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杏子「う、ううん。ここは?」 杏子が目を覚ましたのはどこかのベッドの上だった。 視界はぼやけていてどこなのかまではわからない。どうやらまだ頭が眠っているらしい。 正面に見える熊のぬいぐるみには何か見覚えがあるような・・・・・ 杏子「って、あたしのだ!!・・・あたしの部屋?、何でこんな所に!?」 自分の部屋で目を覚ますのは別に疑問を挟む余地などないのだが、絶賛家出中の彼女からしてみれば不可思議な状況で合った 状況が呑み込めない杏子は意識がなくなる前に何があったのか脳をフル回転させて思い出す 杏子「ええっと・・・橘さんに制止されて・・剣崎さんに背後から殴られて・・・ああ、それでここに運ばれたのか。あ痛てて」 思い出すとその途端頭の痛みが認識される 杏子「こぶになってるじゃんか、ちゃんと加減しろよな。そもそも何であたしが殴られ・・・あ!!、そうだ、伊坂!!」 そう、彼女は手傷を負わせた伊坂を追いかけようとして橘に止められたのだ 杏子「あの野郎!!、今度こそぶっ殺す・・・」 復讐の決意を思い出し、勢いよく起き上がる杏子 杏子「うん?」 不意に壁にかかっている真っ赤な服に目が留る 杏子「これは?」 それは真っ赤なノースリーブのワンピースだった。 全面が大きく開き黒い当て布があてがわれている。 その下には同じく真っ赤なブーツが置かれていた。 脇の棚にはの棚にもインナースカートやニーソックスまで用意してある・・・・その上に一枚のメモが置いてあった。 杏子「これは・・・・『お姉様へ』・・・」 それは、知世から杏子への手紙だった 『お姉様が家を出られてからずっと作っていた最新作が完成しましたわ。動きやすさを重視しつつ、見た目の華麗さ、可憐さを追求した自信作ですのよ。ああ、これを着て華麗に戦うお姉様の姿を撮影できればどれだけ幸せな事か』 杏子「・・・相変わらずだな」 『ですが、今はこちらから接触する事も叶わぬ身。お姉様なら密かに窓からお帰りになられるかもと思い、ここに置かせていただきますわ。』 杏子「いやいや、流石に窓から帰ってきたりはしないだろ」 『きっとまた家族みんなで暮らせる日が来る事を信じて 知世』 杏子「・・・・知世」 赤い衣装をギュッと抱きしめ顔をうずめる杏子 悲しみか、喜びか、その表情は誰にも窺い知ることはできなかった 衣装から顔を上げる杏子。そこには決意の表情が浮かんでいた 杏子「行こう」 ベットから足を降ろす杏子 その足の裏にムニュっと言う感触が返ってくる 杏子「あん?」 そこには・・・毛布が転がっていた。 いや、ただの毛布にしては盛り上がり過ぎている。 とりあえずめくってみる杏子 「こらーーー恭介ーーそれはあたしの毛布だーーむにゃむにゃ」 幸せそうな顔で眠っているさやかがそこに転がっていた 杏子「・・・何でこいつがこんな所に・・・」 微妙な気まずさを感じながら、服を着替える杏子。纏うは例の赤い衣装だ 杏子「言ってくるよ・・・父さん、母さん、知世」 部屋のドアを開けようとしてさやかが邪魔で開けない事に気づく 杏子「仕方ねぇな」 窓を開け、飛び出していく杏子。真っ赤な衣装の裾をはためかせるその姿は正に華麗の一言だった。 杏子「さて、問題は伊坂の奴はどこにいるのかだが。」 その時、懐の通信端末が振動を発する。 それは伊坂の配下に着いてからはスイッチを切っていたはずのBOARD支給品であった 杏子「はい、こちら佐倉」 橘「窓から出る事を想定していなかったのは失策だった。」 通信機からは橘の声が聞こえてくる 杏子「何だよ、一階で張ってたのか?」 橘「ああ、そうだ」 杏子「どうする?、また止めに来る?」 橘「いや、止めても聞く奴じゃないだろう」 杏子「じゃあ、何の用なのさ?」 橘「伊坂の居場所が解らないだろ?、剣崎に突きとめてもらった伊坂のアジトの座標をその端末にインプットしてある」 杏子「あ、本当だ・・・窓から出るのは想定外とか言いながら随分根回しがいいじゃんか。本当は行かせる気満々だったんじゃないの?」 橘「さあな?」 登録された座標を目指し、杏子が駆ける 同じころ、河原のコテージ 剣崎「と、言う訳で今日、伊坂に強襲を仕掛ける」 ほむら「それで?、私にそれを伝えて何を期待しているのかしら?」 布団から上半身を起こした姿勢のほむらが問いを投げかける 剣崎「まあ、動けるようなら力を貸してくれると嬉しいかなって」 ほむら「そうね、私としては伊坂を叩きつぶせるのならわざわざ自分でやる必要はないし、体を治すのに専念したい所ね」 剣崎「いや、無理ならいいんだ」 ほむら「そうね、気が向いたら行かない事もないわ」 一方その頃、伊坂の新アジト QB「さて、そろそろ彼女たちが仕掛けてくる頃合いかな」 伊坂「あ、ああ。」 QB「どうしたんだい?、ずいぶんと歯切れが悪いじゃないか」 QBは伊坂の体を駆けのぼり肩に乗る QB「おや、震えているのかい?、人間が震えるのは体温の上昇を図る時と、極度の緊張、とりわけ恐怖の感情を抱いている時だったかな?」 伊坂「お、俺は何も恐れてなどいない!!」 QB「そうなのかい?、てっきり佐倉杏子の予想外の強さに恐れをなしたのかと思ったのだけど」 伊坂「違う!!」 QB「本当かい?」 何も解っていない様で全てを見透かしているかのようなQBの目に、伊坂は観念する 伊坂「QB・・・俺と奴の戦闘力をどう見る?」 QB「昨夜の戦いにおいて佐倉杏子の力は君より圧倒的に上だった。今の君が彼女に勝つのはまず無理だろうね」 伊坂「くそっ!!、せめて、このベルトを使える検体がいれば」 QB「君が使えば良いじゃないか」 伊坂「馬鹿を言うな、これは魔法少女でなければ使えないはずだろう!!」 QB「なら簡単だよ。君が僕と契約して、魔法少女になればいい」 伊坂「そんな事ができるのか!?」 QB「前例はないね。だが、アンデッドだろうと感情がある以上は同様のシステムが使えるはずだよ」 伊坂「だが、失敗したら?」 QB「いずれにせよこのままだと君の負けは確定している。だったら少しでも可能性のある事に賭けるべきだとは思わないかい?」 QBの言葉を受け、ふっきれた表情になる伊坂 伊坂「いいだろう、やってくれ」 QB「いいよ、それで、君は一体どんな願いでその魂を輝かせるんだい?」 伊坂「俺に、どんな敵にも負けない力を!!」 高らかに願いを叫ぶ伊坂 QB「君の願いはエントロピーを凌駕した。受け取るがいい、それが君の運命だ」 伊坂の胸から飛び出した宝玉がゆったりと落下してくる それを受け止める伊坂 伊坂「力が・・・みなぎる。体が軽い、これでもう何も怖くないぞ、フハハハハハハ!!」 かくして、それぞれの思いを胸に、決戦の場に戦士たちが集う Next カードキャプター佐倉 第二章 36
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―24― 月明かりの落ちるモレク近辺の林の中。 一人のネクロマンサの男が、全体がボロボロとなった衣装を身につけ、半ば這うような姿でその中を進んでいる。 「くっ……おの…れ……!」 彼は、アイリスのレインボウドロップの直撃をかろうじて回避したものの、着弾後に広がった強烈な魔力の余波をその身に受け、全身に大きなダメージを負うに至り…… 余波だけでこの威力と言うのなら、それは直撃を受ければそのまま死に至らせる可能性もあった一撃であり……彼は、精霊王の強大な力の片鱗に、これまでに無いほどの畏怖と恐怖を感じていた。 「あの……妖精(ムシ)めが……出てこなければ……」 ……そう、あのままヒミンと名乗っていた妖精が乱入してこなければ、アイリス本来の力を発揮することなく全てが終わっていたはずだった。 天に輝く12星座――『黄道十二宮(ゾディアックベルト)』の力。 それは、たったひとりの妖精だけで抱えているとは思えぬほど……『理』すら捻じ曲げる強大な能力。 しかし、いくら悔いたところで過ぎてしまった現実を変える事は出来ない。 今は、自分を捜索しているだろう自警団から身を隠す方法を探す方が先決である。 「だーれが虫だって?」 「なっ…!?」 呆れたような表情で現れるのは、全身に星屑のような光の粒子を纏う妖精、ヒミン。 「悪い事したら逃げちゃ駄目だって言ったよ」 「因果応報、天罰覿面。 逃げ切れると思わないこと」 ……そしてそれに追従するように現れるのは、太陽のごとき明るい光を纏うソールと、月のごとき穏やかな光に包まれたマーニ。 三人共、それぞれの光が夜の闇に映えて、見るものの目を引く存在である事には間違いは無い。 が、今はそのような事が問題になるような状況ではなく、男は思わぬ追撃に動揺を隠せない様子だった。 「き、貴様等……!」 男は、半ば叫ぶような声を上げてエメトの指輪をつけた手をヒミンに向ける。 しかし、そうされた当人は特に恐れる様子もなく、先程から変わらない呆れた表情のままで、再び口を開いた。 「メンタルは残ってても、魔法撃てるような状態じゃないでしょ」 「……くっ!」 魔法というものは主に術者のメンタルを消費して行使されるもの。 しかし、その規模が大きなものになればなるほど身体的な反動も大きくなり、大呪文ともなれば、瀕死の状態で撃とうものなら、死を覚悟しなければならないこともある。 ……よって、見るからに弱っている状態から撃てる魔法などその威力もたかがしれ、この三人にとっては恐れを抱くほどのものではないようだった。 「いずれにしても、貴方の始末はこの場でさせて貰うわ。 人間が行う裁定じゃ、貴方には事足りない」 「人の命も、心すらもなんとも思わない人。 あなたの狂気で心を……そして命を奪われた人達にも、人生はあったはず」 「あんなの、みんなかわいそうだよ! ソールも絶対にゆるさないから!!」 三人はそれだけ口にすると、正三角形を描くような配置で男を取り囲み、それぞれがその両手を他の二人に向けるようにして突き出し――全員の口から、連続するように一つの呪文を唱え始める。 「―我 万物を照らす太陽の加護授かりし者―」 「―我 万象を守護せし月の恵に抱かれし者―」 「―我 万境を覆う星々の寵愛を受けし者―」 『―天上の光 ここに一つとなりて 大いなる力を生み出さん―』 三つの声が一揃いに最後の一節を発したその瞬間、それぞれの身体から光の線が伸び、互いに結び付き……男を取り囲む、正三角状の方陣となる。 互いが互いのメンタルと共鳴し合い、その中央部――男の立つ位置に膨大な力の渦が巻き起こりつつあるのが、傍目にも分かる程に極大化されていく。 「な……がっ…!!?」 そしてその中心部に立たされている男は、その膨大な力による不可視の圧力に押され、全身のダメージも重なり地面に崩れ落ちる。 ……三人の妖精は、そんな事にはかまわずに詠唱を続けていく。 次に口を開くのは、ヒミン。 「―我は天蓋の鍵を有する者 陽の舞う道に在りし 黄道十二宮(ゾディアックベルト)の使者よ 界の調停者の名の下に 解き放たれし門より現れ出でよ―」 その詠唱の内容は、ごく近い過去に耳にした……黄道十二宮の門を開く、星界の言の葉。 どこからともなく現れた光の粒が光円状のゲートを構成したその時、ソールとマーニの纏う光が、三人を繋ぐ光の線に乗ってヒミンの中へと注がれる。 「―世の理を統制せし星界の天秤 界の記憶(アカシックレコード)に刻まれしこの者の業徳を元に 相応なる裁きをここに!―」 ヒミンの頭上の星の門が大きく広がり、その内より現れるのは光り輝く星々の天秤。 だが、それは先の戦闘で見せたそれとは、その大きさからして異なり、軽く2Mはあろうかという天秤が、宙に浮く形でヒミンの背後にその姿を現していた。 ――その天秤の右には白い球体状の光が、そして、左には黒い球体状の光が置かれている。 「天秤宮ライブラ・第一術法――マアトの裁定!!」 高らかに手を上げ、詠唱の最終節を唱えるヒミン。 それと共に、天秤の左右の光が少しずつ膨張を始める。 「……マアトだと………まさか!? やめろ!!!」 「私に何を言おうと、マアトの裁定は”界の記憶”に記録された貴方の罪を元に裁きを下す。 あなたの命運は、”世界”に委ねられ……もう私の意思は反映されないわ」 ――マアト―― それは天秤の左に人の罪を、右に真理を乗せ、最後の審判を下す裁定の女神の名。 その審議に情はなく、全ての者に等しく裁きは下される。 ……ヒミンの後方に浮かぶ天秤の皿では、白き光は徐々に輝きを弱めていき、黒き光はなお強く、大きく広がっていく。 「……ここまで結果が目に見えた相手も珍しいわね」 その様子を眺め、素直にそんな言葉を口にするマーニ。 既に白い光は膨張を止め、黒ばかりが肥大化するばかりだった。 ……そして、男は力の渦に押し潰され、身動きをとる事が出来ずにただ唸るばかり。 その間に、天秤の左の皿は降り続け、ついには地面にまで到達する――――その瞬間だった。 「……なっ!?」 左の皿の黒の球体が突如として形を変えはじめ、一瞬の後には巨大な影の化け物へと変貌を遂げる。 「”アメミト”……それは貴方の罪の権化。 甘んじて受けなさい」 「…ひっ……く、来るな!!」 『ゴォォォォオオオオオオオオオオオオ!!』 アメミトと呼ばれた影は、左の皿から飛び降りるが否や、男の身体へと喰らいつく。 これ以上の恐怖は無い、という感情を感じられる叫び声を上げるも、それも空しくただ響くばかりで―― アメミトは数秒もせぬ間に全身を呑み下し、そのまま大気に溶けるようにしてその姿を消していった。 「…………ふぅ……」 『ヒミン!』 それと同時に背後の天秤も消え去り、ヒミンは力が抜けたように浮力を失い、そのまま落ちていく。 とっさにソールとマーニがそれを受け止め、どうにか地面への激突は免れた。 「……ヒミン、いくら私とソールが魔力結合(リンクス)で力を貸したとはいえ……やっぱり『裁定』と『狂理』を同じ日にやるのは無茶よ!」 「……無理は承知……でも大丈夫、眠れば回復するから……」 一時的とはいえ世界の理を崩す力と、『世界の意思』を呼び起こす程の大魔法。 星の光からメンタルの回復を行える彼女と言えども、その二つを連続して行うのは、かなりの負担がかかるようだった。 「……”先代様”は、この世界に来たばかりの私達に色々教えてくれた……いっぱいお世話になった……だから、これはその恩返し」 「……まぁ、それは私達も同じだけど」 「やっぱり、ヒミンにばっかり負担がかかりすぎだよ。 ……『天秤』は、ソールは力を貸すことしか出来ないのに……」 普段他の者には絶対に見せることのない、ソールの沈んだ顔。 誰よりも明るく、誰にでも希望を与える空気を纏う彼女は、よほどの事がなければそんな表情を見せる事は無い。 ……それだけ、この三人の関係が深いということの証明なのかもしれない。 「……まぁ、だからってイリスを狙う人全員に『裁定』をするわけじゃないから安心して。 ……あんなヤツじゃない限りは、あのティールって子達だけでも何とかできるだろうし」 そこまで言うと再び羽根を動かし、二人の腕から離れるヒミン。 ややふらつき気味ではあるものの、とりあえず飛ぶ程度の力は残っていたようだ。 「あの子達なら、イリスを任せてもいいと思うから……後は、影から見守ってるくらいで丁度いいよ。 たまーに様子見に行くくらいでね」 そこまで口にすると、”ふわ~”と大きくあくびをして、ゴシゴシと目をこすり始めるヒミン。 「……じゃ、今日は敵とな場所探して寝るよー。 二人もつかれてるでしょ?」 「……そうね、じゃあ、私ももう寝る事にするわ。 今日は満月でもないし」 「わぁ、皆で一緒に寝るのって久しぶりだねー。 モレクだったら、いい場所知ってるよ。」 「そうなの? じゃあソール、案内してよ」 「アイアイサー」 <<前へ 次へ>>
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伊坂「杏子、カテゴリーAが現れた・・・」 いつも余裕たっぷりな奴にどこか焦った様子でそう告げられ、あたしは現場にやって来た。 杏子「で、やっこさんご所望の奴がこいつか、ちまちまとうぜぇ奴だな」 カテゴリーA:スパイダーアンデッドはワイヤーを巧みに操り、杏子を翻弄していた 杏子「そっちがワイヤーならこっちは鎖だ」 多節棍に変形した槍を振りかぶる杏子。 スパイダーもワイヤーを構えなおし、杏子の出方を窺う。 両者動かず・・・・静かなるこう着状態が展開されていた 「だぁぁぁぁ!!」 静寂を突き破り、青い魔法少女がスパイダーに向かって突撃してきた。 杏子「ちょっ!、さやか!?」 突然の乱入者に場の空気が一気に乱れた。 さやか「魔法少女さやかちゃん!、惨、状!!」 懐に入られたスパイダーはワイヤーを捨て、長い指でさやかの剣と切り結ぶ さやか「カテゴリーAって言うからどれほどかと思いきや、大した事な・・」 スコン さやか「あだっ」 唐突に何かが後頭部に辺り、思わず叫び声をあげるさやか さやか「いったーーーい。何するんですか佐倉さん」 犯人=杏子に抗議の声をあげるさやか 杏子「邪魔すんな!!、そいつはあたしの獲物だ」 さやか「だぁぁぁ、もう、今はこんな奴に構っている場合じゃないんだってば」 スパイダーに斬りつけながらさやかが叫ぶ!! 杏子「だったら下がってろよ」 さやかを押しのけ、スパイダーを突き、杏子が唸る!! スパイダー「シャーーー(俺のこの手が真っ赤に燃える!!)」 さやか 杏子「張り合うなよ!!」 知世「何か楽しそうですわ。」 杏子父「ああ・・・」 車中から様子を窺う二人 さやか「だあああああ!!」 さやかの衝撃波がスパイダーにヒットする 杏子「だからあたしの獲物だって!!」 杏子の多節棍がスパイダーを滅多打ちにする スパイダー「シャーーー!!」 形勢の不利を感じたスパイダーは口から無数の子蜘蛛を吐きだす さやか「うわっ!」 杏子「なっ!?」 子蜘蛛を叩き落とした二人が前を確認するも、スパイダーの姿は忽然と消えていた・・・ さやか「逃がしたか・・・うっ!?」 落胆するさやかが杏子の方に振り向くと、同時に、眉間に槍の穂先が突き付けられる 杏子「てめぇ、邪魔すんなっつったろうが!?」 さやか「いや、実は・・」 今にも突き刺して来そうな剣幕の杏子に気圧され、しどろもどろになるさやか 杏子「ふざけんじゃねぇよ」 「待ちなさい、杏子」 杏子「父さんはだまっててよ!!・・・!?」 突然かかった声に対する自身の返事に杏子は目を丸くした それはまるで信じられないものを見る様な表情だった ゆっくりと声のした方に振り向く 杏子父「久しぶりだな、杏子」 杏子「父・・さん・・・・」 不意に姿を現した父の姿に固まる杏子・・・・それは奇しくもかつて父に勘当された日の様子に似ていた 杏子父「さやかさんは私がお前と話ができるようにアンデッドを排除してくれたんだよ」 硬直していた杏子は首をブンブンと振り、元の荒々しい表情に戻る 杏子「ふざけんな!!、今更何の話があるってんだよ」 怒鳴る杏子に対し、杏子父は手と膝を地につけ、さらに頭を地につけんばかりの勢いで下げる。 杏子父「すまなかった、私が悪かったから帰って来てくれ」 土下座の姿勢で静かに謝罪する杏子父 杏子「な・・・何だよ突然。あたしは今の暮らしに満足してんだ、今更てめぇなんかの元に帰りたい訳がねぇだろうが」 杏子父「もういいんだ・・・もう戦う必要なんてない、私の願いを叶えようなんて思う必要もない。 説教なんかよりも前にまずは家族を養える仕事をする。だから、また母さんと知世と四人で当たり前の暮らしをしよう」 杏子「ふざけんな!!、あたしは魔女なんだろうがよ、魔女を家に連れ戻して当たり前の暮らしだ?、何企んでんだよ、土下座しただけで騙されるとでも思ってんのか!?」 怒声混じりにまくしたてる杏子だが、その声音にはどこか狼狽の色が見えていた 知世「お父様はお優しい方ですが、同時に誇り高い方ですわ。そんな方が土下座をするのですからその重みをお考えくださいな」 いつのまにか傍らに立っていた知世が諭すような口調で告げる 杏子「・・・ああ、そうかお前がこの人に頼んだのか。あんたいつも言ってたっけ、戻って来ないかって。 はっ!、可愛い娘に頼まれてわざわざご足労願った訳か。御苦労なこった」 杏子父「否定はしない。知世に背中を押されたのは事実だ。だが、私がお前に帰って来て欲しいのは本心だ。 ずっと後悔していた。感情に任せてお前を叱責した事を。お前はただ情けない私のためを思って危険な戦いに身を投じてくれていたのに、何故『ありがとう』と言えなかったのかを」 杏子「・・・」 さやか「佐倉さん、この人の意思は本物だよ。そう思ったからあたしもここに連れてきた。」 知世「お姉様・・・」 杏子「う、うるせぇ、信じられるかそんな話!!」 大声で叫び、踵を返した今日は、傍の塀から民家の屋根に跳び乗り、そのまま屋根を跳び移りながら去っていく。 さやか「あ、待ちなよ」 咄嗟に追いかけるさやか 知世「お父様、私たちも」 杏子父「あ、ああ。」 二人を追いかけるため、車に向かう杏子父。 キーを指し、ドアを開けようとして、傍らに人の気配を感じた。 振り向くとそこには黒服でサングラスの男が立っていた 辺りはすっかり暗くなっっている。今まで存在に気付かなかったのはその服装のせいであろうか 杏子父「・・・どちら様ですか?」 黒服の男「佐倉杏子の邪魔をするな」 杏子父「?」 異様な雰囲気の男が発した言葉の意味が呑み込めない杏子父 知世「お父様?、どうなされましたの?」 様子がおかしい事に気付いた知世が車の反対側から回り込んでくる。 知世「!?、その方は!!、その方ですわ、お姉様を操っているのは」 杏子父「なっ!?」 驚く杏子父の前で黒服の男=伊坂は車に手を押し当てる 杏子父「知世!!」 知世を抱え、咄嗟に車から離れる杏子父 ズドンっと音がして車が吹っ飛び、河原に転がって行った 伊坂「警告はした、次はないぞ」 杏子父「くっ」 去っていく男と壊れた車を見比べ、杏子父は歯噛みするのであった・・・ Next カードキャプター佐倉 第二章 25
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今日 - 合計 - カードキャプターさくら クロウカードマジックの攻略ページ 目次 基本情報 [部分編集] ストーリー [部分編集] 攻略情報 [部分編集] Tips [部分編集] プチ情報 [部分編集] 関連動画 [部分編集] 参考文献、参考サイト [部分編集] 感想・レビュー 基本情報 [部分編集] ストーリー [部分編集] 攻略情報 [部分編集] Tips [部分編集] プチ情報 [部分編集] 関連動画 [部分編集] 参考文献、参考サイト [部分編集] 感想・レビュー 名前 コメント 選択肢 投票 役に立った (0) 2012年10月09日 (火) 16時54分33秒 [部分編集] ページごとのメニューの編集はこちらの部分編集から行ってください [部分編集] 編集に関して
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杏子「父さん!!」 血まみれで倒れている父に駆け寄る杏子 「やめろ!!、動かすな!!」 杏子「!?」 突如奥の方から聞こえたどなり声に動きを止める 杏子「橘さん!?」 声のした方に振り向くとそこには橘が立ちつくしていた・・・そしてその足元には 杏子「母さん、知世!?」 そこには同じく血まみれの母と妹が倒れている。 杏子「何してんだよ、早く病院に!!」 橘「駄目だ、傷が深い。迂闊に動かすのは危険だ。できる限りの応急処置は施したが・・・普通の医療技術では・・もう」 杏子「ふざけんなよ!、じゃあこのまま見捨てろってのかよ」 橘「方法はまだある、だから落ち着け」 杏子「どうすればいいん・・・」 杏子父「う、うう」 杏子父のうめき声を聞き、杏子はそちらに向き直る 杏子「父さん!!」 杏子父「杏子・・・か。帰って来てくれた・・んだな」 杏子「ああ、帰って来た、帰って来たよ。なのに・・・何だよこの状況は」 杏子父「母さん・・と、知世は・・・無事か?、私の我儘・・に巻き込ん・・・でしまったが・・・上手く逃げ延びた・・・か?」 倒れている母と妹に目をやる杏子・・・その様子はとても無事とは言えなかった 杏子「う、うん。無事だよ。父さんの事心配してる。」 杏子父「そう・・か、良かった。」 杏子「誰だよ、父さん達をこんな目にあわせたのは」 杏子の言葉を聞き、杏子父が一瞬何かを悟ったかの様な目をしたが、激昂する杏子は気がつかなかった 杏子父「私が・・悪いんだ。あの・・伊坂という男・・に警告されていた・・のに・・それを、無視したん・・だから、な」 杏子「あんの・・野郎!!」 思わずその場を飛び出そうとする杏子 杏子「!?」 その足に、何かが触れた・・・その冷やかな感触が杏子の頭を冷やす。 父の・・・手だった。いつもは暖かく包んでくれたその手が・・ぞっとするほど冷たい。 近代的な礼拝堂には暖房も備わっていて、室内の温度はむしろ暑いほどだった・・・にもかかわらず・・・ 杏子父「私は・・・もう助からんだろう・・・だから、最後に言っておく。すまなかったな。私は悪い父親・・だ。」 杏子「違う・・・父さんはいつでも自慢の父親だったよ。悪かったのはあたしだ。一人で勝手に突っ走ってさ、咎められても非を認めなくて・・・あたしがもっと素直だったらこんな事には・・・」 杏子父「それは・・違う。子供はな・・間違う・・ものなんだ。間違え・・たっていい。それを・・教え、導く・・のが親の役目、なんだよ。それを怠り・・自身の感情を、優先した・・のは、間違いなく・・私の落ち度だ」 杏子「・・・」 足にかかる父の手の力がより一層弱弱しくなる 杏子「父さん!!、しっかりして!!」 杏子父「同機は・・どうあれ・・お前のやって来た・・戦いは誇って・・良いものだ。だけど・・な、父親と、しては・・もう、いいんじゃないか・・とは思うな」 杏子「でも・・」 杏子父「やめる、やめない・・は、お前の自由・・だ。自分が・・正しいと思って・・自分の事も顧みた・・上でならどうするのもお前の自由だ」 杏子「うん、うん。」 溢れる涙が視界を遮る 杏子父「泣くな・・最後ぐらいは・・お前の・・笑顔を・・見せてくれ」 杏子「うっく、うん」 涙をぬぐい、笑顔を作る杏子 杏子父「すまん・・な。最後まで我儘な父親・・だ。杏子・・・ありがとう。愛してる・・・」 父の目がゆっくりと閉じていく 杏子「父さん、父さん!!、目を開けて!!」 父の体を揺すろうとする杏子・・・その手を橘が掴んで制止する 橘「やめろ、安静にさせるんだ」 杏子「てめぇ!!、他人事みたいに。あんた見てたんだろ!、何で助けてくれなかった!!」 橘「ああ、見ていた。全ては俺の力が足りなかった事が原因だ」 立ち上がった杏子の拳が橘の頬を殴り飛ばす。 一瞬緩んだ手を振りほどき、杏子は外に走り去って行った。 橘「くそっ!!」 床を思いっきり殴りつける橘の顔には苦々しげな表情が張り付いているのだった。 伊坂「くくく、やったぞ。遂に最強のシステムが完成した」 QB「魔法少女システムとライダーシステムのハイブリットシステムか・・面白いものに仕上がったね」 伊坂「ライダーの装甲防御と魔法少女の魔法防御、さらにアンデッド融合と魔法による身体強化を併せ持つ圧倒的な戦闘力。これがあれば無敵だ」 QB「問題はこれを使える魔法少女をまだ用意できていない、という点だけれど・・・」 伊坂「そうだな・・・」 その時、バタンっと音がして扉が荒々しく開かれた 杏子「よう、伊坂。随分ご機嫌じゃねぇか」 伊坂「お前か。戻ってくる気になったのか?、ちょうどいい、このシステムはお前に使わせてやってもいいぞ。」 杏子「んな事はどうでもいい!!、今すぐ死にやがれ!!」 伊坂に跳びかかると同時に槍を形成する杏子 突きだされた一撃をアンデッド化した伊坂が柄を掴んで受け止めた。 伊坂「懲りない奴だな・・・」 言いながら振るわれた剣が無防備な杏子の側面に襲い掛かる それに対して杏子はただ、無造作に裏拳を叩き込んだ 如何に魔法で強化されているとはいえ、ただの拳が剣に敵うはずはない、当然のことながら剣を殴った拳からは血が噴き出す。 だが・・・剣の方も真っ二つにへし折れた。 伊坂「馬鹿な!?」 と、驚く暇などなかった・・続けて放たれた頭突きがピーコックの意識を飛ばす 次の瞬間、ピーコックの腹には槍の穂先が突き刺さっていた bullet fire 杏子「・・・くたばれ」 槍から放たれたエネルギーがピーコックの体を吹っ飛ばす 伊坂「ぐうっ・・・」 かろうじて戦闘不能に至らなかった事に感謝する伊坂だが目の前の光景に目を奪われる 伊坂「馬鹿な!!、奴の腕はもう回復したのか!?」 先ほど剣と引き換えに潰したはずの拳が傷一つ無い状態になっていた 伊坂「ありえない!!、今のお前はまともに戦う事なんてできない状態のはずだ。にもかかわらずそれだけ魔力を惜しみなく使って平気なはずが・・」 bullet fire さらに続けてカードがラウズされる 戦慄するピーコック・・・ そこに・・・突如やって来た黒塗りの車が伊坂を撥ね飛ばした 杏子「!?」 車は器用にもボンネットでピーコックを拾い、そのまま走り去る。 杏子「待ちやがれ!!」 キキッ 追いかけようとする杏子の前に一台のバイクが停車した 橘「待て!!、深追いするな。」 杏子「どけよ!!あたしはあいつを倒さなきゃならないんだ」 橘「今のお前のコンディションは肉体的にも精神的にも不安定だ。ここは一旦退いて休め」 杏子「うるせぇ、あたしの事なんか知った事かよ!!」 橘「仕方ない、剣崎!!」 杏子「ぐっ!!」 唐突に後頭部に手刀が叩き込まれる。 剣崎「ごめんな、杏子ちゃん」 いつの間にか背後から回り込んでいた剣崎だった。 橘「一旦、こいつの家に戻る。剣崎、すまんが奴らを追ってもらえるか?」 剣崎「はい!!」 一方、辛くも逃げ延びた伊坂は 伊坂「すまん、助かった・・・だが、もっとましな助け方はなかったのか?」 QB「贅沢を言わないでくれよ。悠長に扉を開けて拾ってたらまとめて木端微塵だったよ」 伊坂「ふんっ・・・ところで、どうやって運転してるんだ?」 QB「アクセルにサーフボード乗りして万歳ポーズでハンドルを握ってる」 伊坂「怖っ!!」 Next カードキャプター佐倉 第二章 35
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―EX― 「あら、トゥール。 そっちから出向いて来るなんて、珍しいわね」 ――氷昌宮。 アウドムラは大きな氷の鏡の前で、その中に映る光景を眺めながら、背後に現れた来客に言葉を向けた。 ……鏡の中には、つい先程自らの力を分け与えたエミリアとその仲間達。 そして、『轟雷宮』の加護を受けた少女、リーゼとその姉の姿。 さっきまで正面からぶつかり合うように戦っていた二組が、のんびりと支援士向けの衣装店で服を見繕っている姿は、妙に微笑ましかった。 まぁ、その中で唯一の男性である一人は、満身創痍だったこともあり、先に家に戻っていってしまっているのだが。 「謀らずも我々の加護を受けた者同士の戦いになったわけだが、挨拶にと思ってな」 来訪した男性の名は、トゥール。 世の人に”雷帝”と称される、轟雷宮(ライトニングパレス)のパレスキーパー。 ……そう、リーゼに力を与えた者であり、属性こそ違えどアウドムラと同等の存在である一人である。 「戦いね……まぁ、見た限りじゃ今回は引き分けってところかしら? でも一対一だとエミィちゃん負けてたわね」 「ほう? また弱気な発言だな」 「……普通に考えて、マージナルとセイクリッドじゃセイクリッドに分があるに決まってるでしょ? 確かに多少は対応していたみたいだけど、そのくらいはわかるわよ」 やれやれ、とばかりに溜息をつきながらそう答えるアウドムラ。 トゥールは”ふむ”と一声出すと、腕を組んで目の前の大鏡へと目を向けた。 その向こうでは、何着か服を押し付けられて困惑するリーゼの姿。 ……正直、自分の関係者とはいえ女性のこういった面には、男としても、自分の性格的にも踏み込む事は出来ない。 直ぐに目をそらし、再び口を開く。 「アウドムラ、こうして我々が人に力を与える事……どう思う」 「そうね。 私達は、本来この世界全体に宿るメンタルバランスを管理する存在。 来訪者に上位能力を与える権限は、おまけみたいなものなのよね」 「ああ、確かにそうも考えられるな」 「……でも、無駄だとは思わないわ。 力は、得る人によっては、その一人だけで多くの者の力になる事もある」 「だが、逆もまた然りだ。 悪しき心を持つ者が力を得れば、それは多くの者から全てを奪うだろう」 「だからこそ、私達は”選別”する必要があるんじゃない。 ……たとえ精霊宮にたどり着こうと、その人の本質が悪であれば、私達は力を与える事はない」 「そうだな。 だがたとえ善であろうと、その者の精神がその力を支えるに値しないならば、それもまた否だ」 「……ま、つまりはそういうことでしょ? 世界にプラスの影響を与えられる者と、マイナスの影響をもつ者……力を持つに値する者を見分け、力を貸し、界の安定を導く歯車となる」 「……なるほど。 考えれば、なかなか深い役割だな」 「それだけに責任も重いけどねー……可愛い子だからって力を貸せないのが悔しいわ」 「…………そんな事を言っていては、またエルナンの奴に皮肉を言われるぞ」 「いいのよ。 それも私達の付き合いの一つじゃない」 クスクスと笑いながら、そんな事を言うアウドムラ。 トゥールもまた、”それもそうだな!”と言って笑い出していた。
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「―あ、出るタイミング逃しちゃった?」 「……起死回生。 出る必要がなくなっただけ」 「いや……状況はまだ悪そうだよ。 もう少し、様子を見ようか」 ―14― 「――ヴァイ!?」 ティールの心臓に剣を突き立てようとした兵士が一撃の下に吹き飛ばされ、予想だにしない援軍の到来に、一瞬怖気づく他の兵士達。 「グオオオオ!!」 そして、その一瞬の隙を突くかのように、純白の体毛をなびかせ、一体のフロストファング――銀牙が戦場に飛び込み、群がっていた兵士達を蹴散らしていった。 攻撃を受けなかった他の兵士達も、完全に虚を突かれ動揺し、なす術もなく後退していく。 「くっ……貴様等!?」 その兵士達の向こう側で、驚愕の声を上げる男。 そうしている間にも、ヴァイ、銀牙に続いてリスティ、シア……そして、ユキとイリスもこの場へと集い、地面に倒れこんでいるティールを守るかのように並んでいた。 「ママ! 大丈夫!?」 その中で、一人ティールに駆け寄って、必死の表情で身体をゆさぶるイリス。 先に受けた傷に若干響くものの、ティールはゆっくりと身体を起こして、自分を囲む仲間達の顔を見上げる。 「お前が出た後、妙なゴロツキが俺達を襲ってきたからな」 「あなたの様子も変でしたし……さすがに、何かあったのかもしれないと」 なぜここに……そう口にしようとしたが、ヴァイとシアはそれを制するかのようにそう言葉を発していた。 ……大方、親を引き離した後にイリスだけ攫って行こうという作戦の結果だろう。 ただ、並の支援士以上の力を持つヴァイと銀牙がその場にいたのは、敵にとって計算外の事だったのかもしれない。 「銀牙がいなかったら、この場所までは判らなかったかもしれないが……」 「間にあってよかったです……」 ヴァイの言葉を受けて、少し得意気に鼻を鳴らす銀牙。 狼も犬科の生物だけに、犬と同様に鼻の利く動物。 数十分程度の時間では、道に残された匂いは早々消えないのだろう。 ―尤も、銀牙は魔物としては例外的に、教会に属しているためにそういった訓練も多少受けていたりするのも事実なのだが。 「……みんな……ごめん……」 リスティから治癒聖術を受けつつ、少ししゅんとした顔でそう口にするティール。 だが、本人以外は特に気にした様子もなく、何も言わずに敵の方へと身構え、それぞれが戦闘体制に入っていた。 その横で、イリスとユキはシアの影に隠れるように移動している。 「……ディンさん、エミリアさん……これは、どういうことですか……?」 シアはそんな二人の頭を少し撫でると、改めて目の前に立つ二人の支援士へと向き直り、悲しそうな声でそう口にした。 シアは、ディンとエミリアとは以前からの知り合いで、友人同士。 ……そして、二人に対しては無言を保ってはいるが、ヴァイもまた、二人とは顔見知りの関係だった。 「……ディンとエミィは、支援士って立場を利用されてるだけ。 Aランクの依頼の放棄……口実があれば、後の仕事を奪うのも……町にいられなくするのは簡単だって、脅されてる」 その視線に何も言えず、ただ黙り込む二人に代わり、ティールはそう答えた。 それこそ嘘も何もない、戦いの中で耳にした、”依頼者”自身の言葉を借りて。 「そんなっ! ……そんなの、ただの脅しじゃないんですか!?」 「……世の中には、そのくらいの力を持つ人間もいるわ。 教会に、権力を傘に着る人間がいるように」 「シア先生!?」 「リスティ、世界は貴方のように純粋な人ばかりではないの。 フォーゲンの一件で、貴方も身に沁みて知っているはずよ」 「…………」 今までに無く神妙な表情で語るシアの姿に、思わず口ごもるリスティ。 ……フォーゲンの一件から、確かにこの世には正義という暗幕に隠された悪がいる事は承知していた。 それゆえに、何も反論する事も出来ない。 「くく…っ、その姿……『聖女の守(フォルセイナル)』に『聖女(アルティア)』、そして『吟遊詩人(バード)』と『聖者の守護獣』か……なるほど、寄せ集めの兵では敵うはずもない」 「……俺達を知ってるのか」 「知らぬ者の方が少なかろう。 貴様等がいたのは、計算外だったが……アイリスを連れてきてくれたのは、礼を言おうか」 突如として不敵な笑みを浮かべ、目を見開く男。 その視線は、シアの背後に隠れるイリスへと、真っ直ぐに向けられている。 それに気付き、恐怖からか目の中に涙を滲ませるイリスだったが…… 「あんたみたいな外道に、誰が渡すか!!」 そんな彼女の前に立ち塞がり、かつてない程に大きく叫ぶ『親』の姿があった。 「ママ……」 「ふん、金で動く支援士風情が、何を奇麗事を」 「……金で動く、か。 お前みたいなヤツには、俺達はそう見えるか」 男の一言に、嘲笑のような表情を見せるヴァイ。 しかし、そういう連中が支援士の中にいるのも事実であり、金だけじゃない、などと言うのは奇麗事と言えば奇麗事かもしれないが……そういった人間ばかりだと思うのは大きな間違い。 それとは対極に位置する人間も、数こそ少なくとも確かに存在している。 「……私だって生きていくならお金はいるし欲しいものもある。 最初に見つけた時は、持ってても仕方ないし売ってしまおうと思ったけど」 だが、その矢先に思いがけない言葉を口にするティール。 ――予想だにしない発言に、全員が思わず声を上げそうになっていたが…… 「こうやって生まれて、私なんかを『親』として慕ってくれる……そんな子を見捨てるほど、私は堕ちちゃいない」 ティールは視線を男から逸らさず、淡々とそんな言葉を続けていた。 それは、彼女自身が想う、素直な言葉なのだろう。 「それを奇麗事と言うのだ。 まあいずれにせよ、議論の余地は無いようだがね」 変わらず嫌な笑みを浮かべたまま、男は一時は後退していた兵士達に指示を出す。 ……虚をつかれ広がっていた兵士達の動揺も、今の会話の間に持ち直しているらしく、確実に布陣を拡げていく。 「……ティール、シアさん、ヴァイ……」 「いいよ、私は別に恨まない。 ……でも、もう一度言うよ。 戦うなら本気で相手をさせてもらうから」 呟くように口にしたディンの言葉に、淡々と答えるティール。 その瞳は、すでに背後にいる男ではなく、ディンとエミリアを鋭く貫くように見つめている。 「ヴァイ、銀牙。 ディンとエミリアは私にやらせて」 「……いいのか? 仲間になろうって言ってくれたヤツらだろ」 「だからこそだよ。 シアとリスティも、支援よろしく」 「あっ…… はい!」 「……わかりました」 <<前へ 次へ>>
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183 名前:通常の名無しさんの3倍 :2010/09/04(土) 07 37 59 ID ??? 「この気持ち、まさしく愛だ!」 「そんな道理、私の無理でこじ開ける!」 さわやかな朝の挨拶が、澄みきった青空にこだまする。 日登署の庁舎に集うフラッグファイターたちが、 今日も阿修羅をも凌駕する無垢な笑顔で、背の高い門をくぐり抜けていく。 汚れを知らない心身を包むのは、深い色の制服。 堪忍袋の緒は乱さないように、センチメンタリズムな運命は感じさせないように、 ゆっくりグラハム☆スペシャルするのがここでのたしなみ。 もちろん、ガンダムに特攻して爆散するなどといった、 はしたない隊員など存在していようはずもない。 オーバーフラッグス。 西暦2307年創設のこの部隊は、もとはガンダムの調査のためにつくられたという、 伝統ある第八独立航空戦術飛行隊である。 日登市。旧世紀の面影を未だに残している緑の多いこの街で、神に見守られ、 街の平和を守るための教育が受けられるフラッグファイターの園。 時代が移り変わり、ガンダムタイプが主流となった平成の今日でさえ、 温室育ちの純粋培養フラッグファイターが箱入りで出荷される、 という仕組みが未だに残っている貴重な部隊である。 リディ「カタギリ主任、いよいよもって志願先を間違えたとしか思えないんですが」 カタギリ「うん、みんなフラッグなのに君だけリゼルだしね」 グラハム「フラッグファイター諸君! 今日も元気に町内のパトロールだ!」
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SVMS-01E グラハム専用ユニオンフラッグカスタム [部分編集] エキスパンション第1弾 UNIT 01A/U BL019R 3-青1+黒1 戦闘配備 (戦闘フェイズ)[1]:ゲイン (ダメージ判定ステップ)[青1]+[黒1]:このカードの部隊が受ける全ての戦闘ダメージは、このターン、対象の代わりに自軍本国に与えられる。 フラッグ系 MS 専用「グラハム・エーカー」 青-00 宇宙 地球 [4][1][2] エキスパンション第1弾にて収録された「機動戦士ガンダム00」3国家軍勢のデュアルユニット。 「UNION」勢力は青と黒に振り分けられた。 3国にして格闘力4点、戦闘配備にゲイン更には戦闘ダメージ回避効果を持ち、場に出てからゲーム終盤まで前線で活躍できる。最高で、3ターン目に単機で8点を与えることが可能。 本国を身代りにすることで、全ての戦闘ダメージを回避できるテキストを持ち、生存力は非常に高い。相手としては、速攻も持たない防御力2点のユニットをコマンド等で対処せざるを得なくなるが、青にはバナージ・リンクスや守る決意があるため、十分なプレッシャーになる。 現在、ダメージ判定ステップ以外でもゲインが使用できる数少ないカードの一枚で、例えば、前もって使用することで赤い彗星にカットインされることを避けたり、逆にアグニにカットインで使用して破壊を免れたりと、意外と役立つ場面は多い。 とはいえ耐久値自体は2と極めて貧弱なため、配備エリアであっさり破壊されてしまうことは多い。 このカードの効果を適用した場合、自軍本国に与えられるダメージはこのカードと交戦中の部隊の部隊戦闘力である。(Q A049参照) [部分編集] 第5弾 / ベストセレクション第3弾 UNIT 05C/U BL096C 3-青1 [0]:改装[フラッグ系] (>起動):このカードが場に出た場合、自軍本国の上のカード1~3枚を見て、その中にある、黒のGサインを持つカード1枚を、自軍ハンガーに移す事ができる。 フラッグ系 MS 専用「グラハム・エーカー」 青-00 宇宙 地球 [3][1][3] 第5弾で収録された、他色のカードをサーチできるユニットの1つ。 青のユニットは黒のカードを探す。 EX01とは違い、青のロールコストのみとなっている為、デュアルユニットではない。 それに比例して戦闘力も並のバランスになったが、ドロー補助となるので相応といった所。 GNフラッグやマスラオ系の改装元としては文句なしで、デッキに依るが活用できる機会は多い。 05では、スターター「四極の刃」専用として収録されていた。 関連リンク 05(B3にて再録)における、Gサインを持つカード1枚を自軍ハンガーに移せるユニット(色)。 グラハム専用ユニオンフラッグカスタム(黒) AEUイナクト(デモカラー)(赤) サーシェス専用AEUイナクトカスタム(緑) ティエレン高機動型(セルゲイ機)(青)