約 439,880 件
https://w.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/336.html
トリステイン魔法学院。 メイジ達に、魔法や教養を教え貴族として育成するこの学院は、非常に騒がしい状態にあった。 というのも、新二年生達による使い魔召還の儀式が行われているためだ。 所属する学生達は、この使い魔召還の儀式で呼び出されたものによって、属性の固定とそれに伴う専門科目の専攻が行われるため、その結果に一喜一憂する。 この学院に所属する、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールは、これこそ名誉挽回のチャンスと、非常にはやり立っていた。 ゼロのルイズ。それが彼女に与えられた二つ名である。これは彼女の魔法成功率が0であるということを表す、極めて不名誉な二つ名であった。 もし、これで凄い使い魔を呼び出せば、今まで自分をゼロと呼んだ奴らを見返せるッ! そう思い、彼女は今、この使い魔召還の儀式に向かっていた。 しかし他の生徒の召還が進むにつれ、ルイズのはやり立っていた表情は、いささか自信なさげなものとなっていく。 「まだ、召還してない者は…… ミス・ヴァリエール!! 」 「はい」 黒いローブをまとった男、コルベールに名を呼ばれ、ルイズは大きく前に出た。 それに合わせるように、既に召還を終わらせた生徒の一団が、大きく後ろに下がった。 「ゼロのルイズ! また校舎に傷をつける気かァー」 「ちゃんとサモン・サーヴァント出来るのか? 」 「ルイズが成功するなんて有りませんよ。ファンタジーやメルヘンじゃないんですから」 生徒達からヤジが飛ぶ。こういうのは無視をするのが一番よい。だが! 人一倍プライドの高いルイズは、そのヤジに対して振り向き、逆にッ! 思いっきり反応したッ! 「みてなさいッ! ……あんた達なんかより、ずっと強力な使い魔を召還してみせるわッ!」 「ミス・ヴァリエール。早くなさい。次の授業が始まってしまうじゃないか」 コルベールに言われ、向き直ってサモン・サーヴァントの儀式を始めるルイズ。 「宇宙の果てのどこかにいる私の僕よ!」 杖を構え、極めて独創的な召還の言葉を紡いでいく。それに合わせ、杖の先へがきらりと光る。 「神聖で、美しく、そして強力な使い魔よ! 私が心より求め、訴えるは、我が導きに答えなさい!」 ルイズの詠唱の終わりに、杖の光は爆発となって答えた。 「ゴホッ、やっぱこうなったか! 」 「オゴェッ! 」 「タコスッ!」 爆発で巻き上げられた砂塵と石っころが生徒一団に降りかかる。普段の3割増しなその爆発で、比較的ルイズに近い位置にいた生徒数名が地面と盛大なキスをかましていた。 ルイズから離れた位置にいた、比較的被害の少なかった生徒達は、口々にルイズに対して文句をたれる。 しかしルイズに、その言葉は聞こえていなかった。今、彼女の目の前にある、自らが召還したであろう使い魔の姿に、思わず言葉を失っていたからである。 「こんなのが、神聖で…… 美しく…… 強大な……」 黒と白のこの世界にはない服、パーカーと呼ばれるものを着た、黒髪の少年。 マントは羽織っていないし、杖も持っていない、おそらく平民だろう。この場にいた誰もが、そう認識した。 「プックックックッ…… まさか平民を召還するなんて……」 「さすがゼロのルイズ! 期待を裏切らな……フゲッ!」 それを見るなり、遠巻きに見ていた生徒達から再び、からかいの言葉が発せられる。 しかし、その言葉を最後まで言えたのは、極、少数であった。 二度目の轟音。今度は先ほどとはやや離れた、先ほどの召還で、ジャイアントモールを呼び出した少年のほぼ真横の位置で爆発が起きた。 先ほどと違い、完全に予想できないタイミングと、距離での爆発。今度は半数以上の生徒が、柔らかい芝のベットでお寝んねすることとなった。 爆発を至近距離で浴びた少年はというと、先ほど自分の呼び出したジャイアントモールが掘った穴に顔を埋めている。時折「違う、僕はこんなキャラじゃ……」などといううめき声を発しながら。 ルイズはその生徒達の惨状をシカトしつつ、その、二度目の爆発が起こった場所に淡い期待を寄せた。ひょっとすれば今度こそ、神聖で、美しく、強大な使い魔を召還できたかも知れないからだ。 しかし、結果として言えば、ルイズの淡い期待は見事にうち砕かれた。出てきたのは、先ほどの少年より5サント(cm)ほど高い、緑色の服に身を包んだ少年だったからだ。 「う~む、どうしたものでしょうか……」 平民が二人。サモン・サーヴァントで人間を呼びだしたという事すら異例なのに、二人というさらに異例の事態に、コルベールはどうしたものかと考え込む。 ルイズはというと、とりあえずどうしたものかと思っていたが、召還をやり直すにしてもせめて名前ぐらいは聞いておこうと、目の前の少年……才人に近づいた。 「あんた……誰? 」 「誰って…… 俺は平賀才人」 「何処の平民?」 ルイズはじろじろと、才人をなめ回すようにして観察する。もしや凄い特技でもあるのかと思ったが、本当にごく普通の平民のようだ。しかも、先ほどの質問をちゃんと理解していないらしい。これは期待できないと判断したルイズはハァ。とため息をついた。 さて、もう一人の方はどうかと思い、ルイズはそちらに対して目を向けた。 あちらの少年……花京院も、辺りをきょろきょろ見回している様を見て、こちらもダメか、とルイズはさらに肩を落とす。 もし、彼女がそれなりに実戦経験があるので有れば、才人のそれと違い、彼のは警戒故と解ったであろうが、あいにくとルイズはそういう事には殆ど縁がない人間であった。 爆発を聞きつけてやってきた衛兵達を後目に、ルイズは花京院の方へと近づいていく。 「えっ!?」 先ほどの少年、才人がびょーんと風を切って、50メイル(m)は先にいた花京院の方へ飛んでいくのを見て、ルイズは我が目を疑った。 もしこの場でスタンドが見えるものがいたとすれば、花京院が才人を引っ張ったのが見えたであろうが、あいにく、スタンドが見える人間は、この世界には存在しなかった。 「『エメラルド・スプラッシュ』ッ!」 そのかけ声とともに、花京院の前方、20メイルほどの土が、ジャガイモの皮をめくる様にはじけ飛んだ。 (何よ、あれ…) トライアングルメイジの、エアハンマーにも匹敵するかのようなその威力に、様子を見に来た衛兵達や、その場にいた生徒達の動き、その全てが制止した。 花京院はその様子を見て、立ち上がり、りんとした声を響かせ、いい放った。 「警告しておくッ! それ以上こちらに近づかないでもらおうッ!」
https://w.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/728.html
結局爆発がルイズの魔法の失敗による物とわかり、マリコルヌが呼んで来た先生達は ルイズに罰として教室の片づけを命じた。 当然の如くルイズは、平民であり使い魔の育郎におしつけようとしたのだが、 「怪我は無いみたいだけど、念のため休んでいた方が良い」 と先に言われてしまい、やることもなく育郎を眺めているのであった。 変な奴… なんで文句一つ言わないのよ? 魔法を失敗して教室をこんな風にしたのは自分なのに… 押し付ける気だったのに、ついそんなことを考えてしまう。 「ねえ、あんた…何か言う事は無い?」 「?」 声をかけられた育郎が、手を止めてルイズの方を向く。 「ほら、あれよ…その…私の魔法…」 「ああ、誰だって失敗ぐらいあるさ」 一瞬わかってて言っているのかと、頭に血が上りかけるが、この従順な使い魔が そんな事を考えるわけは無いと思い直す。 「…私がなんで『ゼロのルイズ』なんて呼ばれてると思う? 魔法の成功率ゼロだからよ…みんな私を馬鹿にしてる…」 二つ名を自分で口に出すと、いつもより惨めな気分になってきた。 「魔法…つかえたじゃないか?僕を呼び出せた」 「……あんたなんか唯の平民じゃない…失敗よ、失敗! 成功したと思ったのに、なんで…なんであんたなんか…」 勝手に呼び出しておいて、あんまりといえばあんまりだが、うつむいて悔しさに 震えるルイズを見ると、育郎は彼女が不憫に思えてならなかった。 「確か…使い魔の一番の役目は主を守る事だったね」 「…それがどうかしたの?」 「見てて」 爆発で砕けた石のかけらを手にもち、 「………ウソ!?」 育郎が手に力こめた次の瞬間、石が粉々になっていた。 「どうかな?」 口をぽかんと開けて育郎の手を見つめていたルイズが、慌てて平静を装う。 「ま、ま、まあまあじゃない…す、少しは評価してあげてもいいわね」 「ありがとう」 「ちょ、調子にのらないでよね、ただ馬鹿力なだけじゃない!使い魔ってのは」 「ルイズ」 「こ、今度は何?」 「そろそろお昼ご飯じゃないか?」 育郎が時計を指差すと確かにもう昼食の時間だった。 「後はやっておくから、先に行っておいで」 『ゼロのルイズ』か… 一人掃除をしながら育郎は考えた。 魔法がつかえない魔法使い。 ルイズは『貴族』である自分を『誇り』に思っている。 しかし貴族の証明たる魔法が扱えないのだ。 『誇り』を持つが故に、魔法が使えないと言う事実が彼女を傷つける 自分が彼女になにかしてやれる事はないのだろうか? 「ん?」 ふと視線を感じたので思考を中断し、そちらの方を向く。 「あれは…キュルケさんの使い魔だったか…どうかしたのかい?」 近づこうとすると、どこかに走り去ってしまった。 「なにやってんのよ。掃除は終ったの?」 振り返るとルイズが教室に入ってきて、こちらを見ている。 「ああ、ルイズか。今そこにキュルケさんの使い魔がね」 「キュルケの~?」 露骨に嫌そうな顔をするルイズ。 「掃除ならもうすぐ終るけど」 「まったく、グズなんだから…ホラ」 そう言って何かが入った包みを育郎に渡す。 「これは?」 「アンタの昼食よ、もう昼からの授業も始まるから食堂に行く時間もないでしょ? ご主人様がわざわざ持ってきてあげたんだからありがたく思いなさいよ」 包みの中を見るとサンドイッチが入っている。 「…ありがとう、ルイズ」 「使い魔の面倒を見るのはメイジの役目なの!か、勘違いしないでよね!」 その夜、トイレから部屋に戻ろうとすると、部屋の前にサラマンダーが居た。 こちらに気付くと、きゅるきゅると鳴きながら近づき、育郎のズボンをくわえる 「な、なんだい?」 等といっても答えるわけもなく、そのままグイグイとズボンを引っ張る。 「ふふ、準備完了ね…」 部屋の明かりを消して、キュルケは一人ほくそえんだ。 あのルイズの使い魔… す ご く い い ! 今日の出来事から、自分の使い魔を使って育郎を観察していたキュルケは さっそく育郎を自分の新しい恋人にすることを決め、使い魔のサラマンダー、 フレイムに育郎を連れてくるよう命じたのであった。 顔も良いし、優しいし、なによりもあのルイズの使い魔ってのが最高ね! 家同士の因縁で、ルイズとの仲は最悪といって良い。 そのルイズから使い魔を奪い取ると考えただけで笑いがこみ上げてくる。 ほえ面をかくルイズを想像していると、部屋のドアが開き、誰かが入ってくる。 きたわね… 当初の予定道り、少しずつ蝋燭をともしてゆき、ムードをだす。 闇の中、淡い光にともされて、足がグンバツ、胸が何想像してんのさ!な美女が 下着姿で現れるのである。大抵の男はこれだけでやられてしまう。 「ようこそ、こちらにいらっしゃ…ってあれ?」 「なにやってのんのよ、キュルケ!」 しかして暗闇から現れたのは、育郎ではなくルイズだった。 「ちょっと、なんであんたがいるのよ?あんたの使い魔はどうしたの」 「あいつが何時までたっても帰ってこないから、もしやと思えば… やっぱりあんた、私の使い魔をたぶらかそうとしてたのね!」 「あら、恋愛は自由よ…悔しいならあなた自身の魅力で繋ぎ止めればいいのよ ま、その胸じゃ無理だろうけど」 「なんですってぇぇぇぇぇ!」 一触即発の空気が流れる中、育郎は 「すいません、こんな時間に。えっと…」 「あ、シエスタって言います。 お気遣いなさらなくても結構ですよ、使い魔に食事を出す事も私達のお仕事ですし」 きゅるきゅる 出された肉を美味しそうに食べるサラマンダーを見て、育郎は微笑んだ。 「やっぱりお腹がすいてたんだな…」 そんな育郎の横顔を見ていると、シエスタは (この人、よく見ると結構格好いいかも) なんて事を思ってしまい、少し頬が赤くなってきた。 「何か、僕の顔についてますか?」 「い、いえ!あの…イクローさんもどうですか?余り物ですけど ミス・ヴァリエールから申し付けられた量では足りないでしょうし」 「…いいんですか?」 「ええ、平民同士は助け合わないと!」 「それではお言葉に甘えさせてもらいます。本当にすいません」 フラフラ ア、アシガモツレテ 大丈夫ですか!? ゴロニャン なんだかんだでいい思いをしていた。 ルイズ・キュルケと壮絶なダブルKO キュルケ・同上 ぺリッソン・キュルケとルイズの争いに巻き込まれてリタイヤ スティックス・同上 マニカン・同上 エイジャックス・同上 ギムリ・同上 マリコルヌ・使い魔と散歩をしていたら、上の5人が次々に降ってきてリタイヤ
https://w.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/459.html
「宇宙空間だと!?」 眼下に地球を見下ろし虚空の暗闇に浮かぶカーズ! ! このままでは地球へ戻れぬ だがカーズは究極生命体 そのIQ400の超頭脳で 打開策を導き出す その間 0.01秒! 「フンッ!体内から空気を噴出させて!その圧力抵抗で軌道を変え!地球へ戻ってやるわ!」 バリッ!背中から6本の管が現れ空気を噴射した!がみるみる顔が引きつり凍結していく! 絶対零度の宇宙空間ではあらゆるものが凍りつく この時点で致命的なチェクメイト!! 「ぎぃゃぁぁあああ!だ…だめか!こ…!凍るッ!く…空気が凍ってしまう!外に出ると凍ってしまうッ!き…軌道を変えられん、も…戻れんッ!」。 己が完全敗北したことをカーズは瞬時に悟る 確かに究極生命体となった自分は無敵 マグマも波紋も太陽光も自分を滅ぼすことは不可能 まさに完全! だが宇宙空間への 追放とは さすがの究極生命体でも予測外の事態 ! 対応不可能! まさか 己を産みだした母なる星の力により このような終焉をむかえるとはぁぁ! ! みるみると地球から遠ざかるカーズ さしもの究極生命体もはやなんの手も打てぬ状況 不死身の肉体も超頭脳も 全てが真空のここでは なんの意味も持たない おのれ下等な人間 ! 宿敵波紋の戦士達!! なぜ この究極生命体となったカーズが敗れるのか この超頭脳をもってしても理解不可能! ! さらに仲間二人の終焉・・・ふと それがカーズの脳裏を横切る 同じ志を持ち一万年以上 自分と共に生きた我が一族の末裔達の姿 彼らの犠牲の上に この究極生命体カーズは存在するのだ 内一人は自分の前で 波紋の戦士に破れ滅び散った なぜか満足そうな表情を浮かべて ・・それもわからぬ!理解不能 この究極生命体 天才カーズの頭脳分析ですら わからぬ!! カーズは2度と地球へは戻れなかった…。鉱物と生物の中間の生命体となり永遠に宇宙をさ迷うのだ。 そして死にたいと思っても死ねないので--そのうちカーズは、考えるのを やめた ・・・・そして 永劫と思える時がカーズに流れた 希望も絶望も感じない状態のままで・・ 可能性にかけてカーズは思考停止する このまま宇宙の終焉まで彼は 永遠に漂流するのか 否っ! 地球はカーズを追放した だが別の世界は必要としていたのだ! ! ・・・・いま希望の扉は開かれる! カーズの進行方向に突如 銀のがま口が出現 それは運命という名の 必然! ! ! first kiss から始まる ある少女と奇跡の命のstory! ! これは究極ゆえ 地球から追放されたが故に 異世界にはその存在を許されることになった ある生命体の物語だ! ! ゼロの究極生命体 re start 異世界 戦闘潮流
https://w.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/825.html
『老化執行中 脱出進行中』 「てめーにも…覚悟してもらうぜ…」 その言葉と共にワルドの腕を掴む手に力が入る。 「うぉぉぉぉぉおお!我が風の偏在ィィィイイイ!最後の力を振り絞れェーーーーーーーーッ!!」 一瞬。老化する僅かだがほんの一瞬早く分身が放った風の魔法がワルドの腕を切り飛ばしたッ! ズキュン! 「チッ・・・!」 斬り飛ばされた腕のみ老化し、干からびたそれを投げ捨てもう一度直を仕掛けるべく掴もうとするが脚に力が入らなくなり膝を付く。 「くそ…だが…危なかった…腕一本犠牲にした価値はあったというものだ…!」 あれ程のダメージを受け印の効果で無理矢理体を動かしここまできたのだ。限界などとうに超えている。 「私の…腕一本の代償としては高くついたが…ここはウェールズを斃せただけでもよしとせねばなるまい…!」 残った右手で杖を握り中空に浮く。ワルドの方も一瞬だが老化させられた事と左腕を失った事で、もう分身は消えている。 「この城はじきに我が軍が落す…!そうなれば今の貴様達ではどうしようもあるまい…愚かな主人共々薄汚い傭兵にでも首を取られるがいい!」 逃げようとするワルドに対して広域老化を再び仕掛けようとするが、気を失ったのか突っ伏してブッ倒れているルイズが視界に入り (…殺すより生かす方が先かッ!) ここで広域老化からの直触りを行えば恐らく、いや確実に敵中突破するだけのパワーは残らない。そう思いワルドを見逃した。 デルフリンガーを杖にして立ち上がる。戦闘はほぼ不可能だが移動は辛うじて可能だった。 ルイズに近付き起こそうとするが、起きようとしない。 軽く、デルフリンガーの柄で頭を小突くが、それでも起きない。 水でもあればブッかけ叩き起こすところだが生憎ここにはそんな物は無い。 ブチ破った扉の外の方から足音や怒号、悲鳴などの叫びが流れ込んでくる。 ここで起こそうとして時間を食ってはマズイ。そう判断しグレイトフル・デッドの指が三本しか無い手で器用に抱えあげる 「兄貴ィ……船はもうとっくに出ちまったがどうするんだ…?」 「考え無しに残るかよ…隠し港にタバサを待たせてある」 「敵は五万だぜ?突破できるのか…?」 「勝ち戦が確定した敵ってのは無駄死にを避けるもんだ… 残ったスタンドパワーを全て最初に注ぎ込むッ!それで駄目なら…そんときゃあ最期の最期まで敵のノドに食らい…付くまでだ」 「やっぱり兄貴はスゲーや!そうだな、たかが5万。兄貴にとっちゃあ飯を食いに行くようなもんだな」 その言葉と共にルイズを抱えたグレイトフル・デッドの体から煙が流れ出す。 礼拝堂の外に出ようとするが倒れているウェールズに気が付いた。…老化はしていない。 氷で冷やしているものを除けばグレイトフル・デッドで老化しないものは『無機物』と『死んだ生命体』だけになる。 ゴールド・エクスペリエンスが終わってしまった生命を呼び戻す事ができないようにグレイトフル・デッドも終わってしまった生命を老化させる事などできやしない。 斃れているウェールズに近付きその指に嵌っている大粒のルビーを抜き取り言葉を紡ぎだす。 「その覚悟だけは…認めてやる…それに免じてオメーの言葉は伝えといてやるよ…」 そうして、自分がブチ破った扉に向き直りウェールズの死体に背を向けると 「アリーヴェデルチ」 ただそれだけを言い残し礼拝堂を後にした。 城の中に一人だけの足音が静かに鳴り響く。 城の外は未だ大砲の音や兵士達の叫びが聞こえるが、それに反して城の一角だけは静寂に包まれていた。 朽ち果てたメイジや兵士達の死体を踏み越えながらただ前に突き進む。 ―――死は誰にでも訪れる。例え貴族だろうと平民だろうと平等に。 王軍はウェールズの戦死も手伝い士気が下がり城の内部にまで突入され全滅が確定している。 ならばここで全員を巻き込もうが問題無い。この城に残った連中はその覚悟ができているはずだ。文句を言われる事などあろうはずもない。 隠し港へ向かうまでに呻き声をあげ辛うじて生きているヤツらも居たが、その生き残りの全てにトドメを刺す。 無論、王軍、貴族派の区別などしない。淡々と、そして平等に命を狩り獲る。 比率で言えば貴族派の人数が圧倒的に多かったし王軍の生き残りの貴族などほぼ皆無だったがそれでも数人は居た。 だが、それでもトドメを刺した。どの道広域老化が解除されれば包囲され殺されるか捕縛され処刑される運命だ。 なら早めに楽にしといてやるという気になっただけことだ。 周りの呻き声すら聞こえなくなった頃には城の内部に突入してくる部隊は皆無になっていた。 この戦いは貴族派の勝利が確定している。だからこそこんな訳の分からない…老化などで死にたくないという感情で支配されている。 主力部隊が傭兵で構成されているならその感情は加速度的に膨れ上がる。 傭兵はあくまで金で雇われた存在であり、雇い主に忠誠を誓う存在ではない。 金で雇われているからこそ傭兵は無謀な突撃などはしたりしない。命が無ければ報酬を受け取ることもできないからだ。 ぶっちゃけハッタリである。スタンドパワーなぞスデに尽きている。 グレイトフル・デッドそのものは発現させる事はできるが、老化を起こすだけのパワーは無い。 最後の力を使えばまだやれない事はないだろうが、それでは離脱するだけのパワーが無くなる。脱出経路が存在するのに特攻する気など毛頭無い。 全力で城の中で老化を引き起こし、敵の戦意を喪失させこれ以上の介入を防ぐ。 人これを良く言えば『策略』悪く言えば『ペテン』と言う。 その目論見は成功したようだが、あまり長くは持ちそうもない。隠し港へ続く道以外の生き残った敵はそろそろ老化から回復している頃だ。 その連中が外に出れば、今度こそ夥しい数の敵が雪崩れ込んでくる。 そうなる前に目的地にたどり着かねばならないが、負傷も手伝いギリギリと言ったところだろう。 だが、歩いている途中に再び膝を付く。 「血が少しばかり足りねぇな…」 急所は避けたとはいえ5体のワルドの攻撃を受け続け血を流しすぎている。 立ち上がり歩を進める。止血する道具など無い上に時間すら残されてはいない。 壁を支えに手を付き港に向かうが、その壁にも血の跡は残されていた。 鍾乳洞の港の穴の上でホバリングをしているシルフィードの上でタバサとキュルケがプロシュートの到着を待つ。 ヤバくなったら逃げろとは言われていたがギリギリまで待つつもりだった。 「さっきまで静かだったけど、そろそろ危なくなってきたわね…」 再突撃が行われ、遠くから兵の叫びや破壊音などが徐々に近付いてきているが肝心の者はまだ現れない。 しばらく時間が経ちこの港にも反乱軍が雪崩れ込んでくると思ったその時 ――来た 宙に浮き運ばれているルイズの後ろに血に塗れたプロシュートがゆっくりとだが歩いている。 タバサがシルフィードに命じ二人に近付く。 「その怪我はどうしたの!?」 「説明してる暇…はねーぞ…」 港の入り口の方から兵士達の声が聞こえ、敵がもうそこまで迫っている事を理解させた。 「ワルド子爵は?」 「あのヤロー…は敵だ」 「…よく分かんないけど逃げた方がいいって事ね」 「掴まって」 這い上がるようにシルフィードに乗り込むと穴の中へと降下を始める。 それと時を同じくして貴族派のメイジや兵士が港に雪崩れ込んできた。 「間一髪ってとこだったけど…その傷大丈夫なの?」 壁に打ち付けられ出来た傷は打撲などが殆どで出血自体は大した事は無いがワルドと分身にやられた傷はそうも言ってられなれない。 他の傷はシルフィードに積んできた包帯や薬などで止血もする事はできたが、大腿部に受けた一撃がヤバイ。 動脈の一部が傷付き血が止まらないでいる。下手すればトリステインに帰り着く頃には失血死だ。 キュルケとタバサの顔が青くなる。系統が水でない以上治癒の魔法は使えないし、使えたとしても秘薬など無い。 プロシュートが深く息を吐く。それを見て、まさか諦めたのではないかと思った二人がその両眼をで見るがそんな絶望したような目は見せていない。 「折れた剣…アレまだあるか?」 「……え?ええ、そりゃあの武器屋に突き付けてやろうと思ってたから持ってきてるけど…なにに使うの?」 「…火出してくれ」 キュルケが火球を作ったのを確認すると折れた剣を手に取りその中に刀身を突っ込む。 (メタリカがありゃあこんな事しなくても済むんだがな…) 適度に熱せられ刀身が赤熱するとそれを火球の中から引き抜き息を吸い再び深く息を吐き厚く巻いた布を咬むと…… 刀身を…その傷口にッ!『ブッ刺したッ!!』 ドジュゥゥゥ 「…ッ!~~~がッ!!」 一瞬血が流れ出るが赤熱した刀身に焼かれ瞬時に血は止まる。 焼いて傷口を塞ぐ。最も原始的だが最も確実に血を止める方法だ。 当然、その痛みは半端無い。傷口に刺された痛みとその傷口を焼かれる二重奏曲とも言える激痛が駆け抜ける。 1秒…!2秒…!3秒…!4秒…!5秒…! その行動に半ば放心したように見ている方もやっている方もその5秒がやけに長く感じられ4秒と5秒の1秒間の間に 『8秒経過!ンッン~~♪実に!スガスガしい気分だッ!歌でもひとつ歌いたいイイ気分だ~~ フフフフハハハハ。100年前に不老不死を手に入れたが……これほどまでにッ!絶好調のハレバレとした気分はなかったなァ… フッフッフッフッフッ、ジョースターの血のおかげだ。本当によくなじむッ!最高に『ハイ!』ってやつだアアアアアアハハハハハハハハハーッ 9秒経過ッ!』 (長いんだよ…ボケがッ!) やけにテンションの高い幻聴が聞こえ心の中で突っ込みを入れ5秒経ち血が止まったのを見ると剣を引き抜き投げ捨てる。 少なくともこれで失血死の可能性は無くなった。 赤熱した剣を引き抜くまで意識を保っていたという精神力そのものが賞賛に値されるものだが さすがに、度重なる傷の痛みと極度の疲労により意識を落し未だ気絶しているルイズの方に倒れ込んだ。 ―――主に忘れられた中庭の池。 その池に浮かぶ小船の中にルイズが居た。 10年前ならワルドがこの場所から連れ出してくれただろうが、今は違う。 信頼を裏切り、ウェールズを殺し、自分すら殺されかけたことを思い出し泣いた。 泣いていると船が動き島の湖岸から船に手がかけられ引き寄せられる。 それに気付き手の先を見る。 プロシュートとなにやら得体の知れない化物がそこに立っていた。 その化物に抱きかかえられ船から地面に降ろされる。 「泣いてんのか?」 そう言われ、子供のように頷くと―――思いっきり殴られた 「この腑抜けがッ!なんだ!?あのザマは!?ええ!?」 さすがに踏まれこそしないが襟首をグィィッと掴まれ顔を引き寄せられる。 「いいかッ!オレが怒ってんのはなてめーの『心の弱さ』なんだルイズ! そりゃあ確かに『ワルド』にいきなり裏切られたんだ!衝撃を受けるのは当然だッ!自分まで殺されかけたんだからな。オレだってヤバイと思う だが!オレ達チームの他のヤツならッ!相手に裏切られたとしてもうろたえたりはしねぇッ!たとえ腕を飛ばされようが脚をもがれようともなッ!! オメーはマンモーニなんだよ…ルイズ!ビビったんだ…甘ったれてんだ!分かるか?え?オレの言ってる事 『裏切り』のせいじゃあねぇ。心の奥のところでオメーにはビビリがあんだよ! 『成長しろ』ルイズ!成長しなけりゃあオメーは栄光を掴めねぇ!」 唐突に殴られ半ば放心しながらそれを聞いていたが、使い魔に殴られた事に怒ろうとした。 だが、怒ろうにも相手の方がそれを上回っており……目が覚めるまで説教が続き、さっき泣いていた事とは別の意味で『泣きたくなった』 軽い衝撃を受け目を覚ます。 薄く目を開けると空と自分の顔の横に使い魔の顔があった。 夢と違うのは体のあちこちから血を流している事だ。少し顔を動かすとキュルケとタバサが珍しく慌てた様にしてこっちを見ている。 風に紛れて鉄と何かか焦げたような臭いが流れ、血と何かが焼けた臭いだろうと思い、自分が助かった事を認識する。 体を動かそうとするが動かない。 当然だ。倒れたプロシュートの体が半分ぐらい自分に重なっている。 血の臭いとその重さにそれを退けようと思ったが、あの時自分の魔法を信頼し命を賭けてくれた事を思い出しそのままにしておこうと思った。 ワルドの分身に襲われる瞬間まで魔法を撃っていたが、そこからの記憶無い。 生きているという事はワルドに勝ったのだろうが…そのせいでプロシュートがこんな大怪我をしてしまったという事に少し悲しくなった。 「……この腑抜け野朗が…!」 そう呟くような声にハッっとする。思わずその顔を見るがその目を閉じたままだ。 「…オメーは…マン…ーニなんだよ…ッシ」 ……さっきまで夢の中で受けていた説教とほぼ同じような事を言っている事に『実は起きてるんじゃないか?』と思い動く方の手で顔をつねってみる。 起きていれば多分えらい事になっていただろうが、反応は無い。 その後も半ばうわ言のようにそれが続いているが、ただ違うのは相手が自分ではなく時折聞こえる『ペッシ』という人物であるという事だ。 それが誰なのか気にはなったが 『ブッ殺…と心の中で思っ…なら…その時スデに…動は終わって…るんだ』 という危険極まりない言葉に、帰ったらはしばみ草を食べさせてやろうかと思いになり流れる雲をぼんやりと見ながら再び目を閉じた。 「分かったよ!プロシュート兄ィ!兄貴の覚悟が!『言葉』でなく『心』で理解できた!」 そう叫ぶ弟分はもうマンモーニの目はしていない。 別世界にいる弟分に覚悟が伝わったかどうか分からないが、少なくともこの夢の中のペッシはマンモーニではない。 「やれ…やるんだペッシ…オレはお前をここから見守っているぜ…」 このペッシにすらそれが聞こえているか分からないが、それでも今は見守ろうと思った。 プロシュート兄貴 ― 左脚にひび 右大腿部に火傷 全身打撲 出血多量 [[←To be continued ゼロの兄貴-24]] ---- #center(){[[戻る< ゼロの兄貴-22]] [[目次 ゼロの兄貴]] [[>続く ゼロの兄貴-24]]} //第五部,プロシュート
https://w.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/1035.html
第2章 後編 「ティッツァーノ…… ”ちょっと”ってどれくらいだろうか……」 ―――魔法学院の教室は、いわゆる階段教室ってヤツだ。 全て石造りあることが、魔法学院ぽさを演出している。 スクアーロとルイズが中に入っていくと、先にやってきていた生徒たちが一斉に振り向いた。 二人に対する反応は、大きく分けると二種類あった。 嘲笑と好奇である。 明らかに前者が多いのだが、極わずかではあるが興味をもった生徒がいた。 圧倒的多数がくすくすと笑い始める。 その中に、朝に出会った赤い髪の美人… キュルケもいた。 キュルケも笑ってはいたが、微笑みと表現した方がしっくりくる。 そう好意的に解釈していると、手を軽く挙げた。 こちらも笑顔で手を振り返す。 キュルケがさらに笑顔と、投げキッスを返してくれた。 ニョホホ♪ ! ルイズの背中に”鬼の貌”が!……見えた気がする。 鮫とキュルケのやり取りにキュルケの取り巻き達の笑顔が消える。 その光景を見て、少しは溜飲が下がったらしい。(取り巻き達の分だけ) キュルケへの対応は今は不問にされた。今は…。 「…さっきの”挨拶”については、また後でね?」 ……ヤバイってレベルじゃねぇぞ? これ…。 ルイズの席にたどり着くまでは気を抜けない。 二人をくすくす笑う男子生徒には、「パッショーネ謹製」の”ガン”を飛ばす。 こちらの様子を伺う女子生徒には、笑顔と”ammicco(アンミッコ)”をプレゼントして差し上げた。 ammicco(伊:ウィンク) ……なにやら顔を赤くしている男子生徒Aが… 気のせいだ。 うん。気のせいにしよう。 流石にやりすぎたのか、席に着く前に二度ほど怒られた。 良い感じで教室が混沌としてきたぞ! ルイズのため椅子を引く。相変わらず上品に座りなさる。 「…隣に座っても… いけませんよね?」 「わかってるじゃない?」 勝ち誇ったような顔で、”着席は許可しないィィィッ!”と言われた。 スタンド使いの口調になってるぞ? ……オレの影響(せい)か? しぶしぶ床へ直に座る。床というか通路だが、ここ以外は狭すぎる。 …なんかオレ、丸くなってきたよな……。 …異世界にいるせいか? 周りには本当に奇妙な生物… 悪魔や妖魔、バケモノたちが蠢いていた。 窓の外を見ると、教室のドアを通りそうにない使い魔たちがおとなしくお座りしている。 (意外とデカイのがいるな… 小動物サイズが基本だと思っていたが…) ドアから中年女性が入ってきた。 いかにも”魔法を使いますよー!”といった服装である。とてもオサレです。 「皆さん。春の使い魔召喚は大成功のようですわね。このシュヴルーズ――」 シュヴルーズ先生ね… 覚えたぞ。 隣のルイズが俯いている。なんで? 「おやおや。変わった使い魔を召喚したものですね。ミス・ヴァリエール」 教室中が笑いに包まれる。今までで一番大きい爆笑だ。 「ゼロのルイズ! 召喚できないからって、その辺歩いてた平民連れてくるなよ!」 「そうだ! せめて、仙道でも使える紳士を連れくればよかろうなのだァァ!」 (嗚呼… そういうことか… なんか悪いな、ルイズ。 …仙道て何?) (でもちょいと、からかい過ぎじゃないか? おまえ等…) おにいさん、ブチギレちゃうぞ?と首を鳴らしていると、ルイズが立ち上がった。 「違うわ! きちんと召喚したもの!」 そうだ。しかも異世界からだぞ? スタンド使いだぞ!? スゴイぞー! カッコイイぞー! 「召喚したけど、こいつが来ちゃっただけ!」 ……結構な仰り様だな? 御主人様…。 その後、ルイズはマリコルヌとかいうヤツと罵り合う。ほんとに元気だな。 ルイズ「UREEYYY!」 マリコ「KWAHHHH!」 ……おい、どっちも人間辞めてないか? 不毛な口喧嘩は、シュヴルーズ先生の魔法によって終結した。 しかし、元はといえばこの先生の一言からじゃないか? ……この後、本来の目的”魔法のお勉強”に入っていった。 勉強は好きじゃない。 ……苦手なわけじゃねぇぞ? 「やればできる子ですから」 ティッツァーノ談 だが、ルイズにすれば、今日は”基礎の復習”みたいなもんらしい。 ……頑張って聞いてみる。情報は大切だからな。 魔法は五系統。いま使われてるのは四系統。 金属の加工とかはメイジがやってる。 というか、”科学”に当たる仕事は全てメイジの領分みたいだ。 目の前で『錬金』を見た。確かに魔法だ。 素直に感激した。これでメイジ様々ということが理解できた。 「…ゴールドを錬金できるのは『スクウェア』クラスのメイジ…」 「…私は『トライアングル』ですから…」 御主人様の肘をつんつんとつつく。 授業に集中していたルイズはビクッと体を振るわせる。 「…ッ! 何よ! ビックリするじゃない!(小声)」 「いやな、『スクウェア』とか『トライアングル』って何のことだ? レベルとかランクか?」 「…そうよ。『ドット』、『ライン』、『トライアングル』、『スクウェア』…」 足すことができる数が多いほど強いらしい。 なるほど。 ……”先生”で『トライアングル』か…。 「生徒のレベルってのは、学年ごとにほぼ一緒かい? ルイズは?」 急にルイズは黙ってしまった。 しまった! これは禁句だったか! 「いや、言いたくなければいいんだ。ルイズ…」 「ミス・ヴァリエール! 授業に集中なさい! 使い魔とのお喋りはいつでもできますよ!」 「は、はい! すいませんでした…」 またオレのせいで怒られた。 本当にすまん…。 「それではミス・ヴァリエール。 あなたに名誉挽回のチャンスを与えましょう」 ミス・シュブルーズは机の上にある石ころを指しながら続ける。 「ここの石ころを『錬金』してみてください」 一気に教室が静寂に包まれる。使い魔まで静かになった気がする まるで”止まった時の世界”に入門したみたいだ! ……入門したこと無いけどな。 「やめた方が良いかと。 その方がみんな、幸せになれます」 キュルケが時を動かすと、皆一斉に喋りだす。 「やめろッ! 人間の寿命はどうせ短い 死に急ぐ必要もなかろうッ!」 「こいつは グレートにまいったぜェ…」 「お…恐ろしいッ おれは恐ろしい!」 「安っぽい感情で動いてるんじゃあないッ!」 ……生徒たちの本音はどうやら逆効果のようであった。 すっと立ち上がるルイズ。 「やります」 当然オレはこの少女が周りからの暴言・侮辱を受けた事で、 パニックと敗北と反逆の表情をするだろうと思った。 しかし… 彼女はそのどの表情もしなかった…。 少女は微笑んでいたのだ……。 ただ 平然ともの静かに微笑んでオレを一瞥してから前を見ていた……。 その表情には「光り輝くさわやかさ」さえあるようにオレには感じられた……。 …逆に考えるのよルイズ。 『ヤッちゃってもいいのさ』って考えるのよ。 …今までは失敗しないよう、縮こまっていたわ。 でも、今日は違う! 思い切りイクわッ! だって昨日確かに『サモン・サーヴァント』は成功したもの! すでにッ! ”魔法”は成功しているッ! この事実は誰も否定できないッ! ……思いっきりされてるけどね……。 …きっと今日もできる。 一度じゃ無理かもしれない。 昨日も何度も失敗したわ。 それは認める。 でも成功したもの! 私はやれるッ! もうゼロのルイズなんて誰にも言わせない! 見てなさい! すんごいの錬金してみせる! あの使い魔にも御主人様の凄さを見せ付けてやるわッ! 偉大な御主人様のッ! 華麗なる魔法をッ! る オ オ オ オ オ !! ―――ルイズが教壇に向かうと同時に生徒たちが隠れだした。 「……何してんだ? おい、何で隠れる?」 男子生徒B「…君も早く隠れたほうが良いよ」 「?」 いまいち状況を把握できないでいるとルイズがすでにルーンを唱えていた。 「使い魔のだんな! 窓から離れろーッ!」 先ほど頬を赤く染めていた男子生徒Aが叫ぶ。 教壇で一つ奇跡が起こった。小宇宙大爆発(ビックバン)である。 …そう表現しなければミス・シュヴルーズに申し訳が立たない……。 男子生徒Aのおかげで、爆風の通り道から逃げ、直撃だけは避ける事ができた。 「…スゲーな。 まさか…ルイズがここまでやるとは」 多少の傷はあるが、直撃を受けるより完全にマシだ。 教室に戻るとそこは阿鼻叫喚・地獄絵図だった。 爆発の中心にいたミス・シュヴルーズは……。 ………。 …………。 ………あ、動いてる。 生徒たちはほとんど無傷であったが、それぞれの使い魔が暴れだして手に負えない。 …これを映画化したらハリウッドで大ヒット間違いなし! そんな迫力がある。 あ、小太り(マルコ?マリコ?ま、どうでもいいか…)が大蛇に…。 腹壊すなよ大蛇君……。 グランド・ゼロ(爆心地)にいるゼロのルイズの様子を急いで見に行く。 なんという幸運! 爆発・爆風の被害が一番軽いとこにいた。 服はぼろぼろ、全身は煤で汚れていたが、奇跡的に無傷だ。 近寄り、抱き寄せる。 流石に拒絶はしなかった。 「大丈夫か!? ケガは? 頭打ってないか?」 「だ、大丈夫」 「そうか! 良かった…」 「…良くないわ」 「! やっぱりイテーとこあんのか!?」 「ちょ…」 「ちょ?」 「”ちょっと”失敗しちゃった☆」 「「「「おいッ! ”ちょっと”じゃ無いだろッ! ゼロのルイズッ!」」」」 ルイズとスクアーロ以外の全員が、声を揃えて非難を浴びせる。 ……その通りだ。 今回ばかりは……。 「何が起こったんだァーーーッ!」 「爆発だァーーーッ 近づくなーッ 近づくなーッ」 「危険だーッ なんで教室が爆発するんだァァーー」 他の教室から先生や生徒が騒ぎを嗅ぎ付けてやってくる。 こりゃあ、もう授業どころじゃないな……。 ……オレの御主人様は、”ちょっと”魔法が苦手らしい。 ”ちょっと”(本人談)だけ……。 「『言葉』は自由でもあり、不自由でもある」ってティッツァが言ってたっけ……。 トーキングヘッドの重要性に、今日もまた、気付けたぜ……。 「The Story of the "Clash and Zero"」 第2章 ゼロのルイズッ! 後編終了 To Be Continued ==
https://w.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/1383.html
「ああ…ッ!!」 少年、ド・ロレーヌは震えていた。 悪魔と噂される、ゼロのルイズの使い魔を退治しよう! 夕食時、誰とも無くそんな話をし始め、その意見に自分を含め7人の生徒が賛同した。 噂とはいえ、悪魔等と呼ばれる存在が、この学院に居る事が許せない者、ギーシュの仇を とらねば貴族の沽券に関わると憤る者、中にはキュルケがたぶらかされたと勘違いする、 彼女の数多い恋人の一人まで居た。 その結果、2年、3年の生徒で全員ライン以上、トライアングルも二人いるという、 彼らの頭の中では、これ以上ないという面子となった。 勝利を確信し、ゼロのルイズの使い魔をヴェストリ広場に呼び出したのだが… まず最年長で、リーダー格だったぺリッソンが、何も出来ずに変身した使い魔の一撃で 吹っ飛ばされた。次の瞬間、ぺリッソンの傍にいた2人の生徒の杖が断ち切られる。 「俺なら空から攻めるね!」そう自信満々に言って、友人に抱えてもらい7、8メイル の高さに浮いていた3年生が、その場所まで飛び上がった使い魔に杖を破壊された。 吹き飛ばされたぺリッソンが、なんとか起き上がり着地の瞬間を狙えと叫んだ事により、 呆然としていたド・ロレーヌともう一人の生徒が、慌てて呪文を唱え、使い魔に向けて エア・カッターとウィンディ・アイシクルを放つ。そしてその呪文は見事に命中した。 しかしそれだけだった。 「こ、来ないでくれぇ……」 腰が抜け、尻餅をついた格好のド・ロレーヌが氷柱が突き刺さったまま、平気でこちらに 歩みよってくる使い魔に、震える杖を向ける。もう一人の、ウィンディ・アイシクルを 放った生徒と、空を飛んでいた生徒達は既に逃げている。 ルイズの使い魔が、杖をその手につかみ、ドロドロに溶かして行く様を見ながら、 彼は失神し、失禁した。 「以上が昨夜の事件の顛末ですが…どうします?」 「どうしますと言うわれてもの。規定通り罰を与えればいいじゃろう」 ミス・ロングビルからの報告を受け取りったオスマン氏が、めんどくさそうに 指示を出す。 「その…生徒の一人が随分とショックを受けたようで、今も医務室で…」 「あ、悪魔が!蒼い悪魔が僕を殺しに!」 「大丈夫、大丈夫ですから落ち着いてください!」 「あの、すいません…ロレーヌという人はここに」 「GYAAAAAAAAAAAAAA!!!」 「とまあ、イクロー君がお見舞いに行った後さらに…」 「そ、そうか…まあ、あんまり酷いようなら実家に送り返しなさい」 「はい…あの、イクロー君は悪気があったわけじゃ…」 「まぁ、そうなんじゃろうがのう…… おお、そういえば彼との授業はどうなっておるかな?進んどるかね?」 なんだか気まずい雰囲気になったので、オスマン氏が話題を変える。 「ええ、使い魔の特性なのか、覚えが早くて」 「そうでなくて…もう、わかっとるくせに」 このこの!っと、肘でつつくジェスチャーをするオスマン氏。 「気を引くためにいろいろやっとるんじゃろう?彼の反応はどうかね?」 頬を赤らめるミス・ロングビル。 「私はイクロー君とそんな…」 「そう言いながら、少し上着をはだけるぐらいやっとるじゃろう? 『最近温かくなってきましたわね、暑いぐらい』とかなんとか言って!」 その言葉にミス・ロングビルの眉がピクリと動いた。 「…そうですわね、下着が見えるかも?というような感じで足を少し開いてみたり」 「な、ウソじゃろ!?ワシはそんな素敵な瞬間拝んでおらんぞ!?」 「ええ、嘘ですわ。ですがマヌケは見つかったみたいですわね」 部屋が静寂に包まれる。 「………シブイのぅ、君はまったくシブイの」 「やはりあの時見かけたネズミはモートソグニルだったんですね?」 にっこり笑って机の上の文鎮を持ち上げるミス・ロングビルに、オスマン氏が 震える声で告げる。 「ど、道具を使うのはかんべんしてくれんか?」 しばらく考えた後、ミス・ロングビルは文鎮を机の上に戻し、オスマン氏を パワーボムで机にたたきつけた。 「あら、タバサじゃない。風邪ひいたって言ってたけど、もう治ったのね」 自分の部屋に戻ろうと歩いてたキュルケが、廊下を走るタバサを見つける。 先日部屋を尋ねたところ、風邪をひいたから少しの間休むと言われたキュルケは 気にはなったものの、うつるといけないと言われたので、気を使わせるのも悪いと思い、 毎朝様子を見に行くぐらいだったのであるが。 「それにしても、あの子が廊下を走るなんて珍しいわね」 そう考えていると、タバサが角を曲がり姿が見えなくなる。 少し考えた後、キュルケは後を追ってみる事にした。 「う、ウソ…!」 そこで彼女が信じられない光景を見た。 なんとタバサが、育郎に手紙を渡していたのだ、しかも渡した後、タバサは 逃げるように立ち去っている。 ラ ブ レ タ ー ! その様子から、キュルケはその手紙がそれ以外にあり得ないと確信した。 「そんな…確かに恋をするように進めた事はあるけど…彼なんて…」 「タバサ、こっちにおいで…」 育郎の言葉に従い、ベッドの横にちょこんと座るタバサ。 「本当に良いんだね?」 「………」 頬を染め、小さく頷き育郎を見つめる。その瞳には、普段の彼女からは決して うかがうことの出来ない熱が、かすかだが存在した。 「じゃあ…」 育郎がタバサの服を脱がしていく。 「目を閉じて…」 生まれたままの姿になったタバサは、その言葉に素直に従い目をつぶる。 「タバサ…僕の全てを受け入れて欲しい…」 何処からとも無く現れた無数の触手がタバサの柔肌に… 「おお…なんて事なの…あの子の小さな身体じゃ…」 ヨヨヨとその場に泣き崩れるキュルケ。 「全部受け入れたら………きっと壊れてしまう!」 今日も彼女は絶好調であった。
https://w.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/243.html
兄貴・DIO「「パーティーターイ!」」 番鳥ギーシュ「NOOOOO~~~!?」 こんな昼過ぎに、ウ"ェストリ広場で闘いを繰り広げるのは誰だろう。 それは番鳥ギーシュとペット・ショップだ。番鳥ギーシュは焦って杖をひしと抱きかかえている。 星屑 「同胞よ、なぜ焦っているのだ」 番鳥ギーシュ 「星屑には奴等が見えないの。カラカラミイラのと、全身にナイフを刺している・・・」 奴隷 「あれは兄貴(故)とDIOだ・・・」 兄貴(故)・DIO 「「我らがはらから、一緒においで。面白い遊びをしよう。岸辺にはきれいな花が咲いているし、金の服を私の母さんがたくさん用意して待っているよ。」」 番鳥ギーシュ 「盲目、鉄!きこえないの。奴等がぼくになにかいうよ。」 盲目 「落ち着きたまえ、観客達がざわめいているだけだよ。」 兄貴(故)・DIO 「「いい子だ、我らと一緒に行こう。私の彼女たちがもてなすよ。お前をここちよくゆすぶり、踊り、歌うのだ。」」 番鳥ギーシュ 「絶頂、亜空!見えないの、あの暗いところにあいつらが!」 絶頂 「見えるよ。だが、あれはルイズが建物を爆破したせいでここにまで立ち込めてきた黒煙だよ。」 兄貴・DIO 「「愛しているよ、同胞。お前の美しい姿がたまらない。力づくでもつれてゆくWRYYY!」 番鳥ギーシュ 「、吉良!奴等がぼくをつかまえる!奴等がぼくをひどい目にあわせる!」 ギーシュ達はぎょっとして、決闘の行く末を見届ける。 一縷の望みを胸に抱え、やっとの思いで決着がついた時には… 番鳥ギーシュの眼球はすでにくりぬかれアッー! 星屑「うーん、うーん、痛いよー」 奴隷「大丈夫か星屑」 偉大「怪我をしたと聞いて飛んできたぞ」 絶頂「ほら果物も持ってきたよ」 星屑「わぁ、ありがとう。何だか元気が出てきたよ」 静か「しかしさすがだ。まさかルイズを助けるなんてね」 呼べ「僕達は君を誇りに思うよ」 DIO「だから……・……安心して食べたまえ。僕の手製の『おはぎ』を」 兄貴「うん、こう見えても得意なんだ。『おはぎ』を作るの………………」 番鳥「さあ、いっぱいあるからみんなで食べておくれ…………」 星屑「え!? き、君達まで…………ありがとう」 偉大「待て待て待て。何でハルケギニアの世界観で『おはぎ』なんだ? ちょっと確認」 絶頂「針が入っている。これなんてひぐらし?」 DIO「ヤッバ~イ! バレた! 逃げよう!」 兄貴「チッ! もう少しだったものを!」 番鳥「それでは諸君、また会おう!」 亜空「醜い。実に醜いなぁ。同じギーシュ同士仲良くできないものか?」 DIO「ヤだなぁ、仲良くするに決まってるじゃないか」 兄貴「そうそう、君は期待の新人なんだからね」 番鳥「僕達で『DIOの館組』でも作ろうじゃあないか」 亜空「ヘルプミー! ヘルプ! ACT! 亀! 助けてくれ!」 ACT「そう言われてもなぁ、触らぬ神に祟り無しって言うし」 亀 「そんな事より僕は亀の中に入ってみたいな、楽しそうだ」 亜空「暗黒空間はイヤだぁぁぁ! 僕も『向こう側』に行きたいぃぃぃ!!」 亜空ギーシュ「杖折られてヌケサク呼ばわりだけど被害0!死ぬよりはマシ!やったー!」 兄貴ギーシュ(故)「死ねば良かったのに・・・・・・」 DIOギーシュ「血を吸われれば良かったのに・・・・・・」 番鳥ギーシュ「肉の芽植付けられれば良かったのにね~(にこにこ)」 星屑「それでは~ 亜空の無事を祝って」 奴隷・絶頂・見えない・鉄「乾杯~」 亜空「みんなありがとう。僕のためにこんな席を用意してくれて……」 奴隷「いやいや、一番の死亡フラグが折れたんだ。これは祝うしかないよ」 絶頂「まさかあのヴァニラ相手に杖を折られるだけで済むとはねぇ。正直今頃地獄で兄貴と嘆いてるんじゃあないかと思ってたよ」 見えない「それにしても、今DIOとか兄貴とか番鳥とかは何をやってるんだろうね」 鉄「きっと今頃五寸釘の調達にてんてこ舞いじゃないかなぁ?」 亜空「ちょっと変な冗談はやめてくれよ」 全員「あはははははははははは」 兄貴モン「ちょっと失礼するわよ」 絶頂「おっと、君は兄貴のところの……」 兄貴モン「兄貴から差し入れよ。亜空の無事を祝ってだって」 亜空「兄貴が?へえ、ありがたいね。てっきり恨まれてばっかりだと思っていたのに」 鉄「中身は何なのかな?」 兄貴モン「中身はわからないわ。でも、とりあえず持って行ってくれって。それじゃあ私はこのあたりでお暇するわよ」 見えない「配達お疲れ様~」 星屑「で、中身が気になるから早速開けてみようよ」 亜空「何が入ってるんだろうなぁ」 絶頂「藁人形が入ってたりして」 亜空「だから冗談はやめてってば」 全員「あははははははははははは」 兄貴モン「……で、届けてきたけど、いったいあの中には何が入っているの?」 兄貴「番鳥からもらった『肉の芽』を入れてみた」 DIO「ついでにワインの瓶に小便入りの紅茶を入れてやったぜ」 番鳥「ルイズも入れてやりたかったがさすがに容量的に無理だったぜ」 吉良「僕たちが地を舐めて屈辱を味わっているのにあいつらだけが幸せになるなんて許さん!」 兄貴「ハピネスデストローーーーイッ!!」 全員「Yeahhhhhhhhhhhhhhhhhhhhh!!!!」 兄貴モン「敵打ちは続けようかと思ったけどやめようかしら……」 兄貴「決を取りたいと思います。ACTはどうなるべきでしょう?」 星屑「燃えるゴミは月・水・金」 奴隷「ヤッダーバァアァァァァアアアア」 静か「手首! 手首!」 絶頂「終わりがないのが終わり」 見え「両目を潰す」 鉄の「カミソリを食べるべきだ」 亜空「ガオン」 DIO「さすがに今回ばかりは意見が一致したようだね…………」 番鳥「それじゃあお葬式の準備をしてくるね、ニコニコ」 ACT「僕は悪くない僕は悪くないメイドが勝手にメイドが勝手に……」 星屑「さて、久しぶりに座談会を開くわけだけど、なんでこんなに間が空いてしまったのかな?」 奴隷「DIOとか兄貴とかが暴れたから…… じゃないかな?」 兄貴「失敬な! いくらあと一人は地獄に来てほしいからって作品外から直接殺害するような真似はしないよ!」 絶頂「やりそうで怖いんだが」 番鳥「アハハ、かもね~」 奴隷「君はそのニヤケ顔をどうにかできんのか。どこぞの超能力イエスマンが浮かんで仕方ないんだ」 番鳥「無理無理~」 DIO「ところで、今日はゲストに新入りたちを連れてきてみたよ」 ACT「あぁ…… よかった。死ななくてよかった……」 波紋「き、貴族の格の違いで…… ま、負けた……」 愚者「ウフフフフフフ…… 決闘すっ飛ばされた…… 僕の見せ場が……」 星屑「何だか皆どことなくトリップしてるみたいなんだけど……」 番鳥「気にしない、キニシナ~イ」 ACT「絶対殺されると思ってたのに、生きててよかった~!」 星屑「あれだけのゲスっぷりを見せてたからね、康一君が相手じゃなかったら確実に死んでたね」 DIO「そうでもない。うちのDIOなら確実に無視してただろうね」 番鳥「僕のところのルイズ様なら逆に返り討ちにされてたんだろうな~」 波紋「その点、ジョナサンは紳士ですごく助かるよ。僕も見習ってみようかな」 DIO「そのジョナサンを少し貸してくれないか? どうにかしてあの黒ルイズを矯正したいんだ」 DIOルイズ「だれが『黒』なのかしら……」 奴隷「うわあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!?!?」 絶頂「逃げろおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」 DIOルイズ「フフフ…… 悪いことを言うイケナイ仔はどこかしら? たっぷりと『おしおき』してあげないとねェ」 兄貴「お、俺は今恐怖しているッ! 一度死んで、恐怖を乗り越えたと思っていたのにッ!このオーラは間違いなく死をも超越しているッ!」 波紋「はッ! 皆、前を見るんだ!」 番鳥ルイズ「わ、我はひとり。ル、ルイズなりーーーーッ!!」 番鳥「ああ~っ、ルイズ様~」 ACT「ちょっ、番鳥くん早く逃げようよ!」 番鳥ルイズ「さ、猿め!!」 愚者「ぎゃああああああああ!! 出番が欲しいいいいいいいいい!!」 星屑「大変だ! 愚者がグシャッとされたぞ!!」 DIO「言っとる場合かーッ」 DIOルイズ「ああ…… 血のスープに浮k(以下自主規制)」 兄貴「ここは(自主規制)になった愚者を囮にして逃げるんだよォーーッ!」 波紋「安らかに眠っておくれ……」 絶頂「もう嫌だーーーーッ!! 僕たちはただ雑談してただけなのに何で命を危険に晒さなければいけないんだ!!」 DIO「大丈夫、この座談会はそれぞれの作品とは独立している。つまり自分たちの作品内で殺されなければ何度でも蘇るから。 そんなわけでポイっとな」 絶頂「裏切り者ォォォォォォォォォォォォ……」 愚者:頭を握りつぶされて死亡。出番なし。 絶頂:DIOルイズに血を吸われて死亡。絶頂いまだ訪れず。 他のギーシュ:命からがら逃げ出す。二度と座談会は開かないと心に誓うが、それでも開かれるものは開かれる。 番鳥「それでも彼らは生き返るんだよね~」 兄貴「納得いかーーん!!」 静か「やあ星屑、君もいよいよ出発だね!」 星屑「やあ静か、もう怪我の具合はいいのかい?」 静か「ははは、この会議フィールドではある程度の負傷は回復するようだ」 星屑「それはよかった! これからどんな旅になるのか楽しみだね!」 兄貴「ジローッ……」 静か「な、何だか視線を感じるんだが」 星屑「目を合わせるな。何を言ってくるか分からない」 兄貴「僕だって……僕だって……生きていれば今頃………………」 静か「に、逃げよう! 早くアルビオンに行くんだ、奴が追ってこれない場所に」 星屑「そうしようそうしよう!」 兄貴「逃がさん! DIO! 番鳥! カモォ~ン!!」 DIO「順調に物語が進行しているようだな。静か! 星屑!」 番鳥「この調子でがんばってね。そしてまた酷い目に遭ってね。ニコニコ」 静か「囲まれた!? こっちは2人、向こうは3人!」 星屑「ち、近寄るな! 僕達に近寄るな! 何をする気だ!」 兄貴「ギーシュ会議フィールドでは、ある程度の負傷は回復するんだったな?」 DIO「ならば手加減は無用」 番鳥「ハラワタをぶちまけよう。ニコニコ」 静か・星屑「ぎにゃあああああああああああ!!」 星屑「みんな聞いてくれ。重大発表がある」 絶頂「どうした?」 静か「何かトラブルでも?」 星屑「今から言うことは決して冗談なんかじゃあない、真剣に聞いてくれ」 奴隷「いいともさ。さあ何でも言ってごらん」 鉄の「いったい何の発表だい?」 星屑「ジョータローの年齢が……僕たちと同じだった」 絶頂「ははは、こやつめ」 奴隷「もうちょっと捻るべきだね」 星屑「ああ! みんな信じてないな!? ドチクショー!」 静か「信じろと言われてもあの顔で17歳? 馬鹿言うなよ」 鉄の「次からはもう少しマシな冗談をつくんだな」 星屑「誰も信じてくれない、なんてこったい」 DIO「奴はああ見えて……100歳を越えている……」 絶頂「ななななななんだってー!?」 奴隷「月までぶっとぶこの衝撃!」 静か「やっぱり奴は人間じゃなかったのかー!」 鉄の「恐ろしや恐ろしや」 星屑「待てーい! なんでそっちはそんなすぐ信じるのさ!」 DIO「これがカリスマ! 理解したかい星屑くん」 兄貴「17歳です。でも墓の下では老人です。17歳です」 Lギーシュ「登場を表明した名ギーシュの名前を何名か聞かせてください」 愚者ギーシュ「DIOが使い魔!? DIOギーシュ 彼は毎日3000本のナイフに刺され吸血のフラグを立てる。 ルイズも真っ黒だ。 ゼロの兄貴から兄貴ギーシュは死亡での参加! 道連れを週に三回も要求する! ゼロの番鳥から来た操り人形は番鳥ギーシュ!彼はDIOの館を守護したホルス神のスタンド使いペットショップの部下だ! そして在り来りマンモーニの出身だが承太郎に育てられ、ルイズに認められた天才ギーシュ! 星屑ギーシュ 通称星屑! 黄金陣営での天才がこのダークサイドで通用するのか…」 奴隷「…………終わったよ……」 星屑「…………ああ、見ていたよ」 奴隷「早く拷問が終わらないかなんて言っていた頃が懐かしい。実に晴れ晴れとした気分だ」 星屑「今夜は祝杯だ。誇り高い黄金の精神に……乾杯!」 兄貴「おっと、僕も及ばれされたいなぁ」 DIO「フフフ、美味しそうなワインじゃあないか」 奴隷「来たか……我等が宿敵」 星屑「いいだろう、お前達とも決着をつけてやる!」 奴隷「錬金集中強化ワルキューレ!」 星屑「クイーン・ワルキューレ!」 兄貴「暗黒面の力を……なめるなよ! ワルキューレよ出ろ!」 DIO「所詮ワルキューレはワルキューレ! ギーシュはギーシュでしかないのだ! 戦え僕のワルキューレ!」 奴隷「数は暗黒ギーシュの方が上か!」 星屑「だが質は黄金ギーシュが上だ! 勝負!」 バァーン! 奴隷・星屑の戦いはまだ始まったばかり! 戻る
https://w.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/866.html
そういえば教室の場所を聞くのを忘れていた。 どうやって教室を探すか。むやみに散策しても見つからないだろうし、遅れたらルイズが何を言い出すか。 しかしそんな悩みは、校舎にはいるなりあっさりと解決した。 廊下には人、人、人。軽く40人ぐらいはいる。どうやら何かあって、ここまで難を逃れてきたらしい。 時折聞こえてくる会話内容から、教室で爆発があり、ここまで逃れてきたこと。そして今、ルイズと、その使い魔が罰掃除をしているということを、僕は知った。 使い魔というのは才人の事だろう。罰掃除と言うからには、ルイズがこの騒ぎに何らかの原因を担っているのは間違いない。僕はそのとばっちりを受けたと言うことだ。 生徒達の様子から、まだ爆発して、それほど時間は経っていないらしい。教室も解ったことだし、急ぐ必要もないだろう。 僕はゆっくり歩いていくことにした。 いざ教室についてみると、中は凄い惨状を呈していた。 教室は一般的な大学の講義室のような造りをしているのだろうが、教室全体が煤汚れており、石っころが机や、壁にまでめり込んでいる。 教壇の辺りでは、才人とルイズが雑巾とちりとりを片手に、石っころを取り除きながら、煤汚れを拭き取っていた。 よく見るとルイズは机しか拭いていない。床などは全部才人がやる羽目になっているらしい。 と、机を拭いていたルイズが顔を上げる。僕が入ってきたことに気がついたようだ。 「遅いわよ、下僕! ほら、早く煤落とすの手伝って!」 どうしてこう、わざわざ勘に障る言い方をするのか。 僕は抗議もかねて、ルイズが渡そうとしている雑巾を無視し、教室中央にあったバケツから、新しい雑巾を一つふんだくり、才人の方へと向かった。 ルイズがなにやら言いたそうに、眉間にシワを寄せてこちらを見る。大方そこを全部任して、自分は休憩するつもりだったのだろう。そうはいかない。 僕が才人と一緒に床を拭き始めると、ルイズは諦めたように、机磨きを再開した。罰掃除という名目上、無理には押しつけられない様だ。 「しかし、何でこんな事になったんです?」 僕は才人に、ルイズには聞こえないよう小声で、どうしてこんな事になったのかを訪ねた。 不満げに床を拭いていた才人は手を止め、口元をにやりと歪ませ、喜々として語り出した。 「ルイズの二つ名……ゼロのルイズって言うんだけど、何でだと思う?」 何故だろう。胸がゼロだからか? 確かに干しぶどうみたいな申し訳程度の胸だが。 いや、胸から離れろ。 「魔法成功確率ゼロだからだとさ。何をやっても爆発するんだと。これも『錬金』とやらの失敗でなったんだぜ?」 才人の声がだんだんと大きくなっていく。色々溜まっているのだろう。しかし、ルイズに聞かれたらどうするつもりだ。 「錬金! あ、ボカーン! 錬金! あ、ボカーン! 失敗です! ゼロだけに失敗であります!」 既に声はかなり大きくなっていた。間違いなく、ルイズに聞こえているであろう。 どうして虎の尾を踏むようなまねをするのか。ルイズの方を見ると、机に突っ伏してプルプルと震えている。 手遅れかも知れないが、僕は才人に釘を刺す。 「才人、せめてもう少し小さな声で……」 しかし弱点を見つけて浮かれている才人は、声が大きくなっている事にも気がつかず、続ける。 「ルイルイルイズはダメルイズ~ 魔法が出来ない魔法使い~ でも大丈夫! だって、女の子だもん…… なんてな。ぶわっはっはっはっはっ……」 「当て身」 僕は才人の首筋を叩いて、強制的に黙らせることにした。このまま放っておいたら、僕まで何をさせられるか… もう一度、ルイズを見る。一見平静を装って、机拭きを続けているが、その表情には影が出来ている。 既に手遅れだったようだ。 危険な雰囲気だったが、ともあれ掃除は何事もなく、お昼には終わらせることが出来た。 用具を片づけ、何度か、訳が分からないといった感じで首筋をさすっている才人と、終始うつむいたままのルイズと共に教室を後にする。 「……さっきからずっと首筋がいてぇんだよなぁ。気がついたら、床で寝そべってたし。花京院、何かしらねえ?」 「いえ……」 ルイズはさっきから、一言も喋っていない。僕もいささかバツが悪いので、殆ど喋っていない。 重苦しい雰囲気が漂う。だが、元凶である才人はというと、まるで空気を読まず、一人で色々喋っていた。 ルイズの肩がプルプルと震えている。しかし才人はお構いなしにまだ喋る。 「胸もゼロ! 魔法の才能もゼロ! ゼロゼロゼロ、ゼロのルイズ~」 才人は一度、調子に乗り始めたら中々空気を読まず、一度痛い目を見ないと、いや、痛い目を見ても懲りないということは、既に熟知したつもりだったが、ここまでとは。本当にわからん奴だなッ! 僕はもう、言いたいだけ言わせておくことにした。今更黙らせても、もう手遅れだろう。 途中で僕は屯所へと戻るため、才人達と別れた。才人と違い、衛兵ということになっている僕は、食事は貴族達の後で、屯所で食べるからだ。 「じゃあ、後でな~」 「……ええ」 相変わらずルイズは何も言わなかった。 屯所に向かうため、中庭に続く広場を通る。昨日、ここで僕たちは召喚されたんだな。 お昼までは時間がある。何となく、僕はここを散策したくなった。 まだ所々、芝がはげ上がっていたり、土が盛り上がっていたりと、昨日暴れた痕跡が残っているものの、殆ど元の状態に戻っていた。 昨日逃げた時点では、かなり派手に荒れていたはずなのだが。それを半日とちょっとで、ここまで直せるものなのか。 「ン?」 芝がはげ上がった所に、きらりと光るものを見る。 近くによって確認すると、紫色の小ビンだった。 僕はそれをぱっと手に取る。 「香水か」 香りからいって、これは体臭を消すためのものと云うよりは、格調高い、女性の魅力を引き立てるようなタイプのものだな。 軽く振ってみる。中には液体が入ったままだ。捨てていったものではないらしい。 おそらく昨日暴れた時に、誰かが落としていったのだろう。 「後で、ルイズにでも聞いてみましょうか」 僕はそれを、屯所の外にかけておいた学ランの右ポケットに入れ、屯所の扉を開いた。 扉を開くと、ペイジさん、ジョーンズさんの他に、二人、僕の知らない人間がいた。 顔に半分だけマスクをつけた男と、顔の左側をまるまる覆うような眼帯をつけた男だ。 「おう新入り。初めてだな。俺の名はプラント」 「ボーンナム」 「花京院典明です。宜しくお願いします」 ペイジさんの話によると、四人併せて血管針カルテットなどと呼ばれているとのこと。理由は本人達も良く知らないらしい。 「さて、後はメイドが食事持ってきてくれるのを待つだけだな」 「そういや、今日は貴族共が中庭でティータイムしてるんだったな」 椅子に座って、メイドが来るのを待つ。 暫くして、こちらに近づいてくる足音が近づいてきた。 コンコンと、二回、ノックの音がした。 新入りということで、僕が扉を開ける。 「お食事をお持ちしました」 そこには、今日、僕にこの屯所の場所を教えてくれたシエスタと、何故か才人がいた。 「何故、才人がここにいるんです」 「いや、それがな……」 「なるほど……」 あの後、ルイズにゼロといった回数だけ御飯抜きを宣告され、空腹でふらふらさまよっていた所を、シエスタに呼びとめられ、厨房で賄い食をごちそうになり、そのお礼にと手伝いをしているらしい。 ちなみに僕が知っているだけでも40回は言っていた。ご愁傷様だ。 「しかし、良くその程度で済みましたね」 「ハァ、嫌みなんていわなきゃ良かったよ」 話している間に、今、ここにいる全員分のシチューとパンが並べられていた。 シエスタは一度、こちらに礼をしてから部屋から出ていった。才人も後に続く。 と、そうだ。 ルイズの近くにいた才人なら、さっきの小ビンのこと、何か解るかも知れない。 「才人、僕の学ランのポケットに小ビンが入っている。さっき広場で拾ったんだが、誰のか解らないんだ。おそらく貴族の誰かのだとは思うんだが。何か心当たりは無いか?」 「え、小ビン? ……そういや、広場で何かを探している奴がいたな」 「なら丁度いい。その人に返しておいてくれないか?」 「構わねぇけど……」 「なら、頼んだぞ」 才人もそういって、部屋から出ていった。 意外と早く持ち主が見つかったな。 「新入り、用事は済んだか? 早く飯にするぞ。……俺の名はペイジ」 「ジョーンズ」ビン 「プラント」ビン 「ボーンナム」ビビン 「「「「頂きます!」」」」パバ――ッ 「……頂きます」 実に斬新な食事の挨拶だ。ついていけそうにない。 To be contenued……
https://w.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/964.html
ヴェストリ広場に着く。 既に広場の中心には、人だかりが出来ていた。 おそらく彼処で、決闘とやらが行われているに違いない。 「なんだよ。もう終わりかい?」 その中心から、呆れたような男の声がする。 才人の声じゃない。おそらく相手の声だ。 今、なんといった? 終わり? もう勝負がついたというのか? いや、そんなはずはないだろう。彼はかなり意地っ張りだ。 一度決めれば、たとえ何回殴られようが、意地だけで立ち上がってくる。 早く止める必要がある。 僕は人混みの中に押し入った。 「おわ、なんだよ!」 「失礼。通してください」 途中、何度も人にぶつかりながら、何とか、決闘とやらが見える所までたどり着く。 そこには腹を押さえてうずくまる才人と、それを見下ろす鈍い赤褐色の甲冑をまとった像。そして、そこからやや離れた所に、薔薇を持った、きざったらしい少年。 たぶんアレが、グラモンとやらだろう。 「さて、これ以上続けるだけ無駄だと思うが?」 「……だ、誰がっ!」 震える足に手を置きながら、何とか立ち上がる才人。 それに併せて像が動いた。なるほど、あれが俗に言う、ゴーレムという奴か。 才人は大方、アレに殴られたのだろう。 さて、ここから妨害しても良いが、僕はそこまで無粋じゃない。 ましてや、二股がばれて、八つ当たりをするような奴だ。 ここで訳も分からないまま負かしても、またいつか余計なことをする。 必ず、奴のプライドを粉みじんにしなくてはならないッ! 僕は、決闘への乱入という形を取ることにした。 これこそゲームセンター界に伝わる、由緒正しい、プライドを潰す手順だ。 「なんだい、君は?」 「私の名前は花京院典明。今、ここで倒れている、平賀才人の友人だ」 僕が乱入したことで、人混みが一気に騒がしくなった。 乱入してきた僕が誰か、近くの奴に聞いているのだろう。 ゲームセンターで人が集まった台に乱入した時と、同じ反応だ。 「見ての通り、才人も私も平民だ。それに一対一で、決闘を挑むというのは、君たち貴族にとっては恥ずべき事じゃないのか?」 僕はルイズから、貴族というのは、平民相手には感情的になりやすいということを学んだ。 だから、この挑発は有効だという自信があった。 案の定、目の前の気障な少年も、ギャラリーさえも食いついている。 僕は口上を続けた。 「しかもこの決闘は、彼の逆切れからはじまったと聞く!」 そういってビシッ! と気障な少年の方に指をさす。 ギャラリーから失笑が漏れ、さされた少年の方はぴくぴくと頬を引きつらせている。 「元はといえば、あの香水を拾ったのは私だ! 格好つけて二股をするなら、我々平民の二人や三人、なぎ倒して見ろ!」 我ながら、意味の分からない理論だ。 だが、頭に血が上った奴には、この程度の挑発で十分効果を発揮する。 案の定、目の前の少年はあっさりと挑発に乗ってきた。 「良いだろうッ! 君もそこの平民と一緒に、僕の『ワルキューレ』で、貴族に対する礼儀を教えてやるッ!」 その一言と共に、ギャラリーが騒がしくなる。 「や、止めといた方が……」 「ギーシュ、お前じゃ無理だ」 「黙って、引っ込んでろよ」 「所詮貴様は只のドットメイジ。大人しく、そっちの平民をいたぶってろ」 何人かのギャラリーが、少年の止めに入る。というか、バカにしている。 顔を見ると、昨日、僕が暴れた場に居合わせた奴らだった。 「何だ君たちは! まさか僕が平民二人程度に負けるとでもいいたいのかッ!」 ギーシュとやらは、そのギャラリーに対して吼えた。 しかし、相変わらず止めに入った奴らは、少年に冷たい視線を送るのを止めない。 かわいそうだけど、明日の朝にはにはお肉屋さんの店先に並ぶ運命なのね、といった感じだ。 しかし、止める奴らもいれば、煽る奴もいる。 「ギーッシュ! その生意気な平民をのしちまえーーー!」 「やっちまえーーーー!」 「ギーシュ(オサ)! ギーシュ(オサ)! ギーシュ(オサ)!」 こっちは昨日、暴れた時は居なかった奴らだ。 解りやすいぐらい、反応が二分化されている。 まぁ、どちらにしろ、いまさらギーシュは引けないだろう。 「さあ、どうするッ!?」 「決まっているッ! 決闘だッ!」 良し! かかったッ! 僕は才人に肩を貸して、改めてギーシュと正面から対峙する位置に立つ。 「花京院……」 「何ですか?」 「わりぃ……」 「そういうのは、勝ってからにしてください」 才人が立つ。 っと、そうだった。 「邪魔なんで、これ、持っておいてくれますか?」 「おう……」 僕はずっと手に持っていた槍を、才人に手渡した。 才人はその槍をぐっと握る。すると、突然、才人の左手に刻まれた文様が光り出した。 「何だよ、コレ!」 「!? ……いったい何が」 「平民、もう用意は出来たのか! 始めるぞ!」 とりあえず、光り出した才人の左腕の文様については後回しだ。 今は、この目の前のコイツを叩きのめすッ! 少年は薔薇を掲げ、その薔薇から花びらを飛ばす。 すると花びらから先ほどと同じゴーレムが、6体精製された。 先ほどのも合わせると7体。 「僕の二つ名は『青銅』! 青銅のギーシュだッ! 君たちは相応の喧嘩の売り方をしたのだからな! 思い知ってもらうぞ!」 どうやらこれが全力らしい。 ゴーレムは青銅製。なら… 「たいしたことはない! 食らえッ! 『エメラルドスプラッシュ』を!」 僕のハイエロファント・グリーンから、破壊のビジョンが、エメラルドとなって撃ち出される。 かなり厚みのある石の建物ですら破れるのだ。 ペラペラの、たかだか青銅製ゴーレムなんて、簡単にブチ砕けるッ! 僕のエメラルドスプラッシュは、ゴーレムを3体巻き込んで爆砕する。 ゴーレムは綺麗に、バラバラになって吹っ飛んだ。 「へっ?」 ギーシュは何が起こったか解らないといった調子で、その様子を眺める。その姿は何ともマヌケだ。 ようやく何が起きたのかを理解した少年は、慌てて叫んだ。 「ワ、ワルキューレ! 僕を守れッ!」 ゴーレム達が、ギーシュのフェンスになるように密集する。 だが、そんなことをしても無駄無駄無駄無駄ァ~。 僕はもう一度、スタンドでゴーレム達に標準を合わせた。 もう一発、エメラルドスプラッシュを叩き込むッ! 「待てよ、花京院。後は俺にやらせてくれ」 「才人?」 だめ押しにもう一発といった所で、才人が突然止めてきた。 後は自分が片づける? 言ってる意味が分からない。イカれているのか? この状況で。 「才人。まだ意地を張って……」 僕が制止の言葉をはき出す前に、才人はゴーレムに向かって走り出した 「早いッ!」 アレは人間のだせる速度なのか? 僕ですら、スタンドを介した視界で追うのがやっとという速度で、才人はゴーレムへとつっこんでいる。 おそらく、周りの人間には、何が起こったのか見えていないだろう。 才人はゴーレム達の前で立ち止まり、そのまま、槍を横ナギに振るった。 槍は、パクゥーと空気が裂き、ゴーレム達へとたたきつけられた。 ドグシャァと叩きつぶれるような音と共に、ゴーレムの上半身がちぎれ飛ぶ。 しかし槍も、HBの鉛筆をへし折るように、ペキィと叩き折れた。 それと同時に、才人の左手の紋様からでた光も収まった。 『世界ッ!』 ギャラリーはおろか、当事者の才人や僕ですら理解不可能な光景に、時が止まる。 「ひっ!」 『そして時は動き出す』 ギーシュのおびえた声と共に、再び時は動き出した。 才人の右手に握られた、へし折れた元槍と、上半身のちぎれ飛んだ、四体のゴーレムが、先ほどの光景が幻覚でないことを見せている。 僕はすぐさま、ギーシュの方を確認する。 ぺたんと座り込んで、目をまん丸くして才人の方を見ていた。 ぽろりと、手から薔薇が落ちる。 それと共に、残っていたゴーレムの下半身は、土に還っていった。 なるほど、あれが杖だったのか。 「続けるか?」 ギーシュの口がぱくぱく動く。 参ったというつもりだろう。 だが、ここで参ったといわれては、プライドを暗黒空間にばらまくことが出来ない。 肉体的にも、お仕置きをする必要があるッ! 僕は迷わず、ギーシュの口の中にハイエロファントを飛び込ませた。 そしてそのまま、ギーシュを操るッ! 「ふん。平民に僕が降参するだとッ! なんて! なんて面白いジョークだッ! ガボッ!」 「続けるんだな」 「ガボガボッ! 君なんて素手で十分だッ! フヒィーッ、フヒィーッ」 「なら、容赦しねえっ!」 (ゆ、許してくださいぃ~~~~~!) 操っているハイエロファント越しに、そんな思考が流れてきた。 それに対し僕は一言 (お前は男としての領域を踏み出した。だ め だ ね) と送り返す。 才人が思いっきり、右腕を振りかぶる。 ギーシュの目に、涙が浮かんだ。 才人の拳は、そのままギーシュの腹部へ吸い込まれる。 ドグオォっと鈍い音がした。 「いいか・・・このパンチはゼロのルイズにバカにされた分だ……八つ当たりと思うかも知れないが、コレはお前が俺に八つ当たりした分だと思え」 なんて理不尽な言い分だ。 だが、僕は才人のしたいようにさせておく。 「また、ゼロって……」 しかし才人。先ほどから、僕の後ろで殺気を放っている人物は誰だと思う? 「そしてこれもゼロのルイズにバカにされたぶんだッ! そして次のもゼロのルイズにバカにされた分だ! その次の次のも、その次の次の次のも…その次の次の次の次のも…次の! 次も! ゼロのルイズに飯抜きにされたぶんだあああーッ! これも! これも! これも! これも! これも! これも! これも! これも! これも!!」 「!?」 僕のハイエロファントが、警告を発している。 マズイ! 「才人ッ! 早くギーシュから離れるんだァー!」 「え?」 しかし、もう遅かった。僕は急いでスタンドを引っ込める。 ギーシュは才人に襲いかかるようにして倒れ込んだ。 ギーシュは口元を押さえる。 「な、なんだよ。まだやる気か!?」 「うっ」 先程まで食後のティータイムを取っていたのだ、あれだけお腹を殴られれば…… 吐くに決まっているッ! 才人は見事なゲロ・スプラッシュの洗礼を浴びる事になったのだった。 To be contenued……
https://w.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/1303.html
「ハァ………」 自分の部屋で、静かにため息をつくキュルケ。 彼女は今悩んでいた。 それというのも、 「平民ならまだしも、人間じゃないなんてねぇ…」 彼女の新しい恋の相手…の予定だった、ゼロのルイズの使い魔が、実は人間では なかったのである。 「それにしても…凄かったわね、あれ」 ドットとはいえ、ギーシュの作り出したゴーレムを、苦も無く一蹴する様を思い出す。 ゴーレムを溶かし、イカズチを発し、傷を治し、さらには姿まで変えるその力… 「先住魔法?でもディティクトマジックでの反応は無かったし…」 ルイズが彼を呼び出したとき、念のため魔力の反応を調べていたのだ。 彼女の家と、ルイズの家は犬猿の仲であり、彼女自身何かとルイズにちょっかいを 出している身としては、使い魔の質で負けるわけにはいかないのである。 「東方の亜人とか言ってたけど」 決闘の後、2人を連れて行ったミス・ロングビルに、何人かの生徒が彼は何者かと 尋ね、返ってきた答えがそれであった。 もっとも、その答えを聞く前に様々な噂が飛び交い、もはやその言葉を素直に信じる 生徒はあまりおらず。さらに、キュルケ以外にも、彼に魔力の反応が無い事に気付き、 それを騒ぎ立てる者までいて、更なる噂が生まれることになった。 曰く、ラ・ヴァリエール家が作り出した最終兵器 曰く、エルフが人類抹殺の為に生み出した魔人 曰く、星の海を越えて、この世界を侵略しに来た宇宙生物 曰く、地獄から蘇った悪魔 等々 どれもこれも邪悪っぽいのは、決闘相手のギーシュが死にそうな目にあったから。 だけでなく、見た目も無関係ではないだろう。 「ま、何であれ尋常じゃないわよね。 はぁ、ルイズの悔しがる顔が見れないのは残念だけど、諦めるしかないか… にしても、あの時ルイズが来なかったらどうなってたのかしら?」 彼を誘惑しようと、自分の使い魔を迎えに行かせた事を思い出す。 なぜか彼の変わりにルイズが来て、その後喧嘩になってうやむやになったが、 もしあの時彼が来ていたらどうなったのだろう? 「ふふふ、いらっしゃい」 育郎は素直に従い、キュルケがその身を預けるベッドに腰かける。 「あなたは、アタシをはしたない女と思うでしょうね」 大きくため息をついて、悩ましげに首を振るキュルケに、育郎は口を開く。 「いいや」 その言葉を受け、嬉しそうに育郎に身を摺り寄せるキュルケ。 「解ってくれるの!そう、しかたないわよね!恋は突然なんですもの。 突然で、そして一気に燃え上がるの… だめ…やっぱりアタシってば、みっともない女だわ」 「そんなことは無いよ」 そう言って、育郎はキュルケのアゴに手を沿える。 「ああ…」 目をつぶり、唇が重なる感触を待ち受けるキュルケの耳に、育郎の声が入ってくる。 「君は…愚かな女だよ!」 「え!?」 驚いて目を開けると、異形の姿に変わっていく育郎の姿が目に入った。 「え、ちょっと何よこれ?やぁ…ッ!」 異形から次々に触手が生え、キュルケの肢体に絡み付いていく。 「だ、だれかたすけングッ!」 触手がキュルケの口の中に入りこみ、助けを呼ぶ声を封じ込める。 「怖がる事は無いよ。君が望む事をしてあげるだけさ…」 その言葉と共に触手たちが一斉に… じゅるり 「お、惜しいことを…じゃなくて、危なかったわ! 一歩間違えてたら、そんな素晴らしい…もとい、恐ろしい事に! 待って、じゃいつも同じ部屋で寝てるルイズは!?」 あれほどの力を持つ存在が、本当に『ゼロのルイズ』の使い魔なのか? 夕食時、食堂に使い魔を連れてやってきたルイズは、彼に自分の食事を分け与えていた。 さらにその後、厨房に明日からは自分と同じものを、と頼んでいる姿も目撃されている。 正体がばれたので、わざわざ平民扱いさせておく必要が無くなった。 つまり本当の主人は… 噂の中にはその類のものも含まれていた。 「そ、それじゃまさかあの子はもう!」 「ご、ご主人様…」 下着姿で立つルイズが、ベッドに腰掛ける育郎を震えながら見る。 「ルイズ…僕は君に、一日に君が『ご主人様』と主張するのを何回許したかな?」 「は、はい…5回です…」 やれやれと首を振って、育郎がルイズに近づく。 「今はまだ君が主人であると思わせたほうが都合が良い… けど、だからと言って気楽にそう言われるのは不快だからね。 それで…君は今日何回自分のことを『ご主人様』と言った?」 「9回…です」 「7回だ…」 冷ややかに告げ、育郎はルイズの顔に手を伸ばし、その柔らかな唇に指を添える。 「いけない子だ…そんなに『おしおき』が欲しいのかい?」 「あぁ…」 震えているのは恐れているからではない、期待しているのだ。 「まったく、これじゃあ『おしおき』にならないな…今日は止めにしよう」 「そ、そんな!」 育郎の足しがみつき、必死になって懇願するルイズ。 「お、お願いしますご主人様!こ、この哀れな犬にどうかお慈悲を!」 「しょうがないな…」 「ありがとうございます…ぁ!」 触手が現れ、ルイズの幼い身体に… じゅるり 「そ、そんな!?ルイズがそんなうらやましい事…もとい酷い事をされていたなんて!」 自分の妄想に、身体をわななかせるキュルケ。 「こうなったら…私が何とかしないと!」 そう叫んで自分の部屋を飛び出し、隣のルイズの部屋の扉の前に立つ。 「こんな事に、他人を巻き込むわけにはいかないわよね…わ、私一人じゃひょっとして 不覚を取るかもしれないけど、それはしょうがないわよね? そ、その結果色々と蹂躙されちゃったりしちゃったりしても、仕方ないわよね? わ、私も精一杯やったんだけど、卑劣な罠にかかっちゃったりするんだから、 ホントにもう…不可抗力って奴よね!?」 じゅるり 「ハァハァ…そ、それじゃあ行くわよ!」 喜色満面で扉を開けるキュルケであった。 「ああああああぁ…………ぁああああああ」 「この位置までは大丈夫と」 育郎がデルフの鞘に印をつける。 「いやーすまねぇな。相棒」 「ねえ、さっきから何やってるの?」 不思議そうな顔をして、育郎の手元を覗き込むルイズ。 「いや、デルフがなるべく自分を持ち歩いてくれって言うから」 「今日みたいな事があったとき、俺が居た方がいいだろ?」 「それとさっきのに、何が関係あるのよ…」 鞘を指差し、育郎がルイズの疑問に答える。 「いや、危ないから鞘に入れておかなきゃいけないけど、それじゃデルフが 喋れないから、何処まで鞘に入れたら喋れなくなるかを調べてたんだ。 ここから切り取って、ちょっと手を加えて落ちないように」 「いいじゃない、別に。メーンとか言わなくなるし」 「娘っ子も結構拘るな…というか俺一回しか『メーン』って言ってねえぞ」 「2回目ね、3度目は無いから覚悟しときなさい。 って、道具も無いのにどうやってそんな工作するのよ?」 リスキニハーデン・セイバーとメルテッディン・パルムを組み合わせた まったく新しい工作術で 「まあ、いいけど…ってキュルケ!なに人の部屋に勝手に入って来てるのよ!?」 「キュルケさん?」 二人が扉を開けたままの姿で立つつくすキュルケを見る。 「あ………」 「「あ?」」 「貴方達にはガッカリよ!!!」 「きゅるきゅる!(駄目だこりゃ!)」 部屋に残されたフレイムが、そう呟いたとかなんとか。