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「はぁ……はぁ……!」 柊つかさは走っていた。 体育祭の時でもこんなに全力疾走したことが無いと言い切れるほどに。 脚の筋肉が悲鳴を挙げるほどに。 額から滝のように汗を流しながら、彼女は走っていた。 その顔に浮かんでいるのは、ただ一つ……『恐怖』だ。 一瞬でも立ち止まれば、その時点で自身の命は無い……本能的にそう察したからこその全力疾走だった。 「ハァ……ハァ……」 走って走って走って走って走って走って…… それでも背後からの気配は消えず、距離も縮まらない。 それが一層『恐怖』として彼女に走る力を与えていた。 「ハァ……ハァ……」 少しでも相手を撒こうと、つかさは路地の曲がり角に潜り込んだが…… 「!?」 そこは石でできた壁で行き止まりとなっていた。 「そ……そんな……」 その絶望的状況に、つかさは膝をついた。 走り続けて彼女の足は限界を迎えてしまい、もはや自身の体を支えることもできなくなっていた。 「……ゴクッ」 つかさは唾を飲み込むと、恐る恐る後ろを振り返った。そこには…… 『ダッダァー』 シマウマを思わせる白と黒の縞模様の浮かんだ体とおかっぱ頭のような頭部が特徴的な どこか鉱物的な無機質さを感じさせる人型の怪物…… パワードダダが、不気味な声を挙げて立っていた。 「あ、あぁ……」 つかさは恐怖で顔を強張らせ、何とかパワードダダと距離を取ろうと四つん這いで逃げていくが、石の壁に阻まれてしまう。 『ダッダァー』 パワードダダはそんなつかさをあざ笑うかのように不気味な声を挙げると、 黄色い目を輝かせながら、つかさに近寄っていく。 「こ、こないで!」 つかさは支給されたバックパックの中の食料や飲料水をパワードダダに投げつけるが、 パワードダダはそんな物を意にも介さずに、つかさに近づいていった。 「あ……あぁ……」 つかさはタレている眼を涙で潤わせ、空っぽになったデイバッグの紐を握りしめる。 『ダッダァー。ダッダァー』 つかさの抵抗が終わったことを感じたらしいパワードダダは、その両手をつかさに向けて、 アームレーザー発射の態勢を取る。 その滑稽的でいて恐ろしい姿に、つかさの恐怖はついに限界を迎えた。 「だ……誰かぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」 つかさは叫んだ。 何処の誰でも良い。悪魔でも天使でもどっちでも構わない。 誰か助けて。そう強く願った。 その願いを聞き届けたのは神か魔王か。 突如として、つかさとパワードダダの間に真っ赤に燃える炎が吹き上がった。 「きゃっ!!」 『ダッダァー!?』 あまりに激しい炎に、つかさのみならず、パワードダダまで怯ませた。 そして炎が晴れると・・・つかさの正面に、一人の男が立っていた。 黒い服と赤いマフラーを身に着けたピンク色の短髪の男性……。 そんな人物がパワードダダと向き合う形で、つかさの正面に立っていたのだ。 「「……」」 突然の第三者の出現に、つかさもパワードダダも凍りついたかのように固まっていた。 『……ダッダァー!!』 先に動いたのはパワードダダだった。 パワードダダは両手から光線を発射して、男性を攻撃した。 それに対し、男性は包帯で覆われている左手をパワードダダに向けた。 すると、男性の左腕から竜のような形の真紅の炎が放たれ…… パワードダダの体を包み込んだ。 『ダッダァァァァァァァァァ・・・・・・・』 炎に包まれたパワードダダは人間の物よりも甲高い苦痛の叫びを響き渡らせながら…… 後には白い砂のようなものとだけが残されていた。 「……」 その光景に、つかさはあんぐりと口を開けて呆然としていた。 パワードダダの姿が消えると、男性はつかさの方に振り返った。 その男性は整った顔立ちをしていて、ピンク色の前髪で左目が隠れていた。 「……」 男性はつかさに近寄ると、つかさに向けて右腕を伸ばした。 「……!」 思わずつかさは目をぎゅっと瞑ったのだが・・・ ポフッ 男性はつかさの頭に手を置き、ワシワシと撫でた。 (えっ……?) 恐る恐るつかさが目を開けると…… 「大丈夫だ。俺は……」 「俺は味方だ」 その瞳は晴れの日の空のように澄み切っていた。 「う……ウワアアアアアアアアア!!!!」 つかさはそれまでの我慢が限界に達し、男性の体に抱き着いて赤子のように泣き出した。 男性は最初こそつかさの様子に面食らったものの…… すぐに気を取り直して、幼子をあやすようにつかさの背中を擦りだしたのだった。 【柊つかさ@らき☆すた】 [状態]:極度の疲労とストレス [装備]:無し [道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1~3 [思考・状況] 基本:死にたくない 1:ウワァァァァン!! [備考] 高校3年時からの参戦。 周りに支給品が散らばっています。 【人吉爾朗@コンクリート・レボルティオ~超人幻想~】 [状態]:健康、少し困惑 [装備]:無し [道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1~3 [思考・状況] 基本:『超人』として、人を助ける 1:目の前の少女(つかさ)が泣き止むまで待つ [備考] アニメ第2期最終回で肉体が消滅した後からの参戦。 そこから少し離れた草原‐ 「……ダァダァー」 ……パワードダダは無傷でそこに立っていた。 先ほど、男性……人吉爾朗に焼き尽くされそうになった瞬間に、テレポートで脱出していたのだ。 「ダッダァー」 今すぐに戻って、不意打ちをかけても良かったが、パワードダダはそのまま別の獲物を求めて移動を開始した。 別に爾朗に対して恐怖を抱いたから、ではない。 なんの攻撃手段も持たない相手を襲うよりも、抵抗が強い分非効率だと判断したのだ 「ダッダァー」 不気味な声を上げながら、パワードダダは赤い月の下を歩いていく。 その先に何が待つのか……今は誰にも分らない。 「ダッダァー」 【パワードダダ@ウルトラマンパワード】 [状態]健康、ダメージ小 [装備]無し [道具]無し [思考・状況] 基本:自分以外全員殺す 1:ダッダァー [備考] 制限により、巨大化・体の密度変化・体の電気信号への変換は不可能、 テレポートの最大飛距離は3エリアまで、となっている。
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人間シリーズからの支給品 七七七(アンラッキーセブン) 裏切同盟の1人、罪口摘菜が製作したシュレッダー鋏。 自殺志願を凌ぐ得物として作られたため殺傷性も高い。 ※以下、ロワ内でのネタバレ + 【アイテム追跡メモ】 【アイテム追跡メモ】 [支給された参加者] 病院坂黒猫 [所有者] 病院坂黒猫(15話、30話) ↓ 零崎人識(30話、35話、43話、48話(前)(中)、78話、101話、105話、120話) ↓ 零崎双識(120話、127話、129話) [メモ] 病院坂黒猫の初期支給品だが初登場は78話。 30話で零崎人識が黒猫の死体から回収し、以降は人識が所持していたが120話で零崎双識に手渡される。 以降は双識が所持していたが129話の鑢七花との戦いで破壊された。 カスタネット 零崎人識の人間関係、零崎双識との関係冒頭で零崎曲識が使っていたもの。 一般人が手にすればただの楽器である。 ※以下、ロワ内でのネタバレ + 【アイテム追跡メモ】 【アイテム追跡メモ】 [支給された参加者] 人吉善吉 [所有者] 人吉善吉(2話、22話、33話、42話、61話、64話(上)(下)、74話) ↓ 黒神めだか(74話、79話、94話、98話、113話、124話) ↓ 供犠創貴(124話、137話(前)(後)、144話、150話、155話、158話(前)(後)) [メモ] 人吉善吉の初期支給品だが初登場は124話。 74話で黒神めだかが回収したものが124話で供犠創貴の手に渡り、以降は創貴が所持していたが158話で創貴が死亡、放置されている。 奇野既知の病毒 小瓶に液体状で入っており、気体にして拡散させれば原作と同じ症状を引き起こす(制限により持続時間は20分)。 そのまま全量を被験者に投薬すれば永遠の眠りに導くこともおそらく可能。 ※以下、ロワ内でのネタバレ + 【アイテム追跡メモ】 【アイテム追跡メモ】 [支給された参加者] 病院坂迷路 [所有者] 病院坂迷路(15話、30話) ↓ 零崎人識(30話、35話、43話、48話(前)(中)、78話、101話、105話) ↓ 鑢七花(105話、111話、120話) ↓ 零崎双識(120話、127話、129話) ↓ 不知火半袖(148話、159話) [メモ] 病院坂迷路の初期支給品だが初登場は78話。 30話で零崎人識が迷路の死体から回収したが、105話で事故った際にこぼれ落ち七花に拾われ、120話で零崎双識が回収。 以降は双識が所持していたが129話にて双識が死亡したためB-3に放置、148話で何者か(159話で不知火半袖と判明)が回収している。 けん玉 零崎双識の人間試験漫画版に出てくるオリジナルキャラクター花撒小鹿が使用していたもの。 見た目にそぐわず、玉の部分で人間の顎を吹っ飛ばせる威力がある。 ※以下、ロワ内でのネタバレ + 【アイテム追跡メモ】 【アイテム追跡メモ】 [支給された参加者] 真庭鳳凰 [所有者] 真庭鳳凰(4話、37話、53話、66話、92話、102話、116話、126話、128話、131話、136話) ↓ 櫃内様刻(136話、142話、154話、156話、158話(前)(後)、162話、164話、166話、169話、171話) [メモ] 真庭鳳凰の初期支給品だが初登場は126話。 以降も鳳凰が所持していたが136話で櫃内様刻が奪った。 以降は様刻が所持。 ゴム紐 人間の力では伸びも縮みもしない特殊なゴム紐。頑丈な刃物でなければ切断することも容易ではない。 「緊縛女子高生之図」を構成する重要な要素。 ※以下、ロワ内でのネタバレ + 【アイテム追跡メモ】 【アイテム追跡メモ】 [支給された参加者] 玖渚友 [所有者] 玖渚友(011話、039話、049話、054話、067話、085話(前)(後)、112話、125話、132話) ↓ 宗像形(132話、133話、137話(後)、144話、150話、153話) [メモ] 玖渚友の初期支給品だが初登場は125話。 宗像形が玖渚と自分の体を固定するために使用したため、実質その時点での使用者は宗像形。 132話内にて左腕を欠損した宗像が止血兼武器として使用したため所有権が宗像に移り、以降は宗像が使用。 153話で宗像の死体と共に切り刻まれた。 コルト・パイソン 闇口濡衣が竹取山で零崎双識に対して使ったゴム弾を使用した『殺意なき弾丸』。 徹底的に改造済みで匂いの残る火薬は使用しておらず、銃声も最小限に留めてある。 ※以下、ロワ内でのネタバレ + 【アイテム追跡メモ】 【アイテム追跡メモ】 [支給された参加者] 阿良々木火憐 [所有者] 阿良々木火憐(1話、25話、47話、57話、77話、86話、93話) ↓ 宗像形(93話、107話、116話、125話、132話) [メモ] 阿良々木火憐の初期支給品だが初登場は107話。 93話で宗像形が火憐から回収し以降は宗像が所持していたが132話で全弾使われ現在はD-7に空の状態で放置。 愚神礼讃(シームレスバイアス) 鉛を鋳造した完全一体性の凶器。愚神礼賛(シームレスバイアス)零崎軋識の専用武器。 大戦争以前からの軋識の得物で普段は専用のバッグに入れ携帯している。 ※以下、ロワ内でのネタバレ + 【アイテム追跡メモ】 【アイテム追跡メモ】 [支給された参加者] 零崎軋識 [所有者] 零崎軋識(6話、25話、43話、69話、89話) ↓ 真庭蝙蝠(89話、99話、120話、124話、137話(前)(後)、144話、150話、153話、160話、163話、168話、170話) [メモ] 登場話から零崎軋識が装備。 89話で真庭蝙蝠に奪われて以降は蝙蝠が所持していたが170話で死亡したため現在はE-5に放置されている。 手榴弾 ベリルポイントお手製の手榴弾、3個入り。 自爆用だったことから考えるとおそらく爆風で狭い範囲を殺傷するコンカッションタイプ。 ※以下、ロワ内でのネタバレ + 【アイテム追跡メモ】 【アイテム追跡メモ】 [支給された参加者] 零崎双識 [所有者] 零崎双識(11話、26話、48話(前)(中)、78話、101話、105話、120話、127話、129話) ↓↓ ↓零崎人識(78話、101話、105話、120話、121話、123話、125話、137話(前)(後)、139話(前)(後)、146話、150話、153話、155話、158話(前)(後)) 不知火半袖(148話、159話) [メモ] 零崎双識の初期支給品だが初登場は101話。 うち一つは78話から零崎人識がくすね、158話で使用された。 双識が所持していた二つのうち一つは129話の鑢七花との戦いにて消費され、残る一つは148話で何者か(159話で不知火半袖と判明)が回収。 薙刀 匂宮の分家、早蕨兄弟の次男、薙真が使用していたもの。 ※以下、ロワ内でのネタバレ + 【アイテム追跡メモ】 【アイテム追跡メモ】 [支給された参加者] 否定姫 [所有者] 否定姫(27話、50話、66話) ↓ 真庭鳳凰(66話、92話、102話、116話、126話、128話、131話、136話) ↓ 櫃内様刻(136話、142話、154話、156話、158話(前)(後)、162話、164話、166話、169話、171話) [メモ] 否定姫の初期支給品だが初登場は126話。 66話で否定姫から回収して以降は真庭鳳凰が所持していたが136話で櫃内様刻が奪った。 以降は様刻が所持。 少女趣味(ボルトキープ) 罪口商会の罪口積雪が製作した少女趣味(ボルトキープ)零崎曲識の専用武器。 打撃武器としてかなりの威力を持ちながら、かつ最上位の音楽家が扱うとグランドピアノ級の音階が出る楽器でもある。 ※以下、ロワ内でのネタバレ + 【アイテム追跡メモ】 【アイテム追跡メモ】 [支給された参加者] 零崎軋識 [所有者] 零崎軋識(6話、25話、43話、69話、89話) ↓ 真庭蝙蝠(89話、99話、120話、124話、137話(前)(後)、144話、150話、153話、160話、163話、168話、170話) [メモ] 軋識の初期支給品だが初登場は99話。 89話で真庭蝙蝠が軋識の死体から回収し、以降蝙蝠が所持していたが170話で死亡したため現在はE-5に放置されている。 自殺志願(マインドレンデル) 11代目古槍頭巾が製作した大鋏で自殺志願(マインドレンデル)零崎双識の専用武器(後に所有権が無桐伊織に渡る)。 半月輪の形をしたハンドルの、鋼と鉄を鍛接させた両刃式の和式ナイフを螺子で稼動するように固定した合わせ刃物。 ※以下、ロワ内でのネタバレ + 【アイテム追跡メモ】 【アイテム追跡メモ】 [支給された参加者] 無桐伊織 [所有者] 無桐伊織(11話、39話、49話、85話(前)(後)、93話、107話、125話、131話、136話、142話、154話、156話、158話(前)(後)、162話、164話) ↓ 櫃内様刻(166話、169話、171話) [メモ] 登場話から無桐伊織が装備していたが164話で図書館前に放置されるも、166話で櫃内様刻が回収した。
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「俺のやることは変わらない」 ◆ZbV3TMNKJw 俺はお父さんのことを知らない。 俺を育てるために家事に仕事に懸命なお母さんの背中を見て育ってきた。 聞けばお父さんは凡庸な人間だったという。 その凡庸さゆえに非凡なお母さんに恋をして、そしてその凡庸さゆえに非凡なお母さんから逃げ出したそうだ。 でもそれを聞かされても俺はお父さんを恨む気にはなれなかった。 なんだったら大好きなお母さんと二人きりにしてくれた彼の現在のご多幸をお祈り申し上げるくらいだった。 だけどそんな凡庸なお父さんを思うとき、凡庸な我が身を省みていつも誓うんだ。 ―――俺は俺の凡庸を、誰かの非凡のせいにはしない ―――非凡な奴らから、凡庸な俺から、俺は決して逃げないぞ ☆ 生徒会庶務・人吉善吉は普通の人間だった。 生徒会会長・黒神めだかのように全てを完成させられる『異常(アブノーマル)』ではなく。 元柔道部の王子こと、生徒会書記・阿久根高貴のようになんでも完璧にこなせたり、元水泳部のエースであり生徒会会計の喜界島もがなのように才能ある『特別(スペシャル)』ではなく。 生徒会副会長球磨川禊のように人を堕落させ共に堕ちるのが好きな『過負荷(マイナス)』でもなく。 特に優れた/劣った個性を有しているわけではない彼は、普遍的に言うならば『凡人』の類だ。 だから彼は強くなりたかった。そして強くなった。少なくとも、黒神めだかの側にいることを許される程度には。 いつだって現実に打ちのめされながら。諦めながら。挫折しながら。 それでも奮起し立ち上がり己をたたき上げてきた。 その過程には普通に過ごしていては経験できないようなこともあった。 動物の捜索に美術のモデルなど、生徒会として引き受けた依頼の数々。 風紀委員長・雲仙冥利による比喩表現なしの文字通りの爆撃。 『異常(アブノーマル)』都城王土率いる『十三組の十三人(サーティーン・パーティ)』との壮絶な戦い。 『過負荷(マイナス)』球磨川禊率いる『マイナス十三組』と生徒会の権利を賭けた生徒会戦挙。 そんなこんなで幾多もの死線を潜り抜けてきた彼でも、知り合いから見も知らぬ者たちと殺しあうというバトルロワイアルというこの状況には流石に恐怖を覚えずに入られなかった。 めだかちゃんに勝つための、安心院さんによる『主人公』の育成計画の一環かと一瞬は思ったが、しかし、確実に死者が出るようなプログラムを課すとは思えない。 むしろ、彼女が関与していればその時点で彼女との同盟は破棄だ。 他者を殺してまでめだかちゃんに勝とう等とは到底思えない。 そう、殺人など、枷があるとはいえ好き好んでしたいものではない。 自分はそうであるし、他の皆もそうであってほしい。 仮に殺し合いに賛同してしまうとしても、それが恐怖などであれば理解できるしどうにか止めて助けてやりたいとも思えるからだ。 だから、彼は死にたくないと思いながらも殺し合いには反目するつもりだった。 まだ方法こそは思いついていないが、犠牲者無くこの殺し合いを壊すつもりだった。 それは、この殺し合いに黒神めだかが参加させられていなくとも変わらなかっただろう。 ...もっとも、この名簿上の知り合いである黒神めだかと球磨川禊こそが彼の不安の種であるのだが。 黒神めだかは性格上、殺人を好むような女の子ではない。が、己と対等の者を好むきらいがある。それも、敵対する者であればなおさらだ。 殺し合いを肯定することはないだろうが、やはりそういった背景を考えると不安はよぎる。 球磨川禊は、流石に人は殺さないだろうとは思うが...いや、どうだろう。あの人なら気が変わって人類裸エプロン化計画とか銘打って優勝を目指す可能性もなくはない、かもしれない。わからない。やっぱり不安だ。 とにかく、万が一の可能性も考え、彼らとの合流は急ぐべきだ。 そう結論付け決意しほどなくしてだ。 ザッ、ザッ、と遥か彼方より足音が響き渡った。 誰か向かってきている―――! 善吉は暗闇に目を凝らし、警戒心を抱きつつ来訪者を待ち構えた。 やがて、ヌッ、と姿を現したのは、男だった。 白髪に一昔前のヴィジュアルバンドを思わせる衣装を身に纏った奇妙な男だった。 その男の姿を認めた時、善吉は動けなかった。 彼は男の放つ威圧感に圧されたのだ。 前述した通り、彼は幾多の死線を潜ってきた男だ。 その彼が気圧されるほど、白髪の男は異様だった。 強いかどうか、異常か過負荷だの以前に、そもそもの土台が違う。そんな得体のしれない気配を漂わせていた。 「小僧、貴様なにをそんなに怯えている?」 男の言葉に、善吉の心臓がドキリと跳ね上がる。 (クソッ、落ち着け人吉善吉!お前はいつまで甘えたの坊ちゃんでいるつもりだよ!) 心中で己を鼓舞し、どうにか心を持ち直す。 何のために自分は強くなった。 何のために自分はこれから強くなろうとした。 俺はめだかちゃんを守れる奴になりたかったんじゃないのか。めだかちゃんに勝ちたいんじゃなかったのか! そう何度も言い聞かせ、己を奮い立たせた。 「...カッ、生憎俺は善良な一般市民なんでね。そういうあんたはどうなんだよ」 笑みを浮かべるが虚勢だ。 一皮剥けば容易く剥がれ落ちる程度の脆い作り物だ。 「私か?私は胸が高鳴っているよ」 「あ?」 「こんなに刺激的な催しはそうそう体験できるものではない。それにこの会場には宮本明もいるというじゃないか」 嬉々として語る男に、善吉は更に困惑を募らせる。 中々体験できるものじゃないからなんなのだ。宮本明とかいう男がいるからなんなのだ。 まさかというべきかやはりというべきか、眼前の男もめだか同様、いやそれ以上に好戦的な男だというのか。 善吉は与えられた能力『欲視力(パラサイトシーイング)』を行使し、男の視界を覗き視ようとする。 が、見えない。普段ならどんなに相手の視界に気持ち悪い世界が広がっていようが視ることはできた。 だがいまはそれができない。 なぜかはわからないが、とにかくいまは相手の言動を見て判断するしかないだろう。 「...結局、あんたはなにが言いてえんだ?まさかあのBBちゃんの言うことを真に受けるんじゃねえだろうな」 「ふむ、それも一興だが、奴が約束を守る保障がない以上、素直に従うのは得策ではないだろうな」 予想外の言葉に善吉は拍子抜けする。 主催のB.Bが約束を守らない可能性があるから乗らない。 多少物騒な単語はあれど、彼の考えは実に理にかなっている。 ひょっとして先ほどまで感じていた妙な気配は気のせいだったのだろうか。 「故に私は戦力を集めるつもりでいる。私の大嫌いな人間を殺しつつな」 善吉の背筋は凍りついた。 前言撤回。やはりこの男はかけねなくヤバイ奴だ。 正直に言って関わりたくないが、自分が止めなければ他の参加者が危ないかもしれない。 「...カッ、俺の前でそう宣言するってことはそういうことでいいんだな!?」 受けて立つ、と拳を握り締め右足を微かに後ろに下げる。 『サバット』。蹴り技を主体とし外靴での戦闘を前提とした格闘技。 人吉善吉の基本的な戦闘スタイルである。 彼の構えを見た男は、鼻で笑い笑みを深める。 「ほう。臆せず構えをとるか。ではその無謀さを評して先手はくれてやろう」 男はまるで警戒心を抱かず、ゆったりと善吉へと歩み寄る。 善吉はその様をかえって不審に思う。彼は知っているからだ。 カウンター型の過負荷(マイナス)、蝶ヶ崎我ヶ丸の『不慮の事故(エンカウンター)』を。 (こいつが蝶ヶ崎みたいな力を持ってたらここで手を出すわけにはいかねえ。とにかく観察して...) 分析している間にも、男との距離は着々と詰められていく。 「どうした?なにを遠慮している」 気がつけば、善吉との距離はもう目と鼻の先にまで迫っていた。 (こ、こいつは本当に俺に蹴らせるつもりだったのか!?それともカウンター型なのか!?) 「先手はいらないか。ならば―――」 「う、うわああああああっ!!」 男の手が善吉の首元へと伸ばされた瞬間、善吉はほぼ反射的に蹴りを繰出していた。 経験と生存本能が警鐘を鳴らしたのだ。この男に触れられるのはマズイと。 打撃音と共に男の身体が後方へと吹き飛び、2メートルほど後退する。 男は、ニイと笑みを深めた。 「悪くない蹴りだ。だが遠慮することはないのだぞ?」 笑み、再び男はゆったりと歩き出す。 善吉は再び蹴りを繰出し、男を吹き飛ばす。 男は笑みを絶やさず歩み寄る。善吉が再び後方へ蹴り出す。 善吉には幾度も繰り返されるこの光景が酷く気味悪く思えて仕方が無かった。 何度蹴られても笑みを絶やさず、よろめきもしない。 全てを『無かった』ことにする球磨川禊とはまた別の気持ち悪さだ。 (俺の蹴りは確かに効いている。なのに、終わらせられる気がしない!こいつを倒せる気がしない!) 「ふん、もう飽きた」 終わりは唐突に訪れた。 先ほどまでされるがままだった男は、善吉の突き出された脚を掴み、乱暴に振るった。 技術も糞もない、力任せの投げ。 だが、善吉の身体はそれだけで宙を舞い、凄まじい速さで木にぶつけられた。 「がはっ!」 背中から走る痛みに思わず呻き声をあげる。 だが、この程度ならいままでの戦いで何度も経験したものだ。 すぐに立ち上がり、再び雅と向き合う。 「ハッ、しぶとさだけは中々だ。だが、いまのでわかっただろう。貴様では私には敵わぬことが」 男の言うとおり、善吉は既に彼との戦力差を理解していた。 ほぼ確実に、自分では男には勝てない。 今までにも宗像先輩やめだかちゃん(改)のような一見勝ち目の無い戦いはあった。 だが、彼らには心があり和解の道もあった。 この男にはそんなものはない。純粋な悪意をもって遊び、蹂躙する。 如何ともし難い実力差がある以上、形勢が崩れることは無い。 (だからって、ここで諦めてどうすんだよ!) けれども、確実に他者へと害を為す男を目前にして、放っておけば確実に人を殺すような男を目の前にして、放っておくことなどできない。 自暴自棄なわけではない。命が惜しくないわけでもない。 それでも、彼は男を止める為に、その膝を折ることはしない。 「ほう。この期に及んで悪くない眼光だ。ならばその闘志を評して素晴らしいプレゼントをしてやろう」 タンッ、と、先ほどとはうって変わって男は軽やかに跳躍した。 オリンピック顔負けの跳躍力で、男は善吉の後ろに回り込もうとする。 だがその程度で善吉はうろたえない。 背後にまわってくるというなら簡単だ。身体の軸を回し、後ろ回し蹴りを放ち迎え撃つ。 が、しかし、それが男の胴体を捉えることはなく。 男は善吉の脚を掴みながら、ズイ、と顔を首元に寄せた。 マズイ、と直感するも、脚を掴まれているため距離をとることすらできない。 「味わえ。至極の快楽と恐怖を」 男の口が大きく開き、その鋭い牙が善吉へと襲い掛かる。 「炎の呼吸、壱の型―――不知火」 刹那―――善吉の視界に、一筋の炎が奔った、気がした。 ☆ 俺は死んだ。 やるべきことも果たすべきことも全うして悔いなく死んだ。 しかしどういうわけか俺はこうして生き返っている。 これが本当に現実ならば、あの列車で食べた美味い弁当もまた食べられるのだろう。 家に帰れば父上や千寿郎ともまた会えるのだろう。 もしも再会できれば、竈門少年や猪頭少年、黄色い少年らの成長した姿に感動することもできるだろう。 老いることも死ぬことも人間という儚い生き物の美しさだと言ったが、やはり己の生が此処にあるというのはとても嬉しいことだと思い知らされた。 本来ならばあのBBという少女に感謝し頼みごとを聞くのが筋なのだろう。 だが、彼女は人を殺した。必要に迫られてではなく、どうしようもなく動揺してではなく、鬼よりも無邪気に玩具で遊ぶかのような軽薄さで少女を殺した。 悪いが、そんな彼女の願いを聞き入れられるほど俺は寛容ではない。 だから俺のやるべきことは変わらない。 たとえ恩知らずだのなんだのと罵られようとも、いまこの場で即刻首を飛ばされようとも構わない。 弱き人を、罪なき人を助ける。 それが俺の責務だ。信念だ。生き方だ。 だから、俺が刀を振るう理由に嘘偽りなど必要ない。 ☆ 一瞬だった。 白髪の男がなにかを感じ取り一歩退いたかと思えば、一筋の炎が降り注ぎ、白髪の男の腕を切断していた。 その炎が、金髪の先が朱色に染まった髪の男であり、本当に炎が出ていた訳ではないと善吉が気づいたのは、尻餅をついてしまった数秒後だった。 「立てるか少年!」 男は、チラ、と微かに視線を向けて問いかけた。大声で。 「あ、あんたは?」 「俺は煉獄杏寿郎という者だ!きみを助けに来た!」 「助けに来てくれたのか。誰だか知らないが、礼を言うぜ。ありがとう」 「気にするな!それが俺の責務だからな!」 ―――いや、イチイチ声がデケエよ!男塾塾長かあんたは!? そうツッこみたくなる善吉だが、しかし相手は初対面な上に助けてくれた恩人だ。 だから、箱庭学園では平然と口にしただろうツッコミも、今回は心中で留めておいた。 「...さて、もう一度聞こう。立てるか少年」 先ほどとはうって変わって、煉獄の声は静かなものとなり、空気も引き締まったものとなる。 「あ、ああ」 「それはよかった。ならば、ここから離れるんだ。できるだけ急いでな」 「それってどういう...」 「煉獄杏寿郎と言ったか」 右腕を斬られた筈の男は、以前変わらぬ笑みを携えたまま、煉獄を見据える。 「素晴らしい剣技だった。もう少し気付くのが遅ければ片腕だけでは済まなかっただろう」 「褒められるのは嬉しいが、きみのやろうとしていたことは看過できない。なぜこの少年を殺そうとした。きみの名前も合わせて聞かせてもらおう」 「私の名は雅。そこのガキを殺そうとしたのは、私が人間が嫌いだからだよ」 「それはつまり、この少年だけでなく巻き込まれた人々を殺戮していくということだな」 「正確にいえば、私が気に入らない者だけだがな」 「ならばきみを放置するわけにはいかない」 スッ、と煉獄の顔に影が差した瞬間、弾けるように駆け出した。 炎の呼吸、壱の型『不知火』。 善吉を助けた時にも披露した、高速で突進し敵を切り裂く技である。 煉獄の刀が雅に届くその寸前、彼もまたデイバックから鋼鉄のブーメランを取り出した。 キンッ、という金属音と共に刀とブーメランが交差し、弾き合い、両者の剣の打ち合いが始まる。 (す...スゲェ!) 今まで、黒髪めだかと始めとする超人集団の戦いを幾度も見てきた。 だが、眼前の彼らの戦いは、凄まじい剣捌きを披露する煉獄も、それを片腕で捌ききる雅も、どちらも人外染みていた。 速さ、剣戟の鋭さ、力強さ、激しさ。 どれをとっても、箱庭学園の超人(もさ)共に勝るとも劣らず、善吉にとっては辛うじて目で追えるほどのものだった。 幾多も交わされる剣戟。 打ち合った数が数え切れなくなったところで、その均衡は崩れた。 ザッ。 煉獄の刀が雅の防御を掻い潜り、額を切りつけたのだ。 (―――浅い) 刃が届いたのは確かだが、薄皮を一枚切った程度だ。 煉獄は追撃の刃を振るおうとするが、しかし、雅は宙返りをしながら後方へと大きく跳躍し距離をとった。 「見事だ煉獄杏寿郎。私とここまでやりあえた者など数えるほどしかいないぞ。一層お前に興味が湧いてきた」 曲がりなりにも斬られたというのに、笑みが崩れぬ雅を観察する煉獄。 そして、彼は気がついた。雅の額の出血が、既に収まっていることに。 「そうか。きみもまた異形の者か。道理で血の匂いが染み付いているはずだ」 「如何にも。私は吸血鬼だ」 「吸血鬼?」 聞きなれない単語に煉獄は微かに眉を潜める―――が、それはどうでもいいことだ。 重要なのは、この男が人を脅かし、食らう悪鬼であることだ。 「...吸血鬼がなにかはわからないが、きみが人々を脅かす以上、俺のやることは変わらない」 「強がるな煉獄。お前もわかっているだろう、このまま戦い続ければ死ぬのはお前だとな」 「カッ、なに言ってやがる!さっき斬られたのはお前のほうじゃねーか!それに比べて煉獄さんはまだ傷一つ負ってねえ!」 「少年」 吼える善吉を諌めるように煉獄が呟いたのと同時、雅の腕の切断面が突如蠢き始めた。 「な、なんだ...ッ!」 善吉は思わず目を見張った。 先ほど切り落とされた腕の切断面同士を合わせた途端、肉片同士が蠢きあい、繋がったではないか。 「やはりきみも鬼のように再生するようだな」 「これでわかっただろう?お前がいくらその刀で私を斬りつけようが、こんなに簡単に戻ってしまう。お前ではこうはいくまい」 そう。いくら煉獄が強くとも、彼はあくまでも人間だ。 怪我を負えば動きは鈍るし、年をとれば剣術のキレもなくなっていく。手足が無くなればそれっきりだ。 実力がほとんど拮抗していれば、不利なのはやはり人間である煉獄である。 「煉獄よ。お前をここで死なせるのは惜しい。どうだ。私の僕にならないか?」 だからこそ雅は手を差し伸べる。 人の身でありながらここまで練り上げた強く有望な者を欲するが故に。 かつて、自分に土をつけた宮本篤にそうしたように。 「吸血鬼になれば、身体能力があがり、私ほどではないが、少々の怪我ならものともしなくなる。人間など及ばぬ更なる高みへ登りつめることができるのだぞ?」 雅の勧誘に、煉獄は目を細める。 疑っているわけではない。ただ、少し可笑しく思えたのだ。 こんな偶然があるものなのだなと。 「きみの前に戦った鬼にも似たようなことを言われたよ。鬼になれば更に強くなれる。自分のように強さを高め続けようと」 「ほう。それで貴様はなんと答えたのだ」 雅の問いに、煉獄は微笑む。 変わらぬ己の信念を突きつける為、微塵の揺らぎもなく、堂々と宣言する。 雅にも、そして自分が守る対象である善吉にも。 「俺は如何なる理由があろうとも鬼にはならない。今もこれからも、俺は俺の責務を全うするだけだ」 その凛とした煉獄の背中に、善吉は重ねずにはいられなかった。 今まで見てきたあの少女の背中を。ずっと傍で見続けてきた黒神めだかの背中を。 「それはつまり私の誘いを断ると言うのだな」 勧誘を蹴られた雅だが、しかしそこに怒りはない。むしろ、愉悦の笑みを浮かべている。 「いいぞ、そうでなければ面白くない。篤の時もそうだったが、望んでいない者を吸血鬼にする方が楽しめるというものだ」 「...やはり君と俺とは価値観が違うようだな。どうあっても仲間にはなれそうにない」 「お前が望もうが望むまいが変わらんさ。私の血は死体にも感染しその者を吸血鬼にする。つまり、死ねば私のものになるも同然というわけだ」 「なるほど、おいそれと死ぬ訳にもいかないな」 煉獄は静かに息を吸い、小さく吐きながら言葉を乗せた。 「竈門炭治郎」 乗せるのは、名前。 「竈門禰豆子、吾妻善逸、冨岡義勇、胡蝶しのぶ」 己が信を置く、鬼殺隊の同胞たちのもの。 「彼らは必ず力になってくれる筈だ。彼らを探せ。俺がこの男を食い止めているその間に」 煉獄が善吉に離れろというのはこれで二度目だ。 彼とて善吉を雅から守りきる自信が無いわけじゃない。 ただ、多くの鬼を葬ってきた猛者であるからこそわかるのだ。 先の殺り取りなど参考にならぬ雅の力の程を。 自分を殺した猗窩座ほどの派手さはないが、彼と同等かそれ以上の実力を雅が有していることに。 「...そうだな。あんたの言うとおり、あんたの仲間を探しに行くのが最良の選択って奴なんでしょうよ」 そして善吉もわかっている。 煉獄も雅も自分よりも格が上であり、且つ煉獄が必ず勝てるという保証もないことを。 だから、ここで善吉がこの場を離れるのは決して恥ずべきことではない。 善吉が煉獄の仲間を見つけここに戻ってくるまで煉獄が生きていれば、あるいは雅を倒していればそれでよし。 煉獄が倒されたとしても、善吉が深手も負わず味方と合流できればそれは煉獄の勝ちであるのだから。 「―――でも、断る」 だからこそ、善吉は一歩を踏み出し、煉獄の隣に並び立った。 「少年?」 「...俺の大好きな女の子のモットーがさ、『見知らぬ他人の役に立つために生まれてきた』なんですよ。 俺は最初はそんなあいつが好きで、なんやかんや文句言いつつもカッコイイと思ってて、正しいと思ってた。 けど、情けないとこ見せてあいつに三行半つけられて、色んな奴らに助けてもらって、自分の気持ちに向き合ってようやくわかった。 俺はあいつに正しすぎる人間であって欲しくなかった。あいつという人間自身を蔑ろにしてほしくなかったんだ。...事の発端は俺にあるってのに」 キョトンとした表情で耳を傾ける煉獄に、善吉は照れ隠しのように頬を掻きながら話を続ける。 「あー...まあ、なにが言いたいかっていうと、『まだ赤の他人の俺を生かす為に死ぬ』ようなことをして欲しくないんですよ。 あんたにだってあんたのやりたいことが見つかるかもしれないんだから」 言っていて、善吉は恥ずかしさで頭を抱えそうになった。 偉そうなことばかり言って、自分は何様だ。善意で助太刀してくれた向こうからしてみれば、なんとも恩知らずな奴に見えてるんじゃないかと。 けれど逃げるわけにはいかなかった。 また自分が原因で、黒神めだかのような人間を増やしたくなかったからだ。 そんな善吉の言葉を聞いて、煉獄は微笑む。 ああ、彼は優しい少年なんだなと。 彼の方こそ、赤の他人を気遣って死地に残るというのだから。 だからこそ。優しい彼にこそ、言っておかねばならないことがある。 「...少年、名前は?」 「人吉善吉っス」 「人吉少年、俺を気遣ってくれたことは嬉しい。感謝する。だがそれは杞憂というものだ」 「え?」 「確かに俺の道は示されたものだ。俺が敬愛し誇りに想う人が授けてくれた使命だ。だが、もしもその使命が納得いかないものであれば俺は断っていたよ。 今の俺があるのは、俺が納得しこうありたいと願ったからだ。俺の信念は、生き方は、俺の心の炎が選んだものだよ。だから俺のことは気にするな。ここから早く離れるんだ」 善吉には、先ほどまではめだかと重なっていた煉獄の背中が、彼女よりも大きく映っていた。 煉獄はめだかとは違う。彼は、めだかのように人の為に生きるのが目的ではなく、そう在りたいと願っているから命を懸けて人の為に力を振るえるのだ。 なんという恥ずかしい勘違いをしてしまったものだ。 これまで散々イロモノ共に振り回されてきた善吉だが、自分はまだ青い学生だと思い知らされずにはいられなかった。 だからといって大人の意見を全て聞き入れられるわけでもないが。 「...俺の思い違いで侮辱してしまったのは謝ります。けど、そんなあんただからこそますます逃げ出すわけにはいかなくなった!」 「いや離れてくれ。怪物退治は鬼殺隊の生業だ」 「いいや離れませんね。怪物なら箱庭学園で大勢見てきましたし、なにより根性と頑固さが売りな俺を納得させる理屈には程遠いぜ」 煉獄を死なせたくない善吉と善吉を死なせたくない煉獄。 二人の願望は対立しており、煉獄が善吉を気絶させることもできない以上、共闘する他ない。 「きみが離れないなら、俺ときみ、どちらかが死んでも二人の負けを意味するのを覚悟しているのか」 「カッ、上等!自慢じゃねーが、俺は安心院さんから筋金入りのパートナー体質と太鼓判を押された男。俺が主役ならさっきの有様だが、あんたの引き立てにまわれば百人力だぜ。いやホント自慢できねーが」 共に並び戦闘体勢をとる二人を見て、雅は顔を曇らせる。 気に入らない。あの善吉という男がひどく気に入らない。 雅は人間が嫌いだ。 女や、煉獄や宮本明・篤のような猛者は別だが、大半の人間の存在自体が大嫌いだ。 弱く、醜く、愚かで、成長せず、その割には愛だの絆だのとくだらないものに現を抜かす。 本来なら奇人変人に好かれやすい善吉も、雅にとってはただの『普通』の『人間』にすぎない。 そんな『人間』がいるからこそ、強者たちは脚を引っ張られるハメになるのだ。 (煉獄よ。私にはお前がそいつを庇い敗北する未来しか見えんよ) 宮本篤が明が枷となり雅の血を浴びる嵌めになったように。婚約者の存在で雅への忠誠を誓わざるを得ない状況に陥ったように。 (煉獄、やはり貴様は吸血鬼になれ。そうすれば弱者に捉われることなく真に有能な部下になる) 雅が口元を隠すようにブーメランをかざす共に、善吉と煉獄の二人は口元を噤み眼光も鋭くなる。 直感したのだ。雅もまた先ほどまでのように遊び半分では戦わないと。 吸血鬼の長にして正真正銘の不死身の『怪物』。 誇りにいき、誇りを剣に乗せて振るう鬼殺隊の『柱』。 非凡に食らいつき続け、非凡な少女に恋する平凡な『人間』。 張り詰める空気の中―――地を蹴り、本当の戦いが始まった。 【D-4/1日目・深夜】 【雅@彼岸島 48日後……】 [状態]:健康 [道具]:基本支給品一式、ランダム支給品0~2、宗像形の鉄製ブーメラン@めだかボックス [思考・状況] 基本方針:好きにやる。 0:面白そうな駒を勧誘し、最終的にBBと遊ぶ(殺しあう) 1:煉獄に強い興味。部下にしたい。 2:明と出会えれば遊ぶ。 [備考] ※参戦時期は精二を食べた後です。 ※死体に血を捲いて復活させるのは制限により不可能ですが、雅はそのことに気がついていない可能性が高いです。 【煉獄杏寿郎@鬼滅の刃】 [状態]:健康 [道具]:基本支給品一式、ランダム支給品0~2 日本刀@彼岸島 [思考・状況] 基本方針:力なき多くの人を守る。 1:いまは人吉少年を守り、雅を倒す。 2:炭治郎、禰豆子、善逸、義勇、しのぶとの合流 3:無惨、猗窩座には要警戒。必ず討ち倒す 4:日輪刀が欲しい。 [備考] ※参戦時期は死亡寸前からです。 【人吉善吉@めだかボックス】 [状態]:精神的疲労(中)、全身にダメージ(中) [道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1~3 [思考・状況] 基本方針:殺し合いを止める。めだかちゃんに勝つ。 1:煉獄に協力し、雅をどうにかする。 2:めだかと球磨川との早期の合流。もしも殺し合いに賛同するような行動をとっていれば、自分が必ず止める。 [備考] ※参戦時期はめだかとの敵対後から後継者編完結までの間。 ※欲視力(パラサイトシーイング)は制限されています Next 第五十一話 Previous Open Your Eyes For The Next AMAZONZ 前話 お名前 次話 Debut 雅 ORDER CHANGE Debut 煉獄杏寿郎 Debut 人吉善吉 目次へ戻る
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2010年2月5日(金) いつもの夕ご飯は、おかず一品とたまに味噌汁を作るくらいだけど、金曜日なので少しがんばる。 味噌汁はアゴで出汁をとった。アゴ出汁は濃厚で大好き。具は豆腐とネギ。 エボダイの干物は昨日伊勢丹で買ったもの。高いだけあってうまい。けどちょっとしょっぱい。 卵マカロニサラダに、カシューナッツ・アーモンド・クルミを刻んで入れたらとてもおいしい。でも細かくしすぎた。次はもっと荒く刻むことにしよう。 鶏の煮物は残り物。 食後に昨日買った、花園万頭のぬれ甘チョコつとを食べた。 花園万頭の甘納豆、ぬれ甘なつとにチョコレートがコーティングしてあるもの。 甘納豆にチョコレートなんて、と思うかもしれないがこれがとてもよくあう。 ぬれ甘なつとは、皮までやわらかく上品な甘さの甘納豆。それと濃厚なチョコレートが口の中で溶け合う。そして抹茶味には抹茶の苦味が、ストロベリー味には苺の香りが加わる。あーおいしい。 バレンタインデー、ホワイトデーの時期の限定商品らしい。自分で買って食べちゃったけど。 妻が職場の人から借りてきた 吉田類の酒場放浪記 を見た。 酒場詩人吉田類が激渋の居酒屋をめぐる番組のDVD。 西千葉の登戸の滝や、穴川の焼き鳥屋を思い出した。行きたいなあ。 関連項目 花園万頭 この項目のタグ 2010年 2010年2月 2010年2月5日 日記 タグ「2010年2月」がついた項目 2010-02-04 / 2010-02-05 / 2010-02-06 / 2010-02-07 / 2010-02-21 / ソウルフードインディア タグ「日記」「2010年」がついた項目 2010-01-11 / 2010-02-04 / 2010-02-05 / 2010-02-06 / 2010-02-07 / 2010-02-21 / 2010-03-01 / 2010-04-19 / 2010-04-30 / 2010-05-08 / 2010-06-12 / 2010-06-19 / 2010-06-30 / 2010-07-01 / 2010-07-09 / 2010-07-10 / 2010-07-14 / 2010-08-02 / 2010-09-26 / 2010-11-28 / 2010-12-03 / 2010-12-05
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【作品名】CITY HUNTER 【ジャンル】漫画 【名前】冴羽獠 【属性】新宿の種馬 【大きさ】190cmくらい 【攻撃力】拳銃(ワンオブサウザンド)とコルトパイソン357マグナム装備、その射撃能力 ・暗闇で目が見えない状態でも、一瞬の火花だけで相手の位置を見極め、目を打ち抜く ・50mの距離で最初に空けた弾痕に弾を通せる ・抜き打ちに自身のある特殊部隊の奴に先に抜かせて そいつが撃つ前にそいつの銃の銃身の穴に弾を打ち込める ・他人が発射した弾丸に自分の弾を当てられる ・1km先の男の服のボタンだけを撃ち抜ける ・撃つ体制の6人を撃たせること無く一瞬で6人撃てる ・60cmくらいのコンクリートの壁越しに気配だけで壁ごと急所を外しつつ撃てる ・催眠術を喰らって相手が回りを分身して囲んでいるように見えても ナイフの飛んでくる音だけで、飛んでくるナイフごと相手を撃てる ・相手が望遠レンズ越しに狙ってる状況でも、察知して手だけを撃てる 【防御力】鍛えられた人間、防弾チョッキ装備 【素早さ】警備システムの8mの距離から対人レーザー回避のため光速反応 ジャンプ力10mくらい 【特殊能力】防弾ガラスも貫通する勃起力 【長所】ちょっと頬にかすった程度の怪我と呼べないようなかすり傷含め 全35巻で4回しか喰らったことしかない超反応&回避(除くギャグ)、速射と超精密射撃 【短所】女 【備考】今じゃ子持ち vol.4参戦 240 :格無しさん:2012/09/18(火) 01 35 16.65 ID ajCVl8ZW 冴羽?考察 マッハ110000反応 鷲男から下がる ×鷲男:爪負け ×イーノック:ガーレ・オーバーブースト負け △人吉善吉:倒せないし倒されない ○宗像形:射殺勝ち ×ロート・シュピーネ:弾切れして範囲攻撃負け ○銀政会のヤクザ:射殺勝ち △ドクガロイド:倒せないし倒されない △九頭文治:撃っても再生され倒せない △香車:倒せないし倒されない △酒呑童子:倒せないし倒されない ×メリウェザー:相手に一方的に攻撃され負け ○ヤムチャ:射殺勝ち ○野原しんのすけ:射殺勝ち 宗像形=ロート・シュピーネ=冴羽?>銀政会のヤクザ
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正義(Hor) /悪(Set)/一般人(Isi) 別名簿 【正義(Hor)】17/17 ○アーチャー@Fateシリーズ ○衛宮士郎@Fateシリーズ ○L@DEATH NOTE ○金田一一@金田一少年の事件簿 ○空条承太郎@ジョジョの奇妙な冒険 ○黒神めだか@めだかボックス ○五代雄介@仮面ライダークウガ ○高町なのは@魔法少女リリカルなのはシリーズ ○テンマ@聖闘士星矢 冥王神話 ○天馬賢三@MONSTER ○東方仗助@ジョジョの奇妙な冒険 ○バットマン@バットマン ○本郷猛@仮面ライダーSPIRITS ○武藤カズキ@武装錬金 ○夢原のぞみ@Yes! プリキュア5 ○ロビンマスク@キン肉マン ○ロールシャッハ@ウォッチメン 【悪役(Set】17/17 ○悪魔将軍@キン肉マン ○雨流みねね@未来日記 ○折原臨也@デュラララ!! ○吉良吉影@ジョジョの奇妙な冒険 ○言峰綺礼@Fateシリーズ ○ジョーカー@バットマン ○高遠遙一@金田一少年の事件簿 ○蝶野攻爵@武装錬金 ○DIO@ジョジョの奇妙な冒険 ○パンドラ@聖闘士星矢 冥王神話 ○V@Vフォー・ヴェンデッタ ○ポイズン・アイビー@バットマン ○夜神月@DEATH NOTE ○結城美知夫@MW ○杳馬@聖闘士星矢 冥王神話 ○ヨハン・リーベルト@MONSTER ○ン・ダグバ・ゼバ@仮面ライダークウガ 【一般(Isi)】26/26 ○相沢栄子@侵略!イカ娘 ○相沢たける@侵略!イカ娘 ○天野雪輝@未来日記 ○アリサ・バニングス@魔法少女リリカルなのはシリーズ ○イカ娘@侵略!イカ娘 ○ヴァンプ将軍@天体戦士サンレッド ○ヴォルフガング・グリマー@MONSTER ○内田かよ子@天体戦士サンレッド ○我妻由乃@未来日記 ○賀来巌@MW ○剣持勇@金田一少年の事件簿 ○サンレッド@天体戦士サンレッド ○ジェームズ・ゴードン@バットマン ○月村すずか@魔法少女リリカルなのはシリーズ ○七瀬美雪@金田一少年の事件簿 ○ニナ・フォルトナー@MONSTER ○ハインリッヒ・ルンゲ@MONSTER ○人吉善吉@めだかボックス ○平坂黄泉@未来日記 ○藤村大河@Fateシリーズ ○松田桃太@DEATH NOTE ○間桐慎二@Fateシリーズ ○武藤まひろ@武装錬金 ○メロ@DEATH NOTE ○夜神粧裕@DEATH NOTE ○竜ヶ峰帝人@デュラララ!! 60/60
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めだかボックス 【めだかぼっくす】 作者 原作:西尾維新 作画:暁月あきら 掲載誌 週刊少年ジャンプ 発売元 集英社 発表期間 2009年24号- 概要 ストーリー 評価点 余談 この作者のその他の作品 概要 「戯言シリーズ」「〈物語〉シリーズ」などで知られる西尾維新が手がけた初の週刊連載の漫画原作で、西尾原作の漫画作品としては3作目となる。 話数カウントは「第○箱」で、各回のタイトルは、その回に出てくるセリフやモノローグからの引用になっている。 あらゆることを完璧にこなす主人公、黒神めだかが学園内でおきた問題を生徒会の仲間たちと共に解決してゆく物語。 短編形式での導入後は、人為的に天才を作り出す「フラスコ計画」を主軸に、研究を進める学園側とその阻止を目指す生徒会、過負荷を擁する第三勢力の攻防が描かれる。 超人的な能力が存在する作品でありながら、相手を更生させたり成長の手助けをすることを話の主体としている。 登場人物の奇抜な名前や推理要素・言葉遊び・パロディなど、原作者が自身の作品で用いる要素は本作でも健在であり、 本作では掲載誌である『週刊少年ジャンプ』に関するメタフィクション的な台詞回しが特に多い傾向にある。 ストーリー 生徒会執行 編【第1箱 - 第21箱】 文武両道・容姿端麗・質実剛健・才色兼備・有言実行……の完璧超人である箱庭学園の1年生、黒神めだか。 彼女は入学したてでありながらも、生徒会長選挙で大言壮語を放った結果、98%の支持率を得て箱庭学園第98代生徒会長となる。 選挙戦での公約通り「目安箱」を設置し、その投書に書かれた案件を幼馴染の人吉善吉と共に解決していく。 学園内で生徒たちのトラブルを解決していくにつれて次第に好評を博した目安箱は、いつしか「めだかボックス」と呼ばれるようになる。 最初は2人だけだった生徒会も、案件を解決していくうちに、柔道界のプリンス阿久根高貴、競泳部の守銭奴喜界島もがなといった個性豊かなメンバーが揃う。 評価点 余談 作画の暁月あきらはD.Gray-manの星野桂の元アシスタント。 この作者のその他の作品
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第一回定時放送が響いた。死者はなんと参加者の半分に達した。 「嘘だろ……?阿久根先輩、江迎…畜生ォォおおおおお!!」 「のび太くん…スネ夫…うぅっ」 「杏子…あなたまで…。」 皆一様に死を嘆き悲しむ中。恋人、直枝理樹を失った来ヶ谷は、ふらり、と揺らいだ後、鋭くほむら達を睨みつける。 「理樹君を……返せぇぇえええええええええッ!」 デイバックの中身を取り出す。中身はC4爆弾。とある都市によって開発された小型手投げモデルのそれを持ち、来ヶ谷は牽制する。 「駄目だよ、唯湖さん!そんなことしたら…」 来ヶ谷の耳にはドラえもんの言葉など届かない。C4は投げられた。ほむらに向かったそれは、ドラえもんがほむらを突き飛ばして回避できた。 が、直後C4は起爆して、ドラえもんを木っ端みじんに吹き飛ばした。 来ヶ谷はもう一つの武器、コルトバイソンを取り出すが、ほむらも同時にデイバックのIMIウージーを取り出す。捨て身の賭けだったが、命は惜しくなかった。 「私は死なんて恐れない。まどかのためなら、何千回だって死ぬ覚悟はできてるのよ。あなたこそ覚悟はいい?」 「殺す」 「おいおい待てって!殺し合いなんか…」 もう、誰にも声は届かない。 始まる殺し合いは止められなかった。そして、無機質な終わりは間もなく訪れる。ほむらのウージー弾は来ヶ谷の胸に吸い込まれた。 殺った。が、来ヶ谷はまだ倒れていない。 「すまない、理樹君。やはり私は悪役には向かないな」 ダァン!と銃声が響き、ほむらの腹から血が噴出した。来ヶ谷はもう事切れており、ほむらも倒れた。 「ま…どか……ぁ。ごめんね、約束、守れなーーーー。」 ほむらが息絶えたとき、善吉は呆然としていた。 終わってしまった、そう思ったとき 「何してるのかなあ、善吉ちゃん」 これから始まる希望という名の未来を 投下順 正義の行方 これから始まる希望という名の未来を 時系列順 正義の行方 「普通に戦うだけさ」 来ヶ谷唯湖 GAME OVER 「普通に戦うだけさ」 ドラえもん GAME OVER 「普通に戦うだけさ」 暁美ほむら GAME OVER 「普通に戦うだけさ」 人吉善吉 正義の行方 どこまでも過負荷に振り切れて 球磨川禊 正義の行方
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【性別】男 【口調】一人称 僕 二人称 三人称 ~ちゃん 【性格】常に屈託のない調子で喋り、嘘とも本心ともつかない挑発や、他者を簡単に踏みにじり絶望に追いやる言動が特徴。常に感情のない表情をしているが、安心院絡みの事になると憎悪の感情を露わにする。また、自身が興味のある事に対してはとことん追求するが、 興味が無くなると一変して無関心になる。 【能力】 「大嘘憑き(オールフィクション)」 現実のあらゆる事象を「なかったこと」にできる能力。外傷や損壊の復元のみならず、身体能力を失わせたり、死亡そのものさえも「大嘘憑き」を自動発動させることで「なかったこと」に出来る。手に入れて間もない能力であるために細かなコントロールは効かず、また因果律に対するものであるため、自分が「なかったこと」にした事柄を更に「なかったこと」にはできない。ちなみにこの過負荷は安心院からもらった能力を応用して発動させたものである。 この過負荷と巨大なネジを凶器として扱い、心身ともに相手を「"螺子"伏せる」戦闘スタイルを特徴とする。 【備考】 めだか達と同じ中学校の出身。当時支持率0%で生徒会長に当選、数ヵ月後にリコールという経歴をたどる間、自らにとって邪魔なものは高貴に命じて破壊させていた。幼少時から退廃的な思想・破滅願望を抱き、転校する先々の学校を潰した末に箱庭学園に転入、十三組生を中心としたエリートを抹殺することを宣言する。 めだかを嫌い、また影響されなかった最初の男であり、「乱神モード」の引き金でもある。 また球磨川曰く、過去に二人の女性を好きになった事があり、「初恋の相手」は人吉瞳で、「最後の恋」は安心院なじみである。 以下、バトルロワイアルにおけるネタバレを含む 対応するregion、endregionプラグインが不足しています。対になるようプラグインを配置してください。 [[]]の本ロワにおける動向 初登場話 [[]] 登場話数 スタンス 現在状況 現データ [[]]
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とある戦士の相互理解(ウェイトゥアンサー)◆A23CJmo9LE 「飛ばして☆」 後部座席から運転手に指示を飛ばすキャスター、食蜂操祈。 奥に犬飼伊介が座し、二人の間に意識を喪失したまどかを置いている。 「うわ❤追っかけてきてる❤」 「そうでしょうね……走って来るのは驚きだけど」 ミラー越しに見ると車が一台と、蒸気を上げて走る麦わらのライダー。 騎乗スキルを持つライダーが乗り物を確保してくるなら想定の範囲内だが、まさか自らの足で駆けるとは予期していなかった。 「色々手を打たないとまずそうね……」 車の方が基本的に速いが、小回りでは足の方が勝る。 速度で張り合われると、カーブや僅かな凹凸の差異で追いつかれかねない。 追いついたときに相応に消耗はしているだろうが、対魔力を持つライダー相手に真っ向勝負で勝機は薄い。 ここでライダーを自害させるのは容易いが、そうしても後ろから続々と騎士のクラスが押し寄せてきかねない。 どうにか有効活用できないだろうか。 手札を確認。 能力、人材、情報、地理。 とるべき手は………… ◇ ◇ ◇ 「こちらタダノヒトナリ巡査長。現在、アッシュフォード学園前にて女子生徒誘拐の現行犯発生。 学園より車を借用、協力者二名と共に追跡中です。カーナンバーは……」 追跡するタダノ。 車内から本署に事件として報告し、車の無断借用についても学園から事後承諾を無理矢理に得る。 仕事として報告しているから、まあ始末書程度で済むだろう……おそらく。 「一名は同乗しています。それからもう一名は……えー、先行しています」 まさか蒸気を上げて走っています、などとは報告できず言葉を濁す。 できれば二人とも伏せておきたくはあるが、目立ちすぎる二人だ。 NPCから報告が上がって指名手配などなっては面倒だし、アーチャーならいくらでも上司なりを籠絡して誤魔化せるだろう。 ライダーは……人の話を聞かなそうだが、どうにかするしかない。 今はまどかちゃんの救出を優先する。 「ほら、タダノ。急がないと置いてかれちゃうわよ」 「む……」 ほんの僅かの隙を突かれて誘拐された同盟者。 急いで車を調達して即座に飛び出し、先ほどまではライダーより先に走っていた。 しかし諸々の報告などをしながらで遅れが生じ、今は駆け出したライダーの方が先にいる。 「ホント男ってせっかちねえ。何があるかわからないんだから、乗っていけばいいのに。 それと、後ろからも何か来てるみたいよ」 らしくなく戦略的な物言いをするのは、それだけ真面目だということだろうか。 報告を聞きバックミラーをのぞくと確かに、自分たち同様追っているらしき車がいた。 「……そうだな。まあアレは別に報告せずともいいだろう」 まどかちゃんの救出に役立ってくれるならいいが、まず間違いなく主目的は別。 それに何より、彼らは敵なのだ。 わざわざ恨みを買うような真似をするつもりはないが、下っ端の些細な権限で根回しをしてやる義務はない。 今後彼らが社会的に不利な立場になって、必要ならフォローしてもいいが、今はこれ以上を遅れをとるわけにはいかない。 先ほどのノーヘルの二人についても後回しだ。 「急ごう。もしルーシー君に追いつけたら乗るよう言ってくれ」 「はいはい。聞くとは思えないけれどね」 アクセルを踏み込み車体を加速させる。 ◇ ◇ ◇ 「行っくぜええええええええええええええ!」 運転席で雄叫びを上げる流子、彼らの中で騎乗スキルにより唯一車の運転を可能とする彼女が運転する。 後部座席に善吉と、ルキア。屋根の上に霊体化した慶次が座す。 ちなみに車は落ちてるのを拾った、と流子は主張している。 「途中でアゲハ拾うの忘れんなよ!一人で行かせたらあいつに何されるか分からねえ!」 キャスターの脅威を最も体感している善吉が叫ぶ。 単独で挑むのはマズイから、それを忘れるなと。 「分かってるって!ちゃんとやり取りしてるよ!」 アクセルべた踏みのまま答える流子。 流石にマスターを操られるのは警戒し、だから拾えるよう助手席は空けているのだ。 「ならいいけどよ…」 ぽつりと漏らし、席に深く腰掛けなおす。 横のルキアは未だに意識を失っている。 仕方なかったとは思うし、周囲も納得はしているがそれでも一抹の罪悪感はある。 先の交戦でも足をひっぱてしまったのは否めない。 己の不甲斐なさに苛立ち、何か役に立てないかと先走って声を荒げてしまった。 自省し、かぶりを振る。 「おーい、なんか妙な動きだぜ」 屋根の上から実体化した慶次の声が響く。 妙な動き?と各員外を確かめてみると、何やら道に人が増え……道を塞ぐように、果ては暴徒の様に突っ込んでくる者もいる。 前を走る車も、麦わらのサーヴァントに対しても同様だ。 「これは……」 「ああ、キャスターがまた何かやってるな…!」 跳ね飛ばして進む、のはさほど難しくはない。 だが、警察機関が一応存在する以上今後が厄介なことになるし、なによりそんな真似をしたいとは皆思わない。 「いよっと。ここは任せな、そのまま全速前進だ」 ボンネットに立ちそう進言する慶次。 本気か、そう目で問うと、大丈夫だと背中で答える。 「よし、それじゃあこのまま突っ切るぜ!」 「行けや、纏!」 迫りくる群衆を躱すことなく全速で駆ける車に、仁王立ちのまま超刀を構える慶次。 そして人々と交錯する。 巨大な武器が舞う。 馬上で闘う騎馬武者の如く、舞台で歌舞く演者の如く。 魅せるは前田の傾奇者。 薙ぎに石突、払いに投げ。 時に屋根で、時に後部で、雲霞の様に群がる人を露払い。 兵どもが夢の跡が足跡のように転がる。 されどそこに、一切の死者はなし。 不殺の信念、これに在り。 「どんなもんだい、人吉?改めて言うが、ちゃーんと考えてたんだぜ。あの時も」 屋根に立ち、残心。 NPCが消失せずに残っているのを確認し、驚き、感心する善吉……投げ飛ばされたのを許すかどうかはまた別だが。 「その辺にアゲハが来てるらしい!見えないか?」 「んー…?お、いたいた。よし、拾ってくる」 そう言うと即座に屋根を飛び下りて向かう。 流石に最速のクラスたるランサーか、アゲハを脇に抱えてすぐさま帰還し、助手席に放り込む。 多少の減速はしたが、車は止まっていない。 「あ痛ッ!もう少し丁寧にできねえのかよ!」 「横入りなんだ、大目に見てくれや」 抗議するアゲハをあしらい再び屋根の上で構える慶次。 さすがに状況を察してかそれ以上の物言いは控える。 「走ってきたのか?」 「まさか。近場のチャリかっぱらった」 この主従は揃いも揃って……と頭を抱える善吉。 俺以外にそういうのを気にするのはいないのか、とぼやきたくなるが今は戦地。 改めて前を見据える。 「前のやつらも凌いでるか?」 「そりゃあなあ。あいつらもサーヴァントだ、手段を選ばなきゃいくらでも対処できるだろ」 キャスターたちに最も近い麦わらのサーヴァント。 高速で駆ける彼にも止めようとする者はいるが、近付く傍から意識を失い倒れているようだ。 「あれは……何してんだ?」 「特に何もしてはいないだろうさ」 異様な光景に疑問を口にするアゲハに答える慶次。 「ああいう手合いは時々いる。ただそこにいるだけで、立つこともままならないような威圧感を放つ奴ってのがよ。 大抵が一国を収めるような、魔王だの覇王だの呼ばれる大物さ」 「ああ、あたしも覚えがあるな。やたらキラキラしてる姉さんとか、親愛なるお母上様とかよ」 善吉はああ、めだかちゃんとか王土みたいなもんかと納得。 英霊二人もかつてまみえたカリスマ溢れる人物を想起し、麦わらのサーヴァントに対する評価を上方修正。 ルキアが起きていたら山本元柳斉や義兄を思い返すだろう。 一人そうした人物が思い当たらないアゲハだけがイマイチ馴染めない。 「それじゃああっちの車は?」 「あんまり…いや全く人が寄ってないな」 前を走る車ではなく、少し離れたところに人だかりができていた。 その中心には、アゲハたちからは人影で見えないが、この世のものならざる美女がいる。 足止めに差し向けられたのは、当然ながら身体能力に長けた男性NPC。 大量に操作する故、命令は複雑化できず、ただ追いすがるものに襲い掛かり動きを止めろといったもの。 襲撃対象はNPCが決めるため、3つのターゲットのいずれを襲撃するかはランダムだった。 だが車外に、最高峰のサキュバスが現れ、操祈たちを追うそぶりを見せたなら。 男たちはタダノの車など目もくれず、皆それに向かう。 そしてタダノから離れたところで霊体化し、飛行スキルでタダノに追いつけば 「……どうやら俺の仕事は続きそうだな」 蜘蛛の子を散らしたように、後続のアゲハたちに襲い掛かる。 それを見て再度得物を構える。 「道は俺が切り開く!怯むなよ、纏!」 「舐めんな、慶次!」 二人のサーヴァントが高らかに叫び、戦況は加速する。 ◇ ◇ ◇ その激情を表すかのように、蒸気を上げ駆ける麦わらのライダー、モンキー・D・ルフィ。 彼の下にも多くのNPCが押し寄せるが 「ごめんな、恨みはねェけど」 ちょっと邪魔だ。 一声あげて、一瞥もせず、一蹴するまでもない。 半端な覚悟と実力ではこの男の前で意識を保つことすらままならない。 倒れた男を乗り越え踏み超え、突き進む。 もう二度と、間に合わないなんてごめんだから。 「よっ、と!」 向かってきたトラックも飛び越え、大きく跳躍。 そのまま建物や橋げたを利用して大きく前に出、ついには追いすがるターゲットも追い抜く。 そーいやこの移動技も建物跳び移るのもあいつらの真似だな、と回想。 初めてこの技を撃った時の様に、空中で拳を構える。 「ゴムゴムの“JET銃”!!!」 まさに銃の如く、車体の前部を打ち抜き動きを無理矢理に止める。 着地と同時に、事故直後の様に傷ついた車体から少女が三人出てくる。衝撃でぶつけでもしたか、赤髪の少女の顔には一筋の血の痕があった。 それでもなお、桃色髪の少女の手を引き逃げ出そうとする二人の前に即座に回り込む。 「ちょっとマスターへの気遣い力が足りてないんじゃないかしらぁ……!」 病院にはまだ道半ば、丁度橋の手前で止められる。 橋を渡れていれば落とすなり損害を与えるなりで引き離せただろうに。 騎兵のクラスが乗機を召喚しないかは一つの賭けだったが、それさえ超えれば車などに追いつかれることはないはずと思っていた。 しかし乗機以上の韋駄天も、触れることすらなくNPCを倒して進むのも想像以上。 恍けた面からは予期できない大物だったか。 あげく自らのマスターも乗った車に拳を叩きこむとは、本当に最悪というか常識外れと言うか。 前田慶次も、人吉善吉も、この麦わらのライダーもNPCを殺傷はしないと確信していたからあんな策も取ったし、もっと手こずると思った。 死者が出ていないのはよかったが、最初に立てた目的地には至れなかった。 ……周囲に目を配り、逃げ道を探すが絶無。 望まぬ背水、正面に敵。 さらに続々と、敵に増援。 鍛えられた体躯の男性が車から降り、すぐ横には妖しい美貌をもつ女性サーヴァント。 まだ遅れているが、夜科アゲハたちの乗る車ももうすぐ追いつく。 これではライダーとランサーをけしかけても敵サーヴァントが一騎残る。 今、打てる手は少ない。 鹿目まどかにナイフを向けようとする己がマスターを制し、言葉を投げかける食蜂。 「こんな状況でなんだけど、取引しない?ライダーさん☆」 槍兵相手の駆け引きの様に、今度も渡り合って見せよう。 今度は相手のマスターを手中に収めているのだから、やれないことはない。 自らをそう鼓舞し、条件を提示しようとするが 「残念だが先客がいる。彼と組んでいるのは僕たちだ」 「ええ、そう。彼と一緒に堕ちるのは私たち。麦わらの坊やも、私とあなたのマスター、二人のレディーを放っちゃダメよ?」 朝とは状況が違う。 聖杯戦争は進行し、すでに盟の関係を築いている組も出始めている。 いずれ敵となる者同士、あまり過多に組むのを少なくともタダノは良しとはしない。 「もちろん、あなたたちをないがしろにするつもりなんて――」 「そいつと組むのはやめとけ。あたしは体験してないが、多分碌なことにならねーぜ」 そしてついには流子たちも追いつく。 これで完全に囲まれたことになる。 背後は川、正面にルフィが、橋に行くにはタダノとモリガンが、街へと戻る道にはアゲハと流子と善吉が立ちはだかる。 逃げ道はなく、リモコンを向けようとでもすれば即座に切り捨てられるか、殴り倒されるか。 今、食蜂操祈に打てる手はない。 けれども 「やめてください、ライダーさん!」 鹿目まどかなら、できることはある。 食蜂操祈と犬飼伊介の前に庇うように立つ少女を見てほくそ笑む。 心理的な距離感を縮める……垣根提督のかつての同僚が得意とした心理操作。 超能力者ならこのくらい、やってのけるのは容易い。 「まどか……?」 「ライダーさん、ほんの少しでもいいんです。キャスターさんのお話聞いてもらえませんか?」 ルフィと言う男、よく言えば懐が広く、悪く言うなら甘いところがある。 敵組織のNo2、一時は敵対した解体屋などを船員として迎え入れたこともあり、兄救出のために因縁あるならず者と肩を並べたこともある。 まどかが攫われたから追ってはきたが、そのまどかが言うならいいか、などとも考えつつある。 当然その状況を受け入れられるものはいない。 タダノヒトナリはまどかの言葉を無碍にはしないが、それでもキャスターの言葉を受け入れられはできないだろう。 モリガン・アーンスランドは強い主張はしないが、タダノに強く反抗はしない。 人吉善吉も纏流子も、キャスターの能力の影響を考慮し、戸惑いつつも流されはしない。 そして夜科アゲハはこの場で最も冷酷な判断を下した。 あの少女は間違いなくキャスターに操られている。キャスターは一分一秒生かしてはおけない。 今、自分が、殺そう、と。 それは他の面々にはできない決断、しかしいずれ誰かが下さなければならない決断。 責められるかもしれないが、この魔女を仕留める対価がその程度なら安いもの。 そう決意し、PSIのプログラムを即座に組み上げる。 (キャスターの前のあの子を巻き込む訳にはさすがにいかねえ……あっちの、キャスターのマスターを射抜く) 暴王の流星(メルゼズ・ランス)。 即座に放たれた極小の、しかし必殺のPSIはアゲハの狙い通りに標的を貫く。 ・ ・・・・・・ タダノヒトナリの腹部を、黒い流星が駆けた。 「がぁ……あッ……?」 口の中に広がる鉄の味と、腹部から全身に広がる痛みに疑念の声と痛苦の悲鳴。そして意識の喪失。 不幸中の幸いは高速前方射出のプログラムにより貫通し、より魔力に優れたモリガンの下へホーミングされたため、魔力や物質を削る特性は十全に発揮されなかったこと。 もしそうでなかったなら、即座に命を落としていただろう。 突然のアゲハの暴挙に即座に反応したのは二人。 犬飼は食蜂を抱えると、川に飛び込む。 ルフィはそれとほぼ同時にまどかに手を伸ばして抱え込むと、タダノの下へと駆け寄る。 タダノの安全が確保されたのを見ると、『暴王』に僅かに怯んだモリガンが刹那遅れてアゲハへと攻撃を仕掛ける。 当然流子はそれをさせじと間に割って入る。 拳打と翼による連撃を繰り出すモリガンを牽制し、片太刀バサミで弾き飛ばす。 遅れてようやく善吉も反応する。 「アゲハ、おまっ、なにやってんだ!?」 なぜその男性を攻撃したのか。 そこまで口にせずとも伝わるだろう、当然の疑問、詰問を口にする。 対するアゲハの表情は申し訳なさのようなものもあるが……僅かながら苛立ちと使命感のようなものを含んでいた。 「あのキャスターは一刻も早く仕留める必要がある。だからマスターを攻撃した」 罪はないとは言わない、だが必要なことだったと言外に主張する口ぶり。 会話が成り立たない、タダノを攻撃するのに結びつかない、殆どの者がそう思った。 しかし、唯一『とある科学の心理掌握(メンタルアウト)』を受けた経験のある善吉は違った。 (アゲハの奴、マスターを誤認させられてるのか……!) 数瞬の思考でその可能性に思い至る。 やつが能力を行使するにはリモコンの操作が必要だと慶次から聞いていた。 そんな素振りは見せなかったはずだが、そうでもなければこの凶行には納得いかない。 「待ってくれ、アゲハは――」 あのキャスターに操られてるんだ。 そう進言して一旦事態を収めようとする。 だが、アゲハに攻撃してきたサーヴァントの方に告げようとすると、なぜか言葉が出なかった。 その装いはまるで物語に出てくる吸血鬼か、はたまた淫魔のよう。 過激さと言うなら、纏だって戦闘時にはそうだったし、めだかちゃんだって脱ぎたがりと言う意味では負けちゃいない。 けれども、なぜかこのサーヴァントの肢体には、媚態には、こみ上げる衝動を抑えきれない。 何をしようとしていた?何を言おうとしていた? 上せた頭で思考は空回り…………その僅かな時でまた事態は動いた。 「鹿目まどか!」 黒いロングヘアーに紫を基調にした装いの少女が突如現れた。 どうやら橋の上部から駆け、飛び降りてきたようだ。 「え!?ほむらちゃん!?」 声を上げたのはまどか。 なぜここに暁美ほむらがいるのか? 疑問はあるが、それでも見知った顔に出会えた安心のようなものを顔に浮かべる。 もしかしたら魔法で怪我を治したりはできないだろうか、そんな期待もあったかもしれない。 「……そう」 それを見て小さく呟くと、右手を高く上げるほむら。 それが合図だったのか数体の人形が続いて現れ、その場にいる一人を除いた全員に対して銃撃を放った。 そのターゲットから外れたものは、鹿目まどかではなかった。 咄嗟に歴戦の戦士たちは動く。 まどかとタダノに放たれた銃弾はルフィが、アゲハに放たれた銃弾は流子が庇う。 さらに自由なモリガンと、銃弾を反射したルフィが銃人形へ反撃する。 「ソウルフィスト!」 「ゴムゴムの“お礼砲”!」 加速した銃弾が、蝙蝠状の光弾が人形を破壊する。 しかしその数瞬で、暁美ほむらは空飛ぶ人形によっていずこへと飛んでいく。 それにはただ一人銃火に晒されなかった人吉善吉も、無理矢理に連れ添わされていた。 「人吉ッ!!」 仲間を気遣う声を上げたのはアゲハか、流子か、はたまた二人ともか。 武器をとり、宝具により消耗覚悟で空を飛び、追うことも考えるが、させるまじとする者がいる。 モンキー・D・ルフィは戦意を滾らせている。 モリガン・アーンスランドも冷たい視線を向ける。 二人からすれば、アゲハたちは突如タダノを攻撃し、そして今の襲撃のきっかけとなった明確な敵だ。 「坊や…いえ、ライダー、タダノをお願い。治療のできるところへ。あの橋からまっすぐ行けばそういう施設があるってタダノが言ってたから」 「いや、けどよ」 「何度もタダノを庇ってくれてありがとう。私じゃあそこまで早く攻撃を感知はできない。 だからお願いしてるの。それにお嬢ちゃんは放っておけないし……コレは私の、よ」 短くやりとりを交わすと、ルフィが頷き、腕を一瞬ポンプの様に伸ばして縮める。 「『ギア――2』」 再び蒸気を上げ、瞬時に地面を何度も蹴るに足る瞬発力を得る。 「いくぞ、まどか」 「え、あ、はい…」 まどかを背負い、タダノを抱えて瞬時に駆け出す。 残されたのはアーチャーのサーヴァントと、対峙するセイバーの主従。 「話の分かるヒト。やっぱりなかなか魅力的ね」 くすり、と艶美な笑みを浮かべて戦闘態勢。 流子も仕方なくそれに対応する構えをとるしかない。 「おいアンタやマスターを攻撃しちまったのは悪かったと思うけどよ、それは多分――」 キャスターが何かしたせいだ、そう流子も思い至った。 だから誤解を解こう、あのキャスターや善吉を攫ったやつに協力して対処しよう。 そう提案しようとしたが 「ああ、いいのよ別に。私にはダメージはないわ。効かなかった攻撃とか、攻撃した理由とか、そういうのは……どうでもイイの」 攻撃したのはキャスターのせい、というのは薄々察している。キャスターと言うのはそう言うクラスだ。 聖杯戦争に勝つならあのキャスターを叩くべきだというのも、おそらく正しい。 攫われた男が仲間だというならそれを救出に行きたいというのも分かる。 けれども、そんな事情抜きで、モリガン・アーンスランドと纏流子は『敵』だろう? ここで攻撃されなくともいずれ敵対するのだし、あの男の救出に協力する義理などないだろう? 操られていたとしてもタダノを攻撃した事実は変わらないし、今回の主犯との協力関係がないと証明されたわけでもない。 それに 「どんなときも、気持ちいいのが正しいの。理解できるかしら?」 目の前にこんな強そうな相手がいて、それと戦える理由があるならお預けなんて、刹那主義者のサキュバスが我慢できるはずがない。 ◇ ◇ ◇ 『まどか、大丈夫か?』 『…はい、私は一応。それよりもタダノさんは……』 『いやー、おれは医者じゃねえからわかんねえ』 高速で走りながらなので念話を交わす。 念話の経験あるまどかと見聞色の覇気を扱うルフィなら、必要なら容易く行使できる。 病院らしき建物をまどかが探している。これなら見落とすことはないはずだ。 『……ライダーさん』 『ん?どうした?』 胸中は様々な疑問が走り回っている。 半分はライダーに対するものではないし、いくつかは些細な疑問だ。 それでも何か話してなければ平静は保てそうになかった。 ライダーなのになぜ車を使わないのか聞こうとも思ったが、いまさら言ってもしょうがないし、走った方が速いとか、忘れてたとか返すのだろう。 だから一つだけ、聞いてみようと思った。 『なんでライダーさんが闘わなかったんですか?』 闘ってほしかったわけじゃない。 状況は混迷して何が起きたのかも、どうしていいかもわからなかったが、それでも破天荒な振る舞いを繰り返してきたライダーが退くというのは、こう言っては何だが意外だった。 『おれだって買わないケンカはあるぞ』 心外だとでもいうように、少々憮然として答える。 構ってられないような些細なものに、友達との無意味な激突、それに自分が手を出すべきではないもの。 今回のは手出しすべきでないものだ。 『同盟は組んだけど、タダノの仲間はあいつだ。だからあいつが闘うっていうならおれは手を出さねえ。 医者に見せるのも大事だしな』 『そう、ですか』 『それにあいつ、すげー怒ってたからな』 『え?』 『仲間を傷つけられたから怒るのは当然だし、おれも怒ってるけどあいつほどじゃねえから。だからあいつが任せろって言うなら、任せる』 仲間のために怒り、仲間を気遣う。 ライダーはもちろんのこと、あのアーチャーもそんなに悪い人ではないのだろうか。 なんでタダノさんは攻撃されたんだろう。なんで攻撃したんだろう。 思考が全く纏まらない。 何よりの疑問は、仲間と自分に銃口を向けた友達のことをどう思えばいいのか、だ。 (ほむらちゃん……なんで……?) 【C-5/橋近辺/一日目・夕方】 【アーチャー(モリガン・アーンスランド)@ヴァンパイアシリーズ】 [状態]魔力消費(小) [装備]タンクトップ、ホットパンツ [道具] なし [思考・状況] 基本行動方針:聖杯戦争を堪能しマスターを含む男を虜にする 1.目の前の男たち(アゲハと流子)と闘う 2.タダノを攻撃したものに怒り。当然キャスター(操祈)にも 3.タダノが少し心配だが、ライダー(ルフィ)に任せる [備考] ※セイバー(リンク)、カレンを確認しました。(名前を知りません) ※リンクを相当な戦闘能力のあるサーヴァントと認識しています。 ※拠点は現段階では不明です。 ※NPCを数人喰らっています。 ※現在の外見はポイズン@ファイナルファイトシリーズ(ストリートファイターシリーズ)に近いです。 ※ライダー(ニューゲート)、刑兆と交戦しました。(名前を知りません) ※C-4の北東部から使い魔の蝙蝠を放ち、バーサーカー(一方通行)を探させています。 タダノから指示を受けたため、他の用途に使うつもりは今のところありません。 ※まどか&ライダー(ルフィ)と同盟を結ぶました。 自分たちの能力の一部、連絡先、学生マスターと交戦したことなどの情報を提供しましたが、具体的な内容については後続の方にお任せします。 ※人吉、セイバー(纒流子)、ルキア、ランサー(慶次)、キャスター(食蜂)を確認しました。 ※学園から拝借(事後承諾)した車は近くに止めてあります。 ※アゲハの攻撃はキャスター(食蜂)が何らかの作用をしたものと察しています。 【夜科アゲハ@PSYREN-サイレン-】 [状態]魔力(PSI)消費(小) [装備]なし [道具]なし [思考・状況] 基本行動方針:聖杯戦争を勝ち抜く中で天戯弥勒の元へ辿り着く。 0.……ひょっとしてやらかしちまったか? 1.目の前のサーヴァント(モリガン)を迎撃する 2.キャスター(食蜂)も気にかかるが、善吉を急いで助けに行きたい [備考] ※セイバー(リンク)、ランサー(前田慶次)、キャスター(食蜂)、アーチャー(モリガン)、ライダー(ルフィ)を確認しました。 ※ランサー(レミリア)を確認しました。 ※『とある科学の心理掌握(メンタルアウト)』により、食蜂のマスターはタダノだと誤認させられていました。 【セイバー(纒流子)@キルラキル】 [状態]魔力消費(中)疲労(中)背中に打撲 、左肩に刺傷(修復済み) [装備]片太刀バサミ、鮮血(通常状態) [道具] [思考・状況] 基本行動方針:アゲハと一緒に天戯弥勒の元へ辿り着く。 1.目の前のサーヴァント(モリガン)に対処する 2.キャスターと、何かされたアゲハが気がかり 3.善吉を助けに行ってやりたい [備考] ※セイバー(リンク)、ランサー(前田慶次)、キャスター(食蜂)、アーチャー(モリガン)、ライダー(ルフィ)を確認しました。 ※間桐雁夜と会話をしましたが彼がマスターだと気付いていません。 ※乗ってきたバイクは学園近くの茂みに隠してありましたが紅月カレン&セイバー(リンク)にとられました。 ※アゲハにはキャスター(食蜂)が何かしたと考えています。 【C-5/橋近辺、車内/一日目・夕方】 【朽木ルキア@BLEACH】 [状態]気絶 [令呪]残り二画 [装備]アッシュフォード学園の制服 [道具]学園指定鞄(学習用具や日用品、悟魂手甲や伝令神機などの装備も入れている) [思考・状況] 基本行動方針:聖杯戦争を通じて霊力を取り戻す。場合によっては聖杯なしでも構わない 1.気絶中 [備考] ※犬飼伊介&キャスター(食蜂操祈)と同盟を結びました。マスターの名前およびサーヴァントのクラス、能力の一部を把握しています。 基本的にはキャスターが索敵、ランサーが撃破の形をとるでしょうが、今後の具体的な動きは後続の方にお任せします。 ※紅月カレン&セイバー(リンク)と交戦しました。 ※人吉善吉を確認しました。 ※ライダー(ルフィ)を確認しました。 ※キャスターとの同盟を破棄する強い決意を持っています。 ※外部からの精神操作による肉体干渉を受け付けなかったようです。ただしリモコンなし、イタズラ半分の軽いものだったので本気でやれば掌握できる可能性が高いです。 これが義骸と霊体の連結が甘かったせいか、死神という人間と異なる存在だからか、別の理由かは不明、少なくとも読心は可能でした。 ※夜科アゲハ、セイバー(纏流子)を確認しました。 ※通達を一部しか聞けていません。具体的にどの程度把握しているかは後続の方にお任せします。 ※キャスター(食蜂)から『命令に従うよう操られています』 【C-6/橋を渡った通り/一日目・夕方】 【鹿目まどか@魔法少女まどか☆マギカ】 [状態]魔力消費(小)、腹六分目 [装備]なし [道具]なし [思考・状況] 基本行動方針:叶えたい願いはあるが人を殺したくないし死にたくもない。 1.キャスター(食蜂)への親近感、タダノへの攻撃、ほむらの襲撃などいろいろあって混乱。 2.タダノの治療のため病院を探す。 3.聖杯戦争への恐怖はあるが、『覚悟』を決めたい。 4.魔女のような危険人物は倒すべき…? 5.タダノさんは… [備考] ※バーサーカー(一方通行)の姿を確認しました。 ※ポケットに学生証が入っています。 表に学校名とクラス、裏にこの場での住所が書かれています。 ※どこに家があるかは後続の方に任せます。 ※アーチャー(モリガン)とタダノは同盟相手ですが、理由なくNPCを喰らうことに少なくない抵抗感を覚えています。 ※セイバー(流子)、ランサー(慶次)、キャスター(食蜂)を確認しました。 ※『とある科学の心理掌握(メンタルアウト)』により食蜂に親近感を抱かされていました。 ※暁美ほむらと自動人形を確認しました。 【モンキー・D・ルフィ@ONE PIECE】 [状態]疲労(微小)、腹一分目 [装備]なし [道具]なし [思考・状況] 基本行動方針:まどかを守る。 1.タダノを医者に見せる。 2.タダノを攻撃した奴についてはアーチャー(モリガン)に任せる。 3.バーサーカー(一方通行)に次会ったらぶっ飛ばす。 4.バーサーカーに攻撃がどうやったら通るか考える。 5.タダノとの同盟や今後の動きについてはまどかの指示に従う。 6.肉食いたい。 [備考] ※バーサーカー(一方通行)と交戦しました。 攻撃が跳ね返されているのは理解しましたがそれ以外のことはわかっていません。 ※名乗るとまずいのを何となく把握しました。以降ルーシーと名乗るつもりですが、どこまで徹底できるかは定かではありません。 ※橋を渡り、まっすぐ(ルフィ主観で)走っています。まどかがいる+市街地なので病院を見落とすことはないと思いますが実際どうなるかは後続の方に任せします。 [共通備考] ※タダノ&アーチャー(モリガン)と同盟を組みました。 自分たちの能力の一部、バーサーカー(一方通行)の容姿や能力などの情報を提供しましたが、具体的な内容については後続の方にお任せします。 【タダノ ヒトナリ@真・女神転生 STRANGE JOURNEY】 [状態]魔力消費(小)、ダメージ(大、致命ではない) [装備]なし [道具]なし [思考・状況] 基本行動方針:聖杯戦争に勝利する 1.気絶中 [備考] ※警察官の役割が割り振られています。階級は巡査長です。 ※セイバー(リンク)、カレン、ライダー(ニューゲート)、刑兆について報告を受けました。(名前は知らない) ライダー(ニューゲート)のことはランサーと推察しています。 ※ルフィの真名をルーシーだと思っています。 ※ノーヘル犯罪者(カレン、リンク)が聖杯戦争参加者と知りました。 ※まどか&ライダー(ルフィ)と同盟を結ぶました。 自分たちの能力の一部、連絡先、学生マスターと交戦したことなどの情報を提供しましたが、具体的な内容については後続の方にお任せします。 ※人吉、セイバー(纒流子)、ルキア、ランサー(慶次)、キャスター(食蜂)を確認しました。 □ ■ □ 『いかがでしたでしょうか?魔女狩りを切り抜けようとする少女の物語は』 『おっと、席を立つのはまだ早い。皆様方の仰りたい事は分かりますとも』 『魔法少女の行動の理由、いなければならない武将の不在。このままでは顰蹙を買って当然です』 『ですがお忘れなく、これは聖杯戦争。全員がサーカスの花形であり、なおかつ黒子なのです』 『それでは次に、この舞台の裏で綴られていた物語を覗いてみましょう……』 □ ■ □ 時は遡る。 多くのNPCを押し付けられ少しばかり出遅れた車内で、戦士たちが話し合っていた。 「夜科、お前は特に警戒しろよ。人吉や俺のマスターのように操られると厄介だ。 リモコンを向けられたら気をつけろ。それらしい素振りをさせるな。 人吉、いざとなったらお前が夜科を止めてやれ」 「へっ、操られやしねえよ、あんな奴に。もっとおっかねえトランス使いの女の子を知ってるんでね」 「まあそのために俺もついていけっていうなら否はねえけどよ……」 気になるのは慶次とルキアのことだ。 キャスターの能力を最も近くで見てきた情報、加えて戦場の経験値と言う意味でも二人はこの場で最も頼れるものと言える。 しかし二人にはすでにキャスターの毒が回っている。 敵がキャスターだけならば、そこは最速のクラスたるランサー、口を開く前に黙らせることも容易いだろう。 しかし飛び入りのライダーや、なにやらもう一騎いるらしきサーヴァントのせいで状況は読めなくなっている。 そのせいで一手遅れたなら、キャスターが高速思考や詠唱などを可能としたなら、そのせいでランサーたちが再び敵にまわってしまったら。 「ま、その心配はもっともだな。想定より面倒な戦場だ……俺がいくとあのライダーと一緒に混乱に拍車をかけかねん。 やることも見つかったし、俺は俺の戦をするぜ」 そう言って一足先にいずこかへ跳び立つ用意。 「お、おいどこ行くんだ!?やることってなんだよ?」 「気になさんな。そっちはキャスターの方に集中しなよ。ああ、マスターはそこに寝かしといてくれればいい。 自分の主君くらい、自分の手で守るさ」 そう言うとともに彼方へと跳び、駆ける。 友軍たちが車を降りてキャスターの方へ向かうのを視界の隅に収めつつ。 ああ、そうだ。マスターは俺が守る。 ついでに言うならこの戦いを、余計なちょっかいからもだ。 どこにでもいるもんだ、漁夫の利を狙う奴ってのは。特にここに至るまでの追っかけっこも、その前の騒ぎも随分目立ってたみたいだからな。 余計な事に気を取られちゃ、あの女を取り逃がしかねん。 横槍は入れさせねえ。介入される前に仕留める。 「覗き見とは、いい趣味してんじゃねえか!」 橋のアーチ上から騒ぎを眺めていた老人と少女、それに向けて超刀を一振り。 接近を感知していたか、あえなく躱されるが、この先は通さないと立ちふさがる。 「じいさん、見物なんてもったいない。踊るあほうに見るあほう、二人とも俺と一緒に踊ろうや」 武器を構えて挑発。 どんな動きを見せるかと思いきや、マスターの方は苛立った目線。 ただし対象は老サーヴァント。 「キャスター……!」 「いや、やっぱり病院じゃなくてこっちにしようって提案したのは僕だけどさ、気付かれるのは本当に予想外だったんだって。 実際他の奴らは気付いてないでしょ?よく気付いたね~、君。すごいすごい、どうやったんだい?」 パチパチと手を叩いて賞賛。 マスターへの態度を見るに真っ当に話を聞く気があるようには思えなかったが、時間稼ぎは望むところなので話に応じる。 「勘だよ。あれだけの騒ぎだ、聞きつける奴は確実にいる。 だったらそいつらはどうするか、目走らせてみりゃ案の定ってわけさ。 ここに根を張ろうとしてたのは予期してなかったが」 「端から見たり聞いたりしてるとね、分かるもんなんだよ~ん。 鬼ごっこで、逃げ切れそうか、はたまたどこかで追いつきそうか。 ゲームも狩りも、定石は待ち伏せさ。特にここは東西をつなぐ唯一の橋だからね、順路は絞りやすかったよ。 道をふさぐならここだと思ったよ。統計だの直感だのとは違う、確実な論理さ」 アーチの上でおどけた調子でバランスを取りながらも、隙は見せず周囲を窺がう。 視界と行く当てを塞ぐように慶次はその身を僅かに滑らせる。 「おっと浮気はよしなよ。恋も戦も、目の前の相手に集中しねえと碌な目に合わんぜ?」 逃がさない、その程度の意の発言だったが思いのほか頭に来たらしく、眉根を僅かに震わせる。 「……ハン、よりによって僕にそんな――」 「戯言はいいわ。ここは任せるわよ、キャスター」 状況が動いたらしく、アーチ下に身を躍らせる少女。 当然その動きを阻もうとする――超刀に引っ掛けて足止めしようとする――が、老人以外の何者かが突如空を舞い、その刃を止める。 「我は軍隊長(カピタン)――カピタン・グラツィアーノ!」 大きな羽飾りが特徴的な、中世欧州の軍人風の装いをした人形が剣を振るい高らかに名乗りを上げる。 その乱入に少女を取り逃がしてしまい、予想外の戦力の登場に慶次も少々面食らった。 「伴天連の騎士ってやつに似せてるのか?よくできてるな」 「いかにも!12世紀の偉大なるアルゴン王の由緒正しき系譜に連なり、7つの爵位を持つ自分は代々軍隊長として造物主様のもと存分に剣を振るってきた! 我が剣はかつての聖杯戦争でも13のサーヴァントを切り裂き、彼奴らの恐怖の的だったのだ!」 「ほ、名乗り口上まで上げるたあよくできた絡繰りだ。だが人形遊びにゃ付き合ってられねえんでな、押し通るぜ!」 飛んでいるのは厄介だが、かの戦国最強に比べればまだやりようはある。 そう考え武器を振るう慶次の背後から、フェイスレスがそのクラスに相応しくない鋭い攻撃を浴びせる。 咄嗟に受け止めて弾きとばし、前後に敵を置いた状態になる慶次。 「浮気はよくないんだろう?なら僕のことも忘れちゃダメだぜ……ここは通せないなあ」 「恋も戦もかけひきが大事なんだ。どちらも押しの一手が大事だけど、押し方にもいろいろあるんだぜ?」 軽口をたたき合いながらも即座に交錯。 「撃破!(ブラカッソ!)」 追撃するカピタン、突撃しながら刺突の連打。まるで炎の矢の如く。 慶次はその連打をいくつかはいなし、いくつかは躱し、さらには膂力とリーチの差を生かして後ろに投げ飛ばす。 フェイスレスは投げ飛ばされたカピタンを姿勢を低くして躱し、右手に工具を構えて突撃する。 「分解……」 ぽつりと呟き、振るわれた右腕とその突撃、慶次なら容易く回避できるだろうそれ。 しかし足場ゆえか、数の不利ゆえか辛うじて飛び越えるようにして避ける。 「穏やかじゃなさそうな技だな、おい!」 そして空中から着地する前の刹那で超刀の一撃。 工具を複数束ねて受け止められるが、衝撃で距離をとり着地と構えの猶予を得る。 「…ああ、気付いてないみたいだから教えてあげるけどさ、『分解』しようとしたのは君じゃあないよ」 その言葉が言い終るか否か、慶次が足をつけた瞬間にアーチの鉄骨が一本落ちる。 僅かの衝撃で外れるよう『分解』されていたのだ。 歴戦の武将と言えど足元がおぼつかなくては隙も生じる。 ぐらついたその間隙を突かんと、投げられて結果的に背後に回っていたカピタンが飛び、鋭い突きを打ち出す。 巨大な刀は前面で構えている、不確かな姿勢でその得物を扱い不意打ちを受けることも躱すことも不可能、そもそも軌道の確認も出来まい。 その確信は概ね正しい。 カピタンの刃は躱されることも、超刀に防がれることもなく…………その背に回した鞘に阻まれた。 響くのは肉を貫く音ではなく衝撃音。 その反動も利用して体勢を立て直す慶次。 (偶然か……?いや、僅かに鞘の位置を調節していた。もしや狙ったのか!?) 「どうしたよ、随分驚いてるが」 改めて超刀を構える。 返り血など一滴もないその刃は輝き、覗き込むものを映しだしている。 「……まさか!?」 「まさか刃に映して背後からの攻撃を見てるとは思わなかったかい?」 曇りなき巨大な刃。 それは慶次の不殺という信念と、敵の姿を映す鏡となる。 NPCだからといって命を奪わず、血に染まらず歩み続けた故の武運ならぬ武功。 この時点で、二人の格付けは済んだ。 技巧でも、信念でも、積み重ねたもので英雄、前田慶次に空っぽの人形では及ばない。 だが、この戦場の決着は一対一の決着するものではない。 響き渡る銃声。 それは下方、乱入させじとしたはずの戦場から轟いた。 慶次の味方に鉄砲の使い手はおらず、キャスターも、拳を振るった点からおそらくはあのライダーも違う。 もう一人サーヴァントはいたようだが、数の差でキャスター相手にそれを行使することになるとは思い難い。 ならば、これはこちらに不利益なものだ、そう確信し武器を握る力が増す。 仮にこの場の敵を全て下したとしても、キャスターを取り逃がしては、味方に死者が出てはこの戦に勝ったとは言い難い。 急ぎ決着を、とキャスターに切りかかるが 「透明の、巨大クマちゃ~ん」 何かに阻まれ攻撃は届かない。 いや、それどころか前進もできない。 「新手かッ…!」 「はじめまして、剣士さん。ワタクシはディアマンティーナ、そのクマちゃんはワタクシの友達ね。 急がないと爆発しちゃうから、タイヘンよ~、早く逃げなきゃ!」 造物主に近似した、おどけた振る舞いに確かな害意。 それは二つ並ぶととても悍ましく映る。 「……ちっ、色々言いたいことはあるがよ。女形の人形ならそのじいさんそっくりな振る舞いはやめた方がいいぜ」 「あら、ワタクシとあのお方がお似合いなんて嬉しい~!そう思いませんか、キャスター様?」 「それともう一つ……俺は剣士じゃねえ」 構えた超刀にその鞘を差し込み、槍兵としての真価を露わにする。 今必要なのは鞘による防御、超刀での速度ではない。 朱槍による、圧倒的な豪の一撃。 全身を駆動し、朱槍を振るう。それで囲んだ透明なモノを破り、そのまま女人形もキャスターも打ち倒そうと向かう。 「小鳥さん♡」 しかし囲みの破壊で思った以上に消耗したか、空を飛ぶ鳥型の自動人形数体に阻まれる。 そこへクマ型の自動人形が、キャスターが追撃する。 そこまで辛うじて対処するが 「血と雷!(サングレ・イ・フェーゴ!)」 「うぁッ…!」 三手目であえなく詰み。 カピタンの必殺剣をあえなく受け、川へと落ちて水柱を上げる。 「やるじゃない、グラツィアーノ。あれならまず生きてはいないわね」 「ああ、確かに急所を貫いたはずだ。生きていたとしても、令呪を用いた超回復でもしない限り無事ではいまい」 「そうかい……」 川を見下ろす二体の人形とその造物主。 そこへさらに新たなキャストが加わる。 「ただ今戻りました」 「お、それじゃあ急いで遊園地まで戻らないとね」 飛行する人形に抱えられ姿を見せたのは紫を基調にした衣装をまとった少女と、意識を喪失した学生服の少年。 暁美ほむらと人吉善吉。 「派手にやったってことは予想通りだったんだ?」 「はい。桃色髪の少女は私の顔を見ると、名前を呼んで安堵の表情を見せました」 「そっかぁ、やっぱりなぁ~。そこまで伏せられちゃあ、こうしても仕方ないよねえ……君もそう思うだろ、アプ・チャー?」 「造物主様の御心のままに」 暁美ほむらの姿をした自動人形、アプ・チャーにそう語る。 彼女に下されていた任務は桃色髪の少女――鹿目まどか――が暁美ほむらと近しい関係であるか確かめよ。 もしそうであったなら、サーヴァントを持たないマスターが一人いるはずだから攫って来い、の二つ。 「随分予定は変わっちゃったけど、いい仕事をしてくれたよ。君たちもね」 「ありがたいお言葉」 本来なら病院で迎え撃つはずだった騒動。 しかしこの騒動に関わりそうな主従はかなりの数に上ったし、そもそも病院に至るまでに決着しかねないのがまずかった。 これが乱戦となれば脱落するマスターの一人や二人出てもおかしくはない。 つまり、マスター不在のサーヴァントが出てきかねない。 そうなった時に暁美ほむらがどのような行動に出るか、計りかねた。 重要になってくるのは彼女の願い、目的。ひいては執着。 ……それは間違いなくあの桃色髪の少女に向かっていた。 それが敵意であるなら、この騒動のついでに攫いでもすれば暁美ほむらはまだ御せる味方だ。 だがそれが執着の域にまで至った好意であるなら、暁美ほむらとの敵対は避けられない。 彼女は好意の対象を倒せはしないだろし、逆に守るためならサーヴァントでも友人でも利用するだろうし、そしてその願いや想いすら踏みにじれるだろう。 僕のことも、切り捨てるだろう。少々からかいすぎたし。 彼女はマスター不在のサーヴァントが出来たなら、おそらくこちらを切ってそいつとの再契約を考える。 ならそうなる前にこちらが動くしかない。 すでに脱落したアサシンが一騎いるのは聞いていた。 アポリオンの映像で、サーヴァントを連れていない男も確認していた。 それがこの騒ぎに参入していることも。 そいつと、再契約する。 そのために色々動いた。 病院でなくここに移動することで暁美ほむらから地の利を奪う。 アプ・チャーなら僕が手を加えずとも独力で変装できるから、作成。 他必要な人形を遊園地からこちらに潜ませておく。 予定じゃここで暁美ほむらは止めといて、奇襲をかけるつもりだったからまさかの襲撃には焦った。 あげく彼女がどこか行きそうなときはあのサーヴァントに止めてもらおうかと思ったけど、騒ぎとは別方向に向かったからそのまま行かせちゃった。 あのサーヴァントも気に喰わないやつだったし、どっか行ってもらった方が都合よかったし。 ギリギリにはなっちゃったけど、さすがは僕。人形繰りも綱渡りもサーカス芸ならお手のものだ。 「さて、あとは……再契約だ。グラツィアーノ、ディアマンティーナ、君たちも頼むよ」 元より自動人形の長で懸糸傀儡作りの達人。 糸を繋いだり切ったりはお家芸だ。 全員がかりで魔力を致命的なまでに吸い上げる。サーヴァント三騎に相当する全力の魔力供給はいかな魔術師とて賄えるものではない。 ……供給が断たれ、絶命したと判断。当然死んだマスターとのパスは途絶える。 その後に善吉に向かう。 「粘膜の接触と体液の交換が一番手っ取り早いんだよね~、確か」 小さな傷を作り血液をなめとる。 そして頭部を掴みあげ、善吉の口を開けさせる。 そして開いた口を顔近くまで近づけて、自身の首筋に傷を作ってそこに口を押し当てる。 傷と口腔の粘膜接触、そして血液を交換して契約状態に持っていく。 「さて、これでよし……起きたら頼むぜ、マスター」 血液を与えるのは契約に加えて『生命の水(アクア・ウイタエ)』を飲ませる意味もある。 「さあ、いったん帰ろう…おっとその前に。 アプ・チャー。君はその恰好のまま僕と一緒に。美樹さやかちゃんをうまく取り込んで戦力にしたいからね。 そのために完璧に彼女を演じられるよう、まどかちゃんだっけ?彼女からも情報を得ないとね」 人吉善吉(ぼく)がその辺の渡りもつけられたらいいな、と漏らしながら。 フェイスレスが最も信じているのは、最後の四人でもフランシーヌでもなく、自分なのだ。 人吉善吉が、しろがね犬やディーンの様に白金の記憶に染まったなら誰よりも何よりも信頼できるだろう。 □ ■ □ 「やあ、人吉善吉君。初めまして、そしてこれからこの部屋は僕のモノだ」 「お前……誰だ?それにどこだよここ?」 やけにがらんとした部屋に男が二人。 奥に座す主人、人吉善吉と外から入ってきたばかりの新参、フェイスレス。 「君の頭の中さ。この記憶という部屋は、『生命の水』という扉を通して入ってきた僕がこれから使うんだ。 たくさんいた君も殆ど僕が追い出した。だから君も……出て行きな」 「出て行きな」 「出て行きな」 「出て行きな」 「出て行きな」 「出て行きな」「出て行きな」 「出て行きな」 「出て行きな」「出て行きな」 頭の中をフェイスレスの記憶が埋め尽くす。 それを表すように部屋の中も大量のフェイスレスで溢れかえる。 邪悪なれど200年の時を歩んだ英霊、その記憶の重みに『人吉善吉』が塗りつぶされそうになるが 「行儀の悪りィ客だな。茶漬けでも食らってろ」 ゴウ!と白い翼が群がるフェイスレスを薙ぎ払い、『人吉善吉』を守る。 「僕もいるよ。例え火の中水の中、あの子のスカートの中でも君の頭の中でもどこにでも」 「安心院さん……それに、お前は」 学生服を纏い、白い翼で飛ぶ長身の男。どこかで確かに見た覚えがある。 「ああ、いい。あのアマのせいで俺のことは思い出せないみたいだからな。まあそれが幸いしたみたいだが」 「どういうことだ……なぜ未だに自我を保っていられる?お前らはなんだ?」 英霊の魂の重みは人間の比ではない。 その記憶が流入している以上、普通なら耐えられるはずがない。 何者かの助けがある、それが目の前のこいつらだ。 「知ってるか?人間の脳ってのはよくできててな、物理的に脳味噌削られでもしない限り、記憶ってのは消えることはないんだとよ。 思い出せない、っていうのは記憶にアクセスできないってことなんだそうだ。 今、人吉は俺とあのアマのことを『認識』できず、『思い出せない』状態だ。 お前がどんな裏口使おうと、『心理掌握』を破れない限り人吉の記憶全てにアクセスして食い尽くすことはできねーんだよ」 最後の砦として残ったのが二人の超能力者の記憶と言うわけだ。 よく見れば部屋の隅でハニーブロンドの少女がお茶を飲んでいる。 「ふざけるなよ……その程度の異常なら『生命の水』によって復元する。 だいたいそんな僅かな記憶に自我を残しただけでは、サーヴァントの記憶に抗える理由としては不十分だ…!」 「超能力者(レベル5)を舐めんな。 賢者の石から直接ならともかく、スキルにすらなってない技術で、宝具にまで昇華した能力を容易く治せるかよ。 生前ならともかくサーヴァントってのはそういうもんだろ。自我云々は――」 「ああ、そっちは僕が話そうか」 かすかな、しかし確かな意識で抗う善吉を助けるような弁論の場に安心院なじみが加わる。 「前にも言ったけど、僕は平等な人外だから決して助けはしないよ。 そして以前与えたスキルが偶然助けになってしまったからと、それを没収するなんて不利になることもしない。 敵にも味方にも、良くも悪くも平等に。今回もあくまで偶然だからね。 そうだな、球磨川くん風に言うなら『僕は悪くない』」 「『欲視力』なんて物が何の役に立つ!」 既に記憶の大半は把握しているのだから有する能力も分かる。 しかしそれがこの場で何の意味を成す。 「他人の視界を覗くこと、それ自体は役に立たないだろうねえ。 これは人吉君のパートナー体質……人の視点に立って考えることができる彼にお似合いのスキルだけど。 今回重要なのは彼が他人の視界を覗きながら、それを他者のものだときちんと認識してきたことにある。 この『生命の水』はあくまで記憶を与えるだけで、塗りつぶすわけじゃあない。 その記憶が他者のものだと認識できれば、自己を見失うことはないだろう? 過負荷に悪平等(ぼく)、サーヴァントの視界も覗いた経験のある彼を乗っ取りたいなら、『生命の水』なんて溶媒を混ぜて薄くなった記憶を送るんじゃなく、きちんと手順を踏んでダウンロードしなければ確実とは言えないね」 最後に見下したような笑みを深め、憮然とするフェイスレスを一瞥し善吉の隣に立つ。 もう一人の仲間は隣に下り立ち、肩に手を置く。 「期待してるぜ、人吉くん。欲視力による経験はあくまで僅かな耐性でしかないんだから、この先乗っ取られずにいられるかは君しだいだ」 「『自分だけの現実(パーソナルリアリティ)』を強く保て。俺のことを忘れるのはともかく、自分自身が誰かまで忘れるんじゃねえぞ」 二人に背を押され、朦朧としていた頭が晴れてくる。 それと共に、自分が誰か、あの老人が誰なのか『理解』が進む。 ……蹴り出してやるよ、爺さん! 「俺の頭から出て行ってもらうぜ、フェイスレス!」 「舐めるな!キサマさえ喰らってしまえばこの部屋は僕のものだ!」 器の奪い合い。 サーヴァントとマスターとしてではなく、一個の人間同士が一つの体を奪い合う戦いが誰にも知れず発生した。 【C-6/橋のアーチ上/一日目・夕方】 【人吉善吉@めだかボックス】 [状態]気絶、しろがね化進行中 [令呪]残り二画 [装備]箱庭学園生徒会制服 [道具]なし [思考・状況] 基本行動方針:キャスターを討伐し、アサシンの仇を取る? 0.気絶中 1.??? [備考] ※アッシュフォード学園生徒会での役職は庶務です。 ※相手を殺さなくても聖杯戦争を勝ち抜けると思っています。 ※屋上の挑発に気づきました。 ※学園内に他のマスターが居ると認識しています。 ※紅月カレンを確認しました。 ※キャスター(操祈)を確認しました。 →加えて操祈の宝具により『食蜂操祈』および『垣根帝督』を認識、記憶できません。効果としては上条当麻が食蜂操祈のことを認識できないのに近いです。これ以上の措置は施されていません。この効果は未だ続いています。 ※セイバー(リンク)を確認しました。 ※朽木ルキア、ランサー(前田慶次)を確認しました。 ※ライダー(ルフィ)を確認しました。 ※フェイスレスと再契約しました。 ※フェイスレスの血液を飲んだことでしろがね化が進行、記憶や知識も獲得しています。 ※『とある科学の心理掌握(メンタルアウト)』による操作と『欲視力』により得た他者認識力により、フェイスレスの乗っ取りに抵抗しています。今後どうなるかは後続の方にお任せします。 【キャスター(フェイスレス)@からくりサーカス】 [状態]魔力充填(小) [装備]特筆事項無し [道具]特筆事項無し [思考・状況] 基本 聖杯を手に入れる。 1.陣地へ帰還する。 2.アプ・チャーを上手く使って美樹さやかを利用したい。 3.暁美ほむらの情報を得るために桃色髪の少女(まどか)と接触したい。 4.善吉が起きたら色々と話を聞く。 [備考] ※B-6に位置する遊園地を陣地としました。 ※冬木市の各地にアポリオンが飛んでいます。 現在、さやか、まどか、タダノを捉えています 。 ※映像越しにサーヴァントのステータスを確認するのは通常の映像ではできないと考えています。 ※ほむらから伝聞で明とルフィのステータスを聞いています。明についてはある程度正確に、ルフィについては嘘のものを認識しています。 ※バーサーカー(不動明)を己の目で確認しました。 ※暁美ほむらは何か隠し事をしていると疑っています。 ※美樹さやかと暁美ほむらの関係を知りたがっています。 ※ピンク髪の少女と暁美ほむらには繋がりがあると確信しています。 →アプ・チャーの報告から親しいものと認識。 ※ランサー(慶次)と交戦しました。 ※セイバー(流子)、アーチャー(モリガン)を確認しました。 ※ほむらとの契約を破棄、善吉と契約しました。ほむらは死んだと思っています。 ◇ ◇ ◇ 「……ごほっ、結構流されたな」 橋より川下へ、数里。 咽ながら前田慶次が岸に姿を現した。 「どうにか防ぎはしたが……ど付き合えて、兵隊を呼べるキャスターとは厄介なの相手にしちまったな」 サーヴァント級の実力者三騎はさすがに一筋縄ではいかない。 それでも慶次ならフェイスレス、カピタン、ディアマンティーナとわたり合えた可能性はある。 万全の慶次なら。 今の彼を苛む令呪の縛り、『キャスターの命令を聞け』。 このキャスターとは当然食蜂操祈のことを指して使われたのだろうが、この地にキャスターはもう一騎存在するのだ。 暁美ほむらの言葉により老人をキャスターと認識し、そのキャスターに刃向かうのは僅かながら令呪に抗う行為。 本来意図した命令と違う物であったため、また保持する対魔力によって戦闘自体は可能としたが宝具は解放できず、体はうまく動かず。 あえなく敗れ、カピタンの一撃を喰らってしまった。 (あの剣戟、防ぐには足を犠牲にするしかなかったからな……この状態じゃ移動も戦闘も厳しい) そも霊体であるサーヴァントなら多少のダメージは現界に影響しない。 足に受けたダメージも生前なら重傷だが、サーヴァントなら魔力供給さえあれば問題ない程度のもの。 しかし歩行・走行には差し支えるし、同格の相手との戦闘はまず無理だ。 逃れた女キャスターを探すか、老キャスターへのリベンジか、マスター達と合流し令呪の解除を頼むか。 いずれにせよ、今のコンディションのままでは良い方向には転がらないだろう。 一時、回復に努めることを決める。 「…お、こいつは丁度いい」 そうと決めて休めるいい位置がないかと見渡すと、何やらラップされた物が流れ着いていた。 「握り飯か。そういやキャスターの奴が買ったとか言ってたな。えーと、どうやるんだこりゃ?」 適当にビリビリ包みを破り、落ちていたコンビニで売っているようなおにぎりをかっ込む。 落ちていたものを口にするなど不用心、とも思えるが敵が落としたものや樽の中から出てきた物を食べるなどしょっちゅうだった。 それにサーヴァントは細菌による食中毒にも、神秘のない毒でのダメージもない。 宝具などなら別だろうが、ラップされたおにぎりに混入など余程微細なものか作った段階で入れるかでなければ無理。 そんな心配よりも傷を癒すために食って、休む。 「ちょいと、一服」 『休息・眠りの一時 誘うは魅惑の夢心地(ゆめごこち)』発動。 目覚めたとき、再び彼の戦は始まるだろう。 【B-5/北東の川辺/一日目・夕方】 【ランサー(前田慶次)@戦国BASARA】 [状態]疲労(小)魔力消費(中)右脚へのダメージ(大)、『休息・眠りの一時 誘うは魅惑の夢心地(ゆめごこち)』発動中 [装備]朱槍 [道具]なし [思考・状況] 基本行動方針:この祭りを楽しむ 0.Zzz…… 1.マスターたちの元へ戻るか、女キャスター(食蜂)を追跡し倒すか、老キャスター(フェイスレス)にリベンジか。 2.マスターが用済みとなって消される前に勝負を決める。 [備考] ※犬飼伊介&キャスター(食蜂操祈)と同盟を結びました。マスターの名前およびサーヴァントのクラス、能力の一部を把握しています。 基本的にはキャスターが索敵、ランサーが撃破の形をとるでしょうが、今後の具体的な動きは後続の方にお任せします。 ※紅月カレン&セイバー(リンク)と交戦しました。 ※人吉善吉を確認しました。 ※ライダー(ルフィ)を確認しました。 ※キャスターとの同盟を破棄する強い決意を持っています。 ※キャスター(食蜂)を装備と服装から近現代の英霊と推察しています。 ※読心の危険があるため、キャスター(食蜂)対策で重要なことはルキアにも基本的には伏せるつもりです。 ※中等部の出欠簿を確認し暁美ほむらの欠席、そのクラスにエレン・イェーガーが転入してくることを知りました。 エレンについては出欠簿に貼ってあった付箋を取ってきたので更新された名簿などを確認しないかぎり他者が知ることは難しいでしょう。 ※令呪の発動『キャスターの命令を聞くこと』 ※キャスター(フェイスレス)、カピタン、ディアマンティーナと交戦しました。 □ ■ □ 『ご覧頂けましたか?飽き性の道化が新たな器を求めて奔走する物語が裏では紡がれていたのです』 『さて、これで魔法少女の不審な行動と戦国武将不在の理由は語られました』 『とはいえ、これもまた物語の一欠片にすぎません』 『姿をくらませた少女たちはいずこへ?未だ姿を見せぬ戦士は何を?新たな疑問が芽生えていることでしょう』 『それでは視線をあちらへ……幕を引くには、まだしばしの猶予があります』 □ ■ □ 街の東西をつなぐ橋から川を下った、港を臨む河口付近の緑地。 その近くで二人の少女が川から上がっていた。 「しっかりしてよぉ、犬飼さん……!」 軽い口調に似あわない必死の形相で己がマスターを岸に引き上げる。 飛び込むタイミングの指示は食蜂が、そして実際の飛び込みは体力に優れた犬飼が行い、無事逃亡できたのはよかった。 しかし少し泳いだところで犬飼がダウン、そこからはただ流され続け遥か下流。 中学時代もカナヅチで、生涯着衣泳の訓練なんてしなかった。ましてや人ひとり抱えて泳ぐことなど食蜂操祈にできるはずがない……サーヴァントとして情けないといったらないが。 霊体であるため溺れることがないのは幸いだったが、岸に上がるのは流れの弱くなるのを待つしかなかった。 「あー……死ぬかと思った❤本当にこれ以外なかったの?」 気だるげにしながらも憎まれ口を叩くマスターに大丈夫そうだと安心する。 「ベストとは言わないけどぉ、ああなったら仲間割れさせてその隙を突くしかないって言ったでしょ?」 病院に逃げ込み、人混みを利用する。 それは自分たちの戦略としてはとれる策としてそれなりのものではあったが、辿りつけねば意味はないし、仮に辿りついてもあのライダーには意味をなさなかったのではないかと思う。 NPCがあえなく倒され、追いつかれそうな時点で方針変更。 攫った少女――鹿目まどか――の記憶を読み対策を考案。 ライダーことモンキー・D・ルフィの能力と同盟者タダノヒトナリとアーチャーの存在、他多数の情報を得る。 アーチャーの詳細は不明だが、ライダーには泳げないという弱点があることを把握。 鹿目まどかを交えライダーと交渉、新たな同盟者を得る。 失敗した場合ランサー、もしくは他の誰かを利用し、アーチャーとセイバーを止めて川へ逃げることでライダーを撒く。 以上を新たな方針として考えていた。 洗脳候補はライダーかセイバーが筆頭。 しかし今後を考え、ライダーとの交渉を優先するなら始めから支配下に置くのは心象的に避けたかった。 といってサーヴァントの前で宝具によるマスター掌握からの令呪使用というのはラグがあり過ぎ、対応される可能性大。 追いすがるサーヴァントは全員が対魔力持ちで直接の掌握が効かないだろう。 そこで独力でかなりの攻撃力を持つ夜科アゲハに別マスターを攻撃させて仲間割れを狙った。 そのために色々と犬飼にも車内で準備・協力を求め、肉体的な無茶もさせた。相当に消耗しているだろう。 「少し行けば麒麟殿温泉っていうの言うのがあるらしいわあ。そこに向かいましょう」 鹿目まどかから得たもの、他にも道中やNPCから得た情報がある。 その整理と休養などを兼ねて北部の施設に向かおうとする。 「……!伏せて、犬飼さん!」 そこへ響く銃声。 犬飼目がけて放たれたそれを咄嗟に庇う。 魔力を感知し、振り返れば銃口。 ただの銃でサーヴァントを傷つけることはできない、そうした打算込みで犬飼を庇って身を晒すが 「あ……くぅ……!」 何らかの魔術的付加をしていたか弾は食蜂の体を貫く。 腹部に二発、胸部に二発。 即死には至らないが動きを止めるには十分なダメージ。 犬飼はここに至るまでの消耗のせいか碌に身動きが取れない。 それを確認すると下手人がとどめを刺すために物陰からはっきりと姿を見せる。 「あなた……暁美ほむら、さん?」 「そう、私のことを知っているのね。魔法少女には見えないから彼女から聞き出していたのかしら?」 覗き見た覚えのある人物の名を呟くと、肯定の言葉を呟きながら銃を改めて構える。 うっすらと紫色の光を纏ったそれが頭部にポイントされる。 「マスターを仕留めての再契約も考えないではなかったけれど……」 庇うというのは予想外。 とはいえパラメータは明らかに今まで見たサーヴァントの中でも最低だし、なによりまどかに危害を加えた女だ。 結局最後はこうしていたかもしれない。 そもそも内輪揉めを始めた川上の面々に混ざって狂騒を加速させるより、こちらに来るべきと考えたから追ってきたのだ。 まどかは自身のサーヴァントに守られている。 同盟者もいたので、サーヴァントの数では有利。 キャスターと武将風のサーヴァントは互いのことで精いっぱいのはず。 なら私は逃げ延びようとしているまどかの敵を、仕留めようなければと。 「今からこのサーヴァントを倒すわ。あなたはテレフォンカードで帰還するのね」 人間を撃つ羽目にならなくてよかった、僅かに感傷的になりつつ。 引き金を絞ろうとすると (リモコン……?) 鞄から何か投げられたから回避して見れば。 溺れる者は藁をも掴むというか、末期の抵抗の儚さに呆れのような悲哀のようなものを覚えるが 「幻想壊し☆(ブロークン・イマジン)」 ドン!と音を立ててリモコンが爆ぜた。 それを確認すると続けてカバンの中身をぶちまけ、さらに吹き飛ばす。 このリモコンは道具作成スキルで生み出した、微量ながら魔力の塊。 彼女にとってリモコンは宝具『とある科学の心理掌握(メンタルアウト)』の行使に不可欠とまではいかなくとも必要な、いわば宝具の一部。 通常宝具というのは英霊にとっては生前共に在り続けた半身であり、それを壊すというのはその身を裂くほどの精神的苦痛を味わう。 だがこのリモコンは宝具に不可欠の存在でありながら、焦がれた人は投擲という戦術をとり……自身もかつて投げ当てた。 だから、その気になれば『壊れた幻想(ブロークン・ファンタズム)』に近似した魔力の暴発という戦術も取れる。 恐らくは食蜂操祈の持つ最大火力。 直撃すれば人間なら少なくないダメージが見込めるだろう。 しかしそれはあくまで当たればの話。 食蜂の投擲技術はペットボトルをゴミ箱に入れるのも難儀するレベルだ。 一帯にまとめてばら撒くことで範囲攻撃としてその欠点を補おうとしたが、暁美ほむらと食蜂操祈は直接戦闘の経験値の差が大きかった。 限定的とはいえ、下位の英雄には匹敵するほどに幾度も魔女や魔法少女との闘いを切り抜けた魔法少女と、人の心を操り、自らの体を鍛えることなんてしない超能力者。 最初の爆発で事象を見切り、短時間とは言え時間を止めれば回避は容易。 爆炎が晴れると同時に銃撃を放とうとするが 「な…!こ、れ…は」 急激に魔力が流れ出し、ソウルジェムが黒く染まる。 穢れゆえか、魔力を失う倦怠感ゆえか意識が遠のき銃を取り落とす。 (こんな時に……!) フェイスレス、そして二体の人形による魔力搾取。 まさかそこに殺意があるなど思いもよらず、向こうも戦闘が激化していると想定する。 敵にとどめを刺そうとしたタイミングでこれはあまりに間が悪い。 そして消耗を心配してソウルジェムに意識を向けると、穢れは大幅に増し、さらに追い打ちの様に巨大な魔力反応。 サーヴァントのものだ。 (この…本当に間が悪すぎるわ、あのキャスター……!) 恨みごとを心中吐くが、どうしようもない。 令呪で何か命じるなど思いも及ばず、本能的に右手を盾の中に伸ばしグリーフシードを取り出す。 そして盾を捻り時を止め、撤退する。 僅かながら目にしたサーヴァントの戦闘、出し惜しみをしていては即座に命を落としかねない。逃げるのにも全力を出す。 流れざまにグリーフシードを使い、止まった10秒を全力で駆ける。 時が動き出しても強化された身体能力での足は止めずに十分な距離を稼いだ。 しかし、次の瞬間には自分の中で何かが切れるような感覚。 慌ててもう一つグリーフシードを取り出そうとするが、その瞬間には左手に宿したソウルジェムが深い闇に染まる。 ソウルジェムの奥底、自身の本質が変貌し、肉体という器から溢れそうになる。 自分が、消えていく―― (あ………そ………) 魔女になってしまう。 聖杯が手に入らない。 それはみな些末事。 ただ、まどかのことを助けられないのが口惜しい。 いや、まだそうとは決まっていない。彼女は未だインキュベーターと契約していなかった。 なら、彼女が聖杯を手にするなら魔法少女になることはないはず。 そのために動け。 魔女と化して、先ほど襲撃した主従ともう一人いたサーヴァントを喰らえ。できるならば他の敵も呑み込め。 まどかを助けるためならばこの身が堕ちようとかまわない。 歪んだ希望と献身を胸に昇天せず堕天する。 思えば、まどかのために何度も傷つき、苦しんできた。 沢山のまどかを見てきた。 次々とそれが走馬灯のように目の前に浮かぶ。 エイミーを抱きかかえたまどか、クラスメイトと笑うまどか、家族のことを自慢げに話すまどか、私を庇って弓を構えるまどか。 巴マミに弓を引いたまどか、佐倉杏子と共に魔女となった美樹さやかを助けようと在りもしない手段を探すまどか。 美国織莉子に殺されたまどか、巨大な魔女となり世界を呑みこむまどか。 髪を伸ばし、ドレスと翼を翻したまどか。 …………? 待て、なんだこれは。私はこんなの知らない。 この世のものとは思えない神々しさすら感じるまどかに、なぜかこうしなければならない気がして手を伸ばし――― 「まどかあぁぁぁッ!!」 現実に帰還した。 伸ばした両手、右手に握ったグリーフシードが左手のソウルジェムの穢れを移しとっていた。 (まどかが、助けてくれた……?) 数多の時間軸でも見たことない姿のまどか。幻覚だったのだろうか。 しかし、偶然かもしれないが魔女と化さずにすんだ。 なぜかまどかに両の手を伸ばさなければいけない気がして、その動作がソウルジェムの浄化に繋がった。 そして、美樹さやかは何か私の知らないモノを知っている。 何とかの理、とかいう。 次に会ったら確かめるべきだろう。 それより今は (グリーフシード……放っておくわけにはいかない) 取りあえず盾の中にしまう。 試したことはないが、時間跳躍についてくる、しまったものが劣化しないなど外とは時間の流れが異なるようだし、グリーフシードが孵る事もないだろう。 最悪魔女は仕留めるしかないが、余計な消耗はしたくない。 なぜならば、キャスターとの繋がりが感じられなくなっていたから。 (魔女になるほどの魔力を持って行って、それでも負けるなんて……情けないにもほどがあるわね、まったく) 魔力が必要ということは戦闘が激化したのだろう。 そして今繋がりが感じられないということは消えたのだろう。 となると新たなサーヴァントを探さなければ、まどかを守るためにここに留まることはできないことになる。 (さっきの金髪のサーヴァントは手に入れるのは難しくなさそうだけど、正直強いとは思えない。 橋の騒ぎの展開次第では手に入るかしら?丁度今しがた感知した未知数のサーヴァントを狙う? 美樹さやかか、最悪まどかに協力を仰ぐことも考えるべきかもしれない。彼女たちのサーヴァントも考慮する…必要がある。 それなら、ここでの連絡先は……まどかの向かっていた学園でわかるかしら?) 【B-5/川辺/一日目・夕方】 【暁美ほむら@魔法少女まどか☆マギカ】 [状態]魔力消費(中)、苛立ち [令呪]残り3画 [装備]ソウルジェム@魔法少女まどか☆マギカ [道具]グリーフシード(個数不明)@魔法少女まどか☆マギカ(二つ穢れが溜まりきっている) [思考・状況] 基本 聖杯の力を以てまどかを救う。 1.新たなサーヴァントを手にする。 2.美樹さやかやまどかのこの地での連絡先を知るためにアッシュフォード学園に向かう? 3.次に美樹さやかに在ったら『鹿目まどか』について聞く。 4.キャスターに対するかなり強い不快感。 ※自分の能力の制限と、自動人形の命令系統について知りました。 ※『時間停止』はおよそ10秒。連続で止め続けることは難しいようです。 ※アポリオン越しにさやか、まどか、タダノ、モリガン、アゲハ、流子、ルキア、慶次、善吉、操祈の姿を確認しました。 ※明、ルフィのステータスと姿を確認しました。 ※美樹さやかとの交渉期限は2日目正午までです。 ※美樹さやかの存在に疑問が生じています(見たことのない(劇場版)美樹さやかに対して) ※フェイスレスは武将風のサーヴァント(慶次)に負けて消失したと思っています ※一瞬ソウルジェムに穢れが溜まりきり、魔女化寸前・肉体的に死亡にまでなりました。それによりフェイスレスとの契約が破棄されました。他に何らかの影響をもたらすかは不明です。 ※サーヴァントとの契約破棄を確認(一日目夕方)、これより六時間以内に帰還しない場合灰となります。 ◇ ◇ ◇ 「あの女、どこに…?」 「逃亡力全開、なんでしょ。新手が来てるんだから……」 「新手?って」 なによ、と声を出そうとした瞬間にその答えを知る。 川とは反対側、街の方から来たらしき巨大な男が実体化する。 サーヴァント同士気配は感知できるが、暁美ほむらの襲撃とそれに伴うダメージで気付くのも対応も遅れる。 最も仮に動けたところで何か出来たかは怪しいが。 「女二人、それも怪我人か。あまり乗らねェな。銃声の主は逃がしたか」 現れた白いひげの男、エドワード・ニューゲートはポツリと漏らす。 これが仮にホワイティベイのような戦場に立つ覚悟を決めた者なら敵と認めるが、どう見ても戦慣れしてない小娘。 殺る気はあるのかもしれないが、やられる覚悟が足りてない。 とは言え敵を逃がすわけにもいかず、武器を構える。 犬飼は僅かな体力を振り絞って飛びのく。 そして暁美ほむらの取り落としていったベレッタM92F――キャスターにダメージを与えた銃なら、効き目があるかもしれない――を拾い構えようとする。 しかし不慣れな得物に、消耗もあって狙いは定まらない。 そもそもこの銃自体は何の変哲もない物だ。 食蜂はダメージと魔力消費が重なり、碌に動けない。 しかしそれでも懸命に活路を見出そうと口を動かす。 「サーヴァント5騎と一部のマスターの情報があるわ……それで、私たちと組んでくれない?」 「グラララ、そいつは面白ェな……その5って数字はおれ達を含んでか?」 「そんな貧困力溢れる真似するわけないわぁ。私たちも加えていいなら7騎になるけど」 残り13騎の内7騎。それが事実だとするなら大きな情報だ。 問題はその質と、信頼がおけるかどうか。 時間をかけて検証しなければ難しい、しかしそこまで時間を割く価値があるか。 マスターとも相談し……………………… 「飯に行くぞ」 「え?」 「飯だ。もともとおれ達は海の見えるところで酒と飯をやろう、ってことでここまで来たんだよ。 そこでおれのマスターも交えてお前らの話を聞いてやるよ」 ついて来い、とばかりに背を向け歩み出す。 逃げ出すことはないと考えているのか、逃がさないだけの能力があるのか。 迷いのない足取りと、以外に簡単に進んだことで呆気にとられる。 そしてそれ以上に歩幅の違いで追いつけなそうだと考え、仕方なく声を絞り出す。 「ちょ、待ってもらえない!?怪我人なんだからせめてマスターにくらい手を貸して欲しいんだゾ。 それにせめてクラスくらいは話してくれてもいいでしょう?」 「ああ?自己紹介はこっちのマスターと合流してまとめてやる気だったんだが……ライダーだ。 そっちは今はいい、あとでまとめて聞く。 にしても……召喚された時にも思ったが、名前聞かれるなんざ久方ぶりだ」 「へえ、知名度力高い英霊なんだ」 「年食うと好む好まざるに関わらず人脈は増えるもんだろ……先に逝っちまう奴もいるが。 ところで一応敵のおれに身柄任せていいのか?」 「その気になれば私たちなんてすぐ倒せるでしょう?なら大して変わらないわよ」 言い分としては分からなくはない。 大した重荷でもないと仕方なく二人とその荷物を纏めて片手で抱え上げ、移動を始める。 「この熱は、川遊びのせいか?」 「さあ?そうかもね❤」 呼吸を乱しながらも身を委ねる。現状を受け入れてか、諦めてか。 少し進んでバス停が見えるたころ、その近くに立つ学ランの男が反応を見せた。 「戻ったか。銃声と爆音が聞こえて行ってみりゃ、そいつらがいたと」 「キャスターよ☆こっちがマスターの犬飼伊介さん」 「虹村刑兆だ」 短く自己紹介をすませ、歩き出そうとする刑兆とライダー。 すぐそこの外にいくつかテーブルを並べた飲食店に向かうようだが、それに待ったをかける。 「ちょっとお願いがあるんだけど、犬飼さんの着替えを買ってきたいのよ。 それと、できれば麒麟殿温泉っていうところにまず向かってくれないかしらぁ? 犬飼さんびしょ濡れだし、体調も崩してるから経過観察も兼ねてね☆」 「あァ?温泉?」 買い物くらいならわかるが、そこまで時間を割きたくはない。 そもそもそこまで信を置いたわけでもない。 刑兆に引き合わせたのも、こいつらに会わせるリスクより、まだ一騎存在するアサシンを警戒して戻ったほうが良いと判断したからだ。 そう考え反対意見を述べようとするが 「温泉方面は二本後のバスだな。地名があってる保証はねえから、そっちで確認しろ。 バスで行くならライダーは収まらねえから霊体化する。自分で歩け」 「おい刑兆……本気で言ってんのか」 「夜になる前に息抜きと偵察もかねて外食、おまけに酒と海の見えるトコなんて注文聞いてやってんだ。こんどはおれのを呑んでもらうぜ」 バス停の時刻表を確認し、ライダーを制する。 そしてひっそりと念話で付け加える。 『こいつらと話す前に少しおれ達だけで詰めておきたい。それに、ちと気になることもあるんでな』 『……意味があるなら、まあいい』 その意図も纏めて話すということだろう。 銃声の主を誘い出したかったが、離れる判断もありだ。 バスが来てから姿を消すわけにもいかないので、バス停の席に二人を座らせ姿を消す。 無論、何かあれば即座に武器を振るえるよう。 「提案受け入れてくれるのは嬉しいけど、怪我した女の子歩かせるなんて紳士力足りないゾ☆」 「伊介はこっちのサーヴァントはともかく、そいつに頼る気はないから別にいいけど❤ 次のバスまでそこそこあるし、服売ってないか探してくる❤」 危なげな足取りだが、日常を過ごすならできなくはないようだ。 街中を軽く見て回る犬飼にキャスターも霊体化して続く。 『体調はどうかしら犬飼さん?』 『悪いに決まってんでしょ❤本当に大丈夫なんでしょうね、コレ?』 『出来るだけの処置はしたから、あとは温泉の効能に期待☆』 変化があったのは逃走する車内。 突如鼻血と高熱の症状を出した犬飼に、敵サーヴァントの攻撃かと思った。 自身の科学・医療知識も能力も動員して調べてみると、脳が異常活性していることが分かった。 まるで、かつての自分や垣根帝督の様に、能力者としての片鱗を見せたのだ。 それならば話は早いと能力を行使。 『自分だけの現実(パーソナルリアリティ』の構築には電気刺激や薬物投与のほかに心理誘導や催眠による暗示も用いられる。 食蜂操祈は能力・心理双方のプロだ。 犬飼伊介を暗示誘導し、能力を安定させたことで症状は僅かながら和らいだ。それでもさすがに完調とはいかないが。 『ところでなんでさっきから温泉押し?』 『この街には発熱と鼻血を伴う風土病があって、その特効が麒麟殿温泉だっていうのがNPCの認識だったんだゾ☆ 一人二人じゃなくてかなりの数がそれを把握してたから、行ってみる価値力はあるわよぉ』 『あっそ❤じゃあ伊介はそこのコンビニにシャツとかないか見てくるから、時間に間に合うようよろしく❤』 店内に入る犬飼を見送り、外に残る。 バスが来ないか注意を払いながら思考の海に潜る。 そう、風土病という共通認識のようなものがNPCにあった。 突発的な能力の覚醒、それに対する処置手段の可能性。明らかに何らかの意図を感じる。 誰かが能力者のことを磁石に例えていた。 人為的に作られたのが学園都市の能力者で、自然にある雷に打たれたりして発生した磁石が『原石』というわけだ。 ここはその雷が落ちやすい地――つまり何らかの因子が存在する。 おそらくは学園。今感じる空気と何か雰囲気が違った。 そして学園には多くのマスターが集い、新たに確認したマスターも多くが学生。 そして能力開発の経験があり、それに対応できるレベル5が二人、呼ばれていた。 『この聖杯戦争は能力者を目覚めさせようとしている……』 その説を補強するのは先ほど覗いた鹿目まどかの記憶。 これは偶然得た情報で、最初は逃亡のために彼女の記憶を見た。 同盟者タダノヒトナリの存在とそのサーヴァント、アーチャ―。能力は不明。 彼女にサーヴァント、ライダーことモンキー・D・ルフィ。 ライダーの情報、泳げないというのが一つ重要なカード。 川に飛び込めばこのサーヴァントは追って来れない。 そのためメインプランは病院への逃亡に置き、第二案として橋を塞ぐ、第三案に川に飛び込むで策を進めた。 予感通り川辺で追いつかれ、その策を実行するざるを得なくなった。 ランサー、もしくは他の誰かにアーチャー陣営を攻撃させセイバーも含めた内輪揉めの乱戦に持ちこむ。 ランサーが来なかった場合を考えて一つ仕掛けを撃つ準備。 認識誤認(カテゴリ081)のスイッチをリモコンでなく、左手の指の動きに一時的に変更した。 もともとリモコンは自分ルールとして課したもの。 利便性と思い入れゆえに愛用してはきたが、強い思い込みがあれば別のスイッチへの変更は不可能ではない。 そして『思い込ませる』のは、自他問わず容易いこと。 能力にリモコン必須と勘違いしているはずだからその隙を突き、『食蜂操祈のマスターはタダノヒトナリである』と誤認させ攻撃を誘導、その隙での逃亡に成功した。 鹿目まどかの記憶には感謝してもしたりない。 だが、彼女から得た情報はそれだけではなかった。 『インキュベーターという知的宇宙存在、魔法少女という存在』 宇宙の熱的死を防ぐためにエネルギー源として魔法少女を利用していたインキュベーター。 その在り方は願いを叶える代わりに戦いを強いると言うモノ。 聖杯戦争は、願いを叶えるために戦いを強いるモノ。順序は真逆だが、近似している。 そしてどうやら願いを叶える力にも才能があるらしい。 能力者にも『素養格付』という限界があったように。 『聖杯は万能の願望器だけど、全能ではないのよねえ』 一方通行が最強ではあっても無敵ではなかったように、限界がある可能性が高い。 富、名声、力。不老不死、死者蘇生に……色恋沙汰などが願いとしては定番だろう。 しかしその全てが学園都市の科学と、この聖杯戦争の現状を鑑みれば難しくない。 巨万の富は魔術や科学無しでも得る事はできる。 人の心の機微は、善悪やプライドなどの好悪を気にしなければ『心理掌握』でどうとでもなる。 機械の体でも部品の交換を除けば不老不死は不可能ではないし、記憶を電子情報に記録し『学習装置(テスタメント)』を利用してクローンなどに移せば自我は不老不死となる。 それに『未元物質』の体は本当に不朽のものだったらしい。 そしてサーヴァント、英霊の召喚は擬似的な死者蘇生だ。不老不死同様にクローンを作成し、生前の記憶を学習させればそれも科学的には死者蘇生。 極端な話、願望器は全能である必要は無く、その人の願いが叶うならそれ以外は何でもいい。 金銭を望むならそれをどこかから獲得する手段を与えればいいわけで、死者の蘇生などできなくても別にかまわないだろう。 それはあたかも能力者にできることが一つであるように、魔法少女の願いに限界があるように。 『この聖杯戦争で新たな能力者が目覚めれば、その能力者の手で願いを叶えることができる』 例えるなら、『聖杯の器』。神の子を血を受けた杯は用意されていても、まだ中身が注がれていないのかもしれない。 例えるなら、『絶対能力進化(レベル6シフト)』。万能の願望器たる能力者を生み出し、なしたいことがあるのかもしれない。 14人のマスターはレベル6シフトにおける一方通行の立ち位置で、14騎のサーヴァントが妹達の立ち位置なのだろうか。 『そうねえ、絶対能力者(レベル6)、「天之杯(ヘブンズフィール)」と言ったところかしら☆』 だが、だとするなら何でも願いがかなうというのは眉唾だ。 正確には、その聖杯を参加者が使えるのか、使えたとして目的の願いが叶うのか。 能力者の能力は先天的な才能によるものが大きい。 基本的に能力は1人につき1種類しか使えず、一度発現した後では能力の種類の変更は不可能。 なら、目覚めた能力者は誰の願いを叶える能力を身に付けるのか。 恐らくは、天戯弥勒。 『うーん、馬鹿正直に勝つのは拙いかもしれないゾ☆』 とはいえこれもまだ仮説だ。 出来るなら夜科アゲハ……は難しいだろうが、なんらかの能力に長じた人物との議論を重ねたいところだ。 願わくば、虹村刑兆かあのライダーがそうであってくれるといいのだが。 【B-5/北東部の道/一日目・夕方】 【犬飼伊介@悪魔のリドル】 [状態]疲労(大)魔力消費(小) 微熱、PSIに覚醒 [令呪]残り三画 [装備]ナイフ [道具]バッグ(学習用具はほぼなし、日用品や化粧品など)、ベレッタM92F(残弾12発) [思考・状況] 基本行動方針:さっさと聖杯戦争に勝利し、パパとママと幸せに暮らす 0.食蜂操祈に心を許さない。 1.麒麟殿温泉に向かい休養 2.それが済んだら虹村刑兆たちと情報交換 [備考] ※『とある科学の心理掌握(メンタルアウト)』によってキャスターに令呪を使った命令が出来ません。 ※一度キャスターに裏切られた(垣根帝督を前にしての逃亡)ことによりサーヴァント替えを視野に入れました。 ※PSI粒子の影響と食蜂の処置により魔力量が増大。今後能力に覚醒するかは後続の方にお任せします。 【キャスター(食蜂操祈)@とある科学の超電磁砲】 [状態]ダメージ(大)、魔力消費(大) [装備]アッシュフォード学園の制服 [道具]ハンドバック(リモコンなし) [思考・状況] 基本行動方針:勝ち残る。聖杯に託す願いはヒミツ☆ 1.麒麟殿温泉で犬飼を休ませ、能力が安定するか経過観察。 2.虹村刑兆たちと情報交換、交渉。 3.学園都市の能力に因らない能力者と接触、話がしてみたい 4.犬飼伊介には一応警戒する [備考] ※高等部一年B組の生徒の多くを支配下に置きました。一部他の教室の生徒も支配下に置いてあります。 ※ルキアに対して肉体操作が効かなかったことを確認、疑問視及び警戒しています。 ※垣根帝督が現界していたことに恐怖を抱きました。彼を消したことにより満足感を得ています。 ※人吉善吉に命令を行いました。後始末として『食蜂操祈』および『垣根帝督』のことを認識できなくしました。現在は操っておりません。 ※ランサー(慶次)とセイバー(流子)の戦闘を目撃した生徒を洗脳し、その記憶を見ました。 それにより、慶次の真名とアゲハの能力の一部を把握しました。流子の名は聞いていませんでした。 ※天戯弥勒、および聖杯戦争について考察する必要があると感じ始めました。 今の仮説は1、ガイアの怪物以上のなにかを御そうとしている 2、参加者と主催者のために14騎いる 3、参戦しているサーヴァントは一流の英霊ではない 4、アッシュフォードに二人のレベル5がいたのには意味がある →さらにインキュベーターの関与、超能力者の覚醒などが要素として含まれている可能性を考えています。 ※まどかの記憶を見ました。少なくともインキュベーターのこと、ほむらの容姿、タダノとの同盟、ルフィの真名と能力を把握しています。他にどのようなことを知ったかは後続の方にお任せします。 ※超能力を目覚めさせる因子の存在(PSI粒子)に気づきました。 [共通備考] ※車で登校してきましたが、彼女らの性格的に拠点が遠くとは限りません。後続の方にお任せします。 ※朽木ルキア&ランサー(前田慶次)と同盟を結びました。マスターの名前とサーヴァントのクラスを把握しています。 基本的にはキャスターが索敵を行い、ランサーに協力、或いは命令する形になります。 ※人吉善吉、アサシン(垣根帝督)を確認しました。 ※紅月カレン、セイバー(リンク)を確認しました。 ※夜科アゲハ、セイバー(纒流子)の存在を知りました。 ※洗脳した生徒により生徒名簿を確保、欠席者などについて調べさせていました。紅月カレン、人吉善吉、夜科アゲハの名簿確認済み。 ※ライダー(ルフィ)を確認しました。 ※ランサー(慶次)への絶対命令権を所有しています(宝具による) ◇ ◇ ◇ 二人が離れたのを確認し、念のため念話で刑兆に話を振る。 『で、何が狙いで温泉なんざ寄るんだ?』 『おれの狙い、というよりあいつらの狙いが知りたいといったところだな。会って早々の男二人連れて温泉なんざ行きたがるかフツー? 聖杯戦争の最中だぞ。なにかあるとしか思えねえ。たとえば消耗を癒せる施設だとかなら知っといて損はねえ』 『確実性に欠くな。んな半端な狙いだけか?』 『それとあの女の症状だ。気にかかるのは』 こちらも確実なもではなく、明確な答えとはならない。 だがどことなく覚えのある症状とこの地で経験した戦闘が刑兆に警戒を促す。 『スタンドは本来スタンド使いにしか見えねえ。サーヴァントに見えているのは同じ精神エネルギーである霊体を基にしているからだと思える。 特にお前はおれのスタンドエネルギー……魔力で現界してるしな。それはまあ、いい。 だが昨晩の執事。あいつはワイヤーを振るい、能力の類は見せなかったし、スタンドのことを知らないようだった。 にもかかわらずおれのバッド・カンパニーが見えていた』 『それがあの女たちとどう関わるんだ?』 『無意識のスタンド使いっていうのがいる。自分の能力を自覚してない、もしくは発現していないが才能のあるやつだ。 おれは弓と矢を使って多くの人間にスタンドを身につけさせたが、才能がない場合死ぬし、スタンドを身に付けてもそれを制御しきれず倒れるやつも時々いた。 あの犬飼とかいう女みてーに熱出して、最終的に制御できなければそいつも死ぬ』 『あの女も無意識のスタンド使いで、目覚めかけてるってのか?そいつは飛躍しすぎじゃねーか?』 『スタンド使いはスタンド使いと引かれあうんだ。磁石みてーにな。 それともう一つ。強力なスタンド使いが血縁、もしくは物理的に近くにいると能力に目覚めることがあるらしい。 スタンドエネルギーが魔力になってるっつーことは、魔術はスタンドの一種、またはその逆だと考えられねーか? つまり、あの女は強力な魔術師の近くにいることでスタンドに目覚めたのかもしれねえ。 もし目的地の温泉にいって体調が戻ったなら何かあるのは確実。 そいつが弓と矢についてや、スタンドの制御に役立つなら知っておきたい情報なんでね』 キャスターのクラスが目的地と定めるのだ。 何もないということはないだろう。 少なくとも魔力のある、ホットスポットの様になっていたりくらいはしてもおかしくはない。 敵の意図を知る、それが主目的にはなってしまう受け身の案だが無視したくはない選択肢だった。 『目的意識があるなら責めはしねェが、リスク管理は考えてんだろうな? あいつらの負傷が癒えて、能力に目覚めたなら厄介かもしれねえぞ?』 『キャスターが全力になって、人間がスタンドに目覚めた程度で苦戦するようなサーヴァントか、お前は? もしそうなら一考するが』 『グララララ!!!本当に生意気な口叩きやがるな、テメエは。上等じゃねェか、温泉でもどこでも行かせてやれ。 だがさっきも言ったが、足元掬われねえように警戒はしてろよ。 まあ、先々の事考え出したのは悪くねえからな、今回の動きに否はねえよ』 『おいおい、おれが何も考えてねーってか?』 そりゃ1000人を超える荒くれ者を率いて、世界の海をはせた英霊に比べれば経験値で劣る。 それでもここまでの戦闘ではそれなりに立ち回った自負はあるし、休養や偵察なんかも提言している。 さすがに億康のように何も考えてないやつ呼ばわりは心外だと反論しようとするが、続く言葉に押しのけられる。 『そうは言わねェよ。この戦場でのことは考えてる。最初に身の振り方をいろいろ考えてみろって言ったろ。 能力うんぬんについてはともかく、ここにねえ弓と矢の事は帰った後のことを想定しなきゃ出て来ねえ。 生きてりゃそういう後先考えねえ若僧は船に乗せてやってもよかったが、生憎な。 だからまあ、願いがかなった後の事考え出したのはいいことだ、って言ってんのさ』 『……はっ、違うね。単に聖杯とり損ねた場合のことも考えてるだけさ』 『口の減らねえやつだな、本当に。まあいい、本題の方だ』 勝った後のことを考えるのも、負けた場合を考えるのも今は後回し。 まずは勝つための手段を考える。 【B-5/北東部の道・バス停/一日目・夕方】 【虹村刑兆@ジョジョの奇妙な冒険】 [状態]魔力消費(小) [令呪]残り3画 [装備]いつもの学ラン(ワイヤーで少し切れている) [道具]なし [思考・状況] 基本行動方針:おやじを殺す手段を探す。第一候補は聖杯。治す手段なら……? 1.犬飼休養後に飯を食いつつ情報交換・交渉。できれば海が見えて、かつ酒のある店。 2.登校するかどうかは気分次第。 3.公衆電話の破壊は保留。 [備考] ※バッド・カンパニーがウォルターに見え、ランサーに効かなかったのを確認、疑問視しています。 →アーチャーとの交戦を経てサーヴァントにはほぼ効かないものと考えています。 ※サーヴァント保有時に紅いテレホンカードを使用しても繋がらない事を確認しました。 ※サキュバスなどのエネルギー吸収能力ならばおやじを殺せるかもしれないと考えています。 ※学園の事件を知りました。 ※犬飼伊介がスタンドに目覚めつつあると考えています。 ※温泉かその近くには能力に関するなにか、回復施設、魔力のホットスポットのようなもののいずれかがあると考えています。 【ライダー(エドワード・ニューゲート)@ONE PIECE】 [状態]ダメージ(中)、魔力消費(小) [装備]大薙刀 [道具]なし [思考・状況] 基本行動方針:刑兆の行く末を見届ける 1.酒と飯と情報交換。その内容を刑兆と詰める。 2.麦わらの男が気になる。 3.いずれ海に行きたい。 [備考] ※NPCの存在、生活基盤の存在及びテレカのルールは聖杯、もしくは天戯弥勒の目的に必要なものと考えています。 [共通備考] ※ウォルター&ランサー(レミリア・スカーレット)と交戦、宝具なしでの戦闘手段と吸血鬼であることを把握しました。 ※アーチャー(モリガン)と交戦、宝具『闇より出し幻影の半身(アストラルヴィジョン) 』とサキュバスであることを把握しました。 ※B-2近辺にこの世界における自宅があります。 [全体備考] ※C-2近辺でアゲハが自転車を盗み、放置しましたが、他の騒ぎが大きすぎるのであまり目立たいない可能性が高いです。 ※C-2からC-5にかけての車三台とルフィによるカーチェイス、それに襲い掛かるNPC、大量のNPCの謎の昏倒及び武将風の男による暴行と、沢山の騒ぎが起こりました。 何らかの噂やニュースになる可能性が高いです。 ※タダノから女生徒誘拐事件があったと警察の一部と学園に報告されています。タダノの連絡不能が長期に及ぶ場合警察が何らかの形で動く可能性があります。 ※C-6の橋の近くにタダノたちが乗っていた乗用車(学園から拝借、事後承諾済み)、流子たちが乗っていた車(学園の駐車場にあったのを無断拝借)が停めてあります。 ルキアは車内に残されています。 また操祈たちが乗っていたリムジン(操祈が洗脳していたNPCのもの)もあります。ルフィの攻撃で車体前部がへこんでおり、気絶したNPCが運転席に残っています。 ※操祈が買い占めた食料の一部と、アゲハ、善吉、カレンの生徒名簿が川を流れています。どこかに流れ着くこともあるかもしれません。 BACK NEXT 043 裏切りの夕焼け 投下順 045 右は楽園、左は―― 043 裏切りの夕焼け 時系列順 045 右は楽園、左は―― BACK 登場キャラ NEXT 043 裏切りの夕焼け 夜科アゲハ&セイバー(纒流子) 047 Cat Fight!!! 朽木ルキア&ランサー(前田慶次) アーチャー(モリガン・アーンスランド) タダノヒトナリ 神話前話 鹿目まどか&ライダー(モンキー・D・ルフィ) 虹村形兆&ライダー(エドワード・ニューゲート) 046-a 新約 魔科学共存理論 犬飼伊介&キャスター(食蜂操祈) 暁美ほむら 045 右は楽園、左は―― キャスター(フェイスレス(白金)) 049 背に腹は 人吉善吉