約 1,037 件
https://w.atwiki.jp/ulilith-face/pages/62.html
DynamicImageのキー(2) Category = DynamicImageで、 Typeがスライダアイテム(VolumeBar・PanControl・SeekBar・EqualizerSlider)の フィールドのキー一覧です。 キー名が赤字と青字のキーは必須のキーです。(青字のキーは他のキーの設定状況などによっては省略することも可能です) キー名が緑字のキーは、作成するアイテムの種類によっては必須になるキーです。(該当するアイテム以外を作成する場合は省略してもかまいません) キー名の左の欄に*があるキーは、ModifyItemコマンドで後から設定を変更することができます。 カテゴリの設定 キー名 値 内容 Category DynamicImage カテゴリをDynamicImageに指定 スライダの種類の設定 キー名 値 内容 Type 【※】 スライダの種類 ※VolumeBar・PanControl・SeekBar・EqualizerSliderのうちどれか1つ。 Type一覧表(2)を参照。 イコライザバンドの指定 ☆このキーは、Type = EqualizerSliderの場合のみ必須です。 他のTypeの場合は設定する必要はありません。 キー名 値 内容 初期値 EQBand 数値(整数)(0~17、-1) 表示するイコライザバンド、プリアンプ(Level)を指定【※】 ※数値と対応するバンドの関係は以下の表のとおり。 EQBand = 0 0Hz EQBand = 9 1kHz EQBand = 1 25Hz EQBand = 10 1.6kHz EQBand = 2 40Hz EQBand = 11 2.5kHz EQBand = 3 63Hz EQBand = 12 4kHz EQBand = 4 100Hz EQBand = 13 6.3kHz EQBand = 5 160Hz EQBand = 14 10kHz EQBand = 6 250Hz EQBand = 15 16kHz EQBand = 7 400Hz EQBand = 16 22kHz EQBand = 8 630Hz EQBand = 17 24kHz EQBand = -1 プリアンプ(Level) アイテムを表示するタイミングの設定 キー名 値 内容 初期値 ViewType 【※】 ファイルの再生状態に応じたアイテムを表示するタイミング AlwaysVisible * ActiveType 【※】 uLilithのアクティブ状態に応じたアイテムを表示するタイミング ActiveAndInactive ※Type一覧表(1)を参照。 つまみ画像に使用する画像ファイルの設定 キー名 値 内容 初期値 * ImageFile 画像ファイル名 つまみ部分に使用する画像のファイル名【※】 * PushedImageFile 画像ファイル名 クリック時に表示するつまみ部分の画像のファイル名【※】 * MouseOverImageFile 画像ファイル名 マウスオーバー時に表示するつまみ部分の画像のファイル名【※】 ※ImageFileに設定した画像ファイルのサイズ(幅・高さ)が つまみ部分のサイズ(幅・高さ)になります。 PushedImageFile・MouseOverImageFileは それぞれクリック時・マウスオーバー時に表示する画像を変えたいときだけ設定してください。 キーを省略すると、クリック(マウスオーバー)時もImageFileの画像のままになります。 なお、『通常時のみ非表示・マウスオーバー/クリック時のみ画像を表示させる』という場合でも ImageFileは省略できないので、そのような表示にしたい場合には 必ずDisableRegionキーをTrueで設定した上で MouseOverImageFile・PushedImageFileと画像サイズを同じにした 透明の画像ファイルをImageFileに指定してください。 スライダがゲージ式(IsProgressBar = True)のときはつまみ部分ではなく ImageFileに設定した画像ファイルがスライダの領域全体に配置され スライダの現在位置に応じて端から表示(0%で非表示~50%で半分~100%で全部表示)されます。 ☆横方向動作のスライダなら『ImageFileの画像の高さとHeight』を 縦方向動作なら『ImageFileの画像の幅とWidth』を ゲージ式なら『ImageFileの画像の幅・高さとWidth・Height』を それぞれ同じサイズに合わせてください。 なお、ゲージ式かつ「サイズ変更可能なスライダ」にする場合 (サイズ変更可能なフェイスで、スライダのほうも TopLeftAnchor/BottomRightAnchorキーで配置していて ウィンドウサイズに応じて幅(あるいは高さ)が拡大縮小するゲージ式のスライダにする場合)は ImageFileの画像がサイズ変更に応じて自動的に拡大縮小されるので、 滑らかに画像を表示したいときはWidth・Heightの初期サイズよりも 大きめの幅・高さの画像の指定をおすすめします。 (元画像が小さいと、うねったり多少表示の乱れが生じることがあります。) 背景色の設定 キー名 値 内容 初期値 * BackgroundColor 色指定 アイテムの背景色(・透明度)の設定【※】 0x00000000 * PushedBackgroundColor 色指定 クリック時のアイテムの背景色(・透明度)の設定【※】 * MouseOverBackgroundColor 色指定 マウスオーバー時のアイテムの背景色(・透明度)の設定【※】 ※スライダの現在位置に関係なく、 スライダの表示領域の矩形(長方形)部分全体に設定した色・透明度で塗りつぶされます。 ImageFileキーで設定されているつまみ画像部分のすぐ下に(奥に)背景色が表示されます。 スライダの現在位置にあわせて色をつけたい場合はこれらのキーを使用せず IsProgressBarキーをTrueに指定した上で ImageFileキーに全体を1色で塗りつぶした画像を指定してください。 PushedBackgroundColor・MouseOverBackgroundColorは それぞれクリック時・マウスオーバー時に背景色を変えたいときだけ設定してください。 キーを省略すると、クリック(マウスオーバー)時もBackgroundColorの色指定のままになります。 アイテムの表示サイズ(スライダの幅・高さ)の指定 ☆Width・Heightキーを省略してしまうと ImageFileの画像サイズ=つまみ画像と同じサイズに設定され、 スライダが操作不能になってしまうのでWidth・Heightキーは必ず設定してください。 キー名 値 内容 初期値 * Width 数値 スライダの幅 * Height 数値 スライダの高さ アイテムの表示位置指定 ☆通常は『PosX・PosYキー両方とも』 ウィンドウの特定位置(四隅・四辺の中央など)からの相対位置にする場合は 『TopLeftAnchorキー』が、それぞれ必須キーになります。 (PosX・PosYは省略してもエラーにはなりませんが TopLeftAnchorキーが未設定のときにPosX・PosYも省略すると PosX・PosYがどちらも0扱いとなり、アイテムがフェイス左上端に配置されてしまうので 基本的にはPosX・PosYを省略せずに記述するようにしてください。 なお、OriginItemキー設定時で 基準アイテムと同じ位置に配置する場合は省略してもかまいません。) キー名 値 内容 初期値 * PosX 数値 アイテムの左上端位置のX座標 0 * PosY 数値 アイテムの左上端位置のY座標 0 OriginItem 基準になるアイテムのフィールド名【※1】 アイテムの表示位置がキーの値に指定したフィールド名のアイテムの表示位置からの相対位置になる【※2】 * TopLeftAnchor 【※3】 アイテムの表示領域の左上座標を指定した原点からの相対座標に固定する【※4】 None * BottomRightAnchor 【※3】 アイテムの表示領域の右下座標を指定した原点からの相対座標に固定し、ウィンドウサイズの大きさに応じて表示サイズを自動調整する【※5】 None Priority 数値 アイテムの表示の優先度 0 ※1 iniファイル(定義ファイル)内で、 このキーを記述するフィールドの前に記述されているフィールド名のみが対象。 (このキーを記述するフィールドの後にあるフィールド名や iniファイル内に存在しないフィールド名はエラーになります。) ※2 OriginItemキーを記述した場合、 アイテムの左上端位置のX座標は、 「OriginItemで指定したアイテムのPosX+このアイテムのPosX」に、 Y座標は「OriginItemで指定したアイテムのPosY+このアイテムのPosY」になります。 PosX・PosYキーの数値にマイナスの数値を指定することで、 OriginItemで指定したアイテムよりも上や左に配置することもできます。 PosX・PosYキーの数値がどちらも0の場合(または、キーを省略した場合)は OriginItemで指定したアイテムと同じ位置に配置されます。 ※3 〔原点〕, 〔相対X座標〕, 〔相対Y座標〕の3つを半角スペースとカンマで区切って指定します。 原点はTopLeft(左上端)・TopCenter(上端中央)・TopRight(右上端)・ CenterLeft(左端中央)・Center(中央)・CenterRight(右端中央)・ BottomLeft(左下端)・BottomCenter(下端中央)・BottomRight(右下端)・ None(自動補正を行わない)のうちどれか1つ。 相対X座標と相対Y座標はピクセル単位だけでなく、 ウィンドウの幅や高さに対する割合でも設定が可能です。 割合で指定する場合は数値の後に半角で%を記述してください。 (%表記の場合、10.0%というふうに小数表記も可能です) ※4 このキーはPosX・PosYキーの代わりに設定します。 また、OriginItemキーの設定は無視されます。 ※5 このキーはTopLeftAnchorキーとともに設定します。 スライダの表示サイズはウィンドウサイズに応じて自動的に調整されますが、 初期サイズとしてのWidth・Heightキーは設定しておいてください。 なお、シークバー(Type = SeekBar)のみ 変更されたサイズにあわせてつまみの位置が自動調整されますが、 その他のスライダはサイズ変更後に一度クリックしないとつまみの位置が変更されません。 スライダの方向の設定 キー名 値 内容 初期値 IsVertical TrueかFalse True:スライダを縦方向動作にする False IsReversedSlider TrueかFalse True:スライダ動作方向を入れ替える 横方向動作なら「右が小さい値・左が大きい値」、 縦方向動作なら「下が小さい値・上が大きい値」 False スライダの動作の設定 キー名 値 内容 初期値 DisableDirectTrack TrueかFalse True:スライダの表示領域内をクリックで ダイレクトに移動する機能を無効にする False SliderAlwaysDrag TrueかFalse True:スライダの表示領域内のどこをクリックしても、 ドラッグしか出来ないようにする False IsProgressBar TrueかFalse True:スライダをゲージ式に変更する【※】 False ※このキーをTrueに設定する場合、ImageFileに設定する画像ファイルは Width・Heightキーで設定したスライダ全体の幅・高さと 同じサイズ(幅・高さ)の画像ファイルに差し替えてください。 ただし、ウィンドウサイズの拡大縮小に応じてスライダの幅(あるいは高さ)も拡大縮小するスライダ (TopLeftAnchor/BottomRightAnchorキーで配置したスライダ)にした場合は 幅・高さを揃えなくても自動的に画像のサイズがスライダのサイズに合わせて拡大縮小されるので サイズを揃える必要はありませんが、 元画像が小さいと拡大表示時にうねったり多少表示の乱れが生じることがあるので 大きめのサイズの画像の指定をおすすめします。 マウスオーバー/クリックへの反応の設定 キー名 値 内容 初期値 * TipHint 文字列 マウスカーソルがアイテムの表示位置に一定時間置かれたときに表示されるチップヒントの内容 * Enable TrueかFalse True:クリックに反応するようになる【※1】 False LinkedItem 他のアイテムのフィールド名【※2】 アイテムをクリック/マウスオーバーすると値に指定したフィールド名のアイテムも同時にクリック/マウスオーバーする AlphaThreshold 数値(整数)(0~255) つまみ部分の画像の中で〔指定した数値〕より大きいα値を持つピクセルにつまみ部分としての当たり判定を持たせる【※3】 0 DisableRegion TrueかFalse True:つまみ画像の中で 完全に透けている部分のある画像でも 画像の表示サイズの範囲全体に つまみ部分としての当たり判定を持たせるFalse:つまみ画像の中で完全に透けている部分には つまみ部分としての 当たり判定を持たせない【※3】 False MouseCursor 【※4】 マウスオーバー/クリック時のマウスカーソルの指定 Auto ※1 Falseに設定するとスライダが操作不能になるので 基本的にはTrueに設定してください。 ただし、同じ機能のスライダを複数配置する場合は 複数あるうち1つをTrueにしてあれば操作は可能なので 残り全てのスライダをFalseにしてもかまいません。 ※2 複数のアイテムを同時に連動させることも可能。(半角スペース・カンマで区切って指定する) ※3 通常のDynamicImageアイテムと異なり、 つまみ部分の当たり判定についての設定になります。 なお、AlphaThresholdキーで当たり判定を制御する場合は DisableRegionキーは省略するかFalseを指定してください。 ※4 マウスカーソルに使用する*.curのカーソルファイル名か、 以下の値のうちどれか1つ Auto・Normal・Finger・ TopLeftResizer・TopRightResizer・BottomLeftResizer・BottomRightResizer・ Arrow・IBeam・Wait・Cross・UpArrow・Size・ SizeNWSE・SizeNESW・SizeWE・SizeNS・No・Hand・AppStarting・Help 設定可能なマウスカーソルの一覧はこちら。 アイテムの初期表示状態の設定 キー名 値 内容 初期値 * IsHided TrueかFalse True:初期状態でアイテムを非表示にする【※】 False ※HideItemコマンドで非表示にしたのと同じ状態です。 後からShowItem・SwitchShowItemコマンドで表示させることはできます。 アイテムの透明度・表示範囲の設定 ☆背景色指定の透明度や画像ファイル自体の透明情報を編集すれば ConstAlphaキーを使用しなくても アイテムの表示透明度を制御することは可能です。 キー名 値 内容 初期値 * ConstAlpha 数値(整数)(0~255か-1) アイテムの定数α(不透明度)を指定【※1】【※2】 -1 AlphaChannelFile 画像ファイル名 つまみ画像が表示される部分のαチャネル生成元として使用する画像ファイル【※3】 ※1 「0」で完全透明、 「255」で不透明(背景色や画像ファイル自体が半透明なら、その透明度のまま)になります。 ただし、不透明扱いにするのならキーを省略(-1に設定)するほうが高速に描画されるので このキーで透明度を調整する必要が無い場合は、キーを省略してください。 なお、背景色指定の透明度や画像ファイル自体の透明情報が設定されている場合 ConstAlphaキーの設定が乗算されます。 ※2 ゲージ式のスライダ(IsProgressBar = True設定)で、 TopLeftAnchor/BottomRightAnchorキーを設定していて ウィンドウサイズに応じて長さが拡大縮小するスライダにしている場合は、 画像の拡大縮小とConstAlphaの設定が両立できないので ConstAlphaキーは使用しないでください。 ※3 このキーで指定された画像ファイルをグレイスケール化した後、 画像の「白い部分は不透明」・「黒い部分は透明」としてみなされ スライダ全体の中でその透明・不透明の部分にあわせた形/範囲で つまみ画像部分の表示が制御されます。 (灰色部分は半透明、白っぽい灰色は不透明に近くなる・黒っぽい灰色は透明に近くなる) 左右の端でフェードアウトするような表示にするときなどに設定してください。 例えば、両端が黒く、それ以外が白い画像をAlphaChannelFileに指定すると AlphaChannelFileの黒色部分にあたる領域(両端)につまみがあるときはつまみ画像が透明になり、 白色部分にあたる領域にあるときはつまみ画像が表示されます。 アイテムの表示エリアの差分描画の設定 キー名 値 内容 初期値 DisablePartialUpdate TrueかFalse True:差分描画が行われなくなる False つまみ画像の配置設定(キー省略を推奨) ☆他のDynamicImageアイテムと同じくキーの設定をすること自体は可能ですが、 スライダアイテムの場合はAlignキーを設定すると つまみ画像の位置や表示がおかしくなることがあります。 また、TilingMethodキーはスライダアイテムでは使用できません。 このため、基本的にはこれらのキーは省略してください。 ゲージ式のスライダ(IsProgressBar = True設定)で、 TopLeftAnchor/BottomRightAnchorキーを設定していて ウィンドウサイズに応じて長さが拡大縮小するスライダにしている場合は、 TilingMethod = Scalingと設定していなくても スライダのサイズの変更に応じて自動的に画像が拡大縮小するので TilingMethodキーの設定は必要ありません。 キー名 値 内容 初期値 Align 【※1】 アイテムの表示領域内での画像ファイルの表示位置 TopLeft TilingMethod 【※2】 画像ファイルの表示方法(繰り返し・拡大縮小) None ※1 TopLeft(左上端)・TopCenter(上端中央)・TopRight(右上端)・ CenterLeft(左端中央)・Center(中央)・CenterRight(右端中央)・ BottomLeft(左下端)・BottomCenter(下端中央)・BottomRight(右下端)のうち どれか1つ ※2 Both(縦横に繰り返し)・Horizontal(横方向に繰り返し)・Vertical(縦方向に繰り返し)・ Scaling(表示サイズにあわせて拡大縮小表示)・ KeepAspectScaling(縦横比を保ったまま拡大縮小表示)・ None(繰り返しや拡大縮小を行わない)のうちどれか1つ コマンドの設定(設定不可能) ☆スライダアイテムの場合、コマンドの設定に関するキーを記述しても コマンドは実行されません。
https://w.atwiki.jp/achdh/pages/105.html
あ行 アスセナ アンオフィシャル・オペレーション アンディオン地域 遺失技術文化社団 エクストリームアリーナ エデンタイプコロニー都市 エデンⅣ か行 旧世代技術解析財団 旧世代技術解析財団所属・先進技術開発部 旧ナルバエス地方 ケレト大断崖 コード:ヴェイロン・アプローチ さ行 サンドゲイル 生体CPU た行 テラブースト 特殊技術戦力開発局 トラキア な行 は行 兵器災害 ま行 マーフア研究所 や行 ら行 リヴァルディ わ・を・ん 記号・数字 BRS(Biochip Regulating System) ICS(Integrate Control System) アスセナ ミラージュ社旧経済管轄区最南端に位置する旧世代遺跡。六年前にミラージュ社によってその存在のみが確認されていたが、兵器災害発生と共に経済管轄区ごと廃棄された。ミラージュ社による旧ナルバエス地方の復興活動に伴って旧世代遺跡【アスセナ】もその対象となっていた。 第一話にて、ミラージュ社が同遺跡から発生する古代兵器群殲滅の為にAC戦力を中心とした掃討部隊を投入。結果として【アスセナ】の制圧に成功するも、ミラージュ社が欲していた旧世代の関連資材はサンドゲイルに所属するレイヴンによって持ち去られた後であった。 ミラージュ社は現在も、旧世代遺跡【アスセナ】の内部調査を継続中。 アンオフィシャル・オペレーション 正式作戦名:アースブルー 現在より11年前、大手傭兵仲介企業【レイヴンズアーク】によって遂行された非公式作戦。是には同社帰属の有力レイヴンが多数関与し、結末として作戦に関与した過半のレイヴンが命を落とすという凄惨な結果を迎えた。 多数の主権企業から構築される国際機関【企業連合】から脱退し、独自路線を歩もうとしたある新興企業体を瓦解させる為に、支配企業群がレイヴンズアークを始めとする複数の傭兵仲介企業に依頼したのが発端であり、作戦決行から僅か数日にして新興企業体はそのライフラインを断絶、まもなくして組織的瓦解に追い込まれた。 この作戦を境に、レイヴンズアーク内の勢力図も激変し、その中のひとつにエクストリーム・アリーナにおけるトップクラス・ランカーの進退があった。 アンディオン地域 ミラージュ本社から南方に位置する同社の経済管轄区。旧ナルバエス地方と同様、十数年前から有価資源──特に旧世代関連の資源が豊富に埋蔵されている。その為、兵器災害発生後も同地域に軍事力を幾度となく派遣して治安維持に努め、兵器災害が膠着化するまで同地域を経済管轄区に置き続けた。 近隣には統一連邦に対する軍事境界線が敷かれ、秩序確保を名目にした統一連邦領土への武力進行が日夜進められている。 遺失技術文化社団 通称:ターミナル・スフィア 活動拠点:エデン4 業務内容:現代では遺失物扱いとなっている旧世代の技術や史実などに関する情報収集・分析、合法非業法を問わない依頼に基づく遺跡発掘、それらの保護を主業務としている。それらから得られた有価情報を支配企業勢力やその他顧客に売買することで組織を運営。 五年前の兵器災害発生後間もなくして発展創設された社団法人。民間の同類組織を前身とし、レイヴンズアークを追放されたレイヴン・ノウラが運営権を引き継いで発足させた。 コロニー都市・エデン4の商業区画のオフィス・ビルに事務所を構え、業務内容に沿った組織運営を行っている。業務内容の都合上によりアーマードコアをはじめとする軍事戦力を保有。 主な業務現場である古代遺跡は支配企業その他の勢力などによる武力衝突や、古代兵器群の襲来が相次いでおり、必然的に防衛主体戦力として軍備を備えている。 顧客対象は主に支配企業系列の組織が大半であるが、社団自体は何れの勢力に傾倒する事もなく、ほぼ独立した運営方針を貫いている。 独立した軍事力を保有してはいるが、その点に関しては支配企業に属さない組織として極めて小規模な勢力に過ぎない。 しかし、発展創設された当時の経緯から支配企業の系列組織などと広大な情報ネットワークを構築しており、情報業務全般に関しては過小評価できない影響力を持つ。 保有するAC戦力は、ノウラの搭乗機体「ホワイトサン」と他三機。それ以外に業務内容に従って外部のレイヴンを雇い入れる事も稀にある。 社団創設の黎明期に業務発展の一翼を担ったレイヴン・アザミは事務所と専属契約を交わしていない為、正規戦力として数えられていない。 兵器災害発生から五年が経過した現在は、武力行使による古代遺跡の制圧業務まで一手に担っている事から、社会的には小規模な軍事組織としての側面が強く知られている。 エクストリームアリーナ 大手傭兵仲介企業【レイヴンズアーク】が主催する最高峰のアリーナプログラム。対外的に広く知られる同社帰属の有力レイヴンは大体がエクストリーム・アリーナに名を連ね、予備ランカーを入れて延べ100名前後の登録レイヴンから構築されている。レイヴンズアーク経済管轄下の地方アリーナ大会でトップクラスランカーとなるか、或いはエクストリーム・アリーナ運営委員会からの直接の推薦によってのみ、アリーナへの参戦権を獲得する事が可能。 エデンタイプコロニー都市 兵器災害以降、統一政府がその威信を賭け、大企業の財源支援の下建造された、完全城砦・循環型都市を指す。 エデンⅣ 人間が安全に暮らせる代名詞のコロニーの中でもひときわ規模が大きいのがエデンタイプ(エデン型)と呼ばれるコロニーで、現在エデンⅠからⅥまで存在する。 エデン型の特徴は何といっても安全性と居住環境の高さが他の一般的なコロニーの群を抜いている点である。 内面は高度に区画整理された都市が広がっており、商業区画・居住区画・工業区画・自然区画など人類の生活に必要なもの全てが完全自給によって運営され、正に世界の箱庭とも呼べるような空間となっており、その外見は超巨大な都市一つをドーム型の天蓋ですっぽり覆ってしまったような大きさを持つ。 天蓋は要塞のごとき堅牢さで、古代兵器の一つでありアーセナル・ハザード時、都市を軒並み破壊した特攻兵器でも全くダメージを与えられない。 また広大な地下部も存在し、エデンⅣのシステム制御を担う管理制御区や地下工業プラントなどが収容されている。 あまりに広大なため、管理局ですら把握できていない区画も存在すると噂されている。 エデンⅣは4番目に建造されたエデン型コロニーで、各企業の重要拠点や政府機関が収容されており、管理運営は統一政府が行っている。各企業は収容させてもらう代わりにコロニー運営資金を賄っていて、住民の大半は企業関係者である。 その他の大きな特徴としてレイヴンと呼ばれる傭兵の派遣企業であるグローバルコーテックスの支部も収容されている。 3大傭兵派遣企業であるレイヴンズアーク・グローバルコーテックス・ナーヴスコンコードのうちエデンⅣに収容されているのはグローバルコーテックスのみで、理由はエデンⅣ建造の際にグローバルコーテックスが多大な出資をし、エデンⅣでの利権を一人占めしたためである。 旧世代技術解析財団 通称:ジシス財団 五年前の兵器災害発生直前、支配企業を主とした勢力による共同出資によって非公式に創立された対旧世代兵器開発機構。現在では既に組織的解体を経ており、人材・機材・資産などは分散して各支配企業に帰化している。 創設経緯 五年前の兵器災害発生直前、資源領土を巡って多企業間による武力衝突が頻発していた武装地帯の古代遺跡で、旧世代の遺物と推測される兵器生産施設と統括機構が発掘される。遺跡調査を推進していたミラージュ社帰属の調査団体が発掘及び調査業務を実行したが、防衛用に緊急起動した初期型パルヴァライザーの強襲によって、遺跡探査は中断。直後に援軍として派遣されたミラージュ戦力が同兵器を辛うじて破壊することに成功。その際にパルヴァライザーの残骸がミラージュ社によって回収される。 その後、武装地帯一帯を含む世界各地に散在する古代遺跡周辺で、度々勢力不明の無人兵器群による武力介入が頻発するようになる。不明勢力の武力行使が無差別であった事と、それに伴う戦力や領土被害が甚大なものになりつつあった事から、ミラージュ社の発案により前者主導で支配企業群が集結し、対古代兵器専門の解析財団が創設された。 それから間をおかずして、兵器災害が世界複数ヶ所の古代遺跡から発生、被害が瞬時に世界規模にまで拡大。この頃ミラージュ社により提供された初期型パルヴァライザーの残骸から旧世代兵器群のデータファイルの一部がサルベージされ、その中のひとつに【ARMORED CORE:NEXT】と銘打たれた兵器の情報が含まれていた。 サルベージされた情報に更なる精度を求め、古代兵器が無尽蔵に生産され続ける古代遺跡に幾度となく解析人員を派遣、兵器災害への対応策確立と併行して、旧世代兵器を現代技術で復刻する試みに着手していく。兵器災害発生から数年、災害規模が膠着状態に入り始めた頃に【NEXT】と呼ばれていた兵器のプロトタイプが財団内で製造される。 本来、対兵器災害用に運用される予定であったその兵器が持つ在的な軍事的有用性に目をつけた支配企業は財団の意に反し、各々の軍事的優位性を確立する為に財団に集積されていた技術情報の独占所持に奔走し始める。 結果として財団は支配企業群による撹乱工作の末に起こった組織内の内紛により解体、それによって集積されていた技術情報は分散化して、共同出資運営に名を連ねていた支配企業群へと渡っていった。 旧世代技術解析財団所属・先進技術開発部 通称:グレイヴメイカー ジシス財団の研究によって得られた古代技術の解析データをフィードバックして、古代兵器を上回る兵器を開発するために実際に実験・検証を行っていた部門。 その技術力は支配企業の最先端技術が集結したものであり、研究者にとってまさに最高の環境だった。 その研究分野は多岐に渡り、ACの制御技術や根本的な構造変更、さらにはパイロットの強化技術にまで及ぶ。 シーアのいたジャンク屋が今までに遺跡からの発掘物を多数輸送しているという情報を聞き、研究の邪魔となるために排除を決定。 新技術搭載の実証機にテストパイロットを乗せて出撃させ、ジャンク屋を襲撃した。 その際にシーアが脅威的な対応能力を発揮していたため、協賛しているナーヴスのオペレーターの希望もあって、シーアを新たなテストパイロットとして迎えることとなった。 しかし、シーアのテストする予定の機体は、今まで以上に非常に強力な機体(コジマ粒子を大量に使用した試験機)であり、その負荷は通常の人間には耐えられないと推測されたため、脳を大々的に古代技術によってつくられた人工脳、生体CPUに近いものに移植することが決定する。 その情報をエイミが耳にし、二人で脱走した。 なお、ジシス財団が解体された年とシーア達が襲撃された年が一致しないのは、研究者達が自分達で研究を独自につづけているためであり、その研究資金の大半は企業からの出資である。 現在は出資企業に研究成果の全てを提供するという条件で研究が続けられているが、一部の情報を秘匿しながら研究を続けている。 旧ナルバエス地方 ミラージュ社旧経済管轄区。五年前の兵器災害発生に伴って地方全域に甚大な被害を被り、以降ミラージュ社経済管轄区分から除外された。その後は何れの支配勢力にも属さない空白地帯となっていたが、近年になって兵器災害が膠着し始め、ミラージュ社は同地方の復興活動に乗り出している。 元は化石資源や鉱物資源などをはじめとする豊富な地下資源が産出される地方として知られ、ミラージュ社領下であった頃は多数の資源採掘都市が散在、各地で隆盛していた。その為に度々資源戦争の火中に曝され、支配企業軍による武力衝突も頻発していた地方である。 ミラージュ社が復興活動を推進し始めた事により、他企業も埋蔵資源を狙って軍事行動を展開し始めている。 ケレト大断崖 ミラージュ社経済管轄区・アンディオン地域最東部に敷かれた対統一連邦軍事境界線付近に伸びる大断崖の名称。数千メートルに及ぶ地下層には旧世代資源が豊富に埋蔵されており、ミラージュ社は以前から発掘業務を推進してきていた。大断崖地下核部で凍結資材である生体CPUが発見されるも、その事実はミラージュ社の暗部にとどめられている。 コード:ヴェイロン・アプローチ 約40年前に統一政府が体制的優位性を確立する為、連邦内のいくつかの主権国家及び支配企業によって非公式に推進された先天強化人間計画。 数世紀に渡って続いた世界規模の武力衝突【大戦】によって人類種はその存続をすら危ぶまれるまでに疲弊し、世界人口の激減と数多の技術的損失を被った。計画提唱者の名を冠したコード:ヴェイロン・アプローチは、あらゆる技術的側面からの人工生命の製造を試みたものであり、計画の過程で作出された生命体は遺伝子導入技術を始めとした後天的身体強化施術やそれに伴う身体機能の強制促進を強要された。人類復興に伴って急激な技術復興と発達が進み、それら技術分野──特に遺伝子工学分野における新規技術の実用化を目的の一つとした計画でもあった為である。 先に述べた後天的身体強化施術による身体機能の突出は無論、他の面でも人間体として極めて優れた機能の発現を人工生命体は期待され、その実現後速やかに統一連邦内の政財界及び軍事方面などの主要ポストへ配置される事が予定されていた。 しかし、体外受精卵をベースとした成功第一例である人工生命体──後の【ハスラーワン】が作出されてから暫く後に、コード:ヴェイロン・アプローチは突如計画凍結に追い込まれた。 当時の工学技術は急激な発達を遂げていたものの、それらはあくまで途上段階のものであり、先天強化人間計画に試験投入されていた技術の多くは未確立の状態であった。それら投入技術は多くの人工生命体を死に至らしめた為、計画自体の見直しを出資組織群から迫られた為に、計画が頓挫したのである。試験技術が投入された中で唯一、後天的身体強化施術による身体機能の強制促進や有機強化内骨格施術等あらゆる技術投入を受けて生存したのが、第一例の人工生命体【ハスラーワン】であった。 何故【ハスラーワン】のみが生存できたのかは当時の技術力では明らかにされず、人工受精児の【ハスラーワン】に伴っていた幾つかの先天遺伝子群がそれを可能にしたのでは、という未臨床の推論のみが残された。 その推論は概ね正しく、後にネクスト開発においてその要諦となるAMS適性もこの時点でその存在が仄めかされていた。 サンドゲイル マイ達が所属する遊撃隊兼何でも屋。 レイヴンズアークのトップランカーだったシェルブ・ハートネットが一線を退き、自らのレイヴンとしての技術を後世に少しでも残そうと、10年程前に若手の人材育成のため立ち上げた組織。 それと同時に戦争によって生まれた戦災孤児の引き取り手という側面も持つ。 それは戦争を生業とする者としてのせめてもの贖罪のつもりであり、サンドゲイルの母艦であるリヴァルディの乗員は戦争孤児が殆どを占める。 そのことについてシェルブは現実との板ばさみに悩まされている。 生体CPU 古代文明の遺跡の中枢に古代兵器と共に眠っていた人造人間。 人造人間といっても、ロボットやアンドロイドではなく、遺伝子操作により生み出された人間。 普通の人間に比べて身体能力や生命力が異常に高く、遥かに長寿である。 また、体が予めプログラムされた体格まで成長すると、それ以降成長が止まり、さらに老化もしない。 生体CPUという名が示す通り、人間では考えられないレベルの演算能力と情報処理能力を持っており、さらに並列同時処理までやってのける頭脳を持っている。 しかしその反面、感情能力が非常に乏しく、人間でありながら機械のような反応しか示さない。 これは遺伝子操作の際、身体の機能を最優先させたからであり、そもそも人間として扱うことを想定していなかったので感情を制御する機能を最低限しか与えられなかったためである。 ただし、高い学習機能も備わっているため、置かれた環境によっては、その限りではない。 生体CPUは、ほとんどが10代の少女の姿をしており、そのどれもが人間の理想形とも言えるような絶世の美少女で、おとぎ話やファンタジーに登場する女神や妖精を連想させる。 体の成長は誕生してから第一次性徴の終了までが異常に速く、第一次性徴が終了すると一旦成長が止まる。そして、数年の時間を経て第二次性徴が始まり、第二次性徴が終了すると成長が止まり、それ以降老化もせず、寿命までそのままの姿で生き続ける。 生体CPUが発見される時は大抵、厳重にシールドされたコールドスリープ(冷凍睡眠)カプセルに保存されており、第一次性徴終了時か第二次性徴途中の状態で発見されることが多い。 現在のところ、数ある遺跡のなかでも特に規模の大きい遺跡でしか発見されておらず希少度は非常に高い。 生み出された目的は現在も研究中で、あまり解明されていないが、古代兵器と一緒に眠っていることから、古代兵器制御用に使われていた可能性が極めて高いと言われている。 現時点で発見・確認されている生体CPUは5体に満たず、政府や企業では生体CPUの発掘と解明がネクスト研究と共に急務となっている。 テラブースト 旧世代におけるコジマ粒子の名称。発見されて間もない為、初期段階の実験中に爆発事故を起こした。 特殊技術戦力開発局 グローバルコーテックス社が「自社占有利益の確保と自衛戦力の確立」を謳い、兵器災害の半年後に新しく設立されたセクション。 各支配企業の研究チームと比べても遜色ないメンバーが揃っている。 トラキア 都市名称:トラキア 市政府議会所在地:第一主管区 基幹産業:総合傭兵産業 駐在人口:3,000,000人 都市管轄区分:第一主管区(市議会所在地)、第二管区、第三管区、第四管区、小規模フロート群 概要 ユーラシア大陸はバルカン半島の欧亜境界地帯に位置する、半海上型独立産業都市。約300万人の駐在人口と広大な市域を保有し、周辺地域に多大な影響力を持つ一大自治勢力である。 市政府関連施設の集中する沿岸地帯の第一主管区を管轄基点とし、海上に計三箇所建造されたハイメガフロート管区と、その他無数に点在する小規模フロート群から自治形態を恒久維持する独立産業都市である。 都市建設の史実経緯から現在は総合傭兵産業を基幹産業とし、世界各地から膨大な量の自由傭兵や関連勢力が流入する屈指の総合傭兵産業都市である。 その為、傭兵を志す者からは"自由傭兵の聖地"として名を知られている。 非統一連邦・支配企業勢力の中では最高峰の一大独立勢力であり、都市管轄は"市政府"の主導により遂行されている。市政府が最上位執行機関として総合的な都市管轄を行い、その下で区議会が各区の管理に当たる。 嘗て閉鎖型機械化都市【エデン型都市建造計画】の建造地に名を連ねていた名残りから循環型経済システムが確立されており、循環型コロニーとして高い都市機能を有している。しかし、それに限定しては不完全な代物に過ぎない為、恒久的な都市存続の為に周辺地域他、世界規模での交易経済は非常に活発である。 都市全域を覆う外殻機構が建造途中のまま破棄されており、元々の管轄体であった統一連邦政府と市政府の間で建造技術の情報提供交渉が長年交わされている。しかし、閉鎖型機械化都市【エデンⅤ】から総合傭兵産業都市【トラキア】への遷移に伴う両者の確執問題から交渉は事実上座礁しており、実現には程遠いのが現状であるとされている。 【エデンⅤ建造計画】とその放棄、総合傭兵産業都市【トラキア】への形態遷移 嘗て統一連邦の保有領土下にあり、連邦加盟企業【ローゼンタール社】が長らく機械化港湾都市【トラキア】を直轄経済管轄都市として区分していた。 AD104年、兵器災害の発生前後に到って統一連邦政府が完全循環型都市の建造【エデン型都市建造計画】を提唱、機械化港湾都市【トラキア】は五番目のエデン型都市の建造予定地となった。 しかし直後に、世界規模の大惨禍を招いた"兵器災害"が発生。【トラキア】も例外なく大打撃を受けた結果、統一連邦は現地での【エデンⅤ建造計画】を永久凍結、そのまま【トラキア】を含む周辺管轄地帯を完全破棄した。 この後、完全破棄に伴って兵器災害の猛威に曝されていた【トラキア】を幾つかの機械化傭兵部隊が防衛。結果として、多大な犠牲と引き換えに機械化港湾都市【トラキア】を護り抜いた。 兵器災害の小康状態への移行と共に機械化傭兵部隊は都市中興に尽力、五年の歳月を掛けて【トラキア】を総合傭兵産業都市を基幹産業とするユーラシア最大規模の独立産業都市として返り咲かせた。 中興の過程で機械化傭兵部隊はその殆どが市政府、政府保有正規軍(陸・海・空軍)、関連軍事企業等へと姿を変えていった。 その他捕捉事項 中興以降、【トラキア】には旧世代兵器群による攻勢が殆ど行われず、その事実を知る当時の関係者は其れを、"アシムの奇蹟"或いは、"血審の対価"等と呼称する。 また、五年前の【トラキア】防衛戦闘の際に戦死した百数十名のレイヴンと其れを遥かに上回る数の傭兵達の慰霊碑が、第一主管区内の名誉霊園に建てられている。 兵器災害 別名・通称:アーセナル・ハザード 現存する旧世代の古代遺跡より無尽蔵に生産される古代兵器群が、武力行使によって人類の生活圏を脅かす現状を総称して言う。五年前、世界各地は複数の古代遺跡から出現した古代兵器群による支配企業領土への大攻勢に端を発しており、最初期の対古代兵器戦闘によって人類は少なくない支配領土を損失した。 ミラージュ、クレスト、キサラギといった支配企業と政府は古代兵器群の襲来に対応すべく、残存する支配領土下に従来のコロニー都市に加え大規模なシェルター型都市を建造、それらが人類の主な生活圏となりつつある。 しかし、支配企業による直轄運営区域から遠く離れた資源採掘都市や辺境都市などは充分な庇護政策の恩恵を得られず、企業からの派遣戦力や傭兵組織などを頼んだ防衛網を敷いて、日々の治安維持に努めているのが現状となっている。 最初期の兵器災害を境に、各支配企業は古代兵器の解析と関連技術の獲得に動き始め、古代遺跡への積極的な武力介入が日夜、企業軍によって世界規模で推進されている。それらの激化に伴って必然的に利権闘争も深刻化の一途を辿り、古代遺跡の保有権と旧世代技術の獲得を巡って企業間の武力衝突が日常化してしまっている。 各地の古代遺跡で生産される古代兵器群は最初期こそ、何れの敵性戦力もが似通った武装形態であったが、しばらくして幾つかの敵性個体に現存の兵器技術を搭載したものが戦場で発見されるようになる。 現存技術を解析して新規搭載、自律稼動するそれら古代兵器群は総称して パルヴァライザー と称され、それらの形態は世界各地に散在する古代兵器によって大小の差異が存在する。 対AC戦用に特化した武装個体や、工作特化型個体、偵察用小型個体など多岐にわたり、現在でも新しい個体が時折発見される事がある。古代遺跡への武力介入を推進する支配企業ですらその全貌を把握し切れておらず、それらへの対応策を強いられている事が、企業軍が大規模な攻勢に出られない要因の一つともなっている。 大概は古代遺跡の最深部施設に古代兵器群を生産する兵器プラントと統括機構が存在し、それらを破壊する事が兵器災害の拡大を押し留める主な手段となっている。 マーフア研究所 旧ジシス財団の一翼として関与していた企業体、ナーヴス・コンコードが北欧某地に保有していた研究施設。同施設ではAMS技術や統合制御体を始めとするネクスト関連の技術が推進され、この施設で【ナインボール・セラフ】を含む複数機のプロトタイプネクストが製造された。 財団内紛に乗じてプロジェクト参画体であったハスラーワンが脱走、同施設からプロトタイプネクスト【ナインボール】を強奪した後、同施設は粒子汚染地区として閉鎖された。 リヴァルディ サンドゲイルの拠点となる武装ホバー船。 AC6機を搭載可能なカーゴスペース、整備スペース、物資の積載スペース、居住区、ブリッジがある。乗員は30名程。 要目 最高速(未積載時):200km/h 最高速(積載時):150km/h 通常巡航速度:120km/h 武装 大型グレネードキャノン4門 近接防御用機銃6門 ミサイル迎撃機能搭載 BRS(Biochip Regulating System) 実働試験型ネクスト機体の開発に伴い、旧ジシス財団で提唱されていた技術概念を引き継ぎ、複数企業によって継続開発された機体制御技術。ネクスト機体の制御技術の根幹である統合制御体、AMS機構に次ぐ第三の機体制御機構である。その中心である生体CPUが搭乗者であるリンクスの代替処理脳として膨大な電子情報を並列処理し、同時に統合制御体とAMS機構とで交わされる複雑な行動信号を適宜解釈、最適化を施す事によって搭乗者であるリンクスにかかる過剰を負荷を軽減するものである。 しかし、この技術もまた完成の域に到達しているとは世辞にも言えない。搭乗者の複雑な行動信号を適宜解釈・最適化して統合制御体へ転送するのが生体CPUの主な役割であるが、現存が確認されている生体CPUはその精神構造に難が在る為に搭乗者の発した行動信号は徹底的に簡略化され、それはつまりネクスト機体が極めて機械的な機動しか取れないという事を意味している。此れは旧ジシス財団存続時においては最終的に望まれた結果ではあったが、苦肉の策であったという側面も持ち合わせている。 統合制御体自体も、搭乗者の意思判断を適宜解釈する完璧な機能を持たず、搭乗者の心身負荷低減と統合制御体の意思解釈規定をクリアする為に、旧ジシス財団で旧世代におけるネクスト研究の資料文献等を参考とし、生体CPUを本格的に技術導入する方針が採られた。 支配企業群によるネクスト開発の現状は生体CPUの確保と画期的な技術開発に翻弄されており、そして高度な意思解釈規定を持つ統合制御体とそれに併せた生体CPUの機能解明とAMS機構の負荷低減が模索中である。 一部には、統合制御体とAMS機構の技術開発にのみ特化して最終的には生体CPU無しでのネクスト制御技術を研究する勢力も存在する。 ICS(Integrate Control System) AMS(Allegory Manipulate System)の代替品として特殊技術戦力開発局で開発されたマン・マシンインターフェース。 生体CPUを除いたパイロット単独でのネクスト操作を目的として開発が進められた。 根幹を為す技術はAMSを基にしており、パイロットにはある程度の素質が求められる。しかしながら、AMSとの大きな相違点はその負荷低減力にある。AMSの低適性パイロットに対する肉体的・精神的ストレスは計り知れないものであるが、ICSのそれは遥かに少なく、適性をほとんど持っていない者でさえ起動することだけなら可能な程である。 上記のパフォーマンスを実現した理由はICS独自による機体データの簡略化である。複雑な機体データを電気信号に変換してパイロットの脳に直接伝達する所まではAMSと変わらないが、変換する際にデータを細分化し、必要最低限のデータのみをICS側が判別して機体・パイロット双方に伝えるため、大幅な負荷低減の実現を可能にした。 万能とも言えそうなICSだが、情報の自動的な簡略化によって機体を「思い通り」に動かすことは難しく、その点で言うならばダイレクトに機体とパイロットを直結するAMSの方が遥かに優れている。 また、データの細分化・取捨選択に伴う演算装置の大型化により、機体の積載を多量に割かなければならないこともデメリットとして挙げられる。機体によっては必須内装系パーツをオミットしなければICSの搭載自体が出来ないため、パイロットにかかるリスクはその実AMSと大差がない。
https://w.atwiki.jp/himaitame/pages/533.html
32 むさし ◆iCP07Kte/g sage New! 2005/08/24(水) 09 18 12 ID J4U6qYz30 サトコの引越しの手伝いに行きなさいという話になり行動アンカ 明智光秀を討ち取る 「俺の前でストリップをしてくれ」と土下座して懇願 指輪をプレゼント。 「きみのウザさに乾杯!結婚してくれ」 アナリスクで 「もう限界でござる!」 というまで調教 新居のトイレでオナニー 有り金全部を差し出し 『これで別れてくれ 手切れ金として受け取れ』 35 むさし ◆iCP07Kte/g sage New! 2005/08/24(水) 09 19 20 ID J4U6qYz30 コンビニでポテコとフリスクを購入し、待ち合わせの駅に向かう。 バッグの中には戦国BASARAとセーブデータの入ったメモカ。まつモエス。 某駅の北口に着いたのは、待ち合わせ10分前。駅のホームからメール送信。 「今北産業」 受信。 「??着いたんですか?」 反応わりい。 今日のサトコの服装はキャミソールにフレアスカート、ニーソックスにポニーテール。 キタコレ!!!!テラモエスwwwww でも、引越し作業する格好じゃねーだろそれ。 と、服装に関してツッコミつつ、サトコん家に向かう。 「ケーキ、買ってますよ。後で食べましょうね~」とか呑気な事言ってる。 俺が辞めてからの職場の動向とか、かなりどうでもいい話を聞かされながら歩く。 駅から10分くらいのところにある、1LDKのマンション。オートロック、最上階、角部屋。 たぶん、俺が住んでるトコより家賃高い。 「散らかってますけど、どうぞ~」 オマエばかか、散らかってんの当たり前だろ。 44 むさし ◆iCP07Kte/g sage New! 2005/08/24(水) 09 20 31 ID J4U6qYz30 35 の続き さて、サトコん家。 ダンボール箱めちゃめちゃ多い。明智光秀を討ち取るにも、まだTVも無い。 「あと1時間くらいでヨドバシが届けてくれます。洗濯機とかも」 ああ、そうか。 んじゃあまずはダンボール箱何とかすっか。 俺が開けていいモノと開けたらダメなものがあるらしく、ダンボール箱の端っこに何やら 目印がしてある。 ◎が付いてるものは誰があけても問題ないもので、★が付いてるものが他人が開けたら ダメなものらしい。 「じゃあ、すみませんがこの辺のやつをお願いします」 最初に開けたのは小物。 ばか丁寧に食器とか生活小物がみっしりと詰まっている。 次に開けたのも小物。 ぬいぐるみがみっしり。 サトコの目を盗んで軽めの★付きダンボール箱をゲット。 開けてみた。 キタコレ!!!! 46 むさし ◆iCP07Kte/g sage New! 2005/08/24(水) 09 22 10 ID J4U6qYz30 44 の続き ダンボールの中身はカラフルなパンツ祭り。でも下着そのものには執着は無い。 「おーいサトコー」 「なんですかぁー?」 「おまえ、案外カワイー下着持ってんのな。あ、これKID BLUEじゃね?」 「!!1!!その箱はだめです!111!!」 年齢相応というかPJとかが多かった。 サトコのエロ耐性を調べるためにも、これをネタにちょっと下ネタを会話に絡める。 「穴あきとか持ってないんか?」 「持ってるわけないじゃないですか!そもそも穴あいてたら落ち着きませんよ!」 「でも何かと便利だぞ。突然盛っても脱ぐ必要ないし」 「さ か り ま せ ん !」 「んでオマエ、Bなの?」 「悪かったですね!貧乳で!!」 耳まで真っ赤になるサトコモエスwwww 「もー、この辺のダンボールは、もう開けなくていいです!もー」 牛に釘を刺された。 つうか、★つきのダンボールが過半数なんだが…。 部屋のチャイムが鳴った。 48 むさし ◆iCP07Kte/g sage New! 2005/08/24(水) 09 23 16 ID J4U6qYz30 46 の続き テレビと洗濯機、乾燥機、掃除機、冷蔵庫、電話機、その他家電が続々と到着。 なんつーかスペック高いものばっかなんだが。テレビとかプラズマだし。 「おまえ、金持ちだな…」 「あー、お父さんが買ってくれたんですよー」 配達のにーちゃんが洗濯機と乾燥機を設置している間に、俺がTVを設置。 にーちゃんの相手をしてたサトコがパタパタとやってくる。 「あ、この箱の中がテレビ周りのものなんで、もし分かれば繋げてもらえませんか?」 精密機器・こわれものちゅうい!と書かれたデカい箱を開ける。 中身はDVDレコーダーとプレステ2、そしてプレステのソフト。 ソフトの中に戦国BASARAあるしwwwww とりあえずユリにメール送信。 「サトコの引越し手伝い中。サトコん家って金持ちだな」 すぐに返事が返ってきた。 「サトコって社長令嬢だって知らなかったの?(笑) このまま逆玉に乗っちゃいなよ」 まじか…。何気に焚き付けられているのは気にしない。 50 むさし ◆iCP07Kte/g sage New! 2005/08/24(水) 09 24 11 ID J4U6qYz30 48 の続き 洗濯機と乾燥機の設置が終わり、にーちゃんは帰っていった。 俺のほうもテレビ周りのセッティング完了。プレステ2も繋げた。 サトコはキッチンの片付けをしている。 「そろそろ落ち着きそうですし、お茶でもしましょうー」 ★印のついたダンボールがまだ数個残ってるんだが。 「このダンボールはこのままでいいのか?」 「もー、いいですいいです。これはあたしが自分でやりますー」 また牛か。 『プレステとか入ってた箱に戦国BASARAあったんだけど、お前もやってんの?』 「発売日に買いましたよー。むさしさんも持ってるんですか?」 『うん。まだ全員クリアできてないけどな。まついいよな、まつ』 「よしなに。とか言う女の子ですよねー。あたしは伊達政宗が好きですー」 『Are you ready?』 「Yeah!!!」 アホか俺ら。 でもだんだんサトコ可愛く感じてきた。ヤバス 54 むさし ◆iCP07Kte/g sage New! 2005/08/24(水) 09 25 27 ID J4U6qYz30 50 の続き 洗濯機と乾燥機の設置が終わり、にーちゃんは帰っていった。 俺のほうもテレビ周りのセッティング完了。プレステ2も繋げた。 サトコはキッチンの片付けをしている。 『んじゃちょっと戦国BASARAやろうぜ。サトコの超絶テクを見せてくれ』 「えー、あたしそんなうまくないですよー」 『自由合戦でいいや。明智光秀討伐してくれ。難易度はどうする?』 「明智だったら天王山取ればすぐ終わるんで、究極でいいですよー」 『究極?マジで?』 「その代わり、無限六爪流は装備させてくださいね」 ロードが終わり、サトコのプレイ状況を見てみる。 全キャラ使用可能。全キャラLv20。アイテムコンプリート。 うはwww夢が広がりんぐwwww 俺より全然スゴスwww 自由合戦で伊達政宗、山崎殲滅戦(明智光秀討伐)の難易度究極を選ぶ。 武器は亜羅棲斗流Lv99にJET-XとMAGNUM STEP。アイテムは無限六爪流、剛力の腕輪、熱唱びわw 「お茶入れてきました。むさしさんは紅茶よりコーヒーのほうがいいんですよね?」 『そんな野暮なこと聞いてんじゃねえ。とっとと明智殺してくれ』 「はーい」 58 むさし ◆iCP07Kte/g sage New! 2005/08/24(水) 09 28 51 ID J4U6qYz30 54の続き サトコの明智光秀討伐がはじまった。 『熱唱びわはやっぱいいよな』 「あたしはグレイのほうが好きなんですけど、この曲はゲームにあってていいですよね~」 『おれまだ無限六爪流持ってないんだよ。おまえよく取ったな』 「あたし、単純作業が苦じゃないんで(笑)」 ダベりつつサトコのプレイを横から眺めるが、なんかこいつすげーウマい。 無限六爪流を装備しているというアドバンテージがあるのを抜きにしても、全然ダメージ食らわないし、敵キャラの配置とかしっかり覚えてる。 『おまえ、俺よりうまいんじゃね?』 「このゲームはやりこみましたからね~。自信ありますよーう」 クッションの上にペタンと座り、テレビを見据えてコントローラを動かすサトコ。 彼女に気づかれないようにそっと手を伸ばし、フレアスカートの裾を少しずつ持ち上げてみる。 70 むさし ◆iCP07Kte/g sage New! 2005/08/24(水) 09 32 01 ID J4U6qYz30 58 の続き 今日のサトコぱんつは 水 色 (フリル付き)。 悪くないな。 「亜qw瀬drftgyふじこlp;@:!!!」 「ななな、なにしてるんですか!!!!!」 『いやいや、サトコかわいーから、パンツもかわいーのはいてるんだろうと思ってな。 もしかしてもしかしたら穴開きだったら困るから、確認しておかねばと』 「穴開きなんて持ってないです! もー! あ!」 伊達政宗が雑魚に蹂躙されている。 『ほらほら、気抜くと政宗死ぬぞ。天王山死守してくれよ』 「もう!イタズラはダメですからね!」 そしてあっさりと討伐される明智光秀。 【明智光秀討伐篇】了 704 むさし ◆iCP07Kte/g sage New! 2005/08/24(水) 11 16 49 ID J4U6qYz30 「明智光秀討ち取りましたよ!おやかたさま!」 先生、バカがいます。 さて、ここからプロポーズしてアナリスクへと向かわなければならないわけだが。 ぶっちゃけどうしよう。 まずはケーキ食うか。 『このケーキ、もしかして○○○○の?』 「お。兄さん、詳しいですねえ。アタリです」 『たしかこの辺に店あんだろ?』 「そーですそーです。結構近くにありますよ。通う予定です! 『おまえ、これ以上太ったら嫁に行けなくならね?』 「大丈夫です!むさしさんに拾ってもらいますから!」 『悪いけど、俺デブ専だから最低でも今の倍くらいになんねーと相手にしないよ?』 「え、えええー!?が、がんばります!(笑)」 なにこのスイートな展開。 『んじゃあ、サトコ太らせるか。はいあーん』 「えええええー。恥ずかしいですよう。でもあーん(笑)」 なにこの展開。ラブラブじゃん。 726 むさし ◆iCP07Kte/g sage New! 2005/08/24(水) 11 18 16 ID J4U6qYz30 704 の続き ケーキを口に運んでやるフリをして、ほっぺたに生クリームをヒットさせる。 「! うそー。ひどーい」 『あれ?さっきはこの辺りまで口あいてなかったっけ?』 「そんなことないですようー」 『わりい。俺、最近視力落ちちゃってさ。よく見えないんだよね。口移しでもいい?』 「い、いやいや、それはちょっとありえないです。付き合ってもいないのに」 『だったら付き合うか?』 「え、えー?ちょっと突然そんな事言われても…」 『あー、俺もケーキ食いたいけど、作業疲れで腕あがんなくなっちゃった。あーん』 「えー」 『おまえ、さっきからえーしか言わねえな』 「えー、そんなことないですよう」 『じゃあケーキ食わせてくれよ。できれば口移しで』 「全然関係ないですし!」 『ケーキ食いてえなあ…』 「………じゃあ、一回だけですよ?できれば目を瞑って欲しいです」 『えー、目ェ瞑ったらサトコの照れ顔見られないじゃんよ』 「えー、とか言う人は、もうケーキ食べてくれなくていいです!」 『えー』 「また、えーって言った」 『サトコのが移ったんだよ。えー。ケーキ食いたいです。食わせろよ。早く』 「じゃあ、黙って目ぇ瞑る!」 目を瞑って口を開ける俺。今、写メ撮られたらマジ死亡。 730 むさし ◆iCP07Kte/g sage New! 2005/08/24(水) 11 19 24 ID J4U6qYz30 726 の続き 薄目でサトコを見てると気づかれた! 「もー、目ぇあけたらダメです!」 と言って片手で目隠しし、こっちに寄って来る。 生クリームが口に触れた。 「ほー、ははくはへへふははいほう」(予想訳:もー、はやくたべてくださいよう) 手の目隠しは誤算だった。口移しから抱き寄せのコンボの成立には難がある。 仕方なく、何もせずにケーキを受け取った。 『じゃ、今度はサトコの番ね、はいあーんして』 「え、ええー?」 『えー、とか言わない。何度言えば分かるんだ』 「いやー、恥ずかしいですよう」 『じゃあ、目ぇ瞑ってればいいじゃん。俺はガン見してるけど?』 「もー、わかりました。あ、苺でおねがいします。あーん」 なんだ、これから苺の展開って分かってんじゃねーか。 737 むさし ◆iCP07Kte/g sage New! 2005/08/24(水) 11 21 51 ID J4U6qYz30 730 の続き 苺をくわえ、サトコに近づく。 ぎゅーっと目を瞑ってるのが何かカワイス。 しかしまあ、女の髪の毛はイイ匂いするよな。 サトコのシャンプーは多分ビダルサスーン。だって彼女(今週末に結納)と同じ匂いだしw 小さく口を開けたサトコに苺を押し込むと同時に、俺の舌も差し込む。 「!?」 サトコが目を見開くのと同時に、悶絶する俺ガイル。 噛 み や が っ た。orz 「ご、ごめんなさい!大丈夫ですか!」 大丈夫なわけねー。でも痛みで喋れねー。 しばしの悶絶の後、鈍痛は残るけど喋れるくらいには回復した。 743 むさし ◆iCP07Kte/g sage New! 2005/08/24(水) 11 22 51 ID J4U6qYz30 733 戦国BASARA 774 むさし ◆iCP07Kte/g sage New! 2005/08/24(水) 11 27 47 ID J4U6qYz30 737の続き サトコ、あたふたしてる。顔真っ赤。 『噛むなんてひどくない?』 「すみません………」 『まあ、そこまでションボリしなくてもいいと思うけど』 「大丈夫ですか?」 『とりあえず喋れるけど、痛みは残ってるよね。誰かさんに思いっきり噛まれたから』 「もー、すみませんっ!いきなりあんなことされたら、誰でもびっくりしますって!」 『あー、痛い痛い痛い痛い』 「全然痛くなさそうなんですけど…。どうしましょう…。 オマエの口で治療しろとかエロ親父みたいなことは言いませんよね?」 『いや、言う。治療してくれよ。サトコの舌で』 「えええー。まんまエロ親父ですよー。会社辞めてもセクハラ癖抜けてなーい」 『25過ぎたら親父だよ。オマエも25過ぎたらお肌の曲がり角だぞ。一気に老けるぞ』 「ひ、ひどーい」 『まあ、それはともかく、サトコとチューしたいからチューしようぜ。大人のチューを』 「電車男だ(笑)」 電車男、さすがに知名度高いな 825 むさし ◆iCP07Kte/g sage New! 2005/08/24(水) 11 33 47 ID J4U6qYz30 774の続き 『ごまかしてんじゃねえ。とっとと大人のチューするぞ。ってもしかしてオマエ、大人のチューしたことねーのか?』 「そんな事ないですよー」 『それはドッチの意味に取ればいいんだ?経験アリ?なし?』 「アリアリですよっ!」 『ほんとですかー?ま、やってみればわかるか。するぞ、チュー』 「え、えー。えーと…ごめんなさい。ないです…」 『…まじで?』 「はい。だって、男の人とまともに付き合ったことって無いし…。ネクラだし。可愛くないし」 『ネクラとかはともかく、サトコかわいいじゃん。まあ、あと30kgくらい太ってくれたら俺的にはベストだけど』 「えー、それはありえなくないですかぁ?」 『ま、俺がデブ専ってのはネタだけど。チューしよう。チュー』 「もー、ちゅーちゅー、ってネズミみたいですね」 『ごまかしてんじゃねえyp、やんのかやんねーのかはっきりしろ』 ちなみにここまで押し切るのは、ユリから入手した【サトコは俺に気がある】という情報があるからだ。 843 むさし ◆iCP07Kte/g sage New! 2005/08/24(水) 11 36 44 ID J4U6qYz30 825の続き 「え、えー。じゃあ、します。チューします。よろしくおねがいします…」 『子供?大人?』 「えっと…軽いやつで」 『フレンチ?ディープ?』 「えっと…フレンチ」 『フレンチキスっていうのは、所謂ベロチューの事なんだが』 「そうなんですか?って、フレンチかディープかって、どっちも同じじゃないですか!」 『お互い子供じゃないしね。ともかくサトコちゃんはベロチューがご希望で、初めての相手を俺にと』 「なんか騙されてる気がします…」 『サトコちゃんはベロチューがご希望で、初めての相手を俺にと』 「あ、…はい。おねがいします…」 『ちなみにさ』 「はい?」 『オプションというか。大人のチューをしたら続きもしないと俺の気がすまないんだが』 「え、えー?」 全身で尻込みを表現するサトコ。でも二の腕を俺に掴まれてるんで逃げられず。 877 むさし ◆iCP07Kte/g sage New! 2005/08/24(水) 11 40 44 ID J4U6qYz30 843続き 『サトコは俺のこと嫌いじゃないんでしょ?』 「嫌いだったら、おうちになんて呼ばないです」 『嫌いじゃないって事は、好きって事だ』 「な、なんでそうなるんですか?」 『好きの反対は無関心だろ?サトコは俺に対して無関心じゃないだろ?って事は無関心の反対で好きって事じゃんか』 「なんか…ジャイアンみたいな俺様理論ですね…」 『ま、いいんじゃね?俺はサトコが好きで、サトコも俺が好き。って事で大人のチューの先まで行くって事でFA?』 「お、大人のチューの覚悟はしたんですけど…。大人のチューの先って……やっぱエッチですか?」 『まあ、そうだな。ちなみにエッチにも色んな方向があるんだけどな。俺のエッチはちょっとすごいかも』 「ってゆーかですねえ…」 『なに?この期に及んで、言い訳?言い逃れ?』 「えっと…あたし…、したことないんですよ…」 『アーアーきこえなーい。声が小さくて聞こえなーい。ナニをしたことないの?』 「だから…えーっと、えーっと、えっちしたことないです…」 処女宣言キタコレ!!! 937 むさし ◆iCP07Kte/g sage New! 2005/08/24(水) 11 45 45 ID J4U6qYz30 877続き 『Oh really? are you virgin?』 「もー、茶化さないでください…。どうせ23で処女ですよぅ!」 『つーか、お前マジで処女?』 「すみません…」 『うわー…』 「やっぱり、23で処女ってヒきます?」 『いや別に。たとえ処女でも援交しまくりのHIVのキャリアでも、サトコはサトコだしな』 ま、HIVキャリアだったらガン逃げするけどね。 『というわけで、まずは大人のチューからね』 「…なんか言いくるめられてる気がしますけど…。むさしさんが相手なら、ばっち来いです…」 ばっち来いワロスwwww 960 むさし ◆iCP07Kte/g sage New! 2005/08/24(水) 11 48 59 ID J4U6qYz30 セクロスシーンは必要ですか? 必要だよな…。 361 むさし ◆iCP07Kte/g sage New! 2005/08/24(水) 13 15 24 ID J4U6qYz30 初めての(相手)とのチューは、いつもどきどきするね。 おれエロビ見ても生まんこ見ても( ´_ゝ`)なんだけど、ベロチューはそれだけでちんちんおっきする。 あと、俺は無言でセクロスはダメ。かと言って愛の言葉をささやくでもなくコミュニケーションのひとつとしてセクロスがあるわけだ。 どちらか一方だけ気持ちよくても仕方ないし、どうせなら相手の痴態を見たいしな。 ま、そんなことはどうでもいいかw じゃ、いただきまーす。 初めてのチュウのときくらいは、ムーディーに行くか。 サトコを見つめる。こういう展開に多少は予測していたのか、それとも期待していたのか ちょっと困ったようなはにかみ顔。 『目、開けたままでチュウする?俺はサトコの顔じーっくり見ながらするけど?』 「……恥ずかしいので、あたしは閉じます…」 片手でサトコの髪を撫でながら支え、顔をちょっと斜めにずらし唇を重ねる。 さっきみたいにいきなり舌を入れるとまた噛まれかねないので、最初はサトコの唇の弾力を楽しむ。 肩を寄せ合ってる状態でベロチューに以降するのは体制的に俺が疲れるので、ポジショニングを変更する事にした。 目を閉じて地蔵のように固まっているサトコから唇を離すと、目を開けて照れ笑いをする。 366 むさし ◆iCP07Kte/g sage New! 2005/08/24(水) 13 16 57 ID J4U6qYz30 361続き 「チューしちゃいました…」 『いや、本当のはこれからだから。大人のキスできる?』 「また電車男だ(笑)」 『ちょっとさ、大人のチューするのにこの姿勢は辛いから、もっとコッチこいよ。むしろ俺の膝の上座っていいよ』 「あたし、重いですよ?(笑)」 『さっき言ったろ?俺の理想は今のオマエ+30kgだって』 「うそばっかり(笑)」 サトコ、テンパってます。 何だかんだいいつつ俺の膝の上に座ったサトコ。 『じゃ、次は大人ね。舌噛んだらおしおきするからな。噛むなよ!絶対噛むなよ!』 「今度はダチョウ倶楽部ですか?(笑)」 ノリツッコミしてくれる女は大好きだ。 『そんなに緊張しなくていいから、ぽかーんと口あけとけ』 「はい…」 軽く口を開けた状態で再び目を閉じるサトコ。間抜け面だ。その開いた唇を塞ぎ、ゆっくりと舌を送り込む。 サトコの舌に俺の舌が触れたとき、一瞬ぴくっ!と反応するが、なされるがまま。 その間、両手の仕事もおろそかにしない。 髪や頬を撫でたり、うなじ、首筋、背中に指を這わせる。サトコは耳の上の方・鎖骨・背中に強く快感を得るらしい。 俺の舌と両手がフル稼働していると、サトコの息遣いもだんだんと荒くなる。 最初は自分の身体を支えるような感じで俺の肩に回していた腕、そして指にも力が入る。 373 むさし ◆iCP07Kte/g sage New! 2005/08/24(水) 13 19 19 ID J4U6qYz30 366続き そして受動的だったサトコの舌に動きが。俺の舌に対して自分の舌を絡めてくるようになった。 しばらくサトコに任せてみると、だんだんと動きが弱まり、そして目を開き困惑の表情をこっちに向ける。 「どうしたんですか?」 『いやな、サトコ初めてにしては案外ヤるなと思って』 「もー、またそんな恥ずかしいこと言うー」 『で、大人のチューの感想を聞かせて頂きたいわけだが』 「んふ…、いいですね…。すごくエッチな気分になります」 『エッチしたことないけどねw』 「んもー!」 頭はたかれますた。 『どうする?次に行く?』 「えと…もうちょっと、チューしてたいです。ダメですか?」 『いや、全然おkwww』 引き続き大人のチュー。 気づかれないようにチラチラを時計を見てたわけだが、もう10分くらいチューしてるのよ。 流石の俺もアゴが疲れてくるよ。フェラする娘はホント偉大だよな。 そろそろ路線をセクロスに変更しないとね。 382 むさし ◆iCP07Kte/g sage New! 2005/08/24(水) 13 21 23 ID J4U6qYz30 373続き 処女のくせに積極的になったサトコによる第二次大人のベロチューの主導権をじわじわと俺に戻しつつ、再びサトコが受身になったところで攻撃開始。 サトコが逃げないように腕を絡め、舌を唇から首筋に這わせる。 「え!え!え!汗かいてるから汚いです!」 『サトコの汗は汚くないぞ?寧ろウマい』 「えええええー…。ぁ!…」 反応が良かったのが鎖骨。「んあ!」とか言ってんの。で、直後、恥ずかしいのか黙り込んでるw ギガウイウイシスwww 口撃対象を耳に移した辺りから、片手は背中からオパイに向けて侵攻開始。 ブラのラインに沿って指を這わせ、触るぞ触るぞ、おにーちゃんサトコたんのオパイさわっちゃうぞー。と、じらし攻撃。 目測で乳首の位置を予測し、軽く撫でて見るとサトコは「ひゃ!」と声をあげてビクっ!と反応する。 『おっぱい揉まれた事とかねえの?』 「友達とかと遊んでて揉みあいとかしたことありますけど、こういうのは初めてです…」『じゃ、本格的にサトコのおっぱい弄っていい?』 「…作業してて汗たくさんかいてるし、恥ずかしいです…」 『だよな。初めてだもんな…。先にシャワー浴びる?』 「できればそうしたいです…。むさしさんもシャワー浴びましょう…」 『だが断る!』 「え?なんでですかー?」 『今、この瞬間、サトコのおっぱいを堪能しておかないと、俺は一生後悔する事になるから!』 ブラのホックを外すのなんて朝飯前である。 だってデートの度にスキあらば彼女のブラのホック外して遊んでるからな。 393 むさし ◆iCP07Kte/g sage New! 2005/08/24(水) 13 24 16 ID J4U6qYz30 382続き 「あ!ダメです!!」 『ダメじゃないだろ?サトコのおっぱい触らせてくれよ。できれば吸ったりもしたい』 「え、ええー」 『また、えーえー言ってんなw ま、サトコに拒否権は無いわけだが』 「なんでですかぁ?」 『食物連鎖でサトコは底辺、俺頂点だから』 「わけわかんないですよ(笑) 『ま、いいから。んじゃお邪魔しまーす』 サトコとチューしながら、片手でキャミソールの下からサトコのおっぱい目指し、あるある探検隊が出動する。 途中、へその辺りを弄って反応をみたり、脇に寄り道をしたりと焦らしてみる。 ま、処女(自称)が相手なんで焦らす効果があるのかどうかは微妙なところだけど。 そしてサトコのオッパイに到達。 触った限りではやわらかいけど弾力があり、乳首は小さめで感度極上。 402 むさし ◆iCP07Kte/g sage New! 2005/08/24(水) 13 26 09 ID J4U6qYz30 393続き 『サトコさあ、オマエ、ブラBカップだよな?』 「!?触って分かるんですか?」 『いや、さっきダンボールの中に入ってたブラでサイズ見たし』 「一瞬しか見てないのに、よく覚えてますね…」 『まあ、サトコのことなら何でも覚えてるけどな』 「うそばっかり(笑)」 『ま、それは言い過ぎとして、触った限りではオマエCくらいあると思うんだけど、ちゃんとブラ合わせた事ある?』 「いや、トップとアンダーの差だとBなんですけど…?」 『なんか自分ではそう思ってても、実際はカップ違うことってよくあるらしいぞ サイズが合ってないブラしてると形崩れたりするよ?』 「そ、そうなんですか?詳しいですね…おっぱい博士ですか?」 『博士じゃないけどな。今度そういうブラ合わせてくれる店に連れてってやるよ』 「嬉しいですけど、恥ずかしくな… んんんん!!!」 乳首を軽くキュキュキュキュ!と弄ってみたらこの反応。ステキングwwww 貫通済みなら、ここからまんこ弄りに行ってもいいんだけど、そういえば作業した後きちんと手を洗ってないんで粘膜触るのはちょっとあれだな。 風呂行くか風呂。 412 むさし ◆iCP07Kte/g sage New! 2005/08/24(水) 13 28 18 ID J4U6qYz30 402続き 『サトコの汗臭い生乳はステキだな。最高だな』 「なんか下品じゃないですか?汗臭いとかひーどーいー」 『じゃ、お風呂入るか。一緒に』 「い、一緒に!?」 『うん。一緒に』 「狭いですよ…?」 『狭さは愛でカバーする。サトコの身体を洗ってやるよ』 「恥ずかしいからいいですよ…。それにあたしもちょっと準備したいし…」 『何の準備するん?』 「もー、知りませんっ!」 『一緒に行こうよ』 「行かないです!」 『じゃあ、やっぱり汗臭いままピリオドの向こうに行くとしますか』 「もう…むさしさん意地悪い…」 サトコ半泣き。俺、女の涙にはヨワス。 『んじゃあ、今度広いところで一緒に洗いっこしよう。お風呂行ってきなよ』 「……むさしさんは?」 「サトコの後にシャワー貸して」 「いや…あたしちょっと長いと思うんで、むさしさん先にお願いします…」 それにあたし先に入ってて、突撃されると困りますんで…」 ばれてますた。 というわけで風呂。 次、遂にサトコ処女喪失!? 439 むさし ◆iCP07Kte/g sage New! 2005/08/24(水) 13 32 45 ID J4U6qYz30 416 ウチの県にはPJのショップ無いんだが…。 440 相武 ◆SMNI1tO.GM sage 2005/08/24(水) 13 32 54 ID FhSAo5E50 むしろ10分もディープキスできない俺 10分ってすごくね? 446 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2005/08/24(水) 13 33 55 ID ymy4znk30 PJはあまり質がよくないからな。 440 ディープキスだけで1時間は楽勝。ま、自分は女だから相手はキツいかもしれんが。 448 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2005/08/24(水) 13 34 09 ID reUUULO10 チスとべろちゅーは次元が違うっす 572 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします New! 2005/08/24(水) 13 51 28 ID J4U6qYz30 もうレポ不要っぽいね。 446 PJは安くてカワイイけど、そんだけのイメージがある。 こないだKID BLUE買わされた。 つか1時間てすごいな。尊敬する。 592 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします New! 2005/08/24(水) 13 54 36 ID J4U6qYz30 いや俺、打たれヨワスだから。へこたれたw 長文ウザスなふいんきだから、五行でまとめるお! 598 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします New! 2005/08/24(水) 13 56 07 ID J4U6qYz30 535 おれレポったとしても、このスレ後半か、あるいは次スレになると思うんでガンガレ。 つアンカー 604 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします New! 2005/08/24(水) 13 58 29 ID J4U6qYz30 みんなの罵声。了解した。 600 ヤメテ… むさし3
https://w.atwiki.jp/ulilith-face/pages/66.html
DynamicStringのキー Category = DynamicStringのフィールドのキー一覧です。 キー名が赤字と青字のキーは必須のキーです。(青字のキーは他のキーの設定状況などによっては省略することも可能です) キー名が緑字のキーは、作成するアイテムの種類によっては必須になるキーです。(該当するアイテム以外を作成する場合は省略してもかまいません) キー名の左の欄に*があるキーは、ModifyItemコマンドで後から設定を変更することができます。 カテゴリの設定 キー名 値 内容 Category DynamicString カテゴリをDynamicStringに指定 アイテムを表示するタイミング・表示する文字列(情報)の設定 キー名 値 内容 初期値 Type 【※1】 1:uLilithの再生モードなどの状態に応じた アイテムを表示するタイミング2:表示する文字列(再生時間などの文字情報)に どの情報を表示するかの設定のどちらか1つ ViewType 【※2】 ファイルの再生状態に応じたアイテムを表示するタイミング AlwaysVisible * ActiveType 【※2】 uLilithのアクティブ状態に応じたアイテムを表示するタイミング ActiveAndInactive ※1 Type一覧表(1)・Type一覧表(2)を参照。 ※2 Type一覧表(1)を参照。 表示する文字列の内容の設定 キー名 値 内容 初期値 * Caption 文字列 表示する文字列の内容【※】 ※Typeキーで、情報文字列(PlayTimeなど)を設定している場合は その情報の内容の文字列がすぐに表示され、 Captionキーで設定した内容は表示されません。 Type = StaticItemのときか、 Typeキーでアイテムの表示状態を設定しているときのみ表示されます。 表示する文字列の内容の設定(書式制御可能なもの) ☆このキーは、TypeがFormatedString・PlayTimeFormat・ RemainTimeFormat・TotalTimeFormat・ TimeFormat・ListTotalFormatのいずれかのときに必須のキーです。 キー名 値 内容 初期値 FormatString 【※1】 表示する文字列の内容(書式制御可能な文字列) ※1 FormatedStringの場合は「タイトル文字列」と同じ書式、 PlayTimeFormat・RemainTimeFormat・ TotalTimeFormat・TimeFormat・ListTotalFormatのときは カスタム形式時間表示の書式。 記述のしかたや表示できる文字列の内容など詳しくは、 FormatedStringは「タイトル文字列の書式設定について」を、 PlayTimeFormat・RemainTimeFormat・ TotalTimeFormat・ListTotalFormatは 「カスタム形式時間表示の書式設定について(1)」を、 TimeFormatは「カスタム形式時間表示の書式設定について(2)」を参照。 文字列の表示色・フォント設定 ☆TextColor・FontFace・FontSizeキーは必須です。 ただし、文字列を画像ファイルによる描画設定にする場合 (StringByImageキーをTrueにしている状態)は 文字色・フォント表示設定(この表のキー)は無効になるので TextColor・FontFace・FontSizeキーは不要になります。 キー名 値 内容 初期値 * TextColor 色指定 文字列の文字色・透明度 0x00000000 * PushedTextColor 色指定 クリック時の文字列の文字色・透明度【※1】 * MouseOverTextColor 色指定 マウスオーバー時の文字列の文字色・透明度【※1】 * ShadowColor 色指定 文字列の影の文字色・透明度 0x00000000 * PushedShadowColor 色指定 クリック時の文字列の影の文字色・透明度【※1】 * MouseOverShadowColor 色指定 マウスオーバー時の文字列の影の文字色・透明度【※1】 * UseStringEdge TrueかFalse True: ShadowColorの色指定を 文字の縁取りの色の設定に 変更する【※2】 False * FontFace フォント名 文字列の表示フォント * AlternateFontFace フォント名 FontFaceで指定したフォントがインストールされていない場合に代わりに使用する表示フォント * FontSize 数値 文字列のフォントのサイズ(高さ) * FontStyle 【※3】 文字列のフォントの装飾設定 ※1 クリック/マウスオーバー時に文字色を変えたいときだけキーを設定してください。 キーを省略した場合はクリック/マウスオーバー時も文字色が変わらず 通常の文字色のままになります。 ※2 PushedShadowColor・MouseOverShadowColorも指定されている場合は ShadowColorと同様に、それぞれクリック時/マウスオーバー時の縁取りの色になります。 ※3 Bold(太字)Italic(斜体)Underline(下線)Strikeout(取り消し線)の4種類。 複数同時に使用することも可能。(半角スペース・カンマで区切って指定する) 画像ファイルによる文字表示の設定 ☆文字列を画像ファイルによる描画設定にする場合は StringByImage・StringImageFileキーが必須キーになります。 なお、『通常時のみ非表示・マウスオーバー/クリック時のみ文字を表示させる』という場合でも StringImageFileは省略できないので、そのような表示にしたい場合には MouseOverStringImageFile・PushedStringImageFileと画像サイズを同じにした 透明の画像をStringImageFileに指定してください。 キー名 値 内容 初期値 StringByImage TrueかFalse True:文字列の表示が 画像による文字描画に変更される False StringImageFile 画像ファイル名 文字(数字・記号)の表示に使用される画像ファイルを指定【※1】 PushedStringImageFile 画像ファイル名 クリック時の文字(数字・記号)の表示に使用される画像ファイルを指定【※2】 MouseOverStringImageFile 画像ファイル名 マウスオーバー時の文字(数字・記号)の表示に使用される画像ファイルを指定【※2】 ※1 「0123456789 .,-+%」の16文字を等間隔で描いた画像ファイルを指定します。 画像を縦に16分割した部分(『幅:画像の16分の1×高さ:画像の高さ』のサイズ)が 1文字として表示されます。 例えば0を表示する場合は分割した一番左の部分、1の場合は左から2番目の部分、 2の場合は左から3番目の部分、……(中略)……%の場合は一番右の部分 というように表示されます。 「0123456789 .,-+%」以外の文字は空白として表示されます。 ※2 文字画像の描画方法はStringImageFileと同じです。 クリック/マウスオーバー時に表示する文字画像を変えたいときだけ設定してください。 なお、文字画像の表示サイズを変更することはできないので StringImageFileキーに設定する画像と同じ縦横サイズの画像ファイルを指定してください。 文字列の表示方向の設定 キー名 値 内容 初期値 IsVertical TrueかFalse True:文字列を縦書きで表示する【※】 False ※全角の文字を表示している、あるいは画像ファイルで文字を表示している場合は 文字自体の向きは変わらず、正しく縦書き表示できます。 半角文字を表示している場合は文字が横に寝てしまいます。 文字列のスクロール設定 キー名 値 内容 初期値 ScrollPixels 数値(整数) 文字列がスクロールする速度(ピクセル単位。0でスクロール停止) +20 RepeatPixels 数値(整数)(0以上) スクロールが発生した場合の繰り返し表示の始まるまでの空白部分の長さ(ピクセル単位) 30 HoldTime 数値(整数)(0以上) 文字列の表示が変わって文字列の表示幅がアイテムの幅より広くなり、スクロール表示が必要になった場合のスクロールが始まるまでの待機時間(ミリ秒単位) 3000 CrossFadeTime 数値(整数)(0以上) 文字列の表示が変わる際のクロスフェードする時間(ミリ秒単位。0でクロスフェードしない) 1000 背景色の設定 キー名 値 内容 初期値 * BackgroundColor 色指定 アイテムの背景色(・透明度)の設定【※】 0x00000000 * PushedBackgroundColor 色指定 クリック時のアイテムの背景色(・透明度)の設定【※】 * MouseOverBackgroundColor 色指定 マウスオーバー時のアイテムの背景色(・透明度)の設定【※】 ※アイテムの表示領域の矩形(長方形)部分全体ではなく、 文字が表示されている部分を中心に設定した色・透明度で背景が表示されます。 文字列のすぐ下に(奥に)背景色が表示されます。 PushedBackgroundColor・MouseOverBackgroundColorは それぞれクリック時・マウスオーバー時に背景色を変えたいときだけ設定してください。 キーを省略すると、クリック(マウスオーバー)時もBackgroundColorの色指定のままになります。 アイテムの表示サイズの指定 キー名 値 内容 初期値 * Width 数値 アイテムの表示サイズ(幅) Captionの文字列の表示幅 * Height 数値 アイテムの表示サイズ(高さ) Captionの文字列の表示の高さ ☆Width・Heightキーが省略された場合、 Width・HeightはCaptionの文字列の表示幅・高さになります。 アイテムの表示位置指定 ☆通常は『PosX・PosYキー両方とも』 ウィンドウの特定位置(四隅・四辺の中央など)からの相対位置にする場合は 『TopLeftAnchorキー』が、それぞれ必須キーになります。 (PosX・PosYは省略してもエラーにはなりませんが TopLeftAnchorキーが未設定のときにPosX・PosYも省略すると PosX・PosYがどちらも0扱いとなり、アイテムがフェイス左上端に配置されてしまうので 基本的にはPosX・PosYを省略せずに記述するようにしてください。 なお、OriginItemキー設定時で 基準アイテムと同じ位置に配置する場合は省略してもかまいません。) キー名 値 内容 初期値 * PosX 数値 アイテムの左上端位置のX座標 0 * PosY 数値 アイテムの左上端位置のY座標 0 OriginItem 基準になるアイテムのフィールド名【※1】 アイテムの表示位置がキーの値に指定したフィールド名のアイテムの表示位置からの相対位置になる【※2】 * TopLeftAnchor 【※3】 アイテムの表示領域の左上座標を指定した原点からの相対座標に固定する【※4】 None * BottomRightAnchor 【※3】 アイテムの表示領域の右下座標を指定した原点からの相対座標に固定し、ウィンドウサイズの大きさに応じて表示サイズを自動調整する【※5】 None Priority 数値 アイテムの表示の優先度 0 ※1 iniファイル(定義ファイル)内で、 このキーを記述するフィールドの前に記述されているフィールド名のみが対象。 (このキーを記述するフィールドの後にあるフィールド名や iniファイル内に存在しないフィールド名はエラーになります。) ※2 OriginItemキーを記述した場合、 アイテムの左上端位置のX座標は、 「OriginItemで指定したアイテムのPosX+このアイテムのPosX」に、 Y座標は「OriginItemで指定したアイテムのPosY+このアイテムのPosY」になります。 PosX・PosYキーの数値にマイナスの数値を指定することで、 OriginItemで指定したアイテムよりも上や左に配置することもできます。 PosX・PosYキーの数値がどちらも0の場合(または、キーを省略した場合)は OriginItemで指定したアイテムと同じ位置に配置されます。 ※3 〔原点〕, 〔相対X座標〕, 〔相対Y座標〕の3つを半角スペースとカンマで区切って指定します。 原点はTopLeft(左上端)・TopCenter(上端中央)・TopRight(右上端)・ CenterLeft(左端中央)・Center(中央)・CenterRight(右端中央)・ BottomLeft(左下端)・BottomCenter(下端中央)・BottomRight(右下端)・ None(自動補正を行わない)のうちどれか1つ。 相対X座標と相対Y座標はピクセル単位だけでなく、 ウィンドウの幅や高さに対する割合でも設定が可能です。 割合で指定する場合は数値の後に半角で%を記述してください。 (%表記の場合、10.0%というふうに小数表記も可能です) ※4 このキーはPosX・PosYキーの代わりに設定します。 また、OriginItemキーの設定は無視されます。 ※5 このキーはTopLeftAnchorキーとともに設定します。 アイテムの表示サイズはウィンドウサイズに応じて自動的に調整されますが、 初期サイズとしてのWidth・Heightキーは設定しておいてください。 文字列の配置設定 キー名 値 内容 初期値 Align 【※】 アイテムの表示領域内での文字列の表示位置 TopLeft ※ TopLeft(左上端)・TopCenter(上端中央)・TopRight(右上端)・ CenterLeft(左端中央)・Center(中央)・CenterRight(右端中央)・ BottomLeft(左下端)・BottomCenter(下端中央)・BottomRight(右下端)のうち どれか1つ マウスオーバー/クリックへの反応の設定 キー名 値 内容 初期値 * TipHint 文字列 マウスカーソルがアイテムの表示位置に一定時間置かれたときに表示されるチップヒントの内容 * Enable TrueかFalse True:クリックに反応するようになる Commandキーが設定されているアイテムの場合、 クリック時にそのコマンドが実行される False MouseCursor 【※】 マウスオーバー/クリック時のマウスカーソルの指定 Auto ※マウスカーソルに使用する*.curのカーソルファイル名か、 以下の値のうちどれか1つ Auto・Normal・Finger・ TopLeftResizer・TopRightResizer・BottomLeftResizer・BottomRightResizer・ Arrow・IBeam・Wait・Cross・UpArrow・Size・ SizeNWSE・SizeNESW・SizeWE・SizeNS・No・Hand・AppStarting・Help 設定可能なマウスカーソルの一覧はこちら。 アイテムの初期表示状態の設定 キー名 値 内容 初期値 * IsHided TrueかFalse True:初期状態でアイテムを非表示にする【※】 False ※HideItemコマンドで非表示にしたのと同じ状態です。 後からShowItem・SwitchShowItemコマンドで表示させることはできます。 アイテムの透明度・表示範囲の設定 ☆背景色や文字色に指定した透明度設定を編集すれば ConstAlphaキーを使用しなくても アイテムの表示透明度を制御することは可能です。 キー名 値 内容 初期値 * ConstAlpha 数値(整数)(0~255か-1) アイテムの定数α(不透明度)を指定【※1】 -1 AlphaChannelFile 画像ファイル名 αチャネル生成元として使用する画像ファイル【※2】 ※1 「0」で完全透明、 「255」で不透明(背景色や文字色自体が半透明なら、その透明度のまま)になります。 ただし、不透明扱いにするのならキーを省略(-1に設定)するほうが高速に描画されるので このキーで透明度を調整する必要が無い場合は、キーを省略してください。 なお、背景色・文字色指定の透明度が設定されている場合 ConstAlphaキーの設定が乗算されます。 ※2 このキーで指定された画像ファイルをグレイスケール化した後、 画像の「白い部分は不透明」・「黒い部分は透明」としてみなされ アイテム全体の中でその透明・不透明の部分にあわせた形/範囲で文字列が表示されます。 (灰色部分は半透明、白っぽい灰色は不透明に近くなる・黒っぽい灰色は透明に近くなる) 文字列の一部だけ透明度を変更したい(「上部だけ透ける」など)ときや スクロールする文字列で 左右の端でフェードアウトするような表示にするときなどに設定してください。 例えば、スクロールする文字列アイテムに 両端が黒く、それ以外が白い画像をAlphaChannelFileに指定すると AlphaChannelFileの黒色部分にあたる領域(両端)に 文字列がスクロールしてきたときは、その部分を通過するときだけ文字列が透明になり、 白色部分にあたる領域に文字列があるときは文字列が表示されます。 アイテムの表示エリアの差分描画の設定 キー名 値 内容 初期値 DisablePartialUpdate TrueかFalse True:差分描画が行われなくなる False コマンドの設定 キー名 値 内容 初期値 * Command コマンド名 クリック時に実行するコマンド名 * CommandParamType 【※1】 コマンドのパラメータの種類(パラメータが必要なコマンドのみ) * CommandParam 【※2】 コマンドのパラメータの内容(パラメータが必要なコマンドのみ) CommandTargetWindow ウィンドウ名【※3】 コマンドを実行する対象のウィンドウ(別のウィンドウに対して実行する場合のみ。省略した場合はCommandキーを記述したウィンドウ自身が対象になる) CommandTargetPlugin プラグイン名 コマンドを実行する対象のプラグイン名(プラグインに対して実行する場合のみ) * CommandCount 数値 実行するコマンドの数(複数のコマンドを設定する場合のみ【※4】) UseAsyncCommand TrueかFalse True:コマンドを非同期実行するようにする False ※1 Int・String・Double・Bool・RandomInt・RandomString のうちどれか1つ (コマンドによって使用できる種類が異なる) ※2 文字列や数値など、コマンドによって異なる ※3 CreateSubFace・ToggleSubFaceコマンドで開くときにパラメータで指定した「ウィンドウ名」。 サブウィンドウに記述したコマンドで、メインウィンドウを対象とする場合は 「uLilith MainWindow」と指定する。 ※4 1つのアイテムに複数のコマンドを設定する場合、 CommandCountキーを設定した上で Command・CommandParamType・CommandParam・ CommandTargetWindow・CommandTargetPluginの全てのキーの末尾に (スペースは入れずに)連番をつける必要があります。 例:「Command2」「CommandParamType2」など コマンドはキー末尾につけた連番の番号の順に実行されます。
https://w.atwiki.jp/chiuzazie/pages/572.html
600 :マロン名無しさん 2006/10/23(月) 23 29 55 ID ??? 三分後投下~ 486-490の続きです 人物紹介 刹那 主人公、職業勇者。とっても頑張り中 木乃香 勇者の幼なじみ、職業賢者。せっちゃん命の色狂い。夜が来るたびにケダモノと化す 古菲 異世界から迷い込んだ少女、職業武道家。言葉はわかるが「ある」としか喋れない。刹那は心の中で”あるある”と呼んでいる エヴァ 職業魔王。大魔王に襲われて、記憶を失っていた 茶々丸 魔王エヴァの従者。意外と残酷 602 :刹那 そして伝説へ(byDQⅢ) 2006/10/23(月) 23 32 51 ID ??? 刹那 そして伝説へ(byDQⅢ) 1/5 >ぼうけんのしょ1をはじめます 降りたった大地は闇に包まれていました。しかし不思議なことに浮かぶ月から降り注ぐ光は、とても明るいものでした 木乃香 「不思議な世界やな・・・暗いようで明るいんやな」 暗くとも遠くまで見渡せるその世界、あたりをぐるりと見渡してみると、小さなお城が遠くに見えたのです 刹那 「あそこにお城が・・・行ってみましょう」 私のその意見に異論を挟む者はいませんでした。そして我々はその城へと向かったのです 裕奈 「むむっ!?もしかしてキミたちは上の世界から来たのかにゃ?」 お城の王様?なのでしょうか?ずいぶんと地上のイメージとは違います 少し高めの台座の上、どういう訳か炬燵が置かれ、そこに王様が入っているのです 裕奈 「最近はもう寒くなったから炬燵を出してみたにゃ、キミたちもどうかにゃ?」 炬燵の上にはきちんとみかんが置かれているのが何とも律儀です 刹那 「いえ・・・私たちはそんなに寒くないので」 裕奈 「そうかにゃ・・・ちょっと相談があるんにゃけど聞いてはくれないかにゃ?」 やっぱりそう来ましたか。勇者といえどもその実体は便利屋に近いものがあります でもそれが勇者のお仕事なのです 刹那 「で、相談とは何でしょうか?」 王様の言葉は意外なものでした 裕奈 「城下町に犬が溢れてるにゃ」 603 :刹那 そして伝説へ(byDQⅢ) 2006/10/23(月) 23 33 41 ID ??? 2/5 刹那 「い、犬?」 裕奈 「そうだにゃ、なんだか犬が増えてるにゃ。特に困っているわけではないんにゃけど・・・」 木乃香 「でもなんでやのん?」 裕奈 「それを調べて欲しいにゃ」 刹那 「なるほど」 城下に出てみると確かに犬の姿が目立ちます。それもどういう訳か仔犬の姿が・・・ 見ていて微笑ましいし、害はないとは思うのですが、それでもこの数は異常です 一匹捕まえて抱き上げてみました 特に魔物の変化した姿、というわけでもありません さてはて、どうしたものかと思案していたときのことでした 手下春 「あ、あなたたちは!!」 手下日 「確か勇者様ご一行!!」 何処かから聞こえてくるその声、場所の特定までにはしばしの時間を必要としました 木乃香 「あんたら真名っちゅう盗賊の手下やな。さてはこの仔犬騒ぎ、あんたらの仕業やな!!」 すると手下たちは慌てながらそれを半分否定したのです 手下美 「た、確かにこの仔犬の群れはおやびんの命令ッス!!」 手下空 「でもこれは・・・・悪いことをしているんじゃないッス!!」 私たちは武器を手に取ると、その切っ先を手下たちに向けました しかしあまりの手下たちの否定っぷりに疑問を持たざるをえませんでした そして・・・なんといっても仔犬を集めて、どうやって悪さをするのかが思いつかなかったのです 604 :刹那 そして伝説へ(byDQⅢ) 2006/10/23(月) 23 34 43 ID ??? 3/5 ここは城下町にあるとある酒場、そこに我々は手下を連れて移動しました 手下春 「あれはバハラタの街で悪さをしたときのことッス」 手下日 「そこでおやびんはとある狂科学者に捕らえられたんッス」 バハラタは確か恋人をさらわれたという科学者がいた街、次の日に盗賊のアジトが謎の爆発したはずですが・・・ 手下美 「それはそれは拷問室からひどい叫び声が聞こえたッス」 手下空 「それからッス。おやびんが・・・」 何があったのかはこうだそうです 盗賊は狂科学者から逃げることが出来ず、捕らえられて何かされてしまったそうです 回想 初め 葉加瀬 「あなたは決して許されないことをしたんですよ~。だ・か・ら・お仕置きです」 それは妖しげなベッドの上、大の字に縛られた盗賊がもがいている 真名 「き、貴様・・・私に何をするつもりだ!!!」 葉加瀬 「脳をいじってあ・げ・ま・す・よ。百合棒も切り取りましょうね~」 真名 「や、やめろ!!!私が私でなくなってしまう!!!」 葉加瀬 「そのほうが世のためです。ついでに・・・」 叫び声は何時までも続いたそうです 回想 終わり 手下春 「こうしておやびんは哀れな姿にされたッス」 手下日 「そしてあの狂科学者は私たちごと・・・」 手下美 「何か不思議な穴に放り込んだッス」 手下空 「そしてここにいるッス」 木乃香 「で、いまそのおやびんさんはどこにいるん?」 こうして連れて行かれた先、城下町の路地裏の隅、そこの扉の奥に盗賊はいたのです 605 :刹那 そして伝説へ(byDQⅢ) 2006/10/23(月) 23 35 20 ID ??? 4/5 真名 「あ・・・あなたは勇者様!!!」 それは目に突き刺さるようなドピンクのフリフリドレス、頭には純白のカチューシャと、足下の赤い靴 強いて言えばこれは幼女にこそ似合う衣装、間違っても長身のお姉さんに似合う衣装ではありません 面食らってしまったので近寄ってくるそれから逃れる術はありませんでした 刹那 「むぎゅぅ・・・」 抱きしめられた瞬間、実はちょっとほっとしました。思ったより優しく、いえ、とても心地よかったです 真名 「勇者様・・・見てください!!!ここには私の好きな仔犬たちがいっぱい居るんです!!!」 木乃香 「ホンマに仔犬だらけやな・・・でもどこから集めてきたん?まさか盗んできたとか・・・」 真名 「まさか!!この子たちは・・・そう、親がいなかったり捨てられた子たちなんです」 刹那 「す、捨て犬なんですか?」 真名 「そう、路地裏で泣いていたり小道をとぼとぼ歩いていたり・・・だって見捨てられなかったんだもん!!!」 手下春 「あのおやびんがここまで変わってしまったんッス」 手下日 「確かに仔犬は以前から好きだったッスけど・・・」 手下美 「エロス分が全部抜け落ちたッス」 手下空 「エロス分っていうよりも欲望分が抜けたッス」 確かにそう思う。今の盗賊には仔犬への愛しかないといってもいいです まあ、人畜無害になったのならこのまま放っておくのが良いのかもしれません 木乃香 「じゃあ、可哀想な仔犬を集めているだけなんやな?」 真名 「いつかこの子たちが自分で生きられるようになったら・・・お別れ」 刹那 「頑張ってくださいね」 真名 「気に入った子がいたら、そしてその子があなたたちを気に入ったなら・・・一緒になってね」 きっとこの人は幸せに生きられるでしょう でもこうまで変わるなんて一体脳のどの部分の切り取られたんだろう?なんて疑問が浮かんだのは心にとどめておきます 606 :刹那 そして伝説へ(byDQⅢ) 2006/10/23(月) 23 36 12 ID ??? 5/5 裕奈 「そうにゃったのか・・・」 事の顛末を王様に報告する私たち、王様な神妙な面持ちでそれを聞くのでした 刹那 「まあ、仔犬が増えただけなんであんまり問題はないかと」 裕奈 「それなら良いんだにゃ。魔物の襲撃かと思ったにゃ」 木乃香 「そういえば・・・この世界の魔王ってどんなん?」 裕奈 「魔王?」 茶々丸 「サウザンド(千の)クレイン(鶴)様のことです」 裕奈 「ああ、あの困ったちゃんのことかにゃ。おっぱいが大きいからって・・・今度揉んでやるにゃ」 ??? 相手はあんなことができる魔王だというのに・・・一体どういうことなのでしょうか? まさに複雑怪奇です 裕奈 「それはそうと勇者さん、キミ・・・なんだか見てると・・・美味しそうだにゃ・・・」 その瞳は獲物を狙う猫の目、やばい、私狙われています。このままでは王様の晩ご飯確定です 木乃香 「ウチのせっちゃんに手をだそうだなんて・・・命知らずやな?」 裕奈 「・・・争う気はないにゃ。だたこれは・・・習性みたいなものにゃ」 なんだか不穏な雰囲気が流れた王様との謁見でした ハルナ 「エロは無し、エロは無し・・・」 夕映 「せっかくの龍宮さんの出番だというのに・・・あなたには絶望しました」 ハルナ 「だってあぶない橋(ちづネギ)は私が渡るなんて・・・次の超りんにバトンを渡すわ。次が楽しみね!!!」 夕映 「まあ、気長に待つです」 完 610 :リクカプ劇場 2006/10/24(火) 01 24 09 ID ??? リクカプ劇場 アキラ×ザジ編:始まる恋 その日、初めて彼女と一緒になった時、あまりにも突然にやってきた出会い。 「大河内アキラです。よろしくザジさん」 私の心に飛び込んできたあの人… 「ねーアキラ。今日はどこに行こうか?」 「アキラは何したい?」 「早く行こうよ」 アキラさんの周りにはいつも裕奈、まき絵、亜子と一緒にいる。 寡黙だけど存在感があって、いざというときに頼りになる存在。 でも私は近づく勇気がないから、こうやって見るだけなんだけ…。 同じ寡黙でもこんなに違うアキラさんにものすごく興味がある。 今日はアキラと一緒に体育倉庫の整理の役をやることになった。 「ふぅ、さすがに疲れたね」 「…」 にっこり笑うアキラさん、だけど私は黙って見てるだけ… もっと積極的になりたいのにどうしても近寄れない。 「あ、あの…」 「ザジさん…ひょっとして私のこと嫌い?」 しまった、つい… 「最近よく私のこと睨んでるらしいし…今みたいに避けてるみたいだし…」 違う…違うよ。つい目で追ってただけで… 「ザジさん何も言わないけど悪い人じゃないと思ってるんだけど、ザジさんが嫌いなら仕方ないよね」 611 :リクカプ劇場 2006/10/24(火) 01 24 51 ID ??? お願いアキラさん、私をそんなに誤解しないで…! そう思った途端に、アキラさんにキスをしてしまった。 「…あ」 「…」 互いに言葉も出来ないまま、その場で固まってしまう。 私は勢いに任せてなんてことをしてしまったんだろう。 「アキラー。帰るよー」 遠くから和泉さんが声をかけて来た。するとアキラさんはそのまま帰ってしまう。 無視されちゃったのかな…でもアキラさんの唇、柔らかかったな… 「アキラ、どうしたの?顔真っ赤だよ」 「あ、その…えと…」 それは突然やってきた、恋の始まり。 終 619 :マロン名無しさん 2006/10/24(火) 17 57 44 ID ??? 小さな気持ち 朝昼晩と1杯ずつ牛乳を飲む。 こうしていれば1センチ、また1センチと身長が伸びてるかもしれない。 そうしていれば、いつか届くと信じているから。 この日は教会の人たちと一緒に食事を取っていた。 シャークティと美空、そしてココネがそれぞれ用意した食事を食べていて、ある事に美空は気づく。 「ココネって牛乳好きなんだ」 空の牛乳パックを見て美空は尋ねた。 「…そんなことナイ」 「ふーん」 そうやって誤魔化すが、やっぱり気づいているのかと思う。 昼食を終えた美空はいやいやながら任務に借り出される、今回はシャークティとコンビを組んだ。 「あれ、ココネは?」 「ココネは午後からお腹が痛いから休むと言ってきました」 「え~!?」 昼以降、保健室で寝込んでいるココネ。どうも腹が痛くてしょうがない。 「…ぅ……」 さすがに飲みすぎたか、そう思ったときには遅すぎた。 腹の痛みが治まらなく苦しい。 「ケド……」 そんな痛みの中で、美空が笑っている姿が頭を過ぎった。 その笑顔が見ることが出来ないのはもっと嫌だった。 歳の差があるとはいえ、美空を常に見上げるその瞬間、肩車でしか美空の顔を見ることが出来ない現実。 「……そっちの方ガ、苦しい」 620 :マロン名無しさん 2006/10/24(火) 17 58 19 ID ??? 放課後にようやく動くことが出来たが、当然教会には誰もいない。 「…っ!」 校庭の鉄棒に飛びついてぶら下がった。何をするでもなく無言でじっとしている。 (…美空は鉄棒にぶら下がっていれば、身長が伸びるって言ってたケド……) このままずっと、大きくなっても美空が同じように大きくなれば結局見上げるまま。 美空をずっと見上げて苦しいままで… 「…」 胸が苦しくなる。どうしてこんなに必死になるのか分からずに涙ぐむ。 「おー!ココネー!」 突然やってきた風。校庭のために砂埃が巻き上がる、それに驚いて鉄棒から落ちてしまうココネ。 尻餅をついていると風が自分の前に止まる、その中から現れたのはシスター姿の美空。 「もうお腹は大丈夫?」 「…ウ、ウン」 ベンチに移動して堂々と座る美空と横にちょこんと座るココネ。 「これ食べる?」 袋から取り出したのはにぼし。 「…なんでこんなモノ」 「えー、だってそれなら牛乳より腹に優しいと思ってね」 はっとして美空をいつものように見上げるココネ、そこから見る美空は笑っている。 「ココネが抜けたせいで今日は大変だったよ。無理に飲まないで、それ食って大きくなりなさいよ」 そう励ます美空の顔、いつも見上げないといけないと見えない顔。 だから背を高くしたい、彼女と背と視線が合うように。 もしも美空より大きくなれたら、その視線を塞いで、この手で抱きしめられるだろうか。 それはこれからの成長に期待しようと思う。 終 622 :刀子 世間の噂 2006/10/24(火) 20 11 02 ID ??? 刀子 世間の噂 最近、こんな噂が世間を賑わせています 「脱げビーム」 何でもその光を浴びてしまうと、男女問わず服が消えてしまうそうです。私も気をつけないと・・・ 刹那 「では刀子さん、私はあちらの敵を倒しますので向こうの敵をお願いします」 刀子 「わかりました。気を抜かないでください」 今日は野良ロボットの退治の依頼が舞い込んできました。原因は超鈴音らしいのですが・・・ 刹那 「しまっ・・・」 一瞬の隙を突かれ、刹那はロボットから発せられた光を浴びてしまいました すると次の瞬間、刹那は生まれたままの姿になってしまったのです 刹那 「え?い、いやぁぁぁ!!!」 絶叫する刹那、大事な部分を隠しつつ蹲ります 刀子 「刹那、今行きま・・・え?」 刹那に気を取られ、私にも一瞬の隙が出来てしまったのです。不覚でした しゅばぁぁぁぁ・・・ 私は赤い光に包まれました。そして覚悟を決めます。決めたはずなのに・・・ 刀子 「あれ?脱げていない?」 野良ロボ 「サーチ・・・年齢××歳以上。脱げビームの範囲対象外・・・」 刀子 「な、なんですってぇ!!!」 その後はよく覚えてはいません。私はタカミチさんに取り押さえられるまで暴れていたそうです なんで私は脱げないの?別に脱いだって良かったのに・・・ちょっとだけ・・・凄いんだから でもね、やっぱり恥ずかしいから泣いちゃうかも 完 628 :刀子 肉体監査 2006/10/24(火) 23 23 21 ID ??? 刀子 肉体監査 あはは・・・うふふ・・・ 楽しそうな笑い声が聞こえます。まるで天にふわふわと浮いているような感じの笑い声です 刀子さんも・・・ほら ”彼女”が私に近づいてきます。その手にはガラスのコップを持って なんだかとっても気持ちが良いんです・・・さあ、刀子さんも ”彼女”はそのまま勢いで私に抱きついてきました。見たまんまのふわりとした感触が私の体を包みました この感触・・・あれ?もしかして? ”彼女”そんなことを言うと、私の体をまさぐり始めたのです 刀子 「や、やぁん・・・だ、だめ、さっちゃん。酔っているからって」 指は乳首を、そして肌をむにむに。そして首筋に口づけして舌を這わせるさっちゃん 五月 この肌の下の油の感じ・・・筋の張り方・・・お肌の塩分・・・ 刀子 「???」 五月 刀子さんはきっと良いお出汁が取れますよ。この感じ、まるで比内地鶏の老鶏のようですね 今日は枕を二つ並べて寝よう きっと二つとも涙で濡れちゃうから・・・ 完 630 :マロン名無しさん 2006/10/25(水) 15 21 49 ID ??? 555 「ザジー」 「……?」 「今日も味見してくれるか?」 「……ん。…ふーっ、ふーっ(冷ましている)」 「………」 「…ふーっ、ふーっ(冷ましている)」 「………」 「…ふーっ、ふーっ(冷ましている)」 「……ザジ」 「……?」 「…ビシソワーズって知ってるか?」 「……(・ω・)?」 632 :マロン名無しさん 2006/10/25(水) 16 50 08 ID ??? ジャガイモの冷たいスープのことかーー!! 631 :放課後の過ごし方 2006/10/25(水) 16 50 00 ID ??? 放課後の過ごし方 昼過ぎから降り出した雨は、未だに衰える気配が無い。教室では憂鬱な顔の四人がいた。 史伽「雨、止みそうに無いですね……」 のどか「う、うん……」 亜子「あーあ。ウチ、今日は折角の休みなんやけどなあ……」 夏美「しばらく時間潰すしかないね……」 皆、一様に溜息をつく。やや沈んだ雰囲気に、たまらず史伽は鞄の中をごそごそと探り出す。 亜子「史伽。何しとるん?」 史伽「ずっとこうしてるのも退屈ですから、みんなでおやつの時間にしましょう!」 史伽はありったけの御菓子を机に並べ、ポンと手を叩いた。他の三人は思わずくすりと笑ってしまう。 夏美「―――だね。じゃあ私ポテチあるよ~」 夏美もまた、同じようにポテチを差し出す。 亜子「ほな、ウチらは飲み物買いにいこっか」 のどか「そうですね」 亜子とのどかは顔を見合わせ、ぱたぱたと教室を出ていった。 小一時間後――― 夏美「―――でさ、まきちゃんてばいきなり……」 亜子「あはは。まき絵らしいっちゅーか……」 史伽「でもでも、まき絵さんの気持ちも分かるですー」 のどか「そうですね……。ロボの次は何でしょうかー?」 四人はすっかり雑談に花を咲かせていた。大人しい子たちが集まったとはいえ、やはり女子中学生である。 ご機嫌斜めなお天気もどこへやら。四人は時間を忘れるように楽しい一時を過ごしていた。 一方、教室の外では……。 風香「な、なんかすっごく入りづらい空気だよね……」 真名「ああ。これは相当な結界だ―――」 ハルナ「マイナスイオン出まくりってカンジじゃね?」 戸口にて。他のクラスメイト達は教室内のほのぼのオーラにすっかり当てられたそうな――― (おしまい) 636 :マロン名無しさん 2006/10/25(水) 18 02 13 ID ??? いつも見ている 明日菜のことは誰よりもよく知っている。 小さな頃から、ずっと一緒に居たから。ずっと一緒に… 体育の時間、その日はバレーで皆はしゃいでいた。 「明日菜ー。行ったよ」 「OK!」 裕奈からパスされたボールに勢いよく飛びつく明日菜。 運動部でもない明日菜だが、バレー部も真っ青のジャンプ力で飛び上がった。 ここでポイントを稼げば明日菜たちのチームが勝つ、意外に勝ち負けにこだわる明日菜は是が非でも決めたかった。 「させませんわ!」 相手側のあやかがそれを阻止すべく、ネットギリギリの場所で飛び上がる。 「うそ!?」 明日菜が狙っていた場所にあやかが飛び上がり、驚くがもう飛んでしまった以上やるしかない。 この試合を決める空中戦、明日菜が決めるべくアタックする、それをブロックするあやか。 バシーン ボールは空中高く飛び、あやかは弾き飛ばされるように尻から落下。 そして明日菜は空中でバランスを崩しながらも着地する。 「っ!?」 右足から着地するが、顔を少し歪めて転ぶ。 二人が落下して数秒遅れ、明日菜の放ったボールはあやかの陣地に落ちる。 結果は明日菜のチームの勝ちとなった。 体育の授業も終わり、片付けて教室に帰る一同。 だが明日菜はその場で座り込んだまま動かない、まき絵が話しかけてくる。 637 :マロン名無しさん 2006/10/25(水) 18 02 54 ID ??? 「あれ、明日菜は帰らないの?」 「ごめん、ちょっと疲れちゃったから。後ですぐ行くよ」 そう言ってみんなを見送るが、一向に動こうとしない。 「…参ったなぁ」 どうも着地をした瞬間、右足を捻ってしまったようだ。予想以上に痛く動けない。 「まったく、あなたときたら」 そこへ様子を見計らってやって来たかのようにあやかが現れる。 「う゛、一番見られたくない相手に…」 結局、明日菜は保健室に連れて行かれで右足のテーピングをしてもらう。 「あーあー、あんたがあそこでブロックしなけりゃこんな怪我しなくてすんだのに」 「私のせいですの!?」 体は動かさなくても口で喧嘩する二人、相変わらずその調子で会話する。 この仲がいいのか悪いのか分からない二人の関係は掴みにくい。 「はい。出来ましたわ」 「ん、ありがと」 「心がこもってませんわ。10点」 「…ムカッ」 明日菜の顔が怒りに歪ませてあやかに突っかかる。 だがあやかの様子が変わる。 「…いつも、見てますから」 「え」 ふとあやかの声質が変わる。いつもの明日菜に対する言葉使いではない。 まるで大切な人が傷ついているのを心配するかのように。 「あなたがどこで決めようとしたのは分かりますわ、一体どれくらい一緒にいると思ってますの?」 638 :マロン名無しさん 2006/10/25(水) 18 03 28 ID ??? 「…いいんちょ」 「足を挫くのは予想外でしたわ」 テーピングを終えたその足を優しく撫でる。 あやかの手の温かみと優しさ、普段口にしないのにこんなときに言われてしまうと… 「…ねぇ、抱きしめて」 誰も居ない鍵をかけた保健室の部屋。その中では、抱きしめ合い、キスをする二人の姿。 「んん…ふぁ……」 『いつも、見てますから』 なんて殺し文句だろうか。そんなに言われてしまうと抵抗できなくなってしまう。 好きでたまらなくなる。抱きしめられるのが、愛されることを肌で感じあう。 保健室の奥のベッドの中で、抱きしめ合う二人。 カーテンをして外から見えないと思っているが、明日菜の脱いだ服や下着らが床に散乱しているのに気づいていない。 ちなみにあやかの服はきちんと畳んで台の上に置いている。 「ちょっといきなりすぎ…あぁ、あぁぁ!」 「……早いですわよ」 「あんた最近、強引にやるのがうまくなったでしょ」 夜の営みのことまで喧嘩になる二人。仲がいいのか悪いのか… だがあやかの手は他の誰よりも大切にしようとするように、優しく明日菜の顔を撫でる。 「最近、気づいたんだけど。考え事するたびに首をさする仕草とか、機嫌が悪いと瞬きが多いとか、 私もあんたのこと見てるから」 自分ばかりが目で追っていると思っていた。 639 :マロン名無しさん 2006/10/25(水) 18 04 06 ID ??? 好きだとか、愛しているだとか、何でこんな奴という感じで言えないけど。それはただの照れ隠し。 「今日は随分と素直ですね」 「あんたが珍しく優しいから調子狂うのよ」 ベッドの上でも言い合う二人、こんな恋愛も悪くないかもしれない。 「アスナさん、私のこと好きでしょう?」 「…そうね、ムカツクくらいね」 「望むところですわ」 ―今の二人には、それくらいが十分なのだ。 終 642 :マロン名無しさん 2006/10/25(水) 22 10 29 ID ??? ああいいな、この空気がいい 643 :マロン名無しさん 2006/10/25(水) 22 24 46 ID ??? そうだな…この空気を吸っておこう スー 644 :新田 2006/10/25(水) 22 39 19 ID ??? プハー 645 :マロン名無しさん 2006/10/25(水) 23 26 52 ID ??? 空気清浄化中 647 :二ノ宮 人生 2006/10/26(木) 02 16 35 ID ??? 二ノ宮 人生 今日、私の教員室のロッカーに一通の手紙が入っていた 差出人不明のその手紙を開くとこう綴られていた ”好きです”と 手紙の中には差出人が書いてあった。中等部の2年の少女だ。顔もわかる こういった手紙は少なくはない 自慢になってしまうが、私は異性、同性を含めて人気が高い。いや、比較的同性からのアプローチが多い 言い方が悪いが、両刀というやつなのだ さて、このコネコちゃんをどうするべきか?悩むところである 悩む理由は二つ、彼女の将来のことと、私の将来のことなのだ 当然、百合の道に引き込んでしまえば彼女の将来がおかしくなってしまうかもしれない そして・・・私もいい加減こんなことを止めて、それなりの人と結ばれるべきなんだろうと 今日、あれを見てそう思った 刀子 「な、なんですってぇ!!!」 我を忘れて暴れる刀子、それをなんとか取り押さえようとしている高畑先生 ”おばはん”なんて言葉が彼女を暴走させたのだ ああいう姿を見ると、悲しくなる そして私も若くないんだって思う。実際もういい年だ 誰かいい人、いないかな? 完 653 :真名ちゃんもっこり日記123 2006/10/26(木) 17 01 51 ID ??? 真名ちゃんもっこり日記123 『ネギま!?』第4話も出番がない、仕方ないので勝手に協力させてもらおう。 クリスタルを盗んだ奴を捕まえるなど動作もない。 授業をサボって念入りにライフルのセットをしたから大丈夫だ。 「食らえ!」 バキュン あ。 飛び出したエヴァンジェリンが弾丸を食らってしまった。 しかも の怨念を混めた弾丸のせいで性格が変貌してしまったな。 うーん。この弾丸を使えば、空気扱いの強烈な欝パワーで動けなくなると聞いたのだが…全然逆効果じゃないか。 だが流石は の怨念。こんな形で無理やり出演とはな、ある意味、尊敬に値する根性だ。 さて、叱られる前に退却しておこう。チュパカブラの歌でも口ずさみながら。 660 :リクカプ劇場 2006/10/26(木) 23 29 00 ID ??? リクカプ劇場 裕奈×夕映編:明日があるさ 第1話「明日なき暴走」 ―嘘つきな恋をしよう。 そう切り出したのは裕奈の方からだ。 「一体なんですか」 変な提案をされた夕映は戸惑ってしまう。 「だから、恋愛に対してオクテな夕映ちゃんに恋愛のイロハを教えてあげようって思ってにゃ」 スカートから飛び出す尻尾は興味心身に左右に揺れている。 まさかと思い夕映は窓の方向を向くと、ハルナ見えたがすぐにさっと隠れた。 「やはり…」 よく考えればそのはずだ、何が恋愛のレクチャーだと思った。そんなのは、自分の呼んでいる本の中にあるはずだ。 今更他人に聞くことなんて思わなかったが… 「大体、明石さんは和泉さんがいるではありませんか」 「んー…でも1週間だけだから」 1週間も付き合わなければならないのか…そんな思いでため息をついた。 こんなことに無理やり付き合わされてしまった。今度ハルナに会ったら本を何冊か買わせないと気がすまない。 ただ一緒に帰って、遊んでいるだけだと思った。 くだらない遊びだと思っていた、思っていたのに… 「な、何をするですかー!!」 付き合い生活初日の夜にいきなり裕奈に押し倒された。 服を脱がされながらも必死に抵抗するが、裕奈は巧みにそれをかわしていく。 「もう、夕映ちゃんったら必死になっちゃって~」 「い、嫌です!こんなの間違ってるですー!!」 小さな胸や体、すべてを見られる羞恥。ギラついた目で犯されている。 「ぅあ!」 裕奈の巧みな動きに夕映の体がビクッと跳ねるようにして痙攣する。 661 :リクカプ劇場 2006/10/26(木) 23 29 46 ID ??? 迂闊であった、裕奈はけだものさんの称号を持っていたことに気づくのが遅かった。 夜に人気のない所に呼ばれた時点で気づくべきだった。 ただ己の迂闊さを呪うだけだった夕映。 「うっ…これ以上無理です!…やめ… 「無理。どうして?夕映ちゃんって、どうしてそうやって嘘ばかりつくのかな?」 ―ならば、どうして裕奈は嘘をついていないと言い切れるのだろうか。 「うっ……うっ………」 すべてが終わった後、俯いて泣いている夕映と服を調えている裕奈の姿。 あまりにも対照的で、それでいて悲しそうな顔をして。 「あんまりです…こんなの何かの間違いです……」 「ほら、また嘘ついてるにゃ」 「何故です!あなたときたら、いきなり私を押し倒して、こんなことをさせてどうして……どうして…」 くだらない言い争い、それも夕映の一方的。 言われ放題の裕奈はその夕映の口をキスで塞ぎ、その小さな体を力いっぱい抱きしめる。 口から口へと裕奈の温かみが送られた、肌が触れ合い本気になっていることを明かしている。 ただ付き合ってやるだけだと思っていたのに、こんなにされては本気に… 「夕映吉は何でもクソ真面目に考えて、どうでもいいこともぐるぐる考えることなんて知ってるよ」 翌日、屋上で話をする夕映とハルナ。 交友が薄い夕映、そんな相手ではいつも上辺だけの付き合い。 ハルナはその殻を割ってやろうと考えた、そして強引な手段なら裕奈が適していると考えたのだ。 だが初日に無理やり押し倒してしまったのは、ハルナも予想していなかっただろう。 「夕映吉もいつかは無期限の恋愛ごっこをするんだから、これくらいは体験しておかないとね」 「だからって勝手すぎます!こんなの…こんなの……」 反論する夕映だがどうも様子がおかしい、顔が赤くなっておりもじもじしている。 この変化に気づくハルナだが、きっと戸惑っているせいだと思っていた。 662 :リクカプ劇場 2006/10/26(木) 23 30 18 ID ??? その日までは… 「明石さん…」 あれから5日経った。あの日以来、夕映は裕奈にべったりなのだ。 「ゆーな!何をやっとるんや」 ただハルナの提案で付き合っているだけと思っていた亜子は怒り心頭。 まるで亜子より夕映を選んでいるような扱いでいた。 「そ、それは夕映ちゃんに言ってよ!全然離してくれないんだにゃ」 「嫌です、離しません」 夕映は顔を赤くしながらも裕奈のその手をしっかりと握って離そうとしない。 亜子が引き剥がそうとすると必死に抵抗するのだ。 「明石さん、あの日の夜が忘れられないのです…ですから……もっと…」 ぞわわわわわわ 裕奈の背中が鳥肌だらけになる、自分で撒いた種だがここまでになるなんて予想していなかった。 「勘弁してほしいにゃーーー」 「待ってくださいですー」 必死で逃げる裕奈を必死に追いかける夕映。 「あちゃー。ちょっと変な方向に行っちゃったかも…」 ハルナがそう思ったが、時すでに遅かった。 終 674 :千雨 強敵 2006/10/28(土) 01 10 46 ID ??? 千雨 強敵 ネットアイドル、それは私のもう一つの顔。それを知るものは少ない 私はネットトップアイドルで有るためにはいろいろなことをしてきた 情報操作などはお手もののだ。風聞流布など常套手段である。だがそれが裏目に出るときというのもあるものだ ”葛葉先生の教務室、あなたと二人きり” そんなHPが最近私の悩みの種だ。ブログでもないこんなHPをどうすることも出来ないなんて 掲示板にて 123 刀子さん、お御足(´Д`;)ハァハァ 124 実は下半身はムチムチだよな?それがたまらない・・・ 125 まずはツンだ。その後は・・・ドジっ娘とみた 126 バツイチ、俺はそれでも良い。些細な問題だ こんなことを言っている奴らにこう書き込んでみた 127 でもおばさんだよな? 128 127貴様の血の色は何色だァ!!! 129 127尻を向けろ、そしてネギを突っ込んでやる!!!話はそれからだ 130 127ロリか!?貴様はロリなのか!? 131 127貴様に今日を生きる資格はない!!! まあ、なんとなく荒れたのでこれはこれで良しとする しかしこいつらはダメだな。私の範疇外だ 何はともあれ本人は知っているのかな?自分の知らないところで・・・ある意味災難なことだ しずな 「うふふ・・・ホームページ作成って面白いのね。今度他の人のも作ってみようかしら」 完 675 :マロン名無しさん 2006/10/28(土) 01 16 36 ID ??? 携帯電話 那波「はい送信」 夏美「ちづ姉ーメール打つの早すぎるよ」 那波「あなたも慣れればうまく出来るはずよ」 夏美「…うん(メールで連続小説を送ってもらってるけど、内容よりもスペース一杯にするのに コピペなしで1分で打ち込むなんて異常な速さだよ~)」 桜子「千雨ちゃーん。今日も一緒に遊びましょ…と送信」 数分後 千雨「……『バカは氏ね』送信っと」 ザジ「千雨、この機能はどう使うの?」 千雨「えーっとこれはここをこう押して」 必死に耳を傾けて人差し指で一つずつ押していくザジ。 千雨「(こんな真剣なザジ初めてみたぞ…)」 刹那「メールが来てる。『明日の稽古の通達』ということは刀子さんか。電話はしたことあるけどメールは始めてかも」 From 葛葉刀子 Sub 明日のこと 明日は予定通りの場所で練習を行う(・∀・) 時間に遅れそうなら事前に連絡を入れるべし【  ̄ヘ ̄ 】 予告なしに遅れたら承知しないぞ( V゚ロ゚V ) 刹那「すいません。もうメール送らないで下さい」 刀子「な、なぜ!?」 刹那「いや、もう何と言うかイメージとか…」 679 :マロン名無しさん 2006/10/28(土) 08 57 01 ID ??? なぜちづ姉がそんな最先端機器を使いこなせるんだ!? 刀子さん以上に苦手としか思えないお歳なのに……。 あれ? 携帯にメール来た。ちょっと待ってくr 681 :マロン名無しさん 2006/10/28(土) 10 54 39 ID ??? 千鶴よりのメールを直視した時 679の心臓は停止した 要は恐怖 メールでも人は死ぬのだ 682 :マロン名無しさん 2006/10/28(土) 14 02 34 ID ??? 美空がココネを担いだ 春日美空の必勝型である 683 :マロン名無しさん 2006/10/28(土) 15 07 40 ID ??? シグルイかw 686 :NMR~ネギま!ミステリー調査班~ 2006/10/28(土) 18 00 18 ID ??? 放課後の教室。 外も暗くなる中、四人の生徒が集まっていた。 ハルナ「……来たようね」 あやか「一体なんですの?教室に残ってくれだなんて」 朝倉 「私、次の新聞のネタ捜さないと」 千鶴 「買い物をして早く帰らないと夏美が……」 ハルナ「まぁ慌てないでよ。今日私が呼んだ理由は、皆なら秘密を守れるって思ったから呼んだのよ。 ……そう、この恐ろしい真実をね」 あやか「恐ろしい、真実?」 ハルナ「そうよ。私たちが居るこのザジちうスレ……。私のこの仮説が正しければ、 / !/ ヽ ,ィ ─┴─┬.、 ! ,.ィ ´ニー──‐ _ヽ / / /  ̄ ̄ ̄ ヽ , / / ハ. i iト ト, ! i. , ヽ /ハ.∥ !|!ハ !.l , | |│ /__丶l |! ,.クレヘ ! l ! _人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人_ , | |│ ト、  ̄`爿ニ ´ ̄ フ、 , > ザジちうスレはピンク板へ移転することになる! < / ! ! l i│ヽ- ー! ヽ丶-ク } i  ̄^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^^YY^Y^Y^^YY^Y^Y^^Y^ ̄ / ,バ/ 六 `7 ̄ヽ ヽ冫 j l l / / ,ハ‐ ムミL こ¨/⌒{ ,イi ! ヽ // / / / ン└ァ´ヽ ヽ!,. -、 ハ // / / ハ 〃 / 、 ヽ. ノ ノ ヘ / イ / / // ヽ ト ゝ 丶.ノ´ ` 7ヽ ヘ _, -─_,´- ´ / / / //! ハ ヽL>‐┬イ_, ─‐、 \ ヘ 687 :NMR~ネギま!ミステリー調査班~ 2006/10/28(土) 18 03 06 ID ??? _____ / ∠. -─‐- ._ ,.......__  ̄ `` ー- 、 `丶| / _ _,ニ =- ,.,、 ,...、 ,. ´ 、 `丶 , -=‐っ, と;=´,二三 丶、 ,.- ´ ヽ/ `‐.、 / ‐- 、 丶、 ヽ 、 _人人人人人人人人人人人_ . / //. .,. ´.. ., -‐ ヽ ,. 7;.. , r 、 ハ 、 . .. i‐、., ,.. 丶、 .丶 ヽ `、、 > な、なんですってー!! < ,. , フト /. .. /. . /.. .. ._,.- トヽ , /. .i ∠キヘ,Yヘ , .. . i、/ , トヽヽ `丶, ., , ,. ,  ̄^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^^Y^ ̄ . , / ; , jy ィハ ィ; _ ,. -= ¬ イ i !. / ,イ. ., !./  ̄ ̄ i ! . , イ .l .! iヽ丶、、 , , , , / /,. / i i! ィ;ソ /,. ヘ´ .l l i ! i ,イ ! .; | ! l トi i.l ! | 、、 ` `ン‐ _li fミ、 , , , ´ /,ィ´ ;イ 7ァ/, / イ‐ァ,、, , | ! |∥| ;7 l . l‐|! ̄  ̄ l!`ト!|! .i l! 丶、 //アハ |i リ.∧ ヽヽ / ク //!i i リ/ 丶- ` , ュ ! i| l l! ! !| ! i|! j!ィテ. ィぇト,」l|! ., ,.i ̄rテ、、 `´ l! !|イ , !lヽ . // ! // .| ト| / , ! ラi.ノ /l ! l!,! ト |i ` `ー ー ;i ハ ヽヽトi、 ー j u ! !lト , , l! ヽ . i |! , | iリi! ;ハ. u r‐-、_ ` ` ´ソ , レ , / l ト ハ , |!トミトヽ ` 、ィ´ ヽ ji !l六ヽハ , !// !∠レ 丶、 l / , , ,. , , | / 外、 ∩ ,ィi;; i ! l|.|! `i、!`丶 ``_. /;l.! !l ヽヘ !l / ヽ、 ン 、_ ,.´ ´ / ,. ;イ j|! i ! i 丶、__ ,.ィi´! i ! レi| |.!| ll || l|!| ア´i l.l! !l ╋ ー┐ .ヘ 688 :NMR~ネギま!ミステリー調査班~ 2006/10/28(土) 18 04 10 ID ??? 朝倉 「ど、どうしてピンク板行きに!?このスレには別にエッチな事なんて……まぁ色々あるけど、21歳以下禁止って程でもないでしょ!?」 あやか「朝倉さんの言う通りですわ。そこまで言うには何か理由があるのでしょうね」 ハルナ「もちろんよ。まずはザジちうスレの 1を見てくれない?」 千鶴 「……さよさんがこのスレッドのルールを説明してるわね」 朝倉 「で、それがどうかしたの?このスレのテンプレでしょ?」 ハルナ「確かにこれは一見ただのテンプレのように見えるわ……。でも、これにはあるメッセージが隠されていたのよ! このメッセージによれば、ザジちうスレのピンク行きとなるキーパーソンはズバリ!出席番号一番、相坂さよちゃん!」 朝倉 「……さよちゃんがピンク行きの原因?まさか、さよちゃんは清純派って言っていいくらい純心な良い娘だよ」 ハルナ「それこそが大きな間違い、むしろさよちゃんは エ ロ エ ロ な 娘 と言っても過言じゃなかったのよ!」 あやか「そう言われても信じられませんわ。根拠を示して下さらないと」 ハルナ「それは今から説明するわ。これは気付いてみれば驚く程簡単な事だった……、何故今まで気付かなかったのかと思うくらいね! いい?さよちゃんがテンプレをしている。つまり単語だけ並べると『相坂さよ テンプレ』。 これを平仮名にして並び替えれば『てさかさあんよぷれい』となる。これを読み易いように変換してみて」 朝倉 「えっと、『手逆さあんよプレイ』……かな?」 ハルナ「その通り!『あんよ』はつまり足の事、そしてプレイ……。ここまで来れば分かるでしょう、この文が指す事実は唯一つ! ズバリ、『 足 コ キ 』よ!」 ナ ナンデスッテー!! Ω ΩΩ 689 :NMR~ネギま!ミステリー調査班~ 2006/10/28(土) 18 04 57 ID ??? あやか「お待ちなさい!最初の『手逆さ』の説明が抜けてますわ!」 ハルナ「それも単純な事よ。手の逆さ、つまり指し示すのは足!さよちゃんは親切にもわざわざ『あんよ』の説明を前に付けたのよ!」 朝倉 「でも、さよちゃんは幽霊だから足がないじゃない!そんな単語が出てくるのはおかしいよ!」 ハルナ「確かに、さよちゃんには足がない。でも、だからこそ……足がないからこそ、なんじゃない?」 朝倉 「ど、どういう事よ」 ハルナ「つまり、さよちゃんは足がないからこそ足コキに憧れた!そう、さよちゃんは足コキ願望を持っているって事に他ならないのよ!!」 ─―――─ !! Ω ΩΩ 千鶴 「……そうね。無いからこそ憧れる、なんて事はよく聞く話ね」 朝倉 「そ、そんな、嘘よ!さよちゃんがそんなイケない願望を持ってるなんて……!」 ハルナ「朝倉、現実から目を逸らしちゃダメよ。辛くても前を見ないと……」 あやか「ハルナさん、ちょっとお待ちなさい。仮に貴方の言ってる事が真実だったとしましょう。しかし、それだけでは足らないのでは? ただ『願望を持っている』というだけではピンク行きにはなりませんことよ」 ハルナ「いいんちょ、残念だけどピンク行きはもう免れないのよ……。何故なら、既にさよちゃんは男に手を出していたのよ! それも ネ ギ 先 生 に!」 ナ ナンデスッテー!! Ω ΩΩ 690 :マロン名無しさん 2006/10/28(土) 18 05 35 ID ??? ハルナ「いい?今度は『【ネギま】ちうとザジに萌えればいいんじゃね?16』の 1を見て。 ここでさよちゃんは『さぶじぇくと、が長すぎらしいのでタイトルの ! は消しちゃいました』って発言している……。 この【ネギま!】から!を消したって所がポイントなのよ。 いい?ネギまの『ネギ』は当然ネギ先生を指す。そして『ま』は漢字に直して『間』、つまり真ん中。 ネギ先生みたな男性の真ん中にあって『!』から連想される物と言えば──そう、当然男性器!ぶっちゃけチ○コ! そして『消しちゃいました』という発言を柔らかく直してみるのよ!」 朝倉 「消しちゃいました……消した……言い換えると『取った』、いやむしろ『抜いた』?……ま、まさか!」 ハルナ「分かったようね。 そう、さよちゃんのこの発言は『ネギ先生 チ○コ ヌイた』と言うこと! わざわざこの単語を文章に直すまでもないわ……。 これで分かったでしょう、さよちゃんはこんな発言をするくらいエロエロな娘だったんだよ!」 ナ ナンデスッテー!! Ω ΩΩ 691 :NMR~ネギま!ミステリー調査班~ 2006/10/28(土) 18 06 08 ID ??? あやか「そ、それでは本当にこのスレはピンク板行きに……?」 ハルナ「……さよちゃんのこの発言は14、15、16スレと三回に渡り続けられてきたわ。一度だけの話じゃないのよ。 私たちに出来る事は、ピンク板へ引越しの準備をする事だけね……」 那波 「そんな…………」 あやか「…………」 朝倉 「…………あ、後ろ」 ハルナ「え?後ろがどうかした?」 さよ 「黙って聞いてれば好き勝手言って……誰が足コキ願望のエロエロっ娘ですか……?」 ハルナ「……………………。 や、やだなぁ!清純派のさよちゃんがそんなイケない願望なんて持ってるわけないよね! いやーお姉さんってばとんだ妄言を吐いちゃったなぁ!ねぇ皆!」 朝倉 「あ、私スクープを探さないと」 那波 「もうお夕飯の時間ね」 あやか「そう言えばアスナさんが呼んでたような……」 ハルナ「総スルー!?いやちょっと待ってよ!待ってってば!今周りの机とかがポルターガイスト現象してるんだけど! これって当たったら痛いよね?誰かさよちゃん止めてよ!」 さよ 「さてハルナさん。撲殺と撲殺と撲殺どれで死にたいですか?」 ハルナ「それって選択の意味がないじゃな……ぎゃあぁぁぁぁぁぁぁ!!」 ネギま!ミステリー調査班 完 ご愛読ありがとうございました! 697 :マロン名無しさん 2006/10/28(土) 22 39 27 ID ??? いろんなヲの人 長谷川千雨、佐々木まき絵、雪広あやか、朝倉和美、葉加瀬聡美、早乙女ハルナ。 In 秋葉原 朝倉「あーまき絵にいいんちょが、アニ○イトの帰り~」 まき絵「見つかっちゃった」 ハルナ「中身はビブリオンのコスプレとグッツですね」 いいんちょ「ちょっと勝手にのぞかないで下さい!」 ハルナ「二人してそっちに目覚めちゃった?」 まき絵「パルだって、とら○あなとメロ○ブックスで801同人誌やペンにトーン買い込んで~」 ハルナ「いいじゃん、こっちが本職みたいなもんだから」 千雨「ハカセ、まだビッ○カメラのポイント集めてたのか?」 ハカセ「あ○ばお~でパーツ買い込む人が同属嫌悪ですか!?」 朝倉「千雨、今時SIMMメモリなんて何に使うの?ひょっとしてエロゲ専用PC98マシンでも作るの?」 千雨「ちげーよ。つーかお前はラ○オ会館!?ついに盗撮カメラに手を出したか」 いいんちょ「朝倉さん、このことはこれで黙っていただけませんか?」つ1万円 朝倉「も~。しょうがないな~」 ハカセ「買収ですよそれ!」 茶々丸「――以上です。必要なゲームソフトとネピアはすべて購入しました」 エヴァ「ご苦労だった。すぐ帰って来い」 茶々●「はい。(さて、寄り道しましょうか。クスクス)」 終 700 :真名ちゃんもっこり日記124 2006/10/29(日) 01 23 01 ID ??? 真名ちゃんもっこり日記124 夜も更けた今日この頃。 日ごろの鬱憤を晴らしてくれるバーにたどり着いた。 「いらっしゃいませ、五月のバーボンハウスへようこそ」 いつ来ても優しく出迎えてくれるマスター。癒される。 「…ネギま9巻の15ページ目でエヴァンジェリンが飲んでたやつを頼む」 五月は料理関連ならほとんどの注文を受け入れてくれる。 さて、一気に飲むか、ぐいーーっと。 「10月だけで一体難解騙されましたか?学習能力あります?」 「……10月だけでもう120回は騙されてブラクラとか踏みまくった」 頭では分かっているのだが本能が…指が勝手にクリックを。 アキラのエロ画像キボンとか言って見ると意外と出てきたが、どれもこれも(ry 「うおーーーーーーーーーーーーーーーん」 あぁ情けない。 「きゃははははははははははははは。バッカじゃないの~」 「五月、そこの酔っ払いの柿崎を殴っていいか?」 「殴ってお客さんが来なくなったら、ツケ3倍増しですよ」 やめといた。 703 :マロン名無しさん 2006/10/29(日) 11 50 24 ID ??? 心機一転、という事であこゆなの別アプローチSSを投下します かなりの長さになったので章ごとに分けてうpしますね http //arakawa.tn.st/uploaders/zazie_chiu/src/up0046.txt http //arakawa.tn.st/uploaders/zazie_chiu/src/up0047.txt http //arakawa.tn.st/uploaders/zazie_chiu/src/up0048.txt http //arakawa.tn.st/uploaders/zazie_chiu/src/up0049.txt 原作9巻からの流れです。かなりの量ですが、おヒマな方ドゾー 714 :マロン名無しさん 2006/10/29(日) 22 22 18 ID ??? 図書室 千雨「―で、ここに探してる本があるのか?」 ザジ「うん」 桜子「ほにゃらば、みんなで探しましょう~」 円「…」 こうやって見てるとただ仲のいい友達に見えるけど… ザジさんも桜子も、長谷川のことが好きでいる。 でも桜子の思いは長谷川には届いてなくて、いつもザジしかいない。 それは桜子も承知している、ザジがいるのは知ってても長谷川が好きなんだってこと。 どれだけ真剣だってことが長谷川には伝わらない、分かろうとしない。 ザジ「千雨…」 千雨「おいおい、ここ図書室だぞ」 ザジ「大丈夫、誰も見てない…」 千雨「…」 二人がこっそりとキスをした。 桜子はその反対側の本棚を探しているけど気づかない。 円「…関係ないわ」 もしもそこにいるのがザジさんではなく桜子だったらどうなっていただろうか。 そして長谷川のポジションには私が… 円「バカらしい…」 余計なことを考えるから、また胃薬を飲む量が増えそうだ。 終 715 :マロン名無しさん 2006/10/29(日) 22 43 01 ID ??? せつないねぇ。 716 :マロン名無しさん 2006/10/29(日) 22 55 37 ID ??? _ || ||γ´ ̄ソζ⌒ヽ lノリ√ヽヾ)リ| トd| ゚ -゚ノl <います |(∩卯リ) || く/_l〉 リ し ノ 718 :マロン名無しさん 2006/10/29(日) 23 22 32 ID ??? _ ,. ´ `ヽ i Lllノリリ)」〉 716 | l ゚ ヮ゚ノ| <ちゃうねん ノ⊂||卯リつ ーく/_|〉┘ し ノ 719 :マロン名無しさん 2006/10/30(月) 00 11 41 ID ??? 716 718 ワロスw 722 :真名の苦悩 38 密会 2006/10/30(月) 01 03 56 ID ??? 真名の苦悩 38 密会 1/3 それは部屋で銃器の手入れをしているときのことであった ふと、ポケットが震えているのに気がつく しばらくしてその震えは収まった。これは・・・メールか? 私のプライベートにメールしてくるものは少ない イベント絡みなら双子、明石あたり。刹那と楓はプライベートには送ってくることはない そして送ってくるのはもう一グループ、仔犬仲間のアキラかザジだ 私は少しだけ気になったので、携帯を取りだしてその画面を見る ”(◆_†)” このマークはザジだ。ということはなにやら嬉しそうなイベントの予感がする 私は急いでそのメールの内容を確認した。そしてその内容は予想通りのものであった from ザジ 件名 仔犬 本文 仔犬見つけた。お友達が欲しいらしい。アベルとカイン連れてきて欲しい 名前はケラ、ケル、ケロ ウホッ!!いいメール・・・ではなくて仔犬タイムのお誘いか 当然、私には断る理由はない。しかし気になる点が一点だけあった 追伸 アキラさんには連絡しちゃダメ ???果たしてこれは一体どういうことなのだろうか 仔犬に関しては・・・私たちに隠し事はないはずなのに 723 :真名の苦悩 38 密会 2006/10/30(月) 01 04 40 ID ??? 2/3 ここはザジから指定のあった場所、教会の秘密地下部分の螺旋階段下だ 中はうす暗く、なんとなく陰気な感じがする しかしこんなところに仔犬なんているのであろうか?そんな不安を感じつつ、私は階段を下りた 階段の一番下、少しばかり広まったところにザジはいた その姿を確認した私は、ザジの声をかける 真名 「来たぞ。ほら、アベルとカインも一緒だ」 私はそういって手に持ったバスケットをザジに見せる。ザジはそれを確認すると、こくりと頷いた 真名 「で、件の三匹はどこだ?はやくだっこしてあげたいのだが・・・」 私はうきうきしながらそう言うと、ザジは暗闇に包まれた通路の方に向かって口笛を吹いた すると、向こうの暗闇の中から何かが近づいてくる気配がしてくる きゅ~ん、きゅ~ん、きゅ~ん それは心をくすぐるような甘えた鳴き声×3、仔犬好きならわかるであろうが、この声を聞いたら頬が緩まずにはいられない 私ははやる心を抑え、仔犬たちの登場を待った。そして・・・ 真名 「ぬぬっ!!」 それは仔犬と言うには少しだけ大きかった。ザジの膝の高さくらいまでの大きさはあるだろう 私の方を見て、いや、私の持っているバスケットを見て少し嬉しそうにしっぽを振っている ケラ、ケル、ケロと聞いているその三匹の仔犬。いや、一匹の子犬 明るいところに出てその全身がはっきりとしたとき、ザジがアキラを呼ばなかった理由がよくわかった その仔犬、いや、ケルベロスの子供を見れば、いかなアキラとて失神してしまうかもしれない 私はゆっくりとバスケットを床に下ろすと、その蓋を開いた すると勢いよく二匹の私の愛犬が飛び出して、そしてそのままケルベロスの子供の周りを走り始めたのだ 二匹とも嬉しそうだ 724 :真名の苦悩 38 密会 2006/10/30(月) 01 06 59 ID ??? 3/3 真名 「しかしケルベロスの子供とはな・・・どこで見つけたんだ?」 ザジは答えなかった。だがそれはいつものこと、ザジの不思議空間には関わらない方がいいと私の勘が告げている しかしそれにしてもザジの奴、羨ましいことに獣使いの素質もあるらしい ザジを嫌う動物はいない、それは人間にも当てはまる 真名 「さて・・・おいで?」 しばらくアベルたちと遊んでいたケルベロスの子供に、私は腕を広げて”おいで”をしてみた するとそれに気がついたケルベロスの子供は、喜んで私の胸に飛び込んできた わん、わん、わん!! モンスターではあっても仔犬には違いない。その姿はとても愛らしいものだ そしてケルベロスの子供は私にくっつくと、私の頬をぺろぺろをし始めたのだ。そう、三匹分のぺろぺろだ 真名 「ああっ・・・こら、そんなに舐めると・・・嬉しいじゃないか」 その姿を見つつ、私はどの子にぺろぺろのお返しをしようかと考えていた。そんなとき・・・ かぷ ???なんだろう、これ?腕に何か噛みついて・・・しっぽ? 勢いよくふりふりしていたしっぽが私の腕に絡みついている ケルベロスのしっぽって確か・・・毒蛇じゃなかった・・・か・・・な? 薄れゆく意識の中、三匹のぺろぺろに変化が起き始めた 口の端から炎が出始めている。ああ・・・子供とはいえ・・・炎吐くん・・・だ 翌日、私は病室のベッドの上で目が覚めた。ザジがアキラを呼ばなかったのは怖がるからとかではなかったらしい 死ぬかも、って事だったのか・・・ 完 728 :マロン名無しさん 2006/10/30(月) 02 24 17 ID ??? 応援 「えっ、明日の新体操の大会の応援に行けないの?」 「家の用事が急に入って…ごめんなさいまき絵」 曇り空の下校途中、新体操の大会を明日に控えたまき絵だったが、応援にいくはずだったあやかが急用で行けなくなり 膨れっ面になってしまった。 「ぶー。ひどいよー」 「本当にごめんなさい。朝倉さんに頼んで明日の大会を撮影してもらいますので…」 何とか機嫌を損ねないようにしているあやかだが、まき絵は膨れっ面のままだ。 「いやだもん、あやかがいないと」 「ですが…」 すると二人の仲に水を差すように突然の土砂降り。 まき絵もあやかも傘を用意してなく、会話を中断して寮まで全速力で帰らざるを得なかった。 寮に帰ってもびしょ濡れで、まき絵の部屋に入るや濡れた服を脱ぎ、ドライヤーを二本同時に全開で起動させる。 「それにしても、そんなに私がいないと試合に集中出来ないのですか?」 「う~ん。集中出来ないんじゃなくて…」 髪の毛を乾かしながらまき絵は少し恥ずかしそうに言った。 「演技やってる途中に『まき絵』って応援入るじゃん」 「はい」 「その中でも、あやかの『まき絵』って声が一番分かりやすく聞こえて、いつもよりなんかいいの」 みんなの応援の中でもあやかの声は一際目立つ。 それがまき絵にとっては、応援してくれていると言うことと見てくれているとはっきり分かるのだ。 「ふふふ、あなたの我侭には困りましたわね」 「ごめんね。どうしても行けないなら、今のうちにあやかの気持ちを頂戴」 目を閉じて口を突き出すまき絵、何を望んでいるのかは一目瞭然だ。 「…ふぅ」 あやかもやれやれと言った表情でため息をつくと、まき絵の肩をそっと抱く。 729 :マロン名無しさん 2006/10/30(月) 02 24 47 ID ??? 「まき絵、応援に行けなくてごめんなさい。でも私はまき絵が自分が持つ力を出し切れることを信じています。 誰も見たことのない美しい演技を、見に行けない私に代わって多くの観客に見せてあげてください」 そう伝えてまき絵の唇にそっとキスをした。 その瞬間、まき絵は腕を背中に回して強く抱きしめる。 明日行けない分を、勝ってその時の祝福のキスの分もしっかりといただいた。 あやかから力を貰ったまき絵は、翌日の大会で最優秀賞を獲得。 そして、あやかにその報告をしたまき絵はまたもキスを強請ったとか。 終 733 :されど二人は蕾のままで・4 2006/10/30(月) 08 51 06 ID ??? されど二人は蕾のままで・4 1/5 「―――マジでやるの? 結構ハードだよ?」 美空の問い掛けに、夏美は神妙な面持ちで頷いた。 まだ早朝。空は薄暗く、少し肌寒い。やる気充分といった様子で柔軟体操をする夏美に、 美空はやれやれといった様子で苦笑した。 「じゃあ、手加減しないから。村上は自分のペースでついてきてよ」 「うんっ!」 力強い返事に、美空はくすりと笑って走り出した。夏美もその後に続く。 人気の無い麻帆良市内を、二人の少女が走る。陸上部である美空の走りはさすがにハイピッチである。 対して夏美の方は必死で美空の背中を追っていた。 はあっ、はあっ、と白い息が弾む。運動が得意な方ではない夏美は、それでも懸命に追い縋る。 まだまだ先は長い。女子寮から世界樹までの距離を往復するのだ。 「村上、だいじょーぶ?」 「う、うん……先に…行っちゃって……」 けろりとした表情で様子を窺う美空に、夏美はなんとか笑顔で答えた。 「ムリしちゃダメだよ! 自分のペースで完走することが大事なんだからっ!」 そう忠告し、美空は更に加速していく。あはは、と夏美は苦笑し、次第に遠ざかる美空の背中を眺めていた。 恐らく序盤は夏美の為にペースを落としていたのだろう。その後ろ姿はみるみる内に見えなくなった。 (やっぱり美空ちゃんは凄いよね……。あんなに飛ばしても平気みたい) 自分が求めている能力。それを目の当たりにした夏美は、羨むように息を吐いた――― 結局、美空から遅れること十分。すっかり疲れ果てた様子で、夏美は寮に戻ってきた。 「お疲れ~。身体冷やさないようにね~」 がっくりと腰を下ろし、肩で息をする夏美に、美空はタオルを差し出す。 「まあ、毎朝コレ続けてたら持久力つくよ」 夏美は返事することもままならない様子で、小さく頷く。 734 :されど二人は蕾のままで・4 2006/10/30(月) 08 51 53 ID ??? 2/5 と、そこへ――― 「あーっ! 美空が夏美ちゃんをいぢめてる~っ!」 見当違いの叫び声と共に、まき絵がやって来たのだ。おいおい、と美空はジト目でバカピンクを見つめる。 「人聞きの悪いコトゆーなっての。いぢめてんじゃなくて、鍛えてるんだってば!」 「はれっ? そーなの?」 「はあっ、はあっ……、そう…だよ……」 未だに呼吸の整わない夏美は、それでも懸命に答える。美空は苦笑しながら事情を説明した。 「何でも次の公演で演る役がかーなーり疲れるんだってさ。動き回りながら長台詞を言わなきゃなんないんだと」 「ふーん。それで美空と一緒にランニングしてたんだ」 「ま、私はジョギングだけどね♪」 美空の軽い一言に、夏美は目眩を覚えた。あれでジョギング程度というのなら、 美空の本気はどこまで速いのだろうか。短距離ならともかく、長距離走でもここまで実力差があるなんて――― こっそりと溜息をつく夏美。しかし次の瞬間、沈み掛けた彼女の心境はまき絵の一言によって消し飛んだ。 「ねえねえ、ランニングとジョギングってどう違うんだっけ?」 ずるっ! やや大袈裟なリアクションで美空がずっこける。夏美の目も点になってしまった。 「ランニングは普通に走る事で、ジュギングってのは疲れない程度に流すモンでしょーが! アンタも一応は運動部だよねっ! それくらい覚えててよまき絵ちゃんよー」 思わず美空はがくんがくんとまき絵の肩を揺さぶる。けれど当の本人は平然とした表情で、 「あははっ、そーなんだ♪」 と、お気楽な返事をする始末である。これには夏美もくすくすと笑うのであった。 「じゃあさ、私も明日から付き合おっか?」 まき絵の申し出に、夏美は思わず美空の顔を見た。 「いいんでない? まき絵が横に付いててくれたら安心だし」 「おっけー! 明日から頑張ろうね、夏美ちゃん!」 まき絵の元気一杯の笑顔に、夏美もまた笑顔で頷いた。 735 :されど二人は蕾のままで・4 2006/10/30(月) 08 52 42 ID ??? 3/5 その日の午後――― 「あーらら。やっぱり撃沈しちゃったか……」 授業中に居眠りをしてしまった夏美を、美空はにやにやと観察していた。このままでは鬼の新田に発見されるのも 時間の問題であったが、いたずら好きの美空がわざわざ起こす訳がない。 程無くして新田のカミナリが炸裂。クラスメイトがくすくす笑う中で、美空はぽつりと呟くのであった。 「―――ま、これも修行のウチだからね、なっちゃん♪」 そう言いつつも、美空はこっそりとある二人にメールを送信した――― 翌日。まき絵を含めた三人で早朝トレーニングが始まった。夏美のペースは昨日より遅くなっている。 どうやら筋肉痛が残ってしまったらしい。それでも夏美は一所懸命に走っていた。 「夏美ちゃん、もう少しだよっ!」 隣で並走するまき絵の激励に、夏美は辛そうな顔を微かに下げる。そして、美空の待つ寮へと帰還した。 しかし、夏美を待っていたのは美空だけでは無かったのだ。一人はぱあっ、と破顔して夏美に駆け寄り、 もう一人は穏やかな笑顔でその光景を眺めていた。 「夏美さん、お疲れさまです!」 聡美はそっと夏美にタオルを掛け、特製のスポーツドリンクを差し出した。 「ハ、ハカセ……?」 驚いた表情で、夏美は懸命に呟く。その額からは玉のような汗を滴らせ、昨日と同様に身体は鉛のように重い。 けれども夏美は聡美の差し入れをゆっくりと受け取った。そして、呼吸を整えながら口にする。 「美味しい……」 ゆっくりと全身に力が漲ってくる感覚。それは、聡美の愛情が沁み込むようで、 「ありがと、ハカセ」 夏美は満面に笑みを浮かべながら感謝の言葉を告げたのであった。 「えへへ、カッコ悪いトコ見せちゃったなあ……」 幾分、落ち着きを取り戻した夏美が恥ずかしそうに呟く。聡美はそっと目を閉じて、首を横に振った。 そして、夏美の華奢な身体を抱きしめる。 「カッコ悪いなんて思いませんよ……。夏美さんは素敵です……」 聡美の返事に、まき絵も美空もうんうん頷いている。そして、もう一人の少女も……。 736 :されど二人は蕾のままで・4 2006/10/30(月) 08 53 19 ID ??? 4/5 「ほな、夏美ちゃんこっちおいで~。ウチがマッサージしたるから!」 そう言ったのは亜子であった。聡美はゆっくりと夏美の身体を解放し、背中を押す。 「そ、そこまでやらなくてもいいよ亜子ちゃん」 「アカンて。運動の後はちゃんとケアしとかな!」 恐縮する夏美に、亜子はお構いなしといった様子で夏美を座らせた。そして、ぱんぱんに張った夏美の足を 優しくマッサージする。 「……美空だよね? 二人に教えたのは」 夏美の指摘に、美空はそ知らぬ顔をするばかり。まき絵ではここまで気が回らないであろう。 となると、恋人に敏腕マネージャーを手配するなんて芸当をしでかしたのは、この破戒シスターしかいない。 「さあて、ね♪」 美空の言い草に、夏美はくすりと笑った。そして、 「みんなありがと……。美空にまきちゃん、ハカセ、亜子ちゃんまで……」 そっと顔を伏せ、夏美は消え入るような声で囁いた。その肩が、微かに震えている。 「ま、なっちゃんは頑張り屋だからね~♪」 と、美空がぶっきらぼうに答え、 「うんうんっ!」 まき絵は元気一杯に頷き、 「今度の舞台、みんなで観に行くから、頑張ってや!」 亜子が激励し、 「皆さん、夏美さんがどれだけ頑張ってるか見てますからー。だから応援してるんですよー。 夏美さんは、私の自慢の恋人です!」 最後に聡美は穏やかな口調で語り掛ける。 「あり…が、と……」 そして、夏美の小さな身体は、ますます小刻みに震えるのであった――― 737 :されど二人は蕾のままで・4 2006/10/30(月) 08 54 10 ID ??? 5/5 それから一週間後。 夏美は徐々にスタミナが付いてきたのか、まき絵とおしゃべりしながら走れるようになっていた。 この日は美空も二人のペースに合わせて走っている。とはいえ、美空は初日と同じペースで流していた。 これはひとえに夏美の成長を表している事実であった。 「―――しっかし、なっちゃんも隠れた逸材だったのかもね。元々演劇で肺活量は鍛えてあるから、かな?」 「あははっ。なんなら陸上部も掛け持ちしてみる?」 美空とまき絵の軽口に、夏美は軽く息を弾ませながらぺろりと舌を出す。 「私そこまで器用じゃないよ~。演劇部だけで手一杯だもん」 そして、三人で笑った。 「ところで美空……」 「ん?」 「なっちゃん、てのはちょっと……。ジュースじゃないんだし……」 夏美は困った表情で呟く。 「やー、毎朝一緒に走るのに名字で呼ぶのはどうかなって思ってさー」 「まきちゃんみたいにフツーにちゃん付けでいいよ~」 「んじゃ、なっちは?」 「それじゃ某アイドルと一緒だからやめて~っ!」 夏美の悲鳴に、美空とまき絵はくすくすと笑うばかり。 「いいと思うんだけどな~。まき絵さん、そのあたりどーよ?」 「うんうんっ! 私も今度からなっち、って呼ぼっかな~?」 「やーめーてええぇぇ~~~っ!!!」 まだ薄暗い麻帆良市内に、夏美の悲鳴が木霊した――― (おしまい) 748 :マロン名無しさん 2006/10/30(月) 18 05 08 ID ??? 君をもっと知りたい。 今日も一段と研究内容は進んだ。 カシオペアの開発や茶々丸のグレードアップ対策など、天才はやることがいっぱいなのだ。 「それじゃあお先に」 「分かったヨ」 聡美の場合、研究所を一歩出れば夏美が迎えに来てくれている。 仲良く会話をして、笑って、手を繋いで帰る。 窓の外ではそんな微笑ましいことがあるのに、超はそれをただ眺めているだけだった。 「…」 何も愛さない、何も失わない、何も知ろうともしない。 ならば何故自分はここにいる。 パソコン部の許可を取って部屋の二人の生徒。 面倒くさそうにしてパソコンのキーボードを叩いて何かを調べている千雨、そして画面をを眺めるハルナ。 何かを必死に探しているが画面から出たのはERRORの文字。 「だめだ、何度やっても同じ」 呆れてた表情でパソコンのエラー画面からそっぽを向く千雨。 「もうこれ以上は無理なの?」 「無理無理。学校のデータベースも住基ネットも進入したけど、生年月日と血液型とかの基本的なデータ意外はすべて不明だ」 ハッキングは得意とはいえ、他人に頼まれてやるのはどうも気が進まない。 適当なことを言って千雨は先に帰ってしまった。もちろん自分がハックした証拠はすべて消してだ。 考えればおかしな話だ。 ごく普通にクラスメイトの情報が知りたいだけなのに、これほど固執するなんて。 その画面に映し出された超の写真。考えれば考えるほど不可解に疑問は増えていく。 秘密を一つでも掴むとするりと逃げられ、逆にこっちのことを暴かれているような感覚。 メガネを外して椅子に深く腰掛けるハルナ。 「なーにやってるんだろうね、私って」 749 :マロン名無しさん 2006/10/30(月) 18 05 39 ID ??? 寮に帰っても気分はもやもやとしたまま。外は真っ暗で自分の今の気分を表しているようだ、 「最初はちょっと気になる程度だったんだけどなぁ~」 いつから本気になったのだろうか。 気分を変えようと夕映かのどかに顔を見せようと部屋を出てみた時だった。 「あれ?」 そこに少し困った表情の超が立っていたのだ。 それは偶然なのか願っていたのか、それは本人たちにも分からない。 「…私には理解できないネ」 布団の中で超鈴音は愚痴をこぼすように言った。 「えーいい話じゃん。特にラスト」 ベッドでほんの少し涙を流していたハルナはDVDを取り出した。 そもそもの原因は、超が寮の鍵を研究所に置いてきてしまったことだった。 研究に明け暮れていたためすでに夜も更けており、取りに戻るのは絶望的だった。 そこに偶然通りかかったハルナに今日一日だけ泊めてほしいと言った。 ハルナは快く承諾。そこまではよかったがハルナが借りてきたラブロマンスのDVDを永遠と見さされてうんざりしていた。 「大体そんなものはフィクションネ。そう都合よく話が進むはずがないヨ」 話を真っ向から否定する超だが、ハルナはそうは思っていない。 「それだったら千雨ちゃんとザジちゃんはどうなの」 「あの二人は想定外ヨ」 「もー、ちゃおりんってば夢がないなぁ」 天才と呼ばれ、葉加瀬と共に日夜研究に明け暮れる超。理論上から裏づけされた結論を持ってくるその頭脳はまさに完璧超人。 弱点もなければナポレオンの辞書のように不可能と言う文字もない。 ハルナはそんな超に少しは科学では理解不能なことを教えたかった。 それが人と人との愛。―と言ってもハルナの場合は相当偏った知識になってしまったが。 750 :マロン名無しさん 2006/10/30(月) 18 06 10 ID ??? 「愛は他にもいろんな形があるのよ。こーんなのとか」 そう言って自分が描いたばかりのBL同人誌の原稿を渡す。 「こんなもの…よく描けるネ」 さすがの超もこの話題にはもう飽き飽ききていて早く寝てしまおうと思っていた。 「もーつれないなぁちゃおりん。ちゃおりんもこういうこと体験したら少しは世界観変わるかもよ?」 「そんなのいらないヨ」 だがハルナは超の手を取り出す。 「つれないなー、大体こういう展開だとこうやって手を掴んでね」 超が気づいたときには遅かった。 「離セーーーーーーーーーーーー!!」 ハルナは暴走モードに入り超を押し倒す、超の目にハルナの顔がアップで映る。 (ちょっ…顔が近すぎ…) 「キスって未体験?もし初めてだったらごめんね」 そうやって呟き、超の唇を思いっきり奪った。 「ん…ちゅ……んんっ…」 初めてのことに驚き息が出来ない超。 こんなハルナを見た事ない。慌てふためきどうすればいいのか分からなくなる。 逆にキスだけで慌てふためく超を見て驚くハルナ。 今の今まで超のことを何も知らない、『知っている』のしの字も踏ませてもらえない。 誰も愛そうともせずに生きていく超を放っておけなかったのかもしれない。 もしもこの後の行為が初めてで、そして相手が自分だったら。 そんなこと想像もしていなかった、どんな行動に出るか分からない。きっとどちらも分からない。 「~~~っ!」 口を手で隠すようにして超はハルナの顔を睨んだ。 奪われることを初めて知った。組み伏せられる屈辱。 751 :マロン名無しさん 2006/10/30(月) 18 06 41 ID ??? 「ごめん。ちょっと調子に乗りすぎた。本当にごめん」 ハルナは俯き、布団を取り出すと超から離れた場所に寝転がる。 「もう何もしないから…嫌ならハカセに頼んでそっちに移動して」 顔を伏せて寝ようとするハルナの体を、超はそっと掴む。 「ちゃおりん?」 「…大体、ハルナさんの部屋に泊めてもらうように言ったのはこの私ヨ」 超は何をしても満たされない自分を、自分を調べているハルナに照らし合わせていたのかもしれない。 本当はみんなから愛されたい。誰かから愛されて欲しい。 そんな感情が心のどこかにあったのだろう。自分のためにそれに向かって嘘をついて。 誰かを愛するというのはこういう気持ちなのだろう。 「キスの味は…悪くなかったヨ」 その言葉にハルナは何かに満たされた感じで笑った。 終 756 :リクカプ劇場 2006/10/31(火) 17 41 06 ID ??? リクカプ劇場 続・アキラ×ザジ編:不器用な幸せ 「ザ、ザジさん?」 あの日以来、ザジはアキラにべったりするようになった。 さすがに目立つし恥ずかしいため、アキラはザジを遠ざけてしまう。 「…」 何かを訴える顔と身振り手振りの素振りで示す思考の端末を読み取っていくアキラ。 思えばザジの声をまともに聞いたことがない。 会話らしい会話もなく、いつも身振り手振りで示される思考。 その顔ですらメイクをして素顔でもない。 だがそこから分かることは、ザジはアキラを気に入っている、好意を抱いているということだ。 「…」 困った顔をするザジだが、それでも一言も喋ろうともしない。 どうもアキラの困惑した顔をしているため『大丈夫?』と伝えているような顔をしていた。 自分も無口な方だから何となくザジの意思表示が伝わるような感じがした。 これを以心伝心と言うのだろうか。 またアキラの胸に抱きついて好意を見せるが、ザジから何かを見せてもらったことはない。 「ザジさん」 アキラは不器用にザジの顔を見て言った。 「私が好きだったら…素顔を見せて」 その言葉を聞いてザジはどこかに走っていってしまった。 その場にいきなり一人取り残されたアキラはその場でどうすればいいか分からず、途方に暮れてしまう。 素顔を見られるのが嫌だったのだろうか。そうだとしたら悪いことをしたなと思った。 だけど心のどこかに素顔くらいという気持ちも混じっている。 何だか泣きそうだ。何だろう、この嫉妬にも似た感情は。 どうしようかと悩んでいたらザジが大急ぎで帰ってきた。 757 :リクカプ劇場 2006/10/31(火) 17 42 12 ID ??? トイレで顔を洗ってきたのか、顔をタオルで吹きながらアキラの目の前にやってくる。 「―…?」 タオルをどけると、そこにはメイクも何もしていない素のザジの褐色の肌があらわになる。 「…」 必死になっているザジの顔、とても真剣だ。 そんな顔をしているということは、そこまで自分を好きだということだろう。 無口でも伝わることは伝わるけど、それだけでは伝わらないものがあるから… 「ザジさん…」 「…」 ついザジの声が聞きたくなってしまう。 「ありがとう、それじゃあ先に帰るね」 そうやってついつい意地悪してしまう自分が憎たらしく思えてしまった。 「――っ」 ザジが急いでアキラの手を掴んで止める。 「――――。好き…だよ……アキラさん」 言えた。今の気持ちを伝えられた。 やっと聞けたその言葉にアキラもあまり見せない笑顔で微笑んでしまう。 「遅いよ。…でも、ありがと」 これからも二人の不器用な二人三脚は続きそうだ。 終 763 :マロン名無しさん 2006/10/31(火) 19 59 24 ID ??? 美空とココネの場合 「トリック・オア・トリート!」 教会で掃除をしていたココネに声をかけ、ギブミー菓子!と言った感じに手を差し出す。 誰であろう、麻帆良の生んだナマケモノ、不良シスター美空である。 「……ミソラは普通あげる方」 ココネが冷たい視線を返してくる。 しかし美空は慌てない。伊達にシャークティの小言を聞き流す図太さを持ってないのだ。 「細かい事は気にしない!で、お菓子ない?」 「ナイ。あるのは子供たちにあげる分だけ」 「じゃあそれ貰うね」 「ダメ」 もはや冷たい視線を通り越してココネは呆れている。 仕方なく美空は諦めた。 子供たちにあげる分のお菓子は。 「ココネ何か持ってない?何でもいいからさ」 「持ってナイ。持っててもミソラにあげるのなんてナイ」 その言葉にがっくりと肩を落とす美空。 今度こそ本当に諦めようとして、ふと何かを思いついたのかニヤリと笑った。 「ココネ、本当に持ってないの?」 「ナイ」 「嘘はよくないよー。ほら、バンザイしてみて?」 その言葉に不思議そうな顔をしながらも、ココネは言われた通りにバンザイする。 すると美空はココネのシスター服に手を潜り込ませ、 「ほらここにちっちゃいサクランボが二つもッ!?」 最後まで言葉を言う事なく、ココネのロケット頭突きが炸裂した。 764 :マロン名無しさん 2006/10/31(火) 20 00 05 ID ??? 千雨とザジの場合 「Trick or treat」 流暢な発音を背中で聞き、千雨は一旦パソコンの作業を中断した。 「ザジ、どうした?」 「……今日はハロウィン」 「はぁ」 「……Trick or treat」 「あぁ、菓子が欲しいのか」 やっと言いたい事が伝わり、部屋の中を探し出す。 程なくお菓子は見つかり、千雨はザジへ投げ渡した。 「ほらよ」 「…………」 ザジは無言だった。 いや、無言ではあるが視線で雄弁に語ってくる。 お煎餅はお菓子じゃない。 そう言ってる気がする。 「今部屋には煎餅しかないんだ、我慢しろ」 「…………」 「煎餅も旨いぞ」 「…………」 「…………」 「…………」 「……コンビニに買いに行くか」 「♪」 765 :マロン名無しさん 2006/10/31(火) 20 00 44 ID ??? 木乃香と刹那の場合 「This is Halloween♪This is Halloween♪」 「…………」 木乃香が陽気に歌う。 その隣では、なにやら難しげな表情の刹那。 正反対の顔をした二人がハロウィン仕様の街を歩いていた。 「せっちゃん、どうしたん?黙り込んで」 「いえ……。西洋の行事をどうして日本でやるのかが気になって」 「さぁ?楽しいからえーやん」 木乃香はあっさりと言い放つ。 そして、それでいいのかと考え込む刹那に、笑みを浮かべながら言った。 「せっちゃん、ハロウィンやなぁ」 「そうですねぇ」 「だからせっちゃん、トリック・オア・トリート!」 「え」 その言葉を聞いて慌ててポケットを探り出す。 しかし普段から菓子なんて食べない刹那、当然持っているはずがない。 「……すいませんお嬢様、今はちょっと持ってないです」 「それじゃあ仕方あらへんなー」 「あ、あの、近くの店で買ってきましょうか?」 「いやえぇよ。無いならトリックの方をするから」 そう言うと木乃香は少しだけ背伸びをし、刹那とキスをした。 「──な、なななな、何するんですか!こ、こんな街中で……!」 「そうじゃないとイタズラにならへんやろ?お菓子持ってないせっちゃんが悪いんやよ」 「わ、私が悪いんですか?……しかし、それにしたって街中では節度を持ってですね」 「うーん、じゃあ寮に帰ろっか。そこでイタズラすればえぇやろ?」 「え?あ、はい、それならば……」 イタズラされる事自体が問題なのに刹那が気付いたのは、散々木乃香にイタズラされてからだった。 771 :ねこの時間1(1) 2006/11/01(水) 01 10 44 ID ??? わたしはときどき猫になる。 何かが、わたしを猫にする。 それは突然で、曖昧な時間。 猫になったわたしは、自分に気付けなくなる。 でも、猫になったわたしは、とても自分になる。 「ゆーな、何してるん?」 赤い瞳の女の子がわたしに声をかける。わたしはこの女の子を知っている。 わたしはこの女の子を見つめたまま、玄関のドアを何度かひっかいた。 「そっか、外に出たいんやな」 わたしは頷く。女の子は笑顔で扉を開く。 「夕飯の時間までには、帰ってくるんやで」 部屋から出たわたしに女の子は微笑を向ける。わたしは、瞬きを返した。 外の空気は爽やかで、自由の香りがした。果てしない青空に乳白色のあぶくが浮かんでいる。 彼らも自由だ。閉じ込めておくことのできない自由を愛でる仲間だ。 太陽に背を向けて、わたしは歩道を気ままに進んだ。足元に伸びる自分の影が、 滑らかに地面を這っている。ふと、その影から目を離せば、少し歩いた先に不思議な 少女がいた。わたしは彼女を知っている。彼女はいつも動物の匂いがした。 「……」 少女はいつも”わたしたちの言葉”で語った。 彼女はわたしを安心させてくれる。わたしは彼女に近づく。 「……」 少女は瞬きを返してくれた。これでわたしは、あなたに甘えることができる。 「にゃ?」 少女が頷く。温かい陽射しの下、あくびが時を埋めていく。 わたしは彼女を必要としているし、彼女もそれを許してくれている。 わたしたちは、ほっとする仲間なのだ。 772 :ねこの時間1(2) 2006/11/01(水) 01 12 36 ID ??? 褐色の少女に別れを告げて、わたしは更に散歩を続けた。 日光がさっきよりも長い影をつくるようになっている。 日向ぼっこは十分したが、また後で太陽が恋しくなるかもしれない。 そのときは、明日が待ち遠しくなる。こうして、わたしは昼を探す。 目が光を伴って、暗がりを覗かせてくれる。でも、今はまだ明日を待たなくていい。 だから、わたしの瞳はあの真昼の月のように、控えめな影を浮かべている。 今は、まだ今日だから。 「にゃあ」 交差点の向こう側に別の猫がいた。その猫は塀の脇に体を横たえ、目前を 過ぎようとしたわたしを見つめている。 曇り空のような縞模様が、影からむくりと身を起こしていた。猫が言った。 「にゃあ」 わたしは警戒する。その猫は、わたしの知らない猫で、 だからなのか、言葉が通じなかった。 あの褐色の少女なら話せたかもしれないが、ここに少女はいなかった。 773 :ねこの時間1(3) 2006/11/01(水) 01 14 18 ID ??? 「にゃああ」 明らかに、その猫はわたしを不快に思っているようだった。不機嫌に髭が散り、 わずかに毛が立ち始めている。わたしは怯えながら、それでも相手に対抗した。 「フゥーーー」 頬に息を溜めて、わたしは相手を睨みつける。 それを見て、相手は更にわたしを威嚇してきた。 「にゃあああ!」 次の瞬間には、相手は完全に立ち上がっていた。 のっそりとした歩き方で、こっちに向かってくる。 ゆっくりと、どっしりと、怯えることなく、わたしを睨んでいる。 「フ……フゥー」 「にゃああ!」 わたしは怖くなった。限界だった。でも、逃げ切れなかったらどうしよう。 なんで喧嘩を売ったんだろう。怖い猫に会ったら、 すまなそうに通り過ぎると決めていたじゃないか。でも、今は足がすくんで動けない。 わたしは逃げれない。 「うにゃあああああ!!」 猫が飛び掛ってきた。その影は空中に跳躍し、わたしに諦めを抱かせた。 思わず目を閉じる。痛くしないで、お願いだから、 痛くしないで。そう思い続けながら、いつまでたっても訪れない苦痛に気付いて、 瞼を上げた。 774 :ねこの時間1(4) 2006/11/01(水) 01 16 22 ID ??? 「ケンカはいけません」 目の前で、新緑の髪が風になびいていた。気配をまるで感じさせない人間が、 わたしの前にしゃがんでいた。その人間はわたしに微笑みかけた。 さっきの怖い猫は、人間の手のなかで猫撫で声をあげている。もう怖くない。 その人間も、わたしは知っていた。褐色の少女と同じくらい、この人間は わたしを安心させてくれる存在だ。 わたしはその人間に近寄った。 「いいですよ、甘えて」 人間はそう答えた。すり寄って触れたその人間の肌は、冷たいのに温かかった。 わたしはその人間が大好きだった。 「にゃあ」 「はい。ずっと、そうしててもいいですよ。 夕方まで、マスターは自由時間をくださいましたから」 わたしはもっと、その人間にからだをなすり付けた。 今日が過ぎるのはとても早い。夜風が髭を撫でつつ過ぎていく。 もう辺りは暗くなっている。街灯が点々と続いている。 街灯はわたしにとって不必要なものだ。わたしは満月を持っているから。 そのふたつの満月は動く何者かを待ち構えている。 その茂みの影で、細々と蠢く何かを待っている。 月明かりに照らされた斑模様の夜空が、時の過ぎる早さも忘れさせた。 わたしは自由だ。わたしも自由を愛する仲間だ。 775 :ねこの時間1(5) 2006/11/01(水) 01 18 18 ID ??? 私が玄関のベルを鳴らすと、ドタドタ音を立てながら、まき絵が鍵を開けてくれた。 「ゆーな! 今、何時だと思ってるの!? もう夕飯が冷めちゃったよぅ!」 雪崩のように溢れ出た苦情に、私は苦笑を返す。 「いやぁ、ゴメンゴメン。気付いたら、こんな時間になっちゃっててさ」 私は素直に謝罪し、ふくれっ面のまき絵を可愛いと思う。 部屋に入ると、アキラと亜子が私の座る席を教えてくれた。 私たちは夕飯を四人で食べるのだ。準備をしてくれたのは他の三人だけど……。 「……あれ?」 「どうしたの、ゆーな?」 「いや、何かがポケットの中に……」 私は中から、毛むくじゃらの生温かいものを取り出した。 ……ゲッ!? これ、ネズミ!?!? 『きゃーーーー!』 まき絵と亜子の絶叫。その脇で、アキラが真剣な表情のまま言った。 「ねぇ、ゆーな。昼間、何してたの?」 ごめん。まったく覚えてないんだよね……。 【おしまい】 778 :真名ちゃんもっこり日記125 2006/11/01(水) 16 52 26 ID ??? 真名ちゃんもっこり日記125 その日最後の授業は自習だった。 こういう場合は自分のやることに没頭できる、そこら辺に教科書出してやっているふりをしている。 それにしても個性豊かな集団だから、自習風景も様々だ。 まず明石。机の上で丸まって寝ている。 昼寝なんだろうがとっても目立っている。ときどき寝返りを打つその姿には思わず鼻血が… 那波は勝手に植木鉢を持ってきて長ネギを栽培していた。 これは危険だ、後で枯葉剤を撒いておこう。 茶々●はエヴァンジェリンが風邪気味なのを知っていて放置プレイだ。 何を言ってきてもシカト。『おかゆ持って来い』と言えばゴキブリ入りのおかゆを出す始末… ゴキブリで思い出した、マンガを描いている方のゴキブリは秋の地方コミケに出す原稿を今描いている。 しかも直前で2冊増やしたことで手間が増え、宮崎と綾瀬を巻き込んでいる。 そして教室の真ん中編でモザイク全開のプレイをしているのが神楽坂と雪広だ。 こいつらには羞恥心というものがないのか? とか言ってるがここで雪広と神楽坂のパンツゲットだぜ! アキラと刹那と古菲に明石と(ryでオールコンプリート目指して頑張ろう。 戦利品は頭にかぶっておこう。 ―ん?どうしたアキラ。 「…真名。恥ずかしいからやめて」 779 :マロン名無しさん 2006/11/01(水) 17 40 00 ID ??? 乗り遅れたハロウィンネタ きんちゃ「ちう様ちう様~。トリック・オア・トリートです」 千雨(そうか、今日はハロウィンか)「ほらよ」ノシ飴玉 はんぺ「ちう様~トリック・オア・トリートです」 千雨ノシチョコ こんにゃ「ちう様~(ry」 千雨ノシ干しイモ ちくわふ「だ゛いこはなにをもらった?」 だ゛いこ「だ゛いこは、ちう様よりカリントウをいただきました」 ??「ひぇ~たすけて~!」 ??「あうぅ。歯が痛いですぅ」 明日菜「あんなにたくさん食べるから虫歯になるのよ!」 ??「だってせっかく千雨さんがくれたから その日のうちに食べなくちゃ悪いとおもったんですぅ」 しらたき「ねき゛~大丈夫か~」 ねき゛「たすけて~つぶれる~」 明日菜「まったく!本当にガキなんだから」 ネギ「あうぅ」 千雨から貰ったお菓子でつぶれそうなねき゛と、虫歯に悩まされるネギであった。 781 :亜子 ナンパたゆん 2006/11/02(木) 00 56 05 ID ??? 亜子 ナンパたゆん 亜子 「あの~すいません。たゆらせてもらえませんか?」 突然かけられた声に、刀子はとまどいもせずゆっくりと振り返った 亜子 「おおお!!!べっぴんさんや。こらたゆらなアカンな」 刀子が振り返ると視線の先には、知り合いの少女とおそらくはその友人の少女がいた 刀子 「???たゆ?なんですかそれは?」 聞き慣れない言葉に刀子は不思議そうな顔をして少女に聞き返す 裕奈 「だ、ダメだって亜子!!!ご免なさい刀子さん、この子ちょっとおつむが弱いから・・・」 親友の突拍子もない行動を裕奈は止めようとした 亜子 「誰がアホの子やっちゅうねん!!!って、ゆーな知り合いなん?」 裕奈 「ちょっとね。さぁ、本当にアホの子に見られる前にいくよ」 刀子 「裕奈さん、たゆとはなんなのですか?」 裕奈 「あ、気にしないでくだ・・」 と、ここで親友の隙を突いて亜子は突撃を開始する 亜子 「たゆんとはなぁ・・・こういうことや!!!」 武道の心得もあるはずの刀子が動けなかった。亜子の動きはその刀子の想像を上回っていたからである 亜子 「たゆたゆたゆたゆ・・・たゆ?」 亜子は刀子の胸を正面から掴み、素早く上下左右に掌を動かして乳房を弄んだ。だがしばらくしてその動きが緩くなりやがて止まった そして亜子はぼそりとつぶやく 亜子 「・・・張りがあらへん」 刀子 「張りなんて・・・張りなんて・・・私だってもう15歳若かったら・・・うわぁぁぁぁん!!!」 そういって泣きながら走り去ってゆく刀子。その姿を見た亜子はこうつぶやいた 亜子 「・・・可愛ええな。後は張りだけなんやけどな」 完 790 :マロン名無しさん 2006/11/02(木) 22 14 21 ID ??? 意外と恋人に対して聞いてはいけない言葉No.1 今では名物となった明日菜vsあやかの喧嘩。 毎日懲りずに言い争い、殴り合い。 それでいて喧嘩が終わると保健室に行くのだが、いつも一緒に行くなのだ。 そしてなかなか帰ってこない。 それも授業が終わって放課後になってもだ。 誰も入ってこない保健室、のはずだが一つだけカーテンで見えない上にギシギシと軋むベッドが存在する。 「は…う…ひぃん………ちょっ、と…いいんちょ…やめ…」 息は上がりもう耐え切れないと目で訴える明日菜だが、あやかはお構いなしだ。 「そうやって腰をゆすっているのは明日菜さんの方ですわよ」 「でも…あぁぁぁっ!」 今ではすっかりこの調子なのだ。 明日菜の体に寄り添うように寝ているあやかは、ぐっすり眠っていた。 一方の明日菜はというとあやかの抱き枕状態で疲れているというのに全く動けなかった。 寝返りもうてずに抱きつかれているので、関節は痛いしあきらかに疲労が溜まる一方。 「ちょっと、体痛いからどいてよ」 「もう少しいいではありませんか」 明日菜の体に顔を埋めて離さない様にするあやか。 すると床に散らばっている服から携帯を取り出して時間を確認する明日菜。 「あー!?もうこんな時間!」 明日菜はあやかを引き剥がすようにしてベッドから飛び起きて下着と制服を急いで着込む。 「アスナさん、どうされました!?」 「バイトよ。あと少し寝過ごしてたら完全に遅刻よ!」 大慌ての明日菜とは対照的にあやかは少しうんざりとした表情だ。 事あるごとにバイトと言って逃げている明日菜。それ以上されれば腰を壊してバイトどころではなくなるからだ。 791 :マロン名無しさん 2006/11/02(木) 22 14 52 ID ??? 「…アスナさん。私とバイトとどちらが大切ですか?」 やや怒り気味に言うあやか。 「…」 服装を着込んだ明日菜はじっとあやかを見つめてそっと近寄る。 普通なら殴るなり怒鳴るなりする明日菜が、いつになく無言で近寄るその様に違和感を感じるあやか。 だが何をするとか構えていたあやかを掴むとそのままキスをした。 「…私、どっちも手放す気はないよ」 そうやって窓から鞄を持って飛び出して行った明日菜。だがやはり腰が響いて痛いのか、走りながら腰を抑えている。 だがその速度は下手な陸上選手よりは遥かに速い。 「…」 その姿を見送ったあやかはベッドの毛布をどけて服をゆっくりと着込む。 「ふぅ」 どちらも独占欲が強すぎて困りものだ。 完 793 :和美 ちょっと質問 2006/11/03(金) 00 41 59 ID ??? 和美 ちょっと質問 和美 「槇原敬之といえば?」 一同 「世界に一つだけの花」 千鶴 「どんなときも」 和美 「音楽再生機器といえば?」 一同 「MP3プレイヤー」 千鶴 「蓄音機」 和美 「ヨーヨー?」 一同 「ハイパーヨーヨー」 千鶴 「スケバン刑事」 和美 「ガン●ム?」 一同 「SEED」 千鶴 「キミは生き残れるか?」 和美 「キン肉マン?」 一同 「二世」 千鶴 「キン消し」 和美 「携帯用ゲーム機は?」 一同 「PSP」 千鶴 「ゲームウオッチ」 一同 「・・・」 千鶴 「あらあらあら・・・」 完 796 :長谷川ちう 2006/11/03(金) 03 36 47 ID ??? 793 いったいいつの生まれなんだ、あのおば…(以下検閲削除) 797 :早乙女ハルナ 2006/11/03(金) 11 09 19 ID ??? もしかしてちづ姉ぇって…妖kうわナニちょヤメJFK.@ふじこjp 808 :ハルナと秘密のドリンク工場(1/8) 2006/11/03(金) 21 52 26 ID ??? 「や~、ゆえ吉君! 今日はいったいどんな珍妙ドリンクを飲んでるのかな~?」 「何ですかハルナ、藪から棒に」 教室で声をかけてきた早乙女ハルナに、綾瀬夕映はストローから口を離すことなく眉を寄せる。 夕映の手元には黄色と黒に彩られた四角い紙パック。 その表面には『ゆずコーラ』の文字と、製造メーカーのロゴマークが印刷されている。 「ほー、柚子の香りのコーラと来たか~。毎度毎度、よく見つけてくるモンだね~」 「放っておいて下さいです。大体ハルナは私の嗜好を良く知ってるはずです。何を今さら」 「いやさ、ちょっと面白い噂を小耳に挟んだもんでさ。 ちょうど今、ゆえが飲んでるジュース作ってる、『MAHORAドリンコ』って会社のことなんだけど」 ピクリ。無表情を装っている夕映の肩が、一瞬だけ小さく震える。 夕映が自分の投げた話題にしっかり喰い付いて来たのを確認し、ハルナは嬉々として言葉を続ける。 「なんでも噂では~、そのドリンクメーカーって、麻帆良学園の地下に秘密の工場を持ってるんだって!」 「……何ですか、その『悪の秘密結社』の拠点みたいな立地条件は。普通に考えてありえないです」 「でも怪しいのは工場だけじゃないのよ! 社員の正体は一般には秘密! というか一般人に偽装! 夜な夜な社員がコッソリ集まって、鍋を囲んで世にもおぞましいジュースを造っているという……!」 「どこの黒ミサですか。だ、大体、ドリンクメーカーの社員が身分を偽る理由がどこにあるのです?」 怪しい噂話を一方的にまくしたてるハルナ。彼女はふと、夕映の反応に僅かな引っ掛かりを覚える。 見れば夕映は普段通りの無感動な様子ではあるのだが、今、ちょっとだけ動揺したような……動揺? 「ともかく、下らない噂話は止めるです。『MAHORAドリンコ』の悪口もです。ジュースがまずくなるです」 ハルナの視線に込められた疑いの色に気付くことなく。 夕映は仏頂面で話を打ち切ってしまい、ハルナもそれ以上話を続けられなくなってしまった。 ……少なくとも、その場では。 809 :ハルナと秘密のドリンク工場(2/8) 2006/11/03(金) 21 53 15 ID ??? その日の深夜――。 ふと寝返りを打った拍子に、ハルナは目を覚ました。 寝なおそうにもどうにも目が冴えてしまって、仕方なくゆっくり起き上がる。 枕元に手を伸ばし、暗い室内で眼鏡をかける。 「ん~、こないだまでの修羅場のせいか、生活リズム狂っちゃってるなァ。 ちょっと外行って、ジュースでも買ってこよっか……」 ゆえ好みの怪しいジュースは御免だけどね、と付け加え、ハルナはベッドから起き上がる。 そして何気なしに窓の外を眺めて……そこに見付けてしまったのは、見覚えのある人影。 2つに束ねられた、腰ほどまでの長い髪。彼女が周囲を見回すたびに、頭上で触角が揺れる。 月明かりに照らされた後姿だけだが、見間違いようがない。 「……? ゆえ、こんな時間にどこに行く気なんだろ……?」 こんな時間に夕映が出掛けなければならないような用事など、ハルナにはとんと思いつかない。 たちまちハルナは好奇心に駆られ、部屋を抜け出し夕映の尾行を開始する。 曲がり角の度にキョロキョロと、人目を気にする様子の夕映の後を、つけ続ける……。 「……ここ?」 そして辿り着いたのは――普段ハルナや夕映が通っている、麻帆良学園女子中等部の校舎。 夕映はそして裏庭に回りこむと、そこにあったマンホールの1つをゆっくりズラす。 仄かに光が漏れ出すマンホールの縦穴に、何の躊躇いもなく、慣れた様子で降りていく夕映――。 少し迷ったが、夕映が消えてからしばらく待って、ハルナもまた、マンホールの梯子に足をかける。 「……ふぁぁ。こんな場所が、学校の下にあったんだねぇ。おねーさん、ビックリしちゃったよ」 810 :ハルナと秘密のドリンク工場(3/8) 2006/11/03(金) 21 54 41 ID ??? マンホールの底まで降りたハルナは、周囲を見回し、呆然。 一見すると普通の下水用にしか見えないマンホール、しかしその底はかなり広い空間で。 点々と電灯の灯る巨大な通路が、十文字に延びている。通路の両側には、点々と扉がある模様。 夕映はどこに行ったのだろう? と見回して見るが、少なくともここから見える範囲には居ないようだ。 「どこかの部屋に入っちゃったのかな……よしよし、ちょっと探検……♪」 そこはハルナも図書館探検部の一員。唐突に現れたこのダンジョンに、彼女の冒険心がくすぐられて。 まずは手近な扉の1つに、忍び寄る。 ガッチャン。ガッチャン。近づいてみれば、扉の隙間から漏れるのは、規則正しく音を刻む機械の音。 どうやら何かの工場らしい。覗いて見れば、テキパキと働いている工員らしき姿もある。 しかし……何か違和感。工員の動きに、無駄が無さ過ぎる。ハルナは目を細め、よくよく観察する。 「あれ? みんなヤケにゴツイね~、てか髪形同じ? というよりクローン人間?! じゃなくて……あれ、『田中さん』とかいうロボットじゃない?! ちゃおりんたちが使ってた奴!」 そう、働いているのは身長2メートル超の巨漢ばかり。 コピー&ペーストを駆使したかのような、瓜二つの姿形。室内なのに外していないサングラス。 機体番号T-ANK-α3、通称『田中さん』。それが何十体も集まって単調な作業を進めている。 動く機械。動くベルトコンベア。コンベアの上に乗っているのは、小さな四角い紙パック。 ジュースだ。しかもそのジュースに印刷されている、黄色と黒のカラフルなイラストは……。 「ゆ、『柚子コーラ』!? ってことはここ、噂の『MAHORAドリンコ』の工場!? え、マジで!?」 ……その後、ハルナはいくつかの部屋を覗いてみたが、どこも同じようなモノだった。 『抹茶コーラ』をパック詰めしているライン。『なしミルク』を作っているライン。働いている『田中さん』たち。 商品をダンボール詰めにする『田中さん』。どこに輸送するのか、宅配便の宛名書きをする『田中さん』。 中には仕事が無くて待機状態なのか、無数の『田中さん』が直立不動で並んでいる部屋もあった。 「しかし、普通の人間は1人も居ないのかね? ……ん? あれは?」 811 :ハルナと秘密のドリンク工場(4/8) 2006/11/03(金) 21 55 35 ID ??? いい加減飽きかけていたハルナは、そして気付く。 奥の方にある部屋の1つに、プレートが掲げられている。『会議室』。 そしてその扉がうっすらと開き、中から一筋の光が差している……。 何かを直感したハルナは、足音を忍ばせ近づくと、そっとその中を覗き込む。 そして、ハルナは見た。 この世界の裏側を。もう1つの、知られざる世界の姿を。 「……では、次の議題に移って宜しいでしょうか? 先日の会議で提案された事業拡大、それに伴う新規の借り入れの件ですわ」 明るい光に包まれた、地下の会議室。長いテーブルの半ばの席で、優雅に立ち上がったのは…… ハルナの目と耳が確かなら、間違いない、3-Aのクラス委員長、雪広あやかだ。 彼女は手元の資料にチラチラと視線を向けながら、会議室の面々を見渡す。 「『MAHORAドリンコ』の業績は好調で、雪広グループの銀行からも好意的な感触が得られましたわ。 ただ、もう少し詳しい計画を聞きたいとのことでした。特に人件費の問題と、売り上げ予想について。 これはそれぞれの担当役員の方に追加の資料を用意して頂きたいところですわね」 「ん~、銀行への説明、難しいですね~。仕事増えた分は、休止状態の『田中さん』を起動させるだけなんで。 だから人件費の増加はほとんどないんですよ~。でもこれ、どう説明したもんだか……」 財務担当のあやかの質問に、渋い表情で応えたのは葉加瀬聡美。 やはり立場上、『田中さん』のコントロールや機械の担当のようだ。 そんな聡美に助け舟を出したのは、彼女の隣に座っていた人物。商才も備えた天才、超鈴音だった。 「そーゆー問題なら、私の方にデータ回してくれれば、いくらでも辻褄合わせてあげるヨ。 超包子でも、こういう問題は結構あたからネ。売り上げ予測も込みで、レポートにまとめておくヨ。 ついては千雨サン、通販の最新の売り上げデータを、回して欲しいのだガ……」 「分かってる。社内メールで送っておくぞ。あと、ネット部門からもみんなに聞いて欲しい話があるんだが」 812 :ハルナと秘密のドリンク工場(5/8) 2006/11/03(金) 21 56 24 ID ??? 経理担当で、でもそれを超える仕事もしているらしい超。 その超の問い掛けに応えて、長谷川千雨はノートパソコンのキーを叩きながら皆を見回す。 「『MAHORAドリンコ』のネット通販はお陰様で好調だ。正直、開始時の予想を遥かに上回っている。 いわゆるロングテール理論だな。社会全体では少数派でも、かき集めれば商売になるってわけだ。 で、その少数派から、既に生産中止になったジュースを復刻してくれとの声が寄せられている。 中にはいくつか、これ本当に採算取れるんじゃないかってのもあってだな……どう思う、四葉?」 「ものによります……。生産中止の中には、原材料が手に入らなくなったものもありますし……。 でも、検討する価値は、あると思います……。材料を一部変えて、新製品としてもいいかも……(ニコッ)」 どうやら新製品の開発などをする部門は、3-Aで一番の料理名人、四葉五月の管轄らしい。 コック姿のまま会議に出席している彼女は、そしてさらに言葉を続ける。 「新製品と言えば、先日の会議で提案された品物、試作品が完成しました……。 試飲は後でしてもらいますが……相当クセが強いので、『社長』以外に飲めるかどうか……。 あ、朝倉さん、後で広告、よろしくお願いします……」 「了解だよ、さっちゃん♪ また『社長』好みのゲテモノなんだろうけどさ、広報の力で売りまくってあげる♪」 頭を下げた五月に応えたのは、まほらパパラッチ・朝倉和美。広報担当というのはいかにも彼女らしい。 さっそく手元のメモ帳に何やら書き始める和美に、しばらく沈黙していた最後の1人が声をかける。 「……和美さん。そう言えば1つ、緊急の議題があるのですが。特に和美さんの力を借りたいことです」 「へ? 何、『社長』? 何かヤバいことでもあった?」 会議室のテーブル、その上座。壁に掛けられた先代社長の肖像と、その直筆の社訓。 『未知への挑戦によってのみ、未知の世界への扉は開かれる』 哲学的なんだか陳腐なんだか良く分からない額入りの達筆の書には、『綾瀬泰造』の署名。 かつて『飲む哲学者』の異名を取った祖父を頭上に抱いて、『MAHORAドリンコ』の現『社長』は口を開く。 綾瀬夕映。いわずと知れた、学園一の珍ドリンクマニアだ。 813 :ハルナと秘密のドリンク工場(6/8) 2006/11/03(金) 21 57 09 ID ??? 「我が社の秘密が、どこかから漏れたようなのです。地下工場の存在などが、噂になっているようです。 それも――よりによって、あの噂好きのハルナが聞きつけてしまったようなのです」 「まあ、ハルナさんに!?」 「それは大いなる危機ネ!」 「ん~、情報操作が必要かねェ。『麻帆良スポーツ』あたり使って、偽装記事打っとこうか?」 「お願いするです。幸い、現時点では根拠のない噂でしかなく、ハルナも確たる証拠を掴んでいない様子。 でも、この調子で言い広められると、いつ誰にココを嗅ぎ付けられるか、分かったものではないです。 早急に、何らかの対策を打たねばならないです。口封じの策を考えねばならないです――!」 く、口封じ!? 真顔の夕映が言うと、冗談には聞こえない。 気配を殺し会議室を覗くハルナは、物騒な単語に、口の中がカラカラに乾くのを感じる。 「や、やば……! はやいとこ逃げなきゃ……キャッ!?」 「……ほう。ゴキブリが一匹紛れ込んでるかと思ったら、早乙女か。これは異な所で会ったものだ」 慌てて逃げようとしたハルナがそして衝突したのは、これまた良く見知ったクラスメイトの顔。 浅黒い肌に見上げるような長身、鋭い眼光。3-Aの仕事人、龍宮真名だ。 彼女は問答無用でハルナの首根っこを引っ掴むと、引き摺るようにして会議室の中に踏み込む。 「おや、真名さん遅刻ですよ。って……は、ハルナ!?」 「済まないね、綾瀬社長。でも、警備担当としての給料分の仕事はしているよ。こんな具合にね。 今、そこの前の廊下で捕まえた。どうやら盗み聞きしていたらしい」 「ありゃりゃ、困ったねぇ。いやむしろ飛んで火に入るなんとやら、かな? さてどーすんの、社長?」 夕映、あやか、聡美、超、千雨、五月、和美、そして真名。 8人のクラスメイトの輪の中に放り込まれたハルナは、尻餅をついたまま、周囲を見回す。 「……これはやはり、『アレ』しかないと思いますわ」 「そうですね~。ちょうど運良くというか運悪くというか、五月さんが試作品完成させたところですし~」 「ま、殺されないだけマシだと思て諦めてもらうしかないネ」 「そうだな。自業自得だ。痛い目に遭えば、この腐れ女子も多少は大人しくなるんじゃないか?」 814 :ハルナと秘密のドリンク工場(7/8) 2006/11/03(金) 21 57 45 ID ??? あやかが、聡美が、超が、千雨が。口々に不吉な言葉を漏らす。 カラカラと音を立てて、五月がワゴンを押してくる。その上に鎮座するのは、何やら怪しげな紙パックが1つ。 夕映はそれを手に取ると、死刑を宣告する裁判官の口調で、ハルナに言い放つ。 「さて、ハルナ。恨むなら、自分の迂闊さを恨むです」 「ちょっ、夕映、何を……!?」 「『MAHORAドリンコ』、衝撃の新商品――『長ネギ長イモ丸絞り!粛清青汁!』、試作第一号。 覗き見の罰、そして困った噂を流布しようとした罰として、貴女にはこれを試飲して頂きますです……!」 「ま、待って待って待って! それどう見ても人間の飲む代物じゃないから! どう考えてもおかしいから! てか長ネギに長イモ丸ごとなんて、それあのオバさんたちの、ムグッ、ウゴッ、ゴキュッ……!!」 ハルナの言葉が途中で遮られたのは、彼女にとって幸いだったのかどうなのか。 数人がかりで取り押さえられ、成す術もなくストローが口に突き込まれて。 夕映の手によって紙パックが押し潰されて、一気にハルナの口中に『粛清青汁』が流れ込む。 思わず液体を嚥下した途端、グラリと揺らぐ世界。遠のく意識。眼球がグルンと回って白目を剥く。 筆舌し難い、文字通り言葉では表現しようのない味覚の衝撃と共に、ハルナの視界は一気に暗転し――! ……チュン。チュチュチュン。 「はぁうッ! ゆえ様 千鶴様 しずな様、私が悪かったです本当に悪かったです反省してますッ! だから長ネギは許して 長芋は許して 青汁は許して、って………………あれ? 夢?」 ガバッ! と激しく起き上がって叫んだハルナは、しかしすぐに正気に戻る。 元の自分の部屋だ。どうみても、普段のベッドの上だ。 既に太陽は上がり、窓の外では小鳥が鳴いている時間だが、しかし変わった様子は何もない。 ただ僅かに、ほんの僅かに、鼻の奥にネギと長芋の香りが残る……ような気がする、だけ。 ハルナはしばし呆然と、ベッドの上で荒い息をつく――。 815 :ハルナと秘密のドリンク工場(8/8) 2006/11/03(金) 21 58 36 ID ??? 「……という夢を見たのよ~」 「何を延々下らぬ話をしているかと思ったら、夢オチですか。呆れてモノも言えないです」 放課後の教室。パラパラと生徒が帰り始め、あるいは部活に向かう中。 長々とハルナのお喋りに付き合わされた夕映は、呆れたような声を出す。 「それは夢です。間違いなく夢です。さっさと忘れるです。そんな噂、他の人に話したら恥かくですよ?」 「そっか~。そりゃそ~だよねぇ。私、何言ってんだろうねぇ。 大体さぁ、いくら『MAHORAドリンコ』がトンでもないって言っても、そんな青汁、出すはずがな――」 夕映の素っ気無い言葉に、ハルナは頭を掻く。笑って、全ては夢だったのだ、と思い込もうとして…… ふと、『あるもの』に目が止まってしまう。作り笑いのまま、凍りついてしまう。 ハルナの長い話の間、相槌を打つばかりだった夕映の口元。そこから伸びたストローの先。 両手で胸の前に捧げ持たれた、四角い小さな紙パック。どこか見覚えのある、リアルに存在するジュース。 ――『MAHORAドリンコ』最新の新製品、『長ネギ長イモ丸絞り! 粛清青汁!』。 「……あの、ゆえ吉君? その、『社長』が今飲んでるジュースは、い、一体、何なのかな?」 「ふふふ……ハルナ、今私のことを、思わず『社長』と呼びましたですね?」 夕映の不気味な笑い声。ハッと人の気配に見回せば、周囲を取り囲む7人の影。 あやか。聡美。超。千雨。五月。和美。真名。 さりげなく教室に残っていた7人の『社員』が、素早くハルナを取り押さえて。 動きを封じられたハルナの前で、夕映はニヤリと黒い笑みを浮かべる。 「全て忘れて黙っていれば、こんな目に遭わずに済んだでしょうに……『もう1度』、飲んでみるですか?」 「い……いやぁァもう青汁いやぁぁぁあごぼげぼぐぼぁあッ!?」 (――終? 全部ハルナの悪夢? それとも……無限ループ?!) 822 :マロン名無しさん 2006/11/03(金) 23 12 09 ID ??? リクカプ劇場 美空×古菲編:1本目、美空が突っ込みすぎでオーバーランで0点、だがクーはそれを見て舞い上がり くるっと一回転して0点、仕切りなおし。その後3回にも及ぶ戦いは五分五分。 だが4回目でかそくそーちを使いすぎた美空が自爆。古菲の勝利。 「私バカだから、こんな言い方しか出来ないアル……好きアルよ」 美空は古菲に呼ばれ体育館裏へと来てみれば、いきなりの告白。 それもかなりの直球。告白とはいえそこまで単刀直入なのも分かりやすい。 しかし、それでも真剣に言った古菲とは対照的に… 「え~?くーちゃん私に惚れちゃったの~。まぁ仕方ないよね~、分かる分かる」 真剣な返答とは程遠い軽いノリで返す。 「え?…えぇ?」 あまりの軽すぎるノリに古菲も聊か心境穏やかではない。 「そんじゃ、今日は遅いから。明日からよろしくね~」 何も考えていないかのようにスキップして帰る美空。 一方の古菲はその場に取り残され、どうしていいか分からず途方に暮れていた。 翌日、二人は一緒に学園は行かなかった。 何となくギクシャクした状態で、教室に行っても全く会話はなかった。 「…あんな言い方しちゃったけど、どんな顔して会えばいいんだろう」 美空は何故か今になって古菲について真剣に考え出す。 あの告白はたぶん自分を驚かすためのギャグと思っていたから、あんな軽い返答をしたが… 「美空、何してるアルか?」 「うわぁぁ!く、くーちゃん!?どうしたの」 「何って、次は科学室に移動アルよ」 すっかり忘れていた。さっきから古菲のことばかり考えてそれどころではなかった。 823 :リクカプ劇場 2006/11/03(金) 23 12 47 ID ??? 大慌てで教科書と筆箱を持って科学室に走っていく。 三階の窓から木へ飛び移り、そして一階の科学室の窓へと曲芸するかのような動きでショートカットする古菲。 それとは正反対にアーティファクトを使って急いで三階から一階へ高速移動する美空。 結果、授業には間に合ったものの組む斑がいないため二人仲良く並んで座ることになった。 「…」 「どうしたアルか?」 「あ、いや。なんでもないの」 どうしてだろう、昨日とは打って変わって古菲は落ち着いている。 「今日、昼は一人アルか?」 「うんそうだね」 「それじゃあ一緒にご飯食べるアルよ」 顔を赤くしての突然のお誘い、古菲が真剣な告白だったのは明白だ。 「う、うん。それじゃあお昼になったら教室で…」 「分かったアル」 胸がとてもドキドキしている。 落ち着こうとして胸を押さえるが、古菲を見るたびにその心音は高まる一方。 (ひょっとしてこんなにドキドキしてるの私だけ!?) 美空がそう自覚しても何も変わらない。 隣でそんな葛藤をしている美空をため息交じりに笑って見守る古菲。 ((毎日こんなの(アル)か~)) 心の中でほぼ同時に思っても二人が付き合っている以上、消えない事実。 ドキドキと二人の心音は止まらず。 この感覚になれるにはまだまだ先になりそうだ。 終 829 :ずれたので修正 2006/11/04(土) 01 48 23 ID ??? 第43話 魔神、月に咆える 出演 マホトラガール 長谷川千雨 MAT隊長 長瀬楓 MAT隊員 雪広あやか 釘宮円 四葉五月 宮崎のどか その他 那波千鶴 鳴滝史伽 二ノ宮先生 葛葉刀子 龍宮真名 大河内アキラ 魔神怪獣アキラゴン 登場 830 :魔神、月に咆える1/4 2006/11/04(土) 01 51 38 ID ??? ここはMAT本部、MATとはMahora Attack Teamの略称だ。 主に麻帆良学園の平和を守るのが仕事だ。 そこでいま、隊員達が話していることは 「どうしていままで気づかなかったのだろうな」 千雨が話題を始める 「私達が当たり前のように休日を休んでいるからだろうか?」 隊長以外の5人が本部で話している、そこへ楓隊長が入ってきた。 「どうしたのでござるか?」 「いま隊長の休暇について話してたんですわ」 「休暇か、そんなものは怪獣にくれてやるでござる」 「けどたまには休まないと」 「そんなに拙者を休ませたいのでござるか?」 「ああ、部屋に閉じこめても」 「じゃあ、拙者がいなくても大丈夫……、みたいでござるな。」 「隊長、いってらっしゃい!!」 隊員達は声をそろえて送り出す 楓は湖に遠出をしようとしたが千鶴と史伽が一緒に行きたいと言うことになり一緒に行くことにした。 そして湖の近くにある宿に近づいたとき、楓を見る肌黒い農婦がいた。 「MATの楓隊長か、いいお姉さんぶってるな」 831 :魔神、月に咆える2/4 2006/11/04(土) 01 53 33 ID ??? 宿では二ノ宮と刀子が迎えてくれた。 のんびり食事をしながら時は過ぎていた。 そして時計が9時になる。 「そろそろ湖に神様がでるころだな」 「楓姉、千鶴さん、一緒に行くですぅ」 「いや、拙者は一眠りさせてもらうでござる」 「つまんない、楓姉、一緒に行こうよ」 史伽は楓にねだるが刀子がフォローを入れる。 「楓さんは疲れているのだから私達と一緒に行こう」 こうして楓を除いた4人で出かけることになった。 神様が現れるというのは湖の氷が割れるのは神様が通ったという証拠という言い伝えから着ている。 4人は寒さ対策をしながら氷が割れるのを待つことにした。 一方そのころ。 一人残った楓隊長は腕枕をしてうたた寝をしていた。 その宿に先ほどの怪しい肌黒い農婦がやってきた。 「ふふっ、寝てる寝てる。隊長を私の虜にすればMATはガタガタだ、えへへへ」 というと両腕を顔の前に持ってきて戸を開けるように接した両腕を放す。 煙が出て晴れた煙の中から現れたのは星人だった。 星人は宿のドアの前まで来ていた。 楓はふと目覚め、MATに連絡をかける 「MAT本部、MAT本部聞こえるか、長瀬だがみんな元気か?」 楓の連絡にのどかが答える 「隊長、みんなパトロールにいっています、あのうせっかくの休みなんですから私達に任せて安心して休んでくださいね」 「習慣とは恐ろしいものでござるな、こうしていると落ち着くのでござるよ」 一方ドアの外では。 「寝ぼけていても連絡だけはとってやがるとは、嫌みな隊長だ」 星人は夜ばいに失敗し去っていった。 832 :魔神、月に咆える3/4 2006/11/04(土) 01 56 31 ID ??? 農婦の姿にもどった星人は湖の前で待っている、千鶴と史伽をみて、次の悪巧みを思い浮かべる 『よおし』 農婦は御神体がある本殿の中に入っていく、そこで再び星人の姿になる。 「はああ、むん」 そして御神体に近づいていく。 「これは、えへへへ、なんてエロいんだ」 この御神体は鎧かぶと姿で水着という御神体だった。 「せっかくだから、持って行きながらさわりまくってやる」 そういうと星人は御神体を抱きかかえてさわりながら神社から出て行った。 カーン、カーン 氷が割れる音が響き湖の氷が割れた。 「もう終わりなんですかぁ?」 「そうよ、神様は人間には見えないからね」 史伽はつまらなそうに思っていると、湖から何か出てくるのを見た。 巨大な女鎧武者の姿で水着を着た怪獣だった。 その姿を見た人々達は一斉に逃げ出した。 その混乱の最中に千鶴と史伽に近づいた農婦がいた、そう星人である。 農婦はこちらの方が安全だといい、人々達から二人を放すことに成功する。 農婦は二人を神社の本殿に連れてきた 「こんなところで大丈夫なんですか?」 「灯台もと暗しといいますからね」 「冗談を言っている場合ではないですよ」 「真面目ですよ、那波、鳴滝」 「ふぇへへへ、ふぇははは、ふへへ」 そういうと農婦は変身ポーズをとって星人の姿になった。 833 :魔神、月に咆える4/4 2006/11/04(土) 01 58 50 ID ??? 「二ノ宮殿、刀子殿。千鶴殿と史伽殿は?」 「わからない、はぐれてしまったみたい」 「手分けして探そう」 楓は千鶴と史伽を探すが怪獣も気になる。 暫くすると怪獣は湖の中に戻っていく、それをみて楓はMAT本部に連絡を入れる。 「MAT、聞こえるかMAT、湖に怪獣が現れたでござる」 「ふへへへへはは」 笑い声の方向を見ると星人がいた。 「隊長!、隊長!」 「どうした?」 千雨達パトロールに出ていた隊員全て帰ってきた。 「湖に怪獣が現れたのですぅ」 「ふへへ、ふはははは」 隊員達はモニターに映し出された星人の姿を見る。 「隊長、ついでにMATの諸君よく聞きたまえ、千鶴と史伽は私が預かっている、もし二人の貞操が大事ならMATは即座に解散、 海底本部を破壊し隊員達は私のハーレムに入るのだ ふわはははは、我々龍宮星人が地球と仲良くするためにはどうもMATが邪魔なのでな ふわはははは、24時間の猶予を与える、2人の貞操かMATの設備かよーく考えたまえ、怪獣が村に与える被害もな、ふわはははは」 838 :真名 取り替え 2006/11/04(土) 02 25 48 ID ??? 真名 取り替え 1/5 さて、イベント好きの我がクラス。ふと思いついたことは実行しまうのである この行動力、悪いとは言わないが迷惑かなと思ってしまうときもあるのは心にとどめておこう 風香 「ねぇねぇ、一日だけルームメイト変えてみない?」 その一言が今回のカオスの原因だった 圧倒的多数の支持を得てその法案は議会(?)を通り、そしてあっという間にくじ引きとなる なし崩し的に私も参加させられてそのくじ引きを引かされることとなった ”鳴滝 史伽” さて、どんな夜が待っているのであろうか・・・ 史伽 「ご飯できたです~」 小さなエプロンを着けた史伽が、その体には少し大きめのお皿を持ってテーブルの方にやってきた 真名 「大丈夫か?持ってやろう」 中身がこぼれそうだったので、私は椅子から立ち上がるとそのお皿を持ってやった 史伽 「あ、ありがとうです」 私がお皿を持った瞬間、上を向いてにっこりと笑う史伽。その仕草はちょっと可愛いと思ってしまう うん、これが妹ってやつなのか? 839 :真名 取り替え 2006/11/04(土) 02 26 33 ID ??? 2/5 真名 「ごちそうさま」 史伽 「お粗末様でした」 食後の挨拶をすませ、私たちは食事の後片付けを行う。小さな史伽は自前で持ってきた踏み台に乗りながら食器を洗い始めた その光景を見ていると、それは意外な共通項であるな、と私は思った そう、私の身長は180を超える。史伽とは逆に台所が低すぎて使いづらいのだ 故に私は外食を取ることが多い。時々刹那に甘えて作ってもらうことはあるのだが 踏み台に乗りながら器用に皿を洗っていく史伽。鼻歌を歌いながら次々にお皿は綺麗になってゆく 私はその隣に立ち受け取ったお皿の水気を布巾で拭き取っていった やがて洗うべきお皿はすべて無くなり、史伽は台所に飛び散った水滴を布巾で一所懸命拭き始めた それはなかなかに危険そうな光景であった。小さい体で自分の体より大きな台所を拭いているのである 踏み台につま先立ちで立ち、器用にバランスを取ってはいるが、あのままではいずれ力尽きて倒れてしまうおそれがある そう思った私は史伽の脇のあたりを両手で掴むと、ひょいっと持ち上げた 史伽 「ひゃぁぁぁ!!なにするですか!?」 真名 「み、見ていて危険だ、台所を拭くのは私がやろう。お前は別のことをしてくれ」 史伽 「そ、そうですか・・・ではお風呂の準備をしてくるです」 史伽は少しばかり意外そうで残念そうな顔をすると、とことこと風呂場の方へと向かっていった さっき持ち上げたときから残る手の感触、史伽の暖かさと柔らかさがだんだんと消えてゆく それが残念でならないと思うのは一体どういうことなのであろうか? とても心地よいからなのであろうか 840 :真名 取り替え 2006/11/04(土) 02 28 35 ID ??? 3/5 史伽 「お風呂お先にどうぞです」 手に持ったバスタオルを私に差し出す史伽、だが私はそれを断った 真名 「先に入ってくれ、私は後でいいよ」 そういったら少し史伽は困ったような顔をした。そしてこう言ったのである 史伽 「だったら一緒に入るです」 それはなんとなく奇妙な光景だった。史伽の生まれたままの姿はいつも大浴場で見ているはずなのに・・・ どうしてこの小さな部屋のお風呂場では違った姿に見えてしまうのだろうか? これが雰囲気というものなのだろうか? 軽くシャワーを浴びて汚れを落とす私と史伽、そして史伽はそのまま椅子に座ると髪の毛を洗い始めた 真名 「髪の毛が短いと楽で良いな。私なんて時間がかかるんだ」 史伽 「でも龍宮さんの髪ってしっかり手入れしてあって綺麗です。黒色の艶が凄いです」 真名 「ふふっ、ありがとう。後、私のことは真名でいい。そう呼んでくれ」 史伽 「わかりましたです~」 頭にシャンプーを付けて泡をかき立てた史伽、そのまま泡は史伽の視界を塞ぐ いつもとは違う風呂場の勝手に、史伽はシャワーの位置がつかめないらしい その手は宙をさまよいながらシャワーの取っ手を探しているようだ 真名 「待ってろ。今、頭からかけてやるから」 私はシャワーを手にとって少しぬるめの温度にすると、史伽の頭からかけてやった 史伽 「ありがとうです~」 自分より50cm近く小さな女の子は娘のように見えてしょうがない 私も子供が出来たときは・・・こんな風に思うのであろうか? 841 :真名 取り替え 2006/11/04(土) 02 29 25 ID ??? 4/5 史伽 「ふぅ~、極楽ですぅ」 湯船に浸かる史伽は少しだけオヤジ臭い発言をした。こういうところはたぶん楓の影響だろう 真名 「気持ちいいか?」 史伽 「はい、特に真名さんの感触が気持ちいいですぅ~」 史伽のお尻は浴槽の底には付いてはいない。史伽はそう、私の上に乗っかっているのだ 私は湯船に入った際、史伽を自分の体の上に乗せた 小さな史伽はすっぽりと私の体の上に収まっていて、私は史伽の体がずれないように腕を絡めた 真名 「わかっているな?100数えるんだ」 史伽 「こ、子供扱いしないでください!!生まれでは3週間も違わないんですから!!」 真名 「ははっ、そうだったな」 湯の温度はとても暖かい、しかしそれ以上に史伽の肌から伝わってくるぬくもりは暖かく感じる 湯に浸かる心地よさとは別の心地よさが私の心音を穏やかにしていった 史伽 「真名さんはどうしてそんなに身長が大きいんですか?」 真名 「さてな、そういう史伽はどうしておっぱいが小さいのかな?」 史伽 「そ、それはあんまりです~。今に大きくなるんですから!!」 真名 「ははっ、90以下で頼むよ。そうなれば私も楓も泣いてしまうかもしれないから」 史伽 「千鶴姉を越えるです」 真名 「期待しているよ」 130cmで95cmぐらいの巨乳の少女を想像してみた そういう嗜好の持ち主では無いこと気がついてほっとする 842 :真名 取り替え 2006/11/04(土) 02 31 29 ID ??? 5/5 史伽 「あの・・・真名さん、お願いがあるです」 私は史伽の布団を用意している途中にそういわれた。果たしてどういう用なのだろうか? 真名 「ん?刹那のベッドは嫌なのか?」 史伽 「そうではなくて・・・一緒に寝て欲しいです」 真名 「一緒にか?それはかまわないが・・・」 史伽 「実は私はお姉ちゃんといつも一緒に寝てるです。そしてたまに楓姉とも一緒に寝てるです、それで・・・」 真名 「そういうことならかまわないが・・・独り寝が出来ないなんてお子ちゃまかずいぶんと大人なんだな」 すると史伽は顔を赤らめてこう言った 史伽 「だって・・・一人で寝るのって怖くて寂しいんだもん!!!」 一つの布団に二人の人間、そして枕は一つだった。史伽は私の胸を枕にしているのである 真名 「楓と寝るときはどう寝るんだ?」 史伽 「楓姉の左右に私たちがくっついて眠るんです。どっちが左右に行くかはそのときの気分です」 真名 「こんなに可愛い娘たちを独り占めにして・・・楓の奴は許せないな」 史伽 「えへへ・・・でも真名さんって楓姉と似てるです」 真名 「そうか?似てるのは身長ぐらいだと思うんだが?」 史伽 「匂いとか雰囲気とか・・・抱きついた体の感じも一緒です」 そういわれれば私と楓のスリーサイズはほとんど変わらない。バストがわずかに負けているというのが悔しい 胸のことで史伽にいっておいてなんだが、いつかは楓より大きくなってやる 会話がいつまで続いたのかは覚えてはいない。気がついたときには史伽が寝息を立てていた 私は史伽の髪を一度だけそっと撫でると、私もまどろみの海に身を沈めようとまぶたを閉じた 小さな史伽のぬくもりは、少しだけ寒くなった秋の夜を過ごしやすいものにしてくれていた 完 847 :魔神、月に咆える1/3 2006/11/04(土) 13 03 41 ID ??? 夜が明けMAT隊員達が楓の元にやってきた。 「楓隊長」 隊員達も自分達が勧めた休みでこうなってしまったのに憤りを感じていた。 時を同じくしてこの村の住人達がやってきた。 「MATの隊長がこの村に来たせいで怪獣騒ぎだ」 「MATはすぐ帰れ!」 村人達は楓を責め立てる。 「けど2人の人質の貞操がかかっているのですわ」 あやかが説得を試みる。 「そんなのそっちの勝手だ」 「なんだと」 円が殴りかかろうとする。 「釘宮殿!! わかりました、貴方方の希望に添えるようにします」 「そうか、なら隊長を信じて帰ろうぞ」 村人達は帰って行った。 「隊長!」 五月が珍しく叫ぶ。 「仕方ないでござる、MATと村を守るために仕方あるまい」 一方神社の本殿では。 「えへへへへ、ふふ二人の貞操もいいな」 龍宮星人の笑い声が聞こえる。 「史伽、貴方は泣いちゃだめよ」 「うん」 二人のやりとりを見ていた龍宮星人は 「えへへへへ、いくら泣いても無駄だ、星人は涙というものには無縁なのでな。 えへへへ。どっちにしても美味しくいただきますか、じゅるり。」 848 :魔神、月に咆える2/4 2006/11/04(土) 13 06 20 ID ??? MATはこれからの作戦を立てていた。 「2人はいい、湖の怪獣を倒すのでござる」 楓が言うと同時にサイレンが鳴った、怪獣が現れたのである。 「いくぞ!」 「けど隊長、それでは2人の貞操が」 「構わん、いくぞ」 MATは銃を怪獣に向けて撃ち始めた。 その音は神社の本殿にも聞こえてくる。 「ふうむ、アキラゴンと戦い始めたな、ようし2人の貞操はこっちのものだ、えへへへへ」 千雨は他のMAT隊員と離れ銃を撃ちつつ怪獣を見るが、その時ある2人のシスターの姿を見た。 「どうしました?」 「いえ、あの怪獣、神社の御神体にそっくりなので怒りを静めるようにお社に祈りを捧げていたのです」 「私達はシスターだけどなにか役に立つかなと思って」 「怪獣が御神体に!? にしてもあんないかれた格好した御神体って!?」 千雨はひょっとしたら星人は神社にいるのではと感じた。 一方残りのMAT隊員と怪獣との戦いは続く、MATは銃で応戦するも怪獣は指先から水流を発射し、村の家を破壊していく。 千雨は走った、神社に向かって、自分の推測が正しいのなら神社に2人と星人はいる。 849 :魔神、月に咆える3/4 2006/11/04(土) 13 08 38 ID ??? 「よし、いよいよ取引の意志なしと見た。えへへへへ、それでは美味しくいただきますとしますか」 龍宮星人は千鶴と史伽に目を血走らせて歩いてくる。千鶴は史伽を守るため抱きしめる。 「ぐへへへへ」 千雨は神社の鳥居をくぐり、本殿に向かって走る。 そして千雨の精神も臨界点を突破し天から十字の光が降ってくる。 キーーーン マホトラガールに変身した。 「あっ、マホトラガール!」 史伽が叫ぶ。それを聞いた龍宮星人は本殿の外に出て宙返りをして巨大化する。 マホトラガールはMATの隊員に向かってうなずく。 「隊長、あれはきっと2人は大丈夫だという合図です。」 円が隊長に言う。 「よし、マホトラガールに協力するでござる。」 一方巨大化した龍宮星人は 「それにしてもなんてエロいんだ、辛抱溜まらん」 なんと怪獣に襲いかかってしまった。 無理もない鎧に水着のアンバランスがそうさせるのだろう。 「ふふ、声を出さないアキラもいいなあ」 押し倒して抱きついた龍宮星人は言う。 龍宮星人はアキラゴンの鎧を外し、水着姿にしてしまう。 アキラゴンはしゃべれないので目で訴えかけるがそれも龍宮星人の前では欲情をそそるだけでしかない。 ついに龍宮星人は肩から水着を外そうとする。 850 :魔神、月に咆える4/4 2006/11/04(土) 13 11 12 ID ??? マホトラガールは見守っていたが付き合いきれなくなりブレスレットを龍宮星人に投げる。 ブレスレットは龍宮星人を縦に真っ二つに切り裂いた。 二つに裂かれた龍宮星人は爆発と共に姿が消えていった。 そしてアキラゴンも動きが止まり姿が消え、元の御神体に戻った。 そして神社本殿ではMATの隊員が千鶴、史伽と合流していた。そして遅れて千雨がやってくる。 「おーい!!」 いつもながらわざとらしいなと千雨は思う。 千雨は御神体を神棚に戻し、みんなでお参りしようと言った。 そして皆で手を合わせお参りをしたあと御神体を見るとなんと後ろを向いてしまっていた。 「神様が恥ずかしがってる」 史伽が言う。 『そりゃ、あんな格好で巨大化したあげく押し倒されて濡れ場を見られたら恥ずかしいよな』 千雨はそう思った、自分も結構恥ずかしいことをしているのだが。 「じゃあ、いくでござる」 楓隊長も一件落着しホッとした様子だ。 これでこの騒動も一件落着になった。 859 :ゆーな×ちう 2006/11/04(土) 20 56 36 ID ??? 「うー、寒」 日中はそれなりに暖かいとは言っても今は11月なのだ。 バスケも終わり日も暮れるとかなり寒くなる。 わたしは自分の薄着を恨みながら寮へと帰っていた。 寒い。やはり11月でも夜は寒いな。 そんな事を考えながらわたしは道を歩いていた。 ふと前を見るとよく見知ったやつが前にいた。 「うん?、明石?」 「うんにゃ?長谷川?」 やはり明石か。しかし寒そうにしているな。 まあわたしも十分寒いのだが。早く寮に帰ろう。 そんな事を考えていたら・・・ 860 :ゆーな×ちう 2006/11/04(土) 20 57 31 ID ??? 「へっへー、長谷川、あったかい?」 いきなり明石がわたしにしがみついてきた、え? 「ん、まあ・・・ってなにしてんだ、お前」 「いいじゃん、長谷川も寒かったでしょ?その服装じゃ」 「ああ、まあ・・な」 「じゃあこのまま帰ろうか」 そのまま明石にしがみつかれたまま帰るわたし。なんか妙に流されやすいな。 しかも・・・なんか体が変だ。 胸がどきどきっていうか熱っぽいていうかなんか今はむしろ暑いな。 しかもこいつやわらかいし、良い香りがするんだよな。 もしかして、わたし病気か?オイ・・・ 861 :ゆーな×ちう 2006/11/04(土) 20 58 18 ID ??? 長谷川も結構やさしいなあ。 くっついたら怒鳴られるかと思ってた。 なんかこーやっていても頼りがいがあるし・・・かっこいいな。 なんかお父さんとは違うかっこよさ、やさしさ。そんな感じ。 「ねえ、長谷川?」 「あん?」 「恋ってさあ、したことある?」 「な・・・知るか!んなもん・・・」 「そっか、そっか」 「なんだ?その反応?」 「べっつにー、なんでもないよー」 「気になる言い方だな、お前」 「はは、そう?」 なんかいつまでもこうしていたい。この腕を離したくないな。 そう思いながら帰る今日。特別な、1日だけしかない今日。 863 :五月の超包子繁盛記 2006/11/04(土) 22 22 31 ID ??? 五月の超包子繁盛記 夜になって夕食を終えて、もう店を畳む時間が近づいてきましたが大人の人たちにとってはこれからなのです。 高畑先生や新田先生らがやってきて晩酌の時間となるからです。 超「五月。この時間とくればこの料理に限るネ」 そう言って超さんが若鶏の肉を仕入れてきてくれました。 この晩酌時に出す鳥料理とくれば、焼き鳥しかないでしょう。 焼き鳥用の串を取り出して一口大の大きさに切った鶏肉を刺し、そのまま炭火焼で焼きます。 少し火が通ってきたら秘伝のたれを塗りこみ、さらに焼きます。 たれが焼けてさらに火が通った鶏肉に染み込んできたところに、またたれを満遍なく塗りこみます。 この時点でたれのいい香りが漂い、食べる前に匂いを食すということも出来ます。 五月 お待たせしました。 おいしい焼き鳥がさらに酒を進ませるため、大人たちはいつも酔いつぶれてしまってます。 美砂「やっほーい。さっちゃーん」 そんな中で柿崎さんは大人に混じって派手に飲んでます。 美砂「えーと、さっきの串4本追加といつものお酒ね」 五月 よろこんで 夜に超包子に訪れた際は、是非とも五月特性焼き鳥をご試食ください。 868 :真名ちゃんもっこり日記126 2006/11/05(日) 01 14 02 ID ??? 真名ちゃんもっこり日記126 この所、刹那と組む日が多くなってきた。 もちろん例の依頼のせいで一緒に居る時間がアキラといるころより増えてしまった。 アキラは『また浮気か』と言う顔で見ている。 参ったな。こればかりはどう説明しようか悩みどころだな… プレゼント作戦を取ろうにも、私の資金や依頼料を含めた財布の紐はすべてアキラが握っている。 なけなしの小遣いはたいてもたいした物は買えんし…せいぜい下着くらいだ。 そんなの買うくらいなら私がいつも貰って(奪って)いるアキラのパンツを返したほうが早い。 とりあえず私のパンツ渡しておくか。 「そんなのいらない」 だめだ、逆効果だったか。だからと言って刹那のコンビを解消したら依頼料が… どんなに稼いでも『真名はいつも他の娘に浮気してお金を使いすぎるから』との理由で月々たったの××××円しかくれない。 ぬおぁぁぁぁ~完全に八方塞がりだ… あ☆、いい方法思いついた。 「真名、これって」 「お前が欲しがっていたぬいぐるみだ。これのために一緒に仕事を探してくれた刹那とバイトをしたんだ」 「そうなんだ…ごめんね真名。私誤解してた」 作戦成功だ。さぁアキラ、夢の世界に行く前に私のベッドの世界へと… 後日雪広邸 「何ですのーこの見に覚えのない領収書は?」 870 :ねこの時間2(1) 2006/11/05(日) 03 02 21 ID ??? わたしはときどき猫になる。 何かが、わたしを猫にする。 それは突然で、曖昧な時間。 猫になったわたしは、自分に気付けなくなる。 でも、猫になったわたしは、とても自分になる。 わたしは髭を数回なでた。ぴりぴりしたからだ。 髭は風に触れて反応を起こしていた。猫にはわかるのだ、雨の匂いが。 「にゃあ」 わたしは出かける黒髪の少女に告げた。玄関に立つ少女が振り向いて答える。 「大丈夫だよ、ゆーな。ちゃんと傘は持った」 「……にゃ」 わたしは安心して、視線を窓の外に戻した。ため息をつくと、ガラス窓は息の形に 曇った。後ろのほうで、玄関の戸の閉まる音がする。あの少女がそとに出たのだろう。 しばらくして、わたしは少女の後姿を窓ガラスのこちら側から見送った。 窓の向こう側は寒そうだ。 871 :ねこの時間2(2) 2006/11/05(日) 03 04 22 ID ??? それから余り時間が過ぎない内に、雨粒が地面を冷やし始めた。 わたしは窓の向こうに見知った人影をふたつ見つけた。二人は慌てたように頭上を 荷物で覆いながら、小走りでこの寮へと向かってくる。二人は傘を持っていなかった。 やがて、その二人の足音は部屋に近づいてくる。賑やかな喋り声も引き連れて。 「濡れちゃったよ~」 そう言いながら、一人目の少女は玄関を開けた。 「ウチも濡れてもうた。あ、まき絵、タオル貸してな」 二人目の少女が一人目の少女からタオルを受け取る。ふわふわした真っ白で気持ち よさそうなタオルだ。薄い色をした髪の毛から、タオルが水分を吸い取っていく。 先に部屋に上がった方は、髪を小さく結っていたリボンを外し、これまた気持ち よさそうな純白のタオルで髪を拭いていた。本当に気持ちよさそうだ。 ふわふわして、真っ白で、ふかふかの生地を想像する。もう、たまらない。 「ああっ! ダメだよ、ゆーな!」 桃色の髪から水気を吸ったタオルに、わたしは無心でじゃれついた。 それを使っていた少女から抗議が殺到中だが、そんなものに構っている暇はない。 このタオルのふかふかがたまらない。 「に、にゃにゃっ!?」 真っ白タオルに心を奪われていると、ふくれっ面の少女にタオルを取り上げられた。 「ゆーな、ダメだよ。タオルで遊んじゃ」 「にゃあ」 「ほんまに、ゆーなはタオルが好きやなぁ」 タオルをわたしに奪われなかった方は、暢気に髪を梳かしている。 さっきまで使っていたタオルは、どこに隠されたのか。 872 :ねこの時間2(3) 2006/11/05(日) 03 06 22 ID ??? 雨のしずくは、ぱらぱらとリズムを響かせる。雨は好きじゃない。 雨が降ると、散歩はできないし、日向ぼっこもできない。 タオルもふかふかにならないし、髭の機嫌も悪くなる。 「アキラはまだ部活やろか?」 「そろそろ終わったんじゃない?」 「それにしては少し遅いと思うんよ」 「あ、もしかして、私たちみたいに傘がなくて雨宿りしてるのかなー?」 それはない。彼女はちゃんとわたしの忠告を聞いていたから。 ……とか思っていると、窓の外に藍色の傘を見つけた。 「あっ! アキラが帰ってきたよ!」 わたしの横に顔を並べた少女も、藍色の傘を見つけた。 その傘は流れるように道を渡り、窓枠の外へと消えていく。 やがて、足音は部屋に近づいてきた。ある香りを引き連れて。 「ただいま」 黒髪の少女が帰ってきた。彼女は濡れた傘を玄関の脇に立てかけ、 タオルを求めることはなかった。 「アキラは雨が降るって知ってたん?」 「うん」 少女は頷いて答える。 「天気予報は雨だなんて言ってなかったよね?」 もう一方の少女の質問に、彼女はちゃんとした返事で答えた。 「うん。ゆーなが、おしえてくれた」 え? っという風に、質問者二人が揃ってわたしに振り向く。 「にゃ」 わたしは胸を張って答えた。わたしの雨予報に間違いはないのだ。 873 :ねこの時間2(4) 2006/11/05(日) 03 08 22 ID ??? なぜ、雨を未然に知ることができるのか、わたしは窓と睨めっこしながら考えた。 雨が嫌いだから、前もって知ることができるのかもしれない。 その考えがもっともらしく感じる。 嫌な猫が近づく前には、やはり嫌な予感がするものだ。それと同じだと思う。 「ゆーな、ホットミルク」 黒い長髪を肩から下ろした少女が、わたしにミルクをくれた。わたしは顔を寄せる。 湯気が髭に触る。舌でなめる。そんなに熱くなかった。彼女に感謝。 「それと、ほら、見て」 ミルクを持ってきてくれた彼女が、窓の向こうを指差す。 わたしはミルクの器から顔を離した。 そこには都市の跨ぐ巨大な虹の橋が浮かび上がっていた。 「綺麗やなー」 「すっごくキレイ!」 雨を恨んだ二人も顔を窓にくっつける。本当に美しい虹だった。 なぜ、雨を未然に知ることができるのか、 わたしは虹と睨めっこしながら答えを知った。 雨が嫌いだから、前もって知れるのではない。 きっと、この虹を見るために、雨を感じるのだ。 そう考えると、雨は好きじゃないけど、そんなに嫌いでもないかもしれない。にゃ。 【おしまい】 879 :マロン名無しさん 2006/11/05(日) 10 45 08 ID ??? あの日 ゆーな「にゃー。温水プールも中々乙だにゃー」 まき絵「ぶくぶくぶくぶく」 ゆーな「アキラ達も入れればよかったのににゃー」 まき絵「しょうがないよ…あの日なんだもん」 ゆーな「にゃー。年ごろの女の子は大変だにゃー」 亜子「あっはははははは! 血! 血ぃや! 血ぃが足りひん! 真祖の復活やぁ! 派手に死にぃ!」 アキラ「お、王子さまに会わなきゃ泡になっちゃう…あくあすぷらーっしゅ…」 まき絵「…おー。あの日ってこういう事かな!?」 ゆーな「帰れ。にゃー」 889 :マロン名無しさん 2006/11/05(日) 21 04 56 ID ??? 亜子「ゆーな、大好き・・・」 ゆーな「私もよ、亜子・・・」 満月の夜に教室にいる二人。 ゆっくりと二人で愛を確かめ合っている。 亜子「なんかロマンチックやねえ」 ゆーな「うーん確かにそうかも」 あはははと笑い声が響く校舎に一人の男が現れた・・・ 新田「ん?あれは3Aのやつらか」 恋、か。若いな。まあ若いからこそできるのだが。 彼女らも大人になり分かれと出会いをくりかえす。 そうして真の愛に目覚めるのだから・・・ 今だけは夢を見させてやろう。 新田「次、またここであったら朝まで正座だな」 こうして夜はふけていく。彼女もまたひとつ大人になるのだ・・・ 891 :マロン名無しさん 2006/11/05(日) 21 54 06 ID ??? おやつ 千雨「う~ん。宿題はかどらねぇなぁ」 ザジ「ここは気分転換で休憩しよ」 桜子「さんせーい」 千雨「勝手に押しかけておいてよく言うよ…まぁいいか」 ザジ「少しお腹すいたね」 千雨「そうだな、けど夕食までまだ時間あるし…」 桜子「そう言うと思って私おやつを持ってきたよー」 千雨「おっ、気が利くじゃねぇか」 桜子「えへへ~」 パキパキパキパキ ポリポリポリ ザジ「…宿題全然はかどらないね」 千雨「…ったく、何で落花生なんか持って来るんだ。全然やめられねぇじゃねぇかよ」 桜子「ご、ごめん…」 895 :マロン名無しさん 2006/11/06(月) 01 50 12 ID ??? 信じていたい まき絵はいつもいろんなのことを熱心に取り組んでいる。 新体操での動きや友人関係。 そしてその丸い頭の中にはあやかという存在もある。 放課後、レオタード姿で必死に自主練習をするまき絵。 自分の動きや演技に納得がいかず、とにかく自身が納得するまで必死に練習をする。 その努力はとにかく熱心で、その一部を勉強に回せないかと思うほどだ。 「……ふぅ~~~」 疲れ果てその場に大の字になって倒れこんでしまう。 何とかしたいと思っているのになかなか思い通りになる。 「まき絵」 誰も居ない場所で練習をしていたはずなのに自分以外の声が聞こえ、驚いて飛び上がるまき絵。 振り向けばそこにはあやかが居た。 「いつまでやっていますの?」 その言葉にはっとして辺りを見回すと、もう日が落ちていた。 「あ、あれー。いつの間にー」 その天然はあやかも呆れるほどだ。 「あなたときたら…」 その言葉をした直後にあやかはまき絵の唇にキスをする。 「…あやか」 「まき絵が熱心なのは分かりますが…少しは私のことも考えてください」 実は一緒に帰ろうと思ってずっと待っていたのだがなかなか来なくて辺りを探していたところだった。 その必死に練習をしている姿を見て声をかけようかずっと迷っていた。 「まき絵、私は誰よりもあなたのことが好きなのですのよ」 896 :マロン名無しさん 2006/11/06(月) 01 50 42 ID ??? 「…うん、知ってる」 「それはよかったですわ」 レオタードから制服に着替えて出てくるまき絵、汗をかいているのか少し制服のシャツが素肌にくっついている。 「寒くなる前に早く帰りましょうまき絵」 「そうだね、温かい物でも飲みながら…」 あやかはまき絵の体を温めようと思って強く抱きしめる。 「…あやかって、意外と甘えん坊なんだね」 「そこまでまき絵を愛しているのですのよ」 今だけは自分を見て欲しい、他の人には言えない“愛している”という言葉。 だが言葉だけではあまりにも不確かではっきりとしなかった。 いくら愛してると綺麗な言葉を並べてもいつかは忘れられてしまう。 だからそれを忘れないように、その言葉のすべてを信じたいと思う。 終 898 :マロン名無しさん 2006/11/06(月) 06 48 24 ID ??? スレ立てする時間がないので奥の手を 誰か次スレ頼む・・・っ! されど二人は蕾のままで・5 http //arakawa.tn.st/uploaders/zazie_chiu/src/up0051.txt
https://w.atwiki.jp/orirowaz/pages/439.html
中部地方に発生した未曽有の大地震から丸1日が経過しようとしていた。 生物災害に端を発した山折村というひとつの小さな村をめぐる騒動は、いつの間にか世界を揺るがす事態へと発展していた。 この物語の『A(始まり)』はいつからだろう? 山折村に生物災害が発生した瞬間からか。 地球から16光年離れた超新星が爆発した瞬間か。 日本軍が『マルタ実験』により召喚(よ)んではならないものを召喚んだ瞬間か。 二柱のイヌヤマイノリが災厄として村に刻まれた瞬間か。 それとも、この隠された地を盗賊の長が占拠した瞬間からか。 あるいは、それよりももっと前。 人が人として生れ落ちた瞬間からか。 だが、始まったものはいつか必ず終わる。 それが世の理である。 永遠などこの世のどこにも存在しない。 そんなものは夢想の中にあるだけだ。 全ては『Z(終わり)』に向かって収束する。 泥の中を足掻くたび人の手は汚れ。 小さな手は藻掻くたびに何かを取りこぼす。 だが、それでも。 よりよい未来に向けて足掻き続ける事は、決して間違いではない。 人間の生は短く、短い人生の中でよりよき終わりに向かって足掻き続けるしかない。 薄汚れた人の手は、何を成すのか。 足掻き続けた人の手は、何を救うのか。 世界を救うなんて大それたことは出来ずとも。 どうか、せめて。 これまでの頑張りに見合うだけの。 素晴らしき終わりを。 ■ 診療所の裏手に広がる草原は漆黒の闇に包まれていた。 開発の進んだ住宅街とは異なり、草原の周囲に街灯の光は一切存在しない。 安全のため大通り周辺に配置された街灯の光と、遠くの住宅街や診療所から漏れ出す明かりだけがこの周辺を照らす頼りだった。 だが、もはや住宅街に光はない。 地震により都市は機能を停止し、VHにより正常な生活を送る者などいなくなった。 世界は完全なる闇に包まれ、一歩進むことすら躊躇われるほどの暗闇が周囲に広がっていた。 しかし、地上の光が消えれば、天の光は一層輝きを増す。 見上げた夜空には無数の星が散りばめられ、まるで宝石箱をひっくり返したかのようである。 美しい星々と月の明かりだけが大地を照らし、露に濡れる草原を銀色に輝かせていた。 その光は新たなる生命の誕生を祝福しているようだった。 そんな星々に彩られた暗闇の中を一人の少女が歩いていた。 上機嫌に跳ねるような足取りで少女が大地を踏みしめる。 そのたびに、草が微かに揺れて音を立てる。 静寂に包まれた世界で響く音はそれだけであり、周囲からは動物の声一つしなかった。 まるで死んだように沈黙する村。生命の気配がこの村からは消え去っていた。 だが、彼女にとっては違う。 自らの髪をそっと撫でる冷たい風を、少女は愛でるような視線で見つめた。 空気中に漂う目に見えぬ微生物こそ彼女の同胞。 彼女こそが山折村に蔓延するウイルスの女王。 一連の騒動の全ての中心であり、全ての感染者が探し求め、全ての研究者が追い求めた存在である。 満天の星空の下、新たに生を受けた女王は草原を歩んでいた。 『空中浮遊』の術式を厄によって剥奪されたため徒歩で移動せねばならぬのが面倒だ。 細菌だった頃は風に乗ってどこまでも行けたものだが、不便なものである。 この面倒は忌々しき白兎どもによるものだ。 奴らの奸計により飛行能力だけでなく、女王の中にあった『願望機』と厄を操る『魔王の娘』の力が失われてしまった。 彼女の中に残された力は『魔王』と『女王』としての力のみである。 だが、何の問題もない。 『女王』の力は進化を重ね、第二段階へと至り『魂』を得た。 細菌は知能と魂を得て、一つの生命体として確立されたのだ。 この力一つでも、世界を革命するには十分である。 女王の目的は同族たる[HEウイルス]の繁栄。 次代に命を繋ぎ、種を繁栄させて生命圏を拡大する。 命を得た女王を突き動かすのはそんな生命として当然の本能だ。 故にこそ、女王としても世界が滅ぶのは困る。 人間がどうなろうと知ったことではないが、同胞たる細菌のために世界の滅びは回避せねばならない。 始めは研究所のやり方に乗ってやるもの悪くないと考えていた。 全人類に細菌を感染させる研究所のやり方は、[HEウイルス]の繁栄を望む女王の目的と合致していたからだ。 だが、考えが変わった。 研究所と女王の思惑は根本のところで違う。 研究所はあくまで人類を未来に発展させるために計画を実行している。 当然だが、[HEウイルス]はそのために開発した道具としてしか見ていない。 逆もまた然りである。 女王の目的は[HEウイルス]の発展であり、人類の存続ではない。 人類はあくまで細菌を感染させる乗り物として必要なだけであり、彼らの意志など必要としていない。 要するに、主導権がどちらにあるかと言う話だ。 やれやれと女王は首を振る。 「やはり、人間はダメだな」 それはこの山折村を見れば明らかだ。 幾度ループを繰り返しても同じ、同族で恨みあい、呪いあい、殺しあう。 血塗られた村の歴史が証明している。 人間は誰も彼もが愚かしい。 細菌の間ではそのような醜い争いは起きない。 女王の下に意志は一つに統合され、完璧なる秩序が保たれる。 星の主導権は細菌が握るべきだ。 そのための女王の『Z計画』。 今の女王の力であれば研究所の思惑に乗るまでもなく、より完璧な計画を実行できる。 その手始めとして、『願望機』によって厄となった者たちを新たな『巣くうもの』として村の外へと解き放った。 対象となったのは研究所への、終里元への反意の証を示すため、59人の終里元の子供達。 彼らは新たな女王として[HEウイルス]をバラまき新たな山折村を築くだろう。 「仲良くやろうじゃないか兄弟たち」 [HEウイルス]も終里より生み出された終里の子と言えよう。 願望機が女王の手から失われようとも[HEウイルス]同士のつながりは生きている。 全ての女王に対する絶対命令権は末の娘たるこの始まりの女王の手にあり続ける。 新たな世界の支配者として女王を統べる女帝として立つ事になるだろう。 計画は35分前に実行済みだ。 終里の子を起点として、既にウイルスの拡散は始まっている。 新たな女王の周囲にいる人間は[HEウイルス]に感染しているだろう。 後はウイルスの発症を待つばかりだ。 日が変わるころには、世界は変わる。 発症してしまえば人間は細菌の支配に落ちるのだ。 今こうして女王に操られる日野珠のように。 第二段階として覚醒した女王の力ならそれができる。 今や支配下の細菌たちの発症率や覚醒段階すら自由自在だ。 与えられた正常感染率はたったの1%。この山折村以上の阿鼻叫喚が目に見えるようだ。 胸のすく思いだ。 細菌を自分の都合で生み出し、改造し、利用する。 そんな安全圏で支配者を気取る愚者たちは思い知るだろう。 この星の新たな支配者は誰なのか。 今夜を契機に世界が変わる。 全ての生命は細菌を運ぶ乗り物となるだろう。 人は細菌に支配され、人は種を存続できる。共存関係という奴だ。 ガンマ線バーストにより死滅しようとも[HEウイルス]に感染している限りその魂は女王の管理下に置かれる。 どのような形であれ人類は新たな形をもって存続できるだろう、女王の創る理想郷――『Zの世界』で。 そこには永遠がある。 子供じみた理想を夢見る少女のように。 躍るように、謡うように、生まれたばかりの女王は草原を行く。 ■ 山折村より南西に僅かに離れた山奥に、作戦司令部は設置されていた。 周囲に存在を知らせぬよう最低限のライトで照らされた深夜の山中は、慌ただしい空気に満ちていた。 簡易テント内には無数のモニターが並び、多くのオペレーターがそれぞれの端末で状況確認を行っている。 迷彩色の防護服に身を包んだ隊員たちがせわしなく動き回る中、臨時司令である真田副長が現場の指揮を執っていた。 「状況の確認急いでください。有事の場合に備えて防護服と人材の手配を。 他の部隊に協力を仰ぐことになっても構いません、最悪の事態に備えて動いてください」 真田は周囲の隊員に指示を出し、事実確認を急がせた。 指示を受けた隊員たちは迅速に動き出し、無線機で外部に問い合わせを続けた。 伝令役の隊員が監視モニターの状態を報告するために、足早にテント内を駆け抜ける。 対山折村生物災害臨時司令部の設置からもうじき1日が立とうとしていた。 司令部の設置直後は設備設置や状況把握で慌ただしかったが、監視網が安定してからはそれなりに落ち着いた部隊運用がなされていた。 その臨時司令部が突如として蜂の巣をつついたような大騒ぎになったのは、上空を飛ぶ女王の発言に端を発している。 監視ドローンには地上の音声を集音できるほどの性能はないが、宙を舞う日野珠の姿をした女王は上空のドローンに直接発言を記録させたのだ。 彼女の口から語られた衝撃的な告白――未来人類発展研究所所長の子を媒介とした村外への感染拡大。 これはテロ予告どころの話ではない、明確な挑発と宣戦布告だった。 「研究所の所属リストから終里所長の子息をピックアップしました。 八王子本部に19名、静岡支部に11名、青森支部に3名、富山支部に1名、外部の関連施設・研究所に12名。計46名。 残りの13名に関しては研究所の関連施設所属ではないようです。引き続き調査を続けております」 「了解しました。46名の現在位置と残り13名の把握を急いでください」 まずは発言の裏取りと状況確認が先決だった。 この場にはテロリストの発言を鵜呑みにする人間は一人もいないが、それを虚言だと切り捨てるバカも一人もいない。 真実である可能性と、混乱をもたらすための虚言である可能性の両方を考慮して動く必要がある。 事実であった場合、今日が世界崩壊の前夜となるのだから。 「女王の発言の裏取りを続けながら、村内で活動中のforget-me-notの支援を続けます。 引き続きドローンで村内の監視を、3台は女王の監視につけてください」 「了解!」 頭の指示に従い、迷いなく手足たる隊員たちが動く。 無線機からは隊員同士の連絡が飛び交い、モニターには村内の状況が映し出される。 人員は慌ただしく入り乱れているが、指揮系統は乱れることなく現場の統率は取れていた。 それは臨時司令を任された真田の手腕もあるだろうが、それ以前にこれは彼らにとっての日常に過ぎない。 世界の滅びを前にしても、彼らのなすべきことに変わりはない。 なぜなら、大小はあれど世界の滅びに即することなどSSOGの通常業務だからだ。 誰一人絶望せず、さりとて楽観的でもなく、それぞれが正しい意味での適当な仕事をこなすだけだ。 世界の片隅、誰も知らぬ山奥の一角で、彼らは全力を尽くしている。 世界を救うという意思を持ったひとつの生き物のように。 ■ 東京、八王子。未来人類発展研究所本部。 その応接室は研究所と秘密特殊部隊の首脳陣の集う重要拠点となっている。 そんな重要拠点もまた女王から受けた宣戦布告によって混乱に包まれていた。 「長谷川くぅん! 是非トもキミの体を調べさせてほしいナァ!!」 「セクハラです。博士」 と言うより老人が一人暴走していた。 老研究者は指をワキワキと動かしながらうら若き女研究者に迫り、女研究員は資料の束を盾に老研究者を押しのけていた。 下卑た笑いを見せるが、それは性欲ではなく純粋な知識欲から来たものである。 女王の掲げる、世界中にウイルスをばら撒き新たな山折村を築く計画。 その中継地点として新たな女王として選ばれたのは終里の子。 つまり、この応接室にいる女研究員――――長谷川真琴もその一人だ。 「それで? 実際の所どんな感覚だ? 真琴。何か変化はあるのか?」 問いを投げたのは上座に座る恰幅のいい男だった。 不敵な笑みを浮かべるこの男こそが所長たる終里元である。 終里の投げかけた問いに、その血を引く娘が返答する。 「今の所は何かにとりつかれたような感覚はりませんね。自覚できる範囲では、ですが。 ただ、自覚できる変化も一つあります」 「なんだ?」 「異能が使えなくなりました」 「ほぅ」 言って、長谷川が指をさして座標を指定するが、その言葉の通り異能が発動することはなかった。 長谷川に限らず、研究所に属する終里の子らの多くは感染力を持たない[HEウイスル]の感染者である。 既に感染している以上、通常であれば新たな感染源にはなりえないはずなのだが。 「お前の感染状況はリセットされたという事だな。感染力のあるウイルスを新たに感染させるために」 「素晴らしぃネェ!! ソコまで感染状況を操れるのカ。流石はZ感染者、イヤ女王と呼ぶべきカナァ?」 研究所の長は感心したように声を漏らし、副所長は手を打って歓喜に震えていた。 相変わらずの様子の研究者たちと異なり、軍服を着た男――奥津一真はただですら厳めしい表情をさらに厳しくしながら問うた。 「つまり、長谷川さんは感染力を持つ[HEウイルス]の感染者となり、既に感染拡大は始まっている、と?」 「そのようだ。まぁ俺が感染することはないだろうが、百之助辺りはポックリ逝ってもおかしくはないかもしれんなぁ?」 「嬉しぃネェ。細菌に殺されて天寿を全うできるナラ夢のようだヨ」 「そのような事を言っている場合ですか!」 冗談めかした笑いあう老人二人を奥津が怒声で窘める。 眼に見える変化はないが、長谷川はホストとして細菌を周囲にまき散らしているのだろう。 「おっと、隊長殿はご愁傷さまだったな」 「そういう事を言っているのでもありません」 奥津は自身の感染に対して怒りを発しているのではない。 この職に就いた時から命など捨てている。 奥津が憤慨しているのは状況が全てを救えという約束を違えようとしていることだ。 山折村の村内で封じ込められていた[HEウイルス]が漏れ出し村外への被害拡大は最悪のケースだ。 「……ご子息たちの所在は?」 「大抵は研究所か関連施設の勤めだな、支部に散り散りではあるのだが。 だが研究職でないモノも何人かはいるな。あとは数名海外に散らばっている」 「何という事だ…………」 絶望的な状況に奥津が眉間の皺を深くさせる。 感染拡大を防ぐ壁に囲まれた山折村の様な都合のいい地形は存在しない。 一度感染が広がれば、その被害はあっという間に世界中に広まるだろう。 しかも、正常感染率の低いウイルスが、だ。 そんなことになれば宇宙線の到達を待つまでもなく、それこそ世界の終わりである。 だが、目の前に見える世界の終わりを前にしても。 研究者たちは慌てることなく、いつも通りの様子を崩さなかった。 奥津も世界崩壊の前夜には慣れているが、彼らの余裕は意味合いが違ってそうだ。 「何か具体的な方策がお有りなので?」 下手な意見であれば叩き潰す。 そう言わんばかりの圧力を込めて奥津が問う。 終里はその圧を気にした風でもなく、変わらぬ調子で足を組み替えながら答える。 「慌てるまでもない。初期発症まではしばしの時間かかる。少なくとも日が変わるまでは猶予があるだろう」 確かに山折村のケースでも地震の発生から住民の発症まではラグがあった。 そのケースを参考にするに、日付が変わるまでは発症の猶予はあるだろう。 と言っても猶予は僅か。 その上、潜伏期であるだけで既に感染拡大始まっている。 日が変わるまでに、すべてを解決せねばならない。 「そのわずかな猶予で解決できると?」 「問題はなかろう。解決するだけなら簡単な話だ」 あっさりと終里が言う。 怪訝そうな奥津の顔がおかしかったのかくくっと笑って、ここにはいない元凶へと語りかける。 自らの業が世界滅ぼそうとしている一番暗い夜明け前。 世界救済を謡う組織の長は楽しそうに口元に笑みを浮かべた。 「想定が甘いぞ我が娘。貴様は本質的な意味で理解できていない――――人の業という物を」 ■ 秘密特殊作戦群(Secret Special Operations Group) 日本の自衛隊に存在する『存在しない部隊』である。 その部隊は表舞台に登場しない影の存在だ。 国家の安全と利益を守るため表には出せない数々の任務を遂行してきた。 隊員は厳しい訓練を経て選び抜かれたエリート中のエリートで構成されており。 高度な戦術、偵察、情報収集、暗号解読、そして白兵戦に至るまで、あらゆる状況に対応できる万能なスキルを持っている。 任務の一例として、テロリストの殲滅、要人救出、諜報活動、サイバー戦争への対応、そして国際的な極秘作戦への参加などが挙げられる。 その任務は多岐にわたるが共通している点がひとつだけある。 彼らの活動は常に極秘裏に行われ、その活躍が人々に知られることは決してないという事だ。 それでもSSOGがこれまで幾度となく日本を未曾有の危機から救ってきたのは確かな事実である。 彼らの存在は日本の安全保障における最後の砦であり、その影の努力があってこそ今日の平和が守られているのである。 誰も知られることない影の部隊。 名誉や賞賛ではなく、世界を救い続ける事こそが彼らの報酬。 どんなに困難な任務であろうとも、SSOGはその使命を果たし祖国の平和と繁栄を守り続ける。 そして、この小さな田舎町、山折村でもまたSSOGは世界の危機に立ち向かう事になっていた。 女王による宣戦布告。[HEウイルス]の感染拡大。 事態は国家存亡を超えた世界存亡に関わる未曽有の危機にまで発展していた。 これに立ち向かうは山折村に放たれた実行部隊における残された最後の兵士、乃木平天。 口こそ挟まなかったが、彼もこの状況を司令部と繋がったままの通信から聞き及んでいた。 目の前に迫る世界崩壊の危機。 己がその行く先を左右する天秤の上にいる。 1日前の天であれば間違いなく取り乱していただろう。 だが、今の天は不思議と恐怖も重圧も感じなかった。 何故なら、明日世界が滅ぼうとも、天の成すことは変わらないのだから。 ならば取り乱したところで何が変わる訳でもない。 感覚が麻痺していしまったのか、それともただの開き直りなのか。 天の精神はそういう境地に達していた。 別の問題があるのなら、それは隊長や司令部で動いている副長たちが対処するだろう。 それこそが単独ではない部隊の強み。 視野狭窄による思考放棄とは違う、高い視座より俯瞰した思考の先鋭化だ。 己のなすべきことは与えられた任務をこなすだけである。 聞き及んで話によれば女王を殺したところで感染拡大は止まらないという話だが。 それでも天のやることは変わらない。女王の暗殺。成すべきことを成すだけだ。 天は今、個人が運用できる最強の兵器を手にしている。 それは人の生み出した破壊の極致。ビル一棟を一撃で破壊する超兵器ロケットランチャー。 一発限りの限定品だが、直撃すればどのような怪物であろうとも一撃で撃破できるだろう。 災厄に魔王に女王。人外魔境と化したこの地においては十分な備えであるのだが。 ロケットランチャーは一人を殺すにはあまりも過剰火力である。人型の女王に打ち込めば恐らく肉片も残るまい。 女王の死体回収は正式な任務ではないとはいえ、今後の研究所との関係性を考えれば達成するに越したことはない努力目標である。 使いどころは慎重に考えねばならない。 いざとなれば、女王の守護者に墜ちた大田原に放つ覚悟であったが、幸か不幸かその覚悟は必要なくなった。 ドローンの映像により大田原の死亡が確認された。 天も眼前に表示される監視網からその瞬間を目撃している。 日本国最強の守護者があのような形で失われたのは悲劇だが。 天がその役割を受け継ぎ、この国を守護する。 その覚悟が今の天には備わっていた。 ひとまず、女王斬首に関しては継続。 問題はもう一つの任務だ。 「司令部。お忙しいところ恐縮ですが。進言よろしいでしょうか?」 『問題ありません。どのような要件でしょう?』 天が司令部へと呼び掛けた。 その裏では隊員たちの慌ただしい様子が途切れることなく聞こえてくる。 その忙しさを億尾にも出さず真田は天へと対応した。 「女王斬首任務は引き続き継続中です。 ですがもう一方の作戦に関しては、作戦目標の死亡が確認されたためプランの修正が必要であると愚考します。 作戦を具申させていただきたいのですが、よろしいでしょうか?」 『伺います』 天を舞うドローンの監視網により、村の重鎮である山折家、神楽家の嫡子たちの死亡が確認された。 彼らを経由して情報を拡散する天のプランは潰えた。 別の方法を提示する必要がある。 天は司令部に対して次のプランに関しての提案を始めた。 「…………と、言う作戦なのですが、いかがでしょうか?」 『そうですね……隊長の判断を仰ぐ必要はあると思いますが、問題ないかと。 人員を手配しておきます。すぐに動けるようポイントに待機させますので実行のタイミングはお任せします』 「感謝します」 司令部への作戦の申請は通った。 とりあえずこれで情報漏洩の保険は手配できた。 後は女王の斬首に集中するだけである。 ■ ズル……ズル……。 静寂の包む夜の草原に、何かを引きずるような音が響いていた。 重々しく不規則に刻まれるそれは、右半身を引きずりながら闇の中を歩く何者かの足音だった。 右足を引きずりながら、左でバランスを取るようにして前進する。 女の名は虎雄茶子。 彼女が草原を歩くたびに夜の静寂を破られ、草原にははっきりとした跡が残されていった。 右足が引きずられた跡は深く、彼女の体重がかかるたびに草が踏みつぶされる。 その足跡は、まるで彼女の苦悩が草原に刻まれているようだ。 「…………ハァ……ハァ」 右半身が麻痺したように動かない。 右足のみならず、彼女の右手は力なく垂れ下がっていた。 だが、それとは対照的にその左手にはしっかりと剣が握られていた。 それは剣士としての誇りか、それとも何かに縋りたい気持ちの表れなのか。 彼女の背後に広がるのは底の見えない闇だ。 進む先に見えるのも闇。ゆく当てなどない。全てが闇に包まれている。 愛したはずの山折村の中で、彼女は迷子のように彷徨っていた。 山折村は茶子にとっての全てだ。 彼女を救い、彼女を愛し、彼女を癒し、彼女を創り、彼女を壊した。 人間にとって古郷とはそういうモノだが、彼女の場合は度が過ぎていた。 彼女にはここしかない。 だからこそ彼女はどこにも行けない。 彼女の心は誰よりもこの山折村に捕らわれている。 ただ進まねばならぬという強迫観念に似た焦燥だけが体を動かす。 無理に進もうとして、引きずる足がもつれてバランスを崩した。 無様に倒れそうになったが、傍らの木に肩をぶつけて何とか体制を立て直す。 木に体重を預けたまま、茶子は大きく息を吐いた。 「ふぅ……ふぅ……ッ!」 呼吸を荒くしながら茶子は手にしていた刀を鞘から抜いた。 そしてその刃をろくに動かぬ右手を罰するように手首に宛がう。 日本刀でのリストカット。もちろんそれは自殺のためではない。 この不調は雪菜より体内に流し込まれた酸の血液によるものだ。 治療のためには、それを瀉血させる必要がある。 「ふぅ……………ぐっ!」 歯を食いしばり、茶子は自らの手首を切り裂いた。 手首から血がボタボタと地面に零れ、酸の混じった血液が草木を溶かす。 水たまりの様な赤が広がり、血の気が引いて行くとともに、身を溶かすような灼熱が体外へと吐き出されてゆく。 そして、ある程度瀉血が完了したのを見極めて止血を行う。 死に至らない加減は慣れたものだ。最近は落ち着てきたが精神的に不安定だった頃を思い返す。 身を焼く酸が体内を廻る感覚はなくなったが、スタボロになった血管や神経は元には戻るわけではない。 まだ右半身は麻痺したように動かないが少なくとも、これ以上悪化することないはずだ。 この騒動の始まりに銃キチに肩を撃ち抜かれた時を思い返す。 異能に対する無理解と、銃キチに対する侮りと油断があったのが敗因だ。 あの時の傷は異能で強化された包帯で回復できた。 奪われ、与えられ、また奪われる。 この痛みはまるで彼女の人生を象徴しているようだ。 彼女の人生は強者たちに、大人たちに、男たちに、ずっと食い物にされてきた。 奪われ汚され、尊厳を踏みにじられ続けてきた。 だから、もう負けぬよう、もう奪われぬよう力をつけた。 血の滲むような努力を重ね誰にも負けぬ武力を得た。 付き合いたくもない相手にも媚びて根回しをして人脈と言う力も得た。 全ては力だ。様々な力をつけたはずだったのに、この現状はどうだ? 彼女の手には何も残っていない。 何を失ったのか、それさえもわからない。 穢れない無垢で奇麗な聖少女(アリス)。 守護りたかったはずの過去の自分(リン)を失ったことすらもうよく思い出せずにいた。 茶子の生まれは山折村ではなく、岐阜県の都市部にあるごく一般的な中流家庭だった。 少しだけ不器用で厳しい父に、穏やかで優しい母。大事な一人娘として愛情をもってすくすくと育てられた。 そんなどこにでもある幸福な家族の情景が壊れたのは、皮肉にも少女の誕生日の事だった。 6本のロウソクを立てたケーキを囲んでハッピーバースディを歌う幸せな空間は、突然押し入ってきた強盗達によって無茶苦茶に破壊された。 押し入ってきた強盗に勇敢に立ち向かった父は鉈の様な刃物によって一撃で頭部を割られ、我が子をかばった母はナイフで首を一突きされ死亡した。 目の前で母の死体を辱められながら少女は抵抗する事も出来ず、涙を流しながら恐怖と絶望に震えるしかなかった。 そして少女は両親を殺した犯人たちに拉致され『怖い家』へ売り飛ばされた。 それは朝景礼治の取り仕切る少女性愛者に向けた売春組織の前身となる組織であり、少女は『怖い家』で白く純粋で無垢な少女(アリス)として育てられた。 そこで行われた『調教』は想像を絶する過酷な物であった。 繰り返し行われる暴力と凌辱は、人としての尊厳を徹底的に破壊した。 それはそれまでごく当たり前の生活をしていた少女に耐えきれるものではなかった。 故に少女は心が死ぬ前に自ら心を殺した。殺される前に自殺した。生きて生き残るために。 大人たちの感情の機微を見極め、取り入る術を身に着けた。 大人たちに媚びるように望まれる振る舞いをして、従順な子供を演じた。 抵抗しなくなったら暴力が減った。全てを受け入れたら辛くもなくなった。 そうして信頼を勝ち取る事こそが少女の生存戦略。 どうしようもない人間への嫌悪と人心の掌握に長ける今の茶子はこの経験から来ているところが大きいだろう。 そうして2年間の奉仕と凌辱の日々を乗り切った少女は8歳の誕生日に『ご褒美』として、2年ぶりの外出を許された。 2年ぶりの外の世界への脱出。 その機会を得た少女は、調教師の一瞬の隙を突いて逃げ出した。 やせ細った足で一目散に草原を駆け、背中に感じる怒声を振り切り、追っ手たちを巻くべく深い山森へと逃げ込んだ。 胸が張り裂けそうなほど息が切れ、冷たい汗が背中を伝う。 木々の影が不気味に揺れ、彼女の周囲を囲むかのように迫ってくる。 男たちの怒声がいつまでも少女の耳にこびりつき、追手の足音が常に背後に迫ってくる錯覚に囚われる。 足元には鋭い枝や小石が転がり走るたび素足に幾つもの傷が出来る。 それでも止まれば捕まるという恐怖に追われ、何度もつまずきそうになりながらも振り返ることなく走り続けた。 どこへ行けば助かるのか、誰に助けを求めればいいのか分からないまま、野草や昆虫を食べ、泥水で喉を潤す日々が続いた。 しかし、過酷な凌辱生活を受けた少女の体力は低く、たった数日の逃亡生活で衰弱は限界を迎えようとしていた。 朦朧とした意識で気づけば山を越え野に下りていた、もはやこれまでかと意識が途切れた所で、奇跡的に土地の所有者である虎尾夫妻に拾われた。 それが虎尾茶子の始まりである。 虎尾夫妻は少女を新しい家族として温かく迎え入れた。 夫妻のみならず村の人々も傷ついた少女を村の一員として優しく受け入れてくれた。 都会の喧騒から離れた広大な自然はここに居ていいのだと少女を包み込んだ。 少しずつ立ち直った少女は八柳道場で八柳哉太や浅葱碧と共に剣術を学び、多くの友を得る。 心の壊れた少女を癒す黄金の日々。 全てを失った少女の心は、失ったものを取り戻すように山折村に心身ともに満たされて行く。 自らをあの地獄から救ってくれた山折村に少女は計り知れない感謝を抱いていた。 この感謝を返すことこそが、自分の生きる意味だと少女はそう信じてやまなかった。 だが、その想いは他ならぬ彼女の師である藤次郎によって裏切られた。 藤次郎は山折村の禁忌を秘するために、口止めの贄として茶子を木更津組のヤクザ共に捧げたのだ。 ヤクザに拉致された茶子は乱暴を受け慰み物にされ汚された。 嘗ての心的外傷を呼び起こす出来事は、少女が愛と絆で少しずつ修復していた心の器を完全に破壊した。 胸元を隠すように破れたセーラー服を握り絞めながら、赤くなった素足で濡れた草原を歩く。 赤く腫れた瞳に映るのは汚泥の様な黒い光。 雪解雨に打たれながら少女は知る。 彼女が愛した山折村はどうしようもなく穢れていた。 茶子を凌辱するヤクザどもが軽口を滑らせた。 茶子を捕らえていた『怖い家』は山折村の外れにあることを知った。 あの日、逃げ込んだ山を越えてその先にたどり着いたと思っていた山折村(ばしょ)は楽園ではなかった。 よく考えれば当然の事だ、弱り切った子供の足で山越えなどできるはずもない。 辿り着いた楽園は元居た地獄に戻っただけだった。 美しき山折村の姿は幻想でしかなかったのだ。 この村には悪鬼羅刹が栄えており、その腐敗は村の根元に食い込むように蔓延っている。 己を壊し穢し山折村が憎い。 己を救い癒した山折村が愛おしい。 ただ恨むだけならよかった。 ただ愛せたならどれだけよかったか。 山折村への愛憎と執着、相反するその感情は茶子を焦がした。 だから、茶子は決意した。 村に蔓延る悪性、子供を食い物にする悪鬼どもを排除する。 そして何年かかっても理想の山折村を作り上げて見せる。 憎悪を消し去れば、愛だけが残るはずだ。 そんな子供じみた少女の夢。 それが虎尾茶子の人生の目標(すべて)となった。 そのために力が必要だった。 武力だけではなく、情報やコネ。全てを利用する力が。 その力を得るため研究所にも取り入った。 その気持ちは今でも変わらない。 バイオハザードを経ようとも、さらなる深い村の闇を知ろうとも。 継ぎ接ぎだらけの歪な心はもはや別の形には変えることはできない。 「…………哉くん」 縋るように少年の名を呼ぶ。 その先にある救いを求めるように、光を求めて闇の中を進んで行く。 何もかもを失った彼女に残された唯一の心の拠り所。手のひらに残った黄金の日々の一欠けら。 空っぽの心は拠り所を求めている。 男に汚され男に奪われそれでもなお男に縋る弱さ。 後付けの強さを鎧のように、刃のように纏っても。 何もなくなれば一人では立っていられない、弱い女だった。 だが、その進む先に何の確証も、何の心当たりもない。 闇の中、一人ぽつんと残される。 「…………?」 ふと、闇の中に淡い光が浮かび上がっていることに気づいた。 それは自らのポケットから放たれる光だった。 ポケットを探る。 そこから出てきたのは創から受け取った発信機だ。 見れば、何かを指し示しめすように光点が点滅している。 その光点が指し示すのはエージェント、ハヤブサⅢが持っていたという発信機の位置だ。 だが、彼女は既に死亡したと聞いている。 ならば、今この光が指し示しているのは何者なのか。 その答えを知る前に、茶子の足は光に導かれ進んでいた。 まるで誘蛾灯に惹かれる虫のように。 ズルズル。 右足を引きずったまま進む。 自身の状況すら忘れるほどに無心に進む。 「やぁ。虎尾茶子」 闇の奥から声があった。 その道すがら、中学生ほどの小さな少女に出会う。 億劫そうに顔を上げ、暗い目線を送る。 そこにあったのは同じ村で暮らす、よく知っている顔だ。 日野家の次女。日野珠だ。 だが、違う。 一目でわかった、日野珠ではない。 きっと、その中身は別の何かだ。 茶子は嫌悪と憎悪を込めた声でその名を呼ぶ。 「――――――――女王」 ■ 少年、天原創は一人闇の中に立ち尽くす。 吹き抜ける夜の風は温く、汗のにじんだ首筋を通り抜けてゆく。 その足元には凄惨な少女の首なし死体が2つ転がっている。 花のように可憐な少女の顔は溶け落ちた。 露になった頭蓋すら溶解され、無くなった小さな首先からは肉と骨が焼ける不快な臭いを放つ白い煙を上げている。 雪のように凛とした少女は首を落とされ、胴と泣き別れた無残にも生首が地面に転がっている。 首だけになったその顔は狂気に歪んだ表情をしていた。 エージェントである創をしても思わず目をそむけたくなるような絶望が広がる。 誰が悪かったのか。 何が悪かったのか。 明確な答えなどない。 全員が悪く、全員が少しだけボタンを掛け違えた。 ただそれだけの些細なコミュニケーションエラーだった。 本来なら話合いで解決できたはずの、よくある人間同士の不和。 そんな些細なすれ違いが最悪の結果を生んでしまった。 少女たちの亡骸をこのままでは余りにも忍びない。 せめてもの供養にとその場に跪き、首のなくなったリンの体を手を合わせるように整え、雪菜の生首の瞼をそっと閉じさせる。 創にできるのはこれくらいの事しかなかった。 「……………くっ」 悔しさを吐き出すように奥歯をかみしめる。 止められたかもしれない悲劇。 それを前に脳裏に浮かぶのは、少年が全てに絶望した業火に消えゆく赤き原風景。 封じられていた記憶を思い返す。 故郷を焼き尽くした魔王の暴威。 取り戻した記憶の中には少年が『天原創』になる前の家族の記憶も含まれていた。 母が創を生んだのは母が65歳の事だった。 高齢出産などと言う次元ではない、自然出産年齢の世界記録を上回る異常な出産である。 だが、担当した産婆も周囲の人間も、その出産を誰も不自然に思わなかったという。 なにせ還暦を超えた母の外見はどう見ても30代前半、下手をすれば20代に見える若さだったからだ。 母の母、つまりは創の祖母は旧日本軍に協力する研究者の一人だった。 細菌学の権威と呼ばれる高名な研究者の助手をしており、祖母が行っていたのは『細菌による老化の抑制』研究だったらしい。 そこで行われていた『不老不死実験』で研究していた細菌に祖母は実験室で感染していた。 その時点で祖母は母を身ごもっており、未完成ながら不死の菌に感染した母体から生まれたのが創の母だ。 そんな特異な環境で生まれた母は常人の2~3分の1という成長速度でゆっくりと育つ異様な赤子であったらしい。 終戦と『死者蘇生実験』の成功により祖母の関わっていた『マルタ実験』は解体され。 実験の関係者は降臨した神――魔王によってその大半が殺された。 『死者蘇生実験』の関係者で生き残ったのは赤子である母だけだったと聞いている。 そうして生き延びた母は不審に思われぬよう数年ごとに各地を転々とする生活をしていたらしい。 むしろ母は実験の後遺症に苦しむ被害者だったといえよう。 実験に直接携わっていたのは祖母であり、母は当時生まれたばかりの赤子である。 そんな関係者ともいえない母一人を殺すために、魔王アルシェルは『マルタ実験』の証拠隠滅と称して無関係の村ごと焼き払った。 隠れ潜むように暮らしていた母が、たまたまその時生活していただけの村だ。 証拠隠滅とは名ばかりのただの気まぐれの手慰みでしかない悪意の発散。 何故証拠を隠滅する必要があったのか、何故あのタイミングだったのか。全ては魔王の気まぐれでしかなく。 そんな魔王の気まぐれによって創は生かされ、記憶を封じられた。 燃える村。原始の記憶。吹き抜ける蒼い風。 その赤い悪夢から己を救った蒼の奇跡。 尽きるはずだった命は青葉遥によって助けられた。 その奇跡を忘れない。 全てを失った少年は助けられたその喜びを生きる力にして立ち上がった。 誰かを助けるその存在に憧れた。 だから、その後を追うように脇目もふらず直走った。 厳しい訓練を乗り越え、その才能を認められエージェントになった。 全てを救えればいいと思う。 あの赤い日の絶望を打ち払った蒼のようになりたかった。 けれど人間の手は小さく、理想と現実のしがらみはどこまでも付きまとう。 死と絶望。 現実はどうしようもなく目の前に冷たく広がっている。 創はそれをよく知っていた。 だが、それでも。 「…………まだ終わっちゃいない」 地面を掻いて拳を握り締めた。 多くの物を取りこぼしたが、手の中に一握の砂が残っているならば。 立ち止まってなどいられない。 創はこの地で魔王との個人的な因縁を果たした。 だが、エージェントとしての天原創の役割は終わった訳じゃない。 何もかもを忘れて。 封じられていた記憶も思い出さずに、平穏に生きる道もあった。 だけど、その道を選ばなかった。 全ては自分の決断の先にある。 いつだって自分の決断が未来を創ってきた。 創はそう信じている。 立ち上がらねばならない。 この村を自分の故郷と同じにしてはならない。 そんな悲劇をなくすために、己は銃を取ったのではなかったのか。 女王の始末をつける必要がある。 村内に被害が止まる災厄は放置してもいいが、世界に被害を及ぼしかねない細菌被害は放置できない。 これは他でもない、感染者である創が片付けるべき案件だ。 スヴィアから聞いた11人の生き残り。 分断工作をされたあのマイクロバスに乗っていた創を含む7名とスヴィアを除くと、女王は残りの3名の中に居る。 すなわち候補は、山折圭介、神楽春姫、そして日野珠。 そして茶子の詰問から庇うようなスヴィアの態度から、恐らくは……。 創は心を静めるように目を閉じる。 異空間(ダンジョン)に隔離されたあの時。 出口に立っていた物憂げな少女の顔が瞼の裏に思い返される。 「……すまない哀野さん。借りていく」 創は雪菜の荷物からマチェットとマグライトを抜き取ると、女王との決戦に向けての準備を始めた。 そして首のない雪菜の体から異能により強化された包帯を剥がし右手に巻き付ける。 女王の対応策はスヴィアから聞かされた創の異能による解決案がある。 その方法は女王に死をもたらすと研究所に却下されたと言うが、逆に言えば女王の殺害を厭わなければこの右腕は切り札になりうる。 村人にとって殺しづらい相手ならば、手を汚すのは創の仕事だ。 きっとそのために創はここにいるのだから。 ■ 乱雑に路肩に止められた一台のマイクロバス。 その中に一人の少女と一羽の兎がとどまっていた。 少女は天宝寺アニカ。探偵である。 女王によって厄溜まりに落とされた彼女は陰陽師、神楽春陽と白兎によって救い出された。 そして脱出したその先が、どういう訳かまたしてもこのマイクロバスの中だったのである。 脱出を果たしたアニカは転送されたマイクロバスから出ることなく、バスの入口近くの座席に座ったまま難しい顔をして考え込んでいた。 彼女には託された幾つものタスクが存在していた。 どこかに飛んで行った願いを叶える『願望機』。 願望機を発動させる三つ目(さいご)の『御守り』。 『神楽うさぎ』復活のカギとなる失われた彼女の『真名』。 神楽うさぎの肉体が保つ約2時間以内に、この三つを見つけなければならない。 かぐや姫もかくやと言う中々の無理難題である。 だからと言って時間がないと言ってもむやみに歩き回るような真似はしない。 下手に動くよりもまずは情報を整理して行動方針を決めるべきだろう。 彼女にとっての戦場は頭の中。足で稼ぐのは相棒の役割だ。 アニカが下手に動かないのはもう一つ事情があった。 彼女の足元には白く透明な兎がぐったりとした様子で蹲っている、 それはアニカを厄だまりから助けた、犬山うさぎこと隠山望の使い魔である。 その兎の白い体は、向こう側の景色が見える程に透明になっていた。 曰く、『神楽うさぎ』の復活のために自らの存在を捧げたことによる存在の希薄化という話である。 何もせずともあと数時間で消滅する、というのはその様子からして本当なのだろう。 同情的な視線からアニカは厳しく表情を切り替える。 その献身とこれまでの助けに思う所はあるが、今それを口にしても意味はない。 それよりも事件解決を謡う『探偵』として、重要参考人が消える前に聞いておかねばならない事が沢山ある。 「質問に答えるといったわね? Ms.Rabbit」 『…………ああ、もちろんだとも』 へたりと沈んだ長い耳が揺れる。 答えるのも億劫そうな弱弱しい態度で白兎は顔を上げた。 「カナタやMs.ハルはどうなったの?」 アニカは厄溜まりに落とされ戦線離脱してしまった。 恐ろしい戦鬼と女王と戦い続けているであろう哉太たちがどうなったのか。その安否を問う。 『……わからない。私はキミたちの様子を加護を与えた御守りを通して観測していたんだ。 だが、願望機を使う際に御守りを消費ししまった。すまないが、私にはもう彼らの様子を観測する手段はない』 白兎は3つのお守りを通して外側の様子を観測していた。 だが、その内2つは既に願望機に捧げられて消滅している。 だから、彼らの安否を知る術は白兎からも失われていた。 「なら、御守りのlast pieceはどこにあるの?」 『……最後に宵川燐が持っていたことまでは分かっている。だが、今の私にはもうそれを追う力もない。 悪いが、彼女の位置も安否ももうわからないんだ』 白兎の回答は分からないだらけだ。 都合のいい神様のように村人たちを助けてきた白兎は、その力の殆どを失っていた。 だからと言ってここまで散々助けてもらっておいて今更文句を言う筋合いはない。 「ならquestionを変えるわ。『神楽うさぎ』がrevivalを果たしたらどうなるの?」 白兎が自分自身の存在すら捧げて復活を果たそうとする『神楽うさぎ』とは何者なのか。 異世界における魔王と女神の娘にして、イヌヤマイノリと呼ばれたこの村の災厄の一柱。 村の歴史における神楽春陽と隠山祈の養子。各所に楔を指すように位置する重要人物。 それは知っている。 だが、彼女が蘇ったとして何がどうなると言うのか? 『彼女は魔王と女神の混血であり、本物の神様であることは説明したね? 私は元々、彼女の母である女神の使い魔だった。娘が魔王に利用されるのを避けるため女神は娘である彼女を逃がすように私に命じこちらの世界に彼女を連れてきたのだが、まあ今はその話はおいておこう。 女神は『運命の女神』だった。その名の通り運命を変える力を持つ。私が御守りを通して君たちに託した因果歪曲の力はそこから来ている。 娘である彼女は運命を変える母の力と魔法を操る父の力を併せ持っている。災厄に沈むこの村の呪われた運命を変えられるのは彼女しかいない』 呪われたこの村の『運命』を解き放つ存在。 運命を変える正しく神様である。 そのためには、不完全な願いを完成させるため蘇らせるべき少女の忘れ去られた『真名』を探し出さねばならない。 「けど、わざわざGodを介さずとも直接『願望機』に願えばよかったんじゃないの?」 『難しいだろうね。この『願望機』はそういう願いは叶えづらいんだ』 「そういう願い?」 『適材適所というやつさ。ともかく餅は餅屋。この村の『運命』を変えるのはあの子にしかできないだろう。 災厄に沈むこの村を正常に終わらせる。厄となった者たちを開放してせめて穏やかな終りを。祈も春陽もきっとそう望んでいる。 それこそが厄災(パンドラ)の底に眠る、最後の希望だ』 乱暴にハンマー破壊するのではなく、パズルを一つ一つ丁寧に紐解いていくように、山折村のすべてを終わらせる。 それが村を救う唯一の手段。 運命に纏わる案件であれば彼女以上の適任者はいない。 改めて白兎はそう断言する。 「OK。話は分かったわ。ともかく村を終わらせるためにtrue nameが必要なのね」 アニカはその方針に理解を示した。 超常であろうともその理屈を受け入れる。この村においてアニカはそう決めている。 だが、その願いを叶えるためには失われた彼女の本当の名を知る必要がある。 『そうだ。彼女の真名はこちらの世界に転生する際に異空間を彷徨う中で削れてしまった。 それは彼女を先導した私も同じだ、同じ立場である私にはもはや彼女の名は思い出せない』 複数名に該当する余りにも限定的な記憶喪失。 現実的にはありえない現象だが、論理的な思考を捨てる。 概念的な喪失。そう言うルールなのだろう。 「直接は思い出せないにしても、何か覚えている事はないの?」 どれほどの名探偵であろうとノーヒントで謎が解けるはずもない。 紐づくエピソードの一つでも披露して貰えればいいヒントになるのだが。 『三文字の名前だった、という事は覚えている』 白兎は答えるが、文字数だけでは何のヒントにならない。 3文字の名前なんてそれこそ巨万とある。 「それじゃあno hintと変わらないわね……もう少し名前に込められたmessageの類は思い出せないかしら?」 『すまない。思い出せない。けれど、こちら世界の言語で意味のある言葉なのは確かなんだ』 だが、意味のある言葉と言っても候補が多すぎる。 ロクな情報が与えられないことに申し訳なさそうに白兎は長い耳をシュンと垂れ下げた。 だが、アニカは何かが引っかかったのか、僅かに考えるように口元に指をやった。 「意味のある言葉である、どうしてそう確信を持っているの? その情報のsourceは?」 白兎の言葉を掘り下げる。 はっとしたように白兎はピンと耳を立てた。 『…………待ってくれ。思い出す。そう……確か、聞いたんだ』 「to whom?」 こちらの世界の言葉について教えることが出来る人間など一人しかいない。 瞬時にたどり着いたその結論をアニカはあえて口にせず、記憶の喚起を促すために白兎に答えを出さる。 『…………のぞみ、……そうだ、望だ! 私は望からその言葉を聞いた』 「What is that word?」 その言葉とは? 急かすことなく、落ち着いた声で問う。 探し物に纏わる取っ掛かりを思い出した白兎にその核心を思いださせるために。 『異世界に転移した望が、友人であった魔王の娘の本当の名前を知ることがあった。 その名前を聞いた望は嬉しそうにこう言ったんだ。自分たち姉妹に似た意味の名前ね、と』 私たち姉妹。つまり隠山祈と隠山望。 『祈り』と『望み』に似た意味を持つ言葉。 これは大きなヒントだ。 だが、言語など無数にある。まだまだ候補は多い。 完全に絞り込むのならばあと一押し欲しい。 そのアニカの想いを汲んだわけではないだろうが、白兎は思い出したように付け足す。 『そうだ、確かこうも言っていた。私たちの世界の最新の言葉よ、と』 「最新の言葉?」 思わぬ方向のヒントだ。 だが、よくわからないからそこ、これが解ければ大きく答えに繋がるだろう。 情報と言う材料を得た探偵は調理場である思考の中に入り込む。 巷で流行っているような流行語を連想しても意味がない。 何故なら最新の言葉と言っても、隠山望は室町時代の人間だ。 考えるべきは室町時代の言葉だ。 だが、その当時に流行していた言葉などわかるはずもない。 細かな歴史書を読めばわかるかもしれないが、専門家でもなければそこまでの知識はないだろう。 残念ながら生き残りの中にそんな人間はいない。 分らないことを考えても意味がない。思考の方向を変える。 日本の歴史自体はアニカも学んでいる小学6年生の授業の範囲だ。 探偵業務をした上で成績も学年の1桁から落ちたことはない。 自分の知識の及ぶ範囲で、室町時代にあった歴史的な出来事を連想していく。 明徳の乱、応仁の乱、正長の土一揆、日明貿易、嘉吉の乱。 「…………日明貿易」 海外との交流。 そこに、探偵の勘が引っかかりを覚える。 確かに、海外からもたらされた言葉であれば、それは当時の人からすれば新しい言葉だろう。 だが、中国との交流は遣隋使や遣唐使の時代からあった事である、最新とは言えない。 それ以外に室町時代に起きた、海外との大きな出来事と言えば。 「Christianity」 宣教師の来航。宣教師によるキリスト教の伝来。 日本に海外の言葉――英語教育が始まったのは1808年のフェートン号事件が切っ掛けだが。 フランシスコ・ザビエルに代表される海外からの宣教師たちによってアルファベットや外国語自体はそれ以前から日本に伝わっていたはずだ。 ザビエルが日本に訪れたのは室町時代だったはずだ。生前の隠山望と時代は合う。 つまり隠山望の言う所の最新の言葉とは。 「――――外国語。XavierはSpanish人であったためSpanish語である可能性が高い」 『流石だよ。名探偵』 白兎自身も正直どうかと思うくらいに少ないヒントでここまでの結論に辿り着いた。 カタカナ読みで三文字になる『祈り』と『望み』に近い意味のスペイン語の単語。 ここまで絞れれば総当たりで正解を引けなくもないだろう。 だが、成否判定ができるものがいなければ確証が持てない。 「候補は幾つか絞れたけれど、checking answersはできるのかしら?」 『私には分からない。けれど、ランファルトの意思を受け継いでいる魔聖剣ならあるいは……』 「魔聖剣?」 『山折圭介の持っていた剣だよ。今はどうなっているのか分からないが……』 戦鬼と戦っている圭介と哉太がどうなっているのか。 今すぐにでも安否を確かめに行きたい。 それが真名の答え合わせにもなるのなら一石二鳥である。 だが、アニカは安易に行動して哉太の目の前で厄に呑まれる失態を侵した。 足手まといになるのだけはもうごめんだ。 アニカにはやるべきことがある。 「まずは『願望機』をsearchしましょう」 仮に最後の御守りを探し当て、「神楽うさぎ」の真名を言い当てても、それを捧げる『願望機』が手元になければ話にならない。 何をおいても、まずはその所在を調査すべきだ。 これに関しては推理力よりも調査力、足の勝負になる。 ぐったりとした白兎に触れる。 半透明ではあるが、すり抜けたりはしないようだ。 そっと白兎を抱えて、アニカはマイクロバスから出る。 願望機を探してアニカは動き始めた。 ■ 街灯のない夜の草原。 その中心に少年は立っていた。 八柳哉太は風に吹かれながら、夜闇の先を見つめていた。 曖昧になっている自らの記憶を確かめる。 厄に呑まれるアニカに気を取られ、戦鬼の一撃を喰らったところまでは覚えている。 そこからどういう訳か、気づいたらこうして草原のど真ん中に立っていた。 そこからの記憶は曖昧だ。 誰かに助けられた気もする。 刃を突き立てられ血だまりに沈む春姫を見た気もする。 圭介と共に二刀をもって戦鬼と戦ったような気もする。 全てが夢うつつのようにあいまいだが。 ただ一つ、戦鬼を打ち倒した最後に、身を挺して圭介が命を救ってくれた。 それだけははっきりと覚えている。 残されたのは二振りの剣。 光を失った魔聖剣と深紅の聖刀。 曖昧な記憶に残されたこれだけが確かな物証だ。 どういう訳か使い慣れた愛刀のようにしっくりと手に馴染む。 どこか圭介と春姫の2人が力を貸してくれているように感じられた。 哉太は試すように、手にしていた二刀を振るった。 八柳新陰流は二刀にも通じる。 かつては剣鬼、沙門天二が得意としていた型だ。 中ごろで折れた長剣の刀身は一尺程度の小脇差と言った長さである。 圭介がしていたような閃光を放つような真似はできないだろうが、脇差として扱う分には問題なさそうだ。 太刀よりも短い打刀と合わせて、二刀で取りまわすには丁度いい長さである。 「よし…………っ」 戦える。 傷も完全に修復されている。 むしろ、体の調子はいいくらいだ。 確実に死を与える様な一撃を受けて、いまだこうして生きているのは異能の恩恵か。 そうだとしても、短時間でここまで完全に修復されるとは思えないが。 『―――――頑張ってね、お侍さん』 朧げな記憶の中で、誰かに送り出された気がする。 自ら血肉を分け与え、死を待つだけだった自分の命を助けてくれた誰かがいたはずだ。 哉太が今こうして生きているのは自分だけの力ではない。 誰かに命を救われ、圭介に助けられこうしている。 それを実感する。 女王を守護する戦鬼は倒され、残る脅威は女王ただ一人。 特殊部隊の動きは気になるが、彼女をどうにかできればこのバイオハザードは解決するはずだ。 自分を助けてくれた彼らに報いるためにも女王を何とかしなければならない。 だが、それが唯一にして最大の問題だ。 女王が強力な力を持っている事も、頭の中に響く女王を守護せよという声も無視できない問題だが。 それ以上に問題なのが、女王にその身を乗っ取られた珠をどうするかと言う点だ。 正直言って哉太にできる方法などない。 だが、圭介なら絶対にあきらめなかったはずだ。 圭介にとって日野珠という少女は大切な恋人の妹であり、ずっと妹分として可愛がっていた相手だ。 あの面倒見のいいガキ大将が自分の子分を見捨てるはずがない。 何より、圭介じゃなくとも哉太だって納得できない。 殺して終りなんて安直な解決は御免蒙る。 最後にどうしようもなくなるとしても、珠の救出を最後まで諦めたくない。 殺害以外の解決策を見出す。 こういう頭脳労働は本来相棒の仕事である。 だが、アニカはここにはいない。哉太の目の前で厄に呑まれた。 生きている事は信じているが、かなりまずい状況に陥っているのは確かだろう。 まずは救援のために、アニカを探すべきだろうか? 探すというのなら、あの異空間ではぐれてしまった茶子や創たちを探すのも一つの手だ。 殺害以外の方法を模索するにしても、女王との闘争を避けられないのなら、戦力は多いに越したことはない。 あの異空間に閉じ込められ続けているのでなければ、どこかに脱出できているはずだ。 どちらを選ぶべきか。 哉太は迷うように腕を組み考え込む。 だが、根本的な問題として、どちらにしても探す当てがない。 「……ん? どうした?」 視線を落とした哉太の目先に居たのは、足元でチューチュー鳴き声を上げる山ネズミだった。 二足歩行の山ネズミは哉太名に何かを伝えるように小さな手足を起用に振り上げ何かのジェスチャーを示した。 そして、背を向けるように振り返ると夜の草原を走り出していった。 まるで異世界の研究所に閉じ込められた時のように、ついてこいと言わんばかりの動きである。 「…………やっぱ、スチュアート・リトルだよなぁ」 幾度目かになる道場の門下生たちで見に行った映画の名を呟き。 哉太は山ネズミの導きに従い、その背を追っていった。 四つ足ではなく二足歩行で懸命に走るネズミであるが、歩幅の差もあり早歩きで追いつける速度である。 むしろ、夜の草原を駆ける小さな体を見失わぬ方が心配だ。 哉太は注意深く地面を見つめその後を追った。 少年の道筋を山ネズミが導く。 それこそが、聖獣山ネズミの異能力。 十二支の始まりたるネズミは先頭を走り、相手の望む道筋に向かって導く力を持つ。 その行き着く先には、きっと会いたい人が待っている。 ■ 怪異とは、この世ならざる存在、すなわち人々の恐怖や怨念、未練が形を成したものを指す。 古くからの伝承や物語の中で語られてきたそれらの存在は、時に人々を脅かし、時に警告や教訓を与える存在として描かれてきた。 特に、悲劇的な死や未練の強い死者の魂が、怪異として現れることが多いとされる。 閉鎖的な空間。 風水的に厄の溜まりやすい地形。 長年積み重なった多くの悲劇が生んだ呪いや怨念。 山折村という土壌は怪異を生みやすい条件がそろっていた。 そんな山折村で発生した生物災害により、多くの命が無残に失われた。 犠牲になった村人たちにも、それぞれに望む未来、叶えたい願いがあっただろう。 それが何の前触れもなく理不尽に命を奪われ、様々な怒りや苦悩があったはずだ。 その怨念や悲しみは厄となって山折村の土壌に吸い込まれてゆく。 安らぎを得ることなく彷徨い続けた亡者たちの魂は、ついに一つの形を成して現れた。 今夜、新たな怪異がその土壌から生まれた。 それはゾンビとは違う別種の怪異。 「…………救、わね……ば」 光なき世界を彷徨う小さな一つの影。 夜の草原を歩くその姿は、静寂の中で際立っていた。 彼女の足元には、霧が立ちこめ、冷たい風が吹き抜ける。 月明かりが小さな彼女の輪郭を照らし出し、その影は草むらの上を滑るように動いた。 それはスヴィア・リーデンベルクだったもの。 人間であった彼女は死した。もはや彼女は人間ではない。 死者たちの怨念により生まれ落ちた、山折村に生まれた最新の怪異だ。 彼女の意志も使命も、怪異としての在り方によって塗り替えられた。 それでもなお、怪異となっても歩みを止めない。 怪異は進む。 怪異としての役目を果たすために。 怪異は進む。 あるはずの目的に向かって。 歩み続ける彼女の魂が安らぎを得るのだろうか。 それとも、永遠に晴れることなき怨念にとらわれ続けるのだろうか。 果てしなく続くこの夜の中で、彼女の彷徨は確かに終りを目指しているように見えた。 夜の草原を歩き続けるその姿は、暗闇の中に溶けてゆくように消えて行った。 ■ これは『Z(終わり)』に至る物語。 ■ 村外れにある草原は、まるで世界から切り離されたかのような孤独な静寂に包まれていた。 月明かりは薄雲に覆われ、淡い光が地面に落ちているが、その光もどこか陰鬱である。 風が草をささやかに揺らし、まるでここが決戦の舞台であるかのように不気味な気配が漂っていた。 薄雲が風に流れる。 月光が2人の女の姿を照らした。 成熟した女、虎尾茶子は刀を杖のように付きながら肩で息をしていた。 右半身は満足に動かず、満身創痍の状態でありながら目の前の少女に向けて冷たい瞳を向ける。 その眼光の鋭さだけはギラギラとした刃のようだ。 その視線を受けるのは小さな少女だ。 臆するでもなく貫禄すら感じさせる堂々とした態度で夜に立つ。 彼女の姿はこの荒廃した風景に不釣り合いな異質な美しさを称えていた。 彼女こそが全ての始まりにして元凶。 日野珠の身を乗っ取った細菌の女王。 [HE-028-Z] ボロボロな茶子とは対照的に女王の顔には絶対的強者としての余裕があった。 笑みには愉悦が含まれており、目の前の相手をそもそも敵としてすら見ていない。 戦力としても存在としても、それだけの絶対的な差が彼我の間にはあった。 「――――――――女王」 茶子がその名を呼ぶ。 風が再び吹き、草がささやくように揺れた。 呼ばれた女王は楽しそうに微笑みながら大仰な態度で首をかしげる。 「おや。よく私が女王だとわかったね? キミに自己紹介した覚えはないのだけど。 そうか、スヴィア・リーデンベルグから聞いたのかな?」 女王はそう推測する。 だが、それの推測は外れだ。 「声だよ」 「声?」 「テメェが近づいてきたとたん頭ん中響く声がデカくなったんだよ。ガンガンうるせぇくらいにな」 そう言って苛立たしそうに自身の頭部を叩く。 『女王を守護れ』と頭の中で声が鳴り響く。 小さく聞こえていたその声は女王を目の前にした今、頭が割れるほどの絶叫となっていた。 それは茶子に、いや感染者たち全ての脳内に蔓延る[HEウイルス]たちの本能の叫び。 女王と結びついた己が命を守護るためのウイルスの生存本能。 その生存本能は「個」ではなく、種が存続するためであれば自己犠牲すら厭わない「全」としての生存本能である。 この声に屈すれば、種の要たる女王を生かすためなら自身の命すら投げ打つ、忠実なる女王の眷属となるだろう。 「なるほど。今後の自己紹介の必要はなさそうだ」 月光に照らされる女王は日常会話でもするように微笑を浮かべる。 茶子は会話に応じながら隠すように半身にした右半身の状態を確かめる。 辛うじて指先の感覚が戻った、だがまだ動かせるほどではない。 もう少し、時間を稼ぎたい。 「それで、細菌王国の女王様は何がしてぇんだ?」 「私の目的は弾純なものだ。同族の繁栄さ。 経緯がどうあれ私たち(HEウイルス)は生まれてしまった。 生まれてしまった以上、繁栄を望むのは当然の事だろう?」 「ハッ。細菌風情が命を語るな」 茶子の挑発めいた言葉を女王は冷静に受け止める。 羽虫に噛まれたところで痛くもないのか、女王の顔には微笑が張り付いたままだ。 「誤解しないで欲しいのだが、私は人間と敵対したい訳ではない」 「敵対したいわけじゃないなら今すぐ消えろよ。テメェ死ねば終わるんだろ?」 「そう邪険にしてくれるな、君たちとはよい共生関係を築きたいと思っているんだ」 「共生関係ぃ? 細菌にとって都合がいい関係の間違いだろ?」 敵意を籠めた茶子の視線と、敵意を抱いてすらいない女王の目線がぶつかり睨み合う。 「否定はしない。だが、巻き込まれたという意味では私も君らと同じだよ。 研究所の都合で生み出され、身勝手な理由で利用されバラまかれこちらも迷惑してるんだ。 だが、こうして機会を得たのだからそれを生かそうというだけさ。 だからこそ他の正常感染者にも声をかけているのだが、残念ながら理解を得られなかったよ」 「そらそうだろ。喋るバイ菌の言葉なんざ誰が信じるってんだぁ?」 運命線の見えないアニカは例外として、覚醒直後に出会った山折圭介、神楽春姫には協力の声をかけている。 結局、誰からも信用を得られず物別れになったが。 「だが、虎尾茶子。君なら理解してくれると信じているよ。 君と私の思想は近しいものがあると思うのだが、どうかな?」 「…………………ンだと?」 ピクリと茶子の瞼が動く。 挑発ではない。本気で言っているのが分かったからだ。 『女王を守護れ』と脳内からの声が強まる。 「……どー言う意味だそりゃ? あたしが簡単に股開くような安い女に見えるか?」 「先ほども述べた通り、私の目的は種の繁栄だ。 だが、私たちの本質はウイルスだ、媒介となる人間がいなくなるのは困るのだよ。 私たちの進化と繁栄のためにも山折村は維持されなければならない」 女王は山折村の滅亡など望んでいない。 むしろ共に繁栄していくことを望んでいる。 それは山折村の維持を望む茶子と同じ目的であると言えるだろう。 「君と私は山折村の繁栄を願う同士だ。共に手を取り合える、そうだろう?」 『――女王に従え』 「ッ………………………っせぇ」 頭の中に響く声が強くなる。 内側と外側の両方から勧誘の声が響く。 強制的に意思を捻じ曲げるような声に頭が割れそうになる。 「とは言え、この村は特殊部隊や同族(にんげん)同士の殺し合いで多くの被害が出た。 もうこの村を維持することは難しかろう」 女王の視線が荒涼とした山折村を見つめた。 この地には既に抑えきれないほどの死が溢れている。 もうこの村が取り返しがつかない事は誰の目にも、それこそ細菌から見てもわかる事だ。 「だから私は我々のより多くの人間に生存領域を広げるため、新たな『女王』となる『隠山祈』をこの村の外に解き放った。新たな59の山折村を築くための感染源としてね。 喜びたまえ、山折村は小さな世界を飛び出したッ! 例えこの村が滅ぼうとも山折村は続くぞ虎尾茶子!」 何か素晴らしい事を伝えるように、女王は高らかに語った。 茶子は頭痛を抑えるように左手で頭を押さえ、ギリッと歯噛みした。 『――――女王に命を捧げよ』 「……………るっせぇよ」 内外からの声が響く。 無理やりに自分を捻じ曲げられる感覚。 自分自身でもないのに自分自身から響く声は酷く不快だ。 封じ込めていた悲劇の光景が脳裏にフラッシュバックする。 魔性に惑わされ自分が自分でなくなる感覚。 ――――思い出させるな。 愛を振りまき自分を歪められる悲劇。 ――――思い出させるな。 そうだ、あの時、自分自身(リン)を失った。 『女王に従え。女王を守護れ。女王に命を捧げよ――――!』 「うるせぇ!!!!!」 あんな思いを、もう二度と味わってなるものかと、振り払うように茶子が叫ぶ。 砕ける勢いで歯を食いしばる。ブチと何かがちぎれる音がした。 「―――――ペッ」 赤い唾を吐き捨てる。 べちゃりと音を立てて吐き捨てられたのは、噛み潰した舌と頬の肉片だった。 鋭い痛みと鉄の味が口内に広がる。いい気付けだ。 「ハッ――――薄汚ねぇバイ菌風情が……知った風な口を利くんじゃねえよ……ッッ」 失った赤い血液の代わりにどす黒い汚泥が体内を満たす。 砕けてバラバラになった自分自身を、憎悪が繋ぎとめていた。 「村の外の山折村? 新たな山折村ぁ? 世界が山折村になるぅ? バカなのか? 意味が分かんねぇよ、山折村は山折村だろうがッ」 刀の柄でぐりぐりとこめかみを弄りながら吐き捨てるように言う。 外の世界がどうなろうが知った事ではない。 茶子にとっての山折村はここだけだ。 彼女が育ち、彼女が愛し、彼女が憎んだ山折村はここだけだ。 他にはない。 だが女王は違う。 女王にとって山折村は、繁栄と進化のためのただの足がかりでしかない。 次の足掛かりがあるのなら、それこそこの山折村が滅んだって構わない。 その妄執の違いを生まれたばかりの女王は理解ができていなかった。 「…………あたしの山折村をこんなにしやがって、長年かけた村の洗浄計画がおじゃんじゃねぇか、どうしてくれんだ……? あぁ?」 茶子の異能『虎の心(リベンジ・ザ・タイガー)』は精神汚染を跳ね返す。 眷属化の声を発しているのは女王ではなく茶子自身の脳内にいる[HEウイルス]だ。 進化した異能はその声すらも跳ね返すことができる。 報復の先。その対象は必然、自分自身のウイルスとなる。 女王に従えという声は宿主である茶子に従えと言う声となり、[HEウイルス]を眷属化した。 女王から茶子に鞍替えした[HEウイルス]は茶子を生かすために活性化を始める。 心臓がポンプして右半身に血流が流れる。感覚が僅かながらに戻って行く。 だが、茶子自身はそんな理屈は知らない。 敵を殺せと猛るように気力が漲る。 空っぽの器に殺意が満ちる。 彼女は敵がいれば立ち上がれる。 敵がいなければ始まらない。 復讐の虎。 「――――――――ぶち殺す。今すぐ殺菌してやるよ、クソウイルス」 右に感覚が戻ったと言っても最低限動かせる程度だ。 指を動かし拳を握れても握力はほぼない、右手で刀を振るうのは難しそうだ。 右足は動く、歩行に問題はない。だが強く踏み込むのはまだ厳しい。 左手を振りかぶり、日本刀を担ぐように茶子が構えた。 問題はない。皮肉にも地を舐めた苦い経験から片腕での剣術は経験済みだ。 獰猛な獣のように身を沈め、殺意を解き放つ瞬間を今か今かと待ち望んでいる。 誰が細菌被害をまき散らしたのか、だとか。 誰が細菌を作ったのか、だとかは今はどうでもいい。 それはそれとして殺す。それだけだ。 この村に執着する茶子が、山折村を侵した細菌どもの親玉を赦す道理がない。 「まったく、愚かしい」 殺意をみなぎらせる茶子の様子を見て女王はため息をついた。 やはり人間は愚か。 女王は呆れたように頭を振ると、構えもせず涼やかな顔で茶子から視線をそらして周囲を見た。 露骨な隙。切り込むべきか一瞬の逡巡をしていた茶子の耳に遠く波のような音が聞こえた。 「おや。やっと来たようだ」 女王の冷たい声が闇の中で囁くように響いた。 彼女の瞳には冷酷な光が宿り、その顔には不敵な笑みが浮かんでいる。 茶子は女王から視線をそらさず周囲の気配を探る。だが、その異変はすぐに分かった。 遠くからかすかに響く音が、草原の静寂を破るように耳に届いた。 最初は風の音かと思ったが、次第にその音は規則的なリズムを刻み始め、それが足音だとわかる。 茶子の心臓が鼓動を早める中、その音はますます大きく、近づいてくる。 闇の中から無数の影が現れる。 草原を覆う暗闇の中、ゾンビの群れが現れた。 それはまるで押し寄せる暗黒の波だった、人の群れが運河の様に女王と復讐の虎の間を遮った。 数え切れないほどの圧倒的な数のゾンビがゆっくりと、しかし確実に二人の間を遮るように埋め尽くしていく。 「この村の生き残りを全員かき集めた。 隠れていた者や閉じ込められていた者も呼び寄せたからね。少し時間がかかったようだが」 ずらりとゾンビが立ち並ぶ壮観な景色を誇らしげに眺めて女王は言う。 時間稼ぎをしていたのは茶子だけではなかった。 女王もまた兵の到着を待っていたのだ。 山折圭介と神楽春姫を相手に、細菌の生存本能に任せて周囲のゾンビを掻き集めた時とは違う。 ゾンビたちは女王の明確な意思をもって、号令の下に召集された。 ここに集まったのは正真正銘、この村に残った最後の生き残りたちだ。 どこかに閉じ込められていたゾンビは力づくで扉を破壊した反動で腕が折れているようだ。 拘束を無理やり解いてきたのか、指や腕が欠けているゾンビも少なからず見受けられる。 自傷を厭わない、女王の号令にはそれだけの強制力があった。 そこには二重の意味で絶望的な意味合いが含まれていた。 これから茶子に立ちふさがるのは村の全てであるという脅威の大きさ。 そして、1000人余りの山折村の住民はもはや100余りのゾンビの群れを残すだけになっているという事実だ。 彼女の周囲を取り囲む100人余りのゾンビたちの不気味な唸り声が静寂を破る。 それを見つめる茶子の瞳には暗い炎が宿っていた。 立ち塞がるゾンビの中には茶子が知ってる顔も含まれている。 いや、むしろこの村で育った茶子からすれば知らぬ顔の方が少ない。 それらが全て女王を守護する傀儡となり、茶子の前に濁流となって立ちふさがっている。 魔王が圭介の異能を用いてゾンビを操った時を思い出す光景だ。 あの時は苦も無く対応できたが、今は状況が違う。 茶子は多少回復したとはいえ満身創痍。ゾンビの数もあの時の比ではない。 右は最低限邪魔にならないくらいの動きは出来るだろうが、基本は左のみで戦う事になるだろう。 片腕用に八柳新陰流を再構築した虎尾流をこの場で完成させるほかない。 鋭い息を吸い込み、彼女は一瞬の静寂の中で集中力を研ぎ澄ました。 夜の草原には薄い霧が漂い、月明かりが草原の一部を銀色に照らしていた。 銀の草原の中心に立つは鋭く光る刀を構える手負いの虎。 闇夜の中で、彼女の刀が月光を反射して輝きを放つ。 幸か不幸か、虎尾の両親は八柳藤次郎に切り殺されている。 もはや茶子が斬り捨てるに躊躇う相手などいない。 立ち塞がるなら全て斬るのみ。 「―――――――来いよ、ゾンビども。撫で斬りにしてやる」 ■ 「よかった、アニカさん」 「Mr.アマハラ!?」 行動を開始した創とアニカが合流した。 謎の力によって分断されたマイクロバスに誰かが取り残された可能性を考えて動いていた創と、マイクロバスから出てきたアニカがかち合ったためである。 実際の所、アニカも分断工作で異空間に飛ばされており、そこからさらに厄溜まりを通してバスに戻るという複雑怪奇な経緯を辿っており、創の推測は外れていたのだが。 結果として首尾よく合流できたのは幸運だったと言える。 ほんの1時間程度の離別だったが、互いにその間にあまりにもいろいろなことが起き過ぎた。 切迫した事態に置かれてなおアニカと創は冷静さを保っている二人は、互いに起きた出来事を一つずつ共有していくことにした。 まず情報の共有を始めたのはアニカだった。 異空間に分断されたアニカの目の前に現れたのは一人の少女だった。 「私の前に現れたその少女は女王(queen)を名乗ったわ」 「……女王、ですか。アニカさんはその正体を知っているのですね?」 いきなり出てきた核心に、創がシリアスな声で問う。 その問いにアニカは頷きを返した。 直接女王と対峙したアニカは、それが誰であるのかその答えを知っている。 「――――――日野珠よ」 告げられる答えを聞き、創は沈痛な面持ちで目を細めた。 それは驚きではなく、真実を受け入れる覚悟の顔だ。 「Aren't you surprised? 知っていたの?」 「……いえ。ですが予測はしていました」 当たってほしくはなかったが、推測通りの答えを得てしまった。 女王細菌に乗っ取られたのは彼のクラスメイトである日野珠である。 「microbusに乗っていた私たちをdivisionしたのもその女王の仕業よ」 「虎尾さんは「イヌヤマイノリ」の仕業であると推測していましたが? 違うのですか?」 「That's not wrong either.女王は「イヌヤマイノリ」の力であるとも言っていた。 それだけではないわ。女王はあの『魔王』の力も操っていた」 創が因縁を果たした宿敵。魔王ヤマオリ・テスカトリポカ。 この村の災厄の力のみならず、女王はその力までも取り込んでいる。 それが事実だとするならば、女王はとんでもない化け物という事になる。 「私はWhite Rabbitにsaveされて異空間からはescapeできたわ」 「白兎と言うのは、その抱えてる彼(?)の事ですか…………?」 創が半信半疑の様子でアニカに抱かれる謎の白い兎について尋ねる。 この状況で兎を後生大事に抱えている半透明な白兎に関しては気になっていたものの尋ねる機会を逸していた。 『こうして直接言葉を交わすのは初めてだね、天原創。見ての通り弱っていてね』 「…………なるほど。喋るのですね」 僅かに驚きながら、すぐさま創は受け入れる。 今更動物がしゃべる程度で驚きはしない。 それくらいにこの村では不可思議な事が起き過ぎた。 「sheは白兎。私たちの事を色々とhelpしてくれていたウサギの使い魔よ」 ウサギの使い魔と言うのは、見たまま兎の使い魔と言う意味ではなく犬山うさぎが異能で出していた使い魔という事だろう。 聞くところによると御守りを通して色々助けてくれていたのが彼女らしい。 「異空間から抜け出せたのだけど結局、すぐに女王に捕まってしまったの。 その時、頭の中に『女王に従え』『女王に命を捧げよ』とそんなvoiceが繰り返し響いてきたわ」 「洗脳能力、のような物でしょうか……? 今は大丈夫なんですか?」 「ええ、voiceの大きさは女王との距離とproportionalするようね、今は落ち着いているわ」 女王から離れた今であれば声は軽微のようだ。 だが、これから女王との決戦に挑むのであれば気にかけておく必要がある情報だろう。 「女王に捕まった私は空中に連れていかれて、危ない所でカグラハルヒメに助けられた。 けれど、ウサギは…………女王に罠にかけられて殺されてしまったわ」 恐るべき異能と魔法の罠によってうさぎは殺害された。 元気のない白兎がさらに沈んだように表情を曇らせる。 「それからカナタたちに女王のRiskを知らせようと……いえ、あの時の私はfearに駆られて女王から逃げていただけね。 その途中でtrapにかけられて、different spaceに落とされたところをまたMs.Rabbitに助けられたの」 自らの不甲斐なさと醜態を思い出しアニカが自嘲するような表情を見せた。 混乱していたアニカはまんまと厄溜まりの中に落とされた。冷静さを欠いた探偵らしからぬ失態だ。 そこで神楽春陽と出会い、再び白兎に助けられ、そこで村を救う最後の方法である願望機について知らされた。 「神楽うさぎ」を完全蘇生させるための名と、最後の御守り、そして願望機の探索。 そう言った現状と一通りの経緯をアニカは説明し終えた。 それを聞き終えた創は難しい顔をしながら、何やら考え込んでいた。 そして一つの疑問を投げかける。 「そもそも、その『願望器』と言うのは信用できる代物なのですか? あの魔王が作ったものだ、何か罠が仕掛けられているという事もあり得るのでは?」 願望機による死者蘇生。 自然の摂理を捻じ曲げる死者の蘇生が正しい事なのかなどと言う倫理的な是非は置いておくにしても。 魔王と因縁浅からぬ創からすれば当然の疑念と言える。 『少なくとも、効果は本物だ。それは私が保証する。 だが製作者の属性によるものだろう。破壊に関する悪意を持った願いは叶えやすく、修復や創造に関する善意による願いは叶え辛い設定になっている』 あの『願望器』は誰かの願いに引き寄せられ、その願いを叶える魔王の在り方を形にしたものである。 当然その方向性は大本のある死と破壊を好む魔王に準じている。 「ならば、死者蘇生という願いは叶わないのでは?」 失われた死者の魂と肉体を蘇らせる。 破壊とは対極の究極の創造だ。 真逆の属性の願いを叶えられるとは思わないが。 『その通りだ。だが、因果を入れ替えその方向性を変えるのが女神の加護を持った御守りさ』 願望機は内蔵された無尽蔵の魔力を消費して願いを叶える。 そのため願いを叶える事に何か新たな代償を必要とすることはない。 だが、それは願望機本来の機能に沿う願いであった場合の話だ。 それを解決するのが、因果を捻じ曲げる力を持った御守りである。 これを消費する事で悪意に特化した願望機の方向性自体を捻じ曲げ白兎は願いを叶えてきた。 『通常の死者蘇生であればそれで叶うだろう。だが、神様の蘇生には足らなかった。 だから世界の狭間に漂う『神楽うさぎ』本来の力も利用した。それでもなお足りない部分は私という存在を代償とした』 干支時計の使用に魔力の代わりに生命力を捧げたように、それ以上を求めるのであれば、代償を捧げる必要がある。 その代償が白兎と言う存在だ。 『彼女が蘇ればこの村の運命は変えられる。彼女こそが厄災の底に眠る、最後の希望だ』 「………………運命、ですか」 その言葉を聞いた創が何か言いたげな様子で考え込むような顔をした。 それに気づいたアニカがどうしたのかと尋ねる。 「どうしたの? Mr.アマハラ」 「いえ…………何でもありません」 創は答えを濁し話を進める。 言いたいことを飲み込んだ様子だったが、必要な事であれば話すだろうという創への信頼からアニカも追及はしなかった。 「ともかくアニカさんたちはその願望機や御守りを捜索中ということですね?」 「Yes.Mr.アマハラはMs.リンの居場所を知っていて?」 「ええ…………その辺りの経緯を含めてお話します」 お守りを持っていたと言うリンの所在を問われ。 何か言いづらそうに僅かに視線を落として、続いて創がこれまでの経緯を話しはじめた。 「僕は哀野さん、虎尾さん、リンさんと共に異世界に分断され、そこから脱出しました」 分断された異空間からの脱出。 特殊部隊から逃げてきたというスヴィアとの再会。 そして疑心暗鬼と混乱と諍いの中、リンの異能が暴走。 仲間同士で殺しあって、雪菜とリンが死亡した。 スヴィアもよくわからないモノに取り付かれどこかに消えてしまった。 後悔と絶望しか残らない悲惨な末路だった。 時折悔しそうに唇をかみしめながら、その全てを創は包み隠さず話した。 流石のアニカも何と声を掛ければいいのか分からず、周囲に沈黙が落ちた。 「…………Ms.チャコはどうしたの?」 絞り出すように、もう一人の生存者の行方を問う。 「……………わかりません。哉太くんに会いに行くとそれだけ…………当ては、なさそうでしたが」 生き残った茶子は失意の中、闇の中に消えて行った。 創は彼女を追うことが出来なかった。 哉太を探すとは言っていたが、どこに向かったのかまでは分からない。 「painful thingsを聞くようだけど、リンたちはどこで死んだの?」 「診療所の中庭辺りでした。死体は整えましたが、荷物はそのままです」 「...thank you.」 思い出すだけで辛い事を回答させたことに、アニカは申し訳なさそうに礼を述べる。 辛い話だったが、御守りの回収に目途が立ったのは大きい。 「一人で動くのも危険だ、案内しましょう」 この状況でアニカを単独行動させるのも危険だ。 創が来た道を引き返して、アニカをリンの元まで案内しようとする。 だが、アニカはそれを断るように静かに首を振る。 「Non.Mr.アマハラ。あなたはカナタたちを助けに行ってあげて」 「いいのですか?」 護衛という役割以上に、失せ物探しにエージェントである創のスキルは大いに役に立つだろう。 だが、創は戦闘においても切り札足り得る万能のカードだ。 「ええ、これは戦えない私のJobよ」 哉太たちはあの戦鬼、ともすれば女王と戦っているかもしれない。 ならば女王と言う脅威の対抗策をここで使い潰すのはあまりにももったいない。 失せ物探しは『探偵』の仕事だ。 「了解しました。ではそちらのアニカさんにお任せします。 こちらはこちらで対女王の解決策を進めます」 アニカは願望機による「神楽うさぎ」の蘇生と村の解体を。 創は女王の討伐による解決を。 解決に向けて別のラインを走らせるのは正しい。 片方が潰れても保険になる。 「さし当たって、女王の戦力について確認したい」 『それなら私がある程度は説明できるだろう』 女王討伐を目指す創はそう尋ねた。 その問いに、村の様子を監視していた白兎が説明を始める。 女王は157回のループによって進化を遂げた存在である。 進化を遂げた女王は条件こそ不明だが複数の村人の異能を使えるらしい。 そして珠の持つ『運命』を観る異能によって相手の運命線を読むことができる。 そしてこの地で『魔王』の力を取り込み、願望機を身に宿していた。 村の災厄である魔王の娘『イヌヤマイノリ』の力を取り込んだ。 この地における全ての力を取り込んだ正しく究極ともいえる存在だった。 だが、白兎の活躍により願望機と厄を操る『イヌヤマイノリ』の力を奪い取り。 春姫と祈の活躍によって飛行能力も奪い取れた。 戦力的には大幅に減退している。 だが、未だ戦力としては驚異的であることには違いない。 人一人にどうにかできる次元の存在ではないだろう。 ここまでの話を聞いた創は別の疑問点を口にした。 「それほどの力を手にして、結局のところ女王の目的は何なのでしょう?」 『[HEウイルス]の進化と繁栄をもたらす事だと言っていたね。他生物を媒介とするウイルスの為に人間を殺すつもりはないと』 覚醒直後の女王はそう口にしていた事を、白兎が春姫の御守りから盗み聞いていた。 「ならば、何故女王はアニカさんを執拗に狙って殺そうとしたのでしょうか? 罠を張ってまでうさぎさんを殺害した理由は?」 生物災害の解決のため女王の殺害を目論む輩を自己防衛のため殺してしまおうという発想は理解できる。 だが、アニカとうさぎは比較的穏健派だ。少なともバスでの話し合いでそれは確認している。 最後まで感染者である珠の身を案じて平和的解決を模索するはずだ。 それを問答無用で殺そうとするのは女王の目的と行動が合わない。 直接出向いてまで執拗にアニカを狙う理由はなんだ? 罠を張ってまでうさぎを殺す理由がどこにある? 「私を狙ったのは私の運命線が見えないから、と言っていたわ」 「運命線?」 『その名の通り『運命』を見る力だ。本体である日野珠の異能だよ』 運命の女神の眷属たる白兎が答える。 創は難しい顔をしてふむと頷いた。 『望……いやうさぎを狙ったのは恐らく、私たちが原因だろう。彼女の召喚する私たちも運命は見えない存在だ。女王にとっては邪魔な存在だろう』 「つまり、自分のplanを乱しかねない不確定要素をexclusionしたかったという事ね。 そこまでしてplanを実行したいという事かしら……?」 アニカと白兎はその線で納得を示す。 アニカは異能や魔法の存在を受け入れ、それを前提とした推理を行うよう思考を調整した。 「本当にそれだけなのでしょうか?」 だが、創はそうではない。 あえて思考を寄せずに、ありのままの疑問を呈する。 「声で感染者を洗脳ができるのならば、わざわざ危険を冒して戦う必要なんてない。 全員の洗脳が完了するまで逃げ回っていればいい」 感染者の脳に響く眷属化の声。 そんなことができるのであればわざわざ戦う必要なんてない。 「なら、Mr.アマハラはどうthinkするの?」 「自分の計画を乱しかねない人間を始末したというのも正しいと思います。 ですが、それだけじゃなく、単純に『戦いたかった』いや、ただ『やってみたかった』だけなのではないでしょうか?」 「――――――what?」 あまりにも非合理な結論を述べた。 ■ 「業…………ですか?」 もう一つの最前線。研究所の一室にて。 所長である終里のつぶやきに、奥津は思わず尋ねていた。 「そう。人の業。つまりは悪意だ。 あの娘はそれを山折の歴史を学んで識った気になってるだけだ。 グロ画像を見て深淵を覗いたつもりになってはしゃいでる中学生(ガキ)と大差ない」 「それで、それがどう解決策に繋がると?」 終里の軽口にとりあわず、奥津は単刀直入に結論を訪ねる。 生真面目な奥津の反応に苦笑しながらも終里は答えた。 「各コミュニティの女王は判明しているのだろう? 何せ首謀者が自ら告白してくれたからな」 女王の細菌テロの対象となったのは終里の血を引く子供たち。 彼らを新しい女王として各地に山折村と同じ細菌王国を築く。 終里の縁者を傀儡とする、明確な悪意を持った嫌がらせ。 だが、終里はこれをくだらないと断ずる。 「そこが間違いだ。女王は特定できないからこそ厄介なのだ。私への嫌がらせのために自らその所在を明かすなど愚の骨頂だ。 まあ気持ちはわかるがね。絶対的な力をもって悪意を振りかざすのは”気持ちがいい”からなぁ。 だが、悪意をただ振りかざすだけでは、あの魔王(アルシェル)と変わらない。ただの獣の所業だ」 その未熟を楽しむようにくつくつと笑う。 こちらの方がよっぽど魔王染みて見える笑いであった。 表情を引き締め終里は続ける。 「君らも我々も見方によっては悪逆非道の極悪人だろう。多くを殺し多くの死体を積み上げてきた。 だが、我らの翳す悪意によって世界を救う事もある。悪意と言う業を御してこその人間だ。 悪意とは目的のために御するべきものだ。悪意が目的となってはならない。それに振り回されているようではまだまだ」 出来の悪い娘を憂うように首を振る。 だが、悪意に振り回されるだったとしても、その力は間違いなく本物だ。 核兵器のスイッチを悪の独裁者と分別もつかぬ子どものどちらに持たせるのが脅威かと言う話である。 実際の話として、女王の所業によって世界は崩壊の前夜にまで迫っている。 「具体的にどうなさるおつもりで?」 「なに、簡単な話だ。女王が判明しているのならすぐにでも全員を自害させればいい。それなら電話一本で事足りるだろう?」 笑みを崩さぬまま、親指と小指で電話の様なジェスチャーをする。 若々しい外見と何とも古い仕草にギャップを感じてしまう。 女王はバックアップとして新たに59の女王を生み出したが。 それが全員死んでしまえば、拡散は終りだ。彼女の野望もそこで潰える。 終里は大きく足を組み替えると、傍らの女性研究者に声をかける。 「なぁ真琴。世界の為に死んでくれるな?」 「必要な事であれば」 悪意の正しい使い方を見せつけるように親が子に自殺を促し、子もそれを当然のように応じる。 異様な光景であった。 長谷川には科学のためなら、人類を救うのに必要であれば命など捨てる覚悟がある。 奥津を含めて、ここにいる人間は全員、正気ではない。 己が命よりも重い何かに殉じて、その全てを捧げている。 「ですが、全員がそれに応じるとは限らない」 長谷川真琴という個人が科学に身を捧げる覚悟を持っているだけで、終里の子全員がここまで覚悟を持っているわけではないだろう。 電話越しに死ねと言われて即座に死ねる人間がどれだけいるのか。 「ま、それはそうだ。四郎の様な例もある」 我が子の醜態を思い出したのか、終里がため息を交えながら鼻で笑う。 我が子の思い出を振り返るような場違いな反応に奥津は怪訝そうに眉をひそめた。 奥津としても全員を消すという方針自体に反対はない。 身内である終里が反対していない以上、SSOGのやり方に即した方針だ。 だが全員の所在を明らかにしてそこに暗殺部隊を送り込むにしても日が変わるまででは余りにも時間が足りない。 特に、海外ともなれば人員の手配も難しい。 「他の対抗策はあるのでしょうね?」 特殊部隊の長に威圧的な声で問われ、豪放磊落な怪物は肩をすくめると飄々とした老爺へと視線を送る。 「その辺はどうなんだ、百之助」 「オヤオヤ。ソコはワタシに丸投げカイ」 そう呆れた風に染木は話を引き継いだ。 変わらぬ様子で指を組むと、奥津にではなく所長である終里に苦言を呈する。 「マァ。ワタシとしても元くんの案には反対ダネ。貴重なサンプルであるキミの子を使い潰すのは勿体ないからネェ」 菌と魔法の産物、終里元の子を生み出す。 女王となったのは、その貴重な実験サンプルだ。 研究者の立場からしても無駄に殺してしまうのは惜しい。 「では、染木博士には腹案がお在りなので?」 「――――――アァ。勿論アルとモ」 当然のようにそう言って。 テーマパークに来た子供のように、老研究者は楽し気にニヤリと笑った。 ■ 「No way...そんなreasonで…………」 女王はただ力を試してみたかった。 創が推察した、そんな馬鹿げた理由を聞かされアニカは首を振る。 あり得ない。 そう口にしたかった、だが言われてアニカにもいくつか思い当たるところがあった。 女王はまるで自慢でもするように自分の力をアニカに語っていた。壁に話しかけるのが空しいからとも。 確かにあの様子は、子供じみた感性の現れではないのか? 目的のためなら全てを投げ出す狂気のテロリストのように、計画に全てを捧げているようには見えない。 あれだけの力があるのだ、本当にウイルスの繁栄という目的を何よりも優先しているのなら事を荒立てず確実に遂行する方法などいくらでもあったはずだ。 わざわざ事を荒立てて、多くの感染者を敵に回すような言動をする意味がない。 「本当に女王は計画を遂行するつもりがあるのか。いや遂行するつもりはあるのでしょうが。 話を聞く限り、それを最優先として行動しているとは僕にはそうは思えない」 計画の遂行を何よりも優先する冷酷な女王。その像が間違いである。 計画を掲げ遂行しようとしているが、新しい玩具(ちから)を試したいという好奇心や、周囲に振りまく悪意を抑えられない。 そんな子供じみた人物像が創のプロファイルする女王像だ。 「新しく得た力を試してみたかった、それが動機で計画云々はむしろ後付けのように思える」 創たちを分断した異空間もそうだ。 新たに得た『魔王の娘』の力、『不思議な世界へようこそ!(イン・ワンダーランド)』を試してみたかった。 うさぎを殺した理由も、運命視と魔法の組み合わせを試してみたかった。ただそれだけの理由。 運命の見えない相手を執拗に排除しようとするのも計画の遂行と言うより、自分の思い通りに行かない相手を許せない子供の癇癪に近い。 全てが継ぎ接ぎの破綻した人間を見た直後だからだろうか。 聞き及んだ言動のちぐはぐさから、創はそう言う結論を得た。 女王に命を狙われ、その強大な力を目の当たりにしたアニカも白兎も、女王は圧倒的な存在であると無意識に刷り込まれていた。 直接対峙していない創だからこその発想である。 女王は今日生まれ、つい数時間前に得た力を前提として計画を立てている。 計画者も実行する道具も、何もかもが付け焼刃の計画だ。 完璧であるはずがない。 「付け入る隙はある、という事?」 「だからこそ怖い、という事でもあります」 下手をすれば、考えなしに世界崩壊のスイッチを押しかねない怖さがあった。 それだけの力が今の女王にはある。 ともすれば、すでにそのスイッチは押されている可能性すらあるだろう。 女王が覚醒した以上、解決を急がねばならない。 「急いだほうがよさそうだ。それでは僕は哉太さんたちを探しに行きます。アニカさんもどうかお気をつけて」 「Mr.アマハラも。次はincidentのAfter resolutionに会いましょう」 ■ ゾンビたちが踊る不気味な夜の下。 片田舎の草原で多くの人影が一つの生き物のように蠢いていた。 視界を埋め尽くす壁のようなゾンビの軍団に対し、挑むのはたった1人の勇者。 100のゾンビと1人の女による決戦の火蓋が降ろされようとしていた。 蠢くゾンビの一団が一斉に茶子に向かって突進を始めた。 だが、その緩慢な動きを見逃す茶子ではない。 踏み出してきた最初のゾンビが近づくよりも早く、茶子は低く身を沈め一瞬で間合いを詰めた。 茶子の左手に握られた刀が、閃光となって闇を切り裂くと、最前列のゾンビの首が空中に舞い上がって地面に転がる。 残された胴体から血飛沫が花火のように夜空に広がり彼女の綺麗な顔を汚すが、その瞳には一片の揺るぎもない。 次のゾンビが彼女に迫る。今度は右手に錆びた斧を持った大柄なゾンビ。役所の仕事で何度も顔を合わせた岡山林業の社員の一人だ。 彼女は一歩後退し、ゾンビの斧が空を切る瞬間を見計らって、素早く踊るように左に回り込む。 逆手に持ち替えた刀が斜めに振り下ろされゾンビの肩から腰まで深く切り裂かれた。 反転した茶子の背で、露になった内臓が地面に落ちる音が響く。 三体目のゾンビは、役場の同僚だった。それなりに表面上は仲良くやっていた相手だった気がする。 その顔を見ても茶子は一瞬の躊躇いもなく同僚の頭を一気に斬り飛ばした。 返り血が涙のように彼女の頬を伝う。血化粧により狂気の色は一層濃く深まってゆく。 彼女の周囲には次々とゾンビが現れ、その度に彼女の刀は鮮やかに閃く。 四体目は足を失ったゾンビで、地を這いながら彼女に近づこうとする。 彼女は冷徹にその首を一刀両断し、静かに息を吐く。 次の瞬間、背後からの気配に気付き、振り向きざまに『蠅払い』の要領で刀を横薙ぎに振るった。 五体目の小説家ゾンビと、六体目の木更津組の三下の胴体が同時に真っ二つになり、揃ったように地面に倒れ込む。 戦いの中で彼女の動きは次第に美しさを増してゆく。 まるで舞踏のように流麗に踊る茶子に一斉にゾンビが襲いかかる。 刹那、彼女の刀が一瞬の閃光となり複数のゾンビの頭部を吹き飛した。 飛んで行く首の中には隣人だった者がいる、友人だった者がいる、弁護士だった者がいる、村長だった者がいる。 六体目、七体目、八体目――もはや何体目か数えるもの億劫になりながら、茶子は一体一体確実にそして無情に村人だったモノを斬り捨てていく。 彼女の周囲に屍山血河が築かれる。 血肉が飛び散り、命だった物が辺り一面転がる。 夜空には淡い月光が差し込み、彼女の刀だけがその光を反射して輝いていた。 芸術のように美しい剣技と、斬り殺されるゾンビたちの凄惨なコントラストが闇夜に浮かび上がった。 「シィ――――――ッッ」 踏ん張りの利かぬ右足で踏み込むのではなく膝を抜く、縮地が如き体重移動で茶子が一陣の風となる。 吹き抜ける風の過程にあったゾンビたちの胴が二つに分かれ、頭部が柘榴と割かれた。 「虎雄流も様になってきたなぁ!! やっぱ実践が一番だよなぁ!!」 茶子が何かがキマってしまった見たいにハイになって叫ぶ。 体が軽い。片手剣術もノッて来た。 一人また一人と切り捨てるたびに、茶子の中で何かが剥がれて行く感覚がある。 山折村のよき隣人たちを次々と切り捨てる。 山折村の存続を願う茶子が、山折村最後の生き残りたちを殺していく矛盾。 他ならぬ藤次郎の刀で村人を切り捨ててゆく己の姿が、あれほど憎み恨んでいた八柳藤次郎と重なっていることに彼女は気付いているのだろうか? どす黒い濁流が残留する酸の血液を押し流すようだ。 継ぎ接ぎだらけの愛という塗装が剥がれ落ちて、むき出しの本性が露わになってゆく。 殺していくたびに、その狂気は加速して、剣技は一層研ぎ澄まされてゆく。 「――――――ハハッ」 地獄で笑う。 知らず口から笑みがこぼれた。 その笑みに愉悦の色が混じっていた。 村を愛し守護りたいという心。 村を憎み壊したいという心。 そのどちらも本物で、その矛盾こそが虎雄茶子という人間なのだ。 きっと、彼女はずっとこうしたかったのだ。 自分を汚した何もかもを壊してしまいたかった。 「哀れだな」 ゾンビで出来た運河の先。 僅かに離れた位置で愁嘆場を眺めていた女王が憐憫ともつかぬ呟きを漏らす。 己が矛盾に気づかぬまま踊る様は哀れとしか言いようがない。 「終わらせてやろう」 そう言って、慈悲をもって指揮者のように指をふるう。 瞬間、茶子の体が強い衝撃を受け吹き飛ばされた。 「ぐっ…………ぉ!?」 横合いから痛烈な一撃。 寸前で刀の腹で受けたが避けきることが出来なかった。 油断ではない。神経はいつも以上に張り詰めていた。 十把一絡げのゾンビどもとは違う、明らかに動きの質が違うゾンビが1体混じっている。 吹き飛ばされる茶子は勢いに逆らわず、巧みに体を捻って刀を振るった。 その遠心力を利用して重心を立て直すと、吹き飛ばされた先に居たゾンビを蹴り捨てそのまま反動を利用して地面に着地する。 「ごほっ……………っのぉ」 僅かに血の混じった胃液を吐いて、茶子が自らを殴り飛ばしたゾンビを睨む。 そこに居たのは正拳突きの体勢のまま固まる迷彩色の防護服だった。 防護マスクのつなぎ目には僅かな穴が開いている、そこからウイルスが侵入したのだろう。 それは、この村におけるジョーカーである特殊部隊の証。 地下研究所でゾンビとなった黒木真珠が、女王の呼び声に従い決戦の地に馳せ参じた。 異常感染した[HEウイルス]は脳の領域を圧迫し、ゾンビからは理性と思考力が失われる。 だが、血の滲むような鍛錬を積み、思考を排し反射に至るまで体に染み付いた動きはゾンビであろうとも衰えない。 思考力を奪われ全盛期には程遠い動きだが、幼少の頃から格闘術を叩きこまれた真珠の体術はこの場において十分な脅威である。 研究所の最強戦力である茶子をもってしても特殊部隊の相手は簡単ではない。 仮に万全の状態でも苦戦は免れない相手だろう。 この満身創痍の状態でどれほど戦えるか。 「上等だよ…………ッ」 手の甲で口元を拭って折れることなく闘志を燃やす。 こちらも満身創痍だが、それはゾンビである真珠も同じだ。 理性を失い本能で動いているだけだ。何よりその両足は潰れている。 痛みを無視できるゾンビだからこそ活動が出来ているだけで万全ではない。 当然、動きにも影響があるはずだ。 「ぃ―――――――くぞッ!」 茶子は地面を蹴るのではなく、膝を抜く事で地面を滑った。 八柳新陰流『這い狼』改め――虎尾流『虎滑り』。 そのまま再低空から跳ねるように首を狙う、より攻撃的で殺すための技。 だが、降りぬいた一撃は手甲によって防がれた。 精鋭たる特殊部隊のゾンビの守りはまさしく鉄壁、想像以上に固い。 一撃を防がれ地面を這うような体勢のまま固まる茶子の顔面に向かって間髪入れず真珠が鉄拳を振り下ろす。 スイカ割りのように頭蓋を砕く一撃を茶子は転がるようにして避けた。 代わりにその一撃を受けた草原の大地が爆ぜるように弾け飛んだ。 茶子は立ち上がると同時に背後から迫るゾンビを振り向きもせず切り捨てる。 彼女の敵は真珠だけではない。周囲のゾンビも変わらず茶子を狙い続けている。 これらに気を裂きながら目の前の強敵に対処する必要がある。 僅かに開いた間合い。 茶子は片手で上段に構えると、半身の体勢から閃光の如く刃を振り下ろした。 片手上段は半身となる分両手上段より遠くの間合いへ届く。 雷より早く放たれる星こそ八柳新陰流『天雷』を片手上段に改めた虎尾流『流星』である。 だが、左手一本で振り下ろされた流星を真珠は本能のみで受け止めた。 閃光が如き鋭き一撃を空手の上段受けの動きで払いのける。 手甲と刃、金属と金属が激しくぶつかり合う音が響く。 弾けるように火花が散り、夜の闇が一瞬明るく照らされた。 反射になるまで体にしみ込んだ動き。 一撃を弾いた真珠は間髪入れず反撃に転じる。 重心を低く保ったまま、地面を削る勢いで振り上げられるアッパーカット。 手甲に包まれた一撃は顎どころかそのまま頭蓋を砕く威力があるだろう。 右足の効かない茶子はその一撃を、体をそらして間一髪で躱した。 回避から止まらずそのまま身を捻ると、回転して今度は右側から切り込んだ。 真珠は手甲で刃を受けると同時に、もう一方の拳を振り上げ相手の防御を崩さんとする。 茶子はその動きを見切り、返す刃で弾くようにしてその一撃を逸らした。 両者の攻防は激しさを増し、刃と拳が交錯する度に金属の摩擦音が夜に響く。 夜に咲く火の花が儚くも次々と散って行った。 周囲を巻き込みかねない激しい攻防が続く。 だが、理性のないゾンビはそんなことはお構いなしに茶子の背後から突撃してきた。 個よりも全を優先する習性は、巻き込まれることを恐れていない、茶子からすれば厄介なことこの上ない。 「…………こ、のッ」 茶子が背後のゾンビに対応し刃を振るう。 ゾンビを切り捨てた勢いのまま廻るようにして一息で真珠に切りかかった。 だが、ついでで斬り捨てられる程、甘い相手ではない。 真珠は刃の下を潜るようにして身を躱す。 大ぶりを外した茶子は隙を晒すことになる。 その一瞬の隙を突いて真珠の足が揺らめいた。 それは雷鳴の如き鋭さをもって放たれる上段蹴りだ。 潰れた足で蹴りはないという常識的な判断が反応を一瞬遅らせた。 鋭い蹴りが茶子の鼻先を霞めて、鼻骨が折れた鼻から大量の血が噴き出す。 「……………チィ!!」 ただですら限界を超えた状態で、鼻呼吸が封じられた。 たたらを踏み後方に逃れようとする、だが、その隙を逃さず周囲のゾンビが一斉に襲い掛かる。 濁流の様なゾンビの群れが茶子の体を一瞬で乗り込んだ。 「くっ…………な、せッ!」 大量のゾンビに掴みかかられる。 力任せに振り払おうとするが、あまりにも多勢に無勢。 単純な力勝負ではリミッターの外れた男たちには勝てない。 乱暴につかみかかられ、爪で引っ掻かれ、歯で噛み付かれる。 「や、めろ………………ッ!!」 閃光のように脳裏をよぎる純白。 白いアリスの城。ゴツゴツとした気持ちの悪い男の手。 駆け抜けた山中。 素足で踏む雨の日のアスファルト。 男どもに拘束され、いいようにされる無力な自分。 次々と脳裏に浮かぶ心的外傷が茶子から抵抗の力を奪って行く。 あの日のように、茶子の目から光が失われ生気が抜けていった。 「ぁ……っ。離れ、ろ…………ッ!!」 抵抗の言葉を口にするが力が入らない。 もみくちゃにされ取り落した日本刀が地面に刺さる。 ゾンビどもの渦に呑まれる。 力を失い動けなくなった茶子に向かって、特殊部隊のゾンビが迫りくる。 茶子の死神。 引き絞られた正拳が茶子の胸部を撃ち抜こうとした所で、 「――――――茶子姉ぇッ!」 遠くより、声があった。 沈んでいた茶子の目が開かれる。 ずっと聞きたかった、ずっと探していた声。 茶子の視線が声の方へと向いた瞬間、赤い閃光が投げ込まれた。 真珠ゾンビは振りかぶった拳を受けに回して自らの喉元に迫った赤い刃を弾く。 投擲された赤い打刀が回転しながら宙を舞った。 その介入により得た、奇跡のような一瞬。 その声を聴いて茶子の抜けていた力が入った。 八柳新陰流は力の流れを御する合気道にも通じる剣技である。 茶子は自らを拘束していたゾンビどもを合気の要領で投げ飛ばした。 拘束を脱した茶子はすぐさま飛びあがり、弾かれ宙で回転する赤い打刀を掴んだ。 同時に、折れた剣を手にした哉太が止まることなく距離を詰めていた。 「合わせろ――――――ッ!」 「――――――――応ッ!!」 八柳哉太、最大の強み。それは状況を受け入れ対応する力。 乱入した特殊部隊との戦闘をこなし、突然現れた神獣と連携をこなす。 すなわち咄嗟の対応力だ。 哉太は駆ける。地を這う、八柳新陰流『這い狼』 茶子は落下する。天から落ちる、虎尾流『流星』 比翼による上下同時攻撃が特殊部隊のゾンビに向けて放たれる。 必殺をもって放たれた同時攻撃は寸分違わず対象に炸裂した。 だが、修練を積んだ特殊部隊の反応速度はそれすらも上回る。 上下の攻撃を手甲と鉄足によって防ぐ。 そして、それがゾンビの限界であり敗因である。 知能のないゾンビの動きは体に染み込んだ反射でしかない。 攻撃を受ければ必ず防いでしまう。 茶子は振り下ろした赤い打刀からすぐさま手を離した。 着地と同時に、取り落し地面に付き去った日本刀を掴むとそのまま独楽のように回る。 無理な体制で片手片足を封じられたゾンビは次の手に対応できない。 全身を使って刃を振るう、回転力と遠心力を籠めた一撃は防護服ごとゾンビとなった特殊部隊の体を両断した。 全身を投げ出すように振り抜いた茶子の体と泣き別れたゾンビの上半身が同時に地面に落ちる。 そこに駆けつけた哉太が地面に落ちた聖刀を拾い上げると、二刀を構え倒れる茶子を守護るようにゾンビたちの前に立ちふさがった。 「無事か!? 茶子姉」 「哉くん……どうして」 「こいつが案内してくれたんだ」 哉太の胸ポケットから顔を出した山ネズミがハァイと手を振る。 このネズミが哉太をここまで案内してくれた。 この案内がなければ茶子は死んでいただろう。 「スチュアート・リトルかよ」 「あっ。やっぱそう思うよな」 二足歩行のネズミを見て、共に映画を見に行った小さな思い出を思い返す。 地獄の様な戦場で、その軽口に少しだけ心が軽くなる。 哉太は安心させるように茶子に笑顔を向けると、二刀を構えて周囲へと視線をやった。 その表情は一転して厳しいものに変わる。 周囲には死の河。死屍累々の地獄絵図が広がっている。 ここで行われた激戦の過酷さと共に、茶子が重ねた業の深さを物語っている。 茶子は哉太と自衛以外の無駄な殺しはしないと約束した。 確かに襲い来るゾンビを放置しては自分の身が危うい。それは確かだ。 顔見知りたちの凄惨な死体の山を見るとどうしても、思ってしまう。 果たしてこれは必要な殺しなのだろうか? だからと言って、この状況で殺すなとは言えなかった。 茶子の行いを肯定する訳ではないが、そうしなければ死んでいたのは茶子の方だ。 哉太はその結論を保留するようにゾンビたちに向き直る。 川のように広がるゾンビたちの対岸に、一人の少女が佇んでいる。 夜闇ではっきりと姿は見えないが、恐らくあれが女王である珠だろう。 茶子の大立ち回りによってゾンビの大河は、かなりの数を減らしている。 「ここから先は俺に任せて、茶子姉は休んでいてくれ」 「いいや。そうはいかない。あたしも戦う」 心配する哉太の言葉を遮り、全身に鞭打ち立ち上がる。 茶子の体中には痛々しい爪跡や噛み傷が残っていた。 致命傷に至るような傷ではないが、哉太と違って治るわけではない。 「無理は……」 「……するでしょ。今が無理のしどころよ」 それでも休んでいる場合ではない。 女王を前にしたこの村の行く末を左右する大一番。 ここで無理をせず何時するというのか。 「――――――ふぅ」 茶子が深く息を吐く。 酸の血を瀉血させた分も合わせれば、随分と多くの血を流した。 だが、顔色は悪くない。気力も回復したためか、先ほどまでよりもいくらかいい。 精神論だけではなく、虎の心に調伏されたウイルスが全身を巡り、血を巡らせている。 動き始めた右の具合を確かめて、気合を入れる。 「…………ゾンビどもは私が相手する。哉くんは女王の所に行って。ここは私に任せて先に行け、ってやつね」 冗談めかしてそう言うが、哉太は厳しい表情でその言葉を受け止める。 目減りしたとはいえゾンビの数は未だ小隊程度の数が残っている。 状況的にそのセリフは洒落になっていない。 「いや。戦うにしても、一緒に戦った方が」 「はっきり言う。助けてもらっておいてなんだけど、ゾンビであろうとも哉くんは殺せないでしょう? それじゃあ足手まといよ」 「………………それは」 哉太は反論できなかった。 気喪杉や魔王の様な弱者を害する悪を斬る覚悟はあれど、顔見知りを斬る覚悟が哉太にはない。 実力不足かそれとも覚悟不足か今となっては定かではないが、悪逆を尽くした藤次郎相手ですら自分の手で斬るには至らなかった。 少なくとも、茶子は哉太では斬れないと思っている。 剣士としてはそれではダメだと思うと同時に、少年としてはそれでいいとも思っている。 二律背反。茶子の抱えるいつもの物。 哉太にできるのは膝を折るなり拘束するなり無力化するのがせいぜいだろう。 この数を相手にその甘さは命取りになる。 「何より、こちらの戦力が変わった以上、いつまでもあの腐れ女王が高みの見物と決め込んでるとは限らない。一人当った方がいい」 これは村の存続を望む茶子に村人たちを殺させ、最終的に数の暴力でなぶり殺しにする悪趣味な見世物だ。 哉太の介入によりその図式が崩れた以上、女王がどう動くか分からなくなった。 横やりを防ぐ意味でも、逃亡を防ぐ意味でも、戦術的に足止めは必要だ。 女王に余計な意識を裂かなくて済む分、ゾンビを相手にする茶子としてもやりやすい。 「…………分かった」 哉太はその方針を受け入れる。 茶子の判断がこの場における最良の判断なのは疑いようがない。 先ほどの特殊部隊のような突出したゾンビがいない限りは茶子が後れを取るような事はないだろう。 女王の抑えが必要なのも納得ができる。 だが、ここを茶子に任せるという事は茶子の殺しを容認する事だ。 ゾンビとなったとはいえ相手は同じ山折村の村人だ。 自分の手を汚さないために、大切な人が手を汚すことを容認していいのか? そんな疑問が哉太の脳裏をよぎる。 「哉くん。ちゃんと女王を殺せるわよね?」 珠と同じ顔をした相手を殺せるのか? その迷いを見透かすように、確認するように問う。 茶子は哉太に不必要な殺しはしないとあのマイクロバスで約束をした。 逆に言えば、必要な殺しは存在するという事である。 茶子にとって立ち塞がるゾンビどもを切り殺すのは必要な事である。 女王を殺す為に。 女王の殺害はウイルスに侵された感染者にとって、引いては世界に感染拡大を防ぐために必要な殺しだ。 ここで日和るようでは話にならない。 「――――戦える。そのためにここに来たんだ」 殺すのではなく戦う、とそう答える。 誤魔化しではなく、哉太はそのために来た。 「……ま、いいわ。そっちは任せる。こっちもすぐに終わらせるから、最低限それまでは持たせて」 その回答に、完全に納得した訳ではないだろうが、ひとまずは良しとしたのか。 茶子はようやく動くようになってきた右手で刃についた脂を拭って空を切る様に刀を払う。 「それじゃあ――――行って」 「了解、背中は任せた――――!」 言って、女王に向かって哉太が駆ける。 すれ違いざまに『抜き風』で目の前に立ちふさがる最低限の相手の足元を切りつけながら、間に挟まるゾンビの包囲網を強引に突破する。 それに反応した周囲のゾンビたちが瞬時に哉太に群がるが、その背に襲い来るゾンビたちに向かって剣が舞った。 哉太は振り返らず、必ず守ってくれると信じて背後を気にせず駆け抜けてゆく。 「よぅ――――――仕切り直しだ。ゾンビども、さっきまでと同じと思うな」 ゾンビたちを切り捨てた茶子が刃に付いた血を払う。 渦巻くゾンビの中心に躍り出て、ザッザと確かめるように右足で地面を堀りながら刀を構える。 継ぎはぎだらけの心は新たに糧を得て修復される。 100人切りで磨かれた技の冴えはそのままに、愛憎が気力となって体に満ちる 思い出された心的外傷は彼女を突き動かす原動力。 殺すべきを殺さねばならない。その決意を新たにする。 受けた恥辱は必ず返す復讐の虎は殺意を漲らせる。 「次の予定が詰まってんだ――――秒で終わらせる」 ■ 立ち塞がるゾンビの壁を越え、少年は草原を駆け抜ける。 心臓が高鳴るのは運動による影響だけではないだろう。 少年の向かう先には、一人の少女が待っている。 「やぁ。よく来たね」 何気ない様子で、待ち人が来たかのように微笑む。 哉太は足を止めると、僅かに乱れた息と鼓動を抑え、少女の前に立つ。 月明りに照らされる少女の姿は美しく、どこか神々しさすら感じられた。 「珠ちゃんを返してもらう」 「またそれか。まったく誰も彼もがこの体を気にかけるのだな」 呆れたように日野珠の姿をした[HE-028-Z]は首を振る。 彼女こそがウイルスを統べる女王。 全ての始まりにして終焉となる女。 「ゾンビをけしかけているのはアンタなのか?」 「そうなるかな」 「やめさせてくれ」 「それは難しい、虎尾茶子は私を殺そうとしているからね」 自衛のための殺し。 今、ゾンビ相手に茶子たちが行っている事と同じだ。 哉太たちがこの村で行ってきた事だって引いてはそう言う事だろう。 その行いは生物である以上、肯定されなければならない。 「お前はどうだ? 八柳哉太。お前も私を殺しに来たのか? それともの山折圭介ように日野珠を殺せないとでもいうつもりか?」 目の前に立つ哉太の覚悟を嘲笑うようにくつくつと笑う。 哉太は嘲笑に表情を変えることなく、真剣な表情で答える。 「確かに、お前の言う通りだ。俺は珠ちゃんを殺したくない」 大切な妹分を、出来るなら殺したくはない。 全人類が天秤にかかっている以上、比べようもないだろうが、それは嘘のつきようがない本当の気持ちだ。 「だけど、それだけじゃない」 哉太は続ける。 「俺はお前も殺したくないんだ、女王」 「…………ほぅ?」 ウイルスの活動を止める。 それを、病気を治すのと同じようなものだと考えていた。 そこに奪われる命があるだなんて、考えてすらいなかった。 感染者の命さえ救われればそれでいいと思っていた。 だが、こうして女王と直接、言葉を交わして相手が意思を持ったひとつの命だと感じられた。 だからこそ、できるのであれば平和的に終わらせたい。 多くの犠牲を出してもう手遅れだとしても、手遅れだからこそ、そうしたい。 「私を殺さずどうするというのかね?」 「お前が本当にウイルスを従える女王だってんなら、お前の力で事態を収めることもできるんじゃないのか?」 [HEウイルス]を統べる女王の力をもってすれば、事態を解決できるのではないか。 哉太の考えは、自分自身ではどうしようもない事を理解した丸投げである。 他人任せどころか、元凶である相手頼みの解決策だ。 女王が止めようがないほどの力を付けたからこそ解決できる望みが繋がる。 平和的に解決するにはこれしかないと言う理想論。 この解決策を実行するには女王が応じる必要がある 「…………そう来るか。なるほど言葉は『観えぬ』ものだな」 多くの感染者に協力を呼び掛けてきた女王だが。 まさか自分が協力を呼び掛けられる側になるとは考えてもいなかったようだ。 女王は僅かに驚いたような表情を見せ、僅かに眉をひそめながら視線を遠くにやり考え込むような仕草を見せた。 「我が戦鬼は山折圭介を殺している。それに私も犬山うさぎも殺しているぞ? それでも私の手を取りたいと?」 「……何もかもがいいという訳じゃないさ。けれど、お前が本当に自衛のためやった事だというのなら俺はその行為をこれ以上責めるつもりはない。 だから、お前がこちらと争う気がないのだとしたら、手遅れという事はないはずだ」 圭介やうさぎを殺した相手だ、もちろん思う所はある。 それが、悪意を持って行われた所業であれば許すことなどできるはずもない。 だが、それが生きるための行為だったのであれば戦場に罪科は問えない。 哉太は茶子の行いもそうだろう。 鉛のように重くとも、それは飲み込むべきだ。吐き出してはならない。 それが、ここから先の未来を諦める理由にはなってはならないのだから。 だからこそ、知らねばらない。 相手がどういう考えを持った人間、いや細菌か。 ともかく、言葉を交わし相手を知らねば斬ることなど哉太はできない。 「甘いな。だが気に入った」 女王は上機嫌そうに笑みを作る。 珠らしからぬ支配者の笑顔に、哉太は悲しそうに目を細めた。 「確かに、私の力をもってすれば貴様の望む結末を用意することも不可能ではない」 第二段階に至った今の女王は活殺自在だ。 [HEウイルス]に対して絶対的な命令権を持つ女王であればその活動も自在に制御できるだろう。 女王にはそれだけの権限と力を持つ。 「なら…………ッ」 「――だが、それは私の目的に反する。 私の目的は同族たちの繁栄だ。それを自らの手で止めるなどという判断はあり得ないのだよ」 人間への被害を減らすという人間側である哉太の願いは、すなわちウイルスの感染拡大を停止して繁栄を止めるという事だ。 それは受け入れられるはずもない。 「[HEウイルス]の感染拡大は続ける。これは絶対だ。と言うより――――もう実行済みだ」 「なに………………?」 その告白に哉太の目が驚愕に見開かれる。 「村の外に新たに59の女王を生み出している。感染拡大は既に始まっているだろう。 この流れは私が死のうが止まらない。感染の繁栄は既定事項だ」 既に村外への感染拡大始まっている。 それは感染拡大を防ぐためのこれまでの戦いが無に帰したことを意味している。 「だが、君が望むのならば条件を付けてやってもいい」 女王は言葉を続ける。 哉太を誘い、勧誘を返すように。 「全てとはいかないが、君が望む人間を正常感染者にしてやってもいい。 人間と[HEウイルス]の共存した君ら正常感染者は我々の理想の落としどころだろう?」 [HEウイルス]の適合は感染者の体質ではなくウイルス側が選択権を持つ。 [HEウイルス]に対する命令権を持つ女王であれば、誰が正常感染者となるかの取捨選択も可能だ。 世界中の人間の生殺与奪を握る神に等しい権利、女王はその選択権を哉太に提示する。 「だめだ、そんな要求には従えない」 だが、一瞬の逡巡もなく哉太は即答する。 「何故だ?」 「俺は救う人間を選ぶような真似はできない」 人は神にはなれない。 人にできるのはその小さな手の届く範囲に手を指し伸ばす事だけだ。 命の取捨択一などやってはならない事だ。 「何より、それじゃあこの山折村で起きたことが別の場所でも起こるだけだ」 数名だけ救ったところで意味はない。 この村を襲った悲劇が各地で繰り返される。 それでは何の意味もない。 「当然だろう。それが目的なのだから。私は山折村を作りたいのさ。私と言う進化の土台を作り上げたこの山折村をね」 自らを生み出し利用した研究所への意趣返し。 世界の支配者を決める女王なりの人間への宣戦布告だ。 哉太は悔しそうに拳を握り絞める。 女王の主張が理解できなかったわけではない。 女王の主張が理解できてしまったのだ。 女王の価値観はあくまでウイルスファースト。 ウイルスの女王としては正しい、正しいが故に人とは相いれない。 人と細菌。 互いに言葉を交わすことが出来ても価値観の違いを浮き彫りしただけだ。 得られたのは、決して分かり合えないという結論だけだ。 「分かり合えないんだな」 「そのようだな、残念だ」 哉太が刀を構える。 それを見て、女王も静かに木刀を構えた。 互いに二刀。合わせ鏡のように構える。 事ここに至ってはもはや是非もなし。 哉太は『女王』を殺す覚悟を決めた。 女王が細菌の繁栄を望むように、哉太は人の存続を願う。 互いに譲れぬ一線が衝突するのであれば、武力をもってことを成す他ない。 女王が扱うは蘇生した聖剣の魂により作り上げた二振りの聖木刀ランファルト。 木刀二刀を持つ限り使い手を剣の達人とする『林流二刀剣術』、あらゆる刃物を使い熟す『神技一刀』。 飛行の術式を剥奪され、女王は地上戦を余儀なくされたが、女王の力をもって引き出した異能の力がある。 これに対するは『八柳新陰流』。哉太の祖父八柳藤次郎を開祖とする対ヤクザを想定した実践剣術。 皆伝に至らぬ未熟の身なれど、八柳新陰流の理念に基づく実戦にて磨かれた技にて女王に対する。 手には宝聖剣の遺志を継ぐ折れた魔聖剣、そして始祖なる巫女の血により生み出された赤き聖刀神楽の二振り。 暗黒の野に静寂が落ちる。 風が凪ぎ、月が雲に隠れ、闇が世界を覆った。 互いの剣気が乾いた空気を張り詰めさせている。 風が吹き草原が波立ち、雲が流れた。 次に月が世界を照らす頃には、既に勝負は始まっていた。 先に動いたのは女王である。 足音も立てず暗黒を駆ける女王。 『暗視』による夜目を生かして、暗闇の中で先手を取った。 振るわれる聖木刀。 二つの異能を乗せた斬撃は余りも鋭く的確で速い。正しく達人の一撃である。 常人であれば暗闇の中、放たれたことに気づくことすらできずに切り捨てられていただろう。 この一撃を、哉太は事も無げに防いだ。 折れた魔聖剣で聖木刀を防ぐと同時に、哉太の右手が奔り赤い閃光が女王を襲う。 だが、女王もまた慌てることなく逆手のもう一振りの聖木刀で払いのけた。 瞬きの間に互いの攻と防が衝突する。 二刀流の利点は手数だ。 攻と防を同時で行え、戻りの隙を逆手の武器で封じられる。 絶え間なき連撃こそが二刀の真骨頂と言えるだろう。 故に必然、二刀流同士の戦いは常に攻防一体となる。 敵の攻撃を見極め防ぐ。敵の隙を見逃さず攻める。 これを隙間なく同時に繰り返す一息の余裕すらない絶え間なき剣の嵐。 一手誤った方が負ける、神経をすり減らす戦いである。 「――――――シッ!」 その打ち合いが30合を超えた所で、女王が仕掛けた。 力任せに叩きつけるように聖木刀を打ち付ける。 技で掻い潜る柔ではなく、防いだところで防御ごと持っていく剛の一撃。 二刀の欠点は軽さだ。 片手であるため両手持ちよりも一撃が軽く、肉は切れても骨は切れない。 だが、その欠点は女王には適応されない。 異能で『剛躯』により引き上げた膂力は片腕でも肉と骨を絶てる。 叩き付けた一撃は防御ごと相手を押し切るだろう。 「うぉぉぉおおおおおお!」 だが、哉太は怯まず押し返す。 哉太は『剛躯』に真正面から力で対抗する。 折れた魔聖剣は刀としては不完全な状態にあるが、内蔵された魔力は健在である。 魔聖剣は哉太を使い手として認めたのか、哉太の体に魔力は通り身体が強化されていた。 そして、押し返すように大きく刃をはじいた。 打ち合いが途切れ、間合いが僅かに開く。 一瞬の間。 それを好機と見た女王が動く。 自ら攻防同時のリズムを崩したのだ。 防御を捨て二刀を攻撃に回す。 聖木刀を合わせるように赤い刃に叩き付ける。 狙うは武器破壊。 魔聖剣をへし折ったように、聖刀神楽を折りにかかった。 だが、哉太は武器破壊を狙ってきた相手の一撃を、柳の如き手首の返しで軽くいなした。 八柳新陰流『空蝉』。 武器破壊など互いの技量に大きな差がない限りは狙って出来るものではない。 「ほっ。やるな。山折圭介のようにはいかぬか」 「馬鹿にするな。圭ちゃんは俺より強かったよ」 圭介も八柳流の心得はあったが、達人の域まで至ってはいなかった。 様々な強敵を超えてきた今の哉太は既に達人の域を超えている。 女王がスキルで得た技量に哉太は純粋な技量によって肉薄していた。 「どこが?」 「心が」 心の強さ。 技量も力量も互角。 勝負を分けるとするならば、それは精神だろう。 哉太は乱れることなく平常心を保っている。 全てが決する決戦に至って気負いもなく、かと言って臆するでもなく戦士として理想的な精神状態を保っていた。 それはきっと、託された多くの想いがこの刃に乗っているからだろう。 対する女王も余裕を保っている。 女王はまだ底を見せていない。 女王が保っているのは哉太とはまた違う種類の遊んでいるような余裕である。 実際、世界を自在にできる女王からすればこんな勝負は遊びでしかないのだろう。 これは明確な油断であり、女王の隙である。 だが、余りに強力な女王に対して、その隙を突ける者など存在しなかった。 これまでだってそうだ。 聖魔剣を操る山折圭介。 隠山祈を身に宿した神楽春姫。 高魔力体質を持ち運命から逃れた天宝寺アニカ。 十二の神獣を操る召喚者、犬山うさぎ。 誰もが女王には届かずその命を散らした。 この山折村において女王は絶対的な強者として君臨している。 「やっぱりお前は女王だよ。戦う者じゃない――――」 だが、哉太はその事実を否定する。 細菌の世を望む女王の展望と実行力は確かに恐ろしい。 だがそれは人間と相容れぬ、人外の為政者としての恐ろしさだ。 戦闘者としては戦鬼の方がまだ恐ろしかった。 これまで女王と対峙してきた者たちは村長や巫女であり戦士ではない。 彼らに対しては優位に立ち回れたかもしれない。 だが技術や能力は取り込んだ力で補えても、生まれたばかりの女王には積み重ねた経験がない。 全力を出したうえで余裕と切り札を持つのと、全力を出さない事は違う。 女王は根本的なところでその戦闘の機微、勝負所を理解できていない。 哉太が動く。 地を這う狼が如く疾走する、八柳新陰流『這い狼』の動き。 それを女王は『暗視』にて捉え、『林流二刀剣術』による達人の業にて対応する。 一刀にて『這い狼』を防ぎ、一刀にて地を這う相手を串刺す構えだ。 だが、地を這う哉太の動きが変わる。 僅かに疾走の軌道を変えると、身を捩じるように大地を蹴った。 それは剛力魔人、気喪杉を相手に見せた曲芸『捩り風』の動きである。 しかし、女王はその動きもしっかりと捉えていた。 逸れた軌道に合わせ『神技一刀』による聖木刀を振り下ろす。 哉太は身を捻りながらその一撃を受ける。 そこから二刀『朧蟷螂』に繋げる、それこそが曲芸『捩り風』の真骨頂。 女王もそう読み切り、一刀を防御に置いていた。 だが、哉太の動きはここからが違った。 攻撃を捨てるように、女王の斬撃を二刀によって受けとめたのだ。 二刀が敵の刃を咢が如く挟み込むと、そのまま身を捩じる哉太の体が加速する。 それは獲物に噛みついた肉を噛みちぎる肉食獣の如く。 挟み込まれた聖木刀が破壊された。 敵の刃を咢が如く挟み込み破壊する。 曲芸でしかなかった『捩り風』を奥義の域に引き上げ完成させた。 その技の銘は―――――八柳新陰流・二刀奥義『狗咬み』 それは無力化を目的とした奥義である。 殺人剣を目指した祖父である藤次郎とは違う、哉太の至った活人剣の境地。 武器破壊は技量に大きな差がない限りは狙って出来るものではない。 つまり、女王と哉太の技量には大きな差あるという事。 異能『林流二刀剣術』は達人の剣を手にできる。 だが逆に言えば、至れるのは達人の域までだ。 達人の先にある剣鬼や剣聖の域に至れば、それを凌駕する事は難しくない。 隠山祈に復活させられた際に、一度『剣聖』の域を体験したからだろう。 ゾンビとなり記憶はなくとも、体が覚えている。 その体感をなぞる様に哉太の技量は達人の域を超え、剣聖の域まで片足を踏み込んでいた。 聖木刀を破壊した哉太は女王の脇をすり抜け背後に回り込んだ。 すぐさま体勢を立て直し、女王へと振り返る。 更に一歩。間合いに踏み込む。 女王も同じく、破壊された聖木刀を投げ捨て彼方へと振り返った。 向かい来る哉太に向かって、一刀となった聖木刀を振り下ろす。 だが、『林流二刀剣術』の効果は二刀でなければ発揮されず、狙いも足運びも素人のそれ。 『神技一刀』振るう刃の鋭さはあれど女王の剣の技量は地に落ちた。 剣聖相手には届かず、振り下ろされた一刀は折れた魔聖剣に絡め取られる。 八柳新陰流『朧蟷螂』。逆手の赤い刃が女王の首を完全に捕らえた。 だが、その刃が首筋で止まる。 女王が何かした訳ではない、哉太に生じた一瞬の躊躇い。 それこそが女王の湛える余裕の源泉。その運命が女王には観えていた。 確かに哉太は『女王』を殺す覚悟を決めた。 たが、日野珠を殺す覚悟までは完全には出来ていなかった。 故にこそ、女王にとってこれは殺し合いではなくお遊びに過ぎなかった。 「チャンバラごっこお前の勝ちだ。満足して死ね」 女王の宣告。 女王の背後に黒曜石の槍が展開される。 一息に数え切れぬほどその数は夜空に瞬く綺羅星の如く。 飛行を封じられたとはいえ、女王には『魔王』の力が残っている。 そもそも、これまでの戦いは魔法を縛って剣士の領分に付き合っていただけなのだ。 だからこそ、不利になろうと余裕があった。 女王が手を振り下ろす。 号令一下。鋭く尖った黒曜石が豪雨の如く降り注いだ。 哉太も咄嗟に身を引くが、その数と速度に圧倒され避けることができなかった。 その鋭い先端が皮膚を突き破り臓腑を穿つ。 槍は次々と哉太の体を貫き、哉太の全身が串刺しにされて行いった。 「流石だな。ここまで生き残っているだけの事はある。即死しなければ回復できると踏んだか、自分の異能をよく理解している」 哉太は全身をなげうってでも脳と心臓を守り即死だけは避けた。 痛みと血の匂いが草原を満たし、少年は絶望の中で息を整えようとした。 だが、その全身は杭に打ち付けられたように突き刺されておりピクリとも動かない。 地面に磔となり動くことすらできない哉太を標本でも見つめるような女王の冷酷な笑みが見下ろす。 「安心しろ。殺しはせん。少なくともお前はな」 言って磔になった哉太に近づく。 すると、哉太の胸ポケットが僅かに動いた。 そこから這い出てきたのは血濡れになった山ネズミだった。 「やはりな。余計な真似をしていたのはお前だったか」 忌々しそうにそう言って、女王はパチンと指を鳴らす。 現れた黒曜石の刃が山ネズミを串刺しにした。 「さて。これでもう余計な邪魔はなくなったわけだ。 ―――――さあ、共存しようではないか八柳哉太」 地面に張り付けになった哉太の頭に女王の白く細い指先がそっと伸びる。 何をするつもりなのか、避けようのない状況でゆっくりと迫るその指を哉太は朦朧とした目で見つめていた。 だが、その指先が額に触れたところで、ピタリとその動きを止める。 女王が何かに気づいたように顔を上げる。 女王の全身にビリビリとしびれるような感覚があった。 空気が張り詰め、周囲の気温が僅かに下がったようにすら感じられる。 知っている。 これは、殺意だ。 「―――――――――殺す」 ザッと草を踏む足音。 そこに居たのは全身を真っ赤な血で染めた一匹の獣。 バケツで被ったような血濡れ姿で肉食獣の様な嘶きと共に殺意をまき散らす。 立ちふさがる100のゾンビを、愛する者、憎む者を一人の例外もなく殺しつくした。 差別なく、区別なく、平等に、皆殺しにした愛憎の虎。 「ハハッ。恐ろしいなぁ、虎尾茶子」 最強の守護者たる戦鬼は倒れ。100のゾンビは全滅した。 この村にもはや女王を守護するゾンビは1人たりとも残ってはいない。 「……哉くんから離れろ」 「いいとも」 女王はあっさりとした態度で伸ばしていた指を引き、哉太から身を放す。 そして数歩離れたところでパチンと指を鳴らした。 哉太を串刺しにしていた黒曜石の槍が塵のように風に流され消える。 余りにも簡単すぎる開放。 その態度を不審に思うが、ひとまず茶子が哉太に駆け寄る。 「大丈夫!? 哉くん!?」 「っく…………ぁ」 全身が穴だらけになった哉太が痛みに喘ぐ。 穴だらけになった全身の傷は常人であればショック死していてもおかしくはない。 だが、哉太の異能は彼を生かす。傷口は目に見えるほどの速度で回復していく。 即死でない限り生存する哉太の異能。 茶子はひとまず胸をなでおろし、改めて女王へと向き直る。 「やってくれたなバイ菌女。殺すぞ」 哉太と違い茶子の中に甘さなど欠片も存在しない。 一片の容赦なく女王の首を切り落とすだろう。 容赦もなく情緒もなく、放たれるは地を滑る一刀『虎滑り』。 対する女王は聖木刀を構えるでも、魔法を展開するでもなく不動のまま。 達人ではない女王では反応すらできていなかった。 構える隙すら与えず首を落とす。 血で磨き抜かれた虎尾流は、それを可能とする領域まで研ぎ澄まされていた。 女王を斬首する、その確信を得た一撃はしかし。 刃の衝突する甲高い音によって防がれた。 降りぬかれた一刀を横から割り込んだ二刀が防ぐ。 弾かれた衝撃で茶子の体が後方に後退った。 「…………そんな…………」 何が起きたのか。 それを理解した茶子が恐怖で顔を引きつらせながら、いやいやをするように首を振り茶子が後退った。 絶望が立っている。 立ちふさがるのは彼女にとっての最悪の敵。 二刀を構える八柳哉太の姿があった。 立ち上がった哉太は既に全身の穴は完全に修復されていた。 異能にしても傷の治りがあまりにも速すぎる。 「さあ私を守護せよ。私の騎士」 女王は張り付けになった哉太の頭部に触れて脳内の[HEウイルス]に直接働きかけた。 女王(わたし)を守護せよと、ウイルス自身の生存本能に任せるのではなく、明確な意思をもって眷属化を加速させた。 魔王由来の力に抵抗できる『高魔力体質』を持つアニカ。 精神攻撃を跳ね返す『虎の心(リベンジ・ザ・タイガー)』を持つ茶子。 彼女たちと違って哉太の異能はそういった耐性を持たない。 女王が近接戦に付き合ったのはそういった理由もある。 眷属化を加速させるために距離を詰めたのだ。 その影響を押さえていたのが山ネズミだったのだが、それも女王に見抜かれ排除された。 女王の後押しによりその回復力は極限にまで高まっていた。 ある意味でゾンビよりもゾンビらしい不死の騎士。 思考力を奪われるゾンビ化とは違う。 変わったのは、女王を守護るという絶対意志が全てに優先される思考の方向性。 脳を破壊され理性を失ってた大田原とは違う。 元の人格を保ったまま行動原理だけが異なる八柳哉太として、女王を守護する騎士のように八柳哉太が立ち塞がる。 「女王は殺させないよ、茶子姉」 ■ 「何だ、何がどうなってる…………っ!?」 ようやく決戦の地に辿りついた天原創が困惑の声を上げた。 駆け付けた創がそこで見た物は、積み重ねたゾンビたちの死体の山。 そして辺り一面転がる死の中心で、衝突する八柳流の龍虎の姿だった。 その光景は仲間割れにしても異様である。 正義感の強い哉太が攻め込み、過激な思考をしていた茶子が防戦一方となっている。 創の印象からして立場が逆だ。 「おや、君も来たのか天原創。役者が揃ってきたかな?」 「ッ!?」 哉太たちを静止しようとしていた創が、その声に弾かれたように向き直る。 目の前で殺し合う仲間を止めるよりも優先すべき事項が現れた。 この状況における最重要人物にして最終目標。 創が出迎えるように現れた少女の正体を告げる。 「女王――――――」 「おや、珠ちゃんとは呼んでくれないのかい?」 そう言って笑う。 太陽を含んだひまわりのようだった日野珠とは似ても似つかぬ毒を含んだスズランの笑顔で。 彼女がそうであることは情報として知っていたが、目の当たりにすると知らず拳に力が入ってしまう。 潜入に来たこの山折の地で共に机を並べ学びあったクラスメイト。 転校生である創を気にかけてくれた少女。 その少女の体がいいように使われているのは得も言われぬ不快感がある。 「彼らに何をした」 創は努めて冷静さを保ちながら、背後で刃を合わせ火花を散らす姉弟弟子について問う。 「何もしていないさ。彼が私を守護しようとしてくれているだけだよ」 「――洗脳能力」 アニカから聞いた声を響かす洗脳能力。 その指摘を受けた女王は心外だと言った風に肩を竦める。 「人聞きが悪いな、君にも聞こえているだろう? 声が。 これは私を守護しようという彼らの自主的な善意だよ」 彼らとは哉太や創を指しているのではないのだろう。 細菌の女王らしく、正常感染者の頭の中にいる[HEウイルス]たちを個として扱っていた。 ウイルスたちは女王を守護るべく、己が感染者の行動原理を歪めている。 その言葉の通り、創の頭の中にも声が響いていた。 だが異能を無効化する右手の影響か、響く声は小さなものだ。 創の精神力であれば抗うのに問題ないだろう。 「その右手か。厄介な力だ」 言って、無造作に女王が黒曜石の槍を放つ。 下手な狙撃銃よりも貫通力を持つ殺傷兵器は、創が払うように振るった腕に触れただけで簡単に霧散した。 これは互いにとって殺し合いにも満たぬただの確認作業。 粉のようになった黒い魔力の粒子が風に流れる。 「『魔王殺し』。魔王を殺した君の力を私は最も警戒していた」 異能を否定する異能『細菌殺し』。 進化を遂げた今となっては、魔王を否定する『魔王殺し』の異能である。 世界を滅ぼす異界の『魔王』の力に対し。 あらゆる魔法を弾く高魔力体質は防御に特化していたが。 触れた細菌と魔王の力を問答無用で否定する創の異能はより攻撃的である。 細菌であり魔王の力を取り込んだ女王の天敵ともいえるだろう。 「故に、君に相応しい相手を用意することにした――――!」 そう言って、舞台で踊る大女優のように女王は両手を広げた。 「さぁ……全ての魂よッ! 目覚めるがいいッ!!」 女王の呼び声。 それはまるで世界そのものに向けて呼びかけているかのような声であった。 その声に応えるように世界が歪み始める。 「なん、だ…………ッ!?」 思わず創が戸惑いの声を上げる、巻き起こるのはとびっきりの異変だ。 変化はこの場に留まらず、村のいたる所からからあった。 光のない夜を照らすように淡い光が村のあちこちから浮かび上がり始めたのである。 あるいは、それは巣食うものが食い散らかした病院の方向から。 あるいは、沙門天二が無双を続けた木更津事務所の周囲から。 あるいは、気喪杉禿夫が暴れまわった住宅街の一部から。 あるいは、八柳藤次郎が住民を殺しまわった古民家群の辺りから。 そして、虎尾茶子がゾンビを斬り殺した今この場所からも。 光を放つのは死体だ。 周囲にあるゾンビたちの死体で出来た運河からも、淡い光が浮かび上がっている。 グロテスクな死体の海から浮かび上がる美しき光の海。まるで地を流れる天の川のよう。 それは死霊術によって蘇りし魂、尊き命の輝きである。 ――――死霊術。 『魔王』の操る死者の魂を疑似的に蘇らせる命を弄ぶ外法である。 肉体と言う枷から解き放たれた1000人の死者と、それに取り付いた[HEウイルス]たちの魂が死霊術によって一時的に蘇った。 美しさと悍ましさが入り混じる。 生命を冒涜する光が幾つもの浮かび上がり夜の地上を輝かせていた。 ■ 「what's happening!?」 アニカは空を見上げながら、驚愕と戸惑いの声を漏らしていた。 創を見送ったアニカは願望機の探索を続けていた。 時刻はすっかり深夜に入り、彼女の進む道筋を星が照らす。 地の光がないためか、都会では考えられないほど満天の星が輝いている。 地上の地獄など忘れてしまいそうになる程の美しい空だった。 だが、それを塗りつぶすような光の束が唐突に村中に出現したのだ。 その光の奔流がどこか一点に向かって流れてゆく。 まるで地上を流れる流星群である。 アニカは異様な空を見上げる。 明らかにまともな現象ではない。 何か異常な事態が起きている。 「………………?」 だが、アニカは見上げる空に一つの違和感を覚えた。 まともなことなど一つもない、異常だらけの空に違和感を見出す。 それは輝く一等星。 流星群の中に一つだけ動かない星がある。 星が動かないのは当たり前の事だが、遥か宇宙の先にある本物の星とは違う。 何故なら、その星は流星群より低い位置にある。 なにより、あんな星をアニカは知らない。 星に詳しいわけではないが21の一等星くらいは把握している。 その中で、あんな位置にある星は存在しないはずだ。 夜空に瞬く星座はそう簡単に変わるものではない。 Z計画の発端となった超新星爆発の影響かとも思ったがそうではないだろう。 知らない星が山折村を照らしている。 その事実に全身が総毛立つ。 「―――――――Starじゃない」 失せ物探しに役立つだろうと、創に譲渡された双眼鏡で確認する。 双眼鏡のレンズ越しに、夜空を見上げた。 流星の光に紛れ見えづらくなっているその星の正体が移る。 それは、星ではない。 遥か宙に浮かぶ『願望機』だった。 女王の体から夜空に打ち上げられた願望機は地上に落下することなく夜の空に留まり地上を照らしていた。 そして綺羅星のように地上を明るく照らす一助となっていたのだ。 最大の懸念である『願望機』は発見できた。 発見できたが。 「………………どうやってcatchすればいいの?」 本物の星より近いと言えども、願い星は手の届かぬ遥か上空にありて。 小さな人の身を嘲笑うようにキラキラと輝いていた。 ■ 「魂たちよ、集え! 女王の下に――――――!!」 女王は高らかに叫び、手を空に向けて広げる。 女王の呼び声に応じて、村のあちこちに浮かぶ光の粒が一つの大きな流れとなって集まり始めた。 魂たちはそれぞれの場所から解き放たれ、まるで誘われるように空を舞い、共鳴し合うように一つの場所へと収束していく。 次第に一つの流れとなるその光は、美しき流星群だ。 女王の掲げる手の上に星々が集まり一つの銀河を形成するかのように輝きながら、その周囲を渦巻くように回転し始めた。 まるで彼女自身が中心に位置する銀河のよう。 その光の渦は次第に速度を増し、輝きも一層増して行く。 「……ふむ。村の全員と言うには少し足りないようだ。まあいい。君をすり潰すには十分だろう」 集合した魂を見つめながら女王はごちる。 女王が操れるのは復活させた純粋なる魂。 既に厄へと落ちた魂は『イヌヤマイノリ』の力が失われたため操作はできない。 それ以外にも1割ほど足りない、別の理由でどこかに持っていかれている。 「混じり合い一つになるのだッ! 山折村の魂たちよ!」 集まり始めた魂に女王が命じる。 第二段階に至った女王は『魂を繋ぐ力』を得た。 それは魂の操作と融合を可能とする力。 魂の融合は全ての魂が混在する『Zの世界』の試運転としても有用なはずである。 何より、出来るようになったのだから試してみるべきだ。 かき集めた魂を粘土のようにこね合わせる。 個々の魂は次第にその輪郭を失い、一つの巨大な光の球体へと変貌されてる。 まるで地上に浮かぶもう一つの月のようだ。 天の光が見えなくなるほど、地の光は輝き始める。 その光は次第に凝縮され、徐々に球体から形を変え始める。 まるで光の胎盤から生れ落ちるようにそれは誕生した。 ――――――巨人。 生まれたのは、そう表現するしかない周囲の山々にも負けぬ大きさの人型だった。 「なんだ……これは……?」 創の声が震えた。 目の前に立ちふさがる巨人はただの敵ではない。 『魔王』の操る『死霊術』と『女王』の操る『魂を繋ぐ力』。 その組み合わせによって村の全ての魂が融合し一つの存在となった山折村そのものと言っていい存在だ。 巨人の身体はまるで光の粒でできた彫像のように美しく、その内側には無数の魂たちが共鳴し合う光の流れが見える。 異能ではなく魂の塊である以上、創の異能を持っても打ち消すことはできないだろう。 光の巨人が一歩踏み出す。 それだけで地震のように大地が揺れた。 1000の魂を一つとした、国造りの妖怪ダイダラボッチを思わせる超物量。 その巨大な手を振り下ろすだけで、人間など一撃でミンチにできるだろう。 最大にして最強の番人。 誰がどう見ても、もはや人間にどうこうできる次元の相手ではない。 だからと言って、逃げるわけにもいかない。 創はその巨大な存在感と圧倒的を前に立ち向かう覚悟を決める。 どう立ち向かうべきか、答えを見つけなければならなかった。 その勇気をあざ笑うかのように、女王が高らかに宣言する。 「さあ―――――この村最後の戦いを始めようじゃないか」 131.遍くデストルドー 投下順で読む 133.Z ―望み願い祈る― 時系列順で読む 遍くデストルドー 日野 珠 Z ―望み願い祈る― 八柳 哉太 天宝寺 アニカ 彼女たちのささやきが聴こえる 虎尾 茶子 天原 創 机上の最適解 乃木平 天 真田・H・宗太郎 ミーティング『Z』 奥津 一真 終里 元 梁木 百乃介 長谷川 真琴
https://w.atwiki.jp/demoinfo/pages/69.html
リンク先はリンク切れがあっても掲載時のままです。 デモ・抗議開催情報(2017年6月アーカイブ)から続き デモ・抗議行動日程別一覧 月日 都道府県 タイトル 時間 URL 7/1(土) 埼玉 共謀罪反対!加計問題説明して!街頭宣伝(戸田公園駅西口) 15 00~ 告知 〃 埼玉 南越スタンディング(南越谷駅前) 17 00~ https //twitter.com/ppaakkuu/status/880731251048456193 〃 東京 築地でええじゃないか、緊急スタンディング(築地4丁目交差点付近) 12 00~ 告知 告知2 〃 東京 号外!号外!築地かわら版配布まつりin中央線(立川駅北口阿佐ヶ谷駅北口or南口中野駅北口) 11 00~12 30~13 30~ 暫定告知 Blog 〃 東京 投票喚起のためのスタンディングとシール投票(中野駅前) 13 30~ 告知 告知2 告知3 〃 愛知 高江・辺野古みんなの平和を守れ!名古屋アクション(栄三越前{ライオン前}) 18 00~ 告知 告知2 〃 大阪 辺野古に基地を絶対つくらせない大阪行動(JR大阪駅南バスターミナル) 15 30~ https //twitter.com/Osakakodo/status/879551522354352128 〃 大阪 安倍政権、共謀罪、戦争や原発を許さない 梅田座り込み(梅田HEPファイブ前) 18 00~ 告知 〃 大阪 大阪7区市民と野党の合同街宣@JR吹田駅前(JR吹田駅北口ロータリJR吹田南側 旭通り商店街スーパーサタケ前) 11 00~13 00~ https //twitter.com/minasen_osaka/status/880950780810874880 7/2(日) 千葉 松戸で島じまスタンディング (JR松戸駅東口デッキ) 13 00~ 告知 大募集 告知2 〃 東京 高江辺野古スタンディング(新宿西口小田急前) 13 00~ 告知 告知2 〃 東京 街頭宣伝「新宿アルタ前アピール」第320回 唄い場&喋り場 スピーチ、スタンディング、音楽、街中お芝居 (新宿駅東口アルタ前) 14 00~ 告知 〃 東京 草の根アピール@池袋西口 15 10~ 告知 〃 東京 第44回「普天間」への連帯と支援の行進 13 00~ 告知 告知2 Website 7/3(月) 全国 「アベ政治を許さない!」ポスター一斉掲示 13 00~ 告知 詳細 Website 〃 北海道 やっぱり「アベ政治を許さない」スタンディング(旭川市1条通買物公園) 12 30~ 告知 Blog 〃 千葉 澤地久枝さん提唱の“3の日行動”『アベ政治を許さない』(市川駅北口) 13 00~ 告知 〃 埼玉 「アベ政治を許さない」3の日行動(所沢駅東口) 10 30~ 告知 Facebook 〃 東京 「アベ政治を許さない」スタンディング(新宿西口地下広場) 13 00~ 告知 行動予定 〃 東京 3日のスタンディング(中野駅北口) 13 00~ https //twitter.com/yoshikonatu/status/881663111635156993 〃 東京 辺野古に基地をつくらせない!防衛省前月例抗議行動 18 30~ 告知 告知2 Website ML 〃 東京 『安倍昭恵さん、証人喚問に来て、本当のことを言って下さい』スタンディング(雨天中止) 19時頃 告知 地図 〃 神奈川 アベ政治を許さないスタンディングinちがさき(茅ヶ崎駅北口ペデデッキ) 13 00~ 告知 〃 岐阜 「アベ政治を許さないスタンディングアクション」@大垣駅南口 12 50~ https //twitter.com/kokuminnokoewo1/status/879608945483984900 〃 大阪 共謀罪をぶっとばせ!Never give up!共謀罪を廃止へ(ヨドバシカメラ梅田前) 18 00~ 告知 〃 岡山 アベ政治を許さない 岡山プラスター行動(マツモトキヨシ前) 12 30~ https //twitter.com/sitosiyoko8/status/881124540201422848 7/4(火) 東京 「GAZA plus,世界に平和を!火曜定例会」サイレントデモ(新宿西口小田急百貨店前・雨天中止)★ 中止! 19 00~ 告知 告知2 簡易告知 〃 東京 7/6日欧首脳会談での大枠合意絶対反対!~日欧EPA絶対反対!霞ヶ関アクション(農水省前) 18 00~ 告知 告知2 7/5(水) 埼玉 南越スタンディング(南越谷駅〜新越谷駅連絡通路) 13 00~ 告知 告知2 〃 東京 共謀罪反対!緊急街宣〜新宿アルタ前 街頭アピール (新宿駅東口アルタ前) 18 30~ 告知 〃 東京 7/6日欧首脳会談での大枠合意絶対反対!~日欧EPA絶対反対!霞ヶ関アクション(外務省前) 18 00~ 告知 告知2 〃 東京 安倍政権NO!サイレントスタンディング(吉祥寺駅北口ロータリー) 19 00~ 告知 7/6(木) 千葉 戦争ロック!原発ロック!共謀罪もロック「ロックアクション」(船橋南口) 19 00~ 告知 告知2 行動予定 Website 〃 埼玉 杉戸平和アクション(東武動物公園駅 西口・雨天中止) 17 30~ 告知 Blog 〃 東京 第18回NO WAR KITAKU ACTION(JR王子駅北口) 19 00~ 告知 告知2 〃 東京 7/6日欧首脳会談での大枠合意絶対反対!~日欧EPA絶対反対!霞ヶ関アクション(外務省前) 18 00~ 告知 告知2 〃 大阪 共謀罪廃止!戦争あかん!ロックアクション 18 30~ 告知 告知2 Blog 〃 沖縄 辺野古ゲート前座り込み3周年集会 11 00~ 告知 ライブ予告 7/7(金) 東京 日中戦争開始80年・国会前市民集会(参議院議員会館前国会正門前北側歩道) 19 00~20 00~ 告知 告知2 告知3 News Facebook 〃 東京 共謀罪、こんな決め方アリ!?加計問題逃げ切り、安倍改憲を許さない7・7街宣宣伝(新宿駅西口) 18 30~ 告知 告知2 Blog 〃 東京 7/6日欧首脳会談での大枠合意絶対反対!~日欧EPA絶対反対!霞ヶ関アクション(外務省前) 18 00~ 告知 告知2 7/8(土) 埼玉 浴衣で南越スタンディング(南越谷駅前) 17 00~ 告知 〃 東京 日中戦争開始80年・国会前市民集会(国会正門前北側歩道) 15 00~ 告知 告知2 告知3 News Facebook 〃 東京 0709SHINJUKU 緊急告知街宣(高田馬場駅東口ロータリー) 17 00~ https //twitter.com/onoyasumaro/status/882890354139123712 〃 神奈川 カジノ誘致反対キャンペーン 街頭スピーチリレー(横浜駅西口) 15 00~ 告知 告知2 告知3 〃 神奈川 ナイト ピース パレード 18 30~ 告知 告知2 Blog 〃 愛知 高江・辺野古みんなの平和を守れ!名古屋アクション(栄三越前{ライオン前}) 18 00~ 告知 告知2 〃 大阪 辺野古に基地を絶対つくらせない大阪行動(JR大阪駅南バスターミナル) 15 30~ https //twitter.com/Osakakodo/status/882192644226428928 〃 大阪 梅田座り込み(ライブ・アピール・座り込み/梅田HEPファイブ前) 18 00~ 告知 告知2 告知3 7/9(日) 北海道 安倍政権退陣を求める緊急行動(旭川1条平和通買物公園) 15 00~ 告知 〃 埼玉 第17回 さよなら原発・戦争法パレード・あさか 13 00~ 告知 〃 東京 月例・在沖米軍新基地建設反対抗議街宣(首相官邸前) 14 00~ 告知 告知2 その後米国大使館前で『横田空域』・横田基地返還を訴え 〃 東京 高江辺野古スタンディング(新宿西口小田急前) 13 00~ 告知 告知2 〃 東京 街頭宣伝「新宿アルタ前アピール」第321回 唄い場&喋り場 スピーチ、スタンディング、音楽、街中お芝居 (新宿駅東口アルタ前) 14 00~ 告知 〃 東京 第80回池袋スタンディング(池袋駅西口広場)コッカイオンドク 14 00~14 50~ 告知 コッカイオンドク告知 〃 東京 草の根アピール@池袋西口 15 30~ 告知 〃 東京 安倍政権に退陣を求める緊急デモ (集合:新宿中央公園 水の広場) 17 00~ 告知 告知2 告知3 Website Facebook News 告知漫画 ライブ予告 〃 東京 アベヤメロ緊急街宣(新宿東口アルタ前) 19 00~ 告知 告知2 Website 〃 東京 「宮下公園とりもどせ新聞」発行記念大演説会(渋谷駅前スクランブル交差点付近) 18 30~ 告知 Blog 暫定告知 〃 神奈川 カジノ誘致反対!ヨコハマ1000人集会(集会後パレード) 16 00~ 告知 告知2 フライヤー 〃 神奈川 横浜カジノいる?いらない?街頭シール投票(上大岡駅鎌倉街道側港南台駅前) 13 30~16 00~ 告知 告知2 〃 長野 共謀罪法の廃止を求めスタンディング(上田市大屋交差点) 16 00~ 告知 告知2 Facebook 〃 愛知 安倍政権に退陣を求める緊急デモ名古屋 17 00~ 告知 告知2 地図 〃 京都 安倍政権打倒!共謀罪粉砕デモPART‐III 18 30~ 告知 告知2 Website Facebook 〃 大阪 安倍政権に退陣を求める緊急デモ大阪 16 00~ 告知 告知2 地図 デモコース 〃 大阪 市民と野党で共に闘う☆ 安倍政権に退陣を求める緊急街宣@難波マルイ前 18 00~ 告知 告知2 〃 和歌山 アベヤメロ緊急スタンディング(新宮市高森交差点) 17 00~ https //twitter.com/siminwakakuma/status/882487950000312320 〃 愛媛 生活と自由を守るスタンディングin愛媛(松山市駅前) 13 00~ 告知 〃 福岡 安倍政権に退陣を求める緊急デモ 福岡 17 00~ 告知 告知2 詳細 Facebook 7/10(月) 福島 アベヤメロスタンディング(郡山駅西口ヨドバシカメラ前) 18 00~ https //twitter.com/picoyai/status/884052489972064256 〃 東京 閉会中審査で加計・森友疑惑徹底追及!7.10国会前緊急行動(衆議院第二議員会館前) 12 00~ 告知 告知2 Blog 行動予定 〃 東京 TPPプラスを許さない!官邸前行動(首相官邸前) 18 15~ 告知 Blog 告知2 フライヤー 〃 東京 「9の日」行動(新宿駅西口) 17 00~ 告知 暫定告知 行動予定 〃 東京 『安倍昭恵さん、証人喚問に来て、本当のことを言って下さい』スタンディング(雨天中止) 19時頃 告知 告知2 地図 〃 大阪 松井知事の責任を追及する府庁前 昼休み行動(大阪府庁本館南側) 12 00~ 告知 告知2 7/11(火) 全国 共謀祭(フェス) 19 11~ 告知 告知2 Facebook 〃 北海道 共謀罪廃止を求める総がかり緊急行動 18 00~ 告知 〃 北海道 共謀罪法施行に抗議する市民スタンディング(旭川市1条平和通買物公園アッシュ前) 18 00~ https //twitter.com/AFMA_asahikawa/status/884161244084617216 〃 千葉 原発も戦争もゼロ!ゼロアクション(津田沼駅北口) 19 00~ 告知 告知2 行動予定 Website 〃 千葉 共謀罪反対のスタンディング(津田沼駅南口) 18 00~ https //twitter.com/MiyakawaC/status/884415318705094656 〃 千葉 共謀罪に反対するスタンディング・共謀祭(JR市川駅北口・JR新浦安南口) 19 00~ 告知 告知2 〃 埼玉 共謀罪の施行に抗議 スタンディング(草加駅東口南越谷駅) 17 00~19 00~ 告知 〃 東京 世の中が悪くなっていく安倍内閣の退陣を求めるドラムデモ(首相官邸前) 7 00~ 告知 告知2 〃 東京 私たちはあきらめない!共謀罪施行抗議!共謀罪は必ず廃止!安倍内閣退陣!7.11国会議員会館前行動(衆議院第2議員会館前) 12 00~ 告知 告知2 Blog 〃 東京 『共謀祭(フェス)』新宿ジャック(新宿西口、東口、東南口、南口計四ヶ所同時) 16 00~ 告知 告知2 告知3 Facebook Facebook2 ライブ予告 〃 東京 TPP11反対中央宣伝行動(新宿駅西口京王百貨店前) 17 00~ 告知 場所変更 〃 東京 GAZA plus,世界に平和を!火曜定例会(新宿西口小田急百貨店前・雨天中止) 19 00~ 簡易告知 〃 東京 共謀罪施行を許さない!7・11緊急街頭宣伝(水道橋駅東口) 17 00~ 告知 Blog ライブ予告 〃 東京 7/11施行日!~嘘と誤魔化しだらけの「共謀罪法」施行絶対反対!官邸前アクション(首相官邸前) 18 00~ 告知 告知2 〃 東京 ピースアクション小金井 宣伝行動(武蔵小金井駅前) 18 00~ 告知 告知2 〃 神奈川 [横浜にカジノはいらない]街宣(横浜市役所前) 12 00~ https //twitter.com/sazareishinokai/status/884357733389959168 〃 神奈川 カジノシール投票(伊勢佐木長者町ドンキ前) 13 00~ 告知 〃 長野 共謀罪を認めない抗議行動(長野駅前) 12 15~18 00~ 告知 告知2 告知3 〃 長野 ストップ!共謀罪7.11松本アクション(松本駅前 お城口広場) 17 30~ 告知 告知2 〃 長野 共謀罪施行日抗議集会(上田駅前{お城口}) 17 30~ 告知 〃 愛知 NO!共謀罪 ねりあるき 18 30~ 告知 告知2 〃 愛知 共謀罪に反対する一宮緊急行動(名鉄一宮駅東口いちい信金前) 19 15~ https //twitter.com/actaac_1nomiya/status/884414373363458049 〃 愛知 7.11共謀罪施行抗議、安倍政権は退陣!街頭情宣(栄 スカイル前) 18 00~ https //twitter.com/jin_black/status/884649697079549953 〃 京都 「共謀罪施行に抗議!」市民街宣(四条河原町マルイ前) 18 30~ 告知 告知2 Blog フライヤー 〃 大阪 市民と野党で共に闘う☆共謀罪を廃止へ! ミナセン大阪&共謀罪あかん大阪・合同街宣(梅田ナビオ西北側) 18 00~ https //twitter.com/minasen_osaka/status/884389817236115456 〃 大阪 梅田座り込み解放区 共謀罪施行日『共謀祭』(梅田HEPファイブ前) 19 00~ 告知 告知2 告知3 〃 和歌山 夕涼みアクション 共謀罪法は廃止! 17 00~ https //twitter.com/siminwakakuma/status/882047179489136640 〃 鹿児島 「共謀罪」施行反対のサイレントスタンディング(鴨池市民プール前の交差点) 15 00~ https //twitter.com/hatuki_s/status/884589372015689729 7/12(水) 埼玉 浴衣で南越スタンディング(南越谷駅前) 13 00~ https //twitter.com/ppaakkuu/status/884929584235290624 〃 東京 福島みずほずんずん街宣(新宿西口地下広場) 18 00~ 告知 告知2 〃 東京 新宿アルタ前街頭アピール、テロ等準備罪抗議スペシャル 18 30~ 告知 告知2 〃 東京 7/12~14東京会合!・関税引き下げ、関税撤廃「TPP並み」は話にならない!TPP絶対反対!農水省前アクション 18 00~ 告知 告知2 〃 東京 共謀罪反対スタンディング・シール投票(吉祥寺駅北口ロータリー) 19 00~ 告知 〃 神奈川 カジノシール投票(戸塚駅) 14 30~ 告知 告知2 〃 京都 2017東西本願寺を結ぶ非戦・平和共同行動!(講演会後平和デモ) 14 00~ 告知 7/13(木) 埼玉 杉戸平和アクション(東武動物公園駅 東口・雨天中止) 17 30~ 告知 Blog 〃 東京 東京MXテレビへの抗議行動(東京MXテレビ前) 18 30~ 告知 告知2 〃 東京 7/12~14東京会合!・国内批准は無効だ!批准手続きやり直せ!TPP絶対反対!外務省前アクション 18 00~ 告知 告知2 7/14(金) 東京 7月沖縄連帯宣伝行動(JR有楽町駅前広場) 12 00~ 告知 フライヤー 〃 東京 日欧EPA対策本部初会合開催!~「対策」が必要な日欧EPAなど止めてしまえ!自民党本部前アクション 18 00~ 告知 告知2 〃 東京 サガワに抗議!板橋税務署前スタンディング(東武東上線大山駅) 13 00~ 告知 告知2 〃 東京 7.14府中市民怒りのパレード 18 30~ https //twitter.com/Sugaya_Masami/status/880218082676948993 〃 神奈川 カジノより中学校給食の実現を求める緊急行動(桜木町駅野毛口綱島駅) 18 00~20 00~ 告知 告知2 〃 神奈川 カジノシール投票(東戸塚駅弘明寺商店街) 11 00~14 00~ 告知 告知2 〃 神奈川 中学校給食実現・カジノ反対(共に署名)の取り組み(戸塚駅西口ペデストリアンデッキ) 17 00~ https //twitter.com/kajinoiranai/status/885668915224821761 〃 神奈川 「カジノはいらない、必要なのは中学校給食」宣伝(港南台駅) 16 00~ https //twitter.com/miwacchi1/status/885726753666117633 〃 愛知 7.14最低賃金今すぐ上げろ名駅街宣(名古屋駅東口 交番前) 18 00~ https //twitter.com/btmup1500/status/885477494056337408 〃 滋賀 安倍政権に退陣を求める緊急デモ 18 30~ https //twitter.com/shi_cop/status/884742995836157952 〃 大阪 安倍政権の退陣を求める緊急行動@京橋(JR⇆京阪連絡通路) 19 30~ 告知 告知2 7/15(土) 千葉 変える4区 船橋駅頭宣伝「コッカイオンドク」シール投票(JR船橋駅北口) 11 00~ 告知 告知2 〃 埼玉 南越スタンディング(南越谷駅〜新越谷駅 連絡通路) 17 00~ https //twitter.com/ensensky/status/885887239875514369 〃 東京 第22回 チトフナ Peace DEMO 14 30~ https //twitter.com/nowaryouthseta/status/884590546919899136 〃 東京 最低賃金1500円を求める7.15文京最賃デモ 13 30~ 告知 フライヤー Blog 〃 東京 萩生田議員はウソつくな!安倍政権は退陣を! 怒りの抗議行動 11 15~ 告知 暫定告知 Blog 〃 神奈川 最低賃金上げろ!1500円。希望のダンプカーデモ 12 30~ 告知 告知2 告知3 News 〃 神奈川 アベ政治NO!神奈川2区市民連絡会+UNITE 合同街宣(桜木町駅前) 15 30~ 告知 告知2 〃 神奈川 カジノシール投票(戸塚駅綱島ヨーカ堂センター北駅) 11 00~15 00~17 30~ 告知 告知2 〃 神奈川 カジノより中学校給食の実現を求める緊急行動(鶴見駅東口) 17 00~ https //twitter.com/kajinoiranai/status/885829941849280512 〃 愛知 高江・辺野古みんなの平和を守れ!名古屋アクション(栄三越前{ライオン前}) 18 00~ 告知 告知2 〃 大阪 辺野古に基地を絶対つくらせない大阪行動(JR大阪駅南バスターミナル) 15 30~ https //twitter.com/Osakakodo/status/884610074211110912 〃 大阪 梅田座り込み解放区 安倍退陣!戦争、沖縄基地、原発、貧困、差別全てに反対(HEPファイブ前) 18 00~ 告知 告知2 7/16(日) 北海道 安倍はやめろ!共同街宣(札幌大通公園西3丁目) 16 30~ 告知 告知2 〃 東京 高江辺野古スタンディング(新宿西口小田急前) 13 00~ 告知 告知2 〃 東京 街頭宣伝「新宿アルタ前アピール」第322回 唄い場&喋り場 スピーチ、スタンディング、音楽、街中お芝居 (新宿駅東口アルタ前) 14 00~ 告知 〃 東京 第81回池袋スタンディング(池袋駅西口広場)コッカイオンドク(雨天中止) 14 00~14 50~ 告知 Facebookコッカイオンドク告知 〃 東京 草の根アピール@池袋西口(雨天中止) 15 30~ 告知 〃 東京 吉祥寺PEACEパレード第7弾 13 00~ 告知 告知2 Blog 〃 東京 NO WAR!八王子アクション 15 00~ 告知 告知2 暫定告知 Website Facebook 〃 東京 アベNO!府中(府中伊勢丹{フォーリス}前) 11 00~ 告知 〃 東京 横田基地撤去を求める座り込み行動(福生フレンドシップパーク) 13 30~ 告知 フライヤー(pdf) 7/17(月・祝) 千葉 国民平和大行進2017 16 00~ 告知 〃 神奈川 カジノシール投票(横浜駅東口) 13 30~ 告知 〃 京都 「亀岡駅北にスタジアムはいらない」建設中止求める府民大集会(集会後パレード) 14 00~ https //twitter.com/mikamika3419/status/880736396025094150 7/18(火) 東京 GAZA plus,世界に平和を!火曜定例会(新宿西口小田急百貨店前・雨天中止)★ 中止! 19 00~ 簡易告知 〃 東京 東京ナイトスキップ〜渋谷宮下公園界隈 19 00~ 告知 詳細 〃 神奈川 カジノシール投票(東神奈川駅) 13 30~ 告知 告知2 〃 神奈川 カジノより中学校給食の実現を求める緊急行動(横浜駅西口) 19 30~ 告知 告知2 〃 神奈川 カジノより中学校給食の実現を求める緊急行動inつるみ(鶴見駅西口でスタンディング) 18 00~ 告知 告知2 告知3 7/19(水) 北海道 戦争をさせない北海道委員会総がかり行動 18 00~ 告知 〃 北海道 北海道の空を 日本の空を オスプレイは飛ばないで(旭川市1条通買物公園) 18 30~ https //twitter.com/184kokubougun/status/886895759496331267 〃 千葉 戦争法廃止!19日行動(JR新検見川駅南口) 17 00~ https //twitter.com/dougoonnsen/status/886972444199628805 〃 埼玉 浴衣で南越スタンディング(南越谷駅前) 13 00~ https //twitter.com/ppaakkuu/status/887421723871551488 〃 東京 安倍内閣の退陣をめざす7.19大集会(衆議院第二議員会館前を中心に) 18 30~ 告知 Blog 行動予定 〃 東京 脱被ばく実現ネット 官邸前抗議(雨天決行) 19 45~ 告知 告知2 〃 東京 共謀罪反対!緊急街宣〜新宿アルタ前 街頭アピール (新宿駅東口アルタ前) 18 30~ 告知 告知2 〃 東京 安倍政権が目論む「残業代ゼロ」法案に勝手に賛成を表明した連合執行部に対する怒りの抗議(連合会館前) 19 00~ 告知 告知2 告知3 地図 ドラム・トラメガ無 〃 東京 『安倍昭恵さん、証人喚問に来て、本当のことを言って下さい』スタンディング(雨天中止) 19時頃 告知 告知2 地図 〃 東京 共謀罪反対サイレントスタンディング・安倍政権支持についてシール投票(吉祥寺駅北口ロータリー) 19 00~ 告知 〃 神奈川 カジノシール投票(本郷台駅) 13 30~ 告知 告知2 〃 神奈川 カジノより中学校給食の実現を求める緊急行動(横浜駅西口) 19 30~ 告知 告知2 〃 長野 子どもたちの自由な未来のために 安倍政権への抗議行動(長野市・トイーゴ前) 12 15~ https //twitter.com/yadanetnagano/status/886718016146128896 〃 愛知 安倍内閣の暴走を止めよう!7.19あいち集会&デモ 18 20~ 告知 Blog 〃 高知 戦争法を廃止させる19日行動(集会後デモ) 18 00~ 告知 7/20(木) 埼玉 杉戸平和アクション(杉戸高野台駅西口・雨天中止) 17 30~ 告知 Blog 〃 東京 第24回戦争法廃止大井町デモ 18 50~ 告知 告知2 〃 神奈川 カジノより中学校給食の実現を求める緊急行動(横浜駅西口) 19 30~ 告知 告知2 〃 神奈川 カジノより中学校給食の実現を求める緊急行動inつるみ(鶴見駅東口でスタンディング) 7 00~18 00~ 告知 告知2 7/21(金) 東京 安全保障関連法廃止に向けた街頭宣伝行動(有楽町駅前交番裏・交通会館脇) 17 30~ 告知 詳細 〃 東京 7/24~(インド・ハイデラバード)実質的交渉会合開始!RCEP絶対反対!秘密裏に何ヤってんだ!経産省前アクション(経産省本館前) 18 00~ 告知 告知2 〃 東京 山本太郎街頭記者会見(新宿駅西口) 19 00~ https //twitter.com/taro_koho/status/888331480748904449 〃 神奈川 カジノシール投票(伊勢佐木町) 13 30~ 告知 告知2 〃 神奈川 カジノより中学校給食の実現を求める緊急行動(桜木町駅野毛口) 18 00~ 告知 告知2 〃 神奈川 カジノより中学校給食の実現を求める緊急行動inつるみ(鶴見駅西口でスタンディング) 18 00~ 告知 7/22(土) 埼玉 共謀罪反対!加計問題説明して!街頭アピール2nd(南浦和駅西口) 16 00~ 告知 〃 埼玉 南越スタンディング(南越谷〜新越谷駅駅前) 17 00~ 告知 〃 東京 『「沖縄 さまよう木霊~基地反対運動の素顔~」上映会&トークショー』歌や踊りで伝える沖縄風街頭宣伝(ルミネ池袋前{池袋西口}) 15 00~ 告知 詳細 〃 東京 辺野古新基地建設反対7.22新宿デモ 14 00~ 告知 告知2 フライヤー Website 〃 東京 脱被ばく実現ネット 新宿アルタ前街宣 18 00~ 告知 告知2 〃 東京 萩生田議員はウソつくな!安倍政権は退陣を!怒りの抗議行動 第三弾 11 00~ 告知 暫定告知 Blog 〃 神奈川 カジノシール投票(桜木町駅野毛側) 13 30~ 告知 告知2 〃 愛知 高江・辺野古みんなの平和を守れ!名古屋アクション(栄三越前{ライオン前}) 18 00~ 告知 告知2 〃 三重 JFEは辺野古のケーソンをつくるな!三重県民集会in津市お城西公園(集会後デモ) 14 00~ 告知 〃 大阪 辺野古に基地を絶対つくらせない大阪行動(JR大阪駅南バスターミナル) 15 30~ https //twitter.com/Osakakodo/status/887252518874382338 〃 大阪 『3.11関東からの避難者たち』定例街頭アピール(梅田HEP前) 18 00~ 告知 告知2 告知3 〃 大阪 梅田座り込み解放区 安倍退陣!戦争、沖縄基地、原発、貧困、差別全てに反対(梅田HEP前) 19 00~ 告知 〃 沖縄 辺野古『人間の鎖抗議行動』(キャンプ・シュワブゲート前) 14 00~ 告知 バナー バス 7/23(日) 埼玉 島じまスタンディング(越谷駅東口ひろば) 16 30~ 告知 〃 東京 高江辺野古スタンディング(新宿西口地下広場) 13 00~ 告知 告知2 場所変更 〃 東京 街頭宣伝「新宿アルタ前アピール」第323回 唄い場&喋り場 スピーチ、スタンディング、音楽、街中お芝居 (新宿駅東口アルタ前) 14 00~ 告知 〃 東京 第82回池袋スタンディング(池袋駅西口広場) 14 00~ 告知 Facebook 〃 東京 草の根アピール@池袋西口 15 10~ 告知 〃 東京 第7回「日の丸・君が代」問題等全国学習交流集会(集会後デモ) 10 00~ 告知 Blog 〃 神奈川 カジノシール投票(横浜橋商店街) 13 30~ 告知 告知2 〃 神奈川 かながわピースフェア大和平和まつり(大和駅東側プロムナード) 10 00~ 告知 Blog 〃 兵庫 障害者を殺すな 7.23 神戸デモ ―やまゆり園事件を忘れない 16 00~ 告知 Facebook 7/24(月) 東京 最低賃金大幅引き上げキャンペーン・アピール行動「いますぐどこでも時給1000円に!時給1500円をめざして」「全国から引き上げよう最低賃金!なくそう地域間格差!」@JR新橋駅前SL広場 17 00~ 告知 〃 東京 衆参予算委員会閉会中審査 森友疑惑徹底追及!加計疑惑徹底追及!稲田も安倍もすぐ辞めろ!7.24~25国会議員会館前行動(衆議院第2議員会館前を中心に) 12 00~ 告知 告知2 Blog ライブ予告 〃 東京 翁長知事の辺野古埋立て差し止め訴訟を支持!首相官邸前緊急行動 18 30~ 告知 告知2 告知3 〃 東京 安倍政権は全員辞めろ!0724官邸前抗議 19 30~ 告知 告知2 〃 東京 7/24~実質的交渉会合開始!RCEP絶対反対!秘密裏に何ヤってんだ!外務省前アクション 18 00~ 告知 告知2 〃 東京 カジノ反対の街頭宣伝行動(新宿駅南口) 17 00~ https //twitter.com/TeamUtsuken/status/889299424962162688 〃 神奈川 カジノより中学校給食の実現を求める緊急行動(横浜駅西口) 19 30~ 告知 〃 神奈川 カジノシール投票(中区寿町) 13 30~ 告知 告知2 告知3 〃 神奈川 カジノより中学校給食の実現を求める緊急行動inつるみ(鶴見駅東口でスタンディング) 18 00~ 告知 〃 大阪 街頭宣伝;いま『個人の尊厳』を考える@梅田ヨドバシカメラ前 19 00~ 告知 詳細 7/25(火) 東京 最低賃金上げろ 新宿アピールデモ 18 30~ バナー 〃 東京 衆参予算委員会閉会中審査 森友疑惑徹底追及!加計疑惑徹底追及!稲田も安倍もすぐ辞めろ!7.24~25国会議員会館前行動(衆議院第2議員会館前を中心に) 12 00~ 告知 告知2 Blog ライブ予告 〃 東京 GAZA plus,世界に平和を!火曜定例会(新宿西口小田急百貨店前・雨天中止) 18 00~ 告知 簡易告知 〃 東京 辺野古の埋め立て工事をやめろ!五洋建設抗議(JR飯田橋駅東口) 17 30~ https //twitter.com/keitarou1212/status/889715828899237890 〃 神奈川 カジノシール投票(JR磯子駅) 16 00~ 告知 告知2 〃 神奈川 カジノより中学校給食の実現を求める緊急行動(横浜駅西口) 19 30~ 告知 〃 神奈川 カジノより中学校給食の実現を求める緊急行動inつるみ(鶴見駅西口でスタンディング) 7 00~ 告知 〃 神奈川 NOカジノYES中学校給食 いっせい街宣(東神奈川駅前) 8 00~17 00~ 告知 告知2 〃 沖縄 大浦湾をカヌーと船で埋め尽くそう!辺野古新基地建設許さない7.25海上座り込み 7 30~ 告知 Blog Blog2 Blog3 フライヤー 場所変更 7/26(水) 東京 農村懐柔の為の(アリバイ)公聴会やめろ!日欧EPA絶対反対!農水省前アクション 18 00~ 告知 告知2 〃 東京 『安倍昭恵さん、証人喚問に来て、本当のことを言って下さい』スタンディング(雨天中止) 19時頃 告知 告知2 地図 〃 東京 共謀罪反対サイレントスタンディング・安倍政権支持についてシール投票(吉祥寺駅北口ロータリー) 19 00~ 告知 〃 神奈川 カジノシール投票の経過報告(横浜市庁舎前) 11 00~ 告知 告知2 告知3 〃 神奈川 カジノシール投票(JR石川町駅北口) 13 30~ 告知 告知2 〃 神奈川 カジノより中学校給食の実現を求める緊急行動(横浜駅西口) 19 30~ 告知 〃 神奈川 カジノより中学校給食の実現を求める緊急行動inつるみ(鶴見駅西口でスタンディング) 18 00~ 告知 〃 神奈川 NOカジノYES中学校給食 いっせい街宣(東神奈川駅前) 8 00~17 00~ 告知 告知2 〃 大阪 相模原施設障碍者大虐殺追悼アクション 18 30~ https //twitter.com/imaju_taihen/status/890014622979244032 7/27(木) 埼玉 杉戸平和アクション(東武動物公園駅 東口・雨天中止) 17 30~ 告知 Blog 〃 東京 川崎重工は軍用機を売るな!ニュージーランドは買うな!7.27 川重東京本社&大使館アクション 12 00~15 30~ 告知 告知2 Blog Facebook News ML 〃 東京 デマで沖縄への偏見をあおった「ニュース女子」東京MXテレビは訂正と謝罪を! 第19回 抗議行動(東京MXテレビ本社前) 18 00~ 告知 フライヤー 告知2 行動予定 〃 東京 2017年7月「新自由主義推進月間」以降に向けて~日欧EPA,TPP(11),RCEP,FTA全部お断りだ!新自由主義を拒否する!官邸前アクション 18 00~ 告知 告知2 〃 神奈川 カジノより中学校給食の実現を求める緊急行動(横浜駅西口) 19 30~ 告知 〃 神奈川 カジノより中学校給食の実現を求める緊急行動inつるみ(鶴見駅東口でスタンディング) 7 00~ 告知 〃 神奈川 NOカジノYES中学校給食 いっせい街宣(東神奈川駅前) 8 00~17 00~ 告知 告知2 7/28(金) 東京 呪殺祈祷僧団(JKS47)月例祈祷会(経済産業省 正面玄関前) 15 00~ 告知 告知2 Website 〃 東京 ZENKO 7・28ワンデーアクション 10 00~ 告知 フライヤー 詳細 〃 東京 7/28交渉会合(インド・ハイデラバード)閉会!RCEP絶対反対!秘密裏に何ヤってんだ!外務省前アクション 18 00~ 告知 告知2 〃 神奈川 カジノシール投票(地下鉄立場駅) 11 00~ 告知 告知2 告知3 〃 神奈川 カジノより中学校給食の実現を求める緊急行動(桜木町駅野毛口) 18 00~ 告知 〃 神奈川 NOカジノYES中学校給食 いっせい街宣(東神奈川駅前) 8 00~17 00~ 告知 告知2 〃 長野 安倍政権への抗議行動(長野駅前) 19 00~ 告知 告知2 〃 沖縄 住民無視ヘリパッド運用 高江抗議集会(北部訓練場メインゲート前) 11 00~ 告知 Blog 7/29(土) 埼玉 南越スタンディング(南越谷駅前) 17 00~ https //twitter.com/ppaakkuu/status/891083506608070657 〃 東京 安倍内閣は総辞職しろ!全国一斉緊急市民街頭行動(渋谷ハチ公前)★ 中止! 18 00~ 告知 告知2 Facebook 〃 東京 怒りの夕涼みパレード in 高幡 17 10~ 告知 告知2 Facebook Facebook2 〃 東京 ゆんたく井の頭(井の頭公園ステージ前)★ 中止! 17 00~ 告知 詳細 〃 神奈川 安倍内閣は総辞職しろ!全国一斉緊急市民街頭行動(横浜駅相鉄口) 14 00~ 告知 告知2 告知3 Facebook 〃 神奈川 カジノシール投票(MM線元町中華街駅) 13 30~ 告知 告知2 告知3 〃 神奈川 NOカジノYES中学校給食 いっせい街宣(東神奈川駅前) 8 00~17 00~ 告知 告知2 〃 愛知 高江・辺野古みんなの平和を守れ!名古屋アクション(栄三越前{ライオン前}) 18 00~ 告知 告知2 〃 大阪 辺野古に基地を絶対つくらせない大阪行動(JR大阪駅南バスターミナル) 15 30~ https //twitter.com/Osakakodo/status/890410708164263937 〃 大阪 梅田座り込み解放区 国会閉会中審査、加計問題追及!(梅田HEP前) 18 00~ 告知 7/30(日) 埼玉 豊田真由子議員の辞職を求める署名活動(浦和駅西口) 15 00~ https //twitter.com/chika_sara/status/891483517493723136 〃 東京 高江辺野古スタンディング(新宿西口小田急前) 13 00~ 告知 告知2 〃 東京 街頭宣伝「新宿アルタ前アピール」第324回 唄い場&喋り場 スピーチ、スタンディング、音楽、街中お芝居 (新宿駅東口アルタ前) 14 00~ 告知 〃 東京 共謀罪廃止!安倍改憲を許さない!7・30街頭宣伝(新宿駅南口) 15 00~ 告知 告知2 Blog ライブ予告 〃 東京 第83回池袋スタンディング(池袋駅西口広場) 14 00~ 告知 Facebook 〃 東京 草の根アピール@池袋西口 15 10~ 告知 〃 東京 共謀罪廃止!辺野古新基地建設阻止!新橋駅まえ街宣 13 00~ 告知 Blog 〃 東京 わたかつ流派/チーム☆トップガン☆みんなの街角デモクラシー対話広場@神楽坂 13 00~ 告知 ライブ予告 7/31(月) 神奈川 カジノシール投票(関内駅市庁舎前) 15 00~ 告知 告知2 バナー Facebook 〃 大阪 第5弾「森友学園」疑獄を許すな!7.31デモ 18 00~ 告知 ML デモ・抗議開催情報(2017年8月アーカイブ)へ続く
https://w.atwiki.jp/bmrog/pages/640.html
《GM》 ふふふ 《GM》 では自己紹介をIV順にどうぞ! 《GM》 《リジェ》 「やほっ! わたしはリジェルタ。 苗字? 気にしちゃだーめ」 《リジェ》 「……うん、最近、色々ありすぎてもう何がなんだか……」 《リジェ》 「で、でもまだ諦めたもんじゃないわよね。 腕上げないと、故郷にも帰れないしっ!」 《リジェ》 「さぁ、今日も頑張ろうかな」 《リジェ》 http //www.grifis.net/trpg/wiki/wiki.cgi/15thmoon/HC?page=%A5%EA%A5%B8%A5%A7%A5%EB%A5%BF 《シャル》 《シャル》 【シャル】「皆さま、今日は集まっていただきありがとうございます」 《シャル》 【シャル】「本日も歌姫シャルリーゼが、心をこめてうたわせていただきます」 《シャル》 【シャル】(透き通った声で歌い始める) 《シャル》 http //www.grifis.net/trpg/wiki/wiki.cgi/15thmoon/HC?page=%A5%B7%A5%E3%A5%EB%A5%EA%A1%BC%A5%BC 《GM》 《GM》 《GM》 では獲物の自己紹介が出たところで… 《GM》 今夜の宴、開催します。 《GM》 《GM》 [][][]ランドリューフ戦記外伝 龍華戦記 「歌姫の声が変わる夜/細工師の手が変わる朝」 《GM》 《GM》 《GM》 ◆OP 《GM》 《GM》 【踊り子】「ちょっと、馬油きれてるじゃない。あんた今手が空いてるでしょ?かってきてよ」 《GM》 旅芸人一座の裏方、そんな言葉が聞こえてきます。 《GM》 それはシャルに対していつもつらく当たる踊り子の言葉。他の皆は『またか』と思いながらも何も口を挟むことはしません。 《GM》 というのも、シャルは確かに歌姫として一座の頭になっていますが…龍人であるためか、他の人間達を見下しているような事をたまに言うからで。 《GM》 なので、駄賃を踊り子がシャルに手渡しても、彼女がただ出て行きやすいように道を明けるしかしませんでした。 《GM》 ▽ 《GM》 《シャル》 【シャル】「………なんで、私が」明らかに不機嫌な声。差し出された手を無視し、しかしそれでもしばらくすればおずおずと受け取る。「こんなの、雑用の仕事でしょうに」 《GM》 【踊り子】「雑用だって手が空いてないの」 《シャル》 【シャル】「……しょうがない、今回だけ、だからね」ぶつぶつと不平をこぼしながら駄賃を受け取る。なんだかんだ言って一座で一番稼いでいないのは自分だ、と言う自覚もあるため……稼ぎ頭の一人である踊り子に強く出ることができず 《GM》 【踊り子】「雨降ってきそうだから、傘もっていきなさいよー!」 シャルが金をうけとって外に行こうとしているのをみて、その声を出してから準備に取り掛かり。確かに空は少し曇りがちで、空気も湿りはじめている。彼女が傘を進めたのは…きっと、『風邪を引いたら喉が枯れて更に役立たずになる』ことを嫌がってだろう。 《シャル》 【シャル】「だったら、自分でいけばいい……」ぽつん、と小さく呟く。出がけに傘を手に取るとしっかりと喉元が隠れていることを確認し……小走りに店へと急ぐ 《GM》 そうして一座から離れて町へと向かうシャル。 《GM》 無事に店に着き、指定の馬油を購入して店の外に出ようとしたら、既に外は雨が降り始めていました。 《シャル》 【シャル】「はぁ。……雨、か」嘆息 「早く帰らないと、な……」馬油をしっかりと服の下に隠して濡れないようにする。咽喉を覆う布地を持ちあげ、顔の半分まで隠すようにすると傘をさして走りだす 《GM》 そうして雨が次第に強まり。…不自然なほどに、雨量が多くなってくると水しぶきと霧のようなもので次第に視界が悪くなっていきます。 《GM》 確かにシャルは一座の方へ向かって走ったのでしょう。けれど、なぜかたどり着いた場所は――古びた巨大な洋館の正門前。 《GM》 一座の停泊している町の近辺にはないはずのその建物の、門の前にシャルはたどり着いてしまいました。 《GM》 そして、深い霧の中、シャルが来た方向とは逆からなにやら人影が見えてきて―― 《シャル》 【シャル】「あれ……?」傘に隠した体を小さくして濡れないようにする。「迷った……かな?あ、いいところに人が……道、聞いてみよ……」 《GM》 《GM》 《GM》 ◆OP2 《GM》 《GM》 一方その頃。 《GM》 クレスフラウの学園に通っていたリジェルタは、学園の友達に龍華のアクセサリーをプレゼントしようと再び龍華帝国の地に足を踏み入れてました。 《GM》 以前に魔族に襲われた経験のある街道は避けて、大幅な遠回りになりながらも彫金士の町にたどり着いたリジェルタは、いい銀素材を手に入れて彫金を施し。 《GM》 綺麗なリングピアスを2個ほど作り上げると、ソレをもってクレスフラウに戻る道を歩んでいました。 《GM》 ▽ 《GM》 《リジェ》 【リジェ】「喜んでくれるかなぁ……」 顔をにやけさせながら、家路へと急ぐ。 何も起こらなければいいな、と心の底で祈りながら。 《GM》 このお土産を渡した後は、魔族たちへの仕返しを行う。そのための決意を固める儀式のようなつもりで、帰り道を急ぐリジェルタ。 《GM》 前の宿場町を抜け、次の宿町がある場所まであと1時間といったところで、空模様がかげりだしました。 《リジェ》 【リジェ】「あ、あれ? まずいわね……」 少し足を速めるも、どんどんと雲の色は濃くなっていく。 《GM》 そしてついに振り出す雨粒。 《GM》 最初こそ少しであったが、10分もするとその雨足は早まり、このままでは宿場町にたどり着くより早くずぶぬれになってしまうでしょう。何かカサのようなものを持っているなら使ってかまいませんが。 《リジェ》 【リジェ】「うあ、まずい、どっか雨宿りできる場所を……」 といいつつ…… 傘代わりかぁ。 持ってなさそうだから走る! 《GM》 ではどしゃぶりになってきた道を思い切り走るリジェ。すれ違う人たちはみな、準備していたのかカサをさしています。 《GM》 本気で走っているので、あと30分もすれば到着するでしょうが、それまで荷物の中までぬれてしまわないか心配でもあります。 《GM》 そんな中、悪い視界の先に雨宿りできそうな屋根が見えてきました。 《リジェ》 【リジェ】「うう、浮かれすぎたぁ」 泣きそうになりながら走り続け…… 屋根を見つけると、助かったとばかりにそっちに向かって走り出す。 《GM》 まだ雨はざーざーと降り続いています。…そんな中、ふとその屋根がある建物を見てみると… 《GM》 リジェルタには記憶に鮮明に残っているでしょう。あの魔族アルアの支配する館が、その場にそびえたっていました。 《GM》 そして、リジェが走ってきた側とは反対側から、何か人影が見えてきて―― 《リジェ》 【リジェ】「っ! ……ちょっと、まずい、かな」 もう帰れないかもしれない。 そんな暗い絶望が心をよぎり…… 《リジェ》 【リジェ】「ん?」 《GM》 《GM》 《GM》 ◆ミドル 《GM》 《GM》 そうして館の正門前でであった2人。 《GM》 それを見越したかのように、巨大な鉄格子の扉が音を立てずに開いていきます。 《GM》 その奥にある庭園は、リジェルタが以前に見たものと同じ。その奥にある本館の形も同じ。 《GM》 リジェルタには『招かれているのだ』と理解できるほどに、なぜか館の中には霧がなく。むしろ自分達がいる場所にこそ霧が深くなってきていて… 《GM》 ▽ 《GM》 《リジェ》 【リジェ】「…… 思ってたより、ちょっと早いな」 忌々しげに、お腹にそっと触れて。 「あ、ええと、貴女、どうしたの?」 と傘をさした子に声をかける。 《シャル》 【シャル】「あ、いいところに」相手から声をかけてきたことに都合よく思い「道に迷った、らしくて。キャラバンのキャンプ、どこかしら?」 《リジェ》 【リジェ】「キャラバン?」 通ってきたところに覚えはなく。 「んー…… ごめんなさい、わたしは知らないわ」 頭を振って答え。 《GM》 二人が話している間にも、次第に2人の体を霧が包み込んでいきます。もし門の中に入らなければ、視界を完全に喪って何処とも知れぬこの場所をさまようことになるかもしれません。 《リジェ》 ただ、恐らく。 この館の主が満足するか、どうにかしないと、ここからは出られないと直感的に把握しており。 それを伝えるべきか否かは、悩んでいて。 《リジェ》 【リジェ】「ああ、うん。 このままだと迷っちゃうから、中、入らない? 館の主様も、お招きしてくれてるみたいだし」 少し嫌味を込めて、そうさそう。 《シャル》 【シャル】「そう……この霧じゃ、帰るのも無理、かしら?」どんどん深くなっていく霧に当たりを見渡している。「屋敷、事情を話して休ませてもらうのが良いと思う」 《リジェ》 【リジェ】「そう、ね。 一応、知ってる人だし。 休ませてくれる、かもしれないから」 と言って、先に立って門をくぐりましょう。 《シャル》 【シャル】「ん……」こくん、と頷く。霧に足元を見失わないように慎重に門をくぐり 《GM》 門の中に入ると、なぜかそこは空気も澄んでさっきまで雨が降っていたとは思えない状況になっています。とはいえ、シャルの傘やリジェの全身はぬれており、さっきまで雨が降っていた証明はされていますが。 《GM》 そのまま館に向かって進むと、やはり木製の大きな扉には精密な金細工のドアノックがつけられています。 《リジェ》 【リジェ】「……」 無言で、ドアノックを叩く。 じわり、と心のどこかに染み出す気持ちを、無理やり押さえつけ。 《リジェ》 【リジェ】「そういえば、名前、聞いてなかったわね。 わたしはリジェルタ。 貴女は?」 と、気軽に声をかける。 《シャル》 【シャル】「……?いきなり雨が、やんだ?」戸惑ったように傘をのける。「でも、びしょぬれね。風邪なんか引いたら、歌姫としての命にかかわる……」怪訝そうな顔をしながらもノッカーに手を伸ばし……リジェの手に触れて驚いたように手を戻す 《シャル》 【シャル】「あ……シャルリーゼ。一応、歌姫をしている」 《リジェ》 【リジェ】「っ! ……ん? どしたの?」一瞬顔に反応が出かける、が、無理やり押し殺して笑顔を作る。 《GM》 きぃ、と音が出て扉がひらいていく。 《GM》 中は、クレスフラウ様式の大広間となっており、高貴な貴族の館を思わせる作りとなっていた。 《シャル》 【シャル】「なんでも、ないわ……」開いた扉の中を無造作に窺い 《GM》 【???】「ふむ、誰かと思えば…以前訪れた娘、たしかリジェルタとか言ったか?」 正面階段の上から聞こえてくる声。それは、リジェには忘れることのできない、この館の主の声であり。 《リジェ》 【リジェ】「……どうも、お久しぶりです」 一瞬ためらう、が、当人を相手にするとつい弱気になって、元の口調に戻り。 《リジェ》 【リジェ】「シャル、あの人が、この館の主人」 と、一応紹介しておく。 《シャル》 【シャル】「夜分……失礼します」す、と部隊の上でするのと同じ用に一礼する。「雨に降られて道を見失い、びしょぬれになってしまいました。一夜の宿をお借りできれば、幸い……」 《GM》 【アルア】「もう一人は知らぬ顔じゃな。妾はこの館の主、アルアじゃ。」 リジェの反応に、まるでリジェの飼い主であるかのように上から目線で降りてくる少女。金色のツインテールが揺れる、黒いゴシックドレスの少女はシャルにそう挨拶して。 「ふむ、ならばこの館に逗留するといい。なぁ、リジェ?この館は、困ったものには優しい館じゃよな?」 《シャル》 【シャル】「助かります……何を、怯えている?」リジェの様子に何か妙な感触を覚えて 《リジェ》 【リジェ】「……ええ、そう、ですね」 さっきまでの明るい雰囲気が嘘のように、従順に、大人しくなる。 「わたしも、泊めていただけたら、と、思いまして」 《リジェ》 【リジェ】「…… なんでも、ない、わ。 でも……」 そっと耳を寄せて 「気をつけ、て。気を強く、持って。 わたしから言えるのは、これだけ……」 苦しそうに、くやしそうに、それだけを伝えて、離れる。 《GM》 【アルア】「くっくっく…あぁ、いいともリジェと名も知らぬ龍人の娘。妾はお主らに宿を貸してやろうと想うのじゃ。」 リジェの様子に楽しそうに笑みを浮かべると、手を鳴らし。すると、2人の魔族執事が2人の元へやってきます。恭しく頭を下げて、荷物を持ちましょう、と声をかけて。 《リジェ》 【リジェ】「っ!」 正気のまま、あの時の事を思い出し。 どこからあの声が聞えてくるか、一瞬警戒の色を強め。 《シャル》 【シャル】「失礼、名乗りがまだでした。シャルリーゼ、歌姫をしています」改めて非礼を詫びて「気を……強く?」何を言っているのか、と戸惑った表情。慣れた様子で執事に荷物を預けて 《GM》 【アルア】「あぁ、リジェ。聞いておこうか。宿は『前回』の部屋がよいか?それとも、普通の部屋がよいか?」 そういえば、と思い出したように首をかしげて。前回の、というと毎日精液と卵で享楽に耽った部屋であり。一角には常に精液が湧き出す泉もある、そんな淫媚な部屋でいいかと聞いてみて。 《GM》 【アルア】「ほほう、歌姫か。ならば、是非にお主の『声』を聞かせてもらいたいものじゃな。」 シャルの様子に笑みを浮かべ、ぱちぱちと小さく拍手し。 《シャル》 【シャル】「恥ずかしながら……あまり人気はありませんが、機会があれば」 《リジェ》 【リジェ】「ぜ…… ふ、普通の、で、お願いします」 うっかり『普通』の部屋がどのようなものなのか聞きもせず。 《GM》 【アルア】「此処で聞く分には良い声をしておると想うのじゃが。では、お主自信がないのか?…ふふ、この館にある『水』を飲めば、なお良き澄んだ声を出せるようになるぞ。」 シャルの言葉に首をかしげた後、リジェにだけは邪悪に見える笑みを浮かべて。 「そうか、ならば普通の部屋を用意しよう。では妾は他の客を接待せねばならんのでな。あとはその者達についていくがよい。」 リジェの言葉に頷き返すと、そのまま手を上げて背を向けて 《GM》 。すたすたと主は去っていく。 《GM》 【執事】「ではお嬢様方。部屋へご案内いたします。」 2人の執事は頭を下げると、決して早過ぎない速度で2階の西側に向けて足を進めていく。 《シャル》 【シャル】「それは、楽しみです……」声がよくなるという水に胸を膨らませる。これでもう踊り子に馬鹿にされずに済むだろうか?と思いながら執事の後を追いかける 《リジェ》 【リジェ】「え? ……あ、は、はい」 肩透かしをくらったように、慌てて執事の後を追う。けれどまだ、警戒だけは忘れずに。 「…… シャル、さっきの言葉、覚えておいて。 お願い」 浮かれているシャルに、辛そうな顔をして、それだけ伝える。 《シャル》 【シャル】「……?そこまで頭は悪くない」 《GM》 【執事】「…それではリジェルタ様はこちらの部屋をお使いください。」 1人の執事は西側中ほどの左側の部屋を開け。もう1人はその向かいの扉を開けて。 「シャルリーゼ様はこちらの部屋をお使いくださいませ。」 《GM》 その部屋の中は、超高級ホテルの一室に比肩できるもの。豪奢な家具が部屋を飾り、まるでそこだけで1つの家であるかのように、廊下の先には扉が何個も見えている。 《リジェ》 【リジェ】「よかった。 …… あ、はい。 ありがとうございます」 丁寧に頭を下げて、左側の扉をくぐる。 「シャル、また後でね」 《シャル》 【シャル】「……ええ、出は使わせていただきます」思った以上に豪華な室内に満足そうに頷く。「ん、あとで……」ゆったりとした動作、久しぶりにゆっくりくつろげそうな部屋に弾む足取りで部屋へと歩を進める 《GM》 リジェの予想に反して、その部屋は本当に『普通』の部屋だった。…いや、高級感は決して『普通』ではないのだが、あの魔族の館にしては間違いなく『普通』の部屋。 《リジェ》 【リジェ】「……あ、れ?」 目をぱちくり。 何か罠が無いか、行儀悪くごそごそと探し回り。 《GM》 警戒しながらリジェが水差しの水を舐めてみるも、毒が入っている形跡もない。むしろ、これほど丁寧にろ過された綺麗な水はそうそう眼にかかれないものであり。天蓋つきのベッドもスプリングがよくきき、布団もふっくらと暖かい。更には別の部屋には友を呼べるような談話室もあり、菓子も既に用意してあった。…また、リジェの部屋には彫金加工も行える工房、シャルの部屋には防音室もついている。 《GM》 シャルの部屋も同等。むしろ龍人たるシャルにとっては『身分相応』と扱ってもらえたような、自尊心を満たせるようなそんな高級感溢れる部屋であった。 《シャル》 【シャル】「久しぶりにふさわしい部屋……。防音室まである、いい部屋ね」防音室を覗き込み、さっそく水差しの水をコップへと移してゆったりと飲む 《リジェ》 【リジェ】「…… ああ。あとは…… 帰るまで、必死に我慢、かな」 ベッドに座り。 何度醜態を晒すだろう、と、お腹を撫で。今更自分の体を思い出し、軽い絶望感。 《GM》 2人ともそのまま部屋でくつろぐかしらー?それとも互いの部屋にいく? 《シャル》 ゆっくりくつろぎそうかな、こちらは 《リジェ》 ん、んんー 《リジェ》 シャルの様子が気になる。 部屋に行きたい。 《GM》 あぁ 《GM》 部屋に着替えが用意してあったけど着替えた? 《シャル》 どんなの? 《リジェ》 お、おお? お互いに? 《GM》 普通の布製の衣類。今リジェやシャルが来ているものから、最高級品質の絹で織られた民族衣装とかもあるし、ネグリジェなんかも用意してある 《シャル》 ふむ……なら、咽喉が隠れるのを選んで着る、かな 《GM》 単純にリジェがぬれっぱなしだったから用意してあるだけのようで、特に変なものはまざってない。 《GM》 どうしても気になるようなら、知力判定してもいいよ! 《シャル》 無警戒なのでしないっ! 《リジェ》 ……ねたでねぐりじぇ、っていいそうになった。 そんな事はせず、短めの衣装を着てこう…… と、キャラクターが気にしてるので判定する! 《リジェ》 2d6+6 【ダイス】 K22Lijye - 2D6+6 = [2,4]+6 = 12 《GM》 うむ 《リジェ》 12、と出ました。 《GM》 いたって普通の服。ただの布製のものなら、それこそクレスフラウでも銅貨で買えるレベルのものから金貨を積まねばかえない物までそろってる。 《リジェ》 ふむ。 ならちょっと高そうなの着てこう。 気合いいれて。 《GM》 あぁ、シャルの部屋には貴族向けのドレスが何着もある。リジェの部屋には『一応』って感じで1着だけ用意してある。 《GM》 夜会に着ていくと映えそうなもの。 《GM》 おそらくアルアが『リジェはこういうのは好きじゃないじゃろう』とか考えて変な気を回したのかもしれない。 《シャル》 では、気族向けのドレスに……なんていうんだっけな、ショール?を首に巻いておこう 《リジェ》 あら。趣味をわかってらっしゃる。 …… そ、その一応がとても気になる。気になるけど、まだ着ない、着ない。 《GM》 普通の黒いイブニングですよ。肩が出る、長いスカート。 《GM》 シャルのはいっぱい用意してあるから自由に言ってかまんない。 《GM》 ではそれでリジェがシャルの部屋に遊びに行ったところだね。 《リジェ》 ……何故か、悔しいのに嬉しい気分がない交ぜになっていく。 むしろあれだ、今自分が着てるのと似たような服着て、シャルの部屋に行こう。 《GM》 廊下ですれ違った魔族執事が、リジェに最敬礼をしながら見送りつつ。シャルの部屋にはいって2人で話をしていると、近くにあった魔導水晶から呼び出し音が聞こえてきます。それはどうやら遠くと音声だけをつなげるようなもので、近くに操作方法が書かれています。 《GM》 電話のようなものだと想ってくだちい 《シャル》 からだの線が出る、ピッチリとしたドレスを着てる、かな 《シャル》 【シャル】「あら……?」鳴りだした水晶に興味を引かれてそちらに歩み寄る。操作方法を見つけるとその通りに操作して音声をつなげて「これでいい……のかしら?」 《リジェ》 【リジェ】「へぇー。 なんか、コツみたいのとか掴んだら……って、あれ?」 適当に雑談していると、音が鳴って、操作したシャルの方に耳をすます。 《GM》 【魔族】『…お客様、夕餉は如何いたしましょうか。他のお客様は部屋で取るとのことですが、ご希望がありましたら食堂を用意いたしますが。…あと、リジェ様はそちらにいらっしゃいますか?』 《シャル》 【シャル】「ん……せっかくですから、食堂でいただこうかしら?リジェなら、そこにいる」くい、とリジェを指さして……それから相手から見えていないことを思い出して、リジェに受話器?を差し出し 《GM》 受話器とかないよ!一応室内の声は聞こえるから返事すればおっけー 《シャル》 じゃ、指でさして声を出すように促す、かな 《リジェ》 【リジェ】「……じゃ、じゃあ、食堂で、一緒に」 多分届くくらいに声を出し。 《GM》 【魔族】『了解いたしました。夕餉の時間になりましたら、ご連絡いたします。それまでしばしお待ちくださいませ。』 《GM》 リジェの言葉に、そんな返事がかえってから直ぐに水晶からの音は消えてしまいました。 《GM》 《GM》 その後、2人が少し腹が減ったと感じた頃に魔族から再び連絡が入り、食堂へ案内され。そこでリジェにだけ『スライムの活動を制限する』薬をこっそりと渡されながら食事を行い。 《GM》 その薬に不安を感じたリジェではありますが、ちゃんと効果はあったのでしょう。腸内で媚薬変換されることもなく、久しぶりに気兼ねなく夕食をとることができました。 《GM》 その夕食の内容も、貴族でなければ食べられないような、以前リジェが食べ損ねたフルコースであり。 《リジェ》 なら、逆にその対応に怯え始め、挙動がなお怪しくなっている。 ……けれど、久しぶりにご飯が食べられてご機嫌になって、何も無いのかなと笑顔も見せるようになり。 《GM》 2人の舌を楽しめた後、2人は部屋に戻るとゆっくりと暖かい布団に包まれて眠ることまでできました。 《GM》 そしてその翌日―― 《GM》 同じく食堂にやってきた2人を待っていたのは、テーブルの最上座に座るアルアの姿でした。 《GM》 《GM》 《GM》 ◆クライマックス 《GM》 《GM》 【アルア】「そろそろと想っておったが、ちょうどよかったようじゃな。席につけ、共に朝餉をとろうぞ。」 にこ、と笑みを浮かべて2人に着席を促します。 《GM》 向かい合う2人の席、リジェのテーブルには昨日と同じ飲み薬も用意されており、超高級ホテルの朝食とも言えるパンとサラダから始まる用意が整えられた席です。 《GM》 その席で、うむ、とアルアは頷いて。 《リジェ》 【リジェ】「あ、は、はい」 アルアの姿に、少し挙動不審。 けれど、大丈夫大丈夫、帰るまでの我慢だから、と呼吸を落ち着ける。 《GM》 ▽ 《GM》 《GM》 おっとごめん 《リジェ》 ごめんちょっと早かった! 《シャル》 【シャル】「こんなに豪華な食事……久しぶりです。」テーブルの前で何度目かもわからない謝礼の言葉。「本当にいろいろ良くしていただいて…」 《GM》 【アルア】「どうじゃった、妾の館の住み心地は。なにぶん、ただ泊めるだけの経験は少ないのでな、執事が無礼を働いておらぬか心配であるが。」 2人が席につくと、フォークを伸ばしてソーセージを食べはじめて。 《リジェ》 【リジェ】「すごく、いい人たちばっかり、でしたよ」 フォークでサラダをつつきながら、少し上目遣いで。 《シャル》 【シャル】「素晴らしく居心地が良かったです。できることなら、またお世話になりたいくらいに」 《GM》 【アルア】「ならばよかった。さてどうする?妾としては、まだ逗留してもかまわぬと想っておるが。」 朝食をとりながらの会話。2人に向けたものであり、リジェに特に威圧感は感じさせない。 《シャル》 【シャル】「いえ……残念ですが、一座の仲間も心配しているでしょうから……」心配しているのは馬油の方かもしれない、などと後ろ向きな事が内心に密かに湧きあがる 《リジェ》 【リジェ】「え。ええと…… 友達にプレゼントを持って帰りたいので、できれば、早めに戻りたいな、と……」 少し控えめに、なるべく刺激しないようにと抑え気味に発言し。 《リジェ》 どこか後ろ髪を引く感覚は、頭を振って無理やり追い出す。 体に心が支配されないように。 《GM》 【アルア】「ふむ、そうか。」 2人の帰るという言葉に少し残念そうに頷き。 「ならば宿泊費を請求しよう。金貨200枚でよいぞ。」 さらりと告げた言葉。それは、確かにこのクラスのもてなしには相応の値段ではあるが、2人には到底支払えるものではなく。 《リジェ》 【リジェ】「にひゃ…… あの、ええと」 あわてて頭を整理して。 すっかりとそのことを忘れていて。 「手持ちに、そこまでのお金は、持っていないのですが……」 どうすればいい、と弱りきった目は聞いていて。 《シャル》 【シャル】「ええ、たすかりま………」ぴたっ、と動きが止まる。「その……私、売れてないもので……そんなお金は、とてもとても……」 《GM》 【アルア】「…なんじゃと?」 ぴくり、と2人の言葉に眉を上げて。 「普通の部屋が良いと聞いたので、普通の部屋でそれなりの代金を請求したのじゃが…仕方ない。ならば2人合わせて100枚でよい。」 ふむ、と頷いて譲渡案を出してみて。 「さすがに100枚も払えずにあの部屋に何も言わずに泊まったとは言うまい?」 《シャル》 【シャル】「二人で百枚……金貨、何枚あります……?」明らかに小さな財布を取り出して、手の中で逆さにして振って見せて 《リジェ》 【リジェ】「ん、ん……」 友人のために買った材料で、懐具合は寂しく。 到底そんな額には足りない。 ああなるほど、そう来たかと諦めが心を暗く覆い隠し。 「…… 申し訳、ありません…… あの、屋敷でお手伝いを、させて、もらえないでしょうか」 気付けば積極的に、こちらから提案を出していて。 《GM》 【アルア】「…ほう、たった100枚も払えずに『普通』の部屋に泊まるとはな。…ならば、代わりの案を出させてやろう。」 2人の申し訳なさそうな顔を見て、にこりと笑みを浮かべ。それが一転、邪悪な笑みに変わると。 「お主らの『胎』を買おう。1人あたり金貨100枚だ。それで宿泊費にしてやろうぞ。」 《GM》 その言葉と同時に、2人の前のテーブルに1枚の羊皮紙が現れます。 《リジェ》 【リジェ】邪悪な笑みに、身をすくめ。 けれど、「た、い?」 ぱちくり、と目を開き、羊皮紙を覗き込む。 《GM》 そこには簡単な1文があるだけ。それは… 「当主アルアの求める生命体を生み出すために、子宮および腸の権利を金貨100枚で譲渡することをここに契約します。」 とだけ書いてある。あとは、2人が名前を書くだけでその契約は成立できて。 《シャル》 【シャル】「代わりの、案……?」怪訝そうに形のいい眉をしかめる。「『胎』……?どういう、ことでしょう、か……?」ゆっくりと羊皮紙を覗く。どうにも嫌な予感がして 《GM》 【アルア】「何、ちょうど妾は生命を掛け合わせる試験に最近耽っておってな。鳥人や龍人に別種の精を植えつけるとどんなモノを生み出すのか、興味があるのじゃよ。」 くつくつと笑みを浮かべるアルアの姿は、既に先ほどまでの邪気のないものではなく。明らかに、害を為そうとしてる魔族の1領主の顔をしていて。 《シャル》 【シャル】「これ……は……?あの、冗談……ですよ、ね?」引きつった笑み 《GM》 【アルア】「妾は冗談は好かん。…安心せよ、その実験結果で声が良くなるやもしれんぞ?」 2人の前にペンが現れる。それでサインせよ、と簡単に手を伸ばして。だが、それにサインするかどうかは2人の自由意志であり。 《リジェ》 【リジェ】「っ」 その文面を見て、かたかたと震えだす。 アルアの顔を羊皮紙を交互に見て、やがて、諦めたようにうなだれ。 「……シャル、冗談でもこんな事には、ならないわよ」 思ったよりも素直に手が動いてペンをとり。 「ごめん。わたしがもっと気をつけていれば……」 すらすらと、ペンでサインを入れて。 《シャル》 【シャル】「……っ、ことわり、ます。時間はかかるかもしれませんが、一座で働けば、必ず……」往生際悪く羊皮紙を押しやり 《GM》 【アルア】「じゃがもう遅い。リジェは既にサインしたのでな――連帯責任、というものじゃ。」 アルアの言葉と同時に、部屋の壁が歪む。朝日を室内に取り込んでいた窓は歪み、消えて―― 《GM》 《GM》 2人が転移した場所。そこは、まるで内臓の中のような赤黒い室内。部屋の壁がうっすらと輝いているために室内の様子はよく見える。 《GM》 鼻腔には強烈な牡の臭い。見れば、床は全て精液に浸っており、2人の足首までをねっとりとした白い体液が汚している。 《GM》 そして、目の前には2つの肉塊がそびえたっていて―― 《GM》 【アルア】「安心せい。おぬしらがアレをもし倒すことができたら、さっきの契約はナシにして返してやろう。…くく、安心するのだな。本当に。」 《GM》 《リジェ》 【リジェ】「……すぅ、はぁ…… え?」 ちらり、とシャルのほうを見て。 申し訳なさそうな顔をして。 《GM》 【アルア】「そうそう、『空を飛ぼう』と考えないほうがよいぞ。妾は空を飛ぶハエは嫌いでな。…容赦なく打ち落とさせてもらう。」 くつくつと、2人の後ろにある椅子に腰掛け、優雅な様子で2人を見て。 《シャル》 【シャル】「なにっ、あれ……っ」目の前たあまりにも不気味な肉塊に身震いし、壁まで後ずさる。一歩歩くごとに白いどろりとした液体が足に絡みつき、今にも転びそうで topic [魔物卵巣(5)・魔物精巣(3)][リジュ(22)・シャル(3)・空気の悪魔(TP--)・ぬかるみ(TP26)・肉触手(TP12)][アルア(9)] 《リジェ》 【リジェ】「わたしは、ハエなんかじゃっ……」 くっ、と唇をかみ締め。 「シャル、戦わなきゃ…… されるがままよ?」 《GM》 では2人めがけて、肉の塊と粘液の塊が敵意を見せて襲い掛かる――! 《GM》 《GM》 セットアップ! 《GM》 何かあるかしら? 《リジェ》 トップスピード宣言! 《シャル》 【シャル】「っ……やる、しかない……っ」嫌悪感を必死に押し殺し、一か八か立ち向かう覚悟で睨みつけて 《シャル》 ここは……飛びたいが、飛ばない 《GM》 トンでもいいよ? 《シャル》 敗色が濃厚になったら、飛ぶね( 《GM》 とんだ対象にはアルアが攻撃するだけ 《GM》 飛ばない限りアルアは攻撃しませんし 《GM》 アルア以外を全滅できればアルアは君たちを逃がします。 《GM》 あぁちょっとミス 《リジェ》 それは、罠込み? 《GM》 こうだ 《GM》 罠こみ。 《シャル》 ふむ… 《リジェ》 ひぃー 《GM》 一応後ろだったわ 《GM》 シャルも何もないなら、まずリジュからどうぞ! 《シャル》 開幕ないですっ 《リジェ》 か、神鳴orz 《GM》 ぬかるみ突破は魔力、触手突破は体力です 《GM》 神鳴おっけー 《GM》 では魔物卵巣の攻撃! 《GM》 1d2 【ダイス】 GM - 1D2 = [2] = 2 《GM》 シャルに 《GM》 2d6-3 【ダイス】 GM - 2D6-3 = [3,4]-3 = 4 《GM》 ぺち。 《シャル》 はわぁっ 《GM》 ばしゃっ、と自分の体を作る粘液の一部をぶちまけます。 《シャル》 が、ガーディングっ!6点軽減して無効化っ 《シャル》 そしてMPは1になる……orz 《リジェ》 素敵構成。 《GM》 【アルア】「ほうほう、やりおるやりおる。」 楽しそうに見つめながら、後ろから声をかけて。 《GM》 では続いてシャル! 《シャル》 では、触手を体力で突破! 《GM》 こい! 《シャル》 2d6+6 【ダイス】 K03_Shallize - 2D6+6 = [6,3]+6 = 15 《シャル》 よし、かなりへった! 《GM》 やん、一発で消えたっ topic [魔物精巣(3)][魔物卵巣(5)][リジュ(22)・シャル(3)・空気の悪魔(TP--)・ぬかるみ(TP26)][アルア(9)] 《シャル》 よし、とっぱぁ! 《シャル》 () 《シャル》 【シャル】「なら……っ」思い切って目をつむり、触手の群れへと声とともに魔力を叩きつけて 《GM》 【アルア】「ふむ、この程度では足止めにもならんか?」 シャルがあっさり触手管を魔力で消したのをみて平然として。 《GM》 では魔物精巣の攻撃! 《GM》 1d2 【ダイス】 GM - 1D2 = [1] = 1 《GM》 リジュへ 《リジェ》 おうっ 《GM》 クラッシュ+サモン・スライム 《GM》 2d6+9 【ダイス】 GM - 2D6+9 = [2,3]+9 = 14 《GM》 防御で削れるのは6点までだから8点は必ずくらうぜ 《リジェ》 ん、んー。 《リジェ》 ならば、その他AP貫通させて終了! 《GM》 魔物精巣の、肉触手から吐き出された白濁。それはリジェのスパッツにぶつかると、じゅわぁ、と音を立てて繊維を溶かしていく! 《GM》 そしてトラップのターン 《リジェ》 【リジェ】「ん、くっ…… ま、だ」 《GM》 まずは精液の海から突然管がでてきて、2人に体液をふきかけます! 《GM》 2d6+14 両方にダメージ 【ダイス】 GM - 2D6+14 = [6,6]+14 = 26 《リジェ》 く、ぅorz 《シャル》 で、でかっΣ 《GM》 -【溶解毒噴射口】 (ポーン/耐0攻5特20-17) [kunashi] 《GM》 --TP1/任意/攻2d6+14/《大型》《薄絹の呪い》《隠蔽》《使い捨て》《発見解除》《寄生》《鍵》《浸透》《飛行無効》 《GM》 --繊維質をぐずぐずに溶かす粘液を打ち出す口。ぬかるみの大地に隠れて見えないのだが、ぬかるみのせいで射程も短い。 《シャル》 その他が飛んで0に 《GM》 こういうトラップが隠れていました。 《リジェ》 腰APを飛ばっ 《リジェ》 って、侵食攻撃!? 《リジェ》 HP貫通は、いたい 《GM》 いえ 《GM》 あ 《GM》 浸透消し忘れ 《リジェ》 (ほっ 《シャル》 で、水着か…痛いなぁ 《GM》 うむ、水着バッステ与えて 《GM》 このトラップは消えていきました。 《GM》 何かアクトあります? 《リジェ》 ええと、腰APとんで 《シャル》 使えません 《リジェ》 んー、まだ使わない! 《GM》 OK! 《GM》 では続いて 《GM》 空気の悪魔の攻撃! 《GM》 あ、ちが 《GM》 先にぬかるみの大地の攻撃! 《GM》 5d6 【ダイス】 GM - 5D6 = [2,3,1,5,2] = 13 《GM》 ぞろ目ったので水着効果でHPにどうぞ。 《GM》 -【ぬかるみの大地】 (ルーク/耐3攻0特12-5) [kunashi] 《リジェ》 ぶっ 《GM》 --TP26/魔力/攻5d6/《大型》《乱打Ⅲ》《寄生》《飛行無効》 《GM》 --魔物精巣から分泌される体液に満たされた地面。白濁の床は皮膚浸透で女の体を犯していく。 《シャル》 う…受動できないからそれでこしがと……13HPに、か 《リジェ》 おし、それはアヴォイド! HPに3点貫通! 《GM》 何かアクトするかい! 《リジェ》 もち! 《シャル》 残り23点か 《シャル》 アクトは……過敏な突起を宣言でっ 《GM》 リジェはー? 《リジェ》 尿道快楽 ゆるい尿道 尻穴奴隷 咽を焼く灼熱 で 《リジェ》 いく! 《GM》 おっと 《GM》 尻穴と尿道をいっきにやるか 《リジェ》 ふ。 《リジェ》 やりたい事をぶっちぎり! 《GM》 では… 《GM》 さっきまで地面にたゆたっていた精液の海。それが、突如意思をもったかのように2人の体をまるで卵の殻のように包み込み。 《GM》 内部を牡臭さで充満させながら、次第にその精液が上から滴り体を汚していきます。 《GM》 特にシャルには、未経験な股間に濃い精液がかかるように斜めにばしゃりとあびせられ。 《リジェ》 【リジェ】「は、ひゃんっ!?」 可愛らしい声をあげて、もうかぎ慣れた臭いに発情してしまい。 《GM》 そしてリジュには、その尻穴に眠るスライムを呼び起こそうと、尻に向けてばしゃりと浴びせられてしまい。 《GM》 やがて卵の殻が割れるように消えてしまうと、そこには股間に白濁がこびりついたシャルと…『餌』の臭いに暴れだし、リジェの尻穴からぶしゃっ!と吹き出たスライムの姿があって。 《GM》 お互いのその痴態を、見合ってしまいます。 《シャル》 【シャル】「っ……な、に……これっ……」体のほとんどを守る衣装、繊維の細かいはずのそれを容易く抜けてくるあまりにも濃密な精臭に戸惑いを隠せない。「きゃっ……きもち、わるいっ……」股間に浴びせられた精に怯えるように壁から逃げようとし……前に出たとたんに壁が消える 《GM》 シャルの視線とリジェの視線が絡み合った瞬間―― 《GM》 びゅるっ!とシャルの股間にこびりついていた精液塊が、意思を持ってその股間に吸い付き。緑の陰毛をなぞりながら、割れ目の一番上についている肉芽に絡みつき、粘液で擦り始めます。 《リジェ》 【リジェ】「ヤ、やだ、やめ、やめええええっ!?」 尻穴をスライムに抉られへたり込み。 白濁の海に沈み込み。 暴れ出したスライムに、発情した痴態を晒してしまい。 《GM》 一方、リジェはへたりこんだせいで精液の海に尻をつけてしまい。そのせいで1日以上『おあずけ』されていたスライムが餌を欲して、宿主の体を過剰に痛めつけながら精液をむさぼり始めます。同時に、水分を得るために自分の体を伸ばすと膣口を撫でながらその先、小さい穴へと伸びていって――遠慮もなしに、ぶちゃぁっ!とその穴にもぐりこみ、暴れながら奥へと進んでいきます。 《シャル》 【シャル】「やっ、なにっ、これっ……」浴びせられ、明らかに意識を持った動きで秘部に近寄っていく粘液にあわてて抑え込むように股間に手をやる。「んっ、どろどろ……して、気持ち悪いっ……」どろりとした粘液が陰核を擦る感触に我慢ができず、粘る液体を何とかしようと掴もうとする。しかし相手は液体であり、いくら手をやっても掴むことができず、手がどろどろに汚れるだけに終わってしまう 《リジェ》 【リジェ】「ひにゃ、あ、えあ、ああああっ!」 スライムに尻穴を擦られれば、感度がクリトリス並みになった菊門と、排泄のたびに発情していた尿道を抉られれば全く抵抗できず。 「やだ、おしっこの穴、お尻の中、腸の中あばれないでええええええ!」 《GM》 シャルが無謀にも精液塊を手で取り払おうとしますが、どんどん意思に反して精液がクリトリスへ取り付いていき。集まったその量は多く、やがてまるで勃起した肉槍のように白濁塊がシャルの股間に集まってしまいます。 《GM》 さらにそれを触ったならば、まるでクリトリスの中身を直接触られたような刺激が与えられ。もし取り除こうと握り締めたならば、クリトリスの中の快楽神経を握り締めたような電流を感じてしまうでしょう。 《GM》 そんなシャルと、尻穴と尿口をスライムに犯されるリジェを見ながらアルアは楽しそうに笑みを浮かべ。 《リジェ》 【リジェ】「ふぇ、うええ、やだ、もうやだ、気持ちいいけど、戻りたいの、もう壊れたくないのぉ」 お腹の中から発生する、酷い快感と幸福感に、いやいやをするように首を振り。 《GM》 【アルア】「っくははは!よいよい、いい宴じゃ。…さぁ、2人は此処で始めて会った仲とはいえ、今後同じ孕み胎として生活する仲間。それ、仲良くなるように手助けしてやろう。」 アルアの声と同時に、リジェは精液床に仰向けに転がされ。その顔をまたぐようにシャルを四つんばいに倒してしまうと、ちょうどシックスナインの体勢となってしまって。リジェの口内にいきなり精液100%の擬似肉棒がつきこまれ、シャルの目の前にスライ 《GM》 ムに蹂躙されるリジェの無毛まんこを見せ付けてしまい。 《シャル》 【シャル】「いやっ……何っ、この、変な、のっっ――――――?!?!?」現れた異形の白ペニスを取り除こうと、思いっきり握りしめてしまう。全身を襲うあまりの快楽に声にならない悲鳴が上がる。のけぞった咽喉からスカーフが落ち、シャルにとって最も隠すべき、恥ずかしい場所……龍石が露わになってしまう。「っ……やっ、あ……スカ―ふ・……を……」あわててスカーフを拾おうとするものの、それはすでに白濁の池の中、どこにあるかはわ 《シャル》 からない 《リジェ》 【リジェ】「しゃ、る? 駄目、こっち来たら、無理、我慢できなく、なっ……」 ごぼり、と口の中に擬似肉棒をつきこまれ…… 反射的に、奉仕するように吸い付いて。 《GM》 その間に空気の悪魔の攻撃 《GM》 2d6+6 2人ともに。雌豚狩り+誘惑なので、[魔物刻印]の数×2+使用済みクライシスアクトの数だけ追加ダメージです! 《リジェ》 ……テヘ☆ 《シャル》 【シャル】「んくぅっ……だ、め……リジェ、舐めない……っ、でっ……」初めて味わう女の口の感触。あるはずもない肉棒がリジェの舌で刺激されると、逃れようと腰が動く 《GM》 あら? 《GM》 2d6+6 《シャル》 む? 《リジェ》 半角、はいってない? 《シャル》 #1d6 使う? 《シャル》 K03_Shallize 1d6 = 1(1d6 1) = 1 使う? 《GM》 あぁじゃあそっちで 《GM》 #2d6+6 《シャル》 kuna_GM 2d6+6 = 6(2d6 4 2)+6 = 12 《GM》 12+補正! 《リジェ》 いたいいたいちょういたい 《シャル》 13点、か 《リジェ》 胸AP飛んだ! 《シャル》 腰APが飛んだ 《GM》 ほかにアクトありますかー?>シックスナイン中の2人 《シャル》 アクトは使えません 《リジェ》 …… 《リジェ》 うん、OK、使わない! 《GM》 あ。 《リジェ》 ? 《GM》 七毒もあるから、バッステ選択どうぞ! 《シャル》 尿意っ! 《リジェ》 催淫を選択。 既にかかっているので効果無し( 《GM》 アクトないなら、そのまま奉仕しあってください。うふふ、リジェまだゆるい尿道してないよね 《リジェ》 ……さぁ、顔にひっかけよう( 《リジェ》 【リジェ】「う、ん、くっ」 体が勝手に、肉棒を逃がさないように、舌を絡め、搾り取り。 頭を逃がさないように、くるりと足を絡めて、自分の秘所に押し付ける。 《GM》 リジェの口内には濃い牡臭と味をさせつつ、シャルのクリトリスには小さい口が噛み付いているような刺激を与えていき。同時にリジェの股間のスライムは動きを激しくしていって、シャルの眼前でM字に足を開かせてしまう。その結果見えるのは、既にぐっしょりとぬれた桜色の処女まんこと、無毛の股間。そしてスライムがいくらでも湧き出てくるリジェのくすんだ桜色の開きっぱなしのアナルであり。 《GM》 尿道にもスライムはかぶさり、その穴のサイズを広げていて。シャルにはリジェの尿道の奥までを目の前に見せてしまっていました。 《リジェ》 【リジェ】「ん、んんー、んんー、んーっ」 ぴくぴくと尿道を震わせ、今にも吐き出しそうで。 それが出てくれば、シャルの顔にかかるのは間違いなく。 「ぷは、精液、欲しい、おなか、すいた、ぺこぺこ…… じゅる、ちゅぱ」 先ほどと打って変わって、酷く乱れ。 《シャル》 【シャル】「いやっ……んくっ、むっ、ふくぅっ……」足を絡みつけられるとぐい、と頭を引きつけられる。至近距離で見せつけられていた初めて見る感じている女の姿、目をそらそうとしても首を動かせず、それどころか暴れるたびに尿意を刺激するようにスライムを揺り動かす。目の前でアナルからスライムが無数にわき出てくる姿に半狂乱になり、何とか逃れようと精液の海を両手で掻く。そのたびに白濁が跳ねあがり、二人の体を白い粘液が汚してい 《シャル》 く 《GM》 既にリジェのスズメのような小さな翼は精液にまみれ、白く汚れ始めており。尿道を犯すスライムの動きは、やがて膀胱に達すると、排尿を促す媚薬液体をその中に吐き出し、既にたまっていた液体にかき混ぜていきます。その結果として、リジェは直ぐにでも放尿しなければ気が狂いそうな快感が訪れ。同時に、シャルの口めがけてスライムの導線が延び、まるでシャルの口内へストローが伸びたようになってしまって。 《リジェ》 【リジェ】「お尻、きもちい、おしっこ穴、ぐちょぐちょ、出る、出るぅううううっ」 お膳立ては全て整ってしまい。 もはや我慢するほどの余裕などとうになく。 黄金色の液体が、シャルに向かって放たれて。 「いっぱい、出る、出ちゃう、ひさびさのおしっこでちゃうーっ!」 《シャル》 【シャル】「ふくっ、んんっ、んむぅっ、んんんんんんん!!!!」導管は咽喉の奥まで深々と導かれる。黄金色の尿液がシャルの口内に、咽喉へと送り込まれる。それは吐き出すことも許されない深さ、さらには丁寧にもその味をおぼえこませるべくところどころ穴まで開いている。「んぶっ、ぐっ、んむぅ、むぅぅぅぅ!!!!」鍛えられた腹筋が長い長い発声を可能にする。必死のもがきに疑似肉棒がシャルの口内を咽喉の奥深くまで突き、白濁の味が 《シャル》 どこまでも深く付きこまれる 《リジェ》 【リジェ】「ん、んんんんーっ!」 白濁を、幸せそうな顔で飲み干していき…… その時、ぱりぱり、と稲妻が走り。 《リジェ》 というわけで、神鳴! 《GM》 こい!どっちに! 《リジェ》 …… 《GM》 無論 《リジェ》 キャラクターが、勝つ事を諦めた。 《GM》 アルアにしてもいいんだよ? 《リジェ》 じゃあ 《GM》 (無駄 《リジェ》 そうする(・・ 《シャル》 w 《リジェ》 神鳴起動。 淫属性があるなら、ダメージに+15。 ミラクルパワー起動も宣言。 《GM》 おおう、こいこい 《リジェ》 1d6+6+32 【ダイス】 K22Lijye - 1D6+6+32 = [5]+6+32 = 43 《リジェ》 43点を倍で86点。 淫属性があるなら更に+30点! 《GM》 おお、いたいいたい。116点? 《リジェ》 最後の抵抗が終わった(ふぅ 《リジェ》 だね。 《GM》 【アルア】「ぬ…ちょっとそれは、ビリっときたのう。」 リジェの電流が激しい勢いでアルアの椅子を叩く。だが――そこに残るのは、全く持って平然としているアルアの姿で。 《リジェ》 【リジェ】「……どうせ駄目になるなら…… 最後くらい!」 渾身の雷撃を放つも…… 全く、効果はなく。 目からゆるやかに、生気が抜けていき。 《GM》 では次のラウンドかな? 《シャル》 はいっ、フライトっ! 《リジェ》 うん! 《リジェ》 一応、トップスピード! 《GM》 OK 《GM》 《GM》 ではまずリジェから! 《リジェ》 神鳴宣言! 《GM》 さすがにもう一発くらうと痛いんだよなぁ 《GM》 ではアルアが 《GM》 【アルア】「躾けもしておかねば、飼い鳥に突かれたまま放置はできんのでな…どれ、ハエは後で叩き落してやろう。まずは…リジェルタ、お主のしつけからじゃ。」 《GM》 と、差し出した手に氷のオーラが集まっていき―― 《GM》 1d6+16 ヘイルストーム! 【ダイス】 GM - 1D6+16 = [6]+16 = 22 《GM》 1d6+16 ヘイルストーム! 【ダイス】 GM - 1D6+16 = [3]+16 = 19 《GM》 1d6+16 ヘイルストーム! 【ダイス】 GM - 1D6+16 = [3]+16 = 19 《リジェ》 ええと(ごそ 《リジェ》 しんだ!( 《リジェ》 純潔の証 特殊な性感帯:手の指 隷属の喜び いぢめてください 《リジェ》 アクトは以上。 《GM》 OKOK 《リジェ》 で 《リジェ》 全滅表。1以外は落ちる( 《リジェ》 1d6+9 《GM》 +9だから 【ダイス】 K22Lijye - 1D6+9 = [6]+9 = 15 《リジェ》 (がっつ 《シャル》 素敵な目がw 《GM》 11~:ふらふらとモンスターの中へ歩き出す。モンスターに拉致され、肉奴隷や苗床、孕み袋として飼われる。あるいは奴隷として売られる。SPを+10し、ロストする。 《リジェ》 +10!? 《GM》 SP+10で死亡 《リジェ》 ちーん 《リジェ》 【リジェ】「は、ぐぁ……」 かくん、と膝を突く。 もう、体に力が入らない。 《GM》 【アルア】「どうじゃ、屈服したかリジュ。…もしそうなら、妾に奴隷宣言を行え。」 氷の嵐により気力を喪わせたのち、シャルの下にいるリジェに言葉をかけて。 《リジェ》 【リジェ】「……は、い」 氷の柱に拘束され、ゆっくりと言葉を紡ぎ始める。 《GM》 【アルア】「…味気ないのう。まぁよい、後でちゃんと奴隷としての躾けを施してやろうぞ。」 ぱちん、と指を鳴らすとリジェを拘束する氷の柱と共に、リジェの姿が部屋から消えていく。 《GM》 そうすると、残るはシャル1人のみであり。 《GM》 【アルア】「どうする?妾に孕み胎貸与契約すれば、子宮と腸以外はお主の好きにさせてやらんでもないぞ?」 くつくつと笑いながら、話しかけて。 《シャル》 【シャル】「あっ……」一人取り残された事で不安が一掃膨れ上がる。「……絶対、まけません……っ」 《GM》 ではこっそり卵巣の攻撃 《GM》 2d6-3 【ダイス】 GM - 2D6-3 = [4,5]-3 = 6 《シャル》 わっふぅ、受動で防げるが……MPがないっ! 《シャル》 胸で受けて残り6、乳辱! じゃなかった、大きすぎる胸 《GM》 では… 《GM》 スライムの塊のようなそれからの粘液が再びはきだされ、今度はシャルの胸元にふりかかる。 《GM》 すると、その繊維が解けとけ消え、豊かな乳房を少しずつ零していって。 《シャル》 【シャル】「ひっ……ん、あ……っ、やぁっ……」どろりとした粘液が生地をどんどん溶かしていく。濡れた液で胸に張りつき、その豊かな胸がもがくたびにぶるぶると震える 《シャル》 ではこっそり反撃で魔力で突破を 《シャル》 2d6+3 【ダイス】 K03_Shallize - 2D6+3 = [5,2]+3 = 10 《GM》 【アルア】「そういえばお主は龍人だったな。『石』は既に誰かのモノとなっておるのか?」 くすくすと笑みをうかべながら、少しずつ衣類をはがれる様子を見つめて。 「しかしよい体つきじゃ。その体ならいい母体となれるじゃろう。全くもっていい拾い物をしたものじゃな。」 《GM》 というわけで精巣の反撃しつつ 《GM》 2d6+9 クラッシュつき、サモン・スライム 【ダイス】 GM - 2D6+9 = [3,1]+9 = 13 《シャル》 胸が壊れて、アクトが使えずっ 《GM》 7点確実 《GM》 では空気の悪魔の攻撃 《GM》 2d6+6 【ダイス】 GM - 2D6+6 = [5,3]+6 = 14 《シャル》 アクトは全部で、受動できず! 《GM》 使用済みアクト分追加ダメージですよ! 《シャル》 HP残り9………積んだな( 《GM》 では先に戦闘を終わらせておこうか 《シャル》 剃毛、おもらし、後ろの処女、純潔の証、異形の交合、と 《シャル》 はいさっ 《GM》 次のラウンドで 《GM》 何か開幕あるかい? 《シャル》 今度はなしで 《GM》 では 《GM》 アルアの攻撃で 《GM》 【アルア】「さてでは、お主もリジェと同じ場所へ送ってやろう…何、心配するでない。お主は一度、ちゃぁんと放流してやるからのう。」 《GM》 と、アルアの声と同時にシャルの体を吹雪が包み込み―― 《GM》 1d6+16 【ダイス】 GM - 1D6+16 = [4]+16 = 20 《GM》 《GM》 《GM》 1d6+16 【ダイス】 GM - 1D6+16 = [5]+16 = 21 《GM》 1d6+16 【ダイス】 GM - 1D6+16 = [2]+16 = 18 《GM》 ちょっとミスッタ 《シャル》 【シャル】「やっ……あ……っ」体を庇うように小さくする。無駄な抵抗、それでも最後まであきらめることをせず…… 《シャル》 1発目でHP0、ですね 《GM》 これで倒れるなら、致命傷表+2ですよ! 《シャル》 降りますね? 《シャル》 1d6+2-1 マイナス1はある 【ダイス】 K03_Shallize - 1D6+2-1 = [5]+2-1 = 6 《シャル》 ……たおれたか、完全に 《GM》 6:力尽きた全身が瘴気に嬲られ、性感帯を開発される。SPを+2され、HPが1以上になるまであらゆる行動を行えない。 《シャル》 【シャル】「あっ……ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっ……」弱弱しい声が魔力を持って吹雪に抗う。しかし、その声もやがて吹雪の轟音に飲まれ…… 《GM》 【アルア】「さて、気を喪ったか…シャル、お主にはどういう『夢』を見せるかのう。」 くつくつ、と笑いながら氷に封じられた龍の歌姫と共に、空間を転移し―― 《GM》 《GM》 《GM》 ◆エンディング 《GM》 《GM》 精神まで屈服したリジェ。肉体のみ封じられたシャル。 《GM》 2人は偶然にも同時に目を覚まし、その場所がどこかと顔を上げた。 《GM》 その場所は、シャルの使っていた部屋。あの豪奢なベッドに2人が並んで寝ているようだった。 《GM》 どうやら全身に陵辱の跡はない。服に乱れもない。さっきまでのは夢だったのだろうか…そう想って上半身を起こした2人が見たものは、目の前にある椅子に座っているアルアの姿だった。 《GM》 【アルア】「さてリジェ。まずはそのベッドに添えつけてある鎖でシャルの両手を縛るのじゃ。」 主として、僕に命令するように。隣に寝ていた龍人の女性を拘束する指示を出し。 《GM》 ▽ 《GM》 《リジェ》 【リジェ】「ふ、ぁ……」 目が覚めた。体は動く。アルアの姿を見つけると、びくりと体がすくんで。 「はい、わかりました」淀みなく、鎖を手にとってシャルの腕を拘束し、暴れられないように鍵をかける。 《シャル》 【シャル】「ん……ゆ、め……」目を覚ますと同時に目に入るのは豪華な天蓋。さっきまでのは夢なのだろうか、とどこか虚ろな声。「!!あなた……はっ」ただ、目の前にいるアルアの姿をみとめたとたんベッドの上で体をちぢこめ……「やっ、やめっ……リジェ、冗談……でしょ……?」暴れるよりも早く手錠をかけられる。鍵の閉まるがしゃり、というとが妙にかん高く部屋に響く 《リジェ》 【リジェ】「最初に言った、でしょ? 冗談なんて…… ここには無いわ」 頑丈な錠前の鍵を外せば、もう普通の動きでは外す事もできない。 「ごめんね、シャル。 楽になれるんだったら…… わたしの事、恨んでくれていいから」 ぽす、とベッドから降りて、アルアのほうに向かい、鍵を渡そうとして。 《GM》 【アルア】「冗談なものか。ほれリジェ、シャルに挨拶してみせい。お主がいったい『何』であるのかわかりやすいようにな。上手く出来たら褒美をやるぞ?」 くすりと笑みを浮かべ、暴れようとするシャルをみつつ。リジェから鍵を受け取り、その手を握り、撫でて。 《シャル》 【シャル】「いやっ……そんな、うそ……でしょ……」重たい鎖の感触が何よりも現実を知らしめる。「恨む……?恨むなら……」まっすぐに見つめるのはアルアの目で 《GM》 【アルア】「良い良い、その妾を憎む眼も愛しいものよ。やがてその視線が媚びるものになると思えば、いいスパイスじゃ。」 くつくつ、と笑みを浮かべながら黒いゴシックドレスの中から触手をはやし。それがリジェの指先に絡みつくと、くちゃくちゃと音を立てはじめる。 《リジェ》 【リジェ】「はい。 わかり、ました」 顔に浮かぶのは、諦めと、期待と、羞恥のない交ぜになった複雑な表情で。 「わたし、リジェルタは、アルアを主とし、永遠に雌奴隷となる事を誓った一匹の雌鳥です」 《リジェ》 【リジェ】「いついかなるときも、アルア様のお言葉に従い、ひれ伏すだけの存在です。 わたしの残る人生、この体躯(からだ)を自由にお使い頂き、満足いただける事だけを考えています。 わたし、は、こんな淫乱、な、ただの、一匹の雌、です」 つらつらと、準備していたように服従の言葉を述べ、裾を持ち上げてくわえ、股を開く。口上だけで、恥ずかしげに濡らしているのが丸見えになって。 《リジェ》 【リジェ】「アルア、様、その、お手が……」 撫でられ、触手に絡みつかれると、面白いようにぴくぴくと体を震わせる。 普通の人ならどうともない仕草、しかしリジェには性感帯を弄くられる快感が突き抜けて。 《リジェ》 【リジェ】「あ、あの、アルア、様の、お手が汚れてしまいます……」 手を撫でられ、触手に絡みつかれると、面白いようにぴくぴくと体を震わせる。 普通の人ならどうともない仕草、しかしリジェには性感帯を弄くられる快感が突き抜けて。 《GM》 【アルア】「ふむ、よしよし。リジェは妾のペット、唯の飼い鳥であることをちゃんと理解しておるようじゃな。くくく。なぁリジェ、既にお主の体は妾のものよな?つまり、妾が何をしてもかまわぬのだよな?」 触手にリジェの手を嬲らせながら、手を離し。スカートをめくりあげてぬれたスパッツを見せてくるペットをみながら、シャルにも視線を向けて。 「シャル、妾は今から何をすると想う?リジェは体の変化を覚えることが出来るじゃろうが 《シャル》 【シャル】「リジェ……っ、あな…た……」シャルが身じろぎするたびに鎖がじゃりじゃりと揺れて音を立てる。懸命に瞳では睨みながら、しかし体は未だ敗北を覚えているのか震えてしまっている 《GM》 、見ているお主は何をされるかわかるまい。さぁ、当ててみよ。当てればお主は無罪放免、何もされずに帰ることができるぞ?」 さす、とリジェの下腹部をなでながら、龍人の歌姫に嘲る声をかけて。 《シャル》 【シャル】「……っ」無罪放免、その言葉に反発を覚えながらも逃れる術を考える。そう、こんなことをする相手だ、どうせすることは一つ……「……する、つもり……でしょ……」ぽそぽそと聞こえない小さな声 《リジェ》 【リジェ】「ひゃ、い。 全ては、アルア様の一存、です。 アルア様に粗相をした罰も、受けなければいけません、から」 恥ずかしげに、小さく頷いて。 その様子は、しがらみから解き放たれたように、罰を受ける事を望んでいるようにも見える。 《GM》 【アルア】「何をするつもりなのかな?妾にはてっきり聞こえはせぬ。」 執拗にリジェの下腹部を撫で。何時の間にやら触手は壁から生えており、今ではリジェの両手に絡み付いていて。管状のその触手に、少しずつリジェの両手が飲み込まれていく。じわりじわり。無数の触手ヒダにリジェの両手は舐めしゃぶられつつ、その触手は肘、肩へと向けてナメクジのような速度で進み。 《シャル》 【シャル】「せっく……す、を……するつもり、でしょ……」恥ずかしそうな声。そこまで行った事で逆に肝が据わったのか、八つ当たり気味に大きな声を出す。「どうせ、そこで……セックス、して……私に見せつける、つもり、でしょっ!!」 《リジェ》 【リジェ】「ん、ふ、ふぅっ。わたひの、両手、気持ひいいい…… ひゃ、なんで、腕も?」 両手が飲み込まれ、嬉しそうに鼻を鳴らす。 快感でのあたまがとろけそうになりながら、スカートの裾がつばでぐしゃぐしゃになるほど噛んで見せ付けるようにしている。 《GM》 【アルア】「ふむ?」 きょとん、と。珍しく呆けたような顔をして。 「妾は悪いが女体でな、男性器は生えておらぬ。まぁ、触手を生み出して取り付ける程度ならできるが…まぁ、残念じゃが今回は妾はセックスはせぬよ。この程度ならするがな。」 手をふりカップに湯気のたつ紅茶を呼び出すと、それをリジェの股の下に差し入れ。 「リジェ、妾の紅茶に蜜を注げ。魔に堕ちた処女の蜜ならば、いい味付けになろう。」 リジェの両手から触手を 《GM》 抜き取り、粘液まみれの両手を空気にさらして。既に、肘より下全てが指先のように敏感になったリジェに、紅茶に蜜を入れろと命令して。 《GM》 【アルア】「とりあえずシャル、お主は回答に失敗した。ペナルティ1じゃな。…さぁ、回答権はまだあるぞ?ヒントをやろう、妾は今からリジェの体をいい家畜として改造するつもりじゃ。これを使ってな。…どう改造するとおもう?」 紅茶を持っていない逆の手を見せると、その先に濃い瘴気の塊を生み出し。メイデンとはいえ浄化しきるのに時間がかかりそうなその瘴気に、壁から生み出した触手の卵を溶かし込んで。 《リジェ》 【リジェ】「シャル……」 多分、それ、半分しか、という言葉を飲み込んで。 「ひゃい。 わかり……ました」 ごくり、とつばを飲み込んで、そろり、そろりと自分の秘所に指先が触れると。 「ひゃいいいいっ!?」 性器同士を擦り合わせたような、いやまさしくその通りの過剰な快感。 一瞬で、ぽたぽたと秘蜜が垂れ落ちてきて、紅茶へと降り注ぐ。 粗相はぎりぎりで我慢して、尿道はぷるぷると震えており。 《シャル》 【シャル】「たま……ご……?そんなの、わかるわけが……っ」リジェが淫蜜を紅茶に注ぐ。異常な光景から逃れるように助けを求めて顔をそらす。鎖で戒められた両腕で体を掻き抱き、全身を襲う震えを抑えることができない 《リジェ》 【リジェ】「かち、く…… ひゃうっ。 たまご……家畜に、されちゃうんですね。 わたし」 数ヶ月前、何度も狂わされたあの感覚を、体が心に呼び戻してきゅん、と心が高鳴る。 途端に、おっかなびっくり触れ合っていただけの秘所からの蜜の量が増えて。 《GM》 【アルア】「ふふふ、よいよい、いい蜜じゃ。…そのフィルタもいい仕事をしておるようじゃが、何。味も…」 すぅ、と音を立てずにリジェの蜜いり紅茶を飲み。 「うむ、いい牝奴隷の味が出ておる。…とりあえず生で賞味してみるか。」 紅茶のカップを横におくと、シャルの目の前でリジェの股間に顔をうずめ。スパッツごしに、ぺろりと膣口を舐めて。魔族の体液という天然媚薬をシャルのスパッツに塗りつけながら、細い触手がスパッツに浮か 《GM》 び上がるリジェのクリトリスに絡み付いて。 「んちゅ、じゅる、じゅるる…」 音をたてながら、リジェの蜜をすする。同時にリジェの両手を再び触手が包み込み、性感帯改造していって。 「…もし妾の口に放尿してみろ。今度は卵が2万個は産ませてやるからな。」 などと言って、今度はリジェの尿口へ吸い付き。 《シャル》 【シャル】「卵……?産ませ……っ、まさ、か……っ」その二つの単語でようやく頭の中でつながる。「卵を、産ませる……?そんな、おぞましい事……がっ……」 《リジェ》 【リジェ】「ありがとう、ござい、ま、はひっ♪」 気持ちよさそうな声をあげて、だらしなく顔をゆがめる。 過敏なクリトリスは触手にしごかれると、ぴんぴんと存在を主張しながら快感の度合いを物語り。 「アルアさま、そんなに産んだら、壊れ、ちゃいます、許し、はひっ! お許し、くださ、いぃ」 全身の、いや、1箇所以外の性感帯を刺激され、頭を振って快感を逃がそうとするが、全く無駄で。 《リジェ》 【リジェ】「無理、お許しくださ、ひゃあっ!」 性感帯と化している尿口だけでも、凄まじい快感が生まれ。 「やだ、卵たくさん、気持ちよくて死んじゃうから、耐えなきゃ、駄目っ」 自分に言い聞かせるように、声に出して。 けれど、その声がそのままシャルにも聞えているということは、考えている余裕すらなくて。 「ゆび、だけじゃなくて、腕も、なんで、おかしく、なる、手がおかしいよぉ……」 そして、変わっていく腕の感覚に 《リジェ》 、半泣き状態になって。 《GM》 【アルア】「リジェがイく前に正解とは、またシャルも酷なことをする。」 シャルが正解を言ったために、リジェへの攻めがぴたりととまり。口はリジェからはなれ、両手を包み込む触手も動きがとまる。それは、絶頂直前だったリジェにはつらい刺激でもあり。 「シャルが回答できなければ、そのままイかせておったが…仕方ないのうリジェ、シャルが正解したので、攻められぬ。」 まるで、今リジェが苦しんでいるのはシャルのせいだ、というよ 《GM》 うに。そんなささやきを行い。 《GM》 【アルア】「さてシャル、第二問…妾はリジェにどうやって卵を産ませると想う?さぁ、どうやってかのう?」 その問題にシャルが解答できれば、確かに魔族は無罪放免の言葉通りに逃がすかもしれない。けれど、正解するということは目の前で寸止めにより苦しむ少女をそのままにする、という意味でもあって… 《リジェ》 【リジェ】「アルア、さま、そん、なぁ……」 哀しげに、切なそうな喘ぎ声をあげる。 飲み込まれたままの腕は拘束され指一本すら動かせず。 絶頂に達せない、ゆるやかな焦らししか伝わってこなくて、逆にそれが辛く。 おしっこが出そうな尿口は、未だ震えたまま。媚薬詰めにされたスパッツは、別の液体でもうびしょびしょになって。 「シャル……」 助けて、とは言わない。 何故かこんな事になっても、巻き込んでしまったという責 《リジェ》 任は無くならず、言葉を飲み込んでしまっていて。 けれど、切なそうに、口を半開きにして、よだれまでたらしたその顔は、酷く苦しそうで。 《シャル》 【シャル】「どう、やって……?」続く問題にどう答えればよいのかわからない。リジェの苦しそうな視線とちらり、と目が合う。「わから、ない……っ、そんなけがらわしい事、わかるわけ、ないっ……」 《GM》 【アルア】「回答放棄か?…くくく、これでお主の1勝1敗。次の問題で答えが決まるのう。…ちなみに卵を産ませるために、こうするのじゃよ…!」 左手をもってふりかぶり、苦しそうに悶えるリジェの下腹部へとその瘴気塊を押し付けて。濃密な魔界の空気は体に浸透すると…どくん、とリジェには体内で脈打つ音が聞こえ。自分の子宮が、改造されていく感覚を途方もない快感と同時に理解してしまう。それと同時に両手を覆う触手が一気に肘まで 《GM》 を包み込み、そこまでをクリトリス並みの感度に仕立あげて。 《シャル》 【シャル】「っ……いやっ、いやぁぁぁっ!そんなの、絶対いやっ!見たく、ない……っ、聞きたく、ないっ」両手の戒めから逃れようと 《GM》 【アルア】「リジェの子宮のみを、低位魔族のものに仕立て上げた。なぁに、今後まともな子を孕めぬのと、どんな生物相手でも子を孕めるくらいしか違いはないのでな、家畜にならば問題あるまい。」 シャルににこりと笑顔をみせながら、シャルの下腹部に何か禍々しい刻印が生まれていく様子をみせて。その刻印は少しずつ大きくなっていくと、その刻印を隠す布地を綺麗に消滅させていく。…おそらく、その刻印は『隠す』ようなもの全てを消して 《GM》 しまう呪いすらあるのだろう。ちょうど子宮のある位置全てを覆った刻印は、赤く染まってリジェの体が書き換わった事を示して。 《シャル》 【シャル】「っ……いやっ、いやぁぁぁっ!そんなの、絶対いやっ!見たく、ない……っ、聞きたく、ないっ」両手の戒めから逃れようと必死に暴れる。鎖が耳障りな音をたて、しかしシャルの体力が無意味に消耗されるだけで溶けることはない。両手で耳をふさぎ、目をつむり……しかし、真に恐ろしい物からは目をそらすこともできない。薄く開いた目がちらちらと見つめ、耳を覆う手もよく見ればかすかに隙間がある 《リジェ》 【リジェ】「は、ひぁっ!? おなか、奥、あかちゃんのところ、おかし、何、や、やああああああっ!」 初めて何者かに刺激された場所。けれど雌の本能で、それは子宮からの快感であり、そこが何かおぞましいことを行うのに適したように改造されていることを理解し。 腕の感度が性器並みになった異常を感じ取り、触手に舐めしゃぶられる快感に思考がゆるゆるとおかしくなっていき。 「おてて、おかし、やっぱり、今まで指だけだったの 《リジェ》 に、手も、変え、変わ、変わってるぅ、ひゃいいっ!」 少し切なげで甘い悲鳴は、シャルの耳をも侵していき。 《リジェ》 【リジェ】「は、ひ…… やっぱり、お腹、おかしく……なったん、です、ね」 一見何も変わらないお腹。けれど、全く異質な物へと変貌したことは体感的に理解した。 何故なら…… そこが、燃えるほど熱くなり、あの熱くてねばっこい液体を欲し始めたから。 《GM》 【アルア】「よいよい、お主ら2人ともいい声じゃ。妾の館で歌姫となるか?くくく!」 絶望に咽ぶ声、そして快楽に喘ぐ声。二重奏はアルアの耳に心地よい様子であり、うっとりとしながら2人の様子を見続けて。 「あぁ、リジェ。お主の子宮は既に妾のものとなった。故にほれ、こうすれば…」 何か、空中を握るような仕草をしてみせる。するとそれだけでリジェの卵巣は排卵をはじめ、子宮内に受精を待つ卵を準備して。なぜかその様子ははっ 《GM》 きりとリジュに理解できる。 「あとはほれ、お主の大好きなソレじゃ。好きにしてみせよ。」 ぶつん、と触手袋が床から切れて。リジェの両手に肘まで覆う薄い手袋のようになりながら、内側では常に脈動を行い両手を攻め苛み。みれば、シャルの顔の傍に2本の触手が生えている。片方は、以前に尻穴に挿入した産卵管。そしてもう一つは…どぶんどぶんと精液を垂れ流す、男性器のようなもの。 《リジェ》 【リジェ】「おなか、子宮まで、アルア様の、ものにしてくださったんですね」 座り込み、嬉しそうな顔で、切り離された触手の手袋でお腹を撫で回し。 そしてぴくぴくと震えながら、ぽわ、と陶然とした顔のまま、触手を手にとるが、すこしと惑ったように主を見上げ。 「あの、アルア様、わたしまだ、処女のまま、ですが…… この触手に、捧げないと、いけないでしょうか?」 少しだけ、困惑した様子。 けれどそれは「念のため」の確 《リジェ》 認、で。 《シャル》 【シャル】「―――っ、いやっ、いやぁぁぁっ」突き出された触手から逃れることができない。左右を向けば触手が、正面を向けば乱れるアルアとリジェの姿が目に入ってしまう。触手が垂れ流す精液にシャルの美しい顔が白く汚される。白濁の滴が顎を通じて首を、胸を汚していく。当然その途中にある龍石も白い液体でどろどろに怪我されてしまう 《GM》 【アルア】「妾は何も手を下さぬ。既にリジェの処女蜜は味わったしな。」 リジェの言葉にそれだけ返して、手袋触手にリジェの両手を嬲らせて。既にリジェの膣内は潤みきり、先ほどのアルアの唾液で口は開いてしまっている。子宮すら、受精を望み口をぱくぱくしてしまっているのをリジェには理解できるだろう。 「じゃから、これだけ言おう。『よし』と。」 にたぁ、と笑みをうかべてペットに許可を出し。それだけでリジェの我慢は限界に達 《GM》 してしまうだろうか。 《GM》 【アルア】「シャル、ちゃんと一晩を共にした相手の処女喪失を見てやれ。お主が見なければリジェがかわいそうじゃろう?それに、お主の処女を捧げる相手でもあるのじゃ、動きを見ていて損はあるまい。」 錯乱している龍人の女性に、何事もないように声をかけ。それは、シャルもリジェの次にその触手に捧げられる、という意味であって。 《リジェ》 【リジェ】「く、ぁ…… は、はい」 ああもう、ここまで守りとおしたものに、価値は無いと感じ取ってしまって。 産卵管と、男性器に似た触手を手に取り。 「アルア様、初めてでつたないかもしれませんが…… わたしが乱れる姿を、ごらんください…… いい痛、痛いいっ!」 そう言って、躊躇わずに触手で処女膜を貫き。 途端に口から洩れる悲鳴と、膣口から洩れ出る鮮血。 それをごまかすかのように、貪欲な尻穴に産卵管を無理や 《リジェ》 り押し込み。 《シャル》 【シャル】「いやっ、ぜったい、いやぁ……っ」頂点をむかえた混乱、だが触手によってその頭を押さえつけられる。目をそらすこともできず、悶えるリジェと、不気味にうごめく触手手袋を見つめる。「ひっ……い、やぁっ……」痛みを訴えるリジェにますます恐怖を煽られてしまう 《リジェ》 【リジェ】「だいじょうぶ、よ。 シャル……」 無理に笑顔を作って、悲鳴を上げるシャルのほうを向いて。 「なるべく、痛くないように、手伝ってあげられるようにお願いしてあげるから、ね?」 《GM》 【アルア】「どうじゃ?今までずっと大事に守ってきたものが、今お主自身の手で喪ってしまったぞ。…全く持って、無意味だったであろう?そのせいで、その幸福が今まで味わえなかったのじゃからな。」 リジェの膣口から、破瓜の血が滴るのをみながら笑みをうかべ。リジェの膣穴を始めて犯す、獣臭い触手はまるで壊れたポンプのように精液を膣内に吐き出して。その精液に魔族子宮が反応に、脳髄に直接快楽電流を送り込む。それは、一瞬で『子 《GM》 宮に精液を受けることは気持ちよく幸せなのだ』と脳みそに焼き付けてしまって。 《GM》 同時にリジェの尻穴に突き刺さった触手は、いつかの時と同じように彼女の尻穴を広げ。細い先端が、開発されきった尻穴の奥へと進んでいくと…やがて、腸内のスライムと出会い。そこに、ぷぷぷぷ、と無数の卵の素を吐き出していく。そして、大腸全体の壁に触手卵が突き刺さる刺激が与えられると、以前の1万個連続産卵の快感をリジェの脳内に呼び起こしていって。 《リジェ》 【リジェ】「はい、アルア、様。 教えていただいて、ありがとう、ございま、あ、--っ!」 流し込まれた精液は、酷く甘美な快感を生み出し。尻穴からは、何度も経験し、しかし飽きることすらできぬ過剰な快感の記憶を呼び起こされる。「子宮、改造子宮、気持ちいい、お尻も、たくさん、たまご、たまご出せる、いっぱい、いっぱいぃ! お尻から卵産むの、子宮からも産むのーっ♪」 これから起こる未来を予想し、狂ったように悲鳴をあ 《リジェ》 げる。 《シャル》 【シャル】「お、おかしい……っ、絶対、おかしい……っ」異常な快楽に蕩けるリジェの姿。シャルの信じる常識とはあまりにかけ離れた姿にすでに思考はほぼ停止状態… 《GM》 【アルア】「よいよい、ペットの望みをかなえるのも主の務めじゃ。気にせず『孕み胎』として受胎に励め。」 早くも子宮に吐き出された精液に、貪欲なリジェの卵子たちは飛び込んで。直ぐに受精が完了してしまうと…どすん、と子宮に突き刺さり母体から養分を吸収する。その代償として、卵と化したリジェの受精卵はリジェの子宮から体内に媚薬を分泌させていき…同時に、リジェの直腸に突き刺さった卵からも養分が吸収される。その減った養分 《GM》 は、きっとアレでしか回復できない…と想うリジェの目の前に、牡臭い、リジェの膣内に突き刺さったものと同じ精液を吐き出し続ける触手が現れて。 《GM》 ぼたぼたぼた、と垂れていく精液はシャルの顔面に。つまり、リジェが家畜餌をむさぼるためにはリジェの顔に触手に犯されている股間を擦りつけなければ届かないだろう。 《GM》 ぼたぼたぼた、と垂れていく精液はシャルの顔面に。つまり、リジェが家畜餌をむさぼるためにはシャルの顔に触手に犯されている股間を擦りつけなければ届かないだろう。 《リジェ》 【リジェ】「はひ、ひぁ…… 触手、触手気持ち、いいよぉ…… アルアさま、ありがとう、ございます、わたし、頑張りますうううううっ!?」 ずるずると触手を出し入れしながら、性器と化した手と、感度五倍の菊門からの快感を味わっていると、急に精液を吐き出され、媚薬を分泌しながら体中の栄養が吸われていく感覚。「卵、媚薬たくさん、だめ、おかしくなる、おなか、すいたよぉ……」 《リジェ》 【リジェ】 膣口の触手を抜くことも考えたが、それは叱責を受けそうだし、なによりもこの快感を逃す事は避けたくて。 辛そうに顔をあげると…… ベッドの上から、おいしそうなごはんの臭い。 「ごはん、精液、飲みたいよ……」 股間から二本の触手を生やしたまま、ぺた、ぺたと這いずりながらベッドにあがり。 怖がるシャルの様子を見て、無償に哀しくなって。 「シャル…… 駄目よ、そんな顔、してちゃ。 アルア様から見えない 《リジェ》 ように、かくしてあげるわ」 にこり、と笑顔を見せ。 触手に貫かれたれた股間のまま、シャルの上にまたがり、凄まじい勢いで、男性器状の性器を舐めしゃぶる。 《GM》 シャルの眼前で、リジェの処女穴が抉られていく。つぅ、と滴る血と蜜の混ざった淫液がシャルの口内にぽたり、と入ってしまいつつ…みれば、激しい勢いで触手がリジェの膣穴と尻穴を犯している様子が見えて。膣穴に突き刺さっている真っ赤な触手からは兎も角、尻穴に突き刺さった半透明な触手をみると、細長い米粒のような卵が何個も何個も延々とリジェの尻穴へ注がれている様子が見て取れる。 《シャル》 【シャル】「いやっ……そんなの、見せないで……っ」首にまとわりつく触手の所為で逃げることもできない。リジェがまたがると自然、その秘所はシャルの顔に押し付けられ……どろりとした液体がリジェの股間で塗り広げられる。「んんっ、く……いや、……リジェ、放し……て……」目の前で雌の二つの穴が大きく広げられる。真っ赤な触手は破瓜の血が混じった愛液を顔中にこぼし、透明な触手は無数の卵をリジェの尻へと注ぎこんでいく。「……ん 《シャル》 くっ、やだっ、何か……たれて、くる……っ」 《GM》 かつては口に銜えようとも、出されるものを飲もうとも想わなかったその男性器のような触手から吐き出される精液を、リジェは口内から喉へと流し込んでいき。苦く青臭いその臭いは、今のリジェには最高級の食物のような気がしてくる。いくらでも飲める、その精液を飲み込み、体内を真白に染めながら…つん、とシャルの鼻先がリジェのクリトリスに触れると、それもまた新しい快楽が走ってしまって。 《リジェ》 【リジェ】「ぺちゃ、ぺちゃ、くちゅ、ん、ちゅ、ごく、ごく…… ねぇ、お腹の卵に吸われて、全然足りないの、たくさん、ちょうだい……」 咽を鳴らして、おいしいご飯を飲み込んでいく。 その間にも、二本の触手は、先ほどまで処女だった穴や、完全に孕み穴兼性器と化した後ろの穴を犯していて。 「シャル、『これからシャルもこうなるんだから』、嫌がってたら…… 辛いよ?」 そっと髪を撫で、また精液を零す触手にしゃぶりつい 《リジェ》 ていく。 「はひぃ、ひぁ、あああっ!?」 クリトリスに触れられると、口を離してしまう。そして、新しい快感を得た瞬間…… また、イってしまい。その瞬間噴出した精液がこぼれ、シャルの顔にも降り注ぐ。 《シャル》 【シャル】「きゃっ、あ……」ぼと、ぼとぼとぼとっ、ぼたっ。勢いよく溢れた愛液と精液の混合液がシャルの顔をさらに汚す。鼻に入るのは生臭い、精液の臭気のする空気だけ。鎖のついた両腕こリジェの腰にあてがい、何とか持ちあげようと暴れる。しかしその手もすでに白濁にまみれ、何度頑張ってもリジェの肌を滑るだけに終わる。 《GM》 【アルア】「さて、リジェ。そろそろシャルも孕み胎にしてやらねばならんのだが…」 精液にむしゃぶりつきながら、シャルの顔に股間を擦り付けるリジェの様子を楽しそうに見つつ、声をかけ。 「そういえば先ほどお主、『痛くないように、手伝ってあげる』とか言っておったな?…では、お主にしてもらうか。」 既にリジェの腹はわずかに膨らむほどに精液がたまりきっており、口から摂取した精液が大腸に届いてスライムも活発に卵を育て始め 《GM》 ている。そんな状況だからこそ、か…ぱちん、とアルアが指をならすとリジェの両穴に突き刺さっていた触手が根元からちぎれ、そのままシャルの股間にはりつくと…そそり立つ人間を凌駕したサイズの男性器となってしまい。その肉触手ペニスバンドは、空気になでられるだけで膣穴と尻穴に突き刺さっている触手へと刺激が送られ、リジェの体に快感を与えていく。…もしこの触手を濡れそぼった牝穴に突き入れたらどうなるか…それが、リジェの頭に 《GM》 欲望として浮かび上がって。 《リジェ》 【リジェ】「はひ、はっ……」 吐き出してしまった精液がもったいなくて、下を見る。 「アルア、様? あ、え、ひゃぅああああっ!?」 触手が変貌し、自分に触手ペニスバンドが生えてきたのを見て…… どくん、と黒い欲望が噴出してきて。 そろり、そろりと顔から降りて、シャルの股間に移動し、がっちりと足を押さえる。 「アルア様、シャルが孕み雌になるのを、今からお手伝い、してあげますね。 シャル、力、入れない、ように 《リジェ》 ね?」 まだ何も受け入れたことの無いシャルの秘唇に、ぴたりと触手ペニスバンドを押し付けて。 《シャル》 【シャル】「ひっ……や、だ……何か、触れてる……っ」リジェの股間に生えた肉バンドの生温かい奇妙な感触。リジェの体が間にあるため直接見ることはできないが、それでも何が起きているのかは……わかる。「っ……やだ、やめて、ね……リジェ……っ」両足をきゅっ、と内またにして引きしめる。いつの間にか体に上手く力が入らず、リジェの股間に生えたそれの感触が驚くほどにはっきりとわかる 《リジェ》 【リジェ】「ごめんね、無理なんだ…… だって」 そっと、シャルの頬を押さえてから 「約束、したからね」 唇を強引に奪い、ぐりぐりと腰を押し付けて挿入を開始する。 「ん、ふううううううっ」 同時に生まれる、自らの双方の孕み穴への快感に悶絶しながら、更なる快感を求めて挿入を続け…… 《GM》 【アルア】「いいぞリジェ。好きなだけ『優しく』してやれ。」 ぴたり、とシャルの膣口に触れただけで両方の穴を優しくなでられたような刺激がリジェの体に走り。はっきりいって、物足りないレベルのその刺激の中、シャルの閉じた足はリジェには邪魔に感じてしまうだろうか。それをリジェがどうするか、を見るのもアルアの楽しみのようであって。 「そうだリジェ、お主は妾のペット。ほれ、少しは触手の使い方もわかるじゃろう?」 言われ 《GM》 てみれば、アルアの支配していない触手はリジェにも操作できるような気がして。実際それは、リジェの想うとおりに動かすことができるだろう。 《リジェ》 【リジェ】「ぷは…… はい、アルア様。 試して、みます、ね。 んっ……」 唇を離し、振り返ってにっこり笑う。 操作してみようとすると…… 自らのペニスバンドから媚薬が洩れ出てきて、シャルの膣穴に、急速にしみ込んでいく。 「こんな、風、かな? ねぇシャル、それじゃ、破っちゃうよ?」 つんつんと、亀頭の部分で処女膜をつつくと、きつさと同時に奇妙な感覚も生まれてくる。 《シャル》 【シャル】「んくっ、んんんっ……いやっ、いやぁぁっっ……」リジェの手により強引に足を開かれる。肉棒が触れた秘唇はどういうわけかすでに微かに濡れている。それは、リジェの淫らな姿を見た所為だろうか?ぴったりと閉じた穴がリジェの肉棒により押し開かれる。小さな穴が悲鳴を上げ、塞がれた口からくぐもった悲鳴がこぼれる 《GM》 【アルア】「どうじゃリジェ、シャルの穴の感触は。処女だろう?優しく奪えるのか?」 後ろから2人がもぞもぞと触れ合っている様子を見ながら、手を操作してリジェの子宮を操作し。再び排卵させ、子宮に新しい受精卵を着床させつつ、リジェがどう振舞うのか楽しみにしていて。今、リジェの膣内と尻内にある触手からの感覚は、ちょうどリジェがゆっくりと差し入れているのと同様、ゆっくりと肉を貫いていくもどかしいほどの刺激であり。 《シャル》 【シャル】「んっ、んむぅっ、っ……っぷぁっ……」ようやく口が放されると荒い息をつく。「い、いた…い……」張りつめた処女穴はまだ破られてもいないのに強引に開かれて痛みを産む。じり、じりと湧きあがる媚薬液が膣粘膜から吸収されれば、シャルの秘穴はそれを吸収し……少しずつ、どろどろとした淫蜜が湧き始める。「っっ……、い、やぁ……っ」押し込まれた肉棒に処女膜が張りつめて悲鳴をあげる。あとひと押し、本のひと押しでそれは破 《シャル》 れ、リジェのそれを膣の奥まで迎え入れるだろう 《リジェ》 【リジェ】「とっても、気持ちい、です。 でも、ものたり、なくて、やさしく、って……」 苦しそうに、今すぐにでも突き破りたい、狂いそうな体を必死に押し留めて。 「しゃる、シャル…… 物足りないの。 入ってるだけじゃ苦しいの。 動かしたいの。 ねぇ、動いていい? 処女膜、破っていい? ゆっくり、優しく、するから、さ」 ギリギリと歯を食いしばりながら、指の腹でクリトリスや乳首を刺激しつつ。 《シャル》 【シャル】「はくっ、ん、んんんんっっ………」染み入る媚薬、優しい愛撫に少しずつ体はほぐれていく。「やっ、あ……それ以上、だ……めっ……」どろりとした蜜が絡みつく。淫肉がきつく締め付け、しかし快楽に緩み始めて少しずつ動きが生まれる。リジェの肉棒を咥えこんだ秘穴がかすかに蠕動し、さらに奥へ、と体が誘い込む 《リジェ》 【リジェ】「ひ、ぎぃ、あ! シャル、もう、御免、だ、め……っ!」 締め付ける膣穴、胎動する卵、そして精液の渇望に、拒否している心を裏切るのが申し訳ない、そう思う心が吹き消されて。 ぎりぎりまで張り詰めた処女膜を、ゆっくり、ゆっっくりと破っていき。 それが余計な苦痛を生むとも知らず、静かに肉棒を埋めていき。 「あ、熱い、シャルの中熱い、熱くって狭くって気持ち、いいよぉっ!」 《GM》 リジェがシャルの処女膜を破いていき、シャルには喪失の痛みを感じさせ。けれど、その痛みはリジェには反射されることはなく、ただ処女のキツい肉穴の締め付けだけをリジェの体内に突き刺さった肉棒が太くなることで感じさせて。だが、そこで触手は動きを止める。リジェが少しずつ奥に進めるごとに、リジェの体内の触手も同じだけ進むことで、リジェの穴を奥まで犯されるには、リジェがシャルを奥まで犯さなければならない、と直感的に理解し 《GM》 てしまい。 《シャル》 【シャル】「んくっ、んんっ………っ、やっ、あ……っ」 ぶちり シャルの中で何かが千切れる音。一瞬ののちにゆっくりと、時間をかけて破られた処女膜がついに千切れ、破瓜の血があふれる。「あくっ、うぐっ、んんんん――――!!!!」絶叫。声にならない悲鳴がシャルの口からこぼれる。ドクドクと血が流れるたびに痺れるような痛みが頭へと駆け上がる。膣口から破瓜の血が一滴流れ落ちると同時に、シャルの瞳からほろり、と 《シャル》 涙が零れ落ちる 《リジェ》 【リジェ】「いいいっ…… あ、ひ、足りない、足りないの、もっと奥、奥のほう……」 シャルのクリトリスや乳首を弄くる手を激しくして、そのまま覆いかぶさる。 こぼれた涙を舌でつうっと舐めとって。 「入れるから、ね? 奥、犯すよ?」 耳元で囁いて、一気に奥を貫いて。 《GM》 【アルア】「どうじゃリジェ、シャルの具合は」 シャルの処女喪失による絶叫を心地よく聞きながら、ペットの様子に声をかけて。同時に、祝砲代わりとでもいうのだろうか、ベッドの天蓋に無数のペニスを生やすと、ばしゃんっ!と音を立てるほどの大量の精液シャワーを2人にあびせかけた。おかげで心地よかった柔らかいベッドは精液にまみれ、ぐっしょりとぬれたシーツが臭いクリの花の香りに包まれてしまい。 《シャル》 【シャル】「んくっ、は……あぐっ、はいらな……っ、もう、いらなっ……」血が流れ出すリズムに合わせて膣口がぎゅ、ぎゅとリジェを絞めつける。陰核も乳首も、すでに硬くとがり、刺激されればシャルの全身に痺れるような初めての感触が走る。「んむっ、けふっ、げほっ……」ベッドに上むきに寝かされていたため、まともに顔面にザーメンシャワーを受けてしまう。リジェが舐めとるたびにその顔から白いそれは落ちていくものの、ベッドにまでし 《シャル》 みついた精臭は決して落ちることはない。痛みから逃れようとする本能的な反応か、シャルの体はこれ以上ないほどに快楽に敏感になっている。精液が体を伝う、ただそれだけの感触すらはっきりと感じ取る。きゅっ、とまるでじゃれるように一度肉穴が締まる。どろりとした淫蜜が肉棒を伝い、零れ落ちる 《リジェ》 【リジェ】「あ、はぁあああああ……」 自らの奥も貫かれる快感に打ち震え、奥に突っ込んだまま、しばらく絶頂痙攣していて。 「とっても、気持ちいい、です、アルア、さま。 精液の臭い、素敵……」 シャルの顔や、胸にかかったものを舐めながら、自分の手に、腕に塗りつけてしみ込ませていく。 そして、ぞりぞりと破瓜直後の秘所をこすりあげながら擬似肉棒を抜いていき…… また一気に突き刺す。 そしてシャルの乳首やクリに奉 《リジェ》 仕しながら手指で味わう快感も味わいながら、徐々にシャルの膣をならしていき。 《GM》 【アルア】「ふむ、では妾は3時間ほどこの場を後にしよう。その間、お主が好きなだけシャルを使ってかまわん。…あと、今お主に少し呪いをかけた。『シャルが絶頂しなければ絶頂寸前から開放されない』呪いだ。これはシャルが気を喪うまで続くぞ。」 きゅ、とリジェの子宮を操作して全身に瘴気と媚薬を溢れさせつつ。無理やりに性感を増幅させていき。 「そしてシャル、お主には『絶頂すればリジェに植えつけた卵をお主が孕む』呪いをかけ 《GM》 た。イけばお主も立派な産卵奴隷だ。…くくく、がんばれ。」 2人にそんな、対照的な呪いをかけると、すぅ、とその姿をかき消していき。 《シャル》 【シャル】「んくっ、ぐっ、ん……んぐぅっ!?くっ、ん、あ……っ、はくぅっ!?」傷口を擦りあげられるたびに苦悶の声がこぼれる。精液を舐めとられた部分はそれまで以上に過敏になり、少しずつそのうめき声の質も変わっていく。苦痛から快楽へ、と。「はくっ、ん、あ……っ、くぅっ、ん……っ。やっ、ま……って……っ」じりじりと快楽が高まっていく。それでもまだまだ絶頂までの距離は遠く。「あくっ、んっ、あんんっ……やっ、ぁぁぁっ」 《シャル》 媚薬と瘴気に全身の快楽がむき出しになる。膣穴から肉棒が抜けていくたびに、体の中全てを引きだされるような、そんなすさまじい快楽が走り抜ける 《リジェ》 【リジェ】「アルア、様、酷い、です…… でも、たっぷり、シャルを、可愛がっておきますね」 笑顔を返して、ずちゅん、と腰を打ち付け。 「ねぇシャル。 たっぷり、イってね? そうしないとわたし…… 気持ちよくなりすぎて、寸止めされて、壊れちゃうから。 お尻も使えるように、あとで仕込んで、あげるね?」 ちゅっと頬にキスをして、腰を激しく振り始め。 《シャル》 【シャル】「あ……っ、や、だぁ……っ。たま、ご……いやぁっ……」ぶんぶんと首を振りたくる。その体はシャルの意思とは関係なく、どんどん昂って行ってしまう。「やっ……いやっ、お尻、いやっ……」激しく振られたリジェの腰にシャルの子宮まで刺激される。脳天まで突きぬけるような強烈すぎる刺激に、思わず一瞬シャルの意識が、飛ぶ 《GM》 《GM》 《GM》 《GM》 そして3時間後。 《GM》 《GM》 【アルア】「どれ、リジェどうなった?」 ほんの30分前、呪いが消えた事を察知したアルアは悠々と再びその部屋に戻ってきて。シャルが気を喪っているためか、リジェも強制的な性欲増加状態は終わっているとおもうのだが。 《リジェ》 【リジェ】「あは、あははは…… あ、アルア、しゃま、おかえり、なさい…… あ、また、イく、イくっ!」 ごりごりと気絶したままのシャルの尻穴を犯しながら、アルアの方を振り返り。 また絶頂に達し、ふくらんだお腹から、またごぽりと精液が洩れ出てくる。 《シャル》 【シャル】「あひゅっ、あ……っ、くぅっ、ふぁ……」ぐったりと両穴から精液をあふれさせて気絶するシャル 《シャル》 【シャル】「んくっ、はぁっ………」ぐったりとした姿からは意思が感じられず。どれほど注がれたのか、そのお腹はぽっこりと膨れあがってすらいる 《GM》 【アルア】「なんじゃ、呪いは解けたというのにずっとシていたのか?…ふむ。」 手を伸ばし、ぐに、と何かをつかむとリジェの子宮が再び操作され。そこにたまっていた何個もの殻を持つ卵がごりゅ、と転げてリジェの子宮の内側を擦り。 「シャルもいい具合にこなれてきたようじゃな。…よし、リジェこっちにこい。あぁ、シャルにこっちをよく見えるようにしてな。」 《リジェ》 【リジェ】「はひゃっ!? は、はいいっ!」 卵の感覚で、少し正気を取り戻し。 シャルについた精液を舐め取りながら、こちらをよく見えるように体を動かして。 「アルア、さま? 次は、何を……」 期待に満ちた目で、力の入らない足腰を無理やり立たせ、四つんばいになりながら近づいて。 《シャル》 【シャル】「あひゅっ、く……んんっ……」ずるずるとリジェの肉棒が抜けていくとかすかに身じろぎする。ぐったりしたままのシャルは未だに起きる様子もなく、なされるままにリジェによって姿勢を変えられる。ごぼっ、ごぷっ……だらしなく開きっぱなしの尻穴から泡立った白濁が零れ落ちる 《GM》 【アルア】「なぁに。お主らに処女喪失記念の贈り物を作っておっただけよ。」 ふい、と手を揺らすと、そこには箱が現れ。中にあったものをみせると…それは、リジェがクレスフラウの友人に渡そうとしていた銀のピアスであり。だが―― 「お主のピアスを借りてな。似たものを作ってきたのじゃよ。ほれ、似ているじゃろう?」 悪戯っぽく笑いながらもう片手をふると、今度は正真正銘、リジェの手作りピアスが現れて。 《リジェ》 【リジェ】「すごい……」 わざと意匠を変えてある部分以外、寸分違わない品に、感嘆の溜息を漏らし。 「それを、つけて、貰えるんですか?」 どこにつけるのか、というのはわからず、アルアの足元にペタンと座り込んで。 《GM》 【アルア】「面白い仕掛けもあるぞ?」 弟子ともいえるリジェのその様子に、先ほどまでの陰惨な態度ではなく淑女らしくもう1つのピアスを見せて。 「ほれ、このピアスはな…これが、こうなるのじゃ。」 リジェの手に握らせた、アルアの作ったピアス。それが、アルアが手に持つ別のピアスを指ではじくことで、リジェの手の中のピアスも振動して。 「つまり、『おそろい』というわけじゃ。しかもこの魔銀…銀に大量の瘴気をしみこませて作 《GM》 るものじゃが、延々とさした場所に瘴気を流し込む能力があってな。魔族であれば永続の力ともなるし、人間であればほんの数日で狂わせることもできる。そして…メイデンならば、付けられた場所から永遠に媚毒が流し込まれる、そういう作りになっておる。」 《リジェ》 【リジェ】「あ、あ…… すごい、です」 淫欲と向上欲求がないまぜになり、ごくり と咽を鳴らし。 「え、あの、それじゃ…… 気持ちいい、ところにつけたら……」 ぞくりと背筋が震える。 多分、シャルも聞かせてあげたほうがいい。 そう思って、ベッドへと戻り、頬をぺちぺちと叩き。 《シャル》 【シャル】「…………ん、んん……」何度か頬を叩かれるうちにうっすらと意識が戻る。まず感じたのは秘所と、そしてお尻の痛み。そして、全身を襲う異常な脱力感。繰り返した絶頂はシャルの体から体力を奪い、うっすらと目を開けるとどこか茫洋とした視線があたりを彷徨う 《GM》 【アルア】「ふふふ…」 リジェがシャルを起こしにいきながら、ベッドに戻るトコロで背後から近づき。頬を軽く叩き、シャルの 《GM》 【アルア】「ふふふ…」 リジェがシャルを起こしにいきながら、ベッドに戻るトコロで背後から近づき。頬を軽く叩き、シャルの意識がよみがえった所でリジェの両足を天井から生み出した触手でM字に開き、同時に股間に張り付いていた触手を落としてリジェの股間をあらわにして。 「見えるかシャル、今から妾がリジェに褒美のピアスをつける所じゃ。よぉく見ておくのじゃぞ。」 《リジェ》 【リジェ】「シャル、おきた? 今からアルア様から、いいお話あるよ…… って、ふぁ!?」動きを止められ,もじもじと体を動かす。 どこも隠す事はなく、手を後ろで組み…… 興奮を高めるように、指を絡め、自慰を初めて。 「アルア様から…… 気持ちよくなれるご褒美をいただけるなんて、わたしは、幸せです」 ぽたぽたと蜜と、精液をたらしながら。 《シャル》 【シャル】「ん、あ……っ。や、もう……むりっ、おかさ、ない……ふぇ……?」自分が気絶した事を覚えていないのか、記憶が飛んでいるようで。アルアがいるのを不思議そうに見つめる 《GM》 【アルア】「くくく…ほれ、見えるかこのリングピアス。これを、此処につけてやる所じゃ。」 伸ばした手で空中でM字に足を開かされたリジェの股間に触れ。そのまま勃起しっぱなしの肉芽にふれると、その皮をむいて露出させて。 「リジェ、痛むぞ。…イってよいからな。」 シャルの反応なぞまたず、リジェにそれだけ告げて。その次の瞬間に、麻酔も何もなしにその勃起クリにリングをピアスしてしまい。リジェにクリトリスをちぎられそ 《GM》 うな痛みが走るが、それと同等、痛みをかき消すほどの絶大な快感が走り、一気にその体を絶頂へと上げさせて 《リジェ》 【リジェ】「はひっ! え、そこ、そこは…… い、や、怖っ」 とめてもらえるはずもない、しかし、手でさえぎったりすることはけしてせず。 「いだい、いだ、い、あ、ひああああああああアアアアアアアっ!」 甲高い悲鳴をあげ、高い絶頂へとあがっていく。 普通なら痛みで気絶しそうな行為、しかし、痛みを上塗りするほどの快感が、心を焦がし、絶頂から戻ってこられない。 《シャル》 【シャル】「やっ、あ……?な、なに……?」はたから見てわかるほどの困惑ぶり。「っっっ―――。」絶叫するリジェに自分も痛そうな顔をして顔をそらし、しかし瞳はそらすことができない。「あ……う、そ……っ」噴き出す淫汁、リジェが絶頂してることに気が付くとそらした視線がなぜか、戻っていく。 《GM》 リジェの股間からは直ぐに痛みが消えていく。それは痛みがマヒしているのではなく、傷口が異常な速度で修復しているせいであり。その修復の素になるものは、魔銀の瘴気。肉体を淫らに改造しながら、修復していく作用にリジェのクリトリスは感度を今までの数十倍に跳ね上げられながら、元の形を取り戻しており。その証拠に、血はもう出ていない。 《GM》 【アルア】「リジェ、今の気持ちはどうじゃ?」 本人にとっては、既にクリトリスに瘴気が注ぎ込まれて常に媚薬注射を受けている状況。まだなれないその状況でしゃべれるかはわからないが、とりあえず聞いてみて。 「ふむ、これの効果もあるかのう?」 ぴん、と手に握った未使用リングをはじくと、ちゃんとリジェのクリに取り付けられたリングも震えてしまい。 《シャル》 【シャル】「変…だよ、だって……」ごくり、と唾を飲み込む音「こんなので、イく……なんて……」 《リジェ》 【リジェ】「いひあ、あ……」 イき続けて、潮を撒き散らし、全身を存分に汚してから、ようやく落ち着いて。 「あるあ、しゃま、ご褒美、ありがとう、ございましゅ…… たいせつ、に、しましゅ…… ひぃん!」 過剰すぎる快感には産卵で慣れていたのか、意識を取り戻すのは比較的早く。 ろれつのまわらない舌で、必死に言葉を紡ぐ。 ただし、追加の快楽には酷く過敏に反応し、また愛液を噴出すほどだが。 「変、かも…… けろ、 《リジェ》 しゅごく、頭馬鹿みたいになっれ、きもひいい、の……」 シャルの呟きに、とろけた笑みで答えて。 《シャル》 【シャル】「おかしい……っ、だって、そんなの……刺さって……痛い、はず……っ」ピアスの効果を知らないシャルは怯えた声を出し 《GM》 【アルア】「ふむ、よしよし。」 触手の束縛を解いてリジェの体を椅子に下ろして。 「さぁリジェどうする?あと1個ピアスは残っておる。これはどうするべきだと想うかのう?」 にこり、と笑みを浮かべてそのピアスをリジェの手に握らせて。ペットがどういう反応をするのか楽しみで、椅子をずらしてリジェとシャルが正面から向き合うようにあつらえて。 《リジェ》 【リジェ】「痛くても、きもちい、の…… わたしの体、もうおかしいの、かも。 でも、シャルがつけても、きっろ同じ、だよ?」ふくれたお腹を大事そうに撫で、快感に狂った顔を、気持ちよさそうにゆがめ。 「え、あ、アルア、様?」 戸惑ったように、主とシャルを交互に見て。 やがて…… 膨らんだ腹を重たそうにしながら、よつんばいでベッドに戻っていく。 「シャル。 はやくも、教えてあげれる機会が、できたよ?」 《GM》 【アルア】「ピアス片手に精液に汚れたベッドに戻る姿…くくく、中々見れるものではないからのう、リジェ、お主の好きな場所につけてやるといい。」 リジェが何をしようとしているのかは、主には理解できてしまい。その邪魔はさせるまい、と手をふると…ベッドから伸びた触手がシャルの両手両足に絡みつくと、にちゃりと音をたてて媚薬を四肢に塗りながらM字開脚でベッドに固定してしまい。 《リジェ》 揺れるリングは過剰な快感を伝えてきて、ふるえる玩具よりもなお酷くクリトリスを責め。 何度も崩れ落ちながら、やがてリングを口にくわえて、ベッドの上に這い上がり、シャルのほうにゆっくりと近づいていく。 《シャル》 【シャル】「ひっ……やっ、あ……何、する……の……っ?」じゃらり、と鎖が鳴る。動かないはずの体がかすかに後ずさるが、すぐにその手脚を鎖に囚われる。「やっ、へんっ……だよ、こない……でっ……」腹いっぱいに詰め込まれた卵にそのお腹はいびつに膨らんでしまっている。Mの字に拘束された足の間で秘所からは未だに精を垂れ流し続けている 《リジェ》 【リジェ】「怖がる気持ちはわかるよ……」 重いお腹を揺らし、股間に口を近づけ、お腹の上にリングを置いてから、秘所から垂れた精液を美味しそうにぺろりとなめあげ。 そして指でクリ皮を剥いて、また奉仕自慰を始める。「ここに、つけてあげるから。 我慢してね?」 《GM》 【アルア】「リジェ、麻酔は欲しいか?」 すぅ、と手をふりリジェの近くに液状の麻酔が入った瓶を出現させ。その中の液体を塗りつけるだけで、その場所は無感覚になる高級品を無造作に転がして、使うかどうかをリジェに任せて。 《リジェ》 【リジェ】「そう…… ですね。 わたしみたいな変態じゃないと、つけると気絶して、壊れちゃうかもしれませんから。 使わせて、貰います。 ……お、お代は、体で、お返ししますから」 頬を染め、麻酔のびんの蓋を開け。 《シャル》 【シャル】「やっ、そんなの……いやぁっ……」びくん、と体が震える。むき出しにされたクリトリスは真っ赤に充血し、そこを擦られれば秘唇が開いてどろどろした白濁の流れる量が増す。「や、だ…、そんなの、いらな……っ……」お腹に乗せられたピアスを小さく体をふるって落す。怯えの色を明らかにしたシャルは、しかしいかに暴れようともほとんど体が動かせない 《GM》 【アルア】「さぁ、リジェ。お主の好きにするがいい。…まぁ、もし麻薬を使えば効果は6時間ほど効く、とだけ覚えておくといいかもしれんがな。」 2人のボテ胎牝をみながら、楽しそうに笑みを浮かべて。 《リジェ》 【リジェ】「いくよ? シャル」 指に落麻酔液をたらし。 そのまますぐに栓を締め、クリトリスになじませる。 そして、落ちたリングを拾うと……「こんな素晴らしい細工を無碍に扱う子は、おしおきだね?」 くすりと笑う。けど、その目の奥には、真面目な怒りが篭っていて。 否定させる間もなくクリトリスにリングをつけてしまう。 《シャル》 【シャル】「いやっ、いやっ、いやぁっ!!」リジェの指が陰核に薬を馴染ませると次第にその感触が薄れていく。それでも、本能的な恐怖に硬く目をつむり……股間のあたりに、微かな違和感がした。覚悟していたような痛みはいつまでたってもやってこず……「……?んっ、くぅっ、ふくっ、な、に……これっ……?」麻痺した陰核の感触はないものの、その周りから少しずつ媚奥が広がっていく。困惑した声を出し、恐る恐る薄眼を開く 《リジェ》 【リジェ】「くす…… んんっ♪」 チン、とリングを弾くと、自分にも快感が帰ってきて。 大きなお腹をゆすって、腹の中から来る快感にも素直に反応を返し。 「シャル、気分は、どう?」 《GM》 【アルア】「あぁ、麻酔をつかったのじゃな?…くくく、シャル、その麻薬は6時間の間、お主の股間の感覚をマヒさせる。ただし、その内部だけは別じゃ。ピアスから内部に染みる瘴気はお主の性感を刺激するし、ピアスの振動だけはお主に快感を与えるじゃろう。…じゃが、それ以外はまったく無意味。さぁどうする?ずっと、6時間もの間その状況を続けることができるかのう?」 《シャル》 【シャル】「んっ、くふぅっ……っ」リングから広がる快楽、しかし感じ取れるのは肝心の部分の抜けた、何とももどかしい感触。「な、に……?」 《GM》 【アルア】「ただし、その麻酔効果を抜く方法は1つだけある。…どうもこの麻酔はな、毛根に反応して効果を発揮するようでな。…もし、お主が除毛を懇願するならば、この除毛剤を使ってやらんでもないぞ?」 す、と手の中に生み出した瓶を見せて、それをリジェに手渡し。もしそれをつかえば、毛根ごと消滅してシャルの股間には二度と毛が生えることはないだろう。その代償として、6時間の苦痛から逃げることができるのだ。 《リジェ》 【リジェ】「あ。 ええと……」 手の中の除毛用の薬を見て。 「どう、しま、すか?」 意地悪く、クリトリスをひねり、リングを弾きながら聞いて。 《シャル》 【シャル】「………っく、んっ……変、体の……奥からっ………」じりじりと嬲られるような快楽。「ひぁっ、ん、くぅっ……」リングを捻り、直接刺激されれば刺激は強くなる。秘所からあふれた淫蜜がどろり、と一瞬勢いを増す。「んっ、くぅぅぅっ……から、だ……変、おかしく……なるっ……っ」 《GM》 【アルア】「妾に出来ることはもうあまりないのでな。シャル、お主が屈服するまでこちらで茶でも飲むとしよう。リジェ、お主もこっちに来い。たまにリングをはじいて、シャルを遊んでやれ。」 テーブルに座り、紅茶を生み出し。シャルに余計な刺激を与えないようにしながら、その痴態を肴にお茶を飲んで。 《リジェ》 【リジェ】「くす。 おかしくなっちゃう前に…… 楽に、なりたいでしょ?」 優しくお腹を撫でて。 「でも、楽になったら、わたしみたいな変態に、なっちゃいますよ?」 楽に逃げられないように、一言加えて。 《リジェ》 【リジェ】「あ…… はい。 只今」 嬉しそうに、ベッドから這い降りて主の足元に擦り寄って。 《GM》 【アルア】「さてリジェ、お主はどれだけ持つと想う?」 普通の人間ならばまず1時間で色狂いになり、その後半日で完全に元の人格を壊すほどの魔の媚毒を注ぎ続けるクリピアス。その効果は、現在なおも媚薬に冒されているリジェにはよくわかるものだろう。それを、触っても解消できないのならば、下手をすると本当に狂うかもしれず。 「お主にはほれ、これを使わせてやるか。」 床に座るリジェの股間に、ずぶぅ、といきなり床から触手を生 《GM》 み出し挿入し。媚薬毒に犯された牝穴をほじり、精液を再び注いでいって。 《シャル》 【シャル】「くぅっ、んんんっっ……」じんわりとお腹から広がるリジェの手の暖かさ。一瞬だけ体が楽になった気がしたものの、それも所詮気のせいでしかなく。「んっ、っく、んうっ、く、ぅっ………」じりじりとした物足りない感触に汗を浮かべた身体が身悶えする。「やっ、あ……っ、んくぅっ……おかしく、おかしく、ぅ……」体が少し動くたびに鎖が鳴る。重々しい鎖の音を伴奏に、龍の歌姫が切なげに鳴き狂う 《リジェ》 【リジェ】「強い人なら…… 3時間くらいは、持つんじゃないでしょうか? でも、1時間も持たないのが、普通だと、思います」 はぁ、はぁと少し苦しそうに息を吐いてから答えてから。 「は、ひぃんっ♪ あ、ありがとう、ござい、まぁっ!」 膣中の卵に精液をかけてもらい、嬌声まじりの礼の言葉を述べる。 《GM》 【アルア】「シャル、お主が『除毛してください、お願いします。』と一言言えば、直ぐにでも開放してやるぞ?しかもその後は楽しい楽しい産卵パーティだ。普通に生きていては味わえない、快楽の宴を愉しませてやるぞ。」 リジェの頭を撫でてやりつつ、懐から1つの銀塊を取り出し。それをぴん、と指ではじくと…シャルとリジェのクリピアスが一瞬だけ激しく振動して。 「くく、これはそのピアスの元でな。少し増幅を込めてあるから、少しの 《GM》 振動でピアスが過剰振動するのじゃ。たまにこれで遊んでやるからな、壊れる前に言うがよい。」 聞こえているかわからないが、シャルにそう言ってからリジェを犯す触手の動きに集中し。尻穴を抉り、今度はそちらの中に射精してみせると、スライムが久しぶりの餌に喜んで大腸の中を暴れ周り。 《シャル》 【シャル】「あ……っん、くぅっ……がま、ん……っ、が、まんっ……っ」気がおかしくなりそうなじれったい快楽。ほんの少しの身じろぎでもリングが揺れ、シャルを責める。はぁはぁと熱い息を吐きながら苦しそうに悶え続ける。「んくぅぅぅっっ、ひぁぁっっ」唐突に震えたリングにかん高い悲鳴が上がる。もうシャルの体感時間では何時間もたっている気がするのに、実際には数分程度でしかなく 《リジェ》 【リジェ】「あ、ふぁ」 嬉しそうに、顔を蕩けさせ。 取り出した塊を覗き込もうと、顔をあげた時 「ひゃいいいんっ♪」 犬のように悲鳴をあげ、崩れ落ちる。 刺さっていた触手が奥深くささり、また絶頂を極め。 尻穴にまで触手を入れられれば、後は乱れるしかなくて。 「お尻、中、スらいむ、たまご、暴れて、気持ちい、イっちゃい、イっちゃう、イっちゃうよおっ!」 嬉しそうに声をあげながらも、シャルには 「我慢、しないで 《リジェ》 も、いんだよっ」 と、声をかけて。 《リジェ》 そして時折、ベッドに近づいてはリングを鳴らし。 もしくは、自分のものを鳴らして楽しみ…… 《シャル》 【シャル】「はっ、あ……ん、あぅぅぅぅっっ……」リングが鳴るたび、リジェの喘ぐ姿が視界に入るたびにもう落ちてしまいたい、と言う甘い誘惑がシャルの心をよぎる。それに耐えるのは渾身の意思が必要で、時間とともに驚くほどの速度でシャルの精神は消耗していく 《GM》 《GM》 《GM》 そして再び、3時間後。 《GM》 《GM》 既に日も沈みかけ、夕日が部屋に差し込む部屋の中。 《GM》 相変わらず、シャルはアルアとリジェの手により決して達せない高みに取り残されていた。 《GM》 【アルア】「だから何度自慰に耽っても無駄じゃと言ったろう?」 いま、両手で必死に自分の膣穴を抉っているシャルをみながら、呆れたように口を開き。足元のリジェにはまだ卵は産ませておらず、だが卵は早く生れ落ちたいと母体を1時間前から苛んでいる。 《リジェ》 【リジェ】「くる、し……」 お腹の中でごろごろしている卵を持て余し、顔をゆがめ。 動き始めた頃から、移動は少なくなり、気を紛らわせるため、リングや尻穴を弄ることが多くなっていく。 苦しいが、許しがあるまで産卵できないため、歯を食いしばって耐えて。 「シャル、ま、だ? まだ、なの?」 完全に堕ちた雌鳥の哀しそうな声が、シャルの耳に染み入っていく。 《シャル》 【シャル】「はくっ、あ、あううぅっっ………い、けない……いき、たい……いき、たい……のっ……」3時間もの間絶頂寸前の嬲り責めを受け続けたシャルの体はすでに限界。口からはだらしなく涎を垂れ流し、狂ったように感覚のない陰核を撫でまわす。「ふぅっ、ふ、あ……っ、おか、しい……から、だ……もう、おかし、い……よっ」いくらやっても満足できないことはもう体が覚えているはずなのに、それでも往生際悪くひたすら自慰を続け 《シャル》 る 《GM》 【アルア】「よいかシャル、歌姫シャルよ。お主は妾に『お願いします』とそれを言うだけでよい。よく持った。3時間耐えるなど、人の身でがんばったと褒めてやろう。…楽になれ、そうすればお主はより綺麗な声で『鳴く』ことができるぞ?」 足元のリジェを一度撫でてから、精液臭いベッドの上で2時間近くオナニーを続けるシャルに、優しく悪魔がささやきかけて。もうがんばった、あきらめていいんだ、と促し。 《シャル》 【シャル】「あ、んくっ……だ、め……?がん、ばた………?」情欲に支配された潤み切った瞳がアルアを見つめる。優しいその囁きに、そもそもの経緯すら虚ろになった頭では思い出せない。「」あ、ん……な、く……?いい、こえ……も、馬鹿にされない……の……?ふらり、と憔悴しきった心の天秤が、揺れる 《シャル》 【シャル】「あ、んくっ……だ、め……?がん、ばた………?」情欲に支配された潤み切った瞳がアルアを見つめる。優しいその囁きに、そもそもの経緯すら虚ろになった頭では思い出せない。「あ、ん……な、く……?いい、こえ……も、馬鹿にされない……の……?」ふらり、と憔悴しきった心の天秤が、揺れる 《シャル》 (ていせいていせい 《リジェ》 【リジェ】「馬鹿になんて、しないわよ?」 ベッドの淵に座り、シャルをゆっくりと慰め。 「シャルの声、素敵だもの。 誰も、馬鹿になんてしないわ」 《GM》 【アルア】「あぁ…お主はよくがんばった。そうだ、お主の綺麗な声を馬鹿にするものなど、もう居ない。いや、むしろお主の声を聞きたいくらいだ。リジェだって、そう想っているさ。お前のおねだりする声をな。」 主従2人でささやきかけ、シャルの最後の心の堤防を崩していきつつ。波に浚われる砂の砦のように、次第にシャルの心が崩れていって。 《シャル》 【シャル】「じゃ、あ……じゃぁ……」 その最後のひと押しに…… 「お、おねがい……しま、す……。も、いか……せて……」 ついに、シャルの心が折れた 《GM》 【アルア】「ふふふ…ではシャル、お主にこの薬を与えようぞ。それをお主の陰毛に塗れ。それだけで、お主は今の苦しみから解放され、より綺麗な声を上げる事ができる。」 オナニーをやめようとしないシャルの手に1つの薬瓶を持たせ、その永久除毛薬を自分に塗り広げるシーンを見ようと離れ。 「よかったなリジェ、そろそろお主も産めるぞ。シャルと一緒に、いっぱいな。」 にこ、と笑みを浮かべてリジェの頭をなでた。 《リジェ》 【リジェ】「はい」 嬉しそうに目を細めて。 「狂っちゃうくらい、たくさん産めます」 シャルにも、とびきりの、淫乱な笑顔を向けて。 《シャル》 【シャル】「あ………」震える手で薬瓶を受け取る。力の入らない体、疼きに意識を奪われた状態でどうにか栓を外すことに成功すると「これ……、で………っ」おもむろに、瓶をさかさまにする。とろりとした薬液がトポトポと音を立ててシャルの秘所に注がれる。「ふ、あ、ぁっ……」除毛剤に洗われるように、毛がするすると抜け落ちていく。毛が落ちるたびに、貯めこまれた快楽が解放されていく…… 《GM》 【アルア】「どうじゃ、シャル。今の気持ちは。」 薬品が流れ、それと一緒にシャルの陰毛が1本残らず消えてしまい。つるつるのパイパンまんこになってしまった龍姫のそこを指先でなでると、先ほどまでは触った気がしなかった場所にちゃんと触られる刺激が与えられ。同時に、狂おしいほどの産卵欲求がシャルの脳内に生まれてくる。 《シャル》 【シャル】「は、はぅっ……ん、くぅぅぅっっ?!?!」アルアの指が秘所を撫でただけでその全身が震える。「んっ、んくっ、んんっっ!?」突然お腹の中で暴れ出した卵に、快楽に悶えながらその体を抱きしめる。「へ、へんっ、へんんんっっ・……!?から、だ……イ、き……ぱなし、で……おな、か……なかっ、あ、あばっ、あばれ、てる、みたい……でっ」 《リジェ》 【リジェ】「はぁ、は…… あは。 シャルも、たくさん、産もうね? それを素直に受け入れれば、きっと、もっと気持ちいいよ?」 ベッドの上に上がり、つう、とお腹に舌を這わせる。 自分のお腹の中でも暴れる卵があるのに、主の許可があるまで、いや、シャルが出すまで我慢しようと必死に耐えて。 《GM》 【アルア】「よしよし…リジェ、待たせたのう。シャルと一緒に、ベッドの上で四つんばいになって妾に尻をむけよ。お主らの中に瘴気を流し込み、ちゃんと産卵させてやる。」 シャルのパイパンまんこを指先でなで、クリトリスについたリングをぴん、とはじき。その刺激はシャルにさっきまでたまにリジェがやっていたものとは桁違いの快感を脳に送りつけてきながらも、中々高みに達することが出来ずにいて。 「大丈夫じゃ安心しろ。卵を産めば 《GM》 、一気にイくことができるぞ。…くくく。」 《リジェ》 【リジェ】「は、はい♪ ひ、ひゃっ!」 いそいそと嬉しそうに、主のほうに尻を向けながら、クリトリスへの刺激に感じて。 「たっぷり、卵、産もうね」 ぺろりと、犬がするようにシャルの頬を舐めて。 《シャル》 【シャル】「はっ、ひぁっ、んんんっっっ――――――」アルアの手がリングをはじいた途端、シャルの全身を青白い稲妻のような快楽が走り抜ける。「はっ、あぅっ、ん、っくぅっ………っ」ばたん、受容量の限界を超えた快楽に音を立ててその場に崩れ、もう何が何だか分からない。「あ、んくっ、よ、つんば……い……?」朦朧とする頭はアルアのいいなりで、言われるままにぎこちなくベッドへとはいすすむ。 《GM》 【アルア】「よしよし、ではな――」 龍の歌姫と鳥の少女が並び、尻を向けている姿ににやりと笑みを浮かべ。これはこれでいい絵だとも想いつつ、両手を差し出し。その先にどす黒い瘴気の塊を生み出すと。 「――産みだし、イキ狂え。」 その瘴気がすぅ、と2人の尻膣両穴へと注ぎ込まれる。同時に、2人の体内の卵が今までにない振動を始め、子宮口と括約筋を緩めて中から外へ出ようとして。その衝撃は今までに味わったものとは格が違い、 《GM》 ただ1個産むだけでイってしまうだろう、というのが両名に理解できる。 《GM》 【アルア】「ともに卵は――大きいのが30個ほどか。30回連続絶頂、イイ声で鳴くのじゃぞ。」 《リジェ》 【リジェ】「は、ひ! ひや、来た、おっきいのは初めて、なんか、すごいの来る、来たっ」 ごりごりと腸壁と膣壁を押し広げ、巨大な卵がせり出てくる。 人の身には普通、酷く苦痛を産むものだが、リジェの体は、既にそれを快感に変化していて。 《シャル》 【シャル】「んくっ、あ、んんっっっ、あ、あ、あ、あ、あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ――――――――――」甲高い嬌声が館に響く。瘴気を打ちこまれたとたん、シャルの全身に快楽が走り抜ける。「あ、んくっ、で、る……っ、た、まご……?で、てくる……っっ?!」一つ目の卵が膣道を押し広げながらゆっくりと押し出されていく 《GM》 【アルア】「遊ばせてもらうかのう」 2人が産卵しながら高みに上る姿を見ながら、透明な魔力の盾を生み出し2人の股間に近づけ。そのまま、もし2人が産卵したならばその盾で卵が反射し、そのままクリピアスに直撃して大きな振動を立てることだろう。それがもし2人同時だったとしたら、きっと原石をはじいた時以上の振動になるはずだ、と考えて笑みを深め。 《リジェ》 【リジェ】「あ、くああ、ああああああああああああぁあぁぁあああああああぁぁぁぁぁぁぁっ!」 ぽこん、と意外に軽い音をたてて、尻穴と膣穴から同時排卵する。 最初から連続で、相手のピアスに卵が直撃して、それが自分にも帰ってきて二重の快感を産み。 頭が真っ白になって気絶しそうな快感に、目の前に星がまたたいたようになって、ふらふらと手が崩れ、尻を突き出す形になり。 「ひ、きぃ、違う、おかしい、前より全然おっきい 《リジェ》 、おかしくなるぅ…… 駄目、また、出る、産卵してイっちゃうーっ!?」 ぽこり、ぽこりと次から次へと穴をから出ようと動き出し、排卵が止まる様子は無く…… 《シャル》 【シャル】「ひゃっ、あぅ、ん、んむぅぅぅっっ…………っ」産卵になれていない体は卵一つ生み出すのにも時間がかかってしまう。リジェが連続して卵をうみだしていく横、ようやく一つ目の卵が半分まで顔を出す。「あ、んくっ、んぅっ、く、ふぅぅっっ………」本能的に理解しているらしく産卵の快楽を求めて膣道が締まる。ぽ……こんっ、時間をかけただけ勢いがついたのか、勢いよく飛び出した卵が魔力の盾に当たる。「はっ、んくぅっ!?い、く 《シャル》 ……イ、く、イくっ、イくぅぅぅっっ?!?!」一つ目の卵がクリピアスがぶるり、と震える。連続した絶頂に膣が痙攣し、二つ目、三つ目の卵は一つ目よりもスムーズに排泄される。「ひゃっ、あ、ま、た……イくっ、イ、けるぅっっっ!!!!」3時間、ひたすら行けずに苦悩した体は容易く絶頂を極め、ぶるぶると全身を震えさせながら虚空を仰ぐ 《GM》 【アルア】「どうやら2匹とも、産卵絶頂の味を覚えることが出来たようじゃな。…くく、ならば更に褒美を与えよう。」 腰を突き上げ、羽を震わすリジェ、四つんばいのままに舌を出し、何度も絶頂を極めて涎をたれながるシャル。その2人の両方の乳首の場所にクリトリスにつけたものと同じピアスを転移させると… 「受け取れ、今後はそこの振動も共有する。都合3倍じゃ。」 ぶすっ!と麻酔もないまま、両方の乳首にそのピアスが突き刺さっ 《GM》 た。 《リジェ》 【リジェ】「たまご、気持ちいい、クリトリス当たる、ピアスにあたって震えて、駄目、全部気持ちいいのなんて初めて、いや、シャルのもこっち直接当たって、いやぁああああああっ♪」 嬉しそうに鳴くリジェ。 ぽこぽことたまごを産んでいる最中にシャルのものもクリピアスにあたって、わけがわからないほどの快感に悦んでいる。 「ごほう、び、ぃ? あ、そこ、三倍なんて、無理、無理です、狂います、狂、痛ぃあああああああああああ 《リジェ》 ぁぁぁぁぁぁぁアアアアァァァァ!」 乳首に、痛みと共に叩き込まれた快感に悶絶しながら、卵をひり出す。 《シャル》 【シャル】「はっ、あ……くぅんっ!?」乳首にピアスが刺さった瞬間、シャルの全身がさらに一段高い絶頂に震える。今にも崩れて折れそうな腕を必死になってこらえながら、一瞬卵の放出がさらに早くなる。あちこちに跳ねまわる卵がシャルとリジェのピアスを弾くたび、まるでおもちゃのように快楽に震える。「やっ、あうっ、んくぅっ、ひゃぅぅっっ―――。ま、た……さん、ら……ぜっちょ、す、りゅぅぅっっ」快楽に舌が回らないまま、それでも 《シャル》 その勢いだけで美しい声が響く。ぽんぽんと二穴から卵を吐き出し、気がつけば崩れ落ちて胸をシーツに擦りつけるようにしてさらに快楽をむさぼる 《GM》 【アルア】「あぁ、それと龍の歌姫。お主の竜石は隠すには惜しい煌きを持っておるようじゃ。故に、な。…少し手を加えさせてもらうぞ。」 2匹の産卵牝奴隷が絶頂嬌声をあげる中で指をならすと、シャルの首周りに黒い禍々しい文様が浮かび上がる。それ自体には何の効果もないが…そんな事は、2人が乳首ピアスをベッドに擦りつけながら卵にクリピアスをはじかれている状況。つまり、3人の乳首とクリトリスを常に4枚の布と2枚の卵で擦られ 《GM》 、ぶつけられる刺激が絶え間なく襲い続けているため、その文様に気づくことはないだろう。 《リジェ》 【リジェ】「しゃ、シャル、乳首こすり付けないで、強すぎるから、卵産みながらは強すぎるからぁ!」 顔だけ起こして、シャルに向かって哀願する。 しかし、自分の体もずりずりと動き、薄い胸を、精液まみれのシーツにおしつけていて。 《シャル》 【シャル】「む、むりっ、むりぃぃっっ……!!とま、らなっ、から、だ、かって、にっ……っ」繰り返す絶頂にもはや体を思うように動かすことができない。「りじぇっ、こそっ、やめ、てぇぇぇっっ」快楽に声が裏返り、絶頂し続ける体はいつまでも止まらない。「あうっ、んっ、で、る……で、るぅぅっっ」連続した産卵とクリ乳首への刺激に、6時間もの間トイレに行っていない体はついに限界を迎える。自分でも気づかずに溜まっていた尿意 《シャル》 が、それをとどめる筋肉が繰り返す絶頂に緩む。卵とともに、ちょろちょろと黄金のしぶきがあふれ出してベッドを汚していく 《GM》 【アルア】「おっと、それはもったいない。」 シャルが突然放尿したのをみると、カップを1つシャルの股下に滑り込ませ。ティーカップにシャルの排尿をためていき。 「これはリジェの餌じゃからな。のう、大好きじゃろう?シャルのおしっこじゃ。たっぷり飲め。」 今度はそのカップをリジェの眼前に持っていき、無理やりその口の中に流し込ませて。 「さて…残る卵は5個か。連続で無理やり生ませてやる。気が狂わんことを祈るぞ」 その 《GM》 まま、2人の子宮と直腸に瘴気を注いで命令を下し。母体の意思に反して、暴れた卵が5連続で排卵させられて―― 《GM》 ※訂正:10個 《リジェ》 【リジェ】「あ、あはは、シャルも、おしっこして、る、ひゃはっ♪ は、はい」 こくこくぴちゃぴちゃと、わざと音をたてておしっこをのみほし。 「ごちそうさ、ま、は、れれ?」 おしっこを飲んだだけでイった直後、体が急に弛緩して。 「あ、らめ、残り全部、れちゃう、らめ、まだ、残ってるのに、全部出したら、壊れ、はひ、ひ、ひぃ、ひっ…… 産卵してイきま、す、あああああああああああああああっ!」 ぶぼぶびっ! 盛大な 《リジェ》 排泄音を立てて、立て続けに10個の卵が両穴から排出させられ…… クリリングと乳首リングの振動も最高潮に達し。 瞬く間に連続強制絶頂に叩き込まれ…… そのまま、かくん、と頭が倒れて、気を失い。 《シャル》 【シャル】「やっ、あ………だ、めっ……だ、めぇっ……の、む……だめぇっっ」自分が出したものを飲まれる、そんな想像もしてなかった行為に背徳で体が震える。「れ、ん……ぞく……?だ、め、だめっ、だめっ、だめだめだめだめっ、く、るぅっ、く、るっちゃうっ、よっ―――――――?!?!無理やり排出される卵、そのひとつ目が秘所から飛び出す。めり、めりっ、と音を立てて限界まで開かれ、しかしすでにシャルの体に痛みはない。連続した 《シャル》 快楽で狂いきった体はもはやその刺激も快楽としか感じられず、狂乱の叫びをあげながら連続産卵が始まる。「あ、やっ、あ、あぁっ、あっ………んんんんんんんんんんんんんんんんっっっっっっっっっっっっ――――――――――――――――――――――――!!!!!!!!」びくっ、びくびくっ、びくぅっ!!10この卵が連続して飛び出す、一つを産むだけでも連続した絶頂を味わってしまい、一瞬の間で味わった絶頂の数はすでに十出は効か 《シャル》 ないほど。あまりにもすさまじすぎる快楽に鳴き声を上げながらぶるぶると全身を痙攣させ、そしてついにその声が途絶える。強すぎる快楽、連続した絶頂感にイき狂い、意識を手放してその場に倒れ伏す 《GM》 【アルア】「くくく…あぁ、いいイキっぷりだったぞ2匹とも。…さて、リジェは後で処置してやろうと想うが、シャルは――」 気を喪いつつある2人の耳に聞こえた言葉。それは最後まで聞き取ることができず―― 《GM》 《GM》 《GM》 ◆シャルの場合 《GM》 《GM》 ふと、シャルが眼を覚ますとそこは一座の停留している街角の路地裏だった。 《GM》 そこにあるベンチに腰掛けていたところを、ちょうど通りかかった町の人が声をかけたおかげで、眼を覚ましたようだった。 《GM》 その人間は龍人だったために厄介ごとにならないよう逃げ出したようだったが―― 《GM》 ふと、自分の首周りに風が流れている事に気づく。どうやら今、首は露出してしまっているらしい。 《GM》 ちょうど、手元に長いマフラーを持っているので、隠せそうだが―― 《GM》 ▽ 《GM》 《シャル》 【シャル】「ん……」目が覚める。目の前にいた男は何かあわてて逃げていく……「風…?」いつも首は隠しているためにそこに風が当たる感触は馴染まず。「―――!!」確かめるように首に触れるとあわてた様子であたりを探る。幸い持っていたマフラーを大急ぎで首に巻きつけ、真っ赤な顔で俯いてしまう 《GM》 だが、しかしそのマフラーを首に巻きつけた瞬間――首周りの刻印から闇が噴出す。 《GM》 その結果、巻いていたマフラーは一瞬にして腐食し、風に流れ消えていった。 《GM》 だが、1枚の紙切れだけが腐食を免れてシャルの膝元に落ちる。 《GM》 何かメッセージが書いてあるようだが… 《シャル》 【シャル】「あっ……」風流れていくマフラーの残骸に手を伸ばす。ふと、膝に落ちた紙切れに気が付くと恐る恐る指を伸ばして拾い上げる。「これ……メッセー……ジ…?」ずきん、お腹の奥で子宮が熱を放つ 《GM》 内容は、簡単なもの。それは―― 『目が覚めたかのう?お主の首周りには土産の刻印を付けさせてもらった。何、龍石を隠そうとするとその物体を消滅させる程度の呪いじゃ。生活に害はなかろう。あと、右のポケットに入っている小石は無くさぬようにな。それに振動を与えると、お主のピアスは数倍の振動を行う。決して誰にも渡してはならんぞ アルア』 と。 《GM》 その言葉に、実際の体の刺激として気づく。両方の乳首、そしてクリトリスに何かがついている違和感を。 《シャル》 【シャル】「っっ……夢、じゃ……ないっ……。んっ」小さく震える乳首の、そしてクリトリスのピアス……。恐る恐る右手を胸に、左手を秘所にあてがうとぴくんっ、と一瞬増した振動に体が震える 《GM》 もう、それ以外に情報はない。どうやら今後、シャルは喉の龍石をさらしたままに活動しなければならないようだ。 《GM》 それが龍人にとってどれだけ屈辱的な行為か。羞恥を感じる行為か。それはアルアの知るところではないが―― 《シャル》 【シャル】「そんっ、な……っ」咽喉元の龍石をあわてて両手で隠す。きょときょととあたりを見回し、誰もいないことをあわてて確認する。「―――っ、とに、かく……見られる前に、帰らない、と……っ」羞恥に顔を染め、咽喉を隠した状態で走りだす。 《GM》 やがてシャルが一座に帰り着くと、驚くことだろう。 《GM》 シャルは2日ほど居なかったはずだが、ちゃんとその一座では『シャル』が存在していたこと。そして、普段と同じように…いや、少しばかりしおらしく、恭順を見せて行動していたこと。 《GM》 おそらくそれはアルアが作った偽者だったのだろうが、その偽者の動きのせいか、一座の中のシャルに対する棘は少し、抜けていた気がした。 《GM》 それが果たしてシャルにとっていいことか悪いことかは―― 《GM》 《GM》 《GM》 ◆リジェルタの場合 《GM》 《GM》 【アルア】「帰りは何時ぐらいになるのじゃ?」 《GM》 門の前、主がリジェに包みを持たせながら首をかしげる。普段こそリジェをペットだの家畜だの孕み胎だのと扱うアルアであるが、それでも月に何日かは普通に人間として行動させているようで。 《GM》 今日はアルアがクレスフラウの友人の下にピアスを届けたい、という話をしたために、クレスフラウに程近い場所に館を出現させて見送りをしていたのだった。 《GM》 ▽ 《GM》 《リジェ》 【リジェ】「ええと…… 遅くても、2週間以内には戻ります。 少し、話もしたいので」 荷物を受け取って、微笑みながら。 体は開発されきって、普段は手で物を持つだけでもイってしまうのだが、今は少しだけ、感度を抑える印を刻んでもらって、支障なく動けるようにしてもらっている。 《GM》 【アルア】「そうか、では2週間じゃな」 いいながら、リジェの腹に手を添える。すると、そこから体内に性的な刺激とともに大腸に眠るスライムに瘴気が注がれ。 「ふむ、これで2週間は普通の人間として生活できよう。ただし、今よりちょうど2週間じゃ。もし伸びたら、その瞬間にスライムはその場が何処であろうと尻穴産卵を行い、お主は両手が風に触れるだけでイき狂うじゃろう。気をつけよ。」 くすり、と獲物を逃がさぬ猛禽のような目 《GM》 で、僕の鳥少女に声をかけ。 《リジェ》 【リジェ】「は、い」 どくん、と心臓が高鳴る。 「じゃあ、『遅れないようにだけ』、気をつけますね」 少し照れたような笑顔は、おおよそ間違いなく『ここにもどってきたい』という期待の顔で。 「あんな姿……アルア様や、お屋敷の方以外に見せるのは、恥ずかしいですから」 《GM》 【アルア】「安心せい、お主に産んでもらいたい卵はまだたくさん残っておる。そうやすやすと手放さぬでのう。」 くつくつと笑みをうかべ、背伸びしリジェの頭をなでて。 「そういえば、ほかに獲物が居るようならばつれてきてかまわんぞ。お主の手で産卵奴隷をまた作ってもらうのも悪くないのでな。」 《リジェ》 【リジェ】「はい。帰ってきたら、また…… たくさん、お役に立ちます」頭を撫でられると、ぽっと頬を染め。 「って、アルア様ったら、もう」 少しかまってもらえなくなるのは寂しいけど、そうしたら役に立てるのが嬉しくて。 「じゃあ、いい子を見つけたら…… 連れてくるかも、しれません。 それじゃあ……行ってきます」 と、 《GM》 【アルア】「よしよし。クレスフラウの土産も楽しみにしておるぞ。妾の可愛いペット、リジェ」 最後にそれだけ言うと、館が霧とともに消えていき―― 《GM》 リジェは、クレスフラウとの国境に一人立っていた。 《リジェ》 【リジェ】「さ…… 元気に、してるかな」 友達との再開に思いをはせて。 アンバランスな心は、今は少し落ち着いて、普通の生活を送り。 帰ればまた、孕み雌としての生活が待っている。 このギャップに……知らず知らずのうちに、酷く恍惚を覚えている。そのことにきづくのは、しらばく先の事だろう。 《GM》 そしてリジェはクレスフラウの地に旅立つ。 《GM》 既に心から奴隷に落ちた身は、きっと淫虐の眼に合わされるとしりながら、再びあの館に戻ってくることだろう。 《GM》 それが約束の期限ぎりぎりになるか、ソレより速いかはわからないが―― 《GM》 館の主にとっては、彼女がどんな『土産』をもってくるか、それが愉しみだったとか。 《GM》 《GM》 《GM》 ◆おわり 《GM》 《GM》 おつ 《GM》 かれ 《GM》 さま 《GM》 でし 《GM》 た!
https://w.atwiki.jp/3738train/pages/37.html
夢急天乃原線 天乃原線(あまのはらせん)は、夢急天乃原営業部管轄の路線である。 天城(あまぎ)~満弦ヶ崎中央(みつるがさきちゅうおう)間の本線と、満弦ヶ崎中央(みつるがさきちゅうおう)~弓張海岸(ゆみはりかいがん)間に分かれている。 停車駅案内については、添付ファイル(一番下)を参照のこと。 夢急天乃原線 基本データ 歴史 列車種別現在存在する種別 過去に設定されていた種別 運転本数終夜運転時(2012~2013年) 設立までの経緯 臨時列車 駅一覧 ICカードの対応 車両車両史 現役の車両 過去の車両 基本データ 路線距離(営業キロ):42.2km 軌間:1435mm 駅数:19 複々線区間:天城~鷲宮間 複線区間:鷲宮~満弦ヶ崎中央間 単線区間:満弦ヶ崎中央~弓張海岸間 電化区間:全線電化(直流1500V) 閉塞方式:自動閉塞式 最高速度:天城~満弦ヶ崎中央間130km/h(各駅停車区間は120km/h) 満弦ヶ崎中央~弓張海岸間90km/h 信号方式:ATS-P 歴史 1927年2月6日 天乃原電気鉄道が天城~天乃原間を開業。当初は全線単線、750V電化。 1932年9月16日 天乃原~倉永間が開業。 1934年4月4日 満弦ヶ崎~弓張海岸間が開業。 1938年5月8日 海鳴市~倉永間を複線化。 1940年 満弦ヶ崎~弓張海岸間を休止。 1944年10月1日 海鳴高速軌道・東沿岸電気鉄道・落合電気鉄道・高町鉄道・天乃原電気鉄道が合併し、夢急電鉄となる。海鳴市駅を廃止し、海鳴駅を開業。夢急本線と同一改札内で乗換ができるようになった。当初は運賃体系が他路線(十勝線を除く)と異なっていた。 1948年12月11日 満弦ヶ崎~弓張海岸間を再開。 1952年3月21日 全線1500V電化し、海鳴~天城間が路線別複々線となる。同時に天乃原~天城間を高架化。 1967年4月 最高速度が100km/hになる。A特急乗り入れ開始。運賃が他路線と通算されるようになるが、同時に値引き運賃も導入された。 1972年3月1日 倉永~満弦ヶ崎間が開業すると同時に、満弦ヶ崎駅を満弦ヶ崎中央駅に改称。倉永~満弦ヶ崎中央間は当初より複線。 1982年6月 最高速度が120km/hになる。ただし一般車の最高速度は110km/hとなった。 1984年2月1日 鷲宮~天乃原間を高架化。 1995年3月 一般車の最高速度が120km/hになる。 2007年3月 最高速度が130km/hになる。 2008年4月1日 ICカード「CROCA」使用開始。 2008年10月1日 夢急の運賃値下げにより、値引き運賃廃止。 2009年3月 快速特急・区間準急を新設。同時に多くの準急が区間準急になり、昼間も区間準急の運転を開始する。また夕方の下りと朝の上りの一部の快速特急が天乃原にも停車するようになる。 2010年3月 天城~海鳴間が三複線化され、うち4線を天乃原線が、残りの2線を夢急本線が使用する。これに伴い、天城~海鳴間も複々線化される。 2012年3月 ダイヤ改正に伴い、快速特急と特急が廃止。特急列車はホームライナーとして運転される。 2014年10月 ラッシュ時の快速急行を12両編成に増強し、天乃原~鷲宮間が複々線区間になる。 列車種別 現在存在する種別 快速急行 Rapid Express 天乃原線の主力種別。天城~満弦ヶ崎中央間で設定され、本線直通や満弦ヶ崎中央~弓張海岸間は臨時列車で運転される程度である。 国鉄に対抗するため最高速度130km/hで運転する。そのため、一時期使用車両を限定していた。現在は改造が行われ、それ以外の車両も入るようになった。 1960年に無料特急として登場だったが、「本線特急と区別がつかない」という理由で1967年の有料特急乗り入れに伴い一時廃止され、全線開業後の1975年に再び設定された。当初は最大でも6両編成だったが、2000年から10両編成の運転が開始され、2014年からは12両編成の運転も開始した。 平日朝ラッシュは10両または12両、夕方ラッシュは10両または8両、昼間は8両で運転。休日は朝ラッシュに10両で運転するほかはほぼ全列車8両編成となっている。 現在、天城~満弦ヶ崎中央間を最速27分で結び、表定速度は85.3km/hとなっており、料金不要列車としてはかなり早い。ただし線路容量に無理があり天城駅手前で信号に引っかかり到着が遅れることが多かった(他の種別でも同様のことがいえる)。2010年の天城~海鳴間の三複線化によって解消を図っている。 ラッシュ時の混雑が激しいにもかかわらず、環状線とは異なり女性専用車両が導入されないことによる不満が出ている(国鉄は2004年に平日朝ラッシュに導入、2011年4月からは新快速や4両編成の列車を除き終日の設定になっている)。 理由としては、天乃原線に10両固定の編成が1編成も存在せず、特急以外の種別が全車共通運用になっていることにより車両での案内が出来ないこと、先に導入した環状線で女性専用車両解除後の車両が化粧や香水などのにおいがするなどの苦情が男女問わず寄せられていることから、新規設定及び設定解除が出来ない状況になっている。 朝ラッシュは倉永発車時点で満員になる。 急行 Express 朝以外に運転されている。運転区間は天城~満弦ヶ崎中央間のみ。本線直通や満弦ヶ崎中央~弓張海岸間は臨時列車のみ。快速急行との停車駅の差は1駅で、これは鷲宮駅のホームの有効長の不足によるもの。一時期は急行には専ら8000系などが入ることも多かったが、現在は特に使用車両は定まっていない。最高速度130km/hで走行できるが、実際は余裕のあるダイヤに設定されている。最大8両編成となっているが、実際は平日の昼間に6両編成の急行が存在するほかは8両編成で運転している。 天城~満弦ヶ崎中央間を最速28分で結んでおり、表定速度は82.3km/hとなっている。 編成数が短い上、先述の通り快速急行とは停車駅が1駅違うだけのため、夕方の満弦ヶ崎中央行きは比較的混雑する。休日の午前中の天城行きもかなり混雑していたが準急設定により若干は解消されると思われる。 準急 Semi Express 快速急行・急行を補完する役割の優等列車。 現行の準急が登場した際はラッシュ時のみの運転だったが、2013年ダイヤ改正後には終日運転されるようになった。 天城~倉永間は急行と同一の停車駅で運転され、倉永~弓張海岸間は各駅に停車する。 ラッシュ時は8両編成で運転されているほかは6両編成で運転されている。2009年3月から、従来の準急を区間準急に置き換え、停車駅を削減した準急が登場した。 2014年に十勝線直通の準急が設定されたが、2018年ダイヤ改正以降は直通する列車が区間準急に変更された。 区間準急 Section Semi Express 2009年3月ダイヤ改正から設定された種別。停車駅は、それ以前に存在した準急と同様に、天城~天乃原間は急行と同一の停車駅で運転され、天乃原~弓張海岸間は各駅に停車する。全列車が6両編成で運転される。 区間準急に変更された以降は昼間時に運転され、ラッシュ時の設定はほとんどなかったが、2013年ダイヤ改正で大幅に減少した。2018年ダイヤ改正以降は十勝線直通列車のみに使用されることになったため、区間準急が運転されるのは天城~天乃原間のみとなった。 普通 Local 音声案内では各駅停車と案内される。全線を運転する列車はわずかに存在する。普通しか停車しない駅のホーム有効長が6両までであるため、ほとんどの列車が6両編成で運転されている。 ただし、倉永~弓張海岸間を走行する列車は最大8両編成で運転することがある。 海鳴~倉永間の複々線区間では、緩行線に入る。 通勤ライナー、ホリデーライナー Liner 2012年3月ダイヤ改正から設定された種別。 停車駅は従来の特急から天乃原を除外し、乗車整理券310円を徴収する方式に変更される。 詳細はこちらを参照のこと。 2016年のダイヤ改正から、平日に運転される列車は通勤ライナー、土休日に運転される列車はホリデーライナーに名称が変更された。 過去に設定されていた種別 快速特急 Rapid Limited Express 2008年までは「A特急」として運転されていたもの。ほぼ終日運転されていた。線内の運転区間は天城~満弦ヶ崎中央間のみ。満弦ヶ崎中央~弓張海岸間は臨時列車で入線することがあった。 全列車夢急本線六課駅まで直通し、天城~六課間は多くの列車がノンストップで運転される。快速特急は線内運転の特急と異なり、天乃原(一部の列車は停車)と倉永は通過していた。21001系登場以降、車両は21001系(21021系登場後は21021系も使用されていた)を使用していた。 利用者の低迷から、2010年ダイヤ改正の際に夢急本線内の運転に短縮された。 特急 Limited Express 2008年3月まで「B特急」として運転されていたもの。線内の運転区間は天城~満弦ヶ崎中央間のみ。本線直通や満弦ヶ崎中央~弓張海岸間は臨時列車のみ。 朝と夕方に運転される。有料特急ではあるものの、本線系統とは異なり短距離であるため、事実上座席指定の列車扱いである。時間帯によっては「快速急行より遅い特急」になる例も存在する。最大10両編成。夢急天乃原車庫への回送もかねている。 2012年のダイヤ改正の際にホームライナーに置き換えられ、消滅した。 運転本数 2018年ダイヤ改正現在 昼間の運転本数 天城~天乃原間:快速急行3本、急行3本、準急3本、区間準急3本、普通6本 天乃原~倉永間:快速急行3本、急行3本、準急3本、普通6本 倉永~満弦ヶ崎中央間:快速急行3本、急行3本、準急3本(各駅に停車)、普通3本 満弦ヶ崎中央~弓張海岸間:準急・普通2本 終夜運転時(2012~2013年) 天城~満弦ヶ崎中央間:普通2~3本 満弦ヶ崎中央~弓張海岸間:普通(直通)1本 設立までの経緯 当初、天城~天乃原間で開通した夢急天乃原線(開業当初は天乃原電気鉄道)は、昼間は2両編成の電車が30分おきにしか来ないローカル線だったが、当初、国鉄の独壇場であった満弦ヶ崎~天城間で国鉄に対抗するために満弦ヶ崎中央まで延長される。 国鉄に対抗するため、最高速度が130km/hの新世代通勤・近郊型車両を採用し、今まで1時間以上(国鉄利用時)かかった天城~満弦ヶ崎間が最速35分に短縮された(現在はもっと速い)。 当時の国鉄は天ノ原から先が単線となり料金も高くなったため、利便性に圧倒的に勝る夢急の独壇場となった。国鉄も全線で快速運転をする新快速(快速は東鷲宮から先は各駅停車であった)を導入し、複線化や天ノ原までの高架化・増発・特定運賃の導入を行ったため、天城~東(西)天乃原間は国鉄に客が流れている(値引き運賃を導入した経緯でもある。その後夢急も複々線化を行った)。 しかし天城~満弦ヶ崎は新快速でも最速32分で夢急の急行よりも遅く、通勤定期を除けば料金も高くなってしまい、新快速の本数も昼間1時間2本(天乃原止は除く)であるため利便性では夢急のほうがはるかに上回る。 なお、天城からは東方急行電鉄田園都市線が北側へ延びており、直通運転をすることも考えられたが、夢急が標準軌、東方急行電鉄が狭軌と異なり、保安装置が異なるなど様々な問題があり却下された。ただし乗継割引制度もあり、天城での乗り換えも便利である。東方急行電鉄も国鉄と競合しておるが、所要時間の場合でもある程度の距離があれば夢急ー東急乗り換えの方が短くなる(ダイヤが乱れていなければであるが)。 臨時列車 天乃原線は設立の経緯から、複数の愛称つき列車が運転される。 初日の出号 弓張海岸での初日の出の時間に合わせて1月1日の朝運転される。 該当列車は、初日の出の時間に合わせられた満弦ヶ崎中央→弓張海岸間の普通2本で、ヘッドマークも取り付けられる。 年によってはダイヤの都合のため1本に減らされたり、下記の快速急行「暁」に統合されて消滅する事もある。 快速急行「暁」 同じく初日の出列車だが、こちらは満弦ヶ崎中央行き快速急行1本を弓張海岸行きに変更したものである。 年によってはダイヤの都合のため、2本に増やされたり、消滅する事もある。 2010年ダイヤ改正で早朝の下り快速急行の定期列車が消滅したため、臨時列車としての運転に変更された。 特急「シーサイドアーバン」 海水浴シーズンの7月下旬~8月中旬まで運転されていた。 夢急本線六課発満弦ヶ崎中央行きの列車数本を弓張海岸まで運転区間を延長し運転されていた。 21001系電車、および21021系電車にはヘッドマークは付けられないため、車内案内で自動アナウンスが追加されていた。 建国号 毎年2月11日の9時台の快速急行2往復にヘッドマークが取り付けられる。 開業記念号 年によって運転されない事もあるが、天乃原線が開業した2月6日に運転される場合がある。 過去の運転実績では殆どが快速急行に充当されているが、まれに急行に充当される事もある。 特急「すばる」 2008年8月に運転された臨時特急。満弦ヶ崎中央-古河線古河間で運転された。このときに同時に運転される特急の中では速達扱いになっている。 停車駅は、満弦ヶ崎中央-天乃原-海鳴-天城-中島-古河。 特急「ランカスター」 2008年8月に運転された臨時特急。弓張海岸-古河線古河間を運転した。 停車駅は、弓張海岸-満弦ヶ崎中央-倉永-天乃原-海鳴-天城-水無月-一宮-中島-秋葉原-竜宮-古河。 2008年8月にはこれ以外にも臨時特急「キャロル」が夢急本線と古河線を走行する予定だが、走行距離については「ランカスター」が一番長い。2010年まで季節列車として運転したが、2011年は運転されないことが決まり、それ以降は運転されていない。 駅一覧 こちらを参照 弓張海岸駅を除く全駅で詳細型放送が導入されている。 ICカードの対応 2008年4月より、ICカード「CROCA」(クロカ)の使用が開始され、天乃原線では、弓張海岸駅では簡易改札を設ける他は全駅自動改札で対応する。 車両 ラインカラーは「青」。 設立の経緯のため、夢急本線とは異なる形式命名方式が使用されていた。 ホームライナーで使用される特急車は本線のものと同等のものが使用されるので省略した。現役一般車は2008年7月から形式変更を行った(ただし、V3000系だけ4月に形式変更して9800系に変更されている)。 車両史 設立当初はローカル線だったため、車両は全て単行で運転され、ラッシュ時に併結して運転する形を取っていた。 戦後も近代型の車両が導入されるのが遅く、2両編成で運転する車両が導入されたのは1956年と遅れを取った。しかも、このとき夢急本線ではカルダン駆動の車両を導入したのに対し、天乃原線の車両はほぼ完全新造だったとはいえ、吊り掛け駆動の車両だった。 天乃原線では1966年まで新造の吊り掛け駆動車が導入され、初のカルダン駆動車両が導入されたのは1967年のことだった。さらに、路面電車色が強いデ1型とデ101型が比較的長く使用されていたこともあり、輸送体質はなかなか改善されなかった。 以後、通勤路線となるまでは新車の投入が極力抑えられていたが、1995年に8800系が導入されて以降は、集中して新車を導入するようになった。 現役の車両 N8000系 2019年から導入した通勤車両。 車番が枯渇している影響から、2008年に取りやめた頭文字を復活させることになった。 8両編成の運用が増えていることから、一般車両としては初めて8両固定編成を導入する。 また、両編成によって異なっていた形式も統一される。8両編成は0番台、6両編成は30番台、4両編成は60番台から番号が割り振られる。2両編成は80番台から番号が割り当てられると告知されていたが、その後の計画変更で取りやめられた。 車体システムの二重系統化が強化され、故障しにくい車両とし、車両置き換え後の部品リサイクルに配慮したつくりになった。 老朽化が進行している8000系・8800系・9800系を置き換えた。 性能の違いから、それ以前との車両の連結は行えず、当面の間限定運用に入っている。 夢急の一般車として初めて当初から車内Wi-Fiを搭載した。 (8両編成)クN8100-モN8200-サN8300-モN8400-サN8500-モN8600-サN8700-モN8800 N8001F~N8018F(NE01~18) (6両編成)クN8100-モN8200-サN8300-モN8600-サN8700-モN8800 N8031F~N8040F(NS31~40) (4両編成)クN8100-モN8200-サN8700-モN8800 N8061F~N8068F(NF61~68) 編成記号は8両編成がNE、6両編成がNS、4両編成がNF(2両編成が登場していた場合、NTになっていた)。 SiC素子VVVFインバーター制御、電気指令式ブレーキ 8060系 2014年の輸送増強に合わせて、各線で導入されているブレーキ機能を強化した車両を導入することとなった。 当初から電磁直通ブレーキとの読替装置を採用していないが、既に天乃原線系統の車両は全て電気指令式ブレーキに統一されているため、問題なく導入可能。ただし、ブレーキ性能については他形式と併結されている場合は落とされる。 (8061F~8068F[ES61~ES68]) ク8160-モ8060 8860系 8060系を6両編成に仕様変更した車両。また、電動車と付随車の配置見直しを行っている。 (8861F~8865F[HS61~HS65]) ク8360-モ8460-モ8560-サ8660-モ8760-モ8860 9860系 8860系のデュアルシート版。2016年に1編成が製造された。 (9861F[WS61]) ク9360-モ9460-モ9560-サ9660-モ9760-モ9860 28000系 天乃原線の通勤ライナー・ホリデーライナー専用車両として、2017年に導入した。 8両固定編成として、全ての座席に電源を用意し、車内Wi-Fiサービスを提供する。 特急車に準ずる設備を持つため、他線区への入線も可能になるように設計される。 ク28800-モ28700-サ28600-モ28500-モ28400-サ28300-モ28200-ク28100 (28101F~28105F[AH01~AH05]) これらは全てSiC素子VVVFインバーター制御で、電気指令式ブレーキを採用する。 また、定速運転装置と高加速補助装置を取り付け、高速ダイヤに対応できるようにしている。 8021系 2001年登場。ロングシート2両編成版。本線系統の5021系に該当する。 30編成60両存在しており、編成記号は「ED」。元D1021系。 2008年以降に増備する車両は車内に搭載されるディスプレイがハイビジョン対応のものになる。 (8021F~8050F[ED21~ED50]) ク8121-モ8021 8821系 2002年登場。ロングシート6両編成版。本線系統の5821系に該当する。 16編成104両存在しており、編成記号は「HD」。トイレは付いていない。元D2021系。 2008年以降に増備する車両は車内に搭載されるディスプレイがハイビジョン対応のものになる。 (8821F~8832F[HD21~HD32]) ク8321-モ8421-モ8521-モ8621-モ8721-ク8821 9821系 2002年登場。デュアルシート6両編成版。本線系統の3021系に該当する。 12編成72両存在しており、編成記号は「WD」。トイレは付いていない。元D3021系。 2008年以降に増備する車両は車内に搭載されるディスプレイがハイビジョン対応のものになる。 (9821F~9832F[WD21~WD32]) ク9321-モ9421-モ9521-モ9621-モ9721-ク9821 これらは全てIGBT素子VVVFインバーター制御で、電気指令式ブレーキを採用する。また、導入当初は電磁直通ブレーキ搭載車との混結も存在したため、ブレーキ読替装置を搭載している。定速運転装置と高加速補助装置を取り付け、高速ダイヤに対応できるようにしている。 過去の車両 8000系 1992年登場。本線系統の1212系に該当する。最高速度120km/hであったため、一時期快速急行の運用に入ることは少なかった。すでに持て余し気味だったが、130km/h対応工事を行った。2008年6月まではV1000系だった。2020年から2021年にかけて廃車され、形式消滅した。 (8001F~8010F[EV01~EV10]) ク8100-モ8000 GTO素子VVVFインバーター制御、電磁直通ブレーキ(2009年から2010年までに電気指令式ブレーキに換装) 8800系 1995年登場。本線系統の1410系に該当する。最高速度120km/hであったため、一時期快速急行の運用に入ることは少なかった。すでに持て余し気味だったが、130km/h対応工事を行った。2008年6月まではV2000系だった。2019年から2021年にかけて廃車され、形式消滅した。 (8801F~8805F[HV01~HV05]) ク8300-モ8400-モ8500-モ8600-モ8700-ク8800 GTO素子VVVFインバーター制御、電磁直通ブレーキ(2009年から2010年までに電気指令式ブレーキに換装) 9800系 1998年登場、本線系統の3000系に該当するが、わずか1編成しか製造されなかった。 1編成6両のみ製造され。事実上天乃原線へのクロスシート導入のための試作車扱いされていた。2008年3月までは「V3000系」だった。 2005年より長期休車中だったが、2008年3月ダイヤ改正に合わせ、130km/h対応工事に着手した。2020年に廃車され、形式消滅した。デュアルシートについては、予備部品として保管している。 (9801F[WV01]) ク9300-モ9400-モ9500-モ9600-モ9700-ク9800 GTO素子VVVFインバーター制御、電磁直通ブレーキ(2008年にIGBT素子VVVFインバーター制御と電気指令式ブレーキに換装) 2008年までに全ての車両に定速運転装置と高加速補助装置を取り付けたほか、9800系のみ2008年の130km/h対応工事に着手した際、IGBT素子VVVFインバーター制御と電気指令式ブレーキに交換した。 また、2010年までに8000系と8800系のブレーキ装置を電気指令式ブレーキに交換した。 かつてはこれらの編成の頭文字に「V」が付いていた。これはVVVFインバーター制御車であることから由来している。 2016年ダイヤ改正以降、8000系・8800系・9800系は朝夕のラッシュ時を除いて快速急行の運用から退いていた。 C1000系 1983年登場。試作要素が強く、1編成2両しか製造されなかった。本線の1200系に該当する。 2002年に本線系統の1200系第5編成として本線に転属した。編成記号は「EC」。 (C1001F[EC01]) クC1100-モC1000 界磁チョッパ制御、電磁直通ブレーキ C2000系 1985年登場。4編成16両しか製造されていない。本線の1400系に該当する。 電気指令式ブレーキを採用してしまったがために、最終的には行き場を失い、2002年に全車廃車・解体されてしまった。ドリーム21も電気指令式ブレーキを採用しているが、C2000系と併結試運転をしたところ、トラブルが多発したため使用できなかった。 夢急史上最も不遇の車両であったりする。編成記号は「LC」だった。なお、夢急が最後に中部車両に製造を発注した車両でもある。これ以後、中部車両との取引はない。 界磁チョッパ制御、電気指令式ブレーキ (C2001F~C2004F[LC01~LC04]) クC2100-モC2050-サC2150-モC2000 以上の編成の頭文字「C」はチョッパ制御(Chopper)から由来している。 A1000系 1975年登場。本線の2400系に該当する。10編成20両製造された。 当初より冷房を搭載していた。2003年までに全車廃車。台車は本線の1000系に流用。編成記号「EA」。 クA1000-モA1050 (A1001F~A1010F[EA01~EA10]) 抵抗制御、電磁直通ブレーキ A2000系 1972年登場。本線の2400系に該当する。4両編成で10編成40両製造された。 現在は1編成のみデュアルシートに改造されて2400系に編入された編成があるほかは全車2004年までに廃車。編成記号「LA」。 クA2100-モA2000-モA2050-クA2150 (A2001F~A2010F[LA01~LA10]) 抵抗制御、電磁直通ブレーキ 以上の編成の頭文字は「Air Conditioner」(エアコン)から由来している。 H1000系 1967年登場。本線の2010系・2030系に該当する。2両編成5本、4両編成10本製造された。 冷房改造は1976年頃行われた。廃車は1995年から始まり、1998年に全車廃車。 クH1000-モH1050 クH1000-モH1100-サH1120-モH1050 H1001F~H1015F(M01~M10[4両編成],M11~M15[2両編成]) 抵抗制御、電磁直通ブレーキ H1050系 1970年登場。天乃原線最初で最後のボックスシート搭載車。これに該当する本線系統の車両は存在しない。 10編成40両を製造。冷房改造は1980年頃実施。 廃車は1995年から始まり、2000年全廃。4扉車両に無理にボックスシートを入れたため、居住性に難があったため、末期は普通の運用が中心だった。 クH1050-モH1270-モH1200-クH1070 H1051F~H1060F(CM51~CM60) 抵抗制御、電磁直通ブレーキ 3800系(2代目) 元は1969年に海鳴本線向けに投入された機器流用車を、1984年に初代20000系の電動機を流用し、カルダン駆動改造と冷房化を行い転属したものである。 8編成16両が導入され、冷房車の導入率を上げることに成功した。 また、吊り掛け車が残されていた天乃原線では、所要時間の短縮を行うことにも成功している。 8021系の導入が進んだため、2003年から2005年にかけて廃車された。 ク3800(奇数)-モ3800(偶数) 3801F~3815F(M51,M53,M55,M57,M59,M61.M63,M65) 抵抗制御、電磁直通ブレーキ 3800系を除く各編成の頭文字は高性能→「High efficiency」から由来している。 T100系 1951年の1500V昇圧時に登場。2両編成40本80両が製造された。 当初は100系(新)として登場したが、区別のために形式名が変更された。 冷房改造されることなく1991年までに全車廃車となった。 抵抗制御(吊り掛け)、空気ブレーキ T1000系 1956年登場。吊り掛け駆動車。2両編成20本が製造された。 冷房改造されることなく1989年までに全車廃車。 抵抗制御(吊り掛け)、空気ブレーキ(1970年に電磁直通ブレーキに変更) T2000系 1962年登場。2両編成5本を製造。事実上、T1000系の改良増備車。 T1000系との差は扇風機の搭載の有無である。 冷房改造されることなく1994年までに全車廃車。 T1000系の電動機は新造だったが、T2000系の電動機は流用であり、最終編成のみ空気バネ台車を装備していた。 抵抗制御(吊り掛け)、空気ブレーキ(1970年に電磁直通ブレーキに変更) T3000系 1965年登場。4両編成5本を製造。T2000系を4両編成にしたものである。 こちらは1980年~1982年に冷房改造とカルダン駆動改造を受けて、1992年までに全車廃車。保存車はない。 電動機を旧型車両から流用した吊り掛け駆動の車両だったが、台車は新造の空気バネ台車であり、 夢急本線の車両より若干早く本格採用されていた。 抵抗制御(改造前は吊り掛け、改造後はカルダン駆動)、空気ブレーキ(1970年に電磁直通ブレーキに変更) 以上の編成の頭文字は吊り掛け駆動→「Tsurikake」から由来したものと思われる。 デ1型 1927年天電開通時の車両。両運転台で、最大4両編成まで増結可能だった。しかし、実際は戦後になってからでないと4両運転は行っていない。夢急合併後は20形と形式名が改められた。 合計56両を製造。戦争時にデ23とデ42を消失し、そのまま廃車している。その他は1970年までにすべて廃車した。デ1のみ天乃原車庫に保存されている。 満弦ヶ崎~弓張海岸間の列車にも使用されていたが、当時は天電の線路がつながっていなかったため、わざわざ狭軌台車に履き替えて国鉄経由で車両を送り込み、満弦ヶ崎駅まで運転し、再び標準軌台車に履き替える作業を行っていた。 抵抗制御(吊り掛け)、空気ブレーキ デ101型 1932年、天電が延伸した際に増備した車両。デ101型のみであれば最大6両編成まで運転可能となる。しかし、実際は戦後になってからでないと6両運転は行っていない。夢急合併後は100形と形式名が改められた。 合計24両を製造。戦争時にデ121を消失し、そのまま廃車している。その他は1973年までに全て廃車した。デ124のみ天乃原車庫に保存されている。 抵抗制御(吊り掛け)、空気ブレーキ
https://w.atwiki.jp/star_grail/pages/189.html
◆ ジュデッカ 不壊の盾 血塗られた献身 陽を堕とす者 流離の子 Dance of the Seven Veils 蓮の台 ソルニゲル 革者 解放された世界 Fate/Bloody Zodiac ■■海底都市冬木 回帰の白 物語の王 監視者 餓狼伝 アイボリー・メイデン 最終戦争 総ての乙女の敵 キング・オブ・クロスオーバー 不死の罰 日ノ本斬殺 殺られた事にも、気付かない 破滅的終局 久遠の赤 ◆ ZONE10――『不壊の盾』 「あ、あの……さっきは逃げてしまいまして、申し訳ございませんっ」 勢いよく上体を折り曲げ、誠意を見せる女性。そしてそれを、やれやれとでも言うような目線で見る、先程彼女を救ってくれた女性。 どうやら、怒りの感情を抱いているようではなかった。寧ろ、出来の悪い生徒や子供に対し、これからどう説明するか悩んでいる教師の様な面持と態度で、女性は口を開いた。 「あぁ~っとさ……まぁ、逃げた事は良いよ、それ程は怒っちゃあいない。だけどさ、何で逃げたのかな。アンタが逃げたせいで、あたしはお節介な警官に、危うくカス一つ残らず搾り取られる所だったワケよ」 「それは、その……ご、ごめんなさい!! 私、ああ言ったトラブルに、その……慣れて、いなくて……つい」 「それは、見りゃ解るよ。アンタ、見るからにあの手のコト苦手そうだもん」 意識した事は欠片もなかったが、如何やら自分――『マシュ・キリエライト』は、思った以上に弱々しい姿に見えるそうだった。 人となりは勿論、マシュの名前すら知らない、見るからに意思の強そうな女性からですら、その本質を看破されてしまう程には、解りやすいらしいと、マシュは再認した。 「ここんところ物騒だしさ。知ってるでしょ? 『昨日の事件』。アンタ見た所スッゲー大人しそうで、あの手の悪い男の餌食になりやすそうだからよ、もうちょっとシャンとして、気をしっかり持ちな。悪い事してねーのに、おどおどする必要何てないんだからさ」 「は、はい!! ありがとうございます!!」 「いいって、いいって」、と、マシュに背を向け後ろ手に手を振りながら、彼女を救ってくれた女性は去って行った。 気の強そうで、怖そうな外見の人物だと当初はマシュも思ったが、自分を助けてくれたと言う事実と、マシュとの接し方を鑑みるに、根っこの部分は善良な人物だったらしい。 それだけに、胸元をチクリと刺激するような罪悪感が、マシュの心の中に芽生える。やはり、あの場で逃げてしまったのは失敗だったのではないかと。 あの女性と、マシュにちょっかいを掛けて来た男達三人が喧嘩を始めたのを見て、距離を取ってしまったのは事実だ。 そしてそれは、傍目から見れば逃走を選んだと見られるのも仕方のない事だと言うのは、マシュとしても重々承知している。 しかし、その人生の殆どを高度数千mの山に建てられた、閉塞的な世界で過ごして来たマシュにとって外の世界とは正に、 別の惑星の別の文明圏と言っても過言ではない程の未知の世界。そこで突発的にトラブルに巻き込まれたとなれば、頭で何をすべきか解っていても、混乱して逃げてしまうのも、仕方のない事であった。 外の世界の常識には未だ慣れないマシュであったが、この場合何をするべきかは理解していた。 急いで、自分が持っていたスマートフォンと言う端末で、警察を呼ぶ。聖杯戦争のサーヴァント同士の争いには露程も役に立たないとは、 マシュの従えているサーヴァントからは言われているが、聖杯戦争に無関係の人物同士の喧嘩ならば効力を発揮する。そう思い、警察に連絡をしようとした、その時だった。 マシュ二~三人分以上の筋量があると言われても即座に信じてしまいかねない程の、威圧的な大男達を、あの女性はいとも簡単に一蹴してしまったのだ。 当初は凄いとマシュも思ったが、すぐに、世故に疎いマシュにですらやり過ぎと思ってしまう程に暴力を振るっていたが。 何れにせよ、自分よりも遥かに恵まれた体格の男三人を、いとも簡単に倒して退けた、その姿に、圧倒されてしまった。 流石に殴り過ぎたせいか、駆け付けた警官に酷く怒られてしまっていたのをマシュは見たし、警官から女性が逃走したのも見た。 見たからこそ、マシュは急いだ。お礼の一つを言う為に、世間も世界も全く知らない少女は、自分を助けてくれた女性の下へと駆けたのだ。 冬木の地理に未だに慣れぬマシュではあったが、それでも駆けずり回っていれば見つかるもの。何とかマシュは、数分の時間と引きかえに、恩人に出会えた。そこから、最初の会話に至る、と言う訳であった。 「何とか、お礼は言えましたね……」 ふぅ、と一息ついた途端、ドッと疲れと汗が噴き出て来た。 走っている最中はそうでもなかったが、走るのを止めた瞬間、身体が熱を帯び、毛穴から汗が滲み出てくる。 元より、マシュは運動がそれ程特異ではない。遅れて、疲労の蓄積を認識したのは、まさにこの瞬間の事であった。 【律儀ですね、マスター。勿論、感謝の意を示す事は大事な事ですが、まさか探しに行くとは思いませんでしたよ】 マシュの頭の中に響く、念話の声。心なしか、その声音はやや自分に似ていると。マシュはその声を聞く度に思ってしまう。 似ているのは声だけではない。今は霊体化している為余人には判別出来ないが、その姿や顔立ちですら、マシュと瓜二つ。 『ウィラーフ』……ベオウルフの伝説において、英雄ベオウルフが生涯の最期に戦った恐るべき火竜との戦いで、最後まで逃げる事無くベオウルフと戦い抜き、そして生き残った盾の英雄。それが、マシュの引き当てたサーヴァントなのだった。 【お礼を言えないまま、最後の出会いになる……って言うのは、少し、嫌だなって思いましたから】 マシュを助けた女性を急いで探したのには、もう一つの理由があった。 あの女性がマシュを助けた時、マシュは、炎の海に包まれた、宛らインフェルノの様相を示すカルデアの管制室と、瓦礫に下半身を潰された自分の事を思い出したのだ。 マシュ・キリエライトの運命は、本来ならばあそこで終わっていた筈なのだ。自分が生まれたその日に、彼女の命運は尽きる筈だったのだ。 見棄てる、逃げる、と言う選択肢を選ばず、自分を助けようとした青年がいた事を、今も彼女は思い出す。 巻き添えを喰って死にかねないのに、本当は彼だって怖かった筈なのに。死ぬのを覚悟で、湧き出てくる恐怖を勇気と言う麻酔で忘れて。 自分に手を伸ばしてくれた、あの青年の姿が、マシュの瞼に焼き付いて離れない。 生まれて初めて目の当たりにした、キラキラとした輝く宝物。 生まれて初めて自分の心から素晴らしいと思うに足る、美しい贈り物。 それを見せてくれた『彼』に、マシュは未だお礼を言えていない。お礼を言う前に、冬木に飛ばされてしまったからだ。 ひょっとしたら、この世界に彼……先輩はいないのではないかと、マシュは思っている。 一方的に助けられ、お礼の一つも言えないまま、志半ばで戦死する可能性すらあるのではないかと、マシュは思っている。 生まれて初めて、一つの物事への忌避感と、自分でも驚くばかりの生への希求感が湧いてくるのを彼女は感じていた。 生きたい。生きて生きて生きて、もう一度巡り会いたい。わがままだと思われても良い、もう一度奇跡が起きてくれるのを、マシュは祈った。 いや、一度だけではない。二度でも三度でも、四度だって奇跡が起きる事を心の底から願った。 【シールダーさん】 【はい、マスター】 【……奇跡は、どのようにしたら起きてくれるのでしょう】 馬鹿な問だと思っている。 自分で起こせる奇跡など、奇跡ではないだろう。偶然起きるから奇跡なのだ。必然的に起きる奇跡とは、予定調和かご都合主義と言うのだ。 そうと知ってもなお、マシュは問わざるを得ない。あの、天文学的な確立に等しい奇跡を、また再現させるには、どのようにしたら良いのかを。 【マスターは賢い人ですから、奇跡は自分で起こせるものではない、と言う事は承知しているでしょう】 【はい……そう、ですね】 やはり、無理か。マシュは思う。ウィラーフの口ぶりは、厳格で、反論の一つも許さない程の強い意思があった。 ――が。 【ですが――それでももし、奇跡が起きてくれるのを願うのならば……】 その後に続いた言葉は、厳しいながらも、何処か、柔らかなものを感じさせる、不思議な声音であった。 【願うの、ならば……?】 【正しい事に、勇気を以って取り組む事です。そして、自分の心が折れそうになったら、強く祈り、それ以上に、諦めないんだと唱え続けて下さい。そうすれば……奇跡は、起きないから、『起きるかもしれない』になります】 【シールダー、さん】 奇跡を起こす方法は、人の身に備わっていない。いや、高次の霊的存在であるところの、英霊にですらそんな方法はないのかもしれない。 だが、奇跡が起きるかも知れない方法は、あるのだとウィラーフは主張した。その声音に揺るぎはなく、疑惑を憶えている風もない。 本心から、このシールダーは信じているのだ。そう、何故ならば、ウィラーフはそう信じる事で、恐るべき巨竜をベオウルフと共に打ち倒せたのだから。 蜘蛛の糸よりなお細い、希望と呼ぶのも烏滸がましい些細な光の糸に縋る事で、歴史に……。そして、尊敬していた英雄に、己の勇を示せたのだから。 【心からのお礼を言いたい人を持つマスター、マシュ・キリエライト。私は、貴女がその思いに対し真摯であり続ける限り……如何なる邪龍、妖獣の一撃も……古今無双の英雄の渾身の攻勢も。全て、貴女から弾いて見せると約束しましょう】 【――はい、お願いします、シールダーさん!!】 折れる訳には行かない。目的を見失う訳には行かない。 この特異点の解決も、カルデアへの帰還も。そして、『彼』に再開する事も。全てマシュは、貪欲に求めると誓った。 自分の心に灯った、一つの小さな明かりと熱。彼女はこれに勇気と言う名を与えながら、一歩歩き出した。 この冬木における、初めてとも言っても良い、自分の意思による小さくも大きな一歩。マシュ・キリエライトは今それを間違いなく刻んだのだった。 ――そして、彼女は気付かないのだった。その一歩を歩き出したのを遠目から眺める、一人の少女の事を。 運命の歯車が噛み違っていれば、燃え盛る地獄で彼女に対して手を伸ばしていたかも知れない、その人物が彼女を見ていた事を。 ◆ ジュデッカ 血塗られた献身 陽を堕とす者 流離の子 Dance of the Seven Veils 蓮の台 ソルニゲル 革者 解放された世界 Fate/Bloody Zodiac ■■海底都市冬木 回帰の白 物語の王 監視者 餓狼伝 アイボリー・メイデン 最終戦争 総ての乙女の敵 キング・オブ・クロスオーバー 不死の罰 日ノ本斬殺 殺られた事にも、気付かない 破滅的終局 久遠の赤 ◆ ZONE11――『最終戦争』 【どうしたよ、『ぐだ子』ちゃん】 【うーん……さっきの眼鏡の女の子……。何処かで見た事があるんだよなぁ……】 それに加えて、自分に念話を飛ばして来たサーヴァント、『ロキ』に対し、『ぐだ子呼びは止めろ』と言いたくもなったが、 言って大人しく従う存在であれば彼女も苦労していない。頼むからマスター呼びして欲しいなぁ、と思いながらも、そっとその事は胸の奥にしまっておく。 【他人の空似、って奴じゃない? 此処、君が元居た世界で見た覚えのある存在が全く別の役割と人生を全うしてるんだろ?】 ロキの言う通りである。 この冬木と呼ばれる街、ぐだ子が元々過ごしていた世界や環境で、彼女と接点の在った人物が多すぎるのだ。 日本にいた時の友人もいれば、カルデアに来てから見かけた覚えのある人物まで。近所や学校近く、商店街などで良く見受ける事が出来る。 ここまで自分と接点があった人物が多いと、最早偶然・運命と言う言葉では片付けられなくなる。では、どんな言葉を用いれば良いのか、と問われれば。 『作為』、と言う言葉で表現した方がこの場合適切なのだろう。それ以外に表す言葉がない程、ぐだ子の見知った人間がこの街には多かった。 先程の眼鏡の少女にしても、ぐだ子は何処かで出会っていた、と言う確信はあった。 しかし、それが何処かは思い出せない。アジア人風の顔付きではない、欧風の顔立ちであった為、出会っていたとしたらカルデアだろう。 そうだとしても、どのタイミングであの少女を見たのだろうとぐだ子は自問する。思い出せないのは、やはり、記憶の障害の為か。 それとも、ほんの視界の端に映る程度位の時間しか、見ていなかった為か。どちらにしても、あの少女の素性は今のぐだ子には思い出せない。 数秒程悩んで見ても、やっぱり思い出せないので、悩んでいても仕方がないかと、頭を振って雑念を払い、思考を切り替える。 そして、あの少女に出会う前までロキと交わしていた会話に、再びぐだ子はレールを切り替えたのだ。 【それで、さ。アサシン。本当なの? さっきの話?】 【星座のカードに細工が仕掛けられてた、っての? ハッ、悪戯・小細工・破壊工作で鳴らしたボクが、あの程度の細工を見破れないとでも? 間違いなく、このカードは、ボクらサーヴァントの気配を消す役割を担っている】 先程までロキと交わしていた会話とは、そう言う事だった。 『昨日の事件』についてどう思うか、と言うぐだ子の一言から会話は始まり、やはりあれはサーヴァントの手による物であり、アレだけの事件、 一組二組早速脱落したのではないかと言うロキの私見に耳を傾け、このまま自分達が無傷でやり過ごせれば良い、と言うぐだ子の一言から、ロキはこう言ったのだ。 ――君としてはそれがベストなのかも知れないが、ボク達だけ平和、と言う時代もそろそろ終わりそうだよ―― 何とも意味深な言葉だった。 その言葉の真意を訊ねた所、ロキは言ったのだ。この冬木に於いて、『昨日の事件』のような出来事はもっと勃発していて良い筈なのに、 どうしてあの一件だけしか目立たなかったのか。その訳は、単純明快。『サーヴァントと出会う事自体が難しくなっているからだ』、と。 とは言え、サーヴァント自体は皆等しく、この冬木に召喚されている。問題は、サーヴァントが当たり前のように有している、 他サーヴァントの知覚機能が麻痺している事なのだそうだ。この不可解な現象のカラクリが、ぐだ子がこの世界に来るに至った、あの星座のカード。 このカードには極めて高度な仕掛けが施されているのだと言う。ロキですら、一時とは言え目を欺かれる程の高度な隠し機能だ。 彼――彼女と言うべきなのかぐだ子ですら今も迷っている――ですら一杯喰わされたその訳は、『この仕掛けには魔術的な措置が一切用いられてなかった』事にある。 つまり、この星座のカードに隠された秘密の機能、サーヴァントの気配を消失させるそれは、魔術ではなく『極めて高度な科学』によりて編まれた物であると言うのだ。 ただの魔術的な措置であれば、気付くキャスターも多い事だろう。だが、科学ともなれば、なまじそちらの方面に関する知識が疎いが為に、滅多な事では仕掛けに気付けない。 ロキがこの事に気付けたのは、彼が言った通り、彼自身の手先が器用である、と言う一点が大きいのである。 【うーん、私としては、何でこの仕掛けが、私の平穏の終わりに繋がるのか解らないんだけど? 寧ろ、サーヴァント同士の衝突が防げる分、平和に貢献してると――】 【この仕掛けが、聖杯戦争を仕掛けた奴らの胸先三寸で解除出来ると言う前提で、もしも相手が聖杯戦争の運営に意欲的なら、いつまでも今の状態のまま放置する訳ないだろ】 【うっ……】 それは、確かにそうだ。 ロキの言う通り、この星座のカードの仕掛けは現段階では明らかに聖杯戦争を仕組んだ者が仕掛けたものとして見るのが筋であるし、 であるのならば、彼らの意思次第で自由にその仕掛けを解除できる物と見て間違いない。遠隔操作で自由にON/OFFを切り替えられる事位は容易に想像が出来る。 現状では聖杯戦争を運営する者達の真意は、そもそも出会った事すらない為図りかねるが、仮に、聖杯戦争の管理に意欲的であったとして、 それならば当然戦局が進んで行く事が彼らの望みでもある筈だ。何時までも、サーヴァントとサーヴァントが出会わない。 言ってしまえば、仮初の平和の状態がいつまでも続く事は、彼らとしても好ましい事ではあるまい。それでは何故、その好ましいとは思わない状態が、今でも続いているのだろうか。 【恐らくだが、向こうとしても今すぐ始めたいんだろうさ。聖杯戦争を】 【じゃあ何で始めないの?】 【そんな事も解らないのかい、君は?】 やれやれと、物覚えの悪い子供に物を教えるのに飽いたような態度が、念話とはいえロキの声音から非常によく伝わってくる。「悪かったわね、バカで」、とぐだ子は内心でむくれた。 【簡単な話だ。『出来ない事情がある』からだろう】 【それって、何?】 【それが解れば苦労はしない。まだメンバーが集まってないか、聖杯戦争開始前になって、重大なエラーが発生して、メンテナンスが延長してるのか。どちらにしても、向こうの事情が絡んでいるのは大いにあり得る】 いつ始まるのかの告知もなく、未だに裏準備とメンテナンスに追われる運営。 何とも間の抜けた話であるとぐだ子は思わなくもないが、逆説的に、其処までやらねばならない程、聖杯戦争とは大規模な物である事にも繋がる。 ぐだ子が特異点だと認識しているこの世界。聖杯戦争の解決が、特異点の解決と=なのかは、今を以ってしても彼女にも解らない。と言うより、一方的な思い込みだ。 それに、ぐだ子の本音を語るのであれば、聖杯戦争には始まって欲しくない所か、寧ろこのまま有耶無耶になり、催し自体なかった事になって欲しいとすら思っている。 ロキに対して、この冬木での特異点を解決すると即答した少女の考えとは思えないが、今の彼女等、実戦経験は勿論、喧嘩の経験一つもないただの小娘だ。 神話の住人、歴史の偉人、血塗られた悪党達を駆る聖杯戦争をさぁ解決しろ、と言われて腰砕けにならない訳がないのだ。 怖い。だが、やらねばならないと言う義務感も彼女には宿っていた。末席とは言え、カルデアの一員に選ばれてしまった事から来る誇りか。 それとも、世界の危機を救いたいと言うヒロイズムか。はたまた――世界を救ったと言う悦に浸りたいだけか。 このまま誰も傷つかず、自分も一切痛い目を見ず。それで事態が解決してくれれば、勿論ベストなのだ。だが、その望みは薄い。 あの事件が起きてしまったからだ。それ程までに、『昨日の事件』と呼ばれるアレが、ぐだ子に与えた衝撃は大きかった。 サーヴァントと言う存在を操る意味。そして、それによって如何なる現実が齎されるのか。 人に対して剣を振えば、恐るべき結果が待ち受けているように、サーヴァント同士を争わせたら、どうなるのか。 それを、あの事件の惨状を見た参加者達は、少し前のぐだ子同様、嫌でも理解してしまった事であろう。 聖杯戦争と言う笑ってしまう程非現実的な催しは、無慈悲なまでに現実のものであり。 その渦中に自分は巻き込まれている。その事実を認識する度に、吐き気を催す。そんなぐだ子の内面を推し量ってか。ロキは、念話でケラケラと笑い出した。 今のマスターの様子が、何処までもおかしいと言わんばかりに。 【そんなに、おかしい? 私が困ってる事が】 ややキレ気味にぐだ子が言うが、相手は全く悪びれる様子も、反省する色もない。【うん】と即座に切り返して来た。 【言ったろ。ボクは面白い事を優先するって。ボクに対して『特異点を解決する!!』ってイキってた姿と、現状に悩む姿のギャップ。面白くない訳がない。笑ってやらない方が、失礼ってもんだ】 【それじゃ、私が死んだ方が面白いってアサシンが思った時には……】 次の一言をロキが紡ぐのに、二秒程の間があった。図星を突かれて黙った訳ではない事は、ぐだ子にも解る。 きっとロキは、嗤っていたに相違あるまい。今のぐだ子には見えないが、恐ろしく邪悪な笑みを浮かべて、彼女に向き合っているに相違あるまい。 【ボクがどう言う存在か。君も勉強して来ただろ?】 聖杯戦争は勿論、使い魔すら使役した事のない、魔術の道に関しては素人以下のぐだ子であるが、自分が従えるサーヴァントの素性を調べぬまま放置を決め込む程、 馬鹿な女ではない。彼女はロキを召喚したその日に、彼がどんな存在なのかを調べて見た。 移り気で、浮気性で、狡猾で、邪悪なトリックスター。世界の終焉のトリガーを引いた、戦犯中の戦犯。それが、ぐだ子から見たロキ評と言う物だった。 とてもじゃないが、自分に対して有効的な風を装っているのが信じられない程の超大物だ。いや、表面上は友好的と言うだけで、本当は自分の首を狙っているのだ、 とぐだ子が考えた回数もかなり多い。油断していたら寝首をかかれる。そうとぐだ子が思い込む程、ロキの経歴は真っ黒過ぎるのだ。 【心配するなよ。君を殺してしまったら、聖杯戦争を最後まで見届けられない。聖杯戦争を楽しむって事を目的とした場合、君を殺すのは悪手も良い所なんだよね。この前提があってなおかつ、君が面白い事をし続けてくれるのなら、ボクはキミの為の『道化』さ】 【道化って……】 【道化は良いものだよ、ぐだ子。その名と在り方の故に、神や王をも虚仮に出来るアウトサイダー。ほら、こう言われると憧れないかい?】 【あまり】 【ノリが悪い!! 面白くないポイント一点付けていい? 十点貯まったらボクが君を殺すってシステムなんだけど】 【駄目!!】 ロキがそんな事を言うと、冗談に受け取れなくなる。 何せ面白くないと言う理由で、誉れ高い光明神の暗殺計画を立てる輩だ。人間のマスター如きを殺した所で、その心の水面には感情の漣一つすら起きないだろう。 【ま、殺されたくないのならさ、ボクと一緒に道化を楽しもうぜ、ぐだ子。この聖杯戦争、道化の大先輩たる悪い蜘蛛が巣を張ってるみたいだしね。ボクの当面の目標は、彼に勝利して当代最高のジェスターの座を勝ち取る事なのサ!!】 何が何だか、と言う風のぐだ子。 蜘蛛と言うのも、何かの隠語だろうかと思ったその瞬間の事だった。おもむろに、車道の脇にタクシーが急停止、其処から勢いよく男が飛び出し、彼女の方に向かって行ったのは。 「や、やっと見つけました!!」 息せき切って男は、ぐだ子の前に現れるや、「私、こう言うものです」と言って、名刺を差し渡して来た。 突如現れた男の様子に、「えっ? えっ?」、と。当惑の念を隠せないぐだ子。【……チッ、厄介な奴までいるな。何処まで捻じれてんだ、この世界は】、と言うロキの小言が気にならない位には、ぐだ子の頭の中は、酷く真っ白なのであった。 ◆ ジュデッカ 血塗られた献身 陽を堕とす者 流離の子 Dance of the Seven Veils 蓮の台 ソルニゲル 革者 解放された世界 Fate/Bloody Zodiac ■■海底都市冬木 回帰の白 物語の王 監視者 餓狼伝 アイボリー・メイデン 総ての乙女の敵 キング・オブ・クロスオーバー 不死の罰 日ノ本斬殺 殺られた事にも、気付かない 破滅的終局 久遠の赤 ◆ ZONE12――『キング・オブ・クロスオーバー』 株式会社022プロダクションのロゴと、男の素性の書かれた名刺を受けとる事もせず。 男が手にしたままの名刺と、それを差し出している男の姿を交互に眺めて。目の前の少女は、キョトンとした顔を隠せないでいた。 無理もない。022プロと言えば、日本でも有数の芸能事務所の一つ。その事務所に所属する営業マンが、女性に対して名刺を送る事の意味は、そう言う事である。 スカウト。それ以外になかった。目を丸くしている少女に対し、男は畳みかけを掛けるべく、美辞麗句の洪水を浴びせ掛けに来た。 「どうしても外せない急務があったせいで、新都であなたを見かけても、声の一つもかけられなかった事を死ぬ程後悔した!! あなたみたいな原石を目にしておいて、もう会えないなんて、と!!」 「え、え?」 困惑を隠せない様子の少女に対し、名刺を差し出すスーツの男から発散される、ギラギラとしたオーラ。 今の男は宛ら、獲物に狙いを掛けるライオンかトラ宛らであった。此処で、少女を逃しはしないと言う固い決意すら感じられる。 「いや、正直今この瞬間も急務に追われていますけど、ここであなたと言う原石を無視するのは余りにも惜しい。どうです、アイドルにご興味はありませんか!? あなたならきっと、トップアイドルの一人に――」 「そ、その――失礼しますっ」 男が全てを言い終える前に、少女は一礼、急いで彼に背を向け、猛ダッシュ。 数秒の内に彼女の背中は、豆粒の如く小さく遠ざかって行く。男が、少女の行動に気付いたのは、彼女が一礼してから三秒後程の事。 気付いた時には、もう遅い。「あ、待ってくれ!!」、そう言う頃には、既に彼女の背中は小さくなっているどころか、適当な路地に逃げ込み、物理的にその姿を拝む事すら叶わなくなってしまっていた。 「クソ、またデカい魚を逃した!! いや、俺がどんな素性の人間なのか解ってくれただけマシか……? 頼む、疑わないで事務所の電話番号にTELを……」 「――ねぇプロデューサー? タクシーの運転手さん、待たせちゃってますよっ」 今にも地団駄を踏んで悔しがりそうなスーツの男に対して、そんな、若い女性の声が聞こえた。 ハイティーンともローティーンとも取れる、十代の少女の声である。平時の声からして明るく、陽性のそれを感じさせる声音だった。 声のした方角に、男が顔を向けると、そこにはいた。この男、プロデューサーと呼ばれる男が面倒を見ているアイドルの一人、『多田李衣菜』が。 「李衣菜か。すまん、勝手にタクシー止めて飛び出してしまって……」 「今日は絶対遅刻出来ない打ち合わせがあるから、早めに着くようにするぞ、って言ったのプロデューサーじゃないですか。自分から遅刻するような真似してどうするのさ」 「そ、それはそうなんだが……つい、スカウトマン魂が暴走してしまってな……」 「もう。早くタクシーに戻りますよ、プロデューサー」 「あ、あぁ」、と頼りない返事をしてから、プロデューサーはやや重い足取りで、路肩に止められたタクシーの方に歩いて行く。 逃した魚の惜しさからか、ブツブツと意味不明な小言を口ずさむ、自分のプロデューサーを見て、タクシーに向かうがてら、李衣菜は口を開いてしまった。 「……さっきの人、ですよね? プロデューサーが冬木で見たって言う、凄いアイドルの原石って」 「そうだ。一昨日、今日の仕事の準備の為に新都を動き回ってたら、偶然見かけてな。一目見て確信したよ、磨けばトップアイドルの器になれるってな」 「そうかな……? 私にはどうにもそう見えなかったけど……」 「バカ、李衣菜。俺の目に狂いはないぞ。顔も良くてスタイルも良いだけじゃない。あの娘には、人を惹きつける何かがあるし、俺はそれを感じ取った。あれを放っておくなんて、余程の節穴としか俺は思えん」 「うーん……そう言うものですかね?」 「そうだ。この人を惹きつける何かは、通常自覚が出来ないんだ。李衣菜、お前にしてもそうだぞ。お前は「ないない」、と否定するかも知れないが、お前にだってその何かがあるんだ。だから、お前は022プロでアイドルとして輝けてるんだぞ」 「まったまたー、おべっかが上手なんですからー」 と言って本気にしない李衣菜だったが、言われて嬉しくない訳ではない。 ちょっと変化球が掛かった褒め言葉と受け取るも、プロデューサーと呼ばれるスーツの男は、「自覚がないのかこのジゴロは」、と呆れた様子を隠せてない。 二人はこの時に、タクシーへと近付いており、李衣菜を上座に座らせてから、プロデューサーもタクシーに乗り込む。 「すいません、ご迷惑をお掛けしました」、とプロデューサーは謝罪。「結構結構」と、気にした様子もなく、運転手は再び車を走らせる。時間にして四分程の、ロスであった。 「うーんだけどなぁ、気のせいかな……何だか知らないが、同一人物っぽい感じがしなかったんだよな。前に俺が横目で見た時のあの娘と、今の娘が」 「えぇ? そんな事言われても、私あれが初対面何ですから、よく解りませんよ」 「いや、前に見た時は、チラリと見ただけで解る意思の強さがあって、そこに大人物の風格を感じたんだが……。さっきの娘は何て言うのかね……人並みの悩みを抱える、等身大の女の子って感じがしたんだよな」 「ちゃんとその人の事憶えてるんですか? プロデューサー。記憶違いで、別人をスカウトしちゃったりとか」 「いや、それはない。全く同一人物だった。……まぁ、『昨日の事件』のせいで少し怖がってるだけなんだろうとは思うがな。あんな良く似た別人なんて、あり得る筈がないからな」 『昨日の事件』。何気なく、怖がらせるでもなく、プロデューサーが口にしたその言葉に、李衣菜はビクリと反応した。 「どうした、お前も怖いか?」、と笑うプロデューサー。冗談めかして彼は口にしたつもりなのだろうが、真実その通りであった。 そう、李衣菜は怖い。彼女は知っているからだ。あの事件は聖杯戦争の関係者が起こした事件でありそして、この事件を起こした張本人とやがて接敵する可能性がある事も。 当初は、ただの事故だろうと――無理があり過ぎるが――現実逃避も出来たのだが、自分のサーヴァントがそれを許さなかった。 自分の召喚したサーヴァントであるウォッチャーは、名の通り『視る』と言う行為に対して凄まじいアドバンテージを取れる存在である。 未来視は勿論過去視だって、彼にしてみればお手の物。彼は事件現場を見た瞬間に、あの事件がサーヴァントの手によるものだと断定してしまったのだ。 ――では、斯様な慧眼の持ち主である、多田李衣菜の引き当てたサーヴァントは、何処にいるのか? その答えは、彼女とそのプロデューサーが乗り合わせている、個人タクシーのルーフ部分。そのサーヴァントは其処で―― 「HELLO~~~~~~~~~~!! 冬木シティ!!(DJサガラ) 何だよ何だよ、随分シケて侘しい活気になっちまったじゃないの、『昨日の事件』がそんなにショックだったかよ? 吉幾三が帰った後の青森県五所川原みてーになってんゾ!!」 ……と、ご覧の通りである。 意味の解らない狂人の戯言を、正に機関銃の如き密度と速度で喋くりまくっていた。しかも相手は李衣菜に、ではない。 このウォッチャーのサーヴァントは時折、李衣菜と二人しかいない空間においても、誰もいる筈のない『虚空』に向かって喋り出す事が多いのだ。 「ニェッヘッヘッヘ!! リーナ、お前には見えてない方が幸せかもな!! 俺の話し相手が見えちゃったら、リーナのクリトリス並に小さい心じゃぶっ壊れちまうゼ!!」 いつだったか、誰に対して話しかけているのかと言うリーナの問いかけに対して、ウォッチャーはこう答えた。全く以って、意味が解らない。 ウォッチャーのサーヴァント――フランソワ・デュヴァリエ……いや、『バロン・サムディ』とは常々こんな調子のサーヴァントだった。 霊体化以上に高度な幻術と魔術を用い、実体化しているのにその姿を霊体化以上に認識させぬ不思議の術を使って自由に振る舞う、縛る事の不可能な男。 今だってそうだ。生と死とセックスを司るこのロアは、霊体化を行わず、自前の隠匿技術で己の気配を遮断させている。 そう、今もサムディは実体化をリアルタイムで行なっていないのだ。それにも関わらず、多くの人々が彼の姿も声も認識出来ないのは、彼の術が高度なそれの証であるからだ。 そして、こうしながら李衣菜を守りつつ、小学生でも言わないような下ネタを恥ずかしげもなく披露し、李衣菜を赤面させて楽しませていると言う、こんな調子だった。 「Heyリーナ!! もうすぐ楽しい楽しいカーニバルが始まるってのに、その辛気臭いツラはなんだい!! パパ・タケウチも言ってたろ? アイドルは笑顔が大事だ、って!!」 【た、確かに笑顔は大事なんだけど……って言うか、楽しいカーニバルって、私全然楽しくないよ!!】 「馬っ鹿、リーナお前、楽しいのはお前さんじゃなくて、このサーカスを見てるお客様が楽しいって意味だぞ!! ……いや、良く考えたら楽しいのかこの企画? ……まぁいいや、笑ってやれ!! HAHAHAHAHAHAHAHAHA!!!」 正味の話、李衣菜はこのサムディの言っている事の意味の多くを理解出来ないし、昨日の事件がサーヴァントの手によるものだと言う事を、 彼自らに説明されても最初は全く信じる事が出来なかった。典型的な虚言癖で精神異常者。それが、ウォッチャーのサーヴァント、バロン・サムディなのだ。 ――だが、あの時。『昨日の事件』の事を説明する時のサムディの瞳と声は、李衣菜の見て来た彼のそれとは全く趣が違った。 今でも忘れない。あのロアが見せた、陽気さの欠片もない酷薄かつ冷酷な声音と、喜悦の色を宿した瞳。 それは、いつもサムディが見せているそれとは全く違う。恐らくは、あれこそが、彼の本心なのではと錯覚させるに足る力が、あの時の姿にはあった。 きっと、李衣菜によく見せている猥雑な姿と素振りも、あの時に見せた空恐ろしい様子も、バロン・サムディと言うキャラクターの真実の面なのだろう。 どちらもが、偽らざるバロン・サムディ。李衣菜は、今も自由に振る舞う彼の事を見て、思うのだ。自分は本当に、元の世界に戻れるのか。 誰一人殺さずして、身綺麗なままで元の世界に胸を張って帰れるのかと。このサーヴァントは、苦痛と絶望が渦を巻く地獄を楽しめる狂人である。 そんなサーヴァントを相棒にして、本当に自分は、大丈夫なのか。 「イエーイ!! 蜘蛛のアナンシパイセン見てるー!? それと、『紅』と、『顔無し』!! お前らもコソコソ覗き見してるって事知ってんだからな!! ま、後でこっちの方から、アナルからひり出したラムと葉巻(うんこの暗喩ではない)持ってお邪魔するからさ、盛大にもてなしてくれよな~!!!!!!」 全く以って、意味の解らない事を口にするサーヴァントだと認識する李衣菜。 そして、年頃の少女の前で口にするには余りにも品の欠片もない下品な言葉に、思わず李衣菜は赤面してしまう。 「どうした、李衣菜、具合でも悪いのか?」と隣のプロデューサーが心配そうな声音を掛けて来るが、「大丈夫です、ちょっと緊張してるだけ」と誤魔化す。 こんなサーヴァントを相手に、同盟を組んでくれる人物は果たして存在するのだろうかと、恥ずかしさで気が狂いそうになりながらも李衣菜は考える。 ――男の子のサーヴァントだったら……まぁワンチャンあるかもしれないけど、女の子のサーヴァントとか絶対一緒に戦ってくれないよねこれ……―― 同性のサーヴァントだったら、下ネタとかで心が通じ合えそうな気がしなくもないが、この乙女の敵みたいなサーヴァントと、 一緒に戦ってくれる物好きな女性なんていないんだろうなぁ、と李衣菜は悩み続ける。頼むから、サムディには紳士らしさ、と言うものを学んでほしかった。 そんな事を思っていると、遂に一同は目的地へと到達した。 「先に降りてて良いぞ」、と言うプロデューサーの言葉に素直に従い、彼が料金を支払うまで車外で待機する李衣菜。 その間、東京の丸の内や新宿にでも立っていそうな、とても大きな高層ビルを見上げ、李衣菜は嘆息した。 今から彼女は此処で、大きな仕事の話をしなければならないのだ。言ってしまえば、一足早く同年代の子供達よりも、大人の階段を大きく上るに等しい。 何週間も前から打ち合わせをし続けていた――と言う事になっているらしい――企画。それが実を結ぶと思うと、仮初の都市での出来事とは言え、やはり緊張してしまう。 ――日本有数の、大手人材派遣会社『KING』。 この会社で新しく行われると言う、高校を卒業してすぐ働く学生向けの職業斡旋サービス。 そのサービスのキャンペーンガールとして、022プロダクションのアイドルの何人かが選ばれ、その代表として、多田李衣菜がプロデューサーと共に、このKING冬木支社にいるという社長に挨拶をしに来た。と言うのが、事のあらましなのであった。 ◆ ジュデッカ 血塗られた献身 陽を堕とす者 流離の子 Dance of the Seven Veils 蓮の台 ソルニゲル 革者 解放された世界 Fate/Bloody Zodiac ■■海底都市冬木 回帰の白 物語の王 監視者 餓狼伝 アイボリー・メイデン 総ての乙女の敵 不死の罰 日ノ本斬殺 殺られた事にも、気付かない 破滅的終局 久遠の赤 ◆ ZONE13――『陽を堕とす者』 KING、と言えば日本でも有数の大手人材派遣会社として、その名を轟かせている一大企業であった。 本業である人材派遣サービスや販促サービスは元より、最近ではブライダルや育児関係などの各種情報誌を発刊していたり、 住宅情報や飲食店、海外旅行についての検索・予約サービスなども行っていたりと、手広く会社を運営し、その全てに一定の利益を上げている、まさに飛ぶ鳥を落とす勢いの企業だ。 KING、と言えば大手である以上にもう一つ、とても有名な事実が一つある。それは、代表取締役である男が、極めて若い人物である、と言う事だ。 ただ若いだけなら、ここまで話題にならない。そこに、金髪碧眼の美男子であり、ギリシャの彫像の黄金比さながらの、 肉体美の理想(イデア)そのものの如き完成された肉体の持ち主である、と言う事実が加われば、それは有名になるのもむべなるかなと言う物だった。 富、名声、権力。その全てを男は、最高に近しいレベルで持ち合わせていた。 高層ビルの上階から冬木の街を眺めてみると、この街の全てが自分の物になったと言う錯覚すら覚える。 核の焔によって破壊された虚しい街並みではない。男の眼下に広がっているのは、人間達が経済活動を確かに行い、各々の生活を送っている生きた街なのである。 ――こんな街なら、ユリアも……―― 自棄を起こさなかったのだろうかと、KINGの代表取締役――『シン』は考え、そして、その考えを脳内から排除した。 街が綺麗だとか、富があるからだとか言って靡く女では、ユリアはなかった。雑草の一本も生えていない崖(きりぎし)に咲く一厘の百合の如き気高さを誇る女。 それが、ユリアと言う女だった。だからこそケンシロウも、そしてシンも彼女を愛した。そんな女を、シンは自分なりのやり方で振り向かせようとした。 世紀末の世界において残っていた方が奇跡とすら呼べる程の、純白のドレス、大ぶりの宝石が輝くサークレットにリング、ネックレスで気を引こうとした。 ユリアの意思一つで思いのままに動く軍隊も、彼女が女王としての権威を発揮出来る都市も、シンは与えた。全ては、ユリアの為だった。 だが、ユリアの心は変わらなかった。 自分の為に殺戮を繰り返すシンに、まるで憐れむかの如き言葉を投げた後、彼女はシンの居城から身を投げ、欲望を由とするシンの支配から解放されようとした。 そして、シンは――世紀末の世界を生き抜くだけの力を最高に近しいレベルで持ち合わせていた男は、己の道化(ピエロ)振りを初めて知った。 ユリアの為に動いていた時間の全ては、彼女の決意に満ちた行動が終わるまでのたった数秒の時間で帳消しになってしまった。 シンに残されたのは、自分に忠誠を誓う軍隊とそのトップの地位と言う権力、略奪の果てに得た富、KINGの主と言う名声。 その全てが、果てしないまでの空虚をシンに与えていた。得た物が大きければ大きい程、その分だけ、この強者の心に空白と空隙を約束する。 これら全部がユリアの為に用意した物である、と言う事実を認識すればする程に、シンの心の中に寒い風が飄々と吹き荒ぶのである。 命を奪い、富を奪い、食を奪い。そして、愛と心を奪い損ねた哀れなピエロ。それが、シンと言う男であった。 元居た世界での因果応報を味わえとでも言わんばかりに、この冬木に於いてシンに用意された境遇は、元の世紀末のそれと似通っていた。 富もあり、名声もあり、権力もある。何一つ、この冬木で生きる上でシンを不自由にさせる要素などない。だがやはり――ユリアの姿はこの世界にもない。 平穏で、平和な世界でこそ美しいあの女性は、この世界で咲き誇る事もない。シンはこの世界でも、ユリアの為に殉じる事が出来ぬのだ。 その上――この世界の平和は、世紀末の世界でこそ己の獣性と欲望、暴力を解放できるシンと言う男にとっては、毒そのものだった。 余りにも、生き辛い。平和の中で、己の心と身体が蝕まれていく感覚すら、シンは憶えていた。 戦いになれすぎた兵士は、戦場よりも寧ろ、戦場とは無縁の平和な日常の中で精神に異常を来たさせて行くと言うが、その気持ちをシンは痛い程理解している。 ユリアのいない平和な世界は、シンと言う強者の心を蝕むには、余りにも大き過ぎる威力を発揮していた。正にこれこそが、元の世界での応報そのものであった。 「……腑抜けた街よ」 磨き上げられたガラス窓から見下ろせる冬木市を眺め、シンは唾棄する。 こんな街を有り難がるのは、あの小賢しい妖星の男位のものであろう。シンにとってはこんな街、如何程の価値もない。 元居た世界で彼が率いていた暴力組織を、大規模の会社組織に置換した物――尤も冬木でのそれは完全にクリーンなそれだが――、そのトップがシンである。 事もあろうに社名まで、元居た世界と同じ『KING』と来た。此処までシンの神経を逆撫でする程の皮肉を立て続けに用意する等、余程聖杯戦争の運営とやらは、己の南斗の拳で八つ裂きにされたいと見えるとシンは常々考える。 シンは、この会社が嫌いだった。 南斗孤鷲拳の修行は、厳しくはあったが嫌いではなかった。自分が強くなっていると言う実感が、日を重ねるごとに得られたからだ。 あの血の滲むような修行の日々よりも、この会社に出社する事が苦痛なのだ。だからシンは、己が居城と認める深山町の町外れに存在する廃洋館で、 『時』が満ちるのを待っていたのだ。その意を曲げてまで、この会社に珍しく出社した理由はシンプルである。 風の噂で聞いた、昨日起こった恐るべき事件。その全貌を知るべく、我が意を曲げてまでこうして出社したと言う訳である。 シン程の男の興味を引く事は、並大抵の事ではない。目の前で爆弾が炸裂したとて、この男は眉一つ動かす事はなく、その心に波一つ起こさせる事は叶わぬだろう。 ――だが、サーヴァントが起こしたとされる騒動が自分の知らぬ所で起っていた、となれば話は別。 シンは、己の願いの為に聖杯を欲している。他の全てのサーヴァント、全てのマスターを下してまで叶えたい神聖な願いを秘めている。 有象無象のマスター如きであれば、シン一人で真正面からでも叩き潰せるが、超常の存在、神話の英傑、御伽噺の住民であるサーヴァントを従えていると言うのなら話は別。 全霊を以って、勝つ為の手段を模索せねばならない。その為には情報は必要不可欠。先ず間違いなく、『昨日の事件』はサーヴァントの手による物だ。 この情報を集める為に、こうしてKINGの支社に姿を見せた。シンの姿は市井の中では目立つ。その容姿と、発散される気風のせいである事は言うまでもない。 今現在、KINGの屋上に、己の召喚したアーチャーを待機させ、冬木市全土をその千里眼で監視。この時、アーチャーが見たものを、シンの視覚と同期させ、 情報を共有させると言う手法を行っているが、結果の方は芳しくない。どうやら、戦闘が得意なサーヴァントもいるなら、暗殺拳の基本である気配の隠匿を得意とするサーヴァントもいるようである。そのどちらも得意である、と言う可能性もゼロではない。兎に角、嫌な思いをしてまで出社していると言うのに、思いの外収穫がない。シンとしては、腹ただしいとしか言いようがないのであった。 【焦れているのか?】 恬淡とした精神が透けて見えるような声音だった。 人によっては冷淡に聞こえるだろうが、シンにとってそのサーヴァントの声は、無私が極まり過ぎたが故に、感情の総量が虫と同じ程度にしかなくなった人物、 としか聞こえなかった。欲を由とする自分のそれとは違い、余りにも声音に覇気も熱もない。だが――強い。枯木を思わせるその声音には、シンですら畏怖する程の力があった。 枯木に強さが宿るなど、矛盾しているとしか思えないだろう。だが、その矛盾が現実になる程に、シンに従うサーヴァントは『強い』。 当たり前だ。南斗の拳とは元来中国で興った拳法に由来する。シンも嘗ては拳法を学ぶと同時に、己の南斗孤鷲拳と、それが包含されている南斗聖拳の歴史を学んだ事がある。 必然的に、中国の歴史・伝承・神話についてもある程度は学ぶ機会があったという事。ならば、知らない訳がない。 中国の神話において太陽の化身、いや太陽そのものたる焔の鳳(おおとり)を撃ち落としただけでなく、中国全土に禍を成していた様々な怪物を退治した大英雄。 ――『ゲイ』。 それが、シンの召喚したサーヴァントである。北斗神拳の伝承者は時に神の化身とすら謳われる事があるが、シンに頭を垂れているこのアーチャーは、 正真正銘の神そのもの。尤も、伝承において彼は既に神性を失ったとされ、それはサーヴァントの身の上となった今でも同じであるらしいが。どちらにしても、この弓兵が例え神として聖性を失ったとしても、万夫不当の大英雄であると言う事実には一切の異論の余地がない。シンですら、口ではゲイにKINGと呼べと言ったものの、その英雄性に疑いを持ってなどいない程と言えば、どれ程のものか知れようと言うものだった。 【この程度で焦れる俺ではないわ】 南斗六聖拳程に拳格の高い流派を習得するには、肉体面・武術面での天賦の才覚は勿論の事、精神性においても超人であるか否かが求められる。 いつ殺されるか解らない、動けば此方が殺されると言う極限状態の最中に在って、平常心を保て、擦り減らない程の強度の精神を保有しているか否かは、最大の指針の一つ。 敵が見つからないからと言って、動じたり焦燥したりする程シンの精神力は未熟なものではない。此処は、ゲイの索敵が成功するのを堂々と待つ時である。シンは、そう考えていた。 【そうか。要らぬ心配をしてしまったな。すまない】 【不要な言葉だ。アーチャー、お前は早く敵を探すが良い】 【心得た】 其処で、二名の会話は途切れた。 二人の会話は、いつもこうだった。サーヴァントとマスター、と言う、一蓮托生、運命共同体にも等しい間柄であっても、交わされる言葉は必要最小限。 まともに会話が続いていた時期は、召喚された時のみだけだと現状では換言しても良い。だがそれは、二人の関係に亀裂が走ったとか、仲違いを起こしているとか。 そう言う事を意味しない。極めて短い、最悪、単語のみの会話だけでコミュニケーションが図れると言った方が、この場合は正しい。 目まぐるしく戦局が変わる事が予想される聖杯戦争。マクロ的な目線で見てもそうなのだ。ミクロ的、つまり、個々人間での戦いであれば、有利不利の趨勢は目まぐるしく変わるであろう。そんな時に、極短い言葉で意思疎通が出来ると言うのは、とても大きいアドバンテージだ。この短期間で、此処までの関係を築き上げられる。この主従が戦闘と言う概念について、とても高い理解度を誇っている事の何よりの証でもあった。 瞳を瞑り、ゲイの報告を待つシン。 やっている事は、禅の修行に近い。いる事すら御免蒙る空間であるが、こうして瞳を閉じ、精神を集中していると、時間が経つのが早く感じるのだ。 孤鷲拳、と言うより、北斗・南斗で共通して行われる、精神鍛錬の修練がこう言った形で役に立つ日が来るとは、流石のシンも思っていなかった。 ゲイの報告を待っていた、その時である。念話ではなく、確かにシンの耳に、コンコン、と言う音が聞こえて来た。彼の居る部屋に通じるドアを、ノックする音であった。 「……入れ」 心底不機嫌そうに、シンが口にする。 閉じた瞼がゆっくりと開かれると同時に、ドアが開かれる。「し、失礼します」、と。委縮した様子で、力士めいた体格の男が部屋に入って来た。 このような仕事では御法度の髪型、つまり、頭を丸刈りにした、一見すれば肥満体(デブ)としか見られぬ様な身体つきの持ち主。 そんな男が、仕立ての良いヘリンボーンのスーツを着こなしていると言うのだから、驚きと言う物である。 この、ハンプティ・ダンプティを厳めしくしたような男を、シンは知っている。知らない筈がなかった。 体格こそ、世紀末の世界で生きていた頃に比べて若干常識的な範囲にまで落ち着いているが、この男は元居た世界のKINGと言う組織における、事実上シンに次ぐNO2。 本名こそ忘れたが、シンやKINGの構成員が『ハート』と呼んでいた男である。この世界においては、株式会社KINGにおける四人の大役員の内の一人に数えられていると言う。 世界観が違えば、此処まで人は変わるらしい。だが流石に、此処まで変わってしまうと、シンとしても驚きを隠せない。見知った人物がゴロツキやならず者稼業から足を洗い、それどころか立派な仕事に勤めているのを見るのは、何とも不思議な気持ちになる。 「何の用だ、ハート」 「え、えぇ。今日はかねてから計画していた、我が社の高校を卒業してすぐの子供向けの就職斡旋サービスのキャンペーンガールの子と、そのプロデューサー様と打ち合わせをしていたのですが……。本日は珍しく社長(KING)が御出社しておりましたので、私の独断で紹介をしておこうかと……」 「下らん。俺は忙しい。三十秒程でその紹介を済ませろ。いるのだろう、貴様の後ろにその女が」 幾らシンの方が目上の人物であり、彼とハートとの関係が上司と部下のそれであるとは言え、この居丈高な態度は余りにも酷いと思われよう。 だが、それがサマになっている。社員のだれもが、シンのこの態度に疑問を憶える者はない。魚が水の中を泳ぐのを見て、鳥が空を飛ぶのを見て、変だと思う人はいない。 それと同じように人は、シンのこの態度が彼の常態であると錯覚してしまうのだ。彼の容姿と、放たれる威風。これが、異議と疑問を封殺する。 株主ですらが、シンのこの態度を認め、許容している程と言えば、どれ程この男が会社内で認められているのか窺えよう。 シンの言葉を受け、慌ててハートが、部屋の外に待機させていた二名の人物。 即ち、キャンペーンガールを担当する少女と、彼女の面倒を見ているスーツの男に声をかけ、急いで入室させる。 「失礼しますっ」、少女の方は、やや声が裏返っている。緊張の為もあろうが、間近でシンの姿を見て、呆気にとられ、威圧されていると言う事実も大きい。 つまらぬ人間だと、シンは即座に看破した。男も女も、覇気と執念と言うものを感じられない。世紀末ではない、ぬるま湯のような現世であれば、どこででも見られるような人種。シンが関わる事すら嫌な人間達であった。 「わ、私、022プロダクションに所属していただ、おります、多田李衣菜と申します!! よ、宜しくお願いします!!」 勢いよく一礼する李衣菜。彼女の礼の後に、経験を積んだ社会人らしい、ゆっくりとして落ち着いた言葉遣いで一礼する、李衣菜のプロデューサー。 少女の方は、余り敬語の方も使い慣れていないらしい。平素の言葉遣いが知れようと言う物だ。この上言葉も噛み噛みと言う、アイドルらしからぬ滑舌。先行きが不安になる。 とは言え、敬語を使えるだけマシだと思う程度には、言葉遣いに対するハードルはシンは低い。何せ彼の部下の殆どが、およそ教育を受けた事があるのかすら危うい程のならず者ばかりであった。今更、間違った敬語で目くじらを立てる程、気の短い男ではシンはなかった。 「覇気が足りん、執念が足りん。そして――成り上がりたいと言う欲望を感じぬ。屑星のままで終わる器だな、今のままでは」 李衣菜とプロデューサーを一瞥し、三秒程時間が経過した所で、シンが口にした。人と言うよりも、器物に対して語りかけているような口ぶりであった。 大上段に過ぎる態度と語り口。噂は冗談か、尾鰭が付いて大げさになったものであると認識していたようである。しかし、此処にきて二名は認識したようだ。 シンと言う男の態度の大きさ、と言うものを。余りにも噂通りの立ち居振る舞いであった為に、怒るよりも如何やら、呆気にとられてしまったようである。 「顔は憶えた。ハート。下がらせろ」 「は、はい!! すいません、李衣菜さん、プロデューサー様。それでは先程の部屋までご案内致します」 バツが悪そうにハートは二名に声をかけ、いそいそとシンの部屋から彼らを退室させる。 ハートが部屋から出て行く際、彼は目配せでシンに会釈をしては見たが、シンはこれを無視した。これが本当にあのハートなのか、と、シンはつくづく疑問であった。 【……助言をするとは、正直な所、意表を突かれた。そんな事をする性格だったか? KINGよ】 全くだ、とシンは思う。 昔の彼であれば、誰かを助ける様な言葉など、一句たりとも与えはしなかったろう。あの言葉は、シンなりに遠回しに語ったアドバイスの一つであったのだ。 ユリアとの別れ、ケンシロウとの一戦、そして、この世界に蔓延する平和と言う名の毒は、確実にシンと言う強者に影響を与えていた。 平和と言うのはいつだって、ある日突然崩れ去るものである。 元居た世界でもそうだった。世紀末の訪れは、豚と揶揄される程醜く肥え上がった権力者達の戯れによって押された核のボタンによって引き起こされた。 この世界でも、そうだ。聖杯戦争と言う、シンですらが未だにその存在を疑問に覚える程の戦い。その火蓋は、『昨日の事件』によってもう切って落とされている。 慎ましやかにこの世界に生き、平和を謳歌している人間達にとって、聖杯戦争の開催などたまった物ではなかろう。 命と時間を削って手に入れた財産、積み上げて来た友や家族との信頼や絆。その全てを失いかねない機会の到来を意味するのであるから、これは当たり前だ。 だが――その機会と、その機会によって平和が蹂躙されるその瞬間にこそ、シンはその力を発揮する。 シンがその力を発揮出来る理由は、南斗の拳を学んだが故に獲得した強さからではない。世紀末を味わったと言う確かな実績から来る『経験』だ。 この経験は時に、『戦闘に強い』と言う事よりも時に重要な意味を持つ。シンは、聖杯戦争が招く極限状況に強いと言う自負を持っている。 ならばこの戦い。シンと、彼に従うアーチャーたるゲイに、負けなどある筈がなかった。シンは堅くそう考えていた。 「ユリア。もう少し待っていろ。今だけだ。今暫く辛抱すれば――」 お前は、自由だ。シンは、小さくそう呟いた。 シンが勝てば、ユリアの身体を蝕む、核の灰の影響を少なからず受けた死の病、その苦しみから彼女を解放させる事が出来る。 病が癒えたら、何処にでも飛ぶが良い。何処にでも咲くが良い。好きな男を愛するが良い。そして、人を殺した病を癒させた自分を、軽蔑するが良い。 例え彼女が、シンに一かけらの感謝の気持ちを抱かなくとも、関係ない。愛に殉じる星、故に殉星。 その星の下に生まれたシンは、今まさにその宿星の定めに従い、孤独の戦いに身を投げようとしていた。 【……小細工を謀ろうとしている蜘蛛を、その千里眼で見つけたら、構わん。撃ち抜いてしまえ】 【了解した】 自分がこれから往こうとする、無限の荒野を夢想しながら、シンは瞼をゆっくり落した。 瞳に墨が塗られたように、彼の視界が闇に染まる。その闇の視界に光が満ちる。千里眼を持つアーチャーの見ているものと、シンの視界が同期した為である。 ゲイはしっかりとシンに命令された通り、冬木市全土をその千里眼で具に監視しているらしい。今ゲイは、ここKING支社から遠く数㎞程も離れた、 冬木教会の方を見ているらしい。小高い丘の上を歩く少女と、その隣を歩く男性以外、珍しい物は見られない。ゲイは目線を外し、別の方向を見やった。 教会に向かう人を見て、シンは、人とは危機に陥った時神に祈る生物であった事を、今更ながらに思い出した。世紀末の世界では、祈りを聞き届ける神など、何処にもいなかったが故に、すっかり頭からその事が抜け落ちていたのである。 ◆ ジュデッカ 血塗られた献身 流離の子 Dance of the Seven Veils 蓮の台 ソルニゲル 革者 解放された世界 Fate/Bloody Zodiac ■■海底都市冬木 回帰の白 物語の王 監視者 餓狼伝 アイボリー・メイデン 総ての乙女の敵 不死の罰 日ノ本斬殺 殺られた事にも、気付かない 破滅的終局 久遠の赤 ◆ ZONE14――『監視者』 「見られてますね」 立ち止まり、辺りを見回してから、フロックコートの美青年は言った。 目が覚める程の美男子、とは正に彼の為に存在し、また、彼の為に作られた言葉なのだと言われても、人は疑う事はないだろう。 艶やかに輝く灰色の髪、柔和な光を讃える透徹とした瞳、薄い微笑みを浮かべる甘めのマスク。そして何よりも、その顔立ちに恥じぬ、高い身長と、均整の取れた身体つき。 男性美と言うものの黄金比。美と雄々しさの、完全なる調和の形。およそそうとしか見られぬ程に、男は、完璧であった。その麗しい姿は愚か、その立ち居振る舞いですらも、この男は、非の打ちどころのない紳士のそれであった。 「――? どなたに、ですか?」 男の言葉を受けて、彼の前を歩いていた女性が立ち止まり、こちらを見やった。 良く手入れされたブロンドの髪が特徴的な、貞淑そうな女性だ。言葉遣いと気風から、物腰柔らかな印象を見る者に与える。 綺麗な女性ではある。いや、同じ年代の女性と比較した場合、頭一つ抜けた可憐さであるとすら言っても良い。 だが、一緒にいた相手が悪かった。目の前の男は、女性――『クラリス』の愛くるしさが霞んで見える程の、美の持ち主。彼の美しさは、性別の違いすらも超えるのだ。 差し詰め今のクラリスは、太陽の輝きと比較される電球のようなもの。男の美に、彼女自身の美が併呑されてしまう形になっているのだ。何とも、哀れな物であった。 「サーヴァントに、ですよ」 ――自分が呼び寄せたアーチャーのサーヴァント、『アザゼル』の言葉の意味を理解するのに、数秒の時間をクラリスは要した。 そして、その意味を理解した瞬間、クラリスの顔から血の気が引いて行く。水色の絵の具を刷毛で一塗りした様に、彼女の顔は青褪めて行き、辺りを見渡し始めた。 「此処にはおりません。遠方からの窃視を得意とする者がおるのでしょう。少なくとも、クラリス。貴女の目で見える範囲には敵はいません」 「それでは、何故貴方には、私達が見られていると?」 「監視者の中の監視者たる私が、他者から見られていると言う事実を見誤るとでも? 既にその称号は過去のものになったとは言え、見られていると言う事柄には敏感なのですよ」 何ともアザゼルの説明は暴論極まりないが、それに不可解なまでの説得力が内在されていると言うのだから、クラリスとしては困りものだ。 エグリゴリ。クラリスは嘗て、堕天前のアザゼルが属していたと言われる一団の事について調べていた。 遥かな天の高見より、人間の営みを監視する天使の一派。成程、そう言った存在の首魁であるアザゼルであれば、誰かに見られていると言う事について人一番敏感なのも、納得は行く。 ――と、言うよりも、クラリスはアザゼルが保有する、目線に対する超知覚能力については一切の疑いを抱いていない。 以前彼が見つけ、捕獲、そして破壊した、クラリスの目では捉える事すら出来ない程小さい、『虫型の機械』。 アザゼルは、クラリスの回りを飛翔するこの虫の機械を視認し、一方的に破壊した事があったのである。用途は、彼の持つ神域の叡智と呼ばれるスキルで、 機械学の知識を会得、それによって解析した所、人々の『監視』の為にあれは作成されたのだそうだ。アザゼルが気付かなかったら、クラリスのプライベートは勿論の事、 聖杯戦争についての考えですら、この機械を放った人間には筒抜けだったと思うと、ゾッとしない話だった。 こんな悪趣味な用途と、デザインのマシン、通常の人間にはまず作成出来ない。クラリスもアザゼルも同じ認識だ。 間違いなく、聖杯戦争の関係者の手による物、と見るべきだろう。戦いは、もう始まっている。その事をクラリスは、あの時嫌でも認識させられてしまった。 だからこそ、アザゼルの先の言葉に、クラリスは青褪めたのである。虫の機械を彼が見つけた日から、一日しか経過していない。 休む間もなく、超常の力を持った恐るべきサーヴァントの魔の手に晒される事を思うと、クラリスだって恐ろしくもなる。しかもアザゼルは明白に、サーヴァントに見られていると宣言した。恐怖はより一層、と言う物だ。 「御心配なく、クラリス。私は貴女のサーヴァント、その事を忘れた時はただの一瞬とて御座いません。貴女に迫る万難は、この私が全霊を以って排除致しましょう」 「――それが」 「クラリス、貴女が傷一つ負う事無く、汚れ一つ受けず元の世界に戻る事が出来て。そして、私が理想とする神と悪魔から脱却された世界の成就に至る術だと信じているが故に」 アザゼル。 地上に住まう人間を監視する者達の長でありながら、人間の女性の色香に負け、彼らに化粧と武器の作り方を教え、人の世の風俗を大いに潰乱させた者。 そして、地上の人間と地上の罪とを洗い流す為に神が起こしたあの大洪水が、その原因が彼なのだと言う。 そんな結果だけを見れば、この男は正に、神の教えを信奉する者にとっては不倶戴天の仇敵。憎んでも憎み切れない程の悪魔であり、この世の悪徳の長とも言うべき黒幕なのであろう。 だが、クラリスから見たアザゼルとは、紳士の鑑のような男だった。 その物腰と言葉遣いの柔かさ、クラリスに対する態度、その在り方。クラリスは今の今まで、アザゼル以上の紳士など見た事も、聞いた事もなかった。 悪魔の中の悪魔、地獄に於いてはルシファーに次ぐ悪霊の統領。そんな異名は、後世の人間のでっち上げとしか思えぬ程、彼の在り方も性格も、『善』なるもののそれなのだ。 人を愛し、人を慈しみ、人を叱り、人の業を本気で嘆く。アザゼルは人間に対して本当の父性愛を抱いており、そして、本気で彼らの未来を考えている。そんな彼の何処に、悪性と言うものが宿り、そんな彼の何処に、悪魔と呼ばれる所以があるのだろうか。 ……但し、それら全ては、『人』に対してのみ向けられる。 アザゼルの真の願いとは、この地球上に生きる全ての人間の記憶から、ありとあらゆる神霊、ありとあらゆる悪魔、ありとあらゆる霊的存在、及び超常存在。 その記憶の全てを忘却させ、その上で、強く逞しく今の世界を生きていて欲しいというもの。つまりは、信仰の放棄させるに等しい。 人は最早、神や悪魔に縋るまでもなく、地上を生きる術を磨き上げ、洗練させた。それにもかかわらず、人は今も神を信じ、不条理を悪魔のせいにし、 信仰の解釈の違いから世に争いの種を撒き続ける。それが、アザゼルには許せなかった。嘗て地上を支配していた、神の教えと支配の名残。 世界の裏側に隠れて久しい、神々達の傍迷惑な残滓。アザゼルにとって、今の地上に息づく、神や悪魔、妖精や妖怪の伝承とはこう見えているらしい。 そう、アザゼルは、神や悪魔、及び、幻想や御伽噺の中の住民にとって、一切の慈悲も慈愛も抱いていなかった。淡々と、滅ぼすだけの存在。こうとしか見ていない。 地上の人類の平穏の為、彼らに死を与えようとする存在。これこそが、アザゼルと言うサーヴァントの本質だ。そしてこれこそが、クラリスが受け入れたくても受け入れられない、アザゼルの側面の一つだった。 「どうあっても、アーチャーさん。この世から信仰を消滅させる、と?」 敬虔なクリスチャンであるクラリスではあるが、神と、その子供であるキリスト、そして、神の分身である聖霊だけが、生きる縁(よすが)や寄る辺ではないと考えている。 偶像でも、歌でも、器物でも。それを信じている事で、生きる活力となるものがあるのならば、それを信じていれば良いのだと、クラリスは思う。 だがアーチャーは、その信じる事で生きる力となるもの・概念の中で、最も大きな影響力を持つ『信仰』を、人の独立の為のなかった事にすると言うのだ。 神を信じる身であり、神を信じる事で得られる心の安息に意義を見出しているクラリスに、アザゼルの願いは許容出来る筈がなかった。 「我が理想に曇りなし。然るに、その決意に迷いなし。神の張った信仰と言う名の蜘蛛の巣――それに捕らえられた人と言う名の蝶は今こそ、この巣から解放される時が来たのです」 「そして――それが人に出来ぬ程重く苦しい使命であると言うのなら」、其処で、アザゼルは、柔和な微笑みを湛えた美しい顔を、クラリスの方に向けて、言った。 「嘗て人間達に生きる術を教え、一度は人類を浄化させてしまった者の責務として。彼らの代わりに使命を達成せねばなりますまい?」 ――嗚呼、と、クラリスは思った。 やはり、クラリスはこの紳士の事が嫌いだった。自分の理想しか、この男には見えていない。 人類への限りない父性愛と、嘗て人類に齎してしまった破滅を見てしまった事への負い目。アザゼルが、人類から信仰を消そうとするその理由は、これに収斂されるのだろう。 身勝手だ、とクラリスは思った。彼の言う通り、最早神は人類の手を離れ、天使も既に人の世から隠れてしまったのかも知れない。 だが、だからと言って世界から信仰の光を消して良い理由にはならないのだ。これを生きる糧とし、そして、生きる為の支えとして、依拠している人間が確かにいる。 アザゼルは、信仰に縋る事でしか生きられない人間の姿が見えていながら、彼らが信仰から自立する事を願っている。彼らから拠り所を消してしまえば、どうなるか。 それが解らぬアザゼルではない筈なのに、彼は、人間の可能性と言うものを無限大に信じている。自分の理想しか、この男には見えていない。 紳士であろう、アザゼルは。その外面だけを見たのなら。 だが、その内面にはやはり、男の誰もが大なり小なり抱いている強い欲望や野望が渦巻いてしまっているのだ。 アザゼルの場合は、それが聖なる物であるから、一目でそれと解らせないのである。そして、自分の理想が人類にとって一から十まで為になるものだと狂信している。 美青年の身体に、紳士の精神(こころ)。そして、歴史上に名を刻んだ支配者達の誰もが有していたであろう、果てなき野心を抱いたサーヴァント。それこそが、アーチャー・アザゼルなのだった。 「そう、ですか……」 クラリスには、もう何も言えない。 アザゼルは確かに、個人的には嫌いなサーヴァントだ。だが、この男を頼らねば、自分はこの世界で殺されてしまう。 そして皮肉な事に、この堕天使はクラリスと言うマスターを守ると言う誓いに一切の嘘を交えていない。聖杯が欲しいと言えば、これに願いを掛ける事も良しとするのだろう。 一番頼りたくない相手が、その実一番頼もしく、そして、頼りにしなければならない存在。己が心に芽吹く葛藤に、クラリスは苦しんだ。 自分がクリスチャンでなければ、きっとアザゼルの願いもすんなりと飲み下し、肯定する事が出来たのだろう。これもまた、アザゼルの言う『信仰と言う蜘蛛の巣』による弊害なのだろうか。そうだとしても、クラリスにはこの蜘蛛の巣を捨て去る気はないが。 浮かぬ気持ちのまま、クラリスは冬木教会へと続く丘を登って行く。 この場所に来ると、アザゼルは珍しく良い顔をしない。それはそうだろう、余りにもアザゼルの主張と神の家たる教会の存在意義は相反するそれなのだから。 それにクラリス自体、この教会に足を運ぶ意味はそもそもない。何故ならば今の彼女のロールとは、冬木教会に身を置くシスターと言う訳ではない。 この冬木市に仕事で訪れている、022プロダクションと言う芸能事務所に所属しているアイドルなのだ。それにも関わらず何故、彼女が此処に足繁く通っているのか。 それは彼女が、シスターであるからに他ならない。同じ神と教義を信じる者が集う場所。クラリスはそれが近くにあると、つい足を運んでしまうのだ。 そして、つい教会の雑務を、手伝う義務もないのに手伝ってしまう。クラリスとはそう言う人物だった。アザゼルを召喚してしまったのは、その雑務が夜中まで長引いてしまった日の出来事であった。 教会までの道のりをクラリスは、シャトルランを終えた後のように重く、鈍くなってしまった足取りで向かって行く。 『昨日の事件』の事もある。じきに聖杯戦争が始まってしまうと言うのはアザゼルの言であり、クラリス自身もそう思う。それを思うと、気分が晴れない。 そんな顔のまま、教会に入ろうとするクラリスであったが、彼女がその扉を開けるよりも前に、冬木教会の礼拝堂へと続く扉が開かれた。 清浄さと森厳さで満ち満ちていると、クラリスですら思った冬木の教会。その雰囲気に似つかわしくない、金髪の男が、クラリスの視界に飛び込んでくる。 面白くなさそうな顔付きで、男は、クラリスと、アザゼルを一瞥。アザゼルの美貌に一瞬呑まれ、目を見開かせたが、それだけ。 後は両者を一顧だにせず、足早に彼女達の横を通り過ぎて行った。身体から香る煙草の臭い、顔に刻まれた傷痕。神の家には相応しくない、反社会的な臭いを感じさせる男だった。堅気の者では、先ずないだろう。 ――あんな人でも、信仰を求めている―― 正業ではない人間でも、神の愛を求め、神の懐に憧憬を抱く。そして、己の罪を告白し、真面目に生きると神に誓う。 何て、素晴らしい事なのだろうとクラリスは改めて思った。これこそが、信仰をこの世から消してはならない事の証左ではないかと、そんな表情でアザゼルを彼女は見やった。 だが、アザゼルの興味は、彼女にはなく。今しがた通り過ぎて行った、タバコの臭いを香らせる男の方に、向けられていたのであった。 ◆ ジュデッカ 血塗られた献身 流離の子 Dance of the Seven Veils 蓮の台 ソルニゲル 革者 解放された世界 Fate/Bloody Zodiac ■■海底都市冬木 回帰の白 物語の王 餓狼伝 アイボリー・メイデン 総ての乙女の敵 不死の罰 日ノ本斬殺 殺られた事にも、気付かない 破滅的終局 久遠の赤 ◆ ZONE15――『アイボリー・メイデン』 神を信じる訳じゃぁねぇ――『ヤバい時にはいつも神を拝み倒してる!!』。 奇跡を願う訳でもねぇ――『起って欲しいもんだな、ミラクルが!!』。 ただ、あの丘の上からだと、『昨日の事件』の様相がよく見えそうで、んで、偶然その位置に教会があって。それが物珍しかったから、俺は入っただけだ。 この丘の上からじゃ、『昨日の事件』の現場がよく見えなかった――『よーく見えたぜ!!』。 そりゃそうだろうと、登りきってから気付いたんだから間抜けな話だ。丘より高いビルや、事件現場を囲むように建物が建てられてるんだったら、見られる筈がねぇ。 収穫ゼロじゃ癪だってーんで、俺は教会の中に足を踏み入れた。まぁ、言った通り、物珍しさ、ってのもある。だがそれ以上に――この教会、『臭い』。 悪党(ヴィラン)としての直感が告げている。この教会、まともじゃぁねぇ――『何処から見てもふっつーのチャーチだろ!!』 チープなドラマや映画、オーバーに物事を表現したがるコミックやゲームの中でよく見られるような、麗しく豪勢なその内装は、 本当に清貧を旨とする宗教の教義に則って建てられたそれなのかと疑っちまう。まぁ、普段は見られない物だったから、見てて少しは面白かったけどよ。 ――この場に、御用でもおありかな?―― ――コイツだ。俺は思った。 どんな香水(コロン)を付けてんのか。場末のバーで残りの人生を浪費するだけのババアですら付けないような、甘い匂いのする香水めいた香りを漂わせる、初老の神父。 この教会が臭うんじゃない。こいつ一人が、臭いんだ――『良い香水つけてんじゃねーか』。 およそ、教育と呼べるものをまともに聞いた事がない……ぶっちゃけて言えば、学もねぇ。 そんな俺でも、こう言う事だけは直感で解るんだな。悪党って奴は、臭いと雰囲気で解っちまう――『神父様だろ、良い奴に決まってる!!』。 科学とか論理とかじゃない。そう言う物なんだ。ヴィランは、誰がヴィランであるのかが一目で解っちまう。引かれ合う、って言う表現も、まぁ間違いじゃない。 ヴィランどころかヒーローと言う概念すらアニメやコミックの中でのお話なのは勿論の事、『個性』ですらが存在しないこの世界。 建てられている建物、街並み、道路の様子。何から何まで、俺のいた世界とそっくりで、鏡写しだと言っても良い程なのに、この点だけが大いに異なる。 ハッキリ言ってこの世界での俺は、完全な除け者、爪弾きだった――『馬鹿言え、人気たっぷしだろ』!! 今や個性と呼ばれる力を持っているのはこの世界じゃ俺一人。それ以外の全員が、俺の世界で言う所の無個性だ。こうなって来ると、イレギュラーなのはこの世界で俺だけだ。 一人ってのは慣れてるが、個性と言う元居た世界での当たり前すらが存在しねーとなると、孤独って奴を嫌でも感じちまう。 この世界の悪党って奴は、レベルが低すぎる。俺はこの世界に来てから、悪事の一つも犯してない。ヴィランの名が廃って行くのを実感する。 個性もヒーローも存在しないせいで、善と悪についての哲学って奴がどいつもこいつも未成熟、全然成熟しきってない。 個性もないもんだから、この世界で悪党って奴が犯す犯罪の殆どが、けち臭い、自分の生活の為だけに行う犯罪。 俺も正直そう言う、自分の為だけに行う悪事って奴の方が多いんだが、この世界の悪党共のそれは輪を掛けて悪事のレベル――規模や手口って奴が未熟だ。 つるむ気も、起きやしない――『一緒が良い』。この世界で悪事を珍しく働いてないのは、まぁとどのつまり、この世界の悪党共があんまりにも情けないからな訳だ。 ……だが。 あの神父、みてーな奴は違う。俺達みてーな粗野な言葉遣いの対極にあるような落ち着いた振る舞い、知性って奴を感じさせる立ち姿。 叩いても埃なんか出そうにもないような、見事な聖職者って奴に見えるだろう。だがそれは、叩き方の問題だ。俺が叩けば、ボロって言う名の綿埃が飛び散るだろうよ。 断言する――『自信はないぜ』。アイツは、悪党だ。ヴィラン連合に所属してる、俺に負けず劣らずのイカレ共と比べて、何らの遜色もない、筋骨の通った狂人。それが、あの神父だ。 ――用があるって訳じゃねぇ。こんな所に教会があったのかと思って、珍しかっただけさ―― ――ほう。此処を知らぬと言う事は、冬木の外からやって来た御方かな―― ――ま、そう言う事になるかな―― ――近頃は参拝に訪れる者も減りつつあってな。今日など特に酷い。『昨日の事件』のせいで、この時間であると言うのに参拝者の数がゼロで、悪い言い方だが暇を持て余しているのだよ―― ――一応言っておくが、有り難いお説教を聞く気はないぜ―― ――心配は無用だ。私自身、説教と言うのは中々得意でなくてな―― ――そうかい。ま、次来る時には得意にしとけよ――『もう来ないけどな!!』―― ――善処しよう。では、お気をつけて。近頃は物騒だ。危難に遭わぬ事を祈っているよ―― そんな、他愛のない会話を交わしてから、俺達は別れた。教会から出た瞬間俺は内心ホッとした。やっと、蜘蛛の巣から抜け出せたって感じにな。 只者じゃない神父だってのは解ってはいたが、この場で暴れちまうと目立つ。それに、サーヴァントって奴に傀儡にされただけの無関係の市民って可能性も、まぁなくはない。 あの場で殺して変に悪目立ちするよりも、とっとと帰った方が方策としてはマシだと思ったから、俺はとっとと教会の表口から外に出たのさ。 ……その時に、目が覚める位の美形の男に出会っちまった――『俺の方がイケメンだろ!?』。今日は全く、ドギツイ特徴の奴らばかりに遭う日だった。 きっと、聖杯戦争って奴が始まるからなのだろう。 自分がロクでもない奴だとは解っているが、このイベントは輪を掛けてロクでもない――『崇高だ』。 聖なる杯とやらを賞品にするから、ヒーローもヴィランも、なんの力もない一般人も。それを求めて争い、殺しあえ。その為の道具――サーヴァント――は用意した、だ? これ程頭がおかしく、馬鹿げた催しがあるか。誰がヴィランを管理する? 誰がヒーローの義憤を挫く? なんの力もない無個性にどんなハンディを付けてやる? 俺には少なくとも解らない。こんなイベント、まぁ間違いなく頓挫するものだと思ってた。だが現実には、このイベントが着々と水面下で進んでいる事がよく解るんだ。 だが、何処かでエラーみたいな現象が起きる事も、勿論あり得る。現に、『昨日の事件』だってそんな感じなんだろう。 あれは恐らく、完全完璧な管理など困難と言っても言い過ぎじゃない、聖杯戦争の管理不届き。それが最悪の形で噴出したんだろう――『最良だろ?』。 このイベントを運営する奴にとっても、それに踊らされる奴らにとっても。聖杯戦争って奴は一筋縄じゃ行かなくなるだろう。 だが、それで良い。俺は、このイカれたパーティーに乗った。聖杯って奴に、俺は興味がある――『ないぜ』。 しかし、それと同じ位、この聖杯戦争に招かれたイカレた奴ら……つまり、マッドな野郎共に興味がある。 このイベントの異常性を認識してなお、聖杯を求める奴らなんて、どっかしら頭のネジがキレてる奴以外にあり得ない。 同様に、聖杯って奴の万能性を認識してなお、聖杯を破壊しようと動く奴らもまた、頭がダブルの意味でキレてる奴ら以外あり得ない。 悪しざまに言ったが、聖杯戦争って奴には期待してる。ヤバいのはマスターだけじゃない。きっと、神話や伝説・伝承の中の存在であるサーヴァント達の中にも、俺が探しているようなイカれちまった奴がいるに間違いない。 ――現に、だ 【ああ、かわいそうなお父様……。自分の中に住むもう一人のお父様に苦しむ、悲劇の人……。ガラティアは、貴方の苦しみを癒す術をしりません……】 この、俺に対してお父様と言って来る、『ガラティア』って名前のバーサーカーもまた、イカれちまっているからだ。 血縁関係なんて俺とこいつには勿論ないし――『十五の時の子だ』、そもそもこのバーサーカーは人間ですらない。よく出来た『人形』なんだ。 人形の癖して、余りにも人間に近い。自分の意思を持ち、服を着せれば全く人形と解らない程滑らかな動きをする上、不細工な操り糸もなく勝手に動くこいつは、 最早普通の人間と何ら遜色がない。だが、例えどんなに人間に近かろうと、人は人形を産む事なんて出来ねぇ――『出来るさ』。 こいつは俺の事を、アガルマトとか言う昔の男だと錯覚しているらしい。人形と結ばれる男も男なら、愛した女を忘れるこいつもこいつさ。 誰が見たって、狂ったマリオネットだ。俺の引き当てたサーヴァントは。 だが、これで期待出来る。きっと、コイツの他にも、俺の興味を引く狂った奴らがいるに違いない。そいつの姿を、俺は見てみたい。 そして、最終的に、聖杯を手に入れ、俺は、『俺』になるんだ。俺を長年苦しめ続ける、俺は俺じゃないと言う意識を改革させる。 その為に、俺は聖杯で本物に――『いいや、お前は、コピーさ』。 「うるせぇ、勝手に割り込むんじゃねぇ……!!」 さっきからこいつは、俺の心の中にズケズケと……。 いい加減にしやがれと、俺がどれだけ凄んでも、心の中の俺は、俺をあざ笑うだけ。 殺せるものなら殺して見ろと、奴は言う。無論、殺せない。俺が死ぬ時が、心の中の俺が死ぬ時であり、そしてそれは、余りにも無意味な行いだからだ――『それで解放されるならアリだろ?』。 この世にもし、神サマって奴がいて、そしてそいつが、俺みてーなヴィランにも優しい存在だったとして。 そんな存在がいるのならば、是非とも、俺の大きな悩みを、一つだけでも解決して欲しいものだった。 神を信じる訳じゃあねぇ――『ヤバい時にはいつも神を拝み倒してる!!』。 奇跡を願う訳でもねぇ――『起って欲しいもんだな、ミラクルが!!』。 「アンタは如何なんだ、幸薄そうなツラしてるけどよ」 偶然、俺とすれ違おうとした、幸薄そうで陰気なツラした、やけにガタイの良い、紫がかった黒髪の男に、俺は問いかけてみた。 そいつは、一瞬だけ立ち止まるが、俺の言葉に応えようともせず、ツカツカと歩き出し、丘の上を上って行く。きっと、教会に用があるのだろう。 あんな、陰鬱そうで神に見放されたような風貌の奴でも、神って奴を信じるらしい――『見放してないさ、お前と違ってな』。 クソが、もう、耐えられねぇ。 俺は周囲を見渡し、人目が今ない事を認識してから、懐から黒いラバーマスクを急いで被り、大きく深呼吸をする。 やはり、これは落ち着く。どんなクスリよりも、このマスクは俺にとっての安定剤になる。 自己(オレ)と、限りなく他者に近い自己(オレ)が離れ離れになり、引き裂かれる感覚が、落ち着いて行く。 破れた紙の片方と片方を、ピッタリと繋ぎ合わせるように、俺の心の平穏もまた、元のそれへと戻るのさ。 軽くなった足取りで、俺は丘を降りて行く。頭の中を覆っていた靄が祓われ、明瞭になった頭で考える。 俺の、コピーを複製出来ると言う能力から、『トゥワイス』と言うコードネームを採用した筈なのに。 それが今じゃ、自分と、自分の意思から離れ暴走しかけるもう一人の自分に葛藤する、俺自身を表す名前になるとは。何ともムカつく、皮肉な話だった。 ◆ ジュデッカ 血塗られた献身 流離の子 Dance of the Seven Veils 蓮の台 ソルニゲル 革者 解放された世界 Fate/Bloody Zodiac ■■海底都市冬木 回帰の白 物語の王 餓狼伝 総ての乙女の敵 不死の罰 日ノ本斬殺 殺られた事にも、気付かない 破滅的終局 久遠の赤 ◆ ZONE16――『蓮の台(はちすのうてな)』 元居た世界では、この世界で言う所の多神教と言う宗教形態が、その世界における信仰のメジャーストリームであった。人々は、時々によって信仰を使い分けた。 勿論、国によっては国教と呼ばれる物が定められているし、一つの神にしか信仰を捧げぬ人間もいた。 多神教の息づく世界に生きていながら、一神教的な教義を掲げる教団や人々、民族も少なからず見られた。 だが、彼らは全体で見ればマイノリティだ。多くの人々は、その状況によって神と言うものを信じ分けた。 これが我国の国教であると国の主君が定めても、大抵の人間は信じる神を国教で崇めるべき神の他に設定している物である。国の主君も、これを咎めない。 人々の信仰を禁ずる事は、大いなる軋轢を王と民草との間に産む事は過去数千年の歴史が詳らかにしている事は、少し過去を学べば誰でも知っている事であったからだ。 それに、信ずる神を使い分ける事は決して浮気であるのではなく、寧ろ合理的な判断である。 百姓や農民が、豊穣を司る神や大地を司る神、天候を司る神を信奉する事は、非合理的であろうか? 神の実存を疑ってしまえばそれまでだが、普通に考えれば理に適うだろう。 漁師や船乗りが、大海原を支配する神や海の恵みを司る土着の神を信奉する事は、非合理的であろうか? これもまた、理屈は通っているだろう。 彼らから信仰を取り上げると言う事は、国が割れる事を意味する。信仰を禁ずると言う事は、それだけ重大かつ深刻な結果を後々に及ぼしかねないのである。 だからこそ、王権を神から授けられたとのたまう国王ですら、信条を使い分ける。本音を言えば自分の国教の神を信じて欲しい。だがそれをやるのはリスクが大きい。 故に、『慈悲』や『寛大さ』と言う形で、彼らの信仰を赦すのである。これは、領地を上手く統治する事に腐心して来た国王や主君・貴族といった人種達が、幾百・幾千年もの間探り続け、磨き上げて来たあらゆるメソッド、その集大成の一つでもあった。 しかし、如何もこの国では、信仰と呼ばれる行為そのものが混沌としているようであった。 異境の地で隆盛を誇る宗教が幾つも混在していると言う、この国の今の現状。 通常、異国の人間が多く集えばその分宗教も持ち込まれ、現地の人間もその宗教に染まる、と言うのが当たり前であるが、この国ではそうはならないようである。 寧ろ、大抵の人間が神の存在を信じていない。それどころか、殆どの神は既に『隠れた』らしく、神が直々に表れる事は勿論、遥か高みから神託や恵みを授ける、 と言う事すら現代ではされなくなったと言うではないか。神を祭る為の神事も、今ではその本来の意味合いがとうに薄れ、経済的な利潤や地域に活気を呼び込む為の、 ある種の通事にまでその意味合いが変化させられており、今では多くの人物が、祭りや神事の本来の意味も知らず、其処で丁重に扱われる神を敬う事もしなくなったようである。 あらゆる意味で、神と人との位置が近く、生活に神、或いは、神に分類するべき超自然的な存在が根ざしていた、自分の世界とは違うな、と。 『メロダーク』は、此処に来てから考えるようになった。この世界が悪い、と言う訳ではない。元々順応する力はメロダークは高い方である。 生活の仕方自体、この世界と、元居た世界では全く異なる。いや寧ろ、この男にとって冬木市とは真実、完全なる異世界であった。 捻ればそのまま口にする事が出来る水が出てくる、蛇口と言う装置。何時も物を冷たいまま保存出来る冷蔵庫。室温を自由に変えられるエアーコンディショナー。 季節のものではない果物や野菜が何時でも供給出来る、作物の生産体制。そして、種々様々な肉や魚、野菜に飲料が揃っているスーパーと言う施設等。 この世界の技術やシステムは、あらゆる点でメロダークのいた世界を上回る。寧ろ、勝っている所を探す方が、難しいと言う程であろう。 今の世界の技術や道具諸々に、メロダークはまだ慣れていない。 こんな調子で聖杯戦争が始まってしまうとなると、極めて大きな重石を身体に巻き付けられた状態でスタートしてしまうのと同じ事だ。 生活必需品の使い方すら解らないのは、聖杯戦争以前の問題。ああこう言う物なのか、と、ある程度世界の在り方を受け入れられるのと、 その世界でメジャーである道具を使いこなすのとは、また別の話。今もメロダークは、聖杯戦争が正式に開催されるまでの間、この世界の常識と風俗、 そして最も良く使われるアイテムの使い方を学んでいる最中、と言う訳なのであった。勉強の甲斐もあり、スマートフォンを用いて『昨日の事件』の事を知れたのは、大いなる進歩と言えるであろう。 この世界の見聞を広めようと、冬木の街を歩いていたメロダークだったが、この町に教会、と呼ばれる宗教的施設があると知ったのはつい三時間程前の話。 教会、キリスト教と呼ばれる、この世界に於いて特に隆盛を誇る一神教の宗教の施設であると言う。自分達の世界で言う所の神殿だろうと、メロダークは考えた。 ふと、その教会と言う施設の存在を認知した時、メロダークは興味が湧いたのである。聖杯戦争を生き残る為に必要な諸々の道具に慣れる事に必死で、 世界に息づくこう言った宗教施設については全く学ぶ事はなかった。学ぶ時間がなかったからである。 だが、冬木市の地理に慣れるのと同時に、スマートフォンの地図アプリと言う物を早く使いこなそうと言う意味も込めて、彼はこうして、一人自分の足で教会まで辿り着いた。 教会、と呼ばれる施設の外観は、あらゆる意味でメロダークの世界での神殿とは一線を画していた。 俗に『神の家』、とも呼ばれるそうであるが、成程、確かにこれは家だなと、メロダークは考えた。 四方を外気に晒された所が、彼から見て確認が出来ず、布教や祭事等の殆どが、見た所施設の外ではなく中で行われる物と見て間違いなかった。 元の世界での神殿で行われる託宣や祭事、布教の為の説法などは、通常外で行われる事が殆どであった。これが文化の違いなのだろうと、彼は思う事にした。 教会へと続く入口から、内部に入って行くメロダーク。やはり、外装も違えば内装も違うのは自明の理。 備えられた幾つもの長椅子は、その設置された数から推理するに、普段はもっと多くの参拝者が来る為に、それを想定してこれだけの数を用意した事が窺える。 今は、『昨日の事件』の影響のせいもあろう。参拝者が二人しかいなかった。その者にしても、メロダークよりも遥かに歳の若い女性と、彼女の付き人と思しき、 フロックコートの美青年と来ている。メロダークが目を瞠る程の、灰色の髪の美男。遅れて、男の方も、メロダークの方に柔らかな笑みを投げ掛けて来た。その笑みがまた、同性ですら魅力的だと思わせる程の、不思議な魔力を放つのである。只者ではない。メロダークが咄嗟にそう思う程、妖しい人物であった。 「どうも、こんにちは」 綺麗な声で、その金髪の女性は此方に挨拶を投げ掛けて来た。 「どうも」 我ながら不器用で、愛嬌も何もない挨拶だと思いながら、メロダークは短くそう言って頭を下げる。 それきり、三人の間に会話はなかった。無口なメロダークの性分もあって、尚の事会話が起らない。 とは言え、金髪の女性と、灰色の髪の青年は、メロダークにとっては赤の他人である。自発的に会話をしよう、と言う気自体、そう起らないのであるが。 【メロちゃん、口重いです。もうすこしお話しするどりょくをしてください】 ――と、何処からか聞こえてくる、メロダークの引き当てたキャスター、『パドマサンバヴァ』の幼い声。 この念話と呼ばれる術に関しては、メロダークもすんなりと受け入れる事が出来た。寧ろ、こちらの術は、メロダークの世界よりの技術である為に、まだ驚きは少ない。 だがそれでも、驚くべき所があるとすれば、このパドマサンハヴァの念話の効果範囲であろう。 メロダークの今いる教会から、この幼い大覚が微睡んでいる所まで、距離にして十km以上は離れている筈なのに、平然と念話が届く。 これは、彼女が有している六神通と呼ばれる技術の応用だと言う。彼女が本気になれば、この冬木の両端に両名がいたとしても、平然と念話が届くレベルであるのだと言う。 少なくとも、あの少女との意思疎通に関しては、スマートフォンを経由する必要がないようだとメロダークも安心している。尤も、パドマサンハヴァがスマートフォンを扱えるとは、思えないが。 【特に話す事はない。それに、メロちゃんは止めてくれ。マスターか、そうでなくともメロダークだ】 【ぶー。したしみやすくていいのです】 時たま、物事の本質や核心。 それどころか、有史以来地球上の至る所で生まれたであろう哲人や学者達ですら想到出来なかった、万物の真理すら剔抉するような、 鋭い一言を口にする事があるパドマサンハヴァであるが、その本質は見ての通り、無邪気と言う言葉がこれ以上となく合致する少女である。 己の心に浮かび上がった、諸々の本能、及び、降って湧いたような『これをやりたい』と思う気持ち。それに忠実な少女なのだろうと、メロダークは思っている。 それ故に、困っているのだ。元居た世界でも、彼女のような存在が一人いた。竜王が転生したあの無邪気な子供も、パドマサンハヴァと同じ性格の持ち主だった。 そう言った経験があったからこそ、扱い方も付き合い方もある程度は学んでいるが、このキャスターの場合は、時折恐ろしく透徹とした瞳で、 理性に溢れる事を口にするのだからゾッとする。ある意味で、竜王の転生体であるエンダよりも始末が悪い。 向こうは本質的には子供である為、叱れば大人しく従うものの、こちらは従う素振りがあまり見られない。解っていてやっているのだろう。 だからメロダークも、パドマサンハヴァを厳しく律する事を諦めている。と言うよりも、このパドマサンハヴァ自体が、密教と言う厳しい教義で縛られた宗教の僧侶なのである。厳しい掟で律し、縛ろうにも、無駄と言う物であろう。何せ相手の方が、そんな事に慣れているのであるから。 【あ、こら、いすに座って黙りこくらないでください。話をしなさい】、と念話が送られてくるが、メロダークは無視して長椅子に座る事にした。 無理に話しかけて、あまり会話が続かなかった事の方が、寧ろ相手にとって失礼だろうと考えたからである。 全く奇妙で、不思議なサーヴァントであるが、メロダークは、この子供の高僧の実力については一片の疑いも抱いてない。間違いなく、このサーヴァントは自分よりも強いからだ。 と言うのも以前、パドマサンハヴァに対して、実力がどれ程のものか知りたいとメロダークは口にした事があるのだ。 それに対する少女の返事は、「かかってくるのです」、と言う物。自分の身体よりも大きい錫杖を構えるパドマサンハヴァに対して、大の大人であるメロダークが本気で木剣を打ち込んだのである。 ――一撃たりとも、パドマサンハヴァに攻撃が当たる事はなかった。 風に舞う木の葉とは、正しくあの事を言うのだろう。自身に重力が掛かっていないかのような軽やかな動きで、パドマサンハヴァはメロダークの凄まじい攻撃をかわし続け、 また時に錫杖で彼の攻撃をいなしつつ、隙を見せたメロダークの急所に、錫杖の柄や先端を突き付けたり、そっと当てて見たり。 一撃たりとも、メロダークの攻撃がパドマサンハヴァに当たる事はなく。それどころか、少女の放つ攻撃の全ては、メロダークに当たっていて。 恐らく、殺す気で彼女が攻撃を仕掛けていたら、当の昔にメロダークなど物言わぬ骸であった事だろう。「……参った」、そう言ってメロダークは素直に負けを認めた。 「えへん」、パドマサンハヴァが可愛らしく威張った時の様子が今も忘れられない。兎に角、実力についてはパドマサンハヴァは一級品だ。 三騎士のクラス並に近接戦闘をこなせるキャスター、と言うのは大変貴重であるらしい。要するに、魔術の腕前も一級品、肉弾戦の実力も戦士以上と言う事だ。 これで弱い訳がない。魔術を嗜む戦士と言うのは往々にして器用貧乏に陥る傾向に強いが、パドマサンハヴァは、全ての魔法戦士にとっての理想体のような存在だ。サーヴァントに関しては、メロダークは間違いも疑いもない当たりを引いていたのである。 これならば、聖杯戦争の裏に潜む野望を挫ける事であろう。 ――いや、と、メロダークは思い直す。自分は、聖杯戦争で何をするつもりなのだ? 道徳的に、論理的に考えてみても、聖杯戦争が許される筈がない。そもそも、熾烈な争いの果てに現れる物が、神の薫陶を受けた聖なる杯だとはメロダークには思えない。 だが、もしも、聖杯が本物の願望器であり、メロダークの願いを叶えてくれる奇跡の品であったとしたのならば……? 背中に酷く汚れた油を掛けられたように、落ちず、拭えず。今も彼を苦しめる罪をなかった事に出来るのだろうか? やがて現世に君臨するであろう、始祖帝の存在を消滅させる事も、聖杯によって可能なのだろうか? 始祖の憑代に選ばれた■■を、その苦しみから解放させてやる事も、聖杯の奇跡にとっては容易いのだろうか? メロダークは、無明の闇の中を彷徨い、迷っていた。 自分のこれまでの人生と、培って来た学と経験から、成すべき事は解っているのだ。聖杯戦争を頓挫させる。その一点を於いて他にない。 だが同時に、考えてしまう。これは、チャンスなのではないのかと。タイタスの依代に選ばれ、不当な境遇と、不当な死を与えられようとしている、 ■■を救える千載一遇の機会の前に自分は立っているんじゃないのかと、メロダークは思ってもしまうのだ。 あの男は、確かに始末するべき対象である。タイタスの霊が■■の身体に受肉してしまえば、あの世界に平和な未来は最早ない。 事と次第によっては始末しろと言う命令も、メロダークは下されている。だが、本音を言えば、それはしたくないのだ。 密命を全うする使者としては、あってはならぬ事だろう。場合によっては抹殺も視野に入れねばならぬ対象に、情が湧いてしまうなど、エージェント失格である。 だがそれでも、苦楽を■■と共にする内に、メロダークは、彼を殺す事に躊躇いを憶えてしまった。 この世界に招かれる際に、他に良い方法があるのではないかと、思ってしまった。そして、神/悪魔は、メロダークにその方法を提示した。聖杯、と言う名前の、血で満たされた杯による奇跡を、である。 ■■を救う事も、タイタスを葬る事も、その両方を成す事も、何も成さぬまま元の世界に帰る事も、聖杯戦争を台無しにしてから帰還する事も。 メロダークの行動次第では、夢物語ではないのだ。強いサーヴァントだって、彼の下に従っている。 だが、その上で、彼は何をするべきなのか解らない。無手で帰れば、■■はタイタスの憑代としての運命を歩んでしまう。 聖杯の顕現の為に人を殺し続ければ、メロダークは、過去に自分が犯した罪を再びなぞる事になってしまう。罪と解っていながら、罪を犯す。 それは、メロダークの人並の心には、余りにも重く、辛すぎた。一度目は、歯を食いしばり、見ないふりをする事で耐え切る事が出来た。 二度目は、無理だ。次同じ事をやってしまえば、もう目を背ける事が出来なくなる。今度と言う今度は、永劫その罪と睨み合い続けねばならないのだ。 そして、その罪を相手にメロダークは、勝つ自信がない。戦士として優れた技量を持っていながら……メロダークと言う男は、その心の強さだけは、ただの人間のそれなのだ。 その人並の器しかない心で、過酷な選択を彼は選ばねばならない。友を取るか、大義を取るか。余りにも、選ぶのが苦しい二択であった。 ――心の向くまま気の向くまま、ますたーのしたいことをしていれば、信じるものは見えてくるのです―― あの時、パドマサンハヴァが言っていた事が、メロダークの心の中でリフレーンする。 自分のやりたい事を、成したい事を、すれば良い。余りにも、尤もな事だ。あの高僧でなくとも、そんな事を言う人物は大勢いるだろう。 その当たり前の事が、今のメロダークには苦しい。掴める所が何もない、切り立った崖を素手で登るような苦しさと難度のように、思えてならない。 ――キャスターよ。お前なら、解るのだろうか。 今まで心の向きを自分で定めた事もなく、誰かの打ち立てた大義に従い、誰かが突き立てた看板の向きに歩くだけだった男の、信じるものとは何なのかと。 野望と罪業、使命と言う名の蜘蛛の巣に絡め取られた自分に、何が出来るものなのかと。 ――俺には、それが解らない……―― 俯きながら、物事を深く考えているメロダークだったが、不意に、その嗅覚が甘い香りを捉えた。 その臭いに当てられたように、聴覚も復活する。誰かが、自分を呼んでいる。メロダークはそう感じた。 「君、其処の御仁」、どうも声の調子から言って、自分に対し何度も声を掛けているようであった。 そんな声に気付かぬ程、深く物事を考えたままであったとは。戦士として、気が緩み過ぎている。バッと顔を上げるメロダーク。 「うむ、起きていたか。随分と深刻そうに悩んでいたようなのでな。声を掛けてしまったよ」 メロダークの視界には、男が映っていた。 灰色の髪をした初老の男。身体から甘いアロマのような物を漂わせ、只ならぬ雰囲気を醸し出す、一目でこの施設に従事する聖職者であると、解る男が。 ◆ ジュデッカ 血塗られた献身 流離の子 Dance of the Seven Veils ソルニゲル 革者 解放された世界 Fate/Bloody Zodiac ■■海底都市冬木 回帰の白 物語の王 餓狼伝 総ての乙女の敵 不死の罰 日ノ本斬殺 殺られた事にも、気付かない 破滅的終局 久遠の赤 ◆ ZONE17――『殺られた事にも、気付かない』 実の事を言うと『エイブラハム・グレイ』は、教会を訪れる者が一人もいないと言う現状を、有り難く思っていた。 聖杯自体に願いがあると言う訳ではないが、聖杯自体の真贋に興味のあるグレイにとって、聖杯戦争は捨てておける物ではない。 自分の死ぬと言う事についての恐怖は、グレイには薄い。己の命が惜しいと言う訳ではないが、聖杯をこの目で見れぬ事と、 聖杯戦争と言う実験の経過とその顛末だけは、非常に気になる。せめて、これらを目の当たりにしてから死にたいものだと、グレイは考えている。 「身体の調子でも悪いのかね」 見るからに鬱蒼とした気配の漂う、体格の良い長躯の男に対し、グレイが問う。この場にいる、グレイ以外の二名も、陰鬱な空気を醸す男に目線を送っていた。 「……いや、すまない。考え事をしていた。」 「ふむ……。それは、私のような役目を負った者が、必要な悩みかね」 一応、告解や相談などは、聖職者の端くれであるグレイは一応こなす事は出来るが、感動する程上手いと言う訳ではない。 本音を言うと、言葉でのみの解決は余り行いたくないのだが、職務上行わねばならない事もままある。 「いや、構わない。心配をかけた」 故に、こう言った配慮はグレイにとっては有り難い。 キリスト教と呼ばれる宗教に従事する聖職者としては口にしてはならぬ事ではあろうが、こう言った悩みは自分で解決の糸口を探すに限るのだ。 大抵の悩みと言う物は、自分自身を冷静になれる境遇に身を置かせ、静かに考える事で意外と解決したりするような物が多いのだ。 無論、その悩みや問題の解決に、誰かの助けや後押しがあっても勿論良い。だが、そう言った助けや後押しを借りるのならば、深刻の一歩手前の状態になってからにして欲しい、と言うのがグレイの本音なのだった。 「そうか。この礼拝堂は、一人でゆっくり物事を考える為のスペースとしても開放している。一般開放が終了する時間までは、のんびりとしていたまえ」 そう事務的に男に告げた後、グレイは、桜色を基調としたワンピースを身に纏う金髪の女性に目を向ける。 「精が出るな、シスター・クラリス。以前も言ったが、此処は君が身を置く教会ではないだろう。手伝いをしてくれるのは勿論嬉しいが、自分の時間も大事にしたまえ」 「いえ、グレイ神父。同じ信仰を共有する者として、神の家に私が足繁く通うのは当然のお話です。今の私は、キチンと自分の時間を有効的に使っているつもりです」 やれやれ、とでも言うように苦笑いを零すグレイ。実に、よく出来た女性だと感心せざるを得ない。 シスターとして理想の女性である。この冬木教会に身を置くシスター・キャシーもよく見習ってほしい物だとグレイは切に思う。 クラリスはグレイの言った通り、この冬木教会に足を運び、教会の諸々の雑務を手伝ってくれるのだ。彼女はそもそもこの冬木に住んでいる訳ではない。 県が二つ以上も離れた、別の所に住んでいると言う。故に、この教会の仕事を手伝うと言うのは本来的にはやらなくても良い事柄なのだ。 それを承知で、彼女は仕事を肩代わりしてくれる。その理由は彼女の言った通り、同じ神を信ずる者達を助けたいから、だと言う。実に、良い教育を受けた女性である事が窺える。 「ふむ……それなら、シスター・クラリス。悪いが、教会の花壇の雑草毟りを手伝ってくれないか。エディ一人では少々身が重そうでな」 「まぁ、エディ君一人で? それは大変ですね、この教会はとても大きくて立派ですから、一人では手が足りないでしょう。解りました、お手伝いしてきますわ」 「助かるよ。それに、君と一緒ならエディも喜ぶだろう」 グレイがそう言うと、クラリスは席から立ち上がり、彼に向かって一礼。 それでは、と短く告げて、表の花壇の方へと歩んで行く。遅れて、彼女の友達か、それとも、良い人と考えるべきであろう美青年も歩み出す。 礼拝堂の外へと出る一瞬、灰髪の男の向けた一瞥を受け、グレイは一瞬表情が強張った。グレイですらが一瞬委縮する程の、眩い聖性に溢れる男。 クラリスの連れと言う事は、同じ聖職者なのだろうか。だとしたら、さぞや名の通った者であるに相違ないとグレイは考えた。 「失礼する」、そうグレイは、今も長椅子に座る長躯の男に告げ、礼拝堂を後にする。 『昨日の事件』が起った後だ、今日は人が来ないだろうとグレイは踏んでいたが、意外にも四人、物好きがいたようである。 しかも内一人など、生れ落ちてから神の奇跡など信じた事もないような、人相の悪い、反社の臭いのする男と来ている。 やはり、聖杯戦争と言う魔宴が醸す、異様な空気がそうさせるのであろうか。 この聖杯戦争、真っ当な神経の持ち主ならば到底受け入れがたい非人道的なそれだと慷慨するであろうが、グレイは意外にもすんなりと受け入れられていた。 と言うのも、彼は元居た世界でこれに負けぬ程の、非人道的な観察実験を行っていたからである。 一つのビルの地下に独自に改修・改造した居住スペースを幾つも作りだし、其処にグレイが認めた殺人鬼――天使と彼は呼ぶ――を住まわせ、 彼らに外から搬入させてきた生きた人間を殺させる、と言う実験。実に、狂った実験だ。現にグレイですら、これが非人道的で、倫理性の欠片もないものだとは思っている。 今自分が聖杯戦争に招かれているのは、元の世界でのこう言った所業の報いでもあるのだろう。グレイは本気でこんな事を考えていた。 訳も分からず誰かを連れてこさせ、極めて有利な権限を持たせた殺人鬼達に一存を委ねさせていたグレイの実験と、誰かを何処かからか拉致して来て、サーヴァントと呼ばれる超常の技を誇る霊的存在を宛がわせ殺し合いを行わせる。何処かシンパシーめいた物を感じるし、グレイのサーヴァントの強さを思えば、成程確かに報いとしては成立する、真っ当な手段で、グレイが勝ち残る事は先ず難しいであろう。 何処の誰が、聖杯戦争を仕組んだのか。疑問と、興味は尽きない。 ここまで見事な蜘蛛の巣を張れる手腕。そして張ろうと思うその精神。グレイの構想した、あの狂気の産物たるビルの地下よりもずっと、偏執狂的で、邪悪で、狂的で。 聖杯の真贋にも興味はある。この実験の行く末も、見届けたい。だが誰が、どんな思いで聖杯戦争と言う一つの織物を編み上げようとしたのか。 それが、グレイにとっての大きなの関心事の一つでもあった。あのビルで、悪魔の領分としか思われぬような実験をグレイが行っていた理由は、一つ。 神の視点に立ってみたかったから、と言う事に他ならない。天上から、下界に住まう人間の善なる姿、魔の姿、悪の姿を眺められる存在が神であるのなら。 その状況を人為的に作りだし、外から人々の模様を眺められるその存在は、事実上の神に等しい存在とも言えるであろう。 聖杯戦争を運営する者も、神の視点から、サーヴァントを宛がわれた人々の戦いを見て、何かを得たかったのだろうかと。グレイは考えていた。 戦いと言うプロセスを経ている分、ある意味では聖杯戦争と言うイベントの方が、実験としての完成度は高いのかも知れない。 だからこそ、惜しい。この実験を、外から眺めていたかった。戦いの果てに現れる聖杯と呼ばれる物を見てみたかった。聖杯戦争の企画者と話もして見たかった。 だが現実にはグレイは聖杯戦争と言う名前の実験に使われるモルモットに過ぎず、しかも勝ち残ろうにも、呼び出したサーヴァント自体の性情が、 元の世界で自分が面倒を見ていた、難ありの殺人鬼のそれに近いと言う者と来た。神話・伝説・歴史に名を刻んだ、戦士でも魔術師でもないのだ。 ただ、殺しが上手いだけの阿婆擦れ。これで、聖杯戦争を生き残るプランを立てろと言うのだから、渋面を作りながら頭を痛める他ないであろう。 ――そして、グレイの頭を痛めさせている、目下最大の原因たるサーヴァントは、今何をしているのかと言うと……。 ◆ 「あー……買い出しだっる……」 『昨日の事件』の影響をモロに受ける形で、人っ子一人いない、冬木は新都の市民公園。 そのベンチに腰を下ろし、何処かのコンビニで購入したサラダチキン。それを齧る女性がいた。 紺色のベールを被った、修道服の女性である。顔つきはアングロサクソン風の美女と言う出で立ちで、極めて整った顔立ちを、今は七面倒くさそうに歪めさせていた。 ポイッ、と、サラダチキンを食べ終えたか。それに封をさせていたビニールの真空パックをポイ捨てし、彼女は虚空を眺めた。 この世には、誰に語っても受け入れて貰えない真実と言うものが存在するが、彼女に関する真実もまた、その一つだろう。 ――『ジャック・ザ・リッパー』の正体が、殺しが上手くて殺しが好きなだけのイギリス人女性である、など。 今では都市伝説を越えて、ある種の闇色の『伝説』としての地位を欲しいがままにし、今でも人々に昏い秘を提供し続けるジャック。 これに関しての捜査を進め、これに関する作品を世に提供して来た作家や監督は、到底こんな真実を許容すまい。余りにも、ドラマ性も意外性も、ないからである。 だがそれでも、彼女は確かにジャック・ザ・リッパーなのである。いや、ジャック・ザ・リッパーと言う怪物(でんせつ)の側面なのである。 ジャックの正体は、生身の人間女性。五人の女性を惨たらしく殺し、現代的な科学捜査を取り入れ始めた当時のスコットランドヤードの捜査を逃げ切った、 伝説の快楽殺人者。こんな側面で現れたのが、今回のジャックなのである。 小腹が満たされ、一息吐き始めるジャック。面白くない。ジャックはそう思っていた。 教会における禁欲的な生活が性に合わないと言う事もそうだし、この国には自分好みの眩しい女がいないと言う事もそうである。 だがそれ以上に、自分の起こした諸々の殺人事件が、話題にされなくなった事が面白くない。 ジャックにとって、自分が連続殺人の犯人である事が露呈される事は当然避けたい。だがそれとは矛盾する感情が、彼女の中には存在する。 自分の手による事件が、『話題にされなくなる事』もまた、彼女にとっては癪なのである。殺人とは通常、ギリギリまでバレなくさせるよう小細工を弄するのが常である。 死体をバラバラにするという手法も、あれは多くの場合猟奇的な意味を込めて行っているのではなく、死体を持ち運びやすくするようやっている者の方が多いのだ。 だがジャックの場合は違う。ジャックが被害者の女性をバラバラにするのは、完全に自分の趣味であり、嗜虐心及び、性的な欲求を満たす為である。 美しい女性ほど、惨たらしく殺したい。恋人も、親も、子も。それが自分の最愛の妻であり、子供であり、親である事を解らなくなるまで切り刻みたい。 それが、彼女、ジャック・ザ・リッパーの殺人の美学である。そしてそれは、誰にも知られずひっそりと終わるのではなく、誰かに知られて貰いたいのだ。 殺人鬼と言う、人の社会の闇に潜むアウトサイダーの中のアウトサイダーでありながら、彼女は、人の社会の光の部分に、己が闇で磨いた『アート』を見せ付けたいのである。そう、彼女の心は、破綻していた。 ジャックの起こした、女性のみを狙った猟奇的な解体殺人。 その事件は、この冬木に不気味と恐怖の翳を、確かに落していた筈なのだ。……『昨日の事件』が起るまでは。 これがちっとも、面白くないのだ。あんな事件を起こされてしまえば、自分の起こした事件など目立たなくなるのは当たり前ではないかと、彼女は拗ねていた。 勿論、ジャックの起こした事件が全く話題にされないかと言えばそうではない。実際には、『昨日の事件』と関連付けさせる、アクセント的な役割を果たさせているのだ。 そう言う扱われ方は、ジャックとしても面白い物ではなかった。やるならもっと、大々的に扱われて欲しい物だとつくづく彼女は思っていた。 「あーのクソ神父……おつかいなんてキャシーの奴にでも頼めっての……」 『昨日の事件』に加え、マスターであるグレイに頼まれた、教会の食料の買い出しと、ジャック好みのいい女がいないと言う現状。 テンションはゼロを振り切ってマイナスの閾にまで達している程であり、至極やる気が起きない。 そもそもこの国には、ジャックの食指が動く様な女性が少ない。『ヤマト・ナデシコ』とやらはさぞ殺し甲斐があるのだろうとワクワクしていたのだが、 それが全く以って存在しないのである。昔日にはそれはそれは沢山いたそうであるが、それらしい存在はとうの昔に絶滅したと言う。 オイオイ、リョコウバトかと突っ込みたくもなる。目当てのターゲットはおらず、活躍は注目されず。ただただ溜息を口から漏らすだけのジャック。 再びジャックは、ベンチの傍においてあった、グレイに頼まれた買い出しの為に渡された、彼の財布。 その彼の財布の中の金を余分に使って購入したサラダチキンを取り出して、食もうとしたその時だった。彼女の動きが、ピタッと、身体の中の時間を全て停められたように停止する。 ジャック・ザ・リッパーの目線は、公園の敷地の外を歩く、黒メノウのように艶やかで、美しい黒髪を持った、豊満な胸の可愛らしい女性に釘づけだった。 引っ込み思案そうで、儚げで、そして何より、何処か魅力的な影の差した陰性の美が気に入った。――あれは、良い。 「殺すか――!?」、と、いきり立った所で思い止まった。あの神父から、昼間は行為に及ぶなと釘を刺されていたのだ。ファック、死ね。 だが、その意見には賛同だ。確かに、敷地の外を歩く美女は、ジャック好みのそれである。だが、美女だけでは良くない。一流の切り裂き魔はシチュエーションにもうるさい。 今が夜の時間帯であれば、さぞやジャック好みのバラバラ死体が生まれていた事だろう。光を受けて夜に閃めく刃の煌めき。 煌めきの走った所をなぞる様に、バターの如くスムーズに解体されて行く美女の肢体。 そして、己の身体に何が起こったのかを認識する間もなく。己の身体がバラバラにされた事を知る事もなく、失血死で緩やかに、眠るが如く死んで行く。 それは正に――『殺された事にも、気付かない』、ジャック・ザ・リッパーの魔技。彼女がこれと認めた女のみに与える、SEX以上に気持ちの良い究極の快楽。 それを提供するには、まだ時間が悪い。歯噛みしながらジャックは、あの黒髪が過ぎ去って行くのを見送った。顔は憶えた、行動範囲もある程度は絞り込めた。 後は、運命の女神サマが自分に微笑むのを待つだけ、と、ジャックは心の中で祈った。 チチ、と、ジャックの足元でスズメが鳴いている。 ジャックが落としたサラダチキンの破片を嘴で突いているようだが、食べ終えたのか、可愛らしくパタパタと飛び上がった。 瞬間、ジャックの左手が、陽炎の如く霞み、水平に伸びきった状態で停止。この瞬間だった。上空一m程を飛び上がり始めた、と言う段になって、スズメの身体が翼が斬り離され、その胴体が嘴から小さな尻尾まで縦に、胴体の真ん中から横に、十字に切断されたのは。 「大当たりィ」 己の尖った歯を全て見せ付ける様な、品のない笑みを浮かべて、ジャックが言った。 近頃ハマっている占い方法だった。飛び立とうとする鳥を切断し、彼女の望むような斬り方で鳥を殺せば、今日明日はラッキー、と言う占いだった。 地面にボトリと湿った音を立てて落下するスズメから、遅れて鮮血がドロリと流れ出す。ジャックの左手に握られた、小さなメスには、血の一滴も付着していないのであった。 ◆ ジュデッカ 血塗られた献身 流離の子 Dance of the Seven Veils ソルニゲル 革者 解放された世界 Fate/Bloody Zodiac ■■海底都市冬木 回帰の白 物語の王 餓狼伝 総ての乙女の敵 不死の罰 日ノ本斬殺 破滅的終局 久遠の赤 ◆ ZONE18――『Dance of the Seven Veils』 永久の愛の逃避行、誰も邪魔する者のいない楽園(エリュシオン)での永遠。 愛と恋とに狂う男女が理想とする生活、過ごして見たいと夢想する楽土での一時の夢から、覚まされた女がいた。 『桂言葉』は、永久の夢と言う水面を遊弋するヨットの上での微睡みから、覚醒させられてしまった女であった。 それはチープな言葉であるが、運命の悪戯による物だったのかも知れない。ともすれば言葉は、その夢から永久に覚めぬ事も、あったのかも知れない。 醒めぬ夢の中で、嘗て恋した伊藤誠の幻影と永遠の学生生活を送るだけの未来を送る可能性も、この少女には存在した。 しかし今、言葉と言う少女は現実の中に生きていた。 死んだ筈の誠が生きている世界、それよりもなお非現実的な『聖杯戦争』と呼ばれる戦いを行わねばならない世界。 この世界こそが、言葉にとっては夢幻の世界そのものだった。何処の誰が、どんな願いでも叶えてくれる奇跡のカップを得んが為、 過去に死んだ英雄や猛将、恐るべき悪党の類を使役して殺し合わせる、と言う催しを信じる事が出来るのだろうか。 だが、このタチの悪い空想や妄想の類が厳として存在する現実の中に、今桂言葉は身を置かれており、そして、彼女はその妄想の中心人物の一人でもあった。 幸せな夢から醒めた先の現実は、夢のちぐはぐな世界よりも尚歪みきった、悪意に満ちた世界であった。 だが――その悪意に満ちた世界を切り抜ければ、奇跡の光が言葉を包み込んでくれる。聖杯と言う、不条理・不合理・理不尽を覆してくれる魔法の杯が。 それは、黒く淀んだ泥の流れる大河に沈んだ、一粒のダイヤモンドを探すような作業である。 当然、ダイヤを探せば手は汚れる。爪の間にだって、泥が溜まって、どんなに洗っても取れないかも知れない。 いや、腕だけが汚れるならまだしも身体全体が汚れてしまう事だってあり得るだろう。 だが、その泥の中には、ダイヤが埋もれている。どんな負債も帳消しにしてしまう程の価値を秘めた、この世に二つとないダイヤが。 【マスター……もうすぐ……着きます……】 脳内に響く、ダウナー気味の暗い口調。 声音だけを聞けばそれは確かに美女だと想起させるそれなのに、ボソボソとたどたどしく、そしてひたすらに暗い口調のせいで、生来の声の美しさが台無しになっていた。 名を、『サロメ』。旧約聖書にその名の語られる、洗礼者の首を欲した王女。その異常な物語、状況(シチュエーション)、そして猟奇かつ耽美的なエピソードと題材の故に、多くの芸術家達を魅了してきた魔性の女であった。 【ですが、宜しいのですか……? 私達と同じく……視察に来ている人達も……】 【ええ、解っています。けれど、どうしても見ておきたいので】 【マスターが……そう仰るのであれば、ご随意にします……】 サロメは、言葉と言うマスターに対して従順だった。言葉がマスターとして見事で、優れているからと言う訳ではない。 サロメの性格は、マスターが見事であるからそうなっている、と言うよりも、これが地であるからそう振る舞っていると言う方が正しい。 外での口数が少なく、暗めなその性格は、誠に出会う前の自分を見ているようだと、言葉は、過去の己の鑑のような性格のサロメに、少しの嫌悪を憶えていた。 二人は、『昨日の事件』が起ったという現場へと足を運ぼうとしていた。 これはサロメの言う通り、他のサーヴァントとも鉢合わせになる可能性が非常に高い選択である。 サロメは、竜を討ち倒した英雄と言う訳でもなければ、万軍を単騎で征服する様な猛将でもなく、天地に通じる魔術を習得した魔法使いと言う訳でもない。 彼女の本質は、ただの踊り子である。本質が戦士、戦を得意とする英霊を相手にしてしまったが最後、待っているのは確実な破滅だ。 勿論、妖女として歴史にその名を刻んだこの踊り子は、戦士を相手に渡り得る技術を保有こそしているが、過信して良いものではない。 なるべくならば、鉢合わせは避けたいと思うのは当然の考えである。そして、サロメのこの心配は何よりも、サーヴァントには遥かに劣る強さの、 桂言葉と言うマスターを慮っての事。当然だ、サーヴァント同士の戦いとなれば当然マスターにも火の粉が降りかかる。 ただの火の粉ではない。英霊同士の接触によって生じた火の粉は、焔の一かけらとは言え、容易く人間のマスター如きを焼き尽くす熱力を秘めている。 其処から、マスターを遠ざけたいとサーヴァントが思うのも当たり前だ。何せ、主たるマスターが死んでしまえばその時点で、サーヴァントは聖杯に願いを掛ける事が実質上不可能になってしまうのだから。 ――それを承知で、言葉は『昨日の事件』が起った現場へと向かっている。 彼女は、本気で聖杯を狙っていた。幸せな夢が見せていた幻から覚めてしまった彼女は、思い知ってしまった。 首だけになった伊藤誠は、それはもう伊藤誠ではないのだ。嘗て伊藤誠だった、死体に過ぎぬのである。 例え言葉がどんなに愛おしいと思っても、首だけの誠は睦言の一つも彼女に投げかけない。 例え言葉がどんなに強く抱きしめたとしても、首だけの誠は抱きしめ返したりもしてくれない。 例え言葉が――どんなに誠の子が欲しいと願っても、首だけの誠では、彼女の中にその子種を注ぐだけの身体を持たない。 これらを認識した瞬間、言葉は悟った。もうこの世に、自分が愛した誠くんは存在しないのだ、と。 胸に、空気だけが突き抜けるだけの巨大な穴が開いたようだった。愛や慈しみといったあらゆる感情が消滅し、虚無の心地だけが身体の中を去来する。 自分が求めたのは、首だけの誠を抱いたまま夢の世界に閉じる事ではない。本当は――誠と一緒に、共に生き、共に同じ世界を視る事ではなかったのか? こう思った瞬間、言葉にとって聖杯と言う道具が遠い世界のそれから、一枚の薄布(ヴェールを)隔てた向こう側、少し手を伸ばした先に存在する程近くに存在する、手に入れなくてはならない物になってしまった。 【欲しい……ですね……。聖杯】 現場へと続く道のりを歩く言葉の脳裏に、サロメのボソボソとした、途切れ途切れの念話が響いてくる。 【そうですね】、と、事務的で淡々とした声音で言葉が返事をする。今の彼女には、現場に近付くにつれて多くなって行く、人通りの多さしか映ってないし見えてない。 野次馬と言うものは何処の世界にもいるもの。いや、今回に限って、責められた事ではないだろう。何せ事件が事件である。 多くの人間が、その爪痕を見てみようと大挙するのも当たり前の話であった。ある者はきっと野次馬根性を発揮するだけで。 ある者は自分の生活に影響が出るのではないかと言う恐怖で。またある者は、事件の概要を記事にする事で生計を立てんとする為に。 思いは様々だろうが、見たいと思う気持ちも解らなくもない。影響は、それだけ大きいのであるから。 【銀盆に乗せられた……あの方の首を見る度に……思います。ああ……あの素敵な笑顔は……何処に行ったのだろう、と……】 銀の盆。それは、あらゆる芸術作品において、預言者ヨカナーンの切断された首を乗せている、美しい彫金の成された銀の皿の事である。 宝具となった影響で、物質の腐敗を停止させる効果を得たこの更には現状、言葉自身の意思で、斬られた誠の首も乗せて貰っていた。 誠の首には命はなく、勿論意思など宿りもしない。だがそれでも、あの首は正真正銘、桂言葉の愛した伊藤誠の首なのだ。 腐敗して行くままでは、忍びなさ過ぎる。だから、サロメに頼んで、ヨカナーンの隣に誠の首を乗せて貰ったのだ。彼女は、これを快諾してくれた。 瞳を閉じると、伊藤誠の表情や挙措を、言葉は思い出す事が出来る。 自分が初めて好きになった人。いじめられていて、鬱屈としていた学生生活に光を差してくれた人。それが、言葉にとっての伊藤誠と言う存在であった。 もう、誠は微笑む事はない。言葉を喋る事すらない。冷たい銀盆の上で、見開かせていながらもその実何も映していない瞳で、言葉を見る誠の首を見る度に、つくづくそう思う。 だがある時、誠に対して、聖杯を捧げると口にした時――誠の口元が、笑ったのだ。笑ったように、見えたのだ。 ――ああ、誠君……。私のする事を、許してくれるんですね……―― その見間違いを見た時、言葉は決心したのだ。 何としてでも、聖杯戦争を勝ち抜くと。そして、殺された誠を蘇らせてみせると。 次は、悪い蜘蛛に誘惑されない世界で生きたい。誰にも寝取られず、誰にも奪われない。アダムとイヴになろうと言うつもりはない。 だが、二度と誠が他の女にかどわかされない世界で生きたい。それだけが、桂言葉、と言う少女の願いであった。 夢を求めて彷徨う女二人が、歩いている。 幻の世界に閉じこもっていた女と、幻の中を舞う女。恋と言う悪魔に魅入られ、盲目となった女達は、誘蛾灯に誘われる羽虫が如く。 聖杯と言う、宙を舞う蝶蛾を焼き尽くす焔の塊目掛けて、二人は歩み始めてしまった。 一人の男の為に、修羅が蔓延る闘争の道を歩く二名の未来は、楽土か、地獄か。それを知る術は、二人には無い。 やがて二名は、『昨日の事件』が起ったとされる事件現場へと到着する。 シロップに群がる蟻の如く、事件現場を見物しようとする人間達。そして、彼らが現場に入らぬように張り巡らせたバリケードテープ及び監視役。 彼らが市民の侵入を防いでいる境界のその先で、鑑識と思われる人物達が必死に現場の検証を行っていた。 現場に来てからまだ一分と経過していないが、そんな短い時間でも、解るのだ。捜査が遅々として進んでいないと言う事が。 【十分程、周りを見渡したら帰りましょう】、言葉の提案にサロメが了承の念話を送る。 野次馬にも飽きたと見えた人々が帰って行くのと入れ替わりに、ゾロゾロとまた人が集まってくる。 その繰り返しを眺めながら、言葉は事件の現場を一番前まで見ようと人混みの中に混じって前へ前へと進んで行く。 こんな時、自分の低めの身長が恨めしいと言葉は思う。前にいる、春物のロングコートを纏う女性の方が、自分よりも背が高いせいで。 これではよく前が見えないではないか。サロメに、念話を伝えておく。自分と一緒に良く、現場を検証しておくように、と。 ◆ ジュデッカ 血塗られた献身 流離の子 ソルニゲル 革者 解放された世界 Fate/Bloody Zodiac ■■海底都市冬木 回帰の白 物語の王 餓狼伝 総ての乙女の敵 不死の罰 日ノ本斬殺 破滅的終局 久遠の赤 ◆ ZONE19――『破滅的終局』 ――とどのつまり、『昨日の事件』とは、何なのか? その事件現場だけを見て判断するのであれば、極めて高い実力を秘めたサーヴァント同士の衝突の結果、大規模な施設がほぼ全壊した、と言う所なのだろう。 実際、それが真実であるのだろう。偶然起こった事故でこうなった、と言うには、聖杯戦争と言う事情を知っている者から見れば、余りにも無理がある。 その大規模な施設は嘗て、『わくわくざぶーん』と言う名称で親しまれていたレジャー施設であった。 全天候型対応施設の中には、ウォータースライダーや流れるプールの他にも、通常の市民プールの他にマリンプロ育成用のダイビングプール、 飛び込みの為のプールに、五歳以下の子供達でも安心安全に遊べるように設計された水場などを兼ね備えた、極めて大規模かつハイ・クオリティーの遊興施設であった。 内部にはこの他、エステ店や日焼けサロン、様々なフランチャイズの飲食店を誘致したフードコート等、水遊びの合間から終わってからでも楽しめるエリアも存在する、 正に都市開発の進んだ冬木新都を象徴する、『進んだ』レジャー施設なのだった。冬木の成長した経済と、都市開発の進捗を象徴する施設、とも言って良い。 それが、今や見る影もない。 嘗て訪れた者に楽しい時間を約束してくれるだろうと確信させるに足るオーラを誇っていたその威容は、今は見る影もない瓦礫の堆積になっており、 そこが元々どんな施設であったのかなど、予め知っている人間でなければ解らない程であった。戦闘機の爆撃を受けた、何らかの建物。 そうと説明されても誰もが納得しかねない程に、その破壊の有様は凄惨を極るものだった。 先ずこの、瓦礫の撤去から行わねば話は進展しないのだろうが、何せ元となったわくわくざぶーんと言う広大な施設が、そのまま瓦礫になっているのだ。 撤去しようにも膨大な量である。消防と協力して、重機を持ち出して瓦礫を撤去している最中ではあるが、肝心の瓦礫の総量はそれほど減っていない。 この様子では最悪半月以上は掛かるであろう。つくづく、冬木の警察にとっても消防にとっても、難儀すぎる話であった。 【ふむ、意外と驚いてはいないな? マスター。まぁ、それもそうか。君の辿った道程を思えば、ね】 野次馬の最前列で、撤去作業と鑑識作業を同時に行っている光景を眺めている女性の脳裏に、男の声が響いて来た。 二十代も半ばに近いその声音は、糖蜜のような不思議な甘さを内包する一方で、例え切れぬ程の『胡散臭さ』を内包した、 人から最初に信用ではなく、疑いと警戒心を持たれかねない声質でもあった。 魅力的で、人の心に染み入る力を秘めた一方で、内心に眠る猜疑の領域を喚起させるその声。在り方としてはそれは、山師のそれに近かった。 もっと酷いの見てきたし…… >少しは驚いてるよ 彼女の言う通り、ショックは受けている。 この時代は、今まで彼女……『藤丸立香』が旅して来たどの時代の特異点よりもずっと、彼女の住んでいた世界の時代に近い。 生きていた時代に近いと言う意味では、特異点Fも同じような物かも知れないが、あの特異点は常に瓦礫の山と、焔で燃え盛っている地獄さながらの光景。 正直な所、嘗て自分達と同じ文明レベルが興っていた、荒廃した世界としか、立香の目には映っていなかった。 今彼女が呼ばれている冬木の街は、正真正銘目立った荒廃もなく、時代の方も、彼女が住んでいた時とそれ程前後していない。 彼女にとって最もイメージしやすい世界だ。そんな世界で、こんな恐るべき破壊が起きてしまえば、心にさざ波の一つでも起きると言う物。 尤も、さざ波程度しか心が動かない訳は、彼女が召喚したアルターエゴのサーヴァント、『アレイスター・クロウリー』の言う通り、自分が辿って来た七つの特異点の旅のせいでもあるのだが。 >やっぱり、サーヴァントものだよねこれ サーヴァント以外に原因があるのかな、これ 【そうだろうね。まさかガス爆発でこうはなるまいよ】 賛同するアレイスター。やはりと言うか、案の定そうであるようだ。 【どんなサーヴァントがやったのか解る?】、と訊ねてみるが、【千里眼の方は持たないので、残念ながら】、と肩透かしな返事。 サーヴァントの自発的な破壊行為、或いは交戦によって齎された物だとは解るが、どんな存在がやったのか、までは模糊としているようだ。 尤も、そのどちらにしたって、相当危険な性格、或いは性格に難を抱えている存在による破壊だと言う事は間違いない。出会ってしまえば、敵として振る舞われる可能性の方が、高かろう。 【こう言うと君は大変不愉快に思うかも知れないが、実を言うと僕はこの状況を大変興味深く、そして楽しく思っている】 アレイスターの言った通りであった。 現に立香は、この希代の低俗人、堕落の魔王、サタンの再来のような男が言った通り、アレイスターの言った言葉に強い不快感を憶えていた。 【以前も言ったが、僕は本来キャスターとして呼ばれるのが、まぁ普通のサーヴァントでね。今のような特別なクラスでは、呼べないのだよ。理由は、解るね?】 >身体に、獣(ビースト)を宿してるから? 変人だから? 【その通り。冷静に考えれば当たり前の話だな。人理を破壊しうるカードを持ったサーヴァントを、そのカードの切れるクラスで派遣したりはしないさ】 言っている事は正しい。 地球すら叩き割る爆弾を持っているサーヴァントが仮にいたとして、そのサーヴァントによる星の破壊を防ぎたい場合、 そのサーヴァントを召喚してから対処するのではなく、そもそも召喚させない事の方が、取れる対策としては上等――と言うより、常識的に考えて自然の筈。 ――其処まで考えて、あれ、と立香は思った。 じゃあなんで―― 【僕が召喚されているのか、だろう? 其処が面白い所でね】 次第に、その声音に喜悦の色が混じって来た。或いは、持論をひけらかす事を喜ぶ、碩学のような態度か。 【恐らくだが、この世界――『抑止力』が働かない世界なのだろうね。或いは、抑止力の影響力が遠い世界とも言うべきか?】 >すると、どうなるの? 【通常ではありえないようなサーヴァントが呼ばれたりするね。僕もそうであるが……神霊の類も、もしかするんじゃないかな?】 >カルデアにもいたよ 【あれは、ケースがケースであるのもそうだが、特殊な召喚のメソッドを用いてるせいもあろう? 『聖杯戦争の形式を取っていながら、私や神霊が召喚される可能性がある』。これは最早、異常なケースと言う他ないんだよ】 それは、『彼』が生きていた時に彼が教えてくれたし、ダヴィンチちゃんも言っていたなと立香は思い出す。 人理焼却と言うケースがあまりにも特殊なせいか、本来は呼ばれる可能性もないような、呼ぼうとしても召喚に応じないようなサーヴァントが、 平然と召喚される事もあるが、本来普通に英霊召喚を行っても、神霊の類等絶対に召喚出来ないのだ、と。 人理の焼却すら防いだ、無名の英雄である藤丸立香であるが、魔術に関してはズブの素人。だが、今まで習って来た事柄から今の事態を演繹すると、成程解りやすい。今回の聖杯戦争は、きっと、異常な形で行われているそれなのであろう。 【恐らくこの世界は、君達で言う所の『特異点の亜種』に近い物なのだろう。それも、抑止力すら遠い世界ときた。この特異点を救った所で、君の元居た世界には何らの影響もない。悪因もだ。この世界を救った所で、君に残るのは僅かな充足感と、徒労感だけさ。君は、それでも――】 >救うよ 【ほう――】 即答、である。流石は僕のマスターだ、と答えかけた所で、間髪入れずに、立香は告げた。 >アルターエゴもだよ 【……僕も?】 それまで、余裕を感じさせる態度であったアレイスターの口調に、訝しむような物が宿り始めた。 >だって >ビーストのせいで、苦しそうだよ? 沈黙が、二人の間に流れた。 自分達の回りにいる、『昨日の事件』の現場を見る為に集まっていた見物人達のガヤが遠い。 遥か数㎞先の事のように、今の二人には小さい物に感じられている。虚を突かれたように、呆然としているのか。アレイスターからの言葉はない。 たっぷり、十秒程経過してからだったろうか。フッ、と言う零すような笑みが、アレイスターの口から漏れ始めたのは。 【君には苦しく見えるのかい? ミス・立香】 >違うの? 【まぁ、僕は社会の不適合者だからね。人間世界は生き難いさ。まともに働くのも、家業を継ぐのも嫌だったから、今の道を目指したってのもあるからね】 【ただ、まぁ】 【人から真摯に心配されるのは……ハハ。中々、良い物なんだな。大丈夫さ、マスター。君が思っている程、エセルトレーダは凶暴じゃない。君が聖杯に王手を掛けるまでは、僕のパートナーでいてくれるだろう】 そうなの? と思う立香。以前彼女が見た、鷹揚としたアレイスターの態度からは想像も出来ない、歯噛みする様な、何かに耐える様な態度は、何かのブラフだったのだろうか? 【名だたる英霊が、君に従う理由も解るな。君は、サーヴァントに『お前に召喚されて良かった』、と思わせる不思議な力を持っている。その力が、君に人理を救うだけの力を与えてくれたのだろうね】 >アルターエゴは、どう思ってるの? 【勿論、僕は召喚されて良かったと思ってるよ。君のようなレディの剣になれる事は、英国紳士にとって誉れなんじゃないかな?】 >……紳士の対極にいる様な人間の癖に 【ハハハ】 笑って誤魔化すアレイスター。ジト目で、霊体化しているアレイスターを睨めつける立香。 今彼女が、自分にそんなに似合ってないロングコートを着ているのは、ゲーティアとの戦いの際に選んだ戦闘服を隠すと言う意味が大きいが、 やけに嫌らしい好色的な目線を向けて来るアレイスターに対する『ガード』の意味もあった。黒ひげとはまた違った意味で、エッチなサーヴァントであるらしいと、今も彼女は頭を抱えているのだった。 ――そして、アレイスターの言った、召喚されて良かったという言葉は、偽らざる本音であった。 抑止力と言う、魔術師にとって最大の敵、不倶戴天の宿敵の『魔の手』が伸びないこの世界で。 『獣』を二度も退けたマスターの下に召喚された、と言うのは、彼にとってこの上ない幸運であった。 そして、藤丸立香自体もまた、好ましいと来れば、エイワスに最大限の賛辞を惜しまぬ程の天運だろう。 全ての手札が、揃っている。生前から、身が狂わんばかりに欲していた、『全人類の根源接続』と言う幻想。 その為に彼は、詐術と魔術の全てを用い、人類史に汚れた汚泥で己を刻み、英霊として座に登録されたのだ。 これが、最初にして最後の機会だろうと言う確信すらアレイスターにはあった。此処まで手札が揃う事は、二度とない。分水嶺と言う言葉でも温い程の、運命の瀬戸際。 此処だ。此処を凌げば、人類から負けがなくなる。戦争がなくなる。飢餓もなくなる。死もなくなる。一切合財の不幸が過去のものとなり、 全ての人類が全能となれる世界。それは、どれ程幸福で、どれ程素晴らしい世界だろうか。その世界を夢想する度に、アレイスターの瞳に喜びの光が煌めくのである。 【……マスター。約束しよう】 >? 【僕が最初に幸せにするのは、君だ】 ――曰く、ビーストとは人類を滅ぼす悪なのではなく、人類『が』滅ぼす悪なのだと言う。 憎悪も殺意も、一過性のものである。時間が流れれば多くの者は、身を焼く憎悪も滾り狂う殺意も薄らいで行く。 だが、人類を守ろうとする愛は、永遠なのだ。自分が善い事をしていると言う実感。それは確かに存在に喜びを与える。喜びが与えられるから、生きる実感が湧く。 その実感の故に、愛は永遠なのだ。より善い未来を望む精神が、今の安寧に牙を剥く。今の苦諦に満ちた世界が、許せないのだと言うように。自分であれば、もっと善い世界を産めるのだ、と言うように。 憐憫の故に、世界を滅ぼす。懐古の故に、世界を回帰させる。善悪を知るが故に、世界を比較する。もっと良い絵図がある故に、世界に破滅と終局を与える。 アレイスター・クロウリー。全人類を縛る『限界』と言う蜘蛛の糸からの解放を願う為、全人類を根源に接続させ、 個人個人が全能人なる世界を夢見るこの男の精神は、人への愛に溢れていて――。それ故に、隠し切れない程、その精神は獣のそれに犯されている事に、この男は、気付いているのか、否か。