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浪江町の子ども、生涯3ミリシーベルト未満も 内部被曝調査で 浪江町の子ども、生涯3ミリシーベルト未満も 内部被曝調査で 2011/9/12 23 28 東京電力福島第1原子力発電所事故で福島県の健康管理調査を先行的に受けた住民3373人のうち、内部被曝(ひばく)線量が最も高かったのは同県浪江町の子ども2人で、生涯3ミリシーベルト未満と推計されることが分かった。県が12日に公表。「全員健康に影響が及ぶ数値ではない」としている。 先行調査は浪江町をはじめ、川俣町、飯舘村など11市町村の住民が対象で、4~9歳は1149人、10代は1433人、20歳以上は791人。そのうち内部被曝線量が最大だったのは浪江町の男児(7)と女児(5)で、2ミリシーベルト以上3ミリシーベルト未満だった。1ミリシーベルト以上2ミリシーベルト未満は同町の5~7歳の男女5人。残る全員は1ミリシーベルト未満だった。 内部被曝は食事や呼吸などで放射性物質を体内に取り込むことによって受ける。県は、8月から約200万人の全県民を対象とした健康管理調査を本格化させたが、原発事故による被曝のリスクが高い地域を対象に先行的に内部被曝検査を実施した。 11市町村の住民は6月27日~8月31日にかけて、千葉市の放射線医学総合研究所や茨城県東海村の日本原子力研究開発機構にあるホールボディーカウンターと呼ばれる装置で受診。成人の場合は今後50年間、子どもは70歳になるまでの累積の内部被曝線量を推計した。〔共同〕
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福島県 被災・救援ミュージアム情報 総合博物館(1) / 歴史・民俗博物館(3) / 美術館(2)/科学館・プラネタリウム(0)/ 動物園・水族館・植物園(1) / その他(0) 総合博物館 福島県立博物館 歴史・民俗博物館 福島県文化センター・福島県歴史資料館 福島県文化財センター白河館「まほろん」 白河市歴史民俗資料館 相馬市歴史民俗資料館 美術館 福島県立美術館 諸橋近代美術館 動物園・水族館・植物園 アクアマリンふくしま (掲載順・順不同) 最終更新日時:2011/3/25 0:00 ■総合博物館 ミュージアム名 福島県立博物館 〒 住所/電話番号※/メールアドレス※ 〒965-0807 福島県会津若松市城東町1-25 TEL:0242(28)6000 FAX:0242(28)5986 Email:netmaster@general-museum.fks.ed 公式サイトhttp //www.general-museum.fks.ed.jp/index.html 被災情報: 『屋根一部損傷修理中。展示物に大きな損傷はない。収蔵資料に多少の被害がある。安全点検のため休館中。』(ふくしま史料ネットblogから、3/19時点の情報) 職員・利用者の被害: なし 施設の被害: 多少の被害有り (屋根一部損傷修理中) 収蔵品・展示の被害: 多少の被害有り (展示物に大きな損傷なし。収蔵資料に多少の被害) その他の被害: 運営情報: 安全が確認できるまで休館 (《》2011/03/28 haniko追記) 《依然休館中だが、部分開館を実施。3/26(土)より当分の間。9 30-17 00。入館無料。月休。 『長い避難生活を送られている方々、福島県の歴史・文化のすばらしさを感じ、元気になっていただければと思います。ぜひご来館下さい。』》 救援情報: 自由記述(求める/求められている救援情報を詳しく記入しましょう) 情報源: 史料ネットML 福島県立博物館公式サイト ふくしま歴史資料保存ネットワークhttp //blog.ap.teacup.com/fukushimanet/ 記入者(Twitterアカウント等でも結構です) haniko(2011/03/28, 30) ta_niiyan(3/16 12 25) 元情報(自分の目で確認、MLへの関係者の投稿から等) 矢田@新潟歴史資料救済ネットワーク事務局 まほろんサイト(http //www.mahoron.fks.ed.jp/)アクセス可(2011/03/28 02 30現在)haniko3/16 12 20現在 まほろんサイト(http //www.mahoron.fks.ed.jp/)にはアクセス不能 ■歴史・民俗博物館 ミュージアム名 福島県文化センター・福島県歴史資料館 〒 住所/電話番号※/メールアドレス※ 被災情報: 職員・利用者の被害: 不明 職員全員無事(3/25 全史料協) 施設の被害: 甚大な被害 収蔵品・展示の被害: 不明 資料床に落下。ガラス破損など(3/25 全史料協) その他の被害: 運営情報: しばらくの間閉館 救援情報: 自由記述(求める/求められている救援情報を詳しく記入しましょう) 情報源: #jishinmuse http //yamagatuko.sakura.ne.jp/bunka/newpage1.html 記入者(Twitterアカウント等でも結構です) azusacchi(3/16 1 30) , ta_niiyan(4/8 13 45) 元情報(自分の目で確認、MLへの関係者の投稿から等) 福島県文化センター緊急仮ページ[公式サイトは閉鎖中]takibata#jishinmuseQT@siryo_net 史料ネットブログに、ふくしま史料ネットの本間さんにコメントをいただきました! http //j.mp/eTFANO 福島県文化センター・福島県歴史資料館は、被災により当分の間休館となります http //j.mp/gkJpUj ミュージアム名 福島県文化財センター白河館「まほろん」 〒 住所/電話番号※/メールアドレス※ 被災情報: 職員・利用者の被害: 施設の被害: かなりの被害が出ている。 『収蔵庫の鉄骨が破断。基礎にもひびが入り、収蔵庫は立ち入り禁止状態。他にも被害があり休館中。』(3/29) 収蔵品・展示の被害: かなりの被害が出ている。 その他の被害: 運営情報: 救援情報: 自由記述(求める/求められている救援情報を詳しく記入しましょう) 情報源: 史料ネットML ふくしま歴史資料保存ネットワークhttp //blog.ap.teacup.com/fukushimanet/ 記入者(Twitterアカウント等でも結構です) haniko(2011/03/28 02 30) ta_niiyan(3/16 12 25) 元情報(自分の目で確認、MLへの関係者の投稿から等) 矢田@新潟歴史資料救済ネットワーク事務局 まほろんサイト(http //www.mahoron.fks.ed.jp/)アクセス可(2011/03/28 02 30現在)haniko3/16 12 20現在 まほろんサイト(http //www.mahoron.fks.ed.jp/)にはアクセス不能 ミュージアム名 白河市歴史民俗資料館 〒 住所/電話番号※/メールアドレス※ 被災情報: 職員・利用者の被害: 施設の被害: 被害なし 収蔵品・展示の被害: その他の被害: 城郭の石垣が崩れている 運営情報: 救援情報: 自由記述(求める/求められている救援情報を詳しく記入しましょう) 情報源: 史料ネットML(3/16現在) 記入者(Twitterアカウント等でも結構です) ta_niiyan(3/19 0 12) 元情報(自分の目で確認、MLへの関係者の投稿から等) 矢田@新潟歴史資料救済ネットワーク事務局 ミュージアム名 相馬市歴史民俗資料館 〒 住所/電話番号※/メールアドレス※ 〒976-8601 福島県相馬市中村字大手先13 電話0244-37-2191 ファクス0244-37-2617 電子メールsy-syogai@city.soma.fukushima.jp 相馬デジタルミュージアムhttp //www.city.soma.fukushima.jp/digital/index.html 被災情報: 『【相馬市】相馬市史編纂室から情報をお寄せいただきました。 (1)市史編さん室の建物・パソコン・データ・スタッフは無事。 (2)相馬市歴史民俗資料館は、天井の落下、展示ケースのガラス破損、常設展示品数点の破損あり。復旧の目処は立っていない。収蔵庫は照明がつかず、本棚が倒れて書籍等が散乱。収蔵庫内の状況把握には時間がかかりそう。』 職員・利用者の被害: 施設の被害: 収蔵品・展示の被害: その他の被害: 運営情報: 当分の間休館 救援情報: 自由記述(求める/求められている救援情報を詳しく記入しましょう) 情報源: ふくしま歴史資料保存ネットワーク(福島県文化振興事業団(福島県歴史資料館)が運営)の暫定ブログhttp //blog.ap.teacup.com/fukushimanet/ 記入者(Twitterアカウント等でも結構です) haniko(2011/03/29) 元情報(自分の目で確認、MLへの関係者の投稿から等) ■美術館 ミュージアム名 福島県立美術館 〒 住所/電話番号※/メールアドレス※ 〒960-8003 福島市森合字西養山1 024-531-5551/5552 被災情報: 職員・利用者の被害: 施設の被害: 玄関の天井板がはく落 収蔵品・展示の被害: 彫刻作品の一部が転倒破損 その他の被害: 運営情報: お知らせ(2011年3月16日更新)震災被害のため当面のあいだ休館いたします。 救援情報: 自由記述(求める/求められている救援情報を詳しく記入しましょう) 情報源: http //www.art-museum.fks.ed.jp/menu_j.html http //www.nikkei.com/news/article/g=96959996889DE0E7E0E5E3E0E5E2E3EAE2E1E0E2E3E39091EAE2E2E2 #jishinmuse 記入者(Twitterアカウント等でも結構です) azuascchi(3/21 0 30) 元情報(自分の目で確認、MLへの関係者の投稿から等) 公式サイト 日本経済新聞2011-3-19 朝刊takibata福島県立美術館、宮城県美術館、水戸芸術館の被害状況 今日の日経朝刊にも同様の記事があります#jishinmuseRT @mkshj4 東日本大震災、美術・博物館が損壊 展覧会中止も相次ぐ :日本経済新聞http //s.nikkei.com/hF9Gvf2011年3月19日 16 38 02webから ミュージアム名 諸橋近代美術館 〒 住所/電話番号※/メールアドレス※ 〒969-2701 福島県耶麻郡北塩原村大字桧原字剣ヶ峰1093番23 TEL.0241-37-1088 FAX.0241-32-3332 E-MAIL morohashi@dali.jp 被災情報: 美術作品(絵画、彫刻など)及び美術館建物ともに大きな破損・損傷等は認められなかった。冬期休館中のため、来館者がなく、職員の怪我もなかったが、来館者の安全が確保できないこと、 インフラの復旧が長期間に渡ること などの現状を踏まえ、4月20日の開幕を予定していた 企画展「シャガールとデュフィ」及び 常設展「サルバドール・ダリの世界」並びに関連事業を中止。今後の展覧会については、決まり次第ホームページでお知らせ。 職員・利用者の被害: なし 施設の被害: なし 収蔵品・展示の被害: なし その他の被害: 運営情報: 救援情報: 自由記述(求める/求められている救援情報を詳しく記入しましょう) 情報源: 日本博物館協会のHPより 記入者(Twitterアカウント等でも結構です) 奥本素子 元情報(自分の目で確認、MLへの関係者の投稿から等) 不明 ■科学館・プラネタリウム ■動物園・水族館・植物園 ミュージアム名 アクアマリンふくしま 〒 住所/電話番号※/メールアドレス※ 福島県いわき市小名浜字辰巳町50 0246-73-2525 被災情報: 職員・利用者の被害: 来館者、職員80人は3階に避難。全員無事との事。 施設の被害: 事務所は水没のようです。2階まで浸水。水槽も破損しているようです 収蔵品・展示の被害: 被害甚大。魚類は全滅に近い。海獣は鴨川AQが引き取る。何もできないので、引き取りが終われば一度退去する予定(3/18 日動水) その他の被害: 運営情報: 公式サイト復活も情報なし(3/ 21 0 30)公式サイト閉鎖中(3/14 22 30) 救援情報: 自由記述(求める/求められている救援情報を詳しく記入しましょう) @yoshibunbun アクアマリンに生き物を引き取りたいとの声が寄せられています。ありがとうございます。生き物は協会を通して、引き取り先を見つけていただきました。職員が育てているものもいますので、どうか見守って下さい。2011年3月19日 11 11 44webから 情報源: #jishinmusehttp //www.marine.fks.ed.jp/のキャッシュ(2011年3月14日 04 30 46 GMT) 記入者(Twitterアカウント等でも結構です) ta_niiyan(4/8 13 50 「収蔵品・展示の被害」に「日動水」情報を追記) azusacchi(3/21 0 30 救援情報への追記) azusacchi(3/14 22 30) 元情報(自分の目で確認、MLへの関係者の投稿から等) takibata#jishinmuseQT @AkiraUchiyama 福島県小名浜の水族館「アクアマリンふくしま」では『来館者、職員80人は3階に避難。全員無事との事。事務所は水没のようです』との関係者からFBにて情報がありました。2階まで浸水。水槽も破損しているようですが、場内は皆、 ■その他
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子どもの権利委員会:総括所見:日本(第3回)〔後編〕 (子どもの権利員会:総括所見:日本(第3回)〔前編〕より続く) 5.家庭環境および代替的養護(条約第5条、第18条(第1~2項)、第9~11条、第19~21条、第25条、第27条(第4項)および第39条) 家庭環境 50.日本社会で家族の価値が不朽の重要性を獲得していることは承知しつつ、委員会は、親子関係の悪化にともなって子どもの情緒的および心理的ウェルビーイングに否定的影響が生じており、子どもの施設措置という結果さえ生じていることを示す報告があることを懸念する。委員会は、これらの問題が、高齢者と乳幼児のケアとの間で生じる緊張、ならびに、貧困がとくにひとり親世帯に及ぼす影響に加え、学校における競争、仕事と家庭生活の両立不可能性等の要因から生じている可能性があることに留意する。 51.委員会は、締約国が家族を支援しかつ強化するための措置を導入するよう勧告する。そのための手段としては、子育ての責任を履行する家族の能力を確保する目的で男女双方を対象として仕事と家庭生活との適切なバランスを促進すること、親子関係を強化すること、および、子どもの権利に関する意識啓発を図ることなどがあげられる。委員会はさらに、社会サービス機関が、子どもの施設措置を防止するためにも、不利な立場に置かれた子どもおよび家族に優先的に対応し、かつ適切な金銭的、社会的および心理的支援を提供するよう勧告する。 親のケアを受けていない子ども 52.委員会は、親のケアを受けていない子どもを対象とする、家族を基盤とした代替的養護に関する政策が存在しないこと、家族から引き離されて養護の対象とされる子どもの人数が増えていること、小集団の家庭型養護を提供しようとする努力にも関わらず多くの施設の水準が不十分であること、および、代替的養護施設において子どもの虐待が広く行なわれているという報告があることに、懸念とともに留意する。これとの関連で、委員会は、遺憾ながら広く実施はされていないものの、苦情申立て手続が設けられたことに留意する。委員会は、里親が義務的研修を受け、かつ増額された手当を受給していることを歓迎するが、一部類型の里親が金銭的支援を受けていないことを懸念する。 53.委員会は、第18条に照らし、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a)子どもの養護を、里親家庭、または居住型養護における小集団編成のような家庭的環境のもとで提供すること。 (b)里親養護を含む代替的養護現場の質を定期的に監視し、かつ、あらゆる養護現場による適切な最低基準の遵守を確保するための措置をとること。 (c)代替的養護現場における児童虐待を調査し、かつその責任者を訴追するとともに、虐待の被害者が苦情申立て手続、カウンセリング、医療的ケアその他の適切な回復援助にアクセスできることを確保すること。 (d)金銭的支援がすべての里親に提供されるようにすること。 (e)「子どもの代替的養護に関する国連指針」(国連総会決議A/RES/64/142参照)〔厚生労働省仮訳(PDF)〕を考慮すること。 養子縁組 54.委員会は、養親またはその配偶者の直系卑属である子どもの養子縁組が司法機関による監督または家庭裁判所の許可を受けずに行なえることに、懸念とともに留意する。委員会はさらに、国外で養子とされた子どもの登録機関が存在しないことを含め、国際養子縁組が十分に監督されていないことを懸念する。 55.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a)すべての養子縁組が司法機関による許可の対象とされ、かつ子どもの最善の利益にしたがって行なわれること、および、養子とされたすべての子どもの登録機関が維持されることを確保するための措置をとり、かつこれを効果的に実施すること。 (b)国際養子縁組についての子の保護および協力に関するハーグ第33号条約(1993年)の批准を検討すること。 児童虐待およびネグレクト 56.委員会は、虐待防止のための機構を定めかつ執行する、児童虐待防止法および児童福祉法の改正等の措置を歓迎する。しかしながら委員会は、民法上の「親権」概念によって「包括的支配」を行なう権利が与えられていることおよび親が過大な期待を持つことにより、子どもが家庭で暴力を受けるおそれが生じていることを依然として懸念する。委員会は、児童虐待の発生件数が増え続けていることに、懸念とともに留意する。 57.委員会は、締約国が、以下のものを含む措置をとることにより、児童虐待の問題に対応する現在の努力を強化するよう勧告する。 (a)虐待およびネグレクトの否定的影響に関する公衆教育プログラム、ならびに家族発達プログラムを含む防止プログラムを実施し、かつ、積極的な、非暴力的形態のしつけを促進すること。 (b)家庭および学校で虐待の被害を受けた子どもに十分な保護を提供すること。 6.基礎保健および福祉(条約第6条、第18条(第3項)、第23条、第24条、第26条および第27条(第1~3項)) 障がいのある子ども 58.委員会は、締約国が、障がいのある子どもを支援し、学校における交流学習を含む社会参加を促進し、かつその自立を発達させることを目的として、法律の採択ならびにサービスおよび施設の設置を進めてきたことに留意する。委員会は、根深い差別がいまなお存在すること、および、障がいのある子どものための措置が注意深く監視されていないことを、依然として懸念する。委員会はまた、必要な設備および便益を用意するための政治的意思および財源が欠けていることにより、障がいのある子どもによる教育へのアクセスが引き続き制約されていることにも留意する。 59.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a)障がいのあるすべての子どもを全面的に保護するために法律の改正および採択を行なうとともに、進展を注意深く記録し、かつ実施における欠点を明らかにする監視システムを確立すること。 (b)障がいのある子どもの生活の質を高め、その基本的ニーズを満たし、かつそのインクルージョンおよび参加を確保することに焦点を当てた、コミュニティを基盤とするサービスを提供すること。 (c)存在している差別的態度と闘い、かつ障がいのある子どもの権利および特別なニーズについて公衆の感受性を高めること、障がいのある子どもの社会へのインクルージョンを奨励すること、ならびに、意見を聴かれる子どもおよびその親の権利の尊重を促進することを目的とした、意識啓発キャンペーンを実施すること。 (d)障がいのある子どものためのプログラムおよびサービスに対して十分な人的資源および財源を提供するため、あらゆる努力を行なうこと。 (e)障がいのある子どものインクルーシブ教育のために必要な便益を学校に備えるとともに、障がいのある子どもが希望する学校を選択し、またはその最善の利益にしたがって普通学校と特別支援学校との間で移行できることを確保すること。 (f)障がいのある子どものためにおよびそのような子どもとともに活動している非政府組織(NGO)に対し、援助を提供すること。 (g)教職員、ソーシャルワーカーならびに保健・医療・治療・養護従事者など、障がいのある子どもとともに活動している専門的職員を対象とした研修を行なうこと。 (h)これとの関連で、障がいのある人の機会均等化に関する国連基準規則(国連総会決議48/96)および障がいのある子どもの権利に関する委員会の一般的意見9号(2006年)を考慮すること。 (i)障がいのある人の権利に関する条約(署名済み)およびその選択議定書(2006年)を批准すること。 メンタルヘルス 60.委員会は、著しい数の子どもが情緒的ウェルビーイングの水準の低さを報告していること、および、親および教職員との関係の貧しさがその決定要因となっている可能性があることを示すデータに留意する。委員会はまた、発達障がい者支援センターにおける注意欠陥・多動性障がい(ADHD)の相談数が増えていることにも留意する。委員会は、ADHDの治療に関する調査研究および医療専門家の研修が開始されたことを歓迎するが、この現象が主として薬物によって治療されるべき生理的障がいと見なされていること、および、社会的決定要因が正当に考慮されていないことを懸念する。 61.委員会は、締約国が、子どもおよび思春期の青少年の情緒的および心理的ウェルビーイングの問題に、あらゆる環境における効果的支援を確保する学際的アプローチを通じて対応するための効果的措置をとるよう勧告する。委員会はまた、締約国が、ADHDの診断数の推移を監視するとともに、この分野における調査研究が製薬産業とは独立に実施されることを確保するようにも勧告する。 保健サービス 62.委員会は、行動面に関わる学校の期待を満たさない子どもが児童相談所に送致されることに、懸念とともに注目する。委員会は、専門的処遇の水準(意見を聴かれる子どもの権利の実施および子どもの最善の利益の考慮を含む)に関する情報が存在しないことを懸念するとともに、成果の体系的評価が利用されていないことを遺憾に思う。 63.委員会は、締約国が、児童相談所システムおよびその作業方法に関する独立の調査(リハビリテーションの成果に関する評価も含む)を委託し、かつ、このレビューの結果に関する情報を次回の定期報告書に含めるよう勧告する。 HIV/AIDS 64.委員会は、HIV/AIDSその他の性感染症の感染率が上昇していること、および、これらの健康問題に関する思春期の青少年向けの教育が限定されていることに懸念を表明する。 65.委員会は、締約国が、学校カリキュラムにリプロダクティブ・ヘルス〔性と生殖に関わる健康〕教育が含まれることを確保し、かつ思春期の青少年に対して自己のリプロダクティブ・ライツ〔性と生殖に関わる権利〕に関する情報(10代の妊娠およびHIV/AIDSを含む性感染症の予防に関するものを含む)を全面的に提供するとともに、思春期の健康および発達に関する委員会の一般的意見4号(2003年)を考慮に入れながら、HIV/AIDSその他の性感染症の予防のためのすべてのプログラムに思春期の青少年が容易にアクセスできることを確保するよう勧告する。 十分な生活水準に対する権利 66.対話の際、委員会は、すべての子どもを対象とする改善された子ども手当制度が2010年4月から施行された旨の情報を提供されたが、この新たな措置が、貧困下で暮らしている人口の割合(15%)を、生活保護法およびひとり親家庭(とくに女性が世帯主である世帯)を援助するためのその他の措置のような現在適用されている措置よりも効果的に低下させることにつながるかどうか評価するためのデータは、利用可能とされていない。委員会は、財政政策および経済政策(労働規制緩和および民営化戦略等)が、賃金削減、女性と男性の賃金格差ならびに子どものケアおよび教育のための支出の増加により、親およびとくにシングルマザーに影響を与えている可能性があることを懸念する。 67.委員会は、締約国が子どもの貧困を根絶するために適切な資源を配分するよう勧告する。そのための手段には、貧困の複雑な決定要因、発達に対する子どもの権利およびすべての家族(ひとり親家族を含む)に対して確保されるべき生活水準を考慮に入れながら、貧困削減戦略を策定することも含まれる。委員会はまた、締約国に対し、親は子育ての責任を負っているために労働の規制緩和および流動化のような経済戦略に対処する能力が制約されていることを考慮に入れるとともに、金銭的その他の支援の提供によって、子どものウェルビーイングおよび発達にとって必要な家族生活を保障することができているかどうか、注意深く監視するよう促す。 子どもの扶養料の回復 68.子どもの扶養料の回復を図ることを目的とした民事執行法の制定(2004年)には留意しつつ、委員会は、別居または離婚した親(出国した者を含む)の多く(ほとんどは父親)が扶養義務を果たしていないこと、および、未払いの扶養料を回復するための現行手続が十分ではないことを懸念する。 69.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a)婚姻しているか否かに関わらず、両方の親がその子どもの扶養に公平に貢献すること、および、いずれかの親が義務を履行しない場合に扶養義務が効果的に回復されることを確保する、現行の法律および措置の実施を強化すること。 (b)新たな機構(すなわち、債務不履行の親の扶養義務を履行し、かつ、その後、適切な場合には民事上または刑事上の法律を通じて未払金を回収する国家基金)を設立し、扶養料の支払いがこの機構を通じて回復されることを確保すること。 (c)親責任および子の保護措置についての管轄権、準拠法、承認、執行および協力に関するハーグ第34号条約(1996年)を批准すること。 7.教育、余暇および文化的活動(条約第28条、第29条および第31条) 教育(職業訓練および職業指導を含む) 70.委員会は、日本の学校制度によって学業面で例外的なほど優秀な成果が達成されてきたことを認めるが、学校および大学への入学を求めて競争する子どもの人数が減少しているにも関わらず過度の競争に関する苦情の声があがり続けていることに、懸念とともに留意する。委員会はまた、このような高度に競争的な学校環境が就学年齢層の子どものいじめ、精神障がい、不登校、中途退学および自殺を助長している可能性があることも、懸念する。 71.委員会は、学業面での優秀な成果と子ども中心の能力促進とを結合させ、かつ、極端に競争的な環境によって引き起こされる悪影響を回避する目的で、締約国が学校制度および大学教育制度を再検討するよう勧告する。これとの関連で、締約国は、教育の目的に関する委員会の一般的意見1号(2001年)を考慮するよう奨励される。委員会はまた、締約国が、子ども同士のいじめと闘う努力を強化し、かつそのような措置の策定に子どもたちの意見を取り入れるよう勧告する。 72.委員会は、中国系、北朝鮮系その他の出身の子どもを対象とした学校に対する補助金が不十分であることを懸念する。委員会はまた、このような学校の卒業生が日本の大学の入学試験を受けられない場合があることも懸念する。 73.委員会は、締約国に対し、外国人学校への補助金を増額し、かつ大学入試へのアクセスにおいて差別が行なわれないことを確保するよう奨励する。締約国は、ユネスコ・教育差別禁止条約の批准を検討するよう奨励される。 日本政府のコメント 「各種学校」として認可されている外国人学校のほとんどは、実際には自治体による補助を受けている。さらに、これらの学校の卒業生が日本の大学入学試験を受験する資格がない場合がある旨の委員会の懸念については、中等学校を修了した者または同等の学力を有する者は、国籍に関わらず、誰でも大学入学試験の受験資格を有する。外国人学校の卒業生に関しては、以下の基準を満たす者は誰でも大学入学試験の受験資格を有するところである。 1)母国によって高等学校相当の課程を有する旨認定されている日本の外国人学校を卒業した者。 2)国際的な評価団体の認定を受けた外国人学校の12年の課程を修了した者。 3)大学が行う個別の入学資格審査により、高等学校を卒業した者に相当する以上の学力を有していると認められた者。 したがって、委員会の懸念は誤解に基づくものである。 74.委員会は、日本の歴史教科書においては歴史的出来事に対する日本側の解釈しか記述されていないため、地域の異なる国々出身の子どもの相互理解が増進されていないという情報があることを懸念する。 75.委員会は、締約国が、検定教科書においてアジア・太平洋地域の歴史的出来事に関するバランスのとれた見方が提示されることを確保するよう勧告する。 日本政府のコメント 小中高校で使用される教科書に適用される教科書検定制度において、政府は歴史または歴史的事件に関する一定の見方を決定する立場にはない。民間企業が制作・編集する教科書の欠陥(明らかな誤りや著しく均衡を書いた記述など)を、審査時における客観的な学問的知見その他の適切な資料に照らして指摘するのは、政府関係者ではない研究者等から構成される教科書用図書検定調査審議会である。審査は、とくに他国を尊重し、国際社会の平和と発展に寄与する態度を養うことを目的とする教育基本法と、近隣のアジア諸国との間の国際理解と国際協調の見地から必要な配慮がされているべきである旨の指針を掲げる、〔文部科学〕省の教科用図書検定指針である。したがって、日本の歴史教科書が、歴史的事件に関して日本の解釈のみを反映しているため、他国の児童との相互理解を強化していないという委員会の懸念は当を得ていない。 日本政府は、歴史教育の適正な実施を通じ、日本と世界に関する理解を深め、近隣諸国を含む他国との相互理解および相互信頼を強化しようと努めているところである。 遊び、余暇および文化的活動 76.委員会は、締約国が休息、余暇および文化的活動に対する子どもの権利を想起するよう求めるとともに、公共の場所、学校、子ども施設および家庭における子どもの遊び時間その他の自主的活動を促進しかつ容易にする取り組みを支援するよう勧告する。 8.特別な保護措置(条約第22条、第38条、第39条、第40条、第37条(b)および(d)、第30条ならびに第32~36条) 保護者のいない難民の子ども 77.委員会は、犯罪活動の疑いが存在しない場合でさえ庇護希望者の子どもを収容する慣行が広く行なわれていること、および、保護者のいない庇護希望者の子どもをケアする機構が確立されていないことに懸念を表明する。 日本政府のコメント 「犯罪行為の疑いがない場合でも庇護申請児童を収容する慣行が広く行われていること」に対する委員会の懸念については、犯罪的活動に数えられる退去強制事由もなく庇護申請児童が収容されることは考えにくい。また、「慣行が広く行われている」という点については、これらの児童の収容はやむを得ない場合に限られている。したがって、委員会の懸念は事実誤認に基づくものである。 78.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a)庇護希望者の子どもの収容を防止し、このような子どもの入管収容施設からの即時釈放を確保し、かつ、このような子どもに宿泊所、適切なケアおよび教育へのアクセスを提供するため、正式な機構の確立等を通じて即時的措置をとること。 (b)公正かつ子どもに配慮した難民認定手続のもと、子どもの最善の利益が第一次的に考慮されることを確保しながら、保護者のいない子どもの庇護申請の処理を迅速に進めるとともに、後見人および法定代理人を任命し、かつ親その他の近親者の所在を追跡すること。 (c)国連難民高等弁務官(UNHCR)の「子どもの最善の利益の公式な決定に関するガイドライン」および「難民の保護およびケアに関するガイドライン」を考慮しながら、難民保護の分野における国際基準を尊重すること。 人身取引 79.委員会は、人身取引を刑法上の犯罪と定めた刑法改正(2005年7月施行)および2009年の「人身取引対策行動計画」を歓迎する。しかしながら委員会は、同行動計画のために用意された資源、調整および監視のための機関、ならびに、人身取引対策がとくに子どもに与える影響についての情報が存在しないことに留意する。 80.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a)とくに子どもの人身取引に対応するための措置の効果的監視を確保すること。 (b)人身取引の被害者に対し、身体的および心理的回復のための援助が提供されることを確保すること。 (c)行動計画の実施に関する情報を提供すること。 (d)国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約を補足する人、とくに女性および子どもの取引を防止し、抑止しおよび処罰するための議定書(2000年)を批准すること。 性的搾取 81.委員会は、締約国の第2回定期報告書の審査後にも留意された、買春によるものも含む子どもの性的搾取件数が増えていることに対する懸念をあらためて繰り返す。 82.委員会は、子どもの性的搾取の事件を捜査しかつ加害者を起訴するとともに、性的搾取の被害者に対してカウンセリングその他の回復援助を提供する努力を締約国が強化するよう勧告する。 少年司法の運営 83.委員会は、2000年の少年法改正においてどちらかといえば懲罰的なアプローチが採用され、罪を犯した少年の権利および司法上の保障が制限されてきた旨の、締約国の第2回報告書(CRC/C/104/Add.2)の検討を受けて2004年2月に表明した前回の懸念(CRC/C/15/Add.231)をあらためて繰り返す。とりわけ、刑事責任年齢〔刑事処分年齢〕が16歳から14歳に引き下げられたことにより、教育的措置がとられる可能性が低くなり、14~16歳の多くの子どもが矯正施設への収容の対象とされている。また、重罪を犯した16歳以上の子どもは刑事裁判所に送致される可能性があり、審判前の身体拘束〔観護措置〕期間は4週間から8週間に延長され、かつ、非職業裁判官制度である裁判員制度は、専門機関である少年〔家庭〕裁判所による、罪を犯した子どもの処遇の障害となっている。 日本政府のコメント パラ83の「起訴前勾留」(pretrial detention)は、パラ84ないし85(g)にいう「起訴前勾留」とは明らかに異なる概念であるので、「観護措置」(protective detention)に訂正されるべきである。 84.委員会はさらに、成人刑事裁判所に送致される少年の人数が顕著に増加していることを懸念するとともに、法に抵触した子どもに認められている手続的保障(弁護士にアクセスする権利を含む)が制度的に実施されていないため、とくに自白の強要および不法な捜査実務が行なわれていることを遺憾に思う。委員会はまた、少年矯正施設における被収容者への暴力が高い水準で行なわれていること、および、少年が審判前に成人と勾留される可能性があることも懸念する。 85.委員会は、締約国に対し、少年司法における子どもの権利に関する委員会の一般的意見10号(2007年)を考慮に入れながら、少年司法制度を条約、とくに第37条、第40条および第39条、ならびに、少年司法の運営に関する国連最低基準規則(北京規則)、少年非行の防止のための国連指針(リャド・ガイドライン)、自由を奪われた少年の保護に関する国連規則(ハバナ規則)および刑事司法制度における子どもに関する行動についてのウィーン指針を含む少年司法分野のその他の国連基準と全面的に一致させる目的で、少年司法制度の運用を再検討するよう促す。とりわけ委員会は、締約国がとくに以下の措置をとるよう勧告する。 (a)子どもが刑事司法制度と接触することにつながる社会的条件を解消するために家族およびコミュニティの役割を支援することのような防止措置をとるとともに、その後のスティグマを回避するためにあらゆる可能な措置をとること。 (b)刑事責任〔刑事処分〕に関する最低年齢との関連で法律を見直し、従前の16歳に引き上げることを検討すること。 (c)刑事責任年齢に達していない子どもが刑法犯として扱われまたは矯正施設に送られないこと、および、法に抵触した子どもが常に少年司法制度において対応され、専門裁判所以外の裁判所で成人として審理されないことを確保するとともに、このような趣旨で裁判員制度を見直すことを検討すること。 (d)現行の法律扶助制度の拡大等により、すべての子どもが手続のあらゆる段階で法的その他の援助を提供されることを確保すること。 (e)可能な場合には常に、保護観察、調停、地域奉仕命令または自由剥奪刑の執行停止のような、自由の剥奪に代わる措置を実施すること。 (f)(審判前および審判後の)自由の剥奪が最後の手段として、かつ可能なかぎり短い期間で適用されること、および、自由の剥奪がその中止の観点から定期的に再審査されることを確保すること。 (g)自由を奪われた子どもが、審判前の身体拘束の時期も含め、成人とともに収容されず、かつ教育にアクセスできることを確保すること。 (i)〔(h)〕少年司法制度に関わるすべての専門家が関連の国際基準に関する研修を受けることを確保すること。 マイノリティまたは先住民族の集団に属する子ども 86.アイヌ民族の状況を改善するために締約国がとった措置には留意しながらも、委員会は、アイヌ、コリアン、部落その他のマイノリティの子どもが引き続き社会的および経済的周縁化を経験していることを懸念する。 87.委員会は、締約国に対し、民族的マイノリティに属する子どもへの差別を生活のあらゆる分野で解消し、かつ、条約に基づいて提供されるすべてのサービスおよび援助に対し、このような子どもが平等にアクセスできることを確保するため、あらゆる必要な立法上その他の措置をとるよう促す。 9.フォローアップおよび普及 フォローアップ 88.委員会は、とくに、これらの勧告を高等〔最高〕裁判所、内閣および国会の構成員ならびに適用可能な場合には地方政府に送付して適切な検討およびさらなる行動を求めることにより、これらの勧告が全面的に実施されることを確保するためにあらゆる適切な措置をとるよう勧告する。 総括所見の普及 89.委員会はさらに、条約、その実施および監視に関する意識を促進する目的で、第3回定期報告書、締約国が提出した文書回答およびこの総括所見を、公衆一般、市民社会組織、メディア、若者グループ、専門家グループおよび子どもたちが、インターネット等も通じ、日本の言語で広く入手できるようにすることを勧告する。 日本政府のコメント 第3回定期報告書および事前質問事項に対する文書回答は、委員会への提出後直ちに、英語および日本語により、インターネットを通じて公衆に提供された。したがって、日本政府はすでに必要な措置をとっている。 次回報告書 90.委員会は、締約国に対し、第4回・第5回統合報告書を2016年5月21日までに提出するように求める。報告書は120ページを超えるべきではなく(CRC/C/118参照)、かつこの総括所見の実施に関する情報が記載されるべきである。 91.委員会はまた、締約国に対し、2006年6月の第5回人権条約機関委員会間会合で承認された統一報告ガイドライン(HRI/MC/2006/3)に掲げられた共通コア・ドキュメントについての要件にしたがい、最新のコア・ドキュメントを提出するよう求める。 更新履歴:ページ作成(2010年6月17日)。/パラ72「子どもを対象とした補助金」を「子どもを対象とした学校に対する補助金」に修正。(同)/パラ57(e)「障害の子ども」を「障害のある子ども」に、パラ84「手続的保障(弁護士にアクセスする権利を含む)が制度的に実施されているため」を「……実施されていないため」に修正。(6月21日)。/関連パラグラフに日本政府のコメントを追加(2011年10月4日)。
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子ども劇場とは? “文化芸術体験・生活文化体験”“子育て支援” これらを通じて『子どもが育つ地域社会づくり』をすすめる団体 それが子ども劇場です!! 紹介 こどもたちは、私たち大人が作った社会の中で生きています。 その中で、常に他人と比較され、ゆとりもなく、 「こども時代をこどもちして過ごしにくい」環境におかれています。 子ども劇場は、文化豊かな環境で生まれる感性は、 「生きる力」につながると考えています。 人と人とがかかわりあうことにこだわり、子どもも、青年も、大人も、たくさんの人がかかわる、次のような体験の場を大切に作っています。 生の舞台芸術を鑑賞したり、何を鑑賞するのかを皆で話し合って決め、自分たちの力で劇団等の公演を呼ぶ。 あそびやうるおいのための自主活動。キャンプやお祭りだったり、ダンスや太鼓のワークショップだったり‥そして大事なおしゃべり、コミュニケーションのいつものサークル会だったり‥と、自主活動だから、なんでもあり! 大人、こども、入り混じって、若い青年も入って異年齢で楽しみます。 年齢とか立場とか、そんな枠取っ払ってあなたの感性次第で何でもあり!の自主運営の会です。 大人も子どもも一緒に、いい友達増やしませんか? 一緒に光ってみませんか? 一緒に体感してみませんか? コメント欄(Wikiの編集が苦手な人・編集報告はこちらに) 名前 コメント
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島根県が夏休みに福島の子供を受け入れ 島根県は、東京電力福島第1原発事故の影響で、不自由な生活を余儀なくされている福島県の子供たちに夏休みを楽しんでもらおうと、中学生以下の児童、生徒と保護者計約70人を対象に、夏休みI期間に島根県内に受け入れ、滞在費用を負担する。昨年に引き続いての実施となる。 今月20日~8月31日の最大9泊10日の日程で、参加者が指定された農村や漁村などの中から希望の場所に滞在すると、食費を含む滞在費などを県が負担する。移動に航空機を使う場合は、保護者と中学生は6万円、小学生以下は3万円の補助もある。 募集開始 7/4(水) 問い合わせ先 県しまね暮らし推進課((電)0852・22・5068) 情報元URL http //sankei.jp.msn.com/region/news/120702/smn12070202020000-n1.htm この情報に付けられたタグ 2012夏休み企画 リフレッシュ疎開 中国地方 島根県
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東日本大震災復興 / 和合亮一 ■ 福島より、SOS! 「ワンダフルわーるど(2012.8.18)」より 福島の実状がなかなか伝わってこない中、 以下のメールをいただきました。 読んでいただければわかりますが、やはり、福島では大変なことが起きています。 皆さん、国もメディアもいっさい報道しないこのようなことを許せますか? 私は怒りで震えています。 福島の人を、見殺しにしようとしている国も東電も許せません。 ぜひ、拡散をお願いします。 (※ 上記ブログにメールは全文掲載されていますが、ここでも全文を掲載します。) 福島の被災者をこのまま放っておいてはいけない。 皆様は福島の被災者の現実をご存じですか? 私は昨年の6月から支援活動を始め、現在は広野町、楢葉町、富岡町、大熊町、双葉町、浪江町、は南相馬(小高、原町、鹿島)の仮設住宅、借り上げ住宅、施設、幼稚園、小学校、中学校、あわせて100カ所以上の方々に支援品送りをさせて頂いている者です。一時は川内村、都路、葛尾村にも支援をさせて頂いておりました。そうした中で、福島県の方々の苦悩を知るにつけ、この苦悩を見て見ぬふりしてはならないと思うようになりました。どうか、皆様、現実の姿を知って、救いの手をさしのべていただきたくお願い申し上げます。 まず、支援品についてです。福島は未だ寝具、衣類、下着、食器、生活消耗品、水、お米、調味料、食品などが不足しており、皆さまの温かいご支援をお願い申し上げます。 災害当初から支援は宮城、岩手に集中しておりました。福島は、原発への恐れからでしょうか、福島へ支援は入ることなく、宮城、岩手に流れておりました。支援品があふれて困っているとお聞きした宮城に、福島にお願い出来ないかと問い合わせましたが、他県に入ったものを福島に流すのは無理とのこと、ここでも決まりがあることを知りました。 私たちの義援金についてお話しさせていただきます。これは日赤の方からうかがった話です。私たちの義援金はそのまま県に渡し、県から市町村、そして被災者にと委ねたそうです。海外からの義援金は被災者への家電6点セット、教育支援、体育館、病院修繕費、ソフト事業費に。日赤としては国から資金をもらうことはなく、以前からの日赤の資金で毛布配りをしたとのことでした。被災者に義援金のことをたずねると、一家族につき5万円、7万円、30万円と町によって異なっておりました。それにしても余りにも少ない義援金。私たちの義援金はどこに使われてしまったのでしょう? 被災者にとって悲しかったことは、国からのお見舞金が何もなかったことです、とおっしゃっていました。 東電の補償金についてお話しいたします。東電は賠償金の一部として昨年秋頃、単身者75万円、一家族(2人でも7人でも一様に)100万円支払いました。しかも申請のためには何ページもの書類を書かせられて。しかし、この賠償金は仮払金なので、全額返すように言われ、12月頃から被災者は返金させられています。また、昨年6月から3カ月毎に、精神的損害金が一人10万円ずつ支払われるようになりました。しかし、このお金も仮払い金なので、6月からの3カ月分を返済するように言われ、被災者は自動的に引かれています。つまり、単身者は105万円、3人家族なら190万円を返金しなければならないのです。人によっては、毎月の10万円で返金することにした、という人もいます。何ということでしょう。お金のない被災者は、どうやって生きて行ったらよいのでしょう? 国民年金のある人は月6万円で生活しています。光熱費、交通費すべてを6万円で。雪国の会津は灯油代の出費も加わり、食費が無く、食事を抜いている人もいると聞きます。被災者に国は生活保護制度を適用できないものでしょうか? 国民年金の年齢に及ばない人、住宅ローンの残っている人、仕事が見つからない人は、さらに深刻です。ある中学校の校長先生から「食事を食べないで来る子もいる。子どもたちはお八つをするチャンスがないので、せめて学校でお八つを食べさせたい。お菓子の支援が欲しい」と頼まれたとき、経済上の深刻さに唖然としました。 双葉町の町役場の責任者からうかがった話ですが、3月11日に職員は出張で仙台に行っていたそうです。それで当日双葉町にいなかったからと言って、東電はその人に賠償金を出さなかった、とのことです。かわいそうに、その職員は、家を新築して3月13日に入る予定だったとのこと。一日も住むことなく、ローンだけが残り、東電からは賠償金ももらえないのです。 福島の被災者に対する国や東電の対応については、いっさい報道されないために、地元の人でさえ本当のことが分からず、「あなた達は東電のお金で楽な生活をしているんでしょう」と言われ、子どもまでもがいじめにあっています。周りから白い目で見られている被災者たちは、お世話になっているからと小さくなって生活し、家の中にこもりがちになり、孤独とストレスで、鬱病、パニック症候群になっていく人が多く、自殺者が絶えなくなりました。死んだ方がまし、死にたい人の気持ちがよくわかる、とよく耳にします。実際、また葬式?と思うほど、仮設の自治会長さんはしょっ中、葬式先から電話を寄こします。私どもが支援している方のお兄様も自殺されました。原発で入れない地域のスーパーの店主。生きる希望を失ったようです。 東北の方は、被災前は何世代も一緒に住む大家族が多いです。肩を寄せ合って生活していました。しかし原発によって、家があっても家に住むことが出来ず、家族はバラバラに引き裂かれ、年寄りは一人仮設に預けられ、冷蔵庫の使い方もわからない方、料理作りをしたこともない80代の方が、細々と生活しています。子どもの声が聞こえない、ひっそりとした仮設で、部屋にこもって出ようとしない人や精神的におかしくなった人、救急車の世話になる人が多くなったと、自治会長さんも悩んでいます。 若い夫婦も、夫は仕事を求めて出稼ぎに行き、親子バラバラになり、精神的に不安定になった妻はアルコール依存症になり、子どもも不安定になり、家族崩壊状態です、と言って小学校の校長先生は胸を痛めておりました。 仮設住宅は人間の環境としては考えられないほど最悪です。私にはとうてい我慢できないと思いました。4.5畳という狭い部屋、押し入れは半畳。収納場所がないため、最低限のものしか置けません。周りに品物を置くと空きスペースは寝るのがやっと。手足を十分に伸ばせません。隣の人の話し声が聞こえるので、小さい声で話したり、テレビも小さい音にして聞いているとのこと。屋根はトタンなので、今は冷房をしないとサウナ風呂に入ったよう。窓は一つでベランダもないので、玄関の戸を閉めると、真っ暗で風通しが悪く、穴蔵に入ったようで、夜は寝られず、熟睡できません、と言います。2~3人家族は4.5畳2間、プライバシーを守ることもできず、空間がありません。ある被災者は、「ここにいると息が詰まりそうで頭がおかしくなります」と言いました。 冬になり暖房をすると結露で床や畳が濡れ、湿気でカビが生えます。また、仮設は杭にチェーンで止めている所もあり、大風が吹くと家が揺れて怖いという所もあります。人間には生活環境が大切で、これでは心身の病気になっていくのは当たり前と言えないでしょうか? 被災者を一日も早く、この環境から救えないのでしょうか? 本腰を入れてアパート等を作り、被災者を仮設から解放できないのでしょうか? 除染について、被災者の声をお伝えします。 「わたしたちの町は、もう住めないことが分かっている。30年40年帰れないことも分かっている。だのに、住めない所をどうして除染するのか。お金を捨てているようなものです。それよりも被災者の生活安定に目を向けて欲しい。別なところに新しい町を作って欲しい。新しい住まいも作って欲しい。除染ばかりに目を向けず、被災者の生活をまず第一にして欲しい。汚染された所は仕方がない。そこを廃棄物置き場にしたら良い。ふる里を失うことは辛いです。しかし、前を向かなければならない。私たちはもう住めないと思っているのですから。しかし、東電と国は除染したがる。そして解除したがる。解除して自宅に帰れると、補償金を出さなくて済むからです。国と東電は一つです」と、ある被災者は言いました。 最近、驚いていることがあります。南相馬市小高区は来年の5~7月ごろ除染することになりました。その前に復興庁は2000万円の予算を出し、被災者に日当で草刈り、ガレキ処理をさせることになりました。「雇用の確保に、ということですが、それは放射能を浴びさせることです」と役場の人も言いました。実際、現場で働く被災者が30分草刈りしたら1.25マイクロシーベルトあった、と言います。彼は担当者に言ったけど無視された、とのこと。現場には役場の人は来ていません。被災者はマスク無しで、普段着姿で働いています。弁当も出ません。そして、5月から働きだして、3カ月過ぎましたが、今でもお金は出ていません。8月10日過ぎに出ると言われた言葉を信じて、被災者たちは黙々と働いています。「お金のない我々は農協からお金を借りて生活しています。8月10日過ぎにお金が入ったら、農協に返金するつもりです。1日8時間、月~土曜日まで働いています。休みは雨の日と日曜だけです。」 皆さま、福島の方々は悲しすぎませんか? 全てが人道的に許されることでしょうか?これは、国をあげての「いじめ」になりませんでしょうか? いじめは犯罪行為でもあります。私は国の無関心、対策の先延ばしに、ナチスのユダヤ人虐殺が重なって感じられます。どうぞ皆様、被災者を救ってください。皆様のグループに現地の方をお呼びしてお話を聞いて下さい。そして物品や義援金のご寄付をお願い申し上げます。ご協力頂けます方は、よろしくお願い申し上げます。 2012年8月3日 (※ 上記記事を知ったのは、ブログ「日本を守るのに右も左もない | 福島より、SOS!」の記事より。 ) .
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子どもの権利委員会・一般的意見13号:あらゆる形態の暴力からの自由に対する子どもの権利(1) 一般的意見一覧 子どもの権利委員会 第56会期(2011年1月17日~2月4日)採択〔注/実際には2011年2月11日の特別会合で採択〕 CRC/C/GC/13(原文英語〔PDF〕) 日本語訳:平野裕二〔日本語訳全文(PDF)〕 目次 I.はじめに II.目的 III.子どもの生活における暴力 IV.第19条の法的分析 A.第19条第1項 B.第19条第2項 V.より幅広い条約上の文脈における第19条の解釈 VI.子どもに対する暴力についての国家的調整枠組み VII.実施のための資源および国際協力の必要性 I.はじめに 1.第19条は次のように定めている。 1.締約国は、親、法定保護者または子どもの養育をする他の者による子どもの養育中に、あらゆる形態の身体的もしくは精神的な暴力、侵害もしくは虐待、放任もしくは怠慢な取扱い、性的虐待を含む不当な取扱いまたは搾取から子どもを保護するためにあらゆる適当な立法上、行政上、社会上および教育上の措置をとる。 2.当該保護措置は、適当な場合には、子どもおよび子どもを養育する者に必要な援助を与える社会計画の確立、およびその他の形態の予防のための効果的な手続、ならびに上記の子どもの不当な取扱いについての実例の認定、報告、照会、調査、処理および追跡調査のため、および適当な場合には、司法的関与のための効果的な手続を含む。 (訳者注/国際教育法研究会訳を一部修正。) 2.この一般的意見がまとめられた理由。子どもの権利委員会(以下「委員会」)が子どもの権利条約(以下「条約」)第19条に関するこの一般的意見を発表するのは、子どもに対して振るわれている暴力の規模および激しさが憂慮すべき状態だからである。子どもの発達、および、社会が潜在的に有する非暴力的な紛争解決策を脅かすこのような慣行に効果的に終止符を打つためには、暴力を終わらせるための措置が大規模に強化および拡大されなければならない。 3.概要。この一般的意見は、以下の基本的前提および所見を基盤とするものである。 (a) 「子どもに対する暴力はいかなるものも正当化できず、子どもに対するあらゆる暴力は防止可能である」 [1]。 (b) 子どもの養育および保護に対する子どもの権利基盤アプローチのためには、子どもをもっぱら「被害者」として見るのではなく、権利を有する個人としての子どもの人間としての尊厳ならびに身体的および心理的不可侵性を尊重しかつ促進する方向へのパラダイム転換が必要である。 (c) 尊厳という考え方は、すべての子どもが権利の保有者として、かつ、個人の人格、特有のニーズ、利益およびプライバシーを有する、かけがえのない、価値あるひとりの人間として承認され、尊重されかつ保護されることを要求する。 (d) 法の支配の原則は、おとなに対して適用されるのと同様に、子どもに対しても全面的に適用されるべきである。 (e) 意見を聴かれ、かつその意見を正当に重視される子どもの権利があらゆる意思決定プロセスにおいて体系的に尊重されなければならず、かつ、子どものエンパワーメントと参加が、子どもの養育および保護のための戦略およびプログラムの中心となるべきである。 (f) 自己に関係するまたは自己に影響を与えるすべての事柄において自己の最善の利益を第一義的に考慮される子どもの権利が、とくに子どもが暴力の被害を受けた場合に、かつあらゆる防止措置において、尊重されなければならない。 (g) 公衆衛生、教育、社会サービスその他のアプローチを通じた、あらゆる形態の暴力の第一次予防が何よりも重要である。 (h) 委員会は、子どもの養育および保護ならびに暴力防止における家族(拡大家族を含む)の第一義的立場を認める。しかしながら、委員会はまた、暴力の過半数は家族の文脈で生じていること、および、したがって子どもが家族に覆いかぶさっているまたは家族内で一般化している困難および困窮の被害を受けているときは介入および支援が必要であることも、認めるものである。 (i) 委員会はまた、学校、ケアセンター、居住型施設、警察の拘置所および司法施設も含め、国の施設においてかつ国の行為主体によって、子どもに対して広範かつ激しい暴力が振るわれていること(これが子どもの拷問および殺害に至る場合もある)、および、子どもに対する暴力が武装集団および国の軍隊によってしばしば用いられていることも認識する。 [1] 子どもに対する暴力に関する国際連合研究のための独立専門家報告書(A/61/299)、パラ1。 4.暴力の定義。この一般的意見の適用上、「暴力」とは、条約第19条第1項に列挙されているとおり、「あらゆる形態の身体的または精神的な暴力、侵害または虐待、放任または怠慢な取扱い、性的虐待を含む不当な取扱いまたは搾取」として理解される。ここで暴力という用語を選んだのは、子どもに対する暴力に関する国際連合研究(2006年)で用いられた用語法にしたがって、第19条第1項に列挙された、子どもに対するあらゆる形態の危害を表現するためである。ただし、種々の危害を記述するために用いられる他の用語(侵害、虐待、放任〔ネグレクト〕または怠慢な取扱い、不当な取扱いおよび搾取)も同様の重みを持つ [2]。一般的用語法では、暴力という言葉は身体的危害および(または)意図的危害のみを意味するものとして理解されることが多い。しかし委員会は、この一般的意見で暴力という用語を選んだことが、いかなる意味でも、身体的および(または)意図的ではない形態の危害(とくにネグレクトおよび心理的な不当な取扱い等)の影響およびこれに対処する必要性を過小評価するものとして解釈されてはならないことを、最大限の力をこめて強調する。 [2] 他の言語への条約の翻訳では、英語の「暴力」(violence)に正確に対応する文言が含まれているとはかぎらない。 5.国の義務および家族その他の主体の責任。「締約国」への言及は、国レベルのみならず州および自治体のレベルでも子どもに対する責任を担わなければならない締約国の義務を指している。これらの特別な義務とは、相当の注意義務であり、かつ暴力または人権侵害を防止する義務、被害を受けた子どもおよび目撃者を人権侵害から保護する義務、調査を行ないかつ責任者を処罰する義務ならびに人権侵害の救済措置へのアクセスを提供する義務である。暴力がどこで発生するかに関わらず、締約国は、親その他の養育者が、その能力および資力の範囲内で、かつ子どもの発達しつつある能力を尊重しながら、子どもの最適な発達のために必要な生活条件を確保することを支援および援助する、積極的かつ主体的義務を有する(第18条および第27条)。締約国はさらに、仕事の文脈において暴力の防止、暴力からの保護および暴力への対応に責任を有しているすべての者および司法制度に属するすべての者が子どものニーズに対応しかつその権利を尊重していることを確保しなければならない。 6.一般的意見13号の作成経緯。この一般的意見は、締約国報告書の審査およびそれぞれの総括所見、子どもに対する暴力に関して行なわれた2度の一般的討議の勧告(2000年および2001年)、体罰その他の残虐なまたは品位を傷つける形態の罰から保護される子どもの権利に関する一般的意見8号(2006年)ならびに他の一般的意見で行なわれた暴力の問題に関する言及において委員会が示してきた既存の指針をもとに、これを発展させたものである。この一般的意見は、子どもに対する暴力に関する国際連合研究のための独立専門家報告書に掲げられた勧告(A/61/299)への注意を喚起するとともに、締約国に対し、これらの勧告を遅滞なく実施するよう求める。また、「子どもの代替的養護に関する指針」〔PDF〕[3] で参照可能な詳細な指針に対しても注意を喚起するものである。この一般的意見はまた、実践における第19条の実施の追求における、国際連合諸機関、各国政府、非政府組織(NGO)、コミュニティ団体、開発機関および子どもたち自身の専門性および経験も参考にしている [4]。 [3] 国連総会決議64/142添付文書。 [4] 「子どもの犯罪被害者および証人が関わる事案における司法についての指針」(国連経済社会理事会決議2005/20添付文書)参照。 7.第19条の文脈的理解。委員会は以下のことを認識する。 (a) 第19条は、暴力に直接関係する条約の多くの規定のひとつである。委員会はまた、第19条が、子どもの売買、子ども買春および子どもポルノグラフィーに関する選択議定書ならびに武力紛争への子どもの関与に関する選択議定書とも直接関連していることも認識する。しかし委員会は、第19条が、条約の文脈においてより幅広くあらゆる形態の暴力に対応しかつこれを解消していくための議論および戦略に関する中核的規定であると考えるものである。 (b) 第19条は、暴力に直接関わる規定に留まらず、条約の広範な規定と強く結びついている。条約の原則として特定されている諸権利を掲げた条項(この一般的意見のV参照)に加えて、第19条の実施は第5条、第9条、第18条および第27条の文脈に位置づけられなければならない。 (c) 人間の尊厳の尊重、身体的および心理的不可侵性ならびに法律に基づく平等の保護に対する子どもの権利は、他の国際的および地域的人権文書でも承認されている。 (d) 第19条を実施するためには、国内的、地域的および国際的人権機関、諸機構ならびに国際連合諸機関の内部および相互の協力が必要である。 (e) とくに、子どもに対する暴力に関する〔国連〕事務総長特別代表との協力が必要である。同特別代表は、あらゆる形態の暴力からの自由に対する子どもの権利を保護するため、加盟国および幅広いパートナー(国際連合諸機関、市民社会組織および子どもたちを含む)と緊密に協力しながら、子どもに対する暴力に関する国際連合研究の勧告の実施を促進する任務を与えられている。 8.普及。委員会は、締約国が、政府および行政機構内で、かつ親、その他の養育者、子ども、職能団体、コミュニティおよび市民社会一般を対象として、この一般的意見を広く普及するよう勧告する。印刷媒体、インターネットおよび子どもたち自身のコミュニケーション手段を含むあらゆる普及経路が活用されるべきである。そのためには、手話、点字および障害のある子どもが読みやすい形式を含む関連の言語にこれを翻訳することが必要になろう。また、文化的に適切で子どもにやさしい版を利用可能とすること、ワークショップおよびセミナーを開催すること、この一般的意見の意味合いおよび最善の実施方法を議論できるようにするための年齢および障害に固有の支援を実施すること、ならびに、子どものためにおよび子どもとともに働くすべての専門家の訓練にこれを編入することも必要である。 9.条約上の報告要件。委員会は、締約国が、条約別の報告ガイドライン(CRC/C/58/Rev.2 and Corr.1)、一般的意見8号(パラ53)、および、締約国代表との対話後に採択された委員会の総括所見に掲げられた報告要件を参照するよう求める。この一般的意見は、条約第44条に基づいて提出される報告書で締約国がどのような措置に関する情報を提供するよう期待されているかを集約し、かつ具体的に示したものである。委員会はまた、締約国が、子どもに対する暴力に関する国際連合研究の勧告(A/61/299、パラ116)の実施に向けた進展についての情報も含めるよう勧告する。報告は、暴力を禁止し、かつ暴力が行なわれたときに適切に介入するための法律その他の規則のほか、暴力の防止、意識啓発活動および前向きな非暴力的関係の促進のための措置についても行なわれるべきである。報告書ではさらに、介入(防止も含む)の各段階で誰が子どもおよび家族に対して責任を負っているのか、その責任はどのようなものか、専門家はどの段階でおよびどのような状況下で介入することができるのか、ならびに、さまざまな部門がどのように協働しているのかについても具体的に明らかにすることが求められる。 10.追加的情報源。委員会はまた、国際連合諸機関、国内人権機関、NGOおよび他の資格ある機関に対し、あらゆる形態の暴力の法的地位および蔓延状況ならびにその解消に向けた進展に関する関連情報を委員会に提供するようにも奨励する。 II.目的 11.この一般的意見は以下のことを追求するためのものである。 (a) 締約国が条約第19条に基づく自国の義務、すなわち親、法定保護者または子どもの養育をする他の者(国の行為主体を含む)による養育中に生ずる、子どもを対象とするあらゆる形態の身体的もしくは精神的暴力、侵害もしくは虐待、放任もしくは怠慢な取扱い、不当な取扱いまたは搾取(性的虐待を含む)を禁止し、防止しかつこれに対応する義務を理解する際の指針とすること。 (b) 締約国がとらなければならない立法上、司法上、行政上、社会上および教育上の措置の概略を示すこと。 (c) 子どもの養育および保護に対応するための取り組みが散発的に、ばらばらにかつ対症療法的に行なわれてきたことは、あらゆる形態の暴力の防止および解消に対してかぎられた影響しか及ぼしてこなかったことから、このような状態を克服すること。 (d) 生存、尊厳、ウェルビーイング、健康、発達、参加および差別の禁止に対する子どもの権利――これらの権利の履行は暴力によって脅かされる――を確保することに関する条約の全般的視点に基づく、第19条の実施に対するホリスティックなアプローチを促進すること。 (e) 締約国その他の関係者に対し、子どもの権利を基盤とする包括的な養育措置および保護措置を通じて暴力を解消するための調整枠組みを発展させる基盤を提供すること。 (f) 第19条に基づく自国の義務を履行するためにすべての締約国が迅速に行動する必要性を浮き彫りにすること。 III.子どもの生活における暴力 12.課題。委員会は、子どもに対する暴力を防止しかつこれに対応するために政府その他の主体が発展させてきた無数の取り組みを認知しかつ歓迎する。このような努力にも関わらず、現在行なわれている取り組みは全体として不十分である。過半数の国の法的枠組みは依然として子どもに対するあらゆる形態の暴力の禁止に至っておらず、法律が存在する場合でもその執行は不十分であることが多い。広く蔓延した社会的・文化的態度および慣行が暴力を容認している。とられる措置の効果は、子どもに対する暴力およびその根本的原因に関する知識、データおよび理解が欠如していることによって、取り組みが原因ではなく症状および結果に焦点を当てる対症療法的なものであることによって、かつ戦略が統合されておらず断片化されたままであることによって、かぎられたものにしかならない。問題に対処するために配分される資源は不十分である。 13.人権上の大命題。子どもに対する暴力の広範な蔓延および発生に対応し、これを解消することは、条約に基づく締約国の義務である。あらゆる形態の暴力を防止することを通じて人間の尊厳ならびに身体的および心理的不可侵性に対する子どもの基本的権利を確保および促進することは、条約に掲げられたすべての子どもの権利を促進するうえで不可欠である。ここで提示される他のあらゆる主張は、この人権上の大命題を強化するものであって、これにとって代わるものではない。したがって、暴力を防止しかつこれに対応するための戦略およびシステムにおいては、福祉アプローチではなく子どもの権利アプローチが採用されなければならない(さらに詳しくはパラ53参照)。 14.社会的発展と子どもの貢献。暴力とは無縁な、敬意に満ちた支持的な子育て環境は、子ども個人の人格の実現を支え、かつ、地域コミュニティおよびさらに幅広い社会における、社会性と責任感を有した、積極的貢献を行なう市民の成長を促進する。調査研究の示すところによれば、暴力を経験せずに健康的に発達する子どもは、子ども時代においてもおとなになってからも暴力的に振る舞う可能性が低い。ある世代で暴力を防止することは、次の世代で暴力が生じる可能性を低めることにつながる。したがって、第19条を実施することは、社会におけるあらゆる形態の暴力を少なくしかつ防止するための、そして子どもたちがおとなと同一の地位および価値を有する「人類社会」のために「社会の進歩および生活水準の向上」ならびに「世界における自由、正義および平和」を促進する(条約前文)ための、鍵となる戦略のひとつである。 15.生存および発達――子どもに対する暴力の破壊的影響。子どもの生存ならびに「身体的、精神的、霊的、道徳的および社会的発達」(第27条第1項)は、下記のとおり、暴力によって深刻な悪影響を受ける。 (a) 子どもに対する暴力および子どもの不当な取扱いがもたらす短期的・長期的な健康上の影響は広く認められている。これには、致死性の傷害、非致死性の(障害につながる可能性がある)傷害、身体的健康問題(発育不全、その後の肺・心臓・肝臓疾患ならびに性感染症を含む)、認知機能障害(学業・就労能力が損なわれることを含む)、心理的および情緒的影響(拒否されたおよび見捨てられたという感覚、愛着不全、トラウマ、恐怖、不安、不安定感および自尊感情の崩壊など)、精神的健康問題(不安障害、抑うつ障害、幻覚、記憶障害および自殺未遂など)ならびに健康上のリスクをともなう行動(有害物質濫用および早期の性行動など)などが含まれる。 (b) 発達上および行動上の影響(不登校ならびに攻撃的、反社会的および自己危害ならびに他害行動など)は、とくに人間関係の悪化、退学ならびに触法・不法行為につながる可能性がある。暴力にさらされることにより、子どもがさらなる被害を受け、かつ暴力的経験(その後の親密なパートナー間の暴力を含む)を重ねていくおそれが高まることを示す証拠が存在する。 (c) 子どもの暴力に対して国が高圧的なまたは「ゼロ・トレランス」の政策で臨むことは、それが暴力に対してさらなる暴力で対応することにより子どもに被害を与える懲罰的アプローチであるため、きわめて破壊的な影響をもたらす。このような政策は、市民の安全をめぐって公衆が懸念を表明することにより、かつマスメディアがこれらの問題を大々的に取り上げることにより、形成されることが多い。公共の安全に関する国の政策においては、暴力に暴力で報復する悪循環から脱することができるようにするため、子どもの犯罪の根本的原因が慎重に考慮されなければならない。 [5] パウロ・セルジオ・ピネイロ(子どもに対する暴力に関する国連事務総長研究のための独立専門家)による World Report on Violence against Children (Geneva, 2006), pp.63-66参照。 16.子どもに対する暴力の代価。保護に対する子どもの権利を否定することの人的、社会的および経済的代価は膨大であり、受け入れられない。直接的代価としては、医療ケア、法的サービスおよび福祉サービスならびに代替的養護が考えられる。間接的代価としては、永続する可能性がある損傷または障害、心理的代価または被害者の生活の質に生じるその他の影響、教育の阻害または中断、および、子どもの将来の生活における生産性の喪失が考えられる。また、暴力を経験した子どもが行なう犯罪の結果生じる刑事司法制度関連の代価も含まれる。女子が出生前に差別的に抹殺されることを原因とする人口動態的不均衡から生ずる社会的代価は大きく、女子に対する暴力(誘拐、早期婚および強制婚、性的目的の人身取引ならびに性的暴力を含む)の増加にとっても何らかの意味を有している可能性がある。 IV.第19条の法的分析 A.第19条第1項 1.「あらゆる形態の」(… all forms of …) 17.例外は存在しない。委員会は、どんなに軽いものであっても、子どもに対するあらゆる形態の暴力は受け入れられないという立場を一貫して維持してきた。「あらゆる形態の身体的もしくは精神的な暴力」という文言は、いかなる水準のものであっても、子どもに対する合法的な暴力が成立する余地を残していない。頻度、危害の深刻さおよび危害の意図は、暴力の定義の前提ではないのである。締約国は、子どもの最善の利益にのっとった比例的対応ができるようにするため、介入のための戦略においてこのような要素を参照することはできるが、定義においては、一部の形態の暴力を法的におよび(または)社会的に許容するような記述をすることにより、人間の尊厳ならびに身体的および心理的不可侵性に対する子どもの絶対的権利が後退させられることは、いかなる形でもあってはならない。 18.子どもの権利を基盤とする定義の必要性。締約国は、子どものウェルビーイング、健康および発達に関する国家的基準を定めなければならない。これらの条件を確保することが子どもの養育および保護の最終目標だからである。すべての環境におけるあらゆる形態の暴力を禁止するため、第19条に掲げられたさまざまな形態の暴力について、運用上の明確な法的定義を設けることが必要となる。これらの定義は、この一般的意見で示された指針を考慮したものでなければならず、用に耐える十分な明確さを備えていなければならず、かつさまざまな社会および文化において適用可能なものであることが求められる。(データ収集および国境を越えた経験交流を容易にする目的で)諸定義の国際的標準化のための努力が奨励されるべきである。 19.暴力の諸形態――概観。暴力の諸形態を概観した、すべてを網羅したものではない以下のリストは、あらゆる環境にあるおよび環境間を移行中のすべての子どもに適用されるものである。子どもはおとなによる暴力を経験する可能性があり、また子ども同士の間で暴力が発生することもある。さらに、自分自身を傷つける子どもも存在する。委員会は、諸形態の暴力が同時に発生することが多いこと、および、それは便宜上ここで用いているカテゴリーをまたぐ可能性があることを認識するものである。女子も男子もあらゆる形態の暴力を受けるおそれがあるが、暴力がジェンダーの要素を有していることも多い。たとえば、女子は男子よりも家庭における性的暴力を経験することが多いかもしれないが、一方で男子は刑事司法制度と接触する――かつ刑事司法制度における暴力を経験する――可能性がより高いかもしれない(暴力のジェンダー的側面についてはパラ72(b)も参照)。 20.放任(ネグレクト)または怠慢な取扱い。放任(ネグレクト)とは、子どもの養育に責任を負う者がそのための手段、知識およびサービスへのアクセスを有しているのに、子どもの身体的および心理的ニーズを満たさず、子どもを危険から保護せず、または医療、出生登録その他のサービスを利用しないことである。これには以下のものが含まれる。 (a) 身体的ネグレクト:子どもを危害から保護しないこと [6] (監督の欠如によるものも含む)、または基礎的な必要条件(十分な食料、居住場所、衣服および基礎的医療ケアを含む)を子どもに提供しないこと。 (b) 心理的または情緒的ネグレクト:いかなる情緒的支援および愛も存在しないこと、子どもに対して慢性的に注意を払わないこと、乳幼児の合図および信号を見過ごすことによって養育者が「心理的に利用不可能」な状態になること、および、親密なパートナー間の暴力、麻薬濫用またはアルコール濫用にさらされることを含む。 (c) 子どもの身体的または精神的健康のネグレクト:必要不可欠な医療ケアを与えないこと。 (d) 教育的ネグレクト:通学その他の手段を通じて子どもの教育を確保するよう養育者に求めた法律を遵守しないこと。 (e) 遺棄:重大な懸念の対象であり、一部の社会ではとくに婚外子および障害のある子どもに不相応なほどの影響を与えている可能性がある慣行 [7]。 [6] 締約国は事故の防止に関して養育者を支援することも義務づけられている(第19条および第24条第2項(e))。 [7] 多くの国では、貧困下で暮らしている親および養育者が養育手段を有していないために子どもが遺棄されている。定義上、ネグレクトとは、親が子どものニーズを満たす集団を有しているのに養育が行なわれないことである。委員会は、締約国に対し、「親および法定保護者が子どもの養育責任を果たすにあたって適当な援助を与え」(条約第18条第2項)るよう、しばしば促してきた。 21.精神的暴力。条約にいう「精神的な暴力」は、不当な心理的取扱い、精神的虐待、言葉による虐待および情緒的虐待またはネグレクトとして説明されることが多い。これには以下のものが含まれうる。 (a) 子どもを相手として執拗に行なわれるあらゆる形態の有害な関わり合い(たとえば、子どもに対し、価値がない、愛されていない、望まれていない、危険な状態にある、または他人のニーズを満たすかぎりにおいてしか存在価値がないと伝えること)。 (b) 恐怖心を煽ること、威嚇すること、および脅かすこと。搾取すること、および堕落させること。ないがしろにすること、および拒絶すること。孤立させること、無視すること、およびえこひいきすること。 (c) 情緒的反応を与えないこと。精神的健康、医療上のニーズおよび教育上のニーズをないがしろにすること。 (d) 侮辱すること、中傷すること、屈辱を与えること、けなすこと、からかうこと、および子どもの気持ちを傷つけること。 (e) ドメスティック・バイオレンスを目撃させること。 (f) 独居拘禁の状態、隔離状態、または屈辱的なもしくは品位を傷つける拘禁環境に置くこと。 (g) おとなまたは他の子どもによる心理的ないじめおよび通過儀礼 [8]。携帯電話およびインターネット等の情報通信技術(ICT)を通じて行なわれるものも含む(いわゆる「ネットいじめ」)。 [8] 「通過儀礼」(hazing)とは、ある者を集団に迎え入れる手段として用いられる、いやがらせ、暴力または屈辱をともあう儀式その他の活動を指す。 22.身体的暴力。これには致死的および非致死的な身体的暴力が含まれる。委員会は、身体的暴力には以下のものが含まれるという見解に立つものである。 (a) あらゆる体罰、および、他のあらゆる形態の拷問、残虐な、非人道的なまたは品位を傷つける取扱いまたは処罰。 (b) おとなおよび他の子どもによる身体的ないじめおよび通過儀礼。 23.障害のある子どもは、以下のような特定の形態の身体的暴力の対象とされる場合がある。 (a) 強制的不妊手術(とくに女子)。 (b) 治療を名目とする暴力(たとえば電気痙攣療法(ECT)、および、子どもの行動を統制するために「嫌忌療法」として用いられる電気ショック)。 (c) 路上その他の場所で物乞いとして搾取する目的で子どもに意図的に障害を負わせること。 24.体罰。一般的意見8号(パラ11)において、委員会は、「体」罰を、どんなに軽いものであっても、有形力が用いられ、かつ何らかの苦痛または不快感を引き起こすことを意図した罰として定義した。ほとんどの場合、これは手または道具――鞭、棒、ベルト、靴、木さじ等――で子どもを叩くという形で行なわれる。しかし、たとえば、蹴ること、子どもを揺さぶったり放り投げたりすること、引っかくこと、つねること、かむこと、髪を引っ張ったり耳を打ったりすること、子どもを不快な姿勢のままでいさせること、やけどさせること、薬物等で倦怠感をもよおさせること、または強制的に口に物を入れることをともなう場合もありうる。委員会の見解では、体罰はどんな場合にも品位を傷つけるものである。体罰の他の具体的形態は、子どもに対する暴力に関する国際連合研究のための独立専門家報告書に列挙されている(A/61/299、パラ56,60および62)。 25.性的な虐待および搾取。性的な虐待および搾取には以下のものが含まれる。 (a) 何らかの不法なまたは心理的に有害な性的活動に従事するよう子どもを勧誘しまたは強制すること。[9] (b) 商業的性的搾取において子どもを使用すること。 (c) 子どもの性的虐待を描いた音声素材または視覚画像で子どもを使用すること。 (d) 子ども買春、性的奴隷制、旅行および観光における性的搾取、性的目的の(国内でおよび国境を越えて行なわれる)子どもの人身取引および売買、ならびに強制婚。多くの子どもは、物理的な力または高速はともわないものの、それでも心理的侵襲、搾取およびトラウマをもたらす性的被害を経験している。 [9] 性的虐待は、おとなによって子どもに押しつけられる何らかの性的活動であって、子どもが刑法によって保護される権利を有しているものから構成される。性的活動はまた、子どもが他の子どもに対して行なう場合であっても、加害者側の子どもが被害者側よりも相当に年長である場合、または力、脅しその他の圧力手段を用いる場合には虐待とみなされる。子ども同士の性的活動は、当事者である子どもが、同意に基づく性的活動について締約国が定めた年齢制限よりも年長であるときは、性的虐待とは見なされない。 26.拷問および非人道的なまたは品位を傷つける取扱いまたは処罰。これには、自白を得ること、不法なまたは望ましくない行動について子どもを超司法的に処罰すること、または子どもをその意思に反して活動に従事させることを目的として子どもに対して振るわれるあらゆる形態の暴力であって、典型的には警察官および法執行官、居住型その他の施設の職員ならびに子どもに対して権力を有している者(国以外の武装主体を含む)によって用いられるものが含まれる。被害者は、周縁化され、不利な立場に置かれおよび差別され、かつその権利および最善の利益を擁護する責任を負うおとなから保護されていない子どもであることが多い。これには、法に抵触した子ども、路上の状況にある子ども、マイノリティおよび先住民族の子ども、ならびに、出身国外にあって保護者のいない子どもが含まれる。このような行為にともなう残忍性は、生涯にわたる身体的および心理的危害ならびに社会的ストレスをもたらすことが多い。 27.子ども同士の暴力。これには、子ども(しばしば集団の子ども)によって他の子どもに加えられる、いじめの形をとることが多い身体的、心理的および性的暴力が含まれる。このような暴力は、子どもの身体的および心理的不可侵性ならびにウェルビーイングを即時的に損なうのみならず、中期的かつ長期的に、その発達、教育および社会的統合に深刻な影響を及ぼすことが多い。また、若者ギャング集団による暴力も、被害者としてであれ参加者としてであれ、子どもに深刻な犠牲をもたらしている。子どもが行為者であるとはいえ、このような暴力に適切な形で対応しかつこれを防止するためのすべての試みにおいて、これらの子どもに責任を有するおとなの役割が決定的に重要である。このような試みにおいて措置をとる際には、懲罰的アプローチをとることおよび暴力に対して暴力を用いることにより暴力が悪化しないことを確保しなければならない。 28.自己危害。これには、摂食障害、有害物質の使用および濫用、自傷行為、自殺念慮、自殺未遂および実際の自殺が含まれる。思春期の子どもの自殺は、委員会にとってとりわけ懸念の対象である。 29.有害慣行。これには以下のものが含まれるが、これにかぎられない。 (a) 体罰その他の残酷なまたは品位を傷つける形態の罰。 (b) 女性性器切除。 (c) 四肢の一部または全部を切断すること、身体を拘束すること、傷または火傷を負わせることおよび焼印を押すこと。 (d) 暴力的かつ品位を傷つける通過儀礼。女子に無理やり食事をとらせること。無理やり太らせること。処女検査(女子の生殖器の検査)。 (e) 強制婚および早期婚。 (f) 「名誉」犯罪。「報復」目的の暴力行為(異なる集団間の紛争の影響が関係当事者の子どもに及ぶ場合)。ダウリー関連の死および暴力。 (g) 「魔女」狩りおよび関連の有害慣行(「悪魔払い」等)。 (h) 口蓋垂切除および抜歯。 30.マスメディアにおける暴力。マスメディア、とくにタブロイド紙およびイエローペーパーは、衝撃的な出来事を強調して取り上げ、結果として子ども、とくに不利な立場におかれた子どもまたは青少年について偏見およびステレオタイプに基づくイメージをつくり出す傾向にある。このような子どもは、振る舞い方または着ているものが異なるというだけで、暴力的存在または非行少年として描写されることが多い。このような煽動的ステレオタイプは、懲罰的アプローチを基盤とする国の政策への道を開くことにつながる。当該政策には、子どもおよび若者が行なっていると考えられているまたは実際に行なっている不品行への対応としての暴力が含まれる可能性もある。 31.情報通信技術を通じた暴力 [10]。ICTに関連した子どもの保護上のリスクは、以下のような重なり合う分野から構成されている。 (a) インターネットその他のICTによって容易となった、視覚および音声の双方による子どもの虐待素材製造のために行なわれる子どもの性的虐待。 (b)子ども、および、子ども個人または諸カテゴリーの子どもの真似をする者のみだらな写真または擬似写真(「加工」)およびビデオを撮影し、制作し、その撮影を許可し、配布し、見せ、所持しまたは広告するプロセス。 (c) ICTの利用者としての子ども。(i) 情報の受け手としての子どもは、実際にまたは潜在的に有害な広告、スパム、資金提供の呼びかけ、個人情報、ならびに、攻撃的な、暴力的な、憎悪にあふれた、偏見に満ちた、人種主義的な、ポルノ的な [11]、望まない、かつ(または)誤解を招くコンテンツにさらされる可能性がある。 (ii) ICTを通じて他人と接触する子どもは、いじめられ、いやがらせを受けもしくはしつこく接触を図られ(子どもの「誘惑」)、かつ(または)、威迫、策略もしくは説得により、見知らぬ者とオフラインで会うこと、性的活動に関与するための「仕込み」を受けること、および(または)個人情報を提供することを受け入れさせられる可能性がある。 (iii) 行為主体としての子どもは、他人へのいじめもしくはいやがらせ、心理的発達に悪影響を及ぼすゲームの利用、不適切な性的素材の作成およびアップロード、誤解を招く情報もしくはアドバイスの提供、ならびに(または)、不法なダウンロード、ハッキング、賭博、金銭詐欺および(もしくは)テロリズムに関与するようになる可能性がある。 [12] [10] インターネットおよび携帯電話のような情報技術は、子どもたちの安全を保つのに役立つ前向きな手段として、かつ暴力または不当な取扱いが疑われる場合または実際に行なわれた場合にそれを通報する方法として、大きな潜在的可能性を有している。これらの技術を安全に使えるように子どもたちのエンパワーメントを図ることも含め、情報技術の規制および監視を通じて保護的環境をつくり出すことが必要である。 [11] ポルノグラフィーにさらされることは、子ども同士の性的虐待の増加につながる可能性がある。ポルノグラフィーにさらされた子どもは、年下の子どもまたは接触が容易で自分がコントロールできる子どもを相手に、自分が見たものを実地で「やってみる」からである。 [12] EU〔欧州連合〕キッズ・オンライン・プロジェクトが作成の表(AUPs in Context Establishing Safe and Responsible Online Behaviours (Becta, 2009), p.6で引用されていたもの)を修正。「子どもおよび青少年の性的搾取の防止および根絶のためのリオデジャネイロ宣言および行動呼びかけ」も参照(以下より入手可能 http //iiicongressomundial.net/congresso/arquivos/Rio%20Declaration%20and%20Call%20for%20Action%20-%20FINAL%20Version.pdf)。 32.子どもの権利の制度的および組織的侵害。あらゆる形態の暴力からの子どもの保護について責任を負う、国のあらゆる段階の公的機関は、条約上の義務を実施する効果的手段を欠くことにより、直接間接に危害を及ぼす可能性がある。このような不作為としては、立法その他の規定を採択しまたは改正しないこと、法律その他の規則の実施が不十分であること、および、子どもに対する暴力を特定し、防止しかつこれに対応するための物質的、技術的および人的資源および能力の提供が不十分であることなどがある。子どもに対する暴力を終わらせるための活動の進展または欠点を事前評価し、監視しかつ事後評価するための十分な手段が措置およびプログラムにともなっていない場合にも、不作為である。また、一部の行為を行なう過程で、専門家は暴力からの自由に対する子どもの権利を侵害する可能性がある。たとえば、子どもの最善の利益、意見および発達目標をないがしろにするような方法で自己の責任を遂行する場合などである。 → -あらゆる形態の暴力からの自由に対する子どもの権利(2)へ続く 更新履歴:ページ作成(2011年5月22日)。
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欧州連合・子どもの性的搾取および児童ポルノとの闘いに関する枠組決定(2003年) Council framework Decision 2004/68/JHA of 22 December 2003(原文英語、平野裕二仮訳〔原文の注は省略〕) 関連:欧州評議会・性的搾取および性的虐待からの子どもの保護に関する条約(2007年) 欧州連合理事会は、 欧州連合条約ならびにとくにその第29条、第31条第1項(e)および第34条第2項(b)を顧慮し、 〔欧州〕委員会の提案を顧慮し、 欧州議会の意見を顧慮し、 一方、 (1)自由、安全および正義の領域においてアムステルダム条約の規定を実施する最善の方法についての理事会および委員会の行動計画、タンペレ欧州理事会の結論および2000年4月11日の欧州議会決議に、子どもの性的搾取および児童ポルノに対する立法措置(共通の定義、罪状および刑罰を含む)またはその呼びかけが含まれているので、 (2)人身取引および子どもの性的搾取と闘うための行動に関する1997年2月24日の理事会共同行動(97/154/JHA)およびインターネット上の児童ポルノと闘うための2000年5月29日の理事会決定(2000/375/JHA)のフォローアップとして、加盟国の多様な法的アプローチに対応し、かつ子どもの性的搾取および児童ポルノに関する効率的な司法共助および法執行共助の発展に寄与するさらなる立法上の措置が必要であるので、 (3)欧州議会が、児童セックス・ツーリズムと闘うための措置の実施についての委員会報告書に関する2000年3月30日の決議において、児童セックス・ツーリズムは子どもの性的搾取および児童ポルノの犯罪と緊密に関連した犯罪行為であることをあらためて指摘し、かつ、委員会に対し、これらの犯罪行為の構成要件に関して最低限の規則を定める枠組決定の提案を理事会に提出するよう要請しているので、 (4)子どもの性的搾取および児童ポルノは、人権、ならびに調和のとれた養育および発達に対する子どもの基本的権利の重大な侵害であるので、 (5)子どもの性的搾取のとくに重大な形態である児童ポルノが、新たな技術およびインターネットの利用により増加しおよび拡散しつつあるので、 (6)国際機関が行なっている重要な活動を欧州連合の活動によって補完しなければならないので、 (7)子どもの性的搾取および児童ポルノのような重大な犯罪については、すべての加盟国に共通する刑事法上の構成要件(効果的な、均衡のとれたかつ抑止効果のある制裁を含む)を可能な最大限の司法共助と並んで不可欠な要素とする、包括的アプローチによって対応することが必要であるので、 (8)補足性および比例制の原則にしたがい、この枠組決定は、欧州レベルでこれらの目的を達成するために必要な最低限の内容に留まるものであって、この目的のために必要な限度を超えるものではないので、 (9)このような犯罪の加害者に対しては、子どもの性的搾取および児童ポルノを、組織犯罪と闘うためにすでに採択されている文書(資金洗浄ならびに犯罪の手段となるものおよび犯罪の収益の特定、追跡、凍結、押収および没収に関する1998年12月3日の理事会共同行動(98/699/JHA)および欧州連合加盟国における犯罪組織への参加の犯罪化に関する1998年12月21日の理事会共同行動(98/699/JHA)等)の適用範囲とするのに十分な厳格性を有する処罰が導入されなければならないので、 (10)子どもの性的搾取との闘いが有する特有の特徴により、加盟国は、国内法において効果的な、均衡のとれたかつ抑止効果のある制裁を定めなければならず、かつ当該制裁は法人が行なう活動にも適合するようにされるべきであるので、 (11)この枠組決定の対象となる犯罪の捜査および訴追を目的とする事情聴取は、被害者が子どもであるときはその年齢および発達段階にしたがって行なわれるべきであるので、 (12)この枠組決定は〔欧州〕共同体の権限を損なうものではないので、 (13)この枠組決定は、理事会が採択した諸文書(人身売買および子どもの性的搾取と闘う担当者のインセンティブ提供および交流プログラムを設ける1996年11月29日の共同行動(96/700/JHA)、欧州薬物対策局に与えられた権限を拡大する1996年12月16日の共同行動(96/748/JHA)、欧州司法ネットワークの創設に関する1998年6月29日の共同行動(98/428/JHA)、欧州連合加盟国間の司法共助を向上させるための連絡担当裁判官の交換の枠組に関する1996年4月22日の共同行動(96/277/JHA)、刑事共助の望ましい実践に関する1998年6月29日の共同行動(98/427/JHA)等)ならびに欧州議会および理事会が採択した諸法(地球規模のネットワークにおける違法なおよび有害なコンテンツと闘うことによりインターネットのより安全な利用を促進することについての複数年次共同体行動計画を採択する1999年1月25日の欧州議会および理事会決定(No 276/1999/EC)、子ども、若者および女性に対する暴力と闘うための予防措置についての共同体行動プログラム(ダフネ・プログラム)を採択する2000年1月24日の欧州議会および理事会決定(No 293/2000/EC)等)を補完することによって子どもの性的搾取および児童ポルノとの闘いに貢献すべきであるので、 この枠組決定を採択した。 第1条(定義) この枠組決定の適用上、 (a) 「子ども」とは、18歳未満のすべての者をいう。 (b) 「児童ポルノ」とは、次のいずれかを視覚的に描写しまたは表現したポルノ的資料をいう。(i) 性的にあからさまな行為に関与しもしくは従事する実在の子ども(子どもの性器または陰部をみだらに陳列することも含む)。 (ii) (i)に掲げられた行為に関与しもしくは従事する、子どものように見える実在の者。 (iii) (i)に掲げられた行為に関与しもしくは従事する非実在の子どもの写実的画像。 (c) 「コンピュータ・システム」とは、プログラムにしたがってデータの自動処理を行なう装置、または相互に接続されたもしくは関連する一群の装置であってそのうちの一もしくは二以上の装置がプログラムにしたがってデータの自動処理を行なうものをいう。 (d) 「法人」とは、適用可能な法律に基づき法人格を有するすべての主体であって、国または国の権限を行使する他の公的機関および公的国際機関を除くものをいう。 第2条(子どもの性的搾取に関わる犯罪) 各加盟国は、故意に行なわれた次の行為が処罰対象とされることを確保するため、必要な措置をとる。 (a) 子どもを威迫して売春させもしくはポルノ的パフォーマンスに参加させること、または当該目的で子どもから利益を得ることもしくはその他の形態により子どもを搾取すること。 (b) 子どもを募集して売春を行なわせまたはポルノ的パフォーマンスに参加させること。 (c) 次のいずれかの場合に子どもとの性的活動に従事すること。(i) 威迫、有形力または脅迫が用いられるとき。 (ii) 性的活動に従事した子どもに対し、引き換えに金銭その他のいずれかの形態の報酬または対価が与えられるとき。 (iii) 子どもとの信頼関係、子どもに対する権威または影響力を有すると認められている立場が濫用されるとき。 第3条(児童ポルノに関わる犯罪) 1.各加盟国は、次の行為(コンピュータ・システムを利用して行なわれるか否かは問わない)が故意におよび権限なしに行なわれたときは処罰対象とされることを確保するため、必要な措置をとる。 (a) 児童ポルノを製造すること。 (b) 児童ポルノを頒布し、配布しまたは送信すること。 (c) 児童ポルノを提供し、またはその利用を可能にすること。 (d) 児童ポルノを取得しまたは所持すること。 2.加盟国は、児童ポルノに関わる行為が次の条件を満たすときは、その刑事責任を問わないことができる。 (a) 第1条(b)(ii)について、子どものように見える実在の者が、描写が行なわれた時点で現に18歳以上であったとき。 (b) 第1条(b)(i)および(ii)に関わる製造および所持について、性的同意年齢に達した子どもの画像が、その同意を得ておよび自分たち自身の私的利用のみを目的として製造および所持されるとき。ただし、同意の存在が立証されても、同意を得る際にたとえば年長であること、成熟していること、立場、地位、経験または加害者への被害者の依存が濫用されたときは、当該同意は有効と見なされない。 (c) 第1条(b)(iii)について、当該ポルノ的資料が製造者自身の私的利用のみを目的として製造者によって製造および所持される場合であって、その製造のために第1条(b)(i)および(ii)のポルノ的資料がいっさい用いられていないとき。ただし、当該行為に当該資料の配布のおそれがともなわないことを条件とする。 第4条(扇動、幇助、教唆および未遂) 1.各加盟国は、第2条および第3条に掲げられた犯罪の実行の扇動または幇助もしくは教唆が処罰対象とされることを確保するため、必要な措置をとる。 2.各加盟国は、第2条ならびに第3条第1項(a)および(b)に掲げられた犯罪の未遂が処罰対象とされることを確保するため、必要な措置をとる。 第5条(処罰および加重事由) 1.4の規定にしたがうことを条件として、各加盟国は、第2条、第3条および第4条に掲げられた犯罪が少なくとも長期1年から3年の拘禁刑による処罰対象とされることを確保するため、必要な措置をとる。 2.4の規定にしたがうことを条件として、各加盟国は、次の犯罪が少なくとも長期5年から10年の拘禁刑による処罰対象とされることを確保するため、必要な措置をとる。 (a) 第2条(a)に掲げる犯罪のうち「子どもを威迫して売春させもしくはポルノ的パフォーマンスに参加させること」および第2条(c)(i)に掲げる犯罪。 (b) 第2条(a)に掲げる犯罪のうち「当該目的で子どもから利益を得ることもしくはその他の形態により子どもを搾取すること」および第2条(b)に掲げる犯罪のうち売春に関わる行為について、次に掲げる事由の少なくとも一が該当するとき。被害者が国内法上の性的同意年齢に達しない子どもであること。 犯罪者が意図的にまたは無謀な行為により子どもの生命を危うくしたこと。 当該犯罪が重大な暴力をともなっており、または当該犯罪によって子どもに重大な危害が生じたこと。 当該犯罪が、共同行動 98/733/JHA に掲げられた処罰の水準に関わらず、当該共同行動にいう組織犯罪の枠組のなかで行なわれたこと。 (c) 第2条(a)に掲げる犯罪のうち「当該目的で子どもから利益を得ることもしくはその他の形態により子どもを搾取すること」および第2条(b)に掲げる犯罪のうちポルノ的パフォーマンスに関わる行為、ならびに、第2条(c)(ii)および(iii)ならびに第3条第1項(a)、(b)および(c)に掲げる犯罪について、被害者が国内法上の性的同意年齢に達しない子どもであり、かつ、この項の(b)の第2、第3および第4インデントに掲げられた事由の少なくとも一が該当するとき。 3.各加盟国は、第2条、第3条または第4条に掲げられた犯罪の一について有罪判決を受けた者に関し、適当なときは、子どもの監督に関わる職業上の活動を行なうことを一時的にまたは恒久的に禁止できることを確保するため、必要な措置をとる。 4.各加盟国は、第1条(b)(iii)に掲げられた児童ポルノに関わる行為について、刑事上の制裁以外の制裁または措置を含むその他の制裁を定めることができる。 第6条(法人の責任) 1.各加盟国は、個人としてまたは法人の機関の一部として行動するいずれかの自然人であって当該法人内部で指導的地位にある者が、次のいずれかの権限に基づき、かつ当該法人の利益のために第2条、第3条および第4条に掲げられた犯罪を行なう場合に、当該犯罪に関する責任を当該法人に負わせ得ることを確保するため、必要な措置をとる。 (a) 法人の代表権。 (b) 法人のために決定を行なう権限。 (c) 法人内部で管理を行なう権限。 2.すでに1で規定されている場合とは別に、各加盟国は、1に掲げられた者による監督または管理の欠如により、法人の権限に基づき活動する者が当該法人の利益のために第2条、第3条および第3条に掲げられた犯罪を行なうことが可能になる場合に、当該犯罪に関する責任を当該法人に負わせ得ることを確保するため、必要な措置をとる。 3.1および2に基づく法人の責任は、第2条、第3条および第4条に掲げられた犯罪の加害者、扇動者または共犯者である自然人に対する刑事手続を妨げるものではない。 第7条(法人に対する制裁) 1.各加盟国は、第6条第1項の規定にしたがって責任を負うものとされる法人に対し、効果的な、均衡のとれたかつ抑止効果のある制裁が科されることを確保するため、必要な措置をとる。当該制裁には、刑罰としてのまたは刑罰以外の金銭的制裁を含むものとし、かつ、次のもののようなその他の制裁を含むことができる。 (a) 公的な給付金または補助金の受給資格を停止すること。 (b) 商業的活動を行なう資格を一時的または恒久的に停止すること。 (c) 司法的監督のもとに置くこと。 (d) 裁判所による解散命令を発すること。 (e) 犯罪を行なうために用いられた施設を一時的にまたは恒久的に閉鎖すること。 2.各加盟国は、第6条第2項の規定にしたがって責任を負うものとされる法人に対し、効果的な、均衡のとれたかつ抑止効果のある制裁が科されることを確保するため、必要な措置をとる。 第8条(裁判権および訴追) 1.各加盟国は、次の場合において第2条、第3条および第4条に掲げられた犯罪についての裁判権を設定するため、必要な措置をとる。 (a) 当該犯罪の全部または一部が自国の領域内で行なわれるとき。 (b) 当該犯罪を行なった者が自国の国民であるとき。 (c) 犯罪が、当該加盟国の領域で設立された法人の利益のために行なわれるとき。 2.各加盟国は、犯罪が自国の領域外で行なわれる場合、1(b)および1(c)が定める裁判権の規則を適用しないことまたは特定の事案または状況にかぎって適用することを決定することができる。 3.国内法に基づいて自国民の引渡しを行なわない加盟国は、第2条、第3条および第4条に掲げられた犯罪が自国民のいずれかによって自国の領域外で行なわれる場合に当該犯罪について裁判権を設定し、かつ適当なときは訴追を行なうために、必要な措置をとる。 4.加盟国は、2項の規定を適用すると決定するときは、適当なときは当該決定が適用される特定の事案または状況も明らかにして、理事会および委員会の事務局長に対ししかるべき通告を行なう。 5.各加盟国は、第3条に基づく犯罪および関連するときは第4条に基づく犯罪が自国の領域内からアクセスされたコンピュータ・システムを利用して行なわれる場合に、当該コンピュータ・システムが自国の領域にあるか否かに関わらず、当該状況が自国の裁判権の対象に含まれることを確保する。 6.各加盟国は、第2条に掲げられた犯罪のうち少なくとももっとも重大な犯罪について、国内法にしたがって被害者が成年に達した後に当該犯罪の訴追を可能とするため、必要な措置をとる。 第9条(被害者の保護および被害者への援助) 1.加盟国は、この枠組決定の対象とされる犯罪の捜査または訴追について、少なくとも第8条第1項(a)が該当する場合に、当該犯罪の被害を受けた者による通報または告発が要件とされないことを定める。 2.第2条に掲げられた犯罪の被害者は、刑事手続における被害者の地位に関する2001年3月15日の理事会枠組決定(2001/220/JHA)第2条第2項、第8条第4項および第14条第1項にしたがい、とくに脆弱な状況にある被害者と見なされるべきである。 3.各加盟国は、被害者の家族に対する適切な援助を確保するため、可能なあらゆる措置をとる。各加盟国はとくに、適切かつ可能なときは、前項の枠組決定第4条の規定を当該規定に掲げられた家族に適用する。 第10条(領域的適用範囲) この枠組決定は、ジブラルタルにも適用される。 第11条(共同行動 97/154/JHA の廃止) 共同行動 97/154/JHA はここに廃止する。 第12条(実施) 1.加盟国は、遅くとも2006年1月20日までにこの枠組決定を遵守するために必要な措置をとる。 2.加盟国は、2006年1月20日までに、この枠組決定に基づいて課される義務を自国の国内法に編入する規定の文を、理事会および委員会の事務局長に送付する。理事会は、2008年1月20日までに、この情報を利用して作成された報告書および委員会の報告書に基づき、加盟国がこの枠組決定の規定をどの程度遵守しているかについての評価を行なう。 第13条(発効) この枠組決定は、欧州連合官報に掲載された日に効力を生ずる。 2003年12月22日にブリュッセルで作成した。 更新履歴:ページ作成(2011年8月17日)。
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子どもの権利委員会・一般的意見13号:あらゆる形態の暴力からの自由に対する子どもの権利(3) あらゆる形態の暴力からの自由に対する子どもの権利(2)より続く V.より幅広い条約上の文脈における第19条の解釈 59.子どもの権利アプローチの定義。権利を有する者としての子どもの尊厳、生命、生存、ウェルビーイング、健康、発達、参加および非差別を尊重することを、子どもに関わる締約国の政策の際立った目標として確立および擁護することが求められる。これを実現する最善の方法は、条約(およびその選択議定書)に掲げられたすべての権利を尊重、保護および履行することである。そのためには、子どもが、保護に対する不可譲の権利を有する権利の保有者としてではなく、援助を必要とする「客体」として見なされかつ扱われる子どもの保護アプローチからの、パラダイム転換が必要となる。子どもの権利アプローチは、差別の禁止(第2条)、子どもの最善の利益の考慮(第3条第1項)、生命、生存および発達(第6条)ならびに子どもの意見の尊重(第12条)を常に指針としながら、義務の保有者が権利を尊重、保護および履行する義務を果たす能力および権利の保有者が自己の権利を請求する能力を発展させることにより、条約に掲げられた子どもの権利の実現を前進させるアプローチである。子どもはまた、自己の権利を行使するにあたり、子どもの発達しつつある能力にしたがって、養育者、親およびコミュニティの構成員による指示および指導を受ける権利も有する(第5条)。この子どもの権利アプローチはホリスティックであり、子ども自身の、そして子どもがその一員であるすべての社会システム(家族、学校、コミュニティ、諸制度、宗教的システムおよび文化的システム)の強さおよび資源を支えることを重視するものである。 60.第2条(差別の禁止)。委員会は、あらゆる形態の暴力からの保護に対する権利を、すべての子どもに対して、「子どもまたは親もしくは法定保護者の人種、皮膚の色、性、言語、宗教、政治的意見その他の意見、国民的、民族的もしくは社会的出身、財産、障害、出生またはその他の地位にかかわらず、いかなる種類の差別もなしに」保障するために、締約国が十分な措置をとらなければならないことを強調する。これには、商業的性的搾取を受けた子ども、路上の状況にある子どももしくは法に抵触した子どもへの偏見に基づく差別、または子どもの衣服および行動に基づく差別も含まれる。締約国は、この一般的意見のパラ72(g)に掲げた子どものような、被害を受けやすい状況に置かれたまたは周縁化された集団の子どもに対する差別に対応するとともに、このような子どもが他のすべての子どもとの平等を基礎として保護に対する権利を保障されることを確保するために積極的努力を行なわなければならない。 61.第3条(子どもの最善の利益)。委員会は、子どもの最善の利益の解釈が、条約全体(あらゆる形態の暴力から子どもを保護する義務も含む)に一致するものでなければならないことを強調する。子どもの最善の利益の解釈を、子どもの人間の尊厳および身体的不可侵性に対する権利と衝突する慣行(体罰および他の形態の残酷なまたは品位を傷つける罰を含む)を正当化するために用いることはできない。子どもの最善の利益に関するおとなの判断により、条約に基づく子どものすべての権利を尊重する義務が無効化されることはありえない。委員会はとくに、子どもの最善の利益は以下の方法を通じてもっともよい形でかなえられることを主張するものである。 (a) 国家的な調整枠組みのなかで第一次予防に焦点を当てる必要性を重視しながら、あらゆる形態の暴力を防止し、かつ前向きな子育てを促進すること。 (b) 子どもの権利を基盤とする統合的な子ども保護・支援システムの実施に振り向けられる人的、財政的および技術的資源に対し、十分な投資を行なうこと。 62.第6条(生命、生存および発達)。あらゆる形態の暴力からの保護は、「生命」および「生存」に対する子どもの権利のみならず「発達」に対する権利の観点からも考慮されなければならず、かつ「発達」は子どもの保護という全般的目標に沿って解釈されなければならない。したがって、締約国の義務には、生命、生存および発達に対する子どもの権利を損なう暴力および搾取からの包括的保護も含まれる。委員会は、各国が、ホリスティックな概念としての「発達」をもっとも広く、すなわち子どもの身体的、精神的、霊的、道徳的、心理的および社会的発達を包含するものとして解釈するよう期待する。実施措置においては、すべての子どもの最適な発達を達成することが目的とされるべきである。 63.第12条(意見を聴かれる権利)。委員会の見解では、子ども参加は保護を促進するのであり、かつ子どもの保護は参加の鍵である。意見を聴かれる子どもの権利は、暴力の被害をとくに受けやすい乳幼児からすでに始まっている。子ども保護プロセスのあらゆる段階で、義務的措置として子どもの意見が促され、かつ正当に重視されなければならない。意見を聴かれる子どもの権利は、暴力の状況においてとりわけ関連性を有する(委員会の一般的意見12号(2009年)、パラ118以下参照)。家族および子育てに関して、委員会は、この権利が、家庭および家族におけるあらゆる形態の暴力に対する予防的役割を果たすと表明した。委員会はさらに、防止戦略一般および学校における防止戦略の策定、とくに学校におけるいじめその他の形態の暴力の解消および防止への子ども参加の重要性を強調する。子どもたち自身の暴力解消能力の強化を目的とした取り組みおよびプログラムが支援されるべきである。暴力を経験することは本質的にディスエンパワーメントにつながるので、子どもの保護のための介入が子どものさらなるディスエンパワーメントをもたらすのではなく、むしろ慎重なファシリテーションに基づく参加を通じてその回復および再統合に寄与することを確保するため、配慮のある措置が必要である。委員会は、とくに周縁化されたおよび(または)差別された集団が参加の障壁に直面していることに留意する。子どもは暴力の影響をもっとも受ける集団のひとつであることが多いため、これらの障壁に対応することは、子どもの保護にとってとりわけ関連性がある。 64.条約の以下の2つの条項も総括的な関連性を有しており、第19条の実施にとってとりわけ重要である。 65.第4条(適当な措置)。第4条は、締約国に対し、条約上のすべての権利(第19条を含む)を実施するためにあらゆる適当な措置をとる義務を課している。条約第4条の適用に際しては、第19条に掲げられたあらゆる形態の暴力から保護される権利は市民的権利および自由のひとつであることが留意されなければならない。したがって、第19条の実施は、締約国が有する即時的かつ無条件の義務である。第4条に照らし、国は、自国の経済的事情がいかなるものであろうと、子どもの権利の実現に向けてあらゆる可能な措置をとることを要求される。その際、もっとも不利な立場にある集団に特別な注意を払うことが必要である(委員会の一般的意見5号、パラ8参照)。同条は、利用可能な資源が最大限活用されなければならないことを強調している。 66.第5条(発達しつつある能力に一致した指示および指導)。第19条を実施するためには、子どもの養育および保護ならびに暴力の防止における親、拡大家族、法定保護者およびコミュニティの構成員の第一義的重要性を認めかつ支えることが必要である。このアプローチは、条約で認められた権利(第19条を含む)を子どもが行使するにあたって、子どもの能力の発達と一致する方法で適当な指示および指導を行なう養育者の責任、権利および義務の尊重を促進する、第5条と一致している。(国家的な調整枠組みおよび家族に関わるその他の条項の文脈における家族の第一義的重要性について、パラ72(d)も参照。) 67.その他の関連条項。条約には、暴力および子どもの保護に明示的または黙示的に関連する条項が多数含まれている。第19条はこれらの条項とあわせて理解されるべきである。このような包括的言及は、あらゆる形態の暴力が子どもの権利の実施に与えている広範な脅威を考慮に入れ、かつ生活および発達のあらゆる状況において子どもの保護を確保することの必要性を実証している。 VI.子どもに対する暴力についての国家的調整枠組み 68.国家的行動計画を超えて。委員会は、子どもの権利を実施するために締約国が採択した多くの国家的行動計画に、子どもに対するあらゆる形態の暴力を禁止、防止および解消するための措置が含まれていることを認める。とはいえ、このような行動計画は、子どもによる自己の権利の享受の増進に貢献する一方で、その実施、監視、評価およびフォローアップの面で多くの課題に直面してきた。たとえば、このような行動計画は、開発に関わる全般的な政策、プログラム、予算および調整機構との結びつきを欠いていることが多い。より実行可能かつ柔軟な手段を確立するため、委員会は、子どもをあらゆる形態の暴力から保護しかつ保護的な環境を支えるための、子どもの権利を基盤とするあらゆる措置を対象とする、「子どもに対する暴力についての調整枠組み」を提案する [24]。このような調整枠組みは、国家的行動計画がまだ存在しない場合または非実際的であることが明らかになりつつある場合、それに代えて活用することが可能である。国家的行動計画がすでに効果的に実施されている場合でも、調整枠組みは、これらの努力を補完し、議論を喚起し、かつその機能を向上させるための新しいアイデアおよび資源を創出することにつながりうる。 [24] 子どもに対する暴力に関する国際連合研究のための独立専門家による網羅的勧告(A/61/299)、パラ96も参照。 69.子どもに対する暴力についての国家的調整枠組み。調整枠組みを設けることにより、政府省庁間で、またあらゆるレベルにおける国および市民社会の行為主体にとっても、第19条で特定されている一連の措置の全般を通じ、かつそこで明らかにされている介入の段階ごとに、必要とされている措置に関わる共通の参照枠組みおよび伝達機構を用意することができる。また、柔軟性および創造性を促進するとともに、政府およびコミュニティが同時並行的に主導しながらも、凝集性を備えかつ調整のとれた全般的枠組みに収まる取り組みの発展および実施を可能にすることにもつながりうる。委員会はすでに、これまでの勧告および一般的意見(実施に関する一般的実施措置についての一般的意見5号を含む)において、締約国に対し、条約の特定の側面(たとえば少年司法または乳幼児期)に関する計画および戦略を策定するよう促してきた。委員会はこのような流れのなかで、あらゆる形態の暴力からの保護(包括的な防止措置を含む)に関する国家的調整枠組みの策定を勧告しているのである。 70.異なる出発点。委員会は、あらゆる形態の暴力から子どもを保護することはほとんどの国において大きな課題であり、かつ、締約国は、既存の法律上、制度上およびサービス上の基盤、文化的習慣および専門家の力量ならびに資源水準の面で非常に異なる状況を出発点として措置を立案および実施しようとしていることを認知する。 71.国家的調整枠組みの策定プロセス。あらゆる形態の暴力からの自由に関するこのような調整枠組みについて、単一のモデルは存在しない。別個の子ども保護システムに投資してきた国もあれば、子どもの権利の実施に関わる主流のシステムに保護に関わる問題を統合するほうが望ましいと考える国もある。システムの実施の成功にとってその発展プロセスがきわめて重要であるのは、経験が示すところである。あらゆる関係集団の上級代表による参加およびオーナーシップを確保するため、熟練したファシリテーションが必要となる。このようなプロセスは、適当な意思決定権限を有し、定期的に会合し、かつ野心的であろうとする覚悟を備えた分野横断型の作業部会を通じて進めることが望ましい。あらゆる形態の暴力を防止しかつこのような暴力からの保護を提供するシステムは、すでに公式・非公式に存在する態勢、サービスおよび組織の長所を発展させる形で構築されるべきである。第19条およびより幅広く条約全体ならびにその他の国際的・地域的人権文書に掲げられた義務に基づいて、かつ、子どもに対する暴力に関する国際連合研究、この一般的意見および追加的実施支援策に掲げられた指針を裏づけとしながら、欠陥を特定および是正することが求められる。国家的な計画策定は、一般公衆に対して全面的に開かれ、かつ政府、NGO、研究者および職業実務の専門家、親ならびに子どもの参加が保障された、透明かつ包摂的なプロセスであるべきである。このようなプロセスは、子どもおよびおとなの双方にとってアクセスしやすくかつわかりやすいものであることが求められる。国家的調整枠組みの費用見積もりおよび財源手当ては、人的資源および技術的資源も含めて全面的に行なわれるべきであり、かつ可能であれば国の子ども予算で提示されるべきである。 72.国家的調整枠組みの主流に位置づけられるべき要素。以下の要素が、(立法上、行政上、社会上および教育上の)種々の措置および(防止から回復および再統合に至る)介入の諸段階全般を通じて主流に位置づけられなければならない。 (a) 子どもの権利アプローチ。このアプローチは、子どもは権利の保有者であり、おとなによる善意の活動の受益者ではないという宣言に基づくものである。これには、調整枠組みおよびそこでとられる具体的措置の立案、実施、監視および評価に際して、子どもまたは子どもたちの年齢および発達しつつある能力を考慮しながら、子どもとの協議および協力ならびに子どもの主体性を尊重しかつ奨励することが含まれる。 (b) 子どもに対する暴力にともなうジェンダーの側面。締約国は、政策および措置において、さまざまな場面で生じているさまざまな形態の暴力との関連で女子および男子が直面している異なるリスクが考慮されることを確保するべきである。国は、包括的な暴力防止戦略の一環としてあらゆる形態のジェンダー差別に対応することが求められる。これには、家庭、学校および教育現場、コミュニティ、労働現場、施設ならびにより幅広い社会における暴力および威迫の使用を支えかつ永続させている、ジェンダーに基づくステレオタイプ、力の不均衡、不平等ならびに差別への対応が含まれる。男性および男子は、戦略的パートナーおよび同盟者として積極的な励ましの対象とされなければならず、かつ、女性および女子とともに、相互の尊重と、ジェンダー差別およびその暴力的表出に終止符を打つ方法についての理解を高める機会を提供されなければならない。 (c) 第一次(一般)予防。詳しくはこの一般的意見のパラ42参照。 (d) 子どもの養育および保護のための戦略における家族の第一次的立場 [25]。家族(拡大家族およびその他の形態の家族型養護体制を含む)は、子どもの保護および暴力の防止に関して最大の潜在的可能性を有している。家族はまた、子どもが自分自身を守るのを支援し、かつそのためのエンパワーメントを図ることもできる。したがって、家族生活を強化し、家族を支え、かつ課題を有する家族とともに活動することが、介入のすべての段階、とくに(望ましい子どもの養育の確立を通じた)防止および早期介入における優先的な子ども保護活動に位置づけられなければならない。ただし委員会は、子どもが経験する暴力(性的虐待を含む)の多くが家族的文脈のもとで生じていることも認め、子どもが家族構成員による暴力にさらされているときは家族に介入する必要があることを強調するものである。 (e) 回復力および保護的要因。回復力および保護的要因、すなわち人身の安全を促進し、かつ虐待およびネグレクトならびにその否定的影響を少なくする内外の長所および支援を理解することは、このうえなく重要である。保護的要因には、安定した家族、子どもの身体的および心理的ニーズを満たすおとなによる愛情に満ちた子育て、前向きかつ非暴力的なしつけ、少なくともひとりのおとなに対する子どもの確固たる愛着、仲間およびその他の者(教員を含む)との支援的関係、向社会的、非暴力的かつ非差別的な態度および行動を醸成する社会環境、コミュニティにおける高水準の社会的結合、ならびに、豊かな社会的ネットワークおよび隣近所のつながりが含まれる。 (f) リスク要因。子ども個人または子どもたちの集団が一般的にまたは特定の文脈においてさらされている可能性があるリスク要因を少なくするため、積極的な、目的志向型の措置がとられなければならない。これには、親のリスク要因(有害物質濫用、精神保健上の問題および社会的孤立など)ならびに家族のリスク要因(貧困、失業、差別および周縁化など)が含まれる。世界的に、0~18歳の子どもはすべて、その神経的、心理的、社会的および身体的発育および発達が完了するまでは被害を受けやすいと見なされている。赤ん坊および乳幼児は、発達途上の脳が未成熟であることおよびおとなに完全に依存していることから、よりリスクが高い。女子と男子の双方がリスクにさらわれているが、暴力はしばしばジェンダーの要素をともなう。 (g) 潜在的に被害を受けやすい状況にある子ども。暴力にさらされる可能性が高い子ども集団には以下のような子どもが含まれるが、これにはかぎられない。すなわち、生物学的親と暮らしておらずさまざまな形態の代替的養護のもとにある子ども、出生登録されていない子ども、路上の状況にある子ども、実際に法に抵触した子どももしくはそのように見なされている子ども、身体障害、感覚器障害、学習障害、心理社会的障害ならびに先天性、後天性および(もしくは)慢性の疾病または重度の行動上の問題がある子ども、先住民族 [26] その他の民族的マイノリティの子ども、マイノリティである宗教的もしくは言語的集団に属する子ども、レズビアン、ゲイ、トランスジェンダーもしくはトランスセクシュアルである子ども、有害な伝統的慣行を受けるおそれがある子ども、早期婚をした子ども(とくに女子およびとくに強制婚の場合。ただし強制婚だけが問題なのではない)、最悪の形態のものを含む有害な児童労働に従事している子ども、移民もしくは難民として移動中の子どもまたは避難民化した子どもおよび(もしくは)人身取引の対象とされた子ども、すでに暴力を経験したことがある子ども、家庭およびコミュニティで暴力を経験および目撃している子ども、銃、武器、薬物およびアルコールの入手が容易な可能性がある、社会経済的指標が低い都市環境で暮らしている子ども、事故もしくは災害の被害を受けやすい地域または有毒な環境下で暮らしている子ども、HIV/AIDSの影響を受けているもしくは自身もHIVに感染している子ども、栄養不良の子ども、他の子どもから世話されている子ども、自身が養育者および世帯筆頭者である子ども、親自身も18歳未満である子ども、望まれずに、未熟児としてもしくは多子出産の一環で生まれた子ども、監督もしくは養育者との接触が不十分なまま入院している子ども、または身を守るための十分な保護措置、監督もしくはエンパワーメントがないままICTにさらされている子どもなどである。緊急事態下にある子どもは、社会的紛争、武力紛争、自然災害その他の複雑かつ長期的な緊急事態の結果として社会制度が崩壊し、子どもが親と離ればなれになり、かつ養育および安全な環境が損なわれまたは破壊さえされた場合、暴力の被害を極度に受けやすくなる。 (h) 資源配分。さまざまな部門を超えて必要とされる人的、財政的および技術的資源が、利用可能な資源を最大限に用いることにより配分されなければならない。予算配分およびその効率的活用に関わる説明責任を確保するため、確固たる監視機構が整備されなければならない。 (i) 調整機構。中央、広域行政圏および地方のレベルにおける調整、諸部門間の調整および市民社会(経験的調査研究を行なっている層も含む)との調整を効果的に確保するための機構の概要が明示されなければならない。このような機構は前述した行政上の措置による支援を受けなければならない。 (j) 説明責任。締約国、国および地方の機関ならびに関連する市民社会の関係者が、暴力から子どもを保護する義務およびコミットメントを履行するための基準、指標、手段ならびに監視、測定および事後評価のためのシステムを、積極的にかつ協力しあいながら確立および適用することが確保されなければならない。委員会は、説明責任を(とくにデータの収集および分析、指標の構築、監視ならびに事後評価等を通じて)確保するためのシステムに対する支持および独立の人権機関に対する支持を一貫して表明してきた。委員会は、締約国が、暴力の禁止、防止および解消に関わって達成された進展についての年次報告書を公表し、検討および議論のためにこれを議会に提出し、かつそこに掲げられた情報について反応するようすべての関係者に促すことを、勧告する。 [25] 「子どもの代替的養護に関する指針」〔PDF〕も参照。 [26] 一部の社会では、先住民族以外の家族とは対象的に、「虐待」とは区別される「ネグレクト」が、先住民族の子どもをその家族から分離する主たる理由となっている。懲罰的ではない家族支援サービス、および、原因(貧困、居住および歴史的事情など)に直接対応する介入策のほうが適当であることは多い。サービスの供給、および、先住民族その他のマイノリティ・コミュニティが利用可能な介入の選択肢の範囲に関わる差別に対応するための、具体的努力が必要である。 VII.実施のための資源および国際協力の必要性 73.締約国の義務。とくに第4条および第19条に基づく締約国の義務に照らし、委員会は、資源の制約は、締約国が子どもの保護のために必要とされる措置をまったくまたは十分にとらないことの正当化事由にはならないと考える。したがって締約国は、子どもの養育および保護に関する包括的な、戦略的な、かつ期限の定められた調整枠組みを採択するよう促される。委員会はとくに、これらの戦略、枠組みおよび措置の策定にあたって子どもたちと協議する必要性を強調するものである。 74.支援源。パラ70で強調した出発点の違いを背景として、かつ、子どもの養育および保護に関わる戦略のための第一義的資金源は国レベルおよび地方分権化されたレベルの予算であるべきであるという理解に立ちつつ、委員会は、条約第4条および第45条に示されている、国際的協力および援助の諸経路に対して締約国の注意を喚起する。委員会は、以下のパートナーに対し、第19条およびより幅広く条約全体で定められている要件を全面的に考慮した子ども保護プログラム(研修を含む)を財政的にも技術的にも支援するよう求めるものである [27]。開発協力を行なっている締約国、ドナー機関(世界銀行、民間資金提供者および財団を含む)、国際連合諸機関ならびにその他の国際的および地域的機関がこの呼びかけの対象となる。このような財政的および技術的支援は、国内的および国際的レベルの強力かつ公平なパートナーシップを通じ、系統的に提供されるべきである。子どもの権利を基盤とする保護プログラムを、国際援助受領国における持続可能な開発を援助する際の主要な要素のひとつに位置づけることが求められる。委員会はまた、これらの機関に対し、この目標を前進させるため、委員会、子どもに対する暴力に関する事務総長特別代表ならびに他の国際的および地域的人権機構と引き続き協働するよう奨励するものである。 [27] 国際的な協力および技術的援助の主流に子どもの権利を位置づける必要があること、そのような協力および援助が条約を指針とし、かつ条約の実施の全面的促進につながらなければならないこと、国際援助の相当部分をとくに子どもに配分するべきこと、および、子どもの権利に強く焦点が当てられるようにするために貧困削減戦略ペーパーおよび開発に対するセクターワイド・アプローチが必要であることについて、一般的意見5号(パラ61、62および64)参照。 75.国際的レベルで必要とされる資源。締約国が第19条に関わる自国の義務を履行することを援助するため、以下の分野で国際的レベルの投資を行なうことも必要である。 (a) 人的資源:職能団体(たとえば医療、精神保健、ソーシャルワーク、法律、教育、子どもの不当な取扱い、学術/調査研究、子どもの権利および育成訓練に関わる組織/機関)の内部および団体間の意思疎通、協力および個人的交流を向上させること。市民社会グループ(たとえば調査研究団体、NGO、子ども主導の団体、信仰を基盤とする団体、障害のある人の団体、コミュニティ・グループ、若者グループ、および、知識・実践の発展および交流に携わっている個人専門家)の内部およびグループ間の意思疎通および協力を向上させること。 (b) 財源:ドナーによる援助の調整、監視および事後評価を向上させること。経済学者、研究者および締約国が、ホリスティックな子どもの保護システムを(第一次予防を重視しながら)実施することのコストを、個人、コミュニティ、国およびひいては国際社会のレベルで生じる暴力の直接的および間接的影響(世代間の影響を含む)に対応することのコストとの対比で十全に測定できるよう、金融資本・人的資本分析をさらに発展させること。国際金融機関が「自らの政策および活動が子どもに与える可能性がある影響を考慮するために」[28] その検討を行なうこと。 (c) 技術的資源:さまざまな文脈に応じた修正について指針を示されながらコミュニティおよび専門家が活用するための、科学的根拠に基づいた指標、システム、モデル(モデル立法を含む)、ツール、指針、行動手順および実践基準。情報(知識および実践)の体系的共有およびアクセスを図るためのプラットフォーム。子どもの権利および子どもの保護のための予算を策定する際、ならびに、経済の上昇下降サイクルおよび課題の多い状況の最中に子どもの保護に関わる成果モニタリングを進めていく際の明確性および透明性を世界的に確立すること(情報、モデルおよび関連の訓練を通じた技術的援助は経時的に行なわれるべきである)。 [28] A/61/299, para.117. 76.地域的および国際的な、国境を越えた協力。開発援助に加え、子どもの保護に関わる問題のうち国境を越えて生じるものに対応するための協力も必要とされている。保護者をともなわないか家族とともにいるかに関わらず、また自発的かやむを得ない事情(たとえば紛争、飢饉、自然災害または病気の流行)によるかに関わらず、子どもが危害を受けるおそれが高まりうる子どもの越境移動、労働、性的搾取、養子縁組、身体の部位の切除その他の目的による子どもの人身取引、国境を越えて行なわれ、かつたとえ子どもが出身国内に留まっている場合でも子どもの安全および子どもの保護システムへのアクセスを損なう可能性がある紛争、および複数の国に同時に影響を及ぼす災害などである。子どもの保護に関わる国境を越えた問題に影響を受けている子どもを保護するため、これらの子どもが伝統的な養育状況のもとにあるか、または保護者をともなわずに入国した子どものように国が事実上の養育者であるかに関わらず、特別な立法、政策、プログラムおよびパートナーシップが必要となる可能性もある(たとえばサイバー犯罪、ならびに、旅行・観光を通じて子どもに性的虐待を行なった者および家族・子どもの人身取引を行なった者の域外訴追の場合など)。 更新履歴:ページ作成(2011年5月22日)。
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