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日曜劇場 アンチヒーロー 共通事項 基本の放送時間…日曜21 00~21 54 全社絨毯の上にカラー表記 固定スポンサー(全社90秒) SUBARU 日本生命 SUNTORY Kao 2024年4月14日 episode1 -接点- [新](21 00~22 19) 通常セールス部分 1’30”…SUBARU(ロゴは1’00”仕様)、今日と未来を,つなぐ。日本生命、水と生きる SUNTORY(1’00”=SUNTORY WELLNESS)、Kao きれいを こころに 未来に 特別セールス部分 1’30”…Sky(ロゴは1’00”仕様) 1’00”…KIRIN(キリンビール・PT) 2024年4月21日 episode2 -拒絶- (21 00~22 09) 通常セールス部分 1’30”…Kao きれいを こころに 未来に、SUBARU(ロゴは1’00”仕様)、今日と未来を,つなぐ。日本生命、水と生きる SUNTORY 特別セールス部分 1’30”…Sky(ロゴは1’00”仕様) 2024年4月28日 episode3 1’30”…水と生きる SUNTORY、Kao きれいを こころに 未来に、SUBARU(ロゴは1’00”仕様)、今日と未来を,つなぐ。日本生命 2024年5月5日 episode4 1’30”…今日と未来を,つなぐ。日本生命、水と生きる SUNTORY、Kao きれいを こころに 未来に、SUBARU(ロゴは1’30”仕様) 2024年5月12日 episode5 1’30”…SUBARU(ロゴは1’30”仕様)、今日と未来を,つなぐ。日本生命、水と生きる SUNTORY、Kao きれいを こころに 未来に 2024年5月19日 episode6 1’30”…Kao きれいを こころに 未来に、SUBARU(ロゴは1’00”仕様)、今日と未来を,つなぐ。日本生命、水と生きる SUNTORY 2024年5月26日 episode7 1’30”…水と生きる SUNTORY、Kao きれいを こころに 未来に、SUBARU(ロゴは1’00”仕様)、今日と未来を,つなぐ。日本生命 2024年6月9日 episode9 1’30”…SUBARU(ロゴは1’30”仕様)、今日と未来を,つなぐ。日本生命、水と生きる SUNTORY、Kao きれいを こころに 未来に 2024年6月16日 Last episode -正義- 25分拡大SP [終](21 00~22 19) 通常セールス部分 1’30”…Kao きれいを こころに 未来に、SUBARU(ロゴは1’00”仕様)、今日と未来を,つなぐ。日本生命、水と生きる SUNTORY(0’30”=SUNTORY WELLNESS) 特別セールス部分 1’00”…Sky 0’30”…にしたん、SMBC 三井住友銀行、バッドボーイズ RIDE OR DIE(映画・PT)
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《BK(バーニングナックラー) スイッチヒッター》 効果モンスター 星4/炎属性/戦士族/攻 1500/守 1400 このカードを「BK」と名のついたモンスターエクシーズのエクシーズ素材とする場合、 1体で2体分の素材とする事ができる。 使用キャラクター アリト タグ一覧 バーニングナックラー 効果モンスター
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Ⅱ 「最近、涼宮さんとはどうなんですか?」 「どうって、何がどうなんだ」 「とぼけないでくださいよ、仲がよろしいそうじゃないですか。僕としても、とても助かります」 別段、仲良くしてるつもりはない。ハルヒはいつも通りだし、俺もいつも通りだ。しかし古泉曰く、最近は閉鎖空間もほとんど発生しなくなったし、発生したとしても小規模なもので、神人もそんなに強くないという。これは涼宮ハルヒの精神がとても穏やかなことを意味してるんだそうだ。 「特に良かったのは、涼宮さんが悪夢を見なくなったことです。おかげでこちらの睡眠が妨げられるなんてこと、もう無いですよ。全くね」 ハルヒの開催した読書大会週間終了まで今日含めてあと1日。つまり今日終わるわけだが、俺は部室でパソコンをいじりながら昼飯を食っていた。インターネットから哲学書を読んで、どう思ったかを載せている人から、そういった感想文を参考にしようと思ったからだ。 「それは参考ではなく、丸写しです」 黙れ古泉。こちとら切羽詰まってるんだよ。 「というより、なんでお前までここにいるんだ」 「ふふ、一応貴方に近況報告をしておこうと思いましてね。多分感想文を1枚も書いていないでしょうから、きっとここに来るだろうと」 やっぱりお前は嫌な奴だ。そんなんだから俺の中でのお前の株がどんどん下落していくんだよ。どこかの航空会社のようにな。 俺と古泉が話している最中、長門は部室で科学の本を読んでいた。長門はもう昼食が済んだのか、あるいは宇宙人は昼食べなくても平気なのか。でもこんな細い体をしながら、案外大盛りカレーを3人前くらいペロリと食べてしまうかもしれない。まあ、さすがにそれはないか。 「長門、今何冊目だ?」 「72冊目」 なんかもう長門だけ別の大会開いてないかこれ。1日10冊読んでも達しないぞ。 「長門も本を読みすぎて、ハルヒみたいにならないようにな」 「‥‥‥‥」 ハルヒは本の読みすぎで、睡眠不足まで陥った。でもあの部室での快眠以来、家でもちゃんと寝てるようだ。目のクマはもうないし、元気だってバリバリだ。いつも通りのハルヒに戻ったというわけだ。塩をかけられて干からびそうなナメクジのようなハルヒもそう見られるようなものじゃないが、やはりこちらの方がハルヒらしい。 「いつも通りのハルヒ‥‥か」 「ん? どうかなさいましたか?」 「いんや。お前は大人しく弁当を食ってろ」 フフ、とにこやかに弁当を食べている古泉にも、3度の飯より本、といった長門にもまだ言ってないが、ハルヒは少しだけ何か変わった気がする。具体的に何、とは言えないし、その変化も顕微鏡で覗いても分かるか分からないかの微々たる物なんだが、何故だかハルヒは何かが変わったと確信を俺は持っていた。 性格、ではない。ハルヒとのやり取り、でもない。いつも通りのハルヒなんだが、何かが違う。 その答えは結局、有難い哲学の本を読んだ感想文を写している間にも出なかった。ハルヒがあの日素直に感謝を述べたというのがどうもむずかゆいのだ。何故だ。 「コイですかね」 「なんだって?」 「いえ、この魚はコイかな‥‥って」 紛らわしいことを言う奴だ。だからお前はいつまでたっても平均株価30円なんだよ。 パタンと長門が本を閉じ、もうそろそろ昼休み終了の合図5分前だ。書けた感想文は2枚。これはもう駄目かもしれんね。 「ではまた後で」 「‥‥‥‥」 長門も古泉も自分のクラスへと向かい、俺もクラスへと戻ることにした。さてさて読書感想文どうするかな。国木田とかそういう本を読んだ経験とかないだろうか‥‥‥。 健全たる高校生が悟りの境地に入り、ましてや俺の友人の中にそのような人物が紛れこんでいるなんてことはなく、俺は授業中の時間を削って読んでもいない哲学書の感想文を書こうとしたがやはりペンは進まず、あれから全然進んでいない形でハルヒに提出することになった。 「補習よ!!」 団長がいつの間にか図書管理職に変わっており、管理職様は俺にそう言い渡した。ハルヒ、俺が言うのもなんだが、10冊しか読んでいないお前は、あれからさらに1冊読み計73冊を読破した長門に図書管理職の座を引き渡すべきじゃないか? 「みくるちゃん12冊! 古泉君10冊! 有希は73冊! で、あたしが10冊!!分かる、キョン? 皆ノルマの2倍は読んでるのにあんただけ0冊よ!」 ちょっと待て。よく見ろハルヒ。感想文は2枚出してるじゃないか。俺としては上出来な方だぞ。 しかしハルヒは俺の感想文をまじまじと見つめ、 「キョンがこんな知的溢れる文章を書けるわけないでしょ」 と、一言。至極ごもっともだが、それを他人に言われると腹立つのは何故だ。ホワイ? 「大体な、俺に哲学なんてはなから無理なんだよ。せめて物語とかにしてくれ」 小説だって無理だろうが、一応の抗議だ。まあ哲学書よりはページは進むだろう。 「クジ引きで決めたことなんだから、それに従いなさい! キョンは放課後、必ず哲学書を毎日ここで読んでいくこと! 10冊!!」 「10冊!?」 俺の記憶が宇宙人に改造されてなければ、ノルマは5冊のはずだが。 「当然でしょ。皆2桁読んでるんだから。有希なんて、あと3日あれば100冊なんてあっというまよ。だからあんたは10冊読みなさい! 延滞料よ!」 延滞料ってなんの延滞料だ。1週間で5冊読まないと10冊に増える延滞料なんて初耳だ。延滞量の間違いだろ。 しかし抗議したところで、もはや最後の審判を下し終わったかのようなハルヒの耳には届かず、俺は古泉とボードゲームをする時間を毎日削って本を読む羽目となった。 「相手がいないと寂しいものですね」 こんなことを言い、俺が死ぬような思いで哲学書を読んでいる隣で朝比奈さんとオセロをやってる奴の平均株価は、30円から0へと下落していった。 喜べ。もう何倍しても0だぞ。 長門が本を閉じても、補習は終わることはなかった。長門、いつもなら下校時刻30分前に本を閉じるのに、最近はやたら閉じるのが早くなったな。頼むからチャイムが鳴るギリギリまで読んでくれよ。でないと‥‥‥ 「お先に失礼します」 「頑張ってね、キョン君」 「‥‥‥‥」 「ほら、キョン! まだ半分以上あるわよ!」 ハルヒと2人きりになってしまうだろうが‥‥‥。 「なあ、ハルヒ。俺が苦しんで本を読む様はそんなに面白いか?」 「頭良くなるには苦痛が必要なのよ。アホになりたいなら楽すればいいわ。一瞬でそうなるから」 俺はこの時ほど一生アホのままでもいいと思った瞬間はない。 しかしハルヒも暇な奴だ。長門達が帰り、秋だからか日が落ちるのが早くなってきたこの時間帯に、わざわざ電気つけて俺の隣で一緒に本を読んでやがる。団長席はあっちだぞ、ハルヒ。 「うるさいわね。席なんてどこでもいいじゃないの」 そう言って、でも一応か席を立ち、団長と書かれている三角錘を持ってきて、机の上にバンと大きな音を立てて置いた。 「あたしがルールよ」 なんとまあ利己主義なルールだ。よく地球はまともに回転してるな。 「ハルヒ」 「何よ。本読みなさい」 「悩みは解消したか?」 「悩み?」 「ほら、いつだか言ってたろ。1週間前だったか、それぐらいの時に。人の中の人が表にどうやらこうやらってやつだ」 「‥‥‥‥」 ハルヒは考えるように、手で顎をなぞり、うーんと唸った。まあ無理もないか。あの時ハルヒは睡眠不足で頭が働いていなかったようだし、多分自分でも何を言ってるのか分からなかったんだろう。 「‥‥‥あー、あれ。解決したわよ」 「そうかい。そりゃ良かった」 「ねえ、キョン」 「ん?」 「その時、あたし他に何か言ってた?」 「いや。他には特に何も言ってなかったと思うが」 「そう」 もうそろそろチャイムが鳴るかと思って時計を見ると、まだ下校時刻まで40分以上あった。全然時間経ってないじゃないか‥‥‥。 「こら、キョン! よそ見してる暇はないわよ! 」 俺は情けないが、まだ1冊も読破していない。読んだ振りをして済めばいいが、感想文を書かなきゃならん。でたらめを書こうにも、どういうわけだが先にハルヒがこの本を読んでしまっているから、的はずれな内容は書けないのだ。 「あと35分よ! 今日こそ1冊読破だからね」 ハルヒが毎回そう意気込むが、結局今回も読破出来なかったのは言うまでもない。 「しかし、キョン。お前もよくやるなー」 「なんのことだ?」 「何って、最近あの涼宮とラブラブらしいじゃねーか。一体どんな手を使ったんだ?」 「へえ、キョン凄いなあ。たったの半年ちょいで、そこまで関係を進めていたなんて」 そう話をする相手は谷口と国木田だ。3人で机を囲み、弁当を食いあっている時の話題で必ずこういった話が出てくるものだが、まさか俺の番がくるとはな。谷口、一体誰がそんなことを言ってるんだ? 「オレも人づてに聞いただけだから曖昧なとこもあるけどよー、なんでも、涼宮のあの変な部活をやっている最中にキョンと涼宮以外の奴が途中で帰っちまうだとかなんとか。他にも、ここ最近ほぼ毎日一緒に帰ってるんだろ? 2人で。そういうの見てるのって結構多いんだぜ」 しかしあの涼宮とキョンが、プススと気色悪い笑い声を出しながらニヤニヤしてる谷口もあれだが、健全な顔をしながらも興味がかなりありそうな国木田が 「もう付き合ってるの?」 と聞いてくるのも頂けない。でもここ最近2人で帰っていたのは事実だ。だからそんな噂が立つのも無理ないかもしれん。 「なあなあ、どこまでいったんだ? Aか? Bか?お前まさか、スィー‥‥」 「いっとくがな、谷口と国木田。俺はあそこで本を読んでるだけだぞ。しかも哲学書だ。おかけでもう5冊目に突入している」 哲学書と聞いて谷口はさらに笑い出し、どんなシチュエーションだよ、さすが2人とも変わってるだけのことはある、と妙に声を張り上げて周りのクラスメイトから不審者を見るような目付きで谷口が見られていたことは、俺の心の中の1つのストレス解消となっていた。 しかし、そうか。噂になってるとはな。涼宮の変人ぶりは入学1ヶ月でかなり広まり、校長の名前を知らなくても涼宮ハルヒの名を知らぬ者はいないとされるほどだ。そんなハルヒと、訳の分からん部活を行なっている部室内で2人きりでここ最近ずっと居て、挙句の果てに一緒に帰っているのだ。手こそ繋いでないものの、それを目撃した人や聞いた者は 「ああ、なるほど」 と、自分勝手に解釈し、妄想を広げているかもしれない。谷口のように。 「というわけなんだが、誰が噂を広げたか分からないか?」 「不明」 だよな。大体、知った所でどうするわけでもない。 「貴方の思っている不明と私の言ってる不明には解釈に齟齬がある」 「‥‥どういうことだ?」 「噂を広げている人間を確認するのは容易。でも、今回の貴方と涼宮ハルヒの噂は、自然発生し各個人の視覚、聴覚を司る脳の部分にダイレクトに植え付けられたもの。誰かが噂話を流し、全員が信じたわけではない」 「‥‥‥えーと、それは長門。どういうことだ?」 「全員が貴方と涼宮ハルヒが相互良関係に務めていると勝手に解釈をした。直接見たわけでも、聞いたわけでもない」 つまりだ。 普通噂は、誰かが目撃したものを知人、あるいは先輩後輩に話したりするわけだ。その聞いたものがまた同じことを別の人間に繰り返し、その情報が広がっていくというのが本来の在り方だ。しかし長門が言うのを聞いてると、誰も俺とハルヒが一緒に部活をしてたり、下校してたりするのを見ていないのにも関わらず噂が広まったということになる。まるでその噂を最初から知っていたみたいに。 「誰も見てない、言ってないのに噂を皆が知ってるなんてあり得ないじゃないか」 「そう。起こりえない状況。」 「じゃあ‥‥なんでそんなことが‥‥」 俺が長門にそう聞くと、ようやく長門は俺を見上げるような形で視線を向けた。 「最も高い可能性として‥‥」 そう前置きを置いた。そして無機質な瞳とは裏腹に、出てきた言葉は俺を驚愕させるものだった。 「‥‥涼宮ハルヒがそう望んだから」 「さあ、今日もSOS団活動するわよ!キョン、あんたは読書だからね!!」 ハルヒの何かが違う、と強く思っていたが、ここ最近それは気のせいだろうと思ってた。 だが今再び俺はひどくそう痛感している。 「なあ、ハルヒ」 「何よ」 「これでもう5冊目だな」 「そうね」 「もう大健闘したんだ。これ読んだらもう勘弁してくれ」 「却下よ」 ですよねー。 何故ハルヒは、そんな噂が広まることを望んだのだろう。まさかハルヒが俺に好意を抱いてるとは考えにくい。いや、しかし、じゃないと理由が‥‥ 「何1人で赤くなってるの。そんなにヤハウェが良かったの?」 「答えはきっと、イエスですよ涼宮さん」 「キリストだけにかっ! って上手いわね古泉君。さすが副団長だけのことはあるわ」 ハルヒと古泉がしょうもないギャグで笑い合い、朝比奈さんはちらちらとこちらを窺い、長門はおそらく200冊目くらいの本を読んでいると思われる中、俺は苦悩していた。あのハルヒが!あり得ないだろ! しかし実際噂は広まっている。ハルヒが来る前、部室に来て朝比奈さんに会ったら 「あ‥‥良かったですね」 と言われてしまった。朝比奈さん、貴方はここでの事情を知っているじゃないですか。なのに何故そんな言葉を‥‥。 「さあキョン! あと少しで完結ね。そしたらようやく半分か。まだまだ道は長いわね」 なあ、頼むからそう嬉しそうに言わないでくれ。どう反応していいか分からんくなるだろうが。 いや、変に意識してるのは俺の方じゃないか。見ろ、あのハルヒを。いつも通り豪快に、身勝手な行動をしているじゃないか。それにさっきの言い方だって思い出してみろ。別に嬉しそうじゃなかったろ。いつも通り、いつも通りだ。あれがハルヒボイス。モチベーションを一切崩さない団長様の声は、常にあんな感じだっただろ?そうだろ俺? 本は全然進んでないのに、長門がパタンと本を閉じる時間はもうやってきた。今日の長門は遅い方だ。何故なら下校時刻まであと1時間だからな。そう‥‥あと1時間も‥‥。 「では、お先に失礼しま‥‥」 「古泉、3回‥‥いや、1回でいい。久しぶりに五目並べしないか」 「キョン! 何言ってるのよ。まだ本は残ってるの。そういうのは、読み終えてからやりなさい!」 お前はどっかの母ちゃんか。 「貴方から誘いを受けるなんて、珍しいこともあるもんです。ですが、僕は今日用事がありまして、またの機会ということでよろしいですか?」 お前、用事なんてないだろ。用事がある奴はな、用事なんて言わずに、その用事の具体名を言い出すもんなんだよ。パーティー行かなあかんねん、みたいなのをな。 「では失礼します」 「キョン君、涼宮さんと仲良くね?」 「‥‥‥‥」 バタン、と扉が閉まり。 「さあ、今日も気合い入れて読むわよ! いいわね!」 俺はいつもより読むスピードが愕然と落ちながら、愛の神とはなんぞやを本とチャイムがなるまで語りあっていった。 「頼む、長門! こんことを頼めるのはお前しかいない!!」 俺はハルヒと別れた後、長門の家に来ていた。噂話のこともあってか、最近のハルヒは以前と何かが違うということを、俺はプロレスラーが技をくらう時に信じられないくらいでかい声を出すくらいのオーバーさに捲し立てて説明した。その話を聞いていた長門も、俺にお茶を出しはしたものの、俺が話している間は何も反応はしてくれなかった。 話し終わった後、長門はこうポツリと言葉を漏らした。 「貴方は、涼宮ハルヒが貴方について何を考えているのかを知りたいということになる」 「‥‥‥そ、そうなる‥‥のか?」 「出来る」 「本当か長門!?」 「でもしない」 「‥‥ハルヒの精神を脅かしちまうからか?」 「それもある。でも私がそれをしないのは、もっと別にある」 「それは‥‥‥一体」 「私はしない。貴方のためにも、彼女のためにも」 そう最後に言った時の長門の目は、何故だか無機質色ではなかった。ほんの少し口調もちょっと強かったな。気のせいではない。 結局、俺は万能宇宙人の力を借りれぬまますごすごと帰路に立たなければならなかった。まあ、そりゃそうだろう。 家につき、 「キョン君おかえり~」 と言ってくる妹をよそに、俺は考えなければならなかった。いや、考えなければならない義務などない。しかしどうしたことか、俺に限ってそんなことはないだろうと思うのだが、そういった考えとは裏腹に勝手に考えてしまうのだ。いつも大して頭を使わないのに、どうしてこんな時ばかり活発に脳とやらは動くのか。俺はベッドに腰かけ、その後仰向けになる形で天井を見つめた。そして、ようやく、避けられないパターンの考えを考慮にいれなければならない羽目となった。長々と喋ってきたが、つまりだ、そのだな‥‥。 俺がハルヒに更なる好意を抱 「キョン君~、ご飯だよ~」 ……ナイスだ。ナイスだ妹よ。いつもくだらない用事でしか俺にちょっかいをかけないが、今回ばかりは最優秀妨害賞にノミネートするくらいの素晴らしいことをやってくれた。危なかった。俺はなんてことを考えていたんだ。危うく1人で悩み苦しみ、悶絶するところだった。そうだ、飯だ飯。俺にとって大事なことってなんだ? ハルヒのことについて考えることか?己が思考を深く追求することか? 違う。断じて違う。俺の最優先事項は飯を食うことだ。そう、そのために生まれてきた。多分、空腹だからさっきのような訳の分からない考えをしそうになったんだろう。危ない危ない。いや、というよりさっきの思考ってなんだ。別に特別なこと考えてないし。谷口の話す自分のモテ度や、他人の話す夢の話やペットの自慢と並んでどーでもいいことを考えていたんだ。そうだろ、俺?今はともかく飯だ。飯を食べよう。今日のご飯は何かな~っと。‥‥‥ 「‥‥どうしたんだ、キョン。なんか目の下にクマがついてるぜ?」 「いや、放っておいとくれ谷口。いやいやいや、やっぱり放っておくな谷口」 「何言ってるんだ、キョン。ボケたか?」 結局夕飯をたらふく胃にぶちこんでも、俺の脳は何かと働き続けていた。ベッドで寝たのは11時のはずだったが、おそらく実際に寝たのは3時間にも満たないんじゃないかと思うくらい、俺は思惑していた。 教室に着き、なるべくハルヒの方を見ないようにして席を着いたのにもかかわらず 「どうしたの、キョン? なんかクマがあるわよ」 と心配そうに声をかけてきた。心配そうに? ハルヒに限ってそれはない。いつも通りの音域でそう聞いてきた。 「まさか哲学書読んでた、なんて言わないでしょうね。あんただとしたら最高にアホ。アホよ。体壊したら、SOS団に参加出来ないじゃない!ま、無理にでも参加させるけど」 本を読みすぎて寝不足の体験をしたお前には言われたくないがな、ハルヒ。 しかし俺は心でそう突っ込んでおきながら、あることに気付いた。 今のこの俺の状況、前のハルヒの状況と似てないか? 実はハルヒの寝不足の原因も、本のせいじゃないのではなかろうか。確か長門が、ハルヒの睡眠不足の原因は‘人格と精神’の熟読と言っていたが、あれはあくまで推察だ。記憶を読もうとしても深くは読めないから、実際のところ本のことなんて関係ないかもしれない。今の俺だからこそ分かることがある。もしかしたらハルヒも何か考え事をしていたのかもしれない。何を?何をだハルヒ? 「多分、恋ですよ」 「なんだと!?」 「あ、いえ‥‥‥貴方の食べているお弁当のその魚、きっとコイですよっていう意味です」 谷口達と食べると、また噂話について聞かれるかと思い、ここでひっそり食べようかと思っていたら、先客が2名いた。1名は無論長門だ。もう1人はこいつだ。 にしても、そういう意味ですってなんだよ古泉。普通そんなこといちいち付け加えないぞ。 「と、言われましても‥‥そういう意味なんですから。貴方が誤解しないように、ね」 「誤解ってなんだ。まさかお前まで例の噂を信じてるわけじゃないだろうな」 フフと誤魔化し笑みを浮かべる古泉は、今回は弁当を持っていない。お前、今度は何しに来たんだ。 「今回は貴方が来るだろうと思ってここに来たわません。長門さんに話を聞いてもらいたかったのです」 「長門に?」 ええ、と頷く古泉に対し、長門はいつものように本を読んでいる。長門とは昨日の一件があってか、少し話しかけ辛いように俺は思えた。長門は無表情だから、そんな風に思ってるかどうかがさっぱり分からんのだが。 「最近、また閉鎖空間が発生していましたね」 「‥‥いつものことだろ」 「いえ、それが妙なんです」 古泉は俺と長門を交互に見てから、ハルヒの席を見た。そして目をしっかりと開き、いつもの微笑みを消してからこう続けた。 「閉鎖空間の規模が、どんどん大きくなってきてるんです」 それは、ハルヒがストレスをまた溜めているということか? 「ええ。でも、今まではこんなことありませんでした。閉鎖空間は涼宮さんの精神が不安定になると発生するものです。つまり、あの神人や空間は、涼宮さんのイライラそのものなんですよ。だとしたら、毎回僕達が必死で神人や空間を食い止め、倒し、元通りにしているのですから、閉鎖空間発生後はそうそうストレスが堪らないわけです。しかし‥‥」 古泉は俺の方をじっと見据えた後 「どういうわけだが、閉鎖空間の規模が回数を増す度に膨れ上がっていくのです」 「なんだ、その目は。まさか俺が原因か?」 待てよ古泉。俺はハルヒに嫌だ嫌だいいながらも、ちゃんとここまで付き合ってきたはずだ。読書の件のことだぞ。おかげでハルヒの機嫌も最近良いし、俺が原因となるようなことはしていない。 「おさらいしてみましょう」 古泉は微笑みを浮かべてから、そう口にした。 「涼宮さんは本が読みたかった」 そうだな。 「医学の本が読みたかった」 そうだな。 「そして読書大会なるものを開き、それを終え、今に至る」 まさしくそうだ。ハルヒが医学の本が読みたいがために、こんな読書キャンペーンまがいなのをする羽目になったんだろ。 「でもそれはおかしくないでしょうか?」 「何がだ」 「医学の本を読みたかったら、自分で勝手に読めばいいということですよ」 「独りで読むのが嫌だったんだろ。だからSOS団を巻き込んで、俺はこんな羽目に」 俺がそう言うと、古泉の俺の顔に人差し指を向けた。ズビシッ、と音が出るような勢いで。 「それですよ」 「何がだ」 「SOS団を巻き込んで、がポイントなんです」 古泉は推理小説で、読んでる最中に犯人が分かった読者のような顔をしていた。いつものうっとうしさが200%増しだぞ古泉。 「僕たち、どうやって本を選びましたか」 「クジだろ」 「涼宮さんは自分の神がかり的な能力に気づいていらっしゃいません。ここが大事なんです。涼宮さんが医学の本に当たる確率は5分の1。涼宮さん自身、人の精神なるものに興味を持ったのに、それが読みたくても読めない確率が8割なんです。いくら涼宮さんがSOS団を巻き込みたかったといっても、あまりに非効率すぎはしませんか?」 「確かにそうだが‥‥じゃあ、ハルヒはなんでこんなことを言い出したんだ?」 「真相が違ったんです」 真相なんて言葉、薬で小さくなった小学生探偵の番組以外で聞いたことないぞ。 「涼宮さんは人間の精神が学びたかったのではないんです。この読書大会は、貴方に本を読ませる環境を作り出すのが目的だったのです」 「なっ‥‥古泉。どういう意味だ」 「簡単ですよ」 長門も興味があるのか、活字から目を離して古泉を見つめている。 「涼宮さんはテレビで医学関係の番組をやっているのを見て、ふと思いついたのです。読書大会を開くことをね」 「関係ないだろ」 「大ありなんですよ。何故なら、その番組を見て、医学というのは何て難しいのだろうと涼宮さんは感じとった。そして、もしこれを本で貴方に読ませたらどうなるだろうと」 読めるわけないだろ、そんなもん。 「その通りです。あ、いえ、その通りというのは失礼でしたね。でも涼宮さんはそう思ったわけです。そして、ある作戦を思いついた」 「もったいぶらずに早く言え」 「了解しました」 「涼宮さんはSOS団を巻き込んだ読書大会を開きました。1週間に5冊という、2日に1冊読んでも間に合わない若干無理な条件でね。読む本は自由ではなく、選択式。医学、科学、哲学、エッセイ、小説。ちなみに聞きますが、貴方はこの中のどれだったら1週間で5冊いけそうです?」 「いや‥‥どれも無理だな」 「涼宮さんもそう目論んだ。そして涼宮さん内心、きっと貴方に哲学か医学か科学に当たることを願ったのです。そして願い通り、貴方は哲学に当たった」 ‥‥‥おい、まさか。 「当然貴方は読めるはずもなく、補習を言い渡されます。僕らが全員2桁以上読んでいるので、貴方も2桁読めと、最も納得いきそうな理由で、貴方は10冊読むことに決定した。仮に僕が5冊でも、貴方は10冊読むはめになっていたでしょう。延滞料で」 「じゃあ‥‥なんだ。それだとまるで、最初からハルヒは俺と2人きりになりたかったみたいじゃないか」 ニヤニヤと笑った古泉は 「その通りです」 と自信満々に言った。まさか‥‥そんなことはないだろ‥‥。 「長門さんが例えチャイムギリギリになって本を閉じることをしていても、貴方は残されていたでしょう。居残りで」 「な、なんでハルヒはそんなことをするんだ‥‥?」 我ながら情けない声色になっていたが、ハルヒがここにいないというのに、心臓は激しくビートを刻んでいた。静まれ、俺のビート! 「さあ‥‥何故でしょうね?」 古泉はトドメと言わんばかりにウインクを俺にした。止めろ、気持ち悪い。 「涼宮さんは貴方と2人きりになることを望んだ。証拠は貴方もご存知の通り、例の噂ですよ。涼宮さん自身が、そういった噂が広がればいいのにと望んだあの噂です」 俺はまだ弁当を半分しか食べていないのに、もう胃はギブを宣言していた。むしろ逆に、胃の中のものが外に出そうといわんばかりに俺は緊張していた。まさかハルヒが‥‥‥。 「待て待て。ハルヒが睡眠不足なのはなんでだ!?」 「それは、貴方に示しがつかないからでしょう。どんなに難しい医学の本でも、ノルマの倍はいっておいた方が、補習の際に説得力増しますし」 「確かあの時、閉鎖空間が発生してなかったな。あれはどうなんだっ!」 「閉鎖空間は精神の不安定からきます。だが、あの時の彼女は不安などなかった。確実に貴方なら読んでこないだろうという自信があったのですよ。眠いのも我慢したのも、全て自分で分かってのことです」 「じゃあ、じゃあだな‥‥‥」 そう口にして、何も出てこなかった俺はようやく痛感した。なんてことだ。まさか、古泉の推察に反論出来ない日が来ようとは。 「問題は、ここからなんですよ」 俺が独り悶絶していた矢先、古泉は声色を変えて長門を見据えた。顔からもいつの間にか、微笑みが消えていた。 「先ほども申しましたように、閉鎖空間はここ毎日発生しています。大きさを重ねてね。我々が四苦八苦して止めているのに、涼宮さんのイライラは増すばかり。今までの話を聞いて、長門さん、どう思いますか?」 「涼宮ハルヒは待っている。彼はそう言いたい」 長門、頼むから俺を見ながら言うのを止めてくれ。大体待つって、何をだ。ハルヒは何を待っているというんだ。 「決まってるじゃないですか」 古泉は真剣な表情を崩して、また笑みを浮かべながら 「告白を、です」 と言った。お前も表情をコロコロ変えて世話忙しい奴だな。 それにしても、長門。昨日はそう意味なのか。俺やハルヒのためにもって、そういう意味なのか? 「世界は、貴方が言うか言わないかにかかってます」 古泉がそう言った際、俺は何て口にすればいいか分からなかった。嫌だ? 分かった? 黙れ? 「嘘じゃありません。このままの規模でいったら、世界が飲み込まれるのもそう時間はありませんよ。あと‥‥そうですね、約1週間です」 ……読書の時もそうだったが、今度の1週間はもっと酷になりそうだ。 「でも、貴方は涼宮さんのことそんなに嫌いではないのでしょう? むしろ最近は、好」 「うるさい!!」 何を切れてんだ、俺。 あれから気まずい雰囲気となり、チャイムが鳴るまで俺は弁当箱を眺めていた。まだ中身はあるが、とても胃に入りそうにない。 ‥‥しかし、ハルヒもハルヒだ。何故こういう時ばかり状況だけを作って、あとは受け身モードなんだ。あの閉鎖空間での出来事もそう。キスの次は告白か。順序が逆で、笑えるぞ。 予鈴が鳴り、古泉達は部室から出て行ったが、俺は出て行かなかった。というより、足が動かない。 もし俺がハルヒに対して何の感情も抱いていなかったから、逆にあっさりと告白をしていたかもしれない。いや、でもやはり最終的にハルヒの心を傷つけるようなことをしたくはないから、古泉達になんとかしろと言っていただろう。 あの閉鎖空間の中での出来事は、ちょっとした強制でもあったのだ。世界が滅亡する瞬間に急に呼び出され、さあ早くしないと皆消えるぞという時だった。でも全く好きじゃなかったら、俺はしていただろうか?やっぱり答えはさっきと一緒で、きっとしていない。 「昔からキョンは変な女が好きだからねぇ」 いつだったかの国木田の言葉が思い出される。国木田、お前は佐々木のことを言っているのか? だとしたらハズレだ。やっぱり俺は、佐々木も好きかどうか分からなかったからな。 一緒に居て楽しい。 ハルヒも佐々木も、そういった部分で重なり合う。 「お待たせー!! 皆揃ってるわね。キョン、あんたなんで5時間目サボったのよ!」 「青春のサボタージュだ。多めに見てくれ」 「何よそれ。変なの。でもSOS団には来てるから、死刑じゃなくて罰金にしといてあげるわ! 今度の活動の時は、あんたが1番に来ても払うのよ。いいわね!」 このハルヒのどこがストレスが爆発しそうなんだ。どこからどう見たって健康良子だろうが。古泉の推理が外れてるという可能性は多いにあるぞ。 だが俺はそれを口に挟まず、黙って哲学書を読むことにした。今更になってだが、この本の言っていることが、それこそ遮光メガネを通して見た太陽のように明瞭に、頭に文字が入りこんでくる。この人達も考えて考えて考えて考えて、考えすぎてこうなったのだろう。今の俺とおんなじだな、預言者さんよ。 俺が食い入るように本を読んでいると、ふと誰かが横に立った気がした。目線を上げれば、そこにはメイド姿の朝比奈さんがいた。 「あ‥‥き、キョン君。お茶をどうぞ」 「すいません朝比奈さん‥‥って、ん?」 お茶の受け皿を見ると、何か紙が折り畳んである。ハルヒの方をそっと窺うと、今はパソコンに夢中らしい。朝比奈さんの様子から見ても、これは早く隠した方がよさそうだ。 「‥‥‥おいしいです。ありがとうございます」 「いえいえ」 お茶は本当に上手い。そして、この手紙をくれたことにはありがとうだ。俺は手紙をブレザーのポケットに閉まった。 紙には場所が指定されていた。俺はハルヒと踏切で別れた後、真っ先にその地へと向かった。夏に朝比奈さんの膝でぐっすりと眠ってたあのベンチだ。 「キョン君、良かった。思ったより早く来れたんですね」 その場所にはすでに未来人が待機していて、制服姿のまま俺を待っていてくれていた。長門の話を聞き、古泉の話を聞き‥‥。 朝比奈さんは、一体俺に何を伝えようとしているのだろうか。電灯の明かり以外何も照らすものがないその元へ、俺は駆け寄った。 →涼宮ハルヒの分身 Ⅲへ
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言霊というものをご存知だろうか? 自分の言った言葉に精霊が宿るという霊的なアレである 祝詞を奏上する時には絶対に誤読がないようにされるほど、日本古来から伝わるものだ それほど言葉を発する際には注意しなければならないというのを、改めて実感した 事の発端はいつもの部室でのやりとりである 「コラー! 逃げ回らないでさっさと新作ミニスカメイド服に着替えるのよ! 「ひえぇ~ それはいくらなんでも嫌ですぅ~」 ……いつものやりとりである 「ハルヒ、仮にも女子高生なんだからもうちょっとおしとやかにしたらどうなんだ」 あえてコスチュームについては言及しない 「高校生だからなのよ! あんたももっと体動かしたらどうなの 最近体なまってるんじゃない」 ……処置ナシ、言っても無駄か 「小さい子供がはしゃぎまわってたら、少しは可愛いと思うけどな」 ここでスタンドが宿った 多分自動操縦型だろう 「へぇ、そう……」 ん? ちょっと待て何考えてやがる と、声に出す前に、長門の本が閉じられ、部活が終わり いつもの道を下って、家で何時間か過ごした後、就寝によって俺の一日は終了した ───のバカ!─さっさと起きな──バカキョン!─── 明らかに妹のものではない怒鳴り声で、目が覚めた 「……誰もいない?」 見慣れた部屋を見渡しても、発言元は見当たらなかった 夢にまでズカズカ入り込むなんてどこまで横暴なんだお前は…… と、まだ大分余裕がある時間であることに気づき、再び枕に顔を埋めようと── 「下よ下! 灯台下暗しにもほどがあるわよ!」 ……ん? 声のトーンは高くなってるがこの声はいつも俺が聞いているアイツの…… 「……って! ハルヒ!? なんでお前がここに!? いやそれよりも何だそりゃ!?」 俺の目に映ったのは枕の横に佇む直径10cmほどのハルヒだった 俺の疑問にハルヒは少し鬱陶しそうに 「知らないわよ! あたしが目覚めたらあんたの枕の横にいたのよ!」 と答えた しかしこうして親指姫サイズとなったハルヒは少しクルものがあるな…… 性格は540度くらいひねくれてるが 「全く、夢にしてもやりすぎよ! ほんの少し小さくなりたいと思っただけ…… ってうっさい!!何でもない!」 最近はそういうノリツッコミが流行ってるのか? と思いつつ 不思議現象に詳しい○○大学の名誉教授に……ではなく 「あーもしもし長門か?少し複雑な事が起こってな……」 いつもの仕事人に依頼の電話をかけた 「分かってる」 とだけ返ってきたとなれば、多分もうすでに歩く攻略本と化しているだろう 「涼宮ハルヒの願いが微弱であったため、半日もしないうちに元に戻る」 それを聞いて安心したぜ ついでに古泉と朝比奈さんに今日の町内探索は中止と言ってくれ 「了解した」 これでまずは、一安心……と思い振り返るといるはずのハルヒがいない 「んー?おかしいわね。 健康的な高校男子生徒はベットの下にアレの一つや二つは……」 ベットの下からそんな声が聞こえてきた ちょっと待て今日は俺の部屋探索か 「ちょっとキョン!さっさとアレの場所を吐きなさい! どうせ持ってんでしょ!」 ひでえ言われようだ あいにくそんな俗物で済ませる俺じゃないさ たまにお前の姿を……ゲフンゲフンッ! 今日は久々に不思議な事が起こったから頭が変になってるだけさ、きっとそうさ やはり思考中というのは感覚が鈍るらしい 俺が部屋に闖入してきたものに気づかなかったのもそれが原因さ 「あら、シャミじゃない」 と、ここでようやく俺の背後にいたシャミセンに気が付いた まずい、この頃シャミは少し不機嫌で物に当たりやす─── そう気が付いたのは、俺の脚の間を通り抜けたシャミが一直線にハルヒに向かっているところだった 「えっ?きゃっ、ちょっと!?」 やばい、猫といえど今のハルヒにとってはライオン以上の猛獣だ、下手したら死──! ぱくっ ……どうやら杞憂に終わったようだ 俺の目に映ってるのは、子猫を運ぶように口で服の襟をくわえられ 目をパチクリさせながらぶら下がっているハルヒだった 「なっ……ちょっと!降ろしなさいシャミ!」 顔を真っ赤にして手足をジタバタさせているハルヒは、どこか微笑ましかった 「キョン!あんたも笑ってないで助けなさい!」 より一層暴れだしたハルヒ出したのが原因なのか、シャミが急に体を振り始めた きゃあ、とか やああ、 とか今後二度と聞かないだろうハルヒの声を聞きながらも あれで壁とかに飛んでいったりしたら……ケガどころじゃ済まねぇだろ! と危機感を感じ、シャミを取り押さえようと手を伸ばした瞬間 ぱっ 俺の目が捉えたものは─── 「ハルヒッ!!」 ───ハルヒがやや低く弧を描きながら宙を舞った姿だった ───や、ばい! 間に合え! 必死の覚悟で落下地点に両手を伸ばそうとして…… 手を止めた ぼすっ ……よく考えれば、あいつはそんな簡単に死なないよな…… ため息をつきながら、部屋を出て行くシャミを横目で見送った後 (──もがー! キョン!早く助けなさい!) 狙ったように頭からベットの上の枕の下へ潜り込んだハルヒをどうするか考えた …さてどうしよう、結構深く潜り込んだらしいので自分からは抜け出せないだろう ここでハルヒが「ぷーさんでーしゅ!ぷーさんでーしゅ!」 「はちみつがたべたいでしゅー!」 「うわあー!穴から頭が抜けなくなっちゃったでしゅー!」 とか言えば何かを見出せるかもしれんな だがこうしたままでは流石に窒息死の可能性もないとは言えないので 素直に抜いてやることにした コラッ、暴れるなっ 「ぷはっ! ちょっと!団長様が困ってんだから早く助けなさいこのバカキョン!」 原因はお前の些細な願望だろうが 「はぁ……疲れたわ、降ろしてちょうだい」 流石に暴れすぎて少し疲れたようだ ちょこんと手にハルヒを乗せてゆっくりとベットの上に落としてやった 「ん……眠たいから少しばかり寝る。 変なことしたらぶっとばすわよ……」 この年でお人形ごっこはしねえよ ハルヒの眠気が俺にも感染したのか、急に眠たくなりベットに顔を埋めた 「次は……みんな……で、来るわ……よ……」 その声を最後に俺の意識は消失した 本日二度目の驚きは目覚めた瞬間やってきた 「ふえぇっ? な、なんでわたしこんなところにいるんですかぁ?」 「やあ、僕は確か街を歩いていたはずなのですか。 何故こんな状況になっているのでしょう」 「……シンプル」 目の前の小人は、俺の部屋を見渡しながら口々に喋っていた 「さあ!今度は皆で探すわよ! 絶対何かの1つや2つは出てくるはずよ!」 ……頼むから、勘弁してくれ
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【種別】 都市伝説 【初出】 とある科学の超電磁砲 PSPゲーム版 第二章 【解説】 学園都市の一部で噂されている都市伝説。 内容としては、 猫用の玩具をつくっているネコミチという企業は、ネコを貶める発言をした人を呪う。 というもの。 『制裁指導』の調査を進める御坂美琴達が推理の方向性を間違えると、 佐天涙子が愛読誌『うわさ話専科・ザラシュストラ』の廃刊を知った際、 先週号で「黒猫は不吉」という特集をしていた為に、この都市伝説のせいに違いないと言いだす。
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登録日:2023/05/16 Tue 20 36 27 更新日:2024/04/17 Wed 07 16 30NEW! 所要時間:約 ? 分で読めます ▽タグ一覧 みんなで闘おう!恐怖のラジコン怪人 シンドグマ怪人 ジンドグマ ライダー怪人 ラジコン ラジゴーン 仮面ライダースーパー1 山下啓介 幽霊博士 怪人 どうだ驚いたか沖一也! このラジコンには爆弾が積んであるんだ!ラジコン爆弾に当たって死ぬがいいぞ! 出典:仮面ライダースーパー1/東映/第33話「みんなで闘おう!恐怖のラジコン怪人」/1981年6月13日放送 『仮面ライダースーパー1』の第33話「みんなで闘おう!恐怖のラジコン怪人」に登場したジンドグマ怪人。 声:山下啓介 【概要】 身体から放つ怪電波で街中のラジコンの操縦を乗っ取って奪い、兵器に改造して日本に大混乱を引き起こそうと企む幽霊博士配下のラジコン型改造人間。 「ラジコン」の怪人という割には車にも飛行機にも似ていないが、身体にレバーが付いていてラジコンを操縦しており、ラジゴーンはラジコンのコントローラー、いわゆる「プロポ」の怪人である。 ボディのコントローラーであらゆるラジコンを操縦でき、催眠ガスで人々を眠らせたり、爆撃を行ってスーパー1を攻撃する。 ラジコン以外の武器では、頭のアンテナから赤いビームを発射でき、これが当たった人間は消滅してしまう。 接近戦では、頭のアンテナからフェンシングの剣のような「アンテナ剣」を抜いて二刀流で戦うが、こちらの実力はそれほどでもなく、すぐにスーパー1に一本奪われてしまい、逆に押し負けてしまった。 幽霊博士によると、ラジコンでスーパー1を攻撃する時には通常の1333倍の威力を発揮するらしいが、本当にそれだけの力があったのかは不明。 【活躍】 ある日、チョロやハルミ達がラジコン飛行機で遊んでいると、突然コントロールを失ってどこかに行ってしまった。 同じ頃、公園でシゲルやマサル達が遊んでいたラジコンカーも、勝手に動き出して消えてしまう。 チョロ達の話を聞いた一也は何か起こるような予感を感じて調査を開始するが、その間にも次々とラジコンが行方不明になっていった。 実は、これは幽霊博士配下のジンドグマ怪人「ラジゴーン」の仕業であり、奪ったラジコンに毒ガスや爆弾を積んでジンドグマの恐ろしさを世に知らしめようとしていたのである。 我が愛する街の人々よ!これ以上これ以上混乱を引き起こしたくなくば我々ジンドグマに無条件降伏せよ! これからは催眠ガスでは済まんぞ!従わぬ者は今度は毒ガスで殺してやる! 街中に改造されたラジコンが催眠ガスをばらまき、人々は次々に眠ってしまい、悪魔元帥の降伏を迫るメッセージが響き渡った。 しかし、これを聞いたハルミとジュニアライダー隊はわざとラジコン飛行機を飛ばして奪わせ、それを追いかけてアジトを探し出そうと計画。 ラジコンを奪わせる事には成功したが、川に阻まれて見失ってしまい、ジンファイターの襲撃を受けてしまう。 しかし、そこにスーパー1が駆け付けてジンファイターを倒し、皆で力を合わせれば必ずジンドグマに勝てる!頼むぞ、良君!と励まして再びラジコンの追跡を開始する。 そして、ミチルとマサルがついにアジトを発見し、一也に連絡するが見つかって捕まってしまい、駆け付けた一也は手が出せない。 すると、遅れてやって来たハルミや良達がさっきのスーパー1の言葉を思い出して勇気を出してスーパーボールを投げて一也を援護し、ミチル達を救出。 一也はスーパー1に変身してラジゴーンと対峙する ラジゴーン!そこから出す怪電波で人々を脅かし、世の中を混乱させて日本征服を企む貴様の野望、最早これまでだ! 対決に突入し、スーパー1はジンファイターを次々に撃破。 ラジゴーンはラジコン飛行機を使ってスーパー1を爆撃して攻撃する。 あのアンテナさえ壊せば……! チェーンジ!エレキハンド! エレキ光線発射! スーパー1はラジゴーンが胸のアンテナでラジコンを操作している事を見破り、エレキ光線でアンテナを破壊。 すると、ラジコンはたちまちコントロールを失って反対にラジゴーンを爆撃してしまった。 おのれぇ~!よくもアンテナを壊したな!怒ったぞ~! アンテナを壊されたラジゴーンはスーパー1に突撃し、頭から「アンテナ剣」を抜いて攻撃。 しかし、最大の武器であるラジコンを封じられたラジゴーンは最早敵ではなく、アンテナ剣を奪われて突き刺されてしまい、とどめに「スーパーライダー旋風キック」を受けて爆発した。 スーパー1とジュニアライダー隊の勇気の前にジンドグマの悪巧みは倒され、皆の所に再びラジコンが帰って来たのだった。 【その他】 1981年当時、丁度日本ではスーパーカーブームの余韻もあってか、ラジコンがブームになっており、タミヤが様々なラジコン商品を販売していたりしている。 おのれぇ~!よくもこの項目を追記・修正したな!怒ったぞ~! △メニュー 項目変更 この項目が面白かったなら……\ポチッと/ -アニヲタWiki- ▷ コメント欄 [部分編集] 最近のニチアサのエピソード項目がほぼ内容と台詞を書いてるだけなら、昭和特撮のこの手の項目は写真を使ってること多いから権利とか大丈夫か?ってなるな。まあ昔の子供番組は画で見せた方が早いものも多いとはいえ。 -- 名無しさん (2023-05-17 10 05 16) なんで急にこんな一般ジンドグマ怪人Aみたいな奴の項目が!? -- 名無しさん (2023-05-17 15 13 01) アンテナ剣のネーミングセンス、あまりにも仮面ライダードライブ -- 名無しさん (2023-05-17 15 15 05) ウルトラマン80でも怪獣がラジコン食べちゃった回あったね -- 名無しさん (2024-04-17 07 16 30) 名前 コメント
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アンナヴィルヘルミーネフォンアンハルトデッサウ(アンナ・ヴィルヘルミーネ・フォン・アンハルト=デッサウ) 神聖ローマ帝国のアンハルト=デッサウ侯の系譜に登場する人物。 関連: レオポルトイッセイ(4) (レオポルト1世、父) アンナルイーゼフェーゼ (アンナ・ルイーゼ・フェーゼ、母)
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外野/G/左/中/右 右投げ/左打ち/179cm/72kg 長野/E/COST:20 高い盗塁成功率 足の速さを最大の武器にする外野手。 特にスタートダッシュが速く、短い距離を走るスピードは特筆もの。 高い盗塁成功率と広い守備範囲を生かして一軍で活躍する好選手である。 ステータス 期数 打撃 防御 パワ 走力 肩力 更新 1 9 10 5 10 7 up120126 2 9 10 6 11 8 up120126 3 10 11 6 11 8 up120126 4 10 11 6 12 8 up120126 5 10 11 6 11 8 up120126 6 10 10 6 11 8 up120126 7 8 8 5 10 6 up120126 8 6 6 3 8 4 up120126 9 4 4 1 6 2 up120126 10 2 2 1 4 1 up120126 守備適性 4 4 4 1 1 1 1 1 打順適性 1番 2番 3番 4番 5番 6番 7番 8番 9番 3 3 1 1 1 1 3 3 3 特性/球種 盗塁 内野安打 クラッチヒッター 対左 ○ バント ○ 更新日:2012-01-26 名前 コメント
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フジワラノミチマサ(藤原道雅) 平安時代中期の公卿・歌人。 チュウコサンジュウロッカセン(中古三十六歌仙)の一。 別名: サキョウノダイブミチマサ (左京大夫道雅)
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前 「チアキちゃん?」 2人は一斉にドアの方を向いた。ハルカに至っては驚きのあまりなのか、声すら出していない。 チアキは藤岡の声で我に帰ったものの、何て言えばいいかわからない。 「あ…。」 2人の視線を浴びてしまい、言いたいことを上手く言葉として表せない。 ハルカに藤岡を奪われた、いや、藤岡にハルカを奪われたとも言い換えることもできるのか。 とにかく、こうしてあってほしくない現実を突きつけられているのは確かである。 しかし、大好きな2人を憎めるわけがなく、ただ悲しみで涙が溢れていた。 「ハルカ姉さまぁ…、藤岡ぁ…。」 2人の名を呼んでも、より悲しみが増すばかり。それに比例して涙の量も増えていく。 藤岡は泣きじゃくるチアキをただ見ることしかできなかった。 「…ごめんね、チアキ。」 体を起こし、体に着いたものをティッシュで拭き取ると、ハルカがチアキに歩み寄ってきた。 チアキは逃げ出すことを考えるが、足が言うことを聞いてくれない。 「そんな、…謝らないでください。」 謝られると余計に惨めな思いになるから、止してほしかった。 しかし、ハルカは立ち止まることなくチアキに近づき、その体を引き寄せ、抱きしめた。 「!!」 抱きしめられても引き離す所か、ロクに抵抗する気も起きない。 チアキは例え裏切られたとしても、この姉のことが好きで、嫌いになれないのだ。 「うっ……、うっ…。」 抵抗することなく、抱きしめられたまま、ハルカの胸で泣き崩れるのだった。 「落ち着いた?」 チアキが泣き止むのを確認すると、ハルカは優しく声をかけた。 「…はい。」 その返答に偽りはなく、胸の中の蟠りが大分減っていた。 ハルカもそれがわかったのか、チアキを自分から離し、自分の部屋のドアを閉めた。 「カナ、起きちゃったかしら? でも、起きてここに来ないってことは大丈夫よね。」 今更である心配を焦ることなく口にし、ハルカは再びチアキの方に笑顔を向ける。 「さっきも言ったけど、ごめんね、チアキ。 私、最近自分のことばかりで、チアキのことをちゃんと見てあげられなかったわね。」 「いえ、そんな…。」 改めて謝られると妙にくすぐったくなり、照れくさくなる。 「私、チアキがこの部屋に入ってくるまで、全然気づかなかった。姉として恥ずかしいわ。」 そっとチアキの頭を撫で、ちらっと藤岡の方を見た。 「チアキも藤岡君のこと、好きだったのね?」 「「!!」」 チアキはハルカに気づかれたことに体を震わし、藤岡はチアキも自分に惚れていたことに驚愕した。 ハルカは驚愕している藤岡を見て、やっぱりと言うような表情で言い出した。 「藤岡君、私が言うのも何だけど、気づかなかったの?」 ハルカの時も言われるまでは気づかなかったぐらいだから、当然といえば当然なのかもしれない。 「…あ、いや、てっきりオレがハルカさんを取っちゃったからだと思いました。 チアキちゃん、ハルカさんのこと本当に慕ってますし…。」 「あっ、そっか。そうだったわね…、チアキは私のこと、大切にしてくれるものね…。 バカね、私。そんなこと、わかっていたはずなのに。」 藤岡に言われて、思い出したかのような顔をし、ハルカは少し悲しそうにしながら笑みを浮かべた。 「そんな! ハルカ姉さまはちゃんと私の気持ちに気づいてくれたじゃありませんか。 それでいいんです、十分です。」 ハルカも藤岡も自分のことを完全にわかっているわけではない。 しかし、2人がそれぞれ自分なりに自分をちゃんと考えてくれたことは嬉しく思った。 それに、藤岡が気づかなかったことをハルカが、ハルカが気づかなかったことを藤岡が気づいてくれたという お互いが気づかなかった点を補い合う形になったのが不思議と嬉しさに拍車をかけていた。 「ありがとう、チアキ。私も藤岡君もあなたから離れたりはしないわ。ずっと側にいる。」 「はい、ハルカ姉さま!」 ハルカは再びチアキを抱きしめ、チアキもまたハルカに応えるように抱きしめた。 藤岡はその様子を微笑みながら見守っていた。それで今回は無事解決となるはずだった。 「…藤岡、頼みがあるんだ。」 チアキはハルカから身を離すと、今度は藤岡の方を向いた。何やら1つの決意をしているように見える。 「何だい?」 「私にも、…その、ハルカ姉さまと同じ事をしてくれないか?」 「え!?」 チアキの頼みごとに思わず戸惑ってしまい、返答に困ってしまう。 困った顔をした藤岡を見て、チアキは上目遣いで悲しそうに見つめてきた。 「…ダメか?」 「そうは言っても…、オレにはハルカさんがいるし…。」 「私は、別にいいと思う。」 藤岡にとって、今日は本当に驚きの連続だ。しかし、おそらくこれ以上に驚くことはもうないだろう。 よりによって、ハルカがそんな二股行為を許すとは思いもしなかった。 しかも、その相手が小学生で、しかもハルカの妹であるチアキだから尚更だ。 藤岡が驚きで固まっていると、ハルカはそれがおかしかったのか、少し笑い出した。 「やっぱり驚くよね。確かに私もさっきまではそんな考え、思いもしなかった。 チアキには、そういうこと知るのも教育上まだ早いとも思っていたわ…。」 「ハルカ姉さま…。」 「でもね、さっきのチアキ見て考えたんだけど、教育上良くないとか倫理がどうとかって考えでチアキを 縛り付けるのも良くないって思ったの。それでチアキが納得なんてできるとは思えないから。」 言っていることは明らかに道徳に反しているが、ハルカなりにチアキのことを考えたのだろう。 藤岡もハルカの言うことには異論はない。 「…私の意見はここまで。藤岡君に強制はできないし、後は藤岡君がどうするかね。」 「藤岡…。」 チアキはまだ藤岡を不安そうに見つめている。ハルカはチアキを抱くことを了承し、チアキもそれを望んでいる。 この2人のことを考えれば、断る理由はなかった。 「……ごめん、チアキちゃん。…やっぱりオレにはできない。」 だが、藤岡の抵抗はそれでも拭えなかった。チアキはショックを受けながらも、疑問を投げかけた。 「どうしてだ?」 「…チアキちゃんを抱くと言うことは、ハルカさんと同じように見るということになるから。」 チアキは少しわけがわからないというような顔をしているが、藤岡はそのまま続けた。 「勿論チアキちゃんのことは好きだよ。だけど、それはハルカさんに対するものとは違うし、 オレにはチアキちゃんとハルカさんを同じように見るなんてことできないんだ。 それなのにチアキちゃんとそんなことするわけにもいかないよ。」 「…つまり、私を恋人として見ることはできないというわけか?」 チアキに言いたいことが伝わったとわかると、藤岡は無言で頷いた。 「藤岡、お前は少し勘違いをしているぞ。」 このチアキの一言を藤岡は意外に思った。意外そうにした藤岡の様子を見て、 チアキは少し笑い出した。先程のハルカを彷彿させる。 「本音を言えば、確かに私はお前の彼女に、この際愛人でもいいからなりたいと思ってるぞ。 ハルカ姉さまもそれを許してくれるだろうけど、ハルカ姉さまの彼氏とそんな関係にはなれるわけないだろ。 私はハルカ姉さまのことも大好きなんだからな。」 これはハルカにとっても予想外の台詞であるが、やはり後を引くものがあるのだろう。 「けど、それでも、こんな我侭を言ったのは、はっきり私の記憶として欲しいからなんだ。 私が、お前のことが大好きだったという証明できるものを。」 チアキは藤岡の目を見つめてきた。その瞳からは意思の強さを感じさせた。 「…何より、お前に感じてほしい。私が、お前が大好きなことを。だから、ダメか…?」 それでも、やはり拒絶に対する恐怖なのか、語尾の方の声が小さくなった。 そこまで言って中々引いてくれないチアキに、藤岡は根負けしてしまった。 「…わかったよ、チアキちゃん。けど、本当にオレでいいの?」 「今更何を言ってるんだよ、だから藤岡に頼んだんだろ?」 「そうだね。ただし、チアキちゃんとはこれが最初で最後だからね。」 チアキは藤岡の念押しに頷き、ハルカに断りを入れた。 「…すみません、ハルカ姉さま。本当はこんなこと許されるはずがないのに…。」 「いいのよ。逆の立場だったら、私もチアキと同じ事を考えたと思うから。」 ハルカの笑顔での了承を確認すると微笑みだし、藤岡の方に顔を向けた。 そして、藤岡に飛び込み、自分の唇を藤岡の唇に押し当てたのだった。 「…それから、どうすればいいんだ?」 唇を離した後、チアキが質問をしてきた。性知識に関しては全くの無知とも言えるので、当然の質問ではある。 「そうねぇ、藤岡君にはベッドに座ってもらった方がいいんじゃない? ほら、…その、まず藤岡君には大きくしてもらわなきゃいけないし……。」 次