約 1,875,395 件
https://w.atwiki.jp/terachaosrowa/pages/694.html
ここは地球とは異なる世界。その名もハルキゲニア。 その世界の、トリステイン魔法学校と呼ばれる場所で一人の少女が奮闘していた。 進級試験として使い魔を召還する儀式を行っているのだ。 「所詮ゼロのルイズには無理なんだよ!」 「もう諦めろよw」 「先生、やらせるだけ無駄ですよ!」 幾度の失敗により、少女を囲む子供たちからも不満の声が上がる。 それも当然だろう。失敗による爆発で大なり小なり皆煤を被ってしまっているからだ。 それでも教師らしき禿頭の男は優しく、真剣な目で少女を見守っていた。 「~~~~~~っ!!!」 少女は成功の兆しすら見えないことに怒り悲しんでいた。 周りから馬鹿にされる事には馴れていたが、今は進級が掛かった大事な試験だ。 これに失敗してしまえば魔法学校初の留年という不名誉を負うことになる。 何よりも家名を大事にするトリステインの貴族としては、そんな事になるわけにはいかなかった。 優秀な父母と姉妹に囲まれて育ってきた中、ただ一人の落ちこぼれ。 それが世に広まらないように、薄暗い地方の屋敷辺りにでも閉じ込められてしまうかもしれない。 そういった恐怖に追われながらも弛まぬ努力をしてきたというのに、一向に魔法が使えない。 奇跡でもいい、平民が出てきても構わない。今はただ進級だけがしたかった。 「ミス・ヴァリエール……残念ですが次に失敗してしまえば留年という事にせざるを得ません」 禿頭の教師は沈痛な面持ちで少女―――ルイズ・フランソワーズ・ル・ブランド・ラ・ヴァリエールに告げる。 その言葉にルイズはギリッと歯を食いしばった。 次で終わり。奇跡などそんな易々と起きない事など分かっていた。 今までずーっとゼロと呼ばれ、辛酸を舐め続けたのだから。 だけど最後のチャンスを不意にする事もない。 ルイズは顔に疲労の色を浮かべつつも、目を閉じて呪文を唱える。 「五つの力を司るペンタゴン、我の定めに従いし、使い魔を召喚せよ!」 それを見守る生徒たち。 だが、無常にも結果は変わらなかった。 ただいつにも増して大きい爆発が起こったというだけ。 僅かなりとも期待をしていたルイズは、流石に絶望を隠しきれなかった。 「やっぱり失敗だな、ゼロのル・イ・ズwww」 「ハハハハハ、これでルイズのやつ留年だぜ!」 「まぁ最初から分かってた事だよなー!」 次々と子供たちが悪口と笑い声を発していく。 それは徐々に大きくなり、輪を作る者の殆どがルイズを嘲笑していた。 だけどルイズはそれに何も反論できなかった。 そう、最初から分かりきった結果だったのだ。 失敗しかしない成功率ゼロの少女が、進級試験でサモン・サーヴァントでの召還を成功できる訳がない。 進級など、夢のまた夢だと。 悔しさに涙が流れてくる。 その雰囲気を察して、禿頭の教師・コルベールはかける言葉も見つからなかった。 彼はルイズが普段どれほどの努力をしているのかを知っていた。 魔法が使えずに実技が駄目なため、一生懸命に歴史などといった筆記の方にも力をいれている事を。 なんとか進級をさせてあげたい、と心の底から思うほどに。 だがこの春の使い魔召還の儀式は、とても神聖なもの。 一教師であるコルベールの一存でそんな事は決められないし、上に掛け合っても無駄だろう。 それに生徒に対して平等であるべきの教師がこんな事ではいけない。 コルベールは涙を呑んでルイズに留年の意を伝えようとする。 その時、爆発により近くすら見えなくなるほど上がっていた粉塵が収まり始め、何かが見えてきたのに気付いた。 未だ粉塵に隠れている現状では何なのかは分からないが、それはとても大きかった。 「ミス・ヴァリエール! 成功ですよ!」 コルベールは喜びの余りそう叫んでから、恥ずかしさからゴホンと咳をした。 そしてあの大きさで暴れられたら危険な事を思い返し、気を引き締める。 あれが召還の異に応じなかった時に命を懸けてでも教え子を守るために。 そして煙は晴れる。 そこには誰にも想像だにしなかったものがいた。 いや、あったというべきか。 何しろそれは生物ですらないからだ。 巨大な一軒の建物がどっしりと佇んでいた。 「ちょwww」 「おまwww」 「うはwww」 「ワロスwww」 生徒達は口々に大爆笑を始める。 笑われているルイズは未だに現状が把握できずにポカーンと建物を見上げて呆けていた。 コルベールも同様である。 長年生きてきて、こんなモノが召還されるなどと言う事は、見たことも聞いた事すらない。 「ルイズ!家なんか召還してどうすんだ!?」 その言葉にルイズは我に返り、咄嗟に言い返す。 「うっ、うるさいわね! 風除けのマリコルヌのくせに! もしかしたら中に誰かいるかもしれないでしょ!」 「風邪っ引きのマリコルヌだ! 違う、風上のマリコルヌだ それに俺は風除けになるほど太っていない!」 コルベールはこの言い合いに、じゃあ太ってる事は認めるんだなぁと現実逃避をしながら、どうするべきか考えていた。 まぁとりあえずルイズの言い分も尤もな事なので、とりあえず中に人がいるか探ろうと思った。 「ではミス・ヴァリエール。中に人がいたら儀式を済ませてきなさい ミスタ・マリコルヌも悪口は見苦しいですよ」 このまま放っておくといつまでも続くと思ったコルベールは、ルイズに指示する事で言い争いを止めた。 そして生徒たちとともに、ルイズが建物の中に入っていくのを再三見守っていた。 ルイズの成功を祈りながら。 ボンッ! ドサッ コロコロ…… 突然の事だった。 生徒達もコルベールも何が起こったのか分からなかった。 ルイズが建物に足を踏み入れた直後、ルイズの首が爆発して飛んだのだ。 地面に転がっているルイズの頭が、死んだ事も分からないように普段と同じ表情をしているのが、やけに滑稽だった。 以後、その建物は入った者の首を飛ばしていく事から悪魔の館と呼ばれ、ハルキゲニアの歴史に名を残す事になる。 【一日目 午後七時/トリステイン魔法学校】 【ジャン・コルベール@ゼロの使い魔】 [状態]:禿げ [装備]:不明 [所持品]:不明 [思考] :ツンデレコンビを掴まえる 1:唖然 【マリコルヌ・ド・グランドプレ@ゼロの使い魔】 [状態]:かぜっぴき、風除け [装備]:不明 [所持品]:不明 [思考] :ツンデレコンビを掴まえる 1:呆然 【ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール@ゼロの使い魔 死亡確認】 [死因]:禁止エリアのニビジムに足を踏み入れたため爆死
https://w.atwiki.jp/aniwotawiki/pages/6486.html
登録日:2009/05/26 Tue 19 43 24 更新日:2024/06/20 Thu 16 29 31 所要時間:約 10 分で読めます ▽タグ一覧 06年夏アニメ 07年夏アニメ 08年夏アニメ 12年冬アニメ 2004年 HN-Re A型ウイルス感染源 J.C.STAFF MF文庫J おっぱい アニメ ゼロの使い魔 ゼロ魔 ファンタジー ヤマグチノボル ライトノベル ラジオが本編 レモンちゃん 作者急逝 厨二病 地球なめんなファンタジー 志瑞祐 未完→完結 王道 異世界 豪華声優陣 釘宮理恵 釘宮病 魔法 我が名は ルイズ・フランソワーズ・ル・ブランド・ラ・ヴァリエール。 五つの力を司(つかさど)るペンドラゴン。 この者に祝福を与え、我の使い魔となせ。 『ゼロの使い魔』とは、ヤマグチノボル作のライトノベル、およびそれを原作としたアニメ。 ■あらすじ 普通の高校生 平賀才人はある日突然、異世界に召喚されてしまう。 そこは科学の代わりに魔法が発達し、空には二つの月が浮かぶ異世界ハルケギニアだった。 美少女魔法使い、ルイズの"使い魔"にされてしまった才人は、ハルケギニアに起こる数々の動乱を潜り抜けながら、 「始祖ブリミル」の残した謎に迫っていくことになる。 一、二巻辺りを読むとありきたりなツンデレヒロイン萌えラブコメディのようだが、 巻を追うごとに才人が成長していく。燃える戦闘シーンはかなりの見所。 また、要所で地球の武器が活躍するのがお約束で、特にゼロ戦やタイガー戦車が活躍する戦いは人気が高い。 「地球なめんなファンタジー!」 2013年4月4日、作者のヤマグチノボル氏が二年に渡る闘病生活もむなしく、41歳の若さで末期癌により逝去。 あと2巻を残し図らずも未完の作品となった。 完結編 しかし、作者の死因となった病気である癌は「余命宣告から亡くなるまでにいくばくかの時間的余裕がある」ことから、ヤマグチ自身も生きている間に自らの執筆では完結しきれないという見通しが立った時点でプロットを残し、代筆者による完結を承諾していた。 2015年6月25日に続巻が決まったとの公式発表があった。 その予告通り、2016年2月25日に21巻が発売。実に5年ぶりの新刊であるが、ファンの希望がついに形あるものとして実現することとなった。 執筆はヤマグチノボル先生公認の代筆者によるもの。 偏見を持たれたら困るということで代筆者の名前は発刊時は公開せず、あくまで「ヤマグチノボル」名義での刊行となる。 また、復活を記念してブレスオブファイアや神撃のバハムートなどのソーシャルゲームとのコラボが実現。 ルイズ、才人、タバサらがボイス付で各ゲームの期間限定イベントの配信カードとして登場する。入手は困難だが、いずれも一線級のパワーカードである。 特に神撃のバハムートはグラフィックの美麗さに定評のあるゲームなのでカードイラストには一見の価値あり。 そして、2017年2月24日に最終巻が発売し、シリーズは無事に完結した。 なお、21,22巻の代筆者は2017年6月24日に発売されたメモリアルブックにてライトノベル作家の志瑞祐だったことが公表された。 (ちなみに、志瑞氏が当時執筆していた『精霊使いの剣舞』の刊行ペースが落ちた時期が本作の刊行時期と重なっており、この作業の影響だったと思われる。) 志瑞氏自身ももともと作品の大ファンであったといい、志瑞氏によると本来は才人とルイズの間に産まれた子供の話もヤマグチ氏は描きたがっていたという。 ■登場人物 平賀才人 CV.日野聡 主人公。 地球ではモテなかったのに何故かハルケギニアではモテモテ。 神の左手「ガンダールヴ」で、あらゆる武器や乗り物を使いこなす。 何だかんだで平民→シュヴァリエ(位の低い貴族)→女王直属親衛隊副隊長兼地方領主と、大出世している。 最近はルイズがデレ始めたので、優柔不断になりつつある。 中身は割と普通の少年で普段は悪友たちと馬鹿ばかりやってる。 巨乳大好きではあるが、女の子の好みはルイズと辛い二律背反を抱えた男。 「地球なめんなファンタジー」は彼の名言。 ルイズ CV.釘宮理恵 才人のご主人様。貧乳その1。水瀬伊織ではない。 本名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。 名門貴族ヴァリエール家の娘でありながら、全く魔法が使えずいつも爆発ばかりさせていた。 そのことから仇名は「ゼロのルイズ」。 しかし実は伝説の系統"虚無"の担い手。 代表的なツンデレキャラだが、ヤンデレと言っても過言ではな……うわ何するやめ。 「うざい」と言うのは作者公認の感想。 良くも悪くも貴族であり、選民思想で周りに喧嘩を売りまくりもすれば、ノブレス・オブリージュに則り命を懸ける事もある。 でもこれが発揮された時は大体悪い方向に転ぶのがお約束……。 彼女の名前を空で言えれば立派なゼロ魔ファンである。 余談だが、原作挿絵とアニメでは別人のように顔が違うのも有名。 シエスタ CV.堀江由衣 魔法学院で働くメイド。巨乳その1。萩原雪歩ではない。 才人にベタ惚れで、甲斐甲斐しく才人の世話を焼く。 普段は大人しいが、ルイズに対して貴族と平民という身分の差を気にせず宣戦布告、 また性知識が乏しいルイズに官能小説を読ませたり胸のことをからかったりと(色々な意味で)勇敢な人。 ルイズが精神的に病んでたのを叱咤し立ち直らせた中盤以降はルイズの悪友に近い立ち位置になっている。 原作ではそばかすがあるが愛嬌のある顔立ちとなっているが、アニメでは無くなっていて普通の美少女。 同僚曰くきめ細やかなすべすべお肌らしい。 また祖父がどうやら日本から来たらしくトリステイン人と日本人のクォーターという事になる。 才人やルイズが精神的に不安定になった時は大体彼女の出番。 才人ハーレムではルイズとの関係を認めた上で、2号の座を狙う黒い人。だがそれがいい! アンリエッタ CV.川澄綾子 トリステイン王国の女王。巨乳その2。 ルイズの幼なじみで、昔はルイズがアンリエッタの遊び相手を務めていた。 スイッチが入った時のエロさは作中最凶。ノボルの筆が最もノるヒロイン。 正直、才人のED疑惑が持ち上がるレベルである。 ロイヤルbうわなんだやめr ティファニア CV.能登麻美子 巨乳その3にしてNo.1のおっぱい。別名・幸せ製造機。 人間とエルフのハーフで、細長い耳がついている。 ウエストウッド村でひっそりと暮らしていたが、才人たちの後押しもあり魔法学院の生徒となった。 彼女の胸はかなりの大きさで、男なら誰もがむにむにしてみたいと思うはず。 ナイスおっぱい!! その破壊力はバスト・レヴォリューションなる新たな言葉を生み出した。 タバサ CV.いのくちゆか 寡黙な少女。貧乳その2。 読書が好きで、いつも本を読んでいる。 昔のある事件をきっかけに、キュルケと仲良しになった。 タバサとは偽名で、本名はシャルロット。実はガリアの姫様だったりする。 メガネ・読書好き・無口・やけに主人公から頼られる「こいつに頼めば何とかしてくれる」的なポジションから、 一妻多夫の某宇宙人とどことなく似ている、気がする。 正統王女→暗部仕事人→留学生→暗殺者→囚われのお姫様→浪人→女王→囚われのお姫様→一地方領主の肉布団 という波乱の人生を送る。 余談だがキュルケとニコイチで行動していることとその外見から、正体が明かされるまで女装しているショタだと思い込んでた視聴者もいたとかいう話である。 外伝「タバサの冒険」では主人公をつとめる。 キュルケ CV.井ノ上奈々子 巨乳その4。 トリステインの隣国ゲルマニアの留学生で、褐色の肌が健康的なナイスバディー姉さん。タバサの親友で姉的存在。 領土がすぐ隣のルイズとは仲が悪いが別に心底嫌っているというわけではなく、むしろ高慢なルイズをからかうのを楽しんでる様子。 実際には何かとめんどくさいルイズのフォローに回ってくれてる情の深い女の子。 ちなみにT171/B94/W63/H95の超絶バディの持ち主だが、惚れやすく非常に冷めやすいという男泣かせな性格をしている。 初期は才人を落とそうと頑張っていたが最近はコルベールにベッタリで生徒と教師の関係など気にせず情熱的に迫る。 キュルケにしては珍しく冷める様子のないベタ惚れの模様。 実は生徒の中では1番常識人であるという噂も。 デルフリンガー CV.後藤哲夫 才人の愛用する、意思を持ってしゃべれる剣『インテリジェンスソード』。 魔法を吸収する能力を持ち、あちこちで才人の危機を救ってきた。 軽口を叩くいいかげんな性格だが、その過去にはなにかを秘めていそう。 しかし日常場面では出番が少なく、出れる度に喜ぶのがお約束。 ギーシュ・ド・グラモン CV.櫻井孝宏 才人がハルケギニアに来てはじめて戦ったメイジで、後に才人の悪友に。 顔立ちは悪くないがキザでお調子者でバカの三枚目。才人と並んでギャグパートのオチ担当。 実力そのものは高くないがやる時はやるし、貴族としての責を感じているシーンも多い。 序盤での問題行動を中の人関連で弄るのはやめてあげましょう モンモランシー・マルガリタ・ラ・フェール・ド・モンモランシ CV.高橋美佳子 キュルケとかとよく一緒にいるでこはっちん。「香水」の異名を持つ。 ギーシュのガールフレンドで、作中(ある意味で)最大の事件のトラブルメーカー。 登場当初はルイズをいびって楽しむよくあるイヤなお嬢様ポジションだったがいやまあルイズもどっちかというとその系統だが、 話を追うごとにお互いの彼氏がアレ、ということでルイズと悪友みたいな扱いに。 ケティ・ド・ラ・ロッタ CV.鈴木久美子 学院の一年生。黒髪の幼げな女の子。二つ名は「熾火」。 ギーシュに思いを寄せられていたがモンモランシーと二股をかけられていた。 スフレケーキを作るのが得意。 アニメでは非常に可愛らしくデザインされており、視聴者にも隠れたファンが多い。 マリコルヌ・ド・グランドプレ CV.時田光 飛ばない豚はただの豚。 ただし嫉妬に狂った時は周囲に恐怖を撒き散らす狂豚と化す。 俺たち代弁者。 あと途中で女に対してはMに目覚めた。 オールド・オスマン CV.青野武→島田敏 魔法学院の学院長。エロジジイ。 決めるときは決めるのだが、いまいち出番に恵まれない不憫な人。 齢300歳とも言われ、ゼロ魔の設定を混乱させている原因の一人でもある。 アニメ3期の後に中の人をしていたピッコロ大魔王がお亡くなりになったのでFではブロリーに代わった。 ジャン・コルベール CV.鈴木琢磨 魔法学院の教師で、髪の神に見放された人。 魔法至上主義のトリステインの貴族でありながら、 魔法を扱えない人たち(シリーズ序盤は露骨に被差別民扱い)にも柔らかい物腰で接する、 恐らくシリーズ一優しさを誇る良識人。 実は作中屈指のチート人物で、ファンタジー世界の生まれにもかかわらずに地球の道具を見ただけで産業革命ぶっちぎりの発明をする。 非常に理解力に優れ地球の道具の機構を見て理を明かし応用する知恵者。 エンジニアとしては某「こんなこともあろうかと」の人にも匹敵するのではないかと思われ、 才人が気兼ねなく地球の武器や道具を扱えるのは彼あってのこと。 また才人は彼が亡くなった(実際には生きてたけど)事を聞いた時にはルイズすら近よらせず一人で泣いている。 この事からもルイズや他の生徒たちとは違う信頼や親近感を持っていた事は間違いないだろう。 また魔法の腕もトリステイン屈指の実力だが、 当人の性格と過去の出来事により余り使う事を好まず、特に他者を攻撃する為に使用する事を極端に忌避する。 ちなみに唯一本気で戦ったところをキュルケに見られてしまい惚れられた。 この際、キュルケとタバサのトライアングルメイジ二人の奇襲をも容易に返り討ちにした相手を一蹴している。 なお魔法だけでなく剣技・体術にも非常に秀でているらしい。 エレオノール・アルベルティーヌ・ル・ブラン・ド・ラ・ブロワ・ド・ラ・ヴァリエール CV.井上喜久子 ルイズの姉でヴァリエール三姉妹の長女。父親似。 美人だが、別れた貴族の感想いわく「もう限界」。 しかもそれを伯爵が公爵令嬢を国の貴族が集まったパーティー会場に「もう限界」と記した手紙送り付ける形で振ったと言う中世貴族として考えれば不敬とかそう言うレベルを通り越した何かな所業をかましたにもかかわらず、 パーティー中の事件だった為ガッツリ聞いていた周囲の貴族が誰一人として彼を責めるどころかむしろ同情しか抱いていなかった程。 いやどんだけキツかったの……? この姉にしてあの妹あり、実によく似ている。 本当の感情を表に出さず強く当たる事を是としている辺り完全に姉妹である。 あと胸が貧しいのもそっくり。 中の人は17歳教のお姉ちゃん。あらあらうふふ系のキャラが多い彼女には珍しい役どころである。 カトレア・イヴェット・ラ・ボーム・ル・ブラン・ド・ラ・フォンティーヌ CV.山川琴美 ルイズの姉でヴァリエール三姉妹の次女。 母性の塊のような人で、ルイズの欠点をすべて改善して大人にしたようなかんじといえる理想的な女性。 ルイズにとって、才人に会うまでは唯一の心の支えといえる人物で、現在でもルイズは彼女にべったりである。 しかし不治の病に侵されており、自分の領地から出れないほど体が弱い。 独身なのに彼女だけ姓が違うのはこのためで、ろくに外出もできないことを憐れんだ親が分家させて、形だけでも独立させたため。 そのため、書類上はヴァリエール家の次女ではなく、フォンティーヌ家の当主ということになる。 もっともアニメ版では病弱の設定はほぼ形骸化しており、原作では出ないストーリーにも登場する。 しかしこの慈母の塊のような性格はどこで育まれたのか……母・姉・妹の三人とは見事に性格が異なっている。 ジェシカ CV.樋口あかり トリスタニアにある居酒屋「魅惑の妖精亭」の看板娘。 黒髪の美少女のさっぱりはつらつとした性格で才人ともすぐに打ち解けた。 客からの人気も高いが、チップはしっかりいただいて関係は決して超えることはないしたたかなプロでもある。 実はシエスタとはいとこ。 スカロン CV.後藤哲夫 魅惑の妖精亭の店主。 ジェシカの父でもあるが、筋骨隆々としたオカマ。 なぜこうなったかというと、妻と死別した後からジェシカの母親代わりにならないとと意気込んだのが行き過ぎたのだと。 しかし情に厚く優しい人柄からジェシカや店員の女の子たち皆から慕われている。 口癖は「トレビアーン」。 ジャン・ジャック・フランシス・ド・ワルド CV.志村知幸 The.かませ犬。才人のライバル的ポジションになるかと思われたが、そんなことはなかった人。 ちゃっかり1巻に出た土くれのフーケと腐れ縁となったおり肉体関係を持ってる役得な兄ちゃん。 お髭のナイスミドルに見えるが実際はまだ26歳。老け顔過ぎである。 ルイズとは親同士が決めた許嫁であったが、ルイズとの歳の差は10歳。 婚約が決まった時にはワルド16歳、ルイズ6歳。…社会制度を鑑みればおかしくはないが… アニエス・シュヴァリエ・ド・ミラン CV.根谷美智子 アンリエッタの親衛隊であり全員女性で結成された『銃士隊』の隊長。 メイジを除けば作中最強クラスの人物であり、才人に剣術の指南などをした。 自他共に厳しく、重い生い立ちをしているために彼女が出るとシリアス展開になりやすい。 しかしアニメ版では(中の人の演技もあってか)ややキャラ崩れしており、顔芸やギャグシーンが増えた。 なお、事務仕事は苦手で、特にアニメ版では何度も管理体制の不備で危機的状況を招いてしまった。 ミシェル CV.石松千恵美 銃士隊の副隊長。アニメ2期のオリジナルキャラクター。 アニエスに輪をかけて気が強く生真面目な女騎士。特に才人とは仲が悪い。 実力もあり、アニエスからの信頼も厚いが、反面生き急いでいるような余裕のなさもある。 中盤、学院で起きた事件の捜査を始めるが…… モット伯ほど使いやすい設定ではないからか二次創作での出番は少なめ。だが登場した場合には重要キャラ化する場合もあったりもする。 ちなみに銃士隊はアニメ・原作含めても名前ありのキャラはアニエスとミシェルのふたりしかいない。 ベアトリス・イヴォンヌ・フォン・クルデンホルフ CV.辻あゆみ ルイズたちの進級後に入学してきた一年生の少女。 国内屈指の資産力を持つクルデンホルフ家の令嬢であり、ギーシュの実家らは借金をクルデンホルフ家に背負っているので上級生らも頭が上がらない。 性格は典型的な高飛車なお嬢様で、ティファニアに因縁をつけて彼女を異端審問にかけようとしたがルイズに異端審問の資格を持っていないことを看破されて追い詰められる。 しかし孤立したところをティファニアに「お友達になりましょう」と呼びかけられたことで涙を流しながら彼女と和解。 その後はティファニアにすっかり懐いてしまい、ティファニアが辟易するほどべったりされている。 ジョゼフ1世 CV.小杉十郎太 原作後半にいたるまでの才人たちの宿敵と呼べる人物。 大国ガリアの国王であり、無能王と世間からは呼ばれているが、 実は悪魔的な策謀を張り巡らす知者であり、劇中の多くの事件が彼の差し金によるものである。 戦術的な思考を超えた複数の国家を巻き込む遠大な戦略を練っており誰も策謀その物を気づけなかった。 だが、彼自身に野心や欲望といったものはなく、その動機は過去に起こしたある事件でうしなった「あるもの」を取り戻すためでしかない。 そのスケールは暇つぶし同然に国家間の戦争を起こすほどで、 しかも非常に周到に行動するために、才人たちも彼が黒幕だと知ったのは中盤に入ってからだった。 シェフィールド CV.勝生真沙子 ジョゼフに仕える虚無の使い魔ミョズニトニルンで、あらゆる魔道具を自在に操れる能力を持つ女性。 主人であるジョゼフに絶対の忠誠を誓っており、彼のためであればいかに非道な行為でも平然と行う冷酷さを持つ。 序盤から中盤までの事件のかなりの割合が彼女が策動して起こしたものである。 シェフィールドというのは偽名であり本名は不明。東方の神官の出身であるらしい。 ヴィットーリオ・セレヴァレ CV.立花慎之介 ブリミル教の総本山、ロマリア皇国の教皇。神官ジュリオ・チェザーレの主人でもある。 決して悪人という訳ではないのだが、ブリミル教の悲願のためなら手段は選ばない本質的には冷酷無比な人物。 原作後半からの数々のえげつない策謀や最終目的から一時期彼がラスボスになるのではとも噂されていた(実質ラスボス的な存在ではある)。 なお、ブリミル関連の設定には数多くのきな臭い謎や矛盾が見受けられている。 ジュール・ド・モット CV.松本保典 トリステイン王国の貴族。アニメ1期のオリジナルキャラクター。通称モット伯。 美少女の使用人を集めてはいかがわしいことをさせている、という典型的な悪徳貴族。 しかし話せばわかるところもあり、善人とはいえないが悪人とも言い切れない面もある。 二つ名は『波濤』。なにげにメイジとしての実力は作中屈指の高さを持つ。 二次創作では頻繁に登場し、悪役キャラとしてかませにされるが、ギャグ色の強い作品ではただのエロオヤジとして笑いを取りに来る。 エンシェントドラゴン アニメ版におけるラスボスで原作には登場しない。 エルフの伝説における大災厄そのものであり、ハルケギニアを滅ぼすために暴れまわる。 シルエットはオーソドックスなドラゴンであるが、冷えた溶岩のような外皮から赤い肉体がところどころ見えているなど禍々しい姿をしている。 例えるならばシン・ゴジラの第四形態そのままである。強さは比較にもならないが…… 飛行能力と口からのブレスのほか、野生のドラゴンや竜騎士のドラゴンを洗脳して手駒にする能力も有している。 ハルケギニアの武力では歯が立たない相手だったが、才人が自衛隊から持ち出した戦闘機のミサイルで大ダメージを受けるなど、 地球のレベルからしたらたいしたことはなく、ぶっちゃけ『ス●イヤーズ』や『フェア●ーテイル』の世界だったら2ページでやられてそうな敵である。 まあ水爆食らったりマグマの中で水泳したりするような怪獣たちと日常的に戦っている某島国の基準がおかしすぎるだけかもしれないが。 余談 登場人物の多くは17~18世紀のフランス革命前の歴史上の人物から名前が取られている。 地名もまた同様(*1)であり、世界史専攻した学生ファンは教科書をめくってるだけで楽しめる事であろう。 作者ことヤマグチノボルも相当な変態であった。 まあ本業はエロゲのシナリオライターであるし、 本作の執筆動機も「ハリポタのハーマイオニーたんに詰られたい踏まれたいハアハア」だったらしいことからも納得である。 あとがきにもよくそれが滲み出ており、初期は"ややおかしい人"レベルだが、だんだんと"ただの変態"レベルになっていく。 「ハムラビ法典! ハムラビ法典! ハムラビ法典!」 「ヒアイズファンタジーワールド! ヒアイズファンタジーワールド! ヒアイズファンタジーワールド!」 「と ま っ て い る」 ルイズたんのコピペは一度は目にした事があるであろう。 ルイズへの愛を最大限に叫んだ気持ち悪いコピペである。 ■アニメ版 アニメ版は4期まで放送。 こちらは途中から原作とは異なるストーリーではあるが、 ラノベアニメによくある「続きは原作で!」とか「俺達の戦いはこれからだ」エンド等ではなく綺麗に完結している。 ○ゼロの使い魔(第1期) 2006年7月~9月放送。全13話。 監督:岩崎良明 物語開始からルイズの虚無魔法覚醒までを描いたストーリー。 ただし、本来この先のイベントがフライング的に盛り込まれている。 オリジナルストーリーとしてモット伯編がある。 また、ルイズは原作では召喚台詞を言っておらず、有名な「この世のどこか~」の文句はアニメ発祥である。 ○ゼロの使い魔~双月の騎士~(第2期) 2007年7月~10月放送。全12話。 監督:紅優 アルビオン戦争終結までを描かれている。しかし戦争の描写の大半が割愛されてしまっている。 オリジナルストーリーは1期よりも増えた。また、準レギュラーのオリジナルキャラクターとして銃士隊副長のミシェルが登場する。 ○ゼロの使い魔~三美姫の輪舞~(第3期) 2008年7月~9月放送。全12話+OVA1。 監督:紅優 タバサ救出までをなぞる。本作は原作にやや忠実でオリジナル展開は少ない。 その代わりにOVAは完全オリジナル。 キュルケたちが精霊魔法を使ってしまい、DVDで修正されたことが地味に有名。 ○ゼロの使い魔F(第4期) 2012年1月~3月放送。全12話。 監督:岩崎良明 シリーズ構成にヤマグチノボルが参加。 アニメ最終作。原作が未完のために大半の伏線が未回収であるが、仕方がないことであろう。 オリジナルのラスボスとしてエンシェントドラゴンが登場。 いずれの作品もOPはICHIKOが、EDはルイズ名義で釘宮理恵が担当している。 ◇ゲーム版 恋愛アドベンチャー ○小悪魔と春風の協奏曲(2007年) ○夢魔が紡ぐ夜風の幻想曲(2007年) ○迷子の終止符と幾千の交響曲(2008年) ※いずれもPS2対応。 オリジナルキャラクターの春奈に人気があり、二次創作作品でもちょくちょく登場することがある。 SRPG ○超ヒロイン戦記(2014年) クロスオーバー型ゲームで、一言で言えば『美少女アニメ版スパロボ』 ゼロ魔からはゼロの使い魔Fが参戦した。 ただし、ゲーム本体としての出来は悪くないものの、参戦作品が一部を除いてマイナーなものやブームを大きく過ぎたものが多く 発表当時は「ガンダムもマジンガーもいないスパロボ」「有名どころにオファーを断られまくった余りものの寄せ集め」などと呼ばれた。 使用可能キャラはルイズ、シエスタ、ティファニアの三人。 しかしルイズはエクスプロージョン一辺倒であるし、シエスタもティファニアもバトル向けキャラではないため戦闘シーンはかなり違和感がある。 PS3及びPSVITA対応。 ◇二次創作 ラノベ原作の二次創作作品は数多いが、ゼロの使い魔はその中でも特に二次ssが多く作られた。 理由は、人気作だったということも当然であるが、当時はまだ異世界転生ものが決してメジャーなジャンルではなかった(*2)ため、 非常に二次創作に持って行きやすい設定だからということが大きい。 小説投稿サイトで二次創作が可なところでは、ほぼ確実にゼロの使い魔の検索欄がある。 しかし、貴族主義で平民が圧迫されているという世界観や、ルイズの性格に対してのアンチも多く、 一時期はただ単にメアリー・スーをするだけの駄作が氾濫し、原作を読んでいないけどルイズが嫌いですと公言するような 恥知らずな二次作家が溢れたせいもあって、二次創作小説の衰退、投稿サイトの規制強化につながった面も忘れてはいけないだろう。 現在では、極端なヘイト作品はおおむねの投稿サイトで規制されるために落ち着いており、全盛期ほどではないが 作品は増え続けている。 神聖で美しく、強力なアニヲタ民よ! 私は心より求め、うったえるわ。 この項目を追記・修正しなさいっ! △メニュー 項目変更 この項目が面白かったなら……\ポチッと/ -アニヲタWiki- ▷ コメント欄 [部分編集] 追記乙 -- 名無しさん (2013-04-13 14 27 26) もしも作者がご存命だったなら、監修してたアニメ版4期をなぞる終わり方したのかな? -- 名無しさん (2013-08-29 22 37 11) プロットとか残ってないのかな…… -- 名無しさん (2013-10-10 18 20 30) ツンデレ(笑)暴力ヒドイン -- 名無しさん (2013-12-01 23 36 01) ↑x2制作動機が作者のリビドーである以上、別人が書くとテイストが大幅に変わる危険性がある。プロットが残っていたとしても、それをもとに続編を…というのは難しいのでは。 -- 名無しさん (2013-12-01 23 42 14) とは言え、何らかの形で終わらせてほしいな。極端にテイストが違わなければ別人が執筆してもいいかもね。 -- 名無しさん (2014-01-23 00 32 10) 風の聖痕見たいに、遺稿をまとめた最終巻とかなら敷居が低いかな -- 名無しさん (2014-01-23 00 35 41) 執筆動機が「ハーマイオニーたんに踏まれたいハァハァ」だったのは本当の話なのだろうか -- 名無しさん (2014-04-04 12 07 53) 吉田直さんの「トリニティ・ブラッド」みたいに作者が亡くなって未完になったのが残念 -- 名無しさん (2014-04-08 23 33 57) クロスオーバーしやすい設定だから全盛期はルイズに召喚されてない作品を探すほうが大変なくらい二次があったなあ -- 名無しさん (2014-05-23 12 22 47) ↑×3、 ハリポタの二作目の制作が発表されたころにHPの日記にそれらしいこと書いてたらしい。オレ自身はコピペでしかみたことないから本物かはわからんけど ハーマイオニーの椅子になって座られたいとか、「この薄汚い椅子は今日も私のお尻をさわって…」と罵られたいとか -- 名無しさん (2014-05-31 00 06 54) ↑x2なんでも、実写トランスフォーマーのブラックアウトが召喚される話まであったそうじゃないか。 -- 名無しさん (2014-05-31 00 10 44) 一妻多夫の某宇宙人って誰だ? -- 名無しさん (2014-05-31 12 22 35) 最近、ラノベもいいな、と思ってこれを購入したから、今日はラノベ記念日。 -- 名無しさん (2014-07-02 11 44 41) ↑項目にも書いてあるけど作者が亡くなって、完結まであと2巻か3巻くらいの所で未完になってるから覚悟しとけよ -- 名無しさん (2014-07-02 12 10 56) ↑大丈夫。脳内補完するから。 -- 名無しさん (2014-07-07 00 18 51) 確か核兵器が出た辺りで終わったんだっけ。立ち読みレベルでしか知らないけど。 -- 名無しさん (2014-09-12 17 27 16) 正確には核ミサイル装備の原潜な。もしも使用したところまで書かれてたらゴジラとのクロスも生まれてたと思う -- 名無しさん (2014-12-06 21 44 02) ゴジラとのクロスはあったよ。物語も始まらん所で終わってたけど -- 名無しさん (2014-12-30 23 42 02) 最近のニコニコニュースでアニメのツンデレキャラ10選てのあってルイズが入ってた。というか半分近くがくぎゅキャラだったが -- 名無しさん (2015-02-22 15 59 05) 思えばファンタジー+ミリタリーの元祖とまではいかなくても最初期の作品なんだよな。ミリ姫や艦これでミリタリーへの関心が強い今でこそヤマグチ先生は活躍してほしかった -- 名無しさん (2015-05-07 02 49 03) ゼロの使い魔復活!!やったぜ!! -- 名無しさん (2015-06-25 22 41 44) 代筆者ね…。できればいい方向で終わりゃいいんだが。ともあれ、復活おめでとう -- 名無しさん (2015-06-26 23 06 03) プレッシャー半端なさそうだな代筆者。 -- 名無しさん (2015-06-26 23 10 20) 先生公認ってどういうこと?入院した時にもしもの時の為に代筆者を選んでいたの? -- 名無しさん (2015-06-26 23 27 24) 生前に編集部と相談して決めたとのことだから、もう自分は間に合わないと感じたんだろうなあ。 -- 名無しさん (2015-07-03 09 04 26) 公認代筆者ってことは自分が書ききれなかった時を考えてこう完結するつもりを話した人がいるんだろうね、作品が完成しないことや読者にラストを見せてあげようって気持ちが強かったんだろうな・・・ -- 名無しさん (2015-07-03 09 54 23) ゼロの使い魔の続きが見れるなんて。こんなに嬉しいことはない -- 名無しさん (2015-07-03 18 15 10) 外伝の烈風の騎士姫の続きも見たいがさすがにそこまでは無理だろうか? -- 名無しさん (2015-07-04 09 52 06) 今じゃ山のように粗製乱造されてるファンタジー世界に現代人が召喚されるというジャンルを確立させた作品だよな。その末路がどうなるのか、最初期の作品だけに是非見てみたい -- 名無しさん (2015-07-31 03 18 51) ↑実はダンバインという先駆けがあるんだぜ。 -- 名無しさん (2015-07-31 08 59 39) ↑ほかにもNG騎士ラムネ&40とか魔人英雄伝ワタルとかもあるかなwちなみに全部地球人が異世界に召喚されてロボットに乗って戦う!昔のロボものでちらほらあったw -- 名無しさん (2015-07-31 09 13 55) 昔からあるっちゃあったんだよ、ただラノベの流行り始めにゼロ魔が人気出たからその手の設定のラノベの代表作みたいな感じなだけで -- 名無しさん (2015-10-07 23 47 28) 代筆とは言え続刊は嬉しいけど不安な面も多々あるなあ。言葉にしにくいけどどんな物語でも作者ごとのクセみたいなもんがあっから -- 名無しさん (2015-10-07 23 50 29) ↑そりゃそうだけど、どうしたってノボルが生き返るわけじゃないんだから贅沢を言い出せばきりがない。こういうのは期待の60パーセントでも満たされれば上々ってものだよ -- 名無しさん (2015-10-08 05 41 14) 亡くなられたころ、後一冊分は書き溜めたもの(下書き?)があるからそれを出せれるようにする…っていう感じの記事みたことがあったけど…それベースなのかなぁ代筆。 -- 名無しさん (2015-10-08 05 45 52) ぶっちゃけどれだけ正確にヤマグチ先生の癖を再現して完璧なゼロ魔を仕上げたとしても、絶対にこれは違うとかこんなのゼロ魔じゃないと喚き出す奴らは出て来る。 -- 名無しさん (2015-12-21 15 46 29) ↑大山ドラしか認めないって人間が懐古厨として冷笑しかされないようになるまでかかったように、時間が解決してくれるまで待つしかないな -- 名無しさん (2015-12-21 16 03 47) ヤマグチ先生が本当に望んでいるものは何か、それは託した者が無事に完結させてくれることではなかろうか。ヤマグチ先生らしさをめぐる終わりのない議論をする事が、亡くなった先生の望みなのか。違うと思う。 -- 名無しさん (2016-02-01 19 53 25) 当の21巻には代筆者の名前がなかったけど、こういうのって出さないのが普通なの? -- 名無しさん (2016-02-25 12 31 25) 普通かどうかは知らんが出さんが妥当だろう -- 名無しさん (2016-02-25 20 19 42) 出版社の人達も変な先入観が持たれないようにあえて代筆者明かさないってさ。ちなみに印税面は遺族の方々と話はつけているって -- 名無しさん (2016-02-29 23 20 17) 代筆者は先生と担当者の共通の知人の作家さん -- 名無しさん (2016-02-29 23 21 57) 時間かけただけに21巻は20巻以前との違和感はほとんどなかった -- 名無しさん (2016-04-17 12 01 30) 神撃のバハムートとのコラボは良イベだった。ルイズの虚無ってミスタルシアの視点で見ても相当なものなんだな -- 名無しさん (2016-05-27 15 51 49) アニメとある程度合わせてあると言う事は最終巻で教皇が死ぬかな -- 名無しさん (2016-07-12 00 27 39) 原作ももうすぐ終わりか。アニメと同じく結婚式から地球行きでしめるか、それともまったく別の終わり方をするのか -- 名無しさん (2017-02-04 23 37 50) いやー上手く畳んだわ、お疲れ様でした。ネタバレだが↑は前者だっだな(内容は違うが) -- 名無しさん (2017-03-02 15 18 18) 復刻イベントでまた神撃のバハムートでコラボとはな。追加カードもあるみたいだし粉を吐き出すつもりでやろう -- 名無しさん (2017-03-07 21 21 56) デルフリンガーの中の人、亡くなられたのか…。ご冥福をお祈りいたします -- 名無しさん (2018-11-09 09 25 01) 原作準拠の再アニメ化をして欲しい作品の一つ -- 名無しさん (2020-11-08 10 04 54) 残念なところは展開がワンパターンすぎたというところかなあ。サイトとルイズが何らかの理由で離ればなれになっては再会するシチュエーションがとても多い -- 名無しさん (2021-09-23 23 06 23) どっかで北朝鮮による拉致被害を風刺している作品とか言われてたな。まぁ確かにある日突然全く知らない土地に連れ去られて使い魔という名の『奴隷』として(後に改善したが)家畜同然の扱いを受けてたり割とブラックなところが初期はあったよね。 -- 名無しさん (2022-01-15 16 50 14) ↑今見たら女の子の着替えを手伝ったり下着を洗濯したりとご褒美としか思えないけどな -- 名無しさん (2022-07-17 09 38 47) 「死にたくねえよ畜生」「相棒はてんで義理堅えや」 -- 名無しさん (2023-01-04 13 48 30) ↑2そりゃ相手が美少女だからコメディだけど、これがオッサンだったら地獄なんだよなあ… -- 名無しさん (2023-01-08 15 34 12) 偶然だとは思うけど、所々に銀河英雄伝説をモチーフにしているような描写があるのは気のせいだろうか? 何故か両作品は既視感を覚える感じがする。 -- 名無しさん (2023-04-10 20 10 18) 報告にあった荒らしコメントを削除しました。 -- 名無しさん (2023-06-04 21 22 29) ハーメルンではまだかなりの数の新作が投稿され続けてるから新規の読者も増え続けてると思えて嬉しい -- 名無しさん (2023-06-29 20 10 58) ツンデレ、貧乳、巨乳、メイド、エルフ、メガネロリ、etc……性癖の開拓および発展にこれほど貢献した作品はそうはあるまい -- 名無しさん (2024-05-29 20 52 24) 完結はしたけど、結局『東の国』『ブリミル周りの真相』『虚無の魔法の正体』については明かされなかったね。ただ、断片的とはいえ正解に近い解釈ができるのがすごいところ。 -- 名無しさん (2024-05-30 12 50 41) 最終盤でのブリミルの発言から高次存在の何らかの介入や思惑があった事は間違いあるまい。 -- 名無しさん (2024-05-30 13 56 46) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/1033.html
重々しい音を立てて魔法学院の正門が開き、王女の乗った馬車の一行が到着した。 整列した生徒達は一斉に杖を掲げて、王女アンリエッタの来訪を歓迎する。 敷き詰められた緋毛氈の上にアンリエッタが降り立つと、生徒達から一斉に歓声が上がった。 ギアッチョとルイズ、それにキュルケとタバサ、ついでにギーシュとモンモランシーも手を振る王女を眺めている。 正確に言えば、タバサだけは地面に座って我関せずで本を読みふけっていたが。 ギアッチョはしばらく興味深げに王女や御付の人間達を眺めていたが、やがて飽きてきたらしい。 あくびを噛み殺して隣の少女に眼を向けると、ルイズは紅潮した顔で一点を見つめている。 何とはなしにその視線を辿ると、どうやらルイズが見ているのはつばの広い羽帽子の下から凛々しい口髭の覗く、護衛の男のようだった。 「知り合いか?」 と声を掛けてみるが、聞こえていないのかぼんやりと男を見つめたままルイズは何の反応も返さない。 ギアッチョも別に気になっているわけでもなかったのですぐに顔を戻した。 「あの人はきっと魔法衛士隊の隊長だね」 と言ったのはギーシュである。 「何だそりゃあ?」 アンリエッタに鼻の下を伸ばしていたことがバレたらしく、モンモランシーに足を踏みつけられた格好のままギーシュは続けて説明をする。 「女王陛下の護衛隊さ グリフォン、マンティコア、ヒポグリフの三つの隊があるんだが、あのマントの刺繍からするとグリフォン隊だろうね 僕達メイジには憧れの存在だよ」 「・・・マンティコア?」 聞き覚えのある単語に、ギアッチョは記憶を辿る。 ――あれは・・・プリニウスの博物誌だったか? 確か、とギアッチョは思い返す。ギアッチョが読んだ記述では、それはライオンの身体を持つ化け物だった。 それだけなら問題はないのだが、博物誌ではその前後に「人面に三列の歯を持つ」という記述があり、おまけに彼が読んだものにはご丁寧に口の下にもう一つ口がついた顔で人面のライオンが不気味に微笑んでいる挿絵までついていて、その気持ち悪さにギアッチョは一瞬で本を二つに引き裂いたのだった。 更に出禁の図書館が増えたそんな記憶を思い出して、ギアッチョはギーシュに眼を向けて一言、 「てめーらのセンスはわからねー」 と呟いた。 さてその夜。ルイズは未だに思案顔でベッドに転がっていた。ギアッチョやデルフリンガーが何を言っても生返事である。 「それで、ルイズの嬢ちゃんはどったのよ?」 とデルフが問いかけるが、ルイズはやっぱりうわの空で「あー」とか「うー」とか言うだけなので、仕方なくギアッチョが返事をする。 「さぁな・・・昼からずっとこの調子だがよォォ~」 ルイズは何かを思い悩んでいるようだった。 「あのヒゲが憎いなら暗殺してやるぜ」と言おうかと思ったギアッチョだったが、どうもそんな感じの悩みではなさそうだったのでやめておいた。 他に何か言ってやるべきかと少し考えたが、数秒の黙考の後どうせ明日になったら治るだろうと投げやり気味に結論してギアッチョはさっさと藁束に寝転がる。 その時、トントンと決められたような間隔を空けて扉がノックされ、ルイズはその音にハッと飛び上がると急いで服を着て扉に駆け寄った。 果たして、入ってきたのは真っ黒な頭巾をすっぽりと被った少女だった。 ノックの合図はギアッチョにとって懐かしいもの――己が仲間であることを知らせるサインだったので、彼は特に警戒はしなかった。 しかしノックの後に入ってきた人物が黒い頭巾で正体を覆い隠しているとなれば話は別である。 ギアッチョはさりげなくデルフリンガーに手を掛けて少女の動向を見守った。 しかしギアッチョの心配は杞憂だった。少女は黒いフードを外すと、 「ああ、ルイズ・フランソワーズ!お久しぶりね!」 と感極まった声で言うや否や跪いたルイズに抱きついた。 「姫殿下!いけません、こんな下賎な場所へお越しになられるなんて!」 ルイズがかしこまった声で言えば、 「そんな堅苦しい行儀はやめてちょうだい!ルイズ・フランソワーズ、わたくしとあなたはお友達じゃないの!」 フードの少女――アンリエッタ王女は即座にそれを否定する。 ギアッチョは小さく溜息をつくと、デルフリンガーを元の場所へ立てかけた。 聞けばアンリエッタは閉塞した宮廷にうんざりしているらしい。 幼馴染であるらしいルイズとしきりに昔話に興じている。 「・・・・・・結婚するのよ、わたくし」 ひとしきり思い出を語り合った後、王女は無理に笑顔を作ってそう言った。 その声に何か悲しげなものを感じて、ルイズは複雑な顔で祝いの言葉を述べた。 そこで初めて、アンリエッタは藁束の上に座るギアッチョの存在に気付く。 「あら・・・ごめんなさい もしかしてお邪魔だったかしら」 「お邪魔?どうして?」 「だって、そこの彼・・・あなたの恋人なのでしょう? いやだわ、わたくしったら つい懐かしさにかまけてとんだ粗相をいたしてしまったみたいね」 そう言って、アンリエッタはすまないという顔をする。 「こ、恋人?ギアッチョが?わたしの?」 思ってもみなかった角度からの攻撃に、ルイズは少しうろたえる。ちらりとギアッチョに眼を向けると、思いっきり視線がぶつかった。 途端に顔が赤くなるのを感じて、ルイズは理由も分からぬままにバッと俯いて顔を隠す。 「そそ、そんなんじゃありません!これはただの使い魔です!」 「・・・使い魔? 人にしか見えませんが・・・」 アンリエッタは小首をかしげた。 「人です でも使い魔です」 自分をルイズの恋人と勘違いしたアンリエッタをギアッチョは「大丈夫かこのガキ」 といった眼で観察していたが、ルイズにとっては幸いなことにそんなギアッチョの心がアンリエッタに気付かれることはなかった。 「そうよね ルイズ、あなたって昔からどこか変わっていたけれど・・・相変わらずね」 アンリエッタはそう言って物憂げに笑う。 ルイズはギアッチョの凄さをそりゃもう徹夜で語ってやりたい気分だったが、王宮に彼の力を知られるのは流石に不味いかと思い、多少の罪悪感はあるもののそ知らぬ顔で通すことにした。 「――それよりも 姫様、どうなさったんですか?」 この部屋に入ってきた時から、アンリエッタに元気がないことにルイズは気付いていた。 ルイズのその言葉に、アンリエッタは話そうか話すまいか悩む素振りを見せたが、やがてぽつぽつと語りだした。 アルビオンの貴族達が反乱を起こし、今にも王室を打倒しそうであること。 アルビオンを制圧すれば、彼らは次にこの小国トリステインに攻め入ってくるであろうということ。 それらに対抗する為に、トリステイン王女アンリエッタの嫁入りという形でゲルマニアと同盟を結ぶことになったということ。 それらをいちいち大げさな身振りで説明するものだからギアッチョはいい加減うんざりしてきたが、ルイズが真剣に聞いているので仕方なく黙って耳を傾けていた。 この分だと何かの任務を任されるかもしれない。 アンリエッタの話は続く。ゲルマニアとの同盟を阻止する為に、貴族達は婚姻を阻止する為の材料を血眼で捜していること。 そして、ある時自分のしたためた一通の手紙が、その材料であるということ。 「・・・そ、その手紙はどこにあるのですか?」 ルイズの眼は真剣だった。ギアッチョは呆れた顔で彼女を見ているが、特に何も言いはしなかった。 手紙のありかはアルビオン。正に戦の渦中の人、アルビオン王家のウェールズ皇太子が所持しているという。 「ああ・・・破滅です!ウェールズ皇太子は遅かれ早かれ反乱勢に囚われてしまうでしょう そうしたらあの手紙も明るみに出てしまうわ!」 アンリエッタはそう言って泣き崩れる。そんな彼女を見て、ルイズは一も二も無く立ち上がった。 「ギアッチョ・・・わたし達を助けてくれる?」 懇願するようなルイズの言葉にギアッチョは何度目かの溜息と共にやれやれという言葉を吐き出すが、 「・・・ま、オレは使い魔だからよォォ~~ 面倒だがついて行ってやるとするぜ」 実にあっさりと承諾した。 知ってか知らずかルイズの良心につけこむ話し方をするアンリエッタは正直胸糞悪かったが、万一この国が戦争になりでもしたら面倒になりそうだということと、他の国も一度ぐらいは見てみたいという好奇心が合わさった結果そういう結論に達したのだった。その言葉を聞いて、ルイズの顔がぱぁっと輝く。 「姫殿下!わたし達にお任せください!わたしの使い魔がいれば、どんな任務でもきっと達成して御覧にいれますわ!」 そう言ってルイズは凹凸に乏しい胸を誇らしげに張る。デルフリンガーはそんなルイズを見て、 「えらく信頼されてんねダンナ」 と笑ったが、ギアッチョは不機嫌そうに鼻を鳴らすだけだった。もっとも彼が不機嫌そうに見えるのは全くいつものことだったが。 話が纏まると多忙なアンリエッタはすぐに部屋を辞し、ギアッチョとルイズは明日に備えて早々に寝床に就き。彼らの多忙な一日は、こうして終わりを告げた。
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/4179.html
「シャーリー」からシャーリー・メディスン召喚 ゼロの使い魔はメイド-01 ゼロの使い魔はメイド-02 ゼロの使い魔はメイド-03 ゼロの使い魔はメイド-04 ゼロの使い魔はメイド-05 ゼロの使い魔はメイド-06 ゼロの使い魔はメイド-07 ゼロの使い魔はメイド-08 ゼロの使い魔はメイド-09 ゼロの使い魔はメイド-10
https://w.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/938.html
サブ・ゼロの使い魔 第二章 傅く者と裏切る者 ――また、あの夢だった。古びた部屋にいる、誰かになった自分の夢。 だが、今回はいつもと違った。ルイズがその夢を知覚したと同時に、全ての霧はざあっという音と共に消え去り――そしてその瞬間、ルイズは部屋にいる男達のことをまるで遥か昔から知っているように理解していた。 後ろのソファに座って仲良く話している二人・・・ソルベとジェラート。 椅子に座ってテーブルの上の変な物体を叩いている男・・・メローネ。 椅子の背に手を置いて彼の肩越しにそれを覗き込んでいるのは、イルーゾォ。 立ったまま壁に背を預けて本を読んでいるリゾットは、たまにこちらを見てはやれやれといった顔をしている。 そして先ほどから二人して自分に怒鳴り続けているのはホルマジオとプロシュート。 二人がかりの説教を喰らっている自分は・・・そう、ギアッチョだった。 「ギアッチョッ!何度言ったら分かるんだてめーッ!!」 プロシュートが上半身を乗り出して怒鳴っている。 「しょーがねーなぁぁぁ これで何冊目だっつーんだよギアッチョさんよォォ」 右手に持った本だったものの残骸をバンバンと叩きながらホルマジオもプロシュートに加勢するが、当のギアッチョはどこ吹く風で受け流す。 ・・・というか全く聞いていない。 「何で3ページで打ち切りになるんだよォォォ~~~ッ!! ナメてんのかオレをッ!!クソッ!クソッ!!まそっぷって何だ!バカにしやがって!!」 イルーゾォが呆れた顔でプロシュート達を見る。 「だから言ったじゃあないか・・・ギアッチョにだけは物を貸すなってよォー」 「そのくらい諦めるんだな オレなんてパソコンを破壊されてるんだぜ」 同じく顔を上げたメローネはそう言って首を振った。ソルベとジェラートはそんな彼らをニヤニヤ笑いながら眺めている。 「外野は黙ってろッ!今日という今日は許さねぇぜギアッチョ!」 「仲間に対する敬意ってもんが足りねーんじゃあねーか?オイ」 プロシュート達の怒りは全く収まらないようだった。 「やれやれ・・・ お前達・・・その辺にしておけ そんなことをいくら言おうがギアッチョには通じないことぐらい知っているだろう」 パタンと本を閉じて、リゾットがリーダーらしく彼らを制止する。 プロシュートとホルマジオは「甘いぜリゾット」という視線を彼に向けるが、リゾットが続けて「ギアッチョ、お前は弁償しておけ」と言ったのを聞いてとりあえずその場は収めることにした。ギアッチョはその言葉に不満げな表情で財布を出し―― ――場面が飛んだ。 ギアッチョの前には古びた扉がある。決まったリズムでそれを叩くと、少ししてから軋んだ音を立てて扉が開いた。 「仕事は終わったぜ、リゾット」 扉を開けたリゾットにそう報告して、ギアッチョは中に入る。 彼に続いてメローネが入ってきたのを確認して、リゾットは彼らにねぎらいの言葉をかけた。 「・・・ま、今回もくだらねー仕事だったがよォォ どうせやるならもう少し面白みのあるやつを回してもらいてぇもんだ」 とギアッチョが言えば、 「簡単なのに越したことはないさ・・・ こんなはした金で命を捨てたくはないからな」 タッグを組んでいたメローネがそう答える。ギアッチョはフンと鼻を鳴らすとどっかりと椅子に腰を落とした。 と、ウヒャヒャヒャヒャという聞き慣れた笑い声が場に響き、ギアッチョ達は声を発した男に目を向ける。 ホルマジオはイルーゾォと机を挟んで向かい合っていた。 二人の横にはプロシュートが陣取り、奥のソファには相変わらずソルベとジェラートが座っている。 そして彼ら全員の視線が集まっているのは、テーブルの上にあるチェス盤だった。 ホルマジオは盤からイルーゾォに視線を移して言い放つ。 「チェックメイトだ オレの勝ちだぜイルーゾォ!」 「バ・・・バカな・・・ただのポーンなんかにィィィ!」 イルーゾォが信じられないという顔で叫ぶ。 「クハハハハハハッ!分かってねェーなァァ チェスって奴をよォォー! 駒の強さなんてもんは所詮ここの使い方一つだぜェェ~」 ホルマジオは人差し指で自分の頭をトントンと叩きながら言った。 「クッ・・・クソッ!再戦だ!もう一度やらせろ!」 「ダメだね ほら!とっとと賭け金をよこしなよイルーゾォよォ~!」 イルーゾォの願いをホルマジオはあっさり跳ね除けた。イルーゾォはしばらくの間「再戦の拒否は許可しないィィィー!」等と叫んでいたが、結局彼のスタンド、リトル・フィートにガッシリ押さえ込まれて財布から二割増しで金を抜き取られていた。 「やれやれ どきなイルーゾォ オレが仇をとってやるよ・・・なぁに、ボードゲームは得意なんだぜ」 メローネが自信たっぷりに椅子に座り、 速攻で敗北した。 部屋の隅で頭を抱えているメローネを尻目にギアッチョが挑み、敗北。プロシュートが挑み、敗北。ソルベが挑みジェラートが挑み・・・ 敗北。敗北。敗北。 「てめーイカサマやってんじゃねーだろーなァァーー!!」 「何逆ギレしてんだオイ!しょぉぉがねーなァァアァ!」 度重なる敗北についにギアッチョがブチ切れた。 その瞬間、今がチャンスとばかりにプロシュートがホルマジオを蹴っ飛ばし、そのスキにソルベとジェラートが彼に飛び掛り、イルーゾォが一瞬でその財布を奪い取り、メローネが皆の取り分を計算して分配した。 「ちょっ・・・何やってんだてめーらァァァ!!」 「うるせェェェ!勝負になるかボケッ!!」 七人はギャーギャーと騒ぎ続け、リゾットはそれをいつものことだというような眼で見つめていた。 そしてもう一人、ギアッチョの眼を通してルイズもまた彼らを見つめている。 喧嘩ばかりしているが、ルイズの眼には彼らはとても楽しそうに見えた。 常に四面楚歌で命のやり取りをしているからこそ、きっと彼らは死よりも強い絆で結ばれているのだろう。 バカ騒ぎを続ける彼らを、ルイズの心は羨ましそうに見つめていた。 そうしてルイズの夢はいくつもの場面を映し出す。しかしその内容は、徐々に不穏の色を帯びて来た。 場面が過ぎる度に、自分達の理不尽な待遇に、彼らのボスに対する不満は高まって行くのだった。 そして幾度目かの場面転換の後――ついにそれは起こった。 ドンドンドンドンドンドンッ!!! アジトの扉が猛烈に叩かれる。中で待機をしていたギアッチョとメローネ、そしてリゾットとプロシュートは一斉にスタンドを発現させた。 「おいッ!!開けろ・・・!!大変なんだよ!!ジェラートが殺されたッ!!」 「リゾットッ!!オレだ、ホルマジオだッ!!早くここを開けろォォォ!!」 決められたノックをしないことにリゾット達は不審を抱いていたが、その声はどう聞いてもイルーゾォとホルマジオだ。そして彼らが口にした言葉は、彼らにとってこれ以上なく衝撃的なものだった。 プロシュートのザ・グレイトフル・デッドを使って扉を開ける。最初に転がり込んできたイルーゾォの襟首を、ギアッチョが強引に掴んで引き上げた。 「てめーイルーゾォ!!タチの悪い冗談はやめろッ!!」 ギアッチョが人を殺しかねない剣幕で怒鳴る。しかしイルーゾォは苦渋に満ちた顔で答えた。 「嘘じゃない・・・!!『罰』と書かれた紙を身体に貼り付けて・・・ッ!!」 サイレントの魔法がかかったかのように、その場は静まり返った。 ――・・・そんな・・・嘘・・・ ルイズは崩れ落ちそうになった。勿論、今はリプレイされるギアッチョの幻に宿るただの意識である彼女には不可能なことであったが。 ギアッチョの仲間は、リーダーを除き全てが死んだ・・・それは理解しているはずだった。 しかしギアッチョを通して幾つもの場面を共有した今、ルイズに彼らの死を無関心に眺めることなど出来るはずがない。 だがそんな彼女の気持ちなど一顧だにせず、場面は無情に進んで行く。 ジェラートは自宅のソファで、恐怖に顔を引き攣らせて絶命していた。 「ジェラート・・・おいジェラートッ!!」 プロシュートがジェラートを揺さぶる。リゾットは彼の肩を掴んでそれを止めた。 「やめろ・・・プロシュート ・・・ジェラートはもう死んでいる」 「クソッたれがッ!!」 プロシュートは怒りを吐き捨てて立ち上がった。逆にメローネは、その場にがっくりと膝を落とす。 「・・・ボスだ・・・ボスの正体を探ったことがバレて・・・・・・」 ギアッチョは唇を噛んで怒りを耐えていた。ギリギリと音がするほど噛まれた唇からは、彼らの心を代弁するかのように血が流れている。 「・・・ホルマジオ イルーゾォ ソルベはどこだ?」 リゾットが二人に向き直るが、彼らは俯いたまま黙って首を横に振った。 「クソッ・・・!お前達・・・ソルベを探せ!!」 リゾットは焦燥感も露に叫んだ。 そして場面はまた一つ飛ぶ。 ギアッチョ達はアジトに集合していた。彼らの足元の床には、七十サント四方程の箱が数えて三十六個転がっている。 その箱にはガラスのケースに額縁を嵌めたようなものが入っていて、その中に何か気持ちの悪いものが、 ――・・・そんな 彼らは最後の一つまで開封して、やっとそれが何かに気付いた。 ――やめて ・・・いや、解ってはいたが・・・気付かない振りをしていた。彼らが送られてきた順にそれらを並べてみると、 ――お願いだからもうやめて・・・! 三十六個に斬り分けられた、輪切りのソルベが、 ――あぁあぁああああああぁああああッ!!! ルイズはいっそ気絶してしまえたらどんなに楽だろうかと思った。 しかし今はただギアッチョを通して彼の過去を見ている「意識」だけの状態であるルイズには、気絶どころか顔を覆うことも背けることも出来ず・・・彼らの為にただ涙を流すことすら出来なかった。 しかし、眼前の場面は冷徹なまでに滞りなく流れ続ける。自分達を嘲笑うかのように警告の道具としてソルベを惨殺したボスに、誰もが怒りを必死に押し殺す中―― バギャアッ!!! ギアッチョの我慢は限界を超えた。 「あの野郎ォオオォオォォオオーーーーーーーーーーーッ!!!!」 テーブルを叩き割り、ギアッチョは天地が割れんばかりの声で叫んだ。 「殺すッ!!!オレが殺してやるッ!!!」 額縁を梱包していた箱を踏み破りながら、ギアッチョは悪鬼の如き凶相で扉へと向かう。 プロシュートが「早まるんじゃあねぇ!」と手を伸ばすが、ギアッチョは彼に眼も向けずにその手を払いのけた。 しかし、その先でギアッチョの足がピタリと止まる。扉の前に、リゾットが立ちふさがっていた。 「どけよ・・・リゾット!!」 怒りに沸き立つギアッチョの双眸がリゾットを射抜く。しかしリゾットは充血した両眼でギアッチョの視線を真っ向から受け止めた。 「リーダーとして・・・ギアッチョ、お前を行かせるわけにはいかない」 「何故だッ!!」 ギアッチョは激昂して叫ぶ。 「ええ!?オレ達は一体何年屈辱に耐えてきた!?命を賭けて組織の敵を排除し続けてよォォーー・・・オレ達は文字通りパッショーネに命を捧げてきたッ!!いつか忠誠が報われる日が来ると信じてなァァ!! それが何なんだこのザマはッ!!オレ達の誇りだけじゃあ飽き足らず、ボスの野郎はソルベとジェラートを無惨に殺し・・・そしてその死まで侮辱したッ!!ここまでされてよォォォー!!一体いつまで耐え続けろっつーんだッ!!」 ギアッチョは怒りに任せてまくし立てた。 「落ち着けギアッチョ・・・! オレは・・・いや、オレ達の誰一人としてこの状況を受け入れている者はいない・・・ だが耐えるんだ!」 リゾットはそう言うと、ギアッチョが何かを言う前に続ける。 「ボスの正体を探ろうとしたんだ・・・オレ達が関わっていようがいまいが、ボスは既に・・・間違いなくオレ達を監視下に置いているはずだ そんな状態で一体何が出来る・・・?刺し違えるどころか、ボスに辿り着くことすら出来ないだろう」 ギアッチョはぐっと言葉を詰まらせる。 「今は伏して耐えるんだ・・・ ボスを倒す『チャンス』が来るまで!」 リゾットの眼は『覚悟』している者の眼だった。ギアッチョは壁を一発猛烈な音を立てて殴りつけると、その拳を震わせながら収めた。 ルイズは今度こそギアッチョの気持ちを理解した。彼女の耳には、食堂でギアッチョが叫んだ言葉が木霊していた。 『オレ達の命は安かねェんだッ!!!』 これだけの言葉に、一体どれほどの無念が込められていたのだろう。 ルイズにはもう結末が分かっている。リゾットの部下は、全員が死亡する。 ならば例え彼がボスに打ち勝ったとしても、一体その勝利にはどれほどの意味があるのだろうか? 仲間を失くし、ボスを殺して生きる目的までも失ってしまったならば、リゾットはもはや一人で生きていけるのだろうか。 そして、殆ど全ての仲間を失って唯一人生きながらえてしまったギアッチョは? 己が立っていた足場を失い、拠り所にしていた支えも失い――彼は一体何を思って生きているのだろうか。彼は自分を命の恩人だと言う。だけどそれは本心からのものなのだろうか?自分はギアッチョに、ただ終わることすら許されない痛みを与え続けているだけなのではないか―― ルイズには何も解らない。ただひたすら辛く、そして悲しかった。
https://w.atwiki.jp/hinoriewiki/pages/40.html
編集 ゼロの使い魔 ゲーム PS2 ゼロの使い魔 小悪魔と春風の協奏曲 2007年2月15日発売 ゼロの使い魔 小悪魔と春風の協奏曲 公式サイト ゼロの使い魔小悪魔と春風の協奏曲(コンチェルト)初回限定版 ゼロの使い魔小悪魔と春風の協奏曲(コンチェルト)通常版 ゼロの使い魔小悪魔と春風の協奏曲(コンチェルト)Best Collection PS2 ゼロの使い魔 夢魔が紡ぐ夜風の幻想曲 2007年11月29日発売 『ゼロの使い魔~夢魔が紡ぐ夜風の幻想曲~』の発売を記念して二人からのメッセージ 2007年12月12日現在配信中を確認。 ゼロの使い魔 夢魔が紡ぐ夜風の幻想曲 公式サイト ゼロの使い魔 夢魔が紡ぐ夜風の幻想曲(ファンタジー)(限定版) ゼロの使い魔 夢魔が紡ぐ夜風の幻想曲(ファンタジー)(通常版) PS2 ゼロの使い魔 迷子の終止符(ピリオド)と幾千の交響曲(シンフォニー) 2008年11月6日発売 ゼロの使い魔 迷子の終止符と幾千の交響曲 公式サイト ゼロの使い魔 迷子の終止符と幾千の交響曲(限定版) ゼロの使い魔 迷子の終止符と幾千の交響曲(通常版)
https://w.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/1153.html
なんというブチキレコンビ。ギアッチョの怒りは、まるで次はオレの番だと でも言うかのように静かに爆発した。 「ところでよォォ~~・・・ 朝こいつを食った感想はどうだったよお嬢様?」 ギアッチョは波一つない海のように静かに尋ねる。 「最悪だったわッ!・・・そういえばあんたよくも貴族の私にこんなもの 食べさせてくれたわね!後でお仕置きを――」 ゴバァアァ!! 穏やかな海が突然嵐に変わるように、ギアッチョの全身から突然冷気と 殺気が噴き出し始めた! 「うぅッ!?ちょっ・・・何!?こんなところで・・・!!」 ルイズは慌てて辺りを見回すが、周囲の貴族達にはギアッチョの異変に 気付いたようなそぶりは見受けられない。ギアッチョがミスタ達との戦いで 得た教訓の一つ、それは他のスタンド使い達が当たり前にやっている 「自分の能力を安易に敵にバラしたりしない」ということであった。己の命と 引き換えに得た教訓は、彼の心の根っこにしっかりと突き刺さっている。 激しくブチ切れた今も、「周囲に己の能力を悟らせない」という事に関して だけは自制が働いていた。つまり――ルイズが感じた冷気と殺気は、 他でもないルイズただ一人に向けられたものだったのである。 ギアッチョはすっと地面にかがむと左手で食事の入ったトレイを持ち上げ、 背中を曲げた体勢のまま、色をなくした眼でルイズを見る。 「つまりてめーはそんなものをこのオレに食わせるってぇわけだ・・・」 「なッ・・・あんたは使い魔なんだから当然でしょ!?使い魔の上に平民! 貴族と同じ地平線に立つことなんて一生ありえないのよ!!」 ビシッ!! ルイズがそう言い放った途端、最近聞き慣れた音が彼女の耳に響いた。 ビシィッ!!ビシビシビシッ!!ビキキィッ!! この音は、他でもないこの音は。ルイズは恐る恐る、音のした方向へ 眼を向ける。 音がしていたのはギアッチョの持っている食事・・・いや、食事だったもの からだった。パンとスープを載せたトレイは、ギアッチョの左手の上で まるで彫刻のように完璧に凍っていた。 「・・・・・・こんな・・・ええ?こんな『ささやかな糧』でよォォォ~~~~~ てめーの命を守らせようってのかァ?・・・え?おい」 ――てめーの人生のかかった仕事を・・・ 「あ・・・!」 クソみてーなはした金でよォォォ・・・―― バキィィィィインッ!!! ギアッチョがどんな仕事をしていたのか――ルイズがそれを思い出した 瞬間、白磁の彫刻は彼の手の上で「ブチ割れ」、そしてそれと同時に ギアッチョは食堂を震わせるような大声で叫んだ。 「オレ達の命は安かねェんだッ!!!」 いつもの薄っぺらな怒りではない。ギアッチョは本気で「怒って」いた。 ルイズは声も出せなかった。ギアッチョの剣幕に怯えていたのでは ない。一体自分がどれほど酷いことを言ってしまったのか、それを 理解したのである。自分はギアッチョ達を皆殺しにした『ボス』と 何も変わらない。ギアッチョの彼らしからぬ心の底からの叫びに、 ルイズの胸は千切れ飛びそうな痛みを感じた。
https://w.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/1046.html
ルイズはまた夢の中だった。今回もあの夢だろうかと彼女は身を固くしたが、今日の夢はどうやらそうではないようだった。 周りを見渡すと、どうやら自分は小舟の上にいるようらしい。ああ、とルイズは思う。ここはヴァリエールの屋敷だ。 そしてここは自分が「秘密の場所」と呼んでいた中庭の池――・・・。 魔法が使えないことで幼い頃から周囲に白眼視されていた彼女は、悲しい時悔しい時、いつもこの小舟の上で毛布を被り、ひっそりと泣いていた。 「泣いているのかい?ルイズ」 頭の上から声がかかる。はっとして顔を上げると、大きな羽帽子にマントを被った立派な貴族がルイズを見下ろしていた。 隣の領地を相続している、憧れの子爵だった。幼いルイズはそんな彼にみっともないところを見られて慌てて顔を隠す。 「子爵さま、いらしてたの?」 「今日はきみのお父上に呼ばれたのさ あのお話のことでね」 その言葉にルイズは紅に染まった頬を更に赤くして俯く。 そんな彼女を見て、子爵はあっはっはと頼れる声で笑った。そして彼はおどけた調子でルイズを元気づける。彼女にとっては大切な、懐かしい夢。 その時ざあっと風が吹き、子爵の帽子をさらっていった。 「へ?」 いつの間にか今の自分に戻っていたルイズは、帽子の下に現れた顔を見てぽかんとした。その顔は、どう見ても己の使い魔――ギアッチョのものだった。 「な、何よあんた どうしてここにいるのよ」 ルイズは当惑して叫ぶ。しかしギアッチョは、相変わらず感情の読めない眼でじっとルイズを見ている。 「何か言いなさいよ!ねえったら!」 しかしルイズの言葉などまるで耳に届いていないかのように、ギアッチョは何も言わず何もせず、ただルイズを見つめている。 そしてそのまま、一言も言葉を発さぬままにギアッチョの姿は掻き消え、そして小舟も、池も、世界も、ルイズも消えた。 廊下から聞こえてくる声で、キュルケは眼を覚ました。外は薄暗く、恐らくはまだ教師達も眠っているであろう時間帯だ。 静謐な学び舎に響く二人分の囁き声をキュルケはまだ半分寝ている頭で聞いていたが、それがルイズとギアッチョの声であること、そして会話のところどころに「姫さま」とか「任務」などという単語が混じっていることに気付いて飛び起きた。 物音を立てないように急いで着替えと支度を済ませると、ルイズ達が門へ向かったのを確認してから彼女はタバサの部屋へ飛び込んだ。 「タバサおはよう!寝てる場合じゃないわよ、面白いことが――」 部屋に入るなり早口にまくし立てるキュルケの言葉は、サイレンスの魔法によってあっという間に掻き消える。ドアの開く音で目覚めた瞬間反射的に杖を取って呪文を唱える、タバサの瞠目すべき早業であった。 無声映画のように身振り手振りを続けるキュルケを寝起き直後の胡乱な眼で眺めると、掴んだ杖もそのままにタバサは再びベッドの中に潜り込んだ。 キュルケはしばらくジェスチャーを続けていたが、タバサが完全にシカトする構えだと知ると、ならばとばかりに両手でタバサの肩を掴んで揺さぶる作戦に移行する。 最初のうちは無視を決め込んでいたタバサだが、キュルケが一行に諦めようとしないので仕方なくサイレンスを解除すると、 「・・・何?」 ウインド・ブレイクを唱えたくなる前に話だけは聞くことにした。 そんなわけで、タバサは今いそいそと支度を済ませている。 アンリエッタからの秘密の任務でギアッチョ達がアルビオンへ向かうらしいというのはキュルケ程ではないにしろタバサの興味を引いた。 それにキュルケも言っていたことだがルイズの身が安全であるという保障はない。 ギアッチョがいるのだから大抵のことは大丈夫だろうが、彼の魔法も万能ではないことはフーケ戦で証明済みである。 一瞬の思案の後、タバサはシルフィードによる尾行――キュルケに言わせると護衛――を承諾したのだった。 ちなみに当のキュルケはと言えば、何か野暮用を済ませてくると言ってどこかに行ってしまった。まぁそのうち戻ってくるだろうなどと考えながら、タバサは制服のボタンを留め始める。 キュルケはタバサの部屋に続き、またしても堂々とアンロックの魔法で部屋に侵入する。薔薇や宝石で派手に飾られた部屋――ギーシュの私室だった。 「ギーシュ!起きなさいってば ギーシュ!」 キュルケは周りの部屋に聞こえない程度の声でギーシュを起こそうとするが、幸せそうによだれを垂らしたまま彼は一向に目覚める気配がない。 キュルケは少し苛立ったような表情を見せると、ギーシュの耳元に口を寄せて一言ぼそりと何かを呟いた。 「うわあああああ!!待って、待ってくれたまえ!やってるから!ちゃんとやってるからマンモーニだけは――ぁああ!?」 効果覿面、その一言でギーシュはうわ言と共に跳ね起きた。「何だ夢か」と呟くとギーシュは息を吐きながら辺りを見回し、 「うわぁ!!」 キュルケと眼が合った。 「やれやれ・・・やっと起きたわね」 「キュ、キュルケ!?こんな夜も明けきらない時間に一体何の用・・・ハッ!? ダ、ダメだキュルケ!僕にはモンモランシーという女性がヘヴンッ!!」 ギーシュが言い終える前に、キュルケのカカト落しがギーシュの脳天に炸裂した。 「寝言は起きる前に言いなさい」 「・・・それで、後をつけるって言うのかい?」 後頭部をさすりながらギーシュが言う。 「失礼ね、護衛と言いなさいよ あなたは行きたがるかと思ったからわざわざ声を掛けてあげたわけ それで?行くの?行かないの?」 腰に手を当ててキュルケは身体を乗り出す。姫さまとか秘密とかヤバいんじゃないのと言ってみるが、キュルケはそれがどうしたという顔でギーシュの返答を待っている。 ギーシュはうーんと唸りながら数秒考えた後に、まあなんとかなるかと実にギーシュらしい結論を下した。 ギアッチョとルイズは馬を駆って学院を出る。正門の先では一人の男が彼らを待ち構えるように待機していた。 「ワルドさま!?」 ルイズが驚きの声を上げると、ワルドと呼ばれた男は人好きのする笑みを浮かべてそれに答えた。 「久しぶりだな!ルイズ!僕のルイズ!」 ワルドはルイズに駆け寄ると、その華奢な身体を抱き上げる。 「お久しぶりでございます」 そう言って恥ずかしげに頬を染めるルイズを見て、ワルドは豪快に笑った。 「まるで羽のようだ! 相変わらず軽いね、君は」 「・・・お恥ずかしいですわ」 睫毛を伏せるルイズを、ワルドは優しげに見つめている。そしてそんなワルドをギアッチョが見つめていた。 「あいつは・・・昨日の護衛じゃあねーか」 ルイズがぼーっと見つめていた男だ。確か魔法衛士隊の隊長だとギーシュが言っていた。 「あのヒゲが従えてるのは、ありゃあグリフォンだね 正真正銘の魔法衛士隊、トリステインじゃあエリート中のエリートだ」 デルフリンガーがそう言って鍔を鳴らす。「妙な偶然もあったもんだな」と呟いてギアッチョは首をすくめた。 ルイズがギアッチョとデルフリンガーを紹介する。ルイズを下ろしたワルドは大げさな身振りで両手を広げると、 「君がルイズの使い魔かい? 人とは思わなかったな」 おどけた調子でそう言った。 「僕の婚約者がお世話になっているよ」 「婚約者ァ?」 彼らの意外な関係に、デルフリンガーが妙な声を上げる。ギアッチョはワルドをジロリと遠慮無しに観察すると、 「どういう縁だ?」 とこれまた遠慮無しに疑問をぶつけた。ワルドは帽子を取って被りなおしてから、「幼馴染さ」と答えた。 「領地が隣同士でね、ヴァリエール家とは昔から懇意にさせていただいているのさ」 その縁で、父親達の間でルイズとワルドの婚姻の約束が交わされているのだとワルドは説明した。 ――結婚って・・・いくらなんでも歳が離れすぎてるんじゃあねーのか? ワルドはどう見て二十代後半だ。対するルイズは、とギアッチョは彼女に視線を移す。 「な、何よ」 いきなり眼を向けられてルイズは心臓が飛び跳ねた。「け、結婚なんて小さい頃の約束で」だの「もう何年も会ってなかったし」だの、ルイズの口からは無意識の内に次から次へと言い訳が飛び出すが、肝心のギアッチョは一切聞いていなかった。 ――歳は聞いてなかったが・・・いいとこ十四歳って所だよなァァ 犯罪だろ、とギアッチョは思った。イタリアでは結婚可能な年齢は十八歳からだった。そうでなくても歳が一回り前後は離れていそうな二人である。 もっとも、実際は発育が少々哀れなだけでルイズはもう十六歳を迎えているのだが。 じろじろと自分を見るギアッチョをどう解釈したものか、 「なぁに、任務のことなら心配はいらないさギアッチョ君 こう見えても僕はスクウェアメイジだ 大船に乗った気でいてくれたまえ」 そう言ってワルドは自分の胸を拳で叩いて見せた。 「任務?」 ルイズがきょとんとした顔でワルドを見上げる。 「アンリエッタ姫殿下から直々に拝命したのさ 君達と共にアルビオンへ行かせてもらうよ」 そう言ってワルドはルイズに微笑んだ。 ――ま、確かにこんなガキと平民の使い魔を手放しで信用は出来ねーわな ギアッチョはそう納得して馬に跨る。ワルドはそれを見て、 「さあルイズ、こっちにおいで」 グリフォン隊の象徴であり、彼ら隊士の乗り物でもあるグリフォンを呼び寄せると、それに跨ってルイズを手招きする。 ルイズはちょっと躊躇うようにして俯くと、何故だかギアッチョが気になって横目で彼を見た。ギアッチョはデルフに眼を落として会話をしている。 まるでルイズに全く興味がないと言われているようで、ルイズは軽くショックを覚えながらとぼとぼとワルドの元へ歩き出した。 グリフォンの横まで来るとワルドはひょいとルイズを抱きかかえる。そうして手綱を握り、ギアッチョのほうを見てから杖を掲げて叫んだ。 「さあ諸君!出撃だ!」 その声を合図にグリフォンがばさりと飛び立ち、ギアッチョがそれを追って馬を駆る。 深くけぶる朝もやの中、こうして任務は始まった。
https://w.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/1537.html
「うーん……絶対捕まえてやるわ……むにゃ……」 「いい加減起きなさい、ヴァリエール」 うるさいわね、今フーケと戦っている最中よ、だいたい何でこいつが 「フーケはどこよ!他のみんなは?」 「フーケなら、あなたの横に簀巻きにされて転がってるわよ。 セッコは隅で寝てる、タバサは馬を引いてるわ」 気づいた時には、全てが終わっていた。 紆余曲折あって結局セッコが仕留めたらしい。 「わたしも、もう少し強くなれないものかしら」 「強いかどうかはあれだが、役には立ってるぜ。 おめーが見張りしてなかったら、全員ゴーレムに踏み潰されてたろうよ」 デルフリンガーが珍しく私を擁護する。 言ってくれるじゃない剣の癖に。ちょっとだけ嬉しいわ。 「そういえばミス・ロングビルはどこへ?」 「あなたの横に簀巻きにされて転がってるわよ」 「何言ってるのよツェルプストー」 ついに脳まで熱にやられたかしら。 けれど隣をよく見たら納得できた。 「ああ、そういうことだったのね」 学院長室で、オスマン氏は戻った四人を呼び報告を聞いていた。 セッコはよほど疲れていたのか全く目覚める気配がなく、仕方なくルイズの部屋に置いてきたので実質三人ではあったが。 「ふむ……ミス・ロングビルが土くれのフーケじゃったとはな…… 美人だったもので、何の疑いもせず秘書に採用してしまった」 「いったい、どこで採用されたんですか?」 側に控えていたコルベールが尋ねた。 「町の居酒屋じゃ。私は客で、彼女は給仕をしておったのだが、ついついこの手がお尻を撫でてしまってな」 「で?」 「おほん。それでも怒らないので、秘書にならないかと、言ってしまった」 「なんで?」 ほんとに理解できないといった口調でコルベールが尋ねた。 オスマン氏が突然真面目な顔になる。 「おまけに、魔法も使えるというもんでな」 「それって、決定的に怪しいですよね、オールド・オスマン」 「怪しい」 「怪しいわね」 「怪しいってレベルじゃあないわ」 全員の視線が、汚い物を見るような目つきに変わりつつあるのを悟り、オスマン氏は照れたように咳払いし、話題を変えた。 「さてと、君たちはよくぞフーケを捕まえ、[破壊の杖]を取り返してきた」 誇らしげに三人が礼をする。 「フーケは、城の衛士に引き渡した。そして[破壊の杖]は、無事に宝物庫に収まった。一件落着じゃ」 オスマン氏は、一人ずつ頭を撫でた。 「君たちの、シュヴァリエの爵位申請を、宮廷に出しておいた。 追って沙汰があるじゃろう。と言っても、ミス・タバサはすでにシュヴァリエの爵位を持っているから、精霊勲章の授与を申請しておいた」 三人の顔が、ぱあっと輝いた。 「本当ですか?」 キュルケが、驚いた声で言った。 「ほんとじゃ、いいのじゃ、君たちは、そのぐらいのことをしたんじゃから」 その言葉に、ルイズの顔が曇る。 「オールド・オスマン。わたしは……」 オスマン氏が力強く言い返した。 「問題ない」 ルイズの表情が少し戻った。 「さてと、今日の夜は[フリッグの舞踏会]じゃ。 このとおり、[破壊の杖]も戻ってきたし、予定どおり執り行う」 キュルケの顔が更に輝いた。 「そうでしたわ!フーケの騒ぎで忘れておりました!」 「今日の舞踏会の主役は君たちじゃ。用意をしてきたまえ。 せいぜい、着飾るのじゃぞ」 三人は礼をするとドアに向かった。 タバサは、二人が出て行ったのを確認して立ち止まり、オスマン氏に向き直った。 「何か、私に聞きたいことがあるようじゃな」 タバサは頷いた。そして、無表情なりに表情を険しくする。 オスマン氏は、何か察したのかコルベールに退室を促した。 コルベールが退室したのを確認して、タバサが口を開いた。 「オールド・オスマン」 「何かね」 「セッコのルーン。単体では意味のない破壊の杖」 タバサの脳裏に、嬉々として自分を試し、死地に送り出す上司の姿がちらりと浮かんだ。どこも似たようなものか。 少し考え直しその嫌な発想を振り払う。今回は志願だし。 しかし、もし志願者が私とキュルケだけだとしたら、オスマン氏は果たして許可しただろうか? オスマン氏は、少し深刻な、何か言葉を捜しているような表情になった。 「……オレも聞きてえな、校長先生よォォォ」 地の底から響くような声がし、部屋の隅から、寝ていたはずのセッコが現れた。 手に、不思議な金属の杖のようなものを持って。 オスマン氏の顔が更に険しく真面目になり、そして口を開いた。 「順番にじゃ、ゆっくりとな。それと、分かっているとは思うが他言無用じゃ」 「「……」」 無言で頷く。 「ミス・タバサ」 頷く。 「そのルーン文字については、まだまだ謎が多いのじゃ。じゃから、今は何も言えん。 それで[破壊の杖]じゃが、確かにそれだけでは役に立たん。じゃが、これだけは言わせてくれ。 教師が生徒を信用して、悪いことでもあるのかね?」 これ以上は、話す気がなさそうだ。 「ありがとうございます、オールド・オスマン」 「すまんの、ミス・タバサ」 セッコの話も興味深い。しかしオスマン氏の視線が、“出ていかなきゃ無理にでも退室させる” 凄みを放っていたので、仕方なく礼をして部屋を出る。 フリッグの舞踏会(で出される料理)を想像すると、少し心が安らいだ。 タバサが出て行くのを確認し、ヒゲジジイがこっちに向き直り口を開いた。 「質問に答える前に、それをどうして持ってきたか聞いてもいいかのう?」 「宝物庫に入って探して来た。正しく質問に答えて貰う為によお」 鋭い目でオレを見る。 「そうではない。私が聞きたいのは場所や理由ではなく、手段じゃ」 糞、食えねえヒゲだ。 「フーケと戦ってる間に思い出した、オレは地面や壁に潜れるってな。多分[左手]とは関係ねえ」 「思い出したとな?」 「オレは、自分についての記憶があいまいなんだ。理由は知らねえ」 「なるほどの。じゃが、その力は余り人に見せん方がいいのう」 んなこたあ言われんでも分かる、基本だろうが。 「てめーボスだろう。だから教えた」 ヒゲが妙に嬉しそうだ。 「そうかそうか、では質問を聞こうかのう。できるだけ力になろう」 「校長先生よお~、[破壊の杖]とこの[弾]の使い方を知ってんのかあ?」 「ああ。それがどうかしたかね?」 「オレは多分、ここじゃねえ場所の人間だ。それはオレが昔居た所の武器だ」 ……多分な。 「本当かね?」 多分な。 「それのことを知ってんだよな?なら、オレの記憶や居た場所についての手がかりも、何か教えてもらえるんじゃねーかと思って」 ヒゲがため息をついた。 「残念だが今は無理じゃ。それを私にくれたのは、私の命の恩人じゃ。 使い方を教えてくれたのもな。だから直接は知らんのじゃよ」 当てが外れたかなあ。 「そいつはどうなったんだ?」 「死んでしまった。今から、30年も昔の話じゃ」 畜生、結局振り出しか。 「うう……」 「すまんのう。だが、これなら知っておるよ」 ヒゲが俺の左手を掴んだ。 そう知りたいわけではないが、一つずつでも疑問が解決するのは気分がいい。 「ガンダールヴの印じゃ。伝説の使い魔の印じゃよ」 「伝説ぅ?」 伝説だから光るのかあ。確かにモグラやシルフィードの印は光ってなかった。 「そうじゃ。その伝説の使い魔はありとあらゆる[武器]を使いこなしたそうじゃ。[破壊の杖]について細かく分かったのも、そのおかげじゃろう」 推測かよ。 「うー、むぅ……」 「どうしてそうなったかは分からん」 ヒゲがきっぱりと言いやがった。知ってるつって形だけじゃねえか。 結局、オレは一体何なんだ。 「力になれんですまんの。ただ、これだけは言っておく。私はおぬしの味方じゃ、ガンダールヴよ」 ヒゲはそう言うと、オレの手を強く握った。 「よくぞ、恩人の杖を取り戻してくれた。改めて礼を言うぞ」 どいつもこいつも、何であれが杖に見えるんだあ? 「わかった」 「おぬしがどういう理屈で、ここに現れたのか、どうして記憶が抜け落ちているのか、私なりに調べるつもりじゃ。でも……」 「でも?」 「何も分からんでも、恨まんでくれよ。記憶を消す魔法や壊す薬はあっても、取り戻すものは現状存在しとらんしのう」 「……」 「なあに。ここだって住めば都じゃ。嫁さんだってさがしてやる。 あと、今日は[フリッグの舞踏会]がある。まあパーティじゃな。飯もうまいぞ」 それはいい。早速食いに行こう。ルイズに怒られる気はするが、正当な報酬だ。 ヒゲの目が再び鋭くなる。 「それとな、そいつを、[弾]をちゃんと元に戻しといてくれよ。こっそりとな」 このヒゲに逆らうのはやべえ、ルイズの次ぐらいに。本能が告げてやがる。 「……わかった」 食堂の上の階が、大きなホールになっている。舞踏会はそこで行われていた。 テーブルにつき、目の前の料理を貪る。 あれ……?甘くねえのにうめえ。 何故だろう、味覚が少し回復している。 何かがオレに起こっているんだろうか? 「お前、さっきから食いすぎじゃねえのか」 背中からデルフリンガーが話しかけてきた。 「あいつに比べたら普通だぜえ」 斜め向かいに視線を向けてやった。 黒いパーティドレスを着込んだタバサが、それにも拘らずオレと変わらない勢いで料理を平らげている。化け物か。 「おでれーた……」 その時、ホールの扉に控えている呼び出しの衛士が、ルイズの到着を告げる声が聞こえた。 「ヴァリエール公爵が息女、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール嬢のおな~~~り~~~!」 随分と遅かったなあ、何やってたんだあ。まあ飯の方が大事だ。 テーブルに向き直り、食事を再開する。 少しすると、白いパーティドレスを着たルイズが声をかけてきた。 「楽しんでるみたいね」 いきなりだったのでちょっと料理がむせる。 「うおっ、おっ」 えーと、あれはどういう表現だったっけなー。 「胡麻にも衣装、じゃなくて……猫にも衣装、……は違う……うぐぐ……独楽にも衣装でもなくて、巫女の衣装……」 「何意味わかんないこと言ってるのよセッコ」 「ハハハ、[馬子にも衣装]だな、ちげえねえ相棒」 デルフリンガーが聞いてもないのに助け舟を出しやがった。知ってんだよお、ちょっと忘れてただけだあ。 「失礼ね」 「ヴぇ」 デルフリンガーが殴られる。正確に思い出せなくてよかったぜ。 「あんたもよ、セッコ」 「……いてえ」 全く、この体のどこにそんな力がありやがるんだ。 「ま、今回は許してあげるわ、セッコ、わたしと踊りなさい」 こいつ何言ってやがるんだ? 「オレはこの料理があればそれでいいんだがなあ」 「いいから」 「何でだよお、踊る相手なんていっぱいいるんじゃねえのかよ」 「あのね、ありがとう」 「はあ?」 わけがわからねえ。 「その……フーケのゴーレムに潰されそうになったとき。 助けてくれたんじゃないの?キュルケから聞いたわよ」 「それが仕事だってルイズオメーが言ったんじゃねえか」 「いいから。踊りなさい、命令よ!」 なるほど、ルイズなりの礼のつもりなのかあ。まあ腹ごなしに付き合ってみるか。 本当は飴の方が嬉しいんだけどな。 「わかった。……だがよお、オレは踊りなんてわからねえ」 「わたしに合わせてくれればすぐ慣れるわよ、あなたなら」 「わかった」 ……たまには悪くねーなあ。 そんな様子をテーブルに立てかけられたまま眺めていたデルフリンガーが呟いた。 「おでれーた!」 二つの月がホールに月明かりを送り、ロウソクと絡んで幻想的な雰囲気をつくりあげている。 「相棒!てーしたもんだ!」 踊る相棒とその主人を見つめながら、デルフリンガーはおでれーた!と繰り返した。 「主人のダンスの相手をつとめる使い魔なんて、初めて見たぜ!」 料理を胃に流し込みつつ、一部始終を見ていたタバサは思った。 使い魔的教育が一段落したら、シルフィードにダンスを教えてやろう。と。 To be continued…… 戻る< 目次 続く
https://w.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/1204.html
この宿、「女神の杵」亭が砦であった頃の栄華を偲ぶ中庭の練兵場。 そこがギアッチョとワルド、二人の決闘の舞台だった。 腰を落として我流というよりは全く適当に剣を構えたまま、ギアッチョは心中で舌打ちする。 ――怒らせて手の内を曝け出させるつもりだったが・・・やっぱりそう上手くはいかねーらしい 敵もさる者、この程度の挑発で逆上するような器量ではないようだ。「流石は女王の護衛隊長ってわけか」とギアッチョは一人呟く。 しかしそれならそれで別にいい。少なくとも戦い方の一端は把握出来るはずだ。 ギアッチョは己の左手に眼を落とす。その甲に刻まれたルーンは、手袋の下からでもよく分かる光を放っていた。 「どうしたね使い魔君 来ないのならばこちらから行くよ」 一向に動こうとしないギアッチョを挑発すると、ワルドは地を蹴って駆け出す。 戦い慣れた者の素早さで一瞬にしてギアッチョに肉薄すると、レイピアのように作られた杖で無数の刺突を繰り出した。 風を切り裂いて繰り出されるそれをギアッチョはデルフリンガーで次々と捌く。 ――こいつはすげぇな・・・正に「身体が羽のように軽い」ってやつだ。 己の剣捌きに一番瞠目していたのは、他ならぬギアッチョ自身であった。 素の状態でもワルドの突きをかわす自信はあるが、今のギアッチョは例え千回突かれようがその全てをかわし切れる程に楽々とそれを捌いていた。 が、予想以上の「ガンダールヴ」の能力に意識が完全にワルドから逸れていた為、突きと同時に行われていた詠唱にギアッチョは気付けなかった。 詠唱が完了したと同時に目の前の空気が弾け、 「うぉおッ!?」 空気の槌をモロに受けてギアッチョは吹っ飛んだ。 ごほッと肺から空気を吐き出しながらもギアッチョはとっさに空中で体勢を整え、デルフリンガーを地面に突き刺して転倒を回避する。 「おいおい、ガードぐらいしたらどうだい? 手加減はしてあるが下手をすれば肋骨が折れるぞ」 羽根帽子のつばを杖の先端で持ち上げて、ワルドはニヤリと笑った。 ルイズが心配げに見守る中、ギアッチョはチッと一つ舌打ちをしてから剣を抜く。 「大丈夫かいダンナ」 「ああ?この程度じゃノミも殺せねーぜ」 若干ふらつきながらも、デルフリンガーにギアッチョは何でもないといった顔でそう返す。 ギアッチョは無傷で勝つことも少なくはなかったが、スタンド使い同士の戦いでは瀕死の怪我を負ったり手足が切り飛ばされたりなどということは珍しい話ではない。 それに比べれば今のダメージなど正に蚊に刺されたようなものであった。 余裕の笑みを浮かべるワルドにガンを飛ばして、今度はこっちの番だと言わんばかりに走り出す。 ワルドは杖を突き出して既に詠唱を終えていたエア・ハンマーで迎撃するが、歪んだ空気の塊が衝突する寸前ギアッチョは「ガンダールヴ」の脚力で右へ飛び避けた。 規格外のその脚力をフルに利用して、ギアッチョは一瞬でワルドの背後を取る。 そのまま身体をねじらせてデルフリンガーを一閃するが、ワルドは一瞬の判断でギアッチョに体当たりし、身体でその腕を止めた。 「・・・君、今首を狙ったな」 身体を衝突させ合った格好のまま、ワルドが鋭い眼で睨む。 「わりーな いつものクセでよォォー、次からは気をつけるとするぜ それよりてめー・・・なかなか素早い判断が出来るじゃあねーか」 「当然だ 女王の護衛を任される者の実力を舐めないことだな」 言うが早いかワルドはぐるりと回転してギアッチョに向き直り、そのまま流れるような動作で三発目のエア・ハンマーを放った。 下からアッパーの要領で撃ち出された風の槌はギアッチョを空高く打ち上げる――はずだったが、 「何・・・?」 ボドンッ!!といういつもの景気のいい打撃音は全く聞こえず、上空高く吹っ飛んでいるはずのギアッチョは数十サント浮き上がっただけで大したダメージもなく着地して いた。 デルフの口からは「おでれーた」という言葉が漏れていた。どうやったのかは分からないが、今自分は魔法を吸収した気がする。 しかし彼が己のしたことを完全に理解するより先に、ギアッチョは次の行動に移っていた。 メイジではないギアッチョは、今の現象をただの不発か角度その他の問題―― 要するに偶然だと考えた。 喋る魔剣を乱雑に構え直すと、色を失くした双眸でワルドを射抜く。 ――同じ魔法を三連発・・・工夫も何もありゃしねえ 手の内見せる気は更々ねえってわけか まあそれもいいだろう。剣のいい練習台にはなる。ギアッチョは足に力を込めると、地面を変形するほどの勢いで蹴って走り出した。 一方ワルドは、エア・ハンマーを打ち破ったものの正体に早くも勘付いていた。 ――あの剣に我が風が吸い込まれるのを感じた・・・どういう原理かは知らないが、どうやら魔法を吸収するマジックアイテムのようだな・・・ 杖をヒュンヒュンと振り回してから構え、ワルドは呟いた。 「それならそれでやりようはある」 「彼はどうして魔法を使わないんだろう?」 決闘を見物に来ていたギーシュが、ロダンの彫刻のようなポーズで言う。 同じく本を閉じて二人を見ていたタバサは、それを聞いてぽつりと口を開いた。 「力を隠してる」 「まあ、確かに王宮の関係者にアレがバレたら一悶着ありそうだものねぇ」 うんうんと頷いてキュルケが同意する。その横ではルイズがずっとブツブツ文句を言っていた。 「何よあのバカ・・・いつもいつも勝手なことばかりするんだから・・・!そりゃ使い魔だって物じゃないけど、たまには言うこと聞いてくれたっていいじゃない! ワルドもワルドよ いつもはこんなことする人じゃないのに・・・」 怒りと不安がないまぜになった顔で呟くルイズの肩にポンポンと手を置いて、ギーシュは遠い眼をする。 「分かってやりたまえルイズ 男にはやらねばならない時というものがあるのさ」 分かったようなことを言うギーシュにジト眼を送ってから、ルイズは複雑な顔でギアッチョ達に視線を戻した。 「全然分からないわよ バカ・・・」 決闘直後とは正反対に、今度はギアッチョが怒涛の勢いでワルドを攻め立てていた。 袈裟斬りから斬り返し、そのまま薙ぎ払いから突きを繰り出し、全く型というものを感じさせない動きで息つく暇なく攻め続ける。 言ってしまえば完全にでたらめな剣捌きなのだが、「ガンダールヴ」の力で繰り出される剣撃は力といい速度といいそれだけで大変な脅威であった。 しかしワルドは風を裂いて繰り出されるそれをひらりとかわしするりと受け流し、涼しい顔で避け続ける。 そしてギアッチョがデルフリンガーを大きく振り下ろした瞬間、ワルドは攻勢に転じた。 地面まで振り下ろされた魔剣を完璧なタイミングで踏みつけ、同時に手刀で喉を突きにかかる。ギアッチョは即座に左手でそれを払いのけたが、その瞬間胸に押し当てられた杖までは手が回らなかった。 ドフッ!! 空気が炸裂する音が響き、 「ぐッ!!」 人をあっさり数メイルも吹き飛ばす衝撃を再び真正面から喰らって、ギアッチョは豪快に吹っ飛んだ。ギアッチョはなんとかバランスを保って着地したが、 「剣を手放したな、使い魔君 勝負ありだ」 主人の手から離れた剣を踏みつけたまま、ワルドが勝利を宣言する。てめー足をどけやがれとデルフリンガーがわめいているが、彼はそれを軽く無視して続けた。 「やはり『ガンダールヴ』、とてつもない膂力だが・・・君の太刀筋はまるで素人だ」 自分を睨むギアッチョから眼を外して、ワルドはルイズへと歩いて行く。 「分かったろうルイズ 彼では君を守れない」 そう言ってルイズの肩を抱くと、後ろ髪を引かれるルイズを伴ってワルドはギアッチョに振り返ることもせず宿へと戻っていった。 そりゃあ剣なんざ今日初めて使ったからな、と彼が心の中で笑っていたことも知らずに。 恐る恐るギアッチョの様子を見ていたギーシュ達は、どうやら彼が怒っていないと知ってバタバタと駆け寄った。 「怒らないのね?ギアッチョ」 「意外」 キュルケとタバサが珍しいといった顔でギアッチョを見る。そんな彼女達に眼を向けて、ギアッチョはフンと鼻を鳴らして笑った。 「初めて剣を使った人間を本気で攻撃する野郎に怒りが沸くか?笑いをこらえるのに必死だったぜ」 初めてという言葉に、三人の顔はますます驚きの色を濃くする。 「ええ!?だ、だってあんな凄い動きしてたじゃない!」 その場の疑問を代表して口にするキュルケに、 「ルーンが光ってた」 フーケ戦の時と同じ、とタバサが鋭く指摘した。ギアッチョは数秒の黙考の後、 「・・・全くよく観察してるじゃあねーか ええ?タバサ」 諦めたように溜息をつくと、手袋をずらして左手をかざした。 「『ガンダールヴ』のルーンらしい 伝説の使い魔の印だとよ」 「が、がん・・・?何・・・?」 何それと言わんばかりのギーシュとキュルケにタバサが説明する。 「あらゆる武器を使いこなしたと言われる、始祖ブリミルの使い魔」 「嘘っ!?」「凄っ!」とそれぞれの反応を返す彼らの前で、ギアッチョは既に鞘に収めていたデルフリンガーを抜き放った。途端、左手のルーンが光り出す。 ギーシュ達がおおーだのうわーだのと感嘆の声を上げるのを確認してから、ギアッチョはデルフを収め直した。 「伝説だなんだと言われてもよく分からんが、あらゆる武器を操れるってなマジらしい 武器に触れるとそいつの情報が勝手に流れ込んで来る上に体重が無くなったみてーに身体が軽くなりやがる 大した能力だぜ」 練兵場跡でガンダールヴについてひとしきり歓談したところで、ギーシュがうーんと唸る。 「しかしやっぱり悔しいなぁ」 「ああ?」 「君の魔法は隠さなきゃならないってことは分かるんだが、君はワルド子爵にきっとある日突然伝説の力を得ただけのただの平民だと思われているだろう? それがどうにも悔しいというか歯がゆいというか」 ギーシュの言うことがよく分からず、ギアッチョは怪訝な顔で聞く。 「何でてめーが悔しいんだ」 「いや、だって僕達友達じゃないか」 「・・・友達ィ?」 ギアッチョが素っ頓狂な声を上げるが、ギーシュは全く真面目な顔で先を続ける。 「ルイズもギアッチョも僕の友達だよ 友達が軽く見られるのを何とも思わない奴はいないさ そうだろう?キュルケ、タバサ」 常人ならば赤面するような台詞をこともなげに言ってのけて、ギーシュは実に爽やかな笑顔で二人を見る。タバサは数秒ギアッチョを見つめると、小さくこくりと頷いた。 キュルケはそんなクサいセリフを振るなと言わんばかりにギーシュを睨むが、睨んだこっちが申し訳なくなるほどいい笑顔のギーシュについに負けて、はぁっと大きく溜息をついて口を開く。 「・・・ま、ヴァリエール家に対する累代の宿怨はとりあえず忘れておいてあげなくもないわ」 あくまで余裕の態度を通すキュルケだったが、タバサにぽつりと「素直じゃない」と言われて、 「ち、ちち違うわよっ!」 と途端に顔を真っ赤に染めて否定した。そんなキュルケをタバサは無表情の まま「素直じゃない」とからかい、「違う!」「素直じゃない」「違うっ!」「素直じゃない」の言い争いをギーシュは笑いながら見物していた。 ギアッチョは「友達」というものが嫌いだった。プロシュートではないが、そんなものは幸せな環境というぬるま湯に浸かっている甘ったれたガキ共のごっこ遊びだと思っていた。 普段友達だ何だと声高に叫んでいる奴等ほど急場でそのオトモダチをあっさり見捨てて逃げるものだ。 暗殺の過程や結果でそんな人間を何人も見てきたギアッチョには、「友達」などという言葉は唾棄すべき虚言以外の何物でもなかった。 見ようによっては淡白な関係だったが、彼はリゾットチームの仲間達とは常に鋼鉄よりも固い信頼で結ばれていた。 だからこそ、ギアッチョには「友達」などというものは上辺だけの信頼で寄り集まる愚者を指す言葉にしか思えない。 しかし。しかしギーシュ達はどうだ?ギーシュはルイズをバカにしていたが、家名を賭けてまで彼女に謝罪をした。フーケ戦では身体を張ってフーケの小ゴーレムを 受け止めた。 キュルケはルイズと宿敵であるような素振りを見せているが、ギアッチョがルイズを殺しかけた時真っ先にそれを止めた。ギアッチョがルイズに危害を加えないかを心配してフレイムに監視をさせていたし、フーケ戦ではルイズが心配で彼女に続いて討伐を名乗り出た。 タバサはシルフィードを駆ってギアッチョを止めた。宝物庫の件では文字通り命を捨てる覚悟でルイズ達を救い、その後も怒ることなく討伐を助けた。 そして何より、見なかったことにして逃げ帰ることも出来たというのに、彼女達は己の危険を顧みず傭兵達と剣を交えてまでルイズを助けに来たではないか。 バカバカしい、と言おうとしてギアッチョは口を開く。しかし楽しげに笑いあうギーシュ達にそう言い捨てることは、どうしても出来なかった。 ――甘ったれ共が・・・ 心中そう呟くが、ギアッチョにはもう解っていた。それはカタギには戻れない自分への、ただの言い訳だ。 人殺しだったイタリアの自分と、全てがリセットされたこの世界の自分。彼らの友情を受け入れることは、この世界での生を受け入れること。 ギアッチョは何一つ言葉を発せずに立ちすくんだ。 決断の時は、近い。