約 3,294,058 件
https://w.atwiki.jp/nanohass/pages/2209.html
それは大切な出会い、故郷を追われ、当てもなく彷徨っていた私を救ってくれた 暖かくてとても大きな人。 私に人の生き方と、人間の強さを教えてくれた偉大な剣士、我が師サイ・オー。 ゆえに私は竜召喚師としてではなく、剣士として生きる事に命をかける事にしました。 殺の一文字心に抱いて、キシュラナ流剛剣術士キャロ・ル・ルシエが推して参ります。 なのはSTS×影技クロス 「剛剣無頼」 ザッザッザッ、薄汚れた外套を纏った幼い少女が無人の道を一人歩く。 その背には不釣合いな一本の太刀、そして肩には小さな竜。 「ねぇフリード、今日中には次の戦場に辿り着くかな?」 おっとりと優しげな声で、不穏当な発言をその小さな竜フリードに問い掛ける。 「キュクル~♪」 その声に分かっているのかいないのか、楽しげに声をあげ頬に擦り寄るフリード。 元々答えを期待していなかったのであろう少女は溜息をつくと、またゆっくりと歩き出した。 暫らく無言で歩いていたが、ふと振り向くと何もいないはずの木の根元を斬りつける。 「傭兵の私に何か用ですか、ラッド・カルタスニ尉?」 少女は何の感慨も無く、つまらなそうにそこに誰か居るかのように声を発した。 「いや、申し訳ないですね狂乱(マッドネス)キャロ・ル・ルシエ殿」 斬りつけた木の上に、何時の間に居たのであろうか、管理局の制服を身に纏った二十代半ばの青年が腰をかけていた。 「しかし、いきなり斬りつけてくることはないでしょうに」 心底嫌そうに、頭を掻きながら苦笑いをするラッド。 そんな彼の様子を、冷めた目で見ていた少女、キャロは当然と言った口調で答える。 「この程度で、ラッドさんが斬られる訳無いですから、ただの挨拶代わりですよ」 ラッドは肩を竦めると、枝から飛び降りキャロの前に立つ。 「申し訳ありませんですが、依頼の変更です」 ラッドの言葉に、意外そうな顔を見せたキャロは訝しげに質問をする。 「依頼の変更ですか? 私に何を期待するのでしょう? 只の剣士の私に」 この質問に、ラッドは頭をガシガシと掻くと、本当に申し訳なさ全開で土下座した。 「申し訳ない、うちのバカ大将がどうしても彼方に護衛を依頼したいと!」 護衛という言葉に驚くキャロ、誰が好き好んで自分みたいな少女に護衛を依頼するというのだ。 「何を考えているんですかナカジマ三佐は、私に護衛を頼むなんて正気じゃないですよ」 狂乱(マッドネス)この名が示す通り、自分に護衛が向いていないのは分かりきっているだろうに。 何を考えているのか分からないでもないが、この予想が当たるなら今すぐ引き返したくなる。 「まさかと思いますが、ひょっとして……」 一縷の望みをかけ、ラッドに声をかけるキャロ、だがその希望はバッサリと断ち切られた。 「そのまさかです、娘のスバル嬢の護衛を頼みたいと……」 沈痛とすらいってよい、沈んだ声でラッドは答えた。 「あの親バカは、何をトチ狂っているんですか! ついに痴呆でも始まったとでもいうんですか!」 もはや敬称すら付けず声を荒げ、地面を何度も何度も蹴りつける。そのたびに僅かに地面が揺れる。 「前金はいつもの倍、報酬及び依頼中の生活は一切保障すると隊長は言っています」 その条件に、キャロの思考は冷静かつ足早に計算を始める。 (いつもの倍の前金と、生活が保障されるなら問題ないよね。最近はフリードの餌代もバカにならないし) 「分かりました、依頼は受けさしてもらいます。正し、何か事態が起こったら私に自由にやらせてください」 そう言うと、ラッドに手を差し出す。 「これが、私の条件です」 その差し出された手を握り、ラッドは片膝立ちになると頷き答えた。 「ありがとうございます。護衛対象のスバル嬢がいる先は、遺失物管理部対策部隊機動6課になります」 その長い部隊の名前に、何故か嫌な予感を抑える事が出来ないキャロであった。 それから数日が経った。 機動6課部隊長室 そこでは、部隊長であるはやてが書類の束の前で頭を抱えていた。 「幾らなんでも強引すぎや、でも通さないと不味いし、アカンどっちに転んでも良くないわ」 そんなはやての様子に心配の余りオロオロするリインと、失礼しますと言いながら、書類を手にとるシグナムの姿。 読んでいくうちにシグナムの眉間が皺を寄せ、頬が微妙に引きつっていく。 「主はやて、この文に書いてある事は一体なんの冗談ですか?」 シグナムが書類を改めて眺める、そこには地上本部からの監察官として、6課に人員を一人加える事と、その人物 のプロフィールが書かれていた。 「地上本部からの横槍は、予測されていた事態ですし、年齢は実力主義の管理局なら問題ありません」 バシッと書類を叩きつけながら、シグナムは激昂する。 「その監察官が管理局にキチンと所属しているならです!」 そこに書かれていた監察官のプロフィールは、色々な意味で問題が記されていた。 尉官待遇の傭兵、しかも経歴にはその管理局相手に、戦闘を行っているとすら記入されているのだ。 「主はやて、私はこの少女を実際に見たことがあります」 あの時出会った姿を思い出す。内乱に介入した戦場で見た数多の局員と、反乱軍の屍の上で返り血に全身を染めな がらも、まるで花畑にいるような優しげな笑みを浮かべていた、あのイカれた傭兵の少女。 「私に言えるのは、彼女を迎え入れた場合新人たちの精神の保証はできないと言うことです」 それはシグナムの直感であった、数多の戦場を駆け巡った将としての判断が彼女を危険と判断する。 「でもなシグナム、この監察官を支持したのナカジマ三佐なんよ」 疲れた顔ではやては、シグナムに伝える。その推薦人にシグナムは一瞬驚いた顔を見せたが、直ぐに表情を引き締め直す。 「本当に、ナカジマ三佐なのですか? 三佐ぐらいならば彼女の経歴を事前に知る事ができるはずですが」 言外に、何か裏が在るのではとのニュアンスを込め、シグナムは自らの主たるはやてに問い掛けた。 「私も何か裏が在ると思うんやけど、ナカジマ三佐ならマイナスの影響を与えるような事をしないと思うし」 本当になんでなんだろうなぁと、不思議そうに答えるのであった。 「もしや主はやて、ナカジマ三佐はテスタロッサに、何かを期待してるのでしょうか?」 その言葉に、頭を抱かえていたはやては、一縷の光明を見出したかのように面を上げる。 「そうか、フェイトちゃんは色々な所で子供を保護しとるから、その子の心を救ってもらおうと考えてるんか!」 元気を取り戻したはやては、凄い勢いで書類を整理しはじめる。 その様子に、表情を和らげるシグナム。迎え入れる為の書類を作成しているはやてに対し、一礼をし隊長室から出て行った。 ちなみに、すっかり忘れ去られていたリインは、机のスミでゲームを始めていたのであった。 一方その頃、陸士108部隊隊長室では会話の中心であったナカジマ三佐が、写真を両手に抱かえ踊っていた。 「ハッハッハ! これで俺の作戦は成功したも同然。 何だかんだで純真なスバルには、キャロの嬢ちゃんの狂いっぷりは トラウマ物。これで危険な前線からは外れるって寸法よ」 逝ってるとしか思えない、自分たちの隊長の行動を、醒めた目で見ているラッド二尉とギンガ。 「俺ァ、今でもスバルが局員でいる事に反対なんだよ! 怨むぜ高町一尉」 華麗にイナバウアーを決めると踊りを止めて、血涙を流し懐から取り出した藁人形に、ひたすらズガズガと五寸釘を打ち込んでいく。 「隊長、ギンガ陸曹はよろしいのですか?」 ラッドが呆れながら、隣にいるもう一人の隊長の愛娘の事を言う。 「いやギンガはなぁ、アリャもう手遅れだし、嫁の貰い手無さそうだし」 素で答えるナカジマ三佐、ギンガが後ろに居る事が、すっかり頭から抜け落ちているようである。 「父さ……ナカジマ三佐、良くもまぁそこまで言ってくれました」 BJを身に纏ったギンガが、左腕のリボルバーナックルをガシャコン、ガシャコンとカートリッジをフルリロード。 それだけでは飽きたらず、空になった薬莢を、新しい物に取り替え、さらにリロードする。 「いや、事実だしなぁ……って、ギンガさんその放電現象まで起こってる左腕は何でしょうか……」 ギンガの問いに、冷や汗混じりに答えたナカジマ三佐であったが、ギンガはそれに対し逝った笑顔で答える。 「それは三佐を、徹底的に殴る為ですよ♪」 慌てて逃げようとする、三佐の襟首を捕まえ動きを封じる。 ギュンギュン回転を始める左手、そうこれはギンガ必殺の…… 「じゃあ、お母さんによろしくお願いしますね。リボルバァアアアア!ギムレットォオオオオ!!」 高速回転でドリル状になった左手で、ひたすら殴り始めた。 「ちょ、それって殺害予告! ブバッ、ゲブッ、ブヒャー!」 そんなギンガによる、ナカジマ三佐のフルボッコ劇を眺めていたラッドニ尉は、内線で救護室に連絡を取り始めた。 隊長室から流れる豚のような悲鳴は、108隊のオフィスルームにまで聞こえていたが、隊員達はああ、またかと変わらず 業務に励むのである。 そんな、平和な陸士108部隊の日常であった。 同時刻、クラナガン廃棄区域 日が落ちかけている夕暮れ時、キャロは瓦礫に腰掛けながら、一心不乱に肉に食いつくフリードを嗜めていた。 「フリード、お腹壊すから食べ過ぎたらダメだよ」 口を血まみれにしながら、骨を噛み砕き、肉を引きちぎる。いかに体が小さくなろうが、獰猛な竜種の本能は決して薄れず ひたすらフリードは肉を喰らい続けていた。 「クー、キュクルルー!」 キャロの言葉に、残念そうに獲物から離れるフリード、離れた際に飛び散った内臓を、まだ食い足りないとばかりに見つめるが 主を怒らせまいとすぐに側に近づき肩に止まる。 「本当に、こっちのルートを選んで正解だったねフリード♪」 無造作に地面に置かれている、血にまみれた大量の財布を手に取ると、札と硬貨を取り出し自分の財布へと入れ替える。 「悪党を切ればお金は入るし、フリードは餌に困らない。それに犯罪も減るから、一石三鳥だね♪」 キャロは、先ほどまでフリードが喰らいついていた餌に目を向ける。 それは、数人の風体の怪しい人の姿をしていた。しかしそれは辛うじて判るに過ぎない。 四肢が切断され、胴体からは内臓を飛び散らしている。そしてその表情は、全て絶望に染まっていた。 「明日には仕事場に着くし、今度はどんな事が起こるかな? 命の取り合いが出来ると良いよね、フリード」 そう言うと、キャロは立ち上がり、今宵の寝床を確保する為に辺りを散策するのであった。 彼女が機動6課に到着するまで後1日
https://w.atwiki.jp/nanohass/pages/3606.html
マクロスなのは 第15話『バルキリーと魔導士』←この前の話 『マクロスなのは』第16話「大宴会 前編」 総合火力演習は結局、ガジェット・ゴースト連合の介入によって中止となってしまった。 しかしこの演習によって魔導士、バルキリー両方の長所と短所が世間一般に露呈した。 万能に思えるVFシリーズだが、低空時の機動性は魔導士と互角。小回りにおいては技量の関係で劣っている。それに転送魔法や様々なスキルの存在する魔導士に分があった。 また、地上部隊として多い地上での治安維持活動はその大きさが枷となるため不向きだ。 だが高空での高機動性と、バリアジャケットより圧倒的に強靭な装甲。そして無限大の航続能力と高い生存性。ガウォーク形態による制空権の確保、維持の信頼性。高性能かつ大規模な各種センサー、強力なECM(電子攻撃)及び対AMF能力。 そして災害時、マニピュレーターによるレスキュー能力など魔導士では望んでも得難い物が多数あった。 しかし空戦魔導士部隊全てをバルキリーに転換するのは予算はともかく、訓練時間がないためAランク以上の慣れていない者が乗っても逆に戦力低下を招くだけだった。 また両者の合同作戦の有効性も証明されたこともあって世論も各隊員も共存を望んだ。そして保守派の者も最低限の利権の確保のために 「共存なら・・・・・・」 と譲歩した。 (*) 演習から3日後 クラナガンの中央に位置する本部ビルからそうはなれていない所に、巨大なドーム型の建物『クラナガンドーム』があった。 そこは普段ミッドチルダ及び隣国のベルカなどの公式野球チームが平和的に試合をする場だった。 しかし今日は予定された試合がないにも関わらずドーム内の照明は明々と灯っている。 そして野球で本来ライトのポジションの者が立つであろう人工芝の上には仮設のステージが据えられていた。そこには横断幕が掲げられていて〝地上の平和は任せとけ!〟と書かれている。 センターには大人数用の長机がズラリと並べられ、300を超える人が腰掛けていていた。 またレフト付近には第一管理世界だけでなく各次元世界の報道陣が詰めかけており、時折シャッターが焚かれる。 彼らのカメラは全てステージに向けられており、今まさにあの記者会見に次ぐ歴史的な事が行われようとしていることを示唆していた。 ステージ上には地上部隊と本局の旗が掲げられ、地上部隊の礼服姿のレジアス中将、そして〝本局の礼服〟姿の八神はやての姿があった。 レジアスは壇上のマイクの前に立つと演説を始める。 『ミッドチルダ、及び各次元世界の皆さん。私は時空管理局、地上部隊最高司令官のレジアス・ゲイズ中将です。 現在ミッドチルダはガジェットと呼ばれる魔導兵器によって、時空管理局始まって以来の危機に直面しております。彼らは管理局の戦闘員のみならず、非戦闘員である民間人にすら躊躇わず攻撃してきます。現在の死者は40人にも及び、負傷者は民間人を含めると600人を超えます。彼らの正体は未だに不明ですが、平和を脅かす〝敵〟である事は間違いありません!そして我々は決して彼らに屈伏する訳には行かないのです!』 力強く訴えかける俗に言うレジアス調が始まり、センターに座る人々もそれに同調して 「「そうだ、そうだ!!」」 と囃し立てる。 『なおも禍々しい力を使おうとする者達には正義の鉄拳が振り下ろされるだろう!我々の鉄の意志と団結によって!!』 民族大虐殺を実行した第97管理外世界のヨーロッパ辺りに出現した〝ちょび髭〟独裁者のようなその力強い演説に、フラッシュが数多く瞬いた。 だが彼がその独裁者と違うのは、持ちうる大きいが有限な権力を〝少数(ゲルマン民族)の幸福と多数(ユダヤ民族に代表される他民族)の非幸福〟に使うか、〝最大多数の幸福〟に全力を注ぐか。の違いであった。 『テレビの前の皆さん。今日我々時空管理局は、長きに渡る海(本局)と陸(地上部隊)の反目。そして魔導士部隊とバルキリー隊の対立乗り越えて一致団結する事をここに宣言します。 その礎として空戦魔導士部隊及び時空管理局本局代表の八神はやて二佐と─────』 はやてがコクリと頭を下げる。 『─────バルキリー隊及び時空管理局地上部隊代表である私とが、肩を並べ、手を取り合う姿をご覧いただきたい』 実は2人とも地上部隊所属だが、そこはご愛嬌。 地上部隊と本局の最高司令である両文民大臣は、これに類する法案整備が忙しく出席を辞退。元々バルキリーと魔導士部隊の連携を誓うつもりだった2人に代理を押しつけたのが真実だったりする。 ともかく、親子ほどの歳の差がある2人が固い握手を交わした。 その光景にセンターにいた人々─────空戦演習に参加した空戦魔導士部隊全員、フロンティア基地航空隊の参加者、そしてクロノ提督やリンディ統括官など本局からのゲストも大きな歓声をあげた。 またマスコミも待ってましたとばかりに一斉にフラッシュを焚き、ドームを真っ白に照らした。 この時、本局と地上部隊、そしてバルキリー隊と魔導士達は真にお互いを受け入れたのだった。 (*) その歴史的瞬間からすぐ、天井の屋根がスルスルと動き出した。 開いていく屋根からは青い空が望む。そこを横切るは6つの航跡。 桜色、金色、赤色の魔力光を放つ光跡は、機動六課のなのは、フェイト、ヴィータのものだ。残る青、緑、白の航跡は、スモークディスチャージャー(煙幕発生機)を起動したVF-11SGとS、そしてVF-25だ。それぞれミシェルとライアン、そしてアルトが乗り込んでいる。 6人は中央でパッと六方に散ると、3人ずつ時間差でUターンして再び中央に戻って来る。 六課の3人は対になるように3方向からアプローチし、ドーム中央を軸に回転しながら急上昇する。それによって3色の光跡は綺麗に螺旋模様を描いた。 バルキリー隊の3機も、さっきと同様に螺旋模様を描きつつ上昇する。 その時会場に音楽が流れ始めた。その歌声は紛れもなく超時空シンデレラのものだった。 <ここより先は『私の彼はパイロット ミスマクロス2059』をBGMにするとより楽しめます> その歌声に合わせて6人が舞う。 キラリと光ったかどうかはそれぞれの主観によるが、6人は綺麗な編隊を組んだまま歌に合わせて会場にかすめるほど急降下。そして急上昇しながら六課とバルキリーとで二手に別れた。 上昇を続けるバルキリー編隊と六課編隊はそれぞれが特徴的な円を描きつつ合流する。その軌跡は大きなハートを描き出していた。 続いて六課編隊からフェイトが抜け、高速移動魔法によってバルキリー編隊を掠めるようにニアミスして反転、離脱しようとする。しかし3機はガウォークを使った鋭いターンでそれを追うと、マイクロハイマニューバミサイルを放つ。 ロックされたフェイトを追尾してミサイルが直線に並びながらハートの真ん中へとさしかかる。 『ディバイン・・・・・・バスタァーーー!』 フェイトの目前で放たれたなのはの砲撃がハートを貫く。その桜色の光跡は瞬時に消えてしまうが、ミサイルの誘爆によってその爆煙が綺麗な矢を形成。ハートを貫く矢というラブサインを描き出した。 そしてなのはにはミシェル、フェイトにはアルト、ヴィータにはライアンとそれぞれ別れて2機編隊で宙返りなどアクロバットする。 〝だけど彼ったら 私より 自分の飛行機に お熱なの〟 組同士仲良く編隊を組んでいたが一転、六課側が砲撃などの攻撃を敢行。攻撃はそれぞれの相方の機体に直撃し、機体は煙を上げながらキリモミ落下した。 会場はその行為と、ほんとにヤバそうなバルキリーのキリモミ落下に息を呑む。 しかし落下する3機はほぼ同時に機位を立て直すと六課側と合流。そのまま仲良く編隊を組んで会場をかすめ飛ぶ。 他5人がそのまま横切って行く中、VF-25のみがガウォーク形態に可変し減速。ステージ前に降り立った。そしてキャノピーを開けると、後部座席の少女をステージ上に降ろした。 〝きゅーん、きゅーん きゅーん、きゅーん 私の彼はパイロット〟 ランカはステージ上で歌を完結させると、声援とフラッシュに応えた。 (*) 30分後 ドームはまるで優勝の決まった野球チームのようなどんちゃん騒ぎになっていた。 「今日は無礼講、階級は忘れて大いに飲んでくれ!」 というレジアスの言の下、空戦魔導士、フロンティア基地航空隊員入り乱れての酒盛りやシャンパンファイトという光景も見られた。 しかし今は比較的沈静化し、楽しく談笑しながら出されている料理を食べる事が主流になりつつある。 アルトもそんな主流派の1人だ。彼も適当に見繕ってきた食材を皿に並べ、それらをつついている。 彼の周りにはすでに機動六課の面々(隊長陣とフォワード4人組)やサジタリウス小隊のさくら。そしてミシェルと机を囲んでいる。ちなみにランカとはやて達はマスコミに連行されたっきりだ。 (大変だなぁ・・・・・・) アルトは他人事のように考えながらよく煮えたポークを口に頬張った。 「しかし、まさか両方の戦勝パーティーに出られるとは思わなかったな」 周りを見ながら呟く。 比較的オープンな六課では感じなかったが、地上部隊では魔導士ランクですべて決まり、ほとんどの場合で同じランクの者としか付き合わなかった。 また、魔導士とバルキリーパイロットも異質なものとして原隊でもなければ互いに接点を持たなかった。 しかし今はどうだろう。 地上部隊の茶色い制服を着た(魔導士ランクが)高ランクの局員と、フロンティア航空基地のフライトジャケットを着た低ランクのバルキリーパイロットが仲良く談笑していた。 演習前にこの光景を誰が予想しただろうか。 少なくともアルトは現状に満足していた。『どちらかが路頭に迷うことなど、ない方がいい』と考えていたからだった。 そしてアルトの呟きに、いつもの和食ではなくパーティ料理をつついていたなのはが応える。 「そうだよねぇ。でもこっちはほとんど必勝のつもりだったんだけどなぁ~」 そう言うなのははちょっと悔しそうだ。確かにあのAランク魔導士を全力投入した物量作戦では勝ちを確信してもおかしくなかっただろう。バルキリー隊の生存率が高いのはその装甲によるものだけではない。大量に搭載された撃ちっぱなし式ミサイルが抑止力として魔導士達の接近を拒んだからだ。あのまま長引いていれば弾薬切れで確実に負けていた。 「確かに。はやて部隊長、なんかすっごい張り切ってましたもんね~」 こちらは何故か甘いもので埋め尽くされているスバルが言った。今彼女の目の前には20cm程に高くそびえ立つアイスクリームボールを積んで作ったタワーがあった。 (あんなのどうやって食べるんだよ・・・・・・) 「こっちだって六課対策で猛特訓したんだぜ。なぁ、アルト」 「・・・・・・うわっ!」 ミシェルが突然肩を叩いたため、アイスクリームに意識が集中していたアルトは前につんのめる。その拍子に机を揺らしてしまった。それによってギリギリの均衡を保っていたアイスクリームタワーはグラリと揺れ、最上部の1個が落ちた。 「あ?」 それに気づいたスバルの対応は早かった。 彼女はコンマ数秒の間に小型のウィングロードを落ちる先に展開すると、アイスの地面への落下を防ぐ。そして更に驚嘆すべきことに直径4センチを超えていたであろうアイスクリームボールをそのまま口に滑り込ませてしまったのである。 「・・・・・・」 彼女は口を閉じたきり動かない。 人の口の大きさを超えるようなものを一呑みしてさらに動かないとなると、さすがにヤバイかと思い始めて駆け寄ろうと腰を浮かせる。 「おい、スバル? だい─────」 大丈夫か?と、最後までいえなかった。なぜなら彼女はブルリと震えたかと思えば、目を輝かせて一言。 「美味しい!」 出鼻を挫かれたアルトはその場に転んでしまった。 「あぁ、アルト隊長、大丈夫ですか?」 さくらがズッコケたこちらへと手を差し出し、助け起こしてくれる。 「・・・・・・あぁ。っておい、お前ら!あれを見てどうも思わないのか!?」 しかし、六課メンバーは一様にいつもの事だ。という顔をした。 ティアナが唯一 「あんた、食べ過ぎるとお腹壊すわよ」 と注意していた。 (いや、そんなレベルじゃないだろ・・・・・・) アルトはやはり胸の内で呟いた。 (*) 「お代わり行きますんで、皆さん欲しいものありませんかぁ?」 スバルはまたアイスクリームを食べるつもりらしい。手にはさっきのアイスが入っていた大皿が乗っている。 彼女はなのは達からお茶等の注文を受けると、注文が多かったため運び係を志願したエリオを伴って人混みに消えていった。 「それでアルト、さっき聞いてたか?」 ミシェルの問いに今度は落ち着いて答える。 「ああ、あん時あと1週間しかなかったからな。陣形の選定とかしなきゃいけなかったし、参戦してくるであろう機動六課戦力への対策に1番時間を費やしたな」 アルトはあの日々を思い出しながら言う。まさにそれは〝月月火水木金金〟と呼べるほどのハードスケジュールだった。 「そういえば演習1週間前に、突然アルト隊長が私達の小隊を集めて『お前達がフロンティア基地航空隊の切り札だ!』なーんて言い出すんですよ。びっくりしちゃった」 さくらがアルトの声色を真似て言う。 そう、サジタリウス小隊のさくらと天城の両名とも珍しくクラスオーバーAのリンカーコアを保有していた。そのため訓練次第では超音速可能なハイマニューバ誘導弾の使用が、そしてMMリアクターの補助でSクラスの出力を持った魔力砲撃ができたのだ。 ─────しかしなぜ2人はこれほどの出力を持ちながらバルキリー隊に配属されたのだろうか? 実は天城の方はこのクラスのリンカーコアを持ちながら飛行魔法が大の苦手であった。しかし空戦に必要な空間把握能力などのセンスが高く、実績も十分評価できる立派なもの(なんでも部隊の数人でテロを計画する次元海賊の本拠に突入。そこで暴れまくり、対応の遅れた本隊の到着までの時間稼ぎをしたらしい)だったため、原隊の部隊長が陸で果てるには惜しい人材と判断し推薦したという。 またさくらもヘッドハンティング(引き抜き)でなく推薦だ。しかし推薦主は〝特秘事項に該当〟するとかで判明しなかった。 話は戻るが魔力砲撃のSクラス出力は戦闘の上では必須条件であり、音速を軽く突破してくるオーバーSランク魔導士に追随できるハイマニューバ誘導弾もまた必須であった。 そのため彼らには対六課戦力用の特訓が施された。結果的に2人は格段に進歩し、それぞれに小隊を与えてもよい程の技量に到達していた。 「─────でも負けてしまいました。すいません・・・・・・」 シュンとするさくらに対戦したフェイトがフォローする。 「さくら、もしあれが演習用の模擬弾じゃなくて、実体の徹甲弾だったら私のシールドは全部破られていたよ」 「そうだ気にするな。お前の砲撃を受けきるなんて誰も予想してなかったんだ。おまえ達は十分やったよ」 「はい!ありがとうございます!」 さくらは2人にペコリと頭を下げた。この素直な所が彼女の持ち味だ。きっとどんな困難にぶち当たっても挫けないだろう。 「やっぱりお前達を選んでよかった。・・・・・・しかし俺は教官だからな。またすぐ他の奴を教えなきゃいけないのが、なんだか寂しいもんだな」 2人の頑張る姿がフラッシュバックする。 総火演までの7日間、シミュレーターによるAIF-7F『ゴースト』とのタイマン勝負を朝飯前の日課とし、VF-25を仮想六課戦力に見立てた2機一組による連携訓練。そして戦術について深夜まで話し合ったあの日々が。 さくらにもこちらの思いが伝わったのか 「そこまで私達の事を・・・・・・!」 と感極まった様子だ。 「アルトくんの気持ち、よくわかるなぁ~」 なのはは続ける。 「私も教導隊だからね。同じ子は大体1ヶ月ぐらいしか見てあげられないの。だから『まだ教え足りない!』、『もう少し時間があれば・・・・・・!』って何度も思ったな。だからいつも教える時は全力をかけて、後悔しないように。だからアルトくんも後悔しないように頑張ってね!」 「ああ。サンキュー」 なのはの激励を授かったちょうどその時、今まで沈黙を守っていたステージに光が戻った。 『これより新春隠し芸大会を開催いたします!』 壇上でマイクを握っているのは天城だ。姿が見えないと思ったら裏企画に参加していたらしい。 周囲からはブーイングの嵐だ。 曰く、 「テレビが来てるんだぞ!」 や 「新春って今7月末だぞ!」 等々。 天城は地声で 「こういうのは新春って決まってんだよ!」 などと怒鳴り返すと、マイクを握りなおす。 『こういう展開になると予想していた俺は、すでにエントリーナンバー1番を予約しておいたのだ!それでは先生、ガツンと一発お願いします!』 天城と立ち代わりにやってきたのはランカだった。 『1番、ランカ・リー、歌います!』 ランカが〝ニコッ〟と、笑顔の矢を放つと場が一斉に盛り上がった。 冷静に 「これって隠し芸?本業じゃね?」 とつっこむ者もいたが、大半が肯定側に寝返った。 ランカの衣装がバリアジャケットであるステージ衣装に変わる。 そして彼女はお決まりのマイク型デバイスをその手に握ると、力いっぱい叫んだ。 「みんな、抱きしめて!銀河の果てまでぇー!」 大音量のイントロと共にランカのライブが始まった。 客席が水面のように揺れて、大気振るわす歓声が輪になって広がっていく。 恋する少女のときめく心を綴ったファンシーな歌詞を、ノリのいいビートと快活なメロディに乗せたランカ最大の必殺歌(?)『星間飛行』。 そして遂に幾多の戦闘を止めたこの曲最大のポイントに突入する! 「「「キラッ!☆」」」 ドームに唱和する全員の声。 続くサビに場は完璧にランカの生み出す世界に呑まれ、誰もが興奮のるつぼへと飛び込んだ。 (*) そうして長いようで短いライブは終わった。 『ありがとうございました!』 ランカがペコリと頭を下げ、舞台袖に引っ込んだ。既に会場は最高潮の盛り上がりをみせている。 そして再び舞台袖から天城が姿を現した。 『ランカちゃんありがとうございました。では2番をどなたかお願いします!』 天城がマイクを客席に向かって突き出す。 レベルの高かったランカの後だ。なかなか名乗りを挙げるのは難しいだろう。アルトはそう思ったが、案外早く見つかった。 「はーい、わたしやるですぅ!」 聞こえたのは遥か後ろ、ちょうどマスコミのど真ん中あたりからだった。 そして彼女は自分達を飛び越えてステージに一直線に向かっていき、天城は彼女のためにマイクの台を残すと舞台から退いた。 『2番、リインフォースⅡ(ツヴァイ)、歌います!』 彼女はマイクの前で宣言すると、歌いはじめた。 〝トゥエ レイ ズェ クロア リュオ トゥエ ズェ─────〟 さっきとはうって変わってなんだか荘厳な雰囲気だだよう曲だ。それにア・カペラであるはずなのになぜかパイプオルガン伴奏が聞こえてくるようだ。 また、彼女の足下にミッドチルダ式でもベルカ式でもない魔法陣が展開されている。あれは一体? しかしその時、後ろから来た疾風が自分の横を駆け抜けていった。ちょうど歌が終わる。 「こぅら、リィィィン!!」 満場の拍手に混じって八神はやての怒声が会場に響き渡った。そして次の瞬間には舞台に現れ、リィンにハリセンの一撃を加える。 「ひたい(痛い)!」 「〝中の人ネタ〟やったらいかんってあれほど言ったのに!」 「だって、隠し芸って─────」 「中の人ネタは隠し芸って言わんのや!」 はやてはそう言って彼女を叱りつけると 「すいませんでした!」 とこちらに一礼。舞台袖にリィンを連行していった。 「ええっと・・・・・・それでは3番行ってみようか!!」 はやての乱入によくわからなかった一同だが、天城の強引な司会進行によってなんとか盛り上がりを取り戻した。 周囲に祭り上げられて名乗りを上げた3番手が上がる舞台を眺めながらアルトは気づいた。フェイトの舞台に投げる熱い視線に。 「そういやフェイト、歌完成したんだって?いい機会だし歌ってきたらどうだ?」 しかし彼女は笑顔見せると、 「私の歌なんて、こんなところで披露するような大層なものじゃないよ」 否定する彼女の面影はどこか見たことがあるような哀愁を漂わせている。 (この表情、どこかで・・・・・・?) 見た覚えは強烈にするのにどうしても思い出せない。しかしそれは少なくともフェイトではなかった。 「・・・・・・ん、そうか」 とりあえずそう応答するが、それがどこか気にかかってアルトの心をかき乱した。 (*) 10分後 舞台はすっかり通常の隠し芸大会の様相を呈していた。さっきまで酔った管理局の一佐がカラオケを披露していた。 今は空戦魔導士と基地航空隊の男女十数人ほどが動く死人、いわゆるゾンビに扮装し、どこかで聞いたような英語の曲に合わせ 「スリラー!」 などと叫びながら踊っている。 また、ホロディスプレイのテロップには〝M.J.追悼慰霊祭〟と書かれていた。 (ゾンビの意味あるのか?) 元を知らないアルトはそう思ったが、他人の芸に口出しするのもはばかられたので気にしない事にした。 さてアルト達はというと、変装したランカやはやて達を加えてあるゲームをしていた。 机の中心には人数分のカレーパンが積んである。 持ってきたスバルによれば、この中に1つだけ『爆裂・ゴッドカレーパン』というどこかの必殺技のようなカレーパンがあり、ものすごい辛いらしい。 それを食べた幸運(?)の持ち主を残りの人が当てるという単純明快なゲームだ。 「そうねぇ・・・・・・これにしよっと!」 ティアナが早速と、ひとつのパンを掴み上げた。そこにスバルが茶々を入れる。 「あぁ!ティアそれでいいの!?」 「なに?まさかこれ!?」 「ヒヒヒ、わたしも分かんな~い」 「む~!」 膨らむティアナにスバルはしてやったりとクスクス笑う。 「じゃあぼくはこれ」 2人に続いてパンに手を伸ばしたのはエリオだ。 「あ、エリオくん、わたしのも取って」 席が遠くて手が届かないキャロがこれ幸いと頼む。 「いいよ。うーん・・・・・・これでいい?」 「うん。ありがとう」 キャロはパンを受け取ると、笑顔を返した。 字面だけみていると仲のいいカップルのように聞こえる。しかし本人達に自覚はないし、周囲からみても仲のいい〝兄妹〟にしか見えなかった。 いろいろありながらも、パンは1人1人に渡っていった。 アルトもあと5つ程になった時に 「ままよ!」 と3つとり、1つをさくらに渡した。 「え?ああ、ありがとうございます」 どうやら扱い慣れていないナイフとフォークで、ビフテキと格闘していたようだ。 「・・・・・・えっとだな、さくら」 「はい?」 「利き手がナイフだぞ」 さくらは顔を真っ赤にして持ち変える。そんな彼女を横目に、ランカにもう1つを渡した。 「ありがとう、アルトくん」 ニコッと微笑むランカ。今彼女の髪は黒になっている。 それだけでアルトも最初彼女がランカとは分からぬほど印象が変わっていた。なんでもデバイスの簡易ホログラム機能を使って髪を黒に見せているという。 「みんな取ったね?」 スバルが最後に残ったパンを手に確認する。 ちなみにミシェルはさっきウィラン達とどこかへ行っていた。 (チッ、運のいい奴め) スバルが周囲を見渡して確認を終えると、開始の合図を放つ。 「それでは始めぇ!」 パクッ そんな擬音が聞こえてきそうなほど全員一斉にパンを口に頬張った。 モグモグ なんてことはない。確かに辛いが普通のカレーパンだ。 ランカやさくらも普通に食べていく。どうやら3人とも〝当たり〟ではないらしい。 周りを見渡すと他も普通に食べて・・・・・・いや、キャロは先にフリードリヒに食べさせて〝毒味〟させているようだ。 (うーん、見かけによらず計算高いヤツなんだな・・・・・・) 彼女はフリードリヒが問題なく食べるのを確認したのか今度こそその愛らしい小さな口でパンをほうばった。 「からーい!!」 ・・・・・・どうやら普通のカレーパンでも十分辛かったらしい。 苦笑しながら見回していると、今度はなのはと視線があった。 「どうした?」 「うん、ちょっとみんなの反応を見てただけ。アルトくんは?」 「俺も同じだ」 そう言うと2口目を口に運んだ。 しかしアルトは既に気づいていた。彼女の額にうっすらと浮かび上がっていた汗。そして声に混ざる小さな緊張のスパイス。これによってなのはがホシに違いないと。 しかしそこまで考えなくとも彼女はすぐにシッポを出し始めた。 食べていくうちになのはの顔色が赤にそして青に変わっていく。 ルールでは水が飲めないことになっているため相当きつそうだ。 全員が食べ終わった時、なのはは必死に笑顔を作っていた。しかしそれはひきつり、顔は真っ青だった。 (まったく、無理するのが好きなやっちゃ・・・・・・) 頑張りは認めるがあれでは誰の目にも明らかだろう。 投票が行われ、アルトは用紙になのは以外の名を書いた。 (お前の頑張りに乾杯!) 心の中で呟いた。 しかし正直者が多かったようだ。投票は、なのは 5。他バラバラ 5で、なのはが圧勝した。残り4票はなのは自身とアルトのような同情票だろう。 「はい!わたしです!だから・・・・・・早くお水を・・・・・・!」 負けたなのはがもはや息も絶え絶えに言う。 スバルは即座に席を立って飲み物の調達に走る。そして水を取ってくると、なのはに渡した。 ゴク、ゴク・・・・・・ その豪快な飲みっぷりに透明な液体はすぐになくなった。 しかし様子がおかしい。今度はフラフラし始めた。その目の焦点は定まっておらず、トロンとしている。 「ちょっとなのは、大丈夫?」 彼女の隣に座るフェイトがなのはを揺する。 「あぁ・・・・・・フェイトひゃん、らんか、ろれつが、まわららないの・・・・・・」 なのはがえらく色っぽく言う。そしてそのままフェイトに倒れ込んで抱きついてしまった。 「ちょっと、スバル? なにを飲ましたんや?」 はやてが席を立って、現場に急行しようとする。こうして席の者たちが騒然とする中、外部から介入が入った。 「おい君、アレ、飲んじゃったのかい?」 魔導士部隊と基地航空隊の隊員数人がスバルに問い詰める。 「は、はい・・・・・・ダメでしたか?」 「いやあれは罰ゲームに使うつもりだったアルコール度数が60%の酒のスポーツ飲料割りだぞ!」 「「「え~!」」」 どうやら急いでいたスバルが、水と間違えて酒をなのはに渡したらしい。 それも悪いことにスポーツ飲料割りと来た。スポーツ飲料は水分などの体内への吸収を良くするため、同時に摂取してしまうとアルコールの回りがものすごく速くなる。 つまりあれは急性アルコール中毒者製造飲料とも呼べる兵器と化していたのだ! なのはも急いでいたし、カレーパンに味覚、嗅覚をマヒさせられていたので気づかずに飲み干してしまったようだ。 現在当のなのははフェイトの腕の中でイノセントな寝息をたてている。 さすが一杯で物凄い即効性だった。しかしこの程度で済んでいるのは実は酒に強いのだろうか? ともかくこのままでは風邪をひいてしまう。仕方ないのでなのはは同じように酔いつぶれた人が集う休憩所で寝かせてもらうこととなった。 (*) 「でもそんなに辛かったのかなぁ?」 ランカの素朴な疑問に、なのはを〝持って〟行って不在のフェイトとはやてを除く全員が同調する。 『エース・オブ・エースをノックアウトしてしまう神なるパンはいかほどのものだろう』と。 その疑問に最初に耐えられなくなったのはやはり好奇心旺盛なスバルだった。 「じゃあ人数分持ってきますね!エリオも行こ!」 「はい!」 「あ、2人とも私の分はいいからね」 まるで解き放たれた矢のように飛び出して行きそうな2人にランカがマイクを片手に喉を示しながら言う。 『商売道具である喉に負担をかけたくない』ということなのだろう。 「「はーい!」」 スバルたちは頷くと、人混みに紛れていった。それと入れ違いに次元航行部隊の上級将校の制服を着た女性1人と護衛艦隊(次元航行艦隊)の制服を着た男性がこちらにやって来た。 男の方はこの世界に来てばかりの時に会ったクロノ・ハラオウン提督で、女性の方は聖王教会で見た写真に写っていたリンディ・ハラオウン統括官だ。 「こんにちは。あなたが早乙女アルト君?」 「そうだ」 「クロノは知ってるわね」 一礼するクロノを横目に頷く。 「私はフェイトの母のリンディ・ハラオウンです。あなたの噂は息子と娘から聞いています」 「・・・・・・そりぁ、ご贔屓にどうも」 しかしリンディは周囲をキョロキョロしはじめた。 「ところでなのはちゃんとはやてちゃん、それとうちの娘を見ませんでしたか?」 今までマスコミの取材攻勢にさらされていて・・・・・・と続ける。 アルトを含め席の者達は口ごもった。 まさか泥酔したなのはを休憩所に持っていったと言うわけにもいかない。忘れてしまいそうになるが、まだ彼女らは未成年だ。 「・・・・・・さぁ、さっきまでいたんだがなぁ・・・・・・そうだろ、ランカ?」 「えっ、う、うん。そうだね。どこいっちゃったのかなぁ~」 アルトにならってランカもとぼけ、周囲も追随した。 「そう? 仕方ない子達ねぇ・・・・・・」 リンディにとってみれば3人はまだ子供らしい。そこにスバル達が戻ってきた。 「持ってきましたよ~カレーパン」 その皿の上には都合のいいことにリンディ達の分もある人数分のカレーパンと、それであることをダブルチェックしたというお茶があった。 (*) 試食した神のカレーパンはそれはもう激烈な辛さだった。 水があっても半分がやっとだ。アルトは改めて水なしで頑張ったなのはに感服した。 周囲では犠牲者が多発しているらしい。 「グワァァァ!」 などと叫びながら青白い火を吹いている者もいる。 ・・・・・・いや?あれは隠し芸大会か。よくみるとオールドムービーで見たことあるあの怪獣の着ぐるみを着て舞台上に作られた町を破壊していた。 それにしてもあの船首にドリルのついた船はなんだ?なぜビームを撃っている?俺の知ってる轟○号は冷線砲だったはずだ! 「なにこのパン、罰ゲーム・・・・・・?」 舞台から視線を戻してみると、パンを食べたリンディが鼻を摘まんで目に涙をためている。そうなのだ、このパンには少なくともわさびが入っている。 (しかしいったい何を入れればこんなに辛くできるんだよ。下手すりゃ死人が出そうだな・・・・・・ってかまずカレーの味がしねぇよ!ただひたすら辛い・・・・・・いや激痛がするだけじゃねぇか!) しかし更に驚くべき事態が発生した。 リンディがどこかから砂糖を取り出したかと思えば、湯飲みに次々入れていくのだ。確か熱い抹茶が入っていたはずだ。 驚愕していると、念話が入る。クロノからだ。 『(すまん、かーさん大甘党なんだ。見なかった事にしてくれ)』 『(・・・・・・あ、あぁ)』 アルトは頷く事しかできなかった。 (まったくどうなってんだ!リンディといい、このカレーパンといい、常軌を逸してやがる!) しかし「どんな奴がこのカレーパンを作ったのだろうか?」と、気になったアルトはスバルに問う。 「おいスバル、これをどこから持ってきた?」 舌を出して痛がっているスバルは、ある一角を指差した。 そこはバイキング形式で料理の並んでいる普通のエリアではなく、民間の店舗が宣伝のために展開しているエリアで、『古河パン』という店らしい。 少し興味のわいたアルトは、食べれなくて指をくわえるランカを伴い行ってみることにした。 (*) 「いらっしゃい」 『古河パン』の仮設の店舗は屋台形式だが、なかなか品揃え豊富でどれも美味しそうだった。 屋台をやっている店主はまだ30代ぐらいのたばこをくわえた男だ。しかし彼の目からは子供のような元気さ、溌剌さが漂ってくる。 つまりいい意味で『心は子供のまま』というやつだ。 それに古河パンは結構有名店らしい。たくさんの人がパンを買っていく。買いにきた大口の魔導士達。どうやら常連らしい。仲良く話し込んでいた。 「わぁ~、見て見てアルトくん!光ってるよ!」 ランカの指差した先には『レインボーパン』とある。確かにそれはどういう理屈か七色に光輝き、非常に美味しそうだ。 しかし───── 「そいつは止めたほうがいいぜ、少年」 店主が突然後ろから声をかけ、驚くアルトを無視して名札の一角を指差した。 そこは〝早苗パン〟と書かれている。 よく見るとゴッドなカレーパンにも同じ表示があり、値段は他が7割オフなのに対し、その名がついた物は定価となっていた。 「早苗パンってなんなんだよ?」 アルトの素朴な質問に店主は驚く。 「おまえ、早苗パンを知らないのか!?」 頷くアルトとランカ。 「そうか初めてなのか・・・・・・仕方がねぇ、教えといてやる・・・・・・このパンはなぁ─────!」 店主は神のカレーパンを1つ掴みあげると無造作に頬張る。そして比喩でなく本当に火を吹いた。 「きゃあ!」 その圧倒的な熱量に、ランカはサッとアルトの後ろに逃げ込んだ。 アルトもアルトで驚き戦(おのの)くことしかできない。 店主は火炎放射をやめると、得意気な顔で言い放つ。 「ガッハッハッハ!このパンはこうして、サーカスで火を吹くためにあるのさ!」 豪快に高笑いする店主の背後でトレーを落とす音がした。そのトレーにはパンが載せられていたようで、大量に転がっている。 落とした本人は、二十歳前ぐらいに若く〝見える〟女性だ。どうやらバイト・・・・・・なのかな?目に涙をためている。 しかし、彼女の口から出た言葉は落としてしまったパンの謝罪ではなかった。 「わたしのパンは、わたしのパンは・・・・・・サーカスで使う・・・・・・燃料だったんですねぇ!!」 彼女は言いっぱなしで泣きながら走り去った。店主はかじった残りのパンをくわえたかと思うと 「俺は大好きだぁぁぁ!早苗ぇ~!」 と叫びながら屋台を飛び出していった。 「なんだったんだ・・・・・・?」 そこには呆然としたアルトとランカだけが残された。 (*) 帰りの駄賃にと、あんパンとメロンパンをせしめた(無論、代金は置いていった)2人は元の席に戻って来た。 しかし、まだフェイト達3人は戻っていないようだった。 だがすぐに彼女達の声を聞くこととなる。それも最悪の形で。 TO BE COUNTINUE・・・・・・ ―――――――――― 次回予告 暗躍するミシェル。 ベールを脱ぐなのは。 そしてフェイトとアルトの決断とは・・・・・・! 次回マクロスなのは、第17話「大宴会 後編」 本当の宴が始まる・・・・・・ ―――――――――― シレンヤ氏 第17話へ
https://w.atwiki.jp/nanohass/pages/3708.html
マクロスなのは 第24話『教導』 前半←この前の話 『マクロスなのは』第24話 後半 (*) 10分後 「え~!? ダメだよシャーリー、人の過去勝手にばらしちゃあ!」 六課に帰還してすぐ伝えられた事実に思わずその言葉が口をついて出た。 なんでもティアナ達に教導の意味を教えるために自分の撃墜の話をしてしまったのだと言う。 「ダメだぜ、口の軽い女はよぅ」 バルキリーから降りて何事かと見に来ていたアルトが愚痴る。普段の彼のセリフとは思えなかったが、なぜだが違和感はなかった。 「あの・・・・・・その・・・・・・見てられなくて・・・」 シャーリーは頭を下げるが事態はそんな簡単ではない。自分の撃墜に関わる情報は管理局内では未だに『TOP SECERT(最高機密)』であり、違反すれば問答無用で軍法会議になりかねない。 それも機密に関わることなので完全非公開で行われ、どうなるか全くわからない。 だがなのはは、この中に告発するような者はいない事を知っていた。 なぜならこれが機密である事を知っているのはフェイトとヴィータ、そして自分だけだったからだ。 アルトやさくらも─────いや、教導の卒業者には〝教訓〟として話していたし、完全無欠に無関係な天城君は 「(ドラマの)続きはどうなった!」 と叫んで既に宿舎に飛び込んでいた。 (もう・・・・・・) ため息をつくと、頭を下げて両手を合わす困りものの友人に再び目をやった。 (仕方ない。言うのが少し早くなっちゃっただけかな) 思いなおした彼女はシャーリーからティアナの居場所を聞き出すと、義務付けられている報告を済ましてそこに向かった。 (*) 機動六課敷地内 桟橋 ティアナはこの場所が好きだった。 夜風に吹かれながら明るい月と対称的な暗い海とを眺め、この真夏に涼しげな波音を聞けるこの場所が。 普段は訓練が終了して2,3分ほどゆっくりしていく場所だったが、ここへ来てもう20分。まるで不思議な魔法がかかったようにその場を動けずにいた。 早く強くなりたいと思っていた。だけど、間違ってるって叱られて、隣を走る相棒にも迷惑かけて悲しい思いをさせた。 これらの出来事は彼女を深く落ち込ませた。 (それに、私は結局・・・・・・) (*) 「ティア・・・・・・」 彼女から『独りにして』と言われていたスバルだが、遠く離れた茂みに隠れてエリオ、キャロと共に彼女を見守っていた。 そこに数人の闖入者が現れた。 「アルト先輩?」 スバルの疑問形の呼び掛けに、彼は無声音とジェスチャーで 「よ!」 と挨拶する。その後ろでもさくら、そしてシャーリーが 「こんばんは」 と会釈した。 どうしたのか聞こうとしたスバルだが、ティアナの声が聞こえてきたため中断された。 『なのは・・・・・・さん?』 振り向いたティアナの視線の先を追うと、軽く手を後に組んだなのはの後ろ姿があった。 (*) なのははそのまま自らの隣に座り込み、涼しむように、明るい月が暗い海に沈んでいく幻想的な風景を眺める。 そんな沈黙が10分ほど・・・いや20秒ぐらいの事だったかもしれない。ともかく、その沈黙に堪えられなくなって口を開く。 「・・・あの、シャーリーさんやシグナム副隊長にいろいろ聞きました。」 「〝なのはさん〟の失敗の記録?」 「え・・・・・・」 てっきり「なんの話?」と聞かれると思っていたティアナは少し狼狽する。 「あ、いえ、そうじゃなくて─────」 ティアナは自らの思考力が上手く回っていない事を改めて実感した。なのは達が帰投してからそれなりに時間が経過しているのだから、シャーリーでもシグナムでも聞く機会があったはずだ。 そんな簡単なことすら失念していたことにティアナはすこし可笑しくなった。 「無茶すると危ないんだよって話だよね」 なのはの確認に、ティアナの頭ではさっきの話がフラッシュバックする。 普通の、魔法すら知らなかった9歳の女の子が、魔法をその手にしてすぐに死闘を繰り返した。 少女はその後も自分の信念と守りたいもののために「早く強くなろう」として命懸けの無茶をし続け、遂には撃墜され、瀕死の重傷を負ったという話。 その少女が目の前にいるなのはであると聞かされたティアナの解答は、1つしかなかった。 「すみませんでした・・・・・・」 なのははそんなティアナに頷き1つを返した。 (*) 「じゃあわかってくれたところで聞くけど、ティアナは自分の射撃魔法をどうして信じないの?」 「それは・・・・・・兄を最後の最後で守りきれなかった魔法だから・・・・・・」 ティアナと彼女の兄ディーダ・ランスターの射撃魔法は少し特殊で、通常の半分以下の大きさの魔力球(魔力弾)を使用する。これは誰も使えないから特殊というわけではなく、練る魔力量が少ないため6~8歳の子供が普通の魔力球の練習のために使う。 つまり、リンカーコアがあるものなら誰でもできるという事だ。 しかしほとんどの場合で真っ直ぐにしか飛ばず、誘導性能や機動力など汎用性に優れた通常の魔力球には到底及ばないため使われないのだ。 しかしディーダはこれを究めることによってそれを練習用から実戦レベルにまで引き上げた。 練る魔力量が少ないということはそれだけ早く生成でき、小さいということは空気による減殺が少なくなり、より遠距離に届く。 また、真っ直ぐにしか飛ばないというのは最高クラスの信頼性の象徴であり、なのはの砲撃ですら反動で多少のブレが出る。つまり戦場の原則である『敵より早く、敵より遠くから、敵より正確に狙い撃つことができる』そんな技だった。 事実彼の技術は陸士部隊の目に止まり、装備改編前に負担の大きい魔力砲撃に代わる主力攻撃方法となっていた。 閑話休題 「そっか・・・・・・でも模擬戦でさ、自分で受けてみて気づかなかった?」 なのはの問いかけの意味が分からず首を捻る。 「ティアナの射撃魔法って、ちゃんと使えばあんなに早く撃てて、当たると危な いんだよ」 「あ・・・・・・」 「私は今まで一度もティアナとは撃ち合ったことはないでしょ?だって正面から早打ち勝負したら絶対ティアナの方が早くて正確に当たるから。だから、そんな一番いいところをないがしろにしてほしくなかったんだ。・・・・・・まぁ、でもティアナの考えたこと、間違ってはいないんだよね」 なのはは言うと、隣に置かれていたティアナのデバイス『クロスミラージュ』を手に取る。 「システムリミッター、テストモードリリース。高町なのは一等空尉。承認コード、NCC-1701A」 『OK,release time 60 seconds.(承認。解除時間60秒。)』 解除を見届けたなのははデバイスを起動状態にし、ティアナに渡す。 「命令してみて。〝モード2〟って」 ティアナはそれを受け取ると、おそるおそる指示を出す。 「モード・・・・・・2」 直後銃全体がオレンジ色に瞬いたと思うと 『Set up.dagger mode.』 という復唱と共に変形していく。 フロント・サイト(照星)の付いたマガジンを兼ねるグリップと、ピストルグリップ辺りで折れ・・・いや、折れていた物を引き起こしたというほうが正しい。 ともかく、引き起こされて真っ直ぐになった銃身は、ピストルグリップの下から魔力刃で覆うようにして銃口までつながる。 そして最後に銃口から、自らが作戦時無理やり作った魔力刃より大きなそれが、まるで短剣のように伸びた。 「これ・・・・・・」 自らの相棒の変貌に目を白黒させるティアナになのはは説明する。 「ティアナは執務官志望だもんね。ここを出て、執務官を目指すようになったらどうしても個人戦が多くなるだろうし、将来を考えて用意はしてたんだ」 ティアナは規定の60秒が経ったのか元に戻ったクロスミラージュを握りながら涙する。そんな彼女になのはは続けた。 「クロス(近距離)はもう少ししたら教えようと思ってた。でも出撃は今すぐにでもあるかも知れないでしょう?だからもう使いこなせてる武器と魔法をもっと確実なものにしてあげたかった。だから1つの技術を身につける事が目的のさくらちゃんとは違ってゆっくりやってたんだけど・・・・・・ゆっくりって地味だから、あんまり成果が出てないように感じて、苦しかったんだよね。・・・ごめんね。」 「ごめん・・・・・・なさい・・・・・・こんなに私のために準備してくれてたのに・・・・・・私、なのはさんの期待に応えられなかったみたいで・・・・・・」 「・・・・・・え?どうしてその結論!?」 「だって2発目の砲撃、なのはさん、結構本気で私を落としにかかったじゃないですか!」 「ああ、それは・・・・・・」 なのはにとって触れたくなかった、できれば触れずに行きたかったこの事柄。しかし残念なことにティアナはその事実に気付いていたのだ。 もし彼女が事前に彼と接触せずにこの場面に遭遇してしまっていたら、バレまいと思って彼にしたときとまったく同じ嘘をついて煙に巻こうとしただろう。 (なんてバカだったんだろ・・・・・・私・・・・・・) この分では自分の教える優秀な生徒達の前では、彼にしたような嘘を見破るなど児戯にも等しきものだったようだ。 だからなのははそれを教えてくれ、さらには受け止めてくれた彼に改めて感謝した。 「ごめん!実は・・・・・・あれは私のせいなの!」 なのははすべてを話した。 彼女自身から湧きあがった黒い考え、そしてそれに至った理由を。 ティアナはこの告知を少し驚いた様子だったが静かに聞き入り、最後にはどこか嬉しそうな表情へと変わっていた。 こうなると納得出来ないのはなのはの方だ。自分は最悪の場合ティアナ自身の魔導士生命に終止符すら打ちかねない行為を教官の身の上で行ったのだ。批難される事こそあっても、その様な表情を浮かべられる場面では無いはずだっだ。 「落ち着いてるんだね」 「はい。だって、私の前にそれを怒ってくれた人がいるみたいでしたから」 「それってーーーーー!?」 「私、宿舎の屋上から見たんです。なのはさんとアルト先輩が言い争ってるのを。・・・・・・先輩すごいですよね、あんなに離れてたのにちょくちょく何を言ってるのか聞こえるって」 「・・・・・・」 「その時は断片的過ぎて先輩がどうしてあんなに怒ってたのかよくわからなかったんですけど、やっとわかりました。たぶんですけど、アルト先輩に嘘をついたんですよね?」 ティアナにどこまで聞かれていたかわからない以上、嘘を重ねても仕方ない。なのはは正直に頷く。 「でも、今話してくれた話は本当の方だった。だからちょっとびっくりしましたけど、なのはさんがちゃんと私と向き合ってくれてるってわかったらうれしくって」 その顔にウソはない。その事実になのはは安堵したが、彼女のセリフはまだ終わっていなかった。 「・・・・・・でも、やっぱりちょっと強引だと思います。不発だったからよかったですが、もし撃ってたら私、ここにいられませんでした」 こちらの心情は察してくれたが、さすがにティアナもあの砲撃を無条件に看過することはできなかったようだ。 そこでなのははひそかに温めていたできれば切りたくなかった打開策のカードを使うことにした。 「ごめんね・・・・・・・それで考えたんだけど、ティアナ言ってたよね?さくらちゃんみたいな教導をしてほしいって。もしティアナが望むなら明日からでもできるけど、どうする?でも私は・・・・・・あー、もちろんティアナ達全員をどこに出しても恥ずかしくないエース級のAランク魔導士にしてみせるよ!だけど私ね、あなた達には―――――!」 「いいですよ、このままの教導で」 ティアナは言うと、座り込んでいたポートから立ちあがって清々しそうな表情で大きく伸びをする。 「本当言うと私、なのはさんに煙たがられてる、手を抜かれてるって思ってたんです。でも、全然そんなことなくて・・・・・・。だからもう、そのことはいいんです。それに今の様子だと、この教導には普通とは違う秘密があるみたいですし」 「にははは・・・・・・」 危うく言いそうになったが、立場上はにかみ笑いで応える。しかし内心切り札のカードの無力化に焦っていた。 「(これ以上私がティアナにしてあげられることなんて・・・・・・)」 「そこで私から一つだけお願い、聞いてもらっていいですか?」 「なに・・・・・・かな?」 脳裏を最悪の可能性が過る。 小さきは自らの職権の乱用、果ては犯罪まで。ティアナがそんなこと願うわけないと思ってはいても、彼女の魔導士生命を奪うかもしれなかった対価としてはそれも止むをえぬとも思えてしまっていた。 だからティアナの次の言葉を聞いた時、なのはは心底安心したという。 「もう一度、模擬戦を受けさせてください!」 なのはは自らの生徒の純真さと安心感に万感の思いをもって頷き、それに応えた。地平線の先に見えていた月は軌道の影響で沈まず、新たに登ったもう1つの月とともにクラナガン湾を照らしていた。 (*) スバルには2人の会話は聞こえなかったが、どうやら和解できたようなのでそっと胸を撫で下ろした。 そんな彼女の肩が〝とん〟と叩かれる。振り返るとさくらが〝昨日と同じジェスチャー〟をしていた。 その意味を即座に理解したスバルは頷くと、ここにいたギャラリーと共にその場から撤退した。 (*) なのは達が戻ってきたのは10分後だ。2人はロビーに入るなり驚く。 「よぅ、遅かったじゃねぇか」 婉曲語法で2人を迎えたヴィータの手には数枚のトランプが握られている。 また彼女だけでなく、シグナムやシャーリー、アルト、さくらにフォワードの3人と総勢8人が1つの机を囲んで同じようにトランプを握っていた。 「・・・みんなどうしたの?」 しかしなのはの問いはアルトの宣言でかき消された。 「いざ、革命!」 放られる1枚のジョーカーに3枚のファイブ。しかし上には上・・・・・・いや、下には下がいた。勝ち誇った顔をするアルトの前に4枚のスリーが放られたのだ。 驚愕するアルトに放った主が厳かに告げる。 「勝ちを急ぎすぎたな大富豪よ」 シグナムは微笑を浮かべると8切りして4を投げると1抜けした。 盛者必衰。アルトは一気に都を追われることになった。 悔しげに項垂れるアルトと大富豪に興じる人々。なのはとティアナは石像を続けていると、背後の入り口の扉が開いた。 「お、やっとるやっとる~」 現れたのは何か箱を持ったはやてとフェイトだった。箱には〝ビンゴ抽選機〟とある。 「いったい何事なの?」 なのはのその問いに、はやては笑顔で答える。 「さくらちゃん発案のビンゴ大会や。・・・・・・おーい!みんなこっから1枚とってな」 はやての呼び掛けに大富豪に興じていた人々がわらわら集まって来て、ビンゴカードの束から1枚ずつ引き抜いていく。 「さぁ、ティアナさんもなのはさんもどうぞ」 空気から取り残されていた2人もさくらに招き入れられ、和やかな、そして楽しげな人々の輪の中に入っていった。 (*) そのビンゴ大会はひどく白熱した。賞品として先着3名にゲームに参加した者なら一度だけ言うことを聞かせられる〝王様カード〟なるはやて特製の手作りテレカが手に入るためであろう。 途中ロビーに来た天城が司会進行を申し出たり、ヴィータがビンゴ抽選機(取っ手を回して番号のついたボールを出す機械)を盛大回して誤ってぶちまけるハプニングがあったりと波乱を巻き起こした。 しかし誰の顔からも笑顔は片時も消えず、階級などない学校のレクレーションのように和気あいあいと進行した。 そしていろいろあって何度か振り出しに戻り、3枚目になってしまったビンゴカード。おかげでまだ勝利条件であるトリプルビンゴに到達した者はいなかった。 「─────54番!さぁ、誰かいませんかぁ!」 天城がハイテンションで転がり出た球の番号を読み上げる。それに1人の少女がニヤリと微笑んだ。 「ふ、みんな済まねぇな。トリプルビンゴだぜぇ!」 ヴィータが雄叫びと共にカードを持った右手を突き上げた。 そして天城から王様カードを受け取ると、〝ビシッ〟とアルトを指差した。 アルトは自らの一列も埋まっていないカードを見て覚悟を決める。 そしてヴィータは王様カードをどこぞの長者番組の紋所のように彼にかざすと、高らかに宣言した。 「早乙女アルト!私と明日勝負しろ!」 極めてヴィータらしい命令にアルトはため息をつく。今や彼の方が上官なので拒否権がないことはなかったが、余程と言える断る理由が思いつかなかったようだ。 「仰せのままに・・・・・・」 体の演技こそ王妃に従えるナイトのようであったが、不服そうに答えたという。 (*) その後また振り出しに戻るなど激闘が20分ほど続いてようやく残りの2枚の行き先が決定した。 それはどういう因果かティアナとアルトであったが、2人ともすぐには権利を行使せず、夜も遅かったのでそのまま解散する事になった。 (*) 次の日 スターズ分隊の再模擬戦は、引き分けに終わったライトニング分隊の後に行われた。 2人の機動は訓練通りだが、クロスシフトAからBや、BからAの変更の流れは滑らかで、なのはをずいぶん手こずらせたという。 そして───── (*) スバルの連続攻撃とティアナの間断ない誘導弾の攻撃を受け、白いワルキューレは遂に地上に引きずり下ろされた。 しかし地に足を着いた彼女の砲撃力はそれでも強力であり、高度の優位に立ったスバルでも近づけなかった。 だがそんな彼女の前に虚空からティアナが現れた。 この間合い、シールド展開は間に合わない。まさに一騎打ちの早撃ちの距離だ。 どうやら早撃ちなら勝てるという助言に忠実に従ったらしい。 だが───── (甘い!) なのはは魔法の起動の邪魔になるレイジングハートを右手に持ちかえると、利き手である左手の人差し指をティアナに向ける。 「クロスファイヤー、シュート!」 放たれる小型魔力弾。確かにティアナの射撃魔法は優秀だが、その魔法を模倣できないわけではない。 なのはとの勝負においては単純な魔法の起動時間の勝負ではないのだ。 (惜しかったけど残念だったね) なのはは勝利を確信した。しかしここは地上。つまりティアナのフィールドだった。 魔力弾はティアナを貫通して、そのまま彼女ごと消えた。 「フェイク(幻影)!?」 続いてレイジングハートが右から飛翔してきた魔力弾によって弾かれ、地面に転がった。 「え!?」 そちらを見ると、砲撃用魔法陣を展開したティアナがいた。 そう、何もかも罠だったのだ。 わざと目の前に出現して助言に従った一騎打ちが狙いであるようにアピールして見せたのも、なのはが砲撃を行わずいつもの癖でレイジングハートを持ちかえる(デバイスにプログラムされていない魔法を本体経由で使おうとすると、無駄に処理しようとして発動が少し遅れるため)のも、全てティアナの狙い通りだったのだ。 あたかも助言に従った演技をすることによって、本来レイジングハートによって飛行魔法などの面において優越するがゆえに、選択肢が多いはずのなのはの選択肢を完全に奪い取る老獪な罠。 なのはは急いでレイジングハートに駆け寄るが間に合わない! 結果として右手のビルの2階から放たれたオレンジ色した魔力砲撃が、無防備の彼女を直撃した。 (*) 「やったぁ!」 ティアナがビルから出てくると、彼女を迎えたスバルにハイタッチした。 なのはは晴れていく煙の中から姿を現すと、そんな2人に笑いかけた。 「うん。文句のつけようがないくらいいい戦いぶりだったよ。それに一撃どころか撃墜されちゃうとはね」 教官の面目丸つぶれだよ~と彼女は嬉しそうに苦笑すると、遠くで観戦するライトニングの2人に集合の合図を放った。 (*) 「みんなお疲れ様。今日は午前までで訓練は終わりだけど、定期模擬戦のレポートを書いて今日の18時までに提出してね」 「「はい!」」 4人は今回引き分けか勝ちだったので気分は良さそうだ。いつもの訓練終了時と違って覇気があった。 「あと、解散前に私から渡すものがあります」 『何だろう?』という顔をする4人の前に、昨日渡すはずだった4冊の冊子を取り出した。 「今日は訓練開始から6カ月の節目の月だからね。これまでやってきた訓練の要点とかアドバイスとかをまとめてあります。暇な時でいいから目を通してね」 「「はーい!」」 4人はそれを受け取ると、互いに目配せしながら指示もないのに整列した。 「え?・・・・・・みんなどうしたの?」 ティアナが代表するように応える。 「実は私達、昨日話し合って、なのはさんに伝えたいと思ってた事があるんです」 なのはからすると全く意表をついたものであり、何を言われるか少し心配したが、先を促す。 すると4人は声を揃えて合唱した。 「「半年間ありがとうございました。これからもよろしくお願いします!」」 それはまるで小学生のようなお礼の言葉だったが、心がこもっているためノー・プロブレム。 なのはは最上級の笑顔で 「こちらこそ」 と応えた。 この時、なのはは照れ笑いする自らの教え子達を見て誓ったという。 『この子たちは絶対私の手でどんな状況でもあきらめずに打破できるような一流のストライカーにして見せる。他の生徒のように短期ではできなかったけど、この子たちなら絶対大丈夫。だから何があっても、誰が来ても、この子達は落とさせない。私の目が届く間はもちろん、いつか一人で、それぞれの空を飛ぶようになっても』と。 (*) さて、昼頃から始まったアルトvsヴィータの模擬戦だが、一進一退の攻防をみせた。 そのため我慢出来なくなったさくらとフェイトが、続いて天城とシグナムが参戦する大演習となった。 勝敗についてはまた機会があれば記述したいと思う。 その2週間後、サジタリウス小隊の出張任務は解かれ、別れを惜しみつつフロンティア航空基地に帰投した。 ―――――――――― 次回予告 アルト達が第一管理世界に来てからここまでで半年が経っていた こんなにも長い間、第25未確認世界は指をくわえて一体なにをやっていたのか!? 次回マクロスなのは第25話「先遣隊」 想い人を奪われた少女の思いが炸裂する―――――! ―――――――――― シレンヤ氏
https://w.atwiki.jp/nanohass/pages/407.html
ヤムチャ「ちくしょう!俺はやらねえぞ!見物だけだからなっ!」 ティア「バカな人たちだわ、勝てる可能性なんてあるかわからないのに」 ブルマ「ちょっと、あんたは一緒にいかないわけ?」 ティア「あたりまえです」 ブルマ「あんたそれでも女なの?地球も仲間も大ピンチの時なのよ!」 ティア「私、飛べないんです」 ブルマ「あ・・・そ、そう」 ティア「(私だって本当は人造人間と戦いたいわよっ! でも原作者の都築さんが私には飛行魔法の素質を与えなかったわ! 私もZ戦士のみなさんと同じ鳥山キャラなら舞空術で空が飛べてよかったのに!)」 単発総合目次へ DB系目次へ TOPページへ
https://w.atwiki.jp/dangeroussscc/pages/2.html
メニュー トップページ 参加キャラクター 試合SS一覧● 遭遇地形 ダンゲロスSSC2本スレ ネタバレ感想スレ本戦SSのネタバレ注意 練習用ページ(キャラページ) 練習用ページ(SSページ) ゲームシステム レギュレーション 参加方法・ゲームの流れ キャラクター作成方法 SS作成方法 SS投稿方法 投票方法 ストーリー プロローグ 基本設定 用語集 進行ラジオ録音 ※外部リンク 第一回キャンペーン説明ラジオ 第二回キャンペーン説明ラジオ キャラクター紹介ラジオ 最終結果発表ラジオ 応援ラジオ録音 ※外部リンク(有志による放送) 本戦SSのネタバレ注意 第一回戦応援ラジオ 第二回戦応援ラジオ 第三回戦応援ラジオ 第四回戦応援ラジオ リンク集 ダンゲロス総合wiki ダンゲロス総合掲示板 The 男爵ディーノ 講談社のダンゲロスサイト ダンゲロスSS ダンゲロスSS2 ダンゲロスSS3 ダンゲロスSSR ダンゲロスSS4 ダンゲロスSSRace ダンゲロスSS裏Race ダンゲロスSSDM ダンゲロスSSDM Set2 ダンゲロスSSCINDERELLA ダンゲロスSS裏CINDERELLA
https://w.atwiki.jp/nwxss/
このサイトは2007年10月にアニメ化されたTRPG「ナイトウィザード」のクロスオーバーSS(二次創作小説)保管庫です。 あくまで2chに掲載されたSSの保管庫になります。 Wikiに直接投稿するのはご遠慮ください。(すでに収録された作品の修正を除きます) エイプリルフール特別コンテンツはサイト情報に残してあります。 現行スレ 【柊】ナイトウィザードクロスSSスレ【NW!】Vol.30(アニキャラ総合板) ナイトウィザードクロスSS避難スレ(したらば掲示板) その他のスレッドについてはスレッド情報#過去スレ一覧をご覧下さい。 また、ナイトウィザードのみ(非クロス)のSSに関しては、卓上ゲーム板に卓上ゲーム板作品スレがありますので、そちらへの投下もご検討ください。 ナイトウィザードとは? 2007年10月にアニメ化もされた、現代ファンタジーTRPGです。詳しくは以下のリンクを参考にしてください。 原作公式 アニメ公式 まとめサイト Wikipedia:ナイトウィザード Wikipedia:Category ナイトウィザード ナイトウィザードは有限会社ファーイースト・アミューズメント・リサーチ(F.E.A.R)の著作物です。 → 有限会社ファーイースト・アミューズメント・リサーチ ページの新規作成について 以下のリンクから作成してください。自動的にテンプレートが挿入されます。 作品のメインページ ページ名は「(作品タイトル)」にしてください。 作品のエピソードページ ページ名は、特に問題が無ければ「(作品タイトル)/第○○話」としてください。例えば、リレー作品など1つのエピソードとしてくくれない場合はPage○○、SS作者が話数を指定している場合は第○○話01、第○○話02などとするのも手です。 コメント クロスSS保管庫に対する要望、意見、修正依頼などをどうぞ。コメントの過去ログもあります。 作品そのものへの感想は本スレの方にお願いします。 2009年もエイプリルフール終了。サイト情報にスクリーンショットを残しておきます。 -- 管理人 (2009-04-01 22 46 44) 学園世界用HOテンプレをトップページに作ってしまいました。学園世界の下に作り直しましたので、前のは削除お願いします。 -- 17-422 (2009-05-01 20 34 23) まことに勝手ながら、学園世界内の組織欄を改造しました。変更点はスレで出たものを踏襲したつもりです。おかしかった場合は修正をお願いします。 -- ななし (2009-05-17 01 32 44) 組織に新白連合学園世界支部を登録しました。 -- 名無しさん (2009-05-17 12 25 02) 「その笑顔を その涙を 胸に抱いて歩いていく~」って何の歌の歌詞でしたっけ?? -- 名無しさん (2009-05-17 21 28 14) スレがとんでもない単発力わざで埋められてるんだけど……立てられる人、いる? -- 名無し (2009-06-04 11 07 06) 某クロスSS書庫みたいに一時避難所みたいなものでも作ってみるのは? -- 名無し (2009-06-10 22 40 51) ↑は管理人氏の負担にしかならない気がするなぁ……もう2回くらい巻き込まれたら議題としてスレで取り上げればいいんでないか? -- 通りすがり (2009-06-11 11 06 25) 以前「悪魔達の日々」というデビルマンとのクロスを書いた者ですが、置いてある場所がおかしいらしく学園世界の欄にリンクしてありません修正したいのですがやり方がわからないので修正お願いします -- 名無しさん (2009-06-26 18 18 47) 報告ありがとうございます、修正しました。 -- 管理人 (2009-06-26 19 56 41) 素早い対応ありがとうございました -- 名無しさん (2009-06-26 22 14 12) PC版魔法大戦の歌詞ですな。タイトルは「青い星の上で」→「その笑顔を ~」 -- 名無しさん (2009-07-06 23 33 36) 嘘予告とかの一発短編のうち、いくつかは一覧に表示されてません。いっそのこと、嘘予告ってカテゴリ作ってその中に入れたらいいんじゃないかなと思います。一覧に表示されない短編、こちらで調べてもう一度コメントします -- ななしはん (2010-03-22 10 58 30) Dies irae 『怒りの日』、まだ書かれないのですか~ -- TanoShiMi (2010-03-24 22 39 11) 「ゆにば~さる」と魔法使いの夏にダブルクロスから蓮見イサムが出てなかったので次回是非! -- 壱 (2010-06-13 11 52 04) 本スレの方でも描きましたが、申し訳ありませんが【堕ちし囁きの美籠】を削除したいのですが……編集の仕方がよくわかりません(汗) -- みつやん (2010-06-28 18 23 32) そういえば管理人じゃないと削除できない設定になってました。…ところで「休止」と明記した上で放置というのもアリですが、削除しますか? -- 管理人 (2010-06-30 19 12 37) 続きが書けない以上、出来れば削除させていただきたいです。 -- みつやん (2010-07-05 06 32 17) 「堕ちし囁きの美籠」削除しました。 -- 管理人 (2010-07-05 13 08 23) お手数おかけしました。ありがとうございます -- みつやん (2010-07-06 09 47 49) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/nanohass/pages/756.html
「行くぞ。」 俺は高速移動で二人の後ろに回り込む 「な!?消えた!?」 「後ろだ。」 「な、ぐ!!」 「あぐ!!」 俺はなのはとフェイトの姿をした仮面の男に 肘打ちと膝蹴りを叩き込む 「今の一発はシャマルさんの恨み!!」 「「この!!」」 二人が俺に拳と蹴りを放ってくる 俺はそれぞれ右足と左腕で防御し 相手の顔面と顎に拳と蹴りを放つ 「が!!」 「うぐ!!」 「シグナムさんの恨み!!」 次の攻撃に移ろうと思ったとき俺の体にバインドがくっつき 俺の周囲に障壁が展開される 「これで…もう身動きはとれまい…。」 「…こんな物で俺の動きを封じたつもりか?」 「何?」 「はあ!!」 俺は全身から気を体外に向けて放ちバインドと障壁を破壊する 「ば、馬鹿な!?」 俺は二人の鳩尾に拳を叩き込む 「「がは!!」」 「ザフィーラさんの恨み!!」 二人とも血を吐いたみたいだ だが、みんなが受けた苦しみはこんなものじゃない 二人が蹲っている間に二人の後ろに回り込み背中に掌を当て 「そしてこいつは、ヴィータの恨み!!」 エネルギー弾を放つ 爆音の後二人は地面に落ちていった …落ちたまま上がってこないな 「どうした!?さっさと上がって来い!!ちゃんと死なないように加減はした!! 生きているのはわかっているぞ!!俺は貴様等を許さない!! 徹底的に苦しめて殺してやる!!この世から細胞の一欠けらも残さずにな!!」 ………ちっ 出てこないつもりか まぁいい 大体の位置はわかってる 「かぁぁぁぁ…めぇぇぇぇ…はぁぁぁぁ…めぇぇぇぇ…」 「悟飯君!!待って!!」 「悟飯!!ダメェ!!」 なのはとフェイトの声が聞こえたがどうでもいい 仮面の男に向かってかめはめ波を撃とうした瞬間 「!!なんだ!?この気は!?」 突如妙な気を感じてかめはめ波を撃つのを中断した 「この気は…はやて?いや違う。はやてと別の誰かの気が混じってる!?」 周囲を探る すぐに見つけた だが、そこに居たのははやてではなく 背中に黒いの翼を持ち、銀色の長い髪をした女性だった 「はや…て…?」 「また…全てが終わってしまった。」 「何?」 「一体幾度、どれだけ同じ悲しみを繰り返せばいい…。」 「はやてちゃん!!」 「はやて!!」 一瞬銀色の髪の女性が顔色を変えた ………今の俺と同じだな… 怒りや悲しみや憎しみに囚われた顔だ… ………少し落ち着いた 「おまえは誰だ?いや、はやてにくっ付いている奴…誰だ?」 「私は闇の書…。」 闇の書だと… あの本が…こいつ… 「私の力の全ては…。」 そう言って攻撃の準備に入った 「主の願い…そのままに…。」 奴にかなりのエネルギーが集まっていった そいつをぶっ放すつもりか こんな所でそんなことした周りの被害が 「待て!!はやてはそんことを望んでいない!!」 俺の言葉には耳を貸さずに 奴は…闇の書はさらに力を込めていった 「デアボリック…エミッション…。」 どうする、攻撃を加えるか …いや、ダメだ 闇の書からははやての気も感じる 下手に強力な攻撃を加えたらはやてがどうなるか… 魔導師なら非殺傷っていうのがあるってシャマルさんが言ってたけど 俺にはそんなのないし… 「あれって!!」 「空間攻撃!?」 そうなのはとフェイトが言った 「闇に染まれ。」 奴の攻撃は一気に広がってきた 防御して耐え抜くか …いや、俺のすぐ近くになのはとフェイトがいる このままいけば確実に二人を巻き込む そう思った瞬間俺は二人を抱えて 「「え?」」 一旦その場から離脱した 「大丈夫か?二人とも。」 「あ、うん。ありがとう、悟飯君。」 「ありがとう、悟飯。」 二人は無事か …問題はどうやってはやてを助け出すかだ 「あ、あの、悟飯君…。」 「何?どうした?」 「あの、その…。」 何か歯切れが悪いな …そういえば完全に切れたところを見られたんだっけか 「少しは落ち着いたたから大丈夫だよ。」 「あ、よかった。」 ホッとした顔してるな 「悟飯、はやてのことなんだけど…。」 「はやては必ず助け出す。」 そう、これが最優先だ 仮面の男を殺すのはその後でいい 「大丈夫!!はやてちゃんを助け出す方法が必ずあるはずだよ!!」 「うん!!はやてを必ず助け出そう!!」 二人ははやてを助け出すのに協力してくれるみたいだ そういば…二人ははやての友達なんだよな だったら当然か… 「方法を考えるにしても、しばらくはあいつの足止めが必要だな。」 「うん、そうだね。」 「それは俺がやる。」 「え!?そんな、危ないよ!!」 「大丈夫。それに魔法の事は二人のほうが俺なんかよりもずっと詳しいだろ。 俺なんかよりもいい案が浮かぶ可能性が高い。」 「でも…。」 なのはが何か言いたそうにしたとき 「フェイト!!」 「なのは!!」 アルフと…ユーノ…だったかな その二人が現れた 「二人とも無事!?ってあんた!!」 アルフが思いっ切り俺を睨みつけてきた 「待って、アルフ!!今の悟飯は敵じゃないよ。」 「え!?一体どういうことだい?」 「はやてを助けるためだ。」 「…ほんとかい?」 「ああ、嘘は吐かない。」 「お願い。悟飯君の事信じてあげて…。」 「…まぁ、そこまで言うなら…ね。」 「そうか、ありが…!!」 なんだ今の感じは 「え?」 「何…今の?」 みんな何かを感じ取ったみたいだ 「!!しまった…この気は…。」 「何かわかったの?悟飯君?」 「俺達の居場所がばれたみたいだ。」 「嘘!?」 「間違いない。一直線でこっちに向かってきている。」 「そんな!!今クロノが解決法を探してるのに!!」 「クロノ君が?」 「うん。援護に向かって来てるんだけど、まだ時間が掛かりそうなんだ…。」 「だったら来るまで俺が時間稼ぎをしておく。」 「え、一人で!?危ないよ!!」 「大丈夫だから任せてくれ。ハァ!!」 俺は気を入れ直し闇の書の居る場所に向かった すぐに着いた 俺は構えをとる 向こうも油断無くしている …動いてきた 俺に向かい魔力を纏わせた拳を放ってきた 俺はそれを避けたり受け流したり防御したりでやり過ごす …やっぱりはやての気も感じる くっ付いてるのか、混ざってるのか、融合しているのか 判断に悩むところだな っと、あまり考えてる暇はいかないか 放ってきた拳を両手で受け止め思いっ切り振り回し投げ飛ばす ある程度飛んだら自分からブレーキを掛けてきた 「刃以て…血に染めよ…。」 闇の書の周りと俺の周囲に無数の赤い剣が漂う 「まさか!!」 「穿て、ブラッディーダガー。」 そのまま無数の赤い剣は俺に飛来してきた 「はあああああ!!!!」 俺は周囲に衝撃波をだして赤い剣を消滅させた 「咎人達に…滅びの光を。」 あの技は…なのはのスターライト・ブレイカーか… なぜあいつが… 「星よ集え…全てを撃ち抜く光となれ。」 間違いない、スターライト・ブレイカーだ どうして… …蒐集 あいつは蒐集した奴の技が全部使えるのか… なら技の数は向こうが圧倒的に上だな… それに…技の組み合わせもできる可能性があるな 当たった相手を氷付けにするとかそういうこともできるかもしれない 回避するか… 「悟飯君!!」 「どうした?」 「近くに結界内に取り残された人がいるの!!」 「何!?」 なんで いや考えるのは後だ しかも闇の書が放とうとしているスターライト・ブレイカーはかなりの大きさだ 打ち返すにしても防御するにしても回避するにしても 確実に巻き込む 早く安全な場所まで避難させないと 「貫け、閃光。」 ちっ 時間が無い …そうだ 「みんな!!目を瞑れ!!」 「こんな時に何言ってんだい!!」 「…あ、そうか!!みんな、目を瞑って!!」 「なのはまで…。」 「いいから、悟飯君を信じて!!」 「う、うん。」 よし、みんな目を瞑ったな 「太陽拳!!!!」 俺の全身が太陽の如く発光する 「な、く!!」 モロに喰らったな 「今だ!!」 そうして俺達は一旦その場を離脱した 「ところで、さっきのやつは何なんだい?」 「太陽拳のことか?」 「そうそれ。」 「全身を太陽の如く発光させて相手の目を一時的使用不能にする技だ。」 「へー、便利な技だね。」 「今のあいつは目が使えなくなってるから暫くは大丈夫だな。」 「私も目が見えるようになるまで時間が掛かったからなぁ。」 「っと、この辺にいるはずだよ。」 そうフェイトが言ったので俺達は辺りを見回した 「あ、あれじゃないかな?」 そうなのはが指差した方向には人影が見えた 俺達はそちらに向かった 「すみませーん!! ここは危険ですので、そこでじっとしててください!!」 「え?」 「今の声って…」 そう言って振り返った二人は 「アリサちゃん!?」 「すずかも!?」 「なのは!?」 「フェイトちゃん!?それに………悟飯…君?」 俺だけ言いよどんだな …ああ、超サイヤ人状態だからわからなかったのか 「いったい、何?それに二人の格好…。」 「悟飯君にしては髪と目の色が…。そっちの二人は…。」 「あ、あのね…。」 「えっと…。」 二人とも言葉がでないみたいだな アルフとユーノの二人はアチャーって顔して頭を掻いてる …どう説明したものかな 「あの、その、と、兎に角安全な場所まで移動させるから、詳しいことは後で…!!」 急に大気が揺れる感じがした すぐに理由がわかった 少し遠くにかなり巨大な光球があった ちっ、もう回復したのか 「あ、あれって…。」 「間違いない!!」 それ振り下ろしやがった 「な!?」 あんな物が着弾すれば確実にここまで被害がくるし町だって… くそ、俺達の位置が掴めないから周囲全部に攻撃するきか そう思った俺は一歩踏み出し 「え、悟飯君?」 「悟飯?」 腕を広げて 「はああああああああああああ!!!!!!」 できる限り、巨大なバリアを張った 「凄い…。」 俺のバリアと奴の放ったエネルギーの奔流は均衡している よし、これなら耐え抜けそうだな ふと見るとすずかとアリサが抱き合って座り込んでいる …やっぱ怖いのかな 安心させるか 「大丈夫だ。」 「「え?」」 「ちゃんと守るから。」 そう言ったら少し安心した感じになった 「!!」 若干圧され始めてきた バリア自体を巨大にさせすぎたせいで全体の強度が落ちたのか まずいな… 「く…くく…。」 「私も手伝うよ、悟飯君。」 そう言ってなのは俺の横に立ち防御魔法を発動させた 「一人だけで無茶しないで、悟飯。」 反対側にはフェイトが同じよう立ち防御魔法を発動させていた 「そういうこと。」 「僕は結界とか防御とか回復は得意なんだよ。」 アルフとユーノも手伝ってくれてる これなら何とかなりそうだ しばらくするとエネルギーの奔流も止まった 「ふぅ。」 「あ、あの。」 「もう大丈夫だよ。」 「すぐ安全な場所まで運んでもらうからね。ユーノ君、二人のことお願いできるかな?」 「アルフも頼める?」 「僕は構わないけど。」 「アタシも。」 「え?ユーノ君って?」 「それにアルフって?」 二人がそう言った途端すずかとアリサは転移した アルフとユーノも同じように転移していった これで二人とも大丈夫だろ 「見られちゃったね…。」 「うん…。」 二人とも沈んだ顔してるな… …元気付けるか 「あの二人って友達なんだろ?」 「うん、そうだよ。」 「だったら友達のこと信じてやったらどうだ。」 「「え?」」 「お前達二人の友達はこんなことぐらいでお前達のこと嫌いになるのか?」 「あ…。」 「本当の友達や仲間ってのはこんなことぐらいじゃ嫌いになったりしないはずだ。」 昔…だいたい七年くらい前…ナッパと戦った時、一度怖くて逃げ出した俺をみんなは許してくれた そんな俺を許してくれたんだ 秘密がバレたくらいじゃ… 「そう…だよね。」 「きっと…ううん、絶対そうだよ。」 二人の顔に笑顔が戻ったようだな 「元気でたみたいだな。」 「うん!!ありがとう、悟飯君。」 「ありがとう、悟飯。」 「どういたしまして。」 そう言って俺は闇の書に向き直り構えをとった 「まだ終わってないから気を抜くなよ。」 「「うん!!」」 前へ 目次へ 次へ
https://w.atwiki.jp/pokecharaneta/pages/5221.html
ブルーブレイカーシリーズ ブルーブレイカー 〜剣よりも微笑みを〜 ブルーブレイカー 〜笑顔の約束〜敵サイド ブルーブレイカーバースト 〜笑顔の明日に〜 ブルーブレイカーバースト 〜微笑みを貴方と〜 コメント NECホームエレクトロニクスより発売されたPC-FX用ゲームソフト。同タイトルはヒューマンよりセガサターン版、『ブルーブレイカー 〜笑顔の約束〜』のタイトルでプレイステーション版が発売された。プレイステーション版ではイベントが多数追加されており、ゲームバランスの調整も施されている。また、プレイステーションでは本作のヒロインたちが戦う3D対戦型格闘ゲーム『ブルーブレイカーバースト 〜笑顔の明日に〜』、『ブルーブレイカーバースト 〜微笑みを貴方と〜』が発売されている。 ブルーブレイカー 〜剣よりも微笑みを〜 カモネギ:ケイン 剣の名手 ビリジオン:ターナ ひかりのかべ必須 ミュウツー:ナルター かなしばり、ものまねできりさく・いあいぎり必須 色違いルギア:ヤーム かぜおこし、ものまねでどろぼう必須 ギラティナ:サージュ 闇の住人という設定から 色違いエムリット:ハミュン ひかりのかべ、まねっこ必須 ラティアス:アーシャ 後者は神官見習い。じこさいせい、ゆめくい必須(回復技)。 グラードン:カルミー 炎技と切り技を多くおぼえて、衣装も似ている。 もちものはバンダナ 色違いゼクロム:レッカ 配色+電気技から パルキア:ワイズ しんぴのまもり、かえんほうしゃ必須 色違いレジスチル:マヤ 岩技、かわらわり必須 もちものは大地のプレート フーディン:クーマ先生 ピクシーorグランブル:妖精 分類から シュバルゴ:イナル 騎士 ダークライ:魔王ダークロード ムーランド:アンデッドマスター エアームド:ソードマスター ヒードラン:ゴーレムマスター・ラミーユ はかいこうせん、炎技必須 ラティオス:マジックマスター エルレイド:ディーザ ケインがピンチの時はてだすけ必須 ミミロルorパチリス:キメナ いあいぎり必須 ブルーブレイカー 〜笑顔の約束〜 敵サイド ゴルーグ:ゴーレムマスター ラミーユ ブルーブレイカーバースト 〜笑顔の明日に〜 ブルーブレイカーバースト 〜微笑みを貴方と〜 コメント 名前 コメント すべてのコメントを見る 草案 ブルーブレイカー リザードン:ドラゴンロード -- (ユリス) 2015-12-23 18 18 19 アーシャには髪が緑で、とくせいがしぜんかいふくのセレビィが似合う。 ターナはジャローダ(見た目がまんま擬人化で、ひかりのかべをおぼえられる+とくせいのしんりょくで緑の戒めを再現できる)。 ナルターはハブネーク(使い手のアザミに似た外見としっぽで切るという図鑑の説明から)。 ヤームにデオキシス(赤色のしんそく持ちで、あわせてよこどりもおぼえられる)。 ワイズにサーナイト(おにび、ねがいごと必須)。 マヤに色違いグライオン。 妖精はトゲキッス(祝福のために登場する+タマゴグループがようせい)。 ラミーユにバクフーン(逆立った髪から)。 キメナはケインの許嫁という設定を重視して色違いザングース。 -- (名無しさん) 2012-11-28 14 10 54
https://w.atwiki.jp/nanohass/pages/3342.html
マクロスなのは 第10話『預言』←この前の話 『マクロスなのは』第10話その2 (*) 1週間後国営テレビ放送 『─────現在〝35人〟もの尊い犠牲者を出してしまいました。それはガジェットと呼ばれる─────』 テレビは本部ビル前の仮設会場を写し出している。そこではレジアス中将が記者会見を行っており、その内容は管理局に殉職者が出たというものだった。しかし───── 『─────しかし皆さん、我々はこの事態を止める時が、止めることのできる時が来ました!すでに我々にはその手段があるのです!』 レジアスがいままでの悲しい表情から一転、力強い顔と口調に変わる。 「・・・・・・始まったな」 食堂で昼飯を食べていたアルトが呟く。今ここには隊長、副隊長陣を含め、フォワード4人組やその他職員が昼飯をつついている。しかし、皆レジアスの豹変にテレビに釘付けだった。 『・・・・・・私は時空管理局、ひいてはこの世界の存亡をかけた最後の防衛策として、〝ヴァリアブル・ファイター(VF)〟の導入、運用をここに宣言します!』 一斉に焚かれるフラッシュ。 そして一呼吸置くと、会見場に超大型のホロディスプレイが出現した。テレビはそのままホロディスプレイの映像に切り替わる。 『ヴァリアブル・ファイター配備計画とは、現在ミッドチルダの持つ工業力を最大限使って行われる、空戦魔導士部隊の大規模装備改変計画です。ヴァリアブル・ファイター、略して〝V(ブイ)〟〝F(エフ)〟とは─────』 ナレーターには落ちついた女性の声が当てられ、モニターにはVF-25を初め、VF-1やVF-11の映像が流れる。 「隊長達はご存知だったんですか!?」 自らの上官達が驚かないことに気づいたティアナが席を離れ、こちらに詰め寄る。 「こんな質量兵器紛いの物を─────!」 「ティアナ、」 なのはの射るような声が届く。いつもと違う教官の様子にティアナは即座に黙らされた。 「私達は確かに聞いた。でもね、その時の殉職者は〝12人〟だったの。1週間前よ。これがどういう事か、わかるよね?」 現在の殉職者数と、たった1週間前の殉職者数。その行き着く結論にティアナは 「すみません!」 と頭を下げ、自らの席に戻っていった。 このやり取りのおかげで事態の緊迫性を理解した他全員は沈黙を守った。 『─────現在ヴァリアブル・ファイター、通称〝バルキリー〟は、汎用人型可変戦闘機としてVF-1『ワルキューレ』。多用途人型可変戦闘機としてVF-11『サンダーホーク』の採用が予定されています。このうちVF-11については用途によって搭載機器を、指揮特化型や量産型、そして重武装型などにそれぞれ特化して運用する予定です。』 (設計だけじゃなく名称までもじってやがる。こりゃああっちの世界の開発元が聞いたら著作権で怒るだろうな。設計図を提供したL.A.I社の研究員は大丈夫かよ・・・・・・) アルトはそんな事を考えていた。そうしている内に映像が終わり、会見会場にカメラが戻った。 『皆さん、先ほどの映像からこの計画の概要を理解していただけたかと思います。しかし皆さんは「理念違反だ!」と反対されるでしょう。私も最初、この計画は考えてはいても、実行しようとはまったく考えませんでした。しかし私は、ある人物の遺言に心動かされてしまったのです。それは─────』 ホロディスプレイの映像が差し変わり、そのある人物の写真が映った。それはツーショットで、彼女と一緒に写っているのは〝なのは〟らしかった。 まだ部隊に入りたての頃の写真のようだ。2人とも青白の教導官の制服はパリパリで新しく、まるでリクルートスーツを着ているような初々(ういうい)しさが漂っていた。 目の前にいたなのはは俯く。とても正視出来ないのだろう。 『この向かって右側の彼女は殉職者の1人、宮島栞二等空尉です。栞空尉はリンカーコア出力がクラスAAという非凡な才能を生かし、4年ほど前から空戦魔導士の教導隊の一員として業務に就いていました。しかし2週間前、海上で彼女の所属する教導隊が新人の訓練を行っていた時にガジェットに襲われたのです』 プレーヤーが再生される。どうやら襲撃時の通信記録らしかった。 ―――――――――― 『メイデイ!メイデイ!こちら第4空戦魔導士教導隊、至急救援を乞う!・・・・・・ダメだ!ジャミングで妨害されてる!』 『新人どもをどこかに逃がせ!邪魔だ』 『逃がせってここは海上なんだぞ!』 『おい、ショーン・バノン二等空曹!なにやってる!?』 『じ、自分達も戦います!』 『バカ野郎!お前らヒヨッコはバリア張って身を守ってればいいんだ!頭出すな!わかったか!?』 『はっ、はい!』 『吉沢隊長、』 『ああ、栞二尉、助かる。私は右端から落としていくから、君は左端から頼む』 『了解。・・・・・・しかし隊長、このままではじり貧です。大規模転送魔法で安全圏への退避を』 『だが我々だけならともかく、新人はそう簡単に動けないぞ!』 『私が囮になります!その間に退避を』 『しかしそれでは―――――』 『こちら左翼!防衛ラインの維持は限界です!至急新人どもを退避させてください!』 『隊長!お願いします。やらせてください!』 『・・・・・・わかった』 ―――――――――― 爆音と喧騒混じりに聞こえる無線達。それらは本気の戦場の模様を写し出していた。 『この後、部隊のほとんどが彼女のおかげで無事に戦域から脱出しました。しかし囮になった彼女には逃げる隙がありませんでした。そんな彼女は最期に遺言を遺しています。今それを公開したいと思います・・・・・・』 再びレコーダーが再生される。彼女の遺言は、その〝全て〟が公開された。 そしてその放送は世界を沈黙させた。 彼女を知らなくても、同じ人間としてその無念さと理性を失う程の死への恐怖を痛感し、彼女を知る者は泣き崩れた。 なのはなど最後の方にあった自分の名が呼ばれるところでは、席から突然離れ、飛び出して行ってしまった。 再生が終わるとレジアスは続ける。 『私はもうこのような犠牲者を出したくない・・・・・・それに、彼女達の仇をとってやりたい!彼ら殉職者達の遺影の前に立ったとき、「仇はとったぞ!」と言ってあげたいのです!どうか、皆さんのご理解をいただきたいと思います・・・・・・』 映像と会見は深く頭を下げたレジアスを映して終了した。 しかし食堂の誰もが動けなかった。それほどの衝撃をあの遺言は与えていた。 15分が経ち、なのはが帰ってきた。彼女はまたしても気丈に振る舞っているが、その目は痛ましいほどに泣き腫らしていた。 プ、プ、プ、プーン――――― 『こんにちは。午後1時のMHK(ミッドチルダ・放送・局)ニュースです。先ほど行われた記者会見の緊急世論調査の結果は、もうまもなく集計が完了する予定です』 時報と共に始まったニュースは各地の反響を伝える。 号外が配られる街頭を歩くビジネスマンや、会見をテレビで見たレストランの客など。それぞれ賛成、反対などの意見を語っていた。 『―――――今のは首都クラナガンの中央駅前からでした。次に、記者会見で名前の出た時空管理局地上部隊所属だった宮島栞、元二等空尉の実家と中継がつながっています。現場にはロバート・ユレスキー記者がいます。・・・・・・ユレスキーさん?』 ニュースキャスターの呼び掛けに、現場へとカメラが飛んだ。 「―――――はい。こちらは先ほどの記者会見で名前の出た宮島栞、元二等空尉の実家前です。」 『ユレスキーさん、何か動きがあったそうなんですが、ご家族の方が記者会見について何か言われたのでしょうか?』 「はい。ちょうど5分ほど前に家族の方が帰って来られ、家に入って行きました」 映像が中継から録画された映像に切り替わる。 その家の玄関に乗り入れてきた車に殺到する記者逹。そして車から出てきた2人の男女に記者逹のフラッシュと質問が殺到する。どうやら彼女の両親らしかった。 2人は記者の質問に応えず、無表情を保っていた。しかし母親はついに耐えかねたのか、とうとうその場で座り込み、泣き出してしまった。 「どうして家(うち)の子が・・・・・・あんなにいい子だったのに・・・・・・どうしてなの!?」 父親が彼女をなだめて立たせる。しかし彼女は何を思ったのか、おもむろに記者逹が回すカメラのうち1台をひっつかむと、こう懇願した。 「もう理念とか関係ありません!管理局の皆さん!なんでもいいから、家の大事な1人娘の仇をとってください!」 それだけ言うと、父親に半ば運ばれるように連れられた彼女はおろおろと泣きながら家の中に消えていった。 カメラが戻り、再びユレスキー記者を撮す。 「その後こちらではまだ動きはありません。以上、実家前からでした」 心なしかユレスキー記者の顔色は良くなかった。 この事件の加害者であるガジェットは、民間人にも容赦をしない。つまりこの事態は〝もしもの覚悟〟ができている自分自身だけでなく、明日には何の罪もない自分の家族や大切な人に起こるかもしれないのだ。そう思うと平静でいられないのが人間というものだった。 アルトが見回すと、六課の隊長・副隊長陣は、瞳に焼き付けるようにテレビ画面をじっと見つめながら毅然とした態度を維持。前線の4人や他の職員逹も絶句しながらその放送に耳を傾けていた。 そして自分達の前にあるコーヒー、紅茶はすでに室温になっていた。 『ユレスキーさんありがとうございました。・・・・・・はい』 ニュースキャスターに画面下から紙が回された。彼はそれを一読すると目を見開くが、国営放送の報道者として中立を守るというプロ根性が辛勝したのだろう。なんとか無表情を保った。 『先ほどから行われていた記者会見の緊急世論調査の速報が出ました』 ニュースキャスターが、この世論調査の形態を『コンピュータで無作為に発生させた電話番号で―――――』などと説明すると、大きな見出しと3つの選択肢が現れた。 『まず、対応の遅れによって出してしまった殉職者について。〝憤りを感じる〟〝仕方ないと思う〟そして〝どちらとも言えない〟の3回答の結果は―――――』 画面が円グラフに切り替わり、赤と青、そして緑による色分けがなされる。しかし、青と緑は小さく、赤が圧倒的で8割以上を占めた。 『赤が〝憤りを感じる〟で81%。青は〝仕方ないと思う〟で10%。緑の〝どちらとも言えない〟という解答は9%に止まりました。続いて、ヴァリアブル・ファイター配備計画について。〝賛成〟〝反対〟〝どちらともいえない〟の3回答の結果は―――――』 ここはアルト達にも緊張の一瞬だった。なぜならこれを元に今後の方針が決まるからだ。仮に反対多数なら、レジアスは職を追われるかもしれない。 果たして、3色に染まった円グラフは、赤がが半分以上を占め、次に緑。5分の1ほどが青かった。 『赤が賛成で58%。青が反対で18%。緑はどちらともいえないで24%でした。・・・・・・今、時空管理局の歴史について詳しい、ミッドチルダ大学の山本信雄教授におこしいただいております。よろしくお願いします』 『いえ、こちらこそ』 『・・・・・・それでは早速ですが、これはどういうことでしょうか?』 ニュースキャスターの単刀直入な問いに、山本教授は苦い顔をして一言言い放った。 『う~ん・・・・・・〝時代は変わった〟ということなのでしょう』 その言葉は後の世が、これからのミッドチルダの変革を思い出す時の原点となるセリフだった。 (*) 賛成多数が決まった直後、はやての携帯端末にコールが入った。 「はい、はやてです。・・・・・・レジアスおじさん!? ちょっ、どうし―――――」 そこから先は声が小さく、アルトには聞こえなかった。そして周囲が心配の視線を向ける中、はやては携帯端末を畳む。 「アルトくん、ちょっと来てな」 「は?オレ?」 しかし、はやてはそれだけ言って構わず行ってしまうため、追わざるをえない。 彼女は食堂を出て、廊下を抜け、着いた場所は部隊長室のデスクだった。 「どうしたんだよ?」 しかしはやてはその質問には答えず、1枚の紙とペンを差し出してきた。なぜかその顔には笑みが浮かんでいる。 (いい話・・・・・・なのか?) 怪訝に思いつつもそれを一読してみた。 「・・・・・・オイ、はやて、これはどういう事だ?」 その紙にはこう書いてある。『退職届け』と。 「俺は〝クビ〟って事か?」 はやては不敵な笑みを見せると、首を縦に振った。 「お、おいおい!ちょっと待て!どうしてなんだ!? 俺が何をした!?」 「自分の胸に聞いてみ」 「・・・・・・」 何も浮かばなかった。 「やっぱりわからん。それに退職届けってことは、俺がサインしなければ―――――」 「それがダメなんや。もう上が決定したことやから、ウチでも撤回はでけへん。せめてものよしみで、退職金が多い自主退職にしてあげようと思っただけや。もうあと12時間ぐらいで正式な辞令が下りるはずやで」 ―――――どうやら根回しは済んでいるらしかった。 (どうして今さらこんな仕打ちを―――――!) 泣く泣くアルトはサインし、毅然と振る舞って虚勢を張ってみせる。 「おまえのこと、友達だと思ってたんだがな・・・・・・」 せめてもの抵抗に紙を放ってやる。しかし彼女は気を悪くした風もなくそれを受け取った。 「人間て非情になるもんやな。今度はこっちや」 アルトは渡された紙に小さく悪態をつきながら、どうせ「お前クビ」と遠回しに書かれているだけだろうから文面も読まずサインし、また放ってやった。 「よし。これで早乙女アルトは、本日付けで晴れて〝本局〟からクビになる訳や」 彼女はそう言って2枚目をFAXする。 そして10秒待たずに送られて来た返信に彼女はサッと目を通すと、アルトに差し出した。 「? なんだ?」 「読んでみ」 さっきとは違って今度は慈愛に満ちた笑み。 アルトは先ほどのレジアス以上のはやての豹変に戸惑いながらその紙を受け取り、目を通す。 ―――――どうやらはやてに1杯食わされたらしい。 そこにはこう書かれていた。 入隊許可証 時空管理局 地上部隊 試作航空中隊司令 レジアス・ゲイズ中将 我が中隊は、優秀なパイロットである早乙女アルトの入隊を許可し、階級を一等空尉とする。 なお、明日の1200時をもって本局の籍は剥奪される。それまでに貴官は人型可変戦闘機VF-25に搭乗の上、『時空管理局 地上部隊 技術開発研究所』に出頭すること。 また貴官の今後の任務は、我が試験中隊の実戦教官。及び、本局との連携強化のため、機動六課との連絡役とする。 ―――――つまりメインが変わるだけで六課にも自由に出入り出来るし、なんら不利なところはない。おそらくこれは、はやての手回しの成果だろう。六課に残ることになるランカにいつでも会えるように。という配慮だ。 「なんだよ。驚かせやがって・・・」 呟きながら顔を上げたアルトの目に最初に入ったのは、満面の笑顔だった。 「昇進おめでとう、アルトくん!」 いつもの人の良い友人、八神はやてがそこにいた。 次回予告 アルトに迫る砲撃。しかし彼には友軍はいなかった。 果たして地上部隊に勃発した争いとは・・・・・・ 次回マクロスなのは、第11話『地上部隊は誰がために・・・』 「それがな、今度アルトくん達とは〝敵対〟関係になることになったんや・・・・・・」 シレンヤ氏 第11話へ
https://w.atwiki.jp/hakusura/pages/28.html
敵も味方も、全キャラクターはひとり1の「ブレイブ」という力を持っています これは使用する事で無くなり、特定アイテムの使用か一日経過する(寝て起きる)事で回復します ブレイブは自分にも味方にも使う事ができ、以下のどちらかの効果を発動させる事が出来ます これからダイスをN個振る場合、それを代わりにN+1個にする 今振られたダイス1つを振りなおす