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前ページ次ページ上条さんと美琴のいちゃいちゃSS/起きないあいつ 番外編「本日のスープ」 「ねぇ、当麻。今度の日曜日、デパートに買い物に行きましょうよ」 そろそろ本格的な寒さが来ようかという冬の午後、自室で課題に取り組んでいる上条当麻は、自身の彼女、御坂美琴にそう言って誘われた。 無事にロシアから帰ったものの、欠席中の課題が、小萌先生からたっぷりと渡された。 上条ちゃんはこれを全てやらないと進級させません、などと言われたら、とにかくやるしかないのだ。 そして上条の横で課題を手伝っている美琴は、もはや押しかけ女房同然に、他もいろいろ彼の面倒を見ている。 「そうだな、美琴のおかげでこの課題も片付きそうだしな」 「実はね、この間、当麻にお似合いの可愛いセーター見つけたの」 「上条さんにはそんなお金、ありませんよ」 「いいのよ。ちょっと早いけど、当麻へのクリスマスプレゼントにするから。サイズも見たかったし」 なにより、とちょっとお世話焼きモードな美琴。 「学生服の下に着るセーターが必要な季節でしょ。コートとかはあるの?」 「ん、確かトレンチがあったはず」 「じゃ、とりあえず中に着る分があればいいわね」 「ありがとうよ。しかし男に可愛いセーターって」 「なによ!彼女の見立てに不満があるの?」 「いえ、何もありません」 「それとね、ランチにいいお店があるの。お昼はそこでどうかな」 「そうだな。しばらく課題漬けで、お前にも迷惑かけたしな」 「そんなのはいいのよ。私は……、当麻と一緒に居られたら、それだけで幸せなんだからぁ」 ちょっと甘えたような口ぶりで、モジモジと上目遣いをする美琴の顔がほんのり赤い。 それを見た上条は、――まったくコイツは、と呟きながら、美琴の肩を引き寄せ、そっとキスをした。 素直に応じた美琴は、そのまま上条の肩にもたれた。 上条が学園都市に帰った夜、壮絶なカタルシスの後、2人は恋人として結ばれた。 ただ、通常のお付き合いをすっ飛ばした、最終段階から始まった関係が、甘ったれた照れやうわつきを見せない。 あれから何度か肌を重ねるたび、素直にお互いをさらけ出せるようになってきたからだろう。 彼らにとって男女の交わりとは、それぞれの心を見せ合う行為に他ならないからだ。 「ならランチ代ぐらいは、この上条さんが出しましょうとも」 「じゃ、決まりね」 ――だったら、と言いかけた美琴を、上条が遮る。 「土曜日のお泊りはだめだ」 不満そうな顔をする美琴に上条が諭すように言う。 「そうそう外泊もしてられないだろう。これでも俺たちは高校生と中学生だぜ。もう少し節度ッつうものをだな……」 「その中学生と淫らなことをしている高校生はどうなのよ?」 「いや、ま、それはその、だな……」 今度は上条の顔が赤くなる番だ。 「中学生に手を出したすごい人って言われるんでしょ?」 美琴がニヤリとしてからかう。 「学園都市第三位の超能力者が、無能力者の男子高校生と爛れた関係にって、噂になるんだぜ」 ムッとした上条が、負けじと言い返す。 だが腹を括った女ほど手強い者はいない。 「平気だもん」 ――それに、と言いながら、上条の手を自分の胸の前で抱きしめる。 「私は地獄だろうとどこだろうと、当麻と一緒なら怖くないわ」 日曜日、クリスマスセール真っ最中のデパートは混んでいた。 美琴は前日土曜日に、門限通り寮へ帰らされたためか、その日はいつもより積極的だった。 人目をさほど気にすることも無く、べたべたと上条にまとわり付く。 とはいえ、気恥ずかしさを紙一重のところで回避しているのは、外にいるという意識があるからだろう。 その姿は初々しさの残る学生カップルのそれではなく、より大人びた雰囲気を醸し出していた。 だからなのか、今の美琴に、漏電や失神といったことはほとんど無い。 もはや新たな『自分だけの現実(パーソナルリアリティ)』を確立しつつあるようだ。 その中に『上条当麻』という存在が組み込まれているのは間違いないのだろう。 久しぶりのデートにはしゃぎ、美琴は満面の笑顔で上条の手を引いていく。 お目当てのセーターを買い、更にデパートの中をあちこち巡り歩いたのち、美琴が上条に提案した。 「お腹空いちゃった。そろそろお昼にしない?」 「そうだな。よし行くか」 デパートを出て、通りを2人して歩いていった。 冬の空はどんよりして、寒風強く、一段と冷たく感じる。 たとえ数ブロック先へ行くのでも、その真冬のような冷たさに震えが来そうだった。 美琴はいつもの常盤台中の制服の上に、ダッフルコートにマフラー、手袋と完全装備でいる。 一方で上条は、トレンチコートの下に、ウールのシャツとデニムのパンツと少し肌寒そうだ。 その店に着いたときには、上条の体はすっかり冷えていた。 入口を入ってからの暖かさが、こわばった体をほぐしてくれる。 と同時に、心まで解されていくのは、向かいに座った彼女の微笑の所為でもあるのだろう。 「何にしよっか?」 メニューを見ながら、美琴が上条へ問いかけた。 「そうだな、この『本日のスープ・デザート付カップルランチセット』なんてどうだ?」 「あ、私もそう思った」 ――それじゃ、と言って上条がオーダーを入れる。 窓から見える空は、暗くくすんだ灰色で、今にも何か降りそうな様相だ。 そんな景色をぼんやり眺めている美琴を、上条はただじっと眺めていた。 何もしなくても、何も言わなくても、ただそこに居てくれるだけで満たされる。 そんな彼女の姿を、テーブルに頬杖ついて、じっと眺めていた。 先程のデパートでの笑顔の美琴と、今のぼんやり景色を眺める美琴。 昨夜、常盤台の寮の前で別れたときの少し悲しそうな顔の美琴。 どの美琴も切なくて、ますますいとおしく感じてしまう。 美琴は、これまで周りの人にどんな顔を見せてきたんだろうと上条は思った。 今まで2人が別々の道を、違う速さで歩いてきたことが残念で仕方がなかった。 ――お待たせしました。こちら本日のスープは、オニオングラタンスープです。 ウェイトレスの言葉に2人の意識が戻ってきた。 出されたオニオングラタンスープは、大振りのカップにたっぷりのグリュイエールとエメンタールチーズがかけられ、フツフツと煮立っていた。 焼けたチーズの香ばしい香りと、たっぷりのブイヨンに、炒めたたまねぎの甘い香りが食欲を刺激する。 2人とも目の前のご馳走に、思わず我を忘れるほど、空腹だった。 「「いただきます」」 そう言って、カップにスプーンを突き立てた。 「熱ーい。やけどしそう。でもおいしい」 「うん、うまいな。猫舌の人はかわいそうだな」 カップから立ち上る湯気に、美琴の笑顔が溶ける。 ――ああ、こうして美琴の笑顔を見ていたい。 ――いつのまにか、もっと好きになったな。 ――お前は今、何を思うのだろう? 「ねぇ。この後、どうする?」 美琴が、スプーンを口に運びながら聞いてきた。 「そうだな。天気も崩れそうだし、寒いから、ちょっと早いけど一旦帰ろうか」 「そうね。買ったセーター、着てみて欲しいし」 「じゃ、帰ったら、時間までまったりしようか」 ――昨夜の分もね、と呟いた美琴の言葉は聞かなかったことにした。 前ページ次ページ上条さんと美琴のいちゃいちゃSS/起きないあいつ
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小ネタ 上条さんがお疲れです。 上条「うあー、だりー、ねみー……ここから寮まであと3kmも歩くなんてだりぃ。ちっと休憩してくかね。はぁどっこいしょっと」美琴「あれ? アンタこんなところで何してんの?」上条「あー、御坂か。今日はビリビリは勘弁な。上条さんは日直と小テストと体育の授業でお疲れなんですのよー」美琴「……それくらいで疲れるなんて、アンタおじさん?」上条「体育の授業で校庭五〇周マラソンとかやらされてみろ。お前だってそんなこと言えなくなっから。ったく災呉の野郎……」美琴「ふーん。ねぇ、ちょっとそこ座っていい?」上条「あ? 公共のベンチなんだから座ったっていいに決まってんだろ」美琴「いやそういうことじゃなくて……まぁいいわ」上条「んで? 何か俺に用か御坂?」美琴「と、特に用事はない……けど。……ねぇ、もうちょっとそっち詰めていい?」上条「ベンチがこんなに広く余ってんのに何で寄ってくるんだ。まぁいいけどな」美琴「……ねぇ」上条「あー?」美琴「もう全てにおいてやる気なしって感じの返事ね……。あ、アンタの手……ちょっと貸してくれる?」上条「手? 手相占いでもやるのか? ほらよ」美琴「そうじゃなくて、えっと……手をつないでもって何か肩に乗ってる!?」上条「zzzzzzzzz……」美琴「寝てる!? 私に寄りかかって寝てる?? アンタほらこんなところで寝たら風邪引いちゃう、じゃなくて顔が近い近い近いああだからそうじゃなくて!」上条「zzzzzzzzz……」美琴「無防備に寝てる……。まいっか。感謝しなさい、この美琴さんが肩を貸してあげるんだから光栄に思うのね」上条「zzzzzzzzz……」美琴「完全に寝てる……い、今なら何言っても聞こえないわよね。えっと、わた、わた、わた、私はその、あ、あ、アンタのことがす……好きだったんだから。ずっと前から」上条「何が前から好きだって?」美琴「!”#$%&’=`@#!!!」上条「ふわぁ、よく寝たぁ……あれ、お前の肩借りちまったのか。悪りぃ、帰れなくて困っただろ。起こしてくれて良かったのに」美琴「…………もしかして、聞こえた?」上条「ふわぁぁあぁっ……え? 何が?」美琴「だから……さっきの、聞こえた?」上条「御坂? 質問の意味がわからないんだが……」美琴「きっ、聞こえてないんだったらいいわよ、別に……馬鹿」終。
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小ネタ Go to part3 上条「おい」美琴「なによ」上条「パート2、もう埋まっちまうぞ」美琴「うそっ!? まだ3週間ちょっとよ!パート1は2ヵ月半近くかかってたのに!」上条「何気にばかにするな。ま、作者が増えて来た証だろ」美琴「……まぁ…そりゃそうだけど…」上条「何だよ、もどかしいぞ」美琴「……なんでもないわよ…」上条「…俺達がいちゃいちゃしてるのを見るのが嫌なのか」美琴「ちがっ! …じゃなくて、なんか、こー……やっぱなんでもないっ」上条「はぁー… アレだろ、それ見て、楽しくてにやついてんだろ」美琴「っ!! …そうよ、悪いっ!?」上条「別に悪くはないさ、ていうかキレんな」美琴「……だって……」上条「ほら、もうすぐパート3だ。まだまだ書いてくれるんだから楽しもうぜ、なっ?」美琴「…分かった」上条「ほら、拗ねるなって。笑って終わろうぜ」美琴「………」上条「みんな、俺達が好きなんだ。お互いを好きなんだ。それだけだ、別にからかってはいないぜ?」美琴「分かってる、わよ… …よしっ!」上条「つーわけでみなさん」美琴「次もよろしくね!」上条「御坂がにやにやするいちゃいちゃを随時お待ちしておrぎゃあああ!!」バリバリバリ美琴「よけーな事は言わんでいいっ!」 ――――――Go to part3:http //jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/movie/6947/1264418842/
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小ネタ もしデレ番外編 突撃!隣のクリスマス 禁書ックス「ソンネッサーン ソンネッサーン ソンネッソンネサーン♪」上条さん「ジングルベルぐらい言えろよ。お前十字教徒だろ。」禁書ックス「とうまとうま! 今日は泣く子も黙るクリスマスなんだよ!」上条さん「泣く子も黙るの使い方は間違ってるけど、まぁクリスマスだな」禁書ックス「で?で? 今日の晩御飯はなんなのかな!?」上条さん「……お茶漬けです」禁書ックス「………うぅ……」上条さん「泣くな。世の中そんなもんだ」宅配員「宅配便である。ここを開けてほしいのである。」上条さん「はいはーい! ………アック……」宅配員「ここに判子かサインが欲しいのである」上条さん「あっはい……」宅配員「ではまたヨロシクである」上条さん「………アイツ今、宅配でバイトしてたんだな………」禁書ックス「とうまー、何が届い…うわっ!すごく大きい箱なんだよ!!」上条さん「ホントだ。それ以上にインパクトがあることがあって気が付かなかった。 誰からだろ?」禁書ックス「………短髪からだ」上条さん「とてつもなく嫌な予感と、盛大なオチが待っている気がする」禁書ックス「どうするの? このまま放っとく?」上条さん「いや、そういう訳にはいかんだろ、話が進まないし。 けど箱を開ける前にケータイで………よし」禁書ックス「…? 何したのかな?」上条さん「まぁ、ちょっとした準備をな。 じゃ、開けるぞ。」禁書ックス「う、うん」美琴ちゃん「ジャジャーン! ミニスカサンタな美琴ちゃん登場~~~!! 今夜は私をプ・レ・ゼ・ン・ト☆」上条さん「あぁ~…やっぱりな」禁書ックス「だと思ったんだよ」美琴ちゃん「反応うっす!! えっ可愛くない!?似合ってない!?お持ち帰りしたいって思わない!?」上条さん「いやもうなんつーか、予想通りすぎてな……」禁書ックス「短髪!! 何しに来たのかな!! 早く帰るんだよ!!」美琴ちゃん「ふん! 当麻くんと二人っきりになりたいからって、そうはいかないわ! アンタにはこっちをプレゼント。特大ケーキと七面鳥の丸焼きよ!!」禁書ックス「!!!」美琴ちゃん「おいしいお菓子がございます。お茶も沸かしてございます。 さあ!あっちで一人で全部お食べなさい!!」禁書ックス「み、みこと様!! ありがとうございますなんだよ!!」上条さん「ああ! 防御壁が破られた!!」美琴ちゃん「さて、邪魔者も消えたし、これからは大人の時間ね」上条さん「お前インデックスとそんなに歳変わらないだろ。 つーかなぜ服を脱ごうとする。今日は寒いんだからむしろ着ろ!」美琴ちゃん「今夜は寝かさないゾ☆」上条さん「聞けよ。人の話」 美琴ちゃん「確かにここじゃ色々できないわよね。あの子が隣にいるし」上条さん「結局俺の話を聞いて無いし、勝手にどんどん自分の話を進めるし……」美琴ちゃん「よし! あの子がケーキに集中してる間にホテル行こう!!」上条さん「言うと思ったよ!! そして嫌だよ!!」美琴ちゃん「なんでよ!! 今日はクリスマスなのよ!? 『聖なる夜は性なる夜』と昔のことわざにもあるでしょう!?」上条さん「なにそれ美味しいの!?」美琴ちゃん「いいじゃない! アンタと出会って約半年…さんっっっざんチャンスを棒に振ってきたのよ!? 追いかけっこの時も、盛夏祭の時も、疑似デートの時も、大覇星祭の時も、罰ゲームの時も、 ロシアでもハワイでも、バレンタインデーの時だって! 私がどんだけ我慢したと思ってんのよ!!」上条さん「色々言いたい事はあるけど、とりあえずバレンタインはまだ来てなくね?」美琴ちゃん「とにかく! こんだけ可愛くてエロい格好した女の子が目の前にいるんだから、 チュッチュしたりペロペロしたりハメハメしたりしなさいよ!! 男でしょ!?」上条さん「えぇ~…何で怒られてんの俺……」美琴ちゃん「大丈夫よ。アンタには私の初めてをプレゼントするけど、 私はアンタから赤ちゃんをプレゼントしてもらうから」上条さん「何一つとして大丈夫じゃねぇ!!」美琴ちゃん「隙あり!左手取った!!」上条さん「!!?」美琴ちゃん「ふふふ……右手以外には電撃が効く事はもう分かってんのよ。 言う事聞かないと、ここでビリビリしてアンタを気絶させて、 『目を覚ましたらすでに事後でした』 なんてことも全然ありえるんだから!!」上条さん「それって犯罪だよね!? つーか今日はいつにも増してテンションおかしくねーか!?」美琴ちゃん「いいのよ、どうせ番外編だし。 それにこのシリーズ、キャラ崩壊なんていつものことでしょ? ほら!話逸らっしてないで、ホテル…っていうかエロスレの方行くわよ!!」上条さん「うぐっ! 上条さんの貞操の危機!! 誰か助けて~~~!」つっちー「おっすカミやん! 呼ばれたから来てやったぜい!」青ピ「ちびっ子シスターちゃんと二人っきりになんてさせへんでー!」運営委員「上条当麻! パーティーグッズも買ってきてやったわよ、感謝しなさい!」■■■■「こんばんは。今日は。朝まで盛り上がるぜ。いえーい」アホ毛ちゃん「お邪魔しまーす!ってミサカはミサカは意気揚々と乗り込んでみたり!!」セロリさン「おォ三下ァ、ガキがうるせェから来てやったぜ」ミサワ「あれ? おねーたまも来てたんだ」美琴ちゃん「!!?」上条さん「ふっふっふ…こんな事もあろうかと、箱を開ける前に呼べそうなヤツ呼んどいたんだ。 いくらお前でも、これだけの人数を何とかするのは無理だろ?」美琴ちゃん「う…ぐ……」上条さん「そんな訳で、学生は学生らしく騒がないか? 何も背伸びして大人ぶる必要はねぇって。 だろ?御坂」美琴ちゃん「ふ…ふふ……いいわよ!やってやろうじゃない!! 初体験が乱交パーティーだなんて、むしろ燃えてくるシチュエーションだわ!!!」上条さん「お前もう帰れよ!!!」
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前ページ次ページ上条さんと美琴のいちゃいちゃSS/記憶鮮明! 結果的に上条とインデックスは常盤台中学の学生寮や事件現場に行くまでも無く、美琴の消息を知ることになる。 途中で連絡が入った。 しかし、それは残念ながら待ち人ではない。 上条がケガをした時、いつも世話になるカエルに似た顔をした医者からの電話であった。 『君は御坂君を知ってるよね』 『勿論です』 『ならば僕の病院へ来るといい』 『御坂はそこにいるんですか無事なんですか、先生っ!?』 『……それは君の目で確かめるしかないんだね』 安否がしれる内容では無かった。 冥土返しと呼ばれる医者の腕は確か、他の医者が諦めるしかない重傷者であっても彼にかかれば命を取り留める。どんな重傷を負っていても命さえあるなら彼の元へ届けさえすれば助かると言われている その冥土返しが曖昧なことを言う。 逆を言えば命が無い者までは彼でも救えない。 上条は冥土返しのいるとある病院へと急ぐ。病院へと走って行く途中には鉄橋があった。絶対能力進化実験を止めるため自ら死へと向かおうとする美琴を引き留めた場所。 美琴は妹達を救うために自らの命を引き替えにしようとしていた。 上条は御坂妹と彼が呼ぶ妹達を救おうとしていた。 絶望に打ちひしがれていた美琴の顔を鮮明に覚えている。 鉄橋を渡り終え上条は走る。 街路を疾走し満天の星の下を駆け抜ける。 カエル顔の医者のもとへ行けば美琴に会えると信じ、ひたすら走る。 そして走ることで不安を打ち消そうとしていた。いや、何も考えないでいたかった。 そうするうちに上条はようやく病院へと辿り着く。 インデックスも上条の全力疾走に追随したせいで息が切れていた。辿り着いた病院の前で大きな深呼吸を繰り返す。 同様に息が切れていたにも構わず上条は走ってきた勢いのまま玄関をくぐる。すると薄明かりに照らされたロビーに俯いた一人の少女がいた。 その少女は常盤台中学の制服を着ている。 「白井……」 「貴方様は……」 上条の呼ぶ声に気がついた白井が顔をあげる。 酷い顔だった。一生分の不幸が襲い掛かり途方に暮れ、悲嘆にくれた顔だった。 恐らく自分も同じ顔をしているのだろうと上条は思った。 ただ白井の目だけは怒りに悲しみに憎悪を堪えていた。 「白井……何があったんだ、御坂が爆発に巻き込まれるなんて、御坂はそれぐらいで……こんなことになる御坂じゃないだろ?」 「盾になりましたの、お姉様は」 絞り出すような声。 「盾?」 「私もその場にいた訳ではありませんので、目撃者の証言からですが……異常に気づいたお姉様が館内にいた者に退館を叫ばれたとか」 「……」 「ほどなく爆発が、一般的な爆発とは違い炎が急速に膨れ上がる、ナパーム弾が近いのでしょうか」 一瞬の閃光でなく戦争映画で見るようなあの光景、全てを焼き尽くす炎の塊だったのか。 「お姉様は館内の者が逃れるまで磁力で引っ張れる物を引っ張っり、それらでその炎を押さえ込もうとされていたそうですの、ですが最後に炎が食い尽くし……私が、私がお側におりさえすればこんなことには、お姉様!」 「まさか御坂は……炎に飲み込まれたっていうのか」 「はい……ですから速報は間違いですの、お姉様は犠牲者の一人では無く、犠牲者はお姉様ただ一人」 「御坂……犯人は能力者か」 「恐らくはですの、ただしかなりの高レベルの発火能力者になりますが遠隔でこれだけの炎を起こせるとなると、同僚が書庫を当たっておりますけど該当者がおりますかどうか」 「そうか……それで、……御坂は?」 白井の肩がビクッと震える。 それだけで余程酷い状況だったことが知れる。 この時、上条と白井の思いは同じだった。 自分がいれば 白井が居ればテレポートで最後は逃れることもできた。 上条はその炎が能力のモノであれば打ち消すこともできた。 二人のどちらかが美琴と一緒であればこんなことにはならなかったのだ。 そして直前まで上条は一緒にいたのだ。そして予定を聞かれまでしていたのだ。時間を巻き戻せないことが悔やまれる。 俯き、うなだれる上条と白井。そばで話しを聞くもその内容に二人へかける言葉がないインデックス。 で、あったが 「えっ、あれ?短髪?」 ハッと見上げる上条に白井。その見た先には 「アンタねぇ、何度ももう会ってるのに短髪はないんじゃない?私にはミサカミコトって名前があるのよ」 包帯を体中に巻かれ入院患者用の衣服を着用し車椅子に乗っている美琴がいた。 「お、お姉様?」 「ん?黒子も心配して来てくれたの?」 「そ、それは勿論でございますの。で、ですがそのお姿は?」 「ああ、これ。しくじっちゃったみたいね」 「いえ、そうではなく。それぐらいで済むような状況ではなかったと聞き及んでいたのですが」 「うーん、どうなのかな。先生の話しだとその時の事、記憶が混乱して思い出せなくなってるらしいのよね」 「そうなのですの?」 「まあ、この程度で済んでるっていうのはゲコ太先生がスゴいってことじゃない?」 「は、はあ~」 「その御坂?大丈夫なんだな?」 「まあね……暫くは入院ってことになりそうだけど」 「そうか……」 「とりあえず黒子」 「はいですの」 「入院の支度と学校、寮監への連絡をお願い……それと私は動けそうも無いから犯人を見つけて頂戴ね」 「わかりましたの、お姉様。私が必ず敵討ちをして差し上げますの」 「無理はしないでね、連絡は直ぐお願い」 「はいですの」 その言葉とともに白井は消える、美琴の無事と頼まれたことが嬉しく行動に移したのだろう。 上条はそれを見送り 「心配させんなよ御坂」 改めて美琴に言葉をかけた。上条の顔は安堵に綻びかけた。 が 「ごめん……妹達のこと、知ってるアンタにはまだ心配かけることになるわ、とミサカは申し上げます……ああ何だろこの口調?」 「えっ」 「はあ、困ったわね」 そう言うと美琴は車椅子から立ち上がった。 「なっ」 そして美琴は包帯さえも外し始める。 「ま、まさか御坂妹なのか?」 「えっ、短髪じゃなくてクールビューティーなの?」 「そうとも言えるし言えないともどうなのかな?でも私がクールビューティーで私が短髪って……」 「い、一体これは、どうなってんだ?」 「それは僕が説明しようか」 いつの間にかカエル顔の医者がそばまで来ていた。 「先生!」 「とりあえずついて来てくれるかな」 その頃 「なにしやがンだ、クソガキ」 「ふんふん、こうすれば言語機能以外を遮断できるんだ」 「くそったれ」 「キャハ、頭の中いじくったらこの言葉遣いも直せないかな」 「土下座させてゴメンナサイさせるのも面白いかも」 「それか人格改造とか、あはは、ナニこれ悪意ばんばん」 「あァ?オマエらイイ加減にしねェと」 「どうにもできない癖に」 「はァァァァァ、芳川ァ!」 「何?」 「どうなってんだァコイツはァ?」 「うーん?」 「専門だろがァァァッ!」 「おかしいわね?たしかに打ち止めと番外個体の人格と違ってるのよね」 そして家主の帰宅を告げる音がする。 「黄泉川先生が帰ってきたのかな」 「黄泉川……えっ先生?」 前ページ次ページ上条さんと美琴のいちゃいちゃSS/記憶鮮明!
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小ネタ 猫の日 上条「おい御坂。今日は2月22日で猫の日らしいぞ。」美琴「ふーん。で?それがどうかしたの?」上条「よくぞ聞いてくれました!実はこの日のために、用意したものがあるんだよ。」美琴「へ、へぇ…(ま、まさか私にプレゼント?)」上条「ほら御坂、これをお前にやろう。」美琴「あ、ありがとう…(まさかホントにプレゼントくれるなんて…)」ガサガサ美琴「…なに、これ。」上条「なにって…見てのとおり、猫耳カチューシャだろ。」美琴「…これを私につけろと?」上条「はい。」美琴「…」ビリビリ上条「うわ、そんな怒るなって!」美琴「そりゃ怒るわよ!なんで私がこんなものつけなきゃいけないのよ!」上条「ま、まて、落ち着け御坂!よく聞いて欲しい。このスレはなぁ、皆さんの俺とお前に対する『愛』でできているんだ。 その愛への感謝の気持ちとして、皆さんに御坂のカワイイ猫耳姿を見てもらおうという、 上条さんなりのすばらしいアイディアなんだよ!」美琴「…感謝の気持ち、ねぇ…(か、カワイイって…)」上条「な、頼む!このとーり!」美琴「…わかったわよ。今日だけだからね?」上条「ありがとうございます!(ホントは俺が見たいだけ、なんて言えねーよなぁ…)」ゴソゴソ…美琴「こ、これでいいの?」上条「ぶはっ!(な、なんという破壊力…これは危ない!)」美琴(な、なんて顔してこっち見てんのよー!そしてその反応は一体!?…試してみるか…)美琴「ど、どうしたんだにゃー?(勢いで言ってみたものの、やっぱりはずかしい!)」上条「がはっ!?(ぐぬおおお…土御門と同じ語尾なのに、この差はなんだ!?くっ、これ以上やられたら…!)」美琴(うわ、コイツの反応おもしろいなー。もっとやっちゃえ!)美琴「ねぇ、これから私と一緒に遊んで欲しいにゃん。」上条「っ!?だ、だめだ!もういいぞ御坂、もうやんなくていい!(じゃないと理性が、理性がああああああ!?)」美琴「…だめ、かにゃ?」(うるうる上目遣い)上条「!!!!!」ズキューン!美琴「…ちょ、ちょっとアンタ!ゾンビみたいにこっちこないでよ!」上条「…ふふふ、もう…これ以上はムリだああああぁ!!」美琴「ッ!?いやああああ!!!」ガスッ!美琴の華麗なる上段回し蹴りで上条は倒れ、彼はこの日の記憶を失った。
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記憶と夢の狭間で… ふと気がつけば、上条当麻は見覚えのある公園に立っていた。そこでふいに声をかけられた。「とうま、おなかへったんだよ」「私だって、アンタの力になれる!」「カミやん、俺って実は、天邪鬼なんだぜぃ」「上条当麻、君と日和ってやるつもりはない」振り返ってみると、大勢の人がいた。かつて、守るために戦った少女が。かつて、大切なものを守るために必死になっていた少女が。かつて、自分を犠牲にするように見せて、ピンピンしていたクラスメイト。かつて、戦った、そして共に協力した、タバコをふかした神父が。上条が記憶を失ってから、関わってきた人たちがそこにいた。学園都市にいるはずのない、外にいるはずの人たちも、そこにいた。上条は彼らと、なんてことないような会話をしていた。そこで、異変に気づいた。視界の片隅で、何かが崩れ始めた。町並みが。公園の木々が。地面が。そこにいたはずの人たちが。何もない黒い空間に塗りつぶされていくように、上条の前から消えていった。そして、上条もその黒いものに飲み込まれた。目を開けたら、声をかけられた。「とうま、どうしたの?」白い修道服を着たシスターが言った。「さっきから声かけてるのに、無視してんじゃないわよ」茶色い髪の、常盤台中学の制服を着た少女が言った。「どうしたカミやん、さっきから様子が変だぜぃ」金髪にサングラス、アロハシャツを着た男が言った。「どうしたんだ?能力者」赤髪の、身長2メートルほどの神父が言った。上条にはわからなかった。声をかけてきた人がだれなのか、わからなかった。ここはどこで、自分は誰なのか、わからなかった。周りにいる人たちが、誰なのか。自分を知っているのか、何も、わからなかった。まるで自分の中から何かが抜け落ちたかのように。心の中にぽっかりと穴が開いたかのように、もやもやとしたものだけがのこっていた。「もしかして、とうま、覚えてないの?」白い修道服の少女、インデックスがなきそうな表情で言った。「アンタ…まさか…また、なの?本当に…何も覚えていないの?」常盤台中学の制服を着た少女、御坂美琴が、いつかの絶望したような表情で、泣くのを必死に堪えているような、そんな表情で言う。とっさに上条は、言った。また言ってしまった。「忘れるわけないだろ?変なこと心配してんじゃねぇよ」しかし、そんな状況にもかかわらず。再び真っ暗な闇の中にいる自分に気がついた。声を出しても、誰も答えてくれない、何もない、そんな場所だった。そこに、一点の光が見えた。暗闇から導き、引き出してくれるような、暖かい光だった。おなじみの第7学区の病院のいつもの病室で、上条当麻は目を覚ました。すごく、嫌な汗で、体中がびっしょりとぬれていた。ツンツン頭の少年、上条当麻は記憶喪失だ。記憶を失った原因は、覚えていないし、思い出すこともないだろうと思っていた。やけに重たい体を起こすと、手が握られていることに気がつく。病院のベットの横に、備え付けのパイプ椅子に座る少女。御坂美琴はなぜか、上条の手を握ったまま眠っていた。その目に一筋の涙の跡を残したまま。状況がいまいち理解できなかった上条は、あたりを見渡してみた。人が動くことに気がついたのか、美琴も目を覚ました。「…アンタ、大丈夫なの?ずっとうなされていたような感じだったんだけど…」不安そうに、心配そうに、声をかけてきた。「よく覚えてないけど、変な夢を見たんだ。なんであんな夢を見たんだろう…」上条は、かすかに震えていた。その手を、美琴は強く握り締める。「どんな夢を見たかは知らないけどさ。アンタはたまには人を頼りなさいよね。 アンタの力になりたい人が、身近にいるって事をいい加減覚えなさいよ」手を強く握り締められた見た上条の震えは、ゆっくりと収まっていった。そして、ぽつり、ぽつりと、上条は口を開く。「俺の周りにはみんながいたんだ。そしたら突然、世界が崩れ始めた。 気がつくと真っ暗な空間になっていった。そんな中に俺は一人だけ立っていたんだ。 急に明るくなったと思ったら、さっきまで回りにいた人たちがいたんだ。 だけど、その人のことが、誰なのかわからなかった。 思い出そうとして、声にだそうとしたけど、できなかった。大切なものが手の中から滑り落ちたみたいな感じでさ」徐々に思い出したのか、上条は夢での出来事を説明した。そして再び、震え始めた。見えない恐怖に震えている子供のように。美琴は、黙って話を聞いていた。そこで一つ、仮説を立てる。(コイツは一度記憶を失っている。何も無いところからいろんな人に出会っていった…。だけど…だけどもし…どこかで、再び記憶を失うことを恐れている部分があるとしたら?)その仮説に、美琴自身が納得してしまいそうだった。一度あった不幸な出来事が、その1度で終わるならいいが、実際繰り返されることがある。どんなに努力しても、とめようとしても、止まらなかったあの実験のように。美琴なりに上条の不安を読み取った彼女は、ゆっくりと上条に近づき、やさしく、包み込むように抱きしめた。「大丈夫。大丈夫だから。もし、アンタがもし、また何かを忘れてしまうようなことがあったとしても、私はここにいるから。 アンタがどうなろうと、私はアンタのそばにいてあげるから。どんなことがあっても、アンタのことを守ってあげるから。だから、安心しなさい」やさしく告げるように、美琴は言った。美琴の胸の中で、上条は涙を流し、眠っていた。安心しきったような表情で、眠っていた。「まったく、いつも人に心配ばっかりかけて…たまには周りがどれだけ心配しているか、理解しなさいよ。ばか当麻」眠る上条に、頬を赤く染めながら、尊はつぶやいた。とある日の、とある二人の、病院での出来事。
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VR奮闘記 1 がやって来る……トラウマになりそうなイベントだな」美琴「運営はナニ考えてんだか、変なイベントが多すぎるのよ、バトルフィールドでは天使襲来とかやってたらしいし」上条「それは聞いたことある、確か大量の天使が襲って来るのを撃退するイベントだったとか、幸か不幸か上条さんはそんなサプライズイベントに行合わねーけど」美琴「アンタもわかったところで、これで失礼するわ」上条「まあ待てよ、それで御坂の今日のその衣装は、やっぱりイベントの強制なんだな?どんなイベントだよ御坂?」美琴「うっ、その、仮装でバトル」上条「わざわざ仮装でバトル?そういや格闘トーナメントがあるとかなんとかスケジュールにあったな。仮装とは書いてなかったから御坂だけその条件?」美琴「そうみたいね」上条「仮装つーと、なんの仮装なんだ?」美琴「『不思議の国のアリス』のアリスらしいけど、はあ」上条「アリス?それにしてはスカートが短いんでねーの?」美琴「それは言わないで!」上条「格闘トーナメントだから、動き易くするため」美琴「言うなっちゅうの!えっ、あああ遅かったか……」上条「でもアレ、タッグマッチじゃなかったか?」美琴「は~、そうよ、知り合いと組んでのタッグマッチ」 上条「なら相方がいなければ参加しないで済むんだろ?」美琴「もう遅いわ」上条「嫌そうにしてんのに、もう申し込み済ませちまってたのかよ?」美琴「違うわ、強制って言ったでしょ、アンタ自分のを確認してみなさい」上条「えっ、えーとこれだろ、はあっ!?おいおいおいおいおい、自分から申し込みしたことも承諾したこともねえのに何で参加する事になってるんだよ、俺が!?」美琴「だから強制参加」上条「ちょ、ちょっと待て俺が強制参加!?」美琴「私が知り合いとね、一定時間一緒にいるとその人と強制的にタッグを組むようになってるの、うん、サプライズイベント初参加おめでとう」上条「計ったな!!」美琴「人聞きの悪いこと言わないでよ!声かけてきたのはアンタの方じゃない!私は参加したくなくて、知り合いに会うのを避けてたのよ!!」上条「そ、それはそうでも最初に言ってくれたら良かったじゃねーかよ!解除する方法はないのか、これ?」美琴「無理、逃げまわっても時間がくれば強制転移のうえにログアウトもさせてくれないわ」上条「ログアウトもさせてくれない?げっ、ログアウトの欄が消えてやがる、なんてSAO……不幸だ」美琴「私こそよ、こんな格好で」上条「可愛い服で戦うのが嫌なのか?」美琴「か、可愛い???」上条「服がな」美琴「…………ふっ、そういうヤツよアンタは。べ、別に服が可愛いのは問題じゃないのよ」上条「なら、そのスカートが短いのが、でも常盤台の制服と一緒ぐらいだろ」美琴「一緒じゃない!」上条「見た目には違いがあるように見えねえけど?」美琴「違うの!」上条「どこが違うんだよ?」美琴「無いの!」上条「無いって……まさか、短パン?」美琴「ぐぐぐぐぐっぐぐぐぬぬぬぬ」上条「そっか、履いてないのか、短パン……」美琴「ナニ、感慨深く言ってんじゃー!!」上条「おこんなよ御坂」美琴「デリカシーが無いのかアンタには!」上条「心配すんな御坂、任せろ」美琴「何が任せろよ!衆人環視のもとパンチラ晒せっちゅうのか!うううううううううっうわあーん」上条「だから大丈夫だ、俺が御坂のパンチラを晒させたりはさせねー!」美琴「え」上条「俺が守る」美琴「え」上条「ここが仮想空間だからって運営の思惑通りにしていいって法は無いんだ」美琴「え」上条「そんなのくそくらえだ!それがパンチラを晒す運命、神のごとき運営の意図だとしても立ち向かわなきゃな!」美琴「え」上条「俺は御坂の世界を守るってあの魔術師に約束したんだ、こんな人が作った世界で御坂のパンチラをいいようにされてたまるかってんだ!」美琴「え」上条「待ってたんだろ?俺たちが俺たちでいられる世界を、パンチラを晒さないで済む世界を!さあ始めようぜ、運営の意図を挫いて俺と御坂の平和を取り戻すんだ」美琴「パンチラ、パンチラって、それを平和を取り戻すってそんな大層なもんじゃ」上条「HAPPY ENDを目指そうぜ御坂」美琴「HAPPY ENDって格ゲーでどうやればなるのよううううううううううううううう!!!!!?」
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前ページ上条さんと美琴のいちゃいちゃSS/シークレットメッセージ 一端覧祭終了後 「お待たせー」 美琴がお盆を手に現れる。 大騒ぎの一端覧祭も終わり、学園都市は静寂を取り戻す。 美琴は約束通り、上条の部屋に食事を作りに来ていた。 ……凶悪な『あの』ミニスカエプロンドレスと共に。 「お、おう」 上条は美琴をちらりと見ると、再び視線をTVに戻す。 「食事の時間までTV見てるんじゃないの」 美琴は上条の手からリモコンを取り上げると、TVを消す。 「アンタのリクエスト通りに作ったけど、これでいいの?」 ローテーブルの上には肉じゃが、ほうれん草のおひたし、大根の味噌汁が並ぶ。 「ああ、うん」 「……アンタ何でこっち見ないのよ?」 上条はうつむき、テーブルの上を見つめている。 「いや、別に特に理由は」 「ないんだったらこっち見なさいよ」 美琴は、例のウェイトレス姿で上条の向かいに座っていた。 「…………いただきます」 「いただきます」 二人は手を合わせて、食事を始める。しばらくは二人とも無言で食を進めていた。 「……うまい」 「ホント? よかった」 「うん、うまい。すごくうまい」 そこで上条は顔を上げ、美琴をちらりと見るとまたうつむいた。 「えーと、何か不満でも?」 「ない。何にもない」 「にしてはアンタ無口じゃない。ホントは口に合わないんじゃないの?」 「んなことない。俺が作るより断然うまいって!」 上条は力説し、ハッとなってまた顔を下げてしまう。 「アンタこの間から変じゃない? 何か私のこと避けてるみたいだけど」 「んなことねぇよ……」 一緒に一端覧祭を回ったとき、あんなにひっついてたんだから避けてるも何もねぇだろと、上条は独りごちる。あれから、あの時の二人を思い出すとこっ恥ずかしくて、美琴を見かけても声をかけられず、美琴に見つからないよう逃げ帰る毎日だった。 「ごちそうさま」 「おそまつさまでした」 美琴は食器を下げ、流しで洗い始めた。 「ねーえー」 「んー?」 「……やっぱアンタどっかおかしいんじゃない? 具合でも悪いの?」 洗い物を終えた美琴が、上条の隣にぺたんと座る。 「おっ、俺は別にどこも具合悪くなんかないって」 「ほんとーにー?」 美琴は上条の額に手を差しかける。美琴のひんやりとした手が触れ、上条がビキッと背筋を伸ばした。 「う、うわ、おい……」 「熱はないみたいね」 「そ、そんなに顔を近づけるな!」 上条が後ずさりする。 「何よ」 「だ、だから……」 「はっきりしなさいよ」 美琴が睨むが、上条は目を合わせない。 (その格好で近づくな!) 上条の思考がぐるぐると回る。相手はあの電撃娘、御坂美琴だとわかっていても (そ、その衣装でこっち向くんじゃねぇ! 変に意識しちまうだろうが!) 上条は変な動悸を押さえられなかった。 コイツ、わかっててやってんじゃねぇだろうな? 上条はビクビクしながら、おそるおそる美琴を見る。美琴は疲れたのか、ローテーブルに突っ伏していた。座り込んだ足の間で何か見えているような気がするが、そちらに意識を向けないよう頭の中で振り払う。 「あー、それにしても一端覧祭疲れたぁ」 「あ、ああそうだな。お疲れさん。客たくさん入ったんだろ?」 「そうなのよ。喫茶室やるのは初めてだったんだけど、集客数はうちのクラスが過去最高だったみたい」 「へ、へぇ。そりゃすごいな」 「でもねー」 ここで美琴が顔を上げる。頭にはヘッドドレスを装備したままだ。 「うち、女子校じゃない? 男の客ばかり集まってきても来年の受験者数には関係ないのよねー」 「あ、ああ、そうだよな、うん」 一端覧祭で各校が門扉を広く開くのは、来年の受験者を確保するためだ。もちろんそれは、名門常盤台中学といえど例外ではない。 「クラスでお客さんをチェックしてた子の話じゃ、ほぼ毎日通ってた奴もいたみたい」 「……そりゃそうだろうな」 「はい?」 上条の返しの意味がわからず、美琴がツッコむ。 「……その服」 上条が美琴の服を指さすと、美琴は裾をつまんでみせる。 「これがどうかしたの?」 「……わかってないんだったら、いい」 「何がよ?」 「………………あーくそ!」 上条は叫んで立ち上がり、頭をかきむしる。 「ちょ、ちょっと急にどうしたのよアンタ!?」 「お前、御坂だよな?」 「何言ってんのよアンタ。頭おかしくなっちゃった?」 「学園都市第三位、超電磁砲の御坂美琴だよな?」 「何わかりきったこと言ってんのよ」 「だから、何でそんなに男の客がわんさか来てるのか」 「うん。それが何?」 「その男共は『学園都市第三位の超電磁砲』が可愛いコスプレしてるから見に来てんだって気づかねーのかよ!」 「………は、い?」 美琴はきょとんとした。 (かわいい…………可愛い?) 美琴の顔がボン! と音を当てて赤く染まった。そろそろ瞬間沸騰機と名付けて良いかもしれない。 「えっと……だって、この服着てたの私一人だけじゃないし、私より可愛い子なんていくらでもいるでしょ?」 「それでも! お前のクラスじゃ知名度が一番高いのお前だろうが! 気づけ馬鹿!」 「馬鹿とは何よ!」 美琴が立ち上がり、スカートの裾が揺れる。それを見て、上条がうっとうめき、その場に座り込んだ。 「………だいたいアンタが……どうしたの? 顔真っ赤だけど」 「な、なんでもねぇよ!」 美琴は上条の隣に女の子座りで腰を下ろす。 「私のことを馬鹿呼ばわりしたのはともかく」 「…………」 「言いたくないんだったら……良いけど」 歯切れが悪い口調のまま、美琴は上条の顔をのぞき込んだ。よく見れば美琴もほんのり顔が赤らんでいる。 「…………あの、さ」 「…………」 「アンタは……その、この服見て……どう思ったの?」 「どう、って」 「聞かせて欲しいな……アンタは、学園都市第三位の超電磁砲が、コスプレしてるのを見てどう思ったの?」 「さっき『言いたくないなら良い』って言ってただろうが」 「………………やっぱり、聞かせて」 「…………やだね。断固拒否する」 「ふーん、そうなんだ」 美琴は上条をちらりと見ると、一つ頷いて上条の正面に回り込み 「ちょ、おま、何やって」 「…………と・う・ま?」 上条の前で小首をかしげて見せた。 (ぎゃぁああああぁぁぁぁぁぁ!!) 声なき絶叫とともに、上条は全力で壁ぎりぎりまで後ずさる。 「や、やめっ、やめろ、みさかっ」 「何が?」 「だっ、だからっ、そっ、それっ」 「それが何?」 「だから! それやめろ!」 「それって何よ?」 「お前わかっててやってるだろ!」 「何を?」 美琴はにやにや笑っている。 「くーっ…………」 上条は頭を抱えてうずくまる。 「あははっ」 美琴は笑って立ち上がった。 「御坂?」 「ほら」 美琴は上条の目の前でくるりと一回転してみせる。 「ちょ! おま、ばか、やめ」 上条はジタバタと顔の前で手を振って目の前の光景を消そうとする。 「大丈夫よ、今日は短パン履いてるから。ざーんねんでした」 スカートの向こうがこの間と違うことにほっとしつつ、上条は 「し、心臓に悪い……」 「同じ失敗は二度しないわよ。美琴さんの学習能力をなめないで欲しいわね」 「そうしてくれ……」 上条は左胸のあたりが痛んだような気がした。 「えっと、それでアンタは……私がこの服着て接客してるのを見て、どう……思ったの?」 「もうその話は良いだろ……」 「いいじゃない、聞かせてくれたって」 美琴はしつこく食い下がる。 「…………中学生ということを差し引いても、その服は反則だ」 「どこが? 何が?」 「……全部」 「……他には、ないの?」 「ほかって、なにが」 「だから…………他に感想」 「…………似合ってる」 「…………それから?」 「…………可愛いと、思う」 「…………あとは?」 「…………破壊力高すぎ」 「…………私は爆弾扱い?」 「いや……これはオトコにしかわからん話です」 まぁお前は爆弾と変わらんだろ、と上条は息を吐く。 「他の男に見せるのが惜しいってのは、あながち外れじゃねぇよ。俺すっげぇびっくりしたし、ましてやお客がそんなに来てたってんならなおさら」 「………………そ、そう」 美琴がそわそわし出した。 「だから、御坂さん」 「……………なに?」 上条はがばっと土下座した。 「お願いだからこれ以上いじめないでください! 服を着替えて元の御坂に戻ってください! 上条さんはこれ以上精神が保ちません!!」 「………………えっと、意味不明なんだ、けど」 美琴がきょとんとする。 (そこは素か、素なのか!) 上条は一人悶絶する。 考えてみよう。目の前で整った顔立ちの女の子が、紺色基調のミニスカエプロンドレス&オーバーニーソックスを身につけて、女の子座りをしているところを。それを身につけているのが、例え上条当麻の天敵・御坂美琴でも、 (か、かわいい……萌え死ぬ……) 純情少年上条当麻は持って生まれた免疫の低さにより、建前と本音の綱引きで敗北しつつあった。これを世間ではギャップ萌えと言ったり言わなかったりする。 「ちょーっと確認させてね」 「あい?」 「アンタはこの服、気に入らないの?」 「そ、そんなことはにゃい!」 あ、舌噛んだ。 (お父さんお母さんごめんなさい。あなたたちの息子は中学生に手を出したすごい人になる一歩手前です!) 上条は心で血の涙を流す。 彼は思う。これはどんな拷問なんだと。 「アンタ、私に何か隠し事してるでしょ?」 「にゃ、にゃんにもしてませんの事よ? 上条当麻は裏表なきにしの事よ?」 自分が何を喋っているのか、もう訳がわからない。 「本当に?」 「ふぉんとうですぅ」 「とりあえず、アンタが私に服を着替えて欲しいことはなんとなくわかった。着替えるから、その前に私のお願いを一つ聞いて欲しいんだけど」 「にゃ、にゃんでしょうかー」 「わ、私の名前を…………呼んで? 今のうちに」 「ぴゃあああああぁぁぁぁぁぁあぁッっ!?」 もうダメかもしんないと、上条は思う。このままだと後戻りできない言葉まで口走ってしまいそうだ。 「ダメ…………かな?」 「……………………み、み、みさかっ!」 「ちょ、ちょっと! アンタいきなりどしたのよ!」 上条は美琴の肩をつかんでいた。引き返すことのできない断崖絶壁に立たされたような思いで 「おれ、おれ、おれは……み、み、み、みこ、みこ…………その幻想をぶち壊す!」 最後の意地を振り絞り、幻想殺し(右拳)を自分に向かって発射した。 岩のごとく固めた上条の右が、その額に突き刺さる。 「! ちょっとアンタ、何やってんのよ!」 自分を殴って気絶した上条を見て、美琴が仰天した。 ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ 「うあ…………いててて」 上条は目を覚ました。 直後にふに、という感触が後頭部に触れる。 「アンタ何やってんのよ」 ジト目でにらみつける美琴が天井にいた。 違う。 美琴が上条を見下ろしていた。 「えーと、これどういう構図?」 この感触どっかで触ったことあるなぁ。ああそうか橋の上で美琴に膝枕を 「………………ええええええええ? 御坂、お前何やって」 「馬鹿、まだ起きちゃダメでしょ」 起き上がろうとした上条を、美琴が遮った。 上条の額には美琴が用意してくれたと思しき濡れタオルが乗っている。 「アンタが自分を殴って気絶したくなるくらい、私の名前を呼びたくないってのはよくわかったわよ」 「………………」 いや、あれはそうじゃないんです一時の気の迷いで危うく犯罪を起こすところだったんですと言いかけて、止めた。 目の前の美琴が、今にも泣きそうな瞳で上条を見つめていた。 「何か言うことある?」 「…………ゴメン」 「何で謝るのよ」 「…………お前に謝んなくちゃいけないと思ったんだ」 「だから、何で」 「お前を見てくれで判断しようとしたから」 「…………」 「何着てたってお前はお前だよな、美琴」 「!」 「これでいいか?」 美琴は上条に微笑みかけ、上条の額から濡れタオルを外した。そして 「……今この状態で名前を呼ぶな馬鹿!」 地球の重力に引かれ加速のついた美琴の左が上条の額を直撃する。 「うぐあっ!?」 上条は再び意識を失った。 次に上条が目を覚ましたとき、美琴の姿はなかった。 頭の下には枕が置かれ、体には上掛け布団がかけられて。 ローテーブルの上に「帰る」と一言だけ書かれたメモが置かれていた。 上条は起き上がった。 美琴がいた気配は、どこにも残っていない。 自分でぶち壊した幻想は、もうどこにもない。 『アンタ、私に何か隠し事してるでしょ?』 優しい幻想をぶち壊しても、言葉は上条の胸に残った。隠した言葉はいつか暴かれるかもしれない。それでも 「…………純情少年上条当麻さんは、意地を貫き通しましたよっと」 テーブルの上のメモを拾い上げ、くしゃくしゃと丸めてゴミ箱に放り投げ。 上条は制服のポケットにあるプリクラシールを取り出そうとする。 その直後、背筋を悪寒が走った。 「…………明日が来るのがこんなに怖いとは。…………不幸だ」 時刻は二二時〇五分。 美琴はドラムバッグを担ぎ、寮への帰路を急いでいた。 「門限破りどころかこの時間かぁ。黒子助けてくれるかな」 美琴は携帯電話の電源を入れる。画面を確認すると、美琴の携帯電話は黒子からの悲鳴混じりの留守電メッセージと山のようなメールを受信していた。 「この時間に帰るつもりはなかったからなぁ。あーあ」 この時間に帰るつもりがなかったのなら、いつ帰るつもりだったのか。それは美琴だけが知っている。 『何着てたってお前はお前だよな、美琴』 美琴の作戦は、あの瞬間たった一言でぶち壊された。上条は全てを見抜いて、あのタイミングであの言葉を言ったのだろうかと美琴は思う。何にせよ、美琴は上条に『また』負けたのだ。 美琴の作戦。それは上条の部屋を訪れたときと同様に、ドラムバッグの中に詰め込まれていた。 「とりあえず明日よ明日。あの馬鹿が残り一六枚の招待券を誰に配ったのか吐かせて、それから……殺す!」 学園都市の夜は明けて、いつもの朝が訪れる。 そしてとある通学路で少年と少女は出会い、いつもの鬼ごっこが始まる。 少年が逃げ、少女が追いかける、とてもありふれた、お互いの本音を隠した鬼ごっこが。 終 前ページ上条さんと美琴のいちゃいちゃSS/シークレットメッセージ
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小ネタ 上条「よう御坂。何してんだ」美琴「天気もいいし、ちょろっとブラブラしてただけ」上条「平和だな。こんな日が長く続いて欲しいもんだ」美琴「アンタこそどうしたの。その荷物、野球の道具よね」上条「ああ、こないだ授業で使った学校の備品。無断で借りてきちまった」美琴「ふうん。草野球でもやるつもり?」上条「試合は人数が揃わねぇよ。ただのキャッチボールだな」美琴「壁を相手に?」上条「カミジョーさんにも友人は居ます。約束の時間は過ぎてんのに、まだ来ねぇけど」美琴「だったら、暇潰しに少し付き合ってあげる」上条「おいおい。ちゃんと投げれんのか?」美琴「私の運動神経、舐めるんじゃないわよ。すぐに覚えてみせるわ」上条「要は未経験なんですね。本当に大丈夫かよ」美琴「ぐだぐだうるさい。それとも電撃の的になりたい?」上条「デッドボールは結構です! まあいいか。川原に降りるぞ、汚れても知らねぇからな」美琴「グローブ借りるわね。――でかっ」上条「そりゃファーストミットだ。こっちの方が合わねぇか?」美琴「あ、ぴったり。これって子ども用?」上条「寮の押入れから出てきたんだ。ガキの頃に使ってたんじゃねーかな」美琴「アンタの……。そっか、記憶が」上条「年季が入ってるから、ちょっと汚ねぇけど」美琴「ううん。気にしないわよそんなの」上条「いきなり投げねぇで軽く準備運動しろよ」美琴「そっちもね!」美琴「死ねーっ!」上条「物騒な掛け声だな。その割に手投げだし、山なりじゃねーか」美琴「どうやるの?」上条「手首のスナップを利かせるんだよ。ほらこんな感じ」美琴「よし。死ねーっ!」上条「うん、まずはその声をやめような」美琴「なかなか上手くいかないわね……」上条「投げるのはともかく、しっかり捕球できてる。筋は悪くないぞ」美琴「手首を返して、こう!」上条「そう上達を急ぎなさんな。キャッチボールはのんびりやるのがいいんですよ」美琴「うー。じゃあ、しばらくこのまま続けて」上条「はいはい。疲れたら言ってくれよ」 上条「♪ 夏の朝にキャッチボールを」美琴「何よ、その歌。とっくに秋だけど?」上条「古い流行歌だよ。今日の言いだしっぺに布教されて、気づいたら口ずさんでるんだよな」美琴「へえ。いい曲みたいね、誰かさんの音痴は置いて」上条「♪ 幸せになるのには別に誰の許可もいらない」美琴「アンタが歌うと切実に聴こえるわ」美琴「たまにはこんな風に身体を動かすのも悪くないわね」上条「俺は御坂とゆっくり話せて驚いてるよ。ボールを遣り取りしながらだと話題も弾むもんだな」美琴「会話はキャッチボールって喩えがあるわね。……普段の私は話にならないって皮肉?」上条「そんなんじゃねぇよ。動作と言葉のテンポが噛み合ってて、悪くねぇなってさ」美琴「別にいいけど。ところで野球の表現もかなり際どいわよね。盗む、刺す、殺すとか」上条「意図的に危険球を混ぜるのはやめてください。汗が冷たくなっちまう」上条「随分、上手くなってきたな。この短時間に大したもんだ」美琴「ふふん。少しは見直した?」上条「言ってる傍から暴投すんな! 投げ方が様になった分、取りに走るのキツいんだって」美琴「あっ、川! 落ちちゃう急いで!」上条「こなくそ、届け!」美琴「あ、あー! あと少しだったのに」上条「上手い具合に橋のたもとに引っかかってる。その辺に長い棒状のモノはないか」美琴「替えのボールは?」上条「一個しかねぇんだよ。よし、この枝で何とか。御坂は俺が落ちねぇように支えててくれ」美琴「もう前振りにしか聞こえないんだけど」上条「言うな! いいか、俺の手を離すなよ。絶対に離すんじゃねぇぞ」美琴「う、うん。さらっと恥ずかしい台詞……。手も繋いじゃってるし……」 ビリッ上条「――あのタイミングで漏電は勘弁してください。びしょ濡れじゃねーか」 フコウダ美琴「ご、ごめんなさい」上条「悪気はなかったみたいだし気にしてねぇよ。けどこれでお開きだな、ボールもねぇし」美琴「うん。……今日は楽しかった。風邪引かないでね」上条「そっちも身体を冷やすなよ。そうだ、御坂」美琴「なに?」上条「これやるよ」美琴「アンタが使ってたグローブ……」上条「いまの俺にはサイズが合わねぇし。お前もせっかく上達したからさ」美琴「あ、ありがと。大切にする」上条「じゃあな中島。今度も野球やろうぜ」美琴「またね磯野。晴れたら次の日曜日に」おわり