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494 名前:通常の名無しさんの3倍 :2011/07/01(金) 13 22 08.71 ID ??? バーニィ…緑ザク ビーニィ…白ザク ブーニィ…たらこザク ベーニィ…青ザク ボーニィ…深紅ザク 黄色のザクってないよな。 495 名前:通常の名無しさんの3倍 :2011/07/01(金) 13 26 14.03 ID ??? 赤ん坊時代のバーニィは通称「ムーニィ」(おむつ的な意味で)だったのだろうか、 と言う馬鹿な考えが浮かんだ 496 名前:通常の名無しさんの3倍 :2011/07/01(金) 14 41 38.79 ID ??? 494 トップのザクⅠは?……黄土色か。 497 名前:通常の名無しさんの3倍 :2011/07/01(金) 22 36 16.64 ID ??? ハイネザクはオレンジ色か・・・ 知る限りじゃ作業用ザク(MS-06W)が黄色だな 498 名前:通常の名無しさんの3倍 :2011/07/01(金) 23 56 58.71 ID ??? デミトリー「うわなにを(ry」 ワシヤ「…喋ろうとした寸前に連れ去られたな、あいつ…」 デュバル「これもジオニック社の(ry」 499 名前:通常の名無しさんの3倍 :2011/07/02(土) 11 24 41.03 ID ??? 494 TVには出てないけど種と種死の間に開発された核動力のザクが黄色。 500 名前:通常の名無しさんの3倍 :2011/07/02(土) 12 13 24.18 ID ??? 499 ttp //www.gundam-seed.net/msv/correlation_zaft.html これのザク量産試作型って奴か 501 名前:通常の名無しさんの3倍 :2011/07/02(土) 12 29 28.97 ID ??? 498 セイラ「Gメカは(ry」 マチルダ「セイラ、あなた、疲れてるのよ」 502 名前:通常の名無しさんの3倍 :2011/07/02(土) 13 06 16.26 ID GGucIvvy セイラ「信じてください、マチルダさん! これは事実なんです! Gメカは(ry」 503 名前:通常の名無しさんの3倍 :2011/07/02(土) 13 33 52.87 ID ??? ブライト「そんなものは、無い!」 504 名前:通常の名無しさんの3倍 :2011/07/02(土) 18 28 42.10 ID ??? 501 つttp //bandai-hobby.net/site/gunpla_build.html 安心しなセイラさん、少なくともバンダイはGメカの存在を 認めてくれているぜ 505 名前:通常の名無しさんの3倍 :2011/07/02(土) 18 28 50.09 ID ??? カツ「G-ディフンサーや」 ジュドー「ZZに受け継がれてるから!」
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33話:神のみぞ知る今日の意味 放送によると、僕の発展場友人である優太郎君、皆川君、美祐ちゃんが死んだらしい。 何て事だ、優太郎君と美祐ちゃんはまだ子供なのに。 皆川君も俺より若い、まだ20になったばかりじゃなかったか? 俺もまだ20代半ばだけど、自分より若い子が死ぬのは良い気分じゃないな。年寄り臭いかなこんな台詞。 秋山さんと優衣ちゃんが心配してくれている。 僕は大丈夫だけど、直重君、萩野直重君が心配だ。 放送では直重君は呼ばれなかった、と言う事は直重君はまだ生きていて、放送で自分の姉のような存在、 萩野美祐の死を聞いたと思う。気絶とか、寝ていたりでもしていない限り。 直重君にとって美祐ちゃんは本当に大切な、愛する存在だった。 以前本人からそう聞いた事がある。 だが、美祐ちゃんが死んだ事で直重君はこの殺し合いの中どうなってしまうのだろう。 自暴自棄になって早まらなければいいのだけど。 「……そろそろ移動しようか」 僕が二人に提案する。 二人は割とあっさり承諾してくれた。 優衣ちゃんと秋山さんは首輪を調べたいと言っているけど、そのためには首輪のサンプルが必要。 それには少なくとも死体から首輪を取らないといけない、らしい。 だよな、生きている参加者の首輪をいじくろうものなら下手したら爆発するかもしれないんだし。 とにかく駐在所でじっとしていても事態は好転しないのは確かだからね。 さあて、気が引けるけどあの変態二人にも声を掛けるとしよう。 「日花里ちゃん、滝口さん……」 「おう、栗田か」 「ああ、栗田さん……」 流石に放送は真面目に聞いていたみたいだ。 服装を整えて後始末もしっかりしている。 支給品だろうか、日花里ちゃんは自動拳銃、滝口さんは短機関銃らしい物を持っている。 「移動しようと思っているんだけど、一緒に、行くか? 二人共」 「移動? どこに行くんだ?」 「島役場辺りにでも行ってみようかと思っているんだが」 「ふぅん、まあ良いか。良いぜ、一緒に行ってやる。良いよな? 日花里ちゃん」 「はい」 二人も承諾してくれた。 何だか俺、リーダーみたいになってるな。 正直、リーダーとか、そういう先頭に立って指揮を取るのは僕の柄じゃないんだけど。 誰かがまとめなきゃしょうがない。 さて……島役場に行ってみるとしよう、何事も無ければ良いけどな、あれ? フラグか? これ。 ◆ 町の中は静かだった。 私こと鈴木優衣は、栗田さん、秋山さん、滝口さん、青砥さんの四人の共に島役場へ向かう事になった。 のだけれど、こんなに大人数で行動して目立つんじゃないだろうか。 一応警戒しながら進んでいるけど、どこから襲われるか分かったもんじゃない。 「ねぇ、青砥さん、だったっけ?」 「はい?」 取り敢えず青砥さんと話してみよう。小声で。 「滝口さんとはどう言った経緯で出会ったんですか? その、エッチな事ばっかりやってますけど」 「酒場で会いました」 「いや、そう言う事じゃなくて何であんなエッチな事ばかり」 「エッチな事が好きなので」 「……そうですか」 「うふふ」 駄目だ、この人とまともに会話するのは難しい。 世の中には自分の性的嗜好を隠さず大っぴらにして生きている人も沢山いるとは聞くけど。 私の通う学校にもそう言う生徒や先生はいるし。 でも正直私はそう言う人達が苦手だ、差別するつもりなんて無いけど、どうも感性が違い過ぎるって言うか、 思考の仕方が普通とは一線を画していると言うか、そんな感じなんだよね。 「良い人ですよ、見かけによらず。滝口さんは」 本当に? 出会った時の言動を考えても、私はとても「良い人」とは思えないけど。 だって高校生の少女に下半身裸で歩く事を強要している人なんてどう考えても――――。 カンッ。 「ん?」 栗田さんが声を発した。 あれ、何だろう、黒いボールみたいな物が地面に落ちて……。 ドガアアン!!! …… …… ◆ 放送の後、俺は町中を歩いていた。 アドレイドが死んだらしい。まあ、どうでも良いっちゃあどうでも良いけど。 そして、五人組のグループを見付け、俺は持っていたミルズ型手榴弾を使い五人を吹き飛ばした。 手榴弾の威力は本当に凄いな。 五人いたグループを一瞬で肉塊に変えてしまった。 いや、まだ辛うじて生きてはいるようだが。 それはこれから一人ずつ止めを刺して行けば良い。 俺ことコーディはスコフィールドリボルバーを手に取り地面に伏す五人の元へ歩く。 「う……あ……足、が……」 まずは足が吹き飛んでいる人間の男。 ダァン!! 頭を撃ち抜いた。これでもう苦しまなくて済むぞ。 次は太り気味の人間の男だ。 「あぁあ、目が、目があぁあ……!」 おお、目に破片が突き刺さってえらい事になってしまっているな、某大佐みてぇな台詞を吐いていやがる。 痛いだろうな、苦しいだろうな。 さあ、その苦しみから解放してやるよ。 ダァン!! ダァン!! 一発じゃ死ななかったから二発ぶち込んだ。脂肪のお陰で耐久力があったんだろうか。 まあどうでも良いけどな、次はハイエナのおっさん。 「腕があ、俺の腕が、ねぇ……!」 おお、こいつは左腕が千切れ飛んじまってるな、傷口から赤い液体が噴き出してやがる。 良くショック死しないな、安心しろおっさんすぐ楽にしてやる。 ダァン!! ダァン!! あ、弾が切れたな、補充しておくか……。 ◆ 身体中が痛い、破片がお腹に突き刺さっている、これ、もう助からないかもしれない。 ぼんやりとした意識の中、人狼らしき人が滝口さんを撃ち殺しているのが見えた。 ああ滝口さん、貴方の腰遣いと舌遣い、とても上手でした。 何て言っている場合じゃない、多分もう栗田さんと秋山さんは死んだんだと思う。 何やら、銃に弾込めているみたい。私が生きている事にはまだ気付いていないんだろうか。 あ……そう言えば優衣ちゃんは、優衣ちゃんは生きているの? 分からないけど……あの人狼をどうにかしないといけないのは、朦朧とした頭でも分かるよ。 私に支給された自動拳銃、ベルグマンシンプレックス。 これで、あの人狼に一太刀浴びせよう。銃、だけど。 私の命が完全に尽きてしまう前に。 私はシンプレックスの銃口を人狼に向け、引き金を引いた。 ダァン! ダァン! ダァン! ダァン! …… 「ガアァアアアァア!?」 突然の銃撃を浴び、人狼が悲鳴を上げる。 致命傷になっただろうか、もっと撃ち込みたくてもシンプレックスは弾が切れちゃったみたい。 予備の弾倉に着け変える時間はもう残っていないだろう。 人狼が私に銃口を向ける。 ああ、そろそろ私も死ぬみたい。 でも、お腹に破片が刺さっちゃってるから、どっちにしても私はもう駄目かな。 ダァン!! ダァン!! ダァン!! 目の前が、真っ赤に染まる。 頭に、あたった、みたい。 本当は、こんなところで、しにたくなんかない。 まだいきたい、のに――――。 しにたく――――ない―――――。 ◆ 完全に俺の油断だった、まさかまだ銃で反撃出来る余力のある奴がいたなんて。 たった今、スコフィールドで撃ち殺してやったけど。 良く見たら可愛い美少女だった、こんな時じゃなければ性的な意味で襲ってやったんだけどな。 「ハァ、ハァ、ハァ……グウッ……」 銃弾は俺の腹と太腿、尻の所にまで当たってやがる。 畜生、金玉に当たらなかっただけ良しとしろってのか。 後一人、奥で倒れているのがいる。 あれは生きているのか? 死んでいるのか? 何にせよ確認しない事にはな。 「……」 倒れている最後の一人の少女の所にやってきた。 見た感じ目立った外傷も無くて、気絶しているだけと言った感じだ。 死んでいるのかもしれないが、完全に止めを刺しておくべきだな。 俺はスコフィールドの銃口を倒れている少女に向ける。 これで後は引き金を引けばこの少女も終わり。 引き金に掛けている指に、俺はゆっくり力を込めた。 ドスッ! ……あれ、銃声ってこんな音だったっけ。 いや、何か額の辺りに衝撃を感じたんだが? 「……!?」 て、手足の先が痺れてくる? じゅ、銃が持てな……落としちまった、ひ、拾わないと。 ……? 身体が、言う事を、聞かねぇ、あ、頭が痛い……ど、どうなって……。 ……! ……額に、何か、刺さっ……。 あいつ、は……! 遊園地……の時、の……! い、意識、が……とおのい、て……嘘だろ……おい……し、死ぬ……のか俺……。 ……くそったれ……が……。 ◆ 爆発音を聞いて駆け付けた時は、既に惨状が出来あがっていた。 滅茶苦茶になった道路、四人分の死体、気絶していると思しき少女に銃を向ける見覚えのある人狼。 そうだ、確か遊園地で優太郎君を射殺したあいつだ。 そしてそいつが目の前で少女を撃ち殺そうとしていた。 俺は考えるよりも先に、持っていた投げナイフを人狼に向け投げ付けていた。 ナイフは人狼の額に突き刺さり、しばらくふらついた後人狼は崩れ落ち、動かなくなった。 「おい、君……」 俺ことレスター・コリンソンは人狼が撃ち殺そうとしていた少女の元へ駆け寄る。 息はあるようだ。良かった。だが身体中傷だらけだ。 「放っておく訳にはいかないな……」 俺は少女を彼女の荷物ごと背負いあげ、一先ず適当な民家の中で応急処置を施す事にした。 (……セシリーの奴は死んだらしいし……たく……酷いゲームだよ) 放送では仲間のセシリーを含めて16人もの参加者の名前が呼ばれた。 たった四時間だぞ? たった四時間で16人死んだんだ。 やる気になっている奴がどれだけいるって言うんだ、全く。 それともやる気になっている奴自体は少なくて、一人で複数殺してる奴が多いんだろうか。 ……いや、そんな事考えるのは後にしよう、今はこの子を安全な所に連れてってやるのが先決だ。 【滝口信方 死亡】 【青砥日花里 死亡】 【秋山隆生 死亡】 【栗田雅博 死亡】 【コーディ 死亡】 【残り 21人】 【午前/E-4駐在所周辺の市街地】 【鈴木優衣】 [状態]全身傷だらけ、気絶、レスターに背負われている [装備]ベイダナ [持物]基本支給品一式、工具セット [思考・行動] 0:首輪を調べたい。殺し合う気は無い。 1:(気絶中) [備考] ※御代田優太郎、皆川宏介、萩野美祐、萩野直重、藤森真海の情報を得ました。 【レスター・コリンソン】 [状態]健康、鈴木優衣を背負っている [装備]グルカナイフ [持物]基本支給品一式、投げナイフ(1) [思考・行動] 0:殺し合いには乗らない。首輪をどうにかしたい。 1:殺し合いに乗っている奴でも女性は出来る限り殺したくないが……。 2:少女(鈴木優衣)を保護する。 [備考] ※知人はヴィヴィアン・ルーク、セシリー・バーンズの二人です。 ※E-4駐在所周辺の市街地に栗田雅博、秋山隆生、青砥日花里、滝口信方、コーディの死体と、 それぞれの所持品が放置されています。 ≪支給品紹介≫ 【ベルグマンシンプレックス】 青砥日花里に支給。 ドイツ製の自動拳銃ベルグマンM1896の改良型で1901年に登場した。M1896と比べると全体的にコンパクトになり、 着脱式弾倉が使用可能となった。弾倉と弾倉挿入口の側面には残弾確認用の穴が設けられている。 前:第一回放送 次:HONEY BLADE 前:悪戯に美しさ安売りしてる 栗田雅博 死亡 前:悪戯に美しさ安売りしてる 秋山隆生 死亡 前:悪戯に美しさ安売りしてる 鈴木優衣 次:安らぎと苦しみと 前:悪戯に美しさ安売りしてる 滝口信方 死亡 前:悪戯に美しさ安売りしてる 青砥日花里 死亡 前:悪戯に美しさ安売りしてる コーディ 死亡 前:悪戯に美しさ安売りしてる レスター・コリンソン 次:安らぎと苦しみと
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『言葉の意味が知りたくて』 午前11時。 学校の宿題も無事に終えた私は、ちょっと優雅なお茶の時間を楽しもうとしていた。 テーブルの上にはアールグレイの紅茶と、かなり高級なチョコレート。 ティーカップから香るベルモットの匂いに思わず顔を綻ばせる。 「音楽でもかけよう。」 CDの山からゴソゴソと適当なものを見繕っていく。 「これがいいかな。」 選んだ曲はクラシックだった。どうしてこんなものが私の部屋にあるのか皆目検討もつかないのだけど、こんな日には丁度いい。 私はケースからCDを取り出すとプレイヤーにセットした。つかさが隣で寝てるから音量はしぼって音楽を再生させる。 ベートーヴェン作、交響曲第6番「田園」。その優雅な音が部屋一面の広がった。少々音が激しい気がするが、ムード作りには十分だ。 「本…」 読みかけていたラノベに手を伸ばす。 音楽、お茶、お茶菓子、本。すべてが完璧だった。 「微妙に贅沢ね。」 さて、そろそろ紅茶も冷めてしまう頃だ。 私はティーカップを手に取り、その香りと味を楽しもうとした……ちょうどその時である。 そんな優雅な気分をぶち壊すかのように、ドタドタドタと階段を駆け上がる音が聞こえた。 そしてその音は真っ直ぐに私の部屋の方へと向かっている。騒音の主が誰なのか、そんなことは分かりきっていた。 私は軽くため息を吐くと、ティーカップをテーブルに置き音楽を止めた。そして来るべき幸せに備える。 「かっがみ~~!!」 部屋の前で音が一瞬途切れたかと思うと、蒼髪の女の子が勢いよくドアを開けて入ってきた。 もちろんその女の子は私の恋人、泉こなただ。 「おお、いらっしゃい。」 「あれ、かがみ。もしかしてお茶の時間だったりした?」 こなたはそう言いながらハンガーに自分の上着をかけた。まったく、慣れた手つきである。 まあ、慣れているのも無理は無い。なにしろこなたは、毎週のごとく家に遊びに来ては泊まっていっているのだから。 お父さんやお母さんなんかは『娘がもう一人増えたみたい』などと言っている始末。 お父さん、お母さん。そうやってさっさと慣れてしまってね。近い将来『みたい』がなくなるから。 「ええ、そうよ。これからのんびり優雅なひと時を過ごそうとしていたところよ。」 「かがみんの優雅なひと時ねぇ…」 私の前に腰を下ろしたこなたがテーブルを見渡した。そして机の前のラノベを見つけるとにやりと笑った。 「かがみんの優雅なひと時にはラノベは必須アイテムですか、そうですか。」 「う、うるさいな!別にいいだろ!!」 「まっ、別にいいけどね。それにしてもラノベとはね~~」 「ああ、もういいわよ!」 いつも通りの言い合いを私達は繰り返す。恋人同士になった今でもこれだけは変わる事はない。 そしてこれからもきっと変わる事はないだろう。なにしろ変える気もないのだから、変わるはずも無い。 「ところで、つかさは?下にはいなかったんだけど。」 「つかさなら自分の部屋で熟睡中よ。あれはもう、午後にならないと起きてこないわね。」 いやまったく、つかさの睡眠欲はすさまじい。この前なんか夕飯前起きてきて『おはよう、お姉ちゃん』なんていうものだから、本当に呆れた。 「それで、今日は何しに来たのよ?」 私に会いに来てくれるのに理由なんて要らないけれど、一応理由を聞いておく。社交辞令、話題のネタ振りというやつだ。 「うん。今日はね、かがみに聞きたいことがあって来たんだよ。」 「聞きたいこと?宿題だったら自分でやらないと駄目だからね。」 「違うよ!確かに宿題も見せてもらうつもりだったけどさ……」 こなたはモジモジとしながら、私から視線を逸らした。もしかして何か聞きにくいことなのだろうか? 「あのさあ、こなた。私達の間柄で、今更恥ずかしがることなんか何もないと思うんだけど?」 本心だった。確かにこなたにだって隠したい事はあるだろう。でも、それでもやっぱり可能な限り私には話して欲しかった。相談して欲しかった。 「でも……笑ったりしないでね?」 「しない。」 こなたがここまで言うとは予想外だ。これは気を引き締めないと。 「……それじゃあ言うよ。あのね、かがみ?」 「うん。」 あたり一面に緊張が高まった。 「甘いって……どんな感じ?」 緊張があっという間に解けていった。代わりにさむーい空気が流れ込む。 「こなた。」 「なに?」 「そこにチョコレートがあるから、それを食べてみて。」 私はテーブルの上のチョコレートを指差した。こなたは言われるがままにそれを手に取ると、そのまま口の中に放り込んだ。 「どんな感じ?」 「……甘くておいしい。」 「それが甘いよ。分かった?」 飛びきりの笑顔で答えてやった。 「はい、これでこの問題は解決ね。」 まったく、まさかこなたが味覚オンチだったとは思いもよらなかったわ。 私は軽く驚きつつ、紅茶を啜った。紅茶はすっかり冷め切っていた。 「なるほどね~…って違うよ!そういう『甘い』じゃないよ!」 「じゃあ、どういう『甘い』なのよ?!」 「私が言ってるのは、『甘い生活』とか『甘い時間』とかについてくる『甘い』だよ!味なんて関係ないよ!」 こなたの言葉を反芻する。 「……ああ、なるほどね~!私はてっきりこなたが味覚オンチになったのかと思ったわ。」 「ひどっ!私が味覚オンチになんてなってるはずないじゃん!かがみと違ってちゃんと家事とかもするし、料理の時は味見だってするもん!」 また一つ、こなたはチョコレートを口に運んだ。結構気に入ったのかな?そのチョコレート。 「ごめん。私が悪かったって。で、なんで急にそんなこと疑問に思ったわけ?」 「うん、この前ネットでギャルゲーのレビューを見てたんだけど。」 また一つ、また一つとチョコレートを食べるこなた。気が付くと、一ダースの内半分を食べきっていた。私まだ食べてないのに…… 「それはまた、女子高生にあるまじき事をしてるな。ところでこなた?」 「なに?」 「あんたがヒョイヒョイ食べてるチョコレート。1個200円はするんだから、もっと味わって食べなさい。」 もう一つとチョコレートに手を伸ばそうとしていた手が止まった。 「うわっ!これ1個200円もするの!どうしてかがみがそんなチョコレート食べてるのさ!こういうのはみゆきさんが食べるものだよ!」 「さりげなくひどいこというな、あんたも。もらい物よ、もらい物。」 私はそう言うと、ようやく今回一個めのチョコレートを口に含んだ。カカオのほのかな苦味と濃厚な甘みが口全体に広がった。 …が、どうしてもその味に200円分の価値を見出せないのは、庶民ゆえの事だろうか? 「1個200円。私が食べた分だけで1200円か。同人誌が2冊買えるなぁ。」 「同人誌換算かよ。それで、話の続きは?」 こなたは釈然としない顔をしつつも、再び話し始めた。 「それでね、そこでの内容にやたら『甘い』って言葉が出てくるんだよ。『この二人の甘い生活が…』とか『甘い、とにかく甘いです』みたいに。」 「とんでもないレビューもあったものね。後のやつなんてレビューになってないじゃない。」 「いやいや、ギャルゲーのレビューなんだからそれはそれでいいんだけど。で、思ったんだよ。『甘い』ってどんな感じのことなんだろうって。」 「ふ~ん。それで私に聞いてみようと思ったわけ?」 「うん。自分でも考えてみたんだけど、どうもピンとこないんだよね。」 「ふむ……」 この場合、『甘い』という言葉に対して『行為』を説明するのは簡単だ。例えば、『恋人同士が手を繋いで歩くのが甘い』などということを言ってやればいい。 ただ、今回こなたが望んでいる答えは『行為』ではなく『感覚』なのだから、先の説明では当てはまらない。 となると、結構難しい問題ね、これは…… 「ごめん、私もよく分からないわ。」 こなたの言うとおり、確かにピンとこなかった。 「だよね~~。……というわけで、今日のお題は『甘い』だよ。」 「は?ごめん、全然ついていけてないんだけど?」 「だ・か・ら!今日は『甘い』って言われている事を全部やってみようってことだよ!」 「はぁ~~?!」 つい、声が大きくなった。いや、でも無理もないわよね。なにしろ『甘い』ことを全部やろうなんで嬉しい……いやいや、馬鹿なことを言っているのだから、声だって大きくなってしまう。ええ、なってしまいますとも! 「女は度胸!何事も実践あるのみなのだよ、かがみん!!」 「いや、でも……ねえ?」 「かがみは……私とそういうことするの、嫌かな?」 「うっ!」 「かがみが嫌なら諦めるけど。」 こなたにそう言われると滅法弱い。おまけに弱気な声&上目使いのコンボつきだ。これでこなたのお願いを聞かないやつなんてこの世界に存在するのだろうか。少なくとも私だったら二つ返事で聞いちゃうわ。 だから…… 「べ、別に嫌じゃないわよ。いいわ、付き合うわよ。」 という風に二つ返事で答えてしまう私は全然おかしくはないのだ。 というわけで、こいつがそれで満足するというなら付き合ってあげるとしよう。 それにこいつが考えてる『甘い』がどんなのか、ちょっと気になるしね。 「ふっふっふっ、かがみんそう言うと思ってたよ。」 猫口でニヤニヤと笑いながら、こなたは言った。 くっ!やはり見透かされていたか。悔しいが、事実なので我慢する事にする。 「とは言うものの、一体何すればいいのよ?『甘い』って言ったって、色々あるでしょ?」 「う~ん、そうだね。それじゃあ、まずは……」 こなたは軽く息を吸うと、私をジッと見つめた。 「抱きしめて。」 「は?!」 こなたさん、いまなんと仰りましたか?! 「抱きしめてって言ってるの!ほら、早くしてよかがみ!」 こなたが顔を真っ赤にしながら、さっきより大きな声で言った。そしてそんなこなたの姿はとても可愛らしかった。 「……分かったわよ。」 これ以上大きな声を出されて(いや、さっき私も出してたけど)、つかさに起きられでもしたら面倒だ。 私はこなたの隣に座りなおした。そしてそのまま思いっきり抱き寄せる。 こなたの温もりが体全体に広がった。 「これでいい?」 「だめ。もっとギュッってして。」 「……はいはい。」 言われるがままに、私はこなたを抱きしめる力を強くした。こなたもそれに合わせて腕を私の腰にまわしてくる。互いが互いを抱き寄せる形になった。 「頭撫でて。」 こなたの頭をゆっくりと撫でる。一撫でするごとに、香る甘い匂いが私の鼻腔をくすぐった。 今更ながらに気が付いたのだけど、言われたままにするのって結構気恥ずかしいわ。 「どう?どんな感じ?」 「すごく嬉しい……」 こなたが私の胸に顔をうずめた。 「そう。私もよ。」 「でも…」 私の胸に埋もれていたこなたが私を見上げた。 「この感じが『甘い』なのかな?『甘い』っていうのは嬉しいって事なの?」 「……」 言葉に詰まった。大体、私自身もよく分かっていないのだ。そうだ、などと言える筈が無い。 「そんなの知らないわよ。」 「そっか。それじゃあ次~」 どうやら次もあるらしい。まあ甘い事を全部してみるって言ってるんだから、当然かもしれないけど 「次って、なにするのよ?」 「キス…して?」 そう言ってこなたは恥ずかしげに私から視線を逸らした。 「なっ…キス?!」 「いいじゃん、別に!初めてってわけでもないでしょ!」 「それは確かにそうだけど……」 「ほら、早く!」 こなたは目を閉じると、ゆっくりと唇を突き出した。 さて、そうなると困るのは私だ。 最初に誤解の無いように言っておくが、私は別にこなたとキスをするのが嫌いなわけじゃない。むしろしたい。 だけれども、こんな状況で言われるがままにするのは、なんと言うか気が乗らないというか、ムードにかけるというか…… とは言うものの、この状況。こなたは目を閉じながら待ってるし、なにより腕を回されてるから逃げられない。 しなきゃいけないんだろうなぁ……キス。 私は軽くうなだれると、ゆっくりと唇を近づけた。 こなたの唇が私の唇と触れあう。こなたの息が顔にかかる。 互いの唇を触れ合わせるだけのキス。もう何回もこんなことしてるのに、なんでこんなにもドキドキするのだろう? こんなにも幸せな気分になれるのだろう? あんなに躊躇していたキスだけど、やっぱりそんな気持ちになってしまう。 このままずっと続いてくれればいい。キスをしてる間、ずっとそう思った。 ……いつまでそうしていたのだろうか? どちらともなく、私達は顔をはなしていった。こなたの唇が離れたので、ぺろりと自分の唇をなめてみる。 二人ともチョコレートを食べていたからだろう。チョコレートのように甘かった。 そしてキスをする前とは逆にゆっくり目を開けると、こなたの顔が大きく写っていた。 「どうだった?」 「さっきよりもっと嬉しくて、すごく幸せだった…」 こなたが心底うれしそうに笑いながら言った。 「そっか。」 「かがみは?」 「……聞くな。」 私もこなたと同じように、笑顔で答えた。 「で、分かったの?」 「なにが?」 私の質問にこなたがキョトンとした顔で答えた。 「お前なぁ!あんたが『甘い』っていう感覚が知りたいって言ったから、こういうことしたんだろ?!」 「ああ、そうだったね。」 「そうだったね、っておい!」 「うーんとね、やっぱよく分からないや。今度は幸せなのが甘いってことのかな?」 こなたはジッと私を見つめた。答えを求めているのだろう。だけどお生憎様。私も分からないんだから、答えようが無いわ。 「だから知らないって。自分で勝手に考えなさいよ。」 「ふーんだ。いいもん、自分で考えるもん。というわけでかがみ、この問題を解決する為に、次へ進もうよ!」 「……まだ続くの?」 いや、ホント今日は幸せいっぱいだからもう十分なんだけどな。これ以上はなんだかバチが当たりそうだ。 「当然だよ!なにしろ、今日は『甘い』って言われている事を全部やってみるんだからね!これくらいじゃ終わらないよ!」 やけにハイテンションのこなたに対して、幸せ疲れでローテンションな私がいたりする。 「じゃあ、今度はなにすればいいのよ?」 「うーんとね……」 こなたは考える素振りをしたかと思うと、すぐに何か企んだ表情になった。だけど、その表情にはどこか恥じらいがあるように私には見えた。 恥らうこなた……うん、それはとても素晴らしいわ! 「それじゃあ……」 そんな私を尻目に、こなたはスッと顔を私の耳元に動かした。そして耳元で小さく小さく呟いた。 「………して?」 「はい?!」 なんだかトンデモナイ事を聞いたような気がする。けど、それはきっと私の気のせいだ。うん、そうに違いない。よし、もう一度こなたに聞いてみよう。 「ごめん、こなた。よく聞こえなかった。もう一度言ってくれない?」 「……お願いだから、そういう事二度も言わせないで。」 ああ、やっぱり… そういう事って……ソウイウコトですか、こなたさん?!! 「なっ!ななななななななななななっ!!!!!!!」 分かってしまった言葉の意味に思わず声が震えた。もちろんそれだけで済むはずがなく、声だけじゃなくて体全体が震えるし、顔もとにかく熱い。 ただひたすらに喉が渇くし、鼓動も段々と早くなっている。 「あっあああんた、自分で何言ってるか分かってんの?!」 「だってそういう事って、『甘い』の代名詞みたいなもんじゃん。じゃあやらないと。」 「いや、だからって……」 なんでそんなことをサラリということが出来るのか。ああ、時々本当にこいつの考えが分からなくなる。 「それに、いつかはするつもりだったんでしょ?それが今日になっただけじゃん。」 だけじゃんで済ませられるわけが無かった。少なくとも、私にはできない。 「私は……覚悟出来てるから。」 こなたはそれだけ言うと、私を抱きしめることもすっかり止めて、体全体でよりかかってきた。 こなたの軽い…だけど確かな重みが、私の胸に圧し掛かかる。 「おっ、おい!」 こなたの両肩を私は両手で支えた。こなたは何も言わずにジッと私を見つめていた。抵抗もしない。なすがままといった感じだ。 きっと、ベットに連れて行こうと言えば、そのまま着いてくるだろうし、押し倒そうとすれば、押し倒れるだろう。 『全部かがみが決めていいから。』……そう言っているように私は感じた。 「こなた……私……」 私はゴクッと唾を飲み込んだ。そして意を決して、ゆっくりとこなたを押し倒す。 床一面に、蒼色が広がった。 「………」 「………」 私は上から、こなたは下から互いに見つめ合った。 鼓動はゆっくりになることはない。体はさっきから震えっぱなし。顔は水蒸気でも出てるんじゃないかってくらい熱い。 それでも、私とこなたは見つめ合った。 「こなた……」 「かがみ……」 そして私は…… 私は…… …… 「ごめん、やっぱ無理……」 ソウイウコトなんて出来ませんでした、まる。 「……やっぱり、私の思ったとおりの展開になったね。」 こなたは『よっ!』と言って立ち上がると、私の前に座りなおした。 「うう、ごめん……」 「まっ、こればっかりはこうなるって分かってたからね、別に構わないよ。かがみ、ヘタレだし。」 こなたが慰めるように私の頭をポンポンと叩いた。 「ヘタレっていうな。」 「あのシーンでそういう事が出来ない者、人それをヘタレという!」 「……」 ぐうの音もでなかった。いや、まったくその通りだ。 せっかくこなたが勇気を出してくれたというのに。 余りの情けなさに思わずため息が出てしまう。 「まっ、私はそんなかがみが好きだから、気にしなくていいよ。」 「もし私がちゃんとそういう事が出来たら、どうするつもりだったのよ?」 せめてもの反撃にこんなことを聞いてみる。 「それはそれ、これはこれだよ。まっ、そんなことは絶対無理だよね、かがみん!」 こなたが猫口でニマニマと笑った。ああ、言い返せない自分が憎い! 「う~ん、けどこのままじゃ、『甘い』の感覚は分からずじまいだね。」 「ああ、そう…」 さっきの一件で、なんだかものすごくどうでもよくなった。もう勝手にすれば? 「それじゃあ、午後の部なんだけど……」 「はぁ?!午後の部なんてあるの?!」 「あるに決まってるじゃん!お昼食べたらデートだよ!!」 デート…デートかぁ…デートなんて久しぶりだな。 私も現金なものだ。デートという言葉で、すっかり先ほどの気持ちが吹き飛んだ。 「お昼食べてからっていうと、こなた一旦帰るの?それとも、二人でどこかに食べに行く?」 「いやいや、もうすでにお義母様からお昼を誘われているのだよ。」 「お義母様って?」 「かがみのお母さんだよ。だからお義母様。」 こなたが胸を張りながら答えた。胸を張るような事か?などと思ったけれど、言わないでおく。 「というわけで下にお昼を食べにいこう、かがみん!もう12時だし!」 こなたは私の手を取ると、そのまま部屋から連れ出した。 ――――― 「というわけで、アキバに来たよ!!」 「またここか……」 こなたがデートなんていうものだから、どこに連れて行ってくれるのかななんてすごく期待してたのに……ものすごく残念な気分だ。 「私が決めるデートの場所なんて、ここ以外にはありえないのだよ!」 「そうですか……」 「むー!そんな顔しないでよ、かがみん。それだったらさ、今度はかがみが私をデートに誘ってよ。それだったら、かがみの好きなところにいけるじゃん。」 どうやらよほど残念そうな顔をしていたらしい。こなたが膨れた顔で言った。 「そうね、そうするわ。それに……場所が場所でもデートには違いないものね。」 「そうだよ。楽しまなきゃ損だって!」 私が笑いながら答えると、こなたも笑いながら答えてくれた。 「それで今日はどうするの?いつも通りゲマスとか?」 「うん!けど、ゲマズは最後かな。その前にゲームを見たり、同人誌を買ったりするのだよ!あとゲーセンにも行こう!」 「はいはい。要するにいつも通りって事ね。それじゃあ、さっさと行きましょう。」 「ちょっとかがみんや!」 こなたの先を歩こうとすると、いきなりこなたに服をつかまれた。 「な、なによ?」 「かがみん、今日のお題を忘れてない?」 「甘いだっけ?」 「そうだよ!それなのに、なんで一人でスタスタと歩いて行っちゃうのさ!」 「…じゃあ、どうすればいいのよ?」 「そんなの手繋いで一緒に歩くに決まってるよ!」 「なっ!」 私は辺りを見渡した。当然ながら、周りは人でいっぱいだった。 「あんたここ部屋の中じゃないのよ?!それに……人だっていっぱいいるじゃない!」 「部屋の中では手は繋がないよ。それに、私は人前でも気にしないし。」 「気にしろよ!」 「ほら早く!さあさあさあ!!」 こなたが手を前に突き出しながら、私を急かす。はあ、まったくもって仕方が無い。 「…分かったわよ。」 仕方が無いので、私は突き出された手に自分の手を重ねる。 「かがみ!!」 「今度は何だ?!」 「そうじゃないでしょ!」 こなたが怒ったような、拗ねたような顔をした。 「……ごめん」 私は軽く謝ると指と指を絡ませた。恋人繋ぎ、きっとこなたはこう手を繋げと言っていたのだろう。 ここまですると、ようやくこなたの機嫌が戻った。表情も元に戻る。 「うん、それじゃあ行こうよ!」 びっくりするような速さでこなたは歩き出した。余りの速さに手を引かれる形になる。 そんな中、ふと私は思ってしまった。こいつ、『甘い』にかこつけて私に甘えたいだけなんじゃないかって。 こなたはすごく甘えるのがヘタだから。それとも私も甘えるのが苦手だから、そう思っちゃうだけかな。 やっぱり『甘い』って感覚が知りたいだけなのかな?どっちなんだろう? 「どうしたの、かがみ?」 気が付いたら横に並んでいたこなたが聞いてきた。 「ううん、なんでもない。」 まっ、どっちでもいいか。 ――――――― 「しかし、あんたがこんな所知ってるなんてね。正直驚いたわ。」 「まあ、ここしか知らないけどね。」 いつも通りかと思っていたら、ちょっとしたサプライズがあった。 そのサプライズがここ。万世橋を渡って少し歩いたところにあるフルーツパーラーだった。 「昔アキバに来るときはお父さんも一緒でね。こうしてよく連れてきてくれたんだ。」 「ふ~ん。」 おじさんとこなたが、今の私達のように席に座っているのを想像する。なんともほほえましい光景だった。 「昔のアキバは今と違ってパソコン街でね。食べ物やさんなんてほとんど無かったから、いっつもここに来てたのさ。」 「思い出の場所って訳ね。ところで、昔ってどれくらい昔?」 「う~ん…まっ、10年前くらいかな。」 「小学生の頃からアキバ通いかよ…」 そんなことを話していると、注文していた料理が運ばれてきた。 二人とも同じもの。ホットケーキにパフェにアップルティー。全部こなたのお勧めだった。 「それじゃあ、食べよっか。」 「そうね。それにしても、ホットケーキなんて久しぶりだわ。」 ホットケーキにメイプルシロップをかける。そしてその後に、バターを塗った。フォークとナイフで一口大に切って食べる。 「あっ…美味しい。」 ホットケーキの素からでは決して味わえないふっくっらとした歯ごたえに、メイプルシロップの甘みがよく合っていた。 「それはよかったね。ところでかがみん?」 「なに?」 「今日のお題、なに?」 嫌な予感がした。 「甘い…だっけ?」 「その通り!というわけで、食べさせてあげるよ。はいかがみ、あーんして?」 「いっいい!自分で食べられるから!」 こなたに食べさせてもらう……そんな恥ずかしい事、出来るわけないじゃない! 「もう、今更恥ずかしがらないでよ。それに、かがみ午前中に付き合うって言ってくれたよね、確か。」 「うっ……」 確かにそう言ってしまった。ああ、なんでそんなことを言ってしまったのか!ちょっと前の自分を心底憎む。 「ほら、かがみ。あーん。」 「……」 私は諦めて口を開いた。こなたはそれを見ると、一口大に切りそろえたホットケーキを私の口に運んだ。 口を閉じる。何も考えずに咀嚼する。なんでだろう?こなたから運ばれたそれは、さっきよりも甘く感じられた。 「どう?美味しい?」 「うん……」 それ以外答えられなかった。 「それじゃあ、私にお返しして?」 「なっ!私もやるのかよ!」 「……かがみ今日は付き合ってくれるんでしょ?」 こなたはそう言うと大きく口を開けた。私は軽くため息を吐くと、同じく一口大に切ったホットケーキをゆっくりとこなたの口に運んだ。 まるで、雛鳥の餌付けだと思った。 口に入れたホットケーキをモッキュモッキュと食べるこなた。その姿はとても可愛くて、ちょっとだけ気恥ずかしさが吹き飛んだ。 「美味しいね。…ねえ、かがみ?」 「今度はなに?」 「頼んだ料理って、結構量あるよね。」 「そうね。どれもカロリーが高そうだわ。」 ホットケーキにパフェ。考えただけでも体重計が恐ろしい。あっ、午前中にチョコレートも食べてたっけ? 「だから、夕飯はちょっと遅めにしようかと思うんだけど、別にいいよね?」 「別にいいけど…って何であんたの家の夕飯の時間を、私が決めないといけないのよ。」 「あれ、言ってなかったけ?今日ゆーちゃんもお父さんもいないから、かがみに泊まりにきてもらうつもりだったんだけど?」 「はああああ?!そんなの全然聞いてないわよ!」 「じゃあ今言った。ちなみにこれは決定事項だから。キャンセルはできないよ。」 おかしい…今日は絶対おかしい! 私は頭を抱えながら思った。何で今日はこんなにも……こんなにも素晴らしいことが起こるのか?! 「……そっか、泊まりか…ふふっ、二人っきりかぁ……二人っきり……だとすれば、こういうことやああいうことも出来るわけね…」 「おーい、かがみ~ん。帰ってこーい!」 「はっ!」 いけない、軽く妄想の世界にダイブしていたようだ。 「ご、ごめん。ちょっと考え事。」 「考え事は駄々漏れだったけどね。ちなみに、そういうことも出来ないかがみのこういうことやああいうことってなに?」 「何の事かしら?」 笑顔で切り返す。私の名誉と尊厳の為に言っておくが、こういうことやああいうことは決して、やましいことではないので誤解しないように。 「なんか釈然としないけど…まあ、いいや。今度はパフェだよ、かがみ。はい、あーん。」 「あーん。」 今度は言われるがままに口を開ける。せっかくこなたが食べさせてくれたパフェだけど、泊まりの事が気になって気になって……味なんて全然分からなかった。 ――――――― こなたの家についてからも、こなたの甘い行為?は止まることを知らなかった。 夕食のときはまたしても行われた『食べさせて&食べさせてあげる』攻撃を延々と繰り返し、まったりしているときはずっと抱きつかれたままだった。 そして極めつけはお風呂だ。あろう事か『一緒に入ろう、かがみん!』などと言って、いきなりお風呂場に入ってきやがった。 いや、それだけならいい。それだけなら全然構わない。なぜなら、私達は女の子同士だ。 学校で着替えだって一緒にしたこともあるし、お風呂だって海に行ったときに一緒に入った事がある。 だから普通に入ってくれれば、なんてこともない事なのだ。そう、普通に入ってくれれば… それをあいつは『なんでかな?こうしてるとすごくドキドキするね。』なんて体を密着させて、かつ上目遣いにそれでもって心底幸せそうに言うものだからもうっ!! さすがにその時ばかりは、本当にそういう事をしてしまおうかと思ったわよ。 …まあ、そう思っても結局しなかったのは、私がこなたの言うヘタレだからか、それとも意思が固いからか?お願いだから後者であって欲しいのだけど。 さて、そんなこなたの攻撃を受けながら私は考えた。いや、正確にはこなたから質問を受けたときからずっと考えていた。 結局、甘いってなんなんだろうって。私達の今日一日の行動は、果たして甘いのだろうか、と。 そして考えに考え抜いた結論がこれだ。 「甘いなんて感覚は、その行為をしている人たちには分からないんじゃないかしら。」 「どういうこと?」 隣にいるこなたが、デザートのフルーツヨーグルトをお皿に装いながら言った。 お風呂から上がった私達は、リビングでデザートを食べようとしていたところだったのだ。 「う~ん。口で説明するのは難しいんだけど。例えば……」 私は私の部屋にいた時と同じように、こなたの頭を優しく撫でた。 「どんな感じ?」 「かがみに触ってもらえて、凄く嬉しいよ。」 「それじゃあ、これが『甘い』と思う?」 「よく分からない。」 そう言ってこなたは首をかしげた。 「うん、私もよく分からないわ。頭を撫でてあげることが『甘い行為』なのか、その行為をしている人たちには分からないのよ。ちなみに、この場合は私とこなたね。 でもね、嬉しそうとか、幸せそうっていうのはなんとなく分かるじゃない?小説とかだったら文章にも書いてあるしね。 そういう本人達が感じてる嬉しいとか幸せっていうのを客観的に感じる事。 それが『甘い』って言う感覚で、それが分かる行為が総じて『甘い行為』って言われるんじゃないかな。 ほら、キスとか抱きしめるとか、いかにも幸せそうじゃない?」 「なんだかよく分からないことを、さらっと言わないでよ。」 「私説明ヘタかな~。要するに、本人達が幸せだって思ってる行動を見て、自分も幸せだって思ったのなら、それが『甘い行為』でその幸せが『甘い』っていう感覚なのよ。」 他人の不幸は蜜の味っていう言葉がある。正直なところ、どうにもこの言葉が私は好きになれない。やっぱり他人の不幸は不幸として受け取るべきだと思うのだ。 もし他人の幸せを見て同じように幸せを感じられるのだとしたら、きっとそれはいいことなんだと思う。 他人の不幸でしか甘みを感じられないんだとしたら、それこそ不幸だ。 「ちなみに、これは想い合ってる人たちがしてるっていうのが前提条件よ。例えば、こなたの頭を撫でてあげたのが私じゃなくて… そうね、おじさんだとしたら、ほほえましいとは思うかもしれないけど、甘いとは思わないでしょ。」 「うん、ウザいだけだね。」 「…容赦ないな、あんたも。」 勝手に例に上げさせてもらったおじさんに、ちょっとだけ同情した。ごめんなさいと心の中で謝っておく。 「とまあ、これはあくまで私の意見ってことで。あんたは自分で考えて、自分の意見を持ちなさい。」 「えー!かがみの意見が私の意見でいいよ。」 こなたがめんどくさそうに言った。 「駄目よ。こういう答えのない問題こそ、ちゃんと自分で考えて、自分の答えを導き出さないといけないのよ。大体、こんな問題こなたなら楽勝よ。 なにしろ、もっと難しい問題に答えを出してるんだから。」 「難しい問題ってなに?私そんな問題解いたかな~?」 こなたが顎に手を当てて、考える素振りをした。心なしか頭のアンテナがハテナの形をしているように見える。 「だって、こなたは私を選んでくれたじゃない。ちゃんと悩んで、苦しんで、その上で女の子の私を選んでくれた。 恋愛は自由だって言うけれど、だからこそ難しい問題なんだから。それに比べたらこんなの簡単……って、どうしたの、こなた?」 こなたは私の言葉を聞いた途端、耳まで真っ赤になって下を向いてしまった。 「あ~、もしかして私なにかした?」 「……かがみってさ、時々惜しげもなく恥ずかしい台詞を言うよね。」 私は先ほどの自分の言葉を思い返した。そして思い出し終えたとき、こなたと同じように私も耳まで赤くなった。 「……確かにちょっと恥ずかしいかも。」 「恥ずかしい台詞禁止だよ……」 「ごめん……」 二人だけのリビングが途端に静かになった。 なにか言わなきゃと思うのだけど、なんて言っていいのか思いつかなかった。 「ごめん……」 何が悪いのか分からないけれど、もう一度謝っておく。 すると、こなたが優しく微笑んだ。 「今日のかがみは謝ってばっかだね。」 「ホントだ……っていうか、全部あんたのせいだろ?!あんたがアレしろ、コレしろって言うから?!」 「そうだっけ?」 「そうよ!」 そう言って、私達は笑いあった。ああ、本当にこんな時間がずっと過ごせればいいのに。いや、絶対に過ごしてみせる。 私は心の中で小さく、だけど確かにそう思った。 「デザート、食べようよ。」 こなたがヨーグルトを装ったお皿、それにスプーンを私に差し出した。 「そうね、そうしよっか。」 私はそれを受け取ると、そのまま口に入れた。 ヨーグルトの酸味と、シロップ漬けにされたフルーツのほのかな甘みが口の中に広がった。 美味しかった。部屋で食べたチョコレートよりも、アキバで食べたホットケーキやパフェよりも、私はこっちのほうがいい。 「どう、美味しい?」 こなたがそう聞いてきた。もちろん答えなんて決まってる。 だから私は笑顔で答えてあげた。 「もちろん!甘さ控えめで、とっても美味しいわ!」 コメントフォーム 名前 コメント GJ!!(≧∀≦)b -- 名無しさん (2023-07-15 11 06 16) 甘い…ご馳走さまでした。 -- 名無しさん (2010-04-03 01 06 47) かわいい。最初から最後までもう、とにかくかわいい。 -- 名無しさん (2009-02-27 21 54 31) かがみんのヘタレ〜!! だけどこなかがはそれでも 充分甘いから 気長にいきましょ かがみさん。 -- 無垢無垢 (2009-02-20 22 06 12) シーンを逐一妄想できる私に萌え死をしろと仰るか作者殿は!(爆) 良いでしょう覚悟完了ですよ! こう言う正統的バカップルものは楽しくてしょうがないです。 あとかがみはヘタレでOK。だが暴走系(爆) -- こなかがは正義ッ! (2009-02-19 23 50 54) 見ているだけで血糖値が上がっていく気がするのと、にやけが止まらない。 素晴らしいです! -- 名無しさん (2009-02-19 21 59 08) 投票ボタン(web拍手の感覚でご利用ください)
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好中球(正常値・働きやデータの意味) 【正常値】 2500~7000/mm3 【働きやデータの意味】 ●500/mm3以下→生ものを控える目安●500/mm3以下+38℃以上→抗生物質や白血球を増やす注射が必要。病院に至急連絡。●白血球の中身で病原菌と戦う戦士役●日常生活に支障のない数値・・・1000/mm3以上 対処法について・・・医師のアドバイス 患者さんの経験談 他の検査値についても調べる・・・白血球 ヘモグロビン 血小板 赤血球
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白血球(正常値・働きやデータの意味) 【正常値】 420万~570万/mm3 【働きやデータの意味】 ●血液中で最も多くある細胞ですが、ヘモグロビンが代用されることが多い対処法について・・・医師のアドバイス 患者さんの経験談 他の検査値についても調べる・・・好中球 ヘモグロビン 血小板 白血球
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エレン=英霊(えいれい)。 エレンの脳内には道半ばで倒れた無数の人々の記憶が保管されており、それがエレンの記憶障害の原因となっている。 いわば、エレンは英霊たちをまとめるための「器」である。 エレンが最終兵器の騎士だと仮定すれば、過去の英霊たちと合体して敵を倒すために進撃するという比喩だとも考えられる。 エレン巨人は他の巨人に接触することで、相手の記憶データを瞬時にコピーすることができる。 巨人の力による世界再生の際には、エレンの脳内に収集された記憶データから人類が肉体化(インカーネイト)される。 逆に言うと、エレンの脳内に記憶されていない人間は、次の世界で肉体化(インカーネイト)されない。 また、再生の際には、エレンの願望が反映された世界が肉体化(インカーネイト)される。 これは、エレンの巨人化に、強い意志と、明確で単純な目的意識が必要なのと同じである。 12巻第50話「叫び」で、ライナーが「よりによって「座標」が… 最悪の奴の手に渡っちまった…」と言っているのは、その前の11巻第46話「開口」でエレンが「お前らができるだけ苦しんで死ぬように 努力するよ…」と宣言しているから。 つまり、エレンに次の世界をデザインする権利(「座標」はそのためのシンボル)が渡ったため、このままだと①エレンが強力な巨人になって、ひたすら自分たちを苦めて殺すようになる、②次の世界が「ライナーたちができるだけ苦しんで死ぬ」様な仕組みの世界になってしまうから。
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業務ページ 当サイトのトップページの背景は海です。当サイトは陸海空の乗り物を扱っていますがなぜトップページが海なのか それには理由があります。それは海は全ての乗り物が通過するから。鉄道や車は橋やトンネルで海を渡ります。 飛行機は海の上を飛びます。船は海の上を航行します。このようにすべての乗り物に共通する海を背景としました。
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血小板(正常値・働きやデータの意味) 【正常値】 13万~36万/mm3 【働きやデータの意味】 ●血液が固まるために必要です ●30000/mm3以下➜打撲などにより出血しやすい。怪我に注意●10000/mm3以下➜出血の危険性が高い。血小板輸血の考慮 対処法について・・・医師のアドバイス 患者さんの経験談
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白血球(正常値・働きやデータの意味) 【正常値】 3900~9800/mm3 【働きやデータの意味】 ●病原菌から体を守ります。 ●化学療法を行う上での理想は・・・2000~3000/mm3以上●日常生活に支障のない数値・・・2000/mm3以上対処法について・・・医師のアドバイス 患者さんの経験談
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