約 2,550,634 件
https://w.atwiki.jp/lightnovelcharacters/pages/334.html
「お客様大好き!」 「お客様大好き!」 「お客様ぁ──────っ!」 「何かお困りですかあ(メイアイヘルプユー)──────ッ!」 さわやかな接待の声が、澄みきった青空にこだまする。 魔王様の研究室に集うぷちメイドたちが、 今日も獣耳無表情のメイドさんに連れられながら、顔の付いたポータル・シフトをくぐり抜けていく。 釘バットで殴られても傷一つ付かない心身を包むのは、防弾処理されたカチューシャ付きエプロンドレス。 スカートの裾からガトリングガンは取り出さないように、 白いリボンが神器『ペルソナ』から翻らないように、 お掃除ロボに乗ってゆっくり進むのがここでのたしなみ。 もちろん、軍人言葉で「絶賛!」刀を振り回すなどといった、 はしたないメイドなど存在していようはずもない。 ライトノベル学園。 平成17年創立のこの学校は、もとは作家スレ派生でつくられたという、伝統あるネタ系クロスオーバー学校である。 ラ板の下。sage進行の面影を未だに残しているネタスレの多いこの板で、ロリコン熾天使に見守られ 幼馴染の性転換から「ご主人様」と呼べるまでのメイド教育がうけられる奉仕の園。 ヴィクトリア朝時代から移り変わり、メイドが恋をしても良くなった平成の今日でさえ、 ランプをこすり続ければ温室育ちの純粋培養ツンデレお嬢様がメイド服姿で出荷される、 という仕組みが未だに残っている貴重な学園である。 土御門「天国だにゃー」 いーちゃん「そのノリで思想犯にされかけた人知ってるんですけどね」 土御門「構わないにゃー。それより、いーやん。あのメイドさんゆう天使の産地どの位わかる?」 いーちゃん「産地ね………とりあえずあの人とあの団体、それに……(ブツブツ)」 土御門「あの……いーやんさん?」 いーちゃん「静かに!あれは…ブービートラップか……ならあの人が……(ブツブツ)」 土御門「おーい、もどってきてこーい」 CAST とある魔術の禁書目録 土御門元春 戯言シリーズ いーちゃん まぶらほ MMM(もっともっとメイドさん) 吉永さん家のガーゴイル ゴールデンボーイズ まじしゃんずあかでみぃ エーネウス プチネウス 戯言シリーズ 千賀てる子 終わりのクロニクル Sf 灼眼のシャナ ヴィルヘルミナ・カルメル とある魔術の禁書目録 土御門舞夏 神曲奏界ポリフォニカ・ホワイト スノウドロップ 天国に涙はいらない アブデル ぼくのご主人様!? 市川吉郎(吉香) 小説エマ エマ ぷいぷい! 座堂シエラ
https://w.atwiki.jp/i_am_a_yandere/pages/640.html
212 :しまっちゃうメイドさん [sage] :2007/03/07(水) 00 03 03 ID kiMII5Zh 「えっ、これって…」 放課後…、否命は自分の下駄箱に入っていた白い封筒を持って固まっていた。その封筒は団栗の代わりにハートを持った可愛らしいリスのシールで封されている。 何が書かれているかは明白であった。 その封筒を手に否命は嬉しいやら、恥ずかしいやらで頬を真っ赤にしていた。しかし、その表情はマンザラでもなさそうである。 (こういうの書く人、本当にいたんだ…。こんな方法をとってくるなんて、書いた人はロ マンチストなのかな?うん、きっとロマンチスト!だって、このリス可愛いぃー!!あと で、このリスのシールを何処で買ったか聞いとかなきゃ…て、えっ…こんなシールを使うなんて…もしかしてこの手紙を書いた人って女の子…なのかな?) 否命は辺りを見回し、人がいないのを確認するとリスのシールを破かないように丁寧に封を切った。否命の人生で始めての経験に、否応なく心臓の鼓動が高まっていく。 「「突然の、手紙で驚かしてしまったと思います」」 書き出しの文句を読んで、否命は思わず乾いた笑い声を上げた。 (やっぱり、この字って女の子の字だよね。だけど、なんか、見覚えがあるような…) 「「しかしながら、私の意を伝えるには最良の方法と思いましたので、このような手紙を書いた次第です」」 (恥ずかしがり屋さん…なのかな?) 「「大変申し訳ないのですが、今日の放課後、宜しければ…」」 (呼び出し?何処だろう…?体育館裏は汚いし、屋上は閉鎖されているし…) 「「スーパーで、 ジャガイモ200グラム 人参5本、 レバー500グラム 買ってきていただけませんか?本来ならば、私が行くべきなのですが、今日は大会前につき部活が長引きそうなので、お嬢様が行って下さらないでしょうか? 浅原沙紀」」 否命は拍子が抜けて、やはり乾いた笑い声を上げた。同時に自分がからかわれた事に気づいて少し不機嫌になる。 213 :しまっちゃうメイドさん [sage] :2007/03/07(水) 00 05 06 ID kiMII5Zh 「もう、沙紀さんも…。はぁー、ビックリした」 否命は部活に入っていないが、沙紀は部活に入っている。 高校に入った時、沙紀はこれまで部活に入っていなかったのだが、幼い頃から剣道をやっ ていた源之助に誘われて剣道部に入ったのである。その際に、勿論否命も誘われたが、否 命は自身の「ある事情」のため、源之助の誘いを断り「だったら、私も…」と断りそうになった沙紀を半ば強引に剣道部に入れたのであった。 否命の「ある事情」は、どうしても家に一人という状況でないと具合が悪いのだ。そのため、否命はどうしても一人になれる時間が欲しかったのである。 そういうわけで、否命は一人で沙紀よりも早く家に帰るのが日課になっている。 それにしても、このような手紙は心臓に悪い…と否命はもう一度、手紙を見直した。沙紀が確信犯であることは明らかであった。 っと、そこで否命は手紙の端っこに書かれてある文章に気付いた。 「「P・S 今夜はお嬢様の好きなカレーですよ♪」」 否命の頬は、既にニンマリとホッペが緩んでいた。沙紀にからかわれた不機嫌は何処へ行ったやら、否命は自然に足取りも軽く商店街へと向っていった。 214 :しまっちゃうメイドさん [sage] :2007/03/07(水) 00 06 50 ID kiMII5Zh スーパーでの買い物を終え、否命は商店街の道を鼻歌交じりに歩いていた。16時30分 という時刻なので、商店街は人のざわめきで賑わっている。しかし、その中でも一際、大 きなざわめきがあった。そのざわめきは自分のほうへ向ってくるように、大きくなっていく。否命は、なんだろう?…と、立ち止まり、後ろを振り返りざわめきを見ようとした。 その瞬間であった。 「どいて!!」 「えっ?」 否命がその声に気付いた時、否命は自分の身体に強い衝撃を感じた。否命はその声の主に弾き飛ばされる形で道端に尻餅をつく。 「悪いわね」 その声の主は早口でそういうと、後ろを振り返ることなく脱兎の如く走っていった。 どうやら、その声の主がざわめきの中心のようだった。 それから少し遅れて、二人組みの男が声の主を追うように走ってきた。 「待ちやがれ!」 「この餓鬼が!」 立ち上がった否命は、またもやその二人組に弾き飛ばされてしまった。 「悪いな」 その二人組みも、後ろを振り返ることなく先ほどの人物を追っていく。 「誰か、その餓鬼を捕まえてくれ!そいつは「スリ」だ!」 男の一人が叫んだ。 途端、ざわめきが大きくなる。 みるまに逃走する人間の前に人垣が出来上がり、もはや逃げ切れる雰囲気では無くなった。 しばらく、逃走していた人間は人垣の前をオロオロと廻っていたが、直ぐに二人組みの男に追いつかれてしまう。 前を歩いていた否命も、しばらくするとその光景に出くわした。 「さぁ、金を返して貰おうか?」 二人組みの男が、満足そうに言った。 「なんのことかしら?」 そういって、逃走していた人間は顔を上げた。その顔を見て、思わず周囲を囲んでいた野次馬の口から、おお!っと一斉に嘆声がこぼれ出る 215 :しまっちゃうメイドさん [sage] :2007/03/07(水) 00 07 43 ID kiMII5Zh それは女であるはずの否命も見とれてしまうほどの、美貌の少女であった。 年は丁度、否命と同じくらい・・・16、17に見える。肌は程よくうっすらと黄色がのって おり、その背中までかかる長い髪はまるで濡れた黒檀の如く艶かしく輝いていた。それが 杏子のようにふくよかな頬と、桃のように品良く切れている顎、そして桜を含んだような朱色の唇を、一層際立たせている。 驚くほど、端正な顔立ちであった。 しかし、その少女の瞳は鳳凰のように凛としていながら、何処か濁っているような、鉛の如く鈍く光っているような、そんな汚さがあった。ただし、それを差し引いてもこの少女はこの世のものとは思えぬ美しさをたたえていた。 「とぼけるなよ、お前が俺から掏った財布のことだ!」 男の怒気を孕んだ声を受け流すように、少女はやれやれ…というように肩を竦めて見せた。少女の口元は、こんな状況に陥ったというのに薄く笑いが浮かんでいた。 「貴方が何を言っているのか分からないわ」 「俺は見たんだよ!お前が、俺の連れから財布を掏るのを…」 「貴方、それを本当に見たの?」 「だから、お前を追ったんだよ」 「そう…、それは困ったわね」 「だったら早く出しな」 「いえ、貴方を眼科に連れて行くべきか、精神科に連れて行くべきか…、この場合は、見えないものが見えたのだから、精神科のほうが適当かしら。いえ、やはりこの場合はむしろ眼科のほ…」 「この餓鬼!」 そう言って、男が少女の胸倉を掴もうとする。その男の手を、 「触らないで頂戴」 と、少女はバシッと払った。 216 :しまっちゃうメイドさん [sage] :2007/03/07(水) 00 08 59 ID kiMII5Zh 男の顔が赤くなる。二人組みの男はどうみても堅気の風体ではなかった。恐らく地元の地回りなのだろう。顔には経験によって刻まれた凄みがある。 その男の、怒りに顔を歪めた表情は凄みが浮き上がり、他を本能的に怯えさせる何かがあった。しかし、その表情を見ても、少女は薄ら笑いを止めようとしない。 「お前は、自分の立場が分かっていないようだな」 「貴方は、自分の夢と現実の境界が分かっていないようね」 「ほぅ…」 呟くよりも早く、男は少女を殴った。 周りで成り行きを見ていた野次馬が息を呑む。 「金を出すんだよ、糞餓鬼!」 「だから、知らないって言っているでしょう?」 少女の顔から笑みが消えていた。代わりに冷たい刃物のようなものが、その顔に張り付いている。男も殴っても尚、口を割ろうとしない少女に苛立ちを募らせていく。 男と少女の間に窒息しそうな沈黙が流れていた。 「何やっているんですか!?」 その沈黙は、駆けつけてきた警官によって破られた。野次馬の誰かが通報したらしかった。 「どうしたんですか?」 警官が問うた。 「どうもこうもねぇ、この餓鬼が…」 「そこの男が!!!!」 言いかけた男の声を遮るように、少女は大声を出した。その大声に周りが水を打ったように静かになる。それを確認すると、少女は警官に向き直って言った。 「突然、奇声を上げたと思った次の瞬間には私に襲い掛かってきたの。そして、私が逃げたら追いかけてきた挙句に、私をスリといって詰ったのよ」 「この野郎、シャアシャアとぬかしやがって!」 「違う?」 「お前が、実際に俺の財布を盗んだ事がな!」 「丁度いいわ。お巡りさん、私のポケットの中を調べてくれる?」 「なっ…!?」 その言葉に男は少女の魂胆が分からず怪訝な顔をしたが、そう言われれば引き下がるほかなかった。 少女と男の会話で、事情を察した警官は、 「では、失礼します」 と言って、少女の前にしゃがみこんだ。 「しっかり、調べて頂戴」 少女の顔には再び、不敵な笑みが浮かんでいた。 217 :しまっちゃうメイドさん [sage] :2007/03/07(水) 00 10 04 ID kiMII5Zh 警官は、少女の脇の下に手を入れると、ポンポンと少女の身体を叩きながら手を下ろしていく。別に、何も異変は無かった。 次に警官は少女に、ポケットをひっくり返すよう要求した。少女がポケットをひっくり返すと、そこから黒い財布が出てきた。 「これが…?」 男は無言で頭を振った。 そして、少女のポケットからはそれ以外のものは出てこなかった。少女は自分のシャツも捲ってみせる。やはりそこには何も無い。 「糞ッ!」 血を吐くように男が叫ぶ。 「盗まれたのは…?」 「盗んでいないわ」 少女が苦笑交じりに言う。 「財布だよ」 男が悔しげに言った。 その男と少女の会話を聞いて、警官は焦れたように言った。 「どうですか、一旦、交番までいって双方の話を…」 「「「交番」!!?」」」 その警官の提案を聞いた二人組みの男と少女の声が重なる。三人の表情は呆れる程、豹変していた。少女の顔からは笑みが消えうせ、男の顔からは凄みが消える。三人の目にはいずれも怯えの色が浮かんでいた。 「疑いが晴れたんだから、もう私から話すことなんてないわ」 「俺達も、金が掏られたぐらいで交番にいくほど暇じゃねぇんだよ」 「ああ、そういうこった。悪かったな、糞餓鬼…、俺の目が悪くてよ」 「耳も遠いのでしょう?」 「あっ?」 「だって、私が「やっていない」って言ったのが聞こえなかったものね」 「そうだよ!悪かったな耳も遠くて…」 「顔も汚くて…」 「顔も汚くて…」 「口も臭くて…」 「口も臭く…、こいつッ!舐めてるのかッ!!」 そういって少女を殴ろうとする男を、別の男が目で「止せ!」と合図する。 憤る男達を尻目に少女は悠々と、その場を離れていった。 218 :しまっちゃうメイドさん [sage] :2007/03/07(水) 00 10 37 ID kiMII5Zh その成り行きを見物しながら、否命はある種の奇妙な感覚に囚われていた。どうも、さっきの少女は男に絡まれながらも、しきりに自分のほうをチラチラ見ていたような気がするのだ。それにどうも、身体の一部に違和感がある…。 気のせいかな?…と否命は自分に言い聞かせ、帰路を急いだ。 (はぁ、それにしてもすっかり遅くなっちゃった。早く家に帰って「アレ」をしないと沙紀さんが帰ってきちゃう。うん、そうだ、今日は近道を通ろう) 否命は不意に商店街を出ると、大通りを曲がり裏路地を通っていった。普段否命は、裏路地は汚いので通らないのだが、やはり時間は惜しかった。 っと、不意に否命は裏路地の半ばで違和感の原因に気がついた。自分の制服のポケットが異様に膨らんでいるのである。ポケットに入っているものはよっぽど分厚いらしく、その長方形の輪郭が布地越しにくっきりと浮かび上がっていた。 否命は恐る恐る、ポケットの中身を取り出しみた。 否命のポケットから出てきたのは、万札で今にもはちきれんばかりの茶色い札入れであった。 突如、否命の脳裏に少女が自分にぶつかってきた時の映像が流れる。 「これって…」 「そう、「私の」財布よ」 否命の振り向いた先には、あの少女がニッコリと笑って立っていた。
https://w.atwiki.jp/i_am_a_yandere/pages/652.html
343 :しまっちゃうメイドさん ◆HrLD.UhKwA [sage] :2007/03/12(月) 00 02 18 ID jXgGt8Oy 否命はその少女の笑顔に、鼓動の高鳴りを覚えていた。その少女の笑顔は深山に咲いた一輪の華の如き幽玄の美を持って、否命の心臓にまで迫る。 しかし少女の顔は圧倒的美を誇りながらも、瞳がその美を何処か歪なものに変えていた。まるで悠久の自然が作り上げた光景を、愚かな神が手を加えてしまったが故に、その無為の輝きを壊してしまったかのような…一言で言えば「不自然さ」があった。 「聞こえなかったの?財布よ」 その声に否命は現実に引き戻され、慌てて自分が手に持っているものを確認する。 「財布って……これのことだよね?」 少女は頷いた。 「そう、それよ。返して頂戴」 「返すって……あの男の人達に返すんだよね?」 「面白い子ね…」 言って、少女はスッと否命と顔が触れ合いそうな位置まで足を進めた。 「なッ、何?」 戸惑う否命に、少女は更に自分の顔を近づけるとニィーっと笑った。否命もつられて、口元がニィーっと歪む。 次の瞬間、少女は否命の額を指で弾いた。 「~~~~~~~~~~~~~~~~~~~!!」 声にならぬ悲鳴をあげ、否命は地面に蹲った。 少女のした行為は所謂デコピンというやつであった。それは単純に指で額を弾くという、暴行とは言えぬ、ある種の「戯れ」であるが、否命はそれによって額が爆発したような痛みに襲われていた。 344 :しまっちゃうメイドさん ◆HrLD.UhKwA [sage] :2007/03/12(月) 00 03 31 ID jXgGt8Oy 「いい、良く聞きなさい!それは私が身体を張って、汗水流して、神経をすり減らして手に入れたもの。いうならば、私の努力の報酬なのよ!だから、私のもの…分かる?」 分かる筈ない。否命は地面に蹲ったまま、首を横に振った。 「さぁ、私に財布を…」 「駄目・・・だよ。それは、あの男の人のだから…、ちゃんと…返さないと」 「もう、返して済む問題じゃないんだよ、お嬢さん方」 その声に二人が振り向いた先には例の男二人組みと、その二人組みの仲間と思われる、これまた堅気の風体とは思えない一人の男が立っていた。 少女は咄嗟に逃げようとしたが、いつのまにかもう二人別の男が少女の前に回りこんでいた。 「チッ!」 計5人の男に囲まれ、少女は思わず舌打ちをする。しかし、それでいながら少女の顔はあくまで涼しげなままであった。 「さっ、俺の金を返して貰おうか。お嬢さん」 先ほどの事件がよほど金を盗まれた男にとって屈辱だったらしい。少女を追い詰めた男は嬉しくて、嬉しくてたまらない様である。 「もう、返して済む問題じゃないのでしょう?貴方の頭には、実は真っ赤なトサカが生えているようね」 「相変わらずの減らず口で…」 「貴方も相変わらずの臭い口で…」 少女の態度に男は苦笑を漏らす。余裕の笑みであった。 「で、そっちのお嬢さんは?」 「そう、私の「仲間」よ」 「ほぅ…」 「貴方たちは、運がいいわね。丁度今、「仲間」割れを起こしていたところよ」 「それは、それは」 そう言って、男は否命のほうに顔を向ける。 「成るほど。そいつが俺から盗んだ財布を、あんたが預かるっていう寸法だったんだな」 否命はしばらく、自分が何を言われているのか分からなかった。この状況に頭が追いついていないのだ。否命はこの男が自分に向けてくるプレッシャーに、ただ怯えていた。 「どうなんだ!えっ、そこの餓鬼とグルなんだろ!?」 「えっ?」 「その餓鬼と二人して、俺を嵌めやがったな!」 345 :しまっちゃうメイドさん ◆HrLD.UhKwA [sage] :2007/03/12(月) 00 05 05 ID MpTr3WJD そう言われてようやく否命は自分がこの男達に、少女と共謀したと思われていることを理解した。 「………、ちっ、違ッ、違いまっ、わッ、わッ、私は…そッ、その…あのの…」 緊張からか、否命の口調は滑稽な程たどたどしい。ここで動揺したり、焦ったりしたら、この男達に怪しまれるのではないか…そんな思いが逆に否命の口を不自由にしていた。 「私は…ポポポ、ポケッ、ケトに、その…さっ、財布を、いいい、入れられただけで…」 「哀しいわ。所詮、悪党同士の結びつきなんてこんなものだったのね」 否命とは違い、少女は声も顔も平常そのものであった。 少女はたとえ、否命のようなひ弱な女の子であっても、利用できるものは全て利用するつもりらしい。 しかし、その少女に目を付けられた否命は…。 「小便ちびりそうな顔しているぜ、嬢さん」 「漏らしちまいな。嬢ちゃんのなら、呑んでやるぜ」 口々に勝手な事をいいながら、前方の男は懐からナイフを取り出した。それは刃を折りたためば掌に収まるほどの大きさであった。不必要に殺さずに、相手を傷つけることを目的 としたものである。 少女は咄嗟に後方を振り向く。たとえ相手が三人でも、ナイフを持っていないのならば、逃げ道は後方にしようという魂胆である。 だが、後方の二人も懐から同様にナイフを取り出した。前方の三人と同じく、ナイフそのものは小さい。 「使うよ…、お嬢さん方」 最後に、少女に金を盗まれた男は懐から大きな登山ナイフを取り出した。 「最後通告だ。俺達にさんざんいたぶられた末に財布を渡すのと、財布を渡した後にいたぶられるのと、どっちがいい」 否命は力の限り首を横に振った。 哺乳類は刃物の光沢を見ると、本能的に恐怖する。それは本能的な故に例外のない事実である。しかし、少女の顔には未だに怯えの色はなかった。 恐らく、胆力で恐怖を顔に出さないようにしているのだろう…と男達は、少女の胆力に意外にも感心してしまった。 「なかなか、立派な面構えしてるな。だが、虚勢を張るだけで…」 「警察…」 少女がボソッと呟く。 「あっ?」 「集団で囲み、脅迫し、挙句に刃物…、もう警察は呼べないわね」 「ほぅ…」 前方の三人の内の一人が小さなナイフをちらつかせながら、少女に掴みかかる。 「触らないで頂戴」 っと、少女はその男の手をバシッと払いのけた。 346 :しまっちゃうメイドさん ◆HrLD.UhKwA [sage] :2007/03/12(月) 00 20 09 ID bHNY5Ni5 「この餓鬼ッ!!」 叫ぶと同時に、男は少女の腹部を殴る。恐らく男は殴りなれているのだろう…男の拳はものの見事に少女の鳩尾に入っていた。 「~~~~~~~~~!」 少女は腹部を押さえ、息を吸おうと口を死に掛けの金魚の如くパクパクと動かす。だが、激痛のあまり少女は息を吸えず、苦悶の表情を浮かべながら倒れるほうに男に近づいていった。遠目でも分かるほど、足元がふらついている。 「もう一発だ」 再び、少女の鳩尾に男の拳が抉りこまれた。少女の瞳の焦点が合わなくなっていく。少女は自分を殴った男に何かを求めるように、男の裾を掴んだ。 「さっきまでの威勢はどうしたのかな?」 と、男の口から嗜虐の笑みがこぼれた。同時に、周りで事の成り行きを見守っていた男達が一斉にその少女の無様な姿を見て笑い声を上げる。 っと、次の瞬間であった。 少女を殴った男の顔にベチャッと、何かが張り付いた。男はその物体に視界を遮られて、慌ててその物体を両手で払い落とそうとする。だが、ナイフを持った右手の手首は少女に捕まれ止まってしまった。 男の力ならば、少女の手を振り払うことは十分可能である。だが、視界を塞がれた男にとって自分の右手が動かない事態は、実際以上の脅威を持って男に迫った。咄嗟の事態で、男は軽く混乱しているのだ。 「こいつ…ゲロ吐きやがった」 誰かが呆然と呟いた。 その言葉が合図であったように、男の鼻孔に甘酸っぱいゲロ独特の匂いが広がる。そして、ようやく男は自分が顔にゲロを吐きかけられた事を理解した。 「こいつッ!!」 怒りに駆られ、男は全霊で持って少女を殴ろうとする。しかし、男は少女に右手首を掴まれているせいか、視界がゲロによって遮られているせいか、勢い余って体勢を崩しそのまま地面に倒れてしまった。 ぺきん! という、枯れ枝を折るような音がした。 その音に、周りの全ての人間が呼吸を止める。男の顔はゲロにまみれても尚分かるほど、苦悶に顔を歪ませていた。 男の手首から先が消えていた。 切れたのではない。 男の右手は綺麗なアーチを描くように内側に折れ曲がっていた。掌が腕の腹にピッタリと張り付いている。何処か、冗談じみた奇妙な光景であった。 347 :しまっちゃうメイドさん ◆HrLD.UhKwA [sage] :2007/03/12(月) 00 21 47 ID bHNY5Ni5 「ゴッ・・・・・・・・・アアアアアアアアアアアアァァァァァ~~~~!!」 男は倒れたまま、地面を転がる。 視界の遮られていた男には分からなかったが、男が少女を殴ろうとした時、少女は男の足 を払っていたのである。そして男が倒れるのと合わせるように、握っていた男の右手首を 内側に折り曲げたのだ。結果、男の手首は自分の体重分の衝撃を受け、ありえないぐらいに曲がってしまっていた。 確信犯であった。 少女は倒れた男の手からナイフを捥ぎ取ると、それを持って財布を盗すまれた男のほうへ近づいていく。 「おぃおぃ、俺達とやろうっていうのかい?」 男達は心臓が飛び出るほど驚いたものの、戦闘意欲を失うような人種ではなかった。既に、 咄嗟の事態に頭が追いついているらしく、ナイフを片手に少女を威嚇する。 しかし、少女はそれでも顔色一つ変えることなく無言で財布を盗まれた男に迫った。 「そんなチッポケなもので、これとやりあうってか?」 男は自分の大きな登山ナイフを振り回しながら、少女の持っている小さいナイフを笑う。 「………」 少女は既に財布を盗まれた男の眼前まで来ていた。その少女の首筋に財布を盗まれた男は、 登山ナイフをあてる。ツゥーっと、少女の首筋から赤い血が細く流れた。少女はそこで動きを止める。 「餓鬼、もう歩いて帰れな…」 次の瞬間、なんの躊躇いもなく、少女は財布を盗まれた男の顔をナイフで切りつけた。 周りが水を打ったように静かになる。それから、一拍おいて男の顔から血が噴出した。 「これで、トサカの生えている貴方の汚い顔も大分マシになったわ」 いつも変わらない調子で、いつもと変わらない顔で少女は言った。 348 :しまっちゃうメイドさん ◆HrLD.UhKwA [sage] :2007/03/12(月) 00 22 58 ID bHNY5Ni5 「やってくれたな!もはや生きて帰さんぞ!!」 それでも、この男は戦意を失うことも、取り乱すことも無く、少女に登山ナイフを振るおうとする。 だが、財布を盗まれた男が少女にナ登山イフを振るうよりも早く、少女は男の登山ナイフを持っている右手の甲をナイフで突き刺していた。 「~~~ッ!」 思わず、財布を盗まれた男は登山ナイフを取り落としてしまう。その登山ナイフを少女は驚くほどの素早さで拾い上げた。 「お前ッ、アアアアアアアアアアア!!」 男の顔が驚愕で見開かれる。少女は、まるでマウンドに立つピッチャーの如くその大きな登山ナイフを大きく振りかぶっていた。 脳天から顎まで一直線。まさか…と思う財布を盗まれた男の脳裏に、自分の頭が西瓜の如 く真っ二つになっている光景と、直前の何の躊躇いもなく自分の顔を切りつけた少女の顔が浮かんだ。 「ヒィッ…」 流石の男も限界であった。恥も外聞も無く、財布を盗まれた男は両手で頭をガードした。 少女の登山ナイフが半円を描いて男に迫る。 「―――――――――!!!!」 少女の登山ナイフは男の両手ギリギリのところで止まっていた。 目を閉じていた男は、自分が無事なのを確認すると安堵のあまり地面にヘナヘナと座り込 んだ。その男の股間を少女は蹴飛した。「ウッ」と短い呻き声を発して財布を盗んだ男はとうとう気絶する。 あまりの事に、少女の回りで声を発するものは誰もいなかった。 349 :しまっちゃうメイドさん ◆HrLD.UhKwA [sage] :2007/03/12(月) 00 24 04 ID bHNY5Ni5 「クリーニング代……」 静寂を破るように少女が呟く。 「聞こえなかったの?クリーニング代よ」 「えっ?」 前方の三人組の残った一人に少女は声を掛けた。男はあまりの事に目を白黒させている。 「貴方達が汚したのよ。クリーニング代出してくれるわよね?」 そういって、少女は自分のシャツを摘んでみせる。 「あっ…ああ、はい」 男は少女の上着が返り血で紅くなっているのを見ると、これまた分厚い財布から一万円札を一枚取り出し少女に渡した。 「………」 少女は無言で男の手から財布をかっぱらうと、その中に入っていた札束を無造作に掴 み取る。その札束をポケットにしまうと、少女は半ば放心している男に薄くなった財布を投げて返した。 「それと、上着も貸して頂戴。このままじゃ、家に帰れないわ」 後ろで呆然としていた二人組みと、前方の残った一人が無言で目を交わす。そして、後方の男の一人が自分の上着を脱いで少女に渡した。 否命はもはや気が動転して歩くこともままなかなかったが、それでもフラフラと帰路を急ぐ。しばらくは何も考えられそうになかった。 「ありがとう。じゃあ私はこれで失礼するわ。あと、救急車ぐらい呼んであげなさい」 そういって、少女は否命の後を追った。 少女はまだ、否命に財布を渡したままであった。
https://w.atwiki.jp/dmps_fun/pages/1022.html
PREV:メイドさんにお客様 中編 NEXT:一流メイドのたしなみ 前編 ストーリー だよねー!やっぱ、この人って定めたら他は見えなくなっちゃうよねー キョウカ はい、お一人に尽くす、それが正しいあり方だと思っています メイド チロル …ん? あれ、【プレイヤー】だなに、散歩? キョウカ ごきげんよう【プレイヤー】さん メイド チロル あれ、その顔…なになに、私達の関係…気になっちゃう? キョウカ ちょっとした…いい関係ですよ メイド チロル ねー キョウカ JJの件で、ちょっと話す機会が増えてねそれで…気が合っちゃって キョウカ どちらも一人の人に仕える身…そのせいか、もーわかるーって話が多くって キョウカ はい、こういう話ができる方が他にはおりませんでしたので、 メイド チロル とても新鮮な気分でお話をさせていただいています メイド チロル フフッ、まぁ、【プレイヤー】にはわからない話かな キョウカ 誰かに尽くす喜び… キョウカ 喜んで頂ける事が嬉しい… メイド チロル そう!一途な女心がゆえの―― キョウカ …男性でも、別にやられている方はいるかと思いますが メイド チロル ………確かに、差別は良くないかごめんごめん、ともかく、いいものなの キョウカ はい、素晴らしい事です メイド チロル 尽くして尽くして、そして認めてもらって… キョウカ お褒めいただければまさに恐悦… メイド チロル そして、最後はあの方の極太の腕に抱かれて…はぁはぁわかるよね、チロルさん!? キョウカ あ、いえ、最後のは別に… メイド チロル …………ん?あ、表現がストレート過ぎた? キョウカ えーっと…ちょっ、ちょぅ…あ、寵愛!これだよね! キョウカ そういうのは、あまり望みではないので メイド チロル …えっと…じゃ、チロルさんは何のため…あっ!わかった!! キョウカ プラティカルなやつね! キョウカ それは、どういう… メイド チロル あ、違う!今、言ってて違うってわかった!…えーっと… キョウカ プロトタイプ…あ、プラネット! キョウカ 惑星だ!!絶対違う!! キョウカ ちょっと待って、もう喉まで来てる…あとちょっと… キョウカ えっと…… キョウカ …………………… メイド チロル …【プレイヤー】さんデュエルでもしましょうか時間の無駄はいけませんし メイド チロル 時間を有効活用するのができる人間かどうかを決めるんですよ メイド チロル えーっと、なんだったかなぁ… キョウカ 勝利時 …今のは…ちょっと悔いが残るデュエルでしたね…勝ちが見えていたのに メイド チロル あ、わかった!!プラトニック!! キョウカ ね、チロルさん、プラトニックでしょ!?そういう関係なんでしょ!? キョウカ いいえ? メイド チロル ………………………… キョウカ …じゃ、え? 何で、チロルさんはその人に仕えているわけ…? キョウカ メイドですから メイド チロル メイドは一人の主に仕え、尽くすもの メイド チロル もちろん、契約を切られれば他に移ったりもしますが… メイド チロル それじゃ…単なる…仕事って、こと…?それで尽くす喜びが…? キョウカ ありますよメイドですから メイド チロル 頭とか、よしよししてもらえないのに…? キョウカ されたら逆に困ります… メイド チロル ……………………… キョウカ …どうやら、チロルさんと私の蜜月の関係もここまでだね キョウカ 私達は一瞬すれ違うだけの二つの流れ星…二度と交わる事はなさそうね キョウカ …何を言っているんです? メイド チロル …全てをわかりあえる同志に出会えたような気がして楽しかったわ、チロルさん キョウカ さよなら キョウカ …何だか、勝手に見初められて勝手に突き放された感じがします… メイド チロル 敗北時 お粗末です メイド チロル ……あー!もう、すぐそこまできてるのに!絶対わかってるのになーもー! キョウカ …【プレイヤー】さんどうです、もう一度? メイド チロル PREV:メイドさんにお客様 中編 NEXT:一流メイドのたしなみ 前編
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip2/pages/4497.html
ここか……と俺がケーキを持って訪れたのが以前入院したことのある病院、そう機関が関係するというあそこだ。 GW休みを田舎で満喫中であった俺のところへ連絡があり古泉が足を折り入院したというのだ。 突然の事故であのにやけ顔が苦痛にゆがんだかと思うと日ごろの思惑は別として人としてお見舞いには行かねばならないだろう。 というかハルヒが電話口で直ぐに来いなどと口やかましかったからではない。 「あらひさしぶりね、古泉君ならこの奥よ。そうそう彼女も来てるわよ、待ち合わせ? 相変わらず仲がいいのね」 などというの顔見知りの看護婦の妄言を聞き流し俺は病室へと向かった。 「遅いわよ、キョン!」 一週間ぶり相変わらずの声でハルヒが俺を出迎える、例によって俺が一番最後らしい。 「キョン君、おひさしぶりです。元気でした?」 「……」 ベットに伏せる古泉を中心にSOS団の誇る三人娘が勢ぞろい、ちょっとだけ古泉がうらやましい。 あぁ……古泉これお見舞い、と俺は買ってきたケーキを渡す。 「わざわざどうもすいません」 「キョンにしちゃ気が利いてるわね、おなかも空いてるしみんなで食べましょう」 おいハルヒそれは古泉にだな……。 「まぁまぁ、こういうものは大勢頂いた方がよろしいかと……」 怪我で入院中だというのイエスマンとにやけ面は健在なようだ。 「大体こういうケーキは日持ちしないんだから直ぐに食べないといたんじゃうのよ、普通はお見舞いにこういうのはNGなんだから…ホントにキョンは気がきかないわね……あっ、みくるちゃんお茶用意して頂戴」 俺は気が利くのか利かないのかどっちなんだよ……。 「……すいませんが肩を貸して欲しいのですが」 あぁ? 俺はいぶかしげに問いかける。 「トイレですよ、トイレ……流石に涼宮さんたち女性の方々にはお願いできませんしね」 別に俺じゃなくて看護師さんでもいいはずだが……、まぁ女性の看護師さんだと色々気後れするのかも知れん。 と考えかけたところに古泉が意味ありげに目配せをする、トイレというのは口実でどうやら話があるらしい。 どうせハルヒがらみなんだろうと思いながらハルヒ達に断りをいれて俺たちはトイレへと向かった。 トイレ内に他に誰もいないことを確認し俺は古泉に話しかける。 しかし災難だな、折角のGWだってのに怪我とは……そういや階段から落ちたとかきいたが本当なのか? 「えぇ実は久しぶりに例の閉鎖空間が発生しまして……そこでの負傷、いわば名誉の負傷ですね」 ほう閉鎖空間ねぇ、しばらくぶりだな。ここ最近はないって話だったよな。 「まぁ休み前にあんなことがあったのでこのところ毎日でしてね…」 憂いを顔に含ませながら古泉が話を続ける、心なしかにやけ顔も若干曇りがちだ。 へぇ休み前? なにかあったけ? 「なにかじゃないでしょう、涼宮さんが我々SOS団のGWの予定を発表されたときのことですよ」 あぁアレな、不思議探索とかみんなで動物園とか水族館とか毎日団活で埋まってたやつね。 「えぇそれですよ、その時あなたが……」 そうそうGWは田舎にいかなきゃって俺が断ったら、全員参加じゃないなら中止ってハルヒがいったんだよな。 やけに不機嫌だったが。GWの団活ができなかったのがそれほど悔しいのかアイツは? 「いやそうじゃなくてですね、GWを一緒に過ごせないというのがですね……」 だってしょうがないだろ、おれんちはGW毎年そうなんだしな。 「……あなたは……えぇ…そういう方でしたよね………、まぁ今日はこれで不満も解消されたと思いますので閉鎖空間も発生しないでしょう、感謝します」 まぁ確かに俺を怒鳴り倒してハルヒはストレス解消ってか、お前たちには悪いが無意味に怒鳴られる俺としちゃ困りものだな。 「……ひょっとわざとやってませんか?」 えっ何が? 「………それですぐに退院はできるのですが完治するにはしばらくかかりそうで僕の行動もかなり制約されます」 おいなんだか思わせぶりだな。しかしまぁ、怪我は足だし通学とかも不便そうだ。 「えぇそこで体制強化ということで上層部の指示でバックアップの支援要員が北高に増員されます」 ふーん増員ねぇ……って俺はお前ら機関の動向なんか知りたくもないんだがな。 こいつらの都合を聞かされているうちにいつの間にか機関に取り込まれていたりしてはかなわない。 古泉個人はともかく組織としての機関は今ひとつ信用できん。 「それはそうかも知れませんが…、増員の件はかくしておいてもあなたにすぐにばれてしまうことですので事前にお知らせしておいたほうが良いと思いましてね」 まぁ確かにすぐにばれるような話であれば事前に教えておいて貰った方がいいといえばいいか。 それですぐにばれるって……ひょっとして俺達の知ってる人か? 「えぇ支援要員はあなたもご存知の者、……森です」 あぁ、あのメイドさん? 俺は年齢不詳のメイドさんの姿を思い浮かべた。 例の無人島の事件やらなにやら俺だけでなくハルヒたちとも面識があるんだよな。 「そうです、ですがすでにメイド枠は埋まっていますので……」 メイド枠……ってなんだそりゃ朝比奈さんのことかよ、するとまぁ教師か職員ってあたりか? 「おそらく……、僕も詳しくはしりませんが……休み明けに北高に現れることになってます。おっとそろそろ戻らないと」 あぁ、そうだな。スーツをビシッと決めた女教師ルックのメイドさんの姿を妄想しつつ俺たちは病室へと戻った。 そしてGW明け俺たちは森さんに出会った…身分を隠すため森さん本人ではなく森さんの妹という設定らしいが……。 「みんな、はじめまして転校生の森苑子です、わたしのことそのそのって呼んでください」 ……森さん……それ…なんてコスプレAVですか………orz。 ----------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------- いくらなんでも森さんのセーラー服はない…ありえない……。それともこれは機関の森さんに対する罰ゲーム、若しくは新手の羞恥プレイかなにかなのだろうか。 そんな俺の困惑を他所に我等が担任岡部は話を進める、ハルヒのお陰か奇抜な自己紹介と破天荒な女生徒には耐性ができたらしい。 「森君は本当は4月からの筈だったが家庭の事情で今月からということになった、みんなも宜しく頼む。それから森君は事情があって休学していたことがあるそうで君たちよりも年上だそうだ、だからって遠慮しないで皆も仲良くするように」 俺達より年上って設定か、同い年だなどと主張されたらどうしようかと思ってたがこれで一安心だな。 まぁそれでもセーラー服に違和感ありまくりなのはかわりがないわけだが……。 「そのそのはひとつだけどみんなよりお姉さんです。頼りないお姉さんだけどよろしくね」 って朝比奈さんや鶴屋さんと同い年かよ! HR前に谷口がこのクラスにお姉様系の美人転校生がくるらしいと話してはいたが、それがまさか森さんだったとはな……いくらなんでもお姉様すぎるだろ! あまりなトンでも展開に唖然とする俺を他所にそのその@女子高生(自称)は話をすすめる。 「そのそのが今着てる服は前の学校の制服なんです、……悪目立ちかもしれないけど朝とかこの服を見かけたらそれはそのそのだからおはようってみんな話しかけてください」 そのそのが前の学校のものと言い張る制服、それは……セーラー服モノという特殊な映像作品ではよく登場するが実際に採用している学校は存在しないという、いわゆる標準セーラー服というシロモノだ。 そしてそれを身に纏った森さん、すなわちそのそのは……どうみても女子高生というよりは女子校生だった……orz。 「涼宮とキョンは森君のお姉さんと知り合いらしいからお前ら夫婦で森君の面倒みてあげるように、それと席は涼宮の後ろな」 まぁ確かに お姉さん の森園生さんとは知り合いなのは間違いないわけだが……俺たちはそのそのとは初対面ってわけか? と俺は岡部の妄言を聞き流しながら思った。すると……後ろでハルヒが何かブツブツいってるようだ。 「あたしと…キョンが…フーフ……、あたしと……」 どうやら岡部の妄言がお気に召さなかったようでご立腹らしい。 「涼宮さんとキョン君ですね、姉の園生からお話は聞いてます、宜しくお願いします」 「……よろしく、涼宮ハルヒよ、……姉妹……ね……、お姉さんにそっくりね」 立腹もおさまったのか、そのそのとアイサツするハルヒ、あいつにしては珍しく困惑を隠せないようだ。 「よく言われるんですぅ、そのそのそんなにそっくりかなぁ」 「……それでこっちがキョン」 しかし毎度のことだがいい加減俺を本名でよんで欲しいものだ、というかハルヒお前は俺の本名を覚えてないんじゃないのか? 「おいキョン、森君の机と椅子を用具室から運んでくるように、よろしく頼む」 と去り際の岡部から声がかかり、俺は用具室へと向かった。 あれ、俺の教科書……確かここに……、机を運んできた俺は教科書を用意しようと机の中を探ったが見つからなかった。 俺は置き教科書派だからここにないといけないわけだが……。 「キョン、あんたの教科書ならあたしが使ってるわよ」 ハルヒがあっけらかんという。 おい、お前の教科書はどうした、もしかしてお前忘れたのか。 「アンタじゃあるまいし忘れるわけないでしょ、ちゃんと持ってきてるわよ」 じゃぁなんで俺のを? 「あたしのは森さんにかしたのよ、教科書まだ届いてないの、わかった?」 人を食った返答に呆然とする俺に対しハルヒはさらに畳み掛ける。 「大体あんたは授業中いつも寝てるじゃない、教科書なんかいらないでしょ」 ふざけるな教科書を返せ、大体だな教科書なんて二人で見ればいいだろが、俺の机から持ってくな。 「二人で見る……、それもそうよねキョンにしてはいいアイデアね、それじゃ返すわよ」 あぁ、最初からそうしてくれ、……俺も机動かしたりとか色々協力するから。 「阪中さん、ちょっとごめんなさい」 「別に構わないのね」 ……ってハルヒお前なぜ俺の隣に! 「なぜって二人で教科書みるんでしょ、よいしょっと机はここでいいわね」 ハルヒはなんと俺とその右隣である阪中との間の通路に無理やり自分の机と椅子を割り込ませていた。 おいハルヒ! 何やってんだ、早く元にもどせ。 「何って二人で教科書見るんだから後ろじゃみれないでしょ」 二人の意味が違うだろ、おれとじゃなく森さんとで二人だろ。 「何いってるのよ、転校生にそんな肩身の狭い思いさせるわけにいかないわよ、一人一冊よ。アンタは元々勉強してないんだから教科書半分で充分、それにあたしくらい優秀なら教科書半分でも充分よ、それに協力するっていったじゃない!」 なにが半分だよ、大体阪中にだって迷惑だろ、早く戻れよ。 「私は問題ないのね、ごゆっくりなのね」 お、おい阪中! 「それに岡部だって…あ、あたし達…フ、フー………フタリでっていってたでしょ! 文句ないでしょ!」 困り果てた俺が助けを求めて周りを見回すと森さんと目があった。 しかし彼女は俺たちに生温かい視線を浴びせるだけだった、そして阪中を筆頭にクラスの連中の生温かい視線も俺たちに降り注ぐ、もう限界だと俺が教室を飛び出そうとしたところに英語の教師がやってきた。 彼女は俺たち、つまり通路に陣取っているハルヒに気が付いて何かいいたそうになったが、そのまま淡々と授業を開始した。 新卒二年目なのでハルヒをとめても無駄だと悟ったらしい、逃げ場なしか……。 「ほらキョン、ちゃんとノート取りなさいよ。あらスペルが違うじゃない、駄目ねぇ……ちゃんと書き直しなさい」 すいませんみんな生温かい視線で時々こちらをみるのは辞めて欲しい、一体どんな羞恥プレイなんだ。 先生もハルヒを注意してください、先生もそんなみんなと同じ目で俺を見るのはやめてください……。 この羞恥プレイは次の数学、そしてその次の物理の時間へと続いた。 その上休み時間にはお姉さま系美人転校生の噂を聞きつけた物見高い連中に生温かい視線を浴びせられるというオマケつきでだ。 けがれちゃったな……俺。 おまけに状況確認のタメに森さんに話しかけようとしてもハルヒがそばにいたのでは機関がらみの話など出来はしない。 ……さて次の授業は体育だから教科書とか関係ないよな……えっ……体育!…まさか……。 そう、そのまさかであった……体操着にブルマーですか…しかもエンジにサイドに縦線の白二本。 またもや そのその が前の学校のものと言い張る体操着とブルマはいわゆるブルマものという特殊な(以下略。 なんというか……生々しすぎるよ森さん。 「なぁ、キョン。俺……彼女をみてるとなんだか胸がもやもやしてドキドキするんだ。朝からずっとそうなんだ、これって恋なのかな…」 ハルヒとペアを組んで柔軟をする そのその の姿を見て谷口がつぶやく。 …谷口…そりゃAVの見すぎだよ……、「セーラー服百連発」とか「おしおきブルマ」とかマニアなコスプレビデオの見すぎだろ。 などというわけにもいかず、俺は谷口に生返事をした。 あぁそうかもしれんな、でもライバルは多そうだとおれは周りを示す。気が付くとクラス男子のほとんどが彼女に注目していた、合同授業の六組の連中も半分くらいは彼女の様子を窺っている。 そういや谷口の秘蔵コレクションとやらはクラスの男子全員に回ったんだよな、ついでに六組にも谷口のビデオがでまわったようだ。 まぁ俺のポニテコレクションには負けるが谷口のブツはかなりマニアックだしな…などと そのその とハルヒを見ながら谷口コレクションについて俺は思索にふけった。 ----------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------- 今日の男子の体育は走り幅跳びの試験いわゆる記録会、女子は俺達のいる砂場の隣で鉄棒の練習だ。 男子一同が心を合わせたものか試験はトントン拍子に進んだ、女子にいいトコ見せようと何度もチャレンジするKYな奴は谷口以下のAV軍団に成敗され、あっという間に試験は終了、教師はあとは任せたとばかりに男子は自由時間となった。 鉄棒の逆上がりでぐるぐる回る体操着姿の女子達、それを駄弁りながら見てないフリでしっかりガン見している俺達男子、青春のひとコマってやつか? 「ねぇキョン、森さんに……僕を紹介してよ、彼女のコトが凄く気になるんだ」 国木田よお前もか…そういや谷口のビデオの順番は俺の前が国木田だったな。 まぁ谷口と違いショタ系の国木田ならお姉様系の森さんに合うかもな……。 するとそのそのに逆上がりの番がまわってくる、……養殖と天然を比べると養殖は脂がのってるって良くいうけどホントだな、脂がのりすぎてまさにムッチリだ。 逆上がりで回ろうとして途中で止まりながらじたばた何度も足掻く養殖モノのムッチリ具合に俺達男子の視線は釘付けだった。 ……かたや天然ものはと……他の女子一同を見渡すと「男ってやーね」とでもいうような冷ややかな眼で俺達男子を見ている……、バレてましたか……おまけに長門にまでそんな目で……orz。 「いやらしい目でジロジロ見てんじゃないわよ、このヘンタイども!」 とこれはハルヒ。 「そうよ、そうよ」 と阪中始め女子一同がこれに追随し俺達男子に詰め寄り一斉に糾弾する。 「どうせエッチなこと考えて見てたんでしょ、先生に言いつけるわよ」 す、すまん、その…なんだ…。 「男子はみんな森さんにあやまんなさいよ!」 す、すまん。ごめん……ほらお前らも、ほら。 「「「すまん、俺たちが悪かった」」」 「ちょっと、何横着して座ったままなのよ! ちゃんと立ち上がって背筋を正して頭さげなさい! ほらキョン」 いやその……なんだ、脂がのり切った養殖ものであるそのその、そのお次は活きのいい天然もの、それも目の前に集団でときては……俺もふくめ男子は不覚にも全員体育座りを余儀なくされ……、 つまり……女子達の体操着姿により立ち上がれないほどのダメージ(?)を受けていた。 「みんな待って! そのそのが悪いの、そのそのはみんなと違う体操着きてるから……、みんなより年上だから……だからみんな、そのそののこと気になって……」 だから森さんこっちにこないでくれ、それじゃ俺たちは益々立ち上がれなく……、とそこへ谷口がいきなり土下座をはじめる。 「森さん、それに女子のみんな俺たちが悪かった。すまんこの通りだ、ほらお前らも一緒に」 「そ、そう…わかればいいのよ、わかれば……」 とハルヒがこたえるが突然の土下座に動揺を隠せないようだ。 そして谷口の土下座でなんとなく場がしらけたところに授業終了及び昼休みの開始を知らせるチャイムが鳴り響きこの件はなんとなく有耶無耶とういか谷口の土下座損で終わった。 校舎へと引き上げる途中、女子たちの会話が聞くともなしに俺の耳に入ってくる。 「ホントにもう男子達きたら獣同然よ、森さんも変な男子に騙されないように気をつけてね」 確かにさっきの流れじゃ獣同然や変な男子と言われも否定はできんな。 「大丈夫、そのそのには付き合ってる彼がいるの、とってもかっこよくて頼りになる彼なの。あっそのそのに彼がいるってみんなには秘密よ」 ま、まぁ確かに素の森さんは年齢不詳ではあるが美人には違いない。 だから彼氏くらいはいても不思議じゃないが……谷口や国木田には気の毒な話か? 「えっ、森さんの彼ってどんな人?」 「そのそのの彼はこの学校にいるの、そのそのが転校した理由は彼がここにいるからでもあるの」 「それって…もしかしてこのクラスの男子?」 「ひょっとして上級生?」 「そのそのの彼は涼宮さんや長門さんも知ってる人なの」 えっ……ハルヒや長門が知ってて森さんと接点があるって……まさか。 「ほら彼があそこに、彼はそのそののコトずっとみてくれてるの」 「ねぇ勿体ぶらずに教えて」 彼女いうあそことは進学クラスの教室……そしておなじみのシルエットが窓辺に写っているが……やっぱり! そのそのは大きく手を振りながら秘密であるはずの 彼 に大きな声をかける。 「いっちゃーん!」 さしものにやけ顔もこわばったスマイルで壊れた機械人形のようにぎこちなく手を振りかえすのみだった。 ----------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------- よぉ、いっちゃん、どちらへ。 とこれは俺。場所は9組、俺は団長命令に従いいっちゃんこと古泉を捕獲しに来たところだ。 「えっ、いやその……ト、トイレに……」 そしてこれはいっちゃん。いつものにやけ顔はかなり動揺している。 『そのそのが愛しのいっちゃんをお呼び』だ、ランチを一緒にだとさ。 と俺が来意を告げると動揺はさらに激しくなる。 「いやしかしですね、それは……」 世話を焼かすな、さっさと来い。 俺は松葉杖を突く古泉に配慮して若干遅めに歩きながら古泉に話しかける。 ところで……森さんのあれは……罰ゲームか何かなのか? 「あぁあれは……本人の志願だそうです」 おい! 誰か止めるやつはいなかったのか? お前ら機関は一体どうなっているんだ? 「……僕が退院するのと入れ替わりに機関のメンバーが三人ほど担ぎこまれてきましてね」 おい話をそらすな、一体なんの関係があるんだ。 「彼等は痙攣しながら時折『セーラー服がとても良くお似合いです、どこからみても本物の女子高生です』とうわ言のように繰り返すのみでした」 それは……つまり森さんをとめようとして……。 「そういうことです、僕だって他のみんなだって命が惜しいです」 それはそれとして古泉お前『そのその×いっちゃん』の間柄っていうのは本当なのか、今までそんな素振りは無かっただろ? 「あーそれですか……、僕も寝耳に水で驚いています……」 いっちゃんこと古泉の表情がさらに曇る。 「しかし僕に拒否権は……」 そりゃ無いわけだ……、つくづくイエスマンだな古泉。 「まったく急な話であなたに相談する暇さえ与えてくれませんでしたよ」 どうやら森さん及び機関は前フリ無しだったようだ。しかしものは考えようだぞ森さんはあの通り美人だし、役得じゃないのか。 「そうだといいのですがね……」 今日のにやけ顔は冴えないようだった。 そうこう話しているうちに教室についたようだ、おれは古泉を促して教室に入った。 すると裸エプロンの森さんがそこにいた、いや見間違いだった。 「おそいわよ、キョン」とこれはハルヒ、そして「いっちゃん!」とこちらはそのその。 正解は体育の時間の体操着ブルマのままエプロンを身に着けたそのその18才(自称)だった、その破壊力たるや核爆弾なみだ。 教室中の男子の目はそのそのに釘付けだ。 「こっちよキョン、古泉君」 ハルヒたちは俺やハルヒの席を組み替えて即席のテーブルを構築していた。 促されるままに俺たちはそれぞれハルヒや森さんたちの隣に座らされる。しかし森さんは……なんという格好だ! よくよく見れば体操着を着ているとわかるのだが……しかしパッと見森さんは何も身に着けていない……つまり裸エプロン状態ににしか見えないのだ……けしからんコト極まりない。 そんな森さんは早速古泉をつかまえて持参の弁当の給仕をしている。 「さぁいっちゃん腕に身よりを掛けて作ってきた卵焼きよ。はいいっちゃん、あーんして……」 「……あ、あーん、こ、こうですか?」 「はい、あーん」 「……(もぐもぐ)」 そんな二人の様子をみてクラス中の女子はきゃぁきゃぁ歓声を上げている。 さて俺も弁当を食べるとするかさておれの弁当は……、あれ……なぁハルヒ俺の弁当って……お前が知るわけないか」 「キョンの弁当ならアタシが頂いてるわよ」 ってハルヒなんでお前が俺の弁当を!おい俺の昼飯はどうなる。 「あんたはアタシが購買で買ったパンを食べなさい、そ、それともあたしの食べさしでよければあんたの弁当でも……」 まったく一体ナンなんだ、おいパンをよこせ。 「ほ、ほら開けてあげるからせっつかないの。はいメロンパン」 むー、おっ意外といけるなこのメロンパン……。 「そ、そうでしょ、はいカレーパンよ」 お、おう。中々スパイシーでいけるなこのカレーパン。 「そうよ、……はい牛乳」 女子達が背後で歓声を上げているがなだろう…? 「そ、そうだキョン、あれよ弁当のお返しに明日はあたしがお弁当を作ってくるからあしたはあんたのお弁当と交換よ」 お、おう……。 そんなこんなで混乱の内に森さん改めそのそのの転校初日はくれていった ----------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------- そんな森さんの転校から二週間ほどが過ぎ、女子校生バージョンの森さんにもやっと目がなれたある日の昼休み、俺は古泉を送りがてら奴と駄弁った。ちなみに古泉は毎日律儀に昼飯を食いに俺たちのクラスにやってきている。 そして俺は毎日ハルヒの弁当をご馳走になっている。 「森が転校して以降涼宮さんの精神状態は極めて上々でして……森の功績が大であるという判断を機関の上層部は下しています。、 僕などは今まで一体何をしていたのかと逆に譴責を受ける始末です。従いまして今回の作戦は継続されるそうです」 えっそうなのか、森さんはまだいるのか、なんだかなぁ……。 「それより我々機関に対立し涼宮さんではなくあなたの親友佐々木さんをあがめる一派、我々は便宜的に『組織』と呼んでいる人たちですが…… 彼等は涼宮さんとあなたの現状に危機感を募らせているそうです。そういう訳で彼等も工作要員をこの北高に送り込んでくるとか……あなたも身辺には注意してください」 あぁそういうのはお前らだけでやってくれ、まぁどっちにしろ俺には無関係で宜しくな。 しかし俺はその翌日自分が無関係ではいられない事を悟らされる……。 「転校してきた立花京子です、私のことキョコタンって読んでください」 ドジッ子ツインテールがそこにいた。 *セーラー服とツインテールに続く(嘘
https://w.atwiki.jp/i_am_a_yandere/pages/749.html
52 :しまっちゃうメイドさん ◆HrLD.UhKwA [sage] :2007/05/31(木) 03 06 11 ID hi8v30i6 十八時十五分 浅原沙紀 すっかり暗くなった五月の夜道を私は歩いています。剣道部の部 員さん達と別れ、一人で歩くこの道はなんだか妙に長く感じます。 私が高校に入るまでは、いつもお嬢様が隣にいて、共に歩くこの 帰り道は私の毎日の小さな楽しみの一つでした。お嬢様は何にでも 直ぐに興味を示されます。それは帰り道も例外ではありませんでし た。お嬢様は、何度も何度も、それこそ何万回もこの道を通られて いるのに、その度に、何か新しい発見をなさいます。 例えば、それは木々の紅葉であったり、 例えば、それは燕の巣であったり、 例えば、それはタンポポの綿毛であったりします。 そうして無邪気にはしゃぐお嬢様の姿はなんとも微笑ましく、そ れだけで私はなんだかポカポカした気持になる事が出来ました。 それが変わってしまったのは、いつからでしょう? 私が高校に入った時からでは、なかったでしょうか? お嬢様は高校に入った私に、何か部活に入るように熱心に勧めら れました。最初は私も乗り気でした。私はお嬢様との連帯感をもっ と深めたかったのです。勿論、私はお嬢様と十数年の時を共に過ご していますから、それはそれは硬い絆で結ばれていることでしょう。 しかし、その頃の私の中には、「もっとお嬢様と語り合いたい」 「もっとお嬢様と解りあいたい」「もっとお嬢様と魂をぶつけ合い たい」そんな要求が生まれてきていました。簡単に言うと、私の中 でお嬢様が足りなくなってきたのです。 だからこそ、部活に入るのに私は乗り気でした。部活に入り共に 同じ目標に向って自他を研磨する…お嬢様と私の絆を更に深める絶 好の機会だと想ったのです。そうして、それが身勝手な要求だと解 りつつも、もしかしたらお嬢様も同じ気持なのでしょうか…と思わ ずにはいられませんでした。 しかし、直ぐに私はお嬢様の気持は、私が想像しているのと全く 違うと知らされる羽目になりました。 私が、新入生歓迎パンフレットを見ながら、何処の部活に入ろう か考えている時、お嬢様は友達の源之助さんが入る剣道部に入って はどうかと勧められました。私の入った高校の剣道部は、そこそこ の強豪なので毎日厳しい練習があります。だからこそ、私は直ぐに 賛成しました。厳しい練習に共に耐えてこそ、より絆が深まる。そ う思ったからです。 だからこそ、次の日の朝に、お嬢様が自分は剣道部はおろか何処 の部活にも入らないと聞かされた時はショックでした。 お嬢様と一緒に部活が出来ないのもそうですが、私が更に衝撃を 受けたのは「お嬢様が私から離れたい」という事実です。お嬢様は 自分のせいで、沙紀さんは自由な時間を取れなかったから、せめて 高校生活だけは…と仰せられましたが、お嬢様、そのような申し訳 なさそうな顔はやめて下さい。嘘であることがバレバレですよ。 53 :しまっちゃうメイドさん ◆HrLD.UhKwA [sage] :2007/05/31(木) 03 08 11 ID hi8v30i6 それなのに、お嬢様がこんなにも強く、剣道部の入部を勧める理 由は一つしかありません。お嬢様は一人の時間が欲しくなったので すね。 思えば、私がこの家に来たときから、お嬢様は一人の時間を取っ てこられました。 日に一回はある、やたら長いトイレ。 決して、私とは一緒に入らないお風呂。 それはお嬢様が大きくなるに従って頻度がましていき、そして中 ニの頃はそれがピークを迎えられ、とうとうお嬢様は自分の部屋に 鍵をかけられました。そして、最近は昼休みになると必ず身を隠す ようになられました。お嬢様…、私はそうしたお嬢様の変化を見る たびに、複雑な気持ちになってきたのですよ。 お嬢様…私がうとましくなられたのですか? そう思わずにはいられませんでした。 しかし、それをどうして聞けましょうか?しかしまた、それをど うして聞かずにいられましょうか? そうして結局、答えを聞かない事が答えのような曖昧な状態のま ま無為に時を過ごしてきました。勿論、お嬢様と過ごす時はいつも 楽しかったですよ。しかし、お嬢様が部屋やトイレに篭られる度に 私の中でお嬢様が段々と足りなくなっていきました。こんなに近く にいるのに、お嬢様が段々と遠くに行っているように感じるのです もっとお嬢様と一緒にいたいのに…、結局私はこの思いをお嬢様 に伝える事は出来ませんでした。なんだか、それを聞いてしまった ら全てが終わる気がしたのです。まるで獲らわれた麒麟(この時に獲 らわれた麒麟はお嬢様と同じく否命というそうです)よりも、もっ とおぞましい何かが出現するような、そんな不気味な予感というよ り確信に近いものが私を掴んで離しませんでした。 未だに、その答えは分からないままです。しかし、私は「お嬢様 は私から離れたがっている」その事だけは理解りました。 だから、私はこうして剣道部に入りました。お嬢様と離れるのは 心苦しかったですが、お嬢様がそう望んでいる以上、私はそれに従 います。 それに入ったら、入ったで剣道部はとても楽しいものでした。し かし、その楽しい時間も、私は心の底から楽しむ事が出来ませんで した。 54 :しまっちゃうメイドさん ◆HrLD.UhKwA [sage] :2007/05/31(木) 03 10 04 ID hi8v30i6 まるで、最新の液晶テレビを見たあとで、昭和時代の白黒テレビ を見るような感覚に襲われてしまいます。つまり、私はどうしても お嬢様と過ごす時間と、剣道部の時間とを比べてしまい、結果、剣 道部の時間が本当に楽しいにも関わらずなんだか色褪せて見えてし まうのです。私の心の何処かにはいつもお嬢様がいる故に…。 「難波潟短き葦のふしの間も 逢はでこの世を過ぐしてよとや」 って、これは恋歌ですね。自然と口をついて出た恋歌に私は思わ ず赤くなりました。なんでこんな歌が思い浮かんだのでしょうか? これではまるで私が…。 そんな事を考えているうちに、ようやく私は家に着きました。 お嬢様…、やっぱりこの道は一人で歩くには長すぎます……。 55 :しまっちゃうメイドさん ◆HrLD.UhKwA [sage] :2007/05/31(木) 03 12 04 ID hi8v30i6 十八時二十分 秋月家 「あっ、沙紀さん」 「沙紀さん?」 そう言ってからの否命の行動は早かった。まず、さっきまであん なにも隆起していたマラがみるみる萎えていく。 そして電光石火の速さでパソコンの電源をスイッチを押して切り (パソコンのOSはXPである)、パンツとスカートを上げると、 足音一つ立てずに早歩きで自分の部屋へと駆け込んでいった。 「って、貴方、財布を渡しなさいよ!」 それからドタドタと足音を立てながら凛が今、まさに部屋に入ろ うとしている否命の腕をガッチリ掴んで引き寄せる。 しかし、その拍子にドアに手を掛けていた否命は大きく体勢を崩 してしまい二人はもつれあう感じで倒れこんでしまった。 ガタンッ!! 「お嬢様…!?」 何かの倒れる音に驚き、慌てて廊下に向った沙紀が見たものは… 上着がはだけ、血まみれのシャツを覗かせている見知らぬ少女を押 し倒している否命の姿であった。 「………」 「………」 「………」 三人が三人とも、それぞれ万感の思いを込めて固まった。沙紀は ただポカンと痴呆の如く口をあけ、否命はゆっくりと頭を動かし二 人の顔を見比べ、凛は突如現われた沙紀をひたすら凝視していた。 「ええと…」 気まずい雰囲気の中、最初に声を発したの凛だった。凛は視線を 自分の血まみれのシャツに注いでいる沙紀にニッコリと微笑むと、 「沙紀さん…でしたっけ?安心して下さい…このシャツの血は私の 血ではありませんから」 しばらくして…、沙紀の口から悲鳴が上がった。
https://w.atwiki.jp/pokecharaneta/pages/16168.html
メイドさんの下着は特別です。 登場人物 コメント みらくるるによる4コマ漫画作品。 登場人物 チェリム:桜田蘭子 ゼブライカ:有坂ツカサ 使い手のカミツレはファッションモデルなので ミルタンク:東雲メグ ゲッコウガ:服部雫 ニャース:エマ・クラウン ルカリオ:イリス・クラウン コメント 名前 コメント すべてのコメントを見る 登場人物とだけ書かれた荒らしコメントを削除 -- (名無しさん) 2019-04-07 13 34 21
https://w.atwiki.jp/ranoberowa/pages/27.html
第009話:戯言遣いとモトラドとメイドさんと 作:◆xSp2cIn2/A 生き残りたいなら殺せ 殺したいなら生き残れ ルールは無用 自分がルールだ 禿頭の男から無言で渡された荷物を持って、ゲートをくぐると…… そこは雪国でも不思議な町でもなく、鬱蒼と茂る森林の中だった。 「それにしても殺し合いねぇ……そういうのは出夢くんや零崎の領分だよなぁ。ったく、なんて戯言だよ」 誰ともなしに『ぼく』こと『いーちゃん』はつぶやくと、とりあえず支給されたアイテムを調べるべくバッグの中に手を突っ込んで 一番最初に手に触れた物をつかんだ。 あれ? なんかこれどこかで触ったことがあるような…… 「あぁ、そうか」 これは二輪車のハンドルだ、どこかで触ったことがあると思ったのは、このハンドルが巫女子ちゃんに貰ったベスパのハンドルと感触が似ているからだ。 「って、いや待て落ち着けぼく。こんなデイパックにベスパが入るわけ―――」 「ねぇ、誰だか知らないけれどさぁ。そろそろここから出してほしいんだけど」 どこからか聞こえた声 ――男の子のような妙に高い声だ――に、ぼくの背筋に戦慄が走る。 やばい、誰か居る、見つかったか? だとしたら早くここを離れなければ! やばい、殺され―― 「うわっ! ちょっと手が汗でべとべとだよ! も~汚いなぁ」 また声、しかし今度はその間の抜けた声がどこから聞こえてきたのかすぐに分かりホッとする。 いや、本当にそうならホッとするどころではない。なぜなら声が聞こえてきたのは―― 「おーい、聞いてる? いつまでぼくのハンドルを握ってるわけ?」 ――デイパックの中からだったからだ。 また、声が聞こえた。ぼくは何かの罠ではないかと疑ったが、何時までもこうしている訳にもいかない。 それに、万が一このゲームに乗った奴がこの謎の声を聞きつけたらたまったものではない。 (もしかしたらそういうハズレアイテムかもしれない) ぼくは強くハンドルを握りなおすと、満を辞して、握ったハンドルを、引き抜いた。 ずるり と、ありえないほどに大口を開けたデイパックから飛び出してきたものは、近くの地面の上にガシャンと着地した。 それは、しっかりとセンタースタンドで地面に立つ、少し古ぼけた二輪車だった。 「ふぅ、やっと出られた。はじめまして、ぼくはモトラドのエルメス。お兄さんは?」 ぼくの思考能力はしばらくの間フリーズした。 再起動。 「あぁ、僕の名前? それは秘密と言う奴だよ、エルメス君。 ぼくは今まで他人に本名を教えたことが一度しかないのを誇りに思っているからね」 よし、一度再起動したおかげで冷静になれた。 やはり戯言遣いであるところのぼくとしては、いつでも余裕を持っていたいのだ。 「ふぅん、まぁいいや。ところでお兄さんいつまでここに居るつもり? 誰か来て殺されても知らないよ」 あまり興味がなさそうに言うエルメス君。どうやら細かい事は気にしない主義のようだ。 「それもそうだね、こんなところでグズグズしているわけにもいかないし。とりあえずここから離れておこうか」 ぼくは二輪車がしゃべるという異常事態は置いといて、デイパックの中からコンパスと地図を取り出すとそれぞれを眺める。 「とりあえず南にいこう。南の浜に出て西回りに歩いていけばとりあえず町にいける」 そこで適当に寝床でも探すことにしよう。そう決めて、うい。というエルメス君の返事を聞くと ぼくはエルメス君を押して南方向に歩を進める。が、 ぐにゃ 「うっ……」 何かを踏んでぼくは慌ててそこから足をどける。 その何かを見て、ぼくは驚愕に目を見開いた。え? 何でぼくはこれ――いや、彼女に気づかなかったのだろう。 その彼女は、 「いたたたた……あれ…ここは…………ッ!」 ぼくを見て、ぼくと同じように目を見開く。 ぼくはつぶやく。 彼女は―― 「メイドさん?」 【残り117人】 【F-5/森の中/一日目・00 10】 【いーちゃん】 [状態]:健康/メイドさんに動揺中 [装備]:エルメス/コンパス [道具]:初期配布アイテム一式 [思考]:町に行く/???(メイドさん)に遭遇 【???(メイドさん)】 不明 ←BACK 目次へ(詳細版) NEXT→ 第008話 第009話 第010話 第006話 時系列順 第047話 - いーちゃん 第075話 - エルメス 第075話
https://w.atwiki.jp/omogame/pages/96.html
Top ゲーム一覧 メイドさんのおもらしゲーム(ミニゲーム集) メイドさんのおもらしゲーム(ミニゲーム集) 概要 メイドさんのおもらしゲーム(ミニゲーム集) 4つのミニゲームが1つのゲームに入っており、仕事をこなして点数を取っていくゲームです。 プレイ上の注意 セーブはできません。 クリアのコツ メイドさんのベッドケアHELPの順番を見ておこう。メイドさんがおしっこするのは4人ともケアを済ませてから。シーツ交換でも尿意解消できる。 メイドさんのトイレそうじトイレ待ちの吹き出しを見逃さないようにしよう。メイドさんのおしっこでも掃除することができる。 メイドさんのバケツおしっこ雑魚敵には移動周期があるので、移動した瞬間に傍を通ろう。階段前のボスを聖水(おしっこ)で倒すと50点。積極的に狙おう。 メイドさんのレストラン抜けた個所は優先的に埋めていこう。メイドさんがおしっこすると場を空っぽにできる。 ダウンロード pixivから その他 プレイ時間:1ゲーム10分程度で900点(クリア点数)が取れるでしょう。 制作者:東横とこ + kisui ゲーム作成ツール:RPGツクールMV 完成版公開:2017/07/01 2017/10/22日に修正・実績システム追加。 Top ゲーム一覧 メイドさんのおもらしゲーム(ミニゲーム集)
https://w.atwiki.jp/pokecharaneta/pages/18424.html
心の声が漏れやすいメイドさん 登場人物 コメント ぎんもくによる漫画作品。 芳文社の漫画配信サイト『COMIC FUZ』にて2020年10月14日から連載中。 登場人物 ドンカラスorアーマーガア:烏目一柚(からす まいちじく) 名前から 未定:陽空修次 コメント 名前 コメント すべてのコメントを見る