約 1,413,406 件
https://w.atwiki.jp/oreqsw/pages/1291.html
エピローグ……! 571 :淫獣さん恋をする:2011/07/02(土) 02 16 52.56 ID VqKfAAkN0 エピローグ ―1942年 スオムス ヘルシンキ マンネルハイム「スオムスへようこそ、俺少佐。」 俺「いやぁ…マンネルハイム将軍直々にお出迎えしていただけるとは、感激の極みであります。」 マンネルハイム「何をおっしゃるのですか。我が国の英雄をお迎えするのです。私でも役者不足ですよ。」 俺「英雄……ですか……。それは些か大げさだと思いますが……。私は大した功績を立てていませんし…。」 マンネルハイム「あなたは我が祖国のために命をかけて戦ってくださったのです。それを英雄と言わなくて、何と言いますか。」 俺「…………ありがとうございます。」 マンネルハイム「それで…今回はどういったご用件でスオムスへ?」 俺「まぁ、休暇でちょっと久しぶりに恋人に会い来まして…。」 マンネルハイム「ほほぅ…彼女に会いに来たのですか。」 俺「はい。会うのはだいたい3年ぶりくらいですね。アイツ、元気でやってますか?」 マンネルハイム「元気ですよ。ここ、ヘルシンキにも様々な逸話が伝わって来ているくらいです。」 俺「ハァ……まだ直ってねぇんだなぁ…あのクセ。」 572 :淫獣さん恋をする:2011/07/02(土) 02 17 40.72 ID VqKfAAkN0 マンネルハイム「………。」ニコニコ 俺「すいません、マンネルハイム将軍。そろそろ失礼します。 とっととアイツの所に行かないといけないんで。」 マンネルハイム「そうですね。早く恋人に会いたいですよね。 彼女に会ったら、まず何と言うおつもりですか?」 俺「そうですねぇ…」 『会いたかったぞ、マイリトルスウィートエンジェル…ハルカ!!!!』 俺「ですかね。」 お わ り
https://w.atwiki.jp/narimite/pages/60.html
エピローグ 二宮 央 その後。 乱れた部屋を全員で整え、りなの持参したお菓子を食べた。 あの先輩が好きだとか、あの1年生が可愛いとか、秘密の話もした。 「こんなチャンス滅多にないから」と、全員で記念撮影もした。 枕投げの後なので、髪が乱れていたり、パジャマがしわくちゃだったり。 「枕投げの前に撮るべきだったわよね」なんてお互いの姿を笑い合いながら。 翌日。 「首が痛い!」 「肩が上がらない!」 「青痣が出来た!」 等の言葉が生徒の間で飛び交った。 まぎれもない筋肉痛である。 「日頃の運動不足が祟ったんですのね」 「気の毒ねぇ」 腐っても現役運動部。 枕投げ首謀者、彩と央は平気な顔で周りの惨状を見渡す。 「まぁ、今日はクラス単位で美術館巡りですから支障はないでしょう」 自分の言った言葉に納得するように、うんうんと央が頷く。 「天気もいいし、今日も楽しくなりそうですわ」 彩が空を見上げながら微笑んだ。 イタリアの空は今日も快晴。 楽しい旅行はまだまだ続きそうです。 「もう、央さんと彩さんの誘いには乗らない……」 枕投げは楽しかったけれど、この代償は高過ぎる。 筋肉痛を堪えつつ美術館を歩く2年生の集団は一様にそう呟いていた。 目次へ戻る
https://w.atwiki.jp/holyland5/pages/144.html
真野来人 プロローグ 校門付近に設置された、 鬼雄戯大会の参加者を報せる掲示板。その前に、男が一人。 かつて学園で最速と恐れられた四人。 南波南、黒き旋風、大木区するね、そして自分、真野来人。 掲示板に目を通す。 南も、黒き旋風と名乗るあの男も死んだ。当然名前は載っていない。 唯一、期待していた大木区するねの名も、そこには無かった。 「俺だけか、残ったのは。」 びゅう、と風が吹き、砂が巻き上がる。 次の瞬間、男の姿は消えていた。 「これで誰も、俺に追いつけない。」 悲しげな呟きだけを残して。 応援作品へ移動<<|メニューへ移動|>>真野来人の個別ページへ移動
https://w.atwiki.jp/dattai/pages/3304.html
75-429 429 名前:(○口○*)さん:09/02/04 10 41 ID N80YpQPYO 脱退理由「IN率が下がるので」 アカデミーで募集のあった 初心者歓迎中接↑GV×まったりギルドに入ってみた。 俺初心者ローグ、入った次の日ギルチャでギルド狩りの話で盛り上がってる時にインした。 ギルメンA「70代アヌビスに決定な」 俺「おはようございます!ギルド狩りですか?楽しそうなので自分も参加して良いですか?」 ギルメンA「始めたてだからアイス武器ないよね?」 俺「ないです。店売りダマしか」 ギルメンB「FLEEいくつ?」 俺「201です。」 ギルメンA「木琴もないよな」 俺「ないです」 ギルメンC「殲滅も出来なくて壁も出来ないんじゃなぁ」 ギルメンA「来てもスティ位か」ギルメンB「やっぱ装備がないとね(^^;」 ギルメンA「俺さんWIZかプリ作らない?」 俺「ローグが育ったら他の職も考えたいなと思います」 ギルメンA「ローグじゃG狩りでは荷物になるし」 そのまま70代でG狩りへ皆さんはでかけました。 俺はソロでおもちゃへ 次の日飛行船に俺が乗ってると ギルメン5人が偶然に飛行船に乗って来た。 俺「こんにちは」 ギルメンB「今から火山行くんだけど水武器買った?」 俺「まだお金が足りなくて。」 ギルメンA「そか、まぁがんばれ」 こんな事が後2回ほどあり。 なんだかローグでいる事やお金や知識がない事が惨めになったので脱退し 今はギルド無しのソロでまったりやってます。 ギルドに入るなら装備揃えてからにしようと思った。 前ページ次ページスレ75
https://w.atwiki.jp/cold_blood/pages/23.html
作戦の準備は整った。 解放軍は首都へ向かって進軍を開始し、 女王ルージュ奪還のための作戦を開始する。 スカーレットと砂塵の鎖は少し遅れて合流したが、 解放軍は新たな困難に直面することとなる。 この困難を打開すべく三度砂塵の鎖は戦うこととなる。 「開戦、5人の突入作戦」 「参りましょう。アリエスとアポロは首都近辺に結集しているはずです。」 準備の出来た砂塵の鎖を伴って、転送石を用いてスカーレットは出陣した。 出迎えたのは、アリエスと似たヴァーナ猫族の男性で、クロスボウを携えている。 男の名はアポロ。解放軍の将の一人で、アリエスの兄である。 「砂塵の鎖の諸君もよくやってくれた。この戦いに勝てばローグを無力化し、 ホロコースト打破に注力できることだろう。」 アポロは続けて、ウィリーに手紙を預かっている、と手紙を渡した。 手紙には、悪い報せとして「シビリアンの同志の何名かが怪人にさせられてしまった」とあった。 怪人にさせられた同志は全員介錯したが、こうなってしまっては冷血党に所属すること自体に命の危険を伴ってしまう。 シビリアンの生き残っている同志たちを集めて接触してきた解放軍と連携し、怪人対策のチームを結成した。 目下、ウィリー程ではないが腕の立つものが政治的立場を超えて怪人との戦いにあたっている。 我々のことは心配せず自分が信じた道を進んで欲しい。 また、新種の怪人が目撃されている。人語を話し、本能だけで襲いかかってきた怪人たちが連携の採れた動きを取ってくるので十分注意して欲しい。 手紙を強く握り締めたウィリーをアリシアは気遣うが、 ウィリーはその手紙を見て「やはり、自分には許してはならない相手が居る。」と、決意を新たにしていた。 アリシアはそんなウィリーに「気負いすぎては上手くいくこともうまくいかない。今は、目の前のことに集中するべきだ」と忠告する。 例え友を手にかけることになっても、やらなければならないことはある事を、ウィリーは実感していた。 スカーレットは出陣にさきがけて集会を行うべく解放軍の兵士を集め、 アポロから、「これより我ら解放軍はローグとの戦いのため、首都へと進軍を開始する。 それに先がけて、我らが王女スカーレット様よりお言葉を頂戴する。」 と声がかかる。 壇上に上がるスカーレットは自らの傷だらけの身体を隠すことはなかった。 スカーレットの姿を久しく見ていなかった解放軍の義勇兵達は今の姿に驚きを隠せない。 スカーレットは彼らの反応にも動じることはなく演説を始めた。 「解放軍に志を持って参加してくれたことに、まずは感謝します。 私の今の姿を見て驚いた方も少なくないことでしょう。 ですが、冷血党……いえ、ローグの行っている非人道的行為は、 私の体以上にに深刻な事態をこの国にもたらすこととなるでしょう。 それを止めるために私は皆さんに協力をお願いしました。」 「ですが、戦いで命を落としては元も子もありません。 戦う前に一つだけ……身の危険を感じたら、恥じることはありません。躊躇わずに逃げてください。 生きてさえいれば、必ずやり直せます。」 「そしてその上でお願いします。私たちに……いえ、この国のためにみなさんの力を、どうかお貸しください。」 演説を終えたスカーレットは深々と頭を下げた。 アリシア達は黙って胸に手を当て、演説を聴いていた。 彼女がどれほどの覚悟を持っているはわかっているが故に、多くを語る必要はなかった。 その覚悟を義勇兵たちも感じ取ったのだろう。拍手と歓声が上がった。 「出陣だ!首都へ向け、進軍せよ!」 アポロから号令がかかり、解放軍は進軍を開始する。 その進軍の途中、アポロはスカーレットへと声をかけた。 「スカーレット様」 「はい?」 「まさか、私達にまで逃げろとは申しますまいな。」 「アポロ……」 何かを言おうとしたスカーレットを静止し、アポロは続ける。 「あなた様もご存知のはずです。私達兄弟が子供の頃、 両親を殺された上に、兄弟3人バラバラにされる寸前、女王陛下に助けられたことを。 そして、女王陛下に育てられたことを。」 「女王陛下は私達を救ってくれただけでなく、母としての温もりも与えてくださった。 あなた様だけではない。私たちにとっても母と呼ぶべきお方なのです。」 「これは、私達兄弟の総意です。義母(はは)上をお救いするまでは、逃げるつもりはありません。義姉(あね)上」 アポロはあえてそう呼んだ。幼少から女王に育てられた彼ら兄弟にとってスカーレットは義理とはいえ姉と呼ぶべき人物だった。 そして同じように、自分たちを育ててくれたルージュを義母(はは)と呼ぶのも、 彼らの不退転の決意の表れだった。 先行していたアリエス達に合流したスカーレット達。 首都がすぐ見える場所で、王城が高くそびえ立つ。 「兄さん」 そうアリエスが声をかけてきた。 「アリエス、状況は?」 「奴ら、とんでもない事をしでかした。説明するから天幕の中へ。 砂塵の鎖の諸君もだ。君たちの力が必ず必要になる。」 スカーレットも一緒に天幕へ入ろうとするが、 アリエスはそれを止めた。 「スカーレット様。後で作戦を説明しますので、 先遣隊への激励をお願いします。」 解放軍の最高責任者として「何故、私が?」と思わないわけはないが、 アリエスに何らかの考えがあるのだろうと判断し、 スカーレットは先遣隊への激励へと向かった。 天幕の中では肉が焼けたような匂いが漂う。 布が何かの塊にかけられ、ロウソクが点っている。 「なんだ、これは・・・・・」 そう考えるのも無理はない。 「あまり、何度も見たくはないものなのだがな…… これを見せないことには、何も説明ができん……」 アリエスが十字を切って布をとると、そこには焼け焦げた肉の塊があった。 「ローグは、近隣の村から子供をひとり残らずさらって人質作戦を取っている。 これは、その犠牲者の遺体だ。1時間前の事だが・・・・・・ 流石に、これをスカーレット様に見せる気にはなれないよ。」 と、アリエスはローグのとった作戦の説明を始める。 ローグは城の入口周辺の守りを固めて陣取り、人質も一点に集中させている。 突入出来そうなポイント全てに子供を配置していた。 「お前たちが一歩でも動いたら、ここにいる子供たちを殺してやる。」 ムカデのような姿をした怪人がこう宣言した。 人語を話す怪人はこれまで目撃されていなかったはず…… 解放軍は自らの認識を超えた存在を前に戸惑いを隠せない。 たまらず解放軍の兵士の一人が 「子供を人質に取るとは、恥を知れ!」と、人質の解放を要求する。 もうひとり、ムカデ怪人の傍らに立っていた水牛の姿をした巨漢が前に出て、 「我々にも我々の作戦がある……おい」 と、ローグの兵士一人に子供を連れてくるように促した。 子供を掴むと、水牛怪人は「ただの人質作戦じゃない。警告はした」と、 泣き叫ぶ子供を上に向かって放り投げ、 それに呼応してムカデ怪人が「恨むなら解放軍を恨むんだな!死ね!」と、 そのいくつもの手に持った銃を宙にいる子供に向かって一斉に発砲した。 子供の泣き叫ぶ声はすぐに止み、そのまま地面に落ちた子供に容赦なく火炎を浴びせる。 ローグの兵はまるで宴会芸でも見ているかのようにムカデ怪人に喝采を送った。 そして、水牛怪人がその子供の遺体を解放軍に向けて放り投げて、 「デモンストレーションはここまでだ。 子供たちをこのように惨たらしく殺されたくなければ、おとなしくしているのだな。」 そう告げて、ムカデ怪人共々城門の奥へと入っていった。 「ローグめ、卑劣な作戦を……!」と、アポロは憤る。 「子供たちの精神的疲労は限界が近いはずだ。あんなものを目の前で魅せられてはな。」 「砂塵の鎖の諸君にはすまないがまず偵察隊のサポートをしてやってほしい。」 アリシアたちはその後偵察隊へと合流し、現在状況を確認する。 ローグの現在の動きについて 陣頭指揮はオルガではなく、ローグの幹部格が取っている。 恐らくはムカデ怪人と水牛怪人がとっているのだろうと推測される。 「そういえば落ち着いて振り返ってみたら、 何故、怪人が喋っていたのだろう。喋る怪人はいなかったはずなのに。」 と、上官に確認を取った。 子供たちの様子 目の前で一人惨殺されたこともあって、疲れている様子。 ローグ兵達もしびれを切らして、子供たちを血祭りにあげてしまおう等と相談し始めており、 時間的猶予はあまりないことが伺える。 首都に突入する方法 アリシアがふと思った事を解放軍の兵士へと告げる。 「スカーレットとともに首都を脱出したとき、どうやって脱出したの?」 その言葉を聞いて解放軍の兵士たちは何かを思い出したかのように、はっとする。 「そうだ、抜け穴があるんだった。」 首都の警備兵の詰所へと直通の地下通路があり、 そこからなら首都に入り込むことも不可能ではない。 問題は、ローグ達がこの抜け道に気がついているかどうかだが…… しかし、子供たちの疲労は限界に達している。 ローグ兵士達も退屈し始めて、いつ子供たちに魔の手が及ぶかわからない…… 作戦は、決まった。 天幕へ戻った砂塵の鎖に、アリエスはこの地下通路を通って首都へと突入し、 背後からローグへの奇襲を仕掛けることを指示する。 ローグの兵士がひるんだ隙に子供たちを救出、 砂塵の鎖はそのまま首都へと突入してルージュを奪還する。 そこにスカーレットがやってきて、 彼らだけに任せてはいけない、と自らも砂塵の鎖と共に往く事を進言した。 アリエスもアポロも、「そう言うのはわかっていた」という顔で、 「止めても、行かれるのでしょう?」と聞く。 スカーレットが黙って頷くと、「その代わりに、これを。」と、 スカーレットにハンドグレネードを一発、手渡した。 「これは信号弾です。殺傷能力はありません。 撤退の合図として、お使いください。」 母であるルージュを救うという目的を、自らが先頭に経たずに何とするものか、 というのがスカーレットの思うところであり、 軍を率いるものの行動としては、軽率で独善的ではある。 しかし、それでもなおアポロたちが止めないのは、 その傷だらけの身体を以て人々のために力を尽くすと、 そう心に誓ったスカーレットの不退転の決意を知っているからに他ならない。 スカーレットも自ら戦う準備を整える。 ブラックハウンドを率いて戦う彼女は軍師としての才覚を持っていた。 「では、行きましょう。」 抜け穴へと突入する砂塵の鎖とスカーレット。 その背後で、アポロたちから解放軍の兵士へと激が飛ぶ。 「これより、砂塵の鎖とスカーレット様が首都へ潜入する。 彼らなら必ずローグに隙を作り出してくれることだろう! その隙を決して逃すことなく子供たちの救出にあたれ! 義勇兵の諸君には私から合図を送る!全力でローグに打って出てくれ!」 一斉に声が上がる。 抜け穴から潜入した砂塵の鎖は素早くローグの背後へと周った。 見張りの兵士への奇襲に成功し、侵入者がやってきたと連絡をさせることもなく、 手早くこれを撃退することに成功した。 そして、離れたところから攻撃できるアリシアの火炎とウィリーの使い魔たちのコンビネーションがローグ兵士を襲う。 アリシアの炎が、ウィリーの使い魔が、ローグの兵士を吹っ飛ばした様子は城門側からも確認できた。 何が起きたのかとローグの兵士たちが一斉に後ろを振り向いたその隙を、解放軍は逃すことはなかった。 「子供の周りにいるローグを排除しろ!」 アポロは矢をつがえてそう叫び、解放軍の射撃兵達は射撃によって子供の周りのローグを倒し、 これに合わせて正規兵たちが突撃し、子供たちの奪還に成功する。 それを確認したアポロは、義勇兵たちへ向けた合図として青い信号弾を射出し、 合図を確認した義勇兵達が鬨の声とともに一斉になだれ込み、解放軍とローグの戦いが始まった。 アポロの青い信号弾は砂塵の鎖からも見えた。 アリシアはそれを見て両手の炎を払い、「あっちも、うまくいったようね。」と、 解放軍が子供達を救出した事を確信する。 「作戦の第一弾会は成功だが、これで僕たちの戦いは終わりではない。」と、 ウィリーは次なる戦いへ向けて気持ちを引き締める。 インバースも、タージュも、心は同じだった。 「その通りです。私たちは次の作戦へ……お母様を、助けに行きましょう。」 そう言ってスカーレットはまっすぐ王城を指し示した。 「今、私達は王城の入口にいます。真っ直ぐ、王城に向かいましょう。」 住民たちがいるあいだは商店街として機能していたであろう、商店の立ち並ぶ地域を進む。 インフラ整備はあまりなされておらず、砂漠の道といった風情であり、 平時であれば商人たちの活気ある声が聞こえるであろう場所。 砂塵の鎖の行く手を阻んだのは、地中から現れたモグラのような姿をした怪人だった。 そこにローグの兵士達も合流し「ここから先へは行かせん!」と、 砂塵の鎖へと襲いかかったが、アリシアがこれらの敵の攻撃を素早く分析し、 インバース、ウィリーの攻撃はローグの兵もろとも彼らをなぎ払った。 先を進むと、次なる障害が待ち構えていた。 解放軍の襲撃を予期してなのか、バリケードが三層になって作り上げられていた。 スカーレットによれば、王城への最短ルートはこのバリケードを突破する事だが、 迂回する事で少々時間がかかるがバリケードを回避することも可能だという。 時間をかければ障害を避けて通ることも出来るだろうが、 解放軍の戦士たちは今こうしている間も必死に闘っている。 アリシアたちを王城へと向かわせ、ルージュを救出するという目的のために。 アリシア達は躊躇することなく、バリケードを破壊する事を選んだ。 バリケードを次々と破壊していくアリシアたちを発見したのか、 空からコウモリ型の怪人が飛来してきた。 これも先ほどのモグラ怪人と同じく足止めのために砂塵の鎖へと襲いかかってきた。 魔力を纏うコウモリ怪人の攻撃にさしものタージュの防御も本来の力を発揮しきれず、 思わぬ苦戦を強いられることとなる。 バリケードの破壊を一旦後回しにして、コウモリ怪人の撃退を優先し、 コウモリ怪人を倒した後、バリケードを破壊して次なる道を切り開いた。 ムカデ、水牛の怪人だけでなく、人語を話す怪人が明らかに増えている…… ローグの、オルガの怪人作成の技術の向上だろうか。 しかし、それは新たな悲劇しか生み出さない代物だ。 ローグの蛮行を止めるためにも決意を新たにする5人。 「城に突入する前に皆さんに行っておかなければなりません。」 「先ほどのアポロの信号弾と同じような赤い光を、撤退の合図を見たら、そのときは私に構わずに逃げてください。」 思わぬ言葉に驚きを隠せない4人。 「いかに姫とは言え、そのような命令は……」 「あなたたちには大きな負担をかけてしまいますが、私の事よりも義勇兵を、 人々を守ることを優先して欲しいのです。 そしてもし、この先で私が倒れるようなことがあればあなた達には人々の希望として戦ってもらいたいのです。これは、王女としての命令ではなく人々の希望を背負って戦ってきた者としての願いです。」 スカーレットの死さえ覚悟を目の当たりにした4人はスカーレットに、 簡単に命を諦めるような事はしてくれるなと。 もちろん、スカーレットも命を諦める気は毛頭ない。 しかし、軍を束ねる者として後を託せるものとして砂塵の鎖を見出した。 あくまでも自らに万一の事が起きた時、軍が瓦解する事を懸念しての話であった。 5人は、王城へと歩みを進めた。 戦いをここで終わらせ、ホロコーストを破壊するために。 一方同じ頃、解放軍とローグは今もなお互角の戦いを繰り広げていた。 しかし、突如として地中からモグラ怪人が現れて、戦線を崩されてしまう。 アポロはこの状況を見て、「これでは王女様達も思うように進めないだろう」と、 主君と砂塵の鎖を援護するべく城へ向かって駆け出した。 王城はかつて国王が重税を課して建造させたのだろうか。 砂漠にある城に似つかわしくない外観をしているが、 その一方その佇まいは決して悪趣味ではない。 ウィリーはその城を複雑な心境で見つめていた。 民衆を苦しめてまで、このような豪勢な城を作ることに意味があったのか。 王城へ侵入した5人はスカーレットの案内で、 最短のルートを通ってルージュの私室へと歩みを進めていた。 「この先に私達の私室があります。皆さん、後一歩です。」 しかし、その後一歩にはまだ届かない。 廊下で最後の門番、水牛怪人とムカデ怪人が立ちはだかった。 水牛怪人は待っていたと言わんばかりに 「オルガ様の言ったとおりに来るとはな。外の者たちを全て退けたということ。見事だ。」 と、ここまでやって来た砂塵の鎖の武勇を称える。 「まあ、さっきのガキみたいにしてやれば、良い見せしめになるだろうよ。 ……久しぶりだな、どっちつかずの恥知らずめ。」 ムカデ怪人はウィリーに向かってそう言い放った。 ウィリーは自分に向かって久しぶりだというこの怪人の言葉遣いに心当たりがあった。 オルガとグレンに面会を求めたとき、ウィリーに向かって発砲した兵士と、 ハルバードを携えた巨漢の二人組だった。 「まさか……」とウィリーはムカデ怪人のキャリバーに目をやって、あの時のふたりだと確信を得た。 「裏切り者」という言葉には流石にウィリーも黙ってはいられず、 裏切りだというのならそれは良いだろう。 国を変える組織が冷血党と、そしてグレンだと信念を持っていたはずが、 今となっては国を混乱に陥れる原因となってしまっている。 目指したものを失ったのなら、それを糺すのが人としての筋だと。 ムカデ怪人が更に返そうとするのを静止して、 水牛怪人は 「お前が冷血党の姿を見て何を思ったのかはわからない。 だが、どういう理由であれお前が冷血等を抜けた事実だけは変わらない。 そして、王女をこの先にいる女王に会わせるなという命令だ。悪く思うな。」 そう告げて、ふたり揃って戦う構えを見せる。 「グレンやオルガに従って、人としての姿を捨ててまで戦う理由はあるのか」とウィリーは問うが、 その問いに対してムカデ怪人はより強い力を求めた結果だと答えた。 彼らを倒さなければ先へは進めない。 戦いは始まった。 水牛怪人は角から電撃を放ち、アリシアを狙うが、 そうはさせまいと庇ったタージュの防御をすり抜けてタージュ本体に襲いかかった。 想像を遥かに超える大きなダメージを受けることを予感したタージュは、この攻撃を障壁で無効化する。 モグラやコウモリの怪人とは一線を画す高い攻撃力を誇るムカデ怪人と水牛怪人。 彼らを倒さなければ、ルージュ奪還はかなわない…… そう思いつつも、各個撃破するべくムカデ怪人に集中攻撃を浴びせる砂塵の鎖。 やがて、ムカデ怪人が片膝を着いたところでオルガが奥から現れた。 私服と思しき白衣ではなく、青い戦闘用スーツを装備している。 「オルガ!僕がどれだけお前に会いたかったかわかるか!」とウィリーはオルガに問いかける。 「どこかで見た顔だと思ったらあなた達が王女の護衛をしていたのね。 ということは、あの時作り上げた怪人は倒されたという事かしら。 でも、私を相手取るにはまだ早い・・・・・!」と、スカーレットに向かって来た。 当然、タージュはそうはさせまいと庇いにかかるが、 オルガはそれを見越していたかのように標的をタージュに変えた。 装備した鎧を含め、かなりの重さがあるタージュを女と思えない腕力で、 まるでボールでも扱うかのように片手で持ち上げて、そのまま城の外へと放り投げた。 衝撃で倒れ伏すタージュを見て、オルガは「他愛ない。次」と、残るメンバーへ振り向いた。 ウィリーはその様子を見てオルガに「どこでその力を手に入れた?」と問いかけるが、 「あなたにそれを教える必要はない。」とウィリーもタージュと同じポイントへと投げ飛ばす。 防御役を失ったスカーレットを護ろうとするインバースと彼の騎乗する竜を見て、 オルガは竜ごと蹴り飛ばした。 「バカな、インバースの竜までも…」と、タージュもウィリーも驚きを隠せない。 アリシアは自らとスカーレットの身を隠そうと闇を作り出すが、 その闇をものともせずにアリシアも3人と同じ場所へ叩き落とした。 叩き落とされた現場にちょうどアポロが現れる。 「大丈夫か!?」 アポロは4人の無事を確認すると、「スカーレット様はどうした?」と問うが、 オルガが現れたポイントを振り向くと、赤い光がその地点から放たれた。 「……アポロさん、すみません。スカーレット様を……守れなかった。」 タージュは苦虫を噛み潰すような苦悶の表情を浮かべる。 「悔やむことなら後でもできる。今は撤退しろ、急げ!」とアポロは4人に撤退を促した。 スカーレットの残した言葉もあり、4人は断腸の思いでその場を後にするのであった。 アリシアが吹っ飛ばされた後、オルガによってスカーレットは抑えらていた。 そこへ、緑の長髪のエルダナーンの男性が姿を現した。 「ご機嫌麗しゅう、姫君。」 彼こそがグレン、冷血党の首魁である。 「グレン様、仰せのとおりスカーレット王女は確保しましたわ。」 「ありがとう、オルガ。」 スカーレットの瞳はまだ諦めていない。 「私を捕えてどうするのですか?見せしめのために処刑でもするおつもりで?」 オルガはグレンに言葉を投げかけるスカーレットの腕を締め上げた。 「口を慎みなさい、スカーレット王女。今あなたは捕縛されている身。 私たちの判断一つでその首と胴体は今生の別れを告げることになるでしょうね。」 「よせ、オルガ。 スカーレット王女、恐らくは撤退指示のための信号弾か何かを持ち込んでいることだろう。 それを解放軍に向けてお使いなさい。我々の目的はもう果たした。 これ以上兵力を消耗することはお互いにとって良いことではないと思うが?」 「グレン、貴方の行動は不明瞭です。意図が全く見えてこない。 私を捕まえるためだけに、ここまで誘い込むために多数の犠牲を出したというのですか?」 「それに、答える必要はない。これ以上、無駄な血を流したくないと思うのならば、 私の言うとおりにしていただきたい。」 そう答えたグレンに対してスカーレットは 「分かりました……両手を使えるようにしてください。」 そして、両手が自由になったことで赤い信号弾を……解放軍に、撤退せよと号令した。 「賢明な判断に感謝する。オルガ、後のことは任せたよ。」 そう言ってグレンはスカーレットを地下へと連れて行った。 送り出したオルガは、撤退する解放軍の様子を城から確認し、 「……殺れ。」 ふたりの怪人に向かってそう命じた。 待ってましたと言わんばかりにムカデ怪人は飛び出していった。 その様子を呆れつつ、水牛怪人も敵に追撃を仕掛けるべく突撃していった。 ローグの追撃隊はどこに隠れていたのか、先程まで戦っていたローグたちと同等の規模の部隊が追撃を仕掛けてきた。 城門から撤退し、軽傷なものを中心に後ろからローグの部隊を迎撃する。 アポロとアリエスは先導して、魔女の谷へと撤退する。 「だめだ、振り切れない!」 「万事休すか!」 そういった声が上がる中、アポロたちがいる前方から黒い衣装の集団が近づいてくるのが見えた。 アリシアはその黒い衣装が「かつて、身なりの良い男とともに自分とともに住んでいた夫婦を襲撃してきた者達だ」と思い出して確信し、最大級の警戒をするが、 どういうわけか、黒衣装は稲妻の如き速さでローグ側へと攻撃を仕掛ける。 「彼らは一体敵なの、味方なの……?」 アリシアの様子を砂塵の鎖も見て、一体何が起きているのか判断をしかねている状態だ。 一人だけ、赤い衣装を着た者がアリシアたちに近づいてきた。 「思ったよりも早い再会だったな、諸君。」 そう声をかけてきたのは、遺跡の最奥部、コロシアムで八機将の封印を解いた、 あのピエロの仮面の人物だった。 「再会を喜ぶほど面識があるとも思えないが」というウィリーのツッコミを意に介さず、 「ローグの兵士たちは我々ブラックハウンドが相手をしよう。君たちは、中央からくるあの怪物の迎撃を頼む。」 そう言って指し示した先からは、ムカデ怪人と水牛怪人がブラックハウンドの兵士たちを押しのけて、 真っ直ぐ砂塵の鎖を目指して突進してきた。 「皆、各者各様の思いはあるでしょう。 でも、今やらなければならないことははっきりしているわ。 あいつらを、この場で止める。行きましょう。」 アリシアは砂塵の鎖のリーダーとして決断を下した。 ムカデ怪人と水牛怪人をこの場で倒す。 ローグ兵士の何名かは援護射撃をするべく怪人二人に追従する。 アリシア達は襲い来るローグ立ちを前に、本気で戦うべく準備を始めた。 アリシアは火炎を拡散してまずはローグの兵士たちに向けて放った。 炎はローグ兵士を次々と薙ぎ払い、倒していく。 先ほど受けた攻撃から、水牛怪人の雷を最大限警戒する砂塵の鎖。 キャリバーを扱うムカデ怪人が血気に逸ったか、 攻撃の命中精度がそれほど優れているわけでもないことに気がついた一行は、 速さで劣らないインバースがムカデ怪人を抑えて、 その間にキャリバーの射程外で水牛怪人へと一気に攻撃を仕掛けていく。 この作戦は功を奏したか、まずは水牛怪人が倒れた。 片膝を付いて、砂塵の鎖の強さを称える水牛怪人。 ウィリーが声を掛けようとするが、その姿は黒い泡となって消えていった。 今までの怪人とは違う死に方もそうだが、一体これはどういうことか。 今は考える暇はない。 残ったムカデ怪人が倒されるまでにそれほど時間はかからなかった。 ムカデ怪人も、水牛怪人と同じく倒れたところで黒い泡となって消えてしまった。 怪人作成の技術が進歩したことによるものなのだろうか。 ともかく、怪人は倒れた。 ローグはブラックハウンドによって蹴散らされて、 解放軍の安全は確保されたと見て間違いないだろう。 「よし、倒したな。我々も撤収だ。」 そう言って、赤ピエロは転送石を用いて砂塵の鎖共々帰還した。 地下牢にて、オルガは 「ルージュ女王を助ける作戦は見事に失敗したわね、王女様。」 「解放軍には追撃を向かわせたけど、しぶとく生き延びたようだわ。」 と、忌々しそうに結果を教えた。 「でも、もうそれも終わり。解放軍には戦う気力は残っていない。 あなたと言う大黒柱がいないのだから。」と、心底スカーレットに侮蔑するかのようなまなざしを向けるオルガ。 しかし、スカーレットは諦めていない、という顔で 「人々の希望を背負って立つ者が、必ず現れます。 かつてのマゼンタ様のように」と返した。 「そして、今のあなたのように、かしら。 グレン様があなたにこだわる理由はわからないけど……ホロコーストは絶対に止められない。 そこで顛末をゆっくり見ていることね。」 そう言い残してその場を去ったオルガ。 スカーレットは早速行動を開始した。手近なところで脱出する術を求めて…… 砂塵の鎖は転送石で北方の独立地区、ブラックハウンドの本拠地へと転送されていた。 「まずは、ご苦労だった」とアポロから声がかかった。 「状況の整理と、それからブラックハウンドの隊長を紹介したい。私と一緒に来てくれ。」 道中で、アリエスは魔女の谷へと逃げ切った事を聞いた4人。 「だが、良い事ばかりではない。何よりもスカーレット様が捕まってしまったことに加えて、 女王陛下を助け出すという当初の目的は果たすことができなかった。 兵たちも皆疲れてしまっている。」 沈痛な面持ちでオルガから守れなかった事を悔やむ砂塵の鎖に対して、 「スカーレット様を守れなかったことは今は忘れるんだ。 常に、その覚悟をしておられた。こんな事は一度や二度ではなかったよ。」 「『最初に立ち上がるのは人々の希望を背負える者。 そうした人物がひとりでもいる限り、人々は何度でも立ち上がれる。』」 「……私達兄弟には、生みの親の他にもう一人、母と呼ぶべき人物が居る。 その人がよく口にしていた言葉だ。」 アポロから贈られた言葉には、横暴の限りを尽くす夫に、 正面から異を唱えた義母ルージュの魂が込められていた。 「城に突入する前、スカーレット王女に覚悟を決めておられても決して最後まで諦めないで欲しいと言ったのは、ほかならぬ私です。 人にそう言った以上、私が諦めるわけにはいきません。」 アリシアはアポロにそう告げた。 タージュも、インバースも、ウィリーもそれに同調した。 何より、スカーレットが諦めていないことは誰よりも4人がよく知っていた。 そして、今のままではオルガに勝つことは出来ないことも…… ブラックハウンド隊長の執務室へとたどり着いた。 アポロがドアをノックすると、「入りたまえ。」と声がする。 「戦いの直後に呼びつけてすまないな。どうしても君たちと、少し話がしたかった。」 そう言って、ピエロ仮面はその仮面を外した。 「ようこそ、砂塵の鎖……いや、八機将を倒したつわものたち。 私はカーマイン。ブラックハウンドの隊長…… いや、この国の民には『レッドウルフ』のメンバーの一人だと言えば、わかりやすいかな。」 ピエロ仮面の正体に驚きを隠せない4人。 「スカーレットが拿捕されたことは残念だが、あの子はそれを覚悟の上で戦っていた。 誰かの責任を問うためにここに呼んだわけではない。 スカーレットを助け出す前に、やってもらわなければならないことがある。」 「何か、この状況を打破する手があるということですか?」 と言う、インバースの問いかけに対して、カーマインは明確な回答はしなかった。 「その答えの前に、私がどこまで知っているのかを教えておこう。 冷血党が結成された本当の理由、ホロコーストの危険性……それから、 アリシアと言ったな。君の出自について。正確に言えば君が何者なのか、だ。」 「では、やってもらわなければならないことの前に一つ君たちに質問させてもらう。」 スカーレットが捕まるという、最悪の形でカーマインの予想は的中した。 勢いづくローグを止められる者はいないのか。 ホロコーストを破壊する手立ては見つからず、解放軍の中には絶望が芽吹いていた。 「君たちに、人々の希望を背負って立つ覚悟はあるか?」 カーマインの問いに対する、砂塵の鎖の答えや如何に……
https://w.atwiki.jp/battleroyale/pages/73.html
224.旅の果て 秋菜が余裕をかなぐり捨てた雄叫びを上げる。 「ヒール! ヒール! ヒール! ヒール! …………」 口が動く間に、まだ術を唱えられる間に、彼女はこの世界に来て、初めて必死になった。 そのすぐ下では息絶えた♂ローグが倒れ、その後ろに居る♀クルセは、這いずって♂ローグの元に向かう。 無駄に鍛えなければ良かった。そうすれば、♂ローグと一緒に死ねたのに。 でも、ほんの少しだけ良かったと思う事もある。 見事成功した二人の企みを、見届ける事が出来そうだから。 ♂アーチャーは遂に、その時を得た。 秋菜が動きを止めるその時を、息を殺し、仲間が傷ついていくのに耐えながらじっと待っていたのだ。 「秋菜ーーーーーーーーー!!」 必殺の意志を込め、♂アーチャーはバリスタの矢を放った。 ヒールは効果を発揮し、徐々に焼けただれた皮膚を癒していく。 それと共に余裕も戻ってきた。眼前に倒れるにっくき男と、その男に這い寄る薄汚い女。 癇に障ってしかたがなかった。 「消えちゃいなさい。この世か……」 秋菜の人並み外れた反射神経をもってしてもこれをかわす事は出来なかった。 長大な矢が秋菜の胴体に突き刺さる。 そしてその勢いは衰える事を知らず、その先にあった砦の壁に秋菜ごと深々と突き刺さった。 「……え?」 信じられない物でも見るように、自らを貫いた矢を見下ろす秋菜。 そんな秋菜に、深淵の騎士子が飛びかかる。 「今こそ皆の仇を!」 ツヴァイハンターを両手に持ち、腰の真横までそれを引きながら駆け寄る。 「この程度で勝ち誇るんじゃないわよっ!」 秋菜は矢に貫かれた状態のまま、両足を大地につけ、バルムンを大きく引く。 「ブランディッシュ……」 深淵の騎士子の両腕に筋肉が漲る。 「ブランディッシュ……」 秋菜の二の腕が、隆起する。 『スピアッ!!』 激突した二本の剣。 地力は上だが体勢の悪い秋菜と、駆け寄り、勢いを付けた万全の体勢で望む深淵の騎士子。 二人の力は僅かの間拮抗していたが、この二人の全力を受け止めきれない物が一つだけあった。 亀裂音が剣を走る。深淵のツヴァイハンターは、わずかに神の剣の硬度に届いて無かったのだ。 秋菜はそれを見て勝利を確信したが、深淵はまだ諦めてはいなかった。 即座に片手を離し、懐から小さい柄を取り出す。 ♀騎士の、そして♂ケミの形見となっていた無形剣であった。 『私は絶対に負けぬっ!』 BDSの威力は相殺されたが、既に秋菜の間合いに入っている深淵は突き出されたバルムンを受け止めなければならなかったのだ。 騎士の名に恥じぬ剣捌きで、バルムンを上にはじき飛ばす深淵。 だが、秋菜も超が付く一流の剣士であった。 跳ね上げられた剣が、その絶妙な力加減により、深淵が想像していたよりも遙かに早く振り下ろされてきたのだ。 その剣を真正面から受け止める深淵の騎士子。 「くっ!」 重い、とてもその身を巨大な矢に貫かれているとは思えない動きと力であった。 そのまま鍔迫り合いになるが、その圧倒的な力は深淵を凌駕していた。 「ハンデとしちゃ充分よね……死になさいっ!」 徐々にバルムンを押しつけられる深淵。それは最後のチャンスであった。 『皆……私に勇気をっ!』 突如バルムンを支えていた力が失われる。 秋菜にも何が起こったのか理解出来なかったが、バルムンはあっさりと深淵の左肩口に叩きつけられたのだ。 「私は負けぬと言った!!」 深淵が霊力を送り込むのを止めた為、一度完全に失われた念の刃が深淵の気合いの声と共に蘇る。 そしてその剣と秋菜の間に、最早防ぐ物も、距離も、時間も残ってはいなかった。 『狂ったのこいつ!?』 頭頂目がけて振り下ろされるであろう剣を、秋菜は全力で左に頭をかたむけてかわす。 しかし、深淵が狙うはただ一点。 それは想像以上に手強い手応えであったが、それでも深淵は最後まで剣を振り抜くことが出来た。 多分、みんなが支えてくれたのだろう。そう、深淵は思い、それを最後にその意識は途絶えた。 バルムンを握っていた秋菜の右腕が、剣ごと大地に墜ちる。 秋菜は墜ちた自らの右腕を見ると、絶叫を上げる。 久しく忘れていた感覚、恐怖は今の怠惰であった秋菜にとって、とてもではないが抗し得ない感情となっていた。 必死に残った左腕で、腹を貫く矢を抜こうと試みる。 秋菜の力を持ってすれば、壁を貫く程に深く突き刺さった矢すらも抜き去る事は出来るだろう。 現に秋菜が矢を手に持った時、それは、秋菜にとって不可能な重さではないと感覚的に知ったのだ。 安堵感と、焦燥感がない交ぜになりながらも、矢を引き抜こうと力を込める秋菜。 その腕を上から押さえる人物が居た。 「フロストダイバー!」 手を当てたままフロストダイバーを唱える♀セージ。 彼女は待っていたのだ。 深淵が秋菜からバルムンを奪う瞬間を。 それが為らなければ、♀セージは秋菜の剣技の前に立つ事が出来ないのだから。 ♀クルセ、♂ローグ、そして深淵は命を賭して使命を果たしてくれた。 そうやって仲間が戦い倒れる様を、ただひたすらに我慢し、仲間の勝利を信じて待ち続けるのは、♀セージにとって恐ろしいまでの苦痛を伴う行為であった。 だが、最早耐える必要も無い。 己が使命を果たし、次に繋ぐ。必要なのはそれだけだ。 途切れる事なく続く詠唱、必死に振りほどこうとする秋菜であったが、既に♀セージの腕と秋菜の腕は氷を介して繋がり、それは二人の二の腕を登り、肩口まで辿り着く。 秋菜は両腕を奪われたのだった。 恐怖が秋菜を震わせる。絶対の力、無二の力。それが未完成で不完全な者達によって蹂躙されていく。 以前、秋菜が戦った時は、逃げ道などない。自分は最後の最後まで前に走り続けるしか出来る事は無かった。 どんな恐怖に襲われても、どんな力が立ち塞がっていようともだ。 しかし、今の秋菜には、まだ最後の手段が残されていた。 それが秋菜を更に弱くした。 恐怖に抗しよういう意志を奪い去った。 「テ、テレポー……」 信じられない物が見えた。 両腕を失い、全身に大やけどを負い、最早戦力として考えられないであろう♀クルセ。 彼女が、♂ローグのスチレの柄を口にくわえて秋菜の眼前に迫っていたのだ。 『なんでそこまでするのよ! なんなのよあなた達は!?』 スチレは秋菜の口に突き刺さり、♀クルセは駆け寄った勢いそのままに秋菜にぶつかってその場に倒れた。 ♀セージは体勢を低くして言った。 「チェックメイトだ秋菜……遺言を聞いてやれないのが残念だが、これも運命だ。受け入れろ」 ♂アーチャーが放った第二矢。 これは正確に秋菜の首を捉え、秋菜の頭部が宙に舞う。 すぐさま矢が壁に突き刺さり、その轟音で、首が大地に落ちる音は良く聞こえなかった。 ♀GMが装置を叩く。 「なんで崩壊が止まらないんですか!?」 ヒャックは眉間にしわを寄せる。 「内部で崩壊の手助けをしている者が居る……そして、それを止める力を持った者がその力を行使しようとしていない」 「そんな!? 秋菜は何故そのままにしているのですか! このままじゃ自分まで巻き沿いで消え去ってしまいますよ!」 「彼女の考えは私にもわからない。他のGMが早く気付いてくれればいいのだが……」 「そんなの悠長に待ってる時間無いじゃないですか! 私は捕らえられた方々の所在を探します!」 また装置に向かって忙しく動き始めた♀GM。 ヒャックも同じ操作を始めるが、僅かに位置特定の可能性があった時計塔が消えた今、彼らの所在を知らせるべき何者もあの世界には残って居ない事も知っていたのだ。 矢の衝撃は凄まじく、至近距離で喰らった♀セージはフロストダイバーで氷らせていた右腕を完全に砕かれた。 おかげですぐに動けるようになったのだが。 「♀クルセ……終わったぞ」 そう声をかけて、しゃがみ込む♀セージ。 しかし、♀クルセは譫言のように♂ローグの名を呼ぶだけであった。 残った左腕で♀クルセを抱えて、なんとか♂ローグの元へと引きずっていく♀セージ。 出来るだけ近くに二人を並べると、♀クルセは♂ローグにその腕を伸ばす。 既に息のない♂ローグを、♀クルセは横になったまま抱きしめ、また譫言のように呟いた。 「ああ……聞こえているぞ♂ローグ……お前は勇敢だった……でも……私も捨てたものではなかっただろう?」 何やら肯く♀クルセ。 「ははっ……悪いがもう無理だ。お前が……嫌だと言っても私もそちらに行くぞ……私達は、いつだっていっしょ……だ」 物言わぬ♂ローグと会話していた♀クルセの腕が落ちた。 ♀セージは、最早涙も出なかった。 静かに♀クルセの最後を看取ると♂ローグに語りかける。 「男冥利に尽きるな♂ローグ。向こうで幸せにしてやれ」 そう言って♂ローグの肩を叩く♀セージ。 「頑張ってくださいっ! 諦めちゃ……」 不意にそんな声が聞こえた。 聞いたことの無い女の声に、♀セージは周囲を見渡す。 麻痺していた♀セージの脳が突然動き出す。 周囲に違和感を感じる物は無い。 『今のは聞き違いではない。確かに聞いた……何処だ?』 ♀セージの脳細胞が再び活性化する。 『会話をしていた? そうだ……♀クルセは新たに♂ローグの思考を紡ぎ出す余裕は無かったはずだ。ならば♀クルセが考えるあの時の♂ローグの返事は肯定か否定かだ。にもかかわらず、会話は別の話題へと移っている』 少しづつ仮定が繋がる。 『私が声を聞いたのは……♂ローグに触れた時!』 ♂ローグを凝視する♀セージ。 その懐から微かに漏れる輝きに気づけたのは、この推理あればこそであったろう。 ♂ローグに心の中で詫びながら懐の中に手を入れると、脳内に声が響き渡る。 「お願いしますっ……返事を……返事をしてください……」 その輝きの元を抜き取る。 それはアラームの絵が描かれた一枚のカードであった。 「こんなのって無いですよ。やっと救えると思ったのに……二人目だったのに……」 カードを握りしめて♀セージは言う。 「おい、お前は誰だ? 一体どういう事だ?」 「生存者!? 他にもいらっしゃるのですか!」 「ああ、私は生きている。お前は誰だ?」 声の主は嬉々として大声を張り上げる。 「良かった! まだ間に合います! 良く聞いてください!」 「だから私の話を聞け。お前は誰だと……」 「後十数秒でその世界は消え去ります! その前にあなたをこちらの世界に呼び戻しますのでそのカードをしっかり握っていてください!」 「何っ!?」 「絶対に離してはダメですよ! 十秒後に転送します!」 言葉の真偽を確認している暇は無い。♀セージはカードを持って駆けだした。 「10!」 砦の庭を駆ける♀セージは、そこで初めて砦の外が全て光に包まれている事に気付いた。 「9!」 それは少しづつこちらに近づいており、その光の先がどうなっているのか、こちらから窺い知る事は出来なかった。 「8!」 ♀セージは声を限りに叫んだ。 「何処だ♂アーチャー!」 「7!」 見つからない。決着が着いたのは知っているだろうが、もしかしたらその場で座り込んでいるのかもしれない。 「6!」 だとしたらもう間に合わない。城壁の上に登るだけで20秒はかかる。 「5!」 「♀セージ! 他のみんなは大丈夫か!」 「4!」 そう叫びながら♂アーチャーが城壁下端の扉から出てきた。 「3!」 左利きでは無いが、魔法を嗜む者の常として、両手を扱う訓練もしてきたつもりだ。 「2!」 「受け取れ♂アーチャー!」 「1!」 ♀セージが放り投げたアラームカード。それは♂アーチャーの右側数十センチの所にそれていったが、 「転送!」 うまく手を伸ばして器用にそれを受け取った♂アーチャーは、女の声と共にこの世界から消えて行った。 それを確認した♀セージは一息つく。 光は砦全体を包んでいるらしく、どうやら逃げ場は無いようだ。 失われた右腕の切断部分は、氷漬けであった事もあってほとんど痛みを感じない。 何故か恐怖は無い。 「結局、最後まで戦い、勝利しても私には何も残らなかったな」 仲間も未来もそして命さえも、♀セージには残りそうになかった。 「それでも、私は満足している」 光は、城壁を覆い尽くし、♀セージのすぐ側まで辿り着いていた。 「私は、きっといくつかの物を残せたから……」 ♀セージを光が包み込み、そして♀セージ達が生きたこの世界は、この世から消滅した。 『こんな私を……褒めてくれるか♀ウィズ?』 <深遠の騎士子 死亡 現在位置/ヴァルキリーレルム 所持品/折れた大剣(大鉈として使用可能)、ツヴァイハンター、遺された最高のペコペコ 備考:首輪無し> <♀クルセ 死亡 現在位置/プロンテラ 所持品/青ジェム1個、海東剣 備考:首輪無し> <GM秋菜 死亡 現在位置/ヴァルキリーレルム 所持品/バルムン> <♀セージ 死亡 現在位置/ヴァルキリーレルム 所持品/垂れ猫 プラントボトル4個、心臓入手(首輪外し率アップアイテム)、筆談用ノート 備考:首輪無し> <♂アーチャー 現在位置/不明 所持品/アーバレスト、銀の矢47本、白ハーブ1個 備考:首輪無し> 残り1名 戻る 目次 進む アナザー 223 目次 225 anotherEND-2.しあわせのうた
https://w.atwiki.jp/deadend/pages/750.html
嘆きの兵士長 嘆きの兵士長 使用スキル フルスイング(5)/カース オブ ヴェイン(1) ■被通常ダメージ一覧 名前 被回数 最小被ダメージ 最大被ダメージ 被ダメージ合計値 ローグ 11 97 155 1291 ローグ 27 148 312 5256 被通常ダメージ合計値 6547 ■被スキルダメージ一覧 スキル名 使用回数 最小被ダメージ 最大被ダメージ 被ダメージ合計値 ヒートスラッシュⅡ 24 221 1220 10794 ソニックブロウⅢ 14 466 1100 8271 ソニックブロウⅡ 9 280 1026 3732 フレイムスラッシュⅠ 20 277 802 10051 ポイズンⅢ 1 106 106 106 クリムゾンバーンⅠ 6 686 1484 5718 ロックホールドⅠ 1 69 69 69 デッドリーポイズンⅠ 2 478 510 988 モータルストライクⅠ 3 874 1352 3124 ヒートスラッシュⅠ 1 165 165 165 スキルダメージ合計値 43018(43018) 総合ダメージ合計値 49565(49565) 推定HP49000 ■与ダメージ一覧 名前 被回数 最小与ダメージ 最大与ダメージ 与ダメージ合計値 ローグ 2 168 174 342 ベルセルク 26 107 153 3528
https://w.atwiki.jp/hmiku/pages/26386.html
げきじょうものろーぐ【登録タグ け シニシズムP 初音ミク 曲】 作詞:シニシズムP 作曲:シニシズムP 編曲:シニシズムP 唄:初音ミク 曲紹介 今回は少しだけ真面目に取り組んでみました。(作者コメより転載) にら(シニシズムP)の6曲目。 ギター・ベースをhiro氏、ミックスを竹村康孝、マスタリングをクルツ君が手掛ける。 イラストを紅薇薔氏、リナトリス氏、動画をカカポ氏が手掛ける。 衝撃のラストに注目。 歌詞 (PIAPROより転載) 横たわる冷たい「人形」 僅かに残る良心の呵責 これでよかったのかな 今はもう戻れない日々 最初から壊すつもりで用意した 金属バット握り忍び寄る 今さら引き返せない やるしかない 全力で振り下ろす 返り血 「ゴシャ」の音とともに断たれるイノチ 案外脆い やわらかな感触 憎悪にまみれたモノローグ アイツが全て悪いのに これでよかったんだよ 今はもう後悔はしないから いつも通りを装って帰る なにも知らない家族の笑顔 極限超えてもう一度加速する焦燥 無軌道なニヒリズム 早朝にベルが鳴る 窓越し光る無数のパトランプ見つめながら 意外と早かったね 国家の犬達 「そうです、僕がアイツを殺しました。」 あの時の手の感触 永遠に忘れないだろう これでよかったのかな さよなら 僕の美しき激情 コメント 追加乙! -- 名無しさん (2013-08-13 21 22 50) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/spellborn-wiki/pages/81.html
デスハンド に戻る 画像 スキル名 スキル詳細 説明 効果 コンボタイプ 属性 アタックタイプ マジックタイプ ク|ルダウン
https://w.atwiki.jp/harufaru/pages/2.html
↓編集↓ メニュー トップページ 管理人 コンテンツ アラド画像 アラド小説 オリジナル小説 アラドデータ 職業考察(ローグ) スキル考察 コンボ考察 立ち回り考察 ローグの小技 リンク @管理人のpixiv