まれた厄災のままだと思ってて、 まずそれを止める為にここに来たんだけど、何があったの? 例え聖剣を使ったとしても、素人の神楽春姫にあなたを止めることはできない筈」 ……ちょっと記憶を読ませて」 魔王の娘がそう言って隠山いのりの額に指を当て、記憶を辿っていく。 隠山いのりが敗北したという相手は、魔王の娘にとって全く予想外の相手だった。 独眼熊。山の王。 厄災・隠山いのりは、一介の熊一匹に後れを取ったのだ。 何故魔王の娘はこの結果を見通すことが出来なかったのか。 何故隠山いのりは畜生一匹などに負けたのか。 それは、幼神と隠山いのりという少女の、いわば自然観の相違によるものだった。 魔王の娘は、人間の想いに寄り添う存在だ。 好意を抱いた人間にはその力を貸す反面、気に入らぬ者は徹底的に拒絶する。 人間の愛憎と怨恨を力にする、祟り神である。 だが、隠山いのりにとっての世界は人間だけではない。 山の神を祀る巫女としての教えを受け、幼き頃より野山を駆け回って育った。 巫女としての生き方をなぞることは嫌がっていたものの、 いのり個人としては山に対して強い信仰を抱いていた。 山は恐ろしい。山を軽んずる者に対しては必ずその牙を剥く。 その威の前には人間の感情、喜怒哀楽全てが無力だ。 ゆえに、山に生きる者は、山を畏れる。 米や野菜を育てる農民が太陽や雨に、獣を狩るマタギがイノシシやクマに神性を見出すように。 幼神や魔王などとは比較にならぬほど無力で、あまりにも原始的な、素朴で野蛮な神。 だがそれゆえに、人の生活に根付いた結びつきという面において、並ぶものはない。 畏れとは、己の限界を認めることから始まる。 それ故、独眼熊によって己の「山への畏れ」を思い起こされた隠山いのりは、 いまだ山折村や朝廷の人間への恨みは抱きつつも、現在は小康状態にある。 もしかしたら、あの敗北こそ、山の神からの隠山いのりへの救済だったのかもしれない 魔王の娘としては、自分がやろうと思っていた彼女の救済役を別の者に取られてしまい、 気に入らないところがあるのも正直なところだが。 何にせよ、やろうとしていた仕事の一つは終わった。もう一つの仕事に映るとしよう。 「とりあえず、分かったわ。 それじゃ、いのり。あなたに教えてあげたいことがあるの」 「………なに?」 そう、これこそが本題。 隠山いのりだけなく己の願いにも関わる、最重要事項。それは。 「――神楽春陽の居場所」 「春陽様!?」 隠山いのりの驚愕の叫びが響いた。 ■ 「春陽様がどうしたか、知ってるの!? あの人はなんで私のところに来れなかったの!?」 求め続けてきた想い人にして憎み人である神楽春陽の消息。 それを知っていると聞かされた隠山いのりは、堪らず幼神に縋りついた。 「落ち着いて。一つ一つ話していくから。 まず、春陽の居場所だけど、この村の南にある龍脈の穴。神楽春陽はそこで眠っている」 「龍脈の穴? 春陽が開こうとしてた、あれ?」 「ちょ、ちょっと待ってくれ。2人だけで話を進めないでくれよ。 その龍脈ってのは、どこなんだ?」 いのりと春陽の因縁を知らず、状況を掴めていない圭介が、堪らず説明を求めた。 「現在の名前は、新山南トンネル」 魔王の娘は答えた。 村外への事実上唯一の出入り口である新山南トンネル。神楽春陽はそこにいる。 「神楽春陽は、山折村をその厄から救うために、龍脈を開こうとしたの。 でも、その為の工事は困難を極めた。昔のことだし、工事技術も未熟だったうえ、 こんな辺鄙な村を救うために金や人を出そうなんて物好きもほとんどいなかった それでも何とか工事は完了させたんだけど、想定を大幅に超える犠牲者が出て、 その結果、厄を通すはずの穴に彼らの怨念が溜まってしまい、その機能を果たせなくなった。お笑いだよね。 だから春陽は最期に、その責を取った。 龍脈を完成させる為、自らを人柱として捧げた」 幼神の語りを、圭介といのりは黙って聞いている。 「あと、いのり。神楽春陽は、ずっと貴女を探し続けてたの。 村の者達から貴女をどこに閉じ込めたのか聞き出そうと、金や暴力まで使った。それでも村人たちは頑として口を割らなかったんだ。 自分達が棄てた者達の霊から名を奪い、記録にも残さず、『無かったこと』にすることで、 怪異から目をそらし続けるのが彼らの生き方。山折という地に住む人間の生存戦略だった。 貴女のような犠牲者の存在を認めてしまうことは、自分達が呪われるべき、祟られるべき民であるという事実の受容に繋がるから。 ……反吐が出るけどね」 「…………」 「間に合わなかったことは彼に代わって私が謝るわ。 けど、神楽春陽は決して貴女を見捨てたわけじゃなかった。その想いだけは、信じてあげて」 「…………春陽様」 いのりは、万感の想いとともにぽつりと呟いた。 『いのり。そなたは少し休んでおれ。 妾も少し聞きたいことがあるゆえ身体は返させてもらうぞ』 春姫の声が本来のそれに戻り、自我が入れ替わる。 「聞きたいことってなに? 神楽春姫」 「分からぬことがある。 神楽家が龍脈を開くのに力を尽くしたことは知っておる。 だが、当時の当主が人柱になったなど、村の記録にも神楽の歴史書にも書かれておらぬ」 春姫は将来神楽家を継ぐ者として、山折村と神楽家の歴史を知り尽くしたと自負している。 だが、その春姫ですら、神楽春陽が人柱となった事実を知らなかった。 それは一体何を意味するのか。 「……これはあくまで私の想像でしかないんだけど」 そう前置きして、魔王の娘は語り出した。 「己の身を犠牲にして龍脈を完成させた人間がいるなんて記録に残したら、 村の人間は、当然、彼を英雄として祭るよね。 でも、春陽は誇り高かった。 何人もの犠牲者を出して、作り上げた龍脈も不完全で。 そして何より、隠山いのりを結果として見捨てた自分が、 称えられるべき者として名を残すなんて、彼自身が許せなかったんだと、私はそう思う」 「ふむ…… そういうことか」 そう言って、春姫は頷いた。 「そして、彼はいまだ地の底で苦しみ続けてる。 犠牲になった者達の怨念と、龍脈を通る山折という地の厄の流れの板挟みになって」 「……そうか。ようやく分かったぜ。だからそいつを救いたいってんだな」 遅くなったが、圭介もようやくその辺りの事情を掴め、魔王の娘の目的とその背景も理解できた。 問題は、そこをどうやって解決するかだ。 「何とかなんねえのか? 素人考えだけど、トンネルの中に社を立てて慰霊するとか」 圭介の提案に対し、魔王の娘は首を振る。 「やらないよりはマシ、くらいね。彼は数百年以上に渡り苦しみ続けてきた。 そんなやり方じゃそれと同じか、それ以上の月日が必要。時間が掛かりすぎる」 「ん~~……」 『…………』 2人の会話を聞きながら、隠山いのりは思案していた。 神楽春陽の魂を縛り付ける山折村の呪い。 自分自身が長きに渡り呪いを溜め込んだ存在であることから、 その解放が簡単に行くものではないことは理解している。 だが、いのりは、先の研究所での戦いで、ある信じ難い光景を目にしていた。 それは、自分を打ち負かした山の王の姿。 独眼熊は、山の王者としての誇りを取り戻したことで、 その超越した自我を以て、己に課せられた呪縛の鎖を断ち切ってみせた。 あれが春陽を救う、何らかの鍵にならないだろうか。 (…………ダメだ、他の案なんて出ねえ) 圭介も彼なりに考えているが、呪いや祭祀といったことについては自分は門外漢だ。 うまい手などさっぱり思い当たらない。 そもそも、自分が思いつくことなど魔王の娘はとっくに考慮済みだろう。 わざわさ願望器を使えと言うのも、恐らく、それ以外に有効な手が無いと考えているから。 では、どうすべきか。春に意見を聞くべきか…… と考えていたその時。 頭の中に黄金の光が走った。 そして、己の口から自然に、次の言葉が出てきた。 「じゃあ、女王に聞いてみたらどうだ?」 空気が凍った。 「…………山折の。今そなた、何と言った」 常に余裕を崩さぬ春姫が、目を見開いて圭介を見ている。 「………え? いやだから、女王に聞こうって」 そこまで言って、ようやく圭介も気付いた。 「――え? え? いや待て。今俺何て言った。なんでそんなこと言ったんだ?」 何でそんなことを口走ったのか、自分でも理解できなかった。 極めて自然に、女王に従うべきという感情が沸き上がってきたのだ。 「……そんな。早すぎる。前のループだと、確か2日目の……」 表情は見えないが、魔王の娘も戦慄していた。 「まずい、圭介。あの子を今すぐ殺して」 最も恐れていたことが起ころうとしている。それを感じ取った幼神が叫ぶ。 春姫の手の中で、聖剣も幼神の意見に同調するかのように鳴動している。 圭介と春姫は思わず、『彼女』がいた方を向いた。 そして、時既に遅しことを知った。 「欠席裁判は止めてもらいたいですね」 そう言って、『彼女』は立ち上がっていた。 右眼に黄金の輝きを灯し、微笑をその表情に湛えながら、こちらをじっと見つめている。 「お前、誰だ……?」 圭介が、思わず、目の前の『日野珠』に向かって問いかけた。 だが、分かっていた。目の前にいるのが一体何者なのか。 山折圭介の、神楽春姫の脳内に巣くうHE-028ウイルスが、彼の者の覚醒を感じ取っていた。 「――ええ。察しの通りです。 私は日野珠ではありません。 私はHE-028-Aウイルス。あなた達の言う、『女王ウイルス』です。はじめまして」 そう言って女王は彼らに向かい、うやうやしく一礼した。 ■ 「一体、何が起こったの……? なんでこんなに早いの……!?」 女王ウイルスの『第二段階』。日野光のループを終わらせた、終焉の始まり。 魔王の娘は、日野光の最後のループの記憶から、時間的にはもう少し余裕があるものと認識していた。 だから、日野珠と会った時も、圭介に決断は迫らなかった。 日野光の妹を殺すことについて、思うところも実際あった。 手短に済むなら、『細菌殺し』の異能を使った解決策を試しても良いとも思っていた。 こと今回の事態において、情報という側面で最も優位に立っていたのは、間違いなく幼神だった。 日野光による158回のループ。その記憶から情報を得たことによって、 正常感染者ほぼ全員の異能や、未来人類発展研究所の計画といった重要情報は全て手に入れていたし、 春姫やスヴィアらが必死になって辿り着いたVH終息策すら、既にその手中にあった。 そして、自らに欠けた最大のピースである科学知識を魔王から奪ったことで、今回の事態の盤面をほぼ掌握した。 その筈だった。 だが、そこに、驕りがあった。 知識や情報は確かに得ていた。だが、物事を推論する能力については、彼女は欠けていた。 魔王の娘は、自分が『日野光の主観を通した情報』しか手に入れていないという事実に気付かなかった。 そして、それは日野光も同じだ。いくらループを繰り返したとて、彼女は科学や推理のプロではない。 情報は持っていても、『それが何を意味するか、どういう結果に繋がるか』という検討は、不十分だったのだ。 例えば、スヴィア=リーデンベルクや天宝寺アニカが日野光のループがした事実とその結果を知ったなら、 恐らくは『その可能性』に思い至っていただろう。 「早い……? 君はもしかして、日野光の魂から何か聞いたのか? そういえば、あの時私が覚醒したのは2日目の夕方だったな。 なるほど、だからもう少し時間があると考えたのか」 「どういう、意味……?」 「日野光は女王感染者として、2日間のループを繰り返してきた。 そして私はその事実を知っている。ここまで言えば分かるだろう?」 「あなた、まさか……」 「そういうことだ。 女王ウイルスである私も日野光の脳の中で、157回のループを繰り返していた」 驚くべき告白だった。そして、重大なのは単にループしたという事実だけではない。 HE-028ウイルスは、感染者の感情量に比例して成長する。 今回のVHにおいて研究所が観察しようとしていたのは、 最大48時間継続する混乱状態に感染者を置いた場合のウイルスの進化だ。 だが、この女王ウイルスは、日野光の158回のタイムリープというイレギュラーを潜り抜けたことで、 恐らくは、研究所の想定を大幅に上回る進化を果たした。 今の女王ウイルスが如何なる領域に至ったのかは、この世の誰も知る由は無い。 「……そうだとして。 あなたは何が目的なの? 前回と同様に、日野珠も含めた皆殺しでもしようっていうの?」 「何か勘違いしているな。私があの魔王と同じような存在だとでも? そもそも我々ウイルスは、人間や他の生物に感染することで初めて活動できる存在だ。 その人間を滅ぼしてどうする?」 ウイルスとは何か。 ウイルスが生物に含まれるかについては議論があるが、生物ではないという学説が主流だ。 何故なら、ウイルスは単独では一切の活動を行うことが出来ないからだ。 宿主にとなる他の生物に感染することで、初めて自己複製などの生命活動を行うことが出来る。 すなわち、宿主となる生物の死亡は、ウイルス自身の生存権の縮小に直結する。 「私の目的は極めて単純だ。女王とその一族の繁栄。これだけだ。 具体的には、正常感染者の可能な限りの生還。そしてZ計画の完遂。 つまり、感染者である君達とも、未来人類発展研究所とも、利害が一致していると言える」 正常感染者とは、ウイルスに抗体を持った、いわばHE-028ウイルスと共存可能な人間であり、 そしてZ計画とは、全人類を正常感染者にすることが一つの目的だ。 確かに女王の言う通り、Z計画を完遂すれば、人間と共にウイルスも繁栄を謳歌することになる。 「じゃあ、なんでお前は光を殺したんだ。碧もだ」 圭介が詰め寄るが、女王は何故分からないんだとも言いたげな、やや呆れた表情で応える。 「そんなに難しい理由じゃない…… 157回目のループで彼女の心が限界を迎えたことは知っているだろう。 もう彼女に先は無いことは明らかだった。だから殺すしかなかった。 それとも君は、日野光は心を壊したまま、永遠にあの2日間を繰り返していた方が良かったとでも言うのか?」 「んなことは…… ねえけど……」 「……まあ、私自身に、そんなループに囚われるのは御免だという私心があったことは素直に認めるがね。 浅葱碧は…… 純粋過ぎた。半ば廃人となったと知りながら、日野光を最後まで守ろうとした。 彼女の殺害については確かに謝ってもいい」 圭介は黙って女王を睨みつけている。 「……いずれにせよ、日野光を殺害したことは私にとっても賭けだった。 タイムリープが上手く機能するのか、 私自身も女王からただのウイルスに成り下がるのではないか、 ループで得た記憶も全て無に帰してしまうのではないか、 この辺りはまるで見当も付かなかったのだからね。 なんにせよ、今回の世界線において、私は気が付けば日野珠の身体の中にいた。 日野家の血縁が影響したのか、それとも本当にただの偶然なのか、 それは私自身にも分からないが」 女王の語りが終わったところで、今度は春姫が前に出た。 「では聞くが、そなたはこれから何をしようとしている。 そなたと日野のは、一体どんな運命を見ているというのだ」 そう、女王は一体何を企んでいるのか。核心を言え、そう春姫は迫った。 「いいだろう。話すとしよう。 私は、君たちはこれから一体どうするべきか」 女王は、軽く咳払いをしたのち、語り出した。 「私と日野珠が見た運命線によれば、間もなく特殊部隊に大きな動きが2つ起こる。 1つは、女王感染者以外の生存者に対する、『殺害』から『保護』への方針転換。 もう1つは、軍用通信の復活」 「……保護? ……なんだよ、その保護って」 圭介が口を挟んだ。彼にとって、聞き捨てならない言葉があった。 「言葉の通りだ。女王感染者は殺害するが、 他の正常感染者については、女王でないことが確認できた段階で身の安全を保障する、ということだ」 「……なんだよ、それ。なんなんだよそれ!!!」 圭介の脳裏に、自分達を無慈悲に殺そうとした特殊部隊隊員と、 彼らとの戦いで命を落とした村人達の姿が蘇る。 圭介の感情が一気に噴き出した。 「俺達を問答無用で殺しに来ておいて、 今更やっぱり止めますとか、ふっざけんじゃねえよ!! 何人死んだと思ってるんだよこの野郎!! 止められるんならもっと早く止めやがれ!」 「山折の、落ち着け!」 「これが落ち着いていられるか!! 俺達をオモチャか何かだとでも思ってんのかよアイツらは!!」 「良く聞け、山折の! これは、妾の仲間が力を尽くした成果だ!!」 春姫の言葉に、圭介は一旦落ち着きを取り戻す。 「春の、仲間……?」 「落ち着いて聞け。山折の。 先刻、妾の同行者であった花ちゃんが研究所との交渉を試みていた。 恐らく、その交渉が功を奏したのだ。ならば妾もそれを無為にすることは出来ぬ」 「…………」 「案ずるな。妾らを弄んだ研究所や特殊部隊を誅すべきと考えているのは、妾も同じこと。 ここは妾に免じ、抑えよ」 「…………ああ、分かった」 これが、村人の意向を無視した研究所や特殊部隊による一方的な方針転換であったのなら、 圭介の怒りは治まらなかっただろう。 だが、春姫の仲間による交渉の結果なら話は別だ。 春姫の説得を受け入れ、なんとか自分を抑え込んだ。 その花ちゃんという人間が誰かなのかは分からないが。 圭介が落ち着いたのを見て、女王が話を再開する。 「……さて、方針転換が決定し、軍用通信が復活したら特殊部隊はどう動くか。 まずドローンを使って、生存している特殊部隊員に通信機を送るだろう。 そして、その隊員に対し、現場との通信状態の確認も兼ねて、現状の報告を求めるはずだ。 そこで司令部は、生き残りの特殊部隊員と行動を共にしているスヴィア=リーデンベルクを通して、 天原創の異能を用いた事態収拾策を知ることになる。 ドローンの映像から、司令部は天原創の生存を確認している。 しかも生存者に対する方針転換を行ったばかりだ。 この事実を無下にすることはできず、研究所に報告を入れる」 女王の話は続く。 「そして、未来人類発展研究所の方だが、 彼ら今回の事件で、生きた女王ウイルスが手に入るとまでは予測していない。 惜しいとは思いながら、パンデミックに発展することを恐れ、 女王感染者を村人か特殊部隊に殺害させ、死滅させるしかない、と考えていたはずだ。 逆に言えば、女王を生かしたまま確保する手段があると知ったなら、 是が非でも私を手に入れようとする筈だ。 ――――何せ、『世界を救う鍵』なのだからな」 「つまり、この解決策を、飲むと……?」 圭介は息を呑んだ。 「それでも彼らが渋るようなら、私が158回のループを繰り返し、 急速な進化を遂げたウイルスであると伝えればいい。 彼らは涎を垂らして飛びつくさ」 そこで、女王の話は終わった。 圭介は迷っていた。 話を聞く限り、確かに女王の計画通りに進めれば、これ以上の犠牲者を出すことなくVHは終息する。 自分も、珠も、哉太達他の生存者も、生きて帰れる。 今の段階ではこれ以上ないハッピーエンドだ。 だが、例え理由があったとしても、目の前の相手は光を殺した相手だ。 その感情が、山折圭介を決断に踏み切れさせない。 だが、これはやはり、自分の個人的な感情にすぎないのではないかとも思う。 村のリーダーであるなら、今生きている村人を一人でも多く救うための選択をすべきなのではないか。 自分が感情に振り回され、無駄な犠牲者を出すことなんて、光だって望まないのではないか。 この悲劇を終わらせ、ハッピーエンドを齎す為に降臨したデウス・エクス・マキナ。 女王がそれであることを、ただ自分が認めたがっていないだけではないか? 自分は、一体、何を選択すべきなのか? 「……でも、あなたの見ている未来も絶対ではない」 今まで黙っていた魔王の娘が、口を開いた。 彼女が示したのは、女王の選択した運命線が、必ずしも絶対ではないという事実。 その言葉を受けて、女王は肩をすくめ、再び語り出した。 「君がいる以上、隠しても無駄だな。 人間は、いや、生きとし生けるものは、すべからく運命を変える力を持っている。 しかし並の人間のそれは、あまりにもささやか。誤差以下の影響しか与えることが出来ない。 だが、極々稀に、世界をねじ伏せる程の強烈な自我を以て運命線を己に引き寄せる力を持った者がいる。 例えば、神楽春姫、君のように」 そう言って、女王は巫女を見つめた。 春姫自身は疑問にも思っていないが、 第三者の視点から今回のVHに於ける彼女の行動を俯瞰した場合、 運に恵まれたという一言ではとても済まないほどに、彼女の動きはあまりにも異常だった。 VHの研究施設が診療所にあるとドンピシャで当てた。 郷田剛一郎が盾になってくれたとはいえ、最強の特殊部隊員である大田原源一郎との遭遇を無傷で切り抜けた。 物部天国の呪いを受けて自分で心臓を貫きながら、聖剣を己の自我で従えて復活し、狂ったテロリストを返り討ちにした。 VH始まりの地である診療所地下3階に、研究員やエージェント、特殊部隊員といった面々よりも早く到着した。 研究所地下3階における厄災との死闘も潜り抜けた。 日野光が繰り返したループにおいても、春姫のみ正常感染者である回数が多かった。 「そして、私や日野珠に神楽春姫の運命が見えるのは、 この瞳に映る運命と、君が為そうとする未来が同じである時だけだ。 つまり、魔王の娘が言った通り。神楽春姫やそれと同質の力を持った者の影響で、 私の計画になんらかの綻びが出る可能性もゼロじゃない」 「春と同質って…… 運命を変えられるなんてのがまだ何人かいるのかよ」 「そうだな。例えば、先ほど隠山祈を下した山の王も、最期にその境地に至ったのだろう。 そうでもなければ、ただの動物でしかない彼が、厄災たる隠山祈に勝てる訳がない」 (……そういえばさっきアイツも、哉太達の中に女王の運命測定から逃れた奴がいるって言ってたな) 圭介は、先ほど魔王の娘の言葉を思い出していた。 なお、この場にいる者は誰も知らぬことではあるが、 かつて吉田無量大数から大田原源一郎に引き継がれた 『最強』の自負による神憑りも、或いはこれと同質のものだったのかもしれない。 「だから、神楽春姫。君のような力を持つ者には、私を信用してほしいんだ。 君達のような者が、私の意図からあまりにも離れた行動をしてしまった時、 私の視ている未来も変わってしまう恐れがある。 君もこれ以上の犠牲は出したくないはずだ。 是非とも協力してほしい。そう、ハッピーエンドを迎える為に」 そういって、女王は春姫に手を差し出した。 運命の選択の時だ。 女王の指し示すハッピーエンドを選ぶか。 それとも。 圭介と魔王の娘は、固唾をのんで見守っている。 女王が差し出した手を前に、春姫はしばしの沈黙ののち、口を開いた。 「……なるほど。話を聞く限り、そなたの計画は、妾らにとっても都合がいいようだ。 その計画に乗っても構わん、とは思う。 ――だが、条件がある」 「ふむ。条件とは?」 「その身体の主導権を日野のに返せ。そしてそなたは二度と外に出ず、妾らに今後一切の干渉をしないことを誓え」 「理由は」 「信用できん」 春姫は一刀両断に斬って捨てた。その態度に、女王は苦笑する。 「残念だ。ここまで長々と話したのは。 是が非でも私を信用してもらいたかったからなのだが」 春姫は厳しい表情を崩さない。 「……信用か。 運命など下らぬが、それを見ているのが日野のならば、信じても良いと思っていた。 日野の人となりは妾もよく知っておる。軽率で考え無しではあるが、最後には正しい選択をする娘だ。 だが、そなたのような者が表に出てくるのならば話は別だ。 ……それに、なにより、これだ」 春姫が、己の額を指さした。 「先ほどから何かが妾の自我に侵食してきておる。そなたを守れ、そなたに従えとな。 あまりに自然、あまりに穏やかで、不覚にも今まで妾も気づかなんだ。助かったぞ、駄剣」 聖剣が春姫に応えるように鳴動する。 女王はその様子を見て、ああこうなってしまったか、とでも言うように、長々と溜息を付いた 「まだよく分からねえとこもあるけど……」 今度は圭介が女王に向かって言う。 「確かに、春の言った通りだな。今すぐ珠の心と身体を返すんなら、俺も考えてやってもいい。 けど、それができねえってことは、やっぱ何か企んでるってことでいいのかい?」 形勢は変わった。女王は自分を睨みつける2人を、静かな瞳で見つめ返しながら呟く。 「……ウイルスは己の生存の為、女王に従おうと働く。 私の意志に関わらず、君達の脳内に巣くうウイルスは、本能的にそう動こうとするもの…… そんな言い訳をしたところで、もう君達は私の言うことなど聞かないだろうな」 女王の言葉が終わるのと、圭介と春姫が戦闘態勢に入ったのは同時だった。 「日野のを返せぬ理由は話せぬか。では、交渉は決裂か」 「受け入れていれば、幸せに終われたものを。 では、君たちはこれから私をどうするつもりかな?」 「決まってる。お前をとっ捕まえて、 天原って奴の力を借りて、珠の身体から出てってもらう。 研究所の連中には、このウイルスは問答無用で焼き殺せと言っておくよ」 「できるかな? と、言いたいところだが……」 女王は、改めて目の前にいる相手を眺めると 「相手は魔王の力を持つ少年に魔王の娘、聖剣の巫女に厄災ときたか。 そしてこちらの身体は特に力を持たない女の子のもの、と。 やれやれ、厳しいものだ」 そう言って、肩をすくめた。 「でも、できなくはない、ってな言い草だな、この野郎」 「さて、どうかな」 「ま、お前のことはどうでもいいや。珠は返してもらうぜ」 「………圭介。気を付けて。相手は女王だけじゃない」 魔王の娘が警告する。 いつの間に集まったのか。女王に呼ばれたのであろう百人近くのゾンビが、こちらを取り囲んでいた。 「さすがに相手が悪いのでな。こちらは数を使わせてもらうよ」 「やり方がセコいんだよ。今までの全部、コイツらが来るまでの時間稼ぎかよ」 「用意周到、と言ってもらおうか。君達が味方に付いてくれた方が、私としてはずっと楽だし好ましかった」 そう言いながら、女王はゾンビの兵士達に命令を下すように、右腕を上げた。 「女王に仇なす者たちだ。殺せ」 号令一下、ゾンビ達が圭介達に襲い掛かる。 その動きは今までの、理性を失い本能のままに彷徨っていた時のような、 ゆったりとしたものではなかった。 「……なんだ!? こいつら、今までと違う!?」 圭介は思わず叫んでいた。 正気の時とほぼ変わらない様子で走ってくる者もいる。 明らかにこちらの殺傷を目的に、石や鈍器を手にしている者もいる。 ゾンビ達は、明確にこちらを『敵』と認識し、行動していた。 「先頭の連中! 足を止めろ! そこを動くな!!」 これ程の人数に襲い掛かられたらまずい。 そう判断した圭介が『村人よ我に従え(ゾンビ・ザ・ヴィレッジキング)』の異能を使う。 今までの経験からして、20人くらいなら動きを止められるはずだった。だが。 「「「オォォォォォッ……!」」」 異能を受けたゾンビ達は、その影響で速度こそ落としたものの、 圭介の命令に抗うかのように、ゆっくりと前進を続けている。 「異能の利きが悪い!?」 「控えいっ!!!」 今度は春姫が異能『全ての始祖たる巫女(オリジン・メイデン)』を言霊に乗せ、ゾンビ達を一喝する。 ゾンビ達は一旦足を止めたものの、数秒後には再び進行を開始する。 舌打ちする春姫。魔王の娘は、それを見て何が起きているのか悟った。 「圭介。気を付けて。 多分、ウイルス達は、女王を殺せば自分達も死ぬって分かってるんだ。 だから、女王の敵である私達に全力で対抗する。 ゾンビ達に私達を敵と認識させて、襲い掛からせてる」 「……マジか。異能もあまり効かねえし、この数相手じゃやべえぞ」 そう言っている間にもゾンビ達は続々と向かってきている。 女王はこの包囲網の向うだ。 女王を倒し、珠を救う為には、このゾンビの肉壁を超えねばならない。 「圭介。魔王の力…… 魔力を使って」 「ま、魔力って…… 俺の中に在るコレか!? でも、どうすりゃいいんだよ!?」 「重要なのはイメージ。『自分が何をしたいか』に精神を集中して、力を開放するの。 魔王に自我を奪われたとき使ってたんだから、身体が覚えてるはず。大丈夫、細かい補助は私がする」 「集中っつても……」 ゾンビは既に目の前に迫っていた。このままではあと数秒で乱戦が始まってしまう。そんな時間は…… 「目を閉じろ、山折の!」 春姫の手にした聖剣が輝き、熱光が放たれた。周囲のゾンビ達の眼が焼かれ、視力を失う。 その一撃が、圭介が集中するために必要な時間を作り出した。 「妾に構うな! 行け!!」 「……済まねえ!!」 圭介は魔王の娘と共に、魔力で作り出した気流に乗り飛翔、一気にゾンビの群れを飛び越えていく。 その先には、10体ほどの護衛ゾンビを連れ、後退する女王の姿。 「逃がさねえぞ、この野郎!!」 「空まで飛ぶか。勘弁してくれ」 女王はH K MP5を手に取り、瞳に映る運命線に沿って引鉄を引いた。 その銃弾の軌道は、嫌みなまでに正確に圭介を捉えている。 「うっ…… 盾!!」 寸前で黒曜石の盾が現れ、銃弾を防いだ。 「魔王の力を得たはいいが、肉体は人間のままのようだな。 下手に突っ込んで撃ち落されたらまずいんじゃないか?」 「うるせえ、黙ってろ」 圭介は高速で飛行しながら、何とか女王の迎撃を潜り抜けようと試みるが、 運命の可視化を併用した女王の射撃は正確無比だ。 フェイントを掛けたり、あるいは盾を構えて強行突破を狙ってみても、 こちらの手はことごとく見透かされており、距離が詰まらない。 「ああくそ、セコい動きばかりしやがって!!」 「力は君達の方がずっと上だろう。ただの女の子の身体で魔王の相手をするこっちの身にもなってくれ」 「圭介、あんな挑発には――」 「大丈夫だ」 そう言われて、魔王の娘は気付いた。 頭に血が上っているかの口調だが、圭介の眼は冷静なままだった。 精神を落ち着けようと、深く、ゆっくりと呼吸をしていた。 軽口を叩き余裕を見せ、こちらを挑発しながら己のペースに引き込む。そういう相手との戦いを圭介は思い出していた。 成田三樹康との死闘。圧倒的戦力を有しながら、相手に徹頭徹尾手玉に取られ、日野光と浅葱碧を失うことになった、己の最も忌むべき記憶。 今の圭介に同じことを繰り返すつもりはない。そんなことをすればそれこそ2人に合わせる顔などない。 攻撃は苛烈に、されど頭は冷静に。そして珠を取り返す。圭介は相手の挑発に惑わされることなく、己が目的に集中していた。 「なるほどね。ちょっと、見直した」 「でも、正直どうすればいいのか思いつかねえ! 何か手はないのか!?」 大雑把な攻撃では下手をすると珠まで殺してしまう。 珠を出来るだけ傷つけず、女王だけを捉える。そんな繊細な魔力操作を行うにはそれなりの集中時間が必要だが、 隙を見せたとたん、女王はそんな時間など与えぬと言わんばかりに嫌らしく発砲してくる。 無論、大局を考えるなら珠ごと女王を殺すのがベストだと、圭介も分かってはいるが。 「あれは光の妹だぜ。そのまま殺してもいいとはお前も思ってねえだろ」 「…………そうね」 魔王の娘は少し思案したのちに答えた。 「あいつの運命を見る異能は、日野珠の本来の異能の進化形。つまり、あくまで目を使って見ている」 「……てことは、視界を防げばいいんだな」 「それと、あいつは多分、あなたと同じように魔力を使った経験は浅い。だから……」 そう言って、圭介に『あること』を伝える。 圭介はそれを聞いてにやりと笑った。 「……よし、じゃあこの手で行くか」 そう言うと、圭介は両腕に魔力を込めた。 イメージに従い、両腕から強力な風が発し始める。圭介はその身に旋風を纏った。 「……何か考えたな」 それと見た女王は牽制に数発発砲したが、 圭介が纏う魔力の風によって弾道が逸らされ、圭介本人には当たらない。 「さて、何を仕掛けてくるつもりか」 「――――行けえっ!!!」 圭介は気合一閃、溜め込んだ風の力を思い切り地面に向けて放ち、巨大な上昇気流を発生させた。 だが、人間を吹き飛ばすほどの勢いではない。つまり、攻撃が目的ではない。 「……なるほど。私の目を潰そうというのか」 女王は圭介の狙いに気付いた。この風によって地面の砂が巻き上げられたことにより、 周囲一帯が砂塵で包まれた。上下左右どの方向もまともに前が見えない。 「兵士達よ、私を守れ」 女王は指示を出し、己の周囲をゾンビで固めた。 視界が塞がれ、運命の可視化に頼ることは出来なくなった。 では、圭介達はここからどう動いてくるか。 この状況では圭介達からもこちらは見えないはず。 まさか本気で周りのゾンビごと自分を焼き尽くすとでもいうのか。 万が一にでも攻撃を受けることを警戒し、女王とその一団は砂煙の中をゆっくりと後退していく。 その時だった。 「私が貴女を感知できるとは、予想できなかったみたいね」 「何……?」 幼神の声が耳元で響いた。 気付いた時にはもう遅い。 突如足元に出現した黒蛇が、女王に躍りかかった。 風が吹き、砂塵が晴れ、戦場の姿が再び露になった時、 女王は、黒蛇の姿に変じた幼神によって、その身をぎりぎりと締め上げられていた。 圭介達の作戦はこうだ。 魔力で砂嵐を発生させ、女王の視界を塞ぐ。 その間に身体を変化させた幼神が、女王の黄金瞳から発せられている魔力を感知しつつ、密かに接近し、女王を拘束する。 幼神の予想通り、女王ウイルスはその黄金瞳が象徴するように魔法の力を秘めた存在だが、 直接魔力を行使したのは、前回のループで日野光を殺害する際に聖剣を使用した程度であり、 絶対的に理解と経験が足りなかった。 幼神ほどの魔力の使い手ならば、視界を塞がれた状態でも女王の位置を探知できる、とまでは予想できなかった。 今の幼神は圭介の魔力コントロールにリソースを割いているため、戦う為の力はわずかしかない。 だが、物理的干渉が出来る以上、少女一人を気絶させるくらいは充分に可能であった。 「ぐ、ぬ……」 女王は力任せに幼神を引きはがそうとするが、日野珠の腕力は非力すぎた。まるで歯が立たない。 護衛のゾンビに救援を指示しようとしたが、そうはさせじと圭介が突風を放ち、ゾンビ達を吹き飛ばした。 日野珠の力が抜けていくのが、傍から見ていても分かる。顔色が徐々に白くなり、四肢が痙攣し始めた。 「よし! そのまま気絶させろ!!」 圭介は勝利を確信して叫んだ。 「さようなら、女王様。手に入らないハッピーエンドを夢見たまま、逝きなさい」 幼神は、息も絶え絶えな哀れな女王に無感情な眼差しを向けたまま、その意識を刈り取ろうとしていた。 幼神から見れば、女王もあの魔王と大差なかった。 運命を可視化したことで世界を想うがまま動かせると思い上がった道化者。 人間に寄生しなければ増えることもできない、魂すら持たない下等な生命。 「……幼、神よ……」 「ん?」 女王は、締め付けられている気道に、残った僅かな力を込めて隙間を開け、かろうじて声を絞り出している。 「私は、ただの、ウイルスだ…… 君のような、存在、に、比べれば…… あまりにも脆弱で、下等な、存在だ……」 「…………それで?」 「君に、手が届かないのは、当然だ…… 神殺しの、手段など…… まるで、検討も、つかない……」 「今更、負け惜しみなんかっ…………!?」 ここに及んで、幼神は気付いた。 女王は笑っていた。 全身の筋肉は痙攣し、顔色は能面のように白く、口角からは泡が吹き出し、意識を保っていられるのもせめてあと数秒といった状態で。 それでも女王は笑っていた。 「だから、さ……。 私に、自分を殺せはしないと、高を括って、いたん、だろう……?」 「どういう、意味……?」 幼神は分からない。だが、恐ろしい予感が己の魂をよぎった。 女王はなお、笑っていた。 黄金瞳を不気味に光らせながら。日野光を殺したときとそっくりな、醜悪な表情を浮かべて。 直後、黄金の瞳を、幼神の魂を貫くが如く、細く、鋭く輝せながら、女王はこう言った。 「――――だから死ぬのだよ、お前はここで」 「なんだ!? どうしたんだ、おい!」 圭介は困惑の叫び声を上げていた。 女王を締め上げていたはずの黒蛇が、突如力を失い、女王の身体からずり落ちた。 そのまま人形に戻った影法師の少女は、立ち上がることもできず、地面に突っ伏し、全身を痙攣させている。 幼神は、己の身体に何が起きたか気付いた。 何かの異物が、実体化した己の身体の中に入り込んでいた。 それが、己の記憶を少しずつ消滅させていくとともに、 それとは別の何かが自分の自我を食い荒らしている。 「じょぉ、う…… なに、を…………」 「実体を持ったのは失敗だったな」 女王は手にしていたものは、黒い粉末だった。 研究所地下3階、感染実験室で日野珠が見つけた、魔法鉱物。 短期記憶を消去する効果を持つとともに、吸引した者にゾンビ化の再抽選を行う副次的効果がある。 女王/日野光はかつて、とあるループである存在と遭遇していた。 その名は『八重垣』。『八尺様』という怪異が『正常感染者』となった存在。 そう、HE-028ウイルスは、怪異にすら感染するのだ。 魔王の娘は山折圭介、隠山祈は一色洋子という正常感染者の肉体を媒体にしてこの世に具現していた為、 今まではウイルスの影響を免れてきた。 だが、これから魔王の娘に行われるのは、短期記憶が消去され、その影響がリセットされることによって生じる、 ゾンビ化の再抽選だ。 「……ぅ………ぁぁ…………」 魔王の娘の、至近の記憶が消えていく。ウイルス抗体が一時的に無効化される。 「絶望するにはまだ早いんじゃないか、幼き神よ。10%の当たり籤を引けば君の勝ちだ。 君という存在に対し私が打てる手は、正真正銘これしかないのだから」 「……ァ、ァ…………」 運命の籤が無慈悲に引かれる。 天運は幼神に微笑まなかった。 幼神の自我が、ウイルスに貪り食われていく。 魔王と女神の娘との間に生まれた、人知の及ばぬ祟り神が、哀れなゾンビに身を堕とされていく。 女王が、ゾンビと化した幼神に命じた。 「幼神よ。お前とその父の力を女王に捧げよ」 圭介は、己の身体から力が抜けていくのを感じた。 魔王の娘の力により、圭介の肉体に紐付けされていた魔王の力と願望器が、 女王の身体に移行されているのだ。 抵抗する術も無く、圭介の肉体から魔力が消滅する。 それを確認した女王が、幼神に最期の命令を下した。 「女王の名に於いて命ずる。魔王の娘よ、消滅せよ」 「っ、待て―――」 圭介が静止しようとしたが、全ては遅い。 今の女王に幼神を殺す術は無い。 だが、ゾンビ化させることで精神に干渉することはできた。 己の意志による自己否定、自我消滅からは、例え神とて逃れることは出来ない。 幼神という存在は、この世界から消え去る。 そして。 「魔王とその娘の力、そして願望器。確かに頂いた」 女王の勝利宣言が、夜の空に低く響いた。 「嘘、だろ……」 圭介は、目の前で起こったことが受け入れられず、呆然としていた。 またしても、何もできなかった。 魔王の力に奢ることなく、慎重に戦ったつもりだった。 だが、この結果がこれだ。 やはり、女王に逆らった自分達が愚かだったのだろうか。 これが、ハッピーエンドに逆らった報いなのだろうか。 女王は、魔王の娘と、魔王の力を失い、ただの一感染者に戻った圭介に向けて、 黙って人差し指を向けた。 それを合図に、数十体のゾンビが津波の様に圭介に向って押し寄せた。 「う、うわ、うわあああああああああああっ!!!!」 山折圭介は成す術もなく、悲鳴と共に、無数のゾンビの群れの中に呑まれていった。 ■ NEXT→Z(終わり)を目指して
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妖精女王とは、魔族の八大氏族の一つ妖精族を治める女王である。 魔狼族と黒狼族に捕われ黒狼砦の塔の上に幽閉されていたが、2年目初夏に黒騎士(勇者)によって救出された。 そのようなこともあり「ただのお飾り、柔弱で無能な王」という魔王への認識を改め、クリルタイで魔王支持派に回った。 初出 1-4 1スレ601レス 2009/09/05(土) 15 34 49.61 妖精女王「何事ですっ」 関係者 羽妖精 侍女 黒騎士 勇者 ○敵対者 魔狼将軍 魔狼元帥 ○面識のある人物 女魔法使い 人物 女性 妖精族の人物 魔族の人物
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吸血女王 種族:不死者 登場作品:珊海王の円環、封緘のグラセスタ 解説 雑感・考察 初登場時は吸血鬼系なので不死者だったが、封緘では何故か悪魔族に分類されている。 珊海のクラスチェンジではヴァンパイア、ハイヴァンパイア、吸血女王の順番に進化する系統最上位種。 名前
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女王アリ 出典 マーヴェラス〜もうひとつの宝島〜(SFC) 概要 突進攻撃が主、時折岩が降ってくる。岩はしばらくステージに残っているが、女王アリに破壊されると砕け散る。そばにいるとダメージ。
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ホープ女王 ○ホープ女王(真):嘉納絹の前世。トリース国の元首。フィリアにより殺害。転生を繰り返し、嘉納絹に宿る。ホムンクルスの技術を使い新たな肉体を得ることで完全復活を狙っている。(king and general時点) ○ホープ女王(偽):king and generalで飛ばされた平行世界のホープ女王。フィリアにより殺害されたが蘇生。フィリアと婚約しウィッシュ王子をもうける。 登場話 king and general
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【TOP】【←prev】【GAME BOY】【next→】 麻雀女王 タイトル 麻雀女王 機種 ゲームボーイカラー対応 型番 DMG-A56J ジャンル テーブルゲーム(麻雀) 発売元 童 発売日 2000-4-28 価格 3980円(税別) 駿河屋で購入 ゲームボーイ
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女王バジュラ バジュラの司令塔として、全バジュラと意思疎通し行動を統制することができる。 プロトカルチャー以前から存在した超時空生物。 機体特徴 ゲーム上での表記は女王バジュラ(QUEEN-BAJURA)となっているが、アニメで登場した際の呼び方はバジュラ女王(BAJURA-QUEEN)だった。 実はゲームのこいつは女王バジュラではなく準女王バジュラ。
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女王プリンセス このカードが相手のカードの効果によってフィールドを離れた時、自分の手札からこのカードよりもレベルの低いモンスター1体を特殊召喚することができる。 相手のカードの効果によってフィールドを離れた時に、手札から自身よりもレベルの低いモンスターを特殊召喚する効果を持つモンスター群。 この効果は、「出産効果」と略される。 レベル8のモンスターには「女王」という名前がついており、高いスペックと効果を持つ。 しかし、墓地からの特殊召喚ができないため、最上級モンスターながら手札交換カードとの相性が悪い。 レベル7のモンスターには「プリンセス」という名前がついており、アドバンス召喚成功時に発動する効果を持つ。 「女王」の出産効果によって特殊召喚できるのは強みだが、アドバンス召喚ではないので効果が発動できなくなる。 出産効果を最大限に活かそうとすると、重量級のモンスターが多くなるためデッキ構築が難しい。 →【女王プリンセス】?? 関連カード 《女王シグナス》 《女王ハマーン》 《女王華琳》 《プリンセス・アシュリー》 《プリンセス・デイジー》 《プリンセス・ピーチ》
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ITLE [女王]モリガン [女王]モリガン #ref error :ご指定のページがありません。ページ名を確認して再度指定してください。 飛行 [女王]モリガン 初期値 攻 5000 防 7000 愛情MAX 攻 ? 防 ? 必要P 18 成長MAX 6000 スキル1 「女王の才覚」 効果 一定ターン、敵の攻撃を回避する確率がより高くなる んー?キミもアタシの力を欲してるようね attachrefそんな顔したってだーめッ attachrefそーだなぁ…貢物でアタシを満足させてくれたら考えてもいーよキミは何をくれるのかなぁ? attachref 作っておいたので、情報の記載をお願いします。 -- 名前 コメント
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へドリアン女王 種類:Sユニット カテゴリ:ダークアライアンス BP:6000 SP:なし 必要パワー:4 追加条件:なし CN:なし 特徴:女王/ベーダー一族/女 テキスト: ※これは敵軍ターン中、SP1以上のユニットとバトルしたときバトルに勝っても撃破される。 【宇宙で一番美しいのは誰?】これが自軍ラッシュエリアにある間、相手は次の制限を受ける⇒自分自身のターンを終えるとき、特徴「女」を持つ自分自身のユニットを1体選び撃破する。 フレーバーテキスト 宇宙一の美女が二人?つまり私が二人居るっていうのかい?…どういうことだい、そりゃ。 イラストレーター:タケダサナ レアリティ:スーパーレア 作品:電子戦隊デンジマン 収録:紅き六戦士の帰還 自販:パック 再録:クロスギャザー ザ・ベストパートナー アニバーサリーセット(スーパー戦隊シリーズ35作品記念デッキ) Q A Q1 自軍ラッシュエリアに「RS-360 へドリアン女王」が2体ある場合、相手がターンを終えるときに撃破する特徴「女」を持つユニットは2体になりますか? A1 はい、2体になります。 カード評価 有名なへドリアン女王が遂にカード化。フレーバーテキストによると、オリジナルのへドリアン女王と2ndのへドリアン女王は別の存在であるらしい。 女性ユニットの中では6000と最高クラスのBPの持ち主。ダブルスナイパーで最大の効果を得るためにはこのヘドリアン女王が最適となる。 冥獣人ニンジャキリカゲの弱点である女性ユニットを減らせる。 公式HPのカードリストでは追加条件が「Sユニットを5体捨札にする」と間違われている。 関連カード ヘドリアン女王(2nd) 特徴「女」関連 コメント ヘルサターンデッキにマジエル対策で入れてもいいですね。 -- 名無しさん (2010-04-22 20 46 24) ↑ヘルサターンでSP1になるし、対策とか関係なく普通に入るよ。 -- 名無しさん (2011-05-29 19 15 49) 名前 コメント