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326 :ハンター 1:2005/07/06(水) 19 05 34 ID ??? 「キス…―――した事…ある?」 低く甘さを含んだ声で放たれた言葉が私の意識を支配する。 えええっと……この状況はいったい…何??? あなたは嘉月で、私は美月、っていう設定でいいんですよ…ね???! でも…――これは誰?これまで見てきた嘉月とも敦賀さんとも違う気が……。 っていうか、こんな至近距離で妖しく艶かしく見つめないでー!! パニックする思考回路をなんとか押さえ込み、美月のキャラクターを 必死で思い出す。今でこそ本郷家で使用人のごとく使われている美月だけど 元はれっきとしたお嬢様。ということは……おやすみなさい、や いってきます、なんかのキスは家族と経験済みのはず! そう自分なりに考えて答えただけなのに……どうしてこうなるの? 「ありますよ、キスくらい」 負けるもんか、と気合いを入れ、勇気を振りしぼってつぶやいた言葉が 終わるか終わらないかのタイミングで、唇をふさがれる。 「んっ、~~~???!!!」 唇から伝わる熱さ、感触に頭の中は完全に混乱状態。 それでも、息苦しさからなんとか逃れようと自然に手で たくましい胸板を押しのけようと試みる。が、両の腕で左右を押さえ込まれ、 手のひらで頭を優しく固定され、組み敷かれたこの状態で なにをどうにも出来ない状態。 様々な感触を与えられ、ようやく息苦しさから逃れた頃には、 頭の中は真っ白になっていた。 い、いったい、今、なにが起こったのかしら……。 キッチンに寝転がったまま、呆然としている私を見て 「大丈夫?」 クスリと笑って、ようやくその大きな体をのけてくれた瞬間に、 なんとか後ずさりして、1メートルほどの距離を保つ。 だから誰?!!この獲物を前にしたハンターのような目をした男は―――…?! 「ごめんね。風邪、うつしちゃったかもしれないね?」 ゆっくりと近づいてくるその目があまりに怖くて、でもそらすことは出来なくて。 じりじり後ろにさがる。が、無常にもその方向には流し台があって、 自ら壁際に追い込まれていることに気が付いたときにはもう遅い。 私の体の両側の壁に手を付いて、追い詰めた状態にした男が耳元でささやく。 「でも…―――生意気なこと言う、高校生にはおしおきしないと……ね?」
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676 :50点=KISS 100点=??? 1:2005/06/19(日) 02 39 10 ID ??? 「ハァーーーーーーーーー」 最近、ドラマなどで、ラブミー部の仕事が出来ていなかった キョーコはスタンプ帳を見ながらため息をついた。 スタンプ、増えないなぁ~ すでにCMでデビューし、PV出演、ドラマ出演と 確実に芸能界のステップを踏んでいるので ある意味、スタンプ帳の意味はなくなったようなものだが やはり、この道の第一歩であるラブミー部の活動と その証であるスタンプ帳はキョーコにとって 大事なもの・・・。 最初は何それ!って思ったけど、集めだすとなんか止まらないっていうか コレクター魂をくすぐるわよね・・・これ。 それに、なんか褒められた感じがして、気分いいし・・。 などと考えていると 「最上さん、いま空いてる?ちょっと暇つぶしに付き合ってくれるかな?(キュラララ)」 悪魔の囁き・・・いや、尊敬する大先輩のお声がかかった。 「(ひいっ)ひ、暇というほど暇では…」 蓮は今にも逃げ出しそうなキョーコの首根っこを掴み、 「スタンプ押してあげるから、ね?」 有無を言わさぬ微笑でキョーコの耳元に囁いた。 「----で?敦賀さんのご用件というのは・・・・」 「用件というほどの用件じゃないんだけどね これから月刊WILLの取材があるんだけど 担当の方が、1時間ほど遅れるらしくって・・・ でね?聞いてる?最上さん」 キョーコは身の危険を察知し、逃げの体制に入っている。 「やっぱり、わたしご遠慮します!」 「30分で50点。1時間で100点」 「ぐ・・なんですか、その駐車料金みたいなコピーは・・」 「暇つぶしに付き合ってくれたら、その時間によって点数あげるよ」 「その暇つぶしってなんですか、暇つぶしって!」 「ただ、話相手になってくれるだけでいいんだよ?お安い御用だろ? 台詞あわせでもいいし・・・それだと君の勉強にもなる。うん、お得じゃないか!」 と何故か言いくるめられて、ラブミー部室に移動した。 「じゃあ、台詞あわせでもします? 敦賀さん台本もってますか?」 と聞いてみたが、蓮の姿を見るからに台本なんて持っていない。 自分も今はドラマの仕事が入ってるわけではないから台本など持ち合わせてはいない。 「・・・・最初に気づくべきでした・・あなたが手ぶらだって事に・・」 明らかに確信犯である。 「君は、本当に洞察力ってものが足りないね」 くぅ~~~くやしい~~~この人、私をからかうために一時間つぶすつもりなんだわ! 「わかった。じゃあこうしよう。DARK MOONの時みたいに『ごっこ』をしよう」 「・・・ごっこ。ですか・・?」 ごっこ、まぁそれだったら、演技の勉強にはなるわね 「お題は何です?敦賀さんの今やってるドラマって・・・・」 と、敦賀 蓮主演のドラマを思い出した。 「新婚夫婦の話だねぇ。・・・それで行こうか?」 「新・・・・婚・・・・?」 「そう、それじゃーやってみよう。この部屋は、その夫婦の部屋。OK? 名前は・・・そのままでいいか」 有無を言わさぬ笑顔で話を進められ、断ることもできない。 練習・・練習よ。キョーコ!演技よ演技・・・・ 『キョーコ、おいで・・・』 ガッターーーーーン 「な、な、なんのシーンですか!それは!!!」 「え?何って、隣に座ってくつろぐシーン・・?」 それだけで、何でそんな色気だすんですかあなたは! しぶしぶ蓮の隣に腰掛けるキョーコ 蓮が何をしでかすか気が気でない。 と、キョーコの心配をよそに、雑誌を読み出す蓮。 蓮が雑誌を読み始めて、10分が経過した。 一言も発せず、雑誌を読みふける蓮を相手に、どうすればいいのかと 思案するキョーコ。 敦賀さん、ずっと雑誌読んだままだわ。わたしが何か切り出さなきゃダメなのかしら? 『・・・あの・・つ・・・じゃなくて、蓮・・?』 『っ・・・・・・何・・・?』 『あ・・・雑誌ばかり読んでないで・・・』 どうしよう・・これから先どうリアクションすればいいの? 『読んでないで?・・・ああ、ゴメン。キョーコの事、ほったらかしにして』 と、次の台詞とリアクションを考えていたキョーコに蓮はふいうちでキスをした。 「な、な、なななんあななあなんあああああああ~~~~?! 何するんですか!敦賀さん!!!!!!!!!!!!!!!」 「何って、夫婦なんだからこれぐらいするでしょ?新婚なんだから。」 「そういう問題じゃありません!キ、キキキキキスなんて」 「最上さん、一応女優なんだから噛んじゃダメだよ」 「もう!敦賀さん破廉恥です!意地悪です!もう終了です!!!!!」 そういって、勢い良く部屋を出て行くキョーコ。 残された蓮は、しばし呆然とキョーコの出て行ったドアを見ていた。 君が悪いんだよ?君が『蓮』なんて呼ぶから・・・ すると、再びドアが開きキョーコが戻ってきた。 「敦賀さん!スタンプ!約束どおり、30分ぶん、スタンプください!」 「それで戻ってきたの?」 「ハイ!あ、でももう続きはしませんよ!スタンプいただいたら帰りますからね!」 「…(不満げ)まぁ、約束だからね……」 しぶしぶ50点スタンプを押し、キョーコを解放する職権乱用俳優、敦賀蓮であった。
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145 :1:2005/05/22(日) 23 39 00 ID ??? YOU、たまった妄想吐き出しちゃいなよ!というお言葉に甘えて(誰もンなことは言ってない) ためといたものを吐いちゃいます。社さんラーヴ。 「おはようございます!社さん」 朝の事務所の廊下に響く元気な声に振り向くと、やっぱり、キョーコちゃんだ。 出会いがしらにはいつも、元気な挨拶と、とびっきりの笑顔を向けてくれる。 「おはよう、キョーコちゃん。今日も元気だね」 つられて笑顔を返しながら、ワンピース姿も可愛いなぁ、なんて ほのぼの考えていた時だった(けっして下心があるわけじゃないぞ!) 「あ…れ。ここ、ボタンほつれてますよ」 髪をかき上げた瞬間に、彼女に指摘され、あわてて見てみると、 確かに、右袖のボタンが今にも取れそうにだらしなくぶらさがっている。 「あー、ほんとだ。また暇な時間にでもなおすよ」 いくら男一人暮らしの身とはいえ、社会人として、身だしなみに気を使うのは当然。 ましてや、マネージャー業ともなれば、会社や、しいてはマネージメントする人物の イメージにもかかわってくるわけで。そんな基本的なことがなっていないのは ちょっと恥ずかしい。しかも、それを可愛い女の子に指摘されてしまうなんてね……。 思わず苦笑しながら(自業自得なんだけど)半端な状態のボタンを取り、 ポケットにでもしのばせよう、と手をやった。 「私、なおしましょうか?」 ――今ちょうど、ソーイングセット持ってますし。 そう言いながら彼女は、手に持ったかばんをがさごそとあさり始める。 「え、いや、そんな悪いよ」 正直ありがたくはあるが、仕事前の彼女にそんな雑用まで押し付けられない。 そう思って、手をふって拒否表示をしてみたものの、 「いいんです。すぐ出来ますから。私、こう見えてもお裁縫得意なんですよ!」 ガッツポーズをしながら、笑顔も可愛らしくはつらつとそう言ってくれる彼女。 そんな女の子を前にして、断れる男がいるだろうか(いや、いまい) 「じゃあ……お願いしちゃおうかな」 「はい、おまかせください!」 そういった経緯で俺とキョーコちゃんは今、事務所の休息所のベンチに腰掛けている。 お礼がわりに、と自販機の飲み物を買ってきて前のテーブルに置くと、 「ありがとうございます」 てきぱきと手を動かしながらも、きちんと目を向け彼女が答える。 やっぱり礼儀正しいし、いい子だよなぁ。 それに、得意だと自己申告するだけあって、針使いもあざやかだ。 蓮が言うには料理もすごく上手らしいし……。 「キョーコちゃんって、いいお嫁さんになれそうだよね」 隣に腰掛けながら、思考の流れの中で思いついた言葉をそのまま伝えた。 「えっ!…つっ、あいた……」 「キョーコちゃん!大丈夫?」 俺にしてみれば、特に深い意味は無くつぶやいてしまった言葉なんだけど、 彼女を驚かせてしまったらしく、針先で左手のひとさし指をついてしまったらしい。 「大丈夫です。驚かせてしまって、すみません」 ドジですね、あはは――そう言って彼女は血のにじむ指を口元にやる。 「いや、こちらこそ。大丈夫?」 そう言ってハンカチを手渡そうと、ポケットに手をやった――、その時。 ふいに後ろから現れた人物により、彼女のその左手はとらわれる。 しなやかで長い指がその手を絡めとり、形のいい唇がその指先に触れた――…。 「大丈夫?」 ―――蓮、……たのむから気配消して後ろに立つのやめてくれないか…。 それに!いきなり女の子の指を口に含んだ挙句、とろけそうな微笑を向けるのもやめたほうがいいぞ!! その突然の登場に心の底から驚きながら、思わず固まってしまった俺の隣で 真っ赤になったまま、さらに固まってしまっているキョーコちゃん……。 そうだよね、ごめんね…――俺が悪いよね。全部……。 「い、いきなり、何するんですかー!!」 はっ、とわれに返ったらしいキョーコちゃんが立ち上がって抗議の声を上げる。 その目にはうっすら涙すら浮かんでいる。あああ、蓮、キョーコちゃん泣かすなよ~。 いや、ね、キョーコちゃん。弁護できる立場でも無いけど、 こいつもけっして悪気があるわけじゃあないんだ。 心の中で必死で言い訳する俺をよそに、真っ赤になって叫ぶ彼女に微笑みかけながら、 「うちのマネージャーが迷惑かけてたみたいだから。そのおわび。ね、社さん」 蓮は、ぬけぬけと涼しい顔でそう言った。 なんかもう……。俺のまわりの気温、いやに冷たく感じるし……。 はい、そうです。その通りです。お前のキョーコちゃんにボタン付けさせたあげく 怪我までさせたのは、このバカなマネージャーです……。 泣きたい気持ちでうなだれながら、あらためて彼女に侘びを告げる。 ああ、タレントに怪我させるなんて…ほんとマネージャー業失格だよな。 「いえっ、そんな。社さんは全く悪くないです!もとはと言えば、私から言い出したおせっかいですし」 情けなくもしょんぼりとうなだれている俺を見たキョーコちゃんが、今度はあわててこう言った。 これ、出来ましたから……こんな状況下でも、きちんと仕上げてくれていたジャケットを 律儀な彼女はそっと手渡してくれる。天使に見えるよ…キョーコちゃん…――。 「ありがとう、キョーコちゃん。とても助かったよ」 精一杯気持ちをこめて、お礼を言うと、ちょっぴり赤くなった彼女が照れながら たいしたことではないと言ってくれて、幾分かほっとした。 「社さん、そろそろ移動しないと間に合いませんよ。 それと、最上さん。指、ちゃんと手当てしないとダメだよ」 眩しい笑顔を見せながら(キョーコちゃんはおびえてるけど)蓮がキョーコちゃんに声をかける。 その声に多少のトゲを感じるのは、きっと気のせいだろう。そう思いたい…。 「はい!おかげさまで血も止まりましたから、医務室でしっかり消毒してもらいます!」 ああ、そんな取り付く島も無い…。ちょっと同情気味に蓮に目をやると、 やっぱり……そんな落ち込むくらいならやらなきゃいいのに。 「ありがとうね、キョーコちゃん」 かばんを手に事務所の奥に向かうキョーコちゃんに手を振ると、 振り返りながら、またも、とびっきりの笑顔を見せてこう言ってくれた。 「いいえ、どういたしまして!……敦賀さん…ありがとうございました」 左手をひらひらとかざしながら、ほんのり頬を染めて駆けていく彼女。 やっぱり…可愛いよな、キョーコちゃんは。 蓮のことも、なんだかんだでまんざらでもなさそうだし。 うん、やっぱり応援しちゃおう! 新たな決意を胸に、となりの担当俳優を見ると…… おやまぁ、めずらしい。赤くなって照れてるし。 お前でもそんな顔することがあるんだなー。さすがキョーコちゃん。 にやにやしながら、その様子を見つめる俺にようやく気がついたらしく、 「さ、移動しましょう。それに、どうしてああいう状況になったのか、くわしく聞かないと」 にっこり微笑んだそのきれいな顔が、今日ほど恐ろしく見えたことはないぞ……。 まぁ、こんな役得があるなら、不機嫌な俳優に付き合うのも悪くはないかと、 改めて袖を通したジャケットのボタンに目をやりながら、ゆるむ顔を抑えきれない自分。 馬の骨になる気はもちろんないけど(そんな命知らずな) たまにはこういう、おすそ分け、をもらうのもいいかな。
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607 :保健室での賭け事:2005/06/15(水) 16 34 57 ID ??? あと3cm―――… あいつにはまだまだ届かないけど あと2cm―――… チビには変わりないけど あと1cm―――… あいつ急に綺麗になったから あと0.5cm―――… 誰に攫われるかわからない だから伝えよう、と思う。 たとえYesでもNoでも。 あいつなら、子ども扱いしない。 真剣に答えてくれる。 だから伝えよう、と思う。 後は目の前に立ちはだかる身長測定機が、 俺の背中を押してくれるのを待つだけだ。 「はい次、上杉飛鷹君…えっと150…」 「え!?」 「あ、違った。149.7cmね」 ハイと受け取った表には鉛筆でくっきりと、 はっきりと149.7cmと書かれている。 静かにうな垂れる飛鷹の肩を、クラスメイトがそっと叩いた。 「お前…ちっさいな」 「うるせぇっ!!」 告白まであと0.3cm―――…
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468 :441までの経緯 1:2005/06/11(土) 02 23 34 ID ??? リクにはからめられずで申し訳ないですが(私もローリィ読みたひ)、 441を思いついたときに書いた、前フリネタがあるので落としてもよかですか。 あのオチに持っていくがために書いて、書き終わった後、最後のシーンだけでも 成り立つことに気が付いた・・・orz 蛇足かもしれませんが、次までのつなぎに~。 俺は今、最低の男になりさがろうとしている……――。 「いやあああ~~~!!後生ですっ、敦賀さん! 私、このままじゃ帰れませんーっ!お願いですっ、今度こそうまく演りますから~~!!」 必死に抵抗する彼女にかばんを持たせ、無理やり玄関先まで送り出し、 その場でひと悶着すること数十分。彼女の抵抗はなかなかにしぶとい……。 キミの責任感の強さも知ってるし、それに対する執念深さも知ってる。 それに、演技の練習に付き合って欲しいと頼んだのも俺だ。 だからこんなことが出来る立場ではない。ないのだけど……。 ―――……たのむ、察してくれっ。 話はこれまた数十分前にさかのぼる。 演技の練習に付き合ってもらうため、彼女に自宅まで来てもらった俺は、 途中予想外の展開がありつつも、順調に嘉月の感情をつかんでいた。 と同時に、このいわゆるお医者様でも草津の湯でも治せない、という やっかいな病の恐ろしさも実感するはめになったわけだけれど……。 彼女にこの想いを告げる気はない。 たとえ……この心の内でどれだけ気持ちが育ってしまおうと、 それを彼女に打ち明けさえしなければ……くい止めて、なんでもないように見せ続け、 それまでの関係を保てると思っていた。その、自信があった。 だけど…――その自信は今、あっけなく崩壊しようとしている……。 あぁ、自分がこんなにモロい人間だったなんて……。 役の設定で、風邪を引いている俺のため、食事を作ろうとした彼女は、 寝室に俺を残し、ひとりキッチンで食事の支度をしてくれていた。 そこに響く、大きな金属音。 あわてて音の発生源のキッチンに向かうとそこには、 高い棚の中にしまっていた鍋をイスに登って取ろうとし、 そのまま激しく不安定な状態で、動けなくなっている彼女がいた……。 ごめん…そんな所にしまった俺がわるい……。 とりあえず、彼女がぶら下がったままの、可動式の収納棚をささえ救出を試みる。 その時、事件は起きた。 「きゃあああっ!」 ―――あぶないっ! 俺が手元を固定したことで気が緩んだのか、彼女がバランスをくずす。 床に落ちそうになる彼女を見て、考えるより先に体が動く。 触れてはいけないと、思っていた。 コントロールのきかない、今の俺ならなおさら……。 触れるつもりもなかった。なのに…―――。 彼女を衝撃からかばうため、自然抱きしめる格好になり床に二人で倒れこんだ。 髪の香りが、左手越しに伝わる腰回りのやわらかさが、体中に広がるぬくもりが、 俺の自制心をはげしく揺さぶる。 触れたい、もっと近くに、もっと……。 これは、嘉月の感情なのか?それとも……。 思わず彼女に触れる手に力がこもる。離さなければいけない。 でも……もう少し、もう少しだけ、このままで…―――。 「先生……」 この状態をどう解釈したのか、彼女の右手が俺の背中に触れるのを感じる。 その一点に意識が集中し、波のように熱さが広がってゆく。 「つ、敦賀さん、大丈夫ですかっ??ケガしてませんか!? すみません。私がドジなばっかりに大事な体を……」 しばらくそのまま固まってしまった俺を不振に思ったのか、役を作るのを止めた彼女は 心配げに俺をのぞき込む。彼女の手が俺の額に触れたその瞬間…――わかってしまった。 ………ここにいるのは、嘉月じゃない。 「きゃっ」 急に起き上がった俺に驚いた彼女が、小さく悲鳴をあげる。 そんなささいな声にすら、大きく動揺する自分の心が警報を鳴らす。 もう……限界だ。 「君こそ、ケガはない?……今日は来てくれてありがとう。 俺なりの嘉月はだいたいつかめたから…今日はもう帰ってもらえるかな。本当にありがとう」 使いなれた笑顔の仮面をかぶり、それだけの言葉を一息に告げながら、 戸惑う彼女を助けおこす。衣ごしに伝わる体温すら、熱くてたまらない。 リビングに置かれた彼女のかばんを手にし、キッチンに立ち尽くしたままの彼女に手渡す。 俺のいきなりの言動に、あっけにとられたままの彼女と視線をあわせないよう、 押し出すように、出口に向かって連れ出す。 「ちょっ、ちょっと待ってくださいっ!!まだ、私なにもできてないです! そりゃ、敦賀さんの役作りの細やかさと、私の付け焼刃な演技に差があるのは認めますけど、 それでも、何かお役に立ちたいんです!お願いします!チャンスをください~~~!!」 彼女の役作りに関して、俺が不満をもったと思い込んだらしい彼女は、 必死で俺に懇願しながら、外に出されまいと抵抗する。 無礼な態度だとは十分わかっている。でも、今の俺にはこうするしか方法がない。 情けない話ではあるが……。 「演技に関しては、私じゃお役に立てないのはわかりました…。残念ですけど……。 でも、それならせめて、敦賀さんの食事の用意だけでもさせてください! これくらいしか出来ないのが本当に情けないですけど、お願いしますっ! せめてそれだけでもー!!」 玄関先に追いやろうとする俺の力を足でふんばりながら、最後の抵抗をする彼女。 気持ちは嬉しいよ、嬉しい。でも……たのむ。今日は帰ってくれ! そんな俺の固い決意を突き崩すかのように、目を潤ませながら彼女は上目遣いでこう言った。 「お願いです……敦賀さん…」 うっ…。だから……頼む。その表情は…やめて…く…れないか? 一瞬力がゆるんでしまった隙を彼女が逃すはずもなく、俺の腕をするりと抜けた彼女は キッチンに向かってダッシュしていた。 「すぐ、用意しますから!ソファーででも、休憩なさっててください」 そう振り返って告げる笑顔すらまぶしくて……そんな、自分がなおさら許せなくて……。 一日でこんなに症状が悪化するなんて……。これから…どうなるんだ、俺は……? 「はぁ~~~~~」 もはや抵抗する力すら奪われた俺は、吐けるだけのため息をつき、その場にへたり込むしかなかった。 あの子には、かなわない……。
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650 :1:2005/06/17(金) 23 18 52 ID ??? 「送って行くよ」 仕事帰りだという彼女に、 立ち寄った事務所で偶然出逢った。 自分はこれからまだ移動だったけど、 久しぶりに顔を見た嬉しさも手伝って 気づいたらそう申し出ていた。 隣のマネージャーのニヤニヤ笑いが 見なくても手に取るようにわかる。 自分が気づくよりも先にバレてるんだから、 仕方ない…んだけど。 この人は、このことに関しては とかく俺を子供扱いしたがるから困ったものだ。 3人で車に乗り、ドライブすることしばし。 彼女の下宿先である居酒屋の近くに車を停める。 「あーっ、俺、ちょっと電話してこなきゃ、悪い、待ってて蓮」 到着したことを後部座席の彼女に伝えるために 振り向いたところで、社さんがわざとらしく早口でそうまくしたてて 車をさっさと降りてどこかへ行ってしまった。 …わ、わざとらしい…。 露骨な気の使い方にゲンナリし、 思わずハンドルに突っ伏してしまった。 本当に電話なら、携帯電話をお持ちでしょう…?社さん…。 そうだ、彼女も早く降ろさないと。 後部座席を見ると、彼女は車の停まった様子にも気づかず、 動く気配もない。 「…最上さん?」 呼びかけても何の反応もない。 反応がないどころか、規則正しい寝息がわずかに聞こえてきた。 ね、寝てる…のか? 事務所を出てからここまでそんなに長い時間が経ったわけではないのに。 疲れているんだろうな…。 「寝かせておいてあげたいのはやまやまだけどね…」 移動途中でなければしばらくこのままでも全く構わないけれど 自分のほうにこれから仕事があるのでそうもいかない。 車から降りて助手席側に回ると、ドアを開けてシートを動かした。 「最上さん、起きて」 彼女の身体に手を添えて、揺り動かしてみる。 「ん…」 「最上さん」 もう一度声をかけて身体を揺する。 やっと気づいてくれたのだろうか、彼女がゆっくりと目を開けた。 「…あれ、敦賀さん?」 俺を見上げる顔に疑問の表情が浮かんできたのが見て取れた。 何で敦賀さんが?ここはどこ?といったところだろうか。 少しおかしくなってつい笑いながら、思い出させようと彼女に問いかけた。 「憶えてない?」 ややあって。 「…あ、そうだっ、事務所でお会いしたんでしたよね、 うわあ、すみませんっ寝たりして」 どうやら記憶が蘇ったらしい。 驚愕、といってもいいような顔をしてバタバタと車から降りると、 がばっと頭を下げた。ふ…。 「疲れてるみたいだね、今日はゆっくり休んで」 彼女は、特に疲れてるってわけじゃないんですけど…と呟いた。 「実は明日、ドラマのオーディションなんです…緊張しちゃってて」 そう言って頭に手をやって照れくさそうに笑う。 オーディションか…。 「そう…じゃあなおさら、明日の為にきちんと休んで、がんばらないと」 「はいっ。送っていただいてしまって、ありがとうございました」 お仕事がんばってくださいね、ご飯ちゃんと食べなきゃだめですよっ。 そう言って再び頭を下げて立ち去ろうとしたので、思わず呼び止めていた。 顔が見られて嬉しいことは嬉しいけれど、 君は結局車の中では寝ていたし、会話らしい会話もそんなにしていない。 今度いつ逢えるかもわからないんだから、もうちょっとだけ役得が欲しい。 「最上さんっ」 「はい?」 「目、つぶってみて」 「こうですか?」 再びこっちを向いて立っている彼女に、そう言って目を閉じさせた。 言われるままに目を閉じる彼女に…わずかに黒い気持ちすら感じてしまう。 誰にでもこんなに従順なのか?無防備すぎて…本当に。 それに…何されるかわかってる?わからないだろうね…。 近くに誰もいないことを確認すると、 顔にすばやく手を伸ばして唇でやわらかな頬に触れた。 さあ、どうする? 彼女は、思ったとおり、ぴき、と一瞬固まった後。 「…っ今のなんですかー! そんなイジワルして楽しいんですかっ」 その反応も予想通りで嬉しいやら少し寂しいやら。 君は俺に襲われるとかそういうことはこれっぽっちも考えていないんだね。 「合格するように、おまじない」 「その笑顔嘘っ、絶対イヤガラセですよーもうっ。受かるものも落ちちゃいますよっ」 「じゃあ、明日、しっかりがんばって」 またね…。 彼女は、わざとらしい俺のこじ付けに、 少し怒りながらも、もう一度、頭を下げて走り去っていった。 そんな姿をしばらく見送っていると、 がさごそという音がどこからともなく聞こえ 頭の上に葉っぱを乗せた我がマネージャー殿が現れた。 顔には満面の笑みを浮かべている。 「れーんー、見てたぞぉ、このムッツリ君め」 ふう、やれやれ。葉っぱついてますよ…社さん。 どこで盗み見してたんだかほんとに。 「…あなたがそうするように仕向けたんでしょう」 「だーって、最近なかなかキョーコちゃん見かけなくて寂しかったんだろ?顔にそう書いてあるし」 っ。なんでわかるんだろう… 彼の言葉に思わず頬のあたりをぺたぺたと触っていると。 社さんの勝ち誇ったような顔。 しまった…っ、また…またやられた…。あーもうこの人は…。 「お前をこんな風に手玉に取れる日がくるなんてお兄さんは思いもよらなかったよ」 「…そろそろ移動しませんか」 「そうだねぇ、はい移動移動~」 「君たちがあんまりゆっくりだからね~、見てる俺としてはこう、もどかしいっつーかね」 再び車に乗り込み移動する道すがら、 社さんがそう言って楽しそうに笑う。 ゆっくりって…まだ始まってもいないのに。 「…俺と彼女は別に付き合ってるわけじゃないですよ」 そんな俺の言葉に社さんは首を振った。 「お前の中では確実に始まってる」 それはそうなんですけどね…。 だいたい、気持ちを伝えてそれで簡単に成就するとは思えない…。 「自分の気持ちはとうにわかってるんだから、ぶつけてみてもいいんじゃないか?」 キョーコちゃんだって、お前のこと、憎からず思ってるだろうし。 そうやって何度言われたかしれない言葉。 だけどこういう関係だってそんなに悪くもない。 「しばらくは今のままでいいですよ…まだ自分の感情についていくのがやっとですから」 「…前にも言ったけどそんな悠長なこと言ってたら」 「どこかの馬の骨に…、でしょ?」 セリフの続きを取ったもんだから、社さんが面食らってこっちを見ている。 「わかってますよ」 「…いーやお前はわかってない。もう少し今のままがいいとかなんとかぬかしちゃって」 「他の奴に取られるようなことはしません」 そう。自分の気持ちもわからないような頃とはもう違う。 ちゃんと手に入れて見せますから、 …もう少し遠くで見守っていてくれませんか、社さん。
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819 :アルショク・リターンズ1:2005/06/26(日) 15 38 40 ID ??? 遠くで声が聞こえる。 頭を乗せているものが、いつもの枕とは感触が違う …けどやわらかな感触が気持ちいい。 誰が俺の名前を呼んでるんだろう? ここは…俺の部屋で…誰もいないはずだけど。 「敦賀さーんっ、起きてくださいぃ…」 え。 遠ざかる眠気と入れ替わるようにはっきりと聞こえる声。 こ、この声は…。 ままま、まさか。 「ああ、良かった、目が覚めましたか?」 心配そうに覗き込む顔。 も、最上さん…! 「っ…ど、どうしてここに」 ありえない。 俺が、やわらかくて気持ちいいと思ったのは 彼女の足…もとい膝枕だった。 あわてて飛び起きると、最上さんがこっちを見て ほっとしたような困ったような顔をしている。 思い出せ、思い出せ… なんで彼女が俺の部屋にいて、 俺はその膝枕で目が覚めるんだ…。 必死に考えを巡らせていると、 そんな俺を見て、彼女が大きくため息をついた。 「憶えてないんですね…?」 うっ…。 「あ…いや…その」 「…夕食を作りに来たんですけど…」 敦賀さん、お酒飲んでらっしゃったみたいで…。 その言葉に全身から血の気が引いた。 確かに俺は酒を…飲んでいた気がするけど。 テーブルにはいろんな種類のボトル、グラスには飲みかけ…。 っ…ああ…彼女が訪ねてきたことすら…思い出せない。 なんてことだ…。 「でも、すぐ起きてくださって本当によかったです。 私、食事の用意してきますから、…今度は寝ないで 待っててくださいね」 「っ、待って。俺…君に何かしたの…か?」 キッチンへ向かおうとする彼女に問うてみた。 アルコールに飲まれて記憶を失うなんて…初めてだ。 多分、ひどい顔をしていたと思う。 焦って答えを求める俺に、彼女は、くす、と笑ってこう言った。 「…ちょっと、だけ?」 頭がガンガンする。 本当に何かしていたんなら、 彼女の反応もこれじゃ済まないだろうから 問題になるようなことはしていないんだろう。 だけど、その、ちょっと、ってのに引っかかる。 一体何をやったんだ俺は…! 社さん、社さんなんでしょう?俺のところに彼女を寄越したのは…。 もう…やめてくれませんか…本当に、後生ですから…。 これ以上のことが起きてしまったら…正直シャレにもならない。 それにしても…ごめん、最上さん…。 本当は君と…しようとしていた夢を見たなんて…言えるわけない…。
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12 :写真と誘導尋問?:2005/07/05(火) 10 50 12 ID ??? LME事務所ビル内にあるベンチに、蓮とキョーコは座る。 「俺に頼みたいことって何?」 「敦賀さんと写真を撮りたいんです。撮らせて下さい!」 勇気を出して言う。 「いいよ。で、そのカメラで撮るの?」 「は、はい」 キョーコの手には使い捨てカメラが握られていた。 「二人一緒の写真を撮るとすると、誰かに頼むしかないけど みんな急がしそうだからやめよう。カメラを乗せる物はないし。 あ、現像に出した時、店員に見られる可能性がある。 そのカメラでは、撮らないほうがいいかもしれないな」 しょぼくれるキョーコ。 「デジカメと三脚、持っているから今度撮ろう。 プリンターもあるからすぐに出来るよ」 喜ぶキョーコ。 …ほんと、わかりやすい子だな… 思わず微笑む蓮。 「だから今は俺の携帯のカメラで撮ろう。場所、変えようか」 「ここじゃ駄目なんですか?」 「どうせなら、二人っきりのほうがいいだろう?」 蓮は誰も来そうもない階段にキョーコを連れていく。 階段に二人並んで座る。 携帯で撮ろうとしたが、座っていても身長差があり、 上手く画面に入らない。 キョーコを膝の上に乗せて身長差を少なくする。 後ろからやさしく抱き締めた。 「つっ敦賀さん!」 「撮るからレンズのほう見て」 パシャッ! 画面には笑顔の蓮と真っ赤な顔のキョーコが写っていた。 蓮は撮った写真をキョーコの携帯に送る。 「誰にも見られないようにね」 小さく頷く。 「ねぇ、どうして俺と写真撮りたかったの?教えて」 耳元で囁く。 「そっそれは…」 「教えて」 もう一度、訊く。 しばらくして小さな声で 「…好…きだ…から」 と答える。 「何が好きなの?誰かと写真を撮ることが好きなの?」 キョーコを首を振る。 「じゃあ、何?」 「………」 キョーコを逃がさないように、ぎゅっと抱き締めながら 「あぁ、もしかして、俺のこと好きなの?」 思わず逃げようとしたキョーコだったが、 蓮にきつく抱き締められているので、出来なかった。 「どうなの?」 「そ、その通りです」 「はっきりと、君の口から聞きたい。言って」 キョーコは体の向きを変え、蓮の顔を見る。 「私、敦賀さんが好きです。付き合ってください」 「はい。これからよろしくね」 …うれしい!敦賀さんがOKしてくれた! 身体中の血液が沸騰しちゃいそう… …君は知らないことだけど、好きになったのは俺が先。 君に俺を好きになって欲しくて、いろいろ努力したんだよ。 君を手にいれるためならなんだってするさ… 「今日の夜、空いてる?」 「えっ、は、はい。空いてます」 「じゃあ、泊まりにおいで。デジカメで写真とりたいし、 一秒でも多く一緒にいたい」 「でも」 迷うキョーコ。 「俺達、恋人だろう?」 「行きます!泊まりに行きます!」 「いろいろ教えてあげるよ。いろいろとね」 微笑む蓮。 その微笑みは敦賀蓮のものではなく、別の男のように見えた。
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92 :1/3:2005/05/15(日) 23 06 19 ID ??? 今俺の隣には、少し首をひねりながら、 机に広げられた教科書とノートを交互に見つめている彼女がいる。 顔をちらりと覗いてみると、眉間にはしわがよっている。 こころなしか頬が少し赤く染まっているようにもみえた。 彼女は勉強に集中してるらしく、 こんな風に覗いてることに全く気づかない様子だ。 俺は”先生”で彼女は”生徒” それだけの関係 それ以上のことを彼女に何か求めてるわけでもなく、彼女も俺に求めていないだろう。 というより、そういう事は求めるべきじゃないのだろう。 それなのに…彼女を見ていると胸の奥がざわつくのは一体―…? 「先生すいません、あのぉ…。」 よっぽど俺が難しい顔をしてたのだろうか、 彼女はとても申し訳なさそうに話しかけてきた。 「ん?」 「これなんですけど…。」 「どれどれ…あぁこの問題ね。これは―…」 彼女は真剣に俺の説明を聞いていた。 説明を聞いているうちにそれまで曇っていた彼女の顔がみるみる晴れていき、 今では満面の笑みを浮かべている。 その笑顔がとても嬉しくて、なんだか恋しくて、愛しくて… 「なるほど~!やっぱ文法はちゃんと覚えないとですね~ありがとうございっ…!?」 思わず彼女を抱きしめていた。 最初は戸惑っていたようだが、抱きしめ返してくれた。 「美月…。」 「先生…。」 そう、俺は彼女の先生だ。しかし、溢れ出る気持ちを抑えることができない。 俺は一体どうしたら…。 そんな心のうちとは裏腹に、俺の手は自然と彼女の赤く染まった頬に触れていた。 そして俺の唇と彼女の唇が重なりそうに―… ジリリリリリリリリリリリ――!! その時、ものすごい大きな音が聞こえてきた。 「あ゙~~~~っ!!大変です、敦賀さん!もうこんな時間になってます!」 「???も、最上さん、なに?この音は???」 「敦賀さんと芝居の練習したら絶対時間忘れちゃうと思って。 目覚まし時計もってきてセットしといたんです。 やっぱりやっといて正解でしたね。 ご飯ちゃんと食べないと、本番で倒れたりしたら大変ですから。 では、今から作るので少し待っていてくださいっできるだけ急いでやります!」 俺は料理を作ってる姿をただ呆然と眺めてることしかできなかった。 END-