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二回戦第一試合―――サンレッドと風見幽香の死闘。 それは、太陽の戦士の勝利で幕を閉じた。 興奮覚めやらぬ中、サンレッドは両手をゆっくりと下ろし、ようやく息をついたのだった。 『天体戦士サンレッド、一回戦に続いてまたしても大番狂わせをやってのけたぁ!幻想郷最強とも噂される風見幽香 を激闘の果てに捻じ伏せ、準々決勝への進出を決めました!まさに彼こそはドSを越えた超絶ドS――― 真・究極加虐生物サンレッドの誕生だッ―――!』 「フン!」 元ネタ通りに鼻を鳴らしてノリのいい所を見せるレッドさんである。 彼は倒れた幽香を見下ろし、口を開いた。 「どうだ、風見…最初に言った通り、俺の拳がおかしくなるまでボコってやったぜ…」 そう語るレッドの両手からは、ポタポタと血が零れ落ちている。 単に皮が破れているだけではない。折れた骨が、肉を突き破っていた。 「あと、もう少し…もう少しだけテメーがしぶとかったら、俺の負けだったよ」 「そう…惜しかったわ。けどね…その、ほんの少しの差こそが、全て…」 「…………」 「ああすればよかっただの、こうすれば勝ってただの、下らない言い訳などしない。負けたわ…サンレッド」 「なら…今すぐあいつを解放しろ。忘れたとは言わさねーぞ」 「解放…?ああ、ヴァンプ将軍の事ね」 何がおかしいのか、幽香はくすりと笑う。 「それについて、あなたに言わなければならない事があるの」 「何だと?」 「実はね、彼は…」 「あ、幽香さんはお疲れでしょうし、そこからは私がレッドさんに説明しときます」 ―――そう言いながら、入場門から現れたのは、囚われの身であった筈のヴァンプ様であった。 「レッドさん、二回戦突破おめでとうございます!いやー、素晴らしい闘いでした!」 彼はニコニコしながら、レッドをねぎらう。 レッドさんはというと、口をパクパクさせながら彼の顔を指差すばかりだ。 「お、おい…どういうこった…いや…正直、もう、可能性は一つしかねーって分かるんだけどよ…」 「その通りよ」 幽香が頷く。 「グルだったの、私とヴァンプ将軍」 「ええ。端的に言うとレッドさんを騙してました、すいません」 「端的に言わなくても分かるよバカ野郎!じゃあ何か!?磔になってたヴァンプは何なんだよ!?」 「ああ。あれは幽香さんが植物を変化させて作った人形なんですよ。よく出来てたでしょ?」 「…………おい。まさか」 レッドは全ての表情が消えた顔で、審判・四季映姫を見た。 果たして彼女は、したり顔で頷く。 「はい。私も事前に演出として説明されていました。でなければ、風見幽香を反則負けにしていますよ」 「おい…」 「なお、八雲紫もこの事は了承済みです」 「あいつもグルかぁぁぁぁぁっ!」 自分が完全にピエロであった事を知り、レッドは腹立たしいやら悔しいやら情けないやら、散々な気分である。 何故、勝利したというのに、こんなやるせない気持ちにならなければならないのか。 「…私も、最初は本気で拉致するつもりだったんだけどね。ヴァンプ将軍と話してると、あんまりなお人好しぶりに そんな気分も失せちゃって。ほんとに悪の将軍なのかしら、この人…」 「えーっ、それは酷いですよ、幽香さん。私はいずれこの幻想郷だって征服するつもりですから(笑)」 何気に壮大な野望を語るヴァンプ様に、会場の皆からも暖かい笑いが贈られた。 ヴァンプ様はテレテレした様子で手を振ってそれに応える。 「ね、こんな調子よ…何だか自分がどうしようもない極悪人に思えてきちゃって。予定を変更して、こういう演出に なったというわけ」 「ええ、そうなんですよレッドさん。いやあ、しかし感激です。私に危機が迫った事でレッドさんがあんなに怒って 下さるだなんて。普段は厳しい事を言ってても、やっぱりレッドさんは優しいヒーローだったんですね(ポッ)」 「…………ヴァンプ」 「はい?」 「言いたい事は山ほどあるけど、とりあえず、殴るぞ」 ガツンッ。 最後の力を振り絞り、砕けた拳でヴァンプ様をブン殴って――― レッドは遂に、精根尽きて倒れたのだった。 ―――担架で運ばれていくレッドと幽香。そしてコブが出来た頭を押さえつつそれに付き添うヴァンプ様。 それを見つめ、心から安堵している女がここに一人。 「もぉ~っ!紫ったら、仕込みならそうと早く言ってよ。幽々子、本気で心配しちゃったじゃない!」 白玉楼の主・西行寺幽々子である。 「ああ~、よかった!ほんっとうによかった!これでまたヴァンプさんの手料理が食べられるわ!」 「そんな事言ってると、妖夢が泣くわよ?白玉楼の台所を任されてるのは本来、あの子でしょうに」 「それがね、あの子ったら<ヴァンプさんが来てから楽でいいですねー>なんて平然と言ってるのよ。誰があんな風 に育てたのかしら!」 「鏡を見なさい。ほら」 「まあ、この世の者とも思えない美少女ね!」 「ぎゃはははははは!ヒィ~ひっひっひっひ!wwwwwwwwwwwww!」 「そこまで爆笑するこたないじゃない!」 「ごめんごめん。とにかくこれで太陽の戦士・サンレッドも八強入り。それも、星熊勇儀と風見幽香を倒して――― いいわ。とてもいいわね、彼は。予想以上にトーナメントを引っ掻き回して、混沌とさせてくれてるじゃないの」 「楽しそうねぇ、紫…ま、貴女はそういう子だから」 そうのたまう幽々子自身も、どこか楽しげに語る。 「目的も過程も結果も、貴女は重視しない…幻想郷が楽しければ、それでいい。それだけで、貴女は動いてる」 「今回に限っては、純粋に彼女の…アリス・イヴの遺志を汲んだつもりだったのだけどね。気付けば、この通りよ」 だけどね、と八雲紫は―――幻想郷の賢者は言う。 「きっと彼女も、このとてつもなく楽しい空気を味わいたかった事でしょう。この上なく楽しい時間を幻想郷の皆に 味わわせたかったのでしょう―――だからこれでいいの。だから、もっと楽しませて頂戴な」 「楽しくなかったわね」 レミリア・スカーレットは、そう嘯いて鼻を鳴らす。 「とんだ茶番劇だったわ。苛立ちさえも覚える」 「レミリアちゃんったら…」 しょうがないなあ、という顔のコタロウ。 「すごい闘いだったねー、ヴァンプさんが無事でよかったねーって、素直に言えばいいじゃない」 「如何にあなたの御言葉でも、奴を…サンレッドを褒めるような事だけは言いたくありません」 「ガンコだなあ…何でそんなにレッドさんを嫌うのさ」 「奴は、太陽の戦士です。そして、私は吸血鬼です」 太陽は我々にとって不朽の怨敵―――レミリアは、そう語る。 「そんな事ないよ」 コタロウは、微笑む。 「ぼくも兄者も、レッドさんと仲良しだもの。レミリアちゃんだって、きっと仲良くなれるよ」 「…………残念ながら、ありえません。サンレッドは私にとっては、永遠に敵でしかないでしょう」 それだけ言って、レミリアはコタロウに背を向けた。 「それでも―――少なくとも、あなたやジローとは仲良くしたいと思っていますわ」 「もっちろんだよ!ねえ、兄者」 「ええ。私のような若輩者でよろしいのなら」 天真爛漫に答えるコタロウと、礼儀正しく頷くジロー。 好対照な兄弟の姿に、レミリアは微笑んだ。そして歩き去りながら、言い残した。 「いずれ我が棲処―――紅魔館へと招待しましょう。幻想郷には私以外の吸血鬼はいませんから―――これでも、 寂しい思いをしておりまして。その折には是非、楽しい一時を」 その言葉には、遥か悠久を生きてきた古血(オールド・ブラッド)としての寂莫と孤独が込められていた。 ジローはレミリアの背中を見送りながら、彼女が生きてきたであろう長い、永い時を想う。 彼女の周囲には、友人と言える存在はそれなりにいるだろう。 誰かと一緒にいて、心安らぐ瞬間もあるかもしれない。 それでも―――レミリア・スカーレットは、孤独だ。 一人ぼっちで―――独りぼっちだ。 先の言葉は、それを否も応もなく痛感させるものだった。 と―――魔理沙が、こちらを怪訝な様子で見つめているのに気付いた。正確には、コタロウを、だ。 コタロウもその視線に気づき、きょとんとして見つめ返した。 「魔理沙ちゃん、どうかした?」 「いや…お前さあ。ただのバカなガキかと思ってたけど、何者?」 「え、何者って?」 「だってさぁ、あのワガママ娘があんなに謙(へりくだ)って敬語まで使っちゃってるんだぜ?気になるだろ」 「―――バカです」 ジローが、ややぶっきらぼうに答えた。 「こやつは、単なるバカです」 「兄者ったら、ひどーい!」 「いや、単なるバカです」 抗議を無視して、繰り返す。その態度に、魔理沙もそれ以上はこの話題を追及してこなかった。 はっきり言って性格の悪い彼女ではあるが、軽々しく立ち入ってはならない領域なのだと察したのだろう。 「…気になるといえば、もう一つ気になるんだが」 魔理沙はそう言って、話を変えた。 「あいつ、自分以外に吸血鬼がいないとか言ってたけど―――確か、妹がいたはずだぜ?なあ、パチュリー」 「ええ。レミィに輪をかけて問題児の妹―――フランドール・スカーレットがね…」 「何ですって…?それは、初耳だ」 なら、何故―――あのような事を? 「気にしない方がいいんじゃないですか?ああいうタイプは平然と、意味もなく、嘘を吐くものですから」 妖夢はそう言ったが、ジローには納得できない。 少なくとも―――最後にレミリアが見せたあの背中は。 痛々しいほど孤独に塗れたあの姿は、嘘ではなかった。 勿論、たかだか百年しか生きていない自分が、その五倍を生きた遥か年長の吸血鬼の心情など、完全に分かる はずもないのだが。 「それでも…彼女が嘘を言ったとは、思えない」 「…考えても仕方ないでしょう。もっと考えるべき事は、あるはずです」 妖夢はどこか物憂げだ。彼女なりに、思う所があるのかもしれない。 「例えば、東京レイヴンズは、いつアニメになるんでしょうか、とか」 「そんな事を物憂げに考えていたのですか…」 「そんな事とはなんですか。ジローさんの後輩でしょうが」 「それはそうですが、彼等はまだ三巻が出たばかりなんです。気が早いですよ」 「いや、実際に相当期待されてると思うんですよ。シリーズ開始とほぼ同時にコミカライズしたり」 「ふむ…確かに、漫画版も好評のようですしね」 「漫画版第一巻の帯の文句は、正直コアな層を狙い過ぎだと思いますが」 「公式で残念幼なじみ呼ばわりですからね…夏目さん」 「そっち系の新規開拓を相当意識してますよね。狐耳と尻尾の美幼女を書くとは流石に思ってませんでした」 「世の風潮というものでしょうか」 「まあ私が一番グっときたのは京子のパンチラですが」 「何気にパンツネタが好きですね、貴女…」 「正直、パンツとBLとファッションセンターしまむら以外の話はしたくありません」 「もっと他の世界にも目を向けなさい!」 「そんな事言われても困りますよ!」 「逆ギレされたっ!?というか貴女、しまむらの話なんて一度もしたことないでしょう!」 「何を仰る、ジローさん。妖夢といえばしまむら、しまむらといえば妖夢じゃあないですか。2011年度のしまむらの マスコットキャラクターとして、この魂魄妖夢が選ばれた平行世界もきっとあるはず」 「この世界では違うという自覚はあるんですね」 「大のしまむらファンだというのは違いありません。今も服の下にヒートテックを着てるくらいですよ?」 「それはユニクロだーっ!」 「閑話休題(それはともかく)。しかし、あざの先生は三巻からという格言があるものの、今回はイマイチだった気も しますね…面白いのは間違いないんですが、期待しすぎたというか」 「それは辛辣な。まだまだ土台作りの段階と考えるべきでしょう」 「とはいえ、専門用語ばかり羅列されても、正直ついていけないと感じる部分が多いのですよ」 「ふむ。確かに…」 「そこへいくと<力場思念(ハイド・ハンド)>や<視経侵攻(アイ・レイド)>は専門用語でありつつどんな能力なのか 簡単な説明だけで分かる好例でしたね。如何にも吸血鬼的な能力ですし」 「恐縮です」 「あ、いや。ジローさんを褒めたわけじゃないですから。その辺勘違いされても困るというか」 「ツンデレじゃない娘に勘違いしないでと言われると、辛いですね…」 「専門用語の話は置いといて、三巻がショボいと感じた一番の要因は<最凶の十二神将>という仰々しい触れ込み で登場した鏡さんが単なるチンピラだったせいだと思うんですが、ジローさんとしては如何でしょうか?」 「弱い者いじめ大好きで、強い者には弱かったりと、普通にヤな奴ですしね…個人的には、ああいうタイプもいた方 が話の幅が広がるとは思いますが」 「ま、扱い切れずにハンパなキャラのままでリタイアなんて醜態だけは晒さないでほしいものです」 「…妖夢さん。さっきから、やたら厳しい意見ばかりじゃありませんか?」 「ファンだからこそ見る目が厳しくなるのですよ…話をアニメ化の方向に戻すと、やはり気になるのは声優ですね」 「なるほど。それは大事な要素です。かくいう私もアニメでは声優の熱演に随分助けられましたから」 「まあ、ここで声優妄想するというエロ漫画描いてた頃の的良みらんみたいな事はやめるとして」 「ここまで好き勝手言っておきながら、最後の一線は守るんですね」 「あれは正直、相当イタイ行為だったと本人も反省してるだろうし、寛大な精神で赦してやりましょうや」 「何という上から目線…」 「実を言うと一般誌で描き始めてからは、全然あの人の漫画見てないんですが」 「貴女、最低です!」 「とにかく、東京レイヴンズがアニメ化される日が楽しみですね。OPがどんな電波ソングになるのか、考えただけ でワクワクしてきます。きっとパンツが空を飛びますよ」 「そういうノリの作品でもないはずですが」 「春虎くんや夏目さんがEDでデフォルメされてどんなダンスを踊るのかを想像しただけで萌えてきちゃいます」 「それは一昔前のセンスのような」 「コミケが春虎×冬児の強気受けな薄い本で溢れ返る日も近いでしょう」 「私はむしろ鏡×冬児の鬼畜攻めだと思うわ!」 「パチュリーさんが鼻息荒くしてこの話題に喰い付いてきたっ!?」 しかも、コアな分野で。 「これでも読書家だからね。実はさっきからどのタイミングで話に入ったものか見計らってたのよ」 「このタイミングで、ですか」 「じゃあ訊くけど、他にどのタイミングがあったというの?」 「…腐ってやがる…遅すぎたんだ…」 色んな事が。 「ほほぉ…とすると、パチュリーさんとしては純愛系より無理矢理迫られた方がいいと」 「モノにもよるわ」 「カズキの相手は誰だと思いますか?」 「パピヨンよりはブラボーね」 「一人前の戦士になるための特訓と称してアレコレですね、分かります」 スター○ストさんが怒りだしそうな会話だった。 「逆に尋ねるけど、一護の相手は?」 「浦原さん…と見せて更木隊長でいきましょうか!」 「いいわね、それ!」 ゴチン、と拳を打ちつけ合う二人。 腐った系統の話題で意気投合し、盛り上がり始めた妖夢とパチュリー。 ジローは流石に、この話に加わる気にはなれなかった(なってたら色々な意味でヤバい)。 ふと、周りを見ると。 コタロウと魔理沙、アリスは、ドン引きした目でこちらを見つめていた。 ジョジョ的に言うと<養豚場へ運ばれる豚を見るような>そんな目だ。 サンホラ的に言うと<この人達は何を喚いているんだろう…気持ち悪い…>そんな目だ。 「兄者達が何を言ってるのか、全然わかんないよ…」 「数十行かけて、こんなとこで力説することでもないよなぁ…」 「キモい(ばっさり)」 「…………」 何故、自分がこのような視線に晒されなくてはならないのか。 自分はただ日々の些細な出来事に小さな喜びと幸福を見出し、慎ましく生きているというのに。 ジローは石像のように黙りこくり、静かに、この話題が時と共に風化するのを待つ他ないのだった…。
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作品名:BLOODY†RONDO 用語分類:種族分類 BLOODY†RONDOに登場する用語。 BLOODY†RONDO世界における全ての吸血鬼の生みの親にして頂点。 真祖についての詳細吸血鬼達の祖 真祖の戦闘能力基本性能 人間を越える身体能力 眷族以下の吸血鬼の強化 魔眼 元ネタ 関連項目 関連タグ リンク 真祖についての詳細 吸血鬼達の祖 真祖に直接血を吸われた眷属は親である真祖が死ぬと死ぬ直属の部下の裏切り防止。 【少女】 「だが、私が死ねばお前も死ぬぞ ?」 【真紅朗】「なん……だと?」 【少女】 「真祖に噛まれた者、それはすな わち真祖の直属の配下だからな 。裏切り防止のためだ。 真祖の戦闘能力 基本性能 人間を越える身体能力 異能(デュナミス)真祖ならば確実に覚醒する。詳しくは異能の項目にて。 眷族を作る 眷族の強化 魔眼 人間を越える身体能力 華奢な身体でも筋力が常人を越えている作中では最後の真祖であるルナ・フリード・クイーンが以下のことを行った。超重量のブロヴァ・ファングを 片手で持てる。 手榴弾を投げて筋肉モリモリマッチョマンの人造吸血鬼にめり込ませる。 眷族以下の吸血鬼の強化 真祖から血を与えられた吸血鬼は強化される一時的に身体能力が大幅に上昇し、混血優良種に匹敵する力を得る。 治癒力が促進され、ほぼ即死以外の殺害手段が無くなる。 刺した剣を引き抜く前から出血が止まっている。 肉体の損傷度合など、“純血”を吸った吸血鬼の驚 異的な回復力の前では何の意味も成さなかった。 違う親の吸血鬼に分けることはできない野良吸血鬼のように奪い取ることは可能。 【ルナ】「済まぬ……祖の異なるモノに……血を分け与えるこ とは出来ぬのだ。(以下略)」 魔眼 眼を合わせた相手を操る真祖ならば使える共通の異能。 【ルナ】「魔眼といってな、相手に暗示を かけ、こちらの思い通りの行動 をとらせるための術式だ 元ネタ 真祖 フィクション小説に登場する吸血鬼の先祖。 最初に血を吸った者を指す。 関連項目 吸血鬼 真祖を中心とした吸血種族。 関連タグ BLOODY†RONDO 吸血鬼 用語 用語(種族) リンク Wikipedia 真祖
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―――ZGMF-X42S、デスティニーは欠陥機である。それはMSについて少しでも学んだことがある者にとってはもはや常識と言ってもいい。 腕を失うとまともに戦えないからか。いや、違う。腕を失うと戦力が低下するMSなど腐るほど存在する、弱点ではあっても少なくとも欠陥と呼べるほどのことではない。 核動力にも関わらずエネルギー切れを起こすから。それも欠陥と呼べるものではない、出力周りを調整すれば済むだけのこと。 欠陥とはそのようなありふれていたり少し手を加えるだけで解消されるようなものではない、欠陥とはもっとそのMSの根幹に根差す問題点。デスティニーにおける致命的な欠陥は――― ぎしり、と軋んだ音を立てて手すりにひびが入る。400㎏近いデスティニーの重量に加えレーヴァテインで斬りかかってきたフランの力も合わさったのだ、むしろひびだけで済んだと考えるべきだろう。 交差したフラッシュエッジで受け、吸血鬼の腕力にも負けることなく杖との鍔迫り合いを行える。デスティニーの緑色のデュアルアイとフランの硝子玉のような紅い目が重なり、愉しそうに笑うフランがさらに笑みを深めていく。 「ふふっ、すごいねお兄さんっ。変わったのは見かけだけじゃないんだねっ!」 『見かけだけ変わって、何の得があるというんだ、よっ!』 言葉と同時に左手から力を抜き、器用に手すりの上で身体を捻る。杖でデスティニーを押していたフランがその勢いのまま壁にぶつかるのをカメラに映しながら手すりを蹴って宙空に躍り出る。 蹴った衝撃で手すりがようやく崩れる、壁にぶつかった鼻を押さえているフランが振り向くのに合わせて腰部ラッチに備え付けているビームライフルを構え、撃つ。撃ちながらも脚部スラスターを吹かして距離を開けていく。 目標をロックすることなく放たれた光線はフランが身体を捻っただけで当たることなく掠めていく狙いの甘いもの、だが。 『狙うこたぁない……いけるかっ?』 あくまでも今放ったビームライフルは牽制、背部ウェポンラックにマウントされている本命、長射程砲を展開し照準をフランに合わせる、尚もフランから距離を開けるデスティニーは窓を突き破り満月が照らす夜空へ。 米粒ほどの小ささにしか見えなくなったフランに向けて長射程砲の引き金を引く。 『い、けよォッ!』 長射程砲から高出力の光線が放たれ、デスティニーのイオンセンサーから空気の焼ける匂いを情報として感じる。そして同時に見える長射程砲が撃ち込まれたすぐそばからちかちかと瞬く光。 カメラの倍率を上げ、穴が開いた紅魔館の屋根を通して内部の様子を見ると、フランが杖を構えて空に浮かぶデスティニーを見据えていた。服が焦げているところをみると長射程砲を避けたのではなく、耐えきったのだろう。 フランの傍らには先ほどシンが平手打ちをしたときに放ったものと同じ七色に輝く光の玉。先ほどは浮かんですぐに炸裂したが、わざわざこの距離が開いた状況で使うということは遠隔操作もできると見るべきか。 (デスティニー、避けれると思うか?) (君の操縦能力では無理だろうね、あの数では一発当たったら体勢を崩してそのまま全弾当たるな) (なるほど、避けるのは無理か……ン、なら) 気休めを言うことなく不可能だと断じてくれるデスティニーがありがたい、それならば避けることに気を払わなくて済む。 そう、避けない。ならば。一気につっこんで距離を詰めるのみ。 「いくよおっ、禁弾「スターボウブレイ、クっ!?」 宣言し終わるよりも早くデスティニーが動き出す。ウェポンラックを限界まで展開することでウイングスラスターを平行に向けるためのスペースを確保、同時に背部及び脚部スラスターを同期させベクトルを一致。 そのまま一気にスラスターを噴出、スラスターのベクトルを同期させた状態での直線方向の初速及び加速力ならばデスティニーはまさに化物と呼ぶに相応しい、それこそ同世代はおろか三世代先のMSですら未だに追いつけないほどに。 玩具の家のようだった紅魔館が近づくにつれてどんどんと大きく見えていく感覚、しかしその感覚をシンは視覚としては認識しきれない。あまりにも早すぎるために周囲の状況を把握しきれない、これもまたデスティニーの難点の一つ。 だからこそ他の機体以上にパイロットの予測能力が問われる。シンは周囲の状況を見ているわけではない、自身が予測した青写真をもとにデスティニーを制御しているのだ。 その爆発するかのような勢いの加速により光弾が撃ち込まれるよりも早くフランの近くまで胸部及び脚部スラスターを噴射し一気に減速しながら距離を詰める。 驚いたのはフランだ、確実にあった距離を瞬きほどの時間で無にされデスティニーが目の前まで一気に近寄ってきたのだから。既に宣言したスターボウブレイクを無理やりに中止するが間に合わずに何発かが放ってしまう。 自分のミスに気付いて放たれた光弾を一瞬見てしまい、そのために両肩のフラッシュエッジを握る眼前のデスティニーへの対応が遅れる。 「わうんっ!?」 慌てて杖を構えて光の刃を防ごうとするが、デスティニーが両手を振り抜いたにもかかわらず衝撃が来ない。右手は左肩の、左手は右肩のフラッシュエッジを握り先ほどレーヴァテインを受けた時のような二刀で交差斬りを行ったはずなのに。 理解が及ばずにデスティニーの手に視線を移せば、フラッシュエッジは起動しておらず光の刃を出さずに両手に握られていただけ。フェイントをかけられたのだとフランが理解するのとデスティニーが床を蹴ってフランの頭上へと跳躍するのがほぼ同時で。 『すッとろいんだよ、いちいちぃっ!』 怒鳴り声と共に空中でくるりと一回転、機体の向きを変えて左手に握ったフラッシュエッジの刀身を伸ばしながらフランの背中めがけて横へと払う。 背中から走った熱にフランの顔が苦痛に歪むがまだ血の一滴も流れてはいない、精々皮膚が火傷を負った程度。これならばよほど深く斬り込まない限り大事は無いだろう。 むしろ心配すべきは光学兵器による熱エネルギーではなく物理的衝撃を伴う打撃。着地する直前にフランの腹に右足を押し当てて勢いよく押し出す時には力を込めすぎないよう細心の注意を払う。 局所を「切断」するサーベルやライフルと違って直接打撃が行う破壊は「粉砕」である。下手にMSの馬力で行えばいくら吸血鬼といえども内臓や脳へダメージがいく可能性が生じてくる。 あくまでもフランを止めるのが目的なのだ、命にかかわるような行為は出来るだけ避けたいのがシンの心境である。だからこそ、心の手綱をしっかりと握らなければ。興奮して手や足がでるなど軍人のやることではない、ましてやシンは腐ってもトップエースなのだから。 中空にほうりだされたフランが向きを変えてデスティニーを睨みつける、同時に手にしていた杖に再び炎が奔りレーヴァティンを形作り。 「いっ」 もう一度デスティニーへと強襲を仕掛けてくる。その行動は読んではいる、読んではいるが―――! 「たいじゃあないのよさぁっ!」 シンの反応速度を上回る速さでデスティニーに肉薄したフランがレーヴァテインを振りかざす、行動自体は読めてはいたから思い切り、それこそ壁にぶつかる勢いで下がる。ぶぉん、という風切り音。次いで高熱で金属が溶ける嫌な音が。 レーヴァテインはデスティニーの胸部装甲を僅かに掠めただけ、ただそれだけでそれなりの速度で壁にぶつかった箇所には傷一つついていない、熱兵器に対してもある程度の体勢を持つVPS装甲がざっくりと斬り裂かれる。 (フェイズシフトが? 掠っただけでこれってえことは、出力は対艦刀クラスってとこだろうな。これじゃまともには当たれないか、多少の無茶じゃあ済みそうにない、もの、な) 心中で眉をしかめながら壁を掴んで機体をぐいっと引き上げ、そのまま壁を蹴って勢いをつけてからスラスターを吹かしてフランから距離を開ける。 もう一度レーヴァテインを振り回そうとしていたフランに向けてビームライフルを撃ちながら照準を合わせる。一発、二発はフランの服を掠めただけに終わる。だが構うことはない、重要なのは次。 腕をまっすぐにのばして足を開く。その動作をとった上で手首、肘、肩関節をロック、ライフルと腕のフレームを一直線に。 人体と同じことだ、ライフルは筋肉では支えない、骨で支えるものなのだから。撃った反動で照準がぶれることもなくそのまま一気に三連射。一発は腕を撃ち抜くことで杖を握る力を弱め、二発目三発目を杖にめがけて撃ち込み弾き飛ばす。フランの視線は弾かれてしまった杖を追って。 (よしっ、い・け・る・か!?) その隙は逃してはいけない。スラスターを噴射して距離をもう一度詰め、右手にフラッシュエッジを握って引き抜く。今度はフェイントをかけずにビーム刃を伸ばしきった状態だ、肩から胴まで一気に切り裂いて痛みで失神させるのがシンの狙い。 袈裟に振りかぶり一気に切り裂く、が。 『う?』 手ごたえがまったくない、まるで霞みを切った様だと感じる。霞み、という単語が頭に引っかかる。床に膝をついた状態のままセンサーで周囲の状況を探りながらもシンは霊夢から聞いていた吸血鬼の特性を一つづつ思いだす。 (確か、吸血鬼は………っ!?) そうだ、霧になることが出来る。だと、すれば。確実にシンに対して優位となれる場所から攻めるだろう、それならば仕掛けてくる位置は。 考えるまでもなくまず背後からだろう、後はいつ仕掛けるか。シンはエスパーでもないのだ、そんなことは分かるはずもなく。だとしたら結局は攻められる場所が分かったところで無意味なのか? いいや、違う。 それならば。攻め込む理由を作ってやればいい。誰が見ても分かるほどに全身の緊張を緩める。時間にして一秒もないだろうが、優秀な身体能力を持つ吸血鬼なら見逃すはずがない。衝くべきはその優秀さ――! 『そ、こぉっ!』 振り向きざまにビームライフルを乱雑に連射、ほぼ予測通りに背後で杖を振りかぶっていたフランの肩と脚を撃ち抜く。吸血鬼の頑健な肉体とライフルの出力調整が合わさり肉を貫通することなく皮膚が焼けただけに終わるがそれで十分、適度な痛みは戦意を奪う重要な要素である。 下手に腕を切り落としでもすれば腹を括られ命に代えてでもと思われかねない、不殺を行うのならば一気に意識なり戦力を駆り飛ばすか、或いはその逆にじわじわと嬲るように戦力を削ぎ落とすことで戦意をへし折ることが最良。 これらのことはキラ・ヤマトから教わったことでもある。えげつないとも感じるそのやり口だが、そう感じるほどキラにとって殺しを避けたいということなのだろうか。 (アンタほど、上手くやれるってわけじゃないけど、夢を見てるつもりはないけど……だけど、今はっ!) 今は、或いは常にか。殺さないことが正しいこと、そう感じたままに引き金を引き。 『詰めるっ!』 剣を振るう。横薙ぎに払われたフラッシュエッジがフランの腹の服を裂き皮膚を焼く、MS戦ならばほぼ決まったと言ってもいい状況だが一瞬で傷が治っていく。 焦燥は無い、ある程度は予測できていたこと。心を揺らすことなくもう片方のフラッシュエッジを引き抜き構え。 『―――うおぁッ!?』 突如、背中に受ける衝撃。スラスターの噴出が一瞬止まり失速してしまう。墜落する前に再び背部スラスターを吹かし体勢を整える。 ―――フランは目の前にいる、目を離した覚えもない。だとしたら背中に受けたダメージは。 目の前にいるフランの動向に気を配りながら一階の吹き抜けに着地、周囲を見渡すと窓にフランが腰かけていた。 窓に腰掛けて、宙に浮いたフランと笑いあうフランが。 (う………う?) 「思考を止めない、いいから動くっ!) 『分かってるさ言われんでもっ! だけど………だ・け・ど?』 分身した、それとも質量をもった残像? どちらなのか、それともどちらも見当違いなのか。 どちらにしても次の手は決まっている。思い切り床を蹴って正面玄関の扉から軸をずらす。 それと同時に勢いよく扉が開き、デスティニーの脚力で割れた床に向かって光弾が撃ち込まれていく。 予測通り、三人目のフラン。扉を開けはなったフランの隣にはくすくすと笑うフランがいて。 「禁忌「フォーオブアカインド」、ってね」「うふふっ、どうしちゃうのかなお兄さんは?」「諦めたっていいんだよ、ごめんなさいって言っていいんだよ?」「そしたら、首と心臓を引き抜くだけで許したげる」 くすくすと、危うげな微笑を浮かべながら四人のフランが笑いかけてくる。その光景はこの世の物とは思えないほどに愛らしい。例えるならば、真夜中に見るガラスケースの中の西洋人形の如き気が振れてしまいそうな程の愛らしさ。 「ふ、ん。どうあっても許す気はないようだね?」 『予想はしてたけどな。1対4、かよ………やれる、か?』 やれるかどうかではなく、やらねばならないということは分かっている。 しかしそれでも思わず愚痴じみた言葉を吐いてしまう、それこそ意味のないことだと分かっていても、だ。 「性能の上では」 『いけるか?』 「不可能だね、勝てんよ。僕は一対一に強く調整されているんだ、一対四などとてもとても」 ばっさりと切って捨てられる。気休めを言われるよりはいい、しかし揶揄するような口調は。 性能の上では不可能。ならばその性能を超えた力を発するために必要なもの。 『……あとは、俺次第ってことか?』 「いつものことだがね?」 どれほど性能が高くとも、その性能を引き出せなければ意味がない。 デスティニーは欠陥機である、一対一に強く調整されていることも本質ではないが紛れもなく欠陥の一つ。だが、性能を引き出しさえすれば。 『そ・う・だ・な、マシンが悪くたって―――』 床を蹴る。重量と筋力によって木製の床を砕きながら壁に向かって走る、一対多の状況では室内は狭すぎるのだ。フラン達が杖を構え光弾を撃ち込むが、部屋を走り抜けるデスティニーを捉えられずに床に着弾していくだけ。 最高速度ならばスラスターによる機動の方が速い、しかし瞬間的な加速ならば足の方が上。 『パイロットが性能を引き出せればっ!』 目の前に迫る壁、背後では床に撃ち込まれる光弾が轟音を立てていて。 真っ直ぐに前を見据えCIWSを壁に撃ち、壁に亀裂を入れる。壁に激突するギリギリまで接近し。 『邪魔ァッ!』 思い切り、壁を蹴り抜く。壁をブチ破った先には、湖が満月に照らし出されていて。 ウイングバインダーを広げ一気に加速、熱せられたコロイド粒子が紫色に発光しながら大気中に消えていく。 外へと飛び出したデスティニーを追ってフラン達もまた外に出るために壁に光弾を撃ちこむ。結果として紅魔館の壁の一面がほとんど崩れてしまうが、そんなことにフランが構うはずもなくそのまま外へと飛び出していく。 四人のフランが全員外に出たのを確認したデスティニーはぐるんとフラン達に向き直り慣性のままに湖の方へと移動しながら、背負ったアロンダイトを右手に握って、刀身を展開させてから抜き払い。 『せぃぃぃいいっやッ!』 思い切り、投げつけた。ぶおん、という豪快な風切り音と共に、150㎏を優に超える重量のアロンダイトが回転しながら時速約200㎞の速度でフラン達に迫る。 驚いたのはフラン達だ、いくら投げつけられたアロンダイトの速度が―――フランやデスティニーの飛行速度に比べれば―――非常に遅いものだと言ってもいきなり武器を投げつけるなどフランの常識にはない。 慌てて散開してアロンダイトを回避、しかし地面に突き刺さったアロンダイトを一瞥することもなくデスティニーがビームライフルと長射程砲を構え、撃つ。 水面に着弾するたびに水柱が立ちフラン達の視界を遮る、二人はその水柱に驚いて動きを止めるが残りの二人は構わずに突っ込んできて。 フラッシュエッジを引き抜いて一人が至近距離で放つ光弾を切り払うが、その隙をつくようにもう一人が両手を組んで振りかぶり。 (避け、いや無理かっ!? なら、きれいに当たるっ!) 無理に避けて体勢を崩した状態で当たるぐらいならあえて当たることで機体へのダメージを少しでも軽減させる、多少出力周りに難が出ても最悪動けばいい。 下が地面ではなく水面、それならば気を失わなければ十分に距離はあけられる。 「たあぁああっ!!」 可愛らしい掛け声とは裏腹なずどん、という鈍い音と共に衝撃が全身を貫く。モニターにノイズが走り意識を手放してしまいそうになる。 『―――がっ!?』 「後ろ、すぐ来るぞ!」 しかしデスティニーの声に機体を上げる、このままの角度では湖に沈むだけ。 もっと入射角を浅くしなければ。 『く……う、お、あッ!」 鋭角に水面に叩きつけられ。 そのままの勢いで跳ねた。小石を投げて水切りをするのと同じ原理だ、MSの重量であっても吸血鬼の腕力で叩きつけられたのなら十分に可能となる。 少なくとも大気圏との気圧差で行うよりは遥かに楽なことではある。度肝を抜かれ驚いた顔をしたフラン達が視界に映る、普通に距離を空けずに意表を突く空け方をしたのはこういった心理的な影響もあるからこそである。 跳ねながらも体勢を立て直してビームライフルと長射程砲を連射しながらスラスターを噴射し上昇、上空でフラッシュエッジを両手に握り上段からフランに斬りかかる。 「わうっ!?」 慌ててレーヴァテインを構えてフラッシュエッジの刃を受けるが、デスティニーはそれに構うことなく一度切りつけただけでそのままフランの側を通り抜け今度は紅魔館に向かって飛ぶ。 一気に水面近くまで降下し直進する、フラン達が後ろから光弾を放ちデスティニーを囲もうとするが包囲が完成するよりも早く湖上を駆け抜け水しぶきを上げて突き進んでゆく。 バレルロールで光弾を回避しつつ、フラン達が追ってきているのをセンサーで確認。ここまでは概ね予測通りに事は運んでいる、問題はここから。 小さく映る紅魔館の前の地面に突き刺さったアロンダイトが見えてきた、それがぐんぐんと近づいてきて。 もうすぐアロンダイトが目の前、それほどまでに接近してグリップに手を伸ばし。 『そ、こォッ!』 掴む。同時に全てのスラスターを逆噴射して急停止。アロンダイトが地面からひっこ抜けるがそれでも勢いを殺しきれず着地し足で地面をがりがりと抉っていく。 みしりみしりと音を立ててフレームが軋み脚部シリンダーの一部が高熱で赤くなり空気を焼くほどに負荷がかかる、全身の回路に至っては千切れ飛ぶ寸前まで圧力がかかる。 当然デスティニーと神経がつながっているシンもその苦しみを味わざるをえない。人間の姿だったなら確実に胃液を口から垂れ流してしまうであろう、スピードが乗った状態から一気に急停止することで発する強烈なG。何度かやったことがあるとはいえ慣れるものではない。 『――――うううううぅぅぅううう………っ!』 全身をミンチャーにかけられるような、とでも称するべき苦痛。だが蹲ってなどいられない、状況は常に動く。 痛みは歯を食いしばって堪える、今やるべきは。 急激に減速し停止したデスティニーに対応しきれずにこちらに飛来するフラン達に向き直りフラッシュエッジを握りしめ。 『ぃぃぃぃぃいいいいやあああああああアアア!!』 叫びと共に、先陣を切って自分に最も接近していたフランめがけてフラッシュエッジを振り抜く。 避けることすら出来ずに吸い込まれるように両断されるフラン、その顔は信じられないと言いたげに目が見開かれて。 『ひとぉつ!』 デスティニーの背後で切り裂かれたフランが煙となって消える、しかしそれに構うことなくアロンダイトを背部ウェポンラックにマウントしビームライフルと長射程砲を乱射し弾幕を作り出す。 完全に足を止めて撃ち込んで来るデスティニーにこれ幸いとばかりにフラン達もまた弾幕を撃ち込む。 視界が遮られるほどの光弾が、光線がデスティニーの装甲を徐々に抉り削っていく、極力直撃しないよう体捌きだけで被弾を少なくはするがそれでももう十秒もこんなことを続けたら確実に危険域に達してしまうであろう濃密な弾幕。 だが、それでいい。この視界が遮られた状況がとてもいい、あちらの視界も遮ってくれる。 少なくとも、彼女達はデスティニーの左肩からフラッシュエッジが無くなっていることに気付かないのだから。 耳元で聞こえた風切り音に気付いて視線を音の方へと移すが最早遅く、とすりと胸に音もなく吸いこまれるように刺さって。 『ふ、たぁつ!』 ビームを乱射しながら上空へ飛び上がり、煙となって消えたフランに刺さっていたフラッシュエッジが落下するよりも早く手に握り。 そのまま光弾で装甲が抉れた腕で大上段からの袈裟斬り、さらに切り上げ、再びの袈裟へと繋ぎ反撃の暇も与えずに三人目も切り捨てる。 『みぃぃいっ、つぅ!!』 そのまま四人目に斬りかかろうとするが、三人目のフランがかき消える直前に霧となってデスティニーの視界を塞ぐ。 舌打ちと共に腕を振って霧を振り払うと眼前にはレーヴァテインの紅いレーザー光が。 脚部スラスターを一気に噴射し下がることで直撃は避けるが、それでも完全には避けきれずに胸部装甲から腹部にかけてざっくりと切り裂かれてしまった。 (デスティニー、エンジンは!?) (大丈夫、損傷は軽いよ。まだまだ動き回れるっ) 距離を詰め、振りおろされるレーヴァテインを二本のフラッシュエッジを交差させることで防ぐ、だがそれだけでは足りない。 「―――やぁぁあああ!」 フランの飛翔する力に押され、どんどんと紅魔館の方へと追いやられる。背部、脚部スラスターを全開にするがそれでも紅魔館の壁が迫ってくる、ウイングバインダーを展開させるが、一手遅い。 鍔迫り合いをしながらもフランに押される形で一気に紅魔館の壁に叩きつけられてしまう。 『ぐ、お………っ!?』 叩きつけられた衝撃で思わず苦悶の声を漏らしてしまうデスティニー、しかしそれだけではフランは止まらずに。 デスティニーを紅葉下ろしにでもしようというのか、力を込めて壁に押し付けながら紅魔館の周りを飛び回る。そのためデスティニーはその身体で紅魔館の壁をがりがりと削り。 音を立てて煉瓦造りの壁が崩れ中が見える。それをどんどんと繰り返しながら紅魔館から壁が失われ、ついには柱まで折りだし。 紅魔館が、「傾く」。比喩表現ではなく言葉通りに傾きだす、屋根瓦が地面に落ちて砕けフランがデスティニーを押し付けた時に割れずに残っていた窓硝子は残らず割れてしまう。 (くぅぅうう、冗談じゃ………デスティニー、装甲は!?) (装甲は持つさ、持つけど、このままじゃ出力が不味いよ、いくら改善されているからと言っても、これ以上続くと!) フェイズシフトダウン。ハイパーデュートリオンエンジンを使っているとはいえ瞬間的な出力ならば今なお並ぶMSのいないデスティニーだ、こうも断続的にVPS装甲に負荷がかかるとその言葉がちらつきだす。 それだけは不味い、フランの攻撃をここまで凌げているのはVPS装甲があるからこそ。無理やりにでも引きはがさなくては装甲がいかれてしまう。 角を曲がり、僅かながらも壁から離れた瞬間を狙い仕掛ける。 顔をフランの方へと向け、CIWSを発射。威力は大したことが無くとも至近距離から当てれば十分牽制になりえる。案の定フランは怯んでデスティニーを掴んでいた手の拘束が緩む。 その隙を逃すことなくフランの手を引きはがし、ぐいと自分の方へと引き寄せる。きょとんとした顔のフランと一瞬目が合うが、構わずに機体をぎゅるり、と反転させフランの胴と自身の背中を密着。 『ッァアッ!!』 フランの腕を引いたまま腕を下ろす、慣性に従いフランの身体が前につんのめるのに間を合わせて腰を跳ねあげ、一気に背負い投げる。普段ならば直下に落とし首のフレームをへし折るのだが、流石にそんなことをするわけにはいかず、紅魔館が崩れて出来た瓦礫の山へと投げ飛ばす。 デスティニーの柔軟な可動とシンの徹底したOSへの学習と自身の訓練、合わされば20メートル近い体躯であっても空手や柔術はおろかムエタイ、カポエイラなどと言った格闘技術も十分に再現を可能とする。 そして、その柔軟性こそがデスティニーの最大の長所であり、兵器としての最悪の欠点。 ―――良質な兵器に求められるもの、それは専門性と簡易性である。 フリーダムならば広域殲滅、ジャスティスならば指揮管制といったように性能を何かしらに特化させた方が運用しやすい、それでもあえて汎用性を持たせるのならば部隊の主軸ではなく量産機に。 デスティニーは何にも特化しておらずどの性能も満遍なく高い、しかし寄ればジャスティスに押し負け離れればフリーダムに潰される。 相手が戦力を最も発揮できない状況を見抜いたうえでその状況を維持するのは困難を極める、例え維持できたとしても相応の技量が無くては何の意味もなく。 簡易性にしても然りである、極論ではあるがMSに触れたこともないような素人が飛び乗って「ええい この スイッチだ!!」とばかりに動かせるぐらいが理想なのである。 人体と同じ動作が出来るよう可動域をとってあるデスティニーはOSを改良するのにも非常に手間がかかる、シンプルであるにもかかわらず癖の強い機体となってしまった。 これら二つの要素が重なった結果、デスティニーは「パイロットの技量に極端に依存する欠陥機」という結論に辿りつく。 性能を完全に引き出すには全ての距離に精通し状況を的確に判断しその都度適切な兵装を選択する判断力、柔軟な可動を活かし切るには徒手空拳や剣撃銃撃の知識を豊富に備えた上でそれらのモーションをOSに徹底的に覚え込ませなければならない。 こうもパイロットに求められるものが多いのでは兵器としてはあまりにもお粗末。 瓦礫の山に投げつけられたフランが咳き込みながら宙へと飛び上がったデスティニーに向かって光弾を放つ。回避するが、軌道からすると恐らくはデスティニーの手を狙ったもの。 その選択は間違ってはいない、確かにデスティニーは手を失えば戦力はガタ落ちになることは事実なのだから。 そう、事実。事実だからこそ。 『そう簡単にィッ!』 衝かせてはやれない。腕を失った場合の戦力低下はデスティニーの見ただけで予測できるような分かりやすい弱点である、だからこそそれに対する対策もあって当然。 上空から距離を詰めて上段からフラッシュエッジを振りレーヴァテインと切り結ぶ、そして退避する直前にあえて腕を一瞬無防備に。 その「隙」を逃すまいと無防備な腕に目掛けて七色の光の玉を打ちつけようとするが、デスティニーが機体を捻じるだけで光の玉は呆気なく後方へと流れて時計塔の壁を吹き飛ばすだけに終わってしまう。 フランが玉を撃った隙を狙ってもう一度距離を詰め、再び上段からのフラッシュエッジ。玉を避けられてしまったことに気をとられてしまったフランはバックステップでよけようとするが一瞬遅く、腕を浅くだが切られてしまい。 「あ、うっ!?」 呻いて切り裂かれた腕を思わずもう片方の手で押さえるフラン、その隙をデスティニーが逃すわけもなく。 ガシャン、という音を立てて長射程砲を展開しフランの腹に押し付け。 『距離が詰まってたって!』 一気に三連射、空気を焼く音と共にフランが吹き飛ばされ壁に打ち付けられる。スラスターを逆噴射し距離を開けてからもう一度引き金を引きっぱなしにし、出力を最大に。 最大出力で照射されるビームが紅魔館の壁を蒸発させながらフランへと迫ってゆき、髪を焦がす。慌てて壁に沿って退避するが、デスティニーは長射程砲を照射したまま動かしフランを上空へと追いやる。結果的に紅魔館がビームで真っ二つに切断されてしまうが瑣末なことだろう。 左肩のフラッシュエッジを引き抜きフラン目掛けて投擲する、そして同時にデスティニー自体もフランへと接近。フラッシュエッジをレーヴァテインで弾こうとしていたフランはどんどんと迫ってくるデスティニーとフラッシュエッジ、どちらに対処すべきか一瞬迷い対応が遅れてしまう。 迷いながらも結局はフラッシュエッジを切り払ったが、その遅れが致命的。弾かれたフラッシュエッジが吹き飛ばされるよりも早くデスティニーが手に握って回収し袈裟に切りかかる。 十分な踏み込み、だがそれでもなおフランの運動能力の方が上。服を僅かに掠めてぢっ、という布が焦げる音がしただけ。 (浅いっ!? いや、俺が未熟なだけ、か、よ!) デスティニーの葛藤など知る由もなく、その焦げた衣服をフランは胡乱な瞳で見る。 胃がじりじりと焦れるような嫌な感覚、自分に興味を失ったのであろうことをその瞳を見たデスティニーは直感的に感じる。 子供は熱くなるのも早いが、冷めるのも早いものなのだから。 「そう、だね。そうだよね。お兄さんにいつまでも構ってたって、しょうがないもんね? そうだよ、そうだよ。いつまでも、こんなのに構ってちゃ駄目なんだよ」 ブツブツと呟きながら焦点の定まらない目でデスティニーをじっと見る。ふぅ、と息を吐き。バネ仕掛けの玩具のように一気にデスティニーに無造作に近寄る。フランの接近に合わせてフラッシュエッジを振るうが、しかし肌を焼くビーム刃に構うことなくフランはデスティニーの腕を掴んで満月が浮かぶ空めがけて放り投げる。 吹き飛ばされながらも即座に体勢を立て直すが、そんなことは問題ではない。フランが早く片をつけたがっているのにもかかわらずわざわざ距離を開けたということは。 そして、手を伸ばしほっそりとしたシミ一つない真っ白な指を開き。 「―――きゅっとして」 手を開く、ただそれだけの動作がデスティニーには肉食の鮫が大きく口を開けたように見えて。 見えたわけでも機体に変化があったわけでもない、だが確かに自身の鋼鉄の身体から「触れられてはいけないもの」が彼女の掌の中に収まっているのが感覚として感じる。 だとしたら、今しかない。フランの行動を止めなくては恐らく機体が物理的崩壊を起こしてしまうだろう。 (間、に、あ、え、よ―――!) フランの行動に合わせるように、デスティニーもまた左手を伸ばす。がっしりとした鈍色の油臭い鋼鉄の指を開き。 掌部ビーム砲、パルマフィオキーナから青色の光が空気を裂く甲高い音と共に放たれ、フランの手を撃ち抜く。 「どっか、っつぅ!?」 指を閉じてデスティニーのクランブル・ポイントを握りつぶそうとしていたフランは思わずクランブル・ポイントとの魔術的繋がりを解除して手を押さえる。 フランのありとあらゆるものを破壊する程度の能力、それはフラン自体もはっきりと原理を理解しているわけではないのだろうが、飽くまでも魔術的要素によって行われているもの。 対して、デスティニーの兵装は全て物理的衝撃か光学兵器によるもの。魔術的要素が入っていない以上、フランが能力を発動させる直前に掌を撃ち抜いて怯ませれば阻止が可能となる。 単純明快な、やってしまえば何のことはない話ではある。
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人気商品一覧 @wikiのwikiモードでは #price_list(カテゴリ名) と入力することで、あるカテゴリの売れ筋商品のリストを表示することができます。 カテゴリには以下のキーワードがご利用できます。 キーワード 表示される内容 ps3 PlayStation3 ps2 PlayStation3 psp PSP wii Wii xbox XBOX nds Nintendo DS desctop-pc デスクトップパソコン note-pc ノートパソコン mp3player デジタルオーディオプレイヤー kaden 家電 aircon エアコン camera カメラ game-toy ゲーム・おもちゃ全般 all 指定無し 空白の場合はランダムな商品が表示されます。 ※このプラグインは価格比較サイト@PRICEのデータを利用しています。 たとえば、 #price_list(game-toy) と入力すると以下のように表示されます。 ゲーム・おもちゃ全般の売れ筋商品 #price_list ノートパソコンの売れ筋商品 #price_list 人気商品リスト #price_list
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協会内の施設について 【施設について】 基本の施設は3箇所。 入り口部分に十字架を鍵とした認証魔法がかけられている。 【協会本部】 会議室や事務室、講堂など様々な設備がある。 依頼書が掲示してあるのもここ。 これまででた依頼なども地下や資料室に保存してある。 三階より上の階は上層部の会議室や仕事部屋となっている。 事務室、食堂、依頼書の掲示などは一階、二階は主に会議室になっている。 【研究室】 地上1階から地下6階まであり、様々な研究が行われている。 地上階及び地下3階までは、割と自由に行き来ができるが、それよりも下は許可が必要。 研究の分類ごとに室長がおり、それを纏める総室長がいる。 地上階1階は受付やカフェテラス、地下1階は医務・薬学関係、地下2階はハーフの研究室。 地下3階が武器、4階が倉庫、5階が危険な魔物の研究。 6階が総室長の私的研究室となっている。 【寮】 協会内の人間で独身者はここに住んでいる。 相部屋と一人部屋があり、かなり大きいが空室も多い。 食堂、大浴場などがある。部屋にもシャワーがある。 個室には簡易キッチンなども。 女子寮と男子寮に分かれており、渡り廊下で繋がっている。 女子寮に男子は入れないが、女子は男子寮に入れる。 また、家庭を持つ者に限り協会に程近い街に住むことも可能。
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精霊について 精霊とは、自然界の魔力が集合し意思をもった物のことを指す。 知能も魔力も高いため崇拝対象となることも多々ある。 人間にも魔物にも属さず、人里から離れた場所に生じることが多い。 請われればその力を貸し与えることもある。 契約の方法は様々であるが、一般的には力を示すことで契約者としての資質を示すこととなる。 そして、契約に対する対価は魔力で支払うこととなる。
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秋も中頃、雪華綺晶は、妹の薔薇水晶とともに自宅に真紅たちを呼んでハロウィンパーティーを行うために準備をしていた。 雪「はぁ、いったい誰ですの?私たちの家でハロウィーンパーティーをしようなんて言ったのは?」 準備も大方片付いて、二人はパーティー用の衣裳に着替えていた。 薔「お姉ちゃん、、、でしょ?それに、ハローウィン、、だよ。」 雪「そうでしたっけ?まぁ、いいですわ。」 ガシャーン!! 雪 薔「!!!」 ラ「お二人とも間違っておりますぞ!!」 突然ラプラスが窓を割って入ってきた。 雪「キャア!!痴漢!!」薔「出たな、、変態ドMウサギ、、、」 ラ「お褒めにあずかり光栄です。それよりも、貴女方は間違っている!!本当はハロウィンなのですよ!!のばし棒は必要ないのです!!」 雪「いいから出ていきなさい!!」 薔「さもないと、、棘の縄で、、縛り上げる、、よ?」 ラ「おお!!それは私めに至福の時間を味わえということですね!いいでしょう、さぁ、私を虐げt 雪 薔「出てけ!!」 バコーン!!!!! ラ「ひでぶぅっ!!」 キラーン☆彡ラプラス ハ ホシニ ナッタ 雪「まったく、あのド変態ウサギの所為で余計な時間を費やしてしまいましたわ。」 薔「準備、、、OK、、」雪「こちらも着替え終わりましたわ」 二人は互いの衣裳を見せ合った。 雪「まぁ、薔薇しーちゃんとってもよくお似合いですわ。」 薔「そうかな、、、えへへ」 そう言われた薔薇水晶の衣裳は黒いトンガリ帽子に黒いマント、おまけに星型のステッキ――紛れもない魔女っ子スタイルだ。 薔「そういうお姉ちゃん、、、も似合ってるよ?」 雪「まぁ、あんまり似合ってなくてもいいですけどね。」 そういう雪華綺晶の衣裳はとんがった耳と歯、そして黒いマントを羽織っている。――まごうことなきヴァンパイアスタイルだ。 薔「でも似合ってる、、、よ?、、食欲旺盛で悪食なところとか、、、ぴったり。」 雪「あら?今薔薇しーちゃんサラッと嫌味を言いませんでした?」 薔「え?、、なんの、、、こと?」ニコニコ 雪「い、いえ、なんでも、、、(何だか薔薇しーちゃん怖いですわ)――それより、慌てて準備したからお腹が空きましt 薔「そうだ、、、はやくしないとみんな、、が来ちゃう。」パタパタ 雪「無視ですか、、(何だか最近そっけないですわ。薔薇しーちゃん)」 雪「そうですわ!」 薔「どうしたの?お姉ちゃ、、、わっ!」 雪華綺晶が薔薇水晶を押し倒す。 雪「今の私はヴァンパイア雪華綺晶ですわ、、だから、お腹が空いたので薔薇しーちゃんを頂きますわ!」 薔「!!!なに、、を言ってるの?ちょ、、、離してお姉ちゃん!!」 雪「離しません。では、頂きまーす」 カプリッ 雪華綺晶が薔薇水晶の首筋に噛み付く。もちろん、本人は甘噛みのつもりだった。が、、、 薔「ひゃうっ!」ビクンッ! 薔薇水晶がこれまで聞いたことのないような艶めかしい声を上げたので、思わず雪華綺晶は体を離して声をかけた。 雪「だ、大丈夫ですか?薔薇しーちゃん。痛かったですか?」オドオド 自分はじゃれてるつもりでも、相手が不快に思っていたら意味がない。ところが薔薇水晶は、 薔「え、、?あ、いや、、あの、、その、、//」 なぜか妙にモジモジする薔薇水晶を見て雪華綺晶は悟った。 雪「もしかして薔薇しーちゃんって、ここが弱いんですの?」スリスリ そう言って雪華綺晶は薔薇水晶の首筋を指でなぞる。薔「あっ、、、ひゃんっ」 指先で首筋をなぞるたびに、薔薇水晶は体をピクピクと振るわせながら小さな声を上げる。 雪「じゃあこんどは本気で噛み付いてあげましょうか。」ニッコリ すると雪華綺晶はいきなり本気で噛み付いた。 薔「あぅ、、くっ、はぁ、、お、ねぇちゃん!!やめ、、て、、、。」 雪「チュッ、チュルッ、、ペロッ、、フフ、薔薇しーちゃんの血、、美味し、、、。薔薇しーちゃんにも分けてあげますね。」 薔「んっ、んんっ、、ふっ、、」チュッ、チュルッ、チュッ 口移しで血を薔薇水晶に与える。といってももともと薔薇水晶の血であるが、、、。 雪「フフッ、、薔薇しーちゃん可愛い、、さて、こっちはどうでしょう?」 雪華綺晶は薔薇水晶の秘部に手を伸ばす―― 薔「っ!!!あっ、だ、ダメェッ!そこは、、、」 抵抗虚しく雪華綺晶の指は薔薇水晶の秘部に易々と侵入する。 雪「フフッ、もうこんなに濡れていますわ。どおりで指がスムーズに入ると思いましたわ。」 薔「お、姉ちゃん、、だ、めぇ、、あうっ、、、みんなが、、、来ちゃうっ!」 雪「そうでしたわね。では速攻で終わらせますわ。」 そう言うと雪華綺晶は首筋と秘部の二点からの集中攻撃を開始した。 ――グチュクチュ、、、チューチュー、、ピチャッ、、チュルッ、、、――広間の部屋中に淫らな音がこだまする。 薔「うぅっ、、くっ、、お姉、ちゃん、、、あっ、も、もう、、らめぇ、、」 雪「チュルッ、フフ、いいですわよ。イッてしまいなさい。」 薔「うぅ、、お姉、ちゃあ、、あ、くっ、ぅあ、ああぁ!あああぁぁああぁぁ!!」 ビクンッビクンッ、と何度か痙攣を起こしたのち、薔薇水晶は動かなくなった。絶頂の後に気絶してしまったのだ。 ―――しばらくして薔薇水晶は目を覚ました。そしてまず顔を覗き込んでいた雪華綺晶に懇親の一撃、、、そして、 薔「ひどいよお姉ちゃん、、、いきなり、、襲ってくる、、なんて、、、。」 雪「だって私、薔薇しーちゃんとずっと一緒に居たかったから、、ヴァンパイアみたいに吸血で薔薇しーちゃんを私のとりこにしたくて、、、。」 薔「お姉ちゃん、、。」 雪「バカですわね、私ったら。そんなことで薔薇しーちゃんが私とずっと一緒に居てくれるなんて、、ごめんなさい。」 薔「、、、。」 雪「さぁ、みんなが来てしまいますわ。早く残りの準備を済ませないt、、、んんっ!?」 突然薔薇水晶が雪華綺晶にキスをする。 雪「え!?薔薇しーちゃん、、どうして、、、?」 薔「バカね、、、お姉ちゃん。そんな、、ことしなくても、私、、は、ずっとお姉ちゃんと一緒、、にいるよ。だって、、私もお姉ちゃん、、のこと、、好きだから。もう、自分、、の本当の気持ちに背いたり、、しない。お姉ちゃん、、大好きだよ。」 雪「私も、、ですわ。大好きですよ、薔薇しーちゃん。」 ――広い部屋、その中心で、、、今宵二人の乙女が互いに愛を誓い合う。 ――二人にとって忘れられない幸せなハロウィンの一日となりました。 end
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作品名:ジャッジメント/ブラッド 用語分類:種族分類 ジャッジメント/ブラッドに登場する用語。 吸血鬼の一種。 怪力と形態変化に特化した人狼。 詳細来歴 形態変化と怪力 弱点 元ネタ 関連項目 関連タグ リンク 詳細 来歴 現代では吸血鬼に分類された魔性過去では吸血鬼の源流の一つとされた。 吸血鬼の源流の一つにも数えられるが、現代では吸血鬼の側面の一つとして取り込まれ た魔性。 形態変化と怪力 形態変化と怪力を使う吸血鬼人から人狼への変身は形態変化とされる。変身以外のことにも形態変化は使える。 怪力は吸血鬼の中でも凄まじい能力を持つ。獣の身体能力に加えるため上がり幅が高い。 その驚異は単純明快。獣のごとき、ではなく、そのものと言って間違いのない強靭極ま る身体能力である。 弱点 致命的に銀が弱い体内に入れば即死亡。 どの弱点を持っているかを調べながら戦う現代の吸血鬼戦において最初から露呈している。 人狼には一点、致命的な弱点が存在する。 それが『銀』。 伝承においては有名。吸血鬼の弱点はここに影響を受けていると指摘されている。 元ネタ 人狼、ライカンスロープ(lycanthrope) 吸血鬼の伝承の一部には狼男から変化した者がある。 ギリシャ語で「狼男」を意味するリュカントロポスλυκάνθρωποςから来ている人狼の名称。 英語ではワーウルフやウェアウルフ(werewolf )、ドイツ語ではヴァラヴォルフ(Werwolf)、 ライカンスロープやリカントロープ(lycanthrope)、フランス語ではルー・ガルー(loup-garou)などと呼ばれる。 語源的には男性を意味する語だが、男女を問わず使うことが多い。 関連項目 吸血鬼 人狼の種族分類。 金狼化 銀の弱点を克服した手段。 関連タグ ジャッジメント/ブラッド 獣人 用語 用語(種族) リンク Wikipedia 狼男
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村企画/主と下僕の吸血鬼村/キャラクター 今更ですが、奇数人数のままペアリングを進めてしまって良いのだろうかと少々困惑しています。匿名CO可に変更とのことですので、ちょっとSNSで相方募集かけてみたりしても良いでしょうか? -- キャサリン 募集延長してもまだ偶数人にならないという事態はちょっと想定外だったのと、時間的に7月初めにはペアが組み終わっていたいというので見切り発車的にペアリングを始めました。ご心配をお掛けしてすみません。相方募集は勿論OKです。(元々ペアで応募ありなので)お知り合いの方でもどなたでも呼んできて下さるなら大歓迎です。 -- wuming カルヴィン>擦れ違ったり独立行動を取ったりすることが起こっても大丈夫ですので、宜しければ是非、お願いできれば…と! -- ヴェスパタイン >ヴェスパタイン 了解しました。それではよろしくお願いします。 -- カルヴィン >ドナルド 昼コアでの会話は、やや間遠な反応になるかもしれませんが、問題ありませんか? とりあえずケヴィンに戻しておきましたがいかがでしょう。 ハワード&グロリアのペアもおいしいと思いますが。 -- ケヴィン ケヴィン 昼コアなし了解です。わがまま言って済みません、グロリアに変更してハワードの下僕の方がもしかしたらスムーズにいきそうな気がします。 -- ドナルド ドナルド>了解しました。ハワードバリエーションを置いておきます! -- ケヴィン 今ほぼ決まっておられるのはカルヴィンーヴェスパ、ケヴィン(ハワ)ードナルドという認識でよろしいでしょうか -- フィリップ >フィリップ 大体そんな感じではないかと思います。 -- >ヴェスパタイン 下僕になった顛末みたいなのかんがえてらっしゃいますかしら。村が始まってからおいおいと…とは思っているのですけれど、概要だけは打ち合わせたいかなとは。 -- カルヴィン >カルヴィン1.カルヴィンが吸血鬼だと知らずに付き合い、ヴェスパ本人にとって不意打ちになる形で血を受けた2.事故で瀕死のところを発見され、血を与えられたといった辺りを漠然と考えていました(2はヴェラと被る可能性もありますが…)何れの場合も、ヴェスパ本人の意思が介入しない形かなと。こういった感じでも大丈夫でしょうか? -- ヴェスパタイン >ヴェスパタイン ぼんやり想像していたのも1のパターンでしたので、ある程度親しくなった時に不意打ちで…というのがらしい気がします。 肝心なことは説明しない、答えを聞かず自分の意思を押し付け、あまりそれを悪いと思っていない。そんな感じなのですがどうでしょうか。 -- カルヴィン >カルヴィン 返答遅くなってすみません。そうでしたら1.の感じで、ある程度親しくなった時に〜でいきましょう!ありがとうございます。 -- ヴェスパタイン >カルヴィン 下僕としての接し方については、(設定欄にも書いていましたが)血の絆ゆえに逆らえないまま従順、理不尽な要求であっても黙って受け入れる、といった感じで考えているのですが大丈夫でしょうか。内心で主に対し負感情を抱いていることは気づかれていてもいなくても、どちらでも構いません。 -- ヴェスパタイン 気付いていない方が面白いので、こちらはヴェスパタインが血を与えたことを全然喜んでいないなどとは想像もしてない、というのはいかがでしょう。ヴェスが命令に無言で躊躇するような様子を見せても、当然のように自分の意志を通すか、「まだの下賎な人間の気分が抜けないの?君は僕に選ばれたのだからそんなものは捨てなさい」と揶揄する感じなのですが。 -- カルヴァン 気付いていない、の方で了解です。自分が躊躇を見せても主はまるで解ってくれていない……というような感じになるのかな。 -- ヴェスパタイン すいません、ローズかセシルの方はおられないのでしょうか。このまま話しが進まないままだとどうすれば・・・ -- フィリップ おはようございます。動き待ちになっていた事は申し訳ない。 フィリップは「どう考えてて、どうしたい」ですか? それによって回答は少し変わります。 -- ろーず 本音を言うと、フィリップと組みたい方向に気持ちは傾いています。 セシルが未だにキャラ選択で迷っているのかは分かりませんが、事実上私の選択肢はあってなきがごとし -- ろーず ペアが確定していない&打ち合わせが進行していない状態の方が多いので、締め切りを一週間程度延長しようと思います。企画ページ本体で後ほど告知する予定です。 -- wuming 多忙期間過ぎました。すんませんでした! えっと、どちらにすればいいのかな…。フィリップとローズでうまくいきそうなら、僕としてはヴェラと組みたいかも? -- セシル 長くなりすぎたので別ページに分け、ツリー形式にして見ました。 -- wuming 基本的に合わせるつもりで考えていますね。性格が何に影響されるかわからないので。ただ大人めで、や子供っぽいところがあるとか指定があると助かります。 -- フィリップ 基本的には自由にして欲しいかもしれません、ただろーずの言葉には絶対遵守、なんかが理想ですね -- フィリップ 僕を退治しに来たヴェラさんを、返り討ち&気まぐれに命救って飼ってる、とかでもいいかなーなんて、思いついたんだけど。どうでしょう? -- セシル ペアがだいたい固まってきたようなので、私はセシル様の下僕前提で進めさせて頂きますね。早速ですが、↑設定嬉しい! 是非使わせてください。 -- ヴェラ 繰り返される日常に飽きていたときに偶然出会い、吸血鬼について興味を持った。OR子供の頃から死ぬことを極度に恐れて吸血鬼に強い憧れを抱き、ローズに懇願して下僕にしてもらう。なんてどうでしょうか -- フィリップ フィリップの方から志願して下僕になった案が良さそうと思いました(他ペアとの差別化にも) その他の思考は追々お伝えします。 -- ろーず 了解しました。吸血鬼に憧れを抱いて待っています。 -- フィリ フィリップの設定と主従の経緯について、ご質問への回答を私の欄に記入しました。(ただし長くなりすぎたのでコメントアウトしてます。すみません) -- ろーず グロリアの家族ですが、犯人はハワードではない、もしくはハワードだけど顔バレはしていないため、グロリアも確信は持てない、という感じでどうでしょうか。真実は後で考える必要があれば流れで定めようかと。疑われるぶんにはウェルカムです -- はわーど 了解しました。ハワードが犯人かどうかは不明、実際に進行してみてそれならそれで楽しそうな流れで決める方がよさげかと。負感情のあたりはそこでざっくり決めてみます -- グロリア お返事という名の妄想をお返事しました -- フィリップ お返事埋めました。代案を置いてはいますが、大雑把に「志願して下僕になった」事だけOKなら、後は村中の雰囲気で何とかなるような気もしています。 -- ろーず
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正義の味方Ⅱ◆S8pgx99zVs 蹲る長門有希の目の前に突如として浮かび上がった四枚の花弁を持つ桃色の花。 それは吸血鬼の一撃を受け止めると、粒子となって舞い散り再び空気の中に姿を消した。 そして再び開けた彼女の眼前には、吸血鬼と対峙する真紅の外套を纏った男の姿があった。 彼女を襲った吸血鬼。そして今彼女の窮地を救った男。 どちらも彼女からすれば未知の存在だった。 単純な現象の結果として現れる生物ではなく、概念として現れる彼女達とはまた別種の存在。 長門有希は急激に展開する事の推移を、自身の回復を進めながら見守った。 意外な再会に吸血鬼は驚く。一度は逃した男。何故再び現れたのか? 「……また会ったな掃除屋」 皮肉めいた笑みを顔に浮かべる。以前と変わらないのなら、少女諸共この場で殺してしまえばいい。 だが、相対する男――アーチャーが吸血鬼の台詞を訂正する。 「今はただの弓兵――アーチャーだ」 ほう?と、吸血鬼が目を細める。実に楽しそうに。新たな玩具を手に入れた子供のように。 「どうやら走狗(いぬ)から人間に戻ったようだな。ならば私の前に立つに相応しい。 いいだろう――ならば弓兵よ。私は吸血鬼。名はアーカード。 貴様の弓でこの私の心の臓腑を撃ち貫いてみせろ。 兵の職務を果たしこの化物を見事狩りとってみせろ!!」 対峙する弓兵は己が獲物の正体に戦慄した。 ――アーカード。どの世界どの時代に於いてもその名が持つ意味は一つ――『真祖の吸血鬼』 成る程、只の吸血鬼ではないのだと弓兵は納得する。 陽光の下に立っていることから格の高さは窺えたが、遥かに予想を上回る存在。 少なく見ても三倍……それ以上だと彼我の戦力差を見積もる。 「どうした?かかって来ないのか?お前の獲物は此処にいるぞ?」 ぞわりぞわりと吸血鬼の身体がざわめき、長門有希から受けた傷が元の状態へと還っていく。 弓兵はその様子をじっくりと解析する。 身に着けていた着衣まで元に還す能力。それは再生や回復といった生易しいものではない。 どれだけの傷を負おうと易々と死ぬことを許されない彼らに課せられた呪詛の力。 真核から溢れる魔力による破損した部分を過去へと還す能力――復元能力。 彼らは人の形(かたち)をしてはいるがそうではなく、人の容(かたち)をした化物なのだ。 いくら刃を、矢を、銃弾を、魔法を叩き込もうともそれは水面に石を放り込む行為に等しい。 波紋起こし形を変えることはできても、それだけでは彼らの命には届かない。 「ここだ。此処を狙え弓兵。私を討ち滅ぼすにはここを――心の臓腑を抉るしかない」 吸血鬼が心臓の上をトンと指で突く。 そう。吸血鬼の根本的な弱点は過去現在未来一切変わらない。 呪詛と命の媒介――血液。それらを汲み出し送り出す心臓。そこを破壊すること。 あくまでそこが真の吸血鬼の本体なのだ。目に見える人の形はそれの映し出す影にすぎない。 ならばこの生存競争の参加の証明であり枷でもある首輪が頭と身体の間にないのも当然だ。 相手は強大無比な真祖の吸血鬼。ならば最大の奥義――無限の剣製で挑むか? 答えは否。固有結界を展開、維持するにはこの空間の魔力消費では大きすぎる。 吸血鬼を討ち取る前にこちらの魔力が底をつくだろう。ならば―― 弓兵は夢想する。この吸血鬼を倒し得る剣を。 自身の中にある無限の剣の中から目の前の吸血鬼を討ち取れる剣を探す。 重要なのは強さではなく属性。神格の高い英雄同士の戦いが常にそうであるように。 そして一本の剣を選び出す。 心の内に広がる風景の中からその一本を抜き出すと現実の手の中に投影を開始した。 その様を吸血鬼は興味深げに見守る。それが自身の願望を満たしてくれると切望して。 「……それが貴様の切り札か。成る程、らしい武器だ」 ――赤原猟犬(フルンディング)。 漆黒の螺旋剣。それと同じ闇色の弓が弓兵の手の中にあった。 弓兵は無言でその剣を弓へと番い、魔力を込めて弦を引く。 魂を命の糧とする怪異――魔の属性を持つ者との間では言葉を交わすことさえも消耗となる。 ただ剣によって応えるのみ。 「さぁッ!! その刃を見事私の心臓に突き立ててみせろッ!! 人間!!」 瞬間。赤い閃光が二人を繋ぐ。 ――ギイィィィ……ンッ!! 鈍い金属音を立てて赤い閃光――赤原猟犬(フルンディング)があらぬ方向へと逸れる。 吸血鬼の前には煙を吐く対化物戦闘用13mm.拳銃ジャッカル。 これでこの勝負は決着したのだろうか?――いやそうではない。 弾かれた矢が空に真紅の軌跡を残し弧を描いて舞い戻り再び吸血鬼を襲う。 これが、赤原猟犬(フルンディング)――必中の矢。 射手が立っている限りその矢は決して地に落ちない。 ――ギイィィィ……ンッ!! 再び金属音……、再び……、再び……、再び………… 必中の矢は繰り返し吸血鬼を――その心臓に突き立たらんと赤い軌跡を描く。 弓兵はその全身全霊を矢へと送り込む。 あの剣こそが吸血鬼狩りに彼が出した回答。選択。二の矢は無い。 この特殊な空間内において魔力の集中は激しい消耗を伴う。 残された時間は多くはない。後何度、あの剣に吸血鬼を襲わせることができるのか。 長門有希は目の前の、情報としても現象としても理解の及ばない戦いをただ静かに視ていた。 赤い閃光――追尾属性を持たされた矢があの化物を襲っている。 だが、それは肉薄する度に化物の持つ銃によって撃退されており、いまだ傷一つつけられないでいる。 目の前で矢を操る化物と同じ赤い男。彼と自分は化物を倒すという目的で利害が一致している。 ならば、この機に乗じて自分もまた攻撃を再開すべきではないか? だがしかし、自分の取り得る手段はもう残り少ない。 機関銃は失った。右手に残った拳銃の残弾も残り二発のみ。攻制情報も消費してしまっている。 何より身体の回復がまだ完全ではない。このコンディションは満足な戦闘行動を取るには不十分。 ――思いつく。戦闘に関連する情報としては下位に置かれていた一つの道具。 タヌ機と名前の付いたあの精神誘導装置。あれなら、あれならば動かずとも使える。 あれであの怪物の動きを止めることが出来たなら、止めは目の前の男が刺してくれるはずだ。 長門有希は僅かに震える右手を不自由に使い、デイバッグから眼鏡と尻尾を取り出した。 ――!? 吸血鬼アーカードは闘争の最中、突如として夕闇の荒野へと放り出された。 ――此処は。この場所は…… そう、この場所は吸血鬼にとって忘れられない場所。100年前――吸血鬼の最後の場面。 『――お前の負けだ』 銀の銃弾が吸血鬼の胸を撃ち抜く。鮮血が迸った。 そこにはマスケット銃を構えた一人の男がいた。 ――アーサー・ホルムウッド!? 『もう、お前の下僕は全て倒してしまったぞ』 再び銀の弾丸が吸血鬼を襲い、新しい傷からまた血が迸る。 吸血鬼を追い詰めるのは一人だけではなかった。 ――キンシー・モリス!? 『後はお前だけだぞ吸血鬼』 三度、吸血鬼が銀の弾丸に討ちぬかれ地面に赤い花を咲かせる。 さらにもう一人新しい男が現れる。 ――ジャック・セワード!? 『彼女はお前のものになんかならない』 四人目。最後の男がその手に白木の杭を持ち吸血鬼の目の前に現れる。 ――エイブラハム・ヴァン・ヘルシング!! 四人の狩人が吸血鬼に詰め寄る。 『もう終わりだ』『醒めない悪夢などない』『お前には何もないぞ』『哀れな不死の王』 ――私の負けか? 『そうだ。お前の負けだ』 最後の男が白木の杭を手に吸血鬼に詰め寄る。 その手を振りかぶり吸血鬼の心臓へ振り下ろした――が。 クックックッ……ハハ……HAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHA……!! 吸血鬼が哂う。声を上げて哂う。愉快そうに。そして不愉快そうに。 その手に受け止められた白木の杭は握りつぶされ幻と消えた。 ――この私相手に幻術とはやってくれる。だが! 吸血鬼に幻覚を見せることはできても、幻覚に魅せること能わず。 第三の眼によりバリバリと音を立てて幻が破られる。夕闇の広野も。四人の狩人も。破られ消え去る。 吸血鬼は悪夢より現世に帰還する。 弓兵は――狩人はただ吸血鬼を撃ち続ける。 矢を弾く金属音が鳴り止み、その音は肉を抉り、骨を砕き、血を吐く音へと変わった。 理由は解らない。だが、吸血鬼の迎撃は止まった。 ――好機! 倒れろ吸血鬼(アーカード)!! 赤い閃光を暴れ狂わせる。赤い螺旋が吸血鬼を解体していく。 消え去る前の一瞬の激しい燃焼。最早猶予は少ない。 だがしかし、魔剣が吸血鬼の心臓を捕らえるのもまた時間の問題。 ――吸血鬼の手首が飛びその巨大な拳銃が地面に落ちる。 ――腹を貫かれた吸血鬼が身体を折る。 ――吸血鬼の撃ち抜かれた肩から鮮血が迸る。 ――下肢を失った吸血鬼が膝を地に付く。 ――吸血鬼の頭蓋が吹っ飛び下顎が顕になる。 ――破けた吸血鬼の腹から内臓が零れでる。 ――吸血鬼の肺が破れ顕になった喉穴から血の泡が吹き出る。 ――腋下を撃たれた吸血鬼が独楽のように廻る。 血を、肉片を、骨の欠片を、脳漿を撒き散らし吸血鬼が踊る――踊る――踊る。 己が血で引いたラインの上で身の毛もよだつ死者のタップを踏む。 血を吹雪かせ赤い閃光と共に真紅の舞台を演出する。 そして今まさに狩人の矢が吸血鬼の心臓に突き立とうとしたその瞬間―― 暴風はピタリと止んだ。散った鮮血が霧雨となって地へと降り注ぐ。 そして、夕闇の世界から帰還した吸血鬼の哄笑が響く。 「クックックッ……ハハ……HAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHA……!!」 弓兵の放った矢――吸血鬼を討つ白木の杭は彼のその腕に捕らえられ砕けて消えた。 「”惜しかったな”」 頭の無い吸血鬼が喋る。 弓兵の放った乾坤一擲の一撃はあと僅かの所で絶命に届かなかった。 再びぞわりぞわりと吸血鬼が姿形を取り戻す。対する弓兵は疲労困憊。絶望的な状態である。 が――、 「いいぞ。人間。その目だ。その目だけがこの化物を追い詰める。 ――狂信か?猛進か?勇気か?蛮勇か?なんでもいい。一欠片でも力が残っているのなら、 諦めていないのなら、私の前に来い…」 弓兵は諦めない。いや、諦められない。 伝説の吸血鬼。それを倒すのはいつも力弱き人間だ。何故か? 吸血鬼。それを討ち倒すのに必要なのは力でなく物語。人が物語を起こし、物語が奇跡を起こす。 諦めが人を殺す。ならば引くことはできない。例え勝利の可能性が無に等しくても。 最後を目の前に弓兵は自分に課した役割を果たすべく背後の少女に話しかける。 「もう動けるようになっただろう?今のうちに君は逃げるんだ。今、君に機は無い」 ――機は無い。長門有希は考える。 事の成り行きを見守りながら両者の情報解析を進めていたが、結果は「UNKNOWN」 彼女には未知の文法で組み立てられており、解析を進めるには情報統合思念体による コンバートが必要と判断。だが此処ではそれは期待できない。 あの男――底知れぬ力を振り回す真紅の化物。 今もあの化物を見ているだけでチリチリとしたノイズが走り、傷ついた涼宮ハルヒの顔がフラッシュバックする。 ノイズが生み出す衝動で拳銃を持つ手に力がこもる。 だが、この拳銃の中にはもう二発しか弾丸は残されていない。 機関銃は失った。攻性情報も消費している。左腕の骨折の回復にも時間が掛かるだろう。 そして、タヌ機――これも決定打とはならなかった。 長門有希の中の大部分は未知の敵からの撤退を推奨している。勝機は無い。 しかし、情報の奥底から沸々と湧き上がり思考を乱すノイズがその選択を許そうとしない。 ――次はない。 それが葛藤する長門有希の今の結論だった。 それは人間で言う所の負け惜しみでしかなかったかもしれないが、 彼女自身は涼宮ハルヒの生命の維持を最優先とする冷静な判断だと自分自身を納得させた。 長門有希は静かに立ち上がると、今一度真紅の化物を目に焼き付けその場を去った。 弓兵は安堵する。 返事はなかった。だが少しの逡巡の後、彼女が場を去るのが気配で解った。 後は目の前の怪物に討ちかかることだけ。 デイバッグより”最後の剣”を取り出す。何時かの自分が作った無銘の剣。 ――なんの因果か。弓兵は想う。 全ての場所。全ての時代。一瞬でありまた無限でもある守護者としての戦い。 その那由多の果ての今この瞬間、自分は守護者でなく、自分でありながら此処に在る。 化物を、吸血鬼を、脅威を、死を前に。逃げる少女を、迷う少年を、幾多の弱者を背に…… そして手には”俺の剣”。あの時の剣が今この手の中にある。 あの時の俺が切望して止まなかったモノ。そしてあの時より絶望して已(や)まなかったモノ。 ――正義の味方。 時を越え、運命を越え、物語を越えて今此処に在る。 弓兵は無銘の剣を片手に吸血鬼に討ちかかる。 吸血鬼相手の近接戦闘。それはもう無謀とすら呼べる代物ではない。 剣戟を二度合わせた所で左腕が落とされた。数えて二度目になる。 だが諦めない。何よりも自身が望んだ奇跡が此処にあるのだ。 果てればまた苦い記憶として残るだけ、またはただ朽ちるだけかもしれない。 だからせめてこの刹那を魂に刻み込まんと剣を振るう。 ――素晴らしい。相対する吸血鬼は想う。 これが、これが人間の持つ可能性だと。これこそが化物を倒し得る唯一無二の白木の杭だと。 素敵だ。人間は本当に素晴らしい。 ――そして決着はついた。 吸血鬼は命の抜け殻を抱え想う。 彼の血。命の銀板。魂の記憶。 彼もまた無限の地獄を生きる化物であった。 だが、最後の瞬間まで人間を諦めてはいなかった。 その彼が振るう刃は吸血鬼を討ち取る寸前の域にまで達していた。 ならば何故自分が――化物がまだ立っているのか。 それは彼がその自らの望む者であることに拘泥したためだ。 そのため彼の物語は悲劇に終わった。 化物の悲願は果たされなかった。 化物に物語は無い。 できるのは化物を破滅させる物語を紡ぐ者を待つことだけ。 また永い時を闇の中で待つか?――いや、「お楽しみはこれからだ」 此処にはまだまだ化物を倒す物語を紡ぎえる存在が幾人も存在するはず。 例えば、夕闇の中で不義を見守るもの。 例えば、不完全を克服せんと抗う人形の少女。 例えば、己を知らぬ観測者。 時を置かずしてそれらと、または未知の何者かとあいまみえることだろう。 吸血鬼は哄笑する。 破滅の予感に。自らを打ち倒さんとする者の足音に。 「クハハハハハハハハハハハハハハ…… 来いッ!! 人間どもよ!! 私は此処にいるぞ!!」 吸血鬼は一頻り笑うと。 次の物語を待つために一度舞台袖へと姿を消した。 【E-3 市街地/1日目/昼】 【長門有希@涼宮ハルヒの憂鬱】 [状態]:疲労/微熱/左腕骨折/背中に軽い打撲/思考にノイズ/SOS団正規団員 [装備]:S W M19(残弾2/6) [道具]:支給品一式/タヌ機(使用済み) @ドラえもん [思考]: 1.ハルヒ達の下へと戻る。 2.怪我人達を治療するために病院へと向かう。 3.残りのSOS団メンバー及び仲間の知人を探し合流する。 4.アーカードへの対抗策を模索。武器となる物や手段を探す。 【アーカード@HELLSING】 [状態]:全身に裂傷(回復中) [装備]:なし [道具]:対化物戦闘用13mm拳銃ジャッカル(残弾無し)@HELLSING [思考]: 1.不愉快な陽光を避け日が落ちるまでは積極的には動かない。 2.だが、獲物の気配がすれば闘争に赴く。 【アーチャー@Fate/stay night 死亡】 [残り54人] [E-3 市街地にアーチャーの遺留品が落ちています] [道具]:デイバッグ(×2)/支給品一式(×2)/チャンバラ刀専用のり 時系列順で読む Back Birth&death Next 彼は信頼を築けるか 投下順で読む Back Birth&death Next 彼は信頼を築けるか 137 正義の味方 長門有希 180 Wind ~a breath of cure~ 137 正義の味方 アーカード 158 圧倒的な力、絶対的な恐怖 137 正義の味方 アーチャー