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シリウス・フィーナ 「私はシリウスちゃんの言う通りバカだから……何が正しい事で何が悪い事かなんて分からないよ。 でもだからこそ知りたいの!本当に正しい事、本当に悪い事……旅をして全部この目で確かめていきたいの!! だから――旅に出て、自信がついて、胸を張った自分になれるまでここには帰らないつもり」 彼女の意志を聞いて私は少し考えていた。 ルーラは、本当に家に帰るつもりがなく村を出たいと私に告げた。 『家出したい』は狼少年のようなルーラの口癖だったけど、私の家でプチ家出をするのではなく まさか本当に村を出ようとしているなんて思いもしなかった。 ルーラはいつも楽しそうに家族の話をする。家出の途中でも両親の話しをしていたから。 そして、必ずいつも言うの。「……帰ろっと」って。 ルーラは、帰っても迎えてくれる人がいるから――私が引き留める権利なんて、無いに等しかった。 寂しさを忘れたふりをしていたのに、ルーラが帰った後は賑やかだった私の部屋が急に閑散として。 そしてそんな寂寞(せきばく)の気持ちになる時はルーラに依存し始めている自分をいつも情けなく思った。 ルーラが村を出てしまったら、私はまたひとりぼっちになる。 私は、兄さんが出て行く時の言葉を思い出した。 『その強大な魔力は、悪いことに使うべきものじゃない。今はしーちゃんの、大事な仲間を守るためのものだよ』 と。 そうだ、私は……守られるんじゃなくて、誰かを守りたいって思ってたんだ。 それを気づかせてくれたのは、ルーラだった。 バカは、私……ね。 しばらく押し黙っていた私は、やっと口を開いた。 「本気なのね?」 私はルーラにその意志が本当なのかどうかを確かめる。 「……うん」 私に少し遠慮したように、彼女はそう返事をした。 「どうせ……私が止めたって止まらないんでしょうね。アンタって変な所で頑固な暴走娘だから」 でも、そんなルーラが放っておけない私も同類よね。少しだけ自分で自分が可笑しくなった。 「うっ」 いつものようにルーラが私に突っ込みを入れられて変な声を上げる。 「それじゃあ……」 あの時の兄さんのように、背中を向けて歩きだそうとするルーラ。 いつものように放っておけなくなった私は反射的に 「私もついていくわ」 と言った。 何かつっかかっている。彼女の意志を聞いた瞬間にできたモヤモヤの――やっと答えが出た。 そうよ、私は……ルーラを、たった一人の親友のルーラを守りたかったんだ。 「うん!シリウスちゃんも!!…………って、ええええ!?」 ルーラは、ずいぶんと驚いた声を出して私を見た。 「何一人ノリツッコミしてるのよ……私もアンタの旅についていく、って言ってるの」 私がそう言った時、風が吹いてきた。村の花壇の花たちが揺れた。 私は風で少し乱れたスカイブルーの髪をかき上げた。 そして、呆然としているルーラのほうをじっと見つめた。 見つめている目の前の張本人は、どうして、どうしてと壊れたお喋りする人形のようにぶつぶつと呟いたり口をぱくぱくしている。 「私がレーガに旅立つ兄さんについていかなかったのはね、アンタがいたからなのよ……ルーラ」 「え……」 「言ったでしょ、アンタが私の初めてできた友達なんだって」 私は、いつもは照れくさくてあまり話さない本音をルーラに告げた。 どうしても、慣れていないせいなのかいつもぶっきらぼうになってしまう。 本当は、いつでも本心をぶちまけたいって気持ちでいっぱいなのよ。 なんて……どうせ、わかってないんでしょうけど。 「ご、ごめんシリウスちゃん!!私っ」 取り乱したルーラを静止するように、 「いいの。……まぁだから、アンタの事心配だしお目付け役として私もついていく。異論はないわよね??」 と、言った。 本当は心配が8割なのだけど。あとは兄さんからの連絡がないのが気になるしね……。 「それはもちろん……!シリウスちゃんは私の大っ好きな、自慢の親友だもん!!」 私はルーラの言った大好きという単語に少し驚いて、理解したとたんに嬉しさと恥ずかしい気持ちとで頬をかいてさっと目を逸らす。 でも……この子を前にすると、少しだけ自分に素直になれる気がした。 まっすぐで、正義感が強くて問題ばっかり起こすけど――それがルーラなのよね。 なんだかんだいって、皮肉を言っちゃったりするけどそれはちゃんとアンタのことを認めてるからよ。 「シリウスちゃん!」 ルーラは、私の名前を呼んだ。 「……何よ」 私はぶっきらぼうに答える。 「えへへ……ありがとねっ!」 ルーラは子供のような無邪気で純粋な笑顔で私にお礼を言った。 アンタには、ホント――負けるわよ。 私はふっと、ルーラに返すように笑った。 「さて、と。とりあえず荷造りに私の家まで行くわよ」 「はーいっ!!」 ルーラは無邪気にそう返事した。 「あ……それとね、旅に出るにあたって少し条件があるわ」 「条件??」 「一つ。急に「……帰ろっと」と弱音を吐いたり言わないこと! 二つ。死ぬような危険をさらさないこと 三つ。法に触れることや旅先での一般人に迷惑をかけないこと! ……以上よ。それでなくてもアンタはとくに血の気が多いんだから」 私はルーラに条件を三つ出した。 ルーラは、少し唸っている。あーとかうーとか言いながら。 そして、ルーラは口を開いた 「うん、わかった! 私、決めたことはちゃんと守るよ。 今も、……これからも」 「快く聞いてくれたみたいで、関心したわ。 じゃ、ホントに日が暮れちゃうわ。ちゃっちゃと準備するわよ」 そしてルーラと私は、私の家の方向まで歩いて行った。 【NEXT】旅は道連れ? 【BACK】トラスタを離れる決意
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木曾駒ヶ岳~三の沢岳 学童集団遭難のルートを行く 1990年 恵那山、南木曽岳 1988年5月 木曾駒ヶ岳~三の沢岳 学童集団遭難のルートを行く 1990年 12/28(FRI) 曇り、ときどき晴れ 新宿から駒ケ根行き高速バスの朝一番に乗る。伊那市駅からはタクシーで内の萱まで、行ける所まで入ってもらう。桂古場の登山口の手前、キャンプ場でおりた。三千円で釣り銭はおごった。 40センチはある積雪の車道を行く。ガケの補修工事現場の人なつこそうな人夫に声をかけて、まもなく登山道に取り付く。猿のなき声とおぼしきが、けたたましく聞こえて沢の方へ逃げていった様子である。昨日大雪が降って中央高速道は閉鎖されたという。今日運よく山に入ることができたが、その代わり思わぬ雪のラッセルに苦しむことになってしまった。先程の蛮声の主のあわてて通った足跡のみが乱暴につけられている。とにかく先は長い、あせらずゆっくり行くことにする。 一汗かいたところでブドウの泉に着いた。ちょろちょろと冷たい水が流れている。ここで1.2リッターの水筒を満たし小休後出発。ちりめん坂といわれるジグザグの苦しい登りが続く。だんだんと雪の量が増えてくるにつれて、スピードは遅くなる。かなり進んだと思うがなかなか稜線に達しない。当初大樽小屋泊まりを考えていたのが、その手前の馬がえし迄も難しくなってきた。感覚的には高度をかせいだつもりでも、実際には半分も進んでなかったのだ。三時半で遂に行動をうちきった。 登山道の比較的平らなところを選んでテントサイトをつくる。雪を踏み固めて、まずまずの敷地ができるまで三十分もかかってしまった。テントの入り口から前方に伊那市の町の灯がちらつき始める頃、ようやく今日のアルバイトから解放されて、熱い酒をちびりちびり飲ることができた。 12/29(SAT) 晴れ 朝7時の出発。深くなってきた雪のラッセルを一時間も頑張り、ようやく野田場の展望台に着いた。樹林がじゃまでまるっきり展望は得られない。巻き道に出てゆるやかな登りをしばらく行くと、なんと五人組みのパーティがどかどかとおりてくるではないか!! ツイニ ラッセル カラ カイホウ サレル!!! 大雪の前日に入山、この日はトレースをゆうゆうと歩けた。しかし次の日、大雪が降って登山道はたちまち重い雪にうまってしまった。苦しい歩行を続けて、やっと駒ヶ岳を往復してきた。以上が彼等の話しである。そう言いながら彼等の目が笑っている。苦笑いという奴だ。それはとにかく、若い学生パーティのラッセルの跡を、これまでの半分の労力もかけないで先へ進むことができたのである。 学生パーティに会って十分もすると、馬がえしに乗っこした。右に権兵衛峠の標識があった。雪に埋まってルートは判然としない。さて、ここからは山のふところ深く入って行く。明らかに樹相もかわって傾斜もきつくなる。 大樽小屋に十一時ちょっと前に着いた。なかなか立派な小屋で中も清潔である。外で木もれ日にあたると暖かいが、光はそれほど強くない。小屋の中に入って昼の腹ごしらえをすることにした。 小屋からはいよいよ胸突き八丁を行く。六合目の平らな展望の良いところ(やっとこ平?)から、将棊頭山が見えた。今日の宿は西駒山荘あたりかなと思いながら尚も行くと、なんとトレースがなくなっているではないか!!!! さてはあの学生連中め、途中でギブアップしたものと思える。ずいぶん生半可なアルバイトだ。最後までやりとおす一途な気持ちというよりは、ある程度苦しみも味わうが適当なところでやめて、次に目を移す、いわば山行は単なる遊びの一つに過ぎないのだ。こんなに早く下山して、またどこかの山に行くのかと聞いたら、いや、いろいろする事はあると笑っていた。当世学生気質である。 ザックをおろし、空身でラッセルする。50メートル位さきに津島様の祠があった。すると、胸突き八丁の頭までたいしたことはない。しばらくの辛抱である。ザックをとりに戻ると、またまた驚かされた。屈強の青年が一人身ごしらえをしているではないか! 助かった。二人でかわるがわるアルバイトすれば、かなり捗る。しかし、よもやこんな所で追い付かれるとは思いもよらなかった。トレースのある雪道を追ってきたからこそだろう。昨夜は内の萱のタクシーストップまでマイカーで来て、そこにテントを張ったという。 かなりの急登で腰までつかりながらの雪との格闘が続く。先頭に立って雪を崩し踏み固めてのラッセルの交替を何度か重ねて、4時、とうとうピークに達することも出来ずテントを張ることにした。 12/30(SUN) 快晴 素晴らしい天気。今朝はいつになく遅い出発で八時少し過ぎていた。青年は30分前に既に出発した後である。有り難く彼のトレースの跡を追う。昨日テント設営中、私より遅い出発では立場がないと言っていた。私も2日にわたるラッセルで少々疲れた。彼の好意に甘えることにしたのである。 彼のつけたトレースをたどるとはいえ、たった一人の跡だ。容易には進まない。およそ一時間かかって待望の胸突き八丁の頭についた。登ってくる途中、右手に茶臼山が見えがくれしていたが、すぐ上が行者岩で、その先に茶臼山が続く。行ってみたい。けれども、この深い雪を蹴散らして進む時間も体力も余分にはない。残念だが先へ進むことにする。少し下ってまた少し登ると、そこは森林限界を抜け出した展望この上ない稜線上であった。前方に将棊頭山、そして馬の背の先に木曾駒ヶ岳が目にはいった。はるか遠く先に見える。今日中に、あの駒の山頂を踏めるだろうか。まだ疲労が抜けず、むしろ体力的には最低のどん底にあるようだ。けだるい無力感、脱力感に支配されている。それでも美しい白銀の山々を眺めていると、勇気がわいてくる。なによりも彼が待っていてくれたではないか。あれが御嶽山、あれが笠ケ岳、あれが浅間山ですね・・・。いつも一人の山岳展望が、今日はいつになくうれしい、苦しみを分かち合った友との会話のキャッチボール。 アルプス三千メートルの稜線歩きは風こそ強いが、快晴の好日。岩稜歩きも楽しい。しばらくで将棊頭山頂上に到着。直下に西駒山荘が見える。冬季には部屋は一部解放されているのだろうか。新田次郎の「聖職の碑」を最近読んで、この辺は特になつかしい感じを持つエリアである。あの子達はどんな思いで死んでいったのか、そして私の甥っ子の少年時代の友達を含む、高校山岳部の遭難も未だ耳あたらしい。私たちは風を避けて岩の影に腰をおろして、それぞれの思いにふけった。 この山頂からは大きく下降することなく、稜線漫歩がつづく。馬の背の手前で一休みした後、最後の頂上アタックである。後ろから一パーティが追い付いてきた。皆、腰にシットハーネスをつけ、肩にスリングをかけて厳重な装備である。 風いよいよ強く時には吹き飛ばされそうになるが、ちょっとした岩の間を潜り抜けると山頂は目の前にあった。何年か前に千畳敷きから登った時、学生パーティがワカンをザックにくくりつけた物々しい格好で登ってきたのを見て、私もいつかは内の萱から縦走してきたいと思ったものだった。それが今日こうして現実となった。感慨無量である。 千畳敷き方面から人々が次々と登ってくる。風が強く冷たいので、写真を撮ると直ぐに下ることにした。中岳を越えて、今宵の宿は宝剣山荘と決めた。 12/31(MON) 晴れ 山荘の朝食を腹一杯詰めて、七時過ぎに宝剣に向けて出発。彼の青年も後からやってきた。私は暖かい山荘に泊まったが、彼は外にテントを張った。夜中相当、寒かったに違いない。背の重荷が多少心配ではあるが、三十分で難無く山頂に到着した。厳冬期二度目の山頂である。狭い岩の上に立ち上がって四方に万歳。眼下の千畳敷き山荘が、豆つぶのように見える。この宝剣の岩稜縦走はちょっと緊張した。両サイドが切れ落ちた痩せ尾根である。雪はあまり付いておらず、鎖も夏道と同じように露出していた。 三の沢の分岐点に着いてホット一息。ここで桧尾根を下る青年と別れることになった。私の方は、三の沢岳往復は今回の目玉の一つである。十六時までに戻ることを絶対条件として、行ける所まで行ってみようと、敢然と一人向かった。片道三時間の往復六時間を頭に置いていた。今晩から天候が崩れる予報を昨夜から何度も聞いていたので、稜線上に一泊して、明日悪天の中を苦しむよりは、今日のうちに山行を完了させたいと考えていた。 三の沢岳は縦走路からはずれていることもあって、夏でも静かな山だという。しかし、ピラミダルで大きな山体は人の気をそらさない。まして白銀で化粧した美しい山をどうしてほおって置けよう。折しも先日の降雪以来、歩いた人もいないようだ。雪の肌に私だけの足跡を刻みつけるのだ。 痩せ尾根をほぼ忠実にたどって、山頂に到着したのは、やはり三時間後であった。風はそれほど強くなく、まず快適に四方の景観を楽しんだ。雲が少し出てきている。サブザックの用意がなかったので、雨蓋をはずして使った。山の雑誌に書いてあったもので、これはうまい利用法である。ザックは途中にデポして、テルモス、食料、それにカメラを入れて軽い荷で往復することができた。特に緊張するような場所はなかった。 縦走路に戻る少し手前の岩塊の一角に、五~六人用のテントが張られていた。明日やはり三の沢岳をやるものと見える。中から明るい笑い声がもれていた。縦走路では、空木岳の方からきたパーティ二組みとすれちがった。池山尾根を登ってきたのだそうだ。何年か前に死ぬほどの苦しみを味わった尾根である。今回も、苦しいラッセルを味わい、岩稜の通過に神経を使って、こうして無事目的を果たすことができた。この中央アルプスは歩くたびに色々教えられ、新たな自信を与えてくれる。 極楽平から千畳敷きに下り、ロープウェイで山をおりた。千畳敷き山荘が生まれ変わって立派になったが、山小屋ではなくなって、高額の宿泊料を取るホテルになってしまったのは残念である。 トップへ 恵那山、南木曽岳 1988年5月 5/20(金)四時二〇分津田沼始発。6時15分高尾発。途中上諏訪駅で時間調整がてら駅の温泉風呂に入る。畳ふたつ程の広さで湯温がちょっとぬるかった。ホームのすぐ脇にあって人が往来するので何となく落ち着かなくなる。 塩尻から特急に乗る。中津川に着いたのは11時半だった。川上行きバスは一時間も待たないと来ない。仕方なくタクシーに乗ることにした。長い林道歩きを割愛出来て内心喜んだのは言うまでもない。黒井沢キャンプ場まで入ってもらった。かなり年配の人が下ってきたが、帰りのこのタクシーをつかまえる事だろう。 歩き出したのが12時20分。かなり暑い。すぐに汗だくになる。沢くずれの工事現場を過ぎて尚行くと登山道入り口にやっと着いた。登山道は沢を渡って続いている。水をどこで補給するか考えながらゆっくりと進んで行く。新緑の中、沢音を聞きながらのゆるい登りである。 一時ちょうどに休憩小屋に着く。中を覗くと立派な避難小屋で十分泊まれる。川上からの長い林道を歩いていたら、ここに泊ることになったことだろう。古い大木がそこかしこに残ってそれぞれに名札が掛かっている。いつしか急登となり更に沢ぞいの道をジグザグにあえいで二時に野熊の池に着いた。池の脇の冷たい湧水で乾きをいやし軽く食事をとる。 これより上はかなり笹が多くなってくる。しかし登山道はまずまず。さすがによく踏まれている。高度を上げてゆくと南アルプス南部の山並みが、依然として雪をかぶったまま浮かんで見えてきた。いったん鞍部に下り最後の登りが始まると原生林の中である。落ち着いた雰囲気でいかにも山奥に入った感じがする。残雪がだんだん多くなってきた。この時期はあまり多くの人が入山しないようで雪は踏み固められていない。ズボリとはまり込むと靴の中に雪が入り込んで不快である。 何と素晴らしい水場があったではないか!! 冷たくて旨いこと!! こうなると野熊の池で補給してきた一リットルの水の何と重かったことよ!! 尚も残雪の中をトラバース気味に登ってゆくと待望の山頂小屋に着いた。真新しい木造の小屋で山の中ではもったいないくらいの御殿のようだ。時刻は四時二〇分、日の暮れるまではまだ余裕がある。山頂を往復することにした。恵那山山頂には一等三角点があった。樹林に囲まれ展望はないが少し先へ笹を別けてゆくとわずかに東側の見晴らしがよい。立派な祠に手を合わせて直ぐ戻ることにした。五時には小屋に上がりこんで、たった一人の満ち足りた宴会が始まる。 夜中に目を覚ますと雨が降っていた。明日の天気は良くないらしい。 5/21(土)出発は6時20分。雨にぬれるというのではなく霧に濡れるといった感じで、それでもレインウェアを着て小屋の裏手から縦走路を進む。すぐに残雪が現れた。ルートが隠れてしまっている。これは困ったと一瞬緊張したが小さなブリキの看板とリボンを頼りに予定通り御坂峠に向かう。500メートルくらい下れば雪もなくなってこよう。もしルートファインドが難しければ往路を戻ればよい。 ルートを探しながらの緊張が続き大判山を通過してホッとする。二つ目の“なぎ”を通り過ぎて今度は背の高い竹藪との闘いが始まる。しかし道ははっきりしており懸念していたルートファインディングに苦しむこともなかった。九時、鳥越峠着。依然として霧に濡れる。ローバーの靴の中は水が入り込んでジュクジュクしている。スパッツを持ってこなかった代償である。少し寒い。やはり冬用のシャツを着てくるべきだった。 10時には御坂峠に着いた。既に車道上の峠である。登山道はこの先、所々車道を横断して続き、およそ一時間で強清水に到着した。きれいな水場でのどを潤す。更に車道を下り霧ケ原バス停を過ぎる頃には青い夏空が顔を出した。中切まで歩いてバスを待つ。 南木曽駅に5時ちょっと前に着いて尾越行きのバスを待つ間、駅前のソバ屋に入る。老夫婦が歓待してくれた。良かったら上がってコタツに入れという。お言葉に甘えるとはこの事、茶の間で相撲を見ながらお茶をいただいた。おばあちゃんの世間ばなしをいつまでも聞いていたかったが、今晩の泊り場所を探さねばならない。名残惜しくもさよならしてバスに乗る。尾越から野宿先を求めての山里歩き。日は既に落ち、ポツリポツリと雨も落ちてきて少々暗くなると、さすがに焦ってきた。30分余り歩いてようやくキャンプ場に到着。テントを張り終わってゆっくりできたのが六時半。シーズン前の静かなキャンプ場に夜のとばりが降り始めていた。 飯田から養子にきて静岡からきた婿の旦那と一緒になり、お爺さんが営々として築いた南木曽の宿屋を受け継いで現在に至ったという。その表情には人生を悔いなく生きて燃焼し得たやすらぎがあった。愛らしい顔だった。旦那は一言もなかったが平和な顔をしていた。小雨が間断なく降り林間の静かなキャンプ場に情緒を添える。次の機会には南木曽駅前のソバ屋の二階に泊ろう。そしてあのソバをもう一度食べよう。 5/22(日) 朝五時起床。雨具を着けて出発は七時。静かな山麓の林道を詰める。「登山道」「下山道」の標識のある分岐点に到着したのが七時四五分。登るにしたがってなかなかの険崖地を行くようになる。「のどの滝」は圧巻だった。頂上近くになると背丈のある竹藪に苦しめられる。九時四〇分、とうとう南木曽岳山頂に到着した。今回も相変わらずの孤独の山頂である。一休みして下る。晴れていればこの先の展望台からの眺めを期待できただろうに残念である。 魔利支天への分岐で雨に打たれながら、きのう南木曽駅で買ったパンを食う。笹藪と樹林に囲まれて熊でも出そうな雰囲気である。かなり急な道を下って谷間の景観が開けて来ると、今回の山行も終わりに近くなる。恵那山、南木曽岳と二つの山を征服して満足感でいっぱいである。 無事下山した後、一段とひどくなった雨の中、車道を延々妻籠まで歩き旧い宿場を訪ねた。さすがに観光客でいっぱいだった。 トップへ 「山一人旅」をすべて、拝見しました。 私は登山は経験ありませんが、中学生の時に毎月愛読していた「アルプ」という創文社の雑誌を思い出しました。 山ですれ違う人も、それぞれの人生を過ごして行くのでしょう。 年取って、若い頃の思い出は、切なくて感傷的になりますね。「稲取便り」のサイトも毎日楽しみにしていますので、体調を整えて出来るだけ更新してください。 -- 岬石 (2017-02-19 18 56 29) 名前 コメント
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登録日:2011/03/06(日) 06 47 35 更新日:2023/08/30 Wed 13 11 06NEW! 所要時間:約 7 分で読めます ▽タグ一覧 DQNが_こちらを_のぞいて_いる! ↑勇気♪ とても親切な項目 カラオケ カラオケボックス キラキラ☆ニチ・ケイト ストレス発散 ヒトカラ ペルソナ3 一人カラオケ 初心者に優しい項目 勇者 勤しめ!仁岡先生 団体一名様 歌のプロも推奨 男は度胸。何でも試してみるもんさ 練習 都会だと普通 ←田舎だと何故か笑い者 龍が如く 店員「いらっしゃいませー」 客「フリータイムで」 店員「かしこまりました。何名様でございますか?」 客「一人で」 店員「え……?(ほう、こやつなかなかの胆力よ)」 一人カラオケとは文字通り一人でカラオケに行く事である。通称ヒトカラ。 多人数で行くのがメジャーだが、一人で行く人も多いらしく、ヒトカラという単語も定着している。 友達がいない訳ではない、一人カラオケであって独りカラオケではない。間違わないように。 「一人で行って盛り上がる訳ない」と思うであろうがそのような事もない。 ヒトカラの最大のメリットはやはり一人である事。 気を使わなくてよいのである。 他にも、 同じ曲を何回も歌える うろ覚えな曲や新曲の練習ができる 振り付けの練習ができる 弾き語りの練習ができる 開いた時間に気軽に歌える 短時間でたっぷり歌える 好きなアーティストの一人メドレーができる 引かれるような曲が堂々と歌える やたら長い曲、たいして盛り上がらない曲調の曲も歌える アフレコができる 採点→得点見てどや顔 女ボイスで遊ぶ→ん?かわいいな 音痴でもいい オタ芸し放題 この様にヒトカラはとても自由。この開放感こそが魅力である。 しかしながら最初に行く時はなかなかどうしても勇気がいる。一人ボーリングよりすこし下くらいか。 また一人で来ている所を知り合いに見られて淋しい奴だと思われてしまう事も。 例えば 「おー、あんたもか。誰と来てるの?」 「……ひ、ひとりです」 「誰かいなかったのかよ」 「……そうじゃないです」 「……んー、一緒に歌おうぜ」 「……え、で、でもきみの友達にわるいです」 「……それに人が多いのは……苦手です」 「なら今度二人でこようぜ」 「……う、うん」 このように、デメリットもあるが一回行くと羞恥心が抜け、勇気があがるのもヒトカラの特徴。 初めてのカラオケは案外大きな声が出ないものなので、カラオケをした事が無いなら、多人数で行く前にまずヒトカラで少し練習してみるのもいい。 いきなり一人といってもどうすればいいか分からないかも知れないが、別に難しい事ではない。 やり方は簡単 店に入ったら受付の人に時間と人数を言う。歌う個室部屋に行く。 これだけで歌える。 相席とかはないので安心しよう。 店によっては一人カラオケ専用の個室がある店も。 後は歌うと喉がかわくので飲み物を頼むといい。 飲食物が持ち込み禁止の店舗もあるので気をつけよう。 店によってはフリードリンクサービスもある。 自販機が設置してある店が一番手軽だろう。 室内に入ったら機械(タッチパネル)に曲名、又は歌手名を入力すると曲と字幕が流れるので、好きな曲を歌おう。 細かい使い方は店の人に聞くか、簡単なマニュアルが置いてあるのでそれを見よう。 一人だと他の人が歌っている間に曲を選ぶ時間が無いので、あらかじめ何曲か歌いたい曲を選択しておこう。 ローテーションがない分、時間内にレパートリーが尽きたりもする。 また間髪入れずに歌えば、その分疲れるのも早い。 よっぽど歌いたい曲が多いとか体力に自信があるとかでもなければ、慣れないうちは1〜2時間程度にしておくのが無難だろう。 曲が思いつかない時は部屋の機械でジャンルや年代別に検索できるので活用したり、携帯電話を使って探してみるといい。 値段の方だが1時間あたり一人、数百円~高くても五百円程度だろう。 ただし店によっては人数別料金ではなく、部屋に料金が設定(例えば一時間一部屋、千円で五人なら二百円だが一人で行くと千円)している為注意した方がいい。 土日や夕方以降は料金が高いので、安くすませたいなら平日の昼間に行こう。 今まで説明したようにヒトカラには多くのメリットが存在する。 だが複数人で行くのがけしてつまらない訳でもなく、 多人数における盛り上がり 知らない名曲の発掘 親交を深める 意外な音楽嗜好の判明 そもそも一人では歌えない曲も存在する 一人では出来ない事も多く存在する。 カラオケとは歌うことであり音楽。音楽とは旋律により喜怒哀楽、それぞれの音を楽しむもの。 一人、多人数、カラオケにもそれぞれの形がある。どちらかだけではなく、両方の音を楽しめる事を願っている。 ……どうしても、ヒトカラをしてみたいけど、勇気が湧かない……という人は、そのお店で会員カード作る時、 「このお店は何人位まで使えますか?」 「フリータイムは人数多くてもオーケー?」 「飲み放題は?」 等々、さり気なく聞いて、宴会やパーティーの場所を探してる体で入ってみてはどうだろう? そんな予定は無いので二回目以降行きづらくなる? ……なに、店員と接触する時間の多い会員登録さえ乗り切ればなんとでもなる。(そもそも店員はそんな話覚えちゃいないし関わろうともしない) 二回目以降、万一、コミュ力・記憶力の素晴らしい店員に遭遇、会話になった時には、「宴会に備えて練習を……」とか言っとけば無問題。 ある意味真実だし、その頃にはヒトカラに抵抗なんてなくなってるさ。 ちなみに、意外にもギャル系店員は、客の顔を覚えてたり、会話内容を覚えて声を掛けてくる傾向がある。 大抵の場合勘違い。 彼女らは、「仕事」という線引きがあると、聖者の如く差別をしなくなるのだ。 最後にぶっちゃけると、店員はヒトカラを寂しいやつなどと思ったりしない。 というのもヒトカラは皆が思っているほど珍しいものでは無いらしく、いちいち店員も気に留めない。 さらにヒトカラは多人数のカラオケと違い、部屋をあまり汚さないのでかえってありがたいらしい。 追記・修正は一人カラオケを一時間以上したあとにお願いします。 △メニュー 項目変更 この項目が面白かったなら……\ポチッと/ -アニヲタWiki- ▷ コメント欄 [部分編集] 「らいふいずびうちふる」って4コマ漫画で公用語が英語になったエリート社員がカラオケボックスで早口言葉やお経を怒鳴りまくって憂さ晴らしする回があったな -- 名無しさん (2014-02-08 11 11 05) 一人カラオケって勇気ある行動だったんだ、自分当たり前のように行ってた…(友達がいないわけではない) -- 名無しさん (2014-02-08 11 27 56) ↑涙拭けよ -- 名無しさん (2014-06-04 11 10 24) 自分も普通に行ってた。友達?聞くな、察しろ。 -- 名無しさん (2014-06-04 12 06 27) 初めて一人で行った時友達も一人で来ててワロタ -- 名無しさん (2014-06-04 12 34 13) マイク使わないで歌うと歌唱力上がるし楽しい。両手広げながらオペラみたいに歌う -- 名無しさん (2014-06-04 12 38 43) テレビで専門店の特集やっててワロタ -- 名無しさん (2014-06-04 12 45 07) これで必ず歌うのは「ゲキテイ」。「はしれ~こうそくの~」という部分は人前だと力を入れて歌えない。 -- 名無しさん (2014-06-04 13 24 30) 「ガンダムさん」のザクさんでネタにされていたな。 -- 名無しさん (2014-06-04 13 25 32) ↑×2同志。台詞も気兼ねなく力入れて言えるしな -- 名無しさん (2014-06-04 16 30 01) 精密採点しながら歌ったら良い練習になると思う。だが勇気が無い。 -- 名無しさん (2014-06-04 17 05 26) ↑採点も面白いぞ、ダメもとで熱唱したら意外と高得点だったり -- 名無しさん (2014-06-04 17 15 36) ひとカラ専用のカプセルがあるとか -- 名無しさん (2014-06-04 17 16 56) 自分はヒトカラじゃほぼ必ずと言っていいほどMy Heart Will Go Onを歌ってる。「You're here,there's nothing I fear,」の部分を歌うのが人前だと恥ずかしくてなかなか高音が出せない… -- 名無しさん (2014-07-12 19 33 30) 練習でやる場合はICレコーダー必須。自分の声を客観的に聴いて初めて成長できる。 -- 名無しさん (2014-09-10 13 04 58) 初めての曲を人前で歌うのは結構勇気がいるからなー。こういう「実弾演習」はやはり必要だ。 -- 名無しさん (2014-09-10 15 24 16) マキバオーの実況に力入れるの好き -- 名無しさん (2014-09-10 15 37 04) 妙にハイテンションで曲を歌っていた所に店員見参 -- 名無しさん (2014-09-10 16 12 02) マイペースな一人っ子なら独壇場じゃね? -- 名無しさん (2014-09-10 18 39 43) あんまりヒトカラは抵抗がないな。昔音痴がコンプレックスで -- 名無しさん (2014-09-10 21 37 54) ↑ミス。コンプレックスで一、二週間に一度は一人で通ってたわ。 -- 名無しさん (2014-09-10 21 39 16) ぶっちゃけ仮眠のために入る人間もいるんだがな…。そういうのはカウント外なの? -- 名無しさん (2014-09-10 21 53 49) 楽しいからよくいく。帰りに音ゲーやって帰るのが私のステータス☆ -- 名無しさん (2015-01-25 19 26 43) 一人カラオケだと追加料金が必要な場合もあるとか…採算がとれないという理由で。 -- 名無しさん (2015-01-25 20 17 33) カラオケBOXで寝てたら知らん人が入って来て知らん曲歌って帰って行った。なんだあれ。 -- 名無しさん (2015-01-25 22 59 23) ↑×2 昔バイトしてた店は平日昼間とかのアイドルタイムにヒトカラが結構入ってくれて助かったりもしてた。なによりヒトカラ後の部屋は掃除が楽で良い -- 名無しさん (2015-02-04 00 35 37) ↑逆に夏休み期間とか集団での利用が多くなるシーズンではフリータイムとかはお断りされたりするね 比較的安価で使えて個室でそこそこスペースあって音たてても迷惑になりにくい施設って他に思い当たらないから外出時の作業場所としても使うことがある -- 名無しさん (2017-02-08 18 32 34) 2人以上は入店禁止、つまり1人カラオケ専門の店があったらいいのにね(泣) -- 万年ぼっち (2017-05-08 14 35 18) ヒトカラだと恥ずかしい歌もノリノリで歌えるからいいよね。プリキュアとかセーラームーンとか男が人前で歌うと間違いなくドン引きされるもん… -- 名無しさん (2017-05-08 18 48 07) リア充でも皆の前で歌うための練習としてヒトカラをするのは多い。あと初心者はまず1時間程度にしておいた方がいい -- 名無しさん (2017-05-08 22 31 33) 確かに、初めての時はちょっと抵抗があって勇気もいるけど、それさえ乗り切ってしまえばあとは楽しい事だらけだよね。今では月数回のペースでアニソン・キャラソンを歌いに行ってます。 -- 名無しさん (2017-05-08 23 06 14) マニアックなアニソンを歌うときなどは・・・・。 -- 名無しさん (2017-12-07 10 00 33) 楽器の練習に重宝してる もち -- 名無しさん (2017-12-07 12 41 11) ↑途中送信失礼 楽器の練習に重宝 -- 名無しさん (2017-12-07 12 46 10) 自分の場合プリキュアシリーズの主題歌とかセラムンのムーンライト伝説みたいな女子向けアニメを歌うときに重宝してるwww -- 名無しさん (2019-03-11 23 32 34) ヒトカラ専門店だと大体ドリンクバー形式だから歌ってる途中に店員来て妙な空気にならないのもいい -- 名無しさん (2019-03-12 00 49 38) ヒトカラを喜ぶのはバイトまで。社員以上になるとむしろ煙たがられる。ソースは俺 -- 名無しさん (2019-03-12 05 04 34) ↑時間当たりの単価が最低だから当然だね。1部屋いくらの形式の店はヒトカラでは割高でまず使わないだろうし。 -- 名無しさん (2019-03-12 07 32 04) 記事立ての頃は割とネタにされていたが、そこから10年、今じゃそこそこ認知される世の中になった -- 名無しさん (2021-08-02 12 33 02) ↑むしろ一人ボーリングより圧倒的に入りやすくなったよなヒトカラ -- 名無しさん (2022-01-28 10 19 53) 相席ワロタwあってたまるかw -- 名無しさん (2022-11-18 00 24 18) ↑5 ワイ元カラオケ店長。ヒトカラって割高でも客入るし滞在時間短いし次の客入れやすいしで割とウマいんだがな。きちんと一人料金設定したり、フリータイムを2名以上とかにしてない店はそういうことになる。 -- 名無しさん (2022-11-18 19 17 54) 名前 コメント
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久「足りないー、一人足りなーい」 まこ「ゾンビか」 久「そりゃゾンビにもなるわよー」 京太郎「県予選まであとひと月。んで団体戦メンバーは一人足りない」 まこ「なんとも頭が痛い話じゃのぅ」 京太郎「原村や片岡も知り合いに声をかけてくれてるらしいけど、芳しくはないな」 久「名前を貸してくれても、試合にまで出てくれるって子はあんまりね」 まこ「わしの方にも心当たりはちとな……」 京太郎「まこっちゃんなら麻雀強いおっさんたちだったらいっぱい知ってそうだけどな」 久「そうだわ! ちょっとまこのところの常連客を入学させて……ほら、女の人も一人くらいいるでしょ?」 まこ「アホかっ!」 久「じゃあ京太郎、あんたちょっと女装しなさい」 京太郎「却下」 久「もういるだけでいいから。結構女顔だし、いけそうじゃない?」 京太郎「待て待ておかしいだろ。大体ばれた時やばいんじゃないか?」 まこ「ふぅむ、たしかにウィッグを使えば女に見えないことも……」 京太郎「まこっちゃん!?」 久「大丈夫よ。部の総力をあげてあんたを立派な女の子に仕立て上げてみせるわ」 京太郎「あぁもう! とりあえずそれは最後の手段だ! 俺が何とかするからおとなしく待ってろ!」 久「あんなに慌てて……冗談なのにね」 まこ「その割には目が本気じゃったが」 久「あくまで冗談よ冗談。半分くらい」 まこ「つまり、半分は本気っちゅーことか」 京太郎「くそう……まさか女装させられそうになるとは」 京太郎「半分くらいマジな目だったな。追い詰められた久ちゃんを甘く見てたぜ」 京太郎「とは言っても、どうにかしなきゃいけないんだよな」 久『責任、とってよね……』 京太郎「……うん、やっぱり俺がどうにかしなきゃな」 京太郎「女装は最後の手段として、当てがないわけでもないんだよな」 京太郎「できればそっとしておきたかったんだけど、そんなこと言ってられないか」 京太郎「照ちゃん……力、貸してくれ」 京太郎「さて、いつもここらへんで本を読んでるはずだけど……いた」 京太郎「本好きは姉妹揃って同じか」 京太郎「さて、気合入れていくかっ」 京太郎「よう、元気か?」 「……どなたですか?」 京太郎「俺のこと覚えてない? 小学校のときよく一緒に遊んだろ」 「知りません」 京太郎「あらま……じゃあまずは自己紹介からだな」 京太郎「須賀京太郎。三年で麻雀部の副部長をやってる」 京太郎「久しぶりだな、咲。中学校以来か?」 咲「……馴れ馴れしく呼ばないで」 京太郎「悪い、照ちゃんがいなかったら俺たちに接点ないもんな」 咲「……私に姉なんていない」ボソッ 京太郎「ん? どうかしたか?」 咲「なんでもないです。それより何の用ですか? もう帰りたいんですけど」 京太郎「単刀直入に言うぞ……麻雀部に入ってくれないか?」 咲「……」 京太郎「団体戦に出るメンバーがどうしてもあと一人足りない」 咲「いやです」 京太郎「いるだけでも、立ってるだけでもいいんだ! だから……!」 咲「やめてっ!」 咲「もう、麻雀はしないって決めたんです」 京太郎「それは、やっぱり照ちゃんのことと関係があるのか……?」 咲「……なんにしてもあなたには関係ありませんから。須賀先輩」 京太郎「そうか……悪かったな、宮永」 咲「……」 京太郎「でも、気が変わったらいつでも来てくれ。歓迎するからさ」 咲「なによ、今更会いに来て」 咲「一番傍にいてほしいときにいなかったくせに……」 咲「はぁ、もうやめよ。私とあの人にもう関わりなんてないんだから」 咲「……でも私、一番言いたいことまだ言ってない」 咲「あの人にも、お姉ちゃんにも……」 京太郎「収穫ゼロ……」 京太郎「やっぱこの学校じゃ麻雀を本気でやりたいやつはいないのか……」 京太郎「……残された手段は女装、か」 京太郎「おいおい、気が重いどころの話じゃねーぞ。部室に戻りたくねー」 京太郎「でもあんなこと言った手前、取り消せないよな……」 京太郎「えぇい、ままよ! ただいま――」 和「もう一回、もう一局だけでも……!」 京太郎「そ、そんなに怒んなくても……てあれ?」 久「ちょっとどこ行ってたのよ! すっごい一年生が来たんだからっ」 京太郎「ちょ、久ちゃん落ち着けよ」 久「これが落ち着いてられますか! 見なさい!」 東:4200 南:14200 西:6000 北:75600 まこ(西家)「ま、またここまで削られるとは……」 優希(東家)「」プシュー 和(南家)「お願いします! もう一局だけ私と打ってください!」 咲(北家)「何度やっても変わらないと思いますけど」 和「そんなことは!」 咲「失礼します」 和「待って……!」 京太郎「咲……どうして」 咲「その呼び方、やめてください」 久「どっかで聞いたようなセリフね……あんたの知り合いなの?」 京太郎「前に言った麻雀強い幼馴染……の妹」 久「あんた、こんな強い子がいるのを知ってて黙ってたわけ?」 京太郎「さっき声をかけにいったんだよ。その時断られたはずなんだけど……」 咲「別にあなたのためにここに来たわけじゃないですから」 京太郎「やっぱり照ちゃんなのか?」 咲「……あなたには関係ありません」 久「ちょっと待って。宮永さん? もしかしてあなたのお姉さんって……」 咲「宮永照……インターハイチャンピオンです」 久「……ちょっと、私聞いてないんだけど」 京太郎「言ってないからな」 久「照ちゃんって、随分親しそうじゃない」 京太郎「それは久ちゃんにだって同じじゃないか」 久「……はぁ、まあいいけど。あの時睨まれた理由がわかった気がするわ」 京太郎「なにそれ?」 久「要するにあんたのせいよ」 咲「……お姉ちゃん以外にもそういう風に呼ぶ人、いるんだ」 京太郎「何か言ったか?」 咲「なんでもないです。入部届け、ここに置いときますから」
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第26話「外国人旅行客」 【登録タグ】 ゲーム プレイ動画 無双 おでんの人の小次郎斬国物語 もう一人のモーオタ 最初からクライマックス 外国人旅行客軍 それでも赤尾は諦めない
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第39話 血のクリスマスパーティ ~俺たちは一人だ~ 後編 パーティはやはり血の演舞。今夜一人の男達は立ち上がる。 エレガントパーティを無視しすすめ喪を旗に。 ラクスが同志を生身で倒せば、凱の年末の忙しさの怒りが爆発する。 キラも一人身の炎に焼かれ、男達は行進曲(マーチ)を高らかに謳う。 コスモスとトダカがのどかに過ごせば、議長のお仕置き覚悟完了? アベルは泣く。よしよし一緒に遊園地行こうね。 そして俺たちは知る、俺たちは一人だ。どこまで一人かもしれない。 だが、ここでは皆の気持ちは一つであると! 全員、ハイネに敬礼!
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儲け話で手に入れる財宝は骨董品だ。それは古と呼ばれる時代のものであったり、それよりも前であったり…。 この大人のパンのレシピもその一つだ。 今は誰も作る者がいなくなったであろうこのパンの味を知りたいと言いだしたのは他ならぬラムザであった。 「アグリアスさん。パンを作ってください」 「はぁ?」 紅茶を手に持ったまま間抜けな声を出す。 普段、ラムザが呼ぶ時には隊の事だ。プライベートの事はあまり話した事がない。 お互い気を遣いすぎているのかその機会に恵まれないのだ。 「あ…やっぱり、嫌ですか?」 「い、いや。そんな事はないぞ」 ラムザの前で間抜けな声を出した自分に恥ずかしさを覚え狼狽する。 コホン と咳払いをし、動揺を隠す。 「ただ、突然の事でビックリしてな」 「あ、すみません。状況を説明すればよかったですね。えーと、ラッドがこの度の儲け話でパンのレシピを手に入れたんです」 「パンのレシピ?」 パンはイヴァリースだけでなく、隣国の国々も主食とするものだ。 パン作り――それは母から子へと伝えれていく伝承の技。 だから今までレシピを見て作るなんて事はした事がなかったし、パンにレシピがあることに少し違和感さえ覚えた。 ラムザから渡されたレシピは昔のもので、薄い本になっている。 名は『大人のパンの作り方とその応用』 「パンのレシピなんて初めて見たな」 「…じゃあ、パン作れないんですか?」 「な、アグ姐に料理が出来るわけないって」 「どこから湧いた、ムスタディオ」 失礼な口を叩くムスタディオを睨みつける。 「湧いたとは酷いなぜ」 「パンは主食だぞ?作れるに決ってるだろう」 「ホントですか!?」 「あぁ。作るのは子供の時以来だがな」 「本当にそれで大丈夫かぁ~?」 「一度覚えた事を忘れる私だと思うか?ムスタディオ」 「だって子供の時だろ?何年前だと思ってるんだよ」 「貴様っ!」 「ムスタディオ、失礼だよ!」 殴りかかろうとするアグリアスを制止ながら、ムスタディオを諌めるラムザ。 「ならお前はアグ姐が料理してるの見た事あるか?」 「う…それはないけど」 「だろ?そんな奴が料理できるなんて、しかも小さい頃に作った経験しかないなんて俺は失敗するに賭けるね」 「よかろう、ラムザ起っての願いだ。パンを焼いてやる。失敗したら不器用な女だと笑うが良い だが、美味くできた暁には…覚悟しておくがいい!」 「上手く焼けたら、残飯でもなんでも食ってやるよ」 へへっと卑下た笑いを洩らすムスタディオ。 こうしてアグリアスはパンを焼く事になった。 ―2話 夕食にはパンが焼けそうだとのアグリアスから聞いたラムザは、夕食を抜きにして待ってる。 本当は財宝の整理などやることが沢山あるのだが、今日くらいは良いだろう。 今、アグリアスは厨房でパンを焼いているところだ。 一朝一夕でできるものではないので、結局次の日になってしまったが、それでもアグリアスは夜を徹して仕込みをしてくれた。 だから頼んだ張本人として待つのは当たり前だ。 だが―― 「あ~早くパン持ってこないかな~」 「ラッド。アンタさっき夕食、食べたばかりじゃない」 「夕食は夕食。アグ姐のパンはアグ姐のパンだ」 「おぃおぃ、お前、アグ姐の作ったパンが食えると思うのか?」 「お前こそ大丈夫かムスタディオ。お前の話だと、美味く出来たら残飯食うんだよな?」 「アグ姐に美味い料理が作れるかよ。きっと石みたいなパンか、別の物体になるな」 「失礼ね、ムスタ!アグリアス隊長だって料理位できるわよ(きっと)」 「そうですよ。アグリアス隊長は何でもこなせる方なんですから(たぶん)」 「ヘっ。まぁ、せいぜい石でも食ってな」 「お前こそ残飯食うなんてモノ好きな奴だぜ」 いつの間にか隊全体に話が広がり、"アグリアスPresents-大人のパン試食会-"に発展していた。 しかし待ち切れず酒まで飲みだして、もういつもの飲み会である。 …なんでこんな展開になってるんだろう? 被害者は少ない方が…って訳じゃないけど 折角アグリアスさんの手料理を一人占めできると思ったのにな~。ハァ いつもはアルマの事やメンバーの事を考えている頭を、"一人でアグリアスの手料理を食べるにはどうすれば!?"を議題にフル回転させたのだが…。 何が失敗かと言えば、やはり自分の欲を出したのがいけなかったのかなぁ… アグリアスさんって競争率高いしなぁ…上手くいかないな 作戦が失敗し落ち込んでいるラムザを笑うように、メンバー達の笑い声が聞こえてくる。 ラムザは恨めしそうに酒を飲むメンバー達をみる。 酒まで持ち出して…楽しそうだな。 でも何でムスタディオ達は酒を飲むんだろう。あんなに不味いのになぁ… 僕には理解できないや グゥゥゥ はぁ…お腹すいた。アグリアスさんまだかなぁ… そんな落ち込んでいるラムザに、ある人物が近寄る。 「ね~らむざ。一緒に飲もうよ~」 「ラファ、それはお酒じゃないか!?」 お酒は二十歳になってからとラファからエールを取り上げようとする。 「い~や~っ!!」 「よこしなさい。お酒は大人の飲み物だよ」 「あたしはもう十分オトナだわっ!!」 ドンッとカウンターを叩き胸を張るラファ。 異国の衣装がピンと張り、体のラインを表す。 白い衣装だからか。 しっかりと双丘が見てとれる。 「―――うん…知ってる。もぅ、だいぶ大人だよね」 「エヘヘ♪だよね、だよね」 「でも、お酒は二十歳になってから だよ」 「じゃあ、らむざも飲んで」 「いや、僕はいいよ」 「の~ん~で~ぇ~っ!!」 ラファはエール片手に暴れだした。 「わかった。飲むから、ラファ落ち着いて!」 ラムザはラファから渡されたエールをじっと見つめる。 酒を飲むのは傭兵時代、ガフガリオンに飲まされていらいだ。 『酒ってのは豪快に飲むンだ。特に最初の一杯目は一気に飲むンだよ!』 そう言われて無理して飲んだ結果、次の日は最悪のコンディションになった。 横目でラファを確認する。 期待に目を輝かせているラファが見えた。 もぅ、こうなっては腹を決めるしかない。 ラムザはエールをグッと飲んだ。 口の中に苦みと、弱い炭酸の痺れが広がる。 不味い!まずいよーー!!! この胃にしみわたる感じは間違いなく酒だ! 大人の味だ!! それに苦い!!苦いぞ、コンチクショー!!!! 心の中で悪態をつきながらエールの味に耐えていく。 なんとか空にする事が出来たが、息も絶え絶えである。 「すご~い。らむざってお酒飲めるんだね」 「あ、ははは…ありがと」 「これでらむざもあたしと同じだ~☆」 ラムザの腕に抱きつくラファ。 フニュ こ、これは―――(゚∀゚)――――!!!!!!!!!!! その時ラムザの中で何かが目覚めた。 ラムザとて年頃の男である。普段は、持ち前の冷静さと理性で様々な欲望を抑えつけているのだ。 そう、間違いない。この上腕部にあたる感触。 肌や腕では表せないこのやぁらか~い感触はあの双丘に間違いない!!! さっき眺めた白い双丘―――それは神秘とロマンに満ちた丘。 それが腕に当たっているのイメージは容易に想像できる!! 妄想モードに入ったラムザだが、ラファは酒を飲んでくれた事がそんなに嬉しいのか、体を左右に振る。 フニュ フニュ 更なる感触に酒も良い感じに加わって、顔がニヤける。 あぁ―――この感触 お互いの服の上からでも判るこの感触はイイ!d(≧∀≦)b 最高だ!! こ、これを直に触れられたら、そ、そ、そ、そそそれはどんな――――イカン!!! このままでは理性の箍が外れて、手を出してしまいそうだ! ――駄目だ駄目だ!僕にはアグリアスさんがガガガ゙ガガ 必死に欲望と戦うラムザ。 理性の箍が外れるのは時間の問題だった。 「ラファ、ラムザに迷惑かけるな!」 「なに、兄さん。ほっといてよ」 「放っておけるか!ほら、向こうでお茶でも飲め」 「あ~ん、らむざ助けて~」 ズルズルと引きずって行かれるラファ。 た、助かった―――ような残念のような。 だけど、マラークも大変だな。妹を持つ者同士として同情する。 アルマが酒を飲んだ所を見た事がないが、アルマも酔うとあんな感じになるのだろうか? そう疑問に思いながらも、腕に残る感触が蘇る。 アヘヘ…柔らかったなぁ―――って違う!しっかりするんだラムザ! 自分に活を入れるため席を立つ。 …あれ?何だろう。視界はハッキリしているのに何だか立っている感じがしない。 両手で顔を抑えてみる。 熱い。確実に紅潮している。 もしかして――― ラムザはサロンの出入り口に向かって歩いてみる。 ―――歩ける。だが、気を抜くと右や左に体が動いていく。 ちょっと休んだほうが良いかな フラフラする体を精神を奮い立たせて歩く。 ちょっとでも気を抜けば落とされる…そんな断崖を歩いている心持で部屋まで戻って行った。 ―3話 「だいぶ待たせてしまったな」 だが待たせたかいがあり、大人のパンは美味しく仕上がった。 アグリアスはパンかごを抱えながらサロンへと向う。 そして部屋に入るなり今、一番会いたくない人物と最初に目が合う。 「んぉ?いょう!遅かったじゃねえか!」 「ムスタディオ…随分とご機嫌だな」 「あぁ、アグ姐ェが長い時間かけて残飯作ってるんでな。ウハハハハ」 「アグリアス様、もうパンは焼けたのですか?」 「アグ姐!待ってたぜ!」 「あ、良い香りがする~」 「お、来たな」 「何だ?皆、私のパン待ちだったのか?」 「そーでぇーーす!」 「アグリアス様の初手料理ですからね!食べない手はないですよ」 アリシアの発言につられて、ラッド・ラヴィアン・マラークとぞろぞろと近寄ってくる。 「で、どうです?出来栄えは」 ラヴィアンが若干、不安がかった表情で聞いてくる。 説明するより目で見た方が早いだろうと、パンかごに掛っているナプキンを取る。 とうとう明かされるアグリアスの初手料理、大人のパン。 ナプキンをとったことでパンの香りがいっそう強くなる。 色は濃い琥珀色、大きさは掌より若干小さめの、丸いパン。 「うわぁ、美味しそうですね!」 「あぁ。レシピに乗っていたのはパン型に居れるタイプだったのだが、生憎パンが他がなくてな。仕方ないから小分けにしておいた」 「ま、まぁやるじゃん。でも匂いや見た目だけなら誰も出来るぜ」 「そうだな。皆、待たせたな。食べてみてくれ」 「わーい、いただきまーす」 「アグリアス様、頂きます」 「アグ姐、頂きます」 「一つ貰うよ」 「…」 それぞれが籠からパンを一つずつとり口に運ぶ。 「うめー!うーまーいーぞー!!」 「ん~!おいしい!!」 「これの葡萄はラムレーズンか。美味いな」 「ああ。しかも、ラムレーズンから出た酒がパン全体に広がってる…まさに大人のパンだな!」 「流石、アグリアス様です!」 「これなら何個でもイケルぜ!!」 「美味い美味い。ラファお前も…ってアレ? ラファ、何処行った?お~い」 様々な称賛の声をあげるメンバーを余所に、どんどんと立場がなくなるムスタディオ。 自分の予想を大きく裏切った結果に何も言えないでいる。 「…」 「どうした、ムスタディオ?私の作った"残飯"はどんな味かな?」 「………めぇ」 「ん?」 「…うめぇ。だが、小さくて食った気がしねぇな!!」 勢いに任せてパンを口に放り込むムスタディオ。 自分の立場を保持するために悪態をつくとは……哀れな男だ 「何いってんの!十分美味しいじゃない!!」 「そうよ、それにあんた夕食食べてたでしょ!!」 「諦めろ。男らしく残飯食え」 「ま、ガンバレ。ムスタディオ」 「ぐぅ……」 ラヴィアン達からもう反撃を受け、青くなるムスタディオ。 身から出た錆とはいえ、このままでは本当に残飯を食わされそうだ。 「まぁまぁ、皆。あまりムスタディオを責めるな。私は今まで料理を作っていなかったのだ。 それでは料理下手だと想像する者もでるのも当たり前と言うもの」 「な…アグ姐ェ」 まさかの見方に驚愕の表情をあげるムスタディオ。 「とはいえ、人を中傷するのはお前の悪い癖だ。直せよ」 「くぅ…アグ姐ェ、俺が悪かった!すまん!!」 ムスタディオが目を潤わせて頭を下げる。 それはまるで罪人が女神に許しを乞うている絵画のようなシーンだ。 ―――さぁ、賭けの代償を払って貰おうか? 「は?」 部屋一杯に広がる黒いオーラ。 ルカビィを超えるアグリアスから発せられる恐怖。 さっきまで目を潤ませて謝っていたムスタディオの表情が凍りつく。 「アリシア、ラヴィアン。すまないが厨房からパンを持ってきてくれ」 「はい。了解です」 「な、何を?」 「何って賭けの代償だ、ムスタディオ。残飯食えとは言わないが、ある物を食って貰おう」 ラヴィアンとアリシアが厨房から"ある物"を持って来た。 それはパンの山―― 「ちょっと沢山作ってしまってな」 「た、タスケ――」 「ラッド」 「おう」 「な、止めろラッド!離せッ!!」 「さっきラッドも言ってただろう?"これなら何個でも食える"って」 ふいにパンを一つ手に取る。 「フフフ…お前は"小さくて食った気がしない"と言っていたな。望み通りほら、大きいぞ」 さっきまでのパンと比べて見せるアグリアス。 大きさは約2倍。 またアグリアスは笑ってはいたが、その顔は笑い掛けるアルテマデーモンのよう。 「さぁ、存分に食うが良い」 「いーーやーーだーーーーッッ!!!!」 暴れ出すムスタディオ。 「さぁ、ムスタ。食べさせてあげるから☆」 「そうそう、全部食べないと、明日の朝食は拝めないよ~」 「お酒も一杯あるから、食べやすいよ~。ほら、ドンドン入ってく~」 「た、助けてーームグゥ!!」 ラッドに抑えつけられたムスタディオは逃げる事も出来ずにパンを食わさせられる。 またラヴィアンとアリシアは嬉々としてムスタディオの口にパンと酒を詰め込んでいった。 愚かなとこだ。自分で自分の首を絞めるとは―――あ 目の前で繰り広げられる"賭けの精算"を嘲笑していたアグリアスだったが、ある事に気がついた。 折角パンを焼いたのに、食べたいと言った張本人はどこに行ったのだろう? 私がここに来た時にはもう居なかったな。 「ラヴィアン、ラムザはどこに行ったのだ?」 「あ~、隊長ですか。なんか部屋に戻ったみたいですよ」 「ふむ。そうか」 仕方ない。私が部屋まで届けてやろう。 アグリアスはもぅ興味はないとばかりに、さっさと部屋から出ていった。 ―4話 なんとか部屋へと戻ったラムザ。 部屋へ戻る途中にも壁に柱にと体をぶつけて歩く。 表現を悪くすればランプにぶつかってくるヤママユガ… もしくは、ガラスに気が付かずぶつかる蜂のようだ。 「う~ん。ヤバいよ~」 立っていては危ないのでベットに座り顔を抑える。 さっきより熱いように思う。 なんでー?たった一杯なのに(しかも飲みかけ) ラムザは酔いのまわっている頭で必死に考えた。 僕ってこんなにお酒弱かったのかなぁ… 状態を起こしているのもキツくなってきたので、そのままベットに横になる。 しかし、空きっ腹に酒。 ちょっと休むだけのつもりだったが、いつの間にか寝入ってしまった。 スー スー 部屋に響くは寝息のみ。 その部屋にノックもなしに入ってくる者がいた。 「らむざ居る~?あ、らむざはっけぇ~ん」 フラフラしながらラムザを探していたラファだ。 「確かラムザの部屋は奥から2番目の部屋だったな」 アグリアスは忙々と部屋に向かう。 思えば男のために料理をするのはこれが初めてだ。 幼いころから"男のために料理をする"というのは結婚している者がする行為だと思っていた。 ―――フフ。まるで、夫婦のようだな。 一人、笑みがこみ上げてくる。 だが、その笑みはラムザの部屋の近くに来て突如として失われた。 ラムザの部屋のドアが開きっぱなしになっている。 今だイヴァリースは治安の悪い状況で、宿と言えども部屋のドアを開けっ放しにするのは防犯上好ましくない。 またアグリアスの記憶上、今までラムザがドアを開けっ放しにしていた事はない。 しかも人の話し声がする。 "――っけぇ~ん" ――教会の手先か、賊か? アグリアスに緊張が走る。 が、その声には聞きおぼえがあった。 "もぅ~、らむざねてる~。あははははっ!" 「ラファ?」 ラファが何故ここに?それにいつも以上に明るい。 それにラファが言うにはラムザは寝ているらしい。 では、ラファは何のためにラムザの部屋に??? "寝るならアタシと一緒にねよ~?" 「!」 アグリアスの体に衝撃が走る! ――寝る?ラムザとか!? アグリアスは電光石火の勢いで部屋に飛び込む。 そして目に映ったのは眠っているラムザと、布団をめくりムザの隣に入り込もうとするラファの姿。 「ラファ、待て!」 「いや~!らむざとねるぅぅぅ~~!!!」 部屋にあった机にパンを置き、ラファをベットから引き離す。 そして気が付く酒の香り。 「酒?ラファ、酒を飲んでるのか!?」 「2人はしあわせになるのぉ~!!」 「一体誰だ、ラファに酒を飲ませたのは!!」 質問に答えないラファを何とかベットから引き離そうと力を込める。 強引に引き離したため、ラファは床に突き飛ばされる形になった。 「いった~い」 「す、すまんラファ。だが、お前も悪いのだぞ?」 「あぐりあすさんなんかもうしらな~い!」 「大声を出すな、ラムザが寝ているのだぞ」 「いりあいのかねのひびきぃ~!」 「だから、静かにせんか!」 歌いだしたラファを一喝する。 しかし、ラファは嫌がらせの様に歌うのを止めようとはしない。 「てんにぃひかりきゆるとき~」 「悪かった。私が悪かったから先ずは歌うのを止めてくれ」 「いまありしはまぼろしとしるぅ~」 まさか――これは歌ではない!? 気付いた時には遅かった。 「だいこくうぞうぉ!」 「ぐ!」 大虚空蔵に耐えるため、全身に気合を入れるアグリアス。 そして、間髪いれずに世界が青で包まれる。 真言ー大虚空蔵ー ダメージと共に、暗闇・沈黙・毒など様々なステータス異常も起す厄介な技。 しかし、真言は狙いの定めにくい技で当たらない事もある。 「?」 アグリアスの周りから大虚空蔵が消えたが、物的ダメージがない。 詠唱が未完全だったため、光だけで失敗か?? その後も大虚空蔵はアチラコチラで光を散らす。 「わ~。きれいね~」 まるで他人事のように自分の唱えた術に見ほれるラファ。 そしてその光はアグリアスの後方でも光を散らした。 「!?」 アグリアスは慌ててラムザに振り返る。 ダメージは無くともステータス異常を受けている可能性もある。 振り返ったアグリアスの目に入ったのはカエルになったラムザだった。 しかも仰向けの状態で、少々グッタリしている。 「ラ、ラムザっ!?」 アグリアスはラムザが死んでしまったのではないかと思い、慌てて手に取ってみる。 ――大丈夫。カエル状態になってはいるが、生きている。 「もぅ、あぐりあすさん!おおきい声だしちゃだめなんですよぉ!???」 「えぇい、うるさい!元はと言えばお前が大虚空蔵など唱えるから――」 「うーん、わかった。私の魔法とくと見てください!えい、トード!!」 「わ、馬鹿――」 制止する前にラファがトードを唱えた。 アグリアスの目の前で発生する緑の煙。 ご存じの通り、カエル状態にトードを掛ければ元に戻る。 手の上に乗せている状態でトードを掛ければ、当然全体重が両手に圧し掛かる。 アグリアスは重さに耐えきれず、ラムザをベットに落とし、自身もベットに突っ伏していった。 当然酒に酔っているとはいえ、ベットに落とされれば相当深い眠り出ない限り、目は覚める。 「うぁ!――な、何が!?」 突然の事にビックリしながらも状況を把握しようとするラムザ。 (敵かもしれない!やっぱり酒なんか飲むんじゃなかった!―――っっっ!!) 後悔と同時に何かが顔の上に覆い被さってきた。 (な、なんだっ!一体何がッ!?―――?攻撃してこない???) 視界は完全に塞がれたものの、以降何も起きない為とりあえず顔を動かしてみる。 (…布?それに何だろう。暖かい…それに柔らかくて何だか心地いいような――?) つい心地よくて、顔で感触を確かめ続けているラムザ。 だが、突然覆いかぶさっていたものが無くなった。 そしてラムザは見た。 羞恥心と怒りで顔を真っ赤にしたアグリアスを。 「な、アグリアスさん!?」 「ラァァムザァァァ!!!」 怒りと共に繰り出された拳が脳天にヒットする!! ―――ヘッドブレイク!! 薄れゆく意識の中…ラムザは悟った。 あぁ――覆いかぶさっていたのはアグリアスさん――― ということはさっきの柔らかく温かかったのは――― アグリアスさんの―――蒼い―――双山――――― 「だ、ダイナマイ――」 ラムザはベットに深く沈んで 逝った。 ―5話 翌朝、ラムザは目が覚めた。 「―! いててっ!…頭が痛い?何でだ?」 昨日の事が良く思い出せない。 「確かアグリアスさんにパンを作ってもらう予定で…暴れているラファを沈めるため酒を飲んだんだ。そして…」 ――思いだせない。 思いだそうとすればする程、酷く頭が痛むのだ。 だが、何か大事な――何かを忘れているような気がする。 痛みに耐え必死に昨夜の事を思い出す。 「―!」 刹那――まさに一瞬の出来事だが、美しい光景が頭に浮かんだ。 それは、白い双丘と―――蒼い双山―― どこで見た光景なのか。 イヴァリースのどこかの風景なのかもしれない。 もしくは只の夢か。 その後必死に思いだそうとしたが思いだせない。 だが、それでもいい。 夢ならばまた見る事も出来るだろうし、どこかの風景ならばまた目にする事もできる。 考えるのを止めると、頭の痛みも和らいだ。 グゥゥゥ すると腹の虫が鳴いた。 そう言えば、昨日は夕飯を食べてない。 ふと視界に机の上に置かれたパンが目に入った。 「あ…」 きっとアグリアスが持って来てくれたのだろう。 食べたいと言った本人が居なかったのだ。 きっと怒ってるに違いない。 アグリアスが作ってくれたパンを手に取る。 冷めてしまっているが、良い香りがしてくる。 一口割いて、口に居れる。 程良い甘さが口に馴染む。 ただのパンとは違い、香気良い香りが食欲をそそり沢山食べれそうだ。 アグリアスの作ってくれた大人のパン。 香りよく、甘く―――そして大人の味がした。 fin
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知人の奇妙な行動 ◆yvUxRPre9c 「大丈夫だからさ、さっきの城の病室に戻ればなんとかなるかもしれないから」 そんなことを片方の腕のない動かない女の子の人形を持って森の中を一人の男が駆け抜けていく、 端から見れば危険な人間としか見られないだろう、あるいは大切な人を殺されて 壊れてしまった人間と見られてしまうかもしれない、ただ、ヴァッシュは知っている。 この人形が自由に動き、しゃべり、こちらの行動に反応することを かつて戦った事のある人形遣いエミリオのそれとも違う動きをする。 そして首に付けられたこの首輪、つまりこの子はこの殺し合いに参加させられた被害者の一人という事になる。 数時間前に古城で拡声器を使った時に一番最初に出てきた人形である。 たしか名前は水銀燈と言っていた。その時はもう一人、ゼロと名乗る仮面の男が一緒にいたのだが、彼は一体どうしたのか、 いや、今はこの子を城に連れて行くのが先だ、新庄君達も協力してくれるだろう。 呼吸をしている以上はまだ助かるはずだから 「もうすぐで病室に着くから」 ヴァッシュは必死に人形を励ましながら古城の病室へと引き返している。 ○ 「うあああああああああああああ!!ルフィてめえええええええええ!!」 「ワアアアアアアアアアアアアアアア!?」 「あ? てめえ……誰だ?」 「さっきの叫び声をなかったことにしないでよ!? なんで突然叫ぶのさ!?」 「おれの刀はどこだ」 「お願いだから話題を一つに絞ってくれないかな! あ!そんなことより君の血液型――」 城の中の病室の中で突然大きな叫び声が聞こえる 外には大して声は漏れていないようだが、 「いいからそこにある俺の刀をよこせ!」 「その前にまずは君の傷を治療してからだね、それとも君、殺し合いに乗ってるの?」 質問をしながら新庄は身構える、おそらく大丈夫であろうがもし殺し合いに乗っていたのなら 逃げ場など限られているし、ひょっとしたら一瞬で殺されてしまうかもしれない、 別に武器を取り上げていることは安全になるというわけではないのだから。 「いや、殺し合いには乗っていねえ、剣士として常に刀を持つ、それだけだ」 その言葉を聞いてとりあえず安堵する、殺し合いには乗っていないという証言その一言が新庄を安心させた。 「てなわけでこいつは返してもらうぜ」 「待って、先に治療と輸血を……っわっ、」 「これくらいかすり傷だから……うおっ」 ゾロが刀を自分の手元に置こうとしたのを止めようと 刀の引き合いになったが力比べではゾロのが上 刀を思いっきり引っ張った為新庄は体ごとゾロの方に引き寄せられてゾロの上に倒れこんでしまった。 「新庄君、今の音何?……!!!!!!!!!」 まひるはヴァッシュを見送って二人のいる南東の医務室に戻っていると突然叫び声が聞こえたので慌てて向かっていった。 しかし扉を開けてみると医務室のベッドの上で二人の男が手には同じ刀を持ち顔を近づけて体を重ねていた。 思いっきり引っ張っても刀を放さなかった新庄君が結果としてゾロを押し倒したような形になっていたのだが 事情を知らないピュアな女の子のまひるにしてみればそれはあまりにも衝撃的なものであった。 ほかに人のいない医務室の男の人二人が体を重ねてベッドで寝ている。 男性恐怖症という特徴を持つのまひるにとっては尚更、 「しししし新庄君の不潔ーーー」 「いい、伊波さんかんちがアァーー、グフッ!」 勘違いをしたまひるのパンチが新庄を直撃し、釈明をしようとする言葉を中断させ、 そのまま倒れこんでしまった 【新庄・運切@終わりのクロニクル 死亡確ー】 「つまり俺たちを見て、何か変な関係か何かだと勘違いしちまった訳だな」 「そ、そのごめんなさい」 ゾロから少し距離を置きまひるは必死に謝っている 「大丈夫ですよ、なんとか誤解も解けたみたいですし」 勘違いにより殴られた新庄君がなんとかこの場を纏める、 ああ、これは一体何回目の行動になるのか…… 【新庄・運切@終わりのクロニクル 生存確認】 「それにしても変態だなんて佐山君じゃあるまいし」 「ん?何だお前も佐山のこと知ってるのか?」 少し落ち込んだ表情をした新庄であったがゾロの質問に驚く 目の前にいるこの緑の髪の人とあった事などないはずだ、それとも僕の知らない佐山君の知り合い 確かに声は聞いたことある気がするんだけど、 「君、佐山君のこと知ってるの?」 「ああ、キャンプ場でだったが離れ離れになってなければ小鳥遊って奴と一緒にいるはずだが、 …じゃあお前ひょっとして新庄運切か?」 「そうです、僕は新庄「小鳥遊君と一緒にいるんですか!!?」 今度はまひるが声を上げる、お互いの探してる相手が一緒に行動している事が分かったからだ 名簿に名前が載っているいることと放送で名前が呼ばれていないこと以外に情報が無かった 小鳥遊宗太と佐山御言をこの会場で知る人物が現れたからだ。 「それじゃあ小鳥遊君は佐山君と一緒なんですね」 「いや、それはわからねえ、」 「どうして」 「もう一人蒼星石って奴もいたんだが、さっきの放送で呼ばれていた、つまり今も一緒にいるかは 分からないが少なくとも一度何者かに襲われたってこった、そう簡単に分散するような雰囲気じゃなかったからな まあ放送じゃあ呼ばれてないって事は生きてるって事だろ」 「つまり、その3人はいっしょに行動していたんですね」 「ん、ああ確か駅のほうに向かうとか言っていたが、それも数時間前の話だけどな」 「そう・・・ですか」 ようやく手に入れた小鳥遊君のの情報であったが結局今何処にいるのかは分からずじまい、 それでも今までとは違い小鳥遊君と佐山君が共に行動してるかもしれないという事が 分かっただけでもいいのかもしれないが、 「ところでその蒼星石って人はどんな人だったんですか?」 ふとそんな質問があらわれた 「ん?ああ、人の股下くらいの大きさしかない女の人形だ、 ローゼンメイデンなんて呼ばれてるらしいがな」 「!!」 妙な不安が二人を襲う、それに気づいてかどうかは分からないが ゾロは話を続ける 「小鳥遊の奴、蒼星石に出会うやいなや思いっきり抱きついてたぞ 佐山も蒼星石の尻を散々触ってたな、…しかも」 「「し……しかも!」」 「あいつら蒼星石に触るたびに妙な笑みをこぼしてやがった!」 友人、仲間、相棒、そのどれかにはあてはまる人物の奇妙な行動を聞き 一体何をしているのかと少し呆れ、蒼星石に少し同情をしながらも二人はある確信を手に入れていた。 (間違いない、この人は佐山君の事を知っている、佐山君らしい行動だもん) (間違いない、この人は小鳥遊君の事を知っている、小鳥遊君ならありえる) 知り合いと言うことを隠したくなるような行動であるが、同時に探している相手らしい行動でもある、 さらに、自分の探している相手は少なくとも数時間前は単独で行動しているわけではなく 尚かつ自分たちを捜そうとしていることを知ったからだ。 放送で呼ばれてない以上はまだ生きているし、まず無いと思っていたが 殺し合いにも乗っていないという証言も手に入った。 一方のゾロにしてみても佐山・小鳥遊の探し人が無事に目の前にいることに安堵をしていた。 新庄・伊波の二人を心配している小鳥遊・佐山を見ているからであろうか ともあれ少し話した限りでは少し変わっている人間であるがあまり危険は感じない、 最も二人からすれば変わった人間にはある意味なれてしまっているのかもしれない。 それに元からの知り合いと、この会場内で出会ったという違いはあるとしても 共通の変態の知り合いがいることが大きいだろう。 3人はゾロに簡単な治療をすると病室の冷蔵庫からきなこ練乳なる飲み物を取り出し 男性恐怖症のまひるの為に少し距離を開けながらも 各人の自己紹介とここに来てからのいきさつを順番に話し始めた、 ルフィやウソップを殺した相手のことが分かるかもしれない、 どこかにいるチョッパーのことを知っているかもしれない、 ひょっとしたら他にも欲しい情報を持っているかもしれない、 何かしらの主催者の事を知っているかもしれない、 首輪について何か知っているかもしれない、 もっと佐山君や小鳥遊君の事をここでの事を教えて欲しい 様々な憶測と可能性を期待しながら ○ 「カーッカッカッカッカッ 獣じゃ主は最高の獣じゃ、もっと本当の力を出せ そのためなら、民も兵も国も贄として出してやる 主は災いを呼び出す獣よ クッチャ・ケッチャもそなたの獣を出すための贄よ」 かつて戦った事のあるシケルペチムの皇ニウェに言われた言葉が突然頭をよぎる。 一体なぜ、ひょっとしたらこれも奴の仕業なのか、いやニウェは確かに死んだ、この手で どうやったのかはよく覚えていない 燃えるシケルペチムの城の中であの時…… 巨大な牙…鋭利な爪…鋭い眼光…獣? ハクオロはそんな事は後回しだと言わんばかりに何度も首を振る、何より今はそれどころでは無いのだから 「アルルゥ、どこにいるんだ?」 この殺し合いの舞台に巻き込まれた家族の一員を探してハクオロは当てもなく森の中を彷徨う、 トウカもベナウィもカルラもエルルゥももういない残された家族はもうアルルゥしかいない 血は繋がっているわけではない自分のことを“おとーさん”と呼ぶ娘を求めて だがどこにいるという心当たりもない上まともに情報交換の出来たレッドやライダーも 出会ってないらしい、もし中央部に向かっていったライダーに会うことが出来たのならば 間違いなくアルルゥを保護してくれるだろう。それはレッドに関しても言えることだが、 別にあの二人に全幅の信頼を置いているわけではないし、アルルゥの保護は自分の役目だと 考えていた、ただ、それでもアルルゥがどこにいるのか分からない以上は 二人とは別の方向、西を進路に取って森の中を進んでいった。 しばらく森の中を歩き、森を抜けたハクオロの目の前に大きな城が現れ そして城に向かって南方から城に向かって走る男の姿が確認できた。 ○ 「あとはこのリーゼントの男と獣耳の幼女だな」 劉鳳の名簿に書かれていた名前もわからない二人の危険人物かもしれない二人、 ゾロ自身賞金首であること、襲われた上で入れ墨の男が乱入した事の顛末を話しながら 話を聞いていた二人、特にまひるは賞金首=犯罪者というイメージがあるのか戸惑いを見せたが ヴァッシュも賞金首であること、小鳥遊の事を知ってるなど そして様子を見る限り殺し合いには乗っていない事などのの理由からあっけなく受け入れられた。 さらに劉鳳の名簿に×を付けられていたもう一人の名前の主カズマがこのゲームに乗っていることから ×が危険人物で○が仲間という考えは簡単に納得できた。 「じゃあ、この橘あすかさんとって人とストレイト・クーガーさんは殺しあいに乗ってない可能性が高いと」 「ああ、俺に懸っている賞金のことを知ったら襲い掛かってくるかもしれないがな」 ゾロ、伊波、新庄の3人の元から知り合いであるチョッパーやブレンヒルトの事、既に名前の呼ばれたルフィやウソップ クロコダイルの会場での行動は3人とも知らなかった。 一方でこの3人殺し合いに連れてこられて来てから出会った人物に関しては多くの情報を得ることに成功した。 ゾロからは既に話した佐山達や劉鳳の他に、既に死んだ入れ墨の男、スーツを着た海賊 電車の中で会ったムカつく金ぴか鎧と圭一という召使い、川で流されていた女のこと 一方新庄からは危険な相手に向かっていった通りすがりのサラリーマン 遊園地の近くでカズマに襲われたこと少し前にこの古城にいた人形や仮面の男の事 そしてこの会場で話た人物から聞いた話も続けた。 蒼星石から聞いたローゼンメイデンの翠星石と真紅と水銀燈のこと。 劉鳳の名簿に乗っていた橘あすかとクーガー、リーゼントの男と獣耳の幼女。 圭一から聞いた衛宮切嗣、ライダー、古手梨花、竜宮レナ、北条沙都子、園崎魅音、園崎詩音。 川で流されていた女から聞いた奇妙な髪型をした男の人。 やたらとうるさくてむちゃくちゃ速い男の人。 赤いコートの指名手配犯――ヴァッシュ・ザ・スタンピード。 物騒な右腕をした不良。 そしてヴァッシュから聞いた、ニコラス・D・ウルフウッド、リヴィオ・ザ・ダブルファング。 広瀬康一、黒服の男、眼鏡を掛けたメイド、園崎魅音のこと。 そして又聞きとなるが広瀬康一からヴァッシュを通じて聞いた吉良吉影と東方仗助のこと。 何人かは同じ人物のことになるがこの会場にいるはずの人物に関しては 65人のうちおよそ2/3に近い人物情報がまとまったことになる。 うち園崎魅音やヴァッシュのように異なった情報を持っていたり 既に放送で呼ばれた名前もある。 名前も姿もわからない人物も多く間違っている情報も多いかもしれない 3人とも気付いていないがカズマやリヴィオに至っては3か所から情報が来ている。 「そうだ、それと…さっき森の中で一つ死体を見つけたんだが」 そういってゾロは首輪を出した、誰のものとも分からない死体から持ち出した首輪であった。 「その首輪が光ってどっかから変な声が聞こえたんだが もった瞬間に変な声が聞こえたんだ“力は等しくなる”って」 「それ、ひょっとして、概念!!」 「え!新庄君、概念って?」 突然出てきた概念という二人にとってあまり聞いたことのない単語に二人は首を傾げる もともとあまり知られていない力なのだから仕方がないのかもしれないが 「ああ、説明がなかったね、概念っていうのは…」 「いや、説明はもう少し後になりそうだどうやら客が来たみたいだぜ!」 ゾロの言葉に二人は窓に目を向ける、 すると南からは先ほど出て行ったヴァッシュが何かを抱えて、 一方東からは見覚えのない仮面の男がゆっくりとこっちに向かって来ている。 「ヴァッシュさん、ずいぶん早いけど忘れものかな」 「あっちの仮面の人はゾ、ゾロさんは知ってますか?」 「いや、」 この城に向かってこようとしている二人の存在、 ヴァッシュはともかくとして仮面の男に関しては殺しあいに乗っているかもわからない とりあえず接触してみるのが吉か、それともやり過ごすべきか? 「なーに危険な奴だったら俺が叩き斬ってやる」 「あ、ちょっと待ってください、危険って決まったわけでもないのに」 そう言って二人は病室を出て仮面の男の方へ急いで向かって行った。 ゾロに至っては治療を終えたばかりというのに、 「私は…ヴァッシュさんの処へ、何か持っていたみたいだったもんね」 そういって最後に残ったまひるも病室を出て行った。 これからこの古城で何が始まるのか、ヴァッシュが2人には話さなかった殺してしまった男ベナウィ それが今城に向かって来るハクオロの仲間であるのは偶然かはたまた運命の悪戯か 今はまだ分からない、そう、今はまだ…… 【A-2 古城跡・2階・Dr.くれはの医療室前/一日目 午後】 【ロロノア・ゾロ@ワンピース】 [状態]疲労(中)、全身にダメージ(大)(止血、消毒、包帯済み)、左腿に銃創(治療済み)、 [装備]八千代の刀@WORKING!!、秋水@ワンピース、雪走@ワンピース [道具]支給品一式×2(食料と水一人分消費)、麦わら海賊団の手配書リスト@ワンピース、迷宮探索ボール@ドラえもん、 不明支給品(1~3)、一方通行の首輪(血がこびりついている) [思考・状況] 0:向かってくる仮面の男が安全かどうか確かめる。 1:傷を治す為病院に向かう。 2:ウソップとルフィの仇打ち 3:ゲームにはのらないが、襲ってきたら斬る(強い剣士がいるなら戦ってみたい) 4:ルフィ(死体でも)、チョッパーを探す。橘あすかにも会ってみたい。リーゼントの男、ヴァッシュにも興味 5:佐山・小鳥遊の探し人に会えて安堵 6:首輪の秘密が気になる。 7:金ぴか鎧(アーチャー)は次に会ったらただではすまさない。 8:あの声は何だったんだ? 9:概念?何だそりゃ? ※参戦時期は少なくともエニエスロビー編終了(45巻)以降、スリラーバーグ編(46巻)より前です。 ※吉良吉影のことを海賊だと思っています ※黎明途中までの死亡者と殺害者をポケベルから知りました。 ※入れ墨の男(ラズロ)が死亡したと考えています ※圭一に関しては信用、アーチャーに関しては嫌悪しています。 ※雪走が健在であったことに疑問を抱いています。 ※大阪(春日歩)から、危険人物としてクーガー、カズマ、ヴァッシュの情報を教えられました。 ※不明支給品は一方通行のものです。 ※新庄・伊波の二人と情報を交換しました、どちらかが幾つか間違った情報を持っていることも 気づいています。 ※1回目、2回目の放送の内容を新庄、伊波の二人から聞きました。 【新庄・運切@終りのクロニクル】 [状態]:健康、顔に腫れもの [装備]:S W M29 6インチ 6/6@BLACK LAGOON 、尊秋多学園の制服、運命のスプーン@ポケットモンスターSPECIAL [道具]:支給品一式(食料一食消費、水1/5消費)、予備弾丸26/32 、一方通行の首輪(血がこびりついている) [思考・状況 ] 1:ゾロと仮面の男の所へ行く。 2:ヴァッシュを待つ。 3:メカポッポを待ってみる。(なかば諦め) 4:まひると行動しながら小鳥遊を捜す。 5:佐山と小鳥遊のことを聞いてひとまず安心しつつも変態的な意味での不安が…… 5:佐山と合流しここから脱出する 6:ブレンヒルトについてはまだ判断できない。 7:人殺しはしない。 8:ゾロについてやや信用。 9:概念、どうしてここに ※小鳥遊宗太については、彼の性癖とかは聞いています。家庭環境は聞いていません ※新庄の肉体は5:30~6:00の間にランダムのタイミングで変化します。 変化はほぼ一瞬、霧のような物に包まれ、変化を終えます。 午前では女性から男性へ、午後は男性から女性へ変化します。 ※参戦時期は三巻以降です ※カズマを危険人物だと認識しています ※まひるに秘密を話しました次の変化のときに近くの人に話す必要は… ※ヴァッシュと情報交換をしました。ウルフウッド、リヴィオ、広瀬康一、メイドの女性(ロベルタ)、園崎魅音(詩音)、黒服の男(サカキ)についての情報を得ました。 ※ベナウィの事は聞かされていません。 ※ゾロの声に聞き覚え? ※ゾロと情報を交換しました、どちらかが幾つか間違った情報を持っていることも気づいています ※古城跡の2階の南東の角の1室が、Dr.くれはの医療室@ONE PIECEになっています。 【A-2 南部 古城前/1日目 午後】 【ヴァッシュ・ザ・スタンピード@トライガン・マキシマム】 [状態]黒髪化、左肩に刺突による傷(再生中) [装備]ヴァッシュ・ザ・スタンピードの銃 6/6 @トライガン・マキシマム [道具]支給品一式、拡声器@現実、予備弾丸36発分 [思考・状況] 基本:殺し合いを止める、今度こそ絶対に。 1:急いで古城に戻って水銀燈を連れて看病する。 2:新庄、伊波と同行する。ゾロについては信用。 3:ウルフウッド、リヴィオとの合流。 4:ウルフウッドがいるかもしれない……? ※原作13巻終了後から参加 ※サカキ、ロベルタの名前はまだ知りません。 ※詩音を『園崎魅音』として認識しています。詩音は死んだと思っています。 ※口径などから、学校の死体を殺すのに使われたのはロベルタの持っていた銃ではないかと考えています。 ※義手の隠し銃には弾が込められていません。弾丸を補給すれば使用可能です。 ※伊波、新庄と情報交換をしました。佐山、ブレンヒルト、小鳥遊、高槻、メカポッポ、片目の男(カズマ)の情報を得ました。 ※水銀燈の左腕が欠損していることに気づきました。 【水銀燈@ローゼンメイデン】 【状態】:全身に切り傷、左腕欠損、気絶中 【装備】:卵型爆弾@バッカーノ、強力うちわ「風神」@ドラえもん、 【道具】:基本支給品一式、ランダム支給品0~1 【思考・状況】 1:左腕…… 2:今はゼロから逃げる 3:ローザミスティカは必ず手に入れる。 【備考】 ※ナナリーの存在は知りません ※会場がループしていると確認。半ば確信しています ※古城内の大広間に『○』型のくぼみがあります。このくぼみに何が当てはまるかは不明です。 ※魅音(詩音)、ロベルタの情報をサカキから、鼻の長い男の(ウソップ)の情報を土御門から聞きました。 ※気絶していますがヴァッシュの声は無意識に届いています。 【支給品解説】 きなこ練乳@とある魔術の禁書目録 学園都市に置いてある自動販売機に置いてある飲み物で 今回、病室の冷蔵庫中にいくつか置いてあった。 味はご想像にお任せします。 【備考】 ゾロ・新庄・伊波の情報まとめ ゾロが直接出会った信用できる人物・・・・・チョッパー、小鳥遊宗太、佐山御言、蒼星石、前原圭一、春日歩(名前は知らない) 新庄・伊波の出会った信用できる人物・・・小鳥遊宗太、佐山御言、ヴァッシュ、高槻巌(名前は知らない)、メカポッポ 話伝いに聞いた安全と思われる人物(死亡情報のある人物は除く) 真紅(蒼星石より) 橘あすか(劉鳳より) 竜宮レナ(前原圭一より) 北条沙都子(前原圭一より) 園崎詩音(前原圭一より) 古手梨花(前原圭一より) ニコラス・D・ウルフウッド(ヴァッシュより) リヴィオ・ザ・ダブルファング(ヴァッシュより) サカキ(ヴァッシュより・名前は知らない) 安全か危険か判断出来ない人物(死亡情報のある人物は除く) ブレンヒルト・シルト アルルゥ(情報は獣耳の幼女とあるのみ、名前は知らない) 東方仗助(情報はリーゼントの男とあるのみ、名前は知らない) ゼロ 水銀燈(蒼星石、ヴァッシュからの情報) ロベルタ(情報はメガネをかけたメイドとあるのみ) 吉良吉影(名前は知らない) 直接出会った危険人物(死亡情報のある人物は除く) アーチャー カズマ 話に聞いた危険人物(死亡情報のある人物は除く) ライダー(前原圭一より) クーガー(春日歩より・名前は知らず情報はむっちゃくちゃ速い人とのみ) カズマ(劉鳳、春日歩より・春日歩からは名前は分からず物騒な腕をした不良とのみ 二人があった男と大阪の言っていた人物が同一人物という情報はありません) リヴィオ(春日歩より・名前は知らず情報は奇妙な髪の男とのみ ヴァッシュから聞いたリヴィオと同一人物という情報はありません) 時系列順で読む Back 偶然と必然のあいだ Next 私のお墓の前で泣かないでください 投下順で読む Back Deus ex machina ―終演― Next 私のお墓の前で泣かないでください Back Next それは誰にも聞こえぬ歌――勇侠青春謳(後編) ヴァッシュ・ザ・スタンピード Working×Walking×Warning それは誰にも聞こえぬ歌――勇侠青春謳(後編) 水銀燈 Working×Walking×Warning 太陽-The Sun- 伊波まひる Working×Walking×Warning 太陽-The Sun- 新庄・運切 Working×Walking×Warning 太陽-The Sun- ロロノア・ゾロ Working×Walking×Warning 地獄への道 ハクオロ Working×Walking×Warning
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知人の奇妙な行動 ◆yvUxRPre9c 「大丈夫だからさ、さっきの城の病室に戻ればなんとかなるかもしれないから」 そんなことを片方の腕のない動かない女の子の人形を持って森の中を一人の男が駆け抜けていく、 端から見れば危険な人間としか見られないだろう、あるいは大切な人を殺されて 壊れてしまった人間と見られてしまうかもしれない、ただ、ヴァッシュは知っている。 この人形が自由に動き、しゃべり、こちらの行動に反応することを かつて戦った事のある人形遣いエミリオのそれとも違う動きをする。 そして首に付けられたこの首輪、つまりこの子はこの殺し合いに参加させられた被害者の一人という事になる。 数時間前に古城で拡声器を使った時に一番最初に出てきた人形である。 たしか名前は水銀燈と言っていた。その時はもう一人、ゼロと名乗る仮面の男が一緒にいたのだが、彼は一体どうしたのか、 いや、今はこの子を城に連れて行くのが先だ、新庄君達も協力してくれるだろう。 呼吸をしている以上はまだ助かるはずだから 「もうすぐで病室に着くから」 ヴァッシュは必死に人形を励ましながら古城の病室へと引き返している。 ○ 「うあああああああああああああ!!ルフィてめえええええええええ!!」 「ワアアアアアアアアアアアアアアア!?」 「あ? てめえ……誰だ?」 「さっきの叫び声をなかったことにしないでよ!? なんで突然叫ぶのさ!?」 「おれの刀はどこだ」 「お願いだから話題を一つに絞ってくれないかな! あ!そんなことより君の血液型――」 城の中の病室の中で突然大きな叫び声が聞こえる 外には大して声は漏れていないようだが、 「いいからそこにある俺の刀をよこせ!」 「その前にまずは君の傷を治療してからだね、それとも君、殺し合いに乗ってるの?」 質問をしながら新庄は身構える、おそらく大丈夫であろうがもし殺し合いに乗っていたのなら 逃げ場など限られているし、ひょっとしたら一瞬で殺されてしまうかもしれない、 別に武器を取り上げていることは安全になるというわけではないのだから。 「いや、殺し合いには乗っていねえ、剣士として常に刀を持つ、それだけだ」 その言葉を聞いてとりあえず安堵する、殺し合いには乗っていないという証言その一言が新庄を安心させた。 「てなわけでこいつは返してもらうぜ」 「待って、先に治療と輸血を……っわっ、」 「これくらいかすり傷だから……うおっ」 ゾロが刀を自分の手元に置こうとしたのを止めようと 刀の引き合いになったが力比べではゾロのが上 刀を思いっきり引っ張った為新庄は体ごとゾロの方に引き寄せられてゾロの上に倒れこんでしまった。 「新庄君、今の音何?……!!!!!!!!!」 まひるはヴァッシュを見送って二人のいる南東の医務室に戻っていると突然叫び声が聞こえたので慌てて向かっていった。 しかし扉を開けてみると医務室のベッドの上で二人の男が手には同じ刀を持ち顔を近づけて体を重ねていた。 思いっきり引っ張っても刀を放さなかった新庄君が結果としてゾロを押し倒したような形になっていたのだが 事情を知らないピュアな女の子のまひるにしてみればそれはあまりにも衝撃的なものであった。 ほかに人のいない医務室の男の人二人が体を重ねてベッドで寝ている。 男性恐怖症という特徴を持つのまひるにとっては尚更、 「しししし新庄君の不潔ーーー」 「いい、伊波さんかんちがアァーー、グフッ!」 勘違いをしたまひるのパンチが新庄を直撃し、釈明をしようとする言葉を中断させ、 そのまま倒れこんでしまった 【新庄・運切@終わりのクロニクル 死亡確ー】 「つまり俺たちを見て、何か変な関係か何かだと勘違いしちまった訳だな」 「そ、そのごめんなさい」 ゾロから少し距離を置きまひるは必死に謝っている 「大丈夫ですよ、なんとか誤解も解けたみたいですし」 勘違いにより殴られた新庄君がなんとかこの場を纏める、 ああ、これは一体何回目の行動になるのか…… 【新庄・運切@終わりのクロニクル 生存確認】 「それにしても変態だなんて佐山君じゃあるまいし」 「ん?何だお前も佐山のこと知ってるのか?」 少し落ち込んだ表情をした新庄であったがゾロの質問に驚く 目の前にいるこの緑の髪の人とあった事などないはずだ、それとも僕の知らない佐山君の知り合い 確かに声は聞いたことある気がするんだけど、 「君、佐山君のこと知ってるの?」 「ああ、キャンプ場でだったが離れ離れになってなければ小鳥遊って奴と一緒にいるはずだが、 …じゃあお前ひょっとして新庄運切か?」 「そうです、僕は新庄「小鳥遊君と一緒にいるんですか!!?」 今度はまひるが声を上げる、お互いの探してる相手が一緒に行動している事が分かったからだ 名簿に名前が載っているいることと放送で名前が呼ばれていないこと以外に情報が無かった 小鳥遊宗太と佐山御言をこの会場で知る人物が現れたからだ。 「それじゃあ小鳥遊君は佐山君と一緒なんですね」 「いや、それはわからねえ、」 「どうして」 「もう一人蒼星石って奴もいたんだが、さっきの放送で呼ばれていた、つまり今も一緒にいるかは 分からないが少なくとも一度何者かに襲われたってこった、そう簡単に分散するような雰囲気じゃなかったからな まあ放送じゃあ呼ばれてないって事は生きてるって事だろ」 「つまり、その3人はいっしょに行動していたんですね」 「ん、ああ確か駅のほうに向かうとか言っていたが、それも数時間前の話だけどな」 「そう・・・ですか」 ようやく手に入れた小鳥遊君のの情報であったが結局今何処にいるのかは分からずじまい、 それでも今までとは違い小鳥遊君と佐山君が共に行動してるかもしれないという事が 分かっただけでもいいのかもしれないが、 「ところでその蒼星石って人はどんな人だったんですか?」 ふとそんな質問があらわれた 「ん?ああ、人の股下くらいの大きさしかない女の人形だ、 ローゼンメイデンなんて呼ばれてるらしいがな」 「!!」 妙な不安が二人を襲う、それに気づいてかどうかは分からないが ゾロは話を続ける 「小鳥遊の奴、蒼星石に出会うやいなや思いっきり抱きついてたぞ 佐山も蒼星石の尻を散々触ってたな、…しかも」 「「し……しかも!」」 「あいつら蒼星石に触るたびに妙な笑みをこぼしてやがった!」 友人、仲間、相棒、そのどれかにはあてはまる人物の奇妙な行動を聞き 一体何をしているのかと少し呆れ、蒼星石に少し同情をしながらも二人はある確信を手に入れていた。 (間違いない、この人は佐山君の事を知っている、佐山君らしい行動だもん) (間違いない、この人は小鳥遊君の事を知っている、小鳥遊君ならありえる) 知り合いと言うことを隠したくなるような行動であるが、同時に探している相手らしい行動でもある、 さらに、自分の探している相手は少なくとも数時間前は単独で行動しているわけではなく 尚かつ自分たちを捜そうとしていることを知ったからだ。 放送で呼ばれてない以上はまだ生きているし、まず無いと思っていたが 殺し合いにも乗っていないという証言も手に入った。 一方のゾロにしてみても佐山・小鳥遊の探し人が無事に目の前にいることに安堵をしていた。 新庄・伊波の二人を心配している小鳥遊・佐山を見ているからであろうか ともあれ少し話した限りでは少し変わっている人間であるがあまり危険は感じない、 最も二人からすれば変わった人間にはある意味なれてしまっているのかもしれない。 それに元からの知り合いと、この会場内で出会ったという違いはあるとしても 共通の変態の知り合いがいることが大きいだろう。 3人はゾロに簡単な治療をすると病室の冷蔵庫からきなこ練乳なる飲み物を取り出し 男性恐怖症のまひるの為に少し距離を開けながらも 各人の自己紹介とここに来てからのいきさつを順番に話し始めた、 ルフィやウソップを殺した相手のことが分かるかもしれない、 どこかにいるチョッパーのことを知っているかもしれない、 ひょっとしたら他にも欲しい情報を持っているかもしれない、 何かしらの主催者の事を知っているかもしれない、 首輪について何か知っているかもしれない、 もっと佐山君や小鳥遊君の事をここでの事を教えて欲しい 様々な憶測と可能性を期待しながら ○ 「カーッカッカッカッカッ 獣じゃ主は最高の獣じゃ、もっと本当の力を出せ そのためなら、民も兵も国も贄として出してやる 主は災いを呼び出す獣よ クッチャ・ケッチャもそなたの獣を出すための贄よ」 かつて戦った事のあるシケルペチムの皇ニウェに言われた言葉が突然頭をよぎる。 一体なぜ、ひょっとしたらこれも奴の仕業なのか、いやニウェは確かに死んだ、この手で どうやったのかはよく覚えていない 燃えるシケルペチムの城の中であの時…… 巨大な牙…鋭利な爪…鋭い眼光…獣? ハクオロはそんな事は後回しだと言わんばかりに何度も首を振る、何より今はそれどころでは無いのだから 「アルルゥ、どこにいるんだ?」 この殺し合いの舞台に巻き込まれた家族の一員を探してハクオロは当てもなく森の中を彷徨う、 トウカもベナウィもカルラもエルルゥももういない残された家族はもうアルルゥしかいない 血は繋がっているわけではない自分のことを“おとーさん”と呼ぶ娘を求めて だがどこにいるという心当たりもない上まともに情報交換の出来たレッドやライダーも 出会ってないらしい、もし中央部に向かっていったライダーに会うことが出来たのならば 間違いなくアルルゥを保護してくれるだろう。それはレッドに関しても言えることだが、 別にあの二人に全幅の信頼を置いているわけではないし、アルルゥの保護は自分の役目だと 考えていた、ただ、それでもアルルゥがどこにいるのか分からない以上は 二人とは別の方向、西を進路に取って森の中を進んでいった。 しばらく森の中を歩き、森を抜けたハクオロの目の前に大きな城が現れ そして城に向かって南方から城に向かって走る男の姿が確認できた。 ○ 「あとはこのリーゼントの男と獣耳の幼女だな」 劉鳳の名簿に書かれていた名前もわからない二人の危険人物かもしれない二人、 ゾロ自身賞金首であること、襲われた上で入れ墨の男が乱入した事の顛末を話しながら 話を聞いていた二人、特にまひるは賞金首=犯罪者というイメージがあるのか戸惑いを見せたが ヴァッシュも賞金首であること、小鳥遊の事を知ってるなど そして様子を見る限り殺し合いには乗っていない事などのの理由からあっけなく受け入れられた。 さらに劉鳳の名簿に×を付けられていたもう一人の名前の主カズマがこのゲームに乗っていることから ×が危険人物で○が仲間という考えは簡単に納得できた。 「じゃあ、この橘あすかさんとって人とストレイト・クーガーさんは殺しあいに乗ってない可能性が高いと」 「ああ、俺に懸っている賞金のことを知ったら襲い掛かってくるかもしれないがな」 ゾロ、伊波、新庄の3人の元から知り合いであるチョッパーやブレンヒルトの事、既に名前の呼ばれたルフィやウソップ クロコダイルの会場での行動は3人とも知らなかった。 一方でこの3人殺し合いに連れてこられて来てから出会った人物に関しては多くの情報を得ることに成功した。 ゾロからは既に話した佐山達や劉鳳の他に、既に死んだ入れ墨の男、スーツを着た海賊 電車の中で会ったムカつく金ぴか鎧と圭一という召使い、川で流されていた女のこと 一方新庄からは危険な相手に向かっていった通りすがりのサラリーマン 遊園地の近くでカズマに襲われたこと少し前にこの古城にいた人形や仮面の男の事 そしてこの会場で話た人物から聞いた話も続けた。 蒼星石から聞いたローゼンメイデンの翠星石と真紅と水銀燈のこと。 劉鳳の名簿に乗っていた橘あすかとクーガー、リーゼントの男と獣耳の幼女。 圭一から聞いた衛宮切嗣、ライダー、古手梨花、竜宮レナ、北条沙都子、園崎魅音、園崎詩音。 川で流されていた女から聞いた奇妙な髪型をした男の人。 やたらとうるさくてむちゃくちゃ速い男の人。 赤いコートの指名手配犯――ヴァッシュ・ザ・スタンピード。 物騒な右腕をした不良。 そしてヴァッシュから聞いた、ニコラス・D・ウルフウッド、リヴィオ・ザ・ダブルファング。 広瀬康一、黒服の男、眼鏡を掛けたメイド、園崎魅音のこと。 そして又聞きとなるが広瀬康一からヴァッシュを通じて聞いた吉良吉影と東方仗助のこと。 何人かは同じ人物のことになるがこの会場にいるはずの人物に関しては 65人のうちおよそ2/3に近い人物情報がまとまったことになる。 うち園崎魅音やヴァッシュのように異なった情報を持っていたり 既に放送で呼ばれた名前もある。 名前も姿もわからない人物も多く間違っている情報も多いかもしれない 3人とも気付いていないがカズマやリヴィオに至っては3か所から情報が来ている。 「そうだ、それと…さっき森の中で一つ死体を見つけたんだが」 そういってゾロは首輪を出した、誰のものとも分からない死体から持ち出した首輪であった。 「その首輪が光ってどっかから変な声が聞こえたんだが もった瞬間に変な声が聞こえたんだ“力は等しくなる”って」 「それ、ひょっとして、概念!!」 「え!新庄君、概念って?」 突然出てきた概念という二人にとってあまり聞いたことのない単語に二人は首を傾げる もともとあまり知られていない力なのだから仕方がないのかもしれないが 「ああ、説明がなかったね、概念っていうのは…」 「いや、説明はもう少し後になりそうだどうやら客が来たみたいだぜ!」 ゾロの言葉に二人は窓に目を向ける、 すると南からは先ほど出て行ったヴァッシュが何かを抱えて、 一方東からは見覚えのない仮面の男がゆっくりとこっちに向かって来ている。 「ヴァッシュさん、ずいぶん早いけど忘れものかな」 「あっちの仮面の人はゾ、ゾロさんは知ってますか?」 「いや、」 この城に向かってこようとしている二人の存在、 ヴァッシュはともかくとして仮面の男に関しては殺しあいに乗っているかもわからない とりあえず接触してみるのが吉か、それともやり過ごすべきか? 「なーに危険な奴だったら俺が叩き斬ってやる」 「あ、ちょっと待ってください、危険って決まったわけでもないのに」 そう言って二人は病室を出て仮面の男の方へ急いで向かって行った。 ゾロに至っては治療を終えたばかりというのに、 「私は…ヴァッシュさんの処へ、何か持っていたみたいだったもんね」 そういって最後に残ったまひるも病室を出て行った。 これからこの古城で何が始まるのか、ヴァッシュが2人には話さなかった殺してしまった男ベナウィ それが今城に向かって来るハクオロの仲間であるのは偶然かはたまた運命の悪戯か 今はまだ分からない、そう、今はまだ…… 【A-2 古城跡・2階・Dr.くれはの医療室前/一日目 午後】 【ロロノア・ゾロ@ワンピース】 [状態]疲労(中)、全身にダメージ(大)(止血、消毒、包帯済み)、左腿に銃創(治療済み)、 [装備]八千代の刀@WORKING!!、秋水@ワンピース、雪走@ワンピース [道具]支給品一式×2(食料と水一人分消費)、麦わら海賊団の手配書リスト@ワンピース、迷宮探索ボール@ドラえもん、 不明支給品(1~3)、一方通行の首輪(血がこびりついている) [思考・状況] 0:向かってくる仮面の男が安全かどうか確かめる。 1:傷を治す為病院に向かう。 2:ウソップとルフィの仇打ち 3:ゲームにはのらないが、襲ってきたら斬る(強い剣士がいるなら戦ってみたい) 4:ルフィ(死体でも)、チョッパーを探す。橘あすかにも会ってみたい。リーゼントの男、ヴァッシュにも興味 5:佐山・小鳥遊の探し人に会えて安堵 6:首輪の秘密が気になる。 7:金ぴか鎧(アーチャー)は次に会ったらただではすまさない。 8:あの声は何だったんだ? 9:概念?何だそりゃ? ※参戦時期は少なくともエニエスロビー編終了(45巻)以降、スリラーバーグ編(46巻)より前です。 ※吉良吉影のことを海賊だと思っています ※黎明途中までの死亡者と殺害者をポケベルから知りました。 ※入れ墨の男(ラズロ)が死亡したと考えています ※圭一に関しては信用、アーチャーに関しては嫌悪しています。 ※雪走が健在であったことに疑問を抱いています。 ※大阪(春日歩)から、危険人物としてクーガー、カズマ、ヴァッシュの情報を教えられました。 ※不明支給品は一方通行のものです。 ※新庄・伊波の二人と情報を交換しました、どちらかが幾つか間違った情報を持っていることも 気づいています。 ※1回目、2回目の放送の内容を新庄、伊波の二人から聞きました。 【新庄・運切@終りのクロニクル】 [状態]:健康、顔に腫れもの [装備]:S W M29 6インチ 6/6@BLACK LAGOON 、尊秋多学園の制服、運命のスプーン@ポケットモンスターSPECIAL [道具]:支給品一式(食料一食消費、水1/5消費)、予備弾丸26/32 、一方通行の首輪(血がこびりついている) [思考・状況 ] 1:ゾロと仮面の男の所へ行く。 2:ヴァッシュを待つ。 3:メカポッポを待ってみる。(なかば諦め) 4:まひると行動しながら小鳥遊を捜す。 5:佐山と小鳥遊のことを聞いてひとまず安心しつつも変態的な意味での不安が…… 5:佐山と合流しここから脱出する 6:ブレンヒルトについてはまだ判断できない。 7:人殺しはしない。 8:ゾロについてやや信用。 9:概念、どうしてここに ※小鳥遊宗太については、彼の性癖とかは聞いています。家庭環境は聞いていません ※新庄の肉体は5:30~6:00の間にランダムのタイミングで変化します。 変化はほぼ一瞬、霧のような物に包まれ、変化を終えます。 午前では女性から男性へ、午後は男性から女性へ変化します。 ※参戦時期は三巻以降です ※カズマを危険人物だと認識しています ※まひるに秘密を話しました次の変化のときに近くの人に話す必要は… ※ヴァッシュと情報交換をしました。ウルフウッド、リヴィオ、広瀬康一、メイドの女性(ロベルタ)、園崎魅音(詩音)、黒服の男(サカキ)についての情報を得ました。 ※ベナウィの事は聞かされていません。 ※ゾロの声に聞き覚え? ※ゾロと情報を交換しました、どちらかが幾つか間違った情報を持っていることも気づいています ※古城跡の2階の南東の角の1室が、Dr.くれはの医療室@ONE PIECEになっています。 【A-2 南部 古城前/1日目 午後】 【ヴァッシュ・ザ・スタンピード@トライガン・マキシマム】 [状態]黒髪化、左肩に刺突による傷(再生中) [装備]ヴァッシュ・ザ・スタンピードの銃 6/6 @トライガン・マキシマム [道具]支給品一式、拡声器@現実、予備弾丸36発分 [思考・状況] 基本:殺し合いを止める、今度こそ絶対に。 1:急いで古城に戻って水銀燈を連れて看病する。 2:新庄、伊波と同行する。ゾロについては信用。 3:ウルフウッド、リヴィオとの合流。 4:ウルフウッドがいるかもしれない……? ※原作13巻終了後から参加 ※サカキ、ロベルタの名前はまだ知りません。 ※詩音を『園崎魅音』として認識しています。詩音は死んだと思っています。 ※口径などから、学校の死体を殺すのに使われたのはロベルタの持っていた銃ではないかと考えています。 ※義手の隠し銃には弾が込められていません。弾丸を補給すれば使用可能です。 ※伊波、新庄と情報交換をしました。佐山、ブレンヒルト、小鳥遊、高槻、メカポッポ、片目の男(カズマ)の情報を得ました。 ※水銀燈の左腕が欠損していることに気づきました。 【水銀燈@ローゼンメイデン】 【状態】:全身に切り傷、左腕欠損、気絶中 【装備】:卵型爆弾@バッカーノ、強力うちわ「風神」@ドラえもん、 【道具】:基本支給品一式、ランダム支給品0~1 【思考・状況】 1:左腕…… 2:今はゼロから逃げる 3:ローザミスティカは必ず手に入れる。 【備考】 ※ナナリーの存在は知りません ※会場がループしていると確認。半ば確信しています ※古城内の大広間に『○』型のくぼみがあります。このくぼみに何が当てはまるかは不明です。 ※魅音(詩音)、ロベルタの情報をサカキから、鼻の長い男の(ウソップ)の情報を土御門から聞きました。 ※気絶していますがヴァッシュの声は無意識に届いています。 【支給品解説】 きなこ練乳@とある魔術の禁書目録 学園都市に置いてある自動販売機に置いてある飲み物で 今回、病室の冷蔵庫中にいくつか置いてあった。 味はご想像にお任せします。 【備考】 ゾロ・新庄・伊波の情報まとめ ゾロが直接出会った信用できる人物・・・・・チョッパー、小鳥遊宗太、佐山御言、蒼星石、前原圭一、春日歩(名前は知らない) 新庄・伊波の出会った信用できる人物・・・小鳥遊宗太、佐山御言、ヴァッシュ、高槻巌(名前は知らない)、メカポッポ 話伝いに聞いた安全と思われる人物(死亡情報のある人物は除く) 真紅(蒼星石より) 橘あすか(劉鳳より) 竜宮レナ(前原圭一より) 北条沙都子(前原圭一より) 園崎詩音(前原圭一より) 古手梨花(前原圭一より) ニコラス・D・ウルフウッド(ヴァッシュより) リヴィオ・ザ・ダブルファング(ヴァッシュより) サカキ(ヴァッシュより・名前は知らない) 安全か危険か判断出来ない人物(死亡情報のある人物は除く) ブレンヒルト・シルト アルルゥ(情報は獣耳の幼女とあるのみ、名前は知らない) 東方仗助(情報はリーゼントの男とあるのみ、名前は知らない) ゼロ 水銀燈(蒼星石、ヴァッシュからの情報) ロベルタ(情報はメガネをかけたメイドとあるのみ) 吉良吉影(名前は知らない) 直接出会った危険人物(死亡情報のある人物は除く) アーチャー カズマ 話に聞いた危険人物(死亡情報のある人物は除く) ライダー(前原圭一より) クーガー(春日歩より・名前は知らず情報はむっちゃくちゃ速い人とのみ) カズマ(劉鳳、春日歩より・春日歩からは名前は分からず物騒な腕をした不良とのみ 二人があった男と大阪の言っていた人物が同一人物という情報はありません) リヴィオ(春日歩より・名前は知らず情報は奇妙な髪の男とのみ ヴァッシュから聞いたリヴィオと同一人物という情報はありません) 時系列順で読む Back 偶然と必然のあいだ Next 私のお墓の前で泣かないでください 投下順で読む Back Deus ex machina ―終演― Next 私のお墓の前で泣かないでください Back Next それは誰にも聞こえぬ歌――勇侠青春謳(後編) ヴァッシュ・ザ・スタンピード Working×Walking×Warning それは誰にも聞こえぬ歌――勇侠青春謳(後編) 水銀燈 Working×Walking×Warning 太陽-The Sun- 伊波まひる Working×Walking×Warning 太陽-The Sun- 新庄・運切 Working×Walking×Warning 太陽-The Sun- ロロノア・ゾロ Working×Walking×Warning 地獄への道 ハクオロ Working×Walking×Warning
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陸遜シグムント (2) シーブックは、さすがにアレだと思ったのでシグムントにしてみたんだけど、同じような名前が多いので、通称はアノーになるかと。 「バルタス王国の貴族と伺った」 「アノー伯爵家嫡子、シグムントと申します。大公姫殿下。父はレズリー・ユーキウソンと申します」 シグムントはゆっくりと顔を上げる。 その人は美しかったけれど、その青い瞳は冷たかった。天幕にしつらえられた唯一の椅子に座っている。うねる銀色の髪は長く、肩にかかっている。けれど身に着けているのは戦衣だった。 ヒルデガルド・ハーラルドッテル・フィンゴルド大公姫その人だ。己とそれほど年が変わらないことに少し驚いてもいた。 大公姫は天幕に姿を見せるとともに自ら名乗り、そして席に腰を下ろした。その背後には、彼女を守るように壮年の男性が立つ。短く刈った白髪頭で、青い瞳がシグムントを見据える。 そして大公姫は言う。 「伯爵家御子息ともあろう方が、ご家族とともに避難せざるを得ない。それほど追いつめられているということか」 揶揄ではないのはわかっていたけれど、その言葉は重くシグムントの胸に響く。 「はい。大公姫殿下」 シグムントの胸にはずっと詳しく書きつづられた書状の束がある。父の書き送ってきた最後の書状だ。戦陣の多くの出来事が書き連ねられている。父が帰らなかったとしてもシグムントの役に立つようにと。事実はすなわち力なのだと。 「大公姫殿下にお願いがございます」 「食料、水、住居か」 素早い応えに、むしろシグムントが戸惑う。 「はい、大公姫殿下。ゴーラ民として」 「やむを得ぬだろう。だが長きにわたりとは行かぬ。末にはおそらくは散り散りになる」 「・・・・・・」 「そうであろう、レズリーソン・アノー殿」 厳しくも、頭の良い人だとシグムントは思う。出しうるものについては、問われるまでもなく示し、出せぬものについては匂わせすらしない。それはシグムントを話すに足る相手であると見なしつつ、同格ではないとも見なしている。そして今のままなら、バルタス王国難民は離散であると毛筋ひとつ動かさずに言うのだ。 大公姫という器は、それほど大きなものなのだろうか。 「・・・・・・」 伯子としてのシグムントは、ここの所の変転に追われるばかりであった。父とともに戦陣に立たず、母や妹とともに逃れ来た。恥と思う心は、道中の難儀で消えていた。母と妹のみで、ここまで逃れ来るのは無理であったろう。父はそれを案じていた。そして正しかった。 「・・・・・・」 父は最後に本と言っていいほど長い書状を送ってきていた。くれぐれも母と妹を頼むと。郎党のうち、守りのものを伴い、急ぎバルタスを離れよと。父の末はわからない。生きて会えるとも思っていない。 「・・・・・・」 父の書状にはあった。離散すればバルタスの物は二度と集うこと叶わぬだろうと。帝國との戦い、これはバルタスをつなぐ最後のかすがいとなろうと。 シグムントは言った。 「我らバルタスの民、帝國への恨み骨髄にございます。この危急の折、かならずやお役にたつかと」 「貴兄は、帝國軍と合いまみえたのか。いや、貴兄らのともがらの中からでも構わぬ」 「舞い飛ぶ物の怪ならばいくどとなく」 「それはわたしも見た」 言い、それから大公姫は少しの笑みを浮かべる。 「物の怪とは面白い言い様だ。確かに物の怪としか言いようがない。あれは」 翼を広げ、陽光にきらめきながら飛ぶ姿を、今や天使や使徒というものはもういない。だが悪魔というには美しすぎる。本当の悪魔とはああいうものかもしれないと、シグムントは思う。 だがあれは人の手によるものだ。人の手により作り出された、人の力を越えたもの。機神とは良く名づけたと今にして思う。 だが、と大公姫は言う。 「それだけでは物の役には立たぬ」 ヒルデガルド大公姫は静かに言う。もはやシグムントに何も求めぬというように。 その手が静かに振られれば、シグムントは退出させられるだろう。おそらくは二度と会うことはない。 だから賭けた。 「帝國の前衛、騎兵としてあり。しかしながら騎兵のみならず。重装の軽機装甲これともなえり」 「・・・・・・」 「その脚早く、軽機装甲に並ぶものなり。一時にX哩。馬とも足並みそろうものなり。好んで砲丸投ぜり。以て我が方の騎兵を制せり」 父の書状の一部だ。何度も何度も読んだ。バルタスを出て、海を渡る船の中で。父の書状が、いまのシグムントを支えていた。 ヒルデガルド大公姫は、シグムントを見る。 「続けられよ」 「これはバルタスがいくさによるもの。ゴーラのものとしてならばお教えいたせますが、ゴーラのものとして、フィンゴルド方々、御助力頂けましょうか」 ヒルデガルド大公姫はわずかに笑みを見せる。 「たしかに」 だが、とも大公姫はいう。 「バルタスの民を、住まわせるところそのものがない」 「開拓のお許しを」 「それは大公殿下のお許しが必要だ」 「どうか、大公殿下へのおとりなしを」 「この戦い、ゴーラの戦いであり、バルタスの民は変わらずそこに身を投じる覚悟と受け止めてよいか」 ゴーラの紐帯など、つまるところはこのようなものだ。 応と答えることは難しい。戦えるものは、バルタスに残り、討ち死にの覚悟をもってある。海を渡ったものらは、戦えぬものと、それを守るために苦渋の涙を流したものだ。フィンゴルドのためになど戦えぬ。だが否と答えることはもっと難しい。 それでは、すべてを失う。 「・・・・・・」 どうしただろう。父なら。 父なら。 「・・・・・・」 シグムントは踏み出し、片膝をつく。 父なら、母と妹のために、その身を投げ出すだろう。 「我がアノー郎党。帝國との戦い、これ捨てることはございませぬ。我、レズリーの息子シグムント、父が果てたならば、ゴーラの息子としてその剣引き継ぎ、父が宿願、父が復仇を果たしまする」 言ってしまった、胸に思ったときに、大公姫も応じる。 「レズリーの息子シグムント殿の決意、しかと聞いた。その一念、シグムント殿の胸にある限り、ハーラルの息女ヒルデガルドは、ゴーラのものとして捨て置けぬ」 「ゴーラの紐帯ありがたく」 「立たれるが良い、アノー殿」 シグムントは顔上げ、ヒルデガルド大公姫を見る。大公姫のおもてには、それまでとは違う何かがあるようにみえる。 それまでの冷たいとすら言える面貌と奥底にあった何かが、僅かにうかがえるところに、浮き上がってきている。 シグムントにはそう見えた。ヒルデガルド大公姫は立ち上がり、さらに言う。 「覚悟は伺った。大公殿下はアノー殿のそのお覚悟、伺えばお喜びとなろう。お立ちになられよ」 「・・・・・・」 みちびかれるままに立ち上がり、ヒルデガルド大公姫にまっすぐに向きあえば、やはり彼女は美しくまた、背も高かった。ヒルデガルド大公姫は言う。 「貴兄のお選びになった道は、我がフィンゴルド建国以来の苦難の道。だが、それこそがバルタスの民を救うものとなろう」 「・・・・・・はい、大公姫殿下」 「誰しらずとも、わたしが貴兄の苦しみを知ろう。しかしわたしとてフィンゴルドの者。常の力などにはなれぬ」 「・・・・・・はい、大公殿下」 驚きをシグムントは飲み込む。ヒルデガルド大公姫は少しの笑みを見せる。 「悪名を受けられよ。その半分はわたしのものだが」 そしてヒルデガルド大公姫は言った。 「アノー殿、郎党男子を集められよ。これより、バルタス王国より難を避けし民らをこのままにはしておけぬ。駆り集め、ここより別へ移さねばならぬ。その足によってだ」 「・・・・・・」 「漂着のままとしておけようか?それとも我がフィンゴルド兵に行わせるか」 「いえ、大公姫殿下」 シグムントは応じる。 「やむなきならば、我が手にて」 そして頭を垂れる。 ヒルデガルドへではなく、これより訪れる苦難の道を思って。 実はアノー殿は、すでに手を汚している。 難民船の船長が略奪に近い運賃を取り立てはじめたとき、を始めたときに、彼は母と妹を守るために、略奪者を射殺し、さらに郎党と共に船の指揮権を奪取しているはず。 殺さなくても、支払うだけで済んだ可能性はあったけれど。 ┣¨Сなんで。