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概要と見方 次項か行 あ行 相方ゲー(あいかたげー)[全][用語] 愛知県 小坊vs.消防(あいちけん しょうぼうばーさす.しょうぼう)[無][スラング] 悪夢(あくむ)[DESTINY、全][ステージ、サブタイトル、心情] 悪夢は再び(あくむはふたたび)[SEED、全][ステージ] アシスト(あしすと)[全][システム] 足付き(あしつき)[SEED][戦艦名][セリフ] 後格闘(あとかくとう)[全][システム] 穴座(あなざ)[全][コース] アナザーガンダム[G、W、X][用語] アナハイム・エレクトロニクス社(あなはいむ・えれくとろにくすしゃ)[宇宙世紀][企業名] アビリティレベル[W][用語] 阿頼耶識システム(あらやしきしすてむ)[鉄血][用語] アリー・アル・サーシェス(ありー・ある・さーしぇす)[00][人物名] アルカ(あるか)[無][雑誌] アルチ(あるち)[全][コース] アレルヤ・ハプティズム(あれるや・はぷてぃずむ)[00][人物名] 遺影(いえい)[スラング] 生贄(いけにえ)[Z][スラング] 一機だけ出てないあのガンダム(いっきだけでてないあのがんだむ)[W][機体名] イノベイター(いのべいたー)[00][用語] イノベイド(いのべいど)[00][用語] インカム(いんかむ)[無][用語?] 打ち上げ花火(うちあげはなび)[Z][スラング] エアプ(えあぷ)[無][用語] エゥーゴ(えぅーご)[Z、ZZ][勢力名] エウティタ(えうてぃた)[Z][略称] エクストラ機体(えくすとらきたい)[全] 援誤(えんご)[無][スラング] 遠征(えんせい)[無][スラング] 落合博満(おちあいひろみつ)[無][人物名] オードリー・バーン(おーどりー・ばーん)[UC][人物名] 起き攻め(おきぜめ)[全][テクニック] おしおき[全][スラング] お立ち台(おたちだい)[SEED][ステージ、スラング] オーバードライブ(おーばーどらいぶ)[全] おもちゃ[全][スラング] 終わりの無いディフェンス(おわりのないでぃふぇんす)[V、DESTINY][スラング] 相方ゲー(あいかたげー)[全][用語] 試合時に自分が全く役に立たないで、相方の力だけで勝ってしまうこと。 当然ながら試合は色々な要素が嚙み合うものなので一見役に立っていない様でも良い具合にロックを集めていたり、スコアを見ると意外とダメージを取っていたりするものなのだが、相方ゲーをしてしまったと思った時は素直に反省して今後の試合に活かそう。 愛知県 小坊vs.消防(あいちけん しょうぼうばーさす.しょうぼう)[無][スラング] ガンガンが原因で起きたゲーセン内の事件で、ガンダムというネームバリューもあってかネットや新聞などに載った。対戦で勝った後、煽った男性Aが煽られた男性Bに殴られたという内容。愛知県で起きた事、煽った男性Aの礼儀の無さが小学生級である事、殴った男性Bが消防士であった事からこう呼ばれる。 殴るのも良くないとは言え、そもそも何もされていないのに人を侮辱した時点で殴られても文句は言えません。店員さんや他のお客さんに迷惑をかけないためにもマナーはしっかり守りましょう。台バン等もたまに見かけますが、筐体を破壊した場合はウン百万クラスの賠償金が発生する可能性もあります。 とはいえ、こんな事が出る程件の作品のクレイジーな仕様は凄まじかった、という事も言えるか。次回作のロケテ時からの調整の姿勢がこの作品と雲泥であったことも、あながち無関係では無かったりして、という邪推も。マナーの事ももちろんだが、エンタメであると期待されるものに過分のストレスの貯まるような作品を提供されるのも勘弁願いたい、という気持ちも客としてはある。 ちなみにこの事件が起きたゲームセンターには次回作の「NEXT」の入荷がかなり遅かったとか…。 悪夢(あくむ)[DESTINY、全][ステージ、サブタイトル、心情] ノーマルコースAルート5面のサブタイトル。元ネタは「機動戦士ガンダムSEED DESTINY」のサブタイトルでシンがキラを倒した回。味方はシンのインパルスで敵はキラ搭乗機であるストライクガンダムとフリーダムガンダムしか出ない。5面の中では楽。 ガンガン時代の解禁はCPU戦中心で多くのユーザーに不評であり、とりわけ3回目と4回目の解禁には不満が続出した。その時を皮肉って用いられることもある。 開幕にキラが「何なんですか、貴方達は!?」と叫ぶのが印象深いステージである。いきなり2人で襲いかかって来るのだから気持ちは分からないでもない。 悪夢は再び(あくむはふたたび)[SEED、全][ステージ] ガンダムVSガンダム、ハードコースBルートステージ7のステージタイトル。ステージは種、ソロ時僚機は試作3号機、登場敵機はグフ・カスタム、フリーダム、V2。 「悪夢は再び」は種、「悪夢」は運命で使われたサブタイトル。つまり、サブタイトルでは「悪夢は再び」の方が「悪夢」より先に使われていたのである。これは、「悪夢は再び」の指す悪夢は種のアバンで語られる血のバレンタイン事件のことであり、要するに核兵器が悪夢ということである。対して「悪夢」はフリーダム(キラ)が撃墜される事がアークエンジェル勢とアスラン(とキラのファンの方々)にとって悪夢ということであると思われる。 アシスト(あしすと)[全][システム] ガンガンから追加されたシステム「モビルアシスト」の事。機体毎にそれぞれゆかりのある機体が援護してくれる。アシストごとに使用回数制限(再出撃まで回復しない)があるものの、出せば後は自動で攻撃や防御行動を取ってくれるので積極的に使うと良い。出すデメリットもほとんど無い(出す時の僅かな硬直ぐらい)。 アシスト機体そのものは特に作りこまれておらず、MSタイプでも出てきた姿勢のまま攻撃するであることがほとんどである ベルガ・ギロスやレジェンドガンダムなどの機体を使いたいにもかかわらず、アシストで出たのでプレイヤーキャラでの参戦が絶望的となることから一部では否定意見もあるが、戦略の広がりや個性付け、そしてオールスターという名目上や基本的なシステムの関係上出られることがほぼないであろうガンペリーやホバートラックが出られることもあり、概ね好評である。続編では、アシスト機がプレイヤー機に昇格することもある。 EXVS以降、システムとしてのアシストは廃止されたが、武装コマンドの1つとして一部の機体が使用可能。続編のフルブでは大半の機体にアシスト武装が実装された。その中には既にプレイアブル化されている機体がアシストになっているパターン(EWゼロのアシストにトールギスIIIなど)も出てきた。 EXVS2からは基盤の変更に伴い機体グラフィックを新規に用意する必要が出たためアシストのプレイアブル機体からの流用が大幅に増え、アシストのみ登場する機体はかなり少なくなった。 余談だが、ヒルドルブは原作では敵であったザクをアシストで呼び出すのがファンの間で話題となった。 GVS.では一部の機体の武装を除きアシストが大幅に削減され、代わりにどの機体も自由に一種類アシストを選んで使用できる「ストライカー」が登場。ストライカーによって動作はそれぞれ異なり使用回数も異なるが、ほとんど同じ動きをするものが多い。 XBのマックスターはアップデートで覚醒時にドラゴンガンダム呼び出しを使用するとクロスボーンガンダムX1の核のように一回目は流星胡蝶拳を放つようになった。 OBではマックスターのように覚醒時一回目は覚醒技級の大技を撃つ機体が増えた。 足付き(あしつき)[SEED][戦艦名][セリフ] ガンダムSEEDにおける地球連合軍所属(しかし後に離反する)の戦艦・アークエンジェルの事を指す。「足付き」と劇中の人物に言われるのは、足のような形をした陽電子砲が2基あるため。 ガンネクでイザークが言う「足付き」とは、まさにこの事である。アークエンジェルは、イザーク因縁の相手・ストライクを擁する戦艦でもある。 ちなみに脚付きと言えば、アークエンジェルの単なる色違い、つまり同型艦であるドミニオンも… 後格闘(あとかくとう)[全][システム] レバー後ろ(下)+格闘ボタンの入力で繰り出す格闘のこと。 読みは「あとかくとう」が一般的だが、「うしろかくとう」も使われている。稀に「後ろ格闘」と表記されていたり、下格闘と呼ぶ人もいる。 主にピョン格や投擲攻撃、カウンターなど、特殊な挙動や一風変わった性能が多いコマンド。もちろん普通の格闘攻撃モーションを行う機体もいる。 EXVS.シリーズ以降は、ここにも射撃武装を配置している機体が増えた。 穴座(あなざ)[全][コース] ガンガンにおける第5回解禁で登場したアナザーコースのこと。全10ステージ。難易度的にはノーマルとさして変わらない。前のステージで登場した敵エースが次の僚機になり、バトルステージとステージサブタイトルの作品が一致しないのが特徴。このステージ最大の売りは新機体解禁を望む多くのユーザーが待っていたガンダムエクシアが登場することである。結果的には相変わらずCPU戦の解禁だが前述の通りエクシアが出たため、そこまで不満は出なかった。 アナザーガンダム[G、W、X][用語] 「機動武闘伝Gガンダム」以降に制作された、「機動戦士ガンダム」より続く宇宙世紀とは違う世界を舞台にした作品群の事。another gundam。宇宙世紀シリーズとは違った解釈のモビルスーツ(一部ファイター)の活躍を楽しむ事が出来る。∀ガンダムではこれらの世界も含め(これ以降に放映された新しいガンダムシリーズを含めるかは解釈が分かれる)、全てのガンダムシリーズが同じ時系列にあるという設定でストーリーが展開した。 ∀以降の作品をどう呼ぶかについては不明だが、参考として『SDガンダム Gジェネレーションウォーズ』ではG、W、Xと∀は「アナザージェネレーション」、SEEDシリーズと00は「ニュージェネレーション」とされていた(*1)。 2024年のテレビ東京にて放送されたガンダム45周年番組では宇宙世紀以外の作品はまとめて「オルタナティブ作品」と称された。 アナハイム・エレクトロニクス社(あなはいむ・えれくとろにくすしゃ)[宇宙世紀][企業名] 宇宙世紀シリーズに登場するコングロマリット(軍産複合企業)。北米のアナハイムに本社を置き、月を拠点としている。元々は中小規模の家電メーカーであったが、一年戦争後にジオン系や戦闘機の企業の吸収合併・買収を繰り返していき、兵器業界の最大手にまでのし上がった。キャッチコピーは「スプーンから宇宙戦艦まで」。 ティターンズ・エゥーゴ・ネオジオンなど陣営に関係なく兵器の開発製造や裏取引を請け負うことから「死の商人」と揶揄されることもしばしば。しかし、フォーミュラ計画でのサナリィの台頭の他、全陣営のMS開発を独占していた驕りもあってか技術レベルも他組織より低下した結果ジェガンのモデルチェンジを繰り返すだけとなり、宇宙世紀100年代にはかつての勢力は失っている。 劇中での描写はTV版のZが初出であり、1st本編には登場していない。なお、安彦良和による漫画「機動戦士ガンダムTHE ORIGIN」ではアムロの父で連邦の技術士官のテム・レイがアナハイム社の技術者として描かれている。 ゲーム内では、クワトロが出資者(アナハイム社の上層部)の無理難題に愚痴をこぼしたり、バナージがいずれはユニコーンのような機体を作るのかと戸惑うシーンがある。 アビリティレベル[W][用語] アフターコロニー世界のモビルスーツに設定されている機体の性能や特性を表すパラメーター。 ファイティングレベル(格闘戦能力)、ウエポンズアビリティ(火力)、スピードアビリティ(機動性)、パワーアビリティ(駆動力)、アーマードアビリティ(装甲強度)の五種類があり、リーオーを基準(オール100)にした相対値で表されている。 阿頼耶識システム(あらやしきしすてむ)[鉄血][用語] 厄祭戦末期に開発された有機デバイスシステム。人間の脊髄にナノマシンを埋め込み、パイロットの神経と機体のシステムを直結させるというもの。本来モビルスーツを操縦するには訓練や学習が必要であり、それらが不足していると操作が遅れるどころか、起動することもままならないが、阿頼耶識システムを接続させることにより直感的かつ迅速な操作が可能になる。 かつてはアグニカ・カイエル達ギャラルホルンの始祖がガンダム・フレームと共に使用、ガンダム・フレームの性能と相まって悪魔的な性能を発揮したが、厄祭戦が終わると忌むべき技術として封印されていくことになる。 しかし、後の世ではその技術が半端な形で宇宙海賊などの無法者や違法組織などに出回り、ヒューマン・デブリと呼ばれる少年達に施術が行われようになっていった。技術力の低下した施術では、未成熟の子供にしかナノマシンが定着しない事、成功率が低い事(失敗すれば一生寝たきり、最悪だと死亡)などから、学もなく、失敗して使い物にならなくなっても代わりがいくらでも利くヒューマン・デブリをお手軽な戦力とするにはうってつけなのである(ヒューマン・デブリは人間的価値が低いとされているので、学習させるのは時間と労力の無駄、施術に失敗すれば処分すれば良いという考えが蔓延している)。 作中では女性の阿頼耶識持ちは存在していない。これはリスクの高い施術を行って体を無駄にするより、体を売らせた方がリスクなく稼がせることが出来るからであると思われる。メタな事を言うと、夕方5時に女性の上半身だけでも裸を映そうものなら間違いなく色んな団体から苦情が殺到する為もある(阿頼耶識持ちはケーブルを繋ぐなどの関係で大抵、上半身が裸になるシーンが多い)。 アリー・アル・サーシェス(ありー・ある・さーしぇす)[00][人物名] 「機動戦士ガンダム00」代表としてEXVS家庭版からアルケーガンダムで参加している。詳細はそちらを参照されたし。 NEXTのエクシア、ダブルオーライザーのトランザム格闘の連続斬りは彼に対して行ったものであるため「サーシェス切り」と呼ばれていた。 アルカ(あるか)[無][雑誌] エンターブレイン社から発行されているアーケードゲーム専門雑誌『アルカディア』のこと。本シリーズも特集記事が組まれたことがある。また、各種アーケードゲームの攻略ムックも刊行、発売され、本シリーズも3作とも発売されている。 有用な情報が載っている事もあり、ゲームセンターに大体1冊は置いてあるので一読するといいかも。2015年に休刊してしまい不定期発行になる。置いてあるゲーセンも減り(というかゲーセン自体が減り)悲しい時代になってしまった。 アルチ(あるち)[全][コース] ガンガンにおける第3回解禁で登場したアルティメットコースのこと。全12ステージ。僚機がいない場合や、10機以上倒す必要が出てくるステージが当たり前のように出てくる。また、その時点で登場していなかったガンダムエクシアを除いてドム以外のすべての機体が登場する。名前付き敵パイロットは出ない(故に敵のGCOも無い)。ちなみに各ステージのサブタイトルにはすべて「○○試練」とつく。そのあまりの高難易度から「お金の無駄ルート」等と皮肉られることも。 やあ(´・ω・`)ようこそ、「アルティメット」コースへ。「一の試練」は小手調べで2対2だからまずは落ち着いて欲しい。うん、「究極」なんだ。すまない。ノーマルでさえ前シリーズよりも難度が高いからね、謝って許してもらおうとも思っていない。でも、「超越試練」をクリアした画面を見たとき、きっと言葉では言い表せない「達成感」みたいなものを感じてくれたと思う。殺伐としたゲーセンでそういう気持ちを忘れないで欲しい。そう思ってこのコースを作ったんだ。じゃあ、もう一度お金を入れようか。誰がするか!ボケェェェェェェェェ!!!!!! ちなみに、EXVS.にもシチュエーションバトルというアルティメットコースほどではないものの、ステージごとに使用機体が固定されている上、組み合わせがνとユニコーンという協力プレイだと事故になる組み合わせになる、最終ステージは常時覚醒機体が3機に自機(1P)は当時微妙だったエクシア…と非常に高い難易度を誇るコースがあった。家庭版でリベンジしたいというプレイヤーもいたようだが、残念なことに家庭版では削除された。 アレルヤ・ハプティズム(あれるや・はぷてぃずむ)[00][人物名] 刹那・F・セイエイ、ロックオン・ストラトス、ティエリア・アーデと共にガンダムマイスターとしてソレスタルビーイングに参加している青年。1stシーズンではガンダムキュリオス、2ndシーズンではアリオスガンダム、劇場版ではガンダムハルートに搭乗している。 劇中では『超兵』の力を活かした高速戦闘をクライマックスで見せるのがお決まりとなっており、そういう意味では見せ場もあるものの、その代わりにクライマックス以外では目立たないため、『ハブラレルヤ』という造語が出来てしまい、監督が担当声優に『本意ではない』と謝罪までした不遇なキャラクター。とある劇中での信じられない役目から『GN電池』とも言われてしまっている。ただし、劇場版では終始大暴れした。 VS.シリーズでも本編をリスペクトするかのようにマイスターズで唯一プレイアブル機体として彼のMSは参戦しておらず、EXVS.の家庭用版で新規参戦したロックオン(ニール)が刹那に『アレルヤはどうした?(アレルヤ以外のマイスターは全員参戦している)』と言うなど、こちらでもネタにされてしまっている。しかも、家庭版で追加された劇場版00のPVではアレルヤも喋っており、参戦が期待されていたのだが2012年2月現在で登場する様子は全くなかった。 2013年1月29日に「アリオスガンダム」としてソーマ・ピーリスと共に念願の参戦と相成った。……とは言うものの利点が変形とBRの弾幕だけと、特化したワンチャン力を要求されるコスト1000の中で(生存能力こそ目を見張るものがあるものの)今ひとつ爆発力不足な機体だったため影の薄さを返上するに至らず。残念。 ところがMBでコスト1000→2500に上昇というかつてないコストアップを施され、さらにアップデートで一躍環境の上位と言われるほどのものになった。やったね!!そして念願かなってガンダムハルートも参戦した。 遺影(いえい)[スラング] 亡くなった人を偲ぶための写真または肖像画。お葬式の時に使用したり、仏間などに飾られることが多い。 EXVSより試合決着後に止めを刺した機体がアップになるまでの少しの間動くことが出来るようになり、その間に攻撃することで被弾モーションをアップにすることが出来るのだが、その時の攻撃が相手の耐久値を上回った場合、アップされる代わりにその時の攻撃を受けた姿が表示されるためこう呼ばれた。 とどめを刺される直前に相手の撃墜に成功した、射撃CSを貯めていたが試合終了時に指を離したら発射した……など偶然のケースもあるが、負けた側の腹いせでこうなる事もあるが気になる人は気になるので無用なトラブルを避けるためしない方が吉。されても負け犬の遠吠えだと流してあげよう。 GVS及びEXVS2以降ではこれがなくなり、すぐにリザルト画面に行くように。 リプレイでは試合終了後の動きは再現されないため意図的だった場合がわかるようになった。 生贄(いけにえ)[Z][スラング] ガンダムVS.ガンダム及びガンダムVS.ガンダム NEXTのCPU戦でZガンダムと一緒に登場し、Zガンダムを覚醒させるために存在する低コスト機体群のこと。登場するときは露骨に耐久力が低く、カミーユが切れる姿を存分に見ることができる。「五の試練」以外はZガンダムを先に倒してしまえば、後は雑魚狩りになるので倒し方を間違えないようにしたい。 難易度的にはガンガンノーマルD-4面「ゼータ発動」(初級)、NEXTのC-7EX(中級)、ガンガンアルティメット5面「五の試練」(上級)といったところか。斬られたり突き刺されたりしないよう、注意して欲しい。 EXVS.では「体を通して出る力」が消滅(覚醒へ移行)したため無くなってしまった。カミーユにとってはよかったのだろう… 一機だけ出てないあのガンダム(いっきだけでてないあのがんだむ)[W][機体名] 「新機動戦記ガンダムW」において主要なWチーム5人のうちたった一機だけ出られなかったアルトロンガンダムのこと。NEXTにおいてW枠は5機と発表された際、全員出るかと思われた。実際はヒイロ、デュオ、トロワはプレイヤーキャラクターとして、カトルはデュオのアシスト(のパイロット)で登場するにもかかわらず張五飛(チャン・ウーフェイ)だけは出られなく、ACのEDでもGチームがそろう際に一人だけいなかった。そのため解禁して欲しい機体としてよく名前が挙がっていた。 ただでさえ五飛は独特の考えを性格や言動をネタにされることが多かったのに、この結果さらにネタ性が強くなってしまった。 ちなみにガンダムvsガンダムのステージの1つの「コロニー内部」はアルトロンガンダムの改修前であるシェンロンガンダムの製造地であるL5コロニー。 家庭用「NEXT PLUS」の発表に伴い、まさかの新参戦「Endless Waltz」枠でサプライズ登場。これでもう不遇キャラとは呼ばせない!…が、今度はカトルがネタ及び不遇キャラにされているうえエンディングでアルトロン(ナタク)がやっと出てきたと思ったらサンドロックがハブられまたWのGチームがそろわない事態に… そのサンドロック改はNEXT PLUSモードにCPU専用として登場。勿論操作することは出来ず、声も無い。 これでGチームはそろったが前期主役機であるウイングガンダムがいない(後継機であるアルトロンやデスヘルと違ってウイングゼロとウイングはまったく別機体)。ちなみにこのウイング前期主役機というカテゴリーでも一機だけ出ていない。原作でも扱いの悪い機体ではあったが… そして「MAXI BOOST」でアルトロンガンダムとサンドロック改、モバイル有料会員限定機体でデスサイズヘルとヘビーアームズ改が参戦したことにより、ようやくWのガンダムチームが揃うことになる。 「GVS」では最初からTV版の後期ガンダムが勢ぞろいしている。 また、「GVS」でDLCでバスターの搭乗が決まった際、イージスとアスランがいないため、一時期ネタにされていたが、イージスもDLCで追加されたためすぐに消えた。 ちなみにGガンダムのジョルジュの乗るガンダムローズはガンガンからEXVS以降に至るまで一度もアシストとしてすら参戦していない上、話題にも上がらないこともある。EXVS2でマックスターの武装でローゼスビットだけ登場した。 イノベイター(いのべいたー)[00][用語] イオリア・シュヘンベルグが定義した高い相互理解能力を持ち,人類を導くと言われる進化した人類であり,脳量子波による感応能力や超人的反応速度を持つ。また後述のイノベイドよりレベルの高い脳量子波を扱える。ダブルオーライザーに搭載されているツインドライヴシステムによって生成される高純度のGN粒子を人間が浴び続けるとイノベイターへと進化することが出来る。劇中でイノベイターへと進化するコトが出来たのは刹那1人だけである。またよく間違えられるが後述のイノベイドのように肉体が強化されているわけではなく,あくまで脳量子波が扱える人間である。 劇場版でイノベイターになると状況把握能力、空間認識能力、脳量子波の拡大、細胞の変化による肉体の強化、GN粒子散布領域における脳量子波による意識共有が可能と言われている。劇中内で、覚醒要素を持った全世界の一般市民が登場している。エピローグの2354年には、人類の4割がイノベイターへ覚醒し、その一部が外宇宙へ進出している。 ELSとの対話後に復活したグラハムもELSと融合したイノベイターに覚醒、劇場公開版及び小説版ではアレルヤとマリーがイノベイターに覚醒、初期案では沙慈とルイスにも兆候が見られた。 覚醒条件は不明だが、上記の他にダブルオーライザーのトランザムバーストの影響を受けて急速に覚醒する場合もある。(現在該当者は1名) イノベイド(いのべいど)[00][用語] ソレスタル・ビーイングの計画を進める謎の集団。その真相は演算処理システム『ヴェーダ』によって造られた生体情報端末。遺伝子操作による人類を超越した身体能力と、体内のナノマシンによるテロメア修復によって不老の肉体を持ち、GN粒子を触媒とした脳量子波による量子通信によって、同タイプのイノベイドと思考を共有したり、ヴェーダと直接リンクが出来る。リーダー格はリボンズ・アルマーク。またリボンズ・アルマークのように『ヴェーダ』に上記以外の特別な能力を付与されている個体もいる。ティエリア・アーデもイノベイドの1人だったがイノベイドの行動と対立する選択をした。 いずれ現れる人類が進化したイノベイターを模して作られ、人類を理解し人類に革新を促す存在であり,いずれはその役目を終え滅び行く存在である。リボンズはヴェーダに付与された自らの力を過信しイノベイターと名乗った。その影響なのか、リボンズの配下のイノベイドは自分自身をイノベイターと呼んでいる。ヴェーダが世界の変化や進行方向を予想するための情報獲得手段として無自覚のイノベイドを人間の中に紛れ込ませる。これが2nd最終話のエピローグに映っている多くのイノベイドである。人間と違い頭髪が緑や紫やピンクなどいわゆるアニメ色の髪なのが大きな特徴である(フェルトはピンク髪だが、ある事情から染色しているだけ)。 インカム(いんかむ)[無][用語?] 筐体の売り上げの事。これが少ないと撤去の対象になりやすい。 打ち上げ花火(うちあげはなび)[Z][スラング] NEXTに登場するキュベレイの格闘前派生のこと。前派生すると敵を受身の取れない状態で上空に押し上げ敵が完全にダウンする、撃破する、弾切れを起こすまでファンネルがその敵を撃ち続ける。その際遠くからでもその様子が確認でき、まるで打ち上げ花火のようだと言われた事で広まった。 他にも「侵略の花火だよ」といいながら爆発させて相手を打ち上げるターンXの特殊格闘の特殊格闘派生やキャノンで突き刺して相手を上に打ち上げる陸戦型ガンダムのキャノンN格も花火と言えるだろう。 エアプ(えあぷ)[無][用語] 「エアプレイ」の略語。本シリーズでいうなら未プレイでプレイ動画やwiki、掲示板などの情報でプレイしたかのように語ることを指す。 たまに「運営はエアプ」という言葉が飛び出すことがあるが、その場合EXVS2のAGE-FXのようなその機体の強みを潰し、結果弱体化したり、おそらくフォビドゥンの弱体化をしようとした結果むしろ強化されベルディゴ以来の使用率、勝率トップに上り詰めたりと「なんでその機体が強いのか、どこが弱いのか」をまるで理解していない修正を行うことから言われる。 EXVS2のV2の「ABのメインがちょっと強いBRになる」など一見弱体化に見えるが使い手からすると利点の方が多い点もあったりするので何でもかんでも言うのも考え物かもしれない。 XBのアップデートでジョニー専用ザクとハルートが何とも言えない調整を受けたことから、開発チームとの対戦会で事前にアンケートがあった「開発に使用してほしい機体」に二機の名前も上がり、使用されたのだがジョニーザクは使いこんだプレイヤーすら驚かせるような立ち回りをした。一方ハルートは武装すら正しく把握されていなかったが… エゥーゴ(えぅーご)[Z、ZZ][勢力名] 「A.E.U.G.→Anti Earth United Goverment(反地球連邦政府)」の略。総大将はブレックス・フォーラで本拠地は月都市グラナダ。 1年戦争に勝利した地球連邦軍であったが、スペースノイドへの圧政はますます強まっていった。その状況に危機感を抱いた連邦議員兼連邦軍将校ブレックスが自身のコネクションを利用して築き上げた親スペースノイド組織。正確には軍隊ではない。当初は地味な活動しか出来なかったが、謎の男クワトロ・バジーナの仲介でアナハイム社の支援を得ることに成功、力を蓄える。ティターンズの引き起こした30バンチ事件を契機に本格的に活動を開始した。新型ガンダム強奪を初めとして、様々な作戦でティターンズを攻撃する。中盤ブレックスが暗殺されるとブレックスの遺言でクワトロが総大将になり、ダカールにおける演説でティターンズを糾弾し世論を味方につける。アクシズとの協力作戦などでグリプス2に追い詰めるも、「グリプス2攻防戦」で主要メンバーのうちカミーユは精神崩壊、エマ、ヘンケン、カツは戦死、クワトロは行方不明など急速に勢いは減退する。 「ZZ」でも引き続き存在しているが、アーガマ以外の戦力はほとんど無きに等しかった。そのためアナハイムの支援も薄れ、組織再編などの為に連邦政府の傘下となる。そのため「スペースノイド派」であるネオ・ジオン(ハマーン・ジオン)と敵対し、「アースノイド派」である地球連邦軍と協力するなどその存在意義はもはや無くなっていった(ゲーム「ギレンの野望 アクシズの脅威」のアクシズ編でエゥーゴ本拠地グラナダを攻める際の演説でその点を糾弾している)。第1次ネオ・ジオン紛争後は解体および連邦軍に吸収され、後のロンド・ベル隊の母体となったと言われている。ネェル・アーガマはロンド・ベル隊所属として引き続き運用される事となったが、木星圏行きのジュピトリスIIに搬入されたZZガンダムを除くガンダム・チームの機体群(Zガンダム、ガンダムMk-II、百式)は連邦軍上層部の判断により秘匿されたとの説がある。 エウティタ(えうてぃた)[Z][略称] 「機動戦士Zガンダム」を元にしたアーケードゲーム「機動戦士Zガンダム エゥーゴvs.ティターンズ」の略称。 エクストラ機体(えくすとらきたい)[全] EXVSMBより実装された要素で、主にEXVSFB家庭版にてDLCされた機体のことを指す(デスサイズヘルとヘビーアームズ改のようにフルブ家庭版で参加していない機体もある)。 携帯サイト有料会員限定で不定期に行われるキャンペーンに参加し一定の日数プレイ(最低4日)することで、ガチャチケットがもらえ、使用することで使用可能となる。ただ、有料会員であっても忙しくて何日もゲームセンターに行けなければ機体使用権を入手できないのは賛否を呼んでいる。 多くの機体が元の機体からコストと性能を下げたコンパチ機体で、実戦で使用するにはやや心もとない性能な機体が多いのだが、ガトー専用ゲルググのようなコンパチ元と使い勝手が大きく違う機体や、ハマーン専用アッガイやゴールドフレーム天ミナのような元の機体より高いコストになり、性能的にも高い評価を受けている機体、デスサイズヘルのようにコストは下がったもの元の機体とはだいぶ別の機体になったなど、様々な評価である。いずれの機体も、全てのプレイヤーが使えるわけではないので、強みを押し付けやすい(一種の「わからん殺し」ができる)という長所がある。 有料会員でなければ使用できないが、一度機体の使用権を手に入れれば再度有料会員になっても引き続きエクストラ機体は使用できるようになる。が、MBONでは常に有料会員でないと使えなくなった。 MBONではMBより機体性能が落とされている傾向にあるのだが、課金(有料会員)しないと使えない機体が強いと不平等感が強いというスタッフ判断だったことがインタビューで明かされている。その割にハマッガイとか強い機体もいたのだが。 家庭版MBONでは最初からすべてのエクストラ機体が使用可能に。 『EXVS.2』ではこれまでのエクストラ機体、『GVS』に参戦した機体が月に一度くらいのペースで解禁。こちらは無料会員、サイトに登録していなくても入手可能になっているが、解禁にはある程度以上の「クレジット(対戦回数ではない)」と運が必要となった。サイト登録していないと莫大なお金を必要とするので機体を使いたいのなら無料会員にはなった方がいい。無料会員でも使えるようになったため天ミナやドアンザク等パンチの利いた性能になっているのもいる。 『XB』では新型コロナウイルスの影響で機体追加がしにくかったり、何度もゲーセンに通わせるのはどうかという判断もあってか前作に比べて再取得キャンペーンなどで入手機会の増加がなされたり、モバイルサイトに登録しているとかなり取得しやすくなった。 『XB』の稼働末期ではカードがなくてもエクストラ機体が使用可能になり、『OB』でエクストラ機体を一般機体へ昇格させた。 援誤(えんご)[無][スラング] ネタのため、あるいは戦術上の問題で相方を意図的に誤射すること。ニコニコ動画のとあるコミュニティにて広まった。由来は援「護」と「誤」射を掛け合わせたもの。多くの場合は緑ロック状態(=無誘導)で僚機を狙う必要があるため、意図的な誤射行為そのものが難易度の高い行為である。援誤を試みるなら、まずは敵の巻き添えにするタイプのもので練習してみると良い。 対戦の人数揃い待ちなどの特殊な状況では特に意思疎通がなくとも行われる事も少なくないが、基本的には不利益な行為なので相方の了承無き場合は勝つ気がないと判断される可能性もあり絶対にやめましょう。ただ、このような相方を持っているなら…その相方を一生大事にしましょう。 そもそもこのネタ自体を知らない人、単純に不快感を覚える人もいるわけなのでそういった人を責めたりしてはいけない。 遠征(えんせい)[無][スラング] 自分のよく行くゲームセンターから遠く離れた場所へ行くこと。どの程度の距離から遠征なのかは人による。 元ネタは野球やサッカー等主にスポーツで試合のために遠く離れた敵地へ赴く際に使用する「遠征」から MBONからはオンライン対戦が主流になり店内戦を設定している店舗が相当減ったこと、有料会員なら家庭用のようにルームを作成すれば遠距離でも同じメンバーで対戦できるようになったのでほぼ聞かなくなった。 落合博満(おちあいひろみつ)[無][人物名] 実在する元中日ドラゴンズのプロ野球選手で、独特の感性やキャラクターと史上唯一の三度の三冠王・史上初の1億円プレイヤー・FA権行使による移籍者など、ある程度野球を知る人では知らない人はいない程の名プレイヤーにして監督としても8年間でチームを4回優勝に導いた名将。解説者としても、的確な指摘による(多少野球知識があれば)非常にわかりやすく丁寧な解説で野球ファンを楽しませてくれる…のだが実はかなりのガンダムファン(というより親子揃ってアニメファン)であるのは有名。エピソードは枚挙に暇がなく、その辺の「ガンダム好き」を自称する芸能人など軽く凌駕するレベル。エピソードを下記に挙げると少なくとも00までの映像作品全て視聴済み 引退した後あまりに暇なため量産型ゲルググ(同キット)を8体作る スポーツ新聞記者に好きなガンダムとして「ウイングガンダムゼロカスタム」と回答した際、実際の紙面では「ウイングガンダム」にされており激怒する 「ガンダムになれそうな選手はいるか?」と言う問いに対し「俺がガンダムだよ」「他の奴じゃガンダムになれない」とどこかの誰かみたいな回答をする 土曜日の試合の際、録画を忘れていたのに気付き、試合開始前に息子に録画を頼む電話をする しかも帰ってきた際の第一声は「ただいま」ではなく「ガンダムは録れたか?」 至福の時間は「試合に勝って、帰って妻の料理を食べながらガンダムを見る事」 息子の発言からおそらく連合VS.ZAFT IIを一緒にプレイしていると推測できる。 息子とたまにガンダムの名セリフの応酬をして遊んでいる。 その息子・落合福嗣は声優として活動しており、劇場アニメ『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』のレイモンド・ケイン役で出演している。 他の好きな機体はセラヴィーガンダム、アビスガンダムなど。ちなみに和歌山県にある彼の(野球の)記念館にはガンプラが大量に展示されており、そのほとんどは落合氏が作ったものであるらしい。優勝したある年にバンダイからプレゼントされた「ガンダムエクシア ドラゴンズブルーバージョン」も展示されているので興味がある人は行ってみよう。 オードリー・バーン(おーどりー・ばーん)[UC][人物名] OVA「機動戦士ガンダムUC」のヒロイン。栗色のショートカットにエメラルドの瞳を持ち、気品を漂わせる少女。16歳。「ラプラスの箱」の悪用を阻止するべく、単身行動を起こした所をバナージ・リンクスとめぐり会う。名前自体は偽名で、バナージに名前を聞かれた時に咄嗟に思いついただけの物に過ぎない。由来は彼女が好きな映画『ローマの休日』の主演女優・オードリーヘップバーンのもじり。メタ的な話をすると『ローマの休日』もある国の王女さまが一般人のふりをしてローマ市内を主人公と散策する物語である。余談だが、由来は同じではあるものの同名のお笑いコンビとは全く関係ないので注意。トゥース。 なお非公式作品であるが、漫画「機動戦士ガンダム ムーンクライシス」ではメイファ・ギルボードと名乗っていた。19歳で、髪型も腰までのロングヘアとなっている。 本シリーズでは、バナージやマリーダのセリフの中に名前が登場していたが、EXVSではナビキャラとしても登場。[関連]-ミネバ・ラオ・ザビ 起き攻め(おきぜめ)[全][テクニック] ダウンした相手が起き上がるタイミングに合わせて行動することで、自機に有利な状況を作る作戦。本ゲーム以外にもダウン判定が存在するゲームではよく使われる用語。初心者やCPUはこれに非常に弱い。 おしおき[全][スラング] 体罰を与えること。またはその体罰(国語辞典より) 本シリーズでは、強機体として暴れた機体をアップデートや次回作稼働開始時に大幅に下方することを呼ぶことも。前作の強さの見る影もなく、どう扱っても他の機体の下位互換になるまで落とされることも多いが、アップデートで強さを取り戻したり別の強みを得たりする、その作品ではずっと微妙なまま…などその後の扱いは天地程差がある。 ガンガン→NEXTの黒キュベレイ、MBON→EXVS2の試作三号機は弱いままのケース(NEXTまではオンラインアップデートがなかったので当然ではあるが)MBON→EXVS2のダークハウンドは別の強みを得た代表。 また、弱体こそされるがほどほどな具合に収まる機体、中にはアップデートでまた強機体に戻るケースもそこそこある。 お立ち台(おたちだい)[SEED][ステージ、スラング] ガンガンにおけるSEEDステージの中央の巨大なポールの最上部のこと。アルティメット2面「二の試練」ではここで敵とお見合いをしながら開始することになる。 EXVSでのXステージ「ニュータイプ研究所」にも高い建物があるので後継ともいえるかも。こっちは破壊可能なので実戦で上るのはけっこう難しい。 オーバードライブ(おーばーどらいぶ)[全] EXVS.MBに登場したシステム。FとSの2種類が存在し、FB、MBON以降の覚醒のように機体選択後どちらかのドライブを選択する。 体力が減るごとにゲージが溜まり、250を切ると発動可能になる。Fだと格闘ボタン単独入力、Sだとメイン射撃入力と同時に自動発動する。覚醒と異なり1出撃1回だけ使用可能。どちらも機動力が上昇し、Fなら赤い輪っかが、Sなら青い輪っかが機体周囲に展開する。 Fは防御力に補正がかかり、格闘の伸び、火力が向上し射撃から格闘のキャンセルが可能に、格闘をガードしてもこちらは短いよろけになり、相手のガードを解除するなど攻撃力中心に機動力、防御力ともにバランスよく強化される。 Sは射撃武装の威力向上、リロードが高速化、射撃から射撃にキャンセル可能に、足の止まる射撃をステップキャンセル可能になる、ケルディムはメインの弾数が増える、レジェンドなどはサブを移動撃ちできるようになるなど射撃機向きの強化を受ける。 使用後は機体の各部がわずかにスパークしているような演出があり、公式で明言されていないが機体の基礎能力が向上する。 エピオンやサバーニャのようなFもしくはS1択という機体もあれば、デュナメスなど射撃機体だが足の止まる射撃しかなくかといって格闘も強いわけではないとどちらの恩恵を受けにくい機体も。また、アルトロンなど下格のピョン格を立ち回りで常に使用する機体はドライブの発動を抑えるため立ち回りが制限される事態も起きた。 カプル&コレンカプルはそれぞれ独立してドライブを使用できるという唯一の個性を持っていた。 覚醒とFドライブで相手の耐久値を1コンボでほとんど奪うなどゲームバランスの大味化が目立ったためか1作で消滅した。次回作ではそれぞれのドライブの特徴を受け継いだ覚醒がF覚醒、S覚醒として実装された。 おもちゃ[全][スラング] インフィニットジャスティス(ミーティア装備)のMS形態を始めとする、「ダウン値が高いMS」の総称。 元ネタは、『ニコニコ動画』のコミュニティ「AO(頭おかしい)勢」(*2)がフリット・アスノの名台詞を改変した「アスランはオモチャじゃないんだぞ!」から。 MBから登場したボス仕様の隠者とストフリは、ダウン値が高いMSとして、AO勢からサンドバックの対象になっていた。しかしそれが人気になったのか、Eルートのボス機体が全て既存のプレイアブル機にボス並のHPとダウン値を加えたものになっていた。ただしMBでは通常MSの2倍のダウン値しかない。MBONからはボス仕様アスランと同様のダウン値に。ちなみに武装などはアシストを除いてMB仕様。 ONに登場したエクストリームガンダムMk-IIAXEも「おもちゃ」に該当するのだが、ダウン値が8でブースト使用中or覚醒後はスーパーアーマーになるのでサンドバックに向かないため、AO勢の評価は良いものではなかった。 GVS.ではDESTINYが参戦しないためボスランはいないものの、新たにアルヴァトーレがボスとして登場。この機体もアルヴァアロン時には高耐久・高ダウン値(*3)という紛れもない「おもちゃ」であった。 EXVS.2では遂にミーティア装備とボス仕様の隠者がリストラされた。しかし、12月25日のアップデートで追加されたA-11の3面目にMB時代の3-A[EX]を再現したステージが登場し、ターゲットの隠者はプレイアブル仕様な点を除けばボスランと同じ高耐久・高ダウン値を持ち、多くのAO勢が歓喜した。なお、スターウイニングガンダムが参戦した2019年7月30日には、A-11-1のプロヴィデンスガンダムも「おもちゃ」になっていた。但しHPはプレイアブルと同等の為、ロマンコンボフィニッシュが狙いやすくなった。 家庭版MBONが発売され、家でいつでもおもちゃに会いに行けるようになったほか、マキシブーストミッションではおもちゃと戦うミッションが存在し、開発もこの事を知っているような思わせぶりとなっている。 EXVS.2XBではCPU戦に乱入が無くなり、ステージも全開放されている事もあって気軽に会いに行けるようになった。当然おもちゃ仕様の隠者とプロヴィが続投しているが、4月22日のアップデートにてジャスティスガンダムが参戦。A-11-3の前座で登場するのだが、なんとこいつもダウン値が20の「おもちゃ」になっている。家庭版MBON同様に開発が狙ってやっているとしか思えない…。 更に、XBの新機能として実装された「賞金首システム」は、赤い名前の対象機体を撃破すると獲得GPが増えるというものなのだが、どういう訳かこの賞金首機体もダウン値が20に設定されており、紛れもない「おもちゃ」であった…。[関連]-アスランはオモチャじゃないんだぞ! 終わりの無いディフェンス(おわりのないでぃふぇんす)[V、DESTINY][スラング] 無印ガンガン及びNEXTにおけるヴィクトリーガンダム及びインパルスガンダムの武装と形態を利用した逃げ技で、無限滞空の先駆けとも言えるテクニック。超高空に陣取ることで、敵機体の赤ロック外の位置にとり射撃武器の誘導性と銃口補正を外し、同高度に追いつかれるまでほぼ無傷が狙える…が、このゲームは2on2であるため、相方が地獄を見る事となる。また、アップデートにより天井が従来より下げられたため、狩られる可能性が高くなった。 コストの関係からインパルスよりヴィクトリーで行われることが多い。 ちなみにNEXTのストライクもランチャーのガンランチャー発射しながら上昇すると妙に効率がよく天井までいけるのでそこで換装連打でもできたりする。 元ネタは「機動戦士Vガンダム」の前期OP「STAND UP TO THE VICTORY」中の歌詞から。 フルブで復活したヴィクトリーは、オバヒになると強制的に全パーツがドッキングする仕様に変更されたため、このテクニックは使えなくなった。また、インパルスは武装が大幅に変わり、そもそもコアスプレンダーにすらなれなくなった。 EXVSの某大会動画で見られた百式の横→特格CSC→シールドでの無限滞空等、使い所を間違えなければ効果的な時間稼ぎの手段となる。コストや体力調整がギリギリな時や敵の覚醒を凌ぎたい時等には有効な手段なため、自機が無限滞空が可能ならやり方を覚えておいて損はない。 MBONではオーバーヒート後25秒ほど空中にいるとスタンし、地上に落ちるまで操作を受け付けなくなる「ブーストペナルティ」ができた。そこまで対空する機会はまれだが。[関連]-高飛び 無限滞空 次項か行
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「・・・ごめん。心拍数および血圧が異常な上昇をみせた。大丈夫。問題ない」 本当かよ。 ともかく、俺はやりすぎちまったようだ。 まさか長門をからかうと鼻血を出してぶっ倒れちまうなんて、親御さんの情報統合思念体とかいうやつすら知るまい。 「悪かったな、長門」 「いい。・・・いつか、必ず・・・」 何か言いかけた長門は唐突に口を塞ぐ。 「今はとにかく、眼前の懸案事項を片付けるべき」 Sing in Silence 涼宮ハルヒの融合7 ――――――そして月曜日。 作戦決行日がやってきた。 例の下着類は長門が紙袋に入れて持ってきてくれる手はずになっていたので、俺は特に準備するものも無く登校・・・したんだが、心の準備くらいはしておくべきだったね。 凄く反省してる。 なんてったって、俺の後ろの席に「涼奈みるひ」の席が無かったからな。 おまけに朝比奈さんが居たであろう3年生のクラスにも居らず、挙句の果てにこの学校にそんな生徒は創立から現在に至るまで居たことは無いらしい。 しかしながら。 SOS団はこのみるひという生徒が北高に居ない世界にも存在している。 何故か。 それは。 「ごめんなさい!遅れました~。教職員会議が長引いちゃって・・・。さぁ、始めましょう。ミーティングを」 涼奈みるひなる女性はこの学校の生徒でもなく、ましてや卒業生でもなかった。 ・・・彼女は、この学校の教員だったのだ。 どうやら彼女はこのSOS団顧問にして、団長と言う位置づけらしい。 まさかこの絶世の美人が女教師だなんて先週は思わなかったぜ。 「・・・やれやれ」 「あーっ!キョンほら、そんな風に人生を達観しちゃってるから、薄幸そうなオーラが出ちゃうのよ。しゃきっとなさい!」 この世界でのSOS団の存在理由。 宇宙人と未来人と超能力者を集めて遊ぶでもなく はたまた世の中の不思議を探すでもなく 『薄幸そうな生徒を集めて、皆で遊ぶ』 ただ、それだけらしい。 俺、薄幸そうに見えたのか。 長門や古泉ならともかく。 「さて、ただ今より S生徒達がより明るい生活を送るため Oオリジナリティー豊かなイベントを提供する S涼奈みるひの 団 月曜日定例ミーティングを開始します!」 パチパチパチパチ・・・と拍手か賛辞でも送っておくべきなのか? おい古泉、この期に及んで無意味スマイルは辞めるべきだ。 長門も無感動を装うな! 「キョン?どうしたの?」 やばい。目立ちすぎちまった。 「・・・ふふふ、どうしたの?有希が気になるのかなぁ?」 そりゃ気になる。あんたが考えているであろうものとは別な意味でな。 長門、顔を赤らめるな! 「ふふっ。健全な恋愛というものも学園生活には必須なのよ?隠すこと無いわ、ほら、古泉君、キョンと席を替わってあげて。 キョンが有希の隣に行きたがっているようだから」 「それはいいアイディアです。どうぞ」 古泉、お前はこれ以上事態をややこしくしたいのか。 「大丈夫です。これしきのことで事態は悪化しませんよ」 何を小声で言いやがるんだお前は。 「さ、キョン座りなさい」 仕方ない。まあ長門が嫌なわけではないが。 「じゃあ長門、失礼する」 「・・・どうぞ」 「ああんもう有希ったら、凄く可愛いですよ!!」 まぁ、みるひが絶叫してしまうのもわかる。 確かに赤く俯き加減にある長門は非っ常に可愛い。 妖精だな。これは。 「ささっお二人、手を握りなさい」 っておい! そういや抱きついたり、胸に顔押し付けたことはあっても、手握ったことは無いよな。 なんだか無駄にどきどきしちまう。 ・・・それ以前にだ。 そもそもなんでおれは長門と仲良く手を握りっこしなきゃならないんだ? いや、改めて言うが長門が嫌とかじゃないんだけどさ。 こっ恥ずかしいよな。長期間彼女なし人間の男が美少女と手を握るなんて、そう機会は無いだろうし。 「・・・嫌?」 「握った方が良いか?」 「・・・握ってくれるのなら」 そして俺は、長門がおもむろに差し出してきた右手をぎゅっと握った。 「やーん!もう、二人ったらラブラブねっ!!」 お前がつなげって言ったんだろうが。 『聞こえる?』 ・・・長門? 『そう。貴方の神経に直接作用させることでこの会話を構築している。しゃべらなくて言い。・・・一種の念話だと思って』 ・・・了解。 念話まで使えるとはな。恐れ入った。 『ひとまず怪しまれないように涼奈みるひの方を見ておいて』 ああ、そうする。 『・・・貴方の記憶中枢の一部を精査・・・えっち』 って勝手に人の記憶を覗くな!! 『冗談。タイミングを見計らう』 下着はどうするんだ? 『私の足もとの紙袋に入っている』 無いぞ?紙袋なんて。 『既にビジュアルステルスシールドを一部展開させている』 なるほど。不可視状態か。 『そう。タイミングを見計らってステルスモードを解除するから、貴方は中から下着を掴んで涼奈みるひにぶつけて。パイの要領で』 「ちょっとキョン、聞いてるんですか!?」 ・・・おおっと。完全に聞いてなかったぜ。 「んもう!」 みるひは団長席にふんぞりかえりながらぶーと口を膨らませて怒った様なそぶりを見せる。 『どんな内容だったか言ってみなさい!』とか言われるのかと思い内心ビクビクしていると 「ごめんなさい、ちょっと今日は時間が無いの。古泉君か長門さんに聞いておいて下さい。人の話はちゃんと聞かないと駄目ですよ?キョン」 はいはい、判っておりますよ・・・おい、帰っちまうのか? 「じゃあ今日はこれで解散です!戸締りよろしくお願いします!」 長門どうすんだ!?行っちまうぞ? 『強硬手段に出る。私が直接ぶつける』 「強行って・・・おい!」 俺が止める暇は無かった。長門はみるひが一瞬窓のほうを向いた隙に紙袋のビジュアルステルスを解除し、それを思いきり空中高く飛ばして中身をぶちまけ、 重力制御か何かを用いて一度飛び上がった自分の手のひらに収束させ、バレーのサーブでもするようにこちらを向いたみるひの顔に向かってぶっ飛ばした。 ・・・そりゃないぜ、長門。 古泉はぽかーん。 俺もぽかーん。 下着塊を食らったみるひはもっとぽかーんだろうな。 「・・・っふわっ!!何この下着!ペッ!顔から剥がれない!?」 まだ長門の重力制御だか慣性制御だかが効いている様だ。あれじゃ匂いを嗅がずには要られまいな。 「・・・ふあっ、取れた・・・有希?・・・これをやったのは有希なんですね?・・・あなた・・・一体」 「・・・あれ?」 と長門。 ・・・匂い、嗅げてないのか? 「・・・あなた・・・説明してもらいましょうか」 つかつかと絶句する長門の元に歩み寄るみるひ。これはやばい。何故効かない!? 怒気満面の顔だ。 ドイツのナマハゲより怖い。 「有希・・・歯、食いしばりなさい」 おっと!制裁という名の体罰という名の制裁が来るのか!平手打ちか!? ・・・グーかよ。痛いぞそれは。 みるひはかなり力をこめ、長門を三回殴り、 「・・・あなたがこんなことをするなんて、思いもしませんでした」 と悲しげな表情で言い放った。 「・・・色々と理由があります」 「言いなさい。一体どんな理由なのか」 「・・・言えません」 ・・・再び長門を殴りやがった。1発、2発・・・って古泉! 「ちょっと・・・やりすぎです!」 古泉と俺は長門を殴り続けるみるひの腕を掴んで止めようとする。 それでもみるひは俺たちを払いのけ、蹲る長門へ容赦の無い打撃を見舞い続け・・・その、まるで何かの格闘ゲームのコンボを見ているような速さだった・・・ 十数秒後肩で息をしつつも拳のプレゼントを中止し、 「・・・今日は忙しいの。明日までに精々笑える言い訳でも考えて置いてください」 そう吐き捨てるように言って壊れんばかりの勢いで部室のドアを開け、出て行った。 ・・・これは。 もうヤバイを通り越している。 どこのレスラーだこいつは。 俺は恐怖に足をすくめながらも、ぶっ飛ばされた長門に駆け寄る。大丈夫なのか? 「長門、大丈夫・・・!ってお前!?」 「ちょっと、長門さん大丈夫ですか・・・あれ?」 拳の圧力で以って1メートルばかりすっ飛ばされた長門だったが、 むくっ、と何事も無かったかのように起き上がった。 そういやこいつ万能宇宙人なんだっけな。 「・・・頬をちょっと切っただけ」 「大丈夫か?」 「わりと」 そうかい。見た感じかすり傷程度だが・・・ 痛いんなら無理するなよ? 「大丈夫。舐めておけば直る」 口からそんな遠いところを舐めるわけにもいくまい。 それに、女の子にとって顔は命の次に大切なもんなんだろ? 「・・・そうでもない」 そうかい。 「でも絆創膏ぐらい張らせてくれ」 俺はポケットから絆創膏を取り出して長門の頬に張る。 ・・・妹から貰った奴なのでかなりファンシーなガラだがそれで勘弁してくれ。 「ありがと」 どことなく居心地悪そうな表情を浮かべ 「うかつ。キョン、貴方にやらせるべきだった。ごめんなさい」 謝られてもね。 「俺がやっていてもあんな風にボコボコにされてただけかもしれんぞ?」 そういうと長門は首を横に振り 「違う。貴方がやっていた場合、結果は変わっていた。・・・と思う。ただ、私が先ほどした風にやってもだめ」 やってもだめ、というか俺には重力制御は出来ない。 「・・・そういうことではない」 「つまり、何かが足りないってことなんだろ?」 「・・・おおむねそう」 長門、なんだか拗ねてる様な雰囲気だな。 「どうした長門」 「・・・なんでもない」 なんでもないこと無いだろう。 「・・・帰る」 「おい長門!?」 「・・・放っておいてくれると有難い」 長門、様子おかしいぞ、って待ってくれ! 俺の制止を振り切って、荷物を持った長門は勢い良く部室を飛び出していった。 あいつでもメランコリー状態に突入することってあるんだな。珍しい。 「仕方ありませんよ」 「そう・・・かもしれんな」 長門、明日までには回復してくれよ? そう思いつつ、俺と古泉は団長席の周囲にぶちまけられた下着類の回収作業をはじめたのであった・・・匂いで誰の持ち物か判別しながらな。 やばいぜ俺たち。 そして火曜日。 今日こそは決着をつけるべく、万全の体制で学校に来・・・たものの、今日はもろもろの事情で半ドン、昼までだ。 なんかいろんな意味でやる気がそがれたな。 ・・・とは言ってられんのが現状。 とにかく今日までにあの二人を分離させないと、長門いわく 「・・・これ以上私の身が持たない」 らしいし、古泉いわく 「僕の仕事、無くなっちゃいますから」 らしい。 おい古泉、お前の場合は仕事がなくなったほうが良いんじゃないか? 「それはまあ、そうですね」 相変わらず裏で何考えてんのか判らん仮面の笑みを浮かべやがる古泉。 「まぁ、僕は機関の構成員である以前にSOS団副団長です。本来あるべきSOS団をとりもどすことが僕の使命です」 同調しておこうかな。一応。 前回のように無計画ではいかんということで、長門立案実行俺、支援古泉なプランが作成された。 まず、長門と俺がみるひが部室に来る前に入る。俺は長門が作ったビジュアルステルスシールドで身を隠し、長門はみるひが来るまで待つ。 みるひが来ると、長門はビジュアルステルスシールドで隠れる俺からは死角になる位置に立つ。確実に長門はみるひにどやし付けられる筈なので、 長門は殴られようが蹴られようがひたすらそれを耐え忍ぶ。 そして、ころあいを見計らい俺が背後から飛び込み、みるひに二人の下着の匂いを嗅がせる。 そういう寸法だ。 ちなみに、古泉は長門謹製の昏倒棒(触れただけでも失神してしまう凶悪な棒切れ)を持って、俺が失敗した場合部室に突入し、みるひを失神させる手はずになっている。 ・・・大丈夫なのか?こんなんで。 「・・・恐らく」 「まぁ、こんなものでしょう」 そうかもしれんな。 「それより長門、また殴られることになりそうだが、大丈夫か?」 「・・・大丈夫」 まだメランコリー長門さんだった。 そんなに殴られるのが嫌なら、別な作戦にしようぜ。 「・・・そういうわけではない」 「じゃあどういうわけさ」 マリアナ海溝の奥底より暗い色を浮かべておられるな。 「・・・なんでもない」 「なんでもないことないだろう」 ああ、ちょっとしつこいな俺。 と俺自身がそう思った瞬間・・・ 「なんでもないったらなんでもない!!詮索しないで!」 長門の声が部室前の廊下の空気を文字通り切り裂いた。 その声はエアーカッターより鋭く、鉄工所のプレスより高圧で、バンシーの泣き声より物悲しい。 俺は猛烈な寒気に襲われた。 長門が怒っている。眼孔に涙を湛えながら。 俺がしつこ過ぎたから?それとも長門の心のデリケートな部分に触れてしまったからか? ともかく、これだけは言える。俺が悪かった。 「悪かった、長門。すまん」 「・・・・・・」 プイ、と俺から視線を外す。 相当怒ってるな。 俺は長門の怒気に押され、それ以上声すら出なかったが、古泉が 「ひとまず目の前の懸案を解決するのが先です。作戦を開始しましょう」 と言ってくれたおかげで、凍りついた場の空気が若干動いたような気がした。 「・・・・・・」 あさっての方向にあるコンクリート壁をぶち破らんばかりの眼光でにらむ長門。こりゃあしばらく俺とは口聞いてくれそうに無いな。 さて。 機嫌激悪の長門に影響されて、俺の気持ちも若干沈む中作戦が決行された。 ・・・わけなんだが、待てど暮らせどみるひがやってくる気配が無い。 いつまでもたちんぼしているのに疲れた不機嫌ユッキーは、定位置にパイプ椅子を持っていって読書を開始してしまった。 俺の方をちらちらと睨みながらな。 頼むからそんなに怒らないでくれ。ハルヒや朝比奈さんならともかく、お前にそんな態度をとられるのは慣れてないんだよ。 という心の叫びが長門に通じる筈はなく、俺は魂が出んばかりの深い溜息を吐いた。 にしても暇だ。長門・・・は話し相手にはならんな。 仕方が無いので長門のこしらえたビジュアルステルスシールドの影響圏から出たり入ったりして遊んでいたが、 長門から投げかけられる視線があまりにも痛冷たいので、若干趣向を変え、ステルスシールドから首だけ出して 「生首ー」とかやって長門を驚かそうと思ったら がちゃ 古い部室のドアをガタピシ言わせながら 奴が来た。 「ひゃあああああああああ!!??」 そりゃな。首だけ浮いてたら誰だって驚くわ。 「キョキョ・・・キョ・・・有希!!」 部室に入るなりびっくりして腰を抜かし床にへたり込んだみるひは、長門に助けを求める・・・が、何故か長門まで腰砕けになっているようで、俺を凝視したまま微動だにしない。 どうしろって言うんだよ! ・・・って今がチャンスなんだよな。 俺は咄嗟に足元にある下着入り紙袋から下着群を鷲づかみにしてステルスシールドから飛び出し、 「往生せいやあああああ!!!!!」 と半ば自分を勇気付けるために怒声を発しながら突っ走り、みるひの顔に下着を文字通り突き刺すようにして押し付けた。 むにゅっ 奇妙な手ごたえがあった。 なんだこの昔理科の実験で作った巨大スライムの中にこぶしを埋めたような感覚は。 「あ・・・?」 下着を持ってみるひの顔を襲った右手を見てみる。 顔、貫通しとるがな。 「うわあああああぁぁぁあ!!!?」 これなんてB級ホラー?非現実的すぎてある意味怖いです。 まぁ貫通したとは言っても、こんにゃくか寒天で出来た人形を思い切りついたような感じなので、頭の中身はおろか血すら出てないが。 「大丈夫。作戦は成功した」 と後ろで長門が言うものの、正直これはいろんな意味でヤバイと思うぞ。 「早く手を顔から抜いて」 ああ、突っ込んだままだったんだな。 ぬちゅっという嫌な音を立てて拳を引き抜くと――― みるひは太陽10個分以上の光に包まれ――――うおっまぶしっ――――そして 光は収束し、二つの物体がみるひが今まで居た空間に現れた。 ほかでもない。例の涼宮ハルヒと朝比奈みくるである。 さっきの長門以上の怒気をともなってな。 「・・・キ・・・キョン?」 「・・・キョン・・・君?」 多分この二人は、自分がどういう状況に置かれているのか判っていない。 俺はふたりの下着を、律儀に上下セットで持っている。 俺から見れば、これは二人を取り戻すのに必要不可欠なものであり、今彼女達にしたことは必要不可欠かつ不可避な行動である。 対して、彼女側から見れば、俺は単に二人の下着を持って、それを眼前に押し付けている変態さんに過ぎない。 わなわなと怒りに肩と腕を震わせているのが見て取れた。 ・・・やれやれだぜ。 「「最ッッ低ッッ!!!!!」」 俺は殴られ、目潰しされた。グーとチョキで。 痛いよ。全然痛いよ。 俺を含めたSOS団に再び平和が訪れた。 ただ、暫くハルヒは口を利いてくれなかったし朝比奈さんは長門が弁明に入ってくれるまで俺を明らかに避けていたし、長門は長門で微妙にメランコリーだった。 出番のなかった古泉も若干ダウナーなオーラが出てたりする。 「涼宮さんが分離した、ってことはまた例のアルバイトが始まるってことですしね。正直僕も憂鬱だったりします」 あれ。こいつ「僕の仕事、なくなっちゃいますから」とか言ってなかったっけか。 ガチホモの云う事はいまいち一貫性が無いな。 「ははぁ、そうかもしれませんね」 と負け戦の将棋盤を見つつ、ダウナーオーラをまといながらもいつもの無意味スマイルを浮かべた。 「キョン君、どうぞ」 麗しの朝比奈さんがお茶を入れてくれる。今までこれは日常的かつ当たり前のことで、団史にわざわざ刻むまでも無いような出来事なのだが、 あの一件を経験してからというもの俺は今まで以上に朝比奈さんのお茶を味わって飲むようになった。 六甲の美味しい水だろうが水道水だろうが雨水だろうが、朝比奈さんの入れるお茶は甘露、いや俺にとっちゃソーマや仙丹みたいな霊薬ですよ。 これが無いと何も始まらんね。 「エロキョン!何ニヤニヤしてんのよ!」 おっと、あまりにお茶が美味くてニヤニヤしちまったか。 ―――あの一件以来俺をエロキョンと呼ぶようになりやがった我らが団長様だが、幸いなことに自分が長門や朝比奈さんと合体してしまったことは全く覚えていないような素振りだった。助かったぜ。 ・・・覚えていないなら、だ。授業中に聞こえた声はハルヒの無意識下に存在する”何か”が発したものなのか、それとも現行のハルヒの人格とは別のものが発したものなのだろうか。今となっては到底判らんが。 そして、長門。 明瞭なる感情を獲得し、ついでに”個”というものも獲得したように感じた長門だが、みるひにボコボコにされる前とは打って変わり口数少なげに窓際で本を読んでいる。 何でそんなにナーバスなのか訊きたかったが、また怒られそうな気もしたので何も訊かないでいる。 まぁ、そのうちまた戻るだろう。あんなに明確に怒気をはらんで怒るようになった、というだけでもめっけもんだ。 夏を向かえ、いっそうのエネルギーを加えつつある陽に映る、長門とハルヒと朝比奈さんと古泉、そして俺。 あたりまえの、日常的な、しかしながら貴重なこの空間、そして時間。 「なべて世は事もなし――――」 窓際にたたずむ小さな影が、誰に告げるともなく呟いた。その語尾に心地よいながらも、不思議な余韻を残しながら。 涼宮ハルヒの融合 オワリ 前 目次
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まりさが目を開けた時、周りは一面の薄暗闇に覆われていた。 「みゃみゃ…どこぉ…どこにゃのぉ…」 母親をしきりに呼ぶが、返事はない。 とにかく不安であった。 生まれた時からゆっくりは言葉を話せるとはいえ、基本的には赤ん坊である。 母親の愛情が欲しい。そして近くで自分の小さな体を支えて欲しい。 まだよく見えない目を瞬かせながら、暗闇の中を彷徨う。 むにゅ なにか柔らかいものに当たったような感触。 「みゃみゃ!?」 しかしそれは母親としては小さすぎる、自分と同じ大きさのゆっくりまりさであった。 「ゆっくちしちぇいっちぇね!!」 「ゆ…ゆゆ…ゆっくち…しちぇいちぇにぇ!!」 相手の方は数十分前に産まれたのであろう。 幾分か口調もはっきりしている。 自分のお姉さんなのだ。赤ちゃんまりさは思った。 「ゆぅ~」 「ゆ…ゆ…」 この二匹が最初と二番目に生まれたまりさ達である。つまりは長女と次女だ。 二匹は自然とお互いの体を擦り合わせながら暗闇の中で過ごした。 知らない世界の中で、お互いにまだ柔らかい肌をぴったりと合わせる。 今は隣にある感触だけが、自分がここに存在しているのかすら分からなくなってしまう、そんな不安を和らげてくれた。 「ゆっくち!」 「ゆっ!」 その内にまた一つ。また一つと声が上がりはじめ、産声をあげた赤まりさ達は身を寄せ合った。 ガラガラッ 扉が開く。 刺し込むのは目もくらむような明るい光。 小さなまりさ達は一層強く体を押し付け合った。 生まれて初めて目にする光。 眩しいのだ。 「今回は少し多いな。忙しくなりそうだ」 男はその名の通りおしくらまんじゅうをしている赤まりさ達を見るなり独り言を漏らす。 「ゆみゅ?」 男の手がチビゆっくり達の集合体に伸びてくる。 摘まみあげられる一匹の赤まりさ。 「おお、なかなかの髪色だ。これはブリーダー行きにするか」 ブリーダー行き。 それはバッジ付のゆっくりとなり、優しい飼い主の元で暮らせる可能性があることを意味する。 しかし、そうなるまでの道のりは長い。 見た目で選ばれた良質なゆっくりはブリーダーの手によって育てられる。 しかし、何せゆっくりが過剰なほど存在する世の中だ。 ブリーダーに適性を欠くと判断された多くのゆっくり達はそこでゆん生ゲームオーバー。 数少ない選ばれた赤ゆっくり達も厳しい体罰も与えられながら育てられる。 どちらにしてもこのまりさには辛く険しい道が待っているのだ。 男はそのようなことは微塵も考えず、帽子や髪などを手早くチェックし、赤まりさを幾つかの段ボール箱に分けていく。 その手つきは熟練したもので、柔らかい赤ゆっくりの扱いにも長けていたが、中には掴みあげられるだけで嫌悪感を示すものもいる。 「やめちぇね!じじい!」 「これは駄目だな」 男は摘まみあげた赤まりさを持ってその部屋の隅に向かうと、 赤まりさに断末魔の叫びすら発させないように一瞬で握りつぶしてゴミ箱に放りいれた。 繁殖用の親ゆっくりから機械的に産みだされる、安価な命。 生まれた時から人間に反抗するようなゆっくりは修正する手間を考えると捨てたほうが早い。 死に際に声を出させないようにしたのは、他の赤まりさ達に感づかれないようにするためである。 まりさが人間に反抗して殺されたと知れば、他の赤まりさ達は自分の気持ちを押し殺して黙るようになるだろう。 それではいけない。 もちろんこの段階で飾りの欠損、髪の傷みなどがある個体も同様に捨てる。 こうして早速、まりさ達は残留組、ブリーダー組、廃棄組に分けられる。 ブリーダに送るまりさを丁寧に箱に詰めた後、店に残す物の中からさらに飼育用と赤ゆっくりのままでの販売用に分ける。 飼育用の物は子ゆっくり、成体ゆっくりになるまで育ててから販売するわけだ。 長女まりさと次女まりさは一緒にこの飼育用のまりさ達のケースに放り入れられた。 飼育用のゆっくり達には専用の生活スペースが与えられる。 そこは快適な空間だった。 赤ゆっくり達には様々な遊び道具、シーソー、滑り台、トンネルなどが完備されている。 寝床もふかふか。とてもゆっくりできそうな場所だ。 それもそのはず、このスペースに来たゆっくりは育てられ、赤まりさなどよりも遥かに高い値段で売られる。 それだけに普段は手塩にかけて育てられる。運動もその一つである。 ちょっとのことで怪我をするようなゆっくりは購入者にも喜ばれない。 「ゆゆ~ん!」 赤まりさ達は思い思いの遊具に向かって跳ねていく。 元来、活発なまりさ種。 今まで母親と触れ合えなかった寂しさを紛らわすように遊びに夢中になる。 もちろんこれも店の方針である。 「おねーしゃんももいっしょにあしょぼうね!!」 「ゆゆっ!!じゃあこのぎっこんばったんであしょぼうね!!」 次女まりさは長女まりさと一緒にシーソーで遊び始めた。 生まれて最初に出会った相手だから、ということもあるのだろう。二匹はとにかく仲が良かった。 特に次女まりさの方は母親から得られなかった愛情を姉から求めているのだろう。 ひたすら姉と一緒に遊ぶことを求めた。 空調も完璧。 思う存分ゆっくりする赤ゆっくり達。母親には会えないままとはいえ、とにかく今は幸せであった。 明るい声が閉鎖された部屋の中に響き渡る。 そんな時、男が食事を運んでくる。 これだけいい思いをしているのだから食事もきっと良いものなのだ、と考えたのだろう。 遊具で遊んでいた赤ゆっくり達が一目散に集まってくる。 しかし、男が持っている皿に入っている食事は気色の悪い黒緑色をした、見るからに美味しくなさそうなものであった。 ペースト状になっているので噛む力の弱い赤ちゃんゆっくり達にも食べられそうだったが… 一番先に生まれて、お姉さんとしての自覚が芽生え始めていた長女の赤まりさが勇気を出して舌を触れさせてみる。 「ゆげぇ…まじゅぅ…」 それは明らかに「不味く作られた」ゆっくりフードであった。そして栄養価だけは無暗に高い。 長女まりさに続いて口を付け、あまりの激烈な味に不平を漏らし始める赤まりさ達。 「ゆぅ!ゆぅ!こんにゃのたべられにゃいよ!!」 「そんなに言うなら食べなくていいぞ」 好き嫌いをする子供へのお決まりの台詞を放ち、皿を引き上げると男は部屋を後にした。 「ゆぅ…」 「おにゃかがしゅくとゆっくちできにゃいね…」 空腹に耐えながら赤まりさ達は眠りについた。 朝、開店前に男がペースト状の食事を持って入ってくる。 食欲というものは偉大である。この時点で、ほとんどの赤ゆっくり達がそのグロテスクな食べ物を口に運び始めた。 中には涙を流しながら食べている物もいる。 これも教育の一環。 生まれた時から不味い食事を与え続けることで、どんなものでも美味しそうに食べるようになる。 これは購入者に大変ウケる。確かに用意した食事を、自分のペットが嬉し涙まで流して食べてくれたら感動するであろう。 特にゆっくりの場合は簡単に舌が肥えてしまうので、子供のころから不味い食事に慣れておくと少しでもそれを軽減できる。 こういった気配りがされているのだ。 こうして順調に育てられた赤まりさ達。 二週間ほど経ち、彼らが子ゆっくりサイズとなった時、選別にかけられる。 ここで売りに出されるまりさは幸せだろう。 なぜなら、子ゆっくりというのは選定基準が緩いからだ。 買っていく人は、「赤ゆっくりから育てるのは面倒だけど、子ゆっくりならば自分にも育てられそう」と考えている人がほとんどである。 値段も手頃・一人でも扱いやすい・性格もまだ矯正可能な時期。以上の利点から子ゆっくりは人気が高く、多少癖のある個体でも売れる。 成体になってしまってからでは、平均的に高いレベルの個体が求められることになる。 そして選定に落ちた成体ゆっくりは…バックヤードに回ることになるわけだ。 不幸にも成体での販売用と決まったまりさ達だけが飼育用スペースに残された。 本人達はこれからもまだ中で遊べると思い、キャッキャッと喜んでいる。 その中にあの二匹のゆっくり姉妹も含まれていた。 彼女たちの想像に反して、これから厳しい躾の日々が待っている。 まずは、その準備として彼らの帽子にはバッジが取り付けられる。 「ゆゆぅ!きらきらだよ!」 「おねーさんのもきれいだね!」 バッジ。ゆっくりはキラキラしたバッジを好むが、飼いゆっくりに付けられる其れとは似て非なるもの。 金メッキされてはいるが、そこには数字が割り振ってある。 ただの個体識別用のバッジだ。 そして始まる恐怖の日々… ペットは飼い主に従順でなければならない。 自分のゆっくりを追求することなど決して許されない。 このため、子まりさ達の行動はすべて監視されている。 許可が出るまで待つことが出来るか。 食事を美味しそうに食べるか。 お互いに喧嘩をしないか。 常に笑っていられるか。 全ては監視カメラでチェックされている。 店長は閉店後、店内整備などを終えた後、そのビデオを早回しでチェックする。 そこで一瞬でも「ゆっくりできないよ…」などと落ち込んだ表情をするまりさがいれば、すぐさまそのナンバーのまりさの処罰が決定する。 「ちくちくはゆっくりでぎな゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い!!」 針。商品に大きな傷をつけずに痛みでもって分からせる。 まりさ種は主にその無邪気な性格が購入者に評価される。 ゆっくりまりさは常に購入者の家庭を明るくする存在でなくてはならないのだ。 笑顔を作らないまりさに価値は無い。 もし途中で店長が再起不能と判断した場合は、繁殖用に回される。 店の裏、暗いところで二匹並べて縄で縛りつけられ、定期的にすっきりして子供を作るだけの存在となる。 オレンジジュースを毎日少しずつ補充すれば、死ぬまでに数千匹の赤まりさを産みだす。コストパフォーマンスはかなり高い。 ある日、次女のまりさがこの厳しい検定に引っかかった。 夜眠るときに、「ゆっくりねるよ!!」と自分の行動を宣言してしまったのである。 男が電気を消して部屋を出ていくところだったので油断していたのだろう。 「そこは『おやすみなさい』だろうが!こっち来い」 地獄耳で就寝宣言を聞きつけた男に掴みあげられ、針を目の前にかざされる次女まりさ。 その目にはじんわりと涙がにじみ出る。 「いや…」 鋭利な針が柔らかい肌に刺し込まれていく。 ゆっくりの肌は非常に敏感である。 まりさは頬を貫くその激痛に悶絶した。 口からは泡を吹き、白目を剥いて気絶している。 男はオレンジ色の液体をスプレーで吹きかけると、ぺしぺし叩いてまりさを起こした。 「もうやるんじゃないぞ」 オレンジジュースをかけて修復されたものの、まりさは火が消えたように元気を無くしてしまった。 このまま明日の朝まで塞ぎこんでいるようならばその時は再びお仕置きが待っている。 笑っていない、からだ。 そうなってしまえば悪循環に陥り、繁殖用への道が現実的になってくるだろう。 「ゆっくりしていってね」 「ゆぅ?」 そんな次女まりさに長女のまりさは優しい声をかけてあげた。 ゆっくりしていってね。それは相手にゆっくりして欲しいという想いを込めた言葉。 上の立場から人間を見た言い方だ、ということでその台詞を発することは一切禁止されている。 にも関わらず。 長女まりさはその言葉で妹を元気付けようとしてくれた。 次女まりさはそれが嬉しかった。 「いっしょにゆっくりしようね…」 「ゆゆ…ありがとうおねーさん」 二匹は、あの出会った日のように、身を寄せ合いながら眠りに落ちていった。 試練を経て、より販売に適した性格付けがされたまりさ達は、やっとのことで店頭に出される。 展示用ケースに一匹ずつ入れられたまりさ達。 そのケースの裏側に店員が印字されたラベルシールを貼っていく。 『2009/07/01~07/15』 これはまりさ達の販売期間。 期限が切れたコンビニ弁当の如く、この期間が終わると中にいるまりさはゴミ箱行きだ。 狭いケースの中で長期間生活していると体力も落ちてくる。体調が悪くなってしまうものもいる。 そうなれば、展示スペースの関係上、新しく仕入れたものを追加した方が常に良い状態のものを売れる。 そしてこれにはもう一つ、重要な理由がある。 「お前たちはこれから二週間以内に売れないと捨てるからな」 「どぼじでええええええええええええ!!!!」 「まりさはこんなにゆっくりしてるのにいいいいいいいいいい!!!」 一気に泣き喚き、ケース内でガタガタと音を立てるまりさ達。 一見、ストレスを与えるばかりで逆効果にも思える。 しかし、これこそが販売期間を設ける最大の理由である。 売りだされる前の晩にこれを告げられたまりさ達はただ己の不幸を嘆く。 そして人間の理不尽を呪う。 しかし、一晩もすれば厳しい訓練を経てここまで来た彼女たちは悟るのだ。 助かるにはたった一つの方法しかないのだと。 「いらっしゃいませ!!」 開店。 客がちらほら入ってくる。 「にんげんさんおはよう!!まりさとあそんでね!!」 「まりさならにんげんさんのともだちになってあげられるよ!!」 「ゆっ!ゆっ!まりさはぼーるあそびがしたいな!!!」 瞳をキラキラさせ、ケースの天井に頭をぶつけんばかりに飛び跳ね、客にアピールし始めるまりさ達。 これが店側の目的。 全ては今までまりさ達に教えてきたことをこの二週間に集約させるため。 ただでさえ退屈な展示ケースの中だ。 ずっと居られると思えば、あのまりさ独特の媚びたような表情でまったりしながらご飯を貪るだけの愚鈍な饅頭になってしまうかもしれない。 それではいけない。 活発なまりさ。 元気なまりさ。 明るいまりさ。 銘々が笑顔を取り繕い、人間に「ウケる」まりさを演出する。 全ては買ってもらうため。全ては生き残るため。 そしてあの姉妹も。 「まりさはとってもげんきいっぱいだよ!!」 「まりさをかっていってね!!」 皮肉にも隣同士のケース。 しかし、今はそんなことは関係ない。 自分を買ってもらう事だけがまりさの幸せ。 「お買い上げありがとうございます!!」 一匹のまりさが売れた。 自分も 自分も 自分も (何で見てくれないの?) (まりさはこんなにゆっくりしてるんだよ?) (まりさの方があいつなんかより良い子にしてられるよ?) 会計カウンターに置かれて満面の笑みを浮かべる仲間を賛辞の言葉で送りだす余裕などない。 まりさ達の目は客の方を向いていた。 自分だけが買って貰えれば良い。他のまりさを買うくらいなら自分を買ってほしい。 笑顔の仮面の下で渦巻く黒い情念。まりさ達は明らかに「ゆっくりしていなかった」 「本日はどうもありがとうございましたー!!」 閉店時間になる。結局売れたのは先ほどの一匹のみ。 まあそんなものだろう。あと13日もある。店長はまずまずの滑り出しだ、と頷きながら店内の清掃を始めた。 しかし、まりさ達はそうもいかなかった。 「ゅゅ…」 全員へにゃりとケースの床にへたり込んでしまった。 一日中気を張って客にアピールしていれば流石に疲れてしまう。 これがあと二週間も続く。それが苦痛でしかなかった。 それでもやらねばならない。怠れば確実に死が待っているのだから。 「ゆゆ…だいじょうぶ?」 「ゆっ?」 閉店後の暗くなった店内で長女まりさが次女まりさに話しかける。 ケース同士は仕切られているので、反対側は見えないが、ケースを通して声が伝わる。 「透明な箱」のように防音性能抜群の装置でないから出来ることだろう。 次女まりさは一瞬戸惑った。 彼女だってライバル。敵は一人でも多く蹴落とした方がいい。 そう結論付け、咄嗟に思いついた罵倒の言葉を投げかける。 「うるさいよ!しね!!くずまりさ!!」 「ゆぅ…」 長い沈黙が続いた。 「ゆっくりしていってね…」 突然、隣のケースから聞こえてくる優しい声。 とても落ち着く。それになんだかとっても懐かしい響き。 「ゆっくりしていってね」 次女まりさは条件反射的にそれに返事を返していた。 「ゆっくりしていってね」 「ゆっくりしていってね」 「ゆっくりしていってね」 「ゆっくりしていってね」 二匹は何度も何度もその言葉を繰り返した。 一日中客に向かって叫んで疲れていたにもかかわらず、二匹はそれを延々と繰り返し続けた。 ゆっくりとしての根源的な欲求がどんどん溢れてくる。 ゆっくりしたい。そしてその「ゆっくり」を誰かに少しでもいいから分けてあげたい。そんな欲求。 その言葉を口にすればするほど、自分の中に生き生きとした感情が蘇ってくるのを感じた。 「うるさいよ!!」 「まりさははやくねたいよ!!だからだまってね!!!」 他のゆっくり達に批難されるまでそれは続いた。 その時、既に二匹の心のなかは温かい気持ちで一杯になっていた。 その日から二匹は「おかしくなった」 「おかしい」というのはあくまで店員視点のものである。 彼女達自身は本来の姿を見せていたと言えるだろう。 「ゆっくりぃ」 「ゆっくりしていってね!!」 眉を曲げ、馬鹿にしているのか媚びているのか判断しかねるような表情で「ゆっくりしていってね」を言う。 「何だあれ?」 「ウザ…」 客はそんな二匹の前を怪訝そうな顔をしながらそそくさと通り過ぎていくだけであった。 既に一般人のゆっくりに対する認識は喋るペット、というものでしかなかった。 「ゆっくり」なんてのは名前だけ。犬猫の代わりに一緒にお話ができるペットが欲しい、そんな人が大半だったのである。 店長もこれには困惑した。 販売中の商品である以上、針などで傷をつける訳にもいかない。 まだ残り二週間弱残されているとはいえ、売れ残るのは必至。 「はぁ…なんでこうなっちまったんだ?」 「ゆー!おにーさんゆっくりしていってね!!」 「まりさはゆっくりしてるよ!!」 「「ねー!」」 客のいなくなった店内でため息をつく店長をよそに、まりさ姉妹はお互いにゆっくりしていってねと言い合っていた。 今この店で、一番ゆっくりしていたのはこの二匹であることは言うまでもない。 あくる日も、その次の日もまりさ姉妹は売れなかった。 次々と売れていく兄弟に対して嫉妬を隠せずにいる他のまりさ達と違って、彼女たちの落ち着きぶりはある意味で尊敬に値する物だった。 「このまりさください」 その言葉を聞いた時、その場にいた全員が目を丸くした。 この時ばかりは何にも動じず、ゆっくりするばかりだった次女まりさも目を見開いた。 ひとりは嫌。 今まで一緒だから耐えれてきたのに。 「おにーさんまりさもかってね!!」 「ん?」 「どうもすみません。当店の管理が不十分だったようで…」 ゆっくりの方から購入者に指図するなどもっての外。 店長は客の男を大変に気遣っていた。 何せ不良品を通常価格で買い取ってくれた神様である。 機嫌を損ねて帰られてしまっては元も子もない。 しかし、実際にその男は一点の怒りも見せず、その提案について熟考していた。 成体二匹。安い買い物では無い。 それを見越した店長がガラリと態度を変え、男に次女まりさを勧め始める。 「では…お詫びと言ってはなんですが、両方お買い上げの際はこちら半額にいたしますよ」 「そうだなぁ、んー。成体ゆっくりが二匹いれば…」 「まりさもまりさといっしょがいいよ!!」 「そうか。まりさがそう言うのならそうしよう」 「ありがとうございます!!」 二匹は初めて外の世界に出た。 その顔は外の快晴の青空のように晴れやかなものだった。 果たして姉妹まりさは幸せだったのか。 普通の客は「ゆっくりした」ゆっくりなど買わない。見向きもしない。 では、彼は一体なぜまりさ達を買ったのか。 それは間違いなく彼が「ゆっくりしている」ゆっくりを求めていたからだろう。 そしてそのような価値観を持っているのはゆっくりと深いかかわりを持っている者のみ。 果たしてまりさの行く先は天国か地獄か。 それは読者のみなさんのご想像にお任せするとしよう。 このSSに感想をつける
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登録日:2012/04/06(金) 17 58 02 更新日:2024/05/28 Tue 12 54 46NEW! 所要時間:約 36 分で読めます ▽タグ一覧 #189 エナジーバンパイア オレンジリボン ゲロ以下 ゲロ以下の臭い ゲロ臭い ネグレクト マインドコントロール 不愉快 世界の歪み 事件 人間のクズ 人間の屑 児童相談所 児童虐待 子供 性的虐待 恨みます 所要時間30分以上の項目 暴力 最低の行為 毒親 現在進行形 社会問題 社会悪 絶対に許さない 虐待 被害拡大 被害者が加害者になる 親 親の顔が見てみたい 親権不可侵 許さない 許してはいけない 負の連鎖 近所付き合い 過保護 過干渉 邪悪 児童虐待とは、その名の通り児童(*1)に対して行われる虐待行為である。 この項目では「児童」を対象にした虐待を取り扱うが、対象が異なる動物虐待、高齢者虐待や障害者虐待なども児童虐待と大部分で共通する。「パワハラ」や「セクハラ」などのハラスメント行為を児童に向けた場合は児童虐待になる。 虐待と同様に問題視される「いじめ」も、気付いた大人が適切に対処するべきであるが、気付いたのにもかかわらず見て見ぬふりをしたり、まして加担した場合も加害者に変わりない。 ◎虐待内容●暴力行為 ●放置・監禁 ●言葉の暴力 ●性的虐待 ●経済的虐待 ●過干渉 ●過保護 ●無戸籍児童 ●搾取子&愛玩子 ●ヤングケアラー ●宗教二世 虐待を受けると児童はどうなるのか 虐待をする親の問題 周囲の対応 虐待の兆候児童の様子 親の様子 行政による保護の問題点 虐待は誰がするのか? 児童虐待と冤罪 虐待を受けた場合は ◎虐待内容 ●暴力行為 大怪我や死亡などの痛ましい結果に繋がるため、ニュースで最も話題に上りやすい。体罰とも。 刑法では暴行罪や傷害罪に該当する立派な犯罪行為である。 「取っ組み合ってでも児童から遠ざけなければならない危険があった」(*2)等の緊急事態を除き、 特に意味がない、または理由に対して明らかに過剰な暴力行為を親が働いた場合に虐待とみなされる。 この場合、親側は躾(しつけ)と称して暴行を加えていることが多く、児童相談所に通報しても「躾と言い張られる」などで対処しづらいという問題もある。 ビンタやげんこつなどは1発程度であれば躾の範疇とされていたが、今はこれも立派な体罰であるとされる。 過剰な暴行によって児童が死亡したり、命は失わずに済んでも重篤な障害を負わされたりするケースもあるが、 この手の虐待を行う親の多くは「躾のつもりだった」と供述することがほとんどで、暴行を受けていた児童さえも「親は悪くない、悪いのは親に従えないダメな自分」と信じ込んでしまうこともある。 たとえ本当にそのつもりで児童が自分に非があると認めていたとしても、行き過ぎた暴力を「躾」で言い訳にすることはできないのである。 下手をすると虐待を行う親の側にその認識が無くても暴力行為や叱責行為に快楽状態と依存性を得てしまう(*3)「嗜虐依存」状態に陥る危険性もある。 2018年の東京都目黒区で両親から虐待を受けた5歳の女児が「ゆるしてください」と手紙を残して死亡した事件、 2019年の千葉県野田市で父親から虐待を受けた小学4年の女子児童が死亡した事件は世間から注目を浴びた悲惨な虐待事件であるが、いずれも暴力行為が日常的であった。 これらの事件をきっかけに躾であっても暴力をふるう行為を禁じる動きが一気に加速する。 また、しつけとは別に、「病気やけがをした児童の献身的な親」を演じることに快感を覚えてしまい、故意に児童を傷つけて積極的に医者に行くという親もいる。 代理によるミュンヒハウゼン症候群(MSBP)の項目を参照。 ●放置・監禁 親からの全面的な補助が必要な乳幼児期・幼年期の児童に十分な衣食住や補助を与えなかったり、教育を行わないことが該当する。 「育児放棄」「ネグレクト」とも称され、放置されている期間が長くなれば児童が死亡することもままある。 また、親が子を車に放置してパチンコに行って、熱中症で死亡するニュースを聞くことがあるが、こちらも車の中に児童を監禁状態にしていると言ってよい。 特に夏場の炎天下では車内温度が50℃近くまで上がり、ものの10分もしないうちに重篤な熱中症や脱水症状を起こしてしまう。児童は体温調節機能が大人と比べて低く、車から逃げ出すなどの対処も全くできないので非常に危険である。(*4) 育児は多大なストレスを感じるものであり、財布としっかり相談し、子育てに悪影響がないよう適度に嗜むのであれば、パチンコ自体はストレス発散として責められない。 パチンコ屋の側が託児スペースを設けるケースもある。 だが、子どもの命に関わる程・経済的に困窮する程熱中するとなれば話は別。本来は賭博でもある以上、依存をどうにかするのが本筋だろう。 大阪で数ヶ月放置された幼い姉弟が餓死して発見された事件を覚えている人もいるだろう。 …否、決して忘れてはならない。 ●言葉の暴力 成人ですら優位性が上の者から下の者への言葉の暴力はパワハラ(場合によってはセクハラなど他の呼び方にも)となる。 児童に対する言葉の暴力は当然ながら虐待である。 たとえ叱責や指導を行ったとしても、適切なものは児童のためになるが、度が過ぎたものは虐待である。 2017年、福井県池田町では、他の生徒が身震いするほど過剰な叱責を日頃から受けた中学生が投身自殺した。 叱責が「薬」となるならば、過剰に投与すれば「毒」でしかない。 親や教師から心無い言葉を浴びれば児童はどう感じるであろうか? 本来、心の拠り所となるべき人から精神的に追い詰められる。 神経がすり減るなどという生易しいものではなく、ズタズタに擦り切れて長い間重い精神障害に苦しむ事態にさえなりうるのだ。 特に児童が乳幼児の場合、叱られても自分が何が悪いのかすら分からず、「ただ怒られている 怖い」としか認識できない場合も多い。 その場は萎縮してその行為をしなくなるかもしれないが、何が悪いのかを理解していないのでほとぼりが冷めた頃別のきっかけで繰り返す。 また児童はただでさえ知識が少ないので語彙に乏しく、児童側も保護者にうまく伝わらない事に憤りを感じていたり、大人の側が乏しい語彙による発した言葉を誤解し激怒する事もある。 叱る事自体は必要なこともあるが、元々乳幼児の育児は親にとって大きな負担である事も課題である。 叱責をきっかけに親の感情が爆発しやすく、必要な叱責のつもりが言葉の暴力になってしまう可能性がある。 ●性的虐待 性的知識に乏しく、また、抵抗する膂力が発達していない児童は、性別問わず性的虐待の被害者になり得る。 加害者と被害者の性別がどちらであれ、性行為に至る過程がどうであれ、発覚すれば犯罪として取り締まられる。 また、性器や性行為、アダルトメディアを見せる・見せてもらう・触らせる・卑猥な言葉を言わせる・裸の写真を撮る(*5)などといった、 性行為まではいかなくとも、児童に性的ないたずらや搾取をしようとすれば性的虐待とみなされる。 ちなみに刑法では、男女の別を問わず13歳未満と性行為を行うことは同意の上でも強制性交として罰則の対象となる。つまりレイプと同じ扱いだ。 また、性的な目的で児童の写真を流布・所持することも児童虐待の一種である。 インターネットの危険性などを理解できていない児童が、悪意を持った相手に猥褻な写真を要求されてそれに応じてしまったり、 仲良くなった(と思い込んだ)相手に直接会おうと誘われ、それに応じたら性行為などを強要される等という、SNSを利用した事件が発生している。 平成29年度よりの法改正で、18歳未満の子に手を出した場合、合意の有無に関わらず監護者性交等罪(本番、フェラ)もしくは監護者わいせつ罪に問われ成人への強姦と同様の扱いを受けることとなり、 それによる罰則も懲役5年と重くなっている。これは実親だけでなく、養親や養護施設の職員にも適用される。 他方、児童が性的被害を受けたのかが気になり、過剰に児童を問い詰め、結果として児童に嘘の被害申告をさせてしまった例も報告されている。 ●経済的虐待 財産の使い込みをするという形で高齢者虐待で問題になりやすいが、児童虐待としての事例も。 高齢者と違い児童は金を持っていない場合が多いため、児童虐待防止法では経済的虐待は児童虐待に含まれていないが、実際には深刻な問題である(*6)。 親は財産を管理する能力が無い子の財産をきちんと管理し、扶養する権利と義務があるが、 お金を全て自分の贅沢に使ってしまい、子には必要最低限の面倒しか見ない親というのも中には存在する。 元の収入自体が少ないのにギャンブルや酒に使い込むケースがまず定番で、これは親の依存症を直さないとたとえ周囲の人間が注意しても治らない可能性が高い。 収入が無いならともかく、十分な収入があるのに学費すらケチって学校にも行かせず、自分はのうのうと贅沢三昧(特に賭博や嗜好品の過剰な購入等)する者や、 酷くなると、子に奨学金を申請させた上で振り込まれた奨学金をむしり取って学費を払えず学校に通えない状態にしてしまったり、子のアルバイト収入を全部むしり上げ全て自分で使ってしまうようなケースもある。 もちろんその奨学金を返す義務があるのは子であり、実質子に借金させてまでお金を巻き上げているのと同じである(*7)。 生活が苦しく親の財産が足りなくなったので、子のために子自身の財産を使わせるなら親権としてアリだが、親が自分の努力を怠って子にタカっていいわけではない。 他にも、子どもが貰ったお年玉など個人の財産になった物を管理権があるのをいい事に勝手に使いこんだり、子どもの個人的に集めたものを勝手に捨てる行為もこれに当たる。 昔の子役などでは、芸能活動で得た収入は児童本人には一切手を付けさせず親が完全に私財として使い込む様な事もあった。 近年でも℃-uteの岡井千聖が母親にギャラをソシャゲ(ツムツム)で使い込まれてしまったり、元モーニング娘。の加護亜依が継父に娘。時代のギャラを殆ど使い込まれてしまったりという被害体験談がある。 岡井の場合はそれをネタにして復讐しているのでまだ笑い話で済んでいるが、加護の方はその後度々失敗を重ねる羽目(*8)になっており、後々まで深い禍根を残している。 この為現在は児童芸能人の収入は本人専用の口座を作ってそこに振り込み、親の手が付けられない様にしているケースもある。(*9) 本来給料は労働者に直接払われるべきもので、親であろうと代理人に支払ってはいけない。 受け取りに来た親に払ってしまった場合、使用者は労働者である子にもう一度支払い直す義務がある。 アメリカでは、現在の日本円で10億円以上にもなる子役の収入を全て親に使い込まれたスター子役がいたため、 法律で「子役の収入のうち一定額は子役の口座に積み立て」を義務付ける法律がある。(*10) ただし、児童芸能人の場合親も子にそれなりに投資している場合が多く、レッスン料などのある程度の投資分を子の収入から回収するという程度ならば虐待とは言えず、どこまでを禁じるべきかは難しい。 また、片親が亡くなった際に残されたもう片親がローンなどの返済を放置したため、子に山の様な借金の返済義務が相続されてしまうケースもある。 速やかに相続放棄などのきちんとした法的手続きを取れば、子への一方的な請求から守ることは可能なのだが、親も社会生活能力に乏しく、端から相続があることを考えもしていないケースが多い。 親からの相談がなければ弁護士などの専門家も介入することができず、子への請求書が届いた後では手遅れになっているという訳である。 ●過干渉 児童(子供)も1人の人間。自分の意思を持って行動したいはずである。 そこで、親が子に他の人に迷惑が掛かる事等を制限して、子に正常な判断能力や社会適合能力を養わせなければならない。 だが、行き過ぎた制限は虐待に他ならない。「厳し過ぎる教育・家庭内規則を強要する」などして、子を親の思い通りに行動させる事が過干渉である。 マスメディアなどでよく言われる「教育虐待」はこれの一種に該当する典型と言える。 例えば児童に社会的な能力を身に付けろと言いつつそのツールとなる遊び道具や同年代内で流行物・情報に対し触れる事すら許さない矛盾行動を強いたり 教師など家庭外の「他の大人」の言う事に対し「あんなものは戯言だ」「あんな連中の言う事などこの家では何の意味もない」といった過剰な罵倒や否定を行ったり、 児童の意思を全く尊重しないで塾やスポーツなどの習い事を強いる、交友関係に一々口を挟む、親が所謂名門校のみを進学先として強制し、四六時中勉強させると言った行動なども該当する。 これ等は直接虐待行為を行うのが家庭教師など別な人間であっても彼等に伝える要望内容の時点でその状態であれば親の側の虐待行為と言える。 こうした教育虐待は、親が自身の行動を「正しいことだ」と信じ込んでしまっている場合が多く、例え公的機関が介入したとしても親が考えを改めることは困難という厄介な問題がある。 過干渉の問題点は虐待内容が所謂「エリート養成ノウハウ」そのものだったり伝統職業の伝承等の為の特殊な家庭内規則の適用だったりするので 当然止めさせた場合対象は(少なくとも本来誰かが思い描いていた)「エリート」としての人生コースから外れたり伝統職業などの場合その伝統技能が失伝してしまう事等のリスクがある。 伝統継承の訓練の場合、時代が変化したが為に現在では違法なのであって、過去では立派に認められた内容だったので、その辺の折り合いも難しい。 また同じような干渉を行った結果、児童自身がその干渉をよかったと考え、成功している親の例もしばしば紹介される。 その為周囲が見て見ぬ振りをしたり伝統文化的な損失を恐れて虐待行為を肯定してしまうケースが少なくない。 キチンと専門知識や他者との交流によって相互監視されている場合はまだマシと言えなくもないがそういった物を齧った程度の専門性の無い親(*11)が児童に無理強いした場合、 児童の側は徒に疲弊消耗する上に親は結果の出ない原因を児童の側に求め暴力やネグレクトなどを行う為増々児童はダメージを負う悪循環に苛まれる。 ●過保護 これは上記の例とは逆に一切叱咤などをせず、児童の欲しがるままに好きなものばかり与え、とにかく甘やかしてしまうケース。 児童自身は思い通りになるため苦しむことはない。 親としても児童にそれほど愚図られたりしないので願ったりかなったりに思える。 だが、きちんとした躾を受けなかった児童がまともに育つだろうか。 思い通りにいかないストレスに対する忍耐力・自分で考える力そのものが欠如し就学や勤労に対する意欲を失う、仮に就いたとしても全くついていけずニート化する可能性がある。 また、好きなものばかりの偏った食事で肥満体となりやすいため若くして生活習慣病の重症者となってしまう。 他にも、子供を過保護に思うあまり、先述した過干渉をしてしまうこともある。そのためこのパターンの場合「厳しいのは親からの愛」と思い込んで、また過干渉を繰り返す、悪循環に陥ることもある。 児童の将来の可能性を塞ぐという意味ではこちらも虐待と言える。 学校で上手く現実と向き合い矯正できればよいが、学校だけでは限界もあり、あまり期待はできないばかりか、 中には学校側に対して理不尽な要求(*12)を行う、所謂モンスターペアレントと化する親もいるため、 上手く指導するどころか担当教諭が精神を病んでノイローゼになってしまうなどのケースも起こっており、中々根深い問題になっている。 フィクションではこういう育ち方をしたキャラは単なる「本人の怠慢」扱いされ、高確率で悪役にされやすい傾向にあるが、 見方を変えればこれも虐待の一種であり、彼等は親の虐待の被害者と言える。 またこれに類似した物として「児童に一切人間の暗部恥部に触れさせずお花畑な子供時代を送らせる」という物もある。 此方は一見、理想的な子育て状況の様に見えるが、こういった状態で育った子供は世の中に悪意を持った存在がいる事を知らず疑わない状態になってしまう為、 過激で聞こえだけは良い文言を聞かせる宗教団体や過激思想集団・マルチ商法などにとっては絶好のカモ。 なまじ悪意に触れた事が無い為本人は善意善行と思い込んで他者に迷惑をかける独善を押し付ける者になってしまったり本人自身が 宗教団体のイカサマ教義や思想集団の無意味なノルマ達成などで心身をすり減らし虐待状態になってしまう事もある。 ●無戸籍児童 親が、子が生まれた事を役所に届けず、子を公的保護の目から届かなくさせてしまう。 親の側にもDVをする相手から逃げたいなどの事情がある場合も多いのだが、 ただでさえ片親で子育てが難しい中、公的支援まで閉ざされる児童の立場は非常に厳しくなる。 特に未婚の母の場合、「婚前交渉をするふしだらな母親が悪い」という母親への非難もあるため、ますます母親は閉じこもりがちになってしまう。 詳細はリンク先を参照。 ●搾取子&愛玩子 簡単に言うなら兄弟姉妹の間で、子供を差別して育てる。 年齢や性別に応じた対応の結果として兄弟姉妹間で対応を変えることは悪いわけではないが、明らかに愛情の有無からして違うのが明白な場合である。 搾取子はサンドバッグと呼称されることもあり、親のストレスのはけ口にされる役割の子供のことを指す。あらゆる欲求を様々な理由で我慢させられる、家事を無理矢理させられるのは序の口で、酷い時には暴力・暴言など上記の虐待を常に受ける。どれだけ努力しようと善行を重ねようと、それを評価されることは一切無い。 一方で愛玩子とは可愛がられ、自慢したり見せびらかしたりするための存在であり、欲しいものは何でも与えられ、どんなに悪いことをしても努力を怠っても怒られることもない。 誰にでもアニメ・漫画・ゲーム問わず「お気に入りのキャラにはとことん入れ込むが、それ以外には無関心」といった経験はあると思われるが、それを子育てにほぼそっくりそのまま当て込めているのである。 基本的に誰が搾取子・愛玩子になるかは親にもよるが、兄弟姉妹誰であろうと何人も当てはまる場合もある。 いずれにせよそんな差別を是とする家庭環境で子供がまともに育つはずもなく、搾取子・愛玩子共に洗脳状態になり、中にはその状態が当然と感じてしまう者も。 愛を与えられずに育つ搾取子の中には洗脳に気付くなどして絶縁し独り立ちする者もいるだろうが、大抵は自己肯定感の低い卑屈な性格に育ってしまいがち。 そして愛玩子も甘やかされすぎた結果、自立のできない我が儘なろくでなしになってしまうだろう。 ●ヤングケアラー 児童が、本来大人の担うべき弟妹や祖父母、障害のある家族などの監護・介護(*13)を担当する「ヤングケアラー」となっているケース。 介護を児童の年齢に見合った水準で手伝わせるだけならば問題はない。 だが、ヤングケアラーの場合、介護が忙しすぎて宿題や予習に手が回らず、要介護者の体調悪化などで休まざるをえないケースまで出てくる。部活や修学旅行も介護のために参加できなくなり、学業の遅れが生じて進路に制約が生じたり、友人関係の形成に大きな支障を来すことになる。 中には、ヤングケアラーが監護していた弟や妹に手を上げて児童虐待の加害者になってしまうと言う事態も報告されている。 家族の側も、家族構成員が少なかったり、仕事で稼がないと食い扶持もないので介護には手が回せなかったりで児童相手でも介護を手伝わせないと物理的に介護が成り立たないケースもあり、公的機関の支援なしに対応するのが非常に難しい。 ところが、 「行政に十分なサービスの仕組みがない」 「サービスの仕組みがあっても児童や家族の側が行政に助けを求めない」 「行政が学校経由などで事態に気づいて支援を受けることを勧めるが、「恥ずかしい」「児童を児相に取られてしまう」等と考えた家族が拒否してしまう など、支援には何重もの壁が立ちはだかっている。 「家族なんだから介護くらい当たり前」と言う認識は、社会一般の人々も持っている場合も少なくないし、児童が助けを求めないのもそれが原因であるケースも少なくない。 だが、介護されている側が知的な障害を起こし、精一杯監護しても感謝どころか罵倒され、それが何年続くか分からないような状況を想像できるだろうか? 本来介護とは(相手の状態や程度にもよるが)人体の適切な扱い方や繊細な接し方などの多くの専門的な知識、そして介助のため相手の身体を支え誘導する高い肉体能力が相対的に求められる高度な行為であり、介護職では入社時に各種資格を必須としているくらいである。 大の大人ですら、監護・介護の負担に耐えかねてノイローゼやうつ病を起こし、介護殺人や無理心中を図ってしまうことが問題になっている。それを満足な知識も筋力も無い児童にさせていると言えば、どれだけ危険な状態か察することもできるだろう。 未熟な介護による事故で双方の命に拘る事態になりうることも十分ありえるし、何より児童の健全な育成の阻害の言い訳になってはいけない。 共倒れになってしまう前に、躊躇なく行政や周囲の人間などに助けや知識を求め、専門の人にお願いするなりするべきである。 ●宗教二世 児童の親が、カルト宗教に依存してしまっているケース。 親にも信仰の自由があり、社会生活や家庭生活を脅かさないレベルで宗教を信じているだけならば特に問題はない。 ところが、カルト宗教は、親を通じて児童にも実質的に入信やイベントへの参加を強制することがしょっちゅう。 児童自身がカルト信者になってしまう場合はもちろん、カルトへの参加を拒否する児童に対して圧力をかけ続けてしまう行為が問題になっている。 明らかに非合理的な『教義』を信仰し、「信仰に基づいて」学校教育や医療を受けさせないなどの行為も問題となっている。 宗教に限らず、疑似科学や陰謀論、スピリチュアル、インチキ健康法等に過剰に傾倒する親もこれに近い問題だと言えるだろう。 医師の治療や予防接種を陰謀論を理由に拒否する。 ヴィーガンやマクロビオティックを過剰に信奉して子にもその食生活を押しつける。(*14)アメリカでは、ヴィーガンで子を餓死させた親に終身刑が言い渡されたケースもある。 とにかく「自然がいい」という主張から医者を敵視し、子が体調を崩しても医者に連れて行かない(通称:自然派ママ)。頼るのは同じ仲間のSNSの民間療法だが、もちろん全く効果が無い。 特定の思想に過度に依存する人物を目覚めさせる効果的な方法はなく、家族はおろか、学校や児童相談所の干渉も役に立ちにくい。 場合によってはかえって公的機関を敵視し、思想仲間にのみ依存してそこに児童が囲い込まれることもある。 両親ともはまっているケースはもちろん、はまっているのが片親のみの場合でも、信仰にはまりすぎたり両親の対立の溝により家庭が崩壊するケースも少なくない。 カルトによる洗脳や過激思想への依存から目覚めさせることは、公的機関の力をもってしても容易ではないのである。 化物語の戦場ヶ原ひたぎは母親が悪徳宗教にはまってしまった宗教二世である(父親はまとも)。 虐待を受けると児童はどうなるのか 何かしらの形で虐待を受けると、当然ながら子供(児童)は悪影響を被ることになる。 暴力を受けた児童には叩いた痕や傷、痣が体に残っている。中には暴力を振るったと分からないように腹部など目立ち難い部分を集中して攻撃する親もいた。 放置された児童の場合は栄養が十分に摂取できず同年齢の平均的な子供と比べ心身の発達が遅れることがある。 頭部の攻撃によって脳や神経系へのダメージがあった場合は知的の発達に遅れが生じることがある。 過干渉によって酷使された児童の場合早期に病気に罹って虚弱化したり、心身の成長に歪な物が見られたりもする。 また完全に解明されたわけではないが母体にいる状態で母体がDV等で虐待を受けた場合でも児童の側がストレスを蓄積した状態で生まれ、悪影響を被る場合もある。 これらの特徴があるからと言って虐待されていると判断するのは早計であるが(*15)、児童に何らかの悪影響を与えることは間違いない。 また、虐待を受けた経験はトラウマとなることがほとんどで、年月を経ても精神に甚大な影響を及ぼす。 精神病の症状として現れるほか、深い劣等感や無力感などを持ち続けることも。 「厳しくしつけられるという事は、自分はダメな人間なんだ」という児童の側の劣等感が「助けを求める」という選択肢を奪ってしまう場合もある。 所謂「アダルトチルドレン」(*16)も幼少期の虐待などによるトラウマを持った人であり、多くは当時の劣等感や無力感から自分の行動・判断に自信が持てない、 常に他人の承諾や称賛を必要としてしまう、必要以上に自己犠牲的になるなど、生きづらさを持った人間に成長してしまう。 また、児童は大人とのかかわりの中で人間関係の構築を学ぶため、周囲の人間と良好な関係の作り方を知らずに成長する恐れがある。 「周囲の人間」とは自分の子も含まれ、後述のように自分の子を虐待するという悪循環を生みかねない。 更に、虐待された子は攻撃的な性格になることも少なくなく、他人に対していじめや傷害などを起こす子供になってしまうこともある。 親がしている暴力行為を悪いことと思わず、「躾」同様に理由があるなら他人に行っても良いと認識してしまうからだ。 子供たちが非行に走るのも児童虐待が遠因となっていることが多い。 家庭に居場所が無い少年達がいつしか暴走族、半グレのような悪い仲間たちとの付き合いを「居場所」にし、そこから暴力団などに取り込まれるという形で、泥沼にはまってしまうこともある。 しかし気を付けて欲しいのは、上記の特徴が当てはまらない子もいるという事だ。 一見普通のいい子だが、実は虐待を受けている子もいたり、虐待を受けた児童がそのまま大人になって初めて気づくというケースも沢山ある。 これは児童にとって両親が当たり前の存在だからである。 こういった子の場合友達や先生などに指摘されてようやくその子とその家族が気付く事も多く、両親もそういった意識もなく愛故に一時的にそういう態度を取っていたこともある。 そこの貴方、画面の前のキミ、虐待を受けていませんか? 貴方は「当たり前」とは何か?と問われた時、どう答えるだろうか? この問いは非常に難しいが、不正解はわかるだろう。「出会い頭にキスをする」「魔法が使える」等だ。 しかし挨拶としてキスをする文化の国もあるし、二次元の人々にとって(作品によるが)魔法も当たり前なものという設定だろう。「当たり前」は周囲の環境次第で簡単に変わるのだ。 SCP Foundationをよく知っているアニオタならミーム汚染を思い出すかもしれない。つまりそういう事である。 虐待をする親の問題 色々読んで、多分多くのアニヲタが胸糞悪くなったであろう。 「そう言うヤツは生きてる価値なんざ無いんじゃい!」 という意見があるのも分かる。 だが、虐待した親を叩くだけなら誰でも出来るし、それで解決するなら児童虐待はこんなに根深い問題にはならない。 虐待した親は多くの場合、自分の親から虐待を受けていたことがままある。過干渉の項目にもあるが「昔は虐待ではなく合法な躾け行為だった」内容も多々あるのだ。 つまり 虐待されているのを自分のせいにして、親に対しての感情を抑え込む ↓ 成長して自分が親になる ↓ 自分は愛情のある育て方をしようと思っても子供が言うこと聞かず(これ自体は子育てをすれば誰もが経験すること) ↓ しかし自分が原因だと自身を責める ↓ 押し殺していた感情が児童に向けて爆発してしまう ↓ その子供も、親を責めずに自分を責める というような負の連鎖が出来上がるのである。もちろん他の連鎖反応式もある。 これを止める為には、周りが気づいて止めてあげる事が必要になってくる。 CMなんかでも言っているが、間違っているかもしれなくても児童相談所に電話してほしい。 児童相談所も人手不足や制度不備で十分動けないことはあるが、それでも救われる児童は少なくない。 虐待のあった家庭の近所に住む人の多くは、気づいてあげられなかったことを後悔している。 当の親も、自分の行動が悪いことである事が分かっているのに虐待を止められず、警察に相談すれば逮捕されてしまいかねず、誰にも相談できないまま泥沼にはまっている事もある。 そんなときに児童相談所から差し伸べられる手が希望の光になることは少なくないのだ。 こうなった原因の多くは、近所付き合いの無さである。 電話一本で救える可能性があります。子供も親も。 また幾つかの虐待の原因の中には「実は親の方が脳などに疾病を患っており始終過負荷が掛かった状態の為堪える事自体が不可能だった」ケースもある。 この場合は明確に加害者側の身体状況の方が原因のため、家庭の側だけの努力ではどうにもならない。 そういった親の疾病を取り除く医療の目や医療を受け易くする経済・社会面の支援も重要(*17)と言う事である。 周囲の対応 児童虐待は、児童自身から助けを求めることが難しく、周囲の気づく視点が大切である。 後悔してからでは遅いんです。もう一度言うが、間違っているかもしれなくても児童相談所に電話してほしい。 虐待の相談対応は、決して簡単ではない。 それどころか、周囲の対応のまずさが、虐待された児童にとどめを刺してしまう場合もある。 児童が助けを求めてきても、その場で虐待の物証などなかなか出せるものではない。 児童の証言しか根拠がないと、「児童虐待なんてあり得ない」「ただの親子ゲンカだろう」という先入観から 「ぶたれるようなことをしたきみが悪い」 「親はきみを愛しているのだからそんなことをするはずがない」 と、児童を突き放してしまうケースがあるが、これは絶対にやってはいけない最悪の対応である。 「助けを求めても意味がない」「むしろ自分が悪いことにされてしまう」ことを理解させられた児童は、誰にも助けを求められないまま、取り返しのつかない事態になってしまうのである。 確かに、児童の言い分にも何か間違っている点がある可能性は否定できない。 専門の相談員や警察官ならともかく、近所の一般人や親戚が児童から話を持ちかけられて、適確に対応しろ、と言うのも厳しい話だ。 けれども、虐待の相談を受けたなら、まずは児童の言うことを否定せずに聞くこと。 児童が間違ったことを言っていたとしても、それを非難したり説教したりするのは、相談を持ちかけられた周囲の仕事ではない。 安易な決めつけは、虐待の共犯になることを肝に銘じて欲しい。 虐待の兆候 以下のような特徴があれば、児童が虐待を受けている可能性がある。 児童の様子 叩いた痕や痣があったり、目立つ傷に治療を受けている様子がない。特に痕や痣をやたら隠そうとする子供は危険。 年齢と比べて明らかに体が小さい。またはやせ細っている。 逆にあまりにも太っている(食事こそさせてもらえているが、ろくな栄養管理がされていない可能性が高い)。 冬にTシャツ1枚だったりするなど、季節に合わない服を着ている。 服や身体が見るからに不潔。体臭が酷かったり、一見して分かるほど口の中が虫歯だらけになっていることも。 鼻風邪や虫歯治療などが施されていない(青っ洟の垂れ流しなどは戦後初頭の摂取栄養が低い頃に頻発していたものなので平成や令和以降の今にも拘らず「戦後初期の様な生活水準である」という事)。 夜中に親や信頼できる大人が付き添わない状態で外にいる。 怒鳴り声や泣き声が毎晩のように聞こえる。 家に帰ること自体を嫌がる。 普通の児童が明らかに学校に行っている時間帯に公園などにいることがしょっちゅう。 親などの大人に対してやたらと萎縮した態度を見せる。 嘘をつくことを繰り返す(自分の身を守ったり、気を引くために嘘をつかなければならない状態になっている可能性がある)。 単におとなしいというレベルではないほどに表情などの反応が乏しく、無反応・無表情が多い。逆に、何に対しても落ち着きがない。 やたらと友達の家に遊びに来て、食事などをねだる(食事すらさせてもらえていない可能性がある)が、自分の家には行かせたがらなかったり自分の家より他人の家の方が寛げている。 非行や犯罪行為に手を染める(飲酒、喫煙、万引き、いじめ(*18)、暴力、動物虐待、その他問題行動)。 明らかに年齢と合わない性的な言動の多発。 前項に近いが明らかに時代錯誤な価値観内容の言動が多い(女性蔑視、優生選民思想、カースト的な下位身分への侮辱罵倒語など)。 親の様子 それとない忠告や子育ての話題にヒステリックな反応をする。 子供の話題の話をしている際、よく聞いてみると子供の良い部分を自分の手柄の様に宣い、悪い部分を配偶者か子供本人の個性に押し付けている。 他人を叱り付ける、暴力に物を言わす話題を好み、始終他者の落ち度や悪さのあら捜しに没頭している(嗜虐依存の現れ) スポーツ観戦などをしている際、選手の健闘を称えたり褒める事をほとんどせず、ミスや落ち度ばかりを探し選手や監督などを侮辱罵倒して憂さ晴らしする事ばかりに没頭している。 人の見ている前で乱暴な叱り方をしたり、時には暴力をふるう(見ていない所でもダメだが、見ている前でやっている場合悪いとすら思っていない可能性が高く危険性が高い)。 子供の見ている前で末端店員や窓口応対職員などに対し横柄不遜な態度を取り、決してへりくだらない(子供を含めた「目下の人間に対する基本思想」がそのまま出る)。 先天性疾患や内臓系の持病を持った他者に対し「先祖が何か罰当たりな事をした」、「ああいう医者の手に係るのはそもそも早死にすべき出来の悪い穀潰し」などと言って本人や入院通院治療行為などを侮辱罵倒する(優生淘汰思想的な差別思考の現れ、大抵子供にも向けられる)。 自身の学歴や境遇に対して強烈なコンプレックスや過剰な誇りを抱いており、自身や他者(配偶者含む)に対して学歴・職業差別発言を頻繁に行う。 児童を家に一人にして夜中の帰宅や朝帰りがしょっちゅう。あるいは、ギャンブルなどにふけっている。 兄弟姉妹間で露骨な差別、取り分け大人に都合の良い価値観を満たす者を贔屓し、本来の年齢相応だったり個性的な行動をする者を蔑み虐げる対応を採る。 児童芸能人などに対し大人に都合の良い、特に親の栄光心や経済的な都合を満たす部分ばかり評価し、年齢相応の部分を嫌悪する。 SNSなどで児童の話題を出す時に児童を貶してばかりいる。(*19) 親自身がもう片親から暴力やハラスメント、DVを受けている(得てして子にも矛先が向けられる。行為を見せるだけでも虐待に成り得る)。 他所の家庭的だったり子供に親身な親や教育者の対応を見て「子供が付け上がる」、「ガキに舐められてるだけ」といった罵倒や愚弄する態度を取る(「子供は屈服させる目下の者」という思想の現れ)。 スポーツなどを自分で教える際に自己流かつプロの大人用インストラクトなどを無理に押し付け年齢に合った教育法を行わない、あるいはそれ等のプロの児童向け指導者の指摘などに対し攻撃的になり侮辱や罵倒を行う。 過度の飲酒や喫煙(子供が真似する恐れがある、親の体調悪化による育児放棄、受動喫煙が子供にも悪影響を与える恐れがある、泥酔して暴れるなど)。 家がゴミ屋敷になっていたり、電気ガス水道が止まっている。 時代錯誤な価値観に憧憬を見出す発言をしている(父系家族を至上とする、女性を蔑視する、西部開拓初期等の様な人付き合いに乏しく武装自衛が必要な世界・家族状態を愛好する等)。 行政による保護の問題点 上記のような事態を見て、「行政が児童を預かればいいんじゃないの?」という疑問を抱く人は多かろう。 確かに、虐待する親から児童を取り上げて国の養護施設で面倒を見る制度はある。 だが、現状虐待された児童を軒並みそれによって救うというのは、あまり現実的ではない意見だと言わざるを得ない。 というのも、様々な虐待を受けて心に傷が付き、個別の配慮が必要な児童を集団で管理するのは非常に難しい。 そして、引き取る養護施設の児童は、虐待を受けていた児童だけではない。 非行少年もいたり、親の死亡や重病など、誰かに落ち度がある訳でもないのに入所せざるを得なくなった児童もおり、多かれ少なかれ生じている児童の心の傷に対し、必要なケアの種類はバラバラだ。 これに対して、養護施設および職員の人的・経済リソースはかなりカツカツ。 時には十人以上にもなる児童ひとりひとりにしっかり向き合い、惜しみ無い愛情を注ぎ、彼らなりに考える最善の保護環境を提供することは物理的に不可能なのが実情。 養護施設の手前である一時預かり所は子供が集中し易く、更にリソースが切迫している。 自治体によって差異があり、全ての施設がこんな状態ではないことは留意頂きたいが、ただでさえオーバーワークな職員の負担を減らすためひたすら事故などが起こらないよう機械的・或いは懲罰的に管理統制するだけの施設も残念ながら存在する。 「児童同士私語も目を合わせるのも禁止」 「携帯電話を持っていても使用禁止、外部の友達とも話せない」 「ルール違反にグランドを何周もさせる(*20)」 「『同室の児童と談笑していたから』と言う理由で、窓すら無い二畳間の懲罰部屋に軟禁」 「真冬に二時間正座させたまま反省文を書かせる」 「それまで問題なく通えていた学校にも通えない」 「施設によっては私物はパンツ一枚持ち込めない」 「進学校で優秀な成績を収めていた中学生に小学校低学年向けの計算問題を解かせる」 なんて事例が報告されている。 もちろん 「一緒の施設には非行少年も入っている。彼らとつるんで非行を学んでは困る」 「ルール違反を許して増長されると管理が難しくなる。要保護児童には中学生以上もいて、職員より体力があることも珍しくなく、管理に従わない児童は職員を危険にさらしかねない」 「学校に通わせようにも、虐待親が登校中を狙って子を奪還しかねなかったり(*21)、距離がありすぎて危険。と言って送迎の人手はない。」(*22) 「児童の年齢や成績に応じた教材なんてとても準備できないし、教えられる先生役も準備できない」 「不公平と思われたら児童が言うことを聞かなくなるので、「携帯など私物のない児童」「学校に通えない児童」など、環境の悪い児童に合わせて全員に我慢させざるを得ない」 という養護施設側のやむにやまれぬ事情はある。 だが、養護施設側の事情がいくらあっても児童の側からは関係のない話で、これでは養護施設で余計にグれてしまったとしても無理はない。 面積的な制約もあるので、「私物はランドセル一個分しか許可されず、親の形見も強制的に捨てさせられた」という事情がトラウマだったと語る施設出身の凶悪犯も居た。 養護施設とは少々違うが、 「頼れる親戚のいない親が1か月入院する必要が生じてしまい、止む無く施設に我が子を預けたら、入院前は元気だった我が子はPTSDを患って不登校になってしまった」 といった事例も複数報告されており、2021年現在訴訟が施行中である。 こうした養護施設の保護環境の劣悪さに耐えかねて「虐待をする親でもいいから家に帰りたい」と訴えたり、「親とうまくやっていけない自分が悪いの」と自分を責める児童すらいるほどだ。 引きはがされた親がショックで更生すればよいが、これ幸いと施設に児童を押し付けてしまうことさえある。 また、児童を親と復縁させないでずっと施設で暮らしてもらう、と言うのも現実には問題が大きい。 施設で暮らしていれば、進学にも制約が大きくなる。 高校や大学への進学には親の経済力が重要という現状は厳然として存在している。奨学金も決して簡単に得られるものではないし、得られたところで返さなければならなかったり、そもそも保証人(大概は親)がいないと借りられない奨学金も多い。 給付型奨学金もなくはないが、虐待トラブルで心に傷がついて学業も遅れがちな児童が、優秀さが求められる給付型奨学金を得るのは困難を極める。 就職するにしても、進学せず施設育ちの児童が暮らしを営めるような仕事に就職するのは厳しいと言わざるを得ない。親がいないため、身元保証人すら簡単に立てられないのだから。 親と絶縁させてずっと施設で暮らさせる、ということは、児童をこうした将来の大きな負担に晒す危険性が大きい。 親が更生するならば、上記のような問題は発生しにくく、施設で暮らすよりは児童にとってずっと良い。 そう考えると、「保護することは児童にとって良いことだ」と簡単に決めつけられない場合が多く、児童相談所も安易に「親と永続的に切り離す」という決断に踏み切れないのだ。 このような前提条件を考えると、施設に入れる方が児童の利益と簡単に言えないため、施設に入れるのは最終手段になりがちである。 また、児童相談所ができることについて「保護されるような児童が脱走したら不安だ」「子どもを連れ帰る親が押しかけて住民に危害を加えるのでは」「治安が悪化して地価が下がるのではないか」という住民からの反対運動も起きている。 反対運動を起こした住民側が炎上し、児童相談所も最終的には無事に設置されたケースもあるが、反対運動の激しさに設置が断念されたケースもある。 もちろん、設置に際して別に反対運動も何もなく、スムーズに設置できているケースもある。しかし、こうした反対運動が広がれば、設備の拡充だって難しくなるのだ。 一般市民としても虐待親に怒りを表明するだけではなく、児童の保護に理解を示し、予算を割き、保護に協力していく姿勢を出していかなければ救える児童も救えないのである。 虐待は誰がするのか? 日本で虐待が一番多いのは母親。児童といる時間が最も長いのが最大の原因だろう。 その9割近くが旦那がいない(シングルマザー)、旦那が育児に無関心or育児に割けるリソースを失っている状態であり、 日本の育児は女の仕事と全て母親に放り投げてしまっているのが原因とされる。 育児によって心の余裕や社会性がなくなる為、母子だけの閉ざされた環境が続きストレスが溜まる。 そのストレスから狂暴性を持ってしまうのは動物的な本能なので母親を責めるのは本当は間違い。 一番いいのは育児が大変だから、他人に迷惑になるから等と家に閉じ込まらず様々な場所へ行って孤立しないようにすること。 夫や両方の家族、周り近所が少しずつ手を貸すことにより母親に余裕が出て虐待数は減る。 虐待で最悪な場合死を迎えるケースも少なくないが、こちらは食事すら与えない育児放棄(ネグレクト)や体罰が原因で、 自分なら大丈夫だからと大人に対する力加減で暴力を振るったり、自分ならそんなに食事しなくても平気だった等成人基準で考えて行動してしまうケースが多い。 昔はよかったと同じ心理で記憶の誇張や改ざんが原因となっている。 そもそも根本的な話、人間は群れで生活する様に進化してきた生き物なので、「夫婦二人のみで子供を育てる」事自体が無茶なのである。 生まれて数時間で歩けるようになる獣、例えば馬なんかとは、生物としての在り方が全く異なるのだ。 公私問わず受けられるだけのサポートはありったけ受けよう。それは決して恥ではない。 サポートを受けることや、いわゆる「未婚の母」を攻撃する言説…そうした攻撃を見た母親は問題を抱え込みやすくなり、結果として最悪の事態を生じさせてしまうのだ。 家庭の実情を理解せず、安い正義感で母親を攻撃する言葉は、まぎれもなく虐待の原因である。 上にあるが虐待数が1番多いのは母親だが虐待死させるのが1番多いのは父親。 男性は比較的、力が強く為子供への力加減ができないケースや自分が産んでいるという意識が低い事から自分の子供としての意識の欠落が多く、 それ故家族ではなく邪魔物・厄介者等として扱ってしまう。そしてこちらも動物本能が原因で自分の群れに新入りが入った事への不満等から当たってしまう。 これを防ぐには父親に親子であると認識させる為子供と遊んだり、食事をさせる等行うのがいいがそれでも認識できない者は多い。 性的虐待も父親の方が多く、日本でも1番多い性的虐待者は父親が断トツで次が兄、その次が弟・姉・母、そして他者である。 日本では性的虐待を受ける女児は多く、小学校卒業までに7割の女児が何かしらの性的虐待を受けている(痴漢も性的虐待に入る)。 その2割が虐待や事件によって亡くなっているので女児の場合は性的虐待が原因で亡くなるケースが1番多い(成長してからの自殺含める)。 家族は子供に性的虐待を行う事すら考えつかない為発見が遅く、子供も幼いと性的虐待を虐待と知らない為誰にも言わず手遅れになる。 子供だから忘れるだろう、ちょっと悪戯しただけ、少し興味があった等と軽く考えているケースが多い。 子供の記憶力は大人より優れている事もあるので一生残る心の傷になる。 幼い子供には男女関係なく大人の成熟した性器を見せるのもトラウマになる為、これも立派な性的虐待だったりする。 男児の性的虐待は小学校卒業までに3割ほどだが、虐待を行うので一番多いのは兄。 様々なアダルト知識を弟に見せたりしているケース。 これの一部には「兄弟姉妹を同じ部屋で住まわせる」のが原因である場合があり、年上の側が思春期などに入りどうしても性的関心が発生し、 下の血縁者に性的行為・いたずらを行ってしまうという部分がある。 部屋を個室にすれば危険は減るが、貧乏な賃貸や社宅アパート、古い家屋で暮らしている場合は子供と大人の部屋すら分けられないケースも多く、危険を避けることは難しい。 児童虐待と冤罪 児童虐待の中でも、特に乳幼児に対するものは、児童がケガをするなどして運び込まれた病院などの通報により発覚することが多い。 しかし、児童自身に虐待された意識がなく、親が虐待を否認すれば、虐待の証拠は児童自身のケガの様子しかない場合も多い。 児童は親にはしばしば予想もつかない行動をし、僅かな衝突やうっかりミスが重大なケガに繋がる事故も起きやすいため、事故で負ったケガなのか虐待で発生したケガなのか区別するのが非常に難しい。 こうなると虐待の有無の判断は医師の専門的な鑑定に頼らざるを得ない。 だが検察や児童相談所が依頼すべき医師が何科か正確に理解できておらず、脳の障害について脳神経外科でなく小児科医に、腕の骨折について整形外科でなく内科医に判断させるということも起きてしまっている。 更に、こうした鑑定を任される医師は児童虐待防止運動に関与している医者が多く、逆に言えば児童虐待の防止に過度の正義感を持っており、中立性が疑われたり、刑事裁判の一大鉄則である「疑わしきは罰せず」を理解しないまま虐待と決めつけるようなケースも出ている。 実際彼らの鑑定を根拠に虐待と断定したところ、裁判で本物の専門家が出てきて虐待という鑑定が言い負かされ、結果として裁判所が「虐待と断定する医師の鑑定は信用できない」と判断して無罪となるという事例が近時度々報道されるようになってきた。 児童虐待の疑いがかかれば、親はたとえ全く虐待などしていなくとも、何年もの間、傷害や時には殺人などの疑いをかけられて裁判に臨まなければならなくなる。一度実刑を言い渡されながら高裁で逆転無罪となった事例さえある。 そこまでいかなくとも、長期間にわたって子と引き離される親の例はしばしばある。 かといって、児童虐待が弱者を標的にする許しがたい犯罪であることや、放置していれば児童の命にかかわることも事実であり、児童相談所や裁判所は本当に虐待があったのかどうかにしばしば頭を抱えている。 虐待を受けた場合は 虐待を受けると、「虐待を受けたことは恥ずかしい」「怖くて言えない」「自分が悪いのでは」といった思考に陥りがちです。 しかし、虐待はどこまでいっても卑劣な犯罪であり、あなたは全く悪くないのです。もし虐待を受けている場合、速やかに189への通報を強くお勧めします(通告は法律で定められた国民の義務です)。 また、「仕返しが怖い」という方は、児童相談所に直接駆け込んで状況を説明し、帰りたくないという意志をしっかり示すことが重要です。たとえ追い返されても何度でもやってください。 あなたが健やかに生活できることを祈っています。 以上、被虐待児の高校生からのアドバイスでした。 「父親である事は権利ではない。 …神の恵みだ」 「子供達を殴る方がクズだ!」 「親の躾はできないが、この子はなんとしても守ってやりたい」 「子供の為なら、死んでもいいっ!そういうのが親なんだよっ!!」 (´●ω●`) 神に詫びろ…!!腐れ外道が!!! 追記・修正は虐待を許さない方がお願いします。 △メニュー 項目変更 この項目が面白かったなら……\ポチッと/ -アニヲタWiki- ▷ コメント欄 [部分編集] 子供に八つ当たりするならなぜその子を産んだんだよって問い詰めたい -- 名無しさん (2018-07-17 19 39 47) コメント欄が長くなってきたのでリセットしました -- 名無しさん (2018-09-05 20 49 53) 問い詰めた所で意味ないけどね -- 名無しさん (2018-12-20 18 01 29) こういうようなことをする輩にポケモンのタケシのあの言葉「お前ら人間じゃねぇ!」って言いたい(冗談抜きで) -- 名無しさん (2018-12-20 21 04 35) クロームちゃんもこれかもな!実の母と義理の父は娘が事故でケガしても見向きもしなかったし、なんとなく犬が心配するのも無理はないな! -- 名無しさん (2019-01-08 15 27 26) ↑5こういう親は「いまだに結婚してないの?」と親に急かされるか、いきずりの恋愛で「できちゃった婚」と、覚悟が無い状態で親になるから「子供が子供を育てる」という悪循環に近くなる。特にDQNだと更に酷い -- 名無しさん (2019-01-27 12 27 44) 子供をモノとして見てるケースもある。「面白半分で育てたけどなんか飽きたから捨てよう」ってタイプも過去にあった -- 名無しさん (2019-02-21 08 31 02) Wikipediaによると、父母どちらかによる連れ去り(合意のない別居、子供に会わせないなど)も虐待にあたるらしい。子供だけでなく配偶者への虐待でもあるな -- 名無しさん (2019-02-21 09 53 04) 花騎士に嫁入り修行と称して両親の性行為を縛ってでも見せられ続けた子がいたらしいっすねえ -- 名無しさん (2019-02-21 10 00 40) 一番世界的に有名な被害者はたぶんスターリンだと思う 虐待されたら性格が歪むってのがよくわかる典型例 -- 名無しさん (2019-03-01 01 39 39) ヒトラーも過干渉で暴力的な父と過保護な母のおかげで歪んだしなあ -- 名無しさん (2019-03-01 02 05 35) サンジってレイジュにも何かされたっけ? とりあえずリアルの虐待親は殺処分でいいと思う -- 名無しさん (2019-03-06 18 52 16) ↑サンジが虐待されてるの見て保身のために笑ってはいたが陰で助けてたのにな -- 名無しさん (2019-03-06 20 35 14) ルイ17世の生涯もかなりヤバいよな。 -- 名無しさん (2019-04-17 00 04 10) ストライク・ザ・ブラッドの煌坂紗矢華もこのケースだよ -- 名無しさん (2019-04-17 02 02 04) 項目ではウルトラマンジードこと朝倉リクの名前も挙がってるけど地球で巡り合った「親」が優しい人ばかりだったので真っ直ぐ育った稀有な例。それとは別にとんでもないネタバレになるから言わんけどエゲツないネグレクトくらったニチアサ主人公がいるみたいですね......... -- 名無しさん (2019-06-23 01 41 25) キャルちゃんかわいそう。リアル親のせいでゲーム世界でも酷い目にあってる -- 名無しさん (2019-07-18 11 13 57) 子供の目の前でアニメ作品や出演声優に対するアンチ発言をするのも虐待や毒親の内に入るだろうか -- 名無しさん (2019-10-12 05 21 13) ズッコケ三人組のモーちゃんのお姉さんもこれかな?父親が大酒飲みだったから、お母さんにやったことはDVだよな。 -- 名無しさん (2019-11-02 11 12 22) 故意ではないが、キン肉マンは赤ん坊の頃に両親によって宇宙船から地球に捨てられ、十数年間援助を全く受けずに生きざるを得なかったという、ある意味最大級の虐待の被害者とも言えるかもしれない。しかしそのせいで正義超人のエリート意識とは無縁に育ち優しい性格になったため、後に超人世界に変革をもたらしたという稀有な例 -- 名無しさん (2020-03-19 10 50 41) 改めて考えると暗殺教室では児童虐待を受けた人多いな。千葉くんや速水さんもそうだし。広海は改心したけど、許しがたい女。 -- 名無しさん (2020-04-04 07 16 11) どうしても子供を上手く育てられない時は手放してあげるのも愛情だと思う -- 名無しさん (2020-05-12 01 35 42) 「年齢と比べて明らかに体が小さい。またはやせ細っている。」→先天性の障害が原因でこうなってんのに虐待扱いされたときは本当に不快だったわ。障害者に生きる権利はないのかよ。 -- 名無しさん (2020-05-12 22 31 10) ↑ 不愉快になる気持ちはわかるが、「先天性かもしれないから」で放り出してたら手遅れになる子供が出ることも事実だし調べてみないと分からないよ。 -- 名無しさん (2020-05-12 22 42 13) 遊戯王、特に原作の父親は児童虐待、もしくはそれに近いことをやりまくってるのがやばい。現代の親だけじゃなくて古代エジプトの父親共も故意かどうかは別として子供に害を残しまくってる。登場しなかった遊戯父が一番マシってどういうことやねん -- 名無しさん (2020-06-30 13 45 19) ジーザスタウンというのはある意味究極の虐待防止かもしれない -- a (2020-09-24 00 27 53) フルーツバスケットとかいう虐待の嵐、少女漫画の沼は深い -- 名無しさん (2020-09-26 02 34 10) [t -- 名無しさん (2020-09-27 15 52 36) 「天気の子」の帆高くんも小説版によると父親にボコられていたらしい。なら島を脱出したがったのも無理は無い。 -- 名無しさん (2020-09-27 15 53 58) 虐待する親を子供が殺害した場合って情状酌量はされるのかな? -- 名無しさん (2020-09-29 08 52 39) ↑70年代当たり、父親からの虐待に耐えかねた女性が父親を殺害した時、当時尊属殺は軽くても無期懲役だったため、これで無期はおかしいのではないかという声があり、最終的にに執行猶予付きの判決になって、その後尊属殺に関する法律はなくなった。 -- 名無しさん (2020-09-29 13 40 17) 暗殺教室の潮田広海は改心したとはいえ許しがたい女だが彼女も親(渚くんの祖父母に当たる人物)に虐待みたいな教育をされていたとか?あと広海を他のキャラに例えると絶チルの須磨だな(皆本の前担任の)。薫達をまともに変えようとするのだが虐待みたいな暴力な教育でやってたしそれは須磨自身も母に虐待されてたせいなんだよな。 ただしアニメ版では須磨はなんやかんやで薫達を理解しようとしてたとか?アニメ版では須磨の虐待のシーンカットされたし他のアニメにも虐待のシーンのカットあるかな? -- 名無しさん (2020-10-26 18 40 55) 自身を虐待していた母と祖母を殺害した女子高生がいたがその後どうなったんだろ。 -- 名無しさん (2021-01-01 21 29 44) ↑2劇中で改心してちゃんと父親ともより戻したんだから渚の母ちゃんはもう許してやれよ… -- 名無しさん (2021-03-24 20 07 42) ↑1 確かにそうだが、だからと言って渚くんを脅して放火するのは良くないと思う!下手したら、あの鞭使いにもっと痛い目あってたと思うよ、広海。 -- 名無しさん (2021-04-04 05 55 30) 三次では是非とも滅ぶべき概念だけど割と二次元でも滅んでほしい。創作物で登場人物の悲しいバックボーンでの採用率が高すぎて脊髄反射的に「作者ボキャ貧だな…」ってなっちゃう -- 名無しさん (2021-06-26 21 57 00) 虐待は許せない -- 名無しさん (2021-08-28 14 26 17) でも、日本では対処の甘さから事実上... -- 名無しさん (2021-08-28 15 49 20) 助けて、入れて! ねぇ寒い入れてよ! 入れて……あ^~ -- 名無しさん (2021-10-22 16 02 07) ガキの頃、親の基準(ていうか気分)に触れると、触れた数×年齢×10回、登山用のロープ切ったやつで叩かれてたな。背中がミミズバレだらけになって寝るのもきつかった。そのくせ終わると「あんたの背中なんかより私の手の方が何倍も痛いわ!!」っつって逆ギレされた。なお、外面は良かったので児相は役に立たなかった。高校終わった翌日家を出て25年帰ってない。ちなみに結婚もしてない。子供に同じことしそうで怖い。 -- 名無しさん (2021-10-25 12 39 23) ヒロアカの轟くんとホークス、死柄木も入るな。 -- 名無しさん (2021-11-02 22 55 35) 2↑一昔前の凶悪犯罪者の統計みたいに罪を犯した側だけの統計から(似たような境遇でも犯罪に走らなかった人々をぬきにして論じていた)犯罪者の傾向を論じていたみたいに、児童虐待も本当に連鎖するのか疑問をもたれているからあとは貴方次第だと思うよ -- 名無しさん (2022-01-03 14 04 41) 子供の目の前で暴力行為が行われることも最近では虐待の定義にはいるから追記お願いします -- 名無しさん (2022-01-03 14 05 40) 子供のころの環境から相手に面となにかを主張すると最悪殴られる(そして殴り返すと自分のせいにされて警察のお世話になる)と思って表立ってなにかを主張できなくなる -- 名無しさん (2022-01-03 14 07 38) ↑ 学校では先生からも同級生からも殴られる蹴られる、家でも殴られる蹴られる怒鳴られる家に入れてもらえなかったから警察に助けを求めた小学生時代、まずは交番に言ったら「生まれた星の下が悪かったねー」だって。 警察署では「ちゃんと話し合えば分かり合えるよ」だとさ。 なくなるわけないんだよ、虐待なんか。 -- 名無しさん (2022-01-03 18 57 48) ↑児童虐待という概念がわりかし最近のものとはいえ、警察がその状況で保護を怠るってヤバすぎる -- 名無しさん (2022-01-03 19 01 16) ↑ 小4の頃だ、あの時の怨みを忘れたことはない -- 名無しさん (2022-01-03 20 14 40) ↑3 それ故か滋賀県で起きた母親殺害した事件とか北海道で起きた祖母と母親を殺した事件は親を殺した方が可哀想っていうケースだったな…どっちも虐待されていて警察に駆け込んでも何も対応してくれないからやむを得ずって… -- 名無しさん (2022-01-03 21 41 10) 母親庇って父親と殴りあいになったとき、警察来たけれど父親の話だけ聞いて私の話は聞かずに帰って行った。あの人たち片方が怪我しても保護にはなっても家庭内の問題だからと何もしないからね -- 名無しさん (2022-01-03 21 45 56) 人間って、少し手を伸ばせば救える存在をどれだけ取りこぼすんだろうなぁ -- 名無しさん (2022-01-10 04 53 32) 親「親のせいにするな!でも手柄は全部親のおかげ!」←これがほとんどの親が思ってることです。 そもそも「親に感謝しろ」っていう風潮がある時点で「親のせい」であることは明らかなんですよね。悪い責任はとりたくないけど良い責任はとりたいみたいな親が多過ぎます。 「親に感謝しろ」って言うってことは、それほど親の影響力が大きいって認めてるってことです。都合が悪い時だけ「親のせいにするな」はないですよね。 ま、自己中で自分大好きじゃなきゃ子供なんて作りませんよね(笑) -- 名無しさん (2022-03-11 18 49 21) ↑ 一歩社会になれば、人の上に立っているのはそんな人ばっかり。 子供のうちに気づくべきだったって後悔している自分が要る -- 名無しさん (2022-03-11 19 17 59) 虐待的人間関係の再現も追加すべき。 -- 名無しさん (2022-04-15 22 20 09) 気づいても大抵は見なかったことにする、それが現実 -- 名無しさん (2022-05-21 13 23 39) コメント欄にもちょくちょく痛いのが… -- 名無しさん (2022-05-21 15 04 03) その姿が痛いことに気がつかない、気がついても他にどうしたらいいかわからない。それが問題の解決していない毒親育ちさ -- 名無しさん (2022-11-06 17 42 25) 親にお金取られて生活できない、はある自分のなのに「私のお金」で持ってかれて終わり支払いも一切しないで酒と煙草して入院、溜まった支払いは全部自分がおっ被り+生活費も奪ってくから月数千円での生活。相談しても効果も意味無し、逆の立場だったら…とか考えて欲しい -- 名無しさん (2022-11-21 15 10 11) 「親になる資格」なんてもの誰ひとりとして持ってるわけねーだろ… そうやって都合のいい「理想で完璧の親」を脳内で作ってるから生きづらい人生なんじゃないの?「俺の毒親のせい」じゃなくてさ -- 名無しさん (2022-11-21 15 30 25) 子供の飯を抜くのは虐待ですか? -- 名無しさん (2022-12-13 19 35 17) ↑2資格はどうでもいいけど覚悟はいるだろ理想だとかもそういうんじゃなくて厳然たる事実として親が重い原因に明らかになってるものは世の中腐るほどある。それに作ってるから生きづらいんじゃなくて生きづらいから「普通の親だったら、」とか思うんじゃないの?ちょっと短絡だと思う -- 名無しさん (2022-12-19 10 34 44) ステップファミリーも原因として結構あるよ -- 名無しさん (2023-01-18 17 01 08) やってるほうは虐待だと本気で気づかないからね、過去に自分がされていたことを無意識に(下手すると意識的に)しているから本人的には整合性がとれてたりする -- 名無しさん (2023-08-17 19 33 49) この手の事件が起こると加害者について必ず「死刑にしろ、殺処分にしろ」なんて意見が続出するけど、まずは罪刑法定主義について考えるべき。納得できないなら自分たちで被虐待児を保護するなり、その親を始末すればいいじゃない。尤も、そこまでの正義感を持った人間なんて滅多にいないだろうけどね -- 名無しさん (2023-08-20 01 22 51) 記事を読んだ後にコメントの体験談を見るとなかなかキツイ・・・ -- 名無しさん (2024-03-25 16 09 36) 虐待する親って、大体が自身も虐待を受けて育ってきたパターンが多い。児童虐待を見聞きして「親許せない!親非道い!」って思える人は親からちゃんと愛を教わり愛を知っているから、と思うわ。 -- 名無しさん (2024-03-25 21 10 31) 名前 コメント
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■氷火島伝説・プロローグ 星の都 代官ムダッサから開始 ---- ---- ---- 【皇帝暗殺】 修羅刺客A(束縛耐性135でも×) 修羅刺客B 修羅刺客C 報告先→星空の都 衛兵リウ [EXP1,000,000 褒美×1] ---- ---- ---- 【皇帝の危機】 銅鉱石 10個 サメ族の涙 30個 ヘビの皮 30個 報告先→星空の都 ウェンシー [EXP1,000,000 褒美×1] ---- ---- ---- 【特殊な処方】 サボテン(キャラバンナイト) 10個 報告先→星空の都 ウェンシー [EXP1,000,000 褒美×1] ---- ---- ---- 【危ない状況 】 清い水晶 10個 鉄砂 10個 木の根っこ 10個 報告先→星空の都 アミン [EXP1,000,000 褒美×1] ---- ---- ---- 【腹ペコ団の移動 】 ドリームクランの長老 城の兵士を尋ねる 魔神の地 城のスパイ レブン 腹ペココムギ 七仙の街 腹ペココムギ 報告先→七仙の街 腹ペココムギ [EXP1,000,000 褒美×1] ---- ---- ---- 【腹ペココムギを調べる 】 サンドバルガー 200 報告先→七仙の街 腹ペココムギ [EXP1,000,000 褒美×1] ---- ---- ---- 【腹ペココムギの行方 】 衛兵モンに尋ねる 薬屋リンスを訪ねる 烙印の塔ガイドブック 1冊 ウェンシーを見つける 報告先→七仙の街 腹ペココムギ [EXP1,000,000 褒美×1] ---- ---- ---- 【腹ペコミィの要求】 綿の生地 30個 木綿の生地 30個 やぶれた皮 30個 報告先→神秘の森 腹ペコミィ [EXP1,000,000 褒美×1] ---- ---- ---- 【腹ペコミィの調査 】 黒帝城の番人 20人 報告先→神秘の森 腹ペコミィ [EXP1,000,000 褒美×1] ---- ---- ---- 【長老に会う 】 長老に会う 星の都 腹ペコ長老 渡し物 トパーズ 30個 獣のキバ 30個 氷水晶 30個 報告先→ 報告先→星の都 腹ペコ長老 [EXP1,000,000 褒美×1] ---- ---- ---- 【実情を話す 】 サンドレンジャー 40人 報告先→星の都 腹ペコ長老 [EXP1,000,000 褒美×1] ---- ---- ---- 【腹ペコの願い 】 衛兵トランに報告 星空の都 衛兵トラン リーセキに会う 星空の都 リーセキ 軽い木 10個 青竹 10個 麻布 10個 報告先→星の都 腹ペコ長老 [EXP1,000,000 褒美×1] ---- ---- ---- 【腹ペコを助ける 】 腹ペコの最長老を訪ねる 星空の都 腹ペコの最長老 腹ペコを助ける 星空の都 腹ペコの最長老 竹棒の破片(ストーンゴーレム:ドロ100%) 10個 報告先→星の都 腹ペコ長老 [EXP1,000,000 褒美×1] ---- ---- ---- 【腹ペコの怒り 】 植物探し 魔神の地の身投げ少女の付近(120,333) 魔神の地見回り (2時間経過後) 腹ペコの最長老 修羅への復讐 腹ペコの最長老 首領喬鑼 近衛兵・風 近衛兵・雨 報告先→星の都 腹ペコ長老 [EXP1,000,000 褒美×1] ---- ---- ---- 【ニセモノ 】 腹ペコの最長老 ストーンゴーレム30 報告先→星の都 腹ペコ長老 [EXP1,000,000 褒美×1] ---- ---- ---- 【魔境入りの棒 】 ヤンヤンに聞く 20G 嘆きの砂漠 雑貨屋ヤンヤン 砂漠の探検者 砂漠の探検者 お香の購入 お香(上) 10個 報告先→星の都 腹ペコ長老 [EXP1,000,000 褒美×1] ---- ---- ---- 【イブリース退治】 竹棒(イブリース)ドロ100%? 報告先→星の都 腹ペコ長老 [EXP1,000,000 褒美×1] ---- ---- ---- 【腹ペコの頼み 】 腹ペコ団員を探す 重態の腹ペコ団員 テンセイに会う テンセイ 腹ペコ団員の救助 神の石Lv1 1個 報告先→星の都 重態の腹ペコ団員 [EXP1,000,000 褒美×1] ---- ---- ---- 【サクラ退治】 ギャンブラー 10人 報告先→星の都 テンセイ [EXP1,000,000 褒美×2] ※これで20個目(無敵のサングラスと交換出来ます。) (褒美を受け取るのは、星空の都の、右下の宇宙人みたいな皇帝です。) ---- ---- ---- 【皇帝におめにかかる 】 金の結晶 10個 木の結晶 10個 水の結晶 10個 土の結晶 10個 報告先→星の都 皇帝 [EXP1,000,000 褒美×2] ---- ---- ---- 【皇帝の頼み 】 七仙の街ガイドブック 1冊 報告先→星空の都 ラクブン [EXP1,000,000 褒美×2] ---- ---- ---- 【修羅退治】 修羅退治 ダークランサー 30人 報告先→星空の都 ラクブン [EXP1,000,000 褒美×2] ---- ---- ---- 【烙印旅行 】 烙印の塔ガイドブック 1冊 報告先→星空の都 ラクブン [EXP1,000,000 褒美×2] ---- ---- ---- 【烙印を平定 】 ドリームクラン 神の石Lv1 15個 報告先→星の都 ドリームクランの長老 バロンを封印 バロン 1人 報告先→星空の都 ラクブン [EXP1,000,000 褒美×2] ---- ---- ---- 【姫の行方】 サンドレンジャー 15人 ミーヤ 15人 報告先→嘆きの砂漠 魔教冷長老 [EXP1,000,000 褒美×2] ---- ---- ---- 【ゴンドーフの激怒】 魔窟探し 嘆きの砂漠黒帝城 340.-335 獣のキバ 30個 氷水晶 40個 トパーズ 30個 報告先→嘆きの砂漠 魔教冷長老 [EXP1,000,000 褒美×2] ---- ---- ---- 【口封じ】 黒帝城の番人 35人 報告先→星空の都 ラクブン [EXP1,000,000 褒美×2] ---- ---- ---- 【新しい方法】 獣のキバ 10個 氷水晶 20個 竜の皮 10個 綿の生地 10個 杉 10個 トパーズ 30個 報告先→星空の都 テンセイ [EXP1,000,000 褒美×2] ---- ---- ---- 【天命の地】 烙印の塔ガイドブック 1冊 魔神の地ガイドブック 1冊 報告先→ 七仙の町 ドリームクラン員ナギ [EXP1,000,000 褒美×2] ---- ---- ---- 【五毒教の毒物】 グラスクィーン 10匹 サンドクィーン 10匹 フォレストラント 10匹 報告先→星空の都 テンセイ [EXP1,000,000 褒美×2] ---- ---- ---- 【姫の居場所 】 天命の地を探す 七仙の町 ツバメ橋 -121.250付近でポップ 守護 (1時間放置) プレゼント ドリーム教祖の教え 10個 文才の筆 10個 報告先→星空の都 ラプクン [EXP1,000,000 褒美×2] ---- ---- ---- 【姫の行方 】 ダークスナイパー 20人 報告先→嘆きの砂漠 魔教左護法 [EXP1,000,000 褒美×2] ---- ---- ---- 【魔教の要求 】 魔神の地ガイドブック 1冊 ドリーム教の教え 10個 お香(特上) 5個 報告先→嘆きの砂漠 魔教左護法 [EXP1,000,000 褒美×2] ---- ---- ---- 【内部紛争 】 魔教の剣士 20人 報告先→嘆きの砂漠 魔教左護法 [EXP1,000,000 褒美×2] ---- ---- ---- 【ナナ姫の行方 】 魔神の地ガイドブック 1冊 報告先→嘆きの砂漠 魔教左護法 [EXP1,000,000 褒美×2] ---- ---- ---- 【イブリースの痕跡】 耐・睡眠の石 3個 耐・気絶の石 3個 耐・沈黙の石 3個 特殊精錬石 15個 お金 50G 報告先→嘆きの砂漠 魔教左護法 [EXP1,000,000 褒美×2] ---- ---- ---- 【黒帝城苦戦】 罠 黒帝城 325.-330付近でポップ 脱出 ダークランサー 30人 報告先→星空の都 ラクプン [EXP1,000,000 褒美×2] ---- ---- ---- 【暗流 】 文才の筆 10個 玉の器 20個 ドリアン 10個 特殊精錬石 10個 魔神の地ガイドブック 1冊 報告先 [EXP1,000,000 褒美×2] ---- ---- ---- 【用心棒 】 ダイホウ:誘いの丘~ルシファーの所 シャシャ:黄昏の湖~かかしマスク ホウサン:安らぎの町北~るろう人の奥 報告先→星空の都 ラクプン [EXP1,000,000 褒美×2] ※これで無敵の薔薇と交換出来ます ---- ---- ---- 【ラプクンの指示 皇帝 】 ドリーム教の教え 5個 神の石Lv1 1個 神様のふだ(3時間) 1個 七仙の街ガイドブック 2冊 報告先→星空の都 皇帝 [EXP1,000,000 褒美×3] ---- ---- ---- 【スパイ】 大吉 1個 中吉 1個 小吉 1個 グリードオーガ 30匹 報告先→星空の都 ムーユ [EXP1,000,000 褒美×3] ---- ---- ---- 【度胸を試す 】 烙印の塔ガイドブック 1冊 報告先→星空の都 ムーユ [EXP1,000,000 褒美×3] ---- ---- ---- 【忠誠を試す 】 星空の都西テンセイ 綿の生地 30個 木綿の生地 30個 アカマツ 30個 魔神の地ガイドブック 2冊 安らぎの街 職人クホウ 報告先→星空の都 ムーユ [EXP1,000,000 褒美×3] ---- ---- ---- 【福を求めて 】 ラビッツ 4匹 報告先→星空の都 ムーユ [EXP1,000,000 褒美×3] ---- ---- ---- 【美酒献上 】 沙魔胆(グリードオーガ) 15匹 報告先→星空の都 ルホ [EXP1,000,000 褒美×3] ---- ---- ---- 【月餅 】 麦月餅 10個 必勝月餅 10個 ビワ月餅 10個 烙印のガイドブック 2冊 報告先→星空の都 ムーユ [EXP1,000,000 褒美×3] ---- ---- ---- 【逆臣の企み 】 サイクロプス サイクロプス:いばら ゴンドーフ ゴンドーフ:神秘 アザゼル アザゼル:安らぎ 報告先→星空の都 ラクブン [EXP1,000,000 褒美×3] ---- ---- ---- 【スパイからの情 】 玉の器 20個 ドリアン 10個 銅鉱石 20個 特殊精錬石 10個 偽の玉印1(職人クホウから貰えます) 安らぎの街 職人クホウ 報告先→星空の都 ムーユ [EXP1,000,000 褒美×3] ---- ---- ---- 【少女追跡 】 ドリームクラウンの長老 太陽の草原 城のスパイ イキア 太陽の草原ホイラン 魔神の地ガイドブック 1冊 報告先→魔神の地 身投げ少女 [EXP1,000,000 褒美×3] ---- ---- ---- 【少女のかたき】 グリードオーガ 35匹 報告先→魔神の地 身投げ少女 [EXP1,000,000 褒美×3] ---- ---- ---- 【少女の願い 】 絹糸 30個 やぶれた皮 30個 綿の生地 30個 神の石Lv1 5個 魔神の地ガイドブック 2冊 報告先→魔神の地 身投げ少女 [EXP1,000,000 褒美×3] ---- ---- ---- 【ナナ姫の行方 】 とげぶた 3匹 報告先→魔神の地 身投げ少女 [EXP1,000,000 褒美×3] ---- ---- ---- 【少女の試練 】 玉の器 1個 ドリアン 1個 文才の筆 1個 特殊精錬石 1個 精錬石 10個 報告先→魔神の地 身投げ少女 カルサイト 10個 竜の皮 10個 コランダム 10個 絹の生地 10個 獣のウロコ 10個 杉 10個 報告先→魔神の地 身投げ少女 海賊エリート 2体 海賊副官 1体 (魔神の玉座) 報告先→魔神の地 身投げ少女 [EXP1,000,000 褒美×3] ---- ---- ---- 【不思議な竹冊 】 ゴンドーフ 2体 バロン 2体 首領喬鑼&近衛兵・風&近衛兵・雷 各1体 アザゼル 2体 首領喬鑼 1体 近衛兵・風 1体 近衛兵・雷 1体 報告先 [EXP1,000,000 褒美×3] ---- ---- ---- 【竹冊の力 】 水の結晶 5個 金の結晶 2個 土の結晶 3個 木の結晶 5個 七仙のガイドブック 2冊 報告先 [EXP1,000,000 褒美×3] ---- ---- ---- 【魔法解除 】 おばけきのこ 3体 報告先 [EXP1,000,000 褒美×3] ---- ---- ---- 【姫の跡 】 魔神のガイドブック 2冊 報告先→星空の都 ラクブン [EXP1,000,000 褒美×3] ---- ---- ---- 【姫の軌跡を辿る 】 太陽の草原 ホイラン付近(352 -468)でPOP ※2時間放置後 サンドレンジャー 20体 ミーヤ 20体 サンドバルガー 20体 報告先→太陽の草原 ホイラン [EXP1,000,000 褒美×3] ---- ---- ---- 【鑑定 】 鉄砂 5個 清い水晶 3個 木の根っこ 2個 銅鉱石 2個 報告先→太陽の草原 ホイラン [EXP1,000,000 褒美×3] ---- ---- ---- 【力を借りる 】 グリードオーガ 60体 報告先→星空の都 ドリームクランの長老 ※それぞれ、10G,20G,50G,100G 計 180G の購入費用が必要 お香(並) 10個 お香(中) 10個 お香(上) 10個 お香(特上) 10個 報告先→星空の都 ドリームクランの長老 [EXP1,000,000 褒美×3] ---- ---- ---- 【皇帝の意図 】 ゴリガン 1体 ドリア 1体 ザッパ 1体 報告先→星空の都 皇帝 [EXP1,000,000 褒美×4] ---- ---- ---- 【出兵準備 】 烙印のガイドブック 1冊 50G 報告先→星空の都 ドリームクランの長老 [EXP1,000,000 褒美×4] ---- ---- ---- 【帰路を絶つ 】 ロネガン 1体 イブリース 1体 報告先→星空の都 ドリームクランの長老 [EXP1,000,000 褒美×4] ---- ---- ---- 【ムーユの悪あがき 】 星空の都 ムーユ (4時間放置) ドリーム教祖の教え 5個 報告先→星空の都 ムーユ [EXP1,000,000 褒美×4] ---- ---- ---- 【ムーユの条件 】 海賊エリート 2体 海賊副官 1体 海賊王 1体 報告先→星空の都 ムーユ [EXP1,000,000 褒美×4] ---- ---- ---- 【ムーユの自白 】 星空の都 皇帝 星空の都 ドリームクランの長老 報告先→星空の都 ムーユ [EXP1,000,000 褒美×4] ---- ---- ---- 【イブリースについて 】 びびこ 1体 報告先→星空の都 ムーユ [EXP1,000,000 褒美×4] ---- ---- ---- 【ゴンドーフ 】 水の結晶 5個 金の結晶 5個 土の結晶 5個 木の結晶 5個 白金鉱石 10個 金の絹糸 10個 竜の皮 10個 報告先→嘆きの砂漠 魔教冷長老 [EXP1,000,000 褒美×4] ---- ---- ---- 【長老の思い 】 びびこ 1体 報告先→嘆きの砂漠 魔教冷長老 [EXP1,000,000 褒美×4] ---- ---- ---- 【ゴンドーフの策略 】 七仙のガイドブック 2冊 魔神のガイドブック 1冊 報告先→嘆きの砂漠 魔教冷長老 [EXP1,000,000 褒美×4] [凝固石・玄功石・永命石・冥界石のいずれか1個] ---- ---- ---- 【テンセイの困惑 】 グリードオーガ 50体 報告先→星空の都 テンセイ [EXP1,000,000 褒美×4] ---- ---- ---- 【危険に陥ったゴンドーフ 】 嘆きの砂漠 魔教冷長老 スイセンカ 60個 報告先→嘆きの砂漠 魔教冷長老 [EXP1,000,000 褒美×4] ---- ---- ---- 【ゴンドーフの復讐 】 幽霊船 ゴーストマジシャン 10体 報告先→嘆きの砂漠 魔教冷長老 [EXP1,000,000 褒美×4] ---- ---- ---- 【ゴンドーフを試す 】 お香(並) 10個 お香(中) 10個 お香(上) 10個 お香(特上) 10個 報告先→嘆きの砂漠 魔教冷長老 絹の生地 10個 金の絹糸 10個 竜の皮 10個 報告先→嘆きの砂漠 魔教冷長老 [EXP1,000,000 褒美×4] ---- ---- ---- 【イブリースの指示 】 幽霊船 ダークアーチャー 6体 ドラゴンガード 6体 ゴーストマジシャン 6体 報告先→嘆きの砂漠 魔教冷長老 [EXP1,000,000 褒美×4] ---- ---- ---- 【イブリースに居場所 】 体罰 軽い木 2個 青竹 2個 やぶれた皮 2個 特殊精錬石 3個 報告先→嘆きの砂漠 魔教冷長老 神様のふだ 神様のふだ(3時間) 1個 報告先→嘆きの砂漠 魔教左護法 [EXP1,000,000 褒美×4] ---- ---- ---- 【イブリースの正体 】 アークドラゴン 1体 ゴルゴダドラゴン 1体 報告先→嘆きの砂漠 魔教左護法 [EXP1,000,000 褒美×4] ---- ---- ---- 【イブリースの行方 】 金の絹糸 10個 竜の皮 10個 金鉱石 10個 報告先→嘆きの砂漠 魔教左護法 七仙の街東 あずまや(292 47)付近でPOP 魔神のガイドブック 2冊 報告先→七仙の街東 ケロリン(297 37) 報告先→星空の都 腹ぺこの最長老 [EXP1,000,000 褒美×4] ---- ---- ---- 【腹ぺこ長老の指示 】 獣のスジ 10個 ビワの木 10個 じゅうたん 10個 金鉱石 10個 報告先→星空の都 腹ぺこの最長老 [EXP1,000,000 褒美×4] ---- ---- ---- 【幽霊船奇襲 】 幽霊船 ダークアーチャー 10体 ドラゴンガード 10体 報告先→星空の都 腹ぺこの最長老 [EXP1,000,000 褒美×4] ---- ---- ---- 【霊獣捕獲 】 太陽の草原 ハンゾウ 1体 報告先→星空の都 皇帝 ロネガン 1体 報告先→星空の都 ラクブン [EXP1,000,000 褒美×4] ---- ---- ---- 【倣慢なイブリース 】 イブリース 1体 報告先→七仙の街 ケロリン [EXP1,000,000 褒美×4] ---- ---- ---- 【正体が明らかに 】 ゴーストマジシャン 10体 報告先→七仙の街 ケロリン [EXP1,000,000 褒美×4] ---- ---- ---- 【からかい 】 水の結晶 2個 金の結晶 1個 土の結晶 3個 木の結晶 1個 清い水晶 3個 木の根っこ 5個 鉄砂 5個 ドリーム教祖の教え 5個 報告先→七仙の街 ケロリン [EXP1,000,000 褒美×4] ---- ---- ---- 【剣を祭る 】 ゴリガン 1体 報告先→七仙の街 ケロリン 特殊精錬石 1個 精錬石 1個 攻撃の石 1個 HPの石 1個 MPの石 1個 報告先→七仙の街 ケロリン [EXP1,000,000 褒美×4] ---- ---- ---- 【ひらめく 】 サンドマジシャン 60体 報告先→嘆きの砂漠 魔教冷長老 [EXP1,000,000 褒美×5] ---- ---- ---- 【太子ムキ 】 神様のふだ(3時間) 1個 魔神のガイドブック 1冊 スイセンカ 60個 報告先→七仙の街 ケロリン [EXP1,000,000 褒美×5] ---- ---- ---- 【太子ムキの行方 】 麦月餅 3個 ビワ月餅 3個 必勝月餅 3個 報告先→七仙の街 ケロリン [EXP1,000,000 褒美×5] ---- ---- ---- 【目的 】 幽霊船へ強制移動 ゴーストファイター 2体 ゴーストパイレーツ 2体 報告先→七仙の街 ケロリン [EXP1,000,000 褒美×5] ---- ---- ---- 【もったいぶる 】 いばらの荒野 おやぶん 3体 報告先→七仙の街 ケロリン [EXP1,000,000 褒美×5] ---- ---- ---- 【争い 】 ダークアーチャー 6体 報告先→七仙の街 ケロリン [EXP1,000,000 褒美×5] ---- ---- ---- 【謎に包まれて 】 ドリーム教祖の教え 6個 鉄砂 5個 清い水晶 3個 木の根っこ 5個 魔神のガイドブック 2冊 報告先→七仙の街 ケロリン [EXP1,000,000 褒美×5] ---- ---- ---- 【危機 】 ドラゴンガード 6体 報告先→七仙の街 ケロリン [EXP1,000,000 褒美×5] ---- ---- ---- 【昔話 】 竜の皮 10個 絹の生地 10個 ???? 10個 報告先→七仙の街 ケロリン [EXP1,000,000 褒美×5] ---- ---- ---- 【正体 】 神秘の森 ニンジャ 3体 報告先→七仙の街 ケロリン [EXP1,000,000 褒美×5] ---- ---- ---- 【ラクブンの生い立ち 】 キャラバンナイト 60体 報告先→星空の都 ラクブン [EXP1,000,000 褒美×5] ---- ---- ---- 【叶わぬ恋 】 水の結晶 2個 金の結晶 5個 土の結晶 5個 木の結晶 3個 報告先→七仙の街 ケロリン [EXP1,000,000 褒美×5] ---- ---- ---- 【つかの間の霞 】 足軽 1体 デス 1体 報告先→七仙の街 ケロリン [EXP1,000,000 褒美×5] ---- ---- ---- 【しかけられた陰謀 】 グリードオーガ 20体 報告先→七仙の街 ケロリン [EXP1,000,000 褒美×5] ---- ---- ---- 【ナナ姫の行方 】 姫の玉飾り(海賊王) 1個 報告先→七仙の街 ケロリン [EXP1,000,000 褒美×5] ---- ---- ---- 【全ての原因 】 馬族の隊長) 1体 報告先→七仙の街 ケロリン [EXP1,000,000 褒美×5] ===== ===== ===== ■氷火島の伝説
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※某ゲームのパロディです。 ゆっくり。人間の生首にも似た、言葉をしゃべり動き回る不思議な饅頭。 世界中にゆっくりが現れだして数年、人々が彼女らに見せた反応は様々なものだった。 無邪気に虐待をしたり、可愛がったりという人間ばかりとはいかない。 生理的に受け付けない、宗教上の理由から生物として認められないなど、 この奇妙な食べ物の存在を受け入れられない人々は、当然のことながら世界中に少なからずいた。 そして中には、ゆっくりの存在自体を蔑視、或いは『人類の敵だ』などと危険視し、 ゆっくりは絶滅させるべきだと主張するような過激な集団もあった。 北欧の或る地方、人里離れたゆっくりの集落。そんなカルトの一団の影が、ゆっくりと忍び寄っていた。 「それじゃあね、まりさ!」 「れいむ、ごちそうさま!またこんどゆっくりたべさせてね!!」 ここは木の根元に掘られたゆっくり一家の巣。 住んでいるのはれいむ・まりさ夫婦と、その子供達だ。 母親であるれいむとまりさ、そして長女子れいむが一匹に、赤ちゃんれいむとまりさが二匹ずつの計七匹家族である。 今夜は長女れいむが友達のまりさを招き、家族を伴って夕食会を開いていた。 お客さんと一緒に食べるごはんは、いつもとはまた一味違った美味しさがあった。 まりさの言う冗談はとても面白く、食べ方も誰とも違って豪快で、 明るく笑顔の絶えない、ゆっくりした食卓を囲むことが出来た。 赤ちゃん達はまりさのどこか粗野な雰囲気にかっこよさを感じ、すっかり懐いていた。 「あしたもゆっくりあそぼうね!」 「ゆゆっ!あしたはきれいなかいがらをさがしにいこうね!」 「「「「まりしゃおねーちゃん、またあしょびにきちぇね!!」」」」 暗くなった森の中を駆けていくまりさの背中を見送るれいむ。 このあたりには補食種もおらず、多少暗くなっても巣の外を出歩くことが出来た。 さて、晩御飯を食べ終わったらそろそろお休みの時間。 一日のゆっくりを締め括る、最高にゆっくりしたひとときである。 「もうよるもおそいから、みんなですーやすーやしようね!」 「おふとんをしこうね!」 「ちびちゃんたちのぶんはおねえちゃんがしいてあげてね!」 親達の号令で、子供達は一斉に寝る準備に入る。 と言っても赤ちゃん達は、お姉ちゃんれいむが寝藁を床に敷いてくれるのをゆっくり待っているだけである。 この日もいつものように、子れいむが赤ちゃん達の寝藁を部屋の隅から引っ張り出そうとしていた。 すると普段とは違い、ゆっくりしているはずの赤ちゃん達から声が上がった。 「ゆっ、まっちぇねおねーちゃん!」 「まりしゃたち、もうじぶんでおふちょんしけゆよ!」 「おひるにれんしゅうちたんだよ!!」 「ゆゆゆ!ほんとう!?」 これには子れいむもびっくりである。 少し前まで、柔らかい葉っぱさんすらも一人では食べられなかったようなおちびちゃん達が、 自分達で寝床の面倒を見れるようになっていたなんて! 赤ちゃんの成長は、何と速いのだろう。 「ゆゆっ、おちびちゃんたちすごいよ!!」 「ゆっくりおふとんをしいてみてね!!」 両親も我が子の成長ぶりを見ようと大興奮で駆け寄ってくる。 赤ちゃん達は乱雑に集積されている藁束から、端っこの数本を口にくわえて引っ張り出した。 「ゆっ・・・ゆっくちぃ!」 「ゆんしょ!ゆんしょ!」 がんばって引っ張り続けるが、絡み合った藁は赤ちゃんの小さな力ではなかなか引き出せない。 ようやく一匹の赤まりさが数本の藁をずるずると引きずり出し、寝室の真ん中へと運んでいく。 「ゆっふひ!ゆっふひ!」 寝藁を口にくわえながら掛け声をかける赤まりさ。 たった数本の藁であるが、小さな身体にとってはかなりの重さなのだろう。 一生懸命なその姿は、赤ちゃんの小ささ、儚さを感じさせ、可愛らしさをより際立たせていた。 眺めていた両親からも、自然と笑みがこぼれだす。 「ゆふふふ!あかちゃん、がんばってね!」 「ふふふ、もうちょっとでおふとんがしけるよ!」 「ゆ?おかーしゃん、どうちてわらってゆの?」 「ゆっ!それはまりさがとってもかわいいからだよ♪」 「ゆゆっ!まりしゃきゃわいい?ゆふーん!」 赤まりさは身体を伸ばして恥ずかしそうに笑い、両親に媚を売ってみせる。 そんなことをしている間に他の姉妹達はどんどんおふとんを敷いていき、それに気付いたまりさは慌てて作業に戻る。 その様子を見て、またも両親からは愛玩の笑みがこぼれるのだった。 一家の姿を眺め、子れいむも思わず笑いを浮かべる。 れいむは、長ぱちゅりーが言っていた「笑う門にはゆっくり来たる」という言葉が大好きだった。 ゆっくりすると笑顔になる。笑顔になるとますますゆっくり出来る。 きっと自分達の毎日は、それを繰り返してゆっくりと過ぎていくのだろうと思う。 未来に広がり続けるゆっくりという希望を、れいむは全く疑おうともしなかった。 おふとんを敷き終わり、「ゆっくりおやすみなさい!」と家族全員で宣言すると、一斉に睡眠に入る。 家族みんなの幸せそうな寝顔を見回して「ゆふふ」と微笑んだれいむは、自らもゆっくり目を閉じた。 れいむは夢を見る。大好きなまりさや家族達、そして群れのゆっくりみんなが笑って暮らす夢だ。 「おきてね!ゆっくりしないでおきてね!!」 れいむの幸せな夢は、親れいむの悲鳴にも似た呼び声によって無理矢理中断された。 「れいむはたのしいゆめをみてたんだよ!」とぷんぷん怒ろうともしたが、 母親のゆっくりしていないただならぬ様子に、事態の把握に努めることが先だと悟った。 「おかーさん、どうしたの?」 「「「「まだねみゅいよー・・・」」」」 外からは赤い光が差し込んでいる。朝焼けの光だろうか、とれいむは思った。 「わるいにんげんたちがせめてきたんだよ!ゆっくりしないではやくにげてね!!」 「ゆ・・・?ゆゆゆゆ・・・・!?」 れいむは何を言われているのか解らなかった。 自分達はずっと平和に暮らして来た。人里離れたこの地で生まれ育ったれいむは、人間を見たことがない。 その人間が外敵として、暴力を振るってくる……その全く未知の恐怖を、すぐには想像出来なかったのだ。 しかし親達は人間の脅威を知っているのだろう、その慌て様はれいむが生まれて初めて見るものだった。 「ゆ?にんげんしゃんたちがきちゃの?」 「まりしゃたちどうなっちゃうの?」 「みつかったらころされちゃうよ!!ゆっくりにげてね!!」 「「「「ゆゆゆゆゆ!?」」」」 赤ちゃん達はれいむ以上に困惑している。まだ生まれて間もなく、家族の愛しか知らない赤ちゃん達は、 暴力というものに対する知識や想像力を全く持ち合わせていなかった。 怖いことが起こっているということは何となく理解出来ても、それ以上の認識は持てなかったのだ。 「むぎゅうううううーーーーーー!!!」 その時、絹を引き裂くような悲鳴が巣の中に飛び込んでくる。 親れいむと子供達は、みな一様に身体をビクリと震わせた。 「い、いまのはぱちゅりーのこえだよ!!」 「おかーしゃん、ぱちゅりーおねえちゃんどうしちゃの!?」 「ゆっくちできない・・・こわいよぉぉ・・・・・」 「ぱちゅりーはにんげんにつかまっちゃったんだよ!みんなもにげないとつかまっちゃうよ!!」 知人の死というリアルな恐怖に晒され、現実を認識し始めた赤ちゃん達の目から涙が溢れ出す。 れいむも例外ではない。ぱちゅりーとは仲良しで、まだ教えてもらいたいことが沢山あったのに。 気付いてみれば、外からはゆっくりの悲鳴や何かを叩くような音が絶え間なく聞こえ続けていた。 「ゆっ・・・ゆぇ・・・・・」 「ゆわあぁぁぁん、やぢゃやぢゃやぢゃ!!れいみゅいたいのやぢゃよぉぉぉぉ!!」 「おかーしゃん、にゃんとかしちぇね!!まりしゃたちをゆっくちたしゅけてね!!」 恐慌状態に陥った赤ちゃん達は、巣の中を暴れるように跳ね回り、悲鳴を上げて助けを求めた。 れいむはお姉さんとしてそれを抑えなければならないと思ったが、一緒になって泣き叫びたい気持ちでいっぱいだった。 すると、親れいむが子供達をキッと睨み付ける。 「しずかにしてねっっ!!」 「「「「ゆっ!!」」」」 いつも優しいお母さんが、初めて見せる鬼の形相。 赤ちゃん達はあまりの恐怖にすくみ上がり、お母さんの方を向いて静かになった。 「うるさくしてるとにんげんにみつかっちゃうよ!!みんなころされちゃってもいいの!?」 「や、やぢゃよ・・・」 「だったらおかあさんのいうことをきいてね!!」 親れいむはこれからすべきことについて、子供達に説明する。 木の根元に掘られたこの巣には、木の真下をくぐって反対側に非常口が作られている。 一度も使われたことはなく、落ち葉に覆われているので見つかることは絶対に無い。 そこから出た先の森にはゆっくりは住んでいないので、人間の襲撃の手が回ることもないだろう。 真っ直ぐ行って三本目の木の近くに、親れいむが昔親まりさと一緒にかくれんぼをした洞穴がある。 そこに潜んで、人間達が去るまでやり過ごして欲しい、と。 特に子れいむには、妹達を守ってあげてほしいとよく言って聞かせた。 「ゆ、ゆっくりわかったよ!それじゃあおかあさんもいこうね!!」 「ゆっ・・・だめだよ!おかあさんはおうちにのこるよ!!」 「ど、どうして!?にんげんさんにつかまっちゃうよおおおぉぉぉ!!」 「ゆっくりのおうちにゆっくりがいなかったらあやしまれるよ!! おかあさんたちがにんげんたちをくいとめておくから、ちびちゃんたちはゆっくりにげてね!! まりさもいりぐちでがんばってくれてるよ!!」 「いやだよ!!いやだよ!!おかあさんがいないとゆっくりできないよぉぉぉぉぉ!!」 「おかあさんのいうことをゆっくりしないできいてねっ!!」 どん、と親れいむから体当たりを受けてしまう子れいむ。生まれて初めて味わう親からの体罰だった。 そしてそれは、自分達のためにお母さんがどれだけ必死になってくれているのかということを、そのまま子れいむに伝えた。 痛みと悲しみから目に涙を滲ませながら、子れいむは親を置いて逃げ出す決心を固める。 「お、おかあさん・・・ゆっくりしていってね!!」 「ゆっくりしていってね、れいむ・・・おかあさんたちになにがあっても、 れいむだけはぜったいにいきのびてね!!ちびちゃんたちをまもってあげてね!!」 互いに泣き顔を伏せ、背を向け合う。 れいむはおろおろしている赤ちゃん達を半分は頭に載せ、半分は口に含み、巣の奥へと駆け出す。 後ろの方から、親まりさの「いだいよ!!やべでね!!!」という声が聞こえてきて、ぎゅっと目を瞑った。 (おかあさんたちごめんね!!れいむはおかあさんのぶんもゆっくりいきるよ!! いきてまりさといっしょにゆっくりするからね!!) 閉じられた非常口を体当たりで押し開け、言われた通りの場所へと、音を立てないように急ぐれいむ。 赤ちゃん達の半分はれいむの口の中だし、もう半分はれいむの髪の毛に口を使って必死にしがみついているので、 悲鳴を上げる余裕などなかった。赤ちゃん達を口に含んでいるれいむも静かにならざるを得ない。 途中何度か振り返って様子を見てみると、ゆっくり集落のあちこちが炎に包まれ、 まだ深夜の暗闇に包まれる森の中を赤々と照らしていた。 どれほどか昔、なぜか人間がこの森に作り捨てていった、小さな木の小屋。 群れをまとめてくれた長ぱちゅりーが住んでいたそれは、既に黒い炭を残すのみとなっていた。 れいむはそれを見て、(もうむれはおしまいなんだ)と嫌でも悟らざるを得なかった。 ゆっくりの返り餡を浴びた何人もの人間達が、炎に照らされて狂乱の宴を繰り広げている。 その手には各々、ゆっくりを屠殺するための何種もの武器が握られ、風を切って唸りを上げていた。 これが本物の恐怖。 れいむは、動かなくなりそうな足を引きずり……お母さんの言っていた洞穴へと辿り着いた。 「ゆっ!ここまでくればもうだいじょうぶだよ!!」 何せ、あのお母さんが用意してくれた隠れ場所。見つかるはずがない……そう信じたかった。 口の中の赤ちゃんを吐き出し、頭に載せていた赤ちゃんもゆっくり降ろしてやる。一同はようやく一息つくことが出来た。 おうちに比べれば遥かに狭い洞穴の暗闇で身を寄せ合いながら、赤ちゃん達はプルプルと震えている。 「ゆぅ・・・にんげんしゃんきょわいよぉ・・・」 「ぜんぜんゆっくちちてない・・・どうちてあんなことしゅるの・・・」 「ほんとだね・・・にんげんさんがあんなにこわいなんて・・・」 頭の上から人間の蛮行を目の当たりにした赤ちゃん達は意気阻喪し、へたりと潰れて弱弱しく泣いている。 ゆっくり達を潰して回る人間達の表情は、みな一様に笑顔だった。 れいむですら、食べ物である虫を殺す時に罪悪感を覚えることがある。 食べるのは生きてゆっくりする為に、生き物誰にでも必要なことだ。そう自分に言い聞かせ、尊い犠牲を摂取している。 しかしあの人間達は、食べるでもなく、ただゆっくりを殺戮する事に快感を覚えていた。 れいむには理解できぬ死生観……聞いていた人間というイメージとは違う、異形の怪物がそこにいるような気がした。 「ゆゆっ!ゆっくちできにゃいにんげんしゃんなんて、まりしゃおねーちゃんがやっちゅけてくれゆよ!」 「まりしゃおねーちゃんはちゅよいんだよ!!いぬしゃんにもかったことがありゅんだよ!!」 口の中にいた赤ちゃん達が、他のみんなをそう言って励ます。 まりさお姉ちゃんとは、れいむの親友のまりさのことだ。 お食事会の時、じゃれてきた赤ちゃん達にまりさは自らの武勇伝を語って聞かせていた。 野犬に襲われた時に、まりさが知恵と体力の限りを尽くして撃退した現場には、れいむも居合わせた。 その時のまりさの姿は、この世の何よりも強く頼もしく、かっこよく映ったものだ。 れいむはイメージを反芻し、自分を勇気付ける。あの強いまりさなら、人間達にも負けはしない……。 「ゆぎゃあああぁぁぁ!!やべでっ!やべでねえぇぇぇぇ!!ばりざにひどいごどじないでねぇぇぇ!!」 「ゆっ・・・このこえ!!」 その時森の方から聞こえて来たのは、紛れも無い大好きな親友、まりさの声だった。 「ゆぎっ、ぞれはやべで!!ほんとうにいだいがらやべでね!!ぞれはほんどうにだべなのぉぉあびびびびびび!!」 聞いたことも無いような声。 野犬に噛まれて餡子がはみ出した時も、「こんなのなんともないよ!」と言っていたまりさ。 そのイメージは、霞のようにれいむの中から消え去ろうとしていた。 「やだ、やだよぉ・・・もうごろじでね・・・ゆびっ!?な、なんでおがあじゃんがあぁぁぁぁぁ!!」 一度は絶望の底に追いやられたらしいまりさの声に、再び恐怖という生気が宿る。 何が起きているのかは全く解らない。窺い知ろうとも思えない。 ただただ、その場の「おそろしさ」だけが、まりさの悲鳴を通じてれいむ姉妹に届けられていた。 「まりざじにだぐないよ!!だずげで!!だずげでれいむぅぅぅぅぅ・・・ゆぎゃっ!」 それきり、何も聞こえなかった。 「ま、まりざっ・・・」 思わず声が漏れ、はっと口を噤むれいむ。 「あしたはきれいなかいがらをさがそうね!」と言うまりさのゆっくりした笑顔が脳裏に浮かぶ。 そのイメージすらもガラガラと消え去る。れいむの精神的支柱は崩壊したのだ。 もしも両親がいなくなっても、大好きなまりさと一緒なら生きていけると思っていた。 人間に殺されているかも知れない。だとしても人間達が去るまで、その可能性には触れまいと思っていた。 しかし、思わぬ形で最悪の現実を目の当たりにしてしまう。既にれいむの感情を縛るものは何もなかった。 もう生きていてもしょうがない。悲しい。怖い。沢山泣いて楽になってしまおう。 そう思い始めたれいむだったが、赤ちゃん達のすすり泣きに出鼻を挫かれてしまう。 「ゆぁ・・・まりしゃおねーちゃん・・・どぼちて・・・」 「うしょだよ・・・まりしゃおねーちゃんはちゅよいんだよ・・・にんげんしゃんにゃんかにまけにゃいよ・・・」 まりさを絶対のヒーロー視していた赤ちゃん達にとって、 憧れのお姉さんが惨めに助けを求めながら死んでいったのは大きなショックだった。 小さな身体が枯れ果ててしまいそうなほどの大粒の涙を流し、泣き声は次第に大きくなっていく。 「ゆっ・・・ゆええぇぇん・・・・」 「おかーしゃぁん・・・おねーちゃん・・・・まりしゃおねーちゃぁん・・・」 「どうちてれいみゅたちをいじめゆの・・・かわいいれいみゅをいじめちゃだめなにょにぃ・・・」 「ゆぇぇ・・・ゆっくちちたい・・・ゆっくちちたいよおぉぉぉむぐ!」 大声を出しそうになった赤ちゃんまりさの口を、咄嗟に舌を伸ばして塞ぐれいむ。外に漏れるような悲鳴は防ぐことが出来た。 口から抑えられた悲鳴がそのまま涙となったかのように、小さな瞳からはぼろぼろと砂糖水が溢れて来る。 そうだ。生まれて間もないこの子達は、きっと自分よりも大きな恐怖を味わっているはず。 この子達には、生きることの喜び、ゆっくりすることの素晴らしさを沢山知ってもらいたい。 まだ成体ですらないれいむにそこまで思わせたのは、 「ぜったいにいきのびてね!!」という親れいむの力強い言葉だった。 自分だけは恐怖に呑まれるわけにはいかない。赤ちゃん達の為にもしっかりしなければ。 そのまま舌を使ってよしよしと身体を揺すってやり、赤まりさの気を落ち着けてやろうとする。 「お、おねーちゃ・・・」 ようやく落ち着いて来た頃、後ろから赤れいむの声がかかる。 れいむは洞穴の奥を向いて赤まりさを抑えていたため、外の様子を見ることが出来なかった。 振り返ったれいむが目にしたものは、自分達を覗き込む、大きくつぶらな瞳。 人間だった。 何故? 「俺は人よりちょっと鼻が利くんだよねぇ。お前らの涙って甘ったるくて、そう……クセぇからさあ。 クセぇニオイが森の外れまで続いてるなぁ、泣いてるゆっくりがいるんだなぁ???って、すぐ解っちゃったんだよねぇ」 その手に巨大なナイフを弄びながら、男がれいむの疑問に答えた。 焼きゆっくりや潰れゆっくりの甘い匂いに満ちた森の中で、一筋の涙の匂いを人間が嗅ぎ分けるのは、 もはや嗅覚よりも遥かに強い、ゆっくりへの執念のようなものを感じざるを得なかった。 今れいむ達は男に洞穴から引きずり出され、森の中央にある広場に連れて来られていた。 周囲では幾人もの人間達が、ニヤニヤとれいむ達が震えるのを眺めていた。 他に動くものの姿は無い。そこかしこに散乱した原型を留めないゆっくりの死体が、群れの全滅を雄弁に語った。 「大きな声を上げなきゃ見つけないでいてくれるとでも思ったのかな? でもそんなクセーもん撒き散らしてたら片手落ちも良い所だよなぁ???」 「ゆっ!ま、まりしゃのなみだはくしゃくにゃいもん!!ぷくぅ!!」 一番多量の涙を流して脅えていた赤まりさが、勇敢にも人間に食って掛かる。 れいむはそれを見てギョッとしたが、赤まりさもれいむと同様、 憧れていたまりさの死を受け入れ、強くあらねばならないと思ったのかも知れない。 「“ほうしぇき”みたいななみだだっておかーしゃんがいっちぇくれたもん!! くしゃいのはおにーしゃんだよ!!ゆっくちあやまっちぇね!ぷんぷん!!」 「俺が臭い? だろうなぁ。お前らのお仲間の餡子をたっぷり浴びてるから、全く鼻が曲がりそうだぜぇ??」 「ゆぅぅぅぅぅ!!ちね!!ゆっくちできにゃいにんげんしゃんはゆっくちしにゃいでちねぇ!!」 「あん……?」 男が眉をひそめ、ナイフを握って赤まりさに近づく。赤まりさの頬から息が抜け、「ゆわぁぁぁ」と泣き出してしまう。 まずいと思ったれいむは間に飛び出し、ぷくぅぅぅと膨らんで男を威嚇する。 「ん? 何だコイツ」 「や、やめてね!!れいむのかわいいいもうとにひどいことしないでね!! どうしてもやるなられいむにやってね!!れいむはぜんぜんこわくないからね!!」 チョンチョンと男の爪先に突かれ、その度に底知れぬ恐怖を受けながらも、れいむは必死に赤ちゃん達を守った。 赤ちゃん達はれいむの膨らんだ身体の陰に隠れてゆぅゆぅ泣いている。 「そっかぁ……それならお望み通りにしてやるよッ!」 「ゆっ!!」 男がナイフを振り上げたのを見て、れいむは目を瞑る。 何があっても最期まで赤ちゃん達は守り抜く。そう思い痛みを覚悟した時。 「おやめなさい」 ゆっくりいじめ系1770 らふぃんぐゆっくり・後編に続く
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南海の帝、北海の帝、七孔穿つは人の有為とか―― 雷のベル・ウィル・リング 第一幕 桑原雷 自分の名前が嫌いだ。 あずまという響きが厭だし、何より「雷」という字面が嫌いだ。 何故「雷」なのだ。意味が判らない。 名前とは親から子への願いであり、祈りではないのか。意味があって付けるものではないのか。それが雷とはどういうことだ。 雷鳴のように激しい人になれということなのか。 雷光のように刹那的に生きろということなのか。 そう、考えたこともあった。 自分なりに考えて、その後父に訊ねて返ってきた答えはこうだった。 ――うちは姓が桑原だろ。くわばらと云えば雷が鳴っている時に唱える言葉だ。だからそれに因んで――。 つまるところ。 意味など無かったのだ。 願いも祈りも無かった。 自分の持っていた名前の概念というのがそもそも妙に古めかしく、現代人の名前など所詮そんなものだと云われれば確かにそうだろうとも思うのだが、それでも何らかの意味はあってほしかった。 意味。 自分の意味。 両親は自分をどう思っているのだろうか。 ――どうも、思ってないんだろうな。 血の繋がった娘だとか扶養するべき対象だとか、そう云う風には思っているだろう。 だがそれらは雷の属性でしかない。雷そのものではないのだ。 例えば雷が突如別人格になり代わったとしても、彼らのDNAを受け継いだ娘に違いなければどうとも思われまい。自分たちと関わりのある属性さえ異なっていなければ、彼らにはなんの問題もないのだろうと思う。 つまり彼らの娘は雷でなくともよいのだ。 子を疎ましいと思わない親はいないだろう。共に暮らしていれば腹が立つこともあるだろうし、云うことを聞かなければ手も上げたくなるのかもしれない。しかしそうしたことがあっても尚家族が成り立つのは、決して扶養の義務や血縁だけに因ることではないのだと雷は思う。 義務という無機質な制約では、人々を家族という関係に縛りつけることは出来ない。人々を家族という枠の中に入れることは出来ても、人々の間に「家族としての関係」を拵えることは出来ない。 血縁とは先天的要素であり、そもそもは血縁集団こそを家族と呼ぶのだろう。ならば血縁などは義務を以て嵌め込むべき枠組みだ。血縁だから扶養の義務が生じる。しかし、だからこそこれもまた――家族としての関係を拵えるものではない。血が繋がらない家族と云うのもあるのだ。血縁とは、寧ろ家族という関係を説明するために後から付け足すような――そう、ただの意義付けに過ぎないものなのだろう。 では――家族としての関係を拵えるものとは何だろうか。 家族を名前や枠組みでなく、その関係性からして決定づけるもの。 義務ではない。血縁でもない。 もしや愛とか云うものなのだろうか。 ――そもそも愛って何よ――。 そう心の中で呟いて、直後に雷は笑い飛ばした。 我ながら馬鹿馬鹿しいと思った。 また随分と陳腐なところに行き着いたものだと思った。 今雷が考えたいのは、そんな低俗なのか高尚なのかすらも曖昧なことではないのだ。 しかし――雷が答えを見つけようとしている問題について考える場合、この陳腐で曖昧な概念は、決して無視出来るものではないのかもしれない。そうも思った。 愛。 愛がある家族。互いに愛し合っている家族。――想像出来る。 愛が無い家族。互いに愛し合っていない家族。――こちらも想像出来る。 愛が無い家族は、家族としての関係性も無いのだろうか。血縁や義務によってのみ結び付けられた家族。愛が無ければ「家族としての関係性」は成り立たないのだろうか。 ――いや。 そんなことは無いように思う。 夫を心底煙たがっている妻も、いざ夫が亡くなったとなれば、何処か寂しく思うものなのだろう。親を心底煩わしく思う子も、いざ親がいなくなってみると心細くなるものなのだろう。それは家族としての関係があるからこそ思うものである。 否。それまでは憎んですらいた人でも、失くした途端に哀しくなったりもするらしい。哀しくなるのは、つまり結局は愛していたから――ということなのだろうか。 ――憎しみは愛の裏返しだとか。 ――いやいや憎しみも愛に含まれるとか。 これらは何となく成程と思ってしまう論である。だがよくよく考えてみると、物凄く表面的なことなのではないかと思う。おまけにどちらも結局のところ意味は変わらない気もする。 愛しているからこそ憎く思う場合もある。共にそう云う事を云っているに過ぎない。 それは勿論そうだと思う。例えば恋愛における嫉妬とは、そうした感情の動きのことを云うのだろう。 だから取り敢えず間違ってはいない。間違ってはいないのだが。 しかし――これはあくまで「そういった場合もある」というだけのことに過ぎないのではないだろうか。憎しみと愛を結びつけることは、愛と云うもののイチ側面を説明しているに過ぎないのではないか。 終ぞ憎しみに転じない愛もあるのだろうに。 憎しみが必ずしも愛由来で発生するわけでもない。 つまり、愛と憎しみは確かに共存し得るものなのだが、しかし必ずしも共存しているとも限らない――と云うことだ。 あまりすっきりしない結論ではあるが、世の中と云うのは得てしてそうなのだろう。相反する二つの有力な説が立った場合、その中間こそが最も正しい――と云うケースは存外多いとも聞く。 憎んでいたからつまり愛もあったのだという――それは必ずしも正しいわけではない。 それに、愛が無いイコール憎み合っているというわけでもないのだ。 愛おしいとも憎いとも思わない家族。それでも失くすと哀しいのだろうか。寂しいのだろうか。 何故、そう思うのだろうか。 ――人間同士に限った話じゃあないや。 雷は、これを人間と物に置き換えてみることにした。 例えば履き慣れた靴。 もう随分長いこと履いているから足に良く馴染むし、特にお洒落をするでもない時には毎回履いている。でも特にお気に入りと云うわけでもない、そんな靴。 そんな靴に穴が開いて、もうどうにも履けなくなってしまったら――。 ――哀しいし、寂しいし――か。 たかが靴を愛しているわけがない。憎んでいるわけもない。 それでも失くせば哀しく思うし、寂しく思うものなのだ。 では何故そう思うのか。 多分それこそが答えなのだろう。 愛の無い家族。そこに家族としての関係を与えるもの。 履き慣れた靴を失った時の喪失感の理由。 それは――。 ――時間――だ。 履いた時間。一緒に過ごした時間。 共有した時間こそが喪失感の理由なのだ。 愛が無くとも家族としての関係がきちんと構築されている家族。愛の代わりに「家族としての関係性」を拵えているのは「時間の共有」に違いない。 家族ならば、この「時間」というのは「日常」という言葉にも置き換えられるだろう。 日常の共有こそが、愛の無い家族に「家族としての関係性」を与えているのだ。 そしてこれは、もしや愛のある家族においても云えることなのではないだろうか。 そもそも愛のある家族は、何故互いに愛し合っているのか。子供を愛おしく思うのは本能だとしても、家族の関係性は親から子だけではない。子から親。親同士。兄弟姉妹などの子同士。彼らは何故互いを愛おしく思うのか。 血縁はあっても無くても変わらない。血が繋がらなくとも愛し合っている家族はいる。そもそも夫婦に血の繋がりは無いではないか。 だから愛のある家族を包括的に家族たらしめる最も大きな要素もまた――日常の共有なのではないか。 親が子を愛おしく思うのは本能だが、それは子供がある程度成長した段階で失効する。野生動物などを見れば判る。親は子が独り立ちする頃になると、自ら突き放すものである。次の繁殖期が来た時に、新たな子を作るためである。だからこれは有性生殖の、子育てと云うシステムにおける必然のプロセスなのだ。特定の子に対する母性・父性本能は、時間の経過によって失われる。そしてきっと本来は人もそうなのだろう。 親にとって子供はいつまで経っても子供だと云うし、子供が更に子を成しても親子と云う関係が崩れるわけではない。これは即ち、親子という関係が本能のみによって成り立っているものではないと云う事を証明しているのではないか。独り立ちした子を尚子として扱う理由は、本能では説明できまい。 親子関係のスタート地点こそ本能なのだろうが、独り立ちした子を子として扱うところは既に日常の共有に因って生まれた関係性になっている。 だから、遍く家族に家族としての関係性を齎すのは日常の共有なのだ。 愛があろうが無かろうが、これは有効なのである。 漸く答えを得ることが出来た。 ――てことは、だ。 雷は、今度は自分について思いを巡らせる。自分の家族について。 父と母は普段、家にいない。 共働きである雷の両親は共に多忙であり、家にいないのが当たり前なのである。帰りが遅いとかではない。帰らない日が殆どなのだ。 だから雷は、家ではいつも独りだ。 昔は祖母がいてくれた。 雷は元々父方の祖父母と一緒に棲んでいて、祖父は雷が物心付く前に亡くなってしまった。だから祖母は不在が基本の父母に代わって、一人で雷を育ててくれた。両親は祖母に雷を任せられるからこそ、家を空けがちにしていたのかもしれない。 祖母は優しく――それでいて決して易しくはない人だった。 いつも穏やかに笑っている印象がある。よく面倒を見てくれるし、甘えれば必ず答えてくれる。しかし叱るときは、それは厳しく叱る人なのである。 かなり泣いた記憶がある。そして泣いても反省するまでは絶対に許してくれなかったのだ。――本当は反省していないのに反省したフリをしたら、殴られたものである。 ただの一度だけだったが。 愛ゆえの鉄拳とはいえ随分痛かった。 信頼していた人に殴られたのだからショックも大きかったのだが、だからこそ自分がどれだけ悪いことをしたのか、文字どおり痛感することも出来た。――思うに体罰とは、あらかじめ信頼関係が構築されていて初めて、それで漸く本当の意味で機能するものなのだろう。 優しくて、それでいて自分をしっかり導いてくれる。 雷はそんな祖母が大好きだった。 祖母が亡くなったのは一昨年のことだった。 祖母がいなくなったので両親は家にいるようになったのかと云えば――そうでは無かった。雷は十四歳で、身の回りのことはもう一人前に出来るようになっていたからである。 だから雷はあと三カ月で十七歳になるのだが、その短い人生の中で、両親と共に過ごした時間というのはとてつもなく短いのである。 ――だからさ。 扶養されていても。 血が繋がっていても。 仮令愛されていても。 日常の共有こそが家族の関係を作るのなら。 「アタシにとってあの人たちは、やっぱり家族じゃないんだよ」 棄て鉢にそう呟いて、小石を蹴り上げた。 さして飛びもしない小石は夜の闇に消え、数拍の後、微かな音と共に土手の斜面に着地した。 ゆらぐ水面に白光が煌めいた。 あれは月の光か。 それともこの銀しろがねの髪か。 此処は佐倉川の土手である。 雷はひと月以上前に、この場所を中心として起きた奇妙な事件に巻き込まれた――らしい。 らしいというのは、あくまで人に聞いた話だからである。 巻き込まれておいて自覚が無いというのは実に奇妙なことなのだが、事実そうなのだから仕方が無い。あれはそうした事件だった――のだそうだ。 七人もの人間が殺された、世に云う「高校生連続両断殺害事件」。何でも犯人は人外の生物で、自分はその生物に催眠術のようなもので操られていたのだとか。 現実感が無いこと甚だしい。 あの少年――たしかカモンと名乗ったか。 自分に負けず劣らずヘンテコな名前だという印象を受けた。どう云う字を書くのだろう。 カモンと名乗った少年は、何故か夜の佐倉川に集まった日向学園の生徒たち――勿論雷も含め――に対し、何故今自分がこんなところにいるのか、知りたい者だけに事情を話すと云った。 多分皆疑問に思っていたことだから、全員が彼に説明を求めた。 そこで彼が語ったことと云うのが、先ほどの奇妙な事件のことであった。――実際はかなり長々と話されたのだが、雷が覚えていたのはあんなところだ。 皆納得出来ていないようだった。 当たり前である。 説明した本人も端から納得を得られるとは思っていなかったようで、嘘だと思ったのなら忘れることです――と云ってその後すぐに夜の闇へ消えて行った。 納得出来なくとも仕方無いと思うのなら、何故わざわざ説明したのだろうか。意味が無いではないか。 意味が判らないことを意味無く語ったカモンとか云う少年は、そもそも何者だったのだろうか。 雷がカモンと出会うまでに何度か夜中に家を抜け出していたのは事実だし、それが原因で補導歴が豊かになったこともまた事実である。だから夜中に佐倉川界隈をうろついていたことまでは紛れもない事実なのだろう。 うろついていた理由を雷は自覚していないわけで、それでも何がしかの理由は必ずあるのだろうから、そこを明かしてもらえるのなら有難いことではある。しかし――あの説明は如何なものか。 まるで信憑性が無かった。 話に筋は通っていたのだが、登場する単語やら現象がいちいち現実離れしていたのである。 適当な嘘っぱちだろうかと思ったのだが、嘘ならもっと本当らしいことを騙るだろうとも思った。 ならば本当のことなのだろうか。 本当だとも思えない。 ――思えない、か。 思えないということは、思うことが不可能だと云うことである。 カモンの話が本当だと信じることが出来ないと云うことである。 単純に気持ちの問題の様な気もしてきた。 客観的に見て相手を疑う余地が無いにもかかわらず、それでも疑ってしまうのは、最早完全に個人の内面の問題なのだろう。 もっともカモンはその素性も目的も判らない、疑う余地のあり過ぎる人物なのだが。 だがカモンが嘘を云っていたと仮定しても、そちらの方だって疑う余地はある。さしたる証拠も無しに、ただ怪しいから嘘吐きであると断ずることだって無茶があるのだ。 何故カモンが嘘を吐いていると思うのか。 正体や目的が掴めないからだけではない。云っている内容が現実離れしているからだ。 では、何故現実離れしていると思うのか。 自分の常識の範疇に収まらない話だから現実離れしていると思うのだ。 常識の範疇。雷の常識。――それは果たして、世界の在り様を把握するに相応しいだけの広さと深さを持っているだろうか。 他の大多数の人間と同じように、雷は現実にあることの全てを知っている訳ではない。 宇宙の果てがどうなっているのか知らないし、そんなスケールの大きいことでなくとも、幽霊は本当にいるのかどうかという、極めて次元の低いことでさえはっきりとは判らない。 そんな卑小な常識から外れているということは、それだけで疑う余地にはなり得ないだろう。単に雷が知らないだけ、ということで済まされてしまう。 疑うなら寧ろ、科学的・論理学的な方面から「人を操って殺人に使う生物の存在」を検証すべきなのである。 しかし雷は科学の知識が豊富ではないし、論理学など産毛の先ほども知らない。 だから結局のところ、特に根拠もなく「何となく」怪しんでいるに過ぎないのだ。 そうと判ると何だか馬鹿らしく思えてきたので、考えるのは止めることにした。 雷は、誰もいない家へ帰るべく踵を返した。○ ただでさえさびれた千倉ちくらの駅は、夜になるとより一層さびれて見え、果たしてこの世の人は滅んでしまったのだろうかと云う荒唐無稽な疑念さえもごく自然に湧き上がってくる。 冬場の防寒のために設けられた待合所は大抵無人である。そのくせ半端に広いから、余計に人気の無い寂しさというか、空しさが強調される。 そもそも切符を切るはずの駅員からして窓口にいないことがある。 学園に最寄りの白水しらみず駅には何年か前に自動改札が取り入れられたが、ここは未だに人の手による改札なのである。 通勤通学の時間帯でも利用人口が少ないから、手動で充分間に合っているのだ。 いい加減に田舎であるこの土地に、あるべくしてある駅と云った感じだろうか。 そう納得はしてみるものの、一つ前の駅やもう二つほど先の駅には自動改札があるから、もういっそのことここにも付けてしまえばいいとも思わないこともない。 しかし自動改札のある駅は必要だからある訳で、つまりその駅は内倉よりも遥かに利用者が多く、人手では捌くのが大変だからと云うれっきとした理由がある。 そう――自動改札の有無などと云う、至極詰まらない事にもいちいち意味があるものなのだ。 自分の名前には無いけれども。 ――アタシは自動改札以下かよ。 意味の有無で存在や事象の貴賤が決まるとも思わないが、それでも何か負けたような気がするのであった。 人間の価値が名前の意味の有無などで決まってしまっては敵うまい。 勿論それは見かけがいいとか悪いとか。 勉学が出来るとか出来ないとか。 そういったことで決まってしまってもいけないと思う。――ただし現実にはそういったことで人間の価値が判断されてしまう場合も多々ある訳で、雷の友人にもそれらの偏見を受けて捻くれてしまった輩はいるのだが。 そもそも雷は「格差学園」とも呼ばれる日向ひゅうが学園の高等部に通っており、またその最下位クラスに在籍しているのだから、寧ろ身の回りはそういう輩ばかりだとも云える。 しかしそんな輩ばかりが集うクラスに居ながら、雷自身は勉強が不得手と云う訳ではない。どちらかというと出来る方である。 分野に拘わらず新たな知識を得ることは楽しいと思えるし、物事を筋道立てて考えることは苦手ではない。自分は勉強が好きな質なのだとさえ思うことがある。 だからそんな雷が下位クラスにいるのは、「仕方なく」ではなく「敢えて」なのである。 雷にとってはごくごく普通の人間よりも、多少なりともスレたり捻くれている、所謂不良やチンピラの方が付き合いやすい。中学の時も、自分の友人は皆、周りから白い目で見られるような者ばかりだった。 自分と同じように心に何らかの傷があったり、周囲に対し負い目を感じたりしている者達が集う空間。 そこは豪く居心地がよかった。 だから日向学園でもそういった輩ばかりが集うクラスに編入されるよう、編成試験の時に手を抜いた。 結果、雷は従来通りに居心地の良い空間を手に入れている――はずであった。 それが如何にも居心地が悪いことに気づいたのは、例の夜の後のことである。 如何にも居心地が悪い。 授業態度は不真面目を極め、時には授業を途中で抜け出して、近隣でも屈指の賑わいを見せる平野ひらのの駅前に繰り出す。 そのまま夜まで平野駅前で過ごしたり、友人の家に上がり込んで騒いだり。敢えて人の少ない千倉の駅舎でひたすらだべるようなこともあった。 煙草をふかし、酒を呑む。そして内容も無い話をして、笑う。 雷にとってそれは中学の時から変わらない日々であったはずなのに、最近はどうもしっくり来ないと云うか、かつてあったはずの楽しさや正体不明の安堵感のようなものは得られなかった。 寧ろ掴みどころのない不安に駆られるばかりであった。 その不安が焦燥感であることに気づいたのが、例の夜以降である。 一体何に焦っているのか判らないのだが、しかしそれは確実に、まるで常温を少し上回った程度の温い炎が体じゅうを隈なく舐め、徐々に焦がしていくように ――雷を追い詰めていった。 ――アタシは何に焦ってるんだ。 焦る謂れなど何も無い筈である。 雷は自分の将来に対して明確なビジョンを持っているわけではないのだが、それでも何故か将来の不安と云うのは湧いたことが無い。 ――否。 だから。――だろうか。 所詮根拠のない平穏など、根拠無く揺るがされて当然なのかもしれない。 立てつけの悪い家は、地震などなくても常に崩壊の危機に晒されているものである。 つまりこの焦燥感の正体は、無為な日々を送るばかりで将来を考えないことに対するもの――と云うことか。 それもどこか違うと思った。 いかにもこの時期の少年少女にありがちな悩みではあるし、だから雷もいずれそういった焦燥を覚える日が来るのだろう。否、今現在も抱いているのだろうが、それはそれである。 雷を体となく心となく焦がすこの温い炎の正体は、きっとそう云うものではない。限りなく似ているとは思うが、しかし絶対に異なるものである。 雷がその炎の正体に気づくのは――もう少し先のことである。 BACK LIST NEXT
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~進撃の白き翼~(R) 基本情報 名前 ~進撃の白き翼(しんげきのしろきつばさ)~ 真名 ウルスラグナ 種族 降魔 ジョブ ディフェンダー 初期カルマ 1 カルマ取得速度 NORMAL <タイプ> 聖戦機 タイプ 機甲 HP 600 ATK 180 DEF 230 ハイアーツ 有 カルマアビリティ カルマ1個 ヘビーボディA 攻撃力が上がる。また、全ての移動速度変化の効果を受けなくなる。 カルマ2個 ヘビースマッシュA 自身の攻撃力が上がる。さらにスマッシュアタックを当てた敵ユニットの移動速度を一定時間一定にする。 カルマ3個 白翼衝撃波 自身が攻撃した敵ユニットのバトルスタイルを一定時間ファイタースタイルに固定し、攻撃ウェイトを一定時間止める。 ハイアーツ 白き勝利の翼 範囲内にいるターゲット中の敵ユニット1体と、その周囲の敵ユニット全てにダメージを与える。さらに、一定時間移動をできなくする。 効果時間 ?秒 ステータス 魔神状態中 カルマ所持数 融合体数 HP ATK/DEF カルマ1個 0体 600 ???/??? 7体 900 ???/??? 魔神状態解除後 カルマ所持数 HP ATK/DEF カルマ1個 600 190/230 カルマ2個 600 210/230 カルマ3個 600 210/230 DATA・フレーバーテキスト +Ver3.5 Ver3.5 全長 数百メートル以上 重量 計測不能 出身地 異界の火星 司るもの 勝利 バトルモード 10タイプ 真名 ウルスラグナ イラストレーター danciao フレーバーテキスト 少女と仲間たちは、目を疑った。背から赤い雫を散らしながらドウッと倒れ込む女戦士、その後ろで冷たい微笑を湛え剣を握る――暗黒の騎士。「フォル…!」「貴様ぁ…何をやっておるかあああああ!!」北方軍神が魔獣の体を足場にして、一足飛びに暗黒騎士に迫る。暗黒騎士はその槍を、涼やかな微笑みを湛えたまま、わずか半歩下がるだけでかわして見せる。「でええええい!!」軍神は空かされた槍を振り向きざまに横に薙いで追撃を放つが、暗黒騎士はそれをこともなげに流麗な剣さばきでいなすと、瞬時に飛び退り、片手をひらひらとさせて笑った。「おぉ~ 怖いなぁ」「フォル! どういうつもりだ!!」征服王の問いに、眉根を寄せて首をかしげる暗黒騎士。「…フォル? あぁ~そうか…うん、なるほどなるほど… とにかく、助かったよ。危ないところだったけどね、概ね作戦通りだ」「作戦…?」「そう、作戦さ――しかし、これまたずいぶんと群れたもんだねぇ」額に手をかざし、周囲にいる少女の仲間たちを見回す暗黒騎士。その体に、不意に暗い影が堕ちる。「チ・ガ・ウ」暗黒騎士が振り返るや否や、いつの間にか背後に立っていた巨人が、思い切り巨大な両の手甲を合わせた鉄槌を落とす。しかし騎士は、またもやそれをひらりとかわす。「あぶないな~、アマゾネスってのはどうしてこう乱暴な奴らばかり集めたがるのかね」その時地の王が、何かを探らんとしているのだろうか、暗黒騎士の方に両の掌を向けながら言った。「…皆の者、カークスの言う通りだ。そやつ、フォルではないぞ…!」「何? 違うのか!?」「外見はフォルだが、“中身”が違う…いつのまにやら、魔力の相が全く違うものに入れ替わっておるわ」「ぬぅぅ…! 貴様は何者だあああ!!」「さぁ~ 誰だろうねぇ~」いきり立つ北方軍神を挑発するように剣をくるくると回しながら、暗黒騎士はさも可笑しそうに笑った。「……あなた…イドですね…」暗黒騎士の肩がピクリと揺れる。見ると、臥せっていた女戦士が、剣を頼りに、息荒く片膝をつきつつ起き上がり、暗黒騎士をねめつけていた。「…魔獣も、全部あなたが仕掛けたのですね――あなたはミミララが追っていたはず…あの子はどうしたのです?」「あらら~ バレちゃったか~」わざとらしく芝居がかった様子で頭を掻きながら“イド”は答えた。「彼女さ~ ほら、優しいだろ? やはり僕には手を下せなかったんだよ。いや~やっぱりぬるいよねぇ…だからさ、わかるだろう?」「…嘘をおっしゃい、あの子なら全身の骨を折って、あなたが気を失い身動きできなくなるぐらいまではやりますよ」女騎士のすかさずの返答に、暗黒騎士は空を仰ぎハハッと笑って舌を出した。「あ、またバレちゃう? そ~なんだ、正直だいぶやばかったよ。だからさ、逃げてきたんだ――とっておきの“通路”を使ってね」「……やはり…」暗黒騎士は立てた親指を自身に向け、ぐいっと胸を張った。「僕たちはもともとひとつ――“こいつ”がさ、自分の存在に疑問もったり、何かしら後ろ暗~い気持ちになってくれりゃあ良かったんだ。ほんの小さなことでいい…それさえあれば、僕は『鏡』を通ってこいつの“裏”に戻ってこれる。こうして、少しの間なら乗っ取ることだって出来るんだよ。いや~、上手くいってよかった…ていうかオルトロスさ、君何でもっと早く呼ばないんだ。予定通りミミララは引き離せたとはいえ、本当にぎりぎりだったんだぜ? “こいつ”がヘコんで、舞台が整ったら、君が紋章で僕を呼ぶ、そういう話だっただろう?」≪…うるさい……その子供は…オレが喰うんだ…お前には…やらない…≫「…イド、何を…企んでいるのです…?」苦しげに顔を歪める女戦士。「ハッ! ばぁさんには言ってもわからないよ。さ~て、“こいつ”が目覚める前に、うるさいみんなにはおとなしくなってもらうかな」暗黒騎士が胸に手を当てると、その奥側から紫色の光が漏れ出す。そして、その光に呼応するように、倒れているオルトロスの紋章が強い光を放つ。同時に、光を目にした少女を除く全員の体にズン、と重圧がかかる。「うぉっ!」「ジュゥ…シュルルルル…」「グガアアアア…!」「なんと…カンヘルまでも動けぬか…これは…我が地の力以上…」」その時、暗黒騎士のそばに、よろよろと近づく小さな影が――。「ママリリ、近づいてはならぬ!」征服王が叫ぶ。亜人の少女は、悲しそうな、困ったような、複雑な表情をうかべ、暗黒騎士に語り掛けた。「ママリリ…よくわからない… お前、フォルじゃないのか?」「ん~? あ~はいはい、そうだね、僕はフォルくんだよ~」「うぅ……」「悲しまないで…僕だって悲しいんだ…」暗黒騎士が、少女の頭に手を乗せ、耳元にそっと囁く。「…だってさ、ここでお友だちみ~んな死んじゃうんだから」少女は、キッと暗黒騎士を睨みつけると、ブーメランを大きく振るった。「ほっ、危な~い!」「うそつけ! お前フォルじゃない! お前とは友だちなれない、フォル返せ!!」少女はそのままジャガーのような俊敏さで跳ねまわり、さらに攻撃を仕掛ける。しかし、暗黒騎士はケラケラと笑いながらすべての攻撃をかわし、頬をはたいて少女を叩き落とす。「きゃんっ!」「「「ママリリ!!」」」仲間たちが色めき立つ。女戦士が動けぬ体を震わせ、気炎を上げる。「“あなたが”、その子を手にかけるのですか?」「“僕だから”だろう? そもそもさ――なんでこいつなんだ?」暗黒騎士――イドは、大仰に両手を広げ、まるで舞台の主役にでもなったかのように語り出す。「僕はさ、“本物”になりたいんだ。“使徒”なんてさ“契約”に失敗すりゃ終わり、いつか体が崩れちゃうんだぜ? 僕を使徒にしてくれたあの人は、『鍵』をご所望なんだ。けどさ…『鍵』は“こいつ”なんだってさ……なんで“こいつ”なんだ? 僕だっていいだろう? 僕が『鍵』だっていいはずじゃないか! だから僕は、“こいつ”の記憶を根こそぎ奪って“外に”出た――使徒なんて偽物じゃなくて、僕が本物の『鍵』になるんだ!」「あなたは…何を言って…」「…だからさ、ばぁさんにはわからないっていったよね?」さも楽しそうに演説をぶつ暗黒騎士は、ふと足元に重みを感じた。見ると、亜人の少女が這いずり、その足元にしがみついている。「フォル…返せ…」「きかんぼうなガキだね。こりゃあ体罰とかが必要なんじゃあないかな? …オルトロス、僕の『紋章』は僕の魂と共にここに持ってきた――わかるね?」≪…嫌だ…まだだ…あいつを喰うんだ…≫「わがまま言うなよ~ どの道、君もそのままじゃ動けないだろう? 時間がないんだ…“こいつ”が目覚める前に、“こいつの手”でその子を殺す――その絶望は“こいつ”を『鍵』に変え、“こいつ”の心を殺す――その時こそ、僕が…この、僕が――!」ケタケタと笑う暗黒騎士に、征服王と北方軍神が動けぬ体にあらん限りの力をこめつつ警戒をする。「ぐぅぅ…今度は何をする…つもりだ?」「ぬぅ…きっと…ろくなことではないのであろうな」暗黒騎士はおもむろに自分の服の胸倉をつかむと、思い切り引きちぎった。なんと、あらわになった胸元には、オルトロスと同じ文様が浮かび上がっており、それはいっそう眩い紫光を放つ。「みんな僕を影だと笑う、けれど、その影が“本物”になるんだ… イッツ・ショー・タイム! ほら、見てくれよ――これが僕の…影なのさあああ!!」イドの紋章の光がはじけるように広がり、暗黒騎士の体がその光に溶け込んでいく。やがて光は巨大なオルトロスをも包み込む。≪…あが…あがががが…がああああああ…!!≫苦鳴を漏らすオルトロス。その体表が紫色に光りながら肥大し、魔獣の巨体が、さらに倍以上に膨れあがっていく。「…これはなかなか…手強そうですね…」つぶやく女戦士。魔獣の膨張は落ち着き、巨大な二つの頭はゆっくりと周囲を睥睨すると、青黒い歯茎を向き出して高らかに笑った。≪あはははははは!≫――イドの声。魔獣はイドに乗っ取られたのだろうか。巨大な魔獣の双顎がぶぅっと膨らみ、轟轟と紫煙を湛える。≪ほ~ら逃げろ! 死んじゃうぞ~!!≫「ガアアアアアア!!!」突如、竜神が爪を掲げ、巨大魔獣に向かって駆けだす。「むぅ、カンヘル殿!? 縛が解けたのか! 動けるぞ! 走れ!」「いや、もう間に合わぬ! 皆こちらに集まるのだ!」北方軍神と地の王が叫ぶ。そして、竜神の爪が巨獣に届かんとした瞬間、その双口から辺り一帯を覆うほどの炎が吐き出される。「ぬうううううう! 地の王ぅぅぅ…アマイモンが命ずううう!!!!」 地の王がありったけの魔力で巨大な岩盤を持ち上げ盾にするも、岩盤はみるみるうちに溶け落ちていく。崩れる岩盤――蒸発により立ち昇る大噴流――そして静寂――。「ぬぅ…?」気づくと、地の王は崖の上にいた。「よぉ、アマイモン。大立ち回りだったな」「おぉ、アモンか! では…」「あぁ、悪魔のあんただけはオレ様の転送魔法陣で運べたがよ…」「では、皆は…」崖より見下ろす眼下は、一面火の海だった。しかし、そこに一か所だけ、輝く霧に包まれた一帯が見える。「ポロスってのが、不思議な酒もって飛び降りてったが、なんとか間に合ったみてぇだな」三つ首の悪魔の口が、それぞれにやりと口角をあげる。炎の海の一点、輝く霧の中では、気を失った女戦士を抱えた人馬が『神の酒』を掲げ、その神香で巨獣の炎をせき止めていた。「礼を言うぞ、ケンタウロスの青年よ」背中に大きくやけどを負った征服王が、荒い息で亜人の少女を抱えている。「ご無事で何よりです。しかし…」周囲を見回すと、息はあるものの、二人以外の仲間たちは皆一様に傷つき、倒れていた。「これは…万事休すですね…」「うぅ…」「おぉ! 娘! どこか痛むところはないか!?」気付いた少女が周りの惨状を見て、目に涙をためる。「あれきさんだ… どうしよう… みんなも… ばーちゃんも… フォルも……」「泣くな娘、顔をあげよ!」征服王は少女を降ろすと、しっかりと立たせ、その両肩を掴んだ。「ママリリよ、お前は我ら“友だち”の希望となるのであろう? 希望とは闇夜の灯台、光をみうしなえば、我らは何もない海を彷徨うことになる」「あれきさんだ…」「それにな、戦いとはあきらめが心によぎった者から負けていくものだ。勝利を捨てるな。勝利をあきらめるな。勝利に希望を持ち、勝利を信じる自分を信じるのだ!!」そう言うと、征服王は剣を手に立ち上がり、ゆっくりと地響きを立てて向かって来る巨獣を見据えた。「どれ娘よ、この征服王が勝利の仕方というもの見せてやろう」そして、背中越しに少女にニヤリと笑いかける。すぐそばまで迫ってきた巨獣の二つの頭が、ガチガチと牙を鳴らしながら一同を見下ろす。≪あぁ… まだ生きてた…しぶといなぁ… まだ何かするのかい?≫「フン… なめるなよ? 俺は征服王と呼ばれた常勝の覇王――そして俺は今、誰よりも、何よりも勝利を渇望している――ならば今しかあるまい」そう言うと征服王は、剣を高々と天空へ掲げ叫んだ。『今こそ、盟約を果たしてもらうぞ――来たれ! 勝利を約束する異次元よりの使者よ!!』釣られて巨獣も、大量の噴煙で真っ黒に染まった空を見上げる。しかし――≪…なんだよ …何もおきないじゃないか…≫その時、空が――ガラス細工のように割れた。『『『――認証完了』』』「…おいおいおい なんだありゃぁ…」崖の上で、空を見上げる三つ首の悪魔があんぐりと三つの口を開ける。「…我も初めて見る…間違いない、あれは――」二柱の悪魔の視線の先、裂けた天から現れたのは――巨体。雄々しく広げた白い翼――同じく白い神光を発する四本の巨脚――ただただ、果てしなく巨大な聖白の巨体。「――『降魔』である」「すごい…! あれ、あれきさんだの友だち??」「ふははは! そうだ! かつて彼の地で死にかけた時に出会ったのだ」「確かにすごいですね……次元の壁を破壊して進撃する巨大神魔……ん?」人馬は目を細めた。降臨する神魔の背に、小さな人影を見たのだ。腕を組み、目深にかぶった毛皮のマントを風に翻し、高らかに豪快な笑い声をあげる、その姿を。人馬は、肩を震わせ思わず数歩前に進み出た。「あぁ… そんな、あの人は……征服王よ、あなたの“勝利”は本物のようですね」「あぁ、そうであろうとも……どうかしたのか?」「…えぇ…」人馬は、その目に涙を浮かべて言った。「――英雄の帰還です」~『新・アマゾネスの冒険』 第13章 その4~ 考察 Ver3.5SSで復活した降魔の一人。 ディフェンダー降魔たちの中ではDEFが高めで、また攻撃的なアビリティも持ってるのでグッドスタッフ的な取り回しがしやすい。 何かと便利な効果を持つ使い魔たちの強いアビリティやアーツをかき集めたような性能をしている。 カルマ1ではヘビーボディAが発動。 敵ディフェンダーにスロウアタックを貰ってもものともせず攻め続け、また逃走時にもディフェンシブスタイルでDEFを上げた状態で逃げられるため生存力にもかなり貢献するアビリティ。 素の移動速度を上げることこそできないものの、ディフェンダーでこのアビリティが強いことは神族のCハリハラが証明している。 カルマ2でヘビースマッシュAが発動。ATKの数字としてはこの時点で完成する。 降魔のスロウ力はびっくり降魔対策で下げられてしまったが、聖帝のレンジアップとは別ベクトルで自力で補完できるアビリティ。 このユニットのアビリティで60コストのスロウ拘束力はある。 カルマ3ではディレイ効果とファイタースタイル固定化効果が発動。 カルマNormal降魔なので必ずしも戦闘時にここまでカルマが貯まるとは限らないのは難点だが、上にも書いたようにATKの数字はカルマ2で仕上がるので許容範囲か。 ファイタースタイル固定化効果は集団戦で刺さる敵はさほどいないが、相手が重要なストーンを大型ディフェンダーで防衛しているときにマジシャンに頼らず強引に剥がせるアビリティである。 廃滅の機神ほどではないが、味方マジシャンが全滅していてもギリギリの逆転を狙いにいけるのは大きい。 不死のSTマグノリアと魔種C茨木童子の合わせたようなアビリティ。 ハイアーツは短時間の移動禁止とダメージ付与。 神族のSTアグリアスや人獣のSRヨルムンガンドが持つ効果であるが、逃走する敵の完全な足止めになり集団戦でも相手の行動を1~2手機能停止させるわけで非常に強力。 おおよそ3秒ストップさせるが一応射程が長いので発動した後にスロウで捕まえる為に近づこうとすると結局ストップ効果時間が切れて逃げられてしまっては本末転倒。 その為自分の集団で使うより味方を含めた総力戦で力を発揮するが、一度きりである点には注意。 魅力的なアビリティ、高めのステータスと嬉しいづくしの降魔であるが、ディフェンダー降魔らはウィークと疑似クイックドライブの聖帝、タフさと疑似キュアオールのぬわ龍こと守護龍、ATKバフと無敵ハイアーツの月姫などとそれぞれが明確に役割を持っている。 またこれらのディフェンダー降魔らは○△構成になる魔種や海種、あるいは大型マジシャンワントップデッキへの適正が高いのもあり、あくまでグッドスタッフの進撃の翼は入れるデッキが中々悩ましい。 ○△種族の単色デッキよりも混色デッキの方が扱いやすいかもしれない。 なお余談だがこのユニットだけでは機甲軍の称号は取れない。 キャラクター説明 Re 2より復帰。ゾロアスター教にて崇拝される英雄神で、輝く四枚の翼を持つ男神。 崇拝した者に加護と絶対的な勝利を与え、悪しき者や嘘をつく者には天罰を与える正義の神。 沢山の化身を持つインド神話のとある主神と同じように、彼も「十の化身」と呼ばれる様々な能力を持った変身体を持ち、状況に合わせて変身するという。 LoVにおいては確かに四枚の翼を持っているが、その姿はなんと四本足の巨大メカ。 勝利を求める者の元へ緊急発進降臨し、敵対者を機械仕掛けの巨体と10種類の豊富なバトルモードによって文字通り殲滅するとの事。 実は過去に死の淵にあったアレキサンダーをその圧倒的な力で助けており( 過去作フレーバー参照 )、その際に契約。彼の呼びかけに応えていつでもそれはもうド派手に出撃降臨してくれるという。 降魔転醒時等に何やら形容し難い音を発しているが、実はSEではなく物凄く加工されたボイスだったりする。よーく聞くと「緊急出撃」や「任務終了」など喋っていることがわかる。 ~進撃の白き翼~のフレーバーテキストは【希望】ママリリの次の話であり、さらにヘラクレスのものへと続く。 +編集用コメント *編集が苦手な方はこちらへ情報提供お願いします ハイアーツはATK240相当で属性はなし、スパクリは未検証 -- 名無しさん (2017-02-27 15 47 54) 名前 コメント 余りにも当Wikiやゲームから逸脱した無関係な雑談や、誹謗中傷めいた暴言、ページに関係ないコメントはおやめ下さい。 wikiは不特定多数の人が利用する場です。プレイヤーの個人名や所属ギルドなどを書き込む行為は慎んで頂きますようお願いします。 個人的な日記として使用するのも控えて下さい。 +コメント *雑談や使用方法などの相談にご利用下さい 考察のぬわ龍って表記はどうなの? 普通に守護龍って書けば良いのに。 文面で察せるとはいえ初心者とかは誰?ってなるでしょ -- 名無しさん (2016-10-11 07 32 59) タワー制圧中の根元がハイアーツで吹っ飛んだので固定ダメージではないっぽい? -- 名無しさん (2016-10-11 14 49 01) こいつで機甲の称号とれるんかな。。。 -- 名無しさん (2016-10-19 11 54 12) 喋ってるのかwww 全然気づかんわこれは… -- 名無しさん (2016-11-03 17 39 23) ヘビィボディを生かせない構成だと罪人の劣化 -- 名無しさん (2016-11-07 03 39 36) 罪人の劣化ってそもそも仕事が違うんですが 使ってから口出そうね。 -- 名無しさん (2016-12-14 13 25 05) ↑ハイアーツは似てるけど、求められるものは違うよね。 でも、そんなことよりお前の口の悪さが気に入らない もう少し良く考えて書き込みましょうね -- 名無しさん (2016-12-14 17 51 03) これファイタースタイル固定させられるってことはフリッカーさせない 又はガーディアンで防ぎやすいってことですよね。スロウアタックが 移動速度固定なのと合わせて高コスアタッカーへのアンチ力高いって認識で大丈夫? 特に小太郎とかのスピードアップ持ち高コスに対して。 -- 名無しさん (2016-12-15 00 21 24) 固定ダメージ前書いてあったのに消されてるけど、固定ダメージじゃないなら検証した上で数値書いてから消しなよ -- 名無しさん (2017-01-19 14 40 48) 名前 コメント
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『パーフェクトバッジシステム』 34KB 実験 赤ゆ 加工場 現代 独自設定 ※独自設定垂れ流し 「ぼくのかんがえたさいきょーのばっじしすてむっ!」って感じの独自設定です ※先日スレでバッジに関する話題で盛り上がっていたのに触発されて書きました 「かいゆっくりにしてください! まりさはきんばっじのゆっくりだったんですうううう う!!」 冬も近づいたある街角。 そこで叫び続けるのは、不思議生首饅頭ナマモノ、ゆっくり。大きなとんがり帽子と金髪 が特徴のゆっくりまりさが、行き交う人々に救いを求め叫んでいた。 数年前からありふれるようになった光景。まりさが力尽きるか、あるいはゆっくり対策課 の人間が処理に訪れるまで続くであろう、悲惨で、しかし滑稽この上ない有様。 足を止める人間はいない。 このまりさ、自称するとおり、かつては金バッジの飼いゆっくりであったのかもしれない 。だが、今となっては意味はない。今や、そのことに価値を感じる人間は誰一人としてい ない。 まりさについているバッジ。かつて金色に輝いていたかもしれないそれは、黒く染まって いたからだ。 パーフェクトバッジシステム 「ゆっくりのバッジを作れ、ですって?」 ゆっくり加工所の研究棟。そのひとつ、お飾りを専門に研究する研究室のひとつ。私の職 場であるそこにやってきた企画課の男は、そんな奇妙な提案をしてきたのだ。 「ゆっくりのバッジについて、どの程度知っている?」 「まあ、一般的なことなら。ランクは金、銀、銅に分かれてて……最近はプラチナとかも ありましたっけ?」 企画課の男の確認の言葉に、私は半ば嘲笑しながら答えた。 ゆっくりのバッジ。金、銀、銅などといったようにランク分けされている。 銅は飼いゆっくりというだけで与えられる。人間の所有物であることを示すもので、犬や 猫につける首輪みたいなものだ。 銀はある程度の躾が施されたもの。人間の指示を正しく理解し、人間にとって迷惑な行為 をとらないことが最低限の条件だ。ペットとして一定以上の躾を受け、それを継続できる ゆっくりに与えられるもので、銅が首輪なら銀は称号と言えるだろう。 金はさらに優秀なゆっくりに与えられる。銀に必要な条件を満たすのはもちろん、ゆっく りとしては高い知能が要求される。ゆっくりは通常、数字を3までしか認識できないが、 金バッジのゆっくりは二桁程度は数えることができ、算数程度ならこなすことができる。 また、その知能を生かし、自分がゆっくりすることより人間をゆっくりさせることを優先 させるのも重要な条件だ。金は人間のパートナーとして認められた証で、ここまできてよ うやくゆっくりの命は犬ネコ程度の「生き物」として扱われるようになるのだ。 プラチナはそれ以上の称号。詳しくは知らないが、特別優秀なゆっくりや、優秀な希少種 などに与えられる特殊なものだと聞いている。 「でもバッジなんてあれでしょ? ゆっくりペット業界の作った、破綻したシステム」 金、銀、銅。これらのシステム自体は別に間違っていない。審査機関の活動も審査試験そ のものも、それなりに厳密で真っ当なものだ。 だが、問題はその対象がゆっくりであるということだ。 愚かで無謀で思慮に浅く、そのくせ欲望だけはやたらと強いゆっくり。その餡子脳ゆえに 、向上するには多大な努力が必要で、とてつもなく簡単に堕落する。 金バッジの高級ゆっくりが禁じられた子作りを、それも野良相手にやらかす事例はありふ れており、もう話の種にもならない。 飼い主が原因の場合もあるが、どんなに優秀であろうと、所詮ゆっくりはゆっくりなのだ 。 私に限らず、加工所に所属する人間は大抵バッジシステムを破綻していると馬鹿にしてい る。ゆっくりにペットとしての優劣をつけるなんて無意味だ。あいつらを正当に評価した いなら、食品としての品質の良し悪しで判断すべきなのだ。 企画課の人間も加工所で働いているのだから、そんなことをわかりきっているはずだ。 バッジもゆっくりのお飾りとの範疇で、私に話を振ってくるのはわからなくはない。だが 、加工所がわざわざバッジを作るなんて意味がわからない。 だが、企画課の男の提案はそんな私の常識を打ち破るものだった。 「で、そのバッジだが……生まれたときからゆっくりについていたらどうなると思う?」 「は? 生まれたときからって……」 「つまり、生まれたときからゆっくりのお飾りにバッジがついているわけだ。優秀なゆっ くりなら金、そこそこできのいいやつなら銀。普通のゆっくりは銅で、使い物にならない のは……そうだな、黒いバッジとか。それが、生まれたときからついてる。そして、ゆっ くりのペットとしての質の変化に伴ってバッジの色も変わるんだ。金バッジのゆっくりも 、野良と子作りした時点で銅バッジになる。逆に銅バッジのゆっくりでも、躾を受けて優 秀になればバッジの色も銀に変わる。どうだ、すごくないか? 作って欲しいのは、そん な『新バッジ』なんだよ!」 「それは……」 そんなことが実現したら、すごい。 ゆっくりのバッジシステムが破綻している理由は、ゆっくりが簡単に堕落するからだ。 バッジは通常、定期審査の義務がある。だが、劣化の激しいゆっくりのこと。正確なラン ク付けを行うなら、極端な話、毎日審査を行わなければならないだろう。それは現実的で はなく、定期審査はせいぜい半年に一回。人間に反抗的な態度を取ったり、あるいは野良 と子作りをしたゆっくりは即座に降格やバッジ剥奪もありうるが、それでは潜在的なゲス 化などはわからない。気づいたときには取り返しにつかないことになっていた、というの もよく聞く話だ。 ところが企画課の男の言う生まれたときからついていて、リアルタイムに変化する「新バ ッジ」ができれば解決する。ゆっくりの正確なランク付けがリアルタイムで確認できると 言うわけだ。 「できたら確かにすごいでしょうけど……そんなの、一回売りさばいたら終わりじゃない ですか。だいたい現行の審査機関が許しませんよ、絶対」 仮にそんなバッジができたとする。 ゆっくりにつけて、生まれた子供もバッジつき。それから生まれる子供は全てバッジつき になるわけだから、最初にある程度の数を売ればその先バッジはほとんど売れなくなるこ とになる。 また、審査機関の存在も問題だ。ゆっくりのバッジ審査は今や大きな市場になっている。 どの分野でもそうだが、資格とそれを支えるシステムが生み出す利益は莫大だ。それを崩 壊させるものなんて、業界の反発を受けるに決まっている。 ゆっくりを飼う人間にとってはメリットの大きいバッジだが、それを作る加工所からすれ ばリスクばかりで旨みが少なすぎる。研究室にこもりがちな私でも想像がつくことだ。 だが、企画課の男はそれも自信満々だ。 「大丈夫さ。審査機関はなくならない」 「なんでですか? だって審査の必要が……」 「審査の必要はある。というか、必要にする。バッジは定期的な品質チェックが要るって ことにすればいい。品質チェックの際、併せて現行の定期審査も行うよう義務付ける。バ ッジの品質チェックの特許をとっておけば加工所に利益が入るし、審査がある限り審査機 関にも金が入る。そりゃ、審査機関の利益は今よりは減るだろうが、新バッジシステムに 追従しないわけにはいかないだろうさ」 感嘆の息が漏れる。 確かに、それなら現実的だ。多くの飼い主たちはゆっくりの状況がリアルタイムでわかる 新バッジを望むだろうし、審査機関も生き残るためには新バッジを受け入れるしかない。 そして、ペットゆっくりが存在する限り、加工所は半永久的に特許料という利益を得るこ とができる。 企画課の言う男のまさにゆっくりペット業界にとって革命が起きるといってもいい。 私がそんな未来を夢想していると、 「じゃあそういうことで、研究の方、よろしく」 実に軽い調子で言い、企画課の男は立ち去ろうとした。 「ちょ、ちょっと待ってください! そんな簡単に言われてもっ……!」 「まあ、研究の一環としてやってくれよ。どうせ暇なんだろ?」 「暇って……」 確かに、ゆっくりそのものと比較してゆっくりのお飾りの加工はそれほど注目を集めてい ない。 ゆっくりは饅頭、食べ物だ。そのお飾りも例外なく、基本的には砂糖細工だ。だがゆっく りの構成要素としては珍しく水に強く丈夫で、そのため食感があまり良くない。お飾りを メインにしたヒット商品を出せないのが正直なところだ。 最近売れたのは「インスタントゆっくりおしるこ・まりさバージョン」。ゆっくりの中身 をお汁粉とし、具に成体ゆっくりの目玉の白玉、赤まりさのおぼうしを入れている。フリ ーズドライされたそれらをお湯で戻して食べるインスタント商品だ。おぼうしは食感が良 くなるように、ゆっくりの涙でふやかしてやわらかくした後、軽く火であぶってある。こ れはお汁粉の中で、ちょうどコーンポタージュのクルトンのようなアクセントになる。 もっとも、これがヒットしたのはそうしたお飾り加工の工夫によるものではない。お帽子 をお汁粉に浮かべ、その上に白玉をのっけて遊ぶ「水上まりさごっこ」がちょっと流行っ たからだったりする。 ゆっくりのお飾り研究は、加工所において閑職で、他の研究と比べて低く見られがちなの だ。 先ほどまで熱弁を振るっていたのも一転、企画課の男は投げやりな様子だった。 今更理解した。きっと今の話は飲み会とかで盛り上がって、翌日冷静になったけどダメも とでとりあえず持ってきた、という感じなんだろう。 お飾り研究は閑職。遊ばせておくより、なんでもいいから研究させていたほうがいいとい う判断かもしれない。いずれにしろ、馬鹿にしてる。。 「まあ、できるだろ。『だって、ゆっくりだから』」 だってゆっくりだから。 ゆっくりの研究で得られる結論は、どんなに不条理で理不尽でもその一言で済まされてし まうのだ。 正直むかっ腹が立ったが、それでも私はけっこうやる気になっていた。うまくいけば一気 にお飾り研究の地位を向上できる。実際、わりと暇だったと言うこともある。 そもそも、なにやったってかまわないのだ。 だって、ゆっくりだから。 ・ ・ ・ 新バッジの作成にあたり、まずはその素体となるバッジ――「素体バッジ」を作ることに した。 まずはゆっくりのお飾りをどろどろに溶かし、脱色する。要は溶けた砂糖の塊にするわけ だ。これを型に流し込み、冷やして固める。大きさはビーズ程度、形はこの段階では丸い 板状になっていればよく、正式な金バッジのような細工は施さない。これで「素体バッジ 」は完成だ。 今回のために飼育用の部屋の中には、濃縮オレンジジュースに満たされた三角フラスコに 挿された茎が整然と並んでいる。実の生る茎は五本、実の数は計30。実ゆっくりの種類 は、まずはゆっくりの基本種とも言えるれいむ種とまりさ種を選んだ。 これらの茎は加工所からまわしてもらった低級品だ。低級品と言ってもあくまで加工所の 基準、食品としてであり、中には性格の良いペット向けのゆっくりもいるだろう。まあ、 ゆっくりなんてどいつも大して変わらないものだから、問題ないだろう。 「素体バッジ」を軽く熱して表面を溶かし、これらの実ゆっくりすべてのお飾り付着させ る。 素体接着作業の翌日。さすが加工所製と言うべきか。予定通りきっちりと、実ゆっくり達 は生れ落ちた。 生れ落ちる赤ゆっくりたちの様子を、私はモニター越しに観察する。 「ゆっくちちていっちぇね!」 「ゆっくりしていってね!」 次々に生まれる赤ゆっくりを迎えるのは金バッジをつけた成体のゆっくりれいむだ。成体 と言うより老体と言った方が適切かもしれない。 加工所のある部署では、高級品をつくるために、金バッジのゆっくりに赤ゆっくりを生ま せて育てさせ、育ちきったところで一気に虐待するという手法を行っている。何一つゆっ くりできないことを経験せずのびのびと育ったゆっくりが突然、最上級の虐待を受けるこ とで高品質な甘みを生み出すと言うわけだ。 この金バッジのれいむは、そこで長期間子育てを行っていた。経年劣化により廃棄になっ たところ、折りよく研究用に入手したのだ。このれいむが今回の新バッジ作成の要となる 。 赤ゆっくり全てが生れ落ち、生まれてはじめての食事として茎を与え、ようやく落ち着い た頃。 成体れいむは、赤ゆっくりたちに語りかける。 「おちびちゃんたち! ゆっくりしていってね!」 「ゆっくちしちぇいっちぇね!」 成体れいむの呼びかけに元気に答える赤ゆっくりたち。刷り込みは問題なくうまくいった ようで、餡子の縁などかけらもないあの成体れいむを自分の親と思い込んでくれたようだ 。 そして、親れいむは台本通りに赤ゆっくりたちに語りかける。 「おちびちゃんたち! こっちをみてみてね!」 れいむの指し示した先には大きな鏡がある。赤ゆっくりたちは楽しそうにそちらに向かう 。 「これは『かがみさん』! かがみさんは、じぶんでじぶんをみれる、ゆっくりしたもの だんだよ!」 赤ゆっくりたちはもの珍しげに鏡に映る自分の姿を眺めている。きょろきょろしたり、の ーびのーびしてみたり。実ににぎやかで真にイラッとくる。 やはり教育をれいむにまかせて正解だ。私がいたら育成などうまくできないだろう。もち ろん、老練な加工所の子育てれいむとは言え、ゆっくりに全ての世話を任せるつもりはな い。通常の高級品育成時と同様に、定期的にブリーダーに指導してもらう約束は取り付け てある。 「みんな! おかーさんをみてね!」 「ゆ! おかーしゃんのおかじゃり、とっちぇもゆっくちしちぇるよ!」 「ゆううう! きらきらしゃん、きりぇーだよ!」 「いいにゃ! いいにゃ! きらきらしゃん、ゆっくちー!」 頭のリボンに輝く金バッジをきらりと見せ付ける親れいむ。ゆっくりは人工物の、きらき らすべすべしたものが大好きだ。野良や野生のゆっくりがおうちにそうしたガラクタをよ く溜め込む。 野良がバッジにあこがれるのはステータスばかりではない。ゆっくりできる綺麗なお飾り であるということも重要なのだ。 「これはおかあさんのばっじさんだよ! おちびちゃんたち! おちびちゃんたちにも、 ばっじさんはついてるよ!」 れいむに促され、鏡を覗き込む赤ゆっくりたち。すぐに自分達のお飾りについた「素体バ ッジ」に気づいたようだ。 どの赤ゆっくりも一瞬笑顔を見せ、しかしその顔はすぐ失望に沈む。 「ゆ、おかざりしゃん……」 「きらきらしゃんじゃないよ……どうちて……?」 「ゆえええん! ゆっくちできにゃいいいいいい!」 あまりにも飾り気のない「素体バッジ」に絶望し、泣き出す赤ゆっくりも出始めた。 だが、親れいむはゆっくりとした笑みを崩さない。 「おちびちゃんたち! しんぱいしなくていいよ! ばっじさんがきらきらしてないのは 、おちびちゃんたちがまだうまれたばかりだからだよ! おちびちゃんがいいこでげんき にそだてば、おかあさんみたいなとってもゆっくりしたばっじさんになるよ!」 「ゆううう!? そうにゃの!?」 「れーみゅ! れーみゅ! いいこになりゅ! きらきらしたばっじしゃんつけりゅ!」 「まりしゃも! ゆっくちおーきくなって、きれーなばっじしゃんをつけるのじぇ!」 よし、刷り込みはうまくいった。 新バッジの作成。その第一段階は、「お飾りとともにバッジを成長させること」だ。 通常、ゆっくりのお飾りは自身の成長に伴い大きくなる。これはゆっくりが常に甘みを帯 びた「ゆっくりオーラ」を放出しているためである。 あまり知られていないことだが、とある博士の研究によると、ゆっくりは振動によってコ ミュニケーションをとっているらしい。振動によってゆっくりが性行為するのは良く知ら れているが、通常のコミュニケーションでも人間にもわからないくらいにゆっくりの身体 は微弱に振動し、「ゆっくりオーラ」を放出している。ゆっくりが何か行動する際いちい ち口に出すのは、声を出す振動でこの「ゆっくりオーラ」の放出を高めるためらしい。ま た、まったく同じ発音で同種のゆっくりの名前を呼ぶとき混乱しないのは、実はこの「ゆ っくりオーラ」によるコミュニケーション能力のためらしい。 そしてゆっくりのお飾りは、「ゆっくりオーラ」の受信機であり送信機となっている。ゆ っくりがお飾りを失うと同族に排斥されるのは、「ゆっくりオーラ」の送受信機能が低下 し、コミュニケーション能力を減ずるからなのだ。 ゆっくりが常に放出し、吸収する甘みを帯びたオーラ。このオーラを糧に、ゆっくりのお かざりは成長する。甘みで成長するあたり、お飾りもまたゆっくりの身体の一部と言える のだ。 そして新バッジはまずこのお飾りの一部とならなくてはならない。そのためにお飾りを材 料にし、生まれる前に着け、生まれた後もこうして刷り込みを行ったのだ。 ゆっくりは思い込みのナマモノ。いかなる加工過程においても、こうした刷り込みは最重 要事項だ。 親れいむもよくやってくれている。もっとも、必死にもなるのも当然だろう。あの親れい むは本来廃棄品。研究に転用されなければミキサーにかけられ飼料と化していたのだ。研 究に不適格とみなされば廃棄すると言い含めてもいる。文字通り命がけで子育てに励んで くれることだろう。 「ゆっくりしていてね!」 「ゆっくちしちぇいっちぇね!」 親れいむの呼びかけに、赤ゆっくり達は元気に答える。 新バッジの刷り込みは成功。親子関係も良好。まずは第一段階はクリア、といったところ か。私はそんなゆっくりどもの和やかな様子を横目に、研究レポートを作成するのだった 。 ・ ・ ・ 「ゆゆ!? れーみゅのおかざりしゃん、ぴかぴかしゃん!」 「まりしゃも! まりしゃも! ぎんぎんなのじぇ!」 「れーみゅはなんだかゆっくちできにゃいいりょだよ……」 翌朝。鏡を見てゆっくり共が騒ぎ始めた。騒動の元はそのお飾りについた「素体バッジ」 の色だ。 赤ゆっくりによって金、銀、銅と色が変わっていたのだ。 「おちびちゃんたち! ゆっくりきいてね!」 親れいむの声に、赤ゆっくり達は騒ぐのをやめ注目する。親子関係は相変わらず良好なよ うだ。 「ばっじさんにはいろんないろがあるんだよ! きんいろのぴかぴかばっじさんはとって もゆっくりできるいろなんだよ!」 「ゆわーい! ゆっくちー!」 親れいむがモミアゲで指し示した金の「素体バッジ」をつけた赤ゆっくりは喜びに飛び上 がった。 金の「素体バッジ」をつけた他の赤ゆっくり達もうれしそうに踊っている。 「ぎんのぴかぴかばっじさんは、きんのつぎにゆっくりできるいろなんだよ!」 「ゆっくち!」 今度は銀の素体バッジをつけた赤ゆっくりが喜びに飛び上がる。銀の素体バッジ赤ゆっく りは金より数が多く、さらににぎやかだった。 とてもゆっくり、和やかな空気。だが、それはすぐに壊れた。 「どうのぴかぴかしてないばっじさんは……あんまりゆっくりできないいろなんだよ…… 」 「そんにゃああああ!」 親れいむの声に、大多数だった銅の「素体バッジ」をつけた赤ゆっくりは沈み込む。先ほ どの楽しげな空気から一転、まるでお葬式のような空気。 そんな空気の中、親れいむだけが力強い笑顔で、「台本通り」に声を上げた。 「おちびちゃんたち! しんぱいしなくていいよ! おかあさんとにんげんさんのいうこ とをちゃんときいていいこにしてれば、ばっじさんはぴかぴかになるよ!」 「ほ、ほんちょ……?」 「れーみゅたち、ゆっくちできりゅの……?」 「ゆっくちちたい……ゆっくちちたいよお……!」 「だいじょーぶだよ! ゆっくりいいこになれば、ゆっくりぴかぴかのきんばっじさんに なれるよ!」 赤ゆっくり達の弱気な声に揺るがない、あくまでも力強い親れいむの声。赤ゆっくり達の 憂鬱なたちまち気持ちは吹き飛んだ。 「れーみゅ! いいこになりゅよ! ばっじさんをぴかぴかさんにするよ!」 「まりしゃも! まりしゃも! とってもゆっくちしたゆっくちになっちぇ、ぴかぴかば っじさんをつけるのじぇ!」 「ゆううん! れーみゅ、もういいこなのにぃ……でも、がんばっちぇもっちょいいこに なりゅよ!」 赤ゆっくりたちは元気を取り戻し、良いゆっくりになるべく決意を固めてくれたようだ。 モニター越しでもその熱意のほどが伝わってくるかのようだ。 まったくもってゆっくりの単純な餡子脳は簡単に刷り込みができて助かる。これで赤ゆっ くりたちは金バッジを目指してがんばってくれることだろう。 さて。色の変わった素体バッジだが、これは今回の目的どおり、「新バッジ」としてゆっ くりに受け入れられ、その性格に応じて色を変えたのだろうか? もちろんそんなことはない。いくらゆっくりが思い込みのナマモノだからと言って、たっ た一晩で新バッジが出来上がるのなら苦労はない。 昨晩、赤ゆっくり達が眠ったのを見計らい、ランダムで色を塗っただけである。だから今 現在、金色の「素体バッジ」をつけているやつが優秀なわけでも、銅色の「素体バッジ」 をつけているやつが劣っているわけでもない。単に初期の刷り込みのために仕込んだだけ なのだ。 だからこれからが面倒だ。これから毎晩、その日のゆっくりの行動を観察し、悪い赤ゆっ くりの色はランクを下げ、良い行動をした赤ゆっくりの色はランクを上げるという作業を しなくてはならない。ランダムで塗るのが通用するのは最初だけ。これからきちんと行動 を反映しないと「新バッジ」は望む形に完成しない。 しかも塗りなおすのは一度脱色しなくてはならない。そうしないと、ゆっくりが自ら素体 バッジの色を変えてもわからないからだ。 着色作業は専門技術を持つ加工所の研究員が行う必要がある。だが、観察は別だ。 「そんなわけで、バイトのみなさん。しっかり観察よろしく」 バイトは基本的にゆっくりを愛でることのできる人間、という条件で集めている。この段 階において虐待要素はないため、そうでなくては勤まらないのだ。加工所のバイトで「愛 で」、という条件は難しいかと思ったが、意外と集まってくれた。楽しそうにモニタを眺 め、担当の赤ゆっくりの行動をチェックし、所定のチェックシートに記入してくれている 。赤ゆっくり達のお飾りには、昨夜バッジの着色をしたときに小型の電子タグが埋め込ん である。モニターには常に番号が表示されるようになっているから、人間でも問題なく個 体識別できるようになっている。 モニターの向こうでは親れいむがはりきって子供に教育を始めていた。さすが老練の高級 品生産用ゆっくり。和やかな空気を保ちつつ、それでいてきっちりと赤ゆっくり達を教育 している。見る人が見れば微笑ましい光景なのだろう。 バイト達は楽しそうに見ているが、加工所の研究員である私としては胸がムカムカする光 景だった。 モニターから目を背けると、別の作業を始めて早々に記憶から今の光景を締め出そうとし た。だが、親れいむのとてもゆっくりした笑みだけが、妙に印象に残った。 ・ ・ ・ 「素体バッジ」の装着。バッジの刷り込み。 それらを万全に行ったところで、すぐに定着するとは思っていなかった。 ゆっくりのお飾りを原料としているとはいえ、素体バッジはあくまで人の手による加工品 。初めからゆっくりの成長に合わせて大きくなることまで期待していたわけではない。途 中で素体バッジは打ち切り、定期的にバッジを交換する予定だった。そうして育ったゆっ くりを交配して世代を重ね、徐々に定着を狙う計画だった。 ところが、赤ゆっくり達が子ゆっくりになる頃。バッジの色が自然に変わるようになった 。それもこちらの意図した色にそまりやすくなり、そのサイズもまたお飾りの成長に合わ せて大きくなった。驚くべきことに、その変化の過程で形まで変わった。何の細工も施し ていなかった素体バッジが、親れいむの金バッジと同じように細かな彫刻までほどこされ つつあったのだ。 新バッジは早くもゆっくりの身体の一部になっていた。まるで初めからそうなることが決 まっていたかのような、奇妙な自然さで。 疑問は絶えなかったが、研究としてはうまくいくに越したことはない。研究は次の段階に 進めることとなった。 ・ ・ ・ 「ゆっくちできにゃああああああい!」 「ゆわーん! おかあしゃああああん! ゆっくちさせちぇえええええええ!」 ゆっくりたちの住む飼育部屋は透明な壁で三つに仕切られた。 まず、隅の区画。ここには銅バッジの子ゆっくり達がおさめられている。泣き叫ぶ声はこ の銅ゆっくり達のものだ。まだ赤ゆっくり言葉が抜けないことからも、こいつらができの 悪いゆっくりであり、素体バッジの変色が正常に行われていることがわかる。 細長い区画の端には餌場、反対側の端には寝床やといれなどの通常の生活空間となってい る。区画の中央にあるのは平べったいベルトコンベアだ。これが常に銅ゆっくりの通行を 阻む。 生活空間から餌場に向かうとき。ベルトコンベアは生活空間に向かって回転するから、子 ゆっくりたちは必死に走らなければならない。逆に餌場から生活空間に向かうときベルト コンベアは餌場に向かって回転するから、やはり子ゆっくり達は走らされる。 楽をしようとどちらかに居座ろうとすれば、係の人間によって容赦なく体罰をくわえられ る。体罰と言ってもハエたたきで軽く叩く程度。あくまで普通の躾の範疇だ。 これは加工所では一般的な手法だ。ゆっくりは苦しむことで甘みを増し、運動することで 身が引き締まり食感が良くなるのだ。 「ゆっくり……ゆっくり……」 「おかーさん……おかーさんとゆっくりしたいよぉ……」 情けない声を上げているのは中央の区画にいる銀バッジのゆっくり達だ。 こちらの区画も餌場や寝床の位置などは銅バッジのそれと大差ない。大きな違いはベルト コンベアがないことだ。特に不自由なくゆっくりできる空間。だが、銀バッジたちはゆっ くりしきれない。 銅バッジの区画にも銀バッジの区画にも、たった一匹の親れいむはいないのだ。 「おちびちゃんたち……」 「ゆうう! みんなでゆっくりしたいよ!」 最後の区画。銅バッジの区画の反対側には、金バッジの区画には金バッジの子ゆっくりと 、親れいむがいる。それを除けば銀バッジの区画とそう変わらない。 「おかーしゃん、こっちきちぇえええ!」 「しゅーりしゅーりしちゃいよおおお!」 情けない声を上げる銅バッジのゆっくりたち。しかし、区画ひとつ挟んで親ゆっくりとの 接触は阻まれている。 「おかーしゃん……すーりすり……」 「ゆうう……すーりすり! すーりすり!」 ゆっくりの接触コミュニケーション「すーりすり」を試みる銀バッジ子ゆっくり。しかし 、透明な壁を隔てて柔らかな感触は得られず、満足には程遠い。 「すーりすり……みんなでゆっくりしたいね」 「みんなきんばっじさんだったらいいのにね……そうしたらみんなでゆっくりできるのに ね……」 金バッジのゆっくり達は親と一緒のゆっくりできる空間だ。だが、金バッジを持つほどの 善良な個体である。今まで一緒だった姉妹と離れ離れになり、また自分達だけが親れいむ とゆっくりできる後ろめたさからか、どこかゆっくりできていない。 すべての区画には鏡が設置されている。いつでも自分のバッジの色が分かる。金バッジ以 外は、親と離れ離れになってしまう原因のバッジが、惨めに見えることだろう。 三区画、それぞれゆっくりできない空間。 そんななか、親れいむの声が響き渡った。 「ゆっくりしていってね!」 一瞬、そのあまりにゆっくりとした響きに全ての子ゆっくり達は返事も忘れて陶然となっ た。だがすぐに、本能に従い、なにより母親に呼びかけられたことがうれしくてたまらな くなり、喜びを声に出して爆発させた。 「ゆっくち! ゆっくちしちぇいっちぇね!」 「ゆっくりしていってね! ゆっくりしていってね!」 「ゆっくりーっ!」 離れていても、声は届く。近づけなくても、心はひとつ。親れいむの呼びかけに、子ゆっ くり達はみなそのことを知った。寂しい気持ちは消えはしなかったけれど、それでもみん な、ゆっくりできる――そんなことでも考えているのだろう。どいつも実にゆっくりとし た顔をしている。 親れいむは、そんなゆっくりした子供達に激励を送った。 「みんな! ゆっくりしてね! おかあさんとにんげんさんのいうことをきいて、いいこ にしてればみんなきんばっじさんになれるよ! そうしたらみんなでゆっくりできるよ! 」 「ゆっくりりかいしたよ!」 「れいむ、がんばるよ!」 「まりさもまけないよ!」 「ゆっくりー!」 こうして教育の第二段階は始まった。 バッジとはゆっくりに格付けすることであり、それはすなわち差別を生む。それを実感さ せるのだ。その上で、新バッジが正常に機能するかを検証するのだ。 この環境で適宜ブリーダーの監修に入ってもらい、ゆっくり達の育成は始まった。 実のところ、研究の目的はバッジの完成であり、別に金バッジゆっくりを増やすことでは ない。だが、目に分かる目標があった方がやりがいがあるというものだ。研究員にとって も、ゆっくりどもにとっても。 「ゆっくりがんばるよ! れいむ、いいこになるよ!」 親れいむの呼びかけに素直に応え、銅から銀にあがるゆっくりも現れ始めた。銀から金に あがる子ゆっくりもいる。つくづくゆっくりというのは思い込みのナマモノだ。 だが、どちらかと言えば逆のゆっくりの方が多かった。 「れいむわかったよ! きんばっじのれいむはとくべつなゆっくりなんだね! かわいく ってごめんね!」 突然何やら悟った顔をして、そんなことを叫んだ子れいむ。そのバッジは、驚いたことに 一瞬で金から銅へと変色した。 銅になったら即座に研究員によって区画移動させられた。 「はいはい、銅バッジは銅区画ね」 「どぼじでええええ!? おがあざああん! おがあざあああああん!」 「おちびちゃん……ゆっくりはんせいして、またきんばっじさんになってかえってきてね ……!」 また、銅バッジからさらに落ちるゆっくりもいた。 「くそじじいいいいい! おかーしゃんとゆっくちさせるのじぇ! ゆっくちさせちぇく れないと、ぎったぎたにしてやるのじぇええええええ!」 銅バッジということは頭も悪い。人間との力の差も理解できない、銅バッジにすらなれそ うもないその子まりさのバッジは……なんと黒に染まった。 これは想定外だった。まさか教えていない色に……それも、新バッジの話を持ってきたと き、企画課の男が思いつきで言っていた黒バッジになってしまうなんて。 協議の結果、その子まりさは処分することになった。 「黒バッジのゆっくりはゲスだ! ゲスは加工所行きだ!」 「かこうじょはいやあああああああ!」 ここはそもそも加工所の研究棟なわけだが、親れいむ以外のゆっくりには知らされていな い。 子ゆっくりどもは恐怖に震え上がった。 この区画分けによる教育は子ゆっくりが成体になるまで続けられた。 バッジの変色はおおむねこちらの期待通りに行われた。たまに変色しないことがあったが 、その場合は眠っている間に手作業で着色した。その頻度も徐々に減っていき、成体にな る頃にはこちらの望む機能を備えた新バッジは出来上がった。 最終確認として、試験的に銀以上のゆっくりに、その色に見合ったバッジ試験を受けさせ た。すると驚いたことに、実に九割のゆっくりが合格した。この結果には研究に関わった ブリーダー達も驚いていた。バッジ試験は何度か落ちてようやく合格、というのが常識ら しい。 とにかく、この世代のバッジは完成したと言って問題なさそうだった。 成体になったら次はいよいよすっきりーによる繁殖である。バッジつきの赤ゆっくりが生 まれれば、この「新バッジ」は本当に完成だ。今までの実験手順を10世代も繰り返せば 定着するのではないかと予想されている。まあ、これは甘く見積もっての話だ。定着には まだまだ時間がかかるだろう。 だが実のところ、私個人としてはここまでの成果で満足していた。ゆっくりのランクを正 確かつリアルタイムに量るバッジは完成した。少々手間はかかるが、研究で行った手順を 繰り返せば量産も可能だ。 それにここまでの成果だけで私の評価は大きく高まった。今では研究費用も以前の数倍得 られる。気持ち悪いくらい上手くいく研究だったが、これから先たとえ困難があろうと大 丈夫だと思えるだけの立場は築けていた。 もっとも、こういう時こそ危ないものだ。研究は常に慎重に、石橋を叩いて渡る気持ちで やらなくてはならない。立場が上がったということは責任も重くなったということだ。私 は一層気を引き締めて研究に臨んだ。 だから、驚いた。 「新バッジ」を装着した第一世代のゆっくり達。その子供達のいずれもが、「新バッジ」 を着けた状態で生まれてきたのだ。 ・ ・ ・ 「新バッジ」の生産技術は実にあっさりと固まった。量産すると、「新バッジ」は瞬く間 に世に広まった。 つけたゆっくりのランクを正確かつリアルタイムに把握できる。その便利さを望む大衆の 声に、反対を唱えるバッジ審査機関はまったく抵抗できなかった。 新バッジは飛ぶように売れ、加工所は初期において大きな利益を得た。また、あらかじめ とっておいた特許により、長期安定した収入も約束された。審査機関も流れに逆らえない と、柔軟に対応し、かつて企画課の男が意図したようにこの新バッジに対応するべく加工 所と協調の道を選んだ。 誰もがこの新バッジを受け入れた。 だが、この新バッジをなにより受け入れたのは人間ではなく、ゆっくりなのかもしれない 。 私は夢想する。気味の悪いくらいうまくいった研究。これは、ゆっくりという種がバッジ を望んだからではないだろうか。 愚かなゆっくりは、すぐに相手を自分より下に置きたがる。己の力もわきまえず人間を奴 隷呼ばわりしたり、お飾りを失った同族を排斥する。「かわいくってごめんね!」「まり さはむれでいちばんかりがうまいんだぜ!」など、簡単に頂点に立ちたがる。そうした欲 求が、自分のランクをはっきりさせたいという想いが、「新バッジ」を呼び込んだのでは ないか。そんな風に思えるのだ。 そんなことを考えてしまうくらい完璧なバッジのシステムができあがったのだ。 ・ ・ ・ 「ばりざを! ばりざをかいゆっくりにしてください! ばりざはぎんばっじだったんで ず! ごはんをちらかしません! おといれだっでちゃんどできまず! だがら! だが らぁ……!」 今日も街角でゆっくりの悲痛な声が聞こえる。そのほとんどが黒バッジで、たまに銅も見 かけるが、銀以上は見たことがない。 都市部のゆっくりのほとんどが「新バッジ」をつけている。捨てゆっくりが野良と交配し た結果だ。 現在、バッジは純粋にゆっくりのランクを示すものになっている。飼いゆっくりかどうか は、住所タグの有無で調べられる。以前はバッジを取られ捨てられたことが多かった。今 は住所タグをとって捨てられる。 もっとも、ゆっくりが捨てられること自体は減少しているという。ゆっくりのゲス化はバ ッジの微妙な色合いの変化でわかる。多くの飼い主は手遅れになる前にブリーダーに相談 するなどして最悪の事態を避けることができるようになったのだ。 また、飼いゆっくりが野良と付き合う、ということも少なくなった。「新バッジ」の色は ゆっくりでもわかる指標だ。自分のバッジの輝きを失うリスクを犯してまで黒バッジの野 良交流することなど、ゆっくりの餡子脳でも損なことだとわかるのだ。 それでもゆっくりは簡単に堕落する。そうした場合、問答無用で捨ててしまうマナーの悪 い飼い主もいるのだ。だから、野良にもバッジは広まった。 街中を歩く中、そんなゆっくり達を見かけていると、ふと、あの研究に使った親れいむの 笑顔が蘇った。 「さいごにいっぱいのおちびちゃんをそだてられて……れいむはしあわせーだったよ…… にんげんさんとゆっくりがなかよくできるおてつだいができて……れいむはとってもゆっ くりできたよ……」 「新バッジ」の完成とほとんど同時期に、親れいむの寿命が尽きた。だが、それは満足し た実にゆっくりとした最後だった。 「ゆっくりしていってね……」 れいむは「もっとゆっくりしたかった」と言わず、みんながゆっくりすることを願いなが ら「永遠にゆっくり」した。それはおそらく、ゆっくりにとって最高の最後と言えるだろ う。 確かにあの、本来廃棄品だったれいむのなしたことは大きい。バッジシステムは完璧なも のになった。人がゆっくりのランクを見誤ることは無く、ゆっくり同士も自分のランクを 理解できる。 私自身も地位も給料もぐんと上がった。 そう、あの研究は、正しかった。そのはずだ。 だが、なにかがひっかかる。 そんなとき、私の気を引く声が聞こえた。 「このこはうまれたときはぎんばっじだったんです!」 飼いゆっくりへの売込みを行うゆっくりの親子だ。片親らしい。薄汚れた親まりさの帽子 についたバッジの色は、やや黒っぽいが辛うじて銅に見える。野良にしては優良な個体と 言えるだろう。子供のときから躾ければ銀までいけたかもしれない。 そして、子まりさのバッジは黒味のない綺麗な銅だった。野良には珍しい。本当に最初は 銀だったのかもしれない。 目を向けると、うっかり親まりさと目が合ってしまった。親まりさの目が輝いた。 「にんげんざん! おちびぢゃんを、がいゆっぐじにじでぐだざい!」 やれやれ、面倒なことになった。無視してちょっと走るか、などと考えたとき、子まりさ のつぶやきが耳に届いた。 私は、子まりさのバッジが銀から銅に変わった理由を理解した。 そしてその理解は、私の中でひっかかったものを明確にした。 ・ ・ ・ 研究棟の一室、私専用の研究室。その中で一人、椅子に座る。正式に生産されるようにな った新バッジを手にもてあそびながら、ぼんやりと考える。 研究は気味が悪いほどうまくいった。 それは、ゆっくりという種がそれを望んだから。 自分をやたらと上に置きたがる、愚かなナマモノゆっくり。自分のランクをはっきりとさ せるゆっくりは、きっと「新バッジ」のようなものを望んでいたのだ。 「新バッジ」は驚くほど簡単に人間社会に広まった。 それは人間という存在がそれを望んだから。 より良いゆっくりを手に入れたい飼い主。堕落する金バッジゆっくりに悩まされていた審 査機関。利益を得たい加工所。みんなきっと、「新バッジ」のようなものを望んでいたの だ。 「新バッジ」の研究は、ゆっくりのペット業界に革命を起こした。だが、私のしたことと いうのは、実はたいしたことではなかったのかも知れない。ゆっくりと人間。二つの種の 欲求の一致。そこにただ、ちょっとしたきっかけを与えたに過ぎないのかもしれない。 ゆっくりの醜いエゴと人間の醜い欲。二つの醜いものの落とし子、「新バッジ」。 考えてみたらひどいものだ。 だが、金バッジのゆっくりは本当にゆっくりしている。「新バッジ」を本当に輝かせるこ とのできるゆっくりは、同じ重さの黄金以上の価値を持つという。その金バッジの輝きは 、本当に美しいと聞く。 おぞましく醜いものから生まれた金バッジが、純粋で美しいとは、なんて皮肉なことだろ う。 あの、街であったまりさの親子を思い出す。 「私はゆっくりにひどいことをしてしまった……」 甘い言葉だ。「新バッジ」の製作前に、もし加工所の同僚が同じ言葉を吐いていたら、私 はためらわずぶん殴っていただろう。 私はむしろぶん殴られたい気分だった。 その時だ。 その私の甘さに反応したかのように。バッジが変色を始めた。 「うわああああああ!」 私は悲鳴を上げバッジをゴミ箱に投げ捨てた。 どんな色か確かめようとは思わなかった。 金色だったら? ぞっとする。どんな虚飾にまみれた金なのか? 黒だったら? 吐き気がする。自分がゆっくり以下だなんて、考えたくもない。 本当はこんなバッジなど作ってはいけなかったのだ。 自分がどれほどの価値があるか。 誰もが知りたくて、しかし本当の意味では絶対に知りたくないこと。 人間はさまざまな場面でその価値を評価される。学生の頃は試験、社会に出てからは仕事 の成果や勤務態度の評価。それで価値が決まる。だが、逃げ道がある。「勉強が人間の価 値が計れるものか」「仕事ができる、できないで人の価値は決まらない」。そんな風に逃 げられる。人の価値なんて言葉の上だけで、本当に計測できてはいけないのだ。 だが、「新バッジ」は違う。そんな逃げ道を奪ってしまった。あのシステムは完璧だ。完 璧すぎた。 ゆっくりはもはやバッジの色でしか相手の価値を判断せず、人間もまたバッジの色でしか ゆっくりの価値を計れない 。 それで得たものは、明確な基準。 失ったものは……きっと数えきれない。 私は恐怖する。 あの親子のまりさ。かつて銀だったという銅のバッジをつけた子まりさはこうつぶやいた のだ。 ――おとーさんと、はなれたくないよ…… 子まりさは、きっと本当に生まれたときは銀バッジだったのだろう。その子まりさが、な ぜ銅バッジになったのか。どんな想いで、自分のバッジを「銅に変えてしまった」のか。 それは「新バッジ」では計れない、人として失ってはいけない大切なものだ。 「新バッジ」の完成によって失ったものとは、きっとそういうものなのだ。 今となっては、研究に使ったあの親れいむの笑顔が痛い。胸に、突き刺さる。 知りたくなかった。気づきたくなかった。こんな、こんな、こんなこと……! 私は胸の痛みを強引に押さえつける。そしてゆっくりの不条理に相対したときに唱える魔 法の呪文を口にする。 「……だって、ゆっくりだから」 いつもは不思議な納得感を与えてくれるその言葉は、しかし、今の私になにひとつ与えて くれなかった。 了 by触発あき ・過去作品 ふたば系ゆっくりいじめSS@ WIKI - 触発あきの作品集 http //www21.atwiki.jp/futabayukkuriss/pages/32.html 感想はこちらにいただけるとうれしいです 触発あき - ふたば系ゆっくりSS感想用掲示板 http //jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/13854/1278666597/l50
https://w.atwiki.jp/hutaba_ranking/pages/172.html
『パーフェクトバッジシステム』 34KB 実験 赤ゆ 加工場 現代 独自設定 ※独自設定垂れ流し 「ぼくのかんがえたさいきょーのばっじしすてむっ!」って感じの独自設定です ※先日スレでバッジに関する話題で盛り上がっていたのに触発されて書きました 「かいゆっくりにしてください! まりさはきんばっじのゆっくりだったんですうううう う!!」 冬も近づいたある街角。 そこで叫び続けるのは、不思議生首饅頭ナマモノ、ゆっくり。大きなとんがり帽子と金髪 が特徴のゆっくりまりさが、行き交う人々に救いを求め叫んでいた。 数年前からありふれるようになった光景。まりさが力尽きるか、あるいはゆっくり対策課 の人間が処理に訪れるまで続くであろう、悲惨で、しかし滑稽この上ない有様。 足を止める人間はいない。 このまりさ、自称するとおり、かつては金バッジの飼いゆっくりであったのかもしれない 。だが、今となっては意味はない。今や、そのことに価値を感じる人間は誰一人としてい ない。 まりさについているバッジ。かつて金色に輝いていたかもしれないそれは、黒く染まって いたからだ。 パーフェクトバッジシステム 「ゆっくりのバッジを作れ、ですって?」 ゆっくり加工所の研究棟。そのひとつ、お飾りを専門に研究する研究室のひとつ。私の職 場であるそこにやってきた企画課の男は、そんな奇妙な提案をしてきたのだ。 「ゆっくりのバッジについて、どの程度知っている?」 「まあ、一般的なことなら。ランクは金、銀、銅に分かれてて……最近はプラチナとかも ありましたっけ?」 企画課の男の確認の言葉に、私は半ば嘲笑しながら答えた。 ゆっくりのバッジ。金、銀、銅などといったようにランク分けされている。 銅は飼いゆっくりというだけで与えられる。人間の所有物であることを示すもので、犬や 猫につける首輪みたいなものだ。 銀はある程度の躾が施されたもの。人間の指示を正しく理解し、人間にとって迷惑な行為 をとらないことが最低限の条件だ。ペットとして一定以上の躾を受け、それを継続できる ゆっくりに与えられるもので、銅が首輪なら銀は称号と言えるだろう。 金はさらに優秀なゆっくりに与えられる。銀に必要な条件を満たすのはもちろん、ゆっく りとしては高い知能が要求される。ゆっくりは通常、数字を3までしか認識できないが、 金バッジのゆっくりは二桁程度は数えることができ、算数程度ならこなすことができる。 また、その知能を生かし、自分がゆっくりすることより人間をゆっくりさせることを優先 させるのも重要な条件だ。金は人間のパートナーとして認められた証で、ここまできてよ うやくゆっくりの命は犬ネコ程度の「生き物」として扱われるようになるのだ。 プラチナはそれ以上の称号。詳しくは知らないが、特別優秀なゆっくりや、優秀な希少種 などに与えられる特殊なものだと聞いている。 「でもバッジなんてあれでしょ? ゆっくりペット業界の作った、破綻したシステム」 金、銀、銅。これらのシステム自体は別に間違っていない。審査機関の活動も審査試験そ のものも、それなりに厳密で真っ当なものだ。 だが、問題はその対象がゆっくりであるということだ。 愚かで無謀で思慮に浅く、そのくせ欲望だけはやたらと強いゆっくり。その餡子脳ゆえに 、向上するには多大な努力が必要で、とてつもなく簡単に堕落する。 金バッジの高級ゆっくりが禁じられた子作りを、それも野良相手にやらかす事例はありふ れており、もう話の種にもならない。 飼い主が原因の場合もあるが、どんなに優秀であろうと、所詮ゆっくりはゆっくりなのだ 。 私に限らず、加工所に所属する人間は大抵バッジシステムを破綻していると馬鹿にしてい る。ゆっくりにペットとしての優劣をつけるなんて無意味だ。あいつらを正当に評価した いなら、食品としての品質の良し悪しで判断すべきなのだ。 企画課の人間も加工所で働いているのだから、そんなことをわかりきっているはずだ。 バッジもゆっくりのお飾りとの範疇で、私に話を振ってくるのはわからなくはない。だが 、加工所がわざわざバッジを作るなんて意味がわからない。 だが、企画課の男の提案はそんな私の常識を打ち破るものだった。 「で、そのバッジだが……生まれたときからゆっくりについていたらどうなると思う?」 「は? 生まれたときからって……」 「つまり、生まれたときからゆっくりのお飾りにバッジがついているわけだ。優秀なゆっ くりなら金、そこそこできのいいやつなら銀。普通のゆっくりは銅で、使い物にならない のは……そうだな、黒いバッジとか。それが、生まれたときからついてる。そして、ゆっ くりのペットとしての質の変化に伴ってバッジの色も変わるんだ。金バッジのゆっくりも 、野良と子作りした時点で銅バッジになる。逆に銅バッジのゆっくりでも、躾を受けて優 秀になればバッジの色も銀に変わる。どうだ、すごくないか? 作って欲しいのは、そん な『新バッジ』なんだよ!」 「それは……」 そんなことが実現したら、すごい。 ゆっくりのバッジシステムが破綻している理由は、ゆっくりが簡単に堕落するからだ。 バッジは通常、定期審査の義務がある。だが、劣化の激しいゆっくりのこと。正確なラン ク付けを行うなら、極端な話、毎日審査を行わなければならないだろう。それは現実的で はなく、定期審査はせいぜい半年に一回。人間に反抗的な態度を取ったり、あるいは野良 と子作りをしたゆっくりは即座に降格やバッジ剥奪もありうるが、それでは潜在的なゲス 化などはわからない。気づいたときには取り返しにつかないことになっていた、というの もよく聞く話だ。 ところが企画課の男の言う生まれたときからついていて、リアルタイムに変化する「新バ ッジ」ができれば解決する。ゆっくりの正確なランク付けがリアルタイムで確認できると 言うわけだ。 「できたら確かにすごいでしょうけど……そんなの、一回売りさばいたら終わりじゃない ですか。だいたい現行の審査機関が許しませんよ、絶対」 仮にそんなバッジができたとする。 ゆっくりにつけて、生まれた子供もバッジつき。それから生まれる子供は全てバッジつき になるわけだから、最初にある程度の数を売ればその先バッジはほとんど売れなくなるこ とになる。 また、審査機関の存在も問題だ。ゆっくりのバッジ審査は今や大きな市場になっている。 どの分野でもそうだが、資格とそれを支えるシステムが生み出す利益は莫大だ。それを崩 壊させるものなんて、業界の反発を受けるに決まっている。 ゆっくりを飼う人間にとってはメリットの大きいバッジだが、それを作る加工所からすれ ばリスクばかりで旨みが少なすぎる。研究室にこもりがちな私でも想像がつくことだ。 だが、企画課の男はそれも自信満々だ。 「大丈夫さ。審査機関はなくならない」 「なんでですか? だって審査の必要が……」 「審査の必要はある。というか、必要にする。バッジは定期的な品質チェックが要るって ことにすればいい。品質チェックの際、併せて現行の定期審査も行うよう義務付ける。バ ッジの品質チェックの特許をとっておけば加工所に利益が入るし、審査がある限り審査機 関にも金が入る。そりゃ、審査機関の利益は今よりは減るだろうが、新バッジシステムに 追従しないわけにはいかないだろうさ」 感嘆の息が漏れる。 確かに、それなら現実的だ。多くの飼い主たちはゆっくりの状況がリアルタイムでわかる 新バッジを望むだろうし、審査機関も生き残るためには新バッジを受け入れるしかない。 そして、ペットゆっくりが存在する限り、加工所は半永久的に特許料という利益を得るこ とができる。 企画課の言う男のまさにゆっくりペット業界にとって革命が起きるといってもいい。 私がそんな未来を夢想していると、 「じゃあそういうことで、研究の方、よろしく」 実に軽い調子で言い、企画課の男は立ち去ろうとした。 「ちょ、ちょっと待ってください! そんな簡単に言われてもっ……!」 「まあ、研究の一環としてやってくれよ。どうせ暇なんだろ?」 「暇って……」 確かに、ゆっくりそのものと比較してゆっくりのお飾りの加工はそれほど注目を集めてい ない。 ゆっくりは饅頭、食べ物だ。そのお飾りも例外なく、基本的には砂糖細工だ。だがゆっく りの構成要素としては珍しく水に強く丈夫で、そのため食感があまり良くない。お飾りを メインにしたヒット商品を出せないのが正直なところだ。 最近売れたのは「インスタントゆっくりおしるこ・まりさバージョン」。ゆっくりの中身 をお汁粉とし、具に成体ゆっくりの目玉の白玉、赤まりさのおぼうしを入れている。フリ ーズドライされたそれらをお湯で戻して食べるインスタント商品だ。おぼうしは食感が良 くなるように、ゆっくりの涙でふやかしてやわらかくした後、軽く火であぶってある。こ れはお汁粉の中で、ちょうどコーンポタージュのクルトンのようなアクセントになる。 もっとも、これがヒットしたのはそうしたお飾り加工の工夫によるものではない。お帽子 をお汁粉に浮かべ、その上に白玉をのっけて遊ぶ「水上まりさごっこ」がちょっと流行っ たからだったりする。 ゆっくりのお飾り研究は、加工所において閑職で、他の研究と比べて低く見られがちなの だ。 先ほどまで熱弁を振るっていたのも一転、企画課の男は投げやりな様子だった。 今更理解した。きっと今の話は飲み会とかで盛り上がって、翌日冷静になったけどダメも とでとりあえず持ってきた、という感じなんだろう。 お飾り研究は閑職。遊ばせておくより、なんでもいいから研究させていたほうがいいとい う判断かもしれない。いずれにしろ、馬鹿にしてる。。 「まあ、できるだろ。『だって、ゆっくりだから』」 だってゆっくりだから。 ゆっくりの研究で得られる結論は、どんなに不条理で理不尽でもその一言で済まされてし まうのだ。 正直むかっ腹が立ったが、それでも私はけっこうやる気になっていた。うまくいけば一気 にお飾り研究の地位を向上できる。実際、わりと暇だったと言うこともある。 そもそも、なにやったってかまわないのだ。 だって、ゆっくりだから。 ・ ・ ・ 新バッジの作成にあたり、まずはその素体となるバッジ――「素体バッジ」を作ることに した。 まずはゆっくりのお飾りをどろどろに溶かし、脱色する。要は溶けた砂糖の塊にするわけ だ。これを型に流し込み、冷やして固める。大きさはビーズ程度、形はこの段階では丸い 板状になっていればよく、正式な金バッジのような細工は施さない。これで「素体バッジ 」は完成だ。 今回のために飼育用の部屋の中には、濃縮オレンジジュースに満たされた三角フラスコに 挿された茎が整然と並んでいる。実の生る茎は五本、実の数は計30。実ゆっくりの種類 は、まずはゆっくりの基本種とも言えるれいむ種とまりさ種を選んだ。 これらの茎は加工所からまわしてもらった低級品だ。低級品と言ってもあくまで加工所の 基準、食品としてであり、中には性格の良いペット向けのゆっくりもいるだろう。まあ、 ゆっくりなんてどいつも大して変わらないものだから、問題ないだろう。 「素体バッジ」を軽く熱して表面を溶かし、これらの実ゆっくりすべてのお飾り付着させ る。 素体接着作業の翌日。さすが加工所製と言うべきか。予定通りきっちりと、実ゆっくり達 は生れ落ちた。 生れ落ちる赤ゆっくりたちの様子を、私はモニター越しに観察する。 「ゆっくちちていっちぇね!」 「ゆっくりしていってね!」 次々に生まれる赤ゆっくりを迎えるのは金バッジをつけた成体のゆっくりれいむだ。成体 と言うより老体と言った方が適切かもしれない。 加工所のある部署では、高級品をつくるために、金バッジのゆっくりに赤ゆっくりを生ま せて育てさせ、育ちきったところで一気に虐待するという手法を行っている。何一つゆっ くりできないことを経験せずのびのびと育ったゆっくりが突然、最上級の虐待を受けるこ とで高品質な甘みを生み出すと言うわけだ。 この金バッジのれいむは、そこで長期間子育てを行っていた。経年劣化により廃棄になっ たところ、折りよく研究用に入手したのだ。このれいむが今回の新バッジ作成の要となる 。 赤ゆっくり全てが生れ落ち、生まれてはじめての食事として茎を与え、ようやく落ち着い た頃。 成体れいむは、赤ゆっくりたちに語りかける。 「おちびちゃんたち! ゆっくりしていってね!」 「ゆっくちしちぇいっちぇね!」 成体れいむの呼びかけに元気に答える赤ゆっくりたち。刷り込みは問題なくうまくいった ようで、餡子の縁などかけらもないあの成体れいむを自分の親と思い込んでくれたようだ 。 そして、親れいむは台本通りに赤ゆっくりたちに語りかける。 「おちびちゃんたち! こっちをみてみてね!」 れいむの指し示した先には大きな鏡がある。赤ゆっくりたちは楽しそうにそちらに向かう 。 「これは『かがみさん』! かがみさんは、じぶんでじぶんをみれる、ゆっくりしたもの だんだよ!」 赤ゆっくりたちはもの珍しげに鏡に映る自分の姿を眺めている。きょろきょろしたり、の ーびのーびしてみたり。実ににぎやかで真にイラッとくる。 やはり教育をれいむにまかせて正解だ。私がいたら育成などうまくできないだろう。もち ろん、老練な加工所の子育てれいむとは言え、ゆっくりに全ての世話を任せるつもりはな い。通常の高級品育成時と同様に、定期的にブリーダーに指導してもらう約束は取り付け てある。 「みんな! おかーさんをみてね!」 「ゆ! おかーしゃんのおかじゃり、とっちぇもゆっくちしちぇるよ!」 「ゆううう! きらきらしゃん、きりぇーだよ!」 「いいにゃ! いいにゃ! きらきらしゃん、ゆっくちー!」 頭のリボンに輝く金バッジをきらりと見せ付ける親れいむ。ゆっくりは人工物の、きらき らすべすべしたものが大好きだ。野良や野生のゆっくりがおうちにそうしたガラクタをよ く溜め込む。 野良がバッジにあこがれるのはステータスばかりではない。ゆっくりできる綺麗なお飾り であるということも重要なのだ。 「これはおかあさんのばっじさんだよ! おちびちゃんたち! おちびちゃんたちにも、 ばっじさんはついてるよ!」 れいむに促され、鏡を覗き込む赤ゆっくりたち。すぐに自分達のお飾りについた「素体バ ッジ」に気づいたようだ。 どの赤ゆっくりも一瞬笑顔を見せ、しかしその顔はすぐ失望に沈む。 「ゆ、おかざりしゃん……」 「きらきらしゃんじゃないよ……どうちて……?」 「ゆえええん! ゆっくちできにゃいいいいいい!」 あまりにも飾り気のない「素体バッジ」に絶望し、泣き出す赤ゆっくりも出始めた。 だが、親れいむはゆっくりとした笑みを崩さない。 「おちびちゃんたち! しんぱいしなくていいよ! ばっじさんがきらきらしてないのは 、おちびちゃんたちがまだうまれたばかりだからだよ! おちびちゃんがいいこでげんき にそだてば、おかあさんみたいなとってもゆっくりしたばっじさんになるよ!」 「ゆううう!? そうにゃの!?」 「れーみゅ! れーみゅ! いいこになりゅ! きらきらしたばっじしゃんつけりゅ!」 「まりしゃも! ゆっくちおーきくなって、きれーなばっじしゃんをつけるのじぇ!」 よし、刷り込みはうまくいった。 新バッジの作成。その第一段階は、「お飾りとともにバッジを成長させること」だ。 通常、ゆっくりのお飾りは自身の成長に伴い大きくなる。これはゆっくりが常に甘みを帯 びた「ゆっくりオーラ」を放出しているためである。 あまり知られていないことだが、とある博士の研究によると、ゆっくりは振動によってコ ミュニケーションをとっているらしい。振動によってゆっくりが性行為するのは良く知ら れているが、通常のコミュニケーションでも人間にもわからないくらいにゆっくりの身体 は微弱に振動し、「ゆっくりオーラ」を放出している。ゆっくりが何か行動する際いちい ち口に出すのは、声を出す振動でこの「ゆっくりオーラ」の放出を高めるためらしい。ま た、まったく同じ発音で同種のゆっくりの名前を呼ぶとき混乱しないのは、実はこの「ゆ っくりオーラ」によるコミュニケーション能力のためらしい。 そしてゆっくりのお飾りは、「ゆっくりオーラ」の受信機であり送信機となっている。ゆ っくりがお飾りを失うと同族に排斥されるのは、「ゆっくりオーラ」の送受信機能が低下 し、コミュニケーション能力を減ずるからなのだ。 ゆっくりが常に放出し、吸収する甘みを帯びたオーラ。このオーラを糧に、ゆっくりのお かざりは成長する。甘みで成長するあたり、お飾りもまたゆっくりの身体の一部と言える のだ。 そして新バッジはまずこのお飾りの一部とならなくてはならない。そのためにお飾りを材 料にし、生まれる前に着け、生まれた後もこうして刷り込みを行ったのだ。 ゆっくりは思い込みのナマモノ。いかなる加工過程においても、こうした刷り込みは最重 要事項だ。 親れいむもよくやってくれている。もっとも、必死にもなるのも当然だろう。あの親れい むは本来廃棄品。研究に転用されなければミキサーにかけられ飼料と化していたのだ。研 究に不適格とみなされば廃棄すると言い含めてもいる。文字通り命がけで子育てに励んで くれることだろう。 「ゆっくりしていてね!」 「ゆっくちしちぇいっちぇね!」 親れいむの呼びかけに、赤ゆっくり達は元気に答える。 新バッジの刷り込みは成功。親子関係も良好。まずは第一段階はクリア、といったところ か。私はそんなゆっくりどもの和やかな様子を横目に、研究レポートを作成するのだった 。 ・ ・ ・ 「ゆゆ!? れーみゅのおかざりしゃん、ぴかぴかしゃん!」 「まりしゃも! まりしゃも! ぎんぎんなのじぇ!」 「れーみゅはなんだかゆっくちできにゃいいりょだよ……」 翌朝。鏡を見てゆっくり共が騒ぎ始めた。騒動の元はそのお飾りについた「素体バッジ」 の色だ。 赤ゆっくりによって金、銀、銅と色が変わっていたのだ。 「おちびちゃんたち! ゆっくりきいてね!」 親れいむの声に、赤ゆっくり達は騒ぐのをやめ注目する。親子関係は相変わらず良好なよ うだ。 「ばっじさんにはいろんないろがあるんだよ! きんいろのぴかぴかばっじさんはとって もゆっくりできるいろなんだよ!」 「ゆわーい! ゆっくちー!」 親れいむがモミアゲで指し示した金の「素体バッジ」をつけた赤ゆっくりは喜びに飛び上 がった。 金の「素体バッジ」をつけた他の赤ゆっくり達もうれしそうに踊っている。 「ぎんのぴかぴかばっじさんは、きんのつぎにゆっくりできるいろなんだよ!」 「ゆっくち!」 今度は銀の素体バッジをつけた赤ゆっくりが喜びに飛び上がる。銀の素体バッジ赤ゆっく りは金より数が多く、さらににぎやかだった。 とてもゆっくり、和やかな空気。だが、それはすぐに壊れた。 「どうのぴかぴかしてないばっじさんは……あんまりゆっくりできないいろなんだよ…… 」 「そんにゃああああ!」 親れいむの声に、大多数だった銅の「素体バッジ」をつけた赤ゆっくりは沈み込む。先ほ どの楽しげな空気から一転、まるでお葬式のような空気。 そんな空気の中、親れいむだけが力強い笑顔で、「台本通り」に声を上げた。 「おちびちゃんたち! しんぱいしなくていいよ! おかあさんとにんげんさんのいうこ とをちゃんときいていいこにしてれば、ばっじさんはぴかぴかになるよ!」 「ほ、ほんちょ……?」 「れーみゅたち、ゆっくちできりゅの……?」 「ゆっくちちたい……ゆっくちちたいよお……!」 「だいじょーぶだよ! ゆっくりいいこになれば、ゆっくりぴかぴかのきんばっじさんに なれるよ!」 赤ゆっくり達の弱気な声に揺るがない、あくまでも力強い親れいむの声。赤ゆっくり達の 憂鬱なたちまち気持ちは吹き飛んだ。 「れーみゅ! いいこになりゅよ! ばっじさんをぴかぴかさんにするよ!」 「まりしゃも! まりしゃも! とってもゆっくちしたゆっくちになっちぇ、ぴかぴかば っじさんをつけるのじぇ!」 「ゆううん! れーみゅ、もういいこなのにぃ……でも、がんばっちぇもっちょいいこに なりゅよ!」 赤ゆっくりたちは元気を取り戻し、良いゆっくりになるべく決意を固めてくれたようだ。 モニター越しでもその熱意のほどが伝わってくるかのようだ。 まったくもってゆっくりの単純な餡子脳は簡単に刷り込みができて助かる。これで赤ゆっ くりたちは金バッジを目指してがんばってくれることだろう。 さて。色の変わった素体バッジだが、これは今回の目的どおり、「新バッジ」としてゆっ くりに受け入れられ、その性格に応じて色を変えたのだろうか? もちろんそんなことはない。いくらゆっくりが思い込みのナマモノだからと言って、たっ た一晩で新バッジが出来上がるのなら苦労はない。 昨晩、赤ゆっくり達が眠ったのを見計らい、ランダムで色を塗っただけである。だから今 現在、金色の「素体バッジ」をつけているやつが優秀なわけでも、銅色の「素体バッジ」 をつけているやつが劣っているわけでもない。単に初期の刷り込みのために仕込んだだけ なのだ。 だからこれからが面倒だ。これから毎晩、その日のゆっくりの行動を観察し、悪い赤ゆっ くりの色はランクを下げ、良い行動をした赤ゆっくりの色はランクを上げるという作業を しなくてはならない。ランダムで塗るのが通用するのは最初だけ。これからきちんと行動 を反映しないと「新バッジ」は望む形に完成しない。 しかも塗りなおすのは一度脱色しなくてはならない。そうしないと、ゆっくりが自ら素体 バッジの色を変えてもわからないからだ。 着色作業は専門技術を持つ加工所の研究員が行う必要がある。だが、観察は別だ。 「そんなわけで、バイトのみなさん。しっかり観察よろしく」 バイトは基本的にゆっくりを愛でることのできる人間、という条件で集めている。この段 階において虐待要素はないため、そうでなくては勤まらないのだ。加工所のバイトで「愛 で」、という条件は難しいかと思ったが、意外と集まってくれた。楽しそうにモニタを眺 め、担当の赤ゆっくりの行動をチェックし、所定のチェックシートに記入してくれている 。赤ゆっくり達のお飾りには、昨夜バッジの着色をしたときに小型の電子タグが埋め込ん である。モニターには常に番号が表示されるようになっているから、人間でも問題なく個 体識別できるようになっている。 モニターの向こうでは親れいむがはりきって子供に教育を始めていた。さすが老練の高級 品生産用ゆっくり。和やかな空気を保ちつつ、それでいてきっちりと赤ゆっくり達を教育 している。見る人が見れば微笑ましい光景なのだろう。 バイト達は楽しそうに見ているが、加工所の研究員である私としては胸がムカムカする光 景だった。 モニターから目を背けると、別の作業を始めて早々に記憶から今の光景を締め出そうとし た。だが、親れいむのとてもゆっくりした笑みだけが、妙に印象に残った。 ・ ・ ・ 「素体バッジ」の装着。バッジの刷り込み。 それらを万全に行ったところで、すぐに定着するとは思っていなかった。 ゆっくりのお飾りを原料としているとはいえ、素体バッジはあくまで人の手による加工品 。初めからゆっくりの成長に合わせて大きくなることまで期待していたわけではない。途 中で素体バッジは打ち切り、定期的にバッジを交換する予定だった。そうして育ったゆっ くりを交配して世代を重ね、徐々に定着を狙う計画だった。 ところが、赤ゆっくり達が子ゆっくりになる頃。バッジの色が自然に変わるようになった 。それもこちらの意図した色にそまりやすくなり、そのサイズもまたお飾りの成長に合わ せて大きくなった。驚くべきことに、その変化の過程で形まで変わった。何の細工も施し ていなかった素体バッジが、親れいむの金バッジと同じように細かな彫刻までほどこされ つつあったのだ。 新バッジは早くもゆっくりの身体の一部になっていた。まるで初めからそうなることが決 まっていたかのような、奇妙な自然さで。 疑問は絶えなかったが、研究としてはうまくいくに越したことはない。研究は次の段階に 進めることとなった。 ・ ・ ・ 「ゆっくちできにゃああああああい!」 「ゆわーん! おかあしゃああああん! ゆっくちさせちぇえええええええ!」 ゆっくりたちの住む飼育部屋は透明な壁で三つに仕切られた。 まず、隅の区画。ここには銅バッジの子ゆっくり達がおさめられている。泣き叫ぶ声はこ の銅ゆっくり達のものだ。まだ赤ゆっくり言葉が抜けないことからも、こいつらができの 悪いゆっくりであり、素体バッジの変色が正常に行われていることがわかる。 細長い区画の端には餌場、反対側の端には寝床やといれなどの通常の生活空間となってい る。区画の中央にあるのは平べったいベルトコンベアだ。これが常に銅ゆっくりの通行を 阻む。 生活空間から餌場に向かうとき。ベルトコンベアは生活空間に向かって回転するから、子 ゆっくりたちは必死に走らなければならない。逆に餌場から生活空間に向かうときベルト コンベアは餌場に向かって回転するから、やはり子ゆっくり達は走らされる。 楽をしようとどちらかに居座ろうとすれば、係の人間によって容赦なく体罰をくわえられ る。体罰と言ってもハエたたきで軽く叩く程度。あくまで普通の躾の範疇だ。 これは加工所では一般的な手法だ。ゆっくりは苦しむことで甘みを増し、運動することで 身が引き締まり食感が良くなるのだ。 「ゆっくり……ゆっくり……」 「おかーさん……おかーさんとゆっくりしたいよぉ……」 情けない声を上げているのは中央の区画にいる銀バッジのゆっくり達だ。 こちらの区画も餌場や寝床の位置などは銅バッジのそれと大差ない。大きな違いはベルト コンベアがないことだ。特に不自由なくゆっくりできる空間。だが、銀バッジたちはゆっ くりしきれない。 銅バッジの区画にも銀バッジの区画にも、たった一匹の親れいむはいないのだ。 「おちびちゃんたち……」 「ゆうう! みんなでゆっくりしたいよ!」 最後の区画。銅バッジの区画の反対側には、金バッジの区画には金バッジの子ゆっくりと 、親れいむがいる。それを除けば銀バッジの区画とそう変わらない。 「おかーしゃん、こっちきちぇえええ!」 「しゅーりしゅーりしちゃいよおおお!」 情けない声を上げる銅バッジのゆっくりたち。しかし、区画ひとつ挟んで親ゆっくりとの 接触は阻まれている。 「おかーしゃん……すーりすり……」 「ゆうう……すーりすり! すーりすり!」 ゆっくりの接触コミュニケーション「すーりすり」を試みる銀バッジ子ゆっくり。しかし 、透明な壁を隔てて柔らかな感触は得られず、満足には程遠い。 「すーりすり……みんなでゆっくりしたいね」 「みんなきんばっじさんだったらいいのにね……そうしたらみんなでゆっくりできるのに ね……」 金バッジのゆっくり達は親と一緒のゆっくりできる空間だ。だが、金バッジを持つほどの 善良な個体である。今まで一緒だった姉妹と離れ離れになり、また自分達だけが親れいむ とゆっくりできる後ろめたさからか、どこかゆっくりできていない。 すべての区画には鏡が設置されている。いつでも自分のバッジの色が分かる。金バッジ以 外は、親と離れ離れになってしまう原因のバッジが、惨めに見えることだろう。 三区画、それぞれゆっくりできない空間。 そんななか、親れいむの声が響き渡った。 「ゆっくりしていってね!」 一瞬、そのあまりにゆっくりとした響きに全ての子ゆっくり達は返事も忘れて陶然となっ た。だがすぐに、本能に従い、なにより母親に呼びかけられたことがうれしくてたまらな くなり、喜びを声に出して爆発させた。 「ゆっくち! ゆっくちしちぇいっちぇね!」 「ゆっくりしていってね! ゆっくりしていってね!」 「ゆっくりーっ!」 離れていても、声は届く。近づけなくても、心はひとつ。親れいむの呼びかけに、子ゆっ くり達はみなそのことを知った。寂しい気持ちは消えはしなかったけれど、それでもみん な、ゆっくりできる――そんなことでも考えているのだろう。どいつも実にゆっくりとし た顔をしている。 親れいむは、そんなゆっくりした子供達に激励を送った。 「みんな! ゆっくりしてね! おかあさんとにんげんさんのいうことをきいて、いいこ にしてればみんなきんばっじさんになれるよ! そうしたらみんなでゆっくりできるよ! 」 「ゆっくりりかいしたよ!」 「れいむ、がんばるよ!」 「まりさもまけないよ!」 「ゆっくりー!」 こうして教育の第二段階は始まった。 バッジとはゆっくりに格付けすることであり、それはすなわち差別を生む。それを実感さ せるのだ。その上で、新バッジが正常に機能するかを検証するのだ。 この環境で適宜ブリーダーの監修に入ってもらい、ゆっくり達の育成は始まった。 実のところ、研究の目的はバッジの完成であり、別に金バッジゆっくりを増やすことでは ない。だが、目に分かる目標があった方がやりがいがあるというものだ。研究員にとって も、ゆっくりどもにとっても。 「ゆっくりがんばるよ! れいむ、いいこになるよ!」 親れいむの呼びかけに素直に応え、銅から銀にあがるゆっくりも現れ始めた。銀から金に あがる子ゆっくりもいる。つくづくゆっくりというのは思い込みのナマモノだ。 だが、どちらかと言えば逆のゆっくりの方が多かった。 「れいむわかったよ! きんばっじのれいむはとくべつなゆっくりなんだね! かわいく ってごめんね!」 突然何やら悟った顔をして、そんなことを叫んだ子れいむ。そのバッジは、驚いたことに 一瞬で金から銅へと変色した。 銅になったら即座に研究員によって区画移動させられた。 「はいはい、銅バッジは銅区画ね」 「どぼじでええええ!? おがあざああん! おがあざあああああん!」 「おちびちゃん……ゆっくりはんせいして、またきんばっじさんになってかえってきてね ……!」 また、銅バッジからさらに落ちるゆっくりもいた。 「くそじじいいいいい! おかーしゃんとゆっくちさせるのじぇ! ゆっくちさせちぇく れないと、ぎったぎたにしてやるのじぇええええええ!」 銅バッジということは頭も悪い。人間との力の差も理解できない、銅バッジにすらなれそ うもないその子まりさのバッジは……なんと黒に染まった。 これは想定外だった。まさか教えていない色に……それも、新バッジの話を持ってきたと き、企画課の男が思いつきで言っていた黒バッジになってしまうなんて。 協議の結果、その子まりさは処分することになった。 「黒バッジのゆっくりはゲスだ! ゲスは加工所行きだ!」 「かこうじょはいやあああああああ!」 ここはそもそも加工所の研究棟なわけだが、親れいむ以外のゆっくりには知らされていな い。 子ゆっくりどもは恐怖に震え上がった。 この区画分けによる教育は子ゆっくりが成体になるまで続けられた。 バッジの変色はおおむねこちらの期待通りに行われた。たまに変色しないことがあったが 、その場合は眠っている間に手作業で着色した。その頻度も徐々に減っていき、成体にな る頃にはこちらの望む機能を備えた新バッジは出来上がった。 最終確認として、試験的に銀以上のゆっくりに、その色に見合ったバッジ試験を受けさせ た。すると驚いたことに、実に九割のゆっくりが合格した。この結果には研究に関わった ブリーダー達も驚いていた。バッジ試験は何度か落ちてようやく合格、というのが常識ら しい。 とにかく、この世代のバッジは完成したと言って問題なさそうだった。 成体になったら次はいよいよすっきりーによる繁殖である。バッジつきの赤ゆっくりが生 まれれば、この「新バッジ」は本当に完成だ。今までの実験手順を10世代も繰り返せば 定着するのではないかと予想されている。まあ、これは甘く見積もっての話だ。定着には まだまだ時間がかかるだろう。 だが実のところ、私個人としてはここまでの成果で満足していた。ゆっくりのランクを正 確かつリアルタイムに量るバッジは完成した。少々手間はかかるが、研究で行った手順を 繰り返せば量産も可能だ。 それにここまでの成果だけで私の評価は大きく高まった。今では研究費用も以前の数倍得 られる。気持ち悪いくらい上手くいく研究だったが、これから先たとえ困難があろうと大 丈夫だと思えるだけの立場は築けていた。 もっとも、こういう時こそ危ないものだ。研究は常に慎重に、石橋を叩いて渡る気持ちで やらなくてはならない。立場が上がったということは責任も重くなったということだ。私 は一層気を引き締めて研究に臨んだ。 だから、驚いた。 「新バッジ」を装着した第一世代のゆっくり達。その子供達のいずれもが、「新バッジ」 を着けた状態で生まれてきたのだ。 ・ ・ ・ 「新バッジ」の生産技術は実にあっさりと固まった。量産すると、「新バッジ」は瞬く間 に世に広まった。 つけたゆっくりのランクを正確かつリアルタイムに把握できる。その便利さを望む大衆の 声に、反対を唱えるバッジ審査機関はまったく抵抗できなかった。 新バッジは飛ぶように売れ、加工所は初期において大きな利益を得た。また、あらかじめ とっておいた特許により、長期安定した収入も約束された。審査機関も流れに逆らえない と、柔軟に対応し、かつて企画課の男が意図したようにこの新バッジに対応するべく加工 所と協調の道を選んだ。 誰もがこの新バッジを受け入れた。 だが、この新バッジをなにより受け入れたのは人間ではなく、ゆっくりなのかもしれない 。 私は夢想する。気味の悪いくらいうまくいった研究。これは、ゆっくりという種がバッジ を望んだからではないだろうか。 愚かなゆっくりは、すぐに相手を自分より下に置きたがる。己の力もわきまえず人間を奴 隷呼ばわりしたり、お飾りを失った同族を排斥する。「かわいくってごめんね!」「まり さはむれでいちばんかりがうまいんだぜ!」など、簡単に頂点に立ちたがる。そうした欲 求が、自分のランクをはっきりさせたいという想いが、「新バッジ」を呼び込んだのでは ないか。そんな風に思えるのだ。 そんなことを考えてしまうくらい完璧なバッジのシステムができあがったのだ。 ・ ・ ・ 「ばりざを! ばりざをかいゆっくりにしてください! ばりざはぎんばっじだったんで ず! ごはんをちらかしません! おといれだっでちゃんどできまず! だがら! だが らぁ……!」 今日も街角でゆっくりの悲痛な声が聞こえる。そのほとんどが黒バッジで、たまに銅も見 かけるが、銀以上は見たことがない。 都市部のゆっくりのほとんどが「新バッジ」をつけている。捨てゆっくりが野良と交配し た結果だ。 現在、バッジは純粋にゆっくりのランクを示すものになっている。飼いゆっくりかどうか は、住所タグの有無で調べられる。以前はバッジを取られ捨てられたことが多かった。今 は住所タグをとって捨てられる。 もっとも、ゆっくりが捨てられること自体は減少しているという。ゆっくりのゲス化はバ ッジの微妙な色合いの変化でわかる。多くの飼い主は手遅れになる前にブリーダーに相談 するなどして最悪の事態を避けることができるようになったのだ。 また、飼いゆっくりが野良と付き合う、ということも少なくなった。「新バッジ」の色は ゆっくりでもわかる指標だ。自分のバッジの輝きを失うリスクを犯してまで黒バッジの野 良交流することなど、ゆっくりの餡子脳でも損なことだとわかるのだ。 それでもゆっくりは簡単に堕落する。そうした場合、問答無用で捨ててしまうマナーの悪 い飼い主もいるのだ。だから、野良にもバッジは広まった。 街中を歩く中、そんなゆっくり達を見かけていると、ふと、あの研究に使った親れいむの 笑顔が蘇った。 「さいごにいっぱいのおちびちゃんをそだてられて……れいむはしあわせーだったよ…… にんげんさんとゆっくりがなかよくできるおてつだいができて……れいむはとってもゆっ くりできたよ……」 「新バッジ」の完成とほとんど同時期に、親れいむの寿命が尽きた。だが、それは満足し た実にゆっくりとした最後だった。 「ゆっくりしていってね……」 れいむは「もっとゆっくりしたかった」と言わず、みんながゆっくりすることを願いなが ら「永遠にゆっくり」した。それはおそらく、ゆっくりにとって最高の最後と言えるだろ う。 確かにあの、本来廃棄品だったれいむのなしたことは大きい。バッジシステムは完璧なも のになった。人がゆっくりのランクを見誤ることは無く、ゆっくり同士も自分のランクを 理解できる。 私自身も地位も給料もぐんと上がった。 そう、あの研究は、正しかった。そのはずだ。 だが、なにかがひっかかる。 そんなとき、私の気を引く声が聞こえた。 「このこはうまれたときはぎんばっじだったんです!」 飼いゆっくりへの売込みを行うゆっくりの親子だ。片親らしい。薄汚れた親まりさの帽子 についたバッジの色は、やや黒っぽいが辛うじて銅に見える。野良にしては優良な個体と 言えるだろう。子供のときから躾ければ銀までいけたかもしれない。 そして、子まりさのバッジは黒味のない綺麗な銅だった。野良には珍しい。本当に最初は 銀だったのかもしれない。 目を向けると、うっかり親まりさと目が合ってしまった。親まりさの目が輝いた。 「にんげんざん! おちびぢゃんを、がいゆっぐじにじでぐだざい!」 やれやれ、面倒なことになった。無視してちょっと走るか、などと考えたとき、子まりさ のつぶやきが耳に届いた。 私は、子まりさのバッジが銀から銅に変わった理由を理解した。 そしてその理解は、私の中でひっかかったものを明確にした。 ・ ・ ・ 研究棟の一室、私専用の研究室。その中で一人、椅子に座る。正式に生産されるようにな った新バッジを手にもてあそびながら、ぼんやりと考える。 研究は気味が悪いほどうまくいった。 それは、ゆっくりという種がそれを望んだから。 自分をやたらと上に置きたがる、愚かなナマモノゆっくり。自分のランクをはっきりとさ せるゆっくりは、きっと「新バッジ」のようなものを望んでいたのだ。 「新バッジ」は驚くほど簡単に人間社会に広まった。 それは人間という存在がそれを望んだから。 より良いゆっくりを手に入れたい飼い主。堕落する金バッジゆっくりに悩まされていた審 査機関。利益を得たい加工所。みんなきっと、「新バッジ」のようなものを望んでいたの だ。 「新バッジ」の研究は、ゆっくりのペット業界に革命を起こした。だが、私のしたことと いうのは、実はたいしたことではなかったのかも知れない。ゆっくりと人間。二つの種の 欲求の一致。そこにただ、ちょっとしたきっかけを与えたに過ぎないのかもしれない。 ゆっくりの醜いエゴと人間の醜い欲。二つの醜いものの落とし子、「新バッジ」。 考えてみたらひどいものだ。 だが、金バッジのゆっくりは本当にゆっくりしている。「新バッジ」を本当に輝かせるこ とのできるゆっくりは、同じ重さの黄金以上の価値を持つという。その金バッジの輝きは 、本当に美しいと聞く。 おぞましく醜いものから生まれた金バッジが、純粋で美しいとは、なんて皮肉なことだろ う。 あの、街であったまりさの親子を思い出す。 「私はゆっくりにひどいことをしてしまった……」 甘い言葉だ。「新バッジ」の製作前に、もし加工所の同僚が同じ言葉を吐いていたら、私 はためらわずぶん殴っていただろう。 私はむしろぶん殴られたい気分だった。 その時だ。 その私の甘さに反応したかのように。バッジが変色を始めた。 「うわああああああ!」 私は悲鳴を上げバッジをゴミ箱に投げ捨てた。 どんな色か確かめようとは思わなかった。 金色だったら? ぞっとする。どんな虚飾にまみれた金なのか? 黒だったら? 吐き気がする。自分がゆっくり以下だなんて、考えたくもない。 本当はこんなバッジなど作ってはいけなかったのだ。 自分がどれほどの価値があるか。 誰もが知りたくて、しかし本当の意味では絶対に知りたくないこと。 人間はさまざまな場面でその価値を評価される。学生の頃は試験、社会に出てからは仕事 の成果や勤務態度の評価。それで価値が決まる。だが、逃げ道がある。「勉強が人間の価 値が計れるものか」「仕事ができる、できないで人の価値は決まらない」。そんな風に逃 げられる。人の価値なんて言葉の上だけで、本当に計測できてはいけないのだ。 だが、「新バッジ」は違う。そんな逃げ道を奪ってしまった。あのシステムは完璧だ。完 璧すぎた。 ゆっくりはもはやバッジの色でしか相手の価値を判断せず、人間もまたバッジの色でしか ゆっくりの価値を計れない 。 それで得たものは、明確な基準。 失ったものは……きっと数えきれない。 私は恐怖する。 あの親子のまりさ。かつて銀だったという銅のバッジをつけた子まりさはこうつぶやいた のだ。 ――おとーさんと、はなれたくないよ…… 子まりさは、きっと本当に生まれたときは銀バッジだったのだろう。その子まりさが、な ぜ銅バッジになったのか。どんな想いで、自分のバッジを「銅に変えてしまった」のか。 それは「新バッジ」では計れない、人として失ってはいけない大切なものだ。 「新バッジ」の完成によって失ったものとは、きっとそういうものなのだ。 今となっては、研究に使ったあの親れいむの笑顔が痛い。胸に、突き刺さる。 知りたくなかった。気づきたくなかった。こんな、こんな、こんなこと……! 私は胸の痛みを強引に押さえつける。そしてゆっくりの不条理に相対したときに唱える魔 法の呪文を口にする。 「……だって、ゆっくりだから」 いつもは不思議な納得感を与えてくれるその言葉は、しかし、今の私になにひとつ与えて くれなかった。 了 by触発あき ・過去作品 ふたば系ゆっくりいじめSS@ WIKI - 触発あきの作品集 http //www21.atwiki.jp/futabayukkuriss/pages/32.html 感想はこちらにいただけるとうれしいです 触発あき - ふたば系ゆっくりSS感想用掲示板 http //jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/13854/1278666597/l50