約 115,885 件
https://w.atwiki.jp/83452/pages/10200.html
梓「んっ……んー……」 唯「焦らなくてもいいよ。私は、あずにゃんが裸でしゃがんでる格好を見てるだけで、いつまでも待てそうだから」 梓「そ、そおゆうわけは、いきませっ……んんっ……」 おしっこが溜まっている感覚はないけど、丸っきり空っぽでもないハズ。 だから、少し……ほんの少しでいいから、出てくれれば。 梓「ん、あ……で、出そう……」 唯「んく……」 梓「ふぁ……あ、あああ、唯先輩っ……ちょっとだけ、出るぅ……出ますっ……!」 ちょろっ……と、ほんの少量だけど、ようやくおしっこが漏れた。 唯先輩は、私の股間からぽたぽた垂れる黄色い雫を、食い入るように見つめている。 これで、やっと……お相子にしてもらえる、かな。 梓「はあぁ、あぁ……唯先輩ぃ、こんなに顔近づけて見るなんて、ズルいですよぉ」 結構、『見られた!』っていうショックが大きいですね、コレ。 唯先輩も、さっき、こんなショックを受けた、のかな。 唯「んふう……いやぁ、確かに見せてもらったよ、あずにゃんのお漏らし。おしっこ以外も漏れてるみたいだけどね?」 唯先輩はシャワーを片手に、ふらふらともうしゃがんでいられない私の身体を抱き留めた。 そして、おしっこを流してくれるのかと思っていたら……私の股間に、アソコに、指で触れる。 梓「にゃあ!?」 唯「ぺろっ……ん、ふむ」 梓「なっ、ななな何が『ふむ』なんですかぁ!?」 唯先輩の前で、本当におしっこをしてしまった。 そしてあろうことか、唯先輩がその雫をすくって、味見なんかしちゃってくれた。 私も疑わしい真似をしたけど、唯先輩の方は、完全にクロの変態さんなんじゃ? 唯「まーまー、今から綺麗にしてあげるよ。はいあずにゃーん、お股開いてくだちゃいね~?」 私の背後に回った唯先輩は、小さな子におしっこをさせるような格好で私の両脚を開かせた。 恥ずかしくて閉じようとしたけど、頭は混乱してるし、唯先輩は洗ってくれるっていうし、何が何だかわからない。 唯「シャワーかけるよ~」 梓「は、はひ……」 ぬるめのシャワーが下腹部に当てられ、恥ずかしさの名残りが排水口に流れ込んでゆく。 私の股間を大量の透明なお湯が伝い、きっと味も匂いもわからなくなるくらいに薄めてくれる。 梓「……も、もお今みたいなの、絶対に嫌ですよ、唯先輩……」 唯「でも……私の為に頑張ってくれたんだね、あずにゃん。とっても嬉しいよ」 お湯を止めて、シャワーヘッドをかける。 そして唯先輩は、まだ腰が抜けている私の背中に胸をぴったりと押し当てた。 唯「これで私とあずにゃんは、変態さん同士だねっ」 梓「圧倒的に唯先輩の方が変態レベル高いみたいですけどね」 唯「それでいいよ。あずにゃんが暗い顔で落ち込まないでくれるんだったら、いくら変態って呼ばれても、私は平気だもん」 梓「頭の中が混乱してて、いい話っぽく思えるけど、きっと違いますよね」 唯「うん」 梓「でも……唯先輩が怒ってて、冷たく受け答えされるよりは……何倍も、マシです」 ぎゅう、と抱っこされたまま、湯船の方に引きずられる。 変態云々のなすり合いはこれでお終いにして、仲よくあったまろう……ってことだろうか。 唯「そ、その凍えて荒んだ君の心を、おねいさんの胸で溶かしてあげるよ~」 梓「……のぼせない程度にお願いします」 今泣いたカラスが……じゃないけど、冗談めいた唯先輩の言葉は、気分の切り替えに持ってこいだった。 だから、ふたりで湯船に入ってすぐに私は振り向き、唯先輩の首へ両腕を絡ませた。 唯「ひゃっ、くすぐったいよぉ、あずにゃん……んっ! ふぅ、ふぁぁ……」 貴女の気持ちを再確認させてください。自分が嫌われてないんだって、安心させてください。 唯先輩の耳たぶの傍に唇を這わせると、お風呂の中なのに、寒気が走ったようにぞくんと震える。 梓「んっ……ちゅうっ、ちゅっ、ちゅ……」 唯「やん、あっ、そこ、ぅんっ……駄目だよぉ、あずにゃん。そこ、キスマーク付けたら、目立ちすぎるぅ……♪」 梓「ちゅ……まだ付けませんよ、まだ……んふ、ふむ、ちゅ、ちゅく……脚とか、今はキス出来ませんし……」 唯「そんなぁ、あずにゃぁん、んくっ、んん……ふあぁ……付けてくれるって、約束したのにぃ」 バスタブが狭くて動きづらいし、湯面から出てる肩の辺りまでしか跡を残せない。 だから、唯先輩のほっぺを何度も優しくついばんだりして。 さっきまでとても寂しかった分もまとめて、思いっきり甘え倒してやるんです。 梓「んちゅぅ~……ん、んふ……ちゅっ、ちゅぅ……あったまって、いっぺん上がってから、沢山してあげます」 滑らかな肌に頬ずり、鎖骨のくぼみをちろちろ舐めながら、おっぱいを両手で下から支えるように掴む。 むむむむ、やはりひと筋縄ではいかなさそうなこの手触り。ふよふよぷよんとした、堪らない感触が羨ましすぎです。 唯「んっ……あ、あは、あずにゃん。おっぱい見る目、すっごくやらしいよぉ?」 梓「やらしいのはお互い様です。こんなエッチなおっぱい、こうしちゃいます、こうしてやるですっ」 両手で、指と指の間に、もう固くなってる乳首を挟み込んでぎゅっと絞る。 唯「ひうっ!?」 唯先輩の喉から小さな悲鳴が漏れたけど、明らかに痛みとは違っていた。 だから指の力はそのまま、左右の膨らみを好きなように揉みしだく。 唯「んんんっ……! んぁぁ、あぅ、やぅ、強いっ、あずにゃんっ、あんまし強く揉んじゃ駄目だよぉ」 梓「痛くはないんですね。それどころか、気持ちよさそうに見えますけど?」 唯「ふあぁ、あぅぅ……い、痛くないけど、私、優しくされる方がいいよぉっ」 梓「これは意地悪な態度を取られたお返しです。止めて欲しかったら膝立ちになってください」 おっぱいに指を食い込ませつつ、きゅっと引っ張るような仕草をしてみる。 すると唯先輩は、多分快感のせいで震えている身体を起こし、バスタブに掴まりながら胸を突き出してきた。 唯「んっ……ふうう、ふぁ……あずにゃぁん、こ、こうすれば、いいの……?」 梓「まだ、そのままですよ……んふ、あむ……ちゅうううっ、くぷ……んむっ」 指の間でぷっくり充血してる乳首に吸い付く。 けど、お湯のせいで唇が滑って上手く吸えない。 唯「ふゎ、あっ、あ、んぅっ、お口、こそばい……っはうぅ、あぁ、あんっ」 梓「ちゅぷ、くぷ……ちゅむ、ちゅちゅっ……はふ……次は、こっち向いて、縁に腰かけてください」 唯「う、ん……わかったよ、あずにゃん……」 先に湯船から上がって、洗い場の方に唯先輩の意識を誘導する。 これで大丈夫、かな。 梓「……お返しはもう終わりです。今から、約束した分……ま、マーキング、始めるです……ちゅっ、ちゅうううっ、ちゅく」 唯「ふぁ……うん! してしてっ、あずにゃぁん♪」 手を放すと、私に覆い被さるように抱き着いてくる唯先輩。 タオルでぐるぐるきゅ~にまとめておいた髪がほどけて落ちちゃったけど、おっぱいへ顔を押し付けられて、どきっとしてしまう。 梓「んくっ……唯、せんぱぁい……沢山、たっくさんします、からね……?」 お風呂と興奮のせいで火照った胸に、私の指の形が少しだけ濃く浮いてる。 それ程強くしたつもりはなかったんだけど、唯先輩の綺麗な肌に、こんな跡を残しちゃうなんて……自己嫌悪。 せめてキスマークは可愛く出来ますように、ってお祈りしながら、優しく唇を付ける。 梓「んちゅっ、ちゅちゅ、ちゅぅぅぅ……んむっ、ちゅうううっ、ふ、ふう……」 唯「あっ、あ、はぁぅ……ぅうんっ、んっ、やっぱし、あずにゃんのキスは、とっても気持ちいーねぇ♪」 一個目、出来上がり。 だけど、唯先輩のやらしいお誉めの言葉に照れちゃって、恥ずかしくて、顔を上げられない。 だから、胸元に頬ずりをしながら、もう片っぽのおっぱいに狙いを定める。 梓「はぷ……んむむ、れちゅ……あむっ、あむあむ……」 唯「そ、そやって、おっぱいはむはむされるのも、気持ちい、い、よぉ……んぁっ、ぁは、はぅんっ」 梓「ちゅううううっ、んむ、ちゅぷ……ちゅ、ちゅうううっ、ちゅっ……ぷあ」 二個目……と三個目が、重なっちゃった。 沢山するって言ったのに、のっけから失敗作だなんて。 梓「す、すみません、唯先輩……キスマーク、失敗しました……」 唯「んーん。ぴったりくっついてて、私とあずにゃんみたいなキスマークだね」 ……う。 確かに、そういう考え方をすれば、これはこれでいいかもですね。 唯「つっ、次は……どこにキスしてくれるのかな? もっとおっぱい? それとも脚? それとも……」 梓「……首筋は、最後の最後ですよ」 唯「やぁん、早くあずにゃんとお揃いになりたいのに~」 私も唯先輩とお揃いになりたいです、してあげたいです。 でも。 先にお揃いにする場所が、まだまだ沢山ありますよね? 梓「最後のキスマークは……唯先輩に、鏡で付ける場所を教えてもらいながら、しましょうか」 唯「や、やっぱり最後なんだ……ってゆうか、そ、それって……んくっ」 梓「はい。唯先輩が、自分がどれだけエッチぃ顔をしてるか確かめて、恥ずかしがってる真っ最中にキスしたくなりました」 唯「あっ、あは……それだと、あずにゃんのエッチな顔も、一緒に確かめることになっちゃうよ?」 梓「……恋人のしるし、間違って反対側までズレちゃったら、唯先輩は嫌ですよね」 唯「はぅ……うん、そっ、そおだね……」 ぞくりと、何もしていないのに、唯先輩が身体を小さく震わせた。 湯冷めとかじゃない。何だか、下半身の奥から伝わってきたような感じ。 唯「んんんっ! んぁ……はふ、ふぁぅ……じゃあ、あずにゃぁん、つ、次ぃ……どこにしてくれるの、かな?」 梓「次々と、です。主におっぱいの周りを重点的に」 唯「そっか、うん、私のおっぱい、かぁいいキスマークだらけにされちゃうんだぁ……♪」 ピンポイント爆撃すると宣言したのに、唯先輩は嬉しそう。 私はその期待に添えるように、甘噛みを折り混ぜながら、憧れの膨らみを何度も吸い立てる。 梓「んぁむ、はぷっ、んちゅうううっ……んむぁむ、ちゅううっ、くむっ、んう……ちゅ、ちゅっ、ぴちゅ」 唯「んっ、あぁ、ああっ、あ、ふあ! っうぁん、だ、めぇ、ぁあんっ! ひゃ、あああぅ、あっ、ひゃぁあああんっ!」 梓「ちゅぷぅ、んっ、くちゅぷ、ちゅうううううううっ、ちゅる……れるれっ、ん、んぁ……あぷ、あむっ」 いくら噛んでも吸っても絶対になくならない素敵なお菓子。 直接舌で感じる味はなくても、舐めた感触や唯先輩のあえぎ声、反応が、私の理性を甘くとろけさせてくれる。 ついさっきまでは、あんなに不幸だと思ってたのに。 今は、きっと世界で一番の幸せ者だよ、私。 唯「ふああぁ、あっ、やめ、乳首っ……そこは、キスマーク、付けちゃ駄目だよぉっ!」 梓「くぷ、んぷ、ちゅるっ……どうして、駄目なんですか?」 唯「ん、くっ……え、えとね……その……」 色が濃くなっちゃうよ……なんて、私が考えるような理由じゃないハズ。 唯先輩は、色がどうとか気にしない人だから。 ただ単に気持ちよくて、思わず意味もなく深く考えずに『駄目』って言っちゃって、私を傷付けたのかも……なんて、思ってるハズ。 唯「あぁ……ふ、うぅんっ……気持ちいぃ、から、だよ。あずにゃんの唇で、すっごく感じちゃうから」 ……やっぱり。 エッチの時だけじゃなくって、普段も気付いてもらいたいです。 私ってば、唯先輩のほんの些細な言動でものすごく落ち込むような、面倒臭い女の子なんですから。 梓「気持ちいいんなら、もっと吸ってあげます。んぁ……れるっ、ぴちゅる、れろれりゅっ」 唯「な、舐めっ……んきゅうううっ!? ひゃあんっ、ひゃら、や、ああっ、あ、ふぁあああんっ!」 梓「んふ……んむっ、ちゅるるっ、はむぅ……んっ、んくっ、んんんっ……ちゅぷ、は、はあっ」 唯先輩の敏感な反応が、楽しい。 私の稚拙な責めで感じてくれて、嬉しい。 私自身……は、敏感かどうかわからないけど、感じさせてもらった分を、精一杯伝えてるつもり。 唯先輩が私を責めてる時も、こんな気分を味わってくれてるといいんだけど。 唯「ふぁぁ……あ、あずにゃぁん、おっぱいは、もういぃ……よくないけど、他のとこも、吸って欲しいよぉ」 梓「ひのふのみ……はい。とりあえずこのくらいにしとかないと、他の場所と釣り合いが取れないですもんね」 口を離して見てみると、まだらに出来たいくつもの紅い斑点。 釣り合いの取れたキスマークってどんなんだろう、と思いつつ、最初よりいやらしくなった唯先輩のおっぱいに、も一度だけ、ちゅっ。 唯「んんんぅっ! ……は、はふ……」 息の乱れた唯先輩を見上げて、にこっと微笑む。 まだまだ続けますよ、って。 梓「んちゅ、ちゅ、ちゅうううっ、ちゅぷ……ちゅっ、ちゅちゅ」 唯「はぅんっ、んっ、あぅ……お、お腹ぁ、ご飯一杯食べたから、膨らんでて、恥ずかしいのにっ」 ええ、私より多く食べてましたけど。 全然膨らんでるように見えないのは、何かの嫌味ですか。 そのくせ鳩尾も、脇腹も、おへそも……触れるとこんなに、ぽよぽよぷにぷに素敵な感触。 なのに、一体どこが膨らんでると言うんですか。 梓「かぷっ」 唯「やんっ」 梓「んむ、まう、あむ……ちゅうっ、んちゅ……ちゅううううう、ちゅぷっ」 ええい、私の無駄な脂肪、移れー。 唯先輩の体型が崩れない程度にでいいから、移ってー。 唯「んぅ、あ、あずにゃん。私のお腹のお肉なんか食べたら、あずにゃんが太っちゃうよぉ」 梓「はむっ!?」 ……念じるなら、唯先輩の胸に吸い付いてる時にするんだった。 ああもう、考えてることを読まれたみたいで、ちょっと悔しい。 梓「んちゅうううっ、ちゅ、ちゅぅ……んっ、ちゅううう、んんっ……ちゅぅ」 おへその両脇に、キスマークを等間隔にひとつずつ。 もし間隔が広がってたら、太った証拠。逆に縮まってたら……この人は本当にそういう体質なんだ、って納得するしかない。 唯「あふ……んぁ、ふうぅ……あ、あっ、おへそ、こそばいよぉ、ん、んく……ふ、ふぁぁぁ……」 おへそを唯先輩に意識させるように指先でくすぐりながら、次の目標……ぴったり閉じられた膝に、視線を向ける。 13
https://w.atwiki.jp/yuiazu/pages/566.html
「ふわぁぁぁ……」 「エヘ……あずにゃん、大きなあくびだねっ」 「じ、じろじろ見ないで下さい!」 夏休みのある日の午後。あの演芸大会の練習をした川べりで。 久しぶりに唯先輩と一緒にギターの練習をしていた私は、 寝不足から大きなあくびをしてしまった。 昨夜遅くまでテレビを見てしまったのが寝不足の原因で…… 「ふわぁぁぁ……」 「あ、またあくびだぁ♪」 「うぅ……み、見ないで下さい……っ」 堪えきれずあくびをしてしまう恥ずかしさに、頬が熱くなってしまった。 大して面白くもない恋愛ドラマだったのだから、 さっさと消して寝てしまえばよかったのに……と、今更ながら後悔する。 「あずにゃん眠たそうだし、ちょっと休憩しよっか」 「だ、大丈夫です! 練習してれば目、覚めま……ふわぁぁぁ……」 「ほらぁ、無理しないの。あずにゃん、休憩も大事だよ?」 「もうっ……そうやってすぐ休もうとするんですから……」 そう言いながらも眠気には逆らえず…… 私はギターを一旦ケースに入れて地面に置き、 それから唯先輩と並んで川べりにすわった。 ペットボトルのスポーツ飲料を一口飲むけれど、 生ぬるい液体は眠気をはらう役には立ってくれなかった。 ペットボトル片手に、あくびを堪えようと頑張っていると、 「エヘヘ……あ~ずにゃん♪」 隣に座った唯先輩に名前を呼ばれ、私は顔を先輩の方に向けた。 見ると、唯先輩はいつになくきちんとした姿勢で土手の階段に腰を下ろし、 そして両膝をぽんぽんと手で叩いていた。 顔には満面の笑み。私を見ながら「エヘヘ」と声に出して笑って、 「……遠慮します」 その意を悟った私は、視線を川に戻してそう言った。 「え~、なんでぇ……?」 「なんでもなにも……誰が通るかわからないのに、 そんな恥ずかしいことできるわけないじゃないですか」 「ぶー」 「口尖らせてもダメですっ」 未練がましく両膝を叩く音が聞こえてきたけど、 私は努めてその音を無視しようとした。 私に膝枕をしたがっている唯先輩。 正直、今の私にとってそれは魅力的なお誘いだったけれど…… いくらなんでもそんな恥ずかしいことができるわけがなかった。 でも、唯先輩の側で、私のそんな抵抗が成功するわけもなく…… 「えい!」 「にゃっ!」 突然唯先輩に体を引っ張られ…… 次の瞬間、私の頭は唯先輩の太ももの上にあった。 「ゆ、唯先輩!」 「まぁまぁ、あずにゃん。おねむなんだから、素直になりんさい」 「で、でも……」 「それに、無理して起きてるより、 ちょっと寝ちゃってから練習した方が、ずっと集中できるよ?」 「それは、そうですけど……」 唯先輩の言葉に、口ではなんとか抵抗を続けようとするけれど…… でも体のほうは、もう完全に屈してしまっていた。 柔らかい太ももの感触が頬に心地いい。 伝わってくるほどよい温もりが、 川から吹く風に冷えた体を少しだけ温めてくれる。 春先のお布団を思い出させる膝枕に、 堪える余裕もなくあくびをしてしまい、 「お休み、あずにゃん……」 その優しい声と、そっと私の頭を撫でる手が、 私を眠りの中に落としていった……。 「ん……」 目を開けると、日の光で輝く川面が見えた。 夏の太陽は高く明るいままで、 どれぐらい自分が寝てしまっていたのか、まるでわからなかった。 「あ、起きたの、あずにゃん?」 「え……はい……」 「もっと寝ててもいいんだよ?」 「いえ……もう大丈夫です……」 そう言って身を起こそうとするけれど…… 唯先輩に頭をまた撫でられて…… 途端、起きようとする意思はなくなってしまった。 薄く目蓋を開けて、川面を見つめたまま…… 少し寝惚けた声音で、私は言葉を紡いだ。 「……すみません、なんか、私ばっかり……」 「謝らなくていいよぉ、私が膝枕をしたかったんだもん」 「……足、大丈夫ですか……」 「うん、大丈夫だよ」 「……退屈じゃ、ないですか……」 「大丈夫だよ……あずにゃんの寝顔、かわいいもん……」 「……鼻にピーナッツ……」 「え? あっ……エヘ、そうだね、入れたいぐらいかわいいよ♪」 「……入れないで下さいよ……」 喋っている間も、唯先輩の手の動きは止まらなかった。 ゆっくりと、優しく、私の頭を撫で続けてくれる。 「ん……」 「わっ……」 気がつくと、私は頬を唯先輩の太ももにこすりつけてしまっていた。 まるで猫が人に甘えるときのような仕種。 そんなことをしてしまったのは、きっと…… 「エヘヘ……あずにゃん、甘えん坊さんになっちゃってるね……」 「きっと……寝惚けてるんです……」 「そっか、寝惚けてるんだね……」 「はい……寝惚けてるんです……」 ……寝惚けて、 昨夜見た恋愛ドラマと現実がごっちゃになってしまっているのだろう。 そうでなければ、こんな甘えた仕種を、 私が唯先輩に対してできるわけがなかった。 「じゃ、仕方ないね……」 「はい……仕方ないんです……」 言って、また頬を唯先輩の肌に擦り付ける。 唯先輩はくすぐったそうに笑いながら、頭を撫で続けてくれた。 「ふわぁ……」 小さなあくびが口から漏れる。 半開きになった口が閉じるのにあわせるように、 目蓋がまたゆっくりと落ち始めた。 そんな私の気配を察したのか、 「お休み、あずにゃん……」 唯先輩が、小さな声でそう呟いた。 二度目のお休みの言葉に、 やっぱり私は抵抗なんてできなくて…… 唯先輩の膝の上で、猫のように丸くなって、 また私は眠りの中に落ちていった……。 END 鼻にピーナッツとかトンちゃんかwww -- (名無しさん) 2012-09-03 01 30 03 名前 感想/コメント: すべてのコメントを見る
https://w.atwiki.jp/83452/pages/11933.html
―――――――――――――――― 梓「ひゃうっ!?」 梓「あ……すご……ちょっとあてただけなのに……」 梓「いつもひとりでするときより濡れてる……」 梓「唯先輩そんな笑顔でみないでぇ……」 梓「いれよ。いれますね唯先輩」 梓「私のアソコでいっぱいきもちよくなってくださいね」 梓「……んっ」 ヌプ… ―――――――――――――――― ヌプヌプ 唯「う、きつっ……でも入ってる」 唯「あ、うっ……やばぁ」 唯「なんかきもちい! なんで!?」 唯「あははオバケおちんちんだー」 唯「きっと私があずにゃんとえっちしたいって気持ちが通じたんだね」 ―――――――――――――――― 梓「んっ……あ、入ってきてる……」 梓「あう……でも、いたくない」 梓「むしろ、き、きもひ……ひゃ……」 梓「唯先輩のこれ……おっき……い、し」 梓「空気ぶにぶにのくせに……かたくて……きもちい」 梓「こ、これ……もっと動いてみたらどうなるっていうの……!?」 梓「やば……私だめだ……えっちすぎるよ……」 ―――――――――――――――― 唯「あずにゃん! もっとしちゃうよ!」 唯「唯先輩のおちんちんでちっちゃいアソコいじめちゃうよ!」 ずちゅずちゅ ヌチュヌチュ 唯「んんっ。すご……あずにゃんのアソコ……」 唯「ぬめぬめーってしてて、にゅるにゅるなのに私のおちんちんつかんで離さないよ」 唯「もう、えっちなあずにゃん……」 唯「いっぱいいっぱい突いてあげる!」 ―――――――――――――――― 梓「ふぁ……ふにゃああっ」 梓「すごひぃ! 唯先輩のおちんちんすごいですう!」 ずちゅずちゅ ヌチュヌチュ 梓「あ、だめ……きもち、よすぎてぇ、何も考えられないよぉ……」 梓「あう、にゃうう……あ、これ……目とじたらっ、ああん、う、完全にっ、唯先輩だ!」 梓「私いま唯先輩とえっちしてる、唯先輩とえっち……にゃふ、にゃうっ、ああん、あっ」 ―――――――――――――――― 唯「うわ……目とじたらホントにあずにゃんとしてるみたい……」 唯「んっんっ、あずにゃん……きもちいよおお」 ずっちゅずっちゅ ぬっちゅぬっちゅ 唯「腰とまらないよお」 唯「あずにゃんはなんでそんなに可愛い顔してるの!? なんでそんなにえっちな体してるの!?」 唯「わかんないよぉ、好きすぎてもうなにがなんだかわからないよお」 ―――――――――――――――― 梓「ああん唯先輩唯先ぱぁい!」 梓「きもちい! きもちいです! もっともっと……あずさのここ……いっぱいしてぇ!」 ずっちゅずっちゅ ぬっちゅぬっちゅ 梓「おっぱい擦れてきもちい! おま◯こもっときもちいです!」 梓「あずさのおま◯こできもちよくなってぇ……だいすき……だいすきぃ」 梓「唯先輩だいすきですう……」 梓「もっとしたい……まいにちしたい……唯先輩唯先輩唯先輩!」 ―――――――――――――――― 唯「うわああああずにゃんあずにゃんあずにゃん!」 ずっちゅずっちゅ ずっちゅずっちゅ 唯「あ、なんかくるぅ! なんかきちゃううう!」 唯「うううっ!! ああああああ!! イク!」 プシュー ―――――――――――――――― 梓「うにゃあああああっ!! あああっん!!」 梓「ああああっ!!! んんっ!」 梓「~~~っくあああ!! ひっ」 梓「……ハァ……ふぁ……すご……イけた……ハァ」 梓「……あ、唯先輩の、しぼんでる……激しくしすぎて空気ぬけちゃったかな」 梓「ありがとうございます唯先輩……」 梓「う、勝手にアレにつかっといてありがとうなんてただの変態だね……」 梓「まぁいいや、なんだか心地良い疲れと眠気が……」 ―――――――――――――――― 唯「ふ……あ……」 唯「空気ぬけちゃった……」 唯「でも……気持ちよかったなぁ」 唯「はぁ……これが本物のあずにゃんだったらどれだけ幸せか」 唯「あずにゃん……したいよぉ」 唯「えっちしなくてもいいから……一緒にいたい」 唯「はぁー……こんなことしちゃって、明日どんな顔で会えばいいんだろう」 唯「まともにあずにゃんのこと見れるかな」 唯「ちょっと汗かいちゃったしシャワーあびて寝よっと」 ―――――――――――――――― 梓「……zzz」 梓「……ゆい……せん……ムニャムニャ」 梓「すき……zzz」 梓「……ちゅーして……ふふふ……zzz」 ―――――――翌日―――――― 唯「……」 唯(きまずいなぁ……) 梓「……?」 梓(今日は抱きついてこない……まぁ簡単に抱きつかれても困るけど) 唯(抱きつきたいけど……変に意識しちゃって……うぅ) 梓(昨日あんなことしたからか、なんだか気恥ずかしい……) 唯(まともに顔もみれないや) 梓(唯先輩の顔が一段とまぶしくみえちゃう……) 唯(抱きついちゃおうかな……気楽に、気さくに……) 梓(抱きつかれたいな……うん、抱きつかれたい) 唯(生あずにゃん……うへへ、私変態だ) 梓(生唯先輩……う、生だなんて……私ったら……うぅぅ) 唯(よし、この一口飲んだら声かけよう。そうしよう) 梓(だ、抱きつきやすいように無防備な感じに振舞おう……かな……) 唯「あ、あずにゃんや」 梓「は、はひ!」 唯(なんで私緊張してるんだろう) 梓(こ、声が上ずっちゃった……最悪) 唯「……こ、この紅茶おいしいねぇ?」 梓「!! そ、そうでしょ!? 私、自分でもお茶淹れるののうまくなったなぁと思ってますから」 唯「そうなんだ」 梓「……はい」 唯「……」 梓「……」 唯(ぐ……会話が続かない……) 梓(あぁーもう、ここでどうして話を広げられないの! いっぱい話したいことあるのに私の馬鹿あああ!!) 唯(うう、さっきからお茶のんで無理やり間を持たすことしかしてないよ……だめな先輩) 梓(そういえば今日の唯先輩ちょっと変かも……そわそわしてるような……) 唯「……ゴクゴク」ズズズ 梓「……れ、練習しましょうか!」 唯「そうだね!」 梓「じゃあちょっとお茶片付けます……」 唯「え? あ、そうする?」 梓(ほら、立ち上がりましたよ……ギューってするチャンスですよ!) 唯(い、いまを逃したら絶対抱きつけない! いくしかっ!) 唯「あ、あずにゃ~ん」 ギュウウ 梓「ふにゃ!?」 梓(うわぁ……ふにゃ、だなんて。実はこんな計算高い子だってバレたら嫌われちゃいそう) 唯「本日初のあずにゃん分補給~」 唯(とかいいつついつもあずにゃんの匂い嗅いだりしてます。ごめんなさいこんな変態な先輩で) 梓(あぁ……唯先輩あったか……ふわふわでいい匂い……) 唯(ああああ、あずにゃん最高の抱き心地だよぉ……シャンプーのいい匂い、あったかくてぷにぷにで……) 梓「ふぁ……」 唯「ん~あずにゃ~ん」 梓(ど、どうしよう……なんか……変な興奮が……) 唯(あずにゃん今日は嫌がる素振りみせない……うふふ、嬉しいな) 梓(やばいやばいやばいです唯先輩……わたし、おかしくなっちゃう) 唯(よし、この抱き心地をしっかり身体に焼き付けて今晩もレッツトライ!) 唯「…………はぁ」 梓「なんでため息つくんですか」 唯「いや……ちょっとねー……」 唯(虚しい……あずにゃんはこんな近くにいるのに……) 梓(唯先輩……なにかあったのかな……元気ない……) 唯(でもダッチあずにゃんもきもちいし……ああああっどうしたらいいの) 梓(あ、そうだ。このあったさを忘れないようにして今晩も……) 梓「…………はぁー」 唯「あずにゃんもため息ー」 梓「な、なんでもないですよ! なんでも……」 唯「……」 梓「……」 唯(や、やば……抱きついたまままた沈黙が……あわわわ) 梓(唯先輩今なに考えてるんだろう……手、まわしてみようかな) 唯(どどど、どうしよう。ここで変に離れたら挙動不審だよね、気まずいよね) 梓(……いいよね? いいや) ぎゅ 唯「ふえ!?」 唯(あ、嘘……あずにゃんが……あずにゃんが抱きついてきたよ!) 梓(うぅ……やっちゃった。大胆だと思われるかな……) 唯(はわわわ……こんなの初めてだよぉ……嬉しいな、うれしいな!) 梓(自分から抱きしめたほうがあったかいんだ……しらなかったなー) 唯(はうー、ニ倍あったかあったかだよー) 梓(すごい……なんか……これ……いいな、唯先輩がくせになる気持ちわかるかも) 唯(しあわせー……にしても、あずにゃん一体どういう風の吹き回しだろー) 唯「……」 梓「……」 唯(よく考えたらこれってさ……) 梓(はたから見たらほんとに抱き合ってるだけ……うわあぁああ!) 唯(や、やば……なんか、恥ずかしっ) 梓(ど、どどどどうしよう。これじゃ、こ、恋人、みたいっ! うにゃあ!) 唯「……」 梓「……」 唯(こういうときに限ってなんであずにゃん離してくれないの……) 梓(どうして唯先輩離してくれないの……あとから抱きついたら私が先に離したら変な空気だよ) 唯(うう、体温あがってきたかも……あと、すごい心臓どきどき言ってる気がする……) 梓(いま絶対顔真っ赤だ……背低くてよかった……) 唯(心臓ってどうやったら止まるんだっけ! 心臓とめたいよ!!) 梓(平常心、平常心! これはただのスキンシップだよ。そう、スキンシップの延長線!) 唯「……それにしてもあったかいなー」 梓「!」 唯(し、しまったつい声にでちゃった) 梓(あったかい……そうだよね! 私たちはあったかいから抱きついてるだけ!) 梓(うんうんそうだ。け、けっして私が唯先輩のこと好きだからずっと抱きついてるとかそういうわけじゃ……) 唯(むぅ……あずにゃんもあったかいのかな? 顔見れないや) 梓(あ、唯先輩にも教えてあげなきゃ) 梓「……あったか……」 唯「!」 唯(あったかって言った! やった! あずにゃんもあったかいんだ! 嬉しいなー) 梓(い、言っちゃった! で、でもふたりともあったかいなら、とってもお得だからいいよね!?) 唯(もうちょっと強く抱いてもいいかな。いいや、えい!) ギュウウウ 梓(ふあああっ、唯先輩そんなに強くだきしめたら……ふにゃああ) 唯(あああやばいいいい! これはすごいよ! あずにゃんを全身で感じる!) 梓(すご……唯先輩ってこんなにあったかいんだ……やみつき) 唯(あれ、なんかあずにゃんの胸のあたり……どくどくって。あれ?) 梓(うわっ、どうしよう、ドキドキしてるのバレちゃう! そんなに強くだかないで~) 唯(あ、あずにゃんも喜んでるんだよね? ……ドキドキしてくれてるんだよね?) 梓(バレちゃう……バレてもいいのかな? なんかもうわかんないよ) 唯(私に抱きつかれてドキドキするってことはさ……その、つまり……) 梓(唯先輩をみてるだけでいつもドキドキしますなんて言えない……) 唯「……」 梓「……」 唯(なんで何も言わないの!? あずにゃんドキドキしてるくせに!) 梓(あ。唯先輩も……胸のせいでわかりにくいけどドキドキしてる……これってさ……) 唯「……」 梓「……」 唯(なにか言ってきてよー) 梓(どうしてだんまりなんですか……私に抱きついてドキドキしてるくせに) 唯(……もうすぐ澪ちゃんたちがきちゃう) 梓(……早く何とかしないと……ってあれ? なんとかってなんだろう……) 唯(このまま無言で抱き合ってたら絶対誤解されちゃうよー) 梓(私って結局どうしたいんだろう? 唯先輩と……ちょっと進展したいのかな) 唯(誤解される……いや、誤解じゃなくてもし本当にそういう関係なら……) 梓(恋人になりたいのかな……そうだよね。唯先輩を想ってあんな事するくらい好きなんだもん) 唯(うん、私はあずにゃんが好き……好きだから抱っこしてるの……それだけの簡単な理由) 梓(唯先輩好きです……好き……ずっと抱きついてたい) 唯(あずにゃん……このままずっと……) 「でさー、そのとき澪がさー」 「お、おい言うなって! 律ぅ!」 「うふふふ~」 唯「!」 梓「!」 3
https://w.atwiki.jp/yuiazu/pages/804.html
私は4歳の頃、夏祭りでお父さんとお母さんとはぐれ、迷子になった事があった。 不安で泣きじゃくる私に、ある女の子が話しかけてくれてきた。 「ふぇぇん・・・ひっく・・・おとぉさん、おかぁさん・・・どこぉ・・・ひっく・・・」 「・・・どぉしたの?」 「ひっく・・・おとぉさんとおかぁさんと・・・はぐれて・・・まいごに・・・ひっく・・・なっちゃ・・・った・・・」 「そぉなんだ。・・・じゃぁ、わたしがおとぉさんとおかぁさんがみつかるまで、いっしょにいてあげるよぉ」 「・・・ぐすん・・・ほんとぉ?」 「うん。だから、なかないでね」 そう言うと、その女の子はハンカチを取り出し、私の涙を拭いてくれた。 「えへへ・・・あ、そうだ。これ、はんぶんこしてたべようよ♪」 「え・・・いいの?」 「うん、これをたべると、げんきになれるよぉ」 その女の子が差し出してくれたのは、屋台で売られていたたい焼きだった。 私はその時、初めてたい焼きを食べたけれど、凄く美味しかったのを覚えている。 そういえば、この時からだったなぁ・・・私がたい焼きが大好物になったのって・・・。 「おいしいねぇ♪」 「おいしいねぇ♪」 「あ・・・」 「どぉしたの?」 「このたいやき・・・いもうとと、たべようとおもってたんだ・・・」 「えぇ?・・・ご、ごめんなさい・・・」 「いいよぉ♪またかってくるから♪」 「・・・このおまつりには、いもうとときてるの?」 「おとぉさんとおかぁさんもいっしょだよ♪いもうとも、おとぉさんとおかぁさんといっしょにいるけど・・・あっ・・・」 「・・・どぉしたの?」 「・・・わたしもまいごになっちゃったみたいだよぉ♪」 「えぇ?」 思わぬ言葉に目を丸くした私・・・。だけど、その女の子は泣く事もなく、むしろクスッと笑っていた。 私と同じ状況だった事が面白かったのか、よくわからなかったけど・・・。 だけど・・・その時のこの女の子の笑顔が、両親とはぐれて不安だった私を救ってくれたのは間違いなかった。 「梓ー!!どこに居るの、梓ぁ!!」 「あっ、おかぁさん・・・」 「唯ー!!どこだ、唯ぃ!!」 「おねぇちゃーん、どこぉ?」 「あっ、おとぉさんと、ういだ♪」 「ふたりとも、おとぉさんとおかぁさんがきてくれてよかったね♪」 「うん、そうだね・・・たいやき、おいしかったよ。ありがとぉ」 「えへへ、どぉいたしまして♪」 時間にして、おそらく5分くらいの出来事・・・だけど、私はその子と別れるのが寂しかった。 ほんのちょっとしか一緒に居られなかったけど、何だか楽しくて、安心感があったから・・・。 「じゃあねぇ、バイバーイ♪」 「ねぇ・・・わたしたち、また、あえるかなぁ?」 「きっとあえるよぉ♪・・・おまつりで、まいごになっちゃったけど、まいごになっちゃったから、きみとであえたんだもん♪」 「うん、そうだね」 「うんめいだったんだよ、きっと・・・だから、またあえるよぉ♪」 「うんめい・・・?」 運命・・・まだ4歳だった私には、ちょっと難しい言葉だったけれど、その子はどういう事なのか教えてくれた。 「しょうらい、であうふたりは、うんめいのあかいいとで、むすばれているんだって♪」 「うんめいのあかいいと?」 「そうだよ♪・・・こんなかんじで・・・」 その女の子は、前髪に結っていた赤いゴムを外し、ゴムを8の字の形にした。 そして、片方に私の小指を通し、もう片方にその子の小指を通した。 「これで、きっとまた・・・きみとあうことができるよ♪」 「ほんとぉ?」 「うん、わたし、うそつかないよぉ♪」 「じゃぁ、ゆびきりしよぉ♪」 「うん♪」 「「ゆびきりげんまん、うそついたら、はりせんぼんのーます、ゆびきった♪」」 私は約束の指きりをすると、その子に赤いゴムを返した。 その子は、それを受け取り、ニッコリとしながら私に聞いてきた。 「ねぇねぇ、あなたのおなまえは?」 「なかのあずさだよ」 「あずさちゃんかぁ・・・かわいいおなまえだね♪わたしは、ひらさわゆいっていうの♪」 「ゆいちゃん・・・ゆいちゃんも、かわいいおなまえだね♪」 「えへへ・・・ありがとぉ♪」 その後、私達はそれぞれの両親に手を引かれ、笑顔で別れていった。 運命の赤い糸――――――――――私は、その子と再び会える事を信じていた。 あの子の笑顔が忘れられなくて・・・きっとすぐに会えると思っていた。 だけど・・・その願いは叶う事は無かった。 月日が経ち、私は高校生になり、もうすぐ最上級生になろうとしていた。 小学生、中学生、高校生となり、沢山の人たちとふれ合う事で、あの夏祭りでの思い出も過去の物となっていた。 髪留めのゴムで交した『運命の赤い糸』・・・そんな出来事も、私の中では忘れ去られてしまっていた。 そう、あの時までは・・・。 3月1日・・・今日は唯先輩達の卒業式だ。 部室で過ごせるのも今日が最後とあって、先輩達は最後のティータイムを楽しんでいた。 そこに私も加わり、今までの出来事を振り返りながら、色々とお喋りをしていた。 普段となんら変わらない光景・・・だけど、こんな事ができるのは、今日が最後なんだ・・・。 「じゃあ、そろそろ行かないとな・・・」 律先輩の言葉を合図に、澪先輩、ムギ先輩も席を立った。 「ほら、唯も行くぞ」 「私は・・・もうちょっとここに居て良いかな?」 「ん?・・・まぁ、あんまり遅くなるなよ?」 私は律先輩、澪先輩、ムギ先輩と、また一緒にバンドをやる事を約束し、3人を見送った。 部室から見ていた3人の後ろ姿はどんどん小さくなっていき・・・そして、校門を出た3人は私の視界から消えてしまった。 もう高校では皆とバンドが組めない・・・そう思うと、私は涙が止まらなくなっていた。 悲しさと寂しさで震える私を・・・唯先輩がそっと抱き締めてくれた。 「よしよし・・・泣かないで、あずにゃん」 「どうして・・・唯先輩は・・・残ったんですか・・・」 「私も一緒に行っちゃったら・・・こうやって、あずにゃんを慰める事はできないでしょ?」 「唯先輩もこの後行っちゃったら・・・私はもっと泣いちゃいます」 「おおぅ・・・」 困った表情を見せる唯先輩・・・。だけど、これが最後なんだもん、我儘言っても良いよね。 「唯先輩の力で・・・私の気持ちを落ち着かせてください」 「ぎゅっ・・・」 確かに唯先輩から抱き締められると、落ち着くけれど・・・今日はそんな事だけでは満足できないよ・・・。 「そんな事だけでは、またすぐに泣いちゃいます」 「あずにゃんは・・・昔から泣き虫さんだねぇ♪」 「な、なんの事ですか!?」 「えへっ、なんでもなーい♪」 すると、唯先輩は私から離れると、私の胸元のリボンを外した。 時は夕方・・・部室には私と唯先輩の2人だけ・・・。あえて唯先輩が残ったのは・・・2人きりになりたかったから・・・!? 「ちょ、ゆ、唯先輩・・・!何する気ですか!?」 「ふふっ、あずにゃんを泣きやますおまじない♪」 「ふぇ!?///」 そう言うと、唯先輩は私の小指にリボンを結びつけた。そしてリボンのもう片方の先は、唯先輩の小指に結び付けられた。 少しずつ少しずつ蘇ってくる、幼き日の思い出・・・。 「私は大学生で、あずにゃんは高校3年生・・・。立場は違うけれど、私達、またすぐに一緒になれるよ♪ この、運命の赤い糸・・・いや、今度は運命の赤いリボンが、私達をまた結び付けてくれるから・・・」 「また・・・?」 「私達が初めて出会ったのは、お祭りでお互いに迷子になっちゃったからだっけ・・・」 「・・・えっ・・・」 「その時、私があげたたい焼きを美味しそうに食べてた黒髪の小さな女の子は・・・こんなに可愛くなったんだねぇ♪」 「・・・あっ・・・」 「あと、赤い髪留めのゴムを、運命の赤い糸に見立てて指切もしたけど・・・だからこそ、私達はこの高校で出会う事ができたのかな」 「唯先輩、もしかしてずっと前の・・・まだ小さかった時の、夏祭りの事を覚えていてくれたんですか!?」 「あっ♪あずにゃんも覚えてたかな?」 「だんだんと思い出してきました・・・。高校で再び唯先輩と出会えたのは、唯先輩が私に運命の赤い糸を手繰り寄せてくれたからなんですね・・・」 「えへへ・・・。どんなに離れてようとも、私達は結ばれる運命にあるんだよ・・・それをあずにゃんに伝えたかったんだ。 あずにゃんの気持ちが落ち着くまで、傍に居てあげる・・・だから、もう泣かないでね」 唯先輩は、私の目に残っていた僅かな涙をハンカチで拭いてくれた。 そう・・・あの夏祭りの時と同じように、そっと・・・。 「・・・約束してくれますか?」 「ほぇ?」 「あの時はお互いの名前しか知らなかったから、会いたくても会う事ができませんでした。でも、今はお互いの連絡先もわかるんです・・・。 私が寂しくなって電話をしたら、声を聞かせてください・・・。唯先輩に会いたくなったら、急に会いに行っても怒らないでください・・・」 「うん・・・指切しよっか・・・あの時のように」 「はい・・・」 私達は、リボンで結ばれた小指と小指を、深く絡め合わせた。 ギュッと・・・離れないように・・・。 「「指切げんまん、嘘ついたら針千本呑ーます、指切った♪」」 絡め合った小指が離れる・・・。だけど、リボンはお互いに結ばれたままだった。 「私からも・・・約束してほしい事が1つあるんだ・・・」 「・・・何ですか?」 「あずにゃんには・・・笑って私を見送ってほしいんだ・・・あの夏祭りの時も、お互いに笑ってお別れしたのを覚えてる・・・。 だから・・・今回も、あずにゃんには笑って見送ってほしいの」 正直、それは自信が無かった。今までにも、何度も唯先輩が卒業してしまうと考えただけで、涙が出そうになったから。 でも・・・またすぐに一緒になれるという唯先輩の言葉を信じて・・・私は黙って頷いた。 「ありがとう、あずにゃん・・・」 何だか、いつもより弱々しい唯先輩の声・・・。そんな唯先輩の目には、大粒の涙が溜まっていた。 もう・・・言ってる事が正反対じゃないですか・・・。そんな文句を言いたかったけど、私は黙って唯先輩の涙を拭いてあげた。 「すぐに会えるって・・・一緒になれるって・・・そう言ったの、唯先輩じゃないですか」 「うん・・・ゴメン、あずにゃん・・・」 「もう・・・泣いてる唯先輩なんか見たくなかったですよ・・・私も、唯先輩が泣きやむおまじないをしますから覚悟してくださいね」 「え・・・あず」 私は間髪入れずに唯先輩の唇を奪った。女の子同士でも、結ばれる運命ならキスしても良いよね・・・。 唯先輩との初めてのキスは、とっても甘かった。そして・・・とっても美味しかった/// 私は唯先輩からリボンを受け取ると、ニッコリ微笑んだ。その表情を見た唯先輩も、同じように微笑んでくれた。 2人の目には、もう涙はなかった。 その後、私達はそれぞれの道を歩むべく、笑顔で別れていった。 運命の赤い糸――――――――――私は、唯先輩と再び一緒になれる事を信じていた。 唯先輩の笑顔が忘れられなくて・・・きっとすぐに一緒になれると思っていた。 その願いは・・・1年後に叶う事になるが、それはまた別のお話・・・。 今日、唯先輩は高校を卒業した。 私に甘酸っぱい幼少期の記憶と高校での思い出を残しながら・・・。 END こういうのもいいよネ♪GJ! -- (ゆいあず信者) 2010-09-23 12 38 32 チビにゃんの破壊力で桜高がやばい -- (名無しさん) 2010-12-19 03 20 50 小さい思い出はいいね。 -- (あずにゃんラブ) 2013-01-12 15 28 51 名前 感想/コメント: すべてのコメントを見る
https://w.atwiki.jp/83452/pages/14657.html
#08 ギー太の愛した数式 ――そして、文化祭当日。私たちのライブの日がやってきた。 舞台袖の暗がりから、一歩一歩、踏みしめるように私たちは歩き出す。 不思議な感覚だった。 7ヶ月前の春、私はこの人たちの演奏を遠くから見ていた。 それが今は、こうして一緒に演奏しようとしている。 ――時間の流れは、いつだって私にとって冷酷なものとして写っていた。 それは私と唯先輩が積み上げたものを、端から崩してしまう冷たい刃でしかなかった。 平等な死神を恨みこそすれ、感謝する日がくるなんて思いもしなかった。 幕はまだ舞台に下りていて、喧騒と静寂の線引きをしてくれていた。 スポットライトもまだ点けられておらず、足元は暗い。 それが逆に、今から全てが始まるという予感を感じさせてくれていた。 澪「……唯。大丈夫? このプログラムのままだと、75分超えちゃうけど――」 澪先輩が、心配そうな声で唯先輩を見る。 新曲のイメージにあわせて、衣装は満場一致で制服になった。 衣装作らせてよぅと駄々を捏ねるさわ子先生を説得するのに骨が折れたのは言うまでもない。 生贄として澪先輩一日着せ替え人形券を発行するまでに至った。尊い犠牲である。 唯「だいじょーぶっ! ……でも、わかんなくなった時は、 新歓ライブの時みたいに助けてね、澪ちゃん」 唯先輩は、いつもどおりに言う。 みんなは呆れたように笑うけど、それでもやっぱり仲良しだった。 ――ずっと私の心に巣食っていた不安が、明確な形を取っていくのがわかった。 確証、と言ってもいいくらいの強さで、瞬時に私を覆い尽くしていく。 静かに進行している事態に気づいているのは私一人だけで、他の先輩方は暢気なものだ。 それは、きっと、誰よりも唯先輩を見ていた私だからこそ気づけた小さな違和感だった。 もちろん、納得できるだけの理由もある。 『りっちゃんは14228、澪ちゃんは14536。私は14264だよ……ね?』 事故を境にして壊れてしまった唯先輩の人間関係を、私は破片を拾い集めるようにして修復してきた。 『あずにゃん、私ね――』 『唯先輩』が戻ってきたとしても、何ら混乱のない状態に、戻してきたのだ。 『りっちゃんは14228、澪ちゃんは14536。私は14264だよ……ね?』 それから、時間。約一年という歳月は、きっと―― 『「新歓ライブの時」みたいに助けてね、澪ちゃん』 唯先輩の脳の小さな傷を癒すのに、十分な歳月だったに違いない。 梓「――……」 シールには、「社交数」としか書かれていなかったはずで、誰がどの番号なのかは解るはずがなくて。 唯先輩の部屋で思いを確認しあった時、私は「あずにゃん」なんて紹介をしていない。 そして、ついさっき。唯先輩から出てきた、明確な「過去」の出来事。 それらは全て、積み重ねた端から崩してきた 「75分だけの唯先輩」が、消えていくことを意味していた。 嬉しいのか、悲しいのか。怖いのか、辛いのか。喜び、不安、ドキドキ。 全部の感情がミキサーにかけられてぐちゃぐちゃになっていく。 それでも、唯先輩を愛しいと想う気持ちだけは、揺らぐことがなかった。 けいおん部は、円陣を組んで、手を重ね、おう、と元気よく掛け声を交わす。 そして、幕が――――開ける。 / つつがなく――とは言い難いような失敗も少しだけあったけれど―― プログラム最後の曲である、『NO,Thank You!』が始まる。 澪先輩の歌声が、身体にしみ込んでくるような凛としたそれが、熱気で満ちた講堂に響いていた。 澪『思い出なんていらないよだって"今"強く、深く愛してるから』 その歌詞は、『今』『そこ』にしか存在できない全ての少女の歌。 私には、澪先輩なりの唯先輩への気持ちを歌った曲に聞こえてしかたがなかった。 澪『ビート刻むそのたび プラチナになる』 多分、正解なんだろう。 澪先輩は、この歌に全部の気持ちを込めた。肝心なところで今一つ言葉の足りない彼女だから、詩という形で。 でも、いつからか、目的のための手段だったはずのそれが、少し、ずれてしまった。 本気だったからこそ、失敗は許されなかったのだろう。澪先輩も辛かったはずだ。 澪『だって"今"以外、誰も生きれないか、ら――っ』 感極まって、澪先輩の歌声が詰まった。 最後のサビに掛かる前の伴奏部分。嗚咽がマイクスタンドから漏れる。 律「――唯っ!?」 律先輩が呼んだのは、澪先輩ではなくて唯先輩だった。 全員がはっとして、唯先輩を見る。 全部の音が一瞬、気をつけなければ解らない程度に間延びして――気がついた。 唯先輩の記憶がちょうど尽きる75分が、今、過ぎた。 ギターと会話するように下げられていた顔が、こちらを向く。 先輩の瞳は、やはり無垢なものだった。 穢れなく、純真で。 唯先輩を端的に表している光。それが皆を捉え、キラリと輝いていた。 演奏部分が終わり、最後のサビが始まろうとしている。 だけれど、澪先輩は固まったままで。 歌声のないまま終ろうとしていた私たちの曲は 唯「――――――――NO,Thank You! 思い出なんて いらないよ」 唯先輩の歌声がきちんと引き継いでいた。 梓・律・紬・澪「「「「!」」」」 律先輩は息を呑んで、ムギ先輩は目を丸くさせて。 澪先輩はボロボロ泣きながら1フレーズ遅れてハミングする。 私は、ギターをかき鳴らしながら――笑っていた。楽しくて、嬉しくて、少しだけ、悲しくて。 唯「けいおん、だいすきーーーーーーーー!!!!」 曲が終わり、汗を飛び散らせながらも唯先輩は叫ぶ。 情熱が炎になったように熱い歓声も、重力を空に跳ね返すような拍手も鳴り止むことがなかった。 ふいに、アンプからギターの音が響く。 私は触ってもいないから、唯先輩の音だ。 そが何かを認識した瞬間、顔に血液が集まっていくのがわかった。 溢れ出した思いが、一筋の涙となって頬を伝う。 D、♯の7-5(セブンスフラットファイブス)。 おしまい! 戻る あとがき おつかれさまでした。以上で投下は終了です。 この作品は小川洋子先生の「博士の愛した数式」の設定だけを借りたクロス作品です。 とても良い作品ですので、未読の方は、ぜひ一度手にとってみてください。 色々と言葉足らずで説明不足なのに冗長な作品でしたが、 ここまで読んでくださったあなたへ感謝を。本当にありがとうございました。 ゴタゴタありましたが代行をしてくださったID gqiqufcO0には頭があがりません。 こんな夜更けまで、ありがとうございました。 次回からはSS速報使いますね。本当にすんませんでした。 ではみなさん、良い夢をみてください。
https://w.atwiki.jp/83452/pages/10914.html
唯「えへへ……あっずにゃーん!」 むにゅうっ。 梓「んひゃああ!?」 ヤバっ、何これ、お肌がすべすべすぎて気持ちいっ……んにゃああああ!? 唯「んへへへへへ、裸のあずにゃんってば、抱き心地もいいけどお肌の感触も素敵!」 や、そんな、むにむに胸を押し付けたりしないでっ……私ってば平原なんですから、そんなことされたら唯先輩の胸の感触を余すところなく堪能しちゃうじゃないですか! 梓「にゃうっ、あっ、ああああっ!」 唯「にゅう……えいっ、身体中すりすりっ! 普段は出来ないもんねっ!」 梓「あっ、あああっ、やあん!? 胸っ、あと脚っ、脚ぃっ! 太ももの内側ぁ、そこは、そこはすりすりしないでくださいっ!?」 唯「んふ~? 私もかなーり気持ちいんだけどぉ……あずにゃんも感じてるのかな?」 すりすりすりすりっ。 梓「ひにゃああああんっ!」 唯「……んふ。やっぱ、そおなんだ?」 内ももっていうか、そこから先、脚の付け根っ……女の子の大事なとこを、わざと唯先輩が刺激してる。 やぁらかくあったかく抱っこされてる上に、DVDを見ている間にじっくりと昂ぶっていた部分を。 梓「ひゃうっ、あっ、あああっ、にゃうっ……ゆっ、ゆぃせんぱぁい……そこは、駄目ですぅ……!」 唯「……とゆうことは。ぬるぬるしてるここがイイんだね、あずにゃん?」 梓「やん、あっ、やだ、もっと身体中触ってからにして欲しいんですっ」 唯「そっか。じゃあ、あずにゃんのおっぱいをじっくり触らせてもらおっかな~?」 ちう、とキスをされる。 こんな状況なのに優しい限りで、思わず頷いてしまったりして。 梓「んううっ、んふ……ふ、くふぅん……」 唯「あずにゃん、おっぱい小さいの気にしてるみたいだけど……急がなくても大丈夫だよ。ちゃんと膨らんでくるから」 そう言いつつ、思うように揉めないからなで回されるんだけど。 唯先輩の言葉が、私の心配を吹き飛ばしてくれる。 唯「もしおっきくならなくっても、あずにゃんさえよければ、私がお嫁さんにもらってあげるからね」 梓「ふう……ん、きゅうう……それは嬉しくないけど嬉しいというか、女の子同士なのにプロポーズされても、ちょっと」 唯「だいじょーぶだよ。私は今よりもっとあずにゃんを好きになるし、あずにゃんも、私をもっと好きになってくれると思うし?」 その自信はどこからくるんですか、と尋ねようとしたら、不意にキスをされちゃった。 もお、何も言えない。 唇の感触を味わう間もなく舌を入れられて、かと思えば軽く絡めただけで顔を離されて。 梓「んちゅ、んは、はうっ……あ、あぁ……唯先輩……?」 唯「……おっぱい。あずにゃんは自信がないみたいだけど、私だって昔は同じくらいだったんだよ?」 昔って、何年前ですか。 と問う前に、唯先輩のお口が私の胸元に。 唯「ん~……ちゅっ、ちゅ」 梓「ひゃあ!?」 さっきまでよりも強く、背すじが跳ねる。 押さえようと思っても我慢出来ないくらいに、強く。 唯「んふっ、ふむ、ちゅちゅ、んむ、れるっ」 梓「んにゃあああああああんっ!?」 そこ、乳首、ですっ……舐めながら吸われるとか、もお、想定外なんですけどっ!? 唯「んにゅるるっ、ちゅうううっ、れるれるちゅくっ」 梓「にゃふっ、あ、あああっ、ゆぃせんぱ……ぁはあ、は、はうっ」 駄目だよ、こんなやられっ放しなんて。 ……でも、気持ちよくって、手足に力が入らないよ。 梓「んあぅ、はっ、はあっ、あん、あっ、やめ、唯先輩っ……駄目、おっぱい駄目ですぅっ」 唯「……まだちっちゃいかもしんないけど、あずにゃんのおっぱいは、しっかり感じちゃうえっちいおっぱいだってわかった?」 梓「わかりましたっ、わかりましたからぁ……はぅぅっ、っは、はあ……おっぱいは、許してください……」 おっきなおっぱいの方が感じると思ってたのに、そうじゃないのかもしんない。 私が成長しないと比べられない感覚なんだけども。 とりあえず……唯先輩と私の反応を比べてみないことには! 梓「んっ……ちゅっ、れるるっ、んむぅ……はぷ。ん、んんん、んう?」 唯「あひゃあ!? やぁん、あっ、あずにゃんっ、ひゃぅ、あっ、それ、気持ちいーよぉ!?」 おっぱいに私が吸い付くと、てっきり余裕の表情を浮かべると思ってたのに、私みたく唯先輩も大きく背すじを仰け反らせた。 先端をちろりと舐め上げたら、びくびくって痙攣みたいに震えて、私をぎゅっと強く抱き締めてくれたり。 ……ちょっと、楽しいかも。 梓「気持ちいーんです?」 唯「……うん。自分で触るのより、何倍も、何十倍も気持ちいーよ」 唯先輩も、自分を慰めたりするんだ。 私と同じなんだ。 その妄想の相手は……目の前にいる私だったらいいな。 まぁ、私はもう、自分より唯先輩にしてもらう方が素敵だってわかっちゃったんですけどね。 唯「もしあずにゃんと一緒に暮らしたら、私、駄目人間になっちゃいそう」 梓「どうしてですか?」 唯「ずっとずっと、あずにゃんと……しろくじちゅー? えろっちぃこと、しちゃいそうでね」 梓「途中で私が根を上げると思いますけど、そうでなくても、慣れるまでは一杯一杯じゃないのかなあと」 お互いに、ですよ? 唯先輩は、私にしたいことが沢山あるみたいですけど。 私に、今みたいに何かされたら余裕が消えて、されるがままですし? 唯「ふあ……ん、んじゃ、一緒に慣れてこーね? こおゆう、えろっちぃこと」 梓「ちゅむ……はい」 大丈夫ですよ。 よっぽどでない限り、私がブレーキかけてあげますから。 もし出来ないようなら……それは多分、今夜みたいな史上希に見る、本当に仕方ないくらい私まで盛り上がっちゃった状況だと思いますし? 唯「えーっとね、ほんとは、DVDを参考に同じことしたいな、って思ってたんだけど……」 梓「あれは上級者向けですよね。真似はそのうちするとして……こっ、今夜は、裸で思う存分に抱っこされたい気分ですっ」 私の方から腕を伸ばして、唯先輩の背中をそっとさすってみる。 お互いに体温はそう変わらないハズなのに、ちょっとだけ熱い感じがする。 唯「んっ……うん、あずにゃん。抱っこだけじゃ済まないかもだけどね」 梓「どおぞ、やれるもんならやってみてください。唯先輩は口だけのヘタレだって、もう知ってますからね」 唯「にゃっ、にゃにおーう!?」 つつつ、と指先で唯先輩の背すじに触れていると、突然がばっと抱き締められた。 ……えへへへ。 すべすべな唯先輩のお肌が密着して、とってもやーらかい胸が押し付けられてむにゅっと潰れて、気持ちいいったらないですよ? 唯「んーぅう♪ 裸のあずにゃんの感触、いつもより何倍も気持ちいいよぉ」 梓「は、はい……唯先輩も気持ちよくって、素敵な抱かれ心地です」 お互いにもぞっと動く度に肌がこすれ合う感覚が、じわじわと脳の一番奥にある理性を削り取ってく感じ。 段々と我慢出来なくなってきて、私と唯先輩は、やがてどちらからともなく唇を奪い合い始めた。 梓「んう、ちゅぅ……んむっ、れるっ、りゅるるっ、くぷ……ん、はぁぅ」 唯「ちゅく、ちゅちゅぅ、くむっ……んん、はむむ、ちゅぷ、りゅぷぅ……んっ、ちゅうううっ」 相手の涎を舌ですくい取り、じゅるじゅると下品な音を立てて飲み込む。 唯先輩の涎を飲みたいし、私の涎も飲んで欲しい。 だからか、必死で舐めてるハズなのに、重ねた唇の隙間からたらたらと唾液が伝い落ちていっちゃう。 唯「ふうう……んちゅっ、ちゅるっ、んく……ちゅむ、ちゅっ……零れてるよ、勿体ない……んふ、ちゅるるっ、れるっ」 梓「唯先輩も、んむ……ちゅぅ、んむむ、れろ……んっ、んぁ……はあ……♪」 唯先輩の唾液は、さっき舐めたアイスの雫より、ずっと甘い。 口元から顎、首筋へと、唾液が流れた跡を舌先で追っていくと。 唯「んっ……! ふぁ、あっ、あずにゃんっ……」 梓「おっぱいが、涎でべとべとですよ? 折角、こんな……ちゅぅ、んふ、んむ……おっきくて、綺麗なのに……」 唯「やぁん、あずにゃん……おっぱい舐められるの、気持ちいーけど恥ずかしいよぉ」 梓「じゃあ、唯先輩は私の胸を触ってください。それでお相子にしましょう」 ずい、と迫るように唯先輩ごとベッドに倒れ込む。 すると目に付いたのは、痛そうなくらい固くなった、おっぱいの最も敏感な部分。 唯「あずにゃん、ズルいよぉ。そんなにぴったりくっついてたら、私が触れないよぉ~?」 梓「だったら、すみませんけど少しの間だけ我慢しててください」 唯「そんな……ああっ、あっ!?」 梓「んふ、ふ……ちゅっ」 まるで舐めたり吸ったりしてください、と言わんばかりの唯先輩の突起に口をつける。 まずはちゅっと優しくキスをして、唯先輩の反応を見てみたり。 唯「ひゃん!?」 梓「んぅ……ちゅっ、んく、んむむ……れるれるるっ、ちゅるっ、んちゅっ、はむぅ~うんっ」 唯「ああっ、あ、ずにゃ……んんんっ! んぁ、やぁ、駄目ぇ……それ、そんなの、乳首そんなにされたら気持ちよすぎるよぉぅ!」 梓「るちゅ……い、いいことじゃないですか。気持ちよくないとか痛いとか言われなくて、私も嬉しいですし……ふむっ、ん、ちゅれるっ」 唯先輩の身体が、ぶるぶるって震えてる。 私がおっぱいに顔を埋めたり、先端をしゃぶったりすると、それはもう嬉しそうに喉の奥を鳴らしてくれる。 唯「んぅぅ、う、くふぅぅん……♪ んぁ、あ、あずにゃんっ……ふあぁ、あぅ、おっぱい、気持ちいーよう……♪」 私の頭に回した腕を、ぎゅっと強めるくせに。 私がお口を動かしづらくならないように、優しく押し付ける程度で。 ……唯先輩ってば、初めてだって言ってたくせに、同じく初めてな私でもえっちぃと思う反応してくれるんですね? 梓「んむ、ちゅぴっ……はっ、はあぅ……どおゆうつもりなんですか、唯先輩。私を今よりこーふんさせて、何をさせようってゆーんです?」 唯「んあ……私、別に、そんなつもり全然ないよ……?」 とか言ったくせに、私の両脚の間に膝を滑り込ませてくる唯先輩。 慌てて閉じようとしたけれど、すべすべだからよく滑るし、途中からは……その、私自身の分泌液でぬめって、無理だった。 梓「んにゃっ!?」 唯「あ、あはぁ……今、ぬるってしたねぇ、あずにゃん? どおしてお股がぬるぬるになっちゃってるのかなあ?」 梓「んく……んぅ、あ、あううう……唯先輩の、意地悪ぅ……ふぅぅ、んふ……あっ、あんっ!」 あったかい唯先輩の太ももが、私のとっても大切な場所をぬるってこする。 私はびくんって全身を硬直させちゃって、おっぱいどころじゃないのに、唯先輩はもっと舐めて欲しがって私の頭を抱いたまま。 唯「んへへ……こっ、これで……お相子だね? 一緒に気持ちくなろ、あずにゃん♪」 そしてまた、私のお股を太ももでぬるんって。 私が思いの外にイイ反応を示したからって、容赦なく。 梓「んにゃああっ!? にゃぅ、あぅ、唯せんぱぁい……それ、刺激が強すぎですっ……んんっ、あっ、ふにゃぅっ」 唯「指とかお口でしてあげたら、もっと感じてくれそうだけど……でも私、今はおっぱいで感じさせて欲しいからごめんね? 次、あずにゃんの番になったら頑張るね?」 梓「はっ、はい……るっ、ちゅっ、れりゅ……はぷっ。んむふむむっ、ちゅむ……」 そおですよね。 私達、一緒に気持ちよくなっちゃうやり方なんて知らないんだし、手探りで覚えてくしかないですよね。 それを覚えるまでは、片方が満足して、その次にもう片方……っていう順番が自然かもしれないです。 ま、まあ、唯先輩のおっぱいを誰はばかることなく吸ったり揉んだり出来るの、かなーり嬉しいですし? 唯「んく……ね、ねえ? 私、あずにゃんのえろっちぃとこを脚でこすってると思うと、ものすごくこおふんしちゃうんだけど……」 梓「ん、は、はうっ、んう……それ、間違ってないと、思います……んにゅっ、んんっ! んぁ、はぁ、あぅ……」 自分で触るのなら、刺激の強さは調節出来るし、予想も出来る。 でも。 私のあそこから漏れた愛液でぬるぬると、ゆっくりと、しかも指なんかより広範囲にこすれる唯先輩の脚は、存外の気持ちよさで。 梓「んむっ……んふううううっ! ん、ちゅ……は、はっ、はぷ……んあ、ああ……♪」 唯「……かぁわいい。私の脚、両膝でぎゅうって締め付けて、とっても感じてるんだね?」 梓「は、はぁい……ってゆうか、ズルいですよ……私、こんなに興奮してて、気持ちよくされて、もおすぐイっちゃいそうです……んきゅっ!?」 唯「そっか、あずにゃんイっちゃうんだ。それじゃおっぱいはいいから、お口にキスして……あずにゃんがイく顔、じっくり見せてもらおっかな?」 私の身体が、唯先輩の顔の近くへ抱き寄せられた。 すべっとした肌に少しの汗、それだけで簡単に引き寄せられちゃう。 唯「んっ……んふ、ふぅ、ちゅる……んくぷ、ちゅぷ、れりゅるるっ」 梓「んああ、あぅ……んうっ、れるるっ、ちゅくく、ん、んく……」 抵抗なんて出来ない。 私が唯先輩を感じさせてあげたかったのに、最初のうちは上手くいってたのに、逆転しちゃってる。 立場的には、この方が正しいんだろうけど。 梓「んぁ、ああぅ、あっ……ゆぃせんぱぁい……♪」 自分の喉から、こんなに甘ったるい声が出るなんて思ってもみなかった。 唯先輩にいやらしく媚びて、えろっちく甘えて、もっと気持ちよくして欲しがってる私。 唯「えへー……今のあずにゃん、最っ高に可愛いよっ」 私のあそこを、唯先輩の太ももがねちゃねちゃと何度もしつこくこすり立てる。 いやらしく粘つく音が鳴るのは、私がえっちく興奮しているせい。 そう思うと恥ずかしくて、脚の動きを止めて欲しくなっちゃって、ぎゅっと唯先輩に抱き着いちゃう。 唯「……そんなに気持ちーんだ、あずにゃん? びくびくって震えて、私のおっぱい舐められなくなるくらい?」 梓「んにゃぅ、あう、あっ、にゃあああんっ! 駄目、駄目ですっ、唯先輩っ……あ、あっ、気持ちいっ……イくっ、イっちゃいますぅっ!」 唯先輩が脚を動かす勢いで、抱き着いた肌や胸同士もやわやわとこすれて気持ちいい。 そうするつもりはないのに、両脚で唯先輩の太ももを強く挟んじゃったりして……そんなことしたら余計に興奮させて、勢いづかせるだけだって頭ではわかってるのに。 梓「にゃっ、あ、んにゃあああっ! や、あっ、イくぅ、イきます、唯せんぱぁい……あ、ふにゃ……ふにゃああああああんっ!」 唯「んっ……イく時の顔、ちゃあんと見せてね、あずにゃん?」 私の全身を、手足の先まで、しびれるような快感が襲う。 そんな中、ぎゅっと顎を押さえて、顔を上向かせられたのだけはわかった。 梓「んあああっ! あっ! んにゃあああああ! にゃっ……にゃふうっ! ふ、ふにゃ……あっ、あ、にゃぁ……♪」 唯「……可愛い。あずにゃん、こんなに可愛い表情でイくんだぁ……♪」 梓「ん、く、ふにゃ……?」 見られちゃった。 きっと、人として一番無防備で恥ずかしい瞬間の表情を、じっくり眺められちゃった。 でも、唯先輩はどおして、私なんかがイく顔を見て、こんなに嬉しそうにしてるんだろう? 唯「はああ……♪ あずにゃんがイってくれた……イったよね、イったんだよね?」 梓「はっ、はぁい……イきましたぁ……唯先輩に、脚だけで、イかされちゃいましたっ」 身体中がぴりぴりって気持ちよくって、堪んない。 唯先輩に抱き着くと、少し紛れるような気がしたけど、逆に気持ちよさが強くなって。 7
https://w.atwiki.jp/yuiazu/pages/467.html
「唯先輩、ケーキ、半分食べませんか?」 いつもの放課後、いつもの音楽準備室。 そしていつものティータイムに、 いつもムギ先輩がもってきてくれる美味しいお菓子。 でもいつもと同じように、そのお菓子を食べる気にはなれなくて…… 私はフォークでフルーツケーキを半分に切り分けた。 「い、いいのぉ?」 お皿の上で二つに分かれたケーキを見て、唯先輩が目を輝かせ…… でもそれは一瞬のことで、唯先輩は眉根を寄せると、 心配そうな声を出した。 「あずにゃん……ひょっとして、具合悪いの?」 「あ、いえ……そんなことはないんですけど……」 唯先輩の問いに、私は目を逸らして答えた。 微妙な気まずさを覚えて、 唯先輩を真っ直ぐに見ることができない。 はっきりと返事をすることもできなかった。 「なんだぁ? 梓、ひょっとしてダイエットかぁ?」 からかいを含んだ声音で律先輩に言われ…… 返事ができず、私は言葉を詰まらせてしまった。 ちゃんと答えないとまたからかわれるとわかっているのに、 声が上手く出てくれず、 「おや……ひょっとして当たり?」 案の定、律先輩が口元を手で押さえながら、笑いを含んだ声を出した。 「べ、別にダイエットしているわけじゃ……」 頬が熱くなるのを自覚しながら、モゴモゴと言い返す私。 でも言葉はやっぱり歯切れの悪いもので、 顔はどうしても俯いてしまう。 そんな私の両肩に、同時に誰かの手が置かれ……後ろを振り向くと、 「「ようこそ」」 満面の笑みを浮かべた澪先輩とムギ先輩が立っていた。 私は言葉もなく、項垂れることしかできなかった。 実際、体重が物凄く増えたかというと……決してそんなことはなかった。 春の身体測定のときと比べてほんのわずか。 キロではなくグラムの単位で、誤差と言ってもいいぐらいで。 だから気にする必要も嘆く必要もなく、 当然ダイエットなんてする必要もないはずだった。 ……ないはず、なんだけど…… それでもまったく気にしない、なんてことはやっぱりできなかった。 お風呂上りになんとなく体重計に乗って、 そこで表示された数字が記憶よりも多いことはやっぱりショックだったのだ。 たとえそれがほんのわずかであっても。 「はぁ……」 ため息をつき、帰り道を歩く。 「ため息つくと、幸せ逃げちゃうよ、あずにゃん」 心配そうな声音で、隣を歩く唯先輩が言った。 その表情はいつもより心なしか沈んでいて…… 部活のときのことを、まだ心配してくれているのがわかった。 「すみません……でもやっぱり、ちょっと気になってしまってて……」 「う~ん……別に太っちゃったようには見えないよ? 気にしすぎだよ、あずにゃん」 「……はい……気にしすぎだって、自分でもわかってはいるんですけど……」 でも理性でわかっていても、感情面でも納得できるかどうかは別だった。 一度気にしてしまったら、そのことはなかなか頭から離れてくれない。 積極的にダイエットをしようとはさすがに思わないけれど、 お菓子を控え、ご飯の量を少し減らそうとは考えてしまうのだ。 今日の朝昼はいつもの半分ぐらいしか食べていない。 ムギ先輩のフルーツケーキも、結局半分を唯先輩にあげた。 多分今日の夜も、あまり食べようとは思えないだろう。 「ご飯ちゃんと食べないと、元気でないよ?」 「はい……」 「……無理しちゃダメだよ?」 「はい、気をつけます」 心配してくれる唯先輩にそう答えて、 いつもの分かれ道で私たちは分かれた。 その夜のおかずは肉じゃがだった。 晩ご飯を前に、帰り際の唯先輩の言葉が脳裏に浮かんだけれど…… いつもの三分の二を食べるのがやっとだった。 買い置きしておいたアイスは、手に取る気にもなれなかった……。 体がふらつくのは、きっと暑さのせいだけではないだろう。 視界が揺らぐのも、陽射しのせいばかりではないと思った。 ご飯をあまり食べていないせいで、体力が落ちている。 それは充分自覚しているのに…… 今朝の朝食も、私はきちんと食べていなかった。 あれから1週間、毎日お腹が空いて、ご飯を食べたいと思うのに…… ご飯を前にすると、食欲がなくなってしまうのだ。 「なにやってるんだろう、私……先輩たちも心配してくれてるのに……」 夏休みに入ってからの軽音部の練習日。 ムギ先輩がもってきてくれるお菓子も、 私はいつも半分ぐらいしか食べていない。 そんな私のことを、先輩たちはみんな心配してくれていた。 ムギ先輩はカロリーの少ないお菓子を用意するようにしてくれて、 澪先輩はいつも私の体調を気にかけてくれていた。 律先輩がいつもより練習時間を増やしてくれているのも、 唯先輩が自分のお菓子やお弁当を分けてくれようとするのも、 きっと私のことを思ってのことだろう。 先輩たちを心配させ、 迷惑をかけてしまっていることが申し訳なくて…… それでも、半ば意固地になってしまっている気持ちを改められない自分に、 ため息が漏れてしまう。 いっそ、本当に太ってしまっていればよかったのかもしれない。 そうすれば、中途半端にご飯を減らしたりせず、 きちんとダイエットをしようと思えただろう。 目標を決めて、体力を落とさないよう気をつけて。 「ほんと、なにやってるんだろう、私……」 ぼやきながら私は正門をくぐった。 運動部が練習を始めている校庭は、 まだ昼前だというのに、もう真夏の陽光で満たされていた。 陽炎が風景を揺らめかせ、つられるように頭が揺れ…… (あ、まずい……)と思ったときにはもう…… 私は、地面に倒れてしまっていた。 目を開くと、白い天井が見えた。運動部の掛け声が聞こえてきて、 顔を横に向けると開いた窓と、その向こうの校庭が見えた。 体の上には薄手のタオルケット。頭の下には柔らかい枕。 一度目を閉じて、そしてまた開いて…… ここが保健室であることを思い出した。 校庭で倒れてしまった私を、運動部の人が保健室まで運んでくれたのだ。 軽い貧血だから休んでいれば大丈夫と言われ、 暑いんだからしっかり食べないとダメよと注意され…… 唯先輩に保健室で休んでいることをメールで知らせて、 私はベッドに寝かせてもらったのだ。 「なんか……ダメダメだなぁ、私……」 ちょっとだけ増えた体重を変に気にして、 中途半端にご飯を減らして体力を落として。 先輩たちを心配させた挙げ句倒れてしまうなんて…… 本当にダメダメだ。 「……うん、今のあずにゃんはちょっとダメダメだね」 突然話しかけられ、私はびっくりして顔を声の方に向けた。 ベッドの脇にイスを寄せ、そこに座って私を見ている唯先輩がいた。 頬を膨らませ、珍しくも「怒ってます!」って顔をしていた。 「ゆ、唯先輩……」 「もうっ、心配したんだからね…… さっきまで、みんなもいてくれて…… ほんとに、みんな心配したんだからね……」 「……はい、すみません……心配かけて……」 謝る私に、唯先輩が顔をぐっと近づけてきた。 顔が触れ合いそうなほど近くで、唯先輩に見つめられ…… そこで私は、唯先輩の目尻が濡れていることに気がついた。 「……無理しちゃダメって、言ったよ、私」 「……はい」 そう言われて、申し訳ない気持ちで胸が一杯になる。 途端、瞳に涙が浮かび、唯先輩の顔が滲んで見えなくなってしまった。 「もうっ……しょうがないねぇ、あずにゃんは……」 少しおどけた口調で唯先輩が言って、そして頭を撫でてくれた。 まるで子供をあやすように、何度も、何度も…… 優しいその動きに、強張っていた気持ちがほぐれていく。 自然と体から力が抜け、口からは長い吐息が漏れた。 肺の空気をすべて吐き出してしまうと、 なぜか体が軽くなった気がした。 「……いつもと、逆ですね」 苦笑を浮かべてそう言うと、唯先輩も笑って「ほんとだね」と言ってくれた。 つられて私もまた笑って、涙が流れて落ちて視界がはっきりとした。 目の前の唯先輩の笑顔が見える。 一緒になって二人で笑って…… こうして笑うのも、随分と久しぶりな気がした。 本当に久しぶりに笑ったと思った。 「……あずにゃん、元気でた?」 「……はい、もう大丈夫です」 そう言って体を起こすと、唯先輩が手を私の方に伸ばしてきた。 顔に近づけられた指先には、一口サイズのチョコが挟まれていた。 一瞬だけ躊躇いが浮かび…… でもそれはすぐに消え、私はチョコを口に含んだ。 夏の熱気で柔らかくなっていたチョコは、口の中ですぐに溶けてしまう。 甘さがじんわりと広がり、 飲み込むと胃の中に落ちていくのが確かにわかった。 「……うん、もう大丈夫だね、あずにゃん」 溶けて指についたチョコをなめとりながら、唯先輩が言った。 「これで食べてくれなかったら、口移ししちゃうところだったよぉ」 「えっ……ゆ、唯先輩!?」 「エヘヘ……冗談だよっ」 笑いながら言う唯先輩に、私は口を尖らせた。 「唯先輩が言うと、冗談に聞こえませんっ」 私の言葉に、唯先輩が「エヘヘ」と笑いながら、 またチョコを一つ差し出してくれる。 私は「もうっ」と文句を言いながら、 大きく口を開けて、唯先輩の指に挟まれたチョコを食べた。 唯先輩が食べさせてくれる、甘いチョコレート。 一つ食べるたびに、弱っていた体に力が戻ってくる気がした。 そしてそれと同時に、いつもの自分が戻ってくるような気もしてくる。 今日の放課後も、いつもの音楽準備室で、 いつものティータイムはあるだろう。 いつもと同じようにムギ先輩が美味しいお菓子をもってきてくれて…… そして今日の私は、いつもと同じように、 きっと美味しくお菓子を食べられるはずだ。 そう、思った。 END こういう時に引っ張ってあげる唯に梓は惚れたんだな -- (名無しさん) 2010-07-27 17 38 32 ↑それには本気で同意。 -- (あずにゃんラブ) 2013-01-20 00 31 01 これでこそ唯 -- (名無しさん) 2013-10-29 01 11 44 これ定期的に読みたくなる -- (名無しさん) 2014-05-16 15 41 59 名前 感想/コメント: すべてのコメントを見る
https://w.atwiki.jp/83452/pages/10199.html
唯「ん……んふふ、ちゅ、ちゅむ……んっ、ん♪ んー♪」 唯先輩は私を焦らすように、胸元からおへそへ唇を滑らせてゆく。 その辺も、くすぐったいです。 でも、多分、狙っている場所はもっと下の方。 梓「あぅ、ああ、ふぁ……ぁふ、唯せんぱ、い……次、どこ……んうんっ!?」 腕を放して、昨夜みたく私の両脚を抱え込む唯先輩。 振りほどこうかと思ったけど、腰の奥がしびれた感じになってて、全然力が入らなかった。 もう、自分で自分がわからない。 唯「キスマークの数、同じにするって言ったよね……場所も、同じにしてくれるのかな?」 うっとりとした表情で、太ももの内側に頬ずりされる。 アソコを狙っている風じゃないけど、駄目です、内ももなんて、今の頬ずりでもすっごく気持ちいいのに。 梓「ん、やぁ、唯先輩っ……やだ、やっ、やです、下の方はっ」 唯「大丈夫だよぉ、見えない見えない。スパッツ穿けば楽勝で隠せるしねっ」 だから私は大丈夫じゃないんですってば。 隠すとか、そういう問題の前に、このままだと……。 唯「っん……ちゅう、ちゅむ……ん、んむまむまう……えへ、あずにゃんのエッチなおつゆの匂いがして、ハナチ、出そう」 梓「んううううううっ!? や、あ、ほんとに、脚っ、ああああ、あっ、唯先輩っ、駄目、ああああああんっ!」 唯「ちゅ、ちゅぷ、んあむ、はむっ……やらかいよね、ここ……そんでもって、気持ちーし」 私が本気で嫌がってるわけじゃないって、わかっててやってるんだ、唯先輩。 意地悪ですよ。駄目って言ってるのに止めてくれないなんて、唯先輩のいけず。 梓「そぉ、そおですけどっ、あん、あぅ……」 唯「ちゅぷ……でーきた。桜の花びらみたいなキスマークだよ、あずにゃん」 やっとふたつめ。形は、何だか怖くて見られない。 解放されるには、まだ、よっつのキスマークが必要なんだ……。 唯「えい、次だよっ」 梓「んぅっ!?」 今のの、すぐ傍に唯先輩の唇が吸い付く。 だから、そこは駄目って言ってるのに、私をあえがせるのがそんなに楽しいんですか。 梓「んあっ、あふ……やぁ、あぁ、唯せんぱぁい……そっ、そこ! は……駄目、ですぅ……」 唯「んちゅく、ちゅうううっ……んむ? ちゅく、ぷ……気持ちーのに、駄目なことなんてないよね?」 気持ちいいから駄目なんです。 恥ずかしい姿は散々晒したつもりだったのに、まだ、もっと、私自身も知らない私のやらしい姿を暴かれてしまう。 ……ああ。逆の立場だったら、私も唯先輩をいじめ続けちゃうかもしれない。 だから、止めてくれないんだ。 唯「ちゅく、んる……ココ、まだ触ってもいないのに、とろっとろだよぉ? あずにゃん?」 梓「わ、わざわざ、ゆわないで、くださいよぉ……私も、わかってるんですからぁっ」 唯「えへへ……あずにゃんが感じてるとこ、いつもより可愛いから……つい、ね」 梓「ゆ、唯せんぱぁい……おっ、覚えてるがいいです……」 絶対に仕返ししてやるですよ。 唯先輩が泣いても叫んでも、許さないですよ。 ……なんて、考えてたのに。 唯「うん、ずうっと覚えておくよ。あずにゃんとの大切な思い出だもん、忘れられるわけがないよ」 梓「んくっ……!?」 卑怯すぎる、唯先輩ってば卑怯すぎます。 そんな風に言われたら、私も、ずっと忘れられなくなっちゃうじゃないですか。 唯「ん、ちゅ、ちゅちゅ♪ はい、もいっこ出来たよ、キスマーク♪」 梓「あ……ふあぁ……」 みっつめ。 あとふたつで終わっちゃう。 ……あれ? さっきまで、こんな気持ちいいの、早く終わって欲しいって思ってたのに、おかしいな。 梓「み、みっつ、め……です……」 唯「今度は反対側の脚だよ。あずにゃんが女の子っぽくいられるように、ね」 ちゅ、と別れを惜しむように出来たばかりの跡に口付けて、唯先輩は逆の脚に顔を向ける。 その途中、私の一番恥ずかしいところに視線を留めたのが、確かに見えた。 唯「えへへへ……♪」 梓「んぅ……っあ、あぅぅ……」 やっぱり、早く終わらせて欲しい。 この恥ずかしさと気持ちよさを、そのまんま……ううん、倍返しで唯先輩に感じさせてあげたいから。 唯「あずにゃんみたいに可愛い女の子は、いつもきちんと行儀よく、膝を閉じてないと……ね?」 梓「ううう、ん、はう……そんな、ことっ……」 唯「もしココいじらないでイかせたら、昼間のアレ、教えてもらうからね? あずにゃん……んむっ、ちゅうっ、ちゅ……」 梓「ふぁ、教えっ……な、何を、ですか?」 唯「んふ、ちゅく、んむ……ハナチ出そうだから、まだ内緒にしとく……くむっ、ん、ちゅぷ」 私、何か変なこと言ったっけ。 聞かれて困るようなことは、多分ない。 唯先輩が、こんなに楽しみにしてくれるような何かなんて……私には、ない、と思う。 唯「ずっと気になってたんだよね、でも、ハナチはあずにゃんを困らせるし……ちゅううう、んく、ちゅる、あむぅ」 梓「あぅんっ、あっ、ああ! や、ああっ、何なのか教えてくださいよ、気になるじゃないですかっ」 必死でお願いしてるのに、聞き入れてもらえない。 意地悪、唯先輩の意地悪。 私も思い当たる節がない何かを聞き出して、きっとまた、こんな風にいじめるつもりなんだ。 気持ちよくしてもらえるのは嬉しいけど、一方的なのは、ちょっとだけ悔しいですよ。 それに……もし告白めいた言葉だったら、少しは洒落たことを言いたいですし。 梓「ん、あぅ、ああぁ……はぅ、んん……ゆ、唯せんぱ……あっ、あふ……」 唯「んちゅ、ちゅるる、んぅ……はぷ、ちゅく、れるれるれ、るりゅ……お股の内側舐められただけで、すっごく感じてるねえ? あずにゃん」 梓「ふあ、は……はい……だって、気持ちいいんです、あっ、あ、唯先輩の唇ぅ……ちゅうちゅうって、やらかくて、あったかくてぇ……」 もうキスマークを付け終わったのか、唯先輩が私の脚から口を離した。 その次は……曲げてる指は、三本、だけど。 梓「……み、みっつめ、です」 唯「へ?」 梓「の、残り、ふたつ……どっ、どおしたんですか、早く、もっと、キスマーク付けて欲しいんですっ」 震える腕を伸ばして、数えた指を見せ付ける。 よっつめは数えるのを忘れてたことにする、だからノーカウント。 喉からは、自分でも信じられないくらい上ずって、甘ったるい声が出てる。 唯先輩も、わざと私が数えないで、おねだりしたことに気付いたみたい。 唯「うん……そぉだね、今のがみっつめだったね。んじゃ、もう一個……気持ちーとこに、してあげる」 梓「ん……ふぅぅぅっ、んんぅ、あ……ふあっ」 唯「ちゅる、んむ、くちゅる……あむ、ん、んふむっ」 また、出来たばかりのキスマークの傍に、吸い付かれる。 両脚にふたつずつ、キスマークを作られちゃう。 唯先輩の言う通りにスパッツはいて隠さないと、本当に何かの拍子に誰かに見られちゃうよ、こんなの。 梓「ゆ、い、せんぱっ……ふあぅ、あっ、ああ、んっ……くぅんっ」 唯「ちゅううう、んむ、ちゅちゅっ、くむ……んっ、ちゅる……ちなみに、さっきの話。ココいじってイかせても、教えてもらうよ?」 梓「そっ、そんなの、ズルいですよぉっ……はぅんっ、あ、ああ、あぅっ」 唯「自信ないもんね、さすがに。自分以外の女の子をイかせたのって、昨夜のあずにゃんが初めてだったし」 唯「でも……ほら、キスマークは出来るようになったよ? これで、いくつになったのかなあ……?」 ちゅ、と私の脚にもう一度キスをした唯先輩は、すっかり感じてしまって震えている、私の身体に再度のしかかってきた。 悪戯っぽく、そして艶っぽく笑いながら、人差し指を伸ばしてくる。 半開きの唇、いやらしい吐息をする喉……ぺったんこなおっぱいを、つうっとなぞられた。 私が数えたら、最後のキスを、そこにされちゃう。 梓「みっつ……め、です」 唯「さっきも、みっつだったよね? キスマーク一杯付けて欲しくて、わざと数え間違ってるでしょ?」」 梓「いえ……じゃあ、よっつめでも、いいです」 唯「んふ……あずにゃんはエッチだねぇ」 梓「……唯先輩程じゃ、ないです……」 興奮のせいか、唯先輩ってば強気。 この表情、何故だか、ぞくぞくする。 さっきのは謙遜だったのかな、本当にアソコをいじられずにイかされちゃうかもしれないな、私。 唯「ねぇ、あずにゃん。最後はどこがいい? 首筋? 肘の辺り? それとも、膝にキスしちゃおっか」 わざとらしい。目立つ場所ばかりを挙げて、私を困らせようとしてる。 ふん、だ。 気持ちいいとこにしてくれないつもりなら、私だって唯先輩を困らせてやるんだから。 梓「どこでも構いませんけど、唯先輩の同じ場所にも、キスマークを付けちゃいますよ」 唯「ん……うん。いいね、お揃い。そおしよ、あずにゃんっ♪」 シーツと背中の間に、さっと唯先輩の腕が滑り込んで、肩を掴む。 逆の腕は、あくまでも優しく顎に添えられた。 これは。 もしかして、最後のキス、って。 唯「あずにゃん、目、閉じて」 梓「あ……は、はいっ……ん」 そんな、最後の最後に唇同士だなんて、予想してなかった。 嬉しい誤算。 しっかり抱き締められちゃって、逃げられない。 唯「……ちゅ、ちゅうううっ、んむ、ちゅる、ちゅううううっ」 梓「はわっ!? ゆ、唯先輩っ!?」 口付けされたのは、首筋だった。 しかも、結構、強い。 唯「んちゅうううう、ちゅ、んっ……はぁ……まんぞく、まんぞく」 梓「あっ、ああ……ぜ、絶対バレますよ、首だなんて! かなーりいい感じで、きっと脚にキスされてたら私、イってたかもしれないのに!」 唯「え? だって、こうでもしないとキスマーク付けさせてくれないでしょ?」 梓「あっ、う、でも、でもでも、今のっ……わざと強めに吸ってましたよね!? 何日も消えないですよ!?」 唯「うん、わざとだよ。あずにゃんが、お揃いのとこにマーキングしてくれるって言ったから」 梓「ま、まぁきんぐ……?」 そんな、動物みたいなこと。 確かに言いましたけど、マーキングだなんてつもりは、全然なかったですよ。 唯「私の恋人は、あずにゃん。あずにゃんの恋人は、私。そういう『しるし』なんだよね、これ」 梓「あ、う、は……い。その通り、です……」 他の存在に自分を知らしめる意味では、うん、マーキングだ。 そういうつもりはなかったのに、そういうことになっちゃってる。 ううん、私が思ってなかっただけで……初めから、そういうこと、だったのかな。 唯「みんなに見られるのは恥ずかしいから、絆創膏で隠してもいいけど……あずにゃんと一緒の、内緒の秘密を作りたかったんだよ」 本当にイかされると思ってたけど、イけなくって残念だけど、そう言われると何も言えなくなっちゃう。 私に一杯キスしてくれて、私はどこも刺激してあげられなかったのに、唯先輩は本気で満足げに微笑んでる。 梓「口がお上手ですね、唯先輩」 唯「何たって、あずにゃん仕込みだからね」 はあ。そう返しますか。 梓「んもう。お風呂でたっぷり仕返ししますから、覚悟してくださいね」 唯「うんっ! 楽しみにしてるよ~♪」 といれ! 唯「あずにゃん、私ちょっとおトイレ!」 梓「そんな……色気も何もないなんて……」 まぁいいや、今のうちに洗濯機を回しておこう。 唯先輩の下着も、洗っておいてあげよ……う? 梓「……くん、くんくん」 ……ほんの少しだけ、おしっこのによい。 あれ、ちょっと、もしかして、唯先輩が途中で切り上げたのって。 唯「ふぅ……♪」 梓「…………」 唯「はぁ、危なかったなぁ~」 ちゃんと閉まっていないドアの隙間から、パンツにちょっとだけにじんでいた、黄色っぽい液体の流れる音が聞こえてきた。 まぁ、ベッドの上で漏らされるよりは遙かにマシ、ですけど。 エッチなことしてる時とはまた違う感じの、気持ちよさそうな表情ですけど。 梓「……そういうの、先に済ませておいてくださいよ……高度なお預けプレイかと思ってたら、本当にがっかりです……」 唯「あわわ!? あっ、あずにゃん!? や、ちょ……いやーん! 覗きぃ!」 梓「全裸でトイレに入るのって、お風呂上がりに催した時くらいしかないですよね」 唯「えっ? う、うん」 梓「しかも残念な気分になってシャワートイレなのに、改めてシャワーで洗い直したり」 唯「うん……」 梓「じょぼじょぼが、ちょろちょろ……に」 唯「うっ……うわぁーん! あずにゃんの馬鹿ぁ! 変態! でも好きだよ!」 梓「私も好きです! でも、こういうお預けのされ方って納得出来ませんよ!?」 唯「今だけは独りにしてよ! お願いだから、お風呂で何されてもいいから!」 梓「……下着の替え、ありますよね? さっきはいてたの、洗っちゃいますが」 唯「お泊まりの分、ちゃんと持ってきてるよぉー! うわぁぁぁん!」 このくらいにしておこうっと。 少しだけ溜飲は下がったけど、こういう趣味があるって誤解されたらやだし。 ……でも、ちょっとだけ、いいよね。 梓「……くんくん……すぅぅ……」 唯「…………」 梓「はっ」 唯「あずにゃんの、ど変態」 水を流す音もさせず、ドアの隙間から今度は唯先輩が私の顔を覗き込んでいた。 ぼんっ、と頭から大量の蒸気が噴出するような錯覚。 梓「す、済んだらちゃんと流してくださいよ! むしろ自分ちじゃないんですから、節水とか気にせず流しながら用を足すのが普通じゃないですか!?」 唯「足音が聞こえないから、拭きながら見てみたら……うう、お風呂で私に何するつもりなの、変態あずにゃん……」 梓「変態じゃ……私は変態なんかじゃないんですっ!」 うわあん、もう唯先輩なんか、唯先輩なんか嫌い……に、なれない……ぐすん。 おふろ! かっぽーん。 私は先に身体を洗い終えて、次は唯先輩の番。 湯船に浸かりながら、黙々とスポンジを動かす姿を眺める。 ……ほこほこと湯気の立つ中、肌を紅潮させた唯先輩は、とっても綺麗なんだけど。 唯「…………」 梓「…………」 ああ、何か嫌な空気。 唯先輩ってば、さっきから口聞いてくれないし。 ……ええい、こういう時は自分から動かないと! 梓「あの、唯先輩」 唯「なぁに? 変態さん」 うく、早速のカウンターブロウ。 梓「さっきのはちょっとした出来心で、別にああいう方面の趣味があるわけじゃないんです。信じてください」 唯「……つーん、だ」 やっぱり、怒ってるよね。 私だってトイレを覗かれたら、例え相手が唯先輩でも怒るだろうし。 ……変なことしてる姿も見られちゃったし。 梓「ううっ……ぶくぶくぶく」 こんな雰囲気のままじゃ、本当に嫌われちゃうよ。 口も聞けないままで、一緒に寝るの? ううん。その前に、唯先輩が怒って帰り支度を始めるかもしれない。 やだ。 そんなの、絶対にやだ。 したいこと、されたいこと、まだまだ沢山あるのに。 梓「ぷくぷく……」 唯「……ん……ぷぁ」 唯先輩もひと通り洗い終わって、湯船の方に――私に、視線を向けた。 『どいてよ』なんて冷たく言われるのかな……ううん、湯船であったまらずに上がるつもりなのかも。 そうだよね、私がしたのはいわゆる変態的な行為だし、出来心だったからって、それが嫌われない理由にはならないもんね。 唯「……あずにゃん」 梓「は、はいっ!?」 唯「あずにゃんは、どうして私が怒ってるか、わかる?」 梓「は、い……唯先輩の、と、トイレを覗いちゃったから……ですよね」 唯「それは、理由の三分の一くらい」 梓「……あ、あと、パンツの匂いまで嗅いでたから……」 唯「それでやっと、三分の二だよ。あずにゃんは私のパンツの匂い嗅いだのに、私にはあずにゃんのを嗅がせてくれなかったもんね」 え? いえ、それって……えっ? 梓「わ、私のこと、変態だって言ってたし……だから嫌いになっちゃったんじゃ……」 唯「だから、変態っぽいことをし合って、差し引きゼロで許してあげようと思ってたのに……すぐ洗濯しちゃってるんだもん!」 ぷう、と頬を膨らませる唯先輩、こんな時でアレだけど、妙に可愛い。 ……あ、お風呂とか抜きにして、羞恥で顔を真っ赤にしてるから、かな。 じゃあ、最後って、もしかして私がぐだぐだ悩む必要のなかったような理由なのかな。 梓「さ、最後の、残り三分の一の理由を教えてください、唯先輩」 唯「もー、まだわかんないかなあ?」 梓「すみません、唯先輩に嫌われたと思って、全然頭が回らなくって……」 唯「だーかーらー。嫌いな人と、一緒にお風呂に入れるのかな、あずにゃんは?」 梓「ふぇ?」 唯「あずにゃんが、お風呂で仕返ししてくれるって言ったんだよ? ココ……にも、同じようなキスマークを付けてくれるんでしょ?」 つぅ、と自分の首筋に指先を添えてみせる唯先輩。 あずにゃんの為に、綺麗に洗ったんだよ、って顔で。 梓「……だって、変態とかゆうんですもん。唯先輩に何かしたら、その瞬間に、本当に嫌われそうで怖くて……」 唯「じゃあ……私も変態さんになるよ。とりあえず、あずにゃんには私と同じくらい恥ずかしい目に遭ってもらおっか」 梓「はい?」 一体何なんですかその論理展開。 唯「さー、上がって上がって。そこにしゃがんでー」 梓「わ、わっ、あわっ」 まさに問答無用で湯船から抱き上げられた私は、お風呂場の床にしゃがみ込まされてしまった。 唯先輩は隣にぺたりと座って、私が逃げられないようにする為か、肩を押さえている。 唯「あずにゃんがおしっこするとこを見せてくれたら、トイレ覗いたのはお相子にしよう!」 梓「っ……あぅ、そんな、ここ、お風呂なのにっ……ほんとに、おしっこ、しなきゃ……?」 唯「大丈夫、すぐ流せばばっちくないし、あずにゃんだって、私に嫌われるかも、なんて思いながら過ごしたくないでしょ?」 梓「で、でもでも、そんな簡単に出ませんよ? 唯先輩は、エッチする前からずっと我慢してたみたいですけど……」 唯「出せば出る、だよ! お互いに、身体も気持ちもすっきりして、たーくさんエッチなことしようよ! ねっ!」 ……よかった。唯先輩、本当に私を嫌いにはなってなかったんだ。 でも、さっきの恨みを晴らすように、私に恥ずかしい行為を要求してくる。 ……ううん。私が唯先輩を辱めたのは事実。 その代償として、ちゃんと償わなきゃ。 12
https://w.atwiki.jp/yuiazu/pages/304.html
春休みのある日、平沢家に遊びに来ていた私は非常にイライラしていた。 その理由は… 唯「ういー、アイスー」 梓「……」 憂「はーい♪お姉ちゃん、あーんして?」 梓「……」 唯「んぐんぐ、おいしぃ♪」 梓「あ、あの!前々から言おう言おうと思ってたんだけど!」 憂「ん?なあに梓ちゃん」 梓「二人ともちょっとくっつきすぎじゃないかな?いくら姉妹だからって限度ってものが…」 憂「あ、お姉ちゃんほっぺにアイスくっついてるよ?しょうがないなぁ」ペロッ 梓「!!!」 唯「ふぁ、くすぐったいよぅういー♪」 憂「えへへ、あまーい♪…で、なんだっけ梓ちゃん」 梓「…っ、…っ……ゆっ、唯先輩!ちょっとこっち来てください!」 唯「え、なあにー?」 首根っこを掴んで廊下に引っ張り出すと、私は唯先輩に詰め寄った。 …本当はこの勢いでキスするっていう手もあったんだけど、さすがにやめておくことにする。 梓「唯先輩!あなたは私の何ですか?」 唯「え?なあにいきなり」 梓「いいから答えてください!」 唯「私は…えへへ、あずにゃんの恋人ー♪」 梓「じゃあさっきのあれはなんなんですか!?」 唯「え?さっきのって?」 梓「だ、だから…」 梓「憂とぴったりくっついたり、ほ、ほっぺを舐めてもらったり…」 唯「え、なんかおかしいかなぁ?」 梓「おかしいです!姉妹でそんなことするなんて絶対変です!…私だってまだなのに…ブツブツ」 唯「あずにゃん?」 梓「とにかく!もう憂と必要以上にくっつかないこと!これは二人のためでもあるんです!いいですね?」 唯「うーん、よくわかんないけど…あずにゃんがそういうならそうする!」 ふぅ、ひとまずこれで安心のはず。 いくら妹にとはいえ、恋人がべたべたされているのを見るのは精神衛生上よくない… 憂「お姉ちゃん、ケーキもあるよ♪食べさせてあげるからここ座って?」 唯「わーい!」 梓「……」ジーッ 唯「…はっ!い、いいよ。自分で食べられるよ!」 よしよし、その調子ですよ唯先輩。そのまま妹離れをして、私に全身全霊をもって愛情を注いでください! …と思ったのも束の間。 憂「お姉ちゃん…」ウルウル 唯「う、うい?」ドキッ 憂「私のこと、嫌いになっちゃったの…?」 唯「そんなことないよ、大好きだよ!」 憂「じゃあ、ケーキ食べてくれるよね?」 唯「うんっ!」 憂「それじゃはい、あーん♪」 唯「あーん♪」 梓「ちょ…」 梓「ちょっと憂!唯先輩に色目使わないでよ!」 憂「やだなぁ、色目なんて使ってないよ♪」 梓「いいから唯先輩にべったりするのやめて!先輩、こっちでギターの練習しましょう!」グイッ 唯「ほわ?」 憂「やめてよ梓ちゃん、お姉ちゃんは私とケーキ食べるの!」グイッ 唯「ふお?」 梓「言っとくけど、唯先輩は私の恋人なんだから!」グイーッ 唯「ぐお…」 憂「私だって言わせてもらうけど、お姉ちゃんは私のお姉ちゃんなんだよ?」グイーッ 唯「ぐえ…」 梓「いいから離して!」グイーーッ 唯「んぐ…」 憂「梓ちゃんこそ!」グイーーッ 唯「……」 しばらく唯先輩を引っ張り合っていたけど埒があかない。ここは冷静に話し合いで解決しよう! 梓「唯先輩、こないだ言いましたよね。私のことお嫁さんにしてくれるって!」 唯「ゲホゲホ…そ、そうだっけ…?」 憂「お姉ちゃんだって小さい頃、大きくなったら私をお嫁さんにしてくれるって約束したよね♪」 唯「うぇ?えーっと…」 梓「もう!唯先輩はどっちが好きなんですか!!」 憂「はっきりしてよお姉ちゃん!!」 唯「えっと、えっと…」シュゥゥ… 頭から煙を出して必死に考える唯先輩。…何か計算をしてるのか、指を折っていた。 唯「…どっちも好き!」 5分ほど考えた結論がこれだ。 まったく唯先輩はどうしてこういうのかな。いくら私を選んだら憂が傷つくからって…はっきり言ってあげた方が本人のためなのに! 憂「そっかー、じゃあここはより長い間一緒にいる私の方が好きってことで♪」 梓「いやいやおかしいでしょ!恋人の私の方が好きに決まってるって!」 憂「梓ちゃんうるさーい…」 梓「なっ…このシスコン!」 憂「梓ちゃんのちび!」 ギャーギャー 唯「…あのね二人とも。私いいこと考えたの」 梓憂「なにっ!?」 唯「ひぃっ!わ、私、両方をお嫁さんにするよ!それなら平和に…」 梓「そんなんじゃダメですーっ!!ちゃんとどちらかを選んでください!」 憂「そうだよ!二兎を追うものなんとやらだよ!」 唯「うぇぇ…じゃ、じゃああずにゃんを…」 憂「お姉ちゃん…」ウルウル 唯「わわ、やっぱり憂を…」 梓「唯先輩?」ジーッ 唯「え、選べないぃ…!」 すったもんだの末、唯先輩の提案が採用になりました。 結局これが一番平和的なんですよね。え?でも私が唯先輩を一人占めできないって? 心配ご無用、ちゃんと秘策はあるです… 梓「じゃあ唯先輩、寝室は私と二人ってことで♪」 憂「な!なに勝手なこと言ってるの梓ちゃん!」 梓「安心して!唯先輩とがんばって、4人家族にするから…///」 唯「え?なにがんばるの?」 梓「きゃあ、そんなこと言わせないでくださいよぅ///じゃあさっそく練習しましょう!」 憂「ちょ、ちょっと待って!私も一緒にする!いいよねお姉ちゃん!」 唯「なんかよくわかんないけどいいよー♪」 梓「だめです!最初はやっぱり二人で…」 唯「大丈夫だよあずにゃん。なんでも人数多い方が楽しいから!」 梓「ま…まぁ、そういうのもありでしょうが…」 憂「よし、がんばろうね梓ちゃん!」 梓「こうなったら後には引けない…やってやるです!」 唯「で、何するの?りっちゃんたちも呼ぶ?」 梓憂「呼ばない!」 その後私たちは熱く燃え上がり、唯先輩は灰になりました―― END 退きなさいシスコン優! -- (あずにゃんラブ) 2013-01-20 15 47 04 憂唯梓最高 -- (名無しさん) 2013-07-29 17 01 02 名前 感想/コメント: すべてのコメントを見る
https://w.atwiki.jp/yuiazu/pages/1553.html
「うぅ……」 あ、頭が痛い……。 「気持ち悪い……」 私は中野梓。桜が丘高校の新任教師だ。 なんでこんなに気持ち悪いのかというと昨日は私の歓迎会があって、お酒を飲んで……。 さわ子先生にネコ耳なんてプレゼントされて、酔った勢いで付けたらあずにゃんなんてあだ名つけられたし。 そう言えばどうやって帰ってきたんだろう。あんまり覚えてないや。 ズキズキする頭をあげると、見なれない部屋が目に入った。 「あ、あれ……?」 よく見ると私の部屋じゃない。それに服も私のじゃなくて、なんだかぶかぶかだし……。 何がどうなっているの? 「う~ん……」 「……!?」 隣を見ると、誰かがが隣で寝ていた。 「ゆ、唯先輩……!」 それは同じ学校の先輩教師である唯先輩だった。 唯先輩は私と同じようなぶかぶかの服を着て、気持ちよさそうにベッドに眠っている。 頭が真っ白になった。 この状況は誰が見ても……、その……! 「あ……、あずにゃん。おはよう」 「……」 ニコニコしながら唯先輩が私に抱きついてきた。 「……あずにゃん?」 「う……」 「う?」 「うわああああぁん! もうお嫁に行けなあああぁい!」 「わっ! 何、どうしたの!?」 「違うんです! これは一種の気の迷いと言いますか、場の流れと言いますか……!」 「お、落ち着いてあずにゃん! 何がどうしたの?」 「あああああぁ……!」 数分後。 「取り乱して済みませんでした……」 「いいって。勝手に家に連れてきた私が悪かったし」 「そんな。酔い潰れた私を介抱してくれたのに勘違いしてしまって……」 「何を勘違いしたのかな~?」 「べ、別にいいじゃないですか!」 唯先輩は同じクラスの担任で、私は副担任である。 こんなふうに頼りになるところはたくさんあるんだけど、いつもは……。 「スカートの中にジャージは穿いちゃダメだよ?」 「えぇ~? だって今日寒いもん!」 「でもねぇ……」 「はいはい。あずにゃんはちょっと待ってね」 「唯先輩……」 制服を注意している私を見つけた唯先輩がニコニコしながらやってきた。 「寒いのはわかるけど、こうやって外ではしない方がいいよ。みっともないからね」 「……はぁーい」 「教育指導の先生に見つからないように教室に戻るんだよ!」 「わかってるって!」 そう言うと、唯先輩は生徒を教室に帰した。 「あんまり頭ごなしに怒ってもダメだよ」 「でも、やっぱり校則は守るべきです」 「そうだけど、それだけが全てじゃないでしょ?」 「そうですけど……」 ……と、まぁこんな感じにルーズな感じで生徒に接している。 でも、怒る時は怒るし、ダメなものはダメだってしっかり言ういい先生だ。 そんなこんなで私が来てから数カ月経ち、学校の仕事にも慣れてきた頃。 「あれ律先生。唯先生は?」 「あぁ、熱がでて休むって連絡が来たぞ?」 「風邪ですか?」 「そう。だから2年1組のほう、しっかしやれよ?」 「わ、わかりました」 まさかこうも早く担任の仕事をするとは思ってなかったな……。 でも、私も教師なんだから頑張らないと! 私は久しぶりにクラスの教壇に立った。 「はい、じゃあホームルーム始めますよ」 「あれ? 唯先生は?」 「今日は風邪でお休みです」 「えぇ~? 先生、大丈夫なのかな……」 「はいはい、静かに。先生から連絡は来ているので大丈夫です」 「梓先生心配ですね~」 「子どもじゃないんですから、明日になれば学校にきますよ」 私は名簿を開いて出席状況を確認し始めた。 それから音楽の授業に出て、プリントを印刷して、唯先輩の仕事をやって気がつけば放課後だった。 「つ、疲れた……」 「お疲れさん。はい、コーヒー」 澪先輩がカップを持って来てくれた。 「ありがとうございます」 すっと口に含むと、一日の疲れがどっと出ていくようで肩が重かった。 「唯先輩って毎日こんなことしていたんだ……」 「担任って授業もクラスも面倒見なくちゃいけないからな」 改めて唯先輩のすごさを体感した気がする。 そういえば、具合の方はよくなったのかな……。 「後のことは私達でやっておくから、梓は唯先生の見舞いに会ってあげてくれ」 それを察してのことなのか、澪先輩がこんなこと言った。 「えっ、でも……」 「あいつ、独り暮らしだから大変だと思うんだ。だから、な?」 律先輩がぐっと親指を立てて行って来いって言ってくれた。 「……わかりました。では、後のことよろしくお願いします」 「梓ちゃん。これ、唯先生に持って言ってあげて?」 ムギ先輩がちょっと高そうなケーキを持たせてくれた。 「ありがとうございます。それでは、お先に失礼します」 ─── ピンポーン 「……あれ? 出ないな」 何回か呼び鈴を押しても反応がない。 「すみません、中野ですけど唯先輩いらっしゃいますか?」 ……反応なし。どうしたんだろう。 「け、携帯に連絡してみよう……!」 プルルル……、プルルル……。 「で、出ない……!」 嫌な予感が頭をよぎって、私はドアを叩いた。 「唯先輩! いるんですか? 大丈夫ですか!?」 ガチャッ……。 「ゆ、唯先輩!」 ゆっくりとドアが開くと、ふらふらとした唯先輩が出て来た。 「あ、あず……、にゃん……」 「大丈夫ですか!?」 「う、うん……。だいじょーぶ」 口ではそう言っているけど立っているのもやっとな感じで、私は慌てて唯先輩をベッドに運んだ。 「うぅ……、頭痛い……」 「こんなに酷いとは……。すみません、無理に起こしちゃって」 「そんなことないよ……。来てくれてありがとう、あずにゃん」 部屋の中は少々散らかっていて、何とか動いた形跡がところどころ残っていた。 「ご飯食べました?」 「いや、つくる元気無くって……」 「おかゆ作りますから、ゆっくりしていてくださいね?」 「ありがとう……」 唯先輩をベッドに寝かせて、私は台所から食材を見つくろうとおかゆをつくり始めた。 「ごめんね……? 学校の仕事押し付けちゃって……」 「そんなことより早く風邪治してくださいね。私だけじゃクラスの仕事できませんから」 「はーい」 おかゆを横に置いで台所の片づけをしようと思ったら、唯先輩が私の裾を掴んでくいくいと引っ張る。 「……ねぇ、あずにゃん」 「何ですか?」 「食べさせてくれる?」 「……はい?」 「体の関節が痛くって……、手が震えちゃうの。お願い……」 「……しょうがないですね」 私はおかゆを掬って、唯先輩の口に持って行ってあげた。 「あ、あーん……」 「あーん……」 こういうことをするのは初めてだから何だか照れくさいなぁ……。 でも、おいしそうにおかゆを頬張る唯先輩の顔を見ると、まぁいいかなって思える。 「おいしいよ。あずにゃん」 「お口に合ったようでよかったです」 「あずにゃんはいいお嫁さんになるよ」 それからそろそろとおかゆを食べさせてあげて、食器を洗い、部屋の片づけをして、一息ついた。 「ムギ先輩からケーキ貰っているんですけど、食べますか?」 「ケーキ? 食べる食べる!」 風邪を引いているのにケーキとか甘い物の単語には元気に反応する。 中のケーキをお皿に移して持っていくと、まるで子どものように目をキラキラを輝かせた。 「わぁ、おいしそう」 そして、目を閉じて口を開ける。 「ま、またですか?」 「だって震えているからケーキ落としちゃうよ」 「もう……、特別ですよ?」 唯先輩が風邪人なんだから仕方ないよね。そう言い聞かせつつ私はケーキを少し切って口まで持って行ってあげた。 「あーん……」 もくもくと口を動かして、唯先輩は嬉しそうに唸った。 「おいしいよぉ……!」 「よかったですね」 「あずにゃんのおかゆの次ぐらいにおいしい!」 「そんな大げさな……」 「本当だもん」 本当に子どものようにこんなことをしらっと言いのけるのが唯先輩なのだ。 けど、そう言われて悪い気はしない。むしろ嬉しい。 「あずにゃん、あーん」 「はいはい。ちょっと待ってくださいね」 こんな感じにケーキも食べさせてから、私は片付けに戻った。 「熱も下がってきていますね」 「うん。あずにゃんのおかげだよ」 頭のひえピタシートを変えようと手をやると、唯先輩の体はしっとりと濡れていて冷え切っていた。 「あぁ、汗だくじゃないですか。着替えたんですか?」 「体がだるくて起きられなかったから着替えてない……」 「冷えちゃいますから汗を拭くついでに着替えましょうか。ちょっと待っていてください」 私はタンスの中からシャツと下着を取り出し、洗面器にお湯を入れてタオルを用意した。 「じゃあ、脱がしますね」 「や、優しくしてね……」 「何言っているんですか、もう……」 私は体を拭くためにパジャマを脱がそうとして、ボタンを外し始めた。 ガチャッ。 「失礼しまーす。唯先生、元気?」 「「あ……」」 声が聞こえたので後ろを振り向くと、生徒が2人ぽかんと口を開けて私達を見つめていた。 「……ご、ごゆっくり!」 「失礼しました!」 早口で言うと顔を真っ赤にして、2人の生徒は部屋から出て行ってしまった。 「ち、違うの! これは……!」 慌てて説明しようと追いかけたけど、もう2人はいなかった。 「はぁ……。絶対何か勘違いしているよ……」 「あ、あずにゃん……。寒いよ……」 「あっ、ごめんなさい。すぐ着替えさせますから」 服を脱がしたままの唯先輩に慌てて戻ると、私はパジャマを脱がせて体を拭いてあげた。 「あずにゃんくすぐったいよ……!」 「ご、ごめんなさい」 「ふふふ。でも、気持ちいいよ」 「どうも」 それから素早く汗を拭きとると、パジャマと下着を変えてあげた。 「朝ごはんは冷蔵庫の中につくっておいてありますから元気になったら食べてください」 「うん。ありがとう……」 「じゃあ私帰りますね」 「あ、あずにゃん……」 帰ろうとする私を唯先輩が切ない声で呼び止める。 「何ですか?」 「これ、あげるね?」 そういって、唯先輩がこの家のスペアキーを渡した。 「な、何でですか?」 「鍵閉めてもらいたくてね」 そう言うと優しく私の手にスペアキーを握らせた。 「それに、今後もお世話になるかもしれないし」 「もう、私の家遠いんですからね?」 「あずにゃんが風邪ひいたときは私が行くからさ。ね?」 「……もう、しょうがないですね」 私は唯先輩の家のスペアキーを受け取ってその日は帰った。 次の日。 「はい、みんな席についてー」 「あ、唯先生! 元気になったんだね」 「うん。もう元気いっぱいだよ!」 ふんす! と唯先輩が強く意気込んで腕を振り上げて見せた。 「梓先生の愛の看護が効いたんだね」 「あ、愛!?」 クラス中がひゅーひゅー! なんてはやし立ててお幸せに! なんて声も聞こえてくる。 「な、何言っているの。私と唯先生とは何もありません!」 「昨日唯先生の家に行っていちゃいちゃしていたそうじゃん」 「いちゃいちゃなんてしていません!」 「服脱がせていたって聞いたんですけどー?」 「あれは下着を変えてあげようと……」 「下着まで変えてあげたの!? きゃー!」 「いや、だから唯先生が大変そうだったから手伝ってあげただけで……」 必死に説明しようとするけど、もう聞く耳を持っていない。 「家の鍵なんて渡しあっていたりしてねー!」 「なっ!? 何でそれを……」 「えっ!? 2人ともそんな関係まで行ったの!?」 し、しまった! 私の言葉を聞いてクラスがまた一層とうるさくなってしまった。 「冗談で言ったのに本当だったんだ!」 「通い妻ですね、先生!」 「先生! 結婚式には呼んでくださーい!」 あぁ、喋れば喋るほど墓穴を掘っていく……。 このまま穴を掘って入りたいよ……。 「はいはい! みんな静かに! 私と梓先生はそんな浮ついた関係じゃないです」 唯先輩が何とか助け船を出してくれて、クラスみんながぶーぶー文句を言いながらもテンションは下がり始めた。 よかった。何とか収まりそうだ。 「私は梓先生と、真剣にお付き合いを考えています!」 「えっ!?」 ……と思った矢先、唯先輩がこんな爆弾発言をするものだから私も含めてみんなが驚いた顔で固まってしまった。 「……なんてね?」 てへっ! なんて言ってごまかすと、唯先輩はホームルームを終わらせた。 「はぁ……。まさかあんなに広まっているとは」 「ごめんね、私のせいで」 「いいえ。もともと鍵をかけ忘れた私がいけないんですから」 でも、しばらくこれでからかわれるのは覚悟しておいた方がいいかもなぁ。 「でもね、梓先生」 「はい?」 先を歩いていた唯先輩が立ち止まると、くるっと私の方に振り向いた。 「その気があるのなら、またあの鍵で来てほしいな」 「……へ?」 「……待ってるよ」 そう言い残すと、唯先輩は頬を赤く染めて足早に去って行った。 そんなことを言われた私はどうしていいかわからず、唯先輩と同じように頬を赤く染めることしかできなかった。 また、この数年後に生徒にやっぱり2人の結婚式に呼んでくれたねってからかわれるのはまた別の話。 続編『それは、私が宿直の当番の日だった【R18】』 ヒューヒュー! -- (あずにゃんラブ) 2013-01-08 22 24 46 名前 感想/コメント: すべてのコメントを見る