約 1,683,579 件
https://w.atwiki.jp/gundamfamily/pages/1806.html
801 名前:通常の名無しさんの3倍 :2009/02/15(日) 22 32 22 ID ??? ガロード「だぁぁ~!!!!疲れたぁ~!!!」 両腕を伸ばし、椅子の背もたれにぐーっともたれ掛かるガロード ガロード「あぁ~なんで受験勉強なんかあるんだよ…」 今度は机に突っ伏し、ブツブツと文句を言う ガロード「頭回らねぇ~…あっそういや『疲れた時には糖分補給ですよ』ってロラン兄言ってたな」 口まねを交えつつ、兄の言っていたことを思い出す ガロード「う~ん…甘いもの甘いもの……ってちょうどいいのがあるじゃんか」 ガロードが手を伸ばした先には余りに大きすぎて食べ切れなかったティファからの愛のこもったチョコレートがあった ガロード「ったくこんなでかいの一日じゃ食べ切れないっての」 らしくない文句を言いつつも、顔は驚くほどニヤニヤしている ガロード「よーし!糖分補給、糖分補給♪」パク ガロード「よっしゃ!もうひと頑張りするぞぉ~!!」 ティファのチョコレートは多くの春を運んできてくれる幸せのチョコレートなのかもしれません おわり 802 名前:通常の名無しさんの3倍 :2009/02/15(日) 22 42 47 ID ??? ララァ『まぁ……来年の今頃も受験勉強に苦しむのだけどね……ウフフ……』 ガロード「うーん、うーん。一年が終わらない…うーん……」 アムロ「ララァ!終わりのない終わりな生活、という悪夢を見せるなっ!」 シャア「私もずっと33歳を繰り返す訳か…どうせなら20代の姿でいたかったものだがな……」 アムロ「シャア!お前までっ!」 シャア「そうしたら、チョコレートももっと……ブツブツ」 アムロ「ま、まぁ…ナナイさんから貰えたんだろ。余り気にするなよ」 シャア「しかしな…クェスはあれだし、ハマーンはくれなかったし……イジイジ」 アムロ「ほ、ほら。100人の友達より1人の親友と言うだろ」 シャア「本命を幾らも貰った、貴様がそれを言うか…イジイジ」 ララァ『ふふっ。何かいつもと違った会話ね』
https://w.atwiki.jp/ankora/pages/58.html
ピュアなチョコバー。アンコラで珍しいご馳走。 健康価値 15 食料価値 30
https://w.atwiki.jp/mayshared/pages/1147.html
ラノで読む 「じゃあねー耶麻葉《やまは》ぁ! まっすぐ家に帰るのよー」 モペッドに乗って喫茶店を去る私に手を振りながら、二年C組の委員長の笹島輝亥羽《ささじまきいは》さんは私に叫んでいた。 それ以前に委員長の堅物さをなんとかした方がいいと思いますよ。そう思いながら、私は、気分転換に訪れるいつもの公園へいつものようにモペッドを向けていた。 二月のある日の夕方。モペッドとはいえ、この時期にバイクで双葉島の外縁部を囲うように配置された外周道を走るにはやはり厳しかったかもしれない。 もちろん、防寒ということで色々と厚着をしているし、冬用のグローブも付けているけど、風が服の間を通り抜けて、私の肌の温度を奪っていく。グローブをした指先も感覚が分からないほどに痺れ、冷え切っている。ブレーキレバーを握るのが辛いほどに……。 寒さに耐え切れなくなくなるギリギリのタイミングで、私はある公園までたどり着く。そこは、外周に配置された公園でも小さく、ひときわ地味で、人気の無い場所だった。 私は路肩に愛車のヴォーグを停車させると、キーも抜かずに公園の片隅にある自販機へと走っていく。その投入口に硬貨を投げ入れ、迷うことなくいつもの缶コーヒーのボタンを押し、取り出し口から出てきたそれを冷えた両手で暖めるようにしっかりと握り込む。缶の暖かさが掌へと伝わっていく。 その暖かさを掌で十分に堪能した私はかじかんだ指でプルトップを不器用に引っ張り開け、中に詰まった液体を口へと流し込み暖を取る。 「ふーっ」 その暖かさに思わず、声が出る。 身体中に染み広がる暖かさと甘くてほろ苦い味。それが、私の思考をはっきりとさせてくれた。 先ほどまで茜色に染まっていた空も海も、いまやゆっくりと暗く沈んだ色になっていっていた。それと同時に島の向こうにある湾岸の様々なネオンがチラチラと目立ち始め、その向こうへと太陽が沈んでいく。 もちろん、双葉島では立地的に海に沈む夕日なんてものは見れない。だが、心地よいほどにささやかに耳に入っていくるさざなみと艶やかな夜景の中に沈み込んでいく太陽を見つめていると、何故か心が落ち着いてくる。 「はぁ……。今日も疲れた……」 私は、何故、こうも気苦労が多いのだろうとしみじみと思う。 クラスメイトもクラス委員長も決して悪い人たちではない。……訂正、悪い人じゃないけど変な人たちだ。議論をすれば毎回明後日の方向へと脱線し、なにかと委員長は他人のことに首を突っ込みたがる。 散々、周りに『厄介ごとを引き起こさないで!』と言っている彼女自身が、毎度毎度、空回りして一番の厄介ごとを引き起こすことに気が付いてくれないのだろうか? まあ、私自身、そんな自己中心的ではあるものの、全力全開で空回りするお節介なところが好きなのだが、誰も分かってはくれないだろう。――いや、それでも多少は自重していただきたいものだけれども。 今日も今日とてホームルームで『義理チョコなんて悪しき風習はこのクラスには持ち込みません!』なんて宣言して、どこの小姑ですか? どんなお局OLですか? それとも、何か嫌な出来事でもあったんですか? 私には全く理解できないです。とりあえず、言いくるめて事なきを得ましたけど、どうにもあの人は色恋沙汰に堅物過ぎますね。 それにしても……。 「はぁ、バレンタインかぁ。どーしよー……」 周りに誰も居ないことをいいことに、大きな声で独り言。これはこれで結構気持ちの良いものだ。でも、思わず恥ずかしくて周囲を何度も見渡し、誰も居ないことを確認してしまう。 良かった、誰もいない。それはそうだ。この公園は言わば穴場で、カップル向けの夜景がキレイで雰囲気のある公園は外周道路をさらに北東に進んだところにある。こんなところにくる奇特な人間は私くらい。 そこまで思いを巡らしていたら、急に寂しくなってきてしまった。なんで私はこんな誰も居ない公園で一人、缶コーヒーを飲んでいるのだろう? ちょっと先の公園では多くのカップルがバレンタインデー前夜をいいことにイチャついているだろうに。 すっかり冷めてしまったコーヒーを一気に飲み干すと、体温で十分に温まったグローブをポケットから取り出し手に嵌めながら、ヴォーグの方へといそいそと歩いていく。 家に帰れば、ネットで注文したあれが届いてるはずなのだ。きっと、あれを渡せば私の気持ちが彼に伝わるに違いない。 それと晩御飯の材料も買ってこないと。そろそろスーパーのご奉仕品が出始める頃合いだ。 家の前まで到着すると、大学生らしき二人組みがちょうど店から叩き出されている時だった。 またおじいちゃんが……。 「二度とくるんじゃねーぞ!? この糞ガキどもがっ!!」 酒とタバコで焼けたしわがれた声で叫びながら、二人の青年に塩を叩きつけている。どーしてお爺ちゃんはいつもそうなんだろう……。というより、私の周りの人はこんな人ばっかりだ。 私は、店の前にヴォーグをとめると、足早に去っていく二人組みのお兄さんに頭を下げる。彼らは口々に『信じられねえ』『二度とくるかよ』などと口汚い言葉を吐き捨てて、街灯で僅かに照らされた薄暗い街中へととから消えていった。 いや、本当、本っ当にゴメンなさい。 「おじいちゃん! またお客さんを怒らせたのっ!?」 たてつけの悪い引き戸を強引にこじ開けながら、鼻歌交じりに作業をしている祖父に声を掛ける。 「あぁ!? ウチんとこに隼が欲しいだハーレーが欲しいだなんだ抜かすから叩き出しただけだ」 そう言いながら、おじいちゃんは悪びれることもなく床に置いてあるガストーチで咥えたショートホープに火をつけ、美味しそうにタバコの煙を堪能し、整備台に乗っかったTR6のヘッドを手際よく分解し始める。完全に相手が悪いと思っているようだった。 「まったく、最近のガキはろくな奴がいねえな……」 私の方に一切振り向こうともせず、ヘッドを外しながらぶつぶつと呟いている。先ほどの二人組みに相当腹が立ったのだろう。 「だから、いい加減、現行車両も扱いましょうよ。それでなくても“鈴木オート”って名前でスズキ系のショップと勘違いされてるんだから」 「うるせえっ、それでも店に並んでいる単コロみりゃ分かるってもんだろっ?」 まあ、確かに……どれもこれも古いバイクばかり。その中でも一番新しいのがSRって……。いや、まあ、分からない方がおかしいけど、分からない人は普通に分からないってば。というより、本当にこのお店は大丈夫なの? 「でもさ……」 そう思い、私が何かを言おうとするけれど、おじいちゃんがそれ聞いてくれるはずもなく頭ごなしに否定する。昔気質の頑固者なのだ。 「うるせぇ! キャブも使ってねえバイクなんてバイクじゃねえっ!」 「嘘だぁ……ホントはインジェクションのことが分からないだけの時代遅れのくせに……」 私は、ちょっとだけ腹が立ったので、おじいちゃんのプライドを刺すようなことを言うことにした。実際にそれは真実で、ただ、本人は認めたくない事実。 「あぁん!? なんか言ったか?」 急にトーンの低い剣呑な口調になり、咥えていたタバコを灰皿に押し消す。あきらきに機嫌が悪くなっている。まあ、そうさせたのは私だし。私はそのことをしらばっくれる事にした。 「なんにも?」 「じゃあ、さっさと晩飯の用意でもしやがれ。それと、お前宛の荷物が届いてたぞ。また、お前のバイクのパーツか?」 「違うよー。でも内緒!」 「なんだそりゃ?」 私の気の抜けた応対におじいちゃんは手元にある工具を滑り落としそうになりながら、それでもなお、作業を黙々と続けていた。その集中ぶりから、おそらく今日中に仕上げないといけない仕事なのだろう。それも島外の人のバイクに違いない。でも、わざわざこの島まで輸送して愛車を持ち込んで修理を依頼してくれる人たちには頭が下がる。逆にそれだけおじいちゃんの技術が信頼されているということなのだろう。そう思うと私はちょっとだけ、いや、凄くおじいちゃんのことを自慢したくなる。いつかは私もおじいちゃんのレベルに近づきたいと思う……。 私はゴチャゴチャとバイクが並んだ店を通り過ぎ、居間へと入っていく。コートやグローブ、ヘルメットをその場に放りだし、それらの代わりに壁に掛かったエプロンを身につけ、台所へと入っていく。 手首に取り付けた輪ゴムで髪の毛をまとめると、手を洗い、スーパーの袋から材料を取り出す。豆腐、ネギ、じゃがいもに牛肉、ヒジキにニンジンなどなど、色々買い込んだ食材で、山椒とたっぷりのピリ辛麻婆豆腐とおじいちゃんの大好きな肉じゃが、ひじきの煮つけを作る予定だ。 私が小学生の時、あることがきっかけで能力が発現し、その噂からこの学園の関係者に誘われた時、私は島にある初等クラス向けの寮での一人暮らしを覚悟していた。父や母の仕事の都合上、双葉島内へと家族そろって引越しすることはできないし、それが当たり前だと思っていたからだ。 だが、おじいちゃんだけは違った。『自分の孫をそんなわけの分からない場所で一人にさせることはできない、だから自分は付いていく』と言ってきかなかったのだ。おじいちゃんからしてみれば、一年ほど前に長く連れ添った祖母が事故で亡くなっており、これ以上何かを失うのが怖かったのかもしれない。 そして……、今思えば、私の両親の淡白な反応は、私の力が得体が知れず、父母の既知外にあり、潜在的に気味が悪かったかもしれないと思う。でもそれらを拒否することは常識的な見地からすれば大きく逸脱した力なのだから、仕方ないことだろう。それは決して非難されることでもないし、私自身も今では気にしてはない。 結局、おじいちゃんは、それまで世田谷にあったお店を畳み、強引に学園関係者を説き伏せると、双葉島という小さいコミューンではどうにも採算の取れそうもないレストアショップを細々を営みながら、男手一つで今まで私を育ててくれた。 そのことに私は感謝の言葉もない。今の私があるのはおじいちゃんのおかげなのだ。 私はお風呂上りの汗をタオルで拭き取りながら、届いたダンボールをカッターで開く。中には真っ赤な包装紙に包まれ、金色のリボンで装飾された小さな箱が二つ入っていた。 その二つのうち、一つを渡す人は決まっていた。でも、それは明日の朝の出来事。今日はゆっくり眠ろう。悩んでいても仕方ない。 マウスを操りながら、注文したホームページを見る。そこには工具やボルトなどのカタチをしたチョコの写真が映っている。色さえ除けば、本物と間違ってしまいそうなほどに精緻に作られたチョコレートだった。 しかも「機械好きの彼のハートもこれならGET!!」そう臆面も無くデカデカと描かれている。 「うん!」 私は小さく頷くと、PCの電源を落とし、いつもよりも早めに目覚ましをセットすると、静かにベッドへと滑り込む。きっと、おじいちゃんはこの贈り物を喜んでくれるだろう。 問題は……。そう、残りのもう一つを本当に彼に渡せるのだろうか? それだけが心配だった。でも心配したところで物事が好転するわけではない。そう自分に言い聞かせて、私は寝ようと心がける。明日は早いのだ。 「なんでえ、こりゃなんだ?」 おじいちゃんは私が渡した箱を見ながら、興味がなさそうに嫌そうな顔をしてブツブツと文句を言う。 「チョコだよ」 私はおじいちゃんがこちらに突き出した空っぽになったご飯茶碗にご飯をよそいながら、さも普通そうにそう応える。 「――――って言ったって、お前ぇはいつもチロルチョコだったじゃねえかよ?」 おじいちゃん、そういう駄目な思い出は今言っちゃ駄目なのよ。ここは盛り上がりが大事だから、おじいちゃんもそれに乗ってくれないと困るの。 そんな気持ちを込めつつ、ご飯茶碗を手渡しながらおじいちゃんの瞳をじっと見つめる。 「お……、おう。有難うよ。これは今、あけ、開けてもいいのか?」 「私が学校に行ってからね! じゃあ、私学校へ行くね?」 「今日は随分と早えなあ。あれか? 彼にチョコでも渡すのか? おーおー、図星じゃねえか? 顔が真っ赤……」 私はマッハの勢いで好色そうな笑いを浮かべるおじいちゃんの顔面を思いっきり殴りつけると、卓袱台の上のお茶を一口飲み込み、茶の間から、冷え切った店へと出て行く。 触るのが憚れるほどに冷たいシャッターをゆっくりと持ち上げる。日が差し込み、暗かった店内を足元から徐々に照らしていく。心が引き締まるほどに凍えた空気が肺に入っていく。 そして、店に無造作に並んだ内の一台、一際小さく、一際シンプルな通学用のヴォーグを引っ張り出し、表へと押し歩いていく。振り返り、おじいちゃんに行ってきますと声を掛けてシャッターを閉めると、ヴォーグのシートに腰掛け、ゆっくりとペダルを漕ぎだす。 この時間ならクラスに誰もいないだろう。こっそりと彼の机にチョコを入れておこう。 肌を突き刺すような寒さとこれからのイベントのことを思い、わずかにため息が漏れる。その息は白く、目の前に丸く広がっていく。きっと今日の結果を表しているに違いないのだ。 うん、そうに違いない。黒星はもう沢山なんです……。 早めの登校を思い立ったのも、いつもよりも早く教室に行き、彼の机にチョコを忍ばせようと思ったからだ。 恐らく、私と同じ考えの子は多いらしく、早朝にも関わらず、生徒がちらほらと見受けられた。もちろん、直接渡せば良いのだろう。別に競争率が高いイケメンでもないし。 でも、例えそれが義理チョコだろうと、恥ずかしくて私にはできない。だから、私はこの時間にここに居るのだ。下駄箱にレッドウイングのブーツを放り込み、誰も居ない教室へと向かう。私は、人気のない静謐な空気が漂う教室というのは嫌いではないのだ。 別に誰かに見られているわけではないのだけれど、静かに音を立てないようにゆっくりと教室引き戸を開けていく。誰も居ない教室のくう……。 その、ええ好きなんですけどね……早朝の教室。でも、これは違うわ。 何で委員長が教卓の前で仁王立ちしてるんですか? いつからそこにいたんです? 気持ち、制服も皺が寄ってますよ。 まだ、暖房も作動しておらず、息が白い教室で、扉を開けた私を気にすることも無く微動だにしない彼女を見つめながら、私はチョコを彼の机の中に忍ばせることが絶対できないことに絶望する。能力を使えば可能だろうが、それは何か負けた気がするのでしたくはなかった。 というよりも、この彼女《バカ》をなんとかしないと、かなり面倒なことになりそうだ。私はとりあえず、悪鬼のごとく誰も居ない教室中をまじろぎもせずに睨み付ける彼女に恐る恐る声を掛けることにした。 「あ、あのー、何やっているんですか?」 私の言葉に間髪居れず、彼女が応える。 「決まってるでしょ、貴方に昨日言いくるめられたけど、やっぱり、義理チョコなどという悪しき風習は許せないわ。だから、このクラスからその風習を排除するため、私が目を光らせているに決まっているんじゃない」 何でそんなに偉そうなんですか? 第一、それはもう昨日散々話したじゃないですか……。というか、目の下には凄いクマができてるんですけど。 「委員長? もしかして、徹夜ですか?」 「徹夜じゃないけど、四時くらいから教室にいるわっ!」 とりえず、私は、このままここにおいて置くと色々と問題を起すであろうこの目の前にいるどうにも勘違いなことを凛として語る委員長《バカ》を屋上へ引きずっていくことにした。 いや、本当はいい人なんですよ。本当は……。いや、本当にいい人なのかな? 分からなくなってきた……。 「何するのよ?」 屋上まで引っ張られたことが痛く気に触ったらしく、委員長は酷くご機嫌斜めで私の方を睨み付けています。でも、私はそんなのを気にすることなく、厳しく彼女に言うことにしました。 「何するのじゃないですよ? いいですか? バレンタインデーっていうのは女の子の一大イベントなんですよ。それを義理チョコは許さないとか、そんな堅苦しいこと言ってちゃ興を削ぐってもんじゃないですか? 第一、義理と本命をどうやって区別するっていうんです?」 「そ、それは私の判断で……」 「笹島さんにそれだけの恋愛経験があると? 人の機微な恋心が分かるんですか? それはそれは立派な恋愛マスターですね」 「だ……だって、耶麻葉《やまは》ぁ、義理チョコは女の子の負担になっているってテレビでねぇ……」 急にションボリとし始める。こちらの目を見ていないところからも、自分の行為に正当性がないことを理解しているのだろう。どんだけ影響されやすいんですか? まあ、そこが私にとっては可愛いところなんですけど。なんにせよ、このまま教室に戻したのではクラスの空気が悪くなりかねません。 そこで一計を案じます。 「委員長? 義理チョコだって、楽しんで渡している女の子だっているんです。それを頭ごなしに否定しちゃ駄目ですよ。例えば……」 私はそう言ってカバンから例の赤い包み紙の箱を取り出し、彼の机にこっそりと入れておく予定だったチョコを彼女に渡す。 「はい、どうぞ」 二人の間の空気が固まる。そしてゆっくり弛緩する。 「え? はっ!? ○×csdmfぎあsぢうぇちぇりおーっ!? わ、わたしたちはおなのこどうしだし、そそそそいそそそそそいうかかかんけいとかかか……」 完全に冷静を失ったのか、委員長は顔を真っ赤にし、目の前に出された箱をどう受け取っていいのか慌てふためいている。言葉もまともに出てこないらしい。 私はそんな可愛い委員長を落ち着かせるように、優しく語りかけることにした。 「だ・か・ら、義理チョコですよ、これが。いつもクラスのことを色々考えてくれてありがとうございます。副委員長からの、いいえ、クラス全員からの気持ちです!」 委員長は未だに理解できないのか、頭から煙を上げてその場にぺたりと座り込んでいた。本当にこの人はこっち方面は駄目な人だな。おもわず、私は彼女の姿を見ながらクスリと笑ってしまった。 それなりに落ち着いた委員長と一緒にクラスに戻ると、かなりのクラスメイトが登校していた。やはり男子生徒は期待に胸を膨らしているのか幾分緊張しているようで落ち着きがない。一方の女子陣もどうやって渡そうかと隙を探しているようで、恐ろしく緊張感がある。 だが、そんな緊張感全てをぶち壊すような声が聞こえてくる。 「おはよー、めっしー! かっしー!」 私たちの背後で無駄に元気のよい声がする。その声の主は、まるで小学生のような少女で、ちょうど扉を開けた私の後ろで両手を上げて、元気に佇んでいます。その両手にはチョコが一つずつ。 そう、有葉千乃《あるはちの》さんです。男子のくせに女装が下手な女性よりも可愛いという、可笑しな人で、しかも、ある意味性別を超越した存在。 彼女の元気な声に反応したのは無駄に大柄な男性とその横で下らないおっぱい談義をしていた黙っていればそこそこいい男の二人。召屋《めしや》くんと拍手《かしわで》くんです。 彼女、いや彼は二人にパタパタと小動物のように可愛らしく駆けよって行き、それぞれにチョコを渡します。 こりゃあ、おかしい性癖になる人もでるわな……。 そんな私のワケの分からない気持ちは別にして、彼の応対に慣れたものなのか、いつものように適当に受け流す召屋くん。あの、それはそれでいいんですけど、今日がバレンタインデーって分かってます? 「おー、なんだちみっ子!」 だから、そんな普通に対応しなくても。少しは躊躇った方がドギマギした方がいいですよ。 「ちびっ子じゃないですよー。せっかく二人のためにチョコを持ってきたのにー!!」 く、くそう、その一生懸命否定するのが可愛いじゃないですか。さすが春部さん曰く“性別を超えた存在”侮れません。 「まあ、男からチョコ貰っても嬉しくないけどな。で、ホワイトデーのお返しは何がいい?」 召屋くんは、チョコを渡そうとする有葉さんの頭をくしゃくしゃと撫でながら、仲良さそうにじゃれ合っています。本当に二人は仲がいいですね……本当に……。 「こっちはかっしーだよー!」 そう言って渡された拍手くんは相当悩んでますね。 「なあ、召屋。このチョコは男として、更に人として、俺のポリシーとして、最終的には自分の命の大事さとして、色々な意味で喜んでいいのか悪いのか、俺にはわからないのだが……」 拍手くんが有葉さんのチョコを受け取りながら、神妙な顔をしています。それはそうでしょう、特殊な性癖を持つ方々からの刺すような視線に加え、私の後ろにいつの間にか立っている女性の殺気までも一身に浴びているんですから。でも、どうせ、乳デカ後輩からどーのこーのでチョコ貰えるんでしょ? 別にいいじゃん。贅沢な悩みってもんですよ。このおっぱい魔人が! ちちマニアがっ!! それなりにしかない人たちの呪いを全身に浴びるがいいわっ!! 「そこの二人ぃ……。私の千乃からチョコをもらうなんて、タダじゃおかないわよ……」 しまった、胸の恨みを散々念じていたら、そのおっぱい魔人の総本陣が登場ですよ。まあ、この人はちょっとというか、かなりおかしいから、私にとっては問題ない人ですけど。それでもクラスに厄介ごとを持ち込む人には違いない。ど変態のカストロビッチさんがこないだけでもしめたもんです。 「ちょ、ちょっと、春部さん! また騒ぎを起すのはやめてくれる?」 私に引きずられた委員長がようやく我に戻り、色々と問題を引き起こしそうな春部さんをなんとか嗜めようとします。まあ、普通は煽るというか、相手の神経逆撫でするだけに終始するんですけど。今回もそうでしょうね。 美作さん、自分用のチョコばっかり食べてないで、今日の教室の修繕もよろしくお願いします。それと、適当なところで春部さんを“飛ばして”下さいね星崎《ほしざき》さん。だから、そういって我関せずって態度はやめてください。六谷《ろくたに》さんはくれぐれもなにもしないで下さい。あなたが動くと一番面倒ですから。 結局、このクラスはバレンタインデーといっても甘くてビターな話にはならないようですね……。 そして、私も結局、彼には渡せずじまいでした。まあ、それもいいでしょう。そういう運命の星の元に生まれたのです。なにより、委員長に義理チョコとして渡してしまい手元には何もないのですから。 バレンタインデーというのに、今日もいつものようゴタゴタが起きて、あいも変わらず煩いクラス。そんな学園生活のストレスをかき消すように私はいつものように外周道路をぐるりと一周することにします。日課ですから。誰がなんと言おうとこれが好きなのです。 そして、すっかり暗くなった夕過ぎ、ヴォーグでのんびりツーリングにも飽き、まったりと帰路に着くと、お店にはお客が来ているらしく、なにやら賑わっています。――というより、随分と荒れているようでした。 「手前ぇっ! 俺の大事なチョコを食いやがって!!」 「いいじゃないですか? 一個食べただけでしょ、良三《りょうぞう》さん?」 「うるせえっ!! それは万死に値するんだよ。俺の耶麻葉のチョコを食っていいのは俺だけだ!」 「だったらあんなに自慢げに見せることはないでしょっ?」 「うるせっー!! 孫のことを自慢したいのが年寄りなんだよ!」 店の外にまで工具やパーツが飛び回ってます。中を覗くと、おじいちゃんと彼が言い争っています。どうやら、おじいちゃんに上げたチョコを彼がつまみ食いしたのが原因のようです。そうですか……。朴念仁はどこまでいっても朴念仁。相手の気持ちなんて気が付きもしないのでしょう。 結局、私は今年も告白は出来ませんでしたが、それでも彼の口に私のチョコは届いたようです。これは喜ぶべきことなのでしょうか? なんとも微妙な話ではありますね。 トップに戻る 作品保管庫に戻る
https://w.atwiki.jp/dinametamo/pages/2565.html
はーとちょこ(ほわいと) 入手法/作り方 小さい人たちからのバレンタインプレゼント ショコラ+妖精のボール(緑)、まぜる、かなり 作成アイテム 上トレイ 下トレイ 方法 時間 SUCCESS FAIL GREAT 猶予 ハートのチョコ(ホワイト) 下トレイ わける かなり スノウフラワーセミロング 腐ったハートのチョコ(ホワイト) GREAT 腐り復活 上トレイ 下トレイ 方法 時間 SUCCESS FAIL GREAT 猶予 腐ったハートのチョコ(ホワイト) - わける ちょっと 腐ったケーキの素 × ショコラ
https://w.atwiki.jp/yuiazu/pages/1364.html
今日は2月14日。バレンタインデー。女の子が想い人にチョコを渡す、そんな日のはずなんだけど、 友チョコとか世話チョコとかあらゆるチョコの出現で、ここ女子高でもチョコは飛び交っている。 かく言う私、中野梓もお世話になった先輩たちへのお礼も兼ねて、チョコケーキを渡すつもり。 純と一緒に憂に教えてもらいながら作ったんだけど、実はもう一つ、お父さんに、なんて言って、二人をなんとかごまかして作ったチョコがある。それは…私の想い人への、たった一つの本命チョコ。 もうすぐ卒業してしまうあの人へ、ずっとずっと気になっていたあの人へ、素直になれなかった私の想いを告げるためのチョコ。 叶わなくても構わない。覚悟は決めている。でも、会えなくなる前に、どうしても伝えたかった。 私の人生で初めての恋だから。 でもやっぱり、とてつもなく緊張してしまう。 「私は先輩たちに渡してきたよ。梓は?」 「ううん。まだだけど…」 「あ、あそこにいるの、お姉ちゃんたちじゃない?」 「えっ?」 見るとそこには、下級生からチョコを貰う先輩たちの姿があった。 「うーんやっぱり軽音部の人気はすごいね」 「ここにもいるんだけどねー、梓」 「わ、私は別にいいもん」 「そんな事言っちゃって。しかしこれじゃあなかなか渡しに行けないね」 「部活の時に渡せばいいんじゃない?」 「甘いよ憂。あれだけ貰ってるんだから放課後にはチョコに飽きちゃうかもしれないよ」 「そうかな…」 「そうだよ、私も澪先輩に渡すから、一緒に行こう」 「え、ちょ、ちょっと待ってよ」 私たち放課後ティータイムは、文化祭でのライブが大成功に終わり、校内でも結構人気者になってたりして、 中でも先輩たちに憧れる下級生はライブ以来ぐっと増えたようで、あちこちでそんな話を耳にする。 大人気の澪先輩はすでにファンクラブの人たちに囲まれていて、両手いっぱいにチョコを貰っているようだった。 律先輩やムギ先輩もチョコを貰って照れくさそうにしている。そして、 「平沢先輩、これ食べてくださいっ」 「えへへ、ありがと」 「私のも受け取ってください」 「わあい、ありがとー」 下級生からチョコを貰う、想い人の姿がそこにあった。 「…!」 「あ、梓!?」 「梓ちゃん!」 私は気がついたら駆け出していた。その場から逃げるように。 私は唯先輩が好きだった。なのに、あの人はチョコ貰って、あんなに嬉しそうにしてて…。 馬鹿な私。貰ったら嬉しいに決まってるじゃん。あのやわらかい笑顔が、優しさが、あったかさが、何よりもあの人の魅力なのに。 下級生が憧れるのだってあたりまえだよ。ボーカルだし、ライブであんなに輝いてたんだもん。 でも、あんなに貰って、私なんかよりずっと可愛い子から、ずっと美味しいチョコを貰ったりしていたら。告白、されていたら。 今日けじめを付けようと決めたのに。これじゃ、渡せないよ。 朝から思いつめてたまま、集中できない授業はあっという間に過ぎ、すでにお昼休みになっていた。 「あーずさ。なにしょんぼりしてんの。チョコ渡せなかったのがそんなにショック?それともHTTなのに貰えなかったのがショック?」 「そんなんじゃ…ないよ」 「うーん、重症だね」 (憂、どう?) (うん、今送ったよ)ポチポチ 「おっけ」 「あ、あずさちゃーん?」 「ふぇ?」 「さっき梓ちゃんにお昼休みに会いたいって人がいてね?中庭で待ってるって言ってたよ」 「よかったじゃん梓ぁ。ファンの子かもよ?」 「そ、そうかな」 「そうだよ、早く行ってあげなっ」 「うん、がんばれー」 (ちょ憂!頑張れって) (あっ、間違えちゃった) 「うん、行って来るよ」 (ホッ) なんだかんだで、心が晴れている自分がいた。今は純粋に、嬉しいと感じている。きっと唯先輩もこんな気持ちだったんだろうな。 あ、でもまさかと思うけど、こ、告白とかされないよね。ないない。うん、もう考えるのはやめよう。 自分に素直になろう。だからこれが終わったら、私もあの人に渡しに行こう。 程なくして私は、人気のない中庭に付いた。呼び出した人がどこにいるのか分からないまま、少し歩きまわる。すると、 「来てくれたんだね」 「え…」 不意に後ろから声をかけられた。その声はやわらかくて、ほっとする、私の良く知っている… 「待ってたよ、あずにゃん」 「唯…先輩」 振りむいた先に立っていたのは、唯先輩だった。 「…先輩も呼び出されたんですか?」 「ん~ちがうよぉ。私があずにゃんの事呼んだの」 「それって、どういう…」 「えへへ、ちょっと待ってね。後ろ向いてて?」 「は、はぁ」 「えと、これでよし。すーはーすーはー、かんばれ、わたし」ゴソゴソ 「先輩?何を」 「あずにゃん、いいよ」 「唯せんぱ…」 「あずにゃん、いや、梓ちゃん。これは私の気持ちです。よかったら受け取ってください」 大きなハートマーク型のチョコを差し出す、頬を赤く染めた唯先輩。 そして、今確かに聞いた。これが、唯先輩の気持ち…? 頭が真っ白になる。これって、本当に?私に?あまりに突然過ぎて、信じられない。けど、 「あなたが好きです。あずにゃん」 次の言葉を確かに聞いた瞬間、私の思いは涙とともに、一気に溢れ出た。 「ふええぇぇぇん」 「あ、あずにゃん!?」 「私も…わたしも…好きです…ぐすっ…唯先輩が…ひくっ…好きです…」 「あずにゃん…」ギュッ 「ずるいです…ぐすっ…私も、渡そうとしてたのに…私も言おうと思ってたのに…」 「えへへ、ごめんね?でも、私凄く嬉しい。これね、一生懸命作ったんだよ。思い通じたかな」 「はい…本当に、本当に唯先輩の事、好きでいいですか。えぐっ…私で…あんなにチョコ貰ってたのに…」 「あずにゃん、好き、大好き。あずにゃんの為に作ったんだよ。チョコ渡すの、あずにゃんだけなんだよ」 「うぅっ…唯先輩、大好き、私も、大好きですっ。私のチョコも、愛を込めたんですから、受け取ってください」ギューッ 「ふぉぉ!?…えへへ、楽しみにしてるよ、あずにゃん♪」 今日は2月14日。バレンタインデー。女の子が想い人にチョコを渡す、そんな日。そんな日は、私にとって忘れられない素敵な日になった。これからは毎年、渡し合えたらいいな。 ガサッ 「梓、上手くいったみたいだね」 「うん、両想いだったのに上手くいかないはずはないよ!」 「お父さんに、とか言ってたけど、ばればれだったね。あのチョコ」 「ねー。どんなチョコにするのか聞いたら 『えと、甘いのと可愛いのが大好きだから、ハート型のミルクチョコにしようかな』 とか言っちゃったし」 「『もっとしっかりしてください!…でも』とかいうメッセージカード付いてたし」 「もう純ちゃん。見ちゃだめだよ~」 「しかしあの後唯先輩ともチョコ作ってたとはね~。どうりで憂が買った材料多いはずだよ」 「えへへ。お姉ちゃんの分、には変わりないでしょ?」 「ごもっとも。ってあれ?向こうの木の陰にいるの、澪先輩たちじゃない?」 「ほんとだ、紬さんが倒れて大変なことになってる」 おしまい! これ去年のバレンタインデーssだけど版権絵とあやちのメッセージの要素ちゃんと含まれてていいね -- (名無しさん) 2012-02-18 06 40 23 梓側が憂と純。唯先輩側が澪先輩、律先輩、紬先輩だね。唯先輩側も味方がいたか。唯先輩視点のあるかな? -- (あずにゃんラブ) 2013-01-10 17 04 29 名前 感想/コメント: すべてのコメントを見る
https://w.atwiki.jp/pokecharaneta/pages/5056.html
ムサピィのチョコマーカー キャラクター コメント 株式会社エコールソフトウェアが開発した、ファンタスティックな3Dアクションパズルゲーム。 キャラクター エモンガ:ムサピィ コメント 名前 コメント すべてのコメントを見る タイトルにチョコ(お菓子の名前)が入っているので、いわ・どくタイプが良いと思います。 -- (名無しさん) 2013-01-14 08 30 59
https://w.atwiki.jp/sol-bibliomaniax/pages/87.html
3、天使のチョコレート 西区画にそびえたつ複雑怪奇な建造物・九龍城が目前に見えるある通り。そこに真っ赤な門があり、その両脇には石を彫って作った唐獅子が座っている場所がある。日も暮れかけた今、門の奥には赤々とした明かりがともり、天井からはいくつもの中華行灯と底をくりぬいた鳥籠の中に電灯を入れたものがつり下がっている。 「おかえりなさいませ、桔梗様」 「いらっしゃいませ、秋人様」 二三人の人間が一行を出迎える。 見上げた門の上には、『無名堂』と墨で書かれた看板が立てられている。中に入ると、壁には幾つもの掛け軸や時計が掛けられ、黒壇の棚にはまねき猫や日本人形が飾られている。何気なく置かれている壺は、青磁だ。窓や門の飾り格子は、李朝朝鮮を思い出させる。 店内にいる人間の服装もチャイナドレスから着物まで様々で、まるでアジアのイメージを煮詰めたような奇妙な空間が広がっている。 「何かお飲みになりますか?」 「留守中のお電話や予約の資料は後ほどお持ちします」 「長旅御苦労さまでした」 アジア系の服を着たスタッフたちが甲斐甲斐しく動き回るのを、秋人はぼんやりと見ていた。飾り格子のついた丸い窓からは、灰色の街並みが見える。 何もかもがめちゃくちゃで、秋人はここにいると異世界に迷い込んだかのような錯覚を覚える。いや、そもそもテーマパークやある種のレストランは、人工的に作られた異界を楽しむ場所なのだから、これで正解なのかもしれない。 ウエストヤード『無名堂』 それは世界的に有名なタトゥアーティスト、序列291位【ミスタトゥ(刺青少女)】左衛門三郎桔梗の経営するタトゥ工房なのである。先ほど彼女の周囲にいた男女はすべて、この工房のスタッフである。 「どうした? ぼんやりして」 奥の間に通されお茶を出されてやっと、秋人は自分がぼんやり考え事をしていたことに気づいた。ごまかすように笑って、秋人は出されたお茶に手をつける。白地に赤い模様が描かれたカップの中に入っているのは、ジャスミン茶だ。 「いや。なんでもない。桔梗はすごい人だったんだよな、って思いだしただけ」 「んー、どうだろうな。俺はすごいのかは知らんが、まあ、うちの学校は大物がごろごろしてるからな。たまにそういうことを忘れるよな。世界の澪漂やら、姫宮やら、人類3KYOの親族やら……多分、ゾアックソサエティと九つの組織の関係者、コンプリートできるんじゃねえか?」 「そういえばそうだよね。うーん、世界を動かす企業と組織の次代様たちと同じ学校にいるのか。頭が下がるね」 軽い口調で言って、秋人は盗ってきてしまった鞄を見る。石板だけ抜いてあとは後日郵送で返せばいい。 鞄を見て、興味をもったように桔梗が身を乗り出した。 「何だ?」 「アフガニスタンの遺跡で発掘された石板を取られちゃってさ。取り返してきたところ」 鞄を逆さに振ると、予想通り新聞紙にくるまれた石板が転がり出た。他にも筆記用具とか、ノートパソコンとか、ハンカチとかが出てくる。 「この私物は?」 「後で返しておくよ」 石板だけを自分の鞄に戻し、他のものを元通りにしまっていく。その時、何かを見つけた桔梗が手を伸ばした。 「何だこのチョコ。見たことないパッケージだな」 桔梗が取り上げたのは、銀紙にくるまれてそのうえからさらに紙でくるまれた板チョコだった。すでに三分の一ほどが食べられている。 くるくるとまわして見るがメーカーどころか、原材料も、カロリーも、原産国も、賞味期限も、商品名すら表記されてない。ただ、天使の羽をデフォルメしたような模様が、真赤な包み紙に白く書かれていた。 「個人ブランドかな? でも商品名くらい書くよね」 「この学園でチョコをカカオから作ってる連中なんて、製菓メーカーのリンクくらいだと思うぜ。ブルーローズとかロックハート洋菓子店とか。ブラックシープ商会にも製菓部門があったか?」 そう言いながら、桔梗は銀紙を丁寧にはがした。チョコの甘い香りが漂ってくる。それを一かけら折って口に入れようとした桔梗の手を、秋人がつかんだ。 「何? 食っちゃだめだったか?」 「薬品のにおいがする」 数秒の間をおいて意味を理解した桔梗は、静かに手を引っ込めた。 「お前、本当にこういうのは敏感だよな」 「勘がいいんだよ」 「お前のそれは違うだろうが」 ダミースキルという言葉がある。 一見、超能力のように見えるが元をただせばしっかりと根拠のある能力のことだ。たとえば、風の音を聞いて明日の天気を正確に当てるとか、初めての道でも一度歩けば自分が歩いたルートを航空写真並みの正確さで図にできるとか、そういうものだ。彼らはただの行き当たりばったりで回答を導き出しているわけではなく、自分の周囲で起こっている様々な現象――たとえば風向きとか湿度、道の高低、東西南北のむきなど――を無意識のうちに計算し、その膨大な計算結果から回答を得ているのだ。 秋人も同じである。戦闘能力を持たない彼は、代わりに周囲の状況を恐ろしいスピードで計算し、それを勘という形で発揮しているのだ。 桔梗はチョコレートに慎重に鼻を近づいた。彼女の嗅覚では何が入っているかなど分からない。しかし、言われてみれば普通のチョコレートより匂いがくどい。 「つまり……これ、毒?」 チョコレートは匂いや味がきつい為、薬物を入れても気づかれにくい。癖のある薬物で暗殺したいというなら適しているだろう。 秋人はあいまいにうなづいた。 「毒か薬かは知らないけど、薬品入りだね。少しなくなっているってことは、何かに使ったんだと思う」 「ということは、殺人の証拠品の可能性もあるってわけだ」 沈黙が落ちた。 花瓶に活けられた季節外れの牡丹から花びらが落ちた音すら、大きく聞こえる。 「まあ、まだそうときまったわけじゃない」 「なんかの試作品かもしれないしな。なあ、このまま鞄に戻してみなかったふりするっていうのはなしか?」 「事件性があるとしたら、僕が鞄を持ち去ってそれを君が保護した時点でアウトだと思う。すまない。巻き込んでしまって」 秋人は深々と頭を下げた。桔梗は、ゆっくりと煙管を取り出しながら首を振る。 「馬鹿言え。こっちが勝手に巻き込まれたんだ。お前が頭をさげる必要なんてねえよ。むしろ、巻き込ませて悪かったな」 「………………君は、本当にいい女だね」 「何だ、今更気づいたのか」 豪快に桔梗は笑って、煙管に火をつけた。紫煙が上がる。 「まあ、本命には振られたけどな。ははははは……」 「自分で言って落ち込むなよ」 桔梗は、北王・夜時夜厳に出会ってから21秒で振られた過去を持つ。 「いいんだ…………どうせトップランカーで恋愛ごとがうまくいってるやつなんて、数人しかいないんだから」 「ああ、西王と一重さんの純愛ぶりはすごいよね。むしろ、二重さんの一重さん以外の人間に対する扱いと一重さんの扱いの差に、驚異を感じるというか」 色々な意味で学園随一のカップルの名をあげて、秋人はあいまいに微笑んだ。 「無理だろう。ああなるのは。誰であっても」 「えーと……一方通行でいいなら、ほらエドワード・ブラックシープとか千貫信とか」 「一方通行だとただの馬鹿だと思うんだ。それと二人とも一応は両想いだから」 「傍から見てると痛いぞ」 「それは認めるけど」 この学校の生徒は、能力値だけなら世界の同世代でトップクラスだが、人間的にはいろいろあれな人物が多い。 「それよりどうするんだ? ものが何か分からない状態じゃ処分もできないぞ」 「そうだね。どこかの研究室を借りて成分を分析するか……でも時間がな」 「そうだ」 何か思いついたように、桔梗は声を上げた。 「緑青食品店だ」 「りょくせいしょくひん……ああ、なるほど。銀月さんですね。確かに彼女なら――――」 「相変わらず、繁盛してるな」 狭い店内にひしめく人を見て、桔梗はげんなりした声を出した。 桔梗の店からほど近い賑やかな通りの一角に、金銀月の経営する緑青食品店はある。 ごみごみとしたビルの一階と二階が店、三階が店主の住処、それより上は色々な住人が住んでいる奇妙なビルがそれだ。中に入ると、異様に高い天井ぎりぎりまで棚があり、そこにあらゆる食料品がびっしりと詰め込まれている。上の方には備え付けの梯子を登らないと手が届かない。ぎりぎりまで本を詰め込んだ棚が空間の許す限りあり、その本がすべて食料品に変わったらこうなる、といえば分かるだろうか。 木で出た棚の上に、さまざまな言語で書かれた品物が並んでいる。いかにも美味しそうな絵が描かれた缶詰や中でフルーツが泳いでいる瓶詰。ひとりで食べるには大きすぎる腸詰や、一見グロテスクな干しなまこ。艶やかな林檎もあれば、レンジで食べられるレトルトもある。可愛い小瓶に入った金平糖や飴玉は見ているだけで楽しい気分になる。 歩くと床が軋んだ。この独特の輝きは毎日大勢の人間が行き来することで生まれる艶だ。 ショウウインドウにはその週のお勧め食材が展示されている。今日は大きな鮭を細く裂いて干したものだ。何を基準に選んでいるのだろう。 楽しみ方を知っているものにとっては一日中いても退屈しない、宝探しのような店だが、はじめて訪れるものはこの途方もない食品を見て、呆然と立ちすくむことになる。 だが、心配はいらない。 もし迷ったり、ほしいものが見つからない時は、入ってすぐ右、上階につながる階段の前の大きなカウンターの影で、背丈に合っていない大きな椅子に座っている女性に声をかければいい。必ず役立つ返事が返ってくるはずだ。 「ねえ、南イタリアで取れたレモンが欲しいんだけど」 「4番の札がある通りのGというマークがついた棚前のワゴンです」 「西暦のころに作られたワインがほしいんだけど……」 「それは探さなくてはなりませんね。確かフランスとイタリアのメーカーで、いくつかよい状態で保管しているところがあるはずです。予算はいかほどに?」 「ねえねえ、今度パーティするんだけど、もうちょっと豪華にしたいのよ。でも、フォアグラとか脂っぽいの駄目でさ」 「骨付きハムのいいのがありますよ。値段は張りますが、薬品を一切使わずに作ったもので、そのまま何もせずに食べられます。骨についたままのものから好きな量を切り落としての量り売りになりますが」 年季の入った木独特のつやのある棚と、同じ木材で作られたカウンターの向こうに女性がいた。一目見て東洋人と分かる外見だが、日系人とは少し違う。彼女は次々と声をかけてくる客に対して、まるで目の前の空間に回答が書いてあるとでもいうかのように、すらすらと返事返す。 「金」 客足が途切れたところで、桔梗は彼女に声をかけた。営業スマイルで振り向いた彼女は、桔梗を見ると本物の笑顔になった。 「あら、珍しい組み合わせね。なにか入用?」 彼女はブラックシープ商会所属、【デリシャスタイム(美味しい生活)】金銀月。韓国出身。 世界に流通しているあらゆる食品を把握しているといわれる、ブラックシープ商会小売部門の重鎮の一人である。 「ちょっと見てほしいもんがあるんだけど」 他の客に見えないように自分と秋人の体で隠しながら、桔梗は例のチョコレートを取り出した。わけありと見たのか、銀月も身を声をひそめて答える。 「それがどうしたの?」 「どこのものか分かるか?」 銀月は数秒間包み紙を見つめ、首を横に振った。 「赤い包み紙、無地の銀紙、天使の羽、お菓子。この三つに該当する商品は1386種あるが、これとまったく同じ商品はない。それに普通は銀紙部分にメーカーのロゴを入れるけど、それがないし、赤い紙のほうも通常チョコレートの包み紙として使うものよりがさがさしている。インクの質も悪い。また天使の羽、あるいは羽や天使、鳥などをロゴに使う製菓メーカーはおよそ二万社存在するが、これと同じものは存在しない」 「えーと、つまりこれはそこらで売ってるもんじゃないってことか?」 「一般に流通する商品ではないし、流通させるための試作品とも思えない。お粗末すぎるもの。極めつけは銀紙の包み方。完全に密閉されていない。これではチョコレートが劣化するわ」 「…………………………お見事」 ちょっと引き気味に、桔梗は銀月をたたえた。銀月は直もチョコをくるくるとまわしながら見ている。 「チョコの状態も良くない。形が不安定だし、固める際の温度に問題があったのかも。ちょっと食べてみていい? そうしたら確信が持てるわ」 「「駄目!!」」 思わず叫ぶ。一瞬、客が三人を中止したが、じゃれ合っていると判断したのか、すぐに自分の買い物に戻る。 「…………そんな大声出さなくても。これ、そんな大切なものだった?」 「いや。事件がらみで」 そんなもん持ち込むなよ。 そういう目で、銀月は秋人を見つめた。桔梗は頭を下げる。 「巻き込む気はない。他に気になることだけ教えてくれ」 「………………多分、そのチョコは手作りだと思う。市販品を溶かして固めたあと、自分で用意した銀紙とその赤い紙を巻いてそれっぽいものにしたとか」 「この紙は、食品用じゃないのか?」 「少なくとも溶けやすいチョコには向かないわ。荒くて少し毛羽立っているもの。商品なら、もっとつるつるした紙を選ぶはずよ」 これでますます事件性は強くなった。秋人はうつむいて考え込む。見かねたのか、銀月は付け足した。 「それの経緯をたどった方が、それ自体を調べるよりは楽なんじゃないかしら? 使ってるもの自体は、その辺の文房具屋とお菓子屋に行けば手に入る程度のものよ。調べても大したものは出ないと思うわ。チョコも、安ものね。どこでも売ってるわ」 銀月はその中に薬品が入ってるとは知らない。 「…………まいったな」 「とはいえ、そいつがどこにいるかなんてわからねえしな。いっそのこと、ブラックシープ商会のメリー・シェリーに解析頼むか、四十物谷調査事務所に行くか?」 メリー・シェリーは学園随一の毒使いで薬物に詳しい。四十物谷調査事務所は、調査事務所の看板を掲げているだけあって、人探しから商品の含有成分の分析まで幅広い事業を行っている。 「それが手っ取り早いかな。でも、解析結果が出るまで僕が無事でいられるだろうか」 「平気へいき」 桔梗は肩を落とす秋人に励ますように言った。 「俺ん家は常に十数人は誰かいるし、スタッフ陣はあれで結構強いから安全だぜ」
https://w.atwiki.jp/akatonbowiki/pages/6758.html
このページはこちらに移転しました カルシウム入りのチョコボール 作詞/252スレ96 作曲/wtf? カルシウム入りのチョコボール でも25gしか入ってない カルシウム入りのチョコボール 牛乳一杯の10分の一 森永の罠 森永の罠 音源 カルシウム入りのチョコボール
https://w.atwiki.jp/akatonbowiki/pages/5660.html
このページはこちらに移転しました わたしのチョココロネかえして 作詞/タマムシ 嗚呼、わたしのチョココロネかえして ほかになにかあげるから 嗚呼、わたしのチョココロネかえして 今日はそれだけしかないから 嗚呼、わたしのチョココロネかえして 欲しけりゃ自分で買えばいいじゃない 嗚呼、わたしのチョココロネかえして わたしの大好物なんだから
https://w.atwiki.jp/hmiku/pages/355.html
【検索用 なみたのちょこれーともんすたー 登録タグ VOCALOID な コーホーP 初音ミク 曲 曲な】 + 目次 目次 曲紹介 歌詞 コメント 作詞:コーホーP 作曲:コーホーP 編曲:コーホーP 唄:初音ミク 曲紹介 曲名:『涙のチョコレートモンスター』(なみだのチョコレートモンスター) 歌詞 3つ目のチョコをかじった瞬間 突然の出会い訪れた 笑顔のなかったこの部屋が 甘い香りに包まれて ねぇ 君はにこにこしながら そんな口元を真似しながら 不埒なお前は檻に閉じ込められて 夜中に何を食い漁る 子供が夜中に抱いて寝たいのとは ホッペの模様がちょっと違うけれど 瞼の動きで僕には分るよ? オヤスミの時間なんだね ミルクチョコレートの中に 愉快な君が隠れてる 子供が夜中に抱いて寝たいのとは ホッペの模様がちょっと違うけれど 瞼の動きで僕には分るよ オヤスミの時間なんだね 大人になるために必要なんだ ここから逃げ出したいんだね... 流れる涙で僕には分るよ サヨナラの時間なんだね コメント ちょっとのんびりした曲で、歌詞感動した!! -- 名無しさん (2011-07-29 16 16 02) 感動しました(ToT) -- ミク大好き人間 (2012-09-14 21 16 39) 名前 コメント