約 870,598 件
https://w.atwiki.jp/teikokuss/pages/974.html
学院の寄宿舎に入寮してから二週間があっという間に過ぎた。ニクシアにとっては、文字通り生まれて初めての事ばかりで、覚えるだけでも精一杯な事ばかりの毎日であった。朝起きて制服に着替え、寝台を整えてから洗顔。朝食をとるために食堂に移動し、点呼を受けてから食事。それから午前中の授業を受け、昼食のためにまた食堂に移動し、午後は自習か課外活動。晴れた日には洗濯も行う。それから夕食をとって、就寝点呼までの間は自習。 生まれてこの方、自分の身の回りの事は乳母か使用人任せであったニクシアにとって、寝台のシーツを綺麗に張り、毛布の四隅をきちんと合わせて畳み、校舎や寄宿舎を自分達の手で掃除し、身につける衣類を自分の手で洗う事は、驚天動地の事態であった。最初は同室のシネラリア先輩にうながされて、見よう見まねのおぼつかない手つきで日々の雑事をこなしてゆくので精一杯で、気がついたらあっという間の二週間であった。 そして、ようやく一通りのことは一人でこなせるようになったある日、シネラリア先輩から告げられたのだ。「姉妹(ソロル)」という制度について。 「「姉妹(ソロル)」? ですか?」 「そう。学院で学業をおくるために「姉が妹を導くように先輩が後輩の面倒を見る」という制度よ。ここも修道会系の学校だから」 「はい」 文字通りの箱入り娘であったニクシアにとって、修道院の在り方は遠い世界のできごとである。とりあえず先輩があらたまって話そうとするのであるから、とても大切な話なのだろう、と見当はつく。 「「姉妹」は、一期上の先輩が後輩にソロルになる事を申し込んで、相手が受けてくれれば成り立つの。ソロルは同じ部屋で生活し、私生活も学業も姉ができる限り面倒を見るのよ」 それは、今の二人の関係とどう違うのだろう? ニクシアは、ふとそう思ったが、それを口にはださずにうなずくだけにしておいた。 「貴女もここでのやり方に慣れたようだし、私も、そろそろソロルを持とうかと思って」 「え?」 「この間、友人に紹介してもらった子とお見合いしてきたの。互いに気もあったし、ソロルを申し込んだら受けてもらえたの」 「……………」 「貴女なら、きっと良いソロルが見つかると思うわ。がんばってね」 最初は何を言われているのか、ニクシアにはさっぱり判らなかった。シネラリア先輩がまだ何か話しているが、それが耳から先に入ってこない。ただ、自分が彼女に選ばれなかったのだ、ということだけは理解できた。 ニクシアは、両手を口の前に当てて、ただふるふるとふるえているしかできないでいた。 「シネラリア様、ソロルを選ばれたそうですね。おめでとうございます」 「アウレリア様、ありがとうございます。貴女はソロルは?」 「うーん、もうしばらく様子見ですね。これから一年ご一緒するのですから、しっかりと選びたくて」 図書室からの帰り、アウレリアは友人のシネラリアと同行することになった。自然と話は「姉妹(ソロル)」についてになる。 「そういえばレスペデウス一門の方だったのでしょう? どのような方でいらっしゃいました?」 「本物のお姫様って、ああいう方をいうのかしら。すごく素直で善い方で。でも、身の回りの事は全て使用人に任せっぱなしだったのね。一から十まで全て指示しないと呆然としたままで」 「まあ」 少し困ったように微笑んで、シネラリアは小首をかしげてみせた。 アウレリアは、遠目にも小柄で大人しそうな少女が洗濯物の山を前にして呆然としている様を思い浮かべて、思わずくすくすと笑ってしまった。 「では、洗濯もあなたが?」 「ええ。最初は洗濯物をぼうっと見てて。どうしたらいいのか判らなかったようで、呆然としてましたよ」 「あらまあ」 二人でひとしきりくすくすと笑いあってから、シネラリアは、ふうぅっと軽く溜息をついた。 「やはり一門宗家のお姫様ともなると、別世界の方なのだなあ、って思って。しかも古人でしょう? なんていうのかしら、この二週間すごく気が張ってしまって」 「それは、お疲れ様、と申し上げてよいのかしら?」 「ええ。それに子犬のように私にべったりで。ちょっと荷が重い感じで」 それは大変だったろうな、と、アウレリアにも想像がつく。なにしろ最初に同室になる後輩は、入学時の成績順に機械的に割り振られるのだから。幸いにしてアウレリアと同室の子は、貴族ではあるが自分の身の回りの事は最低限はできる子で、かつ明るくてはきはきした娘であった。シネラリアは確か学者の家の娘のはずである。確かに相性はよくはなかろう。 「一門宗家の方ともなれば、きっとすぐソロルも見つかると思うわ」 それはどうかな、と、アウレリアは思ったが、そこはあえて口をとじておくことにした。 寄宿舎の部屋に一人残されたニクシアは、呆然としたまま日々の生活に追われることになった。朝は自分で起きて、身の回りを整え、食事をする時も一人。学校での勉強を終えて寮に戻ってきても一人。皆が集まる自習室に入るのも、一人のままではためらわれた。そして夜就寝点呼を受けてから寝台にもぐりこむと、独りであることがしんしんと身に沁みてくる。 私の何が悪かったのだろう? 夜毛布にくるまっていると、そんな考えが脳裏をよぎる。シネラリアは決して悪い人間ではなかった。それは、この二週間何も知らずできないニクシアの事を、手取り足取り必要な事を教えてくれたことからも理解はできる。でも、自分が彼女のすてられたのだ、という気持ちがわきあがってきて振り払うことができない。 私は、このまま一人ぼっちなのかな。 ニクシアは、そう思って少しだけ枕を涙で濡らした。 春になったとはいえ、まだまだ水は冷たく手に痛い。ニクシアは、下着や肌着をじゃぶじゃぶと洗いながら、自分の魔法の系統が「火」であればよかったのに、と、心の底から思っていた。 ニクシアも一門宗家に生まれた古人の常として、魔道について最低限の手ほどきは受けている。その結果明らかになった属性は「土」。それは耕作地の地味を豊かにし、大地の奥深くに眠る実りについて調べ、金属を精錬し配合するのに役に立つ、領主貴族としては得がたい資質ではあったが、雪解け水の冷たさの前には何の役にも立ちはしなかった。 かじかむ手を何度も懐で温めつつ洗濯を続けていると、何故自分がこのような真似をしているのか、そんな思いにとらわれてくる。 周囲を見回せば、友人同士やソロル同士でさんざめきながら洗濯している娘達の姿が嫌でも目に入ってくる。それが嫌で、ニクシアは、じっと下を向いたまま黙って下着を洗い続けた。 「失礼、よろしいでしょうか?」 「はい?」 突然声をかけられて、ニクシアは、はっとして顔を上げた。 そこには、柔らかくウェーブを描く暖かな色合いの金髪を首の後ろで縛った碧色の瞳をした先輩が微笑んで立っていた。 「お湯が少し余りました。お使いになられます?」 「……………」 先輩の手にしている水差しの注ぎ口から、暖かそうな湯気がこぼれている。 ニクシアは、急いで立ち上がると腰を折って礼を述べ、挨拶した。 「ありがとうございます。私はニクシア・レスペデウス・プブリコラと申します。ご好意に甘えさせていただけますでしょうか」 「はい。私は、アリア・ケイロニウス・ケルトリアと申します。お節介かとは思いましたが、とても辛そうに見受けられましたから」 「……ありがとうございます」 そのまま顔を上げてしまえば、ニクシアは自分が感極まって泣き出してしまうだろうという自覚があった。だから、ずっと腰を折ったまま、ただ何度もお礼を繰り返し続けるしかできなかった。 そんな彼女の態度に思うところがあったのか、アリアは、ニクシアの洗濯盥にお湯を注ぐと、友人らの元へと去っていった。顔を上げた彼女の視線の先には、二期生学年代表だというセレニアと、その友人とおぼしき少女らが、制服を腕まくりしてじゃぶじゃぶと豪快に洗濯物の山をさばいている。 その光景に、涙腺が限界に達したニクシアは、また腰をかがめて洗濯に専念する事にした。 わずかにぬるくなっただけの水ではあったが、それでもニクシアの心を熱くするには十分なものがあった。
https://w.atwiki.jp/jemmerl5/pages/6.html
更新履歴 @wikiのwikiモードでは #recent(数字) と入力することで、wikiのページ更新履歴を表示することができます。 詳しくはこちらをご覧ください。 =>http //atwiki.jp/guide/17_117_ja.html たとえば、#recent(20)と入力すると以下のように表示されます。 取得中です。
https://w.atwiki.jp/jemmerl5/pages/12.html
コメントプラグイン @wikiのwikiモードでは #comment() と入力することでコメントフォームを簡単に作成することができます。 詳しくはこちらをご覧ください。 =>http //atwiki.jp/guide/17_60_ja.html たとえば、#comment() と入力すると以下のように表示されます。 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/jemmerl5/pages/14.html
インスタグラムプラグイン 人気の画像共有サービス、Instagram(インスタグラム)の画像をアットウィキに貼れるプラグインです。 #ig_user(ユーザー名) と記載することで、特定ユーザーのInstagramのフィードを表示することができます。 例)@dogoftheday #ig_user #ig_tags(タグ名) と記載することで、特定タグのInstagramのフィードを表示することができます。 #dogofthedayjp タグ #ig_tag #ig_popular と記載することで、Instagramのpopularフィードを表示することができます。 詳しい使い方は以下のページを参考にしてください! =>http //www1.atwiki.jp/guide/pages/935.html
https://w.atwiki.jp/nicomment/pages/317.html
スケッチブック ~full color s~ 第01話 「スケッチブックの少女」 第02話 「いつもの風景」 第03話 「青の心配」 第04話 「三人だけのスケッチ大会」 第05話 「ねこねこの日」 第06話 「夏の想ひ出」 第07話 「9月の日に…」 第08話 「ラジカセと少女の二本立て」 第09話 「ナニかの為に」 第10話 「出会いの先」 第11話 「風邪の日と、ねこねこpart3」 第12話 「スケッチブックの日」 第13話 「ひとりぼっちの美術部」 第01話 「スケッチブックの少女」 動画番号 再生時間 再生数 コメント数 sm1187465 24 45 106473 80104 第02話 「いつもの風景」 動画番号 再生時間 再生数 コメント数 sm1237813 24 45 53517 29474 第03話 「青の心配」 動画番号 再生時間 再生数 コメント数 sm1290865 24 45 37642 29695 第04話 「三人だけのスケッチ大会」 動画番号 再生時間 再生数 コメント数 sm1343825 24 45 47056 36077 第05話 「ねこねこの日」 動画番号 再生時間 再生数 コメント数 sm1406344 11 02 32031 16517 sm1406245 13 43 35133 14021 sm1417038 24 45 6823 3395 第06話 「夏の想ひ出」 動画番号 再生時間 再生数 コメント数 sm1463723 24 25 12398 15180 第07話 「9月の日に…」 動画番号 再生時間 再生数 コメント数 sm1521920 24 45 24782 24793 第08話 「ラジカセと少女の二本立て」 動画番号 再生時間 再生数 コメント数 sm1574217 24 45 25539 17615 第09話 「ナニかの為に」 動画番号 再生時間 再生数 コメント数 sm1631694 24 44 29606 27252 第10話 「出会いの先」 動画番号 再生時間 再生数 コメント数 sm1690853 24 44 21212 19328 第11話 「風邪の日と、ねこねこpart3」 動画番号 再生時間 再生数 コメント数 sm1747444 24 44 30788 29058 第12話 「スケッチブックの日」 動画番号 再生時間 再生数 コメント数 sm1804185 24 44 24485 21836 第13話 「ひとりぼっちの美術部」 動画番号 再生時間 再生数 コメント数 sm1862965 24 28 26611 20727
https://w.atwiki.jp/teikokuss/pages/977.html
ようやくニクシアの766教育隊入り。助教の下士官は「ROME」のあの人から。 雪解けでぬかるんでいるはずの営庭は、きちんとならされ踏み固められていて、そして乾いていた。「土」の系統の魔道を使うことができるニクシアは、直立不動の姿勢のまま、軍隊というのはすごいところなのだな、と、そう密かに感心していた。 初春の風はまだまだ冷たくて、ネッカチーフをしっかりと巻きとめていなかったならば、きっととても寒い思いをしたに違いなかった。左隣の双子の姉妹、多分古人なのだろう二人は、風が吹くたびに声をもらして身体を震わせている。実家で近衛騎士の制服を仕立てた時に、近衛軍団で中隊先任従士長を努めていたというのが自慢の爺やが、あれこれ兵隊としての心得を聞かせてくれていた事がもう役に立ってくれていた。 営庭にはニクシア達だけが並んでいて、身長順にニクシアの左隣に一人、右隣に四人立っていた。左隣の子は、焦げ茶色の髪をして左右の瞳の色が違う少年の様な古人の子。右隣の子供らは、金髪や栗毛や赤毛の少女みたいな古人の子ら。一人だけ魔族の子がいるけれども、東方遠征に参加したという親戚から聞いたような邪悪で恐ろしい感じはしなかった。皆の中で一番背が高くて、眼鏡をかけていて、そして何が楽しいのかにやにやと笑っている。 ニクシアが他の子に視線を移そうとした時、営舎からさらに四人の少女らが出てきた。背の高い黒髪に眼鏡の少女を先頭に、古人の少女らが三人。年頃は同じくらいに見えるのに、まとっている雰囲気が全く違っている。軍服に慣れているというのか、軍隊に慣れているというのか、この近衛騎士団に所属する部隊の駐屯地にいても違和感がない。あえているならば、兵隊らしいとでもいうのだろうか。彼女らは、駆け足でニクシア達の右隣に並び、両足を広げ両腕を後手に回す姿勢をとった。 そして十人の少女らが一列に並んだところで、営舎から何人かの大人の軍人達が現れ、魔族の高級士官を先頭にゆっくりとした足取りで近づいてくる。 「全体、気をぉつけっ! 敬礼、頭ぁー――――中ッ!!」 「はい、休んでいいです」 「直れ! 休め!」 「この度、近衛軍独立近衛第九〇一重機甲兵大隊第二中隊教導隊第七六六教育隊隊長に任命されました帝國子爵メトポロニア騎士隊長です。皆さん初めまして」 皆一斉に右端の眼鏡の女の子の号令に合わせて直立不動の姿勢を固め、頭をメトポロニア騎士隊長に向け、戻し、そして両足を肩幅までひらいて両手を腰に回した。右側の四人の子らは、見事に揃った流れるような動きで号令に合わせて姿勢を変えたのに対して、ニクシア達六人はてんでばらばらであった。 ニクシア達の前に立った魔族の高級士官は、そう自己紹介をした。側頭部に小ぶりのカウホーンが生えていて、茶髪を二つの三つ編みにまとめていて、鼈甲縁の眼鏡をかけている。その歩き方と豊かな胸の盛り上がりから、上級魔族の双性者であることが判る。彼女の声は若々しく溌剌としていて、そしてその表情はにこにこと微笑んでいた。 「私は見ての通り魔族で、昔はエドキナ大公殿下の下で邪神鎧に搭乗していました。私の任務は、中距離から近接距離までの魔導を併用した機神の戦技の教育を行うことです。私の教育方針は、できるまでやらせる、です。皆さんもそのつもりでがんばって下さい。以上です」 ニクシアは、メトポロニア騎士隊長の軍人とは思えないほどに柔らかい口調にほっとした。軍隊での教育とは、無理冠詞に鉄拳と書く、とちまたではよく言われる代物である。でもこの教官にならば、殴られることはないのだろうと、そう思ったのだ。 「それでは皆さん、自己紹介をお願いします。まずは左端の貴女から」 メトポロニア騎士隊長の視線が、ニクシアの右隣の子に向けられる。それに合わせて彼は声を張り上げた。 「僕は、モリフォリア・シュネルマヌス・レスローティアです。よろしくお願いいたします」 「聞こえませんでした。もう一度」 「……モリフォリア・シュネルマヌス・レスローティアです! よろしくお願いいたします!」 「聞こえませんね。もう一度」 「モリフォリア・シュネルマヌス・レスローティアですッ!! よろしくお願いいたしますッ!!」 え? ニクシアは、モリフォリアの大声にびくっとして、そしてメトポロニア騎士隊長のことをまじまじと見つめてしまった。モリフォリアの声は良く通る綺麗なボーイズソプラノで、魔族の教官のところまで声が届いていないはずがない。ひたすら繰り返して名乗らせる彼女が何を考えているのかが判らない。 「モリフォリアさん」 「はいッ!!」 「貴方の身上書には、モリフォリウス・シュネルマヌス・レスロートゥスと記載されていますね?」 「……はい」 「では、言い直して下さい」 「はい。ボクは、モリフォリウス・シュネルマヌス・レスロートゥスです」 「聞こえませんでした」 何度も何度も叫ばさせられて、モリフォリアことモリフォリウスは、すっかり喉がかれてしまっていた。一通り怒鳴らさせた後、メトポロニア騎士隊長の視線がニクシアに向けられる。その翡翠色の瞳が表情とは逆に全く笑っていないことに、少女は胃が縮みあがるような気持ちになった。 「次の貴女。自己紹介をお願いします」 「はいっ、私はっ、ニクシア・レスロートゥス・プブリコラといいますっ、よろしくお願いいたしますっ」 ニクシアは、精一杯大きな声を出して名乗った。 だが、魔族の教育隊長は、変わらぬ楽しそうな声で言い放った。 「聞こえませんでした。もう一度」 何度も何度も自分の名前を叫ばさせられて喉もかれ、頭の中がぐるぐるになってしまったニクシアは、今度はメトポロニア騎士隊長の後ろに控えていた中年の下士官達に名前を呼ばれて前に出ることとなった。 「マリエル学生殿、ニクシア学生殿、初めまして。自分は第七六六教育隊助教に任命されましたヴォレヌス従士長であります。これより教育隊長の補佐を努め、御二人に「助言」を申し上げることになります。以後自分の「助言」は、近衛騎士団長陛下よりの言葉と同様のものと心得られた上で従っていただくことになります。以上、よろしくご理解いただきたく願います」 癖の有る金髪を短く刈り込んだ、皺深くて頬骨が目立つヴォレヌス従士長は、古兵の貫禄を存分ににじませた表情と口調で、そう丁寧に自己紹介した。そして、その言葉の意味を一息遅れて理解したニクシアは、思わず下唇を噛んで、えぐっ、と声を漏らしてしまった。 この助教の言うには、彼がどれだけ理不尽な事を二人にやらせるとしても、それは近衛騎士団長、つまり副帝レイヒルフトの命令と同じものとして従え、というのだ。近衛騎士見習いであるニクシアは、階級だけならば目の前の従士長より上ではある。しかしこの第七六六教育隊においては、彼女らは最底辺の兵隊未満の存在でしかなく、ヴォレヌス従士長が「助言」する通りにしごかれることになる。 みっしりとした密度のある筋肉をした古参従士長の迫力に、ニクシアは、内心で怯え、どうなるのだろうとひたすらそればかりを考えていた。
https://w.atwiki.jp/teikokuss/pages/1295.html
サウル・カダフ元帥率いる帝國軍が、ポルタヴァの町の前面から撤退してゆくゴーラ・ラグナル連合軍を徹底的に追撃し痛打を与えて敗走させた次の日、帝國軍は部隊を再集結させ全面的な休養と再編成に入った。会戦の前に第12軍団はナルヴァの戦いで連合軍を相手に戦い、少なくない損害を受けていたし、第7軍団もこの戦いで軍団長をはじめとして多くの死傷者を出していた。これからラグナル王国の王都フューリンを攻略するためには、それ相応の態勢をとれるようにしなくてはならなかった。 そんなこんなサウル・カダフ元帥の司令部がめったやたらに忙しい中フェイトは、文字通りする事もなく待機を命ぜられていた。何しろ彼女は、第21旅団から派遣されてきた文字通りサウル・カダフ元帥直属の身である。当の総司令官に「じゃ、呼ぶまで待機していて」と命ぜられれば、大人しくしているしかない身である。そしてくそ忙しい司令部で一人茶をすすっているのも気が引ける。結局のところ彼女は、総司令部が置かれている農家の外でぼんやりと周囲を眺めて時間を潰すしかやる事がなかったのだ。 だかだかと蹄の音も高らかに次から次へと伝令が馬で乗りつけるのを見ていたフェイトは、その中の一騎に見覚えのある姿を見つけて手を振った。 「フェイト!?」 「無事だったんだ、シャルル。よかった」 「元気そうだね。いつからこっちに?」 「10日くらい前かな? 国境を越える直前に来たんだ」 「そうなんだ。あ、ちょっと待っててね、報告書を出しに来たから、先にそっちを片付けなくちゃ」 「うん」 蜂蜜色に近い温かな色合いの金髪をした少年が、ぱあっと嬉しそうな表情を浮かべて馬か降りてフェイトに駆け寄ってくる。彼女がシャルルと呼んだ少年は、にこにこと嬉しそうに笑うと、髪の根元を三つ編みにしてリボンでまとめた金髪をひるがえし、農家に走って入っていった。久しぶりに会った知己に微笑みを浮かべたフェイトは、彼が置いていった馬を馬匹係りの兵士に手綱をあずけて入り口で待つことにした。 「ディアキニウス達の怪我はどう?」 「イサクリウスの顔に傷が残るくらい。軍務にはちゃんと復帰できるって」 「そう。よかったね」 「シャルルは?」 「見ての通り。ボクはちょっと怪我したくらいで、全然平気」 「よかった」 フェイトの所属している親衛第21旅団は、独立近衛第101重駆逐大隊、独立近衛第902重駆逐大隊、親衛第3騎馬猟兵連隊などで編成される重駆逐機装甲こと機神を主力とする魔導戦専門部隊である。今回のゴーラ帝国との戦争が始まる直前に第902大隊は、サウル・カダフ元帥直属として騎馬猟兵中隊2個とともに引き抜かれていた。同じ宿舎で暮らしていた歳若い仲間達の消息については、時々旅団司令部から聞こえてくる噂を聞くくらいしか知るすべがなかった。 「ゲッツ隊長に感状と勲章が出るかも」 「ふうん、総司令部にいるとそういう話も聞けるんだ」 「うん」 この戦争が起こる前、シャルルやその仲間達との間で起きたちょっとした騒ぎも、今では懐かしい記憶の一つでしかない。クラウディアのいない間、学院での生活によって喚起された感情を統べる事ができなくて、皆に迷惑をかけた。その間、フェイトの荒れ狂う感情を受け止めてくれていたのが、このシャルル・オーギュスト・デュ・ノワールという双性者であった。結果として彼女は、彼に自分の身を自由にさせ、色々な事を仕込まれたわけであるが。さすが「神殿」諸国出身の古人だけあって、シャルルは色々とフェイトの知らない後ろ昏い知識をたくさん持っていたのだ。 「ガリルとアイデシアは?」 「アイデシアはいつも通り。ガリルは……」 第902大隊長であるゲッツ・フォン・ベルリッヒンゲン上級騎士隊長直属の小隊員であるアイデシア・ケイロニウス・イリュリアは、現イリュリア公爵の妹姫であり、家督相続権を放棄して近衛騎士団に入団した少女である。かくあるべき自分というものをかたくななまでに護ろうとしていた彼女が、ゲッツ隊長にびんたを張られたのを見て、皆が驚愕していた事をフェイトは覚えている。皆の狼狽具合から、ケイロニウスの姫に手を出すという事が「帝國」でどれほど重大な事件なのかを知って、ノイナやアルブロシアといったケイロニウス一門出身の同期の娘らと散々もふもふしあった自分はどうなるのだろう、と困惑したのも今では懐かしい。 そして、東方はエドキナ大公領から来た魔族大夫の少年ガリル。戦場経験でははるかに上の魔族の戦士マリエルが怖がったほどの相手、というのとは裏腹に、見た目はマニッシュな少女にしか見えない、はにかみ屋で機装甲が大好きな線の細い少年であった。だが一度得物である両刃の大剣を持てば、まさに魔族大夫の称号に恥じぬ戦いぶりをみせる戦士でもある。本人はその落差にまったく無自覚であったのだけれども。 「ガリルは?」 「殺気立ってる。おかげで、アスランやニコラが怖がっていて、アイデシアはいつも通りなんだけれど、あんまり雰囲気が良くない」 ちょっと困ったなあ、という風に微笑んだシャルルに、フェイトは、何度かまばたきをして内心の驚きを感情として表現した。 フェイトの知るガリルは、学問にも、勤務にも、訓練にも、修行にも、ひたむきなまでに一生懸命で、そして今を生きる事を皆の中で一番楽しんでいた。仲間と勉強できるのが楽しい。仲間と訓練できるのが楽しい。機装甲鍛冶としての修行ができるのが楽しい。そうひとつ毛布の中ではにかみながら語った彼は、彼女から見てもとてもまぶしかった。その彼が殺気立っているというのは、ちょっと想像することができない。 「隊長達は?」 「それどころじゃない、って感じかな。ヴェストラ将軍とその麾下の将軍達を倒せなかったのと、大隊の「黒の二」を4機も撃破されたので、大変な事になってる」 「うん、見てた。戦死者が出なくてよかった」 「……見てたんだ。フェイトがいてくれれば…… ごめん、言っちゃいけないよね」 「助けにゆきたかった。それだけは信じて」 「うん、ボクは信じるよ。でも、戦争って、そういうものだから」 その長い睫毛を伏せたフェイトに、シャルルは、相変わらずののほほんとした声色でなぐさめるようにそう答えた。 そう、フェイトもあのヴェストラ大将軍の突撃を見ていたのだ。第5018小隊の黒騎士達が壊滅し、第902大隊の黒の二が次々と撃破されてゆくのを見て、何度もサウル・カダフ元帥の方を振り返った。それ以上の事は許されないのは理解していたが、泣きそうな表情の自分の視線を完全に無視して指揮を取り続ける総司令官の事をうらめしく思ったのも事実である。 そして、第902大隊を、第26旅団をすり潰す事で、帝國軍はポルタヴァの戦いに勝利したのだ。第15旅団を追い上げ、第26旅団を蹴散らし、第7軍団長直属の部隊を追い込む事で、ヴェストラ将軍の軍団は消耗し、そして第9、第10機甲騎兵旅団による突撃を受けて壊走させられたのだ。いまや彼らは4000かそこらの兵しか残っていないらしい。渡海したのが1万を超える軍団であった事を思えば、まさしく痛打を与えたといって過言ではない。これから彼らを、1万5000からの兵を持つ第8軍団が追撃する事になっている。王都フューリンにたどり着く前に敵が壊滅していてもおかしくはない。 「101の皆は?」 「元気。無名が獲物がいない、って文句言ってる」 「おぬこさまだからなあ、無名って」 「そうだね」 そう言って、二人でくすくすと笑い合う。この戦争が始まってから無名は、機神「クルル=カリル」を駆って敵の戦列艦を沈めるがもっぱらの任務だった。射撃戦は全くできないが、しかし存在の死を顕現させられる「魔眼」持ちで、常軌を逸した空中機動で砲撃すら避けきれる彼女は、数十門もの大砲を載せた戦艦を沈めるくらいしかやれる事がなかったのだ。 第101大隊長のナタリアは、無名かフェイトか、「クルル=カリル」で確実に機神を殺せる二人のどちらかを常に手元に置くようにしている。暴虐でもって知られるゴルム帝が皇帝乗座機神「グイン・ハイファール」で出撃した時のために、二人は拘置されているのである。 「そろそろゆかなくちゃ。もっと話をしていたいけど、ボクも任務があるから」 「うん。無事でね、シャルル。皆に無事でいてくれて嬉しいって、伝えて」 「うん。フェイトもね。ボク達もなんとか頑張ってるって」 他の兵士らの前でもあったし、軍務の最中でもあるから、互いに触れ合うようなことはせずに笑顔で別れる。 馬に拍車を当てて駆け去るシャルルを、フェイトをずっと見つめ続けていた。 朝と昼にたっぷりの肉と野菜を食べ、さらに特配の酒で身体を温めた帝國軍の兵士達は、勝利の余韻も醒めやらぬうちに王都フューリンへの進撃に移った。各軍団ごとに別れてそれぞれ街道を北上し、一路フューリンを目指す。途中でゴーラ・ラグナル軍とはちあわせしたならば、単独で蹴散らせるならば蹴散らし、それが無理ならば他の軍団に応援を要請して三方から包囲して殲滅する。 ゴーラ・ラグナル連合軍は、帝國軍と会敵するのを避け、急ぎ王都を目指すだろう、というのが総司令部の一致した意見であった。フューリンにはまだ1個軍団程度の兵が残っており、これと合流できるならば、ゴーラ帝国本土からの増援を待って反撃に出る事が可能であろう、というのが結論であった。 「ここでこちらがへまをしなければ、ゴーラ本土の増援はラグナルに投入せざるを得なくなる。重要なのは、スヴェルスガルド将軍の時のように、ヴェストラ軍が本土に逃げ出す余地を与えない事やね。ヴェストラ将軍の本隊が南岸に残っている限り、ゴーラ帝国は増援を送り出さざるを得ないわけだ」 「はい、閣下」 「その中に「グイン・ハイファール」いるかどうかは判らん。が、いたら、その時がお前さんの出番だ。フェイト上騎」 「はい」 ぱかぱかと馬に揺られて帝國軍工兵が応急補修した街道を北上するサウル・カダフ元帥は、毛皮で裏打ちされたケープ付きコートにマフラーをぐるぐる巻きにして、耳当てを下ろした毛皮帽をかぶっている。はるか南の海を越えた向こうの大陸出身の彼には、この北国の寒さはことのほか堪えるらしい。魔導八相に覚醒しているフェイトは、自分の周囲の気温の操作など無意識のうちに行える程度の事に過ぎないが、それはあくまで魔導の導師である彼女だからであって、一般の兵士にとって寒さとは命に関わる問題なのであった。 「で、だ。何か言いたそうやね? ここだけの話という事で聞き流してあげよう」 「はい、ありがとうございます。ですが、自分のわがままですので申し上げるわけには」 「構わん、構わん。ヴェストラ、討ちたかったんだろう?」 「……はい」 何もかもお見通し、と言わんばかりの獣人の元帥の視線に、フェイトは、少し間を空けてから口を開いた。 「今夜の待機ですが、第902大隊でとりたいのです」 「うん、了解した。どうせ大隊本部は司令部の近くだからね。本来ならば大隊長を呼んで全般状況の説明をするところだが、文章通達でやるからそれを持っていって貰おうか。ついでに向こうで寝てきていいよ」 「よろしいのですか?」 「第8軍団の前衛がヴェストラ軍の後衛に接触した。今902長は第10旅団に随行して威力偵察に出ている。大隊は機体の半分を討たれて再編成に手間取っているからね、先任士官に来いというのも酷だろうさ」 「ありがとうございます」 馬上ながら、軍帽を脱いで深く腰を折ったフェイトの事をサウル・カダフは、うんうんとうなずきながら見ている。 フェイトは、何故サウル・カダフ元帥が自分をこうも甘やかすのだろうかと、答えの出ない疑問について考えていた。 「来たよ」 「ひぇ?」 あり得ない物を見た、という表情で声を上げたシャルルに目礼だけして、フェイトは902大隊の先任士官の前に立って敬礼した。 「第901大隊長に対し、総司令部より全般状況概略についての説明と今後の活動についての指針の通達についての文章をお持ちいたしました。受領願います」 「了解した。署名はここだな。……よろしい、大隊長に代わり、先任士官が受領した」 「はい、確認いたしました。……お久しぶりです、ヒュド隊長」 「君とは久しぶりね。それで、今日は他には?」 「これだけです。あと、総司令官の許可を頂けましたので、今日はこちらに泊まらさせて頂いてもよろしいでしょうか?」 すでに夜闇のとばりも下りている刻、第902大隊の本部が置かれている農家の中でフェイトは、第902大隊先任士官のヒュド騎士隊長に総司令部から預かってきた文章を手渡した。 眉とあごのあたりで切りそろえた黒髪と薄い身体つきのせいで、ここにいる騎士達の中では一番幼く見えるヒュド騎士隊長であったが、ここにいる騎士達の中では最も長い軍歴と戦功を持っている古参の黒騎士でもある。彼女よりも戦功で上回るゲッツ大隊長は、部屋の隅っこで昏い顔をしている騎士アスランの上長であるアモニス騎士長とともに、第10機甲騎兵旅団に随行していてここにはいない。 紙巻をくわえて火をつけたヒュド騎士隊長は、そのほとんど瞬きをしない硝子のような瞳でフェイトの事を見つめ返した。 「君が「クルル=カリル」と共に総司令部予備として拘置されている事は、旅団司令部から聞いている。ここは君がいるべき場所じゃない。で、なんで君がここにいるのかな?」 「ガリルをお借りしていってもよろしいでしょうか?」 「……許可する。ただしシャルルは駄目だ。これから話をしなくちゃいけないからね」 「了解しました」 そんなあ、と泣きそうな表情でフェイトに助けを求めるシャルルを、頑張って、と笑って一声かけてやり過ごしたフェイトは、壁に背をあずけて大剣を抱えて座っているガリルの前に立った。 癖の強いこげ茶色の髪を伸ばして頭の両脇に生えている角を隠している彼は、普段とは一変して殺気にその翠色の瞳ぎらぎらと輝かせながら、じっと黙って今のやり取りを見ていた。 ヒュド騎士隊長はフェイトの記憶通り抜き身の長刀のような雰囲気を隠そうともしていないし、普段は穏やかなガリルが周囲にうっすらと殺気を漂わしたまま黙りこくっている。アイデシアは相変わらず我関せずで自分の世界に入っていて、ガリルと同じ小隊のニコラは困った様子で黙っていて、そしてアスランは昏い雰囲気のまま部屋の隅っこで落ち込んでいる。確かにこの雰囲気では、次の戦いではあまり楽しくない事になりそうではある。 「ガリル、ファルコニア小隊長は?」 「即応待機中です。フェイト上級騎士」 「判った。じゃ、毛布持ってきて。私とあなたの分と」 「……了解しました」 不愉快そうな表情を隠そうともせずに立ち上がったガリルは、それでも文句の付けようのない敬礼をしてから靴音も高く部屋を出て行った。 「サウル・カダフ元帥は、大隊の現状を知っているのかな?」 「ご存知ないはずですが、予想はしているのではないでしょうか」 「君は表情を隠す事を覚えるべきだ。指揮官は、喜怒哀楽を他人の前で顕わにするべきじゃあない」 「努力します」 ふうっと煙を吐いたヒュド騎士隊長は、相変わらず硝子のような表情の読めない瞳でそうフェイトの事を叱った。 毛布を持ってきたガリルを納屋まで引っ張ってきたフェイトは、自分の分の毛布を藁山の上に敷くと、もう一枚の毛布の中にガリルを引っ張り込んだ。 「ガリルが怒っているの、初めて見た」 「……………」 「あのね、今日はそういう事をしに来たわけじゃないんだ。ただ……」 「ただ?」 「今のままだと、誰か死ぬよ。きっと」 むっつりとした表情のガリルは、一度はっとしたような表情を浮かべ、それからきっとフェイトの事をにらみつけた。 「ファルコニア隊長とディアキニウスがいなくて、君がそんなだと、黒騎士以外のみんな、実力を出し切れないよ」 「……自分は」 「うん」 「自分が出撃していれば、三人が死にかけるような事はありませんでした」 「うん」 それだけ口にするとガリルは、毛布の中でフェイトに背を向けた。そんな少年を背中からそっと抱きしめると彼女は、あくまで優しく言葉を続けた。 「それを口にして、怒られたんだ」 「……はい」 「私ね、見ていたんだ。大隊が壊滅しかけるところ」 「……………」 フェイトの腕の中で、ガリルがびくっと身体を震わせる。 「ヴェストラ将軍は、私が予想したよりもはるかに強かったよ。最初の黒騎士の弓射で、ゲッツ隊長の仕掛けで、討てるはずと思った。でも、それをことごとく斬り伏せて戦場から離脱した」 「……………」 「あれを討てるのは、今この戦場ではナタリアか、無名か、私だけだよ」 「何故、そう言い切れるんです」 「私なら、ヴェストラ将軍の無数の可能性の中から致命的なものを観測し顕現させられる。無名なら、相手が生きている限り「殺す」ことができる。そして、私はナタリアの本気の砲撃を見た事がなくて、「死神」と呼ばれたあの人の本気を機神に乗らないで斬れる人間がいるとは、思えない」 ぎゅっと力をこめてガリルを抱きしめたフェイトは、そう優しく彼の耳元でささやいた。 「自分は」 「うん」 「自分は、大夫だそうです。「自治区」が成立する前の称号だから、実感が無いんですけど。だから、皆から誉めそやされても、困るんです。みんな、自分を防衛第一委員の嫡子だから、近衛騎士卿だから、期待して、褒めて、おだてるんです。でも、自分は、皆に言われるような結果を出していないんです」 「そうだね」 「自分は何かしましたか? 何もしていないじゃないですか。ポルタヴァでの戦いだって、ヒュド隊長が待機だから、部下の自分も待機させられて、それでディアキニウスもイサクリウスもコルネリアも死にかけて、自分は一体全体なんなんです? 何もできなかったじゃないですか!」 肩を震わせて、静かにそう激昂するガリルが愛おしくて、フェイトは、ずっと彼を抱きしめ続けていた。 「悔しいよね」 「悔しいです」 「でも、私はガリルの事がうらやましいんだよ」 「え?」 困惑したようなガリルの声に、フェイトはガリルの身体をひっくり返して自分の方に向きなおさせた。 「サウル・カダフ元帥は、「クルル=カリル」をヴェストラ軍を叩くために投入する気が無い。ポルタヴァでね、私は何度も総司令官の事を見つめたんだ。私ならヴェストラ将軍を討てるって。でも、あの人はそれを無視して、敵を完全に包囲して殲滅する方を選んだ」 結局、ヴェストラ将軍らには逃げられたけどね。 そう言ってフェイトは、自分の鼻先をガリルの鼻先にこすりつけた。 「101がこの戦争で果たしている役割は理解している。でも、今こうして何もせず総司令部の隅っこでお茶を飲んでいるだけなんて、私だって納得できない」 「……本当に、何もさせて貰えないんですか?」 「うん。時々、サウル・カダフ元帥のお茶の相手をするだけ」 フェイトは、ガリルを抱きしめる腕に力をこめ、彼の頬に頬ずりする。 「でも、ガリルは、ヴェストラ将軍と麾下の将軍達が無事だから、戦う機会は残っている。今、ゲッツ隊長がアモニス隊長と一緒に出撃しているのって、ヴェストラ将軍との再戦するつもりだからだよね?」 「はい」 「でも、それは無理だと思う。今、ゴーラ軍と帝國軍は、どっちが先にフューリンに到着するか競争している。だから、ヴェストラ軍はゲッツ隊長の事を無視して北上しているはず」 「じゃあ、本番は、フューリンにたどり着いてからですか?」 「総司令部は、そのつもりで準備を始めているよ」 「……なんでヒュド隊長じゃなくて、自分に?」 「さっき渡した文書、きっとそういう内容のはずだから」 「……………」 ガリルの髪の毛は癖が強い。そして限りなく黒に近いこげ茶色の角を隠すために伸ばしているせいもあって、手触りがもふもふしていて撫でているととても気持ちが良い。フェイトは、ガリルの髪の毛をすくようにして撫で、そして彼の艶やかな角に優しく触れた。 正直に言うならば、フェイトはガリルの角がうらやましい。自分の角は人間の国である「帝國」で生きてゆくために切り落としてしまったから。角を切り落とすということが、魔族にとってどれほどの恥辱であるのか、それはマリエルから聞いた。だから、今更再生するつもりもない。彼女とてプライドがある。今更蔑まれたり哀れまれたりしたいとは思わない。角を再生するということは、自分に向けられるそうした視線を肯定する事にほかならない。 だからフェイトは、自分が角を切り落としたダイモン――上級魔族――であっても、蔑みも哀れみもしなかったガリルに好意を抱いている。彼は、自分がダイモンである以前に、帝國市民であるという意識が強く、そしてその事に限りない誇りを抱いている新世代の魔族であった。 同じダイモンの先輩がいると知って喜んだ彼の満面の笑みをフェイトは覚えている。彼に自覚は無いだろうが、フェイトが本当の意味で喜怒哀楽の感情を意識したのは、彼のおかげなのだ。 「フェイトさん」 「うん」 「自分は、貴女の事が好きです」 「私もだよ、ガリル」 ガリルの手がフェイトの背中に回され、ぎゅっと力強く抱きしめ返してくる。 「アルブロシア先輩の事があった後、皆、自分の事を哀れんだり嘲ったりしました。魔族のくせにケイロニウス御一門の姫君に恋をするなんて、身の程をわきまえぬ僭越だと」 「確かにそういうこともあったね」 ガリルの初恋の相手は、フェイトと「学院」で同期であったケイロニウス・アクィロニア方伯アルブロシアという少女であった。歳若くして家督を継ぎ、そして今上皇帝リランディアの義理の娘として南のアル・レクサ王国に嫁いでいった彼女。その時にガリルに向けられた感情を、フェイトはよく覚えている。非征服民の子が、皇室御一門の姫君と相思相愛になったという醜聞扱い。恋をした二人の間に肉体的接触があったとは聞いていない。だからこそ、その時の彼の慟哭の深さを彼女は覚えている。 それは、セルウィトス・セルトリウス西方辺境候嫡子クラウディアに恋をしている自分と同じ慟哭であるから。 幸いにして自分は、クラウディアの恋人である事を彼女の夫のオクセンシュルヌス・トゥルトニウス北方辺境候に許されている。だからといって、公的な場にフェイトがクラウディアに伴われて出る事が許されたわけではない。あくまで好意によって黙認されているだけの関係。 自分は生涯表の世界に出る事は許されない。それが「帝國」における彼女の立場であり、彼女もそれを了承して角を落としここに来た。 「自分の気持ちを判ってくれるのは、フェイトさんだけです」 「うん」 「自分には好きな人がたくさんいます。大切な人がたくさんいます。でも、自分の気持ちを判ってくれるのは、フェイトさんだけです」 「うん」 「……貴女に、角が残っていたなら」 ガリルの指先が、フェイトの角のあった場所に触れる。今はもうそこで髪をまとめるのをやめてしまった箇所に触れる事を彼女が許す相手は、彼の他に数人もいない。自分の金髪が乱れぬよう先端をリボンでまとめた長髪の上から少年が彼女をかき抱き慟哭する様を、フェイトはその胸の中で感じとった。 「自分は、どうして許されない相手に恋をしてしまうんでしょうか?」 「私にも、判らないよ」 「そうですよね。……ごめんなさい。言ってはいけない事を言っちゃいました」 「ガリルにだけは許すよ。私に角が残っていたならば、きっと私は表の世界でも生きてゆけたはずだから。きっと、私達の事を皆が祝福してくれたはずだから」 フェイトが後悔しているのは、ただその一点のみである。どれほど慟哭しようと、自ら角を落とした事を後悔などしていなかった。だが、同じダイモンでありながら、自分と同じ様に古い魔族の因習から自由な彼との恋は、クラウディアとの恋と同じくらいに心地良かった。 だが、彼女は角を落としてしまった。故に、彼の故郷の者達に受け入れられる事はない。 「悔しいよね」 「でも、自分は、諦めません。諦めたら、そこで終わりですから」 「うん。ガリルは、強いね」 フェイトは、ガリルが羨ましい。諦めてしまって、そしてそれを是としている自分と、なお諦めずに進もうとしている彼を比べてしまうから。 「……フェイトさんが諦めるのを止めるまで、自分は貴女と一緒にいます」 「……私には、無理だよ」 「貴女が諦めるのを止めるまで、貴女を離しません」 フェイトは、ガリルが眩しい。日陰で生きる事を選んでしまった自分には、表の世界で顔を上げ胸を張って生きてゆく彼が輝かしいから。 「自分は、貴女の手を離しません。二度と後悔するつもりはありません」 フェイトはガリルに抗えない。フェイトの強さなど、所詮は魔導という技術に頼るだけのもの。ガリルの自由への意思の強さに比べれば、そんなものなど何物であろうか。 彼女の両手に自分の指を絡めて組み伏せたガリルに、フェイトは身も心も蕩けて、彼の思うがままに蹂躙される悦びに肢体をゆだねた。 「ええと、昨日は、その……」 「気にしなくていいよ。ガリルが普段通りに戻ってくれて嬉しいから」 「す、すみません」 翌朝、日の出頃に目が覚めた二人は、身だしなみを整えた後、藁山の上に敷かれた毛布の上で互いに向かい合って座り込んでいた。フェイトは下半身が蕩けて力が入らなかったせいであるし、ガリルは自分がしでかした事に身の置き所がなかったせいである。 「でも、嬉しいよ。好きって気持ちは。気持ちいいから」 「……はい」 フェイトは、身も心も蕩けきった自分に活を入れて、軍人としての自身に戻った。本当は、顔を真っ赤にして上目遣いで見つめてくるガリルの姿をずっと堪能していたい。だが今は、数十万の兵士が動員されている大戦争の真っ最中であり、今日もまた状況が動くかもしれない。その時に、ガリルは「黒の二」を駆って戦場に出られる状態でいなくてはならないし、フェイトはサウル・カダフ元帥の命令を遂行できる態勢でいなくてはならない。 「ねえ、ガリル」 「はい、フェイトさん」 「いつか、いつか本当の勇気を私が手に入れる事ができたならば」 「判っています」 少年の翠色の瞳の力強さが嬉しい。フェイトの想い人は、その瞳の力強さで彼女を組みしだく。そして、その事が彼女にとっては何よりも心地良い。 今の自分は弱い。それがフェイトの自分自身の評価である。だからこそ想う。強くなった自分を見つめる瞳はどうなるのだろうか、と。そして、強くなった自分を見つめる瞳は、それでも自分を組みしだいてくれるのか、と。 ガリルと出会わなければ、フェイトはいつまでもクラウディアの優しさの中でまどろんでいたであろう。だが今は違う。彼女の中には、強さへの渇望が在る。いつか、諦める事を止め、歩き出せるようになる事を望む自分が生まれつつある。そのもう一人の自分を生み出したのは、彼の瞳の力強さ。 「私は、強くなるよ」 「自分も、強くなります」 だから、フェイトとガリルは互いに確認しあう。同じ自由になろうとするダイモンだからこそ、理解できる本能的な力への渇望。 少年と少女は、共に自由という荒野を目指す。
https://w.atwiki.jp/comic8/pages/1270.html
スケッチブックをお気に入りに追加 情報1課 <スケッチブック> #bf 外部リンク課 <スケッチブック> ウィキペディア(Wikipedia) - スケッチブック Amazon.co.jp ウィジェット 保存課 <スケッチブック> 使い方 サイト名 URL 情報2課 <スケッチブック> #blogsearch2 成分解析課 <スケッチブック> スケッチブックの43%は白い何かで出来ています。スケッチブックの33%は小麦粉で出来ています。スケッチブックの10%は宇宙の意思で出来ています。スケッチブックの10%は苦労で出来ています。スケッチブックの4%は気の迷いで出来ています。 報道課 <スケッチブック> 『ウォーハンマー40,000 メカニカス』Switch・PS4版のデジタルコンテンツが公開。DLC“HERETEK”、アートブック、オリジナルサウンドトラックが収録 - ファミ通.com 「ソウル大生だから信用したのに…」家庭教師の女子大生が7歳の少女に暴力=韓国ネットは怒り (2021年12月1日) - エキサイトニュース 新曲「ハート」も初披露! あいみょん、デビュー記念日に日本武道館で弾き語りワンマンライブを開催(THE FIRST TIMES) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース HYNN、12月4日にデビュー後初の地方公演を開催!話題のカバー曲も披露(Kstyle) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 秋アニメ『ブルーピリオド』より、第10話「俺たちの青い色」のあらすじ&先行場面カットが公開! - アニメイトタイムズ 心を許した友人が「少年A」と知ったら、あなたはどうする? 生田斗真 永山瑛太の問題作『友罪』 - トレンドニュース 『Hulu U35 クリエイターズ・チャレンジ』第2弾キャスト発表 主演には片山友希(リアルサウンド) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 「売れるパッケージデザインとは何か」関連まとめ記事 - 日経クロストレンド 大原優乃の“画伯”っぷりに『炎炎ノ消防隊』作者もお手上げ…本人大感激の初コラボ実現(TV LIFE web) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース なにわ男子、初インスタライブで“素”の配信「恥ずかしい」 (2021年11月30日) - エキサイトニュース 上野リチ:ウィーンからきたデザイン・ファンタジー | レポート | アイエム[インターネットミュージアム] - インターネットミュージアム 発達障害当事者の声から生まれたmahoraノートが大阪製ブランド「ベストプロダクト」に認定 大栗紙工が「大阪ものづくり優良企業賞」を受賞 - Newsweekjapan 【著者インタビュー】森まゆみさん 文化人たちが愛した文壇バーに迫る(NEWSポストセブン) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 【プロジェクトM】因島キャンパス見学バスツアー第2弾を実施! - 福山大学 『夕鬼 -Yuoni-』。鬼ごっことかくれんぼが融合した、夕焼けの世界からの脱出を図るホラーアドベンチャー【とっておきインディー】(ファミ通.com) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 「腸が煮えくり返る気持ちに…」山梨県“女子中学生髪切り事件”の被害者が思いを明かした - auone.jp 『マイロのスケッチブック』マット・デ・ラ・ペーニャ作、クリスチャン・ロビンソン絵 - 読売新聞 気合十分つば九郎「じばらしゅっちょうです。つめあとのこしてかえります」(日刊スポーツ) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 矢口高雄『釣りキチ三平』と歩んだ波乱万丈の漫画家人生(FRIDAY) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース TVアニメ「ブルーピリオド」コラボグッズが12/3(金)発売! - TOWER RECORDS ONLINE - TOWER RECORDS ONLINE 【Ohuhuブラックフライデーセール開催】年に一度のビッグセール!人気マーカーペンをはじめ、Ohuhu製品最大24%OFF! - PR TIMES 5つのリゾートマリオットホテル 新しい滞在スタイル「ホカンス」を体験する宿泊プランをそれぞれ販売 - PR TIMES 【開幕】「最後の浮世絵師」の貴重な作品を公開 「収蔵作品による小林清親展 【増補】-サプリメント-」(東京・練馬区立美術館) - 読売新聞社 つば九郎〝キレキレ〟沢村賞・山本、真中元監督、木下都議ネタぶっこみ! - 東スポWeb 『アイドルマスター ミリオンライブ!』MTW04&05発売記念イベントリポート。Sherry n CherryとARCANAが圧倒的な歌声とパフォーマンスでプロデューサーを魅了(ファミ通.com) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 【PHOTO】元gugudan キム・セジョン&チャン・ヘジン&DinDin「ユ・ヒヨルのスケッチブック」の収録に参加 - Kstyle 11月22日は、THANKS PETS DAY! ヨゼフ・チャペック作『こいぬとこねこ』の絵が手帳に!「ほぼ日のいぬねこ健康手帳」と「ほぼ日手帳2022」 - PR TIMES popman3580初画集 しなやかでポップな少女を描くイラストレーター - KAI-YOU.net 乃木坂46 高山一実、感謝と別れを告げたラストライブ ドームでの“リベンジ”も果たした『真夏の全国ツアー2021 FINAL!』(リアルサウンド) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース K-POPの新文化!?SHINeeからSEVENTEENまで、音楽番組をより一層盛り上げる「エンディング妖精」とは(Kstyle) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 『映像研には手を出すな!』が描いた創作にかける情熱 再放送を機にその魅力を紐解く(リアルサウンド) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 溝呂木 陽の水彩カースケッチ帳/連載・第7回 イオタを巡るストーリー - MotorFan[モーターファン] ヤクルト新入団選手発表会 つば九郎節注目|日テレNEWS24 - 日テレNEWS24 子どもの「いたずら」どこまでOK? 感性をつぶさない「おうちルール」の考え方(ダイヤモンド・オンライン) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 『モーニングショー 』で論破しない石山アンジュ、批判受けても「良心を諦めたくない」(週刊女性PRIME) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 高浜町の洋画家、湯淺廸哉さんが地元で展示会 「示現会」会員、ギャラリー風来で11月21日まで(北陸新幹線で行こう! 北陸・信越観光ナビ) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース TVアニメ『ブルーピリオド』グッズ、好評発売中! - PR TIMES 『ぬりえBOOK ことりの気まぐれ花めぐり』『ぬりえBOOK 世界のデザイン帖』を全国書店にて発売! - PR TIMES おとぎ話に出てきそうな外観「モザイクタイルミュージアム」建築家の藤森照信さんデザイン - 岐阜新聞 杏、YouTubeチャンネル&インスタアカウントを開設 弾き語りで美声を披露(ENCOUNT) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 「LABOUM」、初めて「ユ・ヒヨルのスケッチブック」に出演…「長い期間歌うのが夢」(WoW!Korea) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 「LABOUM」、初めて「ユ・ヒヨルのスケッチブック」に出演…「長い期間歌うのが夢」 - WOW! Korea 【セCS】ノーノーの屈辱に「ばいがえしだ!!」 ヤクルトナインが奮起した?つば九郎の“圧”(東スポWeb) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース イム・チャンジョン、新型コロナウイルスに感染…前日にはイ・ジフン夫妻の挙式に参加も(Kstyle) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 黄緑色の付箋、ベッドメイクの際の絆創膏、郵便番号簿…あなたの必須の“仕事道具”とは?(TOKYO FM+) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース CNBLUE カン・ミンヒョク、AOA ソリョンとの撮影中に指を骨折も…カムバック活動を続行(Kstyle) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 【PHOTO】LABOUM「ユ・ヒヨルのスケッチブック」の収録に参加(動画あり) - Kstyle 和田誠さんの17歳から19歳の日記を展示会に 巨匠の若かりし頃を体感(よろず~ニュース) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース イラストレーター和田誠の「だいありぃ 和田誠の日記展 1953〜1956」開催 - TABI LABO KBS、「開かれた音楽会」から「ミュージックバンク」公開収録再開(WoW!Korea) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース “最後の浮世絵師”小林清親の未公開作品を公開『収蔵作品による 小林清親展【増補】-サプリメント-』開催(ぴあ) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース ミドリ70周年記念のXSシリーズ限定アイテムや「オジサン」文具セットなどが発売 - GetNavi web 伊豆マリオットホテル修善寺 プライベート温泉と充実のアクティビティで、冬の家族旅行を応援する宿泊プラン「Family Winter Vacation -24時間気ままにファミリー温泉ステイ-」を発売:時事ドットコム - 時事通信 つば九郎、フリップ芸で大暴れ「ちーむよわい」「めだるかじる」「やまだくんぼうよみ」(ENCOUNT) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 【PHOTO】Kassy「ユ・ヒヨルのスケッチブック」の収録に参加…キュートなポーズ - Kstyle 【PHOTO】ATEEZのJONG HO&Benら「ユ・ヒヨルのスケッチブック」の収録に参加(動画あり) - Kstyle めくるたび元気をもらえる。日本画家 久保智昭さんコラボの「猫色スケッチブック 万年日めくりカレンダー」が「フェリシモ猫部(TM)」から新登場 - PR TIMES 【PHOTO】CNBLUE「ユ・ヒヨルのスケッチブック」の収録に参加…カジュアルなファッション - Kstyle スケッチやノートに 『五等分の花嫁∬』クロッキーブック(アニメージュプラス) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース <コンテンツシードより、ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会 スケッチブック、デカキーホルダーがAnimo(アニモ)にて新発売>10月8日より予約販売開始! - PR TIMES 「SHINee」KEY(キー)、“MV撮影後涙、自身のやりたかったことを詰め込んだアルバム”…「ユ・ヒヨルのスケッチブック」 - WOW! Korea <コンテンツシードより、ラブライブ!スーパースター!! スケッチブック、アクリルバッジ1BOXがAnimo(アニモ)にて新発売>10月7日より予約販売開始! - PR TIMES 「4minute」出身チョン・ジユン、「化粧品事業、音楽をするために廃業」(WoW!Korea) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 定番スケブがカードケースに。図案スケッチブックそのままのデザイン - トラベル Watch <WKコラム>「FTISLAND」、「ユ・ヒヨルのスケッチブック」で除隊後テレビ初出演!現在アルバム制作中で早ければ12月にカムバック⁉ - WOW! Korea 【PHOTO】ATEEZ「ユ・ヒヨルのスケッチブック」の収録に参加…クールな魅力 - Kstyle <WKコラム>イ・ホンギ(FTISLAND)、「ユ・ヒヨルのスケッチブック」に4年ぶり除隊後初出演!軍隊で男性ファン獲得に乗り出したワケとは?(WoW!Korea) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 【PHOTO】FTISLAND イ・ホンギ&ペク・アヨン「ユ・ヒヨルのスケッチブック」の収録に参加 - Kstyle 【PHOTO】STAYC「ユ・ヒヨルのスケッチブック」の収録に参加…華やかな衣装で登場 - Kstyle つば九郎〝ほぼアウト〟なスケッチブック芸「ばれんてぃんが べんちにすわってる」 - 東スポWeb 元SISTAR ヒョリン&ダソム ユ・ヒヨルのスケッチブック であの名曲を披露! - DANMEE ダンミ - ダンミ 【PHOTO】元SISTAR ヒョリン&ダソム「ユ・ヒヨルのスケッチブック」の収録に参加…2人でハートポーズも - Kstyle 累計9000万冊突破、マルマンが「図案スケッチブック」スクエアサイズを発売 - ITmedia 【PHOTO】I.O.I出身チョン・ソミ&LUCY「ユ・ヒヨルのスケッチブック」の収録に参加 - Kstyle 【PHOTO】OH MY GIRL「ユ・ヒヨルのスケッチブック」の収録に参加…爽やかな笑顔 - Kstyle 【公式】東京五輪で女子アーチェリー3冠達成のアン・サン選手、大ファンのバンド「LUCY」と共演へ…「スケッチブック」関係者明かす(WoW!Korea) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース Arduino、ローカルとクラウドの開発環境を同期させる「リモートスケッチブック」機能を発表 - fabcross 【PHOTO】歌手イ・ヒョン&(G)I-DLE ソヨン「ユ・ヒヨルのスケッチブック」収録に参加(動画あり) - Kstyle 【PHOTO】イ・ソンギョン&LOCOら「ユ・ヒヨルのスケッチブック」収録に参加(動画あり) - Kstyle 「こういうのが欲しかった」「これはすごくいい!」 スケッチブック風にまとまったロフト限定の“撮影用背景ブック”が便利そう(1/2 ページ) - - ねとらぼ 国文祭のスケッチブック(宮崎日日新聞) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース SNS物撮りに超便利! ロフト限定スケッチブックみたいな背景シート「STUDIO BOOK」をオススメしたい理由 - Pouch[ポーチ] TOMORROW X TOGETHER、デビュー後初!「ユ・ヒヨルのスケッチブック」出演決定…タイトル曲のスペシャルバージョンを披露 - Kstyle ドラマ「イミテーション」のアイドルグループSparkling、11日放送の「ユ・ヒヨルのスケッチブック」でステージを披露 - Kstyle 子ども用水彩の世界、海越え「いいね」失敗重ねてもいい - 朝日新聞デジタル 【プレゼント】ディズニー最新作! 映画『クルエラ』スケッチブック - マイナビニュース 廃棄される花で作った再生紙のスケッチブックを、特別支援学校の子供たちに贈りたい!クラウドファンディングでプロジェクトスタート! - アットプレス(プレスリリース) 記念日キャンペーン スケッチブック1000人に 「クラシアンの日」で | 都筑区 | タウンニュース - タウンニュース マルマンスケッチブック発売開始 ドアラ 公式ブログ - lineblog.me レトロかわいい(ハート)あの図案スケッチブックがポーチに!シリーズ累計50万部の大ヒットでコンビニでも発売決定! - PR TIMES 3月10日はクラシアンの日!日頃のご愛顧に感謝!記念日キャンペーン ー 春の新生活をちょっとプラスに ー - PR TIMES レディオヘッド、『ザ・ベンズ』期に使っていたスケッチブックがオークションで落札されることに - http //nme.com ドアラ 公式ブログ - マルマン スケッチブック - Powered by LINE - lineblog.me <WKコラム>「TREASURE」、「ユ・ヒヨルのスケッチブック」初出演で一発芸!ジフン&バン・イェダムは映画「パラサイト」名シーン再現! - WOW! Korea 人気声優・中島由貴、待望の写真集「スケッチブック」表紙公開! 法人特典画像も解禁!! - PR TIMES 「ユ・ヒヨルのスケッチブック」制作陣、BTS(防弾少年団)の楽曲に対する発言を謝罪“誤解を招いた” - Kstyle 大人気声優・中島由貴写真集のタイトルが「スケッチブック」に決定!さらに特典ブロマイドの絵柄も公開!! - PR TIMES 【新刊案内】大好評!「ZUAN LOVE!」シリーズ第2弾。レトロでかわいい「図案スケッチブック」がインテリアトートになって登場! - PR TIMES デザインやイラストを始めたい人におすすめ!お絵かき初心者でも選びやすい鉛筆&スケッチブックまとめ - Fashionsnap.com スケッチブックでマルマンが「超定番」な理由 - 東洋経済オンライン 情報3課 <スケッチブック> #technorati マンガとは マンガの33%は厳しさで出来ています。マンガの30%はカルシウムで出来ています。マンガの25%は元気玉で出来ています。マンガの9%は毒物で出来ています。マンガの1%は月の光で出来ています。マンガの1%は毒電波で出来ています。マンガの1%は魂の炎で出来ています。 28589.jpg?_ex=300x300 s=2 r=1 ヨスガノソラ 春日野 穹 -すくみず 楽天売れ筋ランキング レディースファッション・靴 メンズファッション・靴 バッグ・小物・ブランド雑貨 インナー・下着・ナイトウエア ジュエリー・腕時計 食品 スイーツ 水・ソフトドリンク ビール・洋酒 日本酒・焼酎 パソコン・周辺機器 家電・AV・カメラ インテリア・寝具・収納 キッチン・日用品雑貨・文具 ダイエット・健康 医薬品・コンタクト・介護 美容・コスメ・香水 スポーツ・アウトドア 花・ガーデン・DIY おもちゃ・ホビー・ゲーム CD・DVD・楽器 車用品・バイク用品 ペット・ペットグッズ キッズ・ベビー・マタニティ 本・雑誌・コミック ゴルフ総合 ページ先頭へ スケッチブック このサイトについて 当サイトは漫画のタイトル毎にインターネット上の情報を時系列に網羅したリンク集のようなものです。ページをブックマークしておけば、ほぼ毎日その漫画のタイトルに関連する最新情報にアクセスすることができます。 情報収集はプログラムで行っているため、名前が同じであるが異なるカテゴリーの情報が掲載される場合があります。ご了承ください。 リンク先の内容を保証するものではありません。ご自身の責任でクリックしてください。
https://w.atwiki.jp/bookworker/pages/12.html
装丁:木緒なち(Kionachi-Graphics)(コメワークス) 著者:青樹うめ 発行:芳文社 2005年
https://w.atwiki.jp/animeyoutube/pages/429.html
デッユララら - 名無しさん 2010-01-17 00 41 03