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ここで手違いが生じる。 李提督にとっては、海大校に対する指示で自分の任務が終わったと思いこんだこと。 肝心の海大校は、通信管制を無視した党から送り込まれてきた莫大な通信への返答に手一杯になったこと。 最悪なことに、艦隊から離れて独立遊撃隊として通商破壊にあたる別働隊から敵輸送船団発見の報告がこの時入ったことは、後々まで海大校を後悔させることになる。 遊撃隊の位置はソコトラ島の沖合。 アデン湾から侵入する敵艦隊の哨戒も兼ねている。 そこからの通報だ。 「ソコトラ島沖合、艦種不明。一隻はタンカーと思われる」 それが遊撃隊からの報告だ。 ただ、“本当”にタンカーならその腹の中の油が敵に堕ちることだけは避けたい。 幸い、タンカーは遊撃隊から発進した航空機の攻撃可能なポジションにいる。 遊撃隊の指揮権は、提督から自分に移っていることもある。 だから、大校は“別働隊に”命じた。 ―――航空隊は、各個に攻撃に移れ。 いつもの命令だ。 命じられた航空隊は、航空管制官の命令通りに戦うことになる。 本当に、いつものことなのだ。 それに、今の彼の敵は目の前の書類だ。 提督から命じられた報告や、党幹部を満足させるためだけに求められる現在状況の報告―――しかも、党の定めた形式と時間を厳守する必要のある―――頭の痛い敵だ。 だが――― 「本当にいいんですか?」 通信管制官の一人がしつこくそう聞いてくる。 提督の命令通り、日本軍接近の報告を、波風立てないように準備していた大校は、その管制官を見ることもなく怒鳴った。 「いいと言っているだろう!いつも通りだ!武器使用自由、全力で叩けっ!」 「り、了解―――大校の命令と判断します」 管制官は震える声で命じた。 「艦隊司令部より紅6へ、攻撃を許可する。対艦ミサイル使用自由」 「―――おい」 紅6 対艦ミサイル。 その名にひっかかった中佐は、文面を書く手を止めた。 嫌な予感どころ騒ぎではない。 しらずに、声が震えてしまう。 「貴様―――今、どこに命令を出した?」 「ですから」 管制官の顔を見て大校は青くなった。 それは、日本軍に向かった部隊と通信を続けていた管制官だった。 「攻撃命令を発しました。大校の命令で」 「馬鹿者ぉっ!」 紅6は日本軍に向かいかけ、管制官からの撤退命令に断固抗議しつづけていた空母航空隊のコールサイン。 対艦ミサイルは、言うまでもないだろう。 「間違いないな?」 隊長はジャミングのひどい通信記録を、部下に確認を命じつつ、自らも耳で確認した。 「艦隊司令部は、攻撃を許可しました」 「録音、しっかり保存しておけ?。―――日本軍を叩くっ!」 「了解っ!」 「ミサイル接近っ!数10っ!」 レーダー担当の木村が悲鳴に近い声をあげた。 「墜とせっ!」 “鈴谷(すずや)”に設置されているML(マジックレーザー)砲が火を噴いた。 抜けるような青空に、光が走った後に白煙の柱が生まれた。 「FGF、全展開しますかっ!?」 「まだ早いっ!ML(マジックレーザー)だけで十分だ。余計なエネルギーを消費するな!生きて帰れなくなるぞ!?」 「はいっ!」 「うわ……すごっ」 戦闘機が編隊を組んで接近する。 戦闘機を間近で初めて見たさつきはしきりに感心するだけだ。 チカチカチカチカッ! “鈴谷(すずや)”の舷側にあるランプが激しく点滅を開始したのはその時だ。 緑の点滅と赤と黄色の3色。 「何?」 「警告です」 教えてくれたのはさつき騎のMC(メサイアコントローラー)、愛沢中尉だ。 「国際法規定のFGF(フリーグラビティ・フィールド)警告です」 「何でそんなもの出すんです?」 「FGF(フリーグラビティ・フィールド)は目に見えません通常航行時には、接触しないように警告する必要があります」 「今、戦闘中ですよ?」 「これでぶつかったら、向こうが悪くなるんです」 「―――成る程」 「バカ者っ!」 同じ頃、海大校は李提督から大目玉を食らっていた。 「誰が攻撃しろと命じたっ!飛行隊には戦闘停止を命じろっ!飛行艦だ、メサイアを搭載してはずだぞ!?」 「間に合いませんっ!」 そんな口論に近い会話を続ける二人の後ろで、艦長が手に持つ金属の筒が火を噴いた。 迎撃されたミサイルが光と煙の球に変わった。 ズズン……ッ!! 遠くで爆発音が響く。 もう恐怖感すら感じない美夜は木村に訊ねた。 「都合、これで何発目だ?」 「48発目ですっ!」 「その数、四方八方から―――よく撃つ」 対艦ミサイルは決して安い代物ではない。 それを48発だ。 感心する以外にない。 いい加減、あきらめてくれないだろうか。 美夜は内心でそう願っていた。 だが――― 「艦長、二宮中佐からです」 「―――私……えっ!?」 美夜はインターホン越しに伝えられた情報に思わず驚いてしまった。 「今度は爆装してきたぁ!?」 空母“天津”の艦橋から運び出されたのは、李提督と海大校。 その頭部からは血を流し、力無く手足を伸ばしている。 死んでいるのだ。 「―――党は小日本と戦えと命じられた」 張艦長とその部下が銃を手に艦橋から送り出される二人の死体を見送る。 「その命令に従えない敗北主義者は、我が国には要らない」 艦橋の通路から放り出された死体が海に消えていく。 「Su-30飛行隊の収容急げ。対艦ミサイルが効かないなら、爆撃にて出撃しろ」 それから一時間後。 中華帝国軍の爆撃を試みた機すべてが空母に引き返してきた。 全機生還だ。 「畜生っ!」 パイロットの一人が、キャノピーを叩いて降りてきた。 「何てザマだっ!」 パイロットは、即座に機体の下、パイロンを取り付けているハードポイントを見た。 「―――くそっ!」 翼下の10個あるハードポイントは、一つ残らずきれいに破壊されていた。 「たった一通過だぞ!?それでこれかっ!?」 ガシャンッ! ハードポイントに、そのパイロットが触れようとした時だ。 コクピットの近くですごい音がした。 パイロットがその音に驚いて後ろを見ると、機体の破孔から金属の棒が1本地面に落下していた。 何だ? パイロットは、その金属の棒が何か、即座にはわからなかった。 「中尉―――よく無事でしたね」 駆け寄ってきた顔なじみの整備兵に気づき、彼はその金属の棒の正体を訊ねた。 整備兵は言った。 「機関砲の銃身ですよ。敵の攻撃が砲を撃ち抜いたんです」 「そんな馬鹿な!俺は敵艦に1万程度しか接近していないぞ!?そんなまぐれが!」 「まぐれじゃないですよ。自分は経験がありますけど……メサイアの攻撃ってのは、それくらい正確なんですよ。中尉」 「……」 「中尉、これが初陣でしたっけ?」 「……ああ」 「ならよかった。メサイア相手に生きて帰ることが出来ただけでもハクが付きますよ」 Su-30部隊が去った後は、静寂のみが支配する航海が続く。 ラピス島まではもうすぐだ。 「中華の脅威は去った……か?」 「私、しばらくラーメン食べたくない。中華って言葉見るだけで吐き気がする」 「同感だな」 「美奈代、いい機会だからダイエットしなよ」 「うるさいっ!それにしても」 美奈代はそれが疑問だった。 「こんな所に何で中華帝国軍が?」 「哨戒ですよ」 牧野中尉が答えた。 「敵が米軍の進出を怖れている証拠です。もしかしたら、我々を米軍と誤認したのかもしれません」 「―――ってことは?」 「“鈴谷(すずや)”の警戒レーダーは捜索範囲が狭いです」 牧野中尉の言葉に、コンソールを操作する音が混じる。 「ラピス島まで、我々の出番ですよ?」 「敵は一体?」 「ここまで来るなら敵は空母機動部隊。そのお腹にはとっておきの厄介者が入っているはずです」 「厄介者?」 「はい」 コンソールパネルを操作する牧野中尉は、ちらりと通信モニター上の美奈代を見た。 「このフネを地上から蒸発させることの出来る厄介者です」 「やっと落ち着くことが出来るな」 比較的平然とした様子の宗像は手すりに寄りかかった。 入港を開始した“鈴谷(すずや)”の背後では、米海軍空母“シャングリラ・テキサス”が補給艦から燃料を受け取っている。 米艦隊と帝国海軍の艦艇50隻。 海兵隊と陸軍部隊を含めれば10万近い兵力が、このラピス島に集結している中だ。 喧噪はあるものの、それでも十分のどかというべき空気が美奈代達を包む。 爆音を轟かせながら、“プレステ2”が“鈴谷(すずや)”上空をフライパスしていくのを、美奈代達は甲板でのんびりしながら見守るだけ。 海軍がEUに貸しを作る意味で派遣している飛行艇だ。 「―――ねぇ」 甲板に大の字に転がって、その様子をぼんやりと眺めていた美奈代がぽつりと言った 「“アレ”には、どうやったら乗れるかな」 「“アレ”?」 美奈代は無言で遠ざかっていく“プレステ2”を指さした。 「PS2ですか?」 「メサイア操縦資格じゃ無理かな」 「無理無理」 さつきは笑った。 「戦車兵に潜水艦操縦させるようなもんだよ」 「……そうか」 「ここが気に入っちゃったんでしょ」 「……うん」 美奈代は「うんっ」と伸びをした。 「青が一杯の―――なんて言うのかな?こんな広くて、どこまでも行けそうな……吸い込まれそうな―――上手く言えないけど、とにかくそんな世界……私は好きだ」 「この戦いが終わったら」 美晴は悪戯っぽく笑った。 「南方県の事務官にでも転属希望出したらどうです?パラオやグアムあたりで」 「―――悪くないけど」 美奈代は小さく笑った。 「あの飛行艇のパイロットを目指したいな」 「本気?」 さつきはあきれ顔だ。 「海軍のシゴキはきついよ?」 「私は―――」 美奈代は、もう遠ざかってしまった飛行艇が飛び去った方角を指さして、 「この“青い世界”を自由に飛べる、あの“飛行艇”っていうのに乗ってみたいだけだ」 「PS-2は綺麗なデザインですもんね」 美晴は笑った。 「それなら美奈代さん、民間のパイロット目指した方がいいですよ。PS-2の民間版は、八式飛行艇と一緒に、東亜航空の南方航路路線で就航してますし」 「……そうか」 そっちもあったか。 美奈代はそう思ったが、 「やめておけ」 そう言ったのは宗像だ。 「人の命は重いぞ。下手をすれば、重みで翼が折れる」 「それでも」 美奈代は海の向こうを指さした。 「ああいうのより、よっぽど私の趣味には合う」 「ジェットよりプロペラ―――デジタルよりアナログな泉にはお似合いだな」 宗像は笑って美奈代が指さした海の方を見た。 黒い点が10以上、こちらに向かってくる。 ぽつりぽつりと、黒い点は時間を経るごとに増えてくる。 「―――待て?」 「ん?」 「今日、発進した戦闘機があったか?」 「宗像ぁ、あるわけないじゃん」 さつきは首を横に振った。 「ラピス島は戦闘機離着陸出来ないもん」 「じゃあ、アレはなんだ?あれ、スホーイだぞ」 皆が立ち上がって海を見たその瞬間、 サイレンが鳴り響いた。 「高度を上げろっ!」 無線機に怒鳴るのは、中華帝国海軍空母“天津”攻撃隊長呉大尉だ。 迫り来る島と無数の船舶を前に、彼は歓喜するよりむしろ驚愕していた。 「こうも簡単に取らせるかっ!?」 米軍の機動部隊が集結している海域に、何の抵抗もなく入り込めたことが、呉大尉には信じられない。 「一体こりゃ?」 すでに爆撃の射程に入ったというのに、未だに対空砲さえ上がってこない。 まぁいい。 余計なことを考えるな。 俺達ゃ、爆弾を落とせばいいんだ。 それで帰ることが出来る。 つまり、これは天佑だ。 呉大尉は自分をそう言い聞かせた。 「いけっ!」 呉大尉は、パイロンに吊した爆弾を敵めがけて投下した。 ズズゥゥゥンッ! “鈴谷(すずや)”の上空をSu-30が通過する衝撃が走り、美奈代達は半ば吹き飛ばされて甲板に転がった。 「な、何っ!?」 後一歩で甲板から海に落ちるところだった美奈代は、驚いて空を見上げた。 「見てわからないのか?」 宗像だ。 「教えてやろう。これは空襲というのだ」 「いや、そういうことじゃなくて」 美奈代が驚いたのは、こんな事態でも平然としていられる宗像の神経であり、同時に――― 「宗像ぁっ!」 「なんだ?」 「どさくさに紛れて何してるっ!―――きゃんっ!」 「うむ―――85のBと見た」 抱きすくめる要領で、美奈代の胸をわしづかみにする非常識さだ。 「違うっ!」 美奈代はムキになって怒鳴った。 「これでもCはあるっ!」 「む?それは違う。絶対カップが合っていないはずだ」 「二人ともっ!」 反論しようと口を開いた美奈代を止めたのは美晴だ。 「現状、わかってますっ!?」 「すまん」 美奈代達が立ち上がろうとした途端――― ズンッ! 「きゃっ!?」 爆発音に、思わず美奈代は甲板に伏せた。 空母と“鈴谷(すずや)”の構造物が邪魔でわからないが、どこかに被害が生じたのは間違いない。 恐る恐る顔を上げた時、その視界に紅蓮の色を含んだ黒い柱が映る。 「やられたのは!?」 「あっち―――米軍の方っ!」 「何で反撃しないんだ!?」 「するのは私達ですよっ!」 「ちっ!総員搭乗っ!」 ―――ついていない。 米第9任務部隊司令官ジョージ・キャンベルは部下の肩を借りながら、内心でそう毒づいた。 さっきまで質素だが、きちんと整理整頓が行き届いていた感のあった室内は、惨憺たる有様だった。 窓ガラスは全て砕け、窓から侵入した爆風が調度品のすべてをひっくり返し、風に流れて入り込む煙が呼吸さえ困難にさせる。 何より、負傷したり、死んで床に転がる将校の死体は目も当てられない。 その光景を目の当たりにする自分もまた、体中に痛みが走る。 「提督―――ご無事で?」 副官のリー大佐がキャンベル提督の額にハンカチを当てながら訊ねる。 「大したことはない―――何が起きた?」 「中華帝国軍の奇襲です」 「……最悪だな」 キャンベル提督がそう思うのも無理はない。 この場に居合わせたのは、日英米三軍の司令部同士。緊急の会合中だった。 議題は――― ラピス島周辺における、レーダーの使用不能、通信障害が発生。 これだ。 原因に関する見解は一つ。 狩野粒子。 レーダー上と、通信における障害程度なら、粒子レベルは低い。 問題は、狩野粒子が何故、この海域で確認されたか。 ―――原因はともかく、現実の事態に対処すべきだ。 ―――両軍共に、哨戒機を上げ、警戒に徹する。 会合は、そんな軍人らしい現実主義的な結論で終わろうとしていた。 その時、こう言ったのが誰だったのか、キャンベル提督は思い出せない。 ―――狩野粒子を中華帝国軍が使ったものなら、笑えませんな。 ―――全くだ。一体、連中はどこから狩野粒子を手に入れたんだ? (笑えなかったな) キャンベル提督はため息一つ、頭を強く振ると、自力で立ち上がった。 「チンクも、絶妙なタイミングで仕掛けてきたな」 「提督」 副官の一人、ハスラー大佐がキャンベル提督に進言した。 「本気で、そうお考えですか?」 「ん?」 「魔族軍の侵略と呼応するが如きタイミングで近隣諸国へ武力侵攻。さらに、この狩野粒子を前にして……」 「君は―――」 「自分は断言します。連中は、魔族軍とつながっています!」 「根拠は?」 「根拠!?」 ハスラー大佐は、上官に怒鳴った。 「周りを見てくださいっ!これで十分でしょう!」 ハスラー大佐の指さした先には、このラピス島までの航海を、その苦楽を共にしてきた司令部のスタッフ達のなれの果てが転がっていた。 「チンク共がこんなことしなければ、こいつらは“こう”ならずに済んだ!第一、我が軍はまだ宣戦布告すらしていない!中立宣言国ですよ!?」 「……っ」 「中華帝国軍が接近するタイミングで、この辺一帯が狩野粒子に汚染された!中華帝国軍が散布したと宣言して世論が信じればそれでいいんですよ、提督っ!」 「……とりあえず」 提督は答えた。 「政治的な話はペンタゴンとホワイトハウスに委ねよう。私の権限は国と国民から任された艦隊の範囲に限定されている」 「全ては、提督の報告にかかっています―――ホワイトハウスが、世論が我々に報復を許すか否か」 「善処しよう」 「安全が確保されるまで、シェルターに入ってください。今、艦隊に戻るのは危険です」 「その前に艦隊に対空戦闘を命じろ。メサイア隊は全騎戦闘態勢」 そこまで言いかけたキャンベル提督の声を遮ったのは、日本から送り込まれてきた飛行艇部隊を束ねる有馬司令の怒鳴り声だ。 「対潜警戒怠るなっ!」 壁にかかっていた電話相手に、それまでの温厚さは微塵も感じることは出来ない。 「水中から来られたらアウトだぞ!それから、“鈴谷(すずや)”を上げろっ!空襲が終わったら送り狼をさせるんだ!」 日本語がわからないキャンベル提督には、彼が何と言っているかわからない。 ただ、 タイセン。 ケーカイ 職業柄、キャンベル提督が知っている数少ない日本語の語彙にその言葉があった。 アリマは対潜警戒を命じた。 何故? 狩野粒子。 その存在が念頭にあったキャンベル提督は、その理由に即座に思い当たった。 彼は部下への命令を追加した。 「全艦、ソナー警戒。対潜兵装は即時発射可能にしろ、何隻か、対潜任務のため環礁から出せ。最悪―――」 提督は空襲の続く窓の外を睨んだ。 「アトミック爆雷の使用を」 「し、しかしっ!」 「“あれ”の使用は、大統領から私に一任されている」 「潜水艦相手にですか?」 「ジャック。メサイア隊を攻撃に出せ。それから君」 キャンベル提督は狼狽する副官をあきれ顔で見た。 「それは、地中海で我が軍が、何にどんな目にあわされたか分かった上での発言か?」
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昨日 - 今日 - 【資料】NHK JAPANデビュー第2回『天皇と憲法』をめぐって シリーズ JAPANデビュー 第2回『天皇と憲法』 2009年5月3日(日) 午後9時00分~10時13分 総合テレビ (再放送)2009年5月6日(水)午前0時45分~1時58分(5日深夜) 総合 第1回についてはこちら あらすじ 日本が近代国家の骨格ともいうべき憲法を初めて定めてから120年。大日本帝国憲法は、プロイセン憲法などを参考に「立憲君主制」を採り、当時の世界からも評価されていた。しかし、19世紀帝国主義から第一次世界大戦を経てうねる時代の流れの中で、日本はその運用を誤り、立憲体制を瓦解させてしまう。一つは、議会を担う政党が党利党略に走って政策や理念を忘れ、軍部の肥大化を助長したことに原因がある。さらには、天皇を絶対視する思想が先鋭化し、統帥権を盾に取った軍部が政治を主導していったことが挙げられる。 國學院大學には、憲法起草者の法制官僚井上毅(いのうえ・こわし)が残した6000点を超える資料が保存されている。ドイツなど諸外国に残された資料も掘り起こし、どのように大日本帝国憲法が制定されたかを分析。さらに、政党政治の自滅と天皇絶対主義の国体論の激流を、これまで紹介されていない資料によって描き、大日本帝国憲法下の政治体制がどのように崩壊したかを検証していく。番組には、京都大学の山室信一教授、東京大学先端科学技術研究センターの御厨貴教授、評論家の立花隆さん、の3人の論客が出演。 http //www.nhk.or.jp/special/onair/090503.htmlより 参考ブログ 【NHKスペシャル】「JAPANデビュー」第2回「天皇と憲法」を見た JAPANデビュー 第2回 天皇と憲法 への疑問 「JAPANデビュー 第2回 天皇と憲法」 NHKスペシャル シリーズJAPANデビュー 第2回「天皇と憲法」を見ました。 明治天皇制はなぜ崩壊したのか NHK「JAPANデビュー第2回 天皇と憲法」 別冊「東京帝大が敗れた日」東大生が体験した「8月15日」 天皇と東大:目次 放送予告:NHKスペシャル シリーズ「JAPANデビュー」 15年戦争資料庫
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●ボルネオ島 米軍呼称“ルート66”A地点 ガンッ! 鈍い金属音が響く。 グレイファントムのメースが“赤兎(せきと)”の胸部装甲に命中した音だ。 “赤兎(せきと)”の動きが鈍る。 メースの打撃がコクピットにまで達した証拠だ。 「よしっ!」 ミッキーがコクピットで歓声を上げた。 「とどめっ!」 振り下ろしたメースが“赤兎(せきと)”の頭部装甲を粉砕し、“赤兎(せきと)”は大地に倒れた。 「セラ、次は!?」 「2時方向、グレッグ騎が押されています」 「よし」 ミッキーの右前方で斧同士でしのぎを削っている騎がいた。 「グレッグ!そのままでいいっ!」 「すまんっ!」 ミッキーのメースが“赤兎(せきと)”の脇腹に命中し、“赤兎(せきと)”の姿勢がくの字に歪む。 グレッグ騎の斧がその顔面を捉えたのは、その直後だった。 「ふぇぇっ……焦ったぜ」 「貸しにしておく」 「了解だ―――指揮官(コマンダー)」 グレッグ騎が不意に動き、斧をミッキー騎めがけて―――いや、正確にはその背後めがけて投げつけた。 ミッキー騎の真後ろで斧を胸部装甲にまともにくらい、斧を振り下ろそうとした姿勢のまま、“赤兎(せきと)”が後ろへ倒れた。 「ミッキー、利子はついてないだろうな?」 ●ボルネオ島 中華帝国軍司令部 「“赤兎(せきと)”隊、被害甚大」 「後退命令を出せ」 朱少将は言った。 「可動機はすべてだ」 朱少将はシートにもたれかかり、深いため息をついた。 「……世代の違いとはいえ」 倍する戦力を持ちながら、“赤兎(せきと)”隊は一方的に倒されたとしか言い様がない。 グレイファントム達を相手に撃破の戦果が挙がっていてないのに、大破騎が投入戦力の3割に達している。 司令官として、これ以上の損害は看過出来ない。 戦いはまだ続くのだ。 徒に貴重な戦力を浪費すべきではない。 「本土からの返答は?」 「飛行艦隊が重い腰を上げてくれました」 参謀は言った。 「この島の鉱物資源を、飛行艦で安全に運びたいというのが本心でしょうが」 「戦場に空荷で来る馬鹿もおるまい」 朱少将は参謀からコーヒーを受け取った。 「負傷兵は集めておけ。本国へ後送する。それと」 コーヒーの香りに満足げな笑みを浮かべた朱少将は、参謀に訊ねた。 「メサイアが確認されたというのは、どこだ?」 「はっ」 参謀は島の地図を指さした。 「島東南部。偵察隊が発見しています。近くでは島北東部でも」 「回せるメサイア部隊は?」 「夕刻までお待ち下さい」 参謀は言った。 「本国から教導隊が到着します」 「教導隊?」 怪訝そうな朱少将に、参謀は自信げに答えた。 「“帝剣(ていけん)”の運用部隊です」 ●ボルネオ島北東部ジャングル 時折、中華兵に見つかるように動くだけでいい。 中華兵が時折思いついたように小銃を発砲するが、メサイア相手では豆鉄砲にすぎない。装甲を傷つけることさえ出来ない。 その前に当たらない。 美奈代は島の北東部でそんなことをしていた。 モグラ叩き。 その任務をそう評したのは、精霊体の“さくら”だ。 「ねぇマスター」 騎体をジャングルの中に潜ませた時、“さくら”が訊ねた。 「この後、どうするの?」 「この後って?」 「この島、いつ出ていくの?」 「今、二宮教官が洋上に出て“鈴谷(すずや)”と通信を試みているが……」 美奈代が戦況モニターに目をやると、二宮騎が戻ってきた。 ジャングルの上空すれすれを飛んで音もなくジャングルの中へと潜り込むという、恐ろしいほど高い操縦技術の手本を見たような気がした。 「つながったぞ」 二宮の声はどことなしに嬉しげだ。 「日没と同時に、ここに来る」 その言葉に、美奈代は時計を見た。 日没までの時間は3時間30分 「ここへ?」 「オトリだ」 二宮は言った。 「我々が通過したルートを通って別動の米軍のTAC(タクティカル・エア・カーゴ)部隊が兵士達の救出に向かう。“鈴谷(すずや)”はその間のマト担当だ」 「……被害……担当艦」 ゴクッ 美奈代は自分の口から出てきた言葉に思わず唾を飲み込んだ。 戦闘において一方的に被害を受け持つことで友軍を有利にする、それが被害担当艦だ。 艦が沈むことで、戦闘に勝利する人柱に近い立場だ。 「よく平野艦長が認めましたね」 それが、信じられない。 乗組員千人の命を預かる身が、あまりに軽率にしか見えない。 「あいつが認めたんじゃない」 二宮は言った。 「認めさせられた―――いや、それさえ違う」 「……」 「“命じられただけ”というのが正しいな」 「そんな!」 美奈代は目を見開いた。 「命じられたら、部下と一緒に死ぬとでも言うんですか!」 「泉」 二宮はため息混じりに言った。 「軍隊だけではない。組織の中間管理職とはそういうものだ。自分が望む望まないお構いなしに仕事を押しつけられる。部下と共に死ぬし、時に部下を殺す」 「……私」 美奈代は言った。 「そんなんなら、一生ヒラで結構です。組織になんか加わりたくないです」 「フン……お前はヒラでは済まないよ」 「え?」 「お前は絶対、私を越えるからな」 通信モニター越しに自分を見つめてくる二宮の声は、不思議と自信に満ちあふれた誇らしさが滲み出ているように見えた。 それは思い上がりかも知れない。 そう思った美奈代は、コンソールを見る振りをして視線を外した。 ―――二宮教官が、私のような問題児を評価してくれているはずがない。 そう思う。 ―――だけど それでも、 ―――もし、そう思ってくれているなら、何という嬉しいことだろう。 そう思えてしまうのだ。 「“鈴谷(すずや)”の上陸地点はここなんですか?」 美奈代は不思議なほどはやる心を抑えながらそう訊ねた。 「ああ。このジャングルの上空を移動することで敵を引きつける。先に海上で別れた米軍のTAC(タクティカル・エア・カーゴ)が正反対の方角で動くことになる」 「なら皆を集合させますか?」 「ポイントCでのランデブーが3時間後だ。30分もあれば十分だろう。そこでいい。というか、下手な通信は逆に危険だ」 「そ……そうですね」 「我々の任務はこの北東部に敵を誘い出すこと。そのためにやることがある」 「米軍が相手にしている敵を背後から叩く?」 「その通りだ」 二宮は楽しげに頷いた。 「ここに誘い出し、後は頃合いを見て撤退。今夜は、“鈴谷(すずや)”でゆっくりシャワーが浴びられるぞ」 二宮の楽しげな声に、美奈代も顔がほころんだ。 「楽しみです」 美奈代騎と二宮騎の作戦は、正直、無駄に近いものとなっていることを、日米両軍で知っている者はいなかった。 中華帝国側、朱少将は、すでに米軍の残存部隊に対する攻撃は貴重な戦力の浪費と見なしており、「撤退するなら勝手にしろ」というスタンスだ。 すでに中華帝国側の米軍残存部隊への攻撃は停止している。 米軍も撤退の通信を受け取っており、負傷兵のTAC(タクティカル・エア・カーゴ)への移乗準備と、TAC(タクティカル・エア・カーゴ)に搭載出来ない兵器や機密文書の処理が進んでいる。 状況は悪くない。 日没まであと1時間。 夕日が眩しい。 金色に染まるジャングルの中、美奈代達はただ、“鈴谷(すずや)”の到着を待っていた。 「もう少しで長野大尉達も到着する」 二宮騎からそんな通信が入った。 すでに敵の攻撃はない。 敵の集結地点はここからかなり離れているし、その方面からの侵入はセンサーで感知出来る。 センサーに反応はない。 「この島ともこれでおさらばだな」 「米軍は、この島を放棄するんですか?」 「違う」 二宮は笑って言った。 「中華帝国は、このままなら降伏するよ」 「―――えっ?」 「連中の補給線を止めた上で小さく叩く。小出しに戦力を使わせれば連中の物資は底を突く」 「……」 「泉。補給線が切れるっていうのは、お前が想像しているより遙かに怖いことだぞ」 「―――はい」 補給線が断たれる恐怖。 そう言われても実戦経験の浅い美奈代には、どうしてもピンと来ない。 ただ、バカみたいに頷くだけだ。 「米軍はこれから制海権と制空権を奪取に動く。後は空から空爆で中華帝国を叩く。こうなればほとんど一方的な戦いになる」 「うまくいきますか?」 「行ってもらわねば―――」 ピーッ! 「熱源っ!」 「何っ!?」 ズンッ!! 二宮騎のMC(メサイアコントローラー)、青山唯中尉の警告。 二宮の驚いた声。 そして、二宮騎が吹き飛ぶ音。 それを美奈代はすぐには理解出来なかった。 目の前で半身を吹き飛ばされた二宮騎が、ゆっくりとジャングルの中に倒れようとしていた。 「泉准尉っ!」 美奈代より早く現実に立ち戻ったのは牧野中尉だ。 彼女の鋭い怒鳴り声が、茫然自失の美奈代を無理矢理に現実に引き戻した。 「―――な、なんですか!?今の!」 「大口径ML(マジックレーザー)の狙撃!」 牧野中尉は引きつった声で言った。 「ま……まさか」 「二宮教官は!」 「バイタル反応正常……せ……センサーに反応なし?そんなバカ……な」 牧野中尉の意識は、敵攻撃に備えたエネルギー感知モニターに集中していた。 ログを見ても、何の反応もない。 「魔法反応まで……ど……どうやって?」 「中尉っ!」 ギンッ! 美奈代の声と、鋭い戦闘機動で、牧野中尉は我に返った。 「て、敵は!」 「センサーに反応なしっ!」 「じゃあ、アレはなんですか!?」 牧野中尉が見たスクリーンに映し出される3騎のメサイア。 重装甲をまとった“歩く要塞”さながらの騎だった。 それは、牧野中尉が見たことのない騎だった。 即座にライブラリーが開かれるが、 「不明っ、該当騎なしっ!」 そう答えるしかなかった。 「い……一体!?」 美奈代達は知らない。 中華帝国側の参謀が言った“帝剣”。 否、それさえ違う。 目の前にいるのは――― 「おそらく、中華帝国側の試作メサイアです」 牧野中尉はそう結論づけた。 「エンジン出力、その他の反応、“帝刃(ていば)”や“赤兎(せきと)”とは比較になりません」 パワースペックは間違いなく“帝刃(ていば)”の倍では効かないだろう。 フレーム反応も最新型だろうことを示している。 あの厚さの重装甲が本物なら、実剣は通らない。 牧野中尉はデータがとれていることを確認しながら、背筋を震わせた。 「こ……こんなの量産されたら!」 厄介じゃ済まない! その声が上がる前に、3騎は動いた。 「准尉っ!後退を!」 牧野中尉は叫ぶ。 データがない敵と斬り結ぶことが如何に危険か知っている牧野中尉の判断は正しい。 だが、 「教官を見殺しにする気ですか!」 美奈代にとって、敵が何だろうと、ここで逃げることは出来なかった。 二宮教官を助ける。 それこそが、美奈代の全てだったのだ。 迫り来る敵は長い柄に斧を付けたハルバードを振りかざす。 対する美奈代騎は斬艦刀を抜刀。 戦いの火ぶたが切って落とされた。
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その頃、フィアは艦内の通路にいた。 まだ“鈴谷(すずや)”が輸送艦の指定を受けていた時分は、その辺が休憩スペースだった頃の名残で、通路の一区画だけが広くなっており、採光のため大きくとられた窓からは夜の帳が降りるアフリカの雄大な景色が楽しめる。 フィアが艦内をうろついている最中に見つけたお気に入りの場所だ。 ―――狭い部屋は嫌いなの。 ―――何故? ―――だって ―――だって? ―――牢屋みたいじゃない。 ―――牢屋?だって、君はもう…… ―――あんなちっちゃい窓しかないなんて、牢屋じゃない。 ―――船の窓は、みんなあんなものなんだよ。 ―――そ、そうなの? 最初に入れられた鉄格子入りの部屋から移された最初の日。 ここを見つけて、窓から見える世界に見入っていたフィアに声をかけたのは、探しに来た染谷だった。 ―――あんな狭い窓から世界を見ていたら、本当の世界まで狭くなるわよ? ―――それは違うよ。 と、彼は言った。 ―――世界を狭くするんじゃない。 ―――この広い世界で迷わないように、わざと狭くするんだ。 ―――目標になる部分だけに絞って、わき目もふらず。 彼は、自分の両手を顔の両側に添えて見せた。 ―――そうすれば、どんな広い世界でも迷わない。 ―――目指す場所だけ見えているから。 バカみたい。 そう思った。 そこが目標だなんて、誰が決めたの? だから、私は言ってやったんだ。 ―――あなたの目標って、何? ―――なんだろうね。 彼は苦笑しながらそう答えた。 その屈託のない笑顔が、私に言わせたんだ。 ―――私、なってあげようか? ―――えっ? ―――あなたの目標に。 私は言ったんだ。 ―――私だけを見なさい。 彼に、言ったんだ。 ―――私があなたの目標。この広い世界でどんなに迷っても、帰ってこれる母なる港、あなたのしとね。それが私よ?覚えていてね? そこまで思い出して、フィアは顔に血が上るのがわかった。 今更ながら、何という大胆なことを言ったんだろう。 恥ずかしくてたまらない。 今日のキスだって、本当に瞬が心配だっから、脇目も振らずにその胸に飛び込んだんだ。 だけど―――だけど!! 「―――っっ!!」 フィアは顔を押さえてその場にうずくまってしまった。 私はなんて言う大胆な女の子なんだろう! いくらライバルのあのブスから瞬を引きはがすためだとはいえ、瞬にしてきたことだけ思い出せば、まるで恥知らずの娼婦じゃない! 違う! 娼婦以下の恥知らずな痴女だ! 今のところ、瞬は私を受け入れてくれているけど、一体、駿は私をどんな女の子だと思っているんだろう! 心配だ! 心配すぎるっ! 「―――おい」 突然、背後からかけられた言葉に、フィアは飛び上がって驚いた。 自分がどんな悲鳴を上げたかさえ定かではなかった。 「……楽しいな」 美夜だった。 「あ……こ、こんばんわ」 窓に張り付いて挨拶するフィアに、美夜はちょっと微笑んで小さく会釈した。 「何だ。最初の頃にはずいぶん警戒されていると思ったが」 「だっ……だって」 フィアはぷぅっと頬をふくらませ、そっぽをむいた。 「こ、怖かったし……何もわかんなかったし……」 「そうか」 隣、いいか? そう断って、美夜はフィアの横に立つと、無言で船窓から夜景を眺めていた。 艦内放送が始まったのは、その時だ。 飛行艦の単調な時間の推移の中ではストレスも貯まる。 だから、食後のこの時間に、艦内に音楽を流すことにしている。 美夜が艦長になる前からの伝統だ。 静かなピアノの調べと、艶めかしくさえある歌手の歌声を、フィアと美夜はただ黙って聞いていた。 「……あの」 フィアも、相手がこの船で一番偉い人物だと知っている。 「今の、なんて歌ですか?」 「―――ああ」 美夜はちょっと笑って言った。 「Fly me to the moon―――私を月へ連れてって」 「……」 フィアは不意に歌い出した。 「Fly me to the moon 私を月へ連れてって Let me sing among those stars 星達の間で歌わせて Let me see what spring is like On Jupiter and Mars 木星や火星の春を私に見せて」 「……ほう?」 美夜はかなり驚いた。という顔でフィアを見た。 「きれいな歌声だな」 「ありがとうございます」 「……」 「……」 「……?」 「……続きは?」 「……ああ」 続きの歌詞を思い出し、フィアは小さく笑った。 「この続きは」 「続きは?」 「駿のベッドで」 「……は?」 「生きて帰ってきたご褒美にとっておきます」 「……そうか」 美夜は苦笑しながら頷いた。 「あの甲斐性なしのどこがいいのかわからないが」 「ムッ―――瞬は!」 フィアが言いかけた瞬間。 ドンッ!! 爆発音がして、艦が激しく揺れた。 艦内の照明が消え、赤い予備電源がともる。 「きゃっ!?」 宙に浮いたフィアを抱きかかえた美夜は、腰の艦内通信装置を手にした。 「平野だ!何の騒ぎだ!?」 「敵襲ですっ!」 副長の高木が艦橋で美夜に答えた。 「敵メサイア数4、本艦に向けて接近中!―――はいっ!」 美夜の指示を受け、高木は怒鳴った。 「FGF(フリー・グラビティ・フィールド)、即時全周囲展開!“伊吹”機関部の出力は全てそっちへ回せっ!」 バンッ! 機関部を狙った一撃が、空中で消えた。 「ほう?」 エーランドはその光景を前に顔を楽しげに緩めた。 「重力防御か!」 部下の騎も艦橋や船体めがけて砲撃を続けているが、全て艦に届く前に無力化されている。 「全騎、攻撃を対重力防御壁用弾頭へ切り替えろ!」 「何とか逃げられそうか?」 フィアに部屋へ戻るよう命じた後、美夜はすぐに艦橋に入った。 「FGFで防御だけは出来ていますが」 高木は顔をしかめたままだ。 「こっちからも反撃出来ません」 「―――やむを得ないな」 いわば魔力によって展開された楯であるFGFは、魔法だろうが実体弾だろうが全て防御出来る万能の楯だ。 しかし、万能過ぎて身内の攻撃までを無力化してしまう。 FGFを展開している間は、敵も味方も何も出来ることといえば、お祈りする位だ。 「最大戦速発揮、ジブチのEU軍に救援信号を出せ」 「し、しかし!」 「元々、ジブチ上空でも十分支援出来る算段だったんだ。それに、万一の際はジブチに戻ることは、染谷達も知っていることだろう?」 美夜はインターフォンをとると言った。 「艦長より整備!メサイアは出せないのか!?」 「そいつは無理だ!」 インターフォンに怒鳴りかえしたのは坂城だ。 その背後では装甲を外され、フレームが丸見えになった二騎のメサイアが並んでいた。 「完成まで、あと120時間はかかるぞ!文句ならぶっ壊した奴らに言ってくんな!山科のを!?それならさっさと言ってくれ!早く終わるぞ?コクピット調整に6時間だ!沈むのが早いか、コクピット調整が終わるか?そんなこと、俺が知るか!」 艦が激しく揺れた。 「周囲の雑音にかまうな!野郎共っ!さっさと仕事続けろっ!」 「―――きゃっ!?」 通路に押し出されるようにして、ハンガーデッキに飛び出してきたのはフィアだった。 誰もが自らの任務に集中して、フィアに構っている余裕なんてどこにもない。 「あ……あれ?」 フィアは、自分が道を間違えたことを知った。 ここは知っている。 あのメサイアとかいう兵器の格納庫だ。 2騎のメサイアがあちこちから火花をあげながら整備を受けている。 でも――― フィアは床を蹴ると、宙を舞った。 「どうして!」 その2騎とは別に、さらに奥で1騎がほったらかしになっている。 フィアはその騎の側で整備兵を捕まえた。 「どうしてこの騎は動かないの!?」 「しかたないんだよ!」 突然の闖入者に驚きながらも、若い整備兵は言った。 「操縦システムが故障していて、下半身が動かないんだ!」 「何よそんなの!」 フィアは、そのメサイア―――“幻龍改(げんりゅうかい)”を睨み付けた。 無言で立つ“幻龍改(げんりゅうかい)”は、フィアに何も答えない。 整備兵に手を引かれ、フィアは再び床に降り立った。 「嬢ちゃん!」 その整備兵はフィアに言った。 「ここ、危ないから!安全な場所へって……お、おいっ!」 その整備兵の前で、フィアは再び床を蹴ると、“幻龍改(げんりゅうかい)”の方へと流れていった。 「整備班長っ!」
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「人類側のフネだと?」 この環礁の水底に潜んでいたのは、太平洋方面部隊のシュナー少佐達だ。 環礁の最も深い場所。 かつての爆心地のクレーターの中に潜む魔族軍巡航艦“シナベール”から発進した魔族軍水陸両用型メース“カプラーヌ”のコクピットでその情報を聞いた。 その後ろには2騎のカプラーヌがついている。 「はい」 “シナベール”の管制官がモニターの向こうで頷いた。 「先程上空を通過したメースの母艦と思われます」 「ただ通過するだけか?」 「コースを変針しました。環礁上空を旋回する模様」 「変針?」 ―――しまった。 シュナー少佐は、内心で共に出撃した部下の人選を後悔した。 シュナー少佐騎の後ろを移動するカプラーヌを操縦するのは、部隊で最も経験の浅いルサカ軍曹なのだ。 ―――戻そうか? シュナー少佐が躊躇したが、今更どうしようもない。 下手に戻せばそれだけで敵にこの場に潜んでいることを察知されかねない。 何しろ、相手は上空を旋回している。 妙な動きをするだけで、ここに潜んでいることが分かってしまう。 「―――ルサカ」 「はっ、はいっ!」 緊張しきった上擦った声が通信機に入る。 モニターがシナベールの管制官から、若い青年士官に切り替わる。 北方部族の出身だろう、浅黒い肌をしたあどけない顔が、突然上官に声をかけられておびえていた。 「な、何でしょうか!?」 「間違ってトリガーを引かなかったことは褒めてやる」 シュナー少佐は噛んで含めるような口調で言った。 「ルサカ。現在、我々がここに潜んでいる理由を言って見ろ」 「は、はいっ!」 ルサカは答えた。 「南米方面から弓状列島へと進む場合の中継基地として環礁を使用する下準備。そ、それと、弓状列島に送り込んだ特別部隊が任務を終了するまでの待機」 「まぁいいだろう」 シュナー少佐は頷いた。 レシーバーに入った、ルサカの安堵のため息は聞かなかったことにした。 「どちらにしろ、我々はここで目立つワケにはいかん。この環礁は魔力バランスを著しく欠いているため、人類が近づかない好条件の場所であり、そのために我々の待機場所にも指定された場所だ。いいか?訓練中に人類の艦と接触して沈めたあの失態を、ここで繰り返すことは許さん」 「は……はい」 「アミラント」 シュナー少佐はもう一騎を駆るアミラント中尉と通信をつないだ。 「ルサカを見張っていろ」 「了解―――ルサカ。いいか?火器の全安全装置をかけておけ」 「し、しかしっ!」 「少佐に殺されたいのか?」 「は……はい」 ルサカはコクピットのコンソール脇にある火器管制装置の安全装置をかけながら、内心で泣きたいほど悔しがった。 シュナー少佐が言う訓練中の失態―――あれはルサカに言わせれば、まさかあんな所に、水の中を進む人類側のフネがあるなんて予想も出来なかっただけだ。 フネと接触し、即座に撃沈したのはむしろ褒めて欲しい。 なのに、報告した途端、一晩腫れが引かなかったほど殴られた。 あんまりだ。 ルサカは内心で思った。 絶対、ここで良いところを見せて、少佐達を見返してやろうと。 「上空警戒態勢のまま、潜望カメラ深度50まで上がる」 カプラーヌの頭部から有線カメラが音もなく射出され、その一部が海面から出た。 コクピットスクリーンに上空の様子が映し出される。 「……あれか」 モニターにはっきりと映し出されているのは、まさに上空を飛び去ろうとしている飛行艦の姿だ。 その甲板上には、メース達の姿も確認出来る。 「……連中、こんな所で何を?」 シュナー少佐にはそれがわからない。 弓状列島の門(ゲート)解放失敗からかなりの時間が過ぎている。 今更、まさか自分達を追いかけてきたとは考えられない。 人類の同士で殺し合っていることは想像出来なかった。 スクリーン一杯に腹を見せた飛行艦が遠ざかっていく。 「……よし」 海中に潜むカプラーヌの中、シュナー少佐は安堵した。 このまま通り過ぎてくれればそれで良い。 この環礁から出ていってくれ。 それだけでいいんだ。 だが――― 「―――ちっ!」 シュナー少佐の目の前で、飛行艦が針路を変えた。 まだここに居座るつもりだ。 「少佐」 ルサカが言った。 「どうするんですか?」 「何もするな」 シュナー少佐は言った。 「こっちが何もしなければ、連中も危害を加えることはない」 「……し、しかし」 「耐えられなければ操縦を切って海底に沈んでいろ。後で引き上げてやる」 「訓練監視用のMSF(魔力飛行偵察ポッド)が被弾した?」 「はい」 オペレーターが頷いた。 「二宮騎が接触しました」 「……あのバカ」 美夜は思わず頭を抱えた。 「あのポッド1基いくらすると思って」 「飛行は可能です」 「データを転送してポッドは破棄しろ」 「転送が不可能です。それに、ポッドの回収は絶対命令です」 「……わかった。該当するポッドを下げろ。待機中の予備ポッドを出せ」 「はい」 予備ポッド。 その球形の飛行物体は、人類から見れば一目で偵察用ポッドであることがわかる。 だが、魔族はそうではなかった。 飛行艦から突然、出現した得体の知れない、球形の物体――― 「飛行砲台だっ!」 気の遠くなるような長い時間、海中に潜んで、攻撃を禁じられたいらだたしさと、いつ敵に攻撃されるかの恐怖感に板挟みにされていたルサカはとっさにそう叫ぶと、メースのコントロールユニットを握りしめた。 途端――― バンッ!! 右腕のクローに仕込まれていたML(マジックレーザー)が火を噴いた。 「馬鹿野郎っ!」 自分が何をしたか? その判断をルサカが理解するより先に、シュナー少佐の罵声がルサカの耳を打った。 「何をしている!」 「ルサカっ!安全装置はどうした!」 「……えっ?」 ようやく、自分が何をしたのか理解が及んだルサカは慌てて火器安全装置を見た。 安全装置はレバー式になっており、すべて安全装置作動中を示す緑に――― 違う。 ルサカは青くなった。 一つだけ、レバーが中途半端な位置で止まっていた。 つまり、かかっていなかった。 「……なっ!」 「アミラント!」 シュナー少佐は怒鳴った。 「ここであのフネを仕留める!シナベール、聞こえるか!?」 「こちらシナベール」 「人類側の通信を止めろ!ここで仕留めて情報を隠滅するっ!」 「了解」 「い、いまの何ですか!?」 美奈代は艦の左舷を抜けていったオレンジ色の光を見て、誰と言わずにそう訊ねてしまった。 「海中からの攻撃っ!」 牧野中尉が答えた途端、“鈴谷(すずや)”の甲板が震え、“鈴谷(すずや)”が急速に高度を上げた。 「どこっ!?」 美奈代は甲板ぎりぎりまで“征龍改”を移動させ、海面をのぞき込んだ。 ML(マジックレーザー)が突き抜けた海域が、小さく白く泡立っているのがわかる程度だ。 美奈代はとっさに30ミリ機動速射野砲を海面にむけた。 「無駄です」 牧野中尉はそう言って美奈代を止めた。 「こんなもの、海中に撃っても効果は期待出来ません」 「じゃあ、“鈴谷(すずや)”が?」 「メサイア母艦の“鈴谷(すずや)”には元から対空用ML(マジックレーザー)しかありません」 牧野中尉は冷たく言った。 「よく見てください。対艦装備もないのに、対潜装備があるわけないじゃないですか」 「……で、ですけど」 「すぐに武装変更命令が出ます」 牧野中尉が言った途端、 「二宮より各騎」 二宮から通信が入った。 「武装変更―――ビームランチャーを装備し、海面を狙え!」 「どこからの攻撃だ!」 “鈴谷(すずや)”艦橋に美夜の鋭い声が飛んだ。 「艦直下の海中です!深度不明!」 オペレーターの城下美芳(しろした・みよし)中尉が答えた。 「先程の至近弾ML(マジックレーザー)の照合―――ライブラリ該当なしっ!」 ほぼ全ML(マジックレーザー)を網羅しているはずのライブラリに該当がない。 第一、水中から発射可能なML(マジックレーザー)なんて聞いたことがない。 水中から撃てば、水と大気でML(マジックレーザー)そのものが消滅してしまう。 じゃあ何が? 美夜は、たった一つだけ心当たりがあった。 「―――っ!」 自らが出した答えに、美夜は一瞬、言葉を失った。 美夜の出した答え。 それは―――魔族軍。 しかも、艦の真下だ。 「艦長?」 フェルミ博士は平然とした顔で訊ねた。 「この艦に対潜攻撃兵器は?」 「―――ありません」 美夜は顔を強ばらせたまま答えた。 「飛行艦に爆雷を搭載する馬鹿がいるものですか」 「―――ふむ」 フェルミ博士は思案げに顎を撫でた。 「―――では、どうするんです?」 「高度上げろっ!操舵、Z字航行開始。機関、出力最大、FGF(フリー・グラビティ・フィールド)戦闘展開。砲術、海面方向に対してジャミング散布―――トラックと通信出来るか!?」 「通信不能っ!短波、長波、レーザーまで、強力なジャミングを受けていますっ!」 「―――っ!」 艦橋の外では、甲板に待機してたメサイア達が巨大な砲を担ぎ上げて両舷に並ぼうとしている。 突発的な事態だというのに、艦全体の動きに無駄はない。 むしろ予定されていたことのように整然と事が運んでいく。 艦長としては当然だが、それでも美夜はそれが頼もしく、また嬉しい。 「成る程?適切な対応だ―――いい艦(フネ)に乗れた」 矢継ぎ早に出される命令に、フェルミ博士は一々頷いた後、丁度、艦橋に入ってきた紅葉に命じた。 「偵察ポッドを全て出したまえ。戦闘データをとる」
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日中歴史共同研究 第1期「日中歴史共同研究」報告書 目次 第2部 戦争の時代 第1章 満州事変から盧溝橋事件まで 満洲事変から日中戦争まで 戸部 良一<その2> 戸部良一: 防衛大学校教授(外部執筆委員) http //www.mofa.go.jp/mofaj/area/china/pdfs/rekishi_kk_j-2.pdf 目次 満洲事変から日中戦争まで 戸部 良一<その1> 満洲事変から日中戦争まで 戸部 良一<その2>2.関係安定化の模索と挫折4)梅津・何応欽協定 5)広田三原則 3.華北の紛糾1)幣制改革 2)「北支」工作(華北「自治」運動) 3)多発する事件 4)対ソ戦略と対中政策 5)内蒙工作と綏遠事件 6)西安事件 7)対中政策の再検討 8)盧溝橋事件前夜 2.関係安定化の模索と挫折 4)梅津・何応欽協定 広田や重光が、満洲国の実在を所与のものとして、中国統一を進める国民政府との間に安定した関係を構築しようとしたのに対して、これに逆行する動きが華北で繰り返される。現地の関東軍や支那駐屯軍が、国民政府による中国統一に否定的であったからである。現地軍は、失地回復を諦めない国民政府の本質を「抗日」であると見なし、それゆえ満洲国の防衛や対ソ戦略の観点から、華北にそのコントロールが及ぶことを阻もうとした。対ソ戦の場合、国民政府は抗日のためにソ連に協力するかもしれないと危惧された。出先の軍人たちは、国民政府の「誠意」はポーズにすぎないとして大使交換にも批判的であった36。 こうした中、華北で事件が発生する。戦区内で活動する抗日反満の武装集団はときおり熱河に侵入し関東軍を刺激していたが、1935 年5 月中旬、業を煮やした関東軍は長城線を越えてこれを討伐した後、満洲国領内に引き揚げた。このとき日本側では、河北省主席・于学忠がこの武装集団を陰で支援していたと睨んだ。また、同じ5 月の初め、反蒋・反国民党の親日新聞社の社長2 人が天津の日本租界で暗殺された。日本側の調査では、犯人は国民党の特務組織のメンバーであるとされた。ここでも、河北省当局と国民党機関の責任を問う声が上がったのである37。 5 月29 日、支那駐屯軍参謀長の酒井隆は、軍事委員会北平分会委員長代理の何応欽に対して二つの事件の責任を問い、国民党機関の河北省撤退、于学忠の罷免、于学忠軍(東北軍系)と中央軍の河北省外への移駐などを要求した。軍司令官・梅津美治郎の不在を狙った酒井の独断であったが38、要求通告の事後報告を受けた梅津や陸軍指導部は、一時戸惑った後これを追認した39。 要求通告後、支那駐屯軍は天津の省主席官邸前に部隊を展開して威嚇し、関東軍も国境近辺に部隊を集中して圧力を加えた。中国側は日本政府に斡旋を要請したが、広田外相は、地方的軍事問題は外交交渉の埒外であるとして関与しなかった。苦況に陥った何応欽は6月10 日、結局、酒井の要求を受諾するとの口頭による回答を寄せ、後日、要求を受諾したという事実のみを記した書簡を送った。これがいわゆる梅津・何応欽協定である。中国側は合意内容を実行したが、それは日本との協定によるものではなく、中国自身の自発的 36 戸部良一「陸軍「支那通」と中国国民党」『防衛大学校紀要』第68 輯(1994 年3 月)48-50 頁。 37 島田俊彦「華北工作と国交調整(1933 年~1937 年)」『太平洋戦争への道』第3 巻、98-101 頁。 38 酒井の独断については、松崎昭一「再考「梅津・何応欽協定」」軍事史学会編『日中戦争の諸相』(錦正社、1997 年)35-39 頁を参照。 39 在中国若杉大使館参事官より広田外務大臣宛電報(6 月7 日)外務省編『日本外交文書昭和期Ⅱ第1 部第4 巻上』第299 文書。 12 な行政措置であるとの立場をとった。つまり中国側からすれば、梅津・何応欽協定なるものは存在しないとされるのである40。 同じ頃、察哈爾省の張北でも事件が起こった。日本陸軍の特務機関員が同地で中国兵に不法監禁されたというのである。それまでにも察哈爾省に駐屯する宋哲元の第29 軍(西北軍系)と関東軍・満洲国側との間には、たびたび紛争が生じていた。関東軍はこの張北の事件を利用し、満洲国の国境防衛と内蒙古自治工作に役立てようとした。 関東軍から派遣された土肥原賢二(奉天特務機関長)は省主席(宋哲元)代理の秦徳純に対し、第29 軍の長城以南撤退、排日機関の解散などを要求し、6 月27 日秦徳純はこれを認める文書の回答を提出した(土肥原・秦徳純協定)。この結果、第29 軍は河北省に移駐していった。かつて長城の防衛戦で関東軍と激しく戦い、今度は察哈爾省から追われた第29 軍は、当然ながら強烈な抗日意識を持つことになる。 1934 年から1935 年前半にかけて、満洲国の実在を所与のものとして、国民政府との間に安定した関係を構築しようとした日本政府の試みは、限定的ではありながら、一定の成果を挙げつつあるように見えた。だが、華北での出先軍人の策動はその試みに冷水をかけ、中断させてしまう。日中提携の実現を図ってきた南京政府や北平政務整理委員会のいわゆる親日派の人々からは、日本軍人による傍若無人の行動と、それを掣肘しない日本政府に対して、嘆きの声が上がった。黄郛によれば、梅津・何応欽協定は彼らに対する国内的支持を弱め、彼らに「悲哀ト絶望トヲ感セシメタ」という41。 5)広田三原則 華北の状況変化によって困難さが増したとはいえ、日中関係全体の安定化を目指す動きが断念されたわけではない。むしろ、華北での出先軍人の突出を抑えるとすれば、大使昇格をテコとして全般的な日中関係安定化を進めることが必要であると考えられた。 こうした発想から、日中外交当局の間で国交全体を改善するための協議が開始される。1935 年1 月、広田外相が帝国議会で日中親善を謳った直後、国際司法裁判所判事の王寵恵が来日し、日中国交に関する三つの原則を提示したが、9 月になって初代大使の蒋作賓は、あらためてその原則を説明した。(1)相互の独立尊重と対等関係、(2)友誼に基づく交際、(3)平和的方法による問題解決、という三原則が実現されるならば、中国としては満洲国を当面不問に付し、さらに上海停戦協定と塘沽停戦協定の取消に同意してくれるならば経済提携を進め軍事的協力も検討したいと蒋大使は述べた。 一方日本では、中国に対する方針についての協議が7 月あたりから外務・陸軍・海軍の三省事務当局間で始まり、10 月4 日、関係大臣の了解事項となった42。その中の、(1)中国の排日言動の徹底的取締と欧米依存政策からの脱却、(2)満洲国独立の黙認(できれば正式承認)、(3)赤化勢力の脅威排除(防共)のための協力、がいわゆる広田三原則である。了解事項の付属文書として、中国の統一あるいは分立を助成したり阻止したりすることを行わない、という申し合わせがなされたが、これは華北の事態を睨み陸軍を牽制するために付 40 梅津・何応欽協定の成立経緯については、臼井『日中外交史研究』141-154 頁を参照。 41 在中国有吉大使より広田外務大臣宛電報(6 月25 日)『日本外交文書 昭和期Ⅱ第1 部 第4 巻上』第245 文書。 42 「対支政策[広田三原則]決定の経緯」『現代史資料8・日中戦争1』102-108 頁。 13 け加えられたものと言えよう。 日中両国の三原則を比べてみると、中国側の原則はまだしも相互主義的であったが、広田三原則は一見して明らかなとおり、日本側の一方的な要求に終始していた。日本側の原則は、相手国との相互的なギヴ・アンド・テイクよりも、国内の関係者の主張や要求をどのように調整するかということに重点を置いていた。10 月7 日、広田外相はこの三原則を蒋大使に提示した。しかし、これによって日中関係安定化のための交渉が動き出すことはきわめて難しかった。交渉の前提となる「原則」それ自体に問題があったからである。その上、1935 年後半には、交渉の環境も悪化しつつあった。 3.華北の紛糾 1)幣制改革 国民政府は、国内敵対勢力を制圧しながら日本に抵抗するという政治的・軍事的問題のほかに、経済的にも深刻な問題に直面していた。世界大恐慌の影響に加えて、剿共戦の長期化や満洲事変以後の日本との武力紛争が、軍事費を増大させ国家予算を圧迫した。満洲の喪失は関税収入の大幅な減少を招いた。さらにこれに輪を掛けたのがアメリカの銀政策である。アメリカが内外の市場から銀を買い付けたため、銀貨が高騰し、中国から大量の銀が流出したのである。中国は実質的に銀本位制をとっていたため、甚大なダメージを受けた。 中国はアメリカに銀買上の中止と銀価抑制を要請したが、協力を得られなかった。次いで中国は各国に借款を要請する。この要請を受けた日本は、しかし、消極的であった。満洲国建設に資金を注ぎ込んでいたため、外債に応じる財政的余裕がなかった。仮に応じるとすれば、中国が債務を返済することが先決であるとされた。また、中国が外債を有効に使うためには複雑な貨幣制度(幣制)を根本的に改める必要があるとされたが、国民政府にはそれを実現する能力がないとも判断された。 イギリスでも、貨幣制度の改革なしには借款は一時しのぎにしかならないと考えられた。ただし蔵相のチェンバレン(A. Neville Chamberlain)は、日英の共同借款が日英協調を促し東アジアの安定に資することに期待をかけた。この大蔵省の後押しもあって、イギリスは政府首席経済顧問のリース=ロス(Frederick W. Leith-Ross)を中国財政再建援助のために現地に派遣することになる。 1935 年9 月、訪中前に来日したリース=ロスは日本側に注目すべき提案を行う。その提案とは、中国を経済的混乱から救うには銀本位制を放棄させる幣制改革が望ましく、幣制改革のためには借款を供与しなければならないが、これを具体化する方式として日英両国が1000 万ポンドの借款を満洲国に与え、それを満洲国が中国に対して満洲喪失の代償として引き渡したらどうか、というものであった。つまり、満洲国を経由しての日英共同借款によって、中国を経済的苦況から脱却させ、日英協調を実現し、さらに中国の満洲国承認も引き出そうとリース=ロスは提案したのである43。だが、日本政府はこの提案に否 43 木畑洋一「リース=ロス使節団と英中関係」野沢編『中国の幣制改革と国際関係』210頁。 14 定的であった。中国の幣制改革の実現可能性については依然として懐疑的であり、共同借款についても反対であった。列国による借款は中国の国際管理につながる危険性があり、少なくとも列国の政治的影響力を維持・強化させるので望ましくはないと考えられた。それよりも中国は一時しのぎの借款に頼らず自力更生を図るべきであると広田外相や重光次官は論じた44。 日本の対応に失望したリース=ロスは中国政府に幣制改革を勧告する。それは中国自体がそれまで検討してきた改革構想にほぼ合致したものであった。こうして11 月4 日、国民政府は幣制改革を断行する。銀本位制を廃止して管理通貨制に移行し、貨幣の発行を三つの銀行にだけ限定して銀を国有化する、というのがその改革の骨子であった。イギリスは単独の借款供与には踏み切らなかったが、自国の銀行が保有していた銀を中国側に引き渡すことで、幣制改革の成功を助けた。アメリカは中国の銀を購入する協定(米中銀協定)を締結し、中国が保有銀を売却して得たドルあるいは金をベースにして銀本位制から脱却することを可能にした。 日本の否定的な予想にもかかわらず、中国の幣制改革は成功への道を辿る。国民政府は幣制改革によって西南派や華北将領等の地方勢力の経済的な基盤を掘り崩し、その面からも国家統一を進めようとしたのである45。 2)「北支」工作(華北「自治」運動) 国民政府の幣制改革は、日本陸軍にとって歓迎されざる事態を意味した。それはイギリスの差し金によるものと見なされ、イギリスの影響力の拡大を伴うことが警戒された。それに加えて、国民政府による経済的な面での華北コントロール強化も憂慮すべき事態であった。華北将領たちの間でも、地方的利害から幣制改革には抵抗があった。こうして華北では陸軍出先機関による反撃が始まる。 出先軍はまず、察哈爾省から河北省に移ってきた宋哲元ら華北将領に圧力を加えて、現銀の南送を防止し、幣制改革を妨害しようとした。また、梅津・何応欽協定の成立以来、出先軍は華北「自治」運動を陰で工作していたが、幣制改革後はこの運動を性急に強行しようとする。 関東軍は、華北将領に国民政府からの離反を促すため、満洲国国境の山海関付近に一部兵力を集中した。陸軍中央はこの措置に驚き、兵力移動は認めたものの、まだ「北支」工作のために武力を行使すべき段階ではないと関東軍に自制を説いた。外務、陸軍、海軍の三省事務当局は意見調整を行い、華北「自治」を支持することには合意したが、そのための行動には慎重さが必要であるとし、「自治」の程度は最初から過大な要求をすることを避け、漸進的に行うべきであると申し合わせた。 一方現地では、土肥原から華北「自治」を要請された宋哲元(平津衛戍司令)、商震(河 44 波多野澄雄「幣制改革への動きと日本の対中政策」野沢編『中国の幣制改革と国際関係』272-273、松浦正孝「再考・日中戦争前夜」『国際政治』第122 号(1999 年9 月)135-137 頁。 45 幣制改革の政治的側面に関する新しい解釈については、樋口秀実「1935 年中国幣制改革の政治史的意義」服部龍二ほか編『戦間期の東アジア国際政治』(中央大学出版部、2007年)を参照。 15 北省主席)、韓復榘(山東省主席)らが、その圧力をかわしながら、何とか「自治」へのコミットを回避しようとしていた。結局のところ、「自治」運動の成果として実現したのは、戦区督察専員(戦区の行政首長)の殷汝耕を長とし、戦区を領域として11 月25 日に成立した冀東防共自治委員会だけであった(12 月25 日、冀東防共自治政府に改組)。殷汝耕には叛逆者として国民政府から逮捕状が発せられた。 南京の国民政府は、華北将領に対して日本に屈服しないよう牽制しつつ説得するとともに、日本の要求に何らかのかたちで対応する必要に迫られた。そのため蒋介石は北平軍事分会を廃止し、宋哲元を冀察綏靖主任に任命するとともに、高度の自治権を持たせた「大官」を華北に派遣する、との案を提示した。在中国大使の有吉明はこの提案に注目し、「自治」運動を抑制して蒋介石による事態収拾を見守るべきではないかと意見具申した。ところが、本国政府は国民政府による大官の華北派遣に反対する。国民政府ないし国民党の影響力が華北に残存し強化されるのではないかと警戒したのである。国民政府が大官として何応欽を華北に派遣し、「自治」の態様や防共等について日本側と協議しようとしたとき、日本側は彼と会おうとしなかった。 現地陸軍は華北将領に対する圧力を一段と強めた。特務機関等が後ろで糸を引く「自治」運動が各地で繰り広げられた。こうした動きに対して、12 月9 日、北平では大学生を中心とした数千人のデモ隊が「抗日救国」を叫び、公安当局と衝突した。16 日には1 万人以上が参加したデモが北平で展開された。華北の将領は「自治」推進と反対の板挟みとなり、軍閥としての利益から自己保身を図った。物情は騒然とし、ついに何応欽も事態収拾不能を認めざるを得なくなった。 12 月18 日、最終的に妥協の産物として発足したのが冀察政務委員会である。8 月末に廃止された北平政務整理委員会(政整会)に代わる、国民政府の地方行政機関として設置された。ただし、国民政府が黄郛や何応欽のように華北に地盤を持たない有力者を派遣して地方行政を担当させたのではなく、冀察政務委員会は宋哲元を委員長にしたことに示されているように、あくまで華北の実力者を主体とした地方機関であった。日本側が華北将領による「自治」を要求していたからである。そしてその分、南京(国民政府)と北平(冀察政務委員会)は意思の疎通に欠けるところが多くなった。中央政府の思惑や地方軍閥の利害も複雑に絡み合った46。 日本は当初、華北五省(河北、察哈爾、山東、山西、綏遠)の「自治」を目指したが、冀察政務委員会は河北・察哈爾の二省と北平・天津の二市を管轄したにすぎなかった。また、国民政府からの分離を目指したのに、冀察政務委員会は国民政府の地方行政機関として設置された。こうした点で、現地陸軍が目指した華北「自治」の目標はまだ達成されていなかった。 一方、日本の外交当局は、国民政府が「自治」運動の抑制を求めてきたとき、それを中国の内政問題であるとして突っぱねながら、華北への大官の派遣に反対し、何応欽の北上に際しては彼との接触を避けた。1936 年1月、日本政府は「第一次北支処理要綱」を決定 46 南京の国民政府と華北将領、特に宋哲元との関係については、Marjorie Dryburgh, North China and Japanese Expansion 1931-1937 Regional Power and the National Interest (Curzon Press, 2000)、光田『中国国民政府期の華北政治 1928-1937 年』を参照。 16 し、現地軍の性急な行動には自制を求めつつも、華北の「自治」推進を追認した47。 こうして、出先陸軍の「北支」工作により、国民政府では、いわゆる親日派の影響力が低下していった。政整会廃止の数ヵ月前に黄郛は委員長の職を辞した。1935 年11 月、汪精衛は何者かによって狙撃され、やがて行政院長兼外交部長を辞任した。12 月には、外交部次長として対日外交を取り仕切ってきた唐有壬が暗殺された。国民政府内の親日派との提携によって対中関係を安定化させようとしてきた広田・重光外交は、その前提を失い、広田三原則をめぐる交渉もほとんど動かなくなった。 その上、1936 年2 月、東京では陸軍過激派将校によるクーデタ(二・二六事件)が発生し、日本の首都は一時、麻痺状態に陥った。反乱軍鎮圧後、広田を首班とする内閣が発足したが、暫くは政府も軍も事件の再発防止と国内の安定に関心と努力を注がねばならなかった。 3)多発する事件 中国では、華北でもそれ以外の地域でも、日中関係をこじらせる問題や事件が相次いで発生していた。両国の関係をこじらせた問題の一つは、冀東特殊貿易である48。中国から言えば、冀東地区での密貿易にほかならない。満洲事変以前も関東州から渤海湾を渡って河北省沿岸や山東半島へ向かう密貿易は少なくなかったが、事変以後は、日本商品への関税が高かったことと、戦区の沖合での密輸取締船の活動を日本側が禁止したこともあって、戦区を経由する人絹や砂糖等の密輸が飛躍的に増えた。 冀東政権が成立すると、その行政経費を捻出するため同政権は輸入品に特別税を課したが、それは国民政府の正規の関税の4 分の1 程度であったので、その特別税を払っただけの「特殊貿易」が横行し、国民政府の関税収入に大きなダメージを与えるとともに、国内経済を混乱させた。中国側はこれに抗議したが、日本は中国の内政問題であるとして取り合わなかった。 華北でもう一つ日中関係をこじらせたのは、1936 年5 月、支那駐屯軍が兵力を3 倍(約5800)に増やしたことである。この兵力増強は、長征を終え(1935 年10 月)陝西省延安に根拠地を構えた共産軍に対処することを目的としていたが、これには隠れた理由もあった。性急かつ強引に華北「自治」運動を画策する関東軍に、「北支」工作から手を引かせ満洲国育成に専念させるというのが、その理由である。「北支」工作は支那駐屯軍が主導するものとし、そのために兵力増強とともに軍司令官を親補職にして関東軍司令官と同格としたのである49。 支那駐屯軍の増強は、事前通告を行わず、新たに駐屯地とされた豊台が義和団事変最終議定書に明記されていなかったこともあり50、中国側から厳しい批判を招いた。関東軍に 47 『現代史資料8・日中戦争1』349-350 頁。 48 冀東特殊貿易については、藤枝賢治「冀東貿易をめぐる政策と対中国関税引下げ要求」軍事史学会編『日中戦争再論』(錦正社、2008 年3 月)を参照。 49 支那駐屯軍の増強については、松崎昭一「支那駐屯軍増強問題」『國學院雑誌』第96 巻第2 号・第3 号(1995 年2 月、3 月)を参照。 50 日本陸軍は当初、通州を新駐屯地にしたいと考えていたが、通州は義和団事変最終議定書で認められた列国の「占領」地に入っていなかったため、国際的な批判を招くとして断念された。豊台も同議定書には明記されていなかったが、以前にイギリス軍が駐屯していたことがあり、そのとき中国側が抗議しなかったので、陸軍はここを新駐屯地に選んだ。 17 対する牽制という内向きの理由は当然ながら表面には出せず、むしろ日本は兵力を増強させてまた何か事を起こそうと画策しているのではないか、という疑惑を強めてしまった。 上海では1935 年11 月、海軍陸戦隊の水兵が射殺される事件が発生し、翌年2 月になって、犯人は中国の特務組織に関わる人物であることが判明した。華中・華南の権益や居留民の保護を担当する海軍を、上海の水兵射殺事件は強く刺激した。1936 年8 月には、一時閉鎖していた成都の領事館再開を前に、現地に赴いた新聞記者を含む日本人グループが暴徒に襲われ、死者2 名、重傷2 名の被害を出した(成都事件)。同年9 月、広西省の北海で薬局を営んでいた日本人が殺害された(北海事件)。広西省に移駐してきた19 路軍が排日を煽っていたことを重視した海軍は、艦船を北海に派遣して現地調査を行い、国民政府が責任を回避し事件解決を遷延させる場合には武力行使も辞さないとの強硬な姿勢を示した。北海事件直後には漢口で日本領事館の警察官が射殺され、上海でもまた水兵が殺害される事件が起こり、これらの事件も海軍を硬化させた。 ただ、このときは華北の事態を重視する陸軍が北海への陸兵派遣に消極的であり、成都事件を解決するために始まった川越茂大使と張群外交部長との交渉に、北海事件の解決委ねられることになった。 4)対ソ戦略と対中政策 その頃、日本政府は広田三原則の行詰りに応じて対中政策を見直し、新しい方針を打ち出していた。1936 年6 月、陸海軍が国防方針を改訂したとき、政府はこれと並行して同年8 月、国家戦略としての「国策の基準」を定め、これに準拠して「帝国外交方針」、「対支実行策」、「第二次北支処理要綱」を策定したのである51。 このうち「対支実行策」では、国民政府を反ソ・対日依存の方向に誘導し、華北の特殊性を認識させてその「自治」を容認させるとともに、具体的には防共協定・軍事同盟の締結、日本人顧問の傭聘、日中航空連絡、互恵関税協定の締結(冀東特殊貿易の廃止とその交換条件として排日高率関税の引下げ)、経済提携の促進等を提案することが方針とされた。 注目されるのは、防共協定の締結という方針である。ここには、日本の対ソ戦略バランスの悪化という事情が絡んでいた。そもそも満洲事変は対ソ戦略上有利な態勢を構築することを目的の一つとして始められたが、結果的には逆説的にも日ソ間のバランスは日本にとって不利な方向に傾いた。ソ連が外交的には日本に対して宥和的な態度をとりつつ、軍事的には日本の脅威を深刻にとらえ、極東領土の軍備強化を図ったからである。1934 年6月の時点で、ソ連陸軍の極東兵力は日本陸軍の総兵力に匹敵し、対ソ前線に位置する満洲と朝鮮の日本陸軍兵力はソ連極東陸軍の30 パーセントに達しなかった。しかもこの兵力の格差は広がりつつあった52。 陸軍が日ソ戦の場合の中国の向背を懸念し、抗日を本質とすると考えられた国民党の勢力を華北から排除しようとした背景には、こうした対ソ戦略バランスの劣勢があったのである。さらに、1936 年2 月、陝西省の共産軍が一時、山西省に進出してきたことは、現 51『現代史資料8・日中戦争1』361-371 頁。 52 防衛研修所戦史室『戦史叢書・大本営陸軍部1』(朝雲新聞社、1967 年)352 頁。 18 地および本国の陸軍の警戒を強めた。これを受けて3 月末、多田(駿)支那駐屯軍司令官は宋哲元との間に、極秘裡に防共協定を結んだ53。また、前年12 月、華北「自治」に反対して繰り広げられた北平のデモにも、共産勢力の影響力増大が感知された。皮肉なことに、日本が国民党機関を排除した後の間隙に、その特務組織による苛烈な弾圧が姿を消したこともあり、共産勢力が浸透していたのである54。 以上のような対ソ・防共の考慮は、「第二次北支処理要綱」にも貫かれている。そこでは、中国の領土権の否定、独立国家の樹立、あるいは満洲国の延長を図るかような行動は避けるが、華北の「分治」を促進して防共親日満の地帯を建設し、国防資源の開発と交通施設の拡充を進めてソ連の侵攻に備えるとともに、日本・満洲国・中国の三国「提携共助」を実現することが謳われた。注目されるのは、華北「分治」が政府の確定した方針として掲げられたことである。開発すべき国防資源としては鉄、コークス用石炭、塩、石炭液化、棉花、羊毛等が挙げられた。既に関東軍や支那駐屯軍の依託を受けて、華北の経済資源に関する調査が進められており、1935 年12 月には満鉄の子会社として興中公司が設立され、華北資源開発に関する事業を開始していた55。 成都事件が起こったのは、このような国交調整方針が固まった頃である。日本側の要求は当初、犯人・責任者の処罰、排日の取締という事件解決に重点を置いていたが、やがて国交調整方針に含まれる全般的なものへと膨らんでいった。北海事件など、その後に続く事件の発生が日本側の態度を硬化させた。一方、中国側は事件解決と排日取締には応じたものの、それ以外の点では日本の要求に対して妥協を拒んだ。中国側は、塘沽・上海両停戦協定の廃棄、冀東政権の解消、華北自由飛行(満洲国と華北との航空連絡に消極的であった中国側を牽制するため、中国軍の監視を名目に関東軍が華北に軍用機を飛ばしていたもの)の中止、密貿易の停止、内蒙古に侵入した「偽軍」(傀儡軍)の解散、を要望し、日本側と正面から渡り合った。 成都事件をきっかけとして1936 年9 月に始まった川越・張群会談は、こうして進展を見せなかった。そのうちに関東軍の後押しする内蒙軍が綏遠省北部に侵入し、そこで中国軍と衝突した事件(綏遠事件)をめぐって会談は暗礁に乗り上げ、同年12 月、事実上、打ち切られた。 5)内蒙工作と綏遠事件 綏遠で中国軍と衝突したのは、察哈爾省で内蒙古自治を目指して活動していた蒙古の王族、徳王の軍隊である。南京の国民政府は蒙古人の自治要求に押されて蒙古地方自治政務委員会(蒙政会)を設置したが、徳王はこれにあきたらず、土肥原・秦徳純協定で宋哲元軍を察哈爾省から押し出した関東軍に接近した。1936 年4 月、察哈爾省の徳化に徳王を主席とする内蒙軍政府が関東軍の指導下に成立し、満洲国との間に相互援助条約を結んだ。内蒙工作を強引に推進していたのは関東軍参謀の田中隆吉である。陸軍指導部は必ずし 53 臼井勝美「冀察政務委員会と日本」『外交史料館報』第16 号(2002 年6 月)34-35 頁、安井三吉『盧溝橋事件』(研文出版、1993 年)68-71 頁。 54 安井『盧溝橋事件』85 頁。 55 華北での日本の経済活動については、中村隆英「日本の華北経済工作」『年報・近代日本研究』第2 号(1980 年)を参照。 19 もこれを支持しなかった。やがて徳王は財政的基盤の脆弱な内蒙軍政府を強化するために、綏遠省の東部を支配下に入れようとする。同年11 月、徳王のために田中が掻き集めた無頼の匪賊部隊が蒋介石打倒を唱えて綏遠省に侵入した。しかし、この部隊は紅格図で簡単に敗れ、百霊廟に駐屯していた徳王の内蒙軍も綏遠軍の攻撃を受けて潰走した56。 この綏遠事件での中国軍の勝利は、日本軍に対する初めての勝利、しかも「無敵」の関東軍を打ち破った大勝利であると大々的に報じられ、中国各地で喝采を浴びた。綏遠への侵入に関東軍が間接的に関与していたことは間違いないが、実は戦闘にはほとんど参加していなかった。だが、これまで鬱積してきた対日屈服感からの解放も手伝って、綏遠事件の勝利は誇大に受け取られた。綏遠事件は中国の抗日感情を昂揚させ、日本に対抗する自信を回復させた。そして、その直後に歴史を転換させる事件が起こる。 6)西安事件 それは12 月12 日、剿共戦の督戦のため西安を訪れた蒋介石が、内戦停止・抗日救国を訴える張学良と楊虎城によって拘禁された事件である。張・楊と延安の共産勢力との間には以前から共同抗日についての協力関係が生まれていた。事件発生の報を受けて延安から周恩来が飛来し、最終的に蒋介石は釈放された。事件収束に至る真相はいまだ不明だが、この西安事件によってその後の共同抗日と国共合作が促されたことは疑いない。 そもそも蒋介石は、満洲事変以後、安内攘外の方針に基づき日本との妥協を図ってきたが、究極の場合の対日戦の準備を疎かにしていたわけではない57。国民政府は剿共戦を戦うためドイツから軍事顧問を招聘し、軍事組織・戦略・戦術の近代化を図るとともに、その助言に基づき、対日戦に備えた軍事的措置を講じつつあった58。1936 年4 月には、ドイツとの間に1 億マルクの貿易協定を結んだ。ドイツからの武器の輸入とタングステン等の輸出によるバーター協定であった。中国はこのようなドイツとの密接な経済的・軍事的関係によって日本を牽制しようとしたが、同年11 月の日独防共協定の成立により、親独政策による対日牽制は頓挫した。 蒋介石は対日牽制のためにドイツとの連携だけでなく、ソ連(1932 年12 月国交再開)との連携も模索した59。一方、かつて国民党を敵視していたソ連も、中国の対日牽制を維持・強化する上で、蒋介石の指導力に着目した。反ファシズム人民戦線戦術を採用していた(1935 年8 月)コミンテルンは、中国共産党に対しこれまでの反蒋抗日ではなく、連蒋抗日の路線を勧告した。蒋介石は、外蒙古を衛星国化して新疆を「赤化」し北鉄(東支鉄道)を満洲国・日本に売却したソ連に対して、不信感を拭い去ることはできなかったものの、日本の強引な華北工作に対抗するため、対日戦の場合に軍事援助が得られるかどう 56 内蒙工作については、森久男「関東軍の内蒙工作と蒙疆政権の成立」『岩波講座・近代日本と植民地1 植民地帝国日本』(岩波書店、1992 年)を参照。 57 中国の国防計画については、安井『盧溝橋事件』126-135 頁。 58 対日戦準備に対するドイツ軍事顧問団の貢献については、Hsi-Huey Liang, The Sino-German Connection Alexander von Falkenhausen between China and Germany 1900-1941 (Van Gorcum, 1978), chap.7-8 を参照。 59 蒋介石の対独・対ソ連携構想については、樹中毅「蒋介石の民族革命戦術と対日抵抗戦略」『国際政治』第152 号(2008 年3 月)、鹿錫俊「日ソ相互牽制戦略の変容と蒋介石の「応戦」決定」軍事史学会編『日中戦争再論』を参照。 20 かをソ連に打診していた60。さらに蒋介石は、紅軍(共産軍)に対して討伐を中断することはなかったが、日本に対抗する上での共産党との政治的妥協の可能性も排除しなかった。たしかに日本との和解の可能性をまだ諦めてはいなかった。しかし、華北分離の動きがこれ以上強まれば、日本との武力衝突の可能性にも備えなければならなかった。そうしたところに西安事件は起こったのである。 7)対中政策の再検討 西安事件は日本にとっても大きな衝撃であった。事件は、一方では中国の内部分裂の深刻さを示すものと受け取られたが、他方では国内統一に向かう重大な転機とも見られた。 関東軍は事件の結果、中ソ両国が抗日に関して完全に一致したと分析し、これまでのように華北「自治」を国民政府からの権限委譲によって実現するのではなく、国民政府の意向には捉われず日本が自主的に追求すべきであると主張した61。これに対して、参謀本部戦争指導課は、西安事件を契機として中国では内戦反対と国内統一の気運が進んだと指摘し、抗日人民戦線派が健全な新中国建設運動に転化し得るかどうかは、日本が従来の「帝国主義的侵寇政策」を放棄できるかどうかにかかっていると論じた62。言論界でも、国民政府による統一を肯定的に評価する中国再認識論が説かれ、実業界の一部には1936 年後半あたりから、華北分離工作を批判し、日中経済提携を説く主張が浮上していた63。 こうして対中政策の再検討が始まる。そのイニシアティヴをとったのは、戦争指導課長から作戦部長に昇任した石原莞爾である。彼は将来の対ソ戦を睨んで当面は満洲国育成に専念し日満一体の軍需産業基盤強化を図るため、中国との衝突回避を望んだ。そのため内蒙工作に反対し、華北分離を否定し、冀東政権廃止の可能性も考慮しつつあった。 一方、外務省でも対中政策の見直しがなされていた。その主眼は、華北分治工作の中止と経済的施策の実行にあった。1937 年3 月、広田内閣に代わる林銑十郎内閣の外相に佐藤尚武が迎えられて、陸海軍両省を巻き込んだ対中政策の再検討が本格化した。4 月に政府は「対支実行策」「北支指導方策」を決定し、華北の分治や中国の内政を乱す政治工作は行わないことを定め、前年の華北分治の方針を否定した。「対支実行策」では、国民政府が指導する中国統一運動に対して「公正なる態度」で臨むことが基本とされ、防共協定や軍事同盟の締結という要求項目はなくなった。反ソ・対日依存への誘導という前年の方針も謳われなくなった。「北支指導方策」では、目的達成のために華北民衆を対象とした「経済工作」に主力を注ぎ、これに国民政府の協力を求めることが合意された64。画期的な政策転換であった65。 60 この頃の中ソ関係については、Jonathan Haslam, The Soviet Union and the Threat from the East, 1933-41 (University of Pittsburgh Press, 1992), chap.3 を参照。 61 関東軍参謀部「対支蒙情勢判断」(1937 年2 月)臼井勝美「昭和十二年「関東軍」の対中国政策について」『外交史料館報』第11 号(1997 年6 月)67-70 頁所収。 62 参謀本部第二課「帝国外交方針及対支実行策改正に関する理由竝支那観察の一端」『現代史資料8・日中戦争1』382 頁。 63 この点については、伊香俊哉「日中戦争前夜の中国論と佐藤外交」『日本史研究』第345号(1991 年5 月)を参照。 64 『現代史資料8・日中戦争1』400-403 頁。 65 佐藤外相の下での政策転換については、臼井『日中外交史研究』第9 章、藤枝賢治「「佐藤外交」の特質」『駒澤大学史学論集』第34 号(2004 年4 月)を参照。 21 その頃、横浜正金銀行頭取の児玉謙次を団長とする実業家グループが訪中し、中国の実業家たちと会談した。帰国後、児玉は冀東政権の解消と冀東特殊貿易の廃止を訴える意見書を佐藤外相に提出した。児玉訪中団のメンバーであった藤山愛一郎(大日本製糖社長)は岳父の結城(豊太郎)蔵相のメッセージを新任の外交部長王寵恵らの国民政府首脳に伝えた。それは日中経済提携の実績によって出先の関東軍や支那駐屯軍を抑制し、両国の関係安定化を図りたいとの趣旨であった66。 だが、現地では支那駐屯軍が林内閣の新方針に同調的だったのに対して、関東軍はそれを次のように強く批判していた67。政治的工作を行わず重点を経済的工作に置くというのは、従来の方針に比べて著しく消極的であり、日本との国交調整に応じる意思のない国民政府に親善を求めるのは、その「排日侮日」の態度を増長させるだけである。もし武力行使が許されるのであれば、中国に一撃を与えて、対ソ戦の場合の背後の脅威を除去するのが、最も有利な対策と言うべきだろう、と。 西安事件の衝撃を受けて、日本には対中政策の転換を図ろうとする動きが生まれたが、関東軍のように、それに反対する主張も根強かった。また、政策転換の実績を挙げるには時間が必要であった。そして、その実績が挙がる前に、1937 年6 月林内閣は総辞職した。後継の近衛内閣の外相に就任したのは広田弘毅であった。 8)盧溝橋事件前夜 日本の国防方針において、中国は仮想敵国のひとつであった。したがって、陸軍は毎年、中国と開戦した場合の作戦計画を作成した。中国の軍備強化に伴い、1937 年度(1936 年9 月から1 年間)の対中作戦計画での使用兵力は、前年度の9 個師団から14 個師団に増加した68。ただし、対ソ戦に備えての軍備拡充を焦眉の急としていた参謀本部では、中国との戦争は極力回避すべきであると考えられていた。 支那駐屯軍はこの作戦計画を受け、参謀本部の指示に基づいて華北の占領計画をつくった69。作戦計画が華北要地の一時的「占領」にとどまらず、やや長期の「確保」を要求していたので70、現地軍の占領計画も、万一の場合の不測事態計画であるとはいえ、それ相応に詳細なものとなった。 そして、華北では、そうした不測事態が起こりかねない状況になりつつあった。1936年、北平郊外の豊台に支那駐屯軍の増強部隊を収容する兵舎を建設したとき、中国人の間には、日本軍が軍用飛行場をつくろうとしているのではないか、との疑心暗鬼が生まれた71。 66 松浦「再考・日中戦争前夜」142-143 頁。 67 在満州国沢田大使館参事官より堀内外務次官宛(6 月11 日)外務省編『日本外交文書昭和期Ⅱ第5 巻上』第144 文書。 68『戦史叢書・大本営陸軍部1』368-370、412-414 頁。 69 支那駐屯軍の華北占領計画については、永井和『日中戦争から世界戦争へ』(思文閣出版、2007 年)第1 章を参照。 70 『戦史叢書・大本営陸軍部1』413 頁。 71 エドワード・J・ドレー「戦争前夜」波多野澄雄・戸部良一編『日中戦争の軍事的展開』(慶應義塾大学出版会、2006 年)27 頁。 22 同年、平津地区で行われた支那駐屯軍秋季大演習も中国側の疑惑をかきたてた72。 北平近郊に駐屯する中国軍第37 師は第29 軍の中で最も抗日意識が高いとされており、第29 軍の高級将校の中には共産党員も紛れ込んでいた73。1936 年9 月18 日、柳条湖事件5 周年の日、豊台の日本軍と第37 師の兵士との間に小競り合いが生じた。中国側の謝罪と豊台からの撤退で事は収まったが、日本軍が中国軍に武装解除を要求しなかったのは第29軍を恐れたからだという噂が広まり、これを聞いて憤慨した連隊長の牟田口廉也は、今後類似の事件が起きたならば、今度こそ仮借することなく直ちに中国軍を膺懲し、侮日・抗日観念に一撃を加えねばならぬ、と部下に訓示したという74。 牟田口が予想した類似の事件は、それから10 ヵ月後、盧溝橋で起こることになる。対ソ戦闘法の夜間演習を行っていた日本軍部隊と中国軍との衝突であった。そのとき、前内閣(林内閣)の対中政策転換に反対し、中国の「増長」を憎み、華北を国民政府の政治的コントロールから分離することを目論んでいた対中強硬論者は、中国に「一撃」を加えることを躊躇しなかったのである。 72 安井『盧溝橋事件』107-113 頁。 73 第29 軍副参謀長の張克侠は共産党員、第37 師長の何基.は共産党シンパで1939 年に入党した。同上、91 頁。 74 秦郁彦『盧溝橋事件の研究』(東京大学出版会、1996 年)67-69 頁、臼井「冀察政務委員会と日本」36-38 頁。 第1期「日中歴史共同研究」報告書 目次 日中歴史共同研究
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. ――願いの箱庭、地平線の彼方へ。 Fate/Over The Horizon 俺ロワ・トキワ荘にてに◆0pIloi6gg.によって発足した亜種聖杯戦争企画。作中の通称は界聖杯。 2021年5月27日にスレ立てされ同時にコンペが開始。詳細は後述。 7月15日の1:04をもって最終候補作品が投下され応募が締め切られた。 合計205話もの候補作がエントリー。 7月25日22時にオープニングが投下され参加主従23組が確定。 7月26日00:00に予約が解禁され本編が開始された。 参加者 No. マスター サーヴァント 名前 出展作 クラス 真名 出展作 1 神戸しお ハッピーシュガーライフ ライダー デンジ チェンソーマン 2 櫻木真乃 アイドルマスターシャイニーカラーズ アーチャー 星奈ひかる スター☆トゥインクルプリキュア 3 七草にちか アイドルマスター シャイニーカラーズ アーチャー メロウリンク=アリティ 機甲猟兵メロウリンク 4 星野アイ 【推しの子】 ライダー 殺島飛露鬼 忍者と極道 5 田中一 オッドタクシー アサシン 吉良吉影 ジョジョの奇妙な冒険 6 田中摩美々 アイドルマスター シャイニーカラーズ アサシン ウィリアム・ジェームズ・モリアーティ 憂国のモリアーティ 7 死柄木弔 僕のヒーローアカデミア アーチャー ジェームズ・モリアーティ Fate/Grand Order 8 飛騨しょーこ ハッピーシュガーライフ アーチャー ガンヴォルト(オルタ) 蒼き雷霆ガンヴォルト爪 9 神戸あさひ ハッピーシュガーライフ アヴェンジャー デッドプール DEADPOOL(実写版) 101 幽谷霧子 アイドルマスターシャイニーカラーズ セイバー 黒死牟 鬼滅の刃 11 光月おでん ONE PIECE セイバー 継国縁壱 鬼滅の刃 12 皮下真 夜桜さんちの大作戦 ライダー カイドウ ONE PIECE 13 北条沙都子 ひぐらしのなく頃に業 アルターエゴ 蘆屋道満 Fate/Grand Order 14 古手梨花 ひぐらしのなく頃に業 セイバー 宮本武蔵 Fate/Grand Order 15 プロデューサー アイドルマスターシャイニーカラーズ ランサー 猗窩座 鬼滅の刃 16 七草にちか アイドルマスターシャイニーカラーズ ライダー アシュレイ・ホライゾン シルヴァリオ トリニティ 17 本名不明(松坂さとうの叔母) ハッピーシュガーライフ バーサーカー 鬼舞辻無惨 鬼滅の刃 18 紙越空魚 裏世界ピクニック アサシン 伏黒甚爾 呪術廻戦 19 仁科鳥子 裏世界ピクニック フォーリナー アビゲイル・ウィリアムズ Fate/Grand Order 20 リップ アンデッドアンラック アーチャー シュヴィ・ドーラ ノーゲーム・ノーライフ 21 木村輝(ガムテ) 忍者と極道 ライダー ビッグ・マム(シャーロット・リンリン) ONE PIECE 22 峰津院大和(ほうついんやまと) デビルサバイバー2 ランサー ベルゼバブ グランブルーファンタジー 23 松坂さとう ハッピーシュガーライフ キャスター 童磨 鬼滅の刃 参加主従候補 応募数計188組(流用込205組) + 開示する ※他の聖杯企画からの流用は投稿順のナンバーの右に()を記載 当選した主従は更新ナンバーとマスターの色が黃色 投稿順 マスター サーヴァント 名前 出展作 クラス 真名 出展作 1 光月おでん ONE PIECE セイバー 継国縁壱 鬼滅の刃 2 北条沙都子 ひぐらしのなく頃に業 アルターエゴ 蘆屋道満 Fate/Grand Order 3 野崎祥子 ミスミソウ アサシン 鬼舞辻無惨 鬼滅の刃 4 ジャギ 北斗の拳 アーチャー ラディッツ ドラゴンボール 5 クンタック王子 ドラえもん のび太の大魔境 セイバー ローレシアの王子 ドラゴンクエストⅡ 悪霊の神々(SFC版) 6-1 松坂さとう ハッピーシュガーライフ キャスター 童磨 鬼滅の刃 6-2 神戸しお ハッピーシュガーライフ ライダー デンジ チェンソーマン 7 結崎ひよの スパイラル~推理の絆~ キャスター フリーレン 葬送のフリーレン 8 死柄木弔 僕のヒーローアカデミア アーチャー ジェームズ・モリアーティ Fate/Grand Order 9 紙越空魚 裏世界ピクニック アサシン 伏黒甚爾 呪術廻戦 10(1) シックス 魔人探偵脳噛ネウロ バーサーカー パコさん パジャマな彼女 11 伊府 椿 血染めの花 バーサーカー 本気目杉たかし 夕闇の前奏曲 12(2) 巴マミ 魔法少女まどか☆マギカ ライダー エンブリヲ クロスアンジュ 天使と竜の輪舞 13(3) 至郎田正影 魔人探偵脳噛ネウロ キャスター 至郎田正影 真説ボボボーボ・ボーボボ 14(4) 葛西善二郎 魔人探偵脳噛ネウロ セイバー 浦上 寄生獣 15(5) エスデス アカメが斬る! ライダー ひで 真夏の夜の淫夢派生シリーズ 16 ジャギ 北斗の拳 アサシン ジャギ 北斗の拳 ジャギ外伝極悪ノ華 17 柊ナナ 無能なナナ バーサーカー アダム 終末のワルキューレ 18(6) 本部以蔵 刃牙シリーズ セイバー 宮本武蔵 Fate/Grand Order 19 キュウべえ 魔法少女まどか☆マギカ アヴェンジャー 虚無の道化師 library of ruina 20 プロデューサー アイドルマスターシャイニーカラーズ ランサー 猗窩座 鬼滅の刃 21 園田夢二 善悪の屑、外道の歌 アサシン ジャック・ザ・リッパー Fate/Apocrypha 22 屍姦レイパー 怪人ハンターズ アサシン テューン=フェルベル ひよこ侍 23 夜之川しいな キメセクに敗けた娼年 バーサーカー ジャック・ザ・リッパー 終末のワルキューレ 24(7) 岸辺露伴 ジョジョの奇妙な冒険 ランサー 武藤カズキ 武装錬金 25 滑皮秀信 闇金ウシジマくん アーチャー 銃の悪魔 チェンソーマン 26 高槻巌 ARMS サラリーマン 小須田義一 小須田部長(笑う犬番組内コーナー) 27 峰津院大和(ほうついんやまと) デビルサバイバー2 ランサー ベルゼバブ グランブルーファンタジー 28 大槻太郎 1日外出録ハンチョウ アサシン インポスター Among Us 29 ディアボロ ジョジョの奇妙な冒険 ランサー アザゼル篤史 よんでますよ、アザゼルさん。 30 アブサント(ゾーヤ) アークナイツ バーサーカー ジョン・ランボー ランボー 31 言峰綺礼 Fate/Zero ランサー イヴォーカー(グノーケ) ニンジャスレイヤー 32 紺野木綿季 ソードアート・オンライン キャスター 真人 呪術廻戦 33 朝狗羅由真 大番長 セイバー 衛藤可奈美(ANOTHER) 刀使ノ巫女 刻みし一閃の燈火 34 三島栄次 るろうに剣心 北海道編 シールダー 朝加圭一郎 快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー 35 ヴァン ガン×ソード アヴェンジャー 暁美ほむら 魔法少女まどか☆マギカ 叛逆の物語 36 足立透 PERSONA4 the Animation ダークネス ダークネス 遊戯王デュエルモンスターズGX 37 仁科鳥子 裏世界ピクニック フォーリナー アビゲイル・ウィリアムズ Fate/Grand Order 38(8) サガラ 仮面ライダー鎧武 アーチャー 浪蘭幻十 魔界都市ブルース 魔王伝 39 五条悟 呪術廻戦 アサシン 継国緑壱 鬼滅の刃 40 ロールシャッハ(ウォルター・ジョゼフ・コバックス) ウォッチメン(漫画版) アサシン 境井仁 Ghost Of Tsushima 41 皮下真 夜桜さんちの大作戦 ライダー カイドウ ONE PIECE 42 伏黒甚爾 呪術廻戦 キャスター 武田観柳 るろうに剣心~明治剣客浪漫譚~ 43 七草にちか アイドルマスター シャイニーカラーズ アーチャー メロウリンク=アリティ 機甲猟兵メロウリンク 44 神戸あさひ ハッピーシュガーライフ アヴェンジャー デッドプール DEADPOOL(実写版) 45 千翼 仮面ライダーアマゾンズ バーサーカー 鬼の王 鬼滅の刃 46 七草にちか アイドルマスターシャイニーカラーズ ヒーロー 絶対なるロスクレイ 異修羅 47 キャル プリンセスコネクト!Re Div バーサーカー 天海 戦国BASARA 48 伊達一義 JOKER 許されざる捜査官 アーチャー 氷室幻徳/仮面ライダーローグ 仮面ライダービルド 49 禅院直哉 呪術廻戦 アーチャー 吉備津彦命 衛府の七忍 50 室田つばめ(トップスピード) 魔法少女育成計画 バーサーカー キャプテン・アズール モンスター烈伝 オレカバトル 51 幽谷霧子 アイドルマスターシャイニーカラーズ セイバー 黒死牟 鬼滅の刃 52 エマ・ラッセル ゴジラ キング・オブ・モンスターズ アヴェンジャー 北島祐子 仮面ライダージオウ 53(9) 笛木奏 仮面ライダーウィザード デーモン 魔神王 ロードス島伝説 54(10) ファルシータ・フォーセット シンフォニック=レイン キャスター 比良坂初音(ひらさか はつね) アトラク=ナクア 55 桐森蘭 金田一少年の事件簿 暗黒城殺人事件 ライダー レッド ポケットモンスター 金・銀・クリスタル 56 ピピ美 ポプテピピック アヴェンジャー ポプ子 ポプテピピック 57 ??? ??? フォーリナー 〈寺生まれのTさん〉 裏世界ピクニック 58 バンダ君/カトウ ダーウィンズゲーム ライダー カメダ パワプロクンポケットシリーズ 59 リップ アンデッドアンラック アーチャー シュヴィ・ドーラ ノーゲーム・ノーライフ 60 櫻木真乃 アイドルマスターシャイニーカラーズ アーチャー 星奈ひかる スター☆トゥインクルプリキュア 61 北条加蓮 アイドルマスターシンデレラガールズ キャスター アスクレピオス Fate/Grand Order 62 南雲ハジメ ありふれた職業で世界最強 キャスター シキ BLACK CAT 63 海賊房太郎(大沢房太郎) ゴールデンカムイ キャスター 秋葉流 うしおととら 64 杜野凛世 アイドルマスター シャイニーカラーズ セイバー 座頭市 座頭市(勝新太郎版) 65 吉田優子 まちカドまぞく アーチャー バザード・ブラック BLEACH 66 冬馬かずさ WHITE ALBUM2 セイバー ウェイブ アカメが斬る! 67 殺島飛露鬼(やじま・ひろき) 忍者と極道 アーチャー ソニックブーム ニンジャスレイヤー 68 伊藤大祐 リベリオンズ Secret Game 2nd Stage ランサー 雅 彼岸島 69 田中摩美々 アイドルマスター シャイニーカラーズ アサシン ウィリアム・ジェームズ・モリアーティ 憂国のモリアーティ 70 各務原なでしこ ゆるキャン△ バーサーカー ひぐまの洋 水曜どうでしょう〜大泉洋のホラ話〜 71 芹沢あさひ アイドルマスターシャイニーカラーズ(World×Code) ハンター クロロ=ルシルフル HUNTER×HUNTER 72 七草にちか アイドルマスター シャイニーカラーズ キャスター 異魔神 ドラゴンクエスト列伝 ロトの紋章 73 高橋鉄男 群青戦記 アーチャー 徳川 蒼 群青戦記 74 校長(本名はクソ長いので省略) 絶体絶命でんぢゃらすじーさんシリーズ アクター メリサ Alice Re Code 75 ワタナベ 淫獄団地 ランサー バイコーン キン肉マン 76 東山コベニ チェンソーマン セイバー ヱドロ メイジの転生録 77 松岡修造 松岡修造関連作品(ニコニコ動画又はyoutube) バーサーカー 爆熱番長 金剛番長 78(11) ジューダス テイルズオブデスティニー2 アサシン 松永 久秀 戦国BASARA 79 皮剥ぎボリス(ボリス・グローモフ) ねじまき鳥クロニクル アサシン 古明地こいし 東方projectシリーズ 80 西村茜 事情を知らない転校生がグイグイくる。 キャスター アイゼン テイルズオブベルセリア 81 本城刹那 魔人探偵脳噛ネウロ セイバー クラウド・ストライフ ファイナルファンタジーⅦ 82 三ノ輪鉄男 鷲尾須美は勇者である アヴェンジャー ユーリル ドラゴンクエストⅣ 83 ドリアン バキシリーズ ランサー スカサハ Fate/Grand Order 84 七草にちか アイドルマスター シャイニーカラーズ キャスター アルトリア・キャスター Fate/Grand Order 85 徐福 Fate/Grand Order キャスター 普賢真人 封神演義 86 小波鉄二 パワプロクンポケット2 戦争編 シールダー キャプテン・アメリカ マーベル・シネマティック・ユニバース 87 ゼノ・ヒューストン・ウィングフィールド Dr.STONE ランサー 木原脳幹 新約・とある魔術の禁書目録 88 デルウハ Thisコミュニケーション アサシン リュウ・イーウ テラフォーマーズ 89 田中ぷにえ 大魔法峠 ランサー 呂布奉先 終末のワルキューレ 90 羽鳥智世/チセ・ハトリ 魔法使いの嫁 アーチャー トリスタン Fate/Grand Order 91 遠山 和十(とおやま かずと) パワプロクンポケット10 セイバー アルトリア・ペンドラゴン Fate/stay night 92 カルネ ジョジョの奇妙な冒険第五部 黄金の風 バーサーカー コケカキイキイ コケカキイキイ 93 アーミヤ アークナイツ キャスター N(ナチュラル・ハルモニア・グロピウス) ポケットモンスターシリーズ 94 花寺のどか ヒーリングっど~プリキュア アサシン 櫻木真乃(ヴァンパイア) アイドルマスターシャイニーカラーズ 95 甲斐刹那 真女神転生デビルチルドレン(漫画版) ライダー ジンガ 牙狼-GOLD STORM 翔- 96 エステリーゼ・シデス・ヒュラッセイン テイルズオブヴァスペリア バーサーカー リアン(本人未認識。仮の名のライゼを名乗る) Lost Heaven 97 松野十四松 おそ松さん アクター エルエ Alice Re Code 98(12) かばん けものフレンズ クラフター スティーブ Minecraft 99(13) 秦こころ 東方project ライダー 機巧おちゃ麻呂 サムライスピリッツ 天下一剣客伝 100 ルドル・フォン・シュトロハイム ジョジョの奇妙な冒険 キャスター ダイジョーブ博士 実況パワフルプロ野球シリーズ 101 死相(デッドフェイス)/岸浪ハクノ Fate EXTRA Last Encore ランサー ヒュンケル DRAGON QUEST -ダイの大冒険- 102 W アークナイツ ライダー 旧多二福 東京喰種 re 103 愚地独歩 刃牙シリーズ ライダー 呑破(ドンファー) 銃夢LastOrder 104(14) ボインゴ ジョジョの奇妙な冒険 ライダー ドロンジョ ヤッターマン 105(15) SCP-811“沼女”、またの名をアエ SCP Foundation ミュータント フー・ファイターズ ジョジョの奇妙な冒険 106 煉華 烈火の炎 アーチャー 妖精騎士トリスタン Fate/Grand Order 107 志々雄真実 るろうに剣心 ライダー 殺島飛露鬼 忍者と極道 108 ニュー速でやる夫 やる夫スレ バーサーカー 黒神めだか めだかボックス 109 ちいかわ なんか小さくてかわいいやつ バーサーカー 浅倉威 仮面ライダー龍騎 110(16) 眠目さとり 武装少女マキャヴェリズム アサシン 古明地こいし 東方Project 111 オフェリア・ファムルソローネ Fate/Grand Order バーサーカー アスラ Asura s Wrath 112 七草にちか アイドルマスターシャイニーカラーズ ランサー ブラックファング 映画ハピネスチャージプリキュア! 人形の国のバレリーナ 113 木村輝(ガムテ) 忍者と極道 ライダー ビッグ・マム(シャーロット・リンリン) ONE PIECE 114 北条時行 逃げ上手の若君 アサシン 甘寧 蒼天航路 115 愛城 恋太郎 君のことが大大大大大好きな100人の彼女 バーサーカー しっとマスク 突撃!パッパラ隊 116 甘城千歌 サタノファニ ライダー メドゥーサ Fate/stay night 117 クロメ アカメが斬る!(漫画版) シャドウ ダーク王子 千年戦争アイギス 118 ゾーリン・ブリッツ HELLSING セイバー マキーナ 魔剣X(エックス)、魔剣爻(シャオ) 119 七草にちか アイドルマスターシャイニーカラーズ アーチャー カービィ 星のカービィ(アニメ版) 120 天生壱 CLUBゲーム倶楽部 セイバー 瀬田宗次郎 るろうに剣心 121 異能肉 十二大戦 セイバー 錆白兵 刀語 122 アリス BAROQUE アヴェンジャー がん細胞 はたらく細胞 123 宇佐見蓮子 東方project 音楽CDシリーズ キャスター デカラビア メギド72 124 田中一 オッドタクシー アサシン 吉良吉影 ジョジョの奇妙な冒険 125 ヨシダ 淫獄団地 セイバー 佐々木小次郎 終末のワルキューレ 126 瞳島 眉美 美少年シリーズ キャスター 五条悟 呪術廻戦 127 黄色ブドウ球菌 はたらく細胞 ライダー ヒャクニンリキン ドクターマリオくん 128 柏木舞 DARKER THAN BLACK 黒の契約者 ランサー 立花響 戦姫絶唱シンフォギア 129 竃門炭治郎 鬼滅の刃 アサシン メリイ 死印 130 ステイン 僕のヒーローアカデミア アサシン 明智吾郎 ペルソナ5R 131 胡月レオナ 金田一少年の事件簿 アサシン ファントム・オブ・ジ・オペラ Fate/Grand Order 132 七草にちか アイドルマスターシャイニーカラーズ ライダー アシュレイ・ホライゾン シルヴァリオ トリニティ 133 古手梨花 ひぐらしのなく頃に業 セイバー 宮本武蔵 Fate/Grand Order 134 マシュ・キリエライト Fate/GrandOrder シールダー アイギス ペルソナ3 135 関織子 若おかみは小学生(映画版) セイバー 春日一番 龍が如く7 136 星菜夏月 アイドル事変(アニメ版) キャスター 七草にちか アイドルマスターシャイニーカラーズ 137 グリーン ポケットモンスターSPECIAL アーチャー レッド ポケットモンスターSPECIAL 138 弐戦一(にせん はじめ)[パワプロ2001サクセス主人公]} 実況パワフルプロ野球2001 アーチャー ナナリー・フレッチ テイルズオブデスティニー2 139 浅倉透 アイドルマスターシャイニーカラーズ セイバー クレナイ ガイ ウルトラマンオーブ 140 鏡音リン/鏡音レン VOCALOID ランサー ジェットジャガー・ユング ゴジラS.P 141 桃井愛莉 プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat. 初音ミク アルターエゴ 黛冬優子 アイドルマスターシャイニーカラーズ 142 ファタ 無敵凶刃ロザリオー アヴェンジャー ベレト メギド72 143 藤崎佑助(ボッスン) SKET DANCE バーサーカー 雲沼ジグ ステルス交響曲 144 13号 武装神姫BATTLE MASTERS mk2 アヴェンジャー ダディ13号 ドラミ ドラえもんズ ロボット学校七不思議!? 145 星野アイ 【推しの子】 ライダー 殺島飛露鬼 忍者と極道 146 支配の悪魔(マキマ) チェンソーマン アルターエゴ “悪の敵”、或いはケラウノス。或いは、クリストファー・ヴァルゼライド シルヴァリオ トリニティ 147 支倉未起隆(はぜくら・みきたか) ジョジョの奇妙な冒険第四部 フォーリナー 遊佐こずえ アイドルマスターシンデレラガールズ 148 宮美三風 四つ子ぐらし セイバー デュラン 聖剣伝説3 TRIALS of MANA 149 カタリナ・クラエス(野猿) 乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった… アヴェンジャー ワタシタチ Alice Re Code 150 レイリ 黒白のアヴェスター ダエーワ(魔将) ジャンヌ・ダルク・オルタ Fate/Grand Order 151 本名不明(松坂さとうの叔母) ハッピーシュガーライフ バーサーカー 鬼舞辻無惨 鬼滅の刃 152 宮美一花 四つ子ぐらし アサシン ホークアイ 聖剣伝説3 TRIALS of MANA 153 冨岡義勇 鬼滅の刃 アサシン 胡蝶しのぶ 鬼滅の刃 154 飛騨しょーこ ハッピーシュガーライフ アーチャー ガンヴォルト(オルタ) 蒼き雷霆ガンヴォルト爪 155 アストルフォ Fate/Apocrypha ランサー ブラダマンテ Fate/Grand Order 156 イレイナ(主人公の私) 魔女の旅々 キャスター イレイナ(粗暴な私) 魔女の旅々 157 命令者 白(ホワイト) ジガ-ZIGA アルターエゴ クッパ姫 スーパーマリオシリーズの二次創作 158 緋田美琴 アイドルマスター シャイニーカラーズ アサシン パイロットハンター パイロットハンター(松本零士作 ザ・コクピット1巻 収録読み切り) 159 宮崎すみれ ハッピーシュガーライフ アサシン スイムスイム 魔法少女育成計画 160 山野浩一(バビル2世)} バビル2世(原作漫画版) セイヴァー 佐藤和真 この素晴らしい世界に祝福を! 161 アルセーヌガンダムX SDガンダムワールドヒーローズ スペランカー トルネコ トルネコの大冒険シリーズ 162 宮美四月 四つ子ぐらし ランサー リース 聖剣伝説3 TRIALS of MANA 163 TDNコスギ レスリングシリーズ(真夏の夜の淫夢シリーズ) キャスター SKMT Babylon Stage34 真夏の夜の淫夢~the imp~ 第四章 昏睡レイプ!野獣と化した先輩 164 北条沙都子 ひぐらしのなく頃にシリーズ アサシン 鬼柳京介 遊戯王5D s 165 七草にちか アイドルマスター シャイニーカラーズ イーター アンテン様 アンテン様の腹の中 166 寶月夜宵 ダークギャザリング セイバー 王たちの化身 DARK SOULS Ⅲ 167 鷲巣巌 アカギ~闇に降り立った天才~ ライダー シキ ONE PIECE FILM STRONG WORLD 168 七草はづき アイドルマスターシャイニーガールズ キャスター 嘘をつく大人 library of ruina 169 禪院真依 呪術廻戦 ランサー V Devil May Cry 5 170 七草にちか アイドルマスターシャイニーカラーズ アサシン 透龍 ジョジョリオン 171 アンジェロ・ラグーザ 91Days ランサー ガレス Fate/Grand Order 172 北条鉄平 ひぐらしのなく頃に業 アーチャー Lucid Caligula Overdose -カリギュラ オーバードーズ 173 天井努(敵対ロマンス) アイドルマスターシャイニーカラーズ セイバー 煉獄杏寿郎 鬼滅の刃 174 稀咲鉄太 東京卍リベンジャーズ ライダー クリストファー・コロンブス Fate/Grand Order 175 クレータス Thrill Kill(スリルキル) バーサーカー ロジー Lost Ruins 176 バギー ONE PIECE バーサーカー 偽ジロウ・スズキ 魔法少女プリティ☆ベル 177 レゼ チェンソーマン セイバー 鈴鹿御前 Fate/Grand Order 178 古手梨花 ひぐらしのなく頃に アヴェンジャー 鬼舞辻無惨 鬼滅の刃 179 池谷二鳥 四つ子ぐらし アヴェンジャー ウルトラマントレギア ウルトラマンタイガ&劇場版ウルトラマンR/B セレクト! 絆のクリスタル 180 トワイス・H・ピースマン(デッドフェイス) Fate/EXTRALast Encore ビーストEX 終焉の女王アウラ .hack//Link 181(17) ゲーニッツ THE KING OF FIGHTERS 96 アサシン ヴァニラ・アイス ジョジョの奇妙な冒険 182 的場勇一郎 金田一少年の事件簿 学園七不思議殺人事件 アサシン 半天狗 鬼滅の刃 183 スカサハ=スカディ Fate/Grand Order セイバー ミリオンズ・ナイブズ TRIGUN MAXIMUM 184 斎藤一 るろうに剣心 セイバー 沖田総司 コハエース及びぐだぐだエース 185 七草にちか アイドルマスターシャイニーカラーズ ルーザー 球磨川禊 めだかボックス 186 神戸あさひ ハッピーシュガーライフ キャスター 前原圭一 ひぐらしのなく頃に 祟殺し編 187 ゼオン・ベル 金色のガッシュ! アサシン 黒死牟 鬼滅の刃 188 紅露火垂 ブラック・ブレット ランサー 虞美人(水着) Fate/Grand Order 189 鷹野三四 ひぐらしのなく頃に解 ランサー 赤屍蔵人 GetBackers -奪還屋- 190 阿万音鈴羽 STEINS;GATE バーサーカー トランクス ドラゴンボール 191 佐野万次郎 東京卍リベンジャーズ アーチャー 壬生宗次郎 神咒神威神楽 192 不明 ??? キャスター グジュー 大貝獣物語 193 須和ミツ夫 パーマン アサシン ヤスザキマン ショルダータックルヤスザキマン 194 衛宮切嗣 Fate/Zero アサシン 零崎曲識 零崎曲識の人間人間 195 諫山黄泉 喰霊-零- ランサー 市丸ギン BLEACH 196 白瀬咲耶 アイドルマスター シャイニーカラーズ ライダー キャプテン・ネモ Fate/Grand Order 197 十叶詠子 missing バーサーカー モルガン Fate/Grand Order 198 ワルナスビ フラワーナイトガール アサシン 義賊ゴエモン モンスター烈伝 オレカバトル 199 藤丸立香(男) Fate/Grand Order グランドメイル 範馬勇次郎 刃牙シリーズ 200 間桐桜 Fate/Zero アーチャー ■■■■(本人の記憶からすでに失われている。) ? 201 影森みちる BNA ビー・エヌ・エー キャスター シン ダンジョンズ&ドラゴンズ シャドーオーバーミスタラ 202 イカ娘 侵略!イカ娘 ランサー スービエ SaGa THE STAGE‐七英雄の帰還‐ 203 ブラックジェネラル 残念女幹部ブラックジェネラルさん プレジデント ヤバイ仮面 ドゲンジャーズ 204 古手梨花 ひぐらしのなく頃に解 セイバー 常盤ソウゴ(オーマジオウ) 仮面ライダージオウ 205 アーサー・フレック JOKER アヴェンジャー 白面の者 うしおととら 聖杯戦争のルール 【舞台・設定】 数多の並行世界の因果が収束して発生した多世界宇宙現象、『界聖杯(ユグドラシル)』が本企画における聖杯となります。 マスターたちは各世界から界聖杯内界に装填され、令呪とサーヴァント、そして聖杯戦争及び界聖杯に関する知識を与えられます。 黒幕や界聖杯を作った人物などは存在しません。 界聖杯内界は、東京二十三区を模倣する形で創造された世界です。 (※なんか東京って1の想像より広いみたいだったので修正しました……) 舞台の外に世界は存在しませんし、外に出ることもできません。 界聖杯内界の住人は、マスターたちの住んでいた世界の人間を模している場合もありますが、異能の力などについては一切持っておらず、"可能性の器"にはなれません。 サーヴァントを失ってもマスターは消滅しません。 聖杯戦争終了後、界聖杯内界は消滅します。 それに伴い、願いを叶えられなかったマスターも全員消滅します。 書き手向けルール 【基本】 予約はトリップを付けてこのスレッドで行ってください。 期限は七日間までとしますが、申請を行うことでもう七日間延長することが出来ます。 延長期間を含めて、最大二週間までの予約が可能になります。 予約の開始は2021/7/26(月)0 00とします。 過度な性的描写については、当企画では原則禁止とさせていただきます。 マップはwikiに載せておきましたので、ご確認ください。 【時間表記】 未明(0~4時)/早朝(4~8時)/午前(8~12時)/午後(12~16時)/夕方(16~20時)/夜間(20~24時) とします。本編開始時の時間帯は「午前10時」となります。 【状態表】 以下のものを使用してください。 【エリア名・施設名/○日目・時間帯】 【名前@作品名】 [状態]: [令呪]:残り◯画 [装備]: [道具]: [所持金]: [思考・状況] 基本方針: 1: 2: [備考] 【クラス(真名)@作品名】 [状態]: [令呪]:残り◯画 [装備]: [道具]: [所持金]: [思考・状況] 基本方針: 1: 2: [備考] 外部リンク Fate/Over The Horizon @ ウィキ スレッド Fate/Over The Horizon Part5(現行スレ) Fate/Over The Horizon Part4 Fate/Over The Horizon Part3 Fate/Over The Horizon Part2 Fate/Over The Horizon
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さんごつーりすと2 1ねんせんそうきへん【登録タグ tomoring さ 本 漫画 育児】 産後☆ツーリスト vol.2 1年戦争記編(サンゴ☆ツーリスト外伝) 著者:tomoring 本紹介 サンプル <クリックして新しいウィンドウで開く> コメント 名前 コメント
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K氏への回答メール 掲載:http //www.melma.com/backnumber_100557_4452619/ 質問の文面は不明。 K氏への回答メール<第一回目の回答> <第二回目の回答> 日清戦争―秘蔵写真が明かす真実 (単行本) 東アジア国際政治史 (単行本) <第一回目の回答> ____様 いつもNHKの番組やニュースをご覧いただき、ありがとうございます。 お問い合わせの件についてご連絡いたします。 4月5日(日)放送「NHKスペシャル シリーズ JAPANデビュー・・・・」をご覧いただき、ありがとうございます。 番組は、「台湾の人びとは親日的」という捉えかたを否定していません。 そうした捉え方があることを前提として、日本の植民地支配を実際に体験した台湾の人々が当時どのような感じ、どのように生きたのか、という実態を明らかにすることで、アジアと日本の歴史に真正面から向き合うとことを目的としています。 そうした過去を直視することで、アジアと日本の未来を探っていきたいと考えているからです。 今後とも、NHKをご支援いただきますようお願いいたします。 お便りありがとうございました。 NHK視聴者コールセンター <第二回目の回答> ____様 いつもNHKの番組やニュースをご覧いただき、ありがとうございます。 再度お問い合わせいただきました件についてご連絡いたします。 「日台戦争」については、1990年代に日本の台湾統治の専門家が「日台戦争」と名付け、以後研究者の間では、この表現が使われるようになっています。 例えば「日清戦争-秘蔵写真が明かす真実」(講談社、1997年)、「東アジア国際政治史」(名古屋大学出版会、2007年)などがあります。 KA徳三さんについては、NHKに対して憤っている、という事実はありません。 また、編集によって、歴史を捏造してはいません。 KA徳三さんの人生には、日本の統治の両面性が反映されています。 一つは、同化政策によって、日本人と同じように小学校に入り、中学校・高等学校へと進路が開け、さらには台北帝国大学医学部へと進学したことであり、番組ではこうした事実を放送しています。 一方で、同化政策後も、台湾人子弟の入学者が制限されていたり、社会的差別があったという面についても、事実に沿って伝えています。 番組では、ことさらに「反日的」な面だけを取り上げているわけでは有りません。 事実を伝えること、その事実を共有することが、日本と台湾のさらに強くて深い関係を築いていくことに資すると考えています。 番組の趣旨をご理解いただきたいと思います。 お便りありがとうございました。 NHKスペシャル担当 NHK視聴者コールセンター 日清戦争―秘蔵写真が明かす真実 (単行本) 檜山 幸夫 日本の民衆は日清戦争によって初めて国家と天皇を認識し、軍隊を容認し、日本人であることを自覚した。日清戦争は日本はもとより東アジア世界に大きな影響を及ぼした。50年戦争の幕開けとなった日清戦争の本質を明かす。 単行本 331ページ 出版社 講談社 (1997/08) ISBN-10 4062082705 ISBN-13 978-4062082709 発売日: 1997/08 東アジア国際政治史 (単行本) 川島 真 (編集), 服部 龍二 (編集) 価格: ¥ 2,730 前近代の「伝統的」国際秩序の変容から、今日のアジア国際政治までを一望、最新の研究成果を踏まえた確かな叙述で、東アジア国際政治の主旋律をつかみだすとともに、多彩な論点から東アジア地域のダイナミックな変動過程を内容豊かに描き出した画期的通史。。 単行本 387ページ 出版社 名古屋大学出版会 (2007/6/8) 言語 日本語 ISBN-10 481580561X ISBN-13 978-4815805616 発売日: 2007/6/8 【資料】NHK JAPANデビュー第1回『アジアの“一等国”』をめぐって
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反攻に出た米軍の第一目標になったのは、スマトラ半島とボルネオ島だ。 熱帯雨林が生い茂り、象からニシキヘビまで生息する豊かな自然に恵まれたこの一帯は、交通の要衝、マラッカ海峡と共に地下資源の宝庫としても知られている。 それだけに双方には、すでに中華帝国軍から大量の部隊が送り込まれている。 米軍は、その資源を島ごと奪還すべく、フィリピンとラピス島から機動部隊を送り込んだ。 フィリピン方面からの攻略部隊には、同盟国たる日本から送り込まれた部隊も混じっていた。 空母赤城と葛城主力の空母打撃部隊、戦艦金剛級4隻で編成される砲撃打撃部隊。 隣国がすでに敵国という日本にとって、これほどの戦力を派遣すること自体が、一種の賭けに近い。 その穴埋めとして―――いや、実際は米軍より最も投入を期待されたのが、メサイア部隊。 つまり、美奈代達だ。 美奈代達がどういう方法でスマトラ半島を突破したか? それはもう、奇跡としか言いようがなかった。 美夜自身、“鈴谷(すずや)”の戦没を覚悟した作戦を決行した。 何か? サイクロンだ。 サイクロンが発生している間は、例え軍用機といえど、容易には航空機が離発着出来ないことをいいことに、アンダマン海で偶然発生し、ジャワ海に動くサイクロンの中に入り込み、操舵手の死に物狂いの操艦でスマトラ上空を突破するという、冒険小説並の作戦を決行したのだ。 結果、完全無傷で敵上空の突破に成功した“鈴谷(すずや)”は攻略部隊に合流を果たした。 サイクロンが過ぎ去った後の、どこまでの青い抜けるような空を、真綿が浮かんでいるような純白の雲が流れていく。 エメラルドブルーの海面が、陽光を優しく照らし出す。 そんな中―――。 キュィィィッ―――ズンッ! キュィィィッ―――ズズンッ 背筋が寒くなるような音の後、腹に響き、鼓膜がどうにかなりそうな音が響き渡る。 美奈代の目の前。 “鈴谷(すずや)”の開かれたメサイア発艦用ハッチの向こう側。 上陸地点、コード“ジュノー”海岸は、この音と共に黒い悪魔のような爆発が連続して発生している。 発生源は、40センチ砲8門を搭載した戦艦―――正確には戦闘砲撃支援艦「金剛級」4隻の艦砲だ。 「全体としてはすでに上陸に成功はある」 「主力C中隊は敵と接触、剣火(けんか)を合わせつつあり」 「B中隊はどうした!」 「A中隊前進!他の部隊に後れをとるなっ!」 通信機には英語で様々な会話がダイレクトに飛び込んでくる。 爆発音。 様々な兵器の動作音 殺し合う人間の生の声。 立ち会った世界に悪酔いしそうになった美奈代は、軽く頭を左右に振った。 呼吸を整えようとするが、どうにも息が荒くなる。 水が欲しいが、どうしようもない。 心臓の鼓動が爆発しそうなくらい高まっている。 「小隊各騎」 突然、通信機に入った二宮の声に、美奈代は背筋がビクッとなった。 「はっ!」 「これより発艦を開始する」 ―――来た! 美奈代は死刑判決を受けた囚人の気持ちがわかった気がした。 死ねと言われるのは、こんな感覚なんだろう。 「状況は見ての通りだ」 ―――冗談だろう。 美奈代は首をすくめた。 何しろ、今や海岸線は艦砲支援によって、黒い壁が一面に立ちはだかっているのだ。 あそこに突っ込めというのか? 冗談じゃない。 「二宮より泉」 二宮は、発進直前になって、突然美奈代を名指しで呼んだ。 「こちら泉」 応答しつつ、美奈代ははっきりと二宮からロクなことはいわれないだろうと予測した。 いつものことだ。 「我々の上陸地点は“ジュノー”海岸のポイント“フォックスロット”だ。お前は私の後ろについてこい。いいか?離れるな?」 「り……了解」 後ろについてこい。 どうでもいいことに聞こえるが、美奈代ははっきりと、自分がその言葉にカチンと来たことを自覚した。 ―――お前は不安だから、私の後ろについてこい。 そう、言われた気がしたからだ。 見返してやる。 そう、心に誓う美奈代の目の前で、二宮騎が発艦しようとしていた。 一方、ここで米軍を出迎えるのは、中華帝国第三方面軍第82機甲師団だ。 その師団長である朱少将は、米軍上陸地点の様子をモニター越しに眺めていた。 砲撃の激しい振動でカメラが揺すぶられ、何が映っているか判りづらいが、もう慣れた。 この様子では、前線の兵士達は塹壕に籠もるしかないだろうなと、朱少将は考えた。 ただ、無駄な行動は、砲弾の破片や爆発の衝撃波で損害を増やすだけだ。 今は、それでいい。 「日本軍の砲艦が出てきましたな」 参謀がコーヒーの入ったカップを手渡ししてきた。 「政治屋共はともかく、さすがに軍人は骨があるな。同業者として喜ぶべきか嘆くべきか」 「対艦攻撃装備はまだ使うべきとは思っていません。現在展開中の部隊は、橋頭堡を築くための斬り込み隊にすぎません。本隊上陸時の上陸舟艇用に備えておくべきかと」 「斬り込み隊相手に本気になっていいかな?」 「勿論」 参謀は肩をすくめた。 「切り込み隊の大出血で攻略を諦めてくれればおめでとうです。何より、無傷で敵を内地に誘い込めば、消耗するのは我が軍の方ですが、それにしても」 参謀は憮然として言った。 「40センチ砲32門の報復は勘弁して欲しいです」 「全くだ」 朱少将は、小さく笑って頷くと、モニターを切り替えた。 別なカメラからの映像が入る。 前のカメラより500メートル後方の陣地からの映像だ。 画面一杯に、真っ黒い闇が広がっている。 「一体……?」 朱少将は首を傾げざるを得ない。 「日本軍は、砲弾に何を詰め込んだんだ?」 爆発するたびに恐ろしく濃い暗闇が立ちこめる。 報告によると、目視、レーダー、赤外線……とにかく観測兵器の全てが役に立たないという。 「不明ですが」 参謀は言った。 「はっきりしたことは、あの“闇”の向こうでは、米軍が上陸しつつあることです」 「参謀として」 朱少将は頷いた。 「あと、どれくらいで米軍は前進を開始すると思う?」 「そうですな」 参謀は少し考えた。 「上陸開始からして……時間的な転換点は」 参謀は腕時計をチラと見て、 「10分です」 そう、答えた。 「それより早ければ無謀、遅ければ無能です」 参謀の言うとおりになった。 きっかり10分後。 “闇”の向こうで信号弾が上がった。 色つきの煙幕と閃光で命令を伝えるのだが、それは“闇”をはるかに越えた高さで炸裂したため、中華帝国側陣地からも丸見えだった。 「敵に動き!」 前線指揮官の一人は、塹壕から双眼鏡で信号弾を確認した。 撤退信号なはずはない。 ここで打ち上げられる信号は一つだけだ。 「各員備えろっ!メサイアが来るぞ!」 「さぁいくぜっ!」 米軍グレイファントム部隊の上陸時点での任務は、橋頭堡の確保だ。 上陸地点の前に出て、後続の機甲部隊や歩兵達の上陸ポイントへの敵メサイアや航空機攻撃の阻止役とも言う。 その彼らが前に繰り出す。 主力部隊―――正確には上陸部隊司令部(えらいさんたち)が、やっと強襲揚陸艦から追い出され、重い尻を海岸に乗り上げ、上陸が一段落したこと。 そして、艦砲射撃支援が最終弾着を迎えたこと。 つまり、もうここに彼らが待機する理由はなくなった。 様々な要因が、グレイファントム達を待機命令から解き放ち、前へと駆り立てた。 彼らは漆黒の闇に向かって突撃していく。 「きゃぁっ!」 「なっ!?」 通信機に、そんな声を耳にしたクルツ中尉は、不意に、斜め前方を移動していたイーサン中尉騎の右腕が吹き飛ぶ光景に出くわした。 腕が後方に引きちぎられたように吹き飛んだかとおもうと、今度は左足の膝装甲付近に爆発が走り、イーサン騎はバランスを崩して横転した。 「イーサンっ!」 「く、くそっ!」 イーサンは何とか立ち上がろうとするが、脚を破壊された以上、もがくのが精一杯だ。 「大丈夫か!」 「俺のことは放っておけ!」 イーサンは通信機越しに野太い声で吠えた。 「貴様こそ前に出ろっ!」 「し、しかしっ!」 他の僚騎が、彼らの横をすり抜けて闇の中へと飛び込んでいく。 クルツはイーサン騎を一瞥すると、 「後で逢おうぜ!」 そう言って、騎体を闇へと向けた。 闇の向こうにいる敵を倒すために。 イーサン騎の仇を討つために。 だが――― 敵は闇の中から襲いかかってきた。 オレンジ色に輝く物体がクルツ騎を―――いや、グレイファントム達に一斉に襲いかかったのはその時だった。 「なっ!?」 漆黒の闇からの敵は、クルツ騎の左腕を根本から引きちぎった。 「砲撃っ!?」 まずいっ! クルツは舌打ちした。 左腕をやられた以上、シールドがない! 楯を腕ごと失い、バランスまでも失いかけた騎を必死で操作するクルツ中尉の目の前。 スクリーン一杯に、オレンジ色の光が迫りつつあった。 高価な電子兵装の塊であるグレイファントムの上半身がまともに吹き飛ばされた。 「誰の騎だ!」 闇の中へと入る直前、その光景をちらと見た騎士が怒鳴る。 「クルツ騎!」 「くそ、あの野郎!」 「ヴィット大尉!」 MC(メサイアコントローラー)が怒鳴る。 「シールドを構えてくださいっ!闇の向こうからの砲撃が―――」 ガンッ!! ヴィット大尉はその衝撃で、首の骨が折れたと思った。 それほど激しい振動が彼を襲い、彼は意識を失った。 頭部MCL(メサイア・コントローラー・ルーム)付近に直撃弾を受け、MC(メサイアコントローラー)はMCL(メサイア・コントローラー・ルーム)ごと爆死。騎体は大破したことを、彼はこの時点では知る術すらなかった。 シールドに激しい衝撃を幾度も感じながら、闇を抜けたグレイファントム達の運命もまた、過酷だった。 闇を抜けた先。 そこは本来あるべき南方特有の強い日射しに照らされた光の世界。 ボコボコに変形し、使い物にならなくなりつつあるシールドを構えたグレイファントムの騎士達は、突然の浮遊感に襲われた。 「なっ!?」 もんどり打ってグレイファントムが地面を転がる。 それも一騎や二騎ではない。 何騎ものグレイファントムが同じような目に遭わされた。 砲撃地点の前方少し前にあったメサイアサイズの塹壕に落ちたのだ。 「くそっ!」 落下の衝撃で故障した各部からの警報が鳴るコクピットで、マックス大尉が、やり場のない怒りを爆発させていた。 彼の騎は大の字になって塹壕の下に転がっていた。 こんな目に遭わせてくれた敵以上に、こんな無様な醜態をさらしている自分自身が許せない。 「畜生のコンコンチキのクソッタレのマザーファッカー!」 落下のショックはシートが吸収してくれたが、怒りばかりはどうしようもない。 ガンッ! 激しい音と共に、何かが落下してきた。 どこのマヌケが――― 自分のことを棚に上げ、音がした方角を向いたマックスの視界に入ってきたのは、垂直に落下して砲塔がへしゃげた戦車だ。 しかも一両や二両ではない。 軽く20メートル近くの落下だ。いくら戦車でも無事では済まない。 特に、中の戦車兵達は――― 「畜生めがっ!」 マックスは騎体を無理矢理操作して立ち上げ、速射砲を準備した。 まだ撃てる。 「マーク、セドリック、返事をしろっ!まだ図々しく生きているヤツがいたら、誰でもいいっ!ラードック、モーリスっ!応答しろっ!」 「カークスですっ!」 「イーリッド、生きてますっ!」 通信機に生き残った騎士達の声が入る。 「よしっ!」 マックスは心の底から満足したという顔で頷いた。 「集まれっ!借りを返すぞっ!」 「了解っ!」