約 67,609 件
https://w.atwiki.jp/ayano01/pages/184.html
敵は3騎。 長野大尉騎もまた、別な敵騎と交戦している。 助けに来た以上、今更“助けてください”はとても言いたくない。 「このっ!」 美晴騎が120ミリ速射砲を放つが、敵騎はそれをあっさりと回避。 美晴騎に肉薄する。 「来るなっ!来るなぁぁぁっ!」 120ミリ戦車砲弾の直撃をものともせずに飛び込んでくる敵騎。 その光景に本能的な恐怖を覚えながら、美晴は後先考えずにトリガーを引き続けた。 ピーッ! カチッ! アラームの後、トリガーの感覚がなくなった。 「―――弾切れっ!?」 美晴は一瞬、残弾を確認しようと視線を動かしてしまった。 近衛のメサイアは、騎士に必要な情報を網膜に直接投影するため、視線の移動を必要としない。 敵から一瞬でも視線を外せばどうなるか――― 美晴は、視線を敵騎に戻した時に、それを悟らされた。 「美晴っ!」 さつきの目の前で、美晴騎の両腕が、シールドと速射砲ごと吹き飛んだ。 シールドと速射砲を×の字状態で組み合わせたのだが、それさえも敵の戦斧はモノともしなかった。 敵の攻撃が弱かっただけだ。 美晴は警報が鳴り響くコクピットで、妙に冷静に状況を判断していた。 間合いを間違えたんだ。 もし―――間合いが正確だったら。 背筋を、冷たい汗が流れた。 私は―――死んでいた。 「美晴っ!」 呆然として動かない美晴騎を敵騎は蹴り飛ばした。 3騎で攻めてきながら、実際に手を下すのは一騎のみ。 両腕を破壊された柏騎を前に、さつきは嫌なことを思い出した。 高校時代のケンカだ。 弱い相手と知るや、たった一人で複数を相手にいきがるチンピラ共―――。 やっていることは、それと同じだ。 本人はかっこいいつもりかもしれないが、端から見れば最低だ。 騎士同士の戦いとはとても思えない。 それでも、それを許してしまう自分たちも十分――― 「くっ!」 さつきは、右腕で剣を構えた。 「候補生っ!」 MC(メサイア・コントローラー)が怒鳴る。 「後退を!左腕の喪失で戦闘力は半減していますっ!」 「冗っ談っ!」さつきは怒鳴り返した。 「一方的にやられてはい終わり!?ふざけないでよ!」 「ですがっ!」 「いくら私が女だからって、戦いまで受け身でたまるもんですか!」 さつきは、美晴騎を踏みつけて悦にいる敵騎に斬りかかった。 「さつき―――加勢するっ!」 宗像騎から通信が入る。 二騎同時なら―――もしかしたら! さつきは、その可能性に賭けた。 敵騎が、まるでズームしたように、スクリーン一杯に迫ってくる。 宗像騎とさつき騎は完璧なまでに同時に敵騎に斬りかかった。 ―――が。 ガンッ! 攻撃が命中したにしては奇妙な感覚がSTRシステム越しに伝わってくる。 「―――え?」 さつきは、自分の騎体に何が起きているのか、正直わからなかった。 ギギィィ……ッ 腕が―――動かない。 ギッ……ギッ…… 「な……何?」 腕が、振り下ろされる途中で止まっている。 STRシステムを力任せに押しても何も変わらない。 何? 何で? その理由を知った時、さつきは、自分が賭けに負けたことを悟った。 敵が、2騎同時に、完璧に同じタイミングで、しかも同じ方法で襲ってきたとしたら? それはある意味必殺の攻撃と思われるかもしれない。 だが、攻撃方法が同じならば、一つの攻撃を崩す方法を単に2騎に応用すればいい。 それだけだ。 敵騎が何をした? 振り下ろされようとしていた2騎の腕を掴んだ。 それだけだ。 後は力押し。 そして―――その面でも、さつき達に勝ち目はなかった。 「離せぇぇっっ!」 さつきはコクピットで満身の力をこめる。 宗像でさえ、エンジン音からして同じことをしているだろう。 2騎同時に暴れているというのに、全く歯がたたないなんて!! ミシッ……ミシミシミシッ…… 掴まれた腕から奇妙な音がし始めた。 腕の装甲に亀裂が走る。 ベギィッ!! 背筋が寒くなるような音がして、さつき騎と宗像騎の腕から剣が落ちた。 腕は明後日の方角にねじ曲がった。 敵騎の握力の前に、握りつぶされたのだ。 「なんてパワーだ!」 普段、冷静沈着な宗像でさえ、我を忘れて叫び、思わずコクピットの中で身を乗り出してしまった。 「これほどの握力を確保するなんて、一体、どういう仕組みだ!?」 その返答は、二騎同時に襲ってきた敵騎の回し蹴りだ。 2騎は同時に横に吹き飛ばされた。 派手にスライディングして、2騎が並んで大地に転がった。 さつき騎は両腕を失い戦闘能力を完全に喪失。宗像騎も脇腹に受けた一撃でシステムがすべて飛んだ。 スクリーンもパネルもすべてがブラックアウトしたコクピットで、宗像はそれでもシステムの再起動を試みた。 システムのリカバリーにどれほどかかるか? いや。 敵がどれほど待ってくれるか。 絶対、待ってはくれないだろう。 そう思うと、今、自分がやっていることが馬鹿馬鹿しくなってきた。 足掻いている所を殺されるなんて、ごめんだ。 死ぬならきれいに死にたい。 そう思う宗像は、再起動する手を止め、目をつむった。 ―――やるならやってくれ。 誰となく、そうつぶやいた。 ―――私は、負けたのだ。 宗像の気持ちがわかるわけではないだろう。 戦斧を構える敵騎に襲いかかる2騎のメサイアがいた。 「このぉぉぉぉっっ!」 上空から戦斧を構える敵騎に襲いかかったのは美奈代騎だ。 着地する寸前に長剣を振り下ろした。 それまで、“征龍改(せいりゅうかい)”や“幻龍改(げんりゅうかい)”の装甲や武器を切り刻んだその戦斧が、真っ二つに切断された。 狼狽する敵騎に、美奈代は容赦なく襲いかかった。 「よくも―――こいつぅぅぅっっっ!」 逆袈裟切りで敵騎の胴体を真っ二つに切断し、返す刀で脳天を唐竹割にした美奈代は、敵騎を文字通り4つに切り刻んでしまった。 近衛軍の最新鋭兵器―――斬艦刀の威力だ。 「す……すごい」 その光景に目を見張ったのは敵だけではない。 使用した側の牧野中尉も同じだ。 歴戦の猛者である牧野中尉でさえ、こんな光景は見たことがなかった。 「装甲を……こんなにあっさりと……」 それまで傍観を決め込んでいた2騎がハルバードを構え、同時に襲いかかってきた。 「候補生っ!」 「仲間を守りますっ!」 美奈代は怒鳴った。 「私を仲間はずれにした落とし前つけてもらうまで、死なせてたまるもんか!」 美奈代騎は接近する敵騎2騎に逆に襲いかかった。 守勢に回ると思っていた敵騎が突然、攻勢に転じたため、タイミングを失った2騎は、それでも振り上げたハルバードで美奈代騎を攻めた。 一騎が袈裟切りに。 もう一騎が横薙ぎの一撃に攻めた。 美奈代は、あえて突撃速度を早めると、ハルバードの懐に入った。 ハルバードは槍に斧をつけたような武器だ。 先端部である斧の内側に入れば―――。 ガガンッ!! 鈍い音が連続してスピーカーから聞こえてくる。 そして―――舌をかみそうな衝撃。 数瞬の間を置いて、 ズズゥゥンッ!! 何か、大質量の物体が地面に叩き付けられた音がした。 「やったぁぁぁっっ!」 “さくら”の歓声がして、牧野中尉は自分が死んでいないことに初めて気づいた。 「―――えっ?」 恐怖のあまり、つむっていた目を恐る恐る開いてみる。 見慣れたMCR(メサイア・コントローラー・ルーム)が目の前にある。 「あ……あれ?」 手であちこち触れてみる。 感覚がある―――つまり、 「私……生きてる?」 「マスター、すごぉぉぉいっ!」 “さくら”が飛び跳ねて喜んでいる。 「2騎同時キルなんて勲章モノだよぉっ!」 2騎同時? 牧野中尉は、戦闘記録をあわてて再生させ、そして絶句した。 「あの敵を2騎同時に仕留めた!?」 染谷騎の“鈴谷(すずや)”収容を見届け、“鈴谷(すずや)”と接触して初めて事態を知った二宮と共に、教え子の救援に向かおうとした長野は、その報告を最初は信じようとしなかった。 「何かの間違いでしょう!?」 本気でそう言ってのけた。 二宮でさえ一方的に叩かれたあのバケモノ共を3騎撃破。そのうち2騎は同時に撃破したなんて、候補生のやっていいことじゃない。 大破した“幻龍改(げんりゅうかい)”や“征龍改(せいりゅうかい)”達の回収作業が終わり、美奈代騎の戦闘データを見るまで、長野自身、何回、「冗談だ」とか「嘘だ」と言ったかわからない。 「まぁ、そう言うな」 長野をたしなめる二宮の視線の先には、仁王立ちになって怒鳴りまくる美夜と、正座させられて小さくなる美奈代がいた。 結局、美晴達は全員医務室送り。平野艦長の説教は、共謀者扱いされた美奈代一人がうけるハメになっていたのだ。 すでに、“鈴谷(すずや)”はこれ以上の戦闘は不能として、海上を移動。 アラビア半島へと移動を開始していた。 「勝手に出撃して、おかまいなくとは何事だ!」 美夜はカンカンだ。 説教はしばらく続くだろう。 「自業自得はいえ、少し気の毒だな……」 ぼやく二宮に、 「中佐」 整備兵が近づくと、二宮に一枚のディスクを手渡した。 美奈代騎の戦闘記録だ。 「……とりあえず」 二宮は長野にそのディスクを手渡した。 「これを見れば、いろいろとわかるだろう」 「絶対、何かの間違いですよ」 長野はディスクを胡散臭そうに眺めながら言った。 「もし本当だったら、俺は死ぬまで泉に逆らいません。誓ってみせますよ」 “征龍改(せいりゅうかい)”が突撃。 ハルバードの懐に飛び込むと、右から横薙ぎに襲ってきたハルバードの柄を右肘部装甲で、左から袈裟切りにきた方の柄は、シールドで受け流し、両方の柄をレールのように滑らせながら、何の躊躇もなく敵騎に襲いかかる。 右側の騎がハルバードを操作して対処を試みるが、もう遅い。 次の瞬間には、斬艦刀の切っ先が右側の敵騎の胴体を貫通し、同じタイミングでシールドのエッジが左側の敵騎の胴体に深々とめり込んでいた。 戦闘記録を元に、コンピューターが割り出した戦闘の光景が、3Dポリゴンで詳細に再現される。 戦闘再現システムといい、パイロットである騎士やMC(メサイア・コントローラー)でさえ見たことのない、第三者としての視点から敵味方の戦闘時の動きがわかる優れものだ。 そのシステムが割り出した戦闘の光景を前に、言葉を失ったのは長野だけではなかった。 完璧すぎる。 長野が見たことすらない完璧の上を行く機動が示されていた。 メサイアの機動教本に掲載すべき内容だ。 「ぶ……武器の性能が……」 長野は口の中で言いかけて、その言葉を無理矢理飲み込んだ。 違う。 そんな簡単な話じゃない。 武器の性能ではない。 それなら敵騎の方が圧倒的に有利だと、自分でも嫌という位味わっている。 それに、泉は俺と同じ騎に乗っていたんだ。 では? 「これは……」 長野の口から出たのは、そんな言葉でしかない。 何と言うべきかは、長野自身が思いつかない。 映像が繰り返されるたびに、あちこちで驚嘆と歓声が上がる。 戦闘再現システムの映像は、余程の負け戦でもない限り艦内に筒抜けになる。 3Dポリゴンの映像の美しさと、自分たちが命がけで運用している、メサイアの戦闘記録は、乗組員達の丁度よい娯楽になるのだ。 「―――まぁ、長野大尉」 二宮は、ポンッと長野の肩に手を置いた。 「さっきの話は、聞かなかったことにしてあげます」 「か……感謝、します」 空にはアフリカの星が瞬いていた。 星座のことなんてこれっぽっちも知らない。 ただ、きれいだと思った。 男は、擱座したメースの黒こげになった騎体の上に寝転がった。 目の前に広がる満点の星空。 欲しいな。 そう思った。 こんなにたくさんあるなら、一つくらい、手に入れることが出来るんじゃないか? そっと手を伸ばしてみるが、届くはずもない。 「星を掴むような……か」 彼の故郷では、“あり得ない話”という表現だ。 故郷とは全く違うのに、美しさだけは変わらない。 見るだけで、心が安らぐ。 彼は、まるで星空を抱きしめるかのように、目を閉じた。 ―――ブロロッ 不意に、ガソリンエンジンの音がした。 光を感じたものの、彼は目を閉じたままだ。 ―――ギギィッ 耳障りな音がする。 「少佐」 そんな声がしたのは、エンジン音にまじってのことだ。 「ご無事で?」 「……遅いぞ」 彼はのっそりとした動作で起きあがった。 「勘弁してくださいよ」 横たわったメサイアの下に停車した立つ士官が肩をすくめた。 「メサイア部隊はまだ何もかもが整っていないんですよ?何しろ、士官の俺でさえ、移動用にって、人類が残したこんなシロモノ割り当てられてるんですから」 士官は、ウィルスジープのボディを拳で軽く叩いた。 「部隊を前線に送るなら、回収部隊もそろえて送るもんだろうが」 「“メースを送れ”と言えば、我々回収部隊がオマケでついてくると思っているんでしょうよ」 士官は手を振り下ろした。 すると、背後から強い光が走り、横たわったメースを照らし出した。 擱座したメースの回収を任務とする回収部隊だ。 「……派手にやられましたな」 「油断した」男はニヤリと楽しげに笑った。 「よくもまあ、ここまでやってくれたもんだよ。敵さんも」 男の駆るメースは、確実に敵騎を追いつめた。 あと一歩という所で、謎の爆発に巻き込まれ、騎体はこのザマだ。 「失礼しますよ」と断ってからメースによじ登り、ハッチを開いた士官に、男は訊ねた。 「なおるか?」 「我々は野整備部隊じゃないんで」 士官はハッチから顔を出さずに言った。 「……まぁ、何とかなるんじゃないですか?」 「通信装置まで破壊され、部隊の他の連中と連絡がとれない。通信装置を貸してくれ」 男はそう言うと、メースから飛び降りて、士官が乗ってきたジープに向かって歩き出した。 「ご存じなかったんですか!?」 士官は目を丸くした。 「―――何がだ?」 「少佐の部隊は……」 士官は、メースの上に立ち上がり、うなだれたように頭を垂れた。 「……全滅です」 「―――何?」
https://w.atwiki.jp/ayano01/pages/214.html
●セレベス海洋上 “鈴谷(すずや)”艦橋 「艦長」 艦長席でうとうとしかけていた美夜は、その声に弾かれたように目を開いた。 高木副長が手にしたコーヒーを美夜に近づけながら言った。 「スンダ海峡の制圧は完了したそうです」 「……そうか」 コーヒーを受け取った美夜は、そう言って頷いた。 スマトラ島とジャワ島の狭間―――スンダ海峡はマラッカに次ぐ海上交通の要衝だ。 ここを確保出来れば、中華帝国軍が海峡両岸を固めるマラッカ海峡を避けて、インド洋と太平洋を結ぶことが出来る。 万一に備え、スマトラ島側で中華帝国軍、ジャワ島側でオーストラリア軍が海峡を通る船ににらみを利かせているが、共に米軍の次の狙いはマラッカ海峡だと断じているため、その防御はかなり薄い。 マラッカ海峡は、米英軍にとっては、兵力の移動上、そして日本にとっては、インドや中東からの資源輸入を考える上で極めて重要な場所である。 対する中華帝国軍からすれば、ここを突破されれば戦線が崩壊しかねない危険を秘めている。 それだけに神経を使う場所だ。 実際、シンガポール方面への空爆や偵察機の飛来回数、そして通信回数もボルネオ侵攻以降、鰻登りに増え続けた。 通信中にシンガポールやマラッカという単語がしきりに聞き取れるようになった。 フィリピンやボルネオ島周辺に展開した諜報部隊からも、マラッカに米軍が侵攻する“LD作戦”という情報が伝わっている。 そして、米軍による市民を巻き添えにしたシンガポール空爆開始が、決定打となった。 ―――米軍が次に攻めてくるのはここだ。 その空爆は、中華帝国軍司令部が、そう判断するのに十分だった。 対艦ミサイル部隊や、防空師団、そして砲兵部隊は、拿捕した装備までかき集め、全てをマラッカ防衛に回せという、他部隊からすれば反対したくなる程度では済まないような命令が司令部より出されたのも、そういう理由からだ。 一方、 現地住民を強制労働させてまで、マラッカ防衛体勢を急速に整えていることは、米軍司令部にも十分にわかっていた。 マラッカが機雷封鎖され、潜水艦隊が潜んでいるのも知っている。 だからこそ、米軍は、あえてそこを狙わなかったのだ。 米軍機動部隊がレイテ沖を出た後、セレベス海、マラッサル海峡を経由してジャワ海に入ったという報告を受けても、中華帝国軍司令部は、南シナ海に展開する中華帝国機動部隊との交戦を回避したと判断した。 米軍の狙いはあくまでマラッカ海峡だと信じて疑わなかった。 深夜、ビリトン島沖合に達した米軍が突然進路を変えた時には遅すぎたのだ。 ―――我、砲撃を受けつつあり スンダ海峡の鼻先。 ジャカルタ港に置かれた現地部隊からの緊急電に司令部が接した時にはもう遅かった。 米合衆国海軍がこのスンダ海峡を制圧するのに投入した兵力はかなりのものだ。 本隊には、戦艦アイオワ級2、駆逐艦10、上陸用舟艇含む輸送艦45隻。 そこに大日本帝国海軍から金剛級戦艦4、駆逐艦10。他にも別働隊が数隻加わっている。 戦艦――― この時代の戦艦は、上陸戦において砲撃により打撃を加えることを目的として使用される代物で、対艦戦闘は二の次以下というより想定外だ。 海軍にとってあくまで自分達の兵器の主流は、潜水艦と空母であり、海軍の認識も「対艦兵器」ではなく「巨大な砲艦」程度でしかない。 1940年代、赤色戦争において確定した航空機・空母全盛時代は、戦艦の死ぬ時代の幕開けとなった。 海軍の伝統的象徴と扱われても、実戦では第二線でなんとか活躍出来る程度の代物。 1955年の第一回目の大軍縮の際は真っ先に除籍対象の艦種とされた。 未だ、戦艦至上主義者が幅を利かせていた当時の帝国海軍でさえ、戦艦大和を始め、長門・陸奥などの歴史的な艦がスクラップにされるか記念艦として公園に収められ、海から消えた。 1960年代に戦艦を運用しているのは、第三諸国程度で、戦艦ミズーリとヴァンガードをインド海軍が、ブラジル海軍がプリンス・オブ・ウェールズを運用していたといえば凡その想像が付くだろう。 歴史の転換点は1970年代。技術の発展に伴い、各国輸出型艦艇の性能も向上したこともあり、第三諸国海軍でも(余程高性能な対艦ミサイルでも投入されない限り)、随伴艦を護衛するに足る防空能力を持つ艦艇が獲得出来たことが大きい。 その随伴艦とは? それが、海の砲兵と化していた戦艦だった。 フォークランド紛争やカリブ海戦争、さらにカナダ動乱において、第三諸国海軍が運用していた老嬢達は対地攻撃兵器として使用され、一躍歴史の檜舞台に復活した。 対艦ミサイルを随伴艦の対空防御で防ぐ戦法で守られた戦艦は、はっきり猛威だった。 戦艦部隊に対抗する軍は、航空機や潜水艦を使い、戦艦の撃沈を狙うが、随伴艦に阻止されて成功した試しはない。 むしろ戦艦が敵を引きつけるオトリとなり、攻撃側は大損害を被る図式が定着した。 結局、戦場から戦艦を引きはがしたのは、兵力ではなく外交だ。 一撃で都市の一区画を丸ごと吹き飛ばすその破壊力から、戦艦の投入は「非人道的」であるとして、1970年代以降の沿岸部を戦域とする全ての戦争において、講話条件で常に一番最初にあげられたのが、「戦艦の戦域よりの撤退」だった。 日本もその例外ではない。 元来、戦艦大好きな海軍は、この流れをむしろ歓迎した。 海軍は、上陸戦を担当する海軍陸戦隊や沿岸部へ展開する陸軍からの要請をとりつけ、「戦艦」という艦種を復活させる(様々な政治的理由によるが、正確には「対地砲撃“戦”支援“艦”」の略とされている) 時代錯誤 税金の無駄遣い イージス艦作れ その配備はマスコミから散々叩かれ、野党による与党批判のネタにまでなったものの、第一陣として40センチ砲搭載艦、金剛級4隻建造計画が6年がかりで完了。 4隻そろっての初陣は1987年のペルシャ湾戦争。 運用してみると、それまで懸念されていた問題は全くなかった。 大型艦故に乗組員からの受けも良く、大型空母ほど敵から血眼になって狙われず、潜水艦ほど様々な意味で気を遣う必要もない。 イージス艦ほどの電子防御能力はいらず、随伴艦に対空戦闘の運用は委ねればいい。 デカイ砲とそこそこの対空砲を積んで幾度と無く戦艦は運用上、むしろ使い勝手のよさで好評を得た。 そして多大なる戦果を上げ、米軍や国際的な要請、そして何より、海軍の戦艦大好き熱が加わり、21世紀に入った現在では長門・大和・武蔵を始めとした戦艦が16隻も海軍の軍籍簿に名を連ねている。 話を戻す。 現代に生まれ直した戦艦達の砲撃をまともに喰らったスンダ海峡一帯は、瞬く間に吹き飛ばされ、中華帝国軍から上陸部隊を阻止する力を奪った。 結果、米海軍はスンダ海峡奪還にわずか1日で成功した。 「海軍はこれで」 全てを報告し終えた高木は、皮肉げに頬を歪めた。 「来年には、イージスシステム搭載型戦艦の予算を要求してくると思いますがね」 「“播磨”……か」 カップに口を付けた美夜が顔をしかめた。 「ダンナがうらやましがっていたわね……60センチリニア砲搭載艦か」 「建造費で通常動力型の“赤城”級空母2隻でしたか?」 「もう一隻追加して“信濃”を建造するほうを奨めるわよ」 美夜はカップをアームレストに置いた。 目の前の甲板では、騎体の修復を終えた二宮が部下の発艦訓練を行っている。 「それにしても」 その光景を見ながら、高木が言った。 「今回は、新兵達に助けられましたな」 「新兵ばかりのメサイア部隊に用はない」 戦線参加を求めた美夜が受けた米軍司令部からの返答を思いだし、美夜は顔をしかめた。 「その新兵達が陸戦艇潰してメサイア30騎近くを撃破した?」 ぷっ。と、わざとらしく美夜は吹き出した。 「米軍じゃなくても信じないでしょうね」 「“鈴谷(すずや)”は、南シナ海方面の警戒任務に就かれたし―――まぁ、楽な任務だけどねぇ」 「二宮中佐としては、面白くない様子ですがね」 「―――そうね」 美夜は頷くと二宮から提出された訓練プログラムを見た。 発艦に飛行訓練、そして模擬戦――― 二宮は、教え子達を徹底的にシゴくつもりらしい。 「……あの子達も気の毒に」 美夜は視線を海に向けた。 青い、青すぎる海が広がっていた。 この時点での、美夜達“鈴谷(すずや)”の任務は、この海域の哨戒任務。 その間をぬって、二宮達は訓練を続けている。 「現在、バラバーク環礁上空1500」 高木が言った。 紺碧の海に走る線―――環礁が見える。 美夜は一瞬、夫の実家の側にある天橋立を思い出した。 円周50kmのラグーンとその周囲約40の島から成立するバラバーク環礁。 ここ半世紀近く、ほぼ手つかずのままにされてきた美しい海が、美夜の前に広がっている。 魚一匹いない死の世界として。 「失礼」 「……」 美夜は、艦橋に入ってきた米国人科学者に何か言おうと思って止めた。 白衣を羽織った仕立ての良い背広に身を包み、白髪をオールバックにした小柄な老人。 元・アメリカ海軍魔法科学開発局の嘱託科学者。 かつて、魔法科学実検の結果として、この環礁を死の世界に変えた張本人。 現在はフリーの科学者として、教え子の紅葉の要請で艦に乗り込んでいる。 世界最高の頭脳の持ち主。 一言で言えば、“天才”だ。 「バラバーク環礁に入ったと聞きましたので」 澱みのない帝国語は見事としか言い様がない。 「―――どうぞ」 美夜は手で外を示した。 「現在高度1500です」 「―――ほう」 老人は、外の景色をしばらく魅入った後、ポツリと言った。 「先の三週間戦争では、ホワイトハウスは使用を検討しましたよ」 その科学者―――エドワード・フェルミ博士の口元だけが笑っていた。 何を使おうとしたかは聞かずともわかる。 「使わずにいてくれたことに感謝します」 美夜は、フェルミ博士の顔を見ずに答えた。 「この世界の上にいると、そう思います」 「―――科学者としては」 吸血鬼。 美夜はどうしてか、フェルミ博士を見るたびにそれを連想してしまう。 不健康そうな色白の肌のせいか。 冷たい義眼のような瞳のせいか。 美夜にはわからない。 ただ、生理的な嫌悪感に近い物を抱かずにはいられない。 それだけは確かだった。 「見てみたかった―――それが本音です」 「正気ですか?」 「無論」 フェルミ博士は頷いた。 「中佐は人道の観点からおっしゃっているのでしょう。しかし、私は人間性から離れたところにいる科学者です。兵器が有れば、その威力を試してみたいと思うのは悪いことですか?」 「―――学術的探求心、そう判断させていただきます」 「そうして下さい。幸い」 白衣の下、スーツのポケットからシガーケースを取り出す手を、フェルミ博士は止めた。 「失礼―――魔力反応爆弾(マジックリアクターボンブ)は国際法で一切の開発、製造、配備が禁止されています。 ただ、人類未曾有の危機。超法規的措置の一環として、あの爆弾を使用する決断を、大統領が―――いや、全ての国家元首の誰一人としてとれなかったことが、現状を産んだと思います」 「それほどの威力があると信じていらっしゃる」 「科学的データから、です」 フェルミ博士の言い分は、美夜にもわかる。 何しろ、それが使用された世界がどうなるか。 それを目の前の光景が証明している。 魔力反応弾(マジック・リアクター・ボンブ)―――別名をセルフギロチンという。 魔晶石が産み出す膨大なエネルギーを利用した爆弾だ。 爆発時の想像を絶する破壊力は、ウランやプルトニウムを利用した通常型反応弾(つまり、我々の言う原子爆弾)や水素反応弾を遙かに越える。 何より恐ろしいのは、爆発地点に与える魔法的後遺症。 爆発に巻き込まれた地点は、魔力異常により一切の生態系が死に絶え、草木一本生えることの出来ない死の世界へと変貌し、復活することがないとされる。 人類が把握出来ている限り、被爆した者の致死率は、爆心地から100キロの地点で100%。 数日以内に確実に体を構成する原子が崩壊して想像を絶する苦しみぬいた挙げ句、確実に死ぬ。 その後も、被爆地は、入り込んで1日といたら同様の死を避けることは出来ない死の世界となるのだ。 そんな兵器が実戦に使用されればどうなるか? それは人類が味わったことだった。 1968年8月6日。 イスラエル軍のヨルダン首都アンマンへの魔力反応爆弾使用。 ほぼヨルダン川以東が魔力異常地帯化。 犠牲者は120万人。 その膨大な犠牲者は、“ユダヤ人国家の虐殺行為”として国際的非難を引き起こし、3日後の8月9日、アラブ連合軍のエルサレムへの報復攻撃としての魔力反応弾使用を黙認させるに十分だった。 イスラエルはそれに対し、さらに数発の魔力反応爆弾を使用して報復の連鎖につなげた。 結果として、ヨルダンもイスラエルも国家滅亡に追い込まれ、ユダヤ教・キリスト教・イスラム教共通の聖地たる地エルサレムを含むヨルダン川一帯は、人が立ち入ることさえ困難な死の世界へと変貌を遂げた。 この故に、魔力反応爆弾は、“禁忌の兵器”として、国際法上、使用どころか、開発も配備も一切を認められていない。 国連加盟国が原則義務づけられる国際法の最後には、罰則が書かれている。 ―――この条約を破った国は、国際社会、全国家、全民族、全人類に対し、宣戦を布告したものとする。 国際法がセルフギロチンと呼ばれる由縁であり、どれほど国際社会から忌み嫌われているかわかるだろう。 美夜達は、その魔力反応弾が世界で初めて使用された実検の跡地を飛んでいた。 「1958年11月1日午前11時丁度、このラグーン上空に投下された魔法反応爆弾“ベルダ”は、目標とされた島を蒸発させる程の効果を示した。“ラグナロク作戦”……ご存じのはずだ」 美夜は無言で頷いた後、 「衝撃波は地球を4周、太平洋沿岸各地に対し、10万人近い死傷者、行方不明者を出した大津波による被害をもたらした挙げ句、この環礁を生態系の住めない魔力異常地帯へと変えてのけた」 ちらりと見たフェルミ博士の顔には何も感情らしきものは浮かんでいない。 「これはすべて、米軍が予想さえしていなかった世界的大惨事ですよね?」 「……左様」 フェルミ博士は頷いた。 「劇薬に副産物はつきもの。ただし、その劇薬を開戦当初に使用していれば、犠牲はアフリカと南米の半分で済んだというのが私の持論です」 「……」 殴ってやろうか。 美夜は本気でそう思った。 「―――まぁ、もっとも。繰り返すようですが、私は科学者です。興味があるのはその破壊力のみ。兵器の使用に関する政治的事情云々は、人道とかいうのと同様、とんと興味がありません。それより」 フェルミ博士は海ではなく、訓練を繰り返すメサイアを見ながら言った。 「……さすがにインペリアル・ガーズのメサイアはよく出来ている」 「―――恐縮です」 頷きつつ、美夜は高木に命じた。 「警戒怠るな?どうも何か気になる」 そして――― 美夜のカンは外れていなかった。
https://w.atwiki.jp/imasss/pages/1479.html
P「やよいを一年ぶりにπタッチしたらやわらかくなってた」 執筆開始日時 2012/03/26 元スレURL http //hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1332689025/ 概要 P「デカくなった?」 やよい「はい!」 P「ふーん」 やよい「他にご用はありますかぁ?」 P「いや、特に無い」 やよい「それじゃあレッスンに行ってきまーっす!」 P「頑張ってなー」 千早「おはようございます」 タグ ^オールキャラ まとめサイト ストーリア速報
https://w.atwiki.jp/c21coterie/pages/821.html
攻略情報 堀江 伸一 新ギレンの野望 一年戦争アムロ編 介入ポイント0 敵拠点を封じるために一部隊だけ送って拠点マップ一ターン目で撤退は禁止。 アバオアクーまでの全拠点制覇。 という条件で97ターン目でア・バオア・クー陥落。 戦法 根本的にヌルゲー。 基本はランチェスターの法則が常に発動するようにしておく。 まとまった味方が敵の拠点に特攻して何の戦果も残さず溶けるというのだけは避けたい。 アレキサンダー大王方式で勢いのある味方CPU部隊の勢いを殺さずに、ニューヤーク キャルフォルニア ハワイ 北京までを落とす。 作った兵器が無駄に消えていくのではなく作った兵器が味方に積みあがっていくようにできたら成功。 まずマドラスからベルファストに引っ越す。 ベルファストでジム指揮官型を主力として残り数部隊は量産型ガンタンクにする。 ガンダムは命令で特攻させて壊してから要求、アムロガンダムなしではクリアは不可能。 指揮官型は弱いジムカスタムといっても過言ではないほど強い上味方CPUと取り合いにならないのでお勧め。 生き残れば中盤までつかえる。 生存率が高いので傷ついたらミデアに入れるのルーチンでとても長生き。 ミデアは大切なので一機も落とされないように。 まずニューヤークを作った手持ち部隊で落とす。 その勢いでキャルフォルニアを落とす。 キャルフォルニアを落とすと味方の大部隊が遅れてやってくるのでそれと一緒にハワイを落とす。 ここでターン数を稼ぐためにアムロガンダムの性能を信じて先行、ハワイの敵を削っておくとよい。 ハワイを落としたら、推力改造したディッシュでZOC防御を張りハワイから出る味方を護衛しながら北京に侵入。 ハワイを落とすと、オデッサ攻略イベントが開始するが、オデッサ攻略部隊をできるだけ早く発動させておく。 攻略部隊はどうせ溶けて消え何の戦果も残さないので、攻略部隊をミデアごとベルファストに入れて防衛部隊に回しておくと役立つ。 北京では敵が防衛のために出てきたところを、ワールドマップ上でディッシュZOC部隊で閉じ込め。 その間に北京をとる。 北京は東から入って、真ん中2拠点をとるか、北東から入って北東拠点と真ん中拠点の一つで回復ポイントを作ればあとはアムロが勝手に敵を倒してくれます。 この勢いで行くとベルファストがなぜかフィッシュアイだけで防衛されているということがよく起こる。 ジャブローやニューヤークからオデッサに向けて水中用ガンダムやミデアやマットアングラーでベルファスト防衛部隊を送っておく。 また宇宙からザンジバルが降下してくるのでアメリカとオーストラリアに自分の手ごまを置く。 足らない場合ハワイの部隊をオーストラリアかアメリカに、ジャブローの部隊を海上輸送でアメリカに回す、CPUの手ごまに命令コマンドを使いましょう。 マドラスがよく拠点からわらわら出撃、拠点がらあき、落ちるというパターンが繰り返されるので。 大量出撃がありそうだと感じたらマドラスの部隊に命令して拠点待機させておくとよいです。 北京を落としたら、ガンダムNT1アムロ、ハヤトN1、ガンダム カイの3機+雑魚でオデッサを落とします。 東からオデッサに入り、ガンダムは目の前の拠点で待機。 アムロとハヤトは雑魚MSを引き連れてオデッサ北側の拠点で回復いれながら敵を削りきることを目指します。 オデッサは、ベルファスト攻略モードに入っているので(連邦オデッサ攻略部隊を拠点に入れたのが効いている)、意外と防衛部隊が少ないのでアムロだけで落ちます。 オデッサを落としたら、キリマンジャロは推力改造したミデア改で一気に東から入ります。 ガンダム一機で南東の基地を、そこからマップ中央の基地をとることで、回復拠点を確保。 回復拠点さえ確保できたらあとは何部隊いようが関係なくかてます。 最大の難所は宇宙。 ソロモンまでは見方が地球から無尽蔵に湧くとはいえ、じりじりした戦いが続きます。 ここで時間切れにならなかったら。 出世とジオン強敵MSの殲滅をはかりにかけながら適当なところで進みます。 30000ポイントを使ってNT1を量産します。 CPUのNT1フルアーマに命令をしてフルアーマ状態を解除することでNT1を量産しておきます。 ソロモンを落としたらあとはターンとの戦いだけです。 味方は圧倒的ですがワールドマップで手間取ればターンがかかります。 ここで手間取らないよう強敵MSを優先して倒せば見事100ターンクリアです。 ね簡単でしょ。
https://w.atwiki.jp/f_mokou/pages/48.html
【バトレボ実況】第二十九回 厨ポケ狩り講座!-お前の一年-
https://w.atwiki.jp/ankoss/pages/4273.html
『ある畑の一年 2』 20KB お家宣言 現代 anko4224の続きです。 anko4224の続きです 季節ではなく番号で表すことにしました 春が1番になります。 現代モノです 独自設定あるかもしれません OKという方はどうぞ。 「いちゃいわあぁぁぁ!!」 「おちびちゃんしっかりするんだぜ!ぺーろぺーろ。」 「おちびちゃん!だいじょうぶよ。とかいは!とかいは!」 「うわ~ん!いもうちょー!」 森の中の巣穴にまりさ、ありすとそのオチビちゃんの鳴き声がこだまする。 見ると、小ありすがあんよに軽いキズを負っているようだった。 「まりさぁ!もうこんないなかもののおうちはいやよ!ひっこしましょう」 「ゆう。そうはいってもだぜ。」 「まだいちゃいぃ!」 「ゆわわ。ぺーろぺーろ」 まりさの必死のぺーろぺーろのかいあってか、 「ゆふぅ。ゆふぅ。ちょかいはー。」 子ありすもなんとか落ち着いてきたようだ。 そうなると、ありすはまた先程の話題を持ちだしてきた。 「ねえ、まりさ。もうここにはいられないわ。もっととかいはないえにひっこしましょう。」 「そうはいってもだぜ。」 「こんないしがたくっさんとびでているようなおうちじゃ、またおちびちゃんがけがをしてしまうわ!」 「ゆう。」 親ありすの言うとおり、巣穴を見渡してみるとところどころに岩肌が覗いているのがわかる。 子ありすはこれであんよを怪我してしまったようだ。 「でも、ありす。このあたりではここがいちっばんいいおうちなんだぜ。」 親まりさはどうにかしなければと考えながらもあえてありすに反論した。 それもしかたのないことだ。 このまりさは、山の群れの中で最も狩りが上手でしかも穴掘りの腕も随一だったのだ。 ただ、この山は全体が岩盤でできており表土もわずかしか無いため 巣穴を掘ってもすぐに岩が出てきてしまう、そんな土地なのだから。 ありすもとかいはなコーディネートでなんとかしようとはしていたが、 やはり焼け石に水。 そんな訳で、ありすの言うとかいはなお家など夢のまた夢だったのだ。 「ゆうぅ。どうすればいいんだぜ。」 まりさは、狩りの最中も先ほどの会話を考えていた。 恵まれたお家とは言え、オチビちゃんがけがをするのを見るのは心がえぐられるような思いがするのだ。 「でも、ふかふかのとかいはなおうちなんて。」 とても手に入れることができない。はぁっとまりさはため息をつく。 「むきゅ?まりさ、ためいきなんてついちゃってどうかしたの。」 突然かけられた声に顔を上げてみると、そこには群れ一番の物知りであるぱちゅりーの姿 「むきゅぅ。なにかちからになれるかしら」 「ゆう。」 まりさは先程の話題をぱちゅりーに話そうかと迷ったが もしかしたら、何かいいアイデアがあるかもしれないと思い直し 「じつわね。こうゆうことがあって」 打ち明けて見ることにした。 「むきゅう。そういうことだったの。」 話を聴き終わったぱちゅりーは思案顔で答えて 「ごめんなさい。やっぱりぱちゅりーではちからになれそうもないわ。」 「ゆう、やっぱり。」 「ごめんね。」 「ゆん!きにしてないよ。それでもはなしをきいてくれてありがとうなのぜ。」 そう言って、別れようとした時、 「むきゅん!まりさ、まって!」 「ゆ?」 「いまね、おもいだしたことがあるの。」 「むかし、おばあちゃんにきいたことがあるんだけど、このやまのふもとにふしぎなゆっくりぷれいすがあるってきいたことがあるわ。」 「ふしぎなゆっくりぷれいす?」 「むきゅ。なんでもかりであるいているたらなにもないところにおおきなとびらさんがひらいてるんですって そして、そのなかにはなんとふかっふかのゆっくりぷれいすがひろがっててところどころに すてきなねどこっさんがあったんですって。」 「ゆわぁ!それはすごいんだぜ!」 「おばあちゃんは、きっとそこは”まよいが”にちがいないといっていたわ。」 「まよいが?」 「とてもゆっくりしているゆっくりだけがいきつける、でんせつのゆっくりぷれいすよ。 そこにあるものはなんでももってかえってよくて、そのもってかえったものはゆっくりにさらなるゆっくりをあたえるんですって。」 「そんなものまであるんだぜ!?」 「あかいおわんをもってかえったらえいえんにごはんさんにこまらないといわれているわ。」 「あかいおわんさんってなんなのぜ。」 「ごめんなさい。ぱちゅにもよくわからないわ。でもきっととてもゆっくりできるものよ。」 「ゆう、そんなところにぜひいってみたいもんだぜ。」 でも、伝説だから本当にあるかわからないわ。そうパチュは言い残して去っていった。 しかし、残されたまりさの目には 「ぜったいそのゆっくりぷれいすをみつけてみせるのぜ。」 覚悟の炎がやどっていた。 「ありす!ありす!いるのぜ。」 息を切らして帰ってきたまりさに、 「どうしたの。そんなにいそいで、とかいはじゃないわ。」 「「おちょうしゃん。どうしたにょ。」」 家族は一様に怪訝な顔を向けた。 「みんな!よくきくのぜ!これからまりさたちはふかっふかのおうちの でんせつのゆっくりぷれいすにむかうのぜ!」 「なんですって!」 「「おちょうしゃん!ほんちょ(なのじぇ)!」 「もちろんだぜ!」 そして、さっきぱちゅりに聞いたでんせつのゆっくりぷれいすについて話し始めた。 「でもまりさ、それはでんせつでほんとうにあるのかわからないんでしょ。」 「だいじょうぶだぜ!ありすや、おちびちゃんはとってもゆっくりしてるから ぜったいいきつくことができるのぜ!。」 「ゆっきゅり!ゆっきゅり!」 「とかいは!とかいは!」 「でもぉ。」 「それにふっかふかのとかいはなおうちがもしてにはいったら おちびちゃんがけがをすることもなくなるのぜ。」 「ゆうう。」 とかいはなお家、しかもおちびちゃんも怪我をしない。 この言葉はアリスの胸に強く響いた。 実際、ついさっきだってありす似のかわいいおちびちゃんが怪我をしたのだ。 「でもまりさ、もしみつからなかったらどうするの。」 「ありす、そのときはしかたないからここへもどってくるよ。だからしっかりけっかいさんをはらないとね。」 「そうね、もどってくればいいものね。」 例え、失敗しても大丈夫。これが渋っていたアリスを最後に大きく動かした。 「わかったわ。まりさ。そのとかいはなおうちをさがしにいきましょう。」 「そうときまったらぜんはいそげなのぜ。」 「ゆっきゅり~。」 結局、あすの早朝家族みんなででんせつのゆっくりぷれいすを探しに行くことが決まった。 見つからなくても帰ってこれる。ちょっと遠いピクニックのようなものだった。 次の日森を抜け、山を降りてまりさ一家は実にゆっくりと進んでいった。 「ゆっくりのひ~まったりのひ~」 「ゆっきゅり~。」 「ちょかいはぁ」 「ゆふふ、おちびちゃんたちとってもとかいはね。」 空はカラッと晴れ上がり、気温も程よいピクニック日和だった。 天気も風景もまりさたちを応援してくれているように見える。 「とってもとかいはなてんきね。」 「ゆん!まりさたちがゆっくりしているからおひさまもおうえんしてくれているのぜ!」 「おひちゃまありがちょー」 「おひしゃまったら、とってみょとかいひゃね!」 「あらあら、おちびちゃんったら」 「ゆふふ。」 森を出ると人間さんが使う石段が現れた。 段は少し高いがオチビちゃん達を帽子に入れればなんとかなるだろう。 一家はポインッポインッとリズムよく石段を降り始めた てんっ!てんっ!てんっ! 石段を降りたまりさたちの前に土の細い道が現れる。 遠くに緑が茂っているのも見えた。 「あそこにいったらおべんとうっさんにするのぜ。」 「ゆん。そうしましょ。」 「ごひゃん!ごひゃん!」 ていん!ていん!と道を進み始めたまりさは、しかし違和感に気づいた。 「ゆぅ?」 狩りの本能が働いたからだろうか。 道の両側に何かがあるような気がした。 しかし、何もない。 「きをつけていくのぜ。」 アリスたちに聞こえないようそっとつぶやくと、これまたそっと帽子の中の鋭い枝に おさげを伸ばしてそして 「!」 横からの強烈な違和感に枝をサッと引き抜き しゅんっそくの構えをして振り向くと 「ゆ、ゆわあああああ!」 「とかいはああああ!」 「しゅごーい!」 「ゆっきゅりー!」 さっきまでなかったはずの空間にぽっかり口を開けた扉が立っていた。 扉の周りには相変わらず何も見えない。 恐る恐る扉の中をのぞき込んだまりさたちは更なる驚きに満たされることになる。 「す、すごいんだぜぇぇぇ!」 「と、とかいはああああ!」 「「ゆわぁぁぁぁぁぁぁ!!」」 足元にはしっとりとしつつもふかふかな土さん そして、 「まりさ、あれをみて!」 「ゆう?」 アリスの促す方に目を向けると藁でできたふかふかのべっどさんが そこかしこに置いてあった。 「まりさ、もしかしてここ」 「まちがいないんだぜ!ここがでんせつのゆっくりプレイス、”まよいが”なんだぜ。」 「「ゆわ~~い!」」 「まりさ、ここにかってにはいってもいいの?」 「もちろんだぜ!まりさたちはえらばれたゆっくりなんだぜ。ここはまりさたちのためにとびらをあけてくれたのぜ。」 「まりさぁ。」 ありすは思わず感極まった。大冒険の末ついにここにたどり着いたのだ。 もちろん、ここで”大”冒険どころか冒険ですら無いピクニックであることを突っ込んではいけない。 「さあ、いくのぜ!」 感激のあまりフリーズしていたありすたちはまりさの言葉で我に返り "まよいが"のなかに歩を進めていった。 まよいがは思ったより広かった。というか周りは不思議な質感のモノに覆われてよくわからない だからどのくらい大きいのか検討がつかないのだ。 天井さんもずっと上の方にありやはり大きさがわからない 多分ドスでも悠々入ることができるだろう。 そして、地面は大きくうねって山のようなところや谷のようなところもあるが 全体がしっとりとしてふわふわな土さんに覆われている。 オチビちゃんを傷つける岩さんは何処にも無い そしてその土さんの中に枯れてはいるものの柔らかい草が埋まっており 所々に土の上にも塊が落ちている。これはふかふかのベッドさんになるだろう。 まりさは早速少し凹んでいるところをならして、かいってきな居間を作り始めた。 まだ奥の方はたんっけんしていないので分からないが、今からこのぷれいすの主になるのだ。 拠点を作りじっくり調べていけば良い。 まだ見ぬまりさのための城を思い描き、その顔からは笑みがこぼれ続けていた。 ありすは何はともあれとかいはなふーわふーわのベッドさんを作るため藁さんを拾い集めていた。 ここには、とかいはなコーディネートのための材料はあまりないが、はじめに見た遠くにある緑の茂みに行けば 何かあるだろうし、もしダメでも元のお家から持ってくれば良いだろう。 ああ、そうだ元の家においてきたオチビちゃんたちの宝物や家族の記念の品をもってこなくては。 蓄えてきたごはんさんは持ってこなくてもいいだろう。何しろここはでんせつのゆっくりぷれいすなのだ。 どこかに赤いおわんさんがあって思う存分むーしゃむーしゃ出来るだろう。 自分の自慢のコーディネートに彩られた素晴らしいこのぷれいすを想像してありすは踊り出しそうだった。 子まりちゃと子ありすはしっとりとしたふーわふーわの地面を思う存分楽しんでいた。 どんなに転がろうが、もるんもるんとおしりを振り回そうが かたいかたい岩さんにあたってけがをすることはない。 それどころか地面さんはふんわりと受け止めてくれて、何もなくても居心地の良いベットのようなのだ。 「ここはまりちゃのふわっふわのソファーさんなのじぇ。」 「ここはありちゅのてんがいつきのおひめさまのべっとにゃのよ。」 思い思いに気に入った場所を選んでご満悦。 元のおうちに比べてまるで天国。 きっとこれからもっとゆっくりすることができるに違いない。 そう思うに十分なゆっくりプレイスだった。 とかいはなリフォームやコーディネートに夢中な親ゆっくりのもとに オチビちゃんがゆんしょゆんしょとやってきたのはそれからしばらくしてからだった。 「おと~しゃんおなかちゅいたあ」 「とかいはぁ~」 「ゆん!ごめんだぜ。すっかりむちゅうになってたんだぜ。」 「ごめんなさい。さあ、これからとかいはなランチにしましょう。」 「「ゆわ~い!」」 いそいそと帽子や頭の上からとかいはなお弁当を取り出す両親 「それじゃあいくのぜ」 「いただきま~す(のぜ)」 「むーしゃむーしゃしあわせ~」 「はふっはふっ!グシャグシャ。」 「ゆ~ん。おちびちゃんゆっくりしてるね。」 「もちろんなんだぜ。こんなすばらしいぷれいすでたべるしょくじは かくっべつなのぜ。しかも、びじんのありすがつくってくれたおべんとうは どんなりょうりにもまけないのぜ!」 「ゆ~んてれるわ~。」 実にゆっくりとした食事風景だった。(ユックリ視点限定) 「さて、しょくじもおわってゆっくりしているところわるいけど おとうさんのはなしをきくのぜ。」 「「「ゆん。」」」 ゆっくりとした食事も終わり、思い思いにくつろいでいた家族にまりさがかけた言葉に 皆は一斉に振り向いた。 「これからまりさがとてもゆっくりとした。せんげんをするのぜ。」 「ゆん!」 「いくのぜ………ここをまりさのゆっくりぷれいすにするよ。」 「……………………ゆわああぁぁぁぁぁぁぁ!」 しんせいなお家宣言をした後しばしの沈黙、しかし異議は聞こえない。 お家宣言成功と同時にまりさ一家は歓声に包まれた。 これでこのプレイスはかんぜんかつ正当なまりさ達の物になったのだ。 「みんなきくのぜ。」 「ゆん!」 興奮も冷めやらぬ家族にまりさは言葉を続ける。 「このぷれいすはまりさたちにはちょっとひろすぎるのぜ。」 確かにと家族 「だからこのぷれいすをほかのゆっくりたちにもつかわしてあげることにするのぜ」 それはゆっくりできるね 「ただし!」とまりさ 「まりさたちはこのぷれいすのおうとしてくんりんして、はいってくるゆっくりたちをつかえさせるのぜ。」 「ゆゆ!」 「まりさたちはえらばれたゆっくりなのぜ。だから”まよいが”さんももんをあけてくれたのぜ。 だからそんなとくべつゆっくりしているまりさたちにほかのゆっくりがつかえるのはとうっぜんなのぜ。」 「ゆわぁ、じゃあありすはおうじょさまね。」 「まりちゃはおうじしゃまなのじぇ!」 「ありちゅはおひめしゃまね!」 「そうなるんだぜ!」 「「「それはゆっくりできるね(んだじぇ)!」 一家の興奮はすごいものがあった。ここにまりさたちの永遠の王国を築くのだ。 それぞれが幸せな未来に酔いしれていた。 「さあおちびちゃんたち、これがとかいはなべっとさんよ。」 「「ゆわ~い」」 ゆんゆんとべっとのなかでうごきまわるオチビちゃん達 お昼寝にはちょうどよい時間になっていた。 「オチビちゃんたち、よくきくのぜ。」 「ゆん?」 「おれからおとうさんはごはんさんをとってくるのぜ。 ありすおかあさんはもとのいえにもどってたからものをもってくるから ここでまっているのぜ。」 「ゆう~」 少し心細いだろうか 「だいじょうぶなのぜ!」 「ゆ!」 「ここはゆっくりしたゆっくりしかはいってこれないのぜ。 それにおちびちゃんたちはつぎのこのぷれいすのおうなのぜ あぶないことなんてなにもないのぜ。」 「ゆっくりりきゃいしちゃよ!」 「ゆん、でもあのもんからそとにでちゃだめよ!とかいはじゃないわ。」 「ゆっきゅりりきゃいしちゃよ。」 「いいへんじなのぜ。」 「じゃあ、まっててね。」 そういうと親ゆっくりたちは出ていった。 後に残ったのは子ゆっくりのみ、しかし問題はないだろう。 ここは伝説のゆっくりプレイスなのだから。 ところで、 「マヨイガ」は遠野物語四十一話に出てくる。 欲無き者はそこにいたり、自由に物を持って帰って良いとされる そして持って帰った物は持ち主に多大な祝福を与えると信じられている。 しかし「マヨイガ」の話はこれだけではない。 その次の四十二話にも「マヨイガ」は登場する。 しかしその話は「マヨイガ」の別の側面を示している。それは 残されたまりちゃたちはしばらくべっとさんの中で うんうん体操をしたり お歌を歌ったり 将来の夢を語り合ったり ゆっくりと過ごしていた。 将来の王になるのだからどっしり構えておかなくては、 しかし、それも飽きてきたのだろうか。外を見てありちゅが欠伸をしたその時、 つんつん なにかにつつかれたと思い「まりちゃおねえちゃん?」と振り向くと 「!」 藁の塊が転がっていた。ビクッとするありちゅに塊が 「おどろいたのじぇ?」 「まりちゃおねえちゃん?」 「そうなのじぇ!」 確かに藁の塊から聞こえてくる声はまりちゃのものだった。 「まりちゃはいますねーくしゃんなのじぇ!」 「おねえちゃんしゅごーい!」 世にも珍しい藁をまとったスネークの誕生である。 「ありちゅもまけていられないわ!」 妙な対抗心を燃やし藁を体に巻き付けるありちゅ 親ありすに似て器用に体に巻きつけていく。 やがて、ありちゅのいた所には藁の塊がもう一個できていた。 「どう、ありちゅのしゅてきなううぇでぃんぐどれしゅさんよ!」 どう見ても藁の塊なんですが。 「すごいのじぇ!」 「うふふ、とかいはでしょ」 あ~ウェディングドレスに見えるのね。なるほど、わからん! しかしもはやこの二匹は何処から見てもただの藁の塊にしか見えなかった。 一斉駆除すら逃れることができるだろう。 もし群れに所属するならその偽装技術で一旗揚げることができたかもしれない。 しかし、残念なことにここはそうではない。 ここは… どすん!ざざ! 突然大きな振動と音がまりちゃ達を襲った。 「な、なんなのじぇ!」 「とかいはじゃないわ!」 突然のことに驚く子ゆっくり達 ここは伝説のゆっくりプレイスなのだからゆっくりしていないものが入ってくるはずがないのだ。 しかもしょうらいの王であるこのまりちゃ様達の許可もなく侵入してくる輩がいようとは! 抗議の声をだそうとしたその時 どさ!ざざあ! 大きな衝撃がまりちゃ達を襲い不覚にも一瞬気を失ってしまった。 「ひきょうなのじぇ!」 何の意味もない抗議を残して。 「さーて、続きを始めますかね。」 気合を入れるため声を上げるとよっこらせっと立ち上がる。 ついさっきまで、ビニールハウスの中で耕うん機で耕していたとこだった。 程よく湿った土はふわふわになりまあ、満足の行く出来にはなっていた。 しかし、ゆっくり避けにビニールハウスにしてもあんまりゆっくり見ないなあ。 どうやらゆっくりはビニールハウスのビニールが認識できないらしくて中に侵入しようとしないのだが。 一度扉を開けっ放しにしていたらぱちゅりー種が中を覗きこんでブツブツ言ってたな。「マヨイガ」がどうとかこうとか。 ビニールハウスが認識できないゆっくりにしたら扉が浮かんで中に見たことのない風景が広がっているように見えるんだろうな。 後は路地の畑に置いておいた石灰窒素を添加した藁を食べたゆっくりが中毒起こして死んでたぐらいかな。 その番らしきまりさは潰して肥料にしたけどね。 さて、今からの作業は鍬を使うんだけど。 畑は耕しただけではうまくいかない。 このあと耕されて凸凹になった土を均一にならして均一に固めなければならない。固めすぎてもダメだけど。 そうしないと、後々の育成に響くのだ。まあ、土づくりの一環だな。 他が良くてもこれができなきゃ半人前だ。だから気を使う。 ざざ!さー!とんとん。 単調な作業が続く結構しんどいがもうあとちょっとか。うう、でこぼこになってるorz ふと、気を取り直して足元を見ると藁の塊が二個転がっていた。 はぁ~。 本当は塊を見つけたらほぐしてばら撒かないといけないんだけど、いっか。 横のくぼみに放り込んで、上から土をかぶせて。とんとん。 こんなものでいいだろう。 でも、さっきなにか声が聞こえたような。 近くにゆっくりでも来たかな。後で見回っとこう。 「ぜったいゆるさないのじぇ!」 まりちゃが目を覚ますと驚いたことに土の中に埋まっていた。 しっとりと重い土はまりちゃが動くことをゆるさず声もほとんど通さない。 しかし微かに 「お‥おね‥」 「ありちゅ!ありちゅなのじぇ!ぶじなのじぇ!」 「うご…にゃ‥い」 「うごけないのじぇ!おねえちゃんがたすけにいくのじぇ!」 妹の生存を確認し一息ついたのもつかの間 動けなくなっているありちゅを助けるべく動こうとするまりちゃ。しかし 「どうしてうごけないのじぇえぇぇぇ!」 やはり、土はどっしりとまりちゃを捉えて離さない。 「どくのじぇ!おうじさまのまりちゃがめいれいしてるのじぇ!」 「くそつちぃ!きいているのかぁ!」 「いいからどけぇぇ!」 ぜい…ぜい… しかし、体力のない子ゆっくりのこと すぐに息を切らしてしまった。 「どうしてどいてくれないのじぇ?」 相変わらずどっしりと存在する土 「かわいいまりちゃがおねがいしてるのじぇ?」 無生物相手に一転、哀願をはじめるまりちゃ 「いもうちょをたすけないといけないのじぇ」 「まりちゃはかわいそうなのじぇ?」 「つちさんはどかないといけないのじぇ。」 「どうして…どうしてどいてくれないのじぇ?」 もはや涙目になりながらも必死に哀願するまりちゃ。 変わらずどっしりと存在する土 と、その時 ドシン、ドシン 何かが近づいてくる音が 「おとおしゃんなんだじぇ!」 希望の明かりがまりちゃの顔にぱっとさす。 「つちしゃんはおとおしゃんにしぇいしゃいされるといいのじぇ!」 ドスン!ドスン! 「あやまってもゆるさないのじぇ!」 「ゆぷぷ!おろかおろか」 ドスン!ドスン! 音はすぐそばまで迫っていた。 「おとおしゃん!まりちゃはここなのじぇ!」 どすん! 「はやくたす‥ちゅぶぅぅぅぅ!!!!!」 グシャ! 妙な感触に俺は足を上げた。 「そういやここ、藁の塊うめたとこだっけ?」 どうやらかなり湿って塊になってしまっていたらしい。 藁の置き場に問題があったかな。 はぁ~ 何度目かのため息をつきながら思った。 置き場に雨漏りしてると修理めんどうだなぁ。 俺はビニールハウルの扉を閉めると納屋に向かって歩き出した。 ありちゅは土の中でまりちゃの断末魔の叫びを微かに聞いた。 「おねえしゃん?」 返事がない。不安は膨れ上がる 「おねえしゃん?おねえしゃん?へんじしてぇぇぇ!」 しかし反応はない。 どうしたのだろう。何かあったのか。 いいや、あの強いお姉ちゃんのことだ大丈夫に違いない。 しかし、しっとりと重い土のせいで身動きすら取れないのだ。確認しようがない でもきっと強いおとうしゃんが迎えに来てくれる。 微かに希望を見出し、じっと我慢しようとありちゅはちかった。 何しろ自分はこのゆっくりプレイスの王女様なのだから。 しかし、まりちゃはまだ幸せなのかもしれない。なぜならば 「いちゃいわぁぁぁぁぁ!!」 絶叫が暗い土の中に響く。 あれからありちゅはじっと親ゆっくりの帰りを待ち続けた。 しかし一向に現れない両親に不安をつのらせる中、ふと体を包むかすかな痛みにありちゅは気づいた。 「なにかしりゃ?」 はじめは気のせいだと思った。しかし一向に痛みはやまない。 むしろひどくなり始めた。 「にゃ‥にゃに?ときゃいはじゃにゃいわ。」 ジンジン‥ 「いたみしゃん。ゆっきゅりおしゃまってにぇ。」 ジンジンジン‥ 「きゃわいいありしゅがおにぇがいしちぇるのにぃ。」 ジンジンジン! 「じょおしていたみぎゃにゃくにゃらないにょぉぉぉ!」 ついに我慢の限界を超えた。ありしゅは動けない土の中で必死に身をよじろうとした。 「いちゃいわぁぁぁ!」 しかし、痛みはやまないどころか強くなるばかり。 「ゆんやぁぁぁぁぁ!」 何がありちゅに起こったのか。 ありちゅが身にまとっていたのは肥料用の藁。 つまり石灰窒素を添加した藁だった。 石灰窒素は肥料となると同時に強力な殺菌作用を持つ。 そんなものを柔らかい子ゆっくりの皮に何の準備もせずにつけるとどうなるか。 結果はごらんの通り。 「ゆんやあああぁぁぁ!」 土の中の虫やアリも毒を避け近づくことはない。 痛みにより狂うこともできない。 ありちゅの受難は続く。 さて、 遠野物語四十二話では「マヨイガ」から何も持たずに帰ったものの欲に駆られ 再び「マヨイガ」を目指す男が登場する。 しかし、彼は結局たどり着くことはなかった。 欲を持つものに「マヨイガ」は門を開くことはない。もう一つの「マヨイガ」の顔である。 「いりぐちはどこなんだぜー!」 「おちびちゃーん!へんじしてー!」 月明かりの下、大声を上げ跳ねまわるゆっくりの姿があった。 まりさとありすの番である。 狩りの成果のごはんさんや元のお家においてあった宝物を持って帰ってきてみると 伝説のゆっくりプレイスへの門がなくなっていた。 慌てて探そうとするもののどうしても見つけることができないのだ。 「どうなっているのぜ?」 「こんなのとかいはじゃないわぁ!」 しかし、どんなに叫んでも門は開かない。 欲を持ったものに「マヨイガ」の門が開くことは無いのだから。 「うーうー!あまあま~」 「どぼじでれみりゃがいるのー!」 「どがいばぁぁー!」 あとがき くどくなりすぎたか、っと反省 作品に出てくるお兄さんはいわゆる虐待お兄さんではありません。 ゆっくりが苦しむのを見て喜んだりすることはありませんが 野菜に手を出すと容赦しない、そんな農業青年です。 あと、今回お兄さんはゆっくりに全く気が付きませんでした。
https://w.atwiki.jp/gundamfamily/pages/5010.html
160 名前:1/2 :2010/12/30(木) 04 08 48 ID ??? 1stガンダム 一年戦争史 強引まとめ名言集 サイド7周辺 ジーン「シャア少佐だって! 戦場の戦いで、勝って出世したんだ!」 アムロ「すごい……。五倍以上のスープのコクがある!」 シャア「当たらなければ、どうということはない!」(ヒットしなければ、の意) シャア「スープのコクの違いが、売り上げの決定的差ではないことを、教えてやる!」 ワッケイン「寒い時代だとは思わんか……?」(冷え込む売り上げ的に) アムロ「殴ったね!? 親父にもぶたれたこと無いのに!!」 ブライト「殴って何が悪い!」 アメリア大陸関係(アメリア大陸:∀から) ガルマ「礼を言うよ、私に華をもたせてくれて」 シャア「勝利の栄光を、君に」 ガルマ「シャア! 謀ったな、シャアー!! ジオン広告社に、栄光あれえぇーっ!!」(以後、行方不明?) ギレンの演説(長いので省略。兄弟スレpart27、145参照) ラル「ザクメンとは違うのだよ、ザクメンとは!」 アムロ「ぼくが……っ。一番うまく、ラーメンを作れるんだ!」 ラル「見事だな。しかし小僧、自分の力だけで勝ったのではないぞ! その開発設計案の性能のお陰だということを、忘れるな!」」 アムロ「マチルダさん。……マチルダさあああああぁぁぁんっ!!」 (極秘企画の保守を貫いた、アムロ憧れの上司が、問責により左遷されたのか?) オデッサの戦い マ・クベ「いい味だろ?」 マ・クベ「これは仇討ちではない。我が軍の後方を乱す木馬を叩く! これは作戦だ!!」 マ・クベ「考えてもみるがいい。我々がキシリア様にお送りした資源の量をっ! ジオンは、あと十年は戦える!」 ジャブロー アムロ「シャアだ……。奴が来たんだっ」 シャア「ええ~い、冗談ではないっ!」 シャア「この私にプレッシャーをかけるパイロットとは、いったい何者なんだ!?」 (兄弟スレのどこかで、極秘のジャブロー降下のネタがあったはずだけど、見つけられませんでした) 宇宙打ち上げ後 ブライト「コクが薄いぞ! 何やってんの!」 ドレン「そんな筈はない! ガンダムは、いる筈だっ。……どこだ?」 アムロ「父さん、酸素欠乏症にかか──。ええい、イデを呼ぶものか! 父さんなんて、いない!」 (このスープを蓋の上に取り付けろ。すごいぞお。これでスープのコクは、数倍に跳ね上がる!) ララァ「美味しいものが、嫌いな人がいるのかしら?」 アムロ「知っている。ぼくは貴方を、知っている……っ」 ララァ「美味しいほうが勝つわ」 シャア「ララァは賢いな」 コンスコン「ぜ、全滅だと!? 3分もたたずにか!? 3分未満でラーメンを茹で上げる……。 ば、化け物か……っ!」(開発発表会にて、連邦は生麺の開発を発表&一分での茹で上げを証明する) 161 名前:2/2 :2010/12/30(木) 04 09 57 ID ??? ソロモン周辺 アムロ「あ、圧倒的じゃないか……」(具の多さに、アムロがビビッた) ドズル「ぐわっはっは! ビグザムラーメンが量産の暁には、連邦なぞ、あっという間に叩いてみせるわーーっ!」 スレッガー「悲しいけどこれ、開発競争なのよね!! でやあああああ!!」(ジオンの新作を潰した模様) ドズル「やらせはせんぞ! 貴様ごとき敵性社員に、ジオンの栄光をやらせはせん! この俺がいる限り……。やらせはせんぞおおおぉぉぉ~~っ!!」 アムロ「な、何だ……っ」 マ・クベ「ソロモンが……、陥ちたな……」 ゼナ「ああ……っ」 ミネバ「ばぶー。きゃはは」 マ・クベ「育毛・発毛開発はどうした。ここに活路を見出せ!」(ジオン・事実上、ラーメン開発から撤退?) テキサス・コロニー マ・クベ「これ以上シャアを、図に乗らせるわけにはいかないのだよ!!」 マ・クベ「ウラガン、あの商品を、キシリア様に届けてくれよ…… あれは、いいものだ──っ!!」 ソロモン宙域 アムロ兄さん・セイラさん・シャア・ララァ関係(長いので省略) アムロ「ぼくがララァを……。殺してしまった……っ!」(こここそ、兄弟スレの黒歴史?) 泥酔しすぎて意味が分からなくなったんで、ここにて終了…… 悪ノリしすぎだったらごめんなさい 皆様、よいお年を
https://w.atwiki.jp/25438/pages/4142.html
1 未来設定 憂ちゃん誕生日 2016/02/22 http //jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/14921/1456128577/ 戻る 名前 コメント すべてのコメントを見る 進路がバラバラでも3人でしょっちゅう遊んでるのがらしくて良いね -- (名無しさん) 2019-04-08 12 56 29 今、読み返すと堀越先生と教頭先生の会話がなんかいい。 -- (エル・プサイ・コングルゥ) 2016-09-11 00 53 04 OGとして堂々と入っていけばいいのにとか少しもやもやしますが、みんなが幸せそうなのがいいですね。 -- (名無しさん) 2016-03-05 22 01 09 普通かな? -- (エルプサイコングルゥ) 2016-03-01 23 56 06 誕生日作品としては平均点かなぁ -- (名無しさん) 2016-03-01 21 44 14 「制服着てバンド」ってどういうシチュエーションなんだろ・・ 進学先がバラバラというのは珍しいかも。 -- (名無しさん) 2016-02-29 01 45 37
https://w.atwiki.jp/todaih24s30kumi/pages/16.html
30組夏学期必修時間割 時間割(全員必修)を載せておきます。 月 火 水 木 金 1 生命科学池内昌彦1101 情報中野公彦E21 2 英語一列いろいろいろいろ 力学井上純一533 ドイツ語二列井戸田総一郎113 3 身体運動いろいろいろいろ 数学Ⅱ平地健吾524 4 数学演習Ⅰ 清野和彦or細野忍523or524Ⅱ 平地健吾524 熱力学清水明523 数学Ⅰ片岡清臣or細野忍1102or533 5 ドイツ語一列森井裕一107 ALESSいろいろいろいろ 主な宿題リスト 授業始まったばかりなのでまだ謎 需要があるかどうかも謎w 曜日 科目 内容 月 生命科学 DVDを観る? 火 ALESS レポート下書き 水 英語一列 課題文予習 熱力学 レポート
https://w.atwiki.jp/yuuwa_g/pages/21.html
一年生 一年は組 一年い組 一年ろ組