約 2,051,661 件
https://w.atwiki.jp/francisyuki1991/pages/13.html
フランシーに関する基礎情報 1.アカウントは@francisyuki1991 2.プロフィール:我が身 我が魂 全てを込めて貴様を溶かそう 3.年齢:不明 身長:不明 体重:不明 所在地:トイレ 4.住んでる場所:九州の方らしい 5.TENGA愛用者 ちなみに使用はお風呂にて。Skype中に「ちょっとオナホしてくる」と席を立つことがしばしば
https://w.atwiki.jp/bokuserve/pages/2336.html
【元ネタ】北欧神話 【CLASS】セイバー 【マスター】 【真名】シンモラ 【性別】女性 【身長・体重】175cm・62kg 【属性】混沌・中庸 【ステータス】筋力E- 耐久E- 敏捷E- 魔力E- 幸運C 宝具A+ 【クラス別スキル】 対魔力:A+ 『九錠封印・大海封匣』の副次効果によりA+以下の魔術を全てキャンセルする。 事実上、魔術ではセイバーに傷をつけられない。 騎乗:E- 元々高くない騎乗スキルだが 肉体の封印により事実上騎乗すること自体が困難となっている。 【固有スキル】 無力の殻:C- セイバーの『九錠封印・大海封匣』が全て発動している間は、 能力値も落ち込み、サーヴァントとして感知されなくなる。 ただし『九錠封印・大海封匣』自体に感知を欺くような機能は存在しないため、 「宝具を所持した何者か」が存在することは感知されうる。 原初のルーン:- 神代のルーンを所持。 【宝具】 『九錠封印・大海封匣(セーギャルン・ロック・ザ・ナイン)』 ランク:A+ 種別:結界宝具 レンジ:- 最大捕捉:- セイバーが所有し夫の剣レーヴァテインを封じていた9つの錠前。 錠を掛けた対象を深海に隔絶する保護と封印の結界であり、 自らの身体ごとレーヴァテインを封印している。 一つ一つが封印対象の能力と錠前への攻撃をAランク減ずる効果を持つが、 解錠はセイバーの意思のみで可能であり、逆に鍵と呼べるものは存在しない。 なお無制御のレーヴァテインの封印には最低6つが必要となる。 『災厄振りまきし終焉の炎(レーヴァテイン)』 ランク:EX 種別:対界宝具 レンジ:1~999 最大捕捉:1000人 ロキが鍛え、スルトが振るい、世界を焼きつくすとされる炎の剣。 スルトの妻であるセイバーはこれを預かり、封印する大役を任されている。 あくまで保管者でしか無いセイバーにこれを振るい制御する力はなく、 『九錠封印・大海封匣』の一部を開放した際の余波を攻撃に利用する。 錠一つの開放でEランク相当の対人宝具、二つでA相当の対軍宝具と同等となるが、 封印の内より発生する攻撃はセイバーを相応に傷つける。 【解説】 北欧神話に登場する、炎の巨人スルトの伴侶の女性。 詩『フョルスヴィーズルの言葉』にのみ登場する。 その中で彼女は3回言及され、伝説的な武器レーヴァテインの保管者として説明される。 『九錠封印』によりその身を縛められた長身の女性。 薄布と革紐のみをその身に纏い、 全身を縦横無尽に幾重にも走る革紐に『九錠封印』が掛けられている。 『九錠封印』は眼部・口・首・両肘・両手首・胸・腰・右足首と左足首の9箇所で、 肘と手首は体の前面で一括りにされている。なお錠前の大小形状は少しずつ違う。 露出した胸の谷間からはレーヴァテインの柄が突き出している。 大体解説の後半部分がやりたかっただけ。
https://w.atwiki.jp/livetube/pages/2125.html
もんじゃなう^^ _∧_∧ / ̄ ( ・∀・)⌒\ __ / _| | | ヽヽ / / \ | | ,,,,,,,iiiiillllll!!!!!!!lllllliiiii,,,,,,, \\| |____| .| | .,llll゙゙゙゙゙ ゙゙゙゙゙lllll, \/ \ | | .|!!!!,,,,,,,, ,,,,,,,,,!!!!| | ヽ_「\ | |、 | ゙゙゙゙!!!!llllliiiiiiiiiilllll!!!!゙゙゙゙ .| | \ \――、. | | ヽ .| .゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙ | | / \ "-、, `| | ヽ | | _/ / "-, "' (_ ヽ ヽ .| | / __ノ "'m__`\ヽ_,,,, ヽ | | `ー― ̄ ヽ、__`/ー_,,,, ゙゙゙゙!!!!!!!lllllllliii| | \゙゙゙゙゙゙゙!!!!!lllllllliiiii| | \ ヽ | | ヽ \ | | | \.| | `ヽ、,,_ノ| | ゙゙!!!,,,,,,,, ,,,,,,,,,!!!゙゙ ゙゙゙゙!!!!llllliiiiiiiiiilllll!!!!゙゙゙゙ /.// ・l|∵ ヽ\ ←モンモン 基本情報 名前 モンモン ジャンル FPS その他 性別 男 年齢 23 マイク 有 配信時間帯 昼 夜 配信者ページ http //livetube.cc/%E3%83%A2%E3%83%B3%E3%83%A2%E3%83%B3 twitter http //twitter.com/#!/monmon914 ▼実況作品 Call of Duty Black Ops Call of Duty Black Ops 2 Call of Duty Modern Warfare 2 Call of Duty Modern Warfare 3 SUPER STREET FIGHTER IV ARCADE EDITION LIMBO ワンダと巨像 BIOHAZARD 5 ICO ガンダムEXVS SIREN NT ▼スペック 若干イケメン寄りのコメントし辛い平凡な顔をしている バンドをやっていて岡山ではそこそこ有名だった 少し前までねとらじで弾き語り放送をしていた ▼特徴 リア充 みんなの敵 甘口カレーを好む モノマネ(笑)が上手い(笑) じゃけんまだ言ってね~し(迫真) もんじゃ焼きが好き ケアパケによく潰される ペロペロAIMの使い手。通称「舐めラー」 リスナーのボケを「え?どういうこと…?」と軽々潰してくる もんじゃなう、しゃぶしゃぶなう等女性との食事風景をやたらとアップしてくる 焼き小龍包をやたらと推してくる 会社でたらい回しにされたおっさんに「こんなこともできないんすか…?」と退職への追い打ちをかける リスナーのレスでトークが中断する→最初から話す→中断→最初から→中断→時間という概念を超越する 手を滑らせて友達のGBを崖から落し、それを必死で追いかけた末川に落ちた友達を見て笑っていた。「あー、ゲームボーイが滑っていくw」 一押しギャグ お尻の穴アタック!ノンケだって構わないんだぜ 目標をセンターに入れてダンシング(ドヤ顔) コバルトブルーに輝け!!!!俺の肘!!!!必殺!!!!ジャンピングニー!!!! ▼黒歴史 アサシンクリードを買い配信まで始めたにもかかわらずリスナーに黙って数日で売った。 社内試験後のしばらくぶりの配信で「今日から毎日配信するけん!」と何度も口にしたがリアルに3日しか続かなかった ▼配信中に行った珍プレイ・好プレイ・謎行動;謎発言 MW3配信において敵を中心に円を描く用に舐め回すAIMを披露した。驚くほど滑らかな動きはリスナーから賞賛の嵐だったがもちろんキルはできていない。 一平ちゃんのからしマヨネーズのやつって、最初から麺にからしの味ついてると思うんだけどどう思う? マウスが限界! ゾロップゾーン 配信中に夕食をラーメンにしようと思い付くがここ2日で4食も麺類だったことに気づき「あっぶね」と発言。びっくりドンキーで食事をすると決めた。 その数分後、そうだ!と言わんばかりに「丸泰にラーメン食べに行こ」と再び発言しリスナーに「最近麺類ばっかりだけど、危なくない?」と指摘される。あっぶね モ「水の量間違えて塩辛いドロドロのラーメンを食べたんよ」 リ「お湯足せばよかったのにね」 モ「そうかお湯たぜば良かったのか、いやお湯足したら薄くなっちゃうかなぁと思って・・・」 味を薄くしたいのに薄くなっちゃうかも・・・と考えこむという独自の哲学を展開する ▼モンモンの友達 civ BO勢最強noob 毎回モンモンに「シヴさんぱねぇがぁー」と言われる。おじさんである。 rinasu BO箱勢最弱プレイヤー(自称) 箱勢なので参加はしない ぺち 現役JKの癖して、オッサン2chネラーのような顔文字を連発。2重人格説 スアレス 形容詞とかがすごいらしい よしき おしゃべりデブ。ダイエットを決意 takuto ゾンビマニア b3 「びーさん」さん?でええんか? みざりー 同乗するヘリコプター墜落させるモンモンに手を焼いていたが最近脱出するコツを掴んだ はるお 埼玉在住の鬼ごっこプロ。DOMEでの投げナイフに定評がある。 ▼リクエスト 順位 選択肢 得票数 得票率 投票 1 アラスカでオフ会 8 (100%) その他 投票総数 8 ▼モンモンのステータス 喋り A 思考力 C AIM力 C 立ち回り D ギャグセンス G 脇の臭さ oh...good smell 配信環境 OS CPU Memory 4 VGA Sound
https://w.atwiki.jp/minnasaba/pages/1143.html
【元ネタ】北欧神話 【CLASS】セイバー 【マスター】 【真名】シンモラ 【性別】女性 【身長・体重】170cm・57kg 【属性】混沌・中庸 【ステータス】筋力A 耐久A 敏捷B 魔力C 幸運C 宝具A 【クラス別スキル】 対魔力:A A以下の魔術は全てキャンセル。 事実上、現代の魔術師ではセイバーに傷をつけられない。 騎乗:B 騎乗の才能。大抵の乗り物なら人並み以上に乗りこなせるが、 魔獣・聖獣ランクの獣は乗りこなせない。 【固有スキル】 変化:B 異形の巨人ヨトゥンの王ロキより変身能力を与えられている。 代表的なヨトゥンにはスリヴァルディ(9頭)、ヨルムンガンド(蛇)、フェンリル(狼)などがいる。 セイバーは炎の巨人に嫁ぐ為に身体の大きさを変化させる事が出来る。 魔力放出(炎):A+ 鞘から溢れた黒炎を身体に纏わせ、攻撃力と防御力を格段に向上させる。 ただし、黒炎がセイバーの身体を焼き続けるため、長時間の展開は不可能。 ルーン:B 北欧の魔術刻印・ルーンの所持。 セイバーは自身の真名が「腱を傷つけ不具にする者」を意味することから、 対象の機動力を奪い、空間転移さえ阻害するルーン魔術を好んで使う。 【宝具】 『九天繋ぐ封印の匣(レーギャルン)』 ランク:A 種別:対人宝具 レンジ:2~4 最大捕捉:1人 『八紘別つ熾天の焔(レーヴァテイン)』を覆う大剣の如き封印錠。 大神のルーンにより九つの世界を鞘の形に錬成した超重量結界。 一錠一錠が北欧神話における九つの世界それぞれを模して造られており、 対城・対国・対神宝具すら破壊する事は不可能に等しい。 封印錠を緩めることで『八紘別つ熾天の焔』の能力の一部を解放できるが、 零れ落ちる黒炎は常にセイバーの肉体を蝕み続ける。 『八紘別つ熾天の焔(レーヴァテイン)』 ランク:EX 種別:対界宝具 レンジ:1~99 最大捕捉:1000人 世界を滅ぼすと謳われる、炎の巨人スルトの魔剣。 邪神ロキのルーンにより「終末」という概念そのものを剣の形に 錬成した概念結晶武装。九つの封印が解かれる度に零れ落ちる黒炎は 触れた者の「時」を破却し、「終末」――即ち「死」に帰結させる。 本来の担い手はスルトであり、管理者に過ぎないセイバーの肉体は 『九天繋ぐ封印の匣』から完全解放された宝具の出力に耐え切れない。 【解説】 北欧神話に登場する、炎の巨人スルトの伴侶。 詩編『フョルスヴィーズルの言葉』の中で伝説的な武器レーヴァテインの保管者と謳われ、 「輝く鎌」と引き換えに英雄スヴィプダグルにレーヴァテインを渡す役割を与えられている。 その名の由来は不明であり、『燃え殻の夢魔(悪夢)』、『青白き夢魔』、 『腱を傷つけることによって不具にする者』など様々な説が提唱されている。 【出演SS】 Fate/Rebellionis phylaxis
https://w.atwiki.jp/keroro00innovator/pages/115.html
インモラリスト インモラリスト アーティスト 堀江由衣 発売日 2011年2月2日 レーベル キングレコード デイリー最高順位 2位(2011年2月2日) 週間最高順位 2位(2011年2月8日) 月間最高順位 6位(2011年2月) 年間最高順位 53位(2011年) 初動売上 14207 累計売上 23787 収録内容 曲名 タイアップ 視聴 1 インモラリスト ドラゴンクライシス OP 2 True truly love ゲーム DIVINA テーマソング 3 HOLIDAY ランキング 週 月日 順位 変動 週/月間枚数 累計枚数 1 2/8 2 新 14207 14207 2 2/15 7 ↓ 3428 17635 3 2/22 11 ↓ 1827 19462 4 3/1 19 ↓ 1174 20636 2011年2月 6 新 20636 20636 5 3/8 ↓ 765 21401 6 3/15 425 21826 7 3/22 19 ↑ 481 22307 8 3/29 19 → 483 22790 9 4/5 20 ↓ 458 23248 2011年3月 26 ↓ 2612 23248 10 4/12 ↓ 312 23560 11 4/19 227 23787 関連CD YAHOO!! 秘密
https://w.atwiki.jp/shintouroku/pages/751.html
Onmorakiオンモラキ凶鳥日本----------出典----------『今昔画図続百鬼』、『清尊録』、『太平百物語』 陰摩羅鬼。 鳥山石燕が『今昔画図百鬼』に、火を吐く、毛のない鶏の姿を描いている。 中国の『清尊録』には、宋の時代の話が記されている。鄭州の崔嗣復という者が、都の外にある寺のお堂の上で寝ていたら叱り付ける声に目を覚ました。気付くと黒い鶴のような鳥が目を炎のように光らせ、甲高い声で羽を振るわせていた。翌朝、その寺の僧に、そのことを話すと「そのような化け物は知らない。ただ、十日ほど前に死人が運び込まれた。もしかしたら化けて出たか」と語った。 『太平百物語』にも京都で同じような話がある。
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/6442.html
前ページ次ページラスボスだった使い魔 トリステイン魔法学院の中庭、テーブルと椅子を並べて作られた即席のラウンジの一席にて。 「モンモランシー、君の前では水の精霊も裸足で逃げ出すんじゃないかな。ほら、この髪……まるで金色の草原だ。キラキラ光って星の海だ。ああ、僕は君以外の女性がもう、目に入らないよ」 ギーシュは、持っているボキャブラリーを総動員してモンモランシーを口説いていた。 最初は『バラのようだ』『野バラのようだ』『白バラのようだ』『瞳なんか青いバラだ』『恥らう姿はつぼみのバラだ』と自分の得意分野であるバラを全面に押し出していたのだが、ネタが尽きてきたのでモンモランシーの分野である水の精霊を引き合いに出し始めている。 「……………」 そんな風に立ったり座ったり身振り手振りを交えたりしながら熱心に口説かれると、モンモランシーとしても悪い気はしなかった。 だが、相手は女グセが悪いことで有名なグラモン家の子息、ギーシュ・ド・グラモンだ。 そう簡単に心を許すわけにはいかない。 (よし……) 取りあえず、不満げな表情をしながらもギーシュに向かって左手を差し出す。 それを見たギーシュは、ああ、と感嘆の声を出してその手に口付け、そのままモンモランシーの顔へと……。 「待って。……その前に、ワインで乾杯しましょう」 唇を近付けようとした所で、彼女に指で制された。 「そ、そうだね!」 慌てた様子でグラスにワインを注ぐギーシュ。 そのワインが注ぎ終わった時を見計らって、すかさずモンモランシーは声を上げた。 「あら? 裸のお姫様が空を飛んでる!」 「えっ? どこ? どこどこ!?」 口から出任せのモンモランシーの言葉に過敏に反応して、ギーシュはキョロキョロと周辺を見回した。 (ったく、コレだから信用出来ないのよ……) モンモランシーは呆れと苛立ちを感じつつ、その隙にソデの中から小瓶を取り出す。 そしてその小瓶の中に入っている『透明な液体』を、並べられているグラスの片方に垂らした。 (これでよし) うむ、と頷くモンモランシー。 ……彼女がワインの中に混入させた『透明な液体』の正体とは、惚れ薬である。 先日、ユーゼスとの話し合いの中で出た『強力な精神操作系のポーション』の研究成果がこれであった。 最初はモンモランシーも、これを作成するだけで実際に使うつもりはそれほど無かったのだが、いざ完成させてしまったからには使ってみたくなるのが人間という生き物だ。 しかし、こんなモノを気軽に使うわけにもいかない。 でもやっぱり使ってみたい、いやいやバレたらタダじゃ済まない……と自室で軽く悩んでいたところに、ギーシュが『話がしたい』とやって来たのである。 これ幸いと『実験対象』を見つけたモンモランシーは、ついに一時的に良心をかなぐり捨てることにした。 (ヨリを戻すにしても、他の女の子に目移りされるのはガマン出来ないし……) まさに趣味と実益を兼ねた、完璧な使用動機である。 大体、自分が作ったモノを自分が好きなように使って、何が悪いと言うのだろうか。いや、悪い場合も多々あるが。 ともあれ、その惚れ薬はギーシュの目の前にあるワインの中だ。 「嘘よ。じゃあ、乾杯しましょ」 「や、やだなあ、ビックリさせないでくれ……」 ニッコリと微笑んでグラスを手に取るモンモランシーと、息を吐いてグラスを手に取るギーシュ。 (……あれ?) と、ここでモンモランシーは重要なことに気が付いた。 (…………どっちに入れたんだっけ…………?) 右のグラスだったか、左のグラスだったか。 いや、そもそも自分が手に取っているのは、どっちのグラスだっただろうか。 (マ、マズイわ……) このまま行けば、2分の1の確率で自分が惚れ薬を飲んでしまうハメになる。 ……こうなったら、最後の手段を使うしかない。 「あっ、白昼堂々こんな場所で服を脱ぎ始めてる女の子がいるわ!」 「な、なんだってぇー!?」 モンモランシーの叫びに過敏に反応し、再び周囲を見回すギーシュ。なんと単純な男であろうか。 もはや呆れを通り越して諦めすら感じてきたが、今はそれよりも惚れ薬だ。 モンモランシーはササッと手早くギーシュのグラスに惚れ薬を混入させる。これで、少なくともギーシュは確実に惚れ薬を飲むことになった。問題は自分のグラスだが……。 (わたしのこのグラスは……まあ、適当な理由でもつけて捨てればいいか) フッ、こんな突発的なトラブルにも対応が出来るなんて、わたしも成長したわね……と心の中でほくそ笑むモンモランシーだった。 「はあ……」 ルイズは悩んでいた。 自分の手に入れた、伝説の『虚無』の魔法。 伝説と言うだけあって、恐ろしいほどの力である。自分には荷が重い。いや重すぎる。潰れてしまいそうだ。 (姫さまにも『わたしの力を捧げます』って言えなかったし……) もちろん、アンリエッタのために力を尽くしたい、トリステインのために身命を賭したいという気持ちはある。確かにあるのだ。 だが……。 ―――「私や銀河連邦警察の宇宙刑事たちに不可能なことを、お前たちはアッサリと成し遂げ、無力な人々に奇跡を見せる」――― あの夢の内容がフラッシュバックして、アンリエッタの前でその誓いを口にすることが出来なかった。 本当なら……あの夢を見る前の自分なら、あの場所で『虚無』を捧げることを誓って、そしてアンリエッタの命令に従って『虚無』を使って……。 ―――「その結果、人々に与える印象は何だ?」――― 夢の中の『仮面の男』は、救世主の存在を否定した。 ……では、自分はどうなのだろう? ―――「……お前たちは、自分たちより弱い立場にいる者を甘やかしているだけだ。偽善者面で神を気取っているだけなのだ」――― たかが夢、と一笑に付すには、あまりにも今の自分の状況と合致していた。 (わたしは……) そもそも自分は魔法が使えるようになったら、どうするつもりだったのだろうか? 立派なメイジになる。 今まで自分を馬鹿にしていた連中に、わたしの存在を認めさせる。 父さまや母さま、エレオノール姉さま……そして誰よりも、ちいねえさまに褒めてもらう。 ユーゼスに自分の存在を認めさせて屈服させる、その手始めにする。 じゃあ、その後は? (どう、するんだろう……) 普通に考えれば、それこそ普通の貴族の子女のように勉強して、教養を身につけ、しかるべき時期になったら結婚して……と、そんな感じである。 (……わたし、そんなことのために魔法が使えるようになりたかったんだっけ?) うまく言えないが、何か違う気がする。 チラリと横を見てみれば、相変わらず何を考えているのかよく分からない銀髪の使い魔が、自分と並んで歩いている。 確かに、自分の今の悩みをこの使い魔に打ち明ければ『それなりの答え』は出してくれるだろう。 それはもしかしたら、自分で悩んで生み出す答えよりも良い物かもしれない。 あるいは、自分で出した答えとほぼ同じ可能性もある。 だが……『他人の出した答え』で、果たして自分は納得が出来るのだろうか? 『他人が出した答え』を飲み込んで、自分の一部にして、それを元に自分の人生を歩いていくのだろうか? (それのどこに『わたし』があるの?) よって、この問題は自分で答えを出さなくてはならないのだ。 たとえ出した答えがどれだけ陳腐でも、ありふれていても、道を外れたものだとしても。 それは、『自分自身が出した答え』なのだから。 「はあ……」 しかし、その答えが分からない。 まあ、そんなに簡単に答えが出るのならば、こんなに悩みはしないのだが。 「……御主人様、どこまで歩いていくつもりだ?」 「え?」 ユーゼスに言われて周りを見回してみると、いつの間にか中庭のラウンジにまで歩いてきていた。 やはり考えごとをしながら歩くのは良くないわね、などと思っていると、自分の喉が渇いていることに気付く。 喉が渇いていては、思考も上手く回らない。 (どこか手頃な所に飲み物はないかしら) そう思って足を止め、視線をさまよわせると……手を伸ばせば届く場所に、ワインが注がれたグラスがあるではないか。まるで自分のために用意されたかのようだ。 なんか近くにギーシュとモンモランシーが見えるが、この際それはどうでもいい。 自分は今、喉が渇いているのである。 なので、ルイズはギーシュが手を伸ばそうとしていたグラスを横から奪い取り、それをグイッと飲み干すのであった。 時間は多少前後する。 ミス・ロングビルは、イライラしながら中庭を歩いていた。 理由は、自分の隣を涼しい顔で歩いているこの男……シュウ・シラカワである。 『ジェットビートルの調整作業がありましたので』とかいう理由で再び魔法学院にやって来たらしく、また律儀にも自分に挨拶をしに来たのだそうだ。 まあ、それはいい。 それ自体は別にいいのだが、こうも頻繁にウェストウッド村を空けていてはティファニアたちが危険に晒されることになってしまうではないか。 ただでさえ最近は、アルビオンに変な怪物(シュウは『アインスト』と呼んでいた)が出没して見境なく暴れているというのに、こんなタイミングであの村を無防備にするとは。 そのことをキツい口調で指摘したら、『そこまで心配することもないでしょう』とか言うし。 ……もっとも、『調整』とやらが終わったらとっとと帰るらしいので、確かに心配しすぎることもないような気がしないでもないと思うのだが……。 (って言うか、若い男とほぼ二人きりな状況で『心配するな』ってのも、かなり無理が……) ティファニアに限って『自分から迫る』みたいなことはまず無いと思うのだが、一時の気の迷いとかがあるかも知れない。いや、血迷ったシュウがティファニアに手を出す可能性だってゼロじゃない。 (う~~ん……) これをシュウに尋ねても、どうせやんわりと否定されるだけだろう。 なので、シュウの使い魔のチカに聞いてみることにしたのだが……。 「え!? ……い、いや、そんなコトは、ないですヨ? む、むしろティファニア様は御主人様とマチルダ様の関係を疑ってたりしてますし……」 何だかやたらと挙動不審な態度で否定される。 ……その誤解に関しては今度ウェストウッド村に行った時にでも解いておくとして、ミス・ロングビルはチカと話をしていて妙な違和感に気付いた。 口調がおかしいこと、ではない。 チカの外見が微妙に薄汚れているのである。 羽の端々が黒ずんでいたり、足の先に妙な白い物―――よくよく観察してみると、ロウであることが判明した―――がこびり付いていたり。 (飛んでたらロウソクにでも突っ込んだのかね?) ―――実際には、ティファニアが『チカ製作・御主人様とマチルダ様のやりとり報告書vol.1』を読んだ際に、その真偽を製作者に念押しする際に行った『ちょっと強めの確認』の結果だったりするのだが、さすがにそこまで思考が回ったりはしなかった。 (ま、いっか) ともあれミス・ロングビルにとっては、この鳥が火に突っ込もうが、焦げようが、ロウまみれになろうが、何をされようが、あまり重要でもない。 今の自分の仕事は、シュウが行う『調整』の監視である。 オールド・オスマンも、この出自も素性も正体も目的も不明な男に対しては一応の警戒心を抱いているようで、その監視を自分に命じてきた。 『君らは知り合いみたいじゃし』という理由だけでそんなことを命じないで欲しいが……確かに、学院内の教員や職員の中では自分が適任だろう。 ともかく、サッサと終わらせてもらって、とっとと帰らせよう。 そう考えながら、ミス・ロングビルはシュウと共に中庭を突っ切っていく。本塔から学院の外に出るには、変に回り道をするよりもこうして中庭を通る方が早いのだ。 ……と、その中庭に設置された簡単なラウンジに差し掛かったあたりで、 「ああっ!!?」 いきなり素っ頓狂な声が聞こえてきた。 「? ……ちょっと寄り道していくけど、いいかい?」 「構いませんよ」 シュウの了承を取ると、ミス・ロングビルはその声がした方に歩いていく。 今の自分はこの魔法学院の職員なのだから、そこで何かトラブルが起こったとなればそれに対応しなくてはならないのだ。 「おや、アレは……」 「たしかグラモン家の息子と、モンモランシ家の娘と……ミス・ヴァリエールに、銀髪の使い魔?」 正直、状況がよく分からないが……とにかく行ってみるべきだろう。 「ああっ!!?」 惚れ薬入りのワインを一気飲みしたルイズを見て、素っ頓狂な声を上げるモンモランシー。 一体何だ、と“ルイズを含めた”一同の視線が彼女へと集中するが、その視線の集中攻撃に対してモンモランシーは顔を思いっきり伏せることで切り抜ける。 「いきなりどうしたのよ、モンモランシー?」 「……な、何でもないのよ、ルイズ」 モンモランシーはテーブルに額をこすり付けながら返事をした。 「うーむ、いくら僕たちの乾杯をジャマされたからとは言え、その反応は酷いんじゃ……。なあ、ユー」 「そっちを見るなぁっ!!」 彼女のそんな様子を見たギーシュは“ルイズの隣にいる”ユーゼスに話しかけるが、それを察知したモンモランシーは即座に(ルイズの方を見ないままで)ギーシュの首根っこを掴み、その顔をテーブルに叩き付けた。 「ぶべぇっ!!?」 「?」「……?」 当然ながら、いきなり目の前でそんなことをやられたルイズとユーゼスは、モンモランシーの行動の意味が分からない。 一体何なのだろう、と主人と使い魔は顔を見合わせた。 見合わせてしまった。 「ぅ、あ……?」 「む?」 次の瞬間、ユーゼスを見ているルイズの様子が、目に見えて変化し始めた。 「……ユー……ゼス……」 「御主人様?」 瞳は潤み、顔は紅潮し、呼吸は荒くなり、挙動はソワソワし始め、ジリジリとユーゼスに近付いていく。 そんな主人に何か不穏な物を感じたユーゼスは思わず身構えるが、次の瞬間。 「ユーゼスぅっ!!」 「!?」 ルイズは、いきなりガバッとユーゼスに抱きついて、大泣きし始めた。 「……どうした、御主人様?」 「うっ、ひっくっ、どうして、どうしてエレオノール姉さまばっかりなのよ!!」 「???」 突然抱きつかれて唐突にそんなことを言われても、ユーゼスはワケが分からない。 「わたしのことは、ひっく、いっつもほったらかして、姉さまとばっかり! どうしてわたしを見てくれないのよ! ひどいじゃない! うえ~~~ん!!」 「……取りあえず落ち着け、御主人様」 何とかしてルイズをなだめようとするユーゼス。 「…………うぅむ、何だかルイズがいきなり錯乱し始めたようだが……。とにかく乾杯の続きと行こうじゃないか、モンモランシー」 「えっ!? あ、ああ、うん、そう……ね」 ギーシュは即座に復活するとルイズの様子を『どうせいつものプチ修羅場だろう』と判断して、額にアザを作ったまま黒髪のメイドに命じて替えのグラスを用意させた。 メイドはたまたま使っていないグラスをトレイに乗せていたので、グラスの交換は非常に手早く、スムーズに完了する。 「何はともあれ、かんぱ……」 「あっ! わ、わたしのグラスの中に、虫が入ってしまったわ!!」 それではいざ乾杯、という段階になって、再びモンモランシーが声を上げた。 ……何せ、彼女のグラスには2分の1の確率で惚れ薬が入っている。 それを知っているのは他でもない彼女自身のみなのだが、それを知っているからこそ、そんなバクチを打つわけにはいかない。 「何と……無粋な虫だね」 「そ、そうね! 取りあえず、このワインは捨てましょうか!!」 そしてモンモランシーが自分のグラスに入っているワインを地面に向かってバシャッと捨てようとしたその時。 「……ミス・モンモランシ。ワインをこぼしてしまうのならともかく、地面に向かって自分から放ろうとするのはどうかと思いますが」 「ミ、ミス・ロングビル!?」 後ろから現れたミス・ロングビルが、モンモランシーの行動を止めたのだった。 慌ててモンモランシーは『即席の理由』を説明する。 「あ、いえ、違うんです、ミス・ロングビル。実はこのグラスの中に虫が入ってしまいまして、さすがにそれを飲むのはちょっと……」 「虫ですか?」 モンモランシーが持っているグラスを、その手から取るミス・ロングビル。 ……モンモランシーとしても、残念なことに『虫が入っているはずのグラスに固執する理由』が思い浮かばなかったため、大して抵抗も出来ず渡すことになってしまった。 「……? 虫なんて入っていませんよ?」 「そ、そ、そうですか? 見間違いだったのかなー?」 陽光に透かしてグラスの中を検分するミス・ロングビルだったが、その中には虫どころかホコリ一つも全く見当たらない。 しかしこの態度を見るに、どうやらモンモランシーはこのワインが飲みたくないようだ。 かと言って、捨てるのも……もったいない。 「では、私がいただきます」 「ええっ!!?」 「?」 ミス・ロングビルはいきなり仰天したモンモランシーを訝しげに見るが、彼女は口をパクパクさせるだけでイマイチ要領を得ない。 (潔癖症か何かなのかねぇ……) 実際に見るのは初めてだが、このような人間はいる所にはいるのだなぁ……などと変な感心をしながら、ミス・ロングビルは2分の1の確率で惚れ薬が入っているワインを、そうとは知らずに飲む。 「んく」 別に上物というわけではないが、それなりに良いワインであった。特に異物感などはない。 ……ふと見れば、モンモランシーは全力で自分から目を背けている。 「ミス・ロングビ」 「見るなって言ってんでしょうがぁっ!!」 飲んでから最初に認識したモノに対して全力で愛情を注ぐ薬を『飲んだかもしれない』ロングビルに対して話しかけようとしたギーシュを、モンモランシーはその顔を地面に叩き付けることで阻止した。 「ごびゅおっ!!? ……は、ははは、嫉妬かい、モンモランシー?」 顔面が地面にめり込んだ状態で、そんなことを言うギーシュ。意外とタフなのかもしれない。 「い・い・か・ら! 下手に視線を動かしたりするんじゃないわよっ!!」 「ああ、君の愛が痛い……、そして、苦しい……よ、モン……モラン……シ……ィ……」 「?」 「……ふむ?」 そんな若い金髪同士のカップル未満のやりとりを見て、ミス・ロングビルとシュウは首を傾げる。 まあ男と女の間には、当人同士でしか分からない『何か』があるものだが……。 (……どうでもいいか) 少し離れた場所では、ヴァリエールの桃髪の娘と銀髪の使い魔が何やらやっているようだが、それも自分にとってはどうでもいい。 「それより早く……」 チラリとシュウを見ると、彼は桃髪の少女と銀髪の男のやりとりを薄く笑みを浮かべながら見ていた。 「…………ん……」 そんなシュウを見ていたら、ミス・ロングビル……いやマチルダ・オブ・サウスゴータの心の中で劇的な変化が発生し始める。 「……え?」 ハッキリ言って、マチルダはこのシュウ・シラカワという男があまり好きではなかった。 そりゃあ確かに優秀らしいし、ネオ・グランゾンなんて巨大なゴーレムともガーゴイルとも付かない物を操ったりするし、一応美形ではあるし、一見すれば『いい男』に見えなくもない。 だが、どうにも色々と謎が多すぎるし、うさん臭いし、イマイチ信用出来ないし、何よりいけ好かない。 この男に対する『好意』がゼロという訳ではないが、それよりも圧倒的に『疑念』や『警戒心』の割合の方が勝っていた。 ……そのはず、だったのだが。 「ぁぅ……」 どうしたことか、たった今シュウを視界に入れた瞬間、彼への好意が爆発的に増大した。 理由は分からないが、溢れる感情は留まることを知らず、いても立ってもいられない。 「っ、シュウ……!」 「む?」 思わずシュウの名を叫びながら、マチルダはシュウの元に駆けて行き、そしてピトッと張り付いた。 当然、いきなり張り付かれたシュウは意味が分からない。 「ミス・ロングビル?」 「ああん、マチルダって呼んでぇ……」 「…………何をされました?」 「はぅぅう~~……」 シュウは瞬時にマチルダの身に『異変』が起きたことを看破し、確認しようとする。 だがマチルダは酩酊と言うか、理性が著しく欠如していると言うか、平たく言うとメロメロ状態なので、マトモな返答は返って来なかった。 「ふぇええ~~~ん! ユーゼス、ユーゼスぅ~~!!」 「だから落ち着けと言っているだろう」 見れば、ユーゼスの主人であるルイズも明らかに様子がおかしい。 (何が起こったのかは分かりませんが……) とにかく、一度状況を整理する必要があるだろう。 そして……。 「ミス・モンモランシ……でしたか?」 「は、はいいっ!!?」 コソコソと逃げようとしていた金髪巻き毛の少女を呼び止めるシュウ。 ここ数分ほどの間ではあるが、この少女の様子は明らかにおかしい。 「少しお話を伺ってもよろしいでしょうか? 私とミス・ロングビルと、ユーゼス・ゴッツォとミス・ルイズも交えて。……『何の話』かの説明は、必要ありませんね?」 「は、は、はははははい……」 その眼光に底知れぬ圧力をにじませながら、シュウはモンモランシーに詰め寄ったのであった。 彼の『詰問』を受けたモンモランシーは、後に語る。 『シュウ・シラカワとその周辺の人間に対しては、迂闊に手出しをするな』、と……。 その日の夜。 「惚れ薬ぃ!?」 「ちょ、ちょっと、大声を出さないでください、ミス・ヴァリエール! 禁制の品なんですから……!!」 ユーゼスの研究室の中で、コメカミと表情とその他の部分をヒクつかせながら、エレオノールはことの顛末を聞いていた。 まずこの金髪巻き毛の馬鹿が、こともあろうに禁制の『惚れ薬』を作り。 それを隣にいる金髪のボンボンに飲ませようとして。 間違って自分の妹と、学院長の秘書がそれを飲み。 今はそれぞれユーゼスとシュウに対して、その効果を十分に発揮している真っ最中。 見れば、椅子に座っているユーゼスの膝の上にはルイズが腰掛けて、ユーゼスの両腕を自分の身体に絡ませている。 更に、同じく椅子に座っているシュウの横には学院長秘書のミス・ロングビルが……いるにはいるのだが、床の上に寝そべって『シュウぅ~……』などと寝言を呟きながら眠っていた。 「このような相手の場合は、眠らせるのが一番です」 ……どうやら『このような相手』に対して、慣れているようだ。 『それをルイズにもやってくれ』、とエレオノールは頼んだのだが、『私の問題を私が対処するのはともかく、あなた方の問題を私が対処する理由はありませんね』と返されてしまった。 なおも食い下がろうとすると、ユーゼスに『諦めろ』と止められた。どうやらこの男には何を言っても無駄らしい。 まあ、それはともかく、今後のことである。 「……………」 エレオノールはしばし瞑目して考えた後で、一つの結論を出した。 「まずはこの馬鹿な子供の所業を、余す所なく王宮に報告しましょう。 ……罰金で済めば良いわねぇ? 何せ公爵家であるヴァリエール家の三女、しかも女王陛下とも個人的に親交のある人物ををこんなにしてしまったんだから。下手をすれば禁固、縛り首、お家断絶……なんてことにならなければ良いけど」 「そ、そんな……!」 顔面蒼白になるモンモランシー。 冷ややかな瞳をそんな少女に向けながら、エレオノールは冷徹に言い放った。 「それが嫌なら、早く解除薬を作りなさい。今日を含めて2日だけ待ってあげるわ」 「で、でも、それを作るための材料である秘薬は、とっても高くて……」 「借金でもすればいいじゃない」 「う、うう……」 モンモランシーは涙目になりながら、ガックリと肩を落とす。 ギーシュは気落ちするモンモランシーを慰めようとしたが、そのモンモランシーに『お金貸して、500エキューほど』と言われたので思わず2、3歩ほど後ずさってしまう。 「……で、解除薬については待つしかないとして……」 エレオノールの性格ならば『今すぐ作りなさい。は? 無理? じゃあ潔く王宮からの罰を受けるのね』とでも言いそうなものだが、そこは彼女も魔法の研究者である。 強力なポーションが一朝一夕で作れるものではないことくらい、知り尽くしているのだ。 なので、当面の問題は。 「ね、ユーゼス。もっとぎゅーってして?」 「……やった後で『苦しい』とか言われても困るのだが」 「ううん、いいの。ちょっとくらい苦しくても、ガマンするから……して?」 現在進行形で惚れ薬の影響を受けまくっている、この愚妹である。 エレオノールは元々つり上がり気味の目を更につり上がらせて、ルイズにピシッと言い放った。 「ちょっとルイズ! いつまでもユーゼスにベタベタしてるんじゃないわよっ!!」 言われたルイズはチラッとエレオノールを見ると、面倒そうにボソッと呟く。 「……やだ」 「な、何ですって……!?」 ワナワナと震えるエレオノールだったが、そんな姉の様子などどこ吹く風、とばかりにルイズはユーゼスにしがみつく。 「ユーゼスはわたしの使い魔で、わたしのモノなんですから、姉さまは引っ込んでてください」 「こ、この……! いいから離れなさいっ!!」 「いやぁ!!」 頭に血が上ったエレオノールはルイズを強引にユーゼスから引き剥がそうとするが、そうするとルイズはますます強くユーゼスにしがみ付く。 「助けてユーゼス、エレオノール姉さまが苛めるの!」 「いや、別に苛めてはいないと思うのだが……」 ユーゼスも、どうやら今の状態のルイズを扱いかねているようである。 「ともあれ、この状態が長く続くのは好ましくはないな。ミス・モンモランシの手腕に期待するしかないだろう」 「……ああもう、次から次へと問題が出て来るんだから……!」 「既に起こってしまったことに対して、文句を言っても始まるまい」 「文句の一つや二つも言いたくなるわよっ!!」 実を言うと、ユーゼスやシュウの手にかかればこの程度の事象など一瞬あれば解決は出来る。 しかし、『そんな下らないことに自分の力を使いたくない』、『人格に何らかの影響が残る可能性がゼロではない』、『“解決手段”の説明が面倒』、『これはこれで興味深い』、『イザとなったらいつでも元に戻せる』などの理由から、それをしていなかった。 (とは言え……可能な限り、早く戻さなくてはならないな……) ユーゼスとしては『研究がやりにくい』というのもあるが、それよりも大きな問題があった。 ……普通の人間に比べてかなり薄くはあるが、一応ユーゼスにも性欲はある。 ルイズのような少女に対して欲情する……というのは考えにくいのだが、しかしこうも身体を密着させられてはいつ自制が利かなくなるか分かったものではない。 1週間程度ならそれなりに耐えられる自信はある。しかしこれが1ヶ月や1年となると、取り返しのつかない事態になっても不思議ではないのだ。 (クロスゲート・パラダイム・システムを使って……いや、性欲だけを抑制するとバランスが悪くなるな。食欲と睡眠欲、排泄欲や生存欲求も抑える必要があるか?) そこまですると、もはや『人間』以前に『動物』としてどうかというレベルである。 「何にせよ2日で終わるのならば、その間は耐えるしかあるまい」 「『耐える』、ねえ……」 ジロッとユーゼスを見るエレオノール。『ナニを耐えるって言うのよ』とその目が語っていたが、あえてユーゼスは無視する。 と、そんなユーゼスにルイズが声をかける。 「ユーゼス、エレオノール姉さまだけじゃなくって、わたしも見て? ううん、他の女の人なんてどうでも良いから、わたしだけを見て?」 「……………」 「っ…………!!」 ユーゼスはそろそろ辟易し始め、エレオノールはそろそろ我慢の限界に近付きつつあった。 「……ミス・ヴァリエールとの話が終わったら考えよう」 取りあえず、なるべくソフトに問題を先送りしようとするユーゼス。 しかし。 「今すぐじゃなきゃヤダぁ!」 ルイズは駄々っ子のように声を上げ、即時実行を要求してきた。 仕方がないので、一応肯定しておくことにする。 「…………分かった」 「ホント? ちゃんとわたしを見てくれる? エレオノール姉さまなんて放って、わたしだけを見てくれる?」 ミシリ、とエレオノールの立っている位置から、床板が軋んだ音がした。 ……何故か分からないが、エレオノールに対して後ろめたさを感じる。それとエレオノールの方を見るのが怖い。 だがここでルイズを拒絶するとまたギャーギャーとうるさくなるので、ひとまず肯定せざるを得ないのだ。 「『相手をする』という意味であれば、そうするが」 何とも当たり障りのない表現である。 しかし、言われたルイズはその言葉を最大限好意的に解釈した。 「じゃあ、キスして」 「何?」 ベキ、と床板が割れる音が響く。 「……あらやだ。ちょっと力を入れただけで割れちゃうなんて、もろい床板ね」 金髪眼鏡の女性に対しては色々と言いたいことはあるのだが、迂闊な発言が出来る雰囲気ではなかった。 「……………」 「ん~~……」 目を閉じて唇を突き出してくるルイズ。 (むう……) 別にユーゼスとしては唇を付けるくらいはどうだって構わないのだが……ここは一応、肉親の許可を取っておいた方が良いだろう。 「ミス・ヴァリエール、構わないか?」 少なくとも表面上は平静な口調でそんなことを問いかけてくるユーゼスに、エレオノールも『努めて平静な口調で』答える。 「…………………………す れ ば ? 」 「ぬ……、分かった」 今まで感じたことのないタイプの恐怖がユーゼスの身体を駆け巡るが、いつまでもエレオノールに構っているわけにもいかない。 それでも何となく気まずさのような物を感じたので、ユーゼスは手早く無表情かつ事務的に、軽くルイズの頬に唇を付けるのだった。 「これで良いのか?」 ユーゼスとしては『これで主人もひとまずは大人しくなるだろう』と目論んでいたのだが……。 「む~……、ほっぺじゃイヤぁ~!」 あまり効果はない、どころか逆効果だったらしい。 「……ならば、どうしろと?」 ルイズは小首をかしげて、ユーゼスに可愛く懇願する。 「ちゃんと、お口にして?」 「……………」 ユーゼスは『可愛い』という概念がよく分かっていないので、その仕草に大した効果はなかったのだが、それでも『唇にしなければいけないのだろうな』という程度の判断は出来た。 「使い魔の契約とか、プラーナの補給とかじゃなくって……ちゃんとしたキス、して?」 なおも懇願を緩めないルイズ。 念のため、再びエレオノールに対して確認を取ろうと視線を向けたら、 「……………………………………………………あ゛?」 物凄い目で睨まれた。怖かった。 ……このままではどうにもならないので、ユーゼスはやむを得ずルイズの唇に自分の唇を触れさせる。 「ん。……ん!?」 「んん~~~……!」 と、唇と唇が触れた瞬間、ガシッとユーゼスの頭がルイズの両手に掴まれた。 「むぐぅ!?」 「んむんむぅぅぅううう~~~……!!」 更にルイズは唇と舌の力を駆使して、ユーゼスの口内へと侵入を試みる。 「……む、ん、ぐ……!」 いきなり不意を突かれる形になってしまったユーゼスは、その『口撃』への対処が出来ない。 「ん、ふぅ、んん……、んぅ、あむっ……」 「くっ……ん、ぐ、む……っ」 うわあ、と赤面するギーシュとモンモランシー。シュウは苦笑しており、そしてエレオノールはギーシュたちとは違った意味で赤面している。 そしてルイズがユーゼスの口内から『ちゅぅぅうううううううう~~~っ』と色々と吸い始めた時点で、エレオノールが全力でルイズの頭を引っぱたき、二人のディープキスは終わったのであった。 それに満足したのか、『にへらー』と笑うルイズを見ながら、エレオノールはワナワナと震えている。 「ああ、もう!! ヴァ、ヴァリエール家末代までの恥だわ……!!」 妹に対して、未だかつてないほどに怒りが湧き上がってくる。 ……なお、これはあくまで『ユーゼスに堂々とベタベタイチャイチャする、もはや貴族としての恥も外聞もかなぐり捨てているルイズに対しての怒り』であって。 決して『大して抵抗もせず、されるがままになっているユーゼスに対しての怒り』だとか、『あんなにベッタリ出来るルイズが少し、ほんの少しだけ羨ましい』などというイライラでは、断じてない。 …………ないったら、ないのである。 「とにかく、ミス・モンモランシ! 1秒でも早く解除薬を作りなさい!! いいわね!!?」 「はっ、はいぃぃぃいい!!」 「ああっ、モンモランシー!」 エレオノールに怒鳴られてモンモランシーは半泣きで応じながらも自分の部屋に走っていき、ギーシュはその後を追っていった。 「では、私は部屋に戻るとします。何かありましたら、呼んでください」 それを見届けたシュウもまた、『これ以上ここに留まっていても意味がない』と判断して退室しようとする。 「……良いのか? ミス・ロングビルも御主人様と同じ状態なのだろう?」 「構いません。……サフィーネやモニカに比べれば、むしろ扱いやすい方と言えるでしょう」 「そうか」 この男の女性関係はどうなっているのだろう、とも思ったが、そこに探りを入れてもあまり意味がないので黙っておく。 「では、また明日に」 そうしてシュウは、眠ったままのミス・ロングビルを抱えてユーゼスの研究室から出て行く。 前ページ次ページラスボスだった使い魔
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/846.html
扉のきしむ音に、ルイズが夢の世界から引き戻されると、荷物をまとめて出て行こうとするバビル2世と目が合った。 「……なにごと!?」 一瞬で目が冴えて、飛び起きる。 そりゃそうだ。起床したとたんかを出て行こうとする人間と目が合えば、どんな低血圧であろうと覚醒する。帰ってきたら置手紙だけ、 よりもよっぽど心臓に悪い。 「やあ、おはよう。起こしてしまったか。ゴメン、ゴメン。」 爽やかに挨拶をするバビル2世。とてもじゃないが家出をしようとしている人間とは思えないほど明るい。 「やあおはよう。じゃないわよ!なに荷物まとめてるのよ!家出?家出なの!?使い魔のくせに家出?主人を見捨てて出て行こう ってわけ??あったま来たわ!」 ベッドの脇に立てかけてある杖を取り上げて、さっと掲げる。 「逃げるというなら今すぐ消し飛ばしてあげるわ!覚悟しなさい。」 呪文を詠唱しはじめるルイズ。慌ててバビル2世が止める。 「違う。誤解だ。家を出るわけじゃない。」 「どこが違うのよ。あんたの荷物、あらかた持っていこうとしてるじゃないの。どう考えても家出です。本当にありがとうございました。」 「おーい、遅いじゃないか。いったいどうしたんだ!?」 ドアを開けて、同じように旅支度をしたギーシュが入ってくる。 「あれ?ギーシュ?」 ギーシュが入ってきてあわてて詠唱を中断するルイズ。虚無の魔法は極秘事項。たとえ級友といえどもばれてはならない。 だが、ルイズは忘れていた。普通の魔法ならば呪文を中止すれば魔法はそこで終結。マッチ一本程度の火すら出ない。しかし虚無 の魔法に呪文の中断は意味がない。途中止めであろうと、かまわずある程度の威力で発動する。 すなわち、不幸にも部屋に入ってきたギーシュは、あわれ学園の藻屑と消えた。 「ま、まだ死んでない……」 爆発を受けてふっとんだギーシュがよろよろと立ち上がる。丹念にセットしているのであろう髪型はドリフのコントのようにチリチリに なって、まるで鳥の巣のようだ。呪文が途中止めになったおかげで、この程度で済んだのだろう。まさに不幸中の幸いだ。 「ギーシュ!?ちょっと、なにこれ??」 これまた旅支度をしたモンモランシーが廊下を走り寄って来る。 「どーいうこと?なにがあったの??」 3人が3人とも荷物をまとめている様子を見て、ようやくルイズがなにごとかあったのだと気づく。それを聞いて思わず顔を見合わせる 3人。そして窓の外を指差し、 「あれに気づかないとは、よほど昨日は疲れていたんだな。」 なんとも微妙な表情をする3人。ルイズが言われるがままに外を覗くと… 「……なにあれ?」 そこには学園に生えた木に抱きついて、ひたすら愛の言葉を唱え続けるマリコルヌの姿が。 「……説明すると長くなるんだが。」 「短く。」 「無茶言うな!」 できるだけ簡潔に説明するとこうだ。 モンモランシーが興味本位で惚れ薬を作った。それをギーシュに使おうとした。しかし、事故からマリコルヌが惚れ薬を飲んでしまい、 そのとき最初に見てしまった木に求愛をしている。 「短く済んだじゃないの。」 「じゃっし!」 声を荒げるギーシュとモンモランシ。 「せっかくぼくたちがメインで書かれるかもしれないエピソードを!」 「省略して話さないといけないのよ!」 「「どんなに苦痛で悲しいことかわかるというのか!?」」 2人にドアップで追求され、さすがのルイズもたじろぐ。荒勢なみのがぶり寄りだ。 「ご、ごめんなさい。」 その威力のほどは、ルイズが素直に謝罪したことからもうかがい知れるだろう。 「それで、解除薬を作ろうと思ったんだけど…」 「材料の水の秘薬が、何らかのトラブルで入手できないらしくて……」 「それで皆で、材料があるというラグドリアン湖に行くことになったんだ。」 ようやく合点の行ったルイズがなるほどと頷いた。そのための旅姿だったのか。その水の秘薬を手に入れるのに何日かかるかわか らないし、元々バビル2世の私物は少ない。そのため荷物を全部まとめて、出て行くようなことになったのだ。 ルイズはくるっとバビル2世のほうを向いた。 「早く言いなさいよ!」 「説明をしようにも聞く耳がなかったじゃないか。それに、机の上にシエスタに書いてもらった置手紙を置いてある。」 見ると、たしかに机の上に手紙らしきものが置いてある。拡げて見ると、 『表のマリコルヌを元に戻すためにラグドリアン湖に行ってきます。いつ帰ってこれるかわからないけど、心配しないでください』 と書かれている。 「あのメイド、字が書けたのね。」 時が読み書きできない平民は多い。読めても、書けない人間も多い。それができるシエスタに感心するルイズ。 「ああ。ひいおじいさんの方針で、一族のもの全員に強制的に読み書きそろばんを習わせているらしい。戦前の日本人らしいなぁ。」 バビル2世も感心していたが、ベクトルの方向が違っていた。 「ぼくもこっちの字を勉強する必要がありそうだな。」 「そうね。いちいちわたしが読んだり、書いたりしてたら手間がかかってしょうがないものね。」 ここで髪の毛を櫛で整えたギーシュが二人の間に割って入った。 「――そういうことで、僕たちはこれからラグドリアン湖に行くんだ。あとはよろしく、ルイズ。」 仮面ライダーV3ァのようなポーズをとるギーシュ。なんだその構えは。 「ええ、じゃあ、行きましょうか。」 だがルイズは聞いちゃいなかった。 「ついてくるのかい?」 「ついてくるの?」 「ついてくる気みたいだね。」 ふん、と鼻を鳴らすルイズ。 「当たり前でしょ。使い魔と主人は一心同体。それに、ラグドリアン湖へは何度か行ったことがあるし、道案内ぐらいはできるわよ。」 えっへんと小さな胸を張るルイズ。背伸びする幼女みたいでかわいらしい。 「あら。そんなことを言ったら、わたしはラグドリアン湖に住む精霊とトリステイン王家との旧い盟約を、代々取り仕切ってきたモンモラ ンシ家の人間よ。道案内はいらないんじゃないかしら?」 ルイズたちと一緒にいたおかげでギーシュがかっこよくなったと思い込んでいるモンモンが対抗する。つまり道案内は必要ないから、 おまえはここにいろと言っているのだ。 「じゃあ、ミス・モンモランシは水の精霊に何度会ったの?その口ぶりだと毎年訪れてるんでしょうね?」 ぐっ、と言葉に詰まるモンモランシー。小さな声で、 「小さいときに、一度だけ…」 と呟く。 「……二人とも行けばいいんじゃないかな。」 バビル2世の正論は、罵詈雑言の渦へ飲み込まれ、消えて行った。 結局ルイズを加えた4人が出発したのは2時間後であった。大幅な遅れである。 そのため、急遽ロプロスを呼び寄せて、それに乗り出発することとなった。 「な、なによこれ!?なにこの化け物!?」 ロプロスを見て仰天するモンモランシー。ギーシュは、 「ああ、そういえばすごいねぇ。前見たときも思ったけど、なんだろうねこれ。でもまあ、ビッグ・ファイアくんの命令に従ってるし、彼の 使い魔じゃないかな?」 なんでそこまで無関心なんだ、こいつは。ヴェルダンデにはご執心なくせに、他人の、それも男の使い魔にはとことん無関心な男 なのだろうか。ある意味大物なのかもしれない。 「使い魔って……でも彼、メイジじゃなくてエルフなんじゃないの?エルフも使い魔を持ってるのかしら?」 「そうなんじゃないかな。持っている種族かもしれないしね。」 間違いなく大物だよ、ギーシュくん。 さて、人数が人数である。背中に乗ろうにも、さすがにバビル2世が全員を支えることはできない。 というわけで道案内にルイズを残し、二人は口の中に入ることになった。 「だ、大丈夫なの?」 不安そうなモンモン。大丈夫だと太鼓判を押すバビル2世。 「でもこの前、ロプロスって口から何かはいてなかった?」 純粋に疑問を口にするルイズ。このタイミングで言うとはなんという外道だ。 「大丈夫、大丈夫です。」 怯える二人をなだめて中に乗せるバビル2世。 「あのタイミングで言わないで欲しいんだが…。」 「でも、危ないと思ったから…」 たしかに気持ちはわかる。軍船を一撃で沈めるようなミサイルや、人間を粉々にする超音波を口から放つのだ。おまけに見た目は 鳥である。食べられるような気がしても致し方ない。 「大丈夫だ。ロプロスはロボット、つまりゴーレムみたいなものだから、飲み込むことはない。」 わかった、と頷くルイズを抱えるようにして、ロプロスの背中に飛び乗ったバビル2世が南を指差す。 ロプロスが土煙を上げ、はるかガリア国境を目指して飛び去っていく。 問題は、まだ朝早いとはいえ何人もの生徒や教師がその光景を目撃していたということである。そのため、学院で多少の混乱が おきたことは言うまでもないだろう。 ラグドリアン湖を見下ろしたルイズが驚きの声を上げた。 「おかしいわね。昔はこんなに大きくなかったわよ…」 だがさまよう湖ロブ・ノールの例もある。なんらかの気象や地形の変化で、湖が大きくなったり小さくなってもおかしくはないだろう。 地上に着陸して改めてラグドリアン湖を眺望する。陽光を受けて、湖面がキラキラと瞬いている。 対岸を数名の騎士らしき集団が歩いている。空の雲や、森が湖面に映りこみ、まるで一枚の絵画のようであった。 興奮したギーシュが湖に飛び込み溺れるイベントがあったが一同当然のようにスルーする。というのも、 「なにかしら、これ……」 見るとま新しい石碑が建っていた。なんと書いてあるのかよくわからないが、絵からさっするとこの湖の中には巨大な主がいて、 どこかへ消え去ったらしい。描かれている絵は、まるで海坊主のようである。 「ラグドリアンの水の精霊は有名だけど……こんなの聞いたことないわね。」 モンモランシーも訝しげに石碑を眺める。どうやらごく最近に作った観光資源であるらしかった。 「水の精霊というと、今回の目的だね。」 バビル2世の言葉にルイズとモンモンが頷く。水の秘薬を手に入れるためには、水の精霊と交渉をする必要があるのだという。つまり 水の精霊に会うことが、今回の旅の第一の関門である。会わなければ秘薬を手に入れるも糞もない。 「ところで水の精というのはどういう姿をしているんだい?わからないと探しようがないんだが。」 「すっごく綺麗よ。」 バビル2世の問いに即答をするモンモン。 「美の代名詞になるぐらい。ラグドリアン湖は、水の精霊の美しさがこぼれてできた、なんていうぐらいに。」 子供時代に見た記憶を辿り、水の精霊の姿を思い浮かべるモンモン。それを読み取ったバビル2世も感心する。なるほど、褒め言葉 になるのも納得の美しさである。生きた宝石の塊、と評するのがピッタリだ。決して踊る宝石ではない。 その後偶然通りかかった農夫によると、どうも今の湖の惨状はその水の精霊が行っているものだという。ここ数週間あまり前から、 湖が急な勢いで増水をはじめたのだという。それはこの湖の巨大な主の足跡が見つかった時期と一致しており、そこで精霊の心を なぐさめるようと石碑を建立したのだという。 「儀式をすれば一番確実なんですが、溺れるものは藁をも掴むというやつです。なにしろこの辺りの領主は前の領主様と違い……」 愚痴を言いかけた老父は自分の失言に気づいたのだろう。慌てて口をつぐみ、そそくさとどこかへ行ってしまった。 どうやら秘薬の入手が困難になっているのはこのためらしい。 「なにが原因で怒っているのか、湖の精霊に直接聞かないといけないみたいね。」 モンモンが鼻息も荒く立ち上がる。そして使い魔のカエル『ロビン』に水の精霊を呼んでくるように命じた。これであとは水の精霊を 連れてくるのを待つだけだ。 「ずいぶんあっさり話が進んでいくな。」 「……でも連れてこれるかどうかは、水の精霊が私のことを覚えているかどうかにかかってるし……。五分五分ってところね。」 モンモンの話によると、代々交渉役を務めてきたものの、自分が子供のころ父が精霊の機嫌を損ねてしまったのだという。そのせい で進めていた事業が失敗し、モンモランシ家の財政は火の車に転落。今はかつかつでなんとかやっている状況とのこと。 「私の血をおぼえてくれてさえいれば来てくれるはずなんだけど……」 不安そうに湖面をジッと見つめるモンモン。ギーシュが安心おし、とでも言うようにそっと手を握った。モンモンはそれを握り返す。な んだかんだで、ギーシュはそういうやつなのだ。 その不安を吹き飛ばすように、離れた水面が光りだした。 水が意思を持っているかのようにうごめく。膨れ上がり、盛り上がって、人の姿へと変化していく。まるでロデムの変身を見ているよう だ。 湖から戻ってきたロビンを迎えたモンモンが、水の精霊に向けて両手を広げ、口を開いた。 「私はモンモランシー・マルガリタ・ラ・フェール・ド・モンモランシ。水の使い手で、旧き盟約の一員の家系よ。カエルにつけた血に覚え はおありかしら? 覚えていたら、私達に解るやり方と言葉で返事をしてちょうだい」 美しい女の姿へと変化した水の精霊が、無表情となって答える。 「覚えている。単なるものよ。貴様の体を流れる液体を、我は覚えている。貴様に最後に会ってから、月が52回交差した。」 この精霊は遺伝子を識別できるのだろうか。いったいどの程度まで遺伝子が残っていれば、血を判断できるのだろう。自身も血によ ってバベルの塔に選ばれたものであるバビル2世は考える。 『あるいは血に流れる魔法を感じているのだろうか。』 そんなことを考えている間にも交渉は進んでいく。水の秘薬、つまり水の精霊の体の一部を分けてくれとねだるモンモン。水の精霊 が、にこっと微笑み返す。脈ありなのか!? 「だが、断る。単なるものよ。」あっさり拒絶された。よほど機嫌が悪いらしい。 「なにか条件付でもらうとかできないのかい?水の精霊が好きなものをプレゼントするとか…」 ギーシュが提案をする。そういえば湖を広げているのは、精霊がなにか気に食わないことがあるからではないかと言っていたことを 思い出す。 そこで改めて頼むと、しばしの思案の後、水の精霊が「よかろう」と了承した。 「世の理を知らぬものよ。貴様はなんでもするか?」 マリコルヌにそこまでの義理はないが、あのまま放置しておいても朝晩やかましいだけである。それにかわいそうだ。頼みごとの内 容にもよるが、とりあえずなんでもする気はある。 「二つある。一つは我に仇なす貴様らの同胞を、退治すること。もう一つは我が守りし秘宝をお前たちの同胞が盗んだのだ。これを取 り返してきて欲しい。」 「ちょっと、待ってくれないか。」 仇なす同胞、というのはわかる。おそらく水の秘薬を求めて精霊を襲う、プロのハンターのことだろう。水の秘薬は精霊の体の一部 だという。かなりの高額であるらしいから、金に困ったメイジが命がけで精霊を襲うのはおかしくはない。 が、秘宝とはいったいなんだろうか。 「我が共に、時を過ごした鐘。我が友、命の鐘。」 「命の鐘?」 ゆらゆらと水の精霊が揺れる。おそらく頷いているのだろう。 水の精霊によると、それは『生命』を操る力を持つ不思議なベルであるという。遥か昔にこの湖にやって来て、それ以来共に過ごして いたらしい。 「口ぶりからすると、それは意識を持っているのかい?」 バビル2世が訊くと、水の精霊はゆらゆらと揺れる。頷いたようであった。 「天才悪魔と我は呼んでいた。いずこから来たのかは我も知らぬ。我が友であり、我が愛を見届けしもの。」 「あいをみとどけしもの?」 水の精霊としては意外すぎる言葉が出て、一斉に聞き返す。水の精霊はゆらゆらと揺れる。 「我は愛を、いとしい方と誓った。命の鐘はそれを見届けしもの。命の鐘が盗まれし夜から月が一度も交差せぬ日、愛しい方は我が元 を去った。すなわち愛を見届けしものが戻れば、我がいとしきものも必ずや戻る。」 ボーっとした表情で、わずかに目を潤ませて語る水の精霊。その表情は恋する乙女そのものであった。 「なんだそれは……たまげたなぁ。」 伝説の美しさを持つという水の精霊の意外な事実に、少なからずショックを受けるギーシュ。 「そうね、意外ね。でも、水の精霊も恋をするんだって思うと、親近感沸いちゃった……。」 チラリと横目でギーシュを見るモンモン。一途に愛するものを待つその姿を少しでもギーシュが見習ってくれれば、と心の中でため息 をつく。 「それで、その愛しい方ってのはどんなやつなのかしら?まさか石碑が建ってたあれかしら?」 ルイズが考え込む。ロマンティックな気分になっているのだが、生来の気の強さがそれを認めたがっておらず、無理矢理考えないよ うにしているのだ。 「可能性は高いな。もう少し詳しく聞いてみようか。」 水の精霊に、愛しい方がどんな精霊なのか尋ねる。水の精霊はもじもじしながら、恥ずかしそうにぼそぼそと語り始めた。 「……大きな体に、逞しい胸板、そして太い腕。りりしい口元に、輝く目。無口な方だが、共にいて飽きることなく、心安らぐ。三日月の ような頭。鉄の身体。水面を思わせる滑らかな肌。樽のような身体をした、愛しい方……」 「なんだか聞いてると水の精霊がどこに惚れたのかさっぱりわからないんだけど…」 「同感だね。」 「恋は盲目って、こういうことなのね……」 3者が3者とも説明を聞いて首を捻っていた。水の精霊とはあまりに不釣合いに思えたからだ。 「……おや、きみ。どうしたんだい?」 あきらかに困惑の表情を浮かべているバビル2世に気づき、ギーシュが尋ねる。 「なに、ひとつ思い当たることがあってね。」 バビル2世が一歩前に出た。 「水の精霊。一つ提案があるんだが。」 「何か用か。単なるものよ。」 ぼーっとしていた精霊が我にかえり、威厳を正して問う。 「その愛しい方を連れてきたら、身体を分けてもらえるかい?」 「今何と言った、単なるものよ!?」 今までにない勢いで水の精霊が問い直す。ぐるぐると身体がうねりだし、渦を巻く。 「あなたの愛しい方に心当たりがある。だから連れてくることができるんだ。だからその代わり、身体を少し分けて欲しい。」 「それは本当か、単なるものよ。」 今にも身体を差し出しそうな勢いで水の精霊が迫り寄る。 「連れてくれば、すぐにでもこの身体を分けよう。我に異論はない。」 「それにあと襲撃者も撃退する。それで水を元に戻して欲しい。どうだろうか?」 「……いいだろう。いとしい方が戻れば、襲撃者などものの数ではない。それに目的も達するのだ。」 「つまりその愛しい方を探すために、湖を広げていたってこと?復讐とかじゃなくって?」 精霊が体を震わせた。 「復讐などという考えを、我は持たない。ただ愛しい方に会いたいだけ。ゆっくり水が浸食すれば、いずれ秘宝に届くだろう。水が全て を覆い尽くすその暁には、我は愛しい方と出会うだろう。」 命の鐘はどうでもいいんだろうか。 「命の鐘は我が友。長きときを過ごしたゆえ、共に居たいと願っている。しかし鐘が別れを望むなら、それは致し方ない。いずれまた 会うこともあるだろう。」 けっこう不憫である。 「いつ連れてくればいいんだい?」 バビル2世が問うと、水の精霊はフッと嗤った。 「お前たちの寿命が尽きるまででかまわぬ。我にとっては明日も未来もあまり変わらぬ。」 バビル2世は、それの水中移動速度を思い浮かべ、距離から時間を算出する。 「おそらく明日の昼ごろにはつくはずなんだが」 「昼に頼む。」 明日も未来も変わらぬ、と言ったことを忘れたように、水の精霊は即答をした。
https://w.atwiki.jp/gods/pages/99908.html
フランソワーズ(2) フランスのモンモランシー公の系譜に登場する人物。 修道女。 関連: アンリドフォワ (アンリ・ド・フォワ、父) マリードモンモランシー (マリー・ド・モンモランシー、母)
https://w.atwiki.jp/re_kimera/pages/21.html
▼インモラル世界 この物語の舞台世界。全ての平行世界の垂直に当たる世界。 なお、インモラルとは英語で「不道徳」を示す。